平成23年6月定例会 第23回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇24番(嵯峨壱朗君) 自由民主クラブを代表して一般質問させていただきます。
 質問に先立ち、今回の大震災で亡くなられた皆様、被災された皆様に対しまして、心よりお見舞い申し上げます。
 また、これまでの災害救助、復旧、復興に向けての国、県、各自治体、警察、自衛隊、消防を初めとする関係各位に、さらには、多くのボランティアの皆様、救援物資、義援金等で御支援いただいた全国の皆様に、被災地を選挙区とする議員として、被災地を代表して心より敬意と感謝を申し上げる次第でございます。まことにありがとうございます。
 未曾有の大震災が起きてから、もう少しで4カ月が経過しようとしております。直後の多くの被災者の人命救助、救済、避難所の設置、食料・物資の確保、仮設住宅の建設等と、時々刻々、地域によっても被災状況、復旧状況も違うし、適時適切な対応が極めて困難なものであることがよくわかりました。現在でも、これからも、日々、季節の経過に従いながらも新たな問題が発生してくると思われます。県におかれましては、可能な限りの対応を改めて心からお願いするものでございます。
 昨日、松本復興大臣が、県民の代表である岩手、宮城両県知事に対する被災地住民を愚弄するような一連の発言を受けて、就任7日目で早期に退任いたしました。まことに残念ではありますが、余りの非常識な発言内容とともに、菅総理の任命責任を指摘されているところでもございます。
 そうした中で、本県出身の平野復興大臣が誕生したことは、党派を超えて、当然、前任者よりはよく地元を熟知していることも含めて、復興のスピードアップに向けて大いに期待するものでございます。
 きょうの新聞、きのうのテレビ等で達増知事が取材に答えておりました。それによると、平野復興大臣の就任については、特に歓迎の言葉はなく、首相がまず行うべきは、首相自身の責任を明確にすることだとし、退陣を要求したとありましたが、私は、大きな違和感を覚えました。知事が党籍を持つ民主党政権の総理の早期退陣を求めること自体、理解できないし、岩手県知事として、被災地の復興のかなめとなる復興大臣が、同じ、知事の仲間である平野大臣になったにもかかわらず、期待も歓迎の言葉もないということにも驚きを禁じ得ません。知事のスタンス、考えに対し深い疑問を抱くのは私だけでしょうか。
 いずれ、達増知事におかれましては、国会議員ではないのですから、多くの被災者を抱えた岩手県の知事として、政治、政局的な発言も含め、政府を批判するだけではなく、国、市町村と連携しながら一刻も早い復興に向けて御尽力いただくことを期待いたします。
 初めに、国の東日本大震災への取り組みについて、知事にお伺いいたします。
 瓦れき撤去や仮設住宅の費用が盛り込まれた国の第1次補正予算が5月2日に成立し、また、復興特区の創設や復興庁の設置など復興の柱となる復興基本法が6月20日に成立いたしました。阪神・淡路大震災の際には、復興基本法が約1カ月後に成立するなど対応が早かったのですが、今回は3カ月とかなり時間を要しております。また、補正予算についても後手後手で、被災者等から、スピード感に欠けるとの批判も聞いております。
 本格復興に向けた国の第2次補正予算もこれからという状況でありますが、今回の大震災により甚大な被害を受け、早期の復旧、復興を進めなければならない岩手県の知事として、また、国の復興構想会議の委員として、国の震災発生後の取り組みをどう評価しておりますでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、県の復興計画について、知事にお尋ねいたします。
 去る4月23日に開催された東日本大震災復興構想会議において、被災3県の知事が、それぞれ復興に向けての意見を述べたことが報道されておりました。この中で達増知事は、平泉を世界遺産にして観光業で経済再建する、また、北上山地にリニアコライダーを整備し、先端科学技術の集積を図る等々の提案をされていたようであります。
 この岩手県の提案に対して、以下のような意見がありました。この岩手県の提案は、余りにも旧来の田中派的な自民党政治時代の我田引鉄的な利益誘導型の提案としか思えない。震災や津波で被害に遭った地域のことなどどうでもよいかのごとく、県単位でしか物を考えておらず、これがどう復興や災害対策になるのか全く理解できない。旧来から岩手県が要望している項目を並べただけだということだとしても、余りにも芸がなさ過ぎる。こうした岩手県の例を見ていると、地方分権など本当にできるのか大いに疑問を持つ。これだけの震災に遭い、多数の人の命が奪われ、多くの被災者が苦しんでいる中で、世界遺産やリニアコライダーが救いになると考えているようでは、自治体としての機能が失われているとしか言いようがない。
 ちなみに、この発言内容は、私ではなく、北海道大学で国際政治学を専門とする鈴木一人という先生の発言であります。
 それに続いて、いずれにしても、これだけの大震災をもってしても、これだけ多くの人の命が犠牲になっても、これだけ多くの人たちが苦しんでいても、岩手県の自治体としての発想や独自性が生まれなかったということは、自治体としての限界が見えたような気がするとまで言っております。
 非常に残念なことですが、おおむね外からは、そのように理解されているという事実もあるということを知っていただきたいと思います。
 県は、この計画を科学的、技術的な知見に立脚し、被災市町村等の復興を長期的に支援するための地域の未来の設計図として策定したとしております。知事は、3月11日の発災以降、沿岸各地の被災地を訪問し、被災住民の声をつぶさに聞いてきたと拝察しておりますが、知事がこの復興計画に一番込めたかった思いは何でしょうか、お伺いいたします。
 また、この計画は、被災市町村が策定する復興計画等の指針になるものとしております。しかし、同じ市町村にあっても、地域ごとに被害の程度も違い、復興プランはそれぞれ違ってくると考えます。
 そこでお尋ねいたします。県の復興計画は、地域ごとに異なるニーズにいかにこたえ、今後の復興に向け、いかにきめ細かに支援していこうとしているのかお尋ねいたします。
 次に、復興計画の推進について、上野副知事にお伺いいたします。
 上野副知事は、復興局長として、岩手県東日本大震災津波復興計画の策定や県の復旧、復興施策の推進に先頭に立って取り組んでおり、精力的な活動は評価しているところでございます。
 また、上野副知事におかれましては、国や首都圏企業等とのパイプを生かして岩手の早期復興に取り組んでいただくことが期待される中で、県行政における副知事の本来的な役割に加え、復興局の責任者としての重責を担っておられます。
 上野副知事は、この復興計画の早期実現を図るため、副知事としての役割をどのように認識し、今後、どう取り組もうとしているのかお尋ねいたします。
 また、復興計画と県北・沿岸振興との関係について、宮舘副知事にお尋ねいたします。
 宮舘副知事は、平成18年の県北・沿岸振興本部設置以来、本部長として内陸部との格差縮小に鋭意努力していただいたところでございます。しかし、今回の東日本大震災津波は、余りにも規模が大きく、沿岸部は甚大な被害を受けてしまいました。私は、沿岸部に住む住民として、これまで以上に内陸部との格差が拡大するのではないかと懸念しているところでございます。
 そこでお尋ねします。県北・沿岸振興本部長として、県北・沿岸地域の現状をどう認識しておられるでしょうか。また、今後、復興計画の推進は県北・沿岸振興とも重なると思いますが、どのように調整を図っていくのでございましょうか。
 次に、水産業についてお尋ねいたします。
 本県水産業への影響について、知事にお尋ねいたします。
 今般の東日本大震災は、本県沿岸の基幹産業である水産業に甚大な打撃を与えました。漁船は沈没、定置網等の漁具は流失、荷さばき施設、製氷施設、加工施設は損壊、漁港は防波堤が倒壊するなど、目を覆いたくなる惨状であります。
 以前の議会でのやりとりを通じて、知事は、本県は水産県であるとの思いがあると私は認識しておりますが、今回の大津波による本県水産業への影響を知事はどのように受けとめておられるのでしょうか。そして、水産業再生のため、どのように取り組むおつもりなのか、お尋ねいたします。
 次に、災害に強い社会資本整備について、知事にお伺いいたします。
 今回、三陸縦貫自動車道、八戸・久慈自動車道や宮古-久慈間の三陸北縦貫道路の高規格幹線道路は、大きな被害を受けることもなく、緊急輸送道路としての役割や国道45号等の代替道路の機能を果たしました。国は、この3路線をおおむね10年後を目途に整備するとしておりますが、復興計画では、これら3路線を復興道路として位置づけ、未整備区間をおおむね5年以内に整備することを見込んでおります。
 沿岸部の高速交通ネットワークの構築は、地域住民の長年の悲願であり、災害時に地域住民の命を守り、そして、今後、産業振興を図る観点からも、その早期の実現方、強力に推進すべきと考えますが、整備の見通しについてお尋ねいたします。
 また、今回の大震災では、救援物資の輸送ルートとして沿岸部と内陸部を結ぶ道路の重要性が再認識され、復興計画でも、東北横断自動車道釜石秋田線、地域高規格道路宮古盛岡横断道路の整備を見込んでおります。
 今回は、沿岸北部の被害が沿岸南部に比較して小さかったとはいえ、地震の規模や震源域によっては、沿岸北部の被害が甚大になることも想定されます。それらに備えて、沿岸北部と内陸部を結ぶ国道281号なども整備すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、JR八戸線、三陸鉄道の復旧についてお尋ねいたします。
 今回の大津波により、沿岸付近のJRや三陸鉄道の線路や駅舎は甚大な被害を受け、沿線住民にとっては、代替バス等が運行されているものの、通勤、通学、通院に不便を来している状況にあります。
 鉄道は、JR八戸線、山田線、大船渡線、三陸鉄道と、北から南までつながってこそ鉄道本来の機能を発揮すると考えます。県としては、JRに早期復旧を働きかけるとともに、県は三陸鉄道の早期復旧に向けた支援を早期に実施すべきと考えますが、現在の復旧状況と今後の見通しについてお尋ねいたします。
 次に、被災した県立病院の整備について、知事にお伺いいたします。
 県立高田病院などは、津波により大きな被害を受けたにもかかわらず、仮設診療所を早期に立ち上げ、被災住民などの命と健康のため日夜奮闘しました。
 平時においても、地域住民にとって、地域の医療機関の中心となっている県立病院は、必要不可欠の存在であります。今回、被害を受けた高田病院、大槌病院、山田病院は、今後とも、地域住民が安心してそれぞれの地域で暮らすことができるよう、真っ先に再整備を行い、きちんとした医療環境のもとに診療を行うべきと考えますが、現在の状況と今後の整備見通しはどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 次に、被災者に対する生活支援についてお伺いいたします。
 まず、災害弔慰金等と生活保護についてでありますが、宮城県では、東日本大震災の被災者が、災害弔慰金、災害義援金等を受け取るなどで生活保護の支給が停止となった世帯があるとの報道が、先ごろございました。
 そこでお尋ねいたします。本県における被災者へのこれまでの災害弔慰金、災害義援金の支給状況と、弔慰金等が収入とみなされ、生活保護費が支給されなくなった事例があるのかどうかお尋ねいたします。
 また、応急仮設住宅についてでありますが、本県の応急仮設住宅は、国のお盆前の整備完了を上回り、7月上旬の完了を目標として取り組みを進めていることに関しましては、評価するところでございます。
 しかし、最近は、既に入居した被災住民の方々から苦情が出ていると聞いております。ある程度、不満が出るのはやむを得ないと思いますが、本県における応急仮設住宅の現在の整備状況と、その苦情の主な内容、原因は何なのかお尋ねいたします。
 これまでどのような対策を講じ、今後、苦情を最小限にするために、県はどう対応しようとしているのかお伺いいたします。
 次に、災害廃棄物の処理についてお伺いいたします。
 県は、6月20日、災害廃棄物処理実行計画案を策定、公表したと報道されております。瓦れき等は、現在、仮置き場への搬入が主体となっていると思いますが、市町村によっては、仮置き場が満杯の状態であり、同時並行で瓦れきの分別、処理等を実施しなければ、仮置き場があふれて不足してしまう状況であると聞いております。
 できる箇所から瓦れきの分別、焼却処理を行い、早期に瓦れきの処理を進めないと被災地の復興の進捗にも影響が出てくると思われますが、実行計画の内容と今後の処理方針、処理スケジュールはどうなっているのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、地場産業の復興支援についてお尋ねいたします。
 県は4月補正予算で被災工場再建支援事業費補助や中小企業被災資産修繕費補助等、これまでなかった制度を創設いたしました。しかし、雇用要件が10名以上とか、30名以上とハードルが高いこと、また、窓口となる市町村の予算措置がなされず中小企業の利用が進んでいないことなどから、工場再建、営業再開に向けた動きに必ずしもつながっていない状況にあると思います。
 今回の東日本大震災津波を受けて新たに創設したこれらの補助制度の取り組み状況と、早期の再開に向けた今後の県の支援策、取り組みについてお伺いいたします。
 次に、学びの場の復興についてお尋ねいたします。
 6月28日現在で、地震や津波による被害を受けた高校が61校、中学校が108校、小学校が206校もあり、被害額は187億円余と聞いております。岩手の将来を担う子供たちは、一日も早く、落ち着いた学習環境の中で、勉強に、スポーツに打ち込んでほしいと考えるところでありますが、今回、被害を受けた学校のうち、現在も他校や他施設で授業を行っている学校の状況と、避難所として使用されている学校施設の状況はどうなっているのでしょうか、お尋ねいたします。
 また、今後、県は、被災した学校をどのように復興していく計画なのか、あわせてお尋ねいたします。
 次に、放射性物質による県内への影響についてお伺いいたします。
 現在、福島県などでは、農産物の出荷自粛や学校の校庭の土壌汚染など、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質により深刻な被害を受けております。
 風向きによっては、岩手県においても大気汚染や水道水などへの影響があると容易に予測できたと私は思っておりますが、現在の県の監視体制はどうなっているのでしょうか。また、県は、放射性物質による影響を現在どのように認識し、今後、監視体制の強化も含めてどのように対処していこうとしているのかお尋ねいたします。
 以下は、質問席にて質問させていただきます。
   〔24番嵯峨壱朗君質問席に移動〕
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 嵯峨壱朗議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国の東日本大震災津波への取り組みに対する評価についてでありますが、6月25日に決定された復興構想会議の復興への提言には、本県が主張してきた復興の起点としての追悼、慰霊について、基本的な考え方として前文に盛り込まれた上、各論においても、本県が提言してきた災害に強い交通網の整備や漁協、漁業者による共同事業化、二重債務問題に対する支援などについても明記されており、こうした点で評価をしております。
 一方で、被災地域は、経済的にも財政的にも脆弱であり、また、今回の大震災による被害の広域性、甚大性から見ても、県や市町村において対応できる範囲を大きく超える国家的な災害となっていますことから、復旧、復興に向けた迅速かつ十分な対応を行うためには、国によるさまざまな支援と復興財源の確保が不可欠であると認識しております。
 このため、国に対して、これまで286項目の要望を行ってまいりましたが、国の1次補正予算等で措置されたのは58項目にとどまることから、早期の復旧、復興に向け、さらにスピード感を持って対応していただきたいと考えており、国においては、早急に追加予算を措置するとともに、各般の施策を具体化するなど、国家プロジェクトとして全力を挙げて取り組まれるよう、引き続き要望してまいります。
 次に、岩手県東日本大震災津波復興計画に対する思いについてでありますが、今回の大震災津波により多くのとうとい命と財産が奪われ、これまで数多くの災害に見舞われてきた本県にとっても、かつて経験したことのない大災害となりました。
 この筆舌に尽くしがたい状況を目の当たりにし、この被害と犠牲の大きさを胸に刻み、追悼や慰霊の思いを深くすることを復興へのすべての起点とし、被災者の人間らしい暮らし、学び、仕事を確保し、一人一人の幸福追求権を保障すること、犠牲者のふるさとへの思いを継承すること、これを基本的な方針としたところです。
 この方針のもと、復興基本計画案では、人命が失われるような津波被害は今回で終わりにするという決意のもと、災害の苦しみ、悲しみを乗り越え、安全に暮らし、働くことができる地域社会を取り戻さなければならないという思いを込め、目指す姿を、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸としたところであります。
 次に、市町村の復興計画との関係についてですが、県の策定する復興計画は、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つを原則として掲げるなど、復興の道筋を明らかにするとともに、被災市町村が策定する復興計画等の指針となり、自主的な復興を支援する計画としての役割も担うものであります。
 被災した地域の被害状況や地理的条件等がさまざまでありますことから、例えば、復興計画に掲げるまちづくりのグランドデザインにおいては、津波防災の基本的な考え方と被害状況に応じた基本的な三つの復興パターンをモデルとしてお示ししたところであります。
 具体的なまちづくりの計画は市町村が主体になって行うべきと考えていますが、それを支えるために、技術職員の派遣や各種データの提供など、人的、技術的な支援を行っております。
 今後におきましても、県としては、市町村の復興計画等に基づく取り組みとの整合性に十分配慮し、その策定段階や実施段階などに応じて、きめ細かな支援を進めてまいりたいと思います。
 次に、水産業の復興についてでありますが、今回の東日本大震災津波による水産業への影響は、漁船、漁港、養殖施設、流通・加工施設等、水産業の基盤となる施設設備が壊滅的な被害を受け、6月末現在で、水産業、漁港関係被害は、年間漁業生産額の約8倍に上る3、500億円を超える甚大なものであり、地域の産業経済にとっても重大な影響が生じていると認識しております。
 水産業の再生は、沿岸地域の振興に向けた礎となるものでありますので、地域のコミュニティとのかかわりを十分に考慮しながら、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築と産地魚市場を核とした流通、加工体制の構築を一体的に進めるとともに、地域の防災対策や地域づくり、水産業再生の方向性を踏まえながら、漁港や海岸保全施設等の復旧、整備を推進し、水産業関係者が意欲と希望を持てる産業として再生できるよう取り組んでいく考えであります。
 次に、三陸縦貫自動車道、八戸・久慈自動車道等の整備についてでありますが、県では、震災後の早い時期から、被災地の早期復興のため、三陸縦貫自動車道などの三陸沿岸の縦貫軸及び東北横断自動車道釜石秋田線などの横断軸の高規格道路を復興道路と位置づけ、国の復興構想会議などにおいて、その必要性を強く訴え続けてきたところであります。
 復興構想会議において6月25日に取りまとめられた復興への提言の中で、三陸縦貫道等の太平洋沿岸軸の緊急整備や、太平洋沿岸と東北道をつなぐ横断軸の強化について、重点的に進めるべきと提言されるとともに、7月1日には、国土交通省において、三陸沿岸の縦貫軸のルートについて、8月中を目途に確定する方針が示されるなど、復興道路の整備に大きな弾みがついたものと考えており、具体的な予算措置などについて、引き続き国に強く働きかけてまいります。
 次に、沿岸部と内陸部を結ぶ道路の整備についてでありますが、今回の東日本大震災津波では、内陸部と沿岸部を結ぶ国県道を救援ルートとして、発災直後から通行の確保に努めたところであります。
 国道281号についても、沿岸北部への救援ルートとして、緊急物資の輸送や救急活動に大きな役割を果たしました。
 現在、国道281号では、岩手町大坊地区で冬期の交通安全確保のため拡幅工事を実施していますほか、久慈市大川目地区において、路肩拡幅も含めた歩道整備を実施しているところです。
 本路線は、沿岸北部地域の復興に重要な役割を担っていますことから、復興を支援する道路として、今後とも安全で安心して通行できるよう整備を推進してまいります。
 次に、JR八戸線や三陸鉄道の早期復旧についてですが、本県沿岸を縦断するJR線及び三陸鉄道は、東日本大震災津波により、駅舎、線路、橋梁等が流出、損壊するなど甚大な被害を受けたところであります。
 このうちJR八戸線は、八戸-階上間で運行再開していますほか、8月中旬には階上-種市間の運行を再開する予定とされていますが、八戸線の残りの区間やJR山田線、JR大船渡線については、運行再開のめどは立っていないと承知しています。
 また、三陸鉄道についても、北リアス線の久慈-陸中野田間及び宮古-小本間で運行再開しましたが、北リアス線の残りの区間と南リアス線全線は、運行再開のめどが立っていないところであります。
 今後の見通しですが、JR各線は、JR東日本において、地域全体の復興やまちづくりの計画策定と一体となって、国、地方自治体と協議しながら進めていくとしており、全面復旧には、一定の時間を要するものと考えています。
 また、三陸鉄道の復旧については、運営会社においては現行ルートで3年後の平成26年4月の復旧を目指していますが、国の現行補助制度では復旧が困難であり、補助率の最大限の引き上げなど、国による全面的な支援が不可欠であります。
 八戸線などJR各線と三陸鉄道は、一つにつながることによって、三陸を縦貫する鉄道としての相乗効果や機能が発揮されるものであり、地域住民の日常生活の再建や観光等、地域産業の振興のために、一日も早い復旧がなされるよう、引き続き沿線市町村とも連携を図りながら、国へ強く要請してまいります。
 次に、被災した県立病院についてでありますが、医療局においては、仮設診療施設の建設により、まずは外来診療機能の回復を目指し、全力を挙げて取り組んでいるところであり、大槌病院については6月27日、山田病院については7月4日に開設されたところです。高田病院については、今月中の開設を目指し整備を進めているものと承知しており、県においても、こうした整備に対し財政的な支援を行うこととしています。
 その後についてでありますが、先般公表した県の復興基本計画案において、新たなまちづくりに連動した災害に強く、質の高い保健医療・福祉提供体制を整備することとしており、今後、県民の御意見を伺いながら地域医療の復興を目指していく考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 県北・沿岸地域の現状認識についてでありますが、これまで県北・沿岸の発展なくして岩手の発展はあり得ないという基本的な考え方のもと、県北・沿岸振興本部を中心といたしまして、市町村や地域関係者と連携し、総力を挙げて取り組んでまいりました。その結果、さまざまな地域資源を活用した新商品の開発や販路の拡大、農商工連携などの新たな展開、農林水産物のブランド化など一定の成果があらわれてきたと考えております。
 そうしたやさき、今回の東日本大震災津波によりまして沿岸地域は人的、物的に甚大な被害に見舞われ、地域の産業や雇用に深刻な影響が出ておりまして、議員御指摘のとおり、さまざまな分野で内陸地域と県北・沿岸地域との格差拡大も懸念されておりますことから、県北・沿岸地域の振興には、これまで以上に力を入れて取り組んでいく必要があるものと認識しております。
 今後におきましては、現在策定中の復興基本計画を踏まえまして、沿岸被災地域の復旧、復興対策を着実に進めることが県北・沿岸地域の振興につながるものと考えておりますが、被災地域以外の地域を含め、これまでの実績や取り組みを生かして、引き続き、県北・沿岸振興本部が中心となりまして、地域資源を最大限に生かし、地域と一体となった産業振興に重点的に取り組んでまいります。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) 復興計画の早期実現を図るための副知事、復興局長としての役割についてでございますけれども、副知事に就任以来、知事の御意向を踏まえまして、県内各地の実情を十分に把握するとともに、トップセールスを初めといたしましたトップマネジメントの強化に取り組むことが重要と認識いたしておりまして、各般の施策の推進にリーダーシップを発揮しつつ取り組んできたところでございます。
 発災後は、復興局長として、被災者の思いに行政が寄り添うということをしっかりと胸に刻みまして、第1に現場主義の徹底、第2に岩手県の内外の専門家など多方面の方々の声に耳を傾けること、そして、第3に迅速な対応、こうしたことを組織として推進していくことを復興局長としての役割と認識いたしておりまして、積極的に取り組んできたところでございます。
 具体的には、できる限り県内の被災地を回り、地域の方々のお話を直接聞くように努め、現場のニーズをくみ上げるとともに課題などを把握し、専門家を初め政府、自治体、企業・団体など、全国や海外からも多くの意見や提言あるいは助言を受けて参考にしてきたところであります。
 また、こうしたさまざまな現場の声や専門家からの提言などを踏まえまして、本県の復興を迅速かつ効果的に進めるため復興基本計画案の策定に取り組むとともに、国に対しましては、地域の声を踏まえた政策の早急な実現を要請するなど積極的な働きかけを行い、施策の実現に生かすよう努めてきたところでございます。今後におきましても、岩手の復興ができるだけ早期に実現できるよう、このような考え方のもとで、復興局長として職員や関係者の方々と一丸となって全力で取り組む所存でございます。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 災害弔慰金等と生活保護についてでありますが、災害弔慰金等の支給状況は、7月1日現在、災害弔慰金が72件で2億3、500万円、義援金が2万3、039件で103億3、950万円、被災者生活再建支援金が1万4、225件で123億9、337万円となっております。
 こうした災害弔慰金や義援金等の生活保護制度における取り扱いでありますが、災害等によって損害を受けたことにより、臨時的に受ける補償金、保険金または見舞金のうち、当該被保護世帯の自立更生に充てられる額については収入として認定しないこととされているところであります。
 東日本大震災津波の発生により、5月2日付で厚生労働省から、改めて災害弔慰金や義援金等について、当該被保護世帯の自立更生に充てられる額を収入として認定しないこととし、その超える額を収入として認定すること等取り扱いの通知があり、県内の生活保護の実施機関に周知徹底を図ってきているところであります。その取り扱いにより、生活保護費が支給されなくなった世帯は、7月1日現在で8世帯が報告されておりますが、その内訳は、義援金及び被災者生活再建支援金を受給することを契機に自立し、保護辞退の申し出のあった3世帯、義援金等の収入から自立更生に充てられる額を差し引き、その超える額を収入として認定し、廃止となった5世帯となっております。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) 応急仮設住宅の整備状況についてでありますが、6月21日までに必要戸数1万3、833戸すべてが着工済みとなっており、7月4日現在の完成戸数は1万80戸となっております。一部の団地では造成工事のおくれが発生しておりますが、一刻も早い完成に向けて建設を進めております。
 応急仮設住宅入居後の苦情につきましては、雨漏り、すき間、給排水設備の水漏れ、玄関かぎの不具合などの苦情をいただいており、入居者の皆様には御不便や御迷惑をおかけしております。大変申しわけございません。
 原因といたしましては、施工上の精度が十分でなかったことによるものと考えております。県では、これらの苦情に対しまして、応急仮設住宅保守管理センターを設置いたしまして、修繕の手配など迅速な対応に当たっております。また、一部の住宅につきましては、今後、断熱材や風除室の設置等追加工事を実施し、居住環境の改善を図ってまいります。
 施工中の物件にあっては、これまでの不具合発生の状況も踏まえ入念な工事の実施を要請するとともに、完成後のさらなるチェック等により、不具合の未然防止を図ってまいります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物の処理についてでありますが、実行計画では、地域の復興に寄与する処理、リサイクルを重視した処理及び広域処理を活用した迅速な処理を基本方針として、推計発生量約580万トンを本年度末までに撤去し、平成26年3月末までに処理することとしております。
 災害廃棄物の処理は、太平洋セメント大船渡工場等においてセメント製造の原燃料として活用するなど、可能な限り再生利用を進めるほか、県内の一般廃棄物、産業廃棄物処理施設を活用することとしておりますが、3年以内に処理するためには、仮設の焼却炉の設置や広域処理を行うこととしております。
 なお、この実行計画に基づき、地域ごとの具体的な処理方法を示した詳細計画を8月中に取りまとめることとしております。処理スケジュールについてでありますが、現在、県内外の受け入れ施設と調整中でありまして、条件が整ったところから処理を進めているところであります。なお、県内外の処理施設等との調整が8月ごろまで要することや、太平洋セメント大船渡工場の本格稼働が11月以降となる見込みであることから、本格的な処理は秋以降となる予定であります。
 次に、放射性物質による影響についてでありますが、県の監視体制につきましては、環境保健研究センターに設置したモニタリングポストで、常時、空間線量率を測定するとともに、ゲルマニウム半導体検出器を用いて、降下物及び水道水に含まれる放射性物質を連日測定しているところであります。また、携帯式の測定器であるサーベイメータによる観測が可能となりました6月以降は、県内各地の地表付近の放射線の測定を行っております。空間線量率は、盛岡市では、4月下旬以降、過去3年間の平常値に戻っておりますが、県南の一部で県央部より高いところが見られます。盛岡市の降下物は5月9日以降、各市町村の水道水も4月19日以降、放射性物質は不検出となっております。
 また、農林水産物につきましては、野菜及び魚介類等からは不検出もしくは検出されましてもごく微量という状況であり、国の基準に照らして、県民の健康に影響を与えるレベルではないと認識しております。
 なお、放射性セシウムが牧草の一部から基準を超えて検出されたほか、基準を下回るものの下水道汚泥などからも検出されていることから、原発事故発生直後に放出されました放射性セシウムの影響が残っていると考えられ、引き続き監視を行うとともに、県民に対し正確な情報を提供していくこととしております。また、モニタリングポスト3基、サーベイメータ8台、ゲルマニウム半導体検出器1台を増設し、監視体制の強化を図ることとしております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 地場産業の復興支援についてでありますが、県では、発災以来、企業の早期の復旧、復興を促し、雇用の維持、回復を図るため、いち早く4月補正におきまして県単独の被災工場再建支援事業費補助及び中小企業被災資産修繕費補助の二つの制度を設けたところであります。その直後の5月初めには、国の1次補正におきまして企業グループに対する補助制度が創設されました。県の単独制度に比較いたしまして補助率も高いことから、現在、相当数の企業グループから応募があったところであります。
 県といたしましては、まずはこのグループ補助の採択企業を早期に決定し、すみ分けを図りながら、県単独の補助金について順次交付決定を行うこととしており、これらを通じて企業の早期再建を促してまいりたいと思います。
 なお、これらの補助につきましては、いずれも、発災直後に着手した復旧事業につきましてもさかのぼって対象とすることとしております。ただし、これらの補助金は、予算に限りがあることから、被災した企業に対しましては、基本的には、同じ時期に立ち上げました県や政府系金融機関の有利な融資制度を活用して企業再建を行うよう求めております。また、企業にとっての喫緊の課題は二重債務の解消でありますことから、企業の円滑な資金調達を促進する観点から、現在、国に対しまして、早期にその解決策を示すよう強力に働きかけているところであります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 学びの場の復興についてでありますが、まず、現状について申し上げますと、県立学校については、高田高校及び宮古工業高校において校舎が使用できない状況にありますことから、高田高校は大船渡東高校萱中校舎、宮古工業高校は近隣の高校において授業を再開しているところでございます。また、県立高校3校が避難所となっておりまして、約420名の方を受け入れているところでございます。
 市町村立学校につきましては、他の学校または施設を使用して授業を行っている学校は、小学校14校、中学校10校であります。また、26校が避難所となっており、約1、600名の方々を受け入れているところでございます。
 次に、被災した学校の復興についてでございますが、高田高校については、市のまちづくりの方針等も踏まえて整備の方向づけをしたいと考えており、また、宮古工業高校については、夏休み明けの同校での授業開始を目指して校舎の改修に取り組んでいるところでございます。避難所となっている学校については、仮設住宅の整備など今後の推移を見据えながら、引き続き教育環境の確保に努めてまいります。
 小中学校については、各市町村において応急仮設校舎の建設など復旧整備を進めているところでございますが、関係市町村の意向等をお伺いしながら、国とも調整し、必要な支援に努めてまいります。
〇24番(嵯峨壱朗君) 丁寧な答弁、大変ありがとうございました。
 再質問させていただきますけれども、時間が余りないので、はしょりながらいきたいと思います。
 復興計画、この震災にかかわってですけれども、これは4月22日の週刊朝日に出ていたんですけれども……(「聞こえないな」と呼ぶ者あり)平家物語を引用した職員へのメッセージについて、知事の考えをお尋ねしたいと思います。
 大震災後の復旧、復興を進めている中で、知事は、3月25日、職員向けの今般の災害対応に当たってというメールで、平家物語の部分を引用して、安徳天皇入水のくだりに、浪のしたにも都のさぶらふぞ―波の下にも都がございますよ―という言葉があります。三陸の海の下に、犠牲になられた方々が楽しくあるいは安らかに住まう町や村があるというイメージは、残された私たちを慰める効果があるかもしれませんというメッセージを知事は送っております。私からすると、文学者とか宗教者であれば幾らか理解できないわけではありませんが、現実的な対応を迫られている行政の長としてはいかがなものかとの疑問を抱かざるを得ないと思っております。これらのメールについて、知事が職員に伝えたかった真意は何だったのかお尋ねしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 今回の東日本大震災津波では、県職員やその身内にも犠牲者が出ており、また、大勢の県民が犠牲になっているという事態を受け、知事として、職員の心に寄り添おうという思いから、死を受けとめる物の見方の一つとして平家物語のくだりを紹介したものであります。
〇24番(嵯峨壱朗君) これを理解していくというのはなかなか難しいと私は思っていました。ですから、週刊朝日のような記事のとらえ方もされるという懸念もあるかと思います。趣旨はおおむねわかりました。
 またメールの件ですけれども、きょう発売された週刊文春でいろいろ取り上げられていたやに私は聞いていましたけれども、その中に、震災で苦労されている県職員の皆さんに向けて、睡眠不足でどうしても寝れないときにはということで、知事のメッセージがやはり出ていたようですけれども、これも、果たしてちょっと知事としてどうかなという思いで、これも真意をお伺いしたいんですけれども、どうしても寝つけない場合には、どんどん医者に診てもらって、精神安定剤とか睡眠誘導剤をちゅうちょなく服用するべきです。医師がだめと言うならいけませんが。まあ、これはそうですね。風邪薬でも寝つきがよくなったりしますが、やはり医師に診てもらうのがいいですというのであります。
 それぞれ苦労されている中で、何らかの形で疲れをとるという意味での知事からのメッセージでしょうけれども、私はちょっと違和感を覚えるんです。週刊文春の記事はよく見ておりませんけれども、これについても、やはりもう少し真意を説明する必要があると思って。というのは、やはり精神安定剤とか、そういったものというのは、通常はそこまでしないで寝るような感じで、酒を飲むとかですね。あえてここに載せていること自体、ちょっと違和感があるんですけれども、これについても説明してもらえるのであれば、説明してもらいたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、県では、例えば自殺対策などでも、お医者さんにかかること、また医師の処方のもとでさまざま薬を飲むことについてはちゅうちょしないように指導しているところであり、そういう医師にかかることや薬を飲むことが何かおかしいことのように誤解されるようなことがあってはならないということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
 私と職員とのやりとり、メッセージについてでありますけれども、私は、今回の災害前は、すべての県職員が閲覧できる掲示板に書き込むということは一度もやったことがなかったんですけれども、百年に一度、そして、今まで遭遇したことがないような事態にあって、やはりここは知事として県職員一人一人に対してさまざま言葉をかけていくことが必要と考えて、五、六回ぐらいにわたってさまざまな細かい、仕事上こうしたほうがいいかも、自分はこうやっている。避難所に行ったとき、例えば笑っちゃいけないという意見もあるけれども、そんなことはない。自分は避難所で、相手も笑っているし、こっちもほほ笑みをもって接しても、いろいろ話、やりとりができたとか、こういうときは仲間同士あいさつをするようにしたほうがいい、それから、自分より弱い立場の人に積極的に声をかけるようにしていったほうがいい等々、ふだん、一々県職員に対して言わないようなことも、それをまた全県職員が閲覧できるような形で書き込むというのも異例であることは、これはもうそのとおりであります。しかし、そのぐらいのことをしなければならないような重大な危機に県職員が直面していたし、県職員は、沿岸被災地の市町村職員、そしてまた、そもそも亡くなられた方、その遺族、関係者と直接接するところにいて、まさに寝食を忘れた全身全霊災害対策に、そういう中でやはり何か言葉をかけなければと思ってさまざまなことを書き込んでいったものであります。
〇24番(嵯峨壱朗君) それでは、平泉の世界遺産登録等の関係についてですけれども、知事はパリに行かれましたけれども、これは登録されて、当然県民挙げて喜ぶべきことですし、私もそう思っております。小笠原は副村長が行って、平泉は町長が行ってということで、私は、この被災を受けて極めて重要な時期に、知事が思いを込めて行ったのでしょうけれども、果たして適切であったかという意見があるのも事実です。
 そうした中で、知事が出席したことによって、世界遺産登録にどういった影響があったのか、それを認識しているのかということをお尋ねしたいし、素朴にそう思っています。別に登録が悪いとかじゃなくて、いいことですけれども、もっとこの時期でやるべきことがあったのではないかという思いでお尋ねしますけれども。
〇知事(達増拓也君) 世界遺産委員会へは、岩手県を代表する知事として、また政府代表団の一員として出席したものでありますが、委員会の審議に当たりましては、委員国からの質問に対して確実に対応できる体制を整えるなど、世界遺産登録の決議に向けて万全を期したところであります。また、登録決定後には、地元の知事として、世界遺産登録への御礼とあわせて東日本大震災津波への海外からの支援に対する感謝などを申し述べましたところ、多くの国々の方々から祝福そして激励の言葉を直接いただくなどしまして、復興に向けても世界とのきずながさらに深まり、また、議長からも、私のスピーチに対し、感動的だった旨の評価をいただいたところであります。
〇24番(嵯峨壱朗君) 登録はすばらしいことですので、それについてはいろいろと復興、震災等、それぞれ心労があるかと思いますし……(「聞こえないぞ、もうちょっと大きくしゃべれ」と呼ぶ者あり)マイクが悪いんじゃないの。
 次の質問に入らせていただきます。
 県の復興計画の策定に当たって、市町村長等の意見聴取が不足だという言い方もされているようですけれども、これについて、県はどのように市町村長の意見を聞いて反映させているのか、お尋ねしたいと思います。
〇理事(平井節生君) 市町村長の意見聴取についてでございますけれども、県の復興計画の策定過程におきましては、復興計画の策定に向けて検討いただいている岩手県東日本大震災津波復興委員会に岩手県沿岸市町村復興期成同盟会会長に参加いただくとともに、県の復興計画に関する事務レベル及び市町村長との意見交換を目的とする会議の開催などを通じて市町村からの御意見を伺い、復興基本計画案に反映させてきたところでございます。今後とも、意見交換を随時開催するなど、市町村との十分な連携を図りながら、復興計画の策定作業を進めてまいります。
〇24番(嵯峨壱朗君) 先ほどの登壇しての質問でも指摘しましたけれども、やはり被災市町村の状況が、その被災市町村の中でもそれぞれ場所によって大きく違っているので、どこまで県がその計画の中で踏み込めるのか、関係性を持てるのかというのは非常に難しいと思うんですけれども、ぜひ組み入れながらというか、一定の規格と言ったら言い方が変ですけれども、指導していただきながら調整していただきたいと思います。
 それと、上野副知事にちょっとお尋ねしたいと思います。
 これは、そうでないということであることを期待しながら言うんですけれども、私が被災地から聞くところによると、上野副知事は、やはり中央との関係が、当然、先ほど指摘しましたが、国も含めていろいろなパイプを持っておられる。それを大いに復興に向けて使っていただける、それはすばらしいことだと感謝申し上げます。
 その中で、特定の国会議員との連絡が密にあるんではないかという話を私はちらちら聞いています。そして、それはもちろん、国とのパイプという意味で言うと決して悪いことではない。ただし、それが県行政の副知事という立場の判断に影響を及ぼしているということであったとすれば、いささか問題であると私は思っているわけです。そうではないと思いながら聞くんですけれども、その点についてお答えいただければと思います。
〇副知事(上野善晴君) 中央との関係、パイプを生かしての復興に向けてのいろいろな私の活動についてのお尋ねでございますが、当然ながら、地元の現場の状況、それから考え方というものを、政府、それから、閣僚の皆様も含めた各省庁の政務三役の方々、それから、国会議員の方々にも御理解いただく必要があると思っておりますので、そういう意味で、いろいろな形で、そうした方々に直接お願いしたりとか、御説明したりということは多々ございますし、そういうことは、必要なことだと思っております。
 他方で、今おっしゃったような特定の方とのお話が、いろいろな方とお話をしているわけで、具体的にどの方かというのはよくわからないところがありますが、行政の判断に何らかの形で直接影響を及ぼすということは、あってはならないことだと私も思っておりますので、そうした意味では、公平、中立な立場で県の復興を推進していきたいと思っております。
〇24番(嵯峨壱朗君) ぜひ力を発揮して頑張っていただきたいと思います。
 次に、水産業の振興について、具体的に何点かお尋ねしたいと思います。
 漁船の被災については、登録漁船の9割が被災していると聞いておりますけれども、大津波警報とともに沖に避難した漁船はあるものの、大部分の小型漁船は流出してしまって、漁業者が海に出漁できないという厳しい現実にさらされております。
 漁業者は、一刻も早く漁船を確保したいと願っておりますけれども、漁船の確保について、いろいろな補正等で従来にないような形でやっていただいておりますが、さらに支援が必要かと思っておりますが、どのような支援を行おうとしているのかお尋ねしたいと思います。
 次に、サケのふ化場の被災状況と復旧支援策についてお尋ねします。
 これは、もう言うまでもないことですけれども、サケは、稚魚を放流した4年後に帰ってくるということです。それでやっと漁になる。100億円という漁獲高と、加工することによってその10倍にもなる、すごい重要な魚種なわけですけれども、そのためのふ化場が甚大な被害を受けて、来年のふ化ができないのではないかというところまで来ております。それに向けても、いろいろな予算上の措置もしていただいているのも事実であります。
 そこで、県内のふ化場の被災状況と復興に向けた支援策を改めてお尋ねしたいと思います。
 次に、アワビとウニの種苗生産、先ほども伊藤勢至議員のほうからもございましたけれども、県北の洋野町にセンターがあるわけですが、これも、やはり放流したアワビがかなりの割合を占めてきつつある、つまり一定の成果が出てきているということでしょうが、それを確実にするためにも、ぜひ、この被災された施設の復旧に努めていただきたいんですけれども、どのように取り組んでいくつもりなのかお尋ねしたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 漁船の確保についてでございますけれども、漁船の確保への支援につきましては、現在、各漁業協同組合と調整を進めてございますが、共同利用漁船等復旧支援対策事業により、国及び県の補助3分の2のほか、県は9分の1の補助をかさ上げし、漁協等事業主体の負担の軽減を図りながら、漁協が共同利用するための新たに建造する5トン以下の小型漁船を2、600隻、中古船の購入や修理して再利用する補修船を950隻程度、さらには、定置船等5トン以上の漁船の建造、補修で150隻程度を確保できるよう取り組みを支援してまいります。
 次に、サケのふ化場の被災状況と復旧支援策についてでありますが、今般の東日本大震災津波により、県内28のふ化場のうち24ふ化場が被災し、ふ化場により被災状況は異なりますが、多くのふ化場で、ポンプ等各種機器への浸水やふ化施設の流失などにより、放流可能尾数は約1億4、000万尾と例年の約3割にとどまる状況となっております。
 本県の主要魚種であるサケ資源を維持していくためには、毎年の継続した稚魚放流が必要であることから、さけ、ます生産地震災復旧支援緊急事業により、拠点となる15ふ化場で緊急的に給水設備や飼育池等の仮復旧を進め、来春の放流尾数を約2億5、000万尾、例年の約6割までの回復を目指して取り組みを進めております。
 次に、アワビ、ウニの種苗生産についてでありますが、今般の震災により、県内のアワビ、ウニの種苗生産施設合わせて7カ所、全施設が被災し、県内の種苗生産機能のすべてが失われたところであります。
 種苗生産機能の回復に向けては、これまで県内の種苗生産の中核を担ってきた岩手県栽培漁業協会の運営する県施設のうち、比較的機能が残存している種市施設の復旧から取り組むこととし、当面は、種市施設において、アワビ、ウニ両種の種苗生産を実施する予定としております。
 種市施設でのウニの種苗生産は、仮の施設で今年度から開始し、来年度から放流する予定としており、アワビの種苗生産は、来年度から開始し、翌25年度には稚貝が放流できるよう取り組みを進めてまいります。
 また、大船渡施設や漁協等の種苗生産施設については、関係機関、関係団体の意向を踏まえながら、順次復旧、整備に取り組んでいく考えであります。
〇24番(嵯峨壱朗君) 時間がないので、通告しているものを省きながらというか調整しながらしたいと思いますので、間違わないようにしていただきたいと思います。
 まず、被災した県立病院の早期整備についてですけれども、これは、実は市町村の復興計画の策定と関係が深いと思って見ています。再建の適地などについても県側から提案するなど、積極的に市町村に働きかけて、早期に地域医療の確保を図っていくべきかと思います。もちろん仮設の施設をつくって、いろいろと対処してもらってはおりますけれども、まちづくりと一体となってやるべきかと思うので、その辺の考えをお尋ねしたいと思います。
 また、先般、新聞に出ておりましたけれども、浸水区域以外の高台に新病院を建てた場合には、国の補助制度の対象にならない可能性があるという報道がありました。結局、復旧ということですから、その現在地に建てる場合には補助対象になるけれども、それが高台に建てることによって補助対象にならないということで、難しいことを迫られてくるような気がしますが、これに対して、県は国にどういった働きを行ってきたのか、また行っていくのか、どのように対応しようとしているのかお尋ねしたいと思います。
〇医療局長(遠藤達雄君) 市町村の復興計画との関係についてでございますけれども、これまでも、被災した高田、大槌、山田の3病院、これの仮設診療施設の整備に当たりましては、建設候補地などにつきましては地元市町と直接、相談、協議を重ねるなど、連携しながら対応してきたところでございます。
 現在、被災した市町村においては、復興計画策定のための検討委員会等を設置し、復興計画の策定に鋭意取り組まれているところでございますが、今後とも、被災地域の医療提供体制が早期に確保されるよう、地元市町と十分に連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 国の医療施設再建に係る補助制度についてでありますけれども、被災した医療施設に対する国の補助制度であります医療施設等災害復旧費補助におきましては、被災前と同一敷地、同一構造の施設に戻すことが原則とされておりますことから、施設を高台等の敷地に移転して建設する場合は、対象とならない場合があるというところでございます。
 今回の医療施設の被害は津波によるものが多く、現在の浸水した地域から新しいまちづくりと連動して高台に移転することが想定されているところであり、現在の制度では、必ずしも実情と合っていない部分がありますことから、県といたしましては、津波被害に伴う施設の移転等についても確実に補助の対象となるなど、被災地の実情に応じた弾力的な運用を図られるよう、5月18日の知事による国への要望を初めとして、国に対して数次にわたり要望してきているところでありまして、今後におきましても、引き続き要請してまいりたいと考えております。
〇24番(嵯峨壱朗君) 次ですけれども、応急仮設住宅についてですが、これは、早くつくってくれという要望は当然そうだったし、それにこたえていろいろやってきたわけですが、なかなか、先ほど指摘したとおり、課題は次から次と新しくなっていって発生しているという、非常に難しいと思って見ていました。
 この応急仮設住宅の問題点は、阪神・淡路大震災のころからずっと指摘されているんですけれども、今回の苦情は、私が聞くところによると、この応急仮設住宅というのは、大体三つに分けられる。プレハブとハウスメーカーと、あとは岩手県で発注したような地元の業者。ほとんどがこのプレハブのメーカーに苦情が集中しているという話ですけれども、岩手県もそうですかね。
〇県土整備部長(若林治男君) 6月30日までに寄せられております苦情は818件ございます。すべてがプレハブリース系であります。
 プレハブリース系住宅は、災害に対応した、速くて大量にとにかく供給できるという特徴がある一方で、やっぱりすき間とか、柱を建てて、ぱんとパネルを並べるという状況の構造もあって、問題が生じやすいという実態があります。
 事業者に対して、さらに丁寧に施工を求めることで、今現在、ふぐあいを防止しようということで努めているところであります。
〇24番(嵯峨壱朗君) やはりそうらしいですね。結局、例えば、以前、特別委員会でも指摘したんですけれども、寒冷地仕様で当然つくられるべきですよね。ところが、聞いていると寒冷地仕様になっていない。今になって、例えば断熱材を外から入れるとかいろいろやっているようですけれども、私は、契約違反だと密かに思っています。つまり、寒冷地仕様でやるべき、最初からわかっているはずなのに通常のものを持ってきている。これ自体がおかしいし、県としても、やはりその辺は、最初の段階でチェックして対応すべきだったと思っておりますけれども、その点について。
〇県土整備部長(若林治男君) とにかく、まず急ぐんだということで、当初から、岩手、宮城、福島の3県でかなりの戸数が必要だということになりまして、標準仕様でなければ緊急には資材の調達ができないというお話がありました。
 それを受けて、本県でも、とにかくまず急ごうということで、それを了解した上で標準仕様を取り入れたものであります。ただし、そのときに、追って、秋、当然岩手だけが寒冷地仕様になりますので、その分については、秋以降に寒冷地仕様、冬までにとにかく間に合わせるように追加工事で対応しましょうという申し合わせ、文書の取り交わしをいたしまして、そのような対応をさせていただいたところであります。
〇24番(嵯峨壱朗君) きっちりと対応していただいて、結局、応急仮設住宅というと、なかなか、まあ、間に合えばいいやという発想になるんですけれども、最低限の住環境は維持してもらわないと困ると思うので、この818件というのは非常に多い話だし、そこに集中しているということは、ぜひ、さらにチェックして対応していただきたいと思います。
 それと、災害廃棄物の処理ですけれども、これは、私は8月末をめどにというのは遅いと思っているんですね。撤去して処理できるところから始める。それが、計画ができたから、そこからスタートじゃなくて、もう少しでも早く処理したいというところがいっぱいあるわけですよ。それは、同時並行的に進めていかないと、いつまでも町なかにあれがあることによって、災害のことを思い出すし、精神衛生上もよくないし。だから、できるところからやるべきだと前から主張していますけれども、なかなか進まないのも事実ですね。
 例えば、久慈の備蓄基地なんかだと、いわゆるコンクリートがらなんかを粉砕して、現場で、移動式の破砕機みたいなものがあるみたいで、それでばんばん破砕して再利用するような方向に持っていくとか、実際やっているんですね。
 やれることがあるはずですから、その辺はきっちりと対応していただきたいし、遅過ぎると思いますけれども、どうでしょうか。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物の処理につきましては、御指摘のありましたとおり、直ちにやるべきだと思っておりまして、やれるところからやるべきだと思っておりまして、条件が整ったところから、現在進めているところでございます。
 具体的には、野田村におきましては、コンクリートがらの資源化と混合廃棄物の分別に着手してございます。
 陸前高田市につきましては、腐敗水産物の海洋投入処分及び水産物まじりの災害廃棄物の処理、沿岸地区の清掃センターにおける焼却処理などに着手してございます。
 また、宮古市などの木くずのパーティクルボードへの再生利用、内陸市町村等の清掃センターにおける焼却処理、そのほか、他の都道府県でのさまざまな広域処理などについて鋭意調整を進めているところでございます。受け入れ先との調整に若干時間を要してございますが、加速させてまいりたいと考えてございます。
〇24番(嵯峨壱朗君) 放射性物質についてですけれども、これはいろいろな部署によって、物によって窓口が違うんですね。国も一つにするようですけれども、農作物については農林水産部とか、大気については環境生活部。それを一体で把握するような窓口をぜひつくって対応すべきだと思いますので、お願いします。
 それで、終わります。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって嵯峨壱朗君の一般質問を終わります。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時40分 散会

前へ 次へ