平成23年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(高橋元君) 民主党の高橋元であります。
 特例任期での6月定例会に続き、本年2度目の登壇となりますが、会派先輩、同僚諸兄の特段の御配慮を賜り、新任期での初登壇の機会を賜りましたことに感謝と御礼を申し上げます。
 質問に入ります前に、改めまして、東日本大震災津波により被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、震災の犠牲となられました方々の御冥福を祈り、御遺族に衷心より哀悼の意を表します。
 また、仮設住宅や避難住宅で厳しい避難生活をされておられる皆様に、生活の御不便を御慰労申し上げます。
 質問に入ります。質問の第1項目、国の補正予算と復興実施計画について伺います。
 1点目、国の第3次補正予算に対しての評価についてお尋ねいたします。
 国の第3次補正予算が先月21日に、同関連法案が30日に国会で承認を得、成立しました。予算規模は、東日本大震災から本格復興に向けた総額12兆1、025億円であり、復興費用を賄う臨時増税や復興債発行を盛り込んだ財源確保の関連法、特別交付税をふやす特例法などであります。達増知事は、本年9月に、平成23年度補正予算及び平成24年度政府予算編成等に向けて、東日本大震災津波に関する要望書を政府に提出されておりますが、本県の復興計画を進める中、国の3次補正の予算規模や関連法案について知事はどのように評価しているのか、お伺いいたします。
 2点目、補正予算に伴う県復興実施計画の推進についてお尋ねいたします。
 第3次補正予算では、復興関連の支出は9兆2、438億円で、分野別で国土交通省の本県配分総額は650億円、そのうち606億円が復興道路の予算と言われます。本年度から平成25年度までの基盤復興期間とした、本県の第1期復興実施計画に予定する安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の3本の柱、10分野にわたる取り組み事業のうち、幾つの事業に着手ができ、どの程度計画が達成できると推測されているのか、お示しください。
 3点目、国の第4次補正予算及び24年度予算要望についてお尋ねいたします。
 東日本大震災津波による被害総額は、6月の一般質問で伺った際に、日本政策投資銀行による本県の資本ストック被害推計額は4兆2、760億円、復興に要する経費も相当の額に上るものと推測されるとのことでありましたが、その後、知事会見により、本県復興予算の想定額は8兆円と発表されました。市町村復興計画がまとまってきておりますが、各市町村計画策定により復興予算想定額に変更を生じないか、その見通しをお伺いします。
 また、達増知事は、国において検討されている2兆円を超える規模の第4次補正予算や新年度予算への本県要望について、昨日、政府及び民主党に対し予算要望をされましたが、どの分野に力点を置いての要望であったのか、政府・与党関係者の感触はどうであったのか、お伺いいたします。
 質問の第2項目、減災への取り組みについて伺います。
 1点目、宮古湾湾口防波堤の建設についてお尋ねいたします。
 東日本大震災津波で湾口防波堤は津波災害に対して減災に効果があったとされますが、どのような効果があったのか、お伺いします。
 現在、宮古湾の津波、高潮防災は防潮堤を柱にしておりますが、湾口防波堤がないため、チリ地震津波や高潮により養殖漁業にも甚大な被害が続いており、防災、減災対策を見直す必要性を感じます。このたびの大津波を契機として防災の根本を見直し、大船渡湾、釜石湾同様、宮古湾においても湾口防波堤を柱に、防災、減災対策を進めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
 2点目、大津波防災水門についてお尋ねいたします。
 普代村普代川水門、宮古市津軽石川水門は、それぞれ津波による被害を食いとめようと建設されております。普代川水門は、水門の両側が山でダムのようなつくりであり、水門周辺に民家はありません。津軽石川水門は、水門の両端から防潮堤が築造され、防潮堤の内側に民家が集落をなしております。今回の大津波は、普代川水門では津波被害を防ぎ、津軽石川水門では甚大な被害が発生しました。水門での防災、減災について一考を要するものと思われます。宮古湾には閉伊川と津軽石川等の川が注ぎますが、今回の大津波は、水門のありなしで津波被害が異なるようにも見受けられます。防災及び減災対策へ、津軽石地区と閉伊川河口地区の被災検証をすべきと思うところでありますが、いかがでしょうか。
 3点目、津軽石川水門の活用についてお尋ねいたします。
 宮古市が開催した津軽石赤前地区住民懇談会において、水門の両わきに水があふれた、水門で犠牲者が出たなど、防災効果を疑問視する意見が相次ぎ、宮古市議会が市に対し、津波時は水門開放によりエネルギーを河川域の上流に吸収、8.5メートルの両岸防潮堤のかさ上げ、川底の掘り起こしの提言を行ったと聞きます。水門及び両岸の防潮堤で受け切れる高さの津波は水門閉鎖の効果があると思われますが、大津波では、河川堤防で受け切れる程度の水門開放は、宮古市議会提言のとおり、津波エネルギーをある程度吸収でき、減災につながるのではないかと思われるところであります。水門設置による効果はどのくらいの津波高さまでで、水門を越える津波に対し、水門全面閉鎖や半開のシミュレーションはされていたのか伺います。
 質問の第3項目、瓦れき処理について伺います。
 1点目、瓦れきの広域処理の推進についてお尋ねいたします。
 本県沿岸12市町村の瓦れき総量は推計435万トンと言われ、生活エリアから仮置き場への撤去率は10月25日現在92%とのことであり、現在、分別作業と処理作業の段階に移っております。県計画では、平成26年3月末までに処理を終えるとしており、県内で処理し切れないおよそ60万トンは全国で広域処理をお願いすることとなるわけですが、先ごろ行われた環境省のアンケートでは、瓦れきの受け入れ可能とした自治体、事務組合は54団体と、4月の調査時の572団体から大幅に減少したとのことであります。瓦れきが放射性物質に汚染されているとの懸念が大幅な減少要因で、その懸念を払拭しなければ引き受けてはいただけません。
 先月、宮古市の瓦れき置き場において、全国31自治体、一部事務組合担当者の現地説明会が持たれたようでありますが、安全性は理解できたが、データだけでは住民の不安を解消することは難しいとの意見があったとマスコミ報道を目にしました。国での取り組みのほか、マスメディアを使っての放射性物質の調査資料の公表や瓦れき処理への悲痛な訴え、廃棄物処理施設へ直接訪問しての説明など、県独自の取り組みはどうなっているのか伺います。
 2点目、瓦れき焼却灰の活用についてお尋ねいたします。
 広域処理が進まない要因に、瓦れきへの放射性物質含有懸念と、その焼却灰の最終処分地として地元では困るとの問題があります。このような放射性物質含有灰に対する懸念は、先月25日に実施した民主党岩手県連・県南地区放射能除染現況調査において、県内一部地域で同様な問題が発生していることがわかりました。放射性物質による汚染汚泥の処理について、国が示している処理基準は、1キログラム当たり200ベクレル以下は肥料として再利用が可能、8、000ベクレル以下は跡地を宅地処分しないことを条件に、処分場で埋め立てが可能とのことであります。瓦れき焼却灰について放射性物質含有懸念を払拭し、瓦れき処理を引き受けていただくためには、広域処理を受け入れていただける施設の焼却灰を引き取り、焼却灰の固形化による復興道路の基礎部材などとして活用することを検討できないものか伺います。
 3点目、県内瓦れき処理能力のアップについてお尋ねいたします。
 震災による瓦れき推定量は、岩手県がおよそ500万トン、宮城県がおよそ1、600万トン、福島県がおよそ200万トンで、被災3県合わせておよそ2、300万トンと言われております。政府や全国自治会を通じて、全国規模での瓦れき処理を要請しているところでありますが、自助努力も可能な限り追求していかなければなりません。岩手県ごみ処理広域化計画では、平成29年度を目標年次とし、ごみ焼却施設の集約化を図るとして、県北ブロック、中部ブロック、沿岸南部ブロックで、事務組合設立や焼却施設建設場所の確保などを進めております。この計画を前倒しして進めることにより、廃炉となる現在の焼却施設で瓦れき等の処理を行うことを検討すべきと思うところですが、いかがでしょうか伺います。
 4点目、港湾及び漁場の瓦れき処理についてお尋ねいたします。
 港湾や漁場などに流出した瓦れきについて、漁場の瓦れきは、本年度に県と市町村が主体となって処理をし、港湾は、おおむね2年以内を目途に、国と管理者である県及び市町が協力して航路、停泊地の処理をするという政府の処理方針が示されております。現在、生活エリアや港湾における瓦れき等の一次仮置き場への搬入はほぼ終了し、分別や処理作業が進められておりますが、漁場内に埋没している瓦れき等の撤去作業はこれから本格化していくものと思われます。
 そこでお伺いいたしますが、港湾及び漁場内に埋没している瓦れき等はどのくらいあると推計しているのか、その埋没瓦れき量をお示しください。また、先月末から山田湾、船越湾で埋没瓦れきの一部撤去が開始されたようですが、埋没瓦れきの処理対応をどのように考えているのか伺います。
 質問の第4項目、民生委員の災害補償について伺います。
 民生委員は非常勤特別職の地方公務員であり、子供から高齢者、障がい者など、生活弱者の見守りや生活支援を日常業務とし、地域住民と強い信頼関係、きずなを持って活動いただいております。全国組織である全国民生委員児童委員連合会は、2006年度から、災害時一人も見逃さない運動として、地域の要援護者台帳の整備や、民生委員がみずからの身と家族を守ることなどを呼びかけてきたとのことであります。今回の東日本大震災津波で犠牲となった民生委員は、本県では、死亡22人、行方不明3人、合わせて25人となっているとのことであります。亡くなられた民生委員の多くは、災害時一人も見逃さない運動の強い使命感を優先し、要援護者の安否確認や避難誘導などに従事して津波に巻き込まれたものと推察されます。民生委員でなければみずからの身を守るため避難したであろうし、民生委員であるがため、一人では動けない高齢者の介助が心に残り、行動され、命を落としたものと思われます。このようなとうとい行動に、何らかの形で報いることはできないのかと考えるところであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 民生委員は、県の非常勤特別職にありながら、このたびの津波災害での活動が必ずしも公務災害として認定されるとは限らず、この場合、危険業務の消防団員とは異なり、災害補償は、全国民生委員互助共励事業からの弔慰金で最大20万円と聞いております。県や市町村で災害補償等を検討されていないのか伺います。
 私見ですが、県や市町村に寄せられた義援金等を活用し災害補償を検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 質問の第5項目、ものづくり産業の振興について伺います。
 1点目、自動車産業拠点化総合対策室の設置についてお尋ねいたします。
 希望郷いわての実現に向け、第2期アクションプランへとステップアップを図ろうとしていた矢先、東日本大震災津波により大きな痛手をこうむり、希望そのものが縮みかけていた本年6月に、トヨタ自動車株式会社の豊田章男社長は、東北地方を、中部、九州地区に続くトヨタ第3の国内生産拠点化を図るとし、東北地方の被災復興を支援するとの記者発表を行いました。この会見では、部品の現地調達率を現在の42%から80%まで引き上げる方針が示され、本県の関東自動車工業株式会社、宮城県のトヨタ自動車東北株式会社及びセントラル自動車株式会社の3社を統合して、明年7月ごろに新会社トヨタ自動車東日本株式会社を設立し、小型HV車を生産するとのことであります。こうした動きを受け、関東自動車工業では今月から新型の小型ハイブリッド車の生産が開始され、下旬には宮城県でエンジン工場の建設が始まり、1年後に小型ハイブリッド車のエンジンを供給するとのことであります。こうしたトヨタ社の方針、動きに素早く対応するためには、トヨタ社及びサプライメーカーの考えや動向を的確にとらえ、迅速に対応する必要があると考えます。トヨタ社及びサプライメーカーに岩手としての強い取り組み姿勢を示すとともに、メーカーと地場企業等の相談窓口として、自動車関連担当部門のワンストップ化を図る意味合いから自動車産業拠点化総合対策室を設置すべきと考えますが、そのような考えはないのか伺います。
 2点目、名古屋事務所企業立地センターの機能強化についてお尋ねいたします。
 商工労働観光部名古屋事務所に設置されている企業立地センターは、自動車関連企業の県内誘致を推進する部署として、常勤1名のほか、トヨタ社OBの方を非常勤で雇用し運営されております。先般、名古屋事務所を訪問しましたが、北東北3県合同事務所として中日ビル4階に事務所があり、同じビルの10階に企業立地センターが置かれております。名古屋事務所は中部地区の動向を把握するとともに、人的ネットワークづくりと観光や県産品の販路拡大など、3県連携して取り組む事業が主体業務であり、企業秘密的な企業誘致活動は個別の取り組みとならざるを得ず、10階に企業立地センターが設置されている事情は理解するものであります。しかしながら、個別設置で、しかも活動の場所がトヨタ本社がある豊田市が中心とすれば、名古屋市内に設置することの重要性を感じません。むしろ、トヨタ本社を初め、自動車部品製造企業の集中する豊田市に同センターを移転し、企業派遣県職員との連携も強め、東北拠点化へ対応するための機能強化を図るべきと考えます。また、機動力を発揮するためにも公用車の配置も必要と思われます。トヨタ本社の近くに企業立地センターの設置は、本県の自動車産業の振興に欠かせないものと考えますが、企業立地センターの移転と機能強化について伺います。
 3点目、円高の県内企業への影響と支援についてお尋ねいたします。
 2008年の米国リーマンショックに引き続くギリシャ危機の波及、米国の大幅な財政赤字の処理をめぐる混乱が加わり、膨大なフローマネーが円買いに押し寄せ、対ドルレート1ドル70円台まで円が買い進まれ、輸出企業は大きな痛手を受けております。本県ものづくり産業の3本の柱の一つである半導体産業は、現在、一時帰休を導入するなどの生産調整を行っております。自動車産業も円高がこのまま推移するのであれば、海外への比重を高めざるを得ないとのことであります。
 政府は10月下旬、リスクに強靭な経済の構築を目指すとして、円高への総合的対応策を閣議決定しております。具体的対応では、円高による痛みの緩和、リスクに負けない強靭な経済の構築、そして円高メリットの徹底活用であります。また、各都道府県でも円高対策について取り組みを加速しております。愛知県では、9月上旬に、地域経済や産業に与える影響を緩和するため、県としてできる限りの緊急円高対策を講ずるとし、一つ、経営相談等への対応、二つ、資金繰りの支援、三つ、技術、新商品開発及び販路開拓支援とのことであります。本県では、先ごろ、日本貿易振興機構盛岡貿易情報センターと共同で、円高による県内企業の影響調査を実施したとのことでありますが、円高の影響をどう把握し、支援策をどう検討しているのか伺います。
 質問の第6項目、農業振興について伺います。
 1点目、本県農業振興についてお尋ねいたします。
 政府は、農林漁業の再生に向けて競争力、体質強化のために構ずべき方針と、これを実現するための行動計画と施策を盛り込んだ我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画、いわゆる農業再生基本方針を決定しました。農林漁業再生のための七つの戦略、速やかに取り組むべき重要課題、今後5年間の工程表を記した行動計画からなり、競争力、体質強化を高め地域振興を集中展開し、食と農林業の再生を早急に図るとしております。
 本県では、平成21年度からスタートしたいわて県民計画の中で、食と緑の創造県いわての実現に向けて取り組んでいるところであります。農業分野におけるグローバル化が急速に進展する中、本県農業が抱える農業者の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増大等多くの課題を克服し、豊かな農業環境を活用して守りの農業から攻めの農業へ、グローバル化に即応した強い農業を確立する必要があると考えます。農業を取り巻く現状と本県農業の進むべき方向について知事の所見を伺います。また、この国の農業再生基本方針を踏まえて、どのように農業振興を進めようとしているのか伺います。
 2点目、県産牛の検査体制についてお尋ねいたします。
 政府は牛海綿状脳症、いわゆるBSE対策として実施している輸入牛制限を、月齢20カ月以下から30カ月以下に緩和する方針を固め、見直し案づくりに着手しました。輸入規制の緩和は、国内検査基準の見直しにもつながると思われますが、今後における本県検査をどのように検討しているのか伺います。
 県産牛は国内外で大きな評価をいただいており、品質に加え、検査体制を継続することによって、安全の面から国内外の産地との差別化がより図られるものと思うところであり、これまでの検査体制を望むところであります。
 3点目、地産地消の食育運動についてお尋ねいたします。
 地域の農業を支えるには、県民こぞって県産食材を利活用することであります。同じ食材が外部から安価で入っても、品質や味、安全性が異なることを理解して継続的に地産地消していただくことであり、そのためには、日常での食育運動の取り組みが重要であると思うところであります。本年1月に岩手県食育推進計画が策定をされておりますが、農業分野では、地産地消に向けて食育推進運動の展開をどのように進めているのか伺います。また、あわせまして、食育推進計画の市町村策定状況と食育推進運動の課題をお示しください。
 以上、6項目をもって登壇しての質問を終わります。
 なお、答弁次第では再質問をいたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋元議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国の第3次補正予算に対しての評価についてでありますが、本県の復興を進めるため、復興実施計画に掲げる施策、事業を中心に、機会あるごと、要望活動を重ねて実施してきたところであり、国費による充実した支援と既存の枠組みを超える強力な復旧、復興施策の速やかな実施を訴えてきたところであります。
 このたびの第3次補正予算については、本来であればもっと早急になされるべきだったと考えておりますが、三陸沿岸道路などの復興道路の緊急整備や三陸鉄道の復旧支援等の安全の確保のほか、暮らしの再建やなりわいの再生に向け、今後の復旧、復興を加速させるための足がかりとなる財源が確保されたことは評価しております。
 次に、国の第4次補正及び平成24年度予算要望についてでありますが、昨日12月5日、民主党本部のほか、国土交通省、農林水産省、環境省、総務省及び厚生労働省に対し、第3次補正予算の速やかな執行とともに、年度内の予算の追加措置や平成24年度政府予算の編成に向け、国費による充実した支援と地方負担分も含む復興財源を確保し、引き続き既存の枠組みを超える強力な復旧、復興対策に全力を挙げて取り組まれるよう要望したところであります。
 具体的には、県の復興計画の安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの柱に沿って、22の重点項目を中心に要望を行いました。
 瓦れきの広域処理や医療施設、社会福祉施設の復旧、復興に向けた支援、水産業の基盤となる施設設備の復旧、整備の支援の継続など、さらなる国の調整、支援が必要な項目や予算措置が不十分な事項について、個別に説明を行い、今後の予算への反映等について理解を求めたところであります。
 また、特に復興事業を迅速かつ着実に行うためには、ハード整備事業を担う技術者や保健活動等ソフト事業を担う人材など、各分野において専門的知識を有するマンパワーの確保が今後不可欠となりますことから、国等の関係機関による継続した人的支援とその強化についても、今回新たに要望したところであります。
 民主党本部及び各省庁政務三役には、総じて本県の厳しい状況を理解いただいたものと認識しておりまして、年度内に必要が見込まれる予算の追加措置や来年度の政府予算には、要望内容が十分に反映されることを期待しております。
 次に、本県農業の進むべき方向と農業振興についてでありますが、本県の農業は、広大な大地や多彩な気象条件等の豊かな農業資源を生かしながら発展してきたところであります。
 近年、高齢化の進行等による農業従事者の減少、生産物価格の低迷による農業所得の減少などのさまざまな課題を抱えていますが、こうした中にありましても、地域経済を支える産業として確立するとともに、食料供給基地の役割をしっかり果たしていくことが重要と認識しております。
 こうした認識は、今般、国が策定した、持続可能な力強い農業の実現等を目指す我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画と、その方向性は一致しているものと考えております。
 このことから、基本方針を実現していくため、今後明らかにされる国の新たな施策を十分活用しながら、関係機関、団体とも連携し、認定農業者等、地域農業の中心となる担い手に加え、新規就農者等の確保、育成や全国トップレベルの安全・安心で高品質な農産物の産地づくり、また、地域の多彩な資源を生かした農産加工・販売活動の取り組みなどを推進し、生産者や消費者が、その豊かさや恵みを実感できる農業、農村の実現を目指していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) まず、補正予算に伴います復興実施計画の推進についてでありますが、本県の復興実施計画に掲げます事業354事業中、国の第3次補正予算での措置を求めている事業は134事業ございますが、これまでその大部分、9割以上の事業について、予算措置を確認しているところでございます。
 今後、第3次補正予算の配分などの詳細について、さらに情報収集に努めるとともに、関係市町村と協力いたしまして、予算確保の一つの手段であります東日本大震災復興特別区域法案に定める復興交付金事業計画の速やかな策定に向けて準備を進めてまいります。
 さらに、今回措置を確認できなかった事業についての追加的な予算措置や、県が来年度に計画している事業についての新年度予算措置について、引き続き、国に働きかけていくとともに、復興計画の着実な推進に努めてまいります。
 次に、復興予算想定額についてでございますが、県では、被害の状況や阪神・淡路大震災の例を参考にいたしまして、粗い試算ではございますが、国、県、市町村を含みます本県全体としての復興費用を約8兆円と試算いたしたところでございます。
 現在、復興計画の策定を予定しております12市町村のうち、8市町村が計画を策定されておりまして、残る4市町につきましても、本年中の策定が予定されているところでございます。
 これらの市町村の復興計画の策定による本県の復興費用試算額への影響につきましては、第1に、国の第3次補正予算の本県への配分などの詳細、今年度の追加措置、来年度政府予算の内容や、さらには、国の長期にわたる事業計画に係る全体経費が明らかになっていないこと、第2に、被災市町村が策定する復興計画等に基づく施策などの具体的内容が必ずしも明確になっていないことから、復興費用の規模に関する具体的な数値は依然として明らかになっておらず、現段階では、既にお示しいたしました粗い試算の変更の必要性が生じているものではないのではないかと考えておるところであります。
 県におきましては、引き続き所要額の精査を進めまして、国に対して要望を行うなど、必要な復興財源の確保を図ってまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、湾口防波堤の津波災害減災に対する効果についてでありますが、国土交通省交通政策審議会港湾分科会による港湾における総合的な津波対策のあり方の中間とりまとめにおきまして、湾口防波堤には、一つには、津波高を低減、二つ目に、港内の水位上昇を遅延させ避難時間を確保、三つ目に、流速を弱め破壊力を低減させる効果があるといった評価がなされております。
 独立行政法人港湾空港技術研究所が、釜石港の湾口防波堤につきまして、東日本大震災津波を対象にシミュレーションにより検証したところ、湾奥での津波高さを約4割、遡上高さを5割低減させるとともに、津波の第1波が防潮堤を越えるまでの時間を、防波堤がない場合と比較いたしまして6分間おくらせた結果となっております。
 県といたしましても、湾口防波堤が人命や財産の被害の減少に大きな役割を果たしたものと考えております。
 次に、湾口防波堤を柱とした防災、減災の取り組みについてでありますが、宮古湾の津波対策の手法につきましては、宮古市や漁業関係者との協議などを踏まえ、今次津波発生前の既往最大津波である明治29年三陸地震津波の津波高を計画高として防潮堤等の整備を順次進めてきておりまして、鍬ケ崎、日立浜、高浜地区の一部を除き、整備が完了していたところであります。
 今次津波の発生に伴いまして、岩手県津波防災技術専門委員会において、津波などの専門家に御検討いただき、宮古湾における対象津波を明治三陸地震津波とし、それまでの防潮堤の計画高、TP8.5メートルをTP10.4メートルにかさ上げすることといたしまして、防潮堤や陸閘、水門を災害復旧事業や交付金事業により復旧、整備することとしたところであります。
 宮古湾において、湾口防波堤を柱に防災、減災を進めることにつきましては、漁業関係者や港湾関係者との調整や周辺環境への影響など、解決すべき課題は多いと考えております。
 次に、津軽石地区と閉伊川河口地区の被災検証についてでありますが、津波の水位に、津軽石地区で12メートル、閉伊川河口地区で7メートルと違いはありますものの、両地区とも、津波が防潮堤や水門を越流し、市街地に甚大な被害を及ぼしたところであります。
 津軽石地区につきましては、水門があることによりまして、水門の前面は若干水位が高くなるが、浸水する量が減少し、水門背後では、浸水範囲や浸水深の低減、避難時間の確保等、効果が検証されております。
 また、閉伊川河口地区においては、詳細な検証は行っておりませんが、防潮堤があることによりまして、一定の効果があったと考えております。
 次に、津軽石川水門の活用についてでありますが、津軽石川水門においては、既往最大津波である明治29年三陸地震津波の痕跡高となる高さ、TP8.5メートルで整備を進めてきたものでありまして、これらを超える津波や水門の半開時のシミュレーションはしておりませんでした。
 また、津波来襲時における水門の水門操作につきましては、県が定めた水門操作規則に基づきまして全面閉鎖を原則としておりますが、平常時には水門を半開とし、操作をしないなどの手法もありますことから、今後の検討課題と考えているところであります。
 次に、焼却灰の固形化による復興道路の基礎部材への活用についてでありますが、瓦れきの焼却灰を再利用する場合は、放射性セシウムの含有量が国の暫定基準以下であり、かつ、重金属類の有害物質の溶出量及び含有量が環境省の定める基準以下であれば、土木資材として活用は可能であります。
 しかしながら、御提案の復興道路の基礎部材として焼却灰を活用する場合には、灰を固形化するための再燃焼処理や土木資材としての品質基準確認など、相当の手間や費用を要することから、課題が多いものと考えております。
 なお、溶融炉から発生するスラグにつきましては、スラグ入りコンクリート二次製品や路盤材などへの利用促進に引き続き努めてまいります。
 次に、港湾の瓦れき処理についてでありますが、航路、泊地や岸壁前面など、船舶の航行や接岸等港湾利用に必要となる箇所につきまして調査を行い、支障となる瓦れきにつきましては、撤去がおおむね完了しております。埠頭用地など陸上部から撤去した分も含めて約12万トンと推計しております。
 今後においても、港湾区域内の瓦れきについては、船舶の航行上の支障、環境への影響など、処理の必要性を考慮した上で対応してまいります。
 なお、港湾から撤去された瓦れきにつきましては、他の瓦れきとともに、災害廃棄物として処理される見込みであります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、災害廃棄物の広域処理の推進についてでありますが、災害廃棄物の早期処理には、県外の自治体の協力による広域処理が不可欠でありますが、放射性物質に関する一連の報道等から、災害廃棄物に対する不安が生じ、受け入れを懸念する声があることから、これらの不安や懸念を払拭することが課題となっております。
 本県の災害廃棄物につきましては、県が調査、分析を行った結果、放射性物質は、沿岸北部地域ではほとんど検出されず、沿岸南部地域の最も高い値を示した廃棄物についても、国から、安全に焼却、埋立処分が可能との評価を得ているところであります。
 このため、本県の災害廃棄物の安全性、広域処理の必要性について、知事みずから北海道・東北知事会議等において説明しているほか、受け入れを検討している自治体に対する出向いての説明や県ホームページでの放射性物質の測定結果の公表、新聞やテレビ等のマスメディアに対する情報提供など、あらゆる機会を通じて、本県の災害廃棄物の受け入れが進むよう努めているところであります。
 その結果、先般、東京都に続きまして、八戸市が具体的な受け入れを表明したところであり、引き続き、県として、より一層説明責任を果たすとともに、国に対しても、放射性物質への正しい理解を促進するための取り組みを要請するなどして、本県災害廃棄物の安全性に対する住民の理解が得られるよう努めながら、広域処理の推進に取り組んでまいります。
 次に、県内における災害廃棄物処理能力の向上についてでありますが、ごみ処理広域化計画に基づき不要となる焼却施設のうち、再稼働が可能と考えられる施設につきましては、災害廃棄物の処理に活用することで、既に8月末に策定いたしました県の災害廃棄物処理詳細計画に盛り込んでいるところであります。
 具体的には、沿岸南部ブロックにおいて、本年度から新たな焼却施設が稼働したことに伴い休止していた釜石市の焼却施設を、災害廃棄物の処理のために再稼働させることとしております。
 しかしながら、既に広域化が完了している沿岸中部ブロックを除く他の4ブロックにつきましては、現在、平成29年度までの集約化に向けて関係自治体間で調整を進めている段階であり、仮に、直ちに設置手続に入れたといたしましても、環境影響評価や施設建設に数年間を要するため、災害廃棄物の処理期限としている平成26年3月までに間に合わせることは困難な状況であります。
 このため、一般廃棄物焼却施設につきましては、既存施設の余力を最大限活用することとし、再稼働する釜石市の焼却施設と宮古市に新たに設置する仮設焼却炉とあわせて、早期処理に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、県産牛の検査体制についてでありますが、国においては、BSE対策を開始してから10年が経過することから、これまでの取り組みや国際的な状況等を踏まえ、国内の検査体制や輸入条件等について、最新の科学的知見に基づく再評価が必要としているところであります。
 このため、本年10月31日に薬事・食品衛生審議会においてBSE対策の再評価について審議し、現在、食品安全委員会への諮問に向け準備を進めているところと伺っております。
 県といたしましては、県産牛の安全・安心を確保するという視点のもと、食品安全委員会の答申や、それに基づく国の動向を注視してまいりたいと考えております。
 次に、市町村における食育推進計画の策定状況についてでありますが、10月末現在で24の市町村で食育計画を策定しております。
 本県では、平成18年2月に食育推進計画を策定し食育の推進に取り組んでまいりましたが、その中で、望ましい食習慣の定着、食を正しく選択する力の養成、食育を通じた農林水産業の理解の推進、市町村における食育の取り組みの促進などが課題であったと認識しております。
 このため、本年1月に食育推進計画を改定し、関係部局や関係機関が連携しながら、岩手の風土や文化などの特性を生かし、すべての県民が心身ともに健康で生き生き暮らしていくことができるよう、引き続き食育の推進に取り組んでいるところであります。
 また、食育に関する情報の共有や先進的な事例の紹介などを行い、地域の特性に応じた食育が展開されるよう、市町村の食育推進計画の策定などについて支援していくこととしております。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、漁場の瓦れき処理についてでありますが、各湾や沖合の定置網漁場や養殖場に堆積している瓦れきの量は、6月から7月末にかけて実施いたしました海底調査の結果、養殖ロープや土のうなど小さいものも含め全体で約70万立方メートルと推定しており、その分布は、沿岸12市町村のすべてに及んでおります。
 海底に堆積している瓦れきの撤去につきましては、7月からことしの定置網やワカメ養殖等の漁業再開の支障とならないよう、作業の優先度、撤去の必要性などを関係漁協と協議しながら進めてきており、年度内に漁業活動の支障となる瓦れきの撤去は終えるよう努めてまいります。
 次に、地産地消に向けた食育推進運動の展開についてでありますが、地産地消を推進していくためには、多くの県民に、県産食材に触れ、本県農業への理解を深めてもらう食育運動の展開が重要と考えております。
 このため、県では、学校給食での全県一斉米粉パン学校給食の日や、いわて短角和牛学校給食の日などの取り組みや、県内の企業や福祉施設等の給食での県産食材の利用促進や、利用者に使用した県産食材の情報を提供する給食事業所を認定するなど、理解を深めてもらうための活動を推進しております。
 また、給食施設と産直施設とのマッチングや給食向け冷凍野菜の開発、供給に取り組むなど、給食現場、生産者団体、食品加工業者等と連携しながら、県産食材を安定的に供給する仕組みづくりに取り組んでおります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 民生委員の災害補償についてのお尋ねであります。
 まず、県や市町村における災害補償の検討状況についてでありますが、民生委員は、県の非常勤特別職に位置づけられており、今般の大震災津波発生時の活動が公務と認められた場合に、公務災害補償の制度にのっとって、県が災害補償を行うこととなります。
 今般の災害時の活動が民生委員の職務に当たるかどうかについては、御本人ないしは御遺族からの申し出に基づき個別に判断をすることとなるものでありますが、まずは、この公務災害補償制度により、災害死亡等の補償を行っていくことが原則と考えているところであります。
 なお、今般の大震災津波により死亡または行方不明となった民生委員がおられる市町村におきましては、犠牲となられた民生委員に対し、独自に災害補償を検討している市町村はなかったと確認しております。
 次に、災害補償に対する義援金等の活用についてでありますが、県では、日本赤十字社等が集約し被災県に配分した義援金と、岩手県災害義援金募集委員会が集約した義援金を合わせて、これまでに、死者または行方不明者1人当たり152万円を配分しており、民生委員の御遺族のもとにも既にお届けしているところでありますが、これは、年齢、性別、職業などにかかわらず、見舞金として一律配分したものであります。
 また、市町村に寄せられた義援金についても、同様の考え方によって配分されていることを確認しております。
 犠牲となった民生委員の御遺族に対しましては、全国民生委員互助事業による弔慰金20万円のほか、全国民生委員児童委員連合会から、義援金として50万円が送られたと伺っております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、自動車産業拠点化総合対策室の設置についてでありますが、本県では、企業立地推進課が企業誘致を、科学・ものづくり振興課が産業振興を担当し、連携しながら自動車産業の集積促進に取り組んでまいりましたが、平成16年度には、工業技術集積支援センターを設置し、商談会を初め、地場企業の技術力向上と新規参入を重点的に支援するなど、これらの機関が一体となって関連施策を展開してきたところであります。
 さらに、平成20年度には、副知事を本部長といたしまして、複数の関係部局で構成する岩手県自動車関連産業振興本部を設置するなど、全庁的な体制で取り組んでまいりました。
 こうした県の着実な取り組みが、今般のトヨタグループの東北における生産拠点化に貢献してきたものと考えておりまして、今後も、本県の自動車産業のさらなる集積に向け全力で取り組んでまいります。
 今回、御提案のありました組織につきましては、今後、情勢の変化を見きわめながら、そのあり方を柔軟に検討してまいりたいと考えております。
 次に、名古屋事務所企業立地センターの機能強化についてでありますが、名古屋事務所企業立地センターは、自動車関連企業のみならず、さまざまな業種の企業との折衝や本県に立地しております企業のフォローアップも担っておりまして、また、対象地域も、三重県から岐阜県、静岡県までの東海地域全体をカバーしております。このため、事務所は、現在の場所が最も効率的であると考えております。
 また、御提案のありました公用車につきましては、鉄道などの交通網が充実していること、用務先に応じてタクシーなども利用しておりますので、特に専用の公用車の配置は、当面必要ないと考えております。
 現在、県では、名古屋事務所のほか、トヨタ本社にも2名の職員を派遣いたしまして自動車関連の情報収集や関連企業との連携の強化を図っております。また、必要に応じて本庁の職員が出向き、協力して企業訪問を行うなど、事務所の機能が十分発揮されるよう努めているところであります。
 次に、円高の県内企業への影響と支援についてであります。
 県が、日本貿易振興機構盛岡貿易情報センターと共同で9月から10月にかけて実施した円高による県内企業の影響調査の結果でありますが、126社から回答がありまして、極めて悪い影響と悪い影響があると答えた企業は45%の57社、よい影響と悪い影響の両方を挙げた企業は21%の26社、特に影響がないとする企業は18%、23社という結果になってございます。
 また、これらの企業が求める支援策につきましては、国内景気対策が最も多く、次いで法人税等の軽減、継続的な為替介入、設備投資に対する補助となっております。
 県といたしましては、全国知事会などを通じ、長引く円高状況の解消に向けたさらなる対策について、国に対し要望を行っているところであります。
 また、これとあわせ、制度融資の拡充や円滑な資金繰りに向けた金融対策会議を開催するとともに、関係機関と連携した経営相談を実施しております。
 なお、本調査結果では、各企業では、今後に向けて新たな販路拡大や新商品開発等を検討しておりますことから、展示会、商談会や企業交流会など、そうした取り組みを通じたマッチング等について支援していくこととしております。
〇21番(高橋元君) 知事を初め、関係部長の御答弁、大変ありがとうございました。ちょっと何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、宮古湾の湾口防波堤の関係でありますが、部長の答弁では、引き続き防潮堤ということで防災、減災対策に取り組んでいくということであります。
 先ほども申し上げましたとおり、これまで、大きな地震ですと、昭和35年、チリ地震津波でおよそ2億円の水産関係の被害が出ておりましたし、昭和43年では3億7、500万円、平成6年、これもおよそ3億円、平成15年には1億7、000万円、それから平成22年度は1億9、500万円と、それぞれ水産関係も、地震が来たたびに多大な被害が出ているわけです。そういったことも含めて、先ほど釜石湾の湾口防波堤の効果というものがかなり大きいという御答弁、説明がありましたけれども、やはりそういったことを考えますと、何としても、私は宮古湾においても、こうした過去の災害事例を含めて湾口防波堤、こういう大地震、大津波のときは意外と─意外とというか、根本から見直しをして、そして取り組みやすいのではないかと、私はこのように思うわけです。こういう今までの防潮堤、これを進めていく方向でいいのか、あるいは湾口防波堤も含めて防災、減災を進めていくのがいいのか、もう少し宮古市民あるいは地域住民の方々を含めて、これは早急に懇談すべきじゃないかと、意見を聞く機会を持つべきじゃないかと、私はこう思うわけです。
 宮古湾、地図を見ますと、ずっと津軽石地区に向けて細長いような、かなり入り江まで入り込んだ湾です。ですから、前面のところでこの津波の襲来をおくらせる、あるいは津波の波の高さを低く抑える、そういったことを含めて、次なる災害に備えていく必要があるのではないかと思っております。そういったことを含めて、ぜひ今後そういう機会を持ってほしいと思うんですが、そういう機会は持てないのかどうか、もう一度お尋ねをしたいと思います。
 それから、シミュレーションをいろいろな面でやっているというところとやられていないところもあったようですが、せっかく今回の津波のそれぞれのシミュレーションもいろいろつくったようですので、それらをもとに、防潮堤であればこれぐらいの波は防げるし、これを越えてきたら、こういうところまで浸水が来るよと、そういうことを避難活動とあわせて住民の方々にしっかり説明していく必要があるのではないかと思います。ぜひそのことを今後の取り組みの中で検討していただきたいと思います。これは意見として話をさせていただきます。
 瓦れきの処理につきましては、先ほどいろいろ事情なり、それから焼却灰の建設部材としての活用についてはいろいろな問題があるというお話を聞きました。どういう形がいいのかというふうにも思いますが、いずれ三陸縦貫自動車道はかなり山間部を通っていきますので、例えば地面の底支えとして使える、橋脚ではなくて地面の底の部材として使えないのかどうかとか、そういったことも今後に検討できる余地はまだまだあるのではないかと思います。ぜひそのことも含めてこれは今後検討していただきたいと、これも済みませんが要望にさせていただきます。
 それから、民生委員の災害補償についてでありますが、先ほど弔慰金に加えて義援金50万円という答弁がございました。いずれ、県の非常勤特別職という位置づけもされておるわけでありますし、先ほども話をしましたけれども、民生委員という役職がなければ私は家族とともに避難をしたと思います。その役職柄、どうしても地域でふだん見守り活動をしている方々を、だれも行けないと、自分が行かなきゃ助からないと、そんなことで活動された方が多くいらしたんじゃないかと思います。そういう面での災害補償を今後にも検討したいというお話でしたが、その手続とか、そういったものを余り難しい手続ではなくて少し簡潔な手続と、それから補償額についても応分のというか、そういうことを御検討いただきたいと思いますが、その辺についてどのようにお考えなのか、もう一度この件をお尋ねしたいと思います。
 あとは農業振興につきましてですが、先ほどもありましたTPPの問題、五日市王議員のところでもありましたけれども、TPP以外にAPECの関係でもFTAがかなり今後進行していくわけです。これはASEANプラス6カ国で今作業が始まろうとしておりますし、2012年11月に本交渉を開始して、2015年ごろに東アジア広域自由貿易協定の発効を目指すということでありますし、アジア太平洋自由貿易圏─FTAAPというのは2020年度までにこれも進めるということなんで、この農業分野も含めてなんですが、経済のグローバル化、これはいろんな面で避けていくことはできないと、私はこう思うところです。それに対して、それぞれの部署で、政府の方針を待つだけではなくて、そうなったらどうするんだということを今から取り組んでいかなければならないと思います。特にも、農業関係は、後継者不足とか耕作放棄地の問題等々さまざまな課題がありますので、その分野も含めて、私は岩手県独自、オリジナルのこういう国際化に向けた取り組みを、方針をつくって進めるべきではないか。特にも花巻空港も大型化されておりますので、あそこを活用して逆に岩手の農産物を含めて海外に売っていくとか、そういう販売戦略もつくってもいいんじゃないかというふうにも思うわけです。ぜひそのことは今後において検討していただきたいと、このことも要望にさせていただきます。
 以上で私の質問を終わります。
〇県土整備部長(若林治男君) まず、湾口防波堤のお話をいただきました。宮古につきましては、現在、防潮堤等で守るということを進めておりますが、抜本的に考えるいい機会にしてはどうだというお話をいただきました。湾口防波堤、現在我々でも想定をすると、これから計画をして、まず事業化までが結構時間がかかるだろうなと思いますし、実は湾口防波堤は災害復旧事業ではできなくて、普通の港湾整備事業もしくは海岸整備事業でやらなければいけないという状況もありますので、非常に予算面で制約があるということも加えて、そういうことからして、非常に整備まで時間を要するだろうなということがまず一つ考えられます。それから、かなり建設費も膨大に及ぶだろうということも、概算で今、算出しているところであります。
 なお、水産業の養殖業等の被害軽減でありますが、湾口防波堤は副次的な効果としては養殖ということもありますが、実は港湾の静穏度確保、それからまちの津波対策というものが主目的でありますので、ここの点は御理解を賜りたいと思います。
 それから、この辺につきまして既に宮古市とは調整を行っておりますけれども、皆さんの御意見を伺う機会を設けるかどうかは、今後、必要があれば宮古市と相談をさせていただきたいと考えております。
 それから、シミュレーションを行っておりまして、さまざまなケースを想定しております。基本的には、避難が最優先ということになっておりますので、現在、国会で審議しております津波防災地域づくりに関する法律案では、そういうものを示して、そして避難計画を立てなさいという方向がありますので、そういう形で避難計画に反映させていければと思います。
 それから瓦れきでありますが、手法としてはセメントの混和とそれからガラス固化が今研究をされていると聞いていますが、まだまだ研究段階だということも伺っておりますし、先ほど話をしましたが、溶融炉で、つまり高温で焼くとスラグとして出てきますので、これは既に問題がないということになっておりますので、こちらのほうは有効利用という形は進めたいと思いますけれども、焼却灰そのものは、そのままでは今の段階では非常に難しいかなと考えております。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 民生委員の災害補償についてでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、民生委員は県の非常勤の特別職に位置づけられてございまして、基本的には、この公務において災害を受けた場合には、現行制度に公務災害補償の制度がございます。これにのっとって県が災害補償を行うということになるというものでございまして、それは個々のケースをお伺いしながらその判断をするということでございまして、この制度のほかに、いわゆる特別な災害補償制度を創設するというようなことではございません。ただ、手続について申し上げますと、御本人ないしは御遺族からの申し出に基づきまして、市町村を経由しまして保健福祉部を経由し、公務災害の補償等の認定委員会の委員の御意見を聞いた上で、総務部において認定手続を進めていくという流れになりますが、いずれにいたしましても、民生委員の方がどういった活動を行っていたのかという事情をよくお聞きしながら対応させていただきたいと考えているところでございます。
〇議長(佐々木博君) ほかは要望でよろしいですね。
〇21番(高橋元君) はい。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時40分 散会

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