平成23年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成23年10月26日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査     佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    村 上   聡
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  政策地域部長   千 葉 茂 樹
  副部長兼
  政策推進室長   木 村 卓 也
  副部長兼
  地域振興室長   佐々木 和 延
  政策監      大 平   尚
  評価課長    森   達 也
  調整監    阿 部 一 哉
  分権推進課長   高 橋   進
  政策推進室
  管理課長    高 橋 達 也
  市町村課総括課長 堀 江   淳
  調査統計課
  総括課長    浅 田 和 夫
  NPO・文化
  国際課総括課長  畠 山 智 禎
  国体推進課
  総括課長    西 村   豊
  施設課長    菅 原   実  
  県北沿岸・定住
  交流課長    伊 藤   仁
  交通課長    野 中 広 治

  選挙管理委員会
  事務局書記長   堀 江   淳

  理事兼復興局
  副局長      廣 田   淳
  理事兼復興局副局
  長兼まちづくり  平 井 節 生
  再生課総括課長
  参事    佐々木 和 延
  総務課総括課長  宮   卓 司
  企画課総括課長  大 平   尚
  計画課長     森   達 也
  産業再生課
  総括課長    伊 藤 克 宏
  生活再建課
  総括課長    鈴 木 浩 之
  被災者支援課長  鈴 木 一 史

  環境生活部長   工 藤 孝 男
  副部長兼
  環境生活企画室長 伊 藤 昇太郎
  環境担当技監兼産
  業廃棄物不法投棄 谷 藤 長 利
  緊急特別対策室長
  環境生活企画室
  企画課長    伊 勢   貴
  環境生活企画室
  管理課長    千 田 利 之
  温暖化・エネル
  ギー対策課長   平 井 孝 典
  環境保全課
  総括課長    玉 懸 博 文
  資源循環推進課
  総括課長    吉 田   篤
  災害廃棄物
  対策課長    松 本   実
  自然保護課
  総括課長    八重樫 典 彦
  青少年・男女共同
  参画課総括課長  千 葉   彰
  県民くらしの
  安全課総括課長  佐 藤 応 子
  食の安全安心課長 白 岩 利惠子
  県民生活安全課長 佐々木   宏
  消費生活課長   久 喜   勉
  調査追及課長   田 中 耕 平
  再生・整備課長  中 村   隆

  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    浅 沼   浩

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇高橋昌造委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成22年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、政策地域部、復興局、環境生活部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、政策地域部長に政策地域部関係の説明を求めます。
〇千葉政策地域部長 平成22年度の政策地域部関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 初めに、政策地域部所管の事務事業に係ります総括的な評価及び今後の取り組み方針につきまして御説明申し上げます。
 当部におきましては、いわて県民計画を着実に推進するため、各部局との連携や横断的な取り組みの推進のほか、政策評価システムによる効果的、効率的な施策の推進、政策形成の基礎となります統計数値の把握、分析などにより政策形成支援機能の充実に努めているところでございます。
 また、真の分権型社会を構築するため、市町村行財政基盤の強化に向けた支援、4広域振興局体制による広域行政の推進、県北・沿岸圏域の振興、地域におけるリーダーとなります人材の育成による地域コミュニティの活性化、市民活動に参加する県民への支援機能の充実、文化芸術情報の提供やコーディネーターによる活動支援、外国人県民等を支援する国際交流サポーターの養成などに取り組んだところでございます。
 さらには、公共交通の維持、確保と利用促進、情報通信基盤の整備に引き続き取り組んだところであります。
 今後におきましても、政策評価システムに基づきまして成果や課題等の検証を行い、その結果を次の政策等に適切に反映させていくなど、県政全般にわたりより効果的な政策の推進に努めますとともに、3月11日に発生いたしました東日本大震災津波からの復旧、復興に向け、次のような点について一層の選択と集中を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
 まず、大震災津波からの復旧、復興に向けた歩みを着実に進めていくため、岩手県東日本大震災津波復興計画に掲げております三陸鉄道の早期復旧に向けた支援、新しい公共の担い手であるNPOや企業等が主体となって取り組む復興活動の支援、市町村行政機能の回復のための人的支援や技術的助言などの取り組みを行ってまいります。
 また、平泉の文化遺産の世界遺産登録は、本県の復興に向けた象徴となることはもとより、東北全体の復興に向けた光となるとの認識のもと、その理念の普及、浸透等に積極的に取り組んでまいります。
 次に、希望郷いわてを実現していくため、いわて県民計画の県民への周知及び同計画に掲げる施策を推進してまいります。
 具体の施策といたしましては、安心して、心豊かに暮らせるいわての実現に向けまして、市町村等の多様な主体と連携した地域コミュニティの活性化や、県民、NPO、企業などの新しい公共を担うさまざまな主体の幅広い参画と協働のもと、多様な市民活動の促進を図ってまいります。
 また、人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向けまして、活動団体等をつなぐネットワークづくりなどによる文化芸術の振興や、多様な文化の理解と交流に向けた取り組みを推進してまいります。
 平成28年の国民体育大会の開催につきましては、縮小開催の検討や国の支援の可能性なども踏まえ、関係機関と協議しながら総合的に判断してまいります。
 さらに、いわてを支える基盤の実現に向けて、市町村等と協力して持続可能な公共交通体系の構築を図りますとともに、ICTの利活用による地域振興と情報通信基盤の整備を図ってまいります。
 最後に、4広域振興局体制のもと、市町村と連携し、産業振興を中心に自立した地域の形成に向けた取り組みを推進いたしますとともに、県北・沿岸圏域につきましては、引き続き県北・沿岸振興本部を中心といたしまして、県政の重要課題としてその振興に取り組んでまいります。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 政策地域部関係の決算は、お手元の岩手県歳入歳出決算書の12ページと13ページにございます第2款総務費のうち、2項企画費の一部、4項地域振興費、5項選挙費、7項統計調査費でありますが、これらの支出済総額は132億1、449万円余であり、翌年度への繰越額は9億9、997万円余、不用額は9億6、324万円余となっております。
 それでは、便宜、お手元に配付しております歳入歳出決算事項別明細書によりまして、項目ごとに主な事業を中心に御説明申し上げます。
 歳入歳出決算事項別明細書170ページ及び171ページをお開き願います。第2款総務費2項企画費1目企画総務費の支出済額26億9、070万円余のうち、備考欄に記載しております当部関係23億5、982万円余の主なものについて御説明申し上げます。
 まず、管理運営費の次のプロジェクト研究調査事業費2、734万円余は、地域における基礎科学の振興と国際リニアコライダー計画の推進を図るため、東北加速器基礎科学研究会が行う活動のほか、基礎的な調査を行うために要した経費の一部を負担したものであります。次に、2事業飛びまして、ソフトパワーいわて戦略推進事業費1、092万円余は、本県の多様なソフトパワーの源であります岩手の文化、暮らしなどの魅力を本県にゆかりのある漫画家の御協力を得て発信するために要した経費であります。次に、志の国連携推進事業費592万円余は、新たな高知県との連携、交流を通じて、岩手の魅力を全国に発信するために要した経費であります。次に、第71回国民体育大会開催準備費20億2、704万円余は、本県での平成28年国民体育大会開催に必要な準備を行うために要した経費であり、うち20億167万円余は、大会運営基金への積立金であります。次に、2目計画調査費の支出済額3、381万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、上から二つ目のいわて県民計画推進費1、425万円余は、いわて県民計画の県民への周知を図るため、普及媒体の作成などに要した経費であります。次に、備考欄末尾の政策評価推進費996万円余は、外部の有識者で構成される政策評価委員会の意見を反映させながら政策等の評価を行うとともに、県民協働型の外部評価を推進するために要した経費であります。
 次に、175ページをお開き願います。4項地域振興費1目地域振興総務費の支出済額54億6、459万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、上から四つ目の地域振興推進費3億1、982万円余は、広域振興局等において、市町村やNPO、民間との協働のもと、産業の振興を中心に圏域の活性化に向けた事業等を行うために要した経費であります。次に、1事業飛びまして、NPO協働推進事業費1、271万円余は、県民の参画と協働による地域づくりを推進するため、NPOの活動支援や多様な主体による協働を推進するための各種研修等の実施に要した経費であります。次に、いわて文化芸術王国構築事業費266万円余は、県民一人一人が豊かな文化芸術とともに生きる地域社会の形成を目指し、文化情報総合システムの運営、拡充や文化芸術資源の発信、文化芸術ネットワークの運営等に要した経費であります。次に、177ページをお開き願います。いわて県民情報交流センター管理運営費7億786万円余は、いわて県民情報交流センター、アイーナの管理運営費に要した経費であります。次に、県北・沿岸振興費736万円余は、県北・沿岸圏域の振興を図るため、海洋産業の振興、ジオパークの可能性検討や岩手県北、青森県南の交流、連携を促進するために要した経費であります。次に、いわてへの定住・交流促進事業費2、961万円余は、首都圏等の団塊の世代を中心とした本県への移住を促進するため、市町村及び関係団体と連携し、情報発信や受け入れ体制の整備を行うために要した経費であります。次に、草の根コミュニティ再生支援事業費190万円余は、地域コミュニティが持つ多面的機能の維持、再生を図るため、地域人財力活性化セミナーの実施や地域コミュニティ相互の連携及び情報発信の促進のために要した経費であります。次に、地域情報化推進費139万円余は、岩手県内の情報通信基盤に係る戦略的な方策を検討するいわて情報通信基盤整備戦略会議の開催のほか、各種検討会への参加、関係機関への要望活動に要した経費であります。次に、シニアICTサポート事業費3、918万円余は、高齢者層におけるブロードバンドの普及を図るため、セミナーや講習会の開催によるブロードバンドの利用促進の支援に要した経費であります。次に、携帯電話等エリア整備事業費補助12億2、647万円は、地域住民の生活に密着した情報通信基盤の整備を促進するため、実施主体である市町村 に対し経費の一部を助成したものであります。
 なお、繰越明許費及び事故繰越でありますが、恐れ入りますが、175ページにお戻りいただきまして、繰越明許費2億7、540万円余及び事故繰越4億3、134万円余は、先ほど申し上げました地域振興推進費、いわて県民情報交流センター管理運営費、携帯電話等エリア整備事業費補助等の一部を繰り越したものでございます。
 恐れ入りますが、再び177ページにお戻り願いたいと思います。2目市町村振興費の支出済額23億8、229万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、市町村優先の行政システム構築事業費116万円余は、市町村優先の行政システムの構築を目指し、国、県及び市町村を通じた望ましい行政システムのあり方を検討する場である岩手県分権推進会議の開催及び権限移譲の先進的な取り組みを行うモデル市町村への交付金等に要した経費であります。次に、3事業飛びまして、合併市町村自立支援交付金10億8、970万円余は、平成17年度までの旧合併特例法の適用を受けて成立した合併市町村が、自立に向けた新たな行政課題等に先導的に対応していくために必要な取り組みに対して交付金を交付したものであります。次に、2事業飛びまして、市町村総合補助金3億302万円余は、分権型社会の構築と産業の振興による自立した地域を構築するため、市町村が地域の自立に向けて取り組む事業及び生活基盤の維持、確保や行財政基盤の強化を図るために取り組む事業に要した経費について助成したものであります。次に、1事業飛びまして、市町村振興宝くじ交付金7億6、145万円余は、市町村の単独事業等に対する貸付事業及び交付金の原資として、財団法人岩手県市町村振興協会に対して市町村振興宝くじの販売収益金を交付したものであります。
 なお、繰越明許費7、139万円余及び事故繰越1億4、697万円余は、合併市町村自立支援交付金及び市町村総合補助金等の一部を繰り越したものであります。
 次に、3目交通対策費の支出済額9億4、939万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、上から三つ目の三陸鉄道運営支援事業費2億1、343万円余は、三陸鉄道の経営を支援するため、関係市町村と連携し、鉄道設備の整備、維持に係る経費等について助成するとともに、三陸鉄道強化促進協議会が実施する誘客促進事業等に要した経費の一部を負担したものであります。次に、三陸鉄道輸送高度化事業費補助4、136万円余は、三陸鉄道の輸送高度化及び安全性の向上を図るため、沿線市町村とともに、国の補助金を導入して実施する設備整備に要した経費を助成したものであります。次に、179ページをお開き願います。並行在来線対策事業費4億7、781万円余は、IGRいわて銀河鉄道株式会社による鉄道事業の経営の安定化を図るため、いわて銀河鉄道経営安定化基金を積み立てるとともに、通学定期運賃の抑制、鉄道設備の更新及びいわて銀河鉄道指令システムの構築等に要した経費を助成したものであります。次に、バス運行対策費1億8、638万円余は、地域住民の生活に欠くことができない地方バス路線を維持するため、国庫補助制度に基づき、当該路線を運行するバス事業者に対して運行赤字欠損額を助成したものであります。
 なお、繰越明許費及び事故繰越についてでありますが、恐れ入りますが177ページにお戻りいただきまして、繰越明許費7、167万円余及び事故繰越155万円余は、並行在来線対策事業費及びバス運行対策費の一部を繰り越したものでございます。
 恐れ入りますが、再び179ページをお開き願います。4目国際交流推進費の支出済額1億436万円余のうち、主なものについて御説明申し上げます。まず、国際交流推進費5、504万円余は、地域の国際化を推進するため、語学指導等を行う外国青年招致事業による国際交流員の招致や多文化共生社会の実現を目指した取り組み等に要した経費であります。次に、グローバルネットワーク推進事業費734万円余は、海外ネットワークの維持拡大を図るため、海外県人会との交流及び支援等に要した経費であります。次に、東アジア留学生等人材ネットワーク形成事業費904万円余は、東アジアを中心とした各国からの県内大学等への留学生に対する支援や、中国大連市からの研修員受け入れを通じて本県との密接なネットワークの形成を図ったものであります。
 次に、5項選挙費についてでありますが、支出済額9億7、925万円余は、県選挙管理委員会の運営と参議院議員選挙及び知事、県議会議員選挙等の管理執行に要した経費等であります。
 次に、185ページをお開き願います。7項統計調査費についてでありますが、支出済額9億4、095万円余は、人件費及び一般管理事務並びに県単独で実施した統計調査及び国の委託により実施した統計調査に要した経費等であります。
 なお、事故繰越163万円余は、187ページをお開きいただきまして、3目委託統計調査費のうち生活統計調査費の一部を繰り越したものでございます。
 以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 私からは1点、市町村の財政状況についてお尋ねさせていただきます。
 まず一つ目ですが、先般、昨年度の県内の市町村の財政健全化比率等が発表になっていたようであります。新聞で拝見いたしますと、実質公債費比率が18%を超えている市町村は前年度から減っているということで、おおむね改善しているのではないかといった報道があったようですが、県として、前年度県内市町村の財政状況をどう把握してどう評価しているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇堀江市町村課総括課長 平成22年度の県内市町村の財政状況に関する県の評価でございますが、震災により決算の取りまとめができておりません陸前高田市及び大槌町を除きまして、県内市町村の平成22年度の決算では、これまでの行財政改革の取り組みや普通交付税等の増加等によりまして、財政の弾力性を示す指標でございます経済収支比率、実質公債費比率あるいは将来負担比率等が改善しているところでございます。
 しかし、人口減少、少子高齢化の進行や住民ニーズの多様化、高度化、そういった社会経済情勢の変化に加えまして、東日本大震災津波の影響が想定されますことから、市町村行政を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあると認識しているところでございます。
 このため、引き続き徹底した行財政改革、さらには地方債残高の適正管理に努めてまいりまして、中長期的な財政見通しのもと、持続可能な財政運営を図っていく必要があるものと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 県内市町村もいろいろな御努力をされながら好転の兆しが見えてきたという状況の中で、今、課長からもお話があったとおり震災ということになったわけであります。
 そこでお尋ねしたいんですけれども、発災後、被災市町村の財政状況が相当変化しているのではないかと思っております。県として、発災後に、被災市町村、震災関連等補正予算等も恐らく逐次計上しながら対応してきたと思うんですが、そういった補正予算額等の状況をどう把握していらっしゃるのか。
 あわせて、発災前と発災後で、被災市町村の例えば主要3基金などに相当の変化が出てきているのではないかと思っております。財政状況をどう把握しているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇堀江市町村課総括課長 2点お尋ねがございましたが、まず、発災後の被災市町村の震災関連補正予算額等の状況でございます。
 震災関連分とだけの予算額としては把握しておりませんが、被災の大きかった沿岸12市町村の今年度当初予算額は合わせまして1、359億円で、さらに今年度の9月現計の予算額は震災関連分を含めまして3、372億円となっておりまして、その差2、013億円、148.2%の増となっているところでございます。
 次に、被災市町村の主要3基金、発災前と後の変化でございます。そういった財政状況の把握についてでございますが、沿岸12市町村の平成22年度末におけるすべての基金の残高は274億円となっております。また、本年9月末時点ですが、今年度末の基金残高は265億円と見込んでおりまして、約8億円、3.0%の減となると見込んでいるところでございます。
〇関根敏伸委員 主要3基金については思っていたより減少していないのかと聞いておったんですが、ただ、補正総額が2、013億円ということで、相当な額に上っているかと思います。県として、この補正の中で、国とか県の支援が及ばない市町村の実質的な負担がどの程度になると把握しているのかお聞かせいただきたいと思いますし、あわせて、市町村からは財政支援に向けたさまざまな要望等が国はもとより県にも寄せられていると思うんですが、どういった要望が寄せられているのか聞かせていただきたいと思います。
〇堀江市町村課総括課長 まず、国や県の支援が及ばない実質的な市町村の負担でございますが、現在、国で審議されております第3次補正予算で措置される見込みの震災復興特別交付税によりまして、復旧事業あるいは復興事業とも地方負担分は全額措置される見込みでございます。また、被災団体が地域の実情に応じまして弾力的かつきめ細やかに対処できる資金としまして、今回、取り崩し型の復興基金制度が創設されたところでございます。さらには、これまで市町村に直接寄せられております義援金等もございまして、実質的な市町村の負担額についてまだ把握できていないところでございますが、相当程度解消されるものと考えているところでございます。
 一方で、今後、市町村の復興計画ができまして計画に基づく復興関連事業が進捗してまいりますと、その状況に応じては市町村負担が増大するおそれもありますので、今後、市町村行財政コンサルティングなどを通じまして、市町村に対して必要な助言を行ってまいりたいと考えております。
 次に、そういった状況下における市町村からの要望あるいはそれに対する県の支援でございますが、県では、これまで何度か被災市町村を訪問しまして直接意見交換を行っております。その中では、災害復旧、復興事業等に係る地方財政措置の拡充、また、国庫補助対象の拡大及び補助率のかさ上げ、さらには復興基金制度の創設といった要望が出されているところでございます。
 このような市町村の要望につきましては、あらゆる機会をとらえまして、国に対してこれまで要望を行ってきたところでございます。そうした中で、先ほどもご答弁申し上げましたが、国の第3次補正予算では、震災復興特別交付税あるいは仮称でございますが東日本大震災復興交付金といった要望を踏まえた予算が盛り込まれたところでございます。
 県では、今後においても機会をとらえまして、市町村の状況をよく把握して、引き続き国に対して要望を行ってまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 そうすると、確認ですが、先ほどの震災関連も含めた2、013億円等は、市町村負担は実質ゼロであると理解してよろしいのですか。
〇堀江市町村課総括課長 現在のところ、そのように我々としては考えております。
〇関根敏伸委員 わかりました。
 今、さまざま御答弁いただいた中で私の最後の質問も大体答弁されていたかと思うんですが、最後に、これから本格的に市町村の復興計画等がなされてくると思っておりまして、事業の積み上げで所要額等がこれから確定してくると思います。県は先般、復興関連で8兆円程度の復興に向けた資金が必要になってくるという見通しを発表されていたようでありますけれども、現時点で、今後の復旧、復興に向けた所要額の市町村の見通し等をどう把握しているのか、これを改めてお聞かせいただきたいと思いますし、今、答弁があった中で、復興に向けた基金のことでありますとか、県、市町村がたびたび国に要望しておりました一括交付金等も実現化に向けた動きが大分見えてきたようでありますけれども、市町村負担を最小にするため、さらに県としてどういった支援、取り組みをされているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇千葉政策地域部長 今後の復旧、復興に向けた所要額の見通しでございますけれども、今、委員からもお話がございましたように、現在、被災市町村におきまして復興計画をほとんど作成中だという状況にございます。また、国の第3次補正予算案も今後審議されるという状況になっておりまして、この復旧、復興に向けた所要額について、具体的に積み上げという形で把握する状況にはまだなっていないところでございます。
 しかしながら、今回の復旧、復興に要する経費は極めて膨大な金額になることが見込まれておりますので、県といたしましても、これまで市町村負担をできるだけ軽減するように国に対してさまざまな要望を重ねてきたところでございます。
 先ほど市町村課総括課長から一部御答弁をさせておりますが、いわゆる復興基金あるいは復興交付金あるいは震災復興特別交付税など、そういうさまざまな措置で、国からは、現段階では被災市町村に対する復旧、復興に要する地方負担額はゼロにする旨、説明はちょうだいしているところでございます。
 しかしながら、県といたしましては、被災市町村、個々の市町村で財政事情が異なりますので、個々の市町村ごとに的確に把握していく必要があり、また必要な支援は考えていく必要があるものと考えております。
 例えば、過去においてでございますけれども、平成11年の大雨洪水災害の際には、軽米町の復旧、復興に要する地方負担額を軽減するために緊急的な財政支援を行った例もございます。いずれ個々の市町村ごとの財政事情を今後的確に把握しながら、県としても必要に応じた支援を考えていく必要があるものと考えております。
〇樋下正信委員 選挙費についてお聞きいたします。
 まず、この選挙の啓発費、これは日ごろから選挙が近くなればやると思うんですけれども、どういうふうなことをやったかお聞きしたいと思います。
〇堀江選挙管理委員会事務局書記長 今般、知事、県議会議員選挙がございましたが、その際の啓発の取り組みでございます。
 これにつきましては、東日本大震災津波の発災後の選挙という状況下で、そういった震災後の選挙であることも考慮しつつ取り組ませていただいたところでございまして、例えば、不在者投票制度を周知するチラシの作成、配布、あるいはコンビニエンスストアでのレジ画面での選挙の周知、さらには、全国におられる被災者に対する選挙の呼びかけとしての総務省での記者会見などを行ってできるだけの啓発に取り組んだところでございます。
   〔「議事進行、委員長」と呼ぶ者あり〕
〇及川あつし委員 質問の途中で恐縮でありますが、改選後の1回目の決算特別委員会でありますので、ルールを徹底していただきたいと思います。
 樋下委員については平成22年度監査委員だったと思いますので、当委員会での質問の資格があるかないか委員長の見解を示してください。
〇高橋昌造委員長 あとはございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 ただいまの及川あつし委員の御指摘の件についてでございますが、通例上、質疑を控えていただくようお願いしておるところでございますが、質問の実績については今までもありますので、御了承いただきたいと思います。及川あつし委員、御了承願います。よろしいですか。
〇及川あつし委員 では、今回のみ。
〇高橋昌造委員長 質疑を続行いたします。
〇樋下正信委員 確かに監査委員をやっていましたのであれですけれども、何かちょっと。(「統一見解を出すべきだ」と呼ぶ者あり)できればそうしてもらえればすっきりするんですけれども。何かやっても……。
〇高橋昌造委員長 質疑を認めておりますので、どうぞ。
〇樋下正信委員 何かやる気がなくなってきたんですよ。やめます。
〇岩渕誠委員 私からは、地デジ対策と沿岸の鉄路の確保の関係でお尋ねしてまいります。
 地上デジタルの対策につきましては、県も優先課題の一つとして取り組まれてきたことと思います。そこでお伺いいたしますが、平成22年度末の地上デジタルの県内の普及率、これは全国の比較とあわせてお示しいただきたいと思いますし、また、3月11日の発災によりまして、この地デジ、さまざまな普及対策が進められてきたわけでありますが、影響があったかどうか、あったとすればどういった影響があったのかお示しいただきたいと思います。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 地デジの普及率と震災の影響についてでございます。
 まず、本年3月に国が公表いたしました地上デジタル放送に関する浸透度調査によれば、本県の地デジ受信機の普及率は昨年12月時点で93.3%でございました。東日本大震災津波によりまして被災した世帯では受信機が流失した状況があったところでございますが、すべての応急仮設住宅には3点セットの一つとしてテレビ、いわゆる地デジ受信機が設置されていることから、現時点では受信機の普及率が相当程度回復しているものと考えてございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。全国との比較がなかったですね。後で示していただきたいと思います。
 岩手県の取り組み自体はなかなか先進的なところも含めてやっているということは承知しておりますが、残念ながら普及率という観点から見ますとまだまだ下位であります。これは地形的な問題がありますので、非常にその経費もかかるという部分が原因をしていると承知いたしております。
 そこで、地デジの普及率を相当程度上げるために、県は、サテライトあるいは辺地共聴が大体終わりましたから、最後の段階になりますと高性能アンテナ、それからギャップフィラー、そしてケーブルテレビでの巻き取り、こういったことが大きくなるわけでありますが、今回の震災で、例えば釜石地区でありますとケーブルテレビが被災しております。今の仮設住宅の話とは別に、根本的なインフラの部分で影響が出ておると思います。そうしますと、当然これは地デジの解消に向けた取り組みの中でも影響があったと私は思っておるのでありますが、そこをしっかりと答弁していただかないと困るんですが。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 確かに釜石市においては、難視聴解消の一翼を担ってございます三陸ブロードネット株式会社のケーブルも被災してございます。現在は復旧中でございますが、地デジが視聴できない世帯につきましては、とりあえずホワイトリスト登録を行って暫定的な難視聴対策を行うとともに、新たに受益者負担の撤廃による高性能アンテナの備えつけ、あるいは既に補助事業が導入されている事業についても再補助を導入するということで、できる限り地域の負担、市町村の負担あるいは個人世帯の負担がなくて地デジを受信できる形で国には要望してございますし、国もそういう形で進めてございます。
 先ほどの全国比較でございますが、全国は94.9%ということで、全国平均を若干下回っている状況でございます。(「順位」と呼ぶ者あり)全国第37位ということでございます。
〇岩渕誠委員 今、副部長の答弁にありましたけれども、今回の問題で、震災も含めて考えますと、やはり情報をどうやって取り入れていくか。情報がないということが非常に不安であるということが今回の震災を通じて大きくわかったことだと思いますが、地デジの中では、やはり被災したときに、これもまた二重の負担を受益者あるいは市町村がしない形で進めないとこれは大変だと。さらなる負担を生じさせることになりますので、ぜひその方向で取り組んでいただきたいと思います。
 さて、この地デジ対策でございますが、御存じのとおり、東日本大震災の影響を受けまして、被災3県につきましてはアナログ停波の時期が来年3月31日まで延長されております。延長されたことによりまして、これはもう待ったなしといいますか、相当程度受信率を高めていかなければならないと思うわけでありますが、現時点で、震災もあり、先ほども指摘しましたようにいろいろな被災があって新たな難視というのがふえているのではないか、そしてまた、視聴ができない、いわゆるホワイトリストもふえているのではないかと危惧しております。この数字がどの程度になっておって、このホワイトリストの解消のために、期間が延長されたということを最大限に利用して解消に努めなければならないと思いますが、現時点でどのような方策、対策を打っているのでしょうか。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 8月末現在のいわゆる新たな難視地区につきましては1、132地区1万2、652世帯となってございまして、そのうち330地区5、703世帯は来年3月31日のアナログ放送完全停波までに地上系恒久対策が完了見込みでございます。残りの802地区6、949世帯は、来年3月31日までに対策が間に合わないので、引き続き衛星による暫定的な難視聴対策を行う必要がございます。
 そのため、先ほど申し上げましたとおり、衛星による難視対策と並行しながら、高性能アンテナとか新たな共聴施設を速やかに、地元市町村、住民の負担のないように、国のお金をもって早急に進めるようにということで対策を講じてまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 6、000世帯の恒久的対策が停波まで間に合わない、こういうことであります。非常に難しいというのはよくわかっているのでありますが、今回の震災を通じて、何度も申し上げますが、圏域の情報が入手できないということは、生活をしていく上で極めて不安、心配の種になるということは被災県として大変痛感したことだと思います。
 そういった中で、やはり国に対しても、相当程度の補助あるいは要件緩和でやっていかないと、情報というのは生活をしていく上での基本的インフラになっていると思います。その辺を被災県としてしっかり取り組まない限りはこの地デジの普及率も上がっていきませんし、情報というものに対しての価値をもっとしっかりと認識する必要が私はあると思うんですが、御見解はいかがですか。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 ただいま委員から御提言がありましたとおり、まさに情報についてはインフラの一番重要な部分ということで、私ども常に被災地に対して、大変な思いをしてこられたものですから、この実情を十分国にこれまでも申し上げてまいりました。東北総合通信局でも、岩手県のほかに福島県、宮城県、被災3県を抱えてございますので、それらの情報を総務省に伝えまして、とにかく被災地においては格別な扱いで特例的に進めてくれという要望を繰り返し伝達してございますし、今後も引き続き強力に要望してまいりたいと思ってございます。
〇岩渕誠委員 ぜひその点はよろしくお願いしたいと思いますし、それから、被災された家庭あるいは地域に対しての受信料の問題とか、これについてもあわせて働きかけていただくように、これは要望にとどめたいと思います。
 次に移ります。
 沿岸の鉄路の確保についてお伺いしてまいります。
 県にとって一番身近なものは三陸鉄道と思っております。これまで本当に全国の三セク鉄道の模範という形でいろいろ注目されながらやってきたわけでありますけれども、これもまた震災で大変大きな被害を受けたということでございます。この被害の状況、そして復旧にかかわる総額、そしてその復旧経費について現在どこまで手当てが見込まれているのかお示しいただきたいと思います。
〇野中交通課長 三陸鉄道の被害状況あるいは復旧額、それからその財源の手当てについてでございます。
 三陸鉄道は今現在、北リアス線の一部を運行しているわけですけれども、陸中野田から小本間が不通になっておりますし、南リアス線全線において不通という状況になってございます。
 被害額につきましては、会社の試算で約110億円を見込んでいるところでございます。
 また、これの財源手当てにつきましては、国に対する支援を要請してまいりまして、今般の第3次補正の中で、被災した鉄道施設を自治体が所有することを前提に、復旧額の2分の1を国が負担する、残りの2分の1を地方自治体が負担するという考え方になっております。また、その自治体の負担につきましては、これまで県と沿線8市町村が折半で2分の1ずつ負担することということで、今回もそういった形で負担し合うということを市町村と基本的に合意しておりまして、その部分の財源負担につきましては、今般の国の第3次補正におきまして、地方自治体の負担につきましては、特別交付税を現年度に交付するということで実質負担はゼロに近くなるのではないかと考えております。
〇岩渕誠委員 非常に手厚い財源支援というものが出てきたということでありますが、これは前提でもありましたとおり、鉄道施設を市町村が有することとなっているわけであります。幸いなことに、三陸鉄道は今、上下分離方式をとっております。鉄道資産に関しましては沿線市町村の財産という形になっているかと思いますけれども、ただ、一部まだ完全に市町村あるいは県で持ち切れていない部分もあるかと思います。最終的にその特別交付税が見込めるということであれば、この際、完全上下分離方式ということで、経営は三陸鉄道がしっかりとやる、財産分については自治体の責任でやるということをきちんと幅を広げて負担すべきは負担すべきと私は思うんですが、見解をお示しいただきたいと思います。
〇野中交通課長 今回の国の補助のスキームに基づいて上下分離という考え方になってくるわけですけれども、今後、その上下分離について、完全な上下分離を進めてはどうかというお尋ねだったと思います。
 現在、市町村が所有している資産につきましては、橋梁、トンネル、平成21年度に土地を追加しまして、大きな資産の部分は市町村が所有してございます。今般、自治体所有であればこういったスキームが利用できるということもございまして、委員御提案のように自治体の所有をさらに進めまして、車両を除く会社が現在所有している施設関係については市町村に所有いただくような方向で協議を進めております。その結果、運営については、会社側が責任を持って運行に専念するという体制を構築していきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 これは大変前向きな御答弁をいただいたと思っております。三陸鉄道自体も大変厳しい経営を強いられているわけでありますし、復旧を果たした後も、これは沿線人口の動向にもよりますけれども大変厳しいことも予想される中で、やはり市町村として、行政として果たすべき責任は、今、御答弁のあったようにしっかりと果たしていただく、これはいい方向ではないかと思っております。
 一方で、JR関係のお話に移りますけれども、例えば大船渡線、これもまた途中でとまっているということであります。大船渡線の場合は県境をまたいで運休しているという状況の中で、代替交通の問題とかがあるわけであります。何とか県境をまたいで1駅でも岩手県側にきちんと復旧ができればかなり交通に関する住民負担も減ってくるかと思うんですが、現在の状況、それと、その考え方についてお示しいただきたいと思います。
〇野中交通課長 JR大船渡線におけます不通区間であります気仙沼から盛間の交通の代替輸送の確保の件でございます。
 これにつきましては、現在、盛から気仙沼までの不通区間におきまして、先般、陸前高田市内の気仙大橋が仮橋ですけれども設置されたことに伴いまして、この区間のバスによる代替輸送を行っております。これにつきましては県内の交通事業者が自主的な運行という形で進めておりまして、現在、1日2往復の運行になっております。
 また、JRにおきましては、この代替輸送区間をJRの振りかえ輸送という考え方もしておりまして、通勤、通学の定期のお客様についてはJRの料金で乗っていただくような形で措置しております。
〇岩渕誠委員 代替措置についてはわかったわけでありますけれども、鉄路本体の復旧、復興についての県としての考え方、JRに対しての要望というものはどうなっているんですか。
〇野中交通課長 鉄路の復旧、復興についてでございますけれども、JR東日本におきましては、市町村の復興計画、まちづくり計画と一体となった形で復旧を検討するというスタンスでございます。これまで、東北運輸局が主導しまして、国、県、市町村、JRという関係者が集まった復興調整会議がございますが、この中で議論を進めております。
 6月に1回目の会議を開きまして、その中では情報交換に終わりましたけれども、現在、大船渡線の沿線の大船渡市あるいは陸前高田市等でまちづくりの復興計画の策定ができてきておりますので、そういった内容をJR東日本に対しても示しながらその議論を加速してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 これで最後にしますが、いずれまちづくりと鉄路をどういうふうにするかということはそのとおりであります。特に旧高田市内については完全に鉄路が喪失しているわけでありますから、これをどうするかという問題はあるんですが、一方で、岩手県の入り口、出口になります陸前矢作駅は、多少そこまでの鉄路は生きているわけであります。全部の区間をどうするかということを待っていたのでは、なかなか鉄路の確保という部分も機能的に難しい部分もあるかと思います。したがって、随時復旧できる部分についてはしっかりと復旧させてもらう、復旧させるために努力をするということが私は必要だと思っておりますので、鉄路が生きているところについては可及的速やかに障害を取り除いて復旧することが次の本格的な鉄路の復旧に確実につながるわけでありますから、その辺はしっかり留意してやっていただきたいと思いますが、見解があればお聞きして終わります。
〇野中交通課長 今の御提言は、いわゆる被災の少なかったところにつきましては部分再開でもいいからどんどん再開してはどうかという御提言だったと思います。これにつきましては、気仙沼から陸前矢作の間の区間は、他の区間に比べますと被害が小さくなっております。そういった意味ではその可能性があるわけですけれども、この可能性につきましては、先ほども申し上げましたJR大船渡線の復興調整会議の中で今後議論をしてまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 私からは大きく1点、NPO団体の件についてお尋ねします。
 発災後、ボランティア団体の皆様あるいはNPO団体の皆様には本当に活発な活動をしていただきまして、被災地としても大変ありがたいというか感謝申し上げるところでありますけれども、そういったNPO団体の活動の一部が、震災後に、被災しながらも立ち上げた事業者あるいはこれから立ち上がろう、再開しようという事業者の障害というか、弊害になっているのではないかというのをちょっと聞いたりしましたもので、そういった観点からお尋ねしたいと思います。
 まず、発災後に新たに設置認定されたNPO団体というのはどのぐらいあるのか。そして、そういった団体に対する委託の内容と実績というのはどのようになっているのかお尋ねします。
〇畠山NPO・文化国際課総括課長 2点お尋ねでございます。NPO法人の発災後の認証の状況ということでございますが、この認証事務につきましては各広域振興局及び権限移譲先の市町村が行っておりまして、私どもで現時点で把握している状況ということでまずお答えをさせていただきたいと思います。
 震災後、現在までに31件の設立認証の申請がございまして、うち19件が認証されていると把握してございます。御参考までに、このうち震災対応ということを主な目的に設立認証を申請いたしました法人が9件ございまして、そのうち5件が認証されているところでございます。
 次のお尋ねでございます。そういったNPOに対する委託の状況ということでございますが、現在、県では震災対応の取り組みを優先ということで、NPOへの委託の状況につきましてもすべてを網羅しているかどうかはちょっと精査できない状況ではございますけれども、これまた現時点で私どもが把握できているという状況を申し上げたいと思います。
 震災後、現在までに県からNPO法人への委託の状況につきましては41件ございまして、その主な内容といたしましては、施設の管理運営業務の委託などがございます。御趣旨を踏まえまして、御参考までに申し上げますと、NPOに対する補助金というものがございまして、その状況もちょっと御説明させていただきますが、現在、私どもが把握しているNPO向けの補助金ということでは9件ございまして、その主なものといたしましては、当部当課が所管いたします新しい公共の場づくりのためのモデル事業といったものがございます。
 この補助金につきましては、6月補正で予算措置いたしまして、NPOの官民協働の震災対応の補助事業を補助対象としておりまして、これまで10件採択させていただきました。そのうちNPO法人と市町村が協働して実施している事業につきましては6件でございまして、その主な内容といたしましては、温泉入浴、買い物支援サービス、あるいは被災地等地域コミュニティ再生のための人材育成、観光再生のためのDVD、小冊子の作成及びPRといったものが補助事業の主な中身でございます。私どもが把握している状況は以上でございます。
〇岩崎友一委員 今、主な中身ということでしたけれども、例えばそういった内容で地元の事業者が請け負える内容の業務というか、活動をNPO団体に委託している例というか、実態というものはあるものでしょうか。
〇畠山NPO・文化国際課総括課長 地元業者が請け負える内容についてNPOへ委託している事例ということでございますが、基本的に委託に関しましては県の事業委託の発注ということでございますので、理由なしに発注先をNPOに限定しているということはないものと認識しておりますが、ただ、補助金に関しまして、国庫補助制度を導入いたしました県事業におきまして、営利企業を補助対象外としているケースは、先ほど申し上げた新しい公共の場づくりのためのモデル事業といったものがございます。しかしながら、その補助事業におきましても、県といたしましては、助成先を選定いたしました新しい公共支援事業運営委員会の御指摘なども踏まえまして、事業実施に当たりましては、地元業者からの調達あるいは地元市町村との連携に十分配慮しながら事業を進めるようにということを求めているところでございまして、今後とも、その辺についてはしっかり徹底していきたいと考えているところでございます。
 例えば、先ほど御紹介させていただきました事業の一つの事例として温泉入浴、買い物支援サービスといったことがございますけれども、これにつきましては、地元のタクシー業者としっかり協力しながら、被災者の温泉等への送迎を実施しているところでございますし、また、同じ補助事業の中に事例としてございますその一つには、商工会連合会が中心となりまして、被災した店舗へのテントあるいは販売備品等の貸与、提供を行いまして、地元業者の復興支援をしっかり行っているという活動もあるところでございます。そうしたことで、私どもも、委員の御質問の趣旨も踏まえながら、しっかりと地元業者に対する対応というものも留意してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 わかりました。今、地元の市町村との連携というものもありましたけれども、結構突っ走っているといいますか、どうしてもそういったNPOが見える部分がありますので、地元の市町村あるいは商工会とか事業者とか、結局、NPOが頑張ることによって、地元のそういう復興の妨げになってはいけないと思いますので、しっかりと連携して取り組んでいただきたいと思いますし、また、県に限らず各市町村で、例えば内陸の市町村とかがNPOに発注している分とかでもそういった部分が見えますので、その辺もしっかり管理徹底していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
〇飯澤匡委員 大きく3点についてお伺いします。
 最初に、試算という観点から、TPP協定参加による本県の農林水産業への影響について、当該部局はそういう試算、統計も扱っている部署でございますので、お聞きします。
 さきに岩手県は、本県の主に農産物生産額の影響、直接的な影響額について公表したところでございます。この前提条件は、対象品目は19品目等々、それから、直ちに関税撤廃を行い、生産量の減少、価格低下に対し何らの対策も講じない場合とされておりまして、合計額1、682億円と試算されております。
 さきの常任委員会で地域政党いわての及川あつし委員から、鹿児島県が10月18日に、政府に、みずからの試算によりまして、直接効果、直接被害だけではなくて地域経済への影響、そして間接効果、第2次波及効果等、鹿児島県も岩手県と同様の農業県でございますので、その点も網羅した、含めた試算を独自に政府要望とともに出しているわけでございます。この点は、これからの議論を展開する上で、本県の農業をどのように守っていくのかという観点に立てば、やはり大事な指標かと思います。及川あつし委員からは、その試算の算定についても当部局について依頼をしているわけですけれども、その影響額、岩手県が鹿児島モデルでどの程度、地域経済への影響等、間接効果、第2次波及効果について試算をなされておるのかお聞きしたいと思います。
〇大平政策監 鹿児島県のTPP影響額試算を踏まえた本県の影響額の試算でありますが、まず、本県におきましては、先ほど委員からお話がありましたように、1、682億円という農林水産部が試算したものがございます。これは生産額そのものでございます。
 一方、鹿児島県が公表いたしました試算内容を調べたところ、本県とは対象品目が異なります。品目につきましては、砂糖、サツマイモ、牛肉、牛乳・乳製品、豚肉、鶏肉、鶏卵、米、お茶という品目は異なるわけでありますが、この9品目を対象にいたしまして、農業生産額に加えまして関連産業─関連産業といいますのは、例えば鹿児島県の場合ですとサトウキビから砂糖をつくる、あるいはサツマイモからでん粉をつくるという関連産業でございます。それらを加えたものに地域経済への影響額というものを含めて産業連関表で算出したということでございます。また、一方、本県では林業、水産業の生産額を試算してございますが、林業、水産業は対象としていないところでございます。
 本県への影響額につきまして、さきの常任委員会の御指摘、御提言を踏まえまして試算したわけでございますが、関連産業につきましては現時点では把握が困難でありまして、試算は行っていないところであります。これは、例えば地域の域外からどのような原材料が入ってくるかなど、購入の有無がなかなか試算が困難でありますので関連産業については把握しておりませんが、地域経済への波及効果につきまして本県の産業連関表を用いて試算したところ、農林水産生産額1、682億円の減少に加えまして、マイナス728億円程度の影響があるということが推計されます。あわせまして、これらを加えまして2、410億円程度の地域経済への影響があるものと試算されるところであります。
〇飯澤匡委員 直撃打撃とともに地域経済への影響も1、682億円の約半額程度ですね。そうすると、ただいま、大体2、410億円の影響が出るということでございます。
 これ以外でも運輸関係であるとか、ほとんど農業生産県である東北地方は、岩手県ももちろんそうですが、かなりの影響額が出ると予想されております。このことも合わせると2、410億円にとどまらないということが容易に思料されるわけでございます。
 国では、きょうの新聞の報道によりますと、多方面で試算していた部分を内閣府がまとめて、APECに合わせて、GDPが2.7兆円増加するという参加効果を試算したと報道されておりますけれども、やはり農業県、岩手県としてのしっかりとした影響額を試算した上で、本県としての態度、農業の再生、発展する方策、これらについて仕掛けていくという姿勢が必要かと思います。資料の試算については本当にありがとうございました。
 2点目は、冒頭、部長からございました国際リニアコライダー計画についてお尋ねいたします。
 さきに報道がありまして、平成23年度3次補正予算でILCの調査費が計上される見込みで、数億円とされて報道されました。これはKEKに調査を委託して、再度といいますか、国としては初めて地質調査等に充当される見込みだとされております。
 まず、質問の第1は、これまで県は東北大学と連携して地質調査をしてまいりました。また、再度、国が今度は主体となって、調査費を計上して調査活動するわけですが、今までの調査の体制と、今度の国が主体となってやる調査はどのように区別されるのか、また、発展的な調査をするのかどうか、そして、これまでのデータはどのように生かされるのか、その点についてお伺いします。
〇大平政策監 国の調査と県の調査との関係のお尋ねでございます。県が昨年度、東北大学と共同研究で行いました調査は、3カ所のボーリングに加えましていわゆる弾性波という地震波、簡易な起震というか、振動を起こしまして、地質の状況を調べるというものをいわばピンポイント的に行ったものでございます。
 今回、3次補正で措置される内容については公表されておりませんし、具体的な内容は承知しておりませんが、金額が数億円程度、そのうち地質調査に幾らか充当されると聞いております。となれば、規模からいたしまして、広域にわたってある程度、30キロなり50キロといわれているトンネルのラインに従った広域的な調査が行われるものと思われます。ただ、先ほど申しましたように、具体的な内容については研究機関等からも全く公表されてないところであります。
〇飯澤匡委員 県は、この間、もう10年以上前にもなりますか、吉岡先生であるとか、最近は山下先生であるとか、KEKにかかわるさまざまな技術陣また教授陣とも連携して、国際リニアコライダー計画については推進の方向で水面下で活動なさってきました。ようやく今度は国が動き出したということで一段階、まだ候補地は決まってはおりませんけれども、国が本腰を入れたということは大変喜ばしいことだと思っております。
 そこで、今度の調査費についてはKEKのほうに事業調査費ということで預けられるわけですけれども、今まで培ってきたKEKとの関係、もちろん他の団体もありますけれども、技術的な面から支えるという意味で、県は、国が調査費を計上したということを踏まえて、さらにKEKとどのようにかかわっていくか、この点は重要かと思いますけれども、今後のかかわり方についてお示しいただきたいと思います。
〇大平政策監 つくばにございます高エネルギー加速器研究機構、通称KEKと呼んでいるわけでありますが、KEKにつきましては、研究者で構成されます国際組織であります将来加速器国際委員会というものがございます。そちらの議長をKEK─高エネルギー加速器研究機構─の鈴木機構長が務めているように、リニアコライダーの推進役としての役割を担ってございます。
 国内では、本県のほかに九州など候補地がございまして、KEKの立場といたしましては、岩手県にということではなく、日本国内に推進するという立場がございます。そのような立場を踏まえて我々も御協力を申し上げているところであります。
 一方、岩手県といたしましては、本県の候補地が一番すぐれていると思ってございますので、それらの観点から、KEKにさまざまな情報を提供してまいったところであります。
 今回、3次補正を受けてKEKが地質調査を行うといわれておりますので、これにつきましても、地元対策、例えば地権者の方々がどうなっているかなど、市などとも協力いたしまして、これまで培ってきた関係を生かしまして、ぜひ、アジアの候補地として北上山地が残るように全面的に協力してまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 このILCの建設費には約8、000億円が必要だと推計されておるわけでございます。今回は文部科学省からその調査費が計上される見込みとなっておりますが、さきに奥州市で勉強会があったときに山下先生と懇談する機会がありまして、文部科学省サイドの中で予算を構築していくのはやはり限界があるのではないかと。というのは、国の1年間の予算枠というのは大体決まっておりますので、その中に組み込まれてしまったのでは、円滑な事業を推進するという部分については、科学者の立場から言うと不安があると。今回、東日本大震災ということで、復興の象徴としてというような話もございます。それをてこにして、何とか北上高地というお話もありまして、これは単なる私の提案だけではなくて、今度、復興庁という省庁もつくりました。復興庁という中で、予算の所管を県としても国のほうに求めていくような運動も展開することが必要ではないかと思うわけでございますが、その点について県の見解を求めたいと思います。
〇大平政策監 復興庁につきましては、復興に関する国の施策の企画、調整あるいは地方公共団体の窓口ということで、原則として、具体的な事業は所管しないと聞いております。
 一方で、国際リニアコライダーにつきましてはさまざま応用が可能で、新産業の創出など地域へのさまざまな波及が期待できるということから、県といたしましては、国の復興構想会議などに東北復興のプロジェクトとして位置づけるように要望、提言してきたところであります。復興担当大臣を初め文部科学大臣に対しましても、同様な提言、要望を行ってきたところでありまして、復興の予算ということで位置づけしていただくようにはお願いしております。
 一方で、復興庁は、先ほど申しましたように、さまざまな事業制約、あと時限立法、10年間の期間という、復興庁の新しい法律ではそのようになってございます。国際リニアコライダー計画は、いつ着工になるかという点も含めまして、相当長期なプロジェクトになると思われます。したがいまして、国で復興予算として推進するというのはなかなか難しい点もあろうかと思いますが、県といたしましては、先ほど申しましたように、復興の象徴的なプロジェクト、復興には必要だということで、長期的な視点で、予算の獲得などを含めまして要望してまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 さきの本会議の一般質問の答弁で、国のこの調査費が計上されたことにあわせて特命課長も配置するということで、県の積極的な姿勢については評価をいたしたいと思います。
 今後、やはり北上高地周辺自治体との協力体制が肝要になると思います。今まで県南広域振興局は、このILCについては積極的には、具体的にはかかわってこなかったと承知しておりますけれども、これは、たしか山下先生がおっしゃったと思うんですが、オリンピックの誘致と同じで、自治体の熱意と、そして新しいまちづくり、もっと言えば、市民を中心にした機構をつくって、その中で新しい21世紀型の科学研究都市を展望しながらまちづくりをしていくという観点がぜひ必要だというようなことも示唆されております。
 今後、県の体制も非常に大事ですけれども、特に県南広域振興局、これは奥州市、一関市、どちらも密接にかかわってきますので、その周辺の自治体との協力体制、また、自治体との連携はこれからどのように築いていくのか。さらに発展させてどのようにしていくのか、その方向性についてお示しいただきたいと思います。
〇大平政策監 県南広域振興局の役割や周辺自治体との協力体制についてでありますが、これまで、発災前は国際リニアコライダー計画は東北全体で取り組むということで、地域の1市町村とか1地域の問題でないということもございまして、県や東北の研究会を中心とした活動をしてまいりました。したがいまして、県南広域振興局が余り地域のことで表に出ないようにという、県としてもそのようなこともありまして、県南広域振興局の活動が活発でないように思われたかと思われます。
 一方、先ほど申しましたように、東北の復興ということで、被災地から非常に近いところの、例えば陸前高田市からは数十キロ、一番近いところでは20キロとか30キロというところにトンネルが建設されるわけでありまして、県南広域振興局の役割も非常に重要になってくると思われます。特に一関市、奥州市は、中学生を筑波研究学園都市などに派遣するなど、地域住民に対する科学への理解、取り組みが非常に積極的に進んでいるところであります。このような点を踏まえまして、県南広域振興局におきましては、委員から御提言がありましたように、地域に密着した振興局といたしまして、ILCを核とした地域づくりの取り組み、あるいは青少年への科学の普及啓発、地域住民への理解促進、これらついて今後は重点的に、本庁と役割分担を行いながら、誘致に向けて活動してまいりたいと思っております。
 さらに、周辺自治体との協力体制でありますが、一関市、奥州市につきましては、これまでも東北の研究会の講演会活動に当たりましては共催いただくなど、全面的な協力関係をいただいております。地質調査につきましても、地元住民への説明会などについても御協力をいただいて、密接な連携関係を構築してきたところであります。
 今後は、直接の市町村のみならず周辺の花巻市、北上市などを含めまして全県的な理解促進などを行う必要があると思っておりますので、周辺自治体ともさらに十分連携しながら取り組んでまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 先ほど申し上げましたように、筑波研究学園都市以上の国際科学研究都市─私は、平泉の文化遺産もあわせて国際研究文化都市の形成という観点で、複合的な部分で県にもかかわっていただく、そして自治体とも密接に連携していくということを御要望申し上げたいと思います。
 時間が経過しましたので、最後、まとめてお聞きしますが、政策評価についてお伺いします。
 先日、不用額をキーワードにして予算編成と事務事業の評価、連携強化というのは、ここ数年来、予算調製のあり方について課題となった部分でございます。今後、財政的な効果とあわせて予算編成についても行っていくという総務部長の答弁がありました。現在の状況もあわせて、今後、予算編成と事務事業の評価、わかりやすいように例示を挙げて政策評価のあり方について示していただきたいと思います。
〇森評価課長 予算編成と事務事業評価の連携についてでございますけれども、第1期アクションプランの改革編におきましては、政策評価、事務事業評価と連動した予算編成システムへの再構築ということを掲げさせていただいておりまして、政策的経費すべてにつきまして事務事業評価を行っております。これに基づきまして、当初予算の編成作業に反映できるように、11月までに作業を進めているところでございます。
 事務事業評価と予算編成の連携につきましては、ことしの2月県議会定例会に御報告申し上げました政策評価レポートにおきまして、事務事業評価の結果が翌年度の予算にどのように反映されたのかを示します事務事業評価結果の政策への反映状況を盛り込ませていただいているところでございます。
 こうした連携の結果、平成23年度の予算編成におきましては、事務事業評価を行った政策的な事業が740事業ございます。雇用基金関係の事業を除いてでございますが、これらのうち、評価結果を踏まえまして縮減または廃止、休止とした事業が46事業ございます。予算のうち、一般財源で6億2、100万円ほどの縮減が図られたところでございます。
 また、平成23年度の当初予算案の公表に際しましては、新たに一定年数経過事業等における事務事業評価を踏まえた予算要求・調製の概要についてという資料等も公表させていただいておりますが、予算編成と事務事業評価のさらなる連携強化に鋭意努めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 そこで、最近ちょっと気になるのは事業評価、要は知事マニフェストも含めて、思い切って県民所得の向上ということで具体的な金額も出して、その目標に合わせてやっていくというやり方をしてまいりました。総括質疑でも議論のあったところでございますが、最近よく言う一定の評価。目標には届かなかったけれども、別の物差しをもってきて、これはある程度頑張ったけれども、それでよしという県の評価体制といいますか、言明の仕方がありますけれども、一定とはどういう意味を指しているのか。最近非常に耳につくわけですが、その点について、政策評価という立場から、その意味についてお知らせいただきたい。
〇高橋昌造委員長 この際、進行に御協力願うため、答弁は簡潔明瞭にお願いします。
〇森評価課長 一定の評価という表現についてでございますけれども、いわて県民計画に掲げます県民所得、地域医療などの政策推進目標は、県はもとより、県民の皆さんですとか市町村、NPO、企業の皆様などさまざまな実施主体とともに一緒になって目指すべき目標と考えております。それぞれの実施主体の取り組みによって成果が上がっているということがございますけれども、その目標に対します各主体がどれだけ貢献したか、その寄与度が明確でないこと、あるいは世界的な景気変動という外部要因の影響がはかれないということもございますので、県としては、一定の成果を上げたという表記、表現で評価させていただいているものでございます。
〇飯澤匡委員 これで最後にします。どうも、私の聞き取り方がちょっと違うのかもしれませんけれども、先ほど言いましたように、目標設定はしたけれども、いろいろな外的要因で届かなかった。しかし、別の物差しをもってきて、ある程度行きましたというように聞こえるわけです。これは、ある程度県が目標設定したら、なぜ届かないのかというところにしっかり踏み込んで次につなげていく工夫をしなければならないと思うんです。筋肉を鍛えるのも、この程度でやめてしまったらまあいいんだろうということでやってしまったら、筋肉がついていきません。やっぱりしっかりとした体をつくるには、目標設定したことの限界まで挑戦していかないとだめだと私は思うんです。
 最近、県が定めた目標に対して、どうも耳につく一定の評価というのが気になっています。その点について、最後に部長、どのような政策評価と、事業達成のためのこれからの県の政策推進、その点について所感をいただきたいと思います。
〇千葉政策地域部長 今、当部としての基本的な考え方というか、その意味づけについては評価課長から御説明したとおりでございますが、大きな政策推進目標とか、そういう課題の取り組みについて使用すべき表現だと思っておりまして、いわゆる施策レベルあるいは事業レベルで一定の評価という言葉を使うのは余り好ましいことではないと考えております。したがいまして、やはり使い方については限定した使い方をする必要があると考えております。
 また、政策評価、特に目指す姿指標につきましては、県のみならず市町村あるいは民間団体、県民一人一人ということで、いろんな方々の参画、その寄与度、いわゆる取り組みのベクトルの総和として出てくるものでございますので、県の取り組みについては、委員御指摘のとおり、限界にチャレンジするというのは当然やっていく必要があろうと思っております。ただ、市町村あるいは民間団体の取り組みについてはある程度承知している部分もありますし、取り組み内容をなかなか承知できない部分もございます。そういう面も含めまして、具体的にどういう分野の方々に、県も含めまして、頑張れば、より上がっていくのかということをできるだけ具体的に明確にするような方向で今後検討を進めていきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 私からは3点ほどお伺いしますが、一つは地域公共交通会議の設置の考え方であります。
 実績達成度Dということで、各市町村における公共交通会議の設置がなかなか進んでいないということがこの指標の報告の中にも出ているわけでありますが、具体的には、なぜ、そういった設置の方向でなかなか進んでいかないのか、その要因等についてまずお伺いしたいと思います。
 2点目は、いわゆるIGRの並行在来線対策についてでございますが、貨物線路使用料等にかかわるいろいろな全国的な取り組みも含めて、本県として、IGRの経営安定化対策のために、この間、取り組みを進めてきた経過がございますが、一定の前進が図られてきたことも含めて聞いてはおるんですけれども、改めて、そうした状況がどのようになっているのか、そして、平成22年度の経営実績から見たときに、そうした国等の動向がどういう影響を与えるのか、その見通し等も含めた考え方についてお示しいただきたいと思います。
〇野中交通課長 まず、地域公共交通会議の設置に係る目標に対する未達成についてでございます。この会議につきましては、道路運送法によって市町村が有償のコミュニティバスなどを運行する場合に調整機関として設置が必要とされております。また、地域の実情に応じた効率的な、あるいは効果的な交通体系を構築する場として非常に有効だと考えております。そういった観点から、県も目標を掲げて促進してまいりましたが、今回の4年間で全34市町村において設置していただく形で目標を設定しましたが、実績は24市町村にとどまっております。現在、未設置が10市町村になっているわけですけれども、お尋ねにありました設置が進まなかった理由といたしましては、市町村の中には交通に関する専担組織が設置されておりませんで、また、公共交通に関する専門的なノウハウの蓄積が十分ではない面があったのかなと考えてございます。
 次に、並行在来線に係るJR貨物線路使用料の問題に係る本県の取り組み、その状況等、あるいは今後の見通しということでございます。
 JR貨物の線路使用料の問題につきましては、JR貨物の走行実態に見合った線路使用料を確保するということから、県では政府・与党関係機関等に対し、繰り返し要望を重ねてきたところでございます。また、全国の並行在来線関係が12道県ございますが、これらの道県とも連携を図りながら、国等に積極的に要望活動を展開いたしてまいりました。その結果、今後、平成23年度から平成32年度までの10年間につきまして、貨物線路使用料に係る調整金でございますが、この費用として総額1、000億円を確保するということにつきまして昨年末に関係大臣の間で合意がなされ、先般といいますか、6月8日に国会において法案が成立しまして、8月1日から施行となってございます。
 また、現在、IGRいわて銀河鉄道におきましては、その使用料の増額に係る変更認可等の手続を進めておりまして、この中で今年度の使用料の増額が7億円程度と試算しているところでございます。
 それから、使用料の増額によりまして、今後の経営への影響といいますか、見通しということだったと思いますが、これまで会社での経営見通しでは、使用料が増額にならなかった場合、平成25年度においては1億円を超える赤字が発生すると試算しておりましたけれども、平成23年度から、試算ではございますが、7億円が増額されるということになりますと、経営に対する相当の改善が見られるものと考えてございます。
〇木村幸弘委員 まずは公共交通会議の設置の関係ですけれども、今、説明をいただいた進まない理由の中で、無論、市町村のそれぞれの主体的な行政機能というか、そういうところで十分対応し切れないというのはわかるんですけれども、しかし、一方でやはり具体的に推進を図っていくことによる効果も大きいということも県として認めているわけですから、そうした未設置の自治体等に対して促進を図っていくという観点でいえば、そういうノウハウであるとか体制の不備等の自治体が抱えている課題を、やはり県がきちっとそこに入ってそれを指導していく、あるいはその役割を担っていくという姿勢が必要になってくるのではないかと思いますけれども、そうした点についてはどうなのかということを改めてお考えをお聞きしたいと思いますし、それから、今回、3.11の災害を受けて、特に沿岸等を含めたそういった公共交通会議等が設置されている自治体等が影響を受けているとすれば、そういった再構築等も含めて、今後のまちづくりあるいは復興計画等の関係性から、公共交通会議等の役割をどういうふうに位置づけていくかとか、そういった点についての考え方などもあればお示しください。
 それから、並行在来線の問題は、国の新たな措置を含めて大変期待される部分であるわけでありますけれども、いずれにしても、新幹線が青森まで開業した今後の並行在来線が抱えるいろんな課題、問題点も当然あるわけですし、そういった部分の経営に対する影響なども十分に考えていく必要があると思いますけれども、それらの点についてはどのようにとらえているのかお伺いしたいと思います。
〇野中交通課長 地域公共交通会議のこれからの設置促進についての県の役割というお尋ねであったと思います。これにつきましては、市町村の地域ごとに背景とか抱える状況が異なります。そういったことから、今後といいますか、個別の市町村と十分意見交換を進めまして、それぞれの地域の個別課題を県と市町村で共有を図っていきたいと考えております。具体的には、そういった中で有識者を含めた地域公共交通活性化支援チームというものを課内に設けてございますので、こういった有識者の方々の活用も含めて、その市町村ごとの公共交通の課題解決のために一つでも支援ができればいいのかなと思っています。そういった中で公共交通会議の設置を促進してまいりたいと考えております。
 それから、今回の被災によってそれぞれの市町村においてもいろいろ大きな課題を抱えているわけでございます。そういった意味では、沿岸市町村においてはこういった会議が非常に重要であるんですけれども、今の時点では、なかなか関係機関と十分調整するような会議を開いているいとまがないといいますか、そういった状況が今の段階ではないわけでございまして、現在は国の調査事業等を導入いたしまして、被災地域の地域公共交通、足の確保につきまして、県、市町村、有識者で構成するメンバーで、各市町村に出向きながら、被災地域の仮設住宅の交通確保について支援していくということで考えております。
 それから、並行在来線の今後の課題ということがございます。これは、実は沿線市町村の人口そのものも減少傾向にありますので、今後、運賃収入といいますか、収入も当然減少する方向というものが見通しとしてあります。また、将来的に大規模な設備投資も控えてございますので、そういった課題等も含めながら、関係の市町村あるいは運営会社とも協議しながら、今後の対応を協議してまいりたいと思っております。
〇木村幸弘委員 最後にもう一点ですが、今回の災害発生に伴って避難者の方々が内陸の自治体へ移動しているという状況の中で、行政サービスの提供のあり方ということが、実は現地というか、内陸部の自治体からも、どこまで行政サービスの提供ができるのかというところと、いわゆる住民としての在籍を持たない、しかし、保健、医療、福祉、教育といった身近な行政サービスにかかわっては、そこに住んでいる住民の一人として、避難者をどう受けとめて公共サービスを取り組んでいけばいいのかというところで、いろいろと問題が出ているように聞いております。そうした点について、本来、復興局との関連性もちょっとあるんですけれども、政策地域部の観点からその考え方がもしあればお聞きをしておきたいと思います。
〇堀江市町村課総括課長 被災市町村から内陸へ避難されている方々への行政サービスの提供のあり方でございますが、被災市町村が、区域外に避難された避難者の方々に対して必要な情報提供を行うために、本年4月に総務省が全国避難者情報システムを構築したところでございます。このシステムでは、避難先の市町村におきまして、避難者から、任意でございますが、氏名、生年月日、現在の居所、連絡先などの情報を収集しまして、これを避難元、いわゆる被災市町村に提供しております。今月の19日現在で2、714名が内陸市町村への移転という形で登録されているところでございます。
 こういった情報を受けました避難元の市町村におきましては、例えば各種給付の連絡、国民健康保険証の再発行の連絡、税あるいは保険料の減免、猶予、期限延長などの通知といったものを避難者に対しまして情報提供することが可能となっているところでございます。
 私どもとしましては、これまでも、このシステムの活用につきまして県内全市町村に対しまして協力の要請をしてきたところでございます。引き続き、このシステムが効果的に活用できるように支援していきたいと考えております。
 なお、避難者支援に対します具体的な自治体間の行政サービスの連携の状況につきましては、避難者支援を担当しております復興局におきまして詳細を把握して、それぞれ避難者や市町村を支援しているという状況でございまして、私どもで詳細データはちょっと持ち合わせておりませんので、御了承願います。
〇高橋昌造委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時52分 休 憩
午後1時2分 再開
〇熊谷泉副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは、統計調査費にかかわって、岩手県民経済計算による本県経済の状況についてお聞きします。
 県内総生産、県民所得、雇用者報酬はこの間どう推移しているでしょうか。いつをピークにどこまで落ち込んでいるか、その主な要因を示していただきたい。
〇浅田調査統計課総括課長 県内総生産、県民所得、雇用者報酬の推移についてでございますが、まず、県内総生産については、名目値で見ますと、平成12年度の4兆9、912億円をピークに減少傾向で推移し、平成21年度は4兆2、546億円となったところでございます。
 次に、県民所得については、平成12年度の3兆7、006億円をピークに減少傾向で推移いたしまして、平成21年度は2兆9、672億円となったところでございます。
 次に、県民雇用者報酬については、平成12年度の2兆5、607億円をピークに減少傾向で推移いたしまして、平成21年度は2兆1、462億円となったところでございます。
 落ち込みの要因についてでございますが、近年は、平成20年度の世界的な金融危機に端を発した経済情勢の悪化などの影響によりまして製造業を中心に県内総生産が落ち込みまして、それによって県民雇用者報酬、企業所得等が減少し、県民所得が落ち込んだものと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 それは全然甘いですね。平成20年のリーマンショックはあるけれども、それ以前からずっと落ち込んでいるんですよ。平成20年度にどんと落ちたんじゃないんですよ。一貫して落ちているんですよ。
 これは部長に聞きましょうか。一貫して落ち込んでいる理由は何ですか。岩手県経済、そして県民所得、雇用者報酬、もう10年来落ち込んでいる、私はその問題は何かということをお聞きしたい。
〇千葉政策地域部長 落ち込みの要因についてでありますけれども、平成12年度がピークだったということでございますが、例えば平成13年度から落ち込みましたのは、当時のITバブルの崩壊によりまして製造業の落ち込み等があったことなど、その以降さまざまな要因によって低下しているものと考えております。
〇斉藤信委員 根本には、大企業が利益を上げて、この間10億円以上の大企業は今、257兆円内部留保をため込んで、この10年間で100兆円ふやした。しかし、雇用者報酬がここまで落ち込んだように、労働者の賃金は上がらなかった。世界で日本だけですよ、労働者の賃金がこの10年間上がらなかったのは。私は、やっぱりここに岩手県の経済だけではなく日本の経済全体が落ち込んでいる最大の要因があるのではないかと、これは指摘だけにとどめて、次に行きます。
 製造業における生産額の中で、食料品が占める額、比率、これはどうなっているでしょうか。上位3分野はどうなっているでしょうか。製造品出荷額も含めてわかれば示していただきたい。
〇浅田調査統計課総括課長 製造業における生産額の中で食料品が占める額、比率についてでございますが、平成21年度の岩手県民経済計算によりますと、食料品の名目総生産は1、768億円、製造業の中に占める比率は28.2%となっているところでございます。
 また、製造業における平成21年度の総生産の上位3分野は、食料品、電気機械、その他の製造業となっているところでございます。
 製造品出荷額、これは県民経済計算ではなく工業統計のほうで。申しわけございませんが、その資料しかございませんので。平成21年度でございますが、食料品製造業は3、594億917万円となっているところでございます。
〇斉藤信委員 これは県民経済計算でも工業統計でも、製造業の中で第1位は食料品なんですよ。これが岩手県の製造業の最大の特徴。
 先ほど飯澤委員がTPPの影響試算というのを聞きました。私も改めてお聞きしたい。
 農林水産業の生産減少額は1、682億円ですが、食料品の生産額は1、768億円、製造品の出荷額は3、594億円ですよ。私は、これは直接の生産額の減少と同じように、食料品の生産額、製造品出荷額に対する影響が出てくるのではないかと。この点で、先ほど試算ができないと言いましたが、食料品の生産額、製造品出荷額に対する影響はどういうふうに把握できますか。
〇大平政策監 先ほど飯澤委員に答弁で申し上げましたものは、農林水産業関係の関連産業ということで試算できないと申し上げたものであります。同様に、食料品生産額への影響についてでありますが、食料品製造業におきましては、県内農林水産物を原材料として使用している場合のほか、あるいは輸入農林水産物や他県の農林水産物を原材料に使用している場合なども想定され、例えば食料品の中には、パンなど、あるいは水産物、豆腐などさまざまなものがございます。そういうこともございまして、TPPに参加した場合に受ける影響は多様であると考えられることから、現時点では食料品生産額への影響を試算することは困難と考えます。
〇斉藤信委員 試算できない理由ばかり載せて、推計なんだから試算というのは、できないんじゃなくて、こういう条件だったらこうなりますよと、そういうことを試算すべきでしょう。試算とか推計というのは条件なんですよ、条件設定なんですよ。こういう条件でというふうにやれば、鹿児島県だって北海道だってやっているんですよ。
 北海道の場合は農業生産額の減少が5、500億円ぐらいなんですね。これは農業生産額の大体56%です。大体1兆2、000億円の生産額と見ていい。それに対して、地域経済への波及効果は2兆1、000億円なんですよ。いわば農業生産額の直接的な影響の約4倍、地域経済に対する影響があると試算しているんですよ。私は、岩手県の場合は、水産加工も含めてかなり、そして食料品製造額は、先ほど答弁あったように岩手県の製造業の第1位ですよ。このことをしっかりあなた方が検討しなかったら、どうやって日本の農業、産業を守るんですか。部長、どうなんですか。北海道でできて、何で岩手県はできないんですか。
〇千葉政策地域部長 試算のあり方についてでありますけれども、先ほど政策監から申し上げましたとおり、どういう状況を設定するかという面については非常に難しい面があるのではないかと考えております。
 いずれ非常に大きな額の影響額でございますので、その条件設定につきましては相当慎重を期する必要があると。北海道あるいは鹿児島県と本県の第1次産業の構造についても異なる点もございますので、そういうものを踏まえて検討する必要があるものと考えております。
〇斉藤信委員 鹿児島県の資料もいただきましたけれども、鹿児島県の場合は農業生産額で1、813億円の減少、関連産業で1、858億円、地域経済で1、996億円、合計5、667億円というのが鹿児島県の影響試算です。
 北海道の場合は5、563億円の農業生産額の減少、地域経済への影響を含めて2兆1、254億円、農家戸数の72%に当たる3万3、000戸がなくなり、17万3、000人の雇用が失われると。こういう試算を含めて、北海道の知事は、自民党推薦の知事だけれども断固としてTPP反対と堂々と主張しているわけですよ。
 そういう影響を推計であってもできるだけ示して、そして私は、TPP交渉への参加というのは、岩手県の農林水産業の死活にかかわる問題だと思いますよ。その死活にかかわる中身をわかる範囲で県民に示していく、そこにあなた方の仕事があるんじゃないですか。
 TPP交渉参加というのが岩手県の経済、岩手県の農業、産業にどういう影響を与える問題なのか、部長はどういうふうに受けとめていますか。
〇千葉政策地域部長 いずれこのTPPに関します県内経済への影響ということは、ただいま農林水産業分野についてお話もございましたが、関連する他産業も含めて極めて大きい影響があるものと考えておりまして、その点については委員の御認識と軌を一にしていると考えております。
〇斉藤信委員 極めて大きな影響があると受けとめていると。それにしては知事がなぜ反対を言えないのか、なぜ歯切れが悪いのか。あなた方がまさに政策分野のかなめですから、知事とあなた方とどういう議論になって反対と言えないのか。北海道に次ぐ、まさに日本の食料基地ですよ。そして、大震災で被害を受けた。私は北海道以上に、この岩手県の産業にとっても、大震災の復旧、復興にとっても本当に障害になるこのTPPに対して立ち向かわなければならないと思うけれども、知事とどういう協議があるのですか。
〇千葉政策地域部長 いずれこの問題につきまして県内にどのような影響を与えるかということにつきましては、知事を初め三役あるいは私どもあるいは農林水産部とともにいろいろと議論を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 必要な時期に知事は国に提言をしたいと。近々北海道東北地方知事会もあると。11月早々にも民主党も政府も参加を決めようという風雲急を告げる状況ですが、あと10日もありませんよ。1週間もないですよ、10月は。どういうスケジュールになっていますか。国に物を言うスケジュールは立っていないのか立っているのか、北海道東北地方知事会の日程を含めて示していただきたい。
〇千葉政策地域部長 まだ実質的に固まったものではございませんので、現在公表できる段階ではございません。御了承願います。
〇斉藤信委員 必要な時期に行動する、国に提言する、これは知事の答弁ですから。しかし、本当にあと何日もない、切迫した状況ですよ。ぎりぎりになってもだめなので、こういうものは早く知事が行動する、国に物を申す、このことを強く求めておきたい。
 次に、交通政策についてお聞きします。
 JRの復旧をそれぞれの路線でどのように検討されているでしょうか。
〇野中交通課長 JR線の復旧についての検討状況でございます。
 八戸線につきましては、現在、全線開業に向けた工事を着工中でございまして、来年4月には全線開業されると伺っております。
 それから、JR山田線及びJR大船渡線につきましては、東北運輸局が主導で設置している国、県、市町村あるいはJR等のメンバーが構成委員になっている復興調整会議というのがございますが、それぞれ山田線、大船渡線の会議が設置されていて、この中で情報交換あるいは調整等が進められている状況でございます。
〇斉藤信委員 三陸鉄道については3年以内に復旧すると。これはスケジュールも立てて、今回も補正予算が成立して、私は直ちに復興の取り組みが始まると思うんだけれども、第3次補正で先ほど答弁にあった補助のスキームも示されたと。ああいう形で補助スキームが示されたのなら、三陸鉄道は3年じゃなくて2年ぐらいに前倒しできないものなのか、これが一つ。
 もう一つ、JRについては、まさにまちの中を走る、いわばまちづくり復興の中心的な課題です。そして、大船渡市でもかさ上げしてやりたいと。恐らく陸前高田市も、まちの中心部を走りますので一定のかさ上げということが出てくると思うんです。それぞれのところで津波対策を含めたことになると思いますが、JRはいつまでに復興させるという目標を持って調整会議というのはやられるべきではないのか。
 もう一つは、1、000億円かかるということが報道でありました。あれは岩手県内だけではないと思いますが、岩手県内だけのJR線の復旧、復興といった場合に、そのうちどのぐらいが岩手県分なのか。
 また、JRをかさ上げするといった場合に、大船渡市で議論になっていましたけれども、かさ上げ分は地元負担だと。こんな議論になっているということで私は驚いているんだけれども、津波対策を考えたら、これは地元負担ではなくてJRが負担するか国が負担するということが私は筋だと思うけれども、いかがでしょうか。
〇野中交通課長 三陸鉄道の復旧の件でございますが、現在、平成26年4月の全線開業に向けた計画の中で進めております。
 その3年の計画を2年に前倒ししての工事ができないかとのお尋ねでございますが、南リアス線を含めて、北リアス線もそうなんですが、被災が非常に大きな箇所がございまして、どうしても工期に2年半から3年かかるという工区がございます。そういった観点から、最短で3年で全線の復旧をしたいという考え方になってございます。
 それから、JRの復旧に係る再開の時期、目標についてというお尋ねだったと思います。
 これにつきましては、JR東日本におきましては、地域のまちづくりとの一体的な検討が必要だということがございまして、これまで市町村におきまして復興計画の策定について非常に加速度的に進められておりますが、この11月、12月には大体の沿線市町村の中でそういった計画が策定されると伺っておりまして、そういった計画の案等が出てきた段階で、先ほど申し上げました復興調整会議等の場で議論を加速してまいりたい。現時点では、なかなか再開の時期の目標を設定するのは困難と考えてございます。
 それから工事費につきましては、JR東日本におきましては、岩手県、宮城県、福島県の3県で被災7路線がございます。これの原形復旧についての額として約1、000億円はかかるだろうというお話で伺っております。
 なお、岩手県分についての復旧費がどの程度になるかにつきましては示されておりませんので、御回答はできない状況でございます。
 それから最後に、大船渡線における大船渡市あるいは陸前高田市内でかさ上げ等も必要になってくるのではないか、また、大船渡市においてはかさ上げということで、先般、復興検討委員会の中で土地利用計画図等が示されたと聞いております。その中で、JR東日本におきましては、原形復旧を超える例えばかさ上げ等があった場合は、JRで負担が困難というお話があったやに伺っております。
 しかしながら、県としては、JR東日本の施設でありますので、その復旧の経費については第一義的にはJR東日本が負担すべきだと考えてございます。
〇斉藤信委員 JR東日本は不採算路線を切り捨ててもうけるところばかりやってきたんです。この間、JR東日本の当期純利益、いわゆる内部留保はどうなっていますか。
〇野中交通課長 JR東日本の利益の状況でございます。
 これはJR東日本のホームページから資料を入手しておりますが、これはグループといいますか、JR東日本の連結決算、いわゆる子会社も含んだ決算でございます。2010年度決算におきましては、当期純利益が762億円、それから、内部留保といいますか、利益剰余金が1兆5、343億円となっております。
〇斉藤信委員 2010年は当期純利益だけで762億円、利益剰余金で1兆5、343億円。2009年をちなみに言うと、当期純利益は1、202億円です。2008年は1、872億円。これだけ利益を上げているJR東日本は、今、1、000億円程度の費用がかかると言っているけれども、十分体力も財力もあると。私は、沿岸市町村、被災地で10月から遅くとも12月にかけてまちづくり復興計画が出されると思うので、三陸鉄道でさえ3年以内と言っているんですから、JRはそれ以降にならないように、それより早くJRが復旧できるように県としても強く求めていっていただきたい。
 次に、地デジの対応についてお聞きいたします。
 先ほど岩渕委員もこの問題を取り上げました。改めて、現段階で難視聴世帯というのは幾らになるか、受信機の整備状況はどうなるのか。
 私は、1年延期されているけれども、状況によっては、さらにもう1年延期しないと肝心な情報が入らない世帯がかなり残されるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 8月末現在のいわゆる新たな難視地区は、先ほどの答弁と重複いたしますが、1、132地区1万2、652世帯となっており、うち330地区5、703世帯は来年3月31日のアナログ放送完全停波日までに地上系恒久対策が完了見込みでありまして、残りの802地区6、949世帯は、3月31日までに対策が間に合わないため、引き続き衛星による暫定的な難視聴対策を行う必要があるところでございます。
 県といたしましては、国、市町村や放送事業者等の関係者と連携し、まずは現在実施中の地上系恒久対策、いわゆる高性能アンテナあるいは共聴施設の整備及び衛星による暫定的な難視聴対策について、年度内に確実に完了するよう対策を進めてまいりたいと思ってございます。
 また、衛星による暫定的な難視聴対策においては、防災上の観点からも、地元放送が視聴できるよう速やかな地上系への移行が必要であるため、引き続き関係者と連携して、アナログ放送停波後の具体的な対策を盛り込んだ市町村ごとあるいは地区ごとの地区別地上系対策工程表を更新しながら、継続的かつ着実に対策を実施していく所存でございます。(斉藤信委員「整備率」と呼ぶ)
 整備率は93.3%となってございます。
〇斉藤信委員 整備率93.3%、じゃ、何世帯残るんですか。これ数字で言ってください。何世帯残るんですか。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 残る世帯については、今、資料を持ち合わせていませんので、後で御報告いたします。
〇斉藤信委員 私、ちゃんと受信機の整備状況はどうなっているかと質問に書いているじゃないですか。(「違反だぞ」と呼ぶ者あり)違反していないんだよ、ちゃんと通告どおり聞いているんですよ。
 難視聴地帯、世帯で802地区6、949世帯残ると。そのほかに整備が間に合わなかった世帯も残るとすれば、1年間延期されたけれども、このまま地デジを停止するというわけにはいかないんじゃないですか、岩手県の実情というのは。ましてや大災害を受けて、まだ余震その他、本当に危険な状態がここ数年続くわけです。私は、そういう意味では、国に改めて、こういう状況であれば地デジ停止の再延期を求めることが必要だと思いますが、いかがですか。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 質問の内容については、できる限り被災市町村の世帯に影響の出ないように対策を進めていくと。そして、防災上については、ラジオとかさまざまな手段もございますので、衛星放送ですと本県の状況がわからないので、そういう部分をラジオとテレビを織りまぜながら、できる限り沿岸の被災地域の対策を進めてまいるということでございます。
〇斉藤信委員 さっきの答弁漏れはどうしたの。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 先ほどの御質問の残りの世帯につきましては、802地区6、949世帯ということでございます。(斉藤信委員「受信機の整備率だぞ、私が聞いたのは。何世帯残るのかと。難視聴世帯じゃなく、受信機の未整備世帯数。時間、ストップさせておけよ」と呼ぶ)
〇熊谷泉副委員長 後で報告、よろしいですか。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 はい。
〇熊谷泉副委員長 斉藤信委員に申し上げますが、質疑が長時間に及んでおりますので、簡潔にお願いします。
〇斉藤信委員 答弁を待つ時間が長かった。
 これで終わりますが、今の難視聴世帯にしても整備率にしても、岩手県だけじゃなくて、恐らく宮城県も福島県も同じような状況だと思うんですよ。国に物を言えないというのではなくて、最終的には国が判断することでしょうけれども、そういう実態を踏まえて国に提言するということがあっていいんじゃないでしょうか。
 最後の質問ですけれども、パブリックコメントのあり方について。
 先日、パブリックコメントに対する県民の意見提出が少ない、こういうことがありました。実際に、例えば簗川ダムや津付ダムのパブリックコメントをされましたけれども、住民に対する説明会がないんですよ。本当に狭い関係者にしか説明しないと。そうではなくて、私は、一つ一つ重要な事業についてはきっちり地域住民に説明会を開いて意見を求めて、そしてそれを受けとめて事業の実施を判断する、本来のパブリックコメントのあり方を進めるべきじゃないかと思いますが、これを聞いて終わります。
〇森評価課長 大規模事業におけるパブリックコメントの実施状況、あと県民の意見の反映状況についてお答え申し上げます。
 大規模事業評価につきましては、政策評価委員会の調査審議を行う際に、すべての事業につきましてパブリックコメントを実施させていただいているところでございます。昨年度は12件の事業があったわけでございますけれども、これもすべて実施させていただいております。うち、意見があったのが半分の6事業、340人からでございますが、さまざまな意見が出されるように、県の広報媒体ですとかラジオ、あとは広報誌等もございますので、それに載せて意見を募集しているところでございます。
 出された意見につきましては、その意見に対する県の考え方を示しまして、評価委員会に御報告し、審議の論点の洗い出し等に使わせていただいているところでございます。
〇千葉政策地域部長 恐れ入ります。
 先ほどTPPの交渉の関係の最後の御質問に関連いたしまして、一言だけ補足させていただきたいと思っております。
 県といたしましては、現時点では国の交渉への参加については時期尚早と考えているということを繰り返し申し上げてきたところでございますが、今後の国の動向によりましては、その意図は一貫した上で、異なる表現で意思表示を行う可能性もあるということについては念のため申し上げておきたいと思います。
〇工藤勝博委員 私から何点か質問いたしたいと思います。
 まず最初に、いわて県民計画の第1期目のアクションプラン、昨年度と平成22年度でありますけれども、その最終年度の平成22年度を中心に、7項目7政策の42項目に関してどのように評価をなされたのか。恐らく自己評価だろうと思いますけれども、その部分、よかった点、悪かった点も含めて示していただきたいと思います。
〇森評価課長 いわて県民計画の達成状況の評価についてでございますけれども、今議会に報告させていただいております平成22年度の主要施策の成果に関する説明書に沿って御説明申し上げますと、平成22年度の目指す姿の達成状況から見ますと、おおむね達成以上と評価される指標が全体の51.7%と半数を超える感じになってございます。
 厳しい社会経済情勢の中で、医療、子育て、福祉の分野などにおいては成果が見られたところでございますが、産業分野などにおいて進捗のおくれが見られた施策もあると考えてございます。
 例えば、医療、子育て、福祉の分野におきましては、奨学金制度等によりまして医師を養成、即戦力医師の招聘など医師確保対策に重点的に取り組んだ結果、単年度の医師確保数40人は達成いたしましたし、また、子育てと仕事の両立に向けた雇用環境の整備の関係では、一般事業主行動計画策定率は目標の50%を上回りまして65.2%までいったということもございます。
 ただ、その一方で、産業、雇用の分野でございますが、世界同時不況や円高等の影響が大きゅうございまして、製造品出荷額の大幅な落ち込みなどがございまして、進捗のおくれがあると考えているものでございます。
〇工藤勝博委員 達成度がおおむね50%を超えたという内容ですけれども、県民にとっては、やっぱり実感する度合いにはかなり差もあるだろうと思います。先ほどお話もありましたけれども、特にもこのような経済状況では、ビジョンの中にもありますけれども、暮らしの中で豊かさを実感できるのにはなかなか結びついていないだろうなという思いをしております。
 そういう中で、次期アクションプラン、そしてまた復興計画とあわせて、次からの計画にどのようにつなげていくのか、その辺をお聞きしたいと思います。
〇大平政策監 次期アクションプランに向けた作業を現在進めているところであります。その中で、具体的に盛り込む施策、取り組みにつきましては、ただいま申し上げました政策評価結果を踏まえ、進捗がおくれている施策については重点的に取り組むとともに、個々の事業ごとに復興に資する施策等の優先度や関連性等を十分に勘案いたしまして、また、内陸地域の活力が沿岸地域の復興を支えていくということにも十分配慮したものにしていきたいと考えているところであります。
〇工藤勝博委員 次に、質問項目に載せましたけれども、ソフトパワーと志の国の連携事業という部分で、その連携事業そのものの実績と評価をお聞きしたいと思います。
〇木村副部長兼政策推進室長 まず私から、ソフトパワーいわて戦略推進事業について御説明申し上げます。
 この事業は、本県の文化、暮らし、景観、もてなしの心など多様なソフトパワーの魅力を漫画を通じて全国に発信するという取り組みを展開したものでございます。
 具体的には、まず、講談社が発行しております女性向けの漫画雑誌に連載されておりました本県在住の飛鳥あると氏が執筆する本県を舞台にした漫画、ゴーガイ!岩手チャグチャグ新聞社というものがございましたが、この1話から5話までがコミック単行本ということで発行されることに当たりまして、題材になりました本県に関係する観光ですとかグルメ関係の情報20ページを盛り込みまして昨年5月に発行したところでございます。初版が1万部でございますが、非常に好評でございまして、今まで4刷りで計1万7、000部が発行されたと聞いてございます。
 さらに、本県ゆかりの漫画家9名によります岩手を題材とした書きおろしの漫画に、全国から公募いたしましたいわてマンガ大賞コンテストを実施いたしまして、その大賞作1作を加えました全10作によります、全国初となりますが、地域漫画、コミックいわてをことし1月に発行したところでございます。当初予定は1万部でございましたが、3月までに3刷りを重ねまして合計3万6、000部が発行されているところでございます。いずれも当初予想を大きく上回る売れ行きとなったところでございます。
 特にこのコミックいわてにつきましては、地方自治体が漫画を発行するという非常に斬新な取り組みということで話題となりまして、複数の全国新聞、それから大手の検索サイトのニュース等さまざまなマスコミの媒体で取り上げられたところでございまして、これについては現在もなお売れ続けている状況にございます。
 このように、漫画を通じまして本県のソフトパワーの魅力を県内外に広く発信することができたのではないかと評価しているところでございます。
〇阿部調整監 志の国連携推進事業の成果でありますけれども、県では、平成21年9月の高知県の民間有志による石川一禎、啄木父子の歌碑の設置や、県のI援隊運動の開始を契機に高知県との連携、交流を深めるとともに、岩手県の魅力を全国に発信するための取り組みを進めてきたところでございます。
 平成22年度の主な取り組みは、両県知事による近江屋対談、これは会場の坂本龍馬記念館からインターネットを介しまして全国に中継したところでございます。それから、物産と観光展の相互開催ということで、盛岡市、それから高知市のデパートにおいてそれぞれ相互に開催したということでございます。それから、啄木と龍馬の企画展ということで、こちらも高知市の坂本龍馬記念館、それから盛岡市の石川啄木記念館で相互に開催した。加えて、全国龍馬ファンの集い一関大会の場において両県知事の対談を行った。以上のとおり、県と関係者が一体となって取り組んできたものでございます。
 これらの取り組みは、NHK大河ドラマで全国から高知県に注目が集まる中で、高知県内でメディアに大きく取り上げられ、全国の新たな岩手ファンの獲得に効果があったのではないかと見込んでいるものでございます。
 なお、補足でございますが、今年度は防災関係の交流を行うこととしております。具体的には、東日本大震災津波を受け、西日本における超広域災害に備えるため、高知県知事が発起人となって立ち上げた組織で、静岡県などがメンバーですが、9県による知事会議を立ち上げてございます。この会議が高知市で開催されるわけでございますが、これに県職員及び釜石市の防災担当職員を派遣して講演等を行おうとするものでございます。これにより本県への支援に対する感謝の意を伝えるとともに、大震災津波での経験を伝えることで、高知県を初めとした参加する県の防災にも貢献することになると考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 大変内容の濃い事業だと伺いましたけれども、その投資効果というのも大変あっただろうと思います。今後の県政運営にもつながるような、そういう連携に結びついているのかなという感じもしましたけれども、いずれ継続できるような事業に結びつけてほしいと思います。いずれ今回の東日本大震災の次には東南海地震とか南海地震が想定されるということで、大変、四国あるいは東海地方の皆さんも岩手県のこれからの方向を注視しているだろうと思います。そういうことも含めて、せっかく切り開いた事業はできるだけ継続してやっていただくようにしてほしいと思います。
 次に、市町村総合補助金についてお伺いしますけれども、平成12年に創設し、県と市町村とのそれぞれの役割分担の中で、それぞれの市町村が独自にいろいろな形で事業展開あるいはまた地域づくりをなされただろうと思います。それが平成22年度で一たん打ち切られるということでありますけれども、その間10年間、それぞれの地域の大きな成果等があるだろうと思います。それらをお示し願いたいと思います。
〇堀江市町村課総括課長 市町村総合補助金の実績でございますが、平成12年度からの事業で11年間でございますが、総額で約97億円余の交付実績がございます。
 その中で、国や県の補助制度がない市町村の創意工夫を生かした取り組みや、あるいは地域固有の課題の解決に向けた取り組みを支援してきたところでございまして、例えば、浄法寺の漆ブランド化推進事業のように全国に発信する事業あるいは平泉の世界遺産の推進事業、さらには花巻市で行いましたユネスコの無形文化遺産登録推進事業、こういったきらりと光るような事業に支援してきたところでございます。
〇工藤勝博委員 そういう大変いい事業が打ち切られたというその背景等も含めて、今後の事業展開をお聞きしたいと思います。
〇堀江市町村課総括課長 昨年度までの11年間にわたり、市町村総合補助金は、自立した地域の形成に向けたさまざまな取り組みを推進しました。また、間接補助対象が広いということで、住民生活に密着した事業や企業活動に直接関連するような事業にも支援が行われてきたところであります。
 一方で、広域振興局等と市町村との総合調整機能がなかなか発揮しづらいといったところで、県と市町村との連携がとりづらい面があったこと、また、事業によっては単なる財源補てんととられかねないような事業に活用されたといった課題もあったところでございます。
 こういったことから、昨年度、内部で検討し、また、市町村、広域振興局等の意見をお聞きして検討を重ねまして、県の広域振興局事業でございました地域振興推進費とこの事業を統合しまして、今年度から新たに地域経営推進費として実施することとなったものでございます。
 今年度におきましては、東日本大震災津波が発生したということで、沿岸市町村はもとよりでございますが、内陸市町村におきましてもインフラ等が損壊した、また風評被害等によりまして例えば観光業が著しく落ち込んだ、産業振興を中心とした地域の活性化が必要となっている、こういった状況を踏まえまして、地域経営推進費の中に市町村事業として復興緊急支援枠という形で設けまして、内陸市町村も含めました県内全市町村の復旧、復興に資する事業として現在支援しているところでございます。
〇工藤勝博委員 市町村にとっては今までの貴重な財源が失われるということもあると思いますけれども、いずれ震災を契機として、あるいはそれぞれの市町村においても大変な状況の中にあるということでもあります。満遍なくそういう声は十分聞いてこれから対応をしていただきたいと思います。
 次に、先ほど来、交通対策についてお話がありました。公共交通、住民の足をいかに確保するかという大きな課題でもありますし、いずれ少子高齢化、人口の減少が続いている中で、ここ10年、20年先を考えた場合の交通のあり方というのも当然考えた中での対応をしなければならないだろうと思います。
 そういうことで、交通対策費、年々その要望は高まってくるだろうと思います。市町村によっては、自前でコミュニティバスとか、またいろいろと住民の足の確保を進めております。その中の大きな課題となれば、やっぱり三陸鉄道あるいはまたIGRの運営だろうと思いますけれども、先を見通した形での決意等があればお聞きしたいと思います。
〇野中交通課長 県内の第三セクターにおける今後の経営についてのお尋ねだと思います。
 IGRいわて銀河鉄道におきましては、先ほどの答弁の中でお話し申し上げたんですが、貨物線路使用料の増額が今年度決定したということで、一定の経営の改善に貢献するものと考えてございます。
 しかしながら、利用者の減少傾向は開業以来続いてございまして、将来的にも沿線人口が減っていくという推計がございます。そういった中で、これらに対する利用促進とか、そういったものを沿線市町村とともにいろいろ知恵を出しながら進めていく必要があるだろうと考えております。
 また、三陸鉄道につきましては、今回の震災で大きな被害を受けているわけですので、まずは復旧に集中しながら、復旧後の経営についても当然厳しい環境に置かれている状況に変わりはございませんので、その辺のところは、今回の国の支援スキーム等もある中で、上下分離、下の施設関係の保有を自治体でしっかりと支えながら、上の運行については運営会社が専念するというスキームをしっかりと確立した上で、地元のマイレール意識を醸成しながら利用促進をしっかりと進めるとともに、域内の交通利用客の確保だけでは安定的な経営が確保できないという状況がある中で、県内外のお客さん、今回の被災の復興の中でいろいろ全国から支援をいただいているという状況がありますので、そういった方々とのネットワークをうまく─うまくと言っては変なんですけれども、また復興後も来県いただいて三陸鉄道を利用していただくような努力を運営会社あるいは沿線市町村とともに検討し、実行していきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 いずれ産業の振興と、やっぱり地域の活性化をしないと利用客も当然ふえないだろうと思います。机上の計算ではそれは絵にかいたもちなるような感じもしますけれども、その辺は十分に吟味しながら取り組まなければならないだろうと思います。
 最後になります。
 71回目の国体の準備費、20億2、700万円は基金に積み立てたということですけれども、教育委員会では選手強化費とか施設の形で予算を組んでやっています。この準備金、いずれ国体を開催するという思いで当然やっているわけですけれども、その辺、政策地域部にはやっぱりやるんだという方向を示してもらわないとなかなか金の行く先がわからなくなると思いますけれども、その辺はどうなんでしょうか。
〇西村国体推進課総括課長 現在、国体の開催につきましては、市町村、それから競技団体に、さまざま縮小開催という方向性を探るといいますか、そういう点で検討をお願いしている最中でございます。加えまして、私ども県といたしまして、準備の事務の中で、総合開閉会式等々私どもで行う部分の経費の節減、それから業務量を削減してまいるという点につきまして検討を進めておるところでございます。
 いずれにしましても、今月中を目途にいたしましてそこら辺のところを検討いたしまして、加えまして、国あるいは日本体育協会と─いろいろな御支援をいただいているところではございますけれども、もう少し支援をいただける可能性、そこら辺のところもさらに協議といいますか検討も進めてまいりまして、最終的には、知事が御答弁申し上げましたとおり、12月あたりを目途として県としての結論を出したいと考えてございます。
 積み上げております基金につきましては、国体の開催の運営経費ということでございますので、平成27年の前の年のリハーサル大会、それから当然平成28年、当該年の運営経費全般に使用するものでございます。
〇工藤勝博委員 最後にします。
 ことし、北東北のインターハイもありました。全国大会、そういう会場地においても全国から若人なりスポーツ関係の皆さんにたくさん集まっていただいて、それなりにそれぞれの地域への経済効果も当然あっただろうと思いますし、それが逆に地域を元気づけるもとにもなっております。ぜひともそういう方向で国体の準備をしていただきたいと思います。
〇佐々木副部長兼地域振興室長 先ほど斉藤委員から御質問のございました未普及世帯数についてお答え申し上げたいと思います。
 本県には、平成21年3月31日現在で総世帯数が50万973世帯ございます。このうち、総務省の発表によりますと93.3%に普及しているということですので、うち6.7%が未普及世帯ということで、3万3、565世帯が数字上では未普及世帯でございますが、前の質問で申し上げたとおり、沿岸部では大分受信機が普及してございます。それから、調査時点が昨年12月ですので、さらに進んでございますので、実数からすると現時点では3万3、565世帯をかなり下回る世帯が未普及世帯だと思われます。
〇小泉光男委員 午前中に岩崎委員も触れましたが、違う観点からNPO業務の対応について御質問させていただきます。
 これはだれしもが御存じで、ニュースでも、それから議会でも問題になったようでございますけれども、いわてNPOセンターの不正経理に係るてんまつを、行政的見地、民事的観点、それから刑事的観点からどうなったのかをお尋ねします。
〇畠山NPO・文化国際課総括課長 いわてNPOセンターの不正経理のてんまつでございますけれども、平成21年度に発生しました同法人の旅行業法違反に係る処分などの不祥事を受けまして、県といたしまして、平成22年3月から関係部局における包括的調査を実施いたしまして、その過程におきまして、財団法人岩手県長寿社会振興財団及び財団法人岩手県福祉基金からの助成金につきまして、支払い実績のない架空領収書の偽造による不正受領が発覚したところでございまして、県といたしまして、特定非営利活動促進法によります改善命令、あるいは盛岡東警察署への告発状の提出などを行ったところでございます。
 また、その後におきまして、両財団において助成金交付決定の取り消し及び助成金の返還請求を実施したものの期限までに返還されなかったことから、平成22年12月17日に同法人の破産手続開始が決定いたしまして、法人の解散事由に該当するという法の規定によりまして同日解散、12月28日付で県に解散の届け出があったものでございます。
 また、ことしに入りまして両財団への一部配当が6月に行われておりまして、同月、最終の債権者集会が開催されまして、同法人の破産事件が終了したところでございます。
 なお、告発後の状況につきましては、現在、県警で捜査中ということでございます。
〇小泉光男委員 いずれ、県のNPO法人に対する管理が甘かったから、最終的には配当は幾らかあったようですけれども、また大きな税金が好き放題にやられたということだろうと思います。
 二つ目でございます。もう一つ、今度は、震災に遭って途中解除された気の毒なNPOのてんまつについてお尋ねします。
 リアスハーバー宮古が震災で被災を受けたことを受け、運営者のNPO法人いわてマリンフィールドに対し、1年間の契約期間を残しながら、県は、本年3月31日付をもって契約解除したいという電話で一方通告し、解除されたと、本年4月16日付岩手日報が報じました。この事件のてんまつはどうなったでしょうか。
〇畠山NPO・文化国際課総括課長 いわてマリンフィールドに関しましては、管理受託していたリアスハーバー宮古が使用不能になったということで、指定管理につきましては今年度は行われなかったということでございます。また、それにかわります措置につきましては、特段、所管の県土整備部でいろいろ考えたようでございますけれども、まずは周辺の草刈り等のさまざまな業務について、いわてマリンフィールドにいろいろお願いするということを行っているのが現在の状況のようでございます。
〇小泉光男委員 指定管理者制度というのは、業務委託契約とは違いまして行政処分であります。したがいまして、議会の承認が必要なわけです。それを、議会が承認した案件を担当部長が電話一本で解約解除する。その結果、ここのNPO法人いわてマリンフィールドは次の日から失職して行き先がないわけです。ここの責任者におととい確認しました。そうしたら、やっぱりいまだに仕事がなくて無職だそうです。本来、津波ですから、まさに綱を切って太平洋の真ん中に流すのではなくて、逆に引き寄せて、それでは、こういう契約期間の間ならなおさらのこと面倒を見るという観点でいくのがNPOの皆様の部局の対応だったと思いますが、県土整備部の担当者が電話で契約解除して、後のことはそちらで聞け、知らないという対応でよかったものでしょうか、そこをお伺いします。
〇畠山NPO・文化国際課総括課長 私どもも、この案件が報道されましてから県土整備部に事実関係を確かめましたところでございます。今後の対応については、いわてマリンフィールドといろいろ相談をしながら進めていきたいという回答も県土整備部から聞いたところでございますけれども、それで、私どもとしては様子を見守っておったところでございますが、最近、再度確かめましたところ、結果的に指定管理については行われず、先ほど申し上げた事実上のさまざまな作業についていわてマリンフィールドにお願いするという形で、今のところはそういう状況だということを確認したところでございます。
〇小泉光男委員 最後の御質問をさせていただきます。
 このように、本来、NPO法人は福祉だとかあるいはそのほか地域の安全だとか、お金がなくても市民がある意味で自由に活動できるようなシステムだったと思いますけれども、私は、岩手県のNPO行政が非常に未熟という感じを持っております。
 最後です。この法律は平成10年に施行になっていますけれども、今まで認証した全部の件数、不認証の数、解散した数を把握していれば教えてください。先ほど、岩崎委員には、震災後には31件申請して、19件を認証したという御説明でございましたが、平成10年12月の施行以来、今日までの総累計を教えてください。以上をもって終わります。
〇畠山NPO・文化国際課総括課長 総累計という御質問でございます。ただいま手元にございます数字は7月末現在のものでございますが、394法人ということで、解散した法人数を含む合計数でございます。
〇熊谷泉副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇嵯峨壱朗委員 NPOについてちょっとお尋ねしたいと思いますが、先ほども岩崎委員からもあったし、今、小泉委員からもありましたけれども、まず、政策地域部長の説明で、平成22年度の政策の評価を受けて平成23年度の政策形成に向けて反映させていくと。その過程の中で、復興計画を実現する上でNPO法人を支援していくという説明がありました。そして、もう一点は、新しい公共とのかかわりでNPO法人を、その辺をもう少し詳しく説明していただきたいと思います。
〇畠山NPO・文化国際課総括課長 新しい公共の関係でNPO法人の役割という御質問かと思いますが、新しい公共につきましては、従来、官、行政が独占してまいりました領域につきまして、市民の、県民のさまざまな公共ニーズの多様化というところがございまして、なかなか官だけでは実施できないという部分につきまして官民協働ということで、そういったことにさまざま対応していこうということで、市民あるいはNPO、企業がともに支え合う仕組み、体制ということで構築してまいりたいと考ておりまして、その中でNPOについても役割を担う重要な一員ということで私どもはさまざま支援を考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの小泉委員の質問の中にもありましたけれども、平たく言うと、いいNPO法人と、決していいとは言いにくいNPO法人とあるわけですよね。実際にかなりもめました。
 その中で、新しい公共という概念が出てきていますけれども、そもそも県がNPOの活動を支援するというのはどういうことなのか、必要なのか、その辺もお聞きしたい。
〇千葉政策地域部長 私どもで考えている基本的なお話をさせていただければと思います。
 まず、NPOとNPO法人という差がございまして、NPOというのは、御案内のとおり、これまでも例えば商工会の青年部、婦人部とか、あるいは農協の婦人部、青年部とか、さまざまな関係団体において、本来の業務以外に地域活動等でいろんな地域づくり等を行ってきているものがいわばNPO活動と言われているものでございます。また、それらの活動に加えまして、いわゆるボランティア活動につきまして、ボランティア団体が相当立ち上がってきたわけですが、なかなか法的根拠がないということで、それらの団体に根拠を与えるということでいわゆるNPO法が成立いたしまして、NPO法人の制度ができた。今、ちょうど10年を超えたところでございます。NPO法人につきましては、スタンスといたしまして、行政とかかわりをもって活動していきたいという法人と、行政とは一線を画して独自の活動をしていくという法人とあるのではないかと思っているところでございます。
 私どもといたしましては、特に行政と協働で連携して取り組みたいというNPO法人につきまして、いろんな御支援とかあるいは御協力等をいただきながら、いろんな行政を進めているところでございます。特に、新しい公共の活動という役割についてでありますが、一つは、先ほどお話に出ておりますが、指定管理者制度のような行政機能の代替的なことを担っていただくことが一つあろうかと思います。
 あと、行政領域と民間領域というのはなかなかグレーゾーンの部分がございますが、そういう公共的な価値の高い領域の活動、例えば古民家の復元、町並みの復元とか、あるいは地域の特産品の発掘とか、そういういろんな活動の分野、いわゆる公共領域の補完的なものを担っていただいているところもあるかと思います。
 また、三つ目ですが、さらにそこから一歩進めまして、いわゆるコミュニティビジネスのような活動まで広げているところもあるのかと思っております。
 四つ目でございます。最後でございますが、いわゆる俗に中間支援機能と申しまして、活動している民間の方あるいはNPOと行政を結ぶ、橋渡しをする機能というような、おおむね四つぐらいの活動を新しい公共の中で期待しておるというものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 先ほど岩崎委員が質問した背景に何があるかというと、恐らく、NPOの許認可というのは原則的に県ですかね。あとは国もあるのかな、ちょっとわかりませんけれども。例えば、今回、被災地の現場に岩手県が認可したNPO法人等が行っていろんな活動をしているというものもあれば、国が広域的に活動できるように認可した法人もあるのでしょうか、いろんな法人があって、何かちょっと変だというか、ちょっとこれっていいのかなと思うような活動をしているものがたまにあったりするけれども。じゃ、それがどこなのかと、その辺を注意したりとか確認したいと思っても確認し切れないとか、そういったものもあるようです。
 今、復興に向けて何が必要か。雇用ということを言われております。民間でできることは雇用確保。地元の企業といったらいいのか、何というんでしょうか、意欲のある方々の働く場を与えるという面も含めて、もしかしたら整理が必要かもしれない、ちょっと言葉はきついかもしれないけれども。何というか、先ほど説明があったように、NPO的にやる民業としては成り立たない分野も確かにあると思うんですよ、難しいところも。それはもちろん非常に助けられると思うんですけれども、ある程度整理していかないと、長い目で見ると、逆に復興の妨げになっていく可能性もあるのではないかということを懸念しているのだと思います。決して自分の仕事のことじゃないと思いますけれども、それはそれとして、その辺をぜひ整理する。それをどこが役割を担うのかわかりませんけれども、恐らく我々が、岩手県で見るとやっぱり岩手県が、NPO法人のどういうところがやっているのかとか、それを把握する必要があるのではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。
〇千葉政策地域部長 先ほど岩崎委員からお話をいただきまして、私どもといたしましても、現場においてそのような課題が発生しているということについて、具体的にこれから確認していく必要があるかと思っております。
 そもそもが、今回の復興の話に限りますと、地域の復興をお手伝いしていくためにNPOの方々が活動していくことが基本だと思っておりますので、そこが、先ほどから御指摘いただいているような、言い方は変ですが、本末転倒的な話になっているとすれば、やはりこれはちょっと問題ではないかと思っております。いずれ、地域の復興にどういう役割を担っていただくのかということについて考えていく必要があると思っております。今、現場で起きている課題だと思いますので、市町村から状況をお聞きしながら、県としても、各市町村あるいは広域振興局と御相談しながら、その辺のあるべき方向性については、ある場合によっては助言するとか、いろいろと直接お話を伺うとか、さまざまな対応を、県、広域振興局、市町村と取り組む必要があるのではないかと考えている次第でございます。
〇熊谷泉副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇熊谷泉副委員長 質疑がないようでありますので、政策地域部関係の質疑をこれで終わります。政策地域部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、理事兼復興局副局長に復興局関係の説明を求めます。
〇廣田理事兼副局長 復興局は、復興に向けた専担組織として、6月議会の議決を経て、6月10日付で設置されました。
 8月11日には東日本大震災津波によります大災害からの復興を推進するため、岩手県東日本大震災津波復興計画を岩手県東日本大震災津波復興委員会等におけます専門的な審議や地域説明会等での意見を踏まえ、8月議会の承認を経て策定したところであります。
 今後におきましても、復興に関する取り組みを迅速かつ的確に推進するため、復興計画推進の司令塔の役割を担いつつ、新たなまちづくりや水産業などの産業再生の計画立案、被災された方々からの相談対応、生活再建に向けた支援など、関係機関と連携し、復興に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 平成22年度復興局関係の決算につきまして御説明を申し上げます。
 復興局の決算につきましては、災害救助法に基づく救助の実施を行う事業─救助費─が、今年度、復興局の業務となりましたことから、平成22年度補正予算で措置し、各部局が執行した事業の決算について、その金額を中心に御説明を申し上げます。
 事業の内容につきましては、それぞれの部局で実施しておりますので、割愛させていただきます。
 お手元の平成22年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。
 復興局関係の一般会計歳出決算は、3款民生費のうち5項災害救助費の一部で、支出済額17億175万5、881円のうち16億9、331万円余で、不用額78億4、629万4、119円のうち78億3、477万円余となっております。
 次に、歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げます。お手元の歳入歳出決算事項別明細書の210ページをお開き願います。
 3款民生費5項災害救助費1目救助費の支出済額17億175万5、881円のうち、当局関係の支出済額は16億9、331万円余で、不用額78億4、629万4、119円のうち、当局関係の不用額は78億3、477万円余となっております。その事業は、備考欄一番下の救助費であり、東日本大震災津波に係ります災害救助法に基づく救助の実施に要した経費であります。当該事業の不用額が78億3、477万円余となっておりますけれども、その理由は、予算の額に不足を生じ、救助の実施に支障を来すことのないよう最大限の必要見込み額を予算措置したことや、実績額が平成22年度中に確定しなかったことによるものであります。
 なお、平成22年度において執行できなかった経費につきましては、平成23年度予算において執行できるよう予算措置しております。
 以上で復興局関係の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇熊谷泉副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇渡辺幸貫委員 今言われたとおり、復興局は最近できて、まさに不用額にひっかけながら、復興の計画が適正かどうか、そしてまた、それに対して各市町村から上がってきたものに対する指導をどうするかということを伺いたいと思います。
 沿岸各市町村は人口の流出─皆さんからもいろいろ質問がありました─そして高齢化だとかという中で、身の丈をはかるといいますか、これからどういう大きさで再生をしたらいいかという、その元そのものをどういうふうに私たちはとらえればいいかということをまずお聞かせいただきたいと思います。
 その次は、浸水域であるとか防潮堤とか、政府の方針などもだんだん明らかになってきましたので、それらを踏まえながら、市町村は住民の意見を聞いたり、コンサルタントとかいろんなことをしながら、再生可能エネルギー、メガソーラーを初めさまざま固まりつつあるといいますか、固めようとしている段階のように見受けますけれども、これらが、例えばメガソーラーを一つとっても、設置するというだけじゃなくて、例えばパネルの一部をつくっていくとか、今後の再生の永続性というんですか、将来性というんですか、そういうことも踏まえながらも、予算とか規模をどう調整するか、そしてまた地域間の、市町村間のバランスということも県としては指導していかなければならぬと思います。それをモデルで示すのか、それとも出てきたものの判断を各部局を通じながら横断的に判断するのか、その辺の考えをただしたいと思います。
〇平井理事兼副局長兼まちづくり再生課総括課長 市町村が策定する復興計画等についてでございますけれども、市町村の復興計画は、被災市町村が主体となって、みずからの被災状況や土地利用の状況、産業構造等の地域特性を考慮しながら策定していくべきものと考えております。その際、県は、道路等の管理者、その計画主体として市町村と十分に連携することのほか、市町村の計画策定過程に対する技術的、行政的支援をする役割を有していると認識しております。
 具体的には、浸水エリアのシミュレーションなどまちづくりに関する各種データの提供等の技術的支援、水産業の再生に向けた漁協との調整など、広域局の復興支援チームや復興まちづくり連絡会議を通じて、被災市町村に密着した計画策定の支援に取り組んでいるところでございます。今後とも、そういった場を通じて、市町村の復興計画策定の進捗状況に応じたアドバイス等、市町村の支援に取り組んでまいります。
〇渡辺幸貫委員 もう一点だけ。今、港湾であるとか、瓦れき処理であるとか、災害復旧をやっているわけです。予算も、県も7、000億円から1兆2、000億円、そして3次補正も出てくると思いますが、土木業界といいますか、工事関連の部分については、一気に発注されて、なかなか人手不足も深刻だという声も聞くのでありますが、その辺、一日も早い復興をという声の中で、どう実情を踏まえているのか。今後の見通し、そして、それに大いに割かれていきますと、民間になかなか手が回ってこないという部分もあるかと思いますが、そういうことの見通しをお聞かせいただきたいと思います。
〇平井理事兼副局長兼まちづくり再生課総括課長 建設業界の人手の状況と今後の見通しについてでございますが、近年、建設企業を取り巻く厳しい経営環境の中、企業体力の低下や小規模化が進み、雇用の維持が難しい状況が続いているところでございます。その結果、県内の建設企業の従業者数は、県内建設投資額がピークであった平成8年度の8万2、000人から、平成21年度では5万2、000人と約3分の2に減少したところであり、大規模な復旧、復興事業に伴う工事量の大幅な増加により、技術者などの不足が見込まれるところでございます。復旧、復興工事の実施に当たりましては、地域の企業への優先発注に配慮する必要があり、県内でできることは県内でということを基本に進めてまいりますが、それら建設企業における人材の確保に向けて必要な支援を行ってまいります。
 また、相当の規模の大型工事や専門技術を要する特殊な工事もふえてくるものと考えられますが、それらにつきましては、県内企業だけでは対応できないものと見込まれますことから、施工上支障がない限り、大手建設会社と県内業者による特定共同企業体での対応などを検討してまいりたいと考えております。その過程で、民間のいわゆる市中の業者が一般家庭などの家の改修とかに手が回らなくなるおそれもこれありと考えておりまして、そのことにつきましては、十分市中の状況を見ながら適切な対処を打ってまいりたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 東日本大震災津波によりまして大きな被害を受けられました。まずもって心からお見舞いを申し上げたいと思います。一日も早い復旧、復興を望むものですが、当局にいたしましても、心から本当に御苦労さまでございますと敬意を表したいと思います。
 そこで、何点か伺いますが、仮設住宅の不具合の声が被災地の方々より届き、補修や見直しがなされたようですが、寒冷地における暖房の備えについて、どの時期に、どのような対策をとってきたのか伺いたいと思います。
〇鈴木生活再建課総括課長 応急仮設住宅の暖房の備えについてでございますが、県では、7月以降、応急仮設住宅の寒さ対策として、断熱及び二重サッシについて、断熱性が低い約7、700戸につきまして追加工事を行っており、これまでにすべて完了してございます。また、すべての住宅を対象とした風除室の設置及び入居者の希望に基づく畳の設置につきまして、11月中の完了を予定しているところでございます。
 さらに、既にエアコンにつきましては設置してございますが、これに加えまして、石油ストーブ、こたつ等の暖房器具の設置に要する経費につきましても、10月7日付の厚生労働省の通知により、災害救助法の対象経費として認められましたことから、10月11日付で各市町村に設置に係る事務を委任し、各戸に一つずつ暖房器具を設置することとしたところでございます。既に、陸前高田市及び釜石市におきましては10月21日から順次応急仮設住宅への暖房器具の設置を開始しており、他の市町村におきましても設置を行うこととしているところでございます。
〇及川幸子委員 いろいろそういう対応をとられているということですが、実際はやっぱりこの寒さ、朝晩大変だと思いますが、ちょっと報道を見ますと、もう寒くてこたつが必要だと。余りの冷え込みにもうこたつを用意したという声が聞かれたようでございますが、一体その辺はどうなんでしょうか。今、るる説明いただきましたが、これを万全にやっていく限りにおいては、もう何も不自由がないというふうにしかとられないんですけれども、実際はもう大変な状況なのかと思うんですが、どうなんですか。
〇鈴木生活再建課総括課長 先ほど申し上げました暖房器具の設置の通知にしましても、災害救助法で設置が認められましたのは10月からということでございます。それで、実は、沿岸北部を中心といたしました10市町村におきましては、既にNPO、NGO等の各種団体や他の自治体からの支援物資として、石油ストーブ、ファンヒーター、こたつ等の暖房器具の提供を受けて、各応急仮設住宅に配布を行っていると聞いているところでございます。
 また、現在、災害救助法に基づき市町村が設置を進めている暖房器具につきましては、気象等の地域状況やそれぞれの仮設住宅の個別の事情を勘案し、必要な暖房器具を設置するよう各市町村にお願いしているところでございます。
〇及川幸子委員 そうしますと、市町村から、いろいろな不備の点では、そういう声は届いていないんですか。もう万全だというふうに届いているんですか。
〇鈴木生活再建課総括課長 応急仮設住宅の建物の不具合、改善につきましてはいろんな形で寄せられておりまして、それに逐次対応してきております。そういう中で、先ほど申し上げました断熱工事等でありますとか、スロープの設置等でありますとか、改善、改修を進めてきているところでございます。
〇及川幸子委員 一生懸命やっているのはわかるんですが、どうもまずさに対してのこたえ方がちょっと遅いのではないかと思うんです。全体的に対応が遅いと言われるのが常なんです。ですけど、県としては本当に精一杯やっていると思うので、その辺の説明というか、市町村に対してのお答えがうまくかみ合っていないんじゃないですか。ですから、寒いからこたつを買ってしまった、しかし、石油ストーブが来たけれども、全然必要じゃないとか、そういうのが生じるのではないかと思うんですが、何回やっても同じだと思うんですが、本当はそうじゃないんですか。
〇鈴木生活再建課総括課長 寒さ対策のお話がございましたが、私どもは、岩手県の冬の寒さということでの対策につきましては夏場から種々検討していたところでございますけれども、災害救助法の関係につきましては国の通知が10月になったということでございます。あわせて、NPO、NGO等の暖房器具の設置につきましてもいろいろ打ち合わせをしてきている中で、先ほど申し上げた通知が出されたということでございます。
 いずれ、委員仰せのとおり、さまざまな課題を抱えている中で、今回の御指摘も踏まえまして、被災者支援のあり方につきましてさらに迅速に、機敏に対応するように努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇及川幸子委員 仮設住宅の建設はまちまちだと思うんです。壁の防熱材がうんと強く入っているところ、薄いところ、いっぱいあると思うんですが、やっぱり被災地域によっては寒冷の差がうんと違うと思うんです。そういうところをよく見られて、寒いところはもっと早目に対応しないと、国のそういう手当てを待っていても、なかなかうまくいかないんじゃないかと思いますので、さらにもっともっと気を入れて、これは引き締めてやっていただきたいと思います。
 それから、被災地への支援物資のあり方についてお伺いするのですけれども、このたび、収納、保管している場所でカビ等が発生し、焼却処分することになったということが報じられておりましたが、これは以前にも私は聞いていたことでございます。善意が損なわれてしまったということで、善意が届かなかったことで本当に残念でございますが、実際、この届かなかった原因というのはどのようにとらえているんでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 支援物資の毛布などにカビ等が発生した原因、要因についてでございますが、当初、物資集積拠点につきましては、アピオだけでは保管場所が不足いたしましたことから、国や県の施設でありますとか民間倉庫を、毛布、水の一時保管場所として大体4月の初めから9月末まで使用していたところでございます。しかし、アピオ以外の一時保管場所では、大量の在庫を抱える中で、床面部分に置かれました物資の一部で湿気による段ボールの破損等がございまして、カビ、しみが発生したということでございます。これらのカビ、しみにつきましては、9月にアピオに物資を集積する中で発見されたものでございます。
〇及川幸子委員 ひつぎについてびっくりしたんですけれども、震災後、国などから県へ約5、000基届いたんですね。しかし、これは、市町村が民間業者などから直接提供を受けて、全然必要なくなったということなんですけれども、これを用意された方の思いというのはどうだったのかなと思って、ちょっと寒くなりましたけれどもね。やっぱりその辺のところを、とにかく国にもしっかりと数とか確認して、市町村が一体どのぐらいのものを必要としているのかぎっちりやっていかないと、これは本当に善意が全然無駄になってしまうということで、これからの対応のあり方について大変問われると思うんですが、今後の対応のあり方についてどのように注意を払っていくということでしょうか、お伺いいたします。
〇鈴木生活再建課総括課長 支援物資の件につきましては、委員からもお話がございました、現地で必要としている支援物資のニーズと、全国の自治体等から送られてまいりました支援物資とに差異が生じたことでありますとか、季節の変化に伴いまして被災者のニーズが変化するなど、調達時期と配布時期に差異が生じてしまったということで、こういう結果になったところでございます。これらの点につきましては、被災者支援のあり方を改めて考える中で生かしていきたいと考えているところでございます。
〇及川幸子委員 何回も言いますけれども、全体的に対応が遅いという指摘があるわけでございます。この点について、一生懸命やっている復興局だと思うんですが、一生懸命やっているのがなかなか届かなくて、対応が遅いという一言に尽きる、それは本当に残念だと思っております。副局長に、そういうところで対応が遅いという言われ方についてはどういうふうな思いをされているのかお伺いいたします。
〇廣田理事兼副局長 今までの暖房の関係あるいは物資の関係につきましては、いろいろと対応のまずさが部分的にあったことにつきましては、我々としましても反省してございます。
 復興局ができてから、正式に6月からスタートしたわけでございますけれども、可能な限り地元、現場の声を、アンケートあるいは市町村を通じてきめ細かに把握するように努力しておりまして、そして、先を見た手を打っていくということが大変重要だということで、我々としましては、先手先手を打ってきたつもりでございますけれども、今までのことも十分に反省をしながら、これからきっちりとした早目の対応をしていきたいと思っております。
〇及川幸子委員 仮設住宅にせっかく入られて、居心地が悪いということではとってもだめだと思いますので、今後においてもそういう不備な点、不具合の点はしっかり反省していただいて、今後においてやっていただきたいと思います。
〇小野寺好委員 関連。暖房器具について、ちょっと関連でお聞きしたいと思います。
 さきに、補正予算(第7号)のときに一遍質問したんですが、たしか、あのときは、具体的には各市町村にお願いするといった御答弁だったと思うんですけれども、この間、ちょっと日数が経過しまして、具体的に入っていると聞いていますが、具体的にどういうものが入っているのか。一部、反射式石油ストーブが来たんだけれども、嫌だねといった声もちょっと聞いたんですが、具体的にどういったものが入っているのか。それはだれの判断で選定になっているか。
 それと、消火器についてはどうなっているのか、ついでにお聞きしたいと思います。
〇鈴木生活再建課総括課長 暖房器具の設置につきましては、地元からの暖房器具の調達でありますとか、迅速に対応していただくようにということで、その事務を市町村に委任しております。現在、県に御報告いただいている中では、個別に申し上げますと、大船渡市ではホットカーペットを設置されるということでございます。久慈市では被災者の御希望を聞いて石油ストーブ、ファンヒーター、ホットカーペット、電気こたつということでございます。遠野市、陸前高田市、釜石市につきましては全戸ファンヒーター、岩泉町につきましては全戸電気こたつ、洋野町につきましては全戸ホットカーペット、他の市町村につきましては、入居者の希望を確認し、設置すると伺っております。それぞれの市町村の事情によりまして、市町村の御判断で、同じものを入れていただくなり、個別の事情に応じて入れていただくという御判断をしていただいているということでございます。
 それと、消火器の関係につきましては、建築住宅課のほうで全戸に1本ずつ設置することにしているものでございます。
〇小野寺好委員 もう一点、暖房器具を使えば、当然、外と内側との温度差で壁面に結露とか出るかと思うんですが、これについて何かいい対策とかあるんでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 応急仮設住宅に日本赤十字社から窓面に防水用のシートを入れていただく予定にしてございます。あと、なかなか難しいことではございますけれども、エアコンに除湿機能があるということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 関連。及川委員の質問に関連しますけれども、応急仮設住宅ですが、以前にもどこかの委員会で私は聞きましたけれども、岩手県は本来寒冷地ですよね。にもかかわらず、なぜ寒冷地仕様じゃない住宅を建てたかということをよく聞いているんですが、明確な答えは出てこない。今、寒冷地になったわけじゃない。最初から寒冷地ですよね。そして、今、実際に追加工事をしているようで、大変迷惑している。物を出したりとか、しかも住んでいるのに工事をする。畳を敷くといったって物を出してからだと。こういった実情を見てどう思われますか。変だと思いますね、寒冷地仕様なのに、そういったものを建てたこと自体。私は平井副局長にも聞いてみたいし、だれでもいいですけれども、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
〇鈴木生活再建課総括課長 応急仮設住宅につきましては早期の着工、完成ということが求められる中で、3県統一しようということで、工事を急ぐということで、寒冷地工事につきましては後からの追加工事ということにさせていただいたと聞いているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 確かにスピードを重視してやったというけれども、余りにもずさん過ぎますよね、プレハブ建築協会でつくっている約7割の部分でしょうか。ほかの住宅メーカーとか工務店がつくっているところはさほどそんな問題は出てないと言われておりますけれども、大部分を占めているプレハブ建築協会に属している何とかリースのそれは、これからこういうことがあるということはないと思いたいし、ないでしょうけれども、だとすれば、先ほど言われたように、住んでいる人の負担とか迷惑がかからないような工夫をもっとしていただきたいと思います。スピード感はわかるけれども、そもそも寒冷地ですよね。そう思って見ていました。西のプレハブメーカーは、新潟の地震のときに寒冷地ということを初めて知ったという。今回はそれから数年もたっているわけだから、当然、それに対応するものを持ってくるはずでしょう。スピード感はわかるけれども、そういうことをチェックしなかったこと自体、私は疑問です。県のそういった対応自体は足りないと思う。もう既に経験しているわけですからね。(「物がなかったんだ」と呼ぶ者あり)いや、そういう問題じゃなくて。もう既にわかっていてなったことだから。それだけ指摘しておきます。
〇軽石義則委員 仮設住宅の件に続いてまたお聞きいたしますけれども、スピードを出すために無理して仮設の住宅を設備したというところがあって、これから寒い冬に向けて非常に不安を抱いている方々も多くいるとお聞きしております。
 暖房対策については、先ほど及川幸子委員から御質問がございましたので、その件は省いて、次の点に移りますが、水周りの凍結防止についてはこれから非常に大事なものであると思っております。生活する上で、やはり水周りの凍結対策というのは岩手県においては抜いてはならないところだと思いますし、多分、東京の人たちに水をおろすと言っても何のことかよく理解できないことが現状のようでございまして、岩手県においては冬場の日常生活では必要なものでございますので、その対策を、今どのように現状把握して、仮に不備があるとすれば、今後どのような対策をとっていこうとしているのかお聞きしたいと思います。
〇鈴木生活再建課総括課長 応急仮設住宅の水周りの凍結防止対策についてでございますが、水周りの凍結防止対策につきましては、給水管に断熱被覆を行っているほか、各戸ごとに水抜き栓を─これは外に設置されてございますけれども─設置してございます。このほかボイラー配管への凍結防止ヒーターの設置によりまして対応させていただいているところでございます。
 凍結の防止につきましては、予想気温に応じた水抜きの実施など、入居者自身による適切な管理を行っていただくことが課題となっているところでございます。このことから、今後の取り組みといたしまして、水抜きなどの凍結防止設備の操作方法などを含む冬季間の暮らし方につきまして、文書等による周知を図る予定としてございます。
〇軽石義則委員 水抜き栓が外にあるということでありますけれども、毎回、トイレに出るたびに外に行って出して、また入れて、抜いてまた寝てというという、我々自身、みずからやれと言われても、そういう意味では非常に不安を感じるわけです。まさに健康に不安のある方々は、それを実際できるのかどうかということは、事実、担当する方も、その構造からいって、やはり屋内から操作できるような方法を選ぶべきではなかったかと思うんですが、その点についてはどうでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 応急仮設住宅の建てつけの関係から外側の水抜き栓ということになっているものでございまして、先ほども申し上げました操作方法などによりまして周知を図りまして、御理解を賜りたいと存じているところでございます。
〇軽石義則委員 ということは、改善する気がないと。そのまましてくれということでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 今、委員の仰せにつきましては、担当部局が県土整備部でございますので、お伝えさせていただきたいと存じます。
〇軽石義則委員 それでは、その件についてはよろしくお願いします。
 仮に、そのような状況の中においても、凍結した際の仮設住宅の修理またはその後の工事を含めて、その経費負担は入居者がするべきものなのでしょうか。それとも管理者といいますか、そちらがするべきものなのでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 まず、応急仮設住宅の構造上、水道管につきましては、凍結深度を超えて埋設されておるということでございまして、基本的には水抜きをすれば凍結防止ができるということになっているところでございます。
 それで、水周りの凍結防止につきましては、入居者自身による適切な対応が原則と考えているところでございます。それでもなお水周りが凍結した場合で、工事の不備や、設計した構造上の問題等により発生したものと想定される場合にあっては、原因を特定した上で、工事の不備が明確になった場合は県土整備部で対応することとしております。原因が工事の不備によることが明確になった場合にありましては、当該住宅を建設した会社に経費の負担も含めて改善を求めることになるものでございます。
〇軽石義則委員 そうすると、その原因が明確になるまでは待ってなければならないのでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 基本的には、待っているというか、御本人の管理の中で凍結をされないようにぜひお願いをいたしまして、対応していただくということでございます。
〇軽石義則委員 何か、その対応というのは、知事がよく言っている被災者に寄り添って対応していくという言葉にはなかなかつながらないような気もするところでもありますけれども、被災された皆様方は、そういう意味ではつらい思いをした上でさらに冬を迎えるわけでありますから、もっとそこに配慮した対応をぜひお願いしたいと思います。
 次に移ります。ことしの冬、年末年始も大変大雪でございましたけれども、仮設住宅団地の除排雪について、雪の深度によっても対応は違うと思いますが、どのような対策をとられようとしているのかお聞きいたします。
〇鈴木生活再建課総括課長 応急仮設住宅に係る除排雪の対策についてでございますが、まず道路の関係でございます。応急仮設住宅団地へアクセスする道路の除排雪につきましては、それぞれの道路管理者である県、市町村が対応するものでございまして、各道路管理者におきまして、交通や生活に支障が生じないよう努めることとしているものでございます。
 なお、仮設住宅団地内における除排雪につきましては、応急仮設住宅団地の維持管理につきましては市町村に委託しております。ということで、市町村において、自治会等と協議の上、適切に対応していただきたいと考えているところでございます。
〇軽石義則委員 居住者が困らないようにきちっと対応できる体制整備だけはお願いしたいと思います。
 以上のことについて質問は終わりますけれども、借り上げ物件を含めて、被災された皆様方が、今、自宅で、被災した家屋にも入っている方々もおりますので、そのところも含めて、すべて公平公正にいかないことも現実だと思うんですが、対応できる部分についてはできるだけ対応できるような体制もとっていただくことを要望して、終わります。
〇熊谷泉副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時53分 休 憩
午後3時12分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇飯澤匡委員 復興局についてはことし8月に創設されたばかりですので、今回の決算審議では、これまでの結果の検証とともに、主に復興計画の策定と推進、そして被災自治体との今後の連携についてを中心にお伺いしたいと思います。
 さきの質問者との議論の中に、被災地の自治体の方々は、また被災地の方々もそうですけれども、県に対してはある程度ワンストップで要望にこたえられるかどうかという点が大事かと思っております。
 そこで、冒頭に平井副局長から御説明がありましたが、まず復興局のあり方について、今後のあり方についても含めてお伺いしたいと思います。
 冒頭、復興局は、後方支援、また技術的支援、市町村への支援と。要するに県の立場としては支援の方向性で復興にお手伝いをするという意味合いと私はとらえました。
 まず第1点は、広域振興局、特に沿岸の振興局は現場対応で、県職員の方も大変汗をかかれて御苦労なさっていると思うんですが、現場との意思疎通、そして被災自治体、この連携関係はどのようにこれから進めていこうと思われているのか。現状どういうふうに進んでいるのか、その点についてまずお伺いしたいと思います。
〇平井理事兼副局長兼まちづくり再生課総括課長 広域振興局と被災自治体、それから本庁との連携についてでございますけれども、沿岸及び県北広域振興局につきましては、被災自治体を初めとした現場の意見や課題などを的確に把握するとともに、現地の状況を踏まえた具体的な支援活動を展開するため、現地復興本部として位置づけているところでございます。
 また、これらに加え、10月20日付で釜石市、宮古市、大船渡市に現地復興本部地方支部を置き、各地域における復旧、復興施策の迅速かつ的確な実施を図ることとしたところでございます。
 具体的には、広域振興局の副局長等が市町村が設置する復興計画策定委員会等の委員として審議に参画するほか、技術職員等を市町村に派遣するなど、相互に情報共有を図りながら被災市町村の復興計画の策定作業を支援しているところでございます。
 今後とも、現地復興本部である広域振興局等と緊密な連携を図りながら、市町村の復興に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 2点目の質問に移ります。
 所管する業務について、おのおのの業務内容を記されたペーパーをいただきましたが、要するに、復興計画、そして復興に向けた業務についての調整、調査、支援という言葉がずっと続いているわけでございまして、私は、ことし4月の臨時議会において、知事に対してこのような質問をいたしました。
 この機に産業振興のあり方についても県は主体的にかかわって提案をすべきだと思うし、特に、これから再生可能エネルギーについては、岩手県は木質バイオマス等これまで育ててきた分野があるので、それらの分野を軸にもっと発展させるべきだという質問をした経過がございます。
 私の議論の内容を聞いて、そのような観点でも進めてまいりたいという知事答弁があったと記憶しておりますけれども、さっき申し上げた支援、調整という部分が主にこの復興局の所管業務になっているということについて、これから新産業の確立、新産業を創設するという意味において、どこの課が所管をするのであろうかと。どこが中心となってやるのだろうかという部分についてはちょっと見えない点がございますので、その点について、どのような考え方、そして業務所管について割り振りをしているのでしょうかお聞きしたいと思います。
〇伊藤産業再生課総括課長 新産業分野につきましては産業再生課が所管していくものと考えております。
 新産業の創設に向けましての被災自治体との連携の体制ということでございますが、現在公表されている被災市町村の復興計画あるいは復興計画案によりますと、ほとんどの沿岸市町村で再生可能エネルギー─これは木質バイオマスほか太陽光あるいは風力といったエネルギーですが、その導入を検討しております。また、一部ではものづくり産業の新たな展開なども検討しているところであります。
 県では、新産業としての再生可能エネルギーの導入等を検討している市町村について国の制度や事業を紹介するとともに、新産業の創設には民間企業のノウハウを活用することも有効との観点から、要望のあった釜石市や大槌町などに対し民間企業提案とのマッチングを図り、具現化に向けて連携して取り組んでいるところであります。
 今後も、被災市町村のニーズを聞きながら必要な支援等を行ってまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 そのニーズを聞きながらというところがちょっとひっかかるわけでございます。岩手県は、やはり主体的に、例えばエネルギーの地産地消であるとかそういうものを目指して─これはもちろん市町村のまちづくりというのがその根底、前提にあるわけですけれども、新創造なわけですから、そういう観点も含めていかないと私はいかんと思うわけです。
 ただいま御紹介のあった自治体以外で、再生可能エネルギーをいろいろ組み合わせて市独自で頑張ってみたいと、そういうお話を私は懇談した経過がございますが、残念ながら岩手県には余り期待していないというような、これは首長さんのお話でございます。こういう答えが出てくること自体大変悲しい思いをしているわけですが、やはり前もってこういうふうな新産業を確立したいという想定されたものが岩手県ではなかなか見えてこない。聞かれたら返しますということではなかなか明るい展望が開けてこないのではないかと思うわけです。
 実例を申し上げますと、宮城県では、海中にある、既にアメリカなどでは実証実験がされている藻を使ってジェット燃料をつくる、新しい燃料の基地をつくると。これは宮城県というより仙台市と大学が連携してやるようですけれども、そのような新基軸のものがなかなか見えてこないというところがちょっと残念な気持ちがするわけです。
 所管業務の中に産業再生ということなんですが、その点について、どのようにこれから県は対応なさろうとするのか、新基軸の考え方について。私はもっと積極的な観点に立って動くべきだと思いますが、答弁をお願いします。
〇大平企画課総括課長 復興計画の中では、三陸創造プロジェクトの中で産業再生ということをうたってございます。これらについては具体的なところを現在詰めているところで、先ほど伊藤総括課長から申し上げましたように、市町村のニーズあるいは民間企業のノウハウというところで民間企業から御提案いただいたりしているところであります。これらを進める中で、新エネルギーの関係あるいは木質バイオマスからの産業創造ということが基本的なところになりながら、さらにものづくり産業というところで商工労働観光部でも新たなプロジェクト導入に向けて検討しているところと聞いております。
 さまざまな民間のコンサルタント、シンクタンク等からも御提案をちょうだいすることにしておりますので、これらを含めまして三陸創造プロジェクトの具体化を図ってまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 なかなか目に見えて報道されていないというところに、私は県境に住んでおりますので、その点やっぱり比較してしまうわけです。せっかくそういう計画もつくったのですから、もっと先手先手に動いていただきたい、これは御要望申し上げたいと思います。
 これだけ悲惨な、千年に一度とも言われる被災をいたしました。私も隣の陸前高田市に何度となく行ってまいりましたけれども、行くたびに逆に心が重くなっていきます。若い人たちがそこに住むという、地縁だけではなくてそこに住むという願望をかなえるためには、まちづくりの中で県もこういうふうな新産業を取り入れてやっていこうというものを照らしていかないと、もう時間の経過とともに、やはり生活というものがありますから、ふるさとを離れていくと。新しい住宅を建ててみても、時間が経過して、その建設が終了になった時点で、そうしたらだれもいなくなったということでは大変悲しい思いをいたします。
 私は、やはりこの機会に、もっともっと岩手県は被災地のために、いろいろな新産業の確立であるとか、さまざまなチャンネルを利用して情報を収集しながらやるべきだと思っております。最後に、その点についてもう一度御所見と決意をいただいて質問を終わります。
〇平井理事兼副局長兼まちづくり再生課総括課長 まず現状では新しい産業のシーズがいっぱい岩手県には持ち込まれていると思います。いろいろな新しい、例えば植物工場のようなものの立地を何とかしたいという企業が市町村に話を持ちかけている。県はそれに対して、市町村だけでは知識が足りないところを補いながら、一緒に打ち合わせに入って、何とかそれが実現するように努力をしているという状況かと思います。そういう意味で、今は、一つはそういったシーズを大切にしなければいけないという時期でもあろうかと思います。
 御指摘のように、その中でなかなか戦略性が見えてこないということにつきましては、今後、さんりく産業振興プロジェクトを運用していく中で、戦略的に特に先端的な産業についての立地を図って、何とか質の高い労働市場をつくって人口の定着を図ることをしなければならないという認識でございますので、大平総括課長からも答弁しましたけれども、さんりく産業振興プロジェクトをしっかりと運用しながらそういった戦略性を持った活動をしていきたいと考えてございます。
〇木村幸弘委員 私からは3点ほどお伺いしたいと思います。
 まず第1点ですが、被災者の一時移送対策にかかわることについてお伺いします。
 発災以降、沿岸地域で被災された方々に対して内陸部等への一時移送に取り組まれたわけであります。宿泊施設等を含めて内陸部への受け入れ態勢を整えていただいたわけですけれども、最終的にこの移送の実績というのはどれほどになったのかということをまずお聞かせいただきたいと思っております。
 それから、この移送の宿泊施設への受け入れ態勢を確保するためのいろいろな手続が行われているわけでありますけれども、受け入れ先等の調整を含めてどのような対応が行われてきたのかということであります。
 当時、そうした受け入れ態勢を整えるために、内陸部のいろいろな宿泊施設からはそれぞれの可能な受け入れ数等も答えてその準備に対応していたわけでありますけれども、現実には、なかなかいつどの時点でどういう形で被災者が入ってくるのかさえ何も情報が伝わっていないということで、大変受け入れ側と、あるいはお願いをする側との意思疎通というか、その情報の交換等を含めた対応が十分に機能していなかったのではないかということなども指摘されているわけでありますが、そうした点についてどうだったのかということをお尋ねしたいと思います。
〇鈴木被災者支援課長 まず、内陸部への宿泊施設等への移送実績でございます。これまでに沿岸7市町村から2、032人の被災者の方が内陸の宿泊施設に移動いただきました。
 次に、実際に宿泊施設の受け入れ態勢の手続、調整でございますが、事業を開始するに当たりまして、県内の宿泊施設ではどのぐらいの受け入れが可能かという受け入れ可能数をまず把握する必要がございました。そのため、県関係課で協議いたしまして、観光協会であるとかホテル生活衛生同業組合のような関係団体を通じまして宿泊施設の候補地の調査を実施させていただきまして、120施設から申し出をいただいたところでございます。
 実際の事業の実施に当たりましては、受け入れ側の市町村の御協力もいただきながら宿泊施設の確保に取り組んできたところでございます。
〇木村幸弘委員 答え方によっては確かにそういう答えになるだろうと思うんですが、現実には、受け入れのために手を挙げていただいた宿泊施設等からは、いつどういう時点で被災者が何人必要なのか、あるいはどれだけ来るのかということについての情報が十分に入ってこないんですね。しかし一方で、受け入れる側は何人は可能ですよということを言っているものですから、その間は他のお客さんを一切受け入れないという態勢で、そのキャパシティーを維持しようということで努力していたという経過もあります。
 そういう部分でいうと、実際に、確かに現地で希望を募って、内陸へ移動してもいいですよという方が確定した段階でようやくその数字が見えてくるわけですけれども、しかし、その受け入れの状況について、もう少し緻密なといいますか、受け入れ側に対して説明不足がちょっとあったのではないかという点もありますし、そういった点についての課題というものをぜひ考えていく必要があるだろうと思います。
 したがって、当該市町村においても、いろいろと問い合わせはあっても、それは結局、県と、それから先ほどお答えに出ました組合、協会、そこの調査が間に入っているという関係で、そこの関係がどうしても間にあるものですから、市町村自体も対応に苦慮していたという部分も実は聞いているわけであります。いずれそういった点について、改めてそれらの問題点等がどうだったのかということ、あるいは県はどう把握していたのかについてお伺いしておきたいと思います。
 それから、避難所の設置の考え方でありますが、私は特に福祉避難所の設置についてお伺いしたいと思います。
 いわゆる要援護者を中心にして福祉避難所というものが設置されることになっているわけであります。沿岸地域における避難所の設置、あるいは内陸部においてもそういった設置が行われているはずでありますけれども、実際に今回の災害時において、この福祉避難所というのはどれだけの設置状況になっていたのか、そしてその実態はどうであったのかお伺いしたいと思います。
〇鈴木生活再建課総括課長 福祉避難所については私から、一時移送の関係につきましては鈴木被災者支援課長から答弁させていただきます。
 まず、東日本大震災津波による県内の福祉避難所の設置状況についてでございますが、沿岸市町村におきましては8市町村に44カ所設置され、避難者数は1、004人となってございます。内訳は、高齢者766人、障がい者208人、その他30人でございます。
 また、内陸市町村におきましては4市町村に18カ所設置されておりまして、避難者数は289人となっており、内訳は、高齢者144人、障がい者2人、乳幼児及び妊婦10人、その他133人でございます。
〇鈴木被災者支援課長 受け入れ宿泊施設との調整でございますが、先ほど申し上げましたとおり、当初、受け入れ可能数を把握するということで、関係団体を通じて候補地の調査をさせていただきました。その後、復旧に向けまして、いろいろな企業であるとか、そういったところから宿泊受け入れができるかという問い合わせがその宿泊施設に来ているというお話をいただきましたので、改めて観光協会であるとかホテル生活衛生同業組合などを通じて、お声がけをして調査に応じていただいたところに対して、先日行いました調査につきましては、要するに部屋を県で絶対押さえていてくださいというものではございません、営業ベースを優先していただいて構いませんということを改めて2回通知させていただいたところでございます。そこら辺でやりとりに誤解を招くようなところがあったのは申しわけなかったと考えてございます。
 それから、受け入れ側の市町村との連携でございますが、宿泊施設で日常の相談業務等を行っていただく関係がございましたので、事業については十分御説明し、それから、宿泊施設と市町村の間でも連携をとりながら、日常の生活相談であるとか、あとはステージが進むにつれて応急仮設住宅の申し込みの相談であるとか、あとは保健師を通じた福祉、医療に関する相談などを行ってきていただいたところでございます。
 県でも受け入れ市町村との連絡会議を随時開催しておりまして、そういった情報共有をするとともに、宿泊施設に対しましても、沿岸市町村の応急仮設住宅の申し込みの状況であるとか、そういった情報をお送りいたしまして、それを掲示していただくなどの態勢を整えてきたところでございます。
〇木村幸弘委員 福祉避難所の関係ですけれども、今、数字を示していただきましたが、避難者の方々と、要援護者の方々の避難場所が結局ほとんど一緒の状態になっている箇所が幾つか見受けられたんじゃないかと思うんです。区分けをして福祉避難所として要援護者をきちんと体制として整えて押さえた福祉避難所と、それから全体の避難所の中にスペースとして便宜的に福祉避難所という形で位置づけた、そういう避難所のくくりをしてしまった避難所と、その辺のところの区分けというのはどのくらいになっているかわかりますか。
〇鈴木生活再建課総括課長 福祉避難所につきましては、高齢者や障がい者等何らかの特別な配慮を必要とする者のほか、その家族までを対象としているところでございますが、今般の震災に当たりましては、被害の規模を考慮し、一般の避難者につきましても受け入れを行うことが可能とされたところでございます。
 その家族以外の一般の避難者の利用がどの程度あったか等につきましてはちょっと把握しておらないところでございます。
〇木村幸弘委員 いずれ、そういった特別なというか、特に障がい者であるとか、一般の避難者の方々と避難生活の環境の中でなかなか難しい面があったり、あるいは誤解を招いたり、いろいろな形で避難者の中でもそういった理解とある程度の協力が、緊急事態の中ですから一定の理解はお願いせざるを得ないんでしょうけれども、しかし、そういった形で、要援護者と言われる方々が、迷惑をかけてはならないというふうに逆に精神的な負担を負ってしまうようなケースもあったやに聞いておりました。そういった意味では、ぜひ具体的にこれから検証していく中で、福祉避難所あるいは一般避難所との関係性の中でどういった課題や問題点があったのかということは十分に県としても把握しながら対応をこれからやっていただかなければならないと思っております。
 最後になりますが、先ほど政策地域部でもちょっと確認したんですけれども、内陸に今避難して住まわれている方々に対する行政サービスのあり方について、政策地域部の答弁では、いわゆる避難者情報システムを使ってそれぞれの関係自治体にこういう方々が避難者としておられますという情報提供まではできると。しかし、行政間の連携であるとか、自治体として行政サービスをやるという部分についての制度的、政策的な判断や取り組みについては復興局の所管ですという答弁をいただきました。したがって、復興局として、いわゆる在籍の有無にかかわらず必要な行政サービスをそこでどういう形で提供できるかということについて、実は自治体からも多分県に対してその辺の調整を何とかできないかという要望なども出ているはずですけれども、そういったところをどのように把握しているかまずお伺いします。
〇鈴木生活再建課総括課長 内陸への避難者に対します行政サービスのあり方についてでございますが、政策地域部からも答弁があったかと存じますが、避難元市町村におきまして、区域外への避難者に関する所在地等の情報を把握し、避難者に対して必要な情報提供を行うため、平成23年4月に総務省が全国避難者情報システムを構築したところでございます。
 県といたしましては、地元市町村の外に避難した避難者に対しましても情報提供や生活相談等の支援を行うことが必要だと考えておりまして、この7月には市長会の会議におきまして被災者の支援についての協力を要請したほか、8月10日付で市長会、町村会、市町村あてに全国避難者情報システムへの登録周知等の協力をお願いしたところでございます。
 内陸の市町村におかれましては、受け入れ被災者へのさまざまな支援を実施していただいているところでございまして、遠野市、盛岡市、北上市、一関市─これは例示でございますけれども─では沿岸被災地への支援活動のほか、相談窓口の設置でありますとか情報発信、被災者交流拠点の設置などをしていただいております。
 また、県といたしましても、被災者相談支援センターにおける相談等を通じまして支援をしているところでございますし、このほか、内陸部に移り住んでいる被災者等を対象とした相談会を内陸の市町村と連携の上、順次開催することとしており、先日は花巻市で開催したところでございます。
 また、国では、本年8月に制定した福島原発事故による避難住民に係る事務処理の特例等を定めた、いわゆる原発避難者特例法の附則第3条におきまして、東日本大震災の影響によりその属する市町村の区域外に避難することを余儀なくされている住民に対する行政サービスの提供について必要な措置を講ずる旨を定めており、今後、避難元、避難先の行政サービスの分担につきまして国からの通知が出される見込みでございます。この国からの通知を見ながらしっかり対応していきたいと考えているところでございます。
 今後も、県内の他市町村に避難されている方々に対しまして、生活再建のためきめ細かな支援を行うことができるよう、市町村、関係機関、NPO等と連携いたしまして被災者の相談、支援の充実を図るとともに、市町村の取り組みを支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 最初に、被災者の現状と対策についてお聞きします。
 仮設住宅、在宅被災者、みなし仮設住宅、さらには県内の親類、知人への避難、県外への避難者、被災者全体がどういうところにどういう形で今生活をしているのか示していただきたい。
〇鈴木生活再建課総括課長 被災者の状況についてでございますが、応急仮設住宅につきましては1万3、099戸、3万1、575名が入居しているところでございます。
 自宅で暮らす被災者につきましては、沿岸市町村から把握している範囲ではおよそ1万2、000名と報告を受けているところでございますが、一部市町村では在宅被災者の状況の把握がなされていないところでございます。
 民間賃貸住宅、公営住宅等のいわゆるみなし仮設住宅につきましては4、464戸、1万2、039名が入居しているところでございます。
 内陸市町村の親類宅等へ移った被災者につきましては2、714名、県外へ移った被災者につきましては1、593名となっているところでございます。
〇斉藤信委員 仮設住宅が毎日ニュースにも出て、ここも大変切実なんですけれども、私は、仮設住宅だけではなくて、被災者全体を視野に入れて対策を強めることが必要だと。
 少し各論でお聞きします。
 まず、仮設の問題なんですけれども、私は、集会所、談話室の設置状況を本会議で聞きました。319団地で174集会所、談話室が設置されていると。これは半分ちょっとなんですね、残念ながら。仮設住宅のコミュニティの確立にとって、私は、集会所、談話室の設置が必要だと思うけれども、空き仮設もあると思いますが、これをすべての団地に設置するという方向で取り組むべきと思いますが、具体的にはどうでしょうか。
 もう一つ、集会所、談話室は実際に活用されているのかどうか、現段階でどのぐらい活用されているのかわかりますか。
〇鈴木生活再建課総括課長 まずは、後段の集会所、談話室の活用状況についてでございますが、ボランティア団体によるお茶会等の各種行事の開催であるとか子供たちの学習スペース、遊び場などのほか、生活支援相談員によるコミュニティ再生支援の場としても活用されているところでございます。
 全体的なトータルな調査はございませんけれども、私どもと特定非営利法人いわて連携復興センターの共同によりまして、ことし8月から9月にかけまして、5市町で仮設住宅の入居者へのインタビューを実施いたしました。その中で利用状況についてもお聞きしたところでございます。その時点でのということでございますけれども、集会所の利用状況につきましては市町村によって差がございまして、高いところでは69%の団地で利用されておりましたが、低いところでは7%しか使われていないところもあったところでございまして、この活用促進が地域コミュニティの活性化、組織化とあわせて課題になっていると考えているところでございます。
 集会所、談話室につきましては、9月補正予算におきまして10団地の追加工事を議決いただいております。このほか、支援の申し出をいただいているNGOの御協力をいただきまして、陸前高田市、釜石市におきまして集会所または談話室の追加設置を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 一つは、集会所、談話室の活用で差があると。当初、市町村や社協がここを管理するということがありましたが、本当は地元の仮設住宅の団地自治会がこれを管理運営すれば一番いいんですよね。この管理運営はどうなっているか。そして、管理運営の費用はどこが負担することになっているのか。自治会の設立状況はどうなっているでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 応急仮設住宅の集会所の管理につきましては市町村に県として委任しておりまして、市町村で直接管理をしているところもあれば自治会等にお願いしているところもあると聞いているところでございます。
 次に、自治会の設立状況についてでございますけれども、県内にある応急仮設住宅団地319団地のうち186団地、58%で自治会等が組織されているところでございます。また、127団地で自治会設立に向けた準備が進められておりまして、組織済みの団地と合わせると、319団地のうち313団地、98%で自治会の組織化が進められているということでございます。
 費用負担につきましては、これは市町村で御対応をお願いしたいということでお願いしておりまして、市町村の負担のところもあれば、自治会等、住民等の皆さんにお願いしているところもあるという状況でございます。
〇斉藤信委員 これからの準備を含めると313団地でほぼ100%に近いと。私は、この自治会の確立が大変大事で、日常的に活用するためには、やっぱり自治会にその管理をゆだねると。同時に、被災者なわけですから、被災者にこの維持管理費を押しつけるようなことがあってはならないと。このこともよく見て柔軟に対応していただきたい。
 もう一つは、さっき回答がなかったけれども、今度の補正予算で若干の集会所、談話室の設置が組まれましたが、かなり多数の団地に集会所、談話室がないのですよ。コミュニティの確立という点で、その保障がないのです。仮設住宅の空き住宅の活用状況はどうなっているでしょうか。そして、それを活用する余地はないのか。私は、引き続きすべての仮設に集会所、談話室の設置を追求していくべきだと思いますが、いかがですか。
〇鈴木生活再建課総括課長 仮設住宅の空き住宅の活用につきましては、知事から厚生労働大臣に要望いたしまして、いわゆる転用が認められているところでございます。その中で、国の通知といたしまして、先ほど委員仰せのとおり、集会所施設としての活用についても認められているという状況でございます。
 個別の数につきましては承知いたしておりませんが、市町村におきましては、先ほど申し上げました国の通知も受けまして、集会所としての活用でありますとか、多人数家庭世帯へのさらなる部屋の貸し出しであるとか派遣職員の宿泊施設という形での活用をしていただいているということでございます。
〇斉藤信委員 ぜひ空き住宅の活用も後でよく把握していてくださいよ。私も相談したことがあるけれども、5人、6人で2部屋で生活している方もいますから、そういう方々に対して空き住宅を貸す、これは当然のことです。あとは遠くからまた戻ってくるというケースもありますので、空き住宅がその後どのように活用されているかというのを後でぜひお知らせいただきたい。
 そして、それを含めて、どうも一貫して答えがないんだけれども、未設置の団地に集会所、談話室を設置していくと。そうしないと集まる場所がないのですよ。コミュニティを確立する保障がないわけですから、2年、3年以上、仮設住宅は続くと思いますよ。まちづくり、これからの一つのコミュニティになるわけですから、そこをぜひ取り組んでいただきたい。
 次に、暖房器具の設置の問題は先ほど来問題になっていました。みなし仮設は対象になっていませんね。そして、在宅被災者。在宅被災者といっても、全壊、大規模半壊、こういうところで生活している方々が結構いるんですよ。だから、本当にある意味でいけば仮設よりも大変な状況で生活している。ところが、ここには全く支援の手が届いていない、こういう声も寄せられていますが、みなし仮設や在宅の被災者に対しても暖房器具の設置、またその他の支援も行われるべきではないのか、いかがでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 みなし仮設住宅、在宅被災者の皆様方に対する暖房器具につきましては救助費の対象になっておらないということでございます。
 そういう状況の中で、NGOやNPOの御協力をいただきまして、みなし仮設住宅への暖房器具の設置につきまして、現在、協議を進めているところでございます。財源の問題もございまして、そういう中で県も一緒に入りまして、一つのところに重ならないようにということでありますとか、そういうものを含めまして現在調整を進めているということでございます。
〇斉藤信委員 ぜひみなし仮設とあわせて、在宅被災者、在宅避難者、私は今の段階ではここにぜひ目を向けていただきたいと思います。
 陸前高田市や大船渡市や大槌町は未調査なんだけれども、1万2、207人ですよ、在宅の被災者というのが。これはいろいろな程度はあるんだけれども、残念ながら保健師も回ってこない、物資も届かない、そして、本当に孤立している。仮設も条件は悪いんだけれども、いわば被災者ですから、修理をしながら本当に大変なところでやっているので、さっきみなし住宅にはNPO、NGOという話がありました。在宅被災者への支援、この問題もぜひ一緒に検討していただけないでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 暖房器具の設置に限った話でございますと、今、御協議を申し上げているNGO、NPOの財源の問題がございまして、それはなかなか厳しいという状況でございます。
〇斉藤信委員 財源の問題はあるでしょう。私が提起したのは、一つは在宅被災者の実態を今把握する必要があるんじゃないかと。同じ被災者ですから、本当に全壊とか大規模半壊の中で生活している方々もこの中には多いんですよ。そういう意味では、財産を一度なくして、そういう中でも自宅を改修しながら、また、本当に改修したと言えないような状況の中でも生活している人たちが少なくないので、そのことを私は指摘したので、財源があるかないかじゃない。
 暖房器具の設置だけじゃなく、被災者の生活再建という点で、これは、じゃ、廣田副局長に聞きましょう。在宅被災者、在宅難民という状況もあるけれども、これの実態の把握、そして、それに対しても私は仮設と同じような支援が今求められているのではないかと思いますが、これへの対応を強めていただきたい。いかがですか。
〇廣田理事兼副局長 在宅被災者の現状の把握につきましては、市町村によって御指摘のとおりまだ温度差がございます。陸前高田市、大槌町では十分に把握されていない状況にございますので、その辺は市町村の役場と一緒になってしっかりと把握していく必要があると思います。
 それから、その後のケアにつきましても、徐々に保健師あるいは生活支援相談員などによりまして訪問がスタートしてございますので、それもあわせてきめの細かい支援をしていきたいと思っています。
〇斉藤信委員 陸前高田市、そして大槌町では全世帯の訪問調査もやられました。陸前高田市、大船渡市は最も被害の状況が深刻なところだけれども、その訪問調査で示された特徴、課題、問題点をどういうふうに把握されていますか。
〇廣田理事兼副局長 今、手元にその数字はございませんけれども、いずれにしろ現状が十分に地元の役場も把握されておりませんので、それらの全戸調査の数字も見ながらしっかりと支援してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 暖房器具の設置を市町村に委託をしたと。先ほどの答弁で、こたつを配備しているところ、ファンヒーターを配備しているところ、あとは入居者の要望に応じていろいろ配備していると。この季節ですから、かなりの程度自前で確保したということもあって、厚生労働省の通知では三つ指摘しているわけです、ファンヒーター─ストーブですね、あと、こたつ、ホットカーペット。3点買っている人はいないと思うんです。だから、こたつを買った人にはホットカーペットだとかストーブを支給するとか、そこはぜひ柔軟に対応すべきだと思いますが、そういうふうになっているんでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 具体の対応につきましては、市町村におきまして地域の状況を踏まえて御対応いただくということでございます。ということで、スピード感の問題もございますし、地域の商店街の活性化ということで、地元で購入するということで対応しているところでございます。
〇斉藤信委員 それでは、義援金1次、2次、それと被災者生活支援金、災害弔慰金、現段階ではどこまで支給されているか。
 もう一つ、義援金については、宮古市や山田町で事業者に対しても、山田町の場合には一律20万円、独自に町に寄せられた義援金を配分するということが行われております。事業者というのはお店を流されても何の補償もないと、漁業者の場合もそうでしたが。私はそれ以外に義援金が幅広く被災者に届く手だてが必要だと思うけれども、県としてそれはできないのか。市町村がどこまでそれを広げてやっているのか状況を示していただきたい。
〇鈴木生活再建課総括課長 まず、義援金の支給状況についてでございますが、国と県の義援金の第1次配分につきましては4月20日から各市町村に配分しているところでございますが、10月21日現在、2万9、789件、133億2、791万円を申請者に支給し、支給率は件数ベースで89.3%となっているところでございます。
 第2次配分につきましては6月28日から各市町村に配分し、2万9、764件、255億91万5、000円を支給し、支給率は89.3%となってございます。
 被災者生活再建支援金につきましては10月21日現在で190億882万円を支給しておりまして、支給率は件数ベースで94.3%になっているところでございます。
 災害弔慰金につきましては10月20日現在で4、443件、132億5、500万円となっておりまして、支給率は68.9%という状況でございます。
 次に、市町村での事業者や在宅被災者等への義援金の支給については、県内8市町村におきまして、市町村に直接寄せられた義援金を事業者に支給しているところでございます。
 県の義援金の支給対象の拡大につきましては、現在、県の配分委員会におきまして協議させていただいておりますが、国の義援金配分割合決定委員会で決定されました、死亡または行方不明、住家の全壊または半壊を支給対象とし、事業活動への配分をしない方針に準拠するものとしておりまして、困難だと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 次に、安全なまちづくり、防潮堤、湾口防波堤の考え方についてお聞きいたします。
 湾口防波堤の破壊の状況、津波に対する効果の分析、費用対効果の検証、私はこれが必要だと思いますが、残念ながら、恐らく県にも、そして県民にも詳しい状況が報告されておりません。
 10月12日に静岡市で行われた日本地震学会では、海洋研究開発機構などの研究チームが岩手県釜石を例に、防波堤があってもなくても津波の高さに差はなかったと、こういう研究報告をしています。湾口防波堤については、釜石の場合には30年、1、200億円かけてできたばかりの湾口防波堤が本当に大きな破壊を受けたわけです。これが本当に効果があったのかどうか私は徹底した検証が必要だと思うし、大船渡の湾口防波堤は全面的に破壊されていますよ、土台以外は。これが本当に効果があったんだろうか。大船渡の場合は、漁民の方々から、この湾口防波堤は見直すべきだという声も強いです。私はそういう意味で、この湾口防波堤の検証というのをきっちり県も責任を持ってやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇平井理事兼副局長兼まちづくり再生課総括課長 湾口防波堤の破壊の状況についての認識をまとめて答弁したいと思いますが、東日本大震災津波に伴い、釜石港の湾口防波堤においては北堤990メートルの全域にわたりケーソンの傾斜や倒壊が見られ、南堤670メートルは、そのうち半数のケーソンが倒壊し、水没するなどの被害を受けたところでございます。
 また、大船渡港の湾口防波堤につきましては、約530メートルの全延長のうち、ケーソン部分が港の内側に転倒するなどの被害となってございます。
 なお、湾口防波堤の被災のメカニズムにつきましては、概略的な報告がなされておりますが、現在、独立行政法人港湾空港技術研究所におきまして詳細な検証を行っていると聞いているところでございます。
 津波に対する効果の分析、費用対効果の検証についてでございますが、国土交通省では、現在、交通政策審議会の港湾分科会におきまして港湾における総合的な津波対策のあり方について検討を行っているところでございまして、その中で東日本大震災における被害状況と津波防災施設の役割の評価について検証が行われているところでございます。その中間とりまとめの段階では、防波堤には、津波高を低減する効果、港内の水位上昇を遅延させて避難時間を確保する効果、流速を弱め破壊力を低減させる効果があると報告されております。
 具体的に、ことし3月に港湾空港技術研究所が釜石港の湾口防波堤についてシミュレーションにより検証しました結果、湾奥での津波高を約4割低減させるとともに、津波の第1波が防潮堤を越えるまでの時間につきましては、防波堤がない場合と比較して6分間遅延したとされております。
 費用対効果の検証を国において実施するかどうかは定かではございませんが、以上の検証結果を踏まえ、県としても、湾口防波堤が人命や財産の被害の減少に大きな役割を果たしたものであるとは評価してございます。
〇斉藤信委員 これは日経新聞10月13日付です。海洋研究開発機構などの研究チームがシミュレーションをやったら、防波堤で差がなかったと。これは試算の仕方で本当に大きく異なるんだと、こういうことも報告しているわけです。この報告そのものは、残念ながらまだホームページに出ていないので手に入れていませんが、私は湾口防波堤をつくった国土交通省だけの調査では本格的な検証にならないと思いますよ。ましてや岩手県の場合、さっき私が言ったように、30年かけて1、200億円、完成したばかりの釜石の湾口防波堤がほとんど破壊されたと。それも第1波でどのぐらい破壊されたのか、第2波にどう対応したのか、これは全然わかりませんよ。第2波のほうが大きかったんですね。だから、第1波でやられていたら第2波の効果というのはほとんどなかったんじゃないかと。これもかなりシビアな問題なんですよ。
 防波堤があればそれなりの効果があるのは事実です。しかし、湾口防波堤があるから防潮堤を低く設定しているわけです。これはセットなんです。湾口防波堤がなかったら高い防潮堤で守る、これがやられているわけです。だから、二重に設定して、それで本当に効果があったのかということも含めて、この問題は本当に地域住民が納得するようにやるべきです。
 大船渡の場合は、それで湾内が汚染されて漁業にも影響を与えたと。しゅんせつということがずっと問題になってきたんです。だから、大船渡湾の漁民は、再び湾口防波堤の再建を市長が国に要請するときに一緒に行くのを断ったんですよ、理事会にまでかけて。決して今の段階で住民合意がある問題ではないので、海洋研究開発機構などのこういう分析なども含めて、客観的に我々にもしっかり示して検証すべきではないですか。湾口防波堤の再建ありきということでは、私は全くその前提状態にないと思いますけれども、いかがですか。
〇平井理事兼副局長兼まちづくり再生課総括課長 湾口防波堤の評価につきましては、先ほど御答弁いたしましたように人命や財産の被害の減少に大きな役割を果たしたという認識で、その再建を国に要請している次第でございます。その詳しい効果につきましては、先ほど答弁いたしました交通政策審議会の中で検証がなされている次第でございます。この検証結果を待ちたいということでございます。
 また、御指摘の海洋研究開発機構の日本地震学会での研究発表につきましても、当方もホームページにそれがあったということは承知してございますが、内容を承知してございませんので、今後、情報収集に努めてまいります。
〇斉藤信委員 まだ検証中だというのに効果があったと。私は全く効果がなかったとは言いません。破壊されたとしても、湾口防波堤があったんですからそれなりの効果はあったでしょう。ただ、津波の第1波、第2波、これでどれだけ破壊されたかでその効果は全然違ってくるんですよ。そういうことは全然明らかになっていませんよ。ましてや検証中だというのに、効果があったからもう湾口防波堤の再建だというのは余りにも根拠がないのではないか。これは指摘だけにとどめておきます。
 中央防災会議も専門調査会の報告を出し、岩手県もそれも受けてといいますか、防潮堤の高さの設定もされております。中央防災会議、専門調査会の報告を読みますと、こうなっているんですね。今回のような最大規模の津波に対しては人命を守る、そして百数十年に1回程度のいわば繰り返される津波については人命も財産も守るということを基本にした、そういう方向が出されております。
 そこで、防潮堤の高さとまちづくりは一体なんですが、この防潮堤の高さとまちづくりのあり方というのもやっぱり住民の議論を通じて本来決めていく問題なのではないのかと。例えば沿岸なんかでも、海が見えないことが不安だと。堤防を越えたときには遅いということもあるわけですね。陸前高田市の場合、高田病院は堤防から1キロでしたけれども、1分かかっていません。役場まで3分かかっていません。そういう意味では、そういうシミュレーションの結果を我々にも示して、この防潮堤をこれだけの高さでつくれば、こういう効果があるんだ、ないんだということを我々にも示して、これは議論すべきじゃないですか。
〇平井理事兼副局長兼まちづくり再生課総括課長 防潮堤を初めといたしました津波防災施設の規模につきましては、委員御指摘のように、百数十年に一度程度の頻度で起こり得る津波に対応できる高さとするということを復興計画でも方針を出しましたし、中央防災会議の専門調査会でも同様の考え方が述べられているところでございます。
 その考え方をもとにしました防潮堤の高さ等につきましては市町村にお示しさせていただいて、最大クラスの津波に対する浸水域がどのようになるのかということを丁寧に説明させていただいて、まちづくりの中で高台移転でありますとか、かさ上げでありますとかということをどのように展開していくのかということにつきまして、いろいろ相談に乗りながら市町村のまちづくり計画の策定を支援している次第でございます。
〇斉藤信委員 ちょっと答弁漏れなのでね。県が設定した防潮堤の高さで今回の大震災規模の津波が来た場合にはどこまで浸水するかシミュレーションをやっていますよね。これは、地元ではそういうことを明らかにして議論しているんですよ。我々にもそれを明らかにしてくれと言っているんですよ。隠す必要はないでしょう。そのことだけ質問して、私は終わりますから。
〇平井理事兼副局長兼まちづくり再生課総括課長 これは、まちづくりの計画に非常に重要な影響を与える、しかも浸水をしてしまう区域の土地所有者、あるいは今でも住んでいらっしゃる方々にとっては非常に重要な問題でございますので、まず市町村にお示しをして、しっかりとした計画をつくっていただいくことがまずは先決の問題かと考えてございます。なお、できる限りの情報開示につきましては、委員御指摘のように、今後とも考えていきたいと考えてございます。
〇佐々木茂光委員 私からは、先ほど来の仮設住宅等に対する物資等の配布についてなんですが、具体的に申し上げますと、住田町の仮設住宅─今から寒くなってくるということで、それぞれそれまでに仮設住宅に入居された方々に対して、今、暖房等を含めて畳、もろもろあったわけですが、実は住田町の仮設住宅の方々には、畳をお願いしたにもかからず畳が入ってこなかったと。それは一体どういうことなんだということなんですが、その辺についてお尋ねいたします。
〇鈴木生活再建課総括課長 住田町の応急仮設住宅についてでございますが、住田町が建設いたしました応急仮設住宅は町独自に建設したものでございまして、災害救助法に基づき設置されたものではないため、町において維持管理を行ってきたことから、これまで救助費による畳等の設置は行ってこなかったところでございます。
 しかし、入居者等から畳の設置につきまして県に要望が寄せられましたことから、国とも協議をさせていただきました。その上で、住田町に対しまして、災害救助法を活用した応急仮設住宅の寒さ対策等の環境改善について県から提案をさせていただきまして、このほど、住田町におきましては、県の提案を受けまして、災害救助法を活用した環境改善を実施する旨の回答をいただいたところでございます。県といたしましては、今後さらに住田町と連携いたしまして、災害救助法を活用した応急仮設住宅の寒さ対策等の環境整備の推進を支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇佐々木茂光委員 といいますと、その問題は解決したということなんでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 昨日、住田町の総務課長さんがいらっしゃいましてお話をさせていただきまして、住田町におきまして寒さ対策等環境改善の工事を進めると。県で事務を住田町に委任いたしまして、住田町で工事、畳の設置等を進めて、その後、災害救助費の求償ということで県に請求するということで、順次環境改善が進められるということでございます。
〇佐々木茂光委員 そうしますと、確かめますけれども、その負担については県で負担をして、住田町にはその負担がないということなのでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 仰せのとおりでございます。国と協議いたしまして、今までの取り扱いを一歩踏み出した形での御回答をいただいたということで、こういうことが可能になったということでございます。
〇佐々木茂光委員 当初は災害救助法の話が、被災地、被災者に向けた考え方かどうかということを今回はただしたかったんですが、そういった、ある意味、特例的に解釈されたという解釈でよろしいんでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 特例的にというか、災害救助法の考え方につきましては、私どももいろいろ国に御要望とか御相談申し上げる中で、どんどん被災者の視点での拡充が図られてきておりますので、こういう考え方がスタンダードになっていくと考えているところでございます。
〇城内愛彦委員 済みません、当該委員なのでさくさくと進めたいと思いますので、よろしくお願いします。
 東日本大震災津波で被災した自営業者、中小事業者の復興状況について、まずお伺いしたいと思います。
〇伊藤産業再生課総括課長 被災した自営業者や中小事業者の復興状況についてでありますが、被災地の商工会議所、商工会の調査をもとに見積もりますと、現時点では、沿岸市町村の商工業者約1万3、000のうち約7、000が被災したと推計されております。そのうち約4、000の事業者が事業を再開していると推計しております。
 被災地における中小事業者等につきましては、用地の確保や資金繰りの課題などをまだ抱えてございますので、本格的な事業の復興にはいましばらく時間を要するものと考えております。
〇城内愛彦委員 被災地の特にも自営業者、中小事業者の方々は、復興したいんだけれども、もちろん先ほどの答弁にありましたように、いろんな条件があってクリアしなければならない課題はたくさんあるわけですが、地域においては、商店街のにぎわいであったり、雇用の場になっております。先ほど来お話にありますとおり、復興にはやっぱり働く場所、雇用がぜひとも必要であろうと思っております。そういう中にあって、被災した地域で仕事をなかなか見つけられない状況があります。それをいち早くするには、やはりこういったところから手をつけていくべきだと私は思っております。先ほど、斉藤信委員からもお話がありましたとおり、宮古市、山田町でも独自の補助メニューをつけたわけですけれども、それも焼け石に水状態であります。ぜひ、県でも積極的にこの課題には取り組んでいただきたいと思うんですが、その辺をどういうふうにお考えか、所見をお伺いしたいと思います。
〇伊藤産業再生課総括課長 県としましては、これまでもそうですけれども、事業の再開に意欲のある事業者に対しまして、グループ補助等の補助事業、長期低利の融資制度、あるいは中小企業基盤整備機構によります仮設店舗、工場での操業支援に加えまして、二重債務問題に対する相談センターや債権買い取りを行うファンドを創設するなど、企業の実情に応じた支援を続けてきておるところです。
 今般、国の3次補正におきましてグループ補助等の増額等の情報もございますので、今後は、そのようなものも活用しまして、さらに中小企業の復興に支援してまいりたいと思っております。
〇城内愛彦委員 中小企業については、そのとおりグループ補助金等があるわけでありますけれども、それに漏れるような、また、それより少し下がる─下がるという言い方は変ですね─本当に規模の小さいお店に対する支援がないというのが実情でありますので、ぜひその辺を創設してほしいと思いますので、それは要望にとどめたいと思います……(「当局の考えを」と呼ぶ者あり)ぜひ考えを、所見を再度お伺いします。
〇伊藤産業再生課総括課長 例えば加工業者につきましては、8月の補正だったと思うんですけれども、機械の設備について補助の制度を設けてございます。これの運用につきましては、本当に小規模の企業の方々等を優先したいという考えもございますので、そういう事業を活用しつつ、小さな企業についても支援をしていきたいと思っております。
〇城内愛彦委員 ぜひ、それは強く、PRも含めてお願いします。
 次に移ります。応急仮設住宅のバリアフリー化の状況についてお伺いしたいと思います。私の地元宮古市でも、仮説住宅を回らせていただいた際に、御高齢の方々が大変御不便な状況の中で仮設住宅暮らしをしておられました。その中で言われたことは、このでこぼこ道をということで、いち早く舗装にもしてもらいましたが、これから冬場を迎えて除雪等のことも考えるにつけ、環境的なものを考えるとなかなか難しい状況があるのかなと考えております。出入りの問題も結構高い状況で、バリアフリー化にはまだほど遠いなと感じました。その辺、県当局の考え方、見方をお伺いしたいと思います。
〇鈴木生活再建課総括課長 応急仮設住宅のバリアフリー化の状況についてでございますが、通路の舗装につきましては、全仮設住宅団地において実施することとしておりまして、今月中をめどに完成する予定となってございます。また、玄関の手すりとスロープの設置及びトイレの手すりとステップの追加につきましては、必要な世帯に設置してきておりまして、現在、それぞれ約600戸に設置してございます。
 必要な世帯の把握につきましては、市町村において入居者からの要望を取りまとめているところでございますが、今後におきましても、市町村からの追加の要望につきまして適宜対応することとしているところでございます。
 さらに、応急仮設住宅に入居している障がい者の便宜を図るためには、障がいの特性に応じた住宅改修を行うことが必要であるということでございまして、障がい者が入居する応急仮設住宅のバリアフリー改修につきまして、その体制を整備したいと考えており、保健福祉部や県土整備部と協議をしているところでございます。
〇城内愛彦委員 これから冬場に向かって大変な状況というんですか、皆さん大変な状況なんですけれども、そういうことが見受けられます。ぜひ、現場と密に連絡をとりながら調整を図っていただきたい。
 あわせて、仮設住宅は大変狭隘であります。このことについては各委員からも、この間、お話しになられているとおりでありまして、その中で、夏場にいただいた扇風機をしまうところがないとか、夏物と冬物の入れかえをどうしたらいいんだというお話をされました。あいている部屋であったり、願わくば、トランクルームというんですか、物置場があればいいんでしょうけれども、仮設住宅自体のスペースもない中にあって、皆さん苦慮されております。また、その中でスペースが狭いということで、あわせて、くぎを打ってはいけないとかねじを差し込んではいけないという制約があるそうなので、工夫がなかなかできづらいと伺っていますが、その辺の対応方というのはどうなんでしょうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 くぎ、ねじの関係につきましては、貫通しなければ、フック等をつけていただくのは差し支えないということでございます。レンタル等の仮設もございまして、お返ししなければならないということ等ございまして、そういうことでお願いをしているところでございます。
 荷物置き場につきましては、例えば、先ほども御答弁申し上げました空き住戸の活用ということで国から通知をいただいております。その中の例示として、被災者の皆様方の荷物置き場としても活用できるということで示されております。基本的には、市町村で管理をしていただいておりますので、御相談をいただければと存じているところでございます。
〇城内愛彦委員 ぜひ、その辺もしっかりとPRしていただければと思います。まだ、現場の人たちにはそういうことも伝わっていないということは指摘しておきたいと思います。
 時間があるようですので、次に移ります。災害救助法の中で、先ほど来お話が出ています民間賃貸住宅を借り上げをされた方々に対する支援の状況はどのようになっているかお伺いしたいと思います。
〇鈴木生活再建課総括課長 民間賃貸住宅借り上げの被災者の皆様方に対する支援の状況についてでございますが、市町村社会福祉協議会に生活支援相談員を配置いたしまして生活支援相談等に応じるとともに、民生委員、保健師など被災者支援に当たる関係機関で構成するネットワークを構築いたしまして、相互に連携しながら支援をしているところでございます。
 また、被災者からの相談、問い合わせに一元的かつ柔軟に対応するため、被災者相談支援センターを久慈、宮古、釜石、大船渡に開設したほか、山田町内に3カ所、岩泉町内に1カ所のサブセンターを、また、野田村、田野畑村、大槌町などでの出張相談窓口の開設でありますとか、内陸町村と連携した合同相談会を開催してきたところでございます。
 物的な支援といたしましては、日本赤十字社から家電6点セットが提供されましたほか、NGOから布団や台所用品等の生活支援物資が提供されているところでございます。また、寒さ対策といたしましては、これまでNGO等の支援により、一部市町村のみなし仮設住宅に暖房器具が配布されてきたところでございますが、内陸市町村を含むみなし仮設住宅を対象といたしまして、NGO等と連携し、暖房器具の配布につきまして調整、準備を進めているところでございます。
〇城内愛彦委員 ぜひ、もうちょっと現状を把握していただきたいし、被災した方々は、仮設住宅にお住まいの方々に比べて私らは情報が少ないというのが生の声であります。その対応にはやはりおくれがあるし、皆さんの今のお話に比べれば乖離があるのではないかと言わざるを得ないと私は思います。
 あわせて、賃貸住宅の借り上げはお隣の宮城県に比べて1カ月おくれたという理由がわかりましたならば……(「仮設を優先したんだ」と呼ぶ者あり)仮設を優先したために、宮城県に比べて民間の賃貸住宅の借り上げの支援がおくれたのかどうか。
〇鈴木生活再建課総括課長 まず、前段の民間賃貸住宅等みなし仮設住宅にお住まいの方々への支援を充実させていくということは非常に大切なことでございまして、これからも精力的に取り組んでまいりたいと存じております。
 民間賃貸住宅の借り上げにつきましては、4月下旬から契約事務を当方で進めてきているところでございまして、ちょっと宮城県の状況は存じておりませんが、種々調整した上で4月下旬からということでございますし、あわせて、契約の締結状況につきましてもほぼ100%契約を締結しているという状況で、事務的には非常にスムーズに進んでいるということでございます。
〇城内愛彦委員 事務的にスムーズに進んだという割には、借り上げに対する賃貸のお金の振り込みが大分おくれましたよね。それはどういうあれでおくれたのかという部分です。
〇鈴木生活再建課総括課長 当初、200件という想定で民間賃貸住宅の借り上げにつきましてはスタートしたものでございます。200件を処理すればいいという形での事務処理体制でございましたけれども、今回の被災の状況にかんがみまして、被災者の皆様方が民間賃貸住宅を住まいとして御選択されたということでございます。直近の状況でございますけれども、3、900件を超える─これは県外の方々も含めてということでございまして、そういう中で、大家さんでありますとか宅建業界の皆様方の御協力をいただきまして事務を進めてきたということでございまして、そういう意味で、当初、家賃等の支払いがおくれているということもございましたが、他県に比べればということで、先ほどはお話をさせていただいたところでございます。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、復興局関係の質疑をこれで終わります。復興局の皆さんは退席されて結構です。御苦労様でした。
 次に、環境生活部長に環境生活部関係の説明を求めます。
〇工藤環境生活部長 平成22年度の環境生活部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部所管の事務事業に係る総括的な評価と、これを踏まえた次年度以降の取り組み方針について御説明いたします。
 まず、総括的な評価についてでありますが、当部では、環境王国いわての実現、安心して、心豊かに暮らせるいわての実現を基本的な方針に掲げて取り組んでまいりました。
 主な取り組みですが、環境分野については、まず、地球温暖化対策の推進として、二酸化炭素排出量8%削減に向けて、温暖化防止いわて県民会議を中心に県民運動を推進するとともに、県民の環境学習の取り組みに対する支援を行ってきたところであります。また、環境に対する県民や企業などの取り組みを定着、発展させるため、いわて環境王国展を開催し、県内企業、行政、NPO等のさまざまな取り組みを広く発信してまいりました。
 循環型地域社会の形成に向けては、廃棄物の排出抑制を第一とする3Rの推進や産業廃棄物の不適正処理の未然防止などに取り組んだほか、青森県境の不法投棄廃棄物の撤去などに取り組んできたところであります。
 多様で豊かな環境の保全に向けては、イヌワシの繁殖支援などの希少野生動植物の保護や野生動物の被害防止対策の推進、自然公園施設の整備を進めたほか、水生生物調査や環境保全活動団体の交流などを通じまして、水と緑を守り育てる活動を促進してまいりました。
 次に、生活分野では、安全・安心なまちづくりの推進に向けて、県民への防犯意識の向上のための普及啓発や高齢者の交通事故防止に向けた取り組み、消費生活相談体制の充実や多重債務問題の解決支援などに取り組んできたところであります。食の安全・安心の確保に向けましては、食の信頼確保向上のための事業者への監視指導の徹底、食育普及啓発キャラバンの実施などによる食育の推進などに取り組んできたところでございます。
 また、青少年の健全育成に向けましては、地域社会を担う青少年の育成やニート等の若者の自立を支援したほか、男女共同参画の推進に向けて、男女共同参画を推進するサポーターの養成や配偶者暴力防止対策に取り組んでまいりました。
 こうした取り組みにより、総体としてはおおむね順調に業務が進展しているものと考えておりますが、温室効果ガス排出量の削減やごみの減量化、男女共同参画の推進などの取り組みにつきましては、課題解決に向けてさらに一層の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 さらに、東日本大震災津波を受けまして、災害廃棄物の処理や放射線対策を確実に推進し、復興に向けて全力で取り組んでまいります。
 以上、総括的な評価と取り組み方針について申し上げました。
 続きまして、平成22年度環境生活部関係の決算について御説明申し上げます。
 お手元の平成22年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。
 環境生活部の決算は、3款民生費2項県民生活費、4款衛生費1項公衆衛生費の一部と2項環境衛生費、次に16ページに参りまして、13款諸支出金2項公営企業出資金及び3項公営企業負担金の一部を含めまして、環境生活部関係の支出済額の総額は89億3、194万9、000円余となるものであります。
 なお、平成23年度への繰越額は、県民生活費の5、589万9、000円余、環境衛生費の5億7、217万9、000円余及び庁舎等施設災害復旧費の258万6、000円余を合わせまして、総額で6億3、066万6、000円余となるものであります。繰越額のうち、1億6、123万5、000円余につきましては、東日本大震災津波の発生に伴う事故繰越であります。
 以下、決算の内容につきましては、平成22年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。歳入歳出決算事項別明細書の201ページをお開き願います。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 3款民生費2項県民生活費1目県民生活総務費の主なものでありますが、備考欄の管理運営費は、生活部門の職員30人分の人件費など、管理運営に要した経費であります。消費者行政活性化推進事業費は、消費者行政活性化基金を活用し、県及び市町村が実施した消費生活相談窓口の機能強化等に要した経費であります。多重債務問題解決支援事業費は、多重債務者の救済のため、県内各地での弁護士による無料相談の実施等に要した経費であります。食の信頼確保向上対策事業費は、食の安全安心委員会の運営やJAS法に基づく食品表示の点検指導等に要した経費であります。犯罪のない安全・安心まちづくり推進事業費は、県民の防犯意識の高揚や地域における防犯活動の推進、犯罪被害者等への支援などに要した経費であります。203ページに参りまして、2目交通安全対策費のうち、交通安全指導費は、正しい交通ルールを守る県民運動の推進や、市町村交通指導員の設置に対する補助などに要した経費であります。次に、3目青少年女性対策費の主なものでありますが、青少年活動交流センター管理運営費は、アイーナ内の青少年活動交流センターが行ったいわて希望塾など、青少年の交流促進や活動支援などの事業の実施に要した経費であります。男女共同参画センター管理運営費は、アイーナ内の男女共同参画センターが行った意識啓発や男女共同参画を推進するサポーターの養成などの事業の実施に要した経費であります。ニート対策推進事業費と若者いきいき就労体験事業費は、ふるさと雇用再生特別基金を活用し、ニート等の相談や、社会参加を促進するための就労体験事業等の実施に要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。繰越明許費143万7、000円余のうち、24万3、000円余は青少年関連施設修繕事業費に係るものであり、きめ細かな交付金を活用し、旧ポニースクール岩手の浄化槽の部品交換を行ったものであり、119万4、000円余につきましては、配偶者暴力防止普及啓発事業費に係るもので、住民生活に光をそそぐ交付金を活用し、DV─ドメスティック・バイオレンス防止に係る啓発物品を作成したものであります。
 飛びまして、215ページをお開き願います。4款衛生費1項公衆衛生費3目予防費でありますが、狂犬病予防費は、地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用し、久慈保健所が所有する狂犬病予防車の更新を行った経費であります。動物愛護管理推進事業費は、同交付金を活用し、各保健所が管理する動物収容施設の修繕を行った経費であります。
 以上の2事業は平成21年度からの繰り越し事業でありますが、予防費の環境生活部所管事業につきましては、平成22年度から環境衛生指導費に計上されているものであります。
 続きまして、219ページをお開き願います。4款衛生費2項環境衛生費1目環境衛生総務費の主なものでありますが、管理運営費は、環境部門の職員181人分の人件費など管理運営に要した経費であります。環境保全等管理事務費は、いわてクリーンセンターを建設した際に電気事業会計から一般会計に借り受けた資金に係る元金及び利子の支払いに要した経費であります。環境学習交流センター管理運営費は、アイーナ内の環境学習交流センターが行った県民の環境に対する理解を深めるための情報提供や地域で行われる環境学習などへの支援に要した経費であります。循環型地域社会形成推進事業費は、事業者による廃棄物の排出抑制やリサイクル等のための調査研究、製品製造に対する補助等に要した経費であります。土地利用対策費は、適正な地価の形成を図るための地価調査などに要した経費であります。221ページをお開き願います。エネルギー確保対策費は、盛岡市など15市町村に対する電源立地地域対策交付金の交付などに要した経費であります。石油貯蔵施設立地対策費は、久慈市及びその周辺町村に対する石油貯蔵施設立地対策等交付金の交付などに要した経費であります。屋内温水プール管理運営費は、屋内温水プールの運営に要した経費及びテレビ監視システムの一部修繕などに要した経費であります。地球温暖化対策事業費は、温暖化防止いわて県民会議を中核とした県民運動の推進や、地域や学校への地球温暖化防止活動推進員の派遣など、地球温暖化防止に向けた普及啓発事業の実施などに要した経費であります。地球温暖化対策等推進事業費は、地球温暖化対策等推進基金を活用し、市町村等が行う新エネルギー機器、省エネルギー機器の導入に対する支援や、事業者等が行うポリ塩化ビフェニルの汚染判別調査に対する支援に要した経費であります。地域クリーンエネルギー資源調査費は、県内に賦存する再生可能エネルギーの導入促進策や先行実証調査に要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。219ページに戻りまして、繰越明許費1億45万7、000円余のうち202万5、000円余は管理運営費に係るもので、環境生活企画室所管の公用車を整備したものであり、1、335万8、000円については、地球温暖化対策等推進事業費に係るもので、地球温暖化対策等推進基金を活用し、県が保有する微量のPCBに汚染されているおそれのある電気機器について、汚染の有無の判別調査を行うものであります。599万4、000円については、屋内温水プール整備事業に係るもので、きめ細かな交付金を活用し、プールの電気設備、天井壁面の修繕を行うものであります。7、908万円については、県保有微量PCB汚染廃電気機器等処理事業費に係るもので、同交付金を活用し、地球温暖化対策等推進事業で実施する汚染の有無の判別調査によって使用できなくなる機器について、交換を行うものであります。
 221ページをお開きください。2目食品衛生指導費の主なものでありますが、管理運営費は、食品衛生部門の職員28人分の人件費に要した経費であります。BSE安全安心対策事業費は、県民の不安を解消するため、屠畜場に搬入されるすべての牛へのBSEスクリーニング検査の実施に要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。1、256万3、000円は乳肉衛生指導取締費に係るもので、きめ細かな交付金を活用し、食肉衛生検査所の精密検査用機器の整備等を行うものであります。
 223ページに参りまして、3目環境衛生指導費の主なものでありますが、廃棄物適正処理監視等推進費は、産廃Gメンの配置やスカイパトロールの実施など、廃棄物適正処理の指導、監視等に要した経費であります。産業廃棄物処理モデル事業推進費は、財団法人クリーンいわて事業団に対する運営資金の貸し付けに要した経費であります。県境不法投棄現場環境再生事業費は、青森県境地域に不法投棄された廃棄物について、代執行による撤去、汚染土壌の浄化及び原因者や排出事業者等の責任追及などに要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。繰越明許費3億2、487万3、000円のうち、3億2、270万1、000円は県境不法投棄現場環境再生事業費に係るもので、汚染土壌の浄化を行い、県境不法投棄現場の原状回復を行ったものであります。217万2、000円については、狂犬病予防費に係るもので、きめ細かな交付金を活用し、県央保健所の犬抑留所の焼却施設の修繕を行うものであります。
 次に、4目環境保全費の主なものでありますが、休廃止鉱山鉱害防止事業費は、旧松尾鉱山の坑廃水処理、処理施設の耐震化工事などに要した経費であります。225ページに参りまして、大気汚染防止対策費及び水質保全対策費は、県内の大気及び水質の保全を図るため、工場や事業場への立入検査及び各種の調査、測定に要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。223ページにお戻りいただきまして、繰越明許費1、598万9、000円のうち1、507万2、000円は環境保全費に係るもので、きめ細かな交付金を活用し、新たに環境基準が設定されたPM2.5などの大気汚染物質を常時監視するために必要な機器等を整備するものであります。91万7、000円は大気汚染防止対策費に係るもので、同交付金を活用し、大気常時監視測定庁舎の修繕等を行うものであります。
 225ページをお開き願います。次に、5目自然保護費の主なものでありますが、自然公園等保護管理費は、自然公園保護管理員の設置などに要した経費であります。国定公園等施設整備事業費及び自然公園施設整備事業費は、国定公園等の自然公園における自然歩道、登山道及びトイレなどの整備に要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。繰越明許費531万8、000円余は、自然公園施設整備事業費に係るもので、陸中海岸国立公園の北山崎自然遊歩道の施設修繕等を行ったものであります。
 次に、6目鳥獣保護費の主なものでありますが、227ページをお開き願います。鳥獣行政運営費は、鳥獣保護員の設置など、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に要した経費であります。希少野生動植物保護対策事業費は、いわてレッドデータブックの改訂に向けた調査やイヌワシの繁殖支援のための事業などに要した経費であります。鳥獣保護センター施設整備費は、飼養育舎の新築及びふ化療養舎の改修に要した経費であります。
 なお、繰越額がございます。225ページにお戻りいただきまして、繰越明許費649万2、000円は鳥獣保護センター施設整備費に係るもので、老朽化した施設の撤去、改修等を行うものであります。
 飛びまして、359ページをお開き願います。11款災害復旧費4項庁舎等施設災害復旧費1目庁公舎等災害復旧費でありますが、繰越明許費230万円は、鳥獣保護センター施設災害復旧事業費に係るもので、大雪被害により破損したフェンス等の修繕を行うものであります。
 363ページをお開き願います。13款諸支出金2項公営企業出資金1目公営企業出資金でありますが、工業用水道事業会計出資金は、工業用水道事業の経営の健全化を図るため、工業用水道事業会計に対し出資したものであります。
 次に、3項公営企業負担金1目公営企業負担金でありますが、電気事業会計負担金及び工業用水道事業会計負担金は、地方公営企業職員に係る児童手当の一部について、それぞれの会計に対し負担したものであります。
 以上で環境生活部関係の説明を終わらせていただきます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 私からは県境産廃についてお伺いいたします。
 まず、平成22年度の撤去実績と平成23年度の進捗状況及び来年度の見通しについてお伺いいたします。
 あわせまして、これは通告はしていなかったんですが、排出者責任の関係で、たしか対象事業者が1万2、000社ぐらいあったと思うんですが、平成22年度までの累計でどういった状況になっているのか、金額も含めて教えていただきたいと思います。
〇中村再生・整備課長 平成22年度の撤去実績ですけれども、3月末までに年度として5万2、967トンを撤去処理しました。年度目標4万8、000トンを設定しておりまして、進捗率110%ということで順調に進んでおります。累計で28万692トン、推定総量の32万4、320トンのうち、進捗率86.5%が平成22年度末までの進捗となっております。平成23年度につきまして、震災の影響で廃棄物の処理を引き受けていただいておりました太平洋セメントで8割方を処理していただいていたんですけれども、この処理ができなくなったということで、平成23年度の計画を一部見直しまして、平成23年度は2万1、000トンを処理するということで計画を立てました。震災の影響で契約もおくれた関係で、7月中旬から処理を開始しまして、8月末までに3、751トンを処理し、年度目標2万1、000トンのうち17.9%という低い数字でありますけれども、計画どおり進捗しております。年度内には2万1、000トンは処理できるものと思っております。
 平成24年度の目標、見通しですけれども、平成23年度は2万1、000トンに計画変更したんですけれども、残りの2万3、000トン弱を平成24年度に全量撤去するということで、廃棄物の撤去につきましては、今お願いしております処理する3施設で2万3、000トンは処理できる能力を持っておりますので、平成24年度中には廃棄物の撤去は完了すると思っております。
〇田中調査追及課長 次に、排出事業者に対する責任追及の状況でございますが、不法投棄を実行した三栄化学工業及び縣南衛生との取引のあった約1万2、000社の全社に対しまして、青森県と連携しまして、報告徴収等による一次的な調査を実施してございます。この調査結果を踏まえまして、報告書類等から法律違反が疑われる事業者や排出量の多い事業者、現場から発見された廃棄物から排出元が特定された事業者に対象を絞って調査を進めてまいっているところでございます。
 この結果、これまで、法律違反を確認した25社に対して、現場からの廃棄物の撤去を命ずる措置命令を行ったほか、違法性の有無にかかわらず、調査の過程で、事業者みずからが社会的責任などを感じて、結果として現場に持ち込まれた廃棄物の全量を撤去するという自主撤去の申し出を29社から受け入れてございまして、合わせて54社、金銭に換算いたしまして約4億8、700万円相当、撤去量にいたしまして約1万3、045トン相当の責任追及を行ってございます。
 なお、平成22年度分でございますけれども、自主撤去の申し出のあった4社から1億290万円余、撤去量に換算しまして2、764トン分の金銭納付があったところでございます。
〇五日市王委員 ことしの9月に、環境省では、今回震災の影響もあってのことだと思うんですが、来年度末で本来であれば切れる特別措置法なんですが、10年間の延長ということで方針を示されましたけれども、いずれ、来年度には全量は撤去するということなんですが、恐らく、その後、既存の建物の解体といった事業がまだ残っていると思うんですが、この特別措置法の延長へ対応をどのようにするのか、あと、青森県の状況もわかれば教えていただきたいと思います。
〇中村再生・整備課長 特別措置法の延長ですけれども、青森県ほか複数の県で廃棄物の撤去等に要する事業期間の延長要望があることは承知しております。今後、支障の除去に着手する新規の事案もあることから、平成24年度で終了する産業廃棄物特別措置法について、国で延長する方向で検討しているということは承知しております。環境省が特別措置法で支援されている13自治体─終了したところも含めてですけれども─そちらから事業の進捗状況や平成25年度以降の事業についての聞き取り調査を開始しており、次期通常国会に改正法案を提出したい意向だというのも聞いております。ただ、出すか出さないか、まだそこまでは確認しておりません。
 青森県の状況ですけれども、平成22年度末で青森県の廃棄物の推定総量125万トンのうち、撤去したのが74万トン余りということで、進捗率60%弱ということで、青森県では平成24年度までにはちょっと難しいということで、平成25年度までには撤去するという計画を立てているみたいですということで、そこら辺を聞いております。そんな状況で、青森県とかほかの県につきましては、全国知事会とか北海道東北知事会から要望書を国に提出しております。
 本県のほうですけれども、平成24年度までには撤去は終わるということで今進めておるところで、その見通しも立っておるんですけれども、撤去した後に現場の跡地の整形とか工作物撤去があります。廃棄物撤去が終わってからやらないとできない工事なものですから、できるだけ撤去は早くしなければならないんですけれども、震災の影響でおくれたということで、その影響が工作物の撤去とか跡地整形にちょっとかかるということで、どうしても現場は冬場は猛吹雪の中ですので、土木工事はできないという地域なものですから、平成25年度に延びる可能性を否定できないということで、私たちとしては、できるだけ早く終わらせたいと努力しているんですけれども、そこら辺はまだ不確定の部分があるということで、そういった状況につきましては、国に随時情報提供しております。
 それで、国の特別措置法延長につきまして、今後の動きを注視しながら、岩手県としましても状況を把握し、適切に対応していきたいと思っております。
〇五日市王委員 いずれ、本県の場合は期限内に終われば延長を申請する必要もないわけですから、まず、何とか早く進めていただきたいと思います。
 先ほど御答弁でもあったように、青森県は去年の8月、25万トンふえて125万トンになったということです。本県の場合は、当初、18万8、000トンからスタートで、2006年に25万7、000トン、2009年に32万4、320トンとふえてきたわけですが、もう残り少ないと思うんですが、ふえる見込みというのはあるやなしや、教えていただきたいと思います。
〇中村再生・整備課長 現在、掘削をやっております。これまで13地区に分けて掘削をやっておりまして、その地区ごとに推定廃棄物量を一応算定しまして掘削しておりましたけれども、推定でやった数字にちょっとばらつきがある。1万トン減ったところもありますし、3、000トンふえたところもあるということで、大体9割方掘っているんですけれども、若干変動があるかもしれないということで、32万4、000トンぴったりということはちょっとないかなと思っております。
〇五日市王委員 わかりました。いずれ、地元の心配といいますか、不安といいますか、二つございまして、まず一つは、撤去が完了した後も、特に水の関係です。その調査は、土壌調査も含めてなんですけれども、いわゆる環境モニタリングの調査は、馬淵川下流もすべて影響するもので、撤去が完了した後もきちんとやっていただきたいというのが一つと、もう一つは、これまで何度か取り上げましたけれども、いわゆる青森県の南側の牧野の問題でございます。こちらの状況はどうなっているのか、その二つをお知らせいただきたいと思います。
〇中村再生・整備課長 撤去後のモニタリングですけれども、撤去という土木工事が入っておりますので、どうしても地下水の水質を乱しているということがあります。撤去が終わったからモニタリングしなくてもいいということになりますと、地下水が乱れたままということになりますので、地下水が安定するまでモニタリングは実施していきたいと思います。その期間については、何年というのは今は答弁はできないですけれども、撤去が終わってからもモニタリングはしばらくはするということを計画しております。
 あと、南側牧野の現状ですけれども、二戸市でかなり強く掘削調査していただくよう青森県に要望していたのですけれども、青森県でいろいろな事情で掘削できないということで、二戸市が独自に牧野の隣の岩手県分の県境のところに井戸を2本掘りまして、水質検査をやっております。有害物質の調査をやっておるのですけれども、その結果を見ますと、大変きれいな水でありました。それで、県も周辺の沢とか3カ所をやっております。そこでも有害物は検出されていないということで、今のところ、埋めたかもしれない廃棄物の影響は出ていないということで、こういうきれいな水をもって調査せいと言うのは青森県に対してはちょっと弱いということで、もう少し水質の調査結果を見ながら、適宜、青森県に対処していきたいと思います。
〇五日市王委員 最後です。仮にそこに廃棄物が埋まっていたとしたら、もちろん青森県の対応にはなると思うんですが、今、組合の方々もいらっしゃるんですが、仮に出たら、例えば特別措置法が10年延びたとすれば、その対象になるのか、ならないのかということをちょっと教えていただきたいです。
〇中村再生・整備課長 仮にですけれども、青森県で特別措置法延長を要望しているということで延長になるとしても、計画の見直しをやらなければならないということで、まず、廃棄物があるかないかわからない状態で、延長に対する計画の見直しは多分ないだろうと。それで、あるという確実な情報をもって計画の見直しをせざるを得ないだろうと。それが生活保安上影響があるのかという状況を踏まえて、青森県で計画見直しをしていただかないと、特別措置法の対象にはならないかなと理解しております。
〇工藤勝子委員 エネルギー確保対策についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波によって福島第一原発の大きな事故が発生いたしました。原発に対する不安も全国的に広まりましたし、電力不足も発生いたしました。今後、県においてエネルギー確保対策というのは非常に重要になってくるのではないかと思っております。先ほどの説明では、市町村への交付金であるというお話がございましたが、そうであるならば、今後、市町村への交付金の活用をどのようにとらえてきたのか、また、その成果も含めてお伺いしたいと思います。
 また、新エネルギー導入促進費は26万4、000円余であります。事務費にも満たないような金額の決算でありましたが、今後、この新エネルギー導入の構想、また、市町村と連携しながらどのように推進されようとしているのかお伺いいたします。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 初めに、エネルギー確保対策の推進についてでございます。
 このエネルギー確保対策費は、国からの電源立地地域対策交付金を受け、発電用施設の周辺市町村に対しまして、公共用施設の整備あるいは住民の生活利便性の向上、産業の振興に寄与する事業への補助金として交付するものでございます。
 そういうことで、昨年度は15市町村、20事業ということで交付を行いましたけれども、市町村における主な使途としましては、道路の改修とか用水路の配水管の整備とか、あとは消防用の車の整備、除雪車の整備、そういったことで、生活の利便性あるいは環境整備のほうに使っております。
 そして、県のエネルギー確保対策でございますけれども、県では、平成10年に策定いたしました新エネルギービジョンに基づきまして、再生可能エネルギーによる発電施設─これらを確保対策と位置づけておりますが─の整備を進めてきたところでございまして、企業局では、水力や風力発電を6施設、出力ベースで7、000キロワット整備しております。
 また、県においては、住宅や事業所等への発電設備設置への補助とか県施設への率先導入に努めておりまして、結果といたしまして、本県の再生可能エネルギーによる電力自給率は18.1%、全国平均の約2倍となっているところでございます。
 次に、今後の新エネルギー導入の構想等でございます。
 今後の導入についてですが、東日本大震災津波復興基本計画におきまして、再生可能エネルギーの導入を本県の復興の核の一つとして位置づけ、三陸の地域資源を活用いたしまして、防災拠点、住宅等への導入、大規模発電施設の立地などを進めまして、災害時にも対応できます自立、分散型のエネルギー供給体制を構築することとしております。
 これについては、被災市町村も再生可能エネルギーを用いて地域の復興を図るということで構想を進めておりますので、それに参画して、県としても助言しますし、あるいは支援等も考えていきたいと思っております。そして、これは沿岸地域のみならず全県で展開する、そういうことで再生可能エネルギーの一層の導入を進めていきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 それでは、いろいろエネルギー関係は、私はきっと産業に結びつくエネルギーと思っておりましたけれども、そういうことではなかったようでありますので、今後、このエネルギー確保というものを重点的に、岩手県に原発があるわけではありませんし、どうエネルギーを確保するかによって産業の創出、そして新しい産業にも結びついていくと思いますので、この辺のところも、ただいまお話がありました構想、まず各市町村、被災された市町村、またそうでない市町村も含めてその構想をつくっていくということでありますけれども、市町村と協議して、大体何年程度をめどにしていく予定なのかお伺いいたします。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 市町村の構想でございますけれども、再生可能エネルギーによる復興の構想の考え方は、まずは地域に再生可能エネルギーの活用設備を置く、導入するということと、それをもとに、スマートコミュニティとかという表現を使いますけれども、それをネットワーク化して、災害時でもその地域の中で自立して発電、エネルギー供給できる仕組みをつくりたい、これが多くの市町村の構想でございます。ただ、現状のレベルでいきますと、再生可能エネルギーの導入は進むと思いますし、県としても支援は考えていきたいんですが、スマートコミュニティになりますとまだ技術的に数年を要するだろうと思っております。スマートメーターとか、あるいは家庭の電化製品を制御する技術とかがございますので、県としてはその技術の動向も見るということで参画をしているという状況でございます。
〇工藤勝子委員 次に、地域クリーンエネルギー資源調査費についてお伺いいたします。
 多分これは地球温暖化対策やCO2排出削減等の関係で調査が行われてきたと思っております。岩手県は多様な自然環境に恵まれておりまして、先ほど再生可能エネルギーの活用のお話もございましたけれども、風力、また農業用水路を活用した小水力発電装置とか、遠野市では、ボランティアセンターに業界から寄附されて、太陽光発電でボランティアセンターの電力をある程度賄う、そういう装置も設置されております。ですから、今後そういうクリーンなエネルギーを生み出す可能な地域の設定とかいろいろな考え方があると思っておりますが、今までの資源調査費というのはどういうものに使われて、どういう成果ができたのかお伺いいたします。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 初めに、地域クリーンエネルギー資源調査費についてでございます。
 本事業は、昨年度、県と5市町で取り組んだものでありまして、県においては、太陽光や太陽熱、小風力、小水力、そういった各技術の現状のレベルとかコスト等について調査いたしましたし、また、共同設置についても調査研究を行ったものでございます。
 また、花巻市など5市町におきましては、再生可能エネルギーの賦存量とか地域特有の資源、例えば、今お話がありました小水力とか鶏ふん等のバイオマス資源の活用等について調査研究を行ったものでございます。
 その調査結果でございますけれども、太陽光発電あるいは木質バイオマスの活用はCO2削減効果においてもコスト的にも十分導入は可能である、むしろ進めていきたい、そういうものでございます。ただ、小水力とか太陽熱、地中熱、こういうものは技術的にはある程度確立しておりますけれども、コスト的に個人で設置するには非常に高価であるということで、導入するには何らかの対応が必要になると思っております。
 あとは地域クリーンエネルギー資源の可能な地域、どういうふうに進めるかということでございますが、先ほどお話ありましたとおり、県内には豊富な再生可能エネルギー資源がございます。太陽光につきましては沿岸から内陸部にかけて全体的に適地ということになります。また、風力は北上高地から県北内陸部にかけて適地とされております。地熱は八幡平、安比地域ということで、これらの地域特性を生かして、大規模発電等も含めて導入を進めていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 今後、県は、積極的にこういう再生可能エネルギーの活用に向けて取り組んでいくという方針を確認してよろしいのかお伺いしたいと思います。よろしいですか。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 現在、再生可能エネルギーに対する期待は非常に高まってきております。そういうことでどんどん再生可能エネルギーの導入を進めたいと考えておりますけれども、まださまざまな課題がございます。例えば地形とか自然環境面の問題、あるいは土地の利用規制、電力系統への接続の制約、あるいはコストといった課題もございます。このため、8月に成立いたしました再生可能エネルギー特別措置法による適切な買い取り価格とか期間、買い取り義務の履行、そして電力系統への接続のための支援、これらについて国に対して働きかけているところでございます。
 また、復興特区制度が間もなく全容が明らかになりますので、それの活用による規制緩和等を検討いたしまして、再生可能エネルギーの導入を進めてまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 それでは次に、シカ特別対策費についてお伺いしたいと思っております。
 県内全域においてニホンジカの生育が確認されている状況であると思っております。大船渡市五葉山周辺は保護区でもあります。今、その保護区に何千頭でしょうね、何頭ではなくて何千頭になっていると思いますが、どのくらい生育しているのか、また、県内全体ではどのくらいの頭数が生息しているのか、モニタリング調査の結果も踏まえてお聞きしたいと思っておりますし、さらに、これは農林水産部の被害でありますけれども、環境生活部としてこの被害額をどのようにとらえているのかお伺いしたいと思います。
〇八重樫自然保護課総括課長 ニホンジカの生息頭数の調査につきましては、5年に1回行われます保護管理計画の策定に合わせて五葉山地域周辺で実施しておりまして、平成18年度に実施したヘリコプター調査による生息調査結果によりまして、平成18年度における生息頭数を約6、000頭と推定してございます。
 また、五葉山地域以外につきましては、目撃情報及び捕獲情報の収集を行っておりますけれども、生息頭数の調査は行っていない状況でございます。
 今後の調査計画につきましては、平成25年度に次期計画を策定するわけですけれども、この計画策定に向けまして、平成24年度に大規模な生息状況調査を実施することを検討してございます。
 また、近年、シカの生息域が拡大して農業被害額も増加傾向にあることを考慮しまして、五葉山地域以外にも範囲を拡大して生息頭数調査を実施することについてもあわせて検討していきたいと考えてございます。
 それから、農林産物の被害額の認識ということですけれども、シカによる農林業被害は、平成5年度には6億7、500万円、この年がピークでございます。平成18年度には4、000万円まで減少しましたが、近年の暖冬傾向による降雪量の減少、それから北上高地に点在する草地─牧草が生えているところ─周辺がシカの生息に適した環境になっていることなどから生息域が拡大いたしまして、それに伴って再び農林業被害が増加してきております。
 平成22年度の被害額は、一部被災市町村を除いても1億8、600万円で前年度と比較して1、300万円の増となっており、その中でも特に飼料作物の被害、いわゆる牧草の被害が大きくて、農林業被害の約47%を占めているという状況でございます。
 平成19年度から平成21年度までの被害状況を地域別に見ますと、五葉山地域の被害額は7、000万円前後で推移しておりますけれども、五葉山地域以外の被害額の増加が著しく、平成19年度には800万円だったものが平成21年度には1億900万円となっております。特に遠野市の被害が急増しているという状況でございます。
 また、平成22年度に新たに3市町─紫波町、花巻市、山田町の被害が報告されるなど、五葉山地域以外の被害額の増加傾向が続いているという状況でございます。
〇工藤勝子委員 確かに農業の被害額が少なくなっているのですね。遠野全域を回ったわけであります。景色が一変したんですね。何が変わったかというと、全部中山間地の田んぼや野菜畑は電牧が張り回されているんですよ。だから、被害額が落ちていることは現実かもしれませんけれども、だったら張っていないところの地域というのは壊滅的なわけです。そういう状況であります。
 遠野にはどのくらいいるかわからないかもしれませんけれども、今度調査するときはぜひ遠野も含めていただいて、遠野も2、000頭や3、000頭ではないと言われています。今、私の住んでいる地域でも、ちょうど今、発情期に入ってきているんでしょうか、非常に鳴き声が至るところから聞こえてくるぐらいいるわけです。そういう環境であります。
 その中で、猟友会の会員というのが激減していると思っておりました。昭和51年には9、000人ぐらい銃を持った人たちがいて狩猟をしていたという状況がございます。現在は2、000人を切って1、900人ぐらいと言われておりまして、ここずっと年間140人ぐらいずつ減少していると。そして、今度の震災によってさらに200人が、結局、沿岸で猟をしていた人たちが鉄砲などみんな津波でなくなってしまって、この人たちが減少する見込みというお話もございます。
 五葉山の保護区は、1人が狩猟できる頭数は3頭と聞いております。そして、その他は5頭とあります。でも、遠野は何ぼとってもいいと聞いたんですけれども、その辺はどうなのか聞いてみたいと思っております。緩和されてきているというお話ですけれども、ぜひもう少し適正規模─五葉山周辺は2、000頭規模が適正とされていると聞いておりましたけれども、適正にするためにもっと緩和措置をするのがいいのではないかと思っておりますが、その点についての考え方も聞いてみたいと思っております。
 それから、今後、狩猟免許を持つために、例えば特別措置法を活用して予備講習会等を広域振興局単位で行えないのか。そして、JAや農家の人たちに呼びかけて、被害が大きくなっている分、わななり何かでとれる、そういう講習をやれないものかということがありますが、その点についてはいかがでしょうかお伺いいたします。
〇八重樫自然保護課総括課長 遠野で無制限にとれるかというかと、今の基準では遠野は侵出抑制地域、できるだけしみ出させないという地域に入っていまして、一応1人1日5頭までという基準がございます。他県では無制限というところもあるんですけれども、やはりとった以上は処理しなければいけないと。1人で解体してそれをほうっておかれると困るので、そこに穴を掘って埋めるか、持って帰って焼却処分するかしなければならないということで、まず1人5頭ぐらいが限度じゃないかということで、今のところ遠野地域については5頭ということになってございます。
 それから、猟友会の会員数は、先ほど委員おっしゃったとおり平成22年度で1、946人ということで、このうち60歳以上の会員は64.5%ということで半数を超えております。会員数も減少傾向にあります。
 ハンターの方々というのは、狩猟もそうですけれども、有害駆除だとか、あるいは当課で実施しているいろいろな調査とか、そういうものにも御協力いただいているものですから、ハンターの数が減るということは当課にとってもゆゆしき問題と考えてございます。
 このため、県としても、猟友会の協力を得ながら狩猟免許試験の予備講習会を開催したり、あるいは免許試験を休日に開催するなど、できるだけ所持者がふえるように努めているところでございます。
 また、猟友会におきましても、新規狩猟免許所持者を対象とした研修会の開催とか、それから猟友会員による会員確保に向けた検討を行っておりまして、県としても、こういう取り組みと連携しながら効果的な会員の減少対策について検討してまいりたいと考えてございます。
 それから、先ほど言った5頭とか3頭を1日1人というこの緩和措置についてですけれども、これもその調査結果を見ながら、保護管理検討委員会に諮ってその緩和措置も進めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 わかりました。そういう形で、三陸のほうでしたか、シカの肉を使った加工センター等もあるというお話も聞いて、沢内に持っていって真空パックにして持ち帰るという話もございましたけれども、ここも環境生活部の担当でしょうか。
 それから、今後、適正規模とするため、何年計画で何頭とったら本当に適正規模になるという計画を立てていらっしゃるのか。
 そして、今後、共存共栄していくために守っていく部署が多分環境生活部ではないかと思っているわけですけれども、この鳥獣保護、さまざまハクビシンも出てきましたし、イノシシも出てきております。そういう部分において、鳥獣保護のあり方についてもお聞きして終わりたいと思いますので、御所見をお願いいたします。
〇八重樫自然保護課総括課長 シカ肉の加工、販売については農林水産部で所管しておりまして、農業被害の特別措置法に基づく農林水産省の交付金というか補助金で市町村に行くのが今年度は相当予算額がふえているはずでございます。
 余談ですけれども、シカ肉につきましては、岩手県は年間2、000頭捕獲しているんですが、兵庫県はその10倍の2万頭を捕獲しなければ減少しないということで相当頭を痛めているということで、そこでは料理法とかいろいろアイデアを出し合ってその有効利用に努めていると聞いてございます。
 話は戻りまして、県では、シカ保護管理計画に基づきまして五葉山地域での適正生息数を2、000頭としておりまして、その目標に向けて有害捕獲と狩猟により個体数調整を行っておりまして、今年度も平成22年度と同じ1、400頭を捕獲目標としております。この1、400頭というのは、捕獲して死ぬものと自然に死ぬもの、それから生まれてくる、そういうものを計算して2、000頭に持っていくための数字が1、400頭ということでございます。ただ、これがなかなか実際減っていないということであれば、次の計画でまた捕獲の目標をふやしていくということが考えられます。
 先ほど申しましたように、1人1日当たりの捕獲上限数の緩和とか、それから休猟区の見直しなど、捕獲規制の緩和を引き続き実施してまいりたいと思います。
 最近は、山から里におりてきているシカが悪さをするとか、それから、ハーレムをつくりますので、雌ジカをとらなければ効果がないということで、雌ジカとか里ジカの捕獲にも積極的に努めてまいりたいと考えてございます。
 自然保護課の今後の鳥獣保護に向けてのスタンスですけれども、これから第4次のシカの管理計画をつくっていくわけですけれども、まず、正確な生息状況を調べるということが一番大事だと思います。それから、今までやってきたシカのさまざまな事業の検証をするということも大事だと思います。それに基づいて、五葉山地域の地域個体群を健全に維持しつつ、農業被害を低減して生息域の拡大も抑制するということを両立してやっていかなければならないと考えておりまして、これは、農林水産部、市町村、猟友会などと連携をとって、科学的、計画的な保護管理を実施していきたいと考えてございます。
 ちなみに、農林水産部を中心に、ことし2月に、鳥獣被害防止対策の趣旨に賛同する県内の25市町村、それから農林業の関係団体、猟友会、森林総合研究所、農業改良普及センター、これらで構成する岩手県鳥獣被害防止対策連絡会というものを結成いたしました。県を挙げて対策を講じていくことにしてございます。
〇城内愛彦委員 私も通告しておったのがシカの件でしたので、私からは、1点だけお願いにとどめたいと思います。
 宮古地区にも実はシカはたくさんおります。それは大変な被害状況であります。宮古地区では、閉伊川を越えて北上させないようにしたほうがいいという話を今しておるところでありまして、ぜひこれは一斉に、早急に個体数を調査して、私は抜本的に駆除をするべきだと思いますので、共存とかという話はなかなか難しいんじゃないかと思いますので、その辺、当局のさらなる見解をお願いしたいと思います。
〇八重樫自然保護課総括課長 シカが県北まで見られているということは事実でございます。自然保護課のスタンスというか、いわゆる保護管理計画で決めているのは、五葉山に数が少なかったんですが貴重なシカがいて、それを保護しようとしたところから始まったんですけれども、結局2、000頭保護すればあそこの個体群は維持できると。それがしみ出ていってほかに行くのはどんどん捕獲していただいて結構だというスタンスが自然保護課でございます。余りむやみに殺すと今度は動物愛護の問題にかかわってきますけれども、自然保護課とすれば、五葉山地域から出ていったものについては、農業被害が生ずればどんどん特別措置法なりを使って捕獲していただきたいと。これがだんだんひどくなると今度は自然公園に入っていって植生を壊したり、シカの場合は見た目はかわいいですけれども非常に怖い動物でございますので、そこらあたりも考えてやっていきたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 宮古市にも牧草地、牧野、牧場がありまして、そこまで入ってくる。シカは2メートルぐらいの電気牧さくも越えてしまうと言うんですね。そういうことを考えますと、なかなか共生というのは難しいというのが私の見解であります。
 ぜひ積極的に、保護も大事ですけれども、現状、農家の方々も高齢化している中にあって、牛飼いの人たちも減っていく状況があります。それにダメージを与えるようなシカであってはいけないと思いますので、ぜひその辺もお願いして、私は終わります。
〇高橋昌造委員長 答弁はいいですね。
〇城内愛彦委員 いいです。
〇及川あつし委員 環境衛生総務費に関係して伺いたいと存じます。
 改選後、環境福祉委員会に長らくお世話になりましたが、かわりましたのでちょっと疎遠になりましたけれども、これまで以上に関心を持って御質問をさせていただきたいと存じます。
 きょうは一般廃棄物の関係を中心にお伺いするわけですが、質問の趣旨は、発災前に岩手県循環型社会形成推進計画、第3次岩手県廃棄物処理計画ができました。これからいろいろ課題はあるけれども進めなければならないというところに震災が起きて、廃棄物処理行政を扱っている環境生活部の皆さんの頭の多分八、九割は災害廃棄物の処理であろうと思いますけれども、同時に放射能の関係も出てきて、ある意味コペルニクス的な大転換もしなければいけない場面もあるのかなというような意味できょうはお尋ねしたいと思います。
 まず最初に、この計画の中に、平成11年のときから定められてきた、県内を6ブロックにして県内の一般廃棄物施設の焼却施設を集約するという計画がありました。また、焼却灰などを処分する最終処分についても広域的な確保を図る必要があるということでずっと検討されてきて、一応集約化の目標を平成29年とされてきていたと承知しておりますが、なかなか厳しいだろうと思っております。第1問目は、計画の進捗状況をお知らせ願いたいと思います。
 あわせて、当然に震災を経てこの計画にも影響があるのではないかと思われますが、現在どのような影響があるのかお示し願います。
〇吉田資源循環推進課総括課長 ごみ処理広域化についてでございますけれども、現在、進捗状況は、沿岸中部─宮古市を中心とした地域、それから沿岸南部─大槌町から陸前高田市までの地域、この2ブロックにつきましては広域化を完了しております。
 それから岩手中部─花北、遠野の地区でございます─、それから岩手県北─久慈、二戸の地区、ここは事業主体となる一部事務組合を設立いたしまして、今、焼却施設の整備に向けて準備を進めているという段階でございます。
 残る2ブロックでございますけれども、盛岡を中心にした岩手中央につきましては、昨年度に県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会を立ち上げまして、そして広域化に向けた検討を今進めている。ブロックの中でどういう形をとればいいのか検討を進めている。
 それから県南ブロック─こちらは奥州市、一関市を中心としたブロックでございますけれども─につきましては、今年度、基礎調査を実施する。その中でライフサイクルアセスメントといった形で、どういった形でやればいいのかというのをことし調査する、このような進捗状況でございます。
 県といたしましては、いずれ平成29年度までに完了できるように支援を進めていきたいと考えております。
 また、震災の影響についてでございますけれども、震災により、今のところ計画の変更をするという必要性は感じておりません。ただ、今後、この震災については市町村の中でそれぞれ検討なり、そういうことが出てくると思いますので、その場合についてはその内容を伺いたいと、そのように考えております。
〇及川あつし委員 わかりました。
 通告したのは最後ですが、関連性があるので先にお尋ねします。私は、多分これからいろいろ具体化をする中で、今回の震災の影響によるいろいろな課題がまた出てくるだろうという感じがしておりますので、お尋ねしたいと思います。
 一般廃棄物の飛灰、焼却灰、この中からも、隣にも一関選挙区の方がいらっしゃいますけれども、県内で高い濃度の放射性物質が検出されたと存じます。これまで検出された高い濃度の焼却灰等についてどうなっているのか、まず先にお知らせいただければと思います。
〇吉田資源循環推進課総括課長 飛灰の発生状況でございますけれども、飛灰は環境省で、─これは処理の基準からお話ししたほうが早いんですけれども、御存じだと思いますが、8、000ベクレル以下はそのまま管理型最終処分場に埋め立てる。8、000ベクレルを超えて10万ベクレルまでのものは、セメント固化とか、そういった一つ上の作業をした上でないと管理型処分場に埋め立てることはできないということで、この8、000ベクレルが一つのラインになりますけれども、県内で8、000ベクレルを超える飛灰が出ておりますのが奥州地区と一関地区ということでございます。
 その量につきましては両方合わせて160トンほど、フレコンバッグに入っていますので1個1個全部重さをはかっているわけではありませんけれども、大体160トンほど出ております。
 10万ベクレルを超える飛灰については県内では確認されておりません。
 現在、この両施設では9月以降の測定ではいずれも8、000ベクレルを下回っている状況でございますので、まず問題になるのがこの160トンの処理というところでございます。
〇及川あつし委員 だんだん8、000ベクレルを下回る数値が出てきているというのはいいトレンドだと思うんですが、若干私が懸念しているのは、盛岡近郊でも今盛んに落葉して、一生懸命葉っぱを集めて、今週も月曜日、県庁の皆さんはそこの県道のところの葉っぱを集めてやっていましたけれども、全部あれはこれから焼却処分。9月16日の通知では、当分の間発生場所に残置、保管するように周知願いたいとやっていますけれども、私が見る限りではほとんど焼却場に行っていますよ、今。
 ごみの収集のステーションを回ってみましたけれども、今、半分以上はもう収集された葉っぱ、剪定木。これをどんどんこれから僕は燃やすんじゃないかという感じがしていたので、今の答弁では減ってきているけれども、逆にこれからふえる可能性はないのかという懸念が1点と、問題は、仮にふえても減っていっても、一定レベルの飛灰、焼却灰の処理については、国で中間処理をどうするのかという問題がまだ残っていると思いますし、最初に聞いた、これから広域化計画をするときに、もちろん焼却施設をどうするかという問題と同時に最終処分場をどうするのかといったときに、今、県外に災害廃棄物を引き受けてもらいたいけれども県外の皆さんが懸念されているように、県内においても今まで以上に最終処分場の選定には大きなハードルが出てきているのではないかと感じておりますけれども、そのあたりどのようにとらえられているかお示し願いたいと思います。
〇吉田資源循環推進課総括課長 剪定木、枝とか、それは確かに影響はあったと思います。特に家庭では夏場にも切りますし、それが入ってきて高く─測定しているわけではないので推定でしかございませんけれども─なったんだろうなという予想はあります。
 今後、恐らく広葉樹についてはそれほど影響は大きくはないのではないかと考えております。針葉樹の場合には、これは若干の影響はやはり─3月の時点でも葉っぱが出ていましたので─あるのかなというふうには考えております。
 今後、市町村では、規制しているわけではありませんので、逐次見ながら廃棄物の処理は進めていくということになると思います。
 それから、レベルの問題で先ほど申し上げましたけれども、実は来年1月1日から放射性物質汚染対処特別措置法という法律が施行されます。この法律が、放射性汚染物質、いわゆる廃棄物─除染した土壌も入るんですけれども─の処理について示した法律になるわけです。この中で、一定濃度以上の焼却灰等は指定廃棄物として、国の責任で運搬を含めて保管、処分を行うということで、現在、処理できない8、000ベクレル以上のものは、セメント固化といってもそんな方法はないわけですので、やり方もわからないということで、いずれ県としては、1キログラム当たり8、000ベクレルを超えるものは指定廃棄物に指定してくださいと、そして、国の責任で処分、保管を行ってくださいという要望をしております。
 もう一つ申し上げますけれども、この放射性物質汚染廃棄物の埋め立てにつきましては、安全性に関する住民の不安が私どもの耳に聞こえてきております。原子力行政を一元的に行ってきたのは国でございますので、専門家も国にしかいないということですので、国で丁寧な説明、説明責任を果たしていただきたい。そういう中で早急に処分も進めてほしいという要望もしております。
 広域化の話がございましたけれども、災害廃棄物もそうなんですけれども、放射性物質がついたものについてはなかなか県外で受け入れてくれるという理解は簡単ではないと考えております。努力はしますけれども、厳しいという状況の認識は同じでございます。
〇及川あつし委員 ここで部長に見解を賜りたいわけですが、これまでの廃棄物行政の、平成11年、平成10年、平成9年、そこら辺から出てきた発端は、いろいろありましたけれども、第1にはダイオキシン対策ということだったと思うんです。ダイオキシン対策は、とにかく燃やすな。燃やすとしても高温で燃やせ。塩分を除去したものにしろとか、そういう前提で、各焼却施設についてはそれなりの性能を備えろということと野外焼却についても禁止しろ、こういう流れだったと思うんです。
 これからは、今、吉田総括課長がおっしゃったように、確かに国が指定廃棄物として最終的に責任を持ってもらえればいいんだけれども、当然、全部国が目配りできるわけはない。そうなってくると、本県の廃棄物行政についても、ダイオキシン対策という切り口もさることながら、これからはやっぱり放射能汚染物質、それに対する焼却処分という視点で考えていかないと、9月16日の通知も、私はこれは適切だったと思います。適切だったと思いますが、じゃ、これから中長期に及ぶこの被害に対して、県として廃棄物行政についてどういう視点で臨むというメッセージがまだ─これは国がやるべきだと思うんだけれども、県としても考えていかないと、あらゆる廃棄物行政の根幹になるところなので、ここについては、繰り返しになりますが、放射性物質への対応という側面からももう一度基本を考えてもいいのではないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
〇工藤環境生活部長 放射性物質を含む廃棄物の処理についての基本的な考え方ということでございますが、御案内のとおり、県ではダイオキシンの抑制等を前提といたしまして、これまで、ダイオキシンの適正処理あるいは廃棄物の減量、3Rの実践、さらには自圏内処理というものを掲げましてこれまで廃棄物の処理に努めてきたところでございます。
 先ほど来担当の総括課長から話がございますけれども、放射性物質の問題が今般出てきたことによりまして、そもそも従来であれば3Rということでリサイクルに回っていた廃棄物、例えば下水道の汚泥でありますとか農業の副産物、こういったものが行き場を失いまして廃棄物として処理しなければいけない、すなわち最終処分する量がこれからふえてくるだろうと考えてございます。
 また、放射性物質を含むということでございますので、これまで以上に厳格な管理というものが求められてまいります。さらには、住民に対する説明責任、情報公開、こういった課題が生じてきてございます。これらに対する国からの明確な処理スキームなり、そういったものはいまだ示されていない状況でございます。こうした状況を踏まえて、県といたしましては、まず、広く環境中に放射性物質が拡散しているという認識に立った適正処理をこれから進めていかなければならないと考えてございます。
 県といたしましては、国の対応を引き出すということはもちろん当然のことでございますが、引き続き循環型社会の形成というこれまでの基本的な考え方を踏まえながら、市町村、住民、事業者と情報共有、連携を図りながら、先ほどから出ておりますが、中間貯蔵施設の設置、これは国が一義的にやるべきだと思っているんですが、国も手足がないので地方も協力しなければいけないと思っておりますが、こういったさまざまな課題が出てくるだろうと思っています。こういった問題について、すべて先を見通せるという状況には今ございませんけれども、適時適切な、そして必要な対応をこれから講じていかなければいけないと思ってございます。
 先ほど野焼きの話も出ましたけれども、やはり野焼きによる拡散の問題と、あと野焼きしている人の内部被曝という問題等もございますので、本県と福島県が放射性物質を理由にした野焼きの自粛を呼びかけていると伺ってございますが、そういった対応も含めまして、今後、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
〇及川あつし委員 いずれ大変な事態だと思いますが、さらにまた頑張っていただければと思います。
 一般廃棄物のごみ発電の関係、先ほど工藤勝子委員からもクリーンエネルギーの関係が出ましたのではしょってお聞きしますが、今、県内の処理施設においては3カ所、盛岡市と盛岡・紫波組合と滝沢村の清掃センターでいわゆるごみ発電をしておりますが、これまでの質疑でも交わされたように、本県の電力自給率を上げていく、その観点から、また、ごみのリサイクルに関しても、目標値の31%に対してまだ平成20年度では19.6%ということで、まだまだ可能性はあるということでありますが、ごみ発電について、今後の可能性、可能性だけではなくて課題等もあると思っておりますので、その辺の所感を伺いたいと存じます。
〇吉田資源循環推進課総括課長 ごみ発電でございますけれども、ごみは焼却処理が今、処理の中心です。そうしますと熱エネルギーが出ます。これをただ捨てるというのはもったいないということで、これを何とか有効利用するのがエネルギー政策的な観点からも、あるいはCO2の抑制ということにはなりませんけれども、ただ出すということから電気をとるということになればまた違った側面がございますので、ごみ発電というのはこれから推進すべき方策だと思っております。
 環境省におきましてもやはりそういった視点を強く推進しておりまして、例えば市町村が廃棄物処理施設を設置する場合には循環型社会形成推進交付金という交付金が出ます。普通の焼却施設の場合は3分の1ですけれども、高効率のごみ発電設備の場合には2分の1になります。ということで、ごみ発電施設によって熱エネルギーを発電に向けるということはこれから県としても推進していきたいと。
 ただ、推進するためにはある程度のごみの量がないと発電はできないということになりますので、ある程度集約が必要になってきます。これは先ほど委員がおっしゃいましたごみ処理の広域化計画にも戻っていきますけれども、県では6ブロックに集約しているということで、この集約をいたしますればどこのブロックでもごみ発電は可能になると思いますので、これについては、それぞれ整備するブロックといいますか、そこの市町村等に県としては助言をして進めていくという方向でいきたいと考えております。(及川あつし委員「了解」と呼ぶ)
〇高橋昌造委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後5時57分 休 憩
午後6時12分 再開
〇熊谷泉副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これから質疑を続行いたしますが、環境生活部関係の審査では、この後、4人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁とも簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇久保孝喜委員 委員長の御指示により、簡潔にお尋ねいたしたいと思います。
 最初に、原発事故に係る初期対応についてお尋ねをしたいと思うんですが、先ほど、及川あつし委員が廃棄物を切り口にしたお話をされました。私は、環境問題としての放射能リスクを、大気環境を所管する環境生活部が当初どのようにとらえていたのか、そしてまたその具体的対応をどうされたのか。
 まとめてお聞きしますが、そうした姿勢を県庁内でどういうふうに共有したのか。他部局に対する対応の問題、さらには他県の対応実態などをどのように認識されておられたのかという点をまずはお聞きしておきたいと思います。
〇玉懸環境保全課総括課長 まず、原発事故当初の放射能のリスクの認識についてでございますが、福島第一原発から本県の一関市まで170キロほど離れており、また、当初、国による情報開示も十分でなかったこともありまして、本県へどのような影響が発生するかについては、リスクの把握が難しかったところでございます。
 具体的な対応につきまして、盛岡市の空間線量率は3月14日から、降下物及び水道水は3月19日から毎日測定を行った結果、空間線量率の上昇及び放射性物質の検出があったことから、国に先駆けて、4月8日から県独自に県内各市町村の水道水についても測定を実施して、本県における汚染状況の把握に努めてまいりました。
 次に、他部局との連携でございますが、発災直後からの放射能のモニタリング実施に加えまして、放射性物質の放出による環境影響等につきまして庁内できちんと情報共有を図り、汚染拡大が発生した場合に備えまして共通認識を持つ必要があると考えまして、4月22日に庁内関係室課による連絡会議を開催いたしました。全庁を挙げた対応ができるように努めてまいりました。
 次に、他県の対応実態の認識でございますけれども、この事故により放出された放射性物質の影響に適切に対応するために、まず、宮城県を参考にすることが必要と考えました。このため、4月18日に宮城県庁を訪問し、放射性物質のモニタリング及び農林水産物、飲料水、土壌、海域の検査方針や計画等の対応状況について確認し、先ほども申し上げました4月22日の庁内連絡会議で情報共有を図るなど、本県が対応する上での参考といたしました。
〇久保孝喜委員 初期対応の問題では、当初設置されました議会の連絡本部会議、その後の特別委員会などの議論もいろいろあったわけでありますが、その際に私ども議会の側から情報共有などについてお尋ねをした際も、今、御答弁のあったような情報共有が図られていたとは全く言えないという認識を私は持っているんです。例えば、これまでに、発災以後の議会の連絡本部会議での議論や、あるいは議員が事務局を通して照会した事案などに対する県の対応などは、一貫して、原子力政策は国の専管事項だ、国の一元的な責任のもとに実施すべきだということで、当時、ただ1基あったモニタリングポストの数値を国の委託によって観測しているという程度の話、あるいは先ほどちょっと水道水の検査の話はあったわけでありますが、いずれにしても、その程度の共有でしかなかったということなんですね。さらには、大気中のモニタリングポストの問題では、5月27日の特別委員会の際にも、モニタリングポストの増設の問題を私は取り上げてお話をしましたが、その際にも、当局側から出席された職員は、モニタリングポストの増設そのものの動きすら事実上答えられなかった。実態がどうなっているのか、発注したものなのか、要請したものなのかを含めて、その方向性は全く認識していなかった。今の答弁は、そういう話とは全く違うのではないでしょうか。その辺の認識を改めてお聞きしたいと思います。
〇玉懸環境保全課総括課長 4月に庁内で連絡会議を開催いたしましたときには、その測定を中心にした連携を主なテーマにいたしまして、当時、放射線測定機器を持っている機関が環境保健研究センターだけでございまして、そこにモニタリングポスト、サーベイメーター、半導体検出器がございましたので、これを有効活用して対処していこうという方向性を確認して、5月から牧草の検査等を実施いたしました。なお、6月にはサーベイメーターの校正も完了いたしまして、地表付近の測定等を実施して、教育施設等とも連携を図っております。
 それから、モニタリングポストの増設につきましては、放射性セシウムの土壌への沈着がはっきり県のリスクとなってきたことがわかってきたあたりから、きちんとやらなければならないということが庁内で議論されるようになりまして、それまでは4月19日に水道水から出なくなって、5月9日から降下物も出なくなったということで、我々は、今から見ると楽観的だったんですけれども、一過性で終わるのではないかという思いもございましたが、実はさまざまなところから出てくるのだというのがわかってきて、6月議会でモニタリングポスト等の増設をお願いしたところでございます。
〇久保孝喜委員 極めて甘い対応というか、甘い認識が当初あったということは、これまでも議会のやりとりの中で、原発がなかったという環境の中で、あるいは専門的知見が積み上げられていなかったという本県の特殊なといいますか、事由はあったわけです。そのことは了解しつつも、しかし、発災当初から、私が先ほど冒頭にお聞きしたように、他県の動向ではかなりシビアな物の見方をして、それぞれ対策に取り組まれていたということは議会でも指摘してまいりました。ところが、それに対する対応は、先ほど紹介したような放射能対策は国の一元的な管理なんだと。よって、国の方針が出ないうちは動かないという姿勢が全体の方向性だったということは否めない事実だったのだろうと私は思いますが、改めて、県としての放射能リスクに対する共通認識が方針化されたのはいつだったと認識されておられますか。
〇玉懸環境保全課総括課長 測定については4月の時点で庁内で連携してやるという形になっておりまして、さらに体制の整備、機器の整備等につきましては、5月、6月の各種調査を通じて意思形成されて、6月の対応本部の設置、7月の対策本部の設置という形で、きちんとしたコントロールがなされるようになってきたものだと認識しております。
〇久保孝喜委員 県庁内の横断組織の対応本部ができて、そこでも、具体的な例えば空間線量にしても、県内のさまざまな消防署が独自に調査している数値だとか、市町村が独自に検査、測定を始めている数値だとか、そういうものを統合して、県が実際に測定する環境がないのであれば、そういう既に始まっている情報を統合して対策に役立ててほしいという話は議会でもお話をしてきたわけなんですが、残念ながら、そういう経過があったのかどうかすらも報告がないという状況なんですけれども、その辺の情報の統合ということはいつの段階からやられてきたのでしょうか。
〇玉懸環境保全課総括課長 関係各課との連絡は、発災直後から、こういったものがあるよということで連絡はとり合っております。ただ、おっしゃったように、それが庁内全体の中で最も効果的な対応をとるような形になってきたのは、段階を踏んで体制が整ってきたという6月、7月ごろからでございます。
〇久保孝喜委員 この初動体制の問題は危機管理の問題でもありますけれども、一方では放射能に関係する事業は、国の施策、国の専管事項であると、そういう認識はそれはそれで私も正しいと思います。ただし、国が動かないのを黙って手をこまねいて待っているという姿勢が、この間の放射線にかかわっては県の非常に大きな反省点になっているのではないかということは私は申し上げたいわけなんです。
 汚染の稲わらの問題でも、つい先日でありますが、ある新聞では、国の方針を待っていたために後手に回っているという指摘がなされておりますし、国の方針が出るまで立ちすくむ県の姿勢も問題だという指摘もマスコミを通じてされているわけです。そういう姿勢全体が県全体の放射線対策のおくれを生じさせてきたと言っていいのだろうと私は思いますが、この点については、どのように認識されているか、部長の認識をお伺いしたいと思います。
〇工藤環境生活部長 初期対応の関係についてでございますが、先ほど総括課長から話がございましたとおり、当初、国からの情報不足、そして国から県に配置されております検査機器の不足等によりまして、県全体の情報をなかなかとれなかったというのは、そのとおりでございます。情報共有につきましても、当部といたしましては、その測定数値につきましては各部にも提供いたしまして情報共有は図ってきたところでございます。
 また、サーベイメーターの校正が終わりまして、6月から使用できることになりました。その時点で、早速県南地域をはかりましたところ、非常に高い数値が出たということでございまして、ある程度、そのあたりから、本県に実は一部高い地域が存在するんだということでありまして、県内全域の市町村について放射線量を把握するなどいたしまして、6月22日の原発放射線影響対応本部の設置につながったものと考えてございます。
 また、国の方針を待って対応しているのではないかという御指摘でございますが、8月にはいわゆる局所の除染対策─学校等についてですが、これについては、他県に先駆けて、国の指示を待つことなく県で対応させていただいているという状況でございまして、現状認識に対する対応については、決して国の対応を待ってやっているということではないと考えてございます。今後におきましても、この対策本部を中心に庁内の連携を図りながら対応していきたいと考えてございます。
〇久保孝喜委員 ちなみに、この問題で放射線被害の損害賠償の請求というのが各般にわたって、今、大きな課題になっているわけで、既にJA関係では毎月の請求の作業というか、対応も始まっているわけなんですが、ちなみにお伺いいたしますが、例えば国の方針による事業とか対応と、県が単独で行った事業、その行政経費についての請求についてはどのような基本的な方針をお持ちですか、その点についてお伺いします。
〇玉懸環境保全課総括課長 今回の事故に起因してかかった経費については、すべて国に要望書の形で払っていただくようにお願いしております。
〇久保孝喜委員 その積算は、今の時点であるのでしょうか。
〇玉懸環境保全課総括課長 今までの予算としての記録等をこれから積み上げて、具体的には請求することになります。現在は要望の形でございます。
〇久保孝喜委員 要望ってどういうことですか。請求ではないんですか。損害賠償ではなくて、ならば払ってくださいという姿勢なんですか。
〇玉懸環境保全課総括課長 具体の経費を確認した上で請求という形にこれからなりますけれども、今までの段階では、かかった分は全部払っていただくようにという要望でございます。
〇工藤環境生活部長 掛かり増し経費につきましては、当部のみならず各部にわたるものでございます。ということで、本部で各部の経費について取りまとめた上で、国に請求するという段取りになってございます。
〇久保孝喜委員 ここは要望などと腰の引けた話じゃなくて、きっちり請求だという姿勢を示さないと、さまざまな業界団体を含めて影響が及ぶ話でありますので、行政としてもそこはきちんとしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 ちなみに、これはいつの段階で行う予定か、対策本部の考え方がもしおわかりであれば、お聞きしたいと思います。
〇工藤環境生活部長 明確に私も把握しているわけではございませんが、既にそういった準備に入っているということについてもちょっと伺ってはございます。
〇久保孝喜委員 対策本部の機能が、ちょっと伺っている程度の話でいいのかどうかというのもあるんですが、いずれにしても、東京電力に対する請求というのは、これから先の県行政の立場を明確にしていく上でも、これはしっかりとやっていかなきゃならないことだと思っております。
 そのことで言えば、先般、報道で知ったわけですが、県庁内の方が、東京電力が来た際に、直接の損害賠償のみならず、何十年、何百年と続く土壌に対する汚染という問題を、お金には換算できないマイナスを県民はこうむっているんだということを申し上げたという記事があって、そういう姿勢こそ何より必要なんだろうと私は思いますし、国の方針をただ待つというような批判をされることなく、これは県民の暮らしやまさに生活、命を守るための事業ですから、担当課として奮闘していただきたいと思います。
 二つ目の質問を予定しておりましたが、これは先ほど工藤勝子委員の質疑で大体お話をしていただきましたので、1点だけ、再生可能エネルギーの取り組みに関して、これは部長にお聞きすればいいんだろうと思いますが、復興計画の中でもエネルギー政策の一つとしてというか、柱と言いにくいところもあるんですが、取り上げております。これは、これまで私どもが主張してきたように、単なるエネルギー政策ではなくて、地域の再生や復興という点でも、それぞれの住む人の意識を変えていったり、あるいは生活感を変えるということも含めて、まちづくりにとってはかなり大きな意味のある事業になっていかなければならないと私は思うんです。そういう点では、今、環境生活部が中心になって所管しているということではあるんですが、しかし、この先、まだちょっと気の早い話になりますが、本格的な再生エネルギーの導入に向けていくときに、今の行政機構の体制のままで本当にいいのだろうかという思いもありますものですから、そこに対する所感をお聞きして、この部分は終わりたいと思います。
〇工藤環境生活部長 委員から御指摘のありましたとおり、再生可能エネルギーの導入につきましては、県あるいは地域のまちづくりにもかかわる非常に幅広いものだと我々も考えてございます。こうした観点から、再生可能エネルギーの導入に当たりましては、関係部局との横断的な推進体制というものを組織して進めてまいりたいと考えてございます。
〇高田一郎委員 私も、自然エネルギー、再生可能エネルギーの問題についてお伺いいたします。同僚委員からも質問がありましたけれども、かなり重複するところがありますけれども、質問いたします。
 国においては、再生可能エネルギー固定価格買取法が成立したことは大きな前進だと思いますけれども、しかし、一方ではさまざまな課題もあるわけであります。本当に爆発的に普及できるような条件がつくれるように、やはり国に対して強く求めていくということが大事になっていると思います。同時に、自治体としてもやはり爆発的に普及するという姿勢で対策、対応していくことが必要だと思います。
 そこで、現状についてお伺いしたいと思いますけれども、今現在、県の施設で自然エネルギーの活用状況はどうなっているのか。また、再生可能エネルギー導入にかかわる事業、平成22年度の実績、あるいは市町村の取り組みがどういう状況になっているのか、まず現状についてお伺いしたいと思います。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 初めに、県施設への再生可能エネルギーの活用等の状況ということでございます。
 平成22年度末の発電施設の設置状況は、県の場合、水力発電が16カ所、出力ベースで14万4、000キロワット程度となっております。また、風力発電は1カ所で2、000キロワット、バイオマス発電は1カ所で600キロワット、太陽光発電は42カ所で800キロワットとなっております。また、熱利用施設でございますけれども、ペレットボイラーとチップボイラーは合わせて9カ所、21台設置しております。また、ペレットストーブは167台導入しているところでございます。
 次に、県の再生可能エネルギー導入にかかわる事業と、あわせて市町村の取り組みについてでございます。平成22年度の県の事業は、商工労働観光部で所管しております平成16年から開始しましたペレットストーブ普及促進事業が単年度で15件の助成を行っております。また、企業局は平成18年から行っておりまして、市町村等の公共的団体への助成でございますが、クリーンエネルギー導入支援事業は7件支援しております。また、当部所管の新エネルギー等導入促進事業は住宅、事業所等への設備導入の補助ですが、これは昨年度78件という実績でございました。そのほか、普及啓発事業といたしまして導入促進研修会とかセミナー等を県内で開催しております。
 次に、市町村の取り組みでございますけれども、ホームページ等で調べた情報も入っておりますが、太陽光発電の補助は、現在、県内12市町村で実施していると承知しております。そのほか葛巻町とか紫波町、宮古市では、太陽熱とかあるいはペレットストーブ、そういった助成事業も実施しているところでございます。
〇高田一郎委員 今、平井課長がお話ししたように、市町村では、自然エネルギーの導入についてはこの数年間でかなり多くの自治体で広がっているということだと思いますけれども、岩手県の取り組みが、いわて環境王国ということを宣言した割には、具体的な取り組みが、少しといいますか、かなり弱かったのではないかと思います。
 今、県単独でというお話がありましたけれども、住宅用太陽光発電導入促進補助事業についても、平成21年度だけの単年度事業であります。そして、住宅用新エネルギー導入促進事業についても今年度で終わるということで、企業局がやっているクリーンエネルギー導入支援事業ぐらいなんですよね。そういう点では、平成22年度を検証してみれば、いわて環境王国を宣言した割には具体的な取り組みが非常に弱かったのではないかと思っているんですけれども、その辺はどのような御認識でいるのかお伺いしたいと思います。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 これまで、県では、新エネルギービジョンに基づきまして再生可能エネルギーの導入に努めてまいったわけですけれども、委員御指摘のとおり、震災前まではどうしても再生可能エネルギーの導入促進は、要は設備導入への支援ということで、なかなか財源の確保がままならず、結果的に助成事業も小規模にならざるを得なかったという背景がございます。ただ、ここに来まして、公共施設等も含めて、震災後、再生可能エネルギーに対する期待は高まっておりますので、そういった施策をもっと大胆にといいますか、推進する形で取り組むという考え方でございます。
〇高田一郎委員 震災の関係でという話でありますけれども、東日本大震災というのは3月11日でありますから、平成22年度の後半に起こった大震災ですよね。そういう点ではそういうものも余り理由にならないように思いますけれども、ただ、これまでの取り組みを見ますと、今後については25%削減するというかなり高い目標を持った今後の取り組みだろうと思います。
 しかし、2008年度の二酸化炭素排出量を1990年度と対比した場合は、3.1%の減少にとどまったと、いわて県民計画実施報告書に説明されています。こういう状況の中で25%削減するんだということになりますと、かなりの決意と、削減を行う具体的なプロセスと計画が必要になってくると思います。そういう点で、この基本計画を作成する上で、これまでの総括とか評価が大事でありますし、今後の基本計画に生きてくると思うんですけれども、その辺はどのように考えているのかお伺いしたいと思います。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 温室効果ガスの削減に向けた具体的な施策、計画でございます。
 これまでの県の事業、取り組み状況を踏まえて総括、評価をいたしまして、二酸化酸素の排出抑制とか再生可能エネルギーの導入を施策の柱にいたしました地球温暖化対策に係る実行計画を本年度中に作成することにしております。
〇高田一郎委員 これまでの岩手県の自然エネルギーに対する取り組みを見てみますと、やはり太陽光発電とかペレットストーブなどへの補助金を支援するというのが自然エネルギーを普及する上での中心的な考え、施策だったと思います。ただ、私は、この間、葛巻町とか自然エネルギーの先進地を訪問したりして感じているのは、やはり地産地消、そして地域循環型のエネルギー政策というのが今後の新しい基本計画をつくって上で大事な視点じゃないかと思っています。例えば農林業や中小企業の振興と結びつけてエネルギー政策を考えていくという視点が非常に大事だと思っています。そのことについてどう考えているのか。
 あわせて、葛巻町は全国に誇れる先進地だと思いますけれども、葛巻町の取り組みについて県はどのような評価をしているのか、この辺についてもお伺いしたいと思います。
〇平井温暖化・エネルギー対策課長 まず初めに、再生可能エネルギーを地域循環的に使ってはいかがかという御質問だったと思います。確かに、再生可能エネルギーの導入は、まずもって電力自給率の向上につながることは間違いございません。あわせて、防災のまちづくりとか環境関連産業の育成、誘致、地域雇用などの多面的な効果をもたらす可能性がございます。そういうことで、住宅、事業所、市町村施設等への導入を進めますけれども、あわせて発電事業への県内企業の参加を促して、地域循環型といった視点での再生可能エネルギーの導入を進めてまいりたいと思っております。
 次に、葛巻町の取り組みでございます。これについては、葛巻町は地域完全循環型の町づくり構想を打ち出しておりまして、さまざま、風力発電からバイオマス発電、そのほか地中熱ヒートポンプといった地域にある資源を活用して再生可能エネルギーを導入しております。そういったことでエネルギー自給の町づくりとして先導的な自治体だと認識しております。
〇工藤勝博委員 時間も大変経過しておりますので、通告していた項目の半分を質問します。2点質問いたします。
 まず一つ目は、配偶者暴力防止対策推進事業費とあわせて普及啓発事業費があります。この事業費の中で、どういう課題があって対策をとらなければならないのか、また、その実績等もお示しいただきたいと思います。
〇千葉青少年・男女共同参画課総括課長 配偶者暴力防止対策推進事業についてでありますが、この事業は、配偶者暴力いわゆるDVの防止に向け、意識啓発、相談、保護体制の整備、被害者の自立支援などを行っているものでございます。
 具体的には、若年層への教育啓発のための講演会の開催、被害者への適切な支援のための相談員研修会、平成22年度はさらに医療関係者のためのDV被害者対応の手引等を作成し、県内の医療機関に配布したところでございます。さらに、緊急に保護を求めてきた被害者に対しましては宿泊場所を確保して提供するということで、平成22年度は8件でございます。また、被害者の自立に向けて一時保護所を退所する際に必要とする生活費の支援をし、平成22年度実績は9件でございます。
 次に、普及啓発事業でございますけれども、これはDV被害者の支援の第一歩は相談機関の周知が最も重要であるということから、住民生活に光をそそぐ交付金を活用いたしまして、相談機関等を記載したミニカード、ポスターなど啓発物品を作成し、県内市町村、医療機関等に配布したところでございます。
 この中でどういう課題があるかというのは、まだDV自体がどういうものであるかということがなかなか認知されていない、DVが犯罪行為をも含む重大な人権侵害であるという認識が浸透していないということもございますので、引き続き普及啓発等に努めていきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 いろんな事業の中で相談員の研修がなされておりますけれども、その相談員というのは各市町村に配置されているのでしょうか。
 また、先ほど、8件の相談があったということですけれども、この相談された件数というのは、例えば警察ざたになったような件数もあるのかも含めてお願いいたします。
〇千葉青少年・男女共同参画課総括課長 相談員の研修につきましては、いわゆる被害者がすぐ駆け込むというときの対応ということでございますので、DV相談支援センターの県の職員とか、あとは市町村の窓口の職員が対象になってございます。
 そして、先ほど8件ということでございましたが、これは、イメージ的に言いますと、着の身着のままで逃げていらっしゃった方が、原則的には昼間でしたらば対応を協議して、それから一時保護所に送り届けるんですけれども、夜にいらっしゃったとか、お金を持っていらっしゃらなかったとか、そういう方はホテルにお泊めする。次の日に移送するなり、親戚のところに行くなりという緊急の対応ということになってございまして、対応するのは警察もございます。市町村窓口、あとはDV相談支援センターの職員、その対応等を研修するものということになってございます。
〇工藤勝博委員 要は、相談員も含めて、そういう駆け込み寺みたいな形で、被害者といいますか、そういう状況になった方を保護しているという状況だと。わかりました。これらについては県民にわかりやすく伝わっているのでしょうか。その辺をお聞きしたいと思います。
〇千葉青少年・男女共同参画課総括課長 先ほど申し上げましたけれども、配偶者の暴力啓発事業等でポスター等を配布いたしましたし、あとは、女性に相談センターがあるということを周知する。DVというのは非常に人権侵害なんだよ、痴話げんかではないんだよというのを理解するということが必要でございますので、こういう名刺大のカードとかを女性の公共施設、トイレ等にお配りして、それで普及に努めているところでございます。
〇工藤勝博委員 わかりました。
 最後の質問です。北上川清流化対策の中で、廃止されました旧松尾鉱山の鉱毒水の中和処理に関して、施設の状況等を含めてお聞きしたいと思いますのは、相次ぐ大きな地震で大変心配されているところがあります。その辺の調査、あるいは今後の対策、対応があればお聞きしたいと思います。
〇玉懸環境保全課総括課長 今回の東日本大震災につきましては、3月11日の本震及び4月の余震で商用電源が停止いたしましたが、設備の被害はございませんでした。点検の結果、異状がなかったことから、自家発電に切りかえて坑廃水処理を継続し、発災後から現在までに処理水や河川の水質異状はございませんでした。
 また、3メートル坑につきまして、経済産業省関東東北産業保安監督部が定期的に坑内の調査を実施しておりますが、今回は、被災後初めて10月6日に調査を実施しまして、概況でありますが、密閉プラグには変化がなかったと。坑口から1、600メートルから1、700メートルの地点で例年の年間4ミリよりも大きな12ミリの縮小が認められたということ。しかしながら、直ちに坑道が崩壊するような兆候は認められないという説明を現地で受けております。詳細につきましては、11月14日に開催予定の5省庁連絡会で報告されるということになってございます。
 また、耐震対策等につきましては、阪神・淡路大震災を契機といたしまして、平成15年度から新しい耐震基準に対応するための改修工事を進めてございます。これまで、平成21年度までに、坑廃水の送水管、敷地内の擁壁等の改修を実施いたしました。また、平成22年度には原水受け槽、用水設備、中和槽について補強工事を実施しております。今年度は、坑廃水処理施設を、今、3系列使っておりますけれども、そのうちの第1系列の水槽などについて実施中でございます。今後の事業の見通しといたしまして、第2系列以降の坑廃水処理施設などを改修することとしておりまして、平成28年度までに補強を完了したいと考えております。
〇工藤勝博委員 県においても、毎年のように国にも恒久化対策といいますか、清流化対策の部分では要望していると思いますけれども、ぜひ、そういう形で安心して暮らせるような状況にしてもらいたいと思いますし、何はともあれ想定外のことが起これば大変な事態にもなるだろうと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げて、終わります。
〇佐々木茂光委員 私からは、この間、総括質疑でも実はお尋ねしたんですが、瓦れきの撤去と期間の延長というか、早くをそれをとりあえず片づけていただきたいというのが私の今考えているところでありまして、まさにこれから復興の一歩を踏み出そうというときに、あの瓦れきがまだあるというのが、やはり復興のスピードに最初にブレーキをかけているものではないかと考えております。実際、7カ月も経過しております。当初から私も個人的には─日に日に原発のいろんな影響が出てくる中で、今はもう既に岩手県にもそういった放射能の問題が出てきたり、当時、陸前高田市の7万本のうちの1本しか松がございませんけれども、あの松を薪にして、大文字焼きですか、そちらで使うという話もあったんですが、一部放射能の影響があるということで、それも結局燃やすことなく、陸前高田市で燃やしたという経緯もあります。
 ですから、ああいったものが─私は基本的には、今、陸前高田市でも、どの被災地も、あの瓦れきにまさに花を咲かせなければならないといった強い復興の思いがあると思うんです。それが私の頭の中にも─私も家も流されておりますけれども、風景が今まさに交錯しております。7カ月経過しておる中でも、昔の風景と今の風景がいつも頭の中に重なってあるんです。もし、それを皆さんにテレビでも見せることができるのであれば、私の頭の中がどういう風景を描いているのか見ることができればいいんですけれども、なかなか現地の人間でなければわからいな風景が、それぞれ今、被災地の方々は持ち得ております。
 仮設住宅にも入居されて、ただ、暮らしの中にもやはり変化を求めているんです。これまで仮設住宅にも入居されて、早い方でもう5カ月ぐらいになるわけですけれども、自分の暮らし向きがどのような方向に動こうとしているのか、本当にその疲労感がピークです。仮設住宅の不都合な件もいろいろこれまでもお話がありましたが、これからは、私たちがどのようにして立ち上がるのかということが、今、それぞれその地域で復興計画というものも一部進んではおります。ただ、大きなものが、目の前に動かざるものがあるということが、私たちが立ち上がろうにも立ち上がれない。それが一番自分たちの進まんとする方向をふさいでいるように私には映ってなりません。
 当初から3年、5年という期間が設定されたようでありますが、なぜその期間が設定されたのか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
〇松本災害廃棄物対策課長 本県の災害廃棄物は総量で435万トンということになってございますけれども、この処理につきましては、5月に環境省から出されましたマスタープランに基づいて処理を進めております。このマスタープランには、本年度内に撤去を完了し、平成26年3月までに処理を完了するようにということで指針が示されているところです。
〇佐々木茂光委員 ですから、そのマスタープランというのが平成26年3月までということは、それはわかります。数量もわかりました。要は、費用はどちらから、いかほどの費用になるんですか。
〇松本災害廃棄物対策課長 費用につきましては、一般廃棄物ですので、基本的に市町村が処理の経費を出すんですけれども、その経費のうちの国庫補助と基金が充てられておりまして、95%、国からお金が来ます。残り5%につきましては交付税措置を受けることができまして、当然、その前に起債を起こしていただくことになりますが、その起債について、元利償還金について全額交付税が措置されるということでございまして、基本的には全額国が出すということになっております。
〇佐々木茂光委員 要は、数量もまとまっています。金額も出ました。持ち出し分については最終的には瓦れきは国で全額見ますという形になりますよね。そうしますと、今、それがなぜ3年という期間になったのか、そこをまず。
〇松本災害廃棄物対策課長 処理に当たりましては、8月30日に、被災した各市町村の首長さん方を委員といたします協議会で計画を認めていただいたんですが、県内の処理施設、あとは仮設の焼却炉を設置いたしまして、それでも平成26年3月には間に合わないものですから、他の都道府県にお願いして、広域処理ということですけれども、それで平成26年3月に間に合わせようというものでございます。
〇佐々木茂光委員 各市町村の首長の方々の協議会も含めて、そういった形で処理をするということから、3年ないし5年というのは恐らくそういうことだと思うんですが、といいますと、今の焼却なり処理能力で3年ということは、今の処理能力を要は3倍にすれば1年で片づくという考えはできないのでしょうか。
〇松本災害廃棄物対策課長 処理をするためには処理施設を設置しなければなりません。その設置に当たりましても、長期間、1年程度の時間がかかるということで、できるだけ県内にあるインフラと、それから県外のインフラを使いますと、現存する施設でございますから処理が進むということで、できるだけ既存の施設を使って、それで足りないところについて仮設焼却炉をつくっているということでございます。
〇佐々木茂光委員 今、焼却しているのは、例えば塩漬けになったものが当然かまに入っていく状態になります。そうしますと、かまの耐用年数というのはもちろんあると思うんですが、当然、それはかまの傷みが早くなります。
 私が言いたいというのは、3年でできる量が、今、例えばインフラを使いながらということであるならば、それを1年で、例えば少なくともことしは、被災地というか、家屋を流された瓦れきを全部ストックしています。そのストックしたものを、今、選別をかけているんです。それぞれが今度は使い道によっていろいろ焼却する、何するというのを恐らく選別していくと思うんですが、そうしますと、その能力を高めることによって、ことしの1年間は、例えばそれが分別まではいかなくても集積はできますと。来年からは、万が一できるのであるならば、要は、私が言わんとするのは、早く片づけるための方法を考えていただきたいということなんです。早くするための手を打っていただきたい。それは、今のインフラを利用して云々かんぬんはもちろんありますけれども、そうでなく、その考えの中にいかに瓦れきを早く被災民のところから、被災地から取り除いて、皆さんの目に入らないようにする手を打つことが、被災民の被災地が立ち上がるために最初にやらなければならないことだということを私は言いたいんです。
 その方法の中で、要は、県の持ち出しがこのぐらいありますとか、私たちは被災民であるがゆえに、一県民でもありますから、県がそういう負担があるというのであれば、ある意味我慢する、説明できる部分があるんです。ただ、今、みんなこんな国難の状況にありながら、確かに瓦れきも私たちにとってはある意味では財産なんです。私たちのものを流されたものですからね。それを、ただそのまま放置された状態でいつまでも地域の中に─これは、潮をかぶったところは恐らくみんな同じ状況、同じ感情を持っていると思うんです。だから、それを早く取り除いてやる。ちゃんと片づけてやるという気持ちを持って、そのためには期間を、3年といわず、単純に計算してもわかる。量がわかって、金が決まっているんだったらば、1年で片づけるためにはどうするかと考えたら、おのずと3倍の機械を入れるとか、3倍の処理能力を持てば、1年で解決するだろうという気持ちになるんです。皆さんがそういう気持ちになれないのかなということを思うんです。
 例えば、当時、私が3歳のときにチリ地震津波がありました。ばあちゃんの背中におぶさっていて、おにぎりを食べながら、みんな燃やしているんですよね。そして、その年も瓦れきを片づけながら、みんな米もとったということも聞いています。だから、あの物がある以上は何も動きがとれないということです。だから、それを早く取り除いてくれということです。そのための方策を考えてもらいたい。だから、原発の放射能が飛ばないように─あれを震災後から私もテレビで一緒見ていますけれども、かなりの金を投入していますよね。日本にあれだけの技術力があるのであるならば、このぐらいの瓦れきは簡単に処理できると私は思っています。その能力を皆さんから出してもらって、では、例えば臨時のかまを、幾らぐらいかかるか私も承知していませんが、20億円とか40億円と語る方もありますけれども、そうであるならば、そのかまをつぶしてもいいだろうと。そういうものを国に要求して、要望して、原発にふたをするぐらいの、日本にその技術力があるということでしょう。そうであるならば、流れている流木とか、ああいうものは簡単に処理できるだけの技術力が日本にあると思うんです。そういったところを探りながら、少しでも期間を詰める。3年と言わず1年。ことしはもう雪が降ってくる時期になります。3月が来ればちょうど1年になります。そうしたら、あと1年で何とか片づけてやりますよというものを─今、私たちの被災地というのは、仮設住宅に入れてもいただいた。好んで入っているわけじゃないですよ。自分たちが選んで入っているわけじゃない。確かに仮設住宅の皆さんと言われること自体が、私だって早く家を出たいんです。だから、そういうものに時間をかけられるよりは─確かにいろんな物資もいただきます。卵が食べたいというと、次の日、卵が山のぐらい来るんです。そういう物じゃないんです。今、私たちに示してもらいたいのは、私たちの目に映るもので支援をしていただきたいんです。冬になれば冬物が来ます。さっきも言ったように、暖房も入ります。それはそれでもいいんですけれども、もっと違う意味で、私たちの目に入るもので大きく支援に踏み込んでいただきたい、それが強く思うところであります。
 ちなみに、435万トンは金額にするとどのぐらいになるんですか。
〇松本災害廃棄物対策課長 処理費につきましては、その処理の方法によって大分変わってくると思いますが、例えば1トン当たり5万円程度ということになりますと、3、000億円程度と計算されるものと思います。
〇佐々木茂光委員 ですから、その中でも使えるものと使えないものがあります。要は、コンクリートとか何とかというのは、ある意味、これから堤防をつくる、道路を築堤していく上でもいろいろ使えるものが出てきます。そういう使い道を進めていきながらであれば、焼却するとか捨てるものというのは大体見えてきますよね。単価が云々かんぬんというよりも、とにかくこれを早く片づけるぞという観点に立てば、方法は幾らでもあるということです。陸前高田市は、毎日、重機が何百台ですよ。ダンプも何百台走っています。あれだけの油、トラックに積む油、重機に積む油、相当の油です。私は、あの瓦れきに1日いっぱい燃やしているぐらいの油をかけて、火をつけて燃やしたほうがまだ早いということ。やっている人たちだって進まないんです。少しずつなんです。カニばさみだ。カマキリの刃みたいだ。一つ一つですよ。あれだけ、一山の瓦れきに何百人とすがっているんです。おかしいと思わないですか。無駄なんです、あれは。
 私が言いたいのは、そういう風景じゃないんです。今、私たちが求めているのは。だから、3年というならば、その能力があれば、1年で片づけられるだけの能力が日本にある。そうだったら、焼却炉のかまをところどころにぼんぼん設置してやる。燃やせるものはこれに入れてどんどん燃やしてしまえと。残るのは燃えないものなんです。その燃えないものをどうするかというふうな、例えば、瓦れきだからコンクリートですよ。砕いてもいいし、そのままでも使えるんです。寄せて、道路の盛り土の足しにするとか、そういう形でもっとスピードを上げて─今、瓦れきを片づける人たちも、連日作業も大変ですから、土日は休みます。建設業の方が請け負っているのもわかるんですが、それは地元の雇用も考えると、やってもらうことは一向に構わないです。ただ、それを仕事にして、いつまでもいつまでもやられていたのでは、おれたちの生活は立ち上がらないということです。そこを復興に向けて、県がまさにそれありでやろうとしているのであれば、そういうところにまず目を向けていただきたいと思います。
 これは、陸前高田市だけの話ではないです。常に沿岸の風景は変わりません。瓦れきがありっ放しだからなんです。重機がその後ろで区分けしているだけなんです。今言うように、今度は放射能の話が出る。ということは、時間がたてばたつだけ条件が悪くなってくるということなんです。だからこそ、急いでやってもらいたいんです。その場で燃やして灰が出る。近い将来─今でさえ、現地の盤では生活ができないんです。必ず盛り土をしなければ家が建たない、まちづくりもできない状況になっています、沈下もしているから。ということは、当然、目に見えない部分には、それなんかはブルドーザーでおったぐることもできるはずなんです。そうして、自分たちの財産も半ばどんどん量は減らせるはずなんです。知らないところに持っていって焼却されるよりは、私たちの目の前でそれがどんどん進められていったほうが、復興の一番のステップ、一番大きな力になるはずなんです。そういった面で、やっぱり早くそれを片づけて、さあ、皆さん、この瓦れきを片づけたと。陸前高田市は陸前高田市、大船渡市は大船渡市、それぞれの復興計画をもって、早くここに花を咲かせましょうと、そういう意気込みを私は示していただきたい。もう、あすあす1年になりますよ。雪が降ってきますよ。そういうのが復興としてやるべき一番の姿、まず、私たちの目に見せること。後方支援だけじゃないです。私たちの、これから生きようとする人たちの目に見せることです。そういう思いを─この間、副知事とは435万トンの話で終わったんですけれども、何とかそれを大きく踏み出していただきたいということをお伝えしたいと思いますが、今、私の言わんとすることがわかったでしょうか、そこをちょっと聞いてから。
〇松本災害廃棄物対策課長 ただいまの御質問の趣旨は、できるだけ設備を導入して、できる限り早く処理を姿として見えるようにということだと思いますが、焼却炉をたくさん設置して、例えば陸前高田市に焼却炉を何基か設置して処理するということ。実際、そうしますと処理は進むとは思います。しかしながら、焼却炉ですと焼却灰が出てまいります。一般のごみですと1割程度。今回、災害廃棄物を処理したときに3割とか4割の焼却灰が出てまいります。ところが、岩手県内にはその焼却灰を処分する場所が少のうございます。そういったことで、埋め立て処分場が処理のスピードを決めてしまうということになっておりますので、ある一定の時間はかかるということになります。
〇工藤環境生活部長 早期処理につきましては我々も一番大きな課題だと考えてございます。当初、4年という計画もあったわけでございますが、3年に短縮したというのは、先ほど、担当課長から説明もあるとおりでございます。ただ、3年というのは、あくまでも最後の期限と考えてございます。委員から御提言がありましたとおり、いろいろな環境の変化ということもございます。そういった中で、我々もいろいろ知恵を出しながら、最大限、早期に処理が進むように頑張ってまいりたいと考えております。
〇熊谷泉副委員長 お気持ちはわかりますが、質疑は簡潔明瞭にお願いします。
〇佐々木茂光委員 いずれ、マスタープランというはどこから出てきたんですか。
〇松本災害廃棄物対策課長 国でございます。環境省でございます。
〇佐々木茂光委員 ですから、そのマスタープランというのは、要はこれまでのいろんな被災状況とか、そういったものから一応の環境を考えた上で、それを処理していくだけのマニュアル的に出てきたものですよね。ですから、私たちが被災した場所というもの、要するに岩手県が被災を受けたんです。どこのマスタープランを使ってそういう形をつくったか、そういうところもやっぱり私たちの被災地としての感情もそのマスタープランの中に本来入らなければだめでしょう。3年でないんだと。おれたちは1年でこれを片づけたいんだぞという思いを伝えれば、もしかすると1年で、よし、わかりました、片づけましょうというプランになってきたかもしれないということです。
 例えば、灰の話もさっきしましたね。今はもう2メートルぐらい沈んでいるんです。水がはけない状態で今あるということ。例えばそういうところにどんどん埋めていっていいものか悪いのかを含めて考えているんですね。
 早くとにかく処理をお願いしたいということだけ申し上げて終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
〇熊谷泉副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇熊谷泉副委員長 質疑がないようでありますので、環境生活部関係の質疑をこれで終わります。
 環境生活部の皆さん、御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後7時13分 散会

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