平成23年6月定例会 第23回岩手県議会定例会 会議録

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〇15番(及川あつし君) 地域政党いわての及川あつしでございます。
 まずもって、3月11日の東日本大震災によりお亡くなりになられました大勢の皆様に心から哀悼の意をささげ、また、被災された皆様に改めて心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 今回の私の質問は、喫緊かつ最大の課題であります震災対策、復旧、復興対策を中心に、以下伺うものであります。これまでの県当局の対応を検証し、今後のさらなる対策の充実を図り、一日も早い復旧、復興のための実りある一般質問といたしたいので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 最初に、知事の対応全般について伺います。
 3月11日以降、余震におびえる日常の中で、今ほど政治や行政に期待が高いときはございません。発災以来、まさに寝食を忘れ、災害救助、復旧、復興に当たってこられた関係各位には深く敬意と感謝を申し上げる次第です。しかし、県民の多くからは、昨日の復興担当大臣の暴言により大臣が交代したことなど、今の政府の混乱ぶりはもとより、岩手県行政についても、残念ながら多くの批判的な声を耳にします。県民の声を集約すると、情熱がない、スピード感が不足している、問題に対する想像力が欠如しているなどに集約されます。
 知事に対して最も聞く声は、なぜ自分の言葉で肝心な場面で語りかけないのかということであります。その典型は、3月25日に放映されたNHKの東北関東大震災・いま行政は、被災県知事に聞くの3県知事のインタビューであります。とつとつとではあるが、原発事故の深刻な影響などを語る福島県知事。復興への情熱を自分の言葉で語る宮城県知事。我が県知事といえば原稿の棒読み。こんなことで大丈夫かとの声をよく聞きます。
 スピード感の不足については、発災当初からの物資供給のおくれや、県の調整不足がもたらしたとも言える被災市町村支援のおくれ。県に相談してもたらい回し。理屈ばかり言って動かないとの声。現場職員がどんなに汗をかき、さまざまな活動が評価されつつ、岩手県はだめだと多くの県民が口々にする現状をまことに悲しく思い、また、その原因をしっかり検証しなければならないと考えるところであります。
 北川正恭元三重県知事の論文を読み、岩手県政の問題の本質を感じました。一部を要約しますと、相変わらずの平時の働き方は中央の決めた法律、規制、予算等の忠実な執行人で、ルールオリエンティド―ルールに縛られたいわゆる役所仕事をしているから評価されないのである。問題は、そのことに気づいていないか、気づいていても改善していないかのどちらかで、自分たちの組織の論理で執行していることである。原子力政策を自分たちの仲間だけでつくり上げ、ルールオリエンティドな組織体制の中で、今回の原発事故を起こしたことと同じ構図である。震災後の現場の働きが高い評価を受けたのは、我を忘れたミッションオリエンティド―使命感に基づく働きがあったからである。
 達増知事、岩手県政はルールに縛られたルールオリエンティドないわゆる役所仕事をしていないでしょうか、知事の御所見を伺います。
 次に、4月の人事異動について伺います。
 知事は、凍結しないほうがむしろ働きやすい、異動の際に引き継ぎによりダブルで一つのポジションにチェックがかかる体制は、特に災害対策関係にむしろ体制が厚くなる、災害対策にふさわしい形で異動ができるのではないかなどと記者会見で述べました。
 被災した他県の知事部局における人事異動は、宮城県は7月1日付、福島県は6月1日付で実施しています。私の感覚ではこれが当然の措置であり、震災後1カ月も経ていないまさに火事場の中で、さまざまな対応のおくれを指摘される中で人事異動を行うとは、驚きと怒りを覚えた次第であります。
 本県知事部局は、災害対応に係る体制の強化を図るとともに、沿岸広域振興局及び県北広域振興局に勤務する職員の人事異動を繰り延べ、前任者及び後任者による重層的な体制を構築するなど円滑かつ適切に対応すると、3月23日に人事異動の考え方を示しました。議会からは、我々の声も受け、議会運営委員長が人事異動についての申し入れまでいたしましたが、結果として聞き入れられませんでした。私のもとにも見知らぬ県職員から、こんなことはとめてほしいとの悲痛な訴えもありました。引き継ぎ書の作成と引き継ぎに少なからぬ時間をかけ、こんなときにどうしてこんなことをやらなくてはならないのかとの声もございました。人事配置の考え方は初期対応において完全な誤りではなかったのかと私は思います。人事の配置の目的は結果として有効であったのでしょうか、正確な検証をもとにした御所見を伺います。
 次に、岩手国体の開催について伺います。
 5月27日の議員への説明では、開催方針に示すとおり、内陸、沿岸地域ともオール岩手で県民の総力を結集し、国体を開催したいと考えているので、平成28年の国体は延期したほうがよいのではないかと考えているとされました。
 まず問題にしたいのは、開催についての知事の姿勢と説明プロセスの問題であります。これほど重大な県政課題について、十分に県民理解を得て一定の方向に導くには、内容も大事ながら、トップの姿勢と説明プロセスが極めて重要であります。今回の説明プロセスにおいて、知事は方向性を示すこともなく情報を小出しにし、国体関連予算の執行停止を行うなど、開催延期のにおいを振りまきつつ、後になって、予算、人員体制、開催方針との整合性などについて言及し、事実上の延期の方向づけを行い、日本体育協会にはみずから出向かず、開催困難と伝えました。市町村長などへの説明、関係団体との協議でも、少ない情報環境の中で進め、知事は、延期に対して反発を食らうと、方針転換したかのごときあいまいな発言をする。結果として、方針決定に向けての合意形成が難しい状況をもたらしております。これまでの経過について問題がなかったのか、知事の御所見を伺います。また、なぜ開催困難と説明する大事な場に直接出向かなかったのか、その理由も伺います。
 岩手国体開催への現状と課題について伺います。
 多くの県民は、復興への旗印として平成28年の岩手国体開催を望んでいますが、知事はこの県民の期待をどのように受けとめているのでしょうか。やらないとは言ってないし、縮小してでもというのは理解できるとの知事発言が報道されました。また、縮小開催のシミュレーションを行うとも担当課が公表しましたが、縮小開催についての知事の所見と、シミュレーションの結果についてもお知らせください。
 また、平成28年岩手国体の開催については、開催申請が本来6月末でありましたが、延期する方針をまとめたと承知しております。一方で、年内に結論を出せるかわからないとの発言も報道されました。9月末までに内定が従来の予定でありましたが、開催申請の判断時期はどうなるのでしょうか。開催申請時期をいつまで延期でき、いつまで延期するのか、延期する過程でどのように県民合意を図るのか伺います。
 次に、知事の選挙への姿勢について伺います。
 本県選挙管理委員会は総務省に対し、選挙期日を9月11日としたいとする意見をまとめ、事実上、選挙日程が確定されようとしております。震災前の姿勢と同様に達増知事は再選出馬をされるのか、確認のため伺います。
 知事は、前回の選挙において、その公約として希望王国マニフェストを掲げましたが、今回、震災前においても公約となるものは目にしておりません。出馬されるとすれば、公約として何を県民に訴えるのか、また、選挙については通常の取り組みをされるのか伺います。
 次に、本県の復旧、復興対策にかかわって何点か伺います。
 まず、東日本大震災に係る高速道路の無料開放の制度設計について伺います。
 本年6月20日から、震災による被災者支援と復旧、復興支援のために、東北地方を発着する被災者と原発事故による避難者、トラック、中型車以上の車両について高速道路の無料開放が開始されました。全国各地に避難している被災者等が地元に戻るときの負担を軽減することが主な目的であり、被災地での物流などを活発化させることなどが期待されておりました。しかし、被災者等は高速道路出口で被災証明書等を示さなければならず、制度導入早々から大渋滞が起きるなど問題を生じております。これは、インターチェンジの出入り口が料金徴収を前提とし、書類確認による通行を想定していない構造にもかかわらず、証明書等の確認を求めた基本的かつ初歩的な制度的欠陥と言わざるを得ません。
 また、被災、罹災を証明する証明書の発行は、国が統一方針を示していないため、その基準は発行する市町村任せとなっており、まさに混乱が生じているところであります。被害が比較的軽かった内陸市町村では、事実上の全戸発行に踏み切る動きが広がりました。一方で、津波被害が甚大であった沿岸市町村では行政が多忙を極め、手が回らないこともあり、その発行に当たり厳格な運用が目立つなど、逆格差も生じております。知事は記者会見で、必要な人がきちんと理由があって高速道路を無料で利用するという趣旨に沿って利用者の良識が働くということになれば、大きな問題は起きないのではないかと述べておりますが、知事の認識とは違う状況が既に生じております。
 地域政党いわてでは、この件につき、今議会に発議案を出す準備をいたしております。政府に意見書が提出されるよう、各議員にはぜひ御理解を賜りたいところでありますが、知事としても制度改正を早急に働きかけ、復興の支障になっている現状を改善し、真に被災者等の支援に資する制度となるよう、制度及び運用の見直しを図るよう動くべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 次に、公正取引委員会排除勧告事案に係る損害賠償請求の取り扱いについて伺います。
 震災前の2月7日の議案等説明会において、その内容として、損害賠償請求額は16億3、705万円、請求時期は、課徴金納付命令の確定後、業者向けの説明会を開催した上で4月を目途とし請求するとされました。その後、3月16日に説明会が開催される予定で手続が進んでいたと承知しておりますが、3月11日の震災の影響などもあり、その後、説明会も開催されていない状況であります。対象となっている建設業者には沿岸地域で被災した業者もあり、建設業が瓦れき撤去や今後の復旧、復興事業のかぎを握ることから、その取り扱いについて注視してきたものであります。
 そこで伺いますが、震災を経て、公正取引委員会排除勧告事案に係る損害賠償請求の取り扱いについてはどのようになるのでしょうか、現状と今後についてお示しください。
 あわせて、6月24日、東京高等裁判所で、県発注の公共工事の入札で談合を認めた公正取引委員会の審判は不当として大森工業が取り消しを求めた判決で、請求が認められました。この判決の結果は県の今後の対応に何かしらの影響があるのかもお示しください。
 次に、災害廃棄物の処理について伺います。
 現在、本県では、震災復興に向け各般にわたる対策が進められ、さらには復興計画案もまとまり、一歩一歩復興の道筋をたどりつつあります。そのすべての前提は、被災地域に横たわる災害廃棄物の処理が前提となっていることから、私は、復興に向けた第一歩の最重要課題の一つとして認識し、関心を払ってまいりました。廃棄物処理が復興への第一歩、この観点で、以下伺います。
 6月20日、岩手県災害廃棄物処理実行計画がまとまり、公表されました。関係者の取りまとめへの御努力に心から敬意を申し上げます。
 計画では、基本方針で地域の復興に寄与する処理が第一に掲げられ、迅速な処理についても計画全体を通しての基本コンセプトになっており、計画概要については賛同するものでございます。
 質問の趣旨は、計画策定の前提条件が、想定外の事態の発生により早々に見直しを迫られ、今後さらなる対応に苦慮するのではないかという懸念であります。計画では、県内処理施設のみでは3年以内での処理が完了できない可能性もあり、県外の施設に委託も想定。5月11日現在、全国41都道府県で290万トンの受け入れ可能とされております。
 しかし、事態は大きく変化しております。6月15日、地域政党いわてと地域政党京都党の両党は、東日本大震災の復旧、復興対策に関しても、具体の政策について連携強化を進めることとした協定を締結いたしました。その議論の中で惹起されたのが、住民の受け入れ拒否の反応についてであります。京都市は受け入れを表明したものの、市民などからは、放射性物質が広範囲に拡散する中で健康への影響を懸念する声が上がっているとのことであります。環境省の調査では、5月11日段階で41都道府県の522カ所が受け入れ可能の意向ということを示しておりますが、具体の自治体名等については、住民の反対なども考慮して、いまだに公表させておりません。しかし、事実上、各地域では受け入れ表明を首長などが行ったことにより、受け入れしようとする自治体等は明らかになり、その地域では反対などの声が高まっております。川崎市でも4月に市長が受け入れ表明をしたところ、苦情などが5、000件以上寄せられているとのことであります。また、受け入れにはほとんどの自治体が、住民理解が前提などとしております。
 さらに事態を悪化させつつあるのは、一般廃棄物の焼却灰や下水処理による焼却灰と汚泥から高い放射能が検出されていることであります。このような現状からは、計画の前提となる他県施設への処理の委託は事実上困難ではないかと推察します。復興を急ぐためにも処理は3年以内を目途に行うとしておりますが、大いに懸念しております。当局は、想定外の事態についてどのように認識し、また、処理実行計画への影響と今後の対応についてはどうするのでしょうか。対応に苦慮していると存じますが、御所見を伺います。
 また、事務執行体制についてでありますが、市町村からの委託も受け、さらには刻々と変化する社会情勢に的確に対応するには、大幅な体制強化も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか、御所見を伺います。
 次に、なりわいの再生、観光について伺います。
 震災の影響で二次的な被害を受けている産業は多々ございますが、その中でも深刻な分野の一つが観光産業であります。一例を挙げれば、ゴールデンウイーク期間中の観光客の入り込み状況を見ても、県内主要11カ所における入り込み数は前年同一期が79万5、764人回であったものが本年は21万3、148人回となり、マイナス73.2%であります。温泉旅館、ホテル業界も大変に厳しい現状で、すそ野の広い観光産業へのダメージは本県経済の大問題であります。自宅待機をいまだに余儀なくされ、解雇される例も相当あると仄聞しております。震災の影響による観光産業全般への影響をどのように把握しているのか伺います。
 また、入り込み客の減少に拍車をかけているのが震災後のコンベンション、スポーツ大会、イベント等の中止であります。その件数を把握していればお示しいただきたいと存じます。その影響をどのように認識しているのかもお尋ねいたします。
 また、復興計画には、取り組み項目の①で観光資源の再生と新たな魅力の創造、②では復興の動きと連動した全県的な誘客への取り組みについての言及がありますが、具体の計画はどのようになっているのでしょうか。議員発議で制定されたみちのく岩手観光立県基本条例に基づく基本計画の抜本的見直しはどうなっているのかもお示し願います。
 次に、緊急に取り組むべき事項として伺いますが、それは風評被害への対策であります。地域政党いわてでは、県内の民宿、ペンション関係などの震災の影響の実態についてヒアリングを行うなどして調査をしてまいりました。その過程で判明したのは、農林水産業体験などの教育旅行の相次ぐキャンセルや、スポーツ大会、イベントなどの中止により甚大な被害に遭っているという現状であります。その要因等を調査していくと、特に北海道札幌市方面からの教育旅行はすべてキャンセルとなっており、それは、北海道や札幌市教育委員会が事実上の中止要請を行ったことが起因となっているとのことであり、ゆゆしき事態であります。また、東北方面への旅行自粛要請や、福島を通過したくないなどの理由でキャンセルされた例もあり、風評被害の典型であると思われます。早急な原因調査と対策が必要と存じますが、御所見を伺います。
 また、この状況下にさらに追い打ちをかけ、被害を深刻化させているのが旅行代理店などからの価格ダンピング要請です。仙台市方面からの教育旅行は、福島原発などの影響から、その旅行先を福島県から岩手県に変える動きも徐々に出てきている状況でありますが、仲介する旅行代理店等は受け入れ先に対し値下げ圧力を強めているとのことであります。相次ぐキャンセルと値下げ圧力で施設維持すらままならないとの声も伺いました。この点についても調査と対策が必要と存じますが、御所見を伺います。
 次に、放射能対策について伺います。
 東京電力福島第一原発事故に伴い、全国各地で放射能汚染の影響が危惧されているのは周知のことでありますが、放射能濃度がどの程度なのか、健康被害を恐れる国民、県民の関心はまことに高く、公表される測定値に毎日関心を払っている状況であります。
 そこで、懸念される放射能について、本県の対策について伺います。
 まず、その取り組みの基本姿勢とこれまでの経過であります。放射能測定は原則国が対応することとなっておりますが、住民不安解消のため、また風評被害防止の観点からも、本県もしかるべき措置をとる姿勢が必要であります。モニタリングポストについては、議会内からも、発災当初からポスト数をふやすなど提言がされてまいりましたが、本県は滝沢村の牧草から基準を超える放射性物質が検出されるなど降下物の影響が確認されたことから、6月6日にサーベイメータによる地表付近の測定も開始したところであります。当初からモニタリングポストの地表からの設置の高さ、ポイント数の少なさについては、関東方面でいわゆるホットスポットなどが確認された段階から本県のさらなる対策が求められてきたところですが、なぜ6月6日となったのでしょうか、放射能測定についての基本姿勢と一連の経過について御説明ください。
 関連して、下水処理による焼却灰と汚泥について伺います。
 東日本各地では、土などに付着した放射性物質が雨で流され、下水処理により排出される汚泥から高い濃度の放射性物質が検出されるなど、各自治体ではその処分に頭を痛めている状況で、各施設では処分できずに施設内で保管されており、限界が目前となっております。この問題は、最初に5月1日に福島県が下水汚泥からセシウムを検出したことを公表し、問題が顕在化しました。報道によれば、少なくとも22の都道府県で検査を行い、このうち北海道から大阪までの広い範囲に及ぶ16都道府県で放射性物質を検出しております。本県では流域下水道処理場である四つのセンター分の脱水汚泥等を6月12日に測定。その結果、セシウム134、セシウム137などが検出され、最も濃度が高いのは都南浄化センターの焼却灰からの2、510ベクレルパーキログラムでありました。
 そこで、3点伺います。
 第1に、今後の測定はどのように行う方針なのでしょうか。福島原発の事故処理がいまだに収束のめどが立たない中で、定期的に測定を行う必要もあると存じます。御所見を伺います。
 第2に、その埋め立て等の処理方法ですが、政府の原子力災害対策本部は、6月16日、処分に関する基準を示しました。8、000ベクレルパーキログラム以下の場合は、覆土、防水対策などを行い、居住地や農地に使わなければ埋め立て処分できるとされております。下水処理場内の保管にも限界があると存じますが、いつまでに埋め立て等の処理方法を確立させ、今後どのように埋め立てなどの適正処理を行う予定か、お知らせ願います。
 第3には、肥料などの副次産物の活用についてであります。本県の流域下水道場における脱水汚泥等の処理方法は、主に焼却後に焼却灰としてセメント原料に利用され、一部は脱水汚泥のままセメント原料に利用されております。原子力対策本部は、6月にセメント1キログラム当たり100ベクレル以下であれば問題はないとしましたが、汚泥の受け取り拒否が全国で相次いでいる状況であります。また、一部脱水汚泥は肥料等の原料として処分されておりますが、6月24日の農林水産省公表資料では、汚泥中の放射性セシウム濃度が200ベクレル以下は堆肥原料としての利用を認めるとされました。本県の肥料などの副次産物の扱いについて、現状と課題をお示し願います。
 次に、エネルギー政策について伺います。
 今回の大震災で地震発生直後から数日間続いた停電という事態を経験し、改めてエネルギーの重要性に私たちは気づかされました。さらに、福島第一原発事故で原発への不信感が増したこともあり、自然エネルギーへの関心が急速に高まっております。
 東北地方の自然エネルギーのポテンシャルは日本全体でも特に有望であることから、国の復興構想会議がまとめた提言の中でも、東北を再生可能エネルギーの拠点とする方向が強く打ち出されております。先端的な自立・分散型エネルギーシステムはエネルギー効率も高く、災害にも強いだけでなく、システムの導入、設置の過程において、新たな雇用の創出にも大きく寄与することが期待されております。
 知事も定例記者会見で、再生エネルギーをどんどん活用し、地域振興をというのは、岩手の将来に向けてのいわて県民計画でも位置づけられ、取り組みが進んでいるので、復興という中にそれが大きな柱で入っていくのは自然な流れだと思いますと発言しております。しかし、県がまとめた復興基本計画案の中に再生可能エネルギーがなぜ大きな柱として反映されていないのでしょうか、その理由をお示し願います。
 また、再生可能エネルギー導入促進特区を提案したことは、新たな立法措置の動向も踏まえ、平成10年に策定した岩手県新エネルギービジョンを今後見直す必要があると思いますが、その御所見を伺います。
 さらに、本県における直近の電力需要、再生可能エネルギー導入状況はどのようになっているのか、あわせてお示し願います。また、企業局の電源開発についても、これを機会にさらに再生可能エネルギーの積極導入を検討すべきではないかと存じますが、企業局長の御所見も伺います。
 震災後のエネルギー政策、原子力政策は、未来に向け希望を持つことができる方向に転換していくことが求められております。本県は、いわばその大きな転換の先頭に立つ役割が与えられたのではないかと認識しております。エネルギー政策は、一義的に国が決めることではありますが、知事は、震災後のあるべき国のエネルギー政策、原子力政策について、地域住民の命を預かる立場、また、被災県のリーダーとしてどのようなお考えを持っているのか、その基本認識についてお尋ねいたします。
 地域政党いわてでは、今般取りまとめた復興マニフェストの中で、自然エネルギーと省エネルギーで脱原発を目指すことといたしました。再生可能エネルギーを力強く推進していくためにも、この際、脱原発を打ち出すべきと考えますがいかがでしょうか、御所見を伺います。
 以上をもって私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 及川あつし議員の質問にお答え申し上げます。
 まず、震災対応にかかわる県の取り組み姿勢についてでありますが、今回の東日本大震災津波の震災対応に関し、県民の皆様からさまざまな御意見をいただいていることは、承知しております。
 職員は、発災直後から、応急対策や復旧、復興に向け懸命に対応、そして、業務を遂行するに当たっては、過去の前例や組織の役割分担などにとらわれず、また、昼夜を問わず応急対策や復旧、復興業務に取り組む職員が数多く見られました。
 知事以下全職員が心を一つにして意識を共有するとともに、常に県民の視点、立場に立ち、県民全体の利益を考えて行動し、新たな課題に果敢に挑戦していくことは、県行政を推進する上で基本となる部分であり、今後においても、こうした認識の徹底を期していきたいと思います。
 次に、4月の人事異動についてでありますが、東日本大震災津波後の人事異動に関しては、災害復旧対策を最優先とするとともに、対応の長期化が予想された復旧、復興業務を踏まえ、早期に新体制を構築することが必要と判断して、4月1日付の人事異動を実施しました。
 職員の重層的な配置については、沿岸、県北の各広域振興局において、県土整備、防災部門を中心に104人を一時的に増員し、被災地における当初の復旧、復興業務に対応しました。
 また、内示済みの人事異動を一部変更し、災害対応業務に従事する理事の設置や防災危機管理監の定年延長など、本庁の体制もあわせて強化しました。
 これら人事異動の評価については、職員一人一人の努力もあり、円滑かつ適切な対応が図られたと認識しております。
 次に、岩手国体に関するこれまでの経緯についてでありますが、岩手国体は、平成19年度に、県民の総力を結集して、夢と希望を与えるスポーツの祭典として開催することを基本方針として、県内全市町村での競技開催や県民総参加による手づくりの国体の実施に向けて準備を進めてきたところであります。
 このような中、東日本大震災津波による甚大な被害が発生し、県では、総力を挙げて復旧、復興に努めなければならないことから、本年度当初に国体関係事業の執行を保留とし、また、担当組織の拡充を見合わせる一方、復興局を創設し、復興関係予算の計上も行っているところです。
 県としては、現時点で基本どおりの国体開催について、人的、財政的資源の集中的投入が難しいのではないかと考えており、関係者間での認識の共有を図っています。
 国体の開催申請は、県、県教育委員会及び県体育協会の三者で、国と日本体育協会に対して行うものでありますことから、県としては、県教委と県体協にもその考えをお伝えし、それぞれ開催の考え方について検討していただいているところです。
 なお、競技会場地市町村にも、具体的な復旧、復興にかかわる人員、予算と、国体にかかわる人員、予算の関係も含め説明し、意見交換を行っているところです。
 現時点では、県、県教委、県体協の三者がそれぞれ検討している段階であり、県としては、これまでに、国や日本体育協会に担当職員を赴かせ、本県の現状を報告しており、また、先日も副知事が上京し、意見交換を行ってきたところです。
 次に、岩手国体開催に関する現状と課題についてでありますが、現在、縮小開催の考えが市町村や競技団体の一部から示されていますので、日本体育協会に対し、縮小開催についての具体的な考え方を確認しているところです。したがいまして、お尋ねのシミュレーションについては、今後の対応となるものと考えております。
 具体的には、今後、日本体育協会からの回答を受けて、その内容を競技団体や市町村にお示しし、検討していただきたいと考えております。その検討結果もお聞きし、平成28年度における本県での国体開催の意義や岩手県東日本大震災津波復興計画への影響などを総合的に判断しながら、県としての結論を出し、県教委や県体協とも協議を行いたいと考えているところであります。
 また、開催申請は、原則、開催の5年前である本年6月までとなっていたところでありますが、日本体育協会では、当面の間、猶予することで了解がなされたと伺っております。
 次に、知事選挙への姿勢についてでありますが、再選出馬については、昨年12月に正式に表明したところであり、現在も変更はございません。
 なお、選挙において何をどう訴えるか等、具体的な選挙運動の方針については、この場での発表は控えさせていただきたいと思います。
 次に、エネルギー政策、原子力政策についての基本的認識についてでありますが、本県は、これまでも再生可能エネルギーの積極的な導入に取り組んでおり、今回の福島第一原発の事故を契機に、再生可能エネルギーへの期待が高まっていることを踏まえ、復興基本計画案に再生可能エネルギーの活用を盛り込み、国に対して再生可能エネルギー導入促進特区を提案するなど、一層推進することとしています。
 国のエネルギー、原子力政策については、まずは、今回の原発事故の速やかな事態の収束と検証を行った上で、検証結果を含めた幅広い国民の議論に基づき、適切に判断されるべきものと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
 答弁が前後いたしましたが、高速道路の無料開放についてでありますが、高速道路の無料化自体は、地方の活性化に役に立つものと考えますが、今回の措置は、特定の車両を対象としたものであり、被災者支援及び当面の復旧、復興支援が目的と承知しているところであります。
 県では、物流等の経済的負担を軽減し、早期復興を県内外から支援するため、被災地を往来する車両の高速道路料金の無料化を、発災後早い時期から関係機関に要望してきたところであります。
 国においては、東北地方を中心とした被災地の復旧、復興を後押しするために、全車種における無料化を第3次補正予算に計上する準備を進めているとの発言が、国土交通大臣からなされているところであります。
 県としても、一日も早い全車種の無料化の実現に向け、引き続き関係機関に対して強く要望してまいります。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) 復興基本計画案での再生可能エネルギーの位置づけについてでございますが、復興に当たっての再生可能エネルギーの活用につきましては、復興に向けた三つの原則に掲げております安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、これらを図る上で重要と考えております。
 このため、本県の復興基本計画案では、まず、復興に向けた具体的な取り組みにおいて、防災のまちづくりの観点から、太陽光、木質バイオマスなどの再生可能エネルギーを活用し、非常時においても一定のエネルギーを賄えるエネルギー自給システムの導入促進について盛り込んでおります。
 次に、長期的な視点に立ち三陸地域の創造を目指す三陸創造プロジェクトの一つといたしまして、環境やまちづくり、産業などの分野を超えて、太陽光発電や風力発電など、県内に豊富にある再生可能エネルギーの導入促進などを進めることといたしまして、環境共生・自然エネルギー分野という項目で主な取り組み例を盛り込んでございます。
 さらに、プロジェクトの具体化に向けまして、国の復興構想会議に対して、岩手復興特区の一つといたしまして、再生可能エネルギーを先導的に導入していく上での課題と対応策をまとめた再生可能エネルギー導入促進特区を提案したところでございます。その中に、被災地域の再生可能エネルギー資源を活用した発電施設や地域供給体制の整備、さらには、バイオマス資源等を地域で活用するシステムの構築などを盛り込んでおります。
 いずれにいたしましても、復興基本計画案につきましては、議員御指摘の再生可能エネルギーの活用も含めまして、今後、県議会の御意見やパブリックコメントなども踏まえて、さらに検討を行い、最終案に反映させていきたいと考えております。
   〔会計管理者菅原和彦君登壇〕
〇会計管理者(菅原和彦君) まず、公正取引委員会排除勧告事案に係る損害賠償請求の取り扱いの現状と今後についてでありますが、当初、3月16日に業者説明会を行い、4月の請求を予定していたところ、東日本大震災津波の発生に伴い、説明会を開催することができなかったこと、また、被災した対象業者があることから、その状況が判明するまでの間、説明会の開催や賠償金の請求を見送ることとしたところであります。
 現在の対象業者の状況につきましては、沿岸部の業者はほとんどが被災しており、瓦れき処理業務などを請け負うことで経営を維持している状況にあります。また、内陸部の業者も、震災の影響により、3月、4月には通常の公共工事の発注がほとんどなく、厳しい経営状況にあります。
 こうした状況の中で、まずは、被災地の一刻も早い復旧を図るためには、建設業界を挙げて、瓦れき処理などの当面の復旧工事に全力を傾注していただくことが必要であることから、損害賠償を請求するという県の基本的な対応は変わらないものの、瓦れき処理などの復旧工事が一段落した段階において、各業者の状況を見きわめながら請求時期を判断することとし、当面、請求の見送りを継続しているところであります。
 次に、今回の判決に伴う県の損害賠償への影響についてでありますが、現在、係争中の業者以外につきましては、既に昨年の4月に独占禁止法違反が確定しており、契約書の規定により損害賠償を請求するという県の対応には、影響がないものであります。
 なお、今回、審決の取り消し請求が認められた業者につきましては、独占禁止法違反が問われた受注調整期間中の契約実績がないことから、損害賠償請求の対象にはなっていないところであります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、災害廃棄物処理実行計画への影響と今後の対応についてでありますが、県内の処理施設のみでは、推計発生量約580万トンの災害廃棄物を平成26年3月末までに処理することが困難な状況でありますことから、他都道府県の支援は不可欠と考えているところであります。
 このため、県におきましては、適切な焼却条件の設定や放射性物質濃度を含む安全性に関するデータの収集を行っているところであり、今後、得られたデータをもとに、国とも連携しながら、受け入れ自治体の十分な理解が得られるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。
 また、事務執行体制についてでございますが、資源循環推進課内に新たに専担組織として災害廃棄物対策担当を設置し、専任職員7名を配置したほか、広域振興局から3名、名古屋市から2名の応援を得て強化したところであります。さらに、環境省が6名から成る支援チームを常駐させて連携を図っているところであります。
 今後も、計画の進捗状況等に応じまして、適切な人員配置に努めてまいりたいと考えております。
 次に、放射能対策についてでありますが、福島第一原発事故により放出された放射性物質の本県への影響を把握するためには、空気中の放射線量を示す空間線量率、上層大気中から地上におりてくる降下物及び水道水のモニタリングを適切に行い、正確な情報を広く県民にお知らせすることが重要と認識しております。
 このため、国の依頼に基づき、盛岡市の空間線量率は3月14日から、降下物及び水道水は3月19日から毎日測定し公表しているほか、4月8日からは、独自に県内各市町村の水道水についても順次測定し公表するなど、モニタリングを強化してきたところであります。
 地表付近の放射能測定開始が6月6日となったことにつきましては、環境保健研究センターに配備している携帯型測定器であるサーベイメータの測定値の正確性を担保するために、専門機関に機器の検査を依頼したところ、全国から依頼が同時期に集中したために時間を要したことによるものであります。
 検定が終わったことを受けまして、6月6日以降、県内の各合同庁舎単位で地上付近の放射線の測定を行い、盛岡市などと比べ高い傾向が認められました胆江、両磐地域につきましては、さらに旧市町村単位で旧庁舎及び公園等の測定を行うなど、放射性物質の環境への影響の把握に努めているところでございます。
 原発事故の影響が収束するまでには長期間を要する見通しが伝えられていることから、県民の不安を払拭するため、今後とも継続的に監視するとともに、正確な情報の提供を行っていくこととしております。
 次に、新エネルギービジョンの見直しについてでありますが、昨年度の本県の電力需要は、東北電力の販売電力量や発電施設の自家消費等を含めて約97億キロワットアワーと推計しており、本県の電力自給率は24.6%となっております。
 また、平成21年度末の再生可能エネルギーを活用した発電施設の状況は、太陽光2万6、000キロワット、風力6万7、000キロワット、水力27万5、000キロワット、地熱10万4、000キロワットなどであり、新エネルギービジョンに掲げる平成22年度までの導入目標に対する達成状況は86.3%となっております。
 現在の新エネルギービジョンは、昨年度末で計画期間が満了したことから、今後、策定を予定している地球温暖化対策に関する実行計画の中に、次期新エネルギービジョンの内容を盛り込む方向で検討しております。
 見直しに当たりましては、固定価格買い取り制度の創設など再生可能エネルギーの普及に向けた国の動向や、東日本大震災津波に伴う大規模かつ長期間にわたる停電の発生などを踏まえ、本県に豊富に賦存する自然エネルギーを最大限活用するとともに、非常時においても一定のエネルギーを賄えるような方策を盛り込みたいと考えております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、震災の影響による観光産業全般への影響についてでありますが、岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合からの聞き取りによりますと、発災直後から4月中旬までの約1カ月間の宿泊キャンセルは、判明したもののみで約24万人であり、これは、平成22年の宿泊客の1カ月分、約23万9、000人にほぼ相当する数字となっております。
 その後、東北本線沿いの宿泊施設を中心に、復旧、復興関係者による需要の増加が見られる一方、ゴールデンウイーク期間中の県内主要観光地における観光客収入は、御案内のとおり、大きく落ち込んでおりまして、残念ながら回復に時間を要している状況にございますが、最近は、宮城県からの修学旅行の振りかえ需要や平泉文化遺産の世界遺産登録に伴う旅行客の増加など、旅行需要回復の動きも見られてきております。
 また、震災後のイベント等の中止件数についてでありますが、学会等のコンベンションについて、盛岡観光コンベンション協会の調べでは、本年秋までに開催される13の大会が中止と聞いております。小中学校、高等学校及び一般のスポーツ大会、イベント等につきましては、岩手県教育委員会の調査によりますと、59件のスポーツ大会と7件のイベントが中止となっております。
 さらに、岩手県観光協会によりますと、現在把握している県内124のイベントのうち、予定どおり開催されるイベントが82件、中止されるイベントが32件、延期または検討中が10件となっております。
 学会等のコンベンションにつきましては、今月下旬に海洋再生エネルギーに関する学会が開催されるなど、震災関連の学会や調査団が相次いでいるほか、北東北インターハイも開催される運びとなっております。こうしたコンベンションも本県の観光振興にとって重要なものと認識しておりますので、今後も一層の誘致に努めてまいります。
 次に、復興計画の具体化についてでありますが、岩手県東日本大震災津波復興計画につきましては、実施計画において、具体的な内容をお示しすることとしておりまして、現在、策定作業を行っているところであります。
 復興計画は、平成22年に策定いたしました、みちのく岩手観光立県基本計画との整合性を十分に図りながら策定を進めていることから、当面、観光立県計画の見直しの必要はないものと考えております。
 次に、風評被害対策でありますが、教育旅行のキャンセルの原因は、震災の発生により、送り出し側の教育委員会などにおいて、児童生徒の安全確保の観点から行き先変更などの指導がなされたこと、また、被災県を訪問することへの自粛や遠慮ムードなどによるものと承知しております。
 本県への教育旅行は、北海道が全体の約半分と大きな割合を占めております。また、その訪問先が、八幡平市、盛岡市、花巻市など内陸部であることから、県といたしましては、4月早々に北海道の中学校などへ、予定どおり実施するよう個別に要請を行ったところであります。
 来年度以降に向けまして、今月下旬に、県観光協会や民間事業者と連携し、札幌市内の全中学校を訪問するほか、道内主要都市、東京都において説明会を開催するなど、誘致活動を積極的に行っていくこととしております。
 最後に、旅行代理店などからのダンピング要請についてでありますが、教育旅行を受け入れている主要宿泊施設から県が直接聞き取ったところでは、ダンピング要請は特にないと聞いてございます。しかしながら、引き続き情報収集に努めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) 下水処理による焼却灰と汚泥についてお答えいたします。
 まず、今後の測定につきまして、焼却灰、汚泥ともに、週に1度の頻度で放射性物質の濃度を測定してまいります。
 次に、下水汚泥の埋め立てについてですが、焼却灰のこれまでの測定結果では、放射性セシウムが最大で2、510ベクレルパーキログラムであり、国が示した埋立基準の8、000ベクレルパーキログラムを下回っております。埋め立て可能な値であります。現在、埋立処分場の管理者と協議を行っておりまして、この協議が調い次第、埋め立てを行うこととしております。
 なお、協議が調うまでの間、国により示された基準に基づき適切に保管してまいります。
 次に、下水処理の副次産物の扱いについてでありますが、大震災発生前に焼却灰などを搬入していたセメント製造工場が被災いたしました。このため、当面、焼却灰につきましては埋め立て、脱水汚泥につきましては肥料の原料として処理を行うこととなりました。
 県といたしましては、引き続き再生利用を推進していきたいと考えておりまして、セメントへの利用につきまして、セメント製造企業と十分に協議、調整を行って、搬入条件を定めるなどの対応をしてまいります。
 肥料原料への利用につきましては、国が示す放射性物質の濃度の基準に従い、適切に処理してまいります。
   〔企業局長青木俊明君登壇〕
〇企業局長(青木俊明君) 企業局における取り組みについてでありますが、企業局では、これまで、地域のエネルギー資源の有効活用や二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーの開発の観点から、水力発電や風力発電の開発に積極的に取り組んできたところであります。
 再生可能エネルギーを活用した発電には、他のエネルギーに比べ発電コストが高いという経済性の問題や電力会社の送電線網への接続、土地利用の規制などの課題もあるところであります。
 国では、再生可能エネルギーの利用拡大を図るため、現在、固定価格買取制度に関する法律案を国会に提出しているほか、本県からも再生可能エネルギー導入促進特区を提案しているところであり、今後、再生可能エネルギーの開発促進に向けた環境が整ってくることも期待しているところであります。
 今後におきましても、再生可能エネルギーの導入促進に向けた支援制度等の動向などを注視しながら、水力発電や風力発電を中心とした再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組んでいきたいと考えております。
〇15番(及川あつし君) それぞれ御答弁ありがとうございました。答弁を踏まえて何点か再質問いたしたいと思います。
 まず、知事に国体と選挙に関して再質問いたします。
 国体に関していろいろと御答弁をいただきました。現在、縮小のシミュレーションを、まだこれから日体協と協議をしながらやっていくというような御答弁もあったわけですが、では、我々に5月27日に政策地域部が示した、平成28年の国体は延期したほうがいいというこの方針については、現在どういうふうに達増知事としてはお考えになっているのでしょうか。やるためにいろんな方向を検討しているのか、5月17日にも示されたように、国体は平成28年はもう延期したほうがいいという前提を変えずに、一応いろんな団体、市町村から縮小という考えもあるんじゃないかということで検討もしているか、その基本的な立ち位置についてぜひ示していただきたいと思います。県民が一番知りたいのは、一体どこを向いて、この平成28年国体については今県がやっているのだと、その方向性でありますから、これについては知事から明確に御答弁をいただきたいと思っております。
 選挙についてでありますが、変更がないということでございます。ただ、私がお尋ねした公約や選挙の取り組み姿勢については控えるということでございましたが、なぜこの場で答弁を控えるのか、その理由をお聞かせください。
 2点目は、環境生活部についてであります。
 御質問させていただきました御答弁にもありました。本当に今、全国で、大変残念ながら、岩手県の災害廃棄物にも相当数の放射性物質が含まれているという誤った認識が広がっております。今、御答弁で安全性を担保すると。これもまたさらにコストプッシュの要因でありますし、手間もかかるんだろうと思いますけれども、我々も全国にいろんな同志がいますので、議員としてもこの点については協力していきたいと思っておるところでありますけれども、この安全性の確保について、答弁は難しいかもしれませんけれども、どの程度―全部の災害廃棄物の放射能測定をやるということになれば、また、これはこれで大変だと思うんですけれども、この点については今どの程度を想定しているのか、お尋ねいたします。
 商工労働観光部長にお尋ねします。
 いろいろ御答弁がございました。一つちょっと紹介したいと思うわけですが、北海道の教育庁教育政策課というところが道内の各教育局長に対して出した通知がございます。お届けもしたと思いますが、この中で、文書を読み上げますと、児童生徒の安全確保の観点から、被災地域への修学旅行など集団宿泊的行事を計画している学校について、日程を延期することや行き先を変更することなども含め実施計画を再検討するよう御指導願います。つまり、事実上やめろと言っているに等しいわけですよね。今、御答弁いただきましたように、いろんなところに対して積極的に働きかけてきた部分もあるし、これからもやるということでありますけれども、恐らくいろんな分野で根拠のない形で旅行の中止を求めていたり、また、中止が今後予定されているコンベンションなどについても、本来はできるものもあると思うんですよね。そこについては、今、震災を経て経済的に非常に弱っている状況ですから、きめ細やかにやっていただきたいということで、この点は要望とさせていただきたいと思います。
 あわせて、質問の中で復旧、復興対策をさまざまお尋ねいたしましたが、さらにちょっとお尋ねしたいと思います。それは予算の執行状況であります。今定例会に提案されている分を含めて4回補正予算を編成して、その総額は4、256億円になっていると承知してございますが、問題は、補正予算を積み重ねていって対策を万般とりますよということは大事だと思うんですけれども、あとはスピード、その執行であると思っております。なかなか数値の把握が難しいとは伺っておりますが、念のため現在の執行状況についても伺いたいと思います。
 また、国が補正予算等で震災の関連予算をつけていても、どうも運用基準が明確じゃないということで、予算は来ているけれども、まだ執行が進んでないというような分野もあるやに伺っておりますが、その現状についてもお尋ねいたします。
 また、これは経済対策にもつながるわけでありますけれども、復旧事業、復興事業に携わっている県内の業者の方も多数いらっしゃいますけれども、なかなか支払いが来ないというような例も伺っております。これは市町村との契約の中でもあるんだと思いますし、岩手県との契約でも、また政府との契約の中でもあるんだと思います。
 その中で、例えば、海中の瓦れき撤去などについても、通常の契約方法によらない形で展開されている。各種工事を請け負ったんだけれども、最初の段階で単価も決まってないし、なかなか支払いのめどもついてない、困っているというような話も伺っておりますが、こうした点についてどうなっているのか、しっかり対応してほしいと思うわけですが、御所見を伺いたいと存じます。
 また、きょうは人事異動の件について伺いました。御答弁では円滑かつ適切だったということで、認識がこんなに違うんだなという思いでありましたし、人事については、今から戻せと言っているのではなくて、これから何かこういう危機的な対応がある場合に、こうした事例がどうだったのかということを正確に検証してもらいたいという趣旨で私は質問をいたしました。多くの職員の皆さんからも、本当に何でこんなときにやったんだという声をいまだに聞いておりましたので、伺った次第ですので、再度真摯に検証していただきたい。これは要望にしておきます。
 あと、関連して市町村の職員派遣について伺います。これについても多くの不平、不満、苦情、これに類するものを我々は伺っております。市町村への職員派遣については、我々もいろんな形で、どういう協力ができるのかということで具体的な協議もさせていただいた経過があります。そのときに常に岩手県側が言っていた言葉は、市町村の意向をもとにして判断します、調整しますと。これは一見正しいと思うんですが、きょう質問で取り上げたように、いわゆる私たちから見ればお役所的な仕事なのかなという印象を持ちました。我々が仲介しようと思ったときも、もう現地の市町村は毎日てんてこ舞い、ネコの手もかりたい、そんな状況であった。全国の自治体からは、ぜひ、こんな状況のために我々も手を差し伸べたい。県に行けば市町村の意向をもとに、市町村に行けば県に聞いてくれ、こんな事例が何度もありました。こういうことをやっていたがゆえに、私は、職員の市町村への派遣というのもおくれたのではないかと思っておりますが、こうした対応のおくれについてはどういうふうな認識を持っているのかお尋ねしたいと思います。
 また、同じ文脈でありますが、初期対応で物資供給が非常におくれておりました。その物資の供給のおくれもかなり長期間、きめ細やかさも含めておくれたと認識しております。知事も災害対策本部員会議で、これからは状況が変わってくる、その状況に合わせていろんなきめ細かい対応をしていこうということを発言しているのは、オブザーバーとして私も何度かお聞きしましたけれども、やっぱりこれまでの対応を真摯に検証して、何が問題で、これからどうすればいいのかということをやらない限り、次々とステージが変わった段階でまた同じことを繰り返していく、これを私は一番懸念しているのでこの質問をしているところでありますので、こうした物資の供給についても、なぜおくれたのか、そうした原因等についてもどう総括しているかについてお尋ねしたいと存じます。
〇知事(達増拓也君) 岩手国体についてでありますけれども、現状といいますのは、平成19年度にこの議会の御了承もいただきまして、県民の総力を結集して、夢と希望を与えるスポーツの祭典として開催するということで、そして県内全市町村での競技開催、また、県民総参加による手づくりの国体の実施ということで準備をしてきたわけであります。
 その状況でございますけれども、東日本大震災津波の被災者支援、復旧、復興ということに取り組んでいく中で、事務的に検討いたしますと、そうした形で開催するためには延期したほうがいいというような状況であるということでございます。他方、それに対し、いやいや、全市町村開催でなくてもいいというような縮小開催を求める声も多かったので、それについても意見を伺おうというのがまた県の立場でもあり、そうした関係者の詰めた議論、情報の共有といったことを経て決めていくべきものと考えております。
 それから、選挙について、なぜこの場で知事選挙の公約を述べたり選挙の取り組み姿勢について述べないかという御質問でありましたけれども、まず、議会の場、本会議場の演壇で知事選挙の運動をするような形はどうかという思いがあるのと、もう一つは、正直言いまして、頭の中は当面する震災対策の仕事のことにかなり占められておりまして、公約について、この場で端的に整理して表明するというよりは、この場でないところできちっとした形で行わせていただきたいという思いでございます。
 それから、市町村への職員派遣についてでありますけれども、発災直後から、まずは沿岸・県北の広域振興局の職員が、そして、翌12日には内陸部の広域振興局の職員が被災状況の確認を行いました。そして、13日以降、市町村業務支援として本庁職員50人を市町村役場等に派遣し、そのニーズの把握などの業務を行ったところでありますが、この13日以降の本庁職員の市町村役場等への派遣というのは防災マニュアルにないことで、かつ市町村側の要望を待たずに県独自の判断で行ったところであります。
 また、行政機能回復のための職員派遣については、庁舎の損壊や職員の被災により著しく行政機能が損なわれた陸前高田市と大槌町の支援が最優先であると考えて、緊急的な対応として、3月中旬から5月中旬まで継続して、市町の意思決定への支援、県との連絡調整等を行うため県職員27人を派遣しました。さらに、本格的な中長期の職員派遣について両市町と調整して、仮庁舎や執務体制が整った5月から派遣を開始しました。
 以上のように、県としましては、発災直後からそれぞれの復旧、復興の段階に応じて可能な限りの支援に努めてきておりまして、7月1日現在では、沿岸10の市町村に対して145人の職員が派遣されているという調整状況でございます。これらの調整に当たっては、現地の広域振興局はもとより、副知事や各部局の幹部職員も頻繁に現地に赴いて意見交換を行ってきています。今後も、復旧、復興の段階に応じて求められるニーズが変化していくと考えておりますので、引き続き必要な職員派遣等を行いながら、市町村の行政機能の回復を支援していきたいと思います。
 次に、物資の供給についてでありますが、今回の東日本大震災津波においては、発災当初、停電や通信網の遮断が発生し、市町村や避難所の状況や支援ニーズを把握することが困難なところがございました。加えて、道路の寸断や燃料不足などによって支援物資の搬送の停滞ということもございまして、初期の物資供給におくれが生じた面があったということは認識しております。このような制約がございましたが、自衛隊を初めとします関係機関の御協力もいただいて、できる限り速やかに被災地に必要な物資が届けられるよう努めたところであります。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物の放射性濃度の測定のお尋ねでございます。県では6月末に第2クリーンセンターにおきまして災害廃棄物の焼却試験を実施いたしました。その際に、あわせて放射性濃度についても測定をしておりますが、その結果についてはまだ示されていない状況でございます。今後、今回のデータを踏まえながら、どのようなデータ把握が必要なのか検討してまいりたいと考えてございます。
 ただし、この放射性物質の問題につきましては、本県だけの問題ではなく全国に広く拡散している共通の課題であると考えているところでございます。国では、現在、8、000ベクレル以下であれば埋め立て処分ができる、あるいは100ベクレルパーキログラム以下であれば放射性廃棄物とは見なさないというような考え方を示しておりますが、先ほど申し上げましたように、放射性物質が広く全国に拡散しているということを踏まえて、国において新たな仕組みづくり、ルールづくりといったものが必要かと我々は考えてございます。そういったことについても国に今後働きかけていきたいと考えてございます。
〇総務部長(加藤主税君) 補正予算の執行状況ということでございます。計上された予算の執行状況ということでございますが、補正予算の事業内容はさまざま多岐にわたっております。また、執行の時期、何をもって執行率とするのかといったものも区々のような状況でございまして、全体としてお示しすることはなかなか困難な部分がございます。各部局におきましては、効果を適時に発揮できるよう事業の実施に取り組んでいるところでございます。
 震災対応に係る事業につきましては、過去に類を見ないといった内容の事業も多くございますし、さまざまな調整等により時間を要するものもあると考えられるところでございますが、仮設住宅の整備を初め被災者の方々への支援や被災地の復旧、復興に向けまして速やかに実施できるよう取り組んでおりまして、事業におくれが生じることのないよう努めているところでございます。
 また、国庫の予算がついた事業との関係、国との関係というお尋ねもございました。さまざまな国庫補助事業につきましては、関連する事業も含めまして、国の関係機関と調整を行いながら事業を行っております。国の省庁側の対応いかんということもございまして、濃淡、課題等あるのは事実でございますが、全体として適切に執行するよう取り組んでいるところでございます。復興に絡みます国の現地対策本部も設けられたところでございまして、さらに一層運用の考え方の確認や国庫補助制度の創設に向けた要請を含めまして政府との連携を深めて、復旧、復興の事業の実が上がるように努めてまいりたいと考えております。
 また、災害対応に係る事業についての契約形態、その支払い状況といったことについてもお尋ねがございました。災害関係の事業につきまして、契約形態という面では、あらかじめ災害時における協定といったものを事業団体等と締結していることがございまして、それに基づきまして、明示の文書による契約がない中で初動の対応をしていただく。その後、契約につきまして当事者で確認するという契約形態をとっている部分もございます。これは認められた対応ということでございますが、その中におきまして、枠組みは決まっているわけでございますが、具体の事業におきまして、当事者同士の関係、理解をきちっと整理する必要がございますので、事業着手の後に、環境が整いましたら速やかに明示の文書による契約を締結いたしまして、その中で支払い時期、支払い形態等も明らかにするよう努めているところでございます。そういった中で、必要に応じまして結んだ契約をきちっと文書で交わした後は、契約に基づきまして適切な支払いを行っておりまして、支払い遅延ということがないように努めているところでございます。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 業者への支払いの遅延についてでございますが、泊地、航路等の海中の瓦れきを撤去する応急工事につきまして、県管理漁港においては6月末現在で89カ所で工事を実施してございます。今、総務部長が答弁いたしましたとおり、この工事は、漁業再開の緊急性を重視いたしまして、通常の手続ではなく、県建設業協会等と県の災害協定に基づきまして、県の要請により直ちに工事に着手し、後日契約を締結する方法としてございますが、近々の契約締結見込みと合わせて47カ所で契約を締結、うち9カ所で支払いをいたしてございます。漁港で行われている応急工事は主に海中での工事でございますので、海の上からは確認できない海底に堆積した瓦れきを撤去するという特殊なものでございますので、契約手続に時間を要してございますが、施工業者と工事状況の確認を急ぎまして、早期契約締結、そして代金の支払いに努めてまいりたいと考えてございます。
〇15番(及川あつし君) 予算の執行については、できる限り早期執行できるようにお願い申し上げたいと思いますし、支払い等についても、今御答弁があったように御配慮いただければと思います。
 本来はお話をしないほうがいいのかなと思っていたわけですが、どうも、答弁を聞いていると、正確に検証することは回避しているなという心証を得ました。あと4分ほどありますので、おくれについて事例を申し上げたいと存じます。
 今、知事が、物資の供給とかのおくれは、当初の通信網の整備の不足とかいろんな社会環境の制約条件があったというような感じだったんですが、では、これはどういうことでしょうか。例えば当初、東北電力が釜石の広域振興局に緊急車両用のガソリンの対応のお願いをしたということであります。しかし、釜石の沿岸広域振興局では対応ができないということで遠野市にお願いをした。遠野市は、自分たちでは賄い切れない話なので今度は県の本庁に要請した。しかし、何も返事が来ない。何度も救援要請をしたけれども、返事すら来なかったという事例がございました。また、各市町村から県の本庁に対して支援要請等のファックス、また電話で受けた口頭受付票というのがあったと思うわけですが、これが放置されて、約1カ月以上たってからそうしたものが発見されたというような証言も得ております。市町村からの要請に県が対応してこなかった事例、また、市町村からの要請も処理しないで、あいまいなまま放置していた事例もかなりあったのではないかと思います。こうした事例もございました。
 また、初期における物資の供給のおくれについては、物理的に通信網がなかったとかガソリンがなくておくれたとか、こういう問題じゃなくて、明らかに行政の想像力不足によるものが大きくあったんじゃないかなと思っております。例えば、花巻空港近くの物資の保管庫、アピオの物資が沿岸の被災地に流れなかった時期があったんじゃないですか。あのときに、なぜ物資を供給しないかという県の理由は、被災地の状況が把握できない、公平公正な分配計画ができないから現地に持っていかない、こういう対応をした方がいたはずであります。そういうことを何度も何度も繰り返しながらここに至っている。市町村の派遣要請に関しても、今、知事はやったことだけ言っていましたけれども、いろんなこれまでの対応で、何でもっとこういうことをやってくれないんだという事例がたくさんあると思うんですが、我々も先日、災害対策特別委員会で市町村にヒアリングをした際、また個別に調査活動をしている中で、本当に、県の対応について、何でこういうことをやってくれないんだという事例も多々聞いておりますが、知事には、そういう事例等については耳に入っていないのでしょうか。こういうことを、私は全部悪いと言っているのではなくて、どこかで根本的な何かが欠けているんじゃないか、こういうのが今回の私の質問であります。そういういろいろな、もっと県に改善してほしいという声を真摯に受けとめて、原因を追及して、これから一日も早い復旧、復興を目指すというのが知事の姿勢だと私は思うわけですが、その点について最後に伺って、質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) 東北電力が、ガソリンが足りないということであちこち供給を求めたということについては、発災当初、ガソリン不足問題というのは極めて深刻な問題で、これは、私も菅総理大臣と最初に、発災直後、電話で話をしたときから、要望は一つ、それはガソリン、燃料の供給だということに絞り、国にも多々働きかけをしていたところでありますが、あのときは本当に県も困っておりました。市町村が困っていたというのも、そのとおりでありましょう。そういう中で、関係者でさまざま、病院はまず優先させようとか打ち合わせながら、また、自衛隊の助けもかりながら、それこそ県、市町村、そして国が一体になりながら、被災者本位に、今一番必要とされているところに優先しながら回していこうというふうに対応がとられていたと記憶しております。
 ファクスや口頭受付票の問題で、私も、その対策本部でそういった紙を持って職員が走り回りながらさまざま対応しているところは見ておりますけれども、そういう大量の情報の中で、それが未処理に終わるということが起きたのかもしれませんけれども、一方、紙ベースの処理がなされなくても、別のところで電話、口頭ベースでそれが処理されるということも多々ございます。緊急事態においては、ある一つのラインで処理されなかったとしても、他のラインでカバーされることもございます。
 花巻空港やアピオの物資については、これは一時期非常に大きい問題でありました。といいますのも、全国から寄せられる物資というのは、必ずしも被災地のニーズイコールで来るわけではございませんで、さまざまな、こういうのがあったほうがいいんじゃないか、こういうものを提供しようということでどんどん送られてまいります。それをそのまま被災地に流してしまっては、被災地に不要なものが被災地の現場に山積みになってしまう。それを避けるために広大な場所を確保して、そこに在庫を置くということを県でやっていたわけでありまして、全国あるいは世界から寄せられるものと被災地でのニーズのマッチングという中で、在庫が一時膨れ上がる。今でも古着でありますとか、毛布でありますとか、水でありますとか、多くの在庫があるわけでありますけれども、そういったものは被災地以外のところで使っていただくことも含めながら、県として対応していると理解しております。
 紙ベースでの課題、また、あるいは現象面での予定と違った展開、さまざまあると思いますが、要は被災者本位に考えていけばいい、解決されればいいと思いまして、そういった現象面での手違いや、あるいは紙ベースでの予定どおりに行われなかったことによって、被災者にいかなる問題が生じたか、あるいは生じているか、ここについては、私も、県職員やさらに関係者とともに、今も避難所あるいは仮設住宅に住む皆さんそれぞれが深刻な課題に直面していないかという発想で見ておりまして、そこで足りないものがあれば手当てするし、とんでもない課題があれば解決する。ハエが大量発生すれば専門の駆除業者に入ってやってもらうというようなことを市町村とも協力しながら進めていくとか、そういった被災者本位に問題が解決されていけば、それでいいと私は考えておりまして、そういう意味でまだまだ被災地にはこういう深刻な問題があるとか、こういったことも解決しなければならないんじゃないかということはどんどんお寄せいただきたいと思います。あったら、その都度対応してまいりたいと思います。

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