平成23年6月定例会 第23回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、第8号から第10号について質問いたします。
 議案第1号は、2011年度岩手県一般会計補正予算(第4号)であります。
 第1に、知事に補正予算の考え方について質問します。
 今回の補正予算は、本来なら知事選挙を踏まえ、新しい知事のもとで新規事業を具体化するものでありました。3.11の東日本大震災津波という未曾有の大災害を受けたもとでは、大震災前に編成された今年度予算は大幅に見直されるべきではなかったでしょうか。既に大震災に対応して災害救助などの応急処理を中心に4、000億円を超える補正予算が組まれています。不要不急、国の検証対象ともなった530億円の簗川ダムや164億円の津付ダムは見直すべきだったのではないでしょうか。また、昨年9月県議会で全会一致で採択された住宅リフォーム助成事業の実施は、大震災で住宅改修の要望が被災地でも、県内各地でも高まっていることから、具体化されるべき事業だったのではないでしょうか。
 第2に、三陸鉄道運営支援事業費として1億6、173万円余が計上されています。運転資金として2億円を三陸鉄道株式会社に貸し付けるものであります。
 知事に質問しますが、三陸鉄道はまさに被災地の地域住民の生活の足であります。県の対応、国の対応が厳しく問われる課題です。三陸縦貫道などよりも緊急に復旧されるべき課題だと考えますが、被害状況、被害額、復旧の見通し、国の支援の状況について示していただきたい。また、貸し付けではなく助成が必要だったのではないでしょうか。
 第3に、地域経営推進費が2億3、000万円、新しい公共支援事業費が8、000万円計上されています。被災自治体に思い切って支援すべきと考えますが、その具体的な内容と配分はどうなるでしょうか
 第4に、廃棄物由来再生可能エネルギー利用促進事業費補助として1億8、649万円余が計上されています。補正後の総額は4億941万円余となります。二戸市、紫波町、一戸町の公共施設で重油ボイラーからチップボイラーに転換するものであります。県内の森林資源、再生可能エネルギーを活用しようとするものであります。これまでの実績と効果はどうなっているでしょうか。福島原発事故を踏まえて、原発からの撤退も緊急の課題となっています。思い切って森林資源、再生可能エネルギーを活用すべきと考えますが、今後の計画はどうなっているでしょうか。
 第5に、児童養育支援ネットワーク事業費7、817万円余、保育所等施設整備費補助1億1、999万円余が計上されています。児童虐待防止対策事業費のその内容ですが、児童虐待の対応状況、児童福祉司の配置、増員はどうなっているでしょうか、震災孤児に対する対応を含めて示していただきたい。
 保育所等施設整備費補助は、総額では8億8、641万円余となりますが、今年度の保育所の整備と定員増、保育児童待機者の実態と解消の見通しはどうなるでしょうか。
 第6に、小水力発電エネルギー利活用可能性調査事業費が1、000万円計上されています。小水力発電は、自然エネルギーの活用として岩手県にとって大きな可能性を持つものと考えます。これまでも調査事業が行われています。これまでの調査事業の結果と本格的に導入する場合の課題、国の動向、岩手県の可能性について示していただきたい。
 第7に、建設業総合対策事業費として1、000万円が計上されています。その内容と県内建設業を取り巻く状況、全国一低いといわれる総資本経常利益率とそれへの県の対応を示していただきたい。
 議案第8号は、花巻空港管理条例の一部を改正する条例であります。平行誘導路の供用開始に伴い、航空機の重量制限を緩和し、旅客ターミナルビルの占用料を見直すものであります。平行誘導路の整備事業費、花巻空港整備事業費の総額はどうなるでしょうか。平行誘導路はどう利用されるのでしょうか。本当に必要だったのでしょうか。費用対効果はどうなるでしょうか。花巻空港利用客の推移を含めて示していただきたい。また、旅客ターミナルビルの占用料は増額となるのでしょうか。利用客が減少している中で採算がとれるのでしょうか。
 議案第9号は、県警のヘリコプターテレビ中継システム通信設備等設置工事の請負契約に関するものであります。これまでの県警のヘリテレの活用状況、東日本大震災での活用状況と、今回のシステムではどう改善されるかを示していただきたい。
 議案第10号は、財産の処分に関し議決を求めるものであります。久慈港の港湾整備事業による工業用地を北日本造船に売却するものであります。売却されることはよいことでありますが、港湾整備事業による工業用地等の造成費、当時の売却単価と今回の売却単価はどうなるでしょうか。未売却の用地、赤字分はどうなるでしょうか。どう処理されるのでしょうか。
 最後に、選挙管理委員会委員長に質問します。
 今回の補正予算には、知事、県議選の選挙執行費が3億円余盛り込まれています。知事選は8月25日、県議選は9月2日告示となります。福島県、宮城県は、さらに延期されるようであります。
 7月4日現在でも行方不明者が2、169人、現在、避難者総数が1万2、249人となっていますが、有権者の把握がなされているのでしょうか。被災地はいまだ瓦れきの中にあり、復興とまちづくりは遅々として進まない中で、公正な選挙ができる状況にあるのでしょうか。
 以上、答弁によっては再質問いたします。
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、簗川ダム、津付ダムの見直しについてでありますが、昨年9月、国からの検証要請を受けたことから、検証作業を行い、その内容を大規模事業評価専門委員会に諮り、御審議いただいた結果、現対策案が妥当との答申を受けたところであります。これを踏まえ、本年2月、県の対応方針を事業継続と決定したところです。
 簗川ダムについては、本年4月に検証結果を国に報告したところであり、今後とも、簗川の治水対策については、着実に進めていく必要があると考えております。
 津付ダムについては、東日本大震災津波により、はんらん防止区域の一つである陸前高田市街地が大きな被害を受け、ダム検証時点の社会状況と大きく変化したことから、津波対策施設の計画や陸前高田市の復興計画を踏まえ、気仙川の治水対策手法等の再検討をした上で、国へ報告したいと考えております。
 次に、住宅リフォームについてでありますが、住宅の新規着工が大きく落ち込んでいる中、住宅の質の向上や地域経済の活性化、さらには余震等の不安の解消を図る上で必要なものと考えております。リフォーム助成制度については、震災後のリフォーム動向や市町村における取り組み状況なども踏まえながら、引き続き具体的な制度設計について検討を行ってまいります。
 次に、三陸鉄道運営支援事業費についてでありますが、三陸鉄道は、東日本大震災津波により、駅舎、線路、橋梁等が流出、損壊するなど、甚大な被害を受けました。
 現在、北リアス線の久慈-陸中野田間及び宮古-小本間で運行を再開していますが、これ以外の区間での運行再開のめどは立っておりません。
 復旧額は、運営会社の試算では、単に原形に復旧するだけであれば約70億円、鉄道施設を耐震構造にしたり津波に対応した施設を整備した場合、最大で180億円と見積もっているところであります。
 復旧時期でありますが、運営会社においては、平成26年4月に全面再開したいとしており、県としても、できるだけ早期に全面再開できるよう支援してまいりたいと思います。
 国の支援に関する検討状況についてでありますが、第3次補正予算で復旧にかかわる予算を措置する方向で調整していると承知しております。県としては、三陸鉄道の復旧や当面の運営にかかわる国の全面的な支援について、引き続き強く要望してまいります。
 今般、貸し付けにした理由でありますが、国による三陸鉄道の全体支援スキームが固まっていませんことから、当面の運転資金として貸し付けとしたものであり、今後、国による支援スキームが固まった段階で、貸付金の償還にかかわる負担も含めた費用負担について、沿線市町村と協議をする予定であります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇政策地域部長(千葉茂樹君) まず、地域経営推進費についてでありますが、県内市町村の東日本大震災津波からの復旧、復興に資する事業を支援するため2億3、000万円を追加計上したところであります。
 対象事業といたしましては、沿岸市町村における地域産業の振興や復興計画等の策定などの復興緊急支援のための事業や臨時バス運行事業のほか、沿岸市町村の復旧、復興を支える内陸市町村の地域活性化のための事業を想定いたしております。
 配分につきましては、今回計上する2億3、000万円のうち、被災が甚大な沿岸の12市町村に対しては、復興緊急支援の事業について県補助率を2分の1から3分の2に引き上げるなどによりまして、全体の約56%に当たる1億3、000万円弱の配分を見込んでおります。
 次に、新しい公共支援事業費についてでありますが、この事業は、国からの交付金を原資として昨年度末に設置いたしました基金からの繰入金を財源として、今年度から2カ年間実施するものであります。
 この事業は、民間非営利組織の自立的な活動を後押しし、行政との協働で実施することが望ましい行政領域などにおいて、民間非営利組織と市町村等の官民連携による取り組みの拡大と定着を図ることを目的といたしております。
 今年度は、例示的に申し上げますと、仮設住宅におけるコミュニティ形成のための官民協働のモデル的な取り組みなどを想定いたしまして、県内からの公募により1件1、000万円を限度に助成するものであります。
 配分につきましては、今議会で本事業予算を御承認いただければ、今月下旬にも、沿岸地域を会場地といたしまして、外部委員による運営委員会を開催し、助成申請者によります公開プレゼンテーションの上、選定する予定でございます。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 廃棄物由来再生可能エネルギー利用促進事業費補助についてでありますが、これまで、奥州市及び遠野市が行う木質バイオマスエネルギー利用施設の整備に対しまして1億4、200万円余の補助をしているところであり、その事業効果は、二酸化炭素排出量の年間換算で206トンの削減効果があり、地球温暖化防止対策の推進に寄与していると考えております。
 今後の計画についてでございますが、この補助金は、平成21年度から今年度までを期間といたします地球温暖化対策等推進基金に基づくものでありますことから、今年度で終了するということになってございます。
 しかしながら、再生可能エネルギーの普及促進が重要であるという観点から、国に対しまして、新たな制度の創設と大幅な増額等につきまして、現在、要望しているという状況でございます。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、児童養育支援ネットワーク事業費についてでありますが、平成22年度の児童相談所の児童虐待相談対応件数は361件で、前年度より68件増加となっており、市町村の相談対応件数も514件と、同じく57件増加しております。その理由としては、子育て不安や不安定な経済状況等の要因のほか、児童虐待の通告義務の周知が図られてきていること等が挙げられます。
 次に、児童福祉司についてでありますが、相談内容の複雑化等に対応するため、平成22年度に1名増員し、現在24名となっており、平成23年度には3児童相談所に臨時職員を各1名配置し、児童虐待通告への対応強化を図っております。
 また、今般の東日本大震災津波により、被災孤児等に対する個別の調査・相談、家庭的な養育環境の確保など、児童相談所の業務量が増加しているため、他県からの児童福祉司等の派遣を要請する一方、国に対しては、児童福祉司等の増員要望を行っているところであります。
 次に、保育所の整備についてでありますが、平成23年度においては、10市町、13カ所の整備を行う予定であり、保育所の定員を370人拡大する予定といたしております。
 また、保育所待機児童については、平成23年4月1日現在で5市町、83人となっており、このうち1市1町において、150人の定員増が図られる見込みとなっております。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 小水力発電エネルギー利活用可能性調査事業費についてでありますが、県では、岩手県土地改良事業団体連合会と連携しながら、平成22年度までに県内17カ所で農業用用排水路を活用した小水力発電の導入可能性を調査し、約8割の施設で、ゲートの操作など農業用施設への活用は可能であるものの、現在の発電電力の売電単価では、設置費等の経費の回収までは困難との結果を得ております。
 現在、国では、再生可能エネルギーの活用に向けた法律案が国会に提出されておりますが、売電単価の引き上げ等により、小水力発電の導入可能性は広がるものと期待しております。
 本県は、豊かな水と高低差に富む地形のもと、基幹的な農業用用排水路約1、400キロメートルを有しており、これらの施設を活用した小水力発電の事業化に向けて、可能性調査に取り組んでまいります。
〇県土整備部長(若林治男君) まず、建設業総合対策事業費の内容についてでありますが、建設企業の経営基盤の強化、新分野への進出あるいは企業再編等の取り組みを支援するため、アドバイザーによる経営指導等に要する経費の助成などを行おうとするものであります。
 また、県内建設業を取り巻く状況ですが、県内の建設投資額は、ピークだった平成8年度の1兆780億円に対し、平成21年度は5、760億円とピーク時の約53%にまで落ち込みました。
 東日本建設業保証株式会社の調査結果によりますと、企業の収益力を総合的にあらわす総資本経常利益率が、本県建設企業においては、平成21年度はマイナス3.48%と4年連続のマイナスに加え、全国において最も低い数値となりました。
 今後、災害復旧事業等に伴う建設投資額の大きな変動が見込まれますが、建設企業は、今から経営改善に取り組み、本業を中心とした経営基盤の強化に努めていく必要があると考えているところであります。
 花巻空港整備事業についてでありますが、まず、平行誘導路の事業費は131億7、000万円、花巻空港整備事業費の総額は309億2、000万円であります。
 次に、平行誘導路は、航空機が滑走路から早期に脱出し駐機場に向かう地上走行移動のための施設であり、これにより、滑走路を占用する時間を短縮し、定時性の確保、安全運航等に寄与するとともに、大型機の回転も可能となり、大型機の就航による国際チャーター便の拡大が期待されるものであります。
 次に、国内定期便の利用者の推移につきましては、平成21年度は4年ぶりに前年度を上回ったものの、平成22年度は、名古屋線の運休及び機材の小型化が進んだことにより、24万5、000人と前年度比31%減となりました。
 なお、花巻空港整備事業の費用対効果は、平成20年度の大規模公共事業再評価によると1.4であります。 
 次に、旅客ターミナルビルの占用料についてでありますが、今般の条例の改正は、国際チャーター便の運航ニーズに対応し、国内定期便と国際チャーター便などを同一の時間帯で受け入れ可能とするため、県有施設として国際線出発施設を整備し、新たに整備する施設について、占用料を設定するものであります。
 県といたしましては、平泉の世界遺産登録を契機とした国内外からの観光客の受け入れ態勢の充実を図る観点から今般の施設整備を行ったところであり、今後は、空港機能の向上について海外の航空会社にPRを行うなど、国際チャーター便の誘致に一層取り組んでまいります。
 久慈港半崎地区の工業用地の造成費と売却単価でありますが、造成費は69億5、700万円となっており、平成17年度から平成21年度まで5度にわたり北日本造船株式会社に対して売却しております。売却単価は、1平米当たり9、900円から9、200円となっており、今回は8、470円としております。
 久慈港半崎地区における未売却の工業用地は、今回の売却後、1万4、547平方メートルとなりますが、最も海に面している区画であり、湾内の静穏度が確保されていない状況では、売却が困難と思われます。
 土地の売却金額と造成金額の差額は一般会計から繰り入れる形になりますが、半崎地区の工業用地の売却は、地域の産業振興や雇用拡大につながり、経済効果が大きいものと考えております。
〇選挙管理委員会委員長(八木橋伸之君) 知事及び県議会議員選挙の執行についてでありますが、東日本大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律の規定により、現在は、知事及び県議会議員の任期が4年の原則にかかわらず、例外的取り扱いにより延長が認められているものであり、選挙執行の態勢が整い次第、選挙を執行するのが基本であると考えております。
 選挙管理委員会におきましては、市町村の行政機能の回復を踏まえながら、被災市町村を繰り返し訪問し、その実情の把握に努めるとともに、特に被害が甚大な市町村に対しては、選挙の執行体制の構築に向けて支援してきたところであります。
 このような中、先般、すべての市町村から特例法の期限である9月22日までの選挙執行が可能であるとの意向が示されたこと、すべての市町村において、6月2日現在の選挙人名簿の定時登録を完了していること、選挙を延期している多くの市町村において、8月までに市町村の選挙を執行する見込みであること等の状況から、期限までに執行できない理由はないものと考え、9月11日に選挙を執行する方針を固めたところであります。
 選挙管理委員会といたしましては、被災市町村においても円滑に選挙事務が遂行できるよう、引き続き必要な支援を行いながら、大震災からの復興のかじ取りを担うリーダーを選ぶという大切な選挙の公正かつ適正な執行に全力を傾注していく所存であります。
〇警察本部長(樹下尚君) ヘリテレの活用状況等についてでありますが、ヘリテレは、災害時の情報収集や遭難者の捜索救助活動等に活用しておりますが、主な活用状況につきましては、平成20年には、岩手・宮城内陸地震における被災状況の情報収集や釜石地区周辺の大規模山林火災の状況把握、平成22年には、チリ地震大津波警報発令時における被災状況の確認、このたびの東日本大震災津波では、被災状況の情報収集や総理大臣の警護警備等に活用しております。
 また、他の都道府県警察からの要請があった場合にも、支援に当たっているところであります。
 今回の東日本大震災津波におきましては、地震発生後、直ちにヘリテレ装置を搭載した県警ヘリを沿岸部に向かわせ、津波による被災状況の映像を撮影するなど迅速な情報収集に当たらせました。以降、被災地の被災状況や同時に発生した林野火災、孤立集落の把握等のため、他の県警ヘリの応援を得つつ、ヘリテレ映像による情報収集に努めるなど、災害対策に役立てたところであります。
 なお、撮影した映像については、県警本部のみならず、県災害対策本部にも送信しているところであります。
 次に、新システムの改善点でありますが、現在のシステムは、運用開始から約15年が経過しており、障害発生の不安定要因を抱えながらの運用となっておりましたが、このたびの工事で通信機器類一式を更新するため、安定的な運用が期待できるところであります。
 また、画像の方式がアナログからデジタル方式に変更されるため、高画質で鮮明な映像が取得できるほか、ヘリコプターに搭載しているカメラの拡大率が、現在の約2倍に当たる80倍程度まで向上するため、状況に応じたさまざまな警察活動に、より迅速、的確に対応することが可能になるものと考えております。
〇38番(斉藤信君) 再質問をさせていただきます。
 最初に、知事に、今回の補正予算に対する考え方ということで私は質問いたしました。津付ダムは、これは再検討するということでしたが、簗川ダムも、こういう大災害のときには、やっぱり見直すという決断が必要だと。
 例えば、今、私は花巻空港を聞いたのですけれども、約310億円かけて、今、利用客24万5、000人ですよ。計画を立てたときは50万人いたんですよ。半分に利用客が減って、310億円投資したと。こういう大規模事業のあり方というのは、検証しなくてはならない。 
 簗川ダムだって、河川改修に転換したらもっと安く、そして自然環境破壊なしでやれるわけですから、そういう見直しをすべきではなかったのかと。
 もう一つ、住宅リフォーム助成について、実は去年は19市町村、ことしは25市町村に広がりました。既に6月末の段階で去年の実績を上回る3、923件、31億2、300万円の事業費になっているんですよ。被災地の宮古市、久慈市など6市町村が、被災地沿岸地域でもこれに取り組んでいます。
 私は、こういうときだからこそ、やっぱり本当に地域経済にこういう大きな効果を既にもたらしている事業というものを県としても応援すべきではないのか、これが第1点であります。
 第2点は、再生可能エネルギーの問題について、きょうは環境生活部長と農林水産部長に聞きました。環境省は、再生可能エネルギーの可能性は原発の40倍ある、この日本でですよ、こういう試算をしています。岩手県内のこの可能性というのはどういうふうに試算されるか、把握していれば教えていただきたい。
 これも知事にお聞きしたいんだけれども、再生可能エネルギーの活用を阻んでいるのは、原発推進政策なんですよ。原発を民主党政権で14基もふやす、25%から50%まで引き上げるという方針が、再生可能エネルギーの障害になったんです。
 福島原発事故について、私は政治家としての知事にお聞きしたい。福島原発事故をどう受けとめているか。全く安全性の確立していない危険な技術で、一度事故が起これば放射能を制御できない、放射性廃棄物の処理処分の方法もない。私は、今こそこの原発から速やかに撤退する、期限を決めて自然エネルギー、再生可能エネルギーに大きく転換していくということが求められているし、全国の世論調査でも82%が今、廃炉推進ですよ。そういう方向に自然豊かな岩手県の知事が決断をしてこそ、再生可能エネルギーの活用は進むのではないか。
 最後に、県土整備部長にお聞きしますが、答弁漏れです。久慈の港湾整備事業と売却について、造成時の売却単価は幾らだったか。これを全部売っても造成費の半分ぐらいにしかならないんですよ。そういう赤字をどうするのか、そのことを聞いたんですよ。きちんと答えていただきたい。
〇知事(達増拓也君) 簗川ダムにつきましては、簗川の治水対策という性質上、今年度予算においても着実に進めていくという判断をしたところであります。
 住宅リフォームについては、震災後のリフォーム動向、また、これは震災後、被災地中心としてのさまざまなその他の建設、建築関係の動向等も踏まえながら、具体的な制度設計について検討を行っていくものであります。
 それから、いわゆる脱原発ということとの関係での岩手におけるエネルギー政策ということでは、本定例会におけます一般質問への答弁の中でも答えが述べられていたように、やはり岩手における再生可能エネルギー、自然エネルギーのより発展、開発によりまして、県としてのエネルギー自給率を高めていく方向で臨んでいきたいと思います。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 本県の再生可能エネルギーの賦存量という御質問でございます。
 新エネルギービジョン、これは平成10年に策定したものでございますが、目標値といたしまして、電力換算で55万3、000キロワットというものを掲げたものはございますが、現時点で太陽光発電とか、小水力発電とか、さまざま含めた賦存量について取りまとめたデータはございません。今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) 現在、造成費用が全額で69億5、000万円とお話ししましたが、売れていないところがありますので、売却済みの造成費用は63億4、000万円になります。それで、今回のことも含めて売却金額は27億円になります。その差額36億4、000万円になります。
 ですが、北日本造船については、本社50人、従業員ですね、それから関連企業175人ほど、225人ほどの雇用になっておりますし、今回に際して、工場を増設するということで10人から20人の雇用を見込んでいると伺っております。そういうことからして、地域の産業振興に欠くことができないと判断しております。
〇38番(斉藤信君) 知事に、答弁漏れがありました。私は、福島原発事故を政治家、知事としてどう受けとめているかと。安全神話が崩壊して、今までの原発政策は破綻したのではないですか。知事として、あの事故をどう受けとめているか、改めてお聞きします。
〇知事(達増拓也君) 達増個人として東京電力の原子力発電所の事故に関してどう受けとめているかということでありますけれども、極めて深刻に受けとめております。
 これは、よほど真剣に事態を考えて、まずは、周辺の皆さんの安全の確保、そして放射能の影響が広がらないように、また、広がっているのであれば、その影響を収束化させていくように、本当に国家的な危機管理として対応していかなければならないと思っております。
〇議長(佐々木一榮君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第1号から議案第10号までは、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第23回県議会定例会 平成23年7月8日)
総務委員会
1 議案第1号
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
    歳出 第1款
       第2款
       第9款
   第3条
2 議案第5号
3 議案第6号
4 議案第7号
5 議案第9号
環境福祉委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第3款
       第4款
2 議案第4号
商工文教委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第5款
       第7款
       第10款
   第2条
農林水産委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
2 議案第3号
県土整備委員会
1 議案第1号
   第1条第2項第1表中
    歳出 第8款
2 議案第2号
3 議案第8号
4 議案第10号
   日程第12 請願陳情
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第12、請願陳情を議題といたします。
 お諮りいたします。請願陳情中、受理番号第121号及び第123号から第125号までは、災害対策特別委員会に付託の上、審査することといたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、請願陳情中、受理番号第121号及び第123号から第125号までは、災害対策特別委員会に付託の上、審査することに決定いたしました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時16分 散会

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