平成22年12月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(柳村岩見君) 議席番号36番、自由民主クラブの柳村岩見でございます。
 13回目の一般質問の機会をいただきました先輩、同僚議員の皆様の御配慮に感謝をいたします。
 冒頭に、10月20日からの集中豪雨により3人の方が犠牲になるなど、道路、家屋、農地などへの甚大な被害をこうむられました鹿児島県奄美大島の皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。平成20年の岩手・宮城内陸地震に際しましては、鹿児島県議会議員の皆様からお見舞金をいただいており、改めて感謝を申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
 順次質問してまいりますが、質問は詳細に通告いたしておりますので、明快な御答弁をお願いいたします。
 平成23年度の予算編成についてお尋ねをいたします。
 平成23年度県予算については、来年4月、知事選挙が執行されることから、9月29日の政策会議において骨格予算とする方針が確認されているとのことでございます。10月1日付の宮舘副知事から出された平成23年度の予算編成について(通知)においても、予算要求に当たり留意すべき事項において、当初予算は、諸般の情勢を考慮し、義務的経費及び経常的に要する経費を中心とした骨格予算とし、新規または政策的な経費については、原則として6月補正予算として編成するものとするとしております。骨格予算でありますが、平成23年度県一般会計当初予算編成に向けての達増知事の思い、予算編成環境をどのように受けとめておられますかお尋ねをいたします。
 また、知事は、新規事業であっても緊急を要するものについては当初予算に予算化するとの発言もされており、緊急を要する新規事業とは、どういう事業を想定されておられるかについてお尋ねをいたします。
 予算編成について通知を出しておられる立場の宮舘副知事にお尋ねをいたします。県の予算編成に当たっては、国の平成23年度予算についての考え方、平成23年度予算の概算要求組み替え基準を初め、地方に対する一般財源の総額に対する考え方などを考慮する必要がありますが、それをどのようにとらえておられるかお尋ねをいたします。
 次に、県財政の状況、県債残高、主要3基金等の認識、理解のもとに予算編成が行われなければなりませんが、どのような認識のもと、予算編成を行おうとしておられるかお尋ねをいたします。
 一方、県の基本的に取り組まなければならない施策や予定される事業に配慮されなければなりませんが、どのように配慮されていますかお尋ねをいたします。
 また、具体的な予算要求、調整に当たっての平成23年度予算要求・調整要領についてが総務部長から出されております。全般的事項から歳入歳出に関する事項、その他の予算に関する事項と多岐にわたりますが、その要点と予算編成スケジュールについてお尋ねをいたします。
 次に、農業問題についてお尋ねをいたします。
 今日の日本農業が置かれております環境では、昨年12月に、国民に対する食料の安定供給を図る観点から、農地の確保とその有効利用を促進するため改正農地法等が施行され、特に、農地制度の中心をなす農地法の改正は、昭和27年に制定以来、約60年を経ての大幅改正されたこと、また、本年3月には、食料・農業・農村基本計画が策定され、戸別所得補償制度の創設、農業、農村の6次産業化、食の安全と消費者の信頼確保を基本目的として掲げられるとともに、これまでの担い手に集中支援する政策から多様な農業者を対象とする政策へ大転換され、今年度、戸別所得補償モデル対策事業が実施されました。岩手県においても、いわて県民計画に基づき、農業分野においては、食と緑の創造県いわてを目指し、施策の推進が図られようとしております。
 そんな中、農業従事者の減少、高齢化が進み、就労構造の脆弱化、また、農業産出額の減少に伴い農業所得が低下しており、特に本年度は、猛暑等により農畜産物に被害をこうむるとともに、米価が一段と下落し、農業者の生産意欲の減退が懸念されており、極めて厳しい局面にあります。
 そこに、政府は11月9日、包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定いたしました。関税撤廃を原則とする環太平洋パートナーシップ協定─TPPについては、交渉への参加の可否は先送りしましたが、関係国との協議を開始すると明記し、すべての品目を自由化交渉対象とし、交渉を通じて高いレベルの経済連携を目指すと表明しました。関税撤廃となれば、農業、農村への壊滅的な打撃ばかりでなく、地域経済や環境への影響は避けられないと、各分野からTPP交渉参加や農林水産物の貿易自由化の推進反対を訴える声が広がっております。
 かかる状況を踏まえて、何点かお尋ねをいたします。
 達増知事は、環太平洋パートナーシップ協定─TPPをどのようにとらえておられるでしょうか。その交渉参加について、賛成でしょうか、反対でしょうか、お尋ねをいたします。
 TPP交渉開始宣言で影が薄くなりましたが、自由貿易協定─FTA、経済連携協定─EPAはそれぞれに意味合いも違いますし、TPP交渉中にも、前後しての交渉や参加の可能性もありますので、これらに対するお考えについてもお尋ねをしておきます。
 県は11月15日、環太平洋パートナーシップ協定─TPPに参加して関税が撤廃された場合の本県農業への影響額の試算を明らかにいたしました。米、小麦についてはほぼ壊滅状態、農業生産額の6割が減少するという結果なようでありますが、この試算は、そもそもどんな目的でされたものでしょうか。試算の方法と結果について詳細にお尋ねをいたします。
 農家への前払い金となります全農岩手県本部の平成22年産米の概算金が前年産よりも大幅に減額され、特に県南産ひとめぼれでは60キロ当たり8、700円と前年に比べ3、600円安く、過去最低額となりました。また、県内では先月10日から、10アール当たり1万5、000円の米戸別所得補償モデル事業の定額部分の交付が始まりましたが、米市場が、米の消費が低迷する中でこの定額部分を織り込んでしまい、戸別補償制度のメリットが米生産農家に全く伝わらない結果となってしまいました。
 県は、米価下落対策として米価下落緊急対策資金貸付金を創設し、その補正予算を今定例会に提出いたしました。貸付原資5億3、790万円を預託し、貸付総額を21億5、200万円とするというものですが、米生産農家へのセーフティネットとして、この制度創設には賛成するものでありますが、米生産農家は、冷害の際の無利子貸付金などでも、賢明な農家では、厳しい中にも借り入れをしないで乗り越えようとする農家が多かったのであります。無利子であっても、借入元金は返済しなければなりませんし、次年度の米生産が1.5倍にも2倍にもならないことは農家の皆さんは知っております。返済が、変動部分が交付される3月末期限では、単純につなぎ資金であって、変動部分交付額によっては、前年度所得を確保できなくなることが予測されます。
 貸付金制度の全容についてお尋ねをいたしますが、この制度だけでは米価下落対策にならないということを申し上げたいのであります。達増知事は定例会見で、県としては、今回の資金支援対策と、これまで打ち出してきた農家へのきめ細やかな経営対策の徹底や生産、販売対策の強化などをあわせ、稲作農家が希望を持って元気に米づくりができるように、関係機関と連携して総合的な対策に万全を期していくと述べておられます。今回創設した貸付金制度のほかに、きめ細やかな経営対策など、総合的な対策としてどのような対策を講じようとしておられるのかお尋ねをいたします。
 次に、岩手競馬についてお尋ねをいたします。
 岩手競馬は、平成19年度より、新しい岩手県競馬組合改革計画のもとで、単年度ごとの黒字または収支均衡を条件に事業運営されております。新しい計画スタートの平成19年度の発売実績と、今年、22年度の発売計画額を比較してみると、平成19年度233億800万円が、平成22年度は193億3、400万円となっており、39億7、400万円減少しており、平成18年度実績283億6、000万円に比べて実に31.8%の減少であります。この売り上げ減少下での収支均衡策は、すべて毎年の年度当初には計画されていなかったコスト調整によって図られたと言っても過言ではないと思います。岩手県競馬組合運営協議会の関係者の御労苦はいかばかりかと察せられるところでありますが、この手法での限界を感じるところであります。管理者である達増知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 岩手競馬では、今後、地方競馬共同トータリゼータシステムへの移行を平成24年4月に予定しておりますが、その概要と経費負担についてお尋ねをいたします。
 岩手県競馬組合では、今後の中央競馬JRAとの連携を売り上げ向上の要因に挙げられますが、その協議の多くは今後に残している状況であり、期待過剰ではないかと思います。連携内容と協議状況やスケジュール、売り上げ向上効果についてお尋ねをいたします。
 一方、早急な改修が必要な施設設備として、各発売所の発売機や払戻機、場外発売所の大型映像装置が見込まれるようでありますが、その更新時期や改修額、対策についてお尋ねをいたします。
 岩手県競馬組合の構成団体が、岩手競馬の現状を踏まえ、中長期的な視点に立った事業運営の方向を検討するためとして、外部委員で構成する岩手競馬経営の将来方向検討会議を共同で設置しました。11月26日、第1回会議が開かれたとのことでありますが、この会議の設置趣旨と検討結果の扱いについてお尋ねをいたします。
 次に、雇用対策についてお尋ねをいたします。
 岩手県の有効求人倍率─季節調整値─の推移を見ますと、平成21年5月から8月の0.32倍を底に、今年10月、0.47倍となっております。幾分改善された数値になっておりますが、悪い状況の中での変化であり、平成20年9月の0.54倍に比較しても0.07ポイント減であります。同様に、事業主都合による離職者数、解雇者5人以上の企業整備届の受理状況、雇用調整助成金等に係る休業等実施計画届受理状況などの企業の雇用調整等の状況や、有効求職者数及び有効求人数の推移にも数値上の改善は見られます。いずれも依然として厳しい雇用状況の中でのわずかな変化ととらえるべきであります。
 県では、平成22年度の経済、雇用対策の取り組み方針のもとに、緊急的な取り組みとして、長期失業者に対し、それぞれの実情に応じたきめ細やかなセーフティネットの充実と、新規高卒未就職者等の継続的な支援の仕組み構築で新規事業を展開することとしておりますが、その具体的な実績状況と成果についてお尋ねをいたします。
 総合的経済、雇用対策の取り組みとしては、緊急の経済、雇用対策から経済活性化による長期的視点に立った対策へのシフト、雇用の増加や新事業展開、企業の経営の安定のための融資の充実やものづくり産業の振興、地域資源を生かした食産業、観光産業、農林水産業の振興、公共事業などの実施により地域経済の活性化を推進と、大変華々しい方針であります。雇用の増加や新事業展開を支援する中小企業成長応援資金や、経済安定に向けた中小企業経営安定資金など中小企業者向け融資を拡充しておりますが、その成果はどうなっておられるかお尋ねをいたします。
 雇用の場の確保、創出に向けたものづくり産業の集積促進は長期的な展開と感ずるところでありますが、展開実績を、公共事業の前倒し実施実績とともにお尋ねをいたします。
 このほかに、基金の活用や産業振興施策による雇用の創出や住宅手当、生活資金の貸し付け、職業訓練の実施などによる就業支援に取り組んでおりますが、その実績と成果をお尋ねいたします。
 以上、お尋ねしてまいりましたが、大変きめ細やかな取り組みをされているようでありますが、私は、就職にミスマッチがありますように取り組みにもミスマッチがあるのではないか、杳として改善が進まぬ雇用状況を見ますと、そのように感ずるのであります。これまでの取り組みを通じて、どのような課題があると認識しておられるかお尋ねをいたします。
 厚生労働省と文部科学省は、来春卒業予定の大学生の就職内定率を調査いたしました。その結果、就職氷河期と言われた平成15年度前後の60%台を割り込み、57.6%まで落ち込んだとのことであります。新氷河期への突入とも言われ、このことへの対策も求められるところであり、就職は生活基盤の確保や人生進路選択に大変重要なことであります。難しさはあるわけでありますが、しっかりとした取り組みをお願いするところであります。
 次に、介護問題についてお尋ねいたします。
 政府も国会議員も、雇用対策について語るとき、介護の現場に雇用があると話します。確かに、高齢化の進展に伴って介護サービスに対する需要が増加している現状であります。しかし、介護事業主からは、介護士が結婚して独立した生活を始めようとする時期に、寿退社ならぬ生活苦退社するケースが多い。結婚は祝福しても、大変悲しい思いで送り出すという話を聞きました。このことについて、気がついている国会議員からは、介護需要に対して、人手不足で雇用があると言うだけではだめ。財源を準備して、介護サービスの質の向上によって介護報酬につなげ、結果として、現場で働く人たちの収入向上につなげていく道筋をつくらないと、雇用があるということにはならないと、このように指摘があります。大変重要な指摘であると思います。平成20年5月、介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律が公布、施行され、平成21年4月から介護報酬が3%増額改定されました。その後、介護職員処遇改善交付金制度が創設され、事業が開始されておりますが、今年度、10月からキャリアパス要件等が追加されております。
 そこでお尋ねをいたしますが、これらへの県の取り組み状況、介護事業主の対応状況、今後の課題についてお尋ねをいたします。
 認知症高齢者の介護では、認知症状であっても肉体的には足腰がしっかりしている人もあり、家族がつきっきりで見なければならないケースが多く、家族にとって非常に負担が大きいと聞いております。全国では認知症高齢者が平成22年には208万人、ピーク時の30年後、平成52年度には400万人に近い数になると推定されておりますが、本県はどのように推移をし、今後、どのように予測しておられるのかお尋ねをいたします。
 さて、県の取り組みにおいて、認知症の正しい理解の促進の観点から、認知症サポーター制度の状況、相談支援体制についてどうなっておられるかお尋ねをいたします。
 認知症の発症予防、重症化予防対策として、認知症予防の取り組み、認知症疾患医療センターの整備状況と実績についてお尋ねをいたします。
 専門的なケア体制、人材の養成、確保、介護サービス基盤整備が必要と考えますが、その推進の考え方、実績についてお尋ねをいたします。
 認知症高齢者介護の多様なニーズの中で、宮古市にありますNPO法人ふれあいステーション・あいでは、地域に密着して、24時間365日、各種サービスを提供するとともに、子供から高齢者までの支援を行っていると聞いておりますが、こうした事業形態は興味深いものがあります。こうした日常的に子供たちと接することができる地域密着型の小規模多機能型居宅介護事業所の存在が求められると考えるところでありますが、県の考え方をお尋ねいたします。
 政府は11月25日、介護保険制度の見直し案を発表いたしましたが、私は、この見直し案は、財源確保ができないためのものとしか思いませんが、県の制度利用者への影響をどのように考えておられますかお尋ねをいたします。
 次に、第二次県立高校整備計画(仮称)についてお尋ねをいたします。
 県は、平成23年3月に策定する第二次県立高校整備計画(仮称)のための今後の県立高校に関する地域検討会議、県民を対象にした今後の県立高校に関する地域別懇談会の二つの会を鋭意開催中であります。その中での論点で、高校標準法で定めている生徒数240人を下らず学校全体で6学級以上、1学年2学級以上、1学級の生徒数40人についてを説明した上で、県教育委員会では、3学級以下の学校は、地域の実情を考慮し、見捨てるようなことはしないと説明されております。ぜひ、そのようにしてほしいのですが、それでは統廃合はどんな標準で判断されていくのか、お尋ねをいたします。
 統廃合がされる場合に、生徒の遠距離通学手段の確保や負担への支援策について明言されていないと思います。計画策定スケジュールの中で、今の時点でも、これらに対する施策を持っていないのでしょうか、お尋ねをいたします。
 地域検討会議、地域別懇談会では、小規模校をなくさないで、地域産業に根差した学科の配置を考えてほしいなどを初め、多くの意見が出されております。二つの会は、それぞれ関係者から、地域住民から意見を聞くものでありますが、聞いた意見をどのように反映させていくことになるのか、お尋ねをいたします。
 県が策定する計画の中で、特に財源と密接な関係のものについては、今までも、意見を聞いても十分それらの意見が計画に反映されないことが多かったように感じます。県教育委員会の説明のとおり、小規模校を一律に見捨てるようなことはないように強く要望いたします。
 以上で私の一般質問は終わりますが、場合によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 柳村岩見議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、平成23年度当初予算に向けてでありますが、平成23年度当初予算は骨格予算としますことから、基本的に、義務的経費や経常的に要する経費、また、継続事業等を中心に予算編成を行っていくこととなります。新規または政策的な経費については来年度に議論を重ねて、6月補正予算において編成することとなるものと認識しております。
 県民の暮らしと仕事を取り巻く環境は依然として厳しいことから、当初予算に計上する継続事業費においても内容をさらに磨き上げ、効果的な施策を展開していく必要があると考えております。
 次に、緊急を要する新規事業についてでありますが、具体的な内容につきましては今後の予算編成過程で議論をしていくこととなりますが、新規または政策的経費であっても、現下の厳しい経済、雇用情勢を踏まえて、国の経済対策に呼応しつつ、地域経済、雇用や県民の生活を守るために、年度当初など、早期から事業着手が必要と考えられる事業等については、2月補正予算への前倒しや、当初予算への計上について検討をしていく考えであります。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定についてでありますが、我が国として強い経済を実現するためには、本来、輸出に過度に依存するのではなく、地域資源の発掘と足腰の強い地域産業の育成によって、地域が主役となる内需主導型の経済を確立することが重要であります。
 環太平洋パートナーシップ協定については、センシティブ品目の段階的撤廃の措置はありますものの、関税の撤廃が原則とされており、多国間の市場取引を促進する一方で、農林水産業や食産業など、地域の特性や資源を最大限に生かした産業の振興において、大きな影響を与えることが懸念されます。こうしたことから、我が国が地域主導の自立的な成長を実現する上で関税撤廃がどのような効果を有するか、農林水産業に携わる生産者を含めた現場や地域の立場を十分に踏まえ、協定の内容そのものに関して、根本的な検討、議論が行われるべきものと考えています。
 また、協定への参加については、協定の内容そのものに関する検討を前提とし、さらに農林水産業を初めとした必要な国内対応策が講じられ、地域の声も反映した国民の合意が得られるまで、十分な時間をかけて慎重に検討することが必要と考えています。
 次に、自由貿易協定─FTA、経済連携協定─EPAについてでありますが、FTA、EPAについては、関税の撤廃が原則とされているTPPとは異なり、関税撤廃の除外品目など、国内事情に配慮した例外を設けることができること、輸出入の実態や将来動向を踏まえ、双方のメリットを明確にした交渉が行いやすいことなど、柔軟性に富んだ仕組みであると認識しております。こうした2国間の協定を積み重ねていくことは、国際貿易の進展に意義のあることでありますが、協定の交渉に当たっては、地域が主役となる内需主導型の経済を確立することが重要との観点に立ち、そのために、どのような協定のあり方が望ましいかについて、相手国、品目等に関して戦略的な検討が尽くされるべきと考えます。
 次に、岩手競馬に係る売り上げ減少下での収支均衡策についてでありますが、これまで、新計画のもとで、発売額が計画に満たないと見込まれる場合には、競馬関係者や取引先企業と話し合い、工夫を重ねながらコスト調整を実施してきたところであります。
 今後におきましても、発売額の確保とあわせ、コスト管理を徹底することで、着実に収支均衡を達成することを基本に、関係者一丸となって、岩手競馬の事業継続に取り組んでまいります。
 収支均衡を達成するためには、何よりもまず発売額を確保することが必要でありますが、先日、さまざまなPRやイベントを企画し、全国交流競走として実施したダービーグランプリは売り上げが好調であったところであり、今後も重点的な広報活動を展開しながら、重賞競走を初めとする質の高いレースを実施し、多くのファンの来場と発売促進につなげていきたいと考えています。
 また、今後もしばらく厳しい経営状況が見込まれます中で、岩手競馬を将来にわたって安定的に運営していくための方策を見出していくために、先般、岩手競馬経営の将来方向検討会議を設置したところであります。企業経営や競馬事業など、各分野の専門家の力もお借りしながら、発売額、入場者の確保や、低コスト構造への転換のための方策等について検討を進め、岩手競馬の継続がより確かなものとなるよう取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 国の地方に対する一般財源の総額に対する考え方についてでありますが、国の財政運営戦略におきましては、来年度の地方の一般財源総額について、本年度の水準を下回らないよう、実質的に同水準が確保される見通しではありますが、社会保障関係経費の増加等が見込まれる中、これらの増加相当分が交付税に上積みされなければ他の政策的な経費を圧迫することに加えまして、本県におきましては、今後、県債の償還がピークを迎えるなど、一般財源の大幅な負担増が見込まれていることから、今後の予算編成や財政運営は、これまでにも増して厳しい局面を迎えることになるものと考えております。したがいまして、国の平成23年度の地方財政対策に向けて、地方交付税の増額を含めて、適切な地方一般財源の総額が確保されるよう、全国知事会を初め、引き続き国に対し、強力に要請していく必要があるものと認識しております。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 県財政の状況、県債残高、主要3基金等の認識等についてでありますが、本県財政は、まず歳入面では、景気低迷等による県税収入の減少や近年の臨時財政対策債の大幅増など、県債に大きく依存せざるを得ない状況にございます。一方、歳出面では、義務的経費の支出割合が高い水準にあり、また、過去の経済対策等に伴い発行した県債の償還が今後ピークを迎える見込みであること、一方で、主要3基金の残高が大きく減少しているなど、極めて厳しい状況にあると認識しているところでございます。
 平成23年度予算は、このような厳しい財政状況を踏まえつつ、いわて県民計画に掲げる各般の施策を着実に実施する予算として編成されなければならないと考えております。
 県民の暮らしと仕事を守るため、さまざまな事業を展開するに当たり、より踏み込んだ歳入確保、歳出削減の実行など、不断の行財政改革を進めるとともに、中期的な財政見通しのもと、主要3基金等の活用など、各年度における財源対策の検討を行いながら、必要な財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、平成23年度予算要求・調整要領の要点等についてでありますが、予算要求・調整要領については、平成23年度当初予算の要求に当たっての基本的な視点、具体的には、歳入の算定方法、歳出に当たってはスクラップ・アンド・ビルドの原則の徹底、経費区分ごとの算出方法などについて定めているものでございます。
 今後の予算編成のスケジュールについてでありますが、年末の国の地方財政対策や、例年、1月下旬となります地方交付税の推計を勘案しながら、数次にわたる議論を重ねまして、1月下旬から2月上旬ごろをめどに、予算案を取りまとめる予定としているところでございます。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) まず、環太平洋パートナーシップ協定参加により関税が撤廃された場合の本県農業への影響額の試算の目的についてでありますが、国においては、全世界を対象に直ちに関税撤廃を行い、生産量の減少、価格低下に対し、何らの対策も講じないとの前提で試算したところであり、これを本県で見た場合どの程度の規模になるかを把握し、その影響の度合いを確認するため試算したものであります。
 その試算の方法と結果についてでありますが、国が試算した19品目のうち、算出方法が判明し推測が可能な本県の主要品目である米、小麦、牛肉、乳牛、豚肉、鶏肉及び鶏卵の7品目を対象とし、国の試算の考え方に本県の生産量等を当てはめて試算したところであります。
 試算の結果、県産農産物生産額が1、469億円減少する見込みとなったところであり、主な品目では、米が596億円、鶏肉が310億円、乳牛が214億円、それぞれ減少する見込みとなったところであります。
 次に、米価下落対策の内容についてでありますが、当面の資金確保が困難となっている実態や販売環境の悪化など、稲作農家を取り巻く状況は極めて厳しいものと認識しており、こうしたさまざまな不安を払拭するため、総合的に対策を講じることとしたところであります。その内容は、経営対策として、原則、無利子、無担保、無保証人でつなぎ資金の貸し付けを行うJAに対し、関係機関と連携して、貸付原資の一部を預託する貸付金制度を12月補正予算案に盛り込み、今定例会に提案することとしたほか、農業者に交付される県実施事業の交付金の支出を前倒しすることとしたところであります。
 また、生産販売対策として、県産米の消費拡大や販売促進活動を一層強化するとともに、中長期的な観点に立った新たな生産販売戦略を策定するほか、コスト低減や他作物の導入を支援する営農対策などについて、関係機関等とも連携しながら取り組んでまいります。
 次に、岩手競馬についてのお尋ねであります。
 まず、地方競馬共同トータリゼータシステムについてでありますが、このシステムは、これまで、各地方競馬の主催者が、個別またはブロックごとに整備、運用してきた勝ち馬投票券の発売、払い戻し、概算配当率表示を一括処理するシステムを、全国の地方競馬主催者が共同で設置、運営しようとするものであります。岩手県競馬組合では、現在運用しているトータリゼータシステムの更新時期となる平成24年度から参画する予定としているところであります。
 整備に要する総費用は、今のところ約65億円と見込まれておりますが、整備に係る経費に対しては、地方競馬全国協会から5分の4が補助されるほか、全国の地方競馬主催者で事業の規模などの割合に応じて負担することによるスケールメリットにより、岩手競馬の実質的な負担は約8、000万円となるものであります。
 次に、中央競馬との連携についてでありますが、全国の地方競馬主催者と日本中央競馬会においては、我が国の競馬全体の発展を図る観点から、相互発売を主体とした連携協調策を実施する方向で検討を進めております。
 その概要は、地方競馬が施行するダートグレード競走や一部の重賞競走を、平成24年度を目標に、JRAのインターネット発売システムで発売する一方、JRAのレースを地方競馬施設で受託発売しようとするものであり、現在、具体的な条件等を協議していると伺っております。
 これらの効果については、対象となるレースや相互発売に係る手数料率などが未定のため、現時点で具体的な数値をお示しすることは難しいものの、JRAのインターネット発売システムは会員数が300万人に及び、地方競馬の市場拡大にもつながるものと考えられますことから、岩手競馬の売り上げの増加にも相当程度、効果があるものと期待しているところであります。
 次に、早急な改修が必要な施設設備についてでありますが、今後の施設設備の改修については、競馬の円滑な施行やファンサービスへの影響などを考慮しながら、優先度をつけて実施することとしております。
 早急に改修が必要な施設としては、各発売所の発売機や払戻機、場外発売所の大型映像装置などがあり、これらの施設は既に更新時期を迎えておりますが、仮に現在と同じ規模で更新した場合、概算で5億円を超える改修費用が必要と見込まれるところであります。実際の改修は、対象となる設備等の状況を踏まえて、その更新時期を検討するとともに、必要最小限度の規模への見直しを行いながら整備を進めていくこととしております。
 その財源については、現在、地方競馬全国協会において、各地方競馬主催者の事業継続を支援するための緊急対策事業を検討中と聞いているところであり、可能な限り、同協会からの補助金導入などにより、必要な財源を確保していきたいと考えております。
 次に、岩手競馬経営の将来方向検討会議についてでありますが、この検討会議を設置した趣旨は、岩手競馬は発売額の低迷等により、依然として厳しい経営状況にあるものの、一方では、今後、地方競馬共同トータリゼータシステムの導入やJRAとの連携協調策の推進など、新しい局面を迎えつつあります。そうした動きの中で、中長期的な事業運営の方向について外部の有識者から意見、提言をいただき、その結果を今後の取り組みに反映していこうとするものであります。
 また、検討結果の扱いについては、検討会議から構成団体に対して提言をいただき、それに基づき、構成団体では、競馬組合に対して必要な助言を行うこととしており、構成団体及び競馬組合においてはそれぞれ議会に報告するとともに、提言の実現に向けて、可能なものから順次具体的な方策を検討し、関係団体等と協議、調整の上、実行に移していくこととしております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 平成22年度の雇用対策についてでありますが、さまざまなお尋ねがありましたので、順次お答えいたします。
 まず、長期失業者に対して、県内10カ所のハローワクごとにワンストップ・サービス・デイを10月までに5地域で実施したほか、11月から12月にかけては、県内全地域で実施する予定です。相談内容を見ると、生活資金、多重債務など、一人で複数の問題を抱えている状況もあることから、今後は、失業者個々の実情に応じた支援を行っていくように努めていきたいと考えております。
 次に、新規高卒者の支援につきましては、就職未定のまま卒業した方に対し、各学校を通じてジョブカフェへの登録を呼びかけ、就職に向けた支援を継続してきております。平成21年度の高校卒業者については、10月までに163人を支援し、うち72人の就職が決定し、求職活動を継続中の方が61人になっております。また、本年度新たに未就職者向けの支援セミナーを県内3カ所で開催したほか、県の非常勤職員として35人を雇用し、業務体験を通じたスキルアップと就職活動の支援を行っております。
 次に、中小企業者向けの融資についてでありますが、お尋ねのありました中小企業成長応援資金の融資実績は、10月末で25件、約3億円となり、これにより30人の新規雇用が見込まれております。また、中小企業経営安定資金の実績は、10月末で1、256件、約191億円であり、前年同期に比べまして、件数で90%、金額ベースで79%となっており、資金需要は落ちついている状況にあります。こうした中、県内の企業倒産は、本年1月から10月までで、件数が前年同期比で69%、負債額では35%となっており、前年と比べ、件数、負債額ともに大幅に減っております。
 次に、雇用の場の確保、創出に向けた展開についてでありますが、ものづくり産業の集積促進については、平成22年度の製造業の新規立地件数が11月末現在で14件と、前年度実績を大きく上回っているほか、愛知県で自動車関連の取引あっせん、商談会を開催し、10月までに新規受注実績が7件となるなど県内企業への受注が拡大し、ものづくり産業の振興が着実に図られてきているところであります。
 また、県営建設工事の前倒し実施の状況については、経済・雇用対策本部におきまして、上半期の目標発注率を当初予算比の85%としておりましたが、これに対します9月末現在の実績は84.6%と、ほぼ目標を達成しております。
 次に、基金の活用や職業訓練の実施状況等についてでありますが、まず、雇用対策基金については、本年度は基金約100億円を投入し、3、120人の新規雇用を創出することを目標としておりましたが、10月末現在で3、131人の雇用を創出し、達成率が100%を超えております。
 また、産業振興施策については、自動車関連産業の受注拡大などにより1、022人の目標に対しまして、上半期で1、184人の雇用を創出し、その達成率は116%となっております。
 また、職業訓練等によります就業の支援につきましては、住宅手当の支給が9月末現在で131件、生活福祉資金貸付制度による総合支援資金の貸し付けが205件となっております。
 また、職業訓練は、パソコンや介護ヘルパーの資格取得を目指す訓練など74コース、1、267人を目標とし、10月末現在で48コース、815人が受講するなど、おおむね順調に推移しているところであります。
 最後に、今後の雇用対策の課題についてでありますが、本県の雇用情勢は改善傾向にあるものの、円高などの不安要素もあり、まだまだ予断を許さない状況にあります。こうしたことから、基金を初め、さまざまな手当てを講じまして引き続き雇用の創出を図るとともに、厳しい状況にある新規学卒者の就職支援を強力に進める必要があると認識しております。このため、国の予備費や今般の補正予算により、今後拡充される雇用対策基金を活用して、介護、医療、農林、エネルギーなどの成長分野を中心に、雇用の創出に引き続き取り組んでまいります。
 また、新規学卒者の就職支援につきましては、市町村、ハローワークなどと連携いたしまして、企業に対し、さまざまな機会を通じて積極的な採用を繰り返し要請するとともに、未内定者を対象とした就職ガイダンスの追加開催や学校現場などでの就職指導の強化、国の大卒、高卒ジョブサポーターの活用など関係機関と協力いたしまして、1人でも多くの方が就職できるよう支援に努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、介護職員の処遇改善についてでありますが、高齢化の進展に伴い、増加する介護サービス需要に対応する人材を確保し、その定着を図るためには、賃金などの面での処遇改善が重要であると認識しております。したがいまして、介護業務従事者処遇改善交付金事業におきましては、昨年の6月議会でいち早く関係予算の議決をいただき、事業者説明会の開催や相談事業の実施など、積極的に事業の周知を図るとともに、交付金の認定事務を広域振興局等と行うなど、きめ細かな取り組みを行ってきたところでございます。その結果、本年3月末現在における本県事業所の申請率は88%と、全国第6位となっており、多くの事業所が交付金を活用し、処遇改善に取り組んでいるところでございます。
 昨年度は、1、019事業所におきまして、常勤換算で1万700人の介護職員に対して5億6、000万円余、1人当たり月額約1万3、000円が交付されており、基本給や賞与等の改善が図られております。
 また、本年10月から追加されましたキャリアパス要件につきましては、10月1日現在で、交付金受給事業所の約96%から届け出があったところでありまして、この要件の追加により、介護保険事業所においては、職員の職責、経験、能力に応じてキャリアアップを図る仕組みが構築され、介護職員の一層の処遇改善につながることが期待されておりますことから、未届けの事業所など、当該要件を充足していない事業所に対しましても、その導入について指導していくこととしております。
 なお、今回の事業は、御案内のとおり、約3年間の限定的なものでございますことから、県におきましては、これまで、介護に直接従事する職員のみならず介護関係職員全体の処遇について、恒久的な制度改善を国に対して提言してきたところでありまして、引き続き提言してまいりたいと考えております。
 次に、認知症高齢者数の推移についてでありますが、本県では、認知症高齢者数を把握するため、毎年度、全市町村に対して、認知症高齢者の日常生活自立度調査を独自に実施しておるところでございまして、平成21年度末時点の見守り、支援、介護が必要と思われる認知症高齢者は約3万5、000人であり、調査を開始いたしました平成17年度の調査結果と比較いたしますと、1万1、000人ほど増加している状況にございます。今後、高齢化の進展による要介護、要支援高齢者の増加に伴い認知症高齢者も増加が見込まれておりまして、現行の第4期岩手県介護保険事業支援計画におきましては、平成23年度末には約3万7、000人、平成26年度末には約4万1、000人になるものと推計しているところでございます。
 次に、認知症の正しい理解の促進についてでありますが、県では、市町村と連携を図りながら認知症サポーター養成講座を開催し、県民への正しい理解の普及に取り組んでいるところでございますが、本年3月末現在で、認知症サポーター数は4万3、360人となっておりまして、高齢者人口比におきましては全国第2位の状況となっております。特に、本県独自の取り組みといたしまして、平成19年度から小・中学生を対象とした孫による認知症講座を開催してきており、これまで小学校69校4、253人、中学校71校8、056人が受講しているところでございます。
 また、相談支援体制につきましては、県では、昨年度から県認知症疾患医療センターを岩手医科大学附属病院に委託設置し、専門医療相談や鑑別診断を行っているほか、県長寿社会振興財団に県高齢者総合支援センターを委託設置し、認知症に関する専門相談や権利擁護、虐待対応への支援などを行っており、市町村における身近な相談窓口であります地域包括支援センターとの連携を深めながら、総合的な相談支援体制の充実強化を図っているところでございます。
 次に、認知症の発症予防、重症化予防の推進についてでありますが、認知症の発症と重症化の予防を図るため、市町村では、介護状態になる可能性のある虚弱高齢者の方を対象として、心身の機能低下を予防する介護予防教室などの取り組みを実施しておりますが、県におきましても、県介護予防市町村支援委員会を開催し、専門家や有識者によります市町村事業への助言等を行っておりますほか、介護予防従事者を対象とした研修会の開催を通じて市町村の取り組みを支援しているところでございます。特に昨年度は、岩手医科大学と連携し、軽度認知障害─MCIの理解促進用のパンフレットを作成、配布いたしましたほか、今年度は、同大学の医療スタッフが中心となって開発いたしました介護予防体操ココロからダンスを、市町村や介護施設従事者を対象とした研修等を通じて県内への普及を図っているところでございます。
 また、県認知症疾患医療センターにつきましては、平成21年度の専門医療相談件数は550件、外来件数1、675件のうち、専門医療診断件数は215件、入院件数は9件となっておりますが、本年4月からは、急性期入院に対応できる全県対象の基幹型センターとして指定しまして、さらなる充実を図っているところでございます。
 次に、専門的なケア体制の整備についてでありますが、今申し上げました県認知症疾患医療センターによる専門的な診断、治療や医療相談に加え、国が主催する認知症サポート医養成研修に専門医を派遣するほか、県内各地域でかかりつけ医への研修会を開催し、専門的な医療提供体制の充実を図ってきているところでございます。平成21年度末で認知症サポート医14名を養成し、かかりつけ医研修受講者は延べ409人となっております。
 また、認知症介護サービスに従事する人材を養成するため認知症介護実践者等養成研修を実施しており、平成22年11月現在で延べ3、559人が受講しているところであります。
 また、介護サービス基盤の整備につきましては、認知症の高齢者であっても、住みなれた地域で生活が継続できるよう、小規模多機能型居宅介護事業所や認知症高齢者グループホームなど、地域に密着し、地域で利用できる介護サービス拠点を計画的に整備することとしているところであります。現在の第4期介護保険事業支援計画では、小規模多機能型居宅介護事業所22カ所、認知症高齢者グループホーム45カ所の整備を見込んでおり、計画初年度の平成21年度におきましては、小規模多機能型居宅介護事業所5カ所、認知症高齢者グループホーム34カ所の整備を行ったところでございます。昨年度造成いたしました介護サービス施設等整備臨時特例基金を活用し、現在、計画に上乗せした整備を市町村に働きかけるなど、さらなる整備の促進を図っているところでございます。
 次に、小規模多機能型居宅介護事業所についてでありますが、小規模多機能型居宅介護サービスは、一つの事業所で、通い、訪問、泊まりのサービスを一体的に、24時間365日提供するものであり、本人や家族の状況に応じてきめ細かなケアを行うことが可能でありますことから、認知症高齢者はもとより、介護を要する高齢者が自宅での生活を継続する上で大変有効なサービスであると考えております。県では、先ほど申し上げましたとおり、第4期計画においては22カ所の整備を見込んでいるところでありますが、市町村に対しまして、計画に上乗せした整備を働きかけましたところ、さらに6カ所の整備について御要望があり、今期計画終了時におきましては25市町村で67カ所となる見込みであります。しかしながら、未設置の市町村も多いことから、第5期計画におきましてはさらに整備を進めることとし、市町村にさらなる働きかけを行っていきたいと考えております。
 なお、各事業所におきましては、地域の代表者等を構成員といたします運営推進会議を設置し、地域の意見を取り入れた運営を行っておりまして、議員御案内のNPOふれあいステーション・あいを初め、多くの事業所で、地域や保育所、小学校での行事に参加するなど、子供たちとの交流を含めさまざまな形での地域の方々との交流が行われておりますことから、このような取り組みがすべての事業所で行われますよう、県としても促進していきたいと考えております。
 次に、介護保険制度の見直しについてでありますが、厚生労働省におきましては、平成24年度からの第5期介護保険事業計画に向け介護保険制度の見直しを進めており、本年7月から、社会保障審議会介護保険部会におきまして関係者による集中的な議論を行い、昨日には同部会の意見書が公表されているところでございます。その意見書では、地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組みを進めること、給付の効率化・重点化等を進め、将来にわたって安定した持続可能な制度を構築することを基本的な考え方とした上で、要介護高齢者を地域全体で支えるための体制の整備、サービスの質の確保・向上、介護人材の確保と資質の向上、給付と負担のバランス、保険者が果たすべき役割、低所得者への配慮など、各般にわたる見直しについて意見が提示されているところでございます。
 具体的には、一定以上の所得がある利用者の負担割合の引き上げなど、利用者の負担増を求める見直しについても意見が付されておりまして、実施された場合には県民の負担に大きな影響があるものと想定しておりますが、当該意見につきましては賛否両論が併記されるなど、見直しの具体的方向、内容が明らかとなっておりませんことから、現時点では具体的な影響を把握することは困難なところでございます。
 なお、国におきましては、この意見書を踏まえて介護保険法改正案を取りまとめる予定であり、今後、国政の場で議論がなされるものと考えておりますが、県といたしましても、これまで、利用者負担の軽減や地方公共団体等の財政負担の軽減等を要望してきておりますことから、当面、その動向を注視してまいりたいと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、県立高校統廃合の標準についてでありますが、各ブロックにおける学校の配置のあり方については、将来見込まれる生徒数や通学の状況、また、それぞれの地域における産業構造や振興方針など地域の実情を踏まえつつ、現在実施しております地域検討会議などでの地域の皆様方の御意見を十分にお聞きし、総合的に検討してまいります。なお、学校規模等の標準については、高校標準法が基本になるものと考えております。
 次に、生徒の支援策についてでありますが、一義的には、学校、学科の配置のあり方とあわせ、総合的に検討していくことが必要と考えておりますが、通学事情や経済的理由によって高校教育を受ける機会が制約を受けることがないよう、その支援のあり方について十分検討してまいりたいと考えております。
 次に、第二次高等学校整備計画(仮称)への関係者などからの意見の反映についてでありますが、今年度においては、県内9ブロックごとに、地域の代表の方々をメンバーとする地域検討会議を3回、一般県民の方々を対象とした地域別懇談会を2回開催することとしており、さまざまな観点から広く御意見をお伺いしたいと考えております。現在、それぞれ2巡目に入っており、小規模校のあり方など、その地域の実情と将来などを見据えた数多くの意見をいただいております。今後さらに御意見をお聞きし、参考としながら、次期計画案の策定に向け総合的に検討してまいりたいと考えております。
〇36番(柳村岩見君) それぞれの質問に対して答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 達増知事、1点だけ。環太平洋パートナーシップ協定の交渉について、そのTPPの知事のとらえ方については御答弁をいただきました。知事、この交渉に賛成でしょうか、反対でしょうか、そのことだけお尋ねします。
〇知事(達増拓也君) TPPの交渉ということがどういう意味内容を持っているのかというのは、今、政府の中でも検討中なんだと思います。そもそも国際的な約束というのは、何でもいいから約束をしさえすればいいというものではなく、それぞれの国が、ある目的を持って、その約束を、取り決めを結ぼうと。アメリカなども、不景気を解決するため、輸出を伸ばすためにTPPを締結しようとしていると報道されておりますし、しからば、日本は何のためにそのTPPをやろうとしているかというと、まだそこは明確に語られていないのだと思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように、日本が直面している課題というのは、1980年代から、輸出依存ではなく内需の力で国の経済が発展していくような構造改革をやろうと。しかし、10年、20年たって、むしろ輸出依存度が高まっている。ですから、今、日本がまず考えなきゃならないのは内需の拡大イコール地域経済の強化ということであって、地域経済強化のためにどういう交渉をしていくのかということが問題になるということを申し上げたところでございます。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、渡辺幸貫君。
   〔42番渡辺幸貫君登壇〕(拍手)

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