平成23年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇25番(工藤勝博君) 地域政党いわての工藤勝博です。先輩、同僚議員の御配慮により、改選後初めての一般質問の機会をいただき、感謝申し上げます。
 質問に入る前に、3月11日、東日本大震災大津波によりお亡くなりになられました皆様には心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された多くの皆様には心からのお見舞いを申し上げます。
 それでは、順次質問させていただきます。
 まず初めに、平成24年度の予算編成について知事にお伺いいたします。
 2008年のリーマンショックの景気低迷から脱し切れない中、発災した3月11日の東日本大震災大津波被害。未曾有の大災害は県政史上最大の危機と言っても過言ではないでしょう。ここ数年来、本県では岩手・宮城内陸地震、豪雨、豪雪災害、三陸沿岸での高潮、高波で漁業に被害が続いております。特にも、三陸沿岸の水産業は地域の雇用、経済を担っている基幹産業です。復旧、復興には膨大な費用が見込まれます。
 そこで、まず、国の復興予算確保と平成24年度の予算編成の基本的な考え方についてお伺いいたします。
 平成23年度は、22年ぶりに県税収入が当初見込みより20億円から30億円減り、1、000億円を下回ることが確実となりました。また、公債費の償還ピークも迫っております。さらに、来年度以降も税収減は続くと見られ、本県の財政はまさに綱渡りの状況になったと考えられます。
 今日まで、職員の削減、賃金カットで人件費の削減、事務事業の合理化、組織体制の見直し等、県が財政改革を強力に推し進めてきていることは評価いたします。一方で、次の世代に過度な負担を残さずに引き継ぐ財政構造にしなければならない責任は当局にも議会にもあると思いますが、さらに一段高い財政改革が必要であると考えます。こうした中で、震災復興と財政改革の二兎を追わなければならない知事は今後どのようにかじ取りをしていくのか、お考えをお聞かせください。
 次に、暮らしの再建と岩手の成長戦略についてお伺いいたします。
 今回の震災津波により多くの企業が被災し、雇用の場が失われ、生活基盤に不安を抱く被災者が多数出ました。製造業のうち、電子、電機、機械等113のものづくり企業を対象にした県の聞き取り調査結果では、現在、90%が稼働していると聞いております。同じ市町村または内陸に移転し再起を目指す企業が多く、誘致企業を含め県外転出はなく、心強い動きでもあると思っております。発災から9カ月が経過し、厳しい寒さの冬を迎える中、被災したものづくり企業の動向と今後の対応についてどのように考えておられるのかお伺いいたします。
 次に、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2035年で岩手県の人口は103万9、656人で、沿岸被災地においては26%から46%の減少率となっております。少子高齢化、人口減少が進んでいる本県は、10年後を見据えた環境づくり、また、生涯現役で働ける職場づくりに力を注がなければならないと考えます。そうした環境づくりをしていくには、地域に根差した官民協働での取り組みが必要だと思います。国ではこのほど第3次補正予算が成立し、雇用対策予算も組み込まれておりますが、県はこれにどのように対応しようとしておられるのかお伺いいたします。
 次に、ものづくり産業の現状と将来展望についてお伺いいたします。
 世界市場を席巻していたメード・イン・ジャパンのデジタルカメラなど電機産業の国内製造の状況がここ数年の間に激変しました。これは、厳しい価格競争に勝ち抜く手段として大手メーカーが相次いで国内生産から海外企業に生産委託を始めたためです。日本を代表するソニー、パナソニック、ペンタックス、リコーなどは国内に工場を持たない経営にかじを切りました。まさに生き残りをかけた選択でもあります。また、自動車関係は、1ドル75円という水準が続けば、ほぼ半分を輸出する日本の自動車工場は軒並み赤字と言われております。国内の雇用を含め自分の城は自分で守るためにも、企業は海外で稼ぐ必要に迫られております。グローバル経済の中、県内企業にもはかり知れない影響が及んでいるものと思います。
 一方、今、世界じゅうで韓国製の家電が大躍進しています。その理由は、20年前の日本が得意としていたきめ細やかな付加価値戦略であります。例えば、インドには絹のサリーが洗える洗濯機、中近東向けにはコーランが表示できるプラズマテレビ、街灯がないアフリカでは懐中電灯のライトがついた携帯電話が人気であります。このきめ細やかさは、まさに日本が得意とした分野であります。携帯電話で言えば、日本製品から、その国のニーズに合わない不要な機能を削って、価格は半分という商品を生み出しております。日本がジャパンブランドに慢心している間に韓国はマーケティングに力を注ぎ、その結果が今見えていると私は思っております。
 そこでお伺いいたします。県内に立地する自動車、半導体などのものづくり企業においても国外移転が懸念されるところですが、県は、円高に伴うこうした状況をどのようにとらえておるでしょうか。また、国際競争にも打ち勝つことができるものづくり産業の振興が必要と思いますが、その将来展望をどのようにお考えでしょうか、お示し願います。
 私は、日本が家電輸入国になる日も近いと思っております。海外企業に生産委託を切りかえたため輸出が減り、白物家電では輸入国になりました。自動車産業とともに輸出立国を支えてきた電機産業はグローバル競争の中で姿を変え、働く人々にも決断を迫ってきております。こうした産業界の変化に呼応し、さらに一歩前を行く人材の育成は急務であります。ものづくりは人づくりでもあります。足腰の強い岩手経済を牽引する人材の育成が必要であると考えますが、その課題、今後の目標についてお伺いいたします。
 次に、食産業の振興についてお伺いいたします。
 本県の食産業は、生産から加工、販売と地域で完結できる総合産業として成長しております。安心・安全で豊富な農畜産物、海産物がその土台をなしております。生産額においては平成22年で3、594億円であり、デフレ経済の中にありながらも順調に推移しております。しかしながら、3月11日の東日本大震災津波により、漁業関係、水産加工業が甚大な被害を受けました。漁業の復旧、復興なくして、岩手の食産業の土台は揺らいでしまうと私は考えます。三陸の海の幸が途切れないよう、また、早期に復興できるよう特段の取り組みと支援が求められております。このピンチをチャンスに変え、岩手ファンを全国に拡大すべきと思いますが、本県水産業の主力をなす養殖漁業の生産回復に向けた復興支援の具体策、工程についてお伺いいたします。
 各市町村には自慢できる特産品が必ずあります。伝統ある食材や郷土料理、地域に根差した食文化が注目されています。また、地域おこしに、創作料理で活性化に結びつけているグループが誕生しております。全国的な取り組みとして御当地グルメが各地で消費者に支持されていますし、観光の目玉にもなっております。
 岩手にも、地域の期待を担ってB-1グランプリに挑戦するなど、意欲的に活動している団体があります。岩手町では御当地グルメとして焼きうどんを地域振興の核として町を挙げて取り組みを行っております。製粉業、精肉店を初め素材生産の畜産農家、野菜生産農家、そして飲食店が御当地B級グルメを地域一体となって売り出し、わずか3年でB-1グランプリ全国大会に出場しております。このほかにも北上コロッケ、久慈のまめぶ汁など、岩手ならではの食材を活用したすばらしい食文化を発信している組織があります。こうした取り組みは、御当地グルメを通じた地域の発信者として大きな意義を持っておりますが、このような組織の現状と課題、支援に関する今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、農林業についてお伺いいたします。
 まず、国におけるTPPの議論を踏まえた本県農業についてでありますが、あれほど与野党から慎重論が出ていたにもかかわらず、野田総理は、熟慮の末、TPPの交渉参加に向けた関係国との協議入りを表明いたしました。現場からは怒りや失望、将来に対する不安の声が噴出しております。米国に加え、酪農畜産大国オーストラリア、ニュージーランドも加わるTPP交渉。それだけに、酪農畜産農家が受ける打撃ははかり知れないものがあると思います。これまでの国際交渉を踏まえ、関税撤廃の例外品目の設定など日本の主張を通せるのだろうかとも考えますが、この先、中山間地、小規模農家が多い岩手の農業、農村はどう向き合えばよいのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、食と農林漁業再生の基本方針、行動計画は、抜本的な国内対策に必要な財源について、消費者負担から納税者負担への移行、直接支払制度の改革、開国による恩恵の分配メカニズムの構築も含め具体的に検討するとしておりましたが、今の財源の状況から、極めて困難と農林水産省は明言しております。北海道では、知事を本部長とする北海道TPP協定対策本部を設置し、部局横断で農業や医療など各分野での影響を分析するほか、経営規模の拡大などの具体的な農業強化策をまとめて政府に提案する予定であると聞いております。岩手県においても、東日本大震災津波と同様、TPP問題は激震であると私は思います。今後、震災復興とあわせてTPPの議論を進めるべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、園芸品目の強化、特にも大規模施設園芸の振興についてお伺いいたします。
 岩手の園芸生産は、近年の生産資材価格の高騰や販売価格の低迷により経営は一層厳しい状況にある一方、消費者の食の安全・安心に対するニーズの高まりなど、産地づくりを進める上では追い風となる面もあります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、新規就農者は園芸品目を選択する割合が高く、担い手として期待されておりますし、新技術の導入、最新の設備によって生産性を高め、効率的な経営を実践している生産者も増加しております。
 そこで、県では技術指導者の育成、品種開発、新技術の開発等を積極的に推進し、高収益の園芸産地づくりに取り組むべきと考えます。園芸技術もグローバルになっております。県では、園芸振興について大規模施設の導入を進めるなど、世界を視野に入れた取り組みの強化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 ところで、安代りんどうの生産はことしで40年を迎えました。ここ数年は11億円から13億円の販売高をコンスタントに上げております。生産者は高齢化等で若干減少しておりますが、地区にとっても、農家にとっても貴重な品目であります。近年は集落組織の営農組合が大規模栽培に取り組む事例もふえてきており、また、品種の組み合わせ、ハウス栽培の導入で作型も長期栽培になってきており、規模拡大に伴い、収穫、調整の省力化が大きな課題となっております。岩手のブランド維持、拡大のための施設整備が重要となってきていると思います。こうした中、県は、リンドウの生産性を向上させるための施設整備の取り組みを今後どのようにしていくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、森林整備についてお伺いいたします。
 昨年の年末年始から豪雪や暴風で県内の山林樹木に倒木を引き起こし、数日にわたって停電や幹線道路の通行どめがあり、孤立する集落も出ました。重く湿った雪が大量に降ったことが直接の原因でありましたが、人工林の手入れが行き届かなくなっていることが被害拡大の背景にあるとも言われております。戦後、伐採跡に針葉樹を植林したケースが多く、県内では杉やアカマツ、カラマツが多く植えられました。間伐や枝打ちなどの手入れをしないと木が込み合い、幹が太らないまま成長し、重みに弱く、重い雪には耐えられずに倒伏の被害が続出しました。木材価格の低迷等で管理ができない山林が増加し、このまま放置が続くと、他人の所有地との境界もわからなくなり、さらに手入れが難しくなるという悪循環になると考えます。森林県岩手の森、山がこれ以上荒廃を招かぬよう各種の施策が必要と思いますが、県ではどのようにお考えかお伺いいたします。
 また、東日本大震災津波により沿岸部に集中立地している合板工場が大きな被害を受けました。先月11月下旬の報道によりますと、被害を受けた大船渡市の合板工場が、二重ローンや経営見通しの厳しさから事業再開を断念したとされております。この工場では国産材使用が65%と、県産木材の受け入れ先確保の面でも影響が大きいと報じられております。県産材の活用を高めるためにもバランスよく木材加工施設を配置すべきと考えますが、いかがお考えでしょうか、県当局の御見解をお示し願います。
 次に、スポーツ振興についてお伺いいたします。
 まず、競技力の向上についてお伺いいたします。
 平成28年岩手国体開催の是非に関するアンケート調査の結果は、各市町村から延期や中止を求める意見はなかった。また、競技団体においては、縮小または他県の施設を活用してまでも実施すべきと回答しております。また、本年8月に開催されました北東北インターハイは、全国からの温かい御支援をいただきながら、困難な状況の中でも決してひるむことなく実施できたことは大きな収穫であったと私は思います。こうした中、知事は、昨日の本会議において、平成28年の国体を本県で開催することを表明されましたが、私も知事の決断には評価をするものであります。県民一体となってぜひとも大会を成功裏に導き、岩手の復興を全国に発信したいものだと考えます。
 ところで、本年8月の北東北インターハイでは、男子弓道においては県立福岡高校が優勝、そして県立福岡工業高校が準優勝と上位を独占したことは、本県県民に大きな喜びと勇気を与えました。インターハイに限らず、今後開催される国体や中体連など全国レベルの大会においての県勢の活躍は、震災復興に頑張っている県民を大いに勇気づけるものと考えますが、これまでの競技力向上の取り組みの成果と課題、今後の取り組み方針についてお伺いいたします。
 少子高齢化が進む中で、健康増進、生きがいを求め、スポーツに親しむ機会が増加しております。運動不足から来る健康障害、また、生活習慣病とも言われるメタボリック症候群の解消にはスポーツは欠かせないものと思います。生涯スポーツにおいては、県民のだれもがライフスタイルに応じて、いつでも、どこでも、いつまでも気軽にスポーツを楽しむ環境が必要であると考えます。こうした中、県では、各市町村に少なくとも一つは総合型地域スポーツクラブの育成、支援を掲げておりますが、その成果、課題等についてお示し願います。
 次に、冬季スポーツの推進についてお伺いいたします。
 岩手は厳しい寒さの日が多いことで積雪が多く、また雪質にも恵まれ、これから各種大会が開催されます。冬季スポーツの活躍が紙面を飾る日も間近であると思いますが、残念ながら競技者の減少は寂しい限りであります。競技団体に登録されている選手は、現在、スキーが2、194人、スケートが133人、アイスホッケーが310人であります。恵まれた環境を生かしながら選手層を厚くする方策を示すべきと思いますが、冬季スポーツの現状と課題、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 ことし、プロバスケットボールのbjリーグに参入している岩手ビッグブルズは、プロフェッショナルなバスケットボールを提供することでバスケットボールの新しい魅力を創造し、スポーツを愛する人々や子供たちに夢と感動を与え、地域社会におけるスポーツ文化の発展を目指して立ち上がったものです。山形県では、サッカーJ1リーグ・モンテディオ山形やプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスに対し、県民活動の視点から、県民や企業などと一体となって幅広い支援を推進しております。岩手県においても、大変厳しい中、立ち上がり、県民に勇気と希望を与えるプロスポーツの支援に関する取り組みが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、地域医療についてお伺いいたします。
 本県の県立病院事業においては、総務省の公立病院改革ガイドラインに沿った公立病院改革プランでもある新しい経営計画を平成21年12月に策定し、創業の精神である県下にあまねく良質な医療の均てんをという基本理念のもとに四つの基本方針を掲げ、運営を行ってきており、本年が中間年になっております。
 こうした中で、現場の医師、職員の懸命な努力には敬意を表しますが、3月11日の東日本大震災津波により県立病院も多大な被害を受けているほか、累積赤字も増加の一途をたどっております。また、県民の意識調査によりますと、適切な医療体制の重要度は第1位でありますが、満足度は第30位であります。今後さらに少子高齢化、人口減少が進展していくものと見込まれております。これらのことからもう一度立ち返り、5年、10年先を見据えた事業計画を再度策定すべきではないでしょうか、御当局の御見解をお示しください。
 地域診療センターの運営についてお伺いします。
 地域診療センターの病床休止に伴い、二次保健医療圏の基幹病院を中心に他の病院とも連携しながら地域医療を確保していくとしてきましたが、実態はどのようにとらえているのでしょうか。また、未利用施設の課題と今後の活用についてどうお考えなのかお伺いいたします。
 平成21年9月定例会で激論の末、花泉地域診療センターは民間の医療法人に移管されました。住民の強い要望のもとに19床のベッドを確保し、平成22年4月から花泉診療所をスタートさせました。当初からさまざまな疑念があったところですが、医療法人はわずか1年半で契約を履行できなくなりました。その主な要因は医療スタッフの欠落ではないかと私は思います。条例を改正してまで地域診療センターを廃止して民間移管したその重みを感じない法人の責任と県の対応責任は重大であると考えます。知事は、県営の無床診療所化も視野に入れ検討する旨述べたと報道されておりますが、今後どのようなスケジュールで取り組むのかお伺いいたします。
 最後に、瓦れき処理についてお伺いいたします。
 今回の東日本大震災津波により生じた災害廃棄物は、本年10月末までに92%が1次仮置き場に撤去され、今後においては、分別、選別しながら2次仮置き場、または処理、処分先に搬出される計画であると聞いております。本年8月には具体的な処理方法等を定めた岩手県災害廃棄物処理詳細計画が策定され、順次実行されてきていると思いますが、被災地においては一日も早く撤去、処理を望む声が出されております。生活再建に向けての第一歩が瓦れきの処理であると考えますが、その進捗状況はどうなっているのかお伺いいたします。
 また、全量処理の目標は2014年3月を目指しておりますが、県内で処理し切れない約57万トンは全国で広域処理の方針であると聞いております。受け入れを具体化している自治体が現時点では余りにも少ないのではないでしょうか。全国知事会で野田総理は瓦れき処理を呼びかけましたが、成果は上がるのでしょうか。また、東北、北海道の知事会の対応は進んでいないのでしょうか。広域処理の大きな問題として放射能汚染が懸念されておりますが、しっかりと測定し、データを示しながら、広域処理の必要性や安全性を自治体や住民に丁寧に説明し、理解を得る必要があると思います。県では、これまでどのように広域処理の協力要請をしてきているのでしょうか、また、今後の取り組みについてもお伺いいたします。
 以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国の復興予算確保と平成24年度予算編成の基本的な考え方についてでありますが、被災地復興の加速に伴って、これに要する財源も莫大となり、本県の努力のみならず、国による力強い支援が不可欠でありますことから、国庫補助金等の補助率の引き上げや補助対象の拡大等のほか、これに伴う地方負担に対する財源措置を国に対し強く要請してきたところであります。こうした要請を踏まえて、国においては、復旧、復興に係る経費に対し、復興交付金や震災復興特別交付税の創設など、地方負担に対する支援制度が整備されてきたところです。今後、国に対して被災地の実情に沿う形での運用を求めていくとともに、復旧、復興に必要な財源が確保されるよう、引き続き強力な働きかけを行ってまいります。
 このような取り組みを行いながら東日本大震災津波からの復旧、復興に向け全力で取り組むとともに、歳出の徹底した見直しを行うなど一層の選択と集中を図りつつ、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進できるよう平成24年度予算編成に取り組む考えであります。
 次に、震災復興と財政改革のかじ取りについてでありますが、今年度の震災に伴う復旧、復興に係る地方の負担については国の3次補正により全額特別交付税措置がされたところであり、当面、財政運営に係る懸念が解消されたものと認識しております。
 来年度以降についても、復興計画を着実に推進するためには今年度並みの国の力強い支援が必要であり、このため、実質的な地方負担が発生しないよう、地方財政計画に復旧、復興に要する経費を確実に反映させた上で、復旧、復興に要する経費に係る地方交付税を別枠で確保し、被災自治体に確実に配分するよう、今後も国に対し強く要請してまいります。
 また、財政改革の取り組みとしては、震災復興に最大限の力を注ぎつつ、将来にわたって安定的に行政サービスを提供できるよう、より踏み込んだ歳入確保、歳出削減の取り組みを行うとともに、県としての判断により、発行規模を管理することが可能な臨時財政対策債以外の県債の縮減に努める方針を継続するなど、持続可能な財政構造の構築に努めていく考えであります。
 次に、ものづくり産業の現状と将来展望についてでありますが、日銀盛岡事務所が11月17日に発表した岩手県金融経済概況によりますと、最近の生産動向は、電子部品、デバイス等が弱含みを続けているものの、総じて見れば着実に持ち直しを続けていると判断しています。
 一方、県内の誘致企業においては、円高のみならず、タイの洪水や欧米経済の不透明さなどの複合的要因により、輸出関連企業の一部に影響が出ていると聞いています。こうした企業においては、徹底したコスト削減などの自助努力によって影響を最小限に食いとめる努力を続けており、現時点では県内事業所を海外などに移転させる動きはないと把握しています。
 こうした厳しい状況にもかかわらず、県内の誘致企業の中には、本県のすぐれた人材や地場企業の技術力を高く評価し、工場の増設や開発機能の強化を決定した企業もございます。誘致企業と地場企業が、単に発注元と下請という関係にとどまらず、ともに成長するような密接かつ補完的な連携が本県ものづくり産業の強みになるものと考えており、今後とも、人材育成と技術力向上を重点的に支援強化して、国際競争力の高いものづくり産業の集積を図ってまいります。
 次に、本県農業に係る所見についてでありますが、本県農業、農村は、高齢化の進行等による農業従事者の減少、生産物価格の低迷による農業所得の減少など地域力、産地力が低下している状況にあり、TPP交渉への参加をめぐる議論にかかわらず、地域経済を支え、多面的機能を持つ農業、農村の振興に向けた施策を強力に進めていく必要があると考えております。
 今般、国においては、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画を策定したところであり、今後明らかにされる国の新たな施策を十分活用しながら、経営規模の拡大や経営の多角化などによる担い手の育成や生産性、市場性の高い産地づくりなどを進め、本県の地域特性や地域資源を生かした農業、農村の振興に努めていく考えであります。
 次に、TPP協定の議論の進め方についてでありますが、本県においては、これまで、庁内関係部局が連携し、TPP参加による農林水産分野における経済影響額の試算や商工、医療分野などにおける影響に関する情報収集を行うとともに、国の検討状況等を注視しながら、適時適切に国に対して提言等を行ってまいりました。とりわけ、東日本大震災津波により大きな被害を受けた本県農林水産業の復旧、復興は、地域の社会経済の再生に直接つながるものでありますことから、被災地域の活力をいささかも損なうことのないよう慎重に対処することが必要と申し上げてまいりました。
 TPP参加は、農林水産分野のみならず、国民生活のあらゆる分野に大きな影響を与えることが予想されますことから、国民に対する十分な情報提供を行うほか、地域の農林水産業者、商工業者、医療関係者、消費者などの意見をしっかり聞いた上で国民的議論を行うことが求められています。
 このようなことから、県においても、大震災津波からの復興を見据え、国におけるTPP交渉の動向を注視しながら、関係部局が十分連携し、各分野における本県社会経済の影響を的確に把握していくとともに、県民や関係者の意見が反映されるしっかりとした検討が進められるよう、必要に応じて国に対して提言等を行っていきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、沿岸被災地のものづくり企業の動向などについてでありますが、県では、発災直後から関係機関と連携し、被災企業に対しまして、いわゆる中小企業等グループ補助金や仮設工場の整備を初め、二重債務の解消など各種制度により全力で支援しているところであります。その結果、電機、電子、機械など主要な沿岸ものづくり企業113社のうち、11月末時点では81社、72%が完全操業しているほか、20社、18%が部分操業、6社、5%は現在、再建途上にあります。
 今後は、受注回復のため、マッチングや技術支援など、被災企業の状況に応じたきめ細かな支援を行いながら、関係機関が一体となり、早期の復旧、復興に努めてまいります。
 次に、国の第3次補正予算に対応した雇用対策についてでありますが、今般の補正予算におきましては、従来の緊急雇用創出事業の増額に加えて、産業施策と一体となった雇用面での支援を実施し、雇用に要する費用の助成を行うとともに、生涯現役で年齢にかかわりなく働き続けられる仕事の場の提供や、女性、高齢者、障がい者のそれぞれの能力や経験を生かした雇用の場の創出に取り組む事業が新たに盛り込まれております。県といたしましても、12月補正予算案にこれらの事業に係る経費として20億8、000万円余を計上したところであります。
 次に、ものづくり人材の育成についてでありますが、平成17年度に産業界、教育界等関係者で設置されましたいわて産業人材育成会議からの提言を受けまして、地域ものづくりネットワークを立ち上げるとともに、黒沢尻工業高校及び産業技術短期大学校へ専攻科を設置するなど、多様な企業ニーズに対応した人材の育成に努めてまいりました。
 以来5年余りを経過いたしまして、これまでの取り組みを検証することで今後の人材育成施策をさらに充実させる観点から、昨年度、同会議を再び立ち上げたところであります。現在、産業界と教育界が一体となって人材を育成する体制の一層の強化に加え、世界との競争の中でナンバーワン、オンリーワンの技術を目指し、より高い技術に対応できる人材の育成が必要などとの議論がなされているところであります。同会議では、近くこれらの意見を取りまとめ、知事を初め関係者に提言することとなっております。県といたしましては、本提言を踏まえて、今後、産業人材育成施策のブラッシュアップや新たな施策への展開など、積極的に取り組んでいくこととしております。
 次に、地域特産物の活用を行う組織に対する支援であります。
 組織活動の初期段階におきましては、基盤となる人的ネットワークづくりや応援体制づくりなどが課題となっております。また、その次の段階では、継続的に取り組みを進めていくため、組織としての自立性を高めていくことなどが共通した課題として挙げられます。
 このような課題を克服した成功事例といたしましては、先ほど御紹介のありました岩手町の焼きうどんがございます。例えば、外食産業のみならず、異業種を巻き込んだ体制づくりを初め、当地での全国焼きうどんサミットの開催、小学生の出前授業や食育の推進など、他団体のモデルとなるような幅広い活動を継続的に展開してきております。県も設立段階から参画いたしまして、産業創造アドバイザーによる助言指導や情報発信等の支援を行ってきております。
 こうした取り組みについては、地域の自発的な取り組みや主体性、さらには経費面や組織運営面での自立性が成功のかぎとなっておりまして、県といたしましては、団体の要請があれば、これまでのモデル事例をベースとして、ノウハウの提供や専門家の派遣を通じてそれぞれの団体の課題に応じた支援を進めたいと考えております。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、水産業の早期復興に向けた取り組みについてでありますが、養殖業の生産回復に向けましては、来年の春には収穫が可能となるワカメ、昆布養殖を中心とする施設の整備を進めており、今年度中には被災前の約4割の復旧を目指し、さらに希望がある施設については来年度中をめどに整備を進めていく考えであります。
 また、施設の整備とあわせ、養殖の再開に必要なワカメやホタテ等の種苗の確保の取り組みも進めており、さらに国の第3次補正予算で新たに創設された生産経費への支援制度も活用しながら、作業の共同化や省力化、経営規模の拡大等による生産性、収益性の高い経営体の育成を図るとともに、県内外における養殖生産復活への期待や関心の高まりを産地の知名度向上の機会ととらえ、販路の拡大等にも取り組みながら養殖業の早期復興を図ってまいりたいと考えております。
 次に、大規模施設園芸の振興についてでありますが、大規模施設園芸は、気象に左右されず、周年で安定生産、出荷が可能であり、所得形成力が高い、すぐれた経営方式の一つであると考えております。
 しかしながら、その導入に当たっては、多額の初期投資が必要なこと、冬季の暖房費など運営費がかさむこと、さらには、大規模生産に対応した栽培技術や労務管理などの高い経営能力が必要なことといった課題があると認識しております。
 このため、県といたしましては、このような大規模施設園芸に取り組む意欲ある担い手に対しまして、綿密な経営計画の作成や施設の整備、栽培技術や経営能力の向上などにつきまして、関係機関、団体と一体となって支援しながら、若い農業者の目標となるような園芸経営体の育成を図ってまいりたいと考えております。
 次に、リンドウの生産性向上についてでありますが、本県は、全国の生産額の約7割を占めるリンドウ産地として確固たる地位を確立しておりますが、小規模経営が過半を占めており、経営規模の拡大や単収の向上が産地の課題となっております。
 このため、県といたしましては、排水対策や適切な肥培管理、適期病害虫防除などの技術導入による単収の向上を進めるとともに、作型の前進化のためのハウスの整備による経営規模の拡大や、結束機、自走式防除機等の機械導入による省力化などを支援し、本県リンドウの生産性向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、森林整備のための各種施策についてでありますが、国は、森林・林業再生プランを作成し、充実しつつある人工林資源を最大限に活用し、森林、林業を再生させる取り組みを平成22年度からスタートさせたところであります。このような国の動向も踏まえながら、本県におきましては、豊富な人工林資源を生かし、補助事業により搬出間伐、路網整備、林業機械の導入を促進し、林業の活性化による適切な森林整備を推進しております。さらに、県独自の取り組みとして、管理が不十分で荒廃した人工林につきまして、いわての森林づくり県民税を活用し、強度な間伐を行い、公益的機能の高い森林に誘導しております。これらさまざまな施策を展開していくことにより、今後とも本県の健全な森林づくりを推進していく考えであります。
 次に、木材加工施設の配置についてでありますが、今回の震災で被災した合板工場は、原木の供給を外材に依存していたことから沿岸部に立地しているものでありますが、地域で生産される木材を加工する製材所等は、沿岸部に限らず県内各地域に立地しております。木材加工施設の立地は、各事業体の事業戦略や財務状況を踏まえた経営判断によるものでありますが、合板や集成材など、県産材の加工の高度化を進め、原木の安定した供給先を確保するためには木材加工施設が各地域に立地していることが望ましいと考えており、事業体の意向を踏まえながら、一方で、できる限り県産材の利用拡大が図られ、生産から加工に至る一体的な産地づくりが進展するよう取り組んでいく考えであります。
   〔医療局長遠藤達夫君登壇〕
〇医療局長(遠藤達夫君) まず、県立病院等事業についてでありますが、県立病院等の医療の現場におきましては、現行の経営計画に基づき、収益の確保や費用の効率的執行に最大限の努力をしてきたところでございます。こうした現場の頑張りもありまして、平成22年度決算におきましては経常収支で5年ぶりの黒字を達成したところでございます。
 しかしながら、医師の絶対数の不足や患者数の減少などに加えまして、東日本大震災津波からの復旧、復興など、県立病院を取り巻く環境は引き続き厳しい状況にあると認識しているところでございます。
 本年度は経営計画の中間年でもあり、本計画を着実に推進し、限られた医療資源を有効に活用しながら、二次保健医療圏を基本とした病院相互の役割分担と連携により、県民への良質な医療の持続的な提供に努めてまいる考えであります。
 なお、平成26年度を初年度といたします次期経営計画につきましては、平成25年度を初年度とする県の次期保健医療計画の策定状況も踏まえながら、今後、検討してまいります。
 次に、地域診療センターの実態と今後の活用についてでありますが、まず、地域診療センターを受診し入院が必要となった患者につきましては、二次保健医療圏内の基幹病院を中心に、他の民間医療機関とも連携しながら対応しているところであり、本年度10月末までの状況を申し上げますと、沼宮内につきましては、入院が必要で他の医療機関に紹介した患者は22人で、主な入院先は県立中央病院。紫波は15人で、主な入院先は盛岡赤十字病院。大迫は53人で、主な入院先は県立遠野病院、盛岡赤十字病院、県立中央病院、県立東和病院。住田は11人で、主な入院先は県立大船渡病院。九戸は21人で、主な入院先は県立二戸病院、県立軽米病院となっております。
 次に、地域診療センターの空きスペースの活用についてでございますが、地域によって課題が異なることから、それぞれの課題につきまして、地元市町村とよく相談しながら助言を行うなどの取り組みを進めているところでございます。
 具体的に申し上げますと、大迫、九戸につきましては、来年4月から特別養護老人ホームとして使用することで準備を進めております。沼宮内につきましては、地域の一般入院ベッドの確保に向け、町が医療法人と協議を進めているところでございます。このほか、紫波、住田につきましても町が中心となり活用方策の検討が行われているところであり、医療局としても、引き続き必要な支援を行いながら空きスペースの活用を図ってまいります。
 次に、花泉診療所についてでありますが、診療所を運営する医療法人から、先般、有床診療所の継続は困難であるとの考えが示され、医療局からは、来年度の賃貸借契約の更新はできかねる旨、伝えたところでございます。今後につきましては、医療局としては、民間移管前の無床診療所に戻すことを基本とし、まずは地元一関市と協議をしてまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、災害廃棄物処理計画の進捗状況についてでありますが、災害廃棄物の撤去につきましては、解体に長期間を要する大規模施設等を除き、年度内撤去に向けておおむね順調に進んでおります。
 また、処理量につきましては、11月末現在でコンクリート殻約7万3、000トン、金属くず約3万6、000トン、可燃物約3万1、000トンなど、全体の約3.4%に当たる約14万8、000トンとなっております。
 今後、太平洋セメント大船渡工場におけるセメント焼成の開始や2次仮置き場における破砕、選別ライン及び仮設焼却炉の稼働、県内陸部の焼却施設での受け入れの促進などにより処理を加速させてまいります。さらに、東京都の受け入れを契機に広域処理の進展を図り、期限としております平成26年3月末までに処理を終えるよう鋭意取り組んでまいります。
 次に、災害廃棄物の広域処理についてでありますが、県では、放射性物質に対する住民不安に対応するため、本県災害廃棄物の放射性物質に関するデータを示すとともに、知事みずから、災害廃棄物の安全性、広域処理の必要性について北海道・東北知事会議等において説明するなど、あらゆる機会を通じて受け入れが進むよう努めているところであります。また、国においても、本県の要請にこたえ、広域処理の推進に係るガイドラインを策定し、全国の自治体関係者を集めた会議の場では環境大臣から、さきの全国知事会議の場では総理大臣から広域処理への協力要請を行ったところであります。
 こうした取り組みにより、北海道、東北においても具体的に受け入れを検討しようとする動きが出ており、先般、八戸市が受け入れを表明したところであります。今後とも、一つでも多くの自治体に受け入れてもらえるよう、より一層丁寧な説明を心がけながら広域処理の推進に努めてまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、競技力向上の取り組みの成果等についてでありますが、これまで、各種団体の組織体制の強化、素質あるジュニア層の早期発掘、小・中・高の連携による系統的な指導の強化など、中長期的観点に立って競技力向上への取り組みを進めてまいりました。北東北インターハイや山口国体における本県高校生の活躍に見られますよう、中高生の競技力は着実に向上していると思っております。
 ただ、一方、国体における成年種別の低迷はここ数年の深刻な課題となっております。これは、これまでの強化事業で成果が見られた中高生が成年として活躍する年齢に至っていないこと、また、社会人選手が活動する環境が十分整備されていないこと、こういったところに起因しているものと考えております。
 今後は、一貫指導システムの普及推進による現在の中高生の強化をさらに推し進めるとともに、大学生や社会人の国体候補選手の強化に重点を置き、競技力向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、統合型地域スポーツクラブの育成支援の成果等についてでありますが、県民が豊かなスポーツライフを享受するためには、身近なところでスポーツを行うことができるこうしたクラブの育成が重要であると思っております。
 設置済みのクラブの状況といたしましては、北上市のクラブが今年度から文部科学省のスポーツコミュニティの形成促進事業の拠点クラブに選ばれ活動を行っているところでございまして、このように高い成果を上げている事例もあり、地域スポーツの振興に結びついているものと考えております。
 今後も、日本スポーツ振興センターの被災地向け助成の活用支援を含め、教育委員会事務局内に設けております広域スポーツセンターにより、これらクラブの育成支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、冬季スポーツの推進についてでありますが、冬季スポーツの選手は、近年、残念ながら減少傾向にございます。このため、小学校低学年から通年の選手育成に取り組めますよう、県営スキージャンプ場に夏季の練習専用施設である25メートル級のスモールヒルジャンプ台を整備するとともに、いわてスーパーキッズ事業プログラムに冬季競技を導入したところでございます。このスーパーキッズの中から新たに冬季競技に取り組む生徒が出るなど、冬季競技選手の発掘、育成に徐々に成果があらわれているものと考えております。さらに今後は、競技団体、地域、学生、学校とさらに連携いたしまして、競技人口の拡大を図りながら冬季スポーツの振興に努めてまいりたいと考えております。
 プロスポーツの支援についてでありますが、県内には、ことしからプロバスケットボールリーグに参戦している岩手ビッグブルズや日本フットサルリーグのステラミーゴいわて花巻などプロスポーツチームがありますが、いずれのチームも被災地域でのスポーツ教室や小・中・高生への職業講話の実施などのボランティア活動を積極的に行っておりまして、スポーツの振興のみならず地域社会の活性化や青少年の健全育成に貢献していただいております。このように地域に密着し、県民の支持を受けているプロスポーツチームの活躍は、復興に向かう本県の大きな力として期待されるものと考えております。
 県といたしましては、引き続き県営体育施設使用料の減額などによる支援を行うとともに、8月に施行されましたスポーツ基本法においてプロスポーツが法令の条文に盛り込まれたという環境もございます。このような国全体の支援の動向も十分見据えながら、県としてどのようなかかわり方が可能なのか検討してまいりたいと考えております。
〇25番(工藤勝博君) それぞれの担当の方々から御答弁をいただきました。ありがとうございます。
 それで、大きく分けて3点ほど再度質問させていただきます。
 まず、知事には、先ほど答弁いただきました復興財源の問題について、おとといの5日に政府にも要望を出したということですが、復興財源の一番の課題は地元負担で、県なりあるいは被災地の負担を極力ゼロに近くするということを要望なされたということでありますけれども、それは、今後について、試算では8兆円という復興財源が見込まれておりますけれども、そういう形でとらえてよろしいのでしょうか。
 もう一つ、通常の県予算、従来の枠の中での予算執行は、平成24年度以降どのような形で取り組むおつもりなのか。
 もう一つは、県債残高が1兆5、000億円を超しておるという中で、岩手県にとっても、この先、人口が減るのは、推計どおり間違いなく減っていくだろうと思います。財源の確保は、やはり人口減少が一番の大きな課題でもあると思います。その辺も含めて知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 国の復興予算確保については、被災地復興の加速に伴って要する財源も莫大なものとなりますので、これは本県の努力のみならず国による力強い支援が不可欠ということで、国庫補助金等の補助率の引き上げ、補助対象の拡大、そして地方負担に対する財源措置を国に対して強く要請してきたところでありまして、これは今後もしっかり進めてまいります。
 そして、来年度以降の県の予算についてでありますけれども、まず、復興計画を着実に推進するためには今年度並みの国の力強い支援が必要でありまして、やはり実質的な地方負担が発生しないように、地方財政計画に復旧、復興に要する経費を確実に反映させ、復旧、復興に要する経費に係る地方交付税を別枠で確保し、被災自治体に確実に配分するよう、今後も国に対して強く要請してまいります。
 そして、県における財政改革の取り組みとしては、震災復興に最大限の力を注ぎつつも、将来にわたって安定的に行政サービスを提供できるように、より踏み込んだ歳入確保、より踏み込んだ歳出削減の取り組みを行い、県としての判断によって確保規模を管理することが可能な県債、つまり臨時財政対策債以外の県債の縮減に努めるという方針の継続によって持続可能な財政構造の構築に努めてまいります。
〇25番(工藤勝博君) わかりました。そういう中での8兆円という復興財源は、やはり今後期限が限られると思いますけれども、その財源が当然県内で回るような、中央の資本に持っていかれないような仕組みも大事だろうと思います。岩手県経済を潤すためにも、復興に向けたそういう資金の循環をどのようにこれから県内に定着させるのか、その辺、もしお考えがあればお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 復興のためには、まず、岩手県民がその底力を発揮していくことが必要であり、その上でさまざまなつながり、全国あるいは外国も含めたつながりの力をもって復興を進めていくということが基本的な考え方であると思います。
〇25番(工藤勝博君) 私がお聞きしたいのは、例えば建設業が、地元の企業が積極的に取り組むんだということは当然だろうと思います。復興計画8年の中で、例えばその8兆円を使うんだということになれば、その恩恵にあずからないのであれば、せっかくのその財源も岩手にとってはマイナスなのかなという思いでお聞きしたところでございます。そういうことで、県土整備部長はそういう部分ではどのようなお考えを持っておるでしょうか。
〇県土整備部長(若林治男君) これから復旧、復興の工事が進められますけれども、基本的に県内建設業の振興のためには、地元でできることはまず地元というものを基本にしながら、地元の資材を使えるところは資材を使っていこうということで、県内経済への波及を拡大するような取り組みを基本に進めていきたいと思っております。

前へ 次へ