平成23年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 認定第1号、第4号に、日本共産党を代表して反対の討論を行います。
 認定第1号は、2010年度岩手県立病院等事業会計決算であります。
 東日本大震災津波の大災害の中で、被災者の命と地域医療を守る医師、看護師等の皆さんの献身的な取り組みに心から敬意を表するものであります。しかしながら、昨年4月から県立花泉地域診療センターが医療法人白光に民間移管されました。9月県議会に続き12月県議会で集中審議されたように、常勤医師の辞職によって、有床診療所の運営はわずか1年余で破綻してしまいました。最大の問題は、常勤医師確保の見通しもない医療法人白光の事業計画を、県と医療局が追認してきたことであります。一昨年8月に提出したときの医師5人、1カ月後の9月県議会に報告された医師5人、昨年3月25日、民間移管の直前に出された常勤医師2人、非常勤医師3人すべて名前が違い、実態がありませんでした。民間移管の4月以降7月までは常勤医師が不在でした。常勤医師がやめた9月以降も、今、常勤医師、管理者が不在となっているのであります。
 こうした根拠のない事業計画を追認してきた背景には、医療法人白光ありきの県と医療法人との癒着がありました。民間移管の公募前の6月に、医療法人白光の紹介で、花泉地域診療センターに診療所長候補の医師を採用し、試運転させることまで行いました。
 昨日の社会福祉法人七星会の理事会で、橋本堯夫理事長は、知事から、民間移管前の公募前に頼むと電話されたと、重大な発言をしたとのことであります。これが事実とすれば、県議会での知事答弁は虚偽となり重大な問題であります。この疑惑は、徹底して追及、解明されなければなりません。
 同時に、民間移管による有床診療所が破綻したもとでは、県医療局が責任を持って、地域住民への約束である有床診療所を運営すべきであります。特別養護老人ホーム入所者に責任はなく、入所者の命と暮らしを守る対策を講じるべきであります。その上で、地域住民の声をよく聞いて、県の責任で、福祉、介護と一体の有床診療所の体制を構築すべきであります。
 高田、大槌、山田、大東の被災した県立病院の早期再建に取り組むとともに、仮設診療所の改善にも取り組むべきであります。医師とともに看護師の増員に取り組み、協定違反の超過勤務の縮減に取り組むべきであります。
 認定第4号は、2010年度岩手県一般会計決算であります。
 年度末の3月11日に東日本大震災津波が発生し、これまでに死者4、665人、行方不明者1、383人、合わせて6、048人と、戦後最大の大災害となりました。県職員はもとより、沿岸市町村の職員、消防、警察、自衛隊、全国からのボランティアなどの皆さんの献身的な取り組みが行われたことに、心から敬意を表するものであります。 
 震災から9カ月が経過したものの、国の本格的な復興予算が11月末になって成立するなどおくれにおくれ、被災地の復興は緒についたばかりであります。被災者の生活再建となりわいの再生を最大の課題に位置づけ、中小企業の再建と雇用の確保、住宅の確保、県立病院など地域医療の再建に、従来の枠にとらわれず、必要な対策をスピード感を持って進めるように強く求めるものであります。
 2010年度決算に反対する第一の理由は、県民の暮らしに冷たい県政となっていることであります。
 県内の国保税は、課税所得92万1、000円に対し国保税は15万4、000円、負担率16.72%となっています。高過ぎて払えず、昨年度の滞納者は3万3、171世帯、15.56%、7世帯に1世帯以上であります。滞納者からの保険証の取り上げとなる資格証明書の発行は992世帯、短期保険証のとめ置きは2、760世帯で、合わせて3、752世帯が無保険状態であります。財産の差し押さえは3、839件、11億1、712万円に及ぶ冷たいものであります。
 盛岡市は、今年度から資格証明書、短期保険証の発行を、効果がなく受診の機会を奪うものとして中止しました。県政としても、県民の命を守ることを基本に、根本的な見直しを求めるものであります。
 介護保険の介護サービス利用料は、月17万7、000円で全国最低であり、特養ホーム待機者は6、183人、在宅待機者が2、203人、早期入所が必要な待機者は1、253人となっています。保険あって介護なしの事態の改善が必要であります。
 子供の医療費助成も、県内19市町村が小学校卒業、中学校卒業、高校卒業まで拡充している中、県の助成は就学前までにとどまり、償還払いだけとなっているのは東北で岩手県だけであります。
 第2の理由は、雇用対策と中小企業対策が極めて不十分なことであります。
 県内の上位10社の誘致大企業によるリストラによる従業員の減少は、4年間で2、600人に及びました。県内最大の企業の関東自動車は今好況で、正社員はふやさず、期間社員、派遣社員をそれぞれ150人ふやしました。青年の非正規雇用約5割に及んでいます。常用雇用者数で89%を占める中小企業対策の決算額は、融資を除くと40億8、900万円で、決算額全体のわずか5%にとどまっています。
 県議会で請願が採択された住宅リフォーム助成事業は、昨年度の19市町村から今年度26市町村に広がり、5億6、300万円の補助で59億4、200万円の工事費となり、その経済波及効果は92億円となりました。県で実施している秋田県は、今年度も200億円の工事費となっています。県議会での請願採択を踏まえ、県としても早急に実施すべきであります。
 第3の理由は、農林水産業の決算額が大幅に減少していることであります。
 昨年度の農林水産部の決算額は558億円余でした。10年前の1、617億円余の34.5%に減少しています。これでは、農林水産業の振興どころか、衰退県政と言わなければなりません。さらに、岩手県の農林水産業にとって1、682億円もの生産額の減少を招くと試算するTPP交渉参加に明確に反対を表明しなかった達増知事の姿勢も、県民の声に背を向けるものでありました。
 第4に、35人学級の拡充に背を向けていることであります。
 競争主義的な教育の改善を求めた国連・子どもの権利委員会の勧告に背を向けていることも問題であります。
 一方で、無駄と自然環境破壊の530億円の簗川ダム事業を推進し、利用客が半減した花巻空港整備事業に、ほとんど県費で320億円を投入してきたことも無駄遣いと言わなければなりません。
 再生可能エネルギーの推定可能利用量は、岩手県は全国第2位にもかかわらず、その活用は第11位にとどまっています。岩手の自然と資源を生かした自然エネルギー活用の先進県を目指すべきであります。
 以上申し上げ、認定第1号、第4号に対する日本共産党の反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(佐々木博君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算を採決いたします。
 本決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
 次に、認定第4号平成22年度岩手県一般会計歳入歳出決算を採決いたします。
 本決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、認定第4号平成22年度岩手県一般会計歳入歳出決算は委員長の報告のとおり認定することに決定いたしました。
   日程第3 議案第5号平成23年度岩手県一般会計補正予算(第9号)から日程第48 請願陳情まで
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第3、議案第5号から日程第48、請願陳情までを一括議題といたします。
 議案第50号岩手県県税条例の一部を改正する条例について、提出者の説明を求めます。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) ただいま議題とされました議案について説明申し上げます。
 議案第50号は、岩手県県税条例の一部を改正する条例であります。これは、地方税法の一部改正に伴い、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得等に係る個人の県民税及び東日本大震災による被災農用地にかわる農用地の取得等に係る不動産取得税について負担軽減が図られるよう特例措置を講ずるとともに、あわせて所要の整備をしようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に賛成くださるようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木博君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第50号岩手県県税条例の一部を改正する条例については、総務委員会に付託いたします。
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇議長(佐々木博君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時44分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 佐々木 朋 和 君
6  番 名須川   晋 君
7  番 佐々木   努 君
8  番 軽 石 義 則 君
9  番 後 藤   完 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 高 橋 但 馬 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 小 野   共 君
20  番 郷右近   浩 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 喜 多 正 敏 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 高 橋 昌 造 君
29  番 五日市   王 君
30  番 関 根 敏 伸 君
31  番 小田島 峰 雄 君
32  番 大 宮 惇 幸 君
33  番 工 藤 大 輔 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 佐々木   博 君
41  番 田 村   誠 君
42  番 及 川 幸 子 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後5時47分 再開
〇議長(佐々木博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
報告
〇議長(佐々木博君) 総務委員長から委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
 次に、あらかじめお手元に配付いたしておりました議員派遣の件の議員派遣一覧に修正がありました。改めてお手元に修正後の一覧を配付いたしておりますので、御了承願います。
   日程第3 議案第5号平成23年度岩手県一般会計補正予算(第9号)から日程第48 請願陳情まで(続)
〇議長(佐々木博君) 日程第3、議案第5号から日程第48、請願陳情までの議事を継続いたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。五日市総務委員長。
   〔総務委員長五日市王君登壇〕

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