平成23年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第5号2011年度岩手県一般会計補正予算(第9号)について質問いたします。総額1、326億円余の大幅な補正予算になります。
 知事に質問します。
 第1に、国の第3次補正予算にかかわって、今回の県の補正予算にどれだけ組み込むことができたのでしょうか。できるだけ早く具体化すべきと考えますが、今後の見通しについて示していただきたい。
 第2に、東日本大震災津波復興基金積立金500億円、緊急雇用創出臨時特例基金積立金500億円など基金積み立て分が1、014億円となっています。基金を活用した具体的な事業予算は251億円であり、基金の早急な具体化、事業化がなされるべきと考えます。来年度予算待ちにならず具体化されるべきと思いますが、いかがでしょうか。また、市町村交付金210億円の配分の基準、考え方はどうなるでしょうか。年内一日も早く配分し、市町村が活用できるようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。
 関係部長に質問します。
 第1に、バス運行対策事業費補助7、491万円余についてお聞きします。被災地特例措置によって被災地のバス運行が具体的にどれだけ改善されるのでしょうか。被災地における通院、通学バスの運行状況を含めて示していただきたい。
 第2に、障がい者福祉費が15億8、853万円余計上されています。被災した居宅介護支援事業所及び相談支援事業所の復旧費への補助と障がい者福祉サービス復興支援拠点の設置の委託などの内容であります。沿岸被災地の障がい者の実態、沿岸以外の地域に避難、移動せざるを得なかった障がい者、仮設住宅入居者、障がい者施設の入居者、福祉サービスを受けられなくなった障がい者などをどう把握されているでしょうか。今回の事業でどう改善されるのでしょうか。
 第3に、児童療育支援ネットワーク事業費が3、124万円計上されています。子供たちの心のケアを中心とした総合的な支援のため、東日本大震災中央子ども支援センターに児童精神科医の派遣などの業務を委託するものでありますが、具体的に子供たちの心のケアはどう取り組まれるのでしょうか。
 県こころのケアセンター設置を専門機関に委託しようとする事業費2億7、480万円が計上されています。どういう体制で具体的に心のケアの取り組みが行われるのでしょうか。これまでの実績とその状況、課題を含めて示していただきたい。
 第4に、いわての学び希望基金未就学児童給付事業費は480万円計上されています。対象者数と申請者数はどうなっているでしょうか。小中高、大学、専門学校生を含めて示していただきたい。年内の支給総額はどうなるでしょうか。
 第5に、被災地医療確保対策事業費が2億3、976万円余の補正となっています。これまでの医科、歯科の被災と再開の状況はどうなっているでしょうか。民間医療機関の施設設備修繕費補助はどうなっているでしょうか。内陸の地震被害の医療機関も対象にすべきではないでしょうか。
 被災地薬局機能確保事業が新規で2億6、000万円計上されています。被災状況と再開店舗数、補助額と、既に再開したところを含めて遡及して補助されるものと思いますが、いかがでしょうか。
 第6に、生活再建住宅支援事業費補助6億2、800万円について質問します。被災住宅補修支援事業は、一部損壊や半壊の住宅を対象に補修費の一部を補助するものであります。最大170万円の補助となるものであり、画期的なものであります。対象5、400件の根拠と、今回の補正は800件分となっていますが、遡及して実施するとしており、申請が予算分を超えた場合、速やかに対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 被災地宅地復旧支援事業は、200万円を上限に経費の2分の1を補助しようとするものであります。被災地宅地被害の状況、件数と、事業の対象を1、000件とした根拠は何でしようか。特別の条件があるのでしょうか。この事業は市町村が実施主体となることから、市町村での具体化を急ぐべきでありますが、年内の具体化ができるでしょうか。
 第7に、災害公営住宅整備事業についてお聞きします。用地取得費、工事請負費として8億1、884万円が計上されています。750戸の災害公営住宅の具体的な見通しはどうなっているでしょうか。コミュニティを維持した多用な災害公営住宅の建設と入居を図るべきと考えますが、建設と入居の方針はどうなっているでしょうか。岩手型災害公営住宅の検討もされていますが、最大限地元の業者と資材を活用すべきですが、どうなるでしょうか。
 第8に、復興計画推進費にかかわって、それぞれの地域の復興計画は、地域住民の徹底した協議と合意に基づく復興計画の作成と具体化を図るべきと考えますが、県の進行管理は具体的にどのような課題で調査を行おうとするものでしょうか。
 また、被災者の生活再建は最も重要な課題です。仮設、みなし仮設、在宅、親類等への避難を含めた被災者全体を把握し、必要な支援を強化すべきと考えますが、実態をどう把握し、支援しているでしょうか。みなし仮設入居者や、ひとり暮らし高齢者などの情報を、市町村、仮設自治会と共有すべきでありますが、なされているでしょうか。
 議案第20号は、県営屋内温水プール指定管理者を指定することに関し議決を求めるものであります。これまでの雫石体育協会から岩手ビルサービスグループに変わりますが、具体的な選定理由は何でしょうか。計画書によれば、常勤職員は1名で、あとはパート9人、臨時2人となっていますが、これでサービスが本当によくなるのでしょうか。地元の雇用は改悪となるのではないでしょうか。
 岩手県地球温暖化対策実行計画(素案)について質問します。温室効果ガス排出量の削減目標を1990年比2020年までに30%とすることを評価するものであります。
 第1に、再生可能エネルギーの導入目標を115万6、959キロワットで2.4倍、原油換算では1.8倍とする目標であります。2010年の1997年比の実績は1.3倍にとどまりました。何が問題で、今後の10年間に2.4倍に拡大する根拠はどこにあるのでしょうか。
 第2に、再生可能エネルギーの推定利用可能量は電力利用で230億6、800万キロワットアワーで、全国第2位となっています。推定利用可能量にふさわしい、1人当たりでは全国一の積極的な目標にすべきではないでしょうか。
 第3に、二酸化炭素排出抑制対策の目標は、2008年比で、民生家庭部門で59万7、000トン、産業・民生業務部門で43万1、000トン、運輸部門で34万6、000トンとなっています。2008年の排出量実績は、民生家庭部門が構成比で17.4%、産業・民生業務部門が48.8%、運輸部門が21%であります。産業・民生業務部門、運輸部門の削減量が余りにも少ないのではないでしょうか。
 第4に、森林吸収量が191万6、000トンで、30%削減のうちの13.5%を占めます。2009年度の235万4、000トンより減少するのはなぜでしょうか。
 第5に、省エネ住宅の建築や改修への支援など、具体的な対策、施策はどのように具体化されるのでしょうか。第2次アクションプランや来年度予算に具体化されるのでしょうか。
 以上、答弁によっては再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国の第3次補正予算への対応についてでありますが、提案している一般会計補正予算案の1、326億円余のうち、国の第3次補正の対応となる予算は、緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金、さけ、ます種苗生産施設等復興支援事業費補助など580億円余となっており、事業内容や本県への配分額等の詳細が判明したものについて、国の予算の成立を待たず、先行して予算計上したところであります。
 また、これまでの補正予算においても、三陸鉄道災害復旧事業費や共同利用漁船等復旧支援対策事業費など、211億円余を国の第3次補正を想定して先行計上しているところであります。国の第3次補正に盛り込まれた各事業の詳細はいまだ不明な部分が多く、現時点で予算化できないものもございます。このため、引き続き国との調整や事業の構築に努めるとともに、被災地における事情を伺いながら、復旧、復興に必要な事業について、適時適切な時期に予算計上していく考えです。
 次に、基金の事業化についてでありますが、今補正予算において積み立てした基金は、東日本大震災津波復興基金を初め震災からの復旧、復興に向け活用していくものであることから、被災地のニーズを十分に把握の上、効果的に活用されるよう事業化を検討していく必要があります。今補正予算では、被災住宅の再建等に向けた支援、被災により失業した者に対する雇用の場の創出や被災者を雇用する企業への支援、心のケアを長期的に実施するためのこころのケアセンターの設置など、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け早期に実施する必要があるものを事業化し、予算計上したところでありますが、今後も被災地のニーズの把握に努め、適時適切な時期に事業化してまいりたいと思います。
 次に、市町村交付金の配分基準等についてでありますが、この市町村交付金は、震災被害の大きい沿岸市町村に重点的に配分することを基本としつつ、内陸市町村においても震災被害があり、また、復興支援の取り組みが行われていることから、全市町村に配分することとしています。
 市町村への配分に当たっては三つの基準を設け、具体的には、全市町村に定額配分を行う基準、同様に全市町村に標準財政規模に応じた配分を行う基準、そして、被災市町村に手厚くなるよう被害状況等に応じた配分を行う基準、これらにより算定し配分することとしており、これまで、これらの基準や交付金の使途、手続等について各市町村からも意見を伺いながら検討を進めてきたところであります。
 今後、今議会において関係予算をお認めいただければ、速やかに交付要領を策定し、年内には交付決定を行いたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承願います。
〇政策地域部長(千葉茂樹君) バス運行対策費と被災地域のバス運行についてのお尋ねについてでありますが、まず、バス運行対策費についてであります。
 震災により社会環境等が激変しましたことにより、被災地域はもとより、全県におきまして国庫補助制度に定める輸送量の補助要件を満たさない生活交通路線が多数発生し、バス事業者のみでこれらの路線を維持することが困難な状況となることが懸念されたところでございますけれども、今回、国の制度改正により輸送量要件の緩和や補助対象経費限度額の廃止等の措置が講じられましたことから、今回、補正措置を行うことで従前の路線を維持、確保しようとするものであります。
 具体的には、今回の特例措置によりまして、従前の路線のうち、沿岸被災地域においては2路線が、全県においては16路線がその対象として見込まれるところでございます。
 次に、被災地域のバス運行についてであります。
 現在、路線運行のバスに加えまして、市や町においては無料バスや患者輸送バスを運行し、通院、通学等の足を確保しているところでありますが、その詳細につきましては、現時点で把握していないところでございますので、御了承をお願いしたいと思います。
 なお、県立高田高等学校仮校舎への通学につきましては、県教育委員会がスクールバスを運行し、対応しているところでございます。
 また、被災市町村においては、仮設住宅団地等の交通の確保について、バス停留所までの距離等の事情から既存のバス路線で対応できない団地がありましたことから、新たに創設されました国の調査事業を活用しながら交通確保の取り組みを進めているところであり、該当する団地数は、9月末の42団地より11月末では29団地に改善されたところであります。県として引き続き市町村を支援してまいるところでございます。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、沿岸被災地の障がい者の実態についてでありますが、沿岸部では、入所施設1カ所、ケアホーム、グループホーム9カ所、通所施設5カ所が全壊するなどの被害があり、一時的にサービスが中断されましたが、これらの施設を利用しておられた障がい者約210人は、仮設施設として設置された施設や、被災を免れたほかの施設を利用するなどして、現在は被災前と同様のサービスを受けているところでございます。
 また、沿岸部で全壊した1カ所を除く11カ所の入所施設におきましては、平成23年10月1日現在で622人の方がこれまでどおり入所サービスを受けておりますが、このほかに、震災による自宅の流失、保護者の死亡等により15人の方が内陸部の障がい福祉施設に入所していると確認しております。
 さらに、仮設住宅や在宅の障がい者についてでありますが、現在、各市町村では保健師が仮設住宅等を戸別訪問しており、障がいのある方についてもそこで把握され、支援が必要な方は相談支援事業所等に引き継がれる仕組みとなっているところであります。
 今般の補正予算におきまして、新たに居宅介護事業所等の復旧に対し補助するほか、被災地を中心とする障がい保健福祉圏域ごとに復興支援拠点を整備し、コーディネーターの配置により改めて障がい者の実態やニーズを把握し、適切なサービス利用を支援するとともに、障がい福祉サービス事業所にアドバイザーを派遣して事業所の運営や就労支援活動を支援していくこととしているところであります。
 次に、子供の心のケアの取り組みについてでありますが、本年6月から8月にかけて沿岸3地区に子どものこころのケアセンターを設置し、週1回程度、児童精神科医による児童と保護者の診療や学校、保育所等関係機関への助言指導を行っており、1回当たり平均4件程度で、11月19日までに延べ182人の診療相談を行っているところであります。
 また、子供の心のケアについて、保育士や児童館の職員等を対象とした研修をこれまで22回開催するとともに、児童相談所職員による学校、保育所等での巡回相談を307回実施しております。さらに、子供の心のケアに係る理解促進のため、保護者向けのリーフレット1万5、000部及び啓発冊子4万部を作成し、保護者や関係機関に配布しております。
 今後の課題といたしましては、長期的な取り組みが必要となっており、特に児童精神科医の確保が重要でありますことから、今般の補正予算により、東日本大震災中央子ども支援センターに対し、専門医の派遣等を委託しようとするものであります。
 次に、県こころのケアセンターについてでありますが、県では、発災直後から県内外から延べ30に上るこころのケアチームによる支援をいただき、延べ8、300人の医師や看護師等の専門家による避難所や仮設住宅等への訪問活動、消防、警察、行政関係などの支援者へのケアなど、11月11日までに約9、000件に上る心のケアを実施したところであります。
 この心のケア対策を中長期的に継続して取り組むことが課題であり、本県の心のケアを総合的に推進する岩手県こころのケアセンターを内陸部に1カ所、また、地域こころのケアセンターを沿岸部に4カ所設置することとしております。これらのこころのケアセンターにおきましては、精神科医師、保健師、臨床心理士等の専門職員を配置し、沿岸7市町村に設置している震災こころの相談室での相談や仮設住宅等への訪問のほか、ケア活動を担う人材育成や関係機関のネットワークの強化などの取り組みを行うことといたしております。
 次に、いわての学び希望基金未就学児童給付金についてでありますが、未就学児童を対象とした給付金の今年度の支給対象者は84人を見込んでおり、12月6日現在で72人から申請があったところであります。年内の支給総額は564万円を予定しているところであります。
 また、教育委員会が所管してございますいわての学び希望基金奨学金についてでありますが、支給対象者は552人を見込んでおり、12月1日現在で535人から申請があったところであり、年内の支給総額は9、564万円を予定していると聞いております。
 次に、被災地医療確保対策事業費についてでありますが、東日本大震災津波による被害を受けた医療機関は、医科、歯科全体で354カ所、うち沿岸部127カ所、内陸部227カ所となっておりますが、このうち全壊や大規模半壊、半壊の大きな被害を受けた施設は全県で98カ所で、うち沿岸部が92カ所、内陸部は6カ所となっているところであります。
 12月1日現在の再開状況は、11月に沿岸部の2カ所が新たに再開して98カ所となり、内陸部は226カ所で、全県では324カ所の医療機関が保険診療を再開しているところであります。
 また、民間医療機関の修繕に対する支援につきましては、被災診療所機能回復事業により、甚大な被害を受けた沿岸部の施設の修繕や機材の再取得などの応急的な診療再開に要した経費を補助し、地域医療の速やかな再生を支援するものでありますが、現在、修繕等に要した所要額を調査し、他の補助制度とのバランスを勘案しながら制度の確定を進めているところであり、速やかに補助金の交付事務を進めていきたいと考えております。
 また、内陸の大きく被災した医療機関につきましても、災害復旧事業費の補助対象施設の拡大など、被災地の実情に応じた弾力的な運用を図るよう国に要望してきたところでありますが、地域医療再生基金の活用も図りながら復旧、復興を支援してまいりたいと考えております。
 次に、被災地薬局機能確保事業についてでありますが、今般の大震災津波により被害を受けた薬局は、全県では64件、うち沿岸部53件、内陸部11件となっておりますが、このうち、全壊や大規模半壊、半壊の大きな損壊を受けた薬局は全県で51件で、すべて沿岸部の薬局となっております。
 12月1日現在の再開店舗数は、全県では44件、うち沿岸部33件、内陸部11件となっており、被災した薬局のうち約7割の店舗が再開している状況にあります。
 補助額につきましては、標準的な規模の薬局を想定し、薬局1件当たりの事業費上限1、300万円、補助率は2分の1とし、補助額の上限が650万円となっております。
 補助対象とする店舗につきましては、被災地における薬局機能を確保するため、発災後の復旧、復興を広く支援する趣旨から、既に調剤を再開した店舗も含め補助対象とするものであります。
〇県土整備部長(若林治男君) まず、被災住宅補修支援事業についてでありますが、事業の対象を5、400件といたしましたのは、一部損壊住宅及び半壊の住宅が計1万戸程度ありますが、中には被害軽微なものもありまして、その半数程度が制度を利用するものと見込んだものであります。また、今回の補正予算につきましては、今年度は残り3カ月となりますことから、申請件数を800件程度と想定して計上しておりました。今後は、制度の周知を図りながら必要な予算の確保を図ってまいります。
 次に、被災宅地被害の状況、件数についてでありますが、これまで8市町で457件の被災宅地の危険度判定調査を行っておりまして、3段階で判定したところ、比較的危険とされる中程度以上のものが266件となっております。
 事業対象件数の根拠でありますが、被災宅地の危険度判定調査結果と、既に独自の支援事業を実施しております一関市などの状況から1、000件程度と推計したものであります。
 補助の特別な要件でありますが、東日本大震災津波とその余震で被害を受けた個人住宅であれば特別な条件はございません。
 市町村での年内の具体化でありますが、予算成立後、速やかに補助金交付要綱を定め、市町村に対して説明を行うなど、市町村が迅速な対応ができるように支援してまいります。
 次に、災害公営住宅につきましては、具体的な候補地がおおむね確定してきたことから、現在、用地取得に向けた交渉などを進めております。今議会において用地取得費及び工事請負費の補正予算を提案しているところであります。今年度は750戸分について順次用地測量を行った後、用地取得を行うとともに、既存施設の解体工事や公営住宅の設計を実施してまいります。
 コミュニティの維持につきましては、地域ごとのバランスに配慮した建設地の選定や交流を促す施設の整備を行うとともに、入居についても、市町村と連携しながらコミュニティに配慮した取り組みを進める方針としております。
 また、災害公営住宅の建設に当たりましては、木造住宅の建設や内装材などにおける県産材の積極的な活用に努めるとともに、地元でできる工事は地元に発注するなど、被災した地域へのできる限りの配慮を行ってまいります。
〇理事(平井節生君) 復興計画推進費にかかわる県の復興計画の進行管理についてでございますが、県では、これまで地域住民の合意形成を含む市町村の復興計画の策定作業を支援してまいりました。今回の補正では、県、市町村がそれぞれの復興計画に基づき行う施策、事業について、計画のマネジメントサイクルを形成するための調査費を盛り込んだものでございます。
 調査に当たりましては、復興実施計画に盛り込んだ個別施策、事業の展開状況、人口動態や商工業指標などの客観指標、被災者の状況、復興に関する意識などによる多角的なチェックが必要と考えているところでございます。
 具体的には、復興推進費において、被災者を初めとする県民の復興に対する意識、行動等を把握するための復興意識調査、生活面の復旧、復興状況を把握する被災者復興状況調査、産業及び商店街の復旧、復興状況を把握するための被災事業者復興状況調査を実施するものでございます。
〇理事(廣田淳君) 被災者の実態についてでありますが、11月25日現在、応急仮設住宅入居者は3万1、412名、民間賃貸住宅、公営住宅等のみなし仮設住宅入居者は1万1、678名となっております。また、自宅で暮らす被災者は1万6、569名、内陸の親戚宅で暮らす被災者は2、960名となっておりますが、一部の市町村においては十分に把握がなされておりません。
 県としましては、在宅被災者の把握が課題と認識しており、市町村に対して巡回訪問等を通じた早期把握を要請しているところであります。
 次に、被災者の支援についてでありますが、市町村では、民生委員や保健師、市町村社会福祉協議会に配置しております生活支援相談員が被災者を巡回訪問し、生活ニーズや健康状態の把握、生活相談、見守りなどを行っております。県としましても、被災者相談支援センターを沿岸4地区に設置し、常時相談に対応しております。
 また、みなし仮設住宅やひとり暮らし高齢者などの情報の共有についてでありますが、県で把握しております民間賃貸住宅入居者につきましては、本人から承認を得て市町村に住所情報の提供を進めているほか、沿岸すべての市町村におきまして、行政、社会福祉協議会、地域包括支援センター等保健福祉関係機関で構成いたします地域ケア会議等の連絡会議を開催しますなど、関係者間の情報交換や個別ケースの支援に向けた協議を行っております。
 今後とも、市町村など関係機関との情報共有を進め、連携を促進しながら被災者に対する支援の充実を図ってまいります。
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、県営屋内温水プールの指定管理についてでございますが、選定に当たりましては、外部の有識者4名から成る県営屋内温水プール指定管理者選定委員会を開催し、その選考結果を尊重したものであります。2者から応募があり、指定管理候補者は、選定委員会におきまして、リピート率向上プランや利用者サービスのための自主事業計画などの内容により、利用促進やサービスの向上などの審査項目でより高い評価を得たものと承知しております。
 現在、屋内温水プールは8人体制で運営管理されておりますが、新たに指定管理候補者となった岩手ビルサービスグループは、12人体制と配置人員は現在より多くなる計画であり、利用者向けのさまざまな事業も企画されていることから、利用者サービスは向上するものと期待しております。
 また、指定管理候補者は、プレゼンテーション審査におきまして地元雇用にできる限り配慮すると表明しておりまして、実際に、これまで指定を受けた県外の指定管理施設でも地元を中心に雇用していると伺っているところであります。
 次に、地球温暖化対策実行計画素案についてお答え申し上げます。
 まず、再生可能エネルギー導入の課題と目標の根拠についてでありますが、再生可能エネルギーの導入が進まない一般的な背景といたしましては、発電コストの問題などさまざまな課題が挙げられますが、特に1997年から2010年までの間1.3倍にとどまりましたのは、風力発電などの立地が進んだものの、既存の地熱発電の発電電力量が低下したことが影響しております。
 目標についてでございますが、再生可能エネルギー特別措置法により固定価格買い取り制度が創設されましたことや、これを踏まえた風力、地熱等の事業者への開発計画等の聞き取り結果の内容などを考慮して設定したものでございます。
 次に、二酸化炭素排出抑制対策の目標についてでありますが、計画が掲げる各部門の削減目標量は、国の地球温暖化対策に係る中長期ロードマップが掲げる各部門の削減割合を基本として設定したものでございます。この結果、基準年である1990年と比較した2008年の排出量が減少している産業、運輸部門につきましては、相対的に削減目標が低くなっているところでございます。これに対しまして、2008年において排出量が大幅に増加している民生家庭、民生業務部門につきましては、相対的に削減目標が高くなったものでございます。
 次に、再生可能エネルギーの導入目標についてでございますが、開発業者からの聞き取りをもとに、開発に要する期間、例えば風力発電では、計画が決定されましてから事業化するまで通常3年から4年を要すると言われてございます。また、地熱発電におきましては、環境影響評価を含めて10年程度を要するとされてございます。こうしたことを考慮いたしまして、計画期間である10年の間に実際に導入が見込まれる数量として設定したものでございます。
 次に、森林吸収量の見込みについてでありますが、森林吸収量は、各県の森林にかかわる諸データ等から国が京都議定書のルールに基づき算定し、各県に提供しているものでございます。目標年である2020年度の森林吸収量につきましては、これまでの吸収量に大きな変動が見られますことから、関係部局とも協議した上で、直近の2007年度から2009年度の3カ年の平均値として見込んだものでございます。
 次に、省エネ住宅の建築や改修への支援についてでございますが、県では、高い省エネルギー性能を持ち、県産木材や木質バイオマスエネルギーを活用した住宅を岩手型住宅として、新築、増改築に対する助成を行い、その普及を図ってきたところでありますが、来年度以降の取り組みにつきましては、現在、鋭意検討中でございます。
 また、国におきましては、被災地の復興支援に重点を置いた復興支援・住宅エコポイント制度を10月21日からスタートさせたところでありまして、この制度の活用が図られ、省エネ住宅や省エネに向けた改修が行われるよう、県といたしましても周知に努めたいと考えてございます。
〇37番(斉藤信君) 知事に再質問します。
 国の第3次補正予算は本格的な復興の予算でしたが、余りにも遅過ぎた。岩手県がこれまで既に211億円、今回の補正で580億円計上したと、私は機敏な対応だったと思います。しかし、まだ一部なんですね。第3次補正を県が速やかに全面的に予算化することが必要だと。年内もしくは1月でもそういう対応をすべきだと。
 そして、第3次補正の中には復興交付金が総額1兆5、612億円あるんですよ。これは一番使いやすい、使いたい、県、市町村にとっても重要な基金です。私はできるだけ早く、2月定例会待ちにならないで具体化すべきではないかと思いますので、改めて知事にお聞きしたい。
 二つ目に、保健福祉部長、民間診療所修繕費補助を岩手県がいち早く打ち出して、大変これは評価されたにもかかわらず、いまだにこの中身がはっきりしない。とんでもない話ですよ。早く中身を明らかにして復旧を支援すべきではないですか。そして、内陸も支援するかしないかはっきりすべきですよ、もう9カ月たっているんだから。
 県土整備部長、被災住宅補修支援事業、宅地支援、私は画期的だと評価をした。遡及もすると。問題は、事業主体が市町村になりますから、市町村が12月からスタートできるかどうかです。そういうスピード感を持って復興に取り組んでいただきたい。改めてお聞きいたします。
〇知事(達増拓也君) 国の第3次補正予算に対応する県の補正予算については、まず、決まる前から先行して御提案し、また議決をいただいていたところでございまして、改めて議会に対して御礼を申し上げたいと思います。
 なお、第3次補正のフレーム等、既に明らかになってございますが、各事業の詳細は、国の第3次補正にいまだ不明な部分が多いため、現時点で予算化できないものもある点については御理解をいただきたいと思います。引き続き国との調整や事業の構築に努め、適時適切な時期の予算計上をしてまいりたいと思います。
 そして、東日本大震災津波復興基金積立金等に関しまして、市町村の交付金の件についてでございますけれども、現在、先ほど答弁いたしました三つの基準、交付金の使途、手続等について、各市町村からも意見を伺いながら検討を進めているところでありまして、速やかに交付要領を決定し、そして年内には交付決定を行いたいと考えております。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 被災診療所の機能回復事業でありますが、議員御指摘のとおり、本県とすれば早い機会に予算措置をしましてフレームをつくったところでありますが、この内容につきましては、他の制度とのバランス等を考慮しながらその詳細について詰めているということで、これはできるだけ早く確定させたいと考えているところでございます。
 内陸を対象にするかどうかということでありますが、いずれ医療施設につきましては、地域医療再生基金、これをできるだけ活用して対応していきたいと考えているところでありますし、薬局につきましては半壊以上を対象にしていますので、該当するところがないということであります。医科、歯科が被災地医療の確保の内陸の適用の検討になります。
〇県土整備部長(若林治男君) ただいま御指摘をいただきましたけれども、市町村の速やかな予算化につきまして、既に市町村とは、要望もいただいておりましたし、かなりの部分、調整を進めてきております。来週早々、予算化になればすぐ対応したいと思います。
〇議長(佐々木博君) 次に、小野寺好君。

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