平成23年6月定例会 第23回岩手県議会定例会 会議録

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〇10番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘でございます。
 発議案第2号発電・送電分離の法制化と次世代送電網の導入を求める意見書について、賛成の立場から討論いたします。
 3.11東日本大震災により、福島第一原発が原発震災と言われる大事故を起こしました。この震災津波で被災した原発から大量の放射能流出を生じ、地震、津波被害と放射能被害が複合、増幅し合い、震災被災地の救援、復旧が放射能のために妨げられるとともに、原発事故の対応と処理のおくれがより深刻な事態をもたらしています。
 この意見書が求めるものは、今回の事故によって、原発の安全性が問われたことに加えて、これまでの原発依存による電力供給源の集中によって指摘されてきた弊害があらわになりました。
 第1に、原発の出力調整の難しさと供給力の大きさのゆえをもって、事故や点検等の運転停止にあっては長期の供給力消失を伴うこと。
 第2に、それにかわる電力供給源を確保し、さらに遠距離で送電することによるロスを補わなければならないこと。
 第3に、結果として原発稼働の確保や長寿命化を図り、現状追認の中でそのリスクを重ねていくという電力供給のあり方などであります。
 したがって、我が国のエネルギー政策そのものを見直す必要性を示しているものであります。その見直しのためには分散型電力供給システムへの移行が必要です。発電施設と送電網を同一企業が運営し、地域で独占体制をとっているため、自然エネルギー発電事業者には、割高な送電線使用料や送電に関するリスクが発電事業者負担とされ、地域の自然エネルギー発電の促進が阻まれてきたという課題を克服する必要があります。そのため、こうした発電・送電システムの同一企業による運営を転換し、電力消費地の近くにおいて、自然エネルギーで発電する分散方式とすることが求められます。
 よって、発電・送電分離を可能とする法制化を行い、発電事業への新規参入を促進するとともに、電力の流れを供給、需要の双方から制御し、ロスの少ない効率的な送電網、すなわちスマートグリッドによって、地域分散型の小規模電源を管理、分配できるシステムを構築することを目指すという考え方であります。発電と送電の事業者を分離し、送電網を公正な接続ルールのもとにさまざまな発電事業者が利用できれば、自然エネルギーの飛躍的な普及と拡大が期待され、その結果、地域経済や雇用への波及効果も期待されるものであります。
 さらに、こうした政策変更は、本県が目指している、復興構想会議へ提言した再生可能エネルギー導入促進特区の考え方を具体的に前に進め、岩手県が自然エネルギー協会に参加し、新しいエネルギーの活用や人と自然の共生の形を追求するとした思いを形として示すことになります。結果として、県内で取り組まれている葛巻町の風力発電事業も、現状の設置拡大への足踏み状態の解消にもつながるものであり、本県の持つ自然エネルギーポテンシャルを活用し、県勢発展を下支えする意味においても重要であります。
 大震災と津波災害、そして福島第一原発事故と、我が国は未曾有の危機の中にあって、今なおその被害の大きさを前にして国民の不安は尽きません。一刻も早く被災者の生活を取り戻し、事態の収束に全力を傾けていかなければなりません。そして、この災害を教訓とした安全・安心の日本社会の未来を構築するために、発電・送電分離を可能とする法制化と、自然エネルギー普及促進のためのスマートグリッドの実現を求める本意見書案を採択すべきであることを申し上げまして、賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございます。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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