平成23年2月定例会 予算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成23年3月8日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    佐 藤   博
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査     岩 渕 伸 也
  主任主査    藤 原 由喜江
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    大 森 健 一
1説明員
  商工労働観光部長 齋 藤 淳 夫
  商工労働観光部
  副部長兼
  商工企画室長   高 橋   信
  雇用対策・労働
  室長    伊 藤 昇太郎
  商工企画室
  管理課長    猪久保 健 一
  経営支援課
  総括課長    阿 部 信 弘
  科学・ものづくり
  振興課総括課長  佐々木   淳
  産業経済交流課
  総括課長    福 澤 淳 一
  観光課総括課長  戸 舘 弘 幸
  企業立地推進課
  総括課長    保   和 衛
  特命参事兼
  雇用対策課長   津軽石 昭 彦
  労働課長    川 村 政 司

  労働委員会
  事務局長    小 川 明 彦
  審査調整課
  総括課長    吉 田 和 明

  企業局長    千 葉 勇 人
  企業局次長兼
  経営総務室長   太 田 和 男
  企業局技師長   池 内   達
  経営総務室
  管理課長    宮 澤 寛 行
  経営企画課長   千 枝 泰 航
  業務課総括課長  菅 峨 範 夫
  電気課長    榎     充

  予算調製課
  総括課長    八 矢   拓
〇五日市王委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第2号から議案第22号まで、議案第27号、議案第29号、議案第30号、議案第32号から議案第35号まで、議案第38号から議案第40号まで、議案第42号及び議案第54号の、以上33件を一括議題といたします。
 本日は、商工労働観光部、労働委員会及び企業局関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇齋藤商工労働観光部長 平成23年度の商工労働観光部関係の予算について御説明申し上げます。
 初めに、施策展開の基本的な考え方でありますが、本県を取り巻く経済、雇用情勢は、有効求人倍率や個人消費に改善傾向が見られるなど、このところ緩やかな持ち直しの動きが続いているものの、長期的には依然として厳しい情勢にあることから、予算は骨格予算として編成されましたが、地域経済の底上げや雇用への対応など、早期着手が必要なものは予算計上するなど切れ目のない措置を講じるとともに、産業創造県いわての実現を目指し、産業、雇用分野における施策に着実に取り組む必要があると考え、事業の重点化を図ったところであります。
 まず、喫緊の課題である雇用の創出と就業の支援につきましては、引き続き、雇用対策基金を活用した事業による雇用の創出を行うとともに、産業振興施策による雇用創出にしっかりと取り組むほか、新卒未就職者等への重点的な就職支援に加え、長期失業者の状況に合わせた個別的、継続的な支援の実施、離職者等への職業訓練など、きめ細かな生活、就労支援も実施してまいります。
 次に、地域経済の活性化につきましては、自動車や半導体関連産業、また、今後成長が期待される医療機器関連産業など新たに中核となるべき産業を柱として、国際競争力の高いものづくり産業の集積を初め、地域資源を生かした食産業や観光産業の振興にも積極的に取り組んでまいります。
 特にも、平泉の文化遺産の世界遺産登録や、平成24年度のいわてデスティネーションキャンペーンを誘客促進の絶好の機会ととらえ、地域の観光資源の発掘と磨き上げ、新たな観光商品の創出や国内外への情報発信を強化してまいります。さらに、県産品の海外市場への展開や新産業の育成についても積極的に取り組んでまいります。
 以上が、産業、雇用分野における施策展開の基本的考え方でありますが、これら施策の推進に当たっては、それぞれの地域が持つ特性や魅力、人材などの資源が最大限に活用されるよう関係機関などとも連携しながら、県内経済の好循環をつくり出し、希望郷いわての実現に向け全力を傾注してまいります。
 続きまして、予算の議案につきまして御説明申し上げます。
 まず、一般会計予算でありますが、議案その2の7ページをお開き願います。5款労働費のうち、労働委員会費を除く82億1、916万3、000円と、7款商工費の636億9、558万4、000円、9ページの中段に参りまして、12款公債費1項公債費のうち4億5、000万円、合わせまして723億6、474万7、000円が商工労働観光部関係の予算の総額であります。これを前年度の当初予算と比較いたしますと141億7、642万円余の減、率にいたしまして16.4%の減となっております。減額の主な内容でございますが、まず、今回の予算は骨格予算として編成されたということで、6月に大きなものが回ったということもございます。また、県単融資制度のうち、中小企業経営安定資金貸付金が100億4、256円余の減額、緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用した市町村への補助金が17億6、376万円余の減額などによるものであります。
 以下、予算の内容につきましては予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 それでは、予算に関する説明書の136ページをお開き願います。まず、5款労働費1項労政費1目労政総務費でありますが、雇用対策部門の職員給与費や労働情報の把握及び労働組合調査などに要する経費であります。2目労働教育費は、雇用・労働フォーラムの開催などに要する経費であります。137ページに参りまして、3目労働福祉費は、労働者等生活安定支援資金貸し付けなどに要する経費であります。4目雇用促進費でありますが、緊急雇用創出事業費補助は、緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用し、失業者の方々に対して次の雇用までの就業機会を創出し、生活の安定を図ることを目的とした事業を行う市町村に対し、必要な経費を補助しようとするものであります。そのすぐ下でございますが、ふるさと雇用再生特別基金事業費補助は、ふるさと雇用再生特別基金を活用し、地域の雇用再生のために地域求職者等を雇い入れ、継続的な雇用機会の創出を図ることを目的とした事業を行う市町村に対しまして、必要な経費を補助しようとするものであります。下から3行目でございます。いわて求職者個別支援モデル事業費は、支援を必要とする長期失業者の状況に合わせまして、生活の立て直しから就労に至るまで、個別的、継続的に関係機関が連携した支援をモデル的に行おうとするものであります。その下でございます。若年者地域人材育成事業費は、企業等が新卒未就職者等40歳未満の若年者を雇用し、就職に必要な知識、技術を習得するための研修を実施し、即戦力となる人材の育成を図るとともに、企業等への就職を促進しようとするものであります。
 138ページに参ります。おめくりくださいまして、2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、認定職業訓練費は、技能労働者の養成及び技能水準の向上を図るため、職業訓練団体が実施する認定職業訓練に要する運営費等に対し、補助しようとするものであります。下段のほうに参ります。2目職業訓練校費でありますが、管理運営費及び公共職業能力開発費は、産業技術短期大学校等の職員給与費及び運営費であります。その下でございます。就職支援能力開発費は、離職者等の再就職を促進するための職業訓練や、不安定就労者を対象とした職業訓練─日本版デュアルシステムと申しますが─などを職業訓練法人等に委託して実施しようとするものであります。
 次に、飛びまして、173ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費でありますが、管理運営費は、商工業部門の職員給与費や事務経費等管理運営に要する経費であります。中段以降、やや下のほうにございますが、コバルト合金新産業クラスター形成促進事業費は、いわて発高付加価値コバルト合金の製品化や材料の規格化へ向けた研究開発のほか、生体用材料としてニーズの高い市場へ向けた研究開発及び販路拡大の取り組みを推進しようとするものであります。5行ほど下でございます。いわてものづくり産業人材育成事業費は、県内各地の地域ものづくりネットワークを基盤に、小中学校から企業に至るまでの各段階に対応したものづくり人材育成の取り組みを実施するとともに、各ネットワーク相互の連携交流を促進しようとするものであります。その下、国際経済交流推進事業費は、海外における商談会やビジネスフェアの開催等により、県内企業の国際的な事業展開を支援しようとするものであります。次をおめくりください。174ページに参りまして、2目中小企業振興費の県単融資でございますが、貸付原資の一部を金融機関に預託して貸し付けを行おうとする貸付金が大宗を占めてございます。このうち、商工観光振興資金貸付金は、中小商工業者の設備改善や事業の推進に要する資金の貸し付け、中小企業経営安定資金貸付金は、取引先の倒産、営業不振などにより事業経営に支障を来たしている企業に対する運転資金の貸し付け、中小企業成長応援資金貸付金は、雇用増加や新事業展開などに前向きに取り組む企業に対する事業資金の貸し付けを実施するためのものであります。地域産業活性化企業設備貸与資金貸付金は、中小企業の設備投資を促進するため、財団法人いわて産業振興センターが行う設備貸与事業に要する資金を貸し付けようとするものであります。商工業小規模事業経営支援事業費補助は、商工会、商工会議所及び岩手県商工会連合会が行う商工業小規模事業者の経営改善普及事業等の実施に要する経費に対し、補助しようとするものであります。中小企業連携組織対策事業費補助は、岩手県中小企業団体中央会が行う組合等の組織化を支援する事業の実施に要する経費に対し、補助しようとするものであります。最下段でございます。地域商業再構築支援事業費は、商店街の地域商業が果たしてきた機能を再構築するため、商工団体等が行う商業機能の強化につながる取り組みを支援する市町村に 対して補助しようとするものであります。175ページに参りまして、上から3行目でございますが、戦略的知財活用支援事業費は、企業による特許等の有効活用を図るため、知的財産に関する総合的な相談窓口を設置し、技術の高度化や製品等の高付加価値化による競争力の確保、新事業の創出を支援しようとするものであります。自動車関連産業創出推進事業費は、自動車関連産業の集積を促進するため、産学官協議会の運営、技術展示商談会の開催、技術力向上支援、工程改善研修、協業促進、取引あっせんなどを実施し、地場企業の新規参入や取引拡大を促進しようとするものであります。中段のほうに参りまして、半導体関連産業創出推進事業費は、半導体関連産業の集積を促進するため、産学官協議会を基盤とした連携交流、取引拡大、人材育成などの支援を行うとともに、地場企業と誘致企業の連携による新技術創造等の取り組みを推進しようとするものであります。医療機器関連産業創出推進事業費は、医療機器関連産業の創出に向けて、医工連携の強化、展示会出展や試作開発支援、アドバイザーによる総合支援等を実施し、地場企業の新規参入や取引拡大を支援するものであります。三次元設計開発人材育成事業費は、いわてデジタルエンジニア育成センターにおいて、三次元設計開発技術者の育成及び県内企業の技術力向上支援などの取り組みを推進し、県内企業の競争力強化等を促進しようとするものであります。いわて食のパワーアップ事業費は、食の安全・安心に取り組む食品事業者が新規雇用を創出して行う新しい事業活動について、モデル事業として支援しようとするものであります。いわてフードコミュニケーション推進事業費は、食の安全・安心を基本とした食産業の活性化を図るため、岩手県産業創造アドバイザーなどの民間力を活用した食品事業者への支援を行うとともに、県外企業との商談会や量販店におけるフェアを開催しようとするものであります。下段でございます。3目企業立地対策費でありますが、企業立地促進資金貸付金は、県内に工場等を新設または増設する企業に対して、資金を貸し付けするための原資を金融機関に預託しようとするものであります。企業立地促進奨励事業費補助は、工場等の立地を促進するため、市町村が実施する事業に対し、補助しようとするものであります。次のページに参ります。176ページでございます。4目中小企業経営指導費でありますが、中小企業ベンチャー支援事業費は 、中小企業やベンチャー企業に対し、創業、新事業創出から経営革新、取引開拓などの事業活動を総合的に支援し、育成を図ろうとするものであります。5目貿易振興費は、日本貿易振興機構─通称ジェトロ─盛岡貿易情報センターの事業運営経費に対する負担金であります。6目工業技術センター費は、地方独立行政法人岩手県工業技術センターに対する運営費交付金であります。
 下の177ページに参りまして、2項観光費1目観光総務費でありますが、管理運営費は、観光部門の職員給与費、家族旅行村等の管理運営に要する経費であります。財団法人岩手県観光協会育成事業費は、民間における観光振興の中心的役割を果たしている財団法人岩手県観光協会が行う観光客の誘致宣伝事業及び受入態勢整備事業等に対し、助成しようとするものであります。国際観光推進事業費は、本県への外国人観光客の来訪促進を図るため、台湾、香港、韓国、中国等の各国別の戦略に基づき、旅行会社等の招請事業や国際チャーター便歓迎支援事業等を展開しようとするものであります。未知の奥・平泉観光振興事業費は、平泉の文化遺産の世界遺産登録を契機とした来訪者の受け入れ態勢の整備、充実に取り組むとともに、県内外への情報発信と誘客事業の展開を図るほか、登録決定後に関係市町村との連携による記念イベントを実施しようとするものであります。中段に参りまして、いわてデスティネーションキャンペーン推進協議会負担金は、平成24年4月から6月までのいわてデスティネーションキャンペーンの実施に向け、地域における観光素材の発掘と磨き上げを支援するためコーディネーターを派遣するとともに、全国の旅行会社を集めた全国宣伝販売促進会議での観光素材の売り込みやプレキャンペーン等を実施する経費を負担しようとするものであります。その下でございます。訪日個人旅行受入態勢整備事業費は、外国人観光客の受け入れ態勢整備に向けて、平泉エリアに定時ガイドを配置しようとするものであります。2目観光施設費でありますが、八幡平景観保全観光振興事業費は、八幡平の良好な自然景観を阻害している老朽化施設の撤去を行おうとするものであります。
 次に、飛びまして、229ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金でありますが、当部の所管は、県債償還元金のうち中心市街地活性化推進事業に係る4億5、000万円でありまして、これは、財団法人いわて産業振興センターからの償還金を受けて、独立行政法人中小企業基盤整備機構へ償還しようとするものであります。
 以上で一般会計歳出予算の説明を終わりまして、次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 戻りまして、議案その2の11ページをお開き願います。第2表債務負担行為のうち、当部関係のものは、事項欄3から5までの3件であります。これらは、岩手県信用保証協会が行う中小企業再生支援に係る融資についての信用保証契約の履行に伴う損失補償、岩手県信用保証協会が行う中小企業成長応援資金についての信用保証契約の履行に伴う損失補償及び財団法人いわて産業振興センターが貸与した設備に係る被貸与者からの償還金の納入がない場合の不足額の損失補償について、それぞれの期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。同じく、議案その2の34ページをお開き願います。議案第8号平成23年度岩手県中小企業振興資金特別会計予算でありますが、これは、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ24億8、727万4、000円とするものであり、歳入及び歳出の区分は、35ページ及び36ページの第1表のとおりとするものであります。
 項、目の区分ごとの内容につきましては、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 それでは、予算に関する説明書の348ページをお開き願います。歳入歳出予算の総額につきましては、ただいま申し上げたとおりであります。
 まず、歳入でありますが、350ページに参りまして、1款繰入金1項一般会計繰入金1目一般会計繰入金は、中小企業高度化資金の貸付原資及び貸付事務費に充てるため、一般会計から繰り入れするものであります。
 351ページの2款繰越金1項繰越金1目繰越金は、前年度からの繰越金を予定するものであります。
 352ページに参りまして、3款諸収入1項貸付金元利収入1目貸付金元利収入は、設備資金貸付等の貸付償還金であります。
 353ページの2項預金利子1目預金利子は、歳計現金の利子であります。
 354ページに参りまして、3項雑入1目雑入は、中小企業高度化資金の延滞違約金収入等であります。
 下段、355ページの4款県債1項県債1目県債は、中小企業高度化資金の貸付原資の一部として、独立行政法人中小企業基盤整備機構から借り入れしようとするものであります。
 次に、歳出であります。356ページでございます。1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費1目設備資金貸付費及び2目設備貸与資金貸付費は、財団法人いわて産業振興センターが行う設備資金貸付及び設備貸与事業に要する資金を貸し付けようとするものであります。3目高度化資金貸付費は、施設集約化資金貸付金などの貸付金及び独立行政法人中小企業基盤整備機構に対する償還金等であります。
 下段の357ページに参りまして、2項貸付事務費1目貸付事務費は、貸付事務及び資金の回収などに要する事務経費、並びに財団法人いわて産業振興センターが行う設備資金貸付に要する事務経費に対する補助であります。
 以上で商工労働観光部の予算の説明については終わりますが、続きまして、予算に関連する議案について御説明申し上げます。
 議案その3の98ページでございます。議案第39号特定区域における産業の活性化に関する条例の一部を改正する条例についてでありますが、これは、県税の課税免除及び不均一課税の適用対象となる工場建物や生産設備、研究開発設備の新設または増設の期限について、現行の平成23年3月31日から平成28年3月31日に5年間延長するとともに、所要の整備をしようとするものであります。
 以上で商工労働観光部関係の議案の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇五日市王委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑がおおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 137ページの労政総務費関係の中で、職業訓練ということについてお伺いをいたしたいと思います。
 明けて一昨年だったと思いますけれども、国の訓練の補助費ということで、5人までの訓練生に対して補助をするというメニューが出てまいりましたが、それを受けている間に1人が途中でやめる、2人がやめる。そうなると、最終的には事業主が負担をしなければならない。そういうことでは大変苦しいので、県単の補助でも何でもお願いをしたいということの要望がありまして、それに対応していただき、訓練協会関係者には大変喜んでいただいたところでございます。職業訓練は大変重要な部分だと思いまして、特にもリストラに遭ったり、あるいは会社がこけたり、再就職をするための訓練は非常に大事な点だと思っておりますが、この点に関しまして、その後、何か国の動き、あるいは県として何か対応をまた考えているのであれば、その点についてまずお伺いしたいと思います。
〇伊藤雇用対策・労働室長 再就職に向けての訓練ということにつきましては、まず、国において、求職者支援法ということで、非常に就職が困難だということに対しまして積極的に支援していこうということについて、現在、法律案として検討を進めていると聞いております。
 また、県のほうといたしましては、再就職を支援するため、職業訓練のコースあるいは定員等について拡大を行うなどの対応をしてきたところでございます。
〇伊藤勢至委員 本県の主要産業は農林水産業と常に言われておりますけれども、農業も林業も水産業も、高齢化ということから若手がなかなか入ってこない。こういうところが非常にネックになっているというのがあるわけですけれども、国策としての職業訓練のメニューの中に、農業向け、林業向け、水産向けといったものがあるのでしょうか。なければ、むしろ、この際、青森県、秋田県、岩手県ぐらいが協働して、同じような条件を持っているところに、国のメニューを活用して訓練して現場に送り出してやる、そういう展開があってもいいのではないかと思います。これは、商工労働観光部だけではなくて、農林水産部あるいは県土整備部等とも関連するかもしれませんが、そういったところで有利な国策を使ってやっていくということも重要だと思うのでありますが、それについてはいかがお考えでしょうか。
〇伊藤雇用対策・労働室長 農林水産業分野における人材の育成あるいは技能習得に関しましては、県立農業大学校あるいは林業技術センター等の県の機関、あるいは市町村、関係団体等においてさまざまな就業支援事業が実施されております。具体の事業といたしましては、農の雇用であるとか、緑の雇用であるとか、水産の分野でそれぞれ国の基金等を活用して人材育成が行われていると聞いております。
 県内のそういった建設業の分野で、私どもが所管いたします職業訓練協会がやっているわけですけれども、その中で農林水産業分野の人材育成も担ってはどうかというお話でございますが、県内の職業訓練協会は、御案内のとおり、主として建設関係業務を中心とした訓練が実施されてきているという経過がございます。
 その職業訓練協会につきましては、実施する訓練について、基本的な制度の考え方として、雇用保険制度のもとで支援措置が講じられているということでございます。したがって、事業主あるいは労働者双方の負担によって成立していることから、現行の雇用保険制度そのものを前提といたしますと、農林水産業にかかわる訓練を直接的に実施するのは難しいのではないかと考えております。しかしながら、本県農林水産業の担い手となる人材の育成については県政の重要な課題となってございまして、基本的には、委員から御指摘がございましたとおり、当該分野を所管する農林水産部あるいは農林水産関係団体においてまずは取り組んでいただくべきだと現時点では考えております。
〇伊藤勢至委員 次に、173ページの海洋研究拠点形成促進事業についてお伺いをいたしたいと思います。
 達増知事は、県北・沿岸振興こそが県政の最重要課題ということを取り上げていただいておりまして、それを裏づけする形でいわて三陸海洋産業振興指針を取りまとめていただいたところでございます。県北・沿岸振興は、県北・沿岸はもちろん水産、漁業が基本だとは思っておりますけれども、新しい分野のチャレンジというのも当然あっていいんだと思っております。
 そういう中で、先般、ジオパーク構想というのが出てまいりまして、設立総会が開かれたようでございます。岩手県の地層といいますか、岩脈といいますか、国内でも相当早くから形成された土地であるということから、いろんな岩脈、岩層があるということをパーク、公園にしていこうということだとは思うんですが、こういったものは具体にこれからどのように進んでいくのでしょうか、まず1点、お伺いしたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 ジオパークの今後のお尋ねかと思いますが、ただいま政策地域部のほうで、庁内の関係者のプロジェクトチームといいますか、関係会議を設立しまして、県として、全体としてどのように取り組んでいくかといったところの検討を始めていると考えておりまして、商工労働観光部も観光ですとかさまざまな部分でかかわるということで、メンバーに入って一緒に取り組んでいくと考えているところです。
〇伊藤勢至委員 海洋産業ということで、私は、従来からマグネシウムに注目をするべきだと。将来の自動車は鉄からマグネシウムに変わる。鉄よりも軽量で、しかも堅牢でつぶしがきく。しかも、このマグネシウムは海水の中に無尽蔵に存在するということから、まさに沿岸の目の前にある海を活用しての新しい産業創造につながるということで提言をしてまいりました。その後、情報収集、いろんなアプローチをしていただいているように聞いていますが、その経緯、経過について御説明をいただきたい。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 海水からのマグネシウムの回収につきましては、昨年度末に策定いたしました岩手県三陸海域における海洋資源の利活用に関する調査報告書におきましては、技術開発により将来に向けて利活用が可能であると報告されておりますことから、今年度は、大学、国の研究機関、企業等から聞き取りを行うなど、その技術動向の把握に努めております。
 その結果ですが、金属材料としてマグネシウムを海水から製造することにつきましては、やはりまだ技術的には難しいという話はあるのですが、水酸化マグネシウムにつきましては、国内の中国・四国地方におきまして、排煙脱硫の中和剤等の用途で海水から生産されております。このため、現在、水酸化マグネシウムの本県での展開につきまして、その可能性を探っているところであります。また、海水からの金属材料としてのマグネシウムの回収技術の開発動向につきましても、引き続き、関係機関、企業からしっかり情報収集を行っていきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 十数年前ですけれども、海洋深層水という部分が出てまいりました。これは高知県が全国に先駆けて、高知県の前の室戸岬の大陸棚から採取して、全国で最初に海洋深層水ということを打ち出していろんな活用をしてきたわけであります。仄聞するところによりますと、マグネシウムに向かいましても高知県が相当うごめいていると聞いていますので、いろんな難しい研究はあろうかと思いますけれども、2番手、3番手になっては意味がありませんので、ぜひともそういうところに負けないような、しかも、県北・沿岸振興の中で今までになかった新しい産業を興せるという観点から、ぜひ、こういったものに積極的に取り組んでもらいたいと思います。
 それとあわせまして、先ほど言いましたジオパークということなんですが、観光産業的には非常に有力な展開かと思います。ただ、見ただけでは腹がいっぱいにならないということを考えますと、そういうものを使って新しい産業を興す、そっちのほうに本県の場合は目を向けるべきではないかと思っております。
 前にもお話をしたことがあると思いますが、宮古市立亀岳小学校がありまして、そこの校歌の2番に地下に眠れる大資源という一節がありまして、非常に不思議な校歌だと思ってちょっと調べてみました。どうも、タングステンあるいはモリブデン、そういった埋蔵量が相当あるよということを言っているんだということが教育委員会関係からわかったんですけれども、タングステンといいますと、電気のフィラメントあるいは超合金ということになります。それから、モリブデンといいますのは、今、鉄の中で一番丈夫なのが鋼で、その鋼を加工する際に、鋼を切れる鋼をつくるためにはモリブデンを添加剤として使うと聞いているんですが、本県の地下にはそういうものが相当数の埋蔵があるのではないか。今まさにレアメタル、レアアースの時代でありますので、それらを調査した30年、40年前の価格とは相当違ってきている。そういうことからいきますと、我々のこの地下資源をもう一度見直しをして新しい産業に結びつけることができるのではないか、私はこのように考えておりますが、そういうオール岩手を見る目線を持って、ぜひそういうものにも取り組んでいただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 委員御指摘のとおり、さまざまな県の資源を活用した産業振興ということは重要だと考えております。昨年度末に海洋資源について調査させていただきまして、今年度につきましては、まず陸のほうの地質も関係者からいろいろ聞き取りを行っております。その中で、レアアースにつきましては、さまざま国内には存在するのですが、量的には多くないといったような状況は把握しております。マンガン鉱については、ほどほど結構ございます。そういったところで、いろいろ今、資源がどういったものがあって、どういう活用ができるかといったところを把握しつつあるところでございますので、海の資源、陸の資源をそれぞれしっかりとらえて取り組んでいきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 海洋深層水が全国でもてはやされていろんなことに挑戦したころに、岩手県でも、ぜひこの海洋深層水に取り組むべきということを提言いたしまして、ある著名大学の先生をお呼びして講習会を開かせていただきました。そうしたら、その先生が、三陸沖には海洋深層水はありませんと明言したんですね。ばかな先生だなと思っています。そういうあるかないかわからない時点で、ないというのを明言するような講師は呼ぶべきでない。今、現実に三陸沖では800メートル下から本物の海洋深層水をとって塩をつくったり何かしている業者がいるんですね。したがいまして、そういう可能性があるものを打ち消すような講師を呼ぶような勉強会だったらしないほうがいい、私はこう思っているところでございまして、今言っていましたマグネシウムにつきましては、東京工業大学の矢部教授あるいは岩手大学の森教授等々が発表している学説でありますし、世界からこういう技術にオファーが来ているとも聞いていますので、ぜひ、岩手県が他県に負けないように先駆けをして、この県北・沿岸に今までなかった新しい産業を海から興していくべきだ、そのように思います。
 佐々木科学・ものづくり振興課総括課長には、本当にあちこち駆けめぐって情報収集をしていただいていることには敬意を表しますが、齋藤商工労働観光部長、トップが、頑張れ、もっとやれという号令をかけていただかないと動きづらい部分もあると思うので、最後に部長にお聞きしますが、ひとつ頑張れと。磁石をつけてぐるぐる回ってくれば何かくっつくぞというような感覚で、ひとつ号令をかけていただきたい。いかがでしょうか。
〇齋藤商工労働観光部長 同感でございます。ふだんから、これは海洋資源に限らず、企業誘致でも中小企業振興でも、頑張れと声はかけておりますので、委員のさらに力強いバックアップもつきましたので、またさらに気合をかけてまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 久慈にも、マンガンじゃなくてモリブデンの鉱山があるんですよね。ぜひ調べていただきたい。(「宮古のほうが多い」と呼ぶ者あり)どっちでもいいですけれども、両方ありますので。
 まず、5款労働費2項職業訓練費にかかわってですけれども、昨年、決算のときにも種々議論した経緯がありましたが、国がやること、県がやること、そして職業訓練協会がやることとか、いろいろ違いがあることは認識しました。産業構造の変化、訓練の実態というのをきっちりと調べてみたいというか、聞き取りを実施するということを部長答弁されておりましたけれども、その後、実態をどのように把握されているか、お聞かせ願いたいと思います。
〇川村労働課長 聞き取りの実施についてでありますが、これまでに、職業訓練協会の会長会議や事務局長会議の機会を通じて、あるいは幾つかの協会を直接訪問し、協会を取り巻く現状や課題等についてお話をお聞きしております。その中で、協会の皆様からは、少子高齢化の進展や建設需要の縮小などにより事業所での新卒者の採用が少なくなってきていることから、全般的に訓練生が減少しており、協会の維持が困難であるといった声を聞いております。
〇嵯峨壱朗委員 困難である、それは聞かなくても聞いても大体わかるようなことですよね。恐らく、実態として今始まったことではない。そこで、じゃ、不必要か、どうするんだというので今取り上げているわけであって、確かに建設関係の仕事は減っているでしょうが、なければならないものであるし、ですから、新規就労者、離職者、そして、今現在勤めている人も含めて、いわゆるできることは共通でやっていって、実態の弱っている部分もサポートしていく。そして、地域の雇用を維持するという仕組みはつくれないものなのかということを決算時にも聞いている。そうしたら、実態を調べてということを言っておりましたけれども、今のお話だと、何というか、調べるまでもないと私は聞いているんですが、恐らく、実態的にやると、決算時から余り進展していないんじゃないですか、実態の調査が。
〇川村労働課長 県といたしましては、人口の減少や少子高齢化あるいは業態が大きく変化する中にあって、協会の使命に立ち返りまして、今後のあり方を議論する時期に来ているものと認識しております。このため、まずは、協会みずからが今後いかにあるべきかについて内部的に議論することが重要であると考えており、今般、職業訓練協会の運営等に助言を行っております岩手県職業能力開発協会を中心として、主要な職業訓練協会の事務局長等に参集いただきまして、今後の職業訓練協会のあり方等について検討する機会を設けていただくこととしたところであります。
〇嵯峨壱朗委員 協会のみで、事務局長もそうかもしれません、会長もそうかもしれませんけれども、そうなかなか新たな展開というものは出てくるものではないと思うんです。ぜひ、いろんな角度から助言等をしていただいて、地域の雇用を守るためには必要だという視点でサポートしていっていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
 それと、観光費にかかわってですけれども、平泉の世界遺産登録にかかわって、本年度、諸事業が実施されているわけですけれども、その中で、せっかくこれにいろんな投資をしているわけですから、観光客を県内全域に、何というか、誘客するような、波及効果を生むような事業があればなと思っているんですけれども、ことしの予算でそういった事業があるのかどうか。
〇戸舘観光課総括課長 平泉の世界遺産登録に関連する事業で、県内全域に波及させる事業というお尋ねでございますが、平泉を訪れる観光客を県内各地域に誘引するために、平泉を含め県内各地を回遊する旅行商品の造成、二次交通の充実、効果的な情報発信といった事業に取り組んでいくことが重要と考えておりまして、今回の当初予算案には、これらの取り組みを進めるための事業を計上しております。
 具体的には、まず第1点目の旅行商品の造成でありますけれども、デスティネーションキャンペーン─通称DCと呼んでおりますが、DC推進協議会事業といたしまして、平泉の文化遺産の世界遺産登録や、DCを生かし、観光客が県内各地域を回遊する旅行商品が造成されるよう、先月、新たに任用いたしました観光コーディネーターを県内各地域に派遣いたしまして、地域の観光素材の発掘、磨き上げといったものに支援をしているところでございます。
 2点目の二次交通についてでありますが、沿岸広域振興局所管のいわて沿岸広域誘客・交流事業といたしまして、平泉地域から沿岸部へと向かうバスの運行支援を行うこととしております。このほか、平泉地域と他の地域をバスで結ぶ旅行商品が造成されるように、交通事業者、旅行事業者に働きかけてまいりたいと考えております。
 3点目の情報発信についてでありますが、平泉の世界遺産登録とDCの相乗効果が図られるよう、DC推進協議会事業といたしまして、本年7月に開催いたします全国宣伝販売促進会議等によりまして、国内外に向けて情報発信を強化してまいることとしているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 いろいろ平泉にかかわって県内全域に誘客するような事業をしているということですね。それは結構なことですが、例えば、今説明されたいわて沿岸広域誘客・交流事業で、バスが、二次交通がどうこうと。この予算を見ると130万円ですよね。ちょっとよくわからない。この130万円でどういうことができるのかなという感じです、事業としては載っているけれども。実際にはどういうふうにしてこの130万円を使っていくんですかね。
〇戸舘観光課総括課長 これは、民間のバス事業者がバスを運行する支援の一部を助成するという事業でございます。
〇嵯峨壱朗委員 いっぱいあればいいというわけでもないんでしょうけれども、何となく、とってつけじゃないだろうけれども、この金額だけ見ると、そんなに効果があるのかなと思ってしまったわけです。恐らく、実際には県としても今回の平泉をきっかけに全体に、県北・沿岸も含めて誘客を広げていきたいという思いがあると思うんですね。いわゆる県北・沿岸という話もずっとしていますよね。だから、何というか、もう少し膨らませて、その分を、メーンではないんだろうけれども、せっかくの機会ですから、何となくそこに積極性が見えないなと思っているんですよ。これは部長から聞いたらいいのか、だれから聞いたらいいかですけれども、別にあえて積極的じゃないというわけでもないんでしょうけれども、何となく、比重からするとどうしても平泉のほうに、当然それでことし、来年はいいのかもしれませんけれども、それを利用して、せっかくですから、沿岸のほうにも行くようなものをもう少し見えるような形でできなかったものかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
〇齋藤商工労働観光部長 非常に積極的に取り組んでいるつもりでございますが、そこがまだ見える化ができてないとすると、我々の取り組みがまだ至らないところがあるのかなと思います。もっと見えるように取り組んでいきたい、この気持ちだけは持っておりますので、見守っていただきたいと思います。
 ただ、今まで申し上げたとおり、我々は5年間にわたっていわて・平泉観光キャンペーンというのを実施しました。3年間はいわて・平泉観光キャンペーン、そしてことしは世界遺産、来年はDCということで、足かけ5年にわたるキャンペーンを実施してきております。この集大成というのは、やはりことし、来年と考えておりまして、そういう意味では、DCの予算というのはあえて骨格とせずに、大変大きな予算ですが、当初予算で組んで切れ目のない対応をするということをやっておりますし、それから、これはなかなか予算書では読みにくいかもしれませんが、観光というのは、金のみならず人が動くということで実態の部分は大きいものがございます。ですから、これはオール岩手で取り組むという姿勢でやっておりまして、予算書では見にくいかもしれませんが、広域振興局、市町村、経済団体でDCの協議会も立ち上げて、一体となって取り組んでございます。我々はここら辺がもう少し見えるように活動してまいりますし、一生懸命やっているということは実態としてはありますので、よろしくお願いしたいと思います。詳細については、また観光課総括課長のほうからお答えいたします。
〇戸舘観光課総括課長 先ほど御説明申し上げましたバスの運行支援というのは一例ということでありまして、二次交通ということになりますと、どうしてもこれは民間の事業者が主体となって整備をするということでありますので、先ほど申し上げましたとおり、各交通事業者、旅行事業者等に対して強く働きかけをしていきたいと考えておりますし、また、特にも県北・沿岸地域につきましては、東北新幹線の新青森開業、来月には新しいリゾート列車、リゾートうみねこが運行開始されるということになっておりまして、これらを見据えて、八戸市をゲートとした回遊の促進を図る必要もあると考えておりまして、DC推進協議会に八戸市にも参加いただいておりますので、こちらとも連携いたしまして、ここをゲートとして県北・沿岸部のほうへの誘客を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 確かに、ことしは久慈市あたりにも観光バスとかが来るのが早いと言われていまして、ですから、そういった効果が出ているのかなと思っていましたので、予算上は見えない、観光というのは総合的なものでしょうから、確かにそうかと思いますので、ぜひ、いろんな手を使って頑張っていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 大きく二つについてお伺いします。
 1番目は雇用対策について。
 今年度の4、142人の常用雇用の創出目標に対して、本会議の一般質問での答弁で、雇用対策基金事業の推進により3、479人、雇用施策の展開により1、184人、都合4、663人で、既に目標を上回ったというような雇用の創出をしたとしています。
 ところが、現実問題、ハローワークに行きますと、常用雇用の求人がほとんどないというのが状況です。実績が上がっているのに、どうしてこのような状況になっているのか教えていただきたいと思います。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 常用雇用の求人の状況についてのお尋ねでございます。
 岩手労働局のデータによりますと、常用雇用はいわゆる雇用期間が4カ月以上の方でありまして、この中には、当然、正社員のほかパート、アルバイトも入ってしまうのでございますけれども、それを含めた状況で申し上げますと、平成22年度の状況についてでございますが、昨年4月からことしの1月までの有効求人数については全体で15万6、324人、このうち常用雇用につきましては13万2、717人、全体の84.9%という状況になっているということでございます。
〇飯澤匡委員 昨年1年間の有効求人倍率は0.35倍から0.49倍の間だったようでございますが、正社員の有効求人倍率はどうなっていたでしょうか。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 昨年1年間の正社員の有効求人倍率についてでございますけれども、岩手労働局によりますと、昨年の間、最も低かったのは平成22年3月、4月、5月の0.14倍、最も高かったのは平成22年11月及び12月の0.23倍ということでございます。直近のデータといたしますと、平成23年1月が0.23倍ということでございまして、全体が0.49倍でございますので、全体のうちの約半分程度というような状況でございます。
〇飯澤匡委員 ただいまお示しいただいたデータを見ても、常用雇用という言葉に惑わされているのではないかと。実際に県民が欲しているのは真の意味での常用雇用である。県のデータの出し方が、どうも常用雇用というのは、どっちかというと、4カ月以上の雇用の中でカウントされた部分を前面に押し出しているのではないかと。本質を極めた常用雇用のあり方、これらの対策についてはどのような対策を、昨年度でもいいです、打ち立ててきたか、そしてどのような成果が上がっているかお示しをいただきたい。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 常用雇用の中でも正社員の部分をいかにふやしていくかということが重要なわけでございます。そういった意味では、県といたしましては、いろんな機会を通じて、経済団体あるいは企業そのものに正規雇用の拡大というのを要請しているところでございます。具体的には、今年度の場合は、昨年の6月以降、本庁あるいは地域では広域振興局、市町村、ハローワーク等とともに、地域の経済団体、企業に対しまして延べ250回の正規雇用の拡大の要請をしているところでございまして、これによりまして、若干ではございますが、最近の有効求人倍率についても正規の割合が少しずつ上がってきているのではないかと考えております。
 また、そのほかの取り組みといたしましては、県のほうで雇用・労働フォーラムを開催してございまして、企業の人事担当者、経営者の方々に、正規雇用による人材を安定的に雇用して育成することが、ひいては企業の収益あるいは経営の向上に資するものであるということを普及啓発することによって、正規雇用の拡大を普及しているところでございます。
〇飯澤匡委員 現在、やはり企業は体力がかなり細っておりまして、人材教育というものについてなかなか投資するだけのお金がないということでございます。これは何回も足を運んでいただきたいと思うんですが、きのうも地域医療の件で申し上げたんですけれども、県のデータの出し方といいますか、事業に対する目標人数達成というのは大変結構ですけれども、しっかりと正社員でなければ、本当の意味での常用雇用という言葉は実感として当たらないと思うわけです。その辺を正確に、やはり4カ月以上の雇用があれば常用雇用ということになれば、私の実感として、本当の意味で目的は半分も達成しないのではないかと。その点も含めて、これからの雇用対策をしっかりやっていただきたい。
 ただ、私の実感としては、行政側がどれだけやって雇用対策ができるのかという部分は少しわかりつつも、こうして質問しているわけですけれども、施策を展開していくには、しっかりとしたデータをもとにやっていかないと、こういう解釈で達成できたからいいんだということでは、真の意味での問題解決にはならないと私は思いますので、その点を踏まえてやっていただきたいと思います。
 2点目の企業誘致についてお伺いします。
 2009年度、2010年度、誘致企業は工場、事業所等を何社閉鎖し、正社員、臨時社員は何人失業していますでしょうか。
 まとめて聞きます。2009年度、2010年度、新規の企業誘致の採用予定人数はいかほどになっていたでしょうか。そして、2009年度、2010年度の宮城県の企業誘致数はどれほどであったでしょうか、お示しいただきたいと思います。
〇保企業立地推進課総括課長 事業所を閉鎖した企業数ということで、平成21年度でございますが、16社でございます。その際の離職者は約1、700人、平成22年度は、同じく今までのところ4社でございまして、その離職者の数は約300人でございます。
 それから、この期間に誘致いたしました新規誘致企業の採用予定人数でございますが、平成21年度は11件で354人、それから22年度は、今までのところ22件でございまして、その雇用計画では389人となっております。
 それから、宮城県の企業誘致件数はというお尋ねでございますけれども、宮城県から聞いたところによりますと、平成21年暦年の数字として32件と聞いておりますが、今年度につきましては取りまとめ中ということでございまして、まだ判明していないところでございます。
〇飯澤匡委員 このようなデータから、今後どのような企業誘致の戦略……。企業都合を引くと、2、000人引く734人、大体3分の2強というところですね、採用人数については。それから、宮城県の平成21年度のデータにしても、本県の約倍です。経済規模もあるのでしょうけれども、こういうデータが示しているとおり、まだまだやるべき課題は多いと思うわけですが、今後どのような施策を打っていきますでしょうか。
〇保企業立地推進課総括課長 誘致の面の活動でどのような方針で臨むかということでございますが、本県のものづくり産業の振興の柱としております自動車、それから半導体、そのほかにも、食品ですとかIT、そういった岩手の強みを生かせるような業種がございます。そういったものに特に重点的に傾注いたしまして誘致活動を展開しているということでございます。とりわけ自動車につきましては、宮城県北から岩手の県南エリアが大きな拠点になっていくということでございまして、これを一つの大きなチャンスといたしまして今後とも力を入れていきたいと思っております。
 また、県内に既においでいただいている企業に岩手でますます世界の拠点として大きくなっていただく、そういうことも雇用を創出するという意味では非常に大きな意味を持つと考えてございます。そういった意味で、地域の核となる企業が大きくなるように、さまざまフォローアップして支援していくという方針で臨みたいと思っております。
〇飯澤匡委員 余りマイナスなことをあらわして士気を低くするような目的でやっているわけではありませんので、やはり対策をきちっと立てて、戦略的に動いていかなければならないという観点で質問をしているわけでございます。
 東芝のフラッシュメモリーの工場、これは今どういう状況にあるんでしょうか。誘致に至るまで、大変県の職員の方々が頑張ったと聞いております。現在どのような状況になっているのか、対応も報告をいただきながら、県がどのように今日までやってきたかということを示していただきたいと思います。
〇保企業立地推進課総括課長 東芝の北上市におけます新工場につきましては、残念ながら現在、その計画が延期された状態ということでございます。
 東芝は、現在、四日市市におきまして新工場を建設中でございます。私どもといたしましては、この工場の完成後、次は北上市での着工がされるのではないかと期待しているところでございまして、東芝とはトップ層も含めまして定期的に訪問しながら、その都度さまざま要請をしたりというようなこともしてございます。今後ともその関係を密にして、情報収集をしながら働きかけをしてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 たしかサムスン電子と無駄な競合をやめて、ある部門に特化する戦略が東芝のホームページに出ていました。この間に、どれだけのトップセールスをして、四日市工場が、本社の方針もあるでしょうけれども、岩手にというようなセールスの仕方、この間どのようなことをやってきたんでしょうか。サムスン電子との協定を結んだという瞬間に岩手県はどのような動きをしたんでしょうか。
〇保企業立地推進課総括課長 サムスンとの提携ということを知ったからすぐどうのこうのというような形ではございませんけれども、定期的に訪問してございます。
 例えば、知事もことし8月に本社を訪問して役員の方とお会いして今後のことについてさまざま要請をしたりしておりますし、部長もこの2月に訪問したばかりというようなことで、頻繁に訪問しながら、岩手県の熱意あるいは早期完成の期待というものを伝えながら東芝の決断を待っているという状況でございます。
〇飯澤匡委員 生き馬の目を抜くこういう経済界の中にあって、定期的に行っているということではなくて、やはり企業の動向をつかみながら、四日市に集中投資するという話を聞きつけたならば即座に反応するぐらいの機動性が私は必要だと思うわけです。どうも聞いていると、トップセールスのやり方も言いわけじみた形に聞こえるのは私だけでしょうか。何となく戦略性が欠けているような気がします。
 この間、秘書広報室に及川委員と私と、トップセールスのあり方について、どういう知事、副知事の日程管理をしているのかというような質問をいたしましたら、商工労働観光部からこのような日程でということで、その日程に合わせてやっていると。ここは別の部署ですから、そこの戦略性についてはもっと練っていかなければならないと思うわけですが、結果としてまだ成就していないということ。せっかくきっかけを職員の方が一生懸命やってやったのに、この状況はやはりしっかり反省して、何とか石にかじりついてでも、さっき言ったように、大分落ちているじゃないですか、採用人数が。そこら辺の努力の姿というのがちょっと見えにくいんですけれども、部長、いかがですか。
〇齋藤商工労働観光部長 まず、先ほどのサムスンの提携の話ですが、サムスンと東芝の提携につきましては、LSIという分野については東芝は縮小して、東芝はNAND型フラッシュメモリーを強めていく、こういう中身でございます。今、岩手に新しい工場を予定しておりますのはこのNAND型フラッシュメモリーの工場でございまして、そういう意味では、LSIをサムスンのほうにお願いするという状況であれば、私たちはむしろ岩手の工場の立地にとっては追い風だととらえております。したがいまして、先ほど定期的と言いましたが、私、あえて2月に、ここは私の判断で東芝を訪問いたしまして、その辺の見通しをただしてきたところでもあります。
 これは企業秘密でございますが、東芝の言いぶりでは、いずれにしてもNAND型フラッシュメモリーというのは、端的に言いますと、アイポッド、アイパッド、今の携帯の新しい世代のもの、それから電子ブックみたいなものに今、大容量として載せられておりますが、幾らあっても今後は需要がなくならないだろうと。したがいまして、このNAND型フラッシュメモリーについては需要がますます増す一方であるという話をいただいております。
 それからもう一つは、今、四日市に工場をつくっておりますが、四日市の工場というのは非常に機械のレベルが上がって生産性が高いと。恐らく岩手にもそういう機械が今後入っていくものと思いますが、やはり市場動向、この値段で出すと次は立ち行かなくなる、こういったものがあって、東芝とすると、次期は岩手だよということははっきり言っていただいていますが、いつ立ち上げるかということについては、世界の市場動向を見据えないと簡単にはできないというのが東芝のお考えだと理解しております。
 私たち、そういったことで、常に業界の動き、そうした水面下の動きについても一生懸命情報収集をやっておりますし、東芝の工場につきましては、県民全員が待ち望んでいる工場でございます。私たちとしても、一刻も早くこの工場の立ち上げがなされるように一生懸命努めてまいりたいと思います。
 また、トップセールスにつきましても、私たちはできるだけ知事、副知事に出ていただきたいということでございますが、知事、副知事、なかなか企業誘致あるいは商工用務だけやっているわけにいかないといいますか、やはりいろいろな分野に満遍なく目配りをする必要もございまして、そういった意味で、忙しい中、無理に出ていただいているという実態もございますので、バランスのよいトップセールス、それから日程確保というものを含めて進めてまいれればと考えております。
〇飯澤匡委員 その内容については私はホームページ上でしか理解をしていないので、私はその内容を見て、次は間違いなく北上に来るなという思いをしたのでお聞きしているわけでございます。今のお話を聞きますと遠からず機会が来るということでございますので、せっかくここまで線を引いたので、皆さん方には頑張っていただきたいと思います。
 しかし、後段の部分、私は無理をしてでもやっていただきたいと思うわけです。私は県境に住んでいますから、宮城県とはどうも、情報の発信力、積極性、どう客観的に見ても、どう客観的に見てもですよ、発信力が弱いと言わざるを得ない。だから、何回も言っている戦略性というのは、しっかりとしたタイミングと、それから物にするというのは、経済というのは生き物ですから、そのときに従ってきちっとトップが行って相手方の心をつかんで物を進めていく。逆に、余り無理をかけないという心境だと、これは何となく前の壁がいつまでたってもふさがっていくというような状況だと思うんですが、壁をぶちあけて物の通りをよくしないと、そこからいろいろな人も物も流れていかないんじゃないですか。次に続く人たちがうまく流れるように、突破力、発信力のあるのはやっぱりトップですから、そういう気持ちを持ってやっていただかないと、どうも今の言葉を聞いてちょっとがっかりしました。
 もう少し、これだけの雇用が失われているということを突破できる力を持っている人にやっていただかないと困るわけです。もっとやれるはずです。やれるような環境を整えるのはあなた方の責任だと思います。その点について所見をいただきたいと思います。
〇齋藤商工労働観光部長 私の言葉が足りなかったかもしれません。
 私ども商工労働観光部は、かなり無理をお願いいたしまして、知事、副知事の日程をとっていただいております。総合的な判断は最終的には知事たちの御判断ということになるわけでございますが、知事の動きが見える場合のものと、それから見えにくいものがあると思います。私たちは企業誘致、それからその他トップセールスについては、物になるものについては確かに知事の動きが見えますが、実は水面下で、物にならなくても知事に行っていただいたり、あるいは副知事に行っていただいたりという事例がございます。この部分は、失敗、要するに物にならないために見えにくい、なかなか評価されにくい部分でございますが、企業誘致というのは、1、000回訪問して3社ぐらいしか決まらない。トップセールスの確率は少し高まるかもしれませんが、そういうものでございまして、私どもはできるだけトップセールスをやりたいし、かなり無理を言って出ていただいているのも事実でございます。したがいまして、なかなかその部分が見えにくいのかなというものもありますが、決して知事たち、トップセールスについては消極的ではなく、あるいは見えにくいだけで、一生懸命やっているということをこの場ではお伝えしておきたいと思います。
〇飯澤匡委員 最後にしますが、情緒的なものだけじゃだめだと思うんです、やっぱり結果が伴ってこないと。どうも組み立てが、宮城県の場合ばかり比較して申しわけないですが、みやぎ発展税なり、いろいろなものをどんどん引き出していくというような戦略も練っていると思います。
 せっかく自動車産業も関東自動車を中心にして先行した岩手県が、どうやらセントラル自動車が宮城県に誘致が決まったことによって、何か優位性が失われつつある。東北6県が全部うまくいけばいいのですけれども、しかし、やはりここは地域間の競争の中でやっていかなければなりません。幾ら人口の動態が岩手県の県南から宮城県の県北に働きに行けるとしても、やはり岩手県としてというような企業立地や雇用の対策、これらは確固としたものにしてやっていかなければならないと思います。使える人材、そして資源は徹底的に使っていく、そういう心構えでやっていただきますように、これは何回でもこれから申し上げさせていただきますので、よろしくお願いします。
〇喜多正敏委員 私は、商工費の情報関連産業競争力強化事業に関連してお伺いしたいと思います。
 ソフトウエア開発に関連するわけでありますけれども、県内の情報産業の生産状況とか、これに携わる従業者数の動向についてどうなっているかお伺いしたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 経済産業省の特定サービス産業実態調査結果によりますと、平成21年における県内の情報サービス産業の従業者数は2、135人、売り上げは157億円余となっております。
 動向とすれば、前年と比較して従業員がふえている一方で売り上げが落ちているといった状況にございます。
〇喜多正敏委員 今年度で、売り上げのことも絡むとは思いますけれども、ソフトウエア開発業務取引支援事業の具体的な推進方法と、ここでどのようなことを期待されているか、具体的にどうなのかということについてお伺いしたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 情報関連サービスの分野につきましては、やはり全国の取引の大多数を占めている首都圏市場からの取引の獲得ですとか、ものづくりに不可欠であります組み込みソフトの分野への進出等々が挙げられております。このため、来年度になりますが、具体的には、首都圏企業と県内企業との取引マッチング交流会の開催、あるいは組み込みソフトウエア分野の全国的な展示会への県内企業の共同出展などを予定しているところでございます。
〇喜多正敏委員 販売なくして事業なしということで、そうした販路開拓が今、極めて重要だと思っております。
 ところで、県内で、独立系といいますかパッケージソフトといいますか、受注してその一部分をつくるというようなソフトではないソフトとそれ以外に分けた場合、言うなれば完成品メーカーといいますか、下請ではない、そうした分野での売り上げというか業務の比率はどういうふうになっているんでしょうか。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 委員のおっしゃるような分け方が時々でかなり動いているといったこともあって、なかなか把握しにくいところがございます。
 ソフトウエア全体の中で、いわゆるソフトウエア、まさにソフトを開発するといったソフトウエア業とサービスを提供するといった分類がございます。その中で、ソフトウエア業と言われる分野につきまして申し上げますと、平成21年度は76事業所、従業者数は768人、売り上げは約76億円でございます。
〇喜多正敏委員 やはり、いろいろな分野があると思いますけれども、いろいろな企業や団体あるいは社会のニーズにこたえて、ITソフトウエアの技術を活用した製品、業務、ソフトを開発していくということも一つではないかと思うわけです。こちらのほうではどちらかというと単価的にも安いとかいろいろなことがあって、どこで商売をしていても、アメリカで開発し、インドでやる、24時間体制で開発をしていくというようなこともあるわけでありますけれども、いずれどうも賃金的に、あるいは開発コスト的に安いのではないか。やっぱりそうしたところで独自のものをつくっていくというような仕組みも必要だと思うんです。
 したがって、そういうようなことについて、今回の事業も、単にマッチングということもあるわけでありますけれども、そういう新しいシーズを発掘していくというような展開も必要ではないかと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 やはり情報産業の振興には県立大学の活躍というものが不可欠と考えております。これまでも県立大学ではITを活用した企業現場の品質向上、効率化は行っておりますが、新製品、新技術といった研究開発も行っております。例えば産直センター向けの情報システムですとか、高齢者の安否確認見守りシステムなど、県内企業とさまざまな連携事例が生まれてきております。
 県内にも、いろいろな情報以外の分野にもさまざま可能性がございます。医療系も今後、情報系のコンソーシアムでも検討したいといったこと、さまざまな応用できる分野に市場開拓しながら展開を広げていきたいと考えているところです。
 あわせて、ものづくり産業系からは、ソフトウエア技術者だけではなくて、ものづくりもわかるソフトウエア技術者が必要だというような声も高うございます。ですので、この4月からものづくり・ソフトウエア融合テクノロジーセンターといったものを県立大学に設置しまして、広く情報産業の振興を図っていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 大いに期待したいと思っているわけでありますけれども、ところで、その優秀だと言われている県立大学のソフトウェア情報学部を卒業した方になかなか県内にとどまっていただけないという声をよく企業のほうからお伺いするわけでありますけれども、その就職の状況と、そうしたことについて、いかにとどまっていただけるか、そういう対策についてはどのように新年度取り組もうと思っておられるかお伺いしたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 県立大学によりますと、過去3年間の状況をお答えしたいと思いますが、平成20年度は情報産業への就職者は61名、そのうち県内企業へは11名でございます。平成21年度には、同様に63名のうち4名という状況になっております。また、今年度につきましては、2月末現在でございますが、就職内定者61名のうち11名が県内と伺っております。
 県立大学としても、就職促進策として、県内の情報産業や企業との情報交流を図るということで、いわて情報産業シンポジウムあるいは企業説明会などを行ってきたというんですが、それに加えて、今年度からは就業への理解を深めるための企業見学会を実施していると伺っております。
 いずれにしても県内の受け皿をどうつくるかといったことが大事ということで、我々もものづくり産業からのアプローチも含めて、いかに県内企業でソフトウエアとの融合によって価値をつくっていけるかといったところでの自動車、半導体、医療機器等を振興してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 一度県外に出て、腕を磨いて、あるいは情報をつかんで人脈を構築して戻ってきて新たに新しい会社を立ち上げてやっていくんだと。そういうようなことについて支援をするということを明言している企業もあるということで、独立創業を県も支援をするということも必要だと思うんですが、加えて、新しい情報産業、情報企業を誘致するということも二つ大事だと思っているわけであります。
 先ほど誘致企業の話もありました。私も盛岡市役所時代、カーナビのソフトウエア企業の誘致ということで働きかけていく。しかしながら、おっしゃるとおり、何回も何回も行ってもなかなか、会うことから始まって、実際に成約に至るということは極めて難しいような状況でもありました。したがいまして、知事があるときは防災であったり、あるときは販路開拓であったり、あるときは企業誘致、あるときは医療改革ということで極めて多忙なところを割いて努力をしているというのはよくわかる話でありまして、私どもも具体的な提言を持って、やはりそうしたことについてはこうしたほうがいいのではないか、こういうところのニュースがあるぞということは我々議員としてもお伝えしながら、あそこに行って会ったらいいよと。そういうことで打って一丸となって、これは、企業誘致とは県庁の商工労働観光部だけがやるということではなくて、我々自身も出かけていってはそうしたことを県民の一人として努力すべきだと感じているところであります。
 ところで、企業誘致の話でありますけれども、平成22年度で県の優遇制度を利用して立地したソフトウエア関係の企業というのはおありになるんでしょうか。
〇保企業立地推進課総括課長 企業誘致の関連で、IT関連産業で県の助成制度を受けた会社があるかということでございますが、今のところ今年度の実績はございません。
〇喜多正敏委員 やはり利用されない制度というのは制度自体に実態に即していないという面があるのではないかと前にもお話し申し上げましたけれども、ものづくり産業に対しては極めて手厚い優遇制度があるわけでありますけれども、設備投資の薄いこうしたソフトウエア関連に対してはなかなかないと。人材が優秀であるからとか、いろいろな岩手のメリットをお話しされますけれども、やはりそうしたことについても少しお考えいただいて、やっぱりあすを牽引する産業でありますので、検討をいただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
〇保企業立地推進課総括課長 ソフトウエア産業を誘致するに当たっての優遇制度を設けるべきではないかというお話でございます。
 今、委員のお話の中で、県立大学の卒業生がなかなか戻ってこないというお話もございまして、私どもも、とりわけ県立大学の出身者が多く就職している会社に訪問いたしまして、何とか岩手で事業展開してほしいというようなことを進めております。そういった中で、さまざま企業からのいろいろなお話がございますが、やはり何といっても人材の優秀さというのが一番の魅力ということで、前向きに将来そういったことも考えていきたいというようなお話もある企業もございますが、具体的にこういう助成なり融資なりの制度が欲しいというような話は余り聞こえてはこないところではございますが、そういった制度があればなお一層後押しになるのかというような観点から、今後ともそれは研究してまいりたいと存じております。
〇喜多正敏委員 なかなかこういう制度があればと具体的にお話しする企業はないと思いますよ。お訪ねすると、岩手県はすばらしいとか、いろいろなことは言うわけです、社交辞令的にも。だけれども、企業というのはやっぱり経営の採算が合わないと来ないわけであります。幾ら理念的に話をしても、最後はビジネスですから、そして継続しなければだめなわけですね。人も雇って、責任があるわけであります。したがいまして、そうしたビジネスの環境を引き出して整えて、具体的にせっかく持っている県の制度が活用されて企業誘致に結びつく、こういう格好でいかないといけないと思うので、きちっとその辺は具体的に、現実的に検討をお願いしたいと思います。
 以上で終わります。
〇岩崎友一委員 企業誘致について何点かお尋ねしたいと思います。
 まず最初に、県の企業誘致に対する方針、計画というのはどのようになっているのか。これは、どこの地域にどんな産業を誘致しているのかということをまずは御説明をお願いします。
〇保企業立地推進課総括課長 企業誘致の方針等についてでございますが、誘致活動というのは、先ほどちょっと部長からも披瀝がございましたけれども、非常に数を歩いてもなかなか実現しないというのが実情でございます。私どもといたしましては、気持ちといたしましては、業種を問わず1社でも多くの企業に岩手においでいただいて、一人でも多くの雇用をしてほしいというのが偽らざる心境でございます。
 したがいまして、この業種をこの地域にというようなある程度のものはございますが、計画的にというようなことはなかなか困難でございます。そういった実態があるということを申し上げた上で、県の方針といたしましては、ものづくり産業集積の戦略に沿って、自動車、半導体関連産業等幾つかの業種に絞って重点的な活動をしております。
 また、県内それぞれのエリアでは、地域特性を踏まえた形で重点業種を決めてそれぞれ取り組みを進めております。
 具体的には、県央地域─盛岡を中心とする地域では、組み込みソフトやIT、システム関連産業あるいは食品製造業、県南地域は、自動車、半導体、医薬品、医療機器、沿岸地域は、食品、木材、コネクター関連企業、港湾利用関連企業、県北地域につきましては、食品、輸送機器、電子部品といったようなところを定めて取り組んでいるところでございます。
〇岩崎友一委員 確かに今のお話のとおりかもしれないんですけれども、冒頭、部長からも地域の特性を生かすとか好循環を生み出すというお話がありましたけれども、やはり岩手県は県土が広いもので、今、御説明あったように、県央、県南、沿岸、県北とそれぞれ特性があると思うので、ある程度全体方針が決まっているのであれば、確かにその交渉というのもどんどん当たるというのも大切かもしれないんですけれども、しっかり今、御説明あったように、目標というか目的を持ってしっかり交渉に当たっていただきたいと思います。
 次に、今、四つの地域に分けて御説明いただきましたけれども、この計画というか、今、交渉していると思うんですけれども、その交渉の状況あるいは進捗状況というのを御説明をお願いします。
〇保企業立地推進課総括課長 具体的に企業とどういうふうな、何件交渉しているかみたいなお話かと存じますけれども、実際に交渉している会社はございますが、申しわけありませんが、なかなか申し上げにくい分野でもございますので、何件何件というようなことにつきましては、どうやってとらえるかということもございますので、その辺は御勘弁をいただきたいと思います。
 それから、進捗ということでございますが、これはいわて県民計画におきまして、私ども目標というのがございます。これは県内での新設あるいは工場の増設というものを毎年20件と目標を掲げております。平成19年度から今年度、現在までの約4年間で96件という実績になっているところでございます。
〇岩崎友一委員 交渉の、例えば具体的な会社名ではなくて、どの分野でこのくらいの企業と交渉しているくらいは答弁できるのではないかと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
〇保企業立地推進課総括課長 地域の特性ということに絡めて申し上げますと、やはり県南地域でありますと、今、主にございますのは自動車の関連でございます。また、沿岸地域になりますと、その地域の特性ということが出てまいりまして、木材の関連ですとか、そういったところがございます。
 やはり全県ひとしく同じような業種ということは余り得策ではないわけでございまして、委員お話しのとおり、それぞれの地域に合ったものに何とかおいでいただきたいというようなことで進めているものでございます。
〇岩崎友一委員 別に今の質問は、しっかりと活動しているか疑わしいというわけではないんですけれども、やはり誘致に関しましては、今、交渉しているからすぐ来月、再来月結果が出るものではないと思うんです。今、交渉して、初めて3年後、5年後に結果が出るものだと思うんですけれども、今しっかり活動というか交渉をしていないと、5年後も結局雇用問題というのは解決されないわけです。
 そういった将来の不安から今、質問させていただいたわけですけれども、また、そういった交渉をする中で、本県の企業を誘致するに当たっての条件的なメリット、デメリット、これは企業側から見てどのように思われているのか、これも県央、県南、沿岸、県北別にお答えいただきたいと思います。
〇保企業立地推進課総括課長 企業から見た本県の評価ということでございますが、四つのエリアごとにというようなデータは残念ながら持ち合わせてございませんのでそれぞれごとにというのはお答えできませんが、一つデータがございます。これは経済産業省が平成20年度に行った企業立地満足度調査というのがございます。本県は総合で全国第2位という高い評価をいただいたわけですが、中でも、人材のあっせん、育成というものに対する支援は全国第1位、許認可手続等の対応の迅速性あるいはフォローアップ、市町村との連携ということについては第2位という高い評価となった一方、インフラにつきましては課題がいろいろあるという結果が出ておりまして、私どもはさまざま企業訪問をしているわけでございますけれども、そういう中で企業の方からいろいろお話を伺う中身と大体一致していると考えております。
〇岩崎友一委員 企業と交渉されているのであれば、大体地域ごとに、例えばインフラの問題とか改善してほしい点とか、ここはすばらしいとかという話が出ると思うんですけれども、その辺は、答弁お願いします。
〇保企業立地推進課総括課長 特に企業の皆様から岩手はすばらしいというふうにお話しいただくものとしては、これは一番優秀な人材ということでございます。これは私どもが誘致活動をする上でも大きなセールスポイントとしているところでございます。
 一方、道路ですとか、あるいは港湾、あるいは飛行機の便、そういったようなものに関しての要望というのはさまざま承っているところでございます。
〇岩崎友一委員 さっきの答弁を聞いていますと、かなり交渉のほうはされているようなお話でしたけれども、そういった中で、岩手のメリット、デメリットがそのくらいしか把握できないというのは一つの問題だと思うんです。やはりそこをしっかり把握することによって、今後どういうふうにどういった企業と交渉していくのかという先も見えてくると思いますので、その辺はしっかりヒアリングして今後の交渉に生かしていただきたいと思います。
 デメリットになるんですか、インフラの問題、道路の問題とか飛行機の問題が出ましたけれども、企業からそういった評価があった中で、それが県の全体の施策にどのように生かされているのか、それをお聞きします。
〇保企業立地推進課総括課長 特にデメリットの部分についてどのようなカバーをして対策をしているかということでございます。
 特に企業の要望の中で多いのは、やはりインフラに関することでございます。これにつきましては私どもだけの力ではなかなかできないということで、県土整備部の力を全面的におかりしているということで、ふだんから港湾ですとか空港あるいは道路の問題というのは県土整備部との間で非常に連絡を密にして取り組んでおります。
 一例を紹介いたしますと、現在、東北横断道の整備が急ピッチで進められておりますけれども、私どものコーディネートといいますか、そういうことで実際に企業の方にその現場を見ていただいて、これだけ進んでいると実感をしていただくような企画を催すですとか、あるいは港湾の利用について、港湾課と連携して利用を促進してほしいというようなことで一緒にその企業を訪問するというようなことですとか、そういったような日常的な取り組みを進めているところでございます。
〇岩崎友一委員 今言っているのはもっともだと思うんですけれども、やっぱりそれは私、もっとしっかり詰めなければいけないといいますか、私、この前、県土整備の常任委員会でも道路のネットワークに関して、県土整備部としてしっかりとした計画があるのかというのを聞いたら、計画がなかったと。これから今つくり始めるところで、有識者の会議を開いたりとか、そういったことをしているらしいんですけれども、やはりどうしてもこれは商工労働観光部以外にも、県の部局ごとに何か考え方が、それぞれの部では考えているけれども、本当にしっかりほかの部と連動して県としてどういうふうに動いていくかというのが全く見えないんですね、これはほかの部もそうなんですけれども。ですので、道路整備がおくれている、そういったのが課題であれば県土整備部ともっとしっかり話をして、どこの道路がとかどこの部分がというのをしっかり具体的に話をして解決をしていかないと、これは結局いつまでたっても解決できない課題であると思うんです。
 港湾の件もそうなんですけれども、そういったことを踏まえて、しっかりとほかの部局と連携して、やっぱり企業がこっちに来やすい条件をある程度整える部分は整えてあげるということをしっかりしていかないと、本当に雇用の問題というのは5年後、10年後全く解決しないと思いますので、5年後、10年後、しっかり雇用を創出するためにも今の下積み、交渉が大切だと思いますので、そういったところをしっかりやっていただきたいと思います。
 最後に、その辺について齋藤部長から答弁をいただきまして終わりたいと思います。
〇齋藤商工労働観光部長 インフラの整備は本当に大事だと私どもも思っております。これは県土整備部のほうで、先日、道路の担当技監が道路の担当課長と一緒に私どものところに訪れまして、商工労働観光部として整備してほしいところはないかというヒアリングを行いました。私どものほうからは、企業誘致の観点、物流でボトルネックになっている箇所についてもいろいろ申し上げましたし、それから観光道路としても、ここは早く通してくれとか、そういった要望をしておりました。
 これは他部局の所掌になりますが、県土整備部では、現在、例えば救急車の搬送とか、いろいろなテーマで各部局の聞き取りをやっておりまして、これが将来的には県土の道路整備に生かされるものと私どもは思っております。
 こういった部局間の連携というのは大事でございますので、これは今後とも引き続き、私たちも企業から聞いた話は必ずお伝えしております。インフラ整備というのは本当に産業振興にとっても大事でございますので、この点につきましては我々も力を入れて取り組んでまいりたいと思います。
〇工藤勝博委員 4点ほどお聞きいたします。
 まず、いわて食のパワーアップ事業についてお伺いしますけれども、食産業は岩手県の大きな産業の一つでもありますし、この事業は、平成22年度の補正でもかかわりましたけれども、そういう中で緊急雇用創出事業の中で平成22年度も実施されたということでありますけれども、まず、平成22年度の中で、事業者と、また雇用がどれだけ確保されたかお聞きいたします。
〇福澤産業経済交流課総括課長 いわて食のパワーアップ事業についてでございます。
 これは、雇用対策基金を活用して、県内の食品事業者などが新規雇用によって行う新たな事業活動を支援することにより、食産業の振興を図ることを目的としているところでございます。
 平成22年度の状況でございますが、主な事例で申し上げますと、通信販売事業の強化を図るため、コールセンターを設置し、消費者とのコミュニケーションを充実させる取り組み、あるいは三つの漁協の連携による物流の効率化と加工施設の相互の利用により新商品を開発する取り組みなど15事業者の取り組みを採択し、現時点で51名の新規雇用を創出しているところでございます。
〇工藤勝博委員 大変雇用も進んだという実績でありますけれども、それらの事業者によってはいろいろまちまち評価があると思うんですけれども、まずその評価についてお伺いして平成23年度に入りたいと思いますので、よろしくお願いします。
〇福澤産業経済交流課総括課長 事業者の方々とは我々も常に一体となって計画づくりの段階から取り組んできておりまして、そうした意味では、事業の今後の雇用の継続性とか実現性とか、そういう部分も十分事業者、我々お互いに踏まえながら実際の事業実施につなげてきております。
 そういう意味では、事業者の皆様方の満足度というか、それも高いものがあるのではないか。また、具体に成功事例も生まれてきておりますので、今後とも事業者の皆様と一体となりましてそういう取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 平成23年度はまた予算も大幅にふやして1億8、000万円計上されておりますけれども、求める事業者数とか、また予定される雇用者数はどれぐらいかお知らせください。
〇福澤産業経済交流課総括課長 平成23年度でございますが、1社当たりの事業費上限を1、000万円としてございまして、1、000万円で18事業者の採択、雇用につきましては54名を見込んでいるところでございます。
〇工藤勝博委員 確かに食に関するそういう事業者は、県内の生産から加工、販売といった中で、先ほども話がありました物流に及ぶ幅広い業態だと思います。それらの事業者がそういう形で雇用をふやし、さらに業績が伸びるようなフォローもしながら取り組んでいければいいのではないかと思いますので、その点に関しても要望いたします。
 次に、いわてのおもてなし推進事業というのがあります。この中で観光サポーターが活躍しているとお伺いしておりますけれども、その観光サポーターの実態についてお聞きしたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 観光サポーターの活動実績についてでありますけれども、これは国の緊急雇用創出事業を活用したものでありまして、岩手県観光協会が、最も多い時期で6名の観光サポーターを任用して、盛岡駅の新幹線改札口の北口及び南口におきまして、観光案内やパンフレット配布、目的地への行き方や駅構内、乗りかえの案内等を行っているところでございます。
 これまでの案内等の件数でありますが、約1年2カ月半これまで設置しておりますが、延べ3万3、000件弱になります。1日当たり100件程度という状況でございます。
 これまで対応したお客様からは、バス乗り場への案内が正確でなかったというクレームが1件ございましたが、これ以外には、笑顔での対応が気持ちよかったという声ですとか、岩手の印象が変わった、また違う季節に来てみたいというようなお褒めの言葉もいただいておりまして、全体としては非常に高い評価をいただいていると認識しているところでございます。
〇工藤勝博委員 玄関口であります盛岡駅にそういう案内を兼ねながらサポーターがいるということは、特にも県外から来るお客さんにとっては心強い支援だと思います。
 それ以外に、このおもてなしに関しての解釈と言えば変ですけれども、岩手のおもてなしを考えた場合、それ以外に事業は考えられないでしょうか。
〇戸舘観光課総括課長 今、観光サポーターは主に駅の構内で観光案内等の仕事をしていただいているわけですけれども、この案内の関係でいきますと、今、盛岡駅の改札口、南口のところに北東北観光センターという観光案内所がございます。こちらのほうがちょっと改札口から出てきたときに場所がわかりにくいということもありまして、ここの施設改善について今まで盛岡駅のほうとも協議をしてまいりまして、こちらのほうの施設改善、機能強化を来年度図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇五日市王委員長 工藤勝博委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため、午後1時まで休憩いたします。工藤勝博委員、御了承願います。
   午前11時53分 休 憩
   午後1時3分 再 開
〇工藤勝子副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇工藤勝博委員 先ほどのおもてなしの続きになりますけれども、観光振興は多岐にわたるわけですけれども、その中で民間力を使った中で、いわておかみ会という組織があります。みちのく岩手観光立県基本条例を制定する段階の中でも、いわておかみ会の皆さんからいろんな御意見を伺いました。そういうことで観光客と最も初対面で接する方、旅館、ホテルがそうなんですけれども、そういう中でいわておかみ会が積極的に観光事業に協力といいますか、かかわっているわけですけれども、そのいわておかみ会への支援といいますか、変な話、活用の方法はどのように考えていますか、お伺いいたします。
〇戸舘観光課総括課長 いわておかみ会につきましては、平成20年に本県で発生した地震による風評被害対応として実施いたしました首相への支援要請や都内マスコミキャラバン、昨年度に東京で実施いたしました知事の観光トップセールス、さらには昨年11月に台湾でのどんど晴れの放送に合わせて実施いたしました副知事の台湾でのトップセールスなどに、県と一体となって御支援をいただいておりまして、本県への観光客誘致にお力添えをいただいているところでございます。県といたしましても、県観光協会を通じるなどいたしまして、活動経費の一部を支援するなどしているところでございます。
〇工藤勝博委員 いわておかみ会の発信力が大変強いなという感じをいたしております。そういう中で、今後とも大きな力、民間力ということでさらに積極的に活用すべきだろうと思います。
 ただ、残念なことに、観光に関する予算が全体の中でも0.1%ということになりますけれども、当初予算は骨格予算ということもありますので、6月の補正に向けた増額等が考えられるのであれば、お聞きしたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 非常に厳しい財政環境の中で、しかも骨格予算ということでありますので、財源的には非常に限られたものになっているように見えるかもしれませんけれども、いずれ、今お話のありましたいわておかみ会を初めとして民間力も大いに活用し、支援をしていただきながら、タイアップして取り組めるもの等については可能な範囲で支援をしながら、本県の観光PRをさらに強力に進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 いわておかみ会のほかにもいろんなそういう宣伝効果があることがあると思います。特にも、岩手県は観光に関しても宣伝が下手だと言われるのをよく耳にするわけですけれども、例えば、よく著名人を活用した大使─岩手県議会の中にも小樽市の大使がおりますけれども、そういう形で岩手を率先してPRする観光大使等の活用は考えておりますか、お伺いしたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 観光大使というお話がございましたが、本県では、希望郷いわて文化大使ということで、現在、首都圏、関西あるいは九州地区で123名の方々に文化大使をお願いしまして、岩手県のイメージアップにつながるいろいろな御意見をいただいたり、あるいは折に触れて岩手の魅力をPRしていただいているところでございます。
 観光面で一例を申し上げますと、文化大使の秋本清さん、絢子さん御夫妻が作詞作曲したどんと来い!岩手という歌がありますが、先ほどお話しになりましたいわておかみ会とも連携しながら、さまざまな機会を通じて岩手の観光地や名物といったようなものをPRしているところでありますし、今年度は、遠野物語が発刊100周年ということもありまして、女優で脚本家の近衛はなさんが遠野をテーマにしたドラマの脚本を手がけるといったことで、各界で活躍されている岩手に縁のある方々から本県の観光を応援していただいているところであります。
 今後、ことしの平泉の世界遺産登録やあるいは平成24年度に予定しているいわてデスティネーションキャンペーンを控えておりますので、今後ともより一層こういった文化大使の皆様方のネットワークあるいは情報発信力といったものも生かして、岩手の魅力を発信してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 せっかくそういう組織なり人材が確保されているとすれば、一過性じゃない継続した形で発信できるような取り組みをしていただければと思います。
 次に、中小企業成長応援資金とあります。商業、サービス業の制度資金も含めてたくさんのメニューがあるわけですけれども、その中で、特にも平成23年度は減額になっております。そういう減額されている要因は、どのような中で減額されているのか。また、資金需要が減っているということを考えますと、それだけ経済力が落ちるとも考えられますけれども、その辺の要因と今後の見通しについてお伺いいたします。
〇阿部経営支援課総括課長 県単融資制度の資金需要についてでございますけれども、今年度の県単融資の現段階での実績からちょっと見てみたいと思いますが、経営の安定を図るための運転資金を対象としました中小企業経営安定資金は、緊急保証制度の利用の一巡などによりまして前年度比86%の利用にとどまっている状況にございます。
 一方、設備投資などの事業の推進に必要な資金を対象といたしました商工観光振興資金というものがございますが、これにつきましては前年度比137%と利用がふえている状況にございます。全体としては、制度の内容によってはふえているもの、減っているものとなっております。
 それで、今後の見通しでございますけれども、日本銀行盛岡事務所の景況調査などを参考にいたしますと、県内の景気は全体として持ち直し傾向が続いているとされておりまして、今後、資金需要も回復してくるのではないかと見込んでいるところでございます。
 それから、全体に予算が減額になっているという指摘でありましたけれども、来年度の当初予算は骨格予算でありますことから、中小企業者が資金繰りで困ることのないように当面の所要額を計上しているものでございます。
 今後は、経済情勢や資金需要等の推移を見きわめながら、必要に応じて補正予算で対応するなど、中小企業が資金繰りが困らないように万全を期していく考えでございます。
〇工藤勝博委員 その資金需要は、全体の中では骨格予算ということで、補正等々でも対応できるという部分はあると思いますけれども、特にも、商工会がかかわる、盛岡市中心は別としても、各市町村の商店街はかなりシャッター通りが目につく。そういう中で商店街の活性化に向けた支援のあり方というのはどのようにお考えなのか。また、一例ですと、岩手町の大町商店街が、道路を含めた買い物のしやすい、そして明るいまちづくりを進めております。そういう実例もありますけれども、今後どういう形でそういう対応をなされるのか、お伺いしたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 特に御指摘がありました商店街関係で利用していただける資金という面で申し上げますと、商工会、商工会議所を経由いたしまして、比較的小規模の企業に御利用いただいております小口事業資金というものがございますが、これは、来年度は増額の予定で予算計上してございます。商店街において新しい事業あるいは店舗改装等といったことに利用できる、小口の資金としても使えるものでございますので、こういった資金を活用いただければと考えてございます。その他商店街活動に関しては、地元商工会、商工会議所と連携いたしまして、前向きの取り組みをする商店街には積極的に支援してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 そういう前向きな支援があるというお話がありましたけれども、現実的に平成23年度の中でそういう計画をされている商店街がもしあれば、教えてもらいたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 来年度事業に向けては、ただいま利用希望者募集中ということでございまして、まだ具体的に計画をいただいているところはございません。私どもも積極的に現場に出まして、そういった活動を発掘しながら支援をしてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 次に、予算説明書の137ページにあります若年者地域人材育成事業費についてお伺いいたしますが、私もよくわからないんですけれども、40歳未満の若年者を雇用すると。そういう中で、企業等で就業するために必要な知識、技術をOFF−JT、OJT取得というのはどのような意味なんでしょうかお聞きしたいと思いますし、確かに、やっぱり今一番雇用の中で若い人たちが仕事がない、思うような仕事につけないというのは緊急の課題だろうと思います。その辺につきましても詳しくお願いしたいと思います。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 若年者地域人材育成事業についてのお尋ねでございます。この事業は緊急雇用創出事業として行うものでございまして、今後成長が見込まれる、あるいは人材ニーズが高いという分野、例えば介護でありますとか、医療でありますとか、観光でありますとか、そういった分野に新卒の未就職者─今、大学、高校の就職が非常に厳しいと言われておりますが、こういった方々を含む40歳未満のいわゆる若年層の方の就職を促進するということを目的として平成23年度に実施するものでございます。
 具体的に申し上げますと、今、委員からもOFF−JT、OJTというお話がございましたけれども、まず、企業のほうでトライアルとして、お試しとして一たん6カ月間、若年者をまず雇っていただく。その中で、いわゆるOFF−JTとして─これは座学でございます─座学研修をまずその会社でやっていただく、あるいは別な教育機関に頼んでやっていただく。その上で今度はOJT、これはいわゆる職場実習でして、現場の企業に行っていろんな仕事を体験しながら、その職場にある意味なれていただくというか、そういったことを通して即戦力となるような人材として育成を図って、企業へのお試し期間が過ぎたら継続雇用になっていただくように促進する、そういった意味でのマッチングを図るという意味でございます。
 なお、予算計上額4億8、000万円余につきましては雇用予定人数約200人を予定しておりまして、この方々の6カ月分の人件費と研修経費を含めた額でございます。この事業につきましては、今後、委託を予定してございまして、県内のそういった事業者の方から企画提案をいただいて、10社程度を見込んでございますが、そういったところに委託して実施しようとするものでございます。
〇工藤勝博委員 よくわかりました。そういう企業が求めている人材を育成するという点では大変いい事業だと思います、ただ、希望する方があっても、どこに行って紹介されるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 求職者の方についてのいわゆる職業紹介先ということであろうかと思いますけれども、若年者につきましては、もちろん地域のハローワークでも一般求職者として職業紹介をやっておりますし、その前段階として、自分がどういった職業が向いているのかといったことについては、例えばジョブカフェ等でカウンセリングを受けていただいて、自分がそもそもどういったことをやりたいのかといったものを相談しながら目標を決めていただいて、その上でハローワーク等に行って職業紹介をしていただくというようなことで現在進めております。
〇吉田敬子委員 先ほど工藤勝博委員からも若年者地域人材育成事業についての質疑がありましたが、私のほうからは、これまでの若年層に対する就職支援の取り組み状況とその成果と課題について、具体的に何人の雇用を創出したか、あと、男女別の人数でお示しください。お願いいたします。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 これまでの若年層への就職支援ということでございますが、県といたしますと、若年層への就職支援といたしましては、拠点としてジョブカフェを、地域も含めまして県内8カ所に設置してございます。このほかのジョブカフェが設置されていないところには、広域振興局に就業支援員というのを配置して、それぞれ支援体制を組んでいるということでございます。
 具体的内容といたしますと、ジョブカフェにおきましては、カウンセラーによるいわゆるキャリアカウンセリングと言われまして、先ほど答弁でも申し上げましたが、自分がどういった職業が向いているのかといったことについて、一人一人の状況に合わせた相談をするといったような個別支援のほか、ジョブカフェ主催で、いろんな就職支援に関するセミナーでありますとか、あるいは就職面接会等を行いまして、ハローワーク等と連携しながら、若年者の就職の促進及び職場定着を図っているところでございます。
 これまでのジョブカフェの利用実績でございますけれども、平均いたしますと、これは県内のジョブカフェ全部を合わせたものでございますけれども、年間およそ5万人の方がジョブカフェを利用されているということでございます。その結果、年間約2、500人程度の方が就職決定に至っているという形でございます。
 ちょっと手元に男女別の区分した集計がございませんので、それについては御了承願いたいと思います。
 今後の課題ということでございますけれども、若年者の課題はいろいろあろうかと思いますけれども、喫緊の課題といたしましては、まずは、この厳しい就職環境の中、ことしの春卒業予定の未内定者を、学校、ハローワーク等と連携しながら、一人でも多く就職に結びつけるというのがまず第1点でございますし、それとともに、学校を卒業しますと、これまで学校が就職の支援をしてきたわけでございますが、4月以降も継続して支援をする体制─これは具体的にはジョブカフェに登録していただくという作業を、今既に在学中からやっておりまして、そういった未内定者の方をジョブカフェに登録していただいて、その上で4月以降も継続的に支援するような体制を組んでいくということが大きな課題ではないかと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 年間2、500人の就職決定者がいらっしゃるということで、私が先ほど男女別の人数を聞いた理由は、工藤委員に対する答弁の中で、若年者地域人材育成事業について、どのような事業かということは答弁をいただきましたので割愛いたしますが、その事業の中で200人の雇用創出をされる予定であるということで、この若年層は今回は40歳未満ということで、女性の場合だと子育て期の方々が実際にはこの若年層に当たるんだと思うんですけれども、県内の人口も133万人と過去最低の中で、やはり女性の労働力をもっともっと有効活用できる環境の整備というのは私は大変重要だと考えております。私は、雇用環境の悪化する中で、特に高卒者または大卒の方の仕事もない中で、この若年者地域人材育成事業に本当に期待はするんですが、また、担当となると保健福祉部であったり、環境生活部であるかと思うんですが、女性の皆さんももちろん若年者の中に入っている中で、子育て期の方々でも、こういう事業を受けながら企業で活躍していける環境の整備を、こちらの商工労働観光部の雇用対策・労働室のほうでもぜひどんどん進めていっていただきたいと私は強く思っております。保健福祉部、環境生活部の皆さんも意識啓発のほうでは一生懸命頑張っていただいて、その成果というものは上がっているかと思うんですが、やっぱり受け皿となるのが企業です。その企業に対する取り組みをぜひ皆さんに期待いたしますが、こちらの若年者地域人材育成事業の中で、特に女性の子育て期の方々に関して、何か特に取り組みを考えられているのかどうかのお考えをいただきます。お願いいたします。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 委員御指摘のとおり、女性、特に子育て期の方が安心して働けるような職場の提供というのは我々も大切なことだと考えております。
 今回の若年者地域人材育成事業におきましても、先ほど工藤委員への答弁の中でもお話し申し上げましたが、例えば、今後成長が見込まれる分野として介護とか医療という分野がございます。こういった分野では、どちらかと申しますと、女性の特性を生かしたいろんな職場もあろうかと思います。そういったところにおきましては、当然、子育て中の女性あるいは御家庭を持つ女性に配慮した勤務体系があろうかと思いますけれども、そういったところも含めて、今後、委託事業者がもし出てくれば、そういったところも配慮していかなければいけないと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 来年度以降、一般事業主行動計画も、これから県のほうで策定率を上げていく事業もあるかと思いますが、やはり女性の皆さんも子育てしながらでも安心して仕事をしやすい環境の整備をこれからもぜひ進めていっていただきたいと思っております。
 もう一つ、いわて求職者支援事業について伺います。昨日の保健福祉部の審査で、私のほうから、自殺予防対策の中で、こういう求職者支援事業は、仕事を探してあげるだけでなく、生活全般の救済をこれから取り組んでいくという中で、いわて求職者支援事業は就職支援だけでない全体的な支援をされるかと思うんですが、その辺に関しまして、昨日の保健福祉部とちょっとかぶるんですけれども、所感をお伺いいたします。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 いわて求職者支援事業でございます。これは、国のいわゆるパーソナル・サポート・モデルプロジェクト事業がございまして、これのモデル地区として本県が選定されたということを受けまして実施するものでございます。失業が長期化することによりまして、就労でありますとか生活資金でありますとか心の健康など、いわゆるそういった複合的な課題を抱えていらっしゃる失業者の方が多数おられるという状況にかんがみまして、それぞれのそういった方々の状況に応じたきめ細かい支援、サービスを提供するということで、今般、盛岡を中心にする県央地域と、県南の奥州市の地域を中心にする部分にそれぞれ拠点となるセンターを設置いたしまして、関係する行政機関でありますとか、NPOでありますとか、そういったところと連携しながら、就労だけではなくて、生活の立て直しから、まずは働くような気持ちになっていただくように気持ちを高めていただくということも含めまして、自立支援あるいは就労支援に至るまで、それぞれのケースに応じた検討を加えながら支援策をコーディネートしていくことによりまして、継続的な支援を実施しようというものでございます。そういったことを通じて、複合的な課題を抱える長期失業者の方々の支援を一生懸命やってまいりたいと考えているところでございます。
〇吉田敬子委員 他部局との連携は大変重要になってくるかと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 先ほどの若年者地域人材育成事業について、重ねてなんですが、何とか、女性の皆さんが子育てしながらでも仕事がしやすい環境を─ちょうど人口減少社会になっている中で、女性の労働力というのは大事ですし、海外だとよくM字カーブと言っているんですが、女性だと、30代、40代でこれから一番働ける時期に日本だと働きづらいという、M字カーブになっていると言われているんですが、ちょうどその世代に当たるんだと思うんです。その30代、40代の若い子育て期の女性がもっともっと仕事のしやすい環境の整備を、企業への啓発活動も大変重要になってくるかと思いますので、ぜひそれを御期待申し上げて、質問は以上といたします。
〇久保孝喜委員 それでは、まず最初に労働費及び商工費全般についてお伺いいたしたいと思います。
 今年度、さまざまな説明の冒頭には、必ず骨格予算ではあるけれども切れ目ない対応、さらに重点化を図ってという言い方をそれぞれの部でもされてまいりました。
 骨格予算でありながらも、前年度比2.5%減の予算規模ということになっているわけなんですが、その中で、労働費及び商工費の増減率でいうと、減少が、災害復旧費を除くとナンバーワン、ナンバーツーになっているわけです。労働費については前年度比20%以上の減、商工費については16.3%減ということになっておりますが、これについて、どのような背景があるのかをまずお示しいただきたいと思います。
〇高橋副部長兼商工企画室長 具体的内容といたしまして、労働費で申し上げますと、緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用して行います市町村事業への補助、県事業に要する経費の減額が約24億円弱の減となってございます。商工費では、中小企業経営安定資金貸付金などの県単融資に係る経費が114億円余りの減となってございまして、これらの影響でそれぞれ減額となっているものでございます。
 緊急雇用創出事業につきましては、骨格予算でありましても当初で予算措置をしているところでございますが、この事業につきましては、平成22年度の予算編成時に、3年間で取り崩す予定でありました基金を1年前倒しで取り崩して予算化するといった方針のもと予算編成をいたしましたので、平成22年度は大きな増額ということになっております。平成23年度は、その基金の中で、なお残った額と、さきの補正でお認めいただきました追加交付によります基金の積み増しを財源といたしまして予算化を図るといった状況になってございますが、結果として、このような減額となったものでございます。県単融資につきましては、現段階での当面の所要額を計上したことによる状況でございます。
〇久保孝喜委員 それぞれの予算の増減だけで予算そのものを評価するわけにはもちろんいかないわけで、今の説明も含めて了解はいたしますけれども、ただ、気になるのは、例えば同じ労働費、商工費を東北各県の率と比べていくとどうなるかという話なんです。例えば、労働費に関して言うと、ほとんどの県が前年度比かなり大きく積み増しをしているわけです。山形県を除きなんですが、例えばお隣の秋田県などは30%以上これをふやしているというような環境にあるわけです。商工費についても前年度比減らしている。しかも2けた以上大きく減らしているのは岩手県だけというような実態を見るにつけ、今回の予算が、例えば我々に対する説明も、県民に対するアナウンスも、県民の仕事と暮らしを守る予算なんだとずっと言っているわけです。そうすると、予算に編成をされたその率あるいは前年度の比較から考えると、いかにも仕事と暮らしのまさに最大拠点たる二つの予算が他の分野よりも大きく減少されているというのは、結果的には別な受けとめ方になってしまわないかということを危惧するんですが、今御紹介した東北各県の状況と違うという点では、どういう背景があると考えればよろしいんでしょうか。
〇高橋副部長兼商工企画室長 東北各県の状況でございますが、一つには、本県以外には骨格予算としているところがないということで、全体の予算額で減少した県はないといったことがございます。
 こうした中で、東北各県の款別の歳出予算を見てみますと、まず、労働費につきましては、委員から御紹介があったように、本県と山形県が減額で、その他の4県で増額となっているところでございます。この増額の主な内容は、緊急雇用創出事業に係る経費の増額と聞いてございます。増額の理由は、先ほど申し上げましたけれども、緊急雇用創出事業は3カ年で基金を取り崩すといったようなことでございまして、本県が平成22年度に前倒しで取り崩すといったような状況ではなくて、平年ベースといいますか、ならしたものでの財源措置、それから平成22年度の追加交付による交付金を財源に予算化したことでふえていると聞いておりまして、そのような形で、先ほど申し上げました本県の場合とは予算計上の考え方が違っているということによるものと考えているところでございます。
 また、商工費につきましては青森県が増額となっておりますけれども、この増額の主な理由は、工業団地に係る予算、県単融資に係る貸付金が増額となったことと聞いてございまして、その他の4県では、本県と同様に減額となっているという状況でございます。
〇久保孝喜委員 それぞれの県によって、もちろん予算に対する編成の考え方は当然違っているわけで、まさしく骨格と通常予算という違いも含めてお話を申し上げているわけで、骨格予算ということでいえば、言わずもがなの話をあえてお聞きするわけですけれども、先ほどの午前中の部長の冒頭の説明の中に、大きなものが6月に回ったこともあってという言い方がちょっとあったので気になったんですが、つまり部としての最終的な予算の総枠あるいは考え方というものがあって、今回の当初予算ではこれを別置きにして、6月に何らかのアナウンス効果をねらって補正を積み増しするということを前提にして、もしこの予算が組まれたのだとしたら、これは議会に対しても、県民に対してもおかしなことになるだろうと思うんです。そういうことがないとは思いますが、そういうお考えがあるのか、あったのか、あるいは先ほどの午前中の説明の大きなものが6月ということの真意を含めて、この際、部長にお尋ねしておきたいと思います。
〇齋藤商工労働観光部長 6月に何が回るかという話でございますけれども、大きなものと我々が考えておりますのは、貸付金を考えております。6月の予算を考えますと、肉づけで前向きの予算ということに多分なるかと思います、これは知事選がどうなるかということにもよりますが。それを考えますと、やはり県民に対して前向きのものをやっていくという意味では、貸付金も、例えば後ろ向きの貸付金と前向きの貸付金がございますが、やはり希望の持てる貸付金というものをふやすことによって、前向きにもっと設備投資を誘発するとか、そういったものを考えていきたいと考えているところですが、これは、また6月の予算要求の状況を踏まえてみないとわかりませんが、一応、今の時点ではそのようなことを想定しております。
〇八矢予算調製課総括課長 全体の予算のお話ですので、若干補正させていただきます。
 実は、予算編成の過程で商工労働観光部といろいろ御相談をさせていただきまして、貸付金関係を、当初予算では、平成22年度の当初予算と比べて最低限といいますか、当初予算で措置しないと困らない額だけ当初予算に積んでございます。骨格、肉づけということで、6月後に年間予算として編成するわけですが、近年の経済情勢等々ございまして、中小企業関係への貸付金の規模がかなり増額してきたという経緯もございますので、貸付金の規模自体を年間予算としてどの程度措置するかというのも大きな政策判断ということになろうかと考えてございまして、年度当初に、最初から信用保証協会等に預託しなければならない額は当初予算で措置をして、選挙を経て、新たな任期の知事のもとで、年間どのぐらい必要かどうかということを、予算計上を別途検討するということもまたあってもいいのではないかということで、単純に6月の規模を膨らませたりとかということではなく、予算の決め方として、そういうことを別途新しい体制で判断するということを議会の皆様に御説明しても、きちんとそこは御理解いただけるのではないかと考えまして、貸付金関係を6月に大きく回したということでございますので、何とぞ御理解いただければと思います。
〇久保孝喜委員 背景を含めて承知しますが、個別の政策についてのよしあしの前に、例えば県民に対する、今回の予算がどういう性格を持って、どういうテーマでもってつくられたのかということの説明をする際に、当然、今まで言ってきたように仕事と暮らしということを大きなテーマにしているわけです。しかし、現実には前年度比20%や16%以上小さくなっている。今も説明があったように、これは選挙を経た上での政策判断を含めて重点化していくということも前提として説明がちゃんとあるのであればいいわけですけど、全くないわけです。午前中の説明にもその点は全く触れられませんでした。そうすると、午前中の質疑の中に、県の示すデータが県民の受けとめ方とすれ違っているのではないかという話がありましたことと同じことで、予算のテーマが現実の予算の組み方とずれてしまっているということに対する丁寧な説明というのがないような気が私はしたものですから、お話をさせていただいたわけです。
 この件に関してはこれにとどめますけれども、さまざまな憶測を呼んだり、さまざまな余計な雑念を生ずるような説明でない真摯な説明をぜひともお願いしたいと思っているところです。
 二つ目に参ります。商店街振興についてお尋ねいたします。
 大変重要で、かつ地域経済にとっても頭の痛い課題として、既存商店街、中心市街地の振興策というテーマがございますけれども、この問題で非常に大きな課題になっている幾つかの点について、新年度、この商店街振興にかかわって、重点施策は何なのかということをまず御説明いただきたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 平成23年度の商店街振興施策についてでございます。
 まず、地域住民のニーズに対応するために、商店街が食料品店等の不足業種の導入など商店街の商業機能の強化を図る事業に対しまして、市町村と連携して補助いたします地域商業再構築支援事業、続いて、今度は商店街の個店でございますが、魅力ある店づくりを支援するために、商工団体との連携によりまして専門家を継続的に派遣する個店経営力アップ応援事業費補助、それから、商店街の街路灯を省エネルギー効果のあるLEDに交換する事業に対して補助いたします商店街低炭素街路灯導入促進事業費補助などの事業を重点施策といたしまして、前向きに取り組む商店街を支援してまいる考えでございます。
〇久保孝喜委員 今御説明のあった事業、個別の具体の施策で言うと、そんなに予算規模は大きくないわけですけれども、非常に問題になっている課題の中に、かつてにぎわい創出だとか市街地の再興などを願って、それぞれの商店街振興会や組合などが、高度化資金だとか近代化資金と言われるものをお借りして町並みの整備をやったりということがございました。ここに来てシャッター街と言われるような地域経済の疲弊の中で、そうした融資が、焦げつきとまでいくのかどうか、いずれ、返済の状況がかなり悪化しているのではないかということが懸念されておりまして、結果的にこれが負のスパイラルで、なかなか返済もおぼつかない。さりとて後継者もいない。客足は遠のいていく。結果的に個店がくしの歯が欠けたようにどんどんなくなっていく。商店街としての魅力が失われていくというスパイラルの状況に完全に陥ってしまっているのではないかという心配がございます。その点で、こうした県が関与した資金の回収状況についてはどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 中小企業設備近代化資金と中小企業高度化資金というものがございます。それぞれ商店街振興に絡む事業に融資したものでございますが、これらの貸付先企業や組合のうち、いわゆる商業振興を目的とした貸し付けでございますけれども、本年1月末現在で、貸付残高のある貸付先が54件ございまして、残高が約48億9、000万円となっております。このうち、契約どおり返済していただいている貸付先が32件でございます。
 一方で、売り上げ不振等により契約どおりの返済が困難となって、返済条件の緩和により返済猶予という措置を行っている貸付先は5件ございます。また、倒産や経営不振などによりまして延滞を余儀なくされている貸付先は17件で、貸付残高が約12億2、000万円となっているところでございます。
〇久保孝喜委員 県が地域経済の活性化も願い、さらにそれぞれの商店街に人を呼び込むための施策として非常に有効な事業だったとは思うんですが、この段階に至って、今、御説明があったように、延滞が17件、12億円というようなこと、あるいは猶予件数も5件ということであれば、かなりの率で行き詰まっているということが見えるかと思うんです。
 問題は、これをこのままいわば貸し手と借り手という関係の中だけで処理していいのかという問題が早晩出てくるのだろうと私は思っていまして、その点に関する何か手だて─もちろん貸したお金は返していただくことを前提にしつつですが、しかし、単なる金融業じゃないわけですから、政策的に、その自治体なりあるいは商工団体を含めてですが、そういう枠組みの中での解決の方途を見出すことを何とかしていかなきゃならないと思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 御指摘のような商店街に対してでございますけれども、まず、契約どおりの返済ができない差金をどうするかということからお答えしたいと思います。
 現在、猶予あるいは延滞になっている貸付先でございますけれども、中小企業診断士の資格を有した職員がおりますけれども、この職員が定期的に貸付先を訪問いたしまして経営改善指導を行うとともに、必要に応じまして専門家派遣などをいたしまして、事業継続に意欲のある貸付先につきまして、経営改善計画の策定を支援するなどしているところでございます。
 そのほか、他の金融機関との間の債務などもたくさんあるところにつきましては、岩手県中小企業再生支援協議会というところがございますが、ここの専門家の協力のもとに経営改善計画の策定、他の貸付機関との返済条件の緩和などの調整をしていただきまして、きっちりとした経営改善計画を立てていただき、一定の償還猶予を行った上で、再建に向けた取り組みを行っていただく。そのためのフォローアップも継続的にやっていくというような支援で、事業再生に向けた取り組みへの支援を行っているところでございます。
 また、先ほどの説明に戻りますけれども、商店街振興の各種の施策がございますけれども、それぞれの商店街の計画に応じて、県の施策ですとか、国の支援施策もございますので、そういった施策を組み合わせて、前向きの方向に向かう商店街に向けた支援もあわせて行っていくという考えでございます。
〇久保孝喜委員 最初の質問で、仕事と暮らしを守る予算だとうたっている今回の予算の中でも、とりわけ地域経済の問題は非常に深刻ですし、雇用とあわせて県民ニーズが一番、二番高い分野なわけです。そういう中にあっても、地域の中のいわば中心市街地だとか商店街の振興というのは、おいそれとはなかなかいかない課題だというのは十分承知しているわけですし、しかし、このまま放っておいていいはずはないという課題もみんな持っているわけです。
 そこで、今お話がありましたように、単なる県の立場と借り手の側の立場ということを越えて、何らかのテーブルをちゃんとつくって、そこに市町村が入り、商工団体も入り、そして場合によっては金融機関も含めてトータルとして解決の道がないかを探っていくという手だてを、県主導でちゃんとやるべきなのだろうと私は思うんですが、特にも、地域経済という観点でいうと、広域振興局なんかがそこできちんと対応できるような仕組み、仕掛けというのが必要なのだろうと思うんですが、その点はいかがお考えでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 商店街を取り巻く環境というのは、御指摘のように、大変厳しいものがございます。ただ、やはり商店街の振興については地域が主体的にその方向性を考えていただいて、その実施に当たって地域の商工会議所、商工会、その他関係団体と連携して、市町村のまちづくりの考え方といいますか、そういったものときちんと整合させながら進めていただく必要があると思います。
 県といたしましては、そういった取り組みに対して、現地に入ってさまざまなコーディネートを行っていくといいますか、先ほど申し上げました支援制度の活用ですとか、関係機関への橋渡しだとか、金融機関も含めてでございますけれども、そういう地域の方々のニーズに密着した支援活動といいますか、コーディネート活動を県が努めてまとめていくというんですか、地域にそういった協議会みたいなものをつくっていくという方向に進めていければ、私どもも地域のために大いに役に立つのではないかと考えております。
〇久保孝喜委員 お話を聞くと、例えば返済金額が1万円だとか、そういうことで支払いの意思を表明しているだけの団体みたいなところもあったりするようですし、だれもがこのままでいいと思っていないというところで、県が、今おっしゃったようなコーディネート役をきちんと引き受けて、地域と一緒になって再興に向けて一歩を進めるということをぜひお願いして、質問を終わりたいと思います。
〇斉藤信委員 簡潔に3点に絞って。
 一つは、長期失業者への対策ですけれども、昨年、全国では、失業者は334万人のうち1年以上の失業者が121万人、前年比で26万人増加しました。県内の失業率、完全失業者、長期失業者の状況をどう把握しているか、長期失業者に対する対策はどうなっているか、実績を含めて示していただきたい。
 全国では正規労働者が25万人減少し、非正規が34万人増加していますが、県内の状況はどうなっているでしょうか。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 まず、県内の失業者の状況でございます。これは、総務省が公表しております労働力調査の結果でございますが、昨年の10月から12月までのいわゆるモデル推計値でございますけれども、県内の失業率は4.6%、失業者数にして約3万1、000人程度と推定されております。
 それから、長期失業者への対策ということでございますけれども、今般、先ほど来御答弁申し上げておりますけれども、平成23年度予算におきましては、いわて求職者個別支援事業ということで県内2カ所にセンター的な拠点を設けまして、失業者それぞれの状況に合わせた生活の立て直しから就労までの支援を継続的に支援する体制をまず組むということで対応してまいりたいと考えているところでございます。
 3点目、失業者の数がどのように変化しているかということでございますが、先ほどのモデル推計値で、昨年10月から12月までの推計値で失業者が3万1、000人と申し上げましたが、その前の四半期、7月から9月は3万3、000人と推計されてございまして、そういった点では、昨年の第3・四半期と第4・四半期を比較いたしますと、2、000人の方が失業者数としては減っているという状況でございます。
〇斉藤信委員 全然回答になってないんだよね。私は、労働力調査で言ったのは、昨年1年間の平均で聞いているんですよ。昨年1年間の失業率は出ているでしょう。5.1%と出ているんじゃないですか。
 それと、長期失業者が3人に1人以上というのは岩手も同じだと思います。この対策がどうだったかと聞いているんですよ。個別支援事業というのは対象はわずかでしょう。1年以上の失業者というのは少なくとも1万人以上ですよ。これに対する対策をどうとられてきたのかと聞いているので、個別支援事業は何回も聞いていますよ。しかし、これは対象者は何人ですか。せいぜい数十人でしょう。そのことを聞いているんです。
 正規、非正規の増減がわからなければ、それはそれで、これは全国統計なので、全国的にはやっぱり正規が減って非正規がふえるという状況はそのとおりですので、そのことを改めてお聞きしたいし、1年以上の失業になると、収入が絶たれている。まさに生活の土台がなくなっているわけですから、この生活再建策はどうなのか。生活保護の申請、決定状況がどうなのか、そういうことも含めてしっかり答えていただきたい。
 ついでに2点目、岩手県県民経済計算の速報値が2月に出ました。それを見ますと、やっぱり製造業の落ち込みが大きい。特にその中でも電気機械製造業の落ち込みが大きいんですね。私は、この電気機械製造業の製造品出荷額や従業員の推移がどうなっているか、なぜ落ち込んでいるのか、この対策はどうなっているのか、あわせてお聞きしたい。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 まず、昨年度平均の失業者の状況につきましては、手元に統計がございませんので、四半期ごとの状況について簡単に申し上げますと、第1・四半期は1月から3月でございますが……(斉藤信委員「聞いたことに答えればいいんだよ」と呼ぶ)
 後段の御質問でございます。失業者への全体的な支援の仕組みということでございますけれども、これにつきましては、体制面といたしますと、これまで、県といたしますと相談対応の窓口をまず設置するということで、盛岡市と奥州地区に求職者総合支援センターをそれぞれ設けまして、ワンストップでの生活、就労相談を行っているところでございますし、その中身といたしますと、いわゆる第二のセーフティネットということで、これは国の制度でございますけれども、例えば生活福祉資金の貸し付けでありますとか、住宅手当でありますとか、訓練・生活支援給付といったいろんなセーフティネットに係る失業者の方々への給付の事業を、こういったワンスットップサービスの相談窓口で情報を提供して、それぞれのサービスが受けられるような支援をしているところでございます。
 また、昨年度につきましては、いわゆるワンストップ・サービス・デイということで、これまでは二つの拠点が中心ではございましたけれども、県内各地でもいろんな相談があるということで、県内10カ所のハローワーク管内で延べ15回のワンストップ・サービス・デイを開催いたしまして、失業者の方々へのいろんな相談に対応してきたわけでございます。
 それに加えまして、先ほどの事業をすることによって、全体として長期継続的な支援をする体制が整いつつあるという状況でございます。
〇保企業立地推進課総括課長 県民経済計算の関係でございますが、平成20年度の県民経済計算の中の県民総生産の内訳の中で電気機械製造というくくりがございますが、これが平成19年度は約5、500億円であったものが、平成20年度には約4、400億円となっております。およそ1、100億円の減ということで、20%の対前年比減ということになってございます。
 若干データは異なりますが、私どもで押さえております工業統計調査におきましては、県内の電気機械器具製造が、県内の製造業全体に占める割合がおおむね8割であるということから、この減の要因というのは、誘致企業が平成20年度秋以降の世界的な景気低迷の影響で大きく生産を落としたためと分析しております。
 これに対して、どのようにリカバーしていくかという対策でございますが、残念ながら、即効的にこれを急激に回復させるというのはなかなか困難ではございますが、本県のものづくり産業のあり方として、地場、誘致を問わず企業間の結びつきを強め、世界的にも拠点として通用していくということを通じて、景気動向に左右されない足腰の強い産業構造を構築するということが重要だと考えております。そういった観点から、さまざまな支援をしてまいるということでございます。
〇斉藤信委員 長期失業者の対策については、どういう対策があって、こういう実績があってと、私はそのことを聞いているんですよ。ちょっとメニューを言ったってだめなんですよ、そんなのはわかっているんだから。どういう実績だったのか、それが失業者の実態から見てどうなのかというのを聞いていたんですよ。
 電気機械の問題については、全体として県内総生産の落ち込みの主要な要因と、これは統計調査課でもそういう分析を最近しているようですが、私は、平成12年のIT不況、平成20年の今回の世界経済危機、このことを考えますと、やっぱり岩手の経済の主役である中小企業、地元と密着した地域経済の内需循環型の経済を本格的に進めなければだめだと思います。
 そこで、来年度の中小企業対策予算は、融資を除くと38億円余です。事業所数で99.8%、常用雇用でいいますと89%を占める中小企業対策予算がわずか38億円でいいのか。私は本当に不十分な対策ではないのか、また、雇用対策にもならないんじゃないかと。
 それで、中小企業の実態と要求をどういうふうに県として把握しているか、この間、中小企業訪問もやっていますので、そこをお答えください。
〇阿部経営支援課総括課長 中小企業の振興に当たりましては、私どもは、日常的な中小企業への訪問ですとか商工団体との情報交換等々を踏まえて、本県の産業集積の促進やものづくり産業人材の育成、あるいは次世代産業群の育成など、企業の自立的な成長や発展を促す施策を中心に予算を計上して事業を進めているところでございます。
〇斉藤信委員 ですから、私、具体的に聞いたでしょう、中小企業の訪問件数はどうなんですかと、そこで出された実態と要求はどうなんですかと。そして、事業所数で99.8%、常用雇用で89%を占める中小企業対策が38億円でいいのかと、私、具体的に聞いたじゃないですか。そのことぐらいしっかりと答えてください。
 それで、緊急保証が3月で切れます、今までの保証が。私、本当にこれは極めて重大な影響を与えるのではないか。今まで緊急保証で、かなりこれで持ちこたえてきた。今までの実績とこれへの影響、それと私は、やっぱり今の答弁を聞いても、中小企業振興条例を本当に県として制定して、中小企業者と一緒になって実態把握と中小企業振興策を打ち立てていく必要があるのではないのか。
 今の政府も中小企業憲章を打ち出したわけです。あらゆる課題、中小企業の利益を考える、理念とすればすばらしいことを打ち出した。私は、県として独自にこの中小企業の位置づけ、そしてその振興策の基本というのをやっぱり考えていくべきではないかと思います。これで終わりますから、しっかり答えてください。
〇阿部経営支援課総括課長 中小企業への訪問件数でございますけれども、これは私ども職員の日常活動でやっておりますが、ちょっと数字としてはカウントしてございません。事業を実施する上で、日常的に企業訪問しながら支援、指導活動を続けてございます。
 また、現在、リーマンショック以降の厳しい状況の中で、中小企業においては、資金繰りの支援の要望ですとか、それから最近の経済の回復方向に向けての新たな取り組みへの支援など、そういったところの要望があるものと考えでございます。
 それからもう一つ、緊急保証でございますけれども、御承知のとおり3月末をもって期限が切れます。来年度以降の資金繰りについては、国のほうで小口保証制度の100%保証の実施、それからセーフティネット保証については引き続き継続する、これは半年間でございますけれども、そういう措置をとることになってございます。
 前後いたしましたが、緊急保証の実績でございますけれども、1月末の累計で保証協会が承諾いたしました件数が1万1、670件でございます。金額にいたしまして1、570億円余となっております。今年度は、先ほども申し上げましたけれども、需要が一巡したということもありまして、70%から80%台の実績で推移しているということでございます。
 今後、中小企業の資金繰りに対しましては、既存の経営安定資金の一般枠あるいは円高対策枠、原油高対策枠というものがまだ残っておりますので、これらの枠を有効に活用していただいて経営安定に取り組んでいただきたいと考えております。
 次に、中小企業振興条例についてでございますけれども、これは何度も御答弁申し上げてありますが、本県の中小企業は多分野、多業種にわたっておりますので、これまでも、自動車関連産業、半導体関連産業など分野別に振興計画を策定いたしまして、個別に施策を展開してきたところでございます。
 今後においても、中小企業の多様なニーズに対応した実効性のある施策の展開を図っていくということでございますので、必ずしも条例という形にはとらわれずに、企業現場での支援活動、関係団体との情報交換などを通じまして、中小企業の生の声を聞きながら、企業の状況に応じて丁寧に対応していくことが重要と考えてございます。
〇岩渕誠委員 私は、自動車関連産業集積と平泉の観光対策の2点についてお伺いいたします。
 まず、自動車関連産業の集積についてでありますが、これは12月定例会でも取り上げさせていただきましたけれども、1月からセントラル自動車が本格操業を始めましていよいよ50万体制に東北は入ったわけでありますが、非常に期待が大きい一方で、地元の調達率というのは、昨年12月で御答弁いただいた段階では43%と記憶しております。大変低い数字でありまして、これをどうやって向上させていくのかというのが大きな課題だと思いますが、新年度、この地元調達率の向上対策として県はどのように取り扱っていくおつもりなのか。また、その中で具体的な数字目標等があればお示しいただきたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 地元調達率の向上に当たりましては、本県の企業の技術力を上げて、いかにアピールできるかということかと思っております。これまで、日ごろからアドバイザーによる技術指導ですとか工程改善、さまざま商談会等やっておりますが、来年度におきましては、例えば1社ではなくて複数企業が協業して一つのものに取り組むといった、複数企業で総合力を発揮するような取り組みを促進する新たな補助金制度を設ける、あるいは新分野進出に向けまして、冷間鍛造の研究会などをしっかり設置していく、あるいは人材育成につきましても、三次元設計技術者は引き続ききっちり一定の技術者を養成していく等々を行っていく考えでございます。
 また、商談会におきましても、これまでの成果を生かして、より効果が上がる商談会というものを今、検討しているところでございます。
〇岩渕誠委員 いろいろ具体的な対策が出てきたわけでありますが、考え方をちょっと確認しておきたいわけでありますが、午前中から議論になっておりました企業誘致という考え方があると思います。確かに私も企業誘致には頑張っていただきたいと思う反面、仕事をつくるという意味においては、仕事を持ってくると。岩手県の高い技術力に着目して、岩手の企業にこれは預けたいという事業誘致というものがあると思いますが、岩手県としては、地元調達率の向上対策の中で、事業誘致あるいは企業誘致をどれぐらいの割合で進めていきたいとお考えなのか。あるいは、今、その地元調達率の中で企業誘致で賄っている部分が何%、あるいは事業誘致で賄っている部分が何%というのがもしわかればお示しいただきたいと思います。
〇保企業立地促進課総括課長 事業誘致の考え方についてでございます。
 誘致の現場におきましては、リーマンショック以降、企業の目はアジアに向いておりまして、国内で新たに投資をしようというものは非常に意欲として少なくなっている実態がございます。そういった中で私どもは、雇用の拡大につながるものであれば何でもいいということで、単に工場を建てていただくということにとどまらず、例えばこういった仕事を岩手でやってもらえないかとか、あるいは空き工場に入ってとりあえず仕事を少し小さく始めたいとか、さまざまなそういった企業のニーズを細かくとらえまして、それを科学・ものづくり振興課のほうなどと連携しながら岩手での展開に結びつけるというような活動も非常に大きな比重を占めてきております。
 こういったことで、言ってみればそういった中での一つの成果の形が企業誘致に結びつくということもあるかもしれませんが、トータルとして県内の雇用が拡大できるようにということで頑張っております。
 地元調達率の内訳ということにつきましては、この43%という数字も関東自動車工業から聞いている数字でございますので、手持ちの数字としては、申しわけございませんが、その辺の分析はございません。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 平成15年度以降ですが、自動車関係の商談成立の数というものは約90件ございます。そのうち、県外から発注されていわゆる商談成立しているものが約60件、そのうち地元が約40件といった状況かと思っております。
 やはり地元企業がいかに振興するかといったところが大事だと思っておりますので、こういった地元企業の商談といったものをしっかりベンチマークしていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 やはり事業誘致というのは、今後、雇用と地元経済の拡大ということからすると非常に貴重な考え方だと思いますし、ぜひ進めていただきたいと思います。これは今に限った話ではなくて、今、保課長のほうからリーマンショック以降の背景について御説明いただきましたが、2001年のIT不況の段階でもやはりどんどん企業が出ていったと。それに対してどうしていくんだという処方せんを県や経済界で検討した結果、やはり産学官、これに金、労というのが入って、地元の技術力を生かして地元で仕事を拡大するんだ、こういう方針が示されたわけでありますから、事業誘致というのはその延長線にあるものだと私は理解しておりますので、ぜひやっていただきたいと思います。
 佐々木総括課長のほうからコラボの取り組みを推進していくというお話がありました。これは大変貴重な考え方であります。昨年の愛知県で行われました商談会を拝見しましたけれども、やはり単品というよりは、岩手の企業群、1社、2社が集まって、それによってつくられた技術、これは世界初とか日本発、業界初というのが非常に数多かったわけでありますが、これに対してのグループを組んでやるということについては、愛知県の1次サプライヤーあるいはメーカー側の需要も高かったと認識しております。実際に今、事業誘致でいえば、一関市でいえば三光化成さんとか、他業種のところから入ってきて自動車の部分をやっているというような部分もあるわけでありますけれども、これ、具体に商談会をやるということなんですが、技術的な側面からはどういうようなサポートをしていくおつもりなんでしょうか。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 商談会におきましては、これまでも東北の高い技術、岩手の高い技術を売り込むということで、企業OBの方の厳しい目で地元の予選を行っております。1次審査を経て、絞った形でよりいいものをということで、昨年の商談会ではさまざまな企業から好評をいただいておりますが、そういった形で、一つのテーマあるいは取り組みの分野分けといいましょうか、そういったものを考えながら、一通り目ききのある方に見ていただきながら取引あっせんにつなげていくといったことをやりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 いずれ県の役割としては、事業誘致の場合はコラボさせるということであれば、どういったものが今ニーズとしてあって、どことどこの企業がどういう技術を持ってきてどういうふうなマッチングをさせればいいかというコーディネート機能のところ、これをしっかりやっていかないと、せっかくの岩手の技術力を生かして地場企業に仕事が落ちるというような回りになりませんので、ぜひそこはしっかりとアクセルを踏んでやっていただきたいと思います。
 そしてまた、保総括課長にお願いをしたいのは、地元調達率の中で、きちんと事業誘致によってどれぐらいさらに積み上げる可能性があるのか、あるいはこの分野についてはやはり企業誘致でなければならないよという細かな分析を詳細にしないと手を打てないと思うんです。そのあたりをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。それがトータルで最終的に地元調達率が上がる、それによって雇用と経済が回ってくるということだと思います。
 実際に今回の議案を見ていますと、議案第39号にありますが、これは地元企業に対しての部分も網をかけていると思いますので誘致された企業だけにやっていないんだというのはよくわかるのでありますけれども、その辺の事業誘致に対しての考え方を最後に齋藤部長にお聞かせいただきたいと思います。
〇齋藤商工労働観光部長 根本理念を申し上げますと、岩手においていかに雇用をふやすかというところが我々の根本理念です。再三議論に出ておりますけれども、常用雇用のうちの特に正規をふやすというところがやはり一番肝心でして、役所では雇用対策基金を使って役所の直接雇用ということはできますが、本質的な雇用というのは、やはり企業に元気が出ることによって、企業そのものが常用雇用、そして正規雇用をふやしていただくということが根本理念でございます。
 こうした観点から、仕事を外から持ってくる、そういうのを事業誘致という言い方をしております。先ほど御案内のあったとおり、自動車の参入をふやすということは、本来三河でつくっていた部品を岩手でつくるということでございますので、これはれっきとした事業誘致になるわけですし、あるいは三河で操業していた、あるいは関東で操業していた企業そのものが岩手に来る、これも企業誘致という形ですが、岩手で仕事がふえる、雇用の場がふえるという点では全く一致しているものです。
 私どもこれを進める対応策ということでございますが、現在、企業立地サイドの企業立地推進課、それからマッチング、その他に関しましては、工業技術集積支援センターというものを北上市のオフィスアルカディアに置きまして企業とのマッチングをいわて産業振興センターと連携してやっておりますし、それから、科学・ものづくり振興課のほうでは、地場の参入というものについてさまざまな補助金、それから施策というものを持っています。これはセクションは別ですが、実態の活動としては一体活動をしております。したがいまして、これはさらに関係市町村も一緒になって実は行動しておりまして、できる限りそういう活動の場を県内全域に広げて、そして一つでも多く雇用の場をふやしていきたいと思います。
 それから、御案内ありました議案第39号の条例は、まさしく特定区域というものを設定いたしますと、そこに入る企業は、地場、誘致を問わず、しかも雇用要件を課しております。一定の雇用、一定の投資額というものをクリアすれば減税、免税という恩典を出しまして、とにかく少しでも雇用の場をつくっていただきたいという趣旨の条例でございますので、そういったものも含めまして我々宣伝いたしまして、さらなる企業の誘致、事業の誘致を図ってまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 個々にお聞きしますと、やはりそういう意味ではやられているところもあるんですが、アピールの仕方として、予算書の中に中小企業対策とかいろいろなものづくり対策という言葉は出てくるんですが、残念ながら事業誘致という言葉はどこにも出てこないんですね。県としてしっかり事業誘致をとらえて、事業誘致というのは中小企業、雇用対策であります。地場の企業の技術力を生かすことであるということをもう少し明確に訴えて、予算書ではなくても、やはり何かのものでやっていくんだということをやらないと、なかなかこれは企業誘致にばかり目が行って、それは企業が来ればいいですけれども、来たら来たで中小の下請がたたかれるみたいな構図があると、なかなか実際にモチベーションが上がってこないというのも岩手の中小業者の悩みでもあるわけでありますから、我々も頑張れる余地があるんだよと、技術力と意欲があればできるんだよというところをやはりもう少しPRしていかないとせっかくいいことをやっていてもだめだと思いますので、そこは検討していただきたいと思います。
 次に、平泉対策のほうについてお話を伺います。
 平泉、ことしは非常に大きな節目を迎えるわけであります。前回の取り組み以降、平泉の観光対策というのは進んできたと思いますが、県として、これまでの平泉に対しての観光対策の成果、それから、依然残っている課題についてどのように認識をしているのでしょうか、まずお聞きしたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 平泉の観光対策の成果と課題についての御質問でございますけれども、平泉の観光対策といたしまして、これまでに、関係部局や広域振興局、地元市町村等が連携いたしまして、ハード、ソフト両面での整備、検討、取り組みを進めてきております。
 まず、ハード面でありますけれども、世界遺産登録を見据えて優先的に整備いたしました平泉周辺地域の3カ所への全県観光案内板の整備ですとか、あるいは中尊寺通りの電線地中化等の町並み景観の形成、こういった取り組みを進めてまいりました。
 それからソフト面では、平成20年度から3カ年間実施してまいりましたいわて・平泉観光キャンペーンによる情報発信の強化、ボランティアガイド育成のための研修会、それから地域限定通訳案内士の確保、育成のための試験制度の導入あるいは研修会、こういった取り組みを行ってきたところであります。
 こういったハード、ソフト両面の整備によりまして、例えば町並み整備に向けての地域住民の自発的な取り組みが見られるようになってきたということですとか、そういったことを含めて、誘客に向けての地元の機運が盛り上がりを見せていると考えているところでございます。
 今後の課題につきましては、平泉の魅力を高めて、さらなる誘客ということに向けて、まち歩きを楽しめるような、地元を主体とした町並みの整備ですとか、あるいはガイドの充実といったようなハード、ソフト両面でのさらなる取り組みが必要と考えているところでございます。
 また、平泉の世界遺産登録の効果というものを全県に波及させて、県内全域への誘客を定着させるということが課題と認識しているところでございます。
〇岩渕誠委員 成果について、いろいろボランティアガイドのお話がありました。きのうも紙芝居の「きよひらくん」ですか、これの読み聞かせ隊というのが大分広がってきたようでありまして、それをぜひ常設化して、平泉のこれからの観光シーズンにはそういった方々が定時でもそういったものに触れられると。せっかくつくってきたわけですから、そういうふうなきめ細かなこともやっていただきたいと思います。
 一方で、平泉をもう少しわかりやすくという観点からいいますと、やはり史跡、まさに跡なんですね。何もないところをどうやって見せていくかということについては本当によく考えなければならない課題がまだまだあると思います。以前も指摘しましたけれども、バーチャル系の適用とかいろいろなことを考えていかないと、まだまだ課題はあると思いますが、これは指摘にとどめます。
 一方で、今回いろいろ見ていますと、平泉の観光振興対策とかDCについていろいろやってきて、この辺はいろいろ進むのだろうと思うんですが、観光という観点からいうと、根本的なところが私はちょっと進んでいないと思うんです。それは何かというと、やっぱり食事の問題です。
 実は、12月定例会でも明らかになりましたけれども、岩手に来て、岩手の食べ物というのも非常に大きな魅力だと思うんですが、翻って、岩手県のホテル、旅館で岩手県産米を使っている割合というのは6割しかない。しかも県南はその6割さえも使われていないというのが流通課の調査で明らかになっています。せっかくこれからいろいろお客さんが来たときに、平泉の価値もいい、温泉もいい、でも、食べ物はだめだとなると、これはせっかく来たという魅力を半減させるものでありまして、金色堂を見て、やっぱりおなかも満足しないとよかったとならないわけですけれども、その辺の数字をきちんと把握していますか。
〇戸舘観光課総括課長 今、御指摘のありました食の関係で、委員のお話はひとめぼれの店の指定の話だと思いますけれども、6割という指定の状況だと聞いております。これについては、流通課のほうを中心に指定店の拡大に取り組んでいく姿勢だと聞いてございます。
 それから、宿泊施設だけではなくて飲食店も含めて、これも流通課のほうで調査をしたデータがございますが、ことし1月と聞いておりますけれども、県産米の県内の宿泊施設及び飲食店等での利用率、アンケート調査でございますが、利用店数の割合が92%、使用数量数の割合で92.6%、こういった使用割合になっていると聞いております。
〇岩渕誠委員 いずれ、旅に行っての楽しみは食事もその一つでありまして、せっかくこういうときに、今ひとめぼれのお話を出しましたけれども、やっぱり県産のもの、海のほうに行けば海のものはすぐ出てくると思いますけれども、内陸のほうに来たとき、牛は前沢牛とかいわて南牛とか奥州牛とかありますから、ぜひそういうものを使ってやっていただくように、これから観光客が来るというのが見えているわけですから、そのときにどうするかというのを、それは流通課がやっていますじゃ済まないと思うんです、観光の問題ですから。それはおかみ会とかいろいろあるわけですから、これをぜひ観光サイドとしてもプッシュしていただかないと上がってこないと思いますよ。単価がちょっと張るというのもありますけれども、やっぱり県を挙げておもてなしをするんだというところはそこからスタートだと思うんですが、いかがですか。
〇戸舘観光課総括課長 本県ではぐくまれている豊富な食材というのは本県への観光面での誘客を図る上で大きな魅力の一つだと考えておりまして、私どもは海外も含めて観光PRに参りますけれども、食というものは大きな岩手の宝としてPRをしているところでございます。
 これまで、いわて・平泉観光キャンペーンにおきましても、昨年度と今年度、プレキャンペーンとして首都圏のホテルでいわてフェアというものを開催いたしておりますけれども、この中で本県産の安全・安心な食材、物産の販路拡大、それから首都圏への消費拡大と食の提携で観光PRを行ってきたところでございまして、平成23年度におきましても同様の取り組みを予定してございます。
 それから、岩手県産が首都圏の大手企業に出向いて県産品の販売会等を開催しており、こういったところでも観光PRとあわせて岩手の食というものをPRしております。
 いずれ、これからDCもあるわけですけれども、このDC推進協議会の中には、県内のホテル、旅館といった宿泊施設の団体、それから全国農業協同組合連合会岩手県本部ですとか岩手県漁業協同組合連合会、岩手県酒造組合といったような生産者団体も入っておりますので、そういった中で地元産のものを積極的に使ってお客様をおもてなしするように働きかけてまいりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 最後にします。
 働きかけにやっぱり具体性を持ったほうがいいですね。岩手県のものを何割以上使っているにせよ、岩手お薦めのお店だ、それぐらいはっきりやらないといかんのだと思います、地場で回していくということから考えれば。そして、やはり食べ物は口から入っておいしいかおいしくないか、最近頭で食べている人もいますけれども、基本的に口から食べるものなんですよね。そこで、食べておいしいものはすぐそこから買えるんだと。例えばお肉を食べて、おいしいのであれば、この肉はすぐホテルから、旅館から買えますよ、そういうシステムづくりをきちんと岩手のほうから小まめにやっていかないと、せっかく観光に来た人たちのプラス効果、我々の経済効果としてプラスになっていかないと思うんですが、やっぱりもう少し落とし込んで、数字をきちんと決めてやるぐらいのことじゃないと私は魅力は出てこないと思うんですが、最後に部長から所感を聞いて終わります。
〇齋藤商工労働観光部長 逆に、最近の観光客の方々は、ぜひ岩手のものを食べたいと。夕食のメニューなどで岩手の何々でつくったものとか、宿泊施設においては随分意識的にそういう表記もなされるようになってきました。これを数字の問題にするかというのは非常にデリケートな問題がありますが、私からいたしますと、先ほども宣伝が足りないと言われましたが、もっとそれをアピールする努力というのは必要だと思います。きょう出ましたような議論につきましては、非常にごもっともな御指摘、話ばかりだったわけでございますので、これは今後、DCの会議にも、それからいろいろな場面にも反映させてまいりたいと思います。
 いずれにしても、岩手を挙げて、岩手の食そのものも魅力というのをアピールしてまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 終わりにしようかと思っていましたけれども、岩手に来る人は、岩手のものが何%あるから岩手だというふうに思わないんですよ。岩手に来れば岩手のものが食べられるのが当たり前と思って来るわけです。その中で何割割り引いているのという逆に感じだと思いますよ。何割あるからという部分よりはそれがあるのが当たり前と思って来ているわけですから、そこからやっぱり議論を出発しないとちょっとおかしな方向に行くと思いますので、それは指摘して終わります。
〇工藤勝子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 先ほど、久保孝喜委員の商店街振興という質問の中で高度化資金の問題がございました。関連で質問すればよかったんですが、この場所で簡潔に御質問をさせていただきたいと思います。
 高度化資金の償還猶予等の実態が課長の答弁の中から示されたわけでございますが、かなり厳しい実態にあるということを私も耳にすることがございます。その中で、久保孝喜委員のほうからも、貸し手と借り手という関係を超えて、県としてさまざまな役割を果たしていくべき時期に来ているのではないか、こういったような御提言と御質問がありました。私も同感なんです。
 その中で、さまざま専門員を派遣したり、コーディネート役を務めていくというような御答弁があったんですが、私も実態として、やはりもっと踏み込んだ対応をとっていかなければならない時期にもあるのではないのかと思っております。
 これには、県、市、金融機関、団体等の話もありましたが、同時に国なども巻き込んでいかなければなかなか解決ができないような時期に来ている案件も相当あるのではないかと思っております。結果としては、これが表面化して、償還先送りを重ねていったときに焦げつくということになれば、最悪これは債権放棄であるとか、そういった県民負担に直結してくる問題ですよね。だから、これは先送りしているべき時期なのかという気も私はしております。借りてからどんどん組合から人が抜けていく、代がわりをする、あるいは人がいなくなってしまっているとか、そういう相続の関係とかも複雑に絡んできて、相当これはにっちもさっちもいかない状況にあるということも聞いているものですから、県の見解として、こういったものをやはり、県だけではなくて恐らく相当全国にこういった事例があるのではないですか。よかれと思って導入した資金が、商店街がうまくいかなくてこういう実態に陥っているという実態が全国を探せば恐らくあると思うんです。そういう中で、国がかりでこれをどう解決していくのかということを今していかないと、結果として県民負担に大きくのしかかるという時期にあるのではないかという、個別の話ではないんですが、こういう認識に関してはどう思われますでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 契約どおりの返済ができなくなった貸付先についてでございますけれども、さまざまな段階の貸付先がございます。先ほど申し上げた、まだ再生に向けての余力を残しているところもございますし、そういった力もなくなってしまったところもございます。それぞれ対応の仕方は異なるものがありますけれども、最終的には、税金から貸し付けた貸付金ということで、基本的には全額回収というのが原則になっておりまして、これはクリアするのがなかなか難しいというか困難な条件だと考えております。
 しかし、やっぱり実際そういう償還不能となっているものもございますので、これについては、当事者─貸付先、それから地域の問題、いわゆる地域の商業振興との絡みもございますので、地域の市町村、関係団体との協議に私どもも一緒に入って協議する、そうした上で方向性を定めて、国あるいは国の資金を出しております中小企業基盤機構、そういったところとしっかり相談をして取り組んでいく必要があると思っておりますし、先送りではない、貸付先等の事情も考慮しながら話し合いをしていきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 これで終わりますけれども、まさにそれぞれ個別の案件が違うんでしょうから一概には言えないと思いますが、そういう厳しい状況にある案件もあるということを念頭に入れての話でありました。
 商店街とか地域の活性化を考えていくときには、やっぱり負のものを抱えたまま新たな一歩を踏み出そうと思っても、これは現実なかなかできないというのが恐らく現状だろうと思っております。これはやはり、さらにすると。いろいろな方々の負担とか痛みは当然伴ってくることになろうかと思いますが、それは当然国とか県とか金融機関とか、あるいは法律の専門家であるとか、こういったことを交えて、やっぱりこのスキームを時間をかけて国がかりでつくっていくというようなことが結果的に県民負担を最少に、幾らかでも軽減できるような方策になるんじゃないかというような気がしてお尋ねしております。
 簡単な話ではないと私も理解した上であえて質問しているんですけれども、再度こういった時期等も踏まえて、スキームづくりに向けて積極的に何かアクションを起こしていく、県から国、さまざまなところに提言していく、こういった時期にあるのではないかということをちょっと申し上げておきたいと思うんですが、最後に所感をお伺いして終わりたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 貸付先の状況なども十分しんしゃくして、国、関係団体と相談して進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子副委員長 質疑がないようでありますので、これで商工労働観光部関係の質疑を終わります。
 商工労働観光部の皆さんは退席されて結構です。大変御苦労さまでございました。
 次に、労働委員会事務局長から労働委員会関係の説明を求めます。
〇小川労働委員会事務局長 労働委員会関係の予算につきまして御説明申し上げます。
 便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げますので、説明書の140ページをお開き願います。第5款労働費第3項労働委員会費のうち、1目委員会費3、259万6、000円は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要する経費であり、委員15名に対する報酬及び旅費等の事務費でございます。2目事務局費7、186万7、000円は、事務局の管理運営に要する経費であり、事務局職員10名の人件費及び旅費、需用費等の事務費でございます。
 以上で労働委員会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇工藤勝子副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子副委員長 質疑がないようでありますので、これで労働委員会関係の質疑を終わります。
 労働委員会の皆さんは大変御苦労さまでございました。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時44分 休 憩
   午後3時3分 再 開
〇五日市王委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 3月3日の議会関係の審査において、工藤大輔委員から申し出のありました斉藤信委員の発言の訂正を求める件について、3月3日、昨日及び本日、世話人会を開催いたしましたので、その協議結果を御報告いたします。
 工藤大輔委員から申し出のありました斉藤信委員の発言の訂正を求める件については、斉藤信委員から、その発言の趣旨を確認した上で、次の事実関係、すなわち、一つ、民主党としては、マニフェストに掲げたとおり、平成19年度以降、議員派遣による海外行政視察は実施していないこと。一つ、平成19年度において、当時の民主・県民会議から議会運営委員会の場で海外行政視察の凍結についての提案があったが、合意が得られなかったこと。一つ、岩手県議会としては、平成20年度及び21年度に各1回の議員派遣による海外行政視察の決定を行っていること。
 以上3点について改めて確認し、その発言の訂正は必要ないとの結論に至りましたので、御了承願います。
〇工藤大輔委員 私は、議事進行の中で、斉藤信委員の発言が、民主党が4年前は海外視察は中止という公約を掲げましたが、これは残念ながら4年間で中止できなかったのは極めて残念だ、こういうものこそ、みずから襟を正してやるべきだったのではないかと思いますと、この発言に対して議事進行をかけたんです。
 それで、中身からすると、何に対してだれが襟を正してやるべきかと。その後、さまざまな発言があったわけですが、要は、後づけの説明をすれば何でも正論として通るんだと。また、議会の申し合わせの中でも、前にもあったようなんですけれども、事実関係を確認すれば、事実と全く違うことであっても発言を撤回しなくてもいい、訂正しなくてもいいということであるのは私は問題だと思うんです。
 また、一つの会派が、特定の会派がマニフェスト、公約が100%達成できなかったからといって、それを公約に反しているという指摘をし合うというのはフェアじゃないですし、そういった発言は慎みながら議会の場で質問をしていくというのが本来の形だと思いますので、これは強く指摘したいと思いますし、このような発言が今後ないように、委員長からは、委員席にもおりますけれども、注意をしていただきたいと思います。
 委員長また世話人の方々がこの件について御尽力いただきましたので、結果、訂正は求めないということに決まったということは、私からすると極めて残念なことですけれども、了としたいと思います。
〇五日市王委員長 ただいまの発言の趣旨を踏まえて、今後の発言をしていただきますようにお願いを申し上げます。よろしいですか。
 次に、企業局長から企業局関係の説明を求めます。
〇千葉企業局長 企業局関係の予算について御説明申し上げます。
 まず、お手元の議案の説明に入る前に、平成23年度の事業運営に当たっての基本的な考え方について申し上げます。
 平成23年度の事業運営に当たりましては、公営企業の経営の基本原則である経済性の発揮と公共の福祉の増進を基本とし、長期経営方針に掲げる信頼性の確保、経済性の確保、新規開発、地域貢献、組織力向上の五つの基本方針に基づきながら、第3次中期経営計画による取り組みを着実に推進し、クリーンな電力と良質な工業用水を引き続き安定供給するとともに、施設の適切な維持管理のもと、修繕費のコスト縮減を図るなど健全経営の維持に努めることとしております。
 電気事業では、昨年、東北電力と締結した電力受給に関する基本契約により、健全で安定的な経営基盤が維持されているところであり、引き続き、仙人発電所電気設備の大規模改修など、施設や設備の計画的な修繕、改良を実施しながら、安定した電気の供給に努めることとしております。
 新規開発では、建設中の胆沢第三発電所及び新たに建設に着手する胆沢第四発電所の工事を着実に進めるとともに、国で導入が検討されている再生可能エネルギーの全量買取制度の影響を勘案しながら、中小水力発電等の開発、調査を引き続き推進するほか、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用し、一般会計及び市町村等のクリーンエネルギー導入事業の支援など、地域貢献にも努めてまいります。
 また、工業用水道事業では、入畑ダム工業用水道の水源の一部を農業用水源として有償譲渡することによって資金繰りが改善されることから、長期的に安定した経営が維持できるよう見通しながら、工業用水道の料金体系の見直しと料金の値下げを実施し、厳しい経営環境に置かれている立地企業を支援してまいります。
 それでは、議案について御説明申し上げます。
 議案その2の60ページをお開き願います。議案第15号平成23年度岩手県電気事業会計予算についてであります。
 第2条は、業務の予定量でありますが、第1号の年間販売目標電力量は、胆沢第二発電所ほか12発電所の目標電力量の合計を5億4、979万1、000キロワットアワーと定めようとするものであります。第2号の主要建設事業は、胆沢第三発電所及び胆沢第四発電所の建設工事を実施しようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款電気事業収益は45億9、800万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業収益43億5、120万円余は、水力発電所12カ所の電力料収入などであり、第2項の財務収益1億7、219万円余は株式配当金などで、第3項の附帯事業収益5、591万円余は、稲庭高原風力発電所の電力料収入であります。
 次に、支出の第1款電気事業費用は42億926万円で、その主な内訳でありますが、第1項の営業費用39億2、590万円余は、職員給与費、修繕費及び減価償却費などであり、第2項の財務費用1億5、297万円余は、企業債の支払い利息などで、第3項の附帯事業費用6、058万円余は、稲庭高原風力発電所の運転管理費用であります。
 この結果、収入と支出を差し引きまして、利益は税込みで3億8、874万円余が見込まれるものであります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。62ページをお開き願います。収入の第1款資本的収入は21億7、701万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の補助金6、711万円余は、胆沢第三発電所の建設事業に対する国庫補助金であり、第2項の負担金1億4、083万円は、仙人発電所共有施設工事等負担金などであります。第3項の長期貸付金償還金9億6、806万円余は、一般会計などからの貸付金償還金であり、第4項の投資償還収入10億100万円は、平成21年度に購入した国債の償還であります。
 次に、支出の第1款資本的支出は42億133万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の建設費2億5、712万円余は、胆沢第三発電所及び胆沢第四発電所の工事費などであり、第2項の改良費12億8、428万円余は、各発電所の設備の改良及び更新に要する経費であります。
 第4項の企業債償還金4億5、244万円余は、企業債元金の償還金であり、第5項の長期貸付金1億8、606万円は、工業用水道事業会計へ貸し付けを行うものであります。
 第6項の投資20億400万円は、資金運用に当たって国債を購入するものであり、第7項の繰出金956万円余は、知事部局が実施する地球温暖化防止対策の普及啓発事業などに充てることとして、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金から一般会計へ繰り出しするものであります。
 次に、第5条の債務負担行為でありますが、これは、胆沢第三発電所の電気設備建設工事ほか3事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 第8条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであります。
 以上で電気事業会計の予算の説明を終わります。
 次に、64ページをお開き願います。議案第16号平成23年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
 第2条は、業務の予定量であります。北上工業団地及び岩手中部工業団地に立地する18事業所に対する給水量について、年間総給水量を1、553万2、674立方メートルに、1日平均給水量を4万2、439立方メートルにそれぞれ定めようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款工業用水道事業収益は10億566万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業収益10億468万円余は給水収益などであります。
 次に、支出の第1款工業用水道事業費用は9億3、230万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業費用8億3、001万円余は、職員給与費、委託費及び減価償却費などであり、第2項の財務費用9、921万円余は、企業債の支払い利息などであります。
 この結果、収入と支出を差し引きまして、利益は税込みで7、335万円余が見込まれるものであります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は9億4、461万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の企業債5億7、250万円は、各工業用水道施設の建設改良資金を借り入れしようとするものであり、第2項の他会計からの長期借入金3億7、211万円余は、一般会計及び電気事業会計から借り入れをしようとするものであります。
 次に、支出の第1款資本的支出は13億975万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の改良費5億7、256万円余は、各工業用水道施設の改良及び更新に要する経費であり、第2項の企業債償還金4億9、312万円余は企業債元金の償還金で、第3項の他会計からの長期借入金償還金2億4、406万円余は、一般会計などへの償還金であります。
 次に、第5条の債務負担行為でありますが、これは、第二北上中部工業用水道の取水ポンプ等更新工事ほか3事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 66ページをお開き願います。第7条は、一時借入金の借り入れ限度額を3億7、300万円と定めようとするものであります。
 第9条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであり、第10条は、資本的収入額が資本的支出額に対して不足する額の補てん財源として、平成23年度の利益剰余金を充てることができるよう、あらかじめ処分する使途と金額を定めようとするものであります。
 以上で工業用水道事業会計の予算の説明を終わります。
 なお、これらの予算に係る実施計画、資金計画、給与費明細書、債務負担行為に関する調書及び財務諸表につきましては、予算に関する説明書の442ページから492ページに記載しておりますが、説明は省略させていただきます。
 次に、予算関係以外の議案について説明をさせていただきます。
 議案その3の102ページをお開き願います。議案第42号県営工業用水道料金徴収条例の一部を改正する条例についてであります。県営工業用水道料金につきましては、先ほど説明したとおり、入畑ダムの水源転用代価により資金繰りが改善される見通しが立ったことから、料金を値下げしようとするものであります。
 改定する条例の内容についてでありますが、第3条第2項第2号及び同条第3項第2号は、工業用水の料金とろ過料金の料金の種別に使用料金を加えようとするものであります。また、別表についてでありますが、第一北上中部工業用水道及び第二北上中部工業用水道において、工業用水の料金の基本料金を42円に改め、使用料金を3円にしようとするものであり、ろ過料金については、基本料金を35円に改め、使用料金を3円にするとともに、超過料金を削ろうとするものであります。
 なお、この改定に当たっての今後の経営見通しにつきましては、収益的収支において、平成24年度は水源転用に伴う固定資産売却損によって一時的に欠損が生じるものの、その後は黒字を継続できるよう、また、資本的収支においても資金不足を来たすことのないよう見込んでいるところであります。
 以上で企業局関係の議案の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇五日市王委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋元委員 私から、ただいま説明のありました工業用水の水道料金の値下げの関係について、何点かお尋ねしたいと思います。
 企業局におかれましては、昨年の9月の決算議会でも、累積債務を解消されたということの報告がありました。単年度でも黒字化ということで、その経営努力というものは非常に評価されるのではないかと、まずもってそのことをお伝えしたいと思います。
 今回、工業用の水道料金の改正条例について提案があったわけであります。この件につきましては、昭和53年の給水開始以来初めてのことということで、先月の概要説明の際にもそのような説明を受けたわけであります。また、昨年の決算特別委員会でも我が会派の関根委員からもこの水道料金のことについても質問があったり、私自身も、この料金体系というものを含めていろいろお尋ねした経緯もあるんですが、いずれ、県内の経済、景気が低迷している中で、こういう値下げということは非常に歓迎するところだと私は思っております。ただ、今後の経営についてどのような見通しを立てたかということは、ただいまも若干説明がありましたけれども、そういったことを含めて、何点か少し掘り下げてお尋ねしたいと思います。
 まず、この財源ですが、平成24年度に入ってくる入畑ダムの水源転用による代価とされておりますけれども、その経緯を確認しておきたいと思います。
 入畑ダムの水源転用はなぜ必要だったのか。それから、企業局としての考え方もあったと思うわけでありますけれども、その内容、企業局が応じた理由はどうだったのかということをまずお示しいただきたいと思います。
 また、この水源転用は地元としてのメリットもあったものと想定されますけれども、地元農家の負担というものはどうなっているのか示していただきたい。
 企業局としては、この水源転用により水利権が減少することになると思いますけれども、今後、工業用水の水源に不足が生じ、企業の誘致活動に支障が出てこないのかという心配もあるわけでありまして、その点についてお尋ねしたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 まず、入畑ダム水源転用の経緯と理由についてでありますけれども、平成16年に東北農政局から、入畑ダムの工業用水道水源を国営かんがい排水事業和賀中部地区の農業用水へ転用することについて申し入れがあったものであります。企業局としては、水源の有効活用によって事業規模が適正化され、これによって経営の好転が見込まれ、工業用水を使用する企業にも還元できること、また、同時に農業関係者の農業振興にも資することができることから、関係者全体で利益が得られるものと考えまして、この転用の申し入れに応諾することとしまして、平成17年12月に覚書を締結しているものでございます。
 転用する時期については、平成24年4月の予定で、日量5万2、000立方メートルの入畑ダム工業用水道水源のうち、3万5、000立方メートルを26億7、200万円で譲渡するという内容でございます。
 次に、地元農家の負担についてでありますけれども、所管している農林水産部からは、国営かんがい排水事業の実施に当たっての地元農家の事業費負担割合は4%であり、既に地元から同意を得て事業が進められていると聞いてございます。また、水源転用後の工業用水の水源の状況についてでありますが、工業用水の水利権は、現在は全体で日量9万3、600立方メートルでありますが、水源転用後は日量5万8、600立方メートルとなります。これに伴いまして、現時点で見込める供給余力は全体で日量1万2、000立方メートル余りとなりますが、東芝新工場の立地を見込んでも、当面は現在の供給余力で対応が可能であると考えております。
〇高橋元委員 平成17年ということで、私の任期前にそういう経過があったということをここで初めて知ることができました。
 次に、工業用水道事業でありますけれども、平成21年度で累積欠損を解消したということを先ほども紹介しましたが、本年度も資金不足が生じているということが先ほどの提案の中であったわけでありますけれども、そういう観点からすると、経営状況というのは依然として厳しいものがあるのではないかと思われるわけであります。今回の料金の値下げはユーザーにとっては非常にメリットがあるわけでありますが、その一方で、企業局としてはリスクを背負うものではないかということも思うわけであります。入畑ダムの水源転用代価を財源にということでありますけれども、具体的にこの財源をどのように算出し、また、料金改定後の経営見通しをどのように立てているのか、その点についてお示しいただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 料金値下げの財源は、入畑ダムの水源転用代価26億7、200万円のうち4億円余りを見込んでおります。具体的にどのように算出したかということについてでありますけれども、基本的には、今後10年間に必要となる維持修繕などの費用と、企業債等の償還のための資金を確保した上で、残りのすべてを料金値下げの財源とする考えで算出しております。
 水源転用がないとした場合の今後10年間の経営を見通したところ、平成28年度までの6年間は、現在のように資本的収支において企業債等の償還資金が不足する状態が続きますが、その後は企業債等の償還が減少していくことから、資金不足は生じない見通しであります。
 このような見通しのもと、資金の不足が見込まれる平成28年度までの期間に補てんが必要となる額を算出したところ、6年間で12億4、500万円余であり、これに、水源転用による国庫補助金返還金8億4、000万円余、企業債の繰り上げ償還金1億3、000万円余を含めると、22億2、500万円余の資金が必要になると見込まれております。したがいまして、入畑ダム転用代価26億7、200万円から、この22億2、500万円余を差し引いた残りの4億円余、1年当たりにしますと7、000万円余が料金値下げの財源として活用できると見込んだものであります。
 次に、料金改定後の経営見通しについてでありますが、このように、今後の維持修繕などの費用や、企業債等の償還に支障が出ないように的確に資金需要を見通した上で、最も資金繰りが厳しい年度に資金が枯渇しないぎりぎりまで料金を下げようとするものでありまして、経常収支においてもおおむね黒字が維持できると見込んでおります。
 なお、平成24年度は、入畑ダム水源転用による固定資産売却損によりまして一時的に3億円余の欠損金が生ずる見込みでありますが、現金支出を伴う損失ではないため、経営に直接影響は及ぼさないものと考えております。
〇高橋元委員 いろいろ料金を算定して、ぎりぎりのところで還元の部分を最大限に計算したということであります。そのことによって、今後、計算に狂いが生じないことを願っておるところでございます。
 冒頭にもお話ししましたが、以前からこの料金体系は、基本水量というんですか、ずっと責任水量制でありました。それで値下げも、企業ですから、例えば経営環境の悪化等によって操業が落ちたときにも同じ水道料金をずっと払ってこなきゃならなかったと。そこで、従量制というんですか、これの導入も含めて値下げの要望というものも過去にもいろいろあったというお話も聞いているわけであります。その中で出てきたのは、さまざまな施設が老朽化してきて、その維持補修にも多額のお金がかかるのだと。そうそう値下げも難しいという説明を私も受けておりましたが、その関係からも、今後の安定供給に欠かせない施設、設備のメンテナンス、この辺についてどうなのかと心配しているところであります。
 その関係からお尋ねしたいんですが、昨年の決算特別委員会でもこの点について質疑が交わされておりますけれども、工業用水道事業は昭和53年の給水開始以来、古いものでは30年以上経過しているということであります。近年には漏水も発生するなどの老朽化が進んでおり、費用が増嵩することが考えられ、経営状況は厳しくなっていくものではないかと心配されるところでございます。今回の料金改定に当たって、今後の維持改修等に必要な経費をどのように見込んで施設の維持管理を行っていくのか、その辺の考えをお示しいただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 施設の今後の維持修繕等ということでございますけれども、今回の料金改定に当たって、将来必要となる維持修繕などの費用を的確に把握するため、まず、維持修繕工事等の10カ年計画を精査するとともに配管の劣化度調査を行っております。この結果、平成23年度から32年度までの10年間に、高圧受電設備やポンプ、機械の制御装置など、工業用水道施設の中でも高額なものの更新が控えておりまして、改良費として40億8、000万円余の費用がかかる見込みでございます。また、これのほか修繕費9億5、000万円余、委託費12億9、000万円余が必要になると見込んでございます。これらの経費を織り込んでも、料金改定後は資金面でも不足が生じる年度はなく、経常収支においてもおおむね黒字が維持できる見通しであります。
〇高橋元委員 ただいまの説明を聞いて安心したということであります。3年なり5年して、また料金が戻りましたということでも非常に困るわけで、10年先を見通しながらもきっちりとした料金値下げに向けてさまざまな検討をされたということで、これは大変御苦労さまでございます。ぜひ、今後ともひとつこの経営が安定するように御努力をお願いしたいと思います。
 最後に、工業用水道料金の改定もそうでありましたけれども、地方公営企業として健全な経営を維持していくためには、常に中期的な視野に立った経営を進めていくことが大事である。今、10年計画というようなお話もありました。電気は、地球温暖化対策という観点からも再生可能エネルギーに大きな期待が寄せられ、その開発に向けての動きも活発化しており、これらに対応していくことも重要であります。電気、公水ともに本年の事業を踏まえ、平成23年度についてどのようなところに重点を置いて取り組むのか、平成23年度の企業局としての重点的な取り組みについてお尋ねしたいと思います。
〇千葉企業局長 本年度を踏まえまして、平成23年度の重点的な取り組みについてでありますが、ただいま委員から御指摘がありました中長期的な視点で取り組むということのために、企業局では長期経営方針のもと中期経営計画を策定し、年次別に経営目標を定めているところであります。本年度は、最大の課題でありました工業用水道料金の見直しを行いましたので、来年度は、この改定案のもとで健全な経営が維持できるよう、入畑ダムの水源転用に係る関係機関との諸手続を着実に進めるほか、これまで、累積欠損金を抱えたままではなかなか着手できなかった取水ポンプ等の大規模な更新工事にも取りかかることとしておりまして、施設の改良、修繕を重点的かつ計画的に実施してまいります。
 また、電気事業では、お話のありました再生可能エネルギーの開発につきまして、胆沢ダムのところで進めてまいりました胆沢第三発電所の基礎工事がいよいよ今月から始まります。さらには、その下流に胆沢第四発電所を整備することにしまして、今議会に設置議案を提案させていただいているところであります。来年度は、これら工事が本格化するということから、特命課長を配置するなど体制も整備して進めていくことにしております。
 こうした取り組みに加えまして、電気、工業用水ともに安定供給が第一でありますので、中期経営計画で定める経営目標を達成できるよう、万全を期して取り組んでまいります。
〇高橋元委員 企業局の会計については、県の財政の部分で非常に大きな貢献をしていただいておりますし、また、その事業を通じて県民のさまざまな事業展開、あるいは県民生活も守られている、向上していると私は思っております。ぜひとも、今後においても御努力を続けていただいて、強い経営体質を今後も期待したいと思います。終わります。
〇平沼健委員 2点お尋ねします。
 稲庭風力発電について先にお尋ねいたします。
 ただいま企業局長から説明がありました。61ページにも載っておりましたけれども、風力発電は、昨年と同じようにことしも赤字ということが確実に数字上からは出ておるわけでして、今までずうっと稲庭風力発電をやってきて、黒字というときがあったかどうか、ちょっと私は記憶にないんですけれども、そういうことで、これまでの赤字だった要因といいましょうか、原因といいましょうか、それと、これまでの累積収支というものを伺いたいと思います。そして、今後の運転と収支改善の見通しもあわせてお示し願いたいと思います。
 最後に、これまで稲庭風力発電をやってきていろんな経験があると思うんですけれども、風力発電の将来見通しといいましょうか、そういうものをどのように考えているのか、あわせてお聞かせください。
〇榎電気課長 風力発電の赤字の要因ですけれども、平成22年度の上期はほぼ目標どおりの運転実績でありましたが、下期は、風況に恵まれなかったことに加え、昨年12月に2号機のブレードが落雷により損傷したことにより12月27日から運転を停止しているため、供給電力量及び電力料収入が目標を達しないものであります。
 次に、これまでの累積の収支についてですが、平成21年度末の実績で3、100万円余の累積欠損、平成22年度の赤字1、000万円余を加え、年度末で4、100万円余の累積欠損になる見込みであります。
 次に、稲庭の風車発電機は主に冬季に落雷によって被害を受けております。冬の雷は夏の雷に比較してエネルギーが大きいという性質があり、落雷による被害も冬のほうが甚大となります。計画当時の知見では、冬季の落雷は日本海沿岸部に限られ、稲庭地点のような海岸から遠く離れた内陸部では発生しないものと考えられておりました。
 落雷によるブレードの損傷の対策としては、ブレードの先端を金属製のものに改良するなどの方法がありますが、多額の工事費がかかるため、費用対効果を考慮すると、これまでと同様に、その都度修理しながら運転を継続したいと考えております。
 今回の2号機のブレードの損傷については、冬期間は風が強く工事ができないので、雪解け後の5月から6月ごろに補修工事を実施する予定であります。
 なお、ブレードの損傷の修理費が収支を悪化させている要因の一つですので、他の風力発電事業者から情報収集するなどして、経費が抑えられる修理方法を検討するなど収支の改善に努めていきたいと考えております。
 次に、今後の風力の新規開発の見込みですけれども、最近の開発の動向としては、平成22年度に東北電力が新規風力発電の募集を行い、募集量27万キロワットに対して、10倍近い約257万キロワットの応募がありました。なお、岩手県内においても、民間事業者により計画の応募があったと聞いておりますが、最終的な連系候補者はまだ公表されておりません。また、国では、風力や太陽光による発電の拡大を目指して、再生可能エネルギーの全量買取制度について導入を進めており、そういった面でも新規の風力開発は促進されるものと考えております。
 岩手県内においては、希少猛禽類や発電した電気を送るための送電線等の問題があり、開発が可能な地点は限られておりますが、国の施策や電力会社の募集動向に注視していくとともに、県内で新規開発に向けて調査を行っている民間業者と情報交換しながら、県内での開発が進むよう努めてまいりたいと考えております。
〇平沼健委員 私は、こういう自然エネルギーというのは否定はしません。やっぱりこれはふやしていくべきだと思っております。
 ただ、やっぱりこれだけ稼働率が落ちるわけでしょう、落雷とか風況変化ということでしょうから。そうしたときに、つい最近の新聞にも出ていましたけれども、これは全国各地が同じような状況のようなんですね。赤字だというか、稼働率が悪いというか、ブレードに損傷を受けるとかですね。これは、契約のときの問題だと思うんですけれども、あれだけの施設ですから、当然、落雷はあるわけですよね。ただ、それを避雷針とかいろんな形で逃がすというか、あるいは風況にしたって、1年以上調査してやるわけですから、ああいう風力発電機等を含めて、ブレードを含めて設置するときには、やっぱりこれはメーカーとの契約ということはあると思うんですが、メーカー責任というのはどの辺まで問えるんですか。これはやっぱり全国的なことでしょうから、その辺はどうなんでしょうか。
〇池内企業局技師長 稲庭高原風力発電所は平成13年に営業運転を開始しておりますけれども、その当時、平成10年あたりから風力発電が一種のブームみたいになり、非常に多く各自治体も導入してきたというような経緯がありますが、もともと大きな風車というのはヨーロッパ製の風車でした。ヨーロッパだと、やはり日本の気象条件の違いといったこともあって、現在でも多くの自治体でそういった稼働率が低いというような状況があるかと思います。
 メーカーの責任ということでございますけれども、当初は、稲庭高原風力発電所も非常に機器故障が続いたということで、我々も非常に問題視しておりましたけれども、メーカーの責任でもって制御装置といったものを国産のものに取りかえるということもやっております。ただ、何分、雷とか風の吹き方といったものは自然現象であって、そこまでメーカーに責任を問うことはできないのではないかと考えております。
〇平沼健委員 何か、それではちょっと弱いんじゃないのかな。ああいう施設をつくっているメーカーというのは、ヨーロッパでもどこでも落雷は当然あるわけだし、全部これは想定するわけですよ、メーカーですから。だから、ヨーロッパだからそういうことができないといったって、買うときには中間に商社とかが入るわけでしょう。どこかにそういうリスクをかけて、それは設置するということが普通でしょうから、何も、壊れたから自分たちの責任だということで修理したり、交換したり、何か、それでは余りにも甘いと私は思いますよ。その辺はどうなんですか。
〇池内企業局技師長 落雷のことにつきましては、多少専門的なことを御説明させていただきたいと思います。
 稲庭高原風力発電所は平成13年の営業運転開始以来、40回程度雷が落ちております。そのほとんどは冬場の雷です。夏の雷が落ちたのは2回ぐらいかと思います。そのほかは10月から3月ぐらいにかけての冬場に落ちております。世界的に冬場に雷が落ちる地域というのは、地球上でも大体2カ所に絞られていると言われています。それは日本海沿岸とノルウェーのところと言われております。
 このヨーロッパ製の風車は、そういった冬場の雷ということまでは想定してなかった。そういうようなことが実際に日本に来て運転してみてわかったということもありますので、その辺のところを考えて、そこまでヨーロッパのメーカーに責任は問えないのではないかと考えております。
〇平沼健委員 私は不勉強ですからちょっとわかりませんけれども、夏場の雷と冬場の雷は違うんですか。それをちょっと教えてください。
〇池内企業局技師長 ちょっと説明不足でした。雷というのは積乱雲によって起きるわけですけれども、夏場の積乱雲というのは非常に高く、雲のてっぺんでいくと1万メートルを超えるような大きな積乱雲で雷が落ちるわけですけれども、雷雲の雲底のところは1、000メートル以上3、000メートルぐらいまであると言われていますが、冬場の雷は、日本海を渡ってきた湿った空気が上昇気流を起こしてできる積乱雲で、夏の雷雲に比べるとかなり低くて、雲底も100メートルとか500メートルという随分低い雷であるということで、風車が回ると、羽根の先は100メートル近くまで回っていくわけですけれども、そういったような関係で冬場の雷は風力発電所に対してはいろんな悪さをするということがわかっております。
〇平沼健委員 私はよくわからないからあれですけれども、ただ、違うとすれば、メーカーですから、一番強烈なところに強度とか避雷というか、そういうものを設定するのが当たり前だと思うんですけれども、それはそれでよくわかりませんけれども、やめます。
 もう一つ、先ほど高橋委員からも話がありました工業用水について若干お尋ねいたします。
 今回、水道料金を値下げをすることのようでございますけれども、値下げについては別に文句はないんですが、ただ、値下げをするにしても、工業用水道会計としては企業債と他の会計から借入金がありますね。今現在で借入金が60億円弱あるわけです。やっぱりこういうものを返済してからということであるべきではないのかと私は思ったものですから、こういう質問をしているんですけれども、今、こういう水道料金の値下げというものを、18社ですか、コストを何ぼでも軽減するというような話をさっき聞きましたけれども、それも本当に大事なことだけれども、まず、この借り入れというものの残高を減らすのが先ではないのかと思って質問いたします。借り入れの償還の見通しもあわせてお聞かせいただければと思います。
〇菅峨業務課総括課長 工業水道料金をなぜ今値下げしなければならないかということですけれども、工業用水道事業は、長年にわたって経営の健全化に取り組んだ結果、平成21年度決算で累積欠損金を解消し、将来的にも黒字経営が継続できる見通しであるなど、事業運営の節目を迎えたところでございます。また、平成24年度に入畑ダム工業用水道水源の一部を農業用水源へ転用することとしており、これにより工業用水道会計の資金繰りが改善されて、料金値下げの財源としても活用できるめどがついたところでございます。
 さらに、平成21年度と22年度は、一般会計が負担し、雇用対策として料金の一部を減免しているところでありますが、立地企業は、国内外での受注競争やコスト縮減など、依然として厳しい経営環境に置かれていることから、産業振興の面からも、切れ目のない支援策を講じていく必要があります。
 これらのことから、入畑ダム水源転用による資金を、工業用水道事業が今後も安定的に経営できる範囲内で立地企業に還元することとし、平成23年度に前倒しして料金を値下げするものであります。
 なお、料金の改定案は、今後の維持修繕等の経費や企業債等の償還に支障が生じないよう的確に資金需要を見通した上で算出しておりまして、料金改定後も資金が不足する年度はなく、経常収支においてもおおむね黒字が維持できるものと見込んでおります。
 今後の企業債の償還の見込みですけれども、平成22年度の7億6、200万円余をピークに、その後逓減していく見通しでございます。
〇平沼健委員 今のお話ですと、資金繰りに影響がないということのようですけれども、ただ、これは企業会計ですので、それで私はあえて言っているんですけれども、やっぱりこういう借り入れ残というものを減らしていくということが先だと思うんですよ、企業会計ですから。
 あと一つ、産業振興のために軽減するんだというお話でした。それも本当にそのとおりだと思います。ただ、県内でも中小企業を含めていろんな企業がたくさんあるわけでして、そうすると、工業用水を使えない地域にある企業もたくさんあるわけですね。そういうところはどうしているかというと、月何百万円も、上水道といいましょうか飲料水、例えば市なら市のそういうものを大量に使って運営しているわけですよね。そういうところに比べて工業用水を使っている工業用水の単価というのは高いんですか。安いですよね。だから私は言っているんですよ。同じ県内にあって、同じような産業界で、確かに産業振興ですよ。そういうところの公平性といいますか、そういうことも多少は考えて、まず、自分のところの借入金を減らすんだということがやっぱり大前提だと私は思うんですが、その辺をもう一回、くどいんですけれども、いかがでしょうか。
〇菅峨業務課総括課長 その転用代価なり料金値下げの原資を企業債等の繰り上げ償還に活用すべきじゃないという話だと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、企業債等の償還は平成22年度をピークにその後逓減していく。平成29年度以降は償還額が今よりもおおむね半減して4億円程度となる見込みでございます。このような見通しと、企業からの料金値下げに関する要望、あるいは依然として厳しい経営環境に置かれている企業の現在の状況を踏まえまして、補償金を支払って企業債を繰り上げ償還するよりも、前倒しで料金を値下げするほうが工業用水道事業の目的にかなうと判断したものでございます。
 もう一つ、工業用水の料金の公平性ということですけれども、確かに一般の水道料金に比べて工業用水は安いわけでございますけれども、工業用水道事業は、工業の健全な発達に寄与するため、工業の用に供する水を大量、安価に供給することとされておりまして、県の計画で、工業の振興による雇用機会の拡大と県民所得の増大を図ることを目的に整備することとした北上工業団地、岩手中部工業団地を給水区域として工業用水を供給しているものであります。
 工業用水は、こうした工業団地のように限られた区域に集中して用水を供給することにより、一般水道に比べて安価な価格で供給が可能となるものでございます。したがいまして、新たな区域で事業を行う場合には多額の設備投資が必要となりまして、一般会計の負担も伴いますので、県の産業振興施策としての位置づけや、工業用水道事業の経営が成り立つ必要があると考えてございます。
〇平沼健委員 そういう趣旨は理解します。ただ、企業会計ですので、くどいんですけれども、やっぱり借入金を減らすということが大前提じゃないんですかという思いでそういうお話を申し上げました。
 もう一件、企業債の償還元金原資として、一般会計と電気事業からそれぞれ1億8、600万円借り入れるわけですね。これと今のお話との整合性というか、それはどうしてなのかなという思いでいるんですけれども、その説明をしていただきたい。その償還をどうするのかもあわせてお聞かせください。
〇菅峨業務課総括課長 一般会計と電気事業会計から借り入れして、前倒しで料金を値下げするということについてですけれども、入畑ダム工業用水道水源の一部を農業用水へ転用する時期は、平成24年4月とする方向で東北農政局と具体的な協議を進めているところでありますが、東北農政局から、転用代価を平成23年度と24年度の2カ年に分割して支払いたいという申し出がございました。また、工業用水を利用する企業は、先ほども申しましたように、厳しい経営環境に置かれているということで、平成21年度と22年度は、雇用対策として料金の一部減免をしてきたところでありますけれども、引き続いて切れ目のない支援策を講じていく必要があると考えて、前倒しして平成23年度から料金を改定しようとするものでございます。
 なお、平成23年度の借入金につきましては、平成24年度の水源転用までのつなぎ資金として借り入れするものでありまして、この借入金は、平成24年度に転用代価が得られた後に、速やかに返済することとしております。
〇斉藤信委員 私も、最初に工業用水道事業について、平成21年度、22年度は前倒しで、これは政策経費で、県庁の政策判断だったと思いますが、1億円のいわば値下げをやりました。この効果はどういうふうに図っているのか、これが第1点。
 第2点に、岩手県の工業用水の使用量、料金は全国と比べて高いのか、安いのか、これを示してください。
〇菅峨業務課総括課長 料金減免の効果についてでございますけれども、平成21年度、22年度は10%の減免ということで、一般会計の負担で実施したものでありますけれども、工業用水の使用状況で見ますと、リーマンショックを背景とした世界的な経済不況を受けて、平成20年11月以降大きく減少し、平成21年2月を底に、対前年度比で10%以上の減少が平成21年5月まで続いております。その後、平成21年11月以降回復基調に転じたものの、平成22年度は一部ユーザーの減産により対前年度比12.9%の減となっておりますが、これは、この一部ユーザーを除けば対前年度比で0.9%の増となっておりますので、一定の効果はあったものと考えてございます。
 もう一つですが、全国との料金比較についてでございますけれども、工業用水道料金につきましては、水源や水質、規模等が異なりますので、一概に比較することは難しいわけですが、本県の場合、事業開始時期が全国の中で後発であるということと、水源をダムに求めているため、全国水準と比べ料金は高くなってございます。工業用水を営む都道府県の125事業で全部で145の料金を設定しておりますけれども、本県の料金は高いほうの4分の1のグループに入っております。
〇斉藤信委員 平成22年度は0.9%増で、これは回復したと。生産が落ち込めば工業用水は減るんですよ。それで、経営状態が厳しいというけれど、何を根拠にそう言っているんですか。例えば関東自動車はことし3月末で純利益15億円ですよ。こんな企業は県内にないですよ。私は、あなた方の経営が厳しいという根拠を─大手企業は、県内中小企業と比べたからもう回復して利益を上げているんですよ。こういうところになぜ1億円とか7、200万円とか値下げしなくちゃならないのか。私はおかしいと思いますよ。厳しいという根拠を示してください。
〇菅峨業務課総括課長 工業用水道の使用水量の状況ですけれども、責任水量制ということで、契約した水量に応じて料金をもらうということで、使用水量が仮に6割、7割であっても同じ料金だったわけですけれども、これが、リーマンショック以降、低いときで60%台、その後も70%台の使用状況になっております。
 それで、企業によっては違いもありますけれども、同じような種類の企業であっても、各地にそういった生産拠点を持っておりまして、同じメーカーの内部でもいろいろ価格の競争があるということで、幾らかでも製造コストを下げた価格にしなければ、国内あるいは国外とも競争できないということを立地企業からも聞いておりまして、そういった意味で経営状況が厳しいということを認識しております。
〇斉藤信委員 私は具体的根拠を聞いたんですよ。関東自動車はことし3月末で15億円の純利益です。東芝も今、フル操業していますよ。だから、それは企業は安けりゃ安いほどいいんですよ。しかし、実際にそういう状況の中でも、もう黒字転換しているんですよ。多くは利益を上げているのですよ。私はすべてとは言わない。そういうことで、私は、これだけ業績が回復して利益を上げているところにまで、なぜ、県費を使って値下げしなくちゃならぬのか。
 工業用水道についてもう一つ聞きますが、この間、県出資金が出されていますね。これは今年度からなくなりました、累積欠損金がなくなったので。今までの県出資金の累積は幾らですか。どれだけの税金が投入されていますか。私は、これは戻すべきだと思いますよ、黒字になったから。
〇菅峨業務課総括課長 まず、出資金についてですけれども、全部で26億円ほど県から出資を受けております。
 その出資金を返せないかということについてですけれども、一般会計の出資は大きく分けて二つございまして、平成3年度から10年度まで、これは国の経営健全化対策の期間で受けた出資でございます。このときの出資が16億円ほどです。これにつきましては、公営企業が能率的な経営を行っても、その経営に伴う収入のみで賄えないことが客観的に認められる経費については一般会計が負担するという地方公営企業法に基づいたものでございまして、その出資のもとになる2分の1については県のほうに特別交付税が措置されております。
 それから、平成11年度から22年度につきましては、県の単独の経営健全化対策でございますが、地方公営企業法の第18条に基づく出資ということで、これについては、当年度の未処分利益剰余金の状況に応じて納付金を一般会計に納付することが必要となります。
 納付金として使用し得る剰余金の金額は、繰り越し欠損を埋めた上で、さらに法定積立金を控除した残額の範囲とされておりまして、本県の場合、平成24年度に欠損金が生じる見込みであることと、利益剰余金は企業債残高の額に達するまでは減債積立金として積み立てなければならない、こういったことから、事実上納付は不可能でございます。
 一般会計に繰り入れすべきとの御指摘については、企業局としては、この資金は工業用水道事業の資産売却によって得られるものでありますので、工業用水道事業法で定める低廉な工業用水の供給という本来の事業目的のために活用すべきと考えております。
〇斉藤信委員 やっと平成21年に累積欠損金が解消したと。それまで県民の税金で支えていたわけですよ。そういう意味で総額26億円の出資金ってあるわけでしょう。それはそれで私は間違ったとは思わない。しかし、累積欠損金も解消して、そして入畑ダムの転用で26億円入ってくる、こういう状況のもとで、18社のうち霊園が一つ入っていますから実際には17社なんですけれども、この17社だけに利益を還元するというのは、私はやっぱり平沼委員が言うように、それだけが公平だとは思いませんよ。やっぱり県民の税金を投入して今まで支えてきたわけだから、そして余力が出てきたら幾らでも一般会計に繰り入れて、中小企業は74%赤字で頑張っているんだから、私はそういうところにこそ利益が出たのであれば繰り入れると。もちろん減債に回して借金を早く解消するということも私はあると思うけれども、さっきの説明を聞くと、すべて値下げじゃないですか、ぎりぎり。17社の中には、さっき私が紹介したように、内部留保もため込んで体力、利益も上げている、そういうところがあるのですよ。そういう意味でいけば、公平性を欠いた対策ではないかと。
 例えば7、600円の値下げを圧縮して、その他の企業にも還元するというような発想だって私はあっていいのではないかと。17社だけが利益を受けるということでは、私は県民の税金を投入して今まで維持してきたということからいけば、これは産業振興という名目だけでは説得力がないので、ここは局長に聞きます。
〇千葉企業局長 売却代金の活用の仕方ですけれども、これまでの出資、先ほど26億円いただいているというお話を申し上げましたけれども、そのほかに、この売却を得るまでにはユーザーからも料金として徴収している分があります。それは、これまで返済してきた中で大体30年近く事業経過しておりますので、その間、10億円の収入としますと、累計で300億円近く料金収入として得ております。そういったものを合わせて、これまでの返済代金というか売却益を得るに至ったというような経緯もございますので、そういった面でユーザーにも還元する、それから、このことによりまして、一般会計にも貢献といいますか、この代金が得られなければ、これまでも出資いただいていたルールと申しますか、そういう見込みで、なおかつ出資をいただかないとやりくりができないと言われる、そういう想定される額が6億円ほどございます。それが今後、出資をいただかなくてもやっていける見込みが立ったと。一般会計へのそういう、いわゆるこれから分の負担軽減、それからユーザーへの減、それから土地改良事業者へということでお話をさせていただきますと、先ほどこれで欠損が生じますという話をしておりますが、その欠損の分というのがやっぱり土地改良事業者へのそういう利益というような形になりますので、そういう関係者全体、3者といいますか、土地改良事業者、それからユーザー、そして県にも貢献するというような活用方法ということで今回の案を出させていただいております。
〇斉藤信委員 全く説得力がないと思いますね。使用料金を払うのは当たり前じゃないですか。そして、工業用水を使っているのは17社ですよ、わずか。産業振興といったって、何百社、何千社とあるじゃないですか。誘致企業だってもっとたくさんあるじゃないですか。この恩恵を受けているのは17社だけなんですよ。利益が上がったら、そこの17社だけに利益を還元するというのが産業振興から見て公平なのかと、私はそう言って提起しているんですよ。
 だから私は、利益が上がったのはぎりぎり全部ユーザーに還元しますということではないんじゃないかと、税金で支えている工業用水道のことからいったら。そういうことを提起しているのです。
 そして、その中には財力も体力も利益も上げているところもあるということだから、県内の中小企業との格差はますます拡大しますよ、これだと。その点。
 それともう一つ、103ページの県営工業用水道料金徴収条例の一部改正の中身で確認したいんだけれども、値下げするのはろ過料金の額ですね。このろ過料金というのは17社全部使っているんですか。すべてろ過水なんですか。
〇菅峨業務課総括課長 ろ過の料金です。ろ過水ではなくろ過の料金です。(斉藤信委員「じゃ、全社」と呼ぶ)
 いや、全社が使っているのは、いわゆる工業用水といいますか一般水というもので、それに加えてきれいな水が必要なところについてはろ過を使用する料金ということでもらってございますので、ろ過水を使うところは両方足した料金になります。
〇斉藤信委員 ろ過水を使う企業は17社のうち何社なんですか。
〇菅峨業務課総括課長 2社でございます。
〇斉藤信委員 だったら2社しか値下げにならないんじゃないの、この料金体系だったら。工業用水は42円プラス3円だから45円ですよね。そうすると前と同じじゃないですか、工業用水、一般水は、違いますか。
〇菅峨業務課総括課長 基本料金は42円で3円下がっておりまして、あとは使用に応じてもらうということで、その分が3円ということですから、実態的に今、使っている使用状況は契約水量の7割程度ですので、その分については値下げになるということでございます。
〇斉藤信委員 そうすると、ろ過料金が大幅に下がるんですよ。ただ、大幅に下がるメリットを受けるのはたった2社だということですか。どこですか、ここは。ちょっとこれ、アンバランスなんじゃないですか。こういう料金の値下げってないんじゃないですか。2社だけが莫大に値下げされるということになるんじゃないですか、これ。
〇菅峨業務課総括課長 今回の値下げにつきましては、先ほどから申し上げております値下げの原資は7、200万円余ですけれども、これについて、工業用水とろ過料金、この二つで検討したわけですけれども、一般水のほうは第一工水の料金が従来から基準になっていまして、これが上限は45円ということで国から補助金をもらっていますので、これで定められております。45円を二部料金制にしてはじいたトータルが1、500万円くらいになりますので、先ほどの7、200万円からその分を引いた額と、あとは工業用水、ろ過の原価計算をしまして、それで残額とを照らし合わせながら設定した料金がろ過料金でございます。
 したがいまして、この一般水についてもろ過料金につきましても国の算定基準に添ったものになってございますので、そういった意味では、アンバランスといいますか、そういったことではないと思っております。
〇斉藤信委員 じゃ、一般水の値下げ分が幾らで、ろ過料金の値下げ分が幾らですか。
〇菅峨業務課総括課長 一般水につきましては約1、900万円ほど、ろ過料金につきましては5、300万円ほど、こういうことになっています。
〇斉藤信委員 そうすると、5、300万円の値下げはたった2社ですよ。どこですか、これ。関東自動車と東芝じゃないですか、もしかして。
 これだとちょっと、本当に一部の企業優遇の値下げということにしかならないんじゃないですか。
〇菅峨業務課総括課長 具体的な企業名は差し控えさせていただきますけれども、使用量が多いところについては、やはり当然ながらそういった金額は大きくなるものと思ってございます。
〇斉藤信委員 だから私、言ったでしょう。企業の大手の中には内部留保もたくさんためて、既に純利益を上げているんですよ。そういうところじゃないですか、ろ過水を使っているところは。何でそういうところにこんな莫大な値下げをしなくちゃだめなんですか。違っていたら言ってください。
 私は、全くこれはアンバランスな値下げだと思いますよ。大企業優遇の値下げにしかならないんじゃないですか。
〇千葉企業局長 工業用水道料金の料金設定といいますのは、国の承認を得なければならないということになっております。料金を積算するに当たっては総括原価という考え方をとっておりまして、かかる費用に基づいて収入で賄うというのが基本的原則でございます。そういったものに基づいて、一般水、ろ過水それぞれ別の予算を立てて積算しておりますけれども、それに基づいて計算して、国のほうにも申請を現在出しているところでございまして、そういった国の算定基準に基づいて適正な料金ということで算定しているところでございます。
〇斉藤信委員 全然説得力ないですよ。皆さんに還元するというのだったら、工業用水、一般水を下げればいいじゃないですか。たった2社しか使っていないろ過水で5、300万円の値下げですよ。2社のための値下げということにしかならないじゃないですか、これだったら。この2社だって一般水使っているんだから。本当にたった2社だけで大変な額になるんじゃないですか、これ。2社だけの値下げ分わかりますか。
〇菅峨業務課総括課長 個別の金額についてはちょっとお答えできません。
〇斉藤信委員 一般水だけ下げるというふうにはならなかったんですか。全体に行き渡るようにならなかったんですか。
〇千葉企業局長 繰り返しになりますけれども、総括原価という考え方から申しますと、それぞれ別々の積算をしておりますので、それでもってそれ以上下げるということは国の考え方に基づくとできないというものになります。
〇斉藤信委員 とんでもない話ですよ。工業用水の料金は今まで45円、それを今回、基本料金42円で使用料金3円なんですよ。まともに使ったら値下げにならないんですよ、これ。値下げじゃないんですよ、これは、まともに契約水量を使ったら。ろ過水だけじゃないですか。44円が38円ですよ。2社のための値下げじゃないですか、これだったら。そんな算定ないでしょう。
〇菅峨業務課総括課長 契約料金100%まで使っているわけではありませんので、そういった意味からは工業用水のほうも値下げになっております。
〇斉藤信委員 だから、ろ過料金だけを特別下げているわけですよ。一般水のほうはほとんど下げていない。アンバランスな値下げだということです、私が言っているのは。そして、ろ過水を使っているのはたった2社なんだから、全然恩恵がないということでしょう。私は、そういう意味で、これは欠陥の値下げ条例だと思いますよ。
 時間がないので、あとは聞きたいことを述べて終わりますが、電気事業会計にかかわって、新エネルギー開発の取り組みはどうなっているのか示してください。
 胆沢第三、第四発電所の建設事業費とダム負担金、そして電力料金でもとがとれる見通しというのはいつごろになるのか、そのことを示してください。
〇榎電気課長 新エネルギーのほうの開発ですけれども、企業局では現在、胆沢第三及び第四の開発を中心に進めているところであり、その後の開発の可能性を考えながらこれまで雫石町有根沢地点などの調査を行ってきましたが、経済性の面から開発のめどが立っていないところであります。そのため、今年度は、新たな地点で調査を行いながら、発電量や工事費などの検討を行っているところであります。
 次に、風力発電についても、国の全量買い取り制度や電力会社の新規風力の募集動向に注意しながら、県内で新規風力の開発調査を行っている民間事業者と情報交換するなどして県内での開発が進むように努めてまいりたいと考えております。
 次に、胆沢第三発電所と胆沢第四発電所の建設事業費ですけれども、まず、胆沢第三発電所についてですが、建設事業費は22億3、200万円余であり、そのうちダム負担金として8億2、700万円余を見込んでおります。
 平成19年度に東北電力株式会社と締結した基本協定では、年間の利益は1、500万円程度を見込んでおります。
 次に、胆沢第四発電所についてですが、建設事業費は2億7、300万円余で、胆沢ダムの負担金は求められておりません。東北電力からは開発することについての同意は得ておりますが、売電単価については、現在、国で導入を進めている再生可能エネルギーの全量買い取り制度の動向を見定める必要もあるので、今後、協議することとしております。
〇五日市王委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 通告をしておりませんでしたが、思い出しましたので1点確認だけさせてください。
 水力発電についてでありますが、自然現象、地形ということからどうしても内陸に偏りがちな水力発電ということでありますが、ただ、県内には約850の河川があるわけでありまして、水量が確保できるのであれば機会均等の面から水量調査ぐらいはいたしましょうという実はお話をいただいたような気がしているんですが、閉伊川水系の支流などで水量調査等をやっていただけたんでしょうか。それともまだやっていないんでしょうか、やる予定なのでしょうか、それについて確認いたします。
〇池内企業局技師長 閉伊川水系の支流における水量調査についてでございますけれども、3地点で昨年10月20日に実際に人が入って、その日だけでどの程度あるかという参考の調査をしまして、そういった3地点のことについて机上でどの程度可能なのかというような概略検討を現在やっているところです。
〇五日市王委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇五日市王委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 企業局の皆様は御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時25分 散 会

前へ 次へ