平成22年9月定例会 第18回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇20番(関根敏伸君) 民主党・ゆうあいクラブの関根敏伸でございます。
 質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げ、順次質問をいたします。
 昨年8月の衆議院選挙による政権交代から1年が経過いたしました。その後、ことし6月には菅政権が発足。7月の参議院選挙、9月には菅総理と小沢候補者による代表選挙の実施と、目まぐるしい1年でもありました。
 鳩山政権の中で一丁目一番地として位置づけられていた地域主権改革は、今回の代表選の議論の中で、その必要性への認識が増した感があります。今後は、みずから地方経営に携わってきた片山新大臣のもとで、国と地方の協議の場に関する法律案や、国による義務づけ、枠づけの見直し、出先機関改革などが議論され、その体制整備が進んでくるものと期待しております。
 地域主権改革は、日本国憲法の理念のもとに、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民がみずからの判断と責任において地域の課題に取り組むことができるようにするための改革とされており、国からの富の配分に依存し、変化に弱い地方の現状を、多様な自治体が多様な行政分野で刺激し合いながら地方を盛り上げていこうとするものであります。
 知事にお伺いいたします。この地域主権改革が進み、権限だけではなく、財源も税源も地方に移譲されてきた場合、本当の意味での多様性のある自治体が登場してくることになろうかと思います。そこで必要になるのは、リーダーがかわっても普遍な、どういう自治体になりたいのかという理念であります。現在、県民と共有できる基本理念、県民参加の推進、県政運営の基本原則や制度手続、職員の責務、市町村との関係のあり方などを掲げた自治基本条例の制定を進める自治体もふえておりますが、その制定についての知事のお考えをお聞かせください。
 先日、ある研修会において、社会保障に対する支出と経済的パフォーマンスと題して、日本、アメリカ、ドイツ、スウェーデンを取り上げ、各国のGDPに対する社会的支出の割合、経済成長率、財政収支、貧困率、格差の四つの指標を比較した話を聞くことができました。それによりますと、アメリカは低負担、低福祉であるが、経済成長率は高い。しかし、財政収支は赤字で、貧困率、格差は最も大きい。ドイツは高負担、高福祉型であり、貧困や格差は小さいが、経済成長率は余り高くなく、財政収支は赤字である。スウェーデンは最も高福祉、高負担型であるが、貧困率、格差は最も低く、経済成長率と財政収支は最もよい。日本はアメリカに近いが、経済成長率は低く、貧困率、格差はアメリカの次に大きく、財政収支は最悪であるということになります。このことは、地域主権改革の中、県や市町村が地方政府に近い存在になっていくとすれば、そのまま地方としても考えていかなければならない課題にもなってまいります。
 岩手県という自治体に関し、人口や財政規模、県民総生産に対する社会サービス割合の適正規模は、県内での格差とどう向き合うのか、経済成長率や財政収支に対しての指標はなどを議論していく必要もあるのではないでしょうか。地域主権が進んでいく際の岩手県の地方政府としての住民サービスのあり方、その規模、大きさ、基本理念などに対する知事の認識を伺います。
 受益と負担のあり方についてお聞きします。
 私は以前、就任後間もない知事に対し、森林税や産業廃棄物税のような法定外目的税など、県における新税のあり方について伺ったことがありますが、当時から3年が経過しております。来年度には、いわゆるひもつき補助金を廃した形での一括交付金などもいよいよ本格的に実現の見込みとなりますが、総額の抑制や、地方での一層の自立や創意工夫が求められることも当然見越していかなくてはならないと思います。
 県は、今定例会に法人県民税の法人税割りの税率維持のための条例改正案を提出しております。負担増につながる議論は、いつの時代にあっても政権担当者にとっては鬼門には間違いありませんが、間近に迫る地域主権改革の中、議論はたたき台をもって、どこかでその環境をつくっていかなければ進まないものとも思います。岩手県における県民への行政サービスと負担のあり方における議論の必要性、その方法性に対する知事のお考えを改めてお聞きいたします。
 今回、12年ぶりに県での副知事2人制が復活いたしました。知事は、今回の副知事人事が、知事の任期わずかとなったこの時期になったことについて、記者会見などにおいて、その理由や背景を述べておられますが、改めて、今回の人事に踏み切った理由と、現宮舘副知事と上野副知事の担当区分において、政策地域部を両副知事の共管とし、他部局を振り分けた基準と考え方について伺います。また、新副知事に最も期待することについてもお聞かせください。
 上野副知事に伺います。岩手の就任後間もないこととは思いますが、副知事就任に当たり、改めて岩手の強みと弱みをどのようにとらえているのか。その上で地域主権改革の中での岩手の可能性をどのように分析しているのでしょうか。また、副知事は、全国の副知事にあって数少ない財務省出身者でありますが、県民の期待の中、自身の役割をどのように考えているのか、期待実現に向けての強い決意とともにお示しいただきたいと思います。
 次に、岩手の成長戦略について伺います。
 国では、新たな成長戦略のポイントとして、環境、エネルギー、健康、観光、地域活性化、アジアなどを定め、2020年までに名目成長率3%、デフレからの脱却、失業率3%台の早期実現などを目指すこととしております。我々岩手を含めた地方には、大いなる追い風ととらえるべきと考えますし、そこに今後の成長のかぎを積極的に見つけていくべきと思います。先ほどの各国比較で明らかになったことは、日本は、保健、医療や年金などの高齢者への現物サービスについては比較的高い水準にあるものの、高齢者や家族への介護、福祉、保育などの現物サービス、そして職業訓練などの社会における再教育サービスなどの分野で著しく劣っているという点であり、大切なことは、これらは、いずれも、今後、我々地方が中心となって担っていかなければならない分野であるということであります。現在の生活上の不便、制度上の不備、これらを満たしていくことで暮らしの安心と安全が担保され、そして、そこに地域の元気や雇用の発生、地方の成長の種、大いなるチャンスが生まれる可能性が秘められております。
 そこで、知事に伺いますが、地方ならではの介護、福祉、保育サービスなどの充実による安心・安全社会の実現を図るとともに、人材育成のかぎともなる就労支援や社会的再教育分野での県としての施策を充実させ、多様な職業にしっかりとした技術を持った働き手を誕生させながら、生き生きとした岩手と、成熟した岩手型の成長を実現していくことこそが必要と考えますが、知事のお考えをお示しください。
 次に、成長産業の柱と期待される観光施策について伺います。
 県では、昨年、議員発議によるみちのく岩手観光立県基本条例が制定され、それに基づき、ことし3月には基本計画が策定されました。いわて県民計画による観光産業振興のための六つの施策別の事業数や投入予算については、今年度は、空港整備事業等も含め58事業、24億700万円余と大きな事業費が傾注されていることがわかります。観光分野は、今までの産業分類上、明確な位置づけになかったことにもわかるように、いわば産業としてはこれからの産業であるとともに、人口減少時代の幕開けにあって、県外、域外、国外マネーの獲得をめぐって、全国各地域間で今後激しい競争が繰り広げられることが容易に予想されます。
 岩手県の県内、県外合わせた観光客の入り込み数は、平成8年の4、158万9、000人回をピークに、昨年は3、751万5、000人回と減少傾向にあり、その回復に時間がかかっていることが指摘されております。しかしながら、再チャレンジとなる平泉文化遺産世界遺産登録の実現を含め、東北新幹線の青森延伸、平成24年度に実施されるデスティネーションキャンペーン、平成28年度開催予定の2巡目国体までを一つの流れとしてとらえ、長期的かつ継続的で戦略的な観光振興策を期待し、順次質問するものであります。
 県では、10月のいわてデスティネーションキャンペーン推進協議会の設立に向けて準備委員会が開催されたようであります。今定例会の補正予算には、この協議会の活動経費に対する県負担分として2、688万円の補正予算も提案されており、全国の旅行会社を集めて実施する宣伝販売促進会議の企画や、観光素材集やモデルコース事例集の作成、プレデスティネーションキャンペーンにおいて使用するさまざまな経費などに利用されることになっております。
 過去に東北各地で実施されたキャンペーンの状況を見てみますと、平成16年度が山形、平成17年度が福島県あいづ、そして平成20年度が仙台・宮城となっており、それぞれ対前年で78万人、30万人、91万人と、約5%から6%の増客効果があったとされております。
 そこで伺いますが、キャンペーンを成功させ、観光岩手の持続的発展を目指す上で欠くことのできない観光素材の発掘、磨き上げと最終絞り込みに向けた指針をお聞かせください。
 観光をこれからの県の成長戦略の柱として位置づける上で最も考えなければならないことは、地域経済への波及効果であります。そのためには、今までの入り込み数という把握の仕方ではなく、来客数をふやし、1人当たりの消費額を増加させ、地域経済への波及効果の最大化を目指すため、宿泊で、単価で、消費額での観点から目標立てを進めていく必要があります。都道府県別の延べ宿泊者数で、岩手は、昨年415万人で、全国24位、東北6県では3位と中位程度であります。また、宿泊者に占める県外のお客様の割合が低く、県内を訪れたお客様が隣県などに宿泊するいわば通過型となっており、まず、岩手の観光を滞在型にし、宿泊数をふやしていくことが必要となります。
 そこで、県では、この実態をどのようにとらえ、宿泊客の拡大にどのように取り組もうとされているのか伺います。
 観光の全国での生産波及効果は51兆4、000億円といわれておりますが、そのうち、従来の観光の担い手と言われた交通や宿泊、飲食などが占める割合はわずか16兆円余であり、残り35兆円余は、いわゆる観光産業以外の幅広い産業に波及していると言われております。このような観点から見たとき、県内の観光を通じて提供されるさまざまな商品やサービスの一つ一つのいわゆる地元調達率の向上に取り組んでいくことが、より大きな経済波及効果を生むことになるわけであります。県として、現状の観光素材としての地元調達率に対する認識と、農商工連携、その他の施策の推進による地元発の観光商品開発などによる地産地消型の産業育成が必要と思われますが、その推進策と全庁的な県の体制づくりへの考え方についてお聞かせください。
 条例に定めるように、観光を総合産業として位置づけた場合には、いわゆる狭い意味での観光客にこだわった対応を考えるだけではなく、ビジネスや研究、スポーツや保養、会議などで県内を訪れる可能性のあるすべての分野に広げ、その対策を広く考えていく必要があると思われます。
 そのように考えたとき、2巡目国体を照準にして開催される各種プレスポーツ大会を初め、デスティネーションキャンペーンなどを契機として、全国で開催されている各種会議や研究大会などのコンベンション誘致にも積極的に取り組む必要があろうかと思います。先日は、学会の誘致に努力された岩手医大への表彰の様子が伝えられておりましたが、県として、こういった幅広い分野での県内への誘客に向けた積極的な取り組み姿勢と方策についてお知らせください。
 次に、成長戦略の担い手となる県内の中小企業について伺います。
 政府では、ことしの6月、中小企業憲章を閣議決定いたしました。その基本理念には、中小企業は、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な役割を果たす、小規模企業の多くは家族経営形態をとり、地域社会の安定をもたらすとし、中小企業を国家の財産と位置づけております。これは、民主党政権下で実施された農家への戸別所得補償制度の考え方と同じものであり、これからの地方や地域、住民のきずなや社会、コミュニティを維持する観点から中小企業をとらえた、今までとは異なった視点からの位置づけであるとも考えられます。この理念のもと、資金、人材、経営資源の確保への支援、新しい市場への挑戦を促す政策の充実、金融や共済などの面からのセーフティネットの構築による再挑戦可能な仕組みづくりなどを定めており、政策の実施には、地方公共団体との連携を一層強化するともしております。
 先般、県内の経済4団体が共同で行った決議においては、この国の姿勢を高く評価するとともに、県内での岩手県版中小企業憲章制定に向けた運動を展開することが決定されておりました。私も、これからの岩手のさまざまな成長戦略を担っていく上で、岩手県内における中小企業の位置づけを明確にし、具体の施策の方向性を定めていく必要があると考えるものでありますが、県の中小企業に対する認識と、県版の中小企業憲章制定に向けた知事の姿勢をお聞かせください。
   〔副議長退席、議長着席〕
 金融について伺います。
 国際競争力の高いものづくり産業の振興と、6次産業化や農商工連携による食と緑の創造県実現のためには、今後、地元企業などの多様な担い手の参入を伸ばしていくことが必要となります。自動車、半導体などの輸出型産業と、内需型産業としての農林水産業への新たな担い手の参入と育成、そのポイントの第一は技術力であることは間違いありませんが、どうしても必要となりますのが一定の資金であります。融資には、当然、金融機関の判断が第一になってくるわけでありますが、その判断に影響を与えるのが信用保証制度であります。自動車産業等での地元の部品調達率向上は、地場企業にとってはもちろんのこと、メーカー側にとってもジャスト・イン・タイムの部品調達や物流コストの低減が図られ、大きな期待を寄せていると聞いております。事実、メーカー側から工場や設備の拡大などの要請を受けている地元企業の声も聞いておりますが、ネックは、投資金額の大きさと、それに対する金融機関の判断、そして、その前提となる投資後の安定した経営見通しということになります。
 県内金融機関では、一部で自動車関連企業のОBを採用しながら、融資の審査や地元企業などへの情報提供に努め、この分野での県内企業参入を後押ししているようでありますが、金融機関の判断に影響を持っている信用保証協会として、これら成長分野へ精通した人材の確保などを通じて融資の実現を目指す必要もあるのではと考えるものでありますが、県のお考えをお聞かせください。
 農業分野においても同様のことが言えます。
 私は、以前の一般質問において、農商工連携が進み、業種の複合化などが顕在化してくることが予想される中にあって、現在の国の縦割りによる中小企業、農業、水産業それぞれでの信用保証機能の担い手が異なることによって、信用保証が対応できないいわゆる空白部分が生まれ、結果として、企業の農業などへの新規参入が入り口で閉ざされてしまいかねない点を懸念し、質問した経緯があります。当時の御答弁は、現状の保証制度を前提とした範囲の中で、制度の周知徹底により利用促進を促すとの回答でありましたが、一歩踏み込んだ中小企業の参入に向けた融資制度と信用保証制度のあり方も必要と考えますが、今回、商工労働観光部と農林水産部の両部を担当され、また、地方における金融政策にも精通されている上野副知事のお考えをお聞きいたします。
 成長を支える社会インフラについて、2点伺います。
 花巻空港について伺います。
 日本航空の会社更生手続の決定以来、国内の空港、特にも地方空港にとって、その環境は急激に厳しさを増しており、淘汰の時代への突入とも言われております。東北6県にある9空港の平成21年度の利用実績は、国内線、国際線合わせて649万人となり、前年度から7.8%減っていることが発表されました。新ターミナルビルの建設を初め、積極的な先行投資がなされている途上での経営環境の急激な変化には戸惑いを感じざるを得ません。
 5月には、年間約10万人の利用実績があった名古屋便が休止となっており、10月末からのダイヤ改正では、札幌便と大阪便が、便数の減少や機材の小型化などによる縮小方針が決定しているようであります。昨年11月にも、札幌便は、機材の小型化によって修学旅行生が学校数で半減し、利用数が1、962名から447名と70%以上も減少している状況にあります。大阪便の小型化による修学旅行利用の減少などへの影響が懸念されるところでありますし、また、いわゆる団体割引への対応が困難になってきているとも聞いており、他空港との競争面において危惧されるところであります。県としては、これらの現状をどう認識し、どのような対策をとろうとしているのか伺います。
 県では、平行誘導路と国際線のチェックインカウンターなどの空港整備事業が、来年7月を目途に完了することから、3カ年の中期ビジョンを策定しております。それによりますと、国内定期便では、現在の2路線、6往復体制から、新規路線の開設を見込み、4路線、11往復で45万人の利用拡大を掲げ、国際便においても、チャーター便だけではなく、台湾や韓国との定期便就航を視野に6万3、000人の利用目標を掲げるなど、現状に比較し、大変大きな意気込みを感じるプランともなっております。難航している名古屋便の再開見込みも含め、目標達成への見通しと対応策をお示しください。
 国土交通省では、空港政策を整備から運営にシフトさせる中、空港経営の抜本的効率化を求めるため、空港関連企業と空港との経営一体化の成功事例をつくりながら、民営化も含んだ効率化の試みを進めるともしており、今後、地方空港は一層の経営改善が求められることになろうと思います。
 平成20年度において、空港ターミナルビルの収支は4、497万円の黒字、空港収支の維持運営では3億6、700万円の赤字であり、ビル収支と合わせた空港全体の損益は3億2、200万円の赤字となっております。県が、着陸料収入からこの損益を賄うための乗客数を試算すると、年間107万人が必要とされております。着陸料などについては、今後、路線維持や新規路線獲得に向けて、さらに競争が激化していくことになろうと思われるため、減免の流れはさらに加速し、滑走路部分の収支はさらに厳しくなろうかと思います。地方における空港の存在は、その経営収支からだけの観点でとらえることは適切ではないともちろん承知しておりますが、県財政の厳しさや国の流れをとらえたときには、その経営状況を開示しながら、空港の存在による県行政の広範囲への有用性を県民と共有していくことが不可欠の時期に差しかかっているかとも思われます。
 県における産業戦略上不可欠の社会インフラとしての必要性を県民共通のものとして認識していくためにも、空港全体としての収支の状況と、空港を利用する約40万人のビジネスや観光、あるいは将来にわたる企業誘致政策上の経済的有用性を具体化する必要があると考えます。空港一体の収支改善に向けたターミナルビルの一層の収益性の向上と、3億円余の収支赤字の現状の中での空港の必要性を共有していくための県全体への経済効果等への具体的指標づくりも必要かと思いますが、県の考えをお聞かせください。
 平成17年に北上市への新貨物駅の構想が出てから5年が経過しております。当初は地元中心の運動でありましたが、現在は、県南広域の観点から、北上、花巻、奥州、金ケ崎の経済界、産業界、関係機関が一体となってきたかみ新貨物駅設置促進協議会を設立し、その実現に向けて運動を展開しております。私は、先般、金ケ崎町長を初め地元県議の皆様と、国道4号線の拡幅に向け、国の関係機関への要望を行ってまいりましたが、4号線の拡幅とともに、この新駅設置が岩手県全体の産業成長戦略に大きく貢献するものと信じ、質問をさせていただきます。
 県と協議会では、昨年の1月から3月にかけ、秋田県を含む812の対象事業所に需要調査を行っております。その結果によりますと、利用したいと条件次第で利用を検討すると答えた事業所は43.6%となり、予想される出入荷の貨物量は約194万トンと予測されております。この量は、近郊の盛岡貨物駅の91万トン、同じく水沢の21万トン、宮城県宮城野の81万トンを上回る結果となっております。
 そこで伺いますが、以前県では、この需要予測を待って、次の展開を考えていく方針であったと思いますが、この結果を受けて、新駅設置に向けての動きをどうとろうとしているのかお聞かせ願います。
 また、実現に向けては、JR貨物の判断や、それを後押しする県や市町村、関係企業などの支援が必要でもあり、殊にも、国の補助制度は必要不可欠かとも思います。来年度、国に要望している現行補助制度の拡充や、新制度の創設によるモデル事業化への内容と実現見通しについて伺います。
 最後に、2巡目国体について伺います。
 9月の国体準備委員会においては、さきに総会で決定している開催方針に基づいて基本構想の素案が示されたようであります。それによりますと、71回国体を、県民の総力を結集して、夢と感動を与える国体と位置づけ、豊かなスポーツライフの実現と、スポーツを通じて活力あふれた地域を実現することにより、希望郷いわてを実現するとしております。国体は、県のスポーツ振興を第一として考えることは当然でありますが、岩手のソフトパワーを発揮し、岩手の魅力を全国にアピールできる絶好の機会でもあります。さきの観光施策でも触れましたように、県全体の活性化に大きく結びつけていく視点も必要であろうと思うものであります。
 施設整備については、国体改革の流れの中で、簡素効率化に努め、既存施設を最大限活用する方針となっておりますが、いよいよ始まる施設整備の状況についてまとめて伺います。
 各施設の整備計画策定に向けて9月から作業を始め、年度内にはその取りまとめを行うスケジュールとなっておりますが、進捗状況はどのようになっているのでしょうか。また、全体像はどうなっているのか、あわせて伺います。
 県及び市町村の経費負担に関する基本方針と細目については決定済みでありますが、厳しい県内市町村の財政状況下で、市町村整備に対する県の一定の補助等は、当然必要となってくると思われます。先催県の例を見ますと、その基準はさまざまでありますが、県が一定の割合で補助を行っている例が多いようであります。県としての市町村施設整備補助に対する考え方を伺います。
 あわせて、開閉会式につきましては、その実施、運営とそれに要する経費、また、会場の仮設施設に対する整備は県の負担となっております。開閉会式会場という県施設に準ずる施設に対しては、補助の考え方においても、一般補助の対応とは別の方針も必要と思いますが、県の方針をお聞かせください。
 以上で質問を終わります。答弁によりましては再質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、自治基本条例の制定についてでありますが、自治基本条例に規定される内容は、各自治体によりさまざまでありますが、自治体運営の基本理念や住民参加による自治体運営、市町村との連携、協力など、地域経営に当たっての基本となる事項を定めているものと承知しております。
 本県においては、こうした県政運営の基本理念等は、県民の多様な参画をいただきながら策定したいわて県民計画にも盛り込まれていると考えております。こうしたことから、いわて県民計画を羅針盤に、地域社会を構成するあらゆる主体がともに支え合いながら、総力を結集していくという、地域経営の考え方に基づく取り組みを一層推進してまいりたいと考えております。
 現在、総務省に置かれた地方行財政検討会議で、地方政府基本法として法律の大枠化や地方自治法制の再構築なども視野に入れた地方自治法の抜本見直しに向けた検討が行われていますことから、こうした動向も踏まえて、自治基本条例のあり方を含めて考えてまいりたいと思います。
 次に、本県の地方政府に関する認識でありますが、地域主権のもとで、地方政府は次代を担う人材の育成や地域に根差した産業政策などの主役となり、住民に身近な公共サービスを提供するとともに、中央政府は年金等の社会保障給付などの分野で国民をしっかりと守るという行政システムの確立が必要と考えます。その上で、住民の生活に密着したサービスは、住民に身近な基礎自治体が主体的、総合的に提供する役割を担い、県は補完性の原則に基づき、広域的な視点に立った産業振興や基盤整備、市町村の支援など、広域的、専門的なサービスを提供していくべきものと考えます。
 地方政府が担うべきサービスの水準等の決定に当たっては、高福祉、高負担型か低福祉、低負担型かという二者択一の考えに立つのではなく、必要な行政サービスを県民にしっかりと提供するという原則のもと、経済成長の維持や財政規律の確保など、行財政運営の持続性にも配慮しつつ、その時々の県民ニーズを踏まえて、最適な行政サービスの水準を見出していくべきものと考えます。
 次に、県における受益と負担のあり方についてでありますが、地域主権改革を進めるに当たっては、みずからの創意工夫による実情に合った住民本位の行政サービスの提供が必要であり、このために必要となる費用の負担について幅広く検討していくことが求められていると認識いたします。
 このことは本県のみならず全国的な課題でありますことから、全国知事会においては全国28都府県の知事をメンバーとする地方税制小委員会を設置して、地域主権型の国づくりのための地方税制全般について議論が行われております。この委員会には私も参加しているところであり、まずは受益と負担のあり方を含め、地方税制全般について、この委員会において議論を深めていきたいと考えております。
 次に、今回、副知事の任用を行った理由についてでありますが、本県が直面するさまざまな危機的状況を克服し、中長期的に足腰の強い岩手の経済と社会を構築していくため、トップセールスを初めとするトップマネジメント部分を一層強化する観点から選任したものであります。
 副知事の担当区分の基準と考え方についてですが、知事と副知事2人の3人が力を合わせてトップマネジメントを担っていくことを基本としつつ、上野副知事は、熊本県の企画開発部長や財務省の福岡財務支局長などを歴任し、地域経済振興に造詣が深く、実績を上げていることから、商工労働観光部、農林水産部などの事業部門を上野副知事の担当部局とし、総務部などの内部管理部門や保健福祉環境部門を宮舘副知事の担当としたところであります。政策地域部については、主として全庁的な政策の企画立案及び調整を所管する部門であり、トップマネジメントの一翼を担う両副知事には、当該部門の事務執行に常に参画し得る体制とするため共管としたものであります。
 新副知事に最も期待することについてでありますが、上野副知事には、まずもってこの岩手を愛してもらい、さまざまな経験によって培われた能力を十分に発揮し、職員と一体となって、伸び伸びと県政の推進に取り組んでほしいと考えております。
 次に、国の成長戦略への対応と岩手独自の戦略についてでありますが、いわて県民計画においては、県民一人一人がともに支え合いながら、生き生きと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことのできる希望あふれる社会を目指して、仕事分野における職業訓練機会の提供や、男女がともに活躍できるワーク・ライフ・バランスの実現、暮らし分野における安心した暮らしを支える医師確保や医療・介護・福祉サービスの提供、子育て環境の整備などのセーフティネットの充実、学び・こころ分野における社会に貢献する自立した人材を育成するためのキャリア教育の推進等、岩手の未来を担う人づくりに向けた施策、こうした取り組みを一体的に推進していくとしているものであります。
 こうした施策とあわせ、国の新成長戦略におけるライフ・イノベーションやグリーン・イノベーションの取り組みとも呼応した医療機器関連産業や、福祉、健康関連産業、環境関連産業の創出、育成などを進めることにより、本県において持続可能な成長を実現していくことが重要と考えております。
 次に、中小企業憲章の策定についてでありますが、本県の中小企業は全企業数の99.8%を占め、本県の経済活動や地域社会を支える重要な役割を担っており、今般、政府が定めた中小企業憲章の位置づけと同様、中小企業は経済を牽引する力であり、社会の主役であると認識しております。
 中小企業は業種が多様にわたりますことから、これまでも、ものづくり産業、食産業、観光産業など個別の分野ごとにきめ細かく振興施策を展開してきており、このような観点から、昨年12月には産業創造県いわての実現を柱の一つとしたいわて県民計画を策定したところであります。中小企業憲章もいわて県民計画も目指すところは同じと考えておりまして、今後においても、中小企業憲章の趣旨を尊重しながら、いわて県民計画に盛り込んだ各分野の政策項目に着実に取り組んでまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) 岩手の強みと弱み及びその可能性、並びに私の役割と決意についてでございますけれども、岩手の強みにつきましては、自動車、半導体関連産業を初めとするものづくり産業の集積、豊富な農林水産資源、豊かな自然環境が挙げられ、弱みや課題といたしましては、輸出関連企業の生産縮小やそれに伴う雇用環境の悪化、医師の不足や偏在などが挙げられるものと考えられます。
 本県は、こうした強みを有することに加えまして、首都圏との交通の便もよく、忍耐強く勤勉な人材を輩出いたしておりまして、非常に発展可能性の高い地域であると認識いたしております。他方で、積極的、効果的な対外アピールがいま一歩ではないかとの指摘もあるところと承知をいたしております。
 私自身の役割につきましては、知事の意向を踏まえまして、トップセールスを初めトップマネジメント遂行の強化に取り組むことが重要と認識いたしております。これまで培ってまいりましたネットワークなどを生かしまして、企業誘致や観光振興、農林水産物の効果的な売り込みなどに、私自身が先頭に立ちまして取り組んでいきたいと考えております。
 このような取り組みを進めるに当たりまして、地域の事情や課題を把握することが重要と考えておりまして、県内各地を回りまして、できるだけ県民の方々のお話をよく聞くように努めているところでございます。
 知事の指示のもと、岩手に愛着を持ちまして、職員と一丸となって、県民一人一人が自分の希望をしっかり持てる岩手県となるよう、地域経済の発展と県民福祉の向上に向け全力で取り組む所存であります。
 次に、信用保証協会の人材確保についてでありますが、信用保証協会は、中小企業者が金融機関から融資を受けるに当たりまして、企業の信用力を引き出し、将来に向かって発展の可能性のある県内の幅広い中小企業者に対して、金融機関との連携のもと、公共的な保証人となるなど、企業と金融機関とのかけ橋としての役割を果たしているところであります。
 一部の金融機関におきましては、専門的な知識を有する企業OBなどを雇用するなど、県内中小企業の成長分野への参入などを支援している例もございます。
 他方で、金融機関の中には、その体制上の事情などから、保証協会に対しまして、企業のニーズ把握や経営分析、経営課題の解決に向けたアドバイスなどの支援を期待している実態もあるようでございます。こうした期待にこたえるため、保証協会では本年度、企業支援部を新設いたしまして、中小企業診断士の資格を持つ職員を配置するなど、幅広い業種にわたるコンサルティング機能を充実することといたしたところでございます。
 県といたしましては、お話のございました自動車産業などの専門分野への対応につきましては、保証協会が金融機関側の有する専門知識や情報を十分に共有するなど、緊密な連携のもとに中小企業への円滑な金融支援が行われることを期待いたしております。
 次に、中小企業の農業分野等への参入に向けた融資制度等についてでありますが、現行の中小企業信用保証制度におきましては農業は対象外とされておりまして、そのため、中小企業者は原則として保証を受けることはできないこととなってはおりますが、中小企業者が農業分野に参入しようとするときには、農業近代化資金において、一定の要件を満たす場合には融資を受けることが可能となっております。このほか、食品販売業者がみずから利用する食材を生産する場合や、建設業者が農作業を受託する場合などにおいては農業信用保証制度による保証を受けることが可能となっております。
 これまでのところ、農業分野に参入しようとする中小企業者から中小企業向けの融資や保証の活用についての御相談や御要望は寄せられていないものと承知いたしておりますが、今後、そのような要望が寄せられた場合には、中小企業が円滑に農業分野に参入できるよう、他県の事例なども参考にしながら研究してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、総合産業としての観光に対するお尋ねのうち、観光素材の発掘、磨き上げなどについてでございますが、近年は、サッパ船クルーズや猊鼻渓舟下りのような、その地域でなければ得られない魅力を生かした観光が求められていることから、県と地域が連携し、他の地域にはない観光素材の発掘、磨き上げを進めていくことが重要であると考えております。
 このため県では、既に全市町村を訪問し、地域内にある自然、食、文化などの資源を生かした観光素材の発掘、磨き上げを進めていくよう呼びかけたところであります。
 今後は、アドバイザーを地域に派遣するなどしまして観光素材の発掘を支援するとともに、地域から提案のあった観光素材について、さらに磨き上げに必要な支援を行い、例えば山田、大船渡におけるカキ小屋のような斬新さ、遠野物語のようなストーリー性、盛岡三大麺のような素材の組み合わせなどの面ですぐれ、オンリーワンの魅力を生み出しているかといった観点に立って、旅行会社などの意見を聞きながら絞り込みを行うこととしております。来年6月から7月にかけて予定している全国宣伝販売促進会議までにはこれらをもとにした観光素材集を作成し、観光ルートの提案とあわせて、旅行会社に対し旅行商品造成に向けたセールスを進めてまいります。
 次に、宿泊客拡大への取り組みについてでありますが、岩手県観光統計によると、ここ10年間の本県宿泊者数は年々減少傾向にあります。また、国の宿泊統計において、本県の延べ宿泊者数に占める平成21年の県外宿泊客の割合は66%であり、全国平均73%と比較して低い状況にあります。
 こうした状況を打開し、宿泊客の拡大を目指すためには、体験型、滞在型、時間消費型観光の推進により、本県に長期間滞在していただくような取り組みが必要であるとともに、引き続きコンベンションを初めとする大型の団体宿泊客の誘致にも努める必要があります。
 このため、県では、花巻市における農作業体験などを組み込んだ教育旅行の誘致や、田野畑、宮古におけるサッパ船を活用した体験型観光の推進、本県の豊かな食文化や温泉を生かした滞在型観光の推進、盛岡市におけるまち歩き観光などの時間消費型観光の推進に取り組んでいるところであります。また、財団法人盛岡観光コンベンション協会を中心に、県内のさまざまな団体と連携を図りながらコンベンション誘致にも力を入れているところでございます。
 今後におきましては、平成23年の平泉文化遺産の世界遺産登録や平成24年のデスティネーションキャンペーンなどを見据えて、こうした宿泊客の拡大に結びつく観光を推進してまいります。
 次に、地産地消型の観光産業育成についてでありますが、近年、旅館やホテルなどの宿泊施設や飲食店などにおいて地元の食材を利用して料理に産地表示をすることがふえてきており、観光事業者の地産地消への意識が高まってきていると認識しております。また、このような動きは、地元の食材などの調達率を向上させ、地域への波及効果を確実に高めていくものと考えております。
 このため、県では、地元食材や産品の地産地消を推進する取り組みといたしまして、西和賀町や雫石町における、生産された農畜産物を県内の旅館、ホテルなどの事業者に供給する食材流通システムの構築、また、地元特産品や地域資源を活用した伝統工芸品の開発といたしまして、県南地域における南部鉄器や岩谷堂箪笥、秀衡塗の伝統工芸者が協議会を設立しての新商品の開発などを行っております。また、地域における農林水産業と連携した観光の取り組みといたしまして、八幡平市におけるイチゴや山菜、岩泉町における食用ホウズキの収穫体験などを盛り込んだ旅行商品の造成、こういった取り組みに対しまして積極的支援を行ってきたところでございます。
 このような取り組みを促進するため、庁内には部局横断的組織である岩手県観光産業振興本部や、経済界、行政、関係機関によるいわて観光立県推進会議を設置しており、引き続きこのような組織を通じまして、地産地消型の観光産業の振興を一層強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に、幅広い分野での県内への誘客についてでありますが、近年、盛岡などは交通の便のよさもありまして、各種コンベンションが誘客の大きな柱となりつつあります。本県のコンベンション誘致は、県や盛岡市などが出資して設立いたしました財団法人盛岡観光コンベンション協会が中心になって取り組んでおり、観光パンフレットの提供、歓迎広告の作成、サポーターの派遣など、主催者に対する支援もあわせて行っております。平成15年の設立以来、同協会は、年平均当たり支援件数108件、参加者数約8万3、000人を招致するなど安定した実績を上げており、特に今年度においては、岩手医科大学と連携しながら、全国規模の学会を10件、参加者数約2万人という大規模な誘致を成功させたところであります。
 県といたしましては、同協会をコンベンション誘致活動の拠点と位置づけ、今後とも、県、協会や事業者などとの間で情報共有と連携を図りながら、国内外からのコンベンション誘致などをさらに推進してまいりたいと考えております。
 次に、JR新貨物駅に向けた動きでございます。
 きたかみ新貨物駅設置促進協議会と共同で実施いたしました需要調査の結果では、御案内のとおり、JRを利用する可能性のある貨物量は194万トンと集計されたところでございますが、これは、料金あるいは時間短縮という条件次第のものもついてございまして、必ずしもそのすべてが実際の取扱量に結びつくとは言い切れないものと考えております。
 県といたしましては、現在、協議会と連携いたしまして、JR貨物に対してこの調査結果を報告するとともに、新駅設置についても働きかけております。JR貨物は、新駅における将来の貨物量の見きわめや、リーマンショック後の不況の影響により経営状態が大変厳しいことを理由に慎重な姿勢を示しておりますが、引き続き要請活動を継続してまいることとしております。
 次に、補助制度の拡充やモデル事業化の実現見通しについてでありますが、国に対しましては、地方における貨物駅の整備に対する国の補助制度である幹線鉄道等活性化事業費補助について、昨年度来、現行の予算規模の拡大及び補助率の引き上げのほか、トラックから鉄道へのモーダルシフトの促進による二酸化炭素排出量削減の観点から、モデル事業として新しい補助制度を創設するよう提言しております。しかしながら、これまでのところ国からは確たる回答は得られていない状況でございまして、今後とも情報収集に努めながら、早期に制度の拡充や創設が図られるよう粘り強く働きかけてまいります。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) 花巻空港の現状認識と対応についてでございますが、機材の小型化は、修学旅行や団体旅行への影響があり、いわて花巻空港の利用者の減少要因になるものと懸念をしております。
 機材の小型化や減便は、日本航空の経営再建の一環として、古い機材を一斉に退役させることに伴い、全国的に一時的に機材不足が生じることによるものであり、今後、小型機を中心に新型機材の投入が進めば多頻度化の方向に進むものと考えているところでございます。
 このため、県といたしましては、一層の利用率の向上に努めながら、より大きな機材への変更や増便などについて日本航空に働きかけてまいります。
 次に、いわて花巻空港の中期ビジョンの目標達成への見通しと対応策についてでございますが、ビジョンは、空港整備事業の完成を見据え、計画的に路線等の誘致に取り組んでいくとするものでございます。国内線は、岩手県空港利用促進協議会を通じて機材の小型化に対応した支援措置を講じることや、空港へのアクセス環境を改善すること等により利用率の向上を図り、名古屋線を初め、運休となった路線の運航再開や大阪、札幌線の増便等を日本航空に働きかけてまいります。
 なお、名古屋線に関しましては、これまで日本航空や愛知県などへ働きかけを行い、日本航空からは、県営名古屋空港を活用すれば黒字になる旨、収支見込みの説明があったところでございますが、県営名古屋空港の活用につきましては愛知県側での地元の調整が必要であり、平成23年度からの運航再開に向け、引き続き関係者に働きかけてまいります。
 国際線につきましては、台湾便及び韓国便について潜在的な需要が大きいと考えられることから、アウトバウンド需要の増大に努めながら、チャーター便の実績を積み上げつつ、早期の定期便化を航空会社に働きかけてまいります。
 次に、いわて花巻空港の県全体への経済効果等の具体的な指標づくりについてでございますが、いわて花巻空港は、本県唯一の空の玄関として、産業振興や観光振興、国内外との地域間交流などにおいて極めて重要な役割を担っているところでございます。
 委員御指摘の県全体への経済効果等の具体的指標づくりなどにつきましても、空港の維持運営に対する県民の理解を得ていく観点から、今後、検討してまいりたいと考えております。
   〔政策地域部長加藤主税君登壇〕
〇政策地域部長(加藤主税君) 国体施設の整備計画策定に係る進捗状況等についてでございますが、現在、中央競技団体正規視察が県内各競技会場地で実施されており、年内には正式競技及び特別競技の全38競技中、34競技の視察を終える予定であります。これまで15競技の視察が終了いたしましたが、市町村を初めとする施設設置者では、中央競技団体から指摘や要望があった競技施設の整備等につきまして、今後の対応方向等を検討しているところでございます。
 国体県準備委員会におきましては、市町村を初めとする施設設置者から提出されました競技施設の整備内容を取りまとめて、年度内には第1次の競技施設整備計画を策定することとしております。来年度以降も追加や見直しを行いながら、国体のリハーサル大会までには着実に施設整備を進めていきたいと考えております。
 次に、市町村の施設整備に対する補助に係る考え方でございますが、競技会場となります市町村有の施設の整備に要する経費につきましては、第71回国民体育大会県及び会場地市町村の業務分担・経費負担基本方針によりまして会場地市町村が負担することとなっておりますが、いずれの先催県におきましても、市町村の財政負担の軽減を図るため、競技施設の整備や競技会の運営に対して補助を行っております。国体を契機といたしまして本県スポーツ環境の整備、向上に資する面も有するわけでございますが、県の厳しい財政状況も勘案しながら、こうした先催県の状況も踏まえまして、本県におきましても該当市町村への支援につきまして検討してまいりたいと考えております。
 次に、開閉会式会場となる施設に対する県の補助のあり方についてでございますが、第71回国民体育大会の開閉会式は、陸上競技の会場でもあります北上総合運動公園陸上競技場において既存施設を最大限活用して開催することとしております。開閉会式の実施に要する経費につきましては、国体の主催者である県が負担することとなっております。開閉会式に必要な施設整備につきましては、仮設が中心となるものではございますが、補助ということではなく、主催者たる県におきまして、そもそもの施設を所管する北上市と連携を図りながら、今後、具体的な調査、検討をしてまいりたいと考えております。
 開閉会式会場としての要素を除きました北上総合運動公園陸上競技場の競技施設としての整備に対する県の支援につきましては、基本的にほかの競技施設と同様に対応してまいりたいと考えております。
〇20番(関根敏伸君) どうも御答弁ありがとうございました。
 せっかくの機会でございますので、何点か再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、観光施策につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 今、さまざまな具体の取り組みを伺わせていただきまして、大いにその施策の推進を期待申し上げるところでありますが、まず、来ていただくという観点の中で─これが最も難しいことだろうと思っておりますが─、先ほど申し上げましたJRの延伸であるとか平泉の件であるとか国体であるとか、この流れはやっぱり何としても最大限に有効活用するという方向性を見出していくべきであろうと思っております。
 そんな中、先ほどコンベンションとか、さまざま大会誘致に向けて、協会がさまざま実績を積み上げながら今年度も10件の誘致をされていらっしゃるということを伺ったわけでございまして、それはそれで評価するわけでございますが、さらに人材の派遣等々の支援、あるいはさまざまなノウハウの提供といった観点とともに、より積極的な誘致に向けた動きというものも私は検討してみてもよろしいのではないのかという気がしております。
 先般、ある方から、国体開催に向けて、全国規模の大会を誘致したいのだが、県や自治体として何らかの御支援はあるのかという相談を受けた件がありますが、残念ながら今そういった支援態勢のシステムはとられていないというお話も伺っております。
 そういった意味合いにおいて、お金だけがすべてとは申しませんが、いろいろな例を見てみますと、宿泊者数に応じて県とか市町村が具体的な財政支援をしているという例もあるようでございます。岩手より相当程度規模の小さい県においても、昨年度は156件の学会とかスポーツとか、そういったコンベンション誘致で5万1、000人を誘致されていらっしゃるといったような例もあるようでございまして、こういった部分についてのより踏み込んだ検討といったことも必要ではないかと考えますが、この点について、まず1点伺わせていただきたいと思います。
 それから、先ほど申し上げましたが、来ていただいた方の消費額のアップという観点からお聞きいたしますが、せっかく来ていただいた方に岩手でお金を落としていただく、やはり少しがめつい姿勢もしっかりととっていくべきと思います。これは、基本的には民間のお店や企業がされることだとは思いますが、交通料金のカード決済をしておりますスイカですとか、そういったようなカード対応の決済が相当消費を促すのではないかというお話も聞いております。
 もう一点、海外の観光客として期待されております中国人の観光客でございますが、今般のことでちょっといろいろ影響が懸念されておりますが、旺盛な中国人の消費を支えているのが、中国で流通している銀聯カードと呼ばれるカードだそうでございますが、こういったカードがあるのとないのとでは、相当消費の額に差が出てくるのではないかと思っております。こういった国内向けあるいはアジア、国外向けの決済のシステムを、民間を支援していく形、民間と一緒にいろいろ検討していくといった観点も必要ではないかと思いますが、この点についてのお考えをお聞かせください。
 それから、もう一点観光でございます。地産地消、いわゆる地元調達率ということに関してもお話を伺っております。今携わっているいろんな部分をぜひ進めていただきと思います。
 先般、北上市でいわてB級ご当地グルメinきたかみという大会がございました。本当にタイムリーな時期だったと思います。全国大会があってすぐの時期だったこともあります。北上市の商店街にあんなにお客さんが入ったのを見たのは私は本当に久しぶりだったんですけれども、本当にうれしくなりまして、本当に感動的な姿だったと思っております。あの企画自体は、県とか市の後押しがあって実現したと承知しておりますから、イベントに対してのこういう支援、ぜひその観点もひとつ継続していただきたいと思いますし、同時に、あのとき提供された食材は、県内からも15ぐらいの食材が持ち込まれたと思いますが、北上の北上コロッケは、今まで地元の調理師会のメンバーが、細々とと申しますか、開発はしたんだけれども、なかなか出口が見つからないという状況の中で、県南広域振興局が、二子の特産の芋を、いわゆる従来捨てられていた部分を、民間の業者と協力しながら、素材を安定提供できるという体制をつくっていただいたおかげで、ああいったものが大量に出ていく。こういう体制をつくっていただいたわけでございますので、地元調達率、地産地消、こういった開発と、それを後押しするイベントといったものをセットでぜひ継続していただきたいと思います。
 また、あわせて、やっぱり人の面ですね。今回はいわゆる民間の若手の経営者たちが中心になって行ってきたわけでありますが、先般の全国大会で優勝されたところは、市の職員がグループを組んで、実行委員会をつくって、ああいった大会で優勝したという話を聞いております。知事を先頭にI援隊活動をされていらっしゃいますので─北上に農楽工楽クラブという、本当にいい企画というか仕組みをつくられて、県と地域と民間企業の方が一体となって、地元のお祭りやいろんなことに参加されている体制ができていますが、ああいったことを三位一体で、人と、素材のいろんな供給体制と、イベントと、もっともっと推進していただきたいと思いますが、何か所感があったら伺わせていただきたいと思います。
 それから、上野副知事にお伺いいたします。いろいろ前向きの御答弁をいただきましてありがとうございます。ぜひ期待を申し上げておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 そんな中で、信用保証協会、自動車関連等の動きに対しての人材の体制というものは承りました。もう一点、農業分野への企業参入という点でございます。これもあくまで現在の制度を前提としたお答えであったかと思っておりますし、そのお答えの背景には、企業からのそういった要望が声として届いていないといったようなお答えがあったようでありますが、私のところには具体的に声が届いております。それがどの程度、保証協会なり県のほうに届いているかはわかりませんが、制度としてないから進まないのか、声がないから制度をつくらないのか、どちらが先の話かはわかりませんが、御承知のとおり、秋田県ではこういった保険制度を、県と金融機関と保証協会がセットでお金を出し合って、従来の縦割りでは補い切れない保証を後押ししているという例もあるようでございますので、研究して検討していきたいというお答えがございました。ぜひ、こういった面で、さらに積極的な検討を含めましていろいろお知恵を貸していただきたいと思っておりますが、何かございましたら御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、JR貨物のことでございます。リーマンショック以来のいろんな影響等の中で、事業主体となるべくJR貨物がなかなか慎重姿勢を崩さないというお答えもあったかと思います。
 そんな中でありますが、来年にはいよいよ宮城県でセントラル自動車が操業を開始されて、いわゆる50万台体制というのがいよいよスタートするということになろうかと思います。この50万台を一つの契機にして、地元の部品調達率やさまざまな社会インフラの整備が進むと私は期待しておりますものですから、この厳しい状況の中で、50万台体制を契機に、やはり実現化を何としても見出していかなければならない時期ではないのかと私は思っております。
 JR貨物駅の決着をどういったところにもってきていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思いますし、恐らく宮城県も、相当程度、このことに関してはいろんなお考えも持っていらっしゃるのではないのかと勝手に考えているわけですが、いろんな意味でそういった綱引きということが生じる可能性も、私は個人的に懸念しているわけなんですけれども、そういった際において、例えば秋田県では秋田港を使って自動車の完成品を出していく、ロシアで持っている工場へ自動車部品を秋田港を使って出していく。そのときに最も利用価値があるのは北上への貨物駅設置だという声もあるようでございます。秋田側と、そういった動きと連携しながら、50万台体制を見据えた中で、どの時期に実現化を図ろうとしているのか、あるいは秋田側との連携も含めまして、再度御答弁をいただきたいと思います。
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副知事(上野善晴君) ただいまの再質問のお尋ねのうち、中小企業の農業分野等への参入についてのお尋ねにお答えを申し上げます。
 議員のお話の中で、私どものほうではそういう中小企業の参入の事例について具体的に承知していないという話を申し上げましたが、議員のほうにはそういうお話もあるようなお話でございました。私どもといたしましては、お困りのお話がもしおありになるようであれば、ぜひ私どもにお話を具体的に聞かせていただきたいと思います。その上で、先ほど秋田県のお話がございました。秋田県では秋田中小企業アグリサポート資金というのが平成21年からございまして、中小企業の農業分野への参入について県として支援をしておられるということについては、私どもも承知いたしております。先ほど申し上げましたように、そうした他県の事例をよく参考にしながら、私どもの財政事情は大変厳しいわけでございますが、そうした中で一体どういうことができるのか、中小企業の方々の円滑な農業分野への参入のために、いろんな知恵を出して検討してまいりたい、研究してまいりたいと考えております。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、コンベンションなどを含めた大規模な宿泊客誘致にもう少し踏み込めということでございますが、コンベンションにつきましては、先ほど申し上げたとおり、コンベンション協会というものの役割分担がはっきりしています。それ以外のものにつきまして、一つは岩手県観光産業振興本部、これは全庁的な横断組織でございますが、庁内での情報把握にまず努めたい。
 もう一つは、今回のDCを通じまして、市町村との情報連絡体制ができますので、かなり緊密になりますので、こういった中で、情報を小まめに拾い上げまして、我々も、DCにいかにお客を誘致するかということは大事なテーマでございますので、そういう情報が集まる体制というものをまず構築して、そして、個別の誘致情報があれば、その都度出ていって対応していきたい、そのような体制をつくっていきたいと思います。
 それから、岩手にお金を落としていただくシステムということでございます。一般的に中国の場合は銀聯ということでございますが、その現状をちょっと調べておきました。本県でも実は銀聯には既に114店舗が加入してございまして、これは急激に進んだなというのが正直なところでございます。本県でも中国ビジネスを展開しておりまして、そういったことがマスコミに再三取り上げられて、かなり中国を意識した対応をなさる業者の方がふえてきている。これは、この1年ですが、非常にふえたなというのが実感でございまして、恐らく我々のほうで、例えば中国ビジネスあるいは中国の企業とのおつき合いみたいなものを進めるたびに、お客様が具体に花巻温泉とかに入っていただくたびに、こういった動きがもっと加速していくものと理解しております。
 それから、地産地消ということでございますが、確かに今回のB-1は県南局が中心になって支援していただきまして、私どもも地産地消というのは非常に大事だと思います。こういった仕組みというのは、地域の中で回る体制づくりというものが一番大事でございまして、これは、4広域局ございますが、4広域局それから本庁が一緒になって、地産地消を中心としたイベントを支援する仕組みとか、そういったものをさらに進めてまいりたいと思っております。
 それから、JR貨物ということでございますが、さっきはちょっと答弁できなかったんですが、JR貨物自体も実はJR7社の中で一番財政基盤が弱い会社でございまして、片やJR東日本が数千億円という利益を出すときに、利益が数十億円という100分の1ぐらいの規模しかない。駅に関しましても、膨大な投資が必要だということで、国の補助をいただいた上で、さらに彼ら自身が負担するということについては、やはり非常に慎重姿勢ということはあります。ただ、私どももかなり緊密な連携はとっていますし、情報についてもいろんなところからとれるように頑張っております。引き続き強力に働きかけもいたしますが、これについては、まだJR貨物自体がもうちょっと経営状況を見ているということもございますので、そこは、今後、我々も一緒になって考えてまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時0分 散 会

前へ 次へ