平成23年12月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号から議案第4号について質問いたします。
 これらの議案は、県人事委員会の勧告に基づいて、県職員の給与、賃金を平均で0.37%、1人当たり2万2、000円引き下げようとするものであります。賃金引き下げの総額は、医療局、企業局を含めると6億2、000万円となるものであります。
 知事に質問いたします。
 第1に、今年度は、3月11日に発生した東日本大震災の救援、復興に全力で取り組んでいます。沿岸の県職員はもとより県職員全体が通常の仕事とともに救援、復興と支援の取り組みを文字どおり献身的に行っています。こうした県職員に対して賃金引き下げで対応することは、県職員の労苦に背を向けるものではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 第2に、東日本大震災の救援、復興の取り組みと支援で県職員の超過勤務が増加していると思いますが、超過勤務の実態と超過勤務手当の支給状況を把握しているでしょうか。超過勤務手当は支給されず、賃金の引き下げだけが実行されることはあってはならないことと考えますが、いかがでしょうか。
 第3に、今回の県人事委員会の勧告は、東日本大震災津波によって、職種別民間給与実態調査を行うことなく賃金の引き下げが勧告されました。本来、官民較差の実態調査が行われないなら、勧告を中止すべきであります。実態調査に基づかない賃金の引き下げは行うべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
 第4に、民主党野田政権は人事院の勧告を実施しようとせず、7.8%の国家公務員の賃下げを強行しようとしています。人事院制度と公務員の権利を否定する憲法違反も指摘されていますが、知事はどう受けとめているでしょうか。
 第5に、今回の賃下げによる地域経済に及ぼす経済波及効果、13年連続となる賃下げの実態と経済波及効果はどうなるでしょうか。
 第6に、県職員、公務員の賃下げが民間給与を引き下げ、地域経済がさらに悪化する、賃下げと地域経済悪化の負のスパイラル、悪循環が引き起こされています。10年以上にわたって労働者の賃金が減少している国は、先進国では日本だけであります。大企業はこの間、内部留保を100兆円以上もふやし、この2年間だけでも20兆円近くふやし、260兆円にも及んでいます。地域経済、日本経済打開のためにも、大企業のぼろもうけを還元し、労働者の賃金を引き上げることが重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、総務部長に質問します。
 県人事委員会の報告では、一つ、給与構造改革における経過措置額の廃止が提起されています。経過措置の対象となる人数と廃止の場合の減額の総額、1人当たりの減額額はどうなるでしょうか。さらなる賃下げとなる経過措置額の廃止をすべきではないと考えますが、どう行おうとしているでしょうか。
 二つ、獣医師の安定的な確保を図るために、獣医師に係る初任給調整手当の改善が提起されています。獣医師の確保状況、不足数、改善の見通しはどうなっているでしょうか。
 三つ、公務員の定年延長と高齢期の雇用問題への対応はどう検討され、取り組まれているでしょうか。
 四つ、東日本大震災津波の救援、復興で大幅に超過勤務がふえていると指摘されています。知事部局の4月以降の超過勤務時間の状況と超過勤務手当の支給はどうなっているでしょうか。また、県職員の心のケア、メンタルヘルス対策は具体的にどう取り組まれているでしょうか、実態を含めて示していただきたい。
 医療局長、教育長、県警本部長に質問します。
 一つ、職員のこの間の超過勤務の実態と、超過勤務手当の全体と1人当たりの平均の支給状況を示されたい。
 二つ、職員の心のケア対策はどう取り組まれているでしょうか。実態を含めて示していただきたい。
 最後に、人事委員会委員長に質問いたします。
 第1に、東日本大震災津波により民間給与実態調査が実施できず、県内の官民較差が示されないにもかかわらず、人事院の0.23%を上回る0.37%の賃下げ勧告をしたのはなぜでしょうか。賃下げ勧告は凍結、中止すべきではなかったでしょうか。
 第2に、東日本大震災津波で県職員自身の中にも被災した職員がおり、多くの職員が少ない人員のもとで通常の仕事と被災地への支援など献身的な取り組みを行っているときに、県職員の賃下げで対応することはあってはならないことだと考えます。県職員の献身的な取り組みをどう認識されているのでしょうか。人員増と待遇改善こそ必要と考えますが、どう検討されたのでしょうか。
 第3に、東日本大震災津波による超過勤務の増加と超過勤務手当の支給状況をどう把握しているでしょうか。賃下げの前に超過勤務手当の完全支給こそ実施させるべきではないでしょうか。
 第4に、医療職給料表(1)は今回の賃下げの対象外としています。医療職給料表(1)における民間との比較はどうなっているでしょうか。
 以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、賃金引き下げは職員の労苦に背を向けるものではないかということについてでありますが、職員にあっては、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け懸命に対応してきていると認識しています。職員の給与改定については、県人事委員会の勧告を最大限に尊重するという従来からの基本姿勢を踏まえつつ、法に定める給与決定の諸原則にのっとり、国及び他の都道府県の動向等諸般の情勢を総合的に勘案した結果、勧告どおり実施することが適当であるとの判断に至ったものであります。
 今後とも、復興事業を着実に推進するため、職員体制の一層の充実を図りながら、知事以下全職員が心を一つにして、大震災津波からの復旧、復興に向けて取り組んでまいります。
 次に、超過勤務の実態と超過勤務手当の支給状況についてでありますが、超過勤務の実態把握は各任命権者が適切に行っているものと認識しています。知事部局で申し上げれば、3月11日の発災以降、震災からの復旧、復興に全庁挙げて取り組む中、超過勤務は前年度と比較して増加しているところであります。超過勤務手当の支給についても、実態を反映した支給ができるよう増額補正を行ったところであります。
 次に、民間給与実態調査に基づかない賃金の引き下げについてということでありますが、今年度は、東日本大震災津波の発生というこれまでにない状況下での県人事委員会の勧告でありましたが、人事委員会においては、震災の影響により、本県の景気、雇用情勢は厳しい状況が続いているとして、人事院勧告の内容を踏まえつつ、国及び他の都道府県の職員の給与等さまざまな状況を勘案し、勧告が行われたものと受けとめております。これまで、県人事委員会の勧告を最大限に尊重してきたところであり、この基本姿勢に立ちながら、法に定める給与決定の諸原則にのっとり諸般の情勢を総合的に勘案した結果、勧告どおり実施することが適当であるとの判断に至ったものであります。
 次に、国家公務員の賃金引き下げについてでありますが、国のほうでは、今年度の人事院勧告の取り扱いを決定するに当たり、労働基本権が制約されている現行制度においては人事院勧告制度を尊重することが基本であるとの考え方のもとに検討を行った結果、既に提出している給与臨時特例法案の早期成立を期し、最大限の努力を行うこととし、人事院勧告を実施するための給与法改正案を提出しないこととしたところであります。
 国家公務員の給与については、現行制度においては、基本的には人事院勧告をもとに決定されるべきものと認識しているところであり、今回の国における取り扱いについては、大震災への対応や財政状況などさまざまな要素を勘案して判断したものと理解しております。
 次に、給与改定による影響額等についてでありますが、今回の給与改定による影響額は、公営企業を含めて6億2、000万円程度の減と試算していますが、産業連関表を用いて地域経済への波及効果を試算した結果、9億8、000万円程度になると見込まれるところであります。
 次に、平成11年度以来の給与の減額についてでありますが、公営企業を除く普通会計の平成11年度からの給与改定並びに平成15年度からの給与の減額措置による各年度の減少額を単純に合算した場合、約254億円余と試算されます。職員1人当たりについては、平成11年度と平成23年度を比較すると、40歳の主査クラスで試算すると、約118万円の減額となります。
 地域経済に対する波及効果については、産業連関表を用いて試算した場合、398億円程度となると見込まれるところであります。
 次に、賃金引き下げと地域経済の悪化についてでありますが、現在の地方公務員の給与は、人事委員会の勧告を最大限尊重しながら、職務給の原則や均衡の原則、情勢適応の原則といった地方公務員法の給与決定の諸原則に基づき決定すべきものであると認識しております。
 民間企業の労働者の賃金については、一義的には労使交渉等を踏まえた個々の企業ごとの判断に基づくべきものと認識しておりますが、県としては、緊急雇用対策基金の活用による雇用の下支えを図るとともに、被災地における事業所の早期の復旧、復興を進めるなど、県内経済の活性化に全力で取り組んでいきたいと考えています。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承願います。
〇総務部長(加藤主税君) まず、給与構造改革における経過措置の対象となる人数と廃止の場合の減額の総額、1人当たりの減額の額についてでございます。
 平成23年4月1日現在、給与構造改革における経過措置の対象となる職員は、医療局、企業局の職員を除いて約4、400名であります。仮にこれをすべて廃止した場合の減額の総額は1年間で約5億4、000万円、経過措置対象者1人当たり月額で約1万円の減額となるところでございます。
 次に、経過措置額の廃止についてでございますが、県人事委員会の報告は、人事院勧告に準じて経過措置額を廃止することが適当であると考えるとしながらも、実施時期については国の動向を注視するとともに、他の都道府県の動向も考慮しつつ、適切に判断していく必要があるとの内容であったところでございます。国におきましては、人事院勧告を実施するための給与法改正法案の提出を見送ったこと及び他の都道府県の動向を見きわめる必要があることから、県といたしましては、今後、国及び他の都道府県の動向を勘案しながら、引き続き対応を検討していく考えであります。
 次に、獣医師の確保状況についてでございますが、獣医師は、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病対策を初め安全・安心な畜産物の生産や食品衛生などにおいて重要な役割を担っており、全国有数の畜産県であります本県において、その行政需要は高まっていくものと認識しております。
 県といたしましても、優秀な獣医師を常に一定数確保するため、欠員の発生状況や年度末の定年退職予定者数等を踏まえまして、次年度における必要数を採用予定人員として毎年度採用試験を実施しております。
 平成23年度においては、1名の欠員が生じていること及び年度末の定年退職予定者数が2名であることを踏まえ、採用予定人員を3名として採用試験を実施いたしました。最終的には、後年度における退職予定者数の見込みを勘案いたしまして、4名について採用を内定し、それぞれ応諾を得ているところでございます。
 次に、公務員の定年延長と高齢期の雇用問題への対応についてでございます。
 国においては、人事院が本年9月30日に定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申し出を行い、定年を段階的に65歳に引き上げることが適当である旨を示したところでございます。
 また、県人事委員会の報告は、地方公務員の定年が国の職員につき定められる定年を基準として定めるものであること等を踏まえて、国の動向等を注視しながら適切に対応していく必要があるとの内容であったところでございます。県としては、今後、人事委員会の報告を踏まえつつ、国の動向等を注視しながら、適切な対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、知事部局の超過勤務時間の状況と超過勤務手当の支給についてでございます。
 震災に伴い業務量が増加している状況を踏まえ、例年以上に超過勤務の実態把握に努めているところでございます。知事部局における本年4月から9月までの1カ月当たりの平均超過勤務時間数は、職員1人当たり12.6時間、対前年比で43%の増となっているところでございます。こうした超過勤務の実態を踏まえまして、超過勤務手当について9月補正予算により増額補正を行っており、実績に基づき適切な支給に努めているところでございます。
 次に、職員の心のケア、メンタルヘルス対策についてでございます。
 発災直後から、精神科嘱託医師、臨床心理士、保健師が被災地等の各職場を巡回訪問して現地の状況を把握しながら職員の健康相談に対応してまいりました。また、職員向けと管理監督者向けのメンタルヘルス研修会を県内各地で開催し、災害対応職員のメンタルヘルスについて注意を呼びかけております。さらに、本年度は定期健康診断の実施時期を早めるとともに、全職員を対象といたしましてメンタルヘルスチェックシートによるセルフチェック─自己診断─を実施いたしまして、226名に及ぶ要配慮者─高ストレスでございますとか抑うつ状態が疑われるということでございますが、こうした方を確認いたしました。こうした方々につきまして、精神科嘱託医による個別面談を実施するなど、その事後指導に努めているところでございます。
 これまでのところ、従来に比較いたしまして、精神疾患による療養者の増加傾向は見られないところでございますが、一定期間経過後に発症するおそれもあるとの専門家の意見もありますことから、引き続き、災害復旧、復興に従事する職員のメンタルヘルス対策の充実、強化に努めていく考えであります。
〇医療局長(遠藤達雄君) まず、超過勤務の状況等についてでございますが、ことし4月から9月までの超過勤務時間数の実績で申し上げますと、全職員の1人当たり月平均時間数は15.0時間となっており、昨年度同期の17.2時間に比べ2.2時間の減少となっております。
 同じく、ことし4月から9月までの超過勤務に対して支給いたしました超過勤務手当の総額でございますけれども、13億6、174万円余となっており、昨年度同期の14億4、145万円余に比較しまして7、900万円余の減となっております。1人当たりの平均の支給額では月平均で6万円余であり、昨年度同期の6万3、000円余に比べ、およそ3、000円の減となっております。
 次に、職員の心のケア対策についてでありますが、医療局では、被災した県立病院に勤務する職員を中心に、臨床心理士による心のケアの研修とカウンセリングを実施してきたところであります。病院独自に実施しております研修会などとあわせて、これまで12の県立病院で延べ900人余りの職員が参加するなど、職員の心のケアに取り組んできたところであります。心のケアにつきましては長期的な対応が必要であると認識しておりまして、医師の助言が得られるよう、従前から開設しているメンタルヘルス相談室の利用などとあわせ各病院と連携しながら職員の心のケアに取り組んでまいります。
〇教育長(菅野洋樹君) まず、教育委員会の超過勤務時間の状況と超過勤務手当の支給についてでありますが、本年4月から9月までの教員を除いた職員1人当たりの月平均超過勤務時間数は10.6時間、対前年度比で0.7時間の増となってございます。ことし4月から10月までの超過勤務手当の支給状況は、1人当たり月平均支給額で2万9、300円余となっており、実績に基づき支給しているところであります。
 次に、教職員の心のケア、メンタルヘルス対策についてでありますが、発災後から保健師や臨床心理士が沿岸部の被災の大きい学校などを順次訪問して教職員の状況把握に努め、血圧測定や心の相談を行い、ストレス対策の助言、医療機関、相談機関の紹介などを実施してまいりました。また、7月には管理監督者を対象としたメンタルヘルスセミナーなどを県内5カ所で開催したほか、沿岸地区の教職員には新たにメンタルヘルスチェックを実施して、セルフケアや事後の相談指導を受ける機会の提供を行っているところであります。引き続き、保健師、臨床心理士による巡回健康相談、医師や専門スタッフによる電話や面接相談を実施し、被災地等の教職員が心身とも健康で教育活動ができるよう、きめ細かな支援に努めてまいります。
〇人事委員会委員長(及川卓美君) まず、引き下げ勧告を行った理由についてでありますが、本委員会が給与勧告を行うに当たっては、例年、職種別民間給与実態調査を実施し、公民較差を踏まえて勧告を行ってきたところでありますが、本年は、東日本大震災津波による影響を踏まえ当該調査を行わなかったため、職員給与と民間給与との比較が把握できず、給与勧告を見送ることも検討したところであります。
 しかしながら、東日本大震災津波による甚大な被害をこうむった本県においては、景気、雇用情勢は厳しい状況が続いており、民間の給与にもその影響が及んでいるものと推察されるところから、県民の理解を得るためには給与勧告を見送ることは適当でない、こう判断したところであり、全国の民間給与を反映した人事院勧告の内容を踏まえつつ、国及び他の都道府県の職員の給与、その他の諸事情を総合的に勘案し検討を行った結果、人事院勧告に準じることが適当と判断し、引き下げ勧告を行ったものでございます。
 次に、職員の献身的な取り組みに対する認識についてでありますが、被災地域に勤務する職員を初めとして、すべての職員が東日本大震災津波の発生直後から通常の勤務に加え、被災者の救援、被災地域の復旧、復興のための職務等に精励していることは本委員会としても十分に承知しており、深い敬意を表するところであります。
 一方、職員の勤務条件については、地方公務員法に定める諸原則に基づき適切に定められるべきものと認識しており、本委員会としては、専門的、中立的な第三者機関として、今後とも職員の勤務条件について絶えず研究を行い、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、東日本大震災津波の対応に係る超過勤務についてでございますが、任命権者からは、東日本大震災津波発生直後、超過勤務時間が大幅に増加し、現在は復興局の設置、その他の組織や人員配置の見直し等により発生当初に比して徐々に落ち着きが見られるものの、例年を上回る状況が今後も一定期間継続することが見込まれるものと聞いているところであります。
 本委員会としては、労働基準監督機関として、毎年度、権限を有する全事業場に対し、労働基準法及び労働安全衛生法の遵守状況等について調査を行っているところであり、必要に応じ事業場に直接出向き、超過勤務に係る実態の把握に努めるなど、任命権者に対し必要な指導を行っていくこととしております。
 最後になりますが、医療職給料表(1)における民間との比較についてでありますが、本委員会が給与勧告を行うに当たっては、例年、医療職給料表(1)については行政職給料表との均衡を考慮して検討を行っているものであります。しかし本年は、人事院勧告においては、国の医療施設に勤務する医師の処遇を確保する観点から引き下げ改定を行わないこととされたところであり、本県においても医師の人材確保が重要な課題となっており、医師の処遇を確保する観点から、人事院勧告に準じ、医療職給料表(1)については引き下げ改定を行わないこととしたものであります。
〇警察本部長(樹下尚君) 超過勤務の実態についてでありますけれども、本年4月から9月までの警察本部で把握しております実績の時間数でありますが、職員1人当たり月平均時間で39.7時間であります。
 次に、超過勤務手当についてのお尋ねでありますけれども、超過勤務手当の支給時間につきましては全体で36万842時間であり、職員1人当たり平均の支給状況は1カ月当たりで27時間であり、昨年同期と比べて11時間の増となっております。
 次に、職員の心のケア対策についてでありますが、警察本部では、今回の震災警備における惨事ストレスへの対策として、3月下旬から全職員を対象としてストレスチェック表を活用したPTSD等のリスク評価を実施するなどにより職員の心の健康状態の把握に努め、これらの結果に基づき、心のケアが必要な職員に対して、医師、臨床心理士による個別面接や集団教養を実施しております。さらに、9月から第2回目のストレスチェック表を活用したリスク評価を実施し、引き続き心のケアが必要な職員に対する個別面接等を行っているところであります。
〇37番(斉藤信君) それでは、再質問させていただきます。
 知事に、今回、東日本大震災津波というのはまさに戦後最大の大災害であります。最近では600年に一度の津波の規模だったと、こういうことも言われて、この大災害に、被災地はもとより、県職員が文字どおり献身的に取り組まれた。今も取り組まれている。知事はきのうの課長研修でもこうした県職員に対してお礼と感謝を述べている。これは新聞報道で私も見ました。こういうまさに本当に歴史的なというか戦後経験したことのない大災害に直面して献身的に取り組んでいる県職員に対して、言葉だけのお礼とか感謝では私は伝わらないと思います。逆に賃金引き下げを求めるということは、本当にこれは頑張っている県職員の意欲に水を差すものでしかないんじゃないかと。まさに戦後初めてと言うぐらいのこういう異例、異常な事態にあって、頑張っている県職員に少なくとも賃下げは凍結するぐらいのそういう政治的な決断が必要ではなかったか。本当に献身的に頑張っている県職員に対するお礼、感謝の気持ちというのはそういう形で具体的に示すべきではなかったかと思いますが、いかがでしょうか。
 それと、もう13年連続公務員の場合は賃下げになって、答弁にあったように、1人当たり40歳で118万円減少と。本当にこれ自身が県職員の意欲を失わせているのではないか。そういう13年連続という点でも、戦後初めての最大の大災害に直面して頑張っているという点でも、今度の給与改定については知事の特別の政治決断というのが求められたのではないか、このように思いますが、改めてお聞きいたします。
 総務部長に聞きます。
 超過勤務時間と手当について、知事部局の場合は43%ふえたと。私は、実際に広域振興局の職員からはもう超過勤務手当の予算は消化してしまったと、これからはもう見通しはないと。県警の場合は9月議会で6億8、000万円補正しました。それでも私は全額ではないと思うけれども、それだけの仕事をしていると思いますよ。県庁の場合は超過勤務手当を支給した分が超過勤務時間になっているんですよ。この異常、異例な事態になってもそういう手当を出した分が超過勤務時間だという実態を把握しないやり方は、根本から私は解決すべきだと思います。広域振興局の実態、その他の実態をぜひ見て、超過勤務をしたらきちんと全面的に支給するというふうにすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 教育長にお聞きします。
 宮城県教組の調査がきのうの新聞に出ていました、震災ストレスで教職員の3割がうつ状態だと。私はやっぱり、子供たちのケアはもちろんですけれども、長期にわたってこの状況が続きますので、そういう実態を把握すべきじゃないか。阪神・淡路大震災のときには二、三年後にうつ症状が出ているのですよ。そういう実態を把握してしっかり、私は教職員の超過勤務についてもきちんとした特別の手だてが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
 県警の場合はかなり改善しつつあると認めますが、全面的に支給する取り組みをお願いしたいが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 東日本大震災津波の発生によって、岩手県職員が今までにないような大変な状況の中で、しかも今までにないような努力と工夫で働いているという状況であると思いますけれども、そもそも岩手県民が被災者初め今までにないような苦境に直面し、今までにないような努力と工夫で被災者支援、復旧、復興に向かっている、そういう県民の状態をおもんぱかって県人事委員会においてこのような勧告が出されたものと理解しておりますので、この人事委員会の勧告を最大限に尊重するということ、そして法に定める諸原則にのっとり、諸般の事情を勘案して勧告どおりの実施とするという結論については県職員の理解も得られるものと考えております。
 平成11年度以来の給与の減額についても、これも岩手県民全体の給与水準がやはり平成11年度以来減額を続けているということでありまして、そうした県民が直面している暮らしや仕事の状況にかんがみ、県職員の給与の減額が長期的にこういう実態になっていることについても職員が理解していると考えております。
〇総務部長(加藤主税君) 知事部局における超過勤務の状況、その把握状況あるいは支給状況というお尋ねでございます。
 知事部局を含めまして、超過勤務手当につきましては、事前命令等その実績の確認ということで丁寧な把握に努めております。特に今年度、非常に業務が繁忙であるということでございますので、所属長等に対しまして人事当局のほうからも何度も申し上げまして、丁寧な把握を行うようにということで、その実態の把握を十分に行っているところでございます。
 その結果、今年度につきましては大変超過勤務が多く生じている、予算にも不足を来しているところで、9月補正で通常の年にはない増額補正も行いまして実績に基づく支給ができるように配慮したところでございます。引き続き、この実態把握を丁寧に行いまして、また必要であれば予算上の措置につきましてもさらなることを考えてまいりたいと思います。
〇教育長(菅野洋樹君) 心のケアについてでございますが、おっしゃるとおり阪神・淡路大震災の知見でも非常に長い期間にわたっての支援が必要だろうと思ってございますので、子供たち、またそれを支える教職員についても必要な措置を継続的に講じてまいりたいと思ってございます。
 また、超過勤務手当については所要額を9月補正で補正をさせていただいたところでございますが、今後とも必要に応じてその予算の確保に努めてまいります。
〇警察本部長(樹下尚君) 本年につきましては、東日本大震災津波の発災以降、職員にも相当の疲労が蓄積されておりまして、健康管理の面からも超過勤務の縮減に努めることが大きな課題であると認識しております。
 今後とも、不要不急の業務を削減いたしまして事務の合理化、効率化をさらに進めますとともに、今回の災害がまさにそうでありますが、突発的な事件、事故に対処する必要がある場合には所要の措置を講じるなど適切に対応してまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木博君) 次に、高田一郎君。

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