平成22年12月定例会 第19回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号の特別職の給与引き下げには賛成をするものでありますが、議案第2号から第5号までの県職員の給与改定議案に反対の討論を行います。
 反対する第1の理由は、県職員の給与の実態が特例減額によって民間給与よりも8、585円、年間では10万3、020円も低いにもかかわらず、必要な給与の引き上げを行わなかったことであります。県人事委員会は、公民較差と言うなら、実際の給与額で比較し給与の引き上げを勧告すべきであります。また、県も、実際、民間と比べて、年間で10万円を超える格差が出ている中で、その是正こそ図るべきであります。特例減額は直ちに中止すべきであります。
 第2の理由は、県職員の賃金引き下げは平成11年度から12年連続となり、職員1人当たりでは約126万円の引き下げとなっていることであります。その年間ベースでの総額は247億円に及び、地域経済に対するマイナスの波及効果は約380億円に及びます。この間の連続的な賃金の引き下げは、県職員にとっても耐えがたいものであるとともに、地域経済にとっても重大な影響を与えています。公務員の賃金を引き下げ、民間の賃金も下がる、まさに賃下げの悪循環が続いていることは重大であります。
 第3に、日本経済と地域経済のゆがみと落ち込みを打開するためにも、労働者の賃金の引き上げが求められているということであります。財界系のエコノミストも、日本経済の最大の問題点は賃金が上がらないことである、日本に必要な成長戦略とは、賃上げターゲット政策だと指摘しています。大企業は、この10年間で100兆円も内部留保をふやしました。経済危機下のこの1年間でも11兆円の内部留保をふやしましたが、その額は、年収500万円の労働者を220万人雇用できる額であります。大企業の巨額の内部留保を雇用の拡大と非正規雇用の正社員化、そして賃上げ、中小企業に還元させることは、日本の経済と地域経済のゆがみ、落ち込みを打開する緊急の課題であります。
 第4に、教員の場合、義務教育等教員特別手当の調整額が引き下げとなり、大幅な賃金の引き下げとなることは重大であります。義務教育等教員特別手当の減額は、1人当たり年間で2万8、000円、期末・勤勉手当の引き下げと合わせれば10万9、000円の引き下げであります。特別支援の場合は年間4万2、000円の引き下げとなり、総額では12万3、000円の引き下げとなります。教員の場合、1日1時間から2時間の残業を行っています。文科省の調査では、月平均約34時間の残業となっており、超過勤務手当に還元すると約8万5、000円となります。4%の調整額を引いても、7万円の残業手当の不払いということになります。こうした中での賃金の引き下げは、不合理なやり方だと言わなければなりません。
 第5に、医療局の場合、深刻な医師不足の中で医師確保が重要な課題となっていますが、医師も12万5、000円の引き下げとなります。医師確保と待遇改善が求められている中で、画一的な引き下げは見直すべきであります。
 また、医療局は、今年度、知事部局等が昨年の人事委員会勧告に基づいて、1日15分の労働時間の短縮を実施したにもかかわらず、時短を実施しませんでした。これは、月約5時間、年間では60時間の超過勤務に当たります。この賃金相当額は、時給2、000円として推計しても、1人当たり月1万円、年間では12万円にもなります。二重の賃下げというのが実態であり、労働時間の短縮を直ちに実施すべきであります。
 第6に、県警本部の場合、職員1人当たり平均7万2、000円の期末・勤勉手当の引き下げになります。9月決算特別委員会でも指摘したように、超過勤務手当が58%、半分程度しか支給されておらず、140時間が不払いとなっています。時給2、000円で試算すれば28万円の不払いであります。まず、超過勤務手当の全額支給を行うべきであります。
 第7に、人事委員会の勧告では、超過勤務の縮減、年次休暇の取得、看護休暇や介護休暇、育児休暇の取得が指摘されていますが、年次休暇の取得が知事部局で平均わずか11.6日など、極めて不十分な実態となっています。職員にとって必要な休暇が当たり前に取得できるように、抜本的に改善を図るべきであります。
 以上申し上げ、給与改定議案に対する反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第2号から議案第5号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、議案第2号から議案第5号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第29 発議案第1号議員の位置付けの明確化及び都道府県議会議員の選挙区制度の見直しの早期実現を求める意見書
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第29、発議案第1号議員の位置付けの明確化及び都道府県議会議員の選挙区制度の見直しの早期実現を求める意見書を議題といたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております案件は、各会派の賛同を得た委員会提案でありますので、会議規則第34条第2項及び第3項の規定並びに先例により議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木一榮君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これより、発議案第1号議員の位置付けの明確化及び都道府県議会議員の選挙区制度の見直しの早期実現を求める意見書を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、発議案第1号議員の位置付けの明確化及び都道府県議会議員の選挙区制度の見直しの早期実現を求める意見書は、原案のとおり可決されました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後3時17分 散 会

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