平成23年6月定例会 第23回岩手県議会定例会 会議録

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〇14番(高橋博之君) ただいまの及川あつし議員の最後のエネルギー対策について、知事に関連質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 先ほど、及川議員のエネルギー対策の最後の部分になりますが、3.11後のあるべき国のエネルギー政策、原子力政策について、知事はどのようなお考えを持っているのか、それから脱原発についてはどうかと、こういう質問に対しまして、知事はこういうふうに答えておりました。今回の一連の事故の検証を受けて、国民の議論のもとに進められていくべきである、こういう御答弁でありましたが、一般論というか原則論としては、本当にそのとおりだろうと思うんです。
 それで、何ゆえにこういう質問を及川議員がしたのかと言えば、この地域住民の、県民の命を預かる県の最高責任者に、あれだけの原発事故がありましたから、知事が、この原子力政策あるいは原発の問題、エネルギー政策全般について、どう考えているのか率直に聞いてみたい、こういう県民の皆さんが今たくさんいらっしゃいます。
 そういうことがあって聞いているわけですが、先般―先般と言っても大分前になりますけれども、6月16日の朝日新聞でありますが、全国の知事にアンケート調査をしております。その回答について、まず、原発の将来をどうするかということについて、岩手県は、未回答、どれでもない、こういう回答でありましたが、例えば、岩手県には原発はありませんけれども、同じ東北の原発のない山形県の知事は、想定を超えた危険性が内在する限り、将来的にはやめるべきだと明確に示しております。また、滋賀県の知事も、原発から再生可能な自然エネルギーへのかじを切るような、孫、子のために歴史的な判断を国や電力会社に求めていきたいと、これもまた明確に示しております。
 知事が、この原発についてどう考えているのか率直に聞きたいと多くの県民が思っていますが、また、同じアンケートの中で、ほかにもアンケート項目があるんですけれども、例えば、原発にかわる自然エネルギーを推進するべきだ、これについては41都道府県の知事がイエスと答えておりますが、残念ながら、本県は、どちらとも言えない、あるいは無回答ということで空欄になっております。なぜ、これもお答えになれないのかと。
 さらに、電力会社から送電部門を切り離す発送電分離が好ましい、これについても、どちらとも言えないか、もしくは無回答ということなんですが、例えば、今回、岩手県は国に対して、先ほども御答弁の中にありましたが、再生可能エネルギーの導入促進について提案しております。電力不足や送電停止への対処のため、環境に配慮した新たな再生可能エネルギーの導入を促進するべきだと。これは、突き詰めていきますと発送電の分離になります。そこまでやはり踏み込んで言わないと迫力不足な提案になると思うんですけれども、いずれ一切明確にお答えになっていないと。
 ただ、唯一お答えになっている問いがあるんですよ。それは、放射性廃棄物の最終処分施設を受け入れられない、この問いについてはイエスというふうに答えておりまして、47都道府県でこれだけイエスと答えているのは、岩手県1県でございます。
 知事、ニンビーという言葉、その施設の必要性は認めながらも、自分の裏庭にはつくるなと。基地の問題もそうでありますし、この原発の問題もそうでありますし、私は、今の日本人の問題がここに凝縮されていると思うんですが、これは、朝日新聞を全国民が、1、000万人の方が読んでいると思うんですが、岩手県は、最終処分場は入れるな、このことについては明確に言っているけれども、今後、原発にかわって自然エネルギーを推進するべきだということについても答えていない、原発についても全く不明確であるというようなイメージを全国民に対して示してしまっていることにもなるし、岩手県民も、これを読んで、岩手県は、あれだけ自然豊かな県土の宝を育てていく、自然エネルギーを再生していくというふうに言っているのに、どうしてこういう答えになるんだということで、みんな首をかしげているわけです。
 改めて知事にお聞きいたしますが、知事は、原子力政策のあり方について、3.11後、どのように県のリーダーとしてお考えになっているのか、率直にお聞かせいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 私の率直な意見を聞きたいという気持ちはわかりますけれども、ただ、事は非常に重要な問題であり、県民全体の生活や将来がかかった問題でもあるわけでありますので、やはり県民的な議論あるいは県民的な決定の中で、県を代表して知事が何か発言するというようなことにふさわしい問題だと思っておりまして、そういう意味で、さまざまマスコミからアンケートも来るんですけれども、そういう何かマル・バツ方式で、大ざっぱにマルかバツか、右か左かみたいな形で割り切った回答を出すというようなことにふさわしいテーマではないと考え、無回答であったりすることが多いわけであります。
 一方、最終処分場の問題については、これは、原発そのものについてもそうでありますけれども、岩手県は、過去、誘致を決めたことがございません。それで、今もその誘致は考えていないわけでありまして、原子力発電所でありますとか最終処分場の誘致については、それは考えていない、岩手県としては希望していないということははっきり言えるということで、そう回答しているところでございます。
〇14番(高橋博之君) 今の朝日新聞のアンケートについては、いずれ、知事には知事の今のお考えがあるわけですけれども、私が最初に質問したように、読み手というか読者の側は、岩手というのはこういうところなんだというイメージを日本全体に与えてしまいますし、岩手県に住んでいる県民が、自信がなくなってしまうというか、岩手県の売りは、やっぱり豊かな自然環境ですから、十分にアンケート調査の答え方については、その辺も含めて御配慮いただきたいと思いますし、それから、私が一番聞きたかった、知事がこの原発についてどう考えているのかについてのお答えがございませんでしたので、改めてお聞きしたいと思います。
 確かに、エネルギー政策は国策、一義的には国の政策でありますが、やはり、もうそうも言っていられないであろうと。一つには、原発から自然エネルギーへの転換というのは、いわば小規模分散型のエネルギーを地域で自給していくということでありますから、地域としても、これからエネルギー政策に積極的にかかわっていかなければならないと思います。それは、いわば東京一極集中の中央集権的なシステムから、まさに、知事も日ごろ訴えておられます地域分権型のシステムに移行するということにも、私はかなってくると思うんですね。
 それから、もう一点、せんだって、話は突然変わるようでありますが、世界遺産登録、平泉が何とか登録されたわけですが、登録の理由について世界遺産委員会は、平泉の文化遺産は、仏教の浄土をあらわすもので、浄土思想が日本固有の自然崇拝と組み合わさりながらというように、世界がいわば評価をしているわけです。
 近代化をした国の中で、アミニズム、自然崇拝を色濃く残しているのは、日本なり、特にも東北地方、そして岩手県の売りであります。その岩手県の最高責任者の知事が、この原発の問題、今、同胞の福島県民が、内部被曝におびえ、そして、動植物などさまざまな生物の命が今、危機に瀕しております。
 この平泉が世界に発信する思想との整合性、ここについても問われていると思うんですが、改めて、岩手県の最高責任者として、今後、原発はどうあるべきか、原子力政策はどうあるべきか、知事のお考えをお聞きいたします。
〇知事(達増拓也君) 知事の答えということで、地方自治法上、知事は、その地方公共団体を代表する、つまりこの岩手県全体を代表する立場なんでありますが、そういう立場から考えますと、今、岩手県として国の原子力、エネルギー政策に対して、県として何か正式に提案をするとか、あるいは抗議を申し入れるとか、そうしたことを今やるということは、準備をしておりませんし、また、当面準備をする予定もございません。
〇議長(佐々木一榮君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時42分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 吉 田 敬 子 君
2  番 工 藤 勝 博 君
3  番 高 橋 但 馬 君
4  番 小 野   共 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 岩 崎 友 一 君
10  番 木 村 幸 弘 君
11  番 久 保 孝 喜 君
12  番 小 西 和 子 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 及 川 あつし 君
16  番 亀卦川 富 夫 君
17  番 高 橋 昌 造 君
18  番 中 平   均 君
19  番 五日市   王 君
20  番 関 根 敏 伸 君
21  番 三 浦 陽 子 君
22  番 小田島 峰 雄 君
23  番 熊 谷   泉 君
24  番 嵯 峨 壱 朗 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 大 宮 惇 幸 君
27  番 千 葉 康一郎 君
28  番 新居田 弘 文 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 佐々木 順 一 君
31  番 佐々木   博 君
32  番 田 村   誠 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 佐々木 一 榮 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 渡 辺 幸 貫 君
43  番 吉 田 洋 治 君
44  番 小野寺 研 一 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
45  番 千 葉   伝 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時2分 再開
〇副議長(小野寺研一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。伊藤勢至君。
   〔41番伊藤勢至君登壇〕(拍手)

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