平成23年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(飯澤匡君) それでは、我が会派、地域政党いわての工藤勝博議員の地域医療の問題について関連質問をいたします
 花泉地域診療センターの民間移管の問題は、これからの解決に向けて、知事が記者会見で無床診療所化も視野に検討するというものから、ただいまの医療局長の答弁では、基本とすると一歩踏み込んだ形での答弁となりました。医療法人との折衝もありますので、今後の行方も注視したいと思いますが、私は、花泉地域診療センターの民間移管がたったの1年余で頓挫したことは、私の選挙区である両磐保健医療圏内にあっては、今後いかなる解決策が当局から出されたとしても、医療圏全体の中で影響が出ることは必至だと思っております。
 今後、集中審査等でその中身を詰めてまいりたいと思いますけれども、平成21年9月議会で医療の提供側の質の問題が大議論となりましたが、その本質的な問題には耳をかさずに強行突破を図った結果が現在ある。当局の政策決定に係るプロセスと、住民の期待にこたえるだけでなく本当の本質の議論を展開しなかったということは、今後の県の政策決定、その実行に当たる部分で大きな問題点を残したと思っております。都合の悪いものにはふたをして問題解決を図る、幕引きを図るというやり方では、到底県民は納得いたしません。この議論は、時間をかけて審議する集中審査に回すといたしまして、両磐医療圏の質の低下というものが懸念されるわけですが、その件についてどのような分析、そして所感を持たれるか、これを、命と健康を守る保健福祉部長にお伺いします。
 一方で、地域医療の再生には、将来を展望した場合、地域包括ケアも柱に据えた地域医療自体の転換と創造が不可欠と考えます。本県では、保健医療圏内の医療提供は、今日まで、中核病院を拠点に地域病院をサテライトとする機能分担を基本に据えて行ってまいりましたが、現況は中核病院ですら医師の確保がままならず、地域病院は言わずもがなの状況であります。
 私は、かねてから提言してきましたが、医療分野と介護分野の人的資源の有効活用をする等、具体的な取り組みが今こそ求められると考えます。震災によって医療崩壊が起きていた東北地方に追い打ちをかけたとの指摘がある一方、新しい形を探る機会であるとも思います。地域医療の再生と創造についてどのような考察をしているかお示し願います。
 また、地域医療の再生と創造には、より実効性を上げるためには、地域全体を包括的にスーパーバイズする権限を付与された機関を設置する必要があると考えます。現状の保健所では、その権限の付与のあり方、全体を統括するガバナンスの機能が不十分と私は考えますが、現時点でどのようにお考えか示していただきたいと思います。
 次に、県立大東病院の復旧スケジュールについて伺います。
 県立大東病院は震災により本館部分の機能が失われ、10月11日に外来診療機能を増築棟へ移転したところでありますが、大東病院の機能である県南リハビリセンターとしての機能と入院機能が依然失われたままになっており、地域住民のみならず医療関係者も、復旧の見込みがいまだに示されず、不安が募っている状態であります。無論、沿岸被災地の県立病院の再建は不可欠でありますが、同様に被災した大東病院に関しても地域住民にとっては問題は重く、既に来年度予算の査定時期にも入っていることから、一定の復旧に向けての方針を伺うものであります。
 まず、復旧の具体的スケジュールは現時点でどうなっているのかお聞きします。
 一関市側の県への要望に対して、県立大東病院は沿岸被災地同様の復旧対応をすると返答していると一関市議会で市長が答弁していますが、その方針で間違いないか確認をいたします。
 復旧工事は工期を3期に分割して行われていますが、3期目の工事はいつ取りかかる予定なのかお尋ねいたします。
 一方、旧病棟の撤去等の工事に入る前に関係者、機関との協議が必要との情報がありますが、協議は何を目的とするのでしょうか。協議は入院機能の回復であって、工事との関連については公式見解が示されておりませんが、どういういきさつで、そのようなことになったのでしょうか、お尋ねいたします。
 協議はいつ始めるのか、関係者とは具体的にだれを想定しているのでしょうか。花泉地域診療センター事案のようなあらかじめ結論ありきの協議は絶対にあってはなりませんが、協議のあり方、進め方、検討項目を示していただきたいと思います。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 両磐保健医療圏の地域医療に関しまして、大きく2点お尋ねがありました。
 まず、両磐保健医療圏における今回の花泉診療所のあり方に伴って、今後、質の低下に及ばないこと、これからの地域医療の再生をどういうふうに図っていくのかということについての所感についてでございます。
 両磐保健医療圏では、二次救急、高次・専門医療を担う県立磐井病院を中核といたしまして、初期救急や、身近な医師による総合的な診療を担う地域病院や診療所あるいは介護施設等が相互に連携いたしまして、公立、民間立すべての医療機関が担う医療機能等に基づいて圏域内での役割分担と連携づくりを進め、必要に応じた質の高い医療、介護を切れ目なく提供できるようにしていくことが重要であると考えているところでございます。この実現に向けましては、地元の市町と県が一体となって検討していくことが必要であると考えているところでございます。
 本年度当初予算で措置いたしました地域医療・介護連携モデル推進事業によりまして、医療連携の仕組みづくりあるいは医療、介護の連携のための基礎づくり等の取り組みも踏まえましては、地域住民の方々の御意見もよく聞きながら、地域包括ケアを推進するための人的ネットワークの構築など具体的な取り組みについて、地域ぐるみで議論を進めていきたいと考えてございます。
 今回の花泉診療所も含め、その地域の方々とのいろいろなやりとりもさせていただきながら、今後のあり方として、どういうふうに構築していくかということについて、こういう中で質の低下が図られないように、医療の再生が図られるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 それから、2点目でございます。地域医療全体をスーパーバイズする機関としての保健所のあり方というか、そういう機関の設置についてでございますが、限られた医療資源の中で二次保健医療圏を単位とする必要な医療を継続的に確保していくためには、地域に密着し、地域の実情をよく知る保健所が、生活習慣病の予防から地域医療連携の推進あるいは地域包括ケアシステムの整備まで一貫してかかわりまして、地域の保健、医療、福祉資源を広域的かつ総合的に調整することが期待されていると考えているところでございます。これは、保健所のみならず地元の市町との連携のもとに、両磐保健医療圏の地域医療を守る懇談会等各種懇談会あるいは運営協議会等と連携を図りながらいろいろ議論し、関係団体や地元の住民の方々の意見を踏まえながら、保健所が地域において総合的かつ専門的な役割が発揮できるように取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇医療局長(遠藤達雄君) 大東病院についてでございますけれども、3月11日の大震災で施設等が使えない状況になっておりまして、地域の皆様方には大変御不便をおかけしております。
 お尋ねのございました大東病院の復旧のスケジュールについてでございますけれども、大東病院も含めまして両磐保健医療圏の中での医療提供体制につきましては、今後、地元一関市や医療関係者等による議論を通じて検討していく必要があると考えておりまして、大東病院の復旧のスケジュールについてもこの中で検討されていくべきものと考えております。
 それから、地元一関市からの要望についてでございますけれども、被災した沿岸部の高田、大槌、山田の三つの県立病院につきましては、浸水により病院の建物全体が使用できない状況となっております。
 一方、大東病院については、建物の一部が使用可能であるといった違いはございますけれども、入院の受け入れができないという状況は全く同じでございまして、このようなことから、地域医療提供体制の確保を図るため、被災した沿岸部と同様に二次保健医療圏の中におきまして医療関係者の方々の議論により検討していく必要があると市のほうにはお答えしたところでございます。
 それから、工事の関係等でございますけれども、被災した大東病院につきましては、まずは安全な場所での外来診療機能の確保を図るための改修工事を行いまして、10月11日に本館部分から増築棟に移転したところであります。現在は、エックス線の一般撮影の再開に向けた取り組みを進めているというのが現段階でございます。その後につきましては、被災しております沿岸地域におきましては、本年度中に、保健所が中心となりまして二次保健医療圏ごとに専門家による検討会などを開催するとなっております。その中で、その地域での医療提供体制について議論を開始するとなってございますので、両磐の圏域につきましてもこれと同様の検討を進めていく必要があるものと考えております。このような検討会における参加者等につきましては、当然、地元一関市あるいはそこの国保藤沢病院とか市立の診療所、地元医師会、福祉との連携も必要でございますので、介護保険施設の団体などが想定されるのではないかと考えております。
 また、協議のあり方とか進め方、検討項目等につきましてもこの議論の中で検討が行われていくものと考えておりまして、医療局としても、これらに関して意見を申し述べていきたいと考えております。
〇27番(飯澤匡君) まず、第1点目の質問に関してですが、国の地域医療再生臨時特例交付金は、今回、被災3県で720億円で、その地域医療再生計画案の提出期限は11月16日ですが、まだ調整が必要だということで延期されているところでございます。ハード部分でなくてソフト部分においても、被災を受けた新しい地域医療の再生についてこれから検討を重ねて、しっかり検討していただきたい。そして、体制整備についても検討していただきたいと思いますので、その点についてどのような姿勢で臨むつもりなのかお伺いしたいと思います。
 それから、大東病院の復旧スケジュールについてですが、答弁のニュアンスは、被災病棟の建設と地元の関係機関との協議があって、それとのリンクが余りにも密接で、どうも医療局の主体的な考えというのがなかなか見えてこない。確かに、被災地の病院についても、どのような再建をされるのかということをもちろん私たちの地域の住民もわかっていますし、ただ、協議を重ねて、その上で、今、被災して使えない病棟をどうするのかという議論が棚上げになっているということは、我々にとっても非常に不安なことです。あえていつ始めるのかとお尋ねしても、その時期についても明らかにされないというのは、これは地域住民の不安を払拭するには十分にこたえられない答弁だと思いますので、その状況について、どういうようなことを今現在把握して、医療局がどういうふうに主体的にかかわるのか、この点について再度答弁を求めます。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 地域医療再生基金でございますが、これは、議員からお話のありましたとおり、まず、被災3県に対しましては、それぞれ120億円が確保されているところでございます。国の第3次補正予算によります地域医療再生特例交付金の積み増し、これは720億円とは別な形になってございまして、まずは120億円について、三次医療あるいは緊急的な被災に対する手当てというものに使われるものだと考えてございます。こちらのほうと、それから被災3県に国の3次補正で積み増しされました720億円、いずれにいたしましても、この両方を活用しながら、今回の復旧、復興、これからの医療も見据えた形での使い方ができるように、よく検討してまいりたいと考えております。
〇医療局長(遠藤達雄君) ちょっと舌足らずであれでしたけれども、基本的には、入院機能が停止しているという状態については、病院機能としては沿岸地域の病院と同じような状態になっているととらえております。特に両磐の東磐井地域につきましては、私どもは千厩病院と大東病院の二つを経営させていただいているんですが、ここ10年ぐらいでの状況を申し上げますと、かつて18名ほど千厩病院のほうにはドクターがいたんですけれども、それが11人減って今は7人体制とか、あるいは大東病院も8名ほどおったんですが、それが5人減って今は3人体制といった状況になっていること。それから、千厩病院でも、現在、稼働病床が抑えぎみにというか、実態に合わせた形でやって、実質ベッドが余っているような状況になっていることとか、県立病院だけについて言いますと、そういったもろもろの状況がありまして、したがって、今後、大東病院の再開を考えた場合に、どういった機能なり役割なりを担うのかといったあたりを、東磐井─広く言えば両磐ですけれども、その中でやはり一度議論する必要があるだろうと考えております。この議論のスキームというものにつきましては、被災地域での地域再生、医療再生については、保健所が中心になって医療関係者を集めた形で今年度からやる。それが平成24年度中に結論を出すという一つのスキームがございます。したがって、東磐井エリアについてもそれと同じようなスキームで検討して─私どもが主体ではないので、やるという言い方はちょっとできないんですが、そういう形で地元一関市と協議しながら進めていければ望ましいと考えています。その中で、大東病院の具体的な機能とか、あるいは復旧に向けた対応とか、そういうものを議題として検討していきたいと思っております。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時54分 散会

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