平成23年8月臨時会 第24回岩手県議会臨時会 会議録

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〇36番(柳村岩見君) 自由民主クラブの柳村岩見でございます。本日提出されました議案に対して質疑を行います。
 まずは、平成23年度岩手県一般会計補正予算(第5号)についてであります。
 達増知事は、被災地岩手県の知事として、この補正予算にどんな思いを込められましたか。まずはそのことについてお尋ねをいたします。
 被災地より多くの課題が要請されておって、要望されておって、いろんなことをやりたかったんだと思います。しかし、国の第2次補正予算、これにも連動してやりたかったけどできなかった。ごらんのとおりの補正であります。こういう気持ちもあられることと存じます。やりたかったことと、こう問われて、すぐに、これとこれとこれをやりたかった。でも、できなかった。その自覚が大事です。そういうことを常に持っているということが大事なのです。国の第2次補正予算があのような内容だった。岩手県も自主財源がございません、よって、こうなります。これではいけないのであります。知事は、この時期、復旧、復興にかかわってどんなことをやりたかったか。それができなかったことをここで列挙してください。
 それから、国の第3次補正予算、このことに期待したり、それに負うところが復旧、復興財源としては大いに関係がございます。いまだ国の第3次補正予算編成は、どのような枠組みで、どのように、どのような時期に行われるかわかりません。ですけれども、財源の乏しい、自主財源の少ない岩手県、この甚大な被災を受けた岩手県として、国の第3次補正予算に期待するところ大と存じます。知事のその期待の、私はこう願いたいと、このことをお聞きをしたいと思います。
 既に要望活動をなさったりしておられることと存じます。それはそのとおりであります。しかし、すべてのことは、恐らく第3次補正予算に連動した今後の岩手県の復旧、復興予算ということに期待せざるを得ない。
 国の第2次補正予算は、メニューは大変いいと評価される面があります。しかし、額が少な過ぎる。例えば、水産関係者に対する、グループに対する補正、補助ということがある。だったらグループ以外はどうなんですか。どうなっているでしょうかというような問題になったときに、国の示した枠の補正に連動しての岩手県の補正予算になるために、結局は国が示さなかったことについては欠落をしていくという過程にあるんだと思います。それでは被災地の産業界の方々にこたえることにはならないということを感ずるときに、大いに第3次の国の補正予算に期待するところであります。知事のお考えをお聞きしたいと思います。
 応急仮設住宅における現状、課題について、そして、その課題に対する解消について。
 仮設住宅の建設状況は今どうなっておりますか。仮設住宅の入居状況はどうなっていますか。大分あいているという話も聞きますが、それはどうなっておりますか。
 それから、仮設住宅入居者の苦情の状況はどのように把握されてどう解消されましたか。このたびの予算でも、玄関の網戸、今の段階で玄関の網戸と、こうおっしゃる。アパート、貸家賃貸業の仕事をやっていると、そんなのは当たり前のことじゃないですか。皆さんも県営住宅を持って、それを管理しているじゃないですか。しかし、住宅センターに委託、いわば丸投げしているからわからない。今、この8月に、補正予算に玄関の網戸、これを声高々に予算化して解消しようとしています。今どういう状況ですか。どう把握していますか。その解消の仕方はどうでしょうか、お尋ねします。
 それから、次のステップとして、仮設住宅入居者が次のステップに移っていくときに、相談体制、個々に違うんだと。その体制は被災地の市町村としてとられていると思います。しかしそれは、県はどのように市町村との連動を含めてなさるのかということについてお尋ねします。あるいは、それぞれの地域に住宅を借り上げて避難といいますか仮入居している方もありますから、そのことも含めてお尋ねします。
 瓦れき処理の状況についてお尋ねします。
 現状はどのような状況下にありますか。処理のプロセスはできたのでしょうか。
 処理の基本計画については存じ上げております。しかしそのほかに、瓦れき処理において県外にお願いした場合に、住民とのコンセンサスをとってください、放射能汚染がないこと、こういう条件が出されております。そのことはクリアできたでしょうか。そして、理解してもらっているでしょうか。よって県外に処理をお願いできるでしょうか。あるいは県内で今行われている処理のパターン、1パターン、2パターン、いろいろあると思います。それをお示しください。
 それから、牛の出荷制限についてお尋ねします。
 出荷制限に至る状況について、こうこうこのためにこうなりましたという国からの出荷制限となったことのプロセスをまずお尋ねします。
 出荷制限解除へのプロセス、それは、こういうことを経て出荷制限解除になりますということをお示しください。
 それから、生産者への支援について。肉牛は出荷時期に向かって、追い込んで追い込んで生育をさせます。おいしい肉の状態、一番体重の多い状態、いっぱいいっぱいの姿をつくります。そういう時期を逃すと、牛は病気になったり、いろいろな事例が起きると言われております。その状況から考えれば、対象牛買い上げでなければならないと思います。いかがでしょうか、お尋ねします。
〇知事(達増拓也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、今回の補正予算への思いについてでありますが、今回の補正予算は、国の2次補正予算を含めた被災地の復旧、復興に取り組むための追加的な事業を盛り込みましたほか、児童生徒の健康を守り、安全・安心な牛肉の供給体制を整備するため、東京電力の原子力発電所から拡散した放射線対策に関する予算を計上したところであります。これにより、被災地のさらなる復旧、復興を図り、放射線に対する県民の安全・安心の確保に取り組んでまいりたいと思います。
 国においては、被災地の復旧、復興に向けた本格的な予算は3次補正において対応することとしていますことから、県においても、こうした予算については今後の補正計上を図っていくこととなるものであります。
 今後の国の復興予算への期待についてでありますが、復旧、復興に係る予算については、これまでも国に対しさまざまな要望をしておりますが、内容としてはかなり不十分であり、国で措置されている事業も必要な規模に足りていないものがございます。特にも、水産業や中小企業などの産業面のさらなる対策、医療の確保、居住地の確保、移転、復興道路などの交通基盤の充実など本格的な復旧、復興はこれからであり、一刻も早い国の3次補正予算の編成を期待するものであります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〇県土整備部長(若林治男君) 応急仮設住宅における現状、課題、そして解消についてでありますが、まず建設状況についてであります。
 最終的な建設戸数は1万3、983戸のすべてが着工済みであります。これまでに1万3、833戸が完成しております。現在建設中の150戸につきましても、8月12日ころに完成する見込みになっております。入居状況につきましては、7月29日現在の入居戸数が1万235戸となっております。
 入居者からの苦情についてですが、6月に設置いたしました応急仮設住宅保守管理センターにおきまして24時間体制で受け付けを行い、修繕等の対応に当たっております。修繕が必要なものの大半は数日のうちに対応しておりまして、これまでの解消状況は、7月末までに寄せられた1、868件についてすべてが対応済みとなっております。
 網戸のお話がございましたが、既に網戸は現在取りつけを始めておりまして、一部住宅ではもう設置済みになっている状況にあります。
 入居者への次のステップへの相談体制でありますが、復興実施計画の中におきまして、生活再建住宅支援事業を計上させていただいておりますけれども、その中で、現地での被災者の住宅再建に係る相談会等を今後実施していくことにしております。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物の現状についてでございます。
 災害廃棄物の撤去率についてでございますが、市町村からの報告によりますと7月25日現在で53.6%となっております。これは、災害廃棄物の撤去がおおむね終了いたしました地域においての実績値を加味いたしまして災害廃棄物の発生量を一部修正した後の数値となってございます。
 災害廃棄物の処理につきましては、太平洋セメント大船渡工場の5号キルン炉におきまして6月22日から1日当たり200トンの試験焼却を実施しておりまして、8月1日からはこれを踏まえた本格的な焼却を実施しており、1日当たり300トン以上に処理量を現在ふやしているという状況でございます。
 また、そのほか、陸前高田市におきまして魚まじりの瓦れきの処分、あるいは腐敗した魚介類の海洋投入処分を実施しておるほか、野田村におきましてはコンクリートがらの破砕処理、宮古市におきましては、魚市場周辺の衛生環境の改善のために出崎地区災害廃棄物の小本港への移動、さらには山田町におきまして木くずチップのリサイクル、内陸市町村の清掃センターにおけます焼却処分などを進めているところでございます。
 県外処理につきましては、御指摘がありましたとおり、放射能の問題により停滞しているという状況でございます。このため県におきましては、沿岸各市町村の災害廃棄物の放射線濃度をまず調べました。北部地区につきましては全くと言っていいほど検出されてございません。ただし、南部に行くに従いまして若干ながら放射性物質が検出されているという状況でございますが、全般的には低い値であると考えてございます。
 このため、こういった状況を、あるいはデータを他県に示しながら、また一方では、国に対して広域処理する場合の基準といったものを早期に策定するよう働きかけながら広域処理を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 災害廃棄物の処理プロセスについてでございますが、さきに策定いたしました廃棄物処理実行計画におきまして基本的な考え方を示したところでございます。これに基づき、さらに詳細なプロセスを盛り込んだ処理計画を今月中に策定することとしております。この詳細計画については、分別や破砕などの中間処理を含めまして、市町村の個々の実情に沿った処理プロセスを検討し、取りまとめることとしてございます。その際、災害廃棄物の発生量についても再精査を行いながら、仮設焼却炉の処理能力を踏まえた県内での処理量、そして広域処理すべき処理量とのバランスを図ることとしてございます。
 また、先ほども申し上げましたが、県内処理の中核を担う太平洋セメント大船渡工場におけるセメント焼成が11月以降開始される見込みでございます。1日当たり1、000トン以上の処理を見込んでございますが、これについては除塩対策が不可欠であるということで、除塩施設の具体化に向けた検討も行っているところでございます。
 加えて、陸路による災害廃棄物の運搬につきましては交通渋滞を引き起こすという課題がございますことから、港湾活用による災害廃棄物の効率的な移動についても検討を進めているところでございます。
 最後に、今後の見通しについてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、放射能の問題によりまして広域処理が停滞しているという実態がございますが、太平洋セメント大船渡工場が8月から本格的な焼却を始め、また年内にもセメント焼成を開始するほか、年度内に仮設焼却炉が稼働する見込みでございますので、今後策定する詳細計画に基づきまして、平成26年3月までに処理が完了するよう着実に進めてまいりたいと考えてございます。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 牛の出荷制限についてでございますが、まず、出荷制限の指示に至った状況についてでありますが、本県では、東京電力の原発事故後に収集された稲わらの給与を原因とした牛肉から放射性物質が検出されたことを受け、稲わらの利用状況を緊急に調査した結果、複数の市町村で粗飼料の暫定許容値を超過した稲わらの利用や稲わらを給与した肥育牛の出荷が確認され、さらにその牛肉からも暫定規制値を超える放射性物質が検出されたところでございます。こうした本県の状況は、政府が出荷制限の指示の要件としてございます、複数市町村で県産稲わらが暫定許容値を超えたこと、その稲わらを給与された牛の肉が暫定規制値を超えたこと、このことに当たることから出荷制限の指示に至ったものと認識しております。
 次に、出荷制限指示の解除へのプロセスについてでありますが、このプロセスは、まず、適切な飼養管理の徹底や牛肉の検査による安全管理体制の確立を盛り込んだいわゆる検査計画を策定すること、次に、農林水産省や厚生労働省と協議を行い、原子力災害対策本部長に申請して承認を得ること、承認された計画に沿って飼養管理の徹底と牛肉の検査を実施し、各頭ごと、または各戸ごとに出荷制限を解除していくこと、これがプロセスになります。
 現在、関係機関、団体と連携しながら、適切な飼養管理の徹底や牛肉の検査による安全管理体制の確立を盛り込みましたいわゆる検査計画の策定に取り組んでおりまして、国との協議を進めているところでございます。
 次に、生産者への支援についてでありますが、まず、肥育期間の延長に対応するため、市町村、農協と連携しながら、肥育農家全戸を対象に、当面の飼養管理のポイントについて巡回指導を開始いたしております。また、飼養管理コストの増加等資金繰りに対応するため、JAグループと連携しながら、無利子、原則無担保、無保証人の融資を創設し、利子補給に要する経費を今回の補正予算に盛り込んだところでございます。こうした対策や国の支援対策にも速やかに対応しながら生産者を支援し、経営の安定化を図っていく考えでございます。
〇36番(柳村岩見君) 東大野農林水産部長には、今座ったばかりで再度またお聞きすることをお許しいただきたいと思います。
 県内畜産農家に対して、国との関係もございますし調整も今後残されておりますけれども、しっかり頑張りますと決意表明だけいただきたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 畜産業は、本県の農林水産業にとっても全体の産業にとっても非常に重要な産業だと考えてございます。牛の出荷再開に向けて全力で取り組んでまいります。よろしくお願いいたします。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、工藤勝博君。

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