平成23年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘でございます。
 通告に基づきまして質問を行わせていただきます。今議会一般質問最後の登壇者となります。質問事項も、この間の質疑によって幾つか重複する点もございます。最後、皆さんには大変お疲れのところだと思いますが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 まず初めに、復興基本計画と特区の具体的推進についてお尋ねします。
 第1に、復興基本計画の実施、着手状況について、9月末時点における報告をいただきました。この報告では、第1期復興実施計画に基づく復興関連441事業の着手状況について、本年度実施予定の388事業に対し331事業が着手済み、6事業が完了と報告されています。被災地区及び被災者は一刻も早く復旧、復興事業の成果が上がることを望むものであります。今回の報告では事業実施率すなわち着手率が、復興3原則合わせて平均85.3%と、一面では積極的な対応との評価もできるわけでございますが、しかし、一方においては、着手した率ではなくて、成果につながる完了の率をいかにスピード感をもって引き上げていくかが問われています。
 そこで、今回の報告事項から幾つかの事業の実態や見通しについてお尋ねします。
 安全の確保分野では、何といっても各被災地区から強く要請されている瓦れきの撤去と処理の促進が重要です。この問題については、一昨日以来、各議員からも取り上げられていることから、重ねて質問はいたしませんが、被災地では、広域処理を含めできるだけ早い瓦れきの撤去、処理を望んでおります。そのためには、県の積極的な対応と関係機関等との連携が不可欠であるということを改めて申し上げておきたいと思います。
 また、これと同様に、安全確保分野において被災地の意見が強い事業として、既に予算措置された交通安全施設災害復旧事業があります。現在までの実施状況と完了見通しについてどのようになっているのかお伺いいたします。
 暮らしの再建分野では、いかに被災者に寄り添ったきめ細かい支援をどれだけしっかりと行うかということが問われています。
 そこで、総合的相談支援事業や復興公営住宅整備事業、あるいは後ほどお伺いいたします雇用対策なども含めて被災者の状況を的確に把握し、その支援の内容について、総合的かつ具体的に一人一人のケースに対応するために、被災者台帳システムの整備とその運用は急がなければならない課題だと思いますが、改めてその対策推進についての県の考えをお伺いします。
 次に、震災後の県民の心のケアについてですが、こころのケアセンターの設置、運営も含め、これまで県はどのように対応してきたのかお伺いします。また、この事業においてはマンパワーの確保がポイントになると思われますが、その点を中心に今後どのように対応していく考えなのか、あわせてお伺いいたします。
 なりわいの再生分野では、漁船復旧支援や製氷保管施設復旧に着手したことを掲げていますが、水産業の復旧の見通しが一刻も早く形として見えるものとするには、水産加工施設等の関連産業との一体的な再生が求められます。今後の見通しはどうなっているのかお伺いいたします。
 第2に、県は、国の第3次補正予算で復興計画関連354事業のうち、第3次補正分として134事業を見込んでいたのに対し、一部含まれる分も入れて126事業、94%が予算措置されたと明らかにしましたが、このことによって、これまでの第1期復興実施計画に基づく復興関連事業を推進する上で、今回の国の第3次補正予算をどのように評価し、また、措置されなかった県事業をどうされるおつもりなのか、知事のお考えをお伺いいたします。
 また、今回の国の第3次補正予算において措置された事業のうち、市町村の復興計画との関係において特に重要と考える事業とその理由について、あわせて知事にお伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 第3に、政府は去る10月28日、各種許認可の規制緩和や土地利用再編手続の簡素化といった特例措置を盛り込んだ東日本大震災復興特別区域法案を閣議決定し、昨日その成立を見ております。
 そこで、本県として復興構想会議に提案してきた当初の九つの特区に加え、10月4日の要望に追加されたものづくり特区を含む10の岩手復興特区構想がありますが、今回示された国の特区法案において、この構想の考え方がどこまで具体に反映されていると県は認識されているのかお伺いいたします。そして、本県としては、この10の特区構想について、具体的にどう取り組んでいくお考えかお伺いいたします。
 さらに、今後の復興基本実施計画の推進に当たり、特区の位置づけを具体的方針としてどう反映させていくのか。また、各被災自治体の復興計画策定に当たって特区構想の位置づけはどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。
 以上、登壇での質問をこの場で終了し、以下は質問席から質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
   〔14番木村幸弘君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国の第3次補正予算と復興事業の見通しについてでありますが、本県の復興を進めるため、復興実施計画に掲げる施策、事業を中心に、機会あるごと要望活動を重ねて実施してきたところであり、国費による充実した支援と既存の枠組みを越える強力な復旧、復興施策の速やかな実施を訴えてきたところであります。
 今般の国の第3次補正予算については、本来であればもっと早急になされるべきだったと考えていますが、三陸沿岸道路などの復興道路の緊急整備や三陸鉄道の復旧支援等の安全の確保のほか、暮らしの再建やなりわいの再生に向け、第1期復興実施計画に基づく今後の復興の取り組みを加速させるための足がかりとなる財源が確保されたところと考えます。現在、第3次補正予算の配分等の詳細についてさらに情報収集を行っているところでありますが、今回措置されなかった事業については、引き続き国に働きかけてまいります。
 次に、市町村の復興計画との関係において重要な事業についてでありますが、今般、著しい被害を受けた地域の復興地域づくりに必要な事業を実施できるよう、道路整備事業、土地区画整理事業、防災集団移転促進事業等の幅広いハード事業を一括化し、地方負担の軽減等をも図る東日本大震災復興交付金が創設され、1兆6、000億円を超える大型予算が計上されました。
 また、国、県等の行う道路や鉄道等のインフラ整備についても第3次補正予算で手当てされたところであり、こうした復興関連事業を、市町村が行うインフラ整備とあわせて市町村の復興計画において有機的に関連させることにより、より一層復興の実を上げられるものと考えています。
 県としましては、被災市町村の復興計画を実現するため各事業主体の行う復興関連事業を促進していくほか、関係市町村と協力して、東日本大震災復興特別区域法に定める復興交付金事業計画の速やかな策定に向けて準備を進めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) まず、被災者台帳システムの整備についてでございますが、被災者台帳システムは、被災者一人一人の状況に応じました支援を適時、効果的に行うため、被災者の罹災状況や義援金の支給情報などを一元管理するシステムでございます。本システムを整備することにより、被災者が行われます各種の申請などの負担の軽減、申請漏れの防止などが図られるほか適時適切な支援が可能になることから、県が主体となりましてシステムを構築することといたしまして、8月補正予算により措置をいたしたところでございます。
 市町村におきましては、現在、宮古市及び大槌町で試験運用が始まっているほか、システム導入を決定しております久慈市、釜石市及び大船渡市につきましてもデータの入力作業を進めているところでございます。
 また、宮古市におきましては、台帳の本格運用に向けまして職員研修会を開催されるなど、市町村としての活用に向けての動きも始まっております。
 県といたしましては、甚大な被害を受けられた沿岸各市町村や内陸市に対してシステム運用開始について通知をいたしまして、導入を推進しているところでございますが、今後とも、システムの活用研修などを通じまして早期運用が可能となるよう市町村を支援してまいります。
 次に、復興特区に関する本県の要請の反映についてでございますが、県では、被災地の創意工夫に基づく提案を一元的かつ迅速に実現するために、復興特区制度の創設を国に対して要望してきたところでございます。今国会で成立いたしました復興特別区域法は、本県が岩手復興特区として提案いたしました内容も考慮しながら制度検討が行われたものと認識いたしております。
 具体的には、まず、まちづくり特区などで提案いたしました都市、農地、森林などの枠組みを越えて各種土地利用再編を行うための特例措置や、また、ものづくり特区などで提案いたしました被災地の産業集積のための投資、雇用、研究開発を促進するための税制の特例措置などについて盛り込まれているところでございます。
 次に、本県の取り組みについてでありますが、本県といたしましては、復興計画に掲げました安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生に向けた具体的な施策、事業をよりスピーディーかつ効果的、効率的に推進していくため、復興特別区域法に盛り込まれた規制、手続に関する特例、財政上の特例措置などを積極的に活用していく考えでございます。
 具体的には、産業振興や再生可能エネルギーの活用などに向けました規制、手続、税制等の特例に係る復興推進計画の県による主導的な作成、防災まちづくりのための土地利用の再編等を速やかに進めるための被災市町村における復興整備計画の作成の支援など、関係市町村と密接に連携しながら進めてまいります。また、復興特区を実現するため、復興特別区域法に位置づけられた復興交付金事業の実施に向け、被災市町村における復興交付金事業計画作成の支援などを行い、万全の準備を進めてまいります。
 次に、復興計画への反映等についてでありますが、まず、具体的方針としての特区の位置づけにつきましては、復興特別区域制度は、県の復興計画を着実に推進していくための有効な手段であると考えておりまして、国に提案いたしました10の岩手復興特区をもとにしながら、被災市町村が復興まちづくりを進めるために必要とする規制、手続の特例措置を盛り込むなど、復興を実現する具体的な方策の一つとして位置づけているところであります。実際の計画作成過程におきましては、関係市町村のみならず関係団体やNPOなどの意見などを十分に踏まえ、連携を密にしながら万全の準備を進めてまいります。また、各自治体における特区構想の位置づけにつきましては、復興計画の策定を予定しておられました12市町村のうち、現在、8市町村が計画を策定し終わり、残る4市町につきましても本年中の策定が予定されているところであります。それらの計画の中には、復興特区制度の活用を視野に入れた取り組みが盛り込まれているところでございます。
 県といたしましては、復興特区制度の活用に向けました関係市町村の意向を十分に踏まえながら、早急に復興特区の具体化を図っていく考えでございます。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) こころのケアセンターについてでありますが、県では、発災直後から、被災された方々に対する精神的な負担軽減等を図るため、県内外からの心のケアチームによる支援をいただきながら心のケア活動を行ってきたところであり、現在は、被害の甚大であった沿岸7市町村に設置した震災こころの相談室を拠点として仮設住宅の訪問等によるケア活動を継続して行っております。今後も、被災者に寄り添った心のケア対策を推進するため、岩手県こころのケアセンターと沿岸の保健医療圏単位に四つの地域こころのケアセンターを設置し、中長期的な心のケア体制を構築することとしております。
 これらのセンターでは、震災こころの相談室における相談や仮設住宅等への訪問活動、関係機関ネットワーク会議の開催や市町村保健師への専門的助言、人材の育成、調査研究など心のケアを総合的に推進することとし、これらの業務を担う精神科医師、保健師、臨床心理士等を配置することとしております。このセンターの円滑な実施に当たっては、議員御指摘のとおり、これらの心のケア活動を担うための専門職員を確保することが何よりも肝要でありますことから、全国規模の学会等への派遣要請や国が構築した専門職員の派遣調整を行う仕組みを活用するとともに、県内の関係団体、協会等へ積極的に働きかけ、専門人材の確保に努めていくこととしております。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) なりわいの再生分野についてでありますが、水産業の復旧、復興に向けましては、漁業と流通、加工業の一体的な再生を図ることとしており、このうち、水産加工等関連施設は、漁業協同組合や水産加工業協同組合の所有する共同利用施設につきまして、水産業共同利用施設復旧支援事業、水産業経営基盤復旧支援事業により、冷凍冷蔵庫や食品加工場等の施設、機械設備などの機器類の整備に取り組んでおり、現在、主としてサケやワカメの加工を行う施設35カ所の整備を進めております。
 さらに、現在、国の第3次補正予算の成立を受けて事業要望を取りまとめしているところであり、今後とも、国の補正予算等を活用しながら、漁業とあわせて水産加工業の復旧、復興に取り組んでまいります。
   〔警察本部長樹下尚君登壇〕
〇警察本部長(樹下尚君) 交通安全施設についてでありますが、震災により被災した信号機は151カ所ありまして、昨日現在、滅灯状態から復旧した数は61カ所となっております。今後は、市街地が大きく被災した地域の若干の箇所を除きまして、おおむね年内には信号機の滅灯状態を解消させたいと考えております。
 なお、市街地が大きく被災した地域につきましては、道路環境の変化や関係自治体の復興計画等を見据えて、適切な時期に復旧作業を進めてまいりたいと考えております。
〇14番(木村幸弘君) 御答弁をいただきましてありがとうございました。
 復興計画全体のこれからの流れというか、方向性の中で、今、御答弁いただいたんですけれども、具体にこれから認定に向けた対応を進めるに当たって、市町村のそれぞれ進めている復興計画との整合性をどううまく調整を図って進めていくのか。その際のさまざまな手続、認定に当たって、被災した自治体のいろんな事務的負担をどう軽減してやるのか。今回、県としては、12月5日の要望書の中で、いわゆる特区制度の柔軟な制度運用という考え方に立って、県としての包括的な計画策定をまずはさせていただきたいという要望も申し上げているわけですけれども、その具体的な、包括的な計画策定という意味について、いま一度確認の質問をさせていただきたいと思います。
〇副知事(上野善晴君) お尋ねの点は、現在、市町村が作成中あるいは既にできているところもあるわけですけれども、復興計画と、私どもがこれから市町村と一緒になって進めていく特区の構想との関係ということだと思いますが、一つは、市町村との意思疎通を十分に図るという意味で、11月16日から29日にかけまして、復興局を中心とした県のほうと被災自治体の復興の担当の方々とで意見交換を進めたところでございます。そうした中で、私どもとしては、県も含めて、各自治体が復興についてのこれからの三つの計画をつくって申請をしなければいけないのでありますが、そこにおける意思疎通の確認と、各自治体のいろんな御要望とか、そうした点を十分に拾ったわけでございます。そうした点も踏まえまして、私どもといたしましては、先ほど議員御指摘の復興本部のほうに対しまして、11月27日に平野復興大臣がおいでになった際に、復興特区関係の手続の簡素化ですとか、あるいは今後の復興に向けてのいろんな各事業についてのお願い等申し上げたわけであります。あわせまして、12月5日には、知事のほうから政府予算要望した際に同種のお願いをいたしております。
 その中で、今お話がございました基礎自治体の負担をできるだけ軽減するということが大事だと思っておりまして、そのために、一つは、今、議員御指摘の復興推進計画、つまり特区の計画につきましては県が単独で出せるということになっておりますので、市町村と十分相談しながらではありますが、市町村の御意向を踏まえつつ、県のほうで、各自治体でかなり共通項がある部分については、統一的に、主導的にやっていこうということで、各自治体ともそうしたことで進めていくことについての意思の統一はできております。そういうことで、これから、少なくとも三つの計画のうちの最初の特区に関する復興推進計画については、県のほうがかなり主導的に、十分に自治体の御意見を聞きながらやっていく。それによってかなり手続の簡素化が図られるのではないかと。
 他方、あとの二つ、復興整備計画、これはまちづくり計画ですが、それと復興交付金事業計画、これはまさにどういう交付金をどれだけ要望するかという計画でありますが、これは、どちらかというと、制度上、市町村が中心となってやることが想定されておりますが、県としてできる限りの支援をして、一緒になって考えていきたいと思っております。
 あわせまして、内容につきましても、手続だけではなくて、基礎自治体あるいは県のほうのこれからの復興推進計画、復興整備計画、復興交付金事業計画の手続ができるだけ簡素化されるように、ワンストップでできるように、そうした手続のお願いとあわせて内容的なお願いも復興本部あるいは政府のほうに申し上げているところであります。
〇14番(木村幸弘君) ありがとうございます。
 そこで、今、これから県が包括的な計画策定を、市町村等の意向も踏まえながらやるということなんですが、県からせっかく10の復興特区の提案がされているという中身について、私の印象は、一つ一つの特区のイメージをこれからどういう形で岩手県の政策の中に生かし、反映していくのかというところをやはりわかりやすく見ていくような対応が必要じゃないかと思うんですけれども、知事にお伺いしたいのは、特区の中で、今回、いわゆる岩手県が提案した10の特区の考え方、とりわけ復興道路であるとかハード面は一定の時間をかけながら、しっかりと被災自治体の状況を踏まえた対応が必要になってまいりますけれども、一方で、もう一つのソフトを含めて、単にもとに戻すというだけでなくて岩手の次の未来のあるべき姿につながっていくような特区の方向、考え方の部分については、やはりシンボル的なものとして政策の中にきちんと示していく。そして、それを全体の県の包括的な計画策定の中でどういう位置づけにしていくのか、あるいは沿岸地域と内陸部ではまた違う環境、条件の中で、それぞれの10の特区の考え方をどういう形で取り入れさせていくのかという部分を示していくのが、県の政策として大切になってくるんじゃないかと思うんですけれども、その点のお考えについてどうなんでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 市町村の必要性にきちんと沿っていくことが非常に大事だと思っておりますけれども、県で提案してきた10の特区は、将来に希望を持つことができるような、復興の興は、地域振興、産業振興の興でありまして、静かである静的な復興ではなく、動的、ダイナミックな復興になっていくような構想を提示していますので、そういうところを市町村とよく話し合いながら、法律に定められた計画の策定ということを進めていきたいと思います。
〇14番(木村幸弘君) まだ漠然としているのだと思いますけれども、何かやはり岩手県としての目玉的な、特区を推進する上での柱、中心的なもの、県民に大きなインパクトをもって勇気と希望を与えられるような政策の方向というものはぜひ示すべきだろうということを申し添えておきたいと思います。
 次に、震災復興と雇用対策についてお尋ねします。
 去る11月29日、岩手労働局から10月の県内雇用情勢が発表されました。それによりますと、建設業を中心に震災関連求人の増加で有効求人数が20年ぶりに2万4、000人台に達した、あるいは有効求人倍率が0.65倍と6カ月連続で改善されているということでした。しかし、被災地本来の産業の再生がまだまだその見通しが見えない。経済活動再生への道筋は、中長期的な視点から言えば、依然として厳しい実態であると把握せざるを得ないのですが、そうした中で、岩手県経済・雇用対策本部では、10月31日に雇用対策基金による新規雇用創出目標1万3、161人に対し、1万578人の実績があったと報告されております。
 そこで、まず県及び市町村における緊急雇用創出事業等で、被災者雇用対策のこれまでの取り組みの状況と今後の課題がどうなっているのかお伺いします。
 それから、さきにも述べましたけれども、国の第3次補正予算成立等によって、今後さらに復旧、復興事業の発注が増加するものと期待されるわけであります。そこで、県が承知している範囲で、これまでの復旧、復興事業における県内事業者への発注状況がどうなっているのか、また、復旧、復興事業が県内雇用に及ぼす効果について、県としてどのように考えているのかお伺いします。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、被災者の雇用対策についてでありますが、発災により多数の企業が被災いたしまして、多くの方々が離職を余儀なくされました。これまで、緊急雇用創出事業などによりまして当面の雇用対策を図ってきたところであります。
 御案内のありました緊急雇用創出事業の10月31日現在の雇用実績1万578人のうち、県と市町村の内訳は、県が4、909人、市町村が5、669人となっております。これは県全体の数字でございまして、このうち震災対応分につきましては、震災後直ちに当面の措置といたしまして1万人分の雇用創出に必要な予算を計上いたしまして、地域の変化するさまざまなニーズに応じまして事業化を進め、これまで県が1、321人、市町村が4、454人、合わせて5、775人の雇用を創出しているところであります。現在、雇用情勢は、これらの取り組みもありまして、それから、今、御案内のありました復興需要、企業活動の回復などがございまして大幅な改善を見ております。
 今後の課題といたしましては、急速に求人倍率が回復する一方で、正規雇用の求人が依然として低い水準にある、こうしたことから、早期の産業復興を進めまして、地域における中長期的な雇用の場を創出していくことが必要だと考えております。
 次に、復旧、復興事業の県内事業者への発注状況及び雇用に及ぼす効果についてでありますが、東日本大震災の災害復旧事業に係ります県営建設工事の発注件数及び金額は、これまで全体で140件、約66億1、000万円となっております。このうち県内業者は136件、約61億7、000万円となっており、県内発注率は件数で97.1%、金額で93.4%となっております。
 なお、国、市町村のほうについては把握していないところでございますが、こうした復旧、復興事業が県のほか国、市町村、民間でも行われておりまして、岩手労働局が公表した10月末現在の産業別新規求人数の対前年同月比で見ますと、これらの震災関連の復旧工事の受注により建設業では92.1%の増となっております。また、建設業の受注増とあわせて、資材輸送や震災復興の支援者の需要の増加、震災後落ち込んでいた個人消費の回復が見られまして、運輸業、郵便業が62.3%の増、卸売、小売業が57.0%の増、宿泊業、飲食サービス業が53.2%の増などとなっております。このようなことから、このところの雇用状況の改善には復旧、復興事業も大きな役割を果たしていると考えております。
〇14番(木村幸弘君) 次に、雇用をふやす対策を推進する一方で、最近、雇用のミスマッチの問題が態様を変えてあらわれてきていると聞いておりました。それは、せっかく従業員を募集しても応募する人が少ないという現実が逆に出ているという話であります。国、県、市町村が類似の支援事業を創出するも、国の日当のほうが高いとして市町村の募集に対する応募が少ないとか、事業がそのために始められない、あるいは雇用保険給付期間の延長によって、雇用保険支給額と、あるいは雇用対策賃金との格差などから、本来の仕事が再生するまでは様子を見たい、そういった求職者の動向もあると思われます。
 こうした現状を踏まえた中でいかに雇用の促進を図っていくかということが重要ですが、県としてはどのような対策を講じようとしているのかお伺いします。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 雇用のミスマッチと対策についてでありますが、現地のハローワークや求職者の方々にお話を伺ったところによりますと、仕事の内容や通勤距離、雇用形態などで条件が合わないという方がおられる一方で、以前の勤め先が再建途上であるからその事業再開を待っているという方もおられまして、これらのさまざまな要因が重なって就労が進まない状況にあるものと認識しております。
 県といたしましては、こうした現状を踏まえまして、当面のつなぎ雇用として基金を活用した雇用創出に引き続き取り組む一方で、求職活動中の方々に対しましては、地域ジョブカフェでの支援や沿岸地域での就職面接会の開催回数をふやすなどより多くのマッチングの機会を提供するとともに、事業所の再開を待っている方々に対しましては、私どもグループ補助金、二重債務の解消などをやっておりますが、事業所の早期再開などによる産業復興を支援いたしまして、正規雇用などによる安定的な雇用回復の取り組みを進めていくこととしております。
〇14番(木村幸弘君) そういう状況も踏まえながら、今回、国の第3次補正予算に関連して、第9号の補正予算の中で事業復興型雇用創出事業というものが計画されております。この具体的な内容と方針についてお伺いいたしたいと思います。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 事業復興型雇用創出事業についてでありますが、この事業は国の第3次補正予算において創設されたものでございます。産業施策と一体となって雇用面での支援を実施し、雇用に要する費用の助成を行うものであります。これまで、被災地の事業所に対する支援制度は施設整備の助成が中心でありましたが、この事業は、正規雇用の人件費を対象に事業主に助成金が支給される。したがいまして、事業所の復旧、復興を促進するとともに、安定した雇用創出を図ろうとするものであります。
 県といたしましては12月補正予算案に15億円を計上したところでありまして、この事業を積極的に活用いたしまして着実に正規雇用の拡大を図り、雇用の場の確保に全力で取り組んでいきたいと考えております。
〇14番(木村幸弘君) そこで、この事業復興型雇用創出事業にある意味期待したいところもあります。中長期的な、これまでのさまざまな緊急雇用対策から一歩踏み込んだ雇用対策ということでありますけれども、今の考え方の中で、例えば最大3年間で1人当たり225万円の賃金の補助があるという中身でありますし、そうした部分でいうと、単純に平均化すると、年間にすれば75万円、月額平均6.25万円ということで、雇用を促進し、その企業にこの支援を行うという部分で、この賃金補償の単価として、単純な平均の感じからいうと果たしてこれで十分なのかということがちょっと心配されるわけですけれども、もう少し制度的に、3年間という一つの区切りがあるわけですけれども、この225万円といういわゆるインセンティブとも言われるような賃金の支援の仕組みの仕方についてどのように考えているかお伺いしたいんですが。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) もう少し詳細にお話をいたしますと、この事業復興型雇用創出事業でございますが、御案内のありましたとおり、3年間で225万円が事業主に対して新規雇用1人当たりに支給される金額、1年目は120万円、2年目が70万円、3年目が35万円という内訳になってございます。これはなぜ額が違うかといいますと、あくまでも事業復興でございますので、企業が立ち上がって元気になっていけば次第に賃金に対する助成分のウエートは少なくなっていくだろう、自立をしていくだろうという趣旨でございます。
 それから、これはあくまでも、今までこういう制度は全くありませんでしたので、一人でも多く正規雇用を雇ってほしいという、いわばこの補助金を利用してできるだけ企業の方々に頑張って採用していただきたい、こういう趣旨の補助制度でございますので、私たちもこれがうまく機能するように何とか働きかけていきたいと思っております。
〇14番(木村幸弘君) 1年ごとの中身が違うということは今、御答弁いただきましたけれども、それにしても、そうすると1年目は1カ月10万円という補助の対象になるわけですが、以前の第1次補正の予算の中で、同じような雇用創出事業の関係で国が500億円の措置をした際に、岩手県には115億8、000万円が措置された経過があります。そのときに国が考えていた賃金は、1人、月当たり20万円が支払われるという設定のもとに5万人分を5カ月雇うという計算で措置された経過があります。そういったことも考えると、中長期的に正規へどうつないでいくか、どううまく結びつけていくかというところをしっかりとそこにもう一つ加えていかないと、単価的なものだけでいうともう一つ物足りなさを感じるといいますか、そういった点があるんですけれども、どのようにお感じでしょうか。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 第1次補正で計上いたしました岩手県の150億円というのは、これはあくまでもつなぎ雇用でございます。つまり、被災した時点ですべての事業所が活動を休止、停止した状況でございますので、ほとんどの方々が解雇されて、そして仕事がないという状況でございます。したがって、この方々のために当面の生活を保障するという点で月々の額を御案内のとおり20万円というものを単価として設定して、生活していただきたいということで事業を設定したわけでございますが、今回の事業は、企業に正常な活動が戻ってくる。いわゆる本来の経済活動の中で、企業も一緒に助けながら、そして労働者も雇用していく、これは両面ねらった施策でございます。
 もう一つは、グループ補助金あるいは二重債務の解消などあわせわざで企業のほうには参りますので、こうしたものを活用することで企業のほうは経済活動をより充実させ、さらに、なおかつ、こうした賃金面のインセンティブを出すことでより多くの人々を雇っていただきたいということで、ちょっとつなぎ雇用とは性格が違う。
 我々は、当然、つなぎ雇用の分の事業費をまだ有しておりますので、この二つを組み合わせて、だんだん正規雇用のほうへ将来的には寄せていきたい、そのように考えております。
〇14番(木村幸弘君) いずれ雇用対策についてはいろいろな状況、ケースがありますけれども、万全を期して対応していただきたいということを申し上げたいと思います。
 次に、再生可能エネルギーの推進についてお尋ねします。
 このたびの東日本大震災津波、それに伴う原発災害ということで、私たちの社会、経済、文化の発達を支えてきたエネルギーのあり方、特にもこれまでのシステムとして温暖化対策への即効的な効果を期待された原子力発電そのものが、安全性を初め、1度の事故で生存基盤そのものを脅かす大変な影響をもたらすんだという状況に対して、全世界的にその是非をめぐって議論が渦巻いているという状況になっております。
 そうした中で、改めて脚光を浴びたのが再生可能エネルギーの推進であります。本県として、過日発表された岩手県地球温暖化対策実行計画素案に基づいた県の対応方針と、復興基本計画におけるまちづくり再生の視点、復興特区の第1番に再生可能エネルギー導入促進特区を政府に対して提案する、そうした本県における今後の重要な政策として明確に私は位置づけられたものだろうと思っております。
 そこで、岩手県の地球温暖化対策実行計画における再生可能エネルギー導入促進の意義、さらには目標、そして復興計画との関係を含めて、本県の政策推進においてどのような役割を担い、さらに全国に対して何を発信していこうとするのか、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 再生可能エネルギーの導入促進についてでありますが、本県に豊富に賦存する再生可能エネルギーの導入は、エネルギー自給率の向上や地球温暖化防止はもとより、復興基本計画に掲げる災害にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制を構築する上でも重要であると考えております。
 このため、現在策定中の地球温暖化対策実行計画案では、県内エネルギー消費量に対する再生可能エネルギーの導入割合を平成21年度の12.3%から平成32年度には23.9%に、再生可能エネルギーによる電力自給率については、平成22年度の18.1%から35%に、それぞれほぼ倍増する目標を掲げているところであります。このエネルギーの地産地消に向けた取り組みは、本県が目指す環境王国いわての実現や三陸地域の復興の核の一つとなるものであり、被災県である本県から、地域資源を生かした先駆的な取り組みとして全国に発信していきたいと考えます。
〇14番(木村幸弘君) そこで、岩手県として豊かな自然エネルギーをどう生かしていくかというそれぞれの具体の取り組みが求められてくるわけですが、一つは、本県の再生可能エネルギーの賦存量は総務省の調査で全国第2位とも言われており、その賦存量を実現可能なエネルギーとして活用するために具体的な推進方策のそれぞれ注目される事業があるわけです。
 まず、大規模太陽光発電施設、いわゆるメガソーラーに係る環境行政としての取り組みについて、行政による支援策も含めて、その実態と今後の対応についてお伺いしたいと思います。
 また、メガソーラーについては、新潟県企業局によって全国初の発電施設が10月末に稼働しております。また、ある県では、企業局が民間事業者と共同で発電事業の計画を進めていると聞いております。
 そこで、本県においても、民間依存だけではなく、企業局において単独の事業、または市町村や民間と連携した共同事業としての取り組みなどを行う考えがないのか、その点についてお伺いいたします。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 大規模太陽光発電施設についてでございますが、立地に当たりましては一定のまとまった土地が必要でありますことから、県内市町村などに対しまして適地の条件を示して照会を行い、県として50カ所の候補地を取りまとめ、11月に公表しているところでございます。
 現在、市町村等の意向を確認しながら、問い合わせのあった事業者に対し詳細情報を提供いたしまして、事業化に向けた調査が進むようにマッチングを進めているところでございます。10事業者から照会が来てございまして、現在、事業者におきまして現地確認などの調査を進めているものと承知しております。
 今後、再生可能エネルギー特別措置法に基づく固定買い取り価格や買い取り期間が来年3月ぐらいと言われておりますが、明らかになることによりまして、事業化に向けた動きがより具体化していくものと期待しております。
 県におきましては、国の第3次補正予算に一定の支援措置が盛り込まれたことを踏まえまして、引き続き市町村等と連携しながら立地に向けた支援を行っていくことにしてございますが、国の支援措置というのは経済産業省の再生可能エネルギー発電設備等導入支援復興対策事業費補助金というものでありまして、施設の整備に対して10分の1の補助が行われるということで聞いているところでございます。
〇企業局長(青木俊明君) メガソーラー事業についてでありますが、企業局では、今後、具体的な条件が明らかとなる再生可能エネルギー特別措置法の固定価格買い取り制度による買い取り単価や期間の内容によりその開発環境が大きく変化することから、その動向を注視するとともに、これまで企業局としましても、公営電気事業経営者会議等を通じて国に対して適正な買い取り価格や期間の設定について要望を行ってきたほか、他県等での取り組み事例の調査及び情報収集等を進めてきたところであります。
 今後におきましては、本県における民間事業者等の取り組み状況を見きわめつつ、経済性を勘案し、関係部局との連携を図りながら、事業化の可能性について調査検討を進めていく考えであります。
〇14番(木村幸弘君) おっしゃることはよくわかるんですが、例えば、今回、新潟県がなぜみずから自治体としてメガソーラーをやったのかということで、これは確認をしているわけではありませんけれども、一つは、やはり自治体がまず率先してその姿を見せるということが、今の自然エネルギーに対する県民あるいは国民あるいは全国に対しての一つの姿を発信するという行政としての姿勢がまずそこにあるんだろうというのが1点。
 それから2点目は、民間事業をいろいろ誘導し促すにしても、やはり今の厳しい国内経済の状況の中で、さまざまなそういったインセンティブの手法として、まず行政みずからがそのメガソーラーとは何ぞやというところを見せていこう、そういう姿勢があるんじゃないのかと私は感じるんです。
 そういう意味でいうと、今の御答弁は、買い取り価格の問題も含めてそうなんですが、結局、電気事業として売電して商売が成り立つかという前提だけで物事を今考えていたのでは、なかなかこれは前に進まない。自然エネルギーそのものがなぜ今まで普及促進してこなかったのかという大きな要因もそこにあるわけですよね。今回は、新たな時代の要請というか、原発事故も受けて、自然エネルギーそのものはこれからどうあるべきなのかということを含めて、それが公、いわゆる行政や国の責任の中でどう推進されるべきかというところもある意味、今、問われている課題ではないかと思うんですけれども、そういったことを考えたときに、候補地は選んだ、あとは民間が飛びついてくるのを待っているだけ、そういう受け身の姿勢でいいのかということを私は考えるわけですけれども、その点についてどうなんでしょうか。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 行政側の姿勢が重要だということでございます。まず、県自身が事業主体に云々ということにつきましては、今後、企業局ともいろいろ連携を図りながら検討を進めたいと考えてございます。
 また、民間事業者の誘導の件でございますが、先ほど御答弁申し上げましたけれども、まず、行政が一定の開発可能である場所を探すというところから始めて、そこに誘導していくというのが一つの手順だろうと考えておりまして、そういうことで50カ所、市町村などに、例えば公有地で比較的開発が容易な場所とか、そういった条件を付しまして候補地を取りまとめたということでございます。これについては、民間のほうに資料を提供してそのままにしておくというような待ちの姿勢ではございませんで、もちろんこちらのほうから関心を示している事業者につきましては積極的な対応を促していきたいと考えてございますが、先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、売電価格とかそういったものがまだ見えないという状況にありまして、国からの支援措置というものは第3次補正の中で10分の1というのが示されているわけでございますが、今後、そういったことも踏まえながら、県として市町村とも連携しながら積極的に対応してまいりたいと考えてございます。
〇14番(木村幸弘君) いろいろと課題が多いことは承知しているわけでありますが、いずれにしても行政が、ある意味こういうときだからこそリーダーシップを発揮して誘導していくという強い姿勢が求められているんだろうということを申し上げたいと思います。
 次の土地改良区などが管理する農業用水路などを活用した小水力発電、これについても、結局は売電価格の問題とかを含めて、それがもう前提になってしまうと前に進まない話であります。しかし、この間、3年にわたってその調査が行われてきております。その実態、状況を含めてお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 小水力発電についてでありますが、県では、岩手県土地改良事業団体連合会と連携しながら、平成22年度までに県内17カ所で農業用排水路を活用した導入可能性を調査しており、そのうち約8割の施設で、ゲートの操作などへの活用は可能であるものの、現在の発電電力の買い取り価格では設置費等の経費の回収までは困難との結果を得ております。このような中で、再生可能エネルギー特別措置法が成立するなど再生可能エネルギー活用への機運が高まっており、買い取り価格の引き上げが実現すれば導入可能性も広がると考えております。
 県では、今年度も普代ダムほか5カ所の農業水利施設等で調査を行っておりますが、国の支援制度の動向なども注視しながら、事業化の可能性を探るなど、土地改良区や市町村など施設管理者の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇14番(木村幸弘君) いろいろと調査の結果を含めてですけれども、23地区が調査されましたよね、この間に。実際に導入可能調査ということでずっと調査、調査が続いているんですけれども、事業化への展望というところがやはりもう一押し必要になってくるんだろうと思いますので、今の調査事業の次のステップのところがどういう考え方になっているのかもう一度お示しいただきたいと思います。
 あとは風力、地熱、バイオマスといった分野を含めて個別具体的な推進方針があるわけであります。県の定めた再生可能エネルギー目標値に対して具体的にどのように進めていこうとするのか、制度設計などがあればそれらも含めて具体的な県の考えを示していただきたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 小水力発電のお尋ねでございますが、事業化を図るためには、ランニングコストを少なくとも賄えるだけの買い取り価格の実現というものがなければ継続していけないという状況であると思いますので、まずここをクリアすることが必要だと考えてございます。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 風力発電等の具体的な推進方針についてということでございます。
 再生可能エネルギーの導入を促進するためには、御指摘がありましたとおりさまざまな課題があります。このため、大きくは三つの取り組みが重要であると考えてございます。
 一つ目は、先ほど来申し上げてございますが、再生可能エネルギー特別措置法に基づく適切な買い取り価格、買い取り期間が設定されるということが重要でありますので、この実現に向けて働きかけているところでございます。
 二つ目は、やはりインセンティブとなる財政支援ということでございますが、なかなか県も財政的に厳しいという状況でございます。ただ、具体的には、今般の国の第3次補正予算の中で、環境省におきまして地域環境保全対策費補助金というものが導入されることになりました。詳細については情報収集をしている部分もございますが、これについては地熱発電の調査事業に対して活用が可能と伺っておるほか、施設の設置についての利子補給ということがうたわれてございます。もう一つは経済産業省の再生可能エネルギー発電設備等導入支援復興対策事業費補助金でございますが、これについては、設備の本体にバイオマス等も含めまして10分の1以内の支援ということで伺ってございますし、送電線あるいは大容量蓄電池に対しても一定の支援があると伺ってございます。これらの支援制度を積極的に活用を進めることが重要だと考えてございます。
 3点目でございますが、スピード感のある導入を進めるためには、今、さまざまな制度的な規制がございます。これにつきまして、復興特区制度の活用による土地利用規制などについての緩和措置の具体化を進めていかなければいけないと考えてございます。こうした取り組みを通じまして、大規模発電施設の立地に向けた環境の整備を図り、市町村等とも連携しながら、かつ自然環境との共生にも配慮して、その立地を進めてまいりたいと考えてございます。
〇14番(木村幸弘君) 自然エネルギーの取り組みについては、事業者側の立場に立った議論も大事ですけれども、メガソーラーの問題なども含めて、例の自然エネルギー協議会などの取り組みなどを見ますと、単にメガソーラーを誘致して、その中で地域の経済が潤うかといえば、そうではない。ただ、その中で、新たな誘致をすることによって、地域にある別な産業の掘り起こしや新たな次の起爆剤へつながっていく事業が期待できるのだということを、35の自治体のうち約24の自治体がアンケート調査で答えているわけであります。
 岩手県の場合には、そのアンケートに対しては、具体的に期待はしていないと。いわゆる現状維持ができればいいかなというニュアンスのアンケートの答えを出しているんですけれども、そうしたことを考えると、今回、自然エネルギーの取り組みについて、私は、産業としてどう掘り起こしていくかということも、実は岩手県にとって大事な取り組みの一つではないかと思っていまして、特に本県のものづくり産業、自動車、半導体、医療機器、これらの3本柱を据えて、今、岩手県はものづくり産業の推進を図っているわけでありますけれども、私は、そこにぜひこの自然エネルギー事業の分野も入れるべきだと。そして、ものづくりの地場の中小企業を含めた製造業の技術力などを含めて、ぜひそこに生かす要素があるんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えであるかお伺いしたいと思います。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 産業としての取り組みについてでございますが、本県にはさまざまな再生可能エネルギーがございます。この中で可能性の高いものの一つとして、特に沿岸地域は多様な地形や、沖合いで安定した強い風に恵まれているということがございまして、洋上風力発電などの海洋再生可能エネルギーについて有望視されていると考えております。
 本年9月に、NEDO─新エネルギー・産業技術総合開発機構の本県沿岸北部における洋上風力発電導入に向けた事業化可能性調査を誘致いたしまして、現在、調査を継続しているところでございます。このほか海洋エネルギー研究拠点の本県への設置を国の関係省庁に要望するなど、新たな再生可能エネルギーの導入に向けた取り組みも進めております。
 こうしたことから、風力発電につきましては、本体を構成する多数の装置や部品の製造など地場企業の参入が期待されます。県内には駆動系部品の製造を手がけている企業もございまして、新エネルギー分野は、今後本格的に動いていけば、将来の新たなものづくり産業の柱となる可能性があるものと考えております。したがいまして、洋上風力発電など海洋エネルギー研究拠点の誘致やその研究成果が今後確実に事業化され、本県の産業振興につながるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇14番(木村幸弘君) ぜひ積極的に推進を図っていただきたい。そのためには、一定のインセンティブも含めて新しい事業として興せるような支援の仕組みなども検討していっていただきたいと思います。
 次に、放射能対策についてお尋ねします。
 放射性物質対策についてですが、いまだに依然として福島第一原発事故収束が不透明な状況が続いております。放射性物質の拡散の状況、その調査の過程において新たな事態、情報が提供されるたびに我々は大きな不安を感じずにはいられません。先般は赤ちゃんに提供される粉ミルクにまでセシウムが出るということで、私も、この間、孫が生まれたばかりで、そのニュースが出た途端にメーカーを確認させてもらいました。そんな状況です。
 いずれにしても、9月20日に原発放射線影響対策本部会議が行われて、線量低減に向けた取り組み方針がまとめられました。県としての市町村の教育施設や不特定多数利用の施設等の放射線低減作業を財政支援するための目安も定めていただいております。
 そうした中で、先般、文部科学省の上空からのモニタリング調査の結果も公表されたわけでありますけれども、改めて、この公表の結果について県はどのように受けとめているのかお伺いしたい。そして、その結果に基づいて今後の具体の対策についてはどのような考えを持っているのかお尋ねしたいと思います。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 航空機モニタリング調査の結果についてでございますが、地表面から1メートルの高さの空間線量率について、本県の大部分は毎時0.1マイクロシーベルト以下でありますが、県南地域におきましては0.1から0.2マイクロシーベルトの地域が存在しているという状況でございます。また、奥州市、一関市、平泉町の一部におきましては0.2から0.5マイクロシーベルト以上の地域が存在しており、全体的な傾向といたしましては、これまで県がサーベイメータにより各地で測定してきた結果とおおむね一致してございます。航空機モニタリングの実施は県から国に対して強く要望してきたものでございまして、今回の調査で山間地を含む県全域での測定結果が得られましたことから、今後の対策を進める上で重要な情報が得られたものと認識してございます。
〇総務部長(加藤主税君) モニタリング調査結果は、先ほど環境生活部長のほうから答弁があったとおりでございます。この結果を受けまして、これまでに策定してまいりました県の方針にのっとって放射性物質汚染対処特別措置法に基づく必要な措置を講じていくほか、改めて、比較的高い値となりました県南地域におきまして、水道水及び県産野菜の放射性物質濃度を測定いたしましたが、すべての測定対象から不検出ということでございました。
 さらに、放射性物質が子供の健康に与える影響に対する不安を払拭するため、主に県南地域の15歳以下の子供を対象といたしまして、尿中のセシウム等を検査するサンプリング調査を実施しているところでございます。引き続き監視体制の充実強化を図るとともに、放射線量低減措置や正しい情報の公表を積極的に推進いたしまして、県民の安全・安心の確保並びに風評被害の防止などに努めていく考えでございます。
〇14番(木村幸弘君) そこで、これから今度は冬期間を迎えます。先ほど神崎議員もちょっと触れましたけれども、本県においては、やはり何といってもこれから降雪の時期を迎えるわけでありますが、降雪によるさまざまな影響というものも心配される点があるのではないかと思います。測定や除染をこれから具体的に進めるという中で、例えば除排雪にかかわる雪捨て場の問題であるとか、これまで何気なく処理できたものが、あるいは場合によってはその処置にも対応しなければならないのではないかということも想定されるわけでありますが、県として、そうした想定される対策を今考えられておれば、その考え方をぜひ示していただきたいと思います。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 冬季の測定、除染対策についてでございます。降雪等の影響によりまして放射線量の測定結果が変動するということが知られてございます。また、測定や除染作業に支障を来すということも想定されるところでございます。このため、現在、市町村において学校等の除染を進めているところでございますが、特に学校等の調査、除染については優先的に進めておりまして、全市町村が現時点でほぼ終了するという状況となってございます。また、公園など学校等以外の施設につきましても、効率的な調査、除染が円滑に進むよう、技術的な助言あるいは測定機器の貸し出しなどを通じまして積雪期前に除染が終了するように、市町村の取り組みを現在支援しているところでございます。
〇14番(木村幸弘君) 次に、公表された地表面1メートルの空間線量率の問題でありますが、さらに50センチメートルあるいは5センチメートルという詳細な調査を行うことによって、具体的な情報の開示と除染対策に本来臨むべきだと思っております。文部科学省の航空機による空間放射線量調査において、測定値の高かった3市町と県との間で、これらの対策、協議は具体的にはどのように行われているのかお伺いしたいと思います。
 そして、放射性物質の測定対策のあり方そのものについて改めて県の姿勢を伺いたいのでありますが、決算特別委員会の審査の中でも指摘してきた議論でありますけれども、空間放射線量の測定において、市町村などが自主的に取り組んでいる地表高5センチメートルあるいは1センチメートルと言われているこれらの測定の体制について、県としては、これまで定めた原子力発電事故に伴う放射線量等測定に係る対応方針をやはり見直して、市町村が行っている、より詳細な空間線量の緻密なデータを蓄積していくという方向へ対応を統一するべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうかお伺いします。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 放射性物質汚染対処特別措置法におきまして、まずは関係市町村と情報共有を図るということが重要でありますことから、10月以来、環境省職員を招聘いたしまして2回の説明会を開催し、空間線量率を測定する場合の高さについても協議を行っているところでございます。
 環境省からは、国の財政支援については、1メートルあるいは50センチメートルの高さで測定し、及びこれに基づいて除染を行うということが基本だという考え方が示されているところでございます。しかしながら、市町村では既に、住民からの要望を受けまして、独自に地表面に近い高さでの測定及びこれに基づく除染を行っているところも多く、県の放射線調査・低減事業におきましても、地表面からの高さにかかわらず支援対象とし、県内の除染を進めているところでございます。
 国と県、市町村との間で測定の高さにつきまして見解が異なるものの、住民の不安の解消という観点から、引き続き国と協議を行ってまいりたいと考えております。
〇総務部長(加藤主税君) 空間放射線量測定の対応について、その統一ということでございます。
 放射線影響対策を強力に推し進めていくためには市町村と連携を強化していくことが必要であります。これが基本認識でございます。しかしながら、県内各地域の放射性物質による影響の程度や種々の施設の利用実態等はそれぞれ異なっておりますことから、地域住民の立場に寄り添った対応を図るためには、市町村において柔軟に判断し、きめ細かな測定を行うことが必要であり、また現実的であると認識しております。このため、県が主導して測定する高さを一律に定めることは考えていないところでございます。
 県におきましては、市町村と連携し、子供の健康を守る観点から学校等の放射線量を測定し、毎時1マイクロシーベルト以上の箇所につきましては速やかに低減措置を講じておりますが、その際の放射線量を測定する高さにつきましては、先ほど述べました考え方に立ちまして、当該施設の利用実態に応じて市町村が判断できるようにしているところでございます。
 また、市町村の測定結果─さまざまな測定があるわけでございますが、そのデータにつきましては、当然県としても虚心坦懐に受けとめまして、蓄積ということがございましたが、それにつきましては受けとめまして今後の対策に生かしてまいりたい、これは当然そのように考えております。
〇14番(木村幸弘君) 時間がなくなってまいりましたが、最後に、子供の内部被曝にかかわる質問を用意しておりました。先ほど神崎議員からも詳細にわたって質疑が行われましたので、私は、ちょっとその答弁の中から確認をしていきたいと思うんですが、先ほど、例えば一関市のサンプル数36に対して2、300人が申し込んでいると。この方々について希望を満たせるのかという質問などが出されておりました。私は、今回の内部被曝の調査については、少なくともこのサンプルで足りるとは思いません。やはりきちんと、希望する方々に対して必要な対策を講じるべきだと思うんですけれども、改めてその考え方についてはどうなんでしょうか。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 今回の数の選定につきましては、先ほども御答弁を申し上げましたとおり、福島県における先行調査122人、国立保健医療科学院による母乳中の放射性物質濃度等に関する調査108人の調査人数等から、集団における傾向を把握するためのサンプリング調査の規模で把握したいということで行うものでございます。希望者全員の調査をするということはそれぞれ個々の方の評価ということになろうかと思いますが、今回のものは、そういう数値でもって、確率的にどういうふうな傾向が出るのかということを把握することが目的でございます。その出た結果について、きちんと専門家の方あるいは国とも協議をいたしながら、もし万一高い数値が出るようなことがあれば、その段階で次の評価に結びつけていきたいと考えているものでございます。
〇14番(木村幸弘君) 終わります。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって木村幸弘君の一般質問を終わります。(拍手)
 以上をもって一般質問を終結いたします。
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   日程第2 議案第5号平成23年度岩手県一般会計補正予算(第9号)から日程第49 諮問第1号退職手当支給制限処分に係る審査請求の諮問についてまで
〇議長(佐々木博君) この際、日程第2、議案第5号から日程第49、諮問第1号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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