平成23年6月定例会 第23回岩手県議会定例会 会議録

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〇9番(岩崎友一君) 自由民主クラブの岩崎友一でございます。
 まず、今回、一般質問の機会を与えてくださいました先輩議員の皆様に感謝申し上げるとともに、このたびの大震災によりとうとい命をなくされた方々に心から哀悼の意を表し、また、被災された多くの方々にお見舞い申し上げます。
 3.11の大震災により我々岩手県民は深く傷つきましたが、かつて9.11の同時多発テロが世界中を混乱と恐怖に陥れたのとは逆に、岩手県民のみならず日本国民全体にとって新たな希望の始まりとなることを切に願いつつ、これまでの質問と一部重複する部分もございますが、通告に従い順次質問いたします。
 まず最初に、東日本大震災津波の対応について伺います。
 3月11日、予算特別委員会の県土整備部の審査の最中、突然の大きな揺れが襲い、委員会は中断、その後、控室のテレビに映し出された映像は、想像を絶するまさに悪夢そのものであり、思わず家族や隣人の顔が脳裏をかすめ、ふるさとの無事を祈らずにはいられませんでした。
 間もなく大震災から4カ月が経過しようとしておりますが、この4カ月を振り返ってみると、まず、大震災直後の県の初動対応がかなり遅かったように思われるところであります。特にも被災市町村への物資の供給は遅く、大規模な自衛隊の派遣や遠野市の後方支援基地としての迅速な対応がなければ、食料や衣料、医薬品等の物資の供給がおくれ、さらなる犠牲者が出たのではないかと思われるほどでありました。
 そこで、今回の教訓を将来に生かすためにも問題点をしっかりと検証していかなければならないわけですが、今回、初動対応がおくれた原因はどこにあるのか、また、県として災害支援物資の備蓄量はどのぐらいあったのか、その供給体制についてどのような問題があったのかお伺いいたします。
 今回、私は、県議会議員として今何をなすべきか、何ができるかを常に考え、避難所回りを繰り返しながら、時々刻々と変わる現地の状況やニーズを県に伝えてきたつもりであります。知事は2月の定例会において、知事の役割について、知ることに尽きると答弁されていらっしゃいますが、知事御自身は、今回の大震災発生時からこれまで被災地の状況を具体的にどれだけ的確に把握され、どれだけスピーディーに対応され、その対応についてどのように評価していらっしゃるのでしょうか。また、4カ月経過した現在における知事の復興に向けた思いはどうか、決意のほどをお伺いします。
 次に、行方不明者の捜索について伺います。
 このたびの大震災においては、発生直後から自衛隊、警察、消防、海上保安庁、さらには各国のレスキューチームには被災地において懸命の救助活動を展開していただき、これらの方々の御尽力により多くのとうとい命が救われ、また、不幸にして行方不明となられた方々の御遺体を御家族のもとにお返しすることができたことについて、心から感謝を申し上げたいと思います。
 しかしながら、懸命の捜索にもかかわらず、県内の行方不明者がいまだ2、000人を超えているという現状はまことに断腸の思いであります。被災地では、大震災から4カ月がたとうとする今でも、毎日、港や基礎だけ残った家の跡、あるいはここで流されたであろうと思われる場所に出向き、行方不明の肉親の姿を求める人の姿が多く見られるなど、悲痛な状況が続いております。最近は警察官や自衛隊の方々の姿もまばらとなっており、捜索活動が既に終了したかのようにも見えるわけでありますが、行方不明者が2、000人を超えている現在の状況をどのように考えているのか、また、現在の捜索活動の状況と今後の方針について伺います。
 次に、被災地の安全確保対策について伺います
 ことし6月28日に、釜石市只越町の交差点で自動車の衝突による死亡事故が発生いたしました。事故は、復興を支援中の県外のNPO職員と、大槌町在住の夫婦の乗った車が出合い頭に衝突したもので、死者1名、重傷1名など、まことに痛ましい限りであります。現場は大震災で信号機が壊れたままで、瓦れきや建物で見通しが悪く、当時、交通整理は行われていなかったようであります。
 そこで伺いますが、大震災により信号機が壊れたままの交差点は現在県内に何カ所あるのでしょうか。痛ましい事故が二度と発生しないよう、危険と思われる交差点には信号機や標識を早急に設置すべきであると考えますが、今後の対応について伺います。
 また、大槌町内の安渡地区を走る県道吉里吉里釜石線は、生徒、児童の通学路になっているわけでありますが、大震災により完全に街灯が破壊され、また、地盤の陥没が甚だしく、雨が降ると道路が水浸しになるなど、危険な状況となっております。このような箇所がなお県内に相当数あるのではないかと懸念するものであり、早急に改善する必要があると考えますが、そういった状況を県としてしっかりと把握できているのかどうか、また、今後の対応について伺います。
 次に、応急仮設住宅について伺います。
 当初、応急仮設住宅の建設完了は7月上旬と言われていたところですが、その後の状況を見ると、どうやらおくれているようであります。避難所生活も既に4カ月近くに及び、避難者の疲労も非常に大きいものとなっております。このままでは、せっかく命長らえ避難したものの、避難所生活で健康を害し、さらには大切な命を失う結果になるのではないかと危惧するところであり、一刻も早い完成、入居が望まれます。現在の着工、完成状況と建設完了のめどはいかがでしょうか。
 また、聞くところによると、日本赤十字社のいわゆる6点セットの搬入がおくれているため、完成しても入居できないといった状況もあるようですが、実態はどのようになっておりますでしょうか。
 また、入居済みの応急仮設住宅では、雨漏りやアリが入るなど、さまざまな苦情が寄せられております。仮設といえども被災者の方々が二、三年の間居住するものであり、その質の確保は重要であります。クレームについては、現在、応急仮設住宅保守管理センターにて対応しているとのことですが、クレームの件数と内容、その原因、対応状況はどうなっておりますでしょうか。また、修繕費用はどこが負担しているのか、現在着工中のものについて、その対策はしっかりと生かされているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、地域コミュニティの再生について伺います。
 応急仮設住宅の入居に当たり、本来であれば、従来の集落ごとに入居できればよいのですが、大震災に伴う津波による建物用地浸水率は、大槌町52%、陸前高田市43%などとかなり高く、被災市町村がいかに工夫を凝らしても、従来の集落をそのまま応急仮設住宅に移すというのは非常に厳しい状況であります。現在、入居の抽せん会が順次行われておりますが、阪神・淡路大震災、中越地震の例を見ても、お年寄りの孤独死が相次いだことは記憶に新しく、特にもひとり暮らしのお年寄りからは、孤独になることへの不安の声ばかり聞こえてくるわけであります。地域コミュニティにだけ関して言えば、むしろ現在の避難所暮らしのほうがいいとする声すらあるのが実態であります。地域コミュニティの重要性は今さら申すまでもありませんが、復興に当たって地域再生の大きな原動力になると考えられるところであります。もとより、地域コミュニティの維持は、一義的には市町村が考えるべき課題ではありますが、県としてどのように支援していくべきとお考えでしょうか、御所見を伺います。
 次に、被災地における産業の復興について伺います。
 今回の大震災により、先人たちが営々として築いてきた沿岸地域の産業基盤は根こそぎ破壊され、今回の大震災が県内経済に及ぼす影響については、はかり知れないものがあると思うところであります。応急仮設住宅の建設に一定のめどがついた今、被災者はより強く働く場所を求めております。しかしながら、元来、今回の被災地である沿岸地域には何十人も雇用できるような企業は多くはなく、2人から5人規模の小さな小売店や事業所が何社も積み重なり、関連し合いながら、全体として大きな雇用を生み出しているのであります。このようなことから、被災地の真の意味での復興は、沿岸地域の産業をいかに復興させるかにかかっていると考えられるところであり、第一に欠かせないのが水産業の復興であります。水産業、とりわけ漁業については、国、県がいち早く漁協を中核として充実した補助制度による支援策を打ち出しているところですが、実際は漁協によって取り組みの進度に大きな隔たりがあるのが現状であります。県は、このような現状をどう認識し、各漁協を指導しながら、今後どのように復興を進めていくお考えか伺います。
 また、今回の大震災により事務所が流失してしまった漁協も多いわけですが、財務体質が脆弱であることもあり、自力で事務所を再建できないのが実情であります。現行の補助制度では漁協事務所の建設費用は補助対象にはならないようでありますが、今回の大震災はまさに非常事態であり、手厚い支援が必要と考えます。漁協事務所の再建についての県の御所見を伺います。
 県においては、水産業を含む被災地の産業復興のため、中小企業被災資産修繕補助事業、被災工場再建支援事業費補助、また、さらにはさんりく基金を活用した被災地復興支援助成事業などによる支援を立ち上げたところでありますが、中には4月の臨時議会で予算化されたものもあり、既に7月になったにもかかわらず、制度の内容が依然地元の事業者に浸透しておらず、また、被災地の事業主がこれらの補助制度を利用する余地は、補助の要件や予算の規模から考えても、そう大きくはないと思われるのが実情であります。すなわち、スピード感に欠け、しかも余りに少ないのであります。個人事業主や小規模企業が圧倒的に多くを占めている被災地の現状を考えると、たとえ少額であっても、事業の規模にマッチした補助要件と十分な予算に裏打ちされた支援事業を早急に立ち上げ、被災地に浸透させることが肝要なのではないでしょうか。被災地の産業振興はまさに時間との戦いであります。県は、このような現状をどう考え、また、今後どのように改善し、被災地の産業復興を進めていくお考えか伺います。
 また、企業の再生や誘致をスムーズに行う上で規制緩和は欠かせません。例えば、沿岸地域は後背地が少なく、津波浸水地域外に企業を移転させたり、誘致するに当たり農業振興地域の解除などが必要でありますが、解除手続には少なくとも半年以上を要するとも聞き及んでいるところであります。このように既存の国の法や制度が迅速な復興の妨げになっているような実例は多くの分野に及んでおり、また、特定分野に注力した振興策を短期間で集中的に実施することなど、この際、国の思い切った対応が不可欠であると考えられるところであります。このような被災地の実情を受けて、県においては、現在、国に対していわゆる復興特区の指定を要請していると聞いているところでありますが、土地利用規制等の手続のスピードアップ等の内容と実現の見通しについて伺います。
 次に、雇用確保対策について伺います。
 国においては、被災地の産業の復興対策と相まって地域雇用開発助成金、被災者雇用開発助成金の支給などをその内容とする緊急雇用対策に鋭意取り組まれていると承知しているところであり、また、県においては、先般の補正予算により、瓦れき撤去のための臨時的雇用を事業化したところではありますが、実際には募集人員に全く達していないのが実情ではないでしょうか。その原因は、被災者の多くが長期的に働ける場所を求めていること、また、瓦れき撤去は女性に向いていないことなどが挙げられます。そのような実情から、被災地の産業を早期に復興させることが何よりも重要であり、また、短期的には女性向けの緊急雇用対策も必要であります。これらの点について、県としてどのように考えているのか、まず伺います。
 沿岸地域は1人当たりの所得水準が低いため、共稼ぎにより一家の家計を支えているという就業構造が伝統的に存在します。漁業、水産加工業等の基幹産業を中心とした被災地の産業復興を推し進めることにより雇用機会を増大させることは無論重要ですが、並行して県内外から被災地への企業誘致を積極的に行うことにより、さらなる雇用機会の増大を図ることも必要ではないでしょうか。
 今回の震災により、企業側にも災害によるリスクの分散や被災地への転進による被災地支援の動きが出始めていると聞き及んでいるところでもあり、被災地への企業誘致を積極的に進めるべきではないかと考えるところでありますが、県のお考えと今後の対応について伺います。
 次に、被災した児童生徒の教育の充実と心のケアについて伺います。
 沿岸部の学校においては今回の大震災で被災した学校が多く、同じ市町村内の被災を逃れた学校で何校かが共同で授業を受けている状況であります。そういった環境下で授業の再開がおくれ、また、避難所で生活をしている生徒も多数いるため、宿題や予習、復習も満足にできないなど、学力の低下が懸念されるところであります。被災した児童生徒が大災害を乗り越え、沿岸地域の将来を担う人材としてたくましく成長できるよう、また、同年代の児童生徒と格差が生じないよう、しっかりとした教育と心のケアが必要であると考えるところであります。被災した生徒、児童の教育の質と量、両面の保障、さらには心のケアについてどのように対応するのか、現状と今後の対応方針について伺います。
 次に、被災地における医療問題について伺います。
 今回の大震災では、被災の状況が余りにも広範囲であり、ライフラインも全く機能しない中、県立病院や開業医の先生方が、他都道府県の先生方の応援をいただきながら、大震災の翌日から各避難所で診察を行うなど、現在に至るまで地域住民の生命維持の最後のよりどころである医療体制を必死に維持してまいりました。
 県立病院にあっては、沿岸部の三つの県立病院が被災しておりますが、大槌及び山田病院では仮設診療所での診察が始まり、たとえ仮設であっても、地域の医療拠点が再開したことは復興の第一歩ではないかと思うところであります。しかしながら、入院施設がないこと、また、釜石二次医療圏でいえば釜石病院も耐震の工事中であり、病床数が少ないことから、地域住民の不安はまだまだぬぐい切れない状況であります。これから本格的な復興へと進んでいくわけですが、現在に至るまで県立病院を中心として築き上げた地域医療のネットワークを引き続き維持するためにも、入院施設を含めた早期復興が望まれるところであります。釜石病院の耐震工事の終了めど、同様に被災した高田病院の仮設診療所の立ち上げ状況はどうか、立地を含めた被災県立病院復興の今後の方向性を医療局としてどのように考えているのかお尋ねいたします。
 次に、ドクターヘリの導入について伺います。
 このたびの大震災におけるヘリコプターの活躍は記憶に新しく、道路交通網が寸断された中で、人命救助、救急搬送、支援物資の輸送とまさに八面六臂の目覚しい働きをし、中でも被災地からの重症患者の広域医療搬送には大きな威力を発揮したところであります。
 昨年12月定例会の私の一般質問に対する答弁の中で、平成23年度のヘリポート整備、平成24年度の運航開始というスケジュールをお示しいただきましたが、今回の大震災を経てその有用性が証明され、必要性がますます高まったと考えられ、一刻も早い整備が望まれるところであります。現時点における取り組みのスケジュールについてお伺いします。
 次に、復興に向けた道路網整備について伺います。
 今回の大震災では、道路のネットワークが寸断され、大槌町、山田町は陸の孤島となりました。大震災の経験から、本県沿岸部を結ぶ三陸縦貫道、三陸北縦貫道及び八戸久慈道、また、沿岸部と内陸部を横に結ぶルートの道路ネットワークの重要性が改めて浮き彫りとなったところであり、さきの質問で各先輩議員の皆さんが取り上げたとおり、その重要性は言うまでもありません。
 今回、私が取り上げたいのは、県道大槌小国線土坂峠と国道340号立丸峠のトンネル化であります。今回の大震災において、大槌町、山田町への自衛隊の救援活動、物資の搬入の際、盛岡市からは国道106号から土坂峠を通るルート、後方支援基地である遠野市からは立丸峠から土坂峠を通る唯一のルートが使用されましたが、いずれも山間部の交通の難所であり、冬期間は交通が著しく制限される場所であります。大震災は3月ということもあり、積雪が少なかったわけでありますが、それでも朝夕は凍結しており、高齢者や女性の方々を初め大勢の方々が通行できない状況でありました。
 今さら申し上げるまでもなく、土坂峠及び立丸峠にトンネルが開通していれば、迅速かつ適切な救援活動がさらに大規模に行われていたであろうことは想像にかたくありません。土坂峠のトンネル化については、さきの12月定例会において私が取り上げたところであり、また、立丸峠のトンネル化についても、これまでにも幾度となく議論されてきているところでありますが、まさに今がその整備を促進すべき時期であり、地元住民からもその必要性を訴える声が日に日に大きくなっているところであります。今回の大震災を受けて、土坂峠及び立丸峠のトンネル化について、今後の整備の見通しを含め知事の御見解をお伺いします。
 次に、今後のまちづくりにおける減災対策について伺います。
 かねて県は、万一の津波災害に備え、過去の被災エリアを踏まえたハザードマップを作成しているところですが、今回の大震災においても、そのハザードマップの被災エリアを参考に適切な対応がなされていれば、被害のうち、かなりの部分は防げたのではないかと考えられるところであり、今さらながら切歯扼腕の思いがいたします。天災は忘れたころにやってくるとは、物理学者寺田寅彦の名言でありますが、本県沿岸部においても、ここから先には家を建てるなという内容を刻み込んだ石碑が随所に存在することは広く知られているところであり、先人がその生命であがなった貴重な教訓、明治28年、昭和8年の三陸津波、昭和35年のチリ地震津波の教訓は的確に生かされたのでしょうか。果たして、このハザードマップは被災市町村に確実に浸透していたのでしょうか。大震災を受けた直後の今が、新たなまちづくりをしっかり議論し、実行していくまたとないチャンスではないでしょうか。
 今回の大震災の被災状況を含めて、改めて県からハザードマップの内容を各市町村へ伝え、徹底し、新たなまちづくりに生かしていくことが必要であると考えます。今後のまちづくりにおける減災の取り組みについて具体的にお示しいただきたいと存じます。
 次に、被災市町村への職員派遣について伺います。
 今回の大震災では、市町村役場が被災したり、また、職員の方々が犠牲になるなど、その行政機能が著しく低下している市町村が多く、大槌町においては、町長を初めとする町の幹部が死亡あるいは被災したため、行政機能がいまだに回復していない状況にあるなど、今回の大震災の被害の深刻さを改めて認識するところであります。
 県内あるいは全国の自治体などから既に多くの職員を被災市町村に派遣していただいているところではありますが、なお十分とはいえず、義援金の支給を初めとした各種手続のおくれなど、市町村役場機能の著しい低下が住民の不安や不満のもととなっているなど、迅速な復興の妨げとなっているのが実態であり、秋には知事選、県議選のほか、大震災で延期されていた被災市町村の首長選、市町村議選も予定されており、さらなる職員派遣が必要となってまいります。
 また、さらに市町村行政のマンパワーの長期的な確保が必要であることは、復興に欠かせない基本条件として疑いのないところであります。現在の被災市町村における派遣職員の状況、被災市町村の行政機能を県としてどこまで把握できているのか、また、秋の選挙時の派遣体制、今後における十分かつ長期的なマンパワーの確保について県はどのように考えているのか、お考えを伺います。
 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきますが、答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、初動対応についてでありますが、今回の東日本大震災津波の発生と同時に災害対策本部を設置し、直ちに自衛隊等に災害派遣を要請するとともに、各部局に対しては、適切な状況の把握に最大限努めた上で、被災者に寄り添い、スピード感をもって対応するよう指示したところであります。しかしながら、発災直後において、大規模停電及び通信網の断絶が続いたことにより、沿岸被災地の状況の把握は困難をきわめ、道路網の寸断、燃料不足、物流の混乱等により、被災地への支援物資輸送等におくれを生じた面もあったと認識しております。
 また、県としての災害支援物資備蓄と供給体制についてでありますが、県においては、大規模災害時における生活必需品、食料及び飲料などの供給については、民間企業、各種団体と協定を締結しておりますほか、市町村の備蓄を補完するため、例えば乾パン5、000食、毛布1、500枚など所要の災害用備蓄資機材を消防学校に常時備蓄してきたところであります。
 こうした備えを整えていたものの、ただいま申し上げましたとおり、発災直後において、ライフラインの途絶及び燃料不足等が生じたことにより、支援物資輸送におくれを生じたものであります。
 次に、これまでの対応とその評価についてでありますが、発災直後における災害対策本部の設置、自衛隊等への派遣要請に加え、翌日には被災地を上空から視察し、被災地の被害のすさまじさを目の当たりにいたしました。
 被災地の被害情報等につきましては、災害対策本部員会議等の場で各部局や広域振興局から適時報告を受けるとともに、直接すべての沿岸市町村に赴いて被災者や被災市町村長等からの声に耳を傾けるなど、被災現場の状況把握に努めてきたところであります。
 また、発災直後においては、大規模な停電や通信網の遮断、道路の寸断等により、必ずしも十分な状況把握ができなかったことは事実でありますが、自衛隊を初めとします関係機関の協力をいただきながら、人命救助、避難場所への生活物資の輸送、インフラの復旧等に全力を挙げて取り組んできたところであり、このような困難な状況の中では、十全とは言えないまでも、平素の準備や訓練の成果が発揮できたのではないかと認識しております。
 次に、復興に向けた決意についてでありますが、今回の東日本大震災津波は、明治以降、本県の歴史の中でも経験したことがないような大災害となっておりますが、この困難を克服し、必ずや本県の復興を実現するため、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造に向けて、県民と一緒に全力で取り組んでいく決意であります。
 次に、土坂峠、立丸峠のトンネル化の見通しについてでありますが、主要地方道大槌小国線土坂峠については、早期に整備効果が発現できる現道拡幅区間の約1.1キロメートルについて、平成14年度から事業を進めています。
 一般国道340号立丸峠については、当面の対策として、急カーブや見通しの悪い箇所などの交通隘路箇所の解消を図るため、平成18年度から33カ所の局部的な改良に取り組んでいます。
 今回の東日本大震災津波において、大槌小国線、国道340号は、震災時の避難道路や内陸からの緊急物資の輸送道路として有効に機能したところでありますが、土坂峠、立丸峠のトンネル化については、現在、国で検討している防災機能の評価のあり方を注視しながら、県全体の道路整備計画の中で、交通量の推移などを見きわめながら、総合的に判断していく必要があると考えております。
 次に、今後のまちづくりにおける減災対策についてでありますが、本県における津波対策の基本的な考えとして、再び人命が失われることのないように、多重防災型まちづくりを推進することと、防災文化を醸成し継承することを目指しているところであります。
 具体的には、被害状況や地理的条件、歴史や文化、産業構造などに応じて、その地域にふさわしい海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策を適切に組み合わせた多重防災型まちづくりを進め、被害をできるだけ最小化するという減災の考えにより安全の確保を図ることとしています。
 こうした考え方によりますと、海岸保全施設だけでは防御できない津波に対して、避難場所を確保するための堅固な避難ビルや避難タワーの配置、ふだんからの防災意識の向上といったソフト対策を充実させることにより、二度と人命が失われることがないまちづくりを進めていくことが必要であります。
 県では、津波に対し想定される海岸保全施設によるシミュレーションに基づいて、浸水範囲や浸水深さ、津波到達時間などの災害予測や避難に関する情報を提供し、市町村が新たに策定するまちづくり計画の支援を行っています。
 今後、それらの情報をもとに、市町村において、ハザードマップ作成や住民等への周知活動等が行われることが考えられますが、県としては、技術的助言などを通じて、それを支援していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、被災した県道の安全の確保についてでありますが、東日本大震災津波により、県管理道路の照明灯は、沿岸全域で155基が被災しております。降雨や高潮による浸水箇所は5路線、5カ所と把握しております。
 これまで、一部浸水箇所では、応急的に迂回路の設置や路面のかさ上げなどを行ってきたところではありますが、いまだ浸水する一般県道吉里吉里釜石線安渡-赤浜間については、早急にさらなるかさ上げを行う予定であります。
 今後、その他の被災箇所につきましては、地域の実情や緊急性を踏まえ、災害復旧事業等により本格復旧に努め、安全な通行の確保を図ってまいります。
 次に、応急仮設住宅の整備状況につきましては、これまでに1万3、833戸すべてが着工しており、7月4日時点での完成戸数は1万80戸となっております。
 建設完了は7月上旬を目標としておりましたが、造成工事の実施などにより、一部の団地におきまして10日前後の完成のおくれが発生しております。一刻も早い完成に向けて建設を進めてまいります。
 次に、応急仮設住宅のクレームの件数は、6月末までに818件寄せられておりまして、その内容は、雨漏り、すき間、給排水設備の水漏れ、玄関かぎのふぐあいなどとなっています。原因は、施工上の精度が不十分であったと判断しているところであります。
 6月20日から、応急仮設住宅保守管理センターを設置いたしまして、土日を含む24時間体制で、修繕の手配など迅速な対応に当たっております。
 修繕費用は、建設時の施工不良が原因でありますので、建設を行った事業者が負担をしております。
 また、工事中の物件にありましては、これまでのふぐあい発生の状況を踏まえ、入念な工事の実施を要請いたしますとともに、完成後のさらなるチェック等により、ふぐあいの未然防止を図ることといたしております。
   〔理事廣田淳君登壇〕
〇理事(廣田淳君) まず、日本赤十字社の6点セットの搬入のおくれについてでありますが、日本赤十字社の家電6点セットにつきましては、被災者の応急仮設住宅への入居日までに納入されますよう日本赤十字社に対して要望してきているところであり、日本赤十字社においては、市町村からの設置依頼があってから、おおむね2週間以内に納入するなど、早期納入に御尽力をいただいております。
 家電6点セットの納入のおくれの原因としましては、日本赤十字社に、家電設置予定日の2週間前までに提出することになっている設置依頼シートの提出のおくれが見受けられるところであります。
 このことから、県としましては、6月23日付で、市町村に対しまして、応急仮設住宅への円滑な入居を図るためにも、設置依頼シートの早期提出について通知し、督促をしておりますほか、個別に相談や支援をしているところであります。
 今後におきましても、応急仮設住宅への円滑な入居を図るために、市町村、日本赤十字社とよく連携し、家電6点セットの早期納入を図ってまいります。
 次に、地域コミュニティの再生についてでありますが、応急仮設住宅の入居に当たりましては、国から被災者、特に高齢者などが安心して居住できますよう、地域の実情に応じ、従前のコミュニティが可能な限り維持されるような配慮が求められておりますほか、一定規模以上の応急仮設住宅団地につきましては、集会所や談話室など、住民の交流に必要な施設が整備されてきているところであります。
 これを受けまして、各市町村では、応急仮設住宅への入居者選定に当たりまして、抽せんのみで決定するのではなく、従来住んでいた地区に入居できるような配慮、あるいは地区ごとにまとまっての入居、高齢者や子供のいる世帯などの優先世帯と一般募集世帯を組み合わせた抽せんをするなど、地域コミュニティの維持について配慮してきたところでございます。
 県としましても、先般、応急仮設住宅運営に当たってのガイドラインを各市町村に提供し、NPO、ボランティアと連携協力した見守り体制の構築、地域コミュニティの維持、育成のほか、応急仮設住宅団地内の遊具やベンチ、プランター等、コミュニティスペースを確保するよう進めているところであります。
 地域コミュニティは、その地域で暮らす方々の自発的な取り組みが基本であり、その支援は、まず市町村が担うことが求められておりますけれども、県としましても、市町村、NPO、ボランティア等と連携しながら、仮設住宅入居者のコミュニティ形成、維持に向け積極的に支援していく考えであります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 水産業の復興についてでありますが、今般の東日本大震災津波では、沿岸24漁協のうち14の漁協の事務所が流失または全壊したほか、多くの漁協役職員の方々が犠牲となり、また、被災した役職員あるいは組合員が地域から離れざるを得ないような状況も発生するなど、一部の漁協では、漁協機能が一時失われるほどの甚大な被害を受けたところであります。
 一方で、事務所や職員が大きな被災を免れ、被災の早期段階から復興に向けての取り組みに着手した漁協もあり、被災の度合いが、その後の取り組みにも大きな影響を与えているものと認識しております。
 このようなことから、県では、県内漁協すべてを巡回し、事務所の被災状況や事務執行体制の課題、復興に向けてのニーズ、要望をきめ細かく調査したところであり、被災の程度に応じて、重点的な指導が必要と考えられる漁協については、本庁、現地機関、市町村及び系統団体の担当職員で構成する支援チームにより、早期の復興に向けて、より手厚い指導助言に取り組んでまいります。
 次に、漁協事務所の再建についてでありますが、事務所の流出や全壊、OA機器や会計データの滅失などにより、漁協機能が十分に発揮できない状況となったことから、さきに予算措置した漁業協同組合等機能回復支援事業により、被災した漁協事務所の復旧工事やOA機器などの支援をしているところであります。
 県といたしましては、水産業の再生に当たっては、その中核となる漁協の事業推進機能の回復が重要と考えており、引き続き、機能回復に向けた取り組みの支援に努めてまいります。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、被災企業の支援についてでありますが、新たに創設いたしました被災資産の修繕費補助については、準備が整った市町村から順次受け付けを開始しており、さらに、さんりく基金では、主に小規模事業者を対象とした助成制度を創設し、今月から受け付けを開始しております。
 しかしながら、これら補助金に係る予算は限られておりますことから、補助金を希望するすべての被災企業に対して交付することは、極めて困難であります。
 こうしたことから、基本的には、県や政府系金融機関の融資制度を活用して、それぞれの企業の再建を図るように求めているところであります。そのため、県では、発災直後に、被災企業を対象として保証料を減免する融資制度、さらには、6月から長期低利で大型の融資制度を創設するなど、中小企業への手厚い金融対策を講じているところであります。
 また、こうした融資制度の活用に当たりまして、喫緊の課題である二重債務問題について、早急に根本的な解決策を示すよう、国に対して強力に要請しているところであります。
 さらに、個別の企業に対しましては、商工団体と連携し、専門家による再建計画の策定や経営指導を行うとともに、県としても、7月から沿岸広域振興局に総括課長級の専任職員を配置し、被災企業からの相談にきめ細かに対応することとしており、こうした対策を通じて、企業の復旧、復興支援に努めてまいります。
 次に、女性向けの雇用対策についてでありますが、緊急雇用事業は、失業者に対する当面の雇用の場を提供するものであり、求人に当たっては、男女の区別を設けているものではございませんが、発災以降実施した事業において雇用された約3、000人のうち、半分の約1、500人の業務内容が漁港周辺の瓦れき処理などであるため、結果として男性の雇用が多くなっているものと思われます。
 その他の事業としては、仮設住宅入居者への支援物資等の配布、タウン誌の配布、高齢者や子供の見守り、漁具の修理、県、市町村の事務補助など、短期の仕事ではありますが、性別や年齢にかかわりなく就業できる仕事の提供も行われてきたところであります。
 今後におきましても、市町村と十分に連絡を取り合いながら、仮設住宅入居者に対するきめ細かなケアを行う業務や食品事業者等の新商品開発に関連する業務など、復旧、復興のそれぞれの段階に応じ想定される被災地のニーズに対応した多様な雇用の場の創出に努めていきたいと考えております。
 次に、被災地への企業誘致についてでありますが、今回の大震災以前から、沿岸地域におきましては、例えば、企業立地促進奨励事業費補助の補助率を内陸部より高く設定するなど、沿岸部に対しましては、重点的に企業誘致を進めてきたところであります。
 震災後、沿岸地域での雇用情勢は一層厳しさを増しておりますが、雇用の創出という観点からも企業誘致は非常に有効であると考えており、今後とも、内陸地域より有利なインセンティブを活用し、地元市町村と密接に連携しながら積極的に取り組んでまいります。
   〔理事平井節生君登壇〕
〇理事(平井節生君) 土地利用手続のスピードアップ等の内容と実現の見通しについてでございますが、沿岸地域におきましては、大規模に被災し、地盤沈下や防潮堤の損壊等により市街地としての適地が縮小し、市街地と農地の入れかえ等、大幅な土地利用計画の見直しが必要な市街地が存在いたします。
 復興事業を円滑かつ迅速に進めるためには、土地利用調整に関連した都市計画法、農業振興地域の整備に関する法律、森林法に基づく変更手続、さらには、国土利用計画法に基づく関係省庁協議、審議会等の開催、意見聴取に係る手続の簡素化や権限移譲が必要でございます。
 県では、被災市街地において、各個別法における調整手続を一元化し、大幅な土地利用計画の見直しについて市町村単位で調整ができる仕組みを、区域、期間を限定した岩手まちづくり特区の一つとして国に要望し、国の復興構想会議の復興への提言においても盛り込まれたところでございます。
 今後、本要望が実現するよう、国の補正予算編成のタイミング等を見据えて要望活動等を行ってまいります。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) 被災した県立病院についてでありますが、まず、釜石病院については、現在、地震により損傷した病棟の改修工事及び耐震化工事を行っているところでありますが、早期の入院患者受け入れに向け、建物の階層ごとに段階的な施工を行うなどし、8月下旬には4階から6階までの198床、10月下旬には産婦人科病棟である3階部分の48床、計246床を再開する予定であり、これにより被災前と同じ272床すべてが稼働となる見通しでございます。
 高田病院については、まずは外来診療機能の回復に向け、7月1日から、これまでの診療拠点である陸前高田市内米崎地区のコミュニティセンターにおいて、外来の保険診療を再開したところでありますが、さらに、米崎地区に仮設診療施設を整備することとしており、今月末の開設を目指し、鋭意取り組みを進めているところであります。
 また、被災した県立病院のその後についてでございますけれども、先般公表された県の復興基本計画案では、新たなまちづくりに連動した、災害に強く、質の高い保健医療・福祉提供体制を整備することとし、医療機関については、高台への移転等まちづくりと連動した整備を進めることとしていることから、今後、地元市町とも十分に連携を図りながら、被災地域の医療提供体制が確保されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) ドクターヘリの導入に向けた取り組みのスケジュールについてでありますが、去る6月21日に、関係機関による第3回ドクターヘリ運航調整委員会準備会を開催し、ドクターヘリの運航開始までの事業スケジュールについて検討を行ったところであります。
 具体的には、関係機関や市町村などと十分に調整を図りながら、今年度中にドクターヘリの運航ルールの策定や各拠点病院のヘリ離発着場所の確保、整備を行うほか、岩手医科大学矢巾キャンパス内に、基地ヘリポートや格納庫等を整備することを確認したところであります。
 なお、救命救急センターを有する県立病院へのヘリポートの整備につきましては、災害の影響により、整備が一部平成24年度までずれ込むことが想定されておりますが、この場合におきましても、病院の近隣地域に離発着場を確保することなどにより、予定どおり、平成24年度のできるだけ早い時期の運航開始を目指し、取り組みを進めてまいります。
   〔政策地域部長千葉茂樹君登壇〕
〇政策地域部長(千葉茂樹君) 被災市町村への職員派遣についてでありますが、行政機能回復のための本格的な中長期の職員派遣につきましては、7月1日現在、行政機能の甚大な被害がありました大槌町に26人、陸前高田市への57人を初め、沿岸10市町村に対して145人の職員を派遣する調整を行ってきているところであります。
 こうした職員派遣や仮庁舎の整備などにより業務環境が次第に整ってきつつあり、また、例えば市町村における住民基本台帳ネットワークへの接続は、昨日の大槌町及び今月末の陸前高田市をもってすべて復旧する見込みとなっているなど、基本的な行政機能の回復に向け着実に進んでいるものと認識しております。
 また、本年度においては、今後、選挙の執行が予定されておりますことから、その準備が円滑に進むよう、両市町に3人ずつの他市町村職員を派遣しているほか、投票日など職員の増員が求められる場合には、必要な派遣を行っていくこととしております。
 さらに、仮設住宅入居後の被災者に対する生活支援や福祉サービスの提供、市町村の復興計画に基づくまちづくりのための事業実施など、各市町村の復旧、復興の段階に応じて派遣の要請内容が変化していくことが予測されますことから、国等、関係機関の協力も得ながら、引き続き必要な職員派遣を行ってまいりたいと考えております。
 こうした復興への取り組みは相当の期間にわたるものと見込まれ、一部市町村からは、既に来年度以降の職員派遣の希望が寄せられております。来年度以降におきましても、被災市町村の実情や要請を踏まえながら、職員の派遣を行うなど、引き続き市町村の行政機能の回復のための人的支援に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 教育の充実についてでありますが、まず、教育の質に関しては、何よりもきめ細やかな指導を行える体制を整える必要がありますことから、沿岸部を中心に、教職員の加配措置を講じたほか、教具及び備品等の整備に努めてきたところでございます。
 今後は、仮設校舎への移転等に伴う備品の補充や授業内容に対応した教材の整備等について、対応してまいりたいと考えております。
 教育の量に関しましては、特に授業時数の確保が課題でございます。各学校においては、行事日程などの見直し・削減、長期休業の日数を減ずるなどいたしまして、年間を通じて規定の日数を確保するよう努めているところでございます。
 今後とも、市町村教育委員会の意向を十分に踏まえつつ、適切な教育環境の整備と教育水準の維持に向けて努力してまいります。
 次に、被災児童の心のケアについてでありますが、通常行っておりますスクールカウンセラーの配置に加え、県外から招聘いたしました臨床心理士58名を6週間、被災沿岸の公立小・中・高・特別支援学校113校に派遣いたしまして、子供たちに対する心のサポートを行ったところでございます。
 今後は、甚大な被災を受けました6市町教育委員会及び3地区の県立学校に対しまして、週2回程度、臨床心理士を常駐させ、継続的なカウンセリングを受けることができる体制をつくってまいりたいと考えております。
   〔警察本部長樹下尚君登壇〕
〇警察本部長(樹下尚君) 行方不明者の捜索についてでありますが、県警察としては、発災以降これまでの間、自治体や自衛隊、消防、海上保安庁等の関係機関と連携を図りながら捜索活動を実施し、7月7日現在、4、578人の御遺体を収容したところであります。
 発災当初は1日数百人の御遺体の収容がありましたが、現在は、瓦れき撤去に伴う捜索や海岸線での捜索を中心としており、1日数人の御遺体を発見、収容しております。
 また、収容された御遺体の身元の確認状況につきましては、いまだ約15%の御遺体の身元が判明していないことから、引き続き、所持品、DNA、デンタルチャートなどにより確認作業を進めてまいりたいと考えております。
 県警察としては、今なお多数の方が行方不明となっていることから、今後とも捜索体制を確保して、引き続き行方不明者の捜索、御遺体の身元確認を継続してまいりたいと考えております。
 次に、被災した信号機等の早急な設置についてでありますが、今回の震災による信号機の被災状況につきましては、沿岸5警察署管内に設置してある信号機の約4割に当たる151カ所が被災しておりまして、現在、滅灯状態の信号機は126カ所となっております。 
 信号機の復旧に関しましては、震災後、交通流量が多く、緊急に復旧が必要と認められた主要交差点について、5月11日までに9カ所を仮復旧させております。また、早急に復旧が必要と認められる交差点の信号機36カ所につきましては、さきの補正予算で措置されており、早急に整備を進めてまいります。残る信号機につきましても、瓦れきの撤去、道路の復旧による交通流量の変化を勘案し、早期の復旧を進めてまいりたいと考えております。これらの信号機が復旧するまでの間、交通流量等を勘案し、必要性の高い交差点については、警察官による交通整理や臨時の一時停止標識を設置し、あわせて交通安全広報を実施しながら、交通事故防止に万全を図ってまいります。
〇9番(岩崎友一君) 御答弁ありがとうございました。
 以下、何点か再質問のほうをさせていただきたいと思うんですけれども、まず、大震災後の対応についてであります。
 震災後の対応として、物資の供給、燃料の供給がやはりおくれたということに関しては、今、知事から答弁がありまして、こういったことに関しては今後しっかりと生かしていくべきだと思います。今後、しっかり生かしていくという意味では、実際、どういった事実があったかというのを把握するというのが大事だと思うんですが、きのうの久保議員の、法や制度の枠組みにとらわれない支援方法等の検討という中で、総務部長から、在宅避難者の概念に着目いたしまして物資等の支援に早い段階から取り組んだという答弁があったと思うんですが、実際私も現地に行って、震災から1週間、2週間たった段階で、在宅避難者にとにかく物が届かないということで、避難所からどういうふうにしてそこに物を回そうかというのが課題としてあったのをしっかり覚えております。きのうの答弁ですと、総務部長の認識がちょっと違うと思いますので、その辺もしっかり検証していただいて、その事実というものを検証して今後に生かしていただきたいと思いますけれども、そのことに関して答弁をいただきたいと思います。
 それと、この4カ月間の知事のいろいろ思いとかも聞きましたけれども、実際、現地にいますと、知事のトップとしての思いというのがなかなか伝わってこないわけであります。
 そこで、知事にお伺いしたいんですけれども、大震災後、知事は現地に何回足を運んでいただいたのか。また、4月11日に知事は、がんばろう!岩手宣言ということで釜石高校に行っていると思うんですけれども、その際、知事は、避難所となっている釜石高校の雰囲気をどのように感じたか、また、そこの被災者とどういう会話をして、どういう声をかけたのかを教えていただきたいと思います。
 2点目が行方不明者の捜索についてであります。先ほども私が申し上げたとおり、今回の捜索に関しては本当に感謝を申し上げるところなんですが、まだ2、000人以上不明者がいるという中で、今、現地では、遺体が骨で見つかったとしても、よかったねとみんなが声をかけるんです。本来、もう死んでいるので、よかったという表現もちょっとおかしいとは思うんですけれども、見た目ではっきりわからなくても、骨でもいいから見つかってほしい、見つけてほしいという思いが強いわけであります。
 そこで、今、瓦れきの撤去もかなりはかどってきまして、現地ではやっぱり海の中の可能性が高いのではないかという声があるんですが、警察本部として、その辺をどのように考えているのかと、もし、海の中が多いと読んでいるのであれば、大規模な捜索活動とか、そういったものも行っていただきたいと思うんですが、その辺を含めて本部長にも答弁をいただきたいと思います。
 三つ目が応急仮設住宅についてであります。クレームの対応に関してなんですけれども、実際、現地では対応が遅いというような声が聞かれるわけでありますが、その対応に関して、クレームの内容によってその対応の期間は違うと思うんですが、どの程度時間を要しているのか、何か具体例を挙げて御説明をいただきたいと思います。
 それと、四つ目なんですけれども、産業の復興についてであります。今、国なり県でかなりそういった支援制度というものがあると思うんですが、実際、県のほうでも担当部、担当課が違うということで、なかなかやっぱり、現地の人がその内容とかを全く理解できていないという状況でありますので、これからそういった支援策を立ち上げるにしても、例えば復興局ですべてを取りまとめて、現地の事業者にわかりやすく、相談できる体制を整えていくべきだと思うんですけれども、その辺の御所見もお伺いさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇知事(達増拓也君) まず、被災地訪問の回数でありますが、これまで17回、延べ37市町村を訪問しております。
 発災直後におきましては、被災市町村と県の連携体制の構築が重要と考え、市町村長を初めとする市町村関係者との意見交換を密に行うよう意を配りました。その結果、市町村と県の歩調を合わせることができ、沿岸地域市町村復興期成同盟会の結成と県との連携にもつながったと思っております。また、並行して内閣総理大臣や関係大臣などに対して被災地の状況を伝え、ガソリン等燃料不足問題など喫緊の課題について要望を重ね、その解決が図られるよう取り組んだところであります。
 一方で、発災直後に被災者一人一人に十分寄り添うことができなかったことには、じくじたる思いがございます。こうしたさなか、岩崎議員を初め県議会議員の皆さんが被災地においてきめ細やかな対応をしてくださったことに、心から感謝を申し上げます。
 初動期の対応について、今回の災害が未曾有のものであり、類例のない体験だったことから、十分な検証、分析を重ね、他の自治体の参考ともなり得るよう、大規模災害対策の強化につなげてまいりたいと思います。
 また、4月11日、避難所におきましては、被災者の皆さんが抱える先行きの見えない不安や思い、訴えを真摯に受けとめるよう努めたところであります。こうした中で、市町村、県、国、行政がフルセットで被災者に寄り添い、被災者一人一人の直面する課題を解決していくこと、そして、必ずや本県の復興を成し遂げようという決意のもとに、がんばろう!岩手宣言を発表したところであります。
〇総務部長(加藤主税君) 昨日の私の答弁についてお尋ねがございました。在宅避難者の方々への物資供給ということでございます。早い段階から取り組んだという答弁、表現をさせていただきましたが、舌足らずな面があったかもしれません。もしそれで誤解を招いたといたしましたら、おわび申し上げたいと思います。
 物資供給につきましては、先ほど知事からも答弁申し上げましたとおり、さまざまな制約要因等もございまして、そのおくれが生じたという面があったということは事実と認識しております。さまざま被災地へどう届かせるかというところも課題でございましたし、また、被災地の市町村の集積所に送った後、それを隅々のそれぞれの避難所までどう行き届かせるかといったところも課題でございました。これらにつきましては、自衛隊等関係機関の御協力もいただきながら順次解消していったわけでございます。さらに、その過程の中で、避難所に届かせるだけではだめだと。在宅で避難されているというか、在宅で過ごされている方々も物資について非常に困窮されているという課題を我々も把握いたしまして、その課題につきまして、そもそも在宅避難者という概念はどうかという議論がありましたが、そういうふうな議論に過度に拘泥するというか、それにとらわれることなく、それについて国の解釈等まだまだ明確でなかったわけでございますが、それには拘泥せずに、実際困っている方がおられるということでございますので、速やかに、その課題が出てきた段階で在宅の方々にも物資が届くように取り組ませていただいたと、その辺のところを早い段階からと申し上げたのでございますが、時系列的な面でちょっと誤解が生じたということでございましたから、今のような趣旨でございますので、御理解いただければと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) 応急仮設住宅に関するクレームにつきまして、受付窓口であります保守管理センターからの連絡系統を整備いたしまして、施工業者に対して速やかに指示が行くようにしております。クレームの大半につきましては、数日のうちに修繕の対応を行っております。例えばすき間だとか、そういう部分はすぐ対応はできるようになっています。ただ、給排水、水洗の調子が悪いとか、エアコンの調子が悪いとなりますと、ちょっと部品の調達等が必要でありますので、そういうものについては一定程度の期間を要する場合もございますが、入居者の皆様が安心して生活できるように、今後とも迅速な対応に取り組んでまいりたいと思います。
〇理事(平井節生君) 産業の復興についてでございますけれども、産業の復興支援制度につきましては、今後も国の補正予算による支援策の拡充や予算の増額が見込まれているところでございます。これらの情報につきましては、復興局が関係部局と連携しながら随時取りまとめを行い、業種や企業規模、復旧内容に応じて利用可能な支援制度をリストにした上で、必要な企業等に対して適時的確に情報提供をしてまいります。
 また、企業が抱える課題につきましても、関係部局等と情報の共有化を図ってまいります。これらにより、企業に対するきめ細かな相談体制を整えていく所存でございます。
〇警察本部長(樹下尚君) 行方不明者の捜索についてでありますけれども、県警察としましては、発災の当初より、全国警察から特別派遣部隊の応援を得ながら、これまで部隊を連日投入し、総力を挙げた行方不明者の捜索を継続してまいりました。しかしながら、今なお多数の方が行方不明となっておりまして、各隊員も、猛暑の中でありますが、一人でも多く御家族のもとにお返ししたいとの思いで捜索活動を行っております。先日も、重機の入れない河川の岸から、手作業により、大量に堆積した瓦れきの底から御遺体1名を発見しております。
 海における捜索につきましても、県警といたしましては、技術的、体制的な課題もありますことから、海上保安庁との連携を密にしつつ、海岸線における捜索や警備船を活用した捜索などを引き続き実施してまいりたいと考えております。
 県警としては、このように困難な状況下ではありますが、行方不明者の御家族の心情に思いをいたし、今後とも行方不明者の捜索、身元確認作業を徹底してまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、岩渕誠君。
   〔5番岩渕誠君登壇〕(拍手)

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