平成22年9月定例会 第18回岩手県議会定例会 会議録

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〇8番(喜多正敏君) 民主党・ゆうあいクラブの喜多正敏でございます。
 先輩、同僚議員の御配慮により登壇の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。さきの質問と重複することもあると思いますが、そのまま質問させていただきます。誠意ある御答弁を期待し、通告順に質問してまいります。
 なお、答弁によっては、再質問させていただきます。
 達増知事は、昨年度、10年間を見据えた長期計画であるいわて県民計画を策定され、また、今年度は、岩手を4分割して広域振興局に再編を行いました。また、新たに上野副知事を選任して、山積する県政課題にこたえたいとしております。
 そこで知事にお伺いします。
 リーマンショックや円高等による景気の低迷の中で、雇用の確保や地域経済の振興、県民所得の向上や地域医療や福祉の充実、地域間格差の是正など、対応すべき課題も多くあり、県勢発展のため、知事を先頭にしていろいろな取り組みも着実に推進されておりますが、県政の現状についての御所見と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、副知事にお伺いします。
 上野副知事は、大蔵省理財局や主計局、金融庁監督局の各部署を歴任され、また、福岡財務支局長、熊本県企画開発部長など、地方勤務の経験もおありです。
 岩手県に副知事として着任され、はや1カ月を過ごされましたが、岩手の現状や県政に対してどのような感想を持たれているかお伺いします。
 また、副知事は、企業誘致や農林水産、商工観光分野などを担当されておりますが、今までの経験を踏まえ、厳しい経済情勢下にある本県において、どのような産業、経済政策をどう展開することが重要とお考えか、御所見をお伺いします。
 次に、第1次産業の労働災害についてお伺いします。
 本県の基幹産業である農林水産業の根幹たる担い手は、減少、高齢化しております。販売農家の就業者数は、平成7年の13万1、818人から平成17年には11万4、009人へと減少し、60歳以上の占める割合は61.1%から71.4%に増加しております。林業では、平成10年度の就業者数は2、953人から平成20年度には1、959人に減少し、60歳以上の就業者は49.3%から低下しているものの44.9%を占めております。漁業就業者数は、平成10年の1万2、443人、平成20年には9、948人に減少し、60歳以上の男子就業者数の占める割合は32.6%から39.4%に増加しております。
 また、平成17年度から21年度までの新規就業者の累計は、農業は970人、林業377人、漁業では281人、全体では1、628人となっており、この増加は、未熟練就業者の増加につながっております。
 こうした担い手の減少や高齢化、未熟練就業者数の増加に対応して、安全で安心して働ける環境の整備が一層重要です。
 そこで、まず本県の農林水産業の労働災害の動向についてお伺いします。
 次に、県は、農林水産関係団体と連携を図りながら、どのような労働災害防止対策を講じてきたか、また、労災保険や農林漁業団体の共済制度への加入促進に向けた取り組みもあわせ、その課題と今後の取り組みも含め対策をお伺いします。
 次に、農業生産基盤施設の老朽化対策についてお伺いします。
 農業の振興には、まずもって夢と創意工夫にあふれる担い手が必要であり、農政の根幹の一つはここにあります。一方、担い手を確保していくためには、農業用排水路や農道などの生産基盤整備とこれら施設の適切な維持管理が必要です。しかしながら、こうした施設、特にも農業用排水路の多くが老朽化しており、補修や更新が必要な時期を迎えております。
 こうした農業生産基盤施設の工事は、一般に大規模であり、施工は農閑期に行う必要があるなど長期間を要し、さらに、農業従事者の減少や高齢化、農産物価格の低迷など厳しい農業経営環境や、国、地方も厳しい財政状況の中で多額の事業費を要することから、施設の現状を正確に把握し、計画的に補修、更新をしていく必要があると思われます。
 滝沢村においても、先人の大変な努力のもと、国営岩手山麓開拓建設事業により岩洞湖から農業用水を導水し、越前堰、岩手山ろく、玉山区などに農業用水を供給しておりますが、40年以上経過し、機能が低下し、また強度の低下による危険が危惧されております。
 県では、こうした農業用排水施設について、どのように現状を調査、把握し、また、補修、更新に要する事業費をどの程度と想定し、どのように老朽化に対応しようとしているのかお伺いします。
 次に、県産材の活用についてお伺いします。
 平成28年度国体開催に向けて、選手強化のため県営運動公園に建設を計画している多目的屋内練習施設は、構想検討委員会の検討を踏まえ、この3月に基本構想が策定されました。
 今年度から来年度にかけて基本設計、実施設計を行うこととしておりますが、この施設が医科学的視点や冬期間のトレーニングのため早急に供用開始されることを期待しております。
 私も、剣道場に本県産のナンブアカマツが床材に使用されている埼玉県立武道館等を視察し、多目的屋内練習施設への県産材の活用を提言しましたが、林業関係団体の要望や農林水産部からの提案内容を含め、どのように当施設への県産材の活用が検討されてきたのかお伺いします。
 県産材の活用のためには、当然、工期に間に合うように木材の伐採、製材加工、乾燥、基準に達する強度の県産材が適時適切な量や価格で供給されなければなりませんが、こうしたことについての調査検討や対応状況についてお伺いします。
 また、基本設計、実施設計委託先の決定に当たり、県産材の活用はどのように盛り込まれ決定されたのか、今後、県としてはどのような体制、考え方で設計を進めるのか、また、工期や供用開始時期も含めお伺いします。
 木材を活用した施設は、潤いと安らぎを与え、教育施設への活用も効果があるとされております。
 国は、このたび低層公共施設を抜本的に転換し、非木造化から木造化を進め、林業を再生する基本方針をまとめましたが、本県における今後5年間の建設や整備が予定されている県立高校や小中学校数、こうした学校施設などへの県産材活用の検討状況、その課題と対応はどのようになされているのか、あわせてお伺いします。
 次に、原木シイタケ栽培の振興と地球温暖化対策についてお伺いします。
 岩手県の原木干しシイタケ生産量は、ピーク時の平成4年度には933トンで全国第3位となっておりましたが、平成20年度には190トンと4分の1まで激減し、生産者数も3、444人から1、206人まで減少し、また、原木生シイタケも2、680トンの全国第8位から353トンに、生産者数も1、493人から206人に減少しております。これは、生産者の高齢化や中国産菌床シイタケの影響が主な原因と見られております。
 岩手県の干しシイタケは、アカマツの天然林などのほだ場を利用していることから、杉林やヒノキ林のほだ場を利用した干しシイタケに比べ、笠の明るい、品質のよいいわてのどんことして市場関係者から高く評価されています。
 さて、本県のシイタケの原木は、末口直径10センチ前後の若いナラ類が最も多く利用されておりますが、樹齢の若い林木ほど二酸化炭素の吸収量が多く、高樹齢になるほど吸収量が低下することが明らかになっております。シイタケ栽培は、この若い原木を特定して利用していることから、広葉樹林の通常利用に比べ二酸化炭素を50%も多く吸収すると言われております。したがって、原木シイタケの生産振興を図るためには、里山などの広葉樹林の更新等による適切な整備を促進させる必要がありますが、このほど策定された国の森林・林業基本政策検討委員会の中間報告にも、このことが明記されております。
 かつて本県の里山などにおいては、薪炭林として循環利用を通じた適切な整備が行われ、生物多様性に富んだ広葉樹を主体とした森林が維持されておりましたが、近年は利用されない放置山林が増加していることから、今後は、シイタケ原木の利用に加え、製紙用チップや木質バイオマスなどの利用拡大を図ることが、極めて重要と考えております。
 折しも、この10月には名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議が開催される中、我が国政府は、里地里山で自然資源を持続的に活用する事例、モデルを提供し、食料の安定供給や燃料資源の有効活用、生活水準の向上、自然を守り育てる知恵と伝統を、現在の科学技術と融合し、国際規模で自然と共生できる社会につなげたいとしております。
 そこでお伺いします。
 県では、原木シイタケ生産量の基盤となる広葉樹林の二酸化炭素吸収量や地球温暖化防止についてどのように評価し、今後どのように対応しようとしているかお伺いします。
 さらに、二酸化炭素吸収分をカーボン・クレジットとして活用し、原木シイタケの振興を図るとともに、岩手県自体のブランドを高めるためにも、これら県産シイタケは、自然に優しい安全・安心の原木シイタケとしてPRを展開すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 県では、いわて県民計画において、幅広い産業と連携したいわて広葉樹ビジネスの展開を掲げておりますが、中山間地の活性化や豊かな自然との共生も含め原木シイタケを一層振興すべきと思いますが、その課題と今後の対応策も含め、生産、販路拡大など、具体的にどのように強化していくのかお伺いします。
 現在、ナラ枯れ被害が北上していると伝えられております。ナラ枯れ被害の原因であるカシノナガキクイムシは、樹齢の高い木に多く発生すると言われており、その意味からも、ナラ類の多い広葉樹林の適切な整備が大事ですが、ナラ枯れ被害の実態と本県の対応策についてお伺いします。
 次に、観光振興についてお伺いします。
 ことし3月29日、JR東日本の福田泰司盛岡支社長から達増知事に、JR6社が実施する国内最大規模の観光キャンペーンであるデスティネーションキャンペーンを、平成24年4月から6月に開催する旨の開催決定通知書が手渡されました。
 平成19年7月から9月には、青森、秋田両県と合同で、もう一つの日本、北東北を展開し、期間中、県内の観光地に前年同期比約50万人増の延べ約1、354万人が訪れたと報道されております。
 新幹線青森開業や平泉文化遺産の世界遺産登録、また、地域経済の振興の上からも大いに期待するものであります。
 DCを成功に導くためには、JRと連携しながら、県としても地域素材を生かした効果の高い企画、観光地や商品づくり、これを生み出し実行するための周到な準備や組織づくり、人づくりが欠かせません。前回と異なり、年度当初4月からの展開となることから、前年度、すなわち平成23年度からの取り組みが必要と思われます。
 そこでお伺いします。
 県は、全体の事業費や県の負担をどのように考えているか、観光客入り込み数や宿泊客数の増加、経済的効果を含め、どのようなDC開催効果を期待しているのかお伺いします。
 お隣の宮城県では、平成20年にDCを開催しましたが、前年にプレDCを開催し、県下市町村から企画や観光商品を募集し、エージェントなど観光専門業者も加わり、これを評価し、魅力ある企画には予算をつけるなどして地域ぐるみの意欲と総意を引き出し、本番を迎え成功したと言われております。
 本県でも参考とすべき点が多いと存じますが、県としては、どのような戦略のもと、いつ、どのような手順や組織で開催に取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、文化振興についてお伺いします。
 本県では、ことし一握の砂発刊100周年を迎える石川啄木、遠野物語100周年の柳田國男や宮沢賢治、野村胡堂氏、近くは横溝正史賞受賞の我が滝沢村の大村友貴美氏、その他各賞の候補となった文学者などを輩出しており、明治以来プロ作家は、晩翆賞や角川俳句賞など名のある賞を受けた詩人、俳人、歌人を含めると100人近くもいると言われております。
 本県では、賢治や啄木、野村胡堂などの文学館などが設立され、盛岡市では、全国の高校に呼びかけ短歌甲子園の催事なども行われておりますが、県では、文学振興や文学の観光、地域振興などへの活用についてどのように取り組まれているのか、その現状と課題についてお伺いします。
 こうした岩手の明治、大正、昭和、平成の文学の成果を一望にし、文学者を輩出する岩手の風土をさらに生かし、地域文化の向上と情報発信、後進の育成を図るため、岩手文学全集を出版しようという企画が練られております。収録する文学者は100名に上り、気軽な文庫本としても全70巻から80巻ともなると聞いております。
 坂本龍馬と石川啄木の企画やI援隊推奨の縁ともなった高知県高知市には、宮尾登美子、寺田寅彦を中心とした高知県立文学館が設立されており、本県でも既存文学館収蔵作家以外の作家も加え文学館設立を期待したいと思いますものの、まずは、本県の文学の成果を一堂に紹介する全集を発行することは、岩手県文化芸術振興指針に呼応し、意義ある取り組みと思われますが、県の支援も含め御所見をお伺いします。
 次に、警察体制の充実についてお伺いします。
 県民が安全・安心して暮らせるため、警察の役割は重要であります。
 本県の刑法犯罪の認知件数は、平成17年1万1、289件、平成19年9、102件、平成21年8、240件へと減少し、同様に刑法犯少年も982人、800人、657人へ減少、人身交通事故も5、766件、5、369件、4、390件に減少しております。
 また、刑法犯認知件数に対し検挙件数の比率は38.1%、41.2%、44.0%へと高まってきております。県民各層、各団体の取り組みはもちろんですが、県警察当局の御努力が大きいものと、まずもって感謝を申し上げます。
 しかしながら、罪を犯した者の半分以上が責任を問われないままというのは、大きな課題であります。犯罪や事故を未然に防ぐことはもちろん大事ですが、そのためにも検挙率を高めることが重要と思います。
 一方、各地での祭り、催事には、相応の警備体制も求められるなど、現場ではいろいろ御苦労されていると思いますが、こうしたことも含め、警察官の定員や体制は十分なのか、課題はどこにあるのか、今後の取り組みも含めお伺いします。
 地域の安全のよりどころは、身近な交番、駐在所であります。本県の警察署は17警察署体制で、警察官の定員は1、443人となっております。
 各警察署の平成22年4月1日現在の警察官定員1人当たりで各警察署を比較してみますと、所管する面積は最低の3.47平方キロメートルから最大41.04平方キロメートル、同様に、管内人口は546.2人から1、104.2人、刑法犯認知件数では0.9件から8.4件、人身交通事故発生件数では0.7件から5件と多様となっております。これは単年度の数字であり、もちろん年度により変動があること、また基礎的な人員は配置しなければならないことは理解しておりますが、警察署の定員は何に基づいて配置されているのか、環境の変化に対する見直しはどのようになされているのかお伺いします。
 交番は平成22年に2カ所増加し41交番、駐在所は平成18年の171駐在所から平成20年163駐在所、平成22年には158駐在所体制となっております。
 人口動向や交通・道路状況、社会情勢等により統廃合や増設が行われ、また、市町村からも交番や駐在所の設置や移転の要望がなされており、滝沢村からも、交通状況や人口急増に対応するため交番の新設や移設、駐在所の移設などの要望が出されておりますが、どのような基準や計画で見直しが行われ、設置がなされているのか、また、今後5年間の間に新設や統廃合、移転を検討しているものがあればお伺いします。
 次に、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育についてお伺いします。 
 放課後児童クラブには、共働きやひとり親家庭の増加により、小学生の放課後や冬休み、夏休みなどの期間において、小学生の生活する場や教育を継続的に支援する役割がありますが、保育所から小学校に上がると延長保育などのサポートが少なくなり、いわゆる小1の壁により、勤務をやめざるを得ない場合も生じていると言われております。
 厳しい経済環境の中で、親の働く権利と生活を守る役割を担う面からも、放課後児童クラブは一層重要性を増しております。
 県では第二種社会福祉事業の届け出の受け付け、監督責任、指導員の研修などの役割があります。
 そこでお伺いします。
 まず、本県の小学校総数とクラブ数、クラブ登録児童数、待機児童数の動向及び利用料金の状況についてお伺いします。
 厚生労働省が2007年に作成した放課後児童クラブガイドラインにおいて、1放課後児童クラブの適正な規模はおおむね40人、最大でも70人までとされており、また、児童1人当たりおおむね1.65平方メートルの面積を確保することが望ましいとされておりますが、本県の状況についてお伺いします。
 放課後児童クラブの運営は安全に行われなければなりませんが、県では、けが、事故などの報告を受け、これを分析し、その防止の指導を行うことが望まれますが、その状況についてお伺いします。
 また、けがなど不慮の事故に備え、すべての児童の傷害保険、全施設の賠償責任保険への加入が必要と思いますが、その実態についてお伺いします。
 放課後児童クラブで過ごす時間が長くなってきていると言われる中で、指導員の役割は重要です。県及び市町村における指導員研修の実施状況についてお伺いします。
 また、今後、県の放課後児童クラブ充実への取り組みと国に施設や運営に対する支援の充実を働きかけていく必要もあると思いますが、御所見をお伺いします。
 次に、高齢者福祉についてお伺いします。
 介護療養病床の転換が進まず、厚生労働大臣は、介護療養病床の廃止期限の延期を含めて見直す考えを表明いたしましたが、本県の介護療養病床の転換の状況と今後の見通しについてお伺いします。
 介護療養病床の転換に対応して、要介護度が重度の方が在宅で療養できるよう、治療、介護などの幅広いサービスを切れ目なく総合的に提供する地域ケア体制の充実が必要ですが、県の取り組みについてお伺いします。
 また、特別養護老人ホームやいわゆる使用権の対価を支払って入居する有料老人ホームなどにおいて、その後、施設経営の行き詰まりや経営者の交代などにより入所条件が変更されたり、行き場がなくなったりして不利益をこうむる事例がないかお伺いします。
 また、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの健全な運営を確保するための県の取り組みについてお伺いします。
 県では、住宅困窮者に対して県営住宅を設置し、また高齢者に対し住宅の賃借を支援してきました。
 国では、高齢者の住宅と医療や介護福祉を結びつけた施策を促進しようとしておりますが、県でも速やかに対応すべきと思いますが、今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、スマートインターチェンジについてお伺いします。
 高速道路は、高速、円滑な物流や観光、人の流れ、緊急医療などに大きく寄与しております。さらに、その機能の拡大や地域振興のため、本県では、インターチェンジの間に一般道との接続をより密にするスマートインターチェンジ6カ所の設置希望が出されております。
 いずれも効果が大いに期待されるものでありますが、(仮称)盛岡北スマートインターチェンジ計画は、滝沢インターと盛岡インターの中間点、インターチェンジからの距離の望ましい基準とされる5キロメートルを満たしていること、主要地方道盛岡環状線に近接する位置にあり、大型車両も多く、交通量が飽和状況で危険でもある主要地方道盛岡環状線の交通緩和や西回りバイパス機能の代替となる効果が期待されます。
 また、好立地条件で、盛岡広域都市圏の北部に接続し、医療や観光、2巡目の国体への対応、多目的屋内練習施設などスポーツ施設の活用、地域開発に効果が期待され、緊要性は高いと存じますが、県の御所見とスマートインターチェンジ推進への対応についてお伺いします。
 最後に、森のトレー問題についてお伺いします。
 森のトレー問題は、補助金ありきの拙速な事業、設備投資計画の甘さなど事業執行上の問題が大きく、結果として全面敗訴となりました。
 責任は厳しく問われるべきですが、これを踏まえ、経営や販売、生産管理、設備投資などの専門的経験や知識を有する職員、例えば中小企業診断士の養成や配置を進めるべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 診断士資格を有する職員の配置ができない場合、事業計画の作成や執行管理について、部局横断的な客観的なチェックや指導体制を構築すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 喜多正敏議員の御質問にお答え申し上げます。
 県政の現状についての所見と今後の取り組みについてでありますが、地域で暮らす方々の仕事と暮らしを守り、豊かな生活を実現していくことが、知事に課せられた責務と考え、就任以来、岩手が置かれた現状に常に目を向けながら、何をなすべきか県民とともに考え、県政運営を行ってきたところであります。
 そうした中、依然として厳しい状況にあります県内の雇用環境の改善や地域医療の中核を担う病院勤務医の確保などが継続的な課題となっており、ものづくり産業の集積促進等による地域経済の活性化や、雇用の場の確保、創出、県民総参加型の地域医療体制づくりなどの取り組みを、全力を挙げて推進してきたところであります。
 また、希望あふれる岩手の実現に向けまして、県民みんなの力を結集していくための羅針盤となるいわて県民計画を多くの県民の皆さんの参加を得て策定し、これからの岩手の方向性を明らかにしたところであり、県民の皆さんや企業、NPO、市町村など、地域社会の力を結集しながらこの計画を着実に推進し、希望郷いわての実現を目指していきたいと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) 本県の現状等及び今後重要となる産業、経済施策の展開についてでございますが、本県は、自動車、半導体関連産業を初めとするものづくり産業が集積するとともに、風光明媚で農林水産資源に恵まれ、首都圏との交通の便も比較的よく、非常に発展可能性の高い地域と評価をしているところでございます。
 産業、経済施策の展開に当たりましては、地域経済や雇用状況への対応に加えまして、人口減少、少子高齢化の進行に伴う中長期的な産業、経済への影響も踏まえた対応が重要であると認識をいたしております。このため、国際競争力の高いものづくり産業の一層の集積促進などに引き続き取り組むとともに、今後、成長が期待される医療機器関連産業など新たな産業の創出、中国を初めとした東アジアなど海外市場への展開、さらには、ものづくり産業を担う高度技術人材、農林水産業分野で果敢に挑戦する経営体の育成などにも積極的に取り組み、本県経済の持続的な成長を目指してまいります。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) まず、第1次産業の労働災害についてでありますが、岩手労働局の調査では、平成21年の労働災害は、農業5件、林業77件、漁業25件となっており、前年に比較して、件数では農業が5件減少したものの、林業が18件、漁業が12件増加しております。
 次に、これらの労働災害の防止対策についてでありますが、作業従事者の安全意識の高揚に向け、事故が多発する時期における安全運動の実施や、研修会等を通じた指導の徹底など、関係機関や関係各種協議会と連携し、継続的な普及啓発を推進してきたところでございます。
 また、労災保険と農林漁業団体の共済制度への加入状況でありますが、労災保険では、平成22年3月末現在で、林業が2、772人、漁業が1、182人となっているほか、農協で取り扱っている生命共済では、平成22年8月末現在の被共済者数が約21万6、000人、森林組合系統傷害補償制度では、平成22年8月1日現在の加入者数が約780人、漁協で取り扱っている生命共済では、平成22年3月末現在の被共済者数が約1万4、900人となっております。
 次に、課題と今後の取り組みについてでありますが、依然として労働災害が発生していることから、今後とも関係機関、団体等と連携しながら、労働災害防止に向けた取り組みを一層強化していくとともに、労災保険などへの加入について周知に努めてまいります。
 次に、農業の生産基盤施設の老朽化対策についてでありますが、県では、平成18年度に、土地改良区や市町村など施設管理者とともに施設の実態調査を行い、今後10年間に、県営事業として措置すべき補修、更新対策を農業水利施設の維持更新計画として取りまとめたところであります。この計画については、毎年度、施設管理者とともに現地調査を重ねながら見直しを行っており、国営事業で整備を予定している施設も含め、向こう10年間に、補修、更新に必要な費用を、現時点でおおむね800億円と見込んでいるところであります。
 県といたしましては、国や地方の厳しい財政状況を勘案しつつ、施設の全面的な改修といったこれまでの手法に加え、定期的な機能診断により、必要な部分から順次、補修、更新する手法を組み合わせた長寿命化対策を計画的に進めてまいります。
 次に、広葉樹林の地球温暖化防止に係る評価と今後の対応についてでありますが、地球温暖化対策として参入が認められた平成20年度の本県の二酸化炭素吸収量は142万CO2トンとなっており、針葉樹、広葉樹の蓄積割合から換算すると、広葉樹林による二酸化炭素吸収量は約52万CO2トンと推測されており、地球温暖化防止に大きく貢献しております。
 豊富な広葉樹資源は本県の森林、林業の強みであり、全国有数の生産量を誇るシイタケや木炭産業を支えるとともに、水源の涵養や環境保全など、さまざまな恩恵を県民にもたらしているところであります。このため、県といたしましては、今後とも広葉樹資源の持続的な利用を図りながら、公益的機能が充実しつつ発揮されるよう、本県の広葉樹林を適切に育成、管理してまいります。
 次に、原木シイタケのPR及び生産、販路拡大の強化についてでありますが、現行のカーボン・クレジット制度では、間伐などの積極的な森林管理による二酸化炭素吸収量が対象となるため、自然力を生かして更新を行うシイタケ原木林は、現時点ではその対象となることは難しく、今後の課題と受けとめているところであります。
 一方、本県の原木シイタケ栽培は、広葉樹資源の有効な循環利用と、ほだ場としての里山林の適正な管理により森林環境の保全に大きく寄与しており、自然への貢献という視点をこれまで以上にアピールしながら、自然にやさしい安全・安心な原木シイタケとしてPRを展開したいと考えております。
 御指摘のように、生産者の高齢化などにより原木シイタケの生産量が減少し、産地力が低下していることから、県といたしましては、生産量を減少から増加に転じさせるとともに、岩手ブランドとしての販売促進が必要であると考えているところであります。このため、ほだ木整備支援による新規参入者の促進や、収量向上のための栽培技術研修会の実施、さらには、オリジナルパッケージによる販路開拓などに重点を置いた施策を展開し、全国トップクラスの品質を誇る本県の原木シイタケを今後とも振興してまいります。
 次に、ナラ枯れ被害の実態と本県の対応策についてでありますが、ナラ枯れ被害は、カシノナガキクイムシが病原菌を運びミズナラ等を枯らす伝染病であり、平成18年には秋田県、昨年は宮城県で被害が確認されたところであります。本県では、現在、全県を対象に調査を実施しており、今のところ被害は確認されておりませんが、県としてはナラ枯れ被害の発生に備え、被害調査、防除技術の習得研修の実施や初動対応マニュアルの策定、さらには、県南広域振興局に監視体制強化のための連絡会議を設置するなど、初動対応を中心に対策を講じているところであります。
 次に、事業計画の部局横断的なチェック、指導体制についてでありますが、森のトレー事案を教訓にさまざまな再発防止策を実施しており、その一つとして、事業計画段階で中小企業診断士等による経営診断を義務づけ、厳密な審査、指導を行っております。具体的には、林野関係国庫補助事業において、事業費がおおむね5、000万円以上であって、収支を伴う施設を計画する場合には計画診断を義務づけており、この診断で指摘された課題があれば、解決するまで事業計画の見直しを徹底指導しているところであります。
 また、事業開始後においても、農林水産部に林業職員と中小企業診断士の資格を有する職員、企業会計に精通した職員による指導チームを編成して、事業計画の達成状況や収支実績を把握しながら、経営改善指導を実施いたしております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 観光振興に係るデスティネーションキャンペーンについてでありますが、現在、全体の事業費はまだ定まっておりません。これまでのほかの開催事例では、平成19年度の北東北開催では、事業費が約9、000万円で北東北3県が全額負担、平成20年度の仙台・宮城開催では、事業費約3億1、000万円で、仙台市と宮城県が合わせて3分の2の約2億1、000万円の負担、また、平成23年度予定の青森開催では、事業費約2億8、000万円で、青森県が約8割の2億3、000万円の負担の予定となっております。こうしたことを参考にしながら、来月初旬に、関係者により設立する予定の推進組織におきまして、事業費や県を含めましたそれぞれの負担についての協議を進めてまいります。
 また、デスティネーションキャンペーンに期待する開催効果につきましてもこの推進組織で定めることとしておりまして、まずもって、本年で3年目になるいわて・平泉観光キャンペーンでのこれまで積み重ねを総括いたしまして、抽出された課題などを踏まえて戦略を立てていくこととしております。その上で、観光客の入り込み数や経済効果などの具体的な数値を含めた目標や、その実現のための方策を定めることといたしております。
 なお、こうした一連のキャンペーンにつきましては、一時的な集客にとどまることなく、今後の岩手の観光産業の確立につながるものとなるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
   〔政策地域部長加藤主税君登壇〕
〇政策地域部長(加藤主税君) 文学振興と文学の観光、地域振興への活用についてでございますが、石川啄木や宮沢賢治に代表されます岩手の風土や歴史に根差した文学は、岩手が世界に誇れる豊かな文化であります。遠野物語や宮沢賢治の童話などの文学を地域振興の核としようとする地域におきましては、住民、行政等が一体となりまして、観光ルートの開拓やイベントの開催などの各種の取り組みを展開しておりまして、県におきましても、取り組みの内容、趣旨に応じまして、さまざまな支援、取り組みを行ってきたところでございます。しかしながら、これらの取り組みにつきましては、それぞれの内容いかんによるところもございますが、対外的な情報発信によるアピール力が十分でないことや、それぞれの地域単位の取り組みにとどまっている嫌いもございまして、連携による相乗効果を発揮するには至っていないことが課題であると認識しておりまして、一層の効果的な取り組みが期待されます。
 いわて県民計画の六つの構想の中には、ソフトパワーいわて構想を盛り込んでおり、現在、その具体化に向けた検討を行っておりますが、こうした文学振興につきましてもソフトパワーの一環とも考えられますので、この中で、県としての取り組みのあり方についても検討してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、放課後児童クラブ数等の動向についてでありますが、本県の小学校総数は本年4月1日現在で394校であり、放課後児童クラブ数は本年5月1日現在で275クラブ、登録児童数は1万171人となっており、最近においては、クラブ数及び登録児童数ともに増加傾向にあります。また、県が把握しております待機児童数は、本年5月1日現在で、県内3市で70人となっておりますが、近年の動向は若干減少の方向にあります。
 また、放課後児童クラブの月額利用料金は、クラブごとに運営経費に充てるため任意で設定されているものではありますが、5、001円から1万円の幅のところが最も多く120クラブで全体の44%、次いで5、000円以下が86クラブで31.2%、無料が53クラブで19.3%、1万円を超えるものが16クラブで5.8%となっております。
 次に、放課後児童クラブの規模等の状況についてでありますが、国が定める放課後児童クラブガイドラインにおきまして、望ましいとされておりますおおむね40人程度までの規模のクラブ数は、本年5月1日現在で、全クラブ275のうち157クラブ、全体の57.1%であり、また、71人以上の大規模のクラブ数は10クラブであります。これらを含め、275クラブの平均児童数は37人となっております。また、望ましいとされております児童1人当たりおおむね1.65平方メートル以上の放課後児童クラブ数は220クラブで、全体の80%となっております。
 次に、事故防止の指導状況等についてでありますが、事故防止の指導につきましては、設置者である市町村に対し、死亡事故や治療を要する期間が30日以上の事故が発生した場合、県に対して報告を求めているところであります。今年度におきましては、10月1日現在で治療を要する事故の報告を3件受けております。
 県といたしましては、事故原因を把握した上で、各市町村に対し事故防止に関する情報を随時提供いたしますとともに、各クラブで作成しております事故防止、発生時の対応マニアルに基づき事故防止の徹底に努めるよう、指導しているところでございます。
 また、保険の加入状況につきましてはクラブごとに任意に加入するものでありますが、子供の傷害保険は262クラブ、全体の95.3%、施設の賠償責任保険は170クラブ、全体の61.8%が加入しており、何らかの保険に加入しているクラブは275クラブのうち271クラブで、全体の98.5%が加入している状況にございます。
 次に、指導員研修の実施状況についてでありますが、県においては、毎年、放課後児童クラブの指導員の研修会を3回実施しておりますが、今年度は、これらの研修に加えまして、資質のさらなる向上を図るため、児童厚生2級指導員の資格を取得するための研修を別途実施する予定であります。また、市町村におきましては、本年度は10市町で実施される予定と伺っております。
 次に、今後の県の取り組みと国への働きかけについてでありますが、県といたしましては、今後とも、指導員研修の強化や少人数クラブ助成、障がい児加算などの県単補助による運営の支援などを通じて、クラブ活動内容の充実を促進していきたいと考えております。
 また、市町村に対しましては、潜在ニーズの把握を踏まえた放課後児童クラブの設置をさらに促しますとともに、保護者の要望に沿った運営及び指導員研修の創設、拡充などについて助言していきたいと考えております。
 また、本年8月、国に対しましては、放課後児童クラブの設置の促進などにつきまして財政支援の拡充につき要望を行ったところでありますが、今後とも、必要な要望を行ってまいりたいと考えております。
 次に、介護療養病床の転換の状況と今後の見通しについてでありますが、介護療養病床につきましては、平成19年4月1日以降、老人保健施設への転換が72床、医療療養病床への転換が46床、一般病床への転換、病床の廃止が131床あったことによりまして計249床減少し、現在627床となっておりますが、療養病床転換計画に定めております平成22年度末の計画数607床に対し、20床多く上回っているところではございますが、現時点ではおおむね計画に沿って推移してきたものと考えております。
 療養病床の再編につきましては、昨年11月、厚生労働大臣が療養病床削減計画の見直しを表明し、以降、国におきまして、都道府県を通じて関係医療機関に対し転換意向等の調査を行うなど、必要な対応について検証を行っているところであります。このような状況から、県内の介護療養病床を有する医療機関では、本年4月時点の国の転換意向調査において、その対象であった675床のおおむね8割について転換未定と回答をしている状況となっております。
 議員御指摘のとおり、去る9月8日、衆議院厚生労働委員会におきまして、厚生労働大臣が改めて介護療養病床の廃止の猶予を含めて方針を決定するという考えを示したところであり、県といたしましては、国の動向を注視しますとともに、医療関係団体や関係する医療機関に適宜情報提供を行う等、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、地域ケア体制の充実についてでありますが、高齢者が医療や介護を必要とする状態となっても、住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、これまで県保健医療計画や第4期県介護保険事業支援計画を策定し、疾病予防から医療への連携、退院時や在宅療養における医療と福祉、介護の連携など、切れ目のない総合的なサービスを提供できる体制の構築を目指してきたところでございます。
 具体的には、各保健医療圏域において、地域連携クリティカルパスの導入等の取り組みを進めますとともに、地域包括支援センターが医療、介護等関係機関のネットワークづくりを進めることなどにより、例えば、入院患者の退院後の在宅における医療ケアや介護サービスの利用についての検討、調整などに取り組んでいるところであり、また、昨年度創設いたしました介護サービス施設等整備臨時特例基金を活用し、小規模特別養護老人ホームや認知症グループホームなど地域密着型施設の整備を促進し、身近な地域で利用できる介護サービス基盤の充実を図ってきているところでございます。
 県といたしましては、今後とも、市町村や関係機関と連携を図りながら、地域の実情に応じた医療、介護、見守り等の多様なサービスの提供体制の整備や連携の仕組みづくりを、一層、強化、支援してまいりたいと考えております。
 次に、老人ホーム等の健全な施設運営についてでありますが、過去5年間におきまして、特別養護老人ホームの運営主体が変更となった事例は2件ございますが、いずれも市町村が運営していたものを社会福祉法人へ移管したケースであり、特に問題となった事例はないと考えております。
 また、有料老人ホームにつきましても、過去5年間におきまして、10人未満の小規模な施設15件の廃止の届け出があり、また、食材費の高騰等の理由により、利用料の増額をした旨の届け出が7件あったところでございますが、これらの届け出を受理いたしました広域振興局において、廃止後の利用者の状況等につきましても確認しており、特に問題はなかったものと承知しております。
 また、次に、健全な施設運営のための取り組みについてでありますが、まず、特別養護老人ホームの運営主体であります社会福祉法人に対しましては、社会福祉法に基づく監督として定期的な監査や随時の指導助言を実施しているほか、県社会福祉協議会が実施する社会福祉法人への経営指導事業に補助を行うなど、健全な施設運営に対する支援を行っているところであります。
 また、有料老人ホームにつきましては、老人福祉法の定めにより、設置、廃止時等の届け出義務が課されているほか、入所者保護の観点から、帳簿の作成、保存や前払いを受ける費用に係る保全措置などの義務が課されているところであり、同法の趣旨を踏まえて本県の指導指針を策定しているところでございまして、当該指針に基づき、毎年度実施される施設の現況報告や各種届け出の機会を通じまして、広域振興局による指導を行っているところでございます。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) 高齢者に対する住宅の支援についてでございますが、本県の65歳以上の高齢者人口は現在約36万人となっており、今後も増加が見込まれることから、老人ホームや高齢者向け住宅の需要が高まることが予想されます。国においては、平成21年5月に、高齢者の居住の安定確保に関する法律を改正し、住宅施策と高齢者福祉施策の連携により、高齢者の居住の安定確保を目指すこととなったところであります。
 本県においては、高齢者に対する住宅の支援として、これまで高齢者向け優良賃貸住宅の供給促進やあんしん賃貸支援事業などの高齢者向け住宅政策を行ってきたところでございますが、今回の法改正により、都道府県が高齢者居住安定確保計画を策定できることとなったことを受け、本県においても、来年度までに県土整備部と保健福祉部が連携して計画を策定し、住宅施策と医療、介護施策を結びつけるための対策や、サービスつき高齢者専用賃貸住宅の供給促進に向けた対策を進めてまいります。
 次に、スマートインターチェンジの推進についてでありますが、地域医療や観光振興、物流の促進など、スマートインターチェンジのメリットは多岐にわたることから、市町村から要望を受けた(仮称)盛岡北など、県内6カ所のスマートインターチェンジについて、国やNEXCO、市町村と連携しながら、設置に向けた検討を行ってきたところでございます。
 一方、国においては、スマートインターチェンジの整備を含む高速道路の利便増進事業に関して規定している道路整備事業財政特別措置法の改正案が継続審議となっているところでございます。こうしたことから、スマートインターチェンジ設置に向けた情勢には進展が見られない状況にございますが、県としては、進展が見られた際に早期に対応できるよう、必要性の整備など関係機関と調整に努めていくとともに、国に対して早期にスマートインターチェンジの整備に関する環境を整えるよう働きかけてまいります。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 専門的知識を有する職員の育成についてでございますが、地方分権の進展等とも相まって、行政課題の複雑化、専門化が進む中で、企業会計などの専門的知識が重要性をますます増してございます。このため、企業会計講座や公共マーケティング講座などの研修を実施いたしまして、職員の専門的知識に係る能力向上を進めているところでございます。
 なお、職員のこのような能力向上と業務の必要性を勘案いたしまして、中小企業診断士の第1次試験に合格した職員を中小企業大学校に派遣いたしまして、資格取得に向けた支援を行った事例等も生じてきております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、多目的屋内練習施設への県産材の活用についてでありますが、当該施設の整備における県産材の活用については、林業関係団体等からの要望や岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画の趣旨を踏まえ、可能な限り県産材を活用した施設とするため、今年度の基本設計作業において、現在、建物の構造を含め、工期あるいは建設に要する経費などについて比較検討しているところであります。
 次に、多目的屋内練習施設の基本設計、実施設計の委託先と今後の進め方についてでありますが、基本設計、実施設計委託業者の特定に際しましては、プロポーザルの技術提案書の作成において、県産材の活用についての提案を求めて、設計業者の能力、技術力の判断項目の一つとしており、さらに、設計に対する実施体制や技術職員の配置などを含めて総合的に評価、判断し、委託業者を特定しております。
 今後の推進体制については、大学教授などを含めた外部委員で構成する基本設計検討委員会を設置し、競技種目の想定やスポーツ医科学機能の体制などの基本的な事項について検討しております。また、工期等については、施設建設の目的である国体における競技力向上に資するため、平成25年の秋ごろから供用開始できるように計画しているところであります。
 次に、教育施設への県産材の活用についてでありますが、今後の学校施設の新増築や改築の予定については、県にあっては、盛岡商業高校の校舎建築、また、市町村にあっては、現在把握しているところでは、本年度は16校中2校、来年度は20校中4校で木造による校舎等の整備が予定されているところであります。
 木造化や内装材としての木材の活用に当たっては、建築基準法上の制約や経費がかさむなどの課題があると承知しておりますが、さまざまな国庫補助制度の活用などを図りながら、可能な限り、施設の木造化や床、壁、天井などの木質化により、県産材の活用を図ってまいりたいと考えております。
 次に、岩手文学全集の発刊についてでありますが、平成20年12月に策定した岩手県文化芸術振興指針の方向性に沿って、文学振興については、創作活動奨励事業による芸術選奨、岩手芸術祭における県民文芸作品集の刊行や文芸祭の開催、文化振興基金による助成などを行っているところであります。
 お尋ねがありました本県が輩出したすぐれた文学者の成果を一望できる文学全集の発刊は、文化芸術振興指針の推進に当たっても意義深い取り組みであると認識しておりますが、県としての支援のあり方につきましては、企画内容の熟度、あるいは他県の取り組み状況等を十分勘案しながら対応してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長樹下尚君登壇〕
〇警察本部長(樹下尚君) 警察体制の充実についてお答えいたします。
 本県の治安情勢につきましては、近年、刑法犯認知件数が減少し、量的には抑制の傾向にありますものの、県民が不安に感じる重要犯罪は、本年に入り増加傾向にありますほか、高齢化が進む中で、交通事故死者数に占める高齢者の割合は高く、依然として厳しい状況にございます。
 このような情勢の中、県民の安全と安心な暮らしを守るため、犯罪の抑止や発生した犯罪の徹底検挙、交通死亡事故抑止対策等の活動を積極的に推進していくことが、喫緊の課題であると考えているところでございます。
 そのためには、県民の期待にこたえ得る力強い警察を確立していくことが重要であり、これまでも、現場執行力の強化の観点から体制の見直しに取り組んできたところでありますが、さきに述べたような課題に的確に対応していくためには、現状は、いまだ十分な体制であるとは言いがたいところであります。
 県警察といたしましては、警察官の適正配置に努めつつ、組織力を最大限発揮して現場執行力の維持、強化を図るため、若手警察官の早期戦力化や組織の中核を担う中堅警察官の実務能力の維持、向上などによる人的基盤の整備でありますとか、科学技術の活用による捜査力の強化などにより、複雑多様化する警察事象に対応できる精強な警察づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、警察署ごとの定員についてでありますが、警察署ごとの定員は、定数条例の規定に基づき、管轄区域の人口、面積、犯罪発生状況等、治安に関するさまざまな要素を勘案し、岩手県公安委員会規則で定めており、日々刻々と変化する治安情勢に対応するため、毎年その見直しを行っております。
 次に、交番、駐在所についてでありますが、交番、駐在所の新設や移設、統廃合に当たりましては、人口、世帯数や事件などの発生状況、交通状況など、地域の実態を総合的に勘案して行っているところでございます。
 今後の計画につきましては、今年度、二戸警察署の新築移転に伴いまして、現庁舎を活用した交番の設置と大船渡警察署の小友駐在所を広田駐在所に統合することとしております。
 なお、来年以降の計画等につきましては、現時点において具体的に申し上げることのできるものはございませんが、今後とも、引き続き適正な配置に努めてまいります。
〇8番(喜多正敏君) まず、達増知事には、今まで布石を打ってきたことを完成させるべく、今後とも着実に県政の改革を進めていっていただきたいと、長期的な視点でお願い申し上げておきたいと思います。
 また、上野副知事には、経験と人脈を生かして、県民とともに大いに岩手県を発展させていただくよう御期待申し上げたいと思います。
 第1次産業の労働災害の防止についてであります。
 農業共済あるいは漁業団体の共済等にも入っているわけでありますけれども、労働者災害補償保険法による特定農作業従事者とか、あるいは指定農業機械作業従事者、あるいは農業関係のみの中小事業主の加入者数、こういったものはどういう状況になっているでしょうか。
 それから、農業用水等の基盤整備でありますけれども、農業や財政状況の非常に厳しい中ではありますが、やはり、この命の水を確保するために、農業用水施設等の農業基盤施設の補修、更新についてはこれまでもなさってきたわけでありますけれども、市町村と農業関係団体との連携を一層強めて、必要な国に対する要望等も鋭意取り組んでいっていただきたいと思います。
 それから、観光振興についてでありますけれども、私は、かねて県立大学を活用して観光振興、特に総合政策学部の中に長期的に人材養成する講座を設けるなどしてその養成を図っていっていただきたいと提言してまいりましたが、県により、この9月から来年の2月まで、市町村職員や、あるいは観光関係事業者、関係団体の職員を対象として、地域の観光をマネジメントする人材を養成するということで、いわて観光マネジメント人材育成セミナーが県立大学のアイーナキャンパスで行われると、発足しておるわけであります。
 一歩前進で大変いいことと思っておるわけでありますけれども、さらには、今回のことを契機として、やはり大学の中に講座を設けて、組織的に取り組んでいっていただきたいということを期待したいと思っておりますけれども、特にも今回のDCは、まさに市町村や観光関係団体が一緒になって新たな事業を進めていくということで非常にいい機会であると思いますので、県立大学から意見を聞くなど、あるいは県立大学生の活用をするなど、そうした参画を得ていくことが非常に効果的と思いますが、いかがでありましょうか。
 それから、放課後児童クラブでありますけれども、全国学童保育クラブによれば、小学校1年生から3年生まで、クラブにいる時間は、夏休み、冬休みなどの長期的な休業日も含めると年間1、650時間ということで、学校にいる1、140時間を上回っているということであります。
 1クラブ当たりの児童数は40人までが適当と言われているという先ほどの御答弁でもありますが、実際71人以上の大規模クラブの解消とか、老朽化した設備、十分なスペースや遊び場が確保されていない現状、あるいは男女別のトイレがないとか、ぐあいの悪くなった児童の静養室がない、あるいは台所、手や足洗い場、事務室等の施設の確保、充実、あるいは、実際の指導員は、所得が年収150万円以下の非常勤職員であるといったようなことで、この大事な役割を果たしている児童クラブの割には、まだまだ正規な位置づけもされていないという状況であります。
 したがいまして、やはり今お話がありましたとおりの実情はお聞きしたわけでありますけれども、さらに、国には、設置や運営基準を整備して、どの学童保育でもある一定の水準を確保するよう、施設や運営に対する財政支援などの要請をしっかりとしていただくように、県でも把握をしながら充実をしていっていただきたいと思います。
 それから、先ほど指導員研修を、市町村では、市町村が設置して委託するというのが多いわけでありますけれども、わずかに10市町村しか指導員研修を行っていない。この指導員研修については、市町村や父母会の理解を深めることはなかなか大変なわけでありますけれども、研修会を複数の市町村が共同で開催するとか、広域振興局ごとに開催するとか、参加しやすくして指導員の研修を充実していく必要があるのではないかと思っております。
 また、そのためにも、一つは、地域の現場に即した学童保育のあり方、指導員の研修については、県立大学とか地元大学との連携も深めながら、協力を得ていくことも大変重要ではないかと思っているわけであります。このことについて再度お伺いします。
 それから、特別養護老人ホームや有料老人ホームの整備に対して、待機者がなかなか解消できない状況にあるわけでありますけれども、一方、介護ヘルパーの待遇は低く、慢性的な人材不足に陥っている中で、密度が濃く効果的な介護を行おうとすると、民間の資金を活用することは意義あると思っております。
 今後計画していくわけでありますけれども、今回、この高齢者向けの介護と保健との連携した住宅施策については、医療介護の方は当然でありますが、現に介護を受けている家族などの当事者や、広く民間のノウハウや専門的知見を生かした関係団体の参画を得ていく必要があると思いますが、そのことについての御所見をお伺いしたいと思います。進め方について御所見をお伺いします。
〇農林水産部長(小田島智弥君) 農林水産部関係で2件御質問がございましたので、お答え申し上げます。
 まず、労働者災害補償保険法によります特定農作業従事者等の加入状況についてでございます。
 岩手労働局によりますと、平成22年3月末現在で、特定農作業従事者が661人、指定農業機械作業従事者が1、243人という加入状況になってございます。
 また、中小事業主等の加入状況につきましては、平成21年3月末現在で37事業所、88人となっております。
 労災保険の特別加入制度への加入促進に向けた取り組みにつきましては、これまでも市町村や農協等と連携をしながら取り組んでいるところでありまして、今後とも継続して取り組んでまいりたいと考えてございます。
 それから、農業の生産基盤施設の老朽化についてでございますが、国には、老朽化の実態等をきっちり訴えかけていきながら、必要な整備が早期に進むように強く働きかけてまいりたいと考えております。
〇総務部長(菅野洋樹君) 県立大学の関係でございます。
 県立大学におきましては、お話のありました総合政策学部におきまして、総合政策入門、それから経営分析実習の中で観光に関する授業を行ってございますし、また、宮古短期大学部におきましては、観光学ガイド及び観光に関する特別研究というカリキュラムを設けているところでございます。
 今後とも、県立の大学といたしまして、県全体のニーズに適切に対応したカリキュラムが編成されますよう、大学ともよく連携しながら努めてまいりたいと考えておりますし、また、大学のこのような資源が適切に地域、それから観光といったものに反映できますよう、観光担当部局ともよく連携を図りながら、担当部として努めてまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 放課後児童クラブに関しまして2点お尋ねがございました。
 まず、国への要請、県の支援についてでありますが、放課後児童クラブの設置や運営基準につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国が放課後児童クラブガイドラインを示しておりますが、これは、各クラブの運営の多様性を前提としておりまして、最低基準という位置づけではなく、クラブの運営に関する基本的な事項を示したものとなっております。
 各クラブは、このガイドラインをもとにしながら、その運営内容の向上に努めているところではございますけれども、県といたしまして、やはり一定の水準を維持する、確保することが極めて重要なことだと考えておりまして、先ほどもちょっと御答弁いたしましたが、そのガイドラインでは、40人程度の規模が望ましいと示しておりますので、クラブの設置促進に向けた財政支援の充実について国に要望しておりますし、また、同様にガイドラインの中で、障がい児の受け入れを促進するため、適切な数の指導員の確保が可能となるような加算額の増額につきましても要望を行っているところでございます。
 また、クラブの施設整備につきましても、これまで国庫補助金を活用した助成制度により支援してきたところでございますけれども、昨年度、クラブの設置促進を図るため、これに加えまして、国から交付されました子育て支援対策臨時特例交付金による基金造成を行いまして、その中で新たな助成制度を創設したところであります。本年度は、具体的に活用実績が出ております。
 今後におきましても、放課後児童クラブの充実を図るために、議員の御提言の趣旨を踏まえ、国に対する財政支援の要望及び市町村への支援を行っていきたいと考えております。
 また、指導員研修についてでございますが、先ほど申しましたとおり、現在、県が行っている研修は年3回、1会場に集まっていただいて、講演のほか、情報交換、グループワークなど、さまざまな内容で実施しております。
 御提言のございました振興局単位の研修につきましては、今後、参考とさせていただきながら、総合的に検討させていただきたいと考えております。
 また、現在、一部の市町村で行われております研修につきましては、今後、未実施の市町村に対しまして実施に向けた働きかけを行いたいと考えております。また、複数の市町村が共同で開催する場合には、随時支援してまいりたいと考えているところでございます。
 なお、これらの場合に当たりましては、父母会の要望内容なども十分取り入れるよう、その配慮について、市町村にあわせて要請したいと考えております。
 また、県立大学を初め、地元の大学との連携につきましても、今年度の研修におきましては、講師を一部お願いしているところでございまして、今後とも、協力をいただきながら実施していきたいと考えております。
〇県土整備部長(平井節生君) 高齢者住宅の支援についてでございますが、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく高齢者居住安定確保計画には、高齢者賃貸支援事業の充実など、各般の施策を盛り込むことになってございまして、これらにつきまして、保健福祉部とも連携しながら、充実した計画をつくってまいりたいと考えてございます。
〇8番(喜多正敏君) 先ほど特定農作業従事者、特定農業機械作業従事者、あるいは中小企業主、これらの加入が全部足して2、000人弱と。ところが、認定農業者は現在8、500人を目指しているわけでありますけれども、そうしたプロの農業者といいますか、そうした方に比べてまだまだ加入率が低いわけであります。
 一方、本県の農作業事故4日以上、死亡までは5年間で1、200件あるということですので、全国平均の半分の加入率になっているわけであります。したがいまして、これをぜひ促進していただきたいと思います。
 以上で終わります。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、小野共君。
   〔4番小野共君登壇〕(拍手)

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