平成23年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 議案第49号について質問いたします。
 この議案は、平成15年11月4日に県発注工事の作業場付近において発生した事故に対して保険金を払った保険会社の、トラック運転手、橋梁工事の請負業者及び県に対する損害賠償請求の訴訟判決で県側が敗訴になったことに伴う議案であります。
 そこで、県土整備部長に質問いたします。
 道路法第42条第1項では、道路管理者に対して、道路を常時良好に保つ注意義務があるとなっております。今回の事故はどんな状態の中で起きた事故なのか、そして原因はどこにあるのかお伺いします。
 第2に、この判決内容を見れば、県には、片側交通をする前に交通整理人の配置を確認し、仮設信号機の設置を確認する注意義務があったがこれを怠ったとなっておりますが、これはどういうことでしょうか。事故が発生した11月4日には交通整理人が現場に配置されていたのでしょうか。工事区間はどのくらいか、また、仮設信号機の設置時間はどのぐらいだったのかお聞きします。
 第3に、不当な判決であれば控訴する必要がありますが、県民の税金をつぎ込んでまでやる案件なのでしょうか。また、控訴すればどのぐらいの訴訟費用がかかるのか、どう試算しているのかお伺いいたします。
 第4に、県は請負業者に対して交通整理人や仮設信号機の設置による交通の安全の確保を明確に指示したと主張しておりますが、こういう場合においては結果責任が県に問われているのではないでしょうか。
 以上ですけれども、答弁によっては再質問いたします。
〇県土整備部長(若林治男君) 高田一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、事故の状況でございますけれども、平成15年11月4日午前9時35分ごろ、県が発注いたしました金ケ崎橋補修─塗装工事でありました。片側交互通行となっていた奥州市江刺区愛宕地内の工事現場付近においてトラックとバイクの衝突事故が発生したものであります。
 また、事故の原因でありますが、原告側は、トラック運転手の前方不注意及び信号無視、請負業者による交通整理人の未配置及び仮設信号機の設定ミス、県の請負業者に対する指導監督における過失を主張していたものであり、県としては、事故当事者の過失そのものでありまして、また、県による交通整理人の配置などの指導監督は適切になされていたとのことから、その指示に従わなかった請負業者の責任により事故が発生したと主張してきたものであります。
 次に、事故現場での交通安全の確保についてでありますが、判決によりますと、道路管理者には道路法第42条第1項の規定により一般交通に支障を及ぼさないように適切な措置を講ずべき注意義務があり、当該工事現場においても交通整理人及び仮設信号機の状況まで確認する義務があったとされたものであります。県といたしましては、監督員が定期的に工事現場に赴き全体的な状況を監督しておりますが、本判決では、現状の監督のあり方では安全の確保が不十分とされたものであります。
 当時の県の担当者の資料によりますと、10月24日から現場で作業が開始されました。10月27日には交通整理人の配置がなかったため配置につき指示を行い、10月30日には配置を確認したとされております。しかしながら、事故発生日の11月4日には交通整理人の配置がなかったものであります。
 工事区間は約80メートルでありましたが、仮設信号機から停止線までの距離を含めた片側規制区間は約94メートルでありました。両側の仮設信号機が同時に赤となる時間は事故当時は10秒と設定されていたものであります。
 次に、控訴に係る訴訟費用についてでありますが、控訴せずに判決が確定してしまいますと、例えば職員が毎日工事現場に出向き確認しなければならなくなるなど、今後の県の発注工事のみならず、国、市町村等の工事発注にも及ぼす影響が大きいと考えられますことから控訴しようとするものであります。
 また、控訴した場合の費用についてでありますが、裁判所への費用、弁護士報酬など概算で78万円程度と見込んでいるところであり、これに加えて、仮執行の停止に伴う供託金等を含む当面必要な控訴費用は最大で700万円程度と見込んでいるところであります。
 次に、県の注意義務についてでありますが、判決では民法の不法行為を理由といたしまして県の賠償責任を認めておりますが、不法行為は故意または過失があることが要件となっております。本件におきましては必要な指示、定期的な確認を行っていることから県に過失はなく、損害賠償責任は発生しないと考えているところであります。
〇1番(高田一郎君) 今、今回の事故の原因は何かについて県土整備部長が答弁いたしましたが、今回の交通事故が起きたその原因というのは、やはり請負業者が交通整理人を置かなかったと。県は指導監督をしっかりしたけれども、結果として請負業者が交通整理人を置かなかったと。そして信号機も、工事区間が94メートル、およそ100メートル近くあるにもかかわらず、わずか10秒間という設定の中で起きた事故だということが明らかになりました。逆に言えば、交通整理人を配置して、そして信号機も適切な対応をすれば起きなかった事故だと言わざるを得ないと思います。そういう点では請負業者の責任というものは大変大きいと私は思いますけれども、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
 同時に、今回、控訴しなければならない理由の一つに、今後の発注に多大な影響があるという答弁でありました。しかし、今回の平成15年度の事故をきっかけにして、やはり現場は私は大きく変わったと思っているんです。平成15年以降に起きた県発注工事の中で、現場に交通整理人が配置されなかった、あるいはそれに伴って起きた事故がどの程度あると掌握しているのか、この辺についてもお伺いしたいと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) まず、第1点目であります請負者の責任についてでありますが、県といたしましては、請負業者に対し必要な指示を行っております。定期的に確認も行っておりましたことから県が賠償すべき責任はなく、請負業者の責任であると考えております。
 しかしながら敗訴いたしましたことから、判決が確定いたしますと県も連帯責任を負うことになりますので、再度、高等裁判所における判断をいただきたいと考えているところであります。
 二つ目でありますが、それ以降、交通整理人、それから仮設信号機で片側交互通行をしている現場付近での同様の事故は発生しておりません。
〇1番(高田一郎君) ですから、控訴しなければいけない最大の理由の一つに今後の発注に影響があると言われていますけれども、今、部長の答弁では、平成15年度のこの事故をきっかけにして私は請負業者に対する徹底がかなり進んで、この間大きな改善があったと思うんです。しかも平成15年度以降の事故は一切なかったということを見れば控訴する理由の一つは崩れてしまったと思うんですけれども、その点に対する部長の考えをお伺いしたいと思います。
 なお、控訴を行えば700万円の費用がかかるというお話をされました。本当に県民の貴重な税金を使って控訴を行う合理的な理由がどこにあるのかというのがよくわからないんです。その点についてもお伺いしたいと思います。
 そしてもう一つは、やはり結果として請負業者の責任は大きいし、第一義的な責任はそこにあると思います。しかし、やはり結果責任がこういう場合に問われるわけです。私は、損害賠償請求が五百数十万円になっていますけれども、その賠償請求額のあらかたは業者が責任を持つ、そして県も一定程度の責任を持って決着するということが一番対応としてふさわしいのではないかと思うんです。その点についても部長の見解をお伺いしたいと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) まず、今後の発注に関しての影響でありますが、いろいろひもときますと、監督要領、それからいろいろな資料によりますと、一定程度請負者に対して、仮設的なもの、それからそういうものについては責任があると、その工法を含めて。我々はそれを認めて、それから警察の使用許可にもあるわけですけれども、そういう状況になっておりますので、今回の判決でいきますと、とにかくかなりの部分交通整理人が配置されたことを確認しなきゃいけないと。もし万一ないときにはそれを確認していかないと我々の責任になりますよということになります。ですから、請負者が、もしそれを履行していない場合それを確認しておかなきゃいけないということになるので、そこについては、やはり我々としてはそこまでの監督は実態として非常に難しいと考えております。あとは請負者の責任を明確にしたいというところであります。
 それから費用でありますが、現在の段階でも582万1、000円という支払いを命じられておりますので、今後、控訴に関しての費用は78万円という形で今考えておりますので、そういうことからして、やはり控訴して高等裁判所の判断を仰ぎたいと考えているところであります。
〇議長(佐々木博君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第4号まで、及び議案第49号は、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第3回県議会定例会 平成23年11月30日)
総務委員会
1 議案第1号
2 議案第2号
3 議案第3号
4 議案第4号
県土整備委員会
1 議案第49号
〇議長(佐々木博君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時2分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 佐々木 朋 和 君
6  番 名須川   晋 君
7  番 佐々木   努 君
8  番 軽 石 義 則 君
9  番 後 藤   完 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 高 橋 但 馬 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 小 野   共 君
20  番 郷右近   浩 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 喜 多 正 敏 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 高 橋 昌 造 君
29  番 五日市   王 君
30  番 関 根 敏 伸 君
31  番 小田島 峰 雄 君
32  番 大 宮 惇 幸 君
33  番 工 藤 大 輔 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 佐々木   博 君
41  番 田 村   誠 君
42  番 及 川 幸 子 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時4分 再開
〇議長(佐々木博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
報告
〇議長(佐々木博君) 総務委員長及び県土整備委員長から委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
   日程第3 議案第1号一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部を改正する条例から日程第6 議案第4号市町村立学校職員の給与等に関する条例等の一部を改正する条例まで及び日程第51 議案第49号控訴の提起に関し議決を求めることについて(続)
〇議長(佐々木博君) 日程第3、議案第1号から日程第6、議案第4号まで及び日程第51、議案第49号の議事を継続いたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。五日市総務委員長。
   〔総務委員長五日市王君登壇〕

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