平成22年9月定例会 第18回岩手県議会定例会 会議録

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〇2番(工藤勝博君) 地域政党いわて、工藤勝博でございます。
 4度目の一般質問をさせていただきます。
 まずもって、本年も大きな自然災害がありました。被害に遭われた皆様には心からお見舞いを申し上げます。
 それでは、通告に従い質問に入ります。
 まず、9月1日の臨時県議会において採決されました副知事2人制についてお伺いいたします。
 平成10年以来の副知事2人制が復活しました。知事の残任期間が7カ月という中で、急遽提案に至ったことに驚きと疑問を感ぜずにはいられません。2名の定員に対し、1名の空席となっている副知事を新たに提案されたわけです。そもそも副知事2人制を廃止したときの直接的理由は、国、地方を通じる財政難で、大蔵省出身の副知事が働く場面が少なくなったことが挙げられる。背景には、地方分権という大きな流れの中で、国と地方の関係が変化したことと、県職員の執行能力の向上があったとの指摘もなされております。採決においては、議会運営委員会で長時間議論の末、質疑、討論なしで決定され、議会の先例とはいえ、腑に落ちない思いであります。
 そこで、県民、議会に対し真摯に説明することが必要と思いますが、知事の御見解をお伺いいたします。
 また、トップマネジメントを遂行していくのに3人いないときついと言っておられます。確かに県政を取り巻く課題は山積しており、行政をつかさどる最高責任者にとっては至極当然のことと思います。4、000人の職員が一致団結し、モチベーションを高め、県民の負託にこたえなければなりません。知事の職員に対してのメッセージをお聞きいたします。
 次に、知事の政治活動についてお伺いいたします。
 ことしも国政選挙がありました。県議会においても盛岡、釜石の補欠選挙があり、民主党籍を持つ知事は選挙応援に大変力を注いだことと思います。また、先般の民主党代表選挙においては、岩手から5人目の総理大臣を誕生させるべく、先頭に立って行動されました。知事は、自身の政治活動は自由にやらせてもらうが持論でありますが、幾ら党籍を有している知事であろうとも、県政課題が山積している状況の中で、勝利第一主義の選挙応援はいかがなものかと思うところです。行政職のトップとして、公平、中立の立場で県民全体の奉仕者であるべきと思うところですが、知事の御見解をお聞きいたします。
 次に、岩手の羅針盤である県民計画の推進についてお伺いいたします。
 県民計画アクションプランの2年間、まさに緊急かつ重大な課題が山積しております。希望郷いわての創造は県民にとっては大きな指標であります。今日の何ともしがたい閉塞感を打破するためにも、県政が力強く推し進めなければなりません。岩手らしい粘り強さを発揮し、この難局を切り開くためにも、県民総参加のもとに取り組まなければならないと思いますが、進捗状況についてお伺いいたします。
 プランの根幹でもある県民所得、人口問題の数値目標が示されていません。現実的に見通しをつけるのは困難なこともありますが、明確な目標がないと県民には伝わりにくいと考えます。そのことからも、インパクトのある強いメッセージを発信することが必要ではないでしょうか。
 そこで、次期アクションプラン4年間の基本方針についてお伺いいたします。
 次に、岩手の経済、雇用を牽引している自動車、半導体など輸出のウエートが高い企業において、今般の円高がどのように影響を及ぼすのか心配されるところです。米国の景気減速や欧州の金融不安などがあって、円が買われています。これらの要因が改善されないと、円高の影響が深刻になります。さらに、円高が長期化すれば、企業の生産、開発拠点を海外に移す動きをとめられず、日本国内の空洞化が進んで雇用に悪影響が出る可能性が大であります。ものづくり産業がしっかり根をおろし、確かな雇用を確保するためにも、国際競争力の高い産業構造に変え、岩手の経済を発展させるべきと思いますが、その対策と支援のあり方をお伺いいたします。
 次に、大都市圏と地方の経済格差の中で特に広がっているのが雇用機会の格差だと思います。それが、ひいては所得の格差であり、地方から都会に人口が流出する最大の原因になっていると思います。若者が職を求め大都市圏へ流出することにより、地方はより少子化、高齢化が進みます。こうした悪循環を断ち切るためには、良好な雇用の場を創出することが不可欠です。
 リーマンショック後の不況により、平成21年の工場立地件数は873件になっています。このような状況で地域に最も多くの雇用機会を提供したのは、自動車や電機といった輸出型ハイテク産業ではなく、内需型の食料品関連産業であります。国際競争力の激しいハイテク産業のように突然撤退することもなく、安定的な雇用創出に結びついており、しかも、原材料の農産物を地元から調達することが可能であり、農業の振興にも寄与することができます。岩手においても、特に県北・沿岸の有望な農林水産物を活用した産業振興を推進すべきと思います。
 そこで、食産業の誘致、育成、そして支援について、どのような取り組みを進められるのかお伺いいたします。
 次に、食料供給基地を目指している本県において、農業産出額が昭和60年の3、600億円をピークに年々減少し、平成20年には2、445億円まで落ち込んでいます。また、林業においても、昭和55年の419億円が、平成19年には204億円と半減しています。水産業も、同じく、昭和57年の822億円の産出額が、平成19年には436億円になっております。これらの減少の原因は、米価の下落、消費量の減少に伴う生産調整の拡大、園芸・畜産でも販売価格の低迷によるところが大きな原因です。これこそ農業のデフレスパイラルです。農業県と自負しておりましたが、農業産出額では全国で12位という状況であります。このことからも、農業所得の減少が農業従事者の農業離れ、また高齢化につながっています。このまま手をこまねいていると、あと数年で高齢者が中心の農業生産になりますし、生産基盤も極めて脆弱になります。岩手の1次産業が持続的に発展するためには、再生産可能な所得確保が何よりも大事と思われます。国の戸別所得補償制度とあわせ、岩手版の強い支援策が必要と考えます。知事の決意をお伺いいたします。
 次に、地域に合った農林水産業振興策について伺います。
 農業従事者の高齢化が進んでいる中、新たな食料・農業・農村基本計画では、意欲あるすべての農業者が農業を継続できる環境を整備するとともに、地域農業の担い手の中心は、既に定着している認定農業者を活用するとあります。また、集落営農や地域の雇用創出に寄与している法人経営を育成、確保することも掲げております。本県には認定農業者が平成20年度で8、231人、集落営農が224経営体あり、岩手の農業を支えている貴重な人材、組織です。今日の苦難を乗り切るには特別の対策を講じる必要があります。
 私は、あえて無理難題な政策提案をいたします。
 農業産出額と農林水産業費の相関を調査いたしました。昭和60年産出額3、600億円のとき、県予算歳出総額に対し農林水産業費は18.8%ありました。平成7年には最大で19.4%ありました。平成19年からは、わずか10.2%から9.1%まで低下しております。岩手の農業の衰退と同じ曲線を描いています。
 そこで提案します。厳しい財政状況の中、農林水産部におきましては、事業仕分け、機構改革で財源を捻出し、市町村が認定している農林水産業者数に応じて財政支援を行う。その際には、地域に合った振興策を条件とする。広い岩手、特色ある産地づくりには欠かせない施策と考えますが、御所見をお伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、岩手オリジナル農政の確立についてお伺いいたします。
 本県は広い県土を有し、気候、風土も異なり、作物も多種多様であることから、全国一律にとらえた制度では限界があります。県においては、生産地の実情に合った制度設計を国に働きかけるいわて希望農業政策懇談会を設置したと伺っています。今まさに地域性を考慮した岩手方式の施策展開が必要と思いますが、どのように実施しようとしているのかお伺いいたします。
 また、農業においても、国際競争に打ち勝つためにハイレベルの教育が必要です。本県には国、県の機関が充実してありますが、それらとの連携はどのように進めておられるのかお伺いいたします。
 次に、地域で支える農林水産業の提案をいたします。
 元気のある産地直売所にも低価格競争が押し寄せています。安心・安全な農林水産物を提供する土台が崩れないように支える仕組みが求められております。岩手県の自給率は、米、魚介類を除けば100%以下です。地産地消から消費者と生産者との契約栽培に発展させ、岩手の農業、農地、美しい環境を県民みんなで支え、守るべきではないでしょうか、御見解をお伺いいたします。
 次に、農作業安全対策についてお伺いいたします。
 農作業による死亡事故は全国で年に400人。過去40年近く変わらず発生しています。この問題が社会的に大きな関心を集めてきたため、農林水産省は新たな基本計画に農作業安全対策の推進を掲げています。
 県内のおいては、8月末現在、ここ10年に147名の方が亡くなっております。先日も死亡事故がありました。特に65歳以上の高齢者の割合が76%と高率になっており、今後においては大変危惧されるところであります。9月15日から秋の農作業安全月間が始まっておりますが、事故撲滅に向けてどのような対策を講じているのか、また、今後においてどのような取り組みをなされるのかお伺いいたします。
 次に、食料供給基地を標榜する本県において、米は基幹をなす作物でありますが、その一方で約4割の水田で転作せざるを得ない現状を見ますと、水田農業の経営安定を図るためには、麦、大豆など転作作物の生産性を向上させることが重要な課題であると考えております。そのためには、農業生産基盤の整備により生産性の高い優良農地を確保し、転作作物の収量増や品質向上につながる排水対策を重点的に推進することが大変重要であると考えております。国の平成23年度概算要求では、農業・農村整備事業予算は、対前年比105%と伸びてはいるものの、平成21年度と比べると39%であり、これでは基盤整備に充てる十分な予算は確保できないのではないかと懸念されます。来年度からの戸別所得補償制度の本格実施に当たり、水田の有効活用によって、米はもとより、麦、大豆や雑穀などの転作作物の生産拡大を図るためには、圃場条件の整備、特にも排水対策が不可欠であると考えますが、国の予算が大幅に減少する中、県では、これらの整備をどのように進めようとしているのかお伺いいたします。
 次に、外国人観光客の受け入れ態勢についてお伺いいたします。
 日本経済の成長産業として観光に力が注がれています。また、景気回復がおくれている地方においては、地域活性化の起爆剤として期待されます。県外観光客数は横ばいの中、今後増加が見込まれる外国人観光客をどのように呼び込むのか、現況と今後の方策をお伺いいたします。
 昨年の訪日外国人旅行者数は、総数679万人、韓国、台湾、中国、香港と東アジア4カ国、地域が大部分です。日本に行きたい理由の調査結果では、自然が美しい、独自の文化、歴史、伝統がある、温泉に入りたい、おいしい日本食を食べたい、安全で清潔な国となっています。岩手にある資源がそのまま丸ごと当てはまります。ところが、岩手を初め東北6県の認知度は低いと言われています。ことしの東北知事サミットでは、東北の観光戦略がテーマであり、さまざまな議論がされたと伺っております。山形県の吉村知事が、6県でダイヤモンドルートとして売り出し、一緒に海外誘客に取り組みたいと提案しております。ある県の上海事務所長は、各県とも連携への意識はあるが、まとめ切れるリーダーがいないと指摘しております。平泉の遺産登録に向けても、岩手がその先頭に立つべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、花巻空港のあり方についてお伺いいたします。
 花巻空港は、利用者の減少に伴い減便、そして運休が相次いでいます。ことし5月には名古屋線が運休、そして10月末には大阪線全3便を76席の小型機に切りかえ、札幌線は現在の3便から2便に減便するという。両線とも座席数は現在より約4割削減され、空港運営や利用者にとって大きな損失です。特にも、利用客の多い大阪線が縮小され、修学旅行や団体旅行に影響が出て、観光推進に大きなダメージを及ぼすことになります。日本航空が経営再建のために出した方針は、利用客離れをさらに進めると思いますが、県はどのような対応をとられるのかお伺いいたします。
 次に、観光産業を成長させるために欠かせない外国人の受け入れについて、どのような態勢を考えているのでしょうか。東北においてインバウンドは定期便のある仙台、青森、秋田空港です。観光客を迎える宿泊施設等では二次交通を要求され、その対応に苦慮されていると伺います。価格競争の激化から受け入れに二の足を踏むこともあるということです。花巻空港の活用を高めるには、アウトバウンド需要の拡大とチャーター便の増加を図り、あわせて二次交通の負担を軽減すべきです。そこで、エアポートセールスの成果と今後の方針をお伺いいたします。
 次に、高齢化とともに介護施設の不足が深刻化し、特別養護老人ホームの入所待機者が平成22年3月末で約6、000人を数えています。これまで国は、在宅介護を基本とし、自治体に対して施設整備の実質的な総量規制を行ってきました。一方、高齢化と核家族化が進み、要介護度が高い、世帯の中に年寄りしかいないなどの理由で自宅に暮らすのが難しい人が増加しています。
 国は、平成21年度から平成23年度の4期計画中に特養など入所施設を16万人分ふやす計画で、施設のニーズが非常に高まっているとし、実質的な総量規制となっている施設整備の参酌標準を撤廃することも決めました。また、特別養護老人ホームの入所定員合計数のうち、ユニット型個室が占める割合を平成26年度に70%以上とすることを目標とする参酌標準もありますが、これについても、低所得者の利用にも配慮し、地域の実情に応じたユニット型個室や多床室の選択ができるような運用が望まれています。入所待機者にとっては早期の施設整備を望むものであるが、4期計画中の整備はどのように進められているのかお伺いいたします。
 次に、安全・安心のセーフティネットづくりについてお伺いします。
 経済情勢の悪化から所得の減少が進み、離職者等の生活の安定に向けた施策の充実が求められています。高齢化社会の進展、若年人口の流出が続く中で、本県では暮らしのセーフティネットをどのように築くのかお伺いします。
 ことしは、100歳以上の高齢者の所在不明の問題など、高齢者を取り巻く思いもよらない事態が全国で多数発覚しました。幸い、本県ではそのような問題は生じていなかったものの、県内においても、家族、地域のきずなが薄れ、地域のコミュニティも危機を迎えている状況にあるものと憂慮しています。
 そこで、市町村に設置されている地域包括支援センターの活動が大きく期待されているところであります。地域における高齢者の介護や福祉、医療等のさまざまな相談が寄せられており、緊急時には夜間の対応もあると聞いております。24時間対応のハードな仕事を受けながら、多くの課題に向き合っているスタッフの方々は、地域住民にとってはまさになくてはならない存在でありますが、県では、地域包括支援センターの充実に向けてどのように支援していかれるのかお伺いいたします。
 次に、道路整備についてお伺いします。
 まず、国道281号について伺います。
 内陸と沿岸を結ぶ最重要路線として鋭意整備が図られているところでありますが、標高800メートル近くにある平庭峠付近は急カーブ、急勾配が連続しており、特にも冬期間は、積雪寒冷地であることから、常に危険を伴う交通の難所となっております。このような状況の中、平成11年に県が発表した平庭トンネル構想は、この道路を利用する多くの人たちに希望を与えてきました。この間、平庭トンネル実現のため、関係市町は、安全に命を運ぶ道路の確保、地域間交流及び地域活性化を目指し、早期着工、完成に向け住民大会を継続して開催し、関係機関に訴えているところであります。コンクリートから人へという政策もありますが、地方においては整備の必要な道路がまだまだ多く残っています。来年は発表以来10回目の住民大会を迎えます。1度発表した構想を実現するのか、また、取り下げるのか、機は熟したと思いますが、このトンネル構想の見通しをお伺いいたします。
 次に、国道282号の整備についてお伺いいたします。
 国道282号は、県中央部と県北西部をつなぐ主要幹線道路であります。県においては、逐次道路改良、整備に取り組まれていることには敬意を表します。しかし、いまだに整備がおくれ、幅員が狭く、急カーブが連続する区間が多く存在するほか、歩道の未整備区間や冬期間の除雪による堆雪で歩道がより狭隘化し、歩行者の安全確保が大きな課題となっております。交通事故の危険性にもつながり、また、高速道路が通行どめの際には唯一の迂回路線となることから、慢性的な渋滞を引き起こす要因にもなっており、早期に整備が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 そのような中で、特に竜ヶ森シェルターについてお伺いいたします。竜ヶ森峠にあって、シェルターは防雪の対策には大きな効果があります。ところが、シェルター内は急カーブ、アップダウンがあり、想像以上に危険な道路であります。特に冬期間は凍結もあり、魔のトンネルになります。事故も絶えないことから、早急に線形改良もしくは拡幅が必要と思われますが、いかがでしょうか。また、事故防止の取り組みも重要と考えますので、交通安全対策上、どのような対応を図っていこうとしているのか、あわせて伺います。
 次に、岩手の防災力について伺います。
 まず、地震、津波対策についてお伺いします。
 いまだ発生の予知が難しい地震は、いつ、どこで発生するのか不安のあるところです。そこで、国の長期評価において高い確率で発生が予測される宮城県沖地震に対する備えは官民挙げて取り組まなければなりません。逐次進められている学校施設、橋梁の耐震化の促進も重要ですし、住宅の耐震改修への支援も十分行き届かせる必要があります。災害発生時には、行政で対応できる救援活動は実際には少ないとも言われております。被害を最小限に食いとめるためには住民の力がかぎを握ることは、過去の多くの被災体験から明らかになっています。ある自主防災組織の代表者の声として、災害時はすぐに助けが来ることがない。救助が来るまでの間を隣同士で頑張らないといけない。自主防災組織はそのための組織であり、すべて行政にやってもらおうという感覚であれば、自主防災組織は要らない。まさに、地域のことは地域でやるのが基本であると力強く言っております。
 今、議会では、議員発議で、みんなで取り組む防災活動促進条例の提案を予定しております。県民の防災意識を高めるためにも、条例の趣旨を踏まえ、自主防災組織率を高めなければならないと思いますが、現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、洪水、土砂災害対策についてお伺いいたします。
 近年、異常気象、また温暖化による気象災害が多発しております。中でも局地的に集中して短時間に降る大雨、ゲリラ豪雨が想定外の被害をもたらしております。本年も岩手町を中心に近隣の市町に甚大な被害が発生いたしました。山ろくの崩壊で土砂と一緒に流木が河川の流れを変え、橋、農地をのみ込んでしまいました。県内には、土砂災害危険箇所が、平成20年度で急傾斜地6、959カ所、土石流7、198カ所、地すべり191カ所が示されています。市町村において土砂災害ハザードマップの作成が進んでいないと聞きます。市町村に呼びかけ早期に作成を進め、住民の防災に対する意識を高め、災害に強い県土づくりに当たるべきと思いますが、その取り組みについてお伺いいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、2人目の副知事を選任した経緯についてでありますが、本県が直面するさまざまな危機的状況を克服し、中長期的に足腰の強い岩手の経済と社会を構築していくため、トップセールスを初めとするトップマネジメント部分を一層強化する観点から選任したものであります。
 また、職員に対してのメッセージについてでありますが、社会経済情勢が危機的な状況にある中で、職員は、積極的に地域に出向き、県民の皆さんと一緒になって課題解決に熱意を持って積極果敢に取り組んでいると感じており、心強く思っています。今後は、こうした職員の姿勢を大切にしつつ、今回強化したトップマネジメントのもとで、一丸となってさらなる県勢発展に向け、邁進していきたいと考えます。
 次に、知事の政治活動についてでありますが、知事は公選で選ばれる政治家であり、行政の長の仕事を公正中立、不偏不党で適切に行うと同時に、政治家として自由に政治活動を行うのは当然と考えます。
 なお、選挙というものは、国民あるいは住民が有権者として政治参加をすることができる大変重要な機会であります。選挙がより充実したものとなり、民主主義が発展することはすべての人の利益となることでありますので、私がそれに何らかの形で貢献できるのであれば、役に立ちたいというのが基本的考えであります。
 次に、いわて県民計画の推進についてでありますが、本議会に報告している主要施策の成果に関する説明書に基づいてアクションプラン政策編の達成状況を見ますと、岩手の未来をつくる七つの政策の目指す姿を示した92の指標中、環境や社会資本など52指標、約6割については、達成またはおおむね達成となっています。一方で、医療や教育など40指標、約4割については、ややおくれまたはおくれとなっており、平成21年度末時点でのアクションプラン政策編の取り組みは一部におくれが認められますが、おおむね順調に進んでいると認識しております。こうした状況を踏まえ、アクションプラン最終年となる本年度において、目指す姿の達成に向けて、県民、企業、NPOや市町村など、地域社会を構成するあらゆる主体とともに、全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 次に、次期アクションプランの基本方針についてでありますが、長期ビジョンの内容や本県を取り巻くさらなる社会経済情勢の変化、現行のアクションプランにおける成果と課題などを踏まえるとともに、次期統一地方選挙における県民的議論を踏まえ、決定されていくものと考えております。
 次に、持続可能な1次産業を支える取り組みについてでありますが、本県の農林水産業は、所得の減少や高齢化など多くの課題を抱えており、持続的発展のためには、安全・安心で高品質な農林水産物の生産拡大と高付加価値化の促進、さらには販路の拡大などにより、農林水産業者の所得向上を実現していくことが何よりも重要であると考えております。このため、国の戸別所得補償制度等を積極的に活用しながら、いわて県民計画に基づき、経営の高度化や農地、林内路網等の生産基盤の整備等により、本県農林水産業を牽引する意欲と能力のある経営体を育成していきます。
 また、施設園芸団地の整備やサケ回帰率向上技術の開発、普及等により、生産性、市場性の高い産地形成を促進するとともに、農林水産業の6次産業化やブランド化による販売促進、さらには東アジア諸国への戦略的な輸出など、これまで以上に1次産業の支援を行い、農林漁業者の所得向上を図りながら、我が国の食料供給基地としての地位を確立してまいります。
 次に、本県が海外誘客の先頭に立つことについてでありますが、これまで、県では、東北観光推進機構や北東北三県観光立県推進協議会などを通じて東北各県と連携し、いわて花巻空港を初め、国際定期便が就航する隣県空港を活用したモデルルートを提案し、各国の旅行会社に旅行商品の造成を促しているところであります。
 一方、平泉の文化遺産は、地理的にも東北の中央に位置し、東北の各空港からのアクセス面で強みを持っており、旅行商品の多様な組み合わせの中核となり得ることから、世界遺産に登録された場合、東北全体にとっても平泉は重要な位置を占めることになると考えております。
 本県としては、平泉の求心力を強力にアピールすることが東北全体の知名度向上にもつながり、各県のさまざまな観光資源と結びついて、東北全体の海外からの誘客の原動力になるものと考えております。
 今後とも、本県が先頭に立って、平泉を中心とした東北の観光を海外に発信してまいりたいと思います。
 次に、国道281号平庭トンネル構想についてでありますが、平庭トンネルを含む調査ルートは、PI─パブリックインボルブメント手法を導入し、平成13年8月、県としての案を選定、公表したところであります。この調査ルートについては、2.6キロメートルのトンネルを含むことから、膨大な事業費を要することや、交通量が伸びていないことなどから、事業化ができていない状況にあります。
 平庭峠の隘路解消に向けた整備のあり方については、今後の交通量の推移や公共事業予算の動向、さらには、現在、検討を進めている道路ネットワークにおける本区間の位置づけを見きわめながら、総合的に判断していく必要があると考えているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、ものづくり産業についてでありますが、本県は、これまで、国際競争力の高いものづくり産業の集積を目指して、自動車、半導体関連産業を柱とする連峰型の産業集積の形成に努めてきたところであります。また、これらの産業は、引き続き我が国の基幹産業として、中長期的に成長が見込まれる産業と認識しております。しかしながら、自動車、半導体関連産業は、円高や景気の影響を受けやすいという特徴があります。したがいまして、その影響によって企業の撤退や工場閉鎖を招かないよう、企業の開発部門の誘致、地場企業の技術力向上、高度技術人材の育成などに取り組み、多くの企業が携わることにより、県内で開発から製造まで一貫して行うことができるような分厚い産業集積を目指しているところであります。
 一方、景気に左右されにくい産業として、これまでに蓄積された高度なものづくり技術の強みを生かしながら、連峰型の産業集積の第3の柱として、新たに医療機器関連産業の創出に取り組んでいるところです。さらに、県内各地域におきましては、コネクター、造船、空気圧縮制御機器など、さまざまなものづくり産業の集積が進みつつあり、各地域とも企業立地促進法に基づき、これらを重点業種として一層の集積を促進することとしております。
 今後とも、各地域における多様なものづくり産業の集積を進めていくことにより、本県の産業構造が足腰の強い、一層バランスのとれたものになることを期待しているところであります。
 次に、食産業の振興でありますが、過去5年間における食品関連企業の誘致は11件で、誘致企業全体に占める割合はおよそ2割となっております。最近では、県北地域に食肉加工企業や機能性食品製造企業の立地が見られるなど、豊かな自然環境や農林水産資源などを生かした企業が着実に進出しております。
 また、地元企業につきましても、大型量販店との共同開発によるシメサバなどの販路拡大を初め、農商工連携による梅酒製造、ヤマブドウを活用いたしましたパンの開発販売など、地域資源を活用した商品開発等の支援を行ってきた結果、ビジネスモデルとなる事例が出始めております。今後は、こうした取り組み成果の全県への波及や品質管理のできる人材の育成、企業連携の一層の促進などに取り組む必要があると考えております。
 こうしたことから、食産業振興のロードマップの作成を現在進めているとともに、全国4カ所のうちの1カ所として国の認定を受けましたFCP─通称、フード・コミュニケーション・プロジェクト─岩手ブランチの活動に参加する事業者の拡大を促進しながら、今後、本県の食産業を付加価値と生産性の高い産業を目指して育成していくこととしております。
 次に、外国人観光客の現況と今後の方策についてでありますが、本県の外国人観光客の入り込み数は、台湾から初めてチャーター便が運航された平成12年の6万1、000人回から、平成19年には13万人回まで増加しております。最近は、その後の世界的な景気の後退や新型インフルエンザなどの影響などにより減少傾向にありますが、直近の国の宿泊旅行統計による本県の1月から3月の外国人宿泊者数は、対前年同期の約2倍に増加しており、全体としては回復基調にあると認識しております。県では、これまで、ソウル事務所や大連事務所が有するネットワークを生かしながら、東北観光推進機構などと連携し、台湾、香港、韓国などの東アジア圏を中心に、現地旅行会社への観光セミナーの開催、マスコミの招請、新規旅行商品造成に対する広告支援などに取り組んでまいりました。今年度は、外国語版ホームページのリニューアルや上海万博への出展と合わせ、東北観光推進機構が主催した商談会などに参加いたしまして岩手の情報発信に努めたほか、中国で最も訪日観光客数の多い広州市などへのトップセールスや、現地旅行会社やマスコミの招請を今後行うこととしております。
 引き続き、各国における国際旅行博覧会への出展や現地旅行会社に対する旅行商品の造成の働きかけなどを行うとともに、民間事業者や市町村とともに、観光資源の掘り起こしや磨き上げ、観光案内板や観光施設の案内表示の整備など受け入れ態勢の強化を図り、訪日外国人観光客の皆様に本県を選んでいただけるよう、魅力ある観光地づくりに努めてまいります。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) 岩手の農林水産業施策についてのお尋ねであります。
 まず、地域に合った農林水産業振興策についてでありますが、広大な県土と多様な地域特性などを有する本県においては、より地域に密着した農林水産業の振興施策の展開が重要であると考えております。このため、これまでも、地域の農林水産業を牽引する担い手の育成、新品目導入や周年出荷体制の整備など、地域の特性に応じた産地づくりの推進、農林漁家への機械、設備等の導入支援など、市町村と一体となった取り組みを展開してきたところであります。
 県としては、御提案の趣旨も踏まえ、今後とも、市町村や地域の関係機関等とより一層緊密に連携しながら、地域の特性を生かした産地づくりや担い手の育成などの諸施策を積極的に展開していく考えであります。
 次に、いわて方式の施策展開についてでありますが、本県農業の振興に当たっては、多彩な立地特性や資源を最大限に活用した施策展開が重要であり、戸別所得補償制度の本格実施に向けても、地域の特色ある産地づくりや営農活動に配慮した制度設計となるよう、国に要望してきたところであります。
 今後は、国の制度も効果的に活用しながら、本県農業の未来を開く農業プロフェッショナルの育成と、こうした担い手が中心となった集落営農の経営高度化や、地域条件に即した生産技術の迅速な普及と地域協働による産地づくり、さらには、1集落1戦略の実践による農産物の高付加価値化、6次産業化の促進など、岩手の特性を十分に生かした農業振興に、関係機関、団体と一体となって取り組んでまいります。
 次に、農業教育についてでありますが、本県農業の担い手育成の中枢機関である農業大学校においては、岩手大学等と連携した家畜繁殖学や経営分析手法などの専門教育や、県農業研究センターで開発した最新技術の講義や実習などを行い、理論に基づいた経営実践力の向上を図っているところであります。
 また、意欲的な農業者を対象とし、岩手大学と連携した、いわてアグリフロンティアスクールにおいて、高度な経営管理や革新的なマーケティングなどの講義や国内外の先進経営事例調査の実施、さらには、県内各地での公開講座の開設などにより、国際化に対応できる農業経営者を育成しているところであります。
 今後におきましても、こうした関係機関や大学等と連携した教育により、本県農業をリードする担い手の確保、育成を進めてまいります。
 次に、地域で支える農林水産業の構築についてでありますが、契約栽培の取り組みは、生産者にとっては作物を安心して計画的につくることができること、また、消費者にとっても、つくり手の顔が見える安心なものが日常的に入手できるなど、双方にメリットがあるというふうに考えております。このため、県では、県内量販店、食品製造業者との契約栽培においては、地元消費者のニーズに沿った農産物生産のための技術指導や加工業務用の野菜生産者の組織強化とマッチング支援、また、給食事業者との契約栽培においては、事業所給食の認定制度創設や学校給食等への地元食材の調達支援などを進めており、今後とも、消費者と生産者が地域で支え合う取り組みが県内に一層拡大していくよう支援してまいります。
 次に、農作業安全対策についてでありますが、これまで、県では、県警や農業団体などと構成する岩手県農作業安全対策協議会を推進母体とした農作業安全運動を展開しており、特に本年度は、事故発生の要因に着目し、高齢者を守る地域や家庭での事故防止意識の醸成や反射材などの事故防止資材の装着などを重点項目とするとともに、新たに県内2カ所で農業機械安全使用講習会を開催するなど、全県や各地域段階で農作業事故防止に向けた安全意識の高揚を図っているところであります。現在、収穫の秋を迎え機械作業が本格化しておりますことから、これら取り組みを一層強化し、農作業安全対策の推進に万全を期してまいります。
 次に、水田の排水対策についてでありますが、農業生産基盤の整備は、持続的な農業経営を支援する戸別所得補償制度の実効性を高める上で欠かせないものであり、低コスト生産に向けた水田の整備や農業水利施設の老朽化対策などを一体的に推進する必要があると考えております。特に、本県の麦、大豆の約9割が作付されている水田の有効活用に当たっては、単収の増加や品質向上につながる排水対策の必要性、緊急性が高まってきております。一方で、国の予算が厳しい見通しでありますことから、今後とも、基盤整備がおくれている本県の実情を訴えながら必要な予算を確保するとともに、圃場整備や暗渠排水などへの事業の重点化やコスト縮減の徹底により、事業効果の早期発現に努めてまいります。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) 花巻空港のあり方についてでございますが、日本航空の経営再建方針への対応として、機材の小型化に対応し、岩手県空港利用促進協議会を通じた小グループ旅行への助成や企業訪問などを行うことにより、利用率の向上を図りつつ、大阪、札幌線の増便やより大きな機材への変更など、必要座席数の確保について日本航空に働きかけてまいります。
 エアポートセールスの成果についてでございますが、昨年度は、知事、副知事のトップセールスにより、台湾の復興航空の就航が初めて実現したほか、交流行事をきっかけとして香港とのチャーターが2年半ぶりに運航されるなど、あわせて71便、旅客数で9、319人の国際チャーター便の実績となったところでございます。
 今後は、通年でのチャーター便の運航実現に向け、冬季のチャーター便の誘致を図るとともに、本県の持つ多様な観光素材のPRや、各分野での国際交流の促進等による双方向での需要の拡大を図ってまいりたいと考えております。
 次に、国道282号の整備についてでございますが、本路線は、県中央部と県北西部とをつなぐ主要幹線道路であり、物流路線としての機能や歩行者の安全を確保していく必要がある路線と認識しております。こうしたことから、現在、滝沢村において一本木バイパス、八幡平市において西根バイパス及び相沢地区において道路改築事業、また、竜ヶ森地区においてはスノーシェルターの補修工事を進めており、これらの箇所の早期完成に努めていく考えでございます。
 今後の道路改良及び歩道設置などにつきましては、交通量の推移や利用状況、通学路の指定状況等を勘案して整備の優先度を判断していく考えでございます。
 次に、竜ヶ森シェルターの線形改良、拡幅についてでございますが、シェルター区間の線形改良もしくは拡幅につきましては、道路の改良に加えてシェルターの改築も伴い、多額の事業費になると考えられるため、今すぐの着手は難しい状況にございます。
 道路管理者としてのシェルター内の事故防止対策として、これまでに運転者への注意喚起のための急カーブ注意標識、減速マーキング、ランブルストリップスなどを設置するとともに、冬期間における凍結防止のための滑りどめ舗装の設置及び凍結抑制剤の散布などを行ってきておりますが、今後とも、事故防止に向けて適切な維持管理に努めてまいります。
 次に、市町村の土砂災害ハザードマップの作成の促進についてでありますが、土砂災害防止法により、県が土砂災害警戒区域の指定を行い、区域を含む市町村は、土砂災害ハザードマップの作成及び配布を行うこととされております。県は、これまでに、1万4、000カ所余りある調査の必要箇所のうち、人家5戸以上ある箇所や公共施設のある箇所などを優先して調査を進めてきており、現在までに2、000カ所の土砂災害警戒区域の指定を行ってきております。
 土砂災害ハザードマップ作成は、現在3市2町が取り組んでおりますが、完成しているのは2町、61カ所にとどまっております。県としては、残る危険箇所の調査と警戒区域の指定を進めるとともに、当面、優先箇所の指定が進んだ市町村からハザードマップ作成を進めることとし、そのための市町村への基礎資料の提供、各種ガイドラインや先進事例の紹介などを通じて、作成ノウハウの提供を図ってまいります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、第4期計画中の特別養護老人ホームの整備についてでありますが、県といたしましては、第4期計画の策定段階から、国の参酌標準を踏まえながらも、地域の実情に配慮した実効性のある計画とすることを基本方針とし、特にも、年度末時点で実施しております入所待機者の実態調査において、市町村等が早期に入所が必要と判断した在宅の待機者に対応した整備を促進してきたところであります。
 第4期計画では、約660床の整備が見込まれているところでありますが、平成21年3月末時点では、特に早期入所が必要な在宅待機者が約1、000人であったことから、昨年度創設いたしました介護サービス施設等整備臨時特例基金を活用し、計画にさらに地域密着型特別養護老人ホーム約370床を上乗せした整備について市町村に働きかけてきたところであります。しかしながら、本年3月末の調査時点におきましては、特に早期入所が必要な在宅の待機者は約1、200人と、約200人増加しておりますことから、さらなる取り組みを進めていく必要があるものと考えております。
 具体的には、先ほど申し上げました基金において、約340床分の整備計画が報告されており、なお60床程度の整備への対応が可能と見込まれますことから、引き続き市町村等に整備を働きかけていくこととしているほか、現在、市町村や事業者から、広域型特別養護老人ホームについて、第5期計画の前倒しとして、平成23年度に約200床の整備の要望が寄せられております。これらの整備が実現できれば、先ほど申し上げました第4期計画の整備分とあわせ、一定の対応が図れるものと考えているところであります。
 なお、特別養護老人ホームの整備に当たりましては、県としても、国に対しかねてより参酌標準の廃止を要望しているところであり、また、入所希望者やその家族の意向、待機者の状況などを踏まえ、地域においてそのニーズに応じた施設整備を選択、実施することが重要でありますことから、本県におきましては、多床室の整備についても補助対象とし、支援しているところでございます。
 次に、暮らしのセーフティネットについてでありますが、国においては、離職者等に対する支援策として、いわゆる第1のセーフティネットとなる雇用保険と、最後のセーフティネットと位置づけられます生活保護制度との間に、昨年10月から、第2のセーフティネットとして新たな雇用、生活支援策を構築したところであります。
 県におきましては、この具体的な生活支援策といたしまして、離職者等の住宅確保を支援する住宅手当緊急特別措置事業や失業給付など、公的な給付を受けるまでの生活費を貸し付ける臨時特例つなぎ資金貸付制度を創設いたしますとともに、既存の生活福祉資金貸付制度につきましては連帯保証人要件の緩和など、より利用しやすい仕組みに改正したところであります。また、これらの制度が県内においてより効果的に活用されるよう、国と県の雇用部門と福祉部門が連携し、県生活福祉・就労支援協議会及び県内10地域に地域協議会を設置し、支援体制の強化を図っているところであります。
 さらに、本県では、独自の取り組みといたしまして、市町村社会福祉協議会に新たに24人の生活福祉資金相談員を配置し、増加する生活資金貸付の相談に適切に対応する体制を整備したほか、本年度は、特に各ハローワークごとに開催されるワンストップ・サービス・デイの場におきまして、生活保護ケースワーカーや保健師などを配置し、職業相談や生活相談はもとより、多重債務や心の健康相談を行うなど、第2のセーフティネットの厚みが増すよう取り組みを進めているところであります。
 次に、地域包括支援センターの充実についてでありますが、地域包括支援センターの国の基準に対応した専門職員の充足率は、本年4月現在、県全体で72%となっており、前年度と比較して3ポイント向上しておりますものの、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種すべてを満たすセンターは、49カ所のうち17カ所にとどまっている状況にあります。したがいまして、昨年度実施されました支援センター運営状況調査では、職員数の不足、業務量が過大など職員体制が不十分であることや、地域住民やボランティア、医療機関などの関係機関との連携が不足しているなどが課題として挙げられているところであります。
 県では、これまで、センター職員配置の拡充を市町村等に働きかけているところであり、今年8月に改めて文書による要請をしているところであります。また、センターの業務水準の向上を図るため、職員のスキルアップや関係機関との連携強化などをテーマとした職員研修の実施に加えまして、県長寿社会振興財団に委託設置しております県高齢者総合支援センターにおいて、地域ごとに、高齢者の権利擁護などをテーマに、より専門性を高めた研修の開催や困難事例への対応など、専門的な支援の充実に努めてきているところであります。
 現在、国の社会保障審議会介護保険部会におきましては、次期介護保険事業計画に向けて地域包括支援センターの機能強化が検討されており、県といたしましては、こうした国の動向も注視しながら、地域包括支援センターの相談、支援機能が今後十分発揮できるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 自主防災組織についてでございます。その組織率は、平成22年4月1日現在で73.6%と、前年度比3.8%の増となっております。このように全県的には組織率が向上しておりますが、組織率100%の市町村がある一方、20%台の市町村があるなど、地域によってばらつきがある状況もございます。地域の助け合いによる被害の軽減のためには、地域の実情に応じた自主防災組織の構築と育成強化が重要であります。このため、市町村職員を対象に防災ワークショップの開催に関する講習会を実施しますとともに、自主防災組織のリーダーを育成するための研修会を開催してまいりました。今後は、さらに自主防災組織相互の情報共有や取り組み事例の紹介などを目的とした連絡会議を設置したいと考えております。このような場を活用しながら、市町村ともども組織率の向上と組織の育成強化に努めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長樹下尚君登壇〕
〇警察本部長(樹下尚君) 竜ヶ森シェルターの事故防止対策でありますが、シェルター区間内における交通事故の発生状況を見ますと、平成12年以降、現在までの約11年間で11件の人身事故が発生しておりまして、このうち、12月から3月までの冬期間における事故が5件となっております。これらの事故の主な形態は、対向車線へのはみ出しや追突によるものでありますことから、県警察といたしましては、引き続き、パトカーによる警戒活動を強化するとともに交通情報の提供を積極的に行いますほか、道路管理者と連携した各種交通事故防止対策を推進してまいります。
〇2番(工藤勝博君) それぞれの項目の御答弁、大変ありがとうございます。その中で再度お聞きしたいことが何点かございますので、よろしくお願いします。
 まずもって知事にお伺いしますけれども、知事が副知事を2人制にしてトップマネジメントを強化するということで県政運営に当たられるということは、本当にこれから大事だろうとは思います。ただ、残りの任期半年となった時点での、なぜこの時期に副知事を2人にしたかと、県民にとっても大変違和感を持っているのではないかと思っておりますし、当然、財政支出も伴います。もっとやっぱり丁寧に説明をしながら、県民にも理解を得るべきだろうと思いますが、いかがでしょうかということが1点。
 それから、記者会見の中で、昭和38年から昭和54年の間、4期16年在任した千田元知事に触れ、当時、大蔵省から来てもらったときに企業誘致など大きな案件が進んだと述べておりますけれども、千田知事は岩手の大県構想という大きなスケールをもって推進したわけですけれども、その中でも特に昭和45年の岩手国体あるいは北上山系開発、食料基地構想では産米50万トン運動とか肉牛生産公社、畜産流通センターなどの設立で畜産振興などにも大変力を注いだわけです。そういう基盤となることを含めて、トップリーダーである知事が率先して県政の推進に当たったということだろうと思います。
 そういう中で、知事は、来春の知事選挙には、記者会見でもノーコメントということですけれども、県民計画の推進に当たって、次期アクションプランなどを、一つはどのようにリードしていくおつもりなのか。また、知事選においては、危機を希望に変えるんだということでありました。私も1回目の質問の中で、やっぱり岩手をなんじょにかしなきゃないんだろうという思いで知事にお伺いしました。知事も、ぺっこずつでもなんじょにかすべという返事をいただきました。その中で、来期の去就も大きく関係すると思いますが、知事の今後の進退とあわせて1期目の自己評価をお伺いしたいと思います。
 もう一つは、千田知事の話もなされました。温故知新が念頭にあるとすれば、先人に知恵を学び、そして岩手をどのようにしていくのか、やっぱり県民にもっと明確なメッセージが必要ではないかと思います。そういうことを含めて、県民計画がさらに進展するだろうと思いますけれども、その3点を知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 地方自治法の改正によりまして、県においては出納長廃止、そして市町村においては助役等の廃止。そういう中で市でも副市長を2人にしていくという動きが出てきておりますし、議員も、知事が副知事を2人にし、トップマネジメントを強化して県政運営に当たることに異を唱えるものではない、やはり必要だという御理解をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。もっと早く決めておけばよかったということはあるかもしれません。国の公務員改革との関係で、公務員人事がことし大変おくれていた等々、さまざまな要因の中でこういう時期になったということを御理解いただきたいと思います。
 次に、平成23年度から4年間の県民計画遂行のための次期アクションプランでありますけれども、平成23年度からのアクションプランでございますので、これは、来年の統一地方選挙での政策論争も含めて、幅広い県民の皆さんの声を反映させながら検討されていくものと考えます。
 それから、危機を希望に変えるということの道筋についてでありますけれども、まず、いわて希望創造プランの策定と、それに基づくさまざまな施策によって喫緊の課題に対する対応ということが行われまして、さらに、いわて県民計画の策定によりまして、さまざまな危機に直面する今日にあって、県民一人一人が希望を持てる希望郷いわてに向けての道筋を示すことができたと考えております。
 それから、岩手をどのようにしていきたいのかということは、まさにその希望郷いわて、いわて県民計画の中に示すことができたと思っておりまして、今年度もさまざまな広報活動を通じてアピールしているところでありますけれども、引き続き県民に対するメッセージを発信していきたいと思います。
〇2番(工藤勝博君) ありがとうございます。けれども、何か腑に落ちないといいますか、知事は来春の選挙にはどうなさるんですか。その思いは、この県民計画の推進に当たりまして、やるんだということが必要ではないでしょうか、再度お願いします。
〇知事(達増拓也君) それについては答弁を控えさせていただきたいと思います。
〇2番(工藤勝博君) それでは、農林水産業の施策について、2点お伺いいたします。
 今年度から始まった米の所得補償制度では、そういう中で、今、盛んに収穫期を迎えております。米価の概算払いの低下に、従来にも増して大きな不安を抱いている状況であります。10アール当たり1万5、000円の補助金が出たとしても、値下げ圧力でその分は消えてしまう。生産意欲、経営維持には結びつかない状況であります。
 そういう中で、新潟県では国に先駆けて2009年度から新潟版の所得補償モデル事業を実施しております。この背景には、担い手不足の解決と、若い人が就農でき、持続的に農業経営ができる、農業経営を支えるという大きな支援の方法でやっております。岩手においても、国の制度で補えない分、県独自のそういう施策、支援策が必要と思いますけれども、その取り組みについて、今後の取り組みをお伺いいたします。
 また、もう一つ、先ほどの質問でも触れたように、農林水産部の予算が年々細くなっております。1次産業が地域経済を支えている本県にあっては、まさに憂慮すべきことであります。県の財政は、改めて申すまでもなく大変厳しい状況でありますが、これ以上1次産業を疲弊させてはならないと思います。私も農業の現場にいますし、新規就農者、担い手の方がこれから意欲を持って取り組める、そういう支援がぜひとも必要であると思いますので、先ほどの答弁の繰り返しにならないように、ひとつお願い申し上げます。
〇農林水産部長(小田島智弥君) 2点、お尋ねがございました。
 まず、国の戸別所得補償制度で補えない部分について、県としての独自の支援体制が必要だと思うがどうかということでございます。戸別所得補償制度は、一定の所得を補償するという岩盤制度でございます。今、米価下落は大変な状況でございまして、これについては、制度的にはいわゆる変動部分についてきちっと手当てをしていただくということが必要であろうとまずは考えております。この点につきましては、私どもの県でも、国にそういう要望を既に行っておりますが、米価の動向も見据えまして、また、きちっとその手当てをしていただくということについての要望を国にまずはやってまいりたいと考えており、この岩盤対策がきちっと機能するように、そういう下支えになるような制度として機能するように、まずはやってもらおうと考えておりまして、さらに、その上として、県ではさまざまな施策を展開することが必要だと考えております。このため、経営規模の拡大、あるいは新品目の導入などによる経営の多角化を後押しするような施設、機械の整備ですとか、高付加価値化、6次産業化の推進ということで、岩手県独自の施策についてきっちりと対応していきたいと考えているところでございます。
 先ほど、新潟県のモデル対策のお話がございました。これは、平成21年度の新規事業として、水田経営全体で一定の所得レベルを補償する制度を国に提案するために、国のモデル対策に先駆けて実施したと伺っております。
 今回、国のモデル対策が実施されておりますので、県としては、いずれ、こうした制度を活用しながら、農業者の方が生産意欲を持てるような、そういう施策を展開してまいりたいと考えているところでございます。これが1点目でございます。
 2点目は、県の財政が非常に厳しい中で、例えば新規就農者等のいわゆる担い手の方々が意欲を持って取り組めるような、そういう支援が必要ではないかという御質問と承りました。まず、新規就農者の方が入ってきませんと産地は細ってまいりますので、この新規就農者の方々に対して、技術習得や資金調達などのために、先進農家における実践的な技術研修の実施、あるいは就農に伴う機械、施設導入の助成、無利子資金の融通など、経営計画の達成に向けて重点的に支援していくと同時に、地域でそういう新規就農の方を支えるような、地域でキャリアアップに応じて軌道に乗っていくような仕組みも考えてまいりたいと考えてございます。
 それから、中核となります認定農業者の方々に対しましては、経営規模の拡大あるいは経営高度化の一層の促進のために、経営基盤の強化に向けた農地集積あるいは新たな商品開発、さらには販売分野への進出などを支援してまいりまして、いずれ、中心になります方々が意欲を持って取り組めるような、そういう支援をしていきたいと考えております。
 日程第2 認定第4号平成21年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第19 報告第10号平成21年度決算に基づく岩手県工業用水道事業会計に係る資金不足比率の報告についてまで
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第2、認定第4号から日程第19、報告第10号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。菅野総務部長。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) ただいま議題とされました議案等について御説明をいたします。
 認定第4号は、平成21年度岩手県一般会計歳入歳出決算を認定に付するものであります。
 平成21年度の一般会計決算は、歳入総額7、482億6、000万円余、歳出総額7、351億600万円余で、差し引き残額131億5、300万円余から繰越財源額92億1、800万円余を差し引いた実質収支は、39億3、400万円余の黒字となっているものであります。
 認定第5号から認定第15号までは、平成21年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計外10特別会計の決算でありますが、各特別会計とも実質収支は黒字または均衡となっております。
 報告第5号は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律の規定に基づき、平成21年度決算に基づく健全化判断比率について報告するものであります。
 報告第6号及び報告第7号は、平成21年度決算に基づく流域下水道事業特別会計及び港湾整備事業特別会計の資金不足比率について、それぞれ報告するものであります。
 報告第8号から報告第10号までは、平成21年度決算に基づく公営企業会計の資金不足比率について、それぞれ報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、各決算を御認定くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時44分 散 会

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