平成23年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成23年10月25日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査       菅 原 俊 樹
  主査    村 上   聡
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    宮 舘 壽 喜
  副知事    上 野 善 晴
  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    浅 沼   浩

  政策地域部長   千 葉 茂 樹
  政策地域部副部長
  兼政策推進室長  木 村 卓 也
  政策地域部副部長
  兼地域振興室長  佐々木 和 延
  兼復興局参事
  政策監兼復興局
  企画課総括課長  大 平   尚
  市町村課総括課長 堀 江   淳

  環境生活企画室
  企画課長     伊 勢   貴

  保健福祉企画室
  企画課長    高 橋 勝 重

  商工企画室
  企画課長    飛鳥川 和 彦

  農林水産企画室
  企画課長     小 岩 一 幸

  県土整備企画室
  企画課長    及 川   朗

  理事兼復興局
  副局長    廣 田   淳

  理事兼復興局
  副局長    平 井 節 生

  経営管理課
  総括課長     大 槻 英 毅

  教育企画室
  企画課長    石 川 義 晃

  議会事務局長   宮   一 夫
  総務課総括課長  高 坂 一 彦
  政務調査課長   安 部 光 一

  総務部長     加 藤 主 税
  副部長兼総務室長 小 原 敏 文
  総合防災室長   小 山 雄 士
  総務室管理課長  清 水 一 夫
  入札課長    高 橋 宏 弥
  人事課総括課長  浅 沼 康 揮
  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
  法務学事課
  総括課長     紺 野 由 夫
  私学・情報
  公開課長    鈴 木   敦
  行政情報化
  推進課長    菅 野 義 克
  税務課総括課長  永 田   茂
  管財課総括課長  新 屋 浩 二
  総合防災室
  特命参事    越 野 修 三
  防災危機管理監  宮 元 隆 司
  防災消防課長   小野寺 文 也
  総務事務
  センター所長   平   哲 夫

  秘書広報室長   稲 葉 比呂子
  首席調査監    杉 村   孝
  調査監    小 山 康 文
  秘書課総括課長  小 友 善 衛
  秘書課管理課長  藤 澤 敦 子
  広聴広報課
  総括課長    高 橋 一 夫
  報道監    佐 藤   学

  会計管理者兼
  出納局長    菅 原 和 彦
  出納指導監兼
  出納局管理課長  浅 沼   浩
  指導審査課長   佐 藤   亨

  人事委員会
  事務局長    熊 田   淳
  職員課総括課長  及 川   明

  監査委員     伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦
〇高橋昌造委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成22年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き総括質疑を行った後、議会、総務部、秘書広報室、出納局、人事委員会、監査委員関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 これより、昨日に引き続き総括説明に対する総括質疑を行います。小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党の小野寺好です。
 最初に、所得と生活水準について伺います。
 平成21年度の県民経済計算確報値は、1人当たりの県民所得221万4、000円で、全国比83.2と発表されました。10年前の平成11年は257万3、000円、全国比89.5でしたから、この間35万9、000円の減、全国比6.3ポイント低下しております。一方、租税と社会保障関係の国民負担率は、10年で2ポイントほど高くなっていますので、デフレ経済とはいえ、生活水準を維持するのは難しいと言えます。しかも、残念ながら、県内の地域格差もはっきりしており、所得向上を願う県民のためにどのような施策が講じられ、成果はいかがであったか。特に、県北・沿岸についても言及していただければと思います。
 また、所得格差は教育格差に直結しているとも言われますが、このことへの対策はいかがであったか。特に、被災地に対しての今後の配慮はいかがか伺います。
 ことしは、大震災の後、電力不足などを機に、浪費生活を改善しようとの機運も持ち上がりましたが、知事は、生活水準に関する県民意識をどう認識しているか伺います。
 さらに、この冬、東北の電力危機が言われていますが、どのようにして電力を確保なさろうとするか、基本方針を伺います。
〇達増知事 まず、県民所得向上のための施策についてでありますが、いわて県民計画第1期アクションプランの政策推進目標の一つとして、国民所得に対する県民所得水準の乖離を縮小することを掲げております。この目標の達成に向け、長期的な視野に立ったものづくり産業の振興や、地域の特性、資源を最大限に生かした産業の振興により、県外から安定的に外貨を獲得する、いわゆる域外市場産業を強化するとともに、得られた所得を県内で循環させる施策を進めてきたところであります。世界的な金融危機に端を発した経済情勢の悪化などの影響により、平成21年度の1人当たり県民所得は221万4、000円と、前年度から3万4、000円減少したところであります。一方、1人当たり国民所得を100とした場合の水準では83.2と、前年度を1.6ポイント上回ったところであります。平成20年度以降、国民所得に対する県民所得水準の乖離は縮小傾向にございまして、一定の成果があったものと認識しております。
 次に、県北・沿岸地域の状況についてでありますが、県北・沿岸振興については、県北・沿岸振興本部を中心として、地域と一体となり、すぐれた地域資源を生かした産業振興による地域経済の基盤の強化に取り組んでまいりました。その結果、例えば、ヤマブドウを素材とする商品開発や生キクラゲの生産、加工販売による農商工連携の展開、首都圏量販店との食品の取引拡大を促し、さらには、誘致企業の立地による新規雇用創出など、成果が着実にあらわれてきております。
 市町村民所得の地域格差につきましては、平成21年度の1人当たり市町村民所得が公表されていませんので平成19年度と平成20年度の比較となりますが、県央圏域と県北・沿岸圏域の1人当たり市町村民所得の差を見ますと、県北圏域では72万4、000円差から68万6、000円差と、差が3万8、000円縮小、沿岸圏域では56万円差から49万8、000円差と、差が6万2、000円縮小していますことから、所得格差の解消に一定の成果があったものと認識をしております。
 教育格差に対する施策についてでありますが、県では、いわて県民計画におきまして、人材・文化芸術の宝庫いわての実現を岩手の未来をつくる七つの施策の一つに掲げ、特に重点的、優先的に推進しているところであり、児童生徒が経済的事情で就学できない事態を避けなければならないと認識しております。経済的事情によって高等学校への進学を断念することがないよう、県では、財団法人岩手育英奨学会を通じて、奨学金の貸与事業により就学の支援を行っているところであり、特に東日本大震災津波の被災を受けている場合は、採用基準を緩和して貸与しているところであります。また、大学への進学を希望する生徒に対しては、独立行政法人日本学生支援機構の大学等奨学金を紹介しているところであります。
 さらに、今般の大震災津波により、親を失った子供たちへの学びと暮らしの支援を行うため、いわての学び希望基金を創設し、この基金を活用した奨学金の募集を始めたところであります。しかしながら、現下の経済情勢において、高校生の教育環境を一層充実させ、家庭の経済状況に左右されずに安心して学業に専念できる環境整備が大事であり、県としては、現行制度に加え、給付型奨学金制度の創設について継続的に国に対し要望を行っているところであります。国においては、文部科学省の平成24年度概算要求で、高校生に対する給付型奨学金事業を初め、大学生を対象とした給付型奨学金の創設や、無利子貸与奨学金対象人数の拡大が盛り込まれたところであり、今後、その動向について注視してまいります。
 電力不足等に関連する県民意識の変化に対する認識でありますが、県として正式な調査は行っておりませんが、東北電力によりますと、県民や事業者の節電への協力によって、ことしの夏の本県における最大電力は130万キロワットと、昨年夏のピーク時に比較して19.8%抑制され、1日の最大電力量では2、599万キロワットアワーと、16.5%抑制されたとのことであり、この点では県民意識にも一定の変化があったものと考えております。
 電力確保の基本方針についてでありますが、東北電力によりますと、年内に一部の火力発電所が復旧する見通しで、冬期は1、300万キロワット程度の供給力を確保できる見込みであるものの、昨シーズンのピーク時電力が1、470万キロワットであったことから、この冬も厳しい需給見通しであるとのことであります。
 不足が生じた場合、東京電力から一定程度融通可能であるとはいえ、需給が逼迫しますと県民生活や企業活動に大きな支障が生じますので、当面の対応として国や電気業者等と呼応し、この夏の取り組みを踏まえて、県民、事業者等に対して引き続き節電の取り組みを呼びかけるなど、電力不足が生じないよう努めてまいります。
 中長期的には、再生可能エネルギーの導入を促進することなどによって、必要な電力を確保していくことが重要と考えます。
〇小野寺好委員 次に、雇用対策について伺います。
 昨年の有効求人者数は3万人から3万4、000人の間にあり、有効求人倍率は0.4から0.5で推移してきましたが、大震災後は一気に悪化してしまいました。雇用の問題にはもともと地域格差がありましたが、大震災後の沿岸地域は顕著であります。
 まず、雇用の創出でありますが、大震災前の県が計画していた産業振興施策による雇用創出、緊急雇用創出事業、ふるさと雇用再生特別基金事業等により、どの地域にどれだけの雇用が生まれたか伺います。
 また、基幹産業であります1次産業の後継者問題は依然として深刻でありますが、新規学卒者及びその他の新規就業者数実績を伺います。
 農業、水産業、林業の新規就業者確保に関する有効な取り組みはいかがでしょうか。
 また、県土整備部ではガイドブックを作成するなど、建設業の異業種参入を促進してきましたが、昨年までの成果を伺います。
 これまで、土木、建設業の不振が続き、技術者等の雇用状況は最悪だったと思いますが、今後の展望はいかがでしょうか。
〇上野副知事 まず、雇用施策の成果についてでありますが、平成22年度におきましては、産業振興施策による雇用創出や市町村が実施いたしました緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業によりまして、広域振興圏ごとで申しますと、盛岡広域振興圏で1、041人、県南広域振興圏で2、310人、沿岸広域振興圏で820人、県北広域振興圏で616人の雇用をそれぞれ創出したところでございます。
 なお、これに加えまして、広域振興圏ごとには把握をいたしておりませんが、県が実施をいたしました緊急雇用創出事業及びふるさと雇用再生特別基金事業によりまして、全県で1、069人の雇用を創出したところでございます。これらを合わせますと、全県では、延べ5、856人の雇用を創出したところでございます。
 次に、1次産業の後継者問題についてでございますが、平成22年度の新規就業者実績は、農業は新規学卒者が12名、その他が215名、計227名、林業は新規学卒者が11名、その他が129名、計140名、水産業は新規学卒者が2名、その他が55名、計57名で、農林水産業全体では、新規学卒者が25名、その他が399名、合計で424名となっております。
 また、新規就業者確保対策につきましては、第1に、就業フェアの開催によるマッチング支援や就業相談会の実施、第2に、就業希望者に対する現場実践研修、就業者の発展段階に応じた研修などに取り組んだところでございます。
 今後とも、市町村や関係機関、関係団体、地域の生産者とも連携をいたしまして、国の事業等も積極的に活用しながら、新規就業者の確保に取り組んでまいります。
 次に、建設業の異業種への参入についてでございますが、平成18年度に、5カ年の建設事業対策として策定をいたしました建設業対策中期戦略プランに基づきまして、建設企業が取り組んできた新分野の優良な取り組み事例をガイドブックとして作成するなど、建設企業が行う新分野の取り組みに対し、支援をしてまいりました。この5年間に県が支援し建設企業が立ち上げた新事業は、農産物の生産から加工、開発、販売まで取り組む農業分野の事業や、託児所や介護施設を運営する保健福祉分野の事業など、42社が取り組んでおります。
 次に、復旧、復興に向けた技術者等の雇用に関する今後の展望につきましては、近年、建設企業を取り巻く厳しい経営環境の中、企業体力の低下や小規模化が進み、雇用の維持が難しい状況が続いてきたところでございます。その結果、県内の建設企業の従業者数は、県内建設投資額がピークであった平成8年度の8万2、000人から平成21年度では5万2、000人へと、約4割減少しているところでございます。今後、大規模な復旧、復興事業に伴う工事量の大幅な増加により技術者等の不足が見込まれるところでございまして、建設企業の意向を伺いながら、人材の確保に向けて必要な支援を行ってまいります。
〇小野寺好委員 次に、県立病院について伺います。
 県立病院の経営は、一般会計から繰り入れをしてもなお赤字で、平成22年度で累積欠損金は200億円を超えてしまいました。医師等医療従事者が懸命に働いて黒字にしている病院がある一方、懸命に働いても黒字にできない病院があるのも事実です。加えて、このたびの大震災による甚大な損害、沿岸住民のための医療確保に早期復旧を望むものであります。
 救急医療は、県立病院の責任として守っていかなければなりませんが、決算から見てどれだけの負担になっているか。ここ数年、無床化や統合を進めてきましたが、経営面でどれだけの効果を発現できたか。事業運営体制を合理化するとした場合、従事者や病院利用者に負担をかけない方法はあるかどうか。また、増加しているとされる未収金の実態、その対応はどのようになされているか伺います。
 勤務医の不足が赤字の一因となっておりますけれども、顕著に不足している病院、診療科目、そして今後の展望はいかがでしょうか。
 医学生の奨学金は、近年、給付金額や採用枠をふやし充実を図ってきましたが、現状を伺います。この結果、義務履行の成果があらわれ、県立病院の医師が十分確保されるのはいつごろと想定しているか伺います。
 なお、県内市町村でも懸命に医師確保に取り組んでいますが、招聘活動や奨学金の成果を把握しておりましたら、お示しいただければと思います。
〇宮舘副知事 多くの御質問をいただきましたので、一つ一つ答えさせていただきたいと思います。
 まず、救急医療の負担についてでございますが、医療局の決算におきまして、救急医療に要する負担額のみを抽出することは困難でありますが、救急医療の運営には、人件費、設備の整備や維持管理に要する経費など、さまざまな費用が生じているところでございます。
 救急医療に要する経費については、救急の種類ごとに定められた一般会計からの繰出金、これは合わせますと平成22年度は23億1、400万円余になってございます。それから、人件費等に対する補助金、これについても病院群輪番制病院の運営費とか、あるいは救命救急センターの運営費、こういったもので3億8、000万円ほどになっているわけでございます。それらによりまして措置しているところでございます。
 次に、経営改善についてでございますが、地域診療センターの病床休止に伴う経営面での効果についてでありますが、地域診療センターへの当直応援業務がなくなることなどによりまして、二次保健医療圏の基幹病院の診療体制の充実や、ほかの県立病院、市町村立病院への診療応援の増加が図られたところでありまして、結果として、収益の向上など、安定した経営基盤の確立につながっているものと認識しております。
 事業運営体制を合理化するとした場合についてでございますが、これまで実施してまいりました地域診療センターの例で申し上げますと、危機的な医師不足の中、限られた医療資源のもとで良質な医療を提供するために病床を休止したものでありまして、これにより、医師など職員の負担軽減も図られているところでございます。その一方で、身近なところでの入院施設がなくなったことによりまして、地域の皆さんに負担をおかけしているなど、双方に負担をかけない方法を見出すことがなかなか難しいものと考えているところでございます。
 それから、未収金について御質問がございました。県立病院の平成22年度末の過年度個人未収金残高は、平成21年度末よりも800万円余増加いたしまして、6億1、000万円余となってございます。
 この未収金の縮減対策といたしましては、院内の医療相談室等におきまして、高額療養費制度や公費負担制度等を利用した支払い相談を行っているほか、口座振替、クレジットカードでの支払いに加えまして、平成22年4月からはコンビニエンス収納を導入するなど、患者の利便性の向上を図っているところでございます。また、期限内に支払いが困難な患者につきましては、納入期限の延長を認めたり、分割納入の確約をとるなど患者の実情に応じた対策を講じるとともに、納入期限に納入がなかった場合は、電話による督促や、職員の直接訪問による未収金の回収にも取り組んでいるところでございます。
 それから、医師不足の病院、診療科目、今後の展望についてでございますが、昨年行われました厚生労働省の必要医師数実態調査結果では、本県の必要医師数は現員医師数の1.4倍と全国で最も高く、県全体で医師不足が厳しい状況にございますが、県立病院におきましても、県北・沿岸の病院、中でも地域病院の医師不足が顕著でございます。また、いずれの診療科も医師が不足しているところでありますが、特に顕著なのは、耳鼻咽喉科、精神科、眼科、内科、そして産婦人科などの診療科であります。
 県立病院における医師不足につきましては、今後も厳しい状況が続くものと見込まれますが、引き続き即戦力医師の招聘、これは平成22年度は16名でしたが、23年度は10月1日現在で20名招聘してございます。こうした医師の招聘あるいは拡充した奨学金制度による養成医師の配置などによりまして、診療体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
 それから、医師確保のための奨学金制度の現状についてでございますが、現在、市町村医師養成事業、医療局医師奨学資金貸付事業及び県医師修学資金貸付事業のこの三つの奨学金制度で、合わせて55名の貸し付け枠を設定しております。平成23年度は51名がこれらの制度を新たに利用しておりまして、現在、全体で205名の医学生が奨学金の貸与を受けているところでございます。また、これらの奨学金制度を利用して養成された医師については、前身となる制度も含め、計23名が県立病院で勤務している状況でございます。
 次に、今後の義務履行による県立病院への配置についてでございますが、平成20年度の岩手医科大学医学部の定員増にあわせまして拡充を図ってきた奨学金制度による養成医師の配置は、2年間の臨床研修を経て、平成28年度以降本格化することが見込まれていることから、県立病院におきましても、段階的に医師の充足状況の改善が図られてくるものと期待しているところでございます。
 次に、市町村の医師招聘活動及び奨学金の成果についてでありますが、先ほど申し上げました市町村医師養成事業のほか、市町村による独自の医師養成奨学金制度につきましては、現在、七つの市町村が制度を設けて医師確保に取り組んでおりまして、岩手県国民健康保険団体連合会では、市町村立病院への医師招聘活動も行っていると承知しております。平成21年度の調査では、13名に奨学金が貸し付けされておりまして、今後、これら奨学生が、順次、地域の医療機関に勤務していくものと考えております。
〇小野寺好委員 次に、消費者保護に関する行政の対応について伺います。
 悪質商法、投資話、サラ金、多重債務等、県民生活センターで把握している従来型の消費者相談の実態と、パソコン、ネット社会で出現した新たなトラブルへの対応を伺います。
 県民生活センターは、県内市町村と連携し、県民のために消費者行政に当たっていると思いますが、盛岡市のように、独自に消費生活センターを開設しているところもあれば、相談員さえも設置していないなど、さまざまであります。今後の具体的な支援策を期待しますが、いかがでしょうか。
 また、複雑、高度化している消費生活に対応するため、県民生活センター職員の力量アップを期待いたしますが、研修体制をお伺いいたします。
〇宮舘副知事 トラブルへの対応についてでございますが、平成22年度の相談件数は6、462件となっておりまして、6年連続で減少しております。年代別では、50歳代以上の割合が前年度よりも増加しておりまして、シェアとしては43.2%となっております。内容別では、多重債務、サラ金を含む融資サービスの相談が最も多くなっておりまして、特に多重債務につきましては892件となっております。昨年度より件数は減少したものの、全体に占める割合は13.8%と最も高い状況でございます。
 それから、悪質商法が疑われる事例といたしましては、電話勧誘によるカニの送りつけ商法や訪問販売による布団販売などが上位を占めております。また、値上がりが確実などと強調いたしまして、未公開株やファンドへの投資などを勧誘する利殖商法に関する相談が前年度よりもふえております。
 次に、ネット社会におけるトラブルでございますが、高度情報化社会の進展に伴いまして、インターネットに関する相談が近年増加しております。昨年度では808件となっております。内容別に見ますと、アダルト情報サイト、出会い系サイト関係で648件と、8割を占めている状況でございます。これらのトラブルでは、業者と連絡をとることによる個人情報の流出が二次被害に結びつく可能性があることから、業者への接触を行わないように助言するとともに、広報媒体による注意喚起や出前講座などの実施により、必要な知識の普及啓発に努めているところでございます。
 それから、県民生活センターの役割についてのお尋ねでございました。近年、相談内容はますます複雑化、多様化しておりまして、県民生活センターにおきましては、消費者力の向上と相談員の解決力の向上、この二つを柱として消費者施策を推進しております。
 まず、消費者力の向上といたしましては、消費者に対して、新聞、テレビ、広報誌など多様な媒体による普及啓発などにより、消費者が主体的、合理的な行動がとれるよう、各種の事業を展開しているところでございます。
 市町村消費生活センター相談員の解決力の向上のためには、国民生活センター等が実施しております各種研修への参加、専門家、実務者を講師とした研修、生活相談事例研究会の開催、─これは毎月行っておりますが─こういったものを実施しているところでございます。また、県民生活センターは、市町村消費生活センターでは対応が困難なトラブル事例や広域的な事案について、専門性を生かしながらサポートしているところでございます。
〇小野寺好委員 最後に、災害対策について伺います。
 平成22年度の大災害は3月の東日本大震災に尽きますが、2カ月余りさかのぼれば、年末年始の暴風雪災害も発生しております。いまだ処理されていない大きな倒木が各地に散見されております。この大雪、暴風、波浪による農林水産関係、土木施設等の被害はいかほどで、復旧はいかがか伺います。
 県は、平成22年度及び23年度補正予算として対応しようとしていた矢先、3月11日の大震災が発生し、災害査定や復旧計画が混乱したのではないかと思われますが、このことに関する取り組みの結果を伺います。
 年末の1週間前もクリスマス暴風雪があり、主要幹線道路の閉鎖、停電事故がありました。行政からマスコミへの情報提供が不十分で、余計な混乱も招いております。これらのことから、道路、電気、水道等、ライフラインの確保のため、全般的にどのような改善が加えられたか伺います。
〇加藤総務部長 昨年末からことし年始にかけましての暴風雪災害に関する対応等についてでございます。
 県全体の被害額でございますが、これまで把握できたものを積み上げますと約77億円となっております。このうち、農業関係の被害額は、パイプハウスや畜舎の破損など13億3、100万円余、林業関係は、倒木など6億7、400万円余、水産業関係は、定置網の破損やワカメの落下など55億6、300万円余で、農林水産業関係合計で75億7、000万円余となっております。これらの復旧につきましては、県では、パイプハウスなど約230施設の整備や被害木の処理を支援してまいりましたが、定置網や養殖施設につきましては、東日本大震災津波の被害と合わせ、現在、復旧、整備を支援しているところでございます。
 また、土木施設の被害は、道路施設4カ所で3、900万円、港湾施設が3カ所で3、000万円、合計で6、900万円余となっております。施設の復旧につきましては、道路施設につきましては2月下旬に災害査定を完了しておりましたが、東日本大震災津波で再度被災したため工事の着手がおくれ、現在、着手に向けて準備を進めております。
 港湾施設につきましては、災害査定直前に東日本大震災津波が発生し、再度大きく被災したため、災害査定が8月下旬にずれ込んでおりまして、今後、順次着工し復旧を図ることとしております。
 また、ライフラインの確保についてでございます。県では、この年末年始の暴風雪災害を踏まえまして、2月2日に関係機関による合同検証会議を開催いたしました。その会議におきまして、道路管理者間の相互連携による除雪支援体制の構築や、市町村道も含めた道路の通行規制情報を県が一元化いたしまして、収集、提供することなど、関係機関の連携をより強化いたしました災害応急対策を実施することによりまして、ライフラインの迅速な復旧を図っていく旨、対応を整理、改善したところでございます。
〇小野寺好委員 終わります。ありがとうございました。
〇高橋昌造委員長 次に、清水恭一委員。
   〔清水恭一委員質問者席に着く〕
〇清水恭一委員 無所属の清水恭一でございます。よろしくお願いいたします。
 あの3月11日、日本の災害の歴史に永遠に残る未曾有の被害をもたらした東日本大震災が発生し、岩手県も沿岸部を中心に、想像を絶する津波の被害をこうむり、現在も復興の真っただ中におります。被害をこうむられた県民の皆様、関係者の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 早いもので東日本大震災からもう7カ月が経過し、津波に襲われた海と生きてきた人たちも、瓦れきの中から必死に希望を見つけようとしております。県民の皆様の未来へ向って進もうとする態度そして粘り強さは、あすの岩手を展望し、力強い復興の原動力となると強く信じています。
 一生懸命に山を守り、土を耕し、海を愛し、そこでとれるものを喜びとして頑張っている岩手の人々にとって、この大災害からの復興の核心は何でしょうか。産業が活性化し、まちがきれいに生まれかわることだけでしょうか。あの大津波を目の当たりにした悲痛な思い、不安と絶望感を忘れることはできないわけですが、その上で大きく前に踏み出す勇気と行動力が求められています。
 今、県民の心を一つにし、県民を導き、その持てる力を発揮させるのは、政治の役割であり未来への責任でもあります。まさに課題山積の中ではありますが、このたび、岩手県民から大きな支持をいただき、岩手の先頭に立ち、しっかりと進むべき方向を示していただきたく、達増知事に、改めてその復旧、復興に挑む決意のほどをお伺いいたします。
〇達増知事 東日本大震災津波からの復興に挑む決意についてでありますが、今回の大震災津波によって多くのとうとい命と財産が奪われ、これまで数多くの被害に見舞われてきた本県にとっても、かつて経験したことがないような大災害となりました。この筆舌に尽くしがたい状況を目の当たりにし、被害と犠牲の大きさを胸に刻み、追悼、慰霊の思いを深くすることを復興への起点とし、被災者の人間らしい暮らし、学び、仕事を確保し、一人一人の幸福追求権を保障すること、そして、犠牲者のふるさとへの思いを継承すること、これを基本的な方針としたところであります。
 この方針のもと、復興計画において、人命が失われるような津波被害は今回で終わりにするという決意に立ち、災害の苦しみ、悲しみを乗り越えて、安全に暮らし、働くことができる地域社会を取り戻していくという思いを込めて、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造と、これを目指す姿として復興計画に掲げたところであり、本県の復興を必ず実現するために、全国、さらに世界に広がる幅広いつながりを力としながら、かつてない災害に対し、かつてない努力と工夫をもって、県民と一緒に全力で復興に取り組んでいく決意でございます。
〇清水恭一委員 大変心強い決意をありがとうございました。
 次に、農山漁村の6次産業化を担う人材と指導者の育成についてお伺いをいたします。
 農産物の貿易自由化による世界的規模での価格競争は、農林漁業の存立基盤を大きく脅かしています。さらには、経済基盤が脆弱で、若年労働力が極端に流出している農山漁村では、老人世帯の増加、商業など住民生活を支える基盤の崩壊、また、人々の営みの中で先人から受け継いで守ってきた集落コミュニティなどの崩壊が起き、こうした状況を背景として市町村合併が推進されましたが、合併は厳しい問題解決の起爆剤とはならず、小さな集落は消滅寸前の状況にあります。将来に展望を見出せないまま、細々と農林漁業を持続しているのが多くの農山漁村の現実であり、政府による今までの政策は決して有効な結果をもたらしていないことを物語っています。その反省の上かどうかわかりませんが、生産と加工、販売を一体的に手がける農山漁村の6次産業化を推進することとし、所得の向上や雇用創出による地域の活性化を目指しています。
 農林水産省は、推進目標に、今後5年間で6次産業の市場規模を1兆円から3兆円に拡大する考えを示し、その取り組みを通じ、東日本大震災の被災地復興支援が挙げられており、担う人材と指導者の育成や交流、連携の場となるネットワーク構築などが基本事業に位置づけられておりますが、現場の声は、農林水産資源は豊富にあっても過疎化に歯どめがかからない、みずから起業できる人材の育成が欠かせない、人材育成には時間がかかる、さらに、長期的に活動できる体制づくりが必要だなどであります。こういった現状を踏まえ、県の人材と指導者の育成についての役割をお伺いいたします。
〇上野副知事 6次産業化を担います人材と指導者の育成についてでございますが、農山漁村におきまして、生産者の所得の向上を図り地域の活性化につなげていくためには、6次産業化の取り組みが有効と考えておりまして、その推進に当たりましては、加工、販売や経営のノウハウを有する人材及び指導者の育成が重要であると認識をいたしております。このため、県では、生産者が新たな雇用により新商品の開発や、販路の拡大などの取り組みをモデル事業として実施を委託いたします、いわて農林水産業6次産業化チャレンジ支援事業の実施や、加工、販売のアドバイザーの派遣による支援等を通じて、6次産業化を実践できる人材や将来の指導的な役割を担う人材の育成の支援をいたしてきたところでございます。
 また、モデル事業対象者のノウハウや実践事例等の共有化を図ります6次産業ネットワーク交流会の開催により、交流、連携の機会を設けるとともに、創業から経営まで総合的にサポートすることを目的に、本年6月に、岩手県中小企業団体中央会と共同で設置をいたしましたいわて6次産業支援センターなどによりまして、本県の6次産業化を担う人材等の育成について、継続的に支援をしてまいる考えでございます。
〇清水恭一委員 次に、農林漁家民宿の規制緩和についてお伺いをいたします。
 田舎暮らしで農林漁家と交流し、本物の体験を求める農林漁家民宿は、教育旅行はもとより、一般客においても需要が高まっております。特にも、岩手県は自然や生活文化が豊かであり、それと農林漁業体験を組み合わせるグリーン・ツーリズム推進は最適地であり、県内各地で取り組んでいるところであります。
 一方で、農林漁家民宿の開業には、食品衛生法、旅館業法、消防法などさまざまな関係法令が該当し、クリアしなければならない課題が数多くあります。現在、県では、農林漁家への民泊に係る取扱指針により、一定条件のもと民泊の実施が可能となっておりますが、さらに取り組みを進め、多くの農林漁家が旅館業法における簡易宿所を取得することにより、学校やエージェントに対する優位性が高まり、誘客が図られるものと考えております。つきましては、既存の家屋で簡易宿所の許可及び食品衛生法の営業許可が取得できるよう、県独自の規制緩和が必要であると考えます。あわせて、許可申請窓口の一本化、受け入れ地域の協議会等が一括申請し、最小限の農林漁家負担と、そして効率的な事務手続ができるよう県の体制が必要と考えますが、お考えをお伺いいたします。
〇宮舘副知事 農林漁家民宿の規制緩和についてでありますが、既存の家屋を簡易宿所として営業しようとする場合は、客室の延べ床面積が33平方メートル未満でも可とする旅館業法における面積要件の緩和など、構造等の大きな支障は撤廃されているものと認識しております。また、食品営業許可の基準につきましても、衛生上の危害を防止する上で最低限必要なものと考えておりまして、これらの運用に当たりましては、適切に対応してまいりたいと考えております。
 それから、農林漁家の負担軽減のための県の体制についてでありますが、市町村の受入地域協議会等におきまして─久慈、二戸、奥州地域等でございますが、特に民宿の営業許可取得に向けて支援を検討している地域もございますが、関連法令が多く、それぞれ所管する公所に確認が必要となる場合等もありまして、申請手続につきましては、広域振興局や農林振興センターが個別に相談対応しながら支援していきたいと考えているところでございます。
〇清水恭一委員 東日本大震災から復興を考える上で直視しておかなければならない課題がありますが、それは、被災地の多くが、もともと過疎、少子化、高齢化が進行した地域であったことであります。被災によって条件はさらに厳しさを増し、人口流出は既に相当始まっておると認識をいたしておりますが、再生のためには、どうしてもマンパワーが必要であります。定住者を確保するとともに、交流人口をふやす工夫を大いに知恵を絞っていただきたく、これは御要望をして終わります。ありがとうございます。
〇高橋昌造委員長 次に、小泉光男委員。
   〔小泉光男委員質問者席に着く〕
〇小泉光男委員 無所属の小泉でございます。
 きのうも尊敬する民主党の喜多委員から御質問がありましたが、平成22年度から、広域振興局として4局体制になった成果と評価に絞って、県側の見解をお伺いいたします。
 まず、県財政の緊縮が喫緊の中、行政のスリム化、簡素化あるいは集約化を図ろうとする県の方針には賛成であり、達増県政を私は基本的に支持しております。そうしたねらいの一環と思われる県北広域振興局の組織改革に関し、地元住民と県当局との間で認識に大きなずれがあると思っております。その乖離は、最初は髪1本ほどの小さなヘアークラックであったものが、県政への不信そしてあきらめにさえなろうとしています。
 私の出身地、一戸町の中でも特に南の奥中山地区は、以前から、買い物や通勤、通学は完全に盛岡圏、高校生や私立中学生でさえ、盛岡市内まで自分の庭のごとく通学しています。県の行政窓口としては、盛岡ベスト、二戸はベターという認識をしていた住民たちにとりまして、振興局が、一転、本局は驚天動地と言うべき久慈となりました。久慈地域、まさしく、くじに当たって観光のチャンスでも到来しない限り、行くことのない地域であります。ずっとなじんでいた県の窓口が、生涯でも数えるほどしか訪れたことのない場所に持っていかれたという恨み節に近い会話が今もなされるのであります。
 以上、前置きとして、当該問題に関しのみ、順次五つほど御質問をさせていただきます。
 まず、第1の質問です。
 沿岸の意味であります。私の日本語的理解では、沿岸とは、海、川、湖に沿った岸を言うと思います。4局体制の中に、立派に沿岸のついた広域振興局が存在しているわけですから、久慈市はそちらへの管轄が適当と考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉政策地域部長 大変基本的なお尋ねでございまして、ちょっと今、どのようにお答えするか難しいものがございますが、いずれ、今回の4局の体制につきましては、基本的には産業振興の観点から4局、4広域圏、それに対応する4広域振興局体制を組んだものでございます。
〇小泉光男委員 二つ目の質問です。
 選挙期間中、新人候補の私に教えてくれるのであります。新幹線を使えば30分で県庁所在地に通える二戸市から、1日がかりの移動時間を要する久慈に移した理由は、そのころ久慈には、民主党比例区の某国会議員がいた。二戸地区にはだれも国会議員がいなかったと。県は、二戸地区の県民の顔よりも、声の大きかった国会議員の顔色をうかがったからだ。本当にこの理由が久慈移転の決め手だったのでありましょうか。
〇千葉政策地域部長 本局の位置の選定につきましては、いずれ先ほど申し上げました産業振興、その点を抽出いたしまして、どちらの地域に本局を置くべきかという議論を十分重ね、また、二戸につきましては、専担する副局長を置くという形で、産業振興についても十分配慮するという形で現行の体制が組まれたものと承知しております。
〇小泉光男委員 三つ目の質問です。
 これが特に重要です。監査委員に聞いていただきたいと思います。
 先ほどの真偽はともかく、広域振興局、センター等、十数近い県の建物の中でも、二戸地区合同庁舎は、平成15年8月の完成からまだ8年しかたっていない、県内の出先機関でも最も新しく設備のすぐれた施設です。二戸地域でも、とりわけ存在感のある威風堂々とした6階建て、建物延べ床面積1万769平方メートル。坪数に換算して3、251坪。これを正規、臨時、非常勤合わせて200名が在籍していますが、在籍人数総数を床面積で割りますと、1人当たり16.2坪占有することになります。全員に卓球台を置いても、まだスペースがある計算です。そうした県の血税を注いだ高付加価値の建物を、なぜ沿岸に引き払って、唯一と言っていい二戸地区官庁街に秋風を吹かそうとするのでありましょうか。
〇加藤総務部長 広域振興局の再編の考え方、先ほど御議論がございましたが、再編いたしましても当然、二戸地区におきましても必要な機能を残しておりますし、職員もおります。また、それに伴いまして、空きスペースというか庁舎余剰スペース等出てきますが、それにつきましては、市町村あるいは関係団体等に諮りまして、有効活用を図るように取り組んでいるところでございます。それにつきましては進んでいるところもございますし、まだこれからというか、これからいろいろ展開していくというところもあろうかと思いますが、その辺は丁寧にやっていきたいと思っております。
〇小泉光男委員 四つ目の質問です。
 本局を久慈移転してまだ1年半。これでよかったのかの評価、検討には、もう少し時間をかけないと正解は出ないと私も思います。しかし、だれも予想しなかった、そして政治的思惑の入る余地のなかった東日本大震災が惹起いたしました。我々は早晩、県土復興のグランドデザインをつくらなければなりません。このような批判があることを踏まえ、振興局体制を1回ガラガラポンにし、再配置するチャンスであります。これこそ、昨日、喜多委員の御質問に県が回答した、現場のニーズを踏まえた県政ということになるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
〇達増知事 まず、先般の東日本大震災津波の対応の中で、支援人数、職種等でスケールメリットを生かした組織内の一元的な調整がこの広域振興局体制のもとで可能となり、内陸部の広域振興局が沿岸部の広域振興局、市町村にいち早く支援物資の供給や人的な支援を行うことができたほか、県北広域振興局管内においては、広域振興局が主導して調整会議を開催し、津波被災市町村である久慈地域の首長の皆さんと、二戸地域の首長の皆さんによる復旧、復興支援に関する意思統一を図ったことによって、迅速で効率的な市町村相互の支援につながったと報告を受けておりまして、広域振興局体制の効果の一つと認識しているところでございます。
 今後の振興局の再編についてでありますが、平成22年4月、4広域振興局体制に移行して、短時間、短期間しか経過しておらず、成果も、先ほどの災害関係のほか、産業振興関係でもさまざま出始めていることから、広域振興局体制の再編は考えていないところでございまして、広域振興局長のリーダーシップのもと、今後とも、市町村や県民と連携しながら、いわて県民計画に掲げる各圏域の目指す将来像の実現、大震災津波からの早期の復興に向けて力強く取り組んでいけるように、現場主義に立脚しながら、完結性の高い広域振興局体制の構築に努めていきたいと思います。
〇高橋昌造委員長 小泉光男委員に申し上げます。
 決算審査であることの趣旨を踏まえて、質疑を行うようお願いします。
〇小泉光男委員 かしこまりました。
 知事、先ほどはありがとうございます。
 五つ目の質問でございます。
 先ほど小野寺委員が話されましたけれども、内閣府が発表した2008年の岩手県の1人当たりの県民所得が226万円と、全国の40位であります。県北は185万円です。一番低かったのは田野畑村の151万円、次は葛巻町の153万円、九戸村の159万円と続きます。きのうは斉藤委員もこの問題を取り上げました。TPP問題をもじりまして、私は田野畑村、葛巻町、九戸村の頭文字をとってTKK問題というふうに考えておりますけれども、こうした県北の悲惨な問題を解消するためにも、広域振興局の再々編成を早期に決断すべきと思いますが、先ほど知事からお話がございましたので了解でございます。
 最後の質問をさせていただきます。
 本局が久慈に移ったということで、二戸に通勤する職員の減少に伴って帰りの飲み屋もお客様が減り、たばこ屋も雑貨屋も売り上げが減って、シャッター街に拍車がかかったように見えます。引き潮の反動は、二戸地域の経済においても深刻です。こうしたダメージを与えたことを、県としては認めていただけるでしょうか。
〇千葉政策地域部長 今回の再編が地域経済にどのような影響を与えたかということついて、手元に資料ございませんので具体的なお話はちょっとしかねるところではございますが、いずれ、今、委員御指摘のようなことは事実として否めないと思っております。
 私も先日、二戸市にお邪魔してまいりましたが、大変いろんな取り組みで、エコツーリズムの環境の大会に出席してまいりました。さまざまな地域の方々が文化あるいは食産業、いろんな面で頑張っていると言われておりますので、私どもとしても全面的に支援してまいりたいと考えております。
〇小泉光男委員 ありがとうございました。
 以上で私の質問を終わります。
〇高橋昌造委員長 次に、佐々木茂光委員。
   〔佐々木茂光委員質問者席に着く〕
〇佐々木茂光委員 陸前高田の無所属、佐々木茂光でございます。しばしの間お時間をいただいて質問させていただきます。
 東日本の大震災から既にもう7カ月が過ぎております。発災から、県内はもとより、全国の方々から、物心両面にわたり多大なる御支援を賜りましたことに、感謝を申し上げるところでございます。ただ、残念にも、いまだ行方不明の方々が相当数おりまして、現在も捜索が続けられております。早く家族のもとに帰られますことを、ただただ願うばかりであります。亡くなられた方々、そして被災をされた方々に対しましても、お悔やみとお見舞いを申し上げるところでございます。
 今回の津波は、まさに予想し得ない巨大な津波の渦に巻かれ、そしてまた、帰ろうにも帰る家も流され、あらゆるものがまさに壊滅の状態にあるわけであります。私どもは、知事を初め、均衡ある県土の発展と、そういったことを常に頭に置きながら活動しているわけでありますが、まさに壊滅の状態にさらされたということは、いち早くその復興に向けた、まさに今、スピードが求められているものと心に思っておるところでございます。
 それでは質問に触れさせていただきます。
 もう既にお話はされておるかと思いますが、災害廃棄物の撤去処理についてということです。
 被災地には、いまだ震災後から何ら変わらぬ風景が広がっております。本格的に復興に動いているという感が、実は被災民の目にはなかなか映っていないのが現状と思います。復興の第一歩として、災害廃棄物の早急な撤去、処理が求められるわけであります。これまで、県からもお話がありますように、平成24年の3月末をめどに、被災現場からの移動、そして平成26年3月までの3年間で処理を完成されるとのことでありますが、速やかな復興を図る観点からあらゆる施策を講じて、さらに短期間での撤去処理を実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、第2点目としては、被災した県立病院の再建についてであります。
 高田病院については、仮設診療施設における外来患者の受け入れに加え、入院機能が整備されるとのことでありますが、地域住民は、仮設の診療施設が設置された時点で、かなり安心が得られたというか、利用する患者にとっては、これぐらいいいことはないなという、知事に対しても大変、この間の選挙で、その結果が、全県下含めて7割の方が知事に期待したところも、そこにあろうかと思います。
 今後、被災地、陸前高田市のみならず、被災された沿岸部についての病院の再建はどのように取り組まれるのか、お話をいただきたいと思います。
 そしてまた、隣には住田地域診療センターがありますが、そちらは病床がなくなって、皆さんも御存じのとおりと思いますが、地域医療を考えたときに、やはり10床でも15床でも、陸前高田市の仮設の病床と合わせて何床か使えるようにできないものか、そういったところも含めてお願いしたいと思います。
 それから、県産材の利用拡大ということで、今後予定される公営住宅について、県有林なり市有林の県内の木材をそれに充ててですね、一般住宅等の利用拡大を図っていただけないものか、そのようなところをあわせて質問させていただきます。
〇宮舘副知事 災害廃棄物の撤去、処理についてでありますが、本県の災害廃棄物は総量で435万トンと推計されておりまして、県全体の一般廃棄物排出量の9年分にも相当する膨大なものであります。
 県では、国のマスタープランに沿いまして計画を策定し、災害廃棄物の被災現場からの撤去は平成24年3月までに、そして、その処理につきましては平成26年3月末までに完了するように、鋭意取り組んでいるところでございます。
 現時点で災害廃棄物の撤去率は80%を超えておりまして、年度内撤去に向けて順調に進んでいるものと認識しております。
 また、これまで、例えば、陸前高田市において、腐敗した水産物の海洋投入や魚がまじっている廃棄物の処理など、生活環境に支障が生じるおそれのある廃棄物の処理を優先的に行ってまいりました。
 来月には、太平洋セメント大船渡工場におきましてセメント焼成が開始され、1日当たりの処理量が、現状は300トンでございますが、これを500トンに増加するとともに、今年度中には、県内2カ所で仮設の焼却炉が稼働するなど、処理が本格化する見通しでございます。
 また、早期の処理には、特に、他の都道府県での広域処理が不可欠でありますが、これまでは、放射性物質に対する住民の不安から受け入れが進まない面もありました。しかし、今回、東京都が受け入れを表明していただきまして、9月30日に本県と災害廃棄物の処理基本協定を締結していただきました。これを契機に、本県の災害廃棄物の安全性について丁寧に説明し、東京都以外でも受け入れていただくように、さらに理解が得られるように取り組んでまいりたいと考えております。
 引き続き、市町村との連携のもとに、これらの取り組みを全力で進めまして、一日も早く処理の完了を目指してまいります。
〇達増知事 被災した県立病院の再建の方針についてでありますが、県の復興計画においては、新たなまちづくりに連動した、災害に強く、質の高い保健、医療、福祉提供体制を整備することとしておりまして、地域の初期治療などを担ってきた県立病院につきましては、被災した病院の再建を基本としつつ、地元市町の復興計画や地域医療再生に向けた二次保健医療圏での議論、県の次期保健医療計画の考え方を踏まえながら、立地場所や規模、機能等について検討していくこととしております。
 そして、気仙地域の地域医療についてでありますけれども、被災後の気仙保健医療圏では、入院機能を有する病院が圏域の基幹病院である大船渡病院と、精神及び療養病床を有する民間病院の2病院となってしまったことから、大船渡病院を中心に対応しているところでありますが、他の圏域に比べて、急性期後の入院患者の受け入れが厳しい状況にあることを考慮し、高田病院の仮設診療施設に入院機能を整備することとしたところであります。
 今後につきましては、市の復興計画や地域医療再生に向けた気仙保健医療圏での議論、県の次期保健医療計画の考え方を踏まえながら検討していくこととなりますが、住田地域診療センターにつきましては、危機的な医師不足の中で、限られた医療資源のもとで良質な医療を提供するために病床を休止することとしたものであり、こうした状況については、現在も変わらないものと認識をしております。
〇上野副知事 県産材の利用拡大についてでありますが、県産材の利用拡大は、林業振興の観点から重要なものと認識をいたしておりまして、これまでも、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定いたしまして、県としても、率先して県産材の利用に取り組んできたところでございます。
 今後建設される災害復興公営住宅では、木造住宅の建設や内装材等における木材の積極的な活用を図るとともに、あわせて、請負者に対し県産材の活用を要請することで、多くの県産材を利用していただくように取り組んでまいります。
 一方、一般住宅の建築につきましては、県産材を使用いたしました住宅の建設または改修に対しまして、既に助成をしているところであります。
 今後、被災地域における一般住宅の再建について、地域特性を生かしつつ、県産材の活用も図る住宅プランの提案など、建築業者と木材供給者等が連携した取り組みを促進し、一般住宅への県産材利用の拡大を推進していく考えでございます。
〇佐々木茂光委員 どうもありがとうございます。
 復興というのは、物質的な支援も大切なんですが、ある意味、被災者にとっては、それが形で見える、要は、私がなぜその瓦れきの撤去にこだわるかというと、あれが被災地にあるということは、やはり自分たちのこれから進もうとするそういう姿が描けないという事実があります。
 ですから、それを、例えば総量がわかっているということは、最終的には、それを全額、国が面倒を見てくれるというのであるならば、ただ、そのスピードを、3年でやろうとするのであれば、1年でできる方法は必ずあると思うんですね。そういったスピードを持って被災民の方々にそれを示していただく、それをまず私は望むところであります。
 例えば、かまが2台しかなければ、じゃ、3台にするとか、4台にするかと。要は、3年かかられたのでは、私たちは起き上がれないんです。もう既に7カ月もたって、やり場がない状態に実は置かれております。話があれしますけれども、海も山もみんな、すべて千年前の状況に置かれてしまっているということなんですね。
 例えば、農家の人たちが畑に行って、その畑すら今ない状態に置かれております。その自分たちが使うくわもかまもない状態なんです。海の人たちは、同じように船もない、漁具もないという中で何ができるかというと、海と山からしかお金が動かせないんですね、今は。だから、海の人たちも、早く沖に行って何ぼなんですね。山の木を倒して何ぼなんですよ。畑を耕して何ぼなんですね。そういうふうなところに、まず、被災民に見える形でこれから取り組んでいきたい、それを強く要望するところであります。
 それから、その県立病院についても、きのう斉藤委員にも答弁があったようですが、間違いなく高田病院は再建を考えるということでよろしいでしょうか。─今、うんと言ってもらいましたけれども。
 県立高田病院がこのような状況にありますけれども、再建に向けた決意をお願いしたいと思います。
〇達増知事 先ほど申し上げましたように、被災した病院については、その再建を基本としつつ、地元市町の復興計画や地域医療再生に向けた二次保健医療圏での議論、県の次期保健医療計画の考え方を踏まえながら、立地場所や規模、機能等について検討していくということでございます。
〇佐々木茂光委員 ありがとうございます。
〇高橋昌造委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、10分間ほど休憩いたします。
 各委員は、一たん退室いただき、控室でお待ち願います。
   午前11時13分 休 憩
午前11時27分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、菅原会計管理者から発言を求められておりますので、これを許します。
 発言に先立ち、資料を配付いたします。
〔参照〕
正誤表

平成22年度歳入歳出決算事項別明細書中
正誤箇所
ページ款項目節
152
153
15県債の1県債の2民生債の2災害救助備考災害対策債災害援護資金貸付金

〇菅原会計管理者 平成22年度岩手県歳入歳出決算事項別明細書中、次のとおり誤りがございましたので、御報告申し上げます。
 歳入のうち、15款1項2目民生債におきまして、備考欄の表記に誤りがあり、その内容は、別紙の正誤表のとおりでございます。
 具体の内容は、歳入歳出決算事項別明細書153ページにあります15款1項2目2節災害救助の備考欄、災害援護資金貸付金と誤って記載したものでありますが、正しくは災害対策債でございます。
 決算関係書類の作成に当たりましては、事務の適正な執行には十分注意してきたところでありますが、このような誤りがあり、深くおわび申し上げます。
〇高橋昌造委員長 よろしいですね。御了承願います。
 それでは、これより各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、平成22年度決算の審査であるので、当該年度の決算に関する質疑とし、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑されるとともに、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性のあるもののみについて、短時間かつ簡潔に行い、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 また、冒頭でも申し上げましたが、本日は議会、総務部、秘書広報室、出納局、人事委員会、監査委員関係を終わるよう進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇宮議会事務局長 平成22年度の議会関係の決算について御説明を申し上げます。
 便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げますので、158ページをお開き願います。158ページから159ページにかけてでございますが、第1款議会費第1項議会費の支出済額は12億9、312万円余でございます。内訳でありますが、第1目議会費の支出済額は8億3、770万円余であり、これは、議員の報酬及び費用弁償等の議会運営に要した経費でございます。次に、第2目事務局費の支出済額は4億3、614万円余でございますが、これは、事務局職員33名分の人件費及び事務費等、事務局の管理運営に要した経費でございます。
 なお、事故繰越263万4、000円余は、東日本大震災の影響で物品納入が遅延したことによるものでございます。
 次に、160ページから161ページにかけてでございますが、第3目議員会館費の支出済額は1、919万円余であり、これは、議員会館の維持管理等に要した経費でございます。
 なお、議員会館費の繰越明許費1、762万7、000円は、議員改選に伴う議員会館の修繕及び設備の老朽化に対応する改修工事に要する経費であり、実施設計の検討に不測の日数を要したため、翌年度に繰り越したものでございます。
 以上で議会関係の決算について説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 最初に、政務調査費の訴訟についてお聞きします。
 仙台高裁の判決がありました。判決の内容、違法支出とされた理由、これは何でしょうか。
〇宮議会事務局長 仙台高等裁判所の判決内容についてでありますけれども、盛岡地裁の一審判決では、30名に対する423万6、782円が違法支出とされたものに対しまして、仙台高裁では、34名に対しまして1、010万5、901円が違法支出との判決でありました。
 違法支出とされた主な事例につきましては、一審で違法支出とされました違法な人件費、親族、関連会社からの事務所借り上げ費、按分率50%を超える電話料等の事務所費などに加えまして、控訴審では、新たに按分率50%を超える人件費が違法支出とされたところでございます。
 違法支出とされた理由でございますが、政務調査費の支出に係る議員の判断に合理性があるとは言えない場合には、調査研究のための必要性を認めることができないとのことであります。
〇斉藤信委員 盛岡地裁、そして仙台高裁で2度にわたって違法支出が認定された。私は極めて重大だと思います。
 それで、平成22年度の政務調査費の執行に当たって、今、指摘されたような違法支出の例は、平成22年度の政務調査費にあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
〇宮議会事務局長 その本件訴訟で争われておりますのは、平成17年度の政務調査費でございます。今、平成22年度の政務調査費ということでございますけれども、いずれ政務調査費につきましては、議員の調査研究活動経費ということで、使途基準の範囲内で議員個々の広範な裁量にゆだねられていると考えてございまして、政務調査費の事務処理マニュアルによって、議員が政務調査費のより適正な執行を行っていると考えてございますので、現時点で明らかに違法な支出となるものはないと考えてございます。
〇斉藤信委員 質問に答えていないんですよ。違法かどうかを私は聞いているのではないんですよ。いいですか、今度の仙台高裁で認定された違法支出と同じものが、平成22年度で執行されているかどうかと聞いているんですよ。今、言ったでしょう。事務所費、いわば親戚等のそういう関係だとか、電話料の問題だとか、人件費、これははっきり使途が明確にならなかった人件費ですよ。そういうことがあるのかないのか。
 例えば、私は判決を全部見ました。改めて読みました。この判決の中には、小沢一郎氏の政治活動を応援する欅の会の会費の支出がありますよ。こんなものはまだあるのかと。それと、飲食、酒食を伴う懇談会費、これも違法だと指摘をされているわけですよね。そういうものは平成22年度の、これは公開されて、領収書が添付されて出されているのだから、そういうものがあったかどうかと聞いているんです。
〇宮議会事務局長 平成22年度におきましては、そのようなものはないと承知してございます。
〇斉藤信委員 いやいや、ないと断言できますか。思うじゃだめなんですよ。ないんだったらない、わからないんだったらわからない、そういうふうに答えてください。ないんですね。今の答弁は、そういうことで確認していいですか。もう平成22年度の執行分は、仙台高裁が指摘しているような違法支出はないということでいいんですか。
〇宮議会事務局長 今、この裁判で係争中でございますので、直ちに違法支出という観点で私どもは考えているものではございません。先ほど申し上げましたように、平成22年度については、そのような支出はないというふうに承知してございます。
〇斉藤信委員 判決というのは、一人一人、どの支出が、どういう理由で違法なのかと認定しているわけです。具体的な支出が明記されているんですよ。違法か違法でないかは、それは最高裁で争われるでしょう。しかし、私は、この判決で指摘されたような支出が、いまだにあるのかどうかを聞いているんですよ。それは、事実上是正されているということで理解していいですか、そうではないんですか。
〇宮議会事務局長 この高裁で出た判決の内容で全部一件一件きちんと当たっているわけではございませんので、はっきり100%ないというふうには断言しかねるところでございますが、基本的にはないと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 これは、我々はそのために領収書をすべて添付して、支出を全部明らかにしているわけですよ。明らかにしたから、また、こういう問題が指摘をされるということにもなるわけで、同時に、それを通じて、また私たちは改革していかなくてはならない。ぜひ、裁判で争われているわけだから、我々は、裁判の結果がどうあろうと、やっぱり自主的に改革するということが必要だと思います。
 事務局長、ぜひ、公開した報告書が全部あるわけだから、これはこれでしっかり調べておいていただきたい。これが第1点です。
 第2点、最高裁への上告に当たって議会の意向把握はされたのか。仙台高裁に上告するときには議会の意向確認があったんですけれども、今回はなかったんですか。
〇宮議会事務局長 今回の上告に当たりましては、補助参加をされている会派の意向について、確認をさせていただいたところでございます。
〇斉藤信委員 じゃ、どういう意向だったのか。そして、最高裁というのは、ほとんど事実認定をしないんですよ。だから、新たな事実がなければ、基本的に判決は覆らない、そういう性格のものです。恐らく、最終的に最高裁の判決、判断が欲しいということになるかもしれないけれども、やっぱり一審、二審でこれだけ明快に違法支出が認定されたときに、私は、みだりに岩手県民の税金を使って争うべきではないと思うが、そのことを改めて確認します。
〇宮議会事務局長 先ほど申し上げました意向の確認をした結果でございますが、上告すべきとの意向が大勢でございました。
 それから、裁判の経費をかけるべきではないというお話でございますが、いずれ、この政務調査費の使途基準、使途の仕方ということにつきましては、きちんと判断をいただくことが必要だと考えてございます。これは、当県の政務調査費だけではなくて、全国の議会の政務調査費の使途にもかかわる問題でございますので、最高裁判所に上告をし、しかるべき判断を仰ぎたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 結果としては最高裁に上告になったのですけれども、全国に先駆けて領収書添付などの政務調査費の改革を岩手県議会はやってきたと。私は、この最高裁での審理等にかかわらず、県議会が、またこれは自主的な、どこからも後ろ指を指されないような公金の支出、政務調査費の適正な執行をしていかなくてはならない、こういうふうに思っております。
 次に、平成22年度の政務調査費の執行状況ですが、返還額と返還議員数はどうなっていますか。
〇宮議会事務局長 平成22年度の政務調査費のお尋ねでありますが、平成22年度につきましては、延べで、議員50名に対しまして総額1億7、391万円が交付されたところでございますが、そのうち執行した額は1億4、969万円余でございます。その結果、残余額、いわゆる返還額につきましては2、421万円余、交付額の13.9%でございます。返還をいたしました議員数については、29人でありました。
〇斉藤信委員 13.9%─86%は執行されているということで、これは熱心にやっているということになるとは思うんだけれども、これだけ返還額があるのも事実で、そういう意味でいけば、今回の返還が1、010万円でしょう、議員の負担分もありますよね。これだけの返還額があるのであれば、もう自主的に解決できるんですよ。私は、そういうふうに思います。
 それで、最後ですが、海外視察は、今年度はもう既に中止して予算を返上いたしました。全国の海外視察の動向というのはどうなっているのか。
 もう一つは、議員報酬の問題について、我々が任期延長したときに15%削減というのをやりました。私は、これは引き続き継続すべきだと思うけれども、全国の都道府県議会議員の議員報酬削減の状況はどうなっているか、示していただきたい。
〇宮議会事務局長 二つお尋ねでございました。全国の海外行政視察の状況でございますが、平成23年6月に長野県が調査をしてございまして、その結果によりますと、海外視察の制度がある、または実施中というところが27都道府県でございます。それから、制度がない、または休止、自粛中と答えているところが20府県となってございます。
 なお、27の実施制度あり、または実施中のうち、平成22年度に実際に海外視察に行った県は18県でございます。
 2点目でございますが、全国の議員報酬の削減の動向ということでございますが、平成23年10月1日現在で申し上げますと、全国のうち28道府県で報酬の特例減額を実施しているところでございます。約6割の道府県が減額をしているという状況でございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、議会関係の質疑をこれで終わります。
 議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時46分 休 憩
午後1時2分 再開
〇熊谷泉副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇加藤総務部長 平成22年度決算の概要につきましては、昨日、会計管理者から説明がございましたので、私からは、歳入歳出の構造、歳入全般及び総務部関係の決算の内容について説明申し上げます。お手元の歳入歳出決算説明書をごらんいただきたいと存じます。
 説明書の42ページをお開き願います。第3表一般会計の財源別収入状況でありますが、県税、地方交付税等の一般財源収入の決算額は、一番上の行にありますように4、889億4、510万円余で、前年度に比べて184億4、895万円余、3.9%の増となっております。また、国庫支出金、県債等の特定財源収入の決算額は、中ほどの行になりますが2、480億186万円余で、前年度に比べて297億6、213万円余、10.7%の減となっております。前年度と比較して減少した要因は、国庫支出金が368億1、968万円余、32.3%の減となったことなどによるものであります。
 次に、これら歳入の内容について説明申し上げます。便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書、ちょっと厚い資料でございますが、これによりまして説明させていただきます。
 6ページをお開き願います。まず、第1款県税の収入済額は1、009億9、206万円余で、前年度に比べ47億7、018万円余の減となっております。これは、景気低迷による個人県民税や法人事業税の減少によるものであります。また、調定額に対する収入済額の割合であります徴収率は96.7%で、前年度より0.2ポイントの減となっておりますが、収入未済額は33億3.949万円余と、前年度より1.0%増加しております。この収入未済額の主なものは個人県民税でありますが、個人県民税は、市町村民税と合わせて賦課徴収することとなっておりますので、関係市町村とより一層連携を図りながら、その徴収に努めてまいる考えであります。
 次に、18ページをお開き願います。第2款地方消費税清算金でありますが、これは、都道府県間の消費相当額に応じ清算するものであり、収入済額250億2、227万円余で、前年度に比べ0.2%の減となっております。
 次に、めくっていただきまして20ページをお開き願います。第3款地方譲与税でありますが、収入済額194億3、922万円余で、前年度と比較して74.3%の増となっております。これは、地方法人特別譲与税及び地方揮発油譲与税の増などによるものでございます。
 次に、めくっていただきまして22ページをお開き願います。第4款地方特例交付金でありますが、収入済額17億3、721万円余で、前年度と比較して41.7%の増となっております。これは、児童手当及び子ども手当特例交付金などの増によるものであります。
 次に、まためくっていただきまして24ページをお開き願います。第5款地方交付税の収入済額は2、275億5、407万円余で、前年度に比較して6.4%の増となっております。これは、国の地方財政対策による増加でございます。
 次に、26ページをお開き願います。第6款交通安全対策特別交付金は、収入済額5億2、648万円余となっており、前年度と比較して5.3%の減となっております。
 次に、28ページをお開き願います。第7款分担金及び負担金の収入済額は37億3、005万円余で、前年度と比較して39.9%の減となっておりますが、これは、農林水産業費負担金などが減となったことなどによるものでございます。
 次に、32ページをお開き願います。第8款使用料及び手数料の収入済額は47億6、269万円余で、前年度と比較して43.6%の減となっております。これは、高等学校授業料の無償化等による教育使用料の減少によるものであります。
 次に、48ページまで進めさせていただきます。第9款国庫支出金でありますが、収入済額は1、059億3、162万円余で、前年度と比較して28.0%の減となっております。これは、平成21年度に国の経済危機対策として交付されました介護職員処遇改善等臨時特例交付金及び地域医療再生臨時特例交付金に伴います国庫支出金の皆減などによるものであります。
 以下、103ページまでは国庫支出金の内訳となります。
 次に、104ページをお開き願います。第10款財産収入でありますが、収入済額は13億3、331万円余で、前年度と比較して3.7%の増となっております。
 次に、112ページをお開き願います。第11款寄附金でありますが、収入済額は7億8、558万円余で、前年度と比較して738.4%の増となっております。これは、災害見舞金などの増によるものであります。
 次に、114ページをお開き願います。第12款繰入金は258億7、940万円余で、前年度と比較して82.8%の増となっております。これは、緊急雇用創出事業臨時特例基金や公共施設等整備基金などからの繰り入れが増加したことなどによるものであります。
 次に、118ページをお開き願います。第13款繰越金は131億5、328万円余で、前年度と比較して24.3%の増となっております。
 めくっていただきまして120ページをお開き願います。第14款諸収入は、収入済額879億456万円余で、前年度と比較して2.1%の増となっております。
 152ページまで進ませていただきます。第15款県債でありますが、収入済額は1、181億9、510万円で、前年度と比較して1.4%の増となっております。
 なお、平成22年度末の一般会計県債残高は1兆4、610億9、417万円余となっております。
 以上、款別に申し上げましたが、歳入の合計額は、156ページから157ページにございますように、予算現額7、632億2、545万円余、調定額7、554億6、534万円余、収入済額7、369億4、696万円余となっており、収入済額は、前年度に比べ113億1、317万円余、1.5%の減となっております。
 なお、不納欠損として処理したものは、県税及び県税に係る延滞金、加算金の欠損処分額が大部分でございますが、これは、地方税法の規定に基づきまして、納入義務が消滅したもの、あるいは時効の完成等により処分したものでございます。
 次に、歳出について説明申し上げます。先ほどの歳入歳出決算説明書にお戻り願います。
 説明書の54ページをお開き願います。第8表一般会計性質別経費の決算額と一般財源充当状況でございます。
 歳出決算を性質別に申し上げます。左側の区分に従いまして、義務的経費につきましては、計欄にありますように3、117億32万円余で、前年度と比較して2.9%の増、決算総額に占める割合である決算額構成比では44.7%で、前年度より3.5%増加しておりますが、これは、総人件費の抑制により人件費が減少した一方、公債費が増加したことなどによるものであります。
 投資的経費につきましては、計欄のとおり1、049億6、840万円余で、前年度と比較して17.2%減少しております。構成比は15.1%であり、国の公共事業予算の大幅な減による国直轄事業負担金等の減少に伴い、普通建設事業が減少したことなどにより、前年度より2.1%減少しております。
 なお、今後の県財政の運営に当たりましては、被災地域の復旧、復興を最優先としつつ、あらゆる手法により歳入の確保に努めていくとともに、事業効果や効率性等を検証しながら歳出の徹底した見直しを行うなど、一層の選択と集中を図ることにより、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努め、財政の健全化にも配慮した財政運営を行っていく考えであります。
 次に、総務部関係の決算につきまして説明申し上げます。
 最初に、総務部所管の事務事業に係る総括的な評価と、これを踏まえました次年度以降の取り組み方針について説明申し上げます。
 総務部におきましては、重点施策として、地域防災力の強化、特色ある私立学校の支援、高等教育の連携促進と機能の充実についていわて県民計画の施策に位置づけ、推進してまいりました。
 地域防災力の強化につきましては、災害の発生に対し県民の被害が軽減されるよう、地域において、自助、共助、公助のそれぞれの分野におけるレベルアップを図るため、地域防災力強化プロジェクト事業を実施し、防災対策の普及啓発、自主防災組織の育成強化、実践的な防災訓練などを実施して、地域の防災対応力の強化に努めてまいりました。しかしながら、本年3月の東日本大震災津波においては甚大な被害が発生し、これまでの防災対策の課題も明らかになってまいりましたことから、今回の災害対応を十分に検証し、県民の被害の最小化を主眼といたします減災の考え方に基づき、県の地域防災計画の見直しを行うなど、引き続き地域防災力の強化に努めてまいりたいと考えております。
 特色ある私立学校の支援につきましては、県内に所在する私立高校や専修学校、幼稚園など、私立学校の教育水準の維持向上を図り、特色ある教育を推進するため、私立学校の運営費に対する助成など、各種の施策を行っているところでございます。今後におきましても、私立学校の振興を図るため、関係機関と連携して支援に努めてまいりたいと考えております。
 高等教育の連携促進と機能の充実につきましては、公立大学法人岩手県立大学の自主的、自立的な運営を尊重しつつ、新しく策定いたしました中期目標の達成に向け、経営の効率化を促しながら、教育研究活動の活性化、多様な地域貢献の展開を図るため、運営費の一部を交付、助成しております。
 これらの説明以外におきましても、厳しい経済状況の中にあっても、県税収入及び税外収入の確保にしっかりと取り組み、いわて県民計画の着実な推進に向けた支援を行うとともに、職員の能力を十分に発揮できる人材育成制度の充実や広域振興局の運営状況を検証し、最適な組織体制を整備するなど、組織パフォーマンスの向上に資する取り組みを進めてまいりました。
 総務部といたしましては、みずから対外的に取り組む事業のみならず、各部がその機能を最大限に発揮できるよう、必要な価値と限られた資源を効果的かつ効率的に提供することにより、各部を支援することを通じて、希望郷いわての実現に貢献してまいりたいと考えております。
 続きまして、平成22年度総務部関係の決算につきまして説明申し上げます。
 最初に一般会計についてでございますが、総務部の一般会計における支出済額の総額は1、769億9、101万円余となりましたが、その概要については、歳入歳出決算事項別明細書の162ページから説明申し上げます。
 第2款総務費第1項総務管理費第1目一般管理費のうち、総務部関係の支出済額は、備考欄にございますように14億675万円余でございますが、その主なものは、総務室などの管理運営費や県営建設工事の入札関係費、外部監査費でございます。
 なお、以下の説明につきましては、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に説明させていただきますので、御了承願います。
 第2目人事管理費でございますが、その主なものは、職員の研修や退職手当及び公務災害補償のほか、県勢功労者顕彰などの各種表彰に要した経費でございます。164ページをお開き願います。第3目文書費でございますが、その主なものは、法規審査事務や文書の収受及び発送、情報公開制度及び個人情報保護制度の推進などに要した経費でございます。第4目財政管理費でございますが、その主なものは、予算編成事務等支援システムの運営や財政調整基金などの積立金でございます。166ページをお開き願います。第6目財産管理費でございますが、その主なものは、庁舎及び公舎の維持管理や県有資産所在市町村交付金などに要した経費でございます。第7目情報システム管理費でございますが、財務会計や税業務などのオンラインシステムや通信ネットワークなど、庁内の行政情報システムの管理等に要した経費でございます。めくっていただきまして168ページをお開き願います。第8目県外事務所費は、東京事務所の管理運営費、第9目公会堂費は、岩手県公会堂の管理運営経費でございます。第10目恩給及び退職年金費でございますが、恩給などの給付に要した経費でございます。第11目諸費のうち総務部関係は、備考欄にございますとおり429万円余でございますが、これらは、宗教法人の設立認証事務、公益法人の事務調整などの事務的経費でございます。
 少し飛びまして172ページをお開き願います。第3項徴税費第1目税務総務費でございますが、この主なものは、税務担当職員に係る人件費等でございます。めくっていただきまして174ページをお開き願います。第2目賦課徴収費でございますが、この主なものは、市町村への個人県民税徴収取扱費交付金など、賦課徴収に要した経費でございます。
 また、少々飛びまして182ページをお開き願います。第6項防災費第1目防災総務費でございますが、この主なものは、東日本大震災津波に係る災害応急に要した経費のほか、防災担当職員の人件費、防災ヘリコプターの管理運営などに要した経費でございます。第2目消防指導費でございますが、この主なものは、産業保安業務の指導や消防学校の管理運営等の経費でございます。
 次に、大きく飛びまして352ページをお開き願います。第10款教育費第8項大学費第1目大学費でございますが、平成17年度から地方独立行政法人となりました岩手県立大学に対し、運営費の一部を交付したものであります。
 第9項私立学校費第1目私立学校費でございますが、その主なものは、私立学校の運営費補助、私立高等学校等就学支援金交付金や私立高等学校等授業料減免補助、認定こども園整備事業費補助など、私学の振興に要した経費でございます。
 また飛びまして360ページをお開き願います。第12款公債費でございますが、総務部関係の支出額は、第1項公債費第1目元金955億3、112万円余のうち、県債償還元金947億5、852万円余、及び県債管理基金積立金─元金分でございますが─7億6、366万円余、計955億2、219万円余、第2目利子221億4、145万円余、第3目公債諸費6、469万円余となっており、事務費を除きまして公債管理特別会計に対して繰り出しを行ったものでございます。
 362ページをお開き願います。第13款諸支出金でございますが、第4項地方消費税清算金につきましては、都道府県間の地方消費税の清算に要した経費でございます。
 第5項利子割交付金から、次の364ページの第11項自動車取得税交付金までにつきましては、いずれも市町村に対して交付いたしました税関系の交付金でございます。
 第12項利子割精算金につきましては、都道府県間の県民税利子割額の精算に要した経費でございます。
 366ページをお開き願います。第14款予備費でございますが、当初予算額3億円及び東日本大震災津波に伴いまして専決処分により補正予算計上いたしました35億円の計38億円につきまして、第1款議会費、第2款総務費、第3款民生費、第4款衛生費、第5款労働費、第6款農林水産業費、第7款商工費、第8款土木費、第9款警察費、第10款教育費のそれぞれに対しまして、合わせて22億6、250万円余を充用しております。
 以上で一般会計の説明を終わらせていただきます。
 続きまして、総務部の所管する特別会計について説明申し上げます。同じ歳入歳出決算事項別明細書の418ページから421ページをごらん願います。
 公債管理特別会計でございますが、収入済額及び支出済額の合計は、それぞれ1、480億8、296万円余であり、歳入の主なものは、一般会計からの繰入金、県債管理基金繰入金、借換債であり、歳出の主なものは、県債償還元金、県債償還利子、県債の償還事務費及び県債管理基金の積立に要した経費でございます。
 以上をもちまして、歳入歳出の構造、歳入の全般並びに平成22年度総務部関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇熊谷泉副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 それでは、第2款総務費第6項防災費関連でお尋ねをしてまいりたいと思います。
 東日本大震災があったわけでありますけれども、防災を強化するという観点で県はさまざまな取り組みをしてきたわけでありますが、それが十分な備えをした上で、それを上回るような災害だったのかどうか、こういったことを検証していかなければ次の災害に備えることができないと、そういう観点でお尋ねをしてまいります。
 まず、浸水予測域の関連でお尋ねをしてまいります。
 今まで、ハードに加えまして、ハザードマップに基づいてどういう避難のあり方がふさわしいのか、それに伴って自主防災組織をどうするかということで県は取り組まれてきたと思うわけでありますが、まず、震災予測域があるわけでありますが、その中に、市町村が指定した避難場所というものはどの程度あったのか。そして、浸水区域内にあったその指定避難場所でどの程度の皆さんが犠牲になった、あるいは行方不明になったのか、県はどのように把握されていますか。
〇越野総合防災室特命参事 まず、浸水予測域の件でございますけれども、浸水予想地域にあった指定避難場所については、県では5カ所ありました。しかしながら、県としては、それは事前には把握しておりませんでした。
 また、浸水予測域にあった指定避難場所に避難して死亡または行方不明になった方の人数でございますけれども、詳細については、現段階においては把握できておりません。
〇岩渕誠委員 指定避難場所が5カ所ということですが、詳細がわかっていると思いますので明らかにしていただきたいと思います。
 それから、当然、指定避難場所の設定につきましては、これは市町村の指定でありますから、県が直接関与するということはないのかもしれませんが、しかしながら、県が把握をしていないということは、やはりちょっと問題があるのではないかと思います。それは把握をすべき何か根拠法令があったのかどうか。ないとすれば、どうして把握ができなかったのか、この点についてお示しいただきたいと思います。
〇越野総合防災室特命参事 まず、法的な根拠というのは特にないのでございますが、本来、委員おっしゃるように、指定避難場所というのは市町村が指定します。浸水予想域につきましては、近くに避難する場所がない、そういう場所が結構ございます。そういった場合には、浸水地域内の高いところ、例えばビルだとか、─いわゆる避難タワーと称しますけれども、そういうところに避難場所を設ける場合がございます。ですから、例えば今回のように、市町村の例を挙げますと陸前高田市のように、広い地域で、逃げる場合にはかなり高いところまで行くのに時間がかかる、そういったところで平地部分に指定避難場所を設けて、そこが津波被害を受けた、そういうようなことがございます。そういったことで、避難地域の中に仮に避難場所があったとしても、それがそういう理由で各市町村が設けたとすれば、県としては、それはだめだとかいうふうには、なかなか言えないという事情がございました。
 あと、具体的な場所でございますけれども、陸前高田市が2カ所でございまして、市民体育館と市民会館、それから、山田町が小谷鳥コミュニティセンターと船越漁村センター、それから船越小学校でございます。
〇岩渕誠委員 ハザードマップはたしか平成10年代の後半、平成16年ぐらいから作成をして、それを防災に生かすべきということでさまざましてきたわけであります。今、根拠法令もないし、市が指定をすればという話がありましたけれども、今お話のあった陸前高田市の体育館それから市民会館ですか、多くの方が亡くなっていますよね。平成16年から今までの段階で、私は当然地元の市議会等で議論があった、あるいは指摘があったのではないかと思うわけであります。逆に言うと、二つの市町で5カ所ということであれば、ほかは恐らく検討して、上に上げたとか見直しをしたところもあったのではないかと思うわけであります。そういうことからしますと、やはり県も指導を徹底すべきではなかったのか。ここは県議会でありますから、市の責任については私申し上げませんけれども、県としても、やはりそこを詳細にチェックをしていくということがなければ、万全な備えということはできなかったのではないか。今後のあり方については、ハザードマップをせっかくつくっても生かし切れないということでは、何のためにやっているのかということがあると思います。これはぜひ生かしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
〇越野総合防災室特命参事 確かに委員おっしゃるとおりに、平成16年に県として津波シミュレーションをやりまして、それに基づいて市はハザードマップをつくっているわけです。例えば陸前高田市のように、今回市民体育館を避難場所に設けたというのは、後で市の担当者に聞いたところによりますと、津波の浸水高さが1メートルぐらいだったという予測といいますか、そういうシミュレーションだったので、そこでも大丈夫だと、そういう認識でいたと。ところが、今回はそれをはるかに超える津波が来たわけで、おっしゃるように、もっと最大の津波を予想しておけばそういうのは防げたのかもしれません。従いまして、現在、県の防災会議の幹事会において分科会をつくりまして、避難行動について今検証している最中であります。それに基づいてまた防災計画の見直しを行っているところでありまして、この見直しの結果を踏まえて、各市町村に対して避難場所についての指導、助言等を行ってまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 1メートル程度というお話がありましたけれども、津波の防災をしている人間であれば、津波の威力というのは、20センチあるいは30センチでも相当な威力があるのだと。そこで流される人がいるのだということは常識であります。1メートルにもなるということは、相当程度の被害が予測されるというのは、これは一般的な常識になっていると私は思っております。そういう意味では、そういった認識も踏まえてやっていくことが必要でありますし、今回の場合は、逆に、このハザードマップというのは危険を知らせるという本来の意味ではなくて、安全なのだというとらえ方をしたのは否めないのではないかと私は思っております。これは周知の方法、それから受けとめ方、それはマスコミの報道のあり方も含めて、これは反省をしなければならないのではないかと思っております。これは指摘にとどめます。
 二つ目の問題は、県は目玉として、先ほど総務部長のお話の中にもありましたけれども、自主防災組織の強化というものを図ってきたわけであります。実際に、今回の大震災の中で自主防災組織の役割というものがどの程度のものであったのか、課題はどこであったのか、県としてどのように把握をされているでしょうか。
〇越野総合防災室特命参事 自主防災組織の評価についてでございますけれども、自主防災組織につきましては、初動時における安否確認とか、それから避難誘導あるいは救護活動のほかに、円滑に避難所運営をしていく上でも、非常に重要な役割を担っているものと認識しております。
 今回の震災では、大船渡市の赤崎地区とか宮古市の角力浜とか、そういった地域で、日ごろからの実践的な訓練やそれから地域のつながり、こういったものが功を奏しまして、避難行動とか避難所の運営が非常にうまくいったという事例がございます。
 一方で、災害時の要援護者、これを助けに行って被災された事例、こういうのもあったと承知しておりますので、こうした事例を踏まえまして、自主防災組織の育成や活動について市町村とともに情報を共有しながら、これから地域防災計画の見直しに反映してまいりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 今、説明をいただきましたが、端的に、自主防災組織があった地域の防災力となかった地域の防災力では、違いがあると認識していますか。
〇越野総合防災室特命参事 前回のアンケートでもそうなんですが、今回はもっと詳細に検証してみなければわからないことなんですが、確かに自主防災組織をつくって、それがうまく活動しているところは確実に被害が少ない、こういう事例が出ておりますので、そういった事例をしっかり踏まえて、何が成功要因だったのか、あるいは何が失敗要因だったのかというところを、もう少し詳しく検証してみたいと思っています。
〇岩渕誠委員 いずれ、岩手県の沿岸はかなり充実した自主防災組織が多かったと私も認識をしておりますし、その日ごろの成果が、今回の被害を最小限にとどめたということがあったと思います。
 事例を一つお話しすれば、市町村の避難路では危ないということで、ハザードマップをもとに自主的に避難路をつくったりとか、あるいは避難のルールを決めていくと、こういったところが命を救うという意味においては、絶大なる効果があったということであります。
 一方で、どうしてできなかったのかという部分についても、これは検証、検証と言いますけれども、どうしてもいい話は出るんですけれども、悪い話というのはなかなか出てきませんが、今回はこういう被害だからこそ、やはり何が課題で何が欠点であったのかということを時間を切って、年内とか、遅くとも年度内ということでリストアウトをしないと、これは本来の地域防災力の向上にならないと思いますので、そこはぜひやっていただきたいと思います。
 それから最後にしますが、今のお話の中にもちょっと触れておりました。いわゆる災害弱者─今は災害時要援護者という表現を使うそうでありますけれども、こういった皆さんをどう救うかというのが、県、市町村の一つの大きなテーマだったと思います。当然、先進的な自主防災組織の中では、地域の中にどの程度そういった方がいて、いざというときにはどうしたらいいのか。中には、寝たきりのひとり暮らし老人のお宅であれば、そこの前に簡易のリヤカーを用意するようなところもあったわけでありますけれども、ただし、なかなかこの要援護者自体をつかむのが難しかったというのがあるのではないでしょうか。
 地元の担当者とかあるいは自主防災組織の関係者に聞きますと、その情報をつかめない最大の理由は、個人情報保護法にあると。つまり、自分たちの個人情報を盾に、公的機関もなかなか情報を出してくれないと。したがって、助けられたものも助けられなかったのではないかというお話をする方がいるわけでありますけれども、この災害時要援護者と個人情報保護法のかかわりについて、今回の震災でどのように検証しているのか、お示しをいただきたいと思います。
〇越野総合防災室特命参事 災害時要援護者と個人情報保護の関係についてでございますけれども、災害時要援護者に対しまして災害時に的確な支援を行うためには、市町村、社会福祉協議会、民生委員、消防団、町内会、それから自主防災組織、これらにおいて要援護者の情報を共有化するということが非常に大事であります。そのような観点から、現在、各市町村におきましては、災害時要援護者の避難支援計画、この作成のために災害時要援護者名簿というのを整備しているところであります。全体計画はほとんどできているんですが、だれだれがだれだれの避難を支援しましょうという個別計画が、委員おっしゃったように、個人情報保護法によってなかなか進まなかったというのがこれまでの現状でございます。
 こういったことを踏まえまして、この名簿の整備については、各市町村の個人情報保護条例、これに基づきまして三つの方法で方式をとりながらやっています。関係機関共有方式というのと、手挙げ方式というのと、それから同意方式、こういった方法はありますが、こういう方法をとりながら個人情報保護の取り扱いに十分留意しつつ、関係機関と共有し、適切に支援体制を整えるように市町村に働きかけてまいりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 三つの方法があるというお話でありましたけれども、命を助けると、とにかく津波てんでんこだという状況において、事務的なものを進めても、やはり地域の中できちんとしたルール、あるいは弱者をどうするんだと、援護者をどうするんだというルールづくりといいますか、実際にだれがお世話をするんだという部分になりますと、本当に個人情報保護法が、─名前は保護でありますけれども、個人を保護しているかどうかというのは極めてどうなんだろうという気が私はいたします。確かに、情報は保護されるけれども命は保護されないというのがあっては、立法の趣旨に基づかないのではないかと。したがって、今までの立法の概念で防災計画を練り直したり、要援護者の救出をどうするかということをしていくと、必ずこれは行き詰まるということは目に見えていると思うんですね。この辺をやはりもう少し、何を守るべきかということを、これは被災県として法体系も含めた提言、是正というものをしていくべきだと私は考えるわけでありますが、御所見はありますか。
〇小山総合防災室長 ただいまの岩渕委員の御意見、もっともだと思っております。
 国でも、こういった法制の見直しもしておると伺っております。そういった場面に、ただいまの委員の御意見を生かせるような形で提言を考えてまいりたいと思います。
〇高橋但馬委員 行政の情報化の取り組みについてお伺いいたします。
 昨年度の決算特別委員会においても、質問させていただきました。引き続き、平成22年度の情報システム管理費の取り組み状況についてお伺いいたします。
 本県においては、平成12年から平成16年まで、行政情報化推進計画の取り組みにより、構築された電子県庁の更新が進められていると認識をしております。昨年度、情報システムは、知事部局に関しては84システム、決算額で17億5、000万円余でありましたけれども、平成22年度における情報システムの関連経費、決算額は幾らかお伺いいたします。
〇紺野法務学事課総括課長 平成22年度における情報システム関連委託件数とその決算額でございますけれども、当部が所管しております知事部局の情報システムにおきましては、委託件数が106件でございまして、決算額が16億2、000万円余となっておるところでございます。
〇高橋但馬委員 経費の縮減策の内容と平成22年度の特徴的な取り組み、これについてお伺いいたします。
〇紺野法務学事課総括課長 経費縮減の取り組みについてでございますけれども、平成21年度以降行いました情報システムの構築及び改修におきまして、5億6、000万円余の縮減を図っているところでございまして、現在まで、事業案件ごとに事業対効果の算定を厳格に行うなどして、経費縮減や県庁内の密接な調整によりまして、情報システムの集約と効率化に取り組んでいるところでございます。
 また、平成22年度における特徴的な取り組みといたしましては、電子申請システムの更新に当たりまして、インターネットを通じてサービスを利用する方式に改めまして、従来と比べて1億9、500万円余の経費縮減を図っておるほか、8市町村との共同利用を実現したところでございます。
〇高橋但馬委員 情報システムの関連経費については、さらなる経費の縮減と今後の課題があると考えられます。まず、それについてお知らせください。
〇紺野法務学事課総括課長 情報システムにおけるさらなる経費縮減策と今後の課題についてでございますけれども、知事部局におきましては、情報システム関連委託費用のおよそ3分の1を占める本県の基幹システムでございます財務会計、税業務などのオンラインシステムというものがございますが、その維持費用の縮減が第一、また、来年度運用保守期限が到来いたします庁内情報共有システム、いわゆるグループウエアの更新が大きな課題となってございます。特にオンラインシステムの見直しが大きな経費縮減につながるものと考えているところでございます。さらには、今年度、国から発表されました社会保障・税に関わる番号制度、いわゆるマイナンバーへの対応も新たな課題と認識しているところでございます。このマイナンバーでございますけれども、幅広い社会保障分野での利用ですとか、災害時における被災情報の一元的な管理の必要性などから、今後、導入が見込まれるということになっているようでございまして、国の動向を注視しながら、今後、本県の業務システムへの影響等を勘案しながら、その対応を検討していきたいと考えてございます。
〇高橋但馬委員 私の昨年度の質問に対するお答えで、岩手県は、自治体クラウドに関する取り組みを、この情報システムの最適化事業の一環として、他県に先駆けて行っているという答弁をいただきました。そして、総務省では、この自治体クラウドの推進、これを平成27年度までに30%の経費縮減を目指して、6都道府県、78市町村が参加した実証実験では、一定の成果と課題が挙げられたと私も認識をしております。
 情報システムの集約と共同利用を内容とする自治体クラウドの本県への導入について県としてはどうのように考えているのか、お答えを聞かせてください。
〇紺野法務学事課総括課長 自治体クラウドの本県への導入等についてでございますけれども、委員に御紹介いただきましたように、これまで、本県、全国に先駆けてサーバーの統合ですとか、電子申請システムの調達などにより、自治体クラウドの導入に積極的に取り組んできたところでございます。
 今後の考えについてでございますけれども、システムの更新時期などをとらえまして、システムごとにクラウド導入のメリット、デメリットを検証しながら、より効率的かつ経済的な情報システムとなりますよう、その運営に取り組んでいこうと考えております。
〇高橋但馬委員 私も昨年度、自治体クラウドを勉強するために、自治体クラウドのセミナーにも参加させていただきました。自治体クラウドについては、経費縮減のほかに、データのバックアップ確保により、速やかな行政サービスが再開できる、また、災害に強い情報基盤を構築できるメリットがあると、私もいろいろ学習をしてまいりました。そして、私がそのセミナーに参加したことによって、そのセミナーから御案内をよくいただくんですけれども、今般、東日本大震災津波における岩手県事例として、岩手県から菅野課長が行かれて講演を行ったそうですけれども、今回の東日本大震災津波における情報システムの被害状況と、災害時における自治体クラウドの活用策を含めた今後の課題をお知らせいただきたいと思います。
〇紺野法務学事課総括課長 情報システムの被害状況についてでございますが、まず、津波によりまして沿岸地域の通信回線が寸断したというほか、県内全域の停電によりまして、情報システムの機能が停止いたしました。県内76カ所で、行政情報ネットワークの利用が不可能となるなどの被害が出たところでございます。
 また、災害時における自治体クラウドの今後の課題についてでございますけれども、自治体クラウドの導入、活用に当たりまして、外部のデータセンターにおきまして、電源の確保ですとか情報システムの安定稼働が図られるなど、災害時における業務の継続が可能となるというメリットがございます。
 一方で、災害時に通信回線が寸断した場合におけるデータセンターとの代替回線の確保ですとか、自治体クラウドを共同利用する自治体の業務の標準化、これがないと共通で使うということができなくなりますので、そういったものですとか、個人情報の秘密保持などの課題があると認識してございます。
〇高橋但馬委員 今までの当局からの御説明を聞くと、経費の縮減効果、そして災害時における有効性というのは認識できるわけですけれども、自治体クラウド導入、活用に当たって、具体的にどのような課題が想定されるのか、そこをお知らせいただきます。
〇菅野行政情報化推進課長 自治体クラウドの導入、活用に当たりまして、具体的に想定される課題についてのお尋ねでございます。
 セキュリティーの面におきましては、データセンターの運用、それから設置場所というものがセキュリティー上、公表できないという事例が多数ございまして、国外に設置される場合もあります。その場合におきましては設置国の法律が適用ということにもなりますので、事件等が発生した場合、データの機密性、そういうのが維持できないという可能性も出てまいります。
 さらには、先ほどお話がありましたけれども、データセンターにおきましては、一般的にデータのバックアップ─データをほかの場所に保管するということでございますが、遠隔地で分散保管されるというケースもあるわけでございまして、分散した分だけ悪意のある第三者によります攻撃リスクの可能性も否定できないところでございますので、そういった事情があります。
 また、既存の業務システムから自治体クラウドを利用する際には、それまで業務で取り扱っておりましたデータ、それを新しいクラウドに移行する─データ移行と呼ばれているわけですけれども、それが発生いたします。事業者ごとに業務システムデータ形式がそれぞれ全く異なりますので、既存の業務システムの仕様を理解しまして、それを新たな自治体クラウドの移行フォーマットといいますか、それに移しかえるという作業が発生いたします。その際には、データ項目一つ一つに対しまして、そのデータの意味であるとか、そのフォーマットを理解しながら移行するという作業が発生しております。
 さらに、各業務システムにおきましては、外字と呼ばれますシステムのユーザー定義文字という存在がありまして、全国自治体1、700余ありますけれども、それぞれにおきまして延べ200万字、1自治体当たり1、000文字以上ということになりますが、そういう想定される外字も設定されているということがありますので、これを共通利用するためには、同一文字を統合します造定作業ということの作業が発生します。すなわち、データの移行に関しましても、多くの時間と労力と経費がかかるというようなことがありますので、自治体クラウドの移行した後の割り勘効果による経費の削減というのが期待されるところではありますけれども、そこに移行するまでにも多くの経費もかかるということも課題で、これをクリアすることが必要となっております。
〇高橋但馬委員 何で自治体クラウドを導入するかというのは、丸抱えの運用というよりは、それを分散化させて管理をする、そちらの方が効率がいいという考え方だと私も認識しておりますけれども、情報セキュリティーの維持とか確保とかプライバシー、そういう十分な安全性が確保できるように、まずしっかりと県としても対応していただきたいと考えます。
 情報システムは、今お話しいただいたように、極めて専門性の高い分野というのがお話を聞いていてもわかるんですけれども、これまで全国の自治体において、民間経験者を登用して情報化施策の企画や情報部門の業務を、マネジメントの役割を担う専門職として効果を上げてきたと考えております。任期付の職員登用の具体的な効果と、これまでの任用の経緯、そして全国の任用状況もあわせてお伺いいたします。
〇紺野法務学事課総括課長 まず初めに、任期付職員の任用の経緯等について御説明申し上げます。
 電子県庁の推進に当たりまして、情報通信技術の急速な高度化に対応いたしまして、経費縮減と業務効率化を実現する情報システムを構築するため、平成15年からこれまで、民間経験者、計3名を県として任用してきたところでございます。
 次に、効果についてでございますけれども、情報システム構築に当たりましては、高度な専門的な知見を発揮していただきまして、特に平成21年度からは、自治体クラウドの導入におきまして、新技術をいち早く活用したところでございます。平成21年度には、サーバー統合におきまして、結果、2億5、100万円の縮減を果たしたところでございますし、また、平成22年度には、電子申請システムにおいて1億9、500万円の縮減など、6事業で5億6、200万円の縮減ですとか、業者への委託によらず、職員みずからが操作可能なシステムにするなどの効率化を図りまして、多大な成果を上げてきたところと考えているところでございます。
 次に、全国の任用状況でございますけれども、平成22年度の全国調査によりますと、情報システム関連の任用として、本県を含めまして、15名の民間経験者が自治体において採用されたと承知してございます。
〇高橋但馬委員 本県においても、情報システムの分野で民間経験者の登用によって高い効果を上げていることが理解できたんですけれども、総務部長にお聞きしたいんですが、情報システム以外の分野における民間経験者の職員の受け入れ状況をお知らせください。
〇加藤総務部長 情報システム以外の民間分野におけます民間経験者の受け入れ状況でございます。
 これまで、新規採用職員の採用区分に民間企業等職務経験者選考採用枠を設けまして、平成14年度から専門的な能力や知識等を有する人材の確保に努めてきております。
 実績でございますが、1級建築士等の専門職を中心にして14名採用してまいりましたほか、来年度も建築職若干名の採用を予定しております。
 また、任期付職員という仕組みもございますが、これにつきましては、先ほどの情報システム分野の3名のほか、試験研究機関における研究活動、自動車部品調達、食産業育成等を目的といたしまして、これまで9名ということでございまして、合計12名の採用をしております。
〇高橋但馬委員 最後になりますけれども、この民間経験者の今後の登用方針について、最後に総務部長の考えをお聞かせください。
〇加藤総務部長 県民ニーズが多様化、高度化していくと、そういう時代でございまして、その中でより質の高いサービスの提供が求められていると、こういう大きな状況というか、大きな趨勢がございます。そういう中で、民間企業等におけるさまざまな経験、特殊、専門的な能力を有する人材の確保と、そのためにこういう民間経験者の受け入れは有効な手段と認識しております。そういう中、さらに現在、さまざまな震災復興業務の関連で、業務量増大が見込まれる、あるいは新しい業務分野が出てきているということでございまして、それに対しまして適切な対応を図るという観点も出てきておりますので、こういった民間経験者の登用につきましてはさらなる活用、可能性がないのかどうか、関係部局のニーズというか、意見等もよく伺って十分検討の上、一層の外部人材の登用、これに努めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 これからは官民連携という部分が非常に重要になってくると思います。いずれ、県民サービスのために前向きに御検討いただければと思います。
〇飯澤匡委員 私は1項目だけお伺いします。
 予算編成と不用額についてお尋ねをします。
 今年度の決算書を見ますと、例年になく不用額が多ございます。181億円というように計上されております。
 不用額は、自治体決算は単年度編成でございますので、ある意味では使い切ってしまうということを、別の意味で予算の悪い部分を、これは翌年度の事業の必要枠ということにもなるのでしょうから、ある意味、正当性はあるかと思いますが、予算編成との観点からお聞きをするものでございます。
 まず第1に、不用額が今年度181億円になった理由を示していただきたい。そしてまた、平成22年度決算が予算執行率91.3%に対する予算を調製する、いわゆるこれは、単なるアジャストするという意味じゃなくて、要するに、今の予算調製課には予算をつくる、製造するという意味も含まれていると思いますが、その91.3%に対する責任組織としての自己評価を伺いたいと思います。
〇八重樫予算調製課総括課長 不用額が181億円余となった理由についてでありますが、退職手当の不用額が6億円程度あるほか、東日本大震災津波の影響により、民生費の災害救助費が国の予備費による対応となったことから、国庫補助金の繰り越しが結果的にできなかったため78.3億円余の不用額が発生したところであります。
 また、水産業費を中心とした建設事業において、同じく東日本大震災津波の影響によりまして、工事出来高の確認あるいは執行ができなかったことが、主な理由として挙げられるところであります。
 予算を調製するということは、予算編成のすべての過程を指すものと理解しております。その意味で、当初予算の編成時点に当たって、年間予算として適切な事業の見積もりをするよう各部局に通知しているところであります。また、事業ごとに年度内に執行可能な事業量を十分に検討の上、多額の繰り越しや不用額が生ずることがないよう、注意喚起しているところであります。
 平成22年度の2月補正予算に当たりましては、最終執行見込みを適切に把握し予算編成したところでありましたが、編成後に大震災が発生したことにより、事故繰越が生じたほか、結果的に多額の不用額が生じたとろであります。
 このため、委員御指摘のとおり、予算の執行率が91.3%と前年度に比べ3.4ポイント低下したところであり、予算の執行管理としては、好ましくないものと考えております。
 今後も、事業の適時適切な執行や早期執行について、周知徹底していく考えであります。
〇飯澤匡委員 ただいま御答弁ありましたように、今年度は、まず、東日本大震災という想定しない事象が起こりましたので、これはやむを得ない点もあるかと思います。
 過去10年間、その不用額について調査を依頼いたしまして、議会事務局から回答いただきましたが、平成20年度、21年度、22年度は、先ほど申し述べられたとおりです。その当初予算額に対するシェア率は、平成20年度から倍ぐらいに上がっているわけですね。平成13年度から19年度までは、その当初予算額に対する不用額の割合は0.3%ぐらいで推移している、20億円から30億円ぐらいで推移をしているわけですが、平成20年度が53億円、平成21年度が52億円、平成22年度は先ほど申し上げたとおり。これは、何か予算編成の変更─これは、まさに達増知事が編成するようになってからこのような状況になっているわけですが、その件に対してどのような所感と分析をなされておりますか。
〇八重樫予算調製課総括課長 ただいま委員から予算編成システムの変更というお話がありましたが、部局主体の予算編成、これは、平成16年度から部局予算枠を配分しまして各部局が予算編成を行う方式でありますけれども、この場合においても、予算額の適正な見積もりですとか、効率的な事業執行については、総務部が予算編成過程においてチェックを行っていたものでありまして、平成20年度から経費区分を見直して、全庁的に政策の優先度を勘案して、知事の判断のもと調製する方式に変更したものでありますが、このシステムの変更が不用額の要因ではないと考えております。
 今、御指摘のありました平成20年度及び21年度に50億円程度不用額が出ておりますけれども、これは、平成20年度におきましては、不正経理問題等の発生もありまして、年度末に無理に執行することがないよう注意喚起を行ったと。これは、先ほど委員の御指摘にもありましたとおり、使い切り予算に対しまして、不用額というのは、ある意味、翌年度に繰り越すという意味合いがございますので、そうした使い切り予算の弊害を改めたというところもございますし、先ほども御説明しました退職手当は、2月補正時点で年度末の退職者を見込んで予算計上しますが、退職者が予算の見込みほど出ないということで不用額が生じたり、平成21年度においては、新型インフルエンザワクチンの不用額が出た等々の理由がございます。
 いずれ今回、平成22年度の決算の181億円の不用額は、大災害によりやむを得ず発生したものでありますし、今、御説明したとおり、平成20年度以降の不用額の増加ということは、ただいま御説明したとおりでありまして、予算編成システムとは直接には関係ないと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 それでは、監査委員にお尋ねしますが、監査意見書の中で、昨日以来、未収額や繰越額の縮減に向けた取り組みを求めてきたとあります。この不用額に対しては、その意見書の中には明記といいますか触れていないわけですが、監査委員としてはどのような所見を持っていられるのか。この平成20年度からの不用額の増嵩に対して、どのような意見をお持ちなのかお尋ねしたいと思います。
〇千田監査委員事務局長 今、予算調製課からも御説明がございましたけれども、やはり平成20年度にいろいろ出ました不正経理といった問題が、無理して使い切るということによる弊害が、こういう数字の流れに反映しているのではないかと考えております。
〇飯澤匡委員 先ほど予算調製課総括課長の答弁では、予算編成と因果関係はないんだと言われておりました。それじゃ、観点を変えてお聞きします。その予算編成システムの変更については、平成17年あたりからこれは考慮の対象になっておりまして、要は、予算の額もだんだん減ってきているよ、そして、各部局ごとに政策目標を掲げた、いわゆる政策をつくって、それを推進するという観点での予算が設定されたと。
 ただ、御案内のとおり、だんだん全体のパイも少なくなってきて、そうはいかなくなってきた。そこで出てきたのが─これは、平成19年に私は同じ質問をしているわけですが─予算編成に関しては、トータルコストの面についても検証を加えて、予算要求とあわせて事務事業評価についても一体的に行うことを考えておると。要は、財政効率的な部分での評価というのは高めてきたと。これがここ二、三年のトレンドであるわけですが、それと、この、先ほど言いわけがましくそういう答弁がありましたけれども、私は、少なからず相関関係はあると思うんですね。
 私がただいま申したトータル的な検証を加えた予算編成、そして評価との連携の強化、この点については、どのようなみずからの評価をなさっていますか。
〇八重樫予算調製課総括課長 各年度の予算編成において、まずは、各部局において、政策評価や事務事業評価も踏まえて予算の効率的、効果的な執行ができるよう、決算の状況についても分析を行いながら、すなわち、決算を踏まえて財政的な面での評価を行い要求事業を決定しているものでありますが、あわせて、総務部においても、全体の歳入の分析等ももちろん行っていますが、各部局から予算要求があった後、事業の成果を踏まえ、事業規模や予算額が適正であるか、効果的、効率的な事業執行が見込まれるかなどの視点に立ち、十分精査の上、予算調製を行っておりますので、財政効率的な部分での評価というものは、この編成過程の中で実施しているものでございます。
 したがって、予算編成の仕組みが以前と変わった現在であっても、基本的には、個々の事業をそれぞれが十分に精査するという点では、変わっていないものであります。
〇飯澤匡委員 自分たちの立場の限界の中で話をしていますので私の質問とはかみ合っていないわけですけれども、やはり、その予算の執行の中身が大事なわけですよね。そして、財政的な運用での効率性も、これから総務部はきちんと管理をするということですよね。
 期せずして、先ほど言った平成20年度、21年度に対しては、不正経理の問題もあって、そのようなお話をされていましたけれども、私は、それにとどまらないと思うんです。
 総務部長、あなたは前の部署では政策評価の部分も含めてやってきたわけですが、その点について部長の所感はどういうふうにお持ちですか。
〇加藤総務部長 政策評価並びにそれと財政、予算調製との連動ということでございます。これまでもさまざま取り組んでまいりましたし、また、連年、方式なり、ブラッシュアップするというか、いろいろ改善するところは改善してきております。
 ただ、そういった形で財政効率的な部分を高める、評価と連動するということもしてきておりますが、端的に申し上げると、完成形はないと思っておりますので、さまざま一度やってみれば、反省点なり、もっとこうできたのではないかとか、そういう部分はいろいろ出てまいりますので、それを取り入れて、連年その改善なり、一歩一歩でも進むようにやっているということでございまして、そうした取り組みにつきましては、不断に関係部局ともよく相談して積み重ねていきたいと思いますし、そうした中で、いい予算の調製に努めていく所存でございます。
〇飯澤匡委員 余り具体的でない答弁に少しがっかりしましたけれども、私は今回、不用額に焦点を当てて質問しているわけですが、私は、ある程度、これはバロメーターだと思うんです。予算の編成過程において、やはり予算を調製する─調製するというのは、先ほど来言っているように、アジャストするだけではなくて、県の事業をどれだけ本質的に高めていくか、内容を高めていくかということがなくして予算を組むということはあり得ないわけです。あなた方の言っている、いろいろな事象が絡んで不用額が出てきた、ただ、それについては、少しは反省をして、組み立てていかなければならないという答弁もいただきましたけれども、私は、しっかり、やっぱり数字にあらわれてきたものを真摯に反省をして今後の予算編成につなげていかないと、いつまでたっても同じことの繰り返しになるのではないかと危惧するわけです。
 私は、先ほど紹介をした平成17年度から19年度の部分に使い切りがあって、それで20億円から30億円にとどまっているとは思えない。いきなり倍増になっているわけですから、これは何らか、やはりしっかりと検証して、次の予算編成につなげていただきたいと思います。
 それから、もう一つ、最後に所感を求めますけれども、政策地域部となって、いわゆる地域課題の解決、そして、それを政策でつなげていくという意思は酌み取りますけれども、事業の評価と予算編成の関連性というのは、いささかこの二、三年、私はその関係が非常に薄いのではないかと思っております。このような具体的な不用額を一つのバロメーターをしっかり検証していただきながら、再度申し上げますけれども、予算編成については、事業の本質を高めるようにやっていただきたいと思うんですが、最後、答弁を求めて、終わります。
〇加藤総務部長 連動性が薄いという御指摘をいただきました。私どもそうならないように努めているわけでございますが、御指摘の趣といいますか、対外的にそういうふうに見える部分もあるということかと思いますので、そこは密接によく相談して、そして、改善を図っていきたいと思います。そうした中で、予算並びに評価、そして、それがうまくかみ合って好循環になる、そして、いい行政サービスの提供につながっていくような、そうした体制、これは、県組織全体を通じてつくっていきたいと思っております。
〇木村幸弘委員 私から2点ほど質問させてもらいます。
 まず第1点ですが、地域防災力強化プロジェクト事業の中で、特に自主防災組織のリーダーの育成について、今回の事業評価で達成度Cという状況になっているわけですけれども、他のプロジェクト事業はA評価が多い中で、これだけがC評価という形で大きく落ち込んでいる要因は何なのか、その点について御説明をいただきたいと思います。
〇宮元防災危機管理監 特定地域に偏ったとする具体的な実態でございますが、自主防災組織リーダー講習会は、平成19年度から実施しておりまして、平成22年度までに受講生の参加のあった市町村は20市町村となっております。そのうち複数回参加している市町村数は14市町村となっております。
 参加実績のない市町村には自主防災組織率の低い市町村がありますことから、まずは、自主防災組織の育成強化を推進することを中心に進めてまいりたいと思っております。
 一方、組織率の高い市町村においても参加実績のない市町村もあり、市町村からの意見としましては、リーダー講習会は受講者に好評であります。また、参加のための日程調整が困難という意見もありますため、今後は、現地での講習会の開催等を検討しまして、効果的な支援策を講じてまいりたいと思っております。
〇木村幸弘委員 今、お答えをいただいて、なるほどとわかったんですけれども、地域が偏っているという状況で、今のこれからの対応の中で、自主防災組織がないところで参加実績がないのではないかという考え方もあるようですが、組織をつくるためには、やはりリーダーを育成しなければならないという、これは、鶏が先か卵が先かという議論にもなってまいりますけれども、そうした観点で言うと、組織と人材の育成、この両面をどうバランスよく取り組んでいくのかということで、大変重要な課題があるのかなと思います。
 いずれ、今回の災害を契機として、鉄は熱いうちに打てではありませんけれども、今回の被災地におけるいろいろな実態あるいはその状況を踏まえながら、実例に基づく防災組織づくりとその人材育成、リーダーの育成というところをぜひ取り組んでいく必要があるのではないかと思います。
 ただ、今、答弁の中にもありました企画する側というか主催する側、参加を募るほうにお願いするだけではなくて、主催する側としての企画、日程のあり方であるとか、時間のとり方であるとか、その内容、カリキュラムを含めたいろいろな中身について、もう一工夫必要な部分もあるのではないかと思いますけれども、もう一度、その点について考え方があればお示しいただきたいと思います。
〇宮元防災危機管理監 委員御指摘のとおり、迎え撃つだけではなくて、こちらからも場を設定して、いかに参加しやすい環境をつくるかということが大切でございますので、今後、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 次に、2点目ですけれども、今回の3.11の災害発生時における初動の情報伝達のあり方、避難情報を含めた伝達の対策についてお伺いしたいわけでありますが、現在もなお、復興に向けて現在進行形のさまざまな取り組みをされている状況ですから、当時の問題を検証までしているいとまもないのかもしれません。
 しかし、今回の災害のいろいろな教訓、経験から、避難指示等、情報伝達のあり方、特に、地震によって大規模停電等が発生して、情報端末を持っている一般の住民、市民にとっても、その情報を得る能力を失ってしまっていたという問題、こうしたところをどう踏まえるべきなのかということも、これからの災害対策の中では重要な課題ではないかと思っておりますが、その点について、まずは基本的に、当時の状況を踏まえたこの情報伝達のあり方というか手段としてどうあるべきだったのか、あるいはどのような教訓を今感じておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇越野総合防災室特命参事 まず、停電によりまして、通信機器が不能になったという事態が発生しました。これによって、市町村においては、市民に対しまして、防災行政無線が使えなかった、壊れてしまったという事態も生じましたので、広報車によって伝達をする、あるいは消防団が避難所に行って伝達をすると、人によってそういう伝達をしたというのが実態でございました。
 県の災害対策本部におきましても、通信が通じませんでしたので、職員を各市町村に派遣しましたし、あるいは自衛隊が県庁の講堂に配置されましたので、自衛隊の無線機を通じて情報を入手したり、いろいろな方法で情報収集に努めたわけであります。
 したがいまして、今後、通信が通じなかった場合、通信機材が使えなかった場合は、やはり人による情報伝達というものが非常に大きなウエートを占めるのではないのかと思いますので、市町村レベルにあっては、職員なり、ボランティアなり、あるいは消防団なり、そういう方々が情報を伝達する、あるいは収集をする、こういう対策が必要なのではないかと考えております。
〇木村幸弘委員 まさしく当時そういう状況、大変困難な状況の中で、被災地あるいは関係者にとっては、その収集や伝達の方法に大変苦慮されたんだろうということは十分に察するものであります。同時に、メディアとの関係、これが災害対策上どうなんだろうかということを、いろいろな災害の報道あるいはメディアから伝わってくる被災地域の状況、あるいは、当時まさに津波が押し寄せようとする状況が刻々と伝えられる中で、その情報が何らかの形で、一刻も早く逃げてくれという思いの中で、伝えられない歯がゆさも感じながら、我々はそれを目にしていたという部分があったと思うんです。
 そういった部分で、メディアとの連携というか、あるいは自衛隊も含めて、津波が明らかに沖でもう押し寄せてきている映像なども伝わっていた状況があったわけです。しかし、その情報は、地上で避難をし続ける方々に、もう来るぞという形で、大きな津波が、今までとは違う津波が来るんだという、そういった避難の危機感を持った情報が伝えられなかったものだろうかということなどを含めて考えると、そういったいろいろな関係機関あるいはメディアを通じた連携の中で得られた情報というものを、どう地上の避難している人たちに伝えるべきなのかという部分で、何か手だてはなかったんだろうかとも感じるわけであります。
 そういった点については、常日ごろのこれまでの防災上の対策から言うと、例えばメディアとの連携、協力のあり方はどうだったのか、それから、自衛隊等を含めたマスコミが、航空からいろいろな被災の状況を伝えてくる、その情報に対してどう対処するかという考え方であるとか、そういった取り組みなどについてどうだったのでしょうか。その考え方がもしあれば、お聞きしたいのですが。
〇越野総合防災室特命参事 当日のメディアが把握をした情報についての住民等への伝達でございますが、メディアからは、例えば避難行動を促すための情報というものは、発災当初の津波の避難に関する情報は、テレビとかラジオとか、そういう形でないと伝えられないというのが現実でございます。
 それを受けて、今度、市町村は、防災行政無線で、あるいはサイレンとか、あるいは広報車、そういった形でないと伝えられないというのが現実でございます。現に、内閣府がとったアンケートによりましても、避難のきっかけになったのは、一番多いのは何かといいますと、やっぱり防災行政無線あるいはテレビ、そういった手段で情報を得て避難行動につながった、こういうことでございます。
 それを県が受けて、住民に伝えられるかといいますと、なかなかこれは難しいというのが現実でございます。したがいまして、これからどうするかということは、国レベルでの対策でないとなかなか難しいという面がございます。
 ただ、メディアとの連携につきましては、避難行動直接ではなくて、例えば、安否情報とか、安否情報の確認というものは、県からメディアに情報を提供して、メディアから発信していただいたということもございます。
 それと、私もみずからやったのでございますが、毎日、記者レクチャーをやりまして、その日の県の全般的な情報といったことをメディアに提供して発信していただいた、こういうことがございます。逆に、メディアからいろいろな情報をいただいて、それに対応したという事例もございます。
 そういった形で、極力メディアとの協力関係を構築して、いかにあるべきかというものも、今現在、計画の見直し等で議論しているところでございまして、逐次、それが具体化できるようにしてまいりたいと思っております。
〇木村幸弘委員 わかりました。今、お答えいただいた部分は、いわゆるその日とその後のところで、またいろいろと対応の仕方や伝達の手段とかが変わってくるわけですし、中身が違いますし、要は、先ほど最初に申し上げたとおり、当時は大規模停電によって、本来のメディアで伝えられるべき部分も、伝達すべき端末機器がもう完全に能力を失っているわけですから、被災地では、それを知るよしもないような状況に置かれているということですので、そういう環境の中でどう伝えるべき手段があるのかということが、非常に大きな課題になるのではないかと思っております。
 いずれ、マスコミが飛ばしたヘリコプターであるとか、あるいは自衛隊が航空からいろいろな状況を伝えてくるわけですけれども、あれはあれで重要な情報として我々は見なければならない、あるいは任務として、あるいは仕事としてそういう映像を流して、客観的にそういう情報を伝えようという部分は、ある意味理解できる。
 ただ、もう一つの意味においては、ああいう状況が今、眼下に広がっている。そして、これからまさに陸地に向かおうとしている情報に対して、何らかの、陸地に対してその航空機から、あるいは地上で広報車を回しているという話はあるんですけれども、よく、商業用で言えば、セスナ機でコマーシャルをやりますよね。航空機を使って、空からがんがんといろいろなコマーシャルを流すわけですけれども、ああいった部分で、地上にいる避難者の方々に、今まさに波が来ているぞという情報なども伝えられる手段はなかったんだろうかとも、実はああいう映像を見ながら感じていたわけであります。そういった部分が、まさに発災直後の状態の中で、何とかそのメディアや関係機関と連携、協力できるものがないのかというのが1点です。
 それから、その後です。その後においては、結局、メディアからまだ行政や自衛隊の救済の手が届かないで被災者が困っているという情報がどんどん流れました。あの情報について、結果的に、マスコミが競ってそういう場所を選んで、探して報道するのかもしれませんけれども、そこに今度は行政との関係や、そこにきちんと救済や救援の手が届くような情報の連携がメディアとの間でつながっていたのかどうか、そういった部分などについても、いろいろと検証してみる必要があるのではないかと思いますけれども、最後に、その点について、もし所見があればお伺いして、終わります。
〇越野総合防災室特命参事 まず、航空機から全般を把握できるところから個々の住民に対して情報を伝達するというのは、かなり難しいことだろうと思います。これは、岩手県独自でできるわけでもないし、やっぱり国全体でそういうシステムといいますか、仕組みをつくらないことには、なかなか難しいのではないのかと私自身は個人的に思っております。
 それと、住民の状況について、今回の震災では、メディアは、ある特定の地域は把握しているんですが、県全体の地域というのは、自衛隊がそれぞれ各避難所を全部把握してございました。したがいまして、我々県の対策本部としては、自衛隊から情報をいただいて、対策を講じたということもございまして、一部のマスコミあるいはメディアの部分的なそういうものをすぐに確認させておりましたので、メディアから情報を得たら、すぐに確認をして、それが事実かどうか、もし事実であればそれに対して対応する、こういうことで連携を図りながらやっていたところもございます。
〇斉藤信委員 それでは、総務部の審査については高田委員と分担してお聞きしますが、最初に、県財政の状況について、私も不用額について通告をしておりました。181億円の不用額、今、説明がありましたので、私は立ち入ってお聞きしたいんですが、災害救助費の78億円余が不用額になったというのはよくわかりました。広域漁港整備事業で8億5、700万円余が、震災の影響により工事の出来高確認ができなかったため不用額と。繰り越しが5億9、700万円となっているんですね。この実態を少し正確に示していただきたい。
〇八重樫予算調製課総括課長 広域漁港の関係でございますが、不用額となった理由につきましては、これは、大船渡市における事業、市町村事業に対する補助金でございましたので、これが、発災によりまして大船渡市での工事の出来高の確認ができませんでした。結果として、当該年度、平成22年度の額が確定できずに不用額としたものでございまして、その分につきましては、平成23年度に予算措置をして、お支払いをするということで、広域漁港の分については、そういう意味での不用額、あるいは事故繰越をした分もございますが、不用額が出たものでございます。大船渡市で確認ができませんでした。
〇斉藤信委員 津波で被災を受けて工事の確認ができなかったということですね。しかし、また災害復旧しなくてはだめだ、こういうことになりますね。
 繰り越しができた分は、そうすると確認ができたということなんですか。繰り越しというのはどういう意味ですか。
〇八重樫予算調製課総括課長 震災によりまして、そこの工事現場が流されてしまった場合に、一つの方法としては、そこの部分をすべて事故繰越して平成23年度に繰り越すという方法もありますが、先ほど御説明したように、大船渡市の場合は、出来高の確認もできなかったので、事故繰越で幾ら繰り越すかという確認もできずに不用額で落としたということでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 それで、震災関係の不用額が87億円余出ました。これはこれで大変大きかったのですけれども、それにしても181億円の不用額というのは大き過ぎるんですよ。大体100億円近く不用額が出たということでしょう。4億円あれば、子供の医療費、小学校卒業までできるんですよ。20億円あったら、国保税1世帯1万円の引き下げができるんですよ。それだけ、100億円の不用額というのは、これは大変なことなんですよ。県民の仕事、生活、事業に換算してみたらね。
 私は、財政規律が緩んでいるのではないかと思いますけれどもね。20億円、30億円の不用額が出ても、これ、昔は問題になったんですよ。100億円出ても驚かない、危機感を持たない、私はここの体質が極めて問題だと思いますけれども、部長、どうですか。
〇加藤総務部長 昨日の総括質疑でも議論がありましたが、資金面の懸念を抱えることなく対応せざるを得ないというところで、3月17日だったかと思いますが、補正予算を講じた面がございます。
 そういった部分がございますので、財政規律が乱れているとか、そういうことは全くございませんし、その辺のことも含めて、全体像がまだ見通せない段階で計上した、それに伴って多額の不用が出たという面が大きく働いておりますので、そこの部分につきましては、そういう中でのぎりぎりのというか、やむを得ない判断、むしろお金を出しそびれてということがないようにということでやったことでございますので、御理解いただければと思います。
 一般的に、不用額につきましては、縮減していく、なるべく出ないようにしていく、それは、もう執行のあり方として基本でございますので、そこにつきましては引き続き、いろいろ御議論もいただいておりますので、それを踏まえてしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
〇斉藤信委員 私は、大震災関係で不用額が出たというのは、これは仕方ないと思いますよ。それは私はそう言っているんですよ。あの大震災関係で不用額になったのは、正確に幾らですか。
〇八重樫予算調製課総括課長 事業を正確に震災関係と通常分に分けることができませんので、震災関係の不用額をお答えすることができません。
〇斉藤信委員 であれば、総務部長が、震災を理由にして仕方がなかったというふうにならないと思いますよ。やっぱりかなりの額、震災関係を除いても不用額は多かったのではないかと。
 これ以上論争しても仕方がないので、私は前にもこの不用額を指摘したことがあるけれども、明確な震災関係を除いても100億円近い不用額というものは、本当に財政規律の緩み以外の何物でもないのではないかと。
 これは指摘だけにとどめて次に行きますが、県税収入のこの間の減収の理由、法人事業税の推移、税額が発生していない企業数とその割合を示していただきたい。
〇永田税務課総括課長 県税収入の減収の状況でございますが、平成22年度の県税収入は、21年度決算額に比べまして総額で47億7、000万円余の減となっております。主な理由としましては、個人県民税が景気の低迷による個人所得の減少により24億1、400万円余の減、法人事業税の一部が地方法人特別税として国税化された影響によりまして24億6、700万円余の減となっております。
 次に、法人事業税の推移でございますが、平成20年度は277億1、700万円余、平成21年度は149億4、700万円余、平成22年度は124億7、900万円余と年々減少しているところです。これは、平成21年度は、平成20年9月に発生しましたリーマンショックによる景気の低迷の影響に加えまして、地方法人特別税の創設によるものととらえているところです。
 また、平成22年度は、法人の業績は回復傾向にありましたものの、平成20年10月1日以後に開始する事業年度から適用されました地方法人特別税の平年度化が影響しているものでございます。
 次に、税額が発生しない企業数でございます。これは、事業税の申告義務があります法人2万1、880社のうち、事業税が発生していない法人は1万4、877社でございまして、68%となってございます。
〇斉藤信委員 平成21年度、22年度だけの比較でしたが、この5年間のピークは平成19年度、県税収入1、293億円でした。これが1、009億円に290億円弱減収していると。これは、景気の後退が大きいし、今、私が聞いたように、法人事業税に関して言えば68%が税額が発生しないと。いわば赤字企業ということですよね。この赤字企業が、今度の大震災で被害を受けたということなんですよ。私は、こういう赤字でも頑張っている企業を、そういう意味でも救済の対象にした復興にしなければならないと、これは指摘だけにとどめて、次に行きます。
 県債残高、主要3基金の推移はどうなっているのか。県債残高が大幅にふえた理由、主要3基金が大幅に減少した主な理由は何か。
〇八重樫予算調製課総括課長 県債残高の推移でございますが、ここ3カ年の残高の推移をお知らせいたします。
 平成20年度末一般会計の県債残高が1兆4、102億円、平成21年度が1兆4、421億円、平成22年度が1兆4、611億円と、平成22年度末が前年度に比べて190億円増加しており、年々増加基調となっております。
 主要3基金の残高でございますが、平成20年度末、主要3基金の残高が128億円、平成21年度が256億円、平成22年度が301億円でございまして、3基金は、平成19年度を底として、その後増加しております。
 県債残高が増加基調にある理由についてでありますけれども、近年では、平成13年度から発行した臨時財政対策債─地方の財源不足を国と地方でそれぞれ折半いたしまして、地方は起債の発行で埋めているというものでございますが─この発行額の増加によるところが大きいわけですけれども、全体の規模が拡大した要因としては、社会資本整備が立ちおくれていた本県で、その整備を行うため国の経済対策や前倒しの公共事業を実施したことが、現在の県債残高の増加につながっていると思います。
 3基金の残高は、委員御指摘のとおり、ピーク時、平成8年度に1、500億円を超える基金がございましたが、その後、さまざま地方財政の財政状況が厳しくなりまして、あるいは三位一体改革によりまして、地方交付税の削減、一般財源等の縮減があったということもありまして、そういった財政運営に財源補てん的に措置をしてきたこと等によりまして、残高が減少しているものでございます。
〇斉藤信委員 県債残高は、わずか3年の比較で、私が県議会に来た平成7年は7、029億円でした。それが今、1兆4、611億円ですから倍以上にふえたと。これは指摘だけにとどめて、次に、入札制度の改善、公契約条例の制定問題について質問をします。
 落札率のこの間の推移、低入札の状況、入札制度の改善の取り組み、その効果はどうなっていますか。
〇高橋入札課長 まず、落札率でございますけれども、平成20年度の81.4%まで年々低下を続けてまいりまして、平成21年度は82.2%、22年度は82.7%と、若干ではありますが上昇してきております。
 本年4月からは、低入札の対策強化として失格基準価格の引き上げ等を行いまして、ここ最近3カ月の落札率は85.5%まで上昇して、これら見直しの効果が見られると考えております。
 低入札の状況でございますが、平成21年度は48.9%、22年度は51.5%、本年度は62.7%と、この発生率自体は上昇しておりますが、これは、ボーダーラインがだんだん引き上がってきておりますので、その影響と考えております。
〇斉藤信委員 今、つい最近の3カ月だけ見ると85.5%と改善されつつあると。全国的には最低制限価格が導入されているのですけれども、岩手県が導入した失格基準価格の改善、これはどうですか、最低制限価格導入と同程度、それ以上の効果があると言えますか。
〇高橋入札課長 その評価はさまざまな見方があろうかと思いますけれども、全国の中で最低制限価格を設定している団体につきましては、その対象範囲が、例えば5、000万円未満でありますとか、そういった限定された範囲で設定されております。
 一方、本県の低入札調査制度の中の失格基準価格は、WTO案件以外のすべてのものを対象にしておりますので、そういう意味では、対象範囲が非常に幅広く適用されているという意味で、効果のあるものと認識しております。
〇斉藤信委員 岩手県の建設業者の利益率というのはマイナスなんですね。これは全国最低と。これは、本当にダンピングのような入札結果でもたらされたものですよ。それで、今85.5%まで来ているといっても、85.5%自身がまだまだ低い。そして、これで本当に利益になるかという、私はこういう状況だと思うんですよ。引き続き、入札制度の改善に真剣に取り組んでいただきたい。
 それで、こういう低い中での入札になっていますので、下請、孫請、ここでの下請代金の未払いとか、賃金未払いという状況がたくさん出ています。私は、これを防止する決定的な対策が公契約条例の制定だと思います。既に、野田市とか、川崎市ですか、政令市でも導入されていますが、この公契約条例の全国的な動向、担当課としてこの問題をどう研究しているのか。私は、早く岩手県としても、こうやって下請、孫請の単価、賃金を守るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇高橋入札課長 全国の導入状況につきましては、今、委員から御指摘のありました2市のほかに、今年度、神奈川県の相模原市で近々、条例提案の見込みと聞いております。
 本県におきましては、労働者の適正な賃金が確保されるということ、それ自体は非常に重要なことと考えておりますけれども、発注者として、当事者間で決定される賃金その他の労働条件に対してどのように関与していくかといったことで、非常にデリケートな要素も含んでおりまして、検討が必要と考えております。
 当面、先行団体の運用状況でありますとか国の動向を注視してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 これは、ぜひ検討していただきたいんですよ。ダンピング防止の一つの決め手になってくる。そして、今、最低賃金が、岩手県は全国最低ですよ。どうしてもそういう形の低価格になってしまうんですね。そういうときに、少なくとも岩手県が発注する公共工事については、下請であろうが、孫請であろうが、やっぱり必要な最低の賃金を確保する、これは、率直に言って世界の流れですよ。真剣な検討をお願いしたい。
 次に、今度の入札問題にかかわって、実は9月26日に、西松建設事件、陸山会事件の判決が下されて、小沢元秘書3人に有罪判決が下されました。その判決の中では、西松建設が公共工事の談合による受注獲得のために献金をしていた、これが認定されました。いわゆる西松事件であります。その対象は、岩手県、秋田県の公共事業でありました。
 岩手県が発注した公共事業で西松建設が受注した件数、額はどうなっていますか。
〇高橋入札課長 手元にある資料が平成8年度以降のものでございますけれども、平成8年から15年までの間、随意契約も含めて13件、その総額は、最終契約額で98億円余─これはJVで受注した工事も含めてでございます─となっております。
〇熊谷泉副委員長 斉藤委員に申し上げます。
 決算審査であることの趣旨を踏まえ質疑を行うよう、お願いいたします。
〇斉藤信委員 これは去年の判決ですよ、私が言っているのは。そして、岩手県の公共事業がゆがめられたということが裁判で、判決で出された問題ですよ。これが関係ないですか。関係あるでしょう。
 言うけれども、胆沢ダムの談合疑惑については、国会で審議をされて、国は調査したんですよ。私は、判決でこれだけ指摘をされたら、岩手県の西松建設の受注状況は、徹底して県が調査すべきだと思いますよ。
 例えば、これは平成15年ですけれども、簗川ダムの県道盛岡大迫東和線トンネル築造工事が26億1、400万円余で、落札率94.5%で西松建設がとった。私は現地調査に行きました。現場の担当者が何と言ったか、これが西松トンネルです、こういう紹介をしたんですよ。
 西松建設がとった中には、今の県立一戸病院とか、仙人トンネルとか、秋丸トンネルとか、花巻空港の整備事業がたくさんあるんですよ。花巻空港の整備事業は随契で、例えば、落札した契約と最終の契約額が大幅にずれているんですよ。随契で99%でとって、最後の契約金額は、もう10億円ぐらいずれるというとんでもない結果になっているんですよ。
 私は、これは徹底してこの判決を踏まえて調査すべきだと思いますが、これは総務部長に聞きましょう。この西松建設の天の声、談合、この問題をどう受けとめて、岩手県の発注した公共事業について、この中身も含めて国がやったように徹底して調査すべきじゃないですか。
〇加藤総務部長 具体の事件を踏まえてお尋ねでございますが、今現在、係争中の事案でございます。一審が終わりましたが、まだ当事者同士争っているということでございますので、それが確定した事実ではないということでございます。
 また、県としましては、発注側として適正に入札執行して、その結果として事業が行われていると認識しております。
 一般的には、入札制度につきましては、県におきましては必要な改革、改善をしているということでございますので、御了承願いたいと存じます。
〇斉藤信委員 それは抗告されたから係争中でしょう。しかし、判決をよく見てください。献金した側の供述、そして、それに基づいて99%で実際に西松建設がとっている。最近、西松建設は全然とっていないですよ。この献金をしたときだけですよ、95%から99%で落札しているのは。そして、その中身も極めて問題です。
 そもそも西松建設が献金した理由は、公共事業をとるためなんですから。それが判決で認定されているのですよ。これは冒頭陳述ではないんですよ。判決文書ですよ。裁判所がこういう認定をした、それを踏まえて調査するのは当たり前じゃないですか。違いますか。
〇加藤総務部長 訴訟において当事者ではなく、県の主張なりが否定されたとかというような状況ではないわけでありまして、県としては、発注者側として適正な形で入札を行い、そして事業が行われたということです。県としては発注者側でございますので、その中で適正な事務執行を行ったということで確認しておりますので、それ以外のことについては、県として調査も及ばないところでございますので、そこにつきましては、県としては、自分のテリトリーといいますか、発注者としての責任の部分をきちんと果たしていく、そのためのこれまでの取り組みは行っているということでございます。
〇斉藤信委員 91社の談合事件だって、県がかんだかというと、これは、直接はかんでいないんですよ。しかし、談合があって、これで課徴金、そして弁済を求めるわけでしょう。そういう事件があるんだから。これだけ裁判で明確になったら、私は、これを重く受けとめて、実態がどうだったのかということを調査するぐらいのことをしないとだめだと思いますよ。
 最後に、県庁舎の受動喫煙防止、全面禁煙の取り組みはどうなっているか、これを聞いて、終わります。
〇平総務事務センター所長 県庁舎の受動喫煙防止、全面禁煙の取り組みについてでございます。
 昨年9月に職員安全衛生管理委員会において決定いたしました岩手県職員受動喫煙防止対策基本方針に基づきまして、県庁舎等における庁舎内の全面禁煙の実施に向け取り組みを進めてきたところでございます。
 東日本大震災津波の影響によりまして、県庁、そして宮古地区合同庁舎につきましては本年4月からの実施が困難な状況になりましたが、その後、自衛隊の撤収などによりまして敷地内に新たな喫煙場所の設置が可能となりまして、宮古地区合同庁舎が6月11日から、そして、県庁舎は9月1日から庁舎内全面禁煙を実施しております。これによりまして、遠野地区合同庁舎を除く県庁舎におきましては、庁舎内全面禁煙を実施済みでございます。
 残りました遠野地区合同庁舎につきましては、新たな喫煙場所を屋外に設置することが困難な事情がありまして、引き続き完全分煙を実施しております。
 県としては、受動喫煙防止対策の一層の推進に努めていく考えでございます。
〇熊谷泉副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時4分 休 憩
午後3時22分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤勝博委員 それでは、私からは前の方の質問と重複いたします部分もありますけれども、改めてお聞きいたします。
 まず一つは、自主防災組織と消防団の充実強化対策という部分でお聞きいたします。
 岩手県はここ数年、毎年のように大きな災害、天災が発生しております。そういう中で、3月11日はまさに千年に一度という大災害をこうむったわけでございますけれども、発災後、いち早く現場に駆けつけて救助なり、あるいはいろんな形で活動する消防団の充実強化は前から言われていると思っております。そういう中で、それぞれの市町村でも消防団員の高齢化も進んでおります。特にも団塊の世代がここ数年で団員から欠けるということになりますと、かなりの充足率が不足するのではないかという懸念もあります。そういう中でも、広域消防組合あるいは行政組合の中でもほぼ100%近く定員に達しているわけですけれども、一つだけ70%台の組合があります。そういう充足していない組合の指導とかそういう手だてとか、取り組んでいるのがあればお聞きしたいと思います。
 県民計画の七つの施策の一つには、安心して心豊かに暮らせるいわてを実現するという大きな課題もあります。そういうことも含めて、自主防災組織あるいは消防団の強化策についてどのような形で進めたのか、お聞きいたします。
〇小野寺防災消防課長 ただいま御質問ありました自主防災組織と消防団の充実強化策ということでございますが、まず、自主防災組織につきましては、平成22年4月現在で、組織数は1、729ということでございまして、県内全部の世帯に対する組織世帯の割合、これは組織率という形になっておりますが、73.6%ということでございます。また、自主防災組織を構成する─これは隊員という言い方をするんですが─隊員数は39万3、804人と、おおむね40万人程度となっております。
 自主防災組織のメンバーの役割としては初期消火、それから安否確認、避難誘導などのほか避難所の運営支援というような地域防災のための重要な役割を担っているということでございます。
 自主防災組織につきましては、先ほど来答弁しておりましたとおり、まずリーダーを養成するという、リーダー養成のための講習会を実施しているということとか、そのリーダーがメンバーとなっております岩手県自主防災組織連絡会議というものを立ち上げまして、その中で情報の交換を行っているということでございます。そのほかにも、市町村という部分がキーでございますので、市町村職員を対象とする職員のスキルアップのための研修会というものを県が開催するなど、自主防災組織の育成強化の支援を行ってきたところでございます。
 今回の大震災津波において、自主防災組織につきましても、先ほど来お話がありますとおり、いろんな活動が功を奏した事例もございます。これらの事例につきましても、その活動について検証を行うことによって、今後の自主防災組織の活動内容の充実に資する形で、いろんな形で支援を行っていきたいと考えております。
 次に、消防団の充実強化策でありますが、消防団につきましては、平成22年4月1日現在で、団員数は2万3、420人ということになってございます。おおむね2万人程度ということでございますが、消防団の役割としては、これは地域防災のかなめということでございまして、火災予防や消火活動だけではなく、救助や捜索、情報収集など多くの役割がございます。これまで、少子化とか地域コミュニティの変化等によりまして、消防団員数が減少しているという事例とか、それから先ほどお話がありましたように、高齢化やサラリーマン化などのいろんな課題がございます。
 県としましては、この消防団員の確保を図るために、市町村それから県の消防協会と連携いたしまして、各関係機関への働きかけ、いわゆるキャラバンの実施とか、いろんな媒体を使った入団促進活動をこれまで行ってきたということでございます。
 それから、消防団員の方々が事業所において活動しやすい環境を整備するという意味で、消防団協力事業所表示制度というものの活用の促進をこれまで図ってきたところでございます。
 それから、消防団組織の中におきましても、資機材の整備を進めてくるとともに、士気高揚や資質向上を図るための表彰制度の充実や教育訓練の実施などを通じて、組織自体の充実強化を図ってきたということでございます。
 今回の大震災津波におきまして、もちろん消防団の活躍につきましては、改めて重要性が認識されているというところでございます。
 今後は、市町村、消防協会と連携しまして、さまざまな消防団のこのような活動を紹介して、その意義や役割というものを改めて県民の方々に周知をして、その確保を図ることによって、体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 今、消防団員の確保の一つの例として、事業所とかあるいはまた市町村においてもそういう要請があると思いますけれども、団員の皆さんは、ふだんは、日中、生業についているという方がほとんどだと思います。そういう中で、いざ災害となれば仕事を休んでというか、とりあえずは投げて現場に駆けつけるという活動なわけですけれども、そういう点で、先ほど事業所を表彰するとかという、それは大変結構なことだと思います。それが実際、一般の県民なりあるいは市町村の住民の皆さんに知られているのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
〇小野寺防災消防課長 確かに、少しずつは消防団の活動に協力していただけるという事業所がふえてきているということですが、それが一般県民のすそ野まで広がっているかというと、そこまでまだいっていないという現状だと思っております。今後も、先ほど申しましたとおり、今回の消防団が震災において非常に重要な役割を果たしたということで、一般の方々からもそういう声が聞こえてくるということもありますので、今後、こういう消防団の役割についていろんな機会をとらえてPRして、意義の部分については県民の方々に広めていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 今般の大災害を契機として、そういう防災意識、自主防災組織も含めて、その地域地域で意識を高めるという、またとない機会にもなったと思います。そういうことも含めて団員の強化、あるいはまた組織の充実ということを図っていかなければならないと思いますけれども、特段、防災対策ということで、今後の方向が示されているのであればお聞きしたいと思います。
〇小野寺防災消防課長 今、申しましたとおり、自主防災組織、先ほど約40万弱という人数、それから消防団については2万3、000人ということで、非常に数として大きな人員ということでございます。確かに地域の防災力の強化のためには、自主防災組織それから消防団、もちろん常備消防もそうですけれども、いろんな役割を図りながら連携して、地域の防災力強化に努めていくということは非常に重要なことだと思っております。
 そこで、今後は自主防災組織につきましても、具体的に組織はあるんですけれども、例えば活動内容とか今後どうしたらいいかという部分については、なかなか具体的なものが見えないと思うので、その部分につきましては、例えば消防団の方とか常備消防の方を通じて連携しながら、具体的に効果のある、地域に合った防災力の効果につながるような活動につながっていけばいいと思っております。
〇工藤勝博委員 次に、別な項目で質問させていただきます。
 実はどの部署でお聞きすればいいか大変迷いました。というのは、私も昨年の9月定例会に、副知事2人制になったという部分でお聞きしました。その2人制になって1年ちょっとになります。そういう中で、2人になった岩手県の副知事がどのような実績をこれまで出しているのか、そのことについてお聞きいたします。
〇加藤総務部長 副知事2人制の評価、実績ということでございます。
 副知事2人制につきましては、トップセールスを初めとするトップマネジメントを一層強化する観点から行ったものでございまして、現在、知事と副知事、総勢3人、力を合わせまして県政の推進に当たっていただいているという状況でございます。
 こうした体制のもとで、商工労働観光部、農林水産部などの事業部門におきましては、トップセールスによる着実な企業誘致の推進、中小企業対策を初め、地域のニーズを踏まえた国に対するきめ細かい提案、要望、農林水産業における6次産業化の取り組み支援によります販売額の増加などの成果、取り組みが進んでおります。
 一方、保健福祉、環境部門におきましては、福祉施設整備の計画的な推進による入所定員の増、あるいは常用雇用の創出でございますとか、ドクターヘリの導入促進など、医療提供体制の整備、さらには保育所の計画的な整備、子育て環境の充実などの取り組みが一層進んだものと考えております。
 さらに、東日本大震災津波からの復旧、復興対策に当たりましては、それぞれの副知事が災害対策副本部長として本部長たる知事を補佐するとともに、宮舘副知事におきましては、主に災害対策に係る各部局間の調整事務を、上野副知事あっては、主に政府、現地対策本部を初めとします国との円滑な連絡調整などの対外調整業務を、さらに今現在、復興関係の業務を中心になってとり行っていただいているということでございます。
 こういう中で、震災発生時の応急対策、さらに震災からの復旧、復興対策に精力的に取り組んだところでございまして、こういったことで、副知事2人制の効果が上がりつつあるのではないかと認識しております。
〇工藤勝博委員 2人制になったという中で、3月の大震災、くしくもそういう体制ができた中での災害ということで、大変お二方はそれぞれの部門で御苦労はなされていると思います。そういう中で、この岩手を復興させる、いち早く復興させるという部分では、どっかのトロイカ体制みたいな形で頑張ってほしいなと思います。そういう中で、国に対してのいろんな情報収集なり、あるいはまた国に対する要望も大変大事だろうと思いますし、一方、被災地も含めて県内に足を向けるというのも、これもまた大きな視点だろうと思います。それらも含めて、先ほど部長は、それぞれ分担してやっているんだということもありました。いずれ、被災された地域の皆さんも含めて、内陸でも、トップの方が現地を見て県民に力を与えるということが大事だろうと思います。そういう点につきまして、もし部長のお考えがあればお聞きしたいと思います。
〇加藤総務部長 なかなか特別職の動き方の問題ですので、私から十分な答弁ができるかおぼつかない面もございますが、活動実績等を検見いたしますと、3人の体制になったということで、現地に赴く、現場に赴くと、そしていろいろ県民、企業、関係者の方々のお話を伺うという機会が非常に多くなっていると思います。また、特に震災後に、これは震災被災地、沿岸被災地もそうですし、あるいは内陸の被災地、さらに内陸の支援に携わっておられる方々等を含めまして、相当の頻度で出向いていただいておりまして、また、それでいろいろ県民の皆さんからの御意見なりお考えを承ってくると。それを踏まえまして、いろいろ施策が展開されるということになっておるかと思いますし、また、そうしたことで、いろいろ指示も私どもいただいておりますので、実際、それが生かされていると実感しておりますので、この体制をうまく機能させて、より一層、県政全般の推進につなげていきたいと思っております。
〇工藤勝博委員 最後の質問に入ります。
 先ほど斉藤委員からも入札制度のお話がありました。現状の建設業の皆さんは、入札にかかわって価格競争、大変な状況、厳しい状況にあるわけですけれども、健全な経営を支えるためにも、入札制度も含めて改善が必要だろうと思います。先ほど改善した部分のお話がありました。もう少し具体的な内容があればお聞きしたいと思います。
〇高橋入札課長 最近の改善といたしまして、まず低入札対策としましては、失格基準価格というものを引き上げしております。本県では、低入札、一定基準を下回った低入札については、その内容を審査、調査することとしておりますが、軽易なというか、まず最初には、機械的に数値判断ができるような失格基準価格、あるいは数値的判断基準というものを設定して、そのラインを下回れば失格という制度でございます。そのラインを引き上げたことによりまして、現在の落札率も徐々に上がってきていると考えております。
 もう一つ、入札の条件を設定する際に、参入できる業者の本店があるエリアを設定いたします。そういう面で、多少競争が激しくなってまいりますと、コストをどの程度考慮してか、遠くからも参入するケースもございますので、そうした地域要件の設定につきまして、余り規模の大きくない工事でエリアが広くなり過ぎないように拡大の基準となる参入見込み数、そういった基準レベルを引き下げることとして、これは11月に公告する分から試行をやって、その様子を見て来年度判断しようと考えております。
〇工藤勝博委員 最後です。この大災害からの早期復興には、建設業の力がなくてはならないということは言うまでもありませんけれども、過去にあったような不祥事は二度と起こさない形で、厳しい目で見ながら建設業の発展を期待したいと思いますけれども、その辺の、特段の対策があればお聞きしたいと思います。
〇高橋入札課長 入札の公正性、透明性につきましては、これまでさまざまな改革を行ってまいりましたので、そういった制度的な対応の中で、今後も引き続き取り組んでいくということが一つございます。
 もう一つは、参加する業者側でも、先般の事件を契機にいたしまして、みずからコンプライアンスの向上等に業界全体として非常に強く取り組んでいただいております。こうした取り組みとあわせて、県全体の建設業の入札が適切に執行されていくような形で推進していくことを期待しております。
〇高田一郎委員 それでは、まず最初に、県職員の人件費削減と超過勤務の実態についてお伺いいたします。
 この4年間の部局ごとの推移をお示しください。
〇浅沼人事課総括課長 部局ごとの職員数の推移でございますが、4年間、平成19年度と平成23年度対比で申し上げさせていただきますが、まず合計で、人数でまいりますと、平成19年度当初で4、462名、平成23年度当初で3、949名となってございます。
 部局ごとということでございますが、この間、再編等もございましたので、動きの大きかったところのみお話をさせていただきますと、県土整備部で155名の減、農林水産部127名の減、保健福祉部123名の減、大きなところではそのような状況になってございます。(高田一郎委員「超過勤務も聞いています」と呼ぶ)
 超過勤務もですか。はい、わかりまいた。失礼いたしました。
 超過勤務の金額でございますが、平成22年度、決算ベースでまいります。知事部局ということになりますけれども、一般会計及び関連特別会計の合計額で13億2、800万円余、対前年比37.1%の増という状況になってございます。
〇高田一郎委員 わずかこの4年間で513人、全体の11.5%が削減されました。県土整備部は18.7%、保健福祉部は17.3%、秘書広報室は68.4%、なぜこんなに削減しなければならなかったのでしょうか。また、超過勤務がふえている理由は何か、この点についてお伺いいたします。
〇浅沼人事課総括課長 まず、職員数の削減につきましては、厳しい行財政環境を踏まえまして、持続可能な行財政構造の構築に向けて取り組むということで、削減に計画的に取り組んできたものでございます。
 超過勤務につきましては、事務事業の見直しでありますとか、総じて減少傾向にありましたが、新型インフルエンザでありますとか岩手・宮城内陸地震、さらに今般の大震災等々がございまして、超過勤務がなかなか減らない状況、そういう認識をしているところでございます。
〇高田一郎委員 財政的な面と大震災関係が要因だという話をされました。昨日の総括質疑を聞いていますと、知事は、全国からの職員派遣あるいは事務事業の見直しなどで、現体制で大震災に対応していくというお話がありました。
 そこでお伺いしたいんですけれども、東日本大震災津波による大災害で、どのぐらい仕事量がふえているのか、あるいは全国の岩手県への職員の派遣状況と、今後、派遣がどこまで続くのかということについてもお伺いしたいと思います。
〇浅沼人事課総括課長 業務量がどれだけ増加しているかについては調査をしてございませんので、数字的なもので申し上げることができません。御理解をいただきたいと思います。
 それから、現在の全国からの受け入れ状況では、本日現在でまいりますと115名受け入れてございます。
 今後につきまして、いつまでという部分を見通せないわけでございますが、阪神・淡路大震災の例を見ますと、3年間は受け入れたと聞いてございます。今後につきましては、現在、来年度の受け入れ、派遣要請につきまして取りまとめを行っているところでございまして、近々、各都道府県に対しまして派遣要請を行っていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 職員の派遣についても、派遣をされている自治体からも、応援も限界だという声も一方では聞かれますし、また、事務事業の見直しについても、本来、事務事業というのは削減ありきではなくて、事務事業評価をして、拡充しなければならないところは拡充しなければならないということですから、私は知事が言う、現体制で本当に大丈夫なのかなという心配をしているところであります。
 そこで、幾つかお伺いしたいんですけれども、昨日の総括質疑でも、農業普及員の増員を求める質問もありました。私も本当に同感であります。やっぱり必要なところには増員をしていくと、こういうことをしなければならないと思うんですけれども、現体制でというのは、復興を考える上でも本当に大丈夫なのかという懸念がありますけれども、この辺についてもお伺いしたいと思います。
 また、この間、集中改革プランなどが具体化されて、県内の市町村職員は1、959人削減され、また、知事部局については、先ほど説明がありましたように513人も削減をされました。もともと全体として人手不足の中で、大震災が発生して行政機能が後退をしているという中で、さまざまな震災対策もなかなか前に進まないと。被災地市町村では、弔慰金の支給もなかなかできていないという、そういう状況になっているのが実態だと思います。
 そこでお伺いしたいのは、岩手県政の最大の課題は、一日も早い復興だと思うんですが、これと職員体制との関係をどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
〇浅沼人事課総括課長 最後にお尋ねがありました復興と職員数との関係、組織体制との課題でございますが、年度当初からまいりますと、復興局をいち早く立ち上げ、年度途中のさまざまな復興業務に対しましても、随時、弾力的な配置という形で再配置を行ってきてございます。
 来年度に向けましてということで、マンパワーの確保をしていかなければいけないわけですが、その一方で、大量の急激な職員採用というのは、後年度の人件費等々考えますと、なかなか難しいのではないかと考えているところでございます。ただし、復興という部分で今後さまざまなニーズが出てまいりますので、先ほど来から申し上げております他県応援でありますとか、新しい民間との連携でありますとか、退職した職員の再雇用でありますとか、さまざまな手だてを講じて、その体制を構築していきたいと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 私はこの数字を見ると、この間の人員削減というのは減らし過ぎだと思っています。自治体の職員というのは、文字どおり、その地域の住民の皆さんの命と暮らしを守るマンパワーでありますから、やはりふやすところはふやすと、そういうことをしなければ、本当に早い復興につながらないと思うんですね。職員を減らすということが行政改革ではないんだということを指摘して、次に移りたいと思います。
 次に消防の問題についてでありますけれども、今回の大震災津波による常備消防の被災状況と補充状況は、どうなっているのでしょうか。また、救急車の現場到着の所要時間、搬送件数の推移、救急救命士の配置状況、また、防火対象物の立入検査状況についてもお聞きしたいと思います。
〇小野寺防災消防課長 三つのお尋ねでございますが、まず一つ、常備消防の今回の震災における被災状況と補充状況ということでございますが、まず、今回の東日本大震災津波におきまして、亡くなられた消防職員の方は8名ということでございます。それから、被災した消防庁舎につきましては、全壊が6カ所、一部損壊が2カ所という形になってございます。また、ポンプ車などの消防車両につきましては、24台が焼失しているということでございます。
 次に、補充状況ということでございますが、亡くなられた職員の所属する消防本部におきましては、今後、職員の増員等により、不足した人員を補充する予定と伺っております。また、被災した消防庁舎につきましては、現在、仮設庁舎や応急改修を行って業務を継続しているということでございますが、今回の国の施設復旧費補助金等を活用しまして、今後整備を行う予定ということでございます。また、車両等につきましても、県内外の消防本部からあるいは自治体から、ポンプ車あるいは救急車の寄贈を27台ほど受けているということでございまして、なお、受けたといいましても、車両が古いということがあったりするものですから、この車両等の整備につきましても、復旧費の補助金を活用して整備してまいる予定でございます。
 それから、救急車の現場到着の時間及び搬送件数、救急救命士の乗車につきましてでございます。
 まず、救急車の119番通報から現場到着までの時間につきましては、平成21年につきましては、出動件数が4万1、751件でございますが、平均の時間としては8.3分ということでございまして、昨年が8.2分ということですから、ほぼ8分台でございます。
 それから、次に搬送件数ということで、これは病院までの搬送件数でございますが、3万9、133人ということでございます。それから、救急救命士の乗車状況でございますが、平成22年4月1日現在で、県内の消防本部に救急隊がございますが、救急隊の総数83隊、そのうち、91.6%に当たる76隊に救急救命士が配置されているということでございます。
 それから、最後に防火対象物の立入検査というお尋ねでございましたが、消防法令に基づきまして、消防機関が立入検査を行わなければならない防火対象物につきましては、平成22年3月31日現在で、県内に5万4、208件あるということでございます。そのうち、平成21年度内に立入検査を行った実績の件数につきましては1万9、030件ということで、実施率は38.0%(後刻「35.1%」と訂正)ということになってございます。
〇高田一郎委員 救急車の到着状況についてお聞きしましたけれども、かなりの割合で5分以上かかっている実態がありますけれども、蘇生というのは、心臓停止から5分以内で成功率が50%と言われていますけれども、今、岩手県内の現場到着所要時間の実態を踏まえてどのように見ているのか、お伺いしたいと思います。
 もう一つは、救急救命士については、やはり救急車には少なくとも1名は乗車すべきだと思いますけれども、そうなっていないのはなぜかということもお聞きします。
 また、防火対象物の立入調査については、今の説明ですと、対象の3割程度しか立ち入りを行っていないということを言われました。この防火対象物の立ち入りについては、消防法で義務づけられているものですけれども、平成19年の兵庫県宝塚市の例のカラオケボックスの火災が発生してから消防法がこの間見直しをされて、その後においても、特養ホームとかさまざまな社会福祉施設の火災がありまして、防火対象物を査察することが非常に大事だということが強調されてきたにもかかわらず、県内の査察率がまだ30%少し超えたという状況です。この査察率、検査状況が少ないのはなぜなのか、この3点についてお伺いします。
〇小野寺防災消防課長 まず、現場到着の時間につきまして、この8分台がどうかという評価でございますが、現在、国、消防庁の調査でございますが、国の調査では、国の平均が大体7.9分ということでございまして、若干は所要時間はかかっているわけですけれども、おおむね国と同じような水準であるという認識でございます。
 それから、救急救命士の乗車の割合が100%ではないのがどうしてかということでございますが、救急救命士につきましては、現在、県でいろいろ消防本部と連携しながら救急救命士の養成に努めておりまして、現在、12消防本部のうち二つを除いて100%に達しているということでございますけれども、救急救命士の養成に関しては、現場の中堅の消防士の方を、6カ月ほど九州とか東京に行っていただいて研修を行うというような制約もございまして、急にはなかなか養成枠の拡大は図られてこなかったということでございますが、それにしても、救急救命士の養成は国の救急振興財団というところが行っておりまして、そこでの全国枠の関係もありますが、何とか岩手県分の養成枠の拡大をこれまで求めてきて研修の養成を行ってきたということでございます。現在のところは救急救命士が配置されない隊が何%かあるということでございますが、実際の対応につきましては、状況によって救急救命士が必要な場合については、救急救命士が同乗するとか、隊を交換するという形で対応していると伺っております。
 それから、防火対象物の部分につきましては、確かに今お話がありましたとおり、全体の平均は38%でございますが、先ほど委員が御指摘されましたカラオケボックスや社会福祉施設の火災が頻発したということで、この部分につきましての査察率は100%を超えているというようなことで、できるだけ施設の規模それから重要性、面積、そういう全体を配慮した上で、実施回数につきましては各消防本部の裁量というか判断にゆだねられているという実態でございます。ただし、今言いましたように、事件性のある部分につきましては、そこを重点的に立入検査を行っているということでございます。
〇高田一郎委員 現場に到着する時間の問題では、全国でも、例えば救急救命士がバイクに乗っていち早く現場に駆けつけるという取り組みを行っている自治体もあります。全国の契機に学ぶということも大事だと思いますけれども、やはりその根本には、消防力の整備が大変おくれているということにその原因があるのではないかと思います。
 私も一般質問でも、岩手の消防職員の充足率が66%、国の基準からしても1、000人も少ないという問題を取り上げました。本会議の答弁では、それぞれの組合で判断すべきだものというお話がありましたけれども、しかし、この間、議論してきた中でいろいろ明らかになったと思うんですけれども、県としての問題意識についてもお伺いしたいと思います。
〇小野寺防災消防課長 今お話がありましたとおり、確かに常備消防が抱える─常備消防は消火だけではなくて、このような救助、救急も行うという、現地で活動する範囲が非常に広くなってきてございます。それから、さらに高度化、高度な技術を求められてきているということでございまして、いろんな形で、特に災害での活動の場が非常にふえてきているということでございます。こういう部分で、現状のニーズに合った形での対応が必要だとは思っております。ただし、消防につきましては、原則として市町村消防、市町村だけではなくて、市町村が構成する組合が基本となって消防を構成しているわけですので、そういう必要性につきましては、消防本部それから市町村、それから消防組合等への働きかけ等を踏まえて、消防力の充実強化が図られればいいかなと思っております。
〇高田一郎委員 時間がないので指摘だけにしておきたいと思いますけれども、今度の大震災津波を経験して、常備消防の果たす役割というものも大変大きいと思っています。そういう点で、計画的な拡充が求められていると思います。岩手県がこれまで進めてきた岩手県の消防広域化計画、これは今回の津波大震災を経験してやはりこれを具体化すべきではないと、究極のリストラにつながるんじゃないかということで、今後再検討すべきだということを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 私学助成についてであります。今度の大震災津波で就学関係の被災した状況、あるいは被災した生徒への支援対策はどうなっているのかについてお伺いいたします。
〇鈴木私学・情報公開課長 まず、施設被害の状況についてでございますけれども、9月29日時点で、県内の私立学校138校ございますけれども、そのうち63校(後刻「64校」と訂正)が被害を受けておりまして、被害の合計は4億8、000万円余となってございます。被害の状況につきましてはまだ進行中のところもございますので、金額等については今後変動が見込まれてございます。
 次に、被災生徒への支援等についてでございますけれども、被災した生徒等に対する支援といたしまして、当部といたしましては、被災した世帯の私立学校生徒の授業料等の負担軽減を図るため、私立学校被災児童生徒等就学支援事業費補助、これによりまして私立学校に補助することといたしております。また、震災後の園児の心のケアのために、緊急スクールカウンセラー派遣事業によりまして、保健福祉分野の専門的知識を有する方を幼稚園に配置しているところでございます。
〇高田一郎委員 被害状況、被災した生徒の支援策についてわかりました。そこで、昨日からも議論がありましたように、私学そして公立学校の耐震化状況、この数字も昨日明らかになりましたけれども、公立の耐震診断状況も決して高くはないんですけれども、私立についてはさらに低いですね。しかも耐震診断をしても、耐震工事も行われていない私立学校もたくさんあるという状況です。これは、根本には公立学校よりも、公立施設よりも経営基盤が非常に脆弱で、公的支援が必要なんだということを示している数字だと思います。
 そこで、これを支援するための施設整備や耐震化への助成、これまでのあり方をやはり見直しをする必要があるんじゃないかと思いますが、この点についてお伺いいたします。
〇鈴木私学・情報公開課長 私立学校の耐震化の状況についてでございますけれども、現状でございますが、幼稚園の耐震化の診断率は18.5%、小中学校は100%、高等学校については41.7%ということになっておりまして、全体では32.1%で診断を実施しているという状況がございます。
 一方で、耐震化率につきましては、全体の私学で68.2%ほどになってございます。そういった中で、なかなか耐震化が進まないというお話でございますけれども、国の制度でございますが、Is値が0.3未満ですと補助率2分の1、Is値が0.3以上でございますと3分の1という国庫補助の制度がございまして、こういったものの活用を働きかけていきたいと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 いずれ、私立学校では、施設整備をするために父兄からお金を集めているという状況の中でも、なかなか耐震化も耐震工事も進まないという現状がありますので、これはやっぱり今の制度のあり方を見直していかなければ、改善できないと思います。
 そこで、この問題について最後にお聞きしますけれども、今、高校授業料の無償化を見直しする動きがあります。8月9日に、民主、自民、公明3党合意では、高校授業料の見直しということが確認されたと報道されています。これについて、県当局はどういう考えを持っているのか、また、私学支援金についてどういう効果があったのか、この点についてお伺いしたいと思います。
〇鈴木私学・情報公開課長 済みません。先ほど一番目に答弁いたしました内容について、数字の訂正をお願いしたいと思います。
 被害を受けている学校数につきまして63校というお話をいたしましたが、正しくは64校でございますので訂正させていただきます。申しわけございません。
 それでは、ただいまの就学支援金制度の効果あるいは3党合意についての県の対応ということについて御説明させていただきます。
 まず、高等学校等の修学支援金制度の効果でございますけれども、この制度は御案内のとおり、高等学校におけます教育に係る経済的負担の軽減を図ることを目的といたしまして、平成22年度からスタートした制度でございます。本県におきましては、平成22年度において延べ8万3、779人に対しまして、総額で9億6、000万円余の就学支援金を交付したところでございます。この支援によりまして、本県では、平成22年度でございますけれども、経済的理由による退学者がゼロということで、この制度における効果が発揮されていると認識してございます。
 次に、3党合意に基づく取り組みへの県の対応についてでございますけれども、今お話し申し上げたとおり、授業料の無償化、支援金制度につきましては相当の効果があるということから、見直しによって保護者の方の経済的な負担がふえることがありますと、現在取り組んでいます本県の復興を減速させるおそれ等もありますことから、制度の見直しに当たりましては、継続、拡充の方向で検討するよう、国に要望している状況でございます。
〇高田一郎委員 この高校授業料無償化見直しについては、文部科学省自体が、高校授業料無償化についてあるいは私学の支援金について、経済的な理由での退学が非常に減って学ぶ機会の幅を広げていると、文部科学省自身がそういうことを主張しているわけですね。まさに政権公約の大きな柱であった高校授業料の無償化を見直すなんていうことは、とんでもないことだなと私は思っています。ぜひ、国に対して、こういった見直しをさせない、あるいは拡充を求めていくように強く要請したいと思います。
 最後に、一言追加的な質問ですけれども、簡潔に申し上げます。
 昨日の放射線の調査測定について、斉藤委員と総務部長の議論を聞いていてよくわからないのでお聞きしたいと思いますが、結局、県の施設については、地上地点での測定をやるのかやらないのかということが、あいまいなまま、きのうの議論が終わった感じがしています。簡潔にお伺いしますが、やるのかやらないのか、どちらかでお答えください。
〇加藤総務部長 昨日お答えしたとおりでございますが、やる、やらないという、単純なお答えをしにくいわけでございます。施設と言ってもさまざまな施設、県管理施設がございますので、その施設の使用方法、機能、どういう使用形態なのか、使用者の状況、また、そういったものを踏まえまして、実際、現実に即した測定なり、それに伴う助成措置をとるということでございますで、一律に使用形態等を問わずやるという方針はとっていないと、実態に即してということで整理をしております。
〇小野寺防災消防課長 先ほど私の答弁で、防火対象物の立入検査の実施率につきまして38%とお答えしたところでございますが、実際計算したところ、35.1%というのが正しい数字でございましたので、訂正をお願いしたいと思います。申しわけございませんでした。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、総務部関係の質疑をこれで終わります。
 総務部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、秘書広報室長に秘書広報室関係の説明を求めます。
〇稲葉秘書広報室長 平成22年度の秘書広報室関係の決算について御説明申し上げます。
 当室における平成22年度の重点的な取り組みといたしましては、県の主要施策等について県民に周知し、県政への積極的な参画と協働の促進に努めるとともに、岩手のイメージアップと岩手ブランドの構築に向け、首都圏を中心とした県外への効果的な情報発信に努めたところであります。
 それでは、当室関係の決算について、歳入歳出決算書により御説明を申し上げます。
 12ページをお開き願います。秘書広報室に係る決算は、2款総務費2項企画費の支出済総額29億1、430万円余のうち、5億2、066万円余でございまして、不用額は1、730万円余となっております。
 以下、決算の内容につきまして、お手元に配付しております歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明を申し上げますので御了承をお願いいたします。
 歳入歳出決算事項別明細書の170ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費のうち、備考欄の管理運営費は、人件費及び一般管理事務に要した経費であります。次に、172ページをお開き願います。3目広聴広報費の主なものでありますが、2行目の県政広報事業費は、県の重要な施策等について、さまざまな広報媒体を通じて広く県民に周知するとともに、県政への県民の理解と積極的な参画や協働を促進するために要した経費であり、3行目のいわて情報発信強化事業費は、岩手のイメージアップと岩手ブランドの構築に向け、いやしや健康の視点に立った食とパワースポットを重要テーマに、岩手が持つ豊かさと信頼を、首都圏を中心とした県外へ情報発信するために要した経費であります。4行目のいわての魅力Web発信事業費は、ふるさと雇用再生特別基金を活用した事業で、新たな雇用を創出しながら、民間の活力を活用した斬新な発想で県内外に向け情報発信ウエブサイトを開設、運営し、岩手の魅力発信に取り組んだものであります。
 以上で秘書広報室の説明を終わります。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇工藤勝博委員 それでは、まずもって秘書広報室初めての決算ということだろうと思います。秘書課と広聴広報課が一緒になってワンフロアでの業務の今までの評価といいますか、実績等があればお示しいただきたいと思います。
〇稲葉秘書広報室長 秘書広報室設置の評価等についてのお尋ねでございました。
 秘書広報室は、昨年度の組織再編により、知事のトップマネジメントが十分発揮されるよう、知事の県政運営を身近からサポートする組織として、秘書、広聴広報及び報道の機能に純化して設置されたところでございます。さまざまな情報の収集や県民の参画を促進する広聴広報活動、岩手のイメージアップに向けた積極的な情報発信に努めてきたところでございます。
 具体には、さまざまな団体等から収集した情報を随時、知事等に報告するほか、国内外の新しい動きや時代を先取りした斬新な施策に関する情報の収集や分析等を行うとともに、ウエブを活用したリアルタイムな情報発信や県外広報活動の展開などに取り組んできたところでございます。
 これらの取り組みの評価につきましては、定量的にお示しすることは困難でありますが、今後とも、設置の趣旨であります情報の収集や発信を通じて、知事のトップマネジメントが十分発揮されるよう、努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 その広報の仕方でお聞きしたいところがあります。従来の方法も幾らか伺っておりますけれども、先ほどのウエブとか、ネットでそれを見られる方と見られない方も当然あるわけで、そういう部分も含めて、今後の新しい発信の方法のお考えがあればお聞きしたいと思います。
〇高橋広聴広報課総括課長 県の広報のあり方と新しい取り組みについてのお尋ねについてお答えいたします。
 県の施策を広く県民にお知らせすることにつきましては、県政の広報誌でありますいわてグラフを全戸に配布しておりまして、そのほか県内の民放4局のテレビ、それから民放2局のラジオによる放送、それから新聞の活用、さらには、適時な情報発信といたしましてホームページの活用、それからツイッター等のウエブを活用して情報の発信に努めているところでございます。
 ツイッターにつきましては、3月11日の災害後にツイッターのフォロアー、見ていただく人が当初の2、500人から現在3万4、000人までふえたということで、有効な一つかなと考えております。
〇工藤勝博委員 いろいろな工夫をしながら県政の発信をされていると思いますけれども、自己満足に終わらないように、県民が県政を注目すると、しているんだという仕組みも必要だろうと思います。そういう中で、先だっての選挙でも、県は何やってんだと、さっぱりわがんねという県民の方がおります。また、議会は何やってんだと、そういうおしかりも受けました。やはり、その都度発信しなければ県民は納得しないだろうと思いますし、その都度発信しなければ、県民は納得しないだろうと思いますし、特にも、この震災も含めて情報をさらに吟味する必要もあるだろうと思います。そういう中で、知事が毎週、隔週ですか、記者会見もやっています。やっぱりトップリーダーが県の方針、姿勢をリアルに県民に示す必要もあるだろうと思います。
 議会中は知事の記者会見も拝見することがありますけれども、なかなか、いざとなればそういう機会もないということで、先ほど民放も活用している、あるいはまた、公共放送も活用していると言いながら、やっぱりそれらも含めて、週に1回ぐらい、例えば全放送でなくても、部分的な要点だけでも知事の記者会見を電波に乗せる必要があるんだろうと思いますけれども、その辺のお考えはあるでしょうか。
〇稲葉秘書広報室長 知事は、定例記者会見として、通常であれば月曜日に記者会見を開催しておりまして、その様子などは、インターネット動画で配信するという活動もしておりますし、その記録を起こしまして県のホームページなどに掲載するという形で、皆さんに見ていただけるようにしているところでございます。
 ただいま委員から御提案のありました電波を使ってということになりますと、経費がかかってくるということもございますので、その辺のところも勘案しまして、ラジオなども使いまして、経費の範囲内で県からお知らせをしているところでございますが、今後、知事が、できるだけ県民に情報を伝えるようにということで、県政広報紙あるいはテレビやラジオの番組なども、知事に積極的に出ていただく、あるいは知事が活動している様子を広報していくという形で進めてまいりたいと思います。
〇工藤勝博委員 最後です。この震災を機に、宮古市長が、宮古市民に向けて毎週、自分の声で取り組みを発信しています。一つの参考としてああいう方法が、これから、県民に向けての発信は大事だろうと思います。その辺も含みの上、今後検討していただきたいと思います。
〇木村幸弘委員 1点だけお伺いします。県政懇談会で草の根地域訪問、こんにちは知事ですという取り組みがあります。この取り組みの成果並びに取り組んだ結果としてどのような課題が出ているのか、お伺いしたいと思います。
〇高橋広聴広報課総括課長 草の根地域訪問、こんにちは知事ですの成果についてのお尋ねにお答えいたします。
 県民の声の県政への反映と県民の皆様との協働による地域づくりを推進するために、元気なコミュニティ100選で選定した団体を中心に訪問して、防災活動やイベント開催による観光誘致の活動や、雑穀による特産品の開発、販売、伝統文化の継承などの地域活動をされている皆様と意見交換を行ってまいりました。
 昨年度は8回開催しておりまして、平成19年度から4年間で計37回開催しております。
 この訪問によりまして意見交換した状況につきましては、県のホームページや、それから、いわてグラフで紹介させていただきまして、広くPRしております。それから、いただいた御意見や御提言につきましては、県政に反映させるように努めております。
〇木村幸弘委員 平成22年度で8回ということですが、指標の評価で、これも達成度Dということで、回数に対しての達成度Dという評価なんですけれども、回数の問題だけなのか、中身の問題がどうなっているのかということで、私は、この指標の設定の仕方もあると思うんです。結局、コミュニティ100選と連動しながら、いろいろとその地域を回って、そのコミュニティの活動を、知事も、まずは自分の仕事は知ることであると現場主義を唱えているわけですから、それは、そういう姿勢として、知事としての活動ですので一定の評価はいたしますが、ただ、問題は、それがどう生かされていくのかというところがなかなか、やはりこの事業の方向性や意義づけとして見えてこないんですよね。
 そういった点についてどのようにお考えであるのかお伺いしたいと思いますし、それから、その選定に当たって、これは、秘書広報室の事務方がその場所を選ぶのか、あるいは知事自身の、今年度はこういった場所あるいは地域に行きたいという思いがそこにきちんと反映されたものになっているのか、そういった部分についてもどうなのかお伺いしたいと思います。
〇高橋広聴広報課総括課長 ただいまのお尋ね、一つ目は、課題ということで、県政懇談会の課題についてということで、二つ目は、選定の方法ということについてお答えいたします。
 県政懇談会全般の課題といたしましては、タイトな知事の日程の中で、どういうふうに効率的に県政懇談会を開催していくかということが一つ、昨年度実施した課題であります。それから、より提言が多く出されるように開催方法を工夫するということを課題としております。
 それから、こんにちは知事ですの草の根訪問の選定に当たりましては、広域振興局と相談して、協議して選定しております。
〇木村幸弘委員 本当に、知事が県民の現場におけるいろいろな活動に対して、どんな思いを持ってその場所に踏み込んでいくのかという、やっぱり知事自身の考え方というか思いが、この事業の中にしっかりと入っていかないと、何か、お膳立てをして、そこに出向いて、ただ話を聞いて終わりというだけでは、本当の意味でのコミュニティをお互いに物にしていくというか、そういうものになっていかないのではないかとも感じますので、そういった点については、ぜひ、今後のというよりも、選挙が行われて、知事も新しい任期を迎えたわけですが、今後、この事業そのものが継続されていくのかどうかについても、改めて確認したいと思います。
〇高橋昌造委員長 この際、進行に御協力願うため、答弁は簡潔明瞭、わかりやすくお願いいたします。
〇高橋広聴広報課総括課長 県政懇談会の今後につきましては、大震災の復興を主なテーマにしまして、なりわいの再生に取り組んでいる方々やNPO、それからボランティアの方々、支援している方々との活動内容について、機会を設けたいと考えております。
〇木村幸弘委員 わかりました。まず、いずれそこにかかわる知事の決意というか思いというか、特に、今お話があったように、これから、大震災にかかわる部分を重点的にいろいろな関係する方々と話し合いを進めたいということであれば、そこには、やはり知事の思いがきっちりと入ったような仕掛けといいますか、取り組み方を進めていただくように要望しておきたいと思います。
〇高橋昌造委員長 答弁はいいですね。
〇木村幸弘委員 はい。
〇斉藤信委員 秘書広報室の設置は、知事のトップマネジメントを支援するというか強化するということでしたが、具体的に、どのように知事のトップマネジメントは発揮されたのか示していただきたい。
〇稲葉秘書広報室長 具体的にどのように発揮されたのかということでございますので、私どもの取り組みを少し紹介したいと思います。
 具体的な私どもの取り組みといたしましては、県内経済団体等を訪問いたしまして情報収集等を実施し、その結果について知事等に御報告をしているところでございますし、首都圏の団体や本県にゆかりのある首都圏在住者等からも、御意見をちょうだいしているところでございます。
 あと、震災後でございますけれども、東日本大震災津波の発災後は、知事の指示のもとに、県民へのメッセージの発信あるいは関係団体や内陸市町村への協力要請など、震災対応に当たる知事のトップマネジメントを身近で支えてきているところでございます。
〇斉藤信委員 大震災津波の中で、私は、知事の役割、情報発信力というのは厳しく問われたと思います。知事は一生懸命やっていると私は認めた上で聞きますが、3月25日のNHKでのインタビューは、多くの県民から苦情の声が寄せられる大変残念なものでありました。なぜそういうことになったのか、県民からどういう苦情、声が寄せられたのか、これを示していただきたい。
〇佐藤報道監 ただいまの知事の3月25日NHKテレビ出演の経緯あるいは県民からの声に関して御説明申し上げます。
 まず、知事のNHK出演に係る経緯についてでありますが、平成23年3月21日のことですが、NHKから3月25日放送予定の岩手、宮城、福島の3県知事による討論番組への出演について申し込みがあったところでございます。
 翌日3月22日、出演の依頼について、知事から受諾の意向であることを確認しまして、この意向につきましてNHK側に御連絡したところでございます。
 3月24日でございますが、NHKに前日から依頼申し上げていたのですが、その番組の具体的な質問、予定事項等の知事の出演内容等について案の送付をお願いしたところでございましたが、まだ作成していないということから、やむを得ず、当該時点での担当ディレクターの構想を電話で聴取いたしました。
 その聴取した内容につきまして知事へ説明したところ、当該出演内容等の中に知事としてコメントするにふさわしくない内容があることから、出演はお断りすることとしまして、その旨、NHKへ連絡したものでございます。
 翌日3月25日、放送当日になるわけでございますが、NHKの担当ディレクターが直接来庁されまして、知事に面談、出演依頼を行いましたが、知事はお断りしたところでございますが、同日、その後、NHK側から、番組の冒頭に知事がコメントを述べる形での出演企画の再提案がございまして、これを受諾することとし、同日、先方の提案に従って出演したものでございます。
 以上、経緯でございますが、知事出演に関し寄せられた声についてでございますが、件数は18件でございまして、その内容は、主に、原稿を読み上げたことに対する批判となっているものでございます。
〇斉藤信委員 今の経過の中で、知事としてコメントするにふさわしくない内容があったから出演は断ったと。これは、具体的にどういうことですか。
〇佐藤報道監 予定質問事項等の中に、福島の原発事故について、同じ東北としてどう対応するかなど、当時の錯綜した状況の中で責任を持ってお答えするにはふさわしくないと判断される内容がございました。
〇斉藤信委員 福島の原発事故、わからなかったら、わからないと言えばいいんですよ。断る理由にならないですよ、そんなことは。3月25日というのは、震災発災から10日ですよね。こういうときに岩手県のトップが県民に何を語るか、極めて重要な場ですよ。情報発信ですよ。
 私は、そういう意味で、残念ながら、原稿棒読みになって、アナウンサーが質問してもそれに答えなかったと。やっぱりああいうときというのは、知事のみずからの思いと、その復旧、復興にかける取り組みを、なぜ生の声で語らないのかと。
 私は、知事のトップマネジメントと言うんだったら、こういうことこそ一番重視して対応すべきだったのではないかと思いますが、いかがですか。
〇稲葉秘書広報室長 最初、知事がお断りしたというのがございまして、これはふさわしくない内容もありましたが、どういう中身の番組であるかということがなかなか詰まっていないということもありました。知事が出て何をしゃべってもいいということであれば県民にメッセージを伝える場になるのですが、番組側が、どういう構成でいくのかというところについて十分に準備ができないということもありまして、最終的には一たんお断りしましたが、再度、企画の内容を変えるということで、番組の冒頭に知事からコメントをいただく形で出演いただけないかという提案があったので、それをお受けして、提案の内容どおりに知事は出演したという形でございます。
 知事としては、そういう形であっても、県民へのメッセージをお伝えするという気持ちを表現したということだと思っております。
〇斉藤信委員 私は、NHKの企画が具体的にどうあれ、東日本大震災津波の救援、復興の取り組みをどう進めるかというのが大テーマだとはっきりしているじゃないですか。あの時期のいかなる企画であろうと。それに、やっぱり知事が真剣に対応する、それに積極的に皆さんがトップマネジメントを支える、これは当たり前じゃないですか。
 そして、残念ながら原稿の棒読みになってしまった、気持ちが伝わらなかった。私は、それこそあなた方が支援すべき中身じゃないかと思いますよ。
 そういうことで、この問題は、本当に原稿の棒読みということが、そういう機会が多いものですから、今後、トップマネジメントと言うんだったら、しっかりそういう知事の取り組みを支えていただきたい。
 それで、昨年度、私は、予算特別委員会の議事録を見ていてちょっと驚いたんだけれども、報道各社との懇談会を秘書広報室がやっていると。この報道各社との懇談会というのは、何を目的に、どんな中身で、どれだけやられているのか、示していただきたい。
〇佐藤報道監 報道各社との懇談についての御質問でございますが、さらに質の高いパブリシティーを推進するため、県の施策等の背景や制度などの関係事項につきましても、報道機関に理解を深めてもらうことが重要と考えておりまして、平成22年度において、定例記者懇談会という名称で県政記者クラブとの定期的な懇談の場を設けまして、積極的なパブリシティー活動を図ったところでございます。
 具体的には、8回実施しておりまして、知事部局の8室部の業務方針、トピックスや事業等の背景等の解説を行ったところでございます。
〇斉藤信委員 あなた方の言うトップマネジメントというか情報発信がこんな中身であったら、これはマスコミとの癒着じゃないですか。マスコミというのは、県議会と同じように、行政、権力を厳しく監視して県民の立場から情報発信する、それが使命ですよ。
 あなた方、年間8回も懇談をして、発表ジャーナリズムが問題になっているときに、発表ジャーナリズム以上の癒着じゃないですかね、これ。本来マスコミというのは、ほかの社に先駆けてどういう特ダネを出すか、どういう大事なニュースを発信するかが問われるんですよ。こんなマスコミとの懇談会をやっているのだったら、情報発信にならないですよ。大事な情報は、報道に載せることは必要だけれども、こんななれ合い懇談はやめて、もっと緊張感あることをすべきじゃないですか。
〇稲葉秘書広報室長 今年度は、災害等もございましたので、この懇談会は休止という形にしているところでございますが、この懇談会の趣旨につきましては、なれ合いとか癒着ということではなくて、県が取り組んでいることを報道関係者にもきちんと理解をしていただくということが、その後の適正な記事につながるのではないかということで開催したものでございます。
〇斉藤信委員 最後ですけれども、今のこういう懇談会の成果かどうかわからないけれども、定例記者会見、この中身が最近は極めて貧困です。私は、もう記者のまさに劣化を感じますね。
 それで、知事の定例記者会見というのは大事な情報発信だけれども、小沢問題になると暴走する。これは前にも私は指摘をいたしましたが、昨年、特に、例えば西松建設事件、陸山会事件は検察の暴走だ、こういう発言がありました。検察審査会の起訴というのは異常、不条理だ。小沢一郎さんの秘書が逮捕、起訴されたという、その逮捕、起訴自体が、どう考えたって不当だ。まさに三権分立を否定するこういう発言を定例記者会見で行うと。
 あなた方は、この間、本会議での千葉伝議員の質問に対しては、かなり冷静な答弁でした。秘書広報室が書いたんですよ。しかし、知事が答弁すると、私が言ったような、三権分立を否定するような異常なああいう発言になってしまう。
 あの定例記者会見の内容も、あなた方がしっかり協議して、知事にふさわしい定例記者会見の発言にすべきじゃないですか。いかがですか。
〇高橋昌造委員長 斉藤委員に申し上げます。
 決算審査であることの趣旨を踏まえて質疑を行うようお願いいたします。
〇斉藤信委員 委員長、私は、去年の定例記者会見の内容について触れているんですよ。これが最大の情報発信でしょう。委員長、何を考えているんですか。
〇高橋昌造委員長 決算審査でございますので、その意を体して質疑を行うようお願いいたします。
〇斉藤信委員 委員長に私、意見がある。
 いいですか、これは、昨年の決算にかかわって情報発信、トップマネジメントの具体的中身じゃないですか。委員長の発言を撤回してください。何が問題なんですか。何か私が逸脱しましたか。私は委員長の発言の撤回を求める。
〇高橋昌造委員長 斉藤委員に申し上げますが、基本的な、今、決算審査でございますので、その趣旨を踏まえていただきたいということでお願いしているので、発言を封じるとかそういうことじゃございません。
〇斉藤信委員 委員長、私が昨年の決算とずれて質問したら、あなたの指摘を受けますよ。私は、去年の定例会見の知事発言の中身を指摘して、知事のトップマネジメント、情報発信、その中身に問題があるのではないかと言っているんでしょう。どこが問題なんですか。委員長の発言を撤回してください。だめだそんなのは。やり過ぎだ。
〇高橋昌造委員長 斉藤委員に申し上げますが、私がお話ししたいのは、決算審査でございますので、その趣旨を踏まえて質疑を行ってほしいということのお願いでございますので、そのことだけは理解してほしいと。
〇斉藤信委員 委員長、私がお願いされる筋はないですよ。いや本当に、あなたの今の私に対する発言を精査してやってください。そんなことを言われる筋はない、私は。去年の定例会見の中身を紹介して取り上げているんでしょう。委員長の暴走ですよ、それ。だめだ、それは。議事進行に協力しているのに。
〇高橋昌造委員長 斉藤委員に申し上げます。
 いずれ私の発言に対して斉藤委員からそういうお話がありましたが、私は、基本的に、決算審査での質疑ということでお願いしたんですが、そのことが斉藤委員にもし御迷惑をかけたというのであれば、これは私の責任でありますので、そこは御理解していただきたいということでよろしいですか。
〇斉藤信委員 いやいや、あなたの責任だから撤回するんですか。謝るんですか。せめて謝ってください、そうしたら。だめだよ、そんなのは。
〇高橋昌造委員長 斉藤委員、陳謝する、しないじゃなく、私からのお願いであるので、そこは御理解していただきたいということで、あとは、このことについては、後刻、世話人会で協議させていただきますので、そこはひとつ御了承いただきたいと思います。
 よろしいですか。
〇斉藤信委員 いいよ、世話人会をやるというんならいい。
〇高橋昌造委員長 では、答弁をお願いします。
〇稲葉秘書広報室長 記者会見におきましても、知事は、政治家として御自身のお考えを述べることはございまして、これについては、知事の政治家としてのお考えを述べられているものと考えております。
〇斉藤信委員 本会議で質問すれば、あなた方が質問に答弁して、きちんとまともな冷静な答弁になります。しかし、知事の定例会見というものも公務なんですよ、公務。知事の定例会見になると逸脱、暴走するということを、あなた方はずっと続けているんですよ。これはなぜですか。それは、知事秘書がそこに責任を持っているんですか。あなた方は定例会見に責任を持っていないのですか。
〇稲葉秘書広報室長 定例記者会見は、県政記者クラブと県が共同で開催しているものでございますので、会見その場について責任がないとは申し上げませんが、記者もいろいろな質問をされます。それに対して知事はお答えをしているということでございまして、その質問の内容が、政治家個人としての発言であるということもあるものでございます。
〇斉藤信委員 これで終わりますが、本会議で答弁をすれば冷静な答弁になる。しかし、いいですか、定例会見はずっと続いているんです。こういう異常な発言が何回も続いているんです。1回、2回なら、それはあるでしょう。しかし、小沢問題に限って言うと、本当に一般の県民から見て、国民から見ても異常にしか見えない、そういう発言が続いているんですよ。それで何で知事のトップマネジメントを支援することになるんですか。
 私は、あなた方がトップマネジメントを支援する、情報発信を強化するというのだったら、しっかりこの問題を協議して、知事のスタンスというものを決めて─知事は、個人の政治家だから何をしゃべってもいいということにならないですよ。そのことを指摘して、終わります。
〇伊藤勢至委員 関連。
 ここは議員同士でやりとりをする場ではありませんけれども、ある程度、ほどというものがあると思っております。そういう中で、先ほど来、小沢問題あるいは西松建設がどうこうと言っていますけれども、日本は法治国家でありまして、今、上告、控訴をこれからまたしようとしているときにあって、あたかも結果が出たような、そういうあおる言い方はやめてもらいたいと思っております。
 それから、3月25日の知事の会見についてでありますが、我が家も被災をいたしまして、テレビも映らない、防災無線も鳴らない、そういう状況の中にありまして、そういう放送は見ておりませんでした。恐らく被災地の皆さんも見ていなかったと思います。
 そういう中にありまして、この県の自治体のトップが、状況をわかって、県民の皆さんが状況をわかった中で、これは左、右、赤、白、そういうことを発言するのは結構でありますけれども、どういう報道機関であっても、このような流れで、こういう進み方でやりたいというのがわかったら、それに乗っかって堂々と県民を代表する意見を言うべきだと思いますが、ある意味、誘導尋問に乗せられるような、そのようなやり方にはトップが軽々に乗ってはいけない、このように思っております。
 私は、被災地にありまして、まず、身内、いとこ、親戚の生命、安否を確認している時間帯でありました。この2週間はほとんど、恐らく多くの人がそうだったと思います。そういう中にあって、結果がわからないものを軽々に発表されるよりは、どこにも触れない文書を読むことが、むしろ正しい対応だったのではないかと思っております。
 宮城県の知事の対応が早かったとか、福島がどうのこうのと言っていますけれども、被災の重さが違って、ただただあおる、あおり立てるやつがいるというのは非常に好ましくない。余りいい死に方をしないのではないかと思ったりもしておりますけれども、いずれ我々は、この場で県民としてのやりとりをしていくべきであると思うところであります。
 答弁は要りません。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、秘書広報室関係の質疑をこれで終わります。
 秘書広報室の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、出納局長に出納局関係の説明を求めます。
〇菅原会計管理者兼出納局長 それでは、出納局関係の決算について御説明申し上げます。
 便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書─一番厚い冊子でございます─により説明いたします。
 最初に、162ページをお開き願いたいと思います。第2款総務費第1項総務管理費第1目一般管理費のうち、出納局関係の支出済額は、163ページの備考欄に記載のとおり、出納局の管理運営費2億4、050万円余でございます。これは、職員31名の人件費など、出納局の管理運営に要した経費でございます。続きまして、164ページ及び165ページをお開き願います。第5目会計管理費の支出済額は2億5、764万円余でございます。これは、金融機関などからの一時借入金の支払い利息などの管理運営費と、167ページに記載しておりますが、収入証紙の売りさばき手数料及び電子収納システム運営費でございます。
 次に、ページを飛んでいただきまして、422ページ、423ページをお開き願います。証紙収入整理特別会計の決算についてでございますが、収入済額の合計額は45億9、022万円余でございます。次のページをごらん願います。支出済額の合計額は、425ページに記載しておりますとおり45億6、774万円余でございます。これは、一般会計への繰出金でございます。その内訳は、県税、使用料及び手数料となっております。
 次に、飛んでいただきまして、450ページの実質収支に関する調書をお開き願います。証紙収入整理特別会計の実質収支額についてでありますが、5の実質収支額に記載のとおり2、248万円余でございまして、これは、翌年度に繰り越しをしているものでございます。
 以上で出納局関係の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 1点だけお伺いいたします。
 3月11日、思ってもみなかった大震災に襲われたわけでありますが、その後、私は、延期となった18日の定例会の際に、副知事と出納局長にお願い申し上げました。3月11日といいますと、ちょうど年度末ということでございまして、県営工事の発注工期というのは、大体3月20日から25日には上がるようになっているわけであります。
 今回の大震災で、本庁機能は全然何もなかったわけでありますが、完成検査が人数的に難しいとかといったことで、いわゆる建設工事に対する支払いが延びるようなことがあってはいけない。したがいまして、仮に検査がおくれることがあっても、恐らく3月末までには完成を目指してきた現場というのは、85%、90%の完成に近づいているものだと思いまして、ぜひ、この支払いを延ばすことがないように、大震災が来たからといいまして切った手形が延びるわけじゃないものですから、そういうことになると第二次災害を起こしかねないので、何とかお願いしたいと申し上げました。
 それにつきまして、どういう配慮があったか、業界からは大変助かったという声は聞いておりますが、困ったという声は聞かなかったので、多分善処をしていただいたんだと思いますけれども、こういう緊急の場合ですから、そういうことが大いにあって結構だと思っています。やっていただいたことをちょっと教えていただきたいと思います。
〇菅原会計管理者兼出納局長 震災発生後の出納局の対応についてでございますが、ただいま委員から御指摘がありました県営建設工事等も含めて、会計処理につきましては、災害時の発生に対処するための緊急的な措置として、円滑にしていただくように通知を出しております。
 そして、御指摘の県営建設工事を初めとしまして、その支払いに関しましては、関係部局で迅速な手続をするとともに、当然のことながら、出納局におきましても、迅速に支払い手続を行っているところでございます。
 被災後におきましては、仮設住宅の建設、それから、民間賃貸住宅の借り上げ、災害関連のさまざまな支援事業など支払いが多くなっておりますが、今後とも、各部局と連携しながら支払い手続を迅速に進めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、出納局関係の質疑をこれで終わります。
 出納局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、人事委員会事務局長に人事委員会関係の説明を求めます。
〇熊田人事委員会事務局長 人事委員会関係の決算につきまして説明を申し上げます。
 お手元の歳入歳出決算事項別明細書により説明を申し上げますので、186ページをお開き願います。
 第2款総務費のうち、8項人事委員会費でございます。予算総額1億3、940万9、000円に対しまして、支出総額は1億3、733万4、000円余でございます。内訳でございますが、1目の委員会費の支出済額の640万9、000円余は、委員3名分の報酬など委員会の運営に要した経費でございます。次に、2目の事務局費の支出済額は1億3、092万4、000円余でございますが、これは、職員15名分の人件費及び事務局における公平審査事務、任用関係事務及び給与関係事務等の管理運営に要した経費でございます。
 以上で人事委員会関係の決算の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、人事委員会関係の質疑をこれで終わります。
 人事委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、監査委員事務局長に監査委員関係の説明を求めます。
〇千田監査委員事務局長 監査委員関係の決算につきまして御説明を申し上げます。
 お手元の歳入歳出決算事項別明細書─厚いものですが─それにより御説明申し上げますので、188ページをお開き願います。
 第2款総務費のうち、9項監査委員費1目委員費の支出済額は1、786万円余でありますが、これは、監査委員4名の報酬、給与及び監査等に要した経費であります。2目事務局費の支出済額は2億2、279万円余でありますが、これは、事務局職員の人件費等事務局の管理運営に要した経費であります。
 以上で監査委員関係の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、監査委員関係の質疑をこれで終わります。
 監査委員事務局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時4分 散会

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