平成22年9月定例会 第18回岩手県議会定例会 会議録

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〇13番(高橋博之君) 平成21年度岩手県一般会計歳入歳出決算、認定第4号に対し反対討論を行います。
 平成19年度、20年度一般会計等の決算認定は、不適切な経理処理などの理由から不認定となりました。2年連続の決算不認定は極めて深刻な事態であり、県民の県行政への信頼を大きく失墜させたことは記憶に新しいところであります。
 決算不認定に至る審査の過程の中で、知事は、県政運営の基本姿勢として、コンプライアンスの確立及びトップマネジメントの遂行を通じ、県行政に対する県民の不信を払拭すると県民に対して約束されたと承知をしております。しかし、今回の決算審査の過程で、いわてNPOセンターに関する委託事業、環境対応公用車導入事業、森のトレーにかかわる事案には、そのコンプライアンスの確立とトップマネジメントの遂行が十分になされていないことが判明いたしました。
 2度にわたる決算不認定を踏まえた知事の県職員に対するメッセージが不十分であり、これはガバナンスが十分に働いていないことの証左でもあり、県民の納得が得られるものではありません。
 よって、審査の中で明確になった、以下、象徴的な3点などから認定第4号に反対し、改めてコンプライアンスの確立、トップマネジメントの遂行を含めた知事のガバナンスのあり方に疑問を呈するものであります。
 第1に、いわてNPOセンターに関する委託事業についてであります。
 一連のいわてNPOセンターの不祥事事案で判明したことは、県当局が、特定のNPOに委託が集中し、さまざまな批判があったにもかかわらず、問題意識が極めて希薄で、十分な対応をしてこなかった結果、当該NPO法人が数々の法令違反を犯したということであります。
 つまり県当局は、NPO法に基づく所轄庁としての指導監督を怠り、指定管理委託事業の発注者としても適切な指導監督を行いませんでした。また、職員が事業の発注に際して、その過程でさまざまな不適切な手続を行ったのではないかという疑念はいまだに払拭されておりません。さらには、行政とNPOとのあるべき協働の姿がいまだに不明確であり、NPO行政に対する県民の信頼は損なわれたままです。
 しかし、こうした問題に対する対策がいまだ十分に行われているとは言えず、県民の目に見える形でNPO行政運営の健全化策を早急に示すよう求めるものであります。
 第2は、環境対応公用車導入事業についてであります。
 1、407万円のレクサスハイブリッド車に乗りかえることは、県民に地球温暖化対策に知事が率先して取り組んでいるというメッセージを与えるという秘書広報室の認識でありましたが、県民の感覚と余りにもかけ離れていると言わざるを得ません。公費の節減努力の必要性に対する認識の著しい欠如と納税者の感覚との大きな乖離などから、常に費用対効果を追求する民間企業と、原価に無関心な県庁との意識の違いが浮き彫りになったと言えます。
 ちなみに、東北6県を比較すると岩手県以外の各県の知事公用車の車両価格は400万円から500万円前後であり、排気量4、960cc、1、407万円のレクサスは飛び抜けております。
 知事が県のトップリーダーとして本来発信すべきメッセージは、経費節減を徹底し、税金の無駄遣いを一掃するというものであるべきで、公用車はまさに経費節減のシンボル的なものでなければならないはずです。そうであってこそ県職員の意識改革をも促すことができるのではないでしょうか。
 さらに、公用車購入費用に充てた財源は政府からの地域活性化・経済危機対策として交付されたものでありましたが、本県の厳しい財政状況にかんがみると、交付金の本来の趣旨に沿った緊急かつ有効な使途がほかにあったのではないかと思われてなりません。
 第3は、森のトレーにかかわる事案についてであります。
 裁判による補助金の回収という計画に十分な見込みと対策がなかったこと、控訴を早期に断念したことは従来の基本スキームを180度転換するものであり、このこと自体も県民に対して説明がなされていないこと、控訴断念に伴って、事実上県民負担が生ずる可能性が確定的であるにもかかわらず、県民に対する説明責任を果たす用意が不十分であることなど、いまだ県民が納得できる誠意ある対応が見られないところであります。
 以上、象徴的な3点の問題点を申し上げ、改めて知事にコンプライアンスの確立とトップマネジメントの遂行を求め、認定第4号に関する反対の討論といたします。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、木村幸弘君。
   〔10番木村幸弘君登壇〕

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