平成23年6月定例会 第23回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇32番(田村誠君) 民主党・ゆうあいクラブの田村誠でございます。
 今任期最後となる一般質問登壇の機会を与えていただきました同僚議員各位に対し、心より感謝申し上げ、達増知事を初め県当局の積極的、かつ、わかりやすい御答弁をお願い申し上げます。
 3月11日に発生し、国内史上最大級、千年に一度とも言われ、まさに未曾有の東日本大震災、巨大津波が襲来した。世の無常を共有しつつ、とうとい命を失いました多くの方々に衷心より哀悼の誠をささげ、被災された県民の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
 最初に、達増知事の東日本大震災復旧、復興にかける決意についてお伺いをいたします。
 地震発生の当日は、県議会予算特別委員会最終日で取りまとめの予定でありましたが、14時46分の大地震により、委員会は中止。私は即、地元大船渡へ車を走らせました。報道によれば、国内観測史上最大のマグニチュード9.0、大船渡震度6弱、震源は三陸沖、大津波発生など情報が入ってまいります。ようやく現地に到着し、目前に飛び込んできた我がふるさとの惨状は悪夢を見ているような思いで、全身の震えがとまらない状態でございました。
 県におきましては、災害発生と同時に、達増知事を本部長とする対策本部を設置し、政府との連携、特に陸海空自衛隊災害派遣、警察広域緊急援助隊派遣、災害救助法及び生活再建支援法を県内全域に適用を図るなど、最大限の努力を傾注していると思います。全国各地から寄せられる心温まる御支援、ボランティアの皆様、本当に感謝の気持ちでいっぱいでございます。
 一方、県内の被災者数は、死者、行方不明者7、000人を数える状況にまで被災は拡大し、がんばろう!岩手宣言のもと、復旧、復興に向け、県民の総力を結集し、立ち向かっていかなければなりません。
 そこでお伺いをいたします。
 その一つは、復興基本計画案についてでございます。
 知事は、人命が失われるような津波被害は今回で終わりにすると決意を表明しております。
 私は、昭和35年、チリ地震津波を小学校6年生のとき、昭和43年、十勝沖地震津波、昨年2月は、50年ぶりと言われるチリ地震津波を大船渡で体験し、人命被害こそなかったものの、養殖漁業を中心に壊滅的被害を受けたものであります。そうした中、気仙地方では、昔から伝承されてきた浜がよければおかもよいという、浜の生活の思いをみずからの政治信条として歩んでまいりましたが、その浜は多くの人命まで飲み込み壊滅状態となっており、瀕死の状況であります。しかし、浜の人々は、今、立ち上がり始めております。
 知事は、希望の先にある岩手の姿とは、県民一人一人が、ふるさと岩手で、豊かで安心して暮らしていける喜びを感じることのできる社会と明言しております。大震災が発生した今、漁民の生活、三陸漁場の再建を初め、県内の今次大災害の復旧、復興に向けた知事の決意をまずお伺いいたします。
 その二つは、岩手復興特区についてであります。
 国においては、東日本大震災復興対策の柱となる復興基本法が、6月20日、民主、自民、公明などの賛成多数で可決、成立いたしました。中でも注目するポイントの一つに、復興特区制度を活用し、地域の創意工夫を生かすことが挙げられます。知事は、政府の復興構想会議のメンバーとして参画され、数多くの提言をしてきたと承知しており、中でも九つの岩手復興特区の提案は、平成23年度から平成30年度までの8年間を全体計画期間とする本県の復興実施計画に大きな弾みを及ぼすと同時に、地域主権を主張してきた我々としても、その迅速な復興実現を願望する岩手県民にとりましても大きな希望となります。
 岩手特区の基本的考え方、また、極めて厳しさを増す本県財政の中、復興財源の確保は不可欠でありますが、地方財政の優遇措置を求めていくことについても具体的なお考えをお示し願います。
 その三つは、大震災における消防団活動についてお伺いをいたします。
 大震災発生当時、防潮堤の水門閉鎖や住民の避難誘導など、津波警報が発令そして津波が迫る中、災害防御の任務に当たった分団員の皆様に対し、心より敬意と感謝を表します。しかし、大船渡市消防団では、2名の方々が津波にさらわれて死亡、いまだ1名の方が行方不明の状況にあります。県内では、80名死亡、36名が行方不明、合わせて116名の方々がとうとい命を失うという事態に、深い悲しみと防災対策の充実強化を図ることが極めて重要な課題となっております。
 そこでお伺いをいたしますが、消防団員は、非常勤の特別職地方公務員の身分を有しているわけですが、まず、今回の震災において、消防団活動中に死亡した場合などにおける補償制度はどのようになっているのでしょうか。また、消防団員の福祉共済制度についてもその詳細をお示しいただきたい。加えて、今次災害時の弔慰金の支給状況もお示し願います。
 次に、復興の第一としての瓦れきの処理についてお伺いをいたします。
 県は、今般、東日本大震災で生じた瓦れきを、平成26年3月末までの3年間に処理する計画を市町村や国との協議で明らかにし、詳細な計画を8月末までにまとめるとしています。県の試算では、県内の瓦れきの量は、年間処理量の12倍に当たる約583万トンに上り、腐敗や火災の危険がある瓦れきの処理を優先するとともに、来月末までに仮置き場に移動させ、それ以外も平成24年3月までに撤去するとしています。
 この瓦れきの処理については、国の対応のおくれから復興の妨げになっていたところ、太平洋セメントの大船渡工場では、6月22日、震災の被害が少なかった高台の原料プラントの稼動を再開し、市内などにあふれている木材など、1日当たり300トンの焼却処理を始め、地元の期待は大きいものがあります。太平洋セメントの社長は、コストもかかるが、ある程度赤字が出たとしてもやり抜くとしており、被災地に拠点を置く企業として、地元への貢献を重視しております。
 そこでお伺いをいたしますが、県では、瓦れき処理の方針として、地域復興と沿岸地域の雇用に配慮し、県内の施設や業者を活用することや、瓦れきを分別して再利用率を高め、最終処分量を減らし、塩分を多く含む有害な瓦れきは、除塩装置を設けるか、専用の仮設焼却炉を設置して対応するとしておりますが、塩分を含む瓦れきの焼却処分に当たって、太平洋セメントの施設の利活用を行いながら、新たな施設の増強を図るお考えはないか、また、いつごろまでを目途に焼却処理を終えるのか、まずお伺いをいたします。
 次に、瓦れきの処理に関連して、環境対策についてお伺いをいたします。
 津波被害に遭った一帯や瓦れきの集積場所では、処理し切れない魚介類の腐敗に伴う悪臭やハエ、蚊の大量発生と、それに伴う衛生状態の悪化が深刻化しております。この悪臭やイエバエの大量発生は、沿岸地域の被災地には共通して見られるところであり、劣悪な環境で暮らし、体力的にも限界状態の被災地の人たちにとって感染症の発生が懸念されるなど、早急に対策を講じる必要があります。県では、この環境対策をどのように進めていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 次に、ハード対策についてお伺いをいたします。
 6月25日、国の復興会議からの提言がまとめられ、地域づくりについては、被災地における地域づくりを推進するに当たっては、大自然災害を完全に封ずることができると想定するのではなく、減災の考え方に立って、地域コミュニティと人と人とをつなぐ人材に注目する必要がある。新たな地域づくりには、災害あり得るべしとの発想から出発せねばならぬ。災害との遭遇に際し、主体的に逃げるという自助が基本だ。それを可能にするには、共助、公助へと広がる条件を整備しなければならないとされており、また、過日示された県の復興基本計画案においても、なりわいと暮らしを早急に再生し、誰もが再び人間らしい日々の生活を取り戻すことができる被災者一人ひとりに寄り添う人間本位の復興を実現する。地域の主体的な考えを踏まえ、コミュニティの回復、再生を図りながら、三陸の海が持つ多様な資源や潜在的な可能性などの特性を生かした復興を実現するとされています。
 本県の被災地域においては、震災以前は過疎化に悩みながらも、今なお残る地域の結いの精神で地域での互助、共助が進んでおり、地域の再生に当たっては、コミュニティの再生をも十分に配慮していくことが必要であると考えております。県は、災害公営住宅の建設を進めるとしていますが、建設に当たり、コミュニティをどのように再生しながら進めていくお考えなのか、知事にお伺いをいたします。
 多少、コスト高になるとしても、災害公営住宅の建設については、地域コミュニティへの配慮から、コミュニティごとの建設を行ってはいかがでしょうか。
 次に、まちづくりの再生についてお伺いをいたします。
 県の復興基本計画案におけるまちづくりの視点としては、一つ、生命と財産の保全、二つ、コンパクトな都市形成、三つ、産業の再生、四つ、環境との共生を挙げております。未曾有の災害に見舞われ、行政権能をも失った市町村にとって、具体的な復興計画を策定していくことは現段階では難しく、早期に計画を策定するためにも、県の強力なリーダーシップのもとで市町村ごとの復興計画を策定していくことも必要であると考えます。県は、市町村と密接な連携のもとで、新たなまちづくりの具体的な姿を示していくべきだと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
 その際、土地利用計画が大きな課題になるものと思います。市町村が主体となって進めるべきであるにせよ、また、高台へ集落を再編する案にせよ、市町村主体では住民に身近ゆえに、権利の調整が難航することが予測されることから、残された土地の公有化も含め、復興計画の策定は県が主体となって進め、早期に提示していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、災害に強い社会資本整備についてお伺いをいたします。
 県の復興計画において、防災のツールとして、鉄道については新たな市街地と一体的に計画し、必要に応じてルート変更を行うほか、かさ上げ等により第二、第三線堤として防災機能を付加することを検討するとされ、防災・避難施設、避難道路は、災害時に、高台に向け短時間で避難できるルートとして、歩道、階段、スロープ等を適正に配置し、車と歩行者それぞれが安全に避難できる構造とするとされています。大船渡では、JR線も壊滅的に損壊しておりますが、新たな防潮堤の築造については、JRとの連携を進めて行うことも考えられます。湾口防波堤も含めた新たな防波堤の構築について、基本的な考え方についてお伺いをいたします。
 また、津波災害の際、多くの集落が孤立し、救援活動も難しい事例が多くありました。道路の整備に当たっては、孤立する地域が出ないよう考慮していく必要がありますが、災害に強い道路整備をどのように進めていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 次に、地域経済の早期回復と雇用対策についてお伺いをいたします。
 たび重なる災害で体力が失われてきている水産業について、国の補正を待たずに緊急に補正措置を行い、緊急的な事業を進めていただいていることに感謝申し上げます。
 一方、人口の減少等による購買力の低下により地域の商店街は危機的状況になっていたところに、このたびの災害が追い打ちをかけ、地元の商業の復興は非常に困難になってきております。二重ローンの問題はもとより、自前での復興にはそれなりの資金が必要であり、後継者不足や資金難で苦しむ地元の商業は、廃業に追い込まれてきていると言っても過言ではないと思っております。地元の商店街は、地域の伝統を維持しながら、地域のにぎわい創出の拠点でもあり、その再生を進めていくことにより、地域生活の真の再生が果たせるものと思っております。
 災害の復興を果たすため、地域住民に役立ち、地域の魅力を発信する商店街ならではの取り組みを支援することで商店街を再生していくことが必要と思いますが、商店街の復興をどのように進めていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 また、震災により多くの人が生活基盤である労働の場を失い、安定的な収入の道が閉ざされたことにより、今後の生活設計が立ちにくい状況にあります。人口の流出に歯どめをかけるためにも、地元において雇用の場を創出していくことが喫緊の課題となっておりますが、雇用の場を失った状況をどう把握し、そして雇用の創出についてどう展開しようとしているのか、あわせてお伺いをいたします。
 次に、北里大学についてお伺いをいたします。
 北里大学では、学生アパートの3割程度が津波被害に遭ったことなどを理由に、学生の安全などを考えて、当初予定の4年より1年長い5年間にわたって三陸キャンパスを使用しない考えを、学長が4月18日大船渡市役所を訪れ、大船渡市長に伝えております。
 北里大学三陸キャンパスは1972年に開設をされ、海洋生命科学部があり、約560名の大学生、大学院生が在籍しておりますが、現在は、震災を受けて全員が神奈川県のキャンパスに移っております。北里大学は、大船渡市のみならず、本県の産業育成に重要な役割を果たしてきており、5年後においても白紙化している状況を打開し、早期に大学を再開し得るような環境を整備していくことが急務と考えられますが、県は、本県での北里大学の役割をどのように認識し、また、早期再開に向け、どのように対策を講じていくお考えなのか、お伺いをいたします。
 次に、遠野市が4年前から三陸の災害に備えて準備を進めてきた後方支援拠点構想についてお伺いをいたします。
 今般の大震災では、発生直後から自衛隊や警察、消防、医療チームが遠野市に集結し、救援、救助活動を展開しております。市民を中心とするボランティアが食事をつくり、救援物資の仕分けをして沿岸部へ届け、震災から3カ月が過ぎた今も大きな役割を果たしております。壊滅的な打撃を負った三陸の沿岸部は、行政機能を含め回復に時間がかかっており、復旧、復興を円滑に進めるためには後方支援機能が欠かせなく、今後、全国に広げたい試みでもあると考えます。
 遠野市は、沿岸部に近いという立地から、津波被害などの後方支援基地としてのあり方を考えてきており、災害列島に生きる私たちには、この取り組みを今後の備えに生かさなければならないと考えます。遠野市の後方支援構想の具体化を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、沿岸地域には欠かすことのできない最優先されるべき水産業の復旧、復興についてお伺いをいたします。
 今般の巨大津波により、漁船や養殖施設、荷さばき施設、水産加工施設など、水産業の基盤となる施設がことごとく破壊されましたし、また、漁業施設も壊滅的な被害を受けたところであります。このような中、県では、水産業の復旧、復興に向けた対策を早急に講ずる必要があると考えますが、知事はどのような考え方を持って水産業を復活させようとしているのか、その方向性と決意をお伺いいたします。
 本県の漁業は沿岸漁業が盛んであり、特にもサケを中心とした定置漁業、アワビ、ウニ採介藻漁業、ワカメ、カキ、ホタテ等の養殖業が営まれているという特徴があります。しかしながら、今般の震災により、多くの漁業者が船や漁具を流出し生産手段を失っており、中には住む家を失った人もございます。
 私も早々、被災現場や避難所を訪問しながら漁業者からの意見を聞いて回りましたが、海に出たい、漁がしたいとの意見も数多くありました。今後、漁業者が意欲を持って水産物を生産できるよう支援する必要があると考えますが、どのような支援を行っていこうとしているのか、お伺いをいたします。
 また、漁業生産の振興策とともに、加工業者への対策も大変重要でございます。本県の水産加工業出荷額は約800億円で、前浜からの漁業生産を利用しながら水産加工業は発展してきたところであり、その加工関係施設も大きな被害を受けたところであります。水産加工業者は、地元の雇用にも大きく貢献してきたところであり、再建が待たれるところでありますが、水産加工業への支援策が余りにも少ないように思われます。
 そこでお伺いをいたしますが、水産加工業への復旧、復興対策と具体的な支援についてお伺いをいたします。
 次に、海中の瓦れきについてお伺いをいたします。
 津波により海へ流出した損壊家屋、漁船や養殖施設、漁具などが瓦れきと化して漁港、漁場に多数堆積しており、漁業の再開の妨げになるおそれがあります。漁港にある瓦れきについては、作業船により撤去作業が進んできており、漁船の航行等がある程度可能となってきております。しかしながら、漁場にある瓦れきについては、漁業者から早い撤去を熱望されております。漁業再開のためには、海中の瓦れき撤去についても必要と考えますが、どのようなスケジュールで漁場に堆積している瓦れきの撤去を進めていくお考えか、お伺いをいたします。
 国内観測史上最大のマグニチュード9.0を記録した巨大地震による地殻変動で東日本全体が沈下し、本県沿岸部でも大きく沈下し、特にも、沿岸南部では1メートル以上沈下しているところもあります。この地盤沈下によって大潮の満潮時に岸壁背後の土地が冠水し、漁船の岸壁への乗り上げが懸念されるなど、今後の漁獲物の水揚げなど漁業生産活動の障害になります。漁港における地盤沈下対策についてどのように取り組むのか、お伺いをいたします。
 最後に、私の住む気仙地方では、明治29年の津波で、当時の唐丹村を含めて、実に6、000人もの犠牲者を出したと伝えられております。今回の津波においても3、000人近い犠牲者を出してしまいました。過去の教訓が風化してしまったことこそが最大の原因であります。そんな中にありまして、犠牲者も被害も最小限に抑えた地域があります。明治の津波で人口の2割に当たる200人以上が犠牲になったことを契機に、当時の村長を先頭に、高台移転に取り組んだ大船渡市三陸町の吉浜地域でございます。模範的なケースとしてマスコミが多く取り上げ、世界じゅうの研究者が注目している地域でございます。本県沿岸部の復興を高台への移住で進める場合に、被害を最小限に食いとめた吉浜地区の実例を取り組みのモデルケースとして位置づけてはいかがかと提言をいたします。
 今回の津波には、沿岸の農地にも甚大な被害をもたらしました。浸水により田畑に多量の土砂などが堆積をするとともに、用水路や農道といった農業施設が流失し、それら農地のほとんどが、本年度の営農を断念せざるを得ない状況となりました。このような危機を乗り越えるためには、来年度の営農再開に向けて農地の早期復旧に取り組むとともに、今後の地域の復興に向けて、新たな農業経営の展開を検討する必要があると考えます。
 今回の被害を克服し、吉浜のようにまとまった農地を次世代へ引き継いでいけるよう、従来の災害復旧事業による原形復旧を基本とした整備にとどまらず、将来のあるべき営農の姿を見据えた新たな基盤づくりを進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、実施に当たっては、県として整備に係る事業費の地元負担を可能な限り軽減するような支援策を講ずるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、東日本大震災津波の復興にかける決意についてでありますが、今回の東日本大震災津波により、本県では多くのとうとい命と財産が奪われ、産業基盤の喪失、住居や道路等の崩壊など、沿岸地域の生活や産業経済に未曾有の被害を受けており、特に本県の主要な産業の一つである水産業は、漁船や養殖施設などの生産基盤が壊滅的な被害を受けたところであります。
 県の岩手県東日本大震災津波復興計画では、災害の苦しみ、悲しみを乗り越え、安全に暮らし、働くことができる地域社会を取り戻さなければならないという思いを込め、復興に向けた三つの原則としまして、1、津波により再び人命が失われない地域づくりのための安全の確保、2、被災者が希望を持ってふるさとに住み続けるための暮らしの再建、3、水産業を初め、生産者が意欲と希望を持って生産活動を行うためのなりわいの再生を掲げたところであります。
 今回の災害は、これまで経験したことのないような大災害でありますが、この困難を克服し、必ずや本県の復興を実現するため、この原則のもとで、地域のコミュニティや人と人、地域と地域のつながりを重視しながら、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造に向け全力で取り組んでいく考えであります。
 次に、岩手復興特区についてでありますが、いわゆる復興特区は、規制、権限の特例措置による手続の簡素化、経済的支援などの措置を一元的かつ迅速に行おうとするものであり、被災地域の特徴に応じた早急な復興に有効であると認識しております。
 このため本県では、水産業の再生に向けた全面的支援を行う漁業再生特区や、復興道路や港湾等の早期復旧、整備に向けた財政支援等を中心とする岩手・三陸交通ネットワーク特区など九つの特区構想を国の復興会議に提言したものであり、本県の復興の核として取り組みを進めたいと考えております。
 また、復興財源の確保についてでありますが、本県、とりわけ被災地域は地域経済が弱く、自主財源に乏しい地域でありますことから、復旧、復興に当たっては国費による力強い措置が何よりも必要であり、これまでの例にとらわれない国の補助制度の創設や国庫補助率の引き上げ等を強く要請しているところであります。また、こうした国費による支援が講じられてもなお、国庫補助の地方負担分や単独事業といった地方の負担する復興費用について、財源措置の充実が不可欠である旨を提言しているところであります。こうした本県の提案は、国の復興構想会議の復興への提言にも明記されたところであります。
 次に、災害公営住宅建設に当たってのコミュニティ再生についてでありますが、災害公営住宅は、今後、用地を選定し建設を進めていくこととしていますが、コミュニティの再生を図っていくことが重要な視点となるものと考えております。
 住宅の建設に当たっては、高齢者に対する配慮や住民が集まる場所づくりなどについても十分検討し、周辺地域との協調が図られ、住民の良好なコミュニティが形成されるように取り組んでまいります。また、市町村の復興計画などの検討状況を踏まえながら、複合的な施設としていくことや高齢者向けの住宅を提供することも検討してまいります。
 次に、県と市町村連携による新たなまちづくりの姿の提示についてでありますが、被災した地域の被害状況や地理的条件等がさまざまでありますことから、例えば、県の復興基本計画案に掲げるまちづくりのグランドデザインにおいては、津波防災の基本的な考え方と被害状況に応じた基本的な三つの復興パターンをモデルとしてお示ししてきたところであります。具体的なまちづくりの計画は市町村が主体になって行うべきであると考えていますが、それを支えるために、技術職員の派遣や各種データの提供など人的、技術的な支援を行っています。
 今後においても、市町村の復興計画に基づくまちづくりの取り組みについては、その策定段階や実施段階などに応じてきめ細かな支援を進めていきたいと考えております。
 次に、水産業復活の方向性と決意についてでありますが、地域に根差した水産業の再生に向けては、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築と産地魚市場を核とした流通、加工体制の構築、これらを一体的に進めていくことが必要であり、このため、漁協による漁船の一括購入、共同利用システムの構築、定置網、養殖施設等の生産基盤の早期復旧や、魚市場や加工施設等の共同利用施設の復旧、整備に取り組んでいくこととしております。
 また、漁業活動の拠点となる漁港等の復旧、整備に向けては、まずは漁業の早期再開のため、航路、泊地の瓦れき等の早期撤去を進めるとともに、地域の防災対策や地域づくり、水産業再生の方向性を踏まえた漁港、漁場等の復旧、整備を推進していくところであります。本県の水産業は沿岸地域の復興の礎となるものでありますので、意欲と希望を持てる水産業の再生に向けて全力で取り組んでいく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) まず、消防団員が活動中に死亡した場合などにおける補償制度についてでございます。
 消防団員は非常勤特別職の地方公務員であるため、公務中に死亡やけがをした場合には、政令及び市町村の条例に基づきまして公務災害としてその損害が補償されます。また、階級及び勤務年数に応じて、死亡した場合などに退職報償金が支給されます。これらに加えまして、国、県及び市町村のそれぞれから賞じゅつ金が支給されます。賞じゅつ金につきましては、功績に応じて、それぞれの団体―国、県、市町村ごとに1人当たり490万円から3、000万円の範囲となっております。さらに、これは公費によります補償というものではございませんが、財団法人日本消防協会が運営しております消防団員福祉共済制度に加入しております消防団員につきましては、公務中に死亡した場合、規約に基づき弔慰金等が支給されます。この弔慰金につきましては、2、300万円に追加的に付加給付等が加わりまして2、700万円ということになっておりますが、今回の震災につきましては、多数の方々が亡くなられたということで、財源の関係上1、100万円となっていると承知しております。
 今回の震災に係ります弔慰金の支給状況についてでございますが、7月4日現在でまとめておりますが、2件の申請があり、財団法人岩手県消防協会におきまして支給事務の手続を行っております。
 なお、弔慰金の支給につきましては公務災害認定が要件となっておりまして、現在、県の市町村総合事務組合におきましてこの公務災害認定の手続を順次進めているところでございます。
 次に、遠野市の震災後方支援構想の具体化についてでございますが、これまで県におきましては、津波災害が発生した場合に、沿岸被災地への支援拠点として、遠野市が地理的に優位である点に着目し、平成19年度に遠野市運動公園を主会場に総合防災訓練を実施するなど、その効果的な活用につきまして取り組みを進め、検討を重ねてきたところでございます。
 今回の東日本大震災津波におきましては、遠野市は自衛隊やボランティア団体等の活動拠点となるなど、被災地に対する支援や復興の後方支援基地として大いに機能いたしまして、その有用性が実証され、県内外から広く注目されたところでございます。
 県では、このような遠野市が後方支援基地として果たした役割の重要性にかんがみまして、今般作成いたしました復興基本計画案において広域防災拠点の整備を盛り込んでおりまして、今後、県全体の広域防災拠点のあり方も念頭に置きまして、関係市町村と調整を進めながら、早期にその具体化を図っていきたいと考えております。また、具体化に当たりましては、国としての防災対応に資する面も大きいことから、国によります整備や財政措置についても強く働きかけていく考えでございます。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物の処理についてでありますが、塩分を含む災害廃棄物を大量に処理するためには適切な除塩対策を講じることが不可欠であり、このため、太平洋セメント大船渡工場において除塩のための試験プラントが設置され、実証試験を行っているところであります。今後、実証試験が順調に進み、適切な除塩対策が構築されることによりまして、11月以降、1日当たり1、000トン程度の本格処理が進むものと考えております。
 一方、太平洋セメント大船渡工場における本格処理が開始されたといたしましても、焼却能力がなお不足することから、県内2カ所に仮設の焼却炉を設置したいと考えております。これらに加えまして、広域処理を進めることにより、県の災害廃棄物処理実行計画に掲げる平成26年3月までの処理を完了させるよう努めてまいります。
 次に、災害廃棄物の環境対策についてでありますが、悪臭対策及び害虫駆除を効果的に実施するため、各地域の保健所が市町村に対し助言を行っているところであります。また、社団法人日本ペストコントロール協会などが相談窓口を設置するとともに、現地において防除作業等を実施しておりますことから、これら団体の活用につきましても市町村に助言をしているところでございます。
 さらに、腐敗した魚介類を早期に処理するため、大船渡市及び陸前高田市の腐敗水産物の海洋投入処分について実施、支援するとともに、陸前高田市の水産物まじりの災害廃棄物の処理を進めるなどの対策を講じているところでございます。
 今後におきましても、夏場に向けて消石灰の散布や消臭剤、殺虫剤の噴霧等の発生源対策の重点的実施や、生活環境に影響を及ぼす災害廃棄物の早期撤去を市町村に対し適切に助言してまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、災害公営住宅の建設につきましては、さきの補正予算におきまして750戸の測量費と設計費を計上いたしまして用地選定などの作業を進めております。沿岸各地の多くの集落が被害を受けておりますので、復興に向けては、各地域ごとに災害公営住宅を建設していくことも必要であると考えております。建設場所などにつきましては、県、市町村の事業主体も含め、市町村と十分に調整するとともに、その意向を反映してまいります。
 次に、災害に強い社会資本整備についてであります。
 復興基本計画案において、本県における津波対策の基本的な考え方である多重防災型まちづくりを進めるため、海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策を適切に組み合わせて、被害をできるだけ最小化するという減災の考え方により安全確保を図ることとしております。
 その対策としては、湾口防波堤や防潮堤、水門、陸閘などの海岸保全施設の効果的な配置により一定の安全性を確保した上で避難場所や避難路を適切に配置するとともに、幹線道路や鉄道などについては、関係者と連携しながら、復興まちづくりと一体となったルートの見直しやかさ上げによる防災機能の付加などを検討してまいります。
 次に、災害に強い道路整備についてですが、県では、復興道路として災害に強い高規格幹線道路などの幹線道路ネットワークを整備し、あわせて、これを補完する国県道などの整備を行うことにより、災害時における確実な緊急輸送や代替機能を確保した信頼性の高い道路ネットワークを構築する必要があると考えております。
 また、国県道が浸水し一時孤立した地域につきましては、現在、その実態調査とともにルート確保の可能性などを検討しておりまして、今後、市町村と連携を図りながら必要な道路の整備を進めていく考えであります。
   〔理事平井節生君登壇〕
〇理事(平井節生君) 県が主体となっての市町村の復興計画策定についてでございますが、土地利用計画を含む復興計画は市町村が主体となって作成するべきものと考えますが、土地をめぐる権利の調整には困難も予想されます。また、公的主体による土地の買い取り制度も現状では十分でないと考えております。
 このため県では、土地利用計画の許認可手続の一本化や、土地の買い取り等により被災者の移転を促進する防災集団移転促進事業の拡充等を復興構想会議の場等を通じて国へ要望してきたところでございます。また、具体の復興計画策定につきましては、各種データの提供等、技術的支援や都市計画の専門家の派遣等を通じて市町村を支援してきているところでございます。
 今後とも、それらの取り組みを通じて、市町村の自主的な取り組みを復興計画の策定段階等に応じて適時適切に支援してまいります。
 次に、被災地域における高台移転と吉浜地区の好事例についてでございますが、吉浜地区におきましては、被災した先祖の教訓を生かし、山側の高台を造成し宅地として移り住み、低地の跡地を水田などに活用してこられ、その結果、今回の津波でも難を逃れたとのことです。
 今回、県の復興基本計画案におきましては、まちづくりのグランドデザインの考え方の中で、コミュニティを崩さない形で高台に移転し、避難路や避難場所を確保することにより、低地での農業や漁業を営むまちづくりを復興パターンの一つとして示しているところでございます。また、過去の教訓を生かすことにつきましては、震災の経験を後世に語り継ぎ、防災意識の向上や避難行動を促す防災文化の醸成と継承に取り組むこととしております。
 県といたしましては、今後、市町村のまちづくりを支援していく過程で吉浜地区の事例も適宜参照してまいります。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、商店街の復興の進め方についてでありますが、商業者が一刻も早く事業を再開し、生計の道を築けるよう、個店の立ち上げを支援することが喫緊の課題と考えており、これまでも低利の中小企業災害復旧資金や店舗の修繕費補助などの制度を立ち上げ、その活用を促してきたところであります。また、店舗が全壊した商店街につきましては、応急の大型テントの貸し出しや中小企業基盤整備機構による仮設店舗での事業再開を支援しているところであります。
 なお、商店街の本格的な復興に際しましては、将来の土地利用計画や市町村で策定する新たなまちづくりのグランドデザインとの整合など、さまざまな課題が横たわっているものと認識しております。
 今後、県といたしましては、地元商店街の意向が新たなまちづくりに反映され、本格的な商店街復興が円滑に進むよう、専門アドバイザーによる助言を行うほか、共同店舗、施設整備のための長期、低利な中小企業高度化資金の活用などを通じて支援してまいりたいと考えております。
 次に、雇用対策についてでありますが、沿岸地域では多くの企業が被災したことから雇用の場が失われ、有効求人倍率は、全県で2月には0.5倍であったものが、発災後の3月には0.47倍、4月には0.41倍と低下し、特に沿岸地域は、各ハローワーク単位で4月には軒並み0.2倍台と厳しい雇用情勢となったものであります。
 このため、4月、6月の臨時議会におきまして緊急雇用創出事業予算を合わせて120億円増額いたしまして、被災者の方々の当面の雇用や生活の維持を図るとともに、あわせて被災企業の復旧、復興に向けた対策を講じるなど、雇用と産業復興両面からの施策推進に努めてきたところです。
 しかしながら、産業復興による本格的な雇用の回復には時間を要することから、当面は引き続き緊急雇用創出事業を活用いたしまして、被災者の方々のニーズを踏まえながら、切れ目のない雇用創出を図ってまいります。
 なお、こうした発災以来の取り組みなどもあり、沿岸地域では5月の有効求人倍率は釜石、宮古地域におきまして0.3倍台と回復し、全県では0.45倍となるなど若干の改善が見られているところであります。
 次に、北里大学海洋生命科学部についてでありますが、同学部は沿岸地域最大の教育研究機関であり、海洋生物、水産分野における幅広い研究や人材育成、さらには本県産業の振興に重要な役割を果たしてきたところであります。また、同学部が長年にわたって積み重ねてきている研究成果は、さらに研究を続けることで価値を増し、次世代への貴重な資産となり得るものであることから、今後も継続することが重要であり、震災からの復興にも大きく寄与するものと認識しております。 
 このため県は、これまで大船渡市や地域の関係団体とともに、大学を運営する学校法人北里研究所に対しまして三陸キャンパスの早期再開を要望してきたところです。また、国に対しても、再建、維持存続のための全面的な支援や、同学部との連携を前提とした海洋に関する総合的な研究拠点の整備を要望してきたところであります。 
 今後におきましても、関係者と連携いたしまして、学校法人北里大学や国に対して三陸キャンパスの早期再開に向けた働きかけを続けてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 漁業者の生産活動への支援についてでありますが、漁業者が意欲と希望を持って漁業生産活動を再開できるよう、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築に取り組むとの基本的方向に沿って、国の1次補正予算を活用した事業として、漁船、定置網の調達、養殖施設の復旧、整備、魚市場再開に必要な機器の整備など、さらに、国の今後の補正予算を見込んだ事業として、荷さばき施設等の共同利用施設の復旧、整備、養殖用種苗の供給、ウニのむき身加工に必要な海水滅菌装置等の機器整備などを推進し、漁業、養殖業の生産活動の円滑な再開に向けた取り組みを支援してまいります。
 次に、水産加工業への復旧、復興対策と具体的支援についてでありますが、水産加工業は、水産物の高付加価値化や雇用創出などの役割を担う、地域にとって重要な産業であり、水産業再生に向けては、産地魚市場を核としながら流通、加工体制を構築していくことが必要と考えております。
 このため、漁業協同組合や水産加工業協同組合の加工施設については、共同利用の機器類の整備を水産業共同利用施設復旧支援事業で、冷凍、冷蔵施設等の共同利用施設の復旧、整備を水産業経営基盤復旧支援事業で支援することとしております。
 また、水産加工業者については、企業グループによる施設、設備の復旧、整備は岩手県中小企業等復旧・復興支援事業で、個別企業の機器類の購入等は水産加工事業者生産回復支援事業で支援していくこととしており、融資制度の活用とあわせて水産加工業の復旧、復興を支援してまいります。
 次に、海中の瓦れき撤去対策についてでありますが、海中の瓦れきについては、先月下旬から3隻の調査船により漁場の海底の堆積状況調査を開始しており、その結果に基づき、まずは秋サケ定置やワカメ養殖施設等の設置に支障がないよう早急に撤去を実施することとしております。今後も、調査とあわせて撤去作業に取り組み、本年度末をめどに海中の瓦れきの撤去を進めてまいります。
 次に、漁港の地盤沈下対策についてでありますが、県内の漁港の沈下状況は、沿岸北部地域で10センチメートル程度、沿岸中部から南部地域で50センチメートルから80センチメートル程度、所によっては1メートル以上沈下した漁港施設もあり、漁業の早期再開の支障となっております。
 このようなことから、県では、水産物の円滑な水揚げや漁船の安全係留を確保するため、関係市町村や漁協と協議しながら、産地魚市場前面の岸壁や漁港用地のかさ上げ仮工事を早急に行うこととしております。
 今後とも、市町村や漁協等と密接に連携し、漁港背後の市街地や隣接した道路などの排水対策と十分調整しながら岸壁や漁港用地等のかさ上げ工事に取り組んでまいります。
 次に、農地の復旧のあるべき姿についてでありますが、沿岸地域の農地は、区画が小さく農道や水路なども未整備で、また、農業従事者の減少、高齢化などにより耕作放棄地が拡大しており、加えて今回の被災が甚大であったことから、従来手法の原形復旧では営農意欲の減退の一層の加速化が懸念されているところであります。
 このようなことから、県におきましては、今回の東日本大震災津波を契機として、沿岸地域の特性や地域づくりの方向性を踏まえた生産性、収益性の高い農業の実現を図るため、災害復旧と一体となって進める圃場の整備や、減災の視点に立った農道の配置などについて関係市町村や地域住民と話し合いを進めていくこととしております。
 このような農地の復旧、整備を進めるに当たっては、国がさきの1次補正予算で創設した9割を超える補助率となる農地災害関連区画整理事業の導入を検討するなど、地元負担の軽減も図りながら農地の復旧に取り組んでまいります。
〇32番(田村誠君) ただいまは大変前向きな御答弁をちょうだいいたしまして、被災地の皆さんもそれなりに期待を寄せ、そして県の皆さんとともに前向きに取り組んでいこうということにつながるだろうというふうに思います。大変ありがとうございました。
 そこで、今、市町村からよく言われてまいりますのは、やはり今回の復旧、復興に当たっては、スピード感が最も大事であろう。あるいは、その制度、予算というものを使いやすい状況にしてほしい、この二つが必ず言われているわけでございます。こうしたことに対しまして、スピード感あふれるような取り組みをしていただきますように、まず一つ要望しておきたいと思います。
 それと、瓦れきの関係から環境対策の関係についてちょっとお伺いさせていただきたいと思いますが、いずれ今、これは市が中心となって防御、防除をしていただいております。そこで、当市なり沿岸地域に来ていただけばわかるだろうと思いますが、非常にハエが多く、それもこんな大きなハエが飛んでおりましたり、においがすごいんです。かなり一生懸命やっていただいているんだろうと思いますけれども、やっぱりまだまだという感がございます。
 そこで、EM菌などを使った防除などもあるようでございます。もう少し幅を広げてやれるように、ひとつ市のほうに指導していただけないものかという気がいたしますので、その点も、もしありましたならば御意見を賜りたいと思います。
 それと、商店街の関係でございますけれども、大変な状況にありまして、商店街と言われる部分は、もう既にほぼ壊滅的な状況になっておりまして、何としても早く商売をしたいという思いがあるわけですが、今、国の制度の中でも、ちょっと私、名前忘れましたけれども、プレハブを使いまして、そして仮復旧をしながらいろんな施設をつくっていただける、これの利用率が非常に低いと聞いておるわけでございます。希望はするんだけれども、なかなか設置場所がないとか、そうした状況にあると聞いておりますが、これらなども早く、これもやっぱり使いやすくやれるように指導しながら積極的に取り組んでいただいて、少しでも早く、そうした商売に取り組みたいという人の期待にこたえていただきたいという気がしますので、ひとつ御指導、御支援をお願いします。
 もし、何か所見がありましたならばお願いをいたします。
 それから、次に、北里大学の関係についてお伺いをいたしますが、これは先ほども御答弁いただきました。国に対していろんな環境整備を要望していただいているということのようでございますが、県は、こうした北里大学海洋生命学部の再開に向けて、先ほど申し上げましたように国に要望活動を行っているということですが、県の復興基本計画案において三陸創造プロジェクトを掲げているわけですが、その中で、復興に向けて、県民はもとより、関係団体、企業、NPOや大学等の高等教育機関など、多様な主体とともに連携をしながら計画を推進していくとなっておりますけれども、その中で、科学技術分野で三陸の海の資源を活用した新産業創出に向けた海洋研究拠点の形成を産学官連携によるプロジェクトで推進するとしておりますけれども、この海洋研究拠点の形成に向けた北里大学海洋生命学部との連携はどのようになっているのか。そして、県としてさらにもう少し強い支援をしていただかないと、なかなか帰ってこれないのではないかというふうに言われてございますので、もう一押しの御支援をお願いしたいと思います。
 それからもう一つは、カキ、ホタテ貝の養殖共済制度についてでございます。
 これは、平成22年度の契約が終わりの時期に東日本大震災津波が発生したことにより、カキ、ホタテ貝の養殖の生産物や施設が深刻かつ壊滅的な状況となっているにもかかわらず、平成22年度の水揚げ金額は平年並みとなることから、結果的に支払い対象にならないという状況にございます。実際の被害の影響が見込まれる平成23年、いわゆる来年度の契約については、現行の漁業災害補償法では契約してはならないということになっているわけで、カキ、ホタテ貝の養殖は、出荷できるまでには数年かかる、二、三年以上はかかるわけですね。こうしたことから、被害における補償を一度も受けないし契約もできない。そのため、漁業者の復興意欲を阻害する要因の一つになっているわけでございます。
 そこで、県におきましても、継続的契約ができるよう漁業者の意見をよく聞いた上で、国へ制度の見直しに向けて検討し強く要望していただきたいということを、これは要望だけにさせていただきますが、いずれ、そうした取り組みをぜひしていただきたいということでございます。
〇環境生活部長(工藤孝男君) ハエと悪臭対策についてEM菌を活用してはどうかという御提案でございます。これにつきましては、有効であるという実証例が報告されてございます。したがいまして、これらを踏まえまして、情報を収集した上で、市町村のほうに提供させていただきたいと思っております。
 また、現地におきましては、財団法人日本環境衛生センターでありますとか、同じく公益社団法人におい・かおり環境協会、こういった団体も活動してございます。こういった団体の活用につきましても、市町村のほうには助言をさせていただきたいと考えてございます。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、最初の仮設店舗の件でございます。これは、中小企業基盤整備機構という国の外郭団体が、ほとんど無償に近い形で仮設店舗を貸し出すという制度がございますが、残念ながら、建てる場所についてなかなか地元の市町村と折り合いがつかない。というのは、被災地域であったり、それから電気、水道などのインフラが十分でなかったりということで、うまくいかないということは聞いておりました。私たちも、これは何とか早く立ち上がらないかと気をもんでおりまして、先ほど御答弁申し上げましたけれども、県が間に立つとか、それから専門アドバイザーからの助言というものは準備してございますので、どんどん県に御要望を寄せていただければと考えております。
 それから、次の北里大学でございますが、平成21年度に、私たち、北里大学海洋生命学部を含む沿岸地域の五つの研究機関を中心にいわて海洋研究コンソーシアムというものを立ち上げて、研究者の交流や共同研究など、海洋研究の拠点化に向けた取り組みを実施してきました。今回の復興計画にも明記してございますが、私たちも、この北里大学の海洋生命科学部というのは非常に重要な構成員として考えておりまして、今まで取り組んでまいりました海洋研究コンソーシアムのメンバーといたしまして、ぜひ一緒になってやっていただきたいという思いを持っております。
 残念ながら、ちょっと、今、引っ込んでしまったという状態でございますが、私たちといたしますと、今までやっていただいた研究は継続されるように、県の持っております施設設備につきまして、これは大学の要望があれば貸し出すという体制を整えておりますので、こうしたことを実践しながら、何とか大学を再び三陸のほうに持ってきたいと考えております。
〇32番(田村誠君) これは知事に最後にお伺いをしたいと思いますけれども、いずれ北里大学の5年先が白紙状態の状況になっていまして、地元で、一日も早く三陸のほうに来たいという学生さんも非常に多いと言われております。それと、6、500名にも及ぶ多くの卒業生を輩出して、その方々が全国の中に水産業を中心とした企業に働いて、いろんな情報網を持っている学校でもございます。そうした学校ですので、私はこれからの水産業の発展のためには、ぜひ北里大学が必要だという前提で、知事にももっと積極的に、再度三陸にキャンパスを構えていただけるよう、そうした取り組みをぜひお願いしたいと思いますが、その決意のほどをお聞きして私の質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) 北里大学は卒業生が地元に残って活躍したりなど、大変すばらしい関係を地域と結んでいたと思います。担当部長から答弁があったように、海洋研究コンソーシアム、他の岩手沿岸の研究機関と連携しながら、県としても頼りになるパートナーとしての関係を構築していると思っておりますので、さまざまなおつき合い、パイプがありますから、鋭意働きかけてまいりたいと思います。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、久保孝喜君。
   〔11番久保孝喜君登壇〕(拍手)

前へ 次へ