平成22年9月定例会 第18回岩手県議会定例会 会議録

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〇32番(田村誠君) 民主党・ゆうあいクラブの田村誠でございます。
 質問に先立ち、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび、ゆうあいクラブは、民主党の皆様の御高配により、本定例会より民主党・ゆうあいクラブとして会派を結成。今後、連携を強化しながら県勢発展のため議会活動に取り組むこととなりました。各位の御理解と御指導をよろしくお願い申し上げます。
 一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝申し上げながら、通告に従い、順次質問を行いますので、当局の誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まず初めに、森のトレー問題についてお伺いいたします。
 本事案は、間伐材を利用した木製トレーの製造販売を目的として、国、県合わせて15億円以上の補助金を投入した森のトレー生産協同組合による事業が、操業からわずか1年半で破綻し、後に、補助目的を達していないとの会計検査院の指摘により、県が国庫補助金約12億8、000万円の返還を命じられ、県はこれを、組合からの回収を待たずに、いわば組合に肩がわりして国に返還したというものであります。
 一方、事業破綻の原因はトレー製造機械の性能不良にあるとして、組合が機械製造メーカーを相手取り提起し、県、久慈市が費用負担するなどして支援してきた損害賠償請求訴訟については、去る9月17日に盛岡地方裁判所から、請求棄却、原告側全面敗訴の判決が言い渡され、このほど、原告組合、県、久慈市の3者は、新たな証拠の提出が困難であるとして、控訴断念の方針を表明したところでございます。
 これにより、従来、県が全力を尽くすとしてきた、民事訴訟によって機械製造メーカーからの賠償金を獲得し、補助金回収に充てるといった方策は道を絶たれたわけであり、まずは本訴訟の敗訴並びに控訴断念について知事の御所見をお伺いいたします。
 また、この結果、組合が事実上返済能力に欠けることから、県費補助分も含め約15億円の回収が困難という状況にあると考えられ、これが最終的に県民負担となるのではないかと危惧されるところでございます。このような事態に至ったことについて、県の責任をどのようにお考えか、あわせてお示し願います。
 次に、9月の月例経済報告を見ると、景気は、引き続き持ち直してきており、自律的回復に向けた動きも見られるが、このところ環境の厳しさは増している。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にあるとされ、また、先行きについては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、企業収益の改善が続く中で、景気が自律的な回復へ向かうことが期待されております。一方、海外景気の下振れ懸念や為替レート、株価の変動などにより、景気が下押しされるリスクが強まっている。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要であるとされております。
 最近の内外金利差の縮小から、円・ドルレートが8月には1995年4月以来15年ぶりの円高水準を記録し、この急速な円高基調は、この先行き予測の懸念材料が現実となり、外需の減少、設備投資や雇用の停滞、さらには企業の海外移転等を通じて経済成長の押し下げ要因となり、また、海外経済は減速懸念が強まっております。
 私は、このような状況においては内発型の産業振興をさらに進め、地域からの足腰の強い産業を育てていくことが必要であると考えております。
 知事は、地域主権の考えのもとで、地域からの統一的な目線で、農林水産業、商工業、観光業などあらゆる分野で世界を意識した政策を進め、世界に通用するものを目指し、また、日本の国内に対しても、物産の販売、観光の入り込み等、競争力を増していくことが重要としています。
 また、本県においては、本格的で継続的な人口減少社会に突入し、労働力人口や消費人口の減少により地域経済が縮小する懸念がある中で、自動車関連産業や機械加工など基盤技術関連中小企業などの集積、さらには我が国有数の生産額を誇る農林水産資源など、本県の大きな潜在的可能性を大胆に伸ばすことにより、地域産業の力強い成長の実現を図るため、産業界を初めとした多くの県民と戦略を共有し、協働を強化すること、本県産業の成長の方向性と将来像を県内外に発信し、企業の誘致や人材の交流、定住を実現することなどを目的とし、おおむね10年間先を見据えた、向こう5年間程度の戦略として産業成長戦略を平成18年11月に策定し、政策遂行のため、工程表に基づき、民間活力を最大限に引き出していくための具体的な取り組みを進めております。
 そこでお伺いいたしますが、この産業成長戦略はおおむね5年目を迎え、知事は本県の産業成長をどのように評価しておられるのか。また、設定した成長は果たされているのでしょうか。加えて、課題をどのようにとらえ、今後どのように推進していくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 本県の7月の有効求人倍率は0.44倍まで回復し、事業主都合による離職者数も減少傾向にあるなど、総じて雇用情勢が回復基調にあるものの、長らく続くデフレ経済から脱却し得ない日本の経済が、円高によりさらなる低迷を迎えることが懸念され、予断を許さない状況になっています。
 さきに岩手労働局が発表した新規高卒者の求人状況を見ると、県内求人数は1、108人と前年同月に比べ177人増加しています。県外求人数を含めた全体では3、206人と前年同月に比べ247人、7.2%減少しています。求職者数は全体で3、894人と前年同月に比べ210人減少し、県内求人倍率は0.45倍と前年同月に比べ0.1ポイント上回っておりますが、厳しかった前年にも増して来春卒業の高卒者の就職戦線はより一層厳しくなるものと予測されております。
 一方、一昨年からの長らく続く経済の低迷により離職を余儀なくされた方々が、失業状態の長期化による生活不安が増しているものと考えております。また、有効求人倍率も4広域振興局管内別に見ると地域間格差があり、きめ細かい雇用対策を続けていくことが喫緊の課題となっております。
 そこでお伺いいたしますが、国は、経済を成長させて、例えば介護、医療、保育、環境、観光等潜在的な需要が多い分野において雇用を創出し、また、求人ニーズの高い中小企業などとのマッチングを強化し、雇用をつなぐとしておりますが、県は、どのようにして雇用の場を創出するとともに、地域間格差をどのように解消していくお考えなのか。また、新規学卒者の就職環境をどのように整えていくお考えなのかお伺いいたします。さらに、失業者へのセーフティネットをどのように確保していくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、主要施策の成果に関して幾つかお伺いいたします。
 さきに示された主要施策の成果に関する説明書を見ると、県の具体の取り組みである具体的な推進方策指標から見ると、未確定等の指標を除く284指標中、ものづくりや子育て等182指標が、達成Aまたはおおむね達成Bとなり、その一方で、地球温暖化などの環境や文化芸術の振興など102指標が、ややおくれCまたはおくれDとなっています。特に産業、雇用のおおむね達成以上が90.9%、医療、子育て、福祉のおおむね達成以上が84%となっており、県民意識調査でも重要度が上位にある適切な医療体制については、医療を担う人づくりの面を見ると、達成度はAとなっております。
 政策評価がすべての政策を的確に表現し得るには指標の設定などに困難さがあるものの、各地域での雇用確保に係る格差や医療の地域偏在、診療科偏在により医師不足地域が県内各地に見られる中で、医療への危機感が増すなど、県民意識とかけ離れた評価になってはいないかと危惧しております。政策評価は単一の指標であらわすことは困難とは思われますが、指標の設定など評価のあり方を見直すべきではないかと思います。
 知事は、政策評価は県政を的確にあらわしていると考えておられるのか、また、評価はどのようにあるべきとお考えなのかお伺いいたします。また、知事は1期目の任期をあと7カ月残し、県行政のトップマネジメントの強化を図る観点から副知事2人制を復活させております。1期を振り返り、県民計画においてもその分析がなされておりますが、岩手の強みや弱みをどのようにとらえておられるのか、また、その課題を克服するためにはどのような施策を講じるお考えなのかお伺いいたします。
 次に、水産業の振興についてお伺いいたします。
 成果に関する説明書によれば、地域の漁業を担う経営体の育成分野の指標となっている新たな地域営漁計画策定、実行漁協数は、チリ地震津波の影響により計画策定がおくれた漁協があることから達成度Cとなっており、グループ生産体制の構築支援や、意欲ある担い手への漁業集積に取り組むとされております。この地域営漁計画は、零細経営体のグループ化、いわゆる協業化や効率的な養殖システムの導入及び意欲と能力のある担い手への漁場の集積により、担い手を確保、育成し、養殖漁場の生産性を回復するために策定され、その事業内容は、地域ニーズに基づき零細経営体のグループ化や効率的な養殖システムの導入等を内容とする漁協の地域営漁計画の実行に必要な養殖施設及び養殖共同作業船の整備を行うものであり、零細漁家が多く、漁業就業者の高齢化が進む三陸の水産業の活性化と担い手育成のかぎになるものと認識しております。
 私は、質問の機会があるたびに、浜がよければおかがいいと申し上げ、県民所得の向上の原動力として水産業の振興を一貫して主張してまいりました。県は、この地域営漁計画の策定支援をどのように進め、また、その実行をどのように支援していかれるのか、まずお伺いいたします。
 次に、漁業担い手育成ビジョンについてお伺いいたします。
 本県の漁業は、女性や若い漁業者が漁協経営に直接参画しにくく、また、養殖経営においては、希望どおりの経営規模拡大がしにくい状況にあり、将来の漁業経営の姿が見えず、担い手が育たず、地域での付加価値の向上がないまま多くの生産物が県外に流出し、若者の漁業離れが進んでいる状況にあります。これらを改善するため、強い担い手の育成や若者の就業意欲や機会の向上、誇れる漁業の積極的PRを柱とする漁業担い手育成ビジョンが策定されています。そのビジョンの目標は、沿岸漁家1経営体当たりの生産額を平成22年度において660万円としているところであります。担い手育成ビジョンを掲げる施策の達成度はどのようになっているのでしょうか、また、課題があるとすれば、どのように解決を図りながら、今後、漁業担い手を育成していくお考えなのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、秋サケの増殖事業についてお伺いいたします。
 本県の秋サケは、漁業生産額の約4分の1を占める重要な魚種であり、漁協経営の基盤となるとともに、水産加工業など関連産業を含め地域経済を支えるなくてはならない魚種であります。ことしの海況は、海水温の上昇によりサンマの水揚げが減るなど、冷たい海水を好む魚にとっては来遊が難しい状況になっております。
 そこで、まずお伺いいたしますが、ことしのこれまでの秋サケの漁獲状況はどのようになっているのでしょうか。また、今後の見通しはどうなっているかお示し願います。
 秋サケは100年を越す増殖事業の歴史があり、先人たちのたゆまぬ努力によって資源が造成されたものであり、特に昭和30年代からは官民一体となったふ化放流事業の実施により、平成8年度には7万トンを超える漁獲量を誇り、回帰率も5%を超えるなど、その成果は目覚しいものがありましたし、漁獲金額も200億円を超え、地域経済を牽引してきたところであります。しかしながら、近年の秋サケは、漁獲量、漁獲金額、回帰率ともに低位で推移しており、漁協経営の悪化やふ化放流事業の弱体化などを招き、ひいては地域経済の低迷にも結びついているものと思います。県北・沿岸振興においては、秋サケのふ化放流事業の安定と回帰率を向上させることが重要と考えますが、県の対応策についてお示し願います。
 次に、所得補償制度についてお伺いいたします。
 国の平成23年度予算の概算要求では、農業に続いて漁業についても所得補償制度が導入されることが報道されております。漁業は、資源の動向、海況の変化により水揚げ量が変動するため、経営が不安定な特徴があり、この制度の導入によって漁家経営が安定し、漁業就労者の確保が図られることに大きく期待するものである一方で、この制度は収入安定対策として漁業共済制度を活用するとのことでありますが、漁業共済に加入していない漁家もあり、その恩恵を多くの漁業者が享受することができるのか、不安なところもあります。
 そこでお伺いいたしますが、国の所得補償制度の内容と、この制度に対する県の取り組み姿勢をお示し願います。
 次に、企業誘致と港湾振興に関連してお伺いいたします。
 沿岸の活性化を図るためには、水産業の発展とともに製造業の振興を図りながら、より強固な産業構造を確立していくことが必要と考えております。そのことによって、内陸部との所得の格差が縮小されていくものと考えております。内陸部においては、輸出産業であることに不安があるものの、自動車産業や半導体産業、さらには医薬品産業など製造業が集積し、バランスのとれた産業構造になっている。この波及効果を沿岸部に展開する一方で、沿岸部にも企業誘致をより積極的に進めていくことが必要であると考えております。県には重要港湾が整備されておりますが、未利用の工業用地が多くあり、整備された工業用地をより活用しやすくするような工夫をしていくことが必要なのではないでしょうか。
 そこでお伺いしますが、沿岸部への企業誘致の推進はどのようになっているのでしょうか。また、港湾の工業用地の利活用推進方策についてお伺いいたします。
 次に、港湾整備の推進についてお伺いいたします。
 今後の港湾整備に当たっては、海上交通と陸上交通の結節点である港湾の特性を生かして、効率的かつ高度な物流機能を提供できるように、流通、加工、展示などの機能の導入を促進する環境の整備や総合的な物流ターミナル等の整備を行うとともに、港湾関連の行政機関や企業が円滑に業務を行えるように支援するとともに、情報化を積極的に導入した流通関連産業、循環型社会形成のためのリサイクル関連産業、地域の資源を生かした観光産業など多様な産業が展開する環境を整備し、さらには、臨海部は内陸部よりも風が安定していることなど、大型資材の搬入や輸送が比較的容易であることなどの特徴を生かした風力発電や海洋開発の支援基地など、港湾に寄せられる新たな要請に対しても適切に対応することが求められております。このような多機能で、かつ流通コスト面においても有利な港湾に見直しし、今後も整備を推進していくことが、海に開かれた三陸の振興にもつながるものと考えております。
 県がさきに策定したいわて三陸海洋産業振興指針において、港湾利用による貨物のコンテナ化に対応し、岸壁補強など港湾施設の整備を推進することにしておりますが、物流の拠点としての重要港湾機能の強化につながるコンテナヤードの整備をどのように進めるとともに、多機能が求められる港湾機能の強化をどのように進めていくお考えなのか。あわせて、港湾関連道路の整備促進へのお考えについてもお伺いいたします。
 次に、医療問題についてお伺いいたします。
 県立病院の経営改革の一環として行われた地域診療センターの無床化問題から、県内保健医療圏単位でさまざまな形で医療の確保について議論が進められております。私は、2009年12月議会でも提案しましたが、地域医療の確保については、地域の声を聞きながら進めることが重要であり、この議論を通じて明らかになったことは、医師が偏在し、勤務医が疲弊する中では、医療機関の役割分担と連携を明らかにして、保健、医療、福祉、介護などの堅固なネットワークを早急に構築していかなければならないということであります。もしこのまま放置すれば、医療は崩壊どころか壊滅状態にいくのではないかと考えております。
 私は、かねてから医療機関の連携として、プライマリーケアを担うかかりつけ医あるいは家庭医との連携による医療の確保を提唱してまいりました。県においても、保健医療計画において、かかりつけ医については、県民が身近な地域で日常的な医療を受け、あるいは健康の相談などができる医師として、わかりやすくその普及定着を図り、県民に対する意識啓発に努めるとともに、プライマリーケアの充実を図るため、生涯研修制度の確立やプライマリーケアを担う人材の育成などにより、身近な地域におけるかかりつけ医などの機能の向上に努め、健康相談から疾病治療のかかりつけ医などのプライマリーケア機能の充実を促進し、医療連携を進めながら外来医療の充実を図るとしています。
 そこでお伺いいたしますが、かかりつけ医に係る施策は着実に行われているのでしょうか。また、その成果をどのように評価しておられるのかお伺いいたします。また、尾道方式などについても御提案申し上げておりましたが、本県における保健、医療、福祉のネットワークは構築されてきているのか。地域連携クリティカルパスの活用、普及状況はどのようになっているのか、現状に対する認識と今後の施策について具体的にお示し願います。
 次に、救急医療体制についてお伺いいたします。
 県内の1次から3次までの救急医療体制が整備されてからほぼ30年を経過しておりますが、現在、さまざまな要因から勤務医師が減少し、特にも救急医療に関する医師が不足し、一刻を争う医療だけに、地域住民の不安が増大しております。県の3次救急体制は、岩手医科大学附属病院に高度救命救急センター、県立久慈、大船渡病院にも救命救急センターを設置し、体制を構築しているところでありますが、沿岸地域の医師不足のために久慈病院の麻酔科医師や産婦人科医師が不足し、大船渡病院についても3次救急を担うには医師の体制が磐石とは言えず、現場医師の疲弊感がますます高じてきているのではないかと危惧しております。
 県は、開設してから30年を経過する岩手県高度救命救急センターを初め三つの救命救急センターの充実について、どのように対応していくお考えなのかお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 森のトレー訴訟の敗訴及び控訴断念への所見についてでありますが、森のトレー問題につきましては、事業中断の原因がトレー生産設備の不具合にあるとして、トレー組合が平成16年3月、トリニティ工業に対し損害賠償を求めて提訴し、県は、県民負担を最小限にするため、本事業に係る補助金返還金をこの訴訟で回収できるよう、久慈市とともに訴訟の支援に当たってまいりました。
 今般、盛岡地方裁判所の判決でトレー組合の主張が退けられ、請求棄却という厳しい判断が示されたことは大変残念な結果と受けとめております。
 県は、トレー組合、久慈市とともに判決内容を精査し、関係弁護士など司法の専門家の意見も伺いながら対応について協議したところでありますが、今回の判決では、トレー組合が主張してきた被告業者の債務の存在が否定され、原告側はこれを覆すだけの新たな証拠の提出が困難で、控訴審での勝算が見込めないことから、残念ながら控訴を断念せざるを得なかったものであります。
 次に、県の責任についてでありますが、トレー組合の事業執行に対する指導監督が十分でなく、事業の目的を達成することができなかったことについて、当時の県の対応に問題があったことは事実であると考えています。このため、関係職員10名に対して減給等の処分が行われ、前知事を初めとする三役についても給与の減額が行われています。今後、県としては、事業導入にかかわる事前評価の徹底など、これまで講じてきた再発防止策の再徹底に加え、今回の判決を踏まえ、機械施設等の導入の際の契約関係書類の確認、指導や、市町村における事業計画策定段階での要件審査の徹底を図るなど追加防止策を講じ、二度とこのようなことが起こらないよう、万全を期してまいりたいと考えております。
 次に、産業成長戦略の評価及び成果についてでありますが、平成18年11月に策定した産業成長戦略に盛り込んだ施策については、本県を取り巻く社会経済情勢の変化を踏まえつつ、平成20年1月に策定したいわて希望創造プラン、さらに昨年度策定したいわて県民計画のアクションプランに引き継ぎながら、本県の産業振興に向けた取り組みを推進してまいりました。これに基づく産業施策の展開によって、ものづくり産業では、地場企業の技術力向上や取引拡大、研究開発、ものづくり人材の育成等の取り組みにより、企業の開発部門の誘致、すぐれた高度技術人材の輩出、開発提案型企業の育成などさまざまな波及効果が生まれており、自動車関連産業と半導体関連産業を柱とする連峰型の産業集積の形成につながっているところであります。
 また、農林水産業から食料品製造業、外食、小売、観光産業までを総合的な食産業ととらえ、6次産業化による農林水産物の高付加価値化や、消費者、実儒者ニーズに対応した販路の拡大などを進めることにより、競争力の強化が図られているものと認識しております。
 この間の本県経済の推移を見ると、産業成長戦略において、成長率の目標を実質経済成長率1.0%から1.8%としていたものの、その後の景気後退や原油、原材料価格の高騰、世界的な金融危機に端を発した経済情勢の悪化やデフレなどの影響により、成長率は低位ないしはマイナスに落ち込むなど、厳しい状況となっているところであります。
 次に、産業成長戦略の課題と今後の推進についてでありますが、現在の厳しい経済状況下にありまして、国内消費の低迷やデフレの長期化による各産業の収益力の低下、急速な円高に伴う企業の海外移転、雇用環境の回復のおくれ等の課題があると考えています。しかしながら、同戦略が掲げた産業ごとの目指す姿や、産業人材の育成や産学官金の連携などを重視する政策の方向性は、現在も有効なものと考えております。
 今後も、いわて県民計画に基づいて、国際競争力の高いものづくり産業の集積促進や、食産業や観光産業等の地域資源型産業の振興に引き続き取り組みますとともに、今後、成長が期待される医療機器関連産業など新たな産業の創出、中国を初めとした東アジアなど海外市場への展開などにも重点的に取り組んで、本県において持続可能な経済成長を目指してまいります。
 次に、政策評価のあり方についてでありますが、本県の政策評価システムは、前年度の進捗状況を把握する実績測定評価と、直近の取り組み状況までを対象とした政策形成支援評価で構成されており、主要施策の成果に関する説明書は、実績測定評価の結果を示したものであります。本説明書では、評価結果と県民の実感などに違いがあると考えられるものについては、外部要因等の特記事項としてその要因等を記載するなど、より的確に進捗状況を把握するよう努めたところであります。
 一方で、実績測定評価だけでは県の取り組み状況を的確にあらわし得ない場合もありますことから、県民意識調査の結果や社会経済情勢の変化などを踏まえた政策形成支援評価を行っているところであります。
 政策評価は、政策体系の分析や検証を通じ、より戦略的に政策形成を進めるための支援機能を発揮すべきものであり、今後とも、県民の実感に沿うよう指標の見直しを行いながら、効果的かつ効率的な行政の推進の基盤として政策評価を活用してまいります。
 次に、本県の強み、弱みと課題の克服についてでありますが、いわて県民計画では、本県の強みや可能性として、自動車関連産業や半導体関連産業などものづくり産業の集積が進んでいることや、品質の高い農林水産資源に恵まれていること、本県の有する豊かな自然環境や歴史文化、結いの精神に培われた地域社会などが多く残されていることなどが挙げられています。一方、弱みや課題としては、急速な経済のグローバル化によって、輸出関連企業の生産縮小やそれに伴う雇用環境の悪化が進んでいること、地域における医師不足が一層深刻化していることや、人口減少、高齢化の進行による地域の集落機能の低下などが挙げられています。
 いわて県民計画では、このように分析した本県の強みを最大限に生かし、弱みを克服する観点から、産業・雇用、医療・子育て・福祉など、岩手の未来をつくる七つの政策におけるさまざまな施策に反映させているところであります。
 本県の課題の克服に向けて、内需型産業である医療機器関連産業などの新たな産業創出や若年者の就業支援など雇用の場の確保、医師確保や子育て環境の整備、医療・介護・福祉サービスの提供によるセーフティネットの充実、体験居住機会の提供による県内への定住、交流の促進に注力するなど、アクションプランに掲げた施策を着実に推進してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、雇用の場の創出についてでありますが、平成20年度から、県は市町村とともに、雇用対策基金を活用した事業により雇用の創出に取り組んでまいりましたが、今年度は、特に、今後、成長が見込まれ、次の雇用につながることが期待される介護、医療、農林、環境・エネルギーなどの分野に重点的に基金を投入しているところであります。
 例えば、介護分野では、施設で働きながら介護資格の習得を目指す方を支援するほか、農林水産分野では、新規就農者を育成するため、農家等で実践的な技術、経営ノウハウの研修を実施するなど、人材育成を含めた雇用の創出に取り組んでおります。このような取り組みなどにより、8月の有効求人倍率は、県全体で0.46倍まで回復し雇用環境の改善が進んでおりますが、圏域ごとに見ますと、盛岡圏域で0.51倍、県南圏域で0.43倍、沿岸圏域で0.51倍、県北圏域で0.42倍となっており、圏域間にばらつきも見られるところであります。
 雇用情勢はなお予断を許さない状況にあることから、引き続き、基金を活用した短期的な雇用と、産業振興施策の展開による中長期的な雇用の創出を強力に進めてまいります。
 また、議員御指摘の雇用の改善がおくれている圏域につきましては、当面、該当する市町村に対しまして重点的に基金を傾斜配分することにより、その底上げを図ってまいります。
 次に、新規学卒者の就職環境についてでありますが、県では、今年度も厳しい状況が続くとの認識のもと、高校の就職支援相談補助員を4月から4名増員し、高校ごとに就職セミナーを実施して生徒の意識醸成を図るなど、早期に進路指導の強化に取り組んできたところであります。また、6月には、関係機関と連携し、経済団体への要請に加え、今年度は個別の企業訪問を行い、採用枠の確保と求人票の早期提出を要請するなど、就職先の開拓に努めてまいりました。その結果、県内求人については、8月末現在で、前年同月に比べ194人、17.0%の増加となっております。しかし、円高など景気の先行きが不透明となってきておりまして、今後も予断を許さない状況にあると認識しております。
 こうした中、先ごろ、国では、追加経済対策に基づく新卒者雇用に対する緊急対策をまとめ、岩手労働局でも、岩手県のほか学校関係者、経営者団体、労働者団体等を構成員とする岩手新卒者就職応援本部を設置し、新卒者に対しましてきめ細かな就職支援体制を整えていくこととしており、県といたしましても、関係機関と連携し、新規学卒者の就職支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、セーフティネットの確保についてでありますが、県では、今般の雇用情勢の悪化等に伴い、失業された方々に対しまして、ハローワークと連携して、盛岡市など5カ所でワンストップ・サービス・デイの開催、生活福祉資金貸付、住宅手当、訓練・生活支援給付などの第2のセーフティネットに係る情報提供、いわて求職者総合支援センターなどでの相談対応を行ってきたところであります。
 これまでのワンストップ・サービス・デイなどの相談内容を見ますと、生活資金、多重債務、心の健康など、一人で複数の問題を抱え悩んでいる状況もうかがわれますことから、今後におきまして、引き続き、ワンストップ・サービス・デイによる相談を継続しながら、あわせまして、失業者個々の状況に応じた支援を強化していく必要があると考えております。このため、福祉と雇用に係る機関相互の連携をより強化し、それぞれの失業者が抱える課題に一貫して対応し、再就職へ導いていくための仕組みづくりなど、より細かい支援体制の整備に努めていきたいと考えております。
 次に、沿岸地域への企業誘致についてでありますが、宮古・下閉伊、釜石・大槌、気仙などの地域においては、企業立地促進法に基づき、県や地元が一体となって基本計画を策定し、それぞれ重点業種を指定しながら企業誘致に取り組んでおります。このうち、気仙地域は、食品産業、木材産業及び港湾関連産業を重点業種とし、高校出前講座などの人材育成事業や首都圏における企業誘致フェアへの出展などを行っているところです。このような取り組みにより、平成20年度、21年度の不況期にありましても沿岸地域は4件の立地があり、この時期の県全体の企業誘致実績26件に対しまして、およそ2割を占めております。現在、沿岸地域は、水産食品製造、造船、コネクタ製造、空気圧機器製造など、各地域の中心となる企業の立地や関連企業の集積が着実に進んでいると認識しております。
 県といたしましては、今年度、新たに企業立地促進奨励事業費補助金を、県北・沿岸地域にあっては従前の20%から30%に引き上げたところであり、これまでの県版特区制度の活用とあわせて、市町村と連携しながら、引き続き強力に企業誘致を進めていく考えであります。
   〔農林水産部長小田島智弥君登壇〕
〇農林水産部長(小田島智弥君) 水産業の振興についてのお尋ねであります。
 まず、地域営漁計画の策定及び実行支援についてでありますが、養殖業の盛んな野田村以南の18漁協で策定された地域営漁計画については、その実績と課題を踏まえ、現在、計画の更新を行っているところであり、漁家経営の向上に向け、意欲ある経営体の規模拡大や漁業者による直接販売などの充実を指導しております。また、今年度から新たに久慈市以北の漁協においても、アワビ、ウニなどの磯根資源に着目した県北型地域営漁計画の策定を支援しているところであります。
 地域営漁計画の実施に当たっては、養殖施設の整備などを支援してきたところであり、今後とも市町村や漁協と連携を図り、その実行支援の強化に努めてまいります。
 次に、漁業担い手育成ビジョンの達成度についてでありますが、中核的な養殖漁業経営体の育成やエゾイシカゲガイなどの新規養殖種の導入などにより、1経営体当たりの生産額は、平成15年の378万円に対し、平成20年は482万円まで上昇しているところであります。その課題としては、本県の養殖経営体は他県と比較して経営規模が小さく収入が少ないこと、また、新規就業者が少ないことなどが挙げられます。
 今後は、養殖漁業の機械化及び協業化等による規模拡大や新規就業者を受け入れる漁業就業者フェアの開催などの支援を積極的に行い、担い手の育成に努めてまいります。
 次に、秋サケの増殖事業についてであります。
 まず、漁獲状況についてでありますが、9月29日現在、県内魚市場における水揚げ量は160トン、金額は5、800万円で、いずれも昨年同期の約5割にとどまっております。
 今後の見通しについてでありますが、7月28日に県水産技術センターから発表された秋サケ回帰予報によりますと、今年度は昨年度並みの2万7、000トンと予測されており、本県沖の表面水温が平年より高いことから、回帰がおくれている状況にあると考えております。海面の水温状況が漁模様に影響することから、県といたしましては、最新の海況情報を収集し、関係漁業者に迅速に提供してまいります。
 次に、秋サケのふ化放流事業の安定対策についてでありますが、秋サケ資源は、これまでの官民一体となった取り組みにより造成され、本県沿岸漁業の基幹魚種として沿岸地域経済の活性化に寄与しており、今後とも、ふ化放流事業の安定を図るためふ化場間の連携を一層促進するほか、適正な稚魚放流数の確保を支援してまいります。
 一方、秋サケの回帰率については近年2%前後と低迷しており、回帰率の向上対策が課題となっております。県といたしましては、稚魚の海水適応を早める塩えさの投与や、光により生理活性を促進する飼育技術の開発、ふ化場職員を対象とした技術研修の開催、さらには、老朽化したふ化場の機器整備への支援などにより、サケの回帰率向上に努めてまいります。
 次に、漁業所得補償制度についてでありますが、国は、平成23年度から資源管理計画を策定し、魚類の資源管理に取り組む漁業者や漁場改善計画を策定し、養殖漁場の環境改善に取り組む漁業者に対し、漁業共済及び積立プラスへの掛金助成の拡大や、加入要件の緩和等により、漁業収入の安定を図る仕組みを導入することとしております。また、これにあわせて、燃油価格の高騰分に対して経費を補てんする制度を組み合わせることにより、総合的な所得補償制度を構築するものであります。県では、これらの仕組みを漁業者に理解していただくため、業界団体と連携して説明会を開催するほか、漁業者への計画作成を指導するとともに、計画の履行を確認する協議会の立ち上げを支援することにより、制度への参加を積極的に促進し、漁業経営の安定を図ってまいります。
   〔県土整備部長平井節生君登壇〕
〇県土整備部長(平井節生君) 港湾の工業用地の利活用推進方策についてでございますが、昨今の利活用の状況といたしまして、平成17年度に造船会社が久慈港に、ことし8月には水産加工会社が大船渡港で操業を開始したところでございますが、港湾の工業用地への企業誘致は、港湾利用の拡大や地域の雇用拡大など、沿岸地域の振興にとって重要な課題と認識してございます。このため、ことし1月には、企業立地推進課とポートセールス連絡会議を設置して連携を強化したところであり、地元関係市と連携を図りながら、港湾貨物の拡大とともに工業用地への企業誘致に取り組んでおります。
 また、未利用の工業用地につきましては、企業の多様なニーズに応じた利活用方策などについても検討を進めながら、売却に向けた誘致活動を柔軟に展開していく考えでございます。
 次に、港湾整備の推進についてでございますが、コンテナヤードの整備につきましては、これまでフェンスや監視施設等の保安対策施設、コンテナ荷役用クレーンに対応するための岸壁補強、冷凍コンテナ用の電源設備等を整備してきたところでございます。加えて、コンテナ貨物の取扱量拡大のため、定期コンテナ船岸壁使用料の減免や、利用実績に応じたコンテナヤード専用の野積み場使用料を設定したところでございます。
 今後とも、貨物の状況や利用企業の要望を踏まえながら、コンテナ貨物の利便性向上などハード、ソフト両面で質の高いサービスを提供し、物流拠点としての港湾機能の強化に取り組んでいく考えでございます。
 次に、港湾関連道路の整備促進についてでございますが、県内企業の物流を支援するため、東北横断自動車道釜石秋田線や国道397号など、県内陸部と港湾を結ぶ道路の整備を促進するほか、大船渡港永浜・山口地区で進めている臨港道路の整備につきましても、平成24年度の完成に向けて取り組んでいるところでございます。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、かかりつけ医に係る施策の推進についてでありますが、平成22年の県民生活基本調査におけるかかりつけ医の保有状況は、平成20年度調査から約4ポイント増加の63.2%となっており、かかりつけ医を有する県民は着実に増加している一方で、平成20年度に同じく実施しました医療と健康に関する県民意識調査においては、大きな病院と診療所の役割分担について理解している人の割合が47.5%、病気やけがの際に受診する医療機関について、大病院を志向する人の割合が53.4%という結果も出ており、県民のかかりつけ医に関する理解度はいまだ十分ではないものと認識しているところでございます。
 このような状況を踏まえ、地域医療を支える県民運動の取り組みとして、医療機関の役割分担の理解やかかりつけ医を持つことの大切さ、適切な医療機関へのかかり方などについてテレビ番組の放映や保健所職員による出前講座を実施し、リーフレットの全戸配布などを行い、県民への意識啓発を行ってきたところであります。
 また、医療従事者に対しましては、プライマリーケアに係る能力向上の観点から、小児救急医療に関する研修を実施してきたところでありますが、本年度新たに外傷初期診療に係る研修を実施したほか、地域病院において患者を総合的に診療し、必要に応じて専門医につなぐことができる、いわゆる総合医の育成に向けた取り組みも進めてきているところでございます。
 こうした取り組みの成果につきましては、今年度後半に実施を予定しております県民意識調査により検証することとしておりますが、引き続き、県民への意識啓発とプライマリーケアを担う人材の育成に取り組んでまいります。
 次に、保健、医療、福祉のネットワークの構築についてでありますが、議員の御提案につきましては、昨年12月の県議会におきまして、県立病院が各圏域の中核的な医療機能を担っている本県におきましては、いわゆる尾道方式を県立病院がバックアップするような総合的なネットワークを形成することも一つの有効な方策として検討すべき課題である旨、御答弁申し上げたところでございます。
 こうした経緯を踏まえ、県におきましては、将来的には他圏域にも波及が想定されるモデル的な取り組みとして、現在、釜石保健医療圏におきまして、県立病院と開業医、介護福祉関係施設等が連携し、退院後の医療や介護サービスの確保に向けた調整等を行う、仮称でございますが、在宅医療推進センターの実現に向けまして検討を進めているところでございます。
 また、各圏域におきましては、平成20年度に策定いたしました圏域連携推進プランをもとに、医療、介護、福祉の円滑な連携を促進する方策の一つとして、地域連携クリティカルパスの導入等の取り組みを進めてきたところでございます。その結果、平成19年に1圏域で開始された地域連携パスは、平成22年度には、特定の疾病においては6圏域で導入されるなど着実に普及されつつあると認識しており、こうした取り組みを一層進めることで、各圏域の状況に応じた保健、医療、介護の円滑な連携体制の構築に向けたネットワーク化を進めてまいりたいと考えております。
 次に、救急医療体制についてでありますが、現在、医師の地域偏在や専門医の不足など地域医療を取り巻く環境は深刻さを増し、具体に、各救命救急センターに救急車で搬送される患者数は年間6、000人近くに上るほか、同センターを設置しております県立病院における夜間休日の救急患者の約8割が入院を要しない軽症者となっており、本来、重傷者に対応すべき救命救急センターの当直勤務医の過重が業務負担にもつながっているところであります。
 議員御指摘のとおり、医師不足の深刻化により、救命救急センターにおける医師体制が厳しい状況にある中で、県といたしましては、医師確保に向けたさまざまな取り組みや救命救急体制の充実に資する各種研修を進めていくとともに、救命救急センターの運営や設備等の整備に関する財政支援のさらなる拡充について、国に働きかけていくこととしております。
 また、岩手医大附属病院を基地病院として、平成24年度に開始を予定しておりますドクターヘリの運航を見据え、大船渡病院など救命救急センターへのヘリポート整備を行い、広域救急搬送機能の高度化を図ることにより、各救命救急センター間の連携を推進しながら、県全体の3次救急医療体制の充実に取り組んでいくとともに、県民に対しましては、適切な受診行動の必要性について、情報提供や意識啓発を進めてまいりたいと考えております。
〇32番(田村誠君) ただいまは御答弁を賜りまして大変ありがとうございます。
 まず、森のトレー問題につきましては、後日、我が会派の同僚議員が詳しく聞くということになっておりますので、そちらのほうにお願いをさせていただくことにいたしますが、いずれ、県民負担を極力軽減する努力をされるよう、私のほうからもお願いをしておきたいというふうに思います。
 それでは、以下、数点について再質問をさせていただきますが、まず、県北・沿岸部の企業誘致についてお伺いをいたしました。それなりの成果を上げているということでございますので、ぜひ、今後ともその企業誘致に対して特段の御努力をお願いいたしますと同時に、私は、企業誘致と相まって沿岸部の産業振興を図っていくためには、企業誘致やあるいは地元企業の支援が必要であると考えております。それぞれの企業で努力をされているわけでありますが、特にも、地域的な話になるのかもしれませんけれども、合板であるとかセメント業界では公共事業の減少の影響をもろに受けまして、セメントの販売実績、これは全体でございますが、1990年代の8、600万トンから2009年度には半減し、4、300万トンまで落ち込んでおり、さらに本年度は4、000万トンを切るという予測がございます。そこで、県境産廃の処理や県内の産業廃棄物の処理などを手がけながら、人員削減など合理化を含めて取り組み、何とか頑張っているという企業もあるわけでございます。経営状況は大変厳しい状況にあると聞いております。また、合板業界も、同じく生産調整や間伐材の利用などにより、新たな製品づくりなどそれぞれ企業努力はしているのでありますけれども、危機的状態に置かれておると見られてございます。
 かつて釜石に見られたように、その地域の基幹産業の衰退は、地域経済や雇用、活力に多大の影響を及ぼしておりまして、これまで経済情勢が厳しい中にあっても、これらの企業は地場の雇用や産業振興に大きく貢献してきているものと思っておりますし、内発型の産業を育成していくためには地場産業や誘致企業の支援が不可欠であり、地域の核となる誘致企業などの支援策を、今後さらに積極的に、問題を把握しながら取り組むべき必要があると思いますが、どのように考えているのかお伺いいたします。
 それから、二つ目でございますけれども、港湾関連道路の整備として先ほど御答弁をいただきましたけれども、それなりに成果を上げておりますし、順調に推移しているとは思っているわけでありますが、特に国道397号、いわゆる種山道路なわけですが、この道路は津付ダムの整備にあわせて整備が進められてきました。この道路改良は、当初の計画ではもっと上のほうを通るという計画になっておりますが、その計画が、当初計画を見直し、事業規模を縮小して進められていると聞いているわけでございます。特にも、国際港湾や港湾の多目的利用などを目指しております大船渡港湾の利活用に支障が出るのではないかと私は思うのでありますし、地域でもそのような形でかなり強烈に要望を展開しておりますが、今後、国道397号をどのような視点で整備していくお考えなのか、改めてお伺いいたします。
 それから、先ほど、地域連携クリティカルパスについてはそれなりの成果を上げているとお聞きいたしましたので、まず、一応安心しているわけでありますが、いずれ、この普及を一日も早くやることによりまして、地域で安心して、医療、福祉が連携されたものが、住みなれた地域で暮らせるということに対してもっともっと積極的に進めていただきたいという、これは、もし御所見があればお聞かせいただきたい。
 以上でございます。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 地域の核となる誘致企業などに対する支援のお尋ねでございます。私ども、沿岸地域あるいは内陸を問わず、地域経済の中心となっております誘致企業につきましては、できるだけ頻繁に事業所を訪問するように努めておりまして、本庁、広域振興局、市町村が相互に連携しながら、そのフォローアップに努めております。私どもは、現在、いずれの企業も特段の支障なくおおむね順調に操業していると認識しておりますし、引き続き頻繁にフォローアップを行いまして、情報の収集を行いながら、そして、それぞれの企業の御要望もお聞きすることにしております。場合によりましては、新事業の展開、あるいは業容の拡大などにつきまして、県でもいろんな優遇制度がございますので、そうしたものを活用いたしまして、企業の要望をできるだけ個別にお聞きしまして、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(平井節生君) 一般国道397号の整備についてでございますが、本路線は、内陸部の工業集積地と大船渡港を結び、物流を担う幹線道路であることから、現在、住田町高屋敷工区、津付道路、子飼沢工区及び奥州市分限城赤金工区の4地区において事業を進めているところでございます。このうち、津付道路に接続する子飼沢工区につきましては、費用対効果の面から現道を生かした計画とし、カーブの改善や拡幅、老朽橋のかけかえを行い、40フィートコンテナ車両などの安全な通行を確保しようとしているものでございます。本工区のさらなる抜本的整備は、今後の交通量の推移を勘案しながらコスト縮減方策を探るなど、事業着手の可能性を検討していく考えでございます。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 地域連携クリティカルパスの現在の導入状況を具体的に申し上げますと、本年度におきましては、脳卒中では6圏域、大腿骨頸部骨折では4圏域において導入されているほか、がんや急性心筋梗塞につきましても、一部の圏域で地域連携パスの導入が進められている状況にあります。極めて厳しい医療環境の中ではありますが、この地域連携パスの普及充実を進めていく必要があるものと考えており、そのためには、まず関係者の十分な理解を得ることが重要でありますことから、医療関係者、介護関係者等を構成員といたしております圏域連携会議の場などにおきまして、各圏域の状況に応じた地域連携パスの導入について、議論をさらに進めていただいているところでございます。
 また、患者であります地域住民の方々の理解を得ることも重要でありますので、昨年度、各圏域で開催した地域医療に関するシンポジウムや保健所における出前講座等の場を活用し、当該プランを周知する中で、この地域連携パスの普及や啓発も進めているところであります。引き続き、これらの取り組みを推進することによりまして、地域連携パスの体制整備、普及充実に努めてまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、佐々木大和君。
   〔46番佐々木大和君登壇〕(拍手)

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