平成22年12月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第7号、第9号、第10号に反対の討論を行います。
 議案第7号と第10号は、特別支援学校、特別支援教育に直接従事する職員及び養護教諭等の調整額を1.5から1.25に削減しようとするものであります。
 この削減額は、義務教育等教員特別手当で1人当たり年間約2万8、000円、特別支援学校の職員の場合は年間4万2、000円の削減となるものであります。総額では4億4、500万円の削減であります。期末・勤勉手当の削減で教員1人当たり8万1、000円の削減が既に決まっています。今回の調整額の削減と合わせると、義務教育で10万9、000円、特別支援学校では12万3、000円の削減となるものであり、反対するものであります。
 期末・勤勉手当の削減の際述べましたが、教員は、平均月34時間の残業、超過勤務をしていますが、ほとんど手当が出ていないのが実態であります。残業手当の完全支給こそ実施すべきであります。
 議案第9号は、県立沼宮内病院を廃止して無床の診療所としようとするものであります。
 反対する第1の理由は、歴史に逆行する地域医療の切り捨てだということであります。
 県立沼宮内病院は、昭和29年5月に、当時の沼宮内町が、病院敷地をあっせんするなどの強い誘致によって、内科、外科、産婦人科を診療科とする32床で開設された病院であります。その後2度の全面改築によって、平成14年に現在地に移転し60床の病院として運営されてきました。県立病院が開設された56年後に、新築したばかりの病院が無床診療所化されることは、多くの地域住民にとっては考えられないことであります。まさに歴史に逆行する地域医療の切り捨てであります。
 第2に、県立沼宮内病院は、入院して治療できる地域で唯一の病院として、かけがえのない役割を果たしてきました。地域で入院できるということは、高齢者にとって、また介護施設の入所者にとっても、かけがえのない役割と安心感を保障するものであります。今後、高齢化が進む中で、高度の医療、救急医療だけではなく、慢性期の医療に対応した地域病院の役割は、ますます必要となると考えるものであります。
 地域医療のモデルと言われる藤沢町民病院の佐藤院長は、地域医療は医師と住民が共同してつくる文化だ。高齢化が進む中、保健と福祉の支えなくして住民本位の地域医療はあり得ない。地域医療は、患者の人生に長く寄り添うことが必要だと述べております。
 第3に、岩手町は、全国一と言われるがん検診の取り組みを行っています。平成18年には保健文化賞も受賞しました。こうした地域のがん検診を支えてきたのが県立沼宮内病院でありました。これまでは、1次検診、精密検査から手術、治療まで行ってきました。こうした取り組みを支えるのが県立病院としての役割ではないでしょうか。無床診療所化となれば、手術ができなくなるのではないでしょうか。全国に誇るがん検診体制と医療、保健の連携によって、岩手町では年間1、000万円の医療費が削減されています。この取り組みは、より強化し、県内外に普及すべき取り組みではないでしょうか。
 第4に、現在は医師不足の状況でありますが、医学部の定員も拡大され、県と医療局の奨学生も拡充されています。少なくとも10年後には一定の医師を確保する見通しが出てくるのではないでしょうか。未来永劫にわたって入院ベッドをなくしてしまうことなく、医師確保の見通しが出てくれば入院ベッドを回復するべきだと考えます。県立病院の創業の精神は、県下にあまねく医療の均てんをであります。この県立病院の創業の精神に立って、地域医療を守るべきであります。
 今、旧沢内村の生命尊重行政が大きな注目を受けています。人命に格差があってはならない、国がやらないなら沢内村から実施するとして、1960年に全国で初めて老人医療費の無料化を実施したのが深澤晟雄村長が進めた生命尊重行政でありました。私は、県立病院の創業の精神と、全国に誇る沢内村の生命尊重行政を今こそ県政に取り戻すべきだと考えるものであります。
 請願陳情第113号35人学級の拡充を求める請願は、国に対して、学級編制基準を早期に改善し35人学級を実施するよう意見書を上げることを求める項目については採択をされました。これは極めて重要な意義を持つものであります。しかし、県に対して、35人学級を小学校3、4年生に拡充すること、中学校1年生での本格実施と2年生以上への拡充を求める項目は不採択とされました。私は、この2項目の不採択に反対をするものであります。
 小学校1、2年生と中学校1年生での35人学級の取り組みは、県教委の調査でも、少人数学級の場合、人間関係の把握や安全面、健康面の管理がしっかりでき、学級集団のまとまりを築くという点で有効であるとしています。中学校1年生では、生徒理解、生徒把握に非常に有効である、中1ギャップの緩和についても効果的であるという回答が多かったとしています。
 今、子供をめぐる状況が、貧困と格差の拡大、いじめ、不登校の問題など複雑化している中で、少人数学級による一人一人に行き届いた教育を進めることは、県の教育行政にとって最も重要で緊急の課題となっています。35人学級の拡充を求める請願を不採択とすることは、県民と子供の切実な願いに背を向けるものと言わなければなりません。
 35人学級の実施については、文部科学省も昭和55年以来30年ぶりに学級編制基準を見直し、来年度から8カ年計画で小学校、中学校の全学年に35人学級を実施し、小学校1、2年生にはさらに30人学級とする計画を示しました。これは、国民の強い願いと運動にこたえた画期的な計画であります。しかし、来年度からの実施について、特別枠の政策コンテストでB判定とされ、一部減額して予算化、文部科学省全体の予算から財源を捻出するとの条件が付されました。学級編制基準の見直し、35人学級の実現が、政策コンテストで財源が削減されることは異常なやり方だと指摘をしなければなりません。
 一方で、米軍に対する1、859億円の思いやり予算はA判定とされ、満額予算化される見通しであります。まさに国民の願いに背を向けたやり方だと言わなければなりません。軍事より教育にこそ国民の税金を使うべきであります。35人学級の来年度からの全面的な実施を強く求めるものであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、請願陳情中、受理番号第113号35人学級の拡充を求める請願を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、請願陳情中、受理番号第113号35人学級の拡充を求める請願は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第7号、議案第9号及び議案第10号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、議案第7号、議案第9号及び議案第10号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第6号、議案第8号、議案第11号から議案第22号まで、発議案第2号、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第6号、議案第8号、議案第11号から議案第22号まで、発議案第2号、及びただいま議決いたしました請願陳情を除く請願陳情は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第20 委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第20、委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件を議題といたします。
〔参照〕
各委員会の閉会中の継続審査及び継続調査事件
1 継続審査
   総務委員会 請願陳情受理番号第114号
   所得税法第56条の見直しを求める請願
   県土整備委員会 請願陳情受理番号第98号
   主要地方道紫波江繋線の自然保護地域内区間のルート変更を求める請願
2 継続調査
   総務委員会 ・
県内の暴力団情勢と暴力団排除に向けた取組について
   環境福祉委員会 ・県立中央病院について
   商工文教委員会 ・
岩手県立図書館の運営等について
   農林水産委員会 ・
農業の担い手の確保・育成について
   県土整備委員会 ・岩洞第一発電所について
〇議長(佐々木一榮君) お諮りいたします。委員会の閉会中の継続審査及び継続調査の件につきましては、各委員長からお手元に配付いたしてあるとおり、それぞれ申し出がありますが、委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長からの申し出のとおり、閉会中の継続審査及び継続調査に付することに決定いたしました。
   日程第21 議案第23号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第21、議案第23号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。宮舘副知事。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第23号は、収用委員会の委員であります安達孝一氏、伊藤今子氏のお2人の任期が12月24日で満了となりますので、吉田瑞彦氏を新たに任命し、伊藤今子氏を再任するため、また、同委員会の予備委員であります斎藤千加子氏の任期が12月24日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 収用委員会の委員及び予備委員は、土地収用法第52条第3項の規定により、法律、経済または行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者から任命することとされており、吉田瑞彦氏は、法律分野の委員として、安定感のある弁護士活動に係る定評に加え、各種審議会委員等を務めるなど、広範な分野にわたる識見を有する者と存じております。
 伊藤今子氏は、経済分野の委員として、これまでの在任において税務、会計に係る専門知識に基づき的確な裁決を導くなど、税理士としてすぐれた経験、知識を有する者と存じております。
 斎藤千加子氏は、行政分野の予備委員として、岩手県立大学総合政策学部准教授として行政法を専門としており、専門知識に基づく適正な職務遂行が期待できる者と存じております。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(佐々木一榮君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第23号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第23号収用委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第23号収容委員会の委員及び予備委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   日程第22 発議案第3号石油石炭税の増税に反対する意見書
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第22、発議案第3号石油石炭税の増税に反対する意見書を議題といたします。
 提出者の説明を求めます。飯澤匡君。
   〔25番飯澤匡君登壇〕

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