平成19年9月定例会 第3回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第19号、第25号から第29号に反対の討論を行います。
 議案第19号は、いわて体験交流施設条例であります。これは、約6億円の税金を投入して久慈市と葛巻町に平庭高原体験学習館と平庭高原自然交流館を建設・整備し、指定管理者に管理運営を委託しようとするものであります。
 第1の問題は、採算性に根拠がないことであります。体験学習館の収入見込みは、地産地消コーナーの売り上げ1、350万円や菓子づくり工房収入840万円など総額4、471万円となっています。利用者数は5万7、000人と見込まれていますが、極めて甘い計画であり根拠がありません。自然交流館はサウナつきの入浴施設でありますが、入浴料は大人500円で1、615万円の収入を見込んでいます。これは年間3万4、000人が利用するというものであります。平庭山荘の宿泊実績が約3、000人、スキー客が約2万人であります。余りにも実績と乖離しています。さらに、自然交流館の試算では、基本的に365日開業の計画となっていますが、人件費は全く盛り込まれていません。採算がとれずに窮地に陥らざるを得ないと言わなければなりません。
 第2の問題は、こうした施設を財政危機の状況のもとで県立の施設として建設すること自身に問題があるということであります。当該市町村が必要と言うなら、補助事業で建設すべきものであります。
 第3の問題は、指定管理者制度で管理運営しようとしていることであります。採算性に問題がある施設は、赤字となれば指定管理者を返上するケースが全国でも見られます。その場合は、県が運営するか責任をとらなければならないこととなってしまいます。当該市町村に移管すべきであります。
 議案第25号は、岩手県立高等学校設置条例の一部を改正する条例であります。これは、県立高校の学科改編と既に募集停止となっていた藤沢高校の廃止、高校統廃合計画による対象校の廃止と新設校の設置を行うものであります。また、県立一関聾学校と一関養護学校を統合し、県立一関清明支援学校を設置するものであります。
 反対する第1の問題は、県立盛岡農業高校の学科改編が5年前に行われたにもかかわらず、5学科中4学科が全面的に改編されるなど、学科の改編に合理性と普遍性が感じられないことであります。学級減のたびに生徒が学ぶべき学科がころころ変わるようでは、教育に対する信頼が揺らぎかねません。
 第2の問題は、来年度実施予定の学科改編・統廃合計画には、県立宮古高校川井分校の募集停止が盛り込まれていることであります。川井分校は、今年度の入学生が26人で、一次募集では20人中11人が地元の中学校からの入学でありました。8月7日に県教委が来年度の募集停止の計画を示したのに対し、同校のPTAと同窓会は、わずか2週間で川井村人口3、400人を大きく上回る5、659人の署名を集め、川井村村長、教育長も川井分校の存続を強く求めています。こうした地域住民の努力と熱意に県教育委員会はこたえるべきであります。
 平成17年7月に策定された県立高等学校新整備計画(後期計画)では、分校の学校規模の考え方及び取り扱いについて、入学者が募集定員の半数を下回る状況または当該分校に進学した者のうち、分校所在地の中学校からの進学者の割合が半数以下となる状況が2年続いた場合には、原則として翌年度から募集停止とし、統合することとしますとされています。また、県教育委員会では、平成21年度までの間、この後期計画に基づき、地元の意向も踏まえながら、生徒が自主的・意欲的に学習に取り組み、一人一人がその個性を十分に伸張できるような教育環境の整備を行っていきますと述べています。こうした規定と立場から見ても、川井分校については、県教育委員会が一方的に募集停止を決めることはあってはならないことだと考えるものであります。
 岩泉高校田野畑分校の場合は、今年度の入学者が20人で地元からの進学が16人、分校存続となりました。これは重要なことでありますが、川井分校の場合についても、子供たちの学習権を最大限に保障するという教育の条理に基づいて、原則に基づきながらも柔軟な対応を強く求めるものであります。
 県教育委員会は、県議会でも強く存続を求める意見が出ているにもかかわらず、10月15日の教育委員会議では、募集停止を含む規則改正を行おうとしていますが、あってはならないことであります。
 議案第26号は、簗川ダム建設橋りょう工事の請負契約の締結にかかわるものであります。簗川ダム建設は、当初の多目的ダムから事実上治水だけのダムに大きく性格が変わっています。簗川、根田茂川の特性からも、自然に洪水を調節する機能を持つ河川であり、ダム建設そのものを根本的に見直すべきであります。
 議案第27号、第28号は、県立大船渡工業高校と県立釜石工業高校の校舎改築(建築)工事の請負契約であります。校舎改築は当然賛成するものでありますが、10億円を超えるこの工事の落札率は96.1%、96.9%と極めて高率で、入札参加業者もそれぞれ2JV、3JVと談合が強く疑われるものであり、反対するものであります。
 議案第29号は、財産の取得に関するものであります。具体的には、抗インフルエンザウイルス薬タミフルを1億3、000万円余で中外製薬から購入しようとするものであります。既に議案に対する質疑で指摘したように、タミフルによる副作用は、6月の厚生労働省の報告でも1、377人中567人が、異常な行動を含む精神障害、神経障害の事例があったとされ、タミフルとの関連が指摘されている死亡例は77人に及んでいます。タミフルは、日本が世界の4分の3も活用する異常さで、中外製薬については、厚生労働省からの天下りと調査研究班に対する献金など、疑惑にまみれた状況も明らかになっています。こうしたタミフルの購入は、抜本的に見直すべきであります。
 請願第5号食の安全と地域農業を守る請願は、価格保障制度など、県独自の支援策の充実を求める項目が不採択とされました。しかし、今、米価の暴落に見られるように、再生産が可能な価格補償は、農家はもとより農業と農村を守る緊急不可欠な課題となっております。県の農業予算の5割近くを占める農業関連の公共土木事業を見直すなら、県独自の価格補償制度の充実は十分可能であります。この請願項目の不採択は、農家の切実な願いに背を向けるものであり反対するものであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(渡辺幸貫君) 次に、及川あつし君。
   〔24番及川あつし君登壇〕

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