平成23年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成23年10月24日(月)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長    宮   一 夫
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    村 上   聡
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事      宮 舘 壽 喜
  副知事      上 野 善 晴
  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    浅 沼   浩

  秘書広報室長   稲 葉 比呂子

  総務部長    加 藤 主 税 
  総務部副部長兼
  総務室長     小 原 敏 文
  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治

  政策地域部長   千 葉 茂 樹
  政策地域部副部長
  兼政策推進室長  木 村 卓 也
  政策地域部副部長
  兼地域振興室長  佐々木 和 延
  兼復興局参事
  政策監兼復興局
  企画課総括課長  大 平   尚
  市町村課総括課長 堀 江   淳

  環境生活企画室
  企画課長     伊 勢   貴

  保健福祉企画室
  企画課長    高 橋 勝 重

  商工企画室
  企画課長     飛鳥川 和 彦

  農林水産企画室
  企画課長     小 岩 一 幸

  県土整備企画室
  企画課長     及 川   朗

  理事兼復興局
  副局長    廣 田   淳
  理事兼復興局
  副局長      平 井 節 生

  経営管理課
  総括課長     大 槻 英 毅

  教育企画室
  企画課長    石 川 義 晃

  監査委員     伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦
〇宮議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、佐々木大和委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 佐々木大和委員、委員長席にお着き願います。
   〔年長委員佐々木大和君委員長席に着く〕
〇佐々木大和年長委員 ただいま御紹介いただきました佐々木大和でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 委員長互選の方法は投票により行います。
 委員会室の閉鎖を命じます。
   〔委員会室閉鎖〕
〇佐々木大和年長委員 ただいまの出席委員数は46名であります。
 お諮りいたします。立会人に佐々木朋和君、神崎浩之君を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、立会人に佐々木朋和君、神崎浩之君を指名いたします。
 投票用紙を配付します。
 念のため申し上げます。投票は単記無記名であります。
   〔投票用紙配付〕
〇佐々木大和年長委員 投票用紙の配付漏れはありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
   〔投票箱点検〕
〇佐々木大和年長委員 異状なしと認めます。
 これより投票に移ります。職員の点呼に応じて、順次投票願います。
 点呼いたします。
   〔氏名点呼〕
   〔各員投票〕
〇佐々木大和年長委員 投票漏れはありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 開票を行います。
 佐々木朋和君、神崎浩之君、立ち会いを願います。
   〔開票〕
〇佐々木大和年長委員 選挙結果の報告をいたします。
 投票総数 46票
  有効投票 43票
  無効投票 3票
 有効投票中
  高橋 昌造君 36票
  及川あつし君 7票
 以上のとおりであります。よって、高橋昌造君が決算特別委員長に当選されました。
 委員会室の閉鎖を解きます。
   〔委員会室開鎖〕
〇佐々木大和年長委員 ただいま当選されました高橋昌造君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 高橋昌造委員長、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長高橋昌造君委員長席に着く〕
〇高橋昌造委員長 ただいまは、委員各位の御推挙により決算特別委員長に選出いただきまして、大変光栄に存じておる次第であります。
 委員各位の御協力によって責務を全うしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 副委員長互選の方法は投票により行います。
 委員会室の閉鎖を命じます。
   〔委員会室閉鎖〕
〇高橋昌造委員長 ただいまの出席委員数は46名であります。
 お諮りいたします。立会人に名須川晋君、城内愛彦君を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 御異議なしと認めます。よって、立会人に名須川晋君、城内愛彦君を指名いたします。
 投票用紙を配付します。
 念のため申し上げます。投票は単記無記名であります。
   〔投票用紙配付〕
〇高橋昌造委員長 投票用紙の配付漏れはありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
   〔投票箱点検〕
〇高橋昌造委員長 異状なしと認めます。
 これより投票に移ります。職員の点呼に応じて、順次投票願います。
 点呼いたします。
   〔氏名点呼〕
   〔各員投票〕
〇高橋昌造委員長 投票漏れはありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 開票を行います。
 名須川晋君、城内愛彦君、立ち会いを願います。
   〔開票〕
〇高橋昌造委員長 選挙の結果を報告いたします。
 投票総数 46票
  有効投票 43票
  無効投票 3票
 有効投票中
  熊谷 泉君 36票
  久保孝喜君 7票
 以上のとおりであります。よって、熊谷泉君が決算特別副委員長に当選されました。
 委員会室の閉鎖を解きます。
   〔委員会室開鎖〕
〇高橋昌造委員長 ただいま当選されました熊谷泉君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 熊谷泉副委員長、ごあいさつ願います。
〇熊谷泉副委員長 ただいまは、委員各位の御推挙により決算特別委員会副委員長に選出いただきました。大変光栄に存じておるところでございます。
 委員長を補佐し、円滑な委員会運営に努めてまいりますので、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇高橋昌造委員長 執行部職員を入室させますので、しばらくお待ち願います。
   〔執行部職員入室〕
〇高橋昌造委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から28日まで、31日から11月2日までの8日間は、会計管理者及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算15件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、11月2日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成22年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算までの15件を一括議題といたします。
 これより、会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇菅原会計管理者 それでは、平成22年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元に歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしております。
 まず、決算の概況について、便宜、歳入歳出決算説明書に基づき御説明させていただきます。
 それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。1決算の状況をごらん願います。
 いわて県民計画の実質的初年度に当たります平成22年度の歳入歳出決算の状況は、次のとおりであります。
 平成22年度一般会計当初予算は、いわて県民計画に掲げます希望郷いわての実現に向けた希望維新、希望郷いわて元年予算として6、987億6、698万円が措置され、前年度の当初予算に比べまして399億2、970万円、6.1%の増となっております。
 また、この当初予算に、東日本大震災津波に係る災害救助経費や経済対策関連としての公共事業の追加、国の交付金を活用した基金の造成、積み増しなど284億9、074万円の増額補正が行われたところであります。これに、前年度からの繰越額359億6、774万円を加えた結果、最終予算額は7、632億2、546万円となり、前年度に比べますと130億6、415万円、1.7%の減となったものであります。なお、減額となった要因につきましては、決算の特色のところで改めて御説明させていただきます。
 次に、歳入についてでありますが、40ページ及び41ページをお開き願います。第2表一般会計歳入決算状況をごらん願います。
 まず、収入済額、第2表の区分の収入済額(A)の合計の欄でございます。7、369億4、696万円余で、昨年度と比べますと、表の右側の比較増減額(A)-(B)の合計額の欄でございますが、113億1、318万円、1.5%減少し、予算現額に対しまして96.6%、調定額に対して97.5%の収入率となっております。なお、収入未済額は183億7、217万円余で、前年度に比べまして33億5、228万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは諸収入であります。
 次に、歳出についてでありますが、少し飛びまして、48ページ及び49ページをお開き願います。第7表一般会計歳出決算状況でございます。
 支出済額は6、971億1、026万円余で、前年度に比べますと379億9、659万円余、5.2%減少し、予算現額に対する支出済額の割合は91.3%となっております。また、翌年度繰越額は479億7、341万円余で、前年度に比べまして120億567万円余増加いたしましたが、この繰越額の主なものは土木費及び農林水産業費であります。なお、不用額は181億4、177万円余で、前年度に比べまして129億2、677万円余増加しております。
 次に、実質収支の状況についてでありますが、少し戻っていただきまして、38ページ及び39ページをお開き願います。
 第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入決算額は7、369億4、696万円余、歳出決算額は6、971億1、026万円余であり、歳入歳出差し引き額は398億3、669万円余となったものであります。
 また、歳入歳出差し引き額から翌年度へ繰り越すべき財源249億481万円余を差し引いた実質収支額は149億3、187万円余の黒字となっております。
 次に、一般会計の決算の特色についてでありますが、1ページに再度戻っていただきたいと思います。2決算の特色をごらん願います。
 一般会計の決算の特色といたしましては、第1には、決算の規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、歳入におきましては、国庫支出金、県税、使用料及び手数料等の減少により、前年度を113億1、318万円、1.5%下回り、歳出におきましては、農林水産業費、土木費等の減少により、前年度を379億9、659万円、5.2%下回ったものであります。
 第2には、実質収支が増加したことであります。実質収支が増加した要因といたしましては、厳しい財政環境のもと、歳入の確保、歳出のより効率的な執行に努めたこと、また、東日本大震災津波対応として、本年3月に緊急に補正計上した民生費─災害救助費等において不用額が生じたことによるものであります。このような要因によりまして、実質収支は149億3、188万円の黒字となり、前年度に比べ109億9、721万円、279.5%増加しております。
 第3には、基金からの繰入金が増加したことであります。緊急雇用創出事業臨時特例基金など、国の経済危機対策として造成された各種基金を財源とする事業が進捗し、基金からの繰り入れを行ったことなどによりまして、基金繰入額は254億1、130万円となり、前年度に比べ117億8、025万円、86.4%増加しております。
 第4には、義務的経費が増加し、投資的経費は減少したことであります。義務的経費は、総人件費の抑制により人件費が減少しておりますが、公債費が増加したこと等によりまして、前年度に比べ87億9、404万円、2.9%増加しております。
 一方、投資的経費は、国の公共事業予算の大幅な減により普通建設事業費が減少したこと等によりまして、前年度に比べ217億8、192万円、17.2%減少しております。これによりまして、歳出総額に占める投資的経費の割合は15.1%となり、前年度の17.2%に比べまして2.1ポイント減少しております。
 続きまして、2ページをお開き願います。
 第5には、東日本大震災津波により翌年度繰越額が大幅に増加したことであります。翌年度に繰り越した金額は、事故繰越額が、東日本大震災津波により事業の進捗に影響を生じたこと等から139億922万円となり─前年度の229万円─前年度に比べ139億693万円と大幅に増加しております。
 一方、繰越明許費繰越額は、計画調整等に不測の日数を要したことや、国の経済対策に対応した公共事業の追加等によりまして340億6、419万円となり、前年度に比べ19億126万円、5.3%減少したものの、依然として多額の繰越額となっております。これによりまして、繰越額全体では479億7、341万円と、前年度に比べ120億567万円、33.4%増加しております。
 以上、一般会計の特色を申し上げました。
 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。少し飛びまして、29ページをお開き願います。特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入総額は1、732億5、251万円余であり、前年度に比べ112億2、205万円余の減となりましたが、その主なものは、公債管理特別会計の減などであります。また、歳出総額は1、684億1、942万円余であり、前年度と比較して120億1、346万円余の減となりましたが、その主なものは、公債管理特別会計の減などであります。なお、実質収支は各会計とも黒字となっております。
 以上で決算の概要説明を終わらせていただきますが、決算の内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれの担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
 なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところであります。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げまして、以上で説明を終わらせていただきます。
〇高橋昌造委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主党が51分、次に、自由民主クラブが29分、次に、地域政党いわてが13分、次に、社民党が11分、次に、日本共産党が9分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属清水恭一委員、無所属小泉光男委員、無所属佐々木茂光委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること。この場合におきましては、会派として続けて行うことになっておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす遅くとも正午までに終了することを目途とすることにしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。喜多正敏委員。
   〔喜多正敏委員質問者席に着く〕
〇喜多正敏委員 委員長、まず、御当選おめでとうございました。
 昨年度末の平成23年3月11日、予算特別委員会の最中に発災した東日本大震災津波、さきの台風等により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。一刻も早い復旧、復興を果たしていかなければならないと思っております。
 このようなときに当たり、総括質疑の機会を与えていただきました先輩、同僚委員の皆様に感謝を申し上げます。本日は、前半を私から、後半を高橋但馬委員と分担して質問したいと存じますので、よろしくお願いします。
 さきに行われた代表質問や一般質問と重なるところがあると思いますが、そのまま順次質問してまいりますので、誠意ある、かつ前向きな御答弁をよろしくお願い申し上げます。
 最初に、財政問題、いわて県民計画についてお伺いします。
 平成22年度予算は、厳しい経済、雇用情勢や地域医療などの諸課題への対応や、いわて県民計画に基づく希望郷いわての実現に向けた事業を盛り込み、予算規模は、平成21年度当初予算6、588億3、700万円から6、987億6、700万円、6.1%の大幅増となりました。その後、数次の補正予算により、最終的には平成22年度の一般会計の決算は、歳入は7、369億4、600万円余となり、平成21年度の7、482億6、000万円余に比較して113億1、300万円の減、歳出は6、971億1、000万円、平成21年度の7、351億円余に比較し370億9、600万円余の減となりました。実質収支額では149億3、188万円余の黒字となりましたが、県の借入金である県債残高は、普通会計ベースで平成21年度の1兆5、072億7、200万円から、平成22年度1兆5、280億9、100万円に、208億1、900万円増加しました。
 一方、平成22年度の主要施策の成果に関する説明書及びいわて県民計画実施状況報告書─以下、実施状況報告書と言います─によれば、目指す姿指標から見た達成状況では、85指標中、達成は37指標、おおむね達成は7指標であり、両者で51.7%と、平成21年度の56.5%を下回り、具体的な推進方策指標から見た達成状況でも284指標中、達成、おおむね達成の合計は174指標で、全体の61.3%であり、平成21年度の182指標、64.0%を8指標、2.8%下回りました。
 いわて県民計画においては、県北・沿岸地域の振興は県政の重要課題として重点的に取り組むとされているところでもあります。知事は、平成22年度の財政運営をどのように評価しているかお伺いします。また、主要施策の成果及びいわて県民計画実施状況をどのように評価しているかお伺いします。
〇達増知事 平成22年度の財政運営の評価についてでありますが、平成22年度当初予算は、現下の厳しい経済、雇用情勢、深刻さを増す地域医療などの状況を踏まえ、過度に財政再建を重視した予算編成を行わず、県民の仕事と暮らしを守るための事業を果断に展開することが必要と考え、編成をいたしました。その後、逐次の補正予算のほか、2月補正予算においては、経済対策分として229億円を計上し、幅広い分野で県民の仕事と暮らしを守る対策を強化したところであります。また、年度末の東日本大震災津波の発生により、当面、緊急に必要な予算を編成し、被災者の救援等、迅速な対応を図ったところであります。
 このように、補正予算の編成を行いつつも、国の経済対策関係の補正予算を効果的に活用することにより、建設事業の財源とする県債を増加させることなく、最終的に67億円の基金への積み立てを行ったところであります。厳しい状況に置かれた県民を守るため、必要な事業を推進するとともに、将来負担を過度に増加させることなく、財政健全化に向けた取り組みを行うことができたと考えております。
 次に、平成22年度の主要施策の成果等についてでありますが、平成22年度の目指す姿の達成状況から見ますと、おおむね達成以上と評価される指標が全体の51.7%と半数を超えており、厳しい社会経済情勢の中、医療、子育て、福祉分野などにおいて一定の成果を上げたところでありますが、産業や教育の分野などにおいて進捗のおくれが見られる施策もあると認識しております。
 例えば産業、雇用分野では、世界同時不況や円高の影響等による製造品出荷額の大幅な落ち込みなどが要因となっており、教育、文化分野では、児童生徒の学習定着度状況調査や児童の体力・運動能力調査において目標値に達していないことなどが要因となっております。
 今後、おくれの見られる施策の有効性の検証や課題を取り巻く外部環境等の分析を行い、県はもとより、市町村や関係団体と一丸となって、さらに重点的な取り組みを講じていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 まず、御努力に敬意を表したいと思います。種々の要因から、年度や年度途中において財政規模の増や、あるいは主要施策の成果、実施状況も上下することがあり得るとは思いますが、いずれ、目標達成を目指して、年々充実に努めていっていただきたいと思います。
 東日本大震災津波の甚大な被害の復旧や復興事業費が県財政に及ぼす影響も極めて大きいわけでありますが、本県の現在までの被害の状況と、復旧、復興に要した事業費とその財源はどのようになっているかお伺いします。
〇加藤総務部長 東日本大震災津波の被害状況についてでございますが、人的被害は、10月20日現在となりますが、死者4、664人、行方不明者1、493人、負傷者188人となっております。建物被害、これも10月20日現在でございますが、住家のみの家屋倒壊ということで申し上げますと、2万4、721棟となっております。
 被害額につきまして、数値的に把握できるものを挙げますと、農林水産業関係4、842億円余、公共土木施設関係2、990億円余、保健、医療、福祉施設関係389億円余、教育施設関係315億円余で、合計では8、538億円余となっているところでございます。このほか、住宅等に係る民生被害や商工業関係の被害など、直ちに金額でお示しすることが困難な被害も甚大でございますことから、県全体としての被害額は数兆円程度に上るものと見込まれるところでございます。
 また、復旧、復興に要した事業費とその財源についてでございます。震災関係の予算として、昨年度2度、今年度計6度の合計8度にわたり補正予算を編成してきたところでございます。これらの補正予算額は、昨年度は計134億円余、今年度は計5、510億円余、合計5、645億円余となっておりまして、現時点での主な財源内訳といたしましては、国庫支出金3、370億円余、県債902億円余、諸収入795億円余、地方交付税を中心とする一般財源が396億円余などというところでございます。
〇喜多正敏委員 現在までの数兆円の被害、そして8、538億円という実質的な被害もあったわけでありますが、その中で5、645億円の補正、そのうち902億円の県債がふえたということであります。
 厳しい経済性の中で、復旧、復興を総合的かつ迅速に進めるとともに、県勢発展のためには、短期、中長期的な見通しに立った財政運営が不可欠と思います。国の適時的確な大きな力も必要でありますが、本県の今後の財政の見通しについてお伺いします。
 また、平成22年度の主要施策の成果及びいわて県民計画実施状況の評価、東日本大震災津波の復旧、復興を踏まえ、今後の県政運営についてどのように取り組まれるのかお伺いします。
〇達増知事 今後の財政の見通しについてでありますが、被災地の復旧、復興に向けた事業には最優先で取り組んでいく必要がありますことから、将来世代に大きな負担を残さないよう、まずは国費による力強い支援が何よりも必要であり、それでもなお生じる地方負担に対する財源措置の充実、確保を国に対して強く要請してきたところであります。
 現在、国においては、3次補正予算で交付税を増額し、国の1次補正及び2次補正も含めて、被災自治体の実質的な地方負担をなくす方向で検討を進めていると伺っておりまして、今後の動向を注視しているところであります。
 しかしながら、いまだ被災地の復旧、復興に係る国の財政支援の全容が明らかになっていませんことから、現時点では、中長期的な見通しのもと、予算を編成することは困難であります。このため、事務事業や管理経費の見直しを含め、より一層効率的な行財政運営に努めるとともに、適切な財源対策の検討を行いながら、各年度の予算を編成していく考えであります。
 次に、今後の県政運営についてでありますが、まずは復興計画に掲げます安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に基づいて、多重防災型まちづくり、住宅の再建や雇用の確保、企業等の二重債務の解消に向けた支援などの復興に向けた取り組みについて、県はもとより、県民、企業、NPO、市町村などさまざまな主体を結集し、一丸となって着実に推進してまいります。
 また、現在、これからの4年間を計画期間として、いわて県民計画長期ビジョンに掲げる岩手の未来をつくる7つの政策などを具現化するための施策や、復興への取り組みを一体的に盛り込んだ次期アクションプランの策定に向けた作業を進めているところであります。この中に盛り込む具体的な施策や取り組みについては、平成22年度の政策評価結果を踏まえ、進捗のおくれが見られる施策については重点的に取り組むとともに、個々の事業ごとに復興に資する優先度や関連性等を勘案し、また、内陸地域の活力が沿岸地域を支えていくことにも十分配慮したものにするよう、全庁的に指示したところであります。
〇喜多正敏委員 このたび、国の12兆1、025億円の第3次補正予算も閣議決定されたところであります。知事には、震災の中、復興を目指して2期目を迎えたわけでありますが、国に、復興を初めとして地方から大いに提言を行い、県政においては、復興に向けてさらにダイナミックな施策の展開と目配り、心配りを行いながら、県民一丸となった体制を築くよう取り組んでいただきたいと思います。
 厳しい財政状況の中で、復旧、復興費も重なり、財源の確保が一層重要でありますが、アクションプラン改革編による財源確保の主な取り組みの実績について順次質問します。
 まず、平成22年度の地方財政制度改正に向けた国への要請内容、これに係る成果と課題をお伺いします。また、財源確保に向け、今後、国に対してどのような要望、要請活動を行っていくのかお伺いします。
〇加藤総務部長 国への要請状況でございます。社会保障関係経費など地方の財政需要が増大を続けていることも踏まえまして、地方財政計画に地方の財政需要を適切に積み上げ、地方交付税の復元、増額を図るとともに、財源調整、財源保障の両機能を維持することを要請してまいりました。こうした要請の結果、平成22年度の地方財政計画では、地方交付税総額が約16.9兆円と、前年度と比較して約1.1兆円増額されるとともに、臨時財政対策債を加えました実質的な地方交付税総額は約24.6兆円と、前年度に比較し、約3.6兆円の増額となりました。これを受けまして、本県の普通交付税は、対年度比128億円増の2、231億8、000万円余となっておりまして、平成22年度は積極的な予算編成が可能となりました。
 しかしながら、地方交付税を含めました地方一般財源総額は、なお三位一体改革前の水準に回復していないことから、地方財政は依然として厳しい状況にあると認識しております。こうしたことから、実態に即した地方一般財源総額の確保に向けまして、引き続き、地方の恒常的な財源不足を解消するよう、地方交付税総額の増額を要望していく考えでございます。
 また、東日本大震災津波に関する財政需要につきましては、地方財政計画の策定に際しまして別枠で計上するなど、確実に反映させることにより、通常分とは別に普通交付税の増額を要望していく考えでございます。
〇喜多正敏委員 国への積極的な要請や提言を行い、成果を上げたわけでありますけれども、今後とも財源確保に向けて働きかけを大いに強めていっていただきたいと思います。
 次に、県有資産の売却、人件費の抑制、事務事業評価の実施による事業の縮減、廃止など、平成22年度における歳入確保策、歳出削減策の取り組みと成果と課題、今後の対応についてお伺いします。
〇加藤総務部長 歳入確保、歳出削減の取り組みについてでございます。平成22年度におきましては、アクションプラン改革編に基づきまして県有地18件の売却を進めたほか、バナー広告や県広報誌広告の募集などによりまして4億円余の歳入確保に努めたところでございます。
 また、歳出の見直しといたしましては、職員数の縮減や職員給与の見直しなど総人件費の抑制に努めるとともに、事務事業評価の実施により39事業を廃止、縮減するなど、結果といたしまして全体で53億円余の縮減を図り、行財政の簡素効率化が一定程度進んだものと認識しております。
 しかしながら、こうした取り組みを進めましても、なお困難な財政環境は続きます。東日本大震災津波からの復旧、復興に係る財政需要もさらに積み重なっていくということでございますので、今後も歳入歳出両面にわたるあらゆる取り組みを強化していく必要があると認識しております。
〇喜多正敏委員 今後とも適切に取り組んでいっていただきたいと思います。
 続いて、税収等歳入状況についてお伺いします。
 県税の収入未済額及び未済に係る収入額の状況の推移と、収入未済額減少に向けて平成22年度はどのように取り組みを行ったのか、その成果と課題を含めてお伺いします。また、税外収入の状況についても同様にお伺いします。
 さらに、昨年度、延滞金徴収に関する条例を制定し、延滞金の徴収を強化していると聞いておりますが、その取り組み状況についてお伺いします。
〇加藤総務部長 まず、県税でございます。
 県税の収入未済額の近年の推移でございますが、平成20年度は31億4、800万円余、平成22年度、昨年度になりますが33億3、900万円余でございまして、1億9、100万円余の増となっております。
 これに対しまして、前年度までの収入未済額のうち当該年度で収入した額の推移でございますが、平成20年度は9億1、700万円余、平成22年度は11億4、200万円余でございまして、2億2、500万円余の増となっております。県税収入未済額の縮減は県民計画のアクションプランの中でも喫緊の課題と位置づけ、目標額を設定して取り組んできたところでございます。
 具体的に申し上げますと、個人県民税に係る市町村と共同した催告や、県によります直接徴収のほか、県、市町村共同で設けております地方税特別滞納整理機構におきまして、差し押さえや公売処分等による徴収の強化に努めているところでございます。これらの取り組みによりまして、厳しい経済状況の中ではございますが、収入未済額に係ります後年度の収入額は増加傾向にございまして、収入未済額の増加は鈍化しております。
 今後は、収入未済額の減少に向けまして、収入未済額の7割を超えます個人県民税に係る取り組みを一層強化していく考えであります。
 続きまして、税外収入でございます。
 税外収入の収入未済額の推移でございますが、平成20年度末は108億1、200万円余、平成22年度末は170億1、800万円余でありまして、県境産廃不法投棄事案に係る代執行費用の求償債権など特殊要因が大きく影響しておりまして、62億600万円余の増となっております。
 これに対しまして、前年度までの収入未済額のうち当該年度で収入した額の推移でございますが、平成20年度は5億3、200万円余、平成21年度は3億8、400万円余、平成22年度は3億6、100万円余となったところでございます。
 税外収入の収入未済額の縮減につきましても県民計画のアクションプランの中で喫緊の課題と位置づけるとともに、平成20年度に滞納債権対策基本方針を策定いたしまして、平成22年度までを集中取り組み期間と定め、全庁的に収入未済額の縮減に取り組んできたところでございます。
 平成22年度は、公法上の債権に係る延滞金の徴収等に関する条例の制定、施行、滞納債権回収強化月間の設定─5月、11月と12月ということで設定しております─また、収納業務の外部民間委託の実施などによりまして滞納債権の新規発生の抑止及び回収強化に努めたところでございます。こうした取り組みによりまして、特殊要因によるものを除きました収入未済額を比較いたしますと、前年度から縮減が図られたところでございます。
 しかしながら、全体としての収入未済額は現在も増加傾向にございますことから、滞納債権対策の新たな基本方針を策定したところでございまして、各債権の回収目標の設定や回収状況の公表、民事訴訟など裁判手続等の活用の促進などによりましてさらに回収の強化を図り、収入未済額の縮減に取り組んでまいります。
 なお、延滞金の徴収等に関する条例の運用状況のお尋ねもございました。
 平成23年9月30日現在、9月末現在ということになりますが、1、249件、1、600万円余の対象債権に対しまして条例に基づく督促を行っておりまして、21件、9万円余の延滞金の調定を行ったところでございます。
 このほか、延滞金を課すには至っていないものの、督促を受けまして納付された債権あるいは納付手続を開始した債権が相当程度ございまして、徐々に効果が出てきているものと認識しております。
〇喜多正敏委員 税外収入の場合についてはそもそも適正な事業の執行が求められるということで、そうしたことについてはきちっと当初のときから配慮していただきたいと思います。
 歳入の確保については大変御苦労もあると思いますが、厳しい景気や雇用情勢、あるいは被災者、納税者の状況に即して歳入の確保に適切に努めていただきたいと思います。
 平成22年度から4広域振興局体制がスタートし、各地域で活発な事業が展開できるよう、地域振興推進費を増額しましたが、4広域振興局体制の成果と課題についてお伺いします。
〇達増知事 4広域振興局体制の成果と課題についてでありますが、4広域振興局体制の発足に当たっては、圏域内の広域行政の責任者である広域振興局長に部長級職員を配置し、庁議、政策会議、経済・雇用対策本部会議など、県政の重要な政策形成過程へ常時参画させることとしたところであります。このことにより、本庁と広域振興局が密接に情報共有、連携を図ることができ、従前にも増して県政の各分野にわたって現場のニーズを踏まえた実効性の高い施策の展開が可能となっています。
 また、広域振興局の設置の主たるねらいとした産業振興面での取り組みにおいては、沿岸広域振興局と県北広域振興局が連携しながら、三陸沿岸の海資源を活用した海洋産業の振興の取り組みも始めているところであります。これら両広域振興局においては、それぞれ管内市町村、観光協会及び商工会、商工会議所と連携しながら新たな観光ルートの開発を行い、首都圏等からの誘客にも取り組んでおります。
 このように、旧地方振興局の圏域を越える広域的なネットワークが新しく設置される等、これまで余り接点がなかった地域や分野間で新しい交流や取り組みの連携が進んでいるところであります。
 さらに東日本大震災津波の対応では、いち早く県南広域振興局が大船渡市、陸前高田市に対し支援し、また盛岡広域振興局は、管内8市町村と連携し、宮古市、山田町へ支援物資の供給や継続的な職員派遣を行ったところであり、広域振興局体制となったことから、支援職員、職種等について組織内の一元的な調整が可能となり、より迅速な支援につながったと認識しております。
 一方、課題でありますが、広域振興局体制のもとでの産業振興の取り組みもいまだ緒についたばかりであり、今年度策定予定の次期アクションプランに基づいてより一層推進していく必要がありますが、震災からの復旧、復興を優先し対応する中で、限られた職員体制においても質の高い、効果的な行政サービスを提供していくことが重要と考えております。
 なお、地域振興推進費は、4広域振興局体制のもと、アクションプランに基づいた各圏域の振興施策を強力に推進するため予算規模を拡充したものであり、新たに県北広域振興圏における農業分野の6次産業化に向けた取り組みを始める等、地域経営のツールとして活用がなされています。
 また、平成23年度からは、広域振興局長のリーダーシップをより発揮できるよう、地域振興推進費と市町村総合補助金を統合し、地域経営推進費として一体的な運用を図っているところであります。
〇喜多正敏委員 地域交流とか有事の際の即応態勢、一元的、迅速な行動につながったということで、成果が上がっているということであります。課題については、現場に即してさらなる改善を図っていっていただきたいと思います。
 ところで、平成22年度当初予算のあらましの広域振興事業一覧によりますと、広域振興局での事業数が、ある広域振興局では1事業にとどまる一方、ほかの広域振興局では5事業と事業数に差があるほか、予算規模も、360万円から多いものでは3、780万円とまちまちであり、また平成23年度では、事業数は同様に3事業から7事業、事業費では2、900万円から5、910万円とまちまちで、各振興局間で温度差があるように感じられます。
 広域振興局では、さらに現場や市町村に入り込んで情報や課題を共有し、くみ上げ、積極的に事業化していく必要がなおあると思いますが、いかがでしょうか。
〇千葉政策地域部長 広域振興事業のあり方についてでありますが、広域振興事業は、平成19年度にそれまでの各振興局単位の予算要求制度にかわりまして、各広域振興圏単位で予算要求を行う仕組みとして新たに創設したものでございます。平成22年度におきましては、13事業、8、261万円余であり、地場産業や観光の振興などに取り組んだところでございます。
 委員御指摘の広域振興局間で事業数や金額にばらつきがあることにつきましては、七つの広域振興局と地方振興局の体制から四つの広域振興局体制に移行したことによりまして、従来から実施しておりました事業を継続して広域振興事業として実施した事業もございますので、広域振興局間でばらつきが生じた形となったのが一つの要因となっていると考えているところでございます。
 この事業は、各広域振興局が現場主義に立脚いたしました経営を行うため、いわて県民計画アクションプランに掲げる施策を主体的に取り組めるよう、圏域におけます有力な地域経営のツールとして運用しておりまして、議員御指摘のとおり、今後とも市町村と地域の課題を共有しながら取り組んでいく必要があるものと考えております。
 また、今般の東日本大震災津波におきまして、内陸地域と沿岸地域の市町村が連携し、さまざまな応急対応あるいは復旧に向けた取り組みを行っているところでございますが、このような広域圏の枠を超えた取り組みも極めて重要であると考えておりまして、今後は、戦略性が高く、圏域外への波及効果が期待できる先駆的な事業についての取り組みを特に促進してまいりたいと考えているところでございます。
〇喜多正敏委員 そういうふうな説明ではありますが、いずれ市町村や現場からは、振興局がさらに我々と一緒に話をして事業をしていってほしいという声がありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 平成24年度当初予算の編成において、これまでの主要成果及びいわて県民計画実施状況や8月に議決された災害復旧・復興計画を含め、これから作成するいわて県民計画と整合を図りながら、平成24年度当初予算をどのような方針で、また何を基準として選択と集中を行い、編成を行うのかお伺いします。
〇達増知事 平成24年度当初予算の編成についてでありますが、本県の財政運営は、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け多額の経費を要する中で、公債費が今後数年をかけて償還ピークに達すること、また、主要3基金の残高が大幅に減少していることなどから、これまでにも増して厳しい局面を迎えることが見込まれます。
 こうした中、平成24年度予算は、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け全力で取り組むとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進する予算として編成するものであります。
 したがいまして、来年度の予算編成に当たっては、あらゆる手段により歳入確保の取り組みを進める一方、政策評価結果等を踏まえ、事業効果、効率性等を検証し、歳出の徹底した見直しを行うなど、一層の選択と集中を進めてまいります。その上で、政策の優先度に応じ、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を図っていく考えであります。
〇喜多正敏委員 課題山積の県政であるわけでありますけれども、短期、中長期的な見通しは困難ということでもあります。しかしながら、その中で、今後も補正予算が国からも出てくるわけでありますけれども、一体的な、切れ目のない、県民が希望を持てる予算を編成していっていただきたいと思います。
 次に、人口流出についてお伺いします。
 県外に毎年数千人もの県民が流出している状況は、少子高齢化の進展と相まって、県勢振興や地域社会の維持からも大きな問題と思います。県外に去っていく方の理由はいろいろあると思いますが、県はどのようにとらえているかお伺いします。
 本県の平成22年度の人口流出防止の施策と、その成果と課題についてもお伺いします。
〇千葉政策地域部長 まず、県外への移動人口についてでありますが、本県におきましては、国勢調査の調査期日に合わせまして、毎年10月1日から翌年9月30日までの1年間の人口移動の状況を把握しているところでございます。これは、市町村への転入、転出の届け出数によるものでございますので、県外に移動していく方の理由については統計データとしては有していないところでございます。しかしながら、年齢別の移動状況を見ますと、直近の平成21年10月1日から平成22年9月30日までの1年間の本県の人口全体の社会減が4、175人であったのに対しまして、18歳と19歳で計2、335人、20代前半で1、778人が社会減となっており、その合計は4、113人に及びますことから、進学、就職等を契機といたしました県外への移動が多くを占めているものと考えているところでございます。
 次に、平成22年度の人口流出防止施策とその成果と課題についてでありますが、アクションプラン政策編におきまして、重点的に取り組む政策推進目標として、人口の社会減に歯どめをかけることを掲げていたところでございます。
 具体的には、ものづくり産業など今後成長が期待できる分野の産業振興や、新卒の未就職者等への就業支援によります雇用の場の確保、体験居住機会の提供によります県内への定住と交流の促進など、さまざまな取り組みを進めてきたところであります。
 このような取り組みの結果、平成22年におけます社会減は先ほど申しました4、175人となりまして、平成20年の6、673人、平成21年の5、982人と比較いたしまして減少幅が縮小し、一定の成果があったものと考えているところであります。また、18歳から20代前半におけます若年層の社会減も先ほど申し上げましたように平成22年は4、113人となりまして、前年の4、685人と比べ572人減少したところでございます。
 引き続き、地域産業の振興や子育て環境の充実、雇用の場の確保など、さまざまな取り組みを進めていくことが課題と考えているところでございます。
〇喜多正敏委員 次第に家族数が少なくなって、やはり、子供が進学をして帰ってくる、そして親と一緒に、あるいは近くに暮らせる、それが福祉や地域社会の構築にもつながってくるということでありますので、ぜひ県外流出減少策を強化するとともに、一方、交流人口や、あるいは流入人口の増加、少子化対策など総合的な取り組みを一層市町村や関係機関と連携して強化していただきたいと思います。
 東日本大震災津波のため被災市町村の人口減少が報じられておりますが、復旧や復興のおくれにより、地域外への一時避難がそのまま避難地域での定住化につながりかねない状況で、逆に人口の減少がまた復興の妨げとなることが懸念されています。
 県は、震災津波発生後、被害の実態や被災者の要望アンケートを調査し、状況の把握に迅速に努めました。地域住民の流出防止とともに、避難された方が戻れるよう一刻も早い対策が必要となっておりますが、県は、被災後7カ月を経過し、地元市町村の外に避難された方の実態をどう把握し、認識しているか、今後どのように対応されようとしているかお伺いします。
〇達増知事 地元市町村外への避難者の実態と今後の対応についてでありますが、総務省において整備しました全国避難者情報システムに登録済みの被災者情報によりますと、10月19日現在、沿岸12市町村から県内内陸市町村の個人宅等に移転している被災者数は2、714人、沿岸12市町村から他都道府県に移転している被災者数は1、593人となっています。
 復興に当たりましては、被災された住民がその地にとどまり、あるいは一時的に離れたとしても戻ってきてまちづくりに主体的にかかわり、希望を持ってふるさとに住み続けることができるようにすることが重要であると考えております。
 このため、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の取り組みを迅速かつ着実に進めているところであり、具体的には、安全の確保については、海岸保全施設の復旧を図りつつ、多重防災型まちづくりの中で、地域住民のふるさとへの思いや地域の歴史、文化を踏まえた生活環境づくりを進めていく。また、暮らしの再建については、被災者の生活の安定に向け、災害復興公営住宅の早期整備や被災住宅の再建支援、児童生徒が安心して就学できる教育環境の整備などを進めていく。さらに、なりわいの再生については、漁業と流通、加工業の一体的な再建や、岩手県産業復興機構を通じた企業等の二重債務解消に向けた支援など、被災地域の経済を支える水産業や商工業等の再生に向けた支援を進めていくという取り組みを進めてまいります。
〇喜多正敏委員 ぜひ市町村と連携をしまして、今、避難されている方が戻ってきたいのか、その場所でもう定住したのか、あるいはどんな要望を持っているのか実態を把握してほしいと思いますし、また、今、知事がお話しの迅速な対応をお願いしたいと思います。
 次に、産業振興についてお伺いします。
 初めに、農業振興についてお伺いします。
 農業の振興には農業基盤整備が不可欠で、米の生産費では、10アール価格で50アール規模の場合と戸別所得補償制度のモデルとでは生産費で8万4、917円の差があるとされています。厳しい財政状況の中で、これまで事業費を捻出し基盤整備を進めてきましたが、平成22年度の経営体育成基盤整備事業による農業基盤整備の状況と成果、今後の課題についてお伺いします。
 また、今回、震災津波で被害を受けた農地の復旧状況や対応、今後の作付の見通しについてお伺いします。
 また、関連がありますので、一方、農業水利施設については、平成18年度作成した農業水利施設の維持更新計画において、今後10年間で補修、更新に必要な費用が800億円と見込まれていました。また、40年を経過した国営岩手山麓開拓建設事業による農業用水路の整備は安全性の問題からも喫緊の課題であり、現在、平成21年度から平成24年度までの期間で地区調査も行われ、平成25年度からの事業実施が期待されております。今回、震災津波の被害は復興計画で対応するとのことですが、震災被害に対し、新たに要する農業水利施設復旧整備費及びこれを加味した県全体の整備事業費はどの程度かお伺いします。
 また、大規模な事業を要する既存の農業水利施設の維持、更新とともに、新たに被災した施設の復旧も必要となるわけでありますが、県では今後の農業水利施設の整備をどのように進めていくかお伺いします。
〇上野副知事 経営体育成基盤整備事業の実施についてでございますが、本県では、水田の大区画化と農地の利用集積を一体的に進めますいわゆる圃場整備事業を、平成22年度は約58億円の事業費で水田の区画整理を310ヘクタール、排水改良のための暗渠排水を290ヘクタールで実施いたしております。
 整備した地域では、大区画化などによる生産コストの低減や、乾田化による小麦、大豆などの転作作物の高品質、安定生産、利用集積による担い手の経営規模の拡大が図られ、地域の活性化にも大きな役割を果たしております。
 しかし、本県は東北の中で水田整備率が最も低いこともあり、米の生産費が高く、また、転作作物の小麦や大豆の収量が東北平均を下回っているなどの課題がございます。このため、県といたしましては、厳しい財政状況でございますが、本県の実情を各方面に訴えながら予算の確保に努めるとともに、整備コストの縮減を徹底し、地域からの要望が強うございます水田の整備を重点的に進めてまいります。
 次に、震災津波で被害を受けました農地の復旧状況等についてでありますが、農地、農業用施設では全県で約1万7、000カ所、546億円の被害が発生いたしておりまして、これまでに、災害復旧事業の査定前着工の制度を活用いたしまして、内陸部を中心に、今年度の作付に必要な用水パイプラインや農道の復旧のため、約300カ所において応急工事を実施したところでございます。現在、国による災害査定が行われておりまして、査定が終了したところから順に復旧工事に着手してございます。
 沿岸部では、区画が小さく農道や水路が未整備な農地が多いことから、農家の意向を確認しながら、災害復旧とあわせまして、地域の特性に応じた区画整理や農地の利用集積を一体的に進めたいと考えております。
 今後とも、被災農家の営農意欲が失われないよう、農業機械の確保や育苗準備などについても支援しながら、早期の営農再開に向けて取り組んでまいります。
 さらに、農業水利施設についてでございますが、農業水利施設の維持更新計画は、土地改良区や市町村など施設管理者とともに毎年度、現地調査を重ねながら見直しを行っておりまして、国営事業で整備を予定している施設も含め、今後10年間に補修、更新に必要な費用は現時点で870億円余りと見込んでございます。
 一方、今般の大震災津波による農業水利施設の被害は約2、400カ所、35億円余りと見込んでおりまして、現在行われております国の災害査定結果により復旧事業費が明らかになると考えております。
 今後の農業水利施設の整備に当たりましては、まずもって被災農家の早期営農再開に向け、災害復旧事業により被災施設の復旧を迅速に進めるとともに、農業水利施設の維持更新計画に掲げた施設につきましては、施設管理者と緊急性や優先度等を相談しながら、順次補修、更新に取り組んでいく考えでございます。
〇喜多正敏委員 1万7、000カ所で300カ所が着工だと、農業水利施設は875カ所、そういうことでありますけれども、作付がことしは無理だと、あるいは来年度の稲の作付ができないという面積とかはおわかりになっておられるでしょうか。
〇上野副知事 お尋ねについての確認でございますが、作付が今年度できない面積についてでございますか。
〇喜多正敏委員 今年度あるいは来年度作付ができない。わからなければ後で資料で。
〇上野副知事 後ほど、済みません、部審査で確認させていただきます。恐縮でございます。
〇喜多正敏委員 生産コストを下げ、農業所得を高める方策の一つとして規模の拡大が必要であり、その手段として耕作放棄地の有効活用や農地の利用調整事業が重要と思います。本県の耕作規模の動向と規模拡大に対する平成22年度の事業の成果と課題並びに今後の対応についてお伺いします。
 また、国は、個別所得補償制度とともに、平成24年度から米や麦などの土地利用型農業から施設野菜への転換により貸し出す場合、相続や高齢で経営をやめる場合に受けられる農地集積協力金を概算要求に盛り込むなどして規模の拡大を奨励するとのことですが、これに対する御所見と今後の対応についてお伺いします。
〇上野副知事 まず、耕作規模の動向等についてでありますが、耕作規模の動向につきましては、農林業センサスによりますと、県内の平均経営耕地面積は、平成17年に1.9ヘクタールであったものが平成22年には2.3ヘクタールと21%ふえてございます。また、10ヘクタール以上の経営体数も、平成17年の1、118経営体から平成22年には1、415経営体へと297経営体、27%増加いたしておりまして、耕作規模は拡大する傾向にございます。
 規模拡大を促進する農地利用集積事業につきまして、平成22年度の取り組み実績は11市町村で153ヘクタールの利用集積拡大となってございますが、取り組みが11市町村にとどまっていることから、さらに全県的な波及を図る必要があると考えております。
 今後とも、地域の話し合いを基本といたしまして、農地の出し手と受け手の営農意欲を確認、把握しながら調整活動を進めまして農地集積を促進してまいります。
 次に、国の概算要求による規模拡大の奨励施策についてでありますが、本県では担い手への農地集積を進めるに当たりまして、地域での話し合いを基本といたしまして農家個々の経営志向に応じた農地利用調整を進めてきておりまして、国が概算要求において示しております農地の出し手への支援でございます農地集積協力金が措置された場合、本県の取り組みを後押しする効果もあるものと期待いたしております。
 しかしながら、今の段階では事業の詳細が示されておりませんので、国における検討状況を注視しながら、必要に応じて提案をしてまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 平成22年度の耕作放棄地の解消目標面積2、000ヘクタールに対して実績は290ヘクタールにとどまっており、認定農業者数や集落型の農業経営体数も目標を下回っております。国の施策を活用して、さらなる農地利用集積円滑化事業の推進も含め、施策推進を大いに強化していっていただきたいと思います。
 営農については、経営や栽培技術、6次産業化や集落営農推進等にきめ細かな指導が求められていますが、農業普及員や営農指導員が十分な人員体制、地域的配置がなされているのか、また、平成22年度においてどのような指導実績になっているか、課題があれば今後の対応も含めてお伺いします。あわせて、水産業普及指導員についてもお伺いします。
 また、農林水産業振興のため6次産業化を進めておりますが、平成22年度の事業を含め、これまで全体の新規雇用者数や販売額などどのような成果があったと評価しているか、課題も含めてお伺いします。
〇上野副知事 まず、農業普及員等についてでございますけれども、農業普及員につきましては、県では九つの農業改良普及センター及び四つのサブセンターに209名の農業普及員を地域農業の特性に応じて配置いたしまして、職員数が制約される中にありましても必要な農業普及員の確保に最大限努めてきたところでございます。また、専門農協を含みます九つの農協には433名の営農指導員が配置されまして、農業普及員と相互に連携しながら、継続的、組織的な普及活動などに取り組んでいるところでございます。
 平成22年度の農業普及員の活動実績は、1万1、000の経営体に対する直接指導や4、700回の研修会、座談会の開催などの活動を展開いたしております。
 農業普及員の普及活動におきましては、新規就農者や集落営農組織など担い手の確保、育成や高度な技術の導入による市場性、生産性の高い産地づくりなどが課題と認識いたしておりまして、今後におきましても、市町村、農協、農業者リーダー等と地域協働による活動体制の強化と農業普及員の指導力の向上に努めていく考えでございます。
 次に、水産業普及指導員についてでございますが、広域振興局の久慈、宮古、釜石、大船渡の沿岸の4地区と水産技術センターに15名を配置しておりまして、限られた行財政環境の中にありましても、多様な漁業者のニーズにこたえられるよう水産業普及指導員の確保に努めるとともに、専門研修などによる水産業普及指導員の指導力の向上を図っているところでございます。
 平成22年度の主な活動実績は、担い手の確保、育成支援のほか、養殖業が盛んな18の漁協での養殖漁場の高度利用や、県北地区の6漁協でのアワビ、ウニなどの資源の拡大の指導に取り組んでいるところであります。
 今般の大震災津波の復旧、復興に向けまして、生産活動の再開を支援する水産業普及指導員の役割は一層重要となっているものと認識いたしておりまして、これまで以上に現場に密着したきめの細かい指導により、一刻も早く漁業者が漁業を再開できるよう全力を挙げて取り組んでいく考えでございます。
 次に、6次産業化についてでありますが、県では、平成21年度から農業関係の法人などが新たな雇用により生産物の加工や販売の分野に進出する6次産業化の取り組みにつきまして、モデル事業として選定し、事業の実施を委託しているところであります。この取り組みにより、70人の新規雇用の創出、4億2、200万円の販売額となっているところでございます。
 この取り組みを拡大していく上での課題といたしましては、6次産業化に対する意欲や潜在的なニーズを持ちながらも、事業を行うための資金や事業運営に必要なノウハウがないために実施に踏み切れないなどの事例が多く見られることから、この解決に向けまして、今年度、いわて6次産業支援センターを設置したところでございまして、このセンターを核といたしまして、生産者などの6次産業化に対する発展段階に応じた支援をきめ細かく実施しているところであります。
 また、資金に関しましては、いわて農商工連携ファンドを初め、資金のニーズに応じた支援を行っているところでございます。
〇喜多正敏委員 それぞれ頑張っているということでありますが、特にも大変大事な役割を担う普及員、指導員でありますけれども、例えば農業普及員は、平成18年度は235人、平成23年度は209人と減少しているわけであります。人件費の抑制、適正な定数管理もあるわけでありますけれども、現場で農業者や漁業者と接するこういう方々は、削減ではなく、むしろ私は充実していく必要があるのではないか。また、私は水産業普及指導員はもともと少ないという感想を持っているわけでありまして、むしろこれは増強していく必要がある。また、営農指導員については、農協が大型合併しまして、なかなか現場に来ない、自分たちの事業をやっているというような声も聞かれるわけでありまして、そういう指導体制の強化を一層図る必要があると思いますので、なお一層これについては現場の声を聞いて充実に努めていっていただきたいと思います。
 次に、県産材の活用についてお伺いします。
 県産材を活用した住宅建設について、平成22年度も含め、岩手型住宅建設の実績の動向と課題についてお伺いします。
 また、東日本大震災津波に係る今回の仮設住宅建築において、県産材の活用状況と課題についてお伺いします。
 このほど岩手県住宅復興基本方針が定められ、木造公営住宅を整備し、県産材の利用による地域経済や雇用環境の向上への貢献を掲げております。大変期待したいと思いますが、被災地は、用地の制約からも木造を超える高層化も求められることも多いと思いますし、仕様等の標準化による建築コストの削減や整備期間の短縮も掲げられています。県産材を利用した木造公営住宅を現時点でどのように想定し、いつごろ何戸、具体的にどのように建設を進めていくのかお伺いします。
 また、工期に合わせて必要な県産材の供給に課題はないのか、建設業を含め、地元業者の活用の対応について具体的にどう推進していくのかお伺いします。
〇上野副知事 まず、岩手型住宅の建設実績等についてでありますが、岩手型住宅の建設実績につきましては、平成22年度から一定の基準を満たした住宅に対する補助を行っておりまして、申請件数は平成22年度が55件、平成23年度がこれまでに26件となっております。平成23年度は震災の影響で当初申請件数が伸び悩んでおりましたが、7月以降の申請件数は23件と大きく伸びております。
 岩手型住宅の普及に向けまして、さらに県民への周知を進めていくことが課題であると考えておりまして、岩手型住宅賛同事業者として登録をいただいております工務店などと連携しながら、岩手型住宅の魅力や快適性について発信を行ってまいります。
 次に、仮設住宅建築における県産材の活用状況等についてでありますが、応急仮設住宅における県産材の活用状況につきましては、今回、整備を進めてまいりました総数1万3、984戸のうち、木造の応急仮設住宅が3、731戸整備されたところでございます。このうち、公募によって地元の工務店等が建設いたしました木造の応急仮設住宅は2、137戸となっておりまして、15事業者、1、487戸において県産材が使用されておるところであります。応急仮設住宅の建設はスピード感が求められるため、県産材の活用につきましても円滑に調達できるかどうかというところが課題であると考えてございます。
 さらに、県産材を活用しました木造公営住宅についてでありますが、災害復興公営住宅における木造住宅につきましては、建設時期や戸数は未定でございますが、用地の状況に応じまして、低層の公営住宅が適切と考えられる団地において建設を行ってまいりたいと考えております。小規模な集落等における木造住宅の建設についても検討を進めてまいります。
 県産材の供給につきましては、部材の規格など建設サイドのニーズへの対応が必要になりますので、関係者との連携を深めることにより、県産材の円滑な供給に向けた検討を行い、災害復興公営住宅の建設に生かしてまいります。
 また、地元業者の活用につきましては、従前から県内企業への受注機会の確保に取り組んできたところですが、今後整備する災害復興公営住宅につきましても、地元でできる工事は地元に発注するなど、被災した地域へのできる限りの配慮を行いながら取り組んでまいります。
〇喜多正敏委員 県産材の活用と一言で言われるわけでありますが、実際は、山から素材を切り出して、搬出、製材、乾燥、強度の表示、あるいは適正な価格、あるいはそうした供給体制の整備とともに、設計、工務店、施工者の系統立った一連の体制づくりがあって初めて県産材に結びつくわけでありますので、そうしたことを明確にして具体的な取り組み体制を築いていっていただきたいと思います。
 沿岸では、港湾や漁船や水産加工施設、流通施設に甚大な被害を受け、これに連なる地域産業や雇用、現金収入がなくなるなどの深刻な影響を受け、一刻も早い再生が望まれているわけでありますが、被害が大きく、地元業界だけでは対応できない場合は、地元の市町村や漁協、農協、商工団体や住民などが連携して復興の主体となる産業振興公社やまちづくり会社を設立し、公的な信用力や地域の人材、資金を糾合し、産業の再生や新たに事業を起こすことも一つの方法と考えられますが、県の人的、資金的な支援も含め、御所見をお伺いします。
〇上野副知事 被災地におけます産業振興公社などの設立についてのお尋ねでございますが、県では、産業の再生を図るため、二重債務問題に対応する相談センターの設立や債権の買い取りを行う機構の設立準備を進めているほか、融資、補助制度などを創設するなど、早期の復旧、復興に向けて全力で取り組んでいるところであります。
 地域ぐるみで産業振興やまちづくりを進めていくということは復興に当たりまして重要な取り組みでございまして、例えば陸前高田市におきましては民間主体によるまちづくり会社が設立されるなど、復興に向けた組織づくりが行われている事例もございます。このような組織は、地域の実情に応じて、市町村や関係団体、住民が話し合い、自主的に設立されるものと認識いたしております。
 今後、市町村におきましてこうした組織が設立される際には、アドバイザーの派遣などによる人的、技術的な支援や融資などによる資金的な支援も行っていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 地元からそういう声が上がった際は、いずれ既存の組織でできないということでもありますので、ぜひ柔軟な体制で、融資という話もありましたが、そうしたことのみならず、実弾を撃ち込むというような体制も含めて対応をお願いしたいと思います。
 産業の振興には新製品開発や新規顧客の創造が必要であり、平成22年度において、地場企業育成、研究開発の推進に1、804万2、000円が支出されております。新規取引目標件数が40社に対して実績は47社となっております。納期、価格、品質などがマッチングするよう今後の展開に期待したいと思いますが、どのように評価し、課題は何であったか、今後の取り組みや雇用の拡大などにどう結びつけていくのかお伺いします。
 また、一方、医療機器関連産業の創出に903万7、000円、医療機器の開発件数目標6件に対し7件、基盤技術の競争力強化事業では7、403万3、000円で、研究開発件数は目標20件に対し21件となっており、達成度はAとなっております。研究や試作から製品化、商品化に至るまでさらにブラッシュアップや製造許可などの取り組みも必要となると思われますが、その後の状況とフォローアップはどうなっているのか、今後の対応も含めてお伺いします。
〇上野副知事 まず、地場企業の新規取引についてでありますけれども、目標を上回ります47件の実績につきましては、愛知県などで開催いたしました技術展示商談会や、発注側、受注側の意向をくみ取った取引あっせんなどの取り組みが着実に成果につながったものと評価いたしております。
 そうした中で、課題といたしましては、発注側の技術ニーズなどをより的確に把握したマッチングにより、さらなる新規取引の拡大につなげていくことが必要と考えております。新規取引は、地場企業にとりましてその後の取引拡大につながる大切な第一歩でございまして、取引拡大は、ひいては雇用の拡大にもつながるとの認識のもと、新規取引に向けたニーズ対応型の商談会や事業拡大に必要な技術開発支援など、段階に応じたきめ細かなフォローを行っていくこととしております。
 次に、研究開発支援についてでありますが、医療機器の開発試作件数7件につきましては、そのうち新規取引に至ったものが1件、商品化を目前に控えたものが1件、岩手医科大学などで評価中のものが3件であるなど、着実に成果が上がっているところでございます。
 今後も、製品の改良に係る技術的な支援や製造業許可の取得にかかわる助言など、開発ステージに応じたきめ細やかな支援を継続してまいります。
 また、基盤技術の研究開発件数21件につきましては、そのうち国の大型資金の獲得に発展したものが8件、試作を経てメーカーへサンプル出荷しているものが4件であるなど、それぞれ研究段階から製品化、事業化を目指して進展いたしております。
 これらの案件に関しましては、事業化に至るまでに多額の開発資金を要するものも多いことから、技術的な支援に加えまして、外部資金の獲得への助言など、専門のコーディネーターも活用したフォローアップを継続してまいります。
〇喜多正敏委員 こうしたケースを参考にして、ほかの企業や業界にもぜひ波及効果を進めていきながら、さらにフォローアップについてよろしくお願いしたいと思います。
 次に、観光産業の振興についてお伺いします。
 実施状況報告書の政策項目で、平成22年度の県外観光客や県外宿泊者数が空欄、具体的な推進方策を構成する事業実績も、平成22年度の成果指標23項目が空欄となっております。今回の震災津波のため、観光統計をまとめかねているのかと思われますが、県では観光施設の被害や観光客数の減少による被害状況をどう認識され、今後どのように対応しようとしているのかお伺いします。
 観光業界も、日々変動する情勢の中、大変苦しい経営を続けております。震災に限らず、地域ごとに主要な観光施設の抽出調査を行い、迅速に実態を把握し、適時的確な施策を講じるべきと思われますが、御所見をお伺いします。
〇上野副知事 観光施設の被害や観光客数の減少に対する認識などについてでありますが、さきの震災により沿岸部の観光施設の多くが甚大な被害を受けておりまして、その合計額を約327億円と推計いたしております。
 また、観光客数につきましては、発災後約1カ月間の宿泊キャンセル数が約24万人、平泉など内陸の九つの主要観光地を対象とした抽出調査では、ことし4月の入り込み数が前年同期と比べますと約62%の減少となってございます。
 県といたしましては、沿岸部の施設の早期復旧に向けまして、県単独の修繕費補助により支援していくほか、観光事業者に対する国のグループ補助の適用などにつきまして国に強く働きかけてきたところでございます。
 また、誘客につきましては、平泉の世界遺産登録の効果を最大限に生かすために、この7月からいわてデスティネーションキャンペーンをスタートいたしまして、首都圏でのPRや宿泊者へのクーポン券のプレゼントなどを展開しているところであります。こうした取り組みもありまして、7月と8月の観光客数は前年同期比30%台の増加と急速に回復してきているところでございます。
 県といたしましては、先ほどの九つの主要観光地の抽出調査を今後も継続するなど、観光客の動向を的確に把握しながら施策を展開し、観光需要の拡大を推進してまいります。
 先ほど農地の災害復旧につきましてお尋ねがございましたけれども、単なる災害復旧ということですとお答えがある程度できるんですけれども、まちづくりとあわせて区画整理をしなければならないという事情がございますものですから、どれくらい作付できるかにつきまして、現在いろいろ調査をしているところでありますけれども、現段階で把握することはなかなか困難である状況でございます。引き続きまして全力で把握に取り組んでいきたいと思います。大変失礼いたしました。
〇喜多正敏委員 作付できない農家は大変困るわけでありますので、そうした営農とか生活支援についてもぜひ相談に乗ってあげていただきたいと思います。
 観光客の入り込み数だけでなく、最前線で誘客に努めている生の声を把握して、いち早く観光施設や2次交通の復旧、情報発信、具体的な送客につながるよう、エージェントに対しましては、旅行商品造成の資金的支援も行いつつ、デスティネーションキャンペーンなどを最大限活用して誘客を図っていただきたいと思います。
 みちのく岩手観光立県基本条例に基づく平成22年度から平成26年度までの5年間を計画期間とするみちのく岩手観光立県基本計画について、岩手県観光産業振興本部及び外部有識者によるいわて観光立県推進会議において、計画の進捗管理と成果を検証しながら実効性を高めていくとされています。
 ところで、そのいわて観光立県推進会議委員やいわて観光立県推進会議幹事会委員の女性委員は皆無であります。岩手の復興を目指し、デスティネーションキャンペーンを実施し、生きた観光推進を行う今こそ、海外や全国的視野に立った女性の感性や観光ニーズを生かすことが不可欠と思いますが、知事の御所見をお伺いします。こうした委員会や幹事会に早急に女性を加える必要があると思いますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 女性委員の任用についてでありますが、いわて観光立県推進会議等の委員については、これまで県内の関係団体の長などに委嘱してきたところでありますが、観光客の多様なニーズにこたえていくためにも、各界で活躍する女性の知識、経験を生かし、女性ならではの視点から御意見をいただくことは重要と考えており、現在、改選期を迎えている同推進会議等の委員に女性を任用することについても積極的に検討してまいります。
〇喜多正敏委員 女性は、大変観光客の主流を占めるところでありまして、ぜひそういうことで、全国的な視野に立って委員、幹事に加えていただきたいと思います。
 再生可能エネルギーについてお伺いします。
 いわて県民計画において、環境王国いわての実現を目指し、地球温暖化対策推進会議を掲げさまざまな取り組みを行っております。平成15年3月には新エネルギーの導入の促進及び省エネルギーの促進に関する条例を定め、これら施策を総合的かつ計画的に推進することとしております。
 そこでお伺いします。本県の平成22年度も含めた消費電力量と県内発電量、その発電内容、すなわち水力発電、地熱発電、その他新エネルギーなど再生可能なエネルギーと火力発電量、発電の自給率がどのように推移しているのかお伺いします。
〇宮舘副知事 本県の電力の状況についてでありますが、平成22年度の消費電力量は約96億5、000万キロワットアワー、発電量は約23億7、000万キロワットアワーとなっておりまして、電力自給率は24.6%でございます。
 発電種別ごとの内訳でございますが、水力発電は約12億1、000万キロワットアワー、地熱発電は約3億6、000万キロワットアワー、その他の新エネルギーは約1億7、000万キロワットアワーとなっておりまして、火力発電は約6億3、000万キロワットアワーでございます。再生可能エネルギー全体では約17億5、000万キロワットアワーとなっておりまして、発電量でのシェアは73.6%でございます。
 ちなみに、再生可能エネルギーによる電力自給率は18.1%でございます。
 それから、県内の電力自給率の推移でございますが、平成15年度から平成20年度までは、消費電力量の増加によりまして平成20年度は20.6%まで低下いたしましたが、平成21年度及び平成22年度は、再生可能エネルギーの発電が良好だったことなどによりまして24.6%まで上昇しております。
〇喜多正敏委員 実施報告書によれば、地球温暖化対策の目指す推進方策指標の達成度について、達成とおおむね達成は8指標中3指標で、3割に満たない状況です。平成22年度の地球温暖化、新エネルギーなどの推進に関する県の事業の成果と課題について御所見をお伺いします。
〇宮舘副知事 地球温暖化、新エネルギー等に係る県事業の成果と課題についてでありますが、まず、成果については、二酸化炭素の排出抑制につきましては、温暖化防止いわて県民会議を中心といたしまして、家庭や事業所での省エネの取り組みや脱白熱球キャンペーンなどの八つのキャンペーンを全県で展開しました。それから、地球温暖化を防ごう隊事業による家庭と学校が一緒に取り組む省エネ活動の実践、条例に基づきました、事業者に対する省エネの計画的な取り組み推進など、関係団体等と連携した温暖化防止の取り組みを実施し、そして温暖化防止いわて県民会議において調査を行った結果、家庭における省エネの実施率は73.9%と前年度から1.8ポイント増加しております。また、取り組み事業所数も148事業所と前年度から29事業所増加するなど、家庭や事業所における取り組みは着実に浸透してきていることを確認しております。
 それから、新エネルギー等の推進につきましては、県の地球温暖化対策等推進基金を活用いたしまして、県内85カ所の公共施設や事業所、住宅への太陽光発電設備やチップボイラー、LED照明、高効率給湯器等の導入に対しまして2億6、700万円の助成を行っております。
 次に、今後の課題についてでありますが、温暖化防止に向けまして、電力需給が逼迫している状況を踏まえ、冬場のウォームビズや節電対策など、県民や事業者等の協力を得ながら一層の省エネに取り組んでいく必要があると考えております。
 また、公共施設や住宅、事業所への一層の導入のほか、大規模発電施設の立地促進など、再生可能エネルギーの積極的な導入を進める必要があると考えております。
〇喜多正敏委員 林業や地場産業の振興、治山治水の観点から、木質バイオマスの活用のため、ペレットストーブへの補助の復活、拡充、平成23年度で終了する木材利用のボイラーの導入補助の拡充、延長、岩手型住宅建設補助制度を強化、拡充するお考えはないかお伺いします。
 福島第一原発事故などから、国は新たな再生可能なエネルギーについて政策を打ち出してきており、本県でも先ごろメガソーラーの立地候補地の選定を行っている旨の報道もなされました。再生可能なエネルギーの推進は被災地復興や県勢発展のため有効であると思いますが、国の施策と呼応し、平成24年度予算編成も含め、今後どのように対応しようとしているかお伺いします。
〇宮舘副知事 3点のお尋ねがございました。
 新エネルギー関係の補助事業の拡充等についてでございますが、まず、ペレットストーブについては、これまでペレットストーブ普及促進事業や地球温暖化対策等推進基金事業によりまして、一般住宅や事業所、公共的施設等を対象に補助を行ってきておりまして、平成22年度までに827台の設置を支援したところでございます。
 ペレットストーブ普及促進事業は昨年度─平成22年度で終了しておりまして、事業の復活、拡充は現在のところ予定しておりません。
 次に、木材利用のボイラーの導入補助につきましては、平成21年度から地球温暖化対策等推進基金や森林整備加速化・林業再生基金を活用した事業によりまして実施してきているところでございます。
 実績を申し上げますと、平成22年度まで二つの事業による実績は、木質バイオマスガス化発電設備1台、ペレットボイラーが3台、チップボイラーが1台となっております。今年度の支援予定といたしましては、チップボイラーを4台予定してございます。
 これらの事業はいずれも国庫補助事業でございまして、国の予算措置の動向等を踏まえながら、来年度以降の取り組みについては検討してまいりたいと考えております。
 岩手型住宅の建設補助制度についてでございますが、県産材を使用した住宅を建設または改修する際の補助を行うものでございまして、平成22年度の実績は55件の支援でございます。
 今後は、震災後の建設需要や国のエコポイント制度の動向を踏まえながら、必要に応じ制度の見直しについて検討してまいる考えでございます。
〇達増知事 再生可能エネルギーの推進に向けた今後の対応についてでありますが、東日本大震災津波復興基本計画におきまして、再生可能エネルギーの導入を本県復興の核の一つに位置づけ、沿岸被災地域はもとより全県での取り組みを進めることとしており、こうした考え方に基づいて、現在、本県の再生可能エネルギー導入に向けた具体的な目標について検討しております。
 また、再生可能エネルギーの導入に向けて、大規模太陽光発電に係る適地調査や風力発電に関する各種情報収集などを行うとともに、国に対して、再生可能エネルギー特別措置法における適切な買い取り価格、期間の設定や初期投資の軽減に向けた財政支援の拡充、土地利用に係る規制緩和などを働きかけているところであります。
 現在、国の第3次補正予算や平成24年度当初予算に係る情報収集、さらには市町村の取り組み状況等も踏まえながら、防災拠点となる公共施設や住宅、事業所等への各種再生可能エネルギーの導入、大規模太陽光発電施設や風力発電施設、地熱発電施設の立地促進、本県の地域特性を踏まえた自立・分散型エネルギー供給システムや小水力発電施設などの導入に向けた調査研究、復興特区制度の活用などさまざまな取り組みについて検討を進めているところであります。
 今後、環境王国いわて実現の大きな柱の一つとして位置づけ、再生可能エネルギーの導入に取り組んでまいります。
〇高橋昌造委員長 喜多委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。
 喜多委員、御了承願います。
   午後0時2分 休 憩
午後1時2分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇喜多正敏委員 事業についてはサンライズ、サンセットも大事でありますけれども、環境問題、エネルギーについては長期的な取り組みが必要と思います。先ほどの御答弁もありましたが、木質バイオマスについては、そうした観点から長期継続した取り組みを期待したいと思います。
 雇用問題についてお伺いします。
 実施報告書よれば、産業振興施策による県北・沿岸圏域も含め雇用創出累計数は7、593人と目標値5、500人を上回り、評価はAとなっており、県の御努力は多としますが、既にこれについては前年の平成21年度実績が5、492人とほぼ目標値を達成しております。目標値が平成20年度を基点に設定されていることはわかりますが、毎日毎日職を探している県民の目線、日々変動する経済、雇用情勢に照らし、こうした目標の設定の仕方や評価は再検討の必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 また、実施報告書において緊急雇用創出事業は707事業が予定され、683事業で達成度Bとなりましたが、事業数が減少した内容と理由をお伺いします。
 雇用創出数は計画で4、670人に対し3、048人、ふるさと雇用再生特別基金事業は198事業に対して225事業で評価がA。一方、雇用創出数は、目標1、030人に対して707人で、評価がCとなりました。主要施策の成果及びいわて県民計画実施状況の評価と今後の課題、取り組みについて御所見をお伺いします。
〇上野副知事 まず、県民計画の目標の設定の仕方や評価の再検討についてでありますが、県民計画の目標は、平成20年度を基準といたしまして県全体の計画を定めたものでありますが、産業振興による雇用創出数等の目標値につきましては、世界同時不況における最悪の雇用環境の中、リーマンショック以前の状況に近づけるべく、最大の努力を払って達成すべき目標として設定したものでございます。
 委員御指摘の雇用関係指標の設定につきましては、震災後の経済、雇用情勢も見据えながら、県としてあるべき姿を念頭に置いて検討していく必要があると考えております。
 次に、緊急雇用創出事業の事業数の減少についてでございますが、平成22年度におきましては、前年度並みの事業数を見込んで計画値を設定したところでございます。しかし、本事業は平成20年度を初年度としており、平成22年度は3年目を迎えたことから、前年度までに事業目的を達成した事業も多く、平成22年度への継続事業が見込みを下回ったほか、新規の事業計画に当たりまして新たな事業分野での掘り起こしが限られたことなどによりまして、結果といたしまして事業数が計画値を下回ったと考えております。
 それから、雇用創出事業等に係る成果と今後の課題等についてでございますが、緊急雇用創出事業などにつきましては、平成20年度から平成22年度まで総額約140億円を投入いたしまして、産業振興施策と合わせて約1万5、500人余りの雇用を創出したところでございまして、この結果、有効求人倍率は震災前の本年2月には0.5倍に回復するなど、雇用情勢は緩やかに改善されてきたと認識いたしております。しかしながら、緊急雇用創出事業は、世界同時不況後、急激に増加した失業者に当面の雇用の場を提供するという事業の性格上、これにより創出された雇用は臨時的、つなぎの雇用であるという限界がございます。こうしたことから、今後も産業振興施策と緊急雇用創出事業を組み合わせた重層的な雇用対策に全力で取り組んでまいります。
〇喜多正敏委員 雇用目標数や雇用に係る事業については、実態に合わせて取り組んでいただきたいと思います。
 有効求人倍率は、平成22年4月の0.36から、平成23年8月には0.57と改善されていますが、有効求職者数と有効求人数とはまだ1万4、885人の差があります。被災地並びに本県の非正規雇用の動向と、8月時点の求人や求職者の年齢、臨時的雇用と正規雇用等の内容はどうなっているかお伺いします。
 また、失業による雇用保険の受給者数、給付期間が延長されることとなる受給者数、雇用保険の納付状況についてお伺いします。
 また、被災地や本県全体の生活保護世帯数や保護費の動向、財政への影響などについて御認識をお伺いします。
 雇用対策は緊急に必要な対策と、産業振興や復興など期間を要する対策があるわけでありますけれども、雇用確保の課題と非正規雇用の安定化、待遇改善も含め、今後の対応についてお伺いします。
〇上野副知事 雇用対策につきまして幾つかのお尋ねがございました。
 まず、被災地並びに本県の非正規雇用の動向等についてでございますけれども、岩手労働局によりますと、8月末時点で全県の求人数は2万2、240人で、対前年同月比38.5%の増でございまして、うち沿岸部の求人数は5、516人で、対前年同月比72.1%の増となってございます。全県の求職者数につきましては3万7、125人で、対前年同月比9.3%の増であり、うち沿岸部の求職者数は1万752人で、対前年同月比60.1%の増となっております。年齢別の求職者数を見ますと、44歳までの求職者数が2万290人で、対前年同月比4.2%の増、45歳以上の求職者数が1万6、835人で、対前年同月比16.0%の増となっております。
 なお、年齢別の求職者につきましては地域ごとのデータは公表されておりません。また、雇用対策法におきまして、求人に当たりまして年齢を制限することは原則として禁止されているため、年齢別の求人状況についてのデータは取りまとめられておりません。
 さらに、8月末時点の新規の求人数に占める正社員の構成比につきましては全県で30.0%で、対前年同月比2.6ポイントの上昇となっております。沿岸の地域ごとでは、釜石地区が25.8%で、対前年同月比0.5ポイントの低下、宮古地区が22.3%で、対前年同月比2.3ポイントの低下、大船渡地区が29.1%で、対前年同月比5.0ポイントの上昇、久慈地区が22.1%で、対前年同月比0.8ポイントの低下となってございます。なお、本県の非正規雇用の割合は、5年ごとに実施される就業構造基本調査によると、直近の平成19年のデータでは31.8%となっております。
 次に、雇用保険の受給者数等についてでありますが、岩手労働局によりますと、8月末の雇用保険の失業給付の受給者実人員数は全県で1万3、948人となっております。10月1日から、沿岸地域を含む14市町村の求職者を対象といたしまして、雇用保険の失業給付の給付日数が90日間再延長されたところでございます。なお、給付日数延長の対象となる受給者数につきましては公表されておりません。岩手労働局からの聞き取りによりますと、給付日数延長の対象となる受給者数は県全体の2割程度ではないかと聞いております。
 また、雇用保険料と労災保険料を合わせました労働保険料の納付につきましては、沿岸を含みます7市町の事業者を対象といたしまして、保険料の納付及び免除等の申請期限が、12月15日まで約5カ月間延長されることとなっておりまして、岩手労働局では、分割納付が必要な事業者の相談にも応じていると聞いております。
 なお、労働保険料の納付及び免除等の申請の状況につきましては、現在、延長の手続が行われているところでございまして、公表されていないところであります。
 最後に、雇用対策に係る今後の対応についてでありますが、雇用確保に当たりましては、産業振興により県内経済の活性化を図り、民間による安定的な雇用を維持、拡大する環境整備が最も重要であると認識しております。このため、沿岸地域におきましては、できるだけ早急に被災した事業所の復旧、復興を進め、雇用の回復を図るとともに、内陸におきましては、好調な自動車産業など経済波及効果の高い産業の振興促進により、県全体として雇用の場の拡大につなげてまいります。
 また、このような強みのある産業、企業の集積を図るほか、企業誘致によりまして地域全体の雇用力を高め、企業ニーズに合わせた質の高い人材を育成することを通じまして正規雇用の拡大を図ってまいります。
〇宮舘副知事 被災地及び本県の生活保護世帯数等についてでありますが、本県の生活保護世帯数は平成10年度以降増加傾向にありまして、特に、経済、雇用情勢の悪化に伴い、平成20年度後半からその傾向が顕著となっておりまして、昨年9月には1万200世帯となりました。災害発生時の本年3月時点での生活保護世帯数は、被災した沿岸部で2、657世帯、内陸部で7、949世帯の計1万606世帯となっております。本年9月には、沿岸部で2、387世帯、内陸部で8、095世帯の計1万482世帯となっており、沿岸部では減少、内陸部においては増加し、県全体では減少しているところであります。
 また、財政への影響については、本年度上半期の生活保護費の実績は95億7、400万円となっておりまして、前年度同期の実績92億1、800万円と比較いたしますと3億5、600万円の増加となっております。これに対応する県負担額は─これは4分の1でございますけれども─1億8、300万円余の減少、市部の負担は5億3、900万円余の増となっておりまして、県全体では3億5、600万円余の増加となっております。
 なお、これらの県及び市の財政負担分につきましては、地方交付税により措置されているところであります。
〇喜多正敏委員 雇用保険も延長された、納付についても延長されたということでありますけれども、やはり期間があるわけでありまして、大変期間も要する対策もあるわけでありますけれども、一刻も早く迅速な対応と雇用の拡大について努めていっていただきたいと思いますし、特にも中小企業者、農林漁業者について、経営上の相談についての窓口をしっかりと設けていると思いますけれども、そうしたことを把握しながら迅速な対応をお願いしたいと思います。
 次に、医療、福祉についてお伺いします。
 県立病院や地域で不足する医師確保のため、奨学金制度の拡充、医療機関相互の機能分担と連携の強化、医師勤務環境の整備、住民が参画した地域医療を支えるための県民運動をこれまで展開してきましたが、これら医師確保対策について、平成22年度の実績と退職医師数の動向、成果と課題、今後の取り組みについてお伺いします。
 また、県立病院においても、医療クラーク、院内24時間保育の実施、院内助産システムなどを導入してきましたが、取り組みの状況と、それによって医師の勤務条件はどう向上したのかお伺いします。
〇宮舘副知事 まず、医師確保対策に対する取り組みについてでありますが、奨学金制度による取り組みでは、平成22年度は44名に新規に貸し付けを行ったところであり、平成28年度以降、これらの医学生が順次医師となることから、県内の医師数の着実な増加が見込まれるところであります。
 また、医師の勤務環境の整備におきましては、平成22年度に11病院の5、068件の分娩に対し、分娩手当の支給支援による処遇改善などを行ったほか、育児等により離職した女性勤務医への職場復帰研修の実施により5名が職場に復帰しております。さらに、周産期医療を初めとする医療機関相互の機能分担と連携の強化を進める一方で、地域医療を支える県民運動の展開によりまして、住民による意識の高まりや、支援の活動が見られ、医師の勤務環境向上につながっていると考えております。
 こうした取り組みによりまして、いわて県民計画アクションプランに掲げる平成22年度の医師確保目標数、これは40人の目標でございましたが、40人を達成したところであります。なお、退職医師数の動向についてでありますが、平成22年度末で県立病院を退職した医師は32名となっておりまして、ここ数年ではほぼ横ばいとなっております。
 本県の地域医療の状況は、医師の地域偏在や特定診療科の医師不足、病院勤務医の離職など深刻な状況が続いているものと認識しておりまして、さらには、今般の災害により被災地における医療の確保も重要な課題となっていることから、今後も引き続き医師確保対策アクションプランに基づく取り組みを着実に進めていくとともに、今年度設置することとしております地域医療支援センターも活用しながら、医師の確保、定着に取り組んでまいります。
 それから、県立病院における医師の勤務条件改善等の取り組みについてでありますが、医師の業務負担軽減を図るため、事務的作業の補助を行う医療クラークにつきましては平成19年度から配置しておりまして、平成22年度の151人から本年度は28人増員し、179人の定数を措置しているところであります。
 院内助産システムは平成19年度から導入し、助産師のみで分娩を取り扱った件数は、平成22年度は125件となっております。
 また、女性医師等の支援のため、平成20年度から院内24時間保育を開始し、医師の年間の利用実人員は平成22年度28人となっております。
 このような取り組みなどによりまして、医師の事務的作業や、夜間、休日の業務の負担軽減が図られ、医師の勤務条件の向上に一定の成果があったものと考えております。
〇喜多正敏委員 医療クラークは非常に効果があったというお話でありましたが、この医療クラークは179人で、これからもまた増員していくのかどうか。
 それから、大変過酷な医師の勤務条件ということで退職する方もおられるということですが、実際、時間外勤務が極めて多いという実態にありましたけれども、そうしたところについてはどのようだったか、もう少し具体的にお伺いしたいと思いますし、退職した医師が32名ということでありましたが、退職理由などについては前と変化があったのかどうかお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 医療クラークの増員の予定はないのかという御質問でございますけれども、まずは配置した医療クラークの質の向上、業務内容の充実などに努めることとしておりますが、今後の増員につきましては、病院の状況なども踏まえながら、今後検討してまいりたいと考えております。
 それから、医師の勤務条件の向上ということで、勤務の状況はどうなのかということでございますけれども、1人1カ月当たりの超過勤務時間数で申し上げますと、平成22年度は、─これは医師だけでございますが─57時間でございましたが、平成23年度は52.5時間と、4.5時間減っているということでございます。
 それから、退職した理由ということでございますが、開業するとか、あるいはほかの病院に移るという方もございますし、また、不明の方も大分おられますので、状況についてはそんなに大きくは変わってございません。
〇喜多正敏委員 過酷な医師の勤務実態ということで、57時間から52時間、1割ほど減ったということでありますが、実際、この医療クラークがどの程度時間外の削減に寄与したかということは広く分析してみないとわからないんですが、大変効果があったということは事実だろうと思います。質の向上を図っていくということでもありますが、やはりそうしたことについては物理的な時間の削減に直接結びつくことが医療の質の向上にもなりますし、また、退職された方の理由については余り変化がないというお話でありましたけれども、そういうところにもつながっていくのかなと思いますので、ぜひ、柔軟な対応をしていただきたいと思います。お話がありましたとおり、地域とか診療科目によっての偏在がまだまだあるということですので、さらにこの医師確保については、勤務条件の改善あるいは確保に努めていただきたいと思います。
 東日本大震災津波により、医療施設、介護福祉施設、地域包括支援センターなどが被災し、現在も地域によっては、診療や投薬のため通院や入院ができない、保険証や医療施設によってはカルテが滅失したなど、大変不便をしている方や施設も多いと思いますが、そうした実態についてどのように認識し、対応しているかお伺いします。
 また、通所や入院、居住系施設、居宅系サービス事業所などの介護福祉施設の人的、施設の被災状況と現在の活動状況についてお伺いします。
 また、業務の再開や再建について、利用できなくなった方に対する県や市町村の対応についてお伺いします。
〇宮舘副知事 被災地における通院等の実態に対する認識についてでありますが、被災地域における通院等の交通については路線バスや患者輸送バスの運行により対応しているところでありますが、現在の路線では対応できない仮設住宅団地もあるため、地域住民の一部には不便が生じているものと認識しております。沿岸市町村ではバス路線の見直しや新設を進めているほか、県におきましては、こうした取り組みへの国庫補助制度の導入に向けて関係機関との調整を行うなど、市町村の事業導入を支援しているところでございます。
 また、入院機能の確保につきましては、現在、二次保健医療圏の基幹病院を中心といたしまして、民間医療機関とも協力しながら対応しているところでありますが、気仙圏域においては、急性期後の医療体制が他の圏域に比べ脆弱であるなどの地域事情を考慮いたしまして、来年1月末を目指して、県立高田病院の仮設診療施設に入院機能を整備することとしております。現在、県といたしましては、医療機関の災害復旧や仮設診療所の設置など被災地域の医療提供体制の構築に取り組んでおりまして、診療機能も通常の体制に戻りつつあるところでありますが、今後とも被災者の医療ニーズの把握に努め、対応していきたいと考えております。
 なお、保険証を失った住民の方については、既に市町村等から保険証の再発行を行ったところであり、また、津波で失われた患者情報につきましては、医療機関からの要請に応じて、社会保険診療報酬支払基金及び岩手県国民健康保険団体連合会がレセプトデータを提供したと聞いております。
 それから、介護福祉施設の被災状況等についてでありますが、まず、介護福祉施設の被災状況の内容を申し上げますと、入所居住系の施設では117施設が─このうち沿岸は34施設でございますが─被災しておりまして、そのうち入所者に死亡または行方不明の被害があったのは3施設128人と把握しております。それから、居宅系の事業所では122事業所が─沿岸では110事業所でございますが─被災しておりまして、通所中に施設で被災され、死亡された方が2事業所に3人と把握しております。
 次に、業務の再開や再建の状況についてでありますが、入所居住系の施設では、被災した117施設のうち14施設が一時使用不能となっておりましたが、これまでに半数の7施設が事業を再開しているほか、5施設は国庫補助を活用して事業再開を計画しております。それから、居宅系事業所では、被災122事業所のうち106事業所が既にサービス提供可能となっておりますが、休止中の16事業所のうち2事業所は国庫補助を活用して事業再開を計画しております。
 次に、施設の被害によりサービスを利用できなくなった方への対応についてでありますが、一時使用不能となった14施設の入所者については、県が市町村と連携して受け入れ施設の調整や移送を支援するなどして、近隣の施設や内陸の施設に受け入れていただいたところであります。その後、7施設が修復した施設や仮設の建物においてサービスを再開しておりまして、残りの7施設の入所者は引き続き近隣及び内陸の施設等で処遇されております。
 県では、今後、被災地においても要介護高齢者が必要な介護サービスを利用できるように、地元市町村と緊密に連携しながら、再開を予定している施設の早期復旧、再開に向けて引き続き支援してまいります。
〇喜多正敏委員 今のお話ですと、すべて入所して、いろいろな介護なりを受けているということで、大変安心しました。また、仮設住宅あるいは避難された方の中には、家族を失ったり、あるいは分散して避難しているといった高齢者も非常に多いということで、今後、利用希望者もまたふえてくると思うわけでありますし、ぜひ、こうした不安や不便な生活を感じておられる方については、市町村とも連携して、実態を把握して対応していっていただきたいと思います。
 最後でありますけれども、いわて情報連携クラウド・遠隔医療総合特区─保健、医療、福祉新モデルの構築─を目指した地域活性化総合特別区域をこの9月に申請されたとお伺いいたしているわけでありますけれども、これに、すぐれたソフトウェア情報学部や看護学部を擁する岩手県立大学を参加させるお考えはないかお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 いわて情報連携クラウド・遠隔医療総合特区の取り組みに岩手県立大学を参加させることについてでありますが、広大な県土におきまして、地域連携型の保健、医療の仕組みづくりを進めていくために、電子化された医療・健康情報を共有するための基盤整備や、大学病院等と連携した遠隔医療の導入に向けた取り組みを推進していくこととしておりまして、その一環として、委員からお話がありました9月末に総合特区法に基づく地域活性化総合特区の指定を国に申請しております。
 岩手県立大学におきましては、自治体等と連携して地域における課題の解決に向けた取り組みを強化するため本年4月に地域政策研究センターを設置するなど、積極的な取り組みを進めております。また、ソフトウエアの先端技術を活用いたしまして地域課題に関連した実践的な取り組みを行っておりまして、ICTを活用した高齢者等の見守りシステムの研究開発などの実績もあることから、総合特区の取り組みでも十分に今後連携して進めていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 この申請はいつごろ採択の返事が来る見通しになっておられるでしょうか。
〇宮舘副知事 できれば年内に採択していただくようにお願いしたいと思っております。
〇喜多正敏委員 医療に限らず、これから県が所管する事業においていろいろなプロジェクトが出てくると思います。そうしたときに、岩手印の大学というか、岩手県が創設した大学でありますので、岩手県立大学をいろんな面で、計画を策定する段階から、企画の段階からお声をかけていただきまして、ぜひ、岩手県立大学の中にもこうしたことに対応できる企画能力といいますか、あるいはせっかく岩手県をフィールドにして学生諸君も大いにいるわけでありますので、ぜひ、そうしたことについて今後とも参画させていただきたい。私はこの岩手県において、特にも盛岡広域においてはITの振興を重点的な地域振興の施策として掲げているわけでありますけれども、その中で地元の優秀なソフトウエアの会社もあるわけでありますが、発注を受けて下請的に製品をつくっていく、ソフトをつくっていくということももちろん大事でありますけれども、ぜひ岩手発のソフトウエアのプロジェクトをつくっていく、そうしたことを県下に広め、あるいは全国に展開していくというような独立のソフトウエアの起業も進めていくべきだと。やはりその最先端となって研究開発をしていく中に、先ほど申し上げましたいろいろな学部を擁している岩手県立大学を活用していくことが極めて大事だと思っておりまして、そのことが県勢の発展にもつながると思っております。こうしたことについて、岩手県立大学の活用についての御所見を重ねてお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 岩手県立大学のあり方といいますか、その貢献について、活用についての御質問でございまして、岩手県立大学では、先ほど申し上げましたように、この4月には地域政策研究センターを開設しておりまして、その中に今回の震災に対応するような震災復興研究部門もつくったりしておりますし、地域に貢献する大学ということを学長も掲げておられますので、そういった点で我々もこれから密接に連携を図りながら学部の活用等も図っていきたい、お願いをしていきたいと思っております。
〇喜多正敏委員 ぜひ、岩手県立大学の学長と県の幹部の方は定期的に懇談するなどして、地域の政策課題を共有しながら活用していっていただきたいと思います。
 これで私の総括質疑を終わり、この後、高橋但馬委員にかわります。御丁寧な答弁ありがとうございました。
〇高橋昌造委員長 次に、高橋但馬委員。
   〔高橋但馬委員質問者席に着く〕
〇高橋但馬委員 民主党の高橋但馬でございます。
 喜多正敏委員の残りの時間を使わせていただきまして、引き続き私から順次質問をさせていただきます。
 いわて県民計画における改革の一環として、想定した予算規模を目安として、収入未済額の縮減や県有資産の有効活用など、歳入確保の取り組み、政策の選択と集中の徹底など歳入歳出全般にわたる行財政改革の取り組みを一層強化し、効率的、効果的な運営を行うとあります。
 このたびの平成22年度歳入歳出決算の義務的経費につきましては、公債費がふえたことにより2.9%増加しましたが、総人件費の抑制により人件費は減少したとのことです。総人件費の抑制のために取り組まれてきました職員数の縮減につきまして、いわて県民計画アクションプランの工程表は、公営企業除きで、平成23年4月時点で職員数1万9、960人程度、うち知事部局4、000人弱とする目標値を掲げています。その結果として、知事部局は3、949人と目標値を達成、全体としては1万9、831人と目標を130人程度上回る縮減数となっています。
 厳しい財政状況の中、職員数の縮減等による人件費の削減を行わざるを得なかったものと認識しておりますが、一方で、行政サービスの水準は保っていく必要がございます。職員数の縮減と並行して事務事業の見直し、業務プロセスの改善等による事務の簡素化、効率化などを推進してきたものと考えますが、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、具体的にお知らせ願います。
〇加藤総務部長 これまでの行財政改革の取り組みについてでございます。事務事業評価に基づきまして、平成19年度から平成22年度までの4年間で363事業を廃止いたしまして、当初予算ベースで申し上げますと、合計約127億円を縮減したところでございます。また、県営建設工事及び建設関連業務に係ります電子入札システムでございますとか法人二税に係る電子納税の導入などによりまして、事務に要する時間や移動コスト、印刷、発送経費の削減を図るなど、事務の簡素効率化に努めてきたところでございます。
〇高橋但馬委員 4年間で363事業、127億円の縮減を行ってきたということでありますけれども、3月11日の東日本大震災津波から、今、復旧、復興に向け市町村への支援や県実施事業の推進など、これまで以上の人的資源が必要となってくると思われます。職員定数や職員体制のあり方についてどのように考えているのか、また、今後策定予定のアクションプラン改革編の基本方向とあわせてお示しを願います。
〇達増知事 職員定数や職員体制のあり方についてでありますが、今後、漁港整備を初めとする災害復旧事業の実施、復興道路の整備に向けた支援等、未曾有の大災害からの復興事業を着実に推進するため、執行体制の一層の拡充が重要であると認識しております。こうした認識のもと、復興事業を担うマンパワーの確保に向けさまざまな方策を講じていく必要がありますが、その中にあっても、後年度における人件費負担を考慮しますと、長期にわたる大幅増員は難しいものと考えております。
 このため、平成24年度に向けては、これまで継続してきた計画的な定数の削減は見送り、現在の職員数を維持した上で、全国の都道府県等に対する職員派遣の強力な要請、不要不急な業務の見直し、民間委託の一層の活用、NPOや企業等の多様な担い手の参画を図る新しい公共の推進などあらゆる方策を検討し、実施に移すことにより復旧、復興を推進できる体制を構築してまいります。
 アクションプラン改革編の基本方向については、現在検討中でありますが、その一端を披瀝いたしますと、いわて県民計画の長期ビジョンに掲げたいわてを支える持続可能な行財政構造の構築など四つの基本方針を堅持しつつ、震災後の状況変化を踏まえ、限られたマンパワーの効果的活用、職員の能力向上、市町村との連携強化など、震災からの復興を支える人、組織、仕組みづくりに重点を置いたものにしたいと考えております。
〇高橋但馬委員 東日本大震災津波関連予算の措置状況として、平成22年度岩手県一般会計補正予算(第7号)の134億2、700万円が、4月27日に議会において全員一致で承認されました。この補正予算は、東日本大震災津波による災害に対応するため、避難者の支援等緊急を要する災害救助経費やその他の必要な経費を計上したものです。
 主な内容として、94億7、000万円の災害救助法関係では、炊き出し、飲料水、被服、寝具その他生活必需品、学用品の給与など、また、4億5、000万円の災害復旧関係では、河川等災害復旧事業や学校施設災害復旧事業等、そして、35億円の予備費では被災地受け入れのための公営住宅の修繕、被災地の汚染箇所の消毒等を想定しているものでした。
 この第7号補正予算については、このような今までに想定していない規模の災害で、避難の支援や災害救助に対する対応としても手探りの部分があったと考えられます。補正予算の評価についてお聞かせください。
〇加藤総務部長 平成22年度の第7号補正予算の評価についてでございます。被災者の救助、避難所の運営や被災地への食料、水、生活必需品の供給など、人命を守り、衣食住の確保を迅速かつ円滑に行うことが急務と考え、災害救助法関係経費、施設の応急復旧対策経費を計上いたしましたほか、さまざまな被災地の要望等に弾力的に対応できるよう予備費を措置したところでございます。
 この予算措置によりまして、発災直後における被災地への支援や災害対応におきまして、資金面の懸念を抱えることなく機動的な対応を図ることができたものと認識しております。
〇高橋但馬委員 本年度に入って東日本大震災津波関係予算の累計は、今議会で成立した第7号及び第8号補正予算を含めると5、510億円余に上り、今年度の県予算額は1兆2、554億円余、前年同期との対比では5、560億円余、79.5%の増となっています。
 こうした中、6月臨時補正では、水産業の復旧のための事業を中心に約120億円の事業について国の補正予算に先行して計上、また、今回の補正予算においても、三陸鉄道や水産業の復旧、復興経費、被災地における信号機の整備など早急な対応が必要な事業、約200億円について、国の3次補正に先行して予算の計上を行ったものと承知しております。
 被災地の復旧、復興を的確に行うためには適時適切な対応が肝要であり、まさに国の対応が遅いためのやむを得ない措置と理解する一方で、この財源の確保が大きな課題と認識しております。現時点におけるこれら復旧事業に係る国費措置の見通しについてお示しください。
〇加藤総務部長 復旧事業に係る国費措置の見通しについてでございます。
 国の3次補正予算の詳細な内容でありますとかその配分など、いまだ明らかとなっていない部分が多く、現時点で全体を見通すことは困難な状況にございます。
 主な事業につきましてお示しいたしますと、三陸鉄道の復旧事業では、国が2分の1、自治体が特別交付税措置を得まして2分の1負担する新たなスキームが打ち出されているという状況もございます。
 また、水産業共同利用施設の復旧など水産業施設復旧関連経費につきましては、国の2次補正などの配分内示に対しまして、3次補正よる確保のめどが立ちつつあるものを加えましても、現時点では、想定している国費措置のおおむね半分程度の措置見込みにとどまっております。早期の災害査定の完了を要請するとともに、追加配分でございますとか3次補正の配分を働きかけているところでございます。
〇高橋但馬委員 被災地の復旧、復興にはこれからも時間がかかると思われます。しかし、県として進めなければいけないことは多々あると思いますので、引き続き国に対してしっかりと予算の措置要求をしていっていただきたいと考えております。
 それでは、今回の商工費の決算に記載されております未知の奥・平泉観光振興事業費、いわて・平泉観光キャンペーン実行委員会負担金など、ことし6月の平泉世界遺産登録へ向けた観光面での事業が展開されました。こうした取り組みに加え、平泉の情報発信、平成21年度施策の評価の検証や、平成22年度施策の着実な推進を図ることにより、登録へ向けて一歩一歩前進してきた結果が登録実現につながったのだと考えております。
 そこで伺いますが、平成22年度における未知の奥・平泉観光振興事業及びいわて・平泉観光キャンペーン実行委員会負担金の事業の取り組みの内容と、その評価についてお聞かせください。
〇上野副知事 観光関係事業の達成度についてでございますが、まず、未知の奥・平泉観光振興事業につきましては、平泉への誘客の強化を主な目的といたしまして、マスメディアの活用等による世界遺産登録応援キャンペーンや、県内のボランティアガイドへの平泉観光に関する研修会などを実施してきたものでございまして、世界遺産登録に向けた機運の盛り上がりや観光客の受け入れ態勢の整備につながったものととらえております。
 また、いわて・平泉観光キャンペーン実行委員会負担金につきましては、平泉への誘客効果の全県波及を主な目的といたしまして、ガイドブック、ポスターによる首都圏等への宣伝事業や、首都圏のホテルでの食と観光の情報を発信したいわてフェアの開催、旅行会社等へのセールス活動による誘客事業、さらには、県内各地でのおもてなしイベントの開催など、受け入れ態勢整備事業などを展開したものでございまして、本キャンペーンに3年間継続して取り組んだ結果、サッパ船体験やカキ小屋など地域資源を活用した魅力的な観光地づくりへの取り組みが各地で根づき、受け入れ態勢の整備促進につながったものととらえております。
〇高橋但馬委員 県として、未知の奥・平泉観光振興事業費、いわて・平泉観光キャンペーン実行委員会負担金など平泉の観光振興に対する予算を確保して、マスメディア等を使ってアピールしてきたものと受けとめましたが、一方で、仙台市のバス会社は、世界遺産登録された平泉町と、宮城県を代表する温泉地鳴子温泉郷を定期観光バスで直結させ、両市町の観光振興を図っています。この企画は、観光自粛ムード、風評被害の早期払拭を図ろうと7月1日に始まった仙台・宮城─伊達な旅─復興キャンペーンの一環とのことです。
 岩手県観光ポータルサイト、平成23年6月、誕生。世界遺産─平泉・HIRAIZUMI─特集を閲覧してみますと、平泉町と近郊部の観光スポットの紹介はされているのですが、岩手県各地区の観光スポットや宿泊施設との連携が載っていない状況です。平泉を中心として岩手は復興していくんだ、こういうアピールが必要だと考えますし、早急に平泉と平泉以北の観光地をつなぐ必要があると考えますが、県としての施策をお知らせください。
〇達増知事 平泉を中心とした観光施策についてでありますが、去る7月3日には、平泉世界文化遺産登録、東北復興祈願金色堂参拝におきまして、東日本大震災津波に対して国内外から東北地方へ寄せられた支援に対する御礼や、平泉の理念、復興への決意などを盛り込んだ東北復興平泉宣言を全国に向けて発信し、平泉を中心とした復興をアピールしたところであります。
 こうした考えのもと、平泉と平泉以北をつなぐ二次交通の整備や旅行商品の造成を働きかけてきたところ、現在、既に平泉-盛岡間の高速バスが運行されるなど、観光客を北へ誘引しようとする取り組みも進んできているところであります。今後は、さらに、いわてデスティネーションキャンペーンにおいて平泉と八幡平・安比や、つなぎ・鶯宿温泉などを結ぶバスの運行を予定しており、県内各地域に対し、平泉との一層の連携を働きかけながら県全域への誘客を図ってまいります。
〇高橋但馬委員 私が考えますに、関東方面から東北に来ていただいた場合、例えば宮城県で新幹線を降りた場合、そこから平泉までは来ていただけるとは思うんですけれども、そこからさらに北というのはなかなか発想として難しいのかなと思っております。であれば、仙台を越して盛岡、そしてさらに北、そこに降りていただいて、戻ってくる段階で平泉を見ていただく、やっぱりそういう考え方が必要だと思います。盛岡と平泉を結ぶ高速バス、大いに期待できる部分であると思いますけれども、県として、これを全国にアピールしていく必要があると思いますので、引き続き平泉の世界遺産登録を機に全国にアピールしていただきたいと考えております。
 ただいま知事の答弁にもございましたいわてデスティネーションキャンペーンについてお伺いいたします。
 来年度に控えましたいわてデスティネーションキャンペーン、平泉の世界遺産登録による誘客効果の継続、定着を図るため、復興支援の観光物産展など首都圏を中心に情報発信に取り組み、特に現地のマスコミを活用するとともに幅広く多様な媒体を活用し、国内外に向けた情報発信を強化していく考えを知事も示しております。
 今回の決算額2、688万円が計上されているいわてデスティネーションキャンペーン推進協議会負担金でありますが、いわてデスティネーションキャンペーン全国宣伝販売促進会議等の企画また制作の業務委託の実施や観光ホームページの改修による利便性の向上を図り、情報発信を行ってきたと思われます。観光客の回復に向けては、平泉の世界遺産登録からいわてデスティネーションキャンペーンへとつなげる好機を生かさなければなりません。一般質問からでありますけれども、皆さんおっしゃられているのが、7月の連休は登録前と登録後でどれぐらい違うか。平泉に来ている観光客が2万人回から4万人回にふえている。200%ふえている。この好機を何とか、来年度に控えたいわてデスティネーションキャンペーンにつなげるこの施策が大切になってくると考えております。
 3月11日の東日本大震災津波から7カ月がたち、被災地も復旧から復興に切りかわってきたものの、まだまだ時間をかけて取り組んでいかなければなりません。被災地とともに歩む観光を考えたとき、6月定例会の一般質問に対する商工労働観光部長の答弁は、世界遺産平泉の観光を被災地の復旧、復興につなげていくことは極めて大切なことだと考えておりまして、私どもも、平泉を訪れた人はぜひ被災地へ訪れていただく。それから、被災地のボランティア活動においでいただく方は逆に平泉も訪れていただく。これは当然被災地の状況や被災者の御心情を配慮しながら進めていかなければならないと思いますとのことでした。
 6月定例会より4カ月弱が過ぎようとしていますが、被災地の状況や被災者の御心情を配慮しながら進めるために、被災市町村との意見交換等連携が最重要と考えられますが、観光分野に係る被災市町村との意見交換の状況をお示し願うとともに、これを踏まえた今後の観光振興のあり方についてお伺いいたします。
〇上野副知事 いわてデスティネーションキャンペーンを含めました今後の観光振興のあり方についてでありますが、震災後の5月に被災市町村に個別に赴きまして、いわてデスティネーションキャンペーンのあり方などについて意見交換をしたところ、復興に向けましていわてデスティネーションキャンペーンをぜひ実施すべきとの御意見をいただきまして、当初の予定どおり実施することとしたところでございます。また、6月には、観光分野も含めました復興基本計画につきまして沿岸市町村長と意見交換、9月には被災市町村へのアンケート調査を実施いたしまして、観光施設の復旧、復興の状況及び今後の観光振興における課題の把握などに努めたところでございます。
 これらを踏まえまして、今後の観光振興に当たりましては、被災した地域の観光施設の早急の復旧及び被災事業者の事業の立て直し、復旧、復興の原動力となる誘客の促進、この二つが取り組むべき課題と認識しているところでございます。このため、施設の復旧や事業の立て直しに向けて、被災施設の修繕費の補助や設備、運転資金の融資などの支援措置を講じるとともに、いわてデスティネーションキャンペーンに向けまして、平泉を初め内陸と沿岸をつなぐ二次交通の整備や沿岸の観光資源の情報発信を強化いたしまして、被災地の早急の復旧、復興を促してまいります。
〇高橋但馬委員 先日、伊藤勢至委員から、カキの養殖のプランというんですか、養殖するために、被災地はその資金がないということで、5、000円でカキを購入。その4、000円がカキの購入費に充てられて、1、000円が養殖を助けるためのお金に行くというものがございまして、私も協力させていただきました。いずれ、仙台では、こういうプランを逆にもう旅行のプランの中に組み込んで進めている旅行会社もあります。そういう部分を県が先行して旅行会社に訴えるなど、ぜひ被災地の復旧、復興が早期に行われるように、観光振興も含めてお願いしたいと考えます。
 それでは、最後に民生費の児童福祉費の地域子育て活動推進事業費について伺います。
 県は、いわて県民計画において、家庭や子育てに夢を持ち、安心して子供を産み育てられる環境の整備を掲げています。平成21年に実施した県民意識調査では、安心して子供を産み育てられ、子育てがしやすい環境であることに対する県民のニーズ度は40項目中3番目と高くなっています。県民の子育て世代が県に対して子育て環境の整備を強く希望しているあらわれであると考えられます。いわて県民計画では、共働きもしくは仕事をしながら子育てをするために、県として市町村と連携し、保育所の定員拡大や地域ニーズに対応した延長保育、一時預かり、病後児保育などのサービスを行う保育所の拡充を促進するほか、放課後児童クラブの設置や活動に取り組むことが明記されています。
 一方、具体的な推進対策となる地域子育て支援拠点、放課後児童クラブなどのいわゆる地域子育て支援拠点等設置数は、平成22年度目標値406カ所に対し実績値が394カ所と、達成度はC評価となっています。支援拠点等設置数が目標値に達しなかった現状をどのようにとらえ、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
〇宮舘副知事 地域子育て支援拠点等設置数の現状と今後の取り組みについてでございますが、放課後児童クラブの設置数は、平成22年度で275カ所と前年度より21カ所増加しております。また、地域子育て支援拠点につきましては、新たに22カ所開始されたものの、統廃合等により専任職員の少ない小規模な施設が15カ所廃止されたことによりまして、全体では7カ所の増加となったところであります。この結果、平成22年度の地域子育て支援拠点等設置数の合計では、平成21年度より28カ所増加したものの、目標には達しなかったところでございます。
 地域の子育て環境の一層の充実を図っていくためには、引き続き地域子育て支援拠点等の整備を進めることが必要であることから、今後もその取り組みを促進するとともに、施設が廃止になった地域のニーズに対応するため、当該地域の公民館等に出向きまして親子交流イベントを実施するなど、市町村のきめ細やかな子育て活動を支援していくこととしております。
〇高橋但馬委員 内陸もそうなんですけれども、今後、被災地での児童の健全育成を図るためにも、放課後児童クラブなどの子育て支援拠点が重要になってくるものと考えます。3月11日の東日本大震災津波によって被災した施設の状況と、被災を踏まえた復旧整備についてお知らせください。
〇宮舘副知事 被災した施設の状況と復旧整備についてでございますが、全壊、半壊または浸水等の被害を受けた施設は、地域子育て支援センターが6施設、放課後児童クラブが22施設となっております。このうち、地域子育て支援センターにつきましては、現在、3カ所が他の施設の活用等により活動を再開しております。また、2カ所が年内を目途に再開の予定でございますが、1カ所は来年度の復旧を目指している状況でございます。
 また、放課後児童クラブにつきましては、現在、19カ所が近隣施設の借用や自力復旧等により活動を再開しているほか、2カ所が11月の再開に向け仮設の施設を建設中であります。残りの1カ所についても、早期の再開に向け検討を行っているところであります。
 県といたしましては、県の復興基本計画に基づき、現在、市町村、関係法人等と連携を図りながら、国と災害復旧費補助の協議を進めるなど、被災施設の早期復旧に向けた取り組みを支援しております。
〇高橋但馬委員 ぜひ早期の復旧に向けて御尽力いただきたいと考えております。
 そして、これらの子育て支援拠点施設が今後どのような役割を果たしていくことを期待しているのか、県としての考えを最後にお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
〇宮舘副知事 地域子育て支援センターには、子育て中の親子が気軽に参加して子育てに関する相談に応じる場として、また、放課後児童クラブには、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学生の放課後における健全な育成を図る場として、子育て家庭をサポートしていくことが求められていると考えております。
 こうしたことから、子育て支援拠点施設につきましては、保育所や児童館などと一体となって、社会全体で子育てを支援する地域づくりを一層進めるための主要な役割を果たしていくことを期待しております。
〇高橋但馬委員 ぜひ県として子育て家庭の支援のために一生懸命御尽力をいただきたい、私も頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇高橋昌造委員長 次に、嵯峨壱朗委員。
   〔嵯峨壱朗委員質問者席に着く〕
〇嵯峨壱朗委員 自由民主クラブを代表いたしまして質疑をさせていただきます。
 平成22年度決算を受けて、本県の財政状況等についてまずお伺いしたいと思います。
 アクションプランに係る施策の成果についてでありますけれども、平成22年度当初予算は、厳しい経済、雇用情勢や地域医療などの諸問題への対応や、いわて県民計画に基づく希望郷いわての実現に向け、平成21年度より大幅増となる予算を編成したとのことでありました。アクションプランの最終年度であった平成22年度はこれまでの取り組みの総仕上げを意識して施策を展開されたと思いますが、どのような施策に注力し、成果があったと認識しているか知事にお尋ねいたします。
〇達増知事 アクションプランに係る施策の成果についてでありますが、平成22年度予算は、いわて県民計画の着実な推進に向け、喫緊の課題であります雇用対策や地域経済の底上げなどに意を注ぎながら、ゆたかさ、つながり、ひとをはぐくんでいくための基盤形成を進める予算として編成したところであります。
 その主な取り組みは、厳しい経済状況の中での着実な企業誘致の推進、中国プーアル市等と共同で行った上海万博への出展に取り組んだことなどによる東アジア地域への輸出額の増加、農林水産業における6次産業化の取り組みの支援による販売額の増加、平泉の文化遺産世界遺産登録に向けたイコモスによる現地調査への協力、福祉施設整備の計画的な推進による入所定員の増とこれに伴う常用雇用の創出、地域医療再生臨時特例基金を活用したドクターヘリの導入促進など医療提供体制の整備、保育所の計画的な整備のほか、携帯電話などを活用した子育て情報の提供など子育て環境の充実などでありまして、希望郷いわての実現に向けて一定の成果を上げたものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどの喜多委員の質疑でもありましたけれども、平成22年度は、予算編成で財政再建よりも経済、雇用対策を優先したと述べておりました。大震災に向けては復旧に向けた予算執行に対応したと。結果として財政健全化に向けた財政運営ができたと述べておりましたが、当初の予算編成のところと、結果として達したところに若干ずれがあっていい結果を生んだと認識しているのかと理解しました。
 そこで、自治体の持続可能性という観点からも大変重要な指標でありますけれども、将来負担比率についてまずお伺いしたいと思います。
 平成22年度決算の状況を見ると、健全化判断比率の中で兵庫県、北海道に次いで比率が悪い将来負担比率について、平成21年度の305.9%から286.1%と19.8ポイント改善しております。この将来負担比率というのは重要な指標ですけれども、岩手県はずっと下から3番目とかというところで推移していました。今回どういう順位になっているかわかりませんけれども、改善したこと自体は非常にいいことですが、こういった厳しい財政環境の中で大震災にかかわる補正予算を組んできたわけですけれども、そうした中で将来負担比率が改善している理由は何なのか、また、今後この将来負担比率はどのように推移していくと見込んでいるのかまずお尋ねしたいと思います。
〇加藤総務部長 将来負担比率の改善理由でございます。
 県債残高のうち、償還財源となる交付税の割合が少ない、いわゆる持ち出しの多い県債の償還が進んできたことも一因でございますが、最大の理由といたしましては、地方交付税の増額によりまして計算上の分母となります標準財政規模が拡大しておりますので、それに対する将来負担額の割合が減少し、大幅に改善したと分析しております。これは全国的な傾向と認識しております。
 今後の見込みでございますが、近年、先ほど申し上げましたように趨勢としては低下傾向にございまして、震災対応分以外に限れば今後も同様と見込まれます。
 震災対応分として県債を発行した場合には、その償還財源に交付税が措置されない部分、実質的な地方負担が発生することになりまして、それにより将来負担額が増加するということでこの比率の増大要因となってまいりますが、現在、国の3次補正予算におきまして、交付税を増額して、1次補正及び2次補正分も含めて被災自治体の実質的な地方負担を解消する方向性が打ち出されておりますので、これにつきましては今後の動向を注視していくということでございまして、現在のところ、今後の推移というのはにわかにはっきりしたものは申し上げにくい状況でございます。
〇嵯峨壱朗委員 交付税がふえたということで、見かけ上というとらえ方もできると思います。恐らく大変さというものは変わらないものだと思っておりますので、歳入の増と、経費をどうやって抑えるかということを大事にしていただきたいと思っております。
 厳しい財政環境なわけですけれども、普通会計における実質収支が149億円と過去最高の黒字となっている理由は何なのか。またこれは、予算の見積もりや執行方法が、不適切とは言いませんけれども適切だったのかどうかお尋ねしたいと思います。
〇加藤総務部長 平成22年度末の補正予算におきまして、災害対応分ということで、避難者の支援等緊急に要する災害救助経費でございますとか、現地におけます応急対策経費など、当面、必要となる経費につきまして思い切った計上もいたしまして、繰り越しも想定した上で計上したところでございます。
 そういう状況でございますが、年度内の支出は必ずしも見込んだ想定ほど多くならなかった一方、その財源となります国庫補助金につきまして、国が予備費で対応することといたしまして繰り越しが認められなかったということがございまして、結果として支出いたしまして収入に大きな余剰が生じたということで、実質収支が大幅に黒字となったものでございます。
 ただし、この黒字分につきまして、国の補助金が収入以上に平成22年度に限れば来たということでございますので、この部分につきましては今年度に国庫返還が必要になるという状況でございます。
〇嵯峨壱朗委員 わかりました。
 県債の借り入れについてお尋ねしたいと思います。
 財政運営に当たって、厳しい財政状況の一因となっております過去に発行した県債の償還であります公債費の増嵩というのが大きな要因になっているかと思いますが、県債の発行に係る基本的な考え方についてまずお尋ねしたいと思います。
〇加藤総務部長 県債発行の基本的な考え方でございます。
 県債発行につきましては、必要な事業を精査いたしまして県債等を充てていくわけでございますが、その県債発行の中におきましても、交付税等の支援もございますので、そういったものを活用いたしまして、なるべく後年度負担が少ないもの、そして借り入れ資金につきましても、低利、安定的なということで、そういった形で、県としても、利率なりそういった部分での負担が少ないものという中で、さまざまな工夫を凝らしながら借り入れに努めている状況でございます。
〇嵯峨壱朗委員 平成22年度末の県債残高の借入先の構成比を見てみますと、岩手県の場合、特徴的な点が幾つかありますけれども、市中銀行から48.3%となっています。次いで、財政投融資資金が特に多いんですけれども公的資金が40.9%、それ以外が10.8%になっておりますけれども、宮城県等は3分の1は公募債で調達している。そういった県もあるわけです、これはやむを得ないでしょうけれども。
 そもそも市中銀行と公的機関からの借り入れについてはどのような考え方で使い分けしているのか、国等の指導もあるかと思いますけれども、お伺いしたいと思います。
 また、市中銀行からは、具体的にはどの金融機関から借りているのか、そして残高の状況はどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
〇加藤総務部長 県債の資金配分についてでございます。
 県債の発行に当たりましては、地方債計画で定める事業区分ごとに国から決められた資金が配分されるというのが基本でございます。災害復旧事業の全部あるいは一般公共事業、臨時財政対策債の一部などにつきましては公的資金として財政融資資金が配分されております。これらの事業区分ごとに公的な機関から必要な資金を借り入れております。これら以外の借り入れにつきまして、市中銀行などの銀行等引き受けの資金によることとしております。そういった仕切りがある中で県として対応しているということでございます。
 それから、市中銀行の残高の状況についてでございます。
 市中銀行借り入れ、平成22年度末残高で7、383億円ございます。そのうち、岩手銀行6、256億円、北日本銀行413億円、東北銀行240億円、三井住友銀行140億円、みずほ銀行40億円、三菱東京UFJ銀行32億円、その他さまざまな市中銀行等を合わせまして263億円となっております。
〇嵯峨壱朗委員 特にこれについてはコメントしません。
 市場公募債についてお尋ねしたいと思いますけれども、資金の調達方法として先ほど宮城県の例を指摘しましたけれども、市場公募により調達する方法も考えられると思われます。宮城県は1兆5、000億円のうち5、440億円を調達しているわけでありますが、岩手県は85億円と2%を切っております。財政力の違いはあるにしても、ちょっと違い過ぎるという気がしております。本県にとってこういった市場公募の調達方法というものは有利なのか不利なのか、また、本県としては市場公募による調達をどのように考えているのかお尋ねしたいと思います。
〇加藤総務部長 市場公募についてでございます。
 市場公募地方債を発行する都道府県がだんだん増加しているという状況は事実としてございます。
 市場公募による調達ということでございますが、これは市場の判断による利率で、安定的に広く資金調達できる手段となるということで有効な一面もございます。ただ、発行するための人的、組織体制の整備、専門的な知識を有する職員等も要る、そういうことが必要になる部分もございますし、手数料など、特に発行時に事務的な経費がかさむという面もございます。また、発行するということになりますと財政状況等の問題もございますので、今現在さまざまな財政需要を抱えております本県にとってどうかという面がございます。そういったこともございまして、導入に向けては、さまざまなこれらの観点について総合的に判断していく必要があると認識しております。
 当面、県債発行に当たっての考え方でございますが、安定的、低利でかつトータルコストですぐれた資金調達に努めていくということでございまして、市場公募の導入を直ちにというわけにはいかないと思っておりますが、ほかの調達手段との組み合わせのあり方も含めて引き続き検討を深めていきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 苦労されているとは思いますけれども、有利な資金調達をしていただきたいと思います。
 これまで何回か取り上げておりました仕組債についてお尋ねしたいと思います。
 県債の中でも、平成18年度に発行したいわゆる仕組債が県財政に大きな負担をもたらしてきつつあると認識しております。本県の仕組債は為替相場に応じて指定されているものでありまして、50億円を10年償還という、ちょうどことしが折り返しになるわけでありますが、米ドルで98円50銭までは利率が1.3%になりますけれども、これが円高によって上昇していきますと、最大で72円23銭の時点になると9%まで上がっていくという仕組みです。現在のように円相場が高い水準では相当の影響を与えていると考えられます。
 昨年の決算特別委員会でも取り上げられておりましたけれども、昨年、為替水準は91円でございました。そのときには6.14%の金利で利息が1億5、355万円、そして最低金利の1.37%の場合ですと3、425万円ということで、昨年の91円の段階で1億1、930万円の差が出ています、最低から比べると。さらに今、深刻化していると思いますけれども、現時点ではどの程度の影響、負担を与えているのかお尋ねしたいと思います。
〇加藤総務部長 仕組債の影響ということでございます。
 仕組債につきましては委員御指摘のとおりの内容でございまして、為替水準に応じて利率変動ということでございます。この利率の見直し時期は年2回、6月と12月となっておりまして、現在の適用利率は、米ドルと円の為替レートで80.635円─6月─ということになりますが、これから算定されました利率は年利7.72056%となっております。
 これの影響額ということでございます。これまでの利率見直しによる実際の支払い額、それと、仮にすべて下限利率であった場合の利払い額との差額ということで申し上げますと、発行からこれまでの間に総額7億7、400万円余の利払い額の増加となっております。
〇嵯峨壱朗委員 おそれていたことというか、これは10年間は解約できないということなので、ずっと負担が続く。何度も取り上げていることでありますけれども、苦しい資金調達の中で、総務省もこれは余り進めていない調達方法ですね。ですから、いろいろな仕組債があるわけですけれども、ぜひ何らかの手だてを持って特例的、どこに行っているかわからないので何ともならないかと思いますけれども、こういった調達方法は余りもうやらない方向で考えていただきたいと思っております。非常に危惧しております。
 前回の委員会の中でもありましたけれども、仕組債を含んで全体的に県債発行に伴う利息がどうなっているか、そういった視点で評価すべきだということを述べておりましたけれども、そういった視点で見ると、総務部長、今どういうふうに評価しておりますか。
〇加藤総務部長 全体といたしまして偏ったスタンスをとらないというのが県債の発行の中での基本的な考え方でございます。金利、期間の長短でございますとか、先ほども議論がございましたが、資金調達先、その辺をさまざまある程度分散して、リスクヘッジを図るというのが基本的な考え方でございます。
 こうした方針の一環として、この仕組債につきましても利払い額の増減をある意味ヘッジさせるという意図で試験的に導入したということでございますが、なかなか為替動向、非常に見通しにくい、先の見通しというのが非常に専門家でも難しいところがございますので、基本的なスタンス、今後も分散を図っていくというところは同様でございますが、金利以外の、あるいは期間、時間的な長期、短期とか、そういったもの以外のこういった経済市場連動型のものにつきましては極めて慎重に考えていかなくてはいけないのではないかと。基本的には、こういったものにつきましては今後発行は控えたいということで考えております。
〇嵯峨壱朗委員 次に、国の交付金により創設した基金の執行状況についてお尋ねしたいと思います。
 平成20年度、平成21年度の緊急経済対策として国の補正予算により措置された交付金でありますけれども、都道府県が設けた基金を会計検査院が調べたところ、平成22年度末時点で3兆4、000億円のうち4割程度しか使われていなかったと。2兆円が残っているとの報道がございました。東日本大震災によって被災した岩手県、宮城県、福島県、茨城県の4県を除く43都道府県の基金を調査したとのことでありましたけれども、本県の執行状況はどうなっているのか、また、これらの基金は有効に活用されているのか、そしてまた、問題点、改善点等をどのように認識されているのかお尋ねしたいと思います。
〇加藤総務部長 国の交付金によりまして創設されました基金の執行状況についてでございます。
 先般公表されました会計検査院報告の対象となりました国の19基金事業、これを原資に本県におきまして設置された基金、本県では16基金ございます。これらの基金の設置から同じ平成22年度末までで比較いたしますと、積立金合計、本県の場合684億円余でございます。そのうち、平成22年度末までに取り崩した額は291億円余となっておりまして、執行率では42.5%となっております。
 これらの基金のうち、子育て支援対策臨時特例基金でございますとか緊急雇用創出事業臨時特例基金、森林整備加速化・林業再生基金などの執行率が高く、また、県の負担軽減を図りながら、緊急に対応が必要な分野やきめ細かな対応が求められる分野などにおいて創意工夫を凝らした施策を進めることができたものも多々あったものと考えております。
 一方、執行率が低い基金─社会福祉施設等耐震化臨時特例基金、医療施設耐震化臨時特例基金などでございますが、これらは、事業者側の意向を踏まえた上でハード整備を行う、そういったことでございますので、ある程度事業実施まで時間を要さざるを得ないということでございまして、こういったことが執行率が低い理由ではないかと考えております。
 今回、検査対象となった基金の中には、先ほども申し上げましたが、地域医療再生臨時特例基金のように終了年限までの期間がそもそも長いものもございます。そういったものも含まれておりますほか、平成23年度に入りまして、本県では大震災対応を含めかなりの額を基金から取り崩して事業費に充てている、こういった状況もございます。これらにかんがみますと、会計検査院報告ではございますが、その報告のように平成22年度末という一時点をもって執行率が低いと評価することは一概にはできないのではないかと考えております。
 引き続き基金の有効活用に努めていくわけでございますが、特に本県におきましては東日本大震災津波の発災によりまして事業環境が大きく変化しておりますので、国に対しましては、一層の使い勝手の向上でございますとか弾力的な使用期限、終期の設定などを求めていく考えでございます。
〇嵯峨壱朗委員 今、部長もおっしゃったとおり弾力的に使えるようにぜひ要望して、雇用の基金も漁業者の手間とか、そういう方向で使った例もありますので、いろいろな形で弾力的に使っていただきたい。まず期限の短いものからいっていただきたいと思います。
 財政運営について最後ですけれども、今後、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けてさらに全力で取り組んでいくわけであります。知事はこれまでももちろん全力で取り組んできていると思いますけれども、一方で将来世代に大きな負担を残さないような配慮もしていかなければならない難しいかじ取りが求められると思いますが、今後の財政運営の考え方について知事にお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 今後の財政運営の考え方についてでありますが、被災地の復旧、復興に向けた事業には最優先で取り組んでいく必要がありますことから、将来世代に大きな負担を残さないよう、まずは国費による力強い支援が何よりも必要であり、それでもなお生じる地方負担に対する財源措置の充実、確保を国に対して強く要請してきたところであります。
 こうした中で、国では3次補正予算において交付税を増額し、国の1次補正及び2次補正も含めて被災自治体の実質的な地方負担をなくす方向で検討を進めていると伺っており、今後の動向を注視しております。
 県においても、あらゆる手法による歳入の確保や低利で安定的な資金調達を行うとともに、歳出の徹底した見直しを行うなど、一層の選択と集中を図ってまいります。その上で、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努め、財政の健全化にも配慮した財政運営を行っていく考えであります。
〇嵯峨壱朗委員 よろしくお願いいたします。
 次に、県政運営全般について、知事演述を中心に知事にお尋ねしたいと思います。
 まず、選挙公約についてですけれども、先般、知事演述がありましたけれども、知事が今後の県政運営について表明した、2期目の選挙に臨むに当たり、東日本大震災津波からの復興を最重要課題として、岩手県東日本大震災津波復興計画を推進することがいわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現につながるものと考え、これらの計画を実質的な選挙公約としたところでありますという部分がございました。しかし、この岩手県東日本大震災津波復興計画は議会としても承認しているわけでありまして、達増知事一人で策定したものではないと思っております。にもかかわらず自分自身の選挙公約にするのは、私は前もそういう発言をしておりましたけれども、かねてからちょっと疑問でありました。どのような考え方に基づきこのような表現をしたのか、その考え方をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 選挙公約についてでありますが、東日本大震災津波からの復興は本県において取り組むべき最重要の課題であり、復興計画は、その課題を実現すべく、県の総力を挙げて作成し、議会の承認をいただいたものであります。さきの知事選挙におきましては、候補者として、復興計画の推進と実現を岩手県民の皆様にまずお約束しなければならないと考え、復興計画の推進を選挙公約として、選挙期間を通じ計画の中身を説明し、また訴えたものであります。
 こうした経緯を踏まえて、県民の皆様の信託をいただいて再び県政を推進するに当たり、県民の皆様とともにしっかりと復興をなし遂げる気持ちを所信表明において述べたものであります。
〇嵯峨壱朗委員 私が疑問に思ったことについては知事は全く疑問に感じませんでしょうか、どうでしょう。
〇達増知事 復興計画の推進ということを県民に約束しない選挙のほうがむしろ考えられないことでありまして、公約というのは有権者に何を約束するかということだと思いますけれども、やはり復興計画の推進を約束するということは何ら問題はないと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 わかりました、というかよくわからないんですけれども、私の考え方とすると、やっぱり復興計画は復興計画で、岩手県の県民の復興計画です。それを実行するのを公約とするのもありなのか、ちょっとね。観点が違うからしようがないのかわかりませんが、私はなしだと思っています。それはちょっとないのではないかと思っております。やはりそれはそれとして実行するというのは、知事になったらだれもがしなければならないことです。知事としては、やはりもっと違ったものを打ち上げるべきではなかったかと思ったりしておりますけれども、これについてはもうやめますので。
 演述についてもう少し聞きたいと思っております。
 知事は力という言葉が好きですけれども、所信表明の中で、現場力を発揮しながらという言葉が出てきております。県、市町村、国がしっかりと連携して、被災者の一人一人に寄り添った行政を進め、沿岸地域と内陸部が一体となって岩手県全体の復旧に向けた取り組みを進めるよう努めてまいりますと話していたところがございます。そこで現場力という言葉が出てきておりますけれども、この現場力というものを反映する仕組みはどうなっているのか。また、さらに現場のニーズを吸い上げることができるよう政策決定の手法を変えることなどを考えているのかお尋ねしたいと思いますが、現場力というものについて知事の考えをお尋ねしたいと思います。これをあえて聞くのは、やはり知事の真意を知る上で必要かなと思っているので伺っております。
〇達増知事 まず、現場力という言葉はかなり日本社会で一般的に使われている言葉で、特に特殊な用法ではなく、いわゆる現場力という意味で使っているわけでありますけれども、現場のニーズを踏まえた政策決定を行うため、平成22年度に地方振興局の再編を行い、4広域振興局に移行することで、現地で意思決定をして政策の実施ができる体制の整備を図ったところであります。3月の東日本大震災津波の発生以降も、一貫して答えは現場にあるという考えのもとで、被災地の実態や現場で何が必要か、何をすべきかを把握し、現場力を最大限発揮させながら復興の取り組みを推進してきたところであります。
 具体的には、発災直後から現地に職員を交代で派遣し被災状況及びニーズの把握に努めるとともに、被災市町村の行政機能のいち早い回復のための、それぞれの意向に沿った職員派遣、被災地の復旧や被災市町村におけるまちづくり計画等の策定支援のための県職員の重点的な配置、現地の広域振興局はもとより、私自身も含め、副知事、各部局の幹部職員が頻繁に現地の市町村に赴いての意見交換、被災者の生活再建に向けて、多様化する被災者からの相談に一元的で柔軟に対応する被災者相談支援センターの設置など、被災地における現場力を高め、これを復興の取り組みにしっかりと反映させてきたところであります。
 また、現在、庁議、政策会議、復興本部員会議など県政の重要な政策形成過程には常時広域振興局長が参画していることから、本庁と広域振興局が密接に情報共有、連携を図ることができ、従前にも増して県政の各分野にわたって現場のニーズを踏まえた実効性の高い施策の展開が可能となっております。
 最近におきましても、例えば復興分野においては、今月初めに被災事業者の再建に向けて、相談から具体的な支援までをワンストップで受けられる岩手県産業復興相談センターが設立されたところであり、今後においても現場のニーズを反映した取り組みに努めていくこととしております。
〇嵯峨壱朗委員 私は現場力というのを実は知事から初めて聞いたので、語彙力というか知識の差なのかもしれませんが、そう思いました。
 現場力とのかかわりでちょっとお伺いしたいんですけれども、現場で今回非常に力を発揮していただいた自衛隊についてですけれども、今回、大震災の自衛隊の支援に対して感謝の言葉を知事は再三述べております。私自身も、今回改めて被災地の住民の一人として非常に感謝しております。
 その中で、先般、ちょうど1週間前でしたか、田邉揮司良第9師団長歓迎の夕べというのがありまして、私、出席してまいりました。この人がどれだけ偉いのか私はわかりませんでしたけれども、感謝の気持ちを込めてと思って初めて自衛隊のイベントに出てきました。議会からは佐々木議長、柳村副議長ほか複数の議員も来ておりました。盛岡市長、そして自治体の首長の方も多数出席しておりましたけれども、達増知事は忙しかったのかもしれませんけれども、岩手県からはだれも出席していなかったんです。多少私は違和感を覚えて、案内がなかったのかどうなのか。そして、もしあったとしたらなぜ出席しなかったのか知事にお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 本県は、災害派遣や地域活動への支援など、自衛隊には大変お世話になっています。特にも今回の東日本大震災津波においては、迅速に被災地に入り、被災者に寄り添った救援活動を多方面にわたり昼夜を問わず行っていただきました。自衛隊の活動なくしてここまでの復旧はあり得なかったものであり、大変感謝しております。
 御指摘の歓迎の夕べについては私にも案内がございましたけれども、翌日18日に田邉師団長とお会いすることが決まっていたこと、また、他の公務のスケジュールもありましたことから、日程調整の結果、欠席との判断をしたところであります。関係職員についても他の業務が予定されていたことからやむなく欠席することとし、失礼のないよう、その旨、欠席をお伝えする際に丁寧な説明を行っているものであります。
 私自身、これまでも自衛隊の行事には可能な限り参加するなどして自衛隊に対する感謝の気持ちをお伝えしてまいりました。11月には青森県で開催される第9師団の記念行事にも私は出席の予定でございますが、今後とも機会があるごとに積極的に行事に参加するなど意思疎通の円滑化に意を用い、自衛隊との良好な関係の維持に努める所存であります。
〇嵯峨壱朗委員 やむを得なかったということですが、多少寂しかったような感じがしたということです。いろいろな事情があったと思うんですけれども、どなたでもいいとは言いませんけれども、せっかくですからね。一人もいなかったというのは正直言って寂しかったので、今述べられたとおりの対応をしていただければと思います。
 次に移ります。
 復興に向けた基盤整備等についてであります。
 復興道路というのが述べられております。知事は所信表明で、今回の大震災津波で命の道として機能した三陸縦貫自動車道を初めとする沿岸地域の縦貫軸や内陸と沿岸地域を結ぶ東北横断自動車道釜石秋田線などの横断軸を復興道路として位置づけ、集中的投資による3年間での重点的整備を国に強く要請し、災害に強い交通ネットワークの早期の構築に取り組むとしております。
 その中で、なぜ横断軸として盛岡以北である県北は想定していないのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 復興道路についてでありますが、県では、東日本大震災津波以前から、三陸縦貫自動車道を初めとする規格の高い道路が救急医療、避難、救援などに際して命の道として極めて重要であると考え、その早期整備を国に強く働きかけてきたところであります。
 今般の震災ではその有効性が実証されたこともあり、県では、災害に強い高規格道路による幹線道路ネットワークの構築を被災地の復興に必要不可欠なものと位置づけて、高規格幹線道路である三陸縦貫自動車道、八戸・久慈自動車道、東北横断自動車道釜石秋田線の3路線と地域高規格道路であります三陸北縦貫道路、宮古盛岡横断道路の2路線を復興道路と名づけたところであり、これらの路線について国が整備推進の方針を示したところであります。
 また、国道281号など、内陸と沿岸を結ぶ道路は今回の震災において大きな役割を果たしておりまして、復興実施計画の中で復興支援道路と位置づけてその整備も推進することとしております。
〇嵯峨壱朗委員 知事が今言われたとおりですけれども、国道281号は特に今回重要な役割を果たしました。通行どめで我々は通えなかったんですけれども、関係車両は当然優先的に、非常に重要な路線だと改めて認識したところです。これをぜひ横断軸として、今、復興支援道路と、支援というのはそうですけれども、今すぐというわけではないですが、今後、同じような重要度を持って3本目の横断軸として考えていただきたいと思います。御所見があればお伺いしたいと思います。
〇達増知事 高規格道路として既に計画あるいは事業が行われているものを復興道路と名づけるという整理をしていたものでございまして、一方で、一般国道と申しますか、高規格道路でない、しかし内陸と沿岸を結ぶ関係で重要な道路については、その改良等の整備も推進していくというふうに位置づけているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ整備を進めていただきたいと思います。位置づけもできればと思いますが。
 県北・沿岸振興、県土の均衡ある発展ということをずっと言っておりますけれども、復興を契機に投資的経費がこれらの地区に重点的に投資されることに伴い、県北地域の道路整備はおくれることになるのではないかという懸念もないわけではない。やむを得ない面もあると思いますけれども、今後、復興以外の道路整備はどのような計画、優先順位で進めようとしているのかあわせてお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 道路整備についてでございますけれども、今後の道路整備につきましては、復興実施計画の中に位置づけております復興道路、復興支援道路、復興関連道路、これらの整備を優先して進めていく考えでございます。
 この中で復興支援道路の整備につきましては、内陸部から三陸沿岸各都市に連絡する道路などの交通の隘路の解消や防災対策、橋梁の耐震化などを行うこととしておりまして、その対象路線には国道281号や国道395号といった県北地域の道路も含まれているところでございます。
 復興に係るネットワーク、今申し上げた三つの道路以外の道路整備につきましては、いわて県民計画に掲げました地域の産業や安全で安心な暮らしを支える道路などを県の公共事業評価制度に基づきまして優先順位の高いものから順次整備していく考えでございます。
〇嵯峨壱朗委員 委員会質疑等でもこの際というのがありますけれども、この際ぜひチャンスととらえて頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、海岸堤防の高さについてお尋ねします。
 せんだって発表されました。甚大な被害を受けた湾口防波堤や海岸保全施設についてはおおむね5年以内の完成を目指して、市町村が策定を進めている復興計画と一体となった復旧、復興整備に取り組みますとございます。先般、県が公表した堤防高については、果たして住民が安心して生活できるものなのか疑問がございますし、また、言われてまいりました。
 久慈湾については地域海岸内の堤防高が8メートルとなっておりますけれども、今次津波痕跡高と比較した高さが他の地域に比べてもかなり低い。十四、五メートルでしたか、それに対して8メートル。それはなぜなのか。
 そもそもこの8メートルというのは湾口防波堤が完成したことを前提とした高さではないかと思われます。湾口防波堤はいつ完成するのか、そしてまた、湾口防波堤の完成を前提とした高さの設定では安全性は確保されないのではないか、お尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 今次の津波痕跡高と比較いたしまして久慈湾の堤防高が低いということについてのお尋ねでございます。
 県では、海岸堤防等の復旧を進めるに当たりまして、津波防災技術専門委員会を設置いたしまして、科学的、技術的な知見に立脚いたしまして、市町村の御意見も伺いながら津波対策の方向性などの検討を行ってきたところでございます。
 堤防高につきましては、国から示されました基準に基づきまして、おおむね数十年から百数十年程度の頻度で起こり得る津波に対して設定することとしておりまして、久慈湾におきましては、今次津波とおおむね数十年から百数十年程度で起こり得る津波との差から、近傍地域と比較すると今次津波痕跡高と比較した高さが低くなっているところでございます。
 なお、久慈湾につきましては、国が整備を進めております湾口防波堤と防潮堤を組み合わせて津波対策を実施してまいります。
 湾口防波堤の完成時期につきましては、既定計画どおりの平成40年度を目標としていると国から聞いているところでございますが、県としては、引き続き久慈市とともに湾口防波堤の早期の完成を要望していくというふうに考えております。
 次に、湾口防波堤が完成するまでの安全対策についてでありますが、防潮堤の早期復旧を進めるとともに、ソフト対策といたしまして、浸水想定区域図の作成や久慈市が行うハザードマップの作成、避難計画の策定等を支援してまいります。
〇嵯峨壱朗委員 大船渡、釜石もかなり低い、6メートルとかという数字になって現行と同じ水準が出てきておりますけれども、これは湾口防波堤の完成が前提となった数字ですね。ですから、5年以内に復旧するということであって初めて生きてくる数字だと思っております。それからすると、平成40年ということは、17年間は現行計画でいうと低いままで推移すると。私の地元というのはすぐそばなんですけれども、海に近いというか、地区がそういう地区に属するんですけれども、怖いですよ、単純に言って。ですから、1メートルでもいいからかさ上げしてくれ、何メートルでなくてもいい、そういった地元の首長初め要望がございました。ですから、これは国の基準そのものが悪いと思っていましたけれども、それはそれとして、何ともならないのであれば、今、副知事がおっしゃったとおり、複合的にいろいろなセーフティネットを通じてやってもらいたいと思います。ぜひその辺は念頭に置いて、いろいろな角度から対処していただきたいと思います。
 次に移ります。
 水産業振興についてお尋ねしたいと思っております。
 大震災大津波によって破壊された県内水産業をどうやって復活させるのか。船もない、漁具もない、漁場も壊されてしまった、氷も冷凍庫もない、とった魚を加工するところもない、売る相手もない、ないない尽くし。まして従事する人も、高齢化だけではなくて、今回、放棄する人も多々おります。そして、復活に向けての対応は、今回、自治体、県も含めてですけれども、漁協、被害状況によって困難さはまちまちで、対応も遅速があったと思っておりました。
 そうした中で県は、国の非常に遅い対応を前に、かなり迅速に県単を使いながら対応してくれたと思っております。これは現場の声でもあります。それについては感謝申し上げます。そして、十分だったかというのは別問題として、かなり努力していただいたと思っておりました。ただ、今回、余りにも総合的に壊されてしまった。
 今回は2点だけお伺いしますけれども、岩手県の漁業全体として最も重要な魚種でありますサケのふ化事業についてと、あとは特に県北沿岸で重要な資源でありますアワビ、ウニについてお尋ねしたいと思います。
 サケのふ化事業についてでありますけれども、平成22年度決算ではサケ、マス増殖のために1億700万円余を支出しております。これまでも、県内全体で年間サケ稚魚を約4億3、000万尾放流してきたところであります。これによって4年後の漁獲を可能とするサケ資源を造成してきたわけでありますが、これからも継続する必要のある大事な事業であると思っております。漁獲高の25%、そして関連する加工業から含めるとかなりの比率を占めているサケだと思っておりますので、主要な要素だと思っております。
 しかしながら、今般の津波によってふ化場の施設も壊滅的な被害を受けております。当時私は、野田村の安家川、ここもかなり大きな施設ですけれども、すぐ行ってまいりましたけれども何もなくなっておりました。橋がそのまま移って、何かどんと乗っかっている。知事も見たと思いますけれども、大変な状態でした。これをどうするのかなと思ってまいりましたが、現在、ふ化場関係者は必死に復旧のために鋭意努力していると思います。発災から7カ月が経過して、サケが遡上する季節となってまいりました。現在も補助事業を導入して復旧していると思いますが、来春にはサケを何としても放流しなければならない。これも迅速な県の対応を受けて、かなりの部分まで復活したのも事実だと思っておりました。
 そこで、県下のふ化場の復旧状況はどの程度進んできたのか尋ねたいと思います。また県は、来春の放流尾数を例年の何割くらい、どの程度見込んでいるのかお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 サケのふ化場の復旧についてでございますが、県内に28ございます沿岸のふ化場のうち21ふ化場が被災しておりまして、国の1次補正によりまして15のふ化場で応急的な復旧工事を進めているところでございます。
 10月15日現在、六つのふ化場でサケの採卵が開始されておりまして、今後、サケの遡上が本格化する11月末までには22のふ化場が稼動して親魚捕獲や採卵が行われ、サケの稚魚が生産される見込みでございます。これにより、来春には、例年の約75%となります約3億3、000万尾の稚魚の放流を見込んでいるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 被害状況からすればかなり迅速な対応だったと思っております。これによって3年、4年後にどれだけ帰ってくるか心配な面もまだまだありますし、もともと岩手県のサケというのは回帰率が低いんですね。北海道の海でとられているという説もあるんですけれども、岩手県のふ化場が被害を受けて心配しているのは北海道だという話も笑い話でありましたけれども、それだけ重要な要素だと思っておりますので、ぜひ継続して応援していただきたいと思いますし、今後、このふ化場の復旧はもちろんですけれども、ぜひ継続的に回帰率を上げるそういった施策をやっていただきたいと思います。
 次に、ウニ、アワビについて、種苗生産の復旧についてお尋ねしたいと思います。
 同じく平成22年度の決算の中でナマコ産地づくり推進事業が400万円余、アワビ・ウニ資源増大技術開発事業費が100万円余、アワビ栽培漁業効率化緊急支援事業費900万円余など、ウニ、アワビ等の資源増大や種苗放流への支援などを実施してきたところであります。
 県では、アワビ800万尾、ウニ300万尾程度の放流を行っておりまして、特に県北地域の養殖適地が少ないところではウニ、アワビ等の漁獲は大きな収入源でありますし、サケとウニ、アワビ、磯漁業と合わせて食っているというのが実態であります。大変重要な要素であります。これまで地道に種苗を放流しながらつくり育てる漁業を推進してきたところでありますけれども、このたびの津波でウニ、アワビの種苗生産施設が残念ながら全滅してしまいました。継続的かつ安定的にウニ、アワビ等を漁獲するためには、やはり種苗の確保が非常に重要だと思っております。放流した種苗から成貝になったものというのはかなりの割合になってきております。ですから、ぜひ早期に復旧していただきたいと思います。
 どの程度現在進んでいるのか、また、来年度のウニ、アワビの種苗放流数はどの程度見込んでいるのかお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 種苗生産の復旧についてでありますが、岩手県の栽培漁業協会が運営する県のウニ、アワビの種苗生産施設、これは種市と大船渡にございますけれども、これのうち、比較的施設が残存しております種市施設を先行して仮復旧を行い、9月からウニの種苗生産を開始しているところでございます。
 種市施設の本格復旧に向けては、現在、詳細設計を進めているところでありまして、今年度中には復旧、整備工事を開始し、来年度末の完成を見込んでおります。
 他方、大船渡施設につきましては、地盤調査等が終了いたしまして、本格復旧に向けました詳細設計等に取り組むところでございます。
 ウニの種苗につきましては、現在、種市施設で育成している種苗を来年夏までに約100万個を放流予定としております。また、アワビの種苗につきましては、来年春から種市施設の一部を使用しまして種苗生産を開始し、平成25年の春から放流する予定でありますが、当初は極めて限られた規模の放流数となる見込みでございます。
〇嵯峨壱朗委員 あれだけ破壊されるとなかなか難しいと思うんですけれども、可能な限り支援していただいて復旧を早めていただければと思っております。
 いろいろな努力をしていただいておりますし、漁業者も、また地元自治体もかなり頑張っておりますけれども、今回の水産業全般における現在の復旧、復興の状況について知事はどのように把握しているのか、また、今後の課題をどうとらえているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 水産業の復興に向けた取り組みについてでありますが、これまで、漁船や定置網、養殖施設等の再整備、サケふ化場や漁港、産地魚市場の応急工事など緊急的な取り組みを進めてきており、産地魚市場13市場のうち10市場が再開、水揚げ機能が復旧するとともに、各地でワカメ養殖の準備が行われるなど、着実に水産業の復旧、復興に向けた取り組みが進んでいるものと認識しております。
 水産業は、両輪であります漁業と流通、加工業を一体的に再生することが重要と認識しておりまして、今後は、荷さばき施設や加工施設などの共同利用施設、岸壁や防波堤などの漁港施設等について本格的な復旧、整備を進めていくこととしておりまして、国の3次補正予算や平成24年度予算の動向を見きわめながら、早期の復旧、復興を目指して取り組んでまいります。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ現場の、文字どおり現場の声、先ほどの現場力じゃありませんけれども、漁師の方々一人一人から本当に必要なもの、ニーズを把握していただきたいと思います。船がない。船があったらいいかというと、船以上にお金をかけて漁具をつくっているんですね、自分のオリジナルなもの。それを復旧するのにどうするか、それがあって初めてという部分があるみたいです。ですから、かなり個別です。共同利用できるものとできないものとあって、かなり無理して共同利用しておりますけれども、継続的な支援、現場ニーズを確実にとらえてお願いしたいと思います。
 被災企業に対する支援についてお尋ねしたいと思います。
 まず、税制、資金制度上の支援についてであります。東日本大震災津波により被災した企業に対する支援策についてお尋ねいたします。
 被災直後、県では平成22年度補正予算として約134億円を予算措置するとともに、県税などについては納付期限の猶予を行っているところであります。具体的な支援はどのようになっているのかお尋ねしたいと思います。
 また、東日本大震災の発生により被災した企業に対し、国、県においてはさまざまな支援を講じていると思いますが、具体的にどのような支援が用意され、被災企業に活用されているか。税制、資金等制度上の支援において、代表的な支援内容及び支援策の活用状況についてお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 税制、資金等制度上の支援についてでありますけれども、国、県による代表的な支援内容及び支援策の活用状況についてお答えいたします。
 税制の主な特例措置といたしまして、県では、企業や個人が被災した不動産、自動車にかわるものを取得した場合、その取得税や自動車税を課税しないことといたしておりまして、今後こうした適用を受ける企業が相当数に上るものと見込んでおります。
 また、国では、法人税の災害損失に係る繰り戻し還付や被災代替資産等の特別償却を認めておるところでございます。
 中小企業向けの資金といたしまして、県では、中小企業東日本大震災復興資金を創設いたしまして、その融資実績は6月から9月までで1、085件、246億円となっております。また、日本政策金融公庫の震災関連の融資実績は、農林漁業者向けを含めまして、3月から8月までで1、697件、238億円となっているところであります。
〇嵯峨壱朗委員 わかりました。
 先ほど質疑がございましたけれども、直接被害を受けただけではなく、観光産業等も含めて、沿岸部だけでなく内陸部の企業にも大きな影響があるわけです。また、県税とか社会保険料についても納付期限が延長されたものの、被災市町村であります、例えば久慈市も含めて、沿岸部も含め、盛岡市、内陸部も先般の納付期限が9月30日と指定されてきております。9月30日に3月から9月までを全部納入しろということで、それでおくれたら延滞税をつけますよと。これは支援でしょうかというのが私の疑問です。できれば分割するとか、もう少しゆっくり延ばすとか、不思議なことに、岩手県の中でも、例えば宮古市、大船渡市、陸前高田市、被害の大きい地域はまだ延びていますけれども、内陸部はほとんどそうです。沿岸部でも、久慈市、普代村、田野畑村、岩泉町、野田村、洋野町と、かなり被害の大きいところも含めて9月30日で全部払えと。こういったものを見ると、県はそういうことはないと思うんですけれども、最初からないほうがよかったんじゃないかと思うぐらいの支援措置だと思っております。こういったものについてはぜひ国に要望していただきたいと思いますが、県の認識をお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 さらなる猶予、支援方法などについてのお尋ねでありますけれども、税金や社会保険料の納付期限の延長に関しましては、国も県も地域事情に配慮いたしまして、各市町村の意向を踏まえて措置したところでありますが、被災者の方々個々の状況に応じまして期限の再延長を行うなど、柔軟に対応することにいたしております。
 今後、県といたしましては、企業の復旧状況や要望などを踏まえまして、必要に応じて対応を検討してまいろうと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 例えば、9月30日、期限があるけれども、延滞税ぐらいは何とか免除するとか、15%ですからね、ぼったくりですよね、橋下大阪府知事じゃないけれども、そういう気がしています。ぜひ強く要望していただきたいと思います。
 次に、施設、設備の復旧に対する支援についてお尋ねしたいと思います。
 中小企業設備復旧に対する支援、いろいろなものがございます。その中で、県が措置している予算では希望する額に足りないというのがよく聞かれます。この間のグループ補助については大方の補助が国の第3次補正で認められたところで、いい結果だったかなと思っておりますけれども、特に県単の修繕費6億8、000万円でしたか、これは金額は小さいけれども結構需要がある。にもかかわらず、例えば倍の要望があると聞いておりますけれども、何とかそれをふやしてくれと県に要望が来ていると思いますけれども、どうなんですか、これは。実態とその執行状況とか、その要望等をお知らせ願えればと思います。
〇達増知事 中小企業被災資産修繕事業費補助ということで、現時点では事業者から15億7、000万円の申請が出されているのですが、そのうち2億9、000万円について県の補助の対象としているところであります。
〇嵯峨壱朗委員 これは基準があるんでしょうけれども、予算上は6億8、000万円だったと思いますけれども、それに対して2億9、000万円だけが対象になっている。この理由はなぜでしょう、お伺いしたいと思います。
〇上野副知事 この修繕費の補助につきましては県単でございまして、使い勝手はいいんですけれども、額的におっしゃるように制限がありまして、私ども、グループ補助とあわせて企業の方々といろいろ相談をしております。多分、企業の方々、グループ補助にも申請しておられて、その両方に何らかの形で御関心をお持ちの方が多いと思うんです。
 今、委員御指摘のように、グループ補助のほうが国のいろいろな事情がございましてちょっとおくれたものですから、県としては早くグループ補助でできる限り─こちらのほうは額的な制限がありませんから─抜本的な対策をとりたいということでしたけれども、それが無理な場合にこちらということを考えておられる方もおありであるように私ども予想しています。そうしたところで、なかなか両方の兼ね合いがあるので、必ずしもまだ進んでいないということではなかろうかと思います。
〇嵯峨壱朗委員 これは実は需要はかなりあるんですけれども、なぜなのかわかりませんというよりも、グループ補助を要望しているところというのは地元では大きい企業なんです、大体。修繕費を要望しているところは小さい企業です。ですから、恐らくほとんど重なっていないと思います。その点でやはり現場力を発揮して、現場をちゃんと把握していただきたい。久慈市あたりでもかなりの要望が来ているはずです。でも無理だということでつけられないという実態があるようですので、恐らくその辺はちゃんと調べればわかると思いますので、ふやしてももらいたいし、実際有効に使えるようにしていただきたいと思います。
〇高橋昌造委員長 答弁はいいですか。
〇嵯峨壱朗委員 上野副知事、何かあったら。
〇上野副知事 規模的に県単の補助金とグループ補助とでかなり違う、そのとおりです。ただ、関連がある部分もありますので先ほどそういうふうに申し上げたんですけれども、いずれにせよ、そういう国あるいは県単の補助金、国の補助金は県の負担も含みますけれども、それで抜本的な支援をできる限り多くの沿岸の被災企業に対してしていくという方針でございますので、それを踏まえて引き続き国にも要望してまいりますし、できるだけ早い対応をしていこうと思っています。
〇高橋昌造委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時6分 休 憩
午後3時23分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、及川あつし委員。
   〔及川あつし委員質問者席に着く〕
〇及川あつし委員 地域政党いわてを代表して、13分間お時間をいただきましたので、以下、質問させていただきます。
 重複した項目がありますが、委員長から議事進行には協力をということでありますので、その部分については割愛いたしますので、よろしくお願いします。
 今回の決算に当たって監査委員の皆さんから審査意見書なるものをまた例年どおりいただきましたけれども、いろいろ示唆に富む内容が入っていたと存じます。きょうも2人の質疑の中で、いわゆる事業の見直しや重点施策について質疑が交わされました。
 まず、基本姿勢を伺いたいわけですが、当然のことながら、今回の決算に当たっては、平成22年度の事業を精査しつつ、これからの施策展開に生かしていくという趣旨でありますけれども、言うまでもなく、これからの事業の集中については、第一義的には震災の復旧、復興、そして、私は、これから予想されている大規模地震への対応、二次災害の防止対策ということも含めて万全の対策が必要だと思いますが、改めて知事に選択と集中に係る基本的な考え方を伺いたいと思います。
〇達増知事 選択と集中に係る基本的な考え方についてであります。東日本大震災津波からの復興に向けて全力で取り組んでいますが、現在、地震や津波で被災した海岸保全施設等の高潮、高波による二次災害防止のための応急的な工事を実施しており、今後とも復興計画及びいわて県民計画に掲げる施策について着実に推進することを県政運営の基本としております。
 今後の施策の推進に当たりましては、政策評価の結果を踏まえつつ、個々の施策ごとに復興に資する優先度や関連性も勘案し、内陸地域の活力が沿岸地域を支えていくことに配慮するとともに、選択と集中を強めるよう指示しているところであります。
〇及川あつし委員 わかりました。いずれ、これまでの手法では到底行政にはできないという前提だと思いますので、知事にはしっかり方向性を出していただきたいと御要望申し上げます。
 次に、これまで皆さんが議会とも議論して、御苦労されて立ててきたさまざまな計画、指標についてでありますが、きょうも、次のアクションプランを策定中という答弁が何度もありましたけれども、知事にここはお伺いしたいわけですが、私は、いっぱいある計画を見直すという方法は多分厳しいのだろうと思っておりまして、例えば集中復興期間については計画を中止するという判断も必要だろうと思っておりますし、各種指標についてですが、今回もいわゆる成果説明書、実施報告書をいただきました。私は、これをずっと見ていて思ったのは、これだけの県内の状況があって、それぞれの個々の数値を、今、震災の影響があるから下げるとか上げるとか評価を変える、この膨大な作業を同じようにやっていくということは、事務事業の見直しの意味で、一番最初にこうした問題についても一たん整理をする。指標の見直しではなくて、こうした政策評価のあり方自体も変えるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 まず、諸計画、諸指標等の一定期間停止についてでありますが、県が策定した諸計画は、各政策分野の施策や具体的な予算事業の根拠となるなど、計画と施策とは一体的な関係にあり、また、今年度におきましても、例えば過去3カ年における特別養護老人ホームの施設整備の方針などを盛り込むことになる県介護保険事業支援計画や、被災者への心のケアを含め総合的な自殺対策を推進するための自殺対策アクションプランなど、これまでに策定した計画を踏まえ、改めて策定する必要がある計画もあることなどから、一定期間停止の措置には慎重にならざるを得ないものと考えております。しかしながら、当該諸計画の推進に当たっては、限られた財源や職員体制の中で、復興に資する優先度や関連性を勘案しながら選択と集中を強めていきたいと考えております。また、このことも踏まえ、次期アクションプラン等の今後策定する計画においては、諸指標などの目標値について、施策の成果がより着実に反映したものとなるよう設定していきたいと考えております。
 その評価指標の見直しについてでありますが、第1期アクションプランの指標を基本としつつ、目指す姿指標と具体的推進方策指標による評価の乖離があるものについては、これを縮小するよう指標を見直すなど修正を加えていきたいと考えております。また、今年度の政策評価は、第2期アクションプランの策定に当たり、その前提ともなりますので、極めて重要なものでありますが、過般、あらかじめ議会の御了解をいただき、簡略化した形で実施した指標に基づく評価は本会議に報告したところでありまして、現在、これに加えて社会経済情勢の変化や県以外の実施主体の取り組み状況等も加味した総合評価を行うため、例年、2月県議会に提出している政策評価レポートの作成に向けた作業を行っています。この作業においても、指標に基づく評価と同様、可能な限り簡略化することとしておりまして、委員御懸念のような実質的に再度評価作業を行うというような作業ではなく、また、膨大な作業量になることのないよう配慮しながら進めているところでありまして、次年度以降の政策評価においても、引き続き工夫を凝らしながら実施してまいる所存であります。
〇及川あつし委員 わかりました。簡略化という一つのキーワードのもとに、私の懸念が当たらないように進めていただくということでありますので、それで了といたします。いずれ、計画の計画による計画にならないように、事務の事務による事務にならないように、ぜひ現地、現場を大事にしながら進めていっていただきたいというのが質問の趣旨であります。
 次に、財源の確保に関してであります。
 今定例会の一般質問でも一部質疑が交わされた内容でありますけれども、ふるさと納税制度の一層の活用についてでございます。
 今般、いわての学び希望基金というすばらしい基金ができまして、私は、こうした制度については大変にこれからも頑張って工夫を凝らしていっていただきたいと思うわけでありますけれども、こうしたすばらしい基金については、もう少し基金のメニューをふやすことによって、いろんな世界各国また日本全国の皆さんからもさらに岩手県に対する支援を得られるし、行政の従来どおりのファンドレイジングなやり方では財政措置ができない分野にも手厚い手当てもこれからできるのではないかと思っているわけでございますが、基金をふやすということについてどのようにお考えでしょうか、お聞かせ願います。
〇加藤総務部長 基金メニューの多様化についてお尋ねでございます。ふるさと納税を含みます県内外からの寄附金は復旧、復興にとって貴重な財源となっております。県では、ホームページの寄附金募集に当たりまして事業の具体例を提示するとともに、受け入れた寄附金につきましては、活用させていただいた事業を公表するといった取り組みを展開しておりまして、寄附をしようとする方々や寄附をされた方々に寄附金の使途を明らかにするように努め、一層の寄附の獲得を期してきております。
 こうした状況もあるわけでございますが、当面の復旧、復興事業の推進に当たりましては、さまざまな被災者ニーズにきめ細かに、かつ柔軟に対応しなければならないこと、また、短期間に、かつ集中的に財源を投入しなければならないことといった事情を勘案いたしますと、それぞれの事業ごとに基金を設けるというよりも、寄附金の使途の明確化を徹底するということで寄附金の増加を図っていくことが現実的ではないかと考えております。ただ、そういった際、例えば国からの財源措置を受け、現在創設を検討しております復興基金の中に寄附のための多様な事業メニューを設けるといった工夫も考えていきたいと思っております。
 なお、お尋ねのいわての学び希望基金につきましては、被災した子供たちが社会人になるまで息の長い支援が求められる。そのために、寄せられた寄附金を長期にわたり厳格に管理していく必要があるということで基金を設置したものでございまして、こうした事業の内容等も勘案しながら、基金につきましては検討してまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 柔軟な対応も大事だと思いますけれども、やっぱり目的をはっきりさせて、この基金だと明確化することがお金を集めるときに大事なんだと思うんです。例えば今回のいわての学び希望基金については、これは図らずもだったようですが、報道で、資金約2億円足りずという記事が出ました。ある団体から、我々は世界ネットで2億円集めるよという相談が実は私のもとにあったんですけれども、20億円超えているようだと。だったら別のことを考えようということにもなりましたし、ヨーロッパのほうの団体からは、受け入れ先がきちっとした団体で、目的がはっきりしていれば、それなりにお金を集めるよという話もたくさんいただいております。ぜひ、柔軟なメニューをつくるとともに、明確な目的のもとの基金もぜひおつくりいただきたいということを申し上げたいと存じます。
 次に、収入未済額については質疑がありましたので割愛いたします。
 次に、財産の適正な管理についてであります。これも審査意見書で県有未利用資産の活用、処分方針について言及がございます。これにつきましては、これまでなかったものでありますので、行財政改革に本腰で取り組む姿勢の一環であると認識しておりますけれども、まず1点目、この方針については事務的に内部で検討されて、県有資産の売却可能先をリストアップしたと理解しておりますが、今後については、売却対象資産の選別について客観性をもっと入れる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇加藤総務部長 売却対象資産の選定に当たりましては、各部局が所管する未利用資産について、それぞれの資産の実態を把握、整理した上で、私ども総務部におきまして、統一的な基準に基づき全体的な整合性が図れるようチェック、精査を行い、今後も県において利用する見込みがないかどうか判断し、活用、処分計画を策定した、これに結びつけたというところでございます。こうした手順を経ることによりまして、対象資産の選定に一定の客観性が確保されていると考えております。当面は、今できたばかりということもございますので、この計画にのっとり適切な対応に努めることとしたいと考えております。
〇及川あつし委員 できたばかりということで、我々も、そもそも県の持っている保有資産と今回の方針がどうなっているのかという突合もしていませんので、それぞれにまた財源確保の観点からもやらなければいけないと思っております。
 ちなみに、この売却対象とされた資産の総額についてどうなっているでしょうか。台帳価格で結構でありますので、総額をお示しください。
〇加藤総務部長 リストアップされた売却対象資産でございます。平成23年9月1日現在ということで把握しておりますが、土地は75件、価格にいたしまして90億1、100万円余、建物は34件、29億4、900万円余ということでございます。
〇及川あつし委員 今、これについて年次ごとの売却計画とか、こういうものを今後立てる計画はありますか。
〇加藤総務部長 それぞれの財産、資産につきまして、いろんな事情がございまして、直ちに年度ごとの計画があるという状況ではございませんが、処分計画というか、リストアップしたということでございますので、計画的な対応に努めたいと思いますし、方法につきましては検討させていただきたいと思っております。
〇及川あつし委員 ということは、まだ、現段階においては未利用資産の売却については具体的なものはないという理解でよろしいでしょうか。
〇加藤総務部長 現在のところ、御指摘のとおりでございます。
〇及川あつし委員 そちらももう一方であることによって実効性が担保されると思いますので、売却についての計画化についてもぜひお取り組みをいただきたいと思います。
 次に、ライフラインを守る公共施設の耐震化について伺いたいと存じます。
 最近、報道では余震についての記事がめっきり減ってきたなという気がしておりますけれども、よくよく振り返ってみると、大地震が発生してからは次なる余震の件についていろんな専門家の報道がなされたところであります。
 改めて検証してみますと、何カ月というレンジから10年程度というレンジまで、いろんな専門家の研究はあるわけですけれども、余震に我々はさらに備えなければいけないというのは共通の認識だと存じます。この意味で、我々は3月11日の教訓を生かしつつ、これから来るかもしれない大規模な余震の対策を進めなければいけないと考えておりますが、知事の基本認識を伺いたいと思います。
〇達増知事 大規模余震対策についてでありますが、まず、公共施設等の耐震化について、今後大規模な余震があった場合にも安全が確保され、避難や救助等の活動が円滑に行えるよう対策を一層進めていかなければならないものと考えております。
 学校、病院、庁舎等の多数の者が利用する建築物の耐震化率は平成21年度末で74.5%でございますので、岩手県耐震改修促進計画においては、耐震化率を平成27年度までに85%とする目標を立てています。今後、さらに復旧や復興に当たっても県有施設の耐震改修の率先実施や市町村の取り組み支援などを進め、公共施設等の耐震化を推進していきたいと思います。
〇及川あつし委員 今、知事から、計画で平成27年度までに85%に引き上げるというお話がありました。私は、ちょっとこれは精査しなきゃいけないなと思ったのは、パーセンテージで見ると高いように見えるんですけれども、件数ベースで見るとかなりの数なんです。しかも、この件数を一つ一つ精査していくと、やっぱり優先順位があると思っておりますので、その意味で、以下伺いたいと思います。
 今回、議会からも意見書を出させていただきましたが、学校施設の耐震化についてでありますが、耐震診断、改修状況を、公立、私立別にわかる範囲でお示し願いたいと思います。
〇宮舘副知事 学校施設の耐震診断の状況についてでありますが、昭和56年以前に建築された学校施設の実施率は、平成22年4月1日時点で、公立学校は95.5%、私立学校は32.1%となっております。また、学校施設の耐震化の状況でございますが、同じく平成22年4月1日時点で、公立学校は74.1%、私立学校は68.2%でございます。
〇及川あつし委員 耐震性がない施設の数については把握していますか。把握していないのであればあれですけれども、把握しているのであれば御答弁願います。
〇宮舘副知事 耐震診断を行って耐震性がないとなっているものは、公立学校の場合、549校ございます。私立学校では5校でございます。
〇及川あつし委員 いずれ、600近い数で、いろんな耐震化率の数値をとっていっても、幼稚園とか特別支援学校も入れると603というデータも出ておりますので、これは詳細に計画化をしていかなければいけないと思っております。
 その中でも、市町村が市町村の防災計画で避難場所指定しているという施設があると思うんです。そのうち耐震化が未了になっている件数はどうなっているでしょうか。
 また、県はそういう現状をどのように認識して、市町村への指導を初め今後どのように取り組んでいくのかお知らせ願います。
〇宮舘副知事 避難所に指定している学校施設の耐震化の状況についてでありますが、平成22年3月末現在の調査では、市町村が避難所に指定している文教施設数は2、013棟でありまして、そのうち耐震性が確保されている施設は1、482棟、耐震率は73.6%となっております。ただ、耐震性が確保されず、耐震改修が必要な施設は409棟、耐震診断が未実施の施設は122棟となっております。
 また、現状認識と今後の取り組みについてでありますが、県といたしましては、災害時における県民の安全を確保する観点から避難所の耐震化は大変重要でありまして、速やかに対応すべきものと考えております。このため、市町村に対しまして、施設の耐震性を十分考慮して避難所を選定するよう助言していくとともに、耐震改修が必要な施設や耐震診断が未実施の施設につきましては、耐震性が確保されるよう市町村と相談しながら、施設管理者に対して必要な対応を働きかけていく考えでございます。
〇及川あつし委員 今回改めて思ったのは、耐震性がないにもかかわらず避難場所に指定されているという例がこれだけあるんだなというのは実は私は驚きました。驚いているだけではなくて、大規模余震が懸念されておりますので、財源また建築工事も今はかなり人夫さんが足りないという状況ですので、どの程度の期間で済ませることができるかわかりませんが、認識を一にして計画化を図っていただきたいということであります。
 次に、消防施設の関係でありますが、これにつきましても私は大きな課題があると認識しておりますが、県内の消防施設の耐震診断、改修状況について現状をお示しください。また、課題と今後の対策についてもお示し願います。
〇宮舘副知事 消防施設の耐震化の状況についてでありますが、平成22年3月31日現在、消防本部、消防署65カ所のうち、耐震診断を行う必要のある施設は35カ所、そのうち診断済みが13カ所で、実施率は37.1%でございます。診断の結果、改修が必要な施設は11カ所で、そのうち2カ所が改修済みとなっております。消防本部、消防署のうち耐震性が確保されている施設は全体の52.3%にとどまっておりますが、地域の防災拠点である施設の耐震化を進める必要がありますので、その際、財源の確保が課題でございます。今後は、公共施設等耐震化事業債などの有利な起債の活用や、今回の大地震津波において流出、損壊した消防施設を対象とする災害復旧費補助金の活用について、市町村や消防本部に対し周知を図ってまいりますとともに、耐震化に向けて積極的に働きかけていきたいと考えております。
〇及川あつし委員 実は、これは私は非常に驚きました。耐震診断すらやってない消防の施設が全県に22カ所もあるということ。また、耐震化を有しているのも、今、副知事から御答弁があったとおり、52.3%ということであります。耐震診断もしていないということはどうなんだという感じもしましたし、よく調べていきますと、平成28年までのデジタル化に向かってどうも計画がとまっている感じもして、これは政策のはざまだと思うんです。急いでやらなきゃいけない耐震化と平成28年のデジタル化の整合性が今後課題になってくると思うんですが、その点についてはどのように認識しているのでしょうか、副知事または総務部長、お願いします。
〇加藤総務部長 両方とも大きな課題でございます。どちらも災害対応、災害に強い地域をつくるという観点から重要でございまして、デジタル化も進めなければいけないという中で、市町村につきましては、まとめてやったほうが一番効率的だという観点もありまして、これまでいろいろ考えをめぐらせていたところがございます。ただ、今回、当県におきましてはこうした大災害がございましたので、そうしたことも待たずにできることにつきましては、一挙にはなかなかできないと思いますが、全部それを待ってやらなくても、できるところはいろいろあろうかと思いますので、その辺のところを、よく市町村の相談に乗りまして、市町村にも助言いたしまして、着実に進むように両立を図りつつ、そうはいっても待たずにできるところは取り組めるような形で市町村について働きかけをしてまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 わかりました。よろしく御対応願います。
 同様の趣旨で、きょうは警察本部長等は出席していただいておりませんが、警察施設の耐震化の状況についてはどうなっているでしょうか。また、課題と今後の対策についてもお示し願います。
〇宮舘副知事 警察施設の耐震化の状況についてでありますが、警察本部及び17の警察署については、耐震診断を要するものは6カ所でありますが、すべて診断済みとなっております。診断の結果、耐震化が必要な施設は1カ所でありましたが、これも既に耐震化の措置を講じているところでございます。
 交番等につきましては、耐震診断を要する対象とはされていませんが、これまでも、建築の専門的技術を有する職員によりまして必要な点検を実施してきたところであります。また、地震発生の都度、被害の有無を確認するとともに必要な修繕を実施しております。
 今後の対策についてでありますが、交番等につきましては、老朽化が進む施設が課題であることから、引き続き必要な点検を実施するとともに、災害発生時においても警察活動を十分に展開できる防災拠点として、耐震化のほか老朽化、狭隘化を総合的に勘案しながら、順次整備を進めてまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 警察署については大体終わっているということでありますが、交番、派出所は実はひどいですよね。ですから、早急にやるのは必要だと思うんですが、間に合わなかった場合どうするんだということをぜひ防災と警察でもしっかり連携をとっていただきたいという意味の質問でありますが、総務部長、この点についてはどうでしょうか。
〇加藤総務部長 交番につきましては、今、規模の問題で耐震をしていないということでございますが、交番も災害時におけるいろいろな活動拠点ということで、耐震性が必要だというか、その強度が必要だということは全く変わりございませんので、今、警察本部で必要な対応はしているということでございますが、きちっと対応策をフォローしていきたいと思いますし、また、その結果として財政措置なりが必要ということになれば、その辺につきましては、事情をよく伺って適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 次に進みます。生きる営みを支える保育の体制について伺いたいと思います。
 知事に伺いたいんですが、実は今、内陸に被災地からたくさんの方が移住されてきております。また、景気が一段と悪化しているということで、共働きをして生活を支えようとする方がたくさんいらっしゃいます。
 その中で、行政用語で言う待機児童というものではあらわせない現状が今かなり進行しつつあるわけですが、現状について知事はどうとらえているか、まず伺いたいと存じます。
〇達増知事 平成23年4月1日現在、いわゆる待機児童数は5市町で83人、そのうちゼロ歳児、1歳児を合わせて43人ということで、ここ数年、全体の半数以上を占めております。
 今般の大震災によって内陸部に移住せざるを得なくなった方や新たに仕事を必要とする方など、急激な環境の変化により保育ニーズが高まりつつあることも承知しているところでありますし、ゼロ歳児、1歳児は疾病等に対する抵抗力が弱く、特に親密な保育が望まれることから、手厚い職員体制が必要とされている、そういうゼロ歳児、1歳児が待機児童数の統計から見ても全体の半数以上を占めているという状況がございます。
 こうした喫緊の課題である保育ニーズに県としても対応すべく、施設整備等により受け入れ児童数の拡大を図るとともに、ゼロ歳児、1歳児の受け入れや処遇の充実に向けた保育士の確保を支援するなど、市町村が保育サービスの拡充を進めることができるよう支援し、仕事と子育ての両立を図るため取り組んでいくことが必要であると考えております。
〇及川あつし委員 知事には、ぜひ現状を再度よくごらんいただきたいと思っています。
 次に、職員配置の実態と指導内容についてなんですが、今の指導が、事実上、ゼロ歳児、1歳児の保育の受け入れを排除しているという現状も実はございます。実態と、保育所に対する指導の内容についてどうなっているか伺いたいと思います。
〇宮舘副知事 乳児保育を行う保育所の職員配置と県の指導内容についてでありますが、県では、乳児保育を行っている保育所に対しましては、これまで、国の通知に基づき、乳児を9人以上入所させる保育所にあっては保健師または看護師を1人以上配置するように指導してまいりました。県内で乳児を9人以上受け入れている保育所は71カ所ございますが、そのうち看護師等を1人以上配置している保育所は63カ所となっておりまして、昨今の看護師等が不足している中にあって、看護師が配置されていない保育所も見られるところであります。
 こうした状況を踏まえまして、今般、当該通知の内容について改めて国に確認をいたしました。そうしたところ、必ずしも看護師等の配置を義務づけるものではないとの見解が示されました。このため、この国の見解を乳児保育を行っている保育所に周知するとともに、毎年実施しております指導監査の際には、乳児保育の質を維持するという観点から、看護師等1人以上の配置が望ましい旨、指導することとしております。
〇及川あつし委員 つまり、そうした現状があったので、保育所側とすると8人以上受け入れないようにしていたというのが現実です。ですから、待機児童がふえるんです。ぜひ改善をお願いしたいと思います。
 あわせて、この点については都道府県が条例で定めることができるようになりましたけれども、今後、どのように考えていくのかお示しいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 本年4月に制定された地域主権改革に関する第1次一括法によりまして、児童福祉施設の整備及び運営に関する基準は都道府県条例に委任することとされました。このうち、保育所の職員の配置基準につきましては、国が定める基準を下回ることができないとされている従うべき基準とされたところであります。したがいまして、本県で条例を制定するに当たりましては、厚生労働省令で定める基準に適合する範囲で、保育所等関係者や保護者等の意見も十分踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 いつごろをめどに結論を出すんですか。
〇宮舘副知事 現在のところ、この条例制定は来年の9月ごろに議会に提案できればと考えておりまして、再来年、平成25年4月の施行を目標に進めてまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 最後になります。いわゆる震災後のベビーブームというのが実はあるのかというふうに言われております。震災婚という本とか、震災後のベビーブームのいろんな意見が、今、社会的に出ておりますけれども、これは早目に社会的なトレンドととらえないと、いわゆる待機児童対策というのは厳しいと思うんです。この点についてどうとらえているか伺います。
〇宮舘副知事 いわゆる震災ベビーブームについてのお尋ねでありますが、震災後における県内の妊娠届け出状況を市町村に調査いたしましたところ、発災2カ月後である平成23年5月から9月までの5カ月間の届け出数は3、866人でした。これは、平成22年の同期間と比較してみますと98.3%となっておりまして、昨年とほぼ同程度ということになっておりまして、現時点において震災による影響が生じているかどうかについては確認できなかったところでございます。しかしながら、震災による影響があらわれるまでには一定期間の状況を確認する必要があることから、引き続き、県内の妊娠届け出の状況を注視していくこととしておりまして、委員御指摘のような動向が見られた場合には、必要に応じて対応を検討してまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 終わります。御答弁ありがとうございました。
〇高橋昌造委員長 次に、小西和子委員。
   〔小西和子委員質問者席に着く〕
〇小西和子委員 社民党の小西和子でございます。
 最初に、被災者の生活再建のための支援についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波発生から7カ月が経過いたしました。昨年度の発災直後から、国、県、市町村及び防災関係機関が一体となって被災者の生活再建のために御尽力いただいているところであります。今後も、引き続き被災者一人一人の生活再建、憲法の保障する生存権、幸福追求権の保障を実効あらしめる人間の復興に向けて全力を挙げるべきと考えます。被災者支援の基本的な考え方、実態をどのようにとらえているのか、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 被災者支援のあり方についてでありますが、行政が被災者一人一人の目線に立ち、復興のステージに応じて人間本位の復興を進めていくという被災者に寄り添う姿勢で支援をしてきたところでございます。
 発災から7カ月余りが経過し、被災者の方々の生活は避難所から応急仮設住宅へと移り、新しい生活が始まったところではありますが、雇用情勢は依然厳しく、また、市町村のまちづくりも緒についたばかりでございます。一日も早い被災者の生活再建に向けて、雇用対策や心のケアなど、引き続き、消費者のニーズに応じた支援をしてまいります。
〇小西和子委員 よろしくお願いいたします。
 仮設住宅入居戸数は1万3、099戸、3万1、575人、民間賃貸住宅、雇用促進住宅、公営住宅といったみなし仮設住宅を合わせると4、464戸、1万2、039人、内陸の親類宅に移っている被災者は2、714人です。沿岸市町村において自宅で暮らす被災者の戸数及び人数をお示しください。
〇廣田理事兼復興局副局長 沿岸市町村の自宅で暮らす被災者の戸数及び人数についてでありますが、現在、沿岸の市町村からは、把握している範囲では、およそ1万2、000名と報告を受けておりますけれども、これは、一部の市町村では、戸数及び人数が十分把握されておりませんで、現時点で把握可能なものでございます。こうした形で応急仮設住宅以外で暮らす被災者の把握が課題の一つと考えております。
〇小西和子委員 かなり大勢の方々が自宅で暮らしているということがわかります。支援が必要と考えます。
 仮設住宅で暮らす人たちには冬物衣料や暖房器具が配布されていると報道されています。民間賃貸住宅、雇用促進住宅、公営住宅といったみなし仮設住宅や自宅など仮設住宅以外で暮らす被災者に対するこれまでの支援の実態をお伺いいたします。
〇廣田理事兼復興局副局長 仮設住宅以外で暮らす被災者への支援の実態についてでありますけれども、市町村社会福祉協議会に生活支援相談員を配置し、被災者の生活ニーズの掘り起こし、生活支援相談等に応じるとともに、民生委員、保健師など被災者支援に当たります関係機関で構成されるネットワークを構築し、相互に連携しながら支援をしております。
 また、被災者からの相談、問い合わせに一元的かつ柔軟に対応するため、被災者相談支援センターを久慈、宮古、釜石、大船渡に開設いたしましたほか、山田町内で3カ所、岩泉町内には1カ所のサブセンター、野田村、田野畑村、大槌町などでも出張の相談窓口を開設したところであります。
 物的支援としましては、仮設住宅入居者と同様に、民間賃貸住宅等のみなし仮設入所者に対しましても、日本赤十字社から家電6点セットが9月26日現在で5、225セット提供されておりますほか、NGOから布団や台所用品等の生活支援物資が提供されたところであります。また、県では、いわて産業文化センター等に保管されております救援物資のさらなる活用を目的としまして、被災10市町村の被災者へ物資配布のキャラバンを実施したところであります。
 さらに、寒さ対策としましては、これまでNGO等の支援によりまして、一部市町村のみなし仮設住宅に暖房器具が配布されたところではありますけれども、内陸市町村も含むすべてのみなし仮設住宅を対象に、NGOと連携し、暖房器具配布の準備を現在進めているところであります。
〇小西和子委員 もとの地域コミュニティがなくなり、人との交流が極端に減った上、仮設住宅に比べて物資や情報、心のケアなど物心両面での支援が少ないことが孤立感を深めていると言われています。仮設住宅以外で暮らす被災者の実態をどのような方法で把握しているのかお伺いいたします。
〇廣田理事兼復興局副局長 仮設住宅以外で暮らす被災者の実態把握の方法についてでありますが、沿岸市町村におきましては、民生委員、保健師、市町村社会福祉協議会に配置しております生活支援相談員が、自宅や親類宅など応急仮設住宅以外で生活している被災者についても巡回訪問し、生活ニーズ、健康状態の把握、生活相談、見守り活動など実態把握に努めているところであります。現在把握しておりますところでは、生活支援相談員によりますこうした応急仮設住宅以外で生活している被災者の方々の巡回訪問を実施しているのは7市町村、訪問準備を進めているのが3市町となっております。
 県としましては、応急仮設住宅以外で生活している被災者が多数に及ぶこともあり、実態把握についてまだまだ不十分な状況でありますことから、生活支援相談員を新たに84名増員し、巡回訪問体制を強化するなどによりまして、被災者の実態把握を促進してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 県、市町村、社会福祉協議会がもっと情報を共有できれば、さらにスムーズな支援ができるのではないかと考えますが、実態はいかがでしょうか。また、情報を仮に共有できないのであれば、その理由をお示しください。
〇廣田理事兼復興局副局長 関係機関によります情報共有についてでありますが、まず、市町村の単位では、関係者が相互に連携を図りながら被災者の生活再建支援を行うため、沿岸のすべての12市町村におきまして、行政、社会福祉協議会、地域包括支援センターなど、保健福祉関係機関で構成します地域ケア会議等の連絡会議を開催するなど、関係者間の情報交換や個別ケースの支援に向けた協議を行っております。
 また、広域の単位では、沿岸4地区に設置いたしました被災者相談支援センターのうち、久慈、釜石の2地区において、ハローワーク、警察を初め市町村、社会福祉協議会、弁護士など、分野の異なる多様な主体により構成される被災者支援連絡会議等を開催し、被災者支援のための情報共有や相談窓口間の連携に向けた検討を行っているところであり、このほかの地区におきましても、地域の実情に応じたネットワーク体制の構築について検討をしているところであります。このように、各地域におきまして関係機関による情報共有が進んできており、今後さらにその連携を促進し、被災者に対する支援の充実を図ってまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 大分進んでいるということをお聞きして安心いたしましたけれども、県は被災者台帳システムを導入し、市町村における被災者の需要に応じた多種多様な生活再建支援が一人の取り残しもなく円滑かつ効率的に実施できるよう、被災者情報を共有するための基盤システムを構築。被災により行政機能が低下した市町村にかわり県が主体となりシステム構築を行うとともに運用支援を実施とありますが、これまでの被災者支援はどのようになされてきたのでしょうか。また、その問題点はどこにあったのでしょうか。
〇廣田理事兼復興局副局長 これまでの被災者支援と、その問題点についてでありますけれども、被災者の情報につきましては、これまで、罹災証明書の発行、義援金、生活再建支援金の申請、その他の各種手続等を通して把握してきたところでありますけれども、あわせて保健師や栄養士等による巡回訪問や、生活支援相談員によります応急仮設住宅等の巡回、被災者相談支援センターでの相談受け付け等を通じて把握に努めてきたところであります。しかしながら、被災者一人について個々の情報がそれぞれで把握され、総合的な把握が十分になされてこなかったことから、今般、情報を総合的に管理するため被災者台帳システムを構築しているところであります。
〇小西和子委員 わかりました。今回の東日本大震災津波では沿岸市町村の行政機能が大きく失われました。この被災者台帳システムは、その点も踏まえたシステムと思いますが、この被災者台帳システムを導入することによってどのように変わるのでしょうか。先ほどは総合的に管理することができるということでしたが、従来のシステムとの違い、導入の効果についてお伺いいたします。
〇廣田理事兼復興局副局長 被災者台帳システム導入の効果等についてでありますけれども、被災者台帳システムの導入によりまして、各種の手続に必要な個人や世帯の情報をそれぞれの支援部門が共有することによりまして、被災者の負担の軽減あるいは申請漏れの防止等が図られるとともに、被災者のニーズを把握して個々の被災者に対し適時適切な支援を行うことが可能となります。本来は、市町村がこのようなシステムを整備することが適当でありますけれども、甚大な被害を受けた市町村におきましては大変大きな負担が伴いますことから、県が主体となりましてシステムを構築いたしまして、本年8月の補正予算により新規事業としてスタートしたところであります。
 被災者の情報を一元管理することができることが従来との違いでありまして、被災者一人一人の状況に応じた支援を適時に効果的に行うことができ、市町村の被災者支援に極めて有効な手段となることが導入の効果であると考えております。
〇小西和子委員 この被災者台帳システムを9月から試験運用しておりますけれども、本格的な運用の見通しをお伺いいたします。
 また、なぜ被災者台帳システムの本格導入に時間がかかっているのか、その理由をお伺いいたします。
〇廣田理事兼復興局副局長 被災者台帳システムの本格導入の時期等についてでありますけれども、市町村におきましては、現在、宮古市、大槌町で試験運用が始まっておりますほか、システム導入を決定しております久慈市、釜石市、大船渡市につきましても、データの入力作業が進んでいるところであります。市町村の作業の進みぐあいによりまして、各種の被災者情報を活用しました本格運用の時期に差が生じているものでありますことから、県としましては、本格運用が可能となりますよう市町村を支援していきたいと考えております。
〇小西和子委員 もし、めどがありましたらお伺いしたいんですけれども。本格導入のめどです。
〇廣田理事兼復興局副局長 先ほどもお話しいたしましたとおり、市町村の進捗状況によってさまざまでございますので、私どもとしましては、一日も早い本格導入ということでさまざま支援してまいりたいと思っております。
〇小西和子委員 間もなく長く厳しい冬がやってまいりますので、何とかその前にと思ってお伺いしたところでございます。
 仮設住宅以外で暮らす被災者を含め、生活再建支援が一人の取り残しもなく実施されることを切望いたします。また、県が被災者台帳システムを全市町村分構築することで、今後の災害等の際の迅速な支援が可能となると考えます。県の努力に御期待申し上げます。
 次に、放射性物質汚染対策と再生可能エネルギーについてお伺いいたします。
 福島第一原子力発電所事故から7カ月が経過いたしました。いまだに収束のめどが立っておりません。知事は、発災前、国の原子力政策についてどのようなお考えをお待ちだったでしょうか。また、発災後、原子力政策にいろいろな議論がありますが、知事御自身はどのようなスタンスかお伺いいたします。
〇達増知事 国の原子力政策についてでありますが、原子力発電は、国のエネルギー基本計画において基幹エネルギーと位置づけられ、我が国の発電電力量の25%強を占めていると承知しております。
 国の原子力政策については、民意に基づきつつ国の責任において適切に判断されるべきものであるという考えは、発災前も、発災後においても変わっておりません。
 今後の原子力政策のあり方については、福島第一原発事故の速やかな事態の収束と検証を行いつつ、検証結果を含めた幅広い国民の議論に基づき、国において適切に判断されるべきものと考えております。
〇小西和子委員 私どもでは、今回の福島第一原子力発電所の事故が発生した際に、知事に対して3月30日に要請書を提出しております。その中の一つに、本県の姿勢として、汚染情報を適切に発信し、安全・安心の対応と風評被害の未然防止に万全を期することを要請しておりました。県が原発放射線影響対策の基本方針についてというものを発表したのは8月3日でした。決して速い対応とはいえないのではないでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 原発事故発生後、従前から行っていた空間線量率や水道水の放射線量の測定について頻度を高めたり、新たに降下物の放射線量や農林水産物の放射性物質濃度の測定を行うなど、放射性物質の影響の把握に努めてきているところであります。これらの測定結果については、県民の安全・安心の確保及び風評被害の防止を図るため、速やかに県ホームページ等を通じて公表しております。
 また、6月22日には、全庁的に連絡調整を強め、整合性のとれた対応を図るべく、原発放射線影響対応本部を設置し、庁内の情報共有や統一的な対応に向けて取り組み、それぞれの事案に応じて適切に対応してまいりました。
 県内でも牛肉から暫定規制値を超える放射性物質が検出されたことを契機に、さらに強力な取り組みが必要との認識から、7月29日に、知事を本部長とする原発放射線影響対策本部を設置したところであります。この対策本部において、まず原発放射線影響対策の基本方針を決定したわけでありますが、この基本方針は、従前の対応を含めて県の取り組みの基本的な考え方を整理して、改めて体系的に県民に示したものでございます。
〇小西和子委員 本県でも稲わら汚染、肉牛出荷停止、汚染牛が給食に使われた問題、教育施設の汚染など、次々と放射性物質による汚染の実態が明らかになっております。現在、教育施設の除染後の土壌等を敷地内に保管しております。給食の安全についても保護者から不安の声が上がっています。子供たちへの影響が大変心配されます。
 報道によれば、県は抽出で県南部の100人の子供の健康状況を調査するとありますが、十分な調査と言えるでしょうか。放射性物質から子供を守るための健康状況調査の実施時期、調査、検査の方法について具体的にお示しください。
〇宮舘副知事 子供の健康確保対策についてでありますが、福島県におけるこれまでの調査結果や、一関市内の子供から検出された放射性セシウムのレベルが極めて低い値であったことなどをあわせ考えますと、これまでの放射線測定結果において比較的高い値を示している県南地域を初めとする本県の状況は、子供の健康に影響を及ぼすレベルにはないと認識しております。しかしながら、県民に広がる不安を払拭するため、子供の尿中セシウムに係るサンプリング調査の実施に向け、調査対象者、サンプル数、実施時期等の具体的内容について、現在、市町村の意向や専門家の意見を参考にしながら、鋭意検討しているところでございます。
 このように、現時点では関係機関との調整段階にありまして、直ちに実施時期、調査、検査の方法等をお示しできる状況にはありませんので、今後、このような検討を踏まえ、調査方法等をしっかりと設計した上でお示ししたいと考えております。
〇小西和子委員 子供の健康に影響しないというような答弁でございましたけれども、保護者とか地域住民は大変不安な毎日を過ごしております。少しでも不安を減らすために、子供を放射能から守るための対策を全力で行っていただきたいと思います。
 葛巻町は、風力などの再生可能エネルギーによって町内消費電力の160%を生産しています。エコタウン化計画も進行中です。太陽光や木質バイオマス、小水力によって、災害時の電力をみずから調達するエネルギーセンターを整備するほか、町中心部の生ごみを処理して電力にかえるなどの構想を進めています。
 本県は全国2番目の面積でございます。風力の潜在能力は大きく、風力発電では全国5番目、地熱資源も多く、地熱発電では全国2番目、森林面積も全国2番目で、木質チップや酪農系廃棄物のバイオマスも豊富で、本県は再生可能エネルギーの宝庫でございます。自然エネルギー、再生エネルギーの活用を復興の柱の一つにしてはいかがでしょうか。先ほど、喜多委員の御質問にもありましたけれども、ぜひまた答弁をお願いいたします。
〇達増知事 再生可能エネルギーの活用による復興でありますが、東日本大震災津波復興基本計画において、再生可能エネルギーの活用を本県の復興の核の一つに位置づけ、新しい三陸地域の創造を目指す方策の一つとしてさんりくエコタウン形成プロジェクトを掲げています。このプロジェクトでは、三陸の地域資源を活用して、防災拠点、住宅等への再生可能エネルギーの導入や大規模発電施設の立地などを進め、災害時にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制を構築することとしています。これらの取り組みを、被災地域はもとより全県で展開することにより、環境王国いわての実現を目指してまいります。
〇小西和子委員 大変力強い御答弁でございました。釜石市でも、太陽光や風力といったエネルギーの地産地消で多重防災型のまちづくりを目指すと打ち出しております。先ほど知事から力強い答弁がありましたけれども、産業政策、雇用政策、まちおこし政策の重要な柱となり得るものでございます。
 それでは、いわて県民計画のアクションプランや新エネルギービジョンなど、トータルとしてどのように考えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 再生可能エネルギーといわて県民計画等との関係についてでありますが、本県ではこれまで、新エネルギービジョンに基づき再生可能エネルギーの積極的な導入に取り組んできたところであり、現在、再生可能エネルギーを取り巻く環境の変化を踏まえた新たな導入目標について検討しております。
 再生可能エネルギーは、本県のすぐれた自然環境を生かした地産地消に基づくエネルギー自給率の向上はもとより、地球温暖化防止や防災のまちづくり、環境関連産業の育成、誘致、地域雇用の拡大など多面的な効果をもたらす可能性を有していますことから、現在策定中のいわて県民計画の第2期アクションプランの中で、このような観点も踏まえながら、その取り組みについて検討していくこととしております。
〇小西和子委員 他県でも風力、太陽光で電力の地産地消を目指すエコタウンの社会実験がスタートいたしました。そういう被災地もございます。災害にも強いエコタウンを目指している県もございます。先ほど、再生可能エネルギーの活用をスピード感をもって強力に進めるというような知事の御答弁でございました。真の環境王国実現に向けて大きくかじを切ることを確認できたととらえております。
 最後に、学校の復旧についてお伺いいたします。
 沿岸部では小学校、中学校、高等学校合わせて26校が校舎の損壊のために他校や学校以外の施設を利用しております。一部は修繕してもとの校舎に戻ったり、仮校舎に移ったりしましたが、いまだに多くが間借りを続けている状態でございます。
 教育環境の整備に際しては地域振興を考慮した対応も重要と考えますが、発災直後、沿岸部の学校、子供たちの現状をどのようにとらえ、被災施設の復旧、整備などをどのように進めていこうとしたのか、基本的な考えをお伺いいたします。
〇達増知事 発災直後の沿岸部の学校、子供たちの現状についてでありますが、沿岸部では多くの学校施設が被災し、また避難所となるなど、学校現場においては多くの困難が生じました。こうした状況の中で、岩手の子供たちは、中学生が小学生の手を引き無事に避難誘導した事例や、避難所において高校生が避難している方々のお世話をするなど、子供たちが災害に向き合い、力を発揮したところであり、このようなことが多くの大人を励まし、勇気づけ、希望を与えたと感じております。
 こうした子供たちのためにも、一刻も早く学び舎の復活を図らなければならないとの思いを持ったところであり、市町村とも十分連携を図りつつ、被災した学校施設の復旧、整備に全力を尽くしていく考えであります。
〇小西和子委員 7カ月を過ぎた沿岸部の学校の現状についてどのような御所感をお持ちかお伺いいたしたいと思います。
〇達増知事 沿岸部の学校の現状に対する所感についてでありますが、他校等で授業を再開したり、仮設住宅の建設によりグラウンドが十分に使用できなくなるなど、教育活動が制限されている学校もございます。こうした中にあって、学校関係者はもとより、子供たち自身の頑張り、また、多くの方々による多様な支援のもとで、徐々に通常の教育活動が行われつつあると認識しております。
 しかしながら、いまだに多くの困難を抱えながら懸命に頑張っている子供たちの姿を見て、改めて学びの場の復興に向けて全力を尽くしていく考えであります。
〇小西和子委員 地域住民とともに歴史をつくってきた学校が子供や地域にとって一番のよりどころになっております。子供たちを含め、教職員、保護者、地域住民、行政等で十分に議論し、学校を地域コミュニティの中心に位置づけるような構想が求められています。
 子供たちが落ち着いて学習できる環境を一日も早く整えていただくこと、それから、学校統合に拍車をかけることのないよう、県から市町村に発信することを要望したいと思います。もし御所見がありましたらお伺いいたします。
〇達増知事 学びの場の復興については県と市町村の連携が大変重要でもありますし、また、教育委員会と県、市町村の教育委員会と市町村当局との連携もふだん以上に重要だと思いますので、そうしたことを踏まえて対応してまいりたいと思います。
〇小西和子委員 どうも御答弁ありがとうございました。以上で終わります。
〇高橋昌造委員長 次に、斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 日本共産党の斉藤信でございます。知事に質問します。
 第1に、地域医療の確保についてであります。
 知事は、被災した県立高田病院、大槌病院、山田病院について、被災した県立病院の再建を基本としつつ、地元市町の復興計画や地域医療再生に向けた二次保健医療圏での議論、県の次期保健医療計画の考え方を踏まえながら、立地場所や規模、機能等について検討していきます、高田病院の仮設診療施設に入院機能を整備すると本会議で答弁がありました。県立病院の再建に大きく前進した答弁と受けとめたいのでありますが、地元市町、地域住民の病院の早期再建の強い希望、復興計画の策定にとって、私は、病院の再建を明確に示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 被災した県立病院の再建についてでありますが、現在、復興計画を策定中の地元市町と協議するとともに、多くの民間医療機関等が被災している現状にかんがみ、地域医療の再生に向けた二次保健医療圏での議論を進めるほか、県の次期保健医療計画の考え方も踏まえながら検討していきます。
〇斉藤信委員 初めて県立病院の再建を基本にしつつと打ち出しましたが、これはどういう意味ですか。
〇達増知事 直さなければならないのは直さなければならないわけで、ただ、もとあった場所にもとのとおりつくるわけにはいかないと。そこで今、市町村や関係者と一緒に相談しているということであります。
〇斉藤信委員 病院として再建されると。市町が復興計画に位置づけたらそれを後押しする、こういうことでいいですか。
〇達増知事 地域医療を再生していかなければならない、これはもう喫緊の課題でございまして、市町村と協力しながらしっかり取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 こういう答弁があるんです、規模、機能を検討すると。この機能の中には診療所化というのはないんですね。
〇達増知事 地域医療を再生していくというのは、それは機能も再生しなければならないということです。
〇斉藤信委員 じゃ、病院として再建されるということでよろしいですね。わかりました。
 これは陸前高田市も大槌町も山田町も再建計画の中心的柱に位置づけて切望しておりますから、ぜひ早く、仮設診療所は二、三年ですから、そういう方向に持っていっていただきたい。
 次に、花泉診療所の民間移管について高田議員が質問いたしましたが、残念ながら昨年4月から強行されたが、私が指摘したとおりの異常な事態、常勤医師不在、入院患者不在となってしまいました。常勤医師が辞職を申し出た時期、不在となった時期はいつからか。9月、10月の入院患者はどうなっていたか。
〇達増知事 花泉診療所についてでありますが、常勤医師から9月30日付で退職願があり、その後、10月3日から休暇を取得していたが10月16日付で退職した旨、10月19日に法人から医療局に報告があったものと聞いております。
 入院については、9月は1日平均2人の入院患者数となっており、10月9日に入院患者1名が退院した以降は入院患者がいない状態になっていると医療局から聞いております。
〇斉藤信委員 9月はほとんどこの所長である医師は出勤していなかったと聞いていますが、確認していますか。
〇達増知事 先ほど述べましたとおり、常勤医師は9月30日付で退職願を出し、その後10月3日から休暇を取得していたが、10月16日付で退職したという旨、聞いています。
〇斉藤信委員 知事、ちゃんと調べていただきたい。辞職願を最初に出したのは7月26日付ですよ。9月はほとんど出勤していません。そういうときに、わずか2名だけでも入院患者がいた、極めて異常な事態じゃないですか、これ。
〇達増知事 御指摘は御意見として承ります。
〇斉藤信委員 ぜひ調べていただきたい。
 それで、施設貸与の契約条件はどうなっていますか。
〇達増知事 施設の賃貸借契約では、賃貸借契約の用途を有床診療所として使用することとしております。
〇斉藤信委員 これは2条で、もう一つあるんですよ、10年以上有床診療所として使用することと。10年どころか1年ちょっとで破綻した。
 いいですか、県も県民も3回裏切られた。一つは、一昨年、民間移管に移行するときに事業計画を偽った。あのときは、医師2名、非常勤3名を確保していると。これは真っ赤なうそでした。去年4月に民間移管に強行するとき、3月29日に常勤医師を2名確保したと、それを前提にこの契約が結ばれているんです。これも真っ赤なうそでした。そして、今また常勤医師が不在になった。3回もだまされているんじゃないですか、知事。これをどう考えていますか。
〇達増知事 契約は契約であり、約束は守られなければなりませんので、医療局からもその旨、伝えていると聞いておりますし、約束が守られることを私としても期待しております。
〇斉藤信委員 3回も裏切られた、私、医療法人の信頼性が問われていると思いますけれども、いかがですか。
〇達増知事 御意見は御意見として承りますし、また、医療局としてもこの約束が守られるよう、その履行を要請しているということで、私も一日も早くそれが全うされることを望んでおります。
〇斉藤信委員 知事は一昨年の9月7日、定例記者会見で、医療局という自治体病院の仕組みだけでやっていくよりも、手厚い地域医療の体制を構築できるということで大変すばらしい方向に進んでいると。この発言、どうですか。
〇達増知事 民間力を活用し、そして当初の医療局の計画の中では無床化というものが有床化される、そういう仕組みができたわけでありますから、それが守られるように今、医療局で働きかけている、要請しているということであり、私もそれが実現するよう強く期待しているところであります。
〇斉藤信委員 私が聞いたことについて答えていただきたい。大変すばらしい方向に進んでいるというのは真っ赤なうそでしたね。
〇達増知事 先ほども申し上げましたように、そうでなければ入院ということが全くできない体制でスタートするところが、入院できる体制になったというのはいい方向だと思います。
〇斉藤信委員 3回もだまされたんですよ。本当に信頼性のない医療法人に任せてしまった県の責任も重大だと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 御意見は御意見として承りたいと思います。
〇斉藤信委員 あとは部局審査でやりましょう。
 第2に、住宅ローンの二重債務解消について。
 私的整理のガイドラインに基づく相談件数、その処理、解消はどうなっているでしょうか。
〇達増知事 住宅ローンの二重債務解消についてでありますが、住宅ローンについて、私的整理のガイドラインの運営委員会に対する相談件数はこれまで1、188件、専門家の紹介件数が131件、債務整理開始の申し出件数が25件で、このうち岩手県は9件となっています。
〇斉藤信委員 住宅ローンの債務は県内で500億円と言われているんです。岩手県が利子補給をするというのは一歩前進だけれども、しかし、債務が解消されなければ新築もできない。私は、そういう点ではこの住宅ローンも事業者と同じように債務の凍結とか買い上げの仕組みが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 この私的整理のガイドラインによる債務整理ということ以外の行政としての補助としては、新規及び既存のローンに対する利子補給補助を行うとしたところであります。
〇斉藤信委員 私の質問に答えていないんじゃないかな。
〇高橋昌造委員長 斉藤委員、知事はお答えしているようですが、もう一度確認を願います。
〇斉藤信委員 時間をとめてくださいよ、そうしたら。時間が限られているんだから、時計をとめてやってください。
 私は、利子補給だけではなくて、債務の凍結、そして買い上げのような制度が必要ではないかと言っているんですよ。
〇達増知事 債務の凍結等については、ガイドライン運営委員会において債務整理に関する金融機関との協議が行われるものと考えております。
〇斉藤信委員 それはあれですか、私的整理のガイドラインにかからなくても債務の凍結はできるんですか。
〇達増知事 お答えしたのは、この私的整理のガイドライン運営委員会において債務整理に関する金融機関との協議が行われるケースについてであります。
〇斉藤信委員 だから、結局、9件しかその対象になっていないということなんですよね、残念ながら。私は、この改善を、これは県だけでは無理ですから、国にきちっとした制度を強く求めて、これも実現していただきたい。
 次に、TPP交渉への参加問題についてお聞きしますが、知事はなぜ明確に反対と言えないのでしょうか。
〇達増知事 知事は明確に反対と言うべきという御意見であれば、御意見は御意見として承りたいと思います。
〇斉藤信委員 委員長、だめだ、質問しているんだから。意見を言っているんじゃない、質問しているんだ。委員長、だめだ、そんなの。提言しているんじゃないんだ、質問しているんだ。(「質問になっていない、もうちょっと意味があるようにやれ」と呼ぶ者あり)こんな明快な質問はないだろうが。
〇達増知事 明確に反対と言えないのはなぜかという御質問でありましたけれども、聞きようによってはそれなりのことを言っているというふうに理解できると思います。
〇斉藤信委員 じゃ、具体的に聞きますよ。TPPが岩手の農林漁業に与える影響を具体的にどう把握していますか。
〇達増知事 昨年度、農林水産省が、関税を撤廃して生産量の減少等に対し何らの対策も講じないとの前提で行った試算方法を参考に本県農林水産業に与える影響額を試算いたしますと、農林水産業全体の生産額は1、682億円減少するとの結果となります。
 農林水産業は、食料の安定供給はもとより、その生産活動を通じて国土、自然環境の保全や伝統文化等の保存、継承など多面的な機能を発揮しておりますので、そうした影響もございます。
〇斉藤信委員 岩手県の農林漁業は壊滅するんじゃないですか。
〇達増知事 今申し上げた答弁に関してそのような表現をすべきという御意見であれば、それはそれで承っておきたいと思います。
〇斉藤信委員 私は意見を言っているんじゃないんですよ、質問をしているんですよ。
 いいですか、農業だけで1、469億円の減少になる。これは農業生産額の60%ですよ。岩手県の生産額の60%が減少したら農業は成り立たないでしょう。聞いているんですよ、そういうこと。
〇達増知事 農業が成り立たないとか壊滅的とか、それなりの思いを持ってそういう表現をされているんだと思いますけれども、私からの答弁は先ほどのとおりでございます。
〇斉藤信委員 本当に意味不明、驚くべき答弁ですよ。
 じゃ、二つ目聞きますよ。TPPの参加と食料自給率の向上は私は絶対両立しないと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 昨年度、農林水産省が公表した食料自給率の試算は承知しておりますけれども、関税撤廃がどのような効果を有するのか、協定の内容そのものに関する根本的な検討、議論が行われるべきと考えており、国において十分な検討、議論が行われていない現時点においては判断は困難と考えます。
〇斉藤信委員 岩手県の農林水産部が農業で1、169億円、60%、漁業で191億円、これは約50%ですよ、生産額が減少すると。これでどうして食料自給率が向上するのですか。
〇達増知事 委員が両立できないという御意見を主張したくて、それについてイエスかノーかみたいに聞かれても、どういう……。委員の思いとして両立できない、不可能というようなお言葉を使われていると思いますので、私の答弁としては、先ほどの条件のもとでは判断困難ということであります。
〇斉藤信委員 こんなことで判断困難、とんでもない話ですよ。今、日本の食料自給率は40%でしょう。輸入自由化を進めてここまで落ちたんですよ。穀物自給率は20%ですよ。さらに関税撤廃したら下がるのは当たり前じゃないですか。そうじゃないですか。
〇達増知事 さまざまな前提のとり方によっていろいろ違った結果が導かれるのだと思いますけれども、委員の御懸念については、その思いはよくわかる気持ちであります。
〇斉藤信委員 岩手県の農業、漁業、林業がかかっているんですよ。
 もう一つ聞きますけれども、今、東日本大震災津波の復旧、復興に取り組んでいますけれども、逆行するんじゃないですか。
〇達増知事 東日本大震災津波の復旧、復興への影響についてでありますが、協定への参加については、地域の声も反映した国民の合意が得られるまでしっかりと議論を重ね、慎重に検討することが必要と考えており、とりわけ東日本大震災津波により大きな被害を受けた本県農林水産業等の復旧、復興は、地域の社会経済の再生に直接つながるものであることから、その妨げとならないよう、より慎重に対応していくことが必要と考えております。
〇斉藤信委員 漁業についても、TPPでは漁業補助金の規制がアメリカから提案されているんですよ。こんなことをしたら船も確保できない、養殖施設も整備できない、これがTPPですよ。復興どころじゃないでしょう、これだったら。
 知事、私は、こういう状況に対して、被災県の知事がはっきり明確に態度を示すべきじゃないかと言っているんですよ、いかがですか。
〇達増知事 御意見は御意見として承りますけれども、このTPPと復旧、復興との関係については、先ほど申し上げたように、今回の大震災がなくてもこのTPPへの参加については慎重に検討することが必要なわけですけれども、この東日本大震災津波の復旧、復興という中で、より慎重に対応していくことが必要と考えております。
〇斉藤信委員 TPPというのは関税原則撤廃です。非関税障壁もなくす、これが原則で、アメリカ型の貿易と投資の自由化、アメリカ型の経済を押しつけるものですよ。TPPの中身をどういうふうに知事は認識していますか。
〇達増知事 現在行われているTPP協定に係る協議は、ニュージーランド、シンガポール、チリ及びブルネイの4カ国による貿易協定に新たにアメリカを初め5カ国が加わるべく協定の締結に向けた協議を行っているということで、その協議の結果としてその内容が決まるものと理解しております。
〇斉藤信委員 違うんですよ。TPPというのは原則が決まっているんですよ。交渉して原則を決めるんじゃない、原則が決まって、だから大問題になるんですよ。そういう認識はないんですか、知事には。
〇達増知事 私の認識は、先ほど申し上げましたように、今、ニュージーランド、シンガポール、チリとブルネイの4カ国による貿易協定というのがあり、そこにアメリカを初め5カ国が加わって協議を行い、その内容を決めるというふうに認識しております。
〇斉藤信委員 とんでもないことですよ。4カ国のルールは決まっているし、枠組みは決まっている。だから問題にしているのですよ。FTAとEPAと違うんですよ、これ。担当部局からそういう説明されていないんですか。ちゃんと議会には説明資料が出ているよ。
〇達増知事 さまざま調べた上で先ほどの答弁を申し上げているところでございます。
〇斉藤信委員 恐るべき認識ですよ。
 知事は必要に応じて国に提言すると言っていますが、11月12、13日からAPECが始まる。その前に決断するというんだから、今、態度を明確にして提言しなかったら間に合わないじゃないですか。
〇達増知事 国への提言についてでありますけれども、まず8月3日、農林水産省に対して、本県としてTPP交渉について慎重に検討されたい旨の要望をしたところであり、全国知事会においては、去る19日に国に対して、国民的合意の上、判断されたい旨の緊急要請を行いました。また、今後、北海道東北地方知事会としても同様の提言を行うことを検討しており、本県においても同知事会と軌を一にした提言を行いたいと考えております。
〇斉藤信委員 岩手県の農林漁業、そして復興の死活にかかわる問題だと思いますよ。そして、緊急問題だと思いますよ。体を張ってこれを阻止すると、そういう姿勢を私は県民の代表である知事が示すべきだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 非常に熱血な質問、しかと受けとめさせていただきます。
〇斉藤信委員 しかと受けとめていただきたい。
 次に、東京電力福島原発事故の対応について。
 地上地点を含めた徹底した放射線の測定と除染の対策を私は県自身が行うべきだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 放射能の測定と除染の対策については、原因者である東京電力がみずから行うべきものであり、放射能問題全般について責任を負う国が、きちんと履行されるよう必要な措置を講じていくことが基本と考えております。
 しかしながら、県民の安全・安心を確保するため、やむを得ず被害者側に立つ県及び市町村が連携して、県民に協力を呼びかけながら放射性物質の測定や除染等に取り組んでいるところでございます。
 県は、市町村が行う学校等における放射線量の測定や除染等について、対象施設の利用の実情に基づく市町村の判断等を踏まえ助成対象とするとともに、技術的な支援も行っておりますし、また、県管轄のところについて、県みずから測定、除染等を行っているところであります。
〇斉藤信委員 一関市が、これは20日発表したんですけれども、138施設、地上地点で測定をした。92施設で1マイクロシーベルトを超えたと。489カ所ですよ。4カ所は10マイクロシーベルト以上に超えて測定できなかったと。私は地上地点の調査を徹底してやってこそ本当に子供たちの安全を守れるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 一関市と相談をしながらしっかり対応していきたいと思います。
〇斉藤信委員 県も県立高校、その他県施設の測定をしているわけです。だから、県自身も地上地点の調査をしなさいと、こう言っているんです、いかがですか。
〇達増知事 私からは、一生涯の追加的被曝量100ミリシーベルトを一つの目安とし、そうならないためにも、毎年の1年間の追加被曝量を1ミリシーベルトを超えないようにしようと。そういう観点から、東京電力、国が動かない以上、まず自治体が動こうということで対応しているところでありますので、その線に沿って対応してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 もっとはっきり、県としても地上地点も測定をやるのかやらないのか。
〇達増知事 知事あるいは放射能問題の対策本部長としては、先ほど言ったような、要は一人一人の健康の問題でありますので、その一人一人が100ミリシーベルトの生涯追加被曝量、年間1ミリシーベルトの被曝量を受けないように、そのために何をすべきかということをケース・バイ・ケースできちっと見きわめて対応すべしということをお約束したいと思います。
〇斉藤信委員 本会議では、知事は、市町村に準じて県もやりますと答えているんですよ。準じてというのはどういうことですか。やらないんですか。
〇加藤総務部長 本会議の答弁は私の答弁でございました。県の施設に準じるというふうに申し上げました。
 意味でございますが、先ほど知事から答弁申し上げましたように、施設の利用の実情に基づく市町村の判断を踏まえ、そういう施設の利用状況に応じて、地表からの高さにかかわらず測定、除染を行いますというふうなことを申し上げましたので、県の施設につきましては、そういった施設の利用状況を踏まえまして対応していくということでございます。
〇斉藤信委員 原発事故がなければ生じることのなかった損害についてすべて補償する、これを大原則にした全面賠償を求めるべきだと思いますが、先日、東京電力の副社長も来たと思いますが、この全面賠償の取り組みはどうなっていますか。
〇達増知事 原発事故に係る損害賠償についてでありますが、基本的に、原発事故との因果関係が成り立つものについては、原因者である東京電力が幅広く賠償責任を負うべきものと考えております。
 原発事故により放出された放射性物質は広範囲かつ多岐にわたり影響を及ぼしており、被害者である県民が回避することは著しく困難であり、被害者には過失が認められません。被害が長期間にわたること等の特殊な事情もございます。引き続き、原因者である東京電力に対して、損害賠償に当たりこれらの事情に最大限配慮するよう強く求めるとともに、市町村や関係団体と連携して因果関係の説明に努め、十分な賠償が得られるよう取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 私は請求に対して毎月毎月返還されるべきだと思いますが、東京電力の対応はどうでしたか。
〇達増知事 そもそも7カ月たってようやく副社長が謝罪に来るということで、本当であれば、原因者でありますから、自分のところから出た有害物質、放射性物質というものがどこまでどの程度広がっているのか、除染すべきであれば除染するといったことを東京電力みずから行うべきだということを訴えたところでありますけれども、そういったことを踏まえ、賠償についてはしっかり対応するという趣旨でありましたので、まず少なくとも賠償についてはしっかりやってもらわなければならないというやりとりをしたところであります。
〇斉藤信委員 毎月毎月賠償させる、私はこれがポイントだと思うけれども、この点はどうですか。
〇達増知事 御意見は御意見として検討させていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 私は意見を言っているんじゃないんですよ、質問しているんですよ。
 原発事故がもたらしたもの、教訓をどう知事はとらえているでしょうか。
〇達増知事 今回の原発事故は広範囲に深刻な放射線被害をもたらし、国民の原子力の安全性に対する信頼は大きく揺らぎ、原子力政策を含む我が国のエネルギー政策全体が見直しを余儀なくされているものと認識しております。
 また一方、岩手県といたしましては、これまでも地域特性を生かした再生可能エネルギーの積極的な導入に取り組んできておりますので、今回の事故を踏まえて、一層その再生可能エネルギーの積極的な推進に取り組んでいく必要があると認識しております。
〇斉藤信委員 原発事故の悲惨さ、深刻さから見たら、私はもう原発と国民は共存できないと。原発からの撤退を求めるべきだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 今回の原発事故の深刻さ、また、なぜこういうことになったのかという経緯の部分についてはまだまだ検証が必要だと思っておりまして、その検証結果を含め、幅広い国民の議論に基づいて、国としての原子力発電政策について適切に判断されるべきと考えます。
〇斉藤信委員 再生エネルギーの岩手県の実績、全国順位はどうなっていますか。
〇達増知事 本県の再生可能エネルギーの導入実績と全国順位についてでありますが、平成22年度末の種別ごとの発電出力ベースでは、水力27万5、000キロワット、全国第4位、地熱10万4、000キロワット、同2位、同というのは全国という意味です。風力6万7、000キロワット、同14位、太陽光3万5、000キロワット、同33位となっています。
 再生可能エネルギー全体での全国順位については明確な統計データはございませんが、千葉大学の研究室などが熱利用も含めた一定の条件で試算した結果によると、平成21年の実績で全国第11位であるとされています。
〇斉藤信委員 終わります。
〇高橋昌造委員長 お諮りいたします。時間もおおむね5時になりますので、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。あす以降、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時57分 散会

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