平成22年9月定例会 第18回岩手県議会定例会 会議録

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〇14番(及川あつし君) 地域政党いわての及川あつしでございます。
 地域政党いわてを代表し、議案第30号岩手県公会堂の指定管理者を指定することに関し議決を求めることについて、及び請願陳情第103号青年の生活と雇用を守り、将来に希望を持てる岩手県の実現について、反対する立場から、以下、討論いたします。
 まず、議案第30号でありますが、これは、指定管理を受託しているいわてNPOセンターが、一連の不祥事事案を生じたことに伴い、いわてNPOセンターから岩手県公会堂の指定管理についての辞退の願いがあり、岩手県との協議の結果、その指定期間を、平成23年3月31日までであったものを平成22年10月31日に期間の変更を行ったことに伴い、新たに指定管理者を指定しようとするものであります。
 この議案についての問題は、審査の過程及び方法についてのさまざまな疑義が呈されていること、いわてNPOフォーラム21の役員12名のうち、部長級を含む現職の県職員が5名、県職員OBが1名と県関係者が理事の半数の6名もいる状況では、相互監視機能に関してなど透明性が確保される見込みがなく、執行部からも、今定例会を通じて明確な答弁はございませんでした。
 重大な不祥事の後でもあり、NPOに対する指定管理者、委託事業者の選定については、県民に対して十分な説明責任があるにもかかわらず、県は、検証をもとにした健全なNPOの育成のための施策を今回の選定に十分生かしておりません。
 いわてNPOフォーラム21の年間の活動予算と規模は、設立以来これまで約100万円前後であったものが、いわてNPOセンターの不祥事以降の本年4月から、県からの委託事業3件、合計1、423万円余を受託するなど、急激にその活動規模が拡大しております。
 これまでの県の、おのおののNPO法人の身の丈を超えた、能力を超えた形での事業が集中することがないようにするという答弁とは明らかに矛盾しておりますし、今回の指定管理の委託先として妥当であるか、極めて不明であります。
 以上のような問題があることから、県議会の役割として、この議案を責任を持って認めるわけにはまいりません。
 私たちは、いわてNPOフォーラム21について、その存在と活動に疑義を挟むものではなく、NPO育成に対する県のガバナンスのあり方について、改めて強く再考を求めるものであり、その意味でこの議案に反対するものであります。
 10月5日の本会議における議案質疑への知事の答弁では、岩手県職員のNPOへの参加は職員憲章に照らしてやるべきで、県職員は、積極的に地域活動に出るべきと指示しているとされましたが、その答弁では、本議案に対する県民の疑念はぬぐえないのではないでしょうか。
 これまでの議会における議論では、県職員といわてNPOセンターとの不適切な関係についての指摘もあり、自来、半年以上たった現在も、その点について十分に検証された形跡がなく、この点については、決算特別委員会で再度質問をする予定であります。
 また、方針として示してきた庁内でのNPOへの業務委託のあり方等の検討も極めて不十分であります。このような状況下での今回の議案提案であり、執行部が問題意識を十分に持った対応とは思えないものであります。
 確かに、県職員がNPO法人の役員を兼務することは、地方自治法や地方公務員法の諸法令に抵触することはないものの、委託元と委託先の健全な関係を構築するための役職員の就任などのルールをしっかりと定め、県民に示されるよう強く求めるものであります。
 次に、請願陳情受理番号第103号についてでありますが、受理番号第102号、第103号、第104号と一体の請願のものでありますが、その項目1から3のうち、判断が分かれる項目があることから、我が会派の判断を示すため、以下、討論するものであります。
 請願項目1から3のうち、請願項目1の安定した雇用を確保するための対策を強化することについては、反対の立場はとりません。特に、(1)の地域職業訓練センターと北上コンピュータ・アカデミーを存続、継承し、職業訓練の拡充を国に求めることについては、独立行政法人雇用能力開発機構の廃止に伴い、地方にしわ寄せが及んだものであります。地方の職業訓練の場を十分に調査もせず、このような短絡的な措置をとった政府・民主党、国民新党の措置は、断じて許されるものではありません。速やかに国の責任で職業訓練の場を戻すべきと考えます。
 残りの項目についてでありますが、雇用と地域経済を守るためには、誘致大企業だけではなく、総合的な見地から施策を展開するべきと考えます。
 最低賃金の引き上げについては、雇用戦略会議が6月に2020年までのできるだけ早い時期に最低賃金を800円に上げることで合意したことに起因するものでありますが、現下の経済状況の中、円高で大手企業の海外生産移転が一層進み、下請の仕事がさらに減るおそれもあることから、中小企業に賃上げの余力があるかどうかが問題であります。
 また、人件費等で苦境に陥る中小企業が広がり、雇用がさらに失われる可能性も十分に予見できるものであります。
 中小企業が多くを占める本県では、経済的実情を考慮すると、企業は従業員の賃金をどのように決めるべきかという需要と業績を考慮して決めるのが本来の経営であり、採算がとれないとなれば、事業をとめるか縮小するしかございません。
 以上のような理由から、請願陳情受理番号第103号に反対するものであります。
 以上、二つの議案に反対する立場から討論し、議員各位の御理解と当局の再考を強く求めるものであります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、斉藤信君。
   〔38番斉藤信君登壇〕

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