平成23年6月定例会 第23回岩手県議会定例会 会議録

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〇7番(高橋元君) 民主党・ゆうあいクラブの高橋元であります。会派先輩諸兄の特段の御配慮を賜り、特例任期での登壇という大変貴重な機会を賜りましたことに感謝と御礼を申し上げます。
 質問に入ります前に、私からも東日本大震災津波により被災されました皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、震災の犠牲となられました方々の御冥福を祈り、御遺族に衷心より哀悼の意を表します。また、救助、救援、捜索、治安維持、災害ボランティアなどさまざまな業務に当たられましたすべての方々に、そして救援物資の提供や義援金の寄附、被災地激励慰問等をなされた皆さんすべてに心から感謝と御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 質問に入ります。
 質問の第1項目、大震災津波復興計画について伺います。
 1点目、国の復興構想会議提言についてお尋ねいたします。
 初めに、提言内容に対する知事の評価について伺います。
 達増知事は、政府の東日本大震災復興構想会議に委員として出席し、漁業再生や教育振興など9分野で岩手復興特区の実現を提案されました。また、国だけではなく、地方も含めた復興財源の確保が不可欠で、財政上の優遇措置を求めたとのことであります。同会議は6月25日、復興への提言をまとめ、菅首相に答申しましたが、その提言内容に対し、知事はどのように評価しているのかお伺いいたします。
 次に、提言に不足する事項と今後の展開について伺います。
 大震災を前提に被害の最小化を図る減災の理念が打ち出され、政策の総動員を求めたとされております。具体的には、法整備を含めた恒久的な対策の必要性、市町村主体の地域再生、国の確実な支援、期間と地域を絞って規制緩和する特区の活用、復興財源確保などで、この提言をまとめるに当たって、被災県の立場から、もう少し踏み込んでほしかった、あるいは盛り込むべきであったと考える事項はなかったのか、あるとすれば、今後どのようにして岩手の思いや考えを伝え、実現を目指していくのかお伺いいたします。
 2点目、岩手県復興計画案についてお尋ねします。
 まず初めに、岩手県復興計画案と復興構想会議提言との整合性について伺います。
 岩手県復興計画案は、復興構想会議の審議と並行して検討されてきましたが、相互の関連事項や補完された事項はどのような点であるのかお伺いいたします。
 次に、市町村計画の策定支援について伺います。
 県復興計画案は市町村復興計画策定の指針となるもので、この指針をもとに市町村住民の話し合いが持たれ、市町村計画が自主的に決められるとしておりますが、住民議論のためにもう少し踏み込んだ内容であればと思ったところであります。
 まちづくりのグランドデザインは、復興パターンA―都市再生型、復興パターンB―都市再建型、復興パターンC―集約移動型・集落内再編型の3モデルが掲げられており、復興パターンAであれば陸前高田市、大槌町、山田町など、復興パターンBでは大船渡市、釜石市、宮古市などが当てはまるのではないかと見てとれます。これを一歩進めて、被災地域ごとにまちづくりのグランドデザインを示すことができれば住民議論がさらに深まり、すばらしい市町村計画ができ上がるものと思いますが、そのような考えはないのかお伺いいたします。
 次に、復興費用及び財源について伺います。
 復興計画をすべて実施するには膨大な予算が必要であり、予算を早急に確保できなければ計画そのものが絵にかいたもちになりかねません。まず、本県の復興に要する費用をどの程度と見込んでいるのかお伺いいたします。
 達増知事は、国の復興構想会議で、国だけではなく地方も含めた復興財源の確保が不可欠との認識を示したとされますが、県においてどのような財源確保を考えておられるのか伺います。私としては、県単の森林税を復興財源に振りかえることや、新たに県民に協力をいただく新税を検討すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、津波通報と緊急避難体制の整備について伺います。
 大津波によりほとんどの防波堤、防潮堤が破壊され、無線通報塔も倒壊し、海岸一帯は無防備な状況にあります。本震から1年くらいの中でマグニチュード8前後の余震が起こるとされており、復興工事に携わる方々や海岸沿線道路を往来する方々、そして復興のために訪れるであろう観光客の方々に、安心して作業し、往来や観光を楽しんでいただくために防潮堤、防波堤の再建は急務でありますが、壮大な工事であり時間がかかることから、この工事に先駆けて、防災行政無線施設の整備と高台への緊急避難道路及び車両での避難広場を整備する必要を感じますが、どのような緊急対策を検討しておられるのかお伺いいたします。
 次に、避難タワーの建設について伺います。
 一時避難施設として避難タワーは有効であると思われます。三陸と同様のリアス式海岸を持つ三重県の沿岸では、100人規模の避難タワーや500人規模の避難タワーを建設し、低地居住者や外部からの滞在者の避難所としております。先般、三重県大紀町の錦地区の避難タワー―錦タワーを会派6名で現地調査してまいりましたが、5階建てで、1階は消防屯所と公衆トイレ、2階は昭和19年の東南海地震被災展示場、3階が地域集会場、4階、5階が避難所で、タワー周辺人口の2倍、500人が避難できるというものでありました。避難タワーを地域の活動拠点として活用しており、低地復興の核となり得るものと思われたところであります。導入に向けての所見をお伺いいたします。
 次に、低地復興に向けた海岸線の公費買収について伺います。
 県は4月18日、東日本大震災で津波の被害を受けた県内の沿岸市町村に対し、建築基準法第39条に基づく条例を制定し、災害危険区域を指定して区域内の住宅などの建築を禁止するよう求めると発表しました。今後発生する可能性がある津波からの被害防止が目的で、禁止期間については数カ月から数年になると見ているとのことであります。このような県の方針に対し、危険区域の範囲確定が困難、条例化には時間がかかる、住民の生活再建に支障を来すなどの意見があり、慎重な自治体が多いとのことであります。浸水地域の住民すべてが高台に住むことは理想でありますが、そのための土地の買い取り、高台住宅地の造成、長期にわたるまちづくり、そしてその間の避難生活や事業所営業留保などにより、経済と雇用の縮小、さらに生活のための地域外移住など、沿岸地域全体が二次被災になりはしないかとの懸念が膨らむところであります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そこで、私たちが今すぐなすべきことですが、千年規模の災害対策は後年の方々にゆだね、数十年から百数十年の災害に備えた安心・安全のまちづくりを進め、一日も早い復旧、復興を図ることであると思います。そのためには、海岸線や旧防潮堤を基準として一律に内陸100メートルを公費買収し、検討されている防潮堤や盛り土公園、主要道整備等の多重な防災工事を早急に進め、それとあわせて、100メートル買い上げ地域以外の住民が低地復興を始め得る環境をつくっていくべきと思いますが、所見をお伺いいたします。
 質問の第2項目、瓦れき処理についてお尋ねいたします。
 1点目、広域処理について伺います。
 県災害廃棄物処理対策協議会は、東日本大震災津波で大量に発生した瓦れきについて、処理対象258万トンを今秋以降に本格処理を開始し、2014年3月末までの完了を目指すとした実行計画案を示しました。復旧、復興が迅速に行われるかどうかは瓦れき処理にかかっていると言われており、復興への思いを高めるためにも早期の処理が望まれます。隣県の秋田県や山形県、そして北海道に瓦れき処理の受け入れを表明していただき感謝するところでありますが、県内処理や他県依頼処理についてどのように協議を進めているのか、広域処理における問題、課題は何かをお伺いいたします。
 2点目、処理プラントについて伺います。
 瓦れきのどれを不要物として廃棄し、どれを復旧資源として利用するかを検討しながら処理計画を進めていると思うところであります。そのような中、国内重工業各社が人工浮島に設置した焼却炉で木材などを処理したり、コンクリート製の巨大な箱に不燃瓦れきを積み込んで防波堤にする工法などを開発していると聞きます。このような民間技術を生かした瓦れき処理について国に働きかけ、瓦れき処理の迅速化を図るべきと思いますが、いかがでしょうか、所見をお伺いいたします。
 質問の第3項目、市町村における行政機能回復についてお尋ねいたします。
 1点目、人的支援と幹部職員の養成について伺います。
 復旧、復興の主たる担い手は市町村でありますが、多くの公務員も被災するとともに、マンパワーが著しく欠けている状況にあります。復旧、復興の施策や事業が多数出てくるけれども、それを処理する、あるいは実行する職員が不足では計画の推進もままならないわけであります。マンパワー不足で休暇もとれず、健康を害する職員も出てきていると聞いておりますし、一部の自治体で幹部職員の退職があったとの報道も目にします。みずからも被災者で、家族、家庭を傍らに置きながらの救援、復旧の毎日に、心身ともに疲れのピークの状況にあると推察できます。また、多くの職員が被災された大槌町では、専任の職員不足から仮設住宅の入居率が20%程度にとどまっているとの報道もあります。
 全国の自治体から応援を得つつ、長期応援が可能な県内各市町村を中心としたさらなる協力が必要ではないでしょうか。人的支援について、県としてどのような調整を行っているのかお伺いいたします。
 また、一部の自治体では、幹部職員が多数被災し、行政事務経験の浅い職員が多数いる中で自治体運営を行わざるを得ないところもあり、中堅県職員の応援とあわせ、計画的な幹部職員の養成を進めていく必要があると思いますが、県としての考えをお伺いいたします。
 2点目、広域連携の検討について伺います。
 沿岸各自治体は人口減少が加速度的に進んでおり、そのような中での大震災、大津波でありました。亡くなられた方が多数存在し、内陸へ移住する方々も多数あり、人口減少に拍車がかかっております。
 先般、災害対策特別委員会調査の折、山田、大槌両町議会が山田町・大槌町の地域医療と県立病院を守る合同委員会を設置し、被災した両町の県立病院の再建に向け、統合も視野に入れた要望活動を検討していると聞きました。新しいまちづくりの中で、こうした動きやマンパワーの集約による復興に向けた行政力の維持、強化を図るため、自治体合併が有効であると思うところであります。復旧、復興が最優先という現状の中で、同様な被災を抱え、行政体制の立て直しに相当の時間を要することも事実であり、マンパワーが不足する分野において、隣接市町村が連携し事務事業を進めていくべきと思いますが、今後における広域連携の方向性について所見をお伺いいたします。
 質問の第4項目、仮設住宅の居住環境についてお尋ねいたします。
 1点目、住宅の改善について伺います。
 仮設住宅は、その建設を急いだ結果、一定レベルの住宅にそろえることができず、団地ごとに住居仕様にばらつきが生じ、雨漏りや窓のたてつけの悪さ、寝室の天井板のはがれなど200件を超える苦情が県に寄せられていると聞きます。仮設住宅の発注と完成後の検査はどのように行われたのか、また県は、管理センターを設置し、仮設住宅のふぐあいに対応するとしているようでありますが、どのような体制、陣容を考えているのかお伺いいたします。
 仮設の住宅ではありますが、狭いながらも楽しい我が家、心の安らぐ我が家であってほしいと願うものであります。不都合箇所の早期修理はもちろんのこと、やがて迎える台風や冬場の寒風対策に万全を期してもらいたいと思うところであり、また、およそ2年前後の仮設住宅での生活を思うとき、少しでも快適な生活が望まれるところであります。
 このたびの大震災以前に中越地震、中越沖地震に見舞われた新潟県において、新潟大学工学部岩佐研究室が仮設住宅の住みこなしのノウハウの伝搬、流通を目的に仮設de仮設カフェプロジェクトを実施したとのことであります。その活動をまとめた仮設のトリセツという資料がウエブ上で公開されておりますが、これは仮設住宅の取扱説明書的内容で、仮設住宅を住みこなすためのいろいろな方法が記載されております。
 県が設置を検討している管理センターは、仮設住宅のふぐあいを改善するだけではなく、先進例を参考に、住まいのアドバイザーを配置して長期の仮設住宅での生活をより快適にする取り組みも進めるべきと思いますが、そのような考えはないのかお伺いいたします。
 2点目、生活環境の改善について伺います。
 仮設住宅の建設地は小学校の校庭や公園等が多く、商店街や医療機関から遠いところにあります。自動車が津波に流された方々も多数に上り、仮設住宅に住むことによる買い物難民、医療難民が多く出ることが予測され、バス等公共交通機関の運行や移動販売車の運行、そして保健、医療の巡回活動が望まれるところであります。仮設住宅へのバス等の公共交通機関の運行はどうなっているのか、移動販売を受け持つ商業者の発掘はしていないのか、そして保健、医療の巡回活動の見込みについてお伺いいたします。
 質問の第5項目、被災者支援についてお尋ねします。
 県は市町村と連携し、被災者の被災状況や義援金支給状況などを総合的に管理する被災者台帳システムを導入し、7月から運用を開始するとしております。行政側の事務システムとしてはすばらしいものと判断しますが、被災者個人からすると被災者手帳のほうがわかりやすく、使いやすいと思うところであります。個別に防災情報の提供もできることも含め、被災世帯単位の被災者手帳をつくるべきと思うところでありますが、そのような考えはないのかお伺いいたします。
 質問の第6項目、自主防災組織及び備品、備蓄についてお尋ねします。
 1点目、自主防災組織の組織体制、活動の見直しについて伺います。
 平成22年9月定例会において、議員発議によるみんなで取り組む防災活動促進条例が制定され、本年4月1日が施行日でありました。条例制定により災害に強い地域づくりを目指そうとしていたやさき未曾有の大震災に見舞われ、多くの犠牲者を出してしまったことに無念さを感じるのは議会並びに執行部の共通した思いであると思います。特にも防災に当たっては、想定外という言葉で逃げることなく、あらゆるケースを想定して取り組まなければならないと思った次第であります。条例に定める県の責務として、今度の大震災時における県内各地の自主防災組織はどのような活動を行ったか、何が問題であり課題は何かを調査し、これからの活動と組織体制のあり方を見直すべきと考えますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
 2点目、備品、備蓄について伺います。
 まず、災害に対する県民の備えの推進について伺います。
 大震災後、北上市内では2日から3日間停電し、温風ヒーターが使えない、オール電化の調理器具が使用できない、炊飯器も使用できなく、商店からパンやカップめんを中心に食料が不足となりました。ラジオや電池も売り切れで、灯油、燃料ともに手に入りにくい状況がしばらく続きました。ふだんから大規模災害に備えて備品、備蓄リストを作成し、取り組まなければならないと思ったのは私だけではないと思います。
 そのような中で、和賀町長沼地内の自主防災組織は、昨年、地区集会所に災害に備えて2台の発電機を購入しており、今回の震災で食事や暖房に支障を来したアパート住民の高齢者避難所として開放し、大いに役立ったと慰問時に話を伺いました。
 前述の三重県大紀町錦地区内23避難所は、自家発電機、担架、救命胴衣、無線機、ヘルメット等を常備しておりましたが、本県においても、自主防災組織の組織化だけではなく、避難所の機能強化をしていかなければならないと思ったところであります。災害時における備品、備蓄の備えをどう県民に呼びかけていくのか、取り組みの方向をお伺いいたします。
 次に、県立病院における備蓄について伺います。
 二次保健医療圏において中核となる県立病院は災害拠点病院として位置づけられておりますが、今回の大震災で、自家発電の機能、医薬品や食料の備蓄などで問題、課題が多く出たと聞きます。この問題、課題をどのように把握され、その対応策を今後どうとっていくのか検討内容をお伺いいたします。
 このたびの震災に際し、昼夜をたがわず被災者の治療に当たられた医療関係者並びにDMATの方々に改めて敬意と感謝を申し上げる次第であります。
 質問の第7項目、産業再生及び雇用創出についてお尋ねいたします。
 1点目、沿岸地域の産業再生について伺います。
 岩手復興特区は、本県の迅速な復興を実現し、いのちを守り海と大地と共に生きる岩手・三陸の創造がねらいとされておりますが、沿岸地域の産業再生に9項目の特区中どの特区を導入し、特区導入によってどのような効果がもたらされると考えているのかお伺いいたします。
 2点目、内陸地域のものづくり産業の振興について伺います。
 大震災により多くの企業が何らかの被災をし、被災は自社に限らずサプライヤーに及び、部品不足等で災害復旧は道半ばの状況下にあると言われております。内陸部のものづくり産業の被害実態をどのようにとらえておられるのか、また、事業の継続性について、平成20年の岩手・宮城内陸地震に続き今度の東日本大震災と2度の大きな地震に被災し、岩手からの撤退等を検討している事業所はないのか、その状況についてどう調査し、把握しているのかお伺いいたします。
 トヨタ社は、二つの大きな震災を乗り越えて、部品現地調達率を高め、東北の第3の拠点化を早めるとのことであり、中部地区からの部品工場が進出してくる可能性もあると思われます。企業誘致活動の一層の強化が必要と考えますが、どのような戦略を持って臨もうとしているのかお伺いいたします。
 3点目、緊急雇用創出について伺います。
 まず、被災市町村の雇用創出について伺います。
 4月、6月の臨時議会で緊急雇用対策として118億円の補正予算を計上し、1万人の雇用創出を目指しておりますが、3、000人弱の雇用創出にとどまっているとのことであります。雇用創出のメニューは多彩でありますが、実施する市町村の多くで専任の担当者が不足していると聞きます。県は、国と連携しながら、沿岸地域を中心に離職者等の就業支援、生活、就労支援の相談を実施しているとのことでありますが、市町村ができない部分は市町村にかわって広域振興局や行政センターが被災市町村に窓口や担当者を配置し、雇用創出を図っていく必要があると思われますが、そのような考えはないのか、市町村の雇用創出に対する県の具体的取り組みについてお伺いいたします。
 最後に、建設業による雇用創出について伺います。
 雇用の場として、産業創出、企業誘致、地場企業の再生等が挙げられますが、即時雇用として、災害復旧、復興に携わる建設業が雇用創出の核であることは言うまでもありません。浸水地域の土地調査を早期に済ませ、順次公共工事を発注し、建設業による雇用創出を図るべきと思うところでありますが、その現状と今後の見通しについてお伺いいたします。
 以上、七つの項目について質問いたしました。当局の発災時からの寝食を惜しんでの災害対応に敬意を表し、重複事項多々ありますが、復旧、復興に力強く、そして被災者に温かな御答弁を期待し、質問を終わります。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋元議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国の復興構想会議の提言に対する評価についてでありますが、本県が主張してまいりました復興の起点としての追悼、慰霊について、基本的な考え方として前文に盛り込まれました。また、人と人のつながりや地域、コミュニティの重要性が強調されるなど、本県の被災者をめぐる環境にも配慮されております。
 各論におきましても、本県が提言してまいりました災害に強い交通網の整備や漁協、漁業者による共同事業化、二重債務問題に対する支援などについても明記をされたところであります。また、本県から、TOHOKU国際科学技術研究特区や再生可能エネルギー導入促進特区など九つの復興特区を提言したところ、規制、権限の特例、手続の簡素化、経済的支援など、特区手法の活用等について、これもまた明記されたところであり、評価できるものと考えております。
 次に、提言に不足する事項と今後の展開についてでありますが、復興の提言には、本県が主張してきた提言事項が盛り込まれていると考えておりますが、復興への提言に盛り込まれた各般の復興施策や、また、本県が提言している復興特区等は国において具体化され、政策や予算に盛り込まれてこそ生かされるものでありまして、この認識に立って既に政府への要望を2回行っているところであります。また、復興への提言を受けて、政府が今後取りまとめる復興の基本方針に本県の主張している諸施策が盛り込まれるように、引き続き政府への要請等を行ってまいります。
 次に、本県の復興に要する費用についてでありますが、現在、今後3年間の施策や事業等を定める県の復興実施計画を策定中であり、各市町村においても復興計画等を策定中でありますことから、現時点で復興に要する費用を明らかにすることは困難でありますが、日本政策投資銀行による本県の資本ストック被害推計額は4兆2、760億円となっておりまして、復興に要する経費も相当の額に上るものと推測されます。
 復興に要する財源確保についてでありますが、国の補助制度の創設や補助率の引き上げ等を要請していますが、こうした措置が講じられても、なお補助事業の地方負担分や単独事業など、地方が負担する復興費用も膨大なものになると予想されます。
 こうした中、震災によって大きく影響を受けた県経済や県民生活の状況を考えますと、県が負担する復興費用を県民のさらなる負担により確保することは慎重であるべきと認識しておりまして、まずは、地方の共有財源である地方交付税の財源保障機能に着目し、地方交付税の総額の増加と、県が負担する復興費用への確実な措置を要請しているところであります。
 あわせて、毎年度の予算編成におきまして、真に緊急を要する事業など、より一層の歳出の選択と集中を図り、財源を確保していく必要があると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) 岩手県の復興計画案と復興構想会議の提言との整合性についてでございますが、まず、本県の復興基本計画案は、復興に向けた目指す姿や具体的取り組みなどを明らかにし、復興を推進するため、県の復興委員会などにおける議論なども踏まえまして、去る6月9日に県において策定したところでございます。
 一方、復興への提言は、有識者からなる東日本大震災復興構想会議の幅広い議論の結果を復興に関する指針などに反映させるため、この会議におきまして6月25日に取りまとめられ、国に対して提言がなされたものでございます。復興構想会議には、本県の知事も委員として参画しておりまして、先行して策定されました本県の計画案の考え方や取り組みなどが提言に盛り込まれるよう努めてきたところでございまして、その結果、本県の主張がおおむね反映され、基本的に整合性が図られたものとなっているという認識をいたしております。
 具体的には、考え方や方向性を両者で同じくするものといたしましては、例えば、県の計画案では、復興の目指す姿における犠牲者の故郷への思いなどの承継や、コミュニティの回復、再生を通じた復興の実現というような表現がございますが、これに対しまして、復興構想会議の提言には、原則としての命への追悼と鎮魂や、地域コミュニティ主体の復興というような考え方がこれに対応いたしております。また、県の計画案におきまして、津波対策の基本的考え方としての減災の考え方による多重防災型まちづくりや復興パターンに応じたモデルというものをあらわしておりますが、復興構想会議の提言におきましては、災害時の被害を最小化する減災の考え方や、復興に当たってとり得る地域類型というものがございまして、こうしたものが対応いたしております。
 このほか、具体的取り組みといたしましては、本県がかねてより主張してまいりました復興道路の整備や漁協を核とした水産業の振興、あるいは二重債務問題に対する支援などにつきましても、当県の考え方を踏まえた内容が提言に盛り込まれております。
 他方、国のほうの提言につきましては、被災3県を含めました被災地全体に関するものでございまして、その性格上、本県と直接には必ずしも関係の深くはない内容も含まれているものと認識をいたしております。
 また、復興構想会議の提言には、例えば、公共的な事業を担うまちづくり会社の活用や、生活様式のブランド化による関連産業の活性化など、県の計画案の策定後にこの会議において議論された提言なども盛り込まれておりまして、今後、県の基本計画の策定に当たりましては、提言を踏まえたさらなる具体化を図るとともに、地域の状況なども踏まえ、必要に応じて計画の最終版に反映をさせてまいります。
   〔理事平井節生君登壇〕
〇理事(平井節生君) 市町村計画の策定支援についてでございますけれども、まちづくりのグランドデザインは、基本的には市町村において作成されるべきものと思慮されます。県は、そのための各種データの提供等の技術的支援や、都市計画の専門家の派遣等を行ってきているところであります。また、県としては、復興基本計画案に示した津波対策の基本的考え方に基づき、対応するべき津波の高さを想定するなどして浸水域等をシミュレーションし、その結果を市町村に提供しているところでございます。
 多重防災型まちづくりの考え方に立てば、防潮堤等津波防災施設の計画とまちづくりの計画は不可分であり、市町村によるまちづくりの検討と浸水域等のシミュレーションの結果は、互いに整合する必要がございます。
 今後、県といたしましては、市町村との双方向的なやりとりを通じて、まちづくりのグランドデザインの策定作業を支援していきたいと考えてございます。
 次に、低地復興に向けた取り組みについてでございますが、被災した地域における経済と雇用の縮小を最小限にとどめるためには、第1に、まちづくりのグランドデザインを含む復興計画をできるだけ早期に策定することが重要と考えております。そのため、県は、技術的支援や都市計画の専門家の派遣等により、市町村の支援を行ってきております。また、まちづくりが始まるまでの間、早期になりわいの再開を行う場を提供することも必要と考えられます。そのため、復興基本計画案にも仮設店舗、工場など、早期の事業再開に必要な施設等の整備支援、商店街の復旧、再建など、地域の特性を生かした産業の振興をうたっております。
 こうした安全で安心なまちづくりと、当面のなりわいの場の確保という課題は両立させることが必要であり、県としては、被災地域の状況や市町村の復興計画の策定の進捗等を勘案しながら、まちづくりの支援を行っていく考えでございます。
 次に、沿岸地域の産業再生についてでございますが、本県が提案した特区制度につきましては、国の復興構想会議の復興への提言において特区手法の活用が盛り込まれており、また、東日本大震災復興基本法案においても、復興特別区域制度の整備が盛り込まれているところでございます。
 本県の提案の中では、漁業再生特区、企業・個人再生特区、いわての森林の再生・活用特区などが産業の再生に直接結びつくほか、まちづくり特区なども産業再生を側面から支える特区であると認識しており、これらを総合的に活用することによって、速やかな産業再生が図られるものと考えております。
 今後は、国の制度設計の動向を注視し、具体的な取り扱いが示された段階で、提案内容の実現に向けて、国と協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 答弁の順番が前後してしまい申しわけございません。避難タワーの建設についてでございます。
 海岸や内陸部の低地部で、高台まで遠く避難に時間を要する場合、徒歩で避難可能な距離に避難ビルや避難タワーを配置することは、安全の確保の上で有効な手段と認識しております。この考え方は、復興基本計画案に示した、まちづくりのグランドデザインのモデルにおいても取り入れたところでございます。避難タワーには、整備手法や平時における利用法等に課題があると考えられ、県といたしましては、具体のまちづくりを行う市町村とともに、諸課題を解決しつつ、津波防災を考慮した土地利用計画の策定の中で、検討を行ってまいりたいと考えております。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) まず、津波通報と緊急避難体制の整備についてでございますが、被災地においては、これまで講じられてきた防災施設の機能の低下がうかがえますが、このような中にありましても、二次災害を防止し、住民の安全・安心を確保するためには、緊急時の避難体制を確立していく必要がございます。各市町村におきましては、防災行政無線の復旧に優先的に取り組んでおり、既に仮復旧を行った市町村も見受けられるところでございます。
 防災行政無線施設の早期復旧につきましては国の第1次補正予算で措置されておりまして、今後、これらを活用いたしまして、本格復旧に向けた支援を行ってまいります。
 また、防災行政無線が復旧していない市町村におきましても、広報車による広報体制の強化、臨時FM局による新たな広報体制の構築や臨時の広報用スピーカーの設置などにより、避難体制の強化に努めているところでございます。
 緊急避難道路や避難広場の整備につきましては一つの方策ではありますが、多額の財源や一定の時間を要さざるを得ない、そういうことでございますので、早急な整備は困難な面がございます。このため、県といたしましては、各市町村と連携しながら、避難経路の明示でございますとか避難場所の周知徹底などを日ごろから行いまして、ソフト面からの緊急避難対策を進めてまいりたいと考えております。
 次に、自主防災組織の組織体制と活動の見直しについてでございますが、このたびの東日本大震災津波に関しては、現在、応急対策全般につきまして検証を進めているところでございます。その中で、被災地の市町村や自主防災組織の協力を得ながら、自主防災組織がどのように役割を分担し活動したのか、被害の軽減にどう効果を発揮したのか、また、どのような課題、改善点が得られたのか等につきましても、でき得る限り把握に努めまして明らかにしていきたいと考えております。
 県といたしましては、これらの検証結果を踏まえまして、市町村と連携しながら、地域特性に即し、被害の軽減につながる効果的な活動が行われるよう、自主防災組織への働きかけ、啓発を強めまして、さらなる組織の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
 3点目でございますが、災害に対する県民の備えの推進についてでございます。
 県では、従前から、地震への日ごろからの備えといたしまして、家族3日分の非常食の備蓄等を県ホームページ等で推奨してきたところでございます。今回の東日本大震災津波におきまして、個人としての備えの有効性が明らかになったと認識しております。
 個人の備えの推進につきましては、これまで以上に防災意識の浸透が必要なことから、県ホームページ等によります広報のほか、地域における取り組みの優良事例を県自主防災組織連絡会議において共有するなど、今後とも、個人の備えの普及啓発を図ってまいりたいと考えております。
 東日本大震災津波では、ライフラインの途絶や物流の混乱などによりまして物資不足に拍車がかかったことから、これらの点を考慮いたしまして、備品、備蓄のあり方につきましても、検証を行う必要があると考えております。
 こうした検証の上に立ちまして、避難所の機能強化などの観点も踏まえ、市町村への働きかけにも努めながら、備品、備蓄の充実を図ってまいりたいと考えております。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 産業廃棄物の広域処理についてでありますが、県の実行計画では、全量を3年以内に地域内処理することが困難でありますことから、内陸市町村や他の都道府県の協力も得ながら、広域処理を進めることとしております。県内につきましては各清掃センターを設置する市町村と、県外につきましては受け入れを検討している自治体と、それぞれ個別の受け入れ条件等について協議を行っているところでございます。
 課題でありますが、いずれの場合も受け入れ自治体はもとより、地域住民の理解と協力を得ることが最も重要であると考えております。このため、県が実施した災害廃棄物の焼却試験データ及び放射性物質の測定結果を提供するなどにより、地元の理解と協力が得られるよう、丁寧な対応をしていきたいと考えております。
 次に、処理プラントについてでありますが、現在、民間企業等から多数の技術提案を受けているところでございます。災害廃棄物を3年以内で処理するためには、例えば塩分除去技術など、これまでにはない新たな処理技術が必要なことから、いただいた技術提案の内容について、実効性や経済性、安全性等の幅広い観点から検討を行い、可能なものにつきましては、8月までに策定することとしている詳細計画の中に取り入れていきたいと考えております。
 なお、現行制度におきましては、原則として市町村が処理するとされておりますが、現在、国による直接処理を可能とするための特例法制定の動きがあるやにも聞いております。
 人工浮島での焼却につきましては、県境を越えた広域処理を行うための手法の一つであると考えられますことから、こういった提案につきましても、今後、検討させていただきたいと考えております。
   〔政策地域部長千葉茂樹君登壇〕
〇政策地域部長(千葉茂樹君) まず、被災市町村への人的支援の調整についてでありますが、市町村職員の派遣調整に当たりましては、被災市町村の意向を尊重することを前提としており、特段の意向がない場合は、まず、岩手県市長会及び岩手県町村会を通じて県内市町村へ優先して要請し、県内市町村からの派遣が困難である場合には、県外市町村へ要請しているところであります。
 こうした調整によりまして、7月1日現在、長期派遣職員として、被災10市町村に対して、県内外の市町村から132名及び県から13名の計145名の派遣を決定し、順次派遣しているところでございます。
 今後、被災市町村における復旧、復興のさまざまな段階で職員派遣の要請内容も変化していくことが考えられますことから、県といたしましても、その変化を可能な限り予測しつつ、そのニーズの把握に努めますとともに、引き続き、県内の市町村とも連携しながら、職員派遣を行ってまいりたいと考えております。
 また、中堅県職員の応援とあわせた計画的な幹部職員の養成についてでありますが、特に職員の多くが被災いたしました陸前高田市と大槌町に対する県職員の派遣においては、県の中堅職員を課長補佐級等として一部派遣しているところであります。これらの県職員は、市町村の復旧、復興事務の中核を担っておりますほか、日々の業務を通じて、次代を担う市町村職員の資質向上などの役割も果たしているところでございますが、今後、両市町で策定しております人材育成基本方針の見直し、改定の際に必要な助言を行うことなども含め、さまざまな方向で計画的な幹部職員の養成を支援してまいりたいと考えております。
 次に、広域連携の検討についてでありますが、県といたしましては、今後、被災市町村が早急に十分な行政サービスを提供し復旧、復興を進めるためには、行政機能の早期回復に向けた多様な取り組みが必要であると認識しているところでございます。このため、さきに策定いたしました県の復興基本計画案においては、地方自治法に定めております機関の共同設置や事務の委託など、市町村間の連携を必要とする場合の助言、支援を盛り込んでいるところであります。
 今後、市町村の意向を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、仮設住宅についてであります。
 仮設住宅の発注は、災害時の協定に基づきまして、社団法人プレハブ建築協会に対して建設要請を行っておりまして、完成後は、同協会において検査が行われた後、県がチェックリストを用いて完成検査を行っているところであります。
 保守管理センターにつきましては、仮設住宅におけるふぐあい等の連絡対応を行うため、財団法人岩手県建築住宅センターに委託して、6月20日から業務を開始しております。土日を含む24時間対応のフリーダイヤルを設置いたしまして、入居者からの苦情に対し個別の対応を行っております。
 なお、センターでは、職員を増強していると聞いております。
 住宅の改善につきましては、まず、苦情への適切な対応を最優先に取り組んでいるところであり、これまで、818件の苦情のうち694件を6月末までに対応いたしました。そのほかについても、現在対応中であります。
 今後は、長期の仮設住宅における居住環境づくりも必要なものと考えております。県においては、入居者のニーズに応じたスロープ、手すりなどの設置について対応することとしておりまして、今後とも、入居管理を行う市町村と連携した取り組みを進めてまいります。
 次に、建設業による雇用の創出についてでありますが、岩手県建設業協会による協会会員への調査では、災害廃棄物処理に当たり、これまでに新たに約650人が雇用されたと伺っております。
 一方、公共土木施設等の災害査定につきましては、現在、4月7日に発生した最大余震に伴う内陸南部を中心に今月中旬まで行われ、その後、沿岸部の査定を秋ごろまでに終える予定であります。これに伴い、復旧工事等の発注につきましては、査定終了後に順次進めていくこととしており、建設業による一層の雇用の創出につながるよう、早期発注に努めてまいります。
   〔理事廣田淳君登壇〕
〇理事(廣田淳君) まず、仮設住宅の生活環境の改善についてでありますが、仮設住宅へのバス等の公共交通機関の運行につきましては、複数市町村間にまたがるバス路線は県が、市町村内のバス路線については市町村がそれぞれ運行再開を支援するとともに、無料バスの運行などを行ってきたところでございます。
 仮設住宅の多くは、現在運行しておりますバス路線の沿線に建設されておりますものの、現在の路線では対応できない地域などもありますことから、市町村においては、路線の見直しや新たな路線の必要性について検討しているところであります。県としましては、地域におけます生活に必要な交通手段が早期に確保されますよう、バス事業者への要請、市町村への助言を行っていきたいと考えております。
 次に、移動販売につきましては、既に各地域で地元の業者やスーパーによります取り組みが始まっており、このほか、複数の企業からカタログ販売、宅配サービス、仮設店舗の提案を受けており、これらを各市町村に随時情報提供をしているところであります。
 仮設住宅の立地条件、交通環境等によりまして買い物手段へのニーズが異なりますほか、地元商店の復興に向けた取り組みも地域によりさまざまでありますことから、今後とも、各市町村の状況に応じました買い物環境の改善に努めていく考えであります。
 医師、歯科医師の巡回診療につきましては、これまで避難所を中心に、医療救護班によります巡回診療などの応急的な医療の提供を行ってきたところでありますが、現在、仮設診療所の整備や地域医療機関の再開によりまして、検査機能を備えた施設によります医療提供体制に移行してございます。
 一方では、仮設住宅の被災者に対しまして、7月4日現在、23の保健師チーム、13の心のケアチーム等が巡回活動を行っているところであり、今後もこうした保健師等の活動と地域の医師、歯科医師が連携しながら、被災地の保健、医療の確保を図っていきたいと考えております。
 次に、被災者支援についてでありますが、被災者一人一人の状況に応じました支援を適時に効果的に行っていくためには、被災者の情報を一元管理する被災者台帳システムは極めて有効な手段であると考えております。県と市町村が罹災証明書の発行、義援金、生活再建支援金の申請、その他の各種手続に必要な個人情報や各種申請等の有無に関する世帯ごとの情報を共有いたしますことにより、被災者が行う各種申請等の負担軽減、申請漏れの防止等が図られますとともに、被災者の方への各種給付、税金の減免等の個別支援ニーズを把握し、個々の被災者に対し、適時適切な支援を行うことができるものと考えております。
 御提案のありました被災者手帳につきましては、被災者自身が台帳画面のデータの確認ができるという形になってございますので、おおむねその趣旨が達せられるとは考えておりますけれども、被災者のニーズに応じまして、市町村において作成というようなことを考えている場合には、県として必要に応じて支援していきたいと考えております。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤逹雄君) 県立病院における備蓄についてでありますが、地域災害拠点病院に指定されている県立病院においては、岩手県立病院防災マニュアルに基づき、災害時に対応した医薬品や食料、緊急用器材等を通常の在庫量より3日分多く備蓄していたところでございます。しかしながら、今般の東日本大震災津波においては、長期間にわたる停電と重油不足による非常用発電装置の燃料切れへの懸念、ガソリン不足や通信の途絶による物流の停滞などにより、多くの病院では燃料や医薬品、食料などの確保にぎりぎりの対応を余儀なくされたところでございます。
 こうしたことから、個々の県立病院のみならず、病院間のネットワークを生かした物流支援等も視野に入れ、各病院の備蓄や設備のあり方等について検討を始めたところであり、今後、各病院の意見を踏まえながら、災害時の備蓄や病院間の連携などについて充実を図っていきたいと考えております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、内陸地域のものづくり産業の振興についてでありますが、3月11日の本震及び4月7日の余震により、内陸部の企業においても建屋や施設、設備機械などさまざまな被害が生じましたが、壊滅的な被害に至らず、着実に生産体制は復旧してきております。自動車関連など一部の業種においては、県外からの電子部品の調達が滞り、生産が一時ストップするなど県内企業にも影響が出たところでありますが、現在はほとんどの企業の生産活動はほぼ通常どおり回復しつつあります。
 発災以来、県では、副知事を初め関係職員が誘致企業や地元企業を積極的に訪問し、被災状況や今後の生産見通しを伺っておりますが、本県からの撤退を検討しているという話は今のところ聞いておりません。
 次に、自動車関連産業の誘致戦略についてでありますが、トヨタグループでは、今回の震災により、国内の生産拠点である東海、九州、東北地区以外からの部品供給が停滞し、自動車の生産に大きな影響が及んだことを踏まえ、今後は、これら3拠点での域内調達をさらに強化していくものと予測されます。こうした流れを確実にとらえ、東北における一貫生産に向け、現地調達率の一層の向上を図る観点から、エンジンやミッションなど基幹となる部品の関係企業の誘致に努めてまいります。
 次に、被災市町村の雇用創出の取り組みについてでありますが、震災の影響により事務執行が困難な市町村に対しましては、現在、広域振興局職員が緊急雇用創出事業のアイデア提供、あるいは他市町村の好事例の紹介などの助言や情報提供、また、計画書等の書類の作成支援などを行っているところであります。また、内陸市町村が沿岸市町村の支援要請を受けて仮設住宅での被災者支援を行う事業を検討するなど、被災地市町村の事務負担の軽減を図る取り組みを進めているところであります。
 今後とも、事業の実施に際しましては、市町村の事業進捗状況を勘案しながら、要望や要請等に応じまして、人的支援を継続しながら県と市町村の事業配分を見直すなどの柔軟な対応を図ってまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇7番(高橋元君) それぞれ御答弁いただきまして大変ありがとうございました。
 発災4カ月という中で、しかも広範な地域での被災ということからして、それぞれに思いはあってもなかなかすぐできるものではないというのはよく理解しております。今後においても、ぜひ一日も早くさまざまな計画した事項を実現するような取り組みをお願いしたい、こういう思いでおります。
 そういう中で、まちづくりビジョンとかそういったものがモデルとして示されておりまして、どちらかというと、市町村なり、あるいは住民のところで将来のまちづくりを考えてそれを上げてほしい、そういうところなわけであります。しかしながら、そのたたき台がないと議論が深まらないのではないかと。いろいろな新聞のそれぞれの各地域で行われている懇談会の詳細な報告を見ますとそんな感じがするんです。ですから、県が描いているそれぞれの被災地域のビジョンはこうだと、それをよく市町村で理解していただいて、市町村が地域の説明会の中でそれを説明していただいて、そしてその中で十分な議論がされればもっといろいろな議論が深まるのではないか。一時テレビでも、最初のころでしたけれども、少しがっかりしたと。ペーパーだけの説明で、自分たちの案を出せと言われても何から議論したらいいんだということも報道でありました。
 そういったことも踏まえて、余り県が口出しすると、その地域のさまざまなものに介入するな、そういう批判もあるけれども、逆に、これだけ出したからあとは地元だけでというと、今度は県は何もしてくれない、そういう批判もあるわけであります。そういう意味で、難しいところだと私は思います。そういう観点からも、中間というか、地域でまとめる市町村に県の思いや考えをよく理解してもらうように、もう少し説明をしていただきたい、そんな思いをしております。
 この点について、今後、市町村との協議というか話し合いというか、それらについてどういう予定で組まれているのかお尋ねしたいと思います。
 それから、緊急避難通報とか道路の関係は、もちろん財政的なもの、あるいは時間的なもので早急には難しいと。避難経路も含めて、現状あるものでどう対応するか、そういうことでありました。これは今の時点ではやむを得ないのかなと思っております。
 ただ、広報車で対応するという御意見もありましたけれども、水門を閉めに行って津波に巻き込まれたということもあるわけです。できればそういうことがないように、通報無線体制、あるいは赤色灯なんかをつけて、目と耳から危険を知るような、ぜひそういう仕組みも検討していただきたいと思っているところでございます。これは今後検討していただきたいということにしたいと思います。
 それから、建設業の関係でありますが、先ほども登壇してお話ししたんですが、まず、まちづくりの最初のところは、瓦れきを撤去したら、それぞれ、例えばかさ上げをするとかいろいろな施設を建設するとか、建設業が前段ではほとんどだというように私は思います。そういう意味で、建設のために県外から来る、あるいは内陸から来る、そんなことがあれば、沿岸地域の建設事業者がいろいろな機械を喪失したり事業所もなくなったり、立ち上げて頑張ろうというときに、手っ取り早くよそから来たのがすぐできるんだということでも、これは地域にとっては建設業再建がまた遠くなるような気がしてならないわけです。
 その辺、建設業は沿岸地域でどのような現状にあるのか数字を持たれているのであればお伺いしたいんですが、そして、できれば、再建を目指しているところはどんどん応援して、早目に事業に携われるような態勢を整えてほしい。そこから地域の雇用が生まれ、地域の経済が活性化してくるというふうにも思いますので、その辺はどういう検討なり取り組みなりをされているのかお尋ねしたいと思います。
〇理事(平井節生君) 市町村のまちづくりのビジョン、復興計画についてのサポート、支援ということでございますけれども、復興基本計画案におきまして、県としては、一つは復興パターンを三つ示したということでございます。これは具体の市街地ではないわけですけれども、一つの考え方の筋道を示したと言えるのではないかと思います。
 具体のまちの復興計画というのはまた全然違う難しい課題が山積しているわけでございますけれども、一つ県からは、津波防災施設の計画をしなければいけないと。県はそれをやる立場にあるわけですけれども、想定津波を設定するなどして津波防災施設の計画を市町村にお示ししているところでございます。これはまちづくりの一つの骨格をなすものでございますので、一つの考えるよすがになるものではないかと思います。
 また、具体の市街地、住宅地の配置等は市町村主体に考えるべきことかとも思いますけれども、では、大きな津波が来た場合に浸水域はどこになるのかというようなことも市街地、住宅地を計画する場合には必要な条件でございまして、県から供給するそういった情報と市町村として行う市街地、住宅地の計画の双方向的なやりとりを通じて一つのいいものをつくっていこうということかと思います。早いところでは7月にも復興計画をまとめるという市もございますので、そういったスケジュールに合わせてそういうやりとりをしていくべきと考えてございます。
〇県土整備部長(若林治男君) 建設業の現状はどうかというお話でありますが、岩手県建設業協会が4月5日に全県に対して調査を行いました。社屋や機材が流失などした被災企業数は47社―流失が31社、損壊や浸水が16社―になっております。そのほかに、代表者が亡くなられたとか従業員が結構亡くなられたという企業がかなりの数に上っております。
 そういう中にあって、被災した企業について、現在、瓦れき処理を建設業協会の支部がまとめて、いろいろなところで支部員、それからいろいろな企業を使ってそれを行っているようでありまして、再建に向けて取り組んでいるということで、廃業に向けて手続を行っている企業はないと聞いております。
 今後は、災害復旧事業をなるべく早く出して建設企業を支援してまいりたいと考えております。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 建設業の再建についてでございます。
 被災いたしました建設業者からは、岩手県建設業協会を通じまして、運転資金、設備資金を手当てする制度融資の創設、それから流失した建設機械の補償などという要望を受けております。県といたしましては、この資金繰りに関しまして、発災直後にまず岩手県中小企業災害復旧資金というものを3月に発足させました。それから、6月の議会では中小企業東日本大震災復興資金、これは8、000万円まで無担保で借りられるという県単の融資でございますが、大変有利なものを用意して対応しております。
 また、流失した建設機械の再調達に関しましては、財団法人いわて産業振興センターで設備貸与事業というのを実施しておりますが、今月から貸与期間の延長、それから貸与限度額の引き上げなどの制度の改善を図って対応することとしております。
 こうした制度を活用して再建していただきたいと思いますし、資金面以外では、専門家の派遣などの経営課題の解決というものも具体的に商工団体を通してやっておりますので、そういったものを活用して再建していただきたいと思います。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時4分 散会

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