平成22年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成22年3月17日(水)
1開会  午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    浅 田 和 夫
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査    石木田 浩 美
  主任主査    岩 渕 伸 也
  主任主査    鈴 木 文 彦
  主任主査    藤 原 由喜江
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    大 森 健 一
1説明員
  農林水産部長   瀬 川   純
  農林水産部副部長
  兼農林水産
  企画室長    小田島 智 弥
  理事心得    宮   一 夫
  農政担当技監   佐々木 和 博
  農村整備担当技監兼
  農村計画課
  総括課長    須 藤 勝 夫
  林務担当技監   西 村 和 明
  水産担当技監兼
  漁港漁村課
  総括課長    佐々木   敦
  競馬改革推進室長 松 岡   博
  農林水産企画室
  企画課長    高 橋   渉
  農林水産企画室
  管理課長    小 友 善 衛
  団体指導課
  総括課長    門 口 正 雄
  指導検査課長   大 澤 宣 典
  流通課総括課長  浅 沼 康 揮
  農業振興課
  総括課長    杉 原 永 康
  担い手対策課長  井 上 敬 二
  農業普及技術課
  総括課長    高 橋 伸 夫
  農村建設課
  総括課長    沼 崎 光 宏
  農産園芸課
  総括課長    川 嶋 明 澄
  水田農業課長   工 藤 昌 男
  畜産課総括課長  徳 山 順 一
  振興・衛生課長  千 葉 健 市
  林業振興課
  総括課長    堀 江   淳
  森林整備課
  総括課長    竹 田 光 一
  整備課長    阿 部 義 樹
  森林保全課
  総括課長    佐 賀 耕太郎
  水産振興課
  総括課長    寺 島 久 明
  漁業調整課長   五日市 周 三
  競馬改革推進監  浅 沼   浩
  競馬改革推進室
  特命参事    大 友 宏 司

  医療局長    田 村 均 次
  医療局次長    細 川 孝 夫

  予算調製課
  総括課長    八 矢   拓
〇中平均委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第24号から議案第28号まで、議案第30号から議案第34号まで、議案第68号及び議案第69号の以上32件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、本日の農林水産部の審査につきましては、3月8日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では、農業関係分野について、第2部では、林業関係分野及び水産業関係分野について、それぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇瀬川農林水産部長 予算関係議案の説明に入ります前に、このたびの津波災害により多大な被害を受けられた漁業者の皆様に対しまして、改めて心からお見舞い申し上げますとともに、委員の皆様方にも迅速な御対応をいただいたことに対しまして感謝を申し上げす。県としては、一日も早い復旧、復興に向け、全力で取り組んでまいります。
 それでは、農林水産部関係の平成22年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 初めに、平成22年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 まず、農林水産業を取り巻く情勢でございますが、世界的な人口増加や新興国の経済発展などにより、世界の食料需給は中長期的に逼迫基調で推移することが見込まれており、国内の食料供給力の強化が重要な課題とされております。また、地球温暖化の防止など、世界レベルでの環境問題への関心が高まる中、環境に配慮した生産活動や、低炭素社会の実現に貢献する森林整備などへの対応も求められております。
 現在の農林水産業を取り巻く経営環境は、生産物価格の低下などにより厳しさを増すとともに、従事者の減少や高齢化、農地等の荒廃などと相まって、生産と生活の基盤である農山漁村の活力低下についても懸念されているところであります。
 一方、農林水産業は、長引く景気低迷の中で、内需を主導する産業として、また、雇用の受け皿となる産業として県民の期待が高まってきており、県といたしましては、こうした状況に的確に対応していくため、新たな戸別所得補償制度の導入など国の政策転換等も踏まえながら、いわて県民計画に掲げる施策に重点的に取り組んでまいります。
 この計画に掲げる重点施策を申し上げますと、一つ目は、農林水産業の経営の高度化、生産の効率化などを重点的に支援するとともに、多様な担い手の参入や農地等の経営資源の有効活用を促し、農林水産業を担う経営体の育成を進めてまいります。
 二つ目は、全国トップレベルの安全・安心産地の形成を促進するとともに、生産性を高めるための高度な技術の開発などにより、競争力の高い産地づくりを推進してまいります。
 三つ目は、6次産業化や農商工連携、ブランド化の推進により農林水産物の高付加価値化を図るとともに、多様な販売チャネルの確立や情報発信の強化により販路の拡大を図ってまいります。
 さらには、農山漁村ビジネスの振興などによるいわての魅力あふれる農山漁村の確立や、地域協働による環境保全対策の促進、豊かな森林資源を生かした新たな環境ビジネスの創出などにも積極的に取り組んでまいります。
 以上の施策に加え、喫緊の課題である雇用対策につきましても、農林水産業及び関連産業への就業促進アクションプランに基づき、重点的に取り組んでまいります。
 それでは、予算関係議案について御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成22年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の633億4、606万7、000円のうち、県土整備部所管分を除く626億7、199万8、000円、及び9ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費の24億5、494万1、000円を合わせまして651億2、693万9、000円となるものでございます。これを前年度当初予算額と比較いたしますと、金額で41億8、675万5、000円、率にして6.0%の減となるものでございます。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げます。
 予算に関する説明書の143ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費でございます。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費でございます。また、説明欄中ほどのいわて農林水産業6次産業化推進事業費は、他産業と連携した新たなビジネスの創出や加工、販売分野への進出など、農林水産業の6次産業化に向けた取り組みを支援しようとするものでございます。144ページをお開き願います。2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対し、利子補給等を行うものでございます。3目農業構造改善対策費の都市農山漁村交流拡大事業費は、グリーン・ツーリズム等の交流人口の拡大を図るため、体験型教育旅行等の受け入れ農林漁家の掘り起こしや、新たな交流モデルの構築を支援しようとするものでございます。次に、145ページに参りまして、4目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要する経費等でございます。5目農業振興費の主なものでございますが、146ページをお開き願いまして、説明欄の上から六つ目、中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域において農業生産活動を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件の格差の範囲内で直接支払等交付金を交付する経費等であり、その次のいわて希望農業担い手応援事業費補助は、集落営農組織等の経営の多角化や、県北・沿岸地域等における園芸、畜産等の産地形成、地域資源を活用したアグリビジネスの展開などに必要な機械、施設等の整備に要する経費に対して補助しようとするものでございます。また、その二つ下の一集落一戦略実践事業費は、地域資源の活用等による一集落一戦略の実践に向けた集落内の合意形成を促進するとともに、集落が行う新規作物の導入や加工販売の取り組み等に要する経費に対して補助しようとするものでございます。次の6目農作物対策費の説明欄の一番下、強い農業づくり交付金は、米、麦、大豆などの土地利用型作物について、生産性の高い営農システムの確立等を図るため、乾燥調製施設などの共同利用施設の整備に要する経費について助成しようとするものでございます。次に、147ページに参りまして、7目畑作振興費でございますが、説明欄四つ目のいわての新園芸産地構築支援事業費は、園芸主業型経営体を核とした体質の強い園芸産地づくりを推進するため、新品目導入及び周年出荷の取り組み等を支援しようとするものでございます。また、その下の県北・沿岸施設園芸団地形成支援事業費は、県北・沿岸地域の園芸産地づくりを進めるため、担い手農家等の生産拠点となる施設園芸団地の形成に必要なハウス等の整備に要する経費に対し、補助しようとするものでございます。8目北上奥羽山系開発費は、緑資源機構が北上、奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業に係る地元負担分の償還金などでございます。9目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導、検査等に要する経費でございます。次に、148ページをお開き願います。10目農業協同組合指導費及び11目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費でございます。149ページに参りまして、12目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であり、13目農業大学校費は、同校の管理運営に要する経費でございます。
 次に、151ページをお開き願います。2項畜産業費でございます。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費等でございます。2目畜産振興費の主なものでございますが、説明欄二つ目の家畜改良増殖対策事業費は、肉用牛の安定的な生産及びブランド化を推進するため、優秀な種雄牛の造成など、日本短角種及び黒毛和種の改良増殖等を推進するために要する経費でございます。152ページをお開き願います。3目草地対策費は、飼料基盤に立脚した効率的な経営体の育成及びこれを核とした畜産主産地の整備を行うため、草地の整備改良や畜舎等の整備に要する経費などでございます。次に、153ページに参りまして、4目家畜保健衛生費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する牛海綿状脳症防疫対策事業費のほか家畜伝染病予防費が主なものであり、5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費でございます。
 次に、155ページをお開き願います。3項農地費でございます。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等でございます。2目土地改良費の当部関係の主なものでございますが、説明欄五つ目の農道整備事業費は、県土整備部から移管されるものであり、その下の経営体育成基盤整備事業費は、水田の大区画化や用排水路、農道等の整備を一体的に実施し、農作業の効率化等を図るとともに担い手への農地利用集積を促進し、高生産性農業の実現と、それを担う経営体の育成を図るために要する経費でございます。下から二つ目の農地・水・環境保全向上対策事業費は、農地、農業用水及び農村環境の良好な保全等を図るため、自治会やPTAなど多様な主体の参画を得て、地域ぐるみで農地や農業用水等を守る活動を行う経費について支援しようとするものでございます。157ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の整備に要する経費でございます。このうち、説明欄三つ目の海岸高潮対策事業費は、県土整備部から移管されるものでございます。4目農地調整費の主なものでございますが、説明欄二つ目の農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地等の売買、賃貸借等の業務に要する経費に対して補助しようとするものでございます。158ページをお開き願いまして、説明欄二つ目のいわて農地再生プロジェクト緊急対策事業費は、耕作放棄地の解消を図るため、農協等に農地再生コーディネーターを配置し、耕作放棄地情報の収集、提供、市町村域を越えた農地の利用調整や仲介活動などを行おうとするものでございます。
 次に、159ページに参りまして、4項林業費でございます。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費や、県有林事業特別会計への繰出金等でございます。160ページをお開き願います。2目林業構造改善対策費のうち、林業・木材産業構造改革推進事業費は、林業構造改善事業等により施設等を整備した事業体等への経営指導に要する経費でございます。3目林業振興指導費の主なものでございますが、説明欄中ほどのしいたけ等特用林産振興対策事業費は、特用林産物の生産体制を強化するため、シイタケ等の基本栽培技術等の研修や、新規参入者へのほだ木整備に対する助成、原木の安定供給に必要な資金の貸し付け等を行おうとするものでございます。161ページに参りまして、説明欄中ほどの森林整備加速化・林業再生事業費は、国の森林整備加速化・林業再生事業費補助金を活用し、森林の整備や、間伐材その他の森林資源の利用を促進するため、間伐の実施、作業道の開設、間伐材の運搬、木材の加工、流通施設や木造公共施設の整備及び高性能林業機械の導入等を行う場合に要する経費に対して補助しようとするものでございます。その下の緑のクレジット創出促進事業費は、本県の豊富な森林資源等を活用した二酸化炭素排出量取引やカーボンオフセットの取り組みを促進するため、専門家等で構成する推進協議会を設置し、制度定着のための普及啓発や参加事業体への実務指導などを通じて、森林環境ビジネスの創出による本県林業の振興を図ろうとするものでございます。4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要する経費等でございます。162ページをお開き願います。5目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林の整備に対して補助等を行うものでございます。6目林道費は、県土整備部から移管されるものでございますが、その主なものは説明欄二つ目の林道整備事業費で、森林整備の基盤となる林道について、地域森林計画等に基づき、森林管理道の新設、改良等を行うものでございます。163ページに参りまして、7目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要する経費でございます。164ページをお開き願います。8目林業技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費でございます。
 次に、166ページをお開き願います。5項水産業費でございます。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や、水産科学館の管理運営等に要する経費でございます。167ページに参りまして、2目漁業構造改善対策費の主なものは、水産経営総合改善事業費及び次の強い水産業づくり交付金で、漁業生産の効率化等を図るため、漁協等の共同利用施設や省力化機器、施設等の整備に要する経費に対し、補助しようとするものでございます。3目水産業振興費の主なものでございますが、説明欄中ほどの地域営漁計画推進特別対策事業費補助は、零細経営体のグループ化や、効率的な養殖システムの導入等を図る漁協の地域営漁計画を実行するために必要な機器等の整備に要する経費に対し、補助しようとするものでございます。一番下のさけ回帰率向上緊急対策事業費は、低迷している本県秋サケの回帰率向上を図るため、新たな飼育技術の開発や、ふ化場技術者を育成するとともに、ふ化場の機器整備等に要する経費に対し、補助しようとするものでございます。168ページをお開き願いまして、説明欄中ほどのアワビ栽培漁業効率化緊急支援事業費補助は、単価下落等によるアワビ放流事業の採算性低下にかんがみ、アワビ放流資源の回収率向上を図るため、漁業協同組合が行う種苗の優良漁場への集中放流に要する経費に対し、補助しようとするものでございます。4目水産業協同組合指導費は、漁業近代化資金等の貸し付けを行う信漁連などの融資機関に対し、利子補給等を行うものでございます。5目漁業調整委員会費、及び169ページに参りまして、6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費であり、7目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営等に要する経費でございます。170ページをお開き願います。8目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費でございます。171ページに参りまして、9目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費であり、10目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費でございます。172ページをお開き願いまして、11目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築や、豊かで潤いのある漁村環境の整備等を重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要する経費でございます。
 次に、大きく飛びますが、227ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費でございます。1目農地及び農業用施設災害復旧費、2目林道災害復旧費、次のページをお開き願いまして、3目治山災害復旧費、次のページに参りまして、4目漁業用施設災害復旧費及び5目漁港災害復旧費は、過年災害または現年災害の災害復旧事業に要する経費でございます。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐れ入ります。議案その1にお戻りいただきまして、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、5社団法人全国農地保有合理化協会が社団法人岩手県農業公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、12ページの23海岸高潮対策事業までの19件でございます。この内容は、社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が7件、平成22年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが11件でございますが、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものでございます。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 21ページをお開き願います。議案第3号平成22年度岩手県農業改良資金特別会計予算についてでございますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ5億4、756万円とするものでございます。
 22ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等でございます。
 23ページに参りまして、歳出の主なものでございますが、1款農業改良資金貸付費は、農業経営の改善を図るため、農業者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものでございます。
 24ページをお開き願いまして、第2表地方債は、就農支援資金貸付費に充当するものでございます。
 次に、25ページに参りまして、議案第4号平成22年度岩手県県有林事業特別会計予算についてでございますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ40億3、571万円とするものでございます。
 26ページをお開き願いまして、歳入の主なものでございますが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等でございます。
 27ページに参りまして、歳出の主なものでございますが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理、保育並びに県債の償還等に要する経費でございます。
 28ページをお開き願いまして、第2表地方債は、県有林事業に充当しようとするものでございます。
 次に、29ページに参りまして、議案第5号平成22年度岩手県林業改善資金特別会計予算でございますが、予算の総額を、歳入歳出それぞれ13億3、259万6、000円とするものでございます。
 30ページをお開き願います。歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等でございます。
 31ページに参りまして、歳出の主なものでございますが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものでございます。
 次に、32ページをお開き願います。議案第6号平成22年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ7億550万6、000円とするものでございます。
 33ページに参りまして、歳入の主なものでございますが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等でございます。
 34ページをお開き願いまして、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し、無利子資金を貸し付けようとするものでございます。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。
 69ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでございますが、これは、かんがい排水事業ほか10事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものでございます。
 次に、75ページをお開き願います。議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでございますが、これは、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市に負担させようするものでございます。
 次に、76ページをお開き願います。議案第18号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについてでございますが、これは、地域水産物供給基盤整備事業ほか4事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものでございます。
 次に、予算関係の条例について御説明いたします。
 恐れ入ります。議案その2の47ページをお開き願います。議案第25号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例でございますが、これは、病性鑑定に係る死体の焼却手数料の額を増額しようとするものでございます。
 次に、102ページをお開き願います。議案第31号岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例でございますが、これは、漁港施設等に係る電柱類などの占用料の額を減額しようとするものでございます。
 以上で予算関係の議案についての御説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇中平均委員長 これより、質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障すするため、1人の委員の質疑が長時間─おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部の農業関係について、質疑はありませんか。
〇渡辺幸貫委員 それでは、農林水産部長に伺います。
 さっき、農業の概況についてはお話をいただきました。食料が将来不足になるとか、不況の重圧のための低価格の中で、米、畜産、野菜、果樹、どれも大変だと。我々の先人である人たちは、働けど働けどなお我が暮らし楽にならない、じっと手を見ると。雨ニモマケズの詩には、東西南北歩き回って、でくの坊のようにして助けてやりたいという切実な時代を宮澤賢治も歩いたのだろうと思います。まさにそういう時代に私たちはまた生きているのかなという思いをしているのでありますが、そういう皮膚感覚というんですか、そういう感じをどういうふうに部長はとらえておられるのか。私は、新規就農総合対策事業とかいろいろやっていますなんていうことを農家を前にしてはとても口にできないような気持ちでおります。どうぞお聞かせください。
〇瀬川農林水産部長 委員のほうからお話がありましたような農業の現場におきます大変厳しい窮状といいますか、そういった厳しい声は、私どもも生産者の方々から、あるいは振興局、市町村を通じて伺っているところでございます。経営環境は大変厳しいという認識は持っておりますが、こうした経営環境を乗り越えて、やはりいわて県民計画に基づく施策や事業をしっかりと推進しながら、農家の所得向上あるいは地域の振興につなげていかなければいけないという思いでございます。
 国のほうもいろんな政策転換もございまして、来年度から米の戸別所得補償のモデル事業が始まるとか、いろんな新しい取り組みもございます。こうした動きがやはり本県農業にもプラスになるように、そうした形で取り組んでいかなければいけないと考えておりまして、市町村や関係団体ともよく連携しながら、今後しっかり取り組んでいかなければいけないと強く感じているところでございます。
〇渡辺幸貫委員 ぜひ、農家の悲鳴を、国なりまた多数の国民にも理解されるような活動を今後とも望みたいと思います。
 そこで、今、部長がおっしゃられた国が新たに打ち出した政策をちょっと聞いてみたいと思うのでありますが、所得補償と並んで水田利活用自給力向上事業激変緩和措置という、転作のやり方の中で新規需要米をやれということで今回出されたわけでありますが、これについて、採算性といいますか、単価予想はどういうふうに見込んでいらっしゃるか、そしてまた引き受け手が果たしてあるのか、どういうふうに描いているかお聞かせください。
〇工藤水田農業課長 新規需要米の採算性等についてでございます。
 まず、飼料用米につきましては、平成21年産の販売実績では、飼料メーカーとの取引では輸入トウモロコシ価格と同水準とされておりまして、1キロ当たり約25円前後で、また、本県の主体となっております畜産業者との相対取引では、1キロ当たり平均50円程度で取引されております。平成22年の販売価格につきましては、通常、秋ごろに価格が決まりますので、おおむね同程度と見込んでおるところでございます。
 採算性につきましては、その生産費が明らかになっておりませんことから、試算するのは困難でありますが、主食用米並みの所得を確保するためには、水田利活用自給力向上事業の10アール当たり8万円という交付金を加えましても、さらに一層の低コスト、省力化生産に取り組む必要があるのではないかと考えております。
 引き受け手につきましては、県が昨年12月に需要量調査をしてございますけれども、その結果を見ますと、養豚など18経営体から合計2、900トンを超える、面積換算にしますと490ヘクタールほどになりますけれども、そういう需要量があったところでございます。このほか、飼料メーカーから全農の東北各県本部に対しまして、合計5万トンを超える需要量が提示されていると伺っているところでございます。
 また、米粉用米につきましては、本県ではひとめぼれなどの主食用米と同一品種が使用されておりますが、その販売価格は、買い入れる実需者により大きく異なりまして、60円台から130円台となっておりまして、一概に単価を予想することは少し困難でございます。
 採算性につきましては、主食用米を栽培しておりますので、10アール当たり8万円の交付金を加えますと、主食用米とおおむね同じ水準と考えておるところでございます。
 引き受け手につきましては、県内外の製パンあるいは製めんの業者等で、平成21年産では約260トンほどが取引となっておりまして、平成22年産におきましても同程度と見込んでおるところでございます。
〇渡辺幸貫委員 200トンとか300トンとかというのではなくて、さっき言われた5万トンとか、少なくとも私の江刺だけでも米の量は何万トンとありますから、大いに、はけ口をどんどんあけてほしいと思います。
 そこで、新規需要米をやるとして、コンバインだとか、乾燥施設だとか、機械化体系で現在いろんなことをやっておりますが、多収穫品種をやったらどうかというようなことがこの委員の中から前にも質問がありました。作付されて、機械化体系の中では、むしろきれいに掃除をしないと、コンバインでも、乾燥施設でも、混米というか、コンタミということが起きてきますから、現実的には良質米取り扱いに悪影響を及ぼすのではないかということで、多収穫専用品種というのは現実的でないのではないかと思うんですが、見解はいかがでしょうか。
〇工藤水田農業課長 専用品種での栽培についてでございますが、新規需要米の生産性を確保するため、県では、農協等と一体となりまして、団地的な取り組みを基本としまして、超多収の県オリジナル品種の作付による低コスト生産を推進してきております。本県のオリジナル品種のつぶゆたかやつぶみのり等の多収品種の割合は、飼料用米の作付面積約270ヘクタールの約8割を占めるという状況になってございます。
 また、専用の多収品種と主食用米との混米、いわゆるコンタミの防止対策につきましては、米主産地であります本県にとりましては重要な課題でございます。そういうことで、専用品種を導入している地域におきましては、コンバインや乾燥施設の利用後の丁寧な清掃、飼料用米の専用施設の確保、さらには収穫時期や施設での荷受け時期の調整、こうした取り組みなどを徹底いたしましてコンタミ防止に努めているところでございます。
〇渡辺幸貫委員 今までちょっとだけやっているのは実験的にやっているだけでありまして、今回からは本格的に、一挙に10倍どころでなくて100倍もやらんかと思われる新規需要米でありますから、そうすると、現実的に農家は、おのおの自分の持っているコンバインなどと考えたときに、もう一回きれいにするため頼めば、私らは50万円ぐらいはかかるんです。そういうことを考えると、なかなか8万円ではちょっといかがかなと私は思うんです、現実問題として。ですから、やっぱり従来の品種をちょっと広くしながら、賢治が言うアンモニア、窒素などをやりながら、とる努力のほうが現実的ではないかと重ねて思う次第でありますので、その見解と、もし、同じような品種をつくった場合には、新規需要米が食用転用されて、従来の市場に低価格指向の悪影響を与えるのではないかという点も心配されます。さっきの再質問と、今の問題についてお答えください。
〇工藤水田農業課長 主食用米と同一の品種の活用ということと理解しておりますけれども、県内で主食用米と同一品種でやっている割合というのは、先ほどの話を受けて申し上げますと、約2割ほどが主食用米の栽培ということで取り組まれてございます。この場合は、主食用米と飼料用米を一体的に栽培するということでのスケールメリット、さらには一体的な栽培管理を行うということでの低コスト生産ということを目指しながら取り組む必要があるだろうと思っております。
 機械とか施設の掃除等については、不要になる分はありますが、ある意味、生産性を向上させるためのそういう一体的な取り組みとかスケールメリットを生かした取り組み、あるいは低コスト生産の取り組みということが重要ではないかと考えておるところでございます。
〇浅沼流通課総括課長 転用防止のお尋ねでございました。新規需要米につきましては、水田で主食用米以外のお米を生産することで食料自給率を高めようということでございます。新規需要米が主食用に転用されることがないよう、防止対策は非常に重要と認識してございます。
 国におきましては、法律改正が行われまして、新規需要米など用途が限定されました米穀の用途外使用が禁止され、違反した場合の罰則も強化されてございます。
 県といたしましては、国の農政事務所や関係機関、団体と連携いたしまして、生産者や出荷業者に対しまして、今回改正となりました取り扱いに関しますルール、用途外使用の禁止でありますとか他の米穀との明確な区分管理、このような内容につきまして周知を図りますとともに、国の農政事務所と十分に連携を図りながら、必要に応じて立入検査にも同行するなど、法律に基づいた防止対策を講じていきたいと考えてございます。
〇樋下正信委員 私は、一つ目は農地・水・環境保全向上対策事業のところでお聞きしたいと思います。
 平成19年度から予算をとってやっているわけでございますけれども、県内の農業関係の組織といいますか、自治会というんでしょうか、団体に交付したと思いますけれども、どの程度の団体に交付したかということを一つお聞きしたいと思います。
〇沼崎農村建設課総括課長 農地・水・環境保全向上対策についてのお尋ねでございます。この対策は、農地とか農業用水の良好な保全と管理の質的な向上を図るという意味の共同活動ということ、もう一つは、減農薬、減化学肥料という先進的な営農活動をやろうという二つの目的を持ちまして、平成19年度からスタートしておりまして、ことしで3年目を終えようとしております。5年間の制度ということで始まっておりますが、現在の活動組織の状況は、県内27市町村で450組織、協定面積は4万4、000ヘクタール余りということで、本県の水田面積の約4割に達しております。
〇樋下正信委員 実は、私の住んでいる地域でも農地・水・環境保全という会を立ち上げて、昨年、補助金をいただいたわけでございますが、ことしもいただけると思ってはおります。実際問題として、1団体に大体同じぐらいの額が交付されているのかどうか、一つお伺いしたいと思いますし、私のところの団体では80万円から90万円ぐらいの額ということで、実は昨年は役員の方々による点検活動とか、あとはそこの地域の方々にアンケート調査などを実施して、実際、ハード面はなされてなかったということでございますが、そのようなよその団体というんですか、状況はどういうふうになっているのかお知らせ願いたいと思います。
〇沼崎農村建設課総括課長 まず、交付される金額でございますけれども、交付される金額は、水田とか畑とかという地目によって異なっておりますが、例えば水田の場合には10アール当たり2、200円と決められておりまして、その交付される活動団体、活動組織の規模に応じて、10万円単位のところから、あるいは100万円単位というところまで差があります。結局、平場の大きな区域で多くの方々が参加して活動しているというところは大きな規模になります。
 それから、具体的な活動の内容でございますけれども、県全体で当初17万人ぐらいだったのが、現在、2年目を終わりましたところでは23万人余りということで、三十四、五%の伸びになっております。
 活動内容につきましても、これまで行われてきました草刈りとか泥上げという活動に加えまして水路とか道路の補修、あるいは地域住民とか子供さん方が参加する生き物調査の生態系保全というところまで質的な向上が図られてきたという状況でございます。
 もう一つの営農活動のほうにつきましては、エコファーマーの拡大とか、あるいは県版GAPの導入などが促進されまして、環境保全型農業の取り組みが進展していると考えております。
〇樋下正信委員 すばらしい活動に結びついてきているのではないかと今お話を聞いたわけでございます。私のところの組織でも同じような活動もしておりますし、結いの精神というんでしょうか、そういう地域のコミュニケーションも図れる一つの手段にもなってきているのではないかと考えております。
 ただ、私のところも、圃場整備が終わってからもう30年、40年たってきているところもございますし、かなり傷んで、特に排水路とか水路なんかは、毎年のようにあちこち調査すれば数が出てきているわけでございまして、10万円から100万円単位までの額だというようなお話もございましたが、いずれ、その地区の状況に応じた適切な交付もお願いしていかなきゃならないと思いますし、これは、地域にとってすばらしい、我々の地域は我々で守るんだという精神が根づいてきているのではないかとも考えておりますので、ぜひとも継続してこの事業に取り組んでいただければと考えております。このことについて何かあればお伺いしたいと思います。
〇沼崎農村建設課総括課長 農地・水・環境保全向上対策は県内各地でも広く展開されておるわけでございますけれども、各地から寄せられているお話などを伺いますと、地域にとって非常に有効な活動であると。地域がまとまってきたとか、あるいは生き生きとしてきたという高い評価をいただいているなとうれしく思っているところでございます。
 そういう中で、今この事業は5年間という制度の中で進めているわけでございますけれども、やはりこういう制度を引き続き継続していくように、我々も関係機関に取り組みをさらに強化するようにお願いしていきたいと思っておりますので、引き続き御支援をお願いしたいと思います。
〇樋下正信委員 次に、いわてバイオエネルギー利活用促進事業費というところで、岩手県では、今、稲わらのセルロースからバイオエタノールの製造を進めているということでございますが、どの辺まで進んでいるか、まずお聞きしたいと思います。
〇井上担い手対策課長 セルロースからのバイオエタノール製造についての御質問でございます。セルロースを効率的に分解する技術について、現在、本県では岩手生物工学研究センターが、稲わら等のセルロースからバイオエタノールを効率的に製造するための先端技術の開発に取り組んでいるところであります。これにつきましては二つの特許を取得しておりまして、平成21年1月には、セルロースの束を緩める作用がある新しいたんぱく質を発見して特許の出願をしております。そして、平成21年7月には、セルロースを分解する新しい酵素を発見し、この特許の出願をしているところでございます。
〇樋下正信委員 全国的には米とか小麦、沖縄のほうではサトウキビなどからエタノールを製造して実証されているということでございます。その中で、これは全農の関係ですけれども、JA新潟みらいというところでは、去年の7月17日から新潟県内19カ所のJAのスタンドで3%をガソリンに混入して販売しているということでございますが、この辺は承知しているでしょうか。
〇井上担い手対策課長 新潟での取り組みについてでございますけれども、米からのバイオエタノールの製造につきましては、国のバイオ燃料地域利用モデル実証事業によりまして、北海道で1カ所、新潟1カ所で米からのバイオエタノール製造を行っているということで承知してございます。
〇樋下正信委員 承知しているということでございますのであれですけれども、いずれ、岩手県でも計画的にいつそれまでに商品化というんですか、どういうふうな工程になっているのか、そして、どこかプラントメーカーというんでしょうか、そういうところと何かそういう協議をなさっているのかお聞きしたいと思います。
〇井上担い手対策課長 米からのバイオエタノールの製造につきましては、技術的にはある程度確立されておるものでございますけれども、我が国では現段階では生産コスト等の問題があるということで、本県では、新潟あるいは北海道のように大規模プラントを整備するのではなくて、エネルギーの地産地消の観点から、奥州市が東京農業大学との連携により取り組んでいるようなバイオエタノールの簡易製造と、その地域内利用の実証を支援しているところでございまして、今お話のありましたような大規模プラントの開発については、現在のところ、構想はございません。
〇樋下正信委員 そういうプラントの設置とか、県内での販売ということは考えていないということでございますが、いずれにしましても、早くと言えばあれですけれども、よその県では実際そうやって使っているところもあるわけでございますので、計画的にぜひ進めていただくようにお願いして、終わります。
〇飯澤匡委員 1点のみお伺いします。来年度予算には直接的には関係してないんですが、来年度以降、恐らく企画室の中で大いに検討内容となるだろうということでお伺いします。
 政権交代によりまして、地域主権の確立に向けた取り組みとして、いわゆる従来の補助金政策から交付金政策となると伺っております。
 そこで、来年は骨格予算ということになるのでしょうけれども、企画室の強化、政策立案能力が問われるということになろうと思いますので、交付金制度になった場合、今度は農、林、水と一体化した形でまとまったお金が来る。ただ、これは、恐らく国が従来の現行補助率を基礎にしてやるんでしょうから、その枠の中で満遍なくやるというのはなかなか大変だと思いますが、いずれにしても、岩手県の特徴も出していかなきゃならない、そういうことが大変な作業だと思うんですが、これらの政策立案方針について、基本的な考え方をお尋ねします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 農山漁村地域整備交付金の活用方針についてのお尋ねでございますが、今回新設されます交付金につきましては、制度の詳細、本県への具体的な配分は、本会議での御質問にもございましたとおり、その具体的内容は今のところ不明でございます。
 しかし、現在までの情報によりますと、この交付金は、公共事業におけます農業農村整備、そして森林基盤整備、水産基盤整備など、一定の分野の範囲内において地方が自由に充当できるということでございますことから、従前の補助金に比べて、地域のニーズに対応した自由度の高い交付金であると認識しているところでございます。
 いずれにいたしましても、引き続き、この情報収集というものをきちっと行いながら、本県の農林水産業を下支えする生産基盤の充実に向けまして必要な予算の確保を図るとともに、そのニーズを踏まえまして、例えば中山間地域の事業地区に新たな交付金といったものを積極的に活用していくなど、創意工夫を凝らして、その交付金を有効に活用するよう努めていきたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 実にありがたい答弁をいただいて、中山間地をこれから言おうと思ったんですが、土地利用型の戸別補償の政策もやってみないとわからない部分があるんですが、ただいま地元で説明会をしていますと、従来の花卉であるとか、一生懸命どんどんやれやれというような言い方から、どうも慎重になってきている。したがって、今まで中山間地で特徴ある産地づくりということでやってきたものをもっともっと元気づけるためには、やはり県の方針というものを、情報収集も確かに大事ですけれども、あらかじめ前広に生産地に明らかにしていく必要があると思います。先ほどの答弁で中山間地まで言及していただきましたので大変ありがたいと思いますが、ぜひともここは企画室の腕の見せどころであり、現場の声を吸い上げるというのは4広域振興局のそれぞれの部署だと思うんです。そこら辺の連携をきっちりしていかないと、やはり実際の生産現場と乖離したものになっていくのだろうと私は思いますので、その辺の考え方を示していただきたいと思います。
〇小田島副部長兼農林水産企画室長 新しい交付金でございますが、これは創意工夫を生かした農山漁村の総合的な整備の推進を目的としたものだと伺っておりますので、今までの補助金の縦割りのようなものではなくて、横断的に利用できるような形でつくるだとか、いずれ、計画を策定し、それについて交付金という形で支援するということで、地方のそれぞれの意見もお伺いしながら、企画室として農、林、水の力をも結集して、交付金の選別だとか、いろんな企画に当たってまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 力強い答弁がありましたので、大いに新部長にも御期待をかけたいと思います。
 それで、今まで、こうして見ると、どうも補助金ベースで県の農林水産部内の組織体系もできていたと。この際、来年度以降、そこら辺も、組織体系もあわせて柔軟な形でできるように、あわせて検討していただきたい。これは要望申し上げて、終わります。
〇千葉康一郎委員 私は2点ほど質問いたしますが、まず第1点は園芸振興、特にも野菜振興対策について伺いたいと思います。
 去る1月に公表されました平成20年度の農業産出額によりますと、園芸の主力である野菜の産出額が、前年は276億円ありましたけれども、これより30億円も減りまして246億円になったわけでございます。これは、さまざま消費なり、あるいは生産の動向等々いろいろありまして、価格の低迷の影響も大きいようでありますけれども、いずれ、農家の人たちは、営農の先行き、見通しが立たないということを言っているわけなんですが、そういう不安の声が多く聞かれて、産地のほうでは大変元気がなくなってきているという状況でございます。
 こうした中にありまして、一関地方にありましてはエコファーマーを全面にした野菜の販売促進とか、あるいはキュウリの共同選果機による品質のそろった商品づくりなりに頑張ってきておるわけなんです。私は、本県の野菜振興のためには、こうした一関地方だけではないわけですけれども、やる気のある農家、産地の取り組みを支援していくことが重要ではないかと考えております。
 そこで、知事が演述の中でも新品目の導入等による園芸産地の再構築ということを言っているわけなんですが、いずれ希望の持てる新たな園芸振興計画が必要ではないかと。きちっと産地あるいは生産者の人たちが、本当に、ああ、これならやっていけるという思いの持てる計画が必要ではないかと思っているんですが、県として今後の野菜振興に当たっての考え方、まずこれを伺いたいと思います。
 そしてまた、本年度の予算の中に新規事業としていわての新園芸産地構築支援事業と、それから県北・沿岸施設園芸団地形成支援事業が盛り込まれておりますが、さっき部長のほうからも概要説明がございましたけれども、この事業の内容と目指す成果について伺います。
〇川嶋農産園芸課総括課長 今後の野菜振興の考え方についてでございますが、近年、野菜の市場環境は、販売価格が安値傾向で推移する中、加工業務用野菜の需要増大や卸売市場の取引形態の相対取引へのシフトなど大きく変化してきてございます。本県の野菜振興を図るためには、こうした需要や流通形態の変化に適切に対応することが産地育成上、重要だと考えておるところでございます。
 このため、今般新たに策定した岩手県野菜産地改革戦略に基づきまして、農協、市町村、全農岩手県本部、県が一丸となりまして、特にも契約取引の拡大による農家経営の安定化、産地における担い手の規模拡大、さらには単収向上技術や省力、低コスト化技術の導入推進、新たな品目の導入拡大などに具体的に取り組んでまいることとしてございます。
 特にも県北・沿岸地域にございましては、これまで取り組んでまいりましたイチゴやホウレンソウなど高生産性モデルの面的な拡大を図ってまいることとしてございます。
 次に、新規事業の内容と目指す成果でございますが、1番目のいわての新園芸産地構築支援事業は、実需者ニーズの高い新品目の導入でございますとか、簡易加温機の導入などによる出荷期間の拡大、大型通いコンテナの活用等によります野菜の契約取引の拡大を目指す取り組みに対して補助するものでございます。
 この事業によりまして、生産者の高齢化などによって販売農家数でありますとか販売額が減少している中にあって、所得の安定を確保し経営拡大を図る主業型農家を育成するとともに、こうした主業型農家を核として積極的に販路開拓でありますとか生産拡大を図るなど、産地の再構築を進めようとするものでございます。
 さらに、県北・沿岸施設園芸団地形成支援事業でございますが、県北・沿岸地域の夏季冷涼な気象特性を生かしまして、ホウレンソウやイチゴ、菌床シイタケの施設園芸団地の形成に必要なハウスの整備に対しまして補助しようとするものでございます。
 この事業によりまして整備した園芸団地を拠点といたしまして地域の担い手農家を育成するとともに、新規就農者の技術習得の場としても活用しながら、県北、沿岸の園芸の産地化を推進していこうとするものでございます。
〇千葉康一郎委員 いずれ食料供給基地を目指す本県の農業に大変期待を寄せられているわけですが、補助事業を組む場合、余りにも縛りといいますか、そういうものをつけた補助事業だと余り乗ってこないというのが今までの例なんですね。ですから、やっぱり目的は何なのかと。振興させる、そういうためになるような、余り縛りのないような補助事業を組んでいくべきではないかと思っております。
 いずれこれは本気になってこれから頑張っていかないと岩手県の農業はどんどん廃れていくのではないか。これは後継者の問題なり、あるいは担い手の問題なりさまざま条件がありますけれども、そういうことを克服してやっていかなければならないのではないかと思っているところでございます。わかりました。
 次に、新たな交付金、今ちょっと話が出ましたが、農山漁村地域整備交付金について伺いたいと思います。
 農政の大転換として、来年度、農業所得を下支えする戸別所得補償制度が導入されますけれども、私はそれとともに、圃場整備を通じた低コスト生産などにより岩手農業の底上げを図る農業生産基盤の整備を強力に進めていくことが重要であると考えております。
 そこでお尋ねしますけれども、このたび地域が主体となり農山漁村の整備を行う新たな交付金が創設されましたが、交付金の概要、それから現在、基盤整備等々事業を実施している地区が交付金の創設によりどのようになるのかについてお伺いしたいと思います。
〇沼崎農村建設課総括課長 新たな交付金についてのお尋ねでございます。
 先ほども答弁があったとおりでございますけれども、この農山漁村地域整備交付金につきましては、現在、制度の詳細は明らかになっておりません。これまで我々がつかんでいる情報を総合的に判断しますと、いずれ県あるいは市町村が事業主体になって農山漁村地域の整備目標を記載した計画をつくって、その計画に基づいてさまざまな事業を実施していく、その際に必要な経費を交付するという仕組みになっているようでございます。
 交付の対象となる事業については、先ほど紹介があったとおり、農業関係では農業農村整備事業、それから森林あるいは水産のほうの基盤整備の関係の事業などとされております。
 この交付金は国から県あるいは市町村に一括交付されて来ることになっておりまして、従来国が行ってきましたいわゆる箇所づけということはなく、県の裁量によって交付金が一括して配分される、それから県が事業ごと、地区ごとに配分していくことになっておりまして、使い勝手のよい、地方にとっては自由度の高い、非常にいい制度になるだろうと考えております。
 これまで補助事業を実施してきた地区がこれからどうなるんだというお尋ねでございますけれども、継続地区につきましては、平成22年度、来年度に限っては、先ほどお話ししたような農山漁村地域整備計画をつくるという新たな手続をせずに補助金にかわる交付金を速やかに交付していただけるということで、事業の進捗に支障が生じないようにするということを今、国のほうで検討されているように伺っております。
〇千葉康一郎委員 継続地区が来年度も支障なく事業を継続することができるということについてはわかりましたが、ただ、県とか市町村が計画を立てる場合はそういうことになるんでしょうが、土地改良区とか、あるいは共同施行、今、共同施行をやっているところはあるんでしょうか。あるとすれば、そういうところでしたところは継続というか、どうなんでしょうか。
 それから、今後においても農業生産基盤の整備を着実に進めていくためには新たな交付金を具体的にどのように活用していくのか、その辺を二つあわせてお伺いします。
〇沼崎農村建設課総括課長 県、市町村以外の土地改良区あるいは共同施行というお話でございますけれども、現在、土地改良区で施行している事業はありますけれども、共同施行というのは今のところ県内では行われておりません。土地改良区の事業につきましても、具体的にどういうふうに取り組んでいくのかというのはまだ詳細が定まっておりませんけれども、従前のこれまでの情報を総合しますと、従来の補助事業でやっていくのか、それからもう一つは、県が事業主体になってやる交付金制度の中で一部を、土地改良区のものも特別の別枠の事業として採用できる道もあるのか、そこら辺まだ詳細ではないんですけれども、いずれ今お話があったことも含めて、今後どういうふうに制度を進めていくのか、国のほうにも少し本県の実情も訴えていきたいと思っておりますので、もう少しお待ちいただければと思っております。
 それから、今後の活用の方法になりますけれども、新たな交付金は地方の裁量でできるということで、例えば農業関係についてお話ししますと、圃場の整備とか用水路、排水路の整備、あるいは中山間地域の整備などを総合的に実施できるとされております。一方、国営事業と関連がある地区につきましては従来どおり国営関連地区ということで、これまでどおりの補助金の中でやっていくんだという、そこら辺の仕分けがあるようでございます。
 そこで、県としましては、例えば胆沢平野地域のように国営に絡んで県営事業がある地域については従来どおりの補助事業を活用する、一方、それ以外の地域、例えば中山間地域等を中心にしたところでは新設される農山漁村地域整備交付金を積極的に活用するということで、工夫を凝らしながら、あるいは二つの制度をうまく組み合わせながら必要な財源の確保に取り組んでまいりたいと思っております。
 いずれにしましても、引き続き地域の住民とか農家の皆さんの視点に立った農業生産基盤の整備を計画的に進めてまいりたいと思っております。
〇千葉康一郎委員 やっぱり生産基盤があって初めて組織化ができたり担い手も育つと私は思っております。したがって、公共事業削減の声が随分ありますけれども、県としては、岩手の農業をきちっと支えるのは基盤ですから、そういう意味で基盤整備を、特に県南のほうなんかはおくれていますので、ひとつ推進していただきますようによろしくお願い申し上げて終わります。
〇工藤勝子委員 私は、一集落一戦略実践事業に絡みまして、集落営農組織のあり方について御質問させていただきたいと思っております。
 集落営農組織づくりが全県内で行われたと思っております。まず組織をつくってくださいというような働きかけも確かにあったと思っております。何年かが経過いたしまして、今は県内においても非常にモデル的な集落営農、例えば1集落1農場みたいな形で活動を行っている集落もありますし、また、高齢化、担い手がいなくて、組織はしたもののなかなか集落営農組織の動きが見えないところも多分あるのではないかと思っております。
 県として、つくらせた集落営農組織に対して、分析まではいかないかもしれませんけれども、今どのようにとらえているのかお伺いしたいと思います。
 あわせて、農政の大転換とも言われる農家戸別所得補償制度が導入されます。水田農業の経営安定を図るために、まず米に対して戸別に所得補償がスタートするわけであります。この制度が集落営農組織にいい影響を与えてくるのか、集落営農組織をつくっていることによって、戸別所得補償によってどういう影響を与えるのかお伺いいたします。
〇杉原農業振興課総括課長 集落営農組織がどういうふうになっているんだという点でございますけれども、生産組織は着実につくられてきております。ただ、組織といっても、機械の共同利用はまだまだ進んでいない地域とか、段階がございます。3段階ぐらいに今、分かれているところでございますけれども、組織の数は、水田経営所得安定対策もありましたので、着実に今はできてきているところでございます。
 そういう中で戸別所得補償制度が導入されるというところでどう変わっていくのか興味があるところでございますけれども、来年度は米戸別所得補償モデル事業ということで、この事業につきましては全国一律の交付単価で稲作農家に所得補償されるところでございますので、米価の下落や生産費の上昇にも対応できる、いわゆる岩盤対策ということで稲作経営の安定が図られるのではないかと期待しているところでございます。
 また、セーフティネットの下支えということはありますけれども、この対策は全国一律ということもありますので、規模拡大とか効率を高めていくとその分コストが下がってくるということで、プラスに作用してくる仕組みでございます。所得がやり方次第で増加してくるところでございますので、これまで岩手県は小規模、それから兼業農家と合わせていわて型の集落営農を地域でやっていくということで進めてきましたけれども、それへの取り組みが進展していくのではないかと期待しているところでございます。
 さらに一方で、水田利活用自給力向上事業がございます。これは、麦とか大豆を生産する販売農家とか集落営農に対しまして主食用米と同等の水準で確保していくという支援を行っていく事業でございますけれども、激変緩和措置によりまして現行制度の助成水準がおおむね維持されるのではないかということで、引き続き雑穀やリンドウなどの転作作物の産地化、県内でいろいろなところにありますけれども、それが維持、促進されていくのではないかと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 ぜひ集落営農に加入することによっていろいろなメリットが出てくるような形の中で、いただいた資料の中にも確かに集落営農に加入することのメリット等もありますので、ぜひいろいろな形の中で、これからは組織で地域が動くんだという方向になっていけばいいのではないかと思っております。
 そこで、一集落一戦略でございますけれども、これは集落営農組織に入るものなのか。グループとありますので、例えばそれらとは全然関係なく、グループとなれば2名以上がグループということになりますので、結局そういう形の中で、集落の中で何かいい作物、自分たちの資源、それからそういう環境、ものを生かした作物に対して、つくり出すものに対して支援するものなのか、その辺のところをもう少し具体的に御説明をお願いしたいと思います。
 また、これは予算的には880万円ですので、少ない予算なわけです。どこかに、例えば県南にシフトして今回は進めるとか、いや、そうではなくて、4広域振興局で一つぐらいずつのグループをつくるんだというような形なのか。3分の1の補助でありますので、新しい作物を生み出すのにどのような期待をしているのか、そういう点についてお聞かせいただきたいと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 一集落一戦略実践事業ということで、小さいグループから集落まであるんじゃないかということですけれども、本県は3、600集落ぐらいありますけれども、その中で、集落水田農業ビジョンというのは約1、600ぐらいの地域でビジョンをつくっております。これはほかの県ではない取り組みということで認識しているところでございます。ですから、額的には小さいということでございますけれども、地域に入っていくと、普及センターもありますし、振興局もあります。地域に入っていく中で、1集落の中で何かやれることはないか、新品目の導入だとか加工販売でも6次産業化でもいいのではないかと。いわゆる話し合いで、地域に入って、機関から団体から県まで入って、そしてもう一度何かできることはないかということを話し合いを進めたいというのがこの事業の目的でございます。
 そういうことで、そのビジョンの実践を促進していくというのが基本でございますので、集落に入ったと。集落ではできないけれども、小さな若い方々がやりたいと。であればそれをプッシュしていこうということでございます。
 そういう中で、予算的には、34グループということで少ないんじゃないかということもありますけれども、広域の4振興局になりますので、県南とか何とかじゃなくて、振興局でその34グループ、まず1市町村1グループをモデル的にやってみようと。ほかにも重点の地域に入っている、普及センターも入っている取り組みがございますので、まずはモデルとしてはこの34をベースにつくっていこうと。それを事業期間2年間ということでございますので、まずはそういった取り組みを発表会をしたりして68のグループに育てて、そして全県的にそういった取り組みを波及させていこうという、全県運動に持っていこうという考えでございます。
〇工藤勝子委員 わかりました。大分県で一村一品運動というもの、これは農商工全部連携したものだったんだろうと思っておりますけれども、そういう運動もありました。非常に全国的に有名になったんですよね。それが今どのようになっているか、私もまだわかりませんけれども、こちらのほうまで波及してきて、自分たちの地域で何か1品いいものをつくり出そうというようなことがあったと思っております。
 ぜひ話し合いの分、34グループから倍にしたいというようなお話もありました。例えばこういうのが集落営農の中で話し合いが行われて、じゃ、うちらで何がつくれるんだというところからスタートして、ぜひ岩手を代表するものがこの中から生まれることを私は期待したいと思っております。多分高齢化になっている集落でも、必ずやれるもの、まさに余り重くない産物、そういうものもいっぱいありますので、何か加工的なもの、やれるものがあるんだろうなと思っております。ぜひ積極的に、今、組織づくりでモデルとなっているところではなくて、何とか消えそうになっている集落営農組織のところにこそいろいろなそういう形の中で取り組んでいただければいいのかなと思っております。
 この事業には集落営農支援コーディネーターは関係ないというお話でありましたけれども、そうではなくて、すべてそういう人たちを網羅してやれるような方策に持っていっていただければいいのではないかと思っております。
 次に、農業に対する企業の参入について御質問させていただきたいと思います。
 やるなら農業いわて企業参入支援事業費というものがございます。法律が変わることによって、企業も農業に参入しやすい仕組みができ上がってきたと思っております。国とすれば、自給率の向上や高齢化に伴う耕作放棄地の解消など、そういう前提があるのではないかと思っております。また、公共事業の大幅な減少によって、現在でも建設業が農業に参入している段階もあります。また、安全・安心を、消費者の目の届く関係で、大手のスーパーとかも米づくりをしているというようなことも聞かれております。
 県は、農業に企業が参入することによって、雇用の拡大、産地確立、さっき言った耕作放棄地の解消等というメリットもあるんだろうなと思っていますけれども、例えば大量生産ということが出てきます。そういう価格の中で、個人でやる農業と比べて価格の低迷とか個人経営に与えるまさにデメリットはどのようにとらえているのかお聞きいたします。
〇杉原農業振興課総括課長 企業参入ということで、地域では、確かに企業が入って、調子のいいときはいいけれども撤退も早いという話で、過去にもそういう事例があって非常に複雑なところがあるんですけれども、企業参入という視点で、最近、耕作放棄地もふえているということで、企業の参入の関係をメリットがあるかということで県内の事例を拾ってみますと、建設業が農業に入るという事例だけではなくて、いろいろないい事例が出てきているところでございます。
 例えば、新規学卒者を雇用している事例とか、建設業が入って、年数もかけながら栽培を広げて新規採用者も雇用しているという一つの例とか、それから、耕作放棄地の再生のソバ団地ということで新聞にも出ておりますけれども、食品企業と農業のほうとがタイアップしてそういったソバ団地をつくって地物のそばとして出している例だとか、企業参入というよりも、建設業だけでなくて食品企業とか地元のそういったところと組みながら耕作放棄地も再生していく、そういった事例が出てきているところでございます。
 ただ、デメリットとして、家族経営を中心にしていますと、それが壊れてくるのではないかとか、資本力のある企業が入ってくれば阻害されるのではないかというのがありますけれども、改正農地法の中に、地域の農業における他の農業者との適切な役割分担のもと、継続的かつ安定的に農業経営を行うと見込まれる場合に限って入るとなっておりますので、そのデメリットの部分、改正農地法の中にもありますので、そういった定めがあるということもあって、地域の農業者の担い手の一員として活躍していただくということで期待しているところでございます。
〇工藤勝子委員 それでは、今後とも岩手県として、企業が農業に参入する基本的な考え方というんでしょうか、まだまだ拡大し、働きかけをしていくお考えなのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 今申しましたように、地域と調和がとれるという視点であれば、耕作放棄地の再生といいますか、それから未利用地、遊休農地、そういったところもありますので、地域と一体となってやるのであれば、食品産業とか県内のそういった企業にも応援をしていただいてやりたいなと。ただ、食品産業のほうはノウハウがなかなかありません。農業といっても、どんな資金が使えるとかいろいろありますので、そういったところはきめ細かに教えさせていただいて、うまくやっていくような形をとっていきたいと考えているところでございます。
〇亀卦川富夫委員 私は、岩手競馬の経営についてお伺いいたします。
 宮理事心得におかれましては、約4年間にわたりまして、岩手競馬存廃問題あるいは大変な経営の苦しい時期に激務を務めてこられました。今般の人事におきまして県議会事務局長に就任されるところであります。宮理事心得には競馬についてお伺いする最後の機会だと思いますのであえて質問いたしますので、どうぞよろしく御答弁お願いいたします。
 現在、この存廃基準を設定して経営しているわけでありますが、この3年間、非常に厳しい経営が続いてまいりました。売り上げは毎年、前年対比を下回って推移しておりまして、これをたび重なるコストカットによってどうにか切り抜けて持ちこたえているのが現状であります。
 そこで、このコストカットでありますが、コスト調整の手法は、馬資源の確保、あるいは厩舎関係者の雇用確保などから、既に私は限界であると。この現行の運営方法について何らかの見直しを行う必要があるのではないかと思うわけであります。
 過日、知事の記者会見あるいは盛岡市議会での構成団体である盛岡市長の答弁では、存廃基準の見直しの可能性に触れられる発言があったところであります。この辺の考え方あるいは見通しについてお伺いする次第であります。
 平成24年度からは共同トータリゼータシステムの導入によりまして約1億5、000万円程度のコストの削減が見込まれるのでありますが、それまでの2年間、競馬事業の継続のため、この間何とかして収支均衡を確保していく必要があるわけであります。
 そこで、売り上げの伸びが期待できない中で、さらなるコスト調整が難しいとすれば、これは企業でありますから、経営でありますから、どのようにして必要な資金を確保していくのか、これは大変大切な視点だろうと思います。
 そこで、例えば構成団体からの借入金に対する利息の取り扱いなど、何らかの手だてが必要であると私は考えるのでありますが、こういった現行の運営方法をどのように見直していくのか、こういった観点で宮理事心得の考え方をお願いしたいと思います。
〇宮理事心得 岩手競馬の現行の運営方法の見直しについてでございますけれども、来年度も厳しい経営環境が続くと見込まれる中、岩手競馬の運営に当たりましては、現実的な売り上げ見通しに対応したコスト管理をさらに徹底しながら、全国の地方競馬主催者やインターネット事業者との連携を強化するとともに、全国的な広報展開、あるいは魅力的なレースの提供を進めるほか、岩手競馬を支援していただいている各団体と協力し、そのつながりをさらに県内外に広げるなど、さまざまな工夫を重ね、売り上げの確保を図ることで収支均衡を達成していくことが必要だと考えてございます。
 また、こうした取り組みと並行いたしまして、低コスト構造への転換に向けて、改めて岩手競馬の事業運営のあり方全般について見直しを進めることが必要であると思います。今後につきましても、新たな赤字を発生させずに、県民、市民の負担をふやさないことを基本にいたしまして、県議会の皆様あるいは広く県民、市民からもさまざまな御意見をいただきながら、岩手競馬の継続に向けて幅広く検討を行い、必要な見直しを進めていくことが必要と考えてございます。
〇亀卦川富夫委員 吉田洋治議員の代表質問に対する知事答弁でも、岩手競馬の継続をより確かなものにしていくためには、現在の施設設備の更新や経営改善のための設備投資など将来につながる新たな投資が必要と考えられ、県議会の御意見なども伺いながら、岩手競馬にとって効果的な投資のあり方と、そのための財源確保の方策についても幅広く検討してまいります、こういう答弁があったところであります。今、宮理事心得の考え方をお聞きいたしましたが、このような線でひとつ積極的に前向きに今後取り組んでいただきたいと思います。
 次に、地方競馬全国協会、いわゆる地全協との協力関係についてお伺いいたします。
 平成20年1月に地方共同法人に改組され、新たな役割を担うことになった、全主催者が参加する共同トータリゼータシステム、ただいま申し上げたものでありますが、そういった構築もそのあらわれの一つであり、今後、地全協を中心として、さらに地方競馬16主催者間の連携を強化する方向で地方競馬のあり方を探っていかなければならないわけであります。
 また、新たな役割の一つとして、地全協は競走の実施を含めて競馬事業の運営を全面的に受託できるようになったわけであります。これも今後の競馬運営の新たなあり方と考えられると思います。
 現在の岩手競馬組合では職員の高齢化が進んでおり、なお新規雇用の見込みもないところから、今後、競馬開催に従事できる職員が減少し、将来的には開催が困難になることも予想されます。競馬開催を継続していくため、例えば構成団体からの派遣職員ということも考えられるわけでありますが、実際は現場ではなかなかこれは無理なことであり、競馬開催に熟練した職員を確保していくことも必要と考えられます。
 そこで、競走の実施を含めて地全協に運営を委託していく方法もその一つであると考えられますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。
〇宮理事心得 地方競馬全国協会への運営委託についてでございますけれども、今お話がありましたように、平成19年度の競馬法改正によりまして、地方競馬全国協会は、競馬主催者から競走の実施を含む競馬事業の運営を受託できることになっているところでございますが、現在のところ委託している主催者はないものでございます。
 しかしながら、競馬主催者がみずから雇用することなく専門の職員を確保できるほか、地全協が有する競馬開催の専門的なノウハウを活用できるなどさまざまなメリットもありますので、将来的な地方競馬の運営のあり方の一つの選択肢であると考えているところでございます。
 一方、岩手県競馬組合の場合でありますけれども、現在、職員の年齢構成が今お話ありましたように高くなってございまして、組合職員平均で50歳を超えている状況でございます。これまで、退職した職員を嘱託として雇用するなど専門職員の確保を図ってまいったところでございまして、開催に必要な職員体制の維持に努めているところでございます。当面、職員の減少によって開催が困難になるというふうな状況には至ってございません。
 しかしながら、将来にわたって岩手競馬を継続させていくためには、競馬開催を円滑に実施できる職員体制を常に確保していくことが不可欠でございます。将来の競馬組合の職員体制については、構成団体の職員の派遣、駐在のあり方も含めて幅広く検討していくことが必要と考えているところでございます。
〇亀卦川富夫委員 民間委託に関しましては、これまでもユニシスと本当に真剣に交渉した経緯もあります。そういったことで、地全協の地方共同法人に目を向けて、これもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、中央競馬会JRAとの関係といいますか、協力依頼というんでしょうか、支援方についてお伺いいたしたいと思います。
 中央競馬会も御案内のとおり売り上げがなかなか低迷しているわけでありますが、しかし、発売金額の10%を1号交付金という形で最初から納めるシステムの中で、現在でも2、600億円を上回る1号交付金ということで納入されている巨大な競馬産業が一方にあるわけであります。ここでやはりJRAとの協力関係を構築していかなければならないと思うわけでありますが、その点についての考え方をお伺いしたいと思います。
 あわせて、現在のJRAと地方競馬という2本立ての方式は、戦前においては民間でやっていた競馬を、戦後の混乱期にいわゆる公営ギャンブルとして法律で定まって今日まで来ているわけであります。これは世界的に見てもよそにはないような独特の方式でありますが、そのうちの地方競馬がいわゆる財政競馬という本来の使命を果たせなくなってきた。いわば行き詰まってきたというのが今の地方競馬だろうと思います。
 そこで、日本の競馬という観点に立ったとき、JRAと地方競馬、こういった2本立て興行というものがどういうものか、これは感想で結構でありますが、これまでJRAとさまざまなつながりを持ってこられた宮理事心得の御認識をこの際お伺いしておきたいと思います。
〇宮理事心得 中央競馬会との関係、それから競馬会の再編といった御質問でございました。
 中央競馬会とは、各主催者の中では、岩手競馬につきましては過去において非常に強いつながりを持ち、さまざまな連携をしてきたところでございまして、そういった過去の財産といいますか、そういったつながりの中で今もさまざま連携をしてきているところでございまして、そういった意味では、今後におきましてもこれまでの成果を十分大切にしながら、連携を深めていかなければならないと考えているところでございます。
 それから、再編の関係でございますけれども、御存じのとおり、中央競馬と地方競馬の二つあるわけでありますけれども、さまざまこれまでそういった観点の議論をされてきておりまして、平成19年度の競馬法の改正では、地方競馬全体の活性化と持続的な発展を図るために、主催者間の連携、共同を柱とした地方競馬改革をさらに進めるとされたところでございます。
 地方競馬主催者が主体となって運営する地方共同法人となった地方競馬全国協会では、新たな役割として、全国的な視点からの日程調整でありますとか番組の体系化、統一化の促進、あるいは活性化事業を使った補助事業、あるいは共同で利用する施設設備の整備といったような地方競馬全体の改革に向けて取り組みを進めるとしたところでございます。
 そして、今後において、こうした地方競馬全体の改革をまず優先的に進めることと並行いたしまして、地方競馬と中央競馬との共存共栄に向けた連携強化を図っていくことが必要だとしているところでございます。
 現在、中央、地方を問わず発売額が減少し経営環境が厳しい中にありまして、中央競馬に入厩できなかった馬や力を発揮できなかった馬の活躍する場として地方競馬があることにより、日本の競馬が支えられているという側面もあることなども含めまして、地方共同法人となった地方競馬全国協会を主体とした地方競馬全体といたしまして、中央競馬との間で双方にメリットのある連携策を模索していかなければならないと考えているところでございます。
〇亀卦川富夫委員 最後にいたしますが、間もなく4月から平成22年度の岩手競馬がスタートするわけです。その前に、3月20日から特別レースということで水沢競馬場で6日間開催されますが、この6日間というものは、やはり4月の開幕に向けた準備期間というような位置づけで、これは万全の取り組みをしていただきたいと思うわけであります。
 それから、4月のスタートというものは、平成22年度の経営を決すると言ってもいいくらいのものに盛り上げていかなければならないだろうと思います。
 そこで、さっき一番冒頭にいろいろな不安とか、あるいは競馬関係者、メディアとか、そういったいろいろな方々の協力というお話がありましたが、私は、非常に熱意を持っている方々、宮理事心得のほうでも何人か個人の名前が浮かぶのだろうと思います。そういった方々にぜひ4月の開幕時の盛り上げをひとつ企画していただくというか、知恵をかしてもらうというか、そういうものをあえて熱心なファンあるいは関係者の方に、組織とまではいかなくても集まっていただいて、ぜひそういう知恵あるいは企画を酌み取って、何としても平成22年度も頑張り抜くんだと、そういうものをこの4月の開幕にどーんとぶつけていただきたいと思うわけでありますが、その点をお伺いして質問を終わりたいと思います。
〇宮理事心得 4月開幕に向けてでございますけれども、まず、岩手競馬の支援団体といたしまして、ファンも参加する団体ということで岩手競馬サポーターズネットというものが組織されているところでございます。メールマガジンでありますとか、あるいはホームページなどを通じまして岩手競馬に関する情報を発信していただいているところでございます。
 平成22年度の開幕に向けてでございますけれども、今お話がありましたように、3月20日から土、日、月、2週間、合計6日間になりますが、特別競馬が開催されます。今お話がありましたように、4月の前哨戦といったような形にも位置づけられるところでありますので、そういった先ほどお話ししたファン組織では、特別競馬のレースの協賛あるいはレース名の冠の公募といったものにも取り組んでいただいているところでございます。
 さらに、4月以降でございますけれども、4月3日の開幕の前に、4月1日でございますけれども、2009 IWATE KEIBA AWARDということで、岩手競馬の各賞の授賞式、そして祝賀会を予定してございます。この中に実行委員会として参画していただいてございまして、そのほか、競馬関係団体あるいは関係者と一体となって開幕を盛り上げていくこととしてございます。
 また、知恵をということでございましたけれども、実はこのファン組織を通じまして、競馬開催を盛り上げるためのアイデアをさまざまアンケート調査のような形でいただいてきてございます。一部、来年度の事業計画の策定に当たってもそういった意見を参考にさせていただきましたけれども、今後、実際の4月以降の運営に当たりましても引き続きこういった意見も活用しながら、あるいは皆さんの知恵をかりながら運営していかなければならないと思っております。
 今後とも、そのファン組織、あるいは今お話のありましたメディア関係者を初め、岩手競馬を応援していただいている方々あるいは団体と協力しながら岩手競馬の魅力をPRしていきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 宮理事心得を初め、これまで競馬に本当に真剣に取り組んでこられた職員の方々が今度の人事異動で大分かわられると思います。これまでの御労苦をねぎらって質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
〇大宮惇幸委員 私からは耕作放棄地解消対策についてお尋ねいたしますが、耕作放棄地解消対策につきましては、2月定例会の知事演述の中でこのように述べられております。
 耕作放棄地解消対策は喫緊の課題であると。その解消に向けては、岩手県農地再生・活用対策本部を中心として、農地の再生利用等、担い手への面的利用集積を一層促進するというように述べられておるわけであります。それを踏まえてお尋ねするわけでありますが、この減反政策、今は生産調整という形で進められておるわけでありますが、当初は1割、10%の減反政策から始まって今日までに至って40%の生産調整であるわけであります。減反政策が始まってから、こういう言葉はどこかで聞いたことがあるわけでありますけれども、あれから40年になります。そうした中で、この耕作放棄地は、御承知のとおりきのう、きょうふえたわけではありません。40年の経過の中で、まさに優良農地がマイナスの資産として今日に残ってきたわけであります。
 この解消策についてどのように取り組もうとしているのかお尋ねするわけでありますが、農業振興課からちょうだいしておりますこの資料によりますと、耕作放棄地面積が6、952ヘクタール、まあ、町歩でもいいですが、それだけの面積になっておるというのが数字上出ているわけでありますけれども、今後、この面積をどのような計画でもって解消に取り組んでいくのか、まずお示しいただきたいと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 委員から今、御説明がありましたけれども、昨年9月に岩手県農地再生・活用対策本部と振興局のほうに地方支部を設置いたしまして、県、市町村、農業委員会、農協など地域の関係機関、団体とも連携しまして耕作放棄地の解消に取り組んでいるところでございます。
 各市町村の耕作放棄地の解消計画に基づきまして、平成23年度までに再生利用が可能と考えられる農用地区域内の耕作放棄地約3、300ヘクタールを対象に解消していく計画でございます。
 具体的には現時点で、市町村から解消計画が上がってきておりますけれども、平成21年が670ヘクタール、平成22年が1、350ヘクタール、それから平成23年が1、354ヘクタールということで、計3、374ヘクタールということで解消計画が上がってきているところでございます。
 平成21年度はそれに向けて頑張っておりまして、点の取り組みが出てきておりますけれども、まだまだ届かない数字であることはそのとおりでございます。
〇大宮惇幸委員 今、3カ年の実施計画が示されたわけでありますけれども、平成21年度では、お聞きするところによると保全管理も含めて50ヘクタールぐらいしか解消できなかったというお話を伺ってございますけれども、1、350なりという数字は、私、現場の人間に立ち返りますと、かなりハードルが高いのではないかと思います。特にも解消策に当たるとなりますと、冬場はこういう対策はできないわけであります。まさに夏場、雪の降る前にしかできない対策でありますから、本当にこの計画が計画どおりできるのかどうか、もう一度お考えをお尋ねします。
〇杉原農業振興課総括課長 委員から今、お話ありましたけれども、交付金が国から来ておりまして、交付金を活用した取り組みが30ヘクタール、それから自力再生ということで、ボランティアの方々とか農業委員の先生方とかがやられているのが55ヘクタールということで、合計85ヘクタールが大体ことしの解消ということでございますけれども、この3、300ヘクタールの中には、営農再開の部分が700ヘクタールぐらい、あとは保全管理ということで、まず管理していこう、取り組みからやっていこうというのも含まれているところでございます。
 確かにこれまで50年間積み上がっています。ですから大変な取り組みでございますけれども、我々としましては、全県運動に持っていきたいなと考えております。農業委員の先生方にも協力をいただきながら、農業委員会の方々、それから先ほど言った市町村、関係機関、団体あわせて点の取り組みからやって全県運動に持っていきたいということで、この3年間、平成23年まで頑張っていきたいというところでございます。
〇大宮惇幸委員 取り組みの考え方はわかりますけれども、事務方はすばらしい計画を立てるわけでありますが、実際、現場でやるのは現場の人間であります。いろいろな対策本部、いろいろなメンバーで構成していますけれども、対策本部の方々は現場にはおりないだろうと思います。いずれ現場の人間にも限界があるわけであります。今やっているメンバーは、もう後期高齢者といいますか、そういう方々が実際動いているわけでありまして、その解消策は本当に、幾ら喫緊の課題であるといっても、かなりこれは難しいと私は思うんです。
 そして特に、農用地区域内の3、300町歩を解消目標にしているわけですが、残りの3、600町歩が後は野となり山となってもいいものか。これは先代の方々が汗水流して、身を粉にして優良農地としてつくった農地なんです。それが今、再生不可能な農地になっているという現状を私も見ています。残りのこの3、600ヘクタールについての対策をどのように考えているのかお示しください。
〇杉原農業振興課総括課長 6、900ヘクタールというのは去年の全体調査の関係でして、3、300ヘクタールというのは農振農用地区域内、いわゆる再生するときの交付金の対象面積ということで現場の市町村のほうから上がってきている数字でございますけれども、そのとおりでございまして、緑、黄色、それから赤ということで、赤については戻らないんじゃないかということで、昨年の調査ではそういうことで上がってきていましたけれども、今その調査も見直しを行っていまして、昨年から何とかこの農地を生かしていこうということで取り組みを進めていますので、市町村のほうも、その赤についても何とか解消していくかと。交付金もまだ余裕がございますので、やっていこうかということで、いわゆる交付金を活用できないかというような相談も出てきているところでございます。
 ちなみに、我々の農業振興課の中にもCFTチームということで専従3人張りついておりまして、現場に飛んでいっているところでございます。ですので、現場を走って、そういった市町村とか農業委員会にも、走って現場を見ながら一緒になって動いているところでございますので、少しずつでも解消していきたいという気持ちで今動いているところでございます。
〇大宮惇幸委員 これから事務方に本当にねじり鉢巻きをして取り組んでいただきたいということを期待しております。
 次に、農業普及員の実態についてお尋ねいたします。
 先ほど杉原総括課長の答弁の中にもありましたが、集落戦略の中にも農業普及員が入っていくというようなお話がありましたけれども、実態は、今、お聞きするところによると、九つの普及センターの中に212名の農業普及員の方々が配置されて普及活動に専念されておるというお話をいただいております。
 そうした中で、すべてではないだろうと思いますけれども、私の耳に入ってまいりますのは、最近、現場に農業普及員の顔が見えなくなったという声が聞こえるわけでありますが、これは人的な面もあるだろうし、あるいは、農業普及員の果たすべき役割は、前と違って、普及活動のみならず、あるいは食品に関する加工あるいは流通、さまざまな分野に携わっているということは承知しておりますけれども、非常に生産現場から遠くなってきているということは事実ではないだろうかと思いますけれども、その実態をまずお示しいただきたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 農業普及員と現地との連携の実態ということでございますが、やはり農業普及員の活動は現場主義が原点ということで、委員御指摘のようなことはあろうかと思いますけれども、それは、翻ってみると農業普及員に対する期待の声というようなこともあるのではないかと思っておりまして、現在、9普及センターで212人という農業普及員を配置してございますが、個人で取り組むよりも、やはり現場の市町村あるいはJAと連携する、あるいは先進農家と連携して普及活動をすることが今後極めて効果的になってくるということでございます。
 そうしたことから、現在、八幡平市や遠野市における、行政とJAがワンフロア化して農業振興をやるという取り組みと連携するとか、あるいは地域のベテラン農家を指南役とした新規栽培者に対する仕組みを構築するといったようなことなど、普及センターと地域の関係者とが密接に連携した地域協働により、農業者に対する普及活動を現在展開しているところでございます。
〇中平均委員長 大宮惇幸委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 大宮惇幸委員、御了承願います。
   午後0時1分 休 憩
午後1時2分 再開
〇久保孝喜副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇大宮惇幸委員 農業普及員の現地との連携について午前中質問をいたして、お昼の時間で水入りになったわけでありますけれども、私は、農業普及員の皆さん方の日々の努力には感謝しているところであります。これは、農業普及員のみならず、午前中にも答弁の中にありましたが、JAいわゆる農協さんも本来は営農活動をやるべき重要な課題であるわけでありますけれども、近ごろ、農協自体が余り営農活動に力が入ってないのが実態であります。そういった関係で、種なり、肥料なり、あるいは家畜の場合はえさ、あるいは農業資材等にその技術というのは今はついてくるんです。それはそれとしていいんですけれども、やはりこれからの農業普及員のあるべき姿というのは、県民計画でも示されておりますが、人と人、あるいは人と地域のつながりという役目をこれからの農業普及員さん方は心して務めるべきではないかと私なりには思いますが、その点について御所見がありましたらお示しいただきたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 今後の農業普及員のあるべき方向ということでございますけれども、本県の農業、農村の振興を図っていくためには、現場で直接農業者に接して農業技術や経営管理等を指導する農業普及員の役割が重要であるということで、農業者の皆さんの期待も大きいものと考えております。このため、県といたしましては、普及員に対する専門研修や現地活動を通じた研さんによって、多様な農業者のニーズにこたえられるよう資質向上に努めるということ、また、地域の重点課題に即したチーム編成や、普及センター間の連携で技術指導に取り組んでいるところでございます。今後におきましても、こうした取り組みによりまして、地域の農家とともに歩むという普及員の基本をしっかり身につけさせながら、農業者に信頼される農業普及員を育成してまいりたいと考えております。
〇大宮惇幸委員 ぜひとも原点に返って、現場としっかりと連携していただきたいと思います。
 次に、新規事業であります一集落一戦略実践事業でありますけれども、さきに工藤勝子委員のほうからも質問がありましたが、私は別の角度で1点質問させていただきます。
 先ほどの説明によりますと、その説明に尽きるわけでありますけれども、私なりにこの実践事業を見ますと、集落内の営農組織化といいますか、そういう誘導をする部分も含まれているのではないかと私個人は感じますけれども、そういう意味合いも含まれているものかどうか、その点についてお伺いいたします。
〇杉原農業振興課総括課長 先ほども御説明させてもらいましたけれども、本県の場合に、平成15年度ですけれども、3、600の約9割の集落で1、600の集落水田農業ビジョンを策定している、非常に努力されてやっている。そういうベースの上に、生産組織の育成もあって、集落の中に入ってみんながひざを詰めて話し合うことによって岩手型の集落営農が進んできたということもあって、今回、実は、農地の再生、活用をするにしても、やっぱりそういう岩手県の強みを生かして集落に入ろうということでございますので、新しい制度が入ってきても、効率化が進めばさらに所得拡大につながるということですので、そういった生産組織のステップアップも含めた上で、新しいものばかりではなくて、組織、集落の位置づけみたいなものも含めた上でやっていきたいという運動でございます。それの事業になっています。
〇大宮惇幸委員 しかし、生産法人なり集落営農組織で取り組んでいる実態もありますけれども、現実はまだまだ戸別経営がウエートを占めているという部分でありますが、目指すところは、どの辺まで営農組織なり法人経営を立ち上げていくというお考えなのか、その点についてお示しをいただければと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 今回の新しい制度なり農地の賃借権の関係で、円滑化団体を設定しなければいけないという法律の改正がありますので、いわゆる任意的な生産組織というケースではなくて法人化が必要になってくると思います。法人化というのはかなりハードルが高いといいますか、そういうところでございますけれども、やはり機械の効率利用とかメリットを出す意味でも、法人化を目指しながらいかないとだめかなと思っているところでございます。かといって、それで地域がばらばらになっても、これも問題ですので、やっぱり段階を踏みながら進めていきたいと考えているところです。
〇大宮惇幸委員 最後に、瀬川農林水産部長にお尋ねいたしますけれども、昨年の12月30日に、閣議決定で新成長戦略が打ち出されたわけであります。2020年を目指して、食料自給率を、目標値でありますけれども、50%という明記がされたわけであります。そういう意味で、先ほど来、午前中からお話ししているわけでありますけれども、やはり食料供給県を標榜している岩手にとって、何といっても生産基盤をしっかりと確保していく必要があろうかと思います。50%となりますと、今の40%から10ポイント上がるわけでありますが、そういう意味で、今後の岩手の10年後の農業のあるべき姿というものをお示しいただければありがたいと思います。
〇瀬川農林水産部長 いわて県民計画の中で食と緑の創造県、そしてまた我が国の食料供給基地を目指すという目標を掲げております。経営環境は大変厳しいところがございますが、先ほど来出ております野菜あるいは畜産とか、いろんなところに力も入れながら、また、新しい農業の制度も積極的に活用して、ぜひ、落ちてきている生産額をもう一度上昇方向に変えていく、転換していくといったようなことができるように、今回のアクションプランは年数の関係で短い期間のものでございますが、また、今度の見直しのときには、そこら辺も少し中長期的なものを具体的に工程表をつくれるようにしながら、本県の農業振興に頑張ってまいりたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 初めに、いわて農林水産業6次産業化チャレンジ支援策について、この内容をもう少し詳しく説明していただきたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 農林水産業のいわゆる6次産業化というものにつきまして、生産者等の方から企画を公募するものでございます。その中から、雇用創出効果が期待できるものをモデル事業といたしまして県が委託するというものでございます。今年度の平成21年度からスタートしておりまして、19事業者に委託し、取り組んでいるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 生産者からの企画、この生産者というのはどういう人を指すんですか。
〇浅沼流通課総括課長 いろんな方がおられますけれども、農事組合の方もおられますし、幅広に生産者などというとらえ方にしておりますが、製造業にかかわっていらっしゃる方、そういったような方々が当事者になってございます。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、1次原料供給者としての生産者も、そして、加工業者としての生産者も含めて生産者というとらえ方でしょうか。
〇浅沼流通課総括課長 生産者はそのとおり当事者に当初から想定しているものでございますが、加工業者の方が生産者と連携して取り組むような事業といったようなものも対象とさせていただいております。
〇嵯峨壱朗委員 予算も増額しているわけですが、これは一定の成果があったということでそうなっているんでしょうけれども、どういうふうに成果というものをとらえているかと、平成22年度は何件ぐらいを想定しているのか。
〇浅沼流通課総括課長 成果という部分でございますが、19事業者のうち16事業者は来年度も引き続き継続支援を要望するということで、今、回答が来ております。反対から見ますと、3事業者につきましては来年度の委託を希望しない。言葉はいいかどうかわかりませんが、一本立ちといいますか、卒業するという形で、モデル事業としての一定の成果が出てきているのではないかと。来年度につきましては、今申し上げました継続分の16件に加えまして、これから4月からの応募ということになっておりますので、予算の枠との関係もございますが、おおむね7件から10件ほどは新規採択ができるのではないかと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 こういったものというのは事務的に結構煩雑だとか、そのために人を雇わなきゃならないとか、そういう場合もあるようですので、その辺もぜひ留意していただきたいと思います。
 次に、都市農山漁村交流拡大事業、グリーン・ツーリズムですか、新規として都市農山漁村交流拡大モデル構築事業という事業を行うようですけれども、これは、都市住民の多様な交流ニーズに対応した精神的なグリーン・ツーリズムモデルをどうこうと説明されておりますけれども、具体的にはどのようなものなのか、これまでのグリーン・ツーリズムとどういった点が違うのかということをお聞きします。
〇杉原農業振興課総括課長 都市農山漁村交流拡大事業の中で、都市農山漁村交流拡大モデル構築事業というのはふるさと雇用特別再生交付金を活用している事業でございまして、来年度が2年目になります。
 その交流ということなんですが、例えばユニバーサル交流とか、環境、健康をテーマとした交流といった、いわゆるこれまでのグリーン・ツーリズムの体験型のプログラムでも新しいタイプ、身障者の方々をターゲットにしたり、例えば外国人の方々が来られるときのものをターゲットにしたりといった、新しい体験プログラムの開発をする業務に対して委託を出すというような事業の内容になっています。
〇嵯峨壱朗委員 この予算の説明資料を見ますと6、724万円、そのほとんどが委託料ですよね。これはどういったものを委託して、どういったところに委託するのか。
〇杉原農業振興課総括課長 今言ったのがモデル構築事業というものと、もう一つがグリーン・ツーリズム県外営業活動強化事業になりますけれども、これにつきましては、首都圏とか大阪とか北海道、そういったところに情報発信をしながら来ていただく、お客さんを県内に呼びたいという事業でございまして、これも雇用の基金を活用させてもらっているという事業の中身になっております。
 委託先につきましては、民間の企業とか公社とかNPOとか、地域で頑張っている方々を中心に考えております。
〇嵯峨壱朗委員 この予算というのは、この項目のところの合計で見ると7、679万円で、そのうちの6、700万円が委託料で、委託する事業なわけですよね。それで雇用が生まれますかね。どうなんでしょう。
〇杉原農業振興課総括課長 去年の場合に、交流拡大モデル構築事業は7団体で13人の方が雇用されているということでございまして、来年度についてもぜひ継続したいというような声もあるところでございますし、県外の営業の関係のものは、NPOセンターでちょっと問題になりましたけれども、要件を見直すなどして何とか来年度も─昨年の場合には、NPOセンターのほうには3人ということで、1人の方はちょっと問題があったということなんですけれども、3人を2人に減らす形でも、要件を直しながら、ぜひ継続していきたいと考えているところです。
〇嵯峨壱朗委員 では、違った聞き方をしますけれども、何団体ぐらいに委託する予定ですか。
〇杉原農業振興課総括課長 県外営業の関係は、委託先は1カ所から2カ所を想定しております。
〇嵯峨壱朗委員 交流拡大モデル構築事業5、436万円は、どういったところの、何団体ぐらいを想定していますか。
〇杉原農業振興課総括課長 昨年が7団体ということですので、これから検討委員会をつくったりしなければいけませんが、7団体前後で動いていきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 雇用が13人新規にあったということですけれども、この予算をつくった時点では、恐らくこの間のような問題が発覚する前ですよね、想定されたのは。そうなると、これをつくった時点では、恐らくそのNPOセンターを含めて対象としていたのではないかと思います。それからすると、かなり慎重な運用が必要になってくるのではないかと思うんですけれども、その点だけ確認しておきます。
〇杉原農業振興課総括課長 まさにそのとおりでございまして、営業関係ですと、旅行業法の1種、2種の資格要件も出てきますけれども、地域のNPOの方々でその資格を持っているところというのは少ないわけですので、そこら辺は、採択するときには要件も十分検討して、慎重に行っていきたいと思います。
〇高橋昌造委員 私は、大きく分けて3点についてお伺いいたします。
 まず、加工業務用野菜の生産振興についてお伺いいたします。
 国産の加工業務用野菜の需要については根強いものがあるわけでございますが、お聞きするところ、宮崎県では野菜冷凍工場を建設して、年間おおよそ3、700トンぐらい製品化して供給しておるということでありますが、本県でも加工業務用野菜の産地化を進め、産地に冷凍工場等加工センターの整備を行うなど、加工業務用野菜の需要に対応し、県産野菜を積極的に周年供給していくお考えがあるのかどうか、まずお伺いいたします。
〇浅沼流通課総括課長 加工業務用野菜生産振興のお尋ねでございます。国内におきましても加工業務用野菜のニーズは非常に高まってきているのは、そのとおりでございます。その一方で、この取り組みを拡大するためには、実需者のニーズに対応した品質でありますとか規格、さらに供給ロットの確保というのが、今、課題になりつつあると認識はしております。
 これまでも、生産面では、マーケットイン産地モデル確立支援事業を導入いたしまして、カットサラダ用キャベツや惣菜用冷凍ホウレンソウの契約生産の取り組み支援というようなものを行ってまいりました。流通面では、全農岩手県本部、学校給食会等との連携によりまして、学校給食向けに冷凍野菜というものを開発し、これの安定供給体制の確立というものに向けて取り組みを開始しているところでございます。
 今後という部分でございますが、3月に策定いたしました県の野菜産地改革戦略に基づきまして、加工業務用野菜の供給にかかわります県内の先進的な取り組みモデルの成果を県内各地に波及させていきたいと考えておりますし、さらに、宮崎の加工工場の御紹介がございましたけれども、産地側に野菜加工施設のニーズというものが実際にあるということであれば、国の補助事業もあるようでございますので、これに積極的に対応して、周年出荷に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇高橋昌造委員 浅沼総括課長、課題があれば解決すればいいわけで、いずれ、課題解決をしながら、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。それから、矢巾町でも工場を建てる用地はたくさんありますので、ぜひ、検討する際にはお願いをいたしたいということでございます。
 次に、第2点目でございます。改正農地法に関連してお伺いいたしますが、昨年の12月15日から施行されたわけでございます。
 そこで、まず、農地の適正利用は、耕作放棄地を含めてどのように進められておるのか。また、先ほど大宮惇幸委員からもお話があったんですが、耕作放棄地の再生を含めた企業参入の状況がどうなっているのかお伺いいたします。
〇杉原農業振興課総括課長 農地の適正利用ということでございますけれども、先ほどもお答えしたように、昨年の9月に、岩手県農地再生・活用対策本部を県サイドと、地方振興局中心の地方支部を設置して、今、収益性の高い産地づくりを一生懸命やっているところでございます。
 今般の農地法改正の中身の一つの大きな目玉なんですけれども、御案内のとおりでございますが、農業委員会の権限が強化されております。これまでは、いわゆる耕作放棄地等の有効利用に関して市町村でも指導することになっていましたけれども、改正農地法の関係で、農業委員会が有効利用を所有者に対して勧告できるように変わってきているところでございますので、地方支部の取り組みとあわせて農業委員会と一体となりまして、市町村も一体となりますけれども、そういった中身で耕作放棄地を解消していきたいという状況でございます。
 それから、企業参入の状況でございますけれども、農地法の改正前は、特定法人貸付事業ということで貸借だけに限られていますけれども、そういった事業で農業経営基盤強化促進法の中で位置づけてやってきたということでございます。75社が農業生産法人と今言った特定法人貸付事業で行ってきたんですけれども、改正後については、そういった農業生産法人をとらなくても一般企業でも入れると改正農地法で変わってきております。ただ、先ほどもお答えしたように、そうはいっても、技術とかそういった面でなかなか容易ではないという中で、今、一般企業のまま入ってきたというのは3社程度になっているところでございます。
〇高橋昌造委員 杉原総括課長、今お話があったように、市町村の農業委員会も権限が強化されるということは、そのぐらい今度は仕事量もふえるわけです。また、責任も出てくるわけです。だから、県内の各市町村の農業委員会が改正農地法に対しての体制整備がしっかりなされているのか。また、私が心配するのは、そのために、これからいろんな農業委員会の活動があるわけですが、それを県としてどのように支援してくか、もし、支援策があればお示し願いたいと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 その点でございまして、農業委員会が強化されたというか、役割が増す状態になります。年に1回は農地の状況調査も行わなければならないということで、農業委員会のほうに負担が出てくるところでございますけれども、そういったものを受けて、国のほうでも、平成22年度の予算の中では農地制度実施円滑化事業費補助金なるものをつけて、予算も拡大してやろうとしているところでございます。そういった制度を活用して、そうはいっても、実際、市町村の事務局体制というのは人数もなかなか確保できていない状態でございますけれども、こういった国からの事業とか、要望したことに対して予算もつけていただいたということがありますので、そういったものを利用しながら体制を強化していきたいというところでございます。
〇高橋昌造委員 最後に、私は3点目に、この4月から広域振興局がスタートするということで、広域振興局体制と農業振興についてお伺いいたしたい。
 今まさに農業は、経済不況により農産物の価格なども低下して大変な状況下にあるわけでございますが、そういった中で、これから、なおさらよりきめ細やかな支援が求められると思いますが、広域振興局体制のもとで、今後、地域農業振興をどのように支援していくのか、抽象論じゃなく、ひとつ具体的な取り組みを例示しながらお示し願いたいと思います。
〇小田島副部長兼農林水産企画室長 広域振興局体制における農業支援のあり方でございますが、広域振興局体制では、現在の地方振興局よりも広域的で専門的な業務を担うことや本局の企画機能の充実等を図ることによりまして、圏域単位での業種間の連携や広域的なネットワークというものをつくれるということで進めようとしているものでございます。一方で、委員御指摘のとおり、農林振興センター、本局、そして農業改良普及センターなどによるきめ細やかな指導も必要であろうと考えております。
 それで、先ほど、一集落一戦略実践運動の話が出ましたけれども、そういう各地域に入りながら、それぞれの地域で例えば産地づくりを振興する、あるいは所得向上につながる生産技術の普及、定着を図る、あるいは経営体の経営能力の向上を図る、生産基盤の整備を図るなど、それぞれの地域ごとの特性に応じまして、関係の機関が連携しながら支援していきたいと考えております。したがいまして、広域振興局としての広域のメリットと同時に、きめ細やかな支援ということに努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 その一方、北海道で各市町ごとに地域農業技術支援会議というものを設置して、いろんな取り組みがなされておるようでございますが、これはもう皆さんも御存じだと思います。
 それで、本県でも広域振興局ごとに、北海道で設置されております地域農業技術支援会議のようなものの組織を立ち上げて、市町村なり、またはJAとか、いろんな研究機関とか、そういうところと、もちろん地元地域と一体となって農業支援に取り組んでいくお考えがないのかお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 地域農業技術支援会議についてでございますけれども、本県は、県北・沿岸、県央、県南と多様な農業が展開されておりまして、地域が抱える技術的課題も多岐にわたっております。地域の関係者が協力して現場で解決する取り組みは極めて重要と考えているところでございます。
 本県は、いわて県民計画におきましても全国屈指の農林水産技術立県いわてを目指しておりまして、委員御提案の地域農業技術支援会議のような組織を活用していくことは必要であると考えておりますことから、今後におきましては、地域の関係者や生産者、研究センター、振興局、普及センターが一体となって、地域の課題を地域で解決する現場密着型の支援体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 最後に、部長、岩手県が目指している、やるなら農業は岩手、そして消費者に信頼される食料供給基地の確立ということで、このことに対して強い思いがあると思います。高橋昌造が部長の言質をとらえてどうのこうのということはございませんので、本県農業に対する思いをひとつお聞かせ願えればということでございます。
〇瀬川農林水産部長 本県の農業は内需を主導する産業ということでよく言われますが、農業あるいは農林水産業は岩手県の可能性を一番引き出すことができる大事な産業だという思いを強く持っております。ただいまの高橋総括課長の答弁の中でも全国屈指の農林水産技術立県いわてを目指すというような話もございました。今、いわて県民計画に基づいて、また、個別の分野ごとの産地づくりとか技術立県とか、具体的に動き出せるような仕掛けをいろいろやっております。こういったものを組み合わせて、総力を結集しながら岩手の農業を発展させていきたいと思っております。
〇高橋元委員 私からも何点かお尋ねしたいと思います。
 まず、企業の農業参入支援事業についてですが、これは、工藤委員、高橋昌造委員から今も質問がありました。まとめる意味で、もう一度ちょっとお尋ねしたいんですが、建設事業の農業参入、あるいは最近ですと、我が県ではないんですけれども、漁業へも参入するという話題も出ているわけでありますが、県内の参入状況はどうなっているのか。
 それから、参入課題として、大きな収入減とはならないんですけれども、地域特性、天候、病害虫のリスクといったものも高いという中で、専門の相談員の果たす役割は非常に大きいものがあると思います。この専門の相談員の配置は、どのような方を大体何人ぐらい検討しているのかお尋ねしたい。
 それから、企業参入支援事業は、先ほども国の制度をいろいろ活用してということもありましたけれども、国の制度ですと、出てくるのにまたしばらく時間がかかったりいろいろするわけです。その間、県としても、つなぎというわけじゃないんですが、県単独自でいろいろな支援というものも必要じゃないかと思うんです。その辺で何か検討しているものがあれば、お伺いしたいと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 まず、県内の建設業の農業参入でございますけれども、3月現在で44社ということで、全企業参入が75社入っております中の6割が建設業の農業参入ということで、ちょっと漁業の関係は済みませんが……。
 それから、農業参入を希望される企業の場合には、かなりきめ細やかに技術的なものも相談があったり、技術だけじゃなくて、それこそ売り先の問題だとか、そういったきめ細やかさが必要になってきます。そういうことで、雇用の基金を使っていますので、ハローワークを通さなければいけないんですけれども、現在、2名の方を盛岡のほうに配置して、農地制度とか融資制度、生産技術、マーケティングということで、すべてを網羅した相談員さんというのはなかなかおられないんですけれども、事業系と技術系というような形で、今、お二人が配置になっているという状況でございます。
 それから、国の制度をもちろん活用しているんですけれども、県としては、平成16年度から各振興局には農業参入企業相談センターというものを設置しております。ですから、地方でもそういった窓口をつくって、県単のハード的な機械導入の補助事業もありますので、そういったものの相談だとか、国でできない部分を、県単の事業もありますので、そういったものでケアしているというか、フォローしているという状態でございます。
〇高橋元委員 新年度以降について、新たに農業に参入したいという意向を示している企業というのはあるのでしょうか、もしあればお伺いします。
〇杉原農業振興課総括課長 相談件数なんですけれども、平成21年1月末現在で53件ということで、平成20年度が29件ということからしますと、ふえている状態でございます。
 今、漁業の関係は1社ということでメモが来ました。釜石のほうに、マツカワの養殖の関係で、漁業も1社あるということでございます。平成18年度からということです。
 相談件数もふえてきておりまして、そこに相談員の方を2名、県下全域を歩いてもらいながら、地方のほうとタイアップしながら細やかな部分まで相談に乗っているというような状態でございます。相談件数もふえています。
〇高橋元委員 私の地元でも農業参入されている建設業もありまして、いろいろ苦労しながらやっている。農業を1回やると、ちょっと失敗するとまた翌年ということになりまして、その間、収入がないとか、いろいろなこともありますので、ぜひ、巡回をしながらも、きめ細かな指導を今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 2点目ですが、家畜排せつ物処理施設等の整備状況についてです。今回の予算ですと、およそ10億9、000万円余り増ということで、これは団体営畜産経営環境整備事業費のところで大きな予算が入っております。二戸、久慈地区におけるということで、結構大きな金額ですので、簡単にその事業内容についてお尋ねしたいし、もう一点は、他の地区に今後とも同様な整備の計画があるのか、この2点をお尋ねしたいと思います。
〇徳山畜産課総括課長 家畜排せつ物処理施設の整備についてでございます。二戸、久慈地域におきましては、昨年12月に国の畜産環境総合整備事業の採択を受けております。平成21年度から平成24年度までの4年間、総事業費で43億円の計画で、臭気対策のモデルとなる畜舎とあわせまして家畜排せつ物の発酵処理施設等の整備を行うものでございます。
 主な具体的内容でございますけれども、養豚、養鶏の畜舎40棟、堆肥舎が2棟、それに発酵処理施設5カ所の整備が計画されているところでありまして、平成22年度につきましては、このうち畜舎20棟、発酵処理施設1カ所の整備を実施することとしております。
 また、二戸、久慈地域以外につきましては、現時点での整備計画はありませんが、今後、家畜排せつ物処理施設など畜産環境の改善を図る施設整備の要望があった場合には、国庫補助事業などの導入によりまして支援してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 3点目は、遊休牧野の活用についてであります。耕作放棄地ということで水田となっているわけでありますが、牧野についてはなかなか話題に出てこない。いろいろ国の事業を含めて大規模な牧野を開発したりとか、あるいは民間企業で大きな牧野をやったりと、過去にそういう話も聞いたんですけれども、そういうところで遊休地はないのかどうか。今、家畜飼料の問題等も話題になっているわけでありますけれども、大きな資本投入したところで遊休になっている状態は何となくもったいないような気がするんです。そういう観点から、どのぐらいあるのかということと、この中で利用可能な牧野はどれぐらいあって、その活用策も検討されているのかどうかお尋ねします。
〇徳山畜産課総括課長 遊休牧野の活用についてであります。牧野は、主に春から秋にかけまして、牛とか、あるいは昔は馬でございますけれども、こういうものを放牧して利用する、あるいは採草利用するというような機能を持っております。現在、牛の放牧頭数が非常に減少しておりまして、牧野に上がる頭数も減少して、これに伴いまして遊休化も始まっているところでございます。
 そこで、先般、昨年の11月でございますが、公共牧場の実態調査を実施いたしました。これによりますと、公共牧場としての運営を休止している牧場は、県内全体で153牧場のうち33牧場となっております。この中で17牧場については、一部を農家等へ貸し出し、採草利用やあるいは野菜等の生産に利用されております。
 今後におきましては、その他の休止牧場も含めまして、まず、配合飼料高騰の中で、できるだけ自給飼料の増産を図る、低コストにつなげるという観点から、飼料の増産あるいは牧草から飼料用トウモロコシへの転換を計画している酪農家あるいは肉用牛農家、さらにはコントラクター、粗飼料生産組織への貸し付けを促進いたしますし、また、畜産以外の利用では、土地利用型の野菜あるいはソバ等の新しい作物への利用、さらに、急傾斜の放牧地については、どうしても牛の放牧頭数が少なくなっておりますので、なかなか維持することもできない状態にあります。こういうようなところにつきましては植林等も選択肢の一つとして考えて、有効に使っていきたいと考えております。
〇高橋元委員 貴重な土地でございますので、有効活用を今後ともぜひ進めていただきたいと思います。
 最後に、岩手競馬についてお尋ねしたいわけでございます。
 県内の競馬ファンの減少あるいは景気低迷等で売り上げが低迷する中、県外での売り上げ増を目指す取り組みが始まったわけでありますが、これは至極当然でございまして、私は、ちょっと取り組みが遅いような気がするわけであります。ただ、県外ファンを獲得するためには、それなりの魅力あるレースとかさまざまなイベントも進める必要があるのではないかと思います。先ほど、亀卦川委員の質問の中にもありましたけれども、もう少し具体的に考えていることがあるのであれば、お尋ねしたい。
 また、県外ファン獲得のために、プロジェクトチームでもないんですけれども、やっぱりそういうものをつくって、いろいろ早急に検討すべきじゃないかという思いもしているんですけれども、そういう考えはあるのかどうかも含めてお尋ねしたいと思います。
〇大友競馬改革推進室特命参事 県外での売り上げ増やファンを獲得するための取り組みについてでございますけれども、来年度は、全国的にも知名度の高いダービーグランプリを、地方競馬の3歳競走の頂点となる全国交流競走として復活させることや、岩手では日高賞、ビューティフル・ドリーマーカップの2レースが対象となりますが、牝馬重賞レースの全国シリーズ化への参画など、魅力あるレースの提供に取り組むこととしておりまして、県外での売り上げ増が期待できる月曜日を中心といたしまして全国的な広報を展開する予定としておりますし、インターネットを通じまして、全国の競馬ファンや、これまで競馬になじみのなかったお客様に新たな競馬の楽しみ方を提供する5重賞単勝式の発売を4月3日の開幕から開始することにしておりまして、全国に向けた情報発信を積極的に行いまして、岩手ファンの拡大を図っていきたいと考えているところでございます。
 また、来年度につきましては、他の主催者との連携、特にも北陸、東海地区の主催者との連携強化を進めることとしておりまして、金沢競馬の開催日の見直し等によりまして、広域委託発売とインターネット発売での発売額の増加を見込んでいるところでございます。これらのさまざまなファン獲得とか売り上げ増の取り組みですけれども、内部の職員のみならず外部の地全協、それからファン、さまざまな団体の方々の意見等もちょうだいしながら検討して、やれるものにどんどん取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇高橋元委員 競馬に対して何度か質問に立たせていただいておるんですけれども、さまざまな課題、問題を抱えて、今、競馬を運営している状況です。競馬を始めたころは、財政競馬というお話がありましたけれども、これだけ年限が過ぎて、その役割はもうずっと前に終えて、今、ある面では財政負担のほうが大きいわけであります。
 そもそも、岩手競馬をなぜ存続しなければならないのかという原点のところを、私も、この3年余り、心の中で葛藤してきているわけでありますけれども、ぱっと空が晴れるような、県民に対してそういう説明ができるようなお話を聞きたいんですが、宮理事心得にひとつお尋ねしたいと思います。
〇宮理事心得 ぱっと心の晴れるような答弁はちょっとできかねるかもしれませんが、今、委員からお話がありましたように、財政競馬ということで、かつては構成団体のほうに配分金を出してきたわけでありますけれども、御存じのとおり、平成18年度の330億円の負債ということの整理の中で、平成19年度から、今の新しい計画の中で、これ以上は赤字を出さないというスキームの中で運営をしてきているということでございます。
 今お話がありました岩手競馬の存続の意義ということでございますが、現在の岩手競馬は、馬主を除いて、関係者は1、400人ほどの関連するさまざまな職員、あるいは従事員等々がいるわけでありまして、県内の企業でいいますと、年間200億円の売り上げを誇っている一つの産業という見方ができるのだろうと思っております。先ほど言いましたような、そういう抱えている雇用ということも一つ大きな存在の意義なのだろうと思いますし、今なかなか厳しい経営状況でございますのであれですけれども、構成団体から借り入れている330億円も、どういう形かでやはりきちっと返すということを考えたときには、何とかして継続しながら、そういう産業あるいは雇用の効果も果たしながら、借り入れたものについては返していく道筋というものを追求していかなければならないと考えているところでございます。
〇高橋元委員 私が競馬場に初めて行ったのは二十のころでしたので、今から30年ぐらい前、40年近いのかなと、そんな思いをしております。当時は競馬場も観客が満員でございまして、馬が走るとすごい大歓声で、追い越せ、追い越せとか、あるいはまくれとかいろんな声で、これはやはり騎手も頑張ろうとするし、馬もその声援を受けて一生懸命走ろうとするわけでありますが、今現在、例えば競馬場に足を運ぶと、観客もまばらであって、そういうかつてのような大歓声も聞こえないわけであります。これでは、本当に馬も一生懸命走ろうという気が起こるのかどうかという、そんな思いもして見守っているわけでございます。
 これは何が問題かなと思って私なりに感じているんですが、余りにもテレトラックをつくり過ぎたんじゃないかと。やっぱり馬が走るのは、現物をそのまま、その場に行ってあの美しい競走馬が走る姿を見て、そして感動しながら自分の思いを馬券に託してファンとして投票していく、そういう原点をもう一度考えるべきじゃないかと私は思うわけであります。経費の節減ということでさまざまな取り組みをしているわけでありますが、その辺も見直しが必要だと私は思うんですけれども、宮理事心得の所感をお尋ねして、終わります。
〇宮理事心得 お話がありましたようなライブの生の競馬ということで、我々といたしましても、競馬場に直接足を運んでいただいて買っていただくということが、今お話がありましたような競馬をしているところの盛り上がりというものが、これはテレトラック、あるいは今はインターネットの発売も非常に伸びを示しているわけでありますが、そこは画像で届くわけであります。現場の生の盛り上がりというのは、やはりそういった画像を通じても届くと考えておりますので、岩手競馬の場合は、今、盛岡、水沢の二つの競馬場があって、他の主催者とは違う工夫の仕方ができる余地を残していると考えておりますので、今お話がありましたようなそういう生の盛り上がりを、現場にといいますか、開催している競馬場に足を運んでいただくと同時に、やはりテレトラックも含め、あるいはインターネットも含めて、そういう現場の熱気というものが伝わるような競馬にしていければいいのではないかと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 私は、大きく二つ通告しておりましたけれども、いわて6次産業化チャレンジ支援事業につきましては、先ほど、嵯峨委員と質疑が交わされたところでありまして、内容は了承しましたので、私はプレミアム戦略に絞ってお話を伺ってまいりたいと思います。
 一般質問でも取り上げさせていただいたんですが、プレミアム戦略を県として打ち出したということについては評価をさせていただきたいと思います。このことによって、本当に意欲的に取り組んでいる農家は、自分の持っている技術力と愛情を生かしてつくることによって、それが本当に自分の経営もよくなるという可能性を見出している人も多いと思います。
 特に、その中で、まず、プレミアム米というところから話を伺ってまいりたいと思うんですけれども、岩手県の米の販売戦略から言うと、今、県央以北の中食、外食用の米というのは非常に好調だと思う一方で、やはり県南部のひとめぼれをどうやって売っていくかというのは岩手県の米政策の中で最大の問題だと。その中でプレミアム米というものが出てきて、これをプライスリーダーにするんだという、非常にいい取り組みだと思うんですが、新年度、本格的に取り組まれて2年目ということになると思いますが、具体的にどこまで数量を上げて、面積がどれぐらいで、どういった地域でやって、農家数はどれぐらいで、販売先をどのように考えているのか、まず具体にお示しいただきたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 プレミアム米の数量目標等のお尋ねでございました。具体的に申し上げます。
 場所といたしましては、県南地方の2JA、具体的にはJA岩手江刺、JAいわて南の御協力をいただきまして、同管内を予定してございます。生産量は約5トン、面積にいたしまして1ヘクタール、生産者数は2名を見込んでございます。
 販売先につきましては、今年度取り組みました県内の百貨店及び東京のいわて銀河プラザは継続させていただきますが、新たに首都圏の百貨店、さらに、こだわり米を販売しております首都圏の米穀店、このようなところをターゲットに販路開拓していきたいと、今、準備を進めているところでございます。
〇岩渕誠委員 ちょっと今の答弁で残念なのは、1ヘクタール、2名といいますと、ちょっと少ないなと。これは、もちろん農家のできる、できないという条件が、2ミリで振るって、農薬成分は特栽の半分の4成分で、しかもGAPをきちんとやって、食味は特Aでなければいけないと、かなりハードルの高いものですから、限定されるというのはいたし方ないところではあるんですけれども、実は僕は、いろいろと回っていると、潜在的には取り組みたいという農家は多いと思うんです。これは、プレミアム米への取り組みに対しての周知の方法がちょっと足りないんじゃないかと思って、それがまさに1ヘクタール、2名というところにつながっているんじゃないかと思っているんです。せっかくの政策なので、これはもっとできるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
〇浅沼流通課総括課長 本年度から、平成22年産米から本格実施という位置づけでございます。それでもまだ生産量としては決して多くはないと思ってございます。潜在的にそういった取り組みをなさりたいという方がおられようでありますれば、私どもとすればいろいろお声はかけさせていただきたいと思います。
 ただ、その一方で、現在の米を取り巻く環境が非常に厳しいものがございます。低価格指向中心となってございまして、米の販売環境が極めて厳しい中ですので、急激にプレミアム米を大量に生産して販売が順調にいくかといいますと、なかなか楽観できないのではないかと。そういうようなものをトータルでいろいろ考えながら取り組んでいきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 販売環境はよくわかるんです。厳しいのはみんなわかるんです。でも、そこで勝つためにプレミアム戦略をとって、プレミアム米という、農家から言えば非常に極限のお米ですよ、技術的に言うと。そこをやっているということは、農家も、これが例えばいもち病に一つかかってしまえば、あるいはカメムシにかかってしまえば一般米に回るというリスクを背負いながらやっているわけですから、それは、県として進めるということを決めた以上は不退転の覚悟で、まさに遂げずばやまじでやっていただかないと、本当に、今、岩手県南部のひとめぼれの実力がきちんと評価されていないんですから、それはやっぱりきちんと受けとめてやっていただきたいと思います。所感があれば後で伺います。
 それから、2人ということでやるわけですが、去年、一つの農家組合でやったわけですけれども、さまざまな支援を県からいただいていると思います。今後どうしていくのか。
 それから、やはりやりたいといったときに、技術的に難しい部分があるわけですけれども、そこの指導をどうするかということと、それを周辺の農家に対してきちんと技術公開をしていく、あるいは講習会をしていくということも極めて必要なことだと思うんですが、その辺の方策はどのように考えておられるでしょうか。
〇浅沼流通課総括課長 前段の所感と今後の支援につきまして、内容が重複いたしますので、一つでお答えさせていただきたいと思います。
 支援といたしましては、生産と販売、大きく2本立てでいきたいと考えてございます。
 生産面におきましては、減農薬の実証圃、農業研究センターの指導、支援を受けながらそういった設置をするとともに、良食味米の生産のための栽培指導、これは農業改良普及センターからということになりますが、そういった支援。一方、販売面におきましては、一言で言いますとPRになりますけれども、我が県とか関係団体で持っておりますホームページ、さらには、贈答用として非常に売れておりましたので、贈答用のカタログへの掲載の働きかけ、もちろんパブリシティー等の活用、こういったものをいろいろな、ありとあらゆると言ってはちょっと大げさかもしれませんがやっていきたいと考えておりますし、販売方法につきましても、平成21年産米の試験的な販売におきますと、対面で説明をしながらの販売がこのお米につきましては非常に有効だということがわかってございますので、そういった販売方法についてもより徹底をしながら取り組んでいきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 PRの観点で申し上げますと、確かにPRをあらゆる面で、インターネットで、ホームページでという話があるんですが、これはやっぱり味なんですね。対面販売がよかったというのは、要するに試食をしたからなんですよ。やっぱりプレミアム商品というのは、食べて、消費者がこれはうまいなということを感じて、じゃ、買ってみたいと、こうなるわけであります。したがって、PRの仕方というのもやはり、いかにこれを食べてもらうか、やっぱり消費者の入り口をどれだけ多くつくるかという、実際に食べるということですよ。頭で食べる人はなかなかいないものですから、口から入るものですから、そういったところにやっぱり工夫をしていただきたい。
 そういう意味で言うと、本会議でも言いましたけれども、幾らいい米をつくっても、やっぱり2キロの袋だとか5キロの袋ではだめなわけですよ。たまたま東京では1キロで売っていました。1キロで売っていますけれども、やっぱり1キロでも重いんですよ。今、こだわりの米屋さんは、ほとんど500グラムとか300グラムとか、1回炊き切りのものを1度食べてもらって、絶対の自信があるから次は2キロを買ってください、こういうようにやっているわけです。
 小口に分けてやるのは本当に大変だと思います。手間もかかると思います。しかし、消費者に届いて何ぼなわけです。そこの入口の部分をもうちょっと工夫しないと、本当にせっかくやってきている農家はこれから全体を底上げしようという意欲がそがれると思うんですが、具体の販売戦略をもうちょっとお考えいただきたいんですが、方策はありますか。
〇浅沼流通課総括課長 岩渕委員のほうからは平素からいろいろ御提案をいただいていると思ってございます。ありがとうございます。
 実際に今年度、平成21年産米で試食販売などをやってアンケート調査もしてございますが、消費者の反応は、このプレミアム米につきましては、農薬の使用という部分と食味という部分に非常に大きな関心を寄せていただいていると思っております。
 したがいまして、PRするときもその2点をやはり重点的にやっていくのが有効ではないかと。それから、量目の関係につきましては岩渕委員のおっしゃるとおりでございまして、販売する側からしますと少し手間がかかる部分はございますけれども、有効な販売手段ということが今回わかりましたので、いろいろ工夫しながら前向きに取り組んでいきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 逆に、ことしも量が5トン程度だということであれば、いろいろ広範に膨大に経費がかかるという話ではないですから、やはり押し込んでいくための努力というのはぜひしていただきたい。
 特に今、魚沼コシヒカリを初めとする新潟の神話的なものは大分崩壊していると私は思っています。だんだん値段が標準化されてきている中で、本当にこれからおいしいものはどこなんだということが求められるときに、このプレミアムの取り組みというのはやっぱり僕は続ける必要があるし、成功させなければ岩手のお米の未来がかかっていると思っていますので、ぜひそこはお願いしたいと思います。
 次の質問に移りますが、そういったプレミアム、お米だけでなくていろいろ取り組んでおられますけれども、新年度、今までいろいろなプレミアムがありましたけれども、プレミアム戦略の中でどのものに拡大をしていくのか、もし取り組みが決まっているものがあれば教えていただきたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 これまでは、お米でありますとかプレミアムの短角牛でありますとか、もう既に開発をしてきたと思ってございます。
 今後という部分につきましては、日本一の生産量を誇っております雑穀に関する部分、さらに水産物になりますが、新たな養殖品としてのマツモでありますとかエゾイシカゲガイ、こういったようなもの、さらには、肉質5等級にかかわりますいわて牛の部分、こういったところに視点を当てまして、新しいプレミアム商品の開発という部分に取り組んでいきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 水産物にも広げるということですから、それは非常にいいことだと思います。
 いずれ拡大をしていくときには、何にこだわって何を売り物にしているのかを明確にして、さっきのお米と同じですけれども、やっぱり消費者が直接口にできるような体制でいくことが一番岩手の農産品のよさをわかってくれる最大のものだと思いますので、今の量が少ないときが逆にチャンスだと思いますから、そういうめり張りのついたお金のかけ方、人のかけ方、時間のかけ方をしていただきたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、プレミアム商品をいろいろつくっていく、販売戦略の今、出口の話をしておりましたけれども、原点に戻ると、やっぱりプレミアム商品、高品質でおいしいものをどうやってつくっていくか、これは非常に技術力の伴うところだと思います。今お話のありましたプレミアムの和牛、いわて牛五つ星、これなんか特にそうなんですけれども、やはり技術力によって、あれは英語の等級じゃないとそのプレミアムを名乗れないということになります。それがやっぱり価格にも実際に反映されてくるわけなんですけれども、そうなると、やっぱりふだんの技術指導をどうやっていくのか。
 それは、先ほど大宮委員とのやりとりの中でも農業普及員の話も出ましたけれども、この技術的な部分をきちんとまず根本でやっていかないと、プレミアムの全体がぶれちゃうというか発信しませんので、やはりプレミアム商品全体を底上げしていく、あるいは量の拡大をしていくためにもその技術指導というのは欠かせないと思うんですが、どういう考えで、具体にどのように行っていくつもりかお示しいただきたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 プレミアム商品につきましては、お尋ねの中にもございましたけれども、一般の商品に比べまして、客観的かつ明確な高度な基準で品質がよいものという位置づけでございます。したがいまして、当然品質のよいものをつくるための技術指導が必要でございます。
 質問の中にありました例でまいりますと、牛の話がございました。牛につきましては、JAなどと連携しまして肉質の向上を目指した技術支援に従来から取り組んできているところでございますが、来年度、お話のありました5等級の牛肉になりますプレミアム牛の開発に向けまして、遺伝子情報を活用いたしました優良種雄牛の生産や枝肉共励会によります肥育技術の向上などに引き続き支援をしていきたい。
 今後、各研究センターで開発されました新技術の導入や、普及センターによります技術指導によりましてプレミアム商品の開発にも積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 いずれ技術が最後は物を言うんだと思います。ただ、やはり農業普及員も大変忙しい中で頑張っていて、なかなか手が回らないというのも現状だと思います。そうした中で、農研センターの技術も、せっかくいいものを持っていてもなかなか伝わらない。そういう中で、例えば部会とか成果を上げている人たちが情報公開をして、技術の均てん化をその地域で図っていくことが実は産地づくりにも一番有効ですし、それがマーケットに対しても有効だという例、特に牛の例なんかであります。
 それと、牛の例でいいますと、肥育部会だけがよければいいというものではなくて、繁殖との連携とか、やっぱりいろいろなところで技術の公開をしながら意見交換をしながらということが必要だと思うんですが、現状でいうとなかなかそれが進んでいない地域も多いと思います。せっかくそれぞれ個々が技術力を持っても内にこもってしまう。技術を公開しないというところが結果として地域にとってはマイナスの部分もあると思います。その辺も含めて、ぜひプレミアム戦略、大変期待しておりますし、本当に不退転の決意で取り組んでいただきたいと思います。
 そのことを申し上げて、所感があれば伺って終わります。
〇浅沼流通課総括課長 私ども、販売のほう、いわゆる川下側を主に担当させていただいておりますが、川下側から川上側への情報の伝達というものをこれまで以上にやっていかなければいけない。品質を上げていくためにはそういったものを強く意識していかなければいけないと感じております。
 先ほど一貫経営の話とかございましたし、世代間、地域間、さまざまな連携先があると思いますけれども、そういったところに川下側からもこれまで以上に積極的な情報提供をして、より品質の高いものが生産されるように取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 最初に、来年度の農林水産予算の状況について聞きます。
 県の予算総額が6.1%増額になっているときに、農林水産部の予算は41億8、680万円、6%減少となりました。減少となった具体的な理由は何でしょうか。
 農業農村整備事業の国の予算が63%も削減されましたが、その影響、それに対する県の対応はどうなっているでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 農林水産部予算減少の具体的な理由でございますが、これは、国の公共事業費の削減によりまして、経営体育成基盤整備事業あるいはため池等整備事業費などの土地改良事業を初めとした農林水産関係の公共事業費が減少したこと、及び漁業指導調査船岩手丸、これは先般新聞にも報道されましたが、代船建造事業が完了したために、これはおよそ10億円ほどございましたけれども、こうしたことによって減少したものでございます。
〇沼崎農村建設課総括課長 国の農業農村整備事業の予算が削減されたが、その影響と今後の県の対応はどうかという御質問でございました。
 国の農業農村整備事業予算、お話があったとおり削減されたわけでございますけれども、一方、農山漁村地域整備交付金という新たな制度が創設されたところでございます。しかしながら、現時点では国からの具体的な配分額が示されておらない状況でございまして、本県への影響額については明らかになっておりません。
 次に、県の対応でございますけれども、県では、先般可決いただきました平成21年度2月補正予算及び現在御審議いただいております平成22年度当初予算において、必要な事業が継続されるよう事業費の確保を図ったところでございます。
 今後におきましては、生産基盤の整備がおくれている本県の実情を訴えながら必要な財源の確保に努めてまいりたいと思っておりますし、とりわけ水田の整備あるいは老朽化が著しい農業水利施設の改修に重点を置きまして、本県農業の振興に向けた生産基盤の計画的な推進に努めてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 農業農村整備事業が63%も削減されたと。その経過について、新聞報道では、土地改良政治連盟の政治的態度が悪いと、そんなところに予算をつけるわけにはいかないと、これは民主党幹事長の一声でばっさり削られた、こういう報道があるわけで、私は、公共事業の見直しというのがあったとしても、こういう形でばっさり削られるのはいかがなものかと。これは部長の所感をお聞きします。
〇瀬川農林水産部長 国の予算の減額の背景等について私のほうから申し上げるのは適切ではないと思いますが、いずれ農業農村整備事業につきましては、担い手の育成、あるいは食料の安定供給を支える重要な事業と認識しております。県としては、これからも受益農家からの要望にこたえられるよう、予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 先ほど農山漁村整備交付金が、これは全国で1、500億円ですよね。岩手県はたくさん確保したいということがあっても、これは47都道府県に配られるわけで、今回、土地改良費が31億円減になっているじゃないですか、予算で。そこを補てんする見通しというのはあるのかどうか。
 それと、予算全体でお聞きしますが、総額651億円の農林水産部予算の中で公共事業費が占める比率、価格補償費の占める比率は幾らになっているでしょうか。
 あわせて、担い手アクションサポート事業が事業仕分けで、県の協議会分、市町村の協議会分、2億6、411万円も廃止されました。この事業のこれまでの役割、これへの県の対応はどうなっているでしょうか。
〇沼崎農村建設課総括課長 農業農村整備の関係、いわゆる土地改良の関係あるいは農地防災事業費の関係、合わせますと、平成21年度当初予算に比べますとお話があったとおり30億円ほどの減になっております。当初予算比で申しますと84%ほどになっているわけですが、先ほどお話し申し上げたとおり、平成21年度の補正予算で19億円ほど計上させていただいております。前倒しという観点で計上させていただいております。それも含めますと約93%ということで、とりあえず必要なところには当面の事業費は計上できたのかなと考えております。
〇高橋農林水産企画室企画課長 予算額に対します公共事業費の割合でございますけれども、農林水産部全体でその当初予算額651億円余に対しまして公共事業費は358億円余で、その比率は55%でございます。
〇井上担い手対策課長 担い手アクションサポート事業のこれまでの役割と今後の県の対応についてでございますけれども、本県におきましては、岩手県農業会議や岩手県農業協同組合中央会などで構成いたします岩手県担い手育成総合支援協議会と、それから各地域協議会がございまして、平成19年度から本事業を導入しております。
 認定農業者や集落営農組織に相談、助言活動を行うコーディネーターの配置や税理士等の専門家を派遣した経営能力向上支援などを実施してきたところであり、経営の高度化や多角化などに大きな役割を果たしてきたところでございます。
 平成22年度からは、この事業が廃止されることになりました。県といたしましては、平成22年度当初予算でいわて型集落営農緊急強化事業を新たに措置させていただき、県協議会にコーディネーターを設置することとしたところでございます。
 今後におきましても、県協議会や地域協議会と連携しながら、認定農業者や集落営農組織の経営のレベルアップを引き続き支援してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 国のレベルでも戸別所得補償というのは五千数百億円予算化されたけれども、国の農業予算は初めて2兆5、000億円を割ったと。10年間連続でマイナスになったと。軍事費の半分になってしまったと。私は、そういう意味でいけば、本当に農業を振興する国の予算でもなかったと。
 そして、県に対しては、こういう農業農村整備事業を63%削るとか、あと、今、私も指摘した担い手アクションサポート事業は2億6、000万円余の事業をやられていたんだけれども、これは事業仕分けで廃止ですよ。本当に農業政策が極めてちぐはぐだなと、一体性がないなと、これは指摘だけにとどめて次に進みます。
 米の戸別所得補償制度について、私は三つの問題点があると思います。一つは、戸別所得補償の水準が1俵1万3、703円と基準が低過ぎる。もう一つは、米価暴落への対策がない。これで再生産が可能な補償となるのか。米価暴落の状況、対策、県産米の生産費と生産者の時給はどうなるかを示していただきたい。
〇工藤水田農業課長 戸別所得補償制度について3点ほどのお尋ねがございました。
 1点目でございますけれども、平成22年度に実施されます米戸別所得補償モデル事業では、10アール当たり1万5、000円の定額分のほか、米価下落に対応する変動部分が交付されることとなっておりまして、米価下落時にあっても再生産は可能な補償となっております。
 2点目でございますが、平成21年産米の最近の米価についてでございますが、直近の米価格センターにおきます入札価格では、本県産の主力品種でありますひとめぼれの価格は60キロ当たり1万4、405円と、平成20年産に比べまして445円、約3%の低下となってございます。
 また、現行の米価下落対策といたしましては、水田経営所得安定対策と、それから稲作構造改革促進交付金が措置されておるところでございます。
 3点目でございますが、県産米の生産費についてでございますが、国の生産費調査によりますと、平成20年産では60キロ当たり1万4、613円となっております。
 また、時給換算の労賃につきましては、平成19年産以降、粗収益や所得が公表されておりませんことから、時給労賃の基礎となる家族労働報酬をお示しすることができない状況になってございます。
〇斉藤信委員 60キロ当たり1万5、000円、これはもう岩盤対策で出ると。しかし、今、米価のお話を聞きましたけれども、入札価格で1万4、405円、生産者の仮渡し金は1万2、300円です、岩手ひとめぼれで。これに1万5、000円足しても1万3、800円にしかならない。今、生産費は1万4、613円と利子代を除いて低い価格で出したけれども、私はそれでも生産費を下回ると思いますよ。
 もう一つは、今、流通でどういうことが起きているかというと、1万5、000円出るんだから、買いたたきが出ているんですよ。だからますます米価は暴落すると、今、農家が一番心配しているのはそこなんですよ。この1万3、000円の上限価格では生産費を守れないというのと、どんどん下がってしまう。下がる対策がないということなんです。
 私は、そういう意味では、やっぱりここの欠陥について、生産県として問題を提起していく必要があるのではないか、改めてお聞きします。
 あわせて、転作作物への補助の大幅な減額がありました。激変緩和もありまして、さまざまな調整で例年並みということで、これは皆さんの努力を私は評価したいと思うんです。
 問題は、激変緩和は1年限りでしょう、これ自身は。そうすると、じゃ、来年の見通しはどうなのかと。ことしの作付もそうでしたけれども、秋の段階で決めちゃうわけですよ。今ごろ助成単価が示されたって、これから作付を変えるわけにはいかないわけですよ。だから、激変緩和措置も本当に来年の見通しを早く出さないと、ことしの秋の作付もできないということになってしまうのではないか。これは2点目。
 3点目も質問しますが、実は政府が出した成長戦略の中で、輸入自由化推進と一体で進めるというふうに表現をしているのですよ。こういうふうになってます。農業の戸別所得補償制度と農産物の関税引き下げを一体化して自由貿易協定FTAを促進すると。結局、自由化交渉を進めるために戸別所得補償をやるということに、前からもそう言っていたし、そういうふうになっているわけです、成長戦略で。これだったら、本当に米価を守れない、農業を守れないことになってしまうのではないか。その点についてどうでしょうか。
〇工藤水田農業課長 1点目につきましては、まず、この戸別所得補償モデル対策につきましては平成22年度におきましてモデル実施をし、それを国として検証することになってございます。ですから県といたしましても、ことしの現地の置かれた実情を検証しまして、必要な施策、県の実情につきまして国に対して提案してまいりたいと考えておるところでございます。
 2点目の激変緩和措置についてですが、これは本会議でも答弁いたしておるところでございますが、今回の激変緩和措置については、国としては平成22年度において安定的な生産体制が維持できるようにということで措置されたものであると。現段階におきましては、平成23年度以降の国の対応は示されていないところでございます。
 また、助成水準につきましてもそういう状況でございまして、今回の作物間での単価調整、さらには地域の実情に応じて減額となる作物への加算を可能とする激変緩和調整枠の活用の対応によりまして、おおむね現行水準が確保できるというふうに考えているところでございます。
 いずれ、今回行われました対応につきまして、ことし1年の動きを見まして、本県の実情を踏まえました提案を国にしてまいるという考え方に立って、今、進めておるところでございます。
〇高橋農林水産企画室企画課長 輸入自由化推進との関係でございますが、国におきましては、正確には参議院本会議の席上と認識してございますけれども、FTA等の締結等を前提して戸別所得補償を実施するものではない旨の見解が示されているものと認識しているところでございます。
 御指摘の新成長戦略について、戸別所得補償制度の農林水産分野の部分を確認しましたところ、食料自給率の低下、就業者の高齢化、収益性の低下などの課題が山積している中で、農業経営の安定化を図り、農山漁村の潜在力が十分発揮されるよう創設すると記されているものと認識しているところでございます。
〇斉藤信委員 最後のところの日米FTA、EPA、これは今、太平洋FTAという形でこれを促進するとなっているんですよ。いわば戸別所得補償をやるから自由化を進めるんだと。これは一体でやられているというところに私は大変な危険性があるので、もっと正確に見て、やっぱり言うべきことはしっかり国に言っていただきたい。これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、いわて型集落営農の実態と状況についてお聞きします。
 集落営農組織、先ほども質問がありましたが、実際にどういう熟度になっているのか、これを示してください。そして、いわて型集落営農、いわて型と言っている、このいわて型集落営農の状況、実態はどうなのか。
 政権がかわりましたが、当初、集落営農の5要件というのがありました。結局、これは農家を選別するという形で集落営農というのを導入された経過がありましたが、これは政権が交代して、5要件というのはなくなったんでしょうか、残っているんでしょうか。これをはっきり教えてください。
 それと、戸別所得補償制度の影響も先ほど質問がありましたが、現実に集落営農をやっている農家は、戸別所得補償制度で結局農家個々に入るわけですから、集落営農としては大変な危機感を持っているわけです。そこらあたりが、本当に集落営農でこそメリットになるのだというふうにあなた方が説明しているのか、根拠を示しているのか、そこらも含めて教えてください。
〇井上担い手対策課長 いわて型集落営農についてのお尋ねでございます。
 まず、集落営農組織等の状況についてでございますけれども、現在、県内の集落営農組織は425組織ございまして、組織数は着実に増加してきていますけれども、その内容については発展段階はさまざまでございまして、構成員が個別に農作業を行っている任意組織がそのうち55%、機械を所有し、担い手への農地集積が進んでいる任意組織が30%、既に法人化された組織が15%というような状況になってございます。
 また、いわて型集落営農は、担い手農家を中心に小規模、兼業農家も参加する地域ぐるみの営農活動でございますけれども、県内各地域において、地域の人材を生かし、園芸作物の新規導入や農作物の加工、販売のアグリビジネスへ進出するなど、経営の高度化や多角化に取り組む集落がふえてきているところでございます。
 次に、集落営農の条件でございますけれども、平成22年度の国の事業におきまして、事業実施基準として集落営農の要件が定められているのは、水田経営所得安定対策と戸別所得補償モデル対策の二つでございます。
 水田経営所得安定対策につきましては、組織の規約、対象作物の共同販売経理、農用地の利用集積等、従来どおりのいわゆる5要件を満たすことが必要とされております。
 一方、平成22年度から新たに実施されます戸別所得補償モデル対策では、水田経営所得安定対策の5要件を緩和いたしまして、組織の規約があり、対象農産物の共同販売経理を行っていることの二つの要件のみとすると聞いてございます。
 それから、いわて型集落営農についての戸別所得補償制度の影響と対応でございますけれども、その影響につきましては、まず、戸別所得補償モデル対策につきましては戸別所得補償モデル事業と水田利活用自給力向上事業の二つの事業から成っているということで、稲作では、米戸別所得補償モデル事業に参加することによりまして、米の生産数量目標に従って生産する集落営農等の販売農家に対して水稲作付10アール当たり1万5、000円が交付されると。県全体では新たに74億円の交付が見込まれることになります。また、水田での麦、大豆等の生産、いわゆる転作につきましては、水田利活用自給力向上事業の激変緩和措置が講じられたことから、現行制度の助成水準がおおむね維持されると見込んでおります。これによりまして、本県がこれまで取り組んできたいわて型集落営農への直接的な影響はないものと考えております。
 また、集落への交付につきましては、共同販売経理ということで集落の代表者等の名前で販売し、また交付されるということでございますので、その辺の交付額の配分等につきましては、各集落でそれぞれその集落の経営が持続的なものとなるように指導しておりますし、そのようにお話をさせていただいているところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 畜産酪農経営が今もう危機的な状況になっております。私は項目的に聞きますから、簡潔に、答えだけ答えるようにしていただきたい。
 飼料価格の高騰と、あと、生乳事業の低迷ということで、畜産農家の今の現状、そして畜産農家が減少しているのかどうか、離農状況があれば示していただきたい。
 加工原料乳生産者補給金の引き上げと限度数量の引き上げはどうなったか。
 酪農ヘルパー事業への支援はどうなっているか。
 肉用子牛補給金の補償基準価格、マルキン事業の状況はどうなっているか。引き上げが必要ではないかと思うが、いかがか。
 飼料用米の生産拡大、支援策はどうなっているか。飼料自給率の実態と向上策について示していただきたい。
〇徳山畜産課総括課長 畜産酪農家の経営状況でございます。
 私のほうから畜産農家の現状と飼料用米等の生産拡大についてお答えいたします。
 まず、畜産農家の現状でございますけれども、御案内のとおり、近年の畜産をめぐる情勢は、配合飼料価格の高どまりや景気が長期にわたって低迷していることなどにより、畜産物価格が低迷しております。経営状況は極めて厳しい状況となっております。
 県内の畜産農家の収益性を試算いたしますと─これは生産費調査をもとにいたしまして直近の畜産物価格及び配合飼料価格で修正したものでございます─、飼料価格が高騰する前の平成18年度と本年の推計値を比較いたしますと、まず、酪農経営では搾乳牛1頭当たり6万5、000円の所得のマイナス、肉用牛繁殖経営では子牛1頭当たり18万8、000円の減少、肉用牛の肥育経営では肥育牛1頭当たり28万円の減少、このようになってございます。
 次に、飼料用米あるいはホールクロップサイレージ用稲の生産拡大への支援策についてであります。
 まず、水田利活用自給力向上事業では、飼料用米やホールクロップサイレージ用稲に対する交付単価が10アール当たり8万円とされております。農業者の関心は高くなっておりますけれども、これらの生産拡大に当たりましては、安定的な需要の確保や所得確保のための生産性の向上、耕畜連携の仕組みづくりなどが不可欠であります。
 県といたしましては、畜産農家や飼料メーカー等の需要把握とマッチング、低コスト生産のための直播栽培技術の普及や団地化の促進、既存施設の活用による飼料用米の貯蔵や家畜への給与実証試験などを通じまして生産の拡大を促進しているところであります。
 飼料自給率の実態と向上策についてでありますが、飼料自給率は畜種によって異なりますが、全国ベースの畜産全体では26%となっております。
 県といたしましては、畜産経営の安定のためには飼料自給率の向上が重要であることから、国の補助事業の導入などにより公共牧場の計画的な整備を促進するとともに、水田耕作放棄地等を活用した飼料作物の生産拡大など、自給飼料の増産を支援していくことにしております。
 先ほど農家の減少の状況はどうなっているのかというお尋ねがございました。
 畜産統計によりまして平成20年から平成21年までの状況を見ますと、まず、肉用牛の飼養戸数では260戸の減少となっております。また、酪農家の戸数では80戸の減少となっております。この水準につきましてはここ数年の傾向と大きな変化はなく、飼養戸数の減少の原因については、従来からの課題であります高齢化や後継者不足、このような複合的な要因が背景にあるものと認識しております。
〇千葉振興・衛生課長 加工原料乳生産者補給金についてでございますが、平成22年度の補給金単価は本年度同額の1キログラム当たり11円85銭で据え置き、限度数量は全国ベースで本年度より10万トン少ない185万トンとなっております。
 次に、酪農ヘルパー事業についてでございますが、酪農ヘルパー事業は、酪農従事者の作業労力を軽減し酪農経営の安定を図る上で極めて重要な事業であり、県では平成4年度に酪農ヘルパー基金造成に助成を行い、これまで、この基金を活用してヘルパー利用組合の運営を支援してきたところでございます。
 今後とも安定したヘルパー活動を支援するため、平成22年度から拡充される国の酪農経営安定化支援ヘルパー事業の積極的な導入を促進するとともに、広域振興局、市町村、それから農協などと組織いたしておりますいわて酪農の郷サポートチームによりヘルパーに対する技術向上のアドバイスなどを行うなど、その活動を支援してまいります。
 次に、肉用子牛補給金の保証基準価格、マルキン事業についてでございますが、肉用子牛生産者補給金制度の平成22年度保証基準価格は据え置きとなっておりますが、国では、この制度を補完する事業として新たに肉用牛繁殖経営支援事業を創設したところであり、これらを合わせて保証基準価格は実質的に引き上げられております。
 また、肉用牛肥育経営安定対策事業、いわゆるマルキン事業についてでございますが、国では、マルキン事業と肉用牛生産者収益性低下緊急対策事業、いわゆる補完マルキン事業とを統合し、3カ年の対策として、家族労働費と物財費の8割を補償する肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マルキン事業を創設することといたしております。
 県といたしましては、肉用牛経営の安定を図るため、これらの対策の積極的な活動を支援してまいります。
〇斉藤信委員 最後にします。
 競馬について3点お聞きして終わります。
 来年度の競馬事業について、先ほど来議論がありました。私も、一つは、コスト削減、収支均衡というのは限界に来ているのではないかと。もう削るところはなくなっているんじゃないかというその点はどうなのか。
 二つ目は、そこともかかわりますが、馬資源の確保策。やっぱりいい馬を確保していいレースをつくる、この点が今、大変大問題になっているのではないか。
 三つ目は、知事が経営改善などのための新たな投資が必要だとして財源確保の方策を検討する考えを示したと。これは実際にどういうふうに検討されているのでしょうか。これは極めて重要な競馬存続の条件にかかわる問題なので、この知事の発言とその具体的検討はどうなっているのか、この3点を聞いて終わります。
〇大友競馬改革推進室特命参事 まず、1点目のコスト削減、収支均衡が限界に来ているかというお尋ねでございますけれども、岩手競馬は新計画のもとで、競馬事業で得られる収入ですべての支出を賄い、単年度ごとに収支均衡を達成することが事業存続の条件とされておりますので、これまで、競馬関係者や取引先企業などと話し合い、協力いただきながら売り上げの確保やコストの調整に取り組んできたところであり、平成21年度も3年連続となる収支均衡を達成する見込みとなっております。
 今後におきましても、現実的な売り上げ見通しに対応したコスト管理を徹底し、毎年、収支均衡を達成していくことが基本と考えており、引き続き低コスト構造への転換に向けた取り組みを進めるとともに、さまざまな工夫によりまして売り上げの確保を図りながら収支均衡の達成のために全力で取り組んでまいります。
〇宮理事心得 2点目の馬資源の確保策についてお答えいたします。
 委員御指摘のとおり、馬資源の確保は我々も非常に重要なことだと考えてきてございます。平成20年度に前年度に比べまして馬が減少傾向になったこともありまして、平成21年度につきましては、早期出走手当でありますとか、あるいは2歳馬を中心にして、いわゆる若齢馬の入厩促進を図るために賞金を上げるという対策を講じた結果、平成21年度につきましては、年度後半、若干下がりましたが、年度を通じて前年度よりも入厩頭数が多かったという状況になってきてございました。
 さはさりながら、平成21年度末には馬資源の減少傾向が見られましたことから、平成21年度、コスト削減を2期、3期、4期と行いましたけれども、3期以降については賞金あるいは出走手当も引き下げないというふうな措置をとりましたし、平成22年度の当初予算に当たっても、そこは下げないという措置をしたところでございます。
 そのほか、平成22年度の当初予算に当たりましては、早期出走手当の継続あるいは牝馬の重賞競走ということで一部賞金を拡大するという取り組みも行っているところでございまして、先ほどお話もありました魅力のあるレースというのは、当然いい馬をどうやって集めるか、あるいは少頭数にならないような頭数立ての馬をきちっと確保できるかにかかっていると思っておりますので、平成22年度に向けてもそういう手当てをいたしましたし、今後についても配慮していきたいと考えてございます。
〇松岡競馬改革推進室長 財源確保のための方策の検討でございますけれども、岩手競馬を継続していくためには、まず、現在の施設設備の更新、それから経営改善、それから売り上げを拡大していくための新規の投資、これはやっぱりぜひとも必要だと考えてございます。
 基本的には、そういう財源については毎年度毎年度利益を生み出しまして、それを基金として積み立ててそれを充てる、それが基本、原則だと考えているところでございます。
 ただ、残念ながらなかなか基金を積み立てることができないということで、ではどうやってそういう財源を生み出していくかということを、構成団体、私ども県、それから両市、そして組合ともども実務的にどういう方策があり得るかということを考えているところでございます。
 ただ、岩手競馬は、県民の皆様、市民の皆様の負担をこれ以上ふやさないという原則のもとでのさまざまなルールを決めていただいて、そのもとで今やってございますので、そこら辺を十分整合等々を図りながら検討してまいりたいと考えているものでございます。
〇及川あつし委員 瀬川部長にお尋ねしたいと思います。
 最後の予算特別委員会になってこういう質問で大変恐縮なんですが、私も職務上どうしてもやらざるを得ませんので、申しわけございませんが、よろしくお願いしたいと思います。
 いわてNPOセンターに関してであります。
 この件については、3月3日、一般質問で瀬川部長にお尋ねいたしたところでありますが、なぜ農林水産部長にこれをお尋ねするかというと、もちろん地域振興部が認証と監督権限を持っているところですから、本丸は地域振興部であるということで、そちらのほうでも質疑を交わしてきたところでありますが、農林水産部についても、契約ベースで私の計算だと、この5年間で出先も含めて1億3、000万円ほど委託事業を出していると。私のもとに届いているいろいろな声も、農林水産部に関係する部分がかなり多いんです。
 ですからあえて前回もお尋ねしたわけですが、3月3日いただいた御答弁については、関係者の皆さんがインターネットとかいろいろなところでごらんになっていたようでありまして、関係者の皆様の声を総合すると、落胆と憤りと、あとは新しい情報も含めてまた私にいろいろとお話があったところであります。私も承服できなったんですが、その後、御案内のとおり5日に新たな事実が発覚して8日に新しい対応方針がなされ、その後、当予算特別委員会でも地域振興部のほうから新しい認識と対応の方針も出されたところであります。
 知事部局内でもいろいろな協議とか対応もあったとは思うわけですが、改めて、細部についてというよりも、部長に総括的に今回の事案についての経過の認識と今後の対応について、総括的で結構でございますのでお伺いしたいと思います。
〇瀬川農林水産部長 グリーン・ツーリズム事業につきましての認識についてのお尋ねでございますが、いわてグリーン・ツーリズム県外営業活動強化事業におきまして、事業の受託者であるいわてNPOセンターが旅行業法に違反するなど、県事業の受託者としての適格性に問題があり、事業を途中で中止せざるを得なかった事態に至ったことは極めて遺憾でありまして、私どもとしても大変申しわけなく思っております。御答弁の中でこうした点が十分でなかったとすればお許しいただきたいと思います。
 事業を委託した県として、適正に事業を推進するため、現在、部内で検証チームを発足させて再発防止策を検討しております。平成22年度の公募や委託の際は、旅行業法の免許取得事業者に事業対象を限定する方向で検討しております。これは、先ほども別な御質問への答弁の中で若干触れておりましたが、第1種旅行業または第2種旅行業に限定することにしております。
 それから、雇用人数を緩和いたしまして、平成21年度の場合3名以上ということで、その中にちょっと問題があるのではないかといったような御指摘のあった部分が含まれておりましたが、ここのハードルがちょっと高いというような御意見もいろいろありますので、平成22年度は2名以内とするといったような委託要件の見直しも行っております。
 旅行業法等関係法令に精通した関係課の協力も得ながら、定期的に事業の進捗状況を帳簿等で進行管理するなど、こうした事態が二度と発生しないように最新の注意を払って事業の進行管理をしてまいりたいと考えております。
 なお、地域振興部の新たな対応方針で、いわてNPOセンターの企画競争等への応募を受け付けないこと、また、同法人が県委託事業の下請や再委託等を受けることを認めないことといったことがございますが、当部所管の平成22年度いわてグリーン・ツーリズム県外営業活動強化事業の公募の際には、旅行業法の免許取得事業者に事業対象を限定いたしますことから、これは1種または2種の旅行業ということになりますので、同法人は応募または下請等の要件を満たさないことになるものでございます。
〇及川あつし委員 新たなる検証チームを発足されたということでございますので、きちっと御検証をお願いしたいと思います。
 今、私の立場からすると、農林水産部内の自浄作用に大いなる期待をいたしたいという段階であります。もし自浄作用できちっと検証がされないのであれば、地域振興部でも申し上げましたけれども、県民の声に基づいて、議員としての権能に基づいていろいろなお話もせざるを得ないと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 第2部についても委託の件もあると思うんですが、それについてはまた別途、必要があれば質疑を交わしたいと思いますが、きょうはこういう点で指摘にとどめさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇工藤勝博委員 当該委員でもありますので、簡単に二つほどお伺いいたします。
 私も農業の現場の真ん中にいる者の一人として、平成22年度の農林予算が減少になったということで大変不満と不安を持っている一人であります。そういう中で、特にも農業振興に大きくかかわる発信の拠点基地になっております農業研究センターの大幅な予算削減、本当に残念です。
 特にも、ここ10年来、園芸品目の落ち込みが相当な金額になっております。そういうことも含めまして、農業研究センターの減少した主な箇所といいますか、要因はどのようなところなのでしょうか、お聞きいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 農業研究センター費の中では、試験研究費、それから高生産性農業技術開発促進研究費など、個別というよりも全体的に減少したということでございます。
〇工藤勝博委員 何か余りよくわからないんですけれども、県では昨年、隣の青森県の産業技術センターあるいは盛岡にあります東北農業研究センターとの連携で品種開発・改良、技術開発をするということになっておりますけれども、青森県の産業技術センターも東北農業研究センターも独立行政法人に移行しております。そういう中で、外部の資金とかいろいろな民間の資金を入れながら開発にスピードアップをかけていると伺っております。
 そういう中で、岩手県の研究センターも、工業技術センターは4年前ですか、なっていますけれども、私は農業研究センターもぜひとも独立行政法人にして、スピードなり、あるいはまたいろいろな角度からの研究開発を進めるべきだろうと思いますけれども、そのことに関してはどういう議論をなされているのかお聞きいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 農業研究センターの独立行政法人化についてでございます。
 独立行政法人化、いわゆる独法化でございますが、県の検討経過の中では、予算の機動的な執行が可能であるというメリットがある一方で、県の行政や普及部門との連携が弱まること、あるいは独立採算制となった場合には、工業技術分野とは異なって、農林水産業者からの研究収入を見込むことが困難であるなどさまざまな課題がありますことから、当面は独法化を行わないこととしております。
 本県におきましては、水産現場の技術課題にスピード感を持って取り組むため、平成20年度から分野横断的なプロジェクト推進室を設置するなど、研究開発機能の充実強化に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、これらの取り組みとあわせまして、広域振興局単位で地域の技術的課題を地域で解決する体制を構築いたしまして、現場密着型の技術開発に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 農業研究センターの役割はいろいろあると思うんですけれども、ただ、この時代、スピード感のある時代に、もっともっと根本的な改善、改良をしていかないと今の農業分野でも追いついていかないような感じがいたします。その辺も含めて、これから本当にこれでいいのかと私は思うんです。立派な施設設備がありながら十分に活用されていないのではないかと。私も何かあればやっぱり農業研究センターに行って新たな情報なりを得てきて今までやってきましたけれども、それをもっと農業者が、普及センターに行くこともいいけれども、農業研究センターに農業者が集まるような、そういう拠点にしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか、部長。
〇瀬川農林水産部長 農業研究センターがしっかりその役割を果たして、また地域の期待にこたえていくというのは大変大事だと思います。
 それから、独法化につきましては、さまざまな議論を経まして、当面は現状でという結論になっておりますけれども、さまざまな社会状況の変化もこれからよく踏まえながら、どういったあり方が適切なのか、これは引き続き並行して検討させていただきたいと思います。
〇工藤勝博委員 もう一つだけお聞きしますが、新たな事業としていわてブランド確立先端バイオ研究推進事業ということで、大変画期的な事業といいますか、解析装置を導入して開発を進めるということで、大変期待しております。そういう中で、担当する職員の方がやはりある程度継続して、2年とか3年でかわるということなく、継続してそういう研究員なり職員が担当すべきだと思うんですけれども、そういう職員の配置というのはどういうようにお考えなのでしょうか、お聞きします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 いわてブランド確立先端バイオ研究推進事業でございますけれども、これは、本年6月に補正予算で措置させていただきました大規模DNA配列解読装置が現在、試験運転中でございますが、本格的に平成22年度から稼働いたしますので、膨大なDNA情報、何億という情報が出てくるわけで、これを処理するために、ふるさと雇用再生特別基金を活用いたしまして、情報処理の技術者を財団法人岩手県生物工学研究センターに配置いたしまして品種開発技術を早期に確立するという内容でございます。
〇工藤勝博委員 担当者は、すると生工研のほうに行っているわけですね。やはりその辺も含めて、先ほどお話ししました農業研究センター、あるいはまた生物工学研究センター、やはり一緒の組織の中でやるべきだろうと思うんですけれども、攻めの農業をするにはやはりそういうところからのスタートだろうと思うので、その辺を含めて再度お聞きしたいと思います。
〇佐々木農政担当技監 先端技術を中心に研究いたします生物工学研究センターは県とは別な法人になってございまして、県がその法人に基礎研究、先端研究を委託するという手法をとってございます。その法人が採用してございます研究員というのは、実は民間の研究所とか大学の研究所で世界的な成果を挙げた方々を、いわゆるヘッドハンティングのような形で来ていただいているものでございまして、私ども県職員というか、農業研究センターで研究に従事している職員とは、分担する研究の内容と雇用の条件も違うということで、現在はそこの有機的な結合ということで、場所も隣接してございますし、生物工学研究センターで先端的な基礎研究を、その研究成果を生かして農業研究センターで応用化研究をという分担をしてございます。この密接な連携とスピード化につきましては、今後ともより配慮した形で進めていかなければならないものと認識してございます。
〇久保孝喜副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 通告はしてなかったのでありますが、どなたかがやるかと思っておりましたが、米の消費拡大について、1点、提案を申し上げたいと思います。
 現在、2009年産の米が余りそうだということで心配している声があるようでありますが、私は、縄文時代の生まれなものですから、米というと御飯しか考えないんですが、このごろでは米を粉にしまして、めんをつくったり、パスタをつくったり、あるいはパンをつくったり、そういう動きが国内あちこちであるようでありますけれども、本県でもやっているのか、やっていないのか。もし、やっていないとすれば、こういうことに積極的に取り組んで販路拡大を図るべきだと思いますが、いかがですか。これだけです。
〇浅沼流通課総括課長 米粉の消費拡大、需要拡大のお尋ねだと思いますが、これまでの取り組みは、米粉に関しましては、本県ではパンという部分で取り組んできております。しかしながら、その消費量と絶対量の拡大という部分でまいりますと、パンはやはり限界があるかなと思っております。
 今後という部分につきましては、絶対的な消費量の拡大を図るためには、めんという部分をやはり意識していかなければいけない。関心を持っている製造業の方も多く出てきていると私は思ってございます。あとは、ただ、小麦の価格でありますとか、そういったさまざまな要因、経営的な部分で採算がとれるかということを、今、一生懸命試算をしながらやってございます。私どもとしますと、関係する方々のいわゆるマッチングという部分で、いろいろな方の御意見を聞きながら、収支計算などをしながら、少しでも米粉の消費拡大が進むように、今、取り組んでいる最中でございます。
〇新居田弘文委員 当該委員でございますが、お許しをいただきまして、1点のみお聞かせいただきたいと思います。
 農振法に基づく農振計画、農地法に基づく農地転用の扱いについてでございます。午前中もいろいろ議論されましたが、いわゆる耕作放棄地は相当面積がありまして、その利用拡大についても、農地法の改正によりまして、農業委員会が有効利用するような勧告制度ができたという御紹介もありました。いわゆる転作あるいは自己管理というようなことで、まさに耕作放棄地の土地が山間地にたくさんありますが、それが、大体竹が生えたり樹木が生えたりということで、形は田んぼの形をしておりますが、実態はほとんど山、原野に近いような農地がたくさんあります。
 ところが、農振法とか農地法の縛りによりまして、なかなかそれが山林に農地転用もできない。実際は時間がかかるんですけれども、もっと難しいそういう手続があるんですが、その辺についての国とかあるいは県としての対応について、どういう方向なのかお知らせいただきたいと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 耕作放棄地の再生の絡みもありますけれども、改正の農地法、農振法という農業振興地域の整備に関する法律というものもありますけれども、農振法の中でも除外の5要件─4要件から1要件プラスになりました。ですから、除外が厳しくなったというのが改正の一つですし、農地法でも転用規制が強化されてきております。何でかといいますと、かけがえのない優良農地だということで、転用は規制して強化していくということになってきておりますけれども、委員御指摘のとおり、耕作放棄地がいろんなところにあります。農用地のど真ん中にある場合もあれば、山際とか細い川沿いとかにもあるわけです。そういうところにありますので、場所の関係を全体として見ていかなければならない状態でございます。
 そういう中で、全体調査を平成20年にやられて、非農地と判断されて、先ほど、緑だとか黄色だとかとやっていましたが、赤ということで判断された農地につきましても、復元して継続利用が見込まれない農地なのかといったものを総合的に判断して、農業委員会で非農地決定をやって山に戻していくとか、そういった取り組みが行われております。ですから、確かに優良農地は転用規制が強化されていますので、面的集積ということで農業をやる方に集めようという動きです。規制というのは厳しくという一方では集積をして効率的に利用させるということなんですけれども、そういった使わないところについては、やっぱり戻していくということで進めていきたいと考えているところでございます。
〇新居田弘文委員 それこそ平場の、あるいは基盤整備をやったような地域では、少々荒れても、これは農地の集団化の中で、今もお話があったように、転用規制というのは当然だと思います。その部分についてはみんな市町村が農振計画を立てていますので、農用地区域とか、あるいはそうでない区域、それぞれ線引きしています。それはそのとおりでいいんですけれども、その際に、冒頭申し上げましたように、いわゆる山村地域の全くの沢沿いで、堤一つで田んぼにしているんですが、今はそういう状態でないというのがたくさんありますけれども、今、そういう縛りがまだ生きているわけです。そういう意味で、法律等規制は規制なんですけれども、市町村に対して、あるいは農業委員会に対して、現実に即した農地転用が、許可よりむしろ場合によっては届け出で済むような制度も含めて、ぜひ検討していただきたいということを申し上げて、終わります。
〇久保孝喜副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇久保孝喜副委員長 質疑がないようでありますので、これで、第1部農業関係の質疑を終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後3時10分 休 憩
午後3時33分 再開
〇中平均委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 3月15日の医療局審査において斉藤信委員から申し出のあった、花泉地域診療センターの民間委託先となる事業者の決定に向けた今後の見通しを本定例会中の予算特別委員会において明らかにすることを求める件について、昨日及び本日、世話人会を開催いたしましたので、その協議結果を御報告いたします。
 斉藤信委員から申し出のあった件については、改めて医療局の審査を行う必要がないとの結論に至りましたが、事案の重要性にかんがみ、異例ではありますが、本日の農林水産部審査終了後、医療局に対し、花泉地域診療センターの民間委託先となる事業者の決定に向けた今後の見通しに係る直近の状況の報告を求めるとの結論に至りました。
 お諮りいたします。世話人会の結論のとおり、本日の農林水産部審査終了後、医療局に対し、直近の状況の報告を求めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 次に、第2部林業、水産業関係についての質疑を行います。質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 まず初めに、去る2月28日に発生いたしましたチリ中部沿岸の地震による津波の被害、そして復旧について、県北・沿岸振興、県の重要課題でありますので、そういう観点から、県北・沿岸振興はすることがあっても衰退させてはならない、そういう思いからお伺いいたしたいと思います。
 まず、今般の地震発生以来、瀬川農林水産部長には陣頭指揮をとっていただきまして、一番大事な情報収集に当たっていただき、我々県議会にも適時適切な報告をいただいたことに、まず感謝を申し上げたいと思いますし、各振興局の職員の皆さんの労を多としたいと思います。また、今般、各党の国会議員の先生方、あるいは各党各会派の同僚の県議会議員の先生方にも現地の視察においでいただきまして、惨状を目の当たりにしていただいたということは、今後の支援策を県に求める際の応援団になっていただけるものと思って、大変ありがたく思っているところでございます。
 そういう中で、まずお伺いしたいと思いますが、当然、農林水産部としても現地の状況視察等をやってこられたと思います。3月15日現在の被害報告によりますと、この時点でちょうど95%報告ということでございますから、これについて17億6、800万円余ということでございまして、大体こんなところでとまるのかなとは思うのでありますが、まさに収穫期を直前にしたこの惨事について本当に残念に思うと同時に、従事している漁業者の方々の落胆を思いますときに、本当に残念でならないと思っております。
 そういう中でいろいろ要望等を聞かれてきたと思うのでありますが、そういったものを受けて、先般の総括質疑の際に達増知事は、24日には今回のことについてのいわゆる救済措置等を含めた追加予算を上程するという力強いお話がございました。これが出ないうちに、どういう内容かということを聞くのはいかがかとは思いますけれども、今ならまだその要望が間に合うのかなという思いもありまして、現地の声をまずやりとりをしたいと思います。
 そこで、まず、現場の養殖漁業に従事する方々からの要望について、どのようなことを県当局としては受けてこられたのか、現状の中でお示しいただきたいと思います。
〇五日市漁業調整課長 現場の方々の要望についてでございます。現場の方々から、大きく分類いたしますと、おおむね5点の要望がございました。
 一つは、やはり被害を受けました養殖施設を早期に復興するための支援措置を講じてほしいということが1点。
 続きまして、養殖施設が破損いたしまして、どうしてもその養殖資材が使用できなくなっている。それが海の上に浮かんでいるものですから、それを撤去するための助成措置が要望されております。これが2点目でございます。
 もう一点は、生産物が流失したり、あるいは落下したりしておりますので、養殖を再開するための種苗の確保、これに対する措置。
 もう一点は、生産物の養殖共済に入っておりますけれども、その共済金の早期支払い、あるいはこれに対する助成ということも要望を受けております。
 もう一点、資金的なものにつきましては、低利な融資制度、あるいは現在、近代化資金とか改善資金がございますけれども、それらの償還の猶予などの緩和措置といいますか、大きく言いますと、そういうふうな5点について要望を受けているところでございます。
〇伊藤勢至委員 実は平成15年なんですが、宮古湾におきましては、北海道の釧路沖で発生しましたマグニチュード8.6の地震による60センチの津波が襲来いたしまして、湾内の養殖施設が複雑に絡み合いまして全滅した状況がございました。そのとき、現地の方々から伺いました要望の中に、今、課長がおっしゃった要望のほかに、絡み合った浮きあるいは縄などを仮置きする場所を県にあっせんしてもらいたいという点も一つあったんですが、宮古の場合は今回も恐らくそのことがあるだろうと思って、このことは振興局にお願いをしておきました。
 また、平成15年の際に、それまで養殖棚の固定方法を、コンクリートの重りであるとか、土のうであるとか、あるいは小型船のいかりでひっかけて固定しておったようなものを、北海道の奥尻地方で採用しております打ち込みアンカー、スーパーアンカーに変えたいという要望がありまして、このとき県のほうにお願いいたしまして、宮古湾についてですが、1億500万円の予算をいただきまして、私はこれで宮古湾内は全部打ち込みアンカーに変わっているものと実は思っておりました。そうしましたところ、今回、スーパーアンカーに変えた人はある程度固縛されておったようでありますけれども、それに変えていない、つまり従来のコンクリートでありますとか、土のうでありますとか、そういった固定方式でやっていた方の棚が、打ち込みアンカーで固定している人の棚に絡み合ってしまいまして、共倒れになったという経過があるようでありますが、残念だと思っております。
 そこで、宮古市から陸前高田市まで、打ち込みアンカーに変えたいという要望等についてはなかったのでしょうか。ただ、これは、海の底の様子によって万能ではないわけです。砂地でなければきかないということなんですが、こういう打ち込みアンカーに変えたいという要望があれば、いつ来るか、また近々来るかもわからない津波でありますので、この機会にこういうものに変えていったほうがいいのではないか。ただ、棚を新しくする際には大体20万円かそこらでできるのだそうでありますが、打ち込みアンカーは1基大体十四、五万円ということですので、なかなか大変ですから、これをやるということであれば、ぜひ補助していただいて、こういったものに変えるべきだと思うのでありますが、これについてはいかがでしょうか。
〇寺島水産振興課総括課長 私も現場のほうを回りまして、その際に─宮古は後で言いますけれども─釜石東部漁協のほうでも一部それを実施しているところがありまして、そこの施設は動かず、非常によかったということで、次も、被災したところは考えたいということではありましたが、海底の地形の関係で、できるか、できないのか、そこをちょっと検討しなければならないということを言っておりました。
 それから、宮古漁協で海上を回ったときも、同様に、今はカキをやっている隣が、委員が言われましたとおり、ワカメのところがやられまして、そこも同様な施設を考えたいということでありましたけれども、やはりそこも底質のところをじっくり調べてからというお話を聞いております。そういう要望が出てきた際には、いろいろ状況を聞いて、確認しながら事業実施に向けて検討していきたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 絡み合った養殖棚というものは、やはり最初は離そうという努力をしたようでありますが、それが可能なところ以外は、もう複雑に絡み合って、おかに上げても、そのまま処分するしかない。おかに上げて一応仮置きをした場合に、全く収入がなくなりますので、すぐあしたから新しい棚をつくって準備を始めなければならないということで、今動いているようであります。
 ただ、廃棄したものは、もう再利用はできないんです。例えばホタテガイも、一たん口をあいてしまいますと、いつハエが入るかわからないということで食用には絶対ならない。カキもそうです。ホヤは、早目の時期は、とって若干売ったところもあったようですけれども、問題は、昆布とかワカメは、上げてすぐでしたらば、それはまだ海に戻してやれば、本当はアワビとかウニのえさになり得るものなのですが、それもできないんです。一たんおかに上げたものは廃棄物となってしまいまして、そういったことをして海に戻すと、海を汚染したということで、今度は海上保安庁にしかられるということのようであります。
 そうすると、これらを廃棄処分しなければならないのですが、海水を含んでいるということもあって、なかなか普通の処理場では受け入れてくれない。そうなりますと、沿岸の人たちは、最終的には江刺のクリーンセンターまで運んでいかなくちゃならないということになるわけで、その費用も大変大きいものであります。お金は入ってこないけれども、自分で出して処理しなければならないということです。
 沿岸には、現在もこういった漁業系廃棄物を受け入れる処理施設というものがないんです。私は時々、江刺のクリーンセンター、九戸のクリーンセンターに続いて第3のクリーンセンターは沿岸のしかるべきところに、漁業系廃棄物の処理を含めて、そういうセンターをぜひつくってもらいたいと思っているのでありますが、これは今後もあり得ることでありますので、こういう機会に県の重要な議論をしていただきまして、今すぐといかなくても、近々のうちにそういう道をつけるといったほうにも議論を進めていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか、まず1点。
 それから、全部絡まってしまった養殖棚ですから、ほとんどもうこれで収入がなくなってしまうわけでございます。したがって、一日も早く復旧して、一日も早く成果品を上げて収入を図っていかなければならないということになるわけですが、それまでの間の生活ということもございまして、共済に入っている、入ってないにかかわらず、やはり生活をしていかなければなりません。あるいは1年なり1年半ないしは2年、収入のない状況でこれをやっていかなきゃならないということにもなろうかと思いますので、そういうところも含めた対策というものが、今回の24日に示されます補正の中に入っているのだと思っておるのですが、発表しない前にしゃべられないのであれば、梅の花のにおいのようにそこはかとなく、入っているとか、入ってないとかという部分をお伝えいただければ、漁民の皆さんも少しでも元気が出るのかなと思いますが、いかがでしょうか。
〇寺島水産振興課総括課長 第3クリーンセンターのお話がありました。浜を回ってみても、岸壁に上げたロープあるいは浮き玉の処理、あるいは貝殻、ネットとか、漁業者がいろんなものを分別しながら分けているところ、私はちょっと時間がたってから行ったものですから、そういうふうになっておりました。その処理にやはり他県まで運ばなければならない、経費がかかるということを話をされておりましたので、そういう漁業者の声は、第3クリーンセンターのほうを担当される環境生活部にもいろいろお話はしてみたいと思います。
〇門口団体指導課総括課長 被災された漁業者の経営再建の支援でございますけれども、この支援のためには制度資金の活用等が欠かせないものと考えておりますが、現在、需要の把握に努めておりまして、この需要の把握が重要と考えてございます。そのため、現在、系統団体において鋭意その把握に努めているところでございます。その結果を踏まえまして、系統団体や関係市町村と協議し、既存の制度資金での対応が難しく、これを超えた支援が必要と認められる場合には、新たな支援策を含めて検討したいと考えているところでございます。
〇寺島水産振興課総括課長 会期末までにという知事のお話があったとおり、私たちは、施設整備についてとか壊れた施設の修理については、今、検討しているところでございます。
〇伊藤勢至委員 今回のことが発生しましてから、まず振興局の水産部に、先ほど言いました仮置きする場所のあっせんを何とか頼むということと、国の支援制度があるかどうかを速急に調べてもらいたい、これを一番先にお願いしたところであります。そうしましたところ、強い水産業づくり交付金というものがありますということを早い時期にちょうだいしました。これはこれでありがたいと思います。きのうの新聞でありますけれども、今回の岩手県沿岸の被害とあわせて宮城県も相当被害を受けているようでありますが、激甚災害の指定を受けることが、もし本県にとって有効であるのであれば、宮城県と協力してこういったことも進めるべきだと思います。この際、使えるものは何でも使って、県民の要望にこたえていただきたいと思うのですが、これについてはいかがでございましょうか。
〇瀬川農林水産部長 国に対する激甚被害の申請についてでございますが、まず、制度として激甚災害の指定は、被災した各県の被害額をもとに国が指定いたします。対象となる養殖施設は、個人施設と共同利用施設に区分されることになっております。被害額の大きい宮城県は個人施設が多いということで、激甚災に指定される場合は、個人施設が対象になるのではないかと見込まれるところでございます。個人施設の指定要件は、被災金額が全国の海面養殖業所得推計値の2%を上回る場合となっております。私どもが試算したところでは、被害額が25億円超が指定のラインではないかと見込んでおります。現在の全国の被害額は16日現在で24億9、600万円でございます。今後、指定要件に達することも想定されるところでございます。
 また、宮城県と合同で申請することにつきましては、両県とも今回の地震津波による甚大な被害を受けており、これまで相互に情報共有しながら復旧に取り組んできたところであります。激甚災の指定や国の交付金の導入など、国の支援の要請についても、漁業形態や被害状況の違いはありますものの、今後とも、緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと考えておりまして、現在、近日中に両県の連名で、知事の連名という形になろうかと思いますが、国のほうに要望する方向で調整させていただいているところでございます。
 なお、本県の場合は共同利用施設が中心でございます。ただ、激甚災の指定による支援は原形復旧が基本とされております。先ほども委員のほうからいろいろ御指摘がありましたとおり、被災者の要望も踏まえまして、災害に強い施設整備を図るため、国の強い水産業づくり交付金による災害復興整備が図られますよう、3月11日に知事のほうから国に要望していただいたところでございます。激甚災の指定が視野に入ってまいりましたことから、個人施設、共同利用施設の実態に応じまして、漁業者の要望をよくお聞きしながら、国の支援が有効に活用できるよう、市町村や関係団体と連携し、また宮城県とも情報共有しながら取り組んでまいります。
〇伊藤勢至委員 今回の津波の被害は、本当に漁民の皆さんがここで元気をなくされるのが一番怖い。宮古の場合、7年前も全滅して、またここで投資して、しかも7年前よりは7歳確実に年をとっている、後継者もいないというようなことで、これを機会にもうやめちゃえというようなことに走られると、大変にこれは、振興どころか衰退になっていくと思いますので、ぜひ手厚い支援をお願いして、この件についての質問は終わります。
 今、宮城県と一緒に国にお願いをせいと言いましたが、実は三陸というブランドについて、岩手県はこのごろ宮城県に負けていると思っております。三陸といえば、我々は岩手の陸前、陸中、陸奥で三陸だと思っておりましたが、どうも、このごろ、各地のデパートの地下などの全国うまいもの展とか何かの場合の海産物の売り込みについて、三陸の海産物云々とテーマが出るんですが、その下に必ず気仙沼市というのがついてきまして、どうも、関東、関西の人方は、三陸って気仙沼なんだと思い始めているという心配の声もありました。これは岩手県が、陸前高田、釜石、宮古、久慈、それぞれの地域名を出そうということに走ってきたのかもしれませんが、ここ一番、やはり三陸というブランドをコーディネートしていくのは県の役目でもあるかと思いまして、そういう指導をしていただいて、三陸の海の豊かな資源をアピールしていくべきと思うのでありますが、いかがですか。
〇寺島水産振興課総括課長 水産物の地域ブランドの強化につきましては、水産物を中心とした三陸いわてブランドの確立を目指して戦略的な取り組みが必要だろうと思っております。また、本県の水産物の品質は関係者には高く評価されてはいるものの、委員御指摘のとおり、三陸いわてブランドとして消費者にまでまだ広く認知されてはいないと認識しております。
 こうしたことから、4月からスタートいたします広域振興局体制においては、沿岸広域振興局に新設されます水産調整課を中心として三陸いわてブランドの確立を目指し、関係部局と連携した漁業の6次産業化や水商工連携など、水産物の付加価値向上や販売力の強化、積極的なPR活動などに取り組んでまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 ぜひひとつ頑張っていただいて、岩手を宮城に負けないように、さらにアピールしていくことが必要だと思います。
 次ですけれども、ここ10日、1週間ぐらい前から、大西洋におけるクロマグロの漁獲がどうも禁止の方向に働くのでないかと思って、心配しているところでございます。大西洋のマグロ、あるいは太平洋のマグロ、あるいはインド洋のマグロ、主産地は大体ここなわけです。そのほかにメカジキ、マカジキ、ビンチョウ、いろいろあるんですけれども、日本人の好みに合うといいますか、クロマグロが、漁獲制限あるいはワシントン条約が絡んできますので、もし、この種が危ないということで禁止になった場合に、本県の漁業にもやっぱり影響がないとは言えないと思うんですが、本県でマグロ漁をかけている船といいますか、水産関係の会社が幾らぐらいあって、現在、マグロ船は何隻ぐらい保有して世界の海でマグロ漁をやっているのでしょうか、まず教えてください。
〇寺島水産振興課総括課長 本県の遠洋マグロ漁業で大臣許可で操業しておりますのは全部で15隻ございます。そのうち、今、新聞などに載っております大西洋マグロの漁獲の権利を持っているのは3隻になっております。そういう中で、ただ、本県のマグロ漁業は、地元での水揚げではなくて、金額が大きいものですから、本県ではないところで水揚げをしております。
〇伊藤勢至委員 水揚げがどこにあっても、事業報告は県なり何なりにあって、県税収入には絡んでくると思うんです。釜石の水産屋さんは去年あたりまで二十数隻ぐらいマグロ船を持っていたようですけど、随分減船されましたよね。そこについてちょっと。
〇寺島水産振興課総括課長 今、15隻と申しましたけれども、昨年、減船になる前までは24隻で、9隻の減船がございました。全国の中で、やはりマグロ漁の経営は結構厳しいということで、国のほうが中心となって減船を呼びかけ、それに応じた人たちが本県の場合は9隻ということになります。
〇伊藤勢至委員 どうしても日本人好みのマグロが食べられないとなってくると、ちょっとまたこれは問題というか、残念なことだなと思います。
 今、欧米では日本食のヘルシーさが受けまして、豆腐でありますとか、納豆でありますとか、あるいはマグロでありますとか、肉から魚に変わりつつある。あるいはEUヨーロッパ連合、そして問題は、中国が本気になってマグロを食い出したら、もうマグロは全部なくなっちゃうんじゃないかという議論もあるわけです。
 そういう中で、本県は寒流系の流れですから、暖流といってもマグロ養殖には向いておりませんが、この際、マグロの養殖というものをテーマに仕掛けていくべきではないかと思うんです。これは、本県の沿岸の海域では、多分、水温の関係でできないと思います。農林水産部にありましては、農政部のとき、何年か前に稲の苗がうまく育たない時期があって、沖縄の石垣島で栽培して間に合わせたという事例があります。そこからのネーミングで、かけはしということに稲の名がなったわけでありますが、将来のマグロが減っていくだろうといったことに先駆けて、水産としても、むしろこの際、養殖に思い切って乗り出すとか、そういう前向きな考えがないと、じり貧になっていくのではないかと思います。
 近畿大学では既にもう30年前からこういった問題に取り組んでおりまして、和歌山県の串本町で、直径30メートル、深さ10メートルぐらいの生けすで実際にマグロ養殖をしておりまして、もうそろそろ出荷体制に入ってきたということになっております。ただ、このマグロというのは、動いてなければ呼吸ができない魚ですので、生まれたら死ぬまで泳ぎ続けなければならない。そういう難しさがあるようでありますけれども、やはりこの際、本県の漁業を振興させる、あるいは全国的にマグロがなくなってくるかもしれないというときに、思い切ってこういう政策を打つべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
〇寺島水産振興課総括課長 マグロの養殖についてでありますけれども、現在、クロマグロの国際取引が規制される懸念がある中、我が国の水産業の振興を図る上でクロマグロの養殖や畜養は今後の大きな課題と考えられます。これまで、今お話がありましたとおり、近畿大学あるいは東海大学において先駆的な取り組みが行われており、成果とあわせてさまざまな問題点も指摘されていると聞いております。これはえさの問題とか、今言った生けす─これは本県の津波被害と同じような耐波の問題とか、そういうような問題点が指摘されていると聞いております。
 本県といたしましては、こうした事例を調査しながら、本県における取り組みの可能性について、委員御指摘の温暖な石垣島との連携も含め、今後勉強させていただきたいと思います。
〇伊藤勢至委員 本来は三陸沖でよくとれますイワシ、サバ、サンマ、アジ、いわゆる青魚がDHAの問題等で人間にはいいんだと言われていますが、一たん口の肥えてしまった人間は、なかなかそこに戻らないのかもしれません。しかし、体にいいんだということで、やはり岩手の前でとれるイワシ、サバ、サンマ、アジなどの青魚を、県の特産品といいますか、そういったことで売り込みを図っていくべきだと思います。アジなんかにつきましても、関アジよりもおいしいアジ、関サバよりもおいしいものも三陸沖でも何ぼかとれるんです。だから、そういったものをうまく使いまして、青魚の有効性といいますか、体にいいという部分をアピールしていくなど、守りの水産業でなくて攻めの水産業を展開してもらいたいということをお願いして、感想があればお伺いして、終わります。
〇瀬川農林水産部長 大変大事な御指摘をいただきましたので、そういう商品化といいますか、そういった面で、どういった形でやっていくのがいいのか、よく検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
〇工藤勝子委員 県産材活用促進緊急対策事業費についてお聞きいたします。
 林業振興を図る上で、まさに県産材の活用促進というのは非常に重要になってくるのだろうと思っております。その中で健全な、まさに豊かな森づくりをするために間伐事業、特にも里山を中心にして強い県土づくりにもなりますので、力を入れて取り組んでいらっしゃるのだろうと思っております。しかし、多くの山林を見たときに、間伐された木がそのまま山に放置されている現状が非常に多いと思っております。そういう中において、では、今まで間伐材の利用率と申しましょうか、活用率はどのようになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇竹田森林整備課総括課長 間伐材の利用率の御質問でございます。県内の民有林を対象といたしまして、毎年度、間伐材の活用状況を森林組合等の林業事業体から聞き取り調査しておりまして、平成20年度におきましては1万2、500ヘクタールほどの間伐が行われましたけれども、これを材積に換算いたしますと30万3、000立方メートルとなります。このうち、平成20年度はこれまで最高の11万2、000立方メートルの間伐材が活用され、活用率は37%となっております。
〇工藤勝子委員 この事業というのは、利用促進を図るための事業でもあります。そこで、木造の公共施設や事業所、それから新しい商品開発等があります。それでは、例えば木質バイオマスの施設拡大というところには、今後、どの程度目標値を定めて取り組んでいこうとしているのか。それから、木造を公共施設に活用すると、きのうの教育委員会でも議論が交わされましたけれども、教育長の話を聞いていても、大いに今後活用するというような答えをいただけなかった。検討するということでございました。そういう中において、農林水産部として県産材活用に向けて、例えば総務部、教育委員会、商工労働観光部というところにどのようなPRをしているのかお聞きしたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 まず、木質バイオマスの目標値でございますが、私どものほうで、平成22年度までの目標として利用拡大プランの第2ステージというものを設けておりまして、この中で、木質バイオマス燃料関係で申しますと、ペレットは4、900トン、チップについては3、100トンを目標として取り組んでいるところでございまして、現在の状況で申しますと、平成21年度見込みでペレットが約4、200トン、チップが1、305トンという見込みをしているところでございます。さらにこういったペレット、チップの利用量をふやしていくために、ただいま御質問のございました県産材活用促進緊急対策事業におきまして、来年度以降、ペレットも製造しつつ、あるいはペレットボイラー等の施設整備を行っていくこととしているところでございます。
 また、公共施設のいわゆる木造化につきましても、この事業で実施しておりまして、県、市町村等、あるいは民間、福祉法人なども一部入りますが、こういった希望がございました事業体に対しまして、この事業におきまして木造化ということで支援することとしているところでございます。
〇工藤勝子委員 ちょっと答弁が足りないんですけれども、例えば教育委員会とか、そういうところに全然働きかけていないのかというところです。その辺のところはいかがでしょうか。森林県として森林振興を図るために全庁的に取り上げて、県産材の活用にぜひ取り組むんだというようなことが聞こえてこないんです。その辺についてはどうでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 全庁的な取り組みについてのお尋ねでございますが、平成15年度から副知事を本部長としまして、全庁で公共施設・公共工事木材利用推進本部会議を立ち上げております。現在は平成19年度から平成21年度までの第2期の計画でございまして、平成21年度末の見込みでございますが、目標値の大体106%を達成する見込みとなっております。やはり我々としても県営工事等の木造化ということは大事だと考えておりますので、来年度以降も引き続き行動計画を策定して、全庁を挙げて取り組みたいと考えているところでございます。また、各部局につきましても、私どものほうから、さまざまな情報提供とか国の補助制度などを御案内しながら、できるだけ使っていただくようにお願いしているところでございます。
〇工藤勝子委員 ぜひ、大いに期待したいと思っております。皆さんの働きかけによって、例えば教育委員会がもう少し動くかもしれません。なぜ使わないかというと、やはりコスト高になることが使えないという状況に入っているのではないかと思っております。その高い部分を何とかフォローするという形の中で力を入れてほしいと思っております。
 新商品の開発という言葉がありますけれども、では、新商品とはどういうところに期待しているのかというところを御紹介いただければと思っております。秋田に行ったときは、簡易ダムに木を使ってダムをつくっているとか、新たに農免道路の水路に橋をかけるのに木を使った橋を建てているとか、遠野には車も走れる木造の橋もありますけれども、新商品の開発にはどのようなことを考えていらっしゃるのか、どこかに委託するのか、その辺のところをお聞きいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 この事業で行います新商品の開発の内容でございますが、これは、いわゆる川下に対する建築物等での付加価値の高い木材製品の開発という観点から、要望がございました事業体に対して支援をするものでございます。今回、各事業体に御紹介したところ、何点か支援することになりまして、例えば、長期優良住宅に対応しました強度性能の高い床材などの開発、あるいは集成材を活用した住宅用壁パネルと強度計算ソフトの開発、さらには、県産材を使いました合板を用いた高い耐震性を有する住宅工法の開発、こういったものを支援することとしているところでございます。
〇工藤勝子委員 いろんな形で林業振興を図る上からも、ぜひ県産材の活用─逆に東京のほうに視察に行ったときは、岩手の県産材が非常に使われていたというようなことを大いに学んできましたので、岩手県で使わないで、なぜ東京で使われるのか。それは大いに結構ですけれども、もっともっと岩手の地で使ってほしいと思っております。
 次に、緑のクレジット創出促進事業費についてお尋ねいたします。
 森林が県土の7割を有する本県でありますので、二酸化炭素の吸収県として将来の期待は大変大きいものだろうと思っております。この点において、CO2を吸収する豊かな森づくりが今後も非常に大事になってくるのだろうと思っております。この二酸化炭素排出量取引の普及促進に向けた期待についてお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇西村林務担当技監 二酸化炭素排出量取引の普及促進に向けての期待についてお答えいたします。
 二酸化炭素排出量削減の取引といいますのは、例えば燃料として重油のかわりに木材を利用することによってCO2の排出量を削減する、あるいは一定レベルの適正な森林管理を行うことによって、森林の二酸化炭素の吸収量を増加させるといった取り組みで、それぞれの取り組みに対しまして経済的な価値を付与いたしまして、それを取引しようとするものでございます。
 本県におきましては、早くから全国に先駆けましてチップボイラー等を導入して、石油のかわりにチップ等の木質バイオマスエネルギーといったものを利用する取り組みを先んじて進めてまいりました。そういった県がこういった排出量取引に参加するということは、今後、本県におきます森林環境ビジネスを非常に活発にさせることになりまして、本県の林業振興あるいは山村地域の所得の向上に大きく貢献できるものと期待しているわけでございます。
 このため、昨年の3月に二酸化炭素排出量取引の全国的な仕組みというものが試行的にスタートしたわけですけれども、その際に、直ちに県内に二酸化炭素排出量取引等研究会を立ち上げまして、この1年、その研究会を中心に活発に議論いただきまして、普及を図ってまいりました。その結果、もう既に八つの事業体でこの取引に参加していただき、具体的にそれが進行しているという状況でございます。
 今後は、これまでの研究会を発展的に改組いたしまして、排出量取引に知見のある有識者の皆さんで構成する協議会を設置いたしまして、排出量取引等の普及啓発、それと、実際の取引参加を希望する事業者に対する申請実務の支援といったことを行いますほか、事業者の参加を促進するためのマニュアルを作成することにより、本県における二酸化炭素の排出量取引制度の拡大に取り組んでまいりまして、本県の森林環境ビジネスをさらに加速化させ、山村地域の所得の向上につなげたいと考えております。
〇工藤勝子委員 最後になりますけれども、専門家による推進とかがあります。例えば協議会を新たに発展的に設立されるということでありますけれども、こういう人たちの任期の考え方、導入マニュアルの作成の完成年度、事業体の見通しは8事業体ともございましたけれども、この点についての考え方をお聞きいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 何点かございました。まず、推進協議会(仮称)の委員の任期でございますが、当面のところ1年の任期としながら、二酸化炭素排出量取引をめぐる国内の情勢にあわせて、適宜、構成員の見直しを行っていきたいと考えているところでございます。
 また、導入マニュアルの作成年度でございますが、こちらにつきましては、国内排出量取引制度の創設を基本的施策に位置づけている地球温暖化対策基本法案が今の国会で審議される予定になっております。こうした国の動向を注視しながら、来年度、事業者にとって効果的な時期の作成を検討したいと考えているところでございます。
 最後に、参加事業体につきましては、先ほど西村技監からお答え申し上げたとおり、既に8事業体が参加の申請をしておりますが、さらに、今後、現時点で木質系のバイオマスボイラーの導入を進めている2事業体、来年度、森林経営による申請を計画している2事業体の計12事業体が参加する見通しとなっております。
〇工藤勝子委員 ぜひ、今後とも各事業体をふやしていただいて、緑のクレジット創出促進事業を、130万円そこそこですので、こういうものは今後環境にとっても非常に大事な事業ではないかと思いますので、今後、予算をもうちょっと計上していただくよう取り組んでみたらいかがでしょうか、御所見があればお伺いして、終わります。
〇西村林務担当技監 先ほど申し上げましたとおり、森林環境ビジネスは、我々の環境に対する取り組みというのが経済的に評価されるという事業でございますので、そういった取り組みは、これまでやってきている山村地域の方々には非常にメリットの大きいものと我々も思っておりますので、そういった声をよく聞きながら、今後も事業を進めてまいりたいと思います。
〇関根敏伸委員 私からも、まず県産材の利活用拡大に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 今、工藤勝子委員からも種々ございました。また、ハード面でもさまざま大きな事業化、予算をつけていただいて、県土整備部と連携をとりながら進めていらっしゃるということで、大いに期待しているわけでありますが、私は、ソフト面の事業について何点かお伺いいたします。
 まず、県産材そのもののブランド化という取り組みもこちらで所管されながら進めていらっしゃると思うんですが、国内には森林認証制度という制度があると聞いております。国際的なものと日本固有のものが何種類かあると聞いているんですけれども、県としては、認証制度というものを、県産材のブランド化を進めるときに、どういった有効な手段として考えていらっしゃるのかどうか、まずそのお考えを聞かせていただきたいと思いますし、県内に森林そのものの認証あるいは業者の認証の取得者がどういったような形になっているのか、また、県として何か支援とか取り組み促進について進めている方向性を持っていらっしゃるのかどうか、これを聞かせていただきたいと思います。
〇竹田森林整備課総括課長 森林認証制度についてのお尋ねでございます。
 まず最初に、県内の森林認証の取得状況でございますけれども、岩泉町、気仙地方森林組合、そして、県内に山をお持ちの製紙会社3社、合計で5件の方々が取得しておりまして、本県民有林面積の4%に当たります2万8、000ヘクタールが認証森林となっております。
 県といたしましては、この認証は、要は適切に管理されたということを第三者機関が認めるというシステムであります。こういった持続的な林業経営を行いまして、将来に向けて森林を適切に保全、管理していくためには、この認証制度というものは大変有効な制度と考えております。そういうことから、平成17年度に、先ほど申し上げました県内の森林認証取得者を中心といたしました森林認証連絡会議を立ち上げて、認証森林の木材による製品の需要拡大に関する意見交換をやっておりますし、いわて環境王国展などにおいて認証製品のPR活動を県としても行ってございます。
 そして、ブランドの関係でございますけれども、委員御指摘のとおり、こういった森林認証は特にヨーロッパを中心としまして広く定着しつつございます。我が国におきましても、御案内のとおり、環境意識がますます高まってきておりますので、環境に配慮するこういった森林認証という制度は、経営戦略において大きなブランドになるものと考えております。
〇関根敏伸委員 連絡会議等々がある、いわて環境王国展などと連携して事業化しているということでございますので、この取り組みをぜひ進めていただきたいと思いますし、民有林の4%ということでございますので、これが他県と比べてどうなのかわかりません。まだまだ拡大の余地があろうかと思っておりますので、積極的なお取り組みをお願いしたいと思います。
 あわせて、建築物への木造、木質化の推進という観点でございます。もちろん公共材として使ってもらうということは非常に大きな需要拡大に即結びつくのだろうと思いますが、民間での活用の中で、県内だけではなくて国内のさまざま他県に向けて木造、木質化を推進するということは、非常にやっぱり有効であろうと思っております。
 そんな中で、ゼロ事業ということで、公共事業等における県産材利用によって生じるCO2削減など、環境貢献度の見える化を事業化する、ゼロ予算ということで企画されたということでございます。これは具体的にどういったことを考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思いますし、あわせて、森の棟梁事業というんですか、これも県土整備部の住宅の新規着工等への補助とあわせた農林水産部独自の事業かと思いますが、これもやはり木造利活用の提案活動を支援していくのだという概略が示されているようです。また、こういった技術を持った方々を登録して支援していく、こういった方々の知恵をしっかり吸い上げる。木材のよさも、県産材のよさも、あるいは欠点も熟知していらっしゃる方々だと思いますので、この事業は予算としては非常に少ないんですが、大いに期待しておりますけれども、どういった事業化を考えていらっしゃるのか、この2点を聞かせてください。
〇堀江林業振興課総括課長 まず第1点のゼロ予算に関しまして、いわゆる二酸化炭素排出量とか固定量を見える化するというお話でございますが、具体的には、先ほども御答弁申し上げました県が行う公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を来年度からまた策定したいと考えておりますが、その中で、具体的にどれだけ公共施設等で二酸化炭素が固定できたかといったものを数値化して見えるようにして、県の公共施設、公共工事でどれだけ二酸化炭素の固定に貢献し、地球温暖化の防止に貢献しているかをアピールできるような取り組みをしていきたいと考えているところでございます。
 次に、森の棟梁の関係でございますが、事業名で申しますと、県産材需要拡大促進事業の中の1メニューとなっておりますが、具体的な内容を申し上げますと、県産材を積極的に提案する建築士あるいは工務店をいわて森の棟梁としてアドバイザー登録いたします。そして、この建築士や工務店と製材業者をマッチングしまして、県産材流通促進に向けた取り組みを支援していく。できるだけ地場の工務店あるいは地場の製材業者の皆様方と連携しながら県産材を需要拡大していくという、地域産業の振興という観点から今回取り組みたいと考えているものでございます。
〇関根敏伸委員 ぜひ、この二つの事業を、片方はゼロ予算でありますが、この見える化をもっと進めていただいて、県のブランド化、認証制度なんかとあわせて本当に見える化をして、何らか木材一つ一つを県が認証していくとか、CO2の固定化の数値をしっかり明記するような形で、環境意識の高い消費者がふえているようですから、もっとPRできるような事業化をさらに進めていただきたい、このように期待いたします。
 次ですが、県産材の利活用あるいは森林整備と密接に関係すると思うんですが、林内路網の整備ということも新年度予算で大きく取り上げていらっしゃると思っております。
 そこでお伺いするわけですが、県内の林内路網の整備の現状はどのようになっているのか、新年度予算でこの路網整備がどの程度進んでくるのか、予算額とあわせてお示しいただきたいと思います。
 またあわせて、どのような選定基準のもとで路網の整備が進められていこうとしているのか。また、やはり大変長期間の事業になるのではないかと思うんですけれども、長期的な整備計画等は持っていらっしゃるのか。
 それと、この路網整備による県産材生産供給体制のコスト削減も大きなやはり事業の背景にもあるんだと思いますが、具体的にこういったものを数値化してとらえていらっしゃるのか、まとめてお聞かせください。
〇佐賀森林保全課総括課長 林内路網の整備についてでございます。
 平成20年度末現在におきまして、本県民有林林道の整備状況あるいはその路網整備の状況についてでございますが、林道整備延長が4、393キロメートルとなっております。その密度はヘクタール当たり5.6メートルとなっております。これに一般の公道を合わせた林内の道路密度はヘクタール当たり16.5メートル、さらに、これに作業道を合わせた林内の路網密度におきましては、ヘクタール24.1メートルとなっております。
 平成22年度予算でございますけれども、林道は36路線の整備を予定しておりまして、延長2万500メートルの開設を予定しております。その事業費としては31億3、300万円を予定しております。
 また、林内路網を形成する作業道につきましては、森林整備加速化・林業再生基金事業などを活用しまして延長7万5、600メートルを施行することとしておりまして、その事業費は4億5、500万円を予定しております。
 次に、林道を整備する場合の選定基準のお話でございまして、当該林道を利用することができる区域の面積、これは利用区域面積と申しますけれども、あるいはその区域内の森林の蓄積あるいは人工林面積などを考慮した開設効果指数というものがありまして、これを主な要件として、これに費用対効果などを加味しまして林道整備事業等を実施しております。
 長期的な整備計画につきましては、路網整備を着実に進めるために、平成11年3月に策定しました民有林林道網整備計画あるいはいわて県民計画などにより事業を展開しております。
 この民有林林道網整備計画というのは平成46年度を見越していまして、この目標が、林内道路密度でヘクタール当たり20メートルというものを考えております。現在、16.5メートルでございますので、この大きな面積を考えますと、まだまだ整備を進める必要があると考えております。
 あとコスト低減効果の試算につきましては、平成21年度から3年間の予定でふるさと雇用再生特別基金を活用しまして、森林資源利活用のための路網整備支援システムの開発に取り組んでおります。このシステムは、設定した団地内での路網整備、それから生産間伐を実施した場合の収支の試算を行うものでして、平成21年度はモデル的に大船渡市などの4地区で実施しており、いずれも路網整備によって収入が支出を上回るという結果が出ております。引き続き、そういうシステムの開発に取り組んでいきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 現在、ヘクタール当たり16メートルを20メートルにしていくと。平成46年という大変長い計画になっていくんだろうなと思っておりますし、コスト低減効果がこのシステム開発事業で明確に示されているということをお聞きしております。ぜひ着実な推進をしていただきたいと思うんですが、この路網の新年度の予算が森林整備加速化林業再生事業費から、基金から出るわけですよね。これは基金事業という形じゃないかなというふうにとらえているんですが、この基金事業が終了した後の路網整備の推進ということに関して若干懸念があるんですが、これは誤解でしょうか。この辺ちょっと聞かせていただきたいと思います。
〇佐賀森林保全課総括課長 この加速化基金につきましては平成23年度までの基金でございますが、この基金以外にも、現在、通常の森林整備事業等で十分それに、基金ほどの優遇ということにはございませんけれども、所要の補助事業として十分措置されてございます。それらを活用しまして頑張っていきたいと思っております。
〇関根敏伸委員 わかりました。
 ある統計によると、望ましい路網整備はヘクタール当たり50メートルというふうにどこかの文献で見たような気がするんですけれども、岩手県は全国的に路網整備がどうなのかわかりませんが、木材供給基地をうたう以上、やはりこういった部分の整備もあわせてきっちりと進めていかないとなかなか難しいのではないかと思いますので、これはぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それに関連いたしますが、この路網整備を進めるいわゆる事業体として、建設業を使った、林建連携というんですか、林建共働というんですか、これを新たな切り口として事業を進めようという動きがあるようであります。
 担い手の不足解消と同時に林内路網整備を効率的にやっていく、同時にこれは建設業に対しての、今のこの環境下で大きな一つの方向性にもなってくるのではないかと思うんですが、来年度、具体の事業化、この林建連携によってどういった事業化を図っていくのか、あるいは参入見込みの建設業者をどの程度参入がなるものと今現在で把握していらっしゃるのか、これを聞かせてください。
〇竹田森林整備課総括課長 林建連携の具体的な事業についてのお尋ねでございます。
 委員御指摘のとおり、本県の民有林の人工林資源が間伐の時期、伐採の時期、利用の時期を迎えつつあります。そういった中で、森林組合等林業事業体はそういった間伐そのものに忙しいという状況の中で、一方ではその間伐材を出すのに道路が必要だということで、そういった得意分野である道づくりに、林業に関心を持ってくれる建設業者に参入していただこうというものが今回の林建連携の事業でございます。
 もう既に先般の2月補正予算の御審議をいただいてお認めいただいたわけですけれども、国の地域活性化・きめ細かな臨時交付金を活用しまして、県の単独事業として、そういった森林組合等の林業事業体と建設業者の共同体で作業道を建設する林建共同型林内路網事業を創設しております。予算的には1億9、600万円ほどの予算を認めていただいたところでございます。
 あと、建設業者の参入の見込みにつきましては、業界としては、大変いいことだということで参入意欲をちゃんと確認はしておりますけれども、個々の業者さん方がどうかということについては、今後、開催を予定しております事業説明会等を通じまして、広くこういった事業をやりますということを周知しながら把握してまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 わかりました。森組等と、間伐とか施業するところと共同体を組んで進めるということなわけですね。今後、具体的な参入予定は説明会等で明らかになるということだと思います。
 大いに期待しておりますけれども、そこで最後にお伺いしますが、この事業をきっちりと進めていくための課題をどのようにとらえていらっしゃるのか聞かせていただきたいと思いますし、県土整備部で進めている建設業支援策との連携を効率的に進めていくことが必要と思っております。このお考え、それから、効果的な誘導策についてお聞かせいただきたいと思います。
〇竹田森林整備課総括課長 まず最初に、先ほど申し上げました事業進捗のための課題でございますけれども、この林建連携で開設しようとする作業道は、一般車両、自動車の通行を目的とした道路ではなくて、木材運搬トラックあるいは林業機械、そういったものが通行するための、安価につくる規格の低い林業専用道路でございます。例えば地形に沿った路線形でありますとか、できるだけ構造物をつくらない、そういった林業専用道路でございますので、そういった特殊性を建設業者にしっかり理解していただくことが課題であると考えております。そういったことで、事業の事前説明会を行いますし、あと、工事の前にはそういった専用道路としての特殊性を理解していただくための研修会を県内各地で開催を予定してございます。
 次に、県土整備部との連携でございますけれども、本県では既に国土交通省の提案型の事業の助成を受けて、建設業者が森林組合等と連携して伐採あるいは木材の利用、そういった林業分野への参入を試験的に取り組んでいる事例がございます。こういった取り組みに対しては、県土整備部と当方と連携して技術的な指導等を行っております。
 今後さらにこういった形で、県土整備部とは密接な連携を通じて有効な誘導策をとってまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 初めに、しいたけ等特用林産振興対策事業についてお尋ねしたいと思います。
 これは三つの事業のようでありますけれども、この事業内容についてお示しいただければと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 しいたけ等特用林産物振興対策事業の事業内容でございますが、委員からお話がございましたとおり主に三つございまして、一つは、生産者の技術向上を目的としました栽培技術研修の実施であります。二つ目としては、シイタケ生産の新規参入者を支援するために、新規参入者研修の実施とほだ木整備のための種菌購入に対する経費への補助でございます。三つ目として、森林組合に対するシイタケ等の原木を安定的かつ計画的に供給するために要する運転資金の貸し付けを行っているところでございます。こういった形でシイタケ等の特用林産物の生産振興を図ってまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 ちょっとよくわからないのでお聞きしたいんですけれども、シイタケ菌床とほだ木とありますよね。これは菌床は対象になっていないような気がするんですけれども、なっていないとすれば、ほだ木は特用林産物で菌床は農産物なんですか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
〇堀江林業振興課総括課長 原木を使ったシイタケも菌床シイタケも特用林産物でございます。ただ、委員から御質問いただいていますこのしいたけ等特用林産振興対策事業につきましては、原木シイタケ生産の場合、どうしても植菌開始から実際の収穫まで約2年を要することから、生産者の初期負担軽減を図ることにより新規生産者の参入を促進する、これが事業のねらいでございまして、そういったことで今、事業展開しているということで、菌床シイタケについては対象外としているものでございます。
 一方で、菌床シイタケも特用林産物としての主要な品目でございますので、これにつきましては、別途、国の補助事業でございます森林・林業・木材産業づくり交付金事業におきまして、シイタケ菌床を培養するための培養用施設あるいは発生管理を行う発生用建物などに対して補助しているところでございまして、来年度も、予算額で申しますと1億2、200万円ほどで、3カ所でございますが事業支援を行うものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 県北・沿岸施設園芸団地形成支援事業というのがございます。この中にも菌床シイタケについてある。だから農産物かなと思ったりしたんですが、そうじゃないということですけれども、これも先ほど説明された交付金事業の一環というとらえ方でよろしいわけですか。
〇堀江林業振興課総括課長 菌床シイタケの場合、特に県北久慈地域でも盛んに団地化されていると伺っております。生産者は、さまざまな園芸作目を複合的に生産されて経営されていると伺っておりますので、そこには林産物、農産物というよりは、やはり1人の、あるいは1団体としての組合としての生産者として、我々、林業面、農業面あわせて支援していきたいと考えているところでございまして、ただいま委員からお話がありました県北・沿岸施設園芸団地形成支援事業につきましては、私どもが先ほど答弁した事業とはまた別に、別途、国の補助事業を活用しまして支援するものでございますが、その補助対象経費等についてはそれぞれすみ分けをしながら複合的に支援していきたいと。また、普及活動などにおきましても、私どもの林業サイドからもさまざまな技術提供を行ったり、あるいは農業サイドからも普及センター等を通じまして経営指導などに取り組んでまいりたいと考えているものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 いろいろな形で御支援いただければと思っております。
 次に、水産業についてお尋ねいたしますけれども、広域漁港整備事業がございますけれども、これは平成14年度から再来年、平成23年度までの事業のようでそろそろ終わるわけですが、今年度は特に荷さばき所を2地区でつくるようです、大船渡市と釜石。残りあと2年ということですから、なかなかこの後の事業というのはないかなと思いながら聞くんですけれども、何か考えているものがあったらお聞かせ願いたいと思います。
〇佐々木水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 広域漁港整備事業での今後の荷さばき所の整備計画についての御質問でございますけれども、本県の漁港につきましては、水産業の陸揚げ、荷さばき、加工流通の拠点として、水産物の安定供給など水産業の振興に寄与してきているところでございます。
 御質問の広域漁港整備事業におきましての市場整備につきましては、今現在、平成20年度から水産物流通拠点、衛生管理拠点として大船渡漁港で荷さばき所を整備しているわけでございますが、来年度は釜石漁港で整備着手することとしております。
 現在、当該事業によります荷さばき所の整備は、今お話ししました大船渡、釜石漁港以外には計画されてございませんが、消費者に安全で安心な水産物を供給するためには大変重要な施設であることから、今後は、整備の採択要件でございます水産物の取扱量が年間で8、000トン以上かつ取扱金額が14億円以上に合致する漁港につきましては、今後、市町村や関係団体の要望を伺いながら、次期計画の検討も、まあどうなるかわかりませんけれども、平成24年以降でございますか、それに向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 この広域漁港整備事業というのは平成23年度で終わるわけですけれども、その後はどういった形で、需要はもちろんあると思うんですけれども、新たな事業として計画していくのかどうかもお伺いします。
〇佐々木水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 委員お話しのように、現在の水産基盤整備基本計画が平成14年から平成23年までということで県のマスタープランとして策定しているわけでございますが、現在までのところ、進捗状況が4割を切っている、広域漁港では39.5%という状況でございまして、まだまだ実施すべきところがたくさんございます。
 国の動向を見て、今後どのような形になるか今のところはっきり申し上げられませんが、国の情報を聴取いたしまして適切に対応していきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 今、39.5%ということでしたけれども、需要としてはまだまだあると思うので、ぜひ国のほうにも要望しながら整備を進めていっていただければと思います。
 次に、さけ回帰率向上緊急対策事業費についてお尋ねいたします。
 サケは岩手県の水産業の中で最も重要な魚種だと思っております。近年ずっと回帰率が落ちてきて、まあ、価格とかもあります。例えば、昨年と比べると今年度は六十数%という価格だったりとか、非常に厳しい面もあるんですけれども、量でカバーするような形が続くような気がしております。この回帰率を向上させるためにはどうするかということで県のほうでも予算をつけているわけですけれども、この事業内容をまず示していただきたいのと、特に新たなものがあるのかどうかお尋ねします。
〇寺島水産振興課総括課長 さけ回帰率向上緊急対策事業についてでありますけれども、この事業は、本県サケ回帰率の向上を図るため、平成21年度当初予算において新たに措置したものでございまして、内容は3点ありまして、強い稚魚の生産技術開発、それからふ化場技術者の人材育成、そして3番目が老朽化したふ化場の機器整備、これらについて総合的な取り組みを進めるものでございます。
 特にも、稚魚の生産技術開発は、成長、生残を高める本県独自の取り組みであり、ふ化場の飼育段階から塩分を強化したえさを与え、海水に適応しやすい稚魚を育成して歩どまりを向上させる技術開発を今後も継続していきたいと。
 それから、新たに来年度からは、飼育水槽の色の変化など、特定の光波長を利用して稚魚の成長を促進させる技術開発を進めていくこととしております。
〇嵯峨壱朗委員 回帰率のピークは平成7年か平成8年ですか、これが5.5%ぐらいまであったんですかね。そして、近年でいうと2%。そして北海道あたりは5%、大分違う。向こうでとられているのかなと思ったりもしますけれども、大分違うので、多分こういった事業をさらに進めると思うんですが、去年と比べると600万円ぐらい減っているんですね。ですから、大変重要な魚種とかそういった意味でいくと何となく残念な気がするんですけれども、その理由というか、どういう意味があったのか。
〇寺島水産振興課総括課長 予算についてでありますけれども、平成22年度当初予算額は1、000万円余としており、前年度比61%となっております。これは、技術開発及び人材育成に係る事業費をほぼ前年度並みにしている一方、県単の機器整備事業分については、今年度予算で重点的に整備を実施したことによりまして、来年度の実施分が少なくなったためでございます。それで予算額が減少しております。
〇嵯峨壱朗委員 結局、複合的な理由で回帰率がなかなか上がらないということだとは思うんですが、単純に1%上がると物すごい量がとれるわけですよね。ですから、ぜひもう少し他の研究機関とも、水産技術センターとか連携しているのかと思うんですけれども、本格的にやっていただきたいような気がします。
 そういったことはどう考えているのかと、実際にはどれぐらいの回帰率を達成したいと、ぱっとやってできるものではないんですけれども、求めているのか、その辺もお聞かせ願えればと思います。
〇寺島水産振興課総括課長 研究の状態につきましては、現在、県内では内水面水産技術センターで先ほど申しました特定の光波長を使った稚魚の生産技術をやっておりますし、水産技術センターでは、沿岸域のサケの稚魚のえさとなるプランクトンの発生とか、そういう生息環境の状況について今それぞれ進めております。それからあと、放流した後、北上していくわけでありますけれども、アリューシャンとか千島列島をずっと行くわけですけれども、そういう中においては水産庁の研究所と連携をとりながら研究しているところでございます。
 それから、回帰率についてでありますけれども、現在2%台の低い水準にありますが、今申し上げました事業などを実施いたしまして、当面は3%台にまで向上させたい、そこを目指すこととしております。現在、4億3、000万尾の稚魚を放流しておりますけれども、3%の回帰率で約4万トンの漁獲量を確保しようとするものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 まず、いろいろな形で努力していただきたいと思います。
 これはずっと何年かの間4億尾という数を放流しているんですが、過密だとか、いろいろあるやに聞いております。だから、量を減らして健苗を育てるということも必要じゃないかという話もある。そうすると買い上げの金もそんなにかからなくなるといういろいろな、わからないですよ、減らすとそのまま減るのかもしれないけれども、いろいろなことを考えていろいろな角度からやっていっていただきたいと思います。
 何か所感があったら、なければそのままでいいです。
〇寺島水産振興課総括課長 単純に減らして回帰率が向上しなければますますちょっと心配な部分がありますので、今、過密飼育にならないように、平成10年あたりまでやっておりました海中飼育に今、回して、池の密度を過密にならないようにするとか、水量に合わせた飼育を行い、適正な放流の仕方ということも含めてこれから研究していきたいと思っております。
〇中平均委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後4時53分 休 憩
午後5時8分 再開
〇久保孝喜副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇菅原一敏委員 私からも、チリ地震津波による水産関係の被害について、岩手県の今後の対応のあり方、どのように取り組むのか、こういう点ついて何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。
 先ほど、伊藤勢至委員の質問に対して五日市漁業調整課長から御答弁がありました。現地、現場からの要望項目が五つあったというお話でございました。
 そのまず最初の項目は養殖施設の整備でございます。私も、現地、現場でいろいろ要望を聞いてまいりましたけれども、この養殖施設の整備については、中身が二つあると思っているところでございます。
 一つは、国の強い水産業づくり交付金を活用して整備する。これについては国に対して要望していただいて、予算の枠を、事業費の枠をいっぱいとってもらうということに尽きると思います。
 もう一点は、県単の地域営漁計画推進特別対策事業の拡大によって養殖施設の整備をしたいということでございますが、これにはもう一つありまして、現行3分の1の補助率のかさ上げを同時にしてもらいたい、こういう現地からの要望が非常に強くあったわけでございますが、24日に提案予定の補正予算についてはどのような中身になるか、今の時点ではお話はできないようでありますけれども、考え方として、このかさ上げについてどのように対応されるおつもりか、まずお聞かせいただきたいと思います。
〇五日市漁業調整課長 県単事業の施設整備に係るかさ上げの補助ということでございます。確かに現状では3分の1というかさ上げをしてございます。これにつきましては、今、鋭意内部で検討中でございまして、どのような形になるかは現段階ではちょっとお答えいたしかねるところでございます。申しわけございません。
〇菅原一敏委員 検討中ということであれば、これ以上はやむを得ないわけですが、いずれ、平時であれば、通常であれば、新年度の予算にも、167ページにありますけれども、600万円そこそこしか予算がないわけです。これであれば、3分の1の補助率であっても、漁業者等は残り3分の2の負担は可能なわけですけれども、今回は3、469台という養殖施設が壊れてしまった。こういう大量に事業が伴うわけですから、3分の2の自己負担は、このままでは、何といいますか、予算はついても使えないという状態になるんじゃないかと懸念をするわけです。そしてまた地元でも、何とかこれを、3分の1を5分の3にでもしていただいて、残りを地元の市町村で、これは地元市町村はやるつもりになっておりますから、さらに上乗せをして、国の強い水産業づくり交付金と同じ2分の1の補助になるようにしていただければ、非常に実効性のある中身になるのではないかと思うわけでございますが、この点を強く要望しておきたいと思います。
 次に、共済の要望もありました。共済の制度がないホヤあるいはエゾイシカゲガイについては、先般の一般質問の関連でもお尋ねしたわけでございますが、ホヤとエゾイシカゲガイについて、例えば地域共済のようなものを検討するお考えはないのか、お尋ねしたいと思います。
〇五日市漁業調整課長 ホヤとエゾイシカゲガイの地域共済ということでございます。県の共済組合のほうとこの辺のところはいろいろと協議をさせていただいておりますが、まず、ホヤあるいはエゾイシカゲガイを地域共済にする場合には、一定程度の規模の全国的な取引量といいますか、取引金額的なものが一定以上を超えていなければ、なかなか共済制度にのせることはできないということを共済組合のほうからは伺っております。そうは言いながらも、これらにつきましては、生産規模あるいはこれからの養殖の規模の拡大などを含めまして、共済組合のほうとまたいろいろ相談してまいりたいと思っております。
〇菅原一敏委員 もう一点お尋ねしたいんですが、養殖施設の整備に当たって、一般的には水面の下にある部分が補助対象になる、水面の上にある分についてはいわゆる個人の施設であって、県単事業といえども補助対象にはならないという仕組みになっているということは承知しておりますが、仮にこれを今回復興するに当たって、水面の施設、例えば、けたとかロープとか浮子とかというものについても、漁協等が事業主体になって、整備の主体になって、共同施設として整備したいというような場合に、県単の補助対象にぜひしていただきたいと思うわけなんですが、その点のお考えをお伺いしたいと思います。
〇五日市漁業調整課長 現段階では、今、委員がおっしゃいましたように、いかりとかアンカー部分については共同利用施設として助成しているところでございますが、やはり上の施設につきましては、個人の生産物を生産する施設ということで、現段階では補助の対象とはしていない実態がございます。これにつきましては、共同利用施設として、どこまで、どういうふうに認めることができるのか、あるいはその辺が可能なのか、これはちょっと検討していく必要があろうかと思っております。
〇菅原一敏委員 今は災害なわけですから、通常の場合と違うわけですから、制度でも何でも拡大解釈をして、都合のいいようにねじ曲げてでも漁業者のために支援するという姿勢が必要だと私は思うんです。その検討もいいですけれども、余り現行の決まりにとらわれないで、補助率なんかについても補助要綱を改定すれば済むわけですから、もう少し積極的なお取り組みをお願いしたいと思います。
 いずれ、非常に漁業者は苦労しております。被害を受けた沿岸の各市町においては、撤去費用でありますとか、後片づけの費用でありますとか、当面漁業者が困る、すぐ必要になるさまざまな経費について全額補助しますという、全面的に支援する態度を鮮明にして、既に大部分の議会では補正予算の議決も終わっているという状況にあるわけでございまして、県がこの24日にどのように踏み込んだ対応をするのか、沿岸の市町村も、漁業者も、あるいは県民みんな期待して注視しているわけでございますから、通り一遍の当たり前の補助ではなくて、ぜひとも、先ほども申し上げましたけれども、県単事業についても漁業者が使えるような、そういうかさ上げを含んだ予算にしていただくように、何度もお願いするようですが、強くお願いして、そして、部長の御所感があれば決意をお伺いして、終わりたいと思います。
〇瀬川農林水産部長 各市町村あるいは団体からいろんな御要望をいただいておりますので、それを基本としながら、今、鋭意、庁内での調整を行っております。できるだけ早期の復旧、復興ができますように頑張って取り組んでまいりたいと思います。
〇高橋元委員 沿岸からはるか100キロも離れた内陸の者が水産振興についてお尋ねしたいと思っております。
 水産物の6次産業化について、何点かお尋ねしたいと思っております。
 まずもって、このたびのチリ地震の津波によりまして被害を受けられた方々に、改めてお見舞いを申し上げたいと思っております。
 3月15日の月曜日の資料によりますと、水産物で11億3、500万円余りという被害額が出されておりますし、また、陸前高田市から宮古市までということで、かなり広範な地域で被害が出ているということであります。このような甚大な被害が出ている中にあって、直接的な被害はこういう金額であるわけでありますが、私は、もう少し違うところにも被害が出ているのではないかという心配をいたしまして質問するわけであります。例えば、ホタテ、カキ、エゾイシカゲガイ、ホヤ、ワカメ、昆布というところで被害があったということであります。これらをもとに水産加工をしているところにも被害が及んでいるのではないかと思いますが、その辺の予測される影響というものはどういうふうになっているのかお尋ねしたい。
〇寺島水産振興課総括課長 今回の津波で甚大な被害を受けた養殖水産物は、ただいま御発言にもありましたように、カキ、ホタテ、ホヤ、ワカメ、ほかにエゾイシカゲガイ、昆布等ございます。この中で特にカキ、ホヤは、漁協や県漁連の共同販売を通じて卸売市場に生鮮出荷されるものが多く、販売先では品薄になりますけれども、県内の水産加工業者への直接的な影響は少ないのではないかと考えております。
 それから、津波では内湾漁場のワカメにも大きな被害をもたらしたところでありますけれども、ワカメは外洋漁場が中心でありますことから、県内の水産加工業には大きな影響は余りないのではないかと考えております。
 一方、ホタテガイにつきましては、地元加工業者にとって原料調達が難しい面もあると聞いておりますので、県漁連と相談しながら対応してまいりたいと思っております。
〇高橋元委員 この加工産業のところにおいてのさまざまなこれからの対応策も検討されておりますが、ぜひその辺もいろいろ厚く、私のほうからもお願いしたいと思っております。
 そういうことからすると、これからの水産物の6次産業化の事業推進とか、あるいは戦略的なものには直接的にはそう大きな影響が出ないということで判断していいのかどうか。
 もう一つ心配されるのは、例えば水産加工の原材料の品薄というときに、ほかから仕入れてきて、加工は三陸でやったからこれは三陸産だということで販売されて、それが今までと全然味も違うよとか、品質が違うよと。行く行くは、三陸産の今まで積み上げてきたさまざまな信用とか、そういったものが落ちたら困るんだなという思いもしているんです。その辺を総合的に含めて、これからいろいろ対応をお願いしたいものだなと思っておりますが、その辺はいかがでしょうか。
〇寺島水産振興課総括課長 今、被害に遭っているものの多くが、中には違うものもあるんですけれども、カキ、ホタテ、ワカメ等については県漁連共販、あるいはホヤなどについても漁協の共販ということで、それぞれの組織が、それぞれ関係している買い人等を通じて対応しておりますし、また、そういう中で、今、私たちは、漁業者もみずから売り方、そういうことを体験しながら、加工までもの認識を持って取り組んでいってほしいと思っております。そういうような支援を自分たちは今やりたいと思っております。
〇高橋元委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと通告が漏れておりましたけれども、平成22年度におきましての水産物の6次産業化に対する取り組みとか、あるいは予算についてはどのようになっているのかお尋ねしたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 1部のほうでもお答えいたしましたが、6次産業化のチャレンジ支援事業は、継続事業者の中に、現在、水産関連ということで2社組まれております。さらに、新規という形でこれからということになりますけれども、県内の各広域、沿岸などの振興局のほうを通じまして、いろいろ参加の募集をかけていきたい。そういった形で、今回の津波もあるわけですけれども、チャレンジをしていただくことで、復興の支援といいますか、元気をつけていただきたいというような思いも込めていろいろ取り組んでいきたいと思っております。
〇高橋元委員 ぜひ、さまざまな支援を厚くしていただいて、水産物加工の新商品の開発とかブランド化といったものを大きなものにしていただきたいとお願いして、質問を終わります。
〇斉藤信委員 私のほうからもチリ地震津波による漁業被害の対策についてお聞きします。
 この間の質疑の中で、各漁協、自治体からの要望の内容と対応は、今、検討中ということで、残念ながら対応策は具体的には示されませんでしたが、そこにかかわって、養殖施設、水産物の廃棄物の処分というのはほとんど6市町で全額見ると。これは本当に緊急を要することで、こうした地元自治体の決断というのは大変漁民を励ましております。岩手県もこの間、さまざまな災害のときに、こうした処分費用については助成をしていますから、当然、これは補正予算に組み込まれるものと思います。
 また、養殖施設の復旧、施設の整備に対しても、菅原委員からは二つの中身も具体的に指摘されました。知事の政府に対する要望は、見ましたら、強い水産業づくり交付金に絞った要望になっていましたので、これ自身は大変大事なことなんですけれども、私は、それだけでよかったのかな、国に対する要望はもっとあったのではないかと思いますが、まずここから聞きます。
〇五日市漁業調整課長 まず、養殖施設あるいは水産物等の廃棄物処分への助成ということでございます。現在、補正予算の編成に取り組んでいるところでございまして、被災した資材等の処分費への支援などについて庁内で調整をしているところでございます。
 また、施設整備等につきまして、交付金の要望を3月11日に知事のほうからしていただいたところでございまして、そのほかにも要望すべきことがあったのではないかということでございます。例えば宮城県などでありますと、共済金の早期支払いということを要望いたしておりましたけれども、本県といたしましては、例えば共済金の早期支払い等については共済組合のほうに既に申し入れて、早期支払いは行うという回答もいただいておりましたので、これらを勘案して、交付金一本に絞って、3月11日には知事に要望していただいたものでございます。
〇斉藤信委員 改めて両県でまた要望するということなので、私は、本当にこういうときには必要なことは何でも要望する、最初から絞ったりする必要はないと思うんです。これは、要望というのは1回限りじゃないので。
 今度の強い水産業づくり交付金の問題については、具体的な箇所も含めて具体的な要望はしていますから、これはこれで私は評価しますが、しかし、養殖施設の復旧整備だけでは済まないので、ぜひ、激甚災害の指定も含めて、国に対する要望はできるだけ地元の声も反映したものにしていただきたい。
 それと、二つ目に共済の問題なんですけれども、漁業共済の加入率の現状と今後の対応について示していただきたい。市町村でこの漁業共済への加入に助成しているところがあると思いますが、その状況はどうでしょうか。
 漁業共済は施設と水産物とあるわけですけれども、それぞれによってかなり加入状況も違います。この10年間で年に数回という規模で実際の災害が起きていますので、私は、この漁業共済への加入を引き上げる県独自の対策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇五日市漁業調整課長 まず、市町村の助成措置の状況についてですが、カキにつきましては、養殖を行っている六つの市町のうち五つの市と町が助成しております。また、ホタテガイにつきましては、8市町村のうち6市町などでそれぞれ特定養殖共済への掛金助成が行われているところでございます。
 また、共済の加入率の現状ということでございます。共済の加入率につきましては、カキ、ホタテガイなどの生産額が減少した場合に支払われる特定養殖共済への加入率は、県下全体で水産物のほうでは96%となってございます。ところが、養殖施設の被害に対して支払われる漁業施設共済は県下平均で53%、半分強という状況になってございます。今後とも、施設共済につきましては共済組合と連携して加入の促進を働きかけたいということと、さらに、昨年度末に新たに津波についての災害を限定とした、掛金がこれまでよりもずっと安い共済制度が出てございます。津波に限定しておりますので、毎年ということではなく、10年に1回とか20年に1回というものを想定しているから、ある程度安いわけでございますが、これらをとにかく普及して、皆さんが入っていただけるようにしたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 水産物に対する共済の加入率は96%、そして市町村もかなり助成もしているということで、助成の率もあるのだとは思いますが、陸前高田市に私が行ったときに、やっぱり市が助成をしていて、加入が進んだと。ただ、水産物の共済は限度額80%で、補償額も80%なんです。最大64%しか補償されないということです。そして、これは、何%で加入するかということもまた個々違うという、だから、最大限で6割程度の補償ということですので、これはこれで入っていることにこしたことはないんですが、全滅の被害を受けた場合には、これだけでは本当に復旧はできないというのも実態だと思いますので、ぜひ、施設の共済も含めた、市町村だけやるのではなくて、県もそこに加わる対策をひとつお願いしたい。
 それで、実はさっき養殖施設の上と下の話もありましたが、広田湾漁協に行ったときに、水面から下の被害が1億円で、上の被害が7、000万円から1億円なんだと。結局、補てんされないといいますか、対象にならない被害がそれぐらい大きいわけです。そして、一方で新たな種とか稚貝もこれから購入しなくちゃならない。その収穫は2年後、3年後、4年後になってしまう。この点で今後の経営と生活への不安というのが大変強いものがありました。生産・経営資金、生活資金をできるだけ無利子で、保証料もなしにという強い要望をいただいてきましたが、私は、災害対策でここの点もぜひ特別の手だてを講じてほしいし、補正予算にも組んでほしいと思いますが、検討されているでしょうか。
〇門口団体指導課総括課長 先ほど、伊藤委員の御質問にもお答えしたとおり、被災漁業者の経営再建の支援のためには制度資金の活用等が欠かせないものと考えておりまして、そのため需要の把握が重要でございます。現在、系統団体において、その把握に努めているところでございます。県といたしましては、その結果を踏まえまして、系統団体や関係市町村と協議し、既存の制度資金での対応が難しく、これを超えた支援が必要と認められる場合には、新たな支援も含めて検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 例えば漁業のセーフティネット資金、これは生活資金なんですけれども、限度額が300万円ですよね。利率は低いんだけれども、0.8%から1.05%となっていますが、この程度では2年、3年頑張れないということなんですよ、1、000万円、2、000万円必要だという話ですので。
 それと、ぜひ考えてほしいのは、広田湾漁協の漁民はそうでしたけれども、漁民によっては2人、3人雇用しているんです。大きいところは10人ぐらい雇用しています。収入の道が閉ざされたにもかかわらず、これからそういう養殖の手だてをとるためには首を切れないんだ、この人たちを引き続き雇って稼がなきゃだめなんだと。緊急雇用対策の対象にならないのか、そういうことなどもぜひ検討して、収入がない中で人を使ってそういう養殖施設の復旧をしなくちゃならない。また、復旧の中でも潜水夫を頼むとかいろいろな作業もありますから、そういう緊急雇用対策なども可能なら活用していただきたい。
 この津波対策の最後ですが、大船渡湾の養殖施設の被害を見たときに、湾口防波堤の両側に被害が集中しているんです。結局、あの湾口防波堤で入り口が狭くなっているわけです。そこで津波が来る、引き返す。私は、その湾口防波堤の両側に特別な渦ができたのではないか、この湾口防波堤とのかかわりも検討すべきではないかと。末崎の漁民からこういうことも言われました。いわば流れた養殖施設の撤去の作業に3月1日に行っているんですよ、注意報のさなかに。これは海上保安庁からの指示なんです。まず先に航路を確保しろですよ。そういう指示が本当に適切なのかと私は思いましたが、こういう湾口防波堤は津波に効果があったとは思いますけれども、じゃ、漁業に対してはどうなのかということも、これはぜひ必要なところで調査、分析をして、湾口防波堤に何らかの要因があるとすれば、それにふさわしい助成なり対策があってもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇五日市漁業調整課長 大船渡湾の津波被害につきまして、湾口防波堤の内側の両側に被害が集中したというのは、今、委員御指摘のとおりでございます。ほぼ壊滅的な状態となっているとお聞きしております。これは、湾口防波堤に津波が経過した後に、防波堤の内側に渦状の海水の流れが生じてしまったということで、それが施設に被害を与えた大きな要因ではないかということを漁業者の方々から私どももお聞きいたしております。
 そこで、湾口防波堤とのいろいろな関連につきましては、今後、県土整備部のほうと連携しながら、実態調査などを行ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 緊急雇用対策事業の検討も求めたので、これは要望にしておきますから、研究課題にしてください。
 二つ目に、サケの回帰率向上対策で先ほども質問がありました。水産振興議員懇談会でサケ問題で調査に行ってまいりまして、私も、この深刻さといいますか、緊急さを新たにしたんですが、そのときに国のサケふ化場の方は、北海道の経験から、一つはふ化場が過密ではないか、水不足ではないかと。そして、水質の問題もあるのではないかと、かなり確信を持った指摘もされたわけであります。私は、その点では、推移を見守るということではなくて、北海道は国の試験研究機関もありますし、岩手県とはまた違ったレベルで研究、取り組みをやっていますから、そうした指摘というものは正面から受けとめる必要があるのではないかと。
 もう一つは、ふ化場の問題なんですけれども、専門職員の配置が本当に大幅に減っていました。私は、そういう人的な問題でも、この間のリストラの影響だと思いますけれども、サケをこれから取り組んでいこうというときに、最も大事な施設で、施設そのものの人的なところに大きな問題を抱えているのではないか、そこの打開に取り組むことが必要ではないかと思いますが、今年度のサケの漁獲高も含めて、この推移も含めて答えていただきたい。
〇寺島水産振興課総括課長 まず初めにサケの漁獲についてでありますけれども、平成21年度の沿岸漁獲量は約2万6、000トン、金額は70億円でありまして、前年に比べ数量は107%と上回ったものの、金額は69%にまで低下しております。この要因は、北海道が当初不漁予想であったものが、一転して豊漁となったことで、全国的にサケの単価が低下したことによるものであります。近年のサケの漁獲量は、平成8年の7万トンをピークに減少に転じ、平成11年には3万トンを下回って以降、近年は2万トン台で推移しておりまして、これにより回帰率は2%台と低い水準になっております。
 それから、回帰率を高める上での北海道の取り組みを参考にすべきではないかということにつきましては、北海道では実は平成11年に不漁となりまして、回帰率が5%台から3%台に低下いたしました。これによって稚魚の放流体制の見直しを図りまして、健康な稚魚を適期に適サイズで放流する指導などを徹底したところ、こうした取り組みの成果もあって、5年後の回帰率が5%を上回る水準にまで回復したと聞いております。
 本県においても、ふ化場や沿岸環境の特性に合わせて、適期、適サイズ放流の指導を今進めております。さらには、先ほども申し上げましたけれども、本県独自の健康で強い稚魚の生産技術開発にも取り組んでいるところでございます。先ほど具体的なさけ回帰率向上緊急対策事業のお話をしましたけれども、これを来年度も引き続き実施して取り組んでいきたいと思っています。
 さらに、ふ化場の問題についてでありますけれども、本県のふ化場は、昭和50年代に整備したものが多くて、施設の80%以上が20年以上経過し、老朽化が進んでおります。これによって、今、委員御指摘のとおり、水量不足による過密飼育あるいは作業効率の低下など、総じて厳しい飼育環境となっております。さらには、ふ化場技術職員についても臨時職員の割合が多くなっているなど、ふ化放流事業の知識や経験が必ずしも十分とは言えない状況もございます。このため、ふ化場の施設整備につきましては、国の交付金事業の積極的な活用を指導するとともに、国の制度で対象とならない機器整備については県単補助事業により支援をしているところでございます。さらには、職員の人材育成についても、技術の底上げを図る基礎研究の充実を図るとともに、中核的なふ化場の重点指導により、地域のリーダーとなる技術者の育成にも、今、取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 岩手のサケは水産業のまさに柱ですので、思い切った予算措置もしないと、私は、予算を減らしているうちはだめだと思います。だから、そのことは強く求めておきたいと思います。
 最後に林業の問題についてお聞きします。
 鳩山政権も木材自給率を10年後には50%とかなり大胆な計画と目標を打ち出しております。私は大変注目しております。
 それで、一つは、今、森林が果たしている役割をどういうふうに見るのか。前にも、金額で換算すればというのがありましたが、現段階で最新のそういうものがあるかどうか。
 二つ目に、育てる時代から利用する時代、いわば今は一番の蓄積量になっているわけです。森林の蓄積量と年間成長量、消費量は岩手の場合はどうなっているでしょうか。
 林道、作業道の整備率は先ほど質問がありましたから、私は、この整備がおくれている理由は何なのか、このことをお聞きします。
〇竹田森林整備課総括課長 何点かお尋ねがありました。
 まず最初に、森林の果たしている役割でございますけれども、木材やキノコ等の林産物を供給するほか、水資源の涵養あるいは山地災害の防止、そして、近年特に注目されております二酸化炭素の吸収など多くの公益的機能を発揮しているといった役割がございます。
 次に、金額の換算でございますけれども、県の林業技術センターでは、平成14年に、当時、全国ベースでこういった公益的機能の金額換算を日本学術会議というところが実施したわけですけれども、この手法によりまして、本県の森林につきましても公益的機能の評価を実施いたしました。その評価額が2兆6、400億円と大変大きな額となっております。最新のデータということでございますけれども、平成14年から、例えば森林面積は本県は118万ヘクタールで、そういった大きな経年変化がございませんので、この2兆6、400億円というのは現在も同等の評価であると考えております。
 次に、森林の蓄積量、年間成長量、消費量についてのお尋ねでございます。
 まず最初に、本県民有林の蓄積量でございますが、年々増加しておりまして、平成19年度のデータで言いますと1億6、700万立方メートルで、これは10年前に比べますと2割ぐらい増加しております。その増加で数字を申し上げますと、今、人工林が大変成長旺盛な時期を迎えておりまして、森林全体が1年間に成長する年間成長量は約350万立方メートルと、30年前に比較すると1.5倍ぐらいの成長量に毎年なっているということでございます。その一方、民有林から生産される木材消費量ということですけれども、これは平成19年度で約100万立方メートルとなっております。資源の成熟化に伴いまして増加傾向になっております。
 3点目の林道、作業道の整備がおくれている理由でございますけれども、今言ったように、まさに今、成熟しつつあるわけですが、これまで本県の森林は、どちらかといいますと保育、手入れのほうが中心でございまして、お金がかかる作業道の整備意欲がちょっと低かったということが挙げられますし、二つ目として、小規模、分散的な所有形態の森林をまとめなければいけないということ、そして、低コスト間伐に不可欠な高性能林業機械の導入が不十分、そういったことがおくれた理由として挙げられるのかなと考えております。こういったことで、今、森林の団地化、そして高性能林業機械の導入を促進しまして、あわせて林道、作業道の整備も積極的に進めてまいっているところでございます。
〇斉藤信委員 現状は、戦後に植林した森林が50年以上たって、今まさに活用しなくちゃならない。年間の蓄積量と消費量を聞きましたが、350万立方メートルの年間の成長量に対して消費量が100万立方メートルと、ここのギャップが本当に大きいんだと思うんです。だから、そういう意味でいけば、県産材活用の需要をどう拡大するのか、ここがないと切れないわけですから。そういう学校、公共施設はもちろん、年間成長量にふさわしいぐらいの需要があると、ちょうど回転するわけです。そこらの需要拡大策を、今どういうふうに考えているのか示していただきたい。
〇堀江林業振興課総括課長 県産材利用の拡大でございますが、委員がおっしゃるとおり、県産材の利用を図ることは、本県の林業、木材産業の振興はもちろん、二酸化炭素の固定による地球温暖化防止にも貢献すると考えているところでございます。
 このため、県としましては、技術研修会の開催による品質、性能の確かな乾燥材生産の促進、あるいは商談会開催などによる建築業界と木材業界とのマッチングの促進、さらに、来年度から県土整備部が実施します県産材住宅への補助と連携しまして、県産材利用を積極的に提案する建築士あるいは工務店等の取り組みを支援することによりまして、県内での木造住宅建築の促進を図ってまいりたいということで県産材の利用拡大に取り組むとともに、県としても、これは先ほど工藤委員にお答えしたとおりでございますが、学校、公共施設の県産材についても積極的に活用することとして、来年度以降も県庁の中で、木材利用推進行動計画を策定しまして、関係部局と連携しながら公共施設への県産材利用に積極的に取り組みたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 もう少し具体性が欲しいんだよね。例えば200万立方メートルまでいくんだとか、何かそういうものがないと切れないわけじゃないですか。だから、来年はどこまで目指してやるのかということが、私は、ここまで来ると、それこそそれが計画だと思いますが、来年度、どういう見込みがあるのか、ないのか。
 もう一つ深刻なのは、林業労働者が大幅にやっぱり減少しているんですね。これから10年間で木材自給率50%を目指そうという、それを担うというか、支える林業労働者をどういうふうに養成していくのか、これをお聞きします。
 それと、今、国の動きの中で、森林組合から作業班を切り離して、森林組合は管理業務に徹し、他の事業体に委託する形態が議論されているようですが、これを県はどういうふうに受けとめているでしょうか。
 また、県の森林審議会の資料も読ませていただきましたが、県の森林組合連合会がこのメンバーに入っていないんですね。いろんな審議会を見ても、県レベルの連合会が入っていないというのはないんです。それはどういう理由なのかお知らせください。
〇堀江林業振興課総括課長 県産材をいわゆる蓄積量相当に拡大すべきではないかというお話でございますが、具体的なその数字については今ここでお答えはできませんが、先ほど申し上げたような施策をフルに活用しまして、できるだけ本県の県産材が有効に使われるように努力してまいりたいと考えております。
 なお、先ほど御答弁申し上げました来年度以降の県庁内の行動計画の関係でございますが、これは現在、策定中でございますが、これにつきましても、これまでの実績を踏まえまして、これまで以上に積極的に木材利用を推進できるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、私のほうから、最後に御質問がございました森林審議会の委員の関係でございますが、森林審議会は、森林法に基づく計画あるいは県の林政上重要な事項について御審議いただく附属機関でございますが、そういった意味から、本県林業に関係する幅広い分野から委員を選任させていただいております。お尋ねの岩手県森林組合連合会でございますが、この中の理事の方、県内の森林組合長でもございますこの方を委員としてお願いして、地域林業の現状を踏まえた意見等をいただいているところでございます。
〇竹田森林整備課総括課長 私のほうからは林業従事者の現状と養成につきましてお答え申し上げます。
 まず最初に、県内の林業従事者の現状でございますけれども、先ほど来お話ししているとおり、人工林資源の充実を背景にいたしまして、作業の主体が造林、保育といったものから木材生産に移行しておりまして、木材生産分野の従事者が増加している一方で、造林等の保育作業の分野では、高齢化も相まって大きく減少しておりまして、委員御指摘のとおり、従事者全体では減少傾向にございます。平成19年度では1、870名となっております。このため、関係団体とも連携して林業従事者の養成を行っておりますけれども、国の緑の雇用担い手対策事業を活用しまして、若手を中心とした林業就業希望者への現地での研修を行っております。新規就業者数は、現在もやっておりますけれども、この事業が始まった平成15年度から平成20年度までの6年間では455名となってございます。さらに、こういったニーズばかりではなくて、地域の中核となる林業従事者、例えば高性能林業機械を操作できるといった高い専門知識と技術を有した従事者を養成するために、県のほうでは、そういった研修もやって今年度も終えておりますけれども、これまで260名ほどの中核的な林業従事者を養成してございます。
〇大澤指導検査課長 次に、森林組合から作業班を切り離すなどの議論についてでございますが、現在、国では、平成21年12月に策定した森林・林業再生プランの着実な実行を図るため、森林組合改革・林業事業体育成検討委員会を設置して、地域の森林管理の主体としての森林組合の役割の明確化、員外利用の厳格化、経営内容の透明化の確保など、森林組合の改革に向けた検討を行っているところと聞いております。
 その第1回目の委員会は先月の2月16日に開催されております。この委員会では、多数の意見が出されたところでございますが、その中で、森林組合は森林施業プランナーとしての役割を主体とし、森林整備事業の作業部門はある程度切り離していいのではないかという意見があった一方、では、そのデメリットについて熟慮すべきこともあるのではないかという意見もあったと承知しております。いずれにしても、国は、年内には中間報告を取りまとめ、方向性を示すという予定になっておりますことから、県としては、国の動向を注視しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 おしかりを覚悟で、1点だけ質問させていただきます。
 地元にあります岩手県民の森指定管理者いわてNPOセンター・小岩井農牧共同体の運営実態についてお聞きいたします。
 岩手県民の森は、昭和44年、岩手国体を記念して造成され、また、昭和49年の全国植樹祭で、施設、広場、道路整備が行われました。現在の県民の森は、造成された面積70ヘクタール、平成7年に全国緑の少年団全国大会があった折に国有林の払い下げ分として292ヘクタール、合わせて362ヘクタールがあります。これは東京ドーム77杯分という広大な面積です。利用されている施設は、森林ふれあい学習館、木材工芸センター、キャンプ場など、子供から高齢者まで幅広く利用されております。ちなみに、平成21年度の利用者数は14万人程度を見込んでいると伺っております。県民から大変親しまれている、利用されている施設であります。ここを運営されているスタッフの皆さんには心からの感謝を申し上げているところです。
 しかしながら、今般、公共施設の指定管理者になっておりますいわてNPOセンターの運営にはゆゆしき実態が明らかになったところで、その指定管理がえが昨年あったわけですけれども、その選考過程と、その後の指導のあり方をまずもってお聞きいたします。
〇佐賀森林保全課総括課長 お話のありました指定管理者の選定の経緯でございますが、平成20年度に実施いたしました指定管理者の公募に当たりましては三つの団体からの応募がございまして、外部有識者を交えた農林水産部所管施設指定管理者選定委員会におきまして、書類やプレゼンテーションにより、管理の適正、確実能力、あるいはその設置目的の達成計画などの観点から審査を行ったところであります。この結果、いわてNPOセンター・小岩井農牧共同体が候補者として選定されまして、議会の議決を経て指定管理者に指定されたところでございます。
 現在、どういうような指導をしているかということでございますけれども、毎月、指定管理に係る業務実施状況あるいは施設修繕状況などにつきまして指定管理者から報告書が提出され、県は、その際に必要な管理運営業務の指導を行っております。また、指定管理者と県とで、県民の森の管理運営状況について必要な都度打ち合わせを実施しておりまして、施設の管理や公園の適正な利用に関して必要な指導を行っております。さらに、公園利用者の快適な利用や安全確保のために行われる刈り払い作業とか、あるいは施設維持作業などの安全管理などについても指導しているところでございます。
〇工藤勝博委員 私も地元ですので、たまにはふれあい学習館に行くことがあります。立派な施設ですし、事務所も相当なスタッフがそろっているなと思っておりました。ところが、そこの所長さんいわく、毎週月曜日に1週間分の事業報告をしに本部に行かなきゃならない、1日かかりますと。そうすると、1週間のうちに2日は私の活動はできないという話であります。事務的にも同じことを、県民の森の事務所で受け付けたいろんな請求なり領収なり事務的なものを、NPOの本部に行って再度報告して決裁を受ける、そういう二重の仕事をしている、これは大変だというお話を伺いました。そのほかにもいろいろ聞き取ると、何か、指定管理部分の中から本部に、どういう名目だかわかりませんけれども、ある程度資金も上納されている、これはちょっとまずいよという話も聞きました。
 そういう中で、指定管理の部分の人件費が約6割なんですよね。その人件費がきちっと職員なりに支払いがされているのか疑問を感じます。その辺、もし調べがついているのであればお願いします。
〇佐賀森林保全課総括課長 本部に数十万円の上納金というようなお話もあったんですけれども、指定管理料の中から業務指導料として月額26万円ぐらいがいわてNPOセンターに支出されているということは実地調査で確認しております。これらにつきましては、いわてNPOセンター・小岩井農牧共同体、いわゆる指定管理している法人からいわてNPOセンターにアウトソーシング、外部委託された県民の森に係る経理業務あるいはそのシステム管理業務などに充てられていると聞いております。
 それから、人件費の関係でございましたが、計画では、第1期の指定管理の時点では合わせて2、800万円ぐらいの指定管理料を予定しておりまして、そのうちの1、500万円が人件費、残りの1、300万円が管理費というようなことで公募しております。平成20年度の実績におきましては、人件費が1、300万円、管理費が1、500万円で、人件費が大体200万円ぐらい計画から減っていますけれども、逆に管理費が200万円増加していますが、これは、ボランティアを積極的に活用するということで人件費が減って、ボランティアの皆さんに対する旅費の支給のほうに充てられたと聞いております。
〇工藤勝博委員 私もその計画書を拝見しましたけれども、その人件費は確かにそういう金額は載っております。しかし、当人に本当にどれだけ払われているのか定かじゃないですよね。ある職員は、とっても大変だ、これじゃ、とても3カ月しかもたないよと、特に若い職員の方は言っております。何の身分の保証もないし、そういう中で、繰り返し繰り返し職員の採用がありますよと。その辺の職員の就業期間などもお調べになったでしょうか、お聞きします。
〇佐賀森林保全課総括課長 雇用の関係につきましては、ちょっとそこまで詳しくは聞いていないんですけれども、法人の中での就業規則では、臨時職員とか、そういう方々もいらっしゃって、例えば1年間の契約だとかということで雇用されていると聞いております。
〇工藤勝博委員 そういうもろもろの経緯がこのNPOセンターにはあったと思うんです。それで、今月の3月5日にまた新たに、森の恵みにふれる生活体験啓発事業の補助事業で全く不適切というより、とんでもないことをやってくれたものだなと思います。その背景には、今まで多分、平成19年、平成20年はやりましたよと。その中で、ボランティアの皆さんが育ったと思うんですよ。県民の森の活動をして本当に支えてくれている皆さんはボランティアの方なんです。サポーターの方なんです。実質10名ぐらいといっております。各月週末2日ぐらいは皆さん出て、いろんなサポーターをやっております。そこに甘んじてこういう事案が発生したのかなと思っておりますけれども、そのことについてはどういう感じを持っていますでしょうか。
〇佐賀森林保全課総括課長 不祥事の発生というふうなところまでと存じ上げないんですけれども、県民の森が、委員からお話ありましたように年々利用者もふえていると。それは、指定管理団体がいろいろな管理の仕方をされる中で、例えばサポーターの方々が大変活躍されていることも存じ上げております。そういう運営の中で、うまく管理されているなと私どもは認識しておりました。今はそういう認識でおりました。
〇工藤勝博委員 この発生した原因について読ませてもらいますと、担当した職員が異動になったから、まあ、忘れていたということはないと思うんですけれども、それも故意ではないと思うんですけれども、そういう事態が発生するということ自体がやはり問題であると思いますし、私、いろいろなことを思うにつけて、NPOセンターの下請的な事務所に今の県民の森の事務所がなっているんだと。それを解消しないと、これはいつまでもそういう状態が繰り返されるのではないかと思うんです。
 そこで、NPOのこれからの育成も含めて、できれば現場に近い中で、その事務所の中で完結するような仕組みにしないとこれは何回も繰り返されるような気がいたしますけれども、その辺はどうでしょうか。
〇佐賀森林保全課総括課長 今後の指定管理についてどうするかということかと思います。
 県民の森の指定管理につきましては、毎年度終了後、その実行状況などを調査を行っていますし、事あればいろいろ指導、月大体1回ぐらいのそういう指導をする機会もあります。そういう中で、いかに運営していくかということでよく話し合われているものと思っております。
 今後、そういうこともあるとすれば、下請という言い方がどうかわからないんですけれども、ただ、法人格は別物だと私ども認識しておりますので、そういう影響もないわけではないと思いますが、今般、ほかの県の委託事業等の不祥事が発覚いたしましたので、本年度あるいは過去の会計処理とか、そういうものについての調査も実施いたしました。その結果おおむね良好だったわけでございますが、当面は私ども、やはりそういうたくさんの方々が利用する施設でもございますので、そういう方々の利用も考慮すると指定管理業務をそのまま続けていただきたいと思っていますけれども、ただ今後、そういうものがありますので、きちんと指導監督しながら、そういう関係する指定管理制度とか、あるいはNPO法人を所管する関係部局と連携しまして、きちんと法人の動向を監視していきたいと考えております。
〇西村林務担当技監 県民の森の管理について今後どうするかということでございます。
 県民の森というのは、先ほど委員から御説明あったとおり、全国植樹祭あるいは全国育樹祭が開催されるなど、県内随一の森林林業普及のフィールドでありまして、その管理は、県民の森設置の目的が最大限達成されるものとなるべきものと考えています。そのため、指定管理者のメリットである自由な発想あるいは県民の目線での管理、そういうことを期待して指定管理者制度を導入し、現在、管理していただいているところであります。
 これまでの管理の実績を見ますと、例えば自然観察会あるいは木工教室、フリーマーケット、そういったイベントを積極的に開催いたしまして、その結果として利用者が従前に比べほぼ2倍になっているということもありますし、あるいは利用者からの苦情に対しては、その内容に対して管理者はどのように改善したかを記載したものを館内の壁に張って公表しているなどしておりまして、サービス向上あるいは自浄作用が働くようにしております。
 また、アンケートの結果、9割以上がまた来たいというような回答でありまして、現場の中では、より使いやすい県民の森というふうに工夫が見られているところでございまして、ただ、せっかくこういった現場での利用者に対する好評を博していたそういった取り組みが今回の事案でもって崩されていくのは大変残念なものでありまして、今後、県民の森の管理におきましては、今後しっかりと監視いたしまして、問題が生じた場合には、関係する法令にのっとり、厳正に対処し、県民のサービス低下につながらないよう適切な管理を目指してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 今のこの県民の森の指定管理はあと2年そのNPOセンターにあるわけです。この中身、前に出た取り消しのあれを見ると、これは一つの事業は取り消すということで、全体の指定管理はそのまま残った期間またやらせるということなんでしょうか。
〇小田島副部長兼農林水産企画室長 この指定管理につきましては、今、委員御指摘のとおり3年間の債務負担行為を起こしているものでございまして、まだ期間は2年残ってございます。今、委員からさまざまいろいろなお話をちょうだいいたしましたので、そういうことを踏まえまして、私ども、適切な管理ということについてもう一度確認させていただきまして、そして、そういう中で法人が適切に運用できるものなのかどうかをきちんともう一回見きわめさせていただきたいと思います。今後の動向をきちんと見ていきたいと。いただいたお話も踏まえながら対応させていただきたいと思います。
〇工藤勝博委員 いずれ現場にいる皆さんは一生懸命やっています。先ほど西村技監が言ったアンケートにもすごくいいことばかりあるし、学習館も含めて環境整備もきちっとやっています。ただやっぱりそういう経理的な問題、今、役員がかわったと言いつつも、やはり職員のモチベーションというのは、気分よく働かなければお客さんにも接しられない。まして自然を相手にする場所なんですよ。それを十分に考慮していただいて、指定管理の方法、今後の方法を十分検討してもらいたいと思います。
〇及川あつし委員 工藤委員の質疑を聞き入っていようかなと思ったんですが、ちょっと私なりに聞き捨てならない答弁が多々ありましたので、お尋ねしたいと思います。
 佐賀総括課長並びに西村技監は、過日の地域振興部における当NPOセンターにおける質疑についてきっちりと把握していますか。お二人に伺います。
〇西村林務担当技監 モニターで把握しております。
〇佐賀森林保全課総括課長 同じように把握していまして、委託事業については6カ月応募を見合わせると聞いておりました。
〇及川あつし委員 全然違うんですよ、今の答弁は。総括課長、引き続きお願いしたいとか、これまでの経理処理等については良好だったって明確に答弁してしまったんですが、監督の所管である地域振興部においては、指定管理の委託業務についても、契約期間の残存期間については検証した上でどうするかやるということなんですよ。ですから、副部長の答弁が的確であって、どうして担当のほうでそういう答弁になるんですかね。
 ということは、僕は徹底されていないんじゃないかなと思うと同時に、やっぱりまだ今回の問題の本質というのを御理解いただいていないのかなというふうに受けとめたところでございます。
 お伺いしますが、直近において、先ほども答弁がありましたけれどもいろいろ調査されたということでありますが、必要な書類が出てこなかったということはありませんでしたか。
〇佐賀森林保全課総括課長 そういうふうなところはなかったと、おおむね適切だったと聞いております。
〇及川あつし委員 私はその件についていろいろ聞いています。総括課長、ちゃんと自分で確認していますか。
〇佐賀森林保全課総括課長 調査は、この契約は盛岡地方振興局が担当していまして、そこの担当職員と私どもの課の窓口になっている担当職員が行って調査いたしました。
〇及川あつし委員 今、地域振興部がいろいろな委託事業について調査をやっていますけれども、現課だけに任せないでこれから一緒にやると言っていますけれども、皆さんはそこら辺の話については、調査のあり方についてはきっちり検証していますか。
 きょう、部長の答弁で、チームを起こしてこれから検証すると言っていますけれども、これまでの立入調査のやり方自体も問題だと思っているんです、僕は。そういう答弁があったので、今、黙っていようかなと思ったんですけれども、現課の総括課長がこういう認識だと絶対だめだと思うんですけれども、どうでしょうか。
〇瀬川農林水産部長 ちょっと答弁が適切でない部分もあった点は申しわけなく思っております。
 いずれ、いわてNPOセンターにいろいろ仕事をお願いしている分については、改めてこの検証チームの中でしっかり、これまでの分も検証しながら、また、これからどうあるべきがいいのかといったようなこと、指定管理について副部長からも御答弁しましたとおり3カ年ということになっておりますので、ここは全庁的な取り扱いともよく整合性をとりながら、問題のないようにしっかり厳正に対応してまいります。
〇及川あつし委員 最後にしますが、結局、この前地域振興部にお伺いして答弁として出た一番重要なポイントは、包括的に監査を帳簿、証拠書類をやらないと問題の全体が明らかになりませんよということなんですよ。皆さんが毎月やっているものは、体裁が整っていて、そこの委託管理の部分だけ見れば正しいのかもしれない。でも、その二十数万円という話だったんですが、それが本部経理に行って、そのお金が本当に指導料、管理料に値する形で使われているかどうか、そのお金の最終出口がどうなっているかというところまでやらなければだめだと思うんです。
 もう一点、工藤委員が指摘されたように、現地で雇用されている皆さんにきっちりと給料が残業代も含めて支払われているかどうか、最低賃金を下回らない形で支払われているかどうか、こういうところまで、先ほどの答弁だと書類上体裁が整っているというだけで、それ以上のことはやっていないんじゃないですか、恐らく。この点もきっちり確認してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
 あともう一点、この県民の森の委託についても県政提言でいろいろ声があったのではないかと思うわけですが、それについては、委託発注元である農林水産部としてしっかりとした立入調査等はやられておりますか。
〇小田島副部長兼農林水産企画室長 県政提言も確かにちょうだいいたしておりますし、それの確認もいたしたわけでありますが、いろいろな意味でそういうことに対する調査が甘い部分が恐らくあろうかと思います。先ほど工藤委員からもお話をちょうだいした事項、その中でも、例えば現地で雇用されている職員の方の問題、それから包括的なあり方、そして県政提言に対する対応をもう一度確認をさせていただき、それは形式的な書類の審査ということではなくて、実態として可能な限り確認させていただきまして、それが本当に適切なものなのかどうかをまず確認し、その後に今後のあり方についてもう一度中で検討したいと思います。
〇及川あつし委員 それで最後の最後にしますが、この問題、本当にきちっとやらないと大変なことになると思いますよ、おどかすとかそういうことではなくて。
 なぜかというと、これまで高い志を持って同センターに雇用されていた方々が、委託の中止等でみんな解雇されているんです。もう野に放たれている状況なんですね。ですから、これまでの委託業務の経過についてみんな腹に一物あることをどんどんお話ししますよ。県庁の皆さんとの関係も全部これから出てくると思いますよ。
 それについてはしっかりと対応しないと大変なことになると思いますし、今の副部長の御答弁でもいいと思うわけですが、例えば他の部の委託業務であるアイーナの管理センターの業務についても、NPO法人の自主調査に任せてもだめなんですよ。結局、自主調査で現場の職員の聞き取り調査をした内容が全然報告書に反映されていないんですね。ですから、NPO法人にこういう調査をしろと言って報告書を待つだけではなくて、どんどんと入っていってやらなきゃだめだと思いますし、これまで担当していた職員の方のみならず、やっぱり監督権を持っている地域振興部の皆さんや、また、今度4月の人事異動もあるでしょうから、冷静な目でしっかりとやっていかないと大変なことになると思いますので、しかるべく対応を新部長にもお願い申し上げます。
 この点について、再度所感を伺って終わりにしたいと思います。
〇瀬川農林水産部長 御指摘のありましたように、これまで当部で委託しておりました事業、それから指定管理の事業、それからNPOのあり方、育成も含めて、そういったようなことを幅広くしっかりと、関係部局とも連携しながら取り組んでまいりたいと思います。
〇久保孝喜副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇久保孝喜副委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部、林業、水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは大変御苦労さまでした。
   〔副委員長退席、委員長着席〕
〇中平均委員長 次に、花泉地域診療センターの民間委託先となる事業者の決定に向けた今後の見通しに係る直近の状況について、医療局長に報告を求めます。
〇田村医療局長 花泉の地域診療センターの移管に関しまして御報告させていただきます。
 まず、医師確保につきましては、地域住民や県議会の意思として、花泉地域における入院ベッドの確保が移管に当たって最も重要なことと考えており、医療局として、医師の確保を最終的に確認した上で事業者決定を行うこととしております。
 医師の確保の状況につきましては最終段階という感触を持っており、医療局としては見通しがついているものと認識しております。
 次に、事業者決定に向けた現在の状況につきましては、3月14日に改修工事が完了し、3月15日に完了検査を済ませており、開設に当たっての施設改修は完了しているところであります。
 これまで継続的に協議を行ってきたところであり、最終的な事業内容の確定に向けて、これまでの手続や確認事項を整理した医師のリストを含む協議書類の提出を受けた後、事業者決定についての最終的な判断を行うこととしております。
 次に、提出書類及び開業時期につきましては、事業者決定のための協議書類は、今週末か来週初めにも提出いただきたく、早期の提出を要請しているところであります。法人としても早期のオープンを強く希望しており、有床診療所の設置を望む地域の期待を裏切らないよう、4月第2週までには必ず開業できるよう、医療局としても最大限努力する所存であります。
 なお、事業開始までの間は診療を継続することとしております。
 何とぞ御理解賜りますようよろしくお願いいたします。
〇中平均委員長 これをもって医療局の報告を終わります。
 医療局長は御苦労さまでございました。退席されて結構です。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時31分 散 会

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