平成17年2月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(小野寺研一君) 自由民主クラブの小野寺研一でございます。
 2月定例会予算議会に登壇の機会をいただきました。会派議員各位に感謝を申し上げます。
 これまで、地方議会、県議会をあわせて20数年間務めてまいりました。今まで、政治的にも財政的にも、不透明で不安いっぱいの予算議会を迎えた記憶がございません。難問山積する岩手県政の1年間の施政方針をしっかり定めるためにも慎重に審査をしなければ、そういう強い思いをいたしております。
 それでは、通告に従い順次質問してまいりますので、明快なる回答をお願いいたします。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。
 初めに、財政状況についてでありますが、増田県政がスタートしてから10年、その間の財政状況、特にも県債の推移は、平成7年、工藤前知事から引き継いだときは県債残高5、939億円余でございました。平成17年度末には1兆4、137億円余の県債残高となる見込みであり、県民1人当たり100万円に近い借金という多額の債務を残すこととなり、結果として、増田県政の10年間で8、000億円余の県債残高を増大させたという事実がここにあらわれてまいりました。しかし、視点を変えますと、それだけの事業をしたということにもなるかもしれません。県立大学の開設、県立美術館の建設、盛岡駅西口開発等々多くの県民の要望にこたえてまいりました。しかし、いかんせん1兆4、000億円余の借金は岩手県当初予算額の2倍に迫るものであり、これは非常事態と言わざるを得ないと思うのであります。
 確かに、県議会においても県政執行に当たって予算審査に深くかかわってまいりました。私も予算特別委員会では反対意見等も申し述べてまいりましたが、本会議においての予算案の採決には一度も反対することなく賛成をしてまいったことを記憶しております。予算審査の過程で、不備な点を指摘あるいは修正、否決できなかったことが後に問われるような場合は、県議会としても、あるいは議員としてもその責めを負わなければならないのは当然と考えております。責任の重大さに思いをいたし、今、予算議会に臨む必要性を痛感しております。
 しかし、やはり執行者である知事の責任が大であることは言うまでもありません。知事は、県債残高の増嵩についてどのように受けとめ、総括されるのかお尋ねいたしたいと思います。
 しからば、この厳しい財政難を克服しながら健全財政に近づける努力をする必要があります。去る2月18日、議会開会日の知事演述で所信の表明をされました。県議会会派代表の声あるいは県民の声、新聞は総じて、具体性がいま一つ、あるいは、財政再建の意気込みが伝わってこない、あるいは、県民の暮らし向きは一体どうなるのかなど、辛目の採点が目立ったような気がいたします。知事演述では、ことし1年の施政方針について所信を語られました。具体的がいま一つの声にこたえて、財政再建、県民生活の安定、人材育成等重点事項の二、三の具体例を示し、このようにすればこうなるという説明をぜひ聞かせていただきたい。よろしく御回答をお願いいたしたいと思います。
 そしていま一つ、平成17年度の予算案を、ある新聞は一般家庭の収支になぞらえて、収入が600万円しかないのに2、000万円の生活をしていると評しておりました。財政難の折、所信表明において県民の皆さんにある程度の我慢をしての協力をお願いする必要があったのではないでしょうか。それなくしてこの苦境を乗り切ることはとても無理と考えますが、あわせて知事の所感をお伺いしたいと思います。
 次に、岩手競馬について、知事の決意のほどをお尋ねいたします。
 昨年の12月定例会において、岩手競馬存続のために競馬組合から50億円の融資の依頼があり、内容の説明が満足のいくものでなかったり、資料の提供不備があったり、融資の50億円の使途が明確でなかったり、再建計画の甘さが指摘されたり、さまざまなことが審査の過程で出てまいりました。加えて議案提出の不手際が重なって、重要案件としては前例を見ない、否決という最悪の事態を招いてしまいました。
 その後、事態の重大性に気づき、12月末の支払いは競馬組合の努力で3月末まで延期という形で回避されたものの、3月末の決済を控え、悪戦苦闘、競馬組合の新たな起債で13億円を調達し、残り37億円について、盛岡市5億円、水沢市5億円、県が27億円の融資を議会に提案し、議決を経て競馬事業を存続しようとするものであります。2月18日、本会議後の岩手競馬に関する議案説明会では、柴田副管理者、今泉農林水産部長の説明、質疑応答等を経ても理解が得られないまま散会したのであります。唯一はっきりしたことは、もしこの議案が通らず、37億円の融資の道が断たれた場合はどうなりますかとの質問に対して、柴田副管理者からは、競馬事業の継続はかなり困難になると思われますということでございました。
 12月定例会での競馬組合に対する融資議案の採決では、私は反対の立場で討論に参加いたしました。しかし今回は、その立場をいささか異にして臨むつもりであります。民間からその道に精通した柴田副管理者を招聘し、再建のために、融資の減額を初め、競馬事業の抜本的改革、創造、そして競馬組合の合理化等に真剣に取り組んだ様子がうかがえました。岩手の先達、新渡戸稲造博士の武士道の中に、武士の情という言葉がございます。死力を尽くして事に当たろうとする人たちに力を尽くさせないで道を断つことは、いろいろな形で悔いを残すことになる、私はそのように思うところでありまして、何とか1年間の猶予をと思うのが私の考えでございます。(「1年間か」と呼ぶ者あり)とりあえず1年間。
 来年の今ごろ、また融資の問題が起きてまいります。県民注視の中、組合も改善に向け最大限努力するでしょう。それでも依然として改善が見られなければ、廃止の方向で検討されなければならないと思います。競馬存続を願っている人たちにもわかってもらえると思うのであります。全力で応援してみよう、そういう気持ちでいっぱいであります。万に一つ光明を見出すことができれば、競馬事業のみならず、岩手の馬事文化もまた新しく開花するかもしれません。知事から県民に対し、もう7回目になるだろうと思いますが、岩手競馬の存続についての強い信念と決意のほどを述べてほしいと思うのですが、いかがでございましょうか。
 次に、行政執行に対する引責処置についてお尋ねいたします。
 ここ数年、行政執行上トラブルが発生し、職員の処分がその都度行われてまいりました。知事に対しても、引責についてたびたび言及されたところでありました。このたび、知事から引責の処置について発表がございました。長引く景気低迷により、民間給与に配慮して15%の減額、今度の引責で35%、あわせて50%の減額は、三役あるいは部長との逆転現象等が起きないものなのでしょうか。4カ月とはいえ、余りにも大きな減額と思われます。その根拠は、また、4カ月という期間にも定めがあってのことなのでしょうかお尋ねいたします。
 すっきりした形の引責ということであれば、県庁全体に何らかの影響を及ぼす給料減額よりも、退職金から減額する方がはっきりとしてわかりやすい始末のつけ方のような気がしますが、条例改正をしてまで退職金から減額することは考えられなかったのでしょうかお尋ねいたします。
 与えられた報酬を減じて責任をとられました。いま一つ大変大事なことは、議会あるいは県民に対し、知事として、職員一丸となって県勢発展のため頑張ってまいります、積極的な支援をお願いしたい旨の決意表明がなされました。しかし、職員に対してのメッセージが余り聞こえてこないような気がしてならないのであります。間違いを犯してはいけない、十分注意するように、職員条例の倫理に関する条例に基づいた厳しい処置だけが与えられますと、仕事への意欲を失わせ、与えられた仕事だけをやればいいという風潮が出てくるのは私は当然だと思うのであります。責任は自分がとる、一生懸命やってほしい、ここからやっぱり始まるのではないでしょうか。職員を激励しながらこの県政の難局を乗り切られるよう期待するものですが、陣頭指揮をとられる覚悟のほどをお聞かせください。
 次に、全国知事会会長選への出馬についてお尋ねいたします。
 全く重さの違う会長職で比較はできないかもしれませんが、地方6団体の最下位に岩手県町村議会議長会というものがございます。そのときの体験を踏まえお尋ねしてまいりたい、そのように思います。
 平成7年6月から平成9年6月までの2年間、岩手県町村議長会の会長を務めさせていただきました。受けるに当たって、一戸町議会に迷惑がかかると思い相談をしましたし、町長初め、幹部職員からも激励をいただいて出馬の決意をしたところでございます。御案内のとおり、町議会あるいは北部議長会、岩手県町村議長会、その上に北海道・東北町村議長会、そして頂点に全国町村議長会、この五つの組織にまたがっての活動は本当に多忙をきわめました。多くの方々のサポートなくして仕事はできないということを痛感した次第でありました。
 そこでお尋ねいたしますが、どのような抱負を持って全国知事会への出馬の意思を固められたのでしょうか。
 二つ目に、知事とすれば岩手県によかれと思っての出馬と思いますが、県益との関係はどのように考えられたのでしょうか。
 三つ目に、会長に就任することにより県庁を不在にすることが多くなることになります。県政運営に悪影響を及ぼさないとの考えだったのでしょうか。
 最後に、闘う知事会の長を念頭に置いての選挙前の演説を拝聴いたしましたが、今後、岩手県選出の国会議員8名の方々との協調はどのようになっていくのでしょうか。国会議員の役割との関係はどうなっていくのかお尋ねしたいと思います。
 次に、教育問題についてお尋ねいたします。
 ことし2月16日、中央の大手新聞の第1面のトップに、ゆとり教育の全面見直し、文部科学相、秋までに報告要請と大きな活字が躍っていました。学力の著しい低下、非行の増大に驚き、慌てふためいている様子が手にとるようにわかります。ゆとりなどではなくて、休ませ過ぎではないでしょうか。春休み、夏休み、冬休み、土曜日、日曜日、祝祭日、有意義に過ごせる児童生徒はまれでございまして、暇をもてあまし、集団で町に繰り出す。男子はしりが見えるぐらいまでズボンをずり下げ、女子は下着が見えるぐらいスカートを短くし、バスであれ電車であれ町の通りであれ、あふれ返っているのが現状と私は承知いたします。これが続きますと非行に走っていきます。風紀が乱れ、恥ずかしさを感じなくなれば風俗の魔の手が必ず忍び寄ってくる。まあ、これ以上は申し上げませんが。
 ところが、まだ性懲りもなく指導要領を2006年度に改訂、そんなことでよくなるのであれば、こんなことになっていないというのが私の認識であります。責任問題の追及は二の次として、これから真剣に考えなければならないと思うのであります。土曜日を4時間授業に戻すべきと私は考えます。地方の時代と言われます。岩手の教育を確かなものにするために文部科学省と闘ってみませんか、県教委の見解をお尋ねいたします。
 次に、いわゆる横並び教育についてお尋ねいたします。
 男女平等のもと、差別があってはおかしいなどの議論があります。一定の年齢に達したら、性的にも体力的にも差があって当然、また、横並び教育などはナンセンスと私は思うのであります。今の社会の実態は、実力主義とか評価主義とか、勝ち組、負け組をはっきりさせる、そういう社会になってまいりました。生き馬の目を抜く競争社会に、横並び的教育などは論外だと思います。実態に即した、できるだけ厳しい対応、これは子供たちにとっても非常にいい効果を生むのではないかと思うのですが、教育長の見解をお尋ねしたい、そのように思います。
 次に、県立病院等の医師確保についてお尋ねいたします。
 県立病院あるいは自治体が運営する病院いずれの病院にしろ、医師の確保については今に始まったことではなく、10数年も前からいろいろな陳情要請が繰り返され、その場をしのいでまいりました。しかし、依然として状況は好転せず、一層悪化したのではと思われる状態です。いろいろな事情があったことも承知はいたしております。しかし、いかなる事情があるにせよ、年々状況が悪くなるということは、見通しに大きな誤りがあったのではと言われても仕方がないのではないでしょうか。
 一例を挙げますと、県立一戸病院の内科は、院長と内科医の先生、中央病院からの日がわりの、2カ月ぐらいで何とかして一戸病院に応援をしたいというのが今は日がわりになってまいりました。この3人体制で内科の診療をしておりますが、3月末で院長が定年退職となり、内科医の先生には無理をして来ていただいた、そういう経緯がありましたので、その先生にできれば大学に帰りたいと言われ、町長初め関係者が、医療局も最大限努力していますから1年だけでも助けていただけないでしょうかということで、今は考慮中というお先真っ暗の状態であります。県立病院、そして一戸病院の医師確保について今後の対策を示していただきたい、そのように思います。
 県立病院に限らず、自治体の抱える病院のほとんどが財政状況が悪化し、自治体の財政にまで影響を及ぼしています。医師不足が病院運営に悪循環をもたらしていることは紛れもない事実でございます。このままでは地域医療の崩壊につながりかねません。競馬以上の大きな県政課題となること必定と私は考えております。県全体として医師確保に取り組む決意のほどをお聞かせいただきたい、そのように思います。
 次に、農業の担い手の確保・育成についてお尋ねします。
 本県が総合食料供給基地を目指すに当たって、重要な課題の一つに担い手の確保・育成が挙げられるものと考えております。しかしながら、農業労働力の高齢化が急速に進行しており、基幹的農業従事者の減少にも歯どめがかからない状況にあります。本県農業の担い手としての認定農業者はもとより、地域の将来を担う若い農業者の確保・育成が喫緊の課題であると考えており、そのためには、個々の経営における後継者対策と、地域農業の担い手としての新規就農者の確保・育成に関係機関が一丸となった取り組みが重要であります。
 そこで伺いますが、県では、地域の農業を将来にわたって継承する担い手たる認定農業者の育成はどうなっているのか、現況と今後の方策についてお伺いいたします。
 また、これまでの新規就農者の確保・育成の状況をどうとらえ、今後どのように取り組もうとしているのかあわせてお示し願います。
 次に、岩手林業の抱える課題と振興策についてお尋ねいたします。
 広大な森林を有する岩手県は、全国でも有数の林業県として羨望のまなざしで見られ、多くの人たちが林業または林業に関連のある仕事で生計を立ててまいりました。時移り、外国からの木材輸入が急激に増加し、対応する策を見出せぬまま木材価格の下落に歯どめがかけられず、一気に転落の道をたどり現在に至っております。
 林業を取り巻く状況は依然として厳しく、その原因は、需要が低迷を続け、好転の兆しがなかなか見えてこない、その一点に尽きると思います。このようなとき、追い討ちをかけるように、林業にかかわる人たちの支えでもあった県林業公社が2007年廃止の方向で検討に入りました。まさに岩手林業存亡の危機と言わざるを得ません。先ほど申し上げたとおり、需要の拡大に全力を挙げるしかないと考えますので、例えば、公共施設の木造建築について全市町村の協力を強くお願いする、また、一般住宅への県産材の利用促進を市町村を通じてお願いし、何らかの特典が得られるような対策を示す必要があると思いますが、県としてはどのように考えておられるのかお尋ねいたします。
 森林資源も無尽蔵ではなく、世界的環境保全と相まって、外国からの木材輸入も減少の一途をたどることが予想されます。現に、中国からの木炭輸入は大幅に減少しております。加えて、木質バイオ発電、ペレットストーブ等の開発、木炭の用途拡大等新しい技術開発も進んでいます。そのようなことにも考慮し、林業に従事する人たちに情報提供し、林業振興に努力していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか、対策を示していただきたいと思います。
 次に、警察本部長に組織犯罪の情勢等についてお伺いいたします。
 新聞の論説等によりますと、今、日本では、社会・経済のグローバリゼーションの進展に伴い、犯罪のグローバリゼーションとも言うべき問題が発生いたしております。中でも国際組織犯罪の深刻化が進んでおり、我が国に流入した外国人が国内で犯罪グループを形成し、あるいは、我が国の暴力団や外国に本拠を置く国際犯罪組織と連携をとるものもあるとされております。これがいわゆる組織犯罪と言われるものであろうと思うのですが、この組織犯罪という言葉自体、一昔前までは聞くことがなかったような気がします。日本の治安を急激に低下させた大きな要因の一つがこの外国人や暴力団等による組織犯罪で、現状においても窃盗事件や強盗事件、薬物の密輸などが多発し、被害が深刻化しているように思います。そして、組織犯罪の発生は、首都圏での集中発生に始まり、以後、全国に拡散を続け、その勢いはとどまるところを知りません。本県における組織犯罪の現状はいかがでございましょうか。県警察としては、これらにどのように対峙していこうとされているのかお聞かせいただきたいと思います。
 また、昨年の決算特別委員会等において、振り込め詐欺、これも組織犯罪に含まれるのでしょうが、その被害の大きさから盛んに質疑があったところでございます。その後、警視庁であったと思いますが、振り込め詐欺の大規模なグループを摘発したという報道がありました。これらは、暴力団や暴走族等で会社と思えるようなグループを形成していたと聞き、私はその実態に驚きました。
 このような振り込め詐欺は、さきに述べた外国人の組織犯罪と同様に全国的な被害拡散を見せております。また、振り込め詐欺の実行犯は主に首都圏に集中し、出張捜査ではなかなか進展がないということから、各地方から警察官が派遣され、警視庁内にプロジェクトチームがつくられたと聞きました。県警察の対応も大きく変化してきているようですが、県警としての取り組みとしていかがでしょうか。県内の被害実態等とあわせてお示しを願いたいと思います。
 次に、建設業の現況と今後の課題についてお尋ねをいたします。
 公共事業削減は平成15、16年で計30%の大幅削減でございました。その影響をもろにかぶった建設業界は、平成14年、15年、16年の3年間で132社の倒産を見ております。平成17年はもっと数がふえるのではないか、業界だけでなく地域でも深刻な状況と受けとめております。県としてどのよう把握し、どのように対応するつもりなのか示していただきたいと思います。対応策として、県内業者でできる工事はぜひとも県内業者で、建設資材の購入も地域から購入をお願いしたいというものでした。次いで工事の細分化でもありました。これが県に対する要望でございます。
 そこで、お尋ねをいたしますが、県としては、建設業にかかわる県内業者の工事の受注拡大にどのように対応されるのでしょうか。
 また、建設コンサルタント等の建設関連業にかかわる県内業者の受注拡大にどのような対応をするおつもりなのか、あわせてお願いをいたしたいと思います。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事増田寛也君登壇〕
〇知事(増田寛也君) 小野寺研一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県債残高増加につきましての私の責任についてということでございます。
 この県債残高増加の主な原因は3点あると思っております。一つは、東北新幹線や県立大学の整備など、県単事業の財源として多くの県債を発行してまいりました。二つ目は、たび重なる国の経済対策に呼応いたしまして、立ちおくれておりました本県の社会資本整備を前倒しで実施するということで、補正予算債をこれも多額に発行してまいりました。3点目は、国におきまして、地方の財源不足に対応するため、地方交付税の振りかわりとして臨時財政対策債などの財源対策債による地方財政措置がとられた。したがいまして、そうした臨時財政対策債などの発行を余儀なくされた。この3点であろうと思っております。
 県単事業の拡大、そして経済対策のための地方債に対しましては、後年度に交付税を措置するという、このような地方財政対策が講じられましたので、これを立ちおくれておりました社会資本整備を進める好機ととらえて取り組んできたわけでございます。これによりまして、確かに県民生活の向上や基盤整備が進んだと考えておりますけれども、一方で、多額の県債残高を抱えて償還額が今お話しございましたとおりに累増してございますし、結果として、景気の目立った回復が見られない。そこで本県財政の悪化を招く要因となったものと認識しておりまして、このような結果を招いたことを深く反省をしているところでございます。
 さらに、もう一つ申し上げますと、国の補助金や起債に誘導されましたこのような財政運営でございますが、これが例えば昨年度のような交付税等の大幅削減に左右されるような国依存の歳入構造など、県財政が国から自立していないということも、この要因の一つと認識をしてございます。
 このため、県の方でつくりました行財政構造改革プログラムに基づきまして、現在プライマリーバランスの均衡の早期達成に取り組んでいるところでございまして、将来の世代に過大な負担を残さないような自立した財政構造を早急に築いていくことが私の使命と考えているところでございます。
 次に、知事演述で具体性が欠けているのではないか、このような御指摘がございました。幾つかの点につきまして、より具体的に申し上げますと、財政再建ということにつきましては、組織・職員体制のスリム化や管理職手当の支給額の減額など、総人件費の抑制など徹底的な歳出の削減に努めているところでございまして、一方で歳入確保、これは県税収入や未利用県有地を処分するといったことによる財源確保でございます。こうしたことによりまして公債管理を徹底して行うことによって、平成18年度にプライマリーバランスの均衡を目指す、そのことで達成が可能になると考えております。
 それから、県民生活の安定の分野でございますが、一つ例に申し上げますのは災害についてでございます。この災害につきましては、これまで防潮堤の整備や公共施設の耐震化などのハード面を中心に防災対策を進めてまいりました。公共施設の耐震化も半分程度以上には今進んでいるところでございますが、今回さらに一歩歩みを進めまして、古い木造個人住宅の耐震診断への支援、これは木造住宅耐震診断支援事業ということで今回予算化をしたわけでございますが、こうした事業や避難路、それから避難誘導看板の整備、さらには、自主防災組織の設立の促進といったようなもの、これも津波緊急避難誘導対策事業等によりまして今回予算化をしたものでございますが、こうしたことによりまして、いわばハード、ソフト両面から幅広くこうした災害への備えに取り組んだところでございまして、こうした対策を進めることによりまして県民の生命と財産をしっかりと守っていく覚悟でございます。
 さらにもう一つ、人材育成、学校教育の充実についてでございますけれども、これは教員一人一人がよくわかる授業を行えるよう各地域の教育事務所が中心となりまして、管内の実態に即した教員の研修を進めますとともに、特に学習定着度調査などで不十分な結果が出ました英語力の向上のために、中学校における取り組み、さらには、英語検定を活用した英語力の把握などを行うモデル校をすべての教育事務所管内に設定をする。そのための事業を幾つか起こしてございますが、こうしたことによりまして従来の取り組みを格段に拡充させまして、児童生徒の学力の向上を図っていくというものでございます。知事演述では総論的な記述で述べているところも多くございましたけれども、今申し上げましたようなことなどを多く行いまして、具体的に県民生活の安定あるいは人材育成等、重点事項の達成に努力していきたいと考えております。
 さらに、知事演述におきまして、県民にある程度の我慢をお願いする必要があったのではないかというお話でございました。確かに今回の知事演述ではこのことにあえて触れていないわけでございますが、私が3回目の知事選挙に当選をいたしました一昨年6月の定例会以降、機会あるごとに県民の皆様方に、抜本的な行財政構造改革を断行するということで、このことについてお願いをしてきているところでございます。
 具体的に、公共事業の投資規模の抑制や総人件費の抑制、事務事業の徹底的な見直しといったようなことで、一般財源を別途新たに生み出しまして、それを環境、雇用、福祉、教育などの分野に重点的に投入をするということでございますが、いわば、あれもこれもということから、あれかこれかの選択を行っていかなければならないということでございまして、こうした取り組みにつきまして、これまでも県政懇談会初め、さまざまな機会をとらえまして、県民の皆様方に御説明を申し上げてきたところでございますが、今後も引き続きこの点について御理解、御納得をいただけるように努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、岩手競馬存続の決意、所感についてのお尋ねでございます。
 県議会の12月定例会におきまして、その際に上程いたしました実行計画に対しまして、内容の具体性に欠ける、精査不足であるなどの厳しい御指摘をいただきまして、予算案が否決をされたわけでございます。大変御心配をいただきまして、議会初め、関係の皆様方、県民の皆様方に申しわけなく思っているところでございますが、そのような反省も踏まえまして、今回競馬組合で新たに実行計画の見直しを行ったところでございます。
 その結果、改訂いたしました実行計画におきましては、前回、具体化が不十分で計画には盛り込むことができなかったものにつきまして、施設売却収入や賃貸による運営費削減を具体化したこと、それから発売収入を精査いたしまして、計画期間内で413億円ほどの下方修正をしたこと、さらには実行計画実現のための資金調達につきまして、既存債務の償還負担を平準化する新たな起債を導入するほかに、県のみに支援を求めるものから、各構成団体――水沢市、盛岡市――にも支援を求め、新たな資金調達枠組みに変更したことなどを盛り込むことによりまして、より具体的で達成可能な内容になった、このように考えているところでございます。
 競馬事業の存続が困難となった場合には、結果として、県民の皆様方、市民の皆様方に負担を強いることになりますので、県といたしましても、今回のこの改訂実行計画が十分達成可能なものと考えておりまして、この計画の確実な実現による、自助努力を基本とした岩手競馬の再生を、他の構成団体と一致をいたしまして、全力を挙げて支援をしていく考えでございます。
 次に、行政執行に対する引責処置ということで、今回、私知事を初め、三役の給与の減額措置を提案いたしております。この減額率の根拠でございますが、いわて森のトレー問題などに関しまして、それぞれの事案ごとに、その内容や県政に与える影響の大きさのほか、任期中に問題が発生したものなのかどうかなど、事案の個別ごとの経緯を考慮して減額率を算定して、それを合算して決定いたしたものでございます。
 それから、私につきましては減額期間4カ月としてございますが、いわゆる不祥事案につきましては、減額の期間3カ月というものがこれまでの例でございましたけれども、しかし、今回減額措置を講ずるに至りました諸事案の県政に与えた影響などを重く受けとめまして、この知事の分につきましては私の判断としてさらに1カ月を加えて4カ月としたものでございます。
 なお、退職手当の方で減額したらどうか、このようなお話があったわけでございますが、特別職の退職手当につきましては、これは他県等との均衡から見て見直しが必要である、このように考えているところでございまして、これにつきましては別途、岩手県特別職等報酬審議会の意見をいただきまして、本年中に見直しを行うこととしたい、このように考えているところでございます。
 それから、昨今の不祥事の反省を踏まえまして、やはり職員の士気向上に努めなければならないと考えているところでございます。そこで、この反省を踏まえて、県庁内の分権をより進めるほか、行政課題を業務目標として掲げまして、その達成状況をきちんと管理していく体制の確立を図るなど、仕事や組織の仕組みそのものを見直すこととしているところでございます。また、施策の実施部門でございます各部局や地方振興局の現場におきまして、いろいろな機会を通じまして職員と今話し合いをしているところでございます。さらにこれを継続いたしまして、職員の士気の維持向上に努めていきたいと考えております。
 県政の重要課題に取り組むに当たりまして、やはり先頭に立つ者の役割というのは大変大きいものがございますので、職員の先頭に立って積極的に課題解決に取り組んでいく覚悟でございます。
 最後に、全国知事会会長選挙への出馬の関係でございます。
 この点につきましては、これまでも議会で申し上げてきたところもございます。重なる部分もございますが、もう一度整理して申し上げたいと思いますけれども、今回、知事会長選挙に立候補いたしましたのは、一つには、多くの知事の御推薦をいただいたということもあるわけでございますが、私自身が前会長のもとで、例えば三位一体改革案の取りまとめ等に携わった経験を生かして、今非常事態にある知事会のためにお役に立てる、このように判断をしたからでございます。会長となった場合には、特に国民にわかりやすく知事会の活動、そして取り組みを御理解いただく必要がございます。その点について特に力を注いでいきたい、このように考えていたところでございます。
 また、県民の皆さん、県益との関係でございますが、今地方は、財政問題を初め、さまざまな課題を抱えているわけでございますが、私は、会長になった暁には、国に対してこうした課題を提起して解決策を見出していくことが、ひいては県民の皆さん方に対しまして、そうした制度的な問題の解決を通じて大きな成果を還元できることになる、このように判断をしたものでございます。
 そうした会長就任についての県政運営の影響についてでございますけれども、県には副知事初め、優秀な職員が数多くそろっておりますので、こうした県政の運営には大きな支障を来さない、また、県民に今申し上げましたように大きな成果を還元できる、このような判断から立候補を決断したものでございます。
 国会議員の皆さん方との協調ということでございますけれども、三位一体改革を初め、地方制度に関する基本的事項につきましては、これはそのほとんどのものが国の法律や国の予算と密接に関連をしているものでございまして、今後の分権改革の推進を図っていく上では、こうした点において国会議員、特に県選出の国会議員の皆さん方の御理解、御協力が不可欠である、このように考えているところでございます。昨年だけでも県選出国会議員の皆さん方には、何回かこうした三位一体改革などについて、直接お会いをして、あるいは説明の場などを設けまして具体的に説明をし、御協力もお願いをしてきてございますし、また、国会議員の皆さん方も非常にこの点につきましては理解を深くしていただいている、あるいは行動していただいているところでございますが、今後とも、今申し上げました状況からも、より密接な連携を図っていく必要があると考えてございまして、また、ことしもそれぞれ節目、節目ごとに国会議員の皆さん方に御協力をお願いしながら、積極的に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いいたします。
   〔医療局長千葉弘君登壇〕
〇医療局長(千葉弘君) 県立病院の医師の確保についてでありますが、医師の確保は従前から大きな課題であり、関連大学への働きかけのほか、医療局独自の奨学資金貸付制度や医師養成事業などを行いまして医師の確保に努めてきているところでございます。その結果、過去10年間でございますが、正規の医師で82名増加いたしてございます。392人から474人でございます。しかしながら、依然といたしまして医師の絶対数の不足に加え、地域による偏在、病院規模による偏在、あるいは診療科による偏在がなかなか解消できない実態でございます。
 今後の見通しといたしましては、昨年4月から始まった新しい臨床研修制度によりまして、この2年間は大学医局への新規入局者がなくなるということになります。岩手医科大学の場合、毎年50人から60人の入局者があると言われておりまして、2カ年で100人から120人、一時的に入局者が途絶えるという状況でございます。したがいまして、当面この厳しさは続くものと予想されるところでございます。
 このような中、医療局といたしましては、やはり大学への要請は強めながら、広域基幹病院あるいは中央病院等からの応援をできるだけ充実する必要があると考えてございます。
 また、全国公募、個別情報に基づく医師の確保、さらには、臨床研修医の積極的な受け入れと、研修医にとって魅力あるプログラムを設定するなど、後期研修を充実し研修終了後に医師を県内に定着させる。このようなことを通じまして医師の確保に全力を挙げてまいる考えでございます。
 次に、一戸病院の医師確保でございますが、一戸病院の内科医師につきましては、現在、関連大学に強力に要請いたしております。他の県立病院からの応援も含め、その確保に鋭意努力いたしているところでございます。
   〔保健福祉部長佐藤敏信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐藤敏信君) 県全体として医師確保に取り組む決意についてでございますが、私ども医師確保につきましては、保健医療分野全体の最重要課題として認識しております。個々の施策につきましては、ただいま医療局長からもございましたが、私どもこうした県独自の取り組みに加えまして、国に対しては医学部定員における地域枠の設定、あるいは自治医科大学に対しては入学配分枠の増等を要望するなどいたしまして、今後とも引き続き医師の確保について最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長今泉敏朗君登壇〕
〇農林水産部長(今泉敏朗君) 農業の担い手確保・育成に関連して、認定農業者の育成についてでありますが、本県の認定農業者数は、平成16年8月末現在で7、505戸と平成22年度の目標1万1、000戸に対し68%の達成率となっております。認定農業者制度は、地域農業の将来を託すべき農業者として担い手を明確化し支援施策を集中化、重点化していく制度的枠組みとして設けられたものであり、県といたしましても各地域の担い手育成総合支援協議会の活動を通じて、他産業並みの所得を確保できる農業者を認定農業者へ誘導していく取り組みを進めてまいります。
 次に、新規就農者の確保・育成についてでありますが、就農相談会の開催、経営開始に係る資金の貸し付け等を行いその確保・育成を図っているところであり、近年、就農者数は増加傾向にあり、毎年100人前後で推移しているところであります。今後は、就農相談の充実や就農希望者への一体的、継続的なアドバイス、技術向上のための長期滞在研修などを実施し、新規就農者数の上乗せを図っていきたいと考えております。
 次に、県産材の需要拡大についてでありますが、市町村等が整備する公共施設への県産材利用を推進するため、木造公共施設等整備促進事業を通じて支援を行っております。また、葛巻町など幾つかの町村においては、住民の方々が地域材を使用して住宅を建築した場合、支援措置を講じております。県におきましても平成15年度から、木の香る環境共生住宅促進事業を通じて、県産材を活用した個人住宅づくりへの支援を行っているところであります。今後におきましても、議員御提言の趣旨を踏まえ木材需要拡大に努めてまいります。
 最後に、林業振興についてでございます。
 林業に従事する人々に情報を提供し、一緒に林業振興に努力すべきではないかという御提言でございますが、過半、議員からも御指摘ございました中国の木炭輸出禁止措置後、直ちに私ども関係団体と連携しながら情報収集に努め、レストラン等への直接PRによる市場ニーズの獲得、さらには、獲得したニーズにこたえる生産流通体制等の構築を図るための取り組みを来年度進めたいと考えております。
 今後におきましても、林業を取り巻く環境の変化を的確にとらえ、林業関係者の方々とこれを共有しながら、一緒になって林業振興を図ってまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長橋本義春君登壇〕
〇県土整備部長(橋本義春君) 建設業の現況と今後の課題についての御質問でございます。
 県内建設業の倒産状況についてでございますが、株式会社東京商工リサーチの負債総額1、000万円以上の企業倒産状況調査によりますと、倒産件数は平成14年以降大きな変化は見られず、小康状態が続いているとされているところでございます。しかしながら、国、県、市町村を通じまして公共事業が抑制傾向にございますことから、建設業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況にあると認識をしているところでございます。
 県といたしましては、社会資本整備の担い手であります県内建設業の経営状態が地域経済や雇用に与える影響を考えまして、岩手県建設業協会が設置しました経営支援センターと連携いたしまして、新分野進出や新製品、新技術・新工法の開発に意欲的に取り組む企業を支援し、経営体質の強化に取り組む企業の育成に努めているところでございまして、それとともにこれらの企業が開発いたしました新製品、新技術の中からすぐれたものを選定いたしまして県営工事においてモデル的に使用し、流通の増大につなげる試みにも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
 次に、建設関連業に携わる県内業者の受注拡大についてでございますが、建設関連業は、県民生活に直結する社会資本整備において、その基礎となる調査、設計など公共工事の重要な責務の一翼を担うものであり、業務の実施に当たっては、それぞれの業務の難易度に応じた専門的な知識と技術力が要求されるものと考えております。
 これらを踏まえた上で、発注に当たっては、これまでも県内業者の受注機会の確保を図ってきたところであり、平成15年度からは試行ではありますが指名選定基準を策定しまして、分離発注など適正な運用に努めているところでございます。今後とも技術力を適正に評価し、県内業者で受注可能と認められる業務につきましては、県内優先発注を原則として、公平性、競争性を確保しながら受注機会の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
   〔総務部長時澤忠君登壇〕
〇総務部長(時澤忠君) 県営建設工事における県内業者の受注拡大でございますが、県内業者で施工が可能であると認められます工事は県内業者で施工するということを基本に、これまで条件付一般競争入札における入札参加資格要件の緩和や一般的な舗装工事での県内業者の選定基準の見直し、さらには県内下請、県産資材の活用について請負契約書付記条項の制定などの対策を講じてきたところでございます。
 今後とも県内業者の育成、地域経済の活性化、雇用確保の観点から県内優先発注を原則といたしまして、公平性、透明性、そして競争性を確保しながら県内建設業者の受注機会の拡大に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長佐藤勝君登壇〕
〇教育長(佐藤勝君) いわゆるゆとり教育についてでありますが、現行の学習指導要領は、ゆとりの中で特色ある教育を展開し、みずから考える力などの生きる力をはぐくむことをねらいとしております。
 本県においても、各学校におきましては、基礎・基本の定着の上に、考える力、問題解決能力などをしっかり身につけさせるような教育実践に鋭意工夫を凝らしながら取り組んでいるところであります。
 国におきましては、昨年12月に公表されました国際学習到達度調査(PISA)の結果から、子供たちの学力低下の傾向あるいは学校外での学習時間の少なさ、学習意欲の低下などの傾向が見られるとしておりまして、こうした調査結果を踏まえて、過日、学習指導要領の見直しを中教審に求めたところであります。この中で、各教科及び総合的な学習の時間の授業時数のあり方、学校週5日制のもとでの土曜日や長期休業日の取り扱いなどについて検討するとされておりまして、その動向を注意深く見守りたいと考えているところでございます。
 確かに学力の向上とともに、倫理観や規範意識などの社会性の涵養のためには、学校、家庭、地域がそれぞれの持つ教育力を最大限に発揮して、一体となって取り組んでいくこともまた重要であると考えております。
 次に、横並び教育についてでありますが、学校教育においては、子供たち一人一人が直面する諸課題を乗り越え、生涯にわたり主体的に生きていく上で、互いに刺激し合ったり切磋琢磨したりして学習することは、自分を磨き、そして自分を高め、また、新しい自分を発見することにつながるものと考えております。
 こうしたことから、本県におきましては、子供たちがそれぞれその発達段階に応じて、自分自身の生き方、能力、適性を考え、主体的に進路を選択する能力、態度を身につけることができるよう指導しているところであります。
 今後におきましても、子供たちの個性を失わせることなく、一人一人の興味・関心、能力に応じた学習機会を提供するなどして学校教育の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長山内正和君登壇〕
〇警察本部長(山内正和君) 平成16年中の県内における暴力団、来日外国人犯罪等のいわゆる組織犯罪情勢につきましては、昨年4月、滝沢村において発生の首都圏から来た犯罪組織の構成員によって敢行されたけん銃使用の強盗事件に見られるように、暴力団や外国人による組織犯罪が全国と同様に発生しているところであり、来日外国人犯罪の検挙人員が51人で、対前年比プラス13人、暴力団員の検挙人員が104人で、対前年比プラス17人で、このうち、組織的に敢行された覚せい剤取締法違反の検挙人員が16人で、対前年比プラス7人など、いずれも増加しております。
 議員御指摘のとおり、組織犯罪は日本の治安を低下させた重要な要因であり、県警察といたしましては、平成16年4月に組織犯罪に関連する銃器・薬物部門と暴力団部門を統合・強化した組織犯罪対策室を設置したところであります。また、刑事企画課に国際犯罪捜査情報官を設置して、各県警察と連携を強化するなど、全国の犯罪動向を視野に置きながら組織犯罪対策に取り組んでいるところであります。
 次に、いわゆる振り込め詐欺についてでありますが、平成16年中、被害に遭った件数は195件で、対前年比プラス119件、被害総額は約3億円に達し、対前年比で約2億6、000万円の増加となっております。最近では、医師の家族をねらった投薬ミス等の医療過誤事件の示談金名下や資金繰りで窮している中小企業に低金利融資をうたうファクスを送りつけ、保証金名下に現金をだまし取る手口が発生しております。
 次に、検挙状況についてでありますが、県警察では、平成16年中、振り込め詐欺に関し、いわゆる通帳詐欺罪で39件9人を検挙するとともに、本年2月には大阪市内在住の男性2人を逮捕検挙し、さらに、組織性などを含めて現在捜査を進めているところであります。
 県警察といたしましては、本年2月、警察本部に振り込め詐欺対策班を設置し、さらに1月、2月を振り込め詐欺の捜査強化期間と指定の上、振り込め詐欺はもとより、預貯金口座の不正開設・売買等犯罪を助長する行為に対する取り締まりを強化しているところであります。
 また、本年1月から振り込め詐欺首都圏派遣捜査専従班に本県警察の警察官1名を派遣し、積極的な捜査を進めているところであります。
 さらに、被害予防対策といたしましては、犯行手口を再現した啓発用ビデオテープ等を活用しての疑似体験による広報・啓発活動や、金融機関を対象とした被害防止緊急対策会議の開催などを推進しているところであります。
〇33番(小野寺研一君) 2点について確認したいと思います。
 知事にでございますけれども、財政の再建、これには重大な関心を持って推し進めていかなければならない、そのような感じを受け取りました。ですが、これが急激に進行してまいるというか、余り急を要して、県民に対して痛みだけが残る、そういうことがあっては大変だろうと思いますので、ひとつバランスを考慮されて、極めて厳しいことではあろうと思いますけれども、財政再建に立ち向かっていただきたいと思うのですが、知事の考えを再度お聞かせいただきたいと思います。
 それから、国会議員との関係、今お聞きしてわかりました。闘う知事会とか、あるいはいろいろなことを地方6団体が申し上げるのはいいとしても、やっぱり国会で政策を論じて闘うというか議論をするのは国会議員でありますので、県選出の8名の皆さんとの連携をますます密にされて、そして県益を守っていただくようにぜひお願いをしたい。今後なお一層の取り組みが、わかるとすればどういうことなのかお尋ねしたいと思います。
 医療局にお尋ねしたいと思います。
 医師確保では大変な努力をされていることも重々承知いたしております。具体の例を承知いたしておりませんでしたので一戸病院の例を申し述べたところでございましたが、この3人の医師のうち、院長が退職をされてもう1人の方がということになりますと一戸病院の主たる医療の内科が崩壊していくということになりまして、町民挙げて心配しているということでございます。まだ残された時間は1カ月あります。どうかひとつ本議会が終わるころまでには、こういう形で決まったよ、そういういい報告をぜひお願いしたいものだと思うんですが、その努力といいますか、それをひとつお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(増田寛也君) 今2点お話がございましたが、まず、財政再建の方でございますけれども、県民の皆さんの痛みを極力生じないようにバランスよく考えよというお話でございました。今回の予算のみならず、とりあえず平成18年までの財政再建のプログラムをつくってございますが、また引き続き1年間よく内容を精査して、それでまた多くの御意見をいただきながら考えていきたい。財政再建と、そしてまた県民生活をうまく両立させるような道を考えていきたいと思います。
 それから、2点目の国会議員の先生方との協調ということですが、引き続きことしもそのことに意を用いていきたいと思っておりまして、恐らく5月か6月に骨太の方針2005というのが策定される予定でございます。どうなるかまだ情報がはっきりしておりませんけれども、また地方団体にとりまして大きな影響を与えるようなことが盛り込まれようかと思いますので、その前にでも国会議員の先生方に状況をその時点でいろいろとお話をして、我々にとりましていい方向性がその中に盛り込まれるように活動しなければいけないと思っておりますし、ことし1年も大事な年でございますので、今まで以上に緊密な連携をとりながらこの問題に当たっていきたい、このように考えております。
〇医療局長(千葉弘君) 一戸病院の内科医師でございますが、大学からの派遣あるいは県立病院からの応援、また、その組み合わせであっても、常勤の体制を維持することが必要だという考えで努力してまいります。
 時期につきましては、相手もありますので、最善の努力をしてまいりたいと思います。
〇議長(藤原良信君) 次に、新居田弘文君。
   〔18番新居田弘文君登壇〕(拍手)

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