平成23年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成23年10月27日(木)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    村 上   聡
  主査       大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  保健福祉部長   小田島 智 弥
  副部長兼
  保健福祉企画室長 根 子 忠 美
  医務担当技監   六本木 義 光
  保健福祉企画室
  企画課長    高 橋 勝 重
  保健福祉企画室
  管理課長    細 川 倫 史
  医療推進課
  総括課長兼    野 原   勝
  医師支援推進監
  健康国保課
  総括課長    藤 原 信 明
  地域福祉課
  総括課長    小田原 照 雄
  長寿社会課
  総括課長    岡 村 鋭 次
  障がい保健福祉課
  総括課長    朽 木 正 彦
  児童家庭課
  総括課長    奥 寺 高 秋
  医師支援推進監  今 野 秀 一

  医療局長    遠 藤 達 雄
  次長       佐々木   信
  参事兼職員課
  総括課長    佐 川 義 明
  経営管理課
  総括課長    大 槻 英 毅
  医事企画課
  総括課長    及 川   秀
  業務支援課
  総括課長    村 田   健
  薬事指導監    松 川 幸 市
  看護指導監    村 山 和 子
  医師支援推進監  千 葉 雅 弘

  医師支援推進室長 川 上 裕 二

  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    浅 沼   浩

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇高橋昌造委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成22年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、保健福祉部、医療局関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、保健福祉部長に保健福祉部関係の説明を求めます。
〇小田島保健福祉部長 平成22年度の保健福祉部関係の決算について御説明をいたします。
 初めに、当部所管の事務事業に係る総括的な評価と今後の取り組み方針について御説明をいたします。
 当部におきましては、いわて県民計画に掲げる岩手の未来をつくる七つの政策の一つである、医療・子育て・福祉、共に生きるいわての実現に向け、地域の保健医療体制の確立、家庭や子育てに夢を持ち安心して子どもを産み育てられる環境の整備、福祉コミュニティの確立の3点を政策項目として掲げ、取り組んできたところであります。
 まず、一つ目の地域の保健医療体制の確立についてであります。
 県民が、みずからの心身の健康づくりに主体的に取り組み、地域に必要な医師等が確保され、県民が必要な医療や検診を適切に受けることができるとともに、感染症などによる健康被害を心配することなく安心して生活できる体制を確立するため、奨学金等による医師の養成や即戦力医師の招聘、病院勤務医の離職防止に向けた処遇改善などの医療を担う人づくりを初め、地域医療連携体制の推進や地域の中核的な医療を担う病院における高度医療機器の導入などの質の高い医療が受けられる体制の整備、官民一体となった自殺対策の推進などのこころの健康づくりの推進、新型インフルエンザ対策やその他感染症対策の推進などの感染症対策の推進、市町村など医療保険者による特定健診などの実施率向上の支援などの生活習慣病予防の推進に取り組んでまいりました。その結果、平成22年度における医師養成、招聘等による医師確保数は40人となり、目標を達成したところであります。
 自殺死亡者数が人口10万人当たりについては32.2人と、前年に比べ2.2人減少しましたが、健康問題を抱える無職者による自殺が増加し、目標には達成しなかったところであります。
 がん、脳血管疾患及び心疾患で死亡する数については、がんによる死亡者数が前年に比べ増加したこと等により目標には達しませんでしたが、男性、女性とも、死亡者数は減少傾向にあります。
 今後とも、地域の医師確保、定着に取り組むとともに、質の高い医療サービス提供に向けた医療機関の機能分担と連携の促進や全県的な救急医療体制の強化に取り組んでまいります。
 さらに、新型インフルエンザの感染拡大防止対策、生活習慣病予防のための検診受診率向上や健康づくりの普及啓発、自殺対策アクションプランに基づく総合的な取り組みを推進してまいります。
 次に、二つ目の家庭や子育てに夢を持ち安心して子どもを産み育てられる環境の整備についてであります。
 安心して子どもを産み育て、次世代を担う子どもたちが健やかに育つ環境を整備するため、総合的な周産期医療体制の整備などの安全・安心な出産環境の充実を初め、企業による子育て世帯優待制度や地域の子育て支援活動の推進などの多様な子育て支援活動の充実、児童虐待防止やひとり親家庭の自立支援などの保護を要する児童、ひとり親家庭等への支援、地域子育て支援拠点の整備や一般事業主行動計画の策定促進などの仕事と子育ての両立支援の充実、若者の結婚や家庭づくりを支援する出会い、交流の場の提供などの結婚や子育てに夢を持てる意識の啓発に取り組んでまいりました。その結果、本県の平成22年合計特殊出生率や一般事業主行動計画策定率は目標を達成しており、また、女性の家事労働時間に対する男性の家事労働時間の割合についても目標に達しなかったものの、前年度から8.8ポイント改善するなど、県の取り組みはおおむね順調に進められたところであります。
 今後とも、安全・安心な出産環境の充実に向け、周産期母子医療センターと診療所の連携体制の整備や周産期医療情報ネットワークシステムの機能拡充に取り組むほか、仕事と子育ての両立に向けた企業への要請や男性の家事、育児参加に向けた啓発活動、多様な地域ニーズに対応した子育て支援体制の充実に向けた取り組みをさらに促進してまいります。
 三つ目は、福祉コミュニティの確立についてであります。
 県民だれもが、必要な福祉サービス等を利用しながら住民相互の支え合いなどにより、安心して生活できる福祉コミュニティづくりを進めるため、市町村の地域福祉計画策定支援や福祉を担う人材の育成などの住民参加と住民主体による生活支援の仕組みづくり、介護サービスの充実や地域包括ケアの推進などの高齢者が住みなれた地域で生活できる環境の構築、障がい者の地域生活移行の促進などの障がい者が地域で自立した生活ができる環境の構築、市町村の要援護者避難支援計画や地域の福祉マップ策定の促進などの安全・安心のセーフティネットづくりに取り組んでまいりました。その結果、居宅介護・地域密着型サービス利用割合は年度目標に達し、順調に進んでおります。また、障がい者の施設等からの地域生活への移行についても目標の796人に対し779人と、おおむね順調に進んでおります。
 今後とも、市町村地域福祉計画の策定促進等を通じ、市町村における保健、医療、福祉の連携による地域トータルケアシステムの体制づくりを支援するとともに、地域包括支援センターの機能の充実や地域密着型サービス拠点の整備の促進、障がい者の地域移行の中核となる地域自立支援協議会の体制強化やグループホーム等の整備促進などに取り組んでまいります。さらには、東日本大震災津波からの復興に向け、被災した医療機関や社会福祉施設等の早期機能の回復、きめ細やかな保健活動や心のケア、保護を要する子供の養育支援などに取り組んでまいります。
 引き続きまして、平成22年度保健福祉部関係の決算について御説明を申し上げます。
 お手元の平成22年度岩手県歳入歳出決算書、12ページをお開きいただきたいと思います。当部関係の一般会計歳出決算は、3款民生費のうち、1項社会福祉費、3項児童福祉費及び4項生活保護費並びに5項災害救助費の一部で支出済額781億7、238万円余、4款衛生費のうち、1項公衆衛生費の一部並びに2項環境衛生費を除いた支出済額108億8、487万円余、16ページに参りまして、12款公債費の一部で支出済額892万円余、13款諸支出金のうち、1項公営企業貸付金で支出済額143億円、2項公営企業出資金の一部で支出済額29万円、3項公営企業負担金の一部で支出済額193億3、965万円余であります。当部関係の支出総額は1、227億614万円余で、翌年度繰越額は21億9、734万円余、不用額は16億459万円余となっております。
 以下、順次、各項目ごとにその主なものにつきまして、便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明をいたします。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略し、主な事業の内容を中心に御説明をいたしますが、平成22年度決算におきましては繰越明許事業が多数あり、若干、説明が煩瑣になりますことを御了承お願いしたいと思います。
 お手元の歳入歳出決算事項別明細書の192ページをお開きをいただきたいと思います。3款民生費1項社会福祉費1目社会福祉総務費の主なものでありますが、まず、備考欄冒頭の管理運営費は人件費が主なものであります。次に、中ほどやや上の生活福祉資金貸付事業推進費補助は、岩手県社会福祉協議会が行う低所得世帯等に対する生活福祉資金の貸し付けと相談援助の事業の支援に要した経費であり、七つ下の介護雇用プログラム推進事業費は、働きながら介護福祉士やホームヘルパーの資格を取得する介護雇用プログラムの実施に要した経費であります。
 なお、事故繰り越し3億8、490万円余は、この目の備考欄の冒頭の管理運営費と、下から五つ目の岩手県社会福祉事業団自立化支援事業費、及び中ほどから下の福祉・介護人材確保対策事業費の3事業で、いずれも東日本大震災津波により、年度内の事業完了が困難となったことから繰り越したものであります。
 194ページに参りまして、2目障がい者福祉費の主なものでありますが、この目の備考欄中ほどから下のチャレンジド就労パワーアップ事業費は、障がい者就労支援事業所で働く障がい者の工賃水準の向上を図るため、障がい者就労支援振興センターの運営などの支援に要した経費であります。次に、下から二つ目の障がい者自立支援対策臨時特例事業費は、障害者自立支援法の円滑な実施を図るために造成された障害者自立支援対策臨時特例基金への積み立てや、同基金を活用した障がい者等の自立支援に要した経費であります。
 なお、繰越明許費2、215万円余及び事故繰り越し147万円余は、まず、下から七つ目の障がい者支援施設整備費補助において、関係機関等との調整に不測の日数を要したこと、また、下から二つ目の障がい者自立支援対策臨時特例事業費においては、関係機関等との調整に不測の日数を要したこと、東日本大震災津波により、年度内の事業完了が困難となったことなどから繰り越したものであります。
 3目老人福祉費の主なものでありますが、197ページに参りまして、備考欄中ほどやや上の認知症対策等総合支援事業費は、認知症疾患医療センターにおける専門的な医療機能の拡充と総合的な認知症支援体制の構築の推進に要した経費であり、下から二つ目の介護業務従事者処遇改善等臨時特例事業費は、介護に係る業務に従事する者の処遇の改善、その下の介護サービス施設等整備臨時特例事業費は、特別養護老人ホームなどの整備の支援に要した経費であります。
 なお、繰越明許費及び事故繰り越しでありますが、195ページにお戻りをいただきまして、繰越明許費5億1、136万円余及び事故繰り越し3億9、261万円余は、197ページの備考欄上から二つ目の老人福祉施設整備費と、一番下の介護サービス施設等整備臨時特例事業費が関係機関との調整に不測の日数を要したこと、及び東日本大震災津波により繰り越したものであり、上から八つ目の地域支援事業交付金、下から2番目の介護業務従事者処遇改善等臨時特例事業費は、東日本大震災津波により繰り越したものであります。
 198ページに参りまして、5目国民健康保険指導費は、市町村の国民健康保険財政基盤の安定化に資するための負担金や積立金などであります。
 6目婦人保護費の繰越明許費1、697万円余は、予算額の全額を繰り越したため備考欄に事業名は記載されておりませんが、婦人保護施設及び婦人保護一時保護所に保護しているDV被害者の生活環境改善を図るため、これらの施設の改修等を支援しようとする婦人保護施設等環境改善事業費補助において、住民生活に光をそそぐ交付金を活用することとしたことに伴い、予算額の全額を繰り越したものであります。
 200ページに参りまして、7目社会福祉施設費は、県立の社会福祉施設の管理運営に要した経費であります。
 なお、繰越明許費1、079万円余は、福祉の里センター管理運営費、ふれあいランド岩手管理運営費及び視聴覚障がい者情報センター管理運営費で、きめ細やかな交付金を活用することに伴い、繰り越したものであります。
 8目老人福祉施設費は、民間に移管いたしました老人福祉施設松寿荘の維持修繕に要した経費であります。
 204ページに参りまして、3項児童福祉費1目児童福祉総務費の主なものでありますが、この目の備考欄下から五つ目の子育て応援大作戦推進事業費は、子育て応援の店協賛店舗の拡大、テレビ番組の制作等による子育て家庭等への総合的な情報発信に要した経費であります。次に、二つ下の子育て支援対策臨時特例事業費は、保育所の整備などを図るため設置している基金への積み増しや保育所の整備に対する支援などに要した経費であります。
 なお、繰越明許費3億4、233万円余でありますが、下から三つ目の子育て支援対策臨時特例事業費、及び一つ下の児童養護施設等環境改善事業費補助、並びに予算額の全額を繰り越したため事業名は記載されておりませんが、児童福祉施設の耐震化等を支援する児童福祉施設耐震化等整備事業費補助において、関係機関との調整に不測の日数を要したことや交付金を活用することに伴い繰り越したものであります。また、事故繰り越し2億7、535万円余は、東日本大震災津波により繰り越したものであり、繰り越した事業は、上から三つ目の福祉総合相談センター管理運営費、一つ下の児童相談所管理運営費、下から七つ目の児童養育支援ネットワーク事業、二つ下の子育て応援大作戦推進事業、その下の仕事と生活の調和推進プロジェクト事業費、その下の子育て支援対策臨時特例事業費、並びに予算額の全額を繰り越したため事業名は記載されておりませんが、放課後児童クラブ室の整備を支援する児童館等施設整備補助であります。
 206ページに参りまして、3目母子福祉費の備考欄上から二つ目のひとり親家庭医療助成費は、これまで母子家庭のみを対象としていた医療費の助成を、父子家庭に拡大して助成したものであります。
 4目児童福祉施設費は、県立の児童福祉施設の管理運営に要した経費であります。
 208ページに参りまして、4項生活保護費1目生活保護総務費は、生活保護指導職員の人件費や生活保護給付事務、指定医療機関等に対する指導監査などに要した経費であります。
 210ページに参りまして、5項災害救助費1目救助費は、備考欄上から一つ目の災害援護資金貸付金利子補給補助から四つ目の救助事務費までが当部関係の事業であり、災害の被災者に対する生活支援などに要した経費であります。また、一番下の救助費は、東日本大震災津波に係る救助に要した経費であり、復興局関係の事業となっております。
 212ページに参りまして、4款衛生費1項公衆衛生費1目公衆衛生総務費の主なものでありますが、備考欄上から二つ目の母子保健対策費は、小児慢性特定疾患治療研究事業、未熟児に対する養育医療給付、周産期医療対策及び妊婦検診などの実施に要した経費であります。
 214ページに参りまして、3目予防費のうち当部の所管に係る支出済額は、備考欄上から四つ目の保健福祉部32億7、576万円余であります。その主なものでありますが、一番下の子宮頸がん等ワクチン接種促進臨時特例事業費は、子宮頸がん等ワクチンの予防接種を促進するための基金の造成と、市町村が行う予防接種の支援などに要した経費であります。
 なお、事故繰り越し473万円は、下から六つ目の新型インフルエンザ健康危機管理体制強化事業費で、東日本大震災津波により繰り越したものであります。
 216ページに参りまして、4目精神保健費の主なものでありますが、この目の備考欄下から二つ目の自殺対策緊急強化事業費は、自殺対策の推進を図るための基金の積み立てと相談支援体制の整備や人材養成、普及啓発など、緊急的な取り組みの推進に要した経費であります。次に、一つ下の自殺未遂者対策推進事業費は、自殺未遂者の自殺企図の原因となった諸問題の解決支援を行うため、救急医療施設へ配置した支援コーディネーターに要した経費であります。
 なお、事故繰り越し67万円余は、東日本大震災津波により繰り越したものであります。
 5目高齢者保健費の主なものでありますが、備考欄上から二つ目の特定健康審査・保健指導事業費負担金は、市町村が行う特定健康診査及び保健指導事業に要した経費に対する負担金であります。
 6目環境保健研究センター費は、施設の管理運営及び試験研究に要した経費であります。
 なお、繰越明許費1億2、990万円余は、交付金を活用することに伴い繰り越したものであります。
 次に、少し飛びまして226ページをお開きいただきたいと思います。3項保健所費1目保健所費は、保健所職員の人件費等の管理運営などに要した経費であります。
 なお、繰越明許費945万円は、交付金を活用することに伴い、事故繰り越し9、000円余は、東日本大震災津波によりそれぞれ繰り越したものであります。
 4項医薬費1目医薬総務費は、人件費等の管理運営費がその主なものであります。
 なお、事故繰り越し12万円余は、東日本大震災津波により繰り越したものであります。
 228ページに参りまして、2目医務費の主なものでありますが、備考欄上から五つ目の医師確保対策費は、総合的な医師確保対策の実施に要した経費であります。次の救急医療対策費は、病院群輪番制病院や高度救命救急センターの運営の支援、ドクターヘリの導入の促進などに要した経費であります。231ページに参りまして、備考欄下から三つ目の地域医療再生臨時特例基金積立金は、地域における医療の確保を図るための基金の積み立てに要した経費であります。
 恐れ入りますが、229ページにお戻りをいただきまして、繰越明許費2、693万円余は、備考欄下から三つ目のいわてリハビリテーションセンター管理運営費で、交付金を活用することに伴い繰り越したものであります。また、事故繰り越し3、515万円余は、予算額の全額を繰り越したため事業名は記載されておりませんが、岩手保養院の改築を支援する医療施設近代化施設整備費補助で、東日本大震災津波により繰り越したものであります。
 230ページに参りまして、3目保健師等指導管理費の主なものでありますが、この目の備考欄二つ目の看護職員等確保対策費は、看護師等養成所の運営の支援並びに認定看護師を育成するための専門課程への派遣の支援などに要した経費であります。また、繰越明許費2、527万円余は、看護師等養成費及び看護師等養成所施設整備費で、これも交付金を活用することに伴い繰り越したものであります。また、事故繰り越し12万円余は、東日本大震災津波により繰り越したものであります。
 次に、ページを飛んでいただきまして360ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金には、当部所管の災害援護資金貸付金の国への償還金が含まれております。
 362ページに参りまして、13款諸支出金1項1目公営企業貸付金は、県立病院等事業会計への運営資金貸付金であります。
 2項1目公営企業出資金のうち、当部の所管は、県立病院等事業会計出資金29万円であります。
 3項1目公営企業負担金のうち、当部の所管は、県立病院等事業会計への負担金193億3、965万円余であります。
 以上で一般会計の説明を終わらせていただきます。
 引き続きまして、特別会計について御説明をさせていただきます。
 382ページをお開きいただきたいと思います。母子寡婦福祉資金特別会計の決算状況でありますが、収入済額は385ページの収入済額の欄の末尾、歳入合計の欄の3億2、286万円余であり、その主なものは、貸付金元利収入、前年度からの繰越金及び一般会計からの繰入金などであります。収入未済額は、一つ欄を右に飛んだところの1億5、453万円余で、その主なものは、母子福祉資金償還金であります。
 次に、386ページに参りまして、支出済額は387ページの支出済額の欄の末尾、歳出合計の欄の2億7、445万円余であり、その主なものは、母子世帯及び寡婦に対する修学資金、修業資金及び技能習得資金などの貸し付けに要した経費であります。
 以上で保健福祉部関係の説明を終わります。御審議のほど、よろしくお願いをいたします。
〇高橋昌造委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 私からは、たばこについてお伺いをいたします。
 昨年の10月に、我々二戸市のたばこ耕作者の願いむなしく、たばこ増税が実施されたわけでございますが、このたばこ増税によりまして喫煙者の数はふえたのか減ったのか、お伺いをいたします。
〇藤原健康国保課総括課長 平成22年10月のたばこ税率の引き上げによる喫煙者の増減についてでございますけれども、国の調査結果がまだ公表されていないことから把握はしておりませんが、社団法人日本たばこ協会の資料によりますと、平成22年10月から平成23年3月までの期間におけるたばこの販売数量実績、これは前年の同期と比べて約68%減少しているという調査結果がございます。
〇五日市王委員 たばこの本数に関しましては、これはJTですか、日本たばこ協会、2010年度の販売数量は、前年比10.1%減の2、102億本という報道がございました。国はまだ調査の結果を公表していないということですが、厚生労働省の研究班の調査によりますと、喫煙率は男37.1%で、一昨年、2010年度と比べて36.1%、女性が8.9%で同8.3%で、いずれ、値上げ前後でほとんど変化がなかったという調査の結果も出ております。さらに、増税したらたばこをやめますと心に誓った方々も、結局は禁煙ができなくて本数を減らした、いわゆる節煙の方がふえたという結果も出ているところでございます。いずれ、昨年の2月25日、厚生労働省通知による、いわゆる公共の場を、原則、全面禁煙の実施を求める通知が出されているわけですが、これによる影響あるいは効果、これをどのようにとらえているのかお伺いをいたします。
〇藤原健康国保課総括課長 今お話のございました平成22年2月の受動喫煙防止対策についてという厚生労働省健康局長通知、本県ではこの通知を受けまして、本年の3月でございますけれども、県立の施設における受動喫煙防止対策指針を策定いたしまして、県立施設の受動喫煙防止対策を進める一方、市町村等に対しても、この指針をガイドラインとして、同様の取り組みがなされるよう働きかけを行いますとともに、民間施設における受動喫煙防止対策として、飲食店等の禁煙、分煙を推進するなどして、多数の者が利用する公共的な空間の受動喫煙防止対策に取り組んでいるところでございます。
 なお、平成22年度の本県における禁煙、分煙状況の調査によりますと、県立施設では100%、市町村本庁舎では67.6%、企業、事業所では54.2%が禁煙または分煙化されており、取り組みが進んできている状況にございます。
〇五日市王委員 要は受動喫煙ということで、そういう通知も出されているわけですけれども、それが果たして、それをやることによって効果がどういうふうに出るのか、検証ですよね。これって、私、非常に難しいと思っているんです。
 これも厚生労働省ですが、公共の場で全面禁煙を義務づけたスコットランドでは、非喫煙者が心臓病で入院する割合が約2割減少したというような、それが本当に原因かどうかということはかなりまゆつばなんですが、そういう検証をしているんですね。そういった検証はきちんとしていかなければいけないんだと思いますので、その辺はきちっとやっていただきたいと思います。
 次、昨年の4月、神奈川県で全国初の受動喫煙防止条例が施行されましたが、これに対する研究といいますか、勉強といいますか、検証といいますか、そういうのをもし行っていればどういう見解かお伺いをしたいというのと、この流れ、全国的な動き、動向についてお伺いします。
 あわせて、国で新たな法整備があるのかないのか、その辺の動きについてもお知らせを願います。
〇藤原健康国保課総括課長 神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例の検証についてでございますが、まず、神奈川県の動きといたしましては、この条例は施行から3年ごとに見直しを行うということにしておりまして、当県でも、その結果などを注視していきたいと考えてございます。
 ちなみに、この条例が施行されて1年後のことしの3月でございますけれども、民間企業が神奈川県の県民の方に対して実施した意識調査がございます。それによりますと、この調査対象となった県民の87.3%の方が、この条例に賛成ですと。それから、非喫煙者の39.4%が、たばこによって不快な思いをする頻度が減ったといった結果となってございます。
 また、神奈川県の受動喫煙防止条例制定以後、他の都道府県が同じような受動喫煙防止条例を制定したのかどうかということでございますが、現在、そのような例はないと承知しておりますし、まだ国でもこのような法制化についてはされていないというのが実情でございます。
〇五日市王委員 いずれ、全面禁煙あるいは分煙ということを求めている中身だと思いますが、我がほうはたばこの産地も抱えておりますので、全面禁煙よりも分煙というところを強く打ち出していただきたいということでございます。
 実はたばこは嗜好品でございます。こういったものにいろいろ税をかけたりというような動きが、世界的にもいろいろ巻き起こっております。私は、これは果たしていいのかなというか、余り賛成をするものではないんです。特に今回のたばこに関しても、WHOのたばこの指針がありますよね。たばこ規制枠組条約、この辺から端を発しているわけですね。こういう嗜好品、私は、たばこの次は必ずお酒に来るだろうという心配をしているんです。それがそのような動きになっています。去年の1月に、またWHOですね。アルコールの有害な使用を減らす世界戦略を承認したということなんですね。まだ税の関係で動きはないんですが、イギリスでは、飲み放題の宣伝や早飲み競争の禁止法を検討しているとか、ミラノでは、14歳から24歳の少年や若者を対象に禁酒キャンペーンを始めると。結局、こういうふうな動きになってくるんですね。あと、例えばですが、飽和脂肪酸を一定量以上含む食品にかける税─これはデンマークです。10月に始まったそうでございます。いわゆるバターやチーズ、肉などの脂肪の多いものに税をかける。もちろん、この背景には肥満率が高いということがあるようでございますが、もう一つ、ハンガリーではいわゆるポテトチップス税、スナック菓子や清涼飲料水などに課税をすると。税金は100グラムなら7円、こういった動きも出てきているんですが、私はこういう動きというのは果たしていいのか悪いのか、ある程度自己管理、自己責任の部分があると思うんですが、こういったことに部長はどういった見解を持っているのかというのをちょっとお伺いをいたします。
〇小田島保健福祉部長 今、委員からるる御紹介があったわけですが、健康を理由とした増税としては、ハンガリーのスナック菓子などを対象とした、通称、ポテトチップス税ですとか、あるいはデンマークの乳製品などを対象とした、通称、脂肪税というようなものがあると伺っているところでございます。
 現在の日本のたばこあるいは酒税についてでありますけれども、これは委員からお話がありましたとおり、代表的な嗜好品であるということ、それから、その消費量から相当額の税収が見込まれるということから、財政収入を安定的に確保するということを目的に制定をされ、それが税として組まれていると承知しているところでございます。
 今、いろいろお話しいただきました健康を目的とした増税については、これらの本来の課税目的なり、あるいは課税をしたことによる効果、本当にそれが効果があるのかどうか、そういうことなども踏まえて、十分議論をしていく必要があるものだろうと考えております。
 直接的に税については私どもの所管ではありませんが、少なくとも健康をあるいは保健を担当するセクションにある者としては、まずは県民一人一人が健康づくりに主体的に取り組むことが重要だということでございまして、そのためのいろんな仕組みづくり、各種健康支援施策について、しっかりと取り組んでいくべきであると考えております。
〇五日市王委員 いずれ、余り過剰反応とかヒステリックな対応はしないようにお願いをしたいということでございます。
 先ほども言いましたが、本県は、耕種部門では、たばこは米、リンゴに次ぐ農業産出額66億円という基幹産業を抱えております。先般、来年度は457戸、約170ヘクタールの方々が廃作の希望があるという報道もされておりまして、大変厳しい現状にあるわけでございます。昨年でしたか、小田島部長が農林水産部長のときに、たばこ農家に出向いていただきまして、一緒に仮植という作業をやっていただいて、恐らく部長の中でも、一番たばこのことを理解されている方だと思いますので、その辺を踏まえてきちんと、厳しくない対応をしていただきたいと思います。これは要望でございます。お願いします。終わります。
〇工藤勝子委員 私からは、結核予防対策についてお伺いいたします。
 結核という病気は、私たちが子供のころだったんでしょうか、かなり恐ろしい病気とされておりましたけれども、今はそのような認識がなくなってきております。心臓だとかがんだとか脳卒中、これがまず3大病気になっているわけですけれども、集団検診がずっと行われてきて、その成果があらわれてきているんだろうと思っておりますけれども、県内における結核で死亡された人数をどのようにとらえていらっしゃるのか、また、この検診の受診率が今落ちているのではないかと思いますが、その辺をお伺いしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 まず、結核の県内の死亡数でございますけれども、平成22年1月から12月の死亡者は、人口動態統計によりますと20名となっております。ここ数年の動向を見ますと、ほぼ15名から20名前後で推移しているところでございます。
 また、平成22年度の結核検診の受診状況でございますが、東日本大震災津波の影響によりまして、沿岸部5市町村の報告がまだおくれていることもございまして、29市町村の暫定集計値となってございますが、検診受診者の総数は15万6、848人となっており、検診の受診率は、実施主体別に、学校99.2%、社会福祉等の施設93.4%、及び企業者96.9%となっております。一方、市町村が実施をしております検診の受診率は38.7%となっておりますが、これは、多くの場合、結核定期検診が一般住民への特定健診等とあわせて実施をされているため、当該検診の受診率、これが平成21年度は39.7%でございますが、こちらと同程度なっているものと考えております。結核検診の受診率につきましては、近年、同じ傾向で推移してございます。
〇工藤勝子委員 市町村で行っている受診率がある程度特定健診と重なっているために落ちているというところもあると思いますが、この辺のところはもう少し徹底していかなければならないのではないかと思っています。
 実は、宮古市内の特別養護老人ホームで結核感染のニュースがございました。これが8月であります。それがこの間の新聞だったんですけれども、なぜこのように情報がおくれているのか。また、県内における特別養護老人ホームで結核検診が行われている状況があるのかどうか、その辺のところもお伺いしたいと思っております。
 また、今、災害があって行われていないということがございましたけれども、今後、仮設住宅に入居されている人たちの結核検診をどのように進めようとしているのか。これは集団で行われております特定健診とかぶる部分もあると思いますが、どのようにされようとしているのかお伺いしたいと思いますし、また、移動検診車がかなり大きいと思っておりますが、例えばああいうところに入っていけるのか。車もない高齢者の人たちが多い中で、どういう形でこの検診を進めようとされているのか、お伺いいたします。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 まず、結核の集団感染、過日報道がございました。こちらがおくれたのではないかということでございます。結核という疾病の特殊性がございまして、結核は感染をしてから発病をするまでに長い期間を要する感染症でございます。一般的には、1年程度感染してから発病してくるといったような経過をたどるものでございます。したがいまして、確定診断、結核の患者さんの診断が確定をする、そして周りの状況にどれぐらい広がっているのかといったような確認に関しましては、一定程度時間を要する疾病でございまして、そういった関係で、一、二カ月きちっと調査をした上で、報告させていただいたといった経緯でございます。
 また、特別養護老人ホーム等の検診の状況でございます。結核検診の対象となっております特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム等も含む社会福祉施設及び行政施設の検診実施状況は、対象者9、075人に対しまして受診者8、479人、受診率は93.4%となってございます。
 なお、今回、結核の集団感染が認められた特別養護老人ホームにつきましても、毎年、結核検診は受診をしていたというものでございます。
 また、今後、仮設住宅入居者の検診をどうしていくかということでございます。市町村が実施をいたします結核検診は、65歳以上の方々を対象としておりますが、仮設住宅の入居によりまして通知が届かないなど、受診機会を逃す場合もあり得ると想定しております。今後、市町村が実施をする結核検診が適切に実施がされますように、保健師等が応急仮設住宅、集会所等を定期的に巡回する被災地健康相談支援事業、こちらの活用などによりまして、対象者の確実な把握等について、きちっと支援をしてまいりたいと考えてございます。
 また、検診車につきましては、確かに仮設住宅のアクセスの問題等もあろうかと存じますので、ここは関係部局ときちっと連携をしまして、検診体制がきちっと行われるように進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 結局、震災を受けてから7カ月になっているわけですけれども、5カ月ぐらい、非常に栄養状態の悪い状態が続いたろうと思っていました。行ってみて、定番はカップめんとおにぎり、そういう感じが続いてきて、いろんな栄養面が落ちている段階で、こういうのが広がらないようにするためにも、きめ細かい対応をお願いしたいと思っております。
 次に、児童福祉総務費の中から、里親委託促進事業費についてお伺いしたいと思っております。
 この里親の制度には、親族里親とか養育里親、専門里親、それから養子縁組里親等と種類が分かれておりますが、現在の里親の登録状況はどうなっているのかお伺いいたしますし、促進事業等をどう推進されているのかお伺いいたします。
〇奥寺児童家庭課総括課長 まず、平成22年度末の里親登録とその状況についてでございますけれども、平成22年度末における里親登録数は、親族里親が5組、養育里親が95組、専門里親が7組、養子縁組里親が61組の延べ168組、実数では124組となってございます。このうち、児童が委託されている里親数は、親族里親が5組、養育里親が20組、専門里親が1組、養子縁組里親が5組の計31組となっており、委託の児童数は総数で37人となっているところでございます。
 次に、里親委託促進事業におけるPRや推進の内容についてでございますけれども、従来から、10月の里親を求める運動月間を中心に広報活動を展開してきているところでございまして、具体的には、里親制度の紹介や里親希望者の募集等を内容としたポスター1、000枚を作成し、県内の主要な駅構内や市町村等に配付、掲示し、制度の認知度向上を図ってまいりました。また、里親制度の紹介と募集について、テレビによる広報も行っているところでございます。さらに、各児童相談所においては、民生・児童委員の研修会や施設、学校訪問の機会を利用しまして、里親制度の説明に努めているところでございます。加えて、児童虐待等の影響により、養育上の困難が伴う児童を養育するための専門里親の育成にも取り組んでおりまして、年々その数が増加しているところでございます。
〇工藤勝子委員 それでは、今回の震災によって両親を亡くした児童生徒が97人とも聞いております。そこで、今は親族里親となるんでしょうか、親族の人たちが養育をされていると聞いております。東北においては、児童福祉施設に入所された子供もあると思いますが、岩手県ではその現状があるのかないのかお伺いいたします。
 また、震災で親を亡くし、子供と暮らす親族の方々の悩みが今回出てまいりました。結局、自分も子育てをして、自分の子供でありながら、なかなか自分が思うように育っていかない子供を自分も経験しているわけですけれども、そういう中において、非常に親族とはいえ、おじいちゃん、おばあちゃんとはいえ、お孫さんなり親戚の子供を預かって非常に苦労されている部分が出てきていると聞いております。そこで、子供の心のケアも非常に大事になってきますけれども、この親族、預かっている親の心のケア、ここもやっていかなければならないのではないかなと思います。そして、相談窓口等を開いて、その親たちの悩みをだれかに聞いていただければ心が軽くなったというようなこともございますので、その辺の対策をどうしようとしているのか、お伺いしたいと思っております。
 また、親を失った子供を支援する、あしなが育英会というのがありますが、この人たちも動き始めまして、家庭を訪問したり相談を受けているということもございます。今後、お話がありました里親として今までいろんな経験を培った人たちの支援もできるんじゃないかなと思いますが、その考え方についてもお伺いしたいと思っております。
〇奥寺児童家庭課総括課長 まず、今回の大震災津波によりまして、本県でも委員の御指摘のとおり、被災孤児は93人を今確認しているところでございます。そのうち、児童養護施設等の施設に措置された子供につきましては、現在のところまだない状況でございます。その大半が、委員御指摘のとおり、親族のもとで養育されている状況でございます。
 それで、その親族の心のケアの御質問でございますけれども、いわゆる被災孤児の多くが、現在親族による里親に養育されているということでございますので、こうした里親の子育てにおける不安や悩みに寄り添いまして、親族の養育上の精神的負担を軽減することで、親族の心のケアにつながるものと考えているところでございます。
 具体的には、本年9月から県の里親会に事業を委託しまして、被災孤児を養育している里親や親族を対象にしまして、子供の養育と心のケアについての専門家による研修会の開催ですとか、先輩里親による個別の訪問支援を行っているところでございます。
 相談への対応につきましては、被災児童の状況把握や相談への対応につきましては、被災児童の状況把握や支援にこれまで直接携わってきている各児童相談所が第一義的な窓口となっているほか、県の里親会の方々も対応することとしているところでございます。
 また、民間の孤児、遺児支援団体でございますあしなが育英会との連携のお話がございましたが、県としても、その連携につきましては大事な点であると考えておりまして、9月の末の段階で、あしなが育英会も含む民間の子供支援の各団体がたくさんございますが、その方々との第1回目の連携交流会を開催しているところでございまして、それぞれの今までの活動報告とか、それぞれの取り組みの課題状況等を報告し合いながら意見交換し、連携強化をその場で確認してきているところでございまして、引き続き、あしなが育英会とも情報共有等もしながら、あるいは里親会との連携も図りながら推進していきたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 ぜひ、きめの細かい対応をお願いしたいと思っております。やはり心にゆとりがないと、なかなか子供を精神的に支えていけない部分もあるのだろうなと思っておりますし、また、そういう中で虐待等は行われないとは思いますけれども、ぜひ、精神的な部分をケアできるように、しっかりと対策をとっていただければと思っております。
 また、さらに母子家庭も、今回、かなり人数が多くなるのではないかと思いますけれども、この母子家庭への支援についてもお伺いしたいと思います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 大震災津波に伴って発生しました母子家庭等への支援策のお尋ねでございます。いわゆる被災遺児を養育するひとり親家庭に対しましては、市町村あるいは関係機関と連携して、各種相談窓口や支援制度の周知を現在図っております。具体的には、9月から、沿岸広域振興局の保健福祉環境部及び各保健福祉環境センターに新たに遺児家庭支援専門員各2名の配置を進めておりまして、各振興局の母子自立支援専門員とともに活動し、市町村と連携しながら家庭訪問や電話等で各種制度の利用促進を図っているところでございます。
 また、被災遺児の保護者に対しまして、一時金支給等による経済的支援制度や各種サービスを周知するひとり親家庭向けのチラシ約8万枚を作成しまして、沿岸地区の世帯に現在配布してございます。このほか、被災児童やその保護者の生活を支援するため、弁護士や社会保険労務士等の専門家チームによる現地での合同巡回相談会を9月に沿岸8市町村で開催しまして、法律相談や財産管理などの面での総合的な相談支援を実施してございます。この相談会につきましては、来年1月にも第2回目を実施する予定としているところでございます。
〇工藤勝子委員 いろんな形の中で、母子寡婦福祉団体協議会という組織もあるわけですけれども、ぜひ、こういう人たちが何人かずつでも、お互いにお互いの境遇なわけですので、そういう中で話し合うという─組織を改めてつくるとか、つくらないとかはさておいて、そういうこともだれかが段取りしてあげると、2カ月に1回とか、その人たちが集まって、お互いの境遇を話し合いながら元気を出せる部分もあるのじゃないかと思っておりまして、組織化までいかなくても、そういうグループ的な手だてもしてあげればいいのではないかと思っております。
 最後になりますが、自殺対策事業についてお伺いいたします。
 自殺された人数は10万人当たり32.2人と、今、部長のほうから御報告もありました。2.2人減少されたとありまして、これが官民一体となって自殺対策に取り組んできた成果のあらわれだと思って、大変よかったと思っております。しかし、全国的に統計を見てみますと、秋田県に次いでワーストツーということもございます。まだまだ自殺される人たちを本当に少なくするという対策に取り組んでいかなければ、家族も含めてみんな心の痛むことではないかと思っておりまして、対策を今後とも進めてほしいと思っております。
 そこで、1年間と申しましょうか、平成22年から平成23年にかぶるかもしれませんが、1年間の中で自殺された岩手県内の人数と男女、多いところでもいいですが、年齢層、そういうところをお伺いいたします。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 県内において平成22年に自殺された人数等についてのお尋ねでございます。平成22年の自殺者数でございますけれども、厚生労働省から本年6月に人口動態統計が公表されております。それによれば426人となっておりまして、前年比で33人の減少となっておりまして、過去10年では最少の数値となってございます。男女別では、男性が285人、女性が141人となっておりまして、前年比ではそれぞれ男性の自殺者数が41人の減、一方、女性の自殺者数は8人の増加となってございます。男女比につきましては、男性の割合が66.9%とおよそ7割弱を占めております。
 次に、年齢別でございますけれども、年齢別では50代の自殺者が最も多ございまして84人、しかしながら、前年比では18人の減少となってございます。次いで40代の65人、60代の65人ということで、それぞれ50代、40代、60代あたりのところが多くなってございます。40代につきましては、前年度から15人の増加という傾向でございます。男性では50代、女性では70代、80代の自殺者が多いという岩手県の傾向にございますけれども、これは例年同様の傾向になってございます。
〇工藤勝子委員 わかりました。結局は、ほとんどが病気を苦にされたという人たちともお話しされるわけでありますけれども、この自殺者数がさらに減少していくには、原因を細かく分析しながら調べていく、それに対して対応していくということが非常に大事ではないかと思っております。そういう部分も含めて、その原因を今後しっかりと各市町村で官民一体となって取り組んでいければいいのではないかと思っております。
 自殺対策に係る強化モデル3地区を設定されていると聞いております。この3地区がどこだったのか。久慈市は、県また久慈市一体となって取り組んだことによって大きな成果を上げられております。ですから、こういう強化モデル3地区によって減少された部分もあるのではないかと思っておりますが、この3地区がどこだったのか、わかればお知らせいただいて、その3地区だけじゃなくて全地域で、全市町村を含めて官民一体で取り組んではいかがなのでしょうかということを提案しながらお聞きしたいと思っております。
 それから、いわて県民計画実施状況報告書が私たちにも渡されております。そういう部分でいろんな相談窓口を開いたとか、広報を回したということで、達成度はすべてAという評価がございました。私は、この評価の出し方もいろいろあるのだろうと思っていますけれども、確かに取り組んだことは、人数が多くなればAになるでしょうし、広報を回したことによってAになるかもしれませんけれども、そういう中において、やはりこの評価の仕方の考え方、33人も減っていますので、確かにAになるかもしれませんけれども、そういうところもちょっと疑問に思ったところでありますので、今後、ワーストツーからずっと10位あたりまで下がったならばAという評価を出していただければと思っております。
 それから、自殺された家族の人たちの相談窓口等を設置しているのかをお伺いしたいと思います。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 まず、お尋ねの自殺対策に係る強化モデル3地区でございますけれども、先行して自殺対策に非常に熱心に取り組んでこられました久慈地域をモデル地域に指定しました。その後、翌年、翌々年と二戸地域、そして宮古地域と、現在、久慈、二戸、宮古の3地区をこれまで強化モデル地域に指定して、先行的な取り組みを行ってきたところでございます。
 具体的には、久慈地域では包括的な自殺対策のプログラム─これは全県のモデルになるプログラムを実施していただいてきたところでございますし、二戸地域では、それに加えまして、精神保健福祉センターと連携して救急外来を受診した自殺未遂者への支援、また、宮古地域では身体科の医師を対象としたPIPCセミナーという教育プログラムを実施して、地域のうつ病等の精神疾患患者への対応力の向上に先駆的に取り組んだところでございます。
 この取り組みによりまして、強化モデルの3地域においては、地域の人材養成あるいはネットワークの強化が一層図られていると認識しておりまして、その効果もありまして、平成22年における人口10万人当たりの死亡率は、久慈地域では県の平均よりも低い28.9人、二戸地域では39.8人、宮古地域では30.3人と、いずれも3地域とも前年を下回る成果を得られております。
 続きまして、県のアクションプランにおける自殺対策の実績評価のあり方の考えについてということでお尋ねでございますけれども、冒頭お話ししたように、本県の自殺者数は昨年426人、死亡率32.2人ということで、委員御指摘のとおり、秋田県に次いで全国2位という、依然高い自殺死亡率を示しております。しかしながら、平成15年をピークに着実に減少している傾向にありまして、平成22年の自殺者数及び自殺死亡率ともに過去10年では最少という結果を得られたところでございます。
 平成22年の自殺死亡率は、アクションプランにおきましては全国平均値並みに近づけるということで、10人当たり23.7人ということで、まだまだ全国平均値よりは差があるわけですけれども、本県における自殺対策の取り組みは着実に進んでいると思っておりまして、同プランの推進方策を構成する事業につきましては、その多くが目標値を達成したところでございます。
 自殺対策の評価の指標につきましては、専門家により構成される県の協議会の自殺対策学究委員会という組織がございますけれども、そこの中でも、自殺対策の評価については数年間のトレンドで見るべきではないかということ、あるいは評価の指標としては死亡率のみならず取り組みの広がりとか、あるいは質的な評価を行う指標を複数設定する必要があるのではないかといったような御意見をいただいているところでございまして、現在、アクションプランを策定中でございますけれども、今後、評価項目あるいは評価の基準方法等について、引き続き、精神科医等の専門家の御意見を伺いながら設定してまいりたいと思ってございます。
 最後に、遺族の方への窓口の設置あるいは対応策についてでございますが、御遺族に対する支援につきましては、精神保健福祉センター、さらにはすべての保健所において遺族相談窓口を設置しております。御遺族同士の分かち合いの場として、自死遺族交流会─こころサロンというものをすべての保健所で設置して、開催しております。しかしながら、今年度におきましては、震災の影響もございまして、沿岸地域の開催が今のところは少し困難になっているという状況でございます。
 また、これらの県の取り組みに加えまして、民間団体においても電話相談とか心理面接等の取り組みが始まってきたというところでございます。御遺族にとっては、同じ経験を持つ仲間との出会いとか、あるいは語り合いの場とか、そういったものが必要であると考えておりまして、引き続き、こうしたサロンの開催、あるいはそのサロンを運営するスタッフ育成のための研修といったものを行っていくほか、この相談や交流会に御遺族がきちんとつながるように、普及啓発等の取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 最後になります。結局、強化地域は県北・沿岸の久慈、二戸、宮古という地区でありました。これを、例えば各広域振興局単位のどこかの市町村に強化モデル地区をさらに設定する考えがあるのか、ないのかお伺いしますし、さらに、今回の東日本大震災によって、岩手県に限らず、震災を受けた各県で新たに自殺された方があったのか、その辺を伺って、終わりたいと思います。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 強化モデルの実施につきましては久慈モデルがベースとなっておりまして、これを全保健所に波及させていくということを私どもも取り組んできまして、久慈が行っている包括的なプログラムというのは、現在のところ、すべての保健所では行われている状況になってございます。今の段階では、これをすべての市町村の取り組みに移していくということが大事だと思っておりますので、この基金事業を使いまして市町村を厚く支援して、久慈モデルの普及に全市町村が取り組めるように支援をしていきたいと考えてございます。
 それから、東日本大震災津波の関係でございますけれども、警察統計によりますと、岩手県の状況でございますが、3月から9月までの県内の自殺者は260人となってございまして、前年同期の301人と比較すると、震災以降、全県では41人減少しております。特に被害の大きかった沿岸に五つの警察署があるわけですけれども、この管内における3月から9月の自殺者数を見ますと60人となっておりまして、前年の73人と比較しますと、同じように13人の減少となってございます。これまでの9月までの段階を見ますと、被災地で特に自殺者数が急激な増加を見せているという傾向は見られておりません。
 なお、内閣府のほうでは6月から9月まで、特に震災関連の自殺者というものをピックアップしまして公表しておりますが、本県では6月が3人、7月が2人、8月が2人、9月が3人の、これまで合計10人と報告されてございます。
 宮城県、福島県については、ちょっと数字を持ち合わせていないので、本県の状況を御説明して御理解をお願いしたいと思います。
〇工藤勝子委員 大震災の中でせっかく助かった命であります。それをまたいろいろな生活とか病気の苦とかでうつになって、さらにまた命を失ってしまうということは非常に残念なことであります。この辺のところは、少なくなったからといって手を緩めることなく、今後ともしっかり対応していただきたいと思っておりますが、最後に部長に所感を伺って、終わります。
〇小田島保健福祉部長 発災以来、自殺も含め心のケアについてはいろんな仕組みをつくりながら対応してきたわけでありますが、今後におきましても、被災地におけるいろんな拠点の施設なども整備しながら、きめ細やかに、仮設住宅にお住まいの方々、あるいはそのほかの方々も含め、心のケアをフォローできるよう、きっちりと部として取り組んでいきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 私は医師不足対策についてお聞きしたいと思います。
 いわて県民計画実施状況報告書の62ページを見ますと、医療を担うひとづくりの具体的な推進方策指標の医師養成・招聘等による医師確保数は、目標値40名に対して実績値40名という形で、達成がAとなっておりますが、この40名の確保の内訳をお聞きしたいんですが、臨床研修を修了した者の採用、あるいは即戦力としての採用、この内訳を教えていただきたいと思っております。
 さらに、もし即戦力の招聘が可能だった場合、どのような形でこの方を採用できたのか、それについてお聞きしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 まず、医師確保の実績40名の内訳でございます。一つが、奨学金の医師による新たに勤務した医師数でございます。そのほか、県外の医師の招聘数が16名、離職した女性医師の職場復帰研修が5名、これで計40名という形で、目標値をおおむね達成したという評価となっているものでございます。
〇川上医師支援推進室長 ただいまの即戦力の医師の招聘ということで、昨年度16名招聘できたと。個々の先生方のいろんな状況がございます。数年かけてお招きできた先生もございますし、緊急に応募なさってきた先生もございます。ですので、応募されたいろんな事情等、個々の事情がそれぞれ異なりますので、一概にどうして招聘できたかという部分は少のうございますけれども、いわば地域医療に大変関心があるとか、首都圏等で勤務なさっている本県出身のゆかりのある先生が、自分の医師としてのキャリアの中で、そろそろ地元岩手のために貢献したいといったような先生方も御招聘させていただいてございます。
〇福井せいじ委員 いろんな形で医師確保策に対して非常に努力なさっているということがわかりますが、今、新しく確保した内容を見ますと、やはり新たに研修を終えて就業なさった方、即戦力として確保した方、そしてまた、女性の復職というようなさまざまな形での医師確保策があると思われますが、私は、やはりそのような形で長期的な医師確保策、また中期的、そして早期の医師確保策と、その3通りの確保策が考えられると思いますが、この報告書の前ページ、61ページを見ますと、医療を担うひとづくりの決算額として8億8、900万円余の決算が計上されております。これの中で長期的、つまり学生を養成して、奨学金の充実等に係る費用がどれぐらいなのか、あるいは中短期的に雇用を確保するのに要した費用がいかほどなのか、この内訳の割合を教えていただきたいんですが、いかがでしょうか。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 医療を担う人づくりの決算額8億8、000万円余のうち、この中で医師確保対策費としての決算額が7億7、000万円余でございます。このうち医師養成事業、いわゆる奨学金に係る経費が5億6、100万円余となっており、おおむね7割を占めているところでございます。そのほか、県外の即戦力医師の招聘に関する経費が804万円余、分娩手当の支援や女性医師の就業支援など病院勤務医の勤務環境向上に要した経費が4、750万円余となっているものでございます。
〇福井せいじ委員 奨学金そしてまた育成ということに非常に力を入れておられるようですけれども、奨学金、例えば育成の費用というのは、全国的に見てこの岩手県はいかなる状況にあるのか、おわかりでしたらお聞かせいただきたいんですけれども。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 医師の育成、その中でも奨学金による養成につきましては、平成20年度は三つの奨学金制度を合わせまして45名ということで、大幅に拡充させていただきました。また、平成22年度には55名の枠を設定して、今、運営してございます。先ほど御答弁申し上げました医師養成に要した経費5億6、000万円余、また、奨学金の枠ともに全国でも最も医師の養成に力を入れている県ではないかと考えてございます。
〇福井せいじ委員 そのような形で岩手県は非常に養成に力を入れているということで、長期的には非常に心強い制度充実に取り組まれておられると思うんですが、一方で、私は、今、短期的に必要な、早期に必要な医師の確保策に傾注することも必要ではないかと思われます。非常に予算額は少ないと思われますが、その中でどのような形で中短期、中早期の確保策に取り組んでおられるか御説明いただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 委員から御指摘がありましたとおり、本県の危機的な医師不足の状況を何とかしなければならない。これに関しましては、短期的な取り組み、中期的な取り組みが必要でございます。この中にありまして、先ほども御答弁申し上げましたとおり、まず一つは招聘活動。こちらは医師確保対策室の設置に始まりまして、今、医師支援推進室によりまして、全国の岩手にゆかりのある医師のデータベースを作成し、先生方とさまざま対話をしながら、医師招聘につながってきているものでございます。
 また、今いる先生方をやめさせない、離職しないための対策、医師の勤務環境の向上も重要な視点でございます。一つが、先ほど御説明いたしました近年増加しております女性医師の勤務環境を向上する取り組み、女性医師が育児等で一時的に職を離れた場合の復職のための支援の取り組み、また、院内保育等に係る支援など、女性医師の勤務環境の向上、そのほか、全国的に非常に勤務環境が厳しくなっております産婦人科医や小児科医、また救急医といった医師に対しまして、いわゆる勤務手当という形で医師の勤務環境の向上に支援を行っているといったさまざまな取り組みを総合的に進めながら、短期的、中期的な医師の確保に向けて全力で取り組んでまいります。
〇福井せいじ委員 そのような努力をなさっているのは非常によくわかります。一方で、実は、このような今の地方における医師不足の根本的な原因というのは、医師の臨床研修制度の改革に一つの大きな原因があったと私は考えているんです。その中で、初期臨床研修というものがありますけれども、これが全国どこでも、あるいは一般病院でも受けることができることによって、地元の大学でなく、ほかの地方、ほかの首都圏、中央とか、さまざまな病院に拡散してしまったというのが一つの大きな原因だと私は考えます。
 そこで、そのような意味でも、せっかく大学までこの岩手にいた、あるいはこの東北の地にいた、その方々をいかにこの東北そして岩手の病院に研修で入れることができるかというのも大きな一つの医師確保対策になると考えています。
 その初期臨床研修ですけれども、岩手県では、この初期臨床研修についてどのような取り組み、あるいは初期臨床研修で特徴ある取り組み内容があれば御紹介いただきたいんですが、いかがでしょうか。
〇川上医師支援推進室長 ただいまお尋ねいただきました医師の初期臨床研修の関係でございます。確かに、委員御指摘のように、一つは地元出身の医師も全国に散らばるということがございますし、逆に全国から当県のほうにおいでになるという流動のパターンもございます。
 具体的には、本県の初期臨床研修制度につきましては、非常に他県に先駆けている、いわばたすきがけ制度と申しているんですが、臨床研修医は通常ですと1カ所の病院で2年間研修を受けるわけですけれども、どうしても自分の履修が高まる2年次、ほかの病院に移りたいということがございます。そういった場合にあっては、本県にあっては、たすきがけ制度というものを全国に先駆けて設けまして、いわば2年次で病院を移ることも可能になる。全国的にはこれは初めてということで、来年度から三重県でも実施すると承ってございます。そのほか本県の特色といたしましては、全国で行われます臨床研修医募集の関係の合同説明会、例えば福岡であるとか、関西であるとか、そういう全国のほうに出かけてまいりまして、当県の臨床研修医と指導医がタイアップをしまして募集をかけるといったようなことも行ってございます。結果として、担当セクションとしては、語弊がありますけれども、全国の中でも非常に先駆的な活動量の多い臨床研修医招聘活動を実施していると思ってございます。
〇福井せいじ委員 努力なさっているのは非常にわかるんですけれども、実は私は初期臨床研修の人気病院ランキングというものを、これは2010年度のものを調べてみたんですけれども、岩手県の病院、市中病院、大学病院の中で50位以内に入っている病院というのはないんです。61位になって、一般病院の場合、初めて県立中央病院が出てくるということなんです。まだまだPRあるいは内容の充実が図られていないという印象を私は受けます。
 そこで、今、定員に対する応募数、そしてまた研修を受けている方の充足率というか、それをお聞かせいただきたいんですが、いかがでしょうか。
〇川上医師支援推進室長 ただいまお尋ねいただきました初期臨床研修の本県の定員に対する充足率の関係でございますけれども、平成23年度で定員が120名の枠がございます。これに対しまして今年度は68名でございますので、おおむね6割少しのデータでございます。
 あと、各病院ごとの充足率の関係もお尋ねいただきました。フルマッチと申しまして、定員に対していっぱいいっぱいというところが2病院ございます。そのほか、逆に定員に対して数が全く合わないといった病院もございます。
 それと、先ほど全国ランキングのお話がございました。確かに全国には数千の臨床研修病院がございます。特にも全国的には沖縄の病院とか、いわばいろんな意味で、質の関係、所在の関係、それぞれ人気の高い病院もございます。本県にありましては、先ほどお話がありましたとおり、センター病院である県立中央病院は、やはりスキルとか技能の関係で高度であるといったことで希望が多ございますし、県北・沿岸の臨床研修病院群にあっても、例えば臨床研修を修了した後、大学で大学院に行くといった、少し特色のある制度を設けている県北・沿岸の県立病院にあっては、フルマッチに近い数値を維持しているところもございます。ただ、委員からお話がありましたとおり、これは生き物でございます。特にも指導医の先生方は大変熱心に制度研究をしていただいてございまして、例えばこれは全国初になると思いますが、岩手版の研修の本をつくっていただいたり、あとは、侵襲的手技と申すんですけれども、岩手モデルでいわば初期臨床研修の技術の標準化を目指したり、そういったこと等を含めて、さらには今般被災したことによりまして、いい話ではないんですけれども、本県の診療フィールドに、東海北陸厚生局管内の臨床研修病院からも、9月から大体2月末ぐらいまでにかけまして23名程度の東海・北陸の研修病院の研修医がおいでになるといったことを含めて、全国に、本県のたすきがけの制度も含めまして、本県の臨床研修制度をアピールして、より多くの臨床研修医を確保、獲得してまいりたい。
 本県は、臨床研修制度が義務化されましたのが平成16年で、それ以前ですと、年間で大体三十数名の臨床研修医の獲得でございました。今、制度のいかんはあるのですけれども、大体70名近くの研修医をお招きしていただけている。そういうデータの中では、全国の中でも、そういう数の比較の中では、まず3本の指に入る。成功したといいますか、そういう状況ではないかと考えてございます。
〇福井せいじ委員 アクションプランを見ますと、さまざまな形で臨床研修の魅力、そして内容の充実に取り組んでおられることはわかります。ぜひともこれからも─臨床研修は昨年は68名とおっしゃられました。また、中長期的には年々55名の卒業生が出てくる。こういった長期的な育成と、そしてまたこういった臨床研修医の育成を県外からもとれる形で、研修生を集められるような形で取り組んでいただきたいと思っております。東北における臨床研修の募集というか、応募数が非常に少ないように思いますので、東北の中でも、何とか東北が一体となって研修医をとれるような取り組みにも努力なさっていただけたらということを御要望します。
 次ですけれども、即戦力の確保についてでありますが、この即戦力の確保について、アクションプランの中にドクターバンク制度というものがありますが、この内容を見ますと、非常にいい取り組みをなさっているのではないかと私は思います。短期的に自治体の医療に従事した場合に、県職員として任期つきの採用と100万円程度の研究費、そして、任用期間の最後に最長で1年間の国内外での研修を可能とすると。非常に魅力があるのではないかと私は思ってはいるんですが、平成18年12月から募集を開始して、これでこの医師の登録には至っていないということでありますが、これはどうしてまだ登録されてないのか、その原因についていかなる検証をなさっているかをお聞かせください。
〇高橋昌造委員長 この際、進行に御協力を願うため、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇川上医師支援推進室長 ただいま御紹介いただきましたドクターバンク制度につきまして、制度創設以来、照会は複数いただいてございますが、委員御指摘のとおり、成果につながってございません。やはり昨今の専門医を志向するという医師のみずからのキャリア形成の中では、例えば細切れで2年間、どこにやられるかわからない、いわば自分のキャリア形成上の大事な2年をつぶされるという思いもおありになるのかなと思ってございます。特にも、ドクターバンク制度については離島が多い地域で発展してきたものでございます。
 本県にありましては、ドクターバンク制度に照会がございました際に、平成21年度からドクターバンク制度の中で無料職業紹介事業をメニューに加えまして、こちらのほうでは数十件御照会をいただき、市町村の病院へも含めて実際に招聘につなげているものがございます。
〇福井せいじ委員 確かに、キャリア形成の中での細切れの部分ということは今お話があったんですけれども、こういった制度を大学の医局に対して提案なされば、またそれが大学の医局の人事の中で一つの仕組みとして組み入れられるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇川上医師支援推進室長 ただいま委員から貴重な御提言をいただいたと思ってございます。私どももドクターバンク制度は有効活用したいと思ってございますので、関係大学とも御相談、御協議をしてみたいと思っております。
〇福井せいじ委員 最後になります。今までお聞きしていますと、さまざまな努力をなさっているんですけれども、これからも何とか医師の確保に向けて努力をしていただきたいと思っております。
 医療、福祉は、地方の自治体の最大使命だと私は思っておりますので、何とか医師を確保し、地域医療の維持、整備に努力をなさっていただきたいんですが、私は、病院での医師不足あるいは地域での医師不足というのは、やはり国の制度との関連も深いと考えております。そのために、先ほど言いました初期臨床研修制度の改革、あるいは人事における大学医局との協力体制の構築という観点から、国にも積極的に要望を働きかけていく必要があると考えます。そしてまた、短期、中期の医師確保についても予算をある程度確保して、魅力ある研修制度、あるいは勤務してからの環境整備に努めていただきたいと思っていますが、国への要望について、今、いかなる取り組みをなさっているか、最後にお聞かせいただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 医師の確保に関しましては、本県の地域医療の確保のための最も重要な課題と我々は認識しておりまして、毎年、あらゆる機会をとらえまして国に対して要望してございます。例えば、先ほど御紹介いたしました奨学金制度は、医師の入学定員増とリンクして、平成19年から、これまで国が医師抑止政策をずっと続けていたものが、若干でございますが、医学部定員増に転換したものでございます。こちらも実は10年といった期限が区切られてございます。こういったものは恒久的にするようにということ、また、医師の勤務環境の向上について、そもそも地域にとってどのような診療科の医師がどれぐらい必要なのか、このようなものはやはり国の責任においてガイドラインを設定すべきではないかということで、国に対して具体的な提言をしているところでございます。今後とも、医師の確保は我々もきちっとしなければなりませんが、この根幹の部分は国の制度の非常に大きい部分がございますので、国に対しまして、地方から具体的な提言をしてまいりたいと考えております。
 また、医師の確保の予算に関しましても、これは県の重要な課題でございますので、予算の確保に向けて県として引き続き努力してまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 私は、看護職員確保定着推進対策についてお伺いしたいと思っております。先ほど、隣の福井委員のほうからもお話がありましたとおり、本県は医師不足ということで、私は、大変前向きに取り組んでいるなと一定の評価をしているところであります。加えて、看護師がやはり不足している。お医者さんが大変な仕事の中で、それを支えるスタッフとして看護師が大変な状況にあるがゆえに、不足の傾向にあるのではないかと考えて質問するわけでありますが、通告しております県内の看護師不足の状況とその対策をお伺いしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 委員から御案内がありましたとおり、看護師に関しましても不足感は、昨今の医療状況の変化に関しまして非常に出ていると感じてございます。厚生労働省が本年7月に公表いたしました平成22年末の県内看護職員の就業者数は、常勤換算いたしまして1万5、704人となっておりまして、平成17年度に策定いたしました第6次の岩手県看護職員需給見通しにおいて見込んだ就業者数につきましては494人上回ってございます。しかしながら、一方で、ことし新たに策定いたしました第7次の本県の看護師の需給見通しにおきましては、平成23年の需要数1万6、592人に対しまして供給数が1万5、824人と推計され、768人が不足することが見込まれてございますし、また、この傾向といいますのは、この最終年度の平成27年度におきましても引き続き続くと見込んでございます。
 このため、平成20年度に策定いたしましたいわて看護職員確保定着アクションプランにつきまして、看護職員の県内定着率の向上を重点的に取り組むことといたしまして、本年9月に見直しを行っており、このアクションプランの見直しに基づきまして、看護職員修学資金の新規貸し付け人数を、これまでの67人から本年度は136人に拡大したほか、県外就業者のUターン対策のためのガイドブックの作成、配布など、各種事業にさらに積極的に取り組み、本県の看護職員不足の解消を図っているところでございます。
〇城内愛彦委員 県内にたくさんの─たくさんのという言い方は変ですね─看護学校があるわけですが、その中で定着率が悪いといいますか、私がいただいた資料の中でもおおむね50%ぐらいということで、半分の以上の方が、岩手県で学んで岩手県から抜けていくということになるわけですが、もちろん岩手県の学校を目指して県外から来て地元に帰る人もあるでしょうけれども、その傾向というんですか、実態は県当局でも把握はしておるでしょうか。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 県内就業率に関しましては、委員御指摘のとおり、看護職員の確保に関しまして重要な指標であると考えてございます。ここ10年間、県内就業率は、年度によってかなりばらつきはある指標なんですが、少し低下の傾向にございました。幸い、平成23年度は平成22年度よりも県内就業率は増加したところではございますが、委員から御指摘がありましたとおり、約50%という県内就業率を少しでも上げられるように、先ほど御答弁申し上げました看護職員の修学資金の拡充等の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 看護職員も、お医者さんと同じで、一朝一夕に育つわけではありませんし、将来的な投資も必要だと思います。また、喫緊の課題として、これから不足するに当たっては、潜在的に資格を持った方々に再度看護の場に復帰していただくというのが手っ取り早いのかなと私は考えます。そういったことについて県当局で何らかの取り組みはしていると思いますが、具体のものがありましたならばお知らせを願いたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 看護職員に関しましては、就業者数のほかにも、ライセンスを持ちながら今就業していないいわゆる潜在看護職員の方々がかなりおられると考えております。このため、委員から御指摘がありましたとおり、この潜在看護職員の復職─ただ、一方で、今、医療現場は非常に高度化、専門化しておりまして、看護業務は非常に複雑化してございますので、いきなりすぐ職場復帰がなかなか難しいという現実的な課題もございます。そのため、職場復帰に当たりまして研修、これも短期ではなく二、三週間という形での職場復帰研修の事業を県としても取り組んでいるところでございます。
〇城内愛彦委員 取り組みについては一定の理解をいたしますが、私の感ずるところ、考えるところとすれば、子育て等で離れる方が多いわけでありますが、そういった方々が2年も3年も看護の場から離れてしまうと、まさに、今おっしゃったとおり、医療は高度化していく、なかなかついていけない、現場に復帰できない状況が出てくるという負の連鎖に入ってしまう前に、定期的に何らかのアプローチができて、講習会であったり、いろんな勉強会に参加してもらえれば、ある日突然、いきなり10年もたってから復帰するのではなくて、復帰しやすい環境というのは出てくるのかなと思うんですけれども、そういう取り組みというのは、今後、潜在的能力の活用の中に取り組めないものかと思いますが、いかがでしょうか。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 看護職員の職場の環境に関しましては、委員から御指摘がありましたとおり、研修制度といいますか、いわゆる看護の業務に関するきちっとした研修を受けられる体制といったものも必要であろうと考えておりますし、また、特にも新人看護職員は、最初、医療現場に就業いたしまして覚えることが非常に多くなってございます。こういった新人看護職員の研修が非常に重要であろうと考えてございまして、この新人看護職員の研修事業、また、一方で看護の専門化に対応する研修、認定看護職員に関する研修などにつきましても、看護協会と連携しながら取り組んでいるところでございます。そういった取り組みを進めまして、研修体制の充実なども含めて、勤務環境、離職防止につながる取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 ぜひ、看護職員についても頑張っていただきたいと思います。
 私は宮古地区の出身であります。平成17年、18年ぐらいまで宮古地区には医師会立の看護学校がございました。そこで、大多数のといいますか、看護師の養成をしていただいておりましたが、その学校も閉校になってしまいました。宮古地区には宮古病院のそばに高等看護学院がありますが、そこの定員が24名なんです。今後、地域の医療を支えるという意味でも、なるべく宮古の高等看護学院で人を育てていただいて、宮古地区に看護職員を配置できる体制を望むものでありまして、その定員等は県内の看護学校並みにふやせないものかお伺いしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 今、委員から御案内のありましたとおり、県立宮古高等看護学院の定員は24名で運営をしているところでございます。この定員増に関しましては、校舎施設の整備に関しましても、物理的な関係で設備整備も要することが想定されることから、まずは全県的な志願者数、入学者数の動向、地域の動向も踏まえて分析をいたしまして、卒業生の県内就業等を踏まえて、今後、長期的な課題として検討していく必要があると考えております。
 まずは、今、沿岸部の地元を含む方々の県内定着率の向上を図るために、先ほど御説明いたしましたさまざまな施策をきちっと取り組んでいきたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 ぜひ、それは前向きに検討していただきたいたいと思います。高齢化が進んで、医療の現場だけではなくて介護の現場でも看護師は必要とされているわけでありますので、ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、県立一関高等看護学院が今回被災したわけですが、今後の見通しをお伺いして終わりたいと思います。よろしくお願いします。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 県立一関高等看護学院の被災状況でございますが、3月の本震及び4月の大規模余震によりまして、校舎施設の壁及び柱等に亀裂が入るなどしたため使用ができない状態となったことから、夏休みまでの間は一関市内のホテルで講義を行いまして、その後、8月からは民間空き施設を仮校舎として講義及び演習を行っている状況でございます。
 今後につきましては、かねてより、校舎の老朽化に伴いまして県立磐井病院の隣接地へ校舎を移転することとしていたことから、現在、平成24年8月から新校舎において講義が開始できるよう新築工事を進めているところでございます。
〇城内愛彦委員 あわせて、私も県立磐井病院には1度おうかがいしたことがあるんですが、中心市街地から結構遠いわけでありまして、学生さんたちの利便も図る意味で、多分、寮なんかもセットで考えていただけるのかと思うんですが、その辺は検討の中に入っていますでしょうか。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 今現在の寮につきましては市内の中心部にございます。校舎とも若干離れている状況でございます。委員から御指摘がありましたとおり、磐井病院の隣接地となりますと、今の寄宿舎から若干遠くなるところではございますが、一方では、主な実習地である病院の近接地に校舎が移るということでの利便性の向上もあると考えてございます。委員から御指摘いただいた寄宿舎についても、我々は長期的な課題として十分考えてございますので、今後の寄宿舎につきましても課題として検討を進めてまいりたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 ぜひ、看護職も含めて本県の医療の充実をお願いして、終わります。
〇高橋昌造委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時59分 休 憩
午後1時2分 再開
〇熊谷泉副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤勝博委員 私からは、医師確保対策について何点かお伺いいたします。
 医師確保の手っ取り早い対策として、医師の養成機関、岩手医大の入学定員を増加させているわけですけれども、平成22年度は125名ということになっておりますけれども、今後の見通しとしてはどのような形で定員増を図っていくのか、お伺いいたします。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 岩手医科大学の定員増につきましては、委員御案内のとおり、平成19年度までは80名であったものが、20年度に90名、21年度は110名、そして平成22年度には125名と、3年間で45名が増員されたところでございます。
 なお、この125名といいますのは、文部科学省で定めます大学の医学部の定員の上限が125名となってございまして、今後、この医学部定員の増減に関しましては、文部科学省の見解等を待って検討を進めていきたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 単年度でそのくらい増加といいますか、従来より45名増加になっておりますけれども、この後何年ぐらいの、例えば、あと5年間定員増を図るとかという計画もあるんでしょうか。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 今現時点におきましては、全国の医学部の定員が100名前後のところもございますので、国といたしましては、まだ若干増員を図りたいという調整をしているという状況でございますが、本県に関しましては、岩手医科大学は既に国が定めます定員の125名に達していることから、現時点におきましては、今後しばらくは125名の定員でいくものと考えてございます。
〇工藤勝博委員 わかりました。そういう定員増におきましては、奨学金を活用されて入学されている方も大分増加しているということでもあります。その奨学金を活用された中で、県内の学生あるいはまた県外の学生の割合等があれば聞かせていただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 奨学金の学生の県内外の割合でございます。奨学金制度は三つございまして、年度によって前後してございますので、詳細な数字は今、少しお時間をいただきたいところがございますが、岩手医大の地域枠15名、こちらに関しましては県出身者でございますので、すべて県出身でございます。そのほか、医療局奨学生25名、そして市町村医師養成事業15名でございますが、おおむねの傾向といたしまして、そのうちの7割から8割が県内の出身者でございます。したがいまして、県内出身者の40名前後が、この奨学金を活用して医学部に進学している状況でございます。
〇工藤勝博委員 よく、奨学金を活用して医学部に入る、そしてその奨学金も、各市町村で出している地域もありますよね。そういう中で、いずれは地元に帰って勤務するという一つの方向もあると思うんですけれども、そういう実態はどのような形になっているでしょうか。定着率を教えていただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 奨学金制度、平成20年からそれまで25名であったものが、45名に大幅拡充いたしました。いわば、奨学金制度の元年と言われる年でございます。今、まだこの学生たちが4年生でございますので、今運用している制度についての今後の定着につきましては、今後きちっと把握していく、また、この定着が何より重要でございますので、この定着のための取り組みを進めているところでございます。
 なお、以前の奨学金制度は、昭和25年からさまざまな制度の変遷がございまして今日に至ってございますが、平成9年からの部分でおおむね申し上げますと、8割程度の方々が義務の終了ないしは義務の履行をしているという状況でございます。129名─平成9年以降でございますが、主に8割程度が義務の終了、ないしは今義務という形で県内の医療機関に勤務している状況であります。
〇工藤勝博委員 岩手医大は私立大学ということもありますけれども、県内、岩手県でも相当な支援をしている中で、医師養成の部分ではかなり頑張っていただかなければならないと思いますし、いずれ歴史のある医大でもありますので、医師も県内で定着できるような、医師の需給も含めて定着率の増を図ってほしいと思います。
 次の質問でございますけれども、介護業務従事者処遇改善等臨時特例事業費につきまして、国のそういう対策の中で出た支援事業だと思いますけれども、この事業所数と従事者数と、介護従事者の定着率等がわかれば教えていただきたいと思います。
〇岡村長寿社会課総括課長 介護業務従事者の改善事業の関係でございますが、平成22年度の状況で申し上げますと、県内で介護職員等が従事している事業所は1、302事業所ございました。そのうち、1、079の事業所が当該事業に申請しておりまして、申請率は82.9%という状況でございます。この事業の対象となりました従事者数につきましては、11万9、466人という延べ数になってございます。支給実績につきましては、18億円ほど県から交付してございます。
 賃金改善の状況についてあわせて申し上げますと、これによりまして、1人当たり、月額、県から1万5、000円ほどの交付がございまして、これによりまして、職員1人当たり、月額1万6、000円相当の賃金改善が図られたと把握してございます。
〇工藤勝博委員 よく介護従事者の皆さんは、仕事の業務の割には大変だと、それだけに見合う手当もないということを長年訴えておりましたけれども、そういう中で、1万6、000円プラスになったということは大変いいことだろうと思いますけれども、本来であれば、100%申請していないということはちょっと疑問に感じますけれども、82%ということの、残りの18%の事業所の方はどのような形で申請していないのかちょっとお願いいたします。
〇岡村長寿社会課総括課長 当該事業の要件でございますけれども、平成20年度の賃金の支給の状況につきまして、想定では、月額給付金1万5、000円相当以上の給与改善を図るという事業でございますので、事業所によっては、給与水準が公務員とかほかの業種相当に引き上げている事業所もございます。したがって、そういうところにつきましては、さらに給与改善を図るというのはなかなか難しいということで、当該制度を使っていない事業所もございます。それから、一部には介護職員が対象になる事業でございますので、事務職員とか介護職員とか多様な職種がある事業所では、一部の職員だけ賃金改善することは非常に均衡を欠くということで、申請をしていないという事業所もあるようでございます。当該事業につきましては、各広域振興局等が窓口になりまして申請等の働きかけをしておりますので、県内は全国の中でも、比較的事業の実施が良好な地域だと伺っております。
〇工藤勝博委員 そういう中で、賃金も待遇も改善されたということになるだろうと思いますけれども、介護従事者の事業所に対しての定着率というのは向上したのでしょうか。
 また、もう一つ、業務にかかわっていろんな資格等も取得できるだろうと思います。そのような実態があればお聞かせいただきたいと思います。
〇岡村長寿社会課総括課長 職員の定着の状況についてでございますけれども、県で直接把握はしてございませんけれども、国の外郭団体で介護職員の定着、離職の状況等について抽出で調査したものがございます。これは、財団法人介護労働安定センターで調査しているものでございますが、平成21年10月から平成22年9月までのこの1年間の調査が一番現状で新しいものでございますけれども、県内の介護職員の離職率は12.9%という調査結果になってございます。当該調査の結果につきましては、全国の介護労働者の離職率が17.8%という結果でございますので、岩手は比較的定着率がいいのではないかということがうかがわれます。ただ、多少残念なことに、離職率の調査結果の傾向を見ますと、岩手県内では平成20年度の調査が14.1%、21年度が10.3%でございました。昨年度の調査では12.9%と、ちょっとまた離職率が上がってきている傾向がございます。これは、岩手県だけではなくて、全国の介護労働者の状況も18.7%、17.0%、17.8%と、同じように下がってまた上がったという傾向がございます。そのあたりの状況の分析はできないんでございますが、どうしても景気が一時的に回復したりすると、介護労働者がほかの業界に向くとか、そういうことがあるのではないかと推測してございます。
〇工藤勝博委員 この件に関してもう一つ、沿岸の被災されたそういう施設の中で、施設も被災された、あるいはまた従事されている方が移動したと、避難したということも含めて、施設に従事者の過不足があるのかどうか、その辺の把握ができておるのであれば聞かせてください。
〇岡村長寿社会課総括課長 今回の震災等の状況についての職員の移動の状況の詳細な把握はございませんけれども、我々が把握している範囲では、各事業所、施設の職員の基準数がございますけれども、配置人員を下回ってという取り扱いにはなってございません。ただ、今回の震災では、定員超過して受け入れをする特例措置が講じられております。その際には、人員の配置基準を下回っても暫定的にやむを得ないという取り扱いで、基準を必ず満たさなければならないという取り扱いにはなってございません。ただし、私どもが承知している範囲では、入所施設等では、超過受け入れをした利用者の数に応じて、職員の配置等は増員をしている施設が多いと聞いておりますし、被災した施設の職員を臨時的にほかの施設で雇用してという取り組みもなされていると聞いております。
 また、あわせて、今年度の事業でございますけれども、震災に伴って離職した職員の介護事業所での雇用についても、雇用安定の基金を活用したり、それから介護雇用プログラムでの採用等についても、年度途中でも、ホームヘルパーの採用等の門戸を開いて事業活用をしていただいているという状況にございます。
〇工藤勝博委員 次の質問に移ります。
 同じように介護サービス施設等の整備特例事業ですけれども、第4期においては、入所待機改善のためにそれぞれ施設整備がなされていると思います。その整備の状況と、また従来、大変な数の皆さんが待機している状況もありました。それとあわせて、今般の震災によっては、被災された施設から、特段に定員オーバーしても受け入れ可能だよという改善がありましたけれども、その辺も含めてどのような状況になっているか、お聞きしたいと思います。
〇岡村長寿社会課総括課長 今お尋ねのありました施設整備の状況についてお答え申し上げます。
 介護サービス施設等整備臨時特例基金という、国の経済対策で、県が平成21年度に造成した基金がございますけれども、当該基金を活用いたしまして、定員が29人以下の小規模な特別養護老人ホームや認知症高齢者のグループホームなど、地域密着型サービスの整備を促進してきているところでございます。
 平成22年度の状況についてでございますが、当該地域密着型の特別養護老人ホームは2施設58床、グループホームは9施設72床の整備が図られたところでございます。また、老人福祉施設整備費によりまして─これは県単の施設整備でございますが、定員が30人以上の特別養護老人ホームにつきましては、平成22年度は2施設24床の整備が図られたという状況でございます。
 これらにつきまして、第4期の事業計画というのがございまして、平成21年度から23年度の間で、特別養護老人ホームにつきましては、全体で1、197床整備することとなっております。ただ、全体の事業につきましては、今年度におきまして1、042床ほど整備する、そういう計画の最終年度に集中している状況にございます。おおむね予定どおりの整備が進むと考えておりますけれども、若干、震災等の影響でおくれている地域もございますので、できるだけ早い事業完了ができますように、事業者ともども連携して進めたいと考えております。
 また、沿岸部の被災施設の方たちにつきまして、被災しなかった沿岸部の施設や内陸の施設で、定員超過等の状況で受け入れをしているところでございますけれども、現在、199人くらいの方が定員超過で受け入れられているという状況にございます。
〇工藤勝博委員 入所待機者の皆さんも、幾らかずつは緩和されているような状況ということを伺いました。そういう中で、その施設の中身といいますか内容ですけれども、従来、国の方針では、ユニット型という形で、個室を重点的に整備するという方法もありましたし、また、例えば地方に来ると、そういう負担は大変だということで多床型というのもあるわけですけれども、そういう整備の状況と、こういう経済情勢の中で負担増もなかなか難しいということもあるだろうと思います。第4期も含めて次の第5期になって、いずれそういう施設をふやすとなると、当然負担もふえてくるということになるだろうと思います。そういう中で、今後整備するに当たってはどのような形でお考えなのか、お伺いしたいと思います。
〇岡村長寿社会課総括課長 ユニット型個室等の施設整備の関係でございますが、先ほど申し上げました3年度の中で1、197床を特別養護老人ホームで定員増を図るわけですが、このうちユニット型の個室で整備するものが835床、多床室、従来の2人部屋あるいは4人部屋という形での整備が362床となっております。おおむね、個室ユニット型の整備が進んでいるわけですけれども、これにつきまして、国でもそういった整備を進めているということもございますが、これから20年、30年という長いスパンで使う施設でございますので、できるだけ居住環境のいい施設を準備しようというのが、いずれの地域でも進められているという状況がございます。ただ、まだ特別養護老人ホーム自体の定員数が不足しているという全体的な状況がございますので、例えば、県立病院の空き病床を改修してという場合は建物の制約がございまして、全室個室という形にはならなかったり、それから個室型の施設と多床室と組み合わせて、ある程度入居費用が安く入居できる施設についても、各地域で工夫しながら組み合わせた整備が進められているという状況でございます。
 県といたしましては、全体的に個室化の整備も進めながら、地域全体の定員数の状況も見ながら、多床室との組み合わせも勘案しながら整備を進めるというふうに考えてございます。
〇小西和子委員 私は、事項別明細書205ページの福祉総合相談センター、それから児童相談所管理運営費等について、かかわっております児童虐待について質問させていただきます。
 平成22年度の児童虐待相談件数は、岩手県は361件、前年度比23.2%増、市町村は515件、前年度比12.7%増です。このように急増している要因をどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
 また、虐待種別、社会的、家庭的要因をお示しください。
〇奥寺児童家庭課総括課長 まず、児童虐待件数の増加要因と虐待種別についてでございますけれども、児童虐待対応件数の増加要因につきましては、全般的には子育て不安の増大、あるいは不安定な経済環境等を反映してのものという要因のほか、例えば昨年の7月に大阪におきまして、幼児2人の悲惨な事件等があったということもございまして、いわゆる一般からの児童虐待の通告義務の周知が図られたということもあろうかと思います。そういったことが影響しているものではないかと考えてございます。
 次に、県の児童相談所の平成22年度の相談対応件数における虐待の種別でございますが、身体的虐待が40.7%、次いで心理的虐待が32.7%、ネグレクトが23.8%、性的虐待が2.8%となってございます。この種別で見ますと、心理的虐待の部分が平成21年度よりも増加してございまして、家庭養育機能の脆弱化ですとか子育ての孤立化、それから妊娠期からの育児不安の増大などなどの社会的あるいは家庭的な要因が影響しているのではないかと考えているところでございます。
〇小西和子委員 社会的、家庭的要因、例えばひとり親とか、何というんでしょうか、夫婦間不和とかといったこともお尋ねしたのですけれども。
〇奥寺児童家庭課総括課長 委員御指摘のとおり、社会的、家庭的な要因の中の大きな一つとして、ひとり親家庭の増大ということがあろうかと思います。実際、実母による虐待というのも多ございますし、家庭の分類の中では、残念ながら母子家庭による虐待が多くを占めているという実態もございます。
 それから、妊娠不安あるいは育児不安、そこら辺もやはりございまして、妊娠期から出産後のそういった育児不安ということで育児の孤立化もございまして、そういった育児ノイローゼから虐待に至るというケースもふえていると認識しておりまして、その辺の母子保健との連携の強化の必要性も認識しているところでございます。
〇小西和子委員 虐待種別では、心理的虐待というのがすごく増大したということが特徴的かと思います。職員の方に伺いますと、心理的虐待という中には、目の前でDVが行われたりして、そういうこともふえているので増大しているんだというお話も伺っておりました。やはり社会的、家庭的要因というのでは、ひとり親家庭が群を抜いているということととらえました。
 では、児童虐待防止のためにどのような対策を講じたのか、お尋ねいたします。成果と課題もお願いいたします。
〇奥寺児童家庭課総括課長 特に平成16年度、17年度あたりから全国的な傾向でもございましたが、本県におきましても、児童虐待の対応件数というのが急増傾向にございまして、まず県として取り組んできているのが、対応する職員の人的体制の強化ということが挙げられます。
 具体的には、第一線で対応する児童相談所の児童福祉司の増員を図ってございます。最近では平成20年度に1名、それから昨年度、平成22年度には、県北広域局、久慈の駐在を1人から2人にふやして複数体制にして強化するということで、現在は24名体制でございますが、これは平成17年度から6年間で11人の児童福祉司の増員を図って対応しているということでございます。そのほか、正職員ではございませんが、昨年度は盛岡の福祉総合相談センターに、いわゆる警察のOBの職員の方を非常勤でお願いしまして、いわゆる立入検査とか臨検捜索等の場合の保護者とのトラブル防止等の対応ができるような経験者の増員を図っていますし、今年度、平成23年度におきましては、特にも早い対応が求められるということで、虐待通報があった場合に、いわゆる48時間以内に対応することというルールがございますが、その安全確認の強化のために補助職員として、やはり非常勤でございますが、三つの児童相談所すべてに1名ずつ追加して配置して強化をしているところでございます。
 この人的な体制の充実のほかにも、まずは一般の方々への啓発の強化も続けてございまして、来月は全国共通の児童虐待防止月間になりますけれども、その月間などを中心に街頭での児童虐待防止キャンペーンですとか、あるいは一般対象のセミナーですとか、そういったこともやってございます。それから、子育て支援対策の中で、広く子育て支援と連動した形での啓発といいますか啓蒙といいますか、そういったことも一応着手しておりまして、例えば昨年、子育て応援作戦の中で作成しました漫画の子育て応援情報誌というのをつくって、コンビニ等で今も配布しているんですけれども、そういったものの中に、1こま1こまに、その中にさりげなく、例えば揺さぶられっ子症候群の危険性があるよといった場面を入れてみたり、あるいは県独自でお父さん用の、パパ子育て手帳をつくっておりますけれども、そういったものの中にも、しつけと虐待の違いがこうだよとか、あるいは急な揺さぶりは子供には非常にダメージが大きいよといったアナウンスもしていますし、それから、昨年度、岩手県版の母子健康手帳もつくらせていただきましたが、その中にも新しく妊娠されたお母さんに対しましては、今現在、各病院等で取り組んでいる妊産婦の産後うつスクリーニングの仕組みの紹介ですとか、細々とした虐待の要望にも結びつく情報も啓発しているところでございます。
 それから、児童相談所だけでなくて、市町村の対応も非常に今大事になってございますので、市町村の体制の強化ということで、地域レベル、全市町村で今ネットワーク会議をつくっていただいておりますけれども、その内容の充実も児童相談所としても支援をしているところでございます。
 そのほか、一番発見しやすい立場にあります学校、それから医療機関の先生方に対応する啓蒙、啓発ということで、先生用のリーフレットをつくって配っておりますし、それから、昨年度は新たに現場の先生、医療機関の先生用の通報マニュアルといいますか、発見通報マニュアルといいますか、そういったものをつくって配布しているところがございます。
 さらに、母子保健との連携というところで、これも平成19年度から取り組んでございますが、特にも市町村とそれから参加医療機関と連動しまして、産後うつスクリーニングの取り組みというものを進めておりまして、ほぼ全市町村、全産科医療機関でもって、産後うつスクリーニングの取り組みが今進んでいるところでございます。
 今後の課題もいろいろございますが、一般の啓発、啓蒙をさらに強化していく、例えば、通報をしたら後で責任を問われるんじゃないかといった不安感がまだまだあるというのも承知してございますので、そういった心配はないとか、それから孤立化の防止のためにいわゆる育児不安の払拭を図る、そういった対策の検討と実施ということも、今後続けていかなければならないと考えてございます。
〇小西和子委員 御丁寧な答弁ありがとうございました。本当に一生懸命さまざまな取り組みをされているということがわかりました。ただ、それであるのに、このように23.2%も増加しているということでございますので、本当に大変なお仕事だと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 東日本大震災津波以降の沿岸部の子供たちが置かれている状況をどのようにとらえているか、お伺いいたします。
 近年、児童福祉司等を増員しているとお聞きしておりますけれども、特に沿岸部の子供を取り巻く環境から、マンパワーによる支援が必要と考えます。先ほど工藤勝子委員の質疑の際にも御答弁がありましたけれども、それぞれ各2名の増員で果たして十分と言えるのでしょうか。沿岸部は、要保護児童がかなりふえているわけですよね。そういう観点からも、さらに児童福祉司等を増員して児童虐待防止に当たるべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
〇熊谷泉副委員長 この際、進行に御協力を願うため、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇奥寺児童家庭課総括課長 大震災発災以降の子供の状況と児童福祉司の増員についてでございます。
 今回の大震災津波によりまして、被災地の子供たちは生活環境の激変等の影響を受けまして、心理的にストレスを強く抱えている状況にあるととらえてございます。このような環境の変化は、児童虐待の発生要因にもつながりかねないということから、発災後の虐待防止対策の取り組みの一つとして、保護者が不安や混乱を抱えずに子供に接することができるよう、震災後の子供の心理状態の理解を深めるためのチラシや小冊子を作成しまして、沿岸部市町村を中心に配布してございますし、最近では、DVや児童虐待防止のための独自のチラシを作成しまして、主に仮設住宅を中心に配布しているところでございます。
 また、被災児童への対応や児童虐待の未然防止など、御指摘のとおり、今、児童相談所の業務量が大きく増加してございます。そのため、現在は他県から応援の児童福祉司、現在2名を派遣いただいて手伝いをしていただいているところでございますが、来年4月以降につきましては、県としての児童福祉司の増員ということが必要と考えてございますので、これにつきまして、国に対して特段の財政措置を現在要望しているところでございます。
〇小西和子委員 本当に大変なお仕事だということをお聞きしておりますので、ぜひ増員に向けて御尽力いただければと思います。
 次に、事項別明細書206ページ、207ページの母子福祉費にかかわって、子供の貧困について質問いたします。
 厚生労働省がことしの7月12日に公表した低所得の人の割合を示す相対的貧困率というのが16%となりました。前回よりも0.3ポイント悪化しました。データがある85年以降最悪で、国際的にも高い日本の貧困率は改善に向っていないということです。驚くべきことに、17歳以下の子供では1.5ポイント増の15.7%で、およそ6人に1人が低所得の家庭で育てられているということを裏づけております。先ほどもありましたけれども、ひとり親家庭、母子家庭など、ひとり親世帯の貧困率というのは50.8%です。
 岩手県の子供の貧困についてどのようにとらえているのか、お伺いいたします。また、ひとり親世帯の子供の貧困率を、もしもおわかりであればお示しください。それから、ひとり親家庭世帯の就労状況と就労収入の状況についてお伺いいたします。
〇奥寺児童家庭課総括課長 まず、子供の貧困についてでございます。岩手県における生活保護受給世帯で教育扶助を受けている児童数と、学校教育法で就学援助を受けている準要保護児童数は最近3年間増加傾向にございまして、子供の貧困は進行しつつあるものと考えてございます。これまで、国の審議会におきましても、子供期の貧困は、成人してからも自身の健康や子供の教育、家庭環境等にさまざまな影響があり、当該時期における所得保障や現物給付は、その不利な状況や悪影響を緩和する効果があるという議論もなされてございます。
 お尋ねの本県におけるひとり親家庭の子供の貧困率についてございますが、委員からお話がありましたように、国が実施しました調査によりますと、全国では50.8%という非常に高い数字となっております。しかしながら、この調査は、一定の基準で抽出した全国のサンプルにより得た数値でございまして、都道府県別の数値により算出したものではないことから、本県としては把握できない状況にございます。
 次に、就労と収入の状況についてでございますが、平成20年度に実施しております本県の母子世帯等実態調査におきまして、母子家庭の就業中の世帯の就業形態を見ますと、常用労働は43.7%、臨時、パートは46.2%となってございまして、臨時、パートのほうが若干上回っている状況。それから、就労収入の状況では、月平均収入が10万円から15万円未満が41.2%で一番多く、次に15万円から20万円未満が21.5%、そして20万円以上が7.2%となっている状況でございます。
〇小西和子委員 さらに貧困率が高まっているということ、それから母子家庭世帯が大変苦しい生活をしているということがこれから裏づけられると思います。
 都道府県別が把握できないというのは、やろうと思えばできると思うのですけれども、ちょっとそこは検討いただければと思います。
 次に、生活保護を受けている家庭の児童生徒数、割合、それから前年度比、そのうちひとり親世帯の割合、児童生徒数の割合、それから就学援助と言われる準要世帯の割合はどうでしょうか。ひとり親世帯の割合と児童数、その割合をお聞きします。
〇小田原地域福祉課総括課長 生活保護世帯の子供の割合等についてでございますが、本年7月時点におきまして、本県の生活保護を受給している家庭の18歳未満の児童数は1、975人であり、これは、昨年10月1日の推計人口における全児童数の0.9%となってございます。そのうち、ひとり親世帯の割合につきましては、生活保護制度上、母子加算が適用されることとなっており、この適用がなされている世帯を集計しますと、本年7月時点では770世帯で、これは全保護受給世帯数1万397世帯の7.4%となっております。この母子加算が適用されているひとり親世帯の児童数は1、361人となっており、18歳未満の保護を受給している児童数1、975人の68.9%となってございます。また、小中学校及び高校に在学する保護受給世帯の児童生徒数については、同じく本年7月時点で、教育扶助を受けている小中学生が1、021人で、高等学校等就学費を受給している高校生が396人、合わせて1、417人であり、本県の全小中学校及び高校在学児童生徒数の0.9%となってございます。
 また、就学援助事業につきましては、教育委員会にお伺いいたしましたところ、援助した生徒数でとらえておりまして、世帯数としては把握していないということでございますけれども、準要保護として援助した小中学校児童生徒数は1万210人であり、本県の全小中学校生徒数、これは昨年の5月1日現在、10万9、959人の9.3%となっているということでございます。
〇小西和子委員 このような実態、本当に9.何%、もう10人に1人ということになりますけれども、かなり高いなと思っております。このような実態についての御所見を伺いますし、子供の貧困を解消するために、ひとり親世帯などに対してどのような支援を行ってきたか伺います。その成果と課題についてもお伺いいたします。
〇小田原地域福祉課総括課長 現在、生活保護を受けている世帯の子供の貧困の連鎖ということで、さまざま国レベルで検討されているところでございます。子供たちの教育水準を高めていくということで、どのような施策がいいかということで議論されているところでございますが、具体的には、学習支援ということがあるわけですけれども、実施に移す段階におきましてプライバシーの問題等がございまして、どのような形で子供たちをそういう学習支援の方向に取り組んでいくような仕組みでやっていくかということなどが今後の課題と考えております。
〇奥寺児童家庭課総括課長 子供の貧困を解消するためのひとり親世帯への支援についてでございますけれども、ひとり親家庭の支援としては、平成22年に策定しました岩手県ひとり親家庭等自立促進計画をもとに、例えば看護師や保育士等の資格取得のための助成金が支給される高等技能訓練促進費事業などがございますけれども、そういった自立支援やハローワークと連携した就労支援など、さまざまな自立支援策を推進しているところでございます。また、平成22年10月からは、いわゆる児童扶養手当が父子家庭にも支給拡大されたこと、あるいは同じ10月から、県単独で実施していた母子家庭等への医療費助成制度を新たに父子家庭にも拡大するなど、ひとり親家庭への経済的支援の充実に取り組んできているところでございます。
 次に、成果についてでございますが、例えば先ほど紹介しました高等技能訓練促進費事業の利用者についてでございますが、平成21年度の19名から22年度は28名に増加するなど、今後、確実な就業につながっていくものと期待をしているところでございます。
 一方、課題としては、ことし1月に私どもが実施しましたひとり親家庭の就業支援に関する調査によりますと、各種就業支援制度を知らなかったという回答が全体の5割近くに上っておるということがございまして、今後、より一層、このような各種の事業、制度の周知に努める必要があると認識しているところでございます。
〇小西和子委員 いわて子どもプランの中に、ひとり親家庭等の自立促進計画というのが盛り込まれておりまして、これがこのとおりに実施されたらすごいなと思っておりました。ただ、周知されていないということでございますので、ぜひ事業の周知に努めていただきたいと思います。
 意欲や能力がありながら、貧困ゆえに心身の健康を損なったり、希望どおりの進路が閉ざされる子供がいるようでは、日本、岩手の将来といいますか、それよりも何よりも、子供本人の将来の損失でございます。子供の貧困を解消し、子供たちが幸せに暮らし、心も体も健康に成長するための取り組みというのが必要となってくると考えます。昨年も、この場にきょうは持ってこなかったんですが、いわて子どもの権利ノートというのを保健福祉部で作成していらっしゃいますけれども、それをベースにした岩手県子どもの権利条例を策定すべきと考えます。昨年度の決算特別委員会におきまして、部長から、勉強会の開催、子育てにやさしい環境づくり推進協議会の中での意見交換の案件とするところから始めたいとの御答弁をいただいておりましたけれども、その進捗状況をお伺いいたします。
〇小田島保健福祉部長 岩手県子どもの権利条例の制定についてでございますけれども、いわて子どもの権利ノートは、児童養護施設の入所児童等の権利擁護の取り組みを推進するために、本年3月に改訂をし、関係施設を通じて子供たちに配布したところでございます。
 お尋ねの岩手県子どもの権利条例についての進捗状況でございますが、現在はその情報収集に努めている段階でございまして、まずは先行して制定をしております自治体に職員を派遣しての調査、あるいは庁内での関係課による勉強会を開催するなどして、当該条例の果たす機能や役割を十分に検証、研究したいと考えているところでございます。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
 この東日本大震災津波で、多くの子供たちが言うに言われぬ恐怖を体験して、亡くなった子供も大勢おりますし、身近な大切な人を失った子供も本当にかなり多くおります。子供たちは、今でも不自由な生活を強いられているわけです。本当に子供は、今、真にこの人となら生きられるんだとか、生きていていいんだという自己肯定感と言いますけれども、そういうこととか、この人は信頼できる人だとか、この人は私を必要としてくれるんだという共感能力と言いますけれども、それを生み出してくれる身近に寄り添ってくれる人との継続的な人間関係というのが求められているんだと思います。この人間関係を紡ぐことこそが幸せに生きることであり、子どもの権利条約の原点でございます。ぜひ、子供たちが安心と自信を取り戻して、思いや願いを自由に出せるようになるまでじっくりと支えていきたいと思いますので、先ほどの権利条例の制定に向けての取り組みをよろしくお願いいたします。
 終わります。
〇斉藤信委員 それでは、まず最初に、県民の最も切実な課題の一つである、高過ぎる国保税の問題についてお聞きをします。
 県内の国保税、国保加入世帯の所得状況、職業状況、平均所得と課税所得、国保税はどうなっているか、示していただきたい。
〇藤原健康国保課総括課長 国保税加入世帯の1世帯当たりの平均所得、課税所得と国保税の状況でございますけれども、平成21年度における1世帯当たりの総所得金額125万円から基礎控除33万円を引いた課税所得額は92万円でございます。国保税額は15万4、000円となってございます。(斉藤信委員「もっと聞いた。最初から答弁漏れだな」と呼ぶ)
 大変失礼いたしました。本県の国保加入者の所得状況でございますけれども、所得なしの方々が全体の24%、それから100万円未満の方が30.7%、100万円から200万円までの方が24.1%、それから200万円以上の方が21.2%となってございます。
〇斉藤信委員 課税所得が92万円で国保税が15万4、000円と、本当にこれは耐えがたい国保税になっていると思うし、今、私が話を聞いたように、所得なしが24%です。所得が100万円以下というのがさらに30.7%、合わせると54%ですよ。これでは、私は、とても払いたくても払えないということになるんじゃないかと思うが、滞納世帯の世帯数、率、滞納額を示していただきたい。
〇藤原健康国保課総括課長 昨年度の国保税の滞納の状況でございますけれども、平成22年度末の累積滞納額でございますが、約115億円余となってございます。それから、滞納世帯数でございますけれども3万3、171世帯、これは国保加入世帯に占める滞納世帯の割合が15.56%となってございます。
〇斉藤信委員 15.56%が滞納、これは7世帯に1世帯ですよ。盛岡市の場合20%、宮古市も20%、大槌町は30%、まさにもう高過ぎて払えないということになっているんじゃないか。滞納の主な理由を、要因をどういうふうに受けとめていますか。
〇藤原健康国保課総括課長 滞納の理由につきましては、失業や疾病などに起因する経済的な理由によるものなどと聞いてございます。このようなことから、県といたしましても、市町村に対しまして、国保税の支払いが困難な被保険者に対しましては、きめ細やかな相談に応じて、分割納付や徴収猶予、減免を適切に行うよう、会議等を通じて要請をしているところでございます。
〇斉藤信委員 そのとおりですね。本当に高過ぎて払えない。ところが、滞納が1年超えますと資格証明書を発行されるんですよ。1年以内の方には短期保険証が発行されて、役場に来なければ短期保険証も発行しない。とめ置きという事態がありますね。資格証明書はどのぐらい発行されていますか。短期保険証の発行ととめ置きの状況、いわゆる無保険になっている世帯数は県内でどのぐらいあるでしょうか。
〇藤原健康国保課総括課長 資格証明書それから短期被保険者証の交付状況についてでございますけれども、本年の9月1日現在のまずは交付状況でございます。資格証明書が531世帯、短期被保険者証が1万720世帯となってございます。それから、1カ月以上未交付となっている、いわゆるとめ置きでございますけれども、これにつきましては、資格証明書が11世帯となってございます。(斉藤信委員「短期のとめ置き」と呼ぶ)
 失礼いたしました。短期被保険者証におきましては、1、138世帯となってございます。
〇斉藤信委員 資格証明書、これは窓口全額負担です。そして短期保険証もとめ置かれて、1、138世帯に届いていない。これも無保険であります。いいですか。1、669世帯が無保険ですよ。これで病院にかかれますか、こういう方々が。私は、そもそも高過ぎて払えないで苦労している方々に、保険証は取り上げる、短期保険証も交付しない。まさにこれは人権無視じゃないでしょうか。私は何度もこの議会の中で、こういう事態は改善すべきだと指摘したけれども、全然改善されていないじゃないですか。金の切れ目が命の切れ目でいいんですか。このことをお聞きしたい。
〇藤原健康国保課総括課長 資格証明書というもののまず性質、性格的なものをお話しさせていただきたいと思いますが、これは市町村が滞納者の方と接触いたしまして、窓口での国保税納付を直接働きかける機会を確保するために交付しているものでございます。市町村に対しましては、そのような機会を通じて、滞納者の方の生活実態などの状況をきめ細やかに把握した上で交付をしているものと認識しているところでございます。
〇斉藤信委員 そんな冷たい発想だからだめなんですよ。解決しないんですよ。盛岡市が今年度から資格証明書、短期保険証の発行を基本的にやめました。なぜかというと、資格証明書を発行しても納入率が改善されなかったと。それでいて保険証は届かないわけですから、それはもう、直接、市役所が滞納者に会って状況を聞いて解決する、盛岡市はこうやって今対応しているんですよ。昨年、資格証明書が266世帯でしたが、ことしは16世帯。これは特別の理由のある方ですよ。県都盛岡市がこうやって今改善をしています。
 部長、全体として高過ぎる国保税を払えなくて困っている、そういう方々に保険証を届けない、取り上げてしまう、何の効果がこれまでありましたか。盛岡市のように改善すべきじゃないですか。
〇小田島保健福祉部長 この短期被保険者証の取り扱いについては、従来の考え方につきましては藤原総括課長から御答弁を申し上げたとおりでございますが、根本的な問題といたしましては、冒頭の質問の中で委員御指摘のとおり、収入が伸びない中で、家計における国保税の負担額が増しているということが、根本的な原因になっていると私ども認識をいたしております。このため、県としては、国の公費負担割合を拡大し負担軽減を図るよう、国に要望をしているところでございます。
 資格証明書の取り扱い等につきましては、よく実態の把握をいたしながら、対応については今後いろいろ検討させていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 ぜひ実態を把握してやっていただきたい。県都盛岡市でそういう改善が始まっていますよ。11市町村は資格証明書発行ゼロですから、それで何の弊害も起きていないと私は思いますよ。そのことをぜひ。
 それで、もっとひどいのは、こうした滞納者の財産を差し押さえるということまでやっている。昨年度の財産差し押えの件数、差し押さえ額、何を差し押さえているか示してください。
〇藤原健康国保課総括課長 平成22年度における滞納処分の状況でございますけれども、差し押さえ件数は3、839件、差し押さえ金額が11億2、000万円となってございます。それから、差し押さえ物件でございますけれども、例えば預貯金ですとか不動産、給与等々になってございます。
〇斉藤信委員 3、839件、11億2、000万円弱、本当に弱い者いじめそのものじゃないでしょうか。そして、この差し押さえ物件の中には年金が含まれています。こうした方々の生活費は差し押さえてはならないとなっています。これらの方々の年金というのは、ほとんど10万円いかないと私は思います。だったら、生活費が差し押さえられるということになるんじゃないですか、この年金まで差し押さえたら。これは直ちに改善すべきと思いますが、いかがですか。
〇藤原健康国保課総括課長 給与や年金などの差し押さえにつきましては、国税徴収法の規定の例によりまして、1人につき本人分として10万円、また、生計同一親族がいる場合には、これに1人当たり4万5、000円を加えた額までは差し押さえができないこととされております。このように、一定の生活への配慮がされていると考えてございます。
 県といたしましては、滞納処分に当たりましては、市町村が滞納処分を行う場合にあっては、納税相談や財産調査などを適切に行った上で分割納付を認めたり、担税能力がない場合には滞納処分の執行停止を行うなど、生活困窮者に対して適切に対応するよう助言してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 私はことしの3月にもこの問題を指摘しました。給料は会社で差し押さえるから生活費を確保できるんです。年金は振り込みなんです。振り込まれた途端、もう預金になってしまうんです。だから、全部差し押さえられるんです。そこをしっかり調べてください。振り込まれた年金で生活費が確保できるのか。できないと思いますよ。年金まで差し押さえるなんてことは直ちに改善すべきだ。これは指摘にとどめておきますから、しっかり調べてください。
 それでは、次に介護保険の改善についてお聞きいたします。
 昨年度末に、毎年恒例の特養ホームの待機者の調査をしております。待機者の実態、そしてこれまでの特養ホームの増設、定員増、ことしの増設の見込みを示していただきたい。
〇岡村長寿社会課総括課長 特別養護老人ホームの待機者の状況についてでございますが、今年度におきましては平成23年7月末に調査してございます。例年3月末に調査しているところでございますが、東日本大震災津波の影響で調査時期を変更したものでございます。
 今回の調査では、7月末で、全体の入所申し込み者、待機者が6、183人となっております。このうち、在宅にいらっしゃる方が2、203人、そのうち市町村において早期の入所が必要と判断された方は1、253人となっております。前回、昨年3月末の調査と比較いたしまして、市町村が早期に入所が必要とした在宅の方が18人微増という状況でございます。
 次に、特別養護老人ホームの増設の状況についてでございますが、県では、これら早期に入所が必要と判断された方の入所待機の解消を市町村ともども連携しながら進めてきているところでございますけれども、第4期計画─平成21年度から平成23年度に予定されておりました特別養護老人ホームの定員増の計画は、全体で1、197床という状況になっております。このうち、ことしの7月末までに198床が開設されておりますから、ことしの8月以降、999床の増設、定員増が見込まれているところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。特養に申請して待っている方が6、183人、そのうち緊急にというのは、今々ということですよね、これが1、253人いて、残念ながら7月末までは198床しか整備されなかったと。ただ、第4期計画は見直されまして、今、課長がお話しされたように、これから1、197床まで整備されるということなので、私は、これは今までになく改善されると思いますが、それでも264人追いつかないんですよ。そして、来年になればまた待機者がふえていくということになりますので、さらに本当に待機者を解消するような計画にしていただきたい。
 次に、介護サービスの利用料は今までも全国最低でしたが、最近の全国と比較できる調査では、介護サービス利用料の現状、全国順位はどうなっているでしょうか。
〇岡村長寿社会課総括課長 居宅介護サービス等の需給量の状況あるいは全国の本県の順位ということでございますが、本年の8月4日に厚生労働省から平成22年度介護給付費実態調査が公表されてございます。これは平成23年3月分によります1カ月当たり居宅介護サービス受給者1人当たりのそういった費用について公表されているものですが、これによりますと、全国平均では11万9、200円となっております。本県は8万8、100円ということで、全国45番目という結果でございます。ただし、これは大震災津波の影響がございまして、岩手県、宮城県、福島県がそういう低い順位となっている状況がございますので、国では、震災の影響のなかった昨年の10月分のデータについても参考で公表してございます。これによりますと、全国平均では11万9、600円であるのに対し本県は10万4、900円、全国で46番目という状況でございます。
〇斉藤信委員 残念ながら、介護サービスの利用料は全国最低クラスと。やっぱりこの改善が必要だし、私は、一番の問題は、保険料とあわせて利用料が高いと。この軽減がなかったら、保険あって介護なし。本当にこの改善を求めていきたいと思います。
 それで、次期介護保険事業計画が来年からなるわけです。大震災を受けて、今、そういう計画の策定準備が十分できるのか。そして、さらに介護保険の利用料が値上がりするようなことになったら、本当に私は介護保険は使えなくなるんじゃないかと思いますが、現在の保険料、利用料の減免状況を含めて来年度の見通しを示していただきたい。
〇岡村長寿社会課総括課長 第5期の次期介護保険事業計画、市町村の計画の策定状況でございますが、これは、平成24年度から平成26年度までの3カ年の事業計画を来年の3月末まで、今年度中に策定することとして、今、市町村におきましては、サービスの見込み量でありますとか施設の増設の量、あるいは介護保険料の算定に係るそういう推計を事務的に行っているところでございます。
 現在、まだそういった数字が出そろっておりませんが、今後、市町村におきまして、計画の策定委員会でありますとか住民に対する地域説明会、あるいは議会での了承も得ながら計画が策定されるということになります。
 特に本県では、被災した沿岸部におきまして、実務的な検討がなかなか難しいという市町村がございますので、ただし、これは法定計画ですので、策定を延期するということは介護保険事業の執行に多大な影響を及ぼしますので、義務的に必ずつくっていただくということで、県も実務的な、技術的な支援をしながら、内容の検討などをしながら策定支援をして、市町村ともども準備を進めているところでございます。
 そういった状況でございますが、介護保険料等の見込みでございますが、第4期の現状で申し上げますと、全国平均1人月額─標準月額でございますが、4、160円に対し本県は3、990円という状況でございます。全国的には高齢化の進展で介護サービスの利用がふえる、あるいは介護基盤の特養等の緊急整備を行ったという経緯もございますので、第5期の保険料は上昇するだろうと言われております。国では、5、000円ぐらいを目安に、ぜひいろんな補てん策で上昇を抑制したいという話が出ておりまして、県で造成しております介護保険財政安定化基金が四十数億円あるわけですが、その一部を取り崩して保険料の増嵩に充てるとか、そういう検討もこれからしていかなければなりません。
 しかしながら、本県におきましては、被災地での介護保険者に対する財政支援策もあわせて検討する必要があると考えておりますので、そういう財政支援策とあわせて県内全般の保険料の増嵩と、そういったことに対する対応についても検討する必要があると考えております。本県におきましては全国よりは低い額でとどまるのではないかと考えておりますので、そういう方向で検討させていただきたいと考えております。
〇斉藤信委員 本当に5、000円になるのではないかと。もう4、000円でも限界だというのが今の声ですから。私は、四十数億円の基金なども含めて、また、国の特別の手だても求めて、本当に保険料、利用料の引き上げではなくて引き下げこそ求めるべきだと。
 時間がないので次に進みます。
 子供の医療費助成の拡充について。
 県内市町村の子供の医療費助成はかなり拡充されていますが、取り組み状況を示していただきたい。全国の都道府県の医療費助成の状況を示していただきたい。
 盛岡市では、岩手県が小学校卒業まで拡充するのではあれば盛岡市もできると言っていますよ。では、岩手県がやらなかった場合はどうするか。だったら、3億円かかるんだけれども、1億5、000万円で小学校3年生ぐらいまでは拡充しようかと、そういうことを検討するというところまで、今、各市町村はやっているんですが、県内の多くの市町村で子供の医療費助成が拡充されていますので、ぜひ県としても前に進めるときではないかと思いますが、いかがですか。
〇藤原健康国保課総括課長 最初に、県内市町村の子供の医療費助成の取り組み状況でございますけれども、独自に小学生または中学生まで助成対象を拡大している市町村が、小学校1年生までが1町、小学校卒業までが8市町、中学校卒業までが9町村、高校卒業までが1町、合計19市町村となってございます。
 それから、全国の状況でございますけれども、現在、小学生または中学生まで助成対象を拡大しているところは19都道府県ございます。内訳は、通院に係る医療費助成を拡大しているところは、小学校3年生までが5県、小学校卒業までが1県、中学校卒業までが3都県となってございます。また、入院に係る医療費助成を拡大しているところは、小学校3年生までが5県、小学校卒業までが6道府県、中学校卒業までが8都県となってございます。
 それから、医療費助成の拡大についてでございますが、小学校卒業までこの制度を拡大した場合、多額の県費負担が見込まれるところでございます。したがって、近年の社会保障関係経費等の増嵩により、県の予算における新たな政策的経費の確保は大変厳しい状況となっており、こうした県財政の状況から考えますと、直ちに実施することは困難であると考えてございます。
〇斉藤信委員 県内の19市町村が実施して、全国でも19都道府県が小学校や中学校まで拡充している。私は、こういう流れの中で、子供を大切にする県政、岩手県は本当に立ちおくれているなと。これは本当に前向きに検討していただきたいと思います。
 最後です。医師の確保はさまざまな議論がありましたから、これは割愛して、看護師の確保策について。
 6月17日に厚生労働省5局長の連名で看護師等の雇用の質の向上を求める通知というものが出されました。看護師確保の課題とあわせて、この5局長通知をどう受けとめ、今、どう具体化しているのか。
 障がい者のバス料金の軽減対策。
 私は3月の予算特別委員会でもこれを取り上げ、知事も緊急、重要な課題としてこれに取り組みたいという答弁がありました。この間、どう取り組まれているのか示していただきたい。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 まず最初の御質問は、看護職員等の5局長通知の内容とその対応でございます。
 委員御案内のとおり、平成23年6月17日付で厚生労働省医政局長等5局長が連名で通知した看護師等の雇用の質の向上のための取り組みについてでございますが、この通知は、質の高い医療、介護サービスを安定的に提供するためには、厳しい労働環境に置かれている者も多い看護職員の雇用の質の向上が喫緊の課題であるとして、医療行政と労働行政が共通認識を持って勤務環境や雇用管理の改善に取り組んでいくこととされているものでございます。この通知を受けまして、県では、医療機関等に対しまして、各医療機関における取り組みや労働局が実施する労働時間設定コンサルタントの活用等について働きかけたところであり、今後は、労働局が実施いたします研修会の開催などに向けて協力していくとともに、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づき、新人看護研修体制の整備、潜在看護師の活用等について引き続き取り組んでまいります。
〇朽木障がい保健福祉課総括課長 精神障がい者のバス料金の軽減対策についてでございますけれども、精神障がい者へのバス運賃料金割引につきましては事業者の理解が非常に重要になっておりまして、現時点ではまだ実現に至ってないという状況でございます。
 県では、まず環境づくりとして、身体、知的、精神の三つの障がいが足並みをそろえて同様に割引の適用ができるように、北海道、東北7県の連名で、国の一般乗合旅客自動運送事業標準運送約款というものがございますが、まだそこには精神障がい者が明記されておりませんので、まずそこをきちんと明記するようにということで、先般、国に要望したところでございます。
 さらに、当事者の方との話し合いの機会がありまして、来月にバス協会と県に要望書を改めて出したいという話を伺っております。こうした当事者の皆様からの御意見、御要望を十分に踏まえて、県と障がい者団体の皆さんが歩調を合わせて要望していきたいということで、現在、事務的にその要望内容について取り進めているところでございます。
〇高田一郎委員 私からは、まず保育関係についてお伺いしたいと思います。
 まず、今回の東日本大震災津波による保育所の被災状況と復旧状況についてお示しください。
〇奥寺児童家庭課総括課長 大震災津波による保育所の被災状況と復旧状況についてでございます。全壊、半壊または浸水など被害のあった保育所数は20施設となってございます。このうち5施設は当該施設で保育を再開してございますが、13施設は仮設園舎などの代替施設での保育再開となってございます。残る2施設については休止中となってございますが、現在、仮設園舎の整備等を検討中と伺っており、この利用希望児童については、全員ほかの保育所に入所しているという状況であると聞いているところでございます。
 県としては、県の復興基本計画に基づき、現在、市町村や関係法人等と連携を図りながら、国と災害復旧費補助の協議を進めるなど、被災施設の早期復旧に向けた取り組みを支援しているところでございます。
〇高田一郎委員 二つの保育所がまだ整備がされていないという話をされましたけれども、一日も早い整備を行うようにお願いしたいということで、次に移りたいと思います。
 待機児童の状況と保育所の増設、定員増の取り組み、また、保育料の軽減状況はどうなっているのか具体的にお示しください。
〇奥寺児童家庭課総括課長 まず、保育所の待機児童の状況についてでございます。
 県内の待機児童数は、平成23年4月1日現在で5市町83人となってございます。これら発生市町村の状況を見ますと、新興住宅地などで待機児童が発生する一方、ほかの地域の保育所では定員に余裕が生じているところもあるなど、市町村の中でも特定の地域で待機児童が多くなっている状況にあるところでございます。
 次に、保育所の増設と定員増の取り組みについてでございますけれども、平成23年度におきましては12市町村で17カ所の整備を行う予定でございまして、保育所の定員を471人拡大する予定としてございます。
 次に、保育料の軽減状況についてでございますが、各市町村の保育料は、国で定めている保育所徴収金基準額表を基本として市町村で独自に設定してございますが、県内の全市町村が国の基準より低い額を保育料として設定しているところでございます。
 また、県内市町村が独自に行っている軽減措置の状況については、平成22年9月の時点で調査したところによれば、12市町村で第3子以降の入所について保育料を無料とするなどの措置をとっているところでございます。
〇高田一郎委員 保育所の施設整備は毎年進めているわけですけれども、それでも待機者が毎年出ているという状況です。今、待機児童の数は答弁があったんですけれども、今の整備状況の中で来年の春から待機児童が解消されるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 4月1日の待機児童の発生している五つの市町村で見ますと、そのうち3市1町においては全体で231人の定員増が図られる見込みとなってございます。ただ、盛岡市におきましては、やはり総体の待機児童が多ございまして、まだ若干の待機児童が残る状況かと思われます。
〇高田一郎委員 今、盛岡市のお話が出ましたけれども、盛岡市は、いただいた資料を拝見しますと、待機児童が46人になっております。市の調査によりますと、保育所に預けられれば働きたいという保護者が、盛岡市の独自の調査で297人にもなっているということが明らかになりました。つまり、求職中の方も子供を預ければ働けるという人は待機者になっていないんですよね。やはりこうした人も含めて全体像、実態を把握していかないと、今後の保育行政といいますか、住民に添った対応ができないんじゃないかと思うんですけれども、この辺についてお伺いしたいと思います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 委員御指摘のとおり、潜在的な保育ニーズというものもやはり考えていく必要が十分あると考えてございまして、特に盛岡市等の都市部におきましては、潜在的なニーズの把握も含めて、関係する盛岡市等とそういう解消に向けた協議、相談をよくしながら、一緒になって検討していきたいと考えております。
〇高田一郎委員 考えていく必要があるという答弁でしたけれども、現在の実態としては、働いていないと待機児童にならない、あるいは本当は就職活動も実際はできないというような状況があるんですよね。
 今、考えていく必要があるというお話がありましたけれども、今後、対応する自治体と詰めて協議をしていく必要があると思うんですけれども、こういう課題というのは前々からあった問題ですよね。どんなことを考えられるのか、想定できるのか、今、県としてどういうことを考えているのか、その辺について答弁いただきたいと思います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 例えば、待機の中には、現在、認可保育所を使えなくて無認可保育所を使っているお母さん方もいるだろうということもありまして、昨年度は、私どもとしても無認可保育所の利用者に対するニーズ調査なども行って、そのデータも関係する市町村にも送付させてもらったりしております。そういったことも含めて、さらに、いわゆる潜在ニーズの把握状況をどのように具体的にしていくのかというあたりにつきましては、特に待機児童が発生しつつある市町村と、また定期的に協議の場を持ちながら、分析も含めて、今後も一緒に協議を進めていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 今、働きたくても働けない。しかし、共働きで働かなければ生活が成り立たないということで、保育ニーズにこたえるということは本当に大切なことだと思いますので、対応する自治体としっかりと協議をして対応していただきたいと思います。
 ここに関連して、追加してちょっと質問したいんですけれども、保育士の定数の関係ですが、現在、保育士の最低基準というのはゼロ歳児は3対1です。1、2歳児は6対1、3歳児は20対1になっております。これは、東日本大震災を通じて、沿岸自治体の保育所では、津波に対する避難の中で、保育士の皆さんが本当に大変な思いをしながら子供たちの避難のために頑張ったという話を被災地に行っていろいろお聞きします。そういった保育所関係の方々とお話をしますと、最低基準の中でやっているわけでけれども、今のこの定数の中で本当に不安だという声がたくさん出ているんです。津波災害が起きる前から、今の最低基準で本当に良質の保育ができないという、現場からのそういう声もあるわけです。県当局として、今の保育所の最低基準の考え方についてお伺いしたいと思います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 前段にございました今回の津波における沿岸地域での保育所における避難につきましては、私どもも回りながらお伺いしまして、保育士の方々の懸命の努力によって、保育所の避難中における犠牲の数はゼロということがありまして、本当に感謝の気持ちでいっぱいでございます。
 それで、保育士の現在の最低基準に対する考え方ということでございますけれども、現状の国の基準は、最低基準ということでございますが、その遵守がまずは基本であると考えてございまして、監査等を通じて、最低でもこの基準の遵守はきちっと守るようにといった考え方で、今、指導しているところでございます。
〇高田一郎委員 今、集中改革プランなどによって、保育所も含めて自治体の職員は大幅に削減されて、保育所についても本当にぎりぎりの中でやっている。しかも、職員の中では、身分も非正規職員がふえて、良質の保育を進めていく上で非常に大きな問題になっているんです。
 陸前高田市立の保育所では137人の子供たちが、当時、3月11日の大震災のときにいたわけですけれども、地震が発生してから、この地震に驚いた家族の方々がすぐ駆けつけて、そして津波が押し寄せてきたときに、残っていた児童がわずか30名だったらしいんですけれども、36人の職員がこの30名の子供たちを避難させたと。だっこして、おんぶして、手を引っぱって。137人が保育所の中にいたら、とても助からなかったという話をされました。
 そういう意味でも、この間、大震災が起きて、9回ほど避難訓練をやったんですけれども、保育所の先生たちは本当に不安だと言うんですよね。そういう意味で、今の最低基準をクリアすればいいんだという対応ではなくて、やっぱり大震災という災害を体験して、今の保育所の定員のあり方で本当にいいのかということが問われてくるわけでありますので、これは、現場で頑張っている保育士の皆さんは、災害対応でふやしてほしいというのもありますけれども、通常の保育の状況の中でも本当に足りない、本当に良質の保育ができないという声が各地で広がっているわけでありますので、やっぱり現場の皆さんの声をしっかり聞いて対応していただきたいと思います。ここは要望だけにとどめておきたいと思います。
 次に、子ども・子育て新システムの問題についてお伺いしたいと思います。この間、政府でもこの問題が検討されてきまして、いよいよ来年の通常国会にこの法案が提出される予定になっております。そこで、この新しい保育のシステムに対する県当局の見解をただしたいと思います。
 これは保育を市場化して、保育所探しを家庭の自己責任にして保育の質を低下させるものだということで、保育関係者からこれに反対する声が広がっております。これについての県当局の考え方、評価についてお伺いしたいと思います。
〇奥寺児童家庭課総括課長 現在、国が進めている子ども・子育て新システムに関するお尋ねでございます。
 現在、国で検討されている子ども・子育て新システムにおきましては、保育所への入所につきましては、市町村の関与のもと保護者がみずから施設を選択し、保護者と施設が契約する公的契約とされておりますが、定員以上に応募がある場合などの正当な理由がある場合を除き、施設には応諾義務を課すとされているところでございます。また、その費用につきましては、法律に基づき利用者が一部負担するとされておりますが、当該負担の区分につきましては市町村が決定するとされているところでございます。この利用者負担に関しましては、低所得者に対する一定の配慮もするとされておりまして、市町村の関与についても、国の基準に対する地方公共団体の裁量の範囲を今後さらに検討するとされているところでございます。
 この子ども・子育て新システムにつきましては、委員御指摘のとおり、ことし7月に、中間取りまとめがなされたところでございますけれども、国、地方の負担のあり方あるいは具体的な利用者負担のあり方については、今後さらに検討課題とされているところでございます。
〇高田一郎委員 今、総括課長から答弁いただきましたけれども、今回の子ども・子育て新システムは市町村の関与があるかのような話をされましたけれども、市町村の関与については、これまでの現行制度よりも大幅に後退するんです。現行制度では、保護者は市町村に保育所の入所を申し込み、保護者の希望を踏まえて入所先を決めていく。市町村の責任で保育が提供されているわけです。ところが、今議論されている子ども・子育て新システムの中間取りまとめの中身を見ますと、市町村の責任がほとんどなくなって、市町村の仕事は、保護者の就労時間に応じた必要性の認定と補助金の支給に限られる。いわば、先ほど議論がありましたけれども、介護保険と同じような仕組みにしようとしているわけです。今、介護保険といえばさまざまな問題が起きています。つまり市町村に保育の実施義務がなくなることで、例えば、先ほど議論しましたけれども、待機児童の解消には市町村の関与がなくなるんじゃないでしょうか。私はそこが心配になっているんですけれども、どうなんでしょうか。
〇奥寺児童家庭課総括課長 市町村の関与が非常に大きくこれから出てきますので、保育対策におきましても市町村が保育計画をつくって、そういった関与のもとに、施設整備等の誘導につきましても市町村がきちっと関与していくという仕組みを残してございますし、具体的な入所に当たっても、先ほども御説明しましたとおり、正当な理由があるような場合を除きまして、それぞれの施設には利用者の申し込みに対する応諾義務を課すというところを担保しているところでございまして、そういったことで市町村の関与をしっかりと担保していくという方向だと認識してございます。
〇高田一郎委員 待機児童の解消に市町村が関与できるんだというお話もされましたけれども、今回の制度というのは、市町村の責任というのは保護者の就労時間に応じた必要性の認定と補助金の支給に限られるわけです。現在の制度というのは、市町村に保育所の入所を申し込んで、保護者の希望を踏まえて入所先を決めて、市町村の責任で保育が提供されるんです。今度の新しいシステムというのは、そういうところまで関与できないんです。まさに介護保険と同じようになる。待機児童がふえた場合に、その施設整備にだれが責任を負うのか。そこも市町村は責任を持ってやるというシステムになっていないんです。介護保険についても、介護報酬の範囲の中でのサービスで、上回れば利用者の負担になりますけれども、今回の新システムもそういう中身に実はなってしまうんです。だから、そういう懸念材料がたくさんあるわけです。その点についての問題はないんでしょうか。
〇奥寺児童家庭課総括課長 利用者と保育所側との契約に関する市町村の関与などにつきましては、例えばその市町村の中の施設とか事業者の情報を整理して、市町村が子育て家庭に広く情報提供して、市町村が相談に応ずるとか、市町村のあっせんによる利用が必要と市町村が判断する場合には、保育の必要性の認定等とあわせて市町村が利用可能な施設等をあっせんするということも検討されておりますし、それから、保育需要が供給を上回っているという場合には、市町村に利用希望を提出すること等によって、市町村が具体に利用調整をするということとか、あるいは契約による利用というものが著しく困難であるという判断を市町村がする場合には、市町村がその措置という判断でもって入所利用を行うといった関与の仕方も現在検討されておりまして、市町村の関与はまだまだしっかりと、保育計画を含めて継続していくものと考えてございます。
〇高田一郎委員 見解の違いのようですので、次に移りたいと思いますけれども、子供の内部被曝調査についてお伺いしたいと思います。この間の本会議あるいは特別委員会の質疑でも御答弁いただいたんですけれども、専門家の意見を聞いて対応していくということで、随分時間がかかるのではないかという心配があります。
 そこで、今回の県が行おうとしている子供100人を抽出して調査する内部被曝調査はどんな調査をしようとしているのか。これは年内に実施すべきことではないかと思うんですが、そのスケジュールも含めて答弁をいただきたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 子供の内部被曝調査についてでございますが、現在、県民の不安払拭を図るために、子供の尿中放射性物質に係るサンプリング調査について検討しているところでございます。その実施に当たりましては、迅速な実施に向けて進めてございますが、具体的な実施方法やプライバシーにも最大限の配慮をした結果の公表方法等、専門家の意見や市町村の意向を伺いながら慎重な検討も必要と考えており、現時点におきましては、年内の実施が可能かどうかも含めまして、具体的な内容をお示しできる状況にないことについて御理解をいただければと存じます。
 今後、このような検討を踏まえまして、できるだけ早い時期の実施に向けて努力してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 放射線の対策については、行政の対応のおくれに対して、非常に行政に対する不信もあるわけです。そういう不信、不安にこたえるためにも、一日も早い、一刻も早い対応を求めたいと思います。
 ちょっと時間がありませんので、最後に生活保護問題についてお伺いします。
 生活保護の現在の実態はどうなっているのでしょうか。また、本会議でも問題になりましたけれども、今回の東日本大震災による義援金の受給によって生活保護が打ち切られているという問題があります。新聞でも大きく報道されています。これは、最低生活を保障する、あるいは自立の助長、こういう生活保護法の精神に反する対応ではないかと思いますけれども、この点についての県当局の見解をお伺いしたいと思います。
〇小田原地域福祉課総括課長 生活保護の実態についてでございますが、災害が発生しました本年3月におきましては、被保護世帯数は1万606世帯、被保護人員1万5、097人でございましたが、直近の9月におきましては、世帯数1万482世帯、人員1万4、808人となっており、124世帯、人員で289人の減少でございます。
 なお、減少の理由といたしましては、災害発生当初は、被保護世帯の死亡、転出、その後は義援金等の収入により廃止となる事例が多くなっておりまして、生活保護の動向に震災が影響しているところでございます。
 次に、生活保護におけます義援金の取り扱いについてでございますが、義援金等を収入として判断する根拠でございますけれども、義援金の性格は、災害によりまして損害を受けたことにより受け取る金銭であり、その全額が被災者の方の心身の苦痛を慰謝するだけのものではなくて、災害によって失われた生活基盤の回復という生活保護の意味合いが大きいと考えられるため、自立更生に充てられる経費以外は収入として取り扱うという基本的な考え方が示されております。これにつきましては、過去の阪神・淡路大震災や新潟県中越沖地震の際も同様の取り扱いとなっているものでございますので、この取り扱いにつきまして国から一連の通知がございまして、それによって進めているところでございます。
〇高田一郎委員 私は、国の考え方を聞いたのではなくて県当局の考え方を聞いたんです。具体的にちょっとお聞きしますけれども、義援金などを生活の再建に使う場合には自立更生費用は収入とみなさないけれども、それを超える分については収入にみなすということですよね。つまり、生活保護世帯は、義援金については、金額によるけれども、収入とみなす。では、一般の生活保護世帯以外の方々は、義援金をもらった場合には、現在、収入とみなしているんですか。
〇小田原地域福祉課総括課長 現在、新たに生活保護の申請が出てきますと、そういう方々につきましても義援金等を所持しておれば、自立助長に充てられる額等について差し引きをして、その超える額があれば、それをもって生活保護の要否を決定するということになります。
 基本的に、制度の目的としての自立助長になるものと、自立更生計画、生活再建に充てられる額につきましては、自立助長につながるように、各保護の実施機関において組織的にケース診断会議等で検討して、そのような形で、今回の災害を一つのきっかけとして自立への一歩を踏み出していただくように支援していくということでございます。
〇高田一郎委員 私は全然そんなことを聞いていないんです。生活保護世帯については収入とみなすけれども、一般の生活保護世帯以外の人は、義援金をもらった場合は収入にならないわけですよね。生活保護世帯だけ収入にみなすのかというのはおかしいんじゃないかということを聞いたんです。被災地の生活保護世帯の中には、津波で家を失った人も中にはたくさんいるわけですよ。財産を失っているにもかかわらず、そうした方々が、生活保護世帯だからといって収入にみなす。これでは生活の再建ができないじゃないですか。私は国の通知を聞いたのではなくて、こういう事態になっていることに対して、県としてはどういう考えなのですかということをお聞きしたのです。そのことについて答弁いただきたいと思います。
〇小田原地域福祉課総括課長 生活保護の取り扱い上、義援金等につきましては自立更生に充てられる額、つまりは災害におきまして、生活再建するため、失った家財、家具といったものを再建するために必要だとする額については収入として見ないという取り扱いでございますので、一般の世帯の方々が失った財産を義援金等で補うと同様な取り扱いになるのではないかと考えております。
〇熊谷泉副委員長 ほかに質疑はございませんか。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇及川あつし委員 議事進行であります。
 ただいま、高田一郎委員の発言中、求職中の家庭は子供を預けることができないとの発言がありましたが、事実確認の上、必要な措置をとっていただきますようにお願いします。
〇熊谷泉副委員長 今の件について、今時点で答弁できますか。
〇奥寺児童家庭課総括課長 現在の保育所の申請に当たっては、求職中でも申請は受け付ける取り扱いとしてございます。
〇及川あつし委員 今、共働きをしようと思っている世帯は、今のような話がちまたに出回っていて、できる、できないの話になっているんです。この議会で、委員ができないと断言してしまって、議事録に残ったら大変なことになるので、今、事実が確認されたように、求職中の家庭も認可保育所には入所できますので、委員の発言の撤回、または議事録の削除等適切な対応をお願いしたいということであります。
〇斉藤信委員 もっと正確に言ってください。求職中の人は3カ月でしょう、入所できるのは。3カ月過ぎたらできないのですよ。だからね、答弁も、できますなんて一般的な答えをしてはだめなんですよ。3カ月はできるけれども、3カ月過ぎたらできなくなっちゃう、そういう正確な話ですから、削除にするなんていう話じゃないですよ、これは。
〇熊谷泉副委員長 ただいまの件につきましては、議事録を精査した上で、世話人会を開催し、御報告申し上げます。よろしいですか。
 ほかに質疑の方はありませんか。
〇伊藤勢至委員 手短に1点のみお伺いします。
 地域医療についてでありますが、岩手県の医療をオール岩手で見ますと、もちろん県立病院あるいは国立病院あるいは法人等私立の病院、そのほかにもいろんな開業医の先生方によってトータル的に医療がなされているわけです。
 県立中央病院に参りますと、かかりつけ医を持とうというタイトルのポスターなんかも張ってありますが、今回の大震災で、かかりつけ医たる地域の医院、病院あるいは歯科医院等々が流されてしまいましたり損壊をしたり、いろんな部分があったわけでありますけれども、これはまさに地域医療の最先端の先生方がそういう被災をされた。大変な部分でありますが、この数や何かについては把握されているのでしょうか、まず一つ。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 委員から御指摘ありましたとおり、今回の大震災によりまして沿岸部を中心に地域医療を支える、一次医療を担う診療所も含めて、地域全体で医療提供体制に大きな深刻な被害がございました。数におきましては、例えば沿岸部に240の医療機関がございますが、このうち民間の診療所97のうち40医療機関、約4割を超える医療機関が半壊ないしは大規模半壊、全壊といった深刻な被害を受けていると認識してございます。
〇伊藤勢至委員 そこで、5月の初めだったと思いますけれども、参りして、こういうときこそ地域で最先端に立って、例えば学校医であるとか、産業医であるとか、そういうことを引き受けていただいている先生方の支援策を打ち出すべきだということをお願いした次第でございまして、たしか12億400万円だと思いましたけれども、対応していただいた。これは非常に手早い反応をしていただいてよかったと思っておりますが、この対策の使われぐあい、金額的に間に合ったのか、どういうふうになっているのかお伺いしたいと思います。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 被災地の医療確保につきましては一刻も早い復旧が必要でございます。したがいまして、4月補正予算において事業費を措置した後、地域の被害状況の把握を踏まえて増額補正させていただきまして、今般の補正の後、現在の予算額は12億5、000万円余となってございます。この事業によりまして、一つが仮設診療所の設置を進めておりまして、医科19カ所、歯科14カ所、計33カ所の設置に向けて今進めてございます。
 また、そのほか仮設診療所によらない現地の医療機関で医療器材でありますとか補修といった応急的な復旧に係る費用についても6月議会で認めていただきまして措置したものでございます。この診療機能回復事業につきましては、国の補助対象にならない医療機関につきまして、被災地における医療機関の既存施設修繕、施設の器材の再取得などの応急的な診療再開に要する経費を補助しようとするものでありまして、現在、補助対象見込みの診療所に対しまして、所要額─これは先生方の被害の状況がさまざまございまして、きちっとした精査をしてございますので、年内、一刻も早い時期の内示に向けまして、今作業をしているところでございます。
〇及川あつし委員 1点だけ伺いたいと存じます。
 インフルエンザ対策であります。これにつきましては2009年の新型インフルエンザの対応からずっと保健福祉部が対応されてきていると思うのですが、今、ちまたでは、またことしも、大体蔓延期が2009年も今ごろの第42週ぐらいでしたから、そろそろという話になっているんですけれども、体制が変わっているということがなかなか認知されていないという意味でお尋ねしたいと思います。
 まず、2009年から始まった新型インフルエンザ対策でありますが、平成22年度をもって通常のインフルエンザ対策にするということで、厚生労働大臣の通知が出ております。同時に医療機関と委託契約を結んでいたワクチンの接種についても終了したということであります。
 一気にお尋ねしますけれども、それに伴って、当時、特命課長を配置して体制を構築されてきましたけれども、現在は特命課長がおりません。これについてどういう体制上の趣旨なのか御説明を願います。
 あと、平成21年度、平成22年度、手探りながらいろんな対策を講じてきたと承知しております。その対策の検証を行っていると思いますが、最大の課題については何なのかお示しいただきたいと思います。
 今年度の流行はまだのようでありますが、今年度の流行の見込み、対策の状況もお示し願います。
 特に、沿岸被災地については、ワクチンの接種体制等についてまだ脆弱なのかなという気がしておりますし、今申し上げた平成22年度で新型インフルエンザの体制、契約が終了したことに伴って、今後のワクチン接種の費用等は、特に沿岸被災地については何か特別な対応があるのかお尋ねいたします。
 最後になりますが、これまでの2カ年の特別な対策を講じてきた医療現場と、平成23年度は何がどのように具体的に違うのか。まだ県民の皆さんは十二分に知らされておらないと思いますので、これまでの努力を多としながら、県民にお知らせする意味でお尋ねしたいと存じます。
〇細川保健福祉企画室管理課長 インフルエンザ対策の特命課長についてでございますけれども、特命課長を設置したのは平成21年度でございますが、当時、国の新型インフルエンザ対策行動計画を踏まえまして、本県におきましても岩手県新型インフルエンザ対策行動計画及び岩手県新型インフルエンザ対策ガイドラインを新たに策定するため、また、その対策を講ずるために、当時の保健衛生課に特命課長を配置したところでございます。平成21年度は、この計画を策定する前に新型インフルエンザが発生したわけでございますけれども、この対策の迅速かつ円滑な実施を図るために、平成22年度には保健福祉企画室に新型インフルエンザ対策業務を移管し、新型インフルエンザ対策課長も新たに設置して体制を強化したところでございます。平成22年9月に、当初予定しておりました岩手県新型インフルエンザ対策行動計画及び岩手県新型インフルエンザガイドラインを策定しまして、また、平成21年度に発生しました新型インフルエンザの流行もほぼ収束したということで、平成22年度をもちまして特命課長及び新型インフルエンザ対策課長を廃止しまして、新型インフルエンザ対策の業務を医療推進課の感染症担当に移管したところでございます。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 まず、平成22年度までの対策の検証と課題でございます。
 平成21年2月に国が策定しました新型インフルエンザ対策行動計画及びガイドラインにつきましては、病原性が非常に高いインフルエンザを想定したものとなってございます。したがいまして、今回の新型インフルエンザは想定したよりも比較的病原性が低かったわけでございますが、これに対する柔軟な対応というものがなかなか難しかったと考えてございます。それを踏まえまして、県としては、国に先駆けて、昨年、病原性に応じて柔軟性に対応できるようなガイドラインを策定したところでございます。
 今後の課題でございますが、新型インフルエンザ対策は、行政や医療機関のみならず企業でありますとか家庭、また県民の皆様にも認識をしていただきまして、主体的な取り組みをしていただく取り組みが必要ではないかと考えてございます。
 また、制度上でございますが、このインフルエンザ対策に当たりましては、例えば県民の方々の行動の制限をしなければならない面、また医療機関への補償といった潜在的な課題もあると考えてございます。県といたしましては、これまでも、国に対して要望したところでございますが、こういった具体的な要望を引き続きしてまいりたいと考えてございます。
 また、沿岸被災者のワクチン接種体制でございます。委員から御案内のありましたとおり、昨年度末をもちまして新型インフルエンザがなくなりまして、通常の季節性インフルエンザに移行したものでございます。それに伴いまして、インフルエンザワクチンの接種体制につきましても、以前の通常の予防接種法上の2類疾病の位置づけになりまして、市町村による定期の予防接種に切りかわったという状況でございます。したがいまして、今、沿岸被災地を含みまして本年度の新型インフルエンザワクチンの体制を整備して進めてございますが、従前の、平成20年以前の予防接種法上に基づく体制に戻ったという形で準備をしているものと理解してございます。
 なお、被災地に当たりましては、日本ユニセフ協会によりましてインフルエンザの予防接種支援事業ということで、15歳以下の児童を対象とした助成ということで、県内9市町村がこの支援を受けているところでございます。
 また、厚生労働省通知を受けた取り扱いの変更でございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、通常の季節性インフルエンザに移行したということでございますので、今年度は季節性インフルエンザとしての取り扱いに医療機関も市町村もなるというものでございます。
〇及川あつし委員 いずれ、質問の趣旨は、平成21年度、平成22年度とこの体制で来ましたので、今年度も同じだと思っている方が多分過半だと思うんです。それで、これから流行期を迎えますので、ぜひ万全な周知をお願いしたいということと、沿岸被災地については、平成22年度の結果を見ると、実は高齢者の方のほうが重篤化したりとか亡くなった方がいらっしゃったということなので、今後については、そういうインフルエンザが流行しないことを願うわけですが、15歳以下の接種の強化もあると思うんですけれども、特にプレハブの仮設に入っている方々の罹患の蔓延というのは最大限配慮しなければいけない事項だと思いますので、特段の御配慮をお願いしたいと思うわけですが、その所感を伺って、終わります。
〇野原医療推進課総括課長兼医師支援推進監 委員から御指摘がありましたとおり、これから冬に向けましてインフルエンザの流行が非常に懸念されるところでございます。これまで非常に多くの方々が避難所におられましたので、インフルエンザの流行などが懸念されていましたが、それにつきましては幸いといいますか、防止することができました。今後は、インフルエンザワクチンの接種体制の再構築、また、そのほかにも、うがいや手洗いといった基本的な対策の周知といったことについて、従前にも増して、被災地に向けて市町村とともに取り組んでまいりたいと考えております。
〇熊谷泉副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇熊谷泉副委員長 質疑がないようでありますので、保健福祉部関係の質疑をこれで終わります。保健福祉部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時6分 休 憩
午後3時23分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、医療局長に医療局関係の説明を求めます。
〇遠藤医療局長 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算につきまして御説明を申し上げます。
 県立病院等事業の運営に当たりましては、地方公営企業法第3条に規定する経営の基本原則並びに県立病院等の設置の本旨、県議会の審議等を通じての御意見及び監査委員の御意見の趣旨を踏まえまして、まことに厳しい医療環境ではございますが、事業の効率的な運営と経営の健全性に配意しながら、公的医療機関としての使命である地域医療の確保と保健衛生の向上に努めてきたところでございます。
 平成22年度におきましても、良質で効率的な医療供給体制と、これを支える安定した経営基盤の確立のため、平成21年2月に策定した経営計画のもとに多様な取り組みを展開してきたところでございます。
 特に、医師確保につきましては、本県出身医師等の協力を得ながらの個別訪問や関係大学への要請などによる招聘に努めるとともに、奨学資金貸付制度の活用による医師の確保に努めているところでございます。また、臨床研修医師の積極的な受け入れに取り組んだ結果、平成22年度は、初期臨床研修医が111人となり、後期研修医は57人を勤務医として確保したほか、医療クラークの増員や24時間保育の実施などにより、医師の勤務環境の改善に努めるなど、県民医療に必要な医師の確保と定着に努めてきたところでございます。
 次に、病院機能の明確化等につきましては、中央病院や広域基幹病院を中心に、地域医療を支える体制づくりを進めるとともに、地域連携クリニカルパスを推進するなど、他の医療機関を含めた医療機能の分担と連携の推進に努めてきたところでございます。
 また、職員の資質の向上等につきましては、各種研修のほか、認定看護師などの専門資格の取得にも力を入れているところでございます。
 このほか、収入確保の取り組みとして、入院基本料などの施設基準の上位への届け出や、基幹病院での診断群分類による包括支払い方式の導入を進め、また、費用面では、職員の適正配置、後発医薬品の使用拡大や診療材料等の整理統一などによりまして費用の抑制を図るなど、総合的な経営改善に努めたところでございます。
 以上、事業の概要を申し上げましたが、去る3月11日に発生した東日本大震災津波による被害によって大幅な減収を余儀なくされているほか、多額の復旧費用を要するなど、かつてない非常に厳しい経営環境に置かれているところでございます。
 こうした状況のもとではありますが、今後におきましても、経営計画の目標の達成に向け、収益の確保や効率的な費用の執行などに各種取り組みを進め、安定した経営基盤の確立を図りながら、県民に良質な医療を持続的に提供できるよう努めていきたいと考えております。
 それでは、お手元の決算書に基づきましてその概要を御説明いたしますが、決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税相当額を含めた金額で作成するものでありますが、これに対しまして、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税、地方消費税相当額を除いた金額で作成することになっておりますので、金額に相違がございますので、あらかじめ御承知願います。
 それでは、決算書の1ページのほうをお開き願います。まず、決算報告書の収益的収入及び支出でございますが、収入の第1款病院事業収益は、予算額954億8、100万円余に対し、決算額は951億9、000万円余でございます。
 次に、支出でございますが、第1款病院事業費用は、予算額964億7、800万円余に対し、決算額は962億7、400万円余でございます。
 2ページに参りまして、資本的収入及び支出でございますが、収入の第1款資本的収入は、予算額186億800万円余に対し、決算額は179億4、400万円余で、その主なものといたしましては、第1項企業債90億9、100万円、第3項負担金46億6、600万円余などでございます。
 3ページに参りまして、支出の第1款資本的支出は、予算額219億6、400万円余に対し、決算額は203億2、400万円余で、その主なものといたしましては、第1項建設改良費56億100万円余で、中央病院の増築、改修工事並びに千厩病院への超伝導MRI装置の整備などに要した費用でございます。
 第2項企業債償還金128億8、400万円余で、施設の整備などのために借り入れた企業債の償還金でございます。
 なお、資本的収入額が資本的支出額に不足する額29億5、600万円余につきましては、過年度分損益勘定留保資金など26億4、500万円余で補てんし、残りの3億1、100万円余は、当年度同意済未発行企業債で措置するものでございます。
 次に、損益計算書について御説明申し上げます。
 4ページをお開き願います。医業収益は818億9、800万円余で、その主なものといたしましては、入院収益535億5、700万円余と外来収益223億1、300万円余でございます。
 次に、医業費用は869億4、200万円余で、その主なものといたしましては、給与費498億600万円余、薬品などの材料費212億5、100万円余、光熱水費、賃借料及び委託料等の経費115億1、700万円余、減価償却費38億9、200万円余などでございます。
 また、医業外収益は130億7、200万円余で、その主なものといたしましては、一般会計繰入金のうち、医業外収益として繰り入れました負担金交付金116億5、700万円余などでございます。
 5ページに参りまして、医業外費用ですが79億4、000万円余で、その主なものといたしましては、支払い利息及び企業債取扱諸費37億6、500万円余、仕入れ控除できない消費税及び地方消費税16億100万円余を含む雑損失16億8、700万円余などでございます。
 この結果、経常損益では8、900万円余の利益が生じたところでございます。
 次に、特別利益1億1、700万円余は、旧一戸病院跡地及び旧沼宮内病院跡地の売却に係る固定資産売却益でございます。
 また、特別損失12億9、600万円余は、旧磐井病院の解体処分に伴う除却損及び東日本大震災津波により被災した公舎及び医療器械など固定資産の除却損などでございます。
 この結果、平成22年度岩手県立病院等事業会計の損益は10億8、900万円余の純損失が生じ、赤字決算となったものでございます。このことにより、当該年度末累積欠損金は200億3、100万円余となるものでございます。
 以上、決算報告書及び損益計算書について御説明申し上げましたが、剰余金計算書及び貸借対照表、その他の事項につきましては、説明を省略させていただきます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇小田島峰雄委員 端的に4点お伺いをいたします。
 まず第1点目、ただいま説明がありました累積欠損金についてお伺いをいたします。
 ただいま説明にございましたとおり、今期決算で初めて200億円を超えたわけであります。これまでの経過を見ますと、この10年間で伸びが相当顕著であると理解をいたしておりますが、まず、その要因は何かをお聞きいたします。
 状況は異なりますものの、東北他県においても同様の傾向となっているようであります。特に、福島県におきましては、六つの病院で累損は250億円強ということになっておりまして、それに比較いたしますと、本県は21病院で200億円ということで健闘しているとも言えるかと思いますが、これをどう評価されておられるのか、お伺いをいたしたい。
 また、今期決算で黒字病院はわずか六つであります。多数が赤字を抱えている中で、今後どう経営を改善していかれるおつもりか、お聞きをいたします。
〇大槻経営管理課総括課長 10年間で累積欠損金が顕著に増加したということについての要因でございます。
 当県立病院事業の累積欠損金は、10年前の平成12年度決算と比べますと、今回の決算で113億円余り増加してございます。その要因といたしましては、この間の国の医療制度改革によります平成14年度から平成20年度までの診療報酬が4回連続での引き下げがなされたこと、それから入院の関係でございますが、在院日数が短縮されてきたこと、それから外来では、外来処方の長期化が行われてきたこと、また、特定の病院、診療科における医師不足といったものが原因となりまして患者数が減少し、これが大きな要因となっているものと考えてございます。
 それから、東北各県と比較した評価でございます。
 独立行政法人化した秋田県を除く東北各県と新潟県の6県を、それぞれの病院事業の経営状況を比較いたしますと、平成22年度末現在で累積欠損金は、一番多いところが新潟県の265億円余でございまして、次いで委員御指摘の福島県の256億円余、本県は3番目に多い累積欠損金を有してございます。本県の病床数が5、478床と、2番目に多い新潟県より1、754床多いという状況から、事業規模を考慮して、例えば病床1床当たりの累積欠損金で比較いたしますと、本県は1床当たり365万円余となりまして、6県中2番目に少ない金額となっているところでございます。
 それから、こういった状態での今後の経営改善というお話でございました。
 今後の経営に当たりましては、平成22年度は、通常の事業活動による収支でございます経常収支で5年ぶりとなる黒字決算となったところでございまして、東日本大震災津波からの復興に向けて、従前にも増して厳しい経営状況が続くところではございますが、平成21年の2月に策定いたしました経営計画を着実に推進させていただきまして、その中で施設基準の上位取得、こういったものに適時適切に対応していくとか、そういったことによります利益の確保を図るとか、それから、診療材料の整理統一化などの費用の抑制に努めながら収支均衡に向けた取り組みを展開いたしまして、計画的に累積欠損金を縮減していかなければならないものと考えてございます。
〇小田島峰雄委員 今、御説明がありましたように、さまざまな要因が絡み合って、現在のような多額な累損になっておるわけであります。そこに加えて、ことしの大震災津波によって大きく経営収支が変わるだろうと思いますが、これは後ほどまたお聞きをいたしますので、次に移ってまいります。
 この東日本大震災津波による被災病院の再建についてお伺いをいたします。
 過日の一般質問あるいは当委員会におきましても質疑が交わされたところでありまして、その際に、知事の答弁は、被災病院3病院につきましては再建を基本とすると、云々という答弁がございます。被災地の皆様方にとりましては大変朗報であろうと思いまして、高く評価をするものでありますが、それとともに、多少ただしておかなければならない問題もございますので、お聞きをいたしたいと思います。
 仮に被災前と同規模の病院を再建するとした場合の再建費についてお聞きをいたしたいと思います。また、さらに、財源の内訳についてもお聞きをいたします。また、被災3病院につきましては、まだ残債があるものと承知をいたしておりますが、幾ら残っているのか、それもお聞きをしたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 まず、被災3病院を再建するとした場合の費用についてでございますが、一つは、用地取得に要する費用につきましては、選定場所それから形状等によりまして価格が変動するということもございまして、現状での積算は困難でございますが、建物につきましては、仮に、被災した高田、大槌、山田の3病院を、被災時の許可病床数とか、それから延べ床面積で移転新築をするとしたものとして試算をしまして、建築単価につきましては、普通交付税措置として措置される平米当たり30万円といったもので試算をいたしますと、高田病院につきましては9、283平米ありますので27億8、500万円ほど、それから大槌病院につきましては8、259平米ございましたので24億7、800万円ほど、山田病院につきましては4、095平米ございましたので12億2、900万円ほどとなりまして、合計で64億9、200万円ほどの費用が見込まれるところでございます。
 また、これに加えまして、医療器械それから備品、こういったものの整備に要する費用が、大体1病院当たり8億円程度想定されるものでございますので、計24億円程度が見込まれるところでございます。
 用地取得に要する費用を除きまして、合計で、大体88億9、200万円ほどの費用が見込まれるところでございます。
 また、その財源についてでございますが、医療施設等の災害復旧費補助金につきましては、事業着手時期等の関係で対象とすることは難しいと考えてございまして、通常の病院整備と同様に全額企業債を財源とした場合、元利償還金の2分の1に相当する額が一般会計のほうから繰入金として措置されるものの、相当多くの自己資金が必要となるものと考えてございます。そのため、例えば地域医療再生基金の活用など、国のさらなる手厚い財政支援を引き続き求めて、可能な限り後年度負担を抑えるよう方策を講じてまいりたいと考えてございます。
 それから、残債の関係でございます。被災した高田、大槌それから山田の3病院の企業債の未償還残高でございますが、病院と公舎分を合わせまして、高田病院につきましては、平成9年の増築工事の借入金の10億4、600万円に対しまして7億4、700万円ほど、それから大槌病院が、平成3年の増築工事等の借入額が12億8、800万円ほどでございましたので、これに対しましては7億6、000万円ほどとなってございます。山田病院が、平成18年の新築工事の際に借入額が17億7、800万円でございまして、これについての残債は17億1、400万円となってございます。合計いたしますと、借入額が41億1、200万円に対しまして、32億2、100万円ほどの残高となっているところでございます。
〇小田島峰雄委員 ただいまの答弁によりまして、再建費がおよそ93億円ぐらいと見込まれているという答弁でございます。今、用地あるいは造成費等が加わりますので、これにプラス、相応の額が追加になると理解をすればいいかと思うのであります。もちろん、浸水区域にまた再建をするなんていうことは考えられませんので、新たに敷地を購入し造成をする、また、アクセス道路を整備するということなりますと、相当の財源を必要とするということで理解をいたしたいと思います。
 そういう中で、今、残債についてのお話もございました。こういう中で、いわゆる新たな病院を建設するということになりますと、二重ローンのような問題が生じてまいるわけであります。そういう中で、今、地域医療再生基金の話もございましたけれども、国の2次補正までである程度措置されると聞いておりますけれども、今度の3次補正でどのくらいになるかわかりませんけれども、この二重ローン問題を避けるという意味からも、国に対して積極的な財政支援を求めていくべきだと考えますけれども、それについての御見解をお伺いいたします。
〇大槻経営管理課総括課長 委員御指摘のとおりでございまして、被災病院の企業債の未償還残高があるにもかかわらず、例えば病院再建のために新たな起債が必要だと、二重ローンの状態ということはそのとおりだと承知してございます。通常の病院事業費用では賄うことが困難な、いわゆるかかり増し経費といった格好になろうかと思いますので、私どもといたしましても、国に対しまして、これまで以上に手厚い財政措置を求めているところでございまして、今後とも強く要望してまいりたいと考えてございます。
〇小田島峰雄委員 この病院における二重ローンの問題は何としても避けていかなければならないと思いますので、ぜひ、あらゆるチャンネルを使って、地域医療医療再生基金などを導入しながら、この健全化に大いに貢献していただきたいと思うわけであります。
 次に、現在、県立病院再編整備計画がございますけれども、これの計画期間が平成25年度までと承知をいたしております。4月から沼宮内病院が診療所化になりましたので、現在20県病があるわけであります。そういう中、平成25年度に計画期間が満了いたしまして、今いろいろさまざまな議論がありましたとおり、診療所化をめぐる問題、無床化をめぐる問題、いろんな問題がございました。そういう中で、新たに今度の被災病院の問題等々が加わりますと、またさらなる計画の策定時期が来なければならないと予想いたしているのではないかと推測されます。そういう中で、平成26年度からの計画についてのお考えをお聞きしたいと思います。
 冒頭申し上げましたように、現在の21病院の中には、ことしの決算を見ますと黒字病院はたった六つであります。大多数の病院が、大きな赤字を抱えて運営せざるを得ないということになっております。そこで、累損も200億円ということになっておるのでありますけれども、一体どのぐらいあれば、県民の皆さん方が理解をされるのかというのは大きな問題でございましょう。幾らかかってもいいんだと、県民の命を守るコストだというふうに考えて、幾らかかってもこれからずっと未来永劫、支えていくというお考えになっているのかどうか、そういうところについてはさまざまな議論もあろうかと思います。ちなみに、私は、多少の赤字であれば、やっぱり県病の創立の精神にのっとってきちんと維持すべきだと思いますが、これも何百億円生じてもいいんだということには決してならないものだと思います。今、この10年間で大きく累損がふえてまいりました。これから全病院が黒字化をするというのも至難のわざでございましょう。そういう中で、このポスト県立病院再編整備計画の考え方をお伺いするものであります。
 ちなみに申し上げますと、六つの黒字病院の中の一つに東和病院があるわけであります。今、合併しちゃいましたけれども、当時の東和町と県立病院は不離一体という関係で、相互に職員を交流いたしましたり、さまざまな病院機能評価をとったり、あるいはISOの認証取得を取ったり、電子カルテも先駆けて取り組んでまいりました。相互に持ちつ持たれつ、支え合いながら病院を運営してきたわけでありますけれども、今、御承知のとおり、病床利用率もほぼ100%、そして毎年黒字を確保しているわけであります。当時の町長はだれだかちょっと忘れましたけれども、そういった懸命な努力をしているところもあるんだということであります。そういう中で、これからの県立病院のあり方というのは、しっかり考えていくべきであろうという観点からお聞きをするものでございます。
〇遠藤医療局長 平成22年度決算で200億円の累損に及んでしまったということにつきましては、私も大変重く受けとめております。そういったこと等、これまでの経営計画のスタート時いろんな経緯等がございまして、県民あるいは委員の皆様を初め、いろいろさまざまな御懸念を、御心配をおかけしているということについてはそのとおりでございまして、先ほど、黒字、赤字のお話もございましたけれども、経営的に、全県的な観点から言いますと、県北・沿岸地域の県立病院が大変苦戦しておりまして、中でも、地域病院のところは医師不足等々ございまして、大変苦戦しているという状況が続いているという、病院別に言うとそういった地域事情もございます。
 そうした中で、東和病院でございますけれども、病床利用率等は先ほど委員が御紹介されたとおりでございまして、県北を含めて高齢者がふえてまいりましたけれども、そういった地域の中で特養等の福祉施設とうまく連携しながら、また、あそこでは地域の方々も非常によく私どもの病院を御利用いただいておりまして、地域に密着した形で経営をさせていただいておりました。そういう意味では、基幹病院はまた別な位置づけになりますけれども、これからの地域病院の一つのモデルという形で評価ができるのではないのかなと考えております。
 それから、東日本大震災津波等々ございまして、私ども医療施設も甚大な被害を受けております。累積欠損金あり、それから、それに伴う再建費用あり、などなどもろもろございます。あるいは医師不足といった状況もございます。そうした中ではございますけれども、現場の病院のドクターたちも含めまして、今回の津波の被害から何とかみんなで乗り越えようという形で、災害、津波のあった後といいましょうか、そういう意味で皆さん非常に士気が高いといいますか、何とかみんなで頑張ろうという形で一丸となっておりますので、したがいまして、非常に現下の経営環境というのは厳しい状況下にございます。それは間違いなく医師不足もそうですし、今後、再建等々も含めまして、非常に厳しいというのが委員御指摘のとおりだと私も認識しております。
 そんな状況ではございますが、本年度は、現計画、平成21年度に策定しましてから中間年ということでございますので、私ども、まずは本計画を着実に進めてまいりたいと考えております。収益の確保、費用の抑制などに努めまして、収支の均衡を図りまして、着実に展開して、累積欠損金の縮減に何とか頑張っていきたいと考えておりまして、まずは現計画を着実に推進するように、病院現場とともに一緒になって取り組んでいきたいと考えています。
 また、お尋ねのありました次期経営計画でございますけれども、これは平成26年度からということになりますが、これにつきましては現行計画の実績等、それから今後検討に着手する予定の県の次期保健医療計画、これらも踏まえながら検討を進めていきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 今、お話しになりました保健医療計画のお話、先ほど保健福祉部で聞くのを忘れてしまいまして聞かないでしまったんですけれども、いずれ、そっちの計画も非常に重要でございましょう。そういう中で、今度の被災病院の再建というのは、非常に関係地域の皆様方にとっては死活問題の大切な課題でございますから、御英断には深く敬意を表するわけでありますが、全体の県立病院を見ますと、抱えている問題というのはそう小さくございません。大きな問題だと思います。これから今度の大震災津波を契機に、また収支が悪化する方向で作用するんだろうと思います。そういう中で、これからの県立病院のあり方というのは非常に重要になってくるものと思います。
 それから、お話を申し上げませんでしたけれども、県立病院のあるところとないところの問題がございます。自治体立病院で、四苦八苦しながら、自前の、いい病院を経営している市町村も一方ではあるわけであります。そういうことからも、経営の改善には最善を尽くしていくべきだろうと思います。幾ら赤字が生じてもこれを支え続けるんだというのは、ちょっといささか私は考え方を異にするものであります。そういう中で、ぜひとも、このポスト再編整備計画、立派な計画を策定されますように御期待を申し上げまして、質問を終わります。
〇福井せいじ委員 医師不足の問題についてお考えをおき聞きします。
 県立病院における医師の職場環境あるいは生活環境を充実させるということによって、医師不足の対策にも私はつながると考えております。近年は、インフォームドコンセントなど患者の立場に立った診療、そしてまた、さまざまな説明責任が医師に求められていますが、それゆえに業務量はかなり増大していると思います。
 そこでお聞きしますが、県立病院の医師の業務量を減少するために、少なくするために、小さくするために、負担を軽減するためにどのような取り組みをなさっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
〇佐川参事兼職員課総括課長 医師の業務軽減の一つとして、県立病院で医療クラークを導入してございます。医療クラークの導入につきましては、平成19年度に3病院で試行的に導入いたしました。それ以降、毎年その数をふやしてまいりまして、平成23年度には、全体で179人の定数を措置してございます。
 その効果ということでございますけれども、この配置によってカルテの作成の補助、あるいは診断書の作成の補助、いわゆるドクターの事務的な補助でございますが、医師の事務作業の負担が軽減されたと。結果、診療に専念する時間がふえることになったということでございます。外来の診療のスピードがアップする、あるいは診断書などの作成期間が短縮するということで、成果が認められているところでございます。また、このことから、医師からも高い評価を得ておりまして、大きな成果であると認識しているところでございます。
〇福井せいじ委員 現在、179人の医療クラークがおられるということで、今、県立病院、20病院、5診療所、274診療科がありますけれども、今後、この医療クラークの増員とかあるいは拡充については、どのような取り組みをなさっていくかお知らせください。
〇佐川参事兼職員課総括課長 まず、医療クラークの配置の状況でございます。
 医師に対する割合でございますけれども、9月1日の常勤医師数をもとに割り返してみますと、医師2.7人に1人の割合で配置してございます。現在の定数配置の考え方につきましては、常勤医師のいる診療科単位におおむね1人ということを基本にしながら配置しております。診療報酬における上位の加算等もございますので、見込まれる場合を勘案し、各病院の配当定数を設定しているところでございます。現在、配置した医療クラークの質と、それから業務内容の充実などに努めていることとしておりますけれども、今後の増員につきましては、クラークもかなりの数に上ってございますので、各病院の状況などを踏まえながら検討することとしております。
〇福井せいじ委員 アクションプランの中に、医療クラーク設置・資質向上支援事業というのが設けられておりまして、医療クラークの方が専門研修を受講する場合に、代替の職員を雇用する場合の助成措置が国から2分の1出ている、こういった事業があります。
 そこでお聞きしますが、医療クラーク自体を採用する場合に、国の支援のような体制、そういった制度があるのかどうかお聞かせいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
〇佐川参事兼職員課総括課長 医療クラークを配置するに当たりまして、診療報酬上評価されてございます。それで相当の人件費がかかるわけでございますけれども、報酬等を差し引いた形で、要するに実質的な人件費を賄うという格好になってございます。
〇福祉せいじ委員 いずれにしても、私は業務量を軽減していく、負担を軽減していく支援体制、制度化を国にも強く求めていく必要があると考えております。県病医師の労働環境あるいは生活環境の改善が医師不足対策にも直接つながりますので、今後とも、その勤務医の生活環境改善、職場環境改善に対しての制度設定を求めていくことを要望しまして、私の質問を終わります。
〇及川あつし委員 資産の処分、企業債について、テナントについて大きく3点伺いたいと思います。
 きょう、冒頭、医療局長から、再建に向かった財源の確保のお話もございました。今決算特別委員会では、総括質疑から資産の処分について各部局にもお尋ねしているところでありますが、本年の2月に、知事部局と教育委員会と警察本部は、処分方針を出して売却対象資産の公表をしたという話をさせていただきましたが、きょうは医療局について伺いたいと思います。
 冒頭の説明で、平成22年度の売却実績については御説明がありました。5ページの特別利益1億1、700万円余、内容も承知をいたしましたが、まず原則から伺いたいと思うわけですが、知事部局、教育委員会、県警本部と同様に、医療局としても資産の処分については一定の方針があるのでしょうか。その中で、売却対象資産のリストアップなどはできているかどうか。できているのであれば、医療局のお持ちの売却対象資産の帳簿の価格で結構であります、総額幾らになるかお示しいただきたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 まず、未利用資産の処分方針の有無でございますが、医療局におきましても知事部局の例に準じまして、未利用資産の処分方針を定めているところでございます。
 それから、売却の対象資産のリストアップということでございました。未利用資産の処分方針に基づきまして処分計画を定めてございまして、その中で、売却対象資産を当方では明確にリストアップしているところでございます。具体的には、4病院跡地、29公舎跡地となります。
 売却の対象資産の帳簿価格の総額についてでございますが、平成22年度末の残存価格は、病院跡地につきましては、土地が4件で6億5、174万円余となってございまして、建物は3件で19億8、212万円余となってございます。公舎用地につきましては、土地は29件でございまして1億5、629万円余でございまして、建物は9件、これは2、629万円余となってございます。
〇及川あつし委員 そうすると、私のざっくりした足し算で言うと、27億円から28億円ぐらいになるというような感じだと思うわけですが、帳簿価格ですから実勢価格の多分70%ぐらいだと思うので、まずまずの資産はあると思うわけですが、これについての売却の予定について、基本方針等があれば示していただきたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 まず、病院の跡地とそれから公舎跡地はちょっと扱いが違うと考えてございまして、まず、旧職員公舎の用地につきましては、知事部局と一緒に一般競争入札により売却をすることとしてございます。ちなみに、今年度も10月19日に入札公告をいたしまして、11月中から入札を行うこととしてございます。それから旧病院跡地、これにつきましては、基本的には、方針といたしましては、まず県で使うかどうか、次に市町村で使うかどうか、それがない場合に民間という格好での方針でやっておりまして、この中で今実質上、動きがあるものといたしましては、旧磐井病院跡地につきまして一関市と覚書を締結してございますので、これに基づきまして交渉を続けているところでございます。
〇及川あつし委員 わかりました。公舎の売却については、きょうはちょっとそこはメーンではないので詳細に質疑いたしませんが、売ると同時に、公舎の維持管理についても考えていただいて、中央沿線、都市部であれば住宅事情はいいわけですから、借りたほうが実はお住まいになる方には非常に結構なことで、わざわざ保有しないほうが逆にいいという場合が、─これは教育委員会の部分も私、今調べていますけれども─あるようであります。きょうも質疑で、ドクターの確保について、公舎のグレードアップとかそれなりの住宅を用意するに当たっては、買わなくても優良物件がたくさんあると思うので、そのほうがコストパフォーマンスが高いと思いますので、売却と同時に維持管理等、どうした公舎がいいのかという方法については御検討いただきたいということで、きょうのところは私からの提案だけとさせていただきたいと思います。
 次に、企業債についてであります。先ほど小田島峰雄委員から質疑が交わされたところでございます。被災3病院についての未償還残高が32億円余ということでありますが、被災3病院と限定せずにもう少し幅広く、これまで報告があった釜石病院、大東病院、胆沢病院など、こうした病院もいわゆる地震及び津波の発生で被災をしたということでありますので、積算が可能であれば、いわゆる震災の影響を受けた病院の総額、そのうちの未償還残高がわかればお示しいただきたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 まず、被災3病院の未償還残高でございますが、32億円ということでございます。32億2、100万円の残高となってございます。
 3病院以外というお話でございます。例えば胆沢病院とか施設がかなり破損したという部分もございましたけれども、施設の破損ということよりも、建物被害ということで限定して申し上げますと、これまでいろんな場面で御報告してございました大東病院がございますが、まず本館棟が病院からすれば一部損壊と、そこの部分が使えなくなったということでございます。ここの本館部分につきましては、企業債は完済しているものでございます。
〇及川あつし委員 私も小田島委員と同じ懸念で、やっぱり二重ローンになるのはまずいなということでございまして、先ほど政府にこれまでも働きかけてきたということでありましたけれども、ちょっと詳細をお尋ねしたいと思います。
 どういう要望を政府に対して働きかけてきて、そして現段階において政府からどういうリターンがあって、見込みはどうなりそうなのか、その詳細をお知らせいただきたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 まず、政府への要望という話でございますが、これは発災以来、さまざまな機会を通じまして政府要望という格好でまとまって要望してきてございます。最近では、平成23年9月15日付で、東日本大震災津波に関する要望書ということで、一つは、被災したすべての医療提供施設などにおける診療、調剤等の再開に向けた施設設備の整備に対して、十分な財政措置を講じるようお願いしますという要望でございます。これらにつきましては、いずれ御検討の上、たび重なる政府の補正予算とか、来年度の当初予算というところで措置をされてきているものだと考えてございますし、あと、そういった政府要望とはまた別に、発災以来、具体的に申し上げますと、5月12日には厚生労働省と総務省の担当の室長、課長が来県されてございますが、そういった際に、被災病院の企業債未償還残高があるにもかかわらず、病院再建のために新たな起債が必要となりますと。いわゆる二重ローン問題が出てまいりますということで、しかるべき財政措置を講じるよう直接申し入れ、強く要望したところでございます。
〇及川あつし委員 わかりました。お願いする立場だから、お願いに当たっては、こういう方法でというのは愚なのかもしれませんが、ちょっと懸念するのは、いただいております決算資料の47ページから企業債の明細が出ておりますけれども、改めて拝見をしましたけれども、いまだに6%台の利率の財投から借りている分が残っております。これ、歴史的な経過でやむを得ない部分もあると思うんですけれども、今の市場金利から言うと、異常に高いと思われる利率をこの財投から借り入れてまだ未償還として残っている分、これを並行して借りかえ、繰り上げ償還などの方法でやっていかないと、これはこれでまた雪だるまで積もっていくわけですよね。ですから、政府要望に関しては、この際、これも今後の中長期的な、復旧に当たっては一つのボトルネックになる可能性があるので、これについてもしっかり要望しつつ、高金利の企業債の借りかえ等についてもさらに、─これまでも進めてきたのは承知しておりますが、さらに進めるべきだと思うわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
〇大槻経営管理課総括課長 委員御指摘のとおり、古い年代で企業債を起こしたものにつきましては、相当高利子のものがございます。これにつきましては、平成21年から24年までの間でございますけれども、それまでは利子の相当額を補償金として支払うと。いわゆる繰り上げ償還した場合に、その後の利子の相当額を補償金として支払わなければならなかったんですけれども、これが平成21年から24年までの間に、これは利率が段階的に、例えば平成21年は年利7%以上のもの、22年は6.3%から7%未満のものという格好で、段階的にこういったものについて補償金を免除しますのでという取り扱いになったところでございます。そこで、私どもといたしましても、委員の御指摘のとおり、平成21年度から計画的にこの制度を活用いたしまして、58億円余の繰り上げ償還を実施してきたところでございます。平成23年度の場合は年利6.0%以上6.3%未満と、平成24年度については5.0%以上6%未満という格好で、段階的になってございますので、こういった制度を使いまして、被災病院についても高金利のものがございますので、こういったものを活用してまいる予定としてございます。
〇及川あつし委員 わかりました。その方針でぜひ進めていただきたいのと、利率の部分の補償がなくなって借りかえで繰り上げできるとなった場合の財源ですけれども、県内の市中の金融機関、ぜひ積極的に使わなければいけない状況だと思うんですね。今、いろんな形で、県内の市中の銀行には現金がもう積もっていって、預貸率がどんどん悪くなっていって、銀行はそのお金を回せない、再建に運用もできない。いつ発生するかわからない資金需要に備えて、経営状況がかなり厳しくなっているという報道もこれまであります。金融機関は、人間の体に例えれば、血管、血液でありますから、市中の金融機関は今本当に厳しい状況にもあるので、県内経済の支えにもなるという観点から、借り換えの際には、そうした観点もぜひお持ちをいただきたいとお願いを申し上げます。
 最後に、院内のテナントについてでございます。常任委員であったときに、各委員の皆さんとこれまで質疑を交わしてきた問題でありますけれども、改めて振り返れば、ざっくり言えば、今まで明確なテナントの運営の方針が医療局にはなかった。それでさまざま各地から、何で同じ企業が何十年もやっているんだとか、どうやったら新しく入れるんだとか、いろんな要望が出てきて、平成22年に、テナント営業の運用方針というものを定めたということでございます。ただ、結果として、地元企業のため云々とうたったにもかかわらず、公募入札の結果とはいえ、大手のコンビニエンスストアが平成23年度からテナントになってしまうというような結果をもたらして、また基準を変えたとかいろんな経緯がありました。
 そこでお尋ねするのは、平成22年度に、公募でどういうテナントがどういう経過で決定したかについてはこれまで質疑が交わされたわけでありますが、震災の3月11日、本来であれば、4月1日からこの方針に基づいてテナントを変更するはずだったわけでありますが、震災の影響で、そのテナントの入れかえについてはどうなったんでしょうか。経過等についてお示しをいただきたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 まず、平成23年度のテナント営業の見直し公募の関係で、売店のテナントが交代になったところが中央と胆沢の2病院でございました。本年4月1日から、院内売店の事業者の交代が予定されていたところでございますが、3月11日に大震災津波が発生いたしたということがございまして、そのときに、地域経済の早急な復興を図るためには、地元の事業者の経済活動や雇用を確保していく必要があるということで、3月29日に、新規の両出店事業者と面談を行いまして、臨時、緊急的な措置でございますが、おおむね1年をめどに出店の延期をしていただくよう、医療局から要請を行いました。両事業者からは、御承諾をいただいたところでございます。したがいまして、平成24年2月末ぐらいまで、昨年度と同様の事業者が、この両病院については売店営業を継続してもらうことになっているものでございます。
〇及川あつし委員 今回改めて確認をしたところ、そういうことだということで、これまでの地元の業者が引き続き、1年間は行っていくという結果だと理解させていただきました。
 ただ、もう一回ちょっと振り返っていただきたいのは、3月11日に震災が起きて、沿岸の被災地の皆様も店舗が流されて、それどころじゃなかったということかもしれませんが、同時に、内陸部においては物資が一気に市内から消えてしまって、あいている店もなくなって、食料をどこでどう調達するんだという状況がしばらく続いたのは御承知のとおりかと思います。その際、我々が目の当たりにしたのは、コンビニエンスストアがあいていても物がない。または、閉まっている。一生懸命店をあけて、開業して商いをして、我々に物を買い与えていただいたのは地元の商店だったというのは、これはもう紛れもない事実であります。そうした観点に立ち返りますと、病院の中におけるテナントは、単なる商売の拠点ではなくて、入院している方々にとってみれば、必要最小限の物資を、必要最小限の移動で得るための大事な店舗だと思うんですね。そこに、これまでの公募の基準でやっていって、大手が入ってきていろんな問題が起きるということを、3月11日に我々は目の当たりにしたと思うんです。ですから、私が申し上げたいのは、この教訓を、改めて、昨年1回つくって、我々からいろんな指摘を受けて一度見直しをしましたけれども、さらに震災の影響を踏まえて、テナントの営業運用方針については見直すべきかなと私は思っておりますが、どうでしょうか。
 また、その際、発災後の院内のテナントの開業状況を検証すべきだと思っています。大手がだめで地元だけがいいとは言いませんけれども、現実の事実として検証するべきだと思っておりますが、その際どうだったのか、院内のテナントの開業状況等についてもお示しをいただきたいと思います。
〇大槻経営管理課総括課長 まず、院内のテナントの開業状況から御説明申し上げたいと存じます。
 津波の被害を受けなかった17病院のうち、一部、病院の指示によりまして震災直後に営業をやめてもらうと。これはNPO的な団体が営業していたところについては、帰っていただくという措置もやったところでございますが、そういったところを除きまして、震災後もそれぞれのテナントは一生懸命頑張って営業を継続していただいたと聞いてございます。これにつきましては、今現在入っていた地元の事業者、それから大手チェーンのフランチャイズの事業者も含めまして、停電等の影響によりまして営業時間の一部短縮とか、店頭における商品の不足などの影響もありましたけれども、まずは営業していただいたと。そして、被災した状況の中で、院内売店としての役割にとどまらず、職場を離れられない病院スタッフに対しまして、おにぎりとかパンの食料の提供をいただいたということも聞いてございまして、こういった点については本当に感謝しているところでございます。
 また、特に地元というお話で申し上げますと、テナント事業者との取引をしている事業者からも、同様に御提供もいただいているということで、改めて地元の事業者の大事さというのは痛感したところでございます。
 今回の震災時における売店や食堂の対応につきましては、それぞれの事業者に頑張っていただいたということはそのとおりなのでございますけれども、私も地元のテナントの経営、例えば食堂とか売店を経営している経営者の方と何回か直接お話もさせていただきまして、そういった震災時の小回りのきく仕入れといいますか、こういったものの大事さということは生の声として承っているところでございますので、今後、病院現場のほうとの意思疎通も十分図りながら対応してまいりたいと考えてございます。
〇及川あつし委員 最後にします。答弁については十分理解をいたしました。本定例会で被災した3病院の再建の方針も出て、これから何年かかるのか、一刻も早い再建を望むわけですが、まさか最後の、再建をされた新病院が、方針の中でいろんな結果とはいえ、期待どおりの地元の貢献というのがなければ、一体何だったという話にもなりかねませんので、今、大槻総括課長から答弁があったような内容で再度精査をして、検証して、しかるべき方策をとっていただきたいということを申し上げて、質問は終わります。
〇久保孝喜委員 私からも何点かお尋ねをしたいと思います。
 これまでの議論でも、初めて累損200億円を超えたという話も含めて、経営の問題もかなり厳しい状況にあるわけですが、私どもの前任期の前半は主に無床化問題で大きな議論を呼びましたし、県民の中でもいろんな議論があって、しかし、県立病院を中心とした地域医療についての関心をある意味では高めたということもあったのかもしれませんが、決して無駄な議論はもちろんなかったんだと思っています。その無床化の実施からもう2年半ということになるわけですが、この間、この無床化をめぐって、お医者さんを含めて医療資源を集約化するんだ、あるいはお医者さんの負担軽減を図るんだというようなことがその大きな目的として語られてきたわけですが、医師の確保あるいは定着にかかわって、事業前とその後のまさに2年余の検証といいますか、評価といいますか、まずはお示しをいただきたいと思います。
〇千葉医師支援推進監 医師確保の状況でございます。県立病院の常勤医師数でございますが、平成13年度末の545名をピークに、新しい経営計画実施前であります平成20年度末には474名、翌21年度末は455名、平成22年度末は466名、本年9月1日現在では484名となってございます。減少傾向に一定の歯どめがかかりつつあると見てございます。
〇久保孝喜委員 勤務医で勤務されているお医者さんが退職されるという数については、どういう動向になっているでしょうか。
〇千葉医師支援推進監 退職した医師の状況でございますが、平成16年度におきましては、これは医局人事等を除いた数でございますが、38名の医師が退職するなど、30名を大幅に超える時期もございましたが、ここ2年間は30名程度で推移して、横ばいの状況となってございます。
〇久保孝喜委員 結局、無床化の目的として大きく挙げてきたお医者さんの定着の問題や、あるいは数の問題も含めて、大きな変化といいますか、前進とはなかなか言い切れない実態が依然として続いているということなのだろうと思います。
 毎年県が行っている県民の意識調査の内容で言えば、毎年、医療体制の充実ということが県民にとって最大の関心事だと言われながらも、しかし、一方で満足度は、例えば今回の調査では30位ということで、求めている姿と満足感が大きく離れている課題の一つが医療の問題なわけです。これは全部県立病院にその責があると言うつもりはありませんけれども、しかし、岩手県の医療をまさに中核として担っていく県立病院がどういうことになっているのか。そして、あれほどの県民議論を呼んだ無床化の結果としてどうなっているのかということは、やっぱり県民に対してしっかりと情報発信をすべきなのだと思いますが、残念ながら、その成果として語れないというところに大きな問題点があるのだろうと私は思いますが、その点については、情報発信という観点ではどのようになされているのでしょうか。
〇大槻経営管理課総括課長 まず、今回の計画につきましての大きなポイントが、いわゆる圏域ごとの連携というお話でございます。こういった部分が計画前と比べてどうなっていたか、あるいはどのような格好で運営しているかということについての情報発信ということにつきましては、平成20年度から保健福祉部が中心となって、私どもも協力しながら、県民みんなで支える岩手の地域医療推進プロジェクトということでやってまいりまして、その中で県民の意識の醸成を図ってまいったところでございまして、こういった部分での全体としてのいわゆる広報活動といいますか、宣伝活動といいますか、意識啓発活動といいますか、こういったものをやってまいりましたので、私どももこういったものに積極的に参画しながら対応してまいったところでございます。
 また、例えば地域診療センターとか私どもの病院の広報についてでございますけれども、それぞれ独自で広報あるいはホームページの活用により地域の方々に周知を図ってございますが、広報については市町村との関係が非常に重要だという認識もございまして、平成21年度からは私どもも広域振興圏ごとに市町村の連絡協議会というものを開催いたしまして、市町村と病院の意見交換を実施するなどいたしまして、市町村の方々には広報誌を活用するなどの労をとっていただいて、連携した住民への広報活動を実施してまいったところでございます。
〇久保孝喜委員 今、若干触れられた県立病院だけで医療が成立するわけではないので、地域の民間のお医者さんだとか、あるいは行政も含めてまさに地域医療としての体系をつくっていく、その中心に県立病院があるわけですよね。
 そこで、例えば今回の知事部局で出した主要施策の成果に関する評価書で言えば、大きな病院と診療所、開業医の役割分担の認知度というのが毎年図られているわけですけれども、それについても、例えば達成度はDランクなんですよね。結果、無床化を含めて県立病院が前へ向いて踏み出そうといって進めてきた事業が、結果的には、こういうことも含めて、残念ながらまだまだ改善されていないという現実が今あるんじゃないかと思うんですが、その役割分担の認知度にかかわってはどのような評価をされていますか。
〇及川医事企画課総括課長 圏域ごとの役割分担についてでございますが、患者さんの症状に応じた良質で効率的な医療を提供するためには、医療機関の機能分担と連携が必要とされております。この医療機関の機能分担と連携を示す一つの指標といたしまして、圏域の基幹となる病院と地域の診療所等との紹介や逆紹介の状況が考えられます。
 そこで、地域の診療所等から基幹病院への紹介患者数でございますが、基幹9病院合計で平成20年度が3万7、492人となっております。平成22年度が4万112人で、2、620人増加しております。紹介率では、平成20年度が35.4%、平成22年度は43.4%と8%増加してございます。その逆の、基幹病院から地域の診療所への逆紹介の患者数でございますが、平成20年度が4万7、874人、平成22年度が4万6、676人で、ほぼ横ばいではございますが、逆紹介の率では、平成20年度が29.7%、平成22年度は31.8%と2.1%増加している状況にございます。圏域を見ますと、中部圏域におきまして特に紹介や逆紹介患者さんが増加している状況でありまして、特にも機能分担と連携が進んでおるものと考えております。
 医療機関の機能分担と連携を推進する取り組みといたしまして、平成20年度には各病院に地域医療福祉連携室を設置いたしました。患者さんからの医療相談への対応、医療機関等の紹介を行うほか、開業医の皆さん、福祉、介護等の関係機関との連絡調整による支援を行っております。また、患者さんや地域医療機関向けには、先ほども触れましたけれども、医療機関の役割分担に関する内容や外来担当医の紹介等の広報活動を行っております。さらには、地域の方を対象といたしました講演会といったものを開催いたしまして、地域の皆様の御理解を得るように努めているところでございます。
〇久保孝喜委員 結局、先ほどの医師確保の問題も、病診の役割分担、そのことを通じて県立病院に集中する患者さんをお互いに役割分担をしながら全体で診ていくという体制が劇的に前進したわけでも何でもないわけですよね。地域的には多少の前進はあるものの、全体とすれば県民の満足度も決して上がっていないという現実は意識調査の結果からもあるわけでして、そういうとらえ方がまずは必要なのではないかと私は思うんです。
 そこで、地域医療の問題で前任期の後半で大きな課題になったのが例の花泉の問題だったわけです。県立病院であった施設を民間移管して、民間の力を借りて有床化しようという取り組みだったわけですが、この花泉の民間移管の開業以来の経過とその実績、検証はどうなっているでしょうか。
〇大槻経営管理課総括課長 花泉地域診療センターを移管しまして花泉診療所が開始したというのが平成22年4月でございました。それからの検証ということでございますので、まず、その実績について申し上げたいと存じます。
 外来の1日平均の患者数が、昨年度いわゆる平成22年度ございますが、年間を通しての平均で申し上げますと38人ほどとなってございました。今年度に入りまして、4月が32.4人、5月が30.3人、6月が28.7人、7月が32.1人、8月が28.7人、9月が27.7人となっているところでございます。
 一方、入院の1日平均の患者数でございますが、昨年度、入院の受け入れを開始したのが8月からということになってございましたが、8月からの数を1日平均で見ますと、10.4人となっていたところでございます。今年度につきましては、4月が14.1人、5月が12.3人、6月が13.8人、7月が9.1人、8月が7.7人、9月が2.0人となっているところでございます。
 花泉診療所の開設に当たりましては、入院ベッドが必要であるという地域の強い意向もございまして、それに沿った形で進めたものでございますが、花泉地域診療センターが有床診療所として運営されてございました平成20年度の1日平均の入院患者数はおおむね13人でございましたので、ことし4月から6月のあたりで申し上げますと、12人から14人となっておりまして、そういった部分では地域の入院施設として定着しつつあったものと考えているものでございます。
〇久保孝喜委員 実績の数字がある部分だけお話をされましたけれども、例えば開業以来何カ月間かは入院患者ゼロであったり、あるいは常勤医師2名という契約が今までただの一度も満たされたことがなかったという点などは、今の検証の中には全く入ってないというのはどういうことでしょうか。
〇大槻経営管理課総括課長 先ほど、入院患者につきましては8月からの実績で申し上げました。それまでの4月から7月までは、確かに管理者であるお医者さんが体調不良で出られなかったということもございまして、入院患者を受け入れられなかったということ。その後、新しい管理者の方がいらっしゃって入院患者も受け入れていただいたわけでございますけれども、ずっとその間─その間といいますか、今までもずっとでございますけれども、法人から出していただきました事業計画の中で常勤医は2名の体制ということで書かれてございまして、そういった事業計画に沿った形で運営するように、私どもではずっと御要望申し上げてまいったところでございますけれども、医師の確保についてはなかなか難しいということもあろうかと思いますが、そこに至っていなかったということは事実でございます。
〇久保孝喜委員 さらに言えば、常勤医が全くいなくて非常勤のお医者さんだけで回していたという時期もあったわけですよね。それらはおおよそどれぐらいの期間になりますか。
〇大槻経営管理課総括課長 法人からお伺いしている話でございますけれども、開所以来、一応常勤医という方はいらっしゃってはいます。ただ、実際に病気がちで診療に出られない日が多かったというお話を伺ってございまして、4月から、新しい常勤医が参ります8月の間は、実質的に非常勤の方々で対応されたと考えてございます。
〇久保孝喜委員 花泉の民間移管にかかわっては、今の問題などが、地域の方々を含めて非常に心配だという声があって、議会内でもさまざまな議論が行われてきた案件だったわけです。そもそも常勤医2人というのが本当に確保できるのか、あるいは有床の体制が本当に10年間という契約期間が大丈夫なのかという心配などが渦巻いていた中で開業し、ふたをあけてみたら常勤医師は1人しかいない、あるいは全くいない。非常勤のお医者さんは来るけれども、なかなかその間で人間関係をつくれませんから、患者数も上がらない。結果、悪いほうに悪いほうに全部転がってきたというのがこの間の実態だったんじゃないでしょうか。そこに対して医療局が要請する、お願いをするというだけにとどまっていたというこの事実が、花泉の問題に関して言えば、一番大きな重要な点だったろうと私は思うんですが、その点はいかがでしょうか。
〇大槻経営管理課総括課長 要請と申し上げましたが、私どもといたしましても、特に事業計画で、こういった患者さんの確保といいますか、入院の施設の維持という部分ではお医者さんの力というのが非常に大きい話でございますので、常勤医の確保につきましてはたび重ねて、そのときそのときで私どもからもお邪魔いたしまして、あるいは法人からも来ていただきまして、そういった部分についてのお話を申し上げましたし、あとは、実際に運営をするに当たってのこういった手法をとればもう少しいいのではないかという意見交換もたび重ねてやってまいったところでございますけれども、結果として、常勤医の2人という体制はいまだに整っていないということでございます。
〇久保孝喜委員 この民間移管を進める際に一関市ともさまざまな形で─特養の施設の問題もありますから─お話をしたり、あるいは議会に対する説明も、常勤医を確保しつつ有床として継続的な事業ができるようにという担保の一つとして、県は民間病院に対する診療応援というスキームをつくりましたよね。このスキームが、これまでたび重なる常勤医不在という花泉診療所の実態に即して考えれば、何らかの形で発動されるべき事態があったのではないかと思うんですが、そこのスキームの中で重要な点は、当該法人なり病院、診療所などと事前に包括的取り組みを行うんだとうたっているわけですが、花泉診療所とは、この包括的取り組みはあったんですか。
〇大槻経営管理課総括課長 まず、お尋ねの医師の民間派遣という部分でございますけれども、私どもで作成させていただきました医師の民間派遣に関する要綱というものがございまして、これによりますと、一つは、地域の中で、民間の診療所でもどこでもよろしいんですけれども、入院施設を持っていて、急にお医者さんがいなくなる、病気で長期離脱するといったお話になった場合に、常勤医については、そこの民間の医療機関が確保を図るのが当然でございますが、その間、そこには患者さんもいらっしゃるということでございますので、地域での要請といったものがあれば、一時的に当方から、すぐに出すような格好で要綱としてつくったものでございます。そういった事態を想定している事業といいますか、そういった要綱でございますので、現在のところ、花泉診療所とそういった包括的な協定というものは結んでいないところでございます。
〇久保孝喜委員 民間病院に対する診療応援の問題は、花泉の事案ができたときに、地域の不安やあるいは議会での議論を踏まえて、県立病院が確かな診療体制をつくるための手助けとして、そのスキームとしてつくられたという経過があるわけです。
 ここに、平成21年10月の新聞記事があるんですが、一関市を訪問した医療局長が、民間移管にかかわっての地域の不安を取り除くために、第一義的には法人が一生懸命やってくれるだろうと。しかし、人員不足が生じた場合などに備え、県立病院医師を派遣するための要領をつくるとしたと報道され、まさにこの診療応援が花泉診療所のことを前提としてスキームがつくられていったという経過がこの報道にもきちんと出ているわけですし、我々の議会の議論の中でもそういう経過の中で出てきた要綱なんですよね。これが全く発動されないまま、地域の中にあっては常勤医師がいない、あるいは非常勤医師だけで回る。結果的に患者離れといいますか、お医者さん、病院に対する信頼感が低下していくという経過を結果的には生んでしまったんじゃないかと。そのときに機敏に県立病院から医師を派遣して、常勤のお医者さんとして、例えばそこで当面何カ月間か診療するとか、そういう体制を含めたバックアップというのが医療局として考えられてよかったんじゃないでしょうか。その点についてはどうでしょう。
〇遠藤医療局長 まず、基本的なところなんですが、今、一口に常勤医、常勤医と意見を交わしているところなんですが、いわゆる勤務医の常勤というより、診療所の場合には管理者でございますので、そもそも管理者というのは必置のものでございます。県立病院からのドクターの応援というのは、要領上、診療応援というのはつくってありますので、それはございます。ただ、そもそも管理者たる者がいて、初めて応援とか、そういうものが成り立つわけでありまして、したがって、今、委員御指摘のように、俗に言う常勤医の不在の間に県立病院から管理者を出して、管理者は役員にもなりますので、そういった形までは、私どもも、もともと想定してございません。
 なお、追加的に申し上げますと、通常の市町村診療所といったところの診療応援というのは県立病院間でいろいろやっておりまして、これは外来といったところの応援をやっているんですが、現在、花泉診療所では外来とかは自前の体制で整っておりますし、当直等についても自前の体制で整っているという状況でございますので、その辺も踏まえた上での診療応援とか、そういった議論になろうかと考えます。
〇久保孝喜委員 結局、本来、公的病院としてあったものを民間移管したということに関して言えば、そもそもの議論として、医療の公的責任の問題としてずうっと議論されてきた経過があるわけです。その公的責任をどう果たしていくのかという点で、花泉に関して言えば、その診療実態や、あるいは患者数の変化とか、あるいは常勤医の状態だとかということを的確に医療局が、要請という話ですけれども、この間、なかなか現実のものになってこなかったと。常勤医が全くいないという時期もあったし、それも繰り返し起きているわけですよね。そういう実態に地域の人たちはやっぱり信頼感を持てないという環境が今あるんじゃないでしょうか。しかも、一番の不安は、では、この先どうなるんだろうということなんですよ。医療局として、花泉の現状、有床診療所として今後も継続できるという感触、思いというのはあるのでしょうか。
〇遠藤医療局長 これまでの経緯等は、委員御指摘のとおり、常任委員会等でも今までいろいろ議論されてきた経緯もあろうかと思います。
 まず、私どもとして基本的な、原則的なところを申し上げますと、診療所の休床がスタートしたという中で、その前はベッドがなくなる、休床化も実質スタートしておりましたので、そうした中で、地域の中でやはりベッドがぜひ必要だと。一関市民といいましょうか、一関市の旧花泉地区といったらよろしいんでしょうか、市民の方々の強い声があって、そうした中で、そういったところをやってくれるところがあればということで公募して、やってくれる医療法人が出てきたという経緯がございます。したがって、基本スタンスとしては、私どもは一たん休床を決めておりましたので、そうした中で民間のほうでベッドをやってくれるということであれば、地域の要望にも十分こたえるお話でございますので、可能な限り当該医療法人には地域の声にこたえるように、また、それが地域の期待でもございましょうから、そういう形で頑張っていただきたいと思っております。
〇久保孝喜委員 そうであるなら、契約事項にわざわざ常勤医2名だとか、10年間の継続診療だとかということを盛り込んだ理由は何だったんだろうという話になってしまいますよ。医療局として花泉における有床診療所の継続ということを、いわば大家としてたな子と契約をしたんでしょう。違うんですか。だったら、その契約の中身に現実が合致してないんだとしたら、どういうふうにするんですかという話につながっていくんですが、この契約とは違うという実態をどのようにとらえているのか、どうしようとされているのか。
〇遠藤医療局長 基本的なスタンスの議論だと思うんです。確かに、昨年の経緯は昨年の経緯といたしましても、昨年の8月から常勤医が─常勤医といいますか、この間までいらしたドクターが着任されて、その後、患者数あるいは1日平均の入院患者等も大体回復といいますか、前に私どもでセンターをやっていたころまでに大体定着しつつあったという経緯がございます。
 今般、こういう残念な結果になっているんですが、ただ、ここ数カ月なのか、1カ月なのか、入院患者がなくなってからは─10月になくなっていますけれども、そういう一時期をもって、もうだめなんだ、契約違反だとか、そういう議論ではないんだろうなと。法人として、いずれ10年継続してやるという形で契約書の中でも条件を付しておりますので、そうした中で、また地元においてもぜひベッドを継続してほしいという声もありますので、その辺のところを何とか継続できる形で基本的にはもっていきたい、あるいは支援していきたいとは考えておりますけれども、直ちに契約違反だとか、そういう話ではないんだろうなと思っています。
〇久保孝喜委員 時間ですから最後にしますが、契約違反と言うかどうかは別にしても、少なくとも契約した内容と現実が違う。それも、しかも何回も繰り返されてきているということについて、そろそろといいますか、抜本的な対策というか、話し合いなり、一関市を含めた、まさに地域としての協議の場なり何なりをきちんと1回もつ必要があって、そこで仕切り直しをして、さあやろうという話にならないのですかという思いで聞いているわけなんですが、その辺に対する所感を聞いて、終わります。
〇遠藤医療局長 恐らく委員のお気持ちも、何とか地域の声にこたえられるような形で継続してほしいという趣旨だと理解しております。
 確かに、ここ最近の状況を考えますに、委員御指摘のとおり、基本的にはもともと県の機関だった経緯もございますけれども、いわゆる地元の声に応じてああいう形態をとっておりますので、地元一関市の考え方なり、あるいは今後に向けた法人のスタンス、考え方なり、その辺は改めて機会を設けて確認してやりたいと思っています。
〇斉藤信委員 話の流れですから、私も花泉診療所の問題からお聞きします。
 常勤医師不在の実態を具体的にどう把握しましたか。私は、医療局長に9月の時点で、もう不在ですよと指摘をしておりましたが、医療局として、いつ、どこで、どういうふうに把握していますか。
〇大槻経営管理課総括課長 常勤医の退職、不在というお話でございましたけれども、まず、退職ということにつきましては9月30日付で退職願があって、その後、10月16日で最終的に退職したという話が、10月19日に法人から御報告があったところでございます。
〇斉藤信委員 そんなふざけたことを言っているからだめなんですよ。いいですか、入院患者がいて、医者がいなかったらどうなるんですか。これは医療法違反なんですよ。オンコール体制がなかったということなんですよ。これは保健所だって指導に行かなくちゃならない。あなた方にだって、私は1カ月も前にこの話をしているんですよ。9月は医師不在のまま患者が2人いたということですよ。何なんですか。
 公有財産賃借契約書、あなた方が医療法人白光と結んだ契約書の中にはこう書いているんですよ。甲は─医療局ですね─契約物件の使用状況及び事業の実施状況について実地に調査を行い、または報告を求めることができる。この場合、乙は調査に協力しなければならない。なぜやらないんですか。
〇大槻経営管理課総括課長 花泉診療所の実地調査等についてでございますけれども、随時、医療局が診療所とか法人事務局に出向いたり、あるいは事業実施状況等について確認はしてございますが、直近で申し上げますと、9月8日に法人事務局において実地に調査をさせていただいているところでございます。
〇斉藤信委員 9月8日はどうでしたか。
〇大槻経営管理課総括課長 9月8日に法人事務局において事業の状況を確認したんでございますけれども、その際に、9月の勤務割表により確認をさせていただいてございます。その結果でございますけれども、常勤医師の勤務割もその際に確認させていただきましたが、その際には、9月の外来診療日が4日となってございました。それから、休日、夜間の待機日が1日となってございまして、最終の外来診療日は9月30日と記録されてございました。
〇斉藤信委員 僕は予算特別委員会でも言ったんだけれども、辞職の申し出をしたのは7月26日ですよ。それからまともに勤務してないんですよ、実際には。ただ、管理者だから、いないわけにいかないから、名前だけ残していたんですよ。この所長は入院患者に対して転院を求めているんですよ、もう8月の時点で。保健所にも、医療局にも、私はやめますと通告しているじゃないですか。閉院をしたいということまで医療局に伝えているんじゃないですか。あなた方は何でそれに真剣に対応しないんですか。
〇大槻経営管理課総括課長 常勤医が7月に退職届を提出されたということについては聞いてございません。7月に、法人からは、常勤医師が退職の意向を持っているということを伺ってはございました。ただし、法人で鋭意慰留中であるということでございましたので、その推移は見守ってございました。
 あと、常勤医の退職の意向を受けまして、新規の入院の患者さんの調整を始めるということを8月の下旬から行うというお話でございましたが、できるだけ早期に新しい常勤医師を確保するというお話でございましたので、医療局からは、新たな常勤医師を早期に確保するよう強く要請いたしまして、以後、随時状況を法人から確認していたところでございます。
〇斉藤信委員 今は退職をしたと。じゃ、現在、管理者は配置されているんですか。
〇大槻経営管理課総括課長 10月19日に法人から御報告をいただいた内容でございますが、10月16日付で前の管理者が退職されまして、同日に社員総会を開催いたしまして新しい管理者を選定して、10月17日から診療に当たっていると聞いてございます。
〇斉藤信委員 新しい管理者は何日勤務していますか。
〇大槻経営管理課総括課長 これも法人から伺った話でございますけれども、週間の診療体制ということでございまして、新しい管理者は月曜日、火曜日、金曜日に外来の診療を行うと聞いてございます。
〇斉藤信委員 管理者というのは、医師、看護師等を管理する責任があるんですよ。たった3日の勤務で管理者の責任は果たせないでしょう。これでは管理者にならないでしょう。オンコール体制もとれませんね。まあ、今は患者はいないからだけれども。これでは管理者にならないでしょう。週3日の勤務で管理者になるんですか。それとも、もう入院は、これからやらないという方向なんですか。
〇大槻経営管理課総括課長 私のほうでお伺いいたしましたのは、新しい管理者の方が外来の対応をされる日ということでお伺いをいたしました。そのほかの内勤といいますか、そういった部分についてはお伺いをしてございません。
 あと、オンコール体制というお話でございましたが、管理者の交代等々あった間についてのオンコール体制につきましては、地元の非常勤医師の方がオンコールの対応をされていたと聞いております。
〇斉藤信委員 医療法の第15条、病院または診療所の管理者は、その病院または診療所に勤務する医師、歯科医師、薬剤師、その他の従業者を監督し、その業務遂行に欠けるところのないよう必要な注意をしなければならないと。たった3日だったら常勤医師にもならないんですよ。常勤医師にならないんですよ、この医者は。それで何で管理者の責任を果たせるんですか。管理者にならないでしょう、こんなことを保健所に言ったら。違いますか。県立病院で週3日勤務の管理者なんてあり得るんですか。
〇大槻経営管理課総括課長 先ほども私が申し上げました月曜日、火曜日、金曜日というお話につきましては、いわゆる診療に当たる日と伺ってございまして、10月19日の法人からの報告でございますが、これについては、管理者の変更届という格好で保健所に提出しているということでございますので、そういった要件は具備した形での届け出だったと認識してございます。
〇斉藤信委員 いずれにしても、入院患者を迎え入れるような体制じゃないですよ。私は、管理者としてもこれは成り立たないと思いますよ、週3日では。
 それで、あなた方がしっかりした契約書を交わしながら、この契約書をあなた方自身が何ら実行しようとしてないのはなぜですか。大体、いいですか、この賃借契約書には、契約締結の日から10年間以上有床診療所として使用すること。それ以外の用途には使用しない。10年間有床診療所じゃなきゃだめなんですよ。全然そうなってないじゃないですか。
 それと、第4条では、毎年事業会計年度が終了した後、遅滞なく事業報告書ほか決算書類を提出することになっていますね。この事業報告書、決算書はどうなっていますか。事業計画は執行されてないでしょう。私が聞いているところでは、決算は6、500万円赤字だと言われていますよ。これは成り立ちませんよ、診療所として。その中身を示してください。事業計画に対してどれだけ実行されているか、決算の状況も示してください。
〇大槻経営管理課総括課長 有床診療所を10年間という契約の条項でございますが、これは地域の皆さんの声もございまして、こういう格好で入れさせていただいているものでございまして、いずれ、医療法人でも、今、管理者の一時的な交代ということで患者の入院調整をさせていただいているけれども、体制が整い次第やる、入院を受け入れる予定だと伺ってございますので、そこの部分については、そういった方向で進むように、私どもでも強く要請していきたいと思ってございます。
 それから、これは契約書の第4条でございますけれども、毎年の事業報告書、決算書類を医療局に提出するものという条項に基づきまして、法人から決算書類は提出をいただいておるものでございます。法人の決算の書類そのものにつきましては公表は差し控えさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 私は異常だから聞いているんですよ。正常だったらこんなことは聞きませんよ。約束が履行されてない。大体、常勤医師なんかいなかったんだ。3回だましているんですよ。一昨年、わずか半年で民間移管を進めるときに、常勤医師2名、非常勤3名確保した、こういう事業報告書を出したから、みんながそれでいいんじゃないかと決まったんですよ。しかし、それは真っ赤なうそだった。昨年3月25日、いいですか、4月からスタートするときに事業報告書が出ました。3月25日ですよ。このときにも常勤医師2名、非常勤医師3名確保した。4月からいませんでした。こんなだまし方ありますか。全くだまして民間移管を進めたんですよ。
 医療局長、私はこのことをずっと指摘してきた。こんなだまし方は許されないんじゃないですか。医療局長、どう思いますか。そして、結局はこういう状況になっているんですよ。だったら、断固とした立場で、この契約の立場で医療局が対応しなかったらだめでしょう。2度も3度もだましてきた実態をあなたはどう受けとめていますか。
〇遠藤医療局長 だました、だまされたという話はちょっとさておきまして、いずれ、ドクターの確保という部分については、私どもも県立病院を抱えておりますので、大変日常でも苦労しておりまして、苦労してようやく来ていただいたドクターでも、長くいてほしいなと思っていろいろ対応したりしているんですが、なかなかやはり短いので3カ月とかでやめられるとか、そういう状況下もございまして、いずれ、医師の確保というのは、やはり民間においてもなかなか難しいのだろうなと思っております。
 いずれ、当初の事業計画どおりに何とかやっていただきたいということでこれまでも要請してまいりましたし、引き続きそのように要請してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 大体、無床化してわずか半年で民間移管を強行することが無謀なんですよ。非常識なんですよ。なぜ医療法人白光しか申請しなかったか。半年ぐらいじゃ医師が確保できないからなんですよ。そんなの常識なんですよ。県立沼宮内病院の有床診療所化だって、優良な民間医療機関があっても、すぐ受け入れられないのは、医師確保の見通しが立たないからなんですよ。病院経営の実態もない、ノウハウもない、評判も悪い、こういう医療法人だけ手を挙げたんですよ。だから私は問題にしてきた。しかし、この医療法人の役員は頼まれてやっていると言っているそうですよ。だれから頼まれたんですか。知事や医療局が頼んだんですか。私は、この民間移管のやり方自身が本当に異常だったと思う。そして、実際にその後の経過というのは、その異常さをあらわすものだった。医療局長、はっきり答えてください。異常じゃなかったですか。まともな医療法人がこれに応募できたと思いますか。
〇遠藤医療局長 決定に当たってはそれぞれの手続、審査を踏んで決定しております。先ほど申し上げましたとおり、ドクターの確保では私どももいろいろ苦労しておりますので、そういった難しさというのはやはり同じなんだろうと。
 それから、民間には、私どもと違って、民間なりのノウハウというのは民間経営の中にはあるだろうと思いますので、それはそれなりに民間のノウハウを生かして頑張っていただきたいと思っております。
〇斉藤信委員 本当にあなたは無責任な答弁だ。まじめな医療機関は医師の確保に苦労して真剣に努力するから、こんな半年間で、二、三カ月で民間移管やれなんて、だれも手を挙げれないんですよ。何の実績もノウハウもない医療法人が手を挙げたんですよ。だから、こういう事態に陥っているんですよ。それを一緒に進めたのは医療局なんですよ。そして、医療法人が、のうのうと頼まれてやっているなんて言っているんですよ。とんでもない話です。
 やめた所長さんは、医療局に、閉院しますと言ったと言ってますよ。入院患者はもうとる気はないんじゃないですか。そういうふうに言われてませんか。
〇大槻経営管理課総括課長 医療法人からお話を伺っているところでは、いずれ、今回、管理者が変更ということで、入院の調整をさせていただいて入院患者をとっていないところでございますけれども、体制が整い次第、入院患者をとるように、今、努力をしていると伺っております。
〇斉藤信委員 本当に、異常な事態がずっと続いている。私は、民間移管ということは残念ながら失敗だった、こういう信頼の置けない医療法人に任せるべき地域医療ではないと。私は今後のことを─しかし、医療法人がだめでも地域医療を守らなきゃだめですから、地域医療を守る方策を考えるべきですよ。そのことは指摘だけにして、次に入ります。
 被災した県立病院の状況なんですけれども、仮設診療所も今かなり患者を回復していると思います。震災前と比べてどこまで患者が回復されているか。大槌町、山田町に行って、せめてCTぐらい欲しいという要望も聞きました。スペースもないんだけれどもね。仮設診療所でもやっぱり必要な施設の改善、拡充というのが必要なのではないか。そして、知事が病院再建を基本にとせっかく言ったわけですから、仮設診療所が2年、3年ということであれば、今からしっかりスケジュールをもって病院再建に向かって準備を進めるべきだと思いますが、いかがですか。
〇及川医事企画課総括課長 被災いたしました高田病院、大槌病院、山田病院の患者数の状況でございますが、被災した3病院が外来診療を開始いたしました7月から9月までの1日平均患者数を被災前の前年同期と比較いたしますと、高田病院の1日平均患者数は210人でございます。前年同期は213人で3人、1.41%減少しておりますが、震災前とほぼ同じ患者数となっておる状況でございます。
 大槌病院の状況でございますが、1日平均患者数は98人でございます。前年同期は159人で61人、38.4%減少しております。
 山田病院でございますが、1日平均患者数は76人でございます。前年同期は96人で20人、20.8%の減少となっている状況でございます。
〇大槻経営管理課総括課長 仮設診療施設の改善、拡充というお尋ねでございますけれども、高田病院につきましては、これまでも答弁申し上げてございますが、被災後の気仙保健医療圏が、他の圏域に比べて急性期後の入院患者の受け入れが非常に厳しいという状況を考慮いたしまして、仮設診療施設のほうに入院機能を整備することとしたところでございます。
 大槌病院につきましては、今、限られたスペースで診療を行っている現状でございまして、今後、医局とか職員の更衣室といったものを整備していこうと考えてございます。
 山田病院については、具体的な整備についての予定はございませんが、いずれ、各病院とも、設備等も含めまして、各病院の意見を聞きながら対応させていただきたいと思っております。
 あと、病院再建に向けた取り組みというお尋ねでございました。県におきましては、本年度後半から、被災した県立病院の再建も含めた沿岸地域の医療再建に向けて二次保健医療圏ごとの検討を進めるという格好になってございます。そういう方針を立ててございますので、スケジュールにつきましても、この中で種々議論を重ねながら検討していくと考えてございまして、現段階でお示しすることは難しいのかなと考えてございます。
〇斉藤信委員 病院の再建で先ほども財源が議論になりました。これは国会でも我が党が取り上げて、実は医療施設等災害復旧費補助金は原状復旧が基本になっているけれども、これは厚生労働大臣も、首相も、原状復旧だけでなく、柔軟な対応、適切な対応をするよう心がけると。そして、第3次補正では地域医療再生基金も積み増すという答弁がありました。私は、そういう基本的には国の資金でこの再建を図るべきだし、地域医療再生基金は昨年度の補正で120億円あるんですよ。15億円使っているけど、まだ105億円残っている。さらに積み増すというんですから、こういう災害に対応した国の資金で病院再建すべきだと私は思いますが、いかがですか。
〇大槻経営管理課総括課長 私どもも、先ほど御答弁申し上げましたが、残債の問題、二重ローン問題とか、建設に係る企業債の場合の自己資金の問題とか、いろいろ抱えている部分もございます。そういった意味で国からのより手厚い支援をしていただけるとありがたいと考えてございまして、3次補正、平成24年度当初予算といった部分についても多く期待しているところでございます。
〇斉藤信委員 次に、看護師確保問題についてお聞きします。
 5局長通知で看護師の質を確保すべきだという通知が出されました。これをやっぱり医療局でこそ具体化、実行すべきだと思うが、労働組合との36協定で残業は月20時間となっていますね。しかし、去年の8月、月20時間を超えた看護師さんが703人もいました。中央病院は170人ですよ。これではとっても働いていられないとなるんですね。私は、看護師確保のためには、本当にこういう残業を軽減して、36協定を厳格にして看護の質を高めるという対策が必要だと思うけれども、いかがですか。
〇佐川参事兼職員課総括課長 いわゆる厚生労働省5局長通知ということでございますけれども、医療局における具体的な取り組みとしては、勤務環境の改善については、業務の実情に応じた時差出勤などの導入による労働時間の設定改善のほか、電子カルテの導入、看護補助者の活用などによる看護業務の効率化を推進してございます。それに加えて、院内保育所の設置、運営、看護職員の育児、就業支援に取り組んでいるところでございます。
 それから、人材育成等についてもございますが、医療局職員研修計画や看護部門のキャリア開発ガイドラインなどに基づく研修実施、能力開発に加え、国が定めるガイドラインに沿って新人教育を実施しております。
 それで、どのように改善したかということでございます。看護師の配置状況でございますが、平成23年度当初には3、533人ということで、70人ほど増員してございます。
〇斉藤信委員 臨時を含めたら全然ふえてないんじゃない。それで、700人も20時間を超えるような残業をしているというこの深刻な事態を指摘しましたから、これをやっぱり改善するような手だてを具体的にとってください。
 それで、最後ですけれども、SPD─物流管理システムを突然医療局が導入しようとしております。これは、県立病院全体の診療材料を県外大手の一つの業者に任せちゃうというやつなんですよ。これは本当にとんでもやり方だと私は思うんです。今度の大震災のときにも、地元の業者が医療器材、薬剤を運んで、この震災に対応したんですよ。ところが、20病院、その他の地域診療センターを含めて、業者一括で診療材料を確保するということになったら、地元の業者がまず本当にこれはだめになってしまいますね。そして、病院と連携した診療材料、医療材料の提供システムは崩れるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
〇村田業務支援課総括課長 SPDの導入についてでございますが、SPDにつきましては医療材料の供給方式の総称とされまして、定数補充方式により物品の消費データを把握し、必要な物品を必要な数だけ現場に供給するというシステムになっております。なお、物品の調達につきましては、現状と同様に卸売業者からSPD業者が調達して病院に供給することとしており、調達の代行を行うこととしております。
 なお、SPD導入に係る業者の選定に当たっては、公募型プロポーザルによることとしており、その評価項目として、地元卸業者の活用、育成に配慮した調達に努めること、また、作業員についても、原則として地元雇用すること等を盛り込んでいるところでございます。
 なお、震災における診療材料の搬送についてでございますが、現状の卸売業者の備蓄機能に加え、新たにSPD業者のセンター倉庫を創設することとしておりまして、倉庫の備蓄機能をあわせて担うことになるとともに、自前による日常的な搬送体制を確立することとしておりますので、災害等に対応できるシステムであると考えております。
〇斉藤信委員 このSPDでは、価格交渉権を一緒の業者に与えるんですよ。全国を駆けめぐって一番安いところから診療材料を集めるんですよ。地元業者なんか対象になりませんよ。赤字でも対応できるっていう値引交渉しかされません。
 それでもう一つ、今、災害のときに対応できると言っているけれども、この計画を見ると、在庫をゼロにするというんですよ。在庫をゼロにして、いざというときにどうするんですか。今、地元の業者が各病院と連携して、絶えず診療材料を提供する技術支援やさまざまな援助をして、手術も何でも進んでいるんですよ。それを一つの大手県外業者にゆだねたら、もう病院関係者もこれは大変なことになってしまう。これ、本当に県立病院関係者の意見を聞いているんですか。
 そして、地元業者育成ということをどう考えているんですか。地元業者を最大限活用するなんて建前ですよ。5年間で10億円、診療材料を削減するというのが目標なんです。それができなかったら契約解除となっているじゃないですか。私ね、これ驚くべきやり方だと思いますよ。もっと地域に根差した、地域と連携したそういう病院の運営というのを考えるべきじゃないですか。これは局長に聞きましょう。
〇遠藤医療局長 SPDについてなんですが、若干、誤解があるのではないのかなと思って私お話を聞いておりまして、基本的に医療材料そのものは、現在でも県内本店の業者、あるいは他県本店の県内に営業所のある業者、卸売業者、ここから病院が直に仕入れている。SPDはここのジョイントのところにちょっと入ってくるだけでございますので、これは、ここの業務というのは、基本的に病院の中で今職員がいろいろ手間隙かけてやっている作業を効率的にやるというのが基本でございます。SPD業者が調達する相手先というのは、基本的には県内の本店、支店がある事業者の方から、卸売業者の方々から恐らく調達することになろうかと思います。というのは、流通コストを考えますと、今の診療材料なんかの流通の状況からいけば、わざわざ東京まで行って運んできてここにやる、それでコストがペイするとは恐らく考えられませんので、したがって、委員の御懸念のようなことは、今発言されたような、そういう大げさな御懸念はしなくてよろしいのではないのかなと思っております。
〇斉藤信委員 私が具体的に聞いたことに答えていない。病院関係者から意見を聞いたのかと。価格交渉権をこのSPDの業者にゆだねるのかと。在庫ゼロというのが目標になっていますよ。在庫ゼロになったら、本当に何かのときに対応できないでしょうと、私は具体的に聞いたんですよ。あなたの懸念、とんでもない話よ。私のほうがわかっているんじゃないかな。
〇遠藤医療局長 当然、こういうものを入れるときに、私ども本庁だけで勝手にやるということは、そういう業務の仕事はもともとやっておりませんので……(斉藤信委員「具体的に答えてください」と呼ぶ)ですから、こういう案を進めるに当たっては、中の検討委員会で検討もしておりますし、それから院長さん方にもこういう方法でやりますよ、どうですかと示して、なおかつ、個別に懸念の示されている院長さん方には出向いて、直接説明もして、各病院の御理解はいただいておりますので、その点については余り御懸念の必要はないのかなと思います。
 それから、価格交渉権ということでございますけれども、代行的な業務を行いますので、一方的にSPD業者が勝手にやるという運用は考えておりませんので、基本的には、今の診療材料を調達している、そういうシステムの延長線上での運用を考えております。
 それから、在庫をゼロにするというお話でございますけれども、これは一般の企業でも同じですけれども、基本的には余分な在庫は抱えない。ジャスト・イン・タイムというか、そういった形でやるのが基本でございまして、病院の中においても基本的に同じで、不要な在庫を抱えておきますとそれが結局コストを圧迫しますので、したがって、では、災害時にどうなんだという話ですけれども、それは病院のところに在庫を置かないだけの話であって、SPD業者に場所を移して在庫として管理いたしますし、それから、従来どおり卸売、県内の業者でも在庫は管理しておりますので、全く懸念する必要はないと思っております。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、医療局関係の質疑をこれで終わります。
 医療局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時28分 散会

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