平成23年6月定例会 第23回岩手県議会定例会 会議録

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〇41番(伊藤勢至君) 民主党・ゆうあいクラブの伊藤勢至です。
 まず初めに、去る3月11日午後2時46分に発生したマグニチュード9.0の大地震、その後の最大29メートル―宮古市重茂―の大津波により犠牲となられました4、867名の方々の御冥福と、いまだ行方不明の2、169名の方々が一日も早くお身内のもとへ戻られますようお祈りをいたします。被災されました皆様にも改めてお見舞いを申し上げます。
 また、この大災害のさなかに、その職務を忠実に果たそうとの使命感から、大変残念ながら殉職された方々が多数おられます。警察官9名、行方不明者2名、常備消防職員8名、義勇消防団員88名、行方不明者28名の方々であります。この方々の御尽力のおかげで難を逃れた人々は相当数になると思いますが、それにしても余りに大きな犠牲でありました。殉職されました方々に感謝と敬意を表し、心から御冥福をお祈りするものでございます。
 さて、東日本大震災のネーミングのとおり、本県では、商工業関係被害推計1、661億円、農林水産被害4、390億3、000万円、公共土木施設被害2、572億6、000万円、教育施設被害334億1、000万円、その他19億円、合計8、977億円という、本県の平成23年度当初予算の1.3倍強の被害額でありました。
 早いもので、あと5日で発災以来4カ月となります。発災翌朝から自衛隊、警察、海上保安庁、消防、医療各チーム、救急車、災害救助犬を乗せたワゴン車などなど、実に多くの方々に支援に入っていただきました。ボランティアの方々も全国から続々と入っていただきました。皆様の活動は現在も続いておりまして、心から御礼を申し上げます。議場の議員の方々にもいち早く現地にお入りいただき、お見舞いや激励をいただきました。同僚としてありがたく、改めて御礼を申し上げます。また、県内外の大勢の方々から大変多くの支援物資と義援金をちょうだいいたしました。改めて心から御礼を申し上げます。自衛隊、警察、海上保安庁、消防のトップの皆様に、被災者として御礼を申し上げます。これからも活動が続くと思いますが、どうかよろしくお願いを申し上げます。決意表明があればうれしく思いますが、いかがでしょうか。
 自衛隊、警察、海上保安庁、消防の現地入りの第一目標は人命救助であったと思いますが、津波という厳しい現実の前に生存者はほとんどおらず、遺体発見、収容という本当につらい仕事となったようであります。遺体安置所で身元の判明した方から各斎場でだびに付すわけでありますが、その際、宮古市の斎場では、被災しなかったお寺の若手の御住職たちが四、五人でローテーションをつくり、ボランティアで読経を上げてくださいました。あとでお話を聞いたところ、私たちの天職と思い読経を差し上げましたが、年若いお母さんが子供さんをしっかりと抱きかかえているひつぎのときなどは、つい取り乱してしまいそうでした。大変なことですと話しておられました。合掌。
 このような大災害などの場合、初動つまりリーダーの一番最初の動きが肝要であると言われております。本県の場合、大変スムーズに手際よく命令系統が流れたのではないかと思います。
 達増知事は、発災当日、すぐに対策本部を立ち上げ、翌日は防災ヘリで上空から被災地の視察をされました。その後、すぐに135億円の専決処分による緊急補正予算と400億円の債務負担行為の設定をしていただきました。135億円の内訳は、炊き出し、飲料水、被服、医薬品、その他生活必需品ということで、被災地の担当職員から、県の対応が早くて助かったと言われたところです。400億円は仮設住宅の設置に要する諸経費ということで、これも早かったと思います。執行権を持つ知事の専決権を存分に発揮してもらうことが初動において県民のためになったと思いますが、達増知事はいかがお考えでしょうか。
 震災2日目、上空からの被災地を見て何を思われましたか。そして、この大変な時期の岩手県をどう導いていくおつもりですか。発災後、県職員にどのような訓示を与えたのでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 被災地の現況は瓦れき処理が進み、その一方で、解体可、解体オーケーの文字がペイントで大書きされ、解体が進み、日ごとに野原化している状態であります。教育とは教えて育てるということであるならば、この惨状を、次の世代を背負って立つ子供たちにぜひ見学させるべきであります。現地を見ることは、風を感じ、においをかいで、肌で、感覚で知ることであります。人の命のはかなさを知ることにより人に優しくなります。子供たちの大いなる教育機会と考えますが、教育長はいかがお考えでしょうか。
 岩手競馬について伺います。
 これまでなかなか先の見えない岩手競馬を民間委託する最大のチャンスがやってきた。しかも大義名分が立ち、県民にも十分納得してもらえる理由がつくと思いました。
 その第1は、この大震災により本県の経済が3分の1以上なくなった状況の中での復旧、復興は、県の全力を挙げてもかなりの長期に及ぶものと思われ、沿岸に集中しようとするとき、内陸の岩手競馬が破綻するようなことがあっては―約200億円の経済破綻、1、200人の雇用喪失―前門の虎、後門の狼の二面作戦を強いられることとなり、戦力が二分すること。
 第2は、民間では、現在の岩手競馬の厳しい現状にあってもなお経営意欲を十分に持っており、数年間で復活させ得ると言っていること。
 第3に、330億円融資の条件である、赤字になれば即廃止の条項を既に超えていることであります。
 平成20年度に県庁内に競馬改革推進室を設置し、県から7名、盛岡市、奥州市から各2名を競馬組合に配置し、各自治体がその給料を負担―簡単に年収500万円掛ける11名は5、500万円―したときから赤字なのであります。4月29日、競馬改革推進室から入った平成23年度岩手競馬の開催についての中の収支見通し額は200万円の黒字で、当初計画額の80%減という弱気の見通しでありました。仄聞するに、岩手競馬の魂であるメーンレース南部杯の興行権を買い取ってもらい、それで穴埋めをするということのようであります。
 かつて織田信長は、天下統一をあと一息のところまで進めた陰に、鉄砲を買いそろえ、日本で初めての鉄甲戦艦をつくった堺の商人衆たちがいたのです。50万石のまま、家来を連れて20万石の米沢藩に転封となった上杉鷹山公は、家来の所得向上を図るため、ベニバナやミツマタ、コウゾの栽培を奨励しますが、その流通を担ったのは鴻池商店でありました。現在放映中の坂の上の雲に、後の三菱グループの統領となる岩崎弥太郎が描かれていますが、本県の小岩井農場を通じての関係を考えれば、民間活力大いに結構というべきであります。
 岩手競馬を民間委託するに当たって、例えば3年間は1、000万円を、4年目からはフィフティー・フィフティー、つまり利益の50%を戻してくださいとの約定を交わしたほうが県民にはわかりやすいし、盛岡市も奥州市も気が楽になることでしょう。そして、何よりも岩手県の貴重な人材、能力を大震災の復興のほうへ向けてほしいと思うからであります。330億円貸したときの議長として、貸したものは返してもらう責任があります。難局に立ち向かう県として、戦力を分散させることは絶対に避けるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 平時の計画について伺います。
 これまで県政の中で進めてきた地域振興の施策をとめてはいけません。そこで、確認のために伺います。
 1、簗川ダムの切り回し道路としての国道106号の供用開始はいつになるのか。
 2、宮古西道路はどうなるのか。復興計画でも宮古-盛岡時間短縮という点で重要になると思うが、どうか。計画の中にある根市の橋梁の着工を先行し、花輪橋への負荷を軽減し、渋滞解消を図るべきと思うが、どうか。
 3、北部環状線はどうなるのか。今回の大震災で、この道路が完成していれば、避難や救助活動がもっとスムーズに行えたとの認識と期待が高まっているので、ぜひ予定どおり進めてもらいたいが、どうか。
 4、県道41号線の改修について。重茂半島線とも言われるこの道路の赤前-白浜間の1.5車線化を、16メートルのトレーラーが通れることを条件に進めてきた。今回被災をして工事がとまっているが、生活道路、産業道路、そして命の道路とも言えるこの道路を一日も早く再開、完成してもらいたいが、どうか。この道路は今後も高潮や津波にさらされ続けることとなるが、抜本的な議論は復興策のほうでやらせてもらいます。
 5、国道106号譲り車線。国道106号の時間短縮の有力手段として、川井の片巣地区で供用している譲り車線を逐次整備していくということであったが、どうなっているか。
 6、国道340号和井内道について。用地買収が終わっても10年ぐらい着工がなかったものを、一昨年から再び進めてもらっている。ことしは倍の予算がついているが、予定どおり進めてもらいたいが、どうか。
 7、ドクターヘリの導入について。大震災でヘリコプターが果たした役割は大なるものがあった。広大な県土の医療、特にも救急の分野では、ドクターヘリを語らずしてはあり得ないことである。どう進めていくのか確認をしたい。
 次に、水産業の復興についてお伺いします。
 私は、これまでも県北・沿岸地域の振興を最重要課題と位置づけ、新たな三陸振興への提言等積極的に活動してまいりました。水産業の振興につきましても、養殖施設の高度化やサケふ化場施設の改築の活動などを積極的に行ってきたところであります。しかしながら、このたびの大震災により漁業者は漁船を失い、漁具を流されるなどの被害をこうむり、その心情を察するに余りあるものがあります。
 そのような中、私の心を奮い立たせたのは、避難所や仮設住宅で不自由な生活をされている漁業者の方々からの漁業をまたやりたいとの熱い話でありました。私も感傷に浸ってばかりはいられない。水産業の振興に向けてみずから先頭に立って頑張る勇気をもらいました。やはり水産業の振興なくしては沿岸の復興はあり得ないのであります。
 そこで、まず水産業の復興に向けた知事の基本的な考え方についてお伺いします。
 次に、漁業活動を軌道に乗せるためには、魚市場が再開して流通に乗せることが肝要であります。夏場を迎え、現在再開している魚市場では氷の調達が最重要課題であります。再開している製氷施設は限られており、津波で被害を受けた施設を復旧して氷の生産量をふやす必要があります。氷の調達がままならないと再開できない魚市場もあろうかと考えております。
 そこで、この製氷施設復旧への支援策とあわせて県内魚市場の現状と、魚市場へはどのような支援が考えられるのかお伺いをいたします。
 次に、サケふ化場とアワビの種苗生産施設についてお伺いします。
 本県の秋サケ漁は年間漁獲金額が約100億円と、県内漁業生産の4分の1を占める主要な漁業でありますが、サケの母川への回帰により成立しているものであり、安定した資源の造成には継続した稚魚の放流に取り組むことが極めて重要と考えますが、今般の地震、津波により多くのサケふ化場が被災し、来春の稚魚放流がどれだけできるか危ぶまれるところであります。本県のサケふ化放流は、100年の歴史を積み重ね、今日の資源を築き上げてきたもので、放流事業が複数年停滞することは、4年後、5年後の生産がなくなることを意味します。このような状況には絶対にしてはならないのであって、来年の放流は必ず実現するという強い意思を持って、ふ化放流事業の復旧に取り組む必要があります。
 県は、沿岸地域のサケふ化場について、どのようなスケジュールで復旧する考えなのか、来春に稚魚放流できるふ化場はどの程度見込まれるのか、稚魚の放流数はどの程度まであるか、見通しをお示し願います。
 また、県内のアワビ種苗生産施設も壊滅状態であります。本県のアワビは、県の栽培漁業協会を中心に、漁業の施設で生産された種苗を含め年間800万個を各漁協が地先に放流することにより、全国一の漁獲量を確保しております。特にも田老漁協や重茂漁協のアワビ種苗生産施設は、生産量、質ともにすぐれており、つくり育てる漁業の根幹として活躍してきたところでありますが、今般の大津波によりことごとく施設が破壊され、今後の種苗放流に大きな懸念があると言わざるを得ません。アワビの資源を増大させるには、種苗生産施設を復活させる必要があります。県内のアワビ種苗生産施設をどのように復活させるのか、その方向性についてお伺いいたします。
 次に、漁業生産の基盤である漁港についても大きな被害を受けております。漁港は、漁業生産活動や漁業集落の地域社会の交流拠点等としての役割を担ってきましたが、今般の巨大津波により、防潮堤の倒壊や泊地、航路への瓦れきなどが堆積するなどの被害を受け、その被害額は2、700億円を超える膨大なものとなっております。漁業の早期再開や地域の復興のためには、漁港の早期復旧が必要不可欠なことは言うまでもありません。魚市場のある漁港の早期復旧も重要ですが、ワカメなどの養殖生産拠点としての役割を担う漁港の復旧も非常に大切であり、早期の復旧が待たれるところであります。県は、漁港の復旧についてどのような観点を持って取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、被災者の二重ローン問題についてお伺いします。
 平成22年2月28日に発生したチリ地震津波により、宮古市から陸前高田市までの岩手県南部地域で養殖施設などに大被害が生じました。また、平成22年12月22日から平成23年1月2日までの波浪の際には、主に洋野町から山田町までの岩手県北部で養殖施設や定置網などの漁具が被災しております。そして、今回の大津波被害は岩手県沿岸地域全体に及んだわけですから、ここ1年余りで沿岸地域は2度も大きな被害をこうむっていることになります。
 ここで生ずるのがいわゆる二重ローン問題であります。中には家を新築して間もない方もおられ、住むところも生産資材もすべて失い、残ったものは借金のみという悲痛な気持ちが伝わってきます。被災者が希望を失わず、復旧、復興に前向きな気持ちを持っていただくことが大変大事なことであると考えます。
 震災後、県税の減免の措置を講じていただきましたが、詳しい説明と、あわせて二重ローン問題解決に向けどのように取り組んでいこうとしているのか、また、国にどのように働きかけていくのかお伺いします。
 沿岸地域の復興について伺います。
 去る5月18日、県は今回の大震災の復興ビジョンの重点目標に盛り込む三陸縦貫道などの復興道路について、事業着手中の県内の12区間、約90キロを3年間で整備する方針を示した。5年以内の全線開通を目標に、未着手の230キロ区間についても早期事業化を国に強力に働きかけるという新聞報道がありました。今回の震災で避難道路や救助物資の輸送路として有効に機能したことが再認識されたことのように思います。三陸沿岸のハンディキャップをようやく克服できる一歩となると期待するものであります。
 何としても短期間で進めていただくために提案をいたします。それは、埋蔵文化財調査のチーム数をふやし、あらかじめ予測できるライン、例えば三陸縦貫道などについて、先行的に調査を入れることが重要と考えます。三陸海岸は縄文時代からの貝塚などの遺跡が多数存在しております。3年、5年という実数を挙げての整備目標をクリアするために、ぜひ先行調査をするべきと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、河川の防災について伺います。
 今回の大震災の各地での瓦れきの山を見て、これはいつか見た景色だなと思ったところでございます。平成11年10月28日、軽米町雪谷川豪雨による洪水が発生。住宅被害は、全壊25棟、半壊5棟、床上浸水446世帯、床下浸水137世帯に及びました。人的被害は負傷者1名のみでありましたが、水をかぶった家財道具、畳、ふすま、障子などが河川敷にうずたかく積まれ、今回の瓦れきの山と同じようでありました。
 今回の大震災と津波により、海のほうにばかり目が行っていますが、川を忘れては危ないと思います。港湾施設や漁港、地盤沈下など、これまでになかった被害の復興には多量のコンクリートが必要となります。その素材たる川砂利や川砂の需要が高まると予測されます。これまで堆積してきた川砂利や川砂を計画的に除去し、用材として確保し、川の本来の機能である水をのむことを回復していくことは一石三鳥の効果につながると思います。水を治める者になるべきときと思いますが、いかがでしょうか。
 県の復興計画について伺います。
 6月8日の臨時議会のときに復興基本計画案をいただきました。発災から1カ月後の4月11日から約2カ月かけての策定で、委員の皆様の御努力に敬意を表します。沿岸の被災市町村では、県の計画を待ってからとか、8月とか10月にはなどと言っていますが、少なくても各市町村では、平常時ならいざ知らず、このような危急のときは、それぞれのアイデンティティーを大切にしながら、背骨となる部分は早く発信すべきであります。瓦れきの撤去も仮設住宅ももちろん大切でありますが、自分の地域をどのように復興させていくのかについても、同時にプロジェクトを進めるぐらいの覚悟がほしいものであります。せっかく県が汗をかいて骨子案を出してきたこの時期に、復興について、丸々総研とか国の天下り機関に丸投げしているような市町村があったとしたら本末転倒であり、次の世代から笑われてしまいかねません。
 そこで、県の示した骨子案について、宮古市に限り何点か質問いたしますので、骨子案の範疇でお答えください。
 まず第1に、今回の津波の検証が必要だと思いますので、御見解をいただきたいと思います。
 次に、閉伊川河口部両岸の防潮堤防についてであります。県民の皆様がテレビで最初にごらんをいただいた真っ黒な津波が、20トンから50トンクラスの漁船を軽々と越えさせた宮古市役所裏と藤原側の防潮堤防でありますが、倒れずによくもってくれたと思っております。これが倒れていたらもっと悲惨な状況になったものと思います。しかし、この堤防の水樋門の取りつけ部分にはひびが入っており、早急な対応補強工事が必要であります。応急はしたとして、補強の面はどうなっているのか伺います。
 次に、1階天井―普通の高さでは2階の半分―まで冠水した宮古市役所についてであります。県が示した骨子案の中に、災害対応の中枢となる市町村庁舎や病院、学校、福祉施設などの公共公益施設を安全性の高い場所に配置するとあります。
 これに沿って私は宮古市役所を移転すべきだと思います。では、どこへ。宮古地区合同庁舎の向かいの宮古消防署へであります。では、消防署はどこへ。この際、宮古警察署とあわせて宮古駅裏のJR清算事業団が所有する土地へであります。その前に、JR山田線が落橋しました。磯鶏駅、津軽石駅が冠水しました。JRでは山田線の存続は決めているようですので、この際、宮古駅から最短で宮古短大前ぐらいまで磯鶏駅を移設し、名称を宮古短大駅とすべきであります。この地は、岩手県立大学宮古短期大学部、国立宮古海上技術短期大学校、県立宮古水産高校、宮古商業高校、市立河南中学校、磯鶏小学校があり、将来的には宮古の学生のまちが形成される可能性が大であります。津軽石駅も大判川のあたりまで南下させ、新津軽石駅とします。この地には三陸縦貫道が通り、インターチェンジができると予測され、JRにとっても集客の可能性が高くなります。国では、陸中海岸国立公園を三陸海岸国立公園に広げて、もっとアピールをする発表をしていますので、重茂半島に人を入れ、あるいは逆に三陸縦貫道のインター、または新津軽石駅に人を集める目的で、藤畑地区から麦生野まで4キロのトンネルを抜いて、県道41号線が冠水しないバイパスとするべきですが、いかがでしょうか。これは重茂地区の悲願でもあります。
 次に、観光振興で急ぐことは、市内から浄土ケ浜に至る、特に日立浜あたりの道路用地を2車線で確保すること、鍬ケ崎地区防潮堤との取り合いを早く示すことでありますが、いかがでしょうか。
 災害公営住宅の設置を進めるとしていますが、例えば1階を店舗、2階から上を高齢者向けの住宅、場所は市街地、借地でも可能でしょうか。まちのにぎわいを取り戻すことを考えれば、これからは郊外というのはあり得ないと思いますが、いかがでしょうか。
 6月25日未明の平泉世界遺産登録は、私たち被災者を元気づけてくれる何よりの慶事となり、復興に向けての精神的バックアップをいただきました。東北を、岩手を災害や争いのない郷土とするための知事の決意をいただきたいと思います。
 我々の先達は、有史以来数々の災害を受け、それを乗り越えてきたと思っております。我々も負けてたまるか、そういう思いを持つべきであります。そして皆様とともに持つ合い言葉はネバーギブアップであります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 伊藤勢至議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、決意表明についてでありますが、今回のような未曾有の大規模災害においては、議員御指摘のとおり、本県だけの力では対応は困難であり、多くの方々の御支援により災害に対応できたものと思っております。
 特にも、自衛隊、警察、海上保安庁、消防の皆様には、人命救助や救急、消火活動、避難者への生活支援など、県民の命と財産を守るための活動を、長期にわたり昼夜を分かたず行っていただいているところであります。
 このような献身的な活動に対し、県民を代表する者として、心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。
 皆様からの御支援を忘れることなく、県民の先頭に立ち、今回の大災害を乗り越え、ふるさと岩手・三陸の創造に向けて復興をなし遂げていく所存であります。
 次に、初動における対応についてでありますが、未曾有の災害に際し、水や食料の供給を初めとする被災者の支援に要する経費等の緊急的に必要となる補正予算や契約のために必要となる債務負担行為等について、やむを得ず専決処分により対応を行ったところであります。
 このことにより、予算の制約を受けることなく、早期に避難所等への物資の調達や応急仮設住宅の建設にかかわる手続を含めた被災者の支援に向けた初動対応を、迅速に行うことができたと考えております。
 こうした専決処分について、県議会からも御承認をいただき、感謝を申し上げます。
 次に、被災地に対する思い等についてでありますが、発災の翌日、被災地上空から視察をいたしましたが、見なれた沿岸の町々の余りに変わり果てた姿に、声もなかったというのが正直な感想であります。
 壊れた防潮堤や陸に打ち上げられた多くの漁船、また、海に漂流する家々の残骸など、この災害の想像を絶するすさまじさを目の当たりにしまして、被災された方々一人一人に、一刻も早く支援の手を差し伸べなければならないと改めて思いました。
 そして、このヘリでの視察の中で、この災害で犠牲になられた方々のふるさとへの思いを忘れることなく、被災された方々が幸福を追求することができるようにしていく、それが県の使命であるとの思いを強くし、また、必ずや復興をなし遂げなければならないと決意をしたところであります。
 次に、職員への訓示についてでありますが、4月1日、庁内テレビ放送を通じまして、県職員も、仲間を失い、被災した職員も大勢いるが、そうした中でそれぞれが全力で取り組んでいることに感謝したい。かつて経験したことのない未曾有の災害であるが、必ず克服できると信じている。職員は、人に優しくすること、そして志を高く持ってほしい。これは、被災者の幸福追求権の保障、そして、犠牲者のふるさとへの思いの継承という復興の2大原則に対応するものでもある。県として、市町村が底力を最大限発揮できるよう支援し、市町村と県と国が協力、連携し、努力と工夫によって県民に対する責務を果たしていくことが必要であるが、職員にはそれができると確信しており、希望を持って仕事をしていきましょうという趣旨の訓示を行っております。
 次に、岩手競馬についてでありますが、岩手県競馬組合は、東日本大震災津波により競馬場等の施設が甚大な被害を受けるとともに、国内消費の落ち込みなど例年にない不安定要因も抱え、発売額の大幅な減少が避けられない極めて厳しい経営環境に直面しておりますが、国を初め、地方競馬全国協会やJRA等の関係団体、企業から支援が得られ、被災を乗り越え、競馬事業を継続していく見通しが立ったところであります。
 このようなことから、現在、被災施設の復旧と発売額の確保に全力を傾注しているところでありますので、当面は、現行の運営体制のもとで、低コスト体質への転換や発売体制の強化などを図りながら、経営の安定化に努めていきたいと考えております。
 次に、水産業の復興についてでありますが、今般の東日本大震災津波による被害からの水産業の復興に向けましては、県の復興基本計画案の基本的考え方で示されているとおり、地域に根差した水産業の再生のためには、両輪である漁業と流通、加工業について、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築と、産地魚市場を核とした流通、加工体制の構築を一体的に進めることが必要と考えております。
 また、漁港、漁場、漁村生活環境基盤や海岸保全施設の復旧、整備に当たりましては、地域の防災対策や地域づくり、水産業再生の方向性を踏まえながら推進していくことが重要と認識しております。
 本県の水産業は、沿岸地域における重要かつ基幹となる産業であり、沿岸地域の復興の礎となるものでありますことから、意欲と希望を持てる水産業の復興に向けて全力で取り組んでいく考えであります。
 次に、平泉の世界遺産登録についてでありますが、平泉の文化遺産が、今般、東北で初めての世界文化遺産に登録されましたことは、本県を初めとする東北地方全体の方々にとっても、復興に向けた希望の光になるものと考えております。
 奥州藤原氏初代清衡公は、戦乱で荒廃した東北の復興を目指して、東北の中心である平泉を拠点に、人と人との共生、人と自然との共生、この理念のもと、戦乱のない平和な理想郷の実現を目指されました。
 このような平泉の理念は、今の時代にも必要とされる大切なメッセージであると同時に、復興の理念とも合致するものでありますので、先日、平泉の理念、復興への決意などを盛り込んだ東北復興平泉宣言を発表いたしました。
 今後も、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指して、復興に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、平時の計画についてであります。
 まず、国道106号の簗川道路の供用開始時期についてでありますが、これまでに、橋梁やトンネルなどの主要構造物が概成しております。平成24年度の供用を目指し、今年度は、トンネル照明や舗装工事などを進めておりますが、一部区間で土地収用手続に時間を要しております。平成25年度の早い時期の供用になる見込みであります。
 次に、宮古西道路についてでありますが、本道路は、復興道路といたしまして、災害に強い高規格幹線道路等の幹線ネットワークを形成する宮古盛岡横断道路の一部であり、その整備により走行時間短縮が図られるほか、物流の促進や地域間の交流連携が促進されるものと考えております。
 根市地区の橋梁の先行整備についてでありますが、現在、宮古中央インターチェンジから盛岡方面に向け事業を展開しているところであり、花輪橋の渋滞につきましては、現在、国が進めております千徳大橋が完成することにより、一定程度の交通負荷の軽減が図られるものと考えております。
 次に、宮古市道北部環状線についてでありますが、新規の県代行事業として、今回提案している補正予算案に計上しております。着実に整備を進めていきたいと思います。
 県道41号重茂半島線の整備についてでありますが、赤前-白浜間につきましては、東日本大震災津波により、一部事業区間について被災を受けました。今後実施される災害査定の準備をしているところであります。今後は、災害復旧事業と改良事業との調整を図りながら、早期完成に向け整備を進めてまいります。
 次に、国道106号の譲り車線についてでありますが、現在、宮古市茂市地区と蟇目地区で事業を実施しております。茂市地区におきましては、8月中に工事着手予定としております。蟇目地区につきましては、今年度、用地測量を実施することとしており、早期整備に努めてまいります。
 次に、国道340号の和井内道路についてでありますが、一部未着工区間につきまして、平成21年度に今後の工事の進め方につきまして地元説明会を開催し、平成22年度から本工事を再開したところであります。今後も、地元の御協力をいただきながら着実に整備を進めてまいります。
 次に、河川の防災についてでありますが、県では、平成22年3月に第9次河川砂利採取認可予定数量5カ年計画を策定し、河川に堆積している砂利の有効利用とともに、河川の治水安全度の維持に努めてきたところであります。東日本大震災津波により、海岸施設などに甚大な被害を受けており、復旧工事の資材として需要の増加も見込まれますことから、活用していただけるよう、砂利組合等の関係団体と調整を図ってまいります。
 次に、今回の津波の検証についてでありますが、今回の東日本大震災津波は、本県はもとより、東北地方から関東地方の太平洋沿岸の広い範囲に及ぶなど、明治・昭和三陸地震津波、チリ地震津波をはるかにしのぐ大規模なものとなり、被害も甚大でありました。
 この津波により、宮古地区においても、防潮堤の整備済み延長約9.7キロのうち、約5割に相当する4.6キロの区間において、何らかの被害を受けております。
 今回の津波では、防潮堤等の整備済み箇所においても、越流により背後に壊滅的な被害が発生いたしましたが、津波防災技術専門委員会による検証の結果、宮古市田老地区では、津波到達時間を約7分程度おくらせたり、浸水範囲を約20%、浸水深を約4メートル程度低減する効果があったことが確認されております。
 今後の津波対策は、その地域にふさわしい海岸保全施設、まちづくり、ソフト対策を適切に組み合わせた多重防災型まちづくりを進め、被害をできるだけ最小化するという減災の考え方により、安全の確保を図ることを基本的な考え方として進めてまいります。
 次に、閉伊川河口部両岸の防潮堤についてであります。
 津波により宮古市役所裏の防潮堤に設置されております陸閘は、被体コンクリートのひび割れや被体の支持金物等が変形いたしまして開閉が不可能な状態になり、応急復旧を行い、6月中旬には開閉可能となりました。
 地元消防団などでは、余震等による津波発生のおそれがあることから、現在、閉鎖しているものであります。現在、本復旧に向け、現地の調査を終了いたしまして、対応方針を検討しているところであります。取りまとまり次第、早急な復旧に努めてまいります。
 次に、鍬ケ崎地区の防潮堤と道路2車線化についてでありますが、宮古市では、日立浜から浄土ケ浜へ向かう約200メートル区間につきまして、特に幅員が狭いことから、交付金事業により拡幅を行うこととしておりました。今回の津波により被災したことから、今年度は事業を休止し、現在策定中の復興計画の中で、鍬ケ崎、日立浜地区の道路計画を検討すると聞いております。
 県では、今年度、宮古市の復興計画の特に道路計画と十分に調整を図りながら、改めて防潮堤のルートや構造について検討を進めてまいります。
 次に、災害公営住宅についてですが、被災地では、店舗などのさまざまな施設が被害を受けており、復興に向けては、住宅のみならず、店舗や利便施設など、被災者の生活上不可欠な機能も回復させていくことが重要と考えています。
 このため、災害公営住宅の建設に当たりましても、被災市町村の状況に応じて、1階を店舗にするなど複合的な施設としていくことや、高齢者向け住宅を提供することも検討していく必要があるものと考えております。
 建設場所につきましては用地が限られておりますが、市町村の復興計画などの検討状況を踏まえながら選定してまいります。
 また、用地は、基本的には取得することとしておりますが、借地につきましても、状況に応じて検討してまいります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) ドクターヘリの導入についてでありますが、今回の震災時において、ドクターヘリは、沿岸部から内陸部への傷病者搬送に重要な役割を果たしており、広大な県土を有する本県の救命救急医療における重要性が、改めて確認されたところであります。
 現在、ドクターヘリの基地となる岩手医科大学矢巾キャンパスへのヘリポートや格納庫の整備、安全で円滑な運航のためのルール策定等の作業を進めておりますが、被災地においては、仮設住宅の建設などにより、ドクターヘリの離着陸地点の確保が課題になると考えられており、今後、各消防本部等関係機関との連携を密にしながら調整を進め、これまでの予定どおり、平成24年度のできるだけ早い時期の運航開始を目指して取り組んでまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 製氷施設復旧への支援、魚市場の現状と支援についてでありますが、魚市場周辺にある製氷、貯氷施設は、今般の東日本大震災津波により被災し、魚市場での鮮度管理や出漁漁船への氷の積み込みが十分できず、魚市場の再開、運営の大きな支障になっていることから、さきの補正予算で措置した製氷保管施設等早期復旧支援事業により、製氷、貯氷施設の修繕、整備への支援に取り組んでいるところであります。
 また、県内13魚市場のうち、現在、久慈、宮古、大船渡など6魚市場が開場しており、秋サケなどの水揚げに対応できるよう、処理機能の復旧を図るため、フォークリフトなどの機器類の整備については、国の1次補正予算を活用した水産業共同利用施設復旧支援事業により、また、施設については、水産業経営基盤復旧支援事業により、その復旧、整備を支援していくこととしております。
 次に、サケふ化場とアワビの種苗生産施設についてでありますが、サケふ化場について、今般の震災により県内28ふ化場のうち24ふ化場が被災し、残存の施設での放流可能尾数は約1億4、000万尾と例年の3割にとどまる状況になっております。
 県といたしましては、来春のサケ稚魚放流ができるよう、さけ、ます生産地震災復旧支援緊急事業により、拠点となる15ふ化場において、サケが回帰する本年9月までに種卵の受け入れ体制を整え、11月までには飼育池の整備等により、稚魚飼育が可能となるよう仮復旧を進め、被災を免れた4ふ化場と合わせて、来春には県内19ふ化場で約2億5、000万尾、例年の約6割の放流を目指してまいります。
 また、アワビの種苗生産施設は、県内6カ所全施設が被災し、県内のアワビの種苗生産機能はすべて失われましたが、県といたしましては、種苗生産機能の回復に向けて、岩手県栽培漁業協会が運営する県の施設のうち、まずは、比較的機能が残存している種市施設の復旧、整備を進め、当面は、種市施設においてウニとアワビの種苗を生産することとし、アワビは、来年度から生産を開始し、翌25年度には稚貝放流ができるよう取り組みを進めてまいります。
 また、大船渡施設や漁協等の種苗生産施設については、関係機関、団体の意向を踏まえながら、順次、復旧、整備に取り組んでいく考えであります。
 次に、漁港の復旧に係る取り組みについてでありますが、今般の震災により、県内111漁港のうち108漁港に被害が生じていることから、漁船の安全な航行、係留の確保と漁業の早期再開のため、現在、航路、泊地の瓦れき等の撤去や護岸の応急工事を実施しているところであります。
 また、漁協等の関係機関、団体と調整しながら、漁業の再開に応じた産地魚市場等の岸壁の補修やかさ上げ、本県漁業の基幹である養殖ワカメ等の水揚げのための岸壁の復旧などにつきましても、順次、復旧工事を進めていくこととしております。
 今後におきましては、漁港施設についても、地域の防災対策や地域づくり、水産業再生の方向などの地域の意向も踏まえながら、防波堤や岸壁などの復旧、整備に計画的に取り組んでまいります。
 次に、被災者の二重ローン問題についてでありますが、既往債務を抱える漁業者が、その返済や新たな借り入れが困難となることは、本県漁業の再生にとって大きな障害になるものと認識しております。
 県といたしましては、被災した漁業者の方々の新規投資の負担をできる限り軽減することが必要と考え、さきの補正予算で国の1次補正予算へのかさ上げ補助や天災資金の無利子化などの予算措置をしたところであります。
 また、国におきましては、既往債務の整理について、1次補正予算で、日本政策金融公庫の漁業経営安定資金の無利子、無担保、無保証人の貸し付けなどを予算化しておりますが、融資限度額や融資枠の面で十分な内容ではないと考えております。
 したがいまして、県といたしましては、漁業者の方々が不安なく漁業の再生に取り組めるよう、既往債務に係る元金償還や利子支払いの一時猶予、償還期間の延長など、二重ローン問題の解消に向けた特別な措置の実施について、引き続き国に要望してまいります。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 震災後における県税の減免措置についてでございますが、従来から、災害により被害を受けた場合に、事業用資産や住宅または家財に損害を受けた際に、所得金額が一定の金額以下である場合に、その損害の状況に応じた個人の事業税の減免措置、また、被災した不動産の代替となる不動産を取得した場合の不動産取得税の減免措置、被災した自動車の代替となる自動車を取得した場合の自動車取得税の減免措置、被災した自動車の修繕費が一定額以上となる場合の自動車税の軽減措置といったものを県税条例において講じているところでございまして、今回の災害にも適用しております。
 これらに加えまして、東日本大震災津波の被災者の負担の一層の軽減を図るため、新たに、不動産取得税におきまして、被災した家屋またはその敷地の代替となる家屋または土地を10年間の間に取得した場合、被災前の家屋または土地の面積相当分については不動産取得税を課税しないこととする措置、自動車取得税におきまして、被災した自動車の代替となる自動車を3年間の間に取得した場合に自動車取得税を非課税とする措置、自動車税におきまして、被災した自動車の代替となる自動車を3年間の間に取得した場合に、平成23年度から3年度分について自動車税を非課税とする措置等につきまして、地方税法の一部改正並びに県税条例の一部改正により措置し、適用しているところでございます。
 さらに、被災によりまして、4月1日現在において運行の用に供することができない自動車につきましては、自動車税を課さない、こうした取り扱いのほか、沿岸の市町村などにおきましては、被害が甚大であったことから、今年度の自動車税の課税を保留、見合わせする措置を講じております。
   〔理事平井節生君登壇〕
〇理事(平井節生君) 宮古市役所やJR山田線等についてでありますが、県の復興基本計画案においては、まちづくりの考え方として、災害対応等の中枢となる市町村庁舎等公共公益施設を安全性の高い場所に配置するとしており、また、幹線道路や鉄道等については、まちづくりのグランドデザインと一体となったルートの見直しや、かさ上げによる防災機能の付加等の検討を行うこととしております。
 宮古市におかれましては、7月には検討組織が設置され、10月を目途に復興計画を策定する予定と伺っており、その一環として、具体的な施設配置を含む、まちづくりのグランドデザインについても検討が行われるものと考えております。
 県といたしましては、県の復興基本計画案に示した考え方を踏まえ、宮古市における復興計画の策定作業について、技術的助言や都市計画の専門家の派遣等を通じて、しっかりとサポートしていきたいと考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、子供たちの現地見学についてでございますが、お話のありました今般の大災害の状況や復旧、復興に向けたさまざまな活動などを、岩手の子供たちが将来にわたって引き継いでいくことは、極めて重要でございます。
 このため、現在、県内すべての学校で取り組むことができるようないわての復興教育のあり方について、検討を進めているところでございます。
 一方、このような教育に取り組む場合、特に、被災した子供たちの心身の影響に十分配慮することもまた大切でございまして、子供たちの置かれている状況等をよく把握しながら進めてまいる必要があろうと思っております。
 このため、どのようなプログラムで取り組むのか、どのようなスケジュールで進めていったらよいのか等について、専門家も含め、各方面からの意見を伺いながら、具体的に詰めてまいりたいと考えております。
 次に、埋蔵文化財の先行的調査についてでありますが、今年度中にも、先行して遺跡の分布状況について調査を予定しているところであり、計画路線内に遺跡が確認された場合には、事業者などの協力をいただきながら、順次、遺跡の内容を確認する調査を実施してまいりたいと考えております。
 ただ、今後、相当量の発掘調査が見込まれますことから、計画年度内の道路建設完了のためには、発掘調査員が不足することが懸念されます。このため、文化庁等と十分連携しながら、県外からも調査員を確保する方向で対応していきたいと考えております。
   〔警察本部長樹下尚君登壇〕
〇警察本部長(樹下尚君) 震災対応における今後の活動への決意についてでありますけれども、県警察としては、これまで全国警察からの特別派遣部隊の応援を得ながら、総力を挙げて被災者の救出救助、行方不明者の捜索、避難所への立ち寄り、被災地の警戒活動、交通の安全確保などに取り組んできたところであります。しかしながら、今なお多数の方が行方不明となっていることから、引き続き、捜索活動や収容した御遺体の身元確認作業を徹底してまいりたいと考えております。
 また、仮設住宅が完成するにつれ避難所から移る被災者がふえ、あるいは瓦れき撤去作業等により車両が増加するなど、被災地それぞれの実情の変化に応じ、パトカーによる警戒警ら、交通の安全確保、悪質商法等の被害防止など、引き続き被災地の治安確保に万全を期してまいりたいと考えております。
〇41番(伊藤勢至君) それぞれ御答弁をいただき、ありがとうございました。
 1点だけ知事にお伺いをいたしたいと思います。平泉世界遺産登録、本当によかったと思っておりまして、県の皆様、平泉の皆様、関係者の皆様に心から敬意を表しますとともに、一緒に喜びを分かち合いたいと思っております。
 これまでの日本の歴史の中で、常に平城京、平安京あるいは鎌倉、向こうの勢いの強い、勝った者たちの目線だけで日本の国を見られてきたような思いがしておるわけでありますけれども、実際はそうではなくて、藤原三代、それぞれの地域、岩手の地域を守って、決して関東、関西に侵略、攻め上ろうと思ったことは一回もないんです。この地をイーハトーブの地にしようということが目的だったわけでありまして、そういう中で、日本の中でこの平泉世界遺産登録というのは大変に価値のあることだと思っております。
 源頼朝が自分の覇権を押しつけたいがために、蝦夷と言われた東北のこの偏狭の地を自分の地に治めたいために攻めてきた、こういうことだけの話でありまして、その頼朝が、平泉の550とも言われた堂塔伽藍に火をつけて全部焼いてしまったけれども、さすがに金色堂にだけは手をつけれなくて、恐れおののいて拝んで帰っていったと。そういうことで、宮沢賢治は決して人を下したことのない人なのでありますけれども、頼朝を大盗人と言ってののしっているわけでありまして、私も全くそのとおりだと思います。
 したがいまして、平泉地域の方から、前回、平泉ナンバーをぜひ取得したいというお話が出たようでありまして、私も大いに賛成でありますので、ぜひとも平泉ナンバーを取得していただいて、その平泉ナンバーのついた車で鶴岡八幡宮の前あるいは若宮大路のあたりを、岩手県民、750年前の思いを解消するためにも一緒に走ってみたい、このように思っておりますので、地域の皆さんはぜひ平泉ナンバーを取得されて、一緒に鶴岡八幡宮にお参りをしようと思うんですが、知事、御感想がありましたら伺って、終わります。
〇知事(達増拓也君) 平泉ナンバーについては、世界遺産登録決定以前から地元の皆さんは盛り上がり、県、市町村、それから地域団体と力を合わせながら国への働きかけをやってきたわけでありますけれども、平泉世界遺産登録決定後の、さきに行われたそうした政府への働きかけにおいては、政府のほうでも、やはり登録決定以前よりも前向きな反応が感じられたと報告を受けておりまして、県としても、ますます関係の皆さんと一緒に国に対する働きかけをしていきたいと考えております。
〇副議長(小野寺研一君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時7分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 吉 田 敬 子 君
2  番 工 藤 勝 博 君
3  番 高 橋 但 馬 君
4  番 小 野   共 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 岩 崎 友 一 君
10  番 木 村 幸 弘 君
11  番 久 保 孝 喜 君
12  番 小 西 和 子 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 及 川 あつし 君
16  番 亀卦川 富 夫 君
17  番 高 橋 昌 造 君
18  番 中 平   均 君
19  番 五日市   王 君
20  番 関 根 敏 伸 君
21  番 三 浦 陽 子 君
22  番 小田島 峰 雄 君
23  番 熊 谷   泉 君
24  番 嵯 峨 壱 朗 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 大 宮 惇 幸 君
27  番 千 葉 康一郎 君
28  番 新居田 弘 文 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 佐々木 順 一 君
31  番 佐々木   博 君
32  番 田 村   誠 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 佐々木 一 榮 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 渡 辺 幸 貫 君
43  番 吉 田 洋 治 君
44  番 小野寺 研 一 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
45  番 千 葉   伝 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時22分 再開
〇議長(佐々木一榮君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。嵯峨壱朗君。
   〔24番嵯峨壱朗君登壇〕(拍手)

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