平成23年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(飯澤匡君) 地域政党いわての飯澤匡でございます。
 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算について、委員長報告に反対の討論を行います。
 岩手の新しい地域医療を支えるモデルとまで言い切り、医療局が本県初の県立病院の民間移管に踏み切った花泉地域診療センターの民間移管が、移管後わずか1年余で事実上頓挫したことは、本県の医療政策を推進する中にあって大きな失策であり、住民の期待に沿っていない状況を招いた県の責任は重大であります。
 花泉地域診療センターが、県営施設を廃してまでいきなり民間移管に走る医療政策上の妥当性と住民の期待にこたえられる良質な医療サービスの提供が担保できるかについては、設置条例案の改正以前から、議会から不安と懸念の指摘がありました。1票差で可決した重みをどれだけ今後に生かすか重大な関心を持って注視をしておりましたが、今回の審議で、ベッドを復活させてほしいとの地域の声を受けとめたとの県の認識と、実際に行われた県からの支援のあり方にも疑義が深まるなど、地域医療を支える仕組みづくりの試金石であったはずなのに、県と医療局が適切な手順と手続を経ないで強行突破した結果が、このような結末を招いたものと考えます。
 民間移管の担保とされた10年間の契約、約束された県と医療法人との包括的な協定なども、結局は履行されませんでした。
 また、医療法人の賃貸料の不払いが初めて今回の審議で公開されたことや、あまつさえ診療センターの経営維持と県の支援、賃貸料の請求をしないのは表裏一体との認識は、到底理解しがたいものであり、本事案に取り組む県の関与が及び腰であったことが明らかになったものであります。
 これらの結果責任を県が負うことは避けられず、重要政策の柱に据えた地域医療の確保に関して、政策の根幹から検証する必要があります。
 また、本日の新聞報道にあった公募前に県が医療法人白光に依頼をしたことが事実であれば、昨日の委員会における答弁と全く食い違う内容であり、看過できない問題であります。
 また、ただいまの緊急質問のやりとりでも、事実関係の不透明さはきわまり、疑問点は一層深まってきました。契約を交わした医療法人から県の認識と全く異なる見識が複数の点で出たこと自体、問題であります。
 議会として期限を設定し、徹底した調査をし、選考の過程等、事実関係を明白にしなければ、我々の責務は果たせないものと考えます。
 現在、地域医療の再生と創造に向けた取り組みは、医療関係者のみならず、民間レベルでも、少しずつではありますが確実な歩みを始めています。限りある医療資源をどのように活用するか、介護との連携をどのように進めていくか、医療関係者と住民との対話を通じて実践段階に移らんとする地域もあります。
 これからの時代を展望したとき、急性期対応に軸足を置いた医療サービスの時代から地域包括ケアの時代に移行しつつある中で、県が担う役割は重く、広域で、なおかつ自治体との連携を確実に果たしていくことが求められます。
 医療における県、国、市町村、民間おのおのの役割を明確にしつつも、互いにのりしろを広く持ち連携を強固にし、住民の立場に立った良質な医療の提供に努力していかなければなりません。
 二次保健医療圏の中で、ガバナンスをだれが持ち、機能を発揮させるか、今後、広域振興圏内での機能分担等、課題はさきの本会議の関連質問で提案をしたように、十分に検討に値するものと思っております。
 何においても、医療崩壊の危機的状況下で、関係者と住民との意識の共有は必要不可欠であり、互いの信頼と正しい理解の上に積み上げていかなければ、目的の達成はなし得ません。
 今回の花泉事案の最大の失点はそこにあり、ハードを提供すれば事足りるという考え方になっていなかったか、県当局は十分に反省に値するものがあります。
 県は、当初の無床化診療所に戻すことで決着を図っていこうと見えます。しかし、真摯に地域住民に説明責任を果たし、しっかりとした検証のもとに次の段階に進む姿勢を示さなければ、この問題の決着は果たせないものと考えます。当然、決算認定は、平成22年度決算が黒字になったから認定するという単純なものではありません。
 以上申し上げた理由から、今回の決算は不認定とすべきと考えます。
 二元代表制のもとで議会の果たす役割を我々議会みずからが責任を持って果たす必要があります。議会基本条例に定めてある執行機関のチェックを今こそ発揮する場面であり、今回の事案の重要性にかんがみ、しかるべき機関を設置し対処することは、我々の責務であることを申し添え、私の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 斉藤信君。
   〔37番斉藤信君登壇〕

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