平成22年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成22年3月11日(木)
1開会  午前10時5分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    浅 田 和 夫
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査    石木田 浩 美
  主任主査    岩 渕 伸 也
  主任主査    鈴 木 文 彦
  主任主査    藤 原 由喜江
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    大 森 健 一
1説明員
  企画理事    藤 尾 善 一
  地域振興部長   加 藤 主 税
  地域振興部副部長
  兼地域企画室長  工 藤 孝 男
  交通政策参事   佐々木 幸 弘
  地域企画室
  企画課長    鈴 木 浩 之
  地域企画室
  管理課長    佐々木   淳
  交通課長    平 野   直
  市町村課総括課長 小 原 敏 文
  NPO・文化
  国際課総括課長  岩 間   隆
  IT推進課
  総括課長    紺 野 由 夫
  行政情報化課長  菅 野 義 克
  県北沿岸振興課長 高 橋   厚

  警察本部長    保 住 正 保
  警務部長    島 村   英
  生活安全部長   大志田 文 一
  刑事部長    小 方 政 司
  交通部長    遠 藤 貞 造
  警備部長    佐 藤 英 憲
  警務部参事官兼
  首席監察官    佐 藤 善 男
  警務部参事官兼
  警務課長    吉 田   修
  生活安全部
  参事官兼
  生活安全企画課長 小野寺 憲 一
  刑事部参事官兼
  刑事企画課長   川 村 裕 司

  交通部参事官兼
  交通企画課長   吉 田 尚 邦
  交通部参事官兼
  運転免許課長   佐 藤 哲 夫
  警備部参事官兼
  公安課長    青 柳   晃
  総務課長    川 村 邦 光
  会計課長    内 山 新 次
  指導監査室長   八重樫 博 美
  監察課長    伊 藤 牧 男

  予算調製課
  総括課長    八 矢   拓
〇中平均委員長 これより本日の会議を開きます。
 菊池勲委員及び佐々木大和委員は欠席とのことであります。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第24号から議案第28号まで、議案第30号から議案第34号まで、議案第68号及び議案第69号の以上32件を一括議題といたします。
 本日は、地域振興部及び警察本部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 最初に、地域振興部長に地域振興部関係の説明を求めます。
〇加藤地域振興部長 平成22年度の地域振興部関係の歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 組織再編に伴い、地域振興部所管の業務は、来年度から政策地域部及び総務部に分かれることになりますので、新しい組織に対応した形で御説明させていただきますが、予算の説明に入ります前に、地域振興施策の推進に当たっての基本的な考え方につきまして御説明申し上げます。
 グローバル化の進展や人口減少、少子高齢化の急速な進行による本格的な人口減少社会の到来など、地域を取り巻く状況が大きく変化する中、昨年12月に策定いたしましたいわて県民計画の着実な推進により、希望郷いわての実現に向けて、活力に満ちた地域社会の構築を目指してまいりたいと考えております。
 予算編成に当たりましては、こうした認識のもと、次の4点について重点的に取り組んでいくこととしております。
 第1に、来年度からの4広域振興局体制のもと、明確な顔を持った広域振興圏の確立に向け、市町村と連携し、産業振興を中心に自立した地域の形成に向けた取り組みを推進してまいります。また、県北・沿岸圏域につきましては、引き続き県北・沿岸振興本部を中心に、県政の重要課題として、その振興に取り組んでまいります。
 第2に、安心して、心豊かに暮らせるいわての実現を目指し、地域コミュニティの活性化や定住交流、多様な市民活動の促進を図ってまいります。
 第3に、人材・文化芸術の宝庫いわての実現を目指し、文化芸術の振興や多様な文化の理解と交流を進めてまいります。
 第4に、いわてを支える基盤の実現を目指し、持続可能な公共交通体系の構築や、情報通信基盤の整備と利活用の促進を図ってまいります。
 それでは、歳出予算につきまして御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の6ページをお開き願います。地域振興部関係の予算は、第2款総務費のうち、平成22年度から総務部へ移管する1項総務管理費の一部12億6、036万円余と4項地域振興費の81億3、400万円余、5項選挙費13億998万円余、総額にいたしまして107億435万円余が地域振興部関係予算でございます。これを前年度当初予算と比較いたしますと4億5、361万円余、率にいたしまして約4.1%の減となっております。
 それでは、各項、目ごとの内容につきまして、便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 まず、政策地域部が所管することとなる予算について御説明申し上げます。予算に関する説明書の93ページをお開き願います。
 なお、平成22年度の重点事項等、主な事業の内容について御説明申し上げまして、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきますので、御了承をお願いします。
 まず、2款総務費4項地域振興費1目地域振興総務費44億7、046万円余のうち、主なものについて説明申し上げます。右側の説明欄をごらんください。まず、4行目の地域振興推進費は、広域振興局におきまして、市町村、NPO及び民間との連携、協働のもと、産業振興を中心に、自立した地域の形成に向けた取り組みの強化を図ろうとするものであります。次に、1事業飛びまして、NPO協働推進事業費は、県民の参画と協働による多様な市民活動を促進するため、各種研修会等を行おうとするものであります。次の岩手文化芸術王国構築事業費は、本県の文化芸術の振興を図るため、いわて文化芸術振興指針に基づき、4広域圏ごとに設置する文化芸術ネットワークの構築及び運営のほか、文化芸術資源の映像発信等を行おうとするものであります。次に、1事業飛びまして、文化芸術映像資料保存事業費は、県内自治体等が保有する文化芸術に関する映像資料をデジタル映像に変換し、長期保存を可能とするとともに、その活用を図ろうとするものであります。次に、2事業飛びまして、県北・沿岸振興費は、県北・沿岸圏域の振興を図るため、海洋産業の振興、ジオパークの可能性検討や元気になれるいわて構想に基づく取り組み、岩手県北、青森県南の交流、連携を促進しようとするものであります。次のいわてへの定住・交流促進事業費は、岩手ファンの拡大を図り定住、交流を促進するため、首都圏における総合イベントの開催や、体験居住機会を提供するためのいわて暮らしおためし居住事業を行おうとするものであります。次の草の根コミュニティ再生支援事業費は、地域コミュニティが持つ多面的な機能の維持、再生を図るため、市町村職員等を対象といたしましたセミナーの開催や、今後の集落対策につきまして調査などを行おうとするものであります。次の地域情報化推進費は、ブロードバンド・ゼロ地域の解消、携帯電話不感地域の解消及び地上デジタル放送への円滑な移行など、複数の課題につきまして総合的、効率的に解決するための具体的な方策を検討しようとするものであります。次のシニアICTサポート事業費は、高齢者層へのブロードバンドの便利さの啓発やブロードバンドを利用するための手続の支援など直接的な働きかけを実施し、高齢者層におけるブロードバンドの普及を図ろうとするものであります。次の携帯電話等エリア整備事業費補助は、市町村が行う鉄塔施設等の整備事業に補助することにより、携帯電 話の利用可能地域の拡大を促進しようとするものであります。次の海洋産業創出促進事業費は、海洋産業関連の多様な構成主体によるネットワーク活動の拡大を図るとともに、三陸の海の資源を活用した起業、創業活動を支援しようとするものであります。
 次に、94ページをお開き願います。2目市町村振興費26億5、122万円余のうち、主なものについて説明申し上げます。まず、1行目の市町村優先の行政システム構築事業費は、県と市町村との役割分担を明確にし、住民、市町村及び県が共通認識のもとで、本県における分権を推進しようとするものであります。次に、1事業飛びまして、県市町村連携推進費は、県と市町村が県政の重要課題について問題意識の共有や情報交換、課題解決のための協議等を行うことにより、県と市町村の連携を推進しようとするものであります。次に、1事業飛びまして、合併市町村自立支援交付金は、合併旧法下で合併いたしました市町村が、自立に向けた新たな行政課題等に先導的に対応していくための必要な取り組みに対して交付金を交付しようとするものであります。次の合併市町村地域力向上交付金は、現行合併特例法のもとで合併した市町村が、合併後の地域づくりを円滑に進め、住民自治を促進するための必要な取り組みに対して交付金を交付しようとするものであります。次に、2事業飛びまして、市町村総合補助金は、分権型社会と産業の振興による自立した地域を構築するため、県と市町村との適切な役割分担のもと、市町村が取り組む事業を支援しようとするものであります。次に、1事業飛びまして、市町村振興宝くじ交付金は、災害関係あるいは地方債資金として市町村への貸付原資や市町村への交付資金として活用するため、財団法人岩手県市町村振興協会に対しまして市町村振興宝くじの発売収益金を交付しようとするものであります。
 次に、3目交通対策費8億9、494万円余のうち、主なものについて説明申し上げます。まず、2行目の公共交通利用推進事業費は、公共交通の利用推進を図るため、地域におけるバス、鉄道活性化の取り組み等の支援を行おうとするものであります。次の三陸鉄道運営支援事業費のうち、三陸鉄道強化促進協議会負担金は、三陸鉄道の経営改善を支援するため、岩手県三陸鉄道強化促進協議会が実施する誘客促進事業等に要する経費の一部を負担しようとするものであります。また、三陸鉄道運営費補助は、三陸鉄道の経営を支援するため、関係市町村と連携して財政支援を行おうとするものであります。次に、1事業飛びまして、並行在来線対策事業費のうち、いわて銀河鉄道沿線地域等活性化協議会負担金は、IGRいわて銀河鉄道の健全経営の維持、確保を図るため、いわて銀河鉄道沿線地域等活性化協議会が実施する輸送サービスの向上などの各種事業に要する経費の一部を負担しようとするものであります。いわて銀河鉄道経営安定化対策費補助は、いわて銀河鉄道経営安定化基金から、通学定期運賃の補てんなど利用者の負担軽減と会社の経営安定に必要な経費を補助しようとするものであります。いわて銀河鉄道指令システム整備事業費補助は、東北新幹線新青森開業に伴い、IGRいわて銀河鉄道が整備いたします指令システム構築に要する経費に対しまして、関係市町村と連携して支援しようとするものであります。
 次に、4目国際交流推進費1億1、737万円余のうち、主なものについて説明申し上げます。まず、1行目の国際交流推進費は、語学指導等を行う外国青年招致事業による国際交流員の招致や、多文化共生社会の実現を目指した取り組みを通じて、地域の国際化を推進しようとするものであります。次のページに参りまして、グローバルネットワーク推進事業費は、ピラポ岩手県人会創立50周年記念行事等への出席、海外県人会の活動支援を行うことにより、海外ネットワークの維持拡大を図ろうとするものであります。次の東アジア留学生等人材ネットワーク形成事業費は、外国人留学生等を本県の貴重な人材として位置づけ支援を行うとともに、大連市職員を研修員として受け入れ、本県とのネットワークを形成しようとするものであります。
 次に、96ぺージをお開き願います。5項選挙費でございますが、1目は、選挙管理委員会費として6、479万円余、2目は、選挙啓発費として323万円余、3目は、参議院議員通常選挙に要する経費として8億8、918万円余、4目は、知事、県議会議員選挙に要する経費といたしまして、3億5、277万円余をそれぞれ計上しております。
 次に、総務部が所管することとなる予算でありますが、少し戻りまして86ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費7目情報システム管理費12億6、036万円余は、情報システム管理に要する経費等であります。
 以上で地域振興部関係の歳出予算につきまして説明を終わります。
 続きまして、予算に関する議案につきまして説明申し上げます。
 議案その2の46ページをお開き願います。議案第24号自治振興基金条例の一部を改正する条例でありますが、これは、自治振興基金の総額を減額し、128億600万円とするものであります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇中平均委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間─おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑ありませんか。
〇工藤大輔委員 それでは、いわてNPOセンターの不祥事についてお伺いをしたいと思います。
 この問題は、本会議、予算特別委員会総括の質疑の場面で取り上げられ、その後、新たに補助決定をした事業について事業が行われていなかったという、新しい事実等も出てまいりました。それら答弁等も踏まえて質問をしたいと思います。
 まず、この問題について私が率直に感じたことは、今やめられた前理事長が主導してこの問題が起こってきたということ。そして、また同時に、本来のNPOとしての、法人としての理念からかけ離れた成果主義、利益主義など、過度にこの事業について傾注していった問題がその要因にあるのではないかと感じています。また、県はこれまで、NPOをふやしていく、そして、その後、中核となるNPOを育てていくという役割を果たしてまいりました。その中で、このような問題を見過ごしてきたり、また、発見できなかったという事態が起こったということは、県の責任は免れないものと私は考えます。これまでの対応について十分であったのかどうか、情報管理等も含めた対応がそれでよかったのかどうか、改めてお伺いをしたいと思いますし、また、その再発防止策について、今後どのように進めていこうとするのかお伺いをします。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 まず、御指摘の情報の管理についてでございます。前理事長に対しまして、法人に関する問題点を指摘した文書を私自身が手交してしまったということにつきまして、まことに配慮が十分ではなく、また、慎重さを欠いた行動だったと深く反省してございます。また、このことによりまして、精神的な苦痛をこうむられた方々に対しまして衷心より深くおわびを申し上げます。申しわけございませんでした。
 加えまして、NPOセンターに関します情報提供への対応につきまして、対応の迅速性を欠いていたという面があったと、私自身反省をしてございます。NPO法の趣旨を重んずることとはいいながらも適切さを欠いていたものであると、あわせておわびを申し上げる次第でございます。申しわけございませんでした。
〇加藤地域振興部長 先ほど総括課長から答弁がございましたが、上司といたしましても、部下職員の指導に適切さを欠いた面があったと思います。反省しております。
 また、NPO活動交流センターのコピー使用料金の不適正経理を初めといたしまして、補助金の取り消しなど、いわてNPOセンターに係る一連の不祥事等に関しまして、法人のコンプライアンスが十分に確立していない、そういう実態を見抜くことができなかった点でございます。あるいは、県のこれまでの対応に至らなかった点があったということにつきましては、陳謝申し上げたいと存じます。
 今回の事案を踏まえまして、今後、より一層、NPO法人の健全な育成、指導監督に努めまして、市民による主体的な社会貢献活動促進というNPO法の理念に沿いまして、市民力を発揮される地域社会づくりに一層努めてまいりたいと考えております。
 また、いわてNPOセンターにつきましては、今後とも適切な運営が図られるよう、厳正に対処していく考えでございます。
 それから、再発防止等に向けた対応策ということがございました。現在、こちらとして考えておりますことを申し上げさせていただきたいと思います。
 いわてNPOセンターの県事業への応募等の取り扱いにつきまして、これはおとといも申し上げさせていただきましたが、たび重なる不祥事等にかんがみ、6カ月間、県事業への応募を受け付けないと。
 なお、6カ月経過時点では、法人に改善計画の履行状況を報告させることで当該措置の継続につきまして判断し、厳正に対処していきたいと考えております。
 また、いわてNPOセンターに関する市民、県民の皆様からの情報提供等を踏まえまして、法人に対しては任意の事情聴取等を適切に行うなど、今後も厳正に対処してまいりたいと考えております。
 また、今回、県の中で、それぞれの担当部局ごとの対応という中で、必ずしも横の連携、横断的な情報共有、認識の共有等が不足していたのではないかという反省点もございます。その結果、トータルでの対処というところでおくれる面があったのではないかということもございますので、庁内の連絡会議等によりまして、NPOに対する情報や認識の共有化をしっかりと図ってまいりたいと考えております。
 また、NPO法人の育成及び指導のあり方に関してでございますが、これは社会貢献活動支援審議会等、有識者も含めた場で意見交換等を行いまして、県の育成や指導のあり方を再点検いたしまして、早期にこのあり方につきまして、今後どういう形で対応していくべきかということを議論の上、確立させたいと思います。県等の支援、行政の支援のあり方をどうするか、指導関与等につきましてどうするのか、NPO法人の情報開示のあり方あるいはNPO法人等契約のあり方、こういったものが論点になるのではないかと考えております。
 また、NPO法人との対話を一層進めるような形にしていきたいと思っておりまして、今回、いわてNPOセンターのコンプライアンスの未確立とか、健全とは言えない運営、その辺が見抜けなかったという反省を踏まえまして、これは当然NPO法人との適切な距離を保ちつつ、また、情報の管理等はしっかりとしつつということでございますが、NPO法人との間で組織運営について対等の形で対話を進めると。なかなかNPO法の権限行使というものとの間に、県の対応との間に中抜きというか、もどかしいという面があるということでございますし、日ごろからそういう対話を進めると、そういう中で組織運営等につきましてこちらとしても必要な支援とか助言、改善点等の申し入れとかを行うということができないかということで検討しております。
 こういった趣旨の再発防止策を講じまして、今後、NPOの健全な運営、発展に対しまして、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 ただいま陳謝並びに今後の対応策ということについての答弁がございました。その中で、6カ月の県事業への応募をさせないという答弁もあったわけですが、この6カ月の根拠はどのような根拠でしょうか。
 また、今回の不祥事のように、中心的な役割を果たした個人がかかわるNPO等について、今後どのような対応をとっていくのかについてお伺いしたいと思います。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 まず、6カ月間県事業への応募を受け付けないという、その6カ月間の根拠についての御質問でございます。
 なかなか本事案のようなケースにつきまして明確な基準というものがございませんで、今回の検討に当たりましては、物品購入等にかかわる指名停止等の措置基準を参考にさせていただきました。
 当該基準の中に、契約不履行によって契約の全部を解除された場合など、当該契約違反が県との信頼関係を明らかに損なわせたと認められるときという条項がございまして、今回の事案につきましては、これに該当すると考えてございます。これにつきましては、指名停止期間4カ月でございますが、この4カ月に相当するという判断の上、なおかつ、今回の盛岡地方振興局の補助金の関係のみならず、これまでは私どものほうで再三改善を要請してまいりました件に対する不誠実な対応等を考慮いたしまして、6カ月という期間を加味したものでございます。
 6カ月という期間でございますが、これからの法人運営の推移等を十分に注視いたしまして、もし仮にまた同じような状況等が見受けられる、あるいは改善等がなかなかなされないといった場合については、この6カ月間の措置をさらに延長していくということについても考えてまいります。
〇工藤副部長兼地域企画室長 理事長の個人的な責任が大きいのではないかと、かつ、これに関しまして県はどのように今後対応していくのかという御質問がございました。
 前理事長につきましては、今回の事件について主導したと私ども認識しております。また、前理事長につきましては、ほかのNPOの理事長なども務めているとも伺っております。仮に、今後、前理事長が関与する法人が県事業に応募してくるような事態があった場合どうするかということが課題として出てくるわけでございますが、今回、NPO活動センターのコピー機の不適正経理等に関与いたしまして退任した前理事長を含む理事につきまして、法人に対する、要するにいわてNPOセンターに対するペナルティーを実質的に担保するという意味でも、この前理事長及び前理事の影響力が及ぶと判断されるような法人につきましては、いわてNPOセンターと同様に、相当期間につきまして、県との契約に当たっては慎重に対応してまいりたいと思っております。
 また、前理事長につきましては、いわてNPOセンターの理事長を辞任した後も、一定の残務整理が必要だと。受託事業について、自分自身もけりをつけてきちっとした役務を提供するという責任があるということで、今現在、一般職員という形で、3月31日までの間ということでございますが、いわてNPOセンターの職員として今まだ残って残務整理に当たってございます。これらは、先ほど申し上げましたとおり、引き続き法人業務について適切に執行するという観点から認めているということでございますけれども、4月以降につきましても、いわてNPOセンターにとどまるということについては到底容認できないと考えておりまして、今後、改善計画がきちんと履行されていくかどうかということを適切に注視してまいりたいと考えているものでございます。
〇工藤大輔委員 影響力があるかどうかという実態を把握するには、非常に難しいのではないかという思いを持っています。
 先ほど部長答弁の中では、NPO法人との対話についてという答えもございました。今後、対話を進めながら組織運営等に対してどのような支援ができるのかどうか、また、どういう実態かどうかということを把握するということですが、なかなか隠されてしまうものについては見出すことができないのかなという思いを持っています。ですので、もう一度、影響があるかどうか、その判断基準もどこまで影響するからどうだとか、ここまで影響しているから許されるとかという判断基準というものが今は実際にはないかもしれません。そしてまた、今後、内部で協議をしていかなければならないとも思いますが、もう一度この点について答弁をいただきたいと思います。
 また、岩間総括課長から、6カ月という、物品購入に対する基準について判断したと。それにのっとって取り上げたという答弁があったわけですが、例えば公共事業の場合、不祥事があった際は、その後6カ月というよりも1年間の指名停止という形、これは公共事業なわけですが、また、談合等があったということを、誓約書でなかったと書いた場合は、最長で2年間だという厳しい措置になっています。その中で、6カ月というのを実態に合わせて延長していくという答弁もあったわけですが、物品購入のほうに照らし合わせるべきなのか、建設工事のような公共事業のほうに合わせるべきなのか、指定管理者だとか県からの事業委託というものが、どちらのほうに実際合っているかどうかというのは判断が分かれると思いますが、今一度、そのような判断をしたということについて答弁をいただきたいと思います。
〇工藤副部長兼地域企画室長 経営に実質的に影響を及ぼすということの解釈についてでございますが、ケース・バイ・ケースということにならざるを得ない部分もあろうかと思いますが、その法人の意思決定に深く関与できる立場なのかどうかということで、役員であるか社員であるかを問わないという形で判断すべきものと理解してございます。
 これについての実態把握というのは、では、どうなんだというお話もございますが、役員が名を連ねているかどうかについてはその法人の役員の登記簿で確認はできますが、先ほど部長からもお話がありましたとおり、さまざまな法人との対話を広げる中で、さまざまな情報収集という形でまずは努める必要があるのかと思っております。
 それと、6カ月の指名停止の基準ということでございますが、今回のようないわゆる委託事業について不祥事があった場合の一般的な基準というのを、あいにく県のほうでは今時点では持ち得ていないということでございまして、県営建設工事に係る指名停止等措置基準、さらには先ほど申し上げましたとおり物品購入等に係る指名停止等措置基準、あと建設関連業務、これはコンサルティング等でございますが、建設関連業務に係る指名停止等措置基準、こういったものを参考にいたしまして、その中で、先ほど申し上げましたけれども物品購入等に係る指名停止等措置基準の中に契約不履行により全部解除された場合など、契約違反が県との信頼関係を明らかに損なわせたと認められるときということで4カ月というのがございます。ほかの基準についても、例えば県営建設工事に係る指名停止等措置基準の中には、一括下請を行った場合、工事施工に必要な報告を怠った場合など、当該契約違反が県との信頼関係を明らかに損なわせたと認められたときということで、4カ月というのがございます。物品購入等に係る指名停止等措置基準、これだけを参照にしたということではなくて、それらも総合的に踏まえながら考えたということでございます。
〇工藤大輔委員 わかりました。
 それでは、次に、現在、いわてNPOセンターは公会堂や県民の森の指定管理者としての事業を請け負っておるわけですが、それら施設の今後の対応についてはどのようにお考えでしょうか。
〇加藤地域振興部長 指定管理の取り扱いについてでございます。
 今般の事案を受けまして、それぞれの施設管理者で施設の所管部局でございます総務部及び農林水産部におきましては、昨年12月21日及び12月25日にそれぞれ立入検査を行ったということでございます。その結果といたしまして、この指定管理の事業につきましては、問題となる事項は確認されなかったと伺っております。
 この指定管理の今後の取り扱いということでございますが、今回契約の委託につきまして方針を示したと。そういう方針も踏まえつつ、また、指定管理につきましては、今回、方針を示しました委託契約等はまた異なった特質等もございます。条例の規定でございますとか、また、公の施設として県民に良好なサービスを提供するということが義務として定められていることもございますので、そういった指定管理の特質も踏まえまして、法律の規定等もございますので、それに基づいて今後厳正に対処していくということでございます。
 また、当部といたしましては、NPO法に定められた権限を厳正に行使するということでございますし、法人に関する監督を強化し、不適切な事案等が生じあるいは確認された場合に対しましては、所管部局に対しまして、こういった厳正な対処ということを求めてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 この事業委託また指定管理者等、各契約案件それぞれ各部が直接やっているということもあって、最終的な判断は各部になるということになろうと思いますが、例えば指定管理者や事業委託を申請する際、NPOが申請するケースもあれば会社が申請するケースもある、あるいは団体が申請をしてくるケースがあると。それぞれの立場で申請が行われ、よりよい企画提案がなされ、金額に折り合ったところが事業を請け負うということとなりますが、そういった中で、それぞれの3者が申請する中で、最終的に判断が各部それぞれになるというのは私はいかがかという思いを持っています。やはり県が委託をする内容、指定管理者とする先への不祥事等があった際の今後の対応は、やはり一つの考えのもとにやるべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇加藤地域振興部長 今回の事案、それぞれいろいろな事案があった。その中で、全体的な対応がというところは先ほど反省点だということを申し述べさせていただきました。各部それぞれというか、似ている部分もあるんですが、それぞれの判断ということはそのとおりの面がございます。ただ、それにつきまして、それでいいのかということは今回問題として認識いたしましたので、これは全庁的な検討なり対応が必要になるかと思いますが、そうしたトータルで見ていく、あるいは横串でというか、団体ごとに事業なりどういう受け方をしているのか。例えば事業の執行体制がしっかりとれているのか、コンプライアンスがとれているのかといったことについてどういう形で見ていけるのか。ちょっとなかなかすぐにどういう形でということは申し上げられない面もございますが、そこの部分につきまして問題意識を全庁的に共有して、どういう対応があり得るのか。非常に関係部局も多くなりますが、そういったことにつきましては庁内で議論ができるように、こちらとしても提起させていただきたいと思います。
〇工藤大輔委員 それでは、いわてNPOセンターにはまだこのほかにも指摘をされている内容があって、いまだ調査されていないものもあろうと思いますが、今後の対応についてお伺いします。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 御指摘のとおり、県政提言あるいは私どものほうにさまざまな情報が市民の方々から寄せられてございます。これらにつきましては、今後、寄せられた意見あるいは情報等も含めて私どものほうで整理をさせていただきまして、速やかに法人に対する事情の聴取を行いたいと考えてございます。その上で、NPO法を初めとする法的な対応が必要と判断された場合等につきましては、それに沿った適切な対応をしてまいりたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 今後、NPO法人の情報開示等のあり方が私も大切になってくると思います。今回はそのようなものがなかなかなされなかった、行政としてもチェックができなかったということが、十分な機能が働けなかったというのが課題としてあるわけですが、今後の情報開示のあり方についてどのように対応をしていくのか、改めてお伺いをしたいと思います。
 また、今回の一連の不祥事の過程では、県職員による情報漏えいもあったやに聞きます。県は、公益通報における情報の取り扱いについて、今後どのように対応するのかお伺いします。
〇工藤副部長兼地域企画室長 情報管理の重要性につきましての御指摘でございます。先ほども御指摘がありましておわび申し上げたところでございますが、今後とも、十分注意をしてまいりたいと思っているところでございます。
 情報管理につきましては、公益通報に該当する場合はもとより、一般的な情報につきましても、個人情報の保護ということについて、十分留意しながら進めるという規定が当然ございます。特に、公益通報に該当する場合は、県政提言を受けるのが一般的には広聴広報課になるわけでございますが、公益通報事案に該当するということで附せんをつけた上で関係課のほうに対応を求めるなど、情報の管理につきましてはこれまでも十分意を用いてきたつもりでございます。
 今後におきましても、個人情報の保護あるいは公益通報制度に対する理解につきまして職員に十分徹底し、また、コンプライアンスの保持、そういったものに努めてまいりたいと思っております。
 NPOの情報開示の関係でございました。今回いわてNPOセンターの一連の不祥事について、県のほうで十分経営実態を把握できなかったというのは、やはりNPO法人の情報開示というものが不十分といいますか、法に沿ってはおるんですが、それだけでは十分ではなかった面があったのかなと私ども思っております。
 情報開示を進めるということにつきましては、当然コンプライアンス体制の強化につながるというものでございますが、法令で求めている情報開示以上のものをすべてのNPO法人に義務づけるというか、お願いするというようなことも、これはこれで少人数の、ほとんど事務局もいないような団体等もあると思っておりますので、難しい面もあるのかなと。ただし、社会的な影響力を一定以上及ぼすような団体につきましては、団体の事業活動規模に応じて、より一層の情報開示というものが必要ではないかというのが今回の反省点でございます。
 こうした観点から、審議会、そういった場等におきまして、有識者あるいはNPO法人の代表の方々も交えながら、今後、情報開示のための自主的な基準づくりを検討してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 公益通報の関係につきましては、正しい情報を見抜く能力であったり、それに対応する力というものが求められます。そういった中で、決して今後も県民に不利益を生じさせることがないように、また、情報等を握りつぶすようなことが今後あってはならないと思いますので、この点につきましては強く求めていきたいと思います。
 最後の質問としたいと思いますが、ほとんどのNPOは財政的に非常に厳しいというのが実態だということを聞いていますし、また、今回のように、理事長が高額な1、000万円を超える給与というか報酬というか、対価を得ているということは、私は特異な事例であったのではないかと思うわけですが、このような状況を繰り返さないということは大事ですが、そのほかのNPOの自由度であったり、本来必要とされる目的ということの働きを阻害するようなことがあってはならないというのも事実であると思います。
 日本のNPOは、公共の事業者から、いわば行政から事業委託を受けて運営をしているのが多いと思います。あるいは本当にボランティアですよね。そういった形で一生懸命やっているというのが実態であると思います。反対に、欧米のほうでは、市民や会社等からの寄附で賄われていると。そのために情報公開がより必要だというような風土の違いがあるというのも事実であると思います。そのような中、余りにも規制強化や活動の制限を加えるというのはどうかと改めて申し上げるところなんですが、今後の対応策を踏まえて、NPOの趣旨に沿ってどのように進めるのか、最後に改めて部長にお伺いをしたいと思います。
〇加藤地域振興部長 多くの善良なNPOが存在する、存在するというか、むしろそういった方々が一生懸命に公共目的のために活動していらっしゃるということはそのとおりでございます。こういった団体が、今回不祥事を受けNPOのイメージが低下したとか、活動がむしろしにくくなったということで、困惑しているということは大変残念なことでございまして、私どもも心を痛めておりますし責任を感じております。
 先ほども申し上げました不祥事の再発にしっかり取り組むのは当然のことでございますが、片やNPOの自主性なりNPOの利点というか、そこの部分はしっかり押さえなければいけないですし、そこをむしろ芽を摘むということがあってはならないというところは御指摘のとおりだと思います。
 そういったこともございまして、先ほどの中で申し上げましたが、いろいろ新しい対応策を講じるに当たっては、NPO等そういった活動をしている方々、そういう現場の意見も取り入れながら、また、NPOの自主性にも十分配慮しながら進めていきたいと思います。
 そういった中で、適切な距離感というか、すべてNPO任せにしない、ただ、市民の監視機能は高める、行政としても必要なことは、目上からの目線ということではなくて、必要なことについてはきちっと申し入れるという形で、適切なNPOとの関係を築いていきたい。そういう中でNPOが発展する、今後ますます発展して、新しい公共の担い手となるような社会づくりに邁進してまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 ただいま工藤大輔委員からいわてNPOセンターに関しての質疑がございました。今、鳩山総理も今国会で、新しい公共というのを耳にたこができるくらい言っているようでありまして、政権政党の県連の政調会長が真っ先に取り上げたということについては当然のことであろうと思いますし、敬意を表する次第であります。
 私からは、今、総括的な質疑はもう交わされ、相当の論点が出たと思いますが、何点か改めてお伺いをしたいと思うところであります。
 今の答弁については、皆さんがもし執行権をもとにして今の答弁どおりきちっとやられるということであれば、きょうの答弁について一定の理解を示すものでありますが、もし皆さんが執行権をもとにしてちゃんとした対応をとらなければ、私は議員としても調査権限というのを十二分に行使して、皆さんがやられない部分についてはやらざるを得ないと思っておりますので、その点については前提として申し上げさせていただきたいと思っております。
 今、答弁の中で問題だなと感じた点が2点ございます。
 まずは、今後の対応についてでありますが、6カ月間、公募について受け付けないと。この点については多とするということは総括質疑でも申し上げましたが、措置基準がないという前提のもとに、先ほど質疑の中でも、公共事業の取り扱いにするのか物品の調達に関しての基準を流用するのかというところでお悩みがあったと思います。これは法律的に言えば罪刑法定主義ですから、根拠がなければ、本来、こういう措置もどうかなという部分もありますけれども、私は、今こうした切迫した事態においてこういう対応をとったのは適当であると思っております。ただ、以後、このような手法で適用していくというのは、後々疑義を生じさせる可能性もあると思うので、公募とか委託に関してこうした問題があったときの措置基準というのはきちっと今後確立するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 あと2点目は、今後、情報に基づいて対応するということでありますが、情報の取り扱いについてもこれまでるる答弁がありましたけれども、NPO法は、その根拠法に、市民による監視を前提にしているということでありますので、他の法令と違って、県政提言というものの取り扱いについて特別なる配慮というのが私は必要だと思っていまして、その中で、NPOの部分だけ、いかに取り上げてやるかというのも法律上、これは大事な観点かなと思いますので、県政提言の取り扱いについても、一定のしかるべき対応が必要だということで御見解を求めたいと思っております。
 三つ目、これから寄せられている情報をもとに調査をするということでございますが、調査の手法であります。これまでそれぞれの部局で委託をされている現課が、その事業についての調査ということで何度も立ち入りをしていると伺っていますけれども、私はそれではだめだということを申し上げたいと思います。
 それは、皆さんそれぞれ個々の事業についてどうだったかということでやっているようでありますけれども、全体を包括的に監査をすれば出てくる問題が必ずたくさんあると私は確信を持っていますので、以後の対応については包括的に調査をするべきだと思いますが、いかがでしょうか。この点について御答弁をお願いします。
〇加藤地域振興部長 1点目の措置基準の問題についてでございますが、今回方針を決めるに当たって、大変こちらとしても悩ましい判断だったというのはそのとおりでございまして、基準につきましていろいろ関係部局等と相談をして、基準がつくれるように努力させていただきたいと存じます。
 2点目、情報の取り扱いでございます。NPO法の法体系、趣旨等を踏まえた形での取り扱いということでございます。どういう情報があったか、それをどう伝えるのかというのは今回の反省点でございます。いろいろ難しい面はあろうかと思いますが、このNPO法の趣旨を踏まえた情報提供をどういう形でやるのかということにつきましても、しっかり検討していきたいと思っております。ちょっと具体にどういう形にするのか、マニュアルみたいなものができるのかどうかというところ、ハードルが高いかと思いますが、誠実に検討させていただきたいということでございます。
 3番目、調査の手法でございます。包括的な調査をということでございます。これにつきまして、確かにこれまで契約単位で所管部局にゆだねるということが中心でございましたが、先ほど申しましたように、全体的な情報共有なり、全体的に見る視点というのが欠けているのではないかということが今回反省点として肝に銘じました。包括的な調査につきましても、どこまで調査できるか、あくまでも法律との兼ね合いで任意調査という面が出てきますが、その辺工夫をして、いろいろなNPOにつきましても、そのNPO法の趣旨に沿ったという面もございますので、ある意味行政としても市民の監視がより機能するようにお手伝いするというか、そのために働くというふうな趣旨で包括的に見られないかということで、この包括的に入って一通りのことをチェックするということにつきましても考えてみたいと思います。
 NPOセンターにつきましてはいろいろ出てございますし、そういったことも必要になってくるかと思いますし、ただ、全体のNPOに適用するかどうか、また、これはNPOもさまざま問題がございまして、その社会的影響力とか事業規模とかございますが、そういったことにつきましてどの程度できるかということは考えてみたいと思いますし、しっかり検討させていただきます。
〇及川あつし委員 今、最後に、工夫をして包括的に調査というお話がございましたけれども、ぜひやっていただきたいと思います。
 私のもとに届いているいろんな話を総合すると、帳票類の使い回し、領収書のコピー、こういうのもあるという情報が寄せられております。きょうの報道によれば、新理事長さん、大分苦悩されているようですが、現在、今年度60件余り委託事業を国も含めてやっているようで2億3、000万円ぐらいあるそうでありますが、私が得ている情報では、Aという事業の領収書を県から入ったBの事業に対して回している。Cの事業について監査があれば、Bの帳票を使い回している、こういう事例もあるという情報もございますので、この前、高橋雪文委員が総括の中で、前理事長の給与の問題を取り上げておりますけれども、単に給料が高いとか安いとかという問題ではなくて、本来得るべき所得なのかどうかというところも私は争点になると思いますので、きちっと包括的に御対応をいただきたいと思っております。
 あと1点、冒頭、きょう、やっと陳謝がございました。何でもっと早くしなかったのかなと逆に実は思うわけですが、いずれ陳謝の中で、被害に遭われた方に対する精神的な苦痛に対してのおわびもあったと思いますが、この点については了といたしたいと思いますが、私は、もう一つおわびをしなければいけないことがあると思うんですよ。
 それは、あの時点で皆さんがきちっとした対応をせず、そして指摘をした文章を相手に流したがゆえに、これは問題だなと思っている市民の皆さんが、情報提供することを逡巡して何カ月も事態が放置された。そして、監督権限を持っている岩手県が、大いなる信頼と信用を失墜した。私も皆さんに資料をお渡しして、それが相手に流れるという前提で渡していませんから、私も数カ月間、問題意識を抱えている市民の皆さんから、一蓮托生だと思われて恨まれましたよ。あの議員も、県庁のやる気のない職員の皆さんと同じじゃないか、そういう悪評も立てられました。そうした経緯もあって、今回いろいろ取り上げているわけでありますので、精神的に被害をこうむった皆様へのおわびはもちろんのこととして、調査がここまでおくれたこと、市民の監視によるNPOを健全に育てるという観点を著しく失わせてしまったという自体にまで発展したことについて、最後、御所見をそれぞれいただきたいと思います。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 委員御指摘のとおり、年度当初だったと思います。NPOセンターの関係で御指摘をちょうだいいたしました。私として、NPO法の関係がございまして、どういうふうに手をつけていいかということで逡巡していたということは事実でございます。しかし、それによりまして、委員御指摘のとおり、長期間手をつけられなかったことによりまして、こういった事態を招いてしまったということに対しまして、私自身、深く反省をしてございます。大変申しわけございませんでした。
〇加藤地域振興部長 先ほどの情報の手交というか、それによって市民の情報提供に萎縮があったのではないか、その結果、対応が後手になったのではないか、その末にこういうことになったのではないかという御指摘でございました。そういう面があったかと存じます。適切な対応、それによる情報の収集、早目早目の対応ということができなかったかということにつきましては率直に反省したいと思いますし、おわび申し上げたいと思います。これはこの件にかかわる県民の皆さん、関係者の皆さん、すべての皆さんに対しまして、衷心よりおわび申し上げたいと存じます。
〇工藤勝子委員 職員の人事交流についてお尋ねをいたします。
 県における政策を推進する中で、その中で地域振興も一緒に進めていくわけですけれども、その中で、県民やNPOとの協働を第一番に挙げられております。私はさらに、県民に一番身近な自治体である市町村との協働も非常に重要ではないかと思っております。その協働を進める上で、職員との人事交流も非常に大事ではないかなと思っております。
 そこで、県と市町村との人事交流がどのように行われているのかをお伺いいたします。
〇小原市町村課総括課長 県と市町村との職員の人事交流につきましては、委員お話しのとおり、これは県政推進上も非常に重要なことと認識してございます。市町村課としまして、特にも職員の資質向上を図るとともに、市町村と県との相互理解、連携を深めると、これを目的としまして、平成11年度に人事交流の制度を創設しまして、今年度まで96件の交流を創設してございます。これは、いわゆる県の本庁と市町村との交流、さらには広域振興局と市町村との交流、この二つのパターンがございます。
 これから地域主権の考え方のもとで基礎自治体としての市町村の役割がますます重視されてくるところでございます。したがいまして、この人事交流につきまして、一層のその制度の周知、あわせてこの活用の仕方なりを考慮しまして、一層市町村と連携、共同を進めてまいりたいと考えてございます。
 なお、この本年度の人数でございますけれども、21年度は6名の人事交流を行ってございますが、来年度におきましては、現在のところ11名を予定してございます。
〇工藤勝子委員 そうすれば、平成21年度6名、来年度11名ということですけれども、どこの部署というんですか、部局が一番多いのかをお尋ねいたします。
〇小原市町村課総括課長 まず、県と市町村との相互交流、これは本庁と市町村でございますけれども、平成21年度につきましては県土整備部で行ってございます。それと振興局との交流でございますが、これは、県南広域局と久慈振興局、盛岡振興局で各1名ずつ交流を行ってございます。
〇工藤勝子委員 なぜ地域振興部で行わないのでしょうか。一番ここの部署が、地域振興部でなぜ人事交流をやらないのかということです。ここの部署こそやるべきじゃないかと私は考えるんですけれども、県土整備部と聞いて、答弁としてちょっと意外だったんですね。例えば総合政策部とか、地域振興部とか、こういうところこそ人事交流を進めるべきじゃないかなと、私はそう思うんですけれども、どのように考えていらっしゃるのか、今後、地域振興部でこういう人事交流を進めるということを考えていらっしゃらないのか。
 やっぱり私は、市町村の事情をよく知るべきだと思うんですね。そして、それを知った上で、2年後か3年後、県庁に帰ってきて、地域の実情を知りながら政策を立てていくということも非常に大事ではないかと思います。
 まさに知事も、知ることだということを重点的に話されているんですね。地域のことを知るべきだと。私は、県の職員の人たちが、この県庁から地域を見るのではなくて、実際に現場に入って現場の実情をよく知るべきだと考えておりますので、その辺のところの御所感があればお伺いいたします。
〇工藤副部長兼地域企画室長 工藤委員から御提言をいただきました。市町村との交流につきましては、市町村のほうからも、どういった部署と交流したいのかというような要望もいただきながら進めているという実態が一つございます。
 地域振興部としても、市町村あるいは地域の声、そういったものを大事にしながら行政を進めるというのは当然のことであります。そういった中で、今時点ではでございますが、振興局が中心となって市町村と交流を実施しているということがございます。御提案の趣旨に沿って、市町村のほうにも、地域振興部との、本庁との人事交流といったものを御提案させていただきたいと思っております。
〇小原市町村課総括課長 県土整備部のお話でございましたけれども、これは、やはり市町村において土木の技術職員が少ないという、市町村側の意向でなされていると伺ってございます。
 あと、あわせまして、先ほど副部長からの答弁にもありましたとおり、やはりこれから振興局との交流は非常に大切と認識してございます。来年度につきましては、広域振興局体制のもと、この人数が拡大予定ではございますが、これをさらに市町村が使いやすいといいますか、そのニーズにこたえられるような工夫を一層行ってまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 例えば県庁内4、000人体制というような形の中で、それぞれの部局でも、人員的な不足が入ってくるんだろうと。限られた人数の中で業務をこなさなければならないということは、非常に大変なことだろうとは思いますけれども、今の答弁を聞いていて、積極的じゃないというか、非常に受け身であるというか、市側から要請がなければこっちはやらないというような感じに受け取られました。そうではなくて、もう少し、こちらから積極的に、交流を図られなくても、県の職員が各市町村のほうに出向きますけれども、どうぞ一緒に仕事をさせていただけませんかというような形の中で、こちらから、ぜひ市町村課のほうで呼びかけをして交流を広めていただきたい、私はそのように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 もう一点、バスの運行対策事業費についてお尋ねしたいと思っております。
 広域的、幹線的なバス路線の運行の維持を図るために、国庫補助制度に基づいて路線運行の経費を国と協調しながら補助しているということでございます。国庫補助が減額になったために、今年度2、510万円も減額になったんだろうと思っております。
 この点について、路線バスが、今、県内で過疎化が進んで、高齢化も進んで非常に大変な中で、こういうぐらいの減額でどのような影響になっているのかというところがわかりましたらお願いいたします。
〇藤尾企画理事 人事交流について、ちょっと実態をお知らせしたいと思っております。
 工藤委員がおっしゃったとおり、これから広域局体制、市町村との連携というのは非常に重要になってきておりまして、そういった意味でも、この市町村との人事交流というのは積極的に進めなければならない、全くそのとおりでございます。
 県南局の例をちょっと申し上げたいと思いますけれども、これまでは、平成18年度、一関市との間での10名を含む12名という実績がございますが、平成19年度以降は、残念ながら2名とか1名とかという実態だったのですが、平成22年度におきましては、各市町村を回りまして、積極的にやりましょうという働きかけをしたところです。工藤委員の地元の遠野市のほうにもいろいろ申し込みをしたんですけれども、ただ、市町村側のいろいろな要望もございまして、うまくマッチングしないという課題もございます。
 そういう積極的な申し込みをしまして、来年度、平成22年度は、一関市、奥州市、西和賀町、金ケ崎町、平泉町ということで、一挙に6名まで拡大して、そして派遣交流するということになったところでございます。
 これからも、どんどん積極的に、本当は各市町村と2けたぐらいずつ交流できるような、そういう取り組みを進めていきたいということでございます。そういう実態に、答弁はそのとおりでございますけれども、いずれ積極的にやっていきたいということでございますので、よろしくお願いいたします。
〇平野交通課長 バス路線のお尋ねでございますけれども、確かに今年度、平成22年度予算額は、昨年度に比しまして2、500万円ほど下がってございますが、実は、補助対象路線数のほうは、昨年度の60に対しまして63路線と3路線ふえております。
 なぜ金額が下がったかと申しますと、これは、1路線当たりの補助の額が下がったということであります。昨年度は原油高騰が前々年度までございましたので、1路線当たりの補助額が非常に多かったわけでありますけれども、それが落ち着いたということで、路線数は多くなりましたが、補助単価が下がった影響でそのような形になったものであります。
〇工藤勝子委員 わかりました。
 その中で、バス・鉄道活性化支援チーム、仮称ですけれども、こういうチームを今年度発足させるようにありましたけれども、これは何をやるところなんでしょうか、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
〇平野交通課長 私ども、地域交通をいかにして維持、確保するかということに取り組んできたわけでありますけれども、これまでは、公共交通の利用の推進ということで、県で会議を持ちまして、その中で意識啓発を中心にやってまいりました。ただ、しかしながら、地域の個別具体の実態には、なかなか私たちが具体の処方せんを出し得なかった、そういった実情がございました。
 そこで、来年度は、数は確かに少ないかもしれませんけれども、現場に踏み込んで一緒になって取り組んでみようということが、この取り組みでございます。
 私どもと、それから大学の教授等の有識者、あるいはバスの実態に詳しいバス協の担当者、あるいはバス事業者等々でチームを組みまして、これは求めがあればですけれども、その市町村に入らせていただきます。その中で、市町村と、それから当然住民の方々と一緒になって、どうやったらその路線を守れるか、あるいはどうやったら新しい交通をつくれるかというのを協議してまいる、そういう取り組みをいたそうというものであります。
〇工藤勝子委員 そういう取り組みの支援チームができるそうですけれども、遠野でデマンドバスというものが走っているわけですね。御存じだろうと思いますけれども、そこの地域は路線バスも通っているところでございますが、個人からの予約が入ります。まず、個人から予約が入って、自宅まで、そして、その予約した人が病院に行きたければ病院まで、買い物したければ買い物、また、買い物も病院も回れるというデマンドバスであります。
 個人の負担は片道600円なそうです。ただ、小友町という地域ですけれども、ここの地域でタクシーを使いましたならば、多分4、000円、5、000円、それ以上かかる地域なわけです。それが片道600円で、自分の希望する時間帯に自分の目的地に行けるということのデマンドバスであります。予約ですので、その地域、何人かまとまってというようなこともあるみたいですけれども、その赤字の部分を市が補てんしている。そういう形で、結局、路線バスまで出る交通手段がない、そういうまさに過疎地域と申しましょうか山間地の中で、そういうデマンドバスが遠野で今走っている状況でもあります。市もかなりの負担をしているんだろうなと思っております。
 ぜひ、こういう中で、今後つくられるバス・鉄道活性化支援チームの中でも、今後どんどん過疎化が進んでいって、高齢化で、本当に命をつなぐバス路線なわけですね。そういう形の中でそういう議論もしていただければ、私は非常にいいのではないかと思って、このデマンドバスの分も提案させていただきたいと思っております。もし御所見がありましたらお願いいたします。
〇佐々木交通政策参事 今、遠野市のデマンドバスの御紹介をいただきました。大変ありがとうございます。
 私どもも、各市町村を回らせていただきますと、今の地域の公共交通を維持するための補助金が、市町村財政を非常に厳しいものにしているというお話を伺っております。また、各市町村においては、地域の実情に応じた、この遠野市のデマンドバスのように工夫されているという実態もございますので、県内のそうした取り組んでいる方々との情報交換を密にして、よりよい、効率的な対策については、お互いに取り入れるというようなことにどんどん取り組んでまいりたいと思っております。
 いずれ、今後、地域の公共交通のためには、補助金でカバーする、維持するというのは限界がございますので、知恵を出しながら取り組んでいく、それについて県も積極的に支援をしたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 文化芸術の振興についてお尋ねいたします。
 これにつきましては、岩手の未来をつくる七つの政策の着実な推進、あるいは岩手ソフトパワー構想推進のために、この文化芸術の振興というものは大変大切なことだろうと思います。そういった意味で、岩手県が平成20年12月、岩手県文化芸術振興指針を策定いたしました。今回、いわて文化芸術王国構築事業費ということで計上されておりますが、これは、文化芸術振興指針に基づき4広域圏ごとに設立するネットワークの運営、あるいは県内外の情報発信と受信、このようになっております。
 そこでお伺いいたしますが、この指針は、今後、こういう文化芸術振興というものを進めていくためには、原則として、指針期間中、これは5年ということなんですが、文化芸術関係の事業は、すべてこの指針で定めた方向性に基づき行われることになっております、このようなことになっております。
 そこで、まずもって、この指針を県民へどのように周知されているのか、現状についてお尋ねいたします。非常に大切な指針だと思いますので、実際これに基づいて行動する文化団体とか、あるいは個人個人が、こういった指針についてどれだけ周知されているのか、その現状についてお伺いいたします。
 その上で、今回の4広域圏ごとに設置するネットワーク、このネットワークのねらいということをお知らせ願います。
 さらに、4広域圏ごとにという、四つにこの地域を、広域圏は県が進めるわけでありますが、そういったことだろうと思いますが、この4広域圏ごとに設置する意義、あるいは理由、そういったことをこの文化芸術の面から見てどういうものか、お知らせ願いたいと思います。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 ただいま文化芸術の振興に関しまして3点ほど御質問をちょうだいいたしました。
 まず、第1点目でございますが、昨年、平成20年12月に岩手県文化芸術振興指針を定めて、それに基づきまして、現在、各般の事業を進めているところでございます。
 その文化芸術振興指針の県民の皆様への周知の現状についてでございますが、まず、策定後、平成21年度当初、県内各地で説明会を開催させていただきました。これは県内10地区で開催させていただきまして、芸術文化関係者、芸文協の方以外にも、市町村の方でございますとか、あるいは郷土芸能関係者の方、商工団体の関係者の方々、幅広い参画をちょうだいしてございます。まずこれが一つでございます。それから、県のホームページ等で周知をしてございまして、そういったことで県民の皆様への浸透も図られてきていると思ってございます。
 それから、もう一つ、そのだつくしさんという漫画家の方が雫石町に御在住でございますが、この方に文化芸術振興指針の概要をわかりやすくつくっていただきました。その漫画版の概要を作成して、さまざまなところに配布して、これにつきましては好評を得ていると考えてございます。
 それから、二つ目の御質問でございますが、この中でネットワークの形成を主要な施策の一つとして掲げてございます。4広域圏ごとに設立するネットワークでございますが、これは、これまでのように文化芸術の関係者だけではなくて、市町村あるいは商工団体の方々も含めて、さまざまな分野の団体の方々が参加することによって、それぞれが持つノウハウですとか情報を共有しながら活用していく、そういう異なる方々が集まって地域の文化芸術を振興していく、こういうねらいでネットワークを立ち上げているところでございます。
 昨年12月に盛岡広域でネットワークを立ち上げさせていただきまして、今後、順次他の圏域にも取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
 それから、三つ目でございます。4広域圏ごとにネットワークを設立した理由ということでございますが、来年度から4広域圏になるということも一つございますし、県内広いものでございまして、文化的背景の違い等がそれぞれの地域にあろうかと思います。地域単位で見ますと、芸術活動が盛んな地域、郷土芸能が盛んな地域とか、いろいろ特色があると考えてございます。こういった特色をそれぞれの圏域ごとに生かして、その特色やら性格を生かしながら、その地域の方々が主体的に活動していただくということで、4広域圏ごとにネットワークを設立しようとしたものでございます。
〇亀卦川富夫委員 まず、最初の県民への周知ということでありますが、これはなかなか難しいと思うんですね。例えば、伝統文化の分野においては、まさに後継者の養成といいますか、後継者がいないという悩みを抱えている、こういうことで、非常にその部分に限ってどういうふうにやっていったらいいかというような悩みがあると思うんです。そういったものが、こういった指針の中でどういうふうに支援されていくのか。
 そういった面では、その支援という意味では期待すると思うんですが、それらがネットワークというようなものの中でどのように存在していったらいいのか、この辺をもう少し周知していく必要があるだろうという意味では、ネットワークというものをもっとわかりやすく、どういうことを本当にこのネットワークはねらいにしているのだろう、そういう目的をはっきりしないと、今のような、例えばの話ですが、後継者の養成をとにかくやってほしいというような団体が、どういうふうにそのネットワークの中でそういった機会が与えられるのかとか、活動していったらいいのかといったことが一つはあると思うんです。こういったことは、さまざまな団体、あるいは個人個人では非常に個性のあるものでもあるでしょうから、こういった意味で、ネットワークの本当のねらいというものをまずしっかり周知していきたい、させてほしい。
 さらに、これはネットワークですから、コーディネーターの役割というのが非常に大きいと思うんですね。盛岡の場合、どういうコーディネーターになっているのか、それから、今後、県南、県北、沿岸と広めていくわけでありますが、そういった、ある意味では一つのモデルにもなると思いますので、このコーディネーターの役割の大きさと盛岡広域圏での現状についてお知らせいただきたいと思います。
 さらに、4広域圏ごとといっても、例えば県南の場合ですと、金ケ崎町と北上市の間に藩境というものがありまして、仙台藩と南部藩、こういった意味では、本当に文化の違いが大きいわけです。これを県南という一つでくくる─私は、くくることはいいと思うんですが、そういった意味の部分も十分踏まえて進めていかないと、ネットワークを一つつくったから、それで何か完結するんだというようなことではなくて、そういう大きな違いがあるということも、これはコーディネーターとか、それに参加する人は十分わかってやることだろうと思いますが、えてしてこういう官製版のネットワークというような、官製版にはならないと思うんですが、進め方とすれば、文化指針をつくって進めるわけでありますので、どうもそういう方向に行きがちな部分があると思うんです。そういうことで、そういった実態を十分把握して進めていただきたい。その辺のコーディネーターとの関係についてもお伺いしたいと思います。
 さらに、この指針では5年で達成すると、一区切りつけるという意味に私はとらえているんですが、この5年間でどこまで進むのか、ある程度、その辺の目標というものも、参加する方々としっかりその辺の部分を明確にしながら進めてほしいと思うわけですが、その辺についてのお考えをお伺いいたします。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 ネットワークのねらいにつきましては、委員御指摘のとおり、十分実態を踏まえた後継者の育成でございますとか、財政的な問題ですとかといったことを踏まえて、実地に合わせて運営していきたいと考えます。
 それから、コーディネーターの役割についてでありますが、コーディネーターにつきましては、4広域圏ごとに1人ずつ配置をするということで現在進めてございます。盛岡につきましては、NPO法人の方をコーディネーターとして委嘱申し上げております。
 このコーディネーターの役割につきましては、それぞれのネットワークの構成員が有する情報やノウハウをコーディネーターのところに集約しまして、それぞれ求める方と、その必要とする方、提供できる方をマッチングしていくという機能を一つは考えてございます。あるいは、組み合わせて、そこから何か新しい活動をしていくということのアドバイス等もいただけると考えてございまして、非常に重要だと考えてございます。まだ、立ち上がり間もないわけでございますが、その機能を十分に発揮できるように取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、藩境の文化の違いというお話がございましたが、文化の違いは、恐らくは、極端に申しますと、市町村ごと、あるいは市町村などの各地域ごとに文化芸術の違いというものはあろうかと思います。私は、やはり、これから文化芸術を核とした地域づくりをしていくためには、ある程度、明確な顔を持って、その地域の特色を生かして発信していくという姿勢が必要だろうと考えてございます。その辺につきましても、ネットワークと同様に、県南、県北、沿岸、県央と各地域の実情を踏まえて進めてまいりたいと思います。
 それから、5年間の計画、指針でございますが、指針の目標といたしまして31の目標を定めてございます。これにつきましては定性的な目標でございますが、可能であれば指標等を設置して、すべて指標を設置するということはできないかもしれませんが、ある程度定量的に行いまして、それらが5年間でどれぐらい進んだかということにつきまして、審議会の場で評価、検証していきたいと考えてございます。
〇亀卦川富夫委員 この指針の中にも、これからの岩手県が本当に自立した地域として発展していくためには、最も基礎的な基盤として、地域への誇り、愛着を深め、人づくりの基本となる力を持っている文化芸術を振興しようということで、非常に私はこれを評価しつつ、期待するものでありますが、一方、この情報発信ということで考えますと、岩手の定住、交流促進とか、あるいは観光という面で、これも非常に大きな文化芸術というものの果たす役割があると思うんです。
 したがって、せっかくこういうネットワークなどをつくってやっていくわけでありますので、特に4広域圏ごとということになりますと、4広域圏ごとのいろいろな活性化に関して、このネットワークの果たす役割というのは、そこまである程度考えてやっていくということも、先ほどの構成団体、さまざまな方々で構成されているようでありますから、その辺も目標に明確に加えながらやっていかれることも必要なのではないかと思うのでありますが、どういうお考えでしょうか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 文化芸術振興のネットワークと観光振興あるいは定住、移住の関係についてでございます。
 委員御指摘のとおり、やはり文化芸術を初めとして、岩手のソフトパワーを掘り起こして県民の誇りにしていくという視点は、非常に重要だろうと考えてございます。そういった価値に共感して、県内に、岩手県に移り住んでいらっしゃる方々も当然いらっしゃると思います。そういう意味で言いますと、こういったことを岩手の価値として内外に発信していくという取り組みは、私は、非常に重要であろうと思っております。
 こういった情報発信が、観光客の誘致にもつながったり、あるいは先ほど申し上げましたように、その地域に住んでみたい、岩手に行って住んでみたいというような県外にいる岩手ファンをふやしていくことにもつながってこようかと考えております。
 そういった取り組みの一助としてこのネットワークが機能するかどうかということにつきましては、これからいろいろと関係する方々、構成員の方々と協議、検討をしてまいりまして、もし可能なのであれば、そういった機能も少し付加をしつつ、新たな方向性について研究していきたいと考えてございます。
〇亀卦川富夫委員 経済団体、そういった方々も入るわけですね。そういう方々にとっては、やはりそういった意味の定住あるいは交流、観光といったものが非常にわかりやすいといいますか、なぜ文化芸術かという意味では、支援のしやすい部分じゃないかというような気がいたしますので、その辺はひとつお考えいただきたいと思います。
 さらに、周知という中で、いわての文化情報大事典ということで、これの充実強化ということも考えられているようであります。あるいは映像記録の保存なども考えられているようでありますが、これらと4広域圏ごととの関係といいますか、ホームページを見ますと一つに出てくるわけですね。地図があって、当然、今もう4広域圏ごとに色分けしてあって、そこに各市町村があるというのでわかりやすいわけでありますが、これをもう少しアクセスしやすくといったらいいでしょうか、わかりやすい、県外等からすぐ見てみようというような意味のPRというものも考えなければならないのではないか。せっかくいいものが、何かさっき言った周知という意味では、持っているんですが、なかなか見てくれる人がいないとか、そういう意味の部分があるのではないか。その辺の工夫が必要だろうと思いますが、その辺をお聞きして、終わりたいと思います。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 文化芸術情報の情報発信という意味合いで申しますと、ただいまのいわての文化情報大事典が、岩手の文化情報のポータルサイト的な性格を有しております。この中には、伝統、歴史、生活、自然、あるいは文化活動情報など、さまざまなジャンルのものが網羅的に収録されております。
 これについては私どものほうで運営してございまして、このコンテンツも逐次、中身も逐次充実させていっておりまして、例えば、今般、いわてアーティストファイルというものを新たにオープンいたしました。岩手ゆかりのアーチストの方々のファイルをつくって、その方々を内外に紹介して、場合によっては御活用いただくとか、そういうこともやっておりますし、あるいは掲示板機能を設けたり、双方向で意見交換できるような形のものをつけ加えたりというふうな中身の拡充もしてございます。
 周知という面ではまだまだ不足している面があろうかと思いますが、さまざま御指摘の点を踏まえて、文化情報大事典ポータルサイトのPRに努めてまいりたいと思います。
〇新居田弘文委員 2点についてお伺いします。
 1点目は、電子申請システムの現状と今後のあり方についてお伺いします。
 岩手県では、平成12年度に策定いたしました岩手県行政情報化推進計画で電子県庁の実現を目指すという方向性を示し、それから、平成15年から18年までの間の誇れるいわて40の政策におきましても、インターネットの普及、電子県庁の構築等を掲げております。そして、平成16年から、その構築なり、その運用をしておりますが、現時点での構築から今日まで運用した費用等を含めてお聞かせいただきたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 まず、電子申請システムの構築に要した費用等についてのお尋ねでございます。
 電子申請システムの開発から平成21年度当初契約までの執行総額について申し上げますと、電子申請システムの構築に要した費用は6、400万円余、運営メンテナンスに要した費用は1億5、500万円余となっているところでございます。
〇新居田弘文委員 それでは、平成22年度予算でも、先ほど説明がありましたように、電子県庁運営費9億6、000万円相当の金額が計上されておりますが、その内容と、それから、構築し運用してきたわけですけれども、その想定した手続事務の数と実際運用された実績、その利用率等についてお示し願いたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 まず、電子申請システムの利用率のほうから申し上げます。
 これまで、紙を含む総申請件数を把握しております平成19年度以降について申し上げますと、平成19年度が1.33%で、平成20年度が3.07%となってございます。
 あと、予算の関係でございますけれども、平成22年度につきましては2、873万円余を提案させていただいておりまして、新しいシステムとしては、構築費6、055万円余、保守運営費として1、044万円余、計7、100万円余という予算を予定してございます。
〇新居田弘文委員 先ほど利用率の報告がありました。平成19年度が1.33%、20年が3.07%ということでございますが、全体の手続の数からいいますと、平成19年度が169、20年度が119の手続を想定してのそういう利用率なんですが、利用率の高い申請事務等について、代表的なもので結構でございますので、紹介をいただきたいと思います。
〇菅野行政情報化課長 お尋ねの電子申請の利用率の高いものということでございますけれども、平成20年度実績をベースに申しますと、まず、1番目に高いものにつきましては、美術館観覧に関する申請書ということで50.78%、2番目としましては、岩手県職員採用1種試験申込書34.52%、3番目につきましては、同じく岩手県職員採用2種試験申込書25.56%という状況になっております。
〇新居田弘文委員 わかりました。そうしますと、年間を通じて美術館的なものは大体平均してあると思うんですけれども、今の職員の採用とか、あるいは指名業者の申請とか、そういう関係ではあるわけですが、例えば季節的な、ある時期に偏ったといいますか、そういうもののデータのようでございまして、ほとんどといいますか、先ほど申し上げましたように、全体的には1.33%とか3.0%ですから、全く申請事務がなかったというような種類も数多くあるようでございます。これは資料を持っていますが。
 それで、お聞きしたいのは、国でもやっぱり同じように電子事務がなかなか進まないということで、今回、見直しするということで、かなりの省庁で中止をする、あるいは縮小するというような進め方を今検討しているようでございますが、岩手県でも膨大な構築費あるいは運営費をかけていながら、実際はまだ1%、3%台ということで、それだけの金をかける意味がどうか、その辺がちょっと問われているのではないかと思いますが、今後のあり方についてどのように考えておりますか、お伺いします。
〇紺野IT推進課総括課長 まず、電子申請システムの利用率低迷につきましては、これまで電子化する手続の範囲をいかに広げるかといった観点に重点を置いて取り組んできた結果、本来重視すべき利用者の使いやすさですとか便利さに対する配慮が足りなかったということを私ども大きな要因ととらえておりまして、非常に反省しているところでございます。
 ただ、本県の県土を見ますと、広大な県土ということもあり、条件不利地域を多く抱えておりますので、電子申請システムは、そういった地理的、時間的な制約を解消して、住民サービスの向上を図る上で非常に重要な役割を果たすものと認識してございます。特に、来年度以降、広域振興局に再編されるということもございまして、その重要性につきましては、さらに高まるものと私ども認識しているところでございます。
 したがいまして、今後につきましては、反省を踏まえまして、住民ニーズに基づき、電子化すべき手続の追加が迅速かつ柔軟にできるというようなことに努めるとともに、電子署名、本人認証手続がなかなか煩瑣だということもありますので、電子署名の省略ですとか廃止等の手続改善についても検討を進めていきたいと思っておりますし、あと、高齢者ですとか障がい者の方々が簡単に、便利に利用できるよう、メニューの配置ですとか、操作面におきましてユニバーサルデザインに十分配慮するということ、また、あと携帯電話からも手軽に利用できるものとなるように、今後、手続の改善とシステムの改善の取り組みを通じて、利用率向上に努めていくとともに、システムも改善を図っていきたいと考えてございます。
〇新居田弘文委員 今時点の回答はそれでやむを得ないと思います。ただ、実際問題、もう百五十何種類かの手続の中で、ほとんど利用されていない、まだゼロというのが8割方あるわけです。もう少しこの実態を踏まえて、今後のあり方について、中止するものは中止する、あるいは書面で済むものは書面にする。頻度の少ないものは、むしろ書面のほうが便利な場合もあるんですよね。そういうことの取り組みをひとつ御検討いただきたいと思いますし、今の回答については、また来年、検証させていただきたいと思います。
 二つ目についてお伺いします。二つ目は、市町村合併についてお伺いします。
 今、地方交付税が非常に減額されている中で、平成22年度は若干ふえましたけれども、ずっと減ってきていました。そして、過去には、市町村合併を推進するために、いわゆるこのままですと交付税を削減しますよとか、あるいは合併すれば合併特例債を発行して、地域の振興に役立つような財政的な援助をしますよと、いわゆるあめとむちの話があったわけですけれども、現状はどういう流れになっているかお聞きしたいと思います。
〇小原市町村課総括課長 いわゆる平成の大合併により合併した市町に対しましては、普通交付税において、一つは合併算定がえ、もう一つは合併補正という二つの特例措置がなされてございます。
 この合併算定がえと合併補正のほかに、さらに、特別交付税におきましても、合併を契機としたまちづくりに要する経費に対して一定額が措置されるという仕組みになってございまして、本県の合併12市町分のこれらの措置額、これは累計でございますけれども、普通交付税で約1、930億円、特別交付税で約80億円が見込まれているところでございます。
 また、委員お話がありました地方債の合併特例債でございますが、合併市町村の建設計画に基づく事業に対して合併特例債や合併推進債の発行が認められておりまして、これの発行額は約1、580億円ほどが見込まれてございます。このうち7割程度が普通交付税に算入されるという仕組みでございます。
 一方、そのマイナスの部分ということでございますが、交付税上、小規模市町村に対して段階補正を縮小する等の仕組みはございますが、影響額の把握というのが非常に困難でございます。
 参考までに、本県におきまして、平成16年度と平成20年度の普通交付税の額を合併市町と非合併市町で比べてみましたところ、これは、三位一体改革の中で総額は落ちていますが、合併市町は0.3%の減少、非合併市町村におきましては5.3%の減少となっているところでございます。
〇新居田弘文委員 わかりました。
 それでは、次の質問をしますが、今回の予算でも、いわゆる合併した市町村に対して、市町村総合補助金、それから合併市町村自立支援交付金ということで多額の補助、財政的な支援をやっておりまして、それぞれ目的がありますが、特徴的な地域の自立に向けた取り組みとか、あるいは新たな行政課題に先導的に対応したというような、いろいろ事業内容ということで説明されておりますが、代表的な例、あるいはほかの市町村に模範的な例がありましたら御紹介いただきたいと思います。
〇小原市町村課総括課長 市町村総合補助金につきましては、これは、合併、非合併問わず交付してございますが、特にも直接的な合併経費の支援としましては、住民説明用の資料の作成や合併協議会の運営経費など、2、000万円ほどを来年度まで交付予定してございます。
 次に、合併市町村自立支援交付金でございますが、これは、合併旧法下で合併した市町村に対しまして、合併後5年間、12市町村に対して計72億円を交付するものでございます。既に61億円を今年度までに交付してございます。
 主な活用事例という御質問でございますが、一つは、地域づくりのための基金を造成しまして、旧市町村単位や地域単位での行事やイベントに対する助成、さらには伝統芸能、文化の継承などに活用している例がございます。また、自治会や市民団体等への運営助成、さらには教育指導員や農業経営指導員等の専門の指導員、相談員の配置などに充てられている例がございまして、住民の一体感の醸成を図りながら、合併後の地域づくりに有効に活用されているものと認識してございます。
〇新居田弘文委員 そうしますと、いわゆる合併すると合併特例債を使ってよく箱物なんかがあるんですけれども、今の分については、今、紹介されましたように、どちらかといえばソフト事業を中心に、市町村の地域振興の醸成等に使わせてもらっているという理解でよろしいですか。はい。
 終わります。
〇嵯峨壱朗委員 NPO法人の先ほどのコピー代金についてですけれども、改めて、この一連の経緯とか、そして、どう処理されていたかということについて、流れを説明していただきたい。
〇加藤地域振興部長 NPO活動交流センターのコピー代金の不正処理の問題についてお答え申し上げます。
 一連の経緯でございますが、いわてNPOセンターに管理運営を委託しておりましたNPO活動交流センターにおきまして、コピー機の使用料収入が不正に処理されているという旨の県政提言があったことを踏まえまして、昨年12月1日、2日の両日及び16日に立入調査を行いました結果、不適正な経理処理が明らかとなったというものでございます。
 これに対しまして、県といたしまして、同法人に対しまして、12月25日付で改善指導文書を施行しております。
 1月12日、それに対しまして同法人から、県の改善指導に対する報告があったと。
 その報告内容を精査したところ、調査内容に不十分な点があると判断したということでございまして、ことし1月25日付で、改めて第三者等を交えた客観的な調査を実施するように法人に対して求めました。
 これを踏まえまして、同法人から、再調査を求めたのに対しまして、ことし2月15日付で報告がございました。報告の内容につきましては、不適正な事務処理につきまして、第三者である公認会計士を交えて調査を実施したと。調査結果でございますが、詳細な金銭の流れは明らかにできなかったということでございまして、個人流用等の有無は不明である。法人に与えた金銭的な損害は限定的と判断する。こういう内容の報告を受けました。
 これを踏まえまして、県におきましては、2月22日に同法人と契約している事業の取り扱いの方針を示したところでございます。その後、また方針等につきまして改めたというところは、これまでの答弁の中で申し上げたとおりでございます。
 県の認識でございますが、これにつきまして、昨年12月ということでございますが、旅行業者代理業の不正登録等の不祥事に続いて、この県の委託事業の中でこういう不適正な経理処理が行われたということで、極めて遺憾なものだという認識を有しております。
 結果として、どのような対応、処理をしたのかということでございますが、改善指導文書を施行する中で、これは非常に不適正な経理であったということで、コンプライアンスが確立されていない、このままではいけない、組織として問題があるということでございまして、不正に関与した役職員に対する厳正な処分、再発防止策の実行、法人としての改善計画の策定等を求めました。
〇嵯峨壱朗委員 私の聞き方が悪かったんですね。その経緯は先ほどの説明でも大体わかっているし、それ以前にも説明されていました。このコピー料金のどういう不正な取り扱いをしたのか、具体的にその方がね。
〇加藤地域振興部長 コピー料金につきまして、通常であれば法人の会計に、時日を置かずに収入があった時点で計上すべきところを、簿外経理があったということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 何年間にわたって年度処理、当然、毎月でも処理するべきことを、年度で処理しないで、その何年間か分を何年か後に、3年後ですか、そして一括入金して帳じりを合わせた、認識はそういうことでいいですよね。
〇加藤地域振興部長 事実関係としては、それで結構でございます。
〇嵯峨壱朗委員 普通、そういう処理というのは、この報告書を見ていると、不正流用はなかったとか、適切なあれはなかったとか、損害は軽微だとか、そういう問題じゃないのではないの、これ。年度で処理しなかったこと自体に問題があるんじゃないの。私は、それ時点でもう、これは法人に問題があると判断すべきだと思いますよ。それはどうですか。
〇工藤副部長兼地域企画室長 委員御指摘の、全くそのとおりでございます。もう少し詳しく申し上げますと、4年間で総額400万円ぐらいが簿外経理をされておりました。そのうちの約200万円については、仮受金という形で、一たん、平成19年度末だったと思うんですが、本体会計のほうに仮受金という形で戻されておりました。残り200万円につきましては、約140万円ちょっとぐらいですか、これは旅費あるいは備品の購入費に充てておったということで、残り50万円から60万円ぐらいについて、県の調査で発覚した後に、本体会計のほうに戻して帳じりを合わせたというのが大まかな流れになってございます。
 それで、当然、どういう動機でそういう経理をしなければならないのかということについて、私ども、理事長を直接追及したわけでございますが、法人の事業規模が拡大するにつれて、さまざまな意味で資金繰りといったものが必要になってくるということで、一定の金額を現金で保管、あるいは別通帳に保管する形で簿外経理をして、必要の都度云々かんぬんということでしたが、簿外処理することによって、むしろ本体会計のほうは資金が逼迫するのは当然でありまして、そういった観点から追及したわけでございますけれども、最終的には、簿外経理に係る帳簿類といったものについて発見できないということで、外部の公認会計士の方の調査についても限界があったということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 何かちょっと全体が、多分、認識が違うのではないかと思って私は見ています。今の一連の説明を何回も聞いていますけれども。よく、特定非営利活動促進法、これでいくと、第28条で、いわゆる年度ごとの収支計算書、それをきちんと提出しなければだめだ、公開しなければだめだとなっていますね。あなた方はいつも法律の話をするから、私もよく見ました。そして、第49条、これが罰則のところなんですけれども、各号によると20万円以下の過料に処する。その中で第4のところに、先ほどの説明で、第28条の第1項の規定に反し、書類を備え置かず、この後、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。先ほどの報告はこれに値しませんか。
〇加藤地域振興部長 その時点での経理の処理として経理が問題だったということは確かでございまして、それについて私ども是とするわけではありません。問題だと思っています。
 経理の内容につきまして、法人の中での経理処理、それを帳簿に出したということ自体には、経理の処理と帳簿について問題、経理の処理自体が問題だったということでございまして、また、不実かどうかというのは、残念ながら解明できていないという状況でございます。
〇中平均委員長 嵯峨壱朗委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 嵯峨壱朗委員、御了承願います。
   午前11時59分 休 憩
午後1時2分 再開
〇久保孝喜副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇嵯峨壱朗委員 先ほどお尋ねしたことですけれども、改めて読んでみたと思うんですけれども、私の指摘、経理とか収支報告が去年気づいた時点で、これは不実というとらえ方にならないのでしょうかということ。私は法律の専門家ではないのでお伺いしたいと思います。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 御指摘の3年間ほど、本来、法人の本体会計に納めるべきものを簿外で経理をしていたという事実に基づいて収支計算書が作成をされていたという前提に立てば、委員御指摘のとおり、NPO法第28条で、事業報告書、財産目録、貸借対照表、収支計算書、これを主たる事務所に備えなければならないという規定でございます。
 もう一つ、御指摘のとおり、第49条の中に過料、過ち料の規定がございまして、この第28条第1項の規定に違反して、書類を備え置かず、またはこれに記載すべき事項を記載せず、もしくは不実の記載をしたとき20万円以下の過料、過ち料に処すという規定でございます。
 先ほど申し上げた前提に立てば、この第49条に規定をいたします行政罰の対象になるのではないかと考えてございます。これにつきましては、国のほうとも協議をした上で、さらには冒頭先ほど申し上げましたが、これから行います包括的な調査の中で、この取り扱いについて検討させていただければと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、本来であれば、これがわかった時点で法律に照らして処分するべきだったんだと思います。
 それともう一つ第42条、改善命令のところがあります。またはの後─運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該法人に対して、期限を定めて、その改善のため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。─それに基づいて改善の措置をしたんでしょうが、次の第43条第2項─前条の命令によってはその改善を期待することができないことが明らかであり、かつ、他の方法により監督の目的を達することができないときは、同条の命令を経ないでも、当該特定非営利活動法人の設立の認証を取り消すことができる─と規定がありますね。これはそれに該当しませんか。
〇工藤副部長兼地域企画室長 第42条と第43条の関係でございます。今回のいわゆるコピー料金の不適正経理につきましては、私どももすっきりと疑念が晴れたということではもちろんないわけでございますが、明確に不正があったと断言できる状況には、要するに第42条に基づいて明らかに法令違反があって、それの改善命令をするということには当たらないのではないかという、要するに不透明、グレーのまま実態がきちっと解明できないという以上はグレーのままということで、第42条の発動については難しいと私ども判断したものでございます。
 改善について指導したのはあくまでも県との委託契約の違反ということで改善の指導をしたということでございますので、御了解いただきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 私はこの第42条に基づいてしたんだろうと思っていました。というのは、先ほど、またはのところの説明で言いましたけれども、明らかに不適切な会計処理をして、それを正しいとして出したわけですね、その場でね。それに気づいた時点で、当然これに基づいて改善命令をすべきではないんですか。そう私は思いますけれども、法令に背くとか、運営が著しく適正を欠くことじゃないですか。あれは公金ですよね。しかも、それが間違ってというか、事実と違ったものを出してきた。それ自体でもう適正を欠くと私は思いますけれども。違いますか、認識は。
〇工藤副部長兼地域企画室長 理事が明らかに私的目的で流用したということについては、最後まで我々の力不足ということもあるかもしれませんけれども、証拠書類等が残っていないという状況の中で解明できなかったということでありまして、当該前理事長は、資金繰りのために、会社のためにやったんだという言いわけといいますか、申し開きをしておりまして、そういった中で、明らかに違法行為があったという形まで持っていけなかったということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 この法律に違反しなかったということでしたけれども、考え方の違いで、これは県税を使ってやっているわけですね。NPO法人であろうが何であろうが。そして委託している。そういった団体がこういった不適切な処理をしていること自体に問題があると私は思うんですけれども、法律とか何とかという以前に。違いますか、認識は。
〇加藤地域振興部長 問題があるというのはおっしゃるとおりだと思います。その結果として、法人に体制上問題もある、コンプライアンスの問題がある、このままではいけないということで強く求めまして、組織体制の刷新を図るという対応をとらせていただいたと。
 先ほど第42条のお話ですが、第42条で法令違反に当たるとすれば発動すべきだったのではないかということでございましたが、今の法令違反という部分が確かに報告が不実の部分があったとしても、行政上の義務履行、報告義務の履行のための行政罰というところでございまして、そこの部分だけで第42条が形式的には当たるという判断をすることも可能なのかもしれないんですが、強力な意味合いを持つ第42条、ないしそれをさらに進めた第43条を発動させるということには、NPO法の趣旨から私ども躊躇があったというのが正直なところです。そのため別の手段で、法人の体制をこのままいくとまた同じようなことが起こりかねない、不透明な経理とかあってはならないということで刷新を求めたということで、そういう対応を図らせていただいたということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 説明はわかりました。納得はしないけれども、私は法律に余り詳しくないんで、これについてはまた……、このままにしておきますけれども。
 一般質問の及川あつし議員に対する答弁で、新理事長から不適正経理に係る問題について、当法人とかかわりのない外部の公認会計士に調査を依頼し、客観的に検証を行うので県の関与は必要ないとの申し出があったということを述べていますけれども、これはおかしくないですか、その申し出を受けること自体が。どうですか。つまり、それを受けたことによって調査をしないとかというのは、県の対応としておかしくなかったのかなということです。
〇加藤地域振興部長 調査をしなかったということを述べましたが、その時点の判断といたしましては、法人がきちっと新しい体制のもとでやりたいということを申し出たということでございまして、その際、外部の公認会計士を連れてきて、その方にやっていただくということでございましたので、答弁の中でもお答え申し上げたんですが、まずは関与を見送ったと。公認会計士について調査をした結果、通常、そういう会計監査としてよるべき手段というか、基準を満たした上でやられていたということでございまして、その時点の私どもの判断といたしましては、県、私どもが行って直接入ってやっても、諸帳簿類等の監査については同様の結果というか、物的な証拠の部分とか、そういったものについては同じような結果になり得るのかなということで、あとは県として判断の問題なのかなということで受けとめたということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 1月29日に新理事長になって、新しい体制になったんですね。そしてその後ですよね、調査結果がこの間5日でしたか、発表になったのは。森の何とか。それ自体も私問題があるなと思ったりしているんですけれども、それについても見解をお聞きしたいんです。
 あと、きょうの新聞に新しい理事長の取材の記事が出ていましたけれども、金額を明かさないものの負債を抱えているというコメントが出ていましたが、この負債というのは、例えば破産というんですか、法人がなくなった場合、新しい体制の経営者が責任をとるのか、それとも発生した時点での経営者が責任をとるのか、その辺もあわせてお伺いしたいです。
〇工藤副部長兼地域企画室長 盛岡振興局の地域振興推進事業費を用いました補助事業であります森の恵みに触れる生活体験啓発事業につきましては、当初、補助決定しておりました事業について実施していなかったということが判明いたしましたので、今回、説明しておりましたような対応をとらせていただいたというものでございます。
 また、その責任は新理事長にあるのか、前理事長にあるのかということでございますけれども……(嵯峨壱朗委員「負債をだれが負うのかということ」と呼ぶ)負債については、その負債を生じた原因が何であるかということにもよる部分があろうかと思います。例えば前理事長が善管注意といいますか、本来、理事長として果たすべき責務を果たさなかったということに伴う負債等があれば、それは当該理事長が負うと考えるわけでございますが、新聞記事の内容等からは、その辺については十分私どもも読み取れることができないということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 そうでなくて、一般論でいいです。NPO法人が負債を抱えて破産した場合には、そのときの新しい理事長が、会員になっているその人たちが負うのか、それとも原因者が負うのかということ。どうなんですか、NPO法人は。
〇加藤地域振興部長 先だって答弁で申し上げました。法律上、破産とかそういう状態に至れば、その法人の中での責任、現理事の責任になるかと思いますが、ただ、法人の中で、先ほど副部長からも答弁申し上げたのは、法人の中で責任追及というか、そういう理由の追及によっては前理事長なり、そういうふうな分析をした上でそれにかかっていくということも可能なのではないかと考えるということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 そしたら、新しく行った新理事長がばかを見る話ですよね。おれだったら行かないね。だから、この辺は当然はっきりさせないと、破産しているわけではないからあれですけれども、万が一そうなった場合には責任の問題も出てくる。つまり、前の理事長がやめたからOKとかという話じゃないということを言っているわけですよ。だから、継続して3月31日までとかというけれども、それで、おれは知らなかったって静岡に帰られても困るということを懸念しているんですよ。ですから、継続して年度を越えてでもこれについては調査すべきだと、やるべきと私は思いますけれども、そこも含めてどうでしょうか。
〇加藤地域振興部長 民事の問題ということになりますので難しい面がございますが、法人がどうなるのかということが前提なので、仮定が入りますことはお許しいただきたいと存じますが、法人には債務、そのよって立つところ、その辺の債務がなぜ生じたのか、こういった財政運営がなぜ生じたのかとか、そういったことを法人の中でしっかり明らかにした上で責任、これは現職ということにかかわらず、その時点においてどうだったかという責任をしっかり確認した上で追及を果たすように法人に申し入れはしたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 この新しい理事長というのは、だれが決めたんですか。県のOBですよね。わかれば教えてください。
〇加藤地域振興部長 これはNPO法にのっとりまして法人の中で選定がなされておりまして、県としては関与しておりません。
〇嵯峨壱朗委員 前の理事長が指名したという話もありますけれども、それはうそですか、どうですか。
〇加藤地域振興部長 指名したかどうかというか、最終的な選定の過程をつぶさには私どもも承知しておりませんが、前理事長が退任するに当たっていろいろ関係方面、みずからの人脈なりの中で、いろいろ話なりを持ち込んだ中で選定がなされたんだろうと理解しております。その中でいろいろ多方面にかけたという話は伺っておりますが、その中でお引き受けいただく方が現在の理事長だったと伺っております。
〇嵯峨壱朗委員 ついこの間まで県の幹部というか、最後は釜石の振興局長ですか。そうなると、やっぱり何だかんだ言っても、県とのかかわりとか、直接的にはわからないけれども、勝手に決めたから知らないということも言えるかもしれないけれども、こんなに問題になっているところに県のOBの方が行っているわけですね。それは前向きにいい方向に持っていこうと思ってそうしたのかなとひそかに私は思っていましたけれども、県は関与していないということになるとちょっと疑問がありますけれども。全く関与していないですか。
〇加藤地域振興部長 関与しておりません。むしろ、ある程度、事前にそういう話も伝わってまいりましたので、県とのいろいろ関係性について問われているというか、その中においてOBとはいえ、県の職員がつかれるのは果たしてどうなんだろうかという意見を、こちらとしては申し述べていたという経緯がございます。
〇嵯峨壱朗委員 これからもう少し別の機会を持ってただしていきたいところもあるんですけれども、県としてもぜひ継続的に、今回の件についてまだいろいろなことがあるかもしれない。むしろ、さっきの話を聞くと、新しい理事長が被害者になる可能性がある。そういった意味でもきっちり対応していっていただきたいと思います、この時点では。答弁があれば。
〇加藤地域振興部長 午前中も答弁させいただきましたが、しっかり今後フォローしていきますし、いろいろ指摘されている問題点につきましては、できる限り解明に努めてまいりたいと思います。
〇高橋博之委員 私もNPO支援のあり方に絞ってやりたいと思います。
 まず、今回の一連の不祥事を受けて私も調査をさせていただきましたが、現場、NPO関係者を歩いていて結構言われたのが、一番今必要なのは信頼回復だという話でありました。
 岩手県内には320近いNPOがありますけれども、ほとんどは本当に皆さんまじめにボランティア精神で活動されている方々でありますが、今回のことがさまざま新聞で報道される中で、NPOも、本当の意味で十分に趣旨が県民の皆さんに理解されているかと言えば、まだ十分に理解されていない中で、他のNPOも何だか怪しげな団体じゃないのかとか、そういうとばっちりを受けている、信頼回復からやらなければいけないんだと、結構へこんでいる人たちが多くて、この方々だけにそれを負わせてはならないと私は思うんです。ですから、ぜひ知事のほうから、記者会見の冒頭でも構いませんので、この信頼回復に向けてメッセージを発信していただけるように、御進言をするなり何らかの対応をとっていただけないでしょうか。
〇工藤副部長兼地域企画室長 高橋委員指摘のとおりでございます。一般の一生懸命頑張っているNPOの方々に、多大な迷惑が生じていると考えております。御提言の趣旨を踏まえて知事に伝えたいと思いますし、近々、NPOの方々の集まりもあるという状況でございますので、そうした中で今回の一連の不祥事案の経緯等について説明するとともに、これからも一緒に頑張っていきましょうということで、そういった話もさせていただきたいと思っております。
〇高橋博之委員 よろしくお願いします。
 それで、今回改めてこの一連の不祥事を受けて、県が本当の意味でNPOというものを理解し、また、育てようとしているのかということが大変私は疑問に感じました。
 かつての地域共同体が、都市への人口集中あるいは核家族化で機能しなくなって、それにかわって会社が共同体の役割を果たしてきましたが、それも経済低迷でだめになったと。皆さん方も行財政改革をやって、行財政資源が限られる中にあって、あちこちに今すき間ができているわけです。そのすき間を埋めるものとして、NPOと言えばかたいんですけれども、要するにテーマごとの町内会だと思うんです。これを育てていかなければならないと。その意味で、これはいい意味で、行政と競争関係あるいは協力関係をつくっていかなければならないと思うんですが、皆さん、これまでNPOを下請としてしか考えてこなかったのではないかということが、今回いろいろ調べていて散見をされました。これは、この1年、2年の話ではなくて、この10年ですね、岩手県のNPO行政が明らかに失政をしてきた結果が、今回のこの事案の不祥事につながったのではないかと思っております。
 また、それに限らずに、実は今、岩手県のNPO自体が私は深刻な状況に置かれているということを調べていく中でわかってきました。そのことについて指摘をしつつ、では、これからどうするのかというところまで話をしたいと思います。
 大きく二つしますが、まず一つでありますけれども、NPOのチェック体制、それから、これはNPOの財務基盤の強化にもつながる話でありますが、この点についてちょっと聞きたいと思います。
 今回の件で、行政の監督権限を強化しようというのは、これはNPO法に真っ向から反することでありまして、部長も御答弁されておりましたが、やはり市民のチェックをどう強化していくのか。部長も先日の答弁で、みずからに関する情報をできるだけ公開することによって、市民による信頼を得て、市民によって育てられていくべきであるとの考えに立ち、広範な情報公開制度を設けることによって、広く市民によるチェックのもとに置くことという考え方がとられているという御答弁でありました。全くそのとおりだと思います。
 問題は、これまで広く市民によるチェックができるような環境に置かれてきたのかということが、今まさに問われなければいけないと思うんです。
 では、市民はどういう動機づけでチェックするかというと、これは工藤委員も言っていましたけれども、寄附なんです。自分の身銭を切って世のため人のためにと寄附をして、そのお金がちゃんと使われているのかチェックをすると。当然のことながら、NPOのほうも情報公開をしていなければ、これは信頼を勝ち取れませんから、そういうNPOは淘汰をされていくと、こういう環境が果たして今まであったのか。そういう市民の目にさらすことによって、NPOにおける内部のチェック体制や牽制機能を働かせ、ひいてはコンプライアンス体制が確立されていくということにつながっていくと思うんですが、これまで県はそういう環境の整備に努力をしてきましたか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 御指摘の市民によって選択をされ、市民によって育てられるということは、委員御指摘のとおりだろうと考えてございます。それで、NPO法が施行されてここ11年ほどたちますが、その中で、県が何をやってきたかというチェック体制なり、市民の中でそういうチェック体制、育てるという視点があったのかどうかという御指摘でございます。
 これにつきましては、平成15年度から17年度まで、集中支援期間ということでさまざまNPOの支援をしてまいりました。セミナーの開催でございますとかあるいは協働を考える会ですとか、そういったことを通じまして、市民の皆様、県民の皆様にも、NPOあるいは協働事業、市民活動等について周知を図ってきたところでございます。それが十分に浸透がなされていたかということについては、なかなか難しい面もございます。少なくとも、NPOの数が、例えば平成14年ですと89法人が、平成21年12月末ですと353法人までふえてきているということでございますとか、あるいは県民の皆様への調査で市民活動への参加率も徐々に向上してきているとか、そういったことを見ますと、一定の成果があったのではないかとは理解してございます。
〇高橋博之委員 セミナーじゃだめなんです。寄附文化をどうやって育てるかに私は尽きると思うんです。こういう制度の整備を怠ってきたからこそ、このNPOが資金欲しさに行政に擦り寄るという、いわば私は堕落と言ってもいいと思うんですけれども、陥ってしまったのではないのかと。行政同様に、組織維持のために活動費を得ることが結果として目的となってしまったのが今回の事例で、もう、もはやそこにNPOの存在意義は私はないと思うんですね。
 この寄附文化を育てるということについて、実は県も、民が民を支える仕組みとしていわてNPOバンク、それといわてコミュニティファンドをつくってきたようですけれども、実態を調べていくと、これは実は全く機能していなかったのではないのか。
 先日、及川委員も指摘をしておりましたが、知事がこの前御答弁で、市民や企業から資金を集めて融資する制度を創設するという、所期のねらいが十分に達成できなかったのは残念であるというコメントをされておりましたが、本当に両団体の活動内容を把握されておりますか。幽霊団体だったという指摘もあります。実態が見えない。総会も最初だけ開かれて、あとはやっていないという指摘もありました。また、パンフレットについても、とりあえずつくっただけで、実際に寄附を呼びかけるという働きかけも全くなかったと。会員から会費も集めていないという指摘もありましたが、実態を本当に把握されていますか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 御指摘のいわてNPOバンクそれからいわてコミュニティファンドの関係でございます。
 委員御指摘のとおり、いわてコミュニティファンドにつきましては、平成17年に実施をいたしました企業化支援事業、これは盛岡地方振興局でございますが、こちらのほうでNPOセンターに委託をして実施した事業でございます。これにつきましては、中身といたしまして、投資事業有限責任組合いわてNPOバンクそれからいわてコミュニティファンド、これらの2法人の設立が決定をしたということの成果はございますが、その後、委員御指摘のとおり、寄附が集まらない、それからそれほど寄附集めもできなかったということで、事実上、休眠状態だということについては承知をしてございます。
 その一つの理由として、当時、平成18年12月に貸金業法が改正をされてございまして、500万円未満の純資産額の下限は、平成21年度末までに一律5、000万円まで引き上げるということでございますが、そういったこともあってというふうには聞いてございます。
〇高橋博之委員 それ、全然実態じゃないんですよ。実態にそのバンクとファンドが機能していたかという、実際にどういう活動をされていたのかということについて、今の答弁に一つも入っていないわけです。
 では、ほかの県はどうかと調べてみましたけれども、ほかの県では、実際にこういうものをつくって民間や県民の皆さんに寄附をしてくださいと、実際に活動をして集めているんですよ。例えばパンフレットもつくって終わりじゃなくて、手数料をかからないように振込用紙までつけて実際に呼びかけているんです。そうして山形を初め多くの自治体でも、こういう活動をしてちゃんと資金を集めております。なぜ、ほかにできて岩手でできなかったかというところが、私は大きな問題だと思っております。
 これについての御答弁で、事業の執行状況は確認していると。補助をして、その後はNPOの事業展開に期待をしたところであるが、うまく回らなかったことについては残念であったと。補助金は交付するまででなく、その後の効果もしっかりフォローするべきであったと反省はあるかと思うという答弁がありましたが、これは猛省してもらわなければいけないと思いますよ。全然フォローしていないじゃないですか。
 これは今回の特定公益信託NPO基金も全く寄附を集められずに終わってしまったと。終わることを検討しているということですけれども、これも同じです。担当課が、目的はおおむね達成され、事業を終える方向で内部検討をしていると河北新報に書かれていましたが、どこがおおむね達成したんですか。
 実は残念なんですけれども、岩手県はこのファンドについては全国的には先進県であります。先発したんです。ところが、後発組にみんな追い越されてしまいました。だから、この10年間何をやってきたのかと。今の状況をどのように認識されておりますか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 確かに御指摘のとおり、平成13年に設置をいたしましたNPO基金については県が1億円、労働金庫が300万円ということだけで、民間の寄附についてはなかったということで、私どもの寄附を集めるに至らなかった点については反省をしてございます。
 そして、今後の方向についてでございますが、一定の成果と申しますか、所期の目的をおおむね達成したという一つの理由は、法人数の増加でございますとか、あるいは市民活動参加率の伸びでございますとか、こうしたことを踏まえて、本基金設置の所期の目的がおおむね達成されたと現時点では検討の材料として考えているところでございます。ただし、冒頭申し上げましたように、寄附が事実上、民間、市民を含めて集まらなかったという点については反省をしてございます。
〇高橋博之委員 数だけ見ているから、内容を見ていないから、現実を全然見えていないんだと思うんです。確かに数はふえてきましたよ。だけれども、本当に力のあるNPOが育っているのかということは、この後ちょっとお話ししたいと思いますけれども、その前に、NPO関係者の間で、失われた6年ということを今盛んに皆さん言われているようです。
 これは今回のいわてNPOセンターについてのことなんですけれども、本来歩むべきNPOの発展の道を、他県は今この6年間、順調に歩んできていると。ところが、岩手県は10年前のやり方をいまだに踏襲し続けてきたと。それは、民が民を支える、あるいは寄附を促す仕組みをつくる、寄附文化を育てるという最も大きな問題にあらわれているんだと思います。
 昨年の決算特別委員会で私はやりとりしました。その中で、岩間総括課長はこういうお話をしたんですよ。
 行政だけではなく、NPOの財政基盤が弱いのであれば、民間企業が補うとかさまざまな形態が考えられると、そういった総合的な視点に立って、県のこれからの支援のあり方を含めて、今後、鋭意検討していくと答弁されましたが、何をどう検討したのか。検討した結果がこれなのかと。来年度予算に計上されたNPO共同推進事業費あるいはいわてNPOステップアップ支援事業では、全くもって私は不十分だと思います。今後、このいわてNPOバンク並びにいわてコミュニティファンド、特定公益信託NPO基金はどうされるおつもりなのか、簡潔に答えてください。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 御指摘の点を踏まえまして、来年度事業につきまして、NPO共同推進事業それからステップアップ支援事業でございますが、そのほかに先ほど申し上げましたNPO基金の今後のあり方等につきまして、総合的に検討してまいりたいと考えてございます。
〇高橋博之委員 まだ検討をしていないということなんですね。
 それでもう一つ、寄附をどうやって育てていくのかということなんですが、私は税金と寄附をどう選択するのかというような仕組みをつくっていくべきだと思います。
 知事は先日、県民の負託を受けた税金それから予算を使っての事業ということであり、県としては適切な事業を結果として確保していかなければならないと。新しい公共のあり方として、どうやっていくのかという課題にしっかりこたえていかなければならないとお話をしておりました。
 やっぱり税金だとどうしても市民のチェックが働きにくい。だけれども、役所も監督権限が限られておりますから、どうやって市民のチェックが働く形で、この多様化する県民の皆さんのニーズに行政がこたえ切れない公共サービスをNPOに担ってもらうのかという方向が、私はこれからの新しい公共のあり方ではないのかと考えております。その一つの形が、税金の使い道を県民の皆さんに直接選択してもらうという方法です。これについては、財務省がこれまで強く反対してきました。それは、収税権は国家の専管事項であると、こういう時代錯誤の発想の中で反対をしてきたわけですが、ここに来て風向きが変わってきて、鳩山政権が新しく寄附金の税額控除を拡大するというようなお話も聞こえてまいりました。また、既に国に先駆けて、千葉県の市川市では1%条例や東京都杉並区のNPO支援基金制度、本県の奥州市の0.4%条例など、各地の市町村、都道府県にこうした動きが広がっております。市川市では、2006年度に制度を立ち上げ、当初は1、519万円の寄附が集まって、2009年は2、146万円までふえたそうです。
 県は、こういう仕組みをこれまで検討したことがありますか。なぜ、やらないんですか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 市川市のお話がございました。あるいは県内でも奥州市でそういった制度を導入しているということについては承知をしてございます。こういったことについてこれまで県として検討してきたかと申しますと、なかなか難しい問題がございまして、先ほどのNPO基金等がございまして、そちらのほうの助成金等で活用していくということで、税金の1%あるいは0.4%をということについては、特に県として検討の俎上に上げたことがあったということが実情でございます。
〇高橋博之委員 こっちも検討していない。それから、今までやってきたバンクもファンドも全く機能していない。これではNPOが健全に育たないと思うんです。
 それで、実は失われた6年でもう一つ大きな問題があります。それは、まずお聞きをしたいと思うんですが、NPOにおける中間支援とは一体何ですか。簡潔に答えてください。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 中間支援団体につきましては、対NPOをしっかりとサポートしていくということだと考えてございます。
〇高橋博之委員 その岩手県で、一番大きな中間支援組織は、まさに今回のいわてNPOセンターでありました。小さなNPOを育てるという大きな使命があったにもかかわらず、自分たちだけが大きく育ってしまったと。これが今の現実であります。県が委託、指定管理した事業の割合を見れば一目瞭然です。
 この間の質疑の中で、岩手には334団体のNPOがありますが、この同法人は、委託は32.3%、指定管理は40%、これは極めて異常だと思います。しかも、さまざまな部局にまたがって委託、指定管理を受けております。グリーン・ツーリズムやあるいは県土整備部の防犯関係の事業なども請け負っています。
 例えば若者サポートステーションなんかもそうなんですけれども、これは各地域でニートや引きこもりの支援をしている、真剣にやっている団体が幾つもあるんですよ。本当はこういうところを育てて今やっていなきゃいけない。ところが、全部入ってきたのをあの人たちがやって、自分たちだけ膨れ上がってきて、マンモスNPOになってしまった。そこが今倒れたんです。その結果として、本来多様なNPOが育っていなければいけないし、既に他県では育っているんです、宮城なんかでも。今、岩手県は育っていません。たくさん数はありますけれども、ボランティアのところのレベルでとまっているという話をよく聞きます。それから、それぞれの都市の中間支援も全然育っていません。それなので、この失われた6年というのは私はとても大きな6年ではなかったのかなと思います。
 新しい公共の時代がこれから幕を開けるわけですが、ほかの県では、この6年間その準備をしてきました。その出だしで残念ながらつまずいてしまいました。同法人にももちろん大きな責任はあると思いますが、こうした異常な状況を看過してきた県にも、私は大きな責任があると思います。
 防げたと思いますよ。例えば公募の条件だって、実績ベースだと全部あそこに行くんですよ。だって、やったことがあるんだもの。どんどんノウハウはたまる。ほかはやったことがないから、全部あそこに行くような仕掛けになっていたわけです。やっぱり新しいところに任せるのはリスクは伴うんですよ。だけれども、リスクを冒してでも育てていくということでなければ、多様なNPOというのは私は育っていかないと思うんですが、改めて聞きたいんですけれども、皆さん、これまでNPOのことを下請として見てきませんでしたか。
〇加藤地域振興部長 下請ということで見たことは全くございません。リスクというお話もありました。あるいは育てるという観点も必要ではないかという御指摘もございました。今回の事案あるいはNPOセンターに契約が集中したのではないかということにつきましては、それぞれの部局がある意味まじめにやったというか、契約について他事考慮しないでやってしまった結果ということで、ただ、その結果、仰せの誤謬みたいなところがありまして、意思共有というか、集中とか、それをどう考えるのかといった視点が欠けていたということは反省しております。その辺の部分につきましてどうしたらいいのか、もっと集中なりで事業執行体制が大丈夫なのかどうか、そういった視点を今後の契約相手の選定に当たっては取り入れていきたいということで考えておりまして、そういう中で、先ほど御指摘もありました、育てるという視点が取り入れられるのか、リスクというものをどう見るのかということも、そういう中に織り込んで検討してまいりたいと考えております。
〇高橋博之委員 すごく難しい問題だと思うんですが、実は育てる相手が将来の皆さんの競合相手、競争相手なんだと思います。
 例えばNPOが発達しているアメリカを調べると、行政とNPOはとてもよい意味で競争関係にあるそうです。例えば納税期になると、各自治体がNPOも一緒に自分が行っている活動のPRをやって、市民に納税かあるいは寄附を呼びかけるそうです。市民は、どちらが市民の役に立つコストパフォーマンスのよい活動をしているかで、納税か寄附を選ぶことになっているそうなんです。残念ながら、今回、本来これまで公共が独占してきた公共サービスを、これから多様な主体になっていただかなければならないということをみんな言うわけです。事実そうですけれども、これまでの期間、実は行政が独占してきた公共サービスのノウハウや技術を、私は移転する期間を無にしてしまったと思います。ほかの都道府県ではうまく、全部が全部ではないと思いますけれども、私が調べた限りにおいては移転が順調に進んでいるんです。用意スタートで、今からみんなスタートするときに、つまずいたんですよ、ここで。だから、この失われた6年というのはとても大きな問題だと私は思いますが、どう認識されていますか、部長。御就任されて1年で、部長だけに言うのもあれのところがありますけれども、いずれこういう岩手県の県行政の10年間のNPO行政が今まさに問われていると思うんですが。
〇加藤地域振興部長 結果としてこういう不祥事が起きた、それに伴ってNPOの方々に多大なダメージというか、影響を与えてしまったということ、そういう結果を招いたということについては、NPO行政をあずかる側としての反省というか問題もあったんだろうと思っております。そこはしっかり反省して今後の糧を得たいと思っておりますし、それを踏まえまして、先ほどつまずいたというふうなことをおっしゃいました。そのつまずきを取り戻して、雨降って地固まるといいますか、今後、しっかりキャッチアップしていくというか、その決意でNPO行政、NPOの発展に意を尽くしてまいりたいと考えております。
〇高橋博之委員 最後にしますけれども、今回政策評価レポート2009を見ると、多様な市民活動を牽引するさまざまな人材の育成を活用、これがおおむね順調となっております。これは、先ほどるる説明をしてきましたが、全く実態とかけ離れていると私は思います。今、部長が御答弁された御認識で、ぜひこのピンチを糧にしてチャンスに変えていただきたいと思いますが、来年度予算を見る限り、残念ながらピンチをチャンスに変えられるだけの内容に、予算規模もそれから予算内容もなっていないと思います。今回来年度予算に計上した事業ですけれども、これはそれぞれのNPO自身が寄附を集めるためのセミナー、さまざまなノウハウをセミナーで教えるというような事業とかでしたけれども、それは最後の段階で一番難しいところなんです、NPO自身が寄附を集めるというのは。そこに行くまでの段階が今まですっぽり抜けてきて、いきなりこんなのをやったって、これは全然寄附は集められないと思うんです。
 なぜ、こういう予算のつくり方になるかと言えば、きょうも説明がありましたけれども、現場を歩いていないからだと思うんです。NPOの皆さんと日ごろ交流して、今どういう状況にあるのか、耳を傾けてこなかったからだと思うんですよ。だからそこは大いに反省をしていただいて取り組んでいただきたいと思いますし、本当に地域で志を持っている人はだれか、その人を見つけてサポートする仕組みを早急につくらなければなりませんし、中間支援だって今ぼろぼろですから、この中間支援も再構築しなければなりません。それからファンドの問題も、民が民を支えるという仕組みをすぐにつくらなければなりません。
 そういう意味で、今後、私は補正対応も含めて必要なことを早急に検討してやるべきではないかと。それぐらい、今危機的な深刻な岩手県のNPOの状況にあると思いますが、部長、いかがですか。
〇加藤地域振興部長 危機的な状況だという認識については共有いたします。そういう状況なんだろうと思います。今後の事業の進め方につきまして、正直、私もいろいろな御指摘を賜りました。いろんなことがあって、まだ頭の整理もできていない状況なんですが、今後、事業の進め方につきましてしっかり整理して、しかも手順のお話についても委員から御指摘もありました。どういう手順でやっていったらいいのか、その辺の進め方ということもあるかと思います。そこをまず足元を固めるという意味で、しっかり考えた上でしかるべき対応をとってまいりたいと考えております。
〇高橋博之委員 最後にしますが、ぜひお願いします。
 私もNPOの出身者でありまして、本当に皆さん現場で孤軍奮闘されております。NPO自身の努力が足りないところもあるし、それは努力していかなければならないところがあると思いますが、これからはどうしても必要なものだという認識はもう共有され始めておりますので、ぜひ今回のこのピンチを何としてもチャンスにしていただくためにも、1年待って来年度、この次の予算でやるなんていうことはとてもじゃないけれども、もう既に6年おくれているんですから、そんな遅い対応では私はだめだと思いますので、ぜひ早急に御対応いただくようにお願いをしますし、今後もこの点についてはしっかりと私たちもチェックをしてまいりたいと思います。よろしくお願いします。
〇喜多正敏委員 私は93ページのシニアICTサポート事業等々についてお伺いしたいと思います。
 まず、このシニアICTサポート事業について、どういう中身なのかお伺いをしたと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 シニアICTサポート事業についてのお尋ねでございますけれども、このシニアICTサポート事業につきましては、ブロードバンドを前提としたサービスが一般化している中で、高齢者等へのブロードバンド普及が他の年代と比べまして比較的進んでいないということから、高齢者に対してブロードバンドサービス使用のための支援を行うということによりまして、高齢者層におけるICTに関するアレルギーを払拭して、ブロードバンドの普及を図ることを目的としているものでございます。
〇喜多正敏委員 その趣旨は何とかわかるわけですけれども、中身がどうなのかと、具体的に教えていただきたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 内部的には県内4カ所に相談窓口を設置しますとともに、ブロードバンドサービスの導入方法に関するセミナーですとか、インターネットの利活用に関する講習会等を開催してございます。
〇喜多正敏委員 それの対象は何人ぐらいを想定して、セミナーはだれがどのようにして行うのか。もう少し具体的に、小学校5年生ぐらいでもわかるように教えていただきたいんですが。
〇紺野IT推進課総括課長 相談窓口につきましては、高齢者の相談への対応ですとか訪問支援等を行います。また、セミナーにつきましては、年72回開催を予定してございまして、ブロードバンドの有用性ですとかサービス導入の方法についてセミナー形式で情報提供をするというもの、また、講習会の開催につきましては年192回を予定してございまして、ブロードバンドを導入した高齢者の継続的な利用を支援するため、インターネットの活用方法等に関する講習会を実施するというものでございます。
 なお、この事業につきましては、ふるさと雇用再生特別基金事業を活用いたしまして、10名の新規雇用者を見込んで展開するというものでございます。
〇喜多正敏委員 それから、2月の県議会定例会提出の予定議案説明資料の中に、ゼロベース予算ということで、市町村別ブロードバンドの利活用工程表を市町村と協力してつくっていくということと、それから市町村と連携したネット買い物など、モデル利活用策の企画実施をするということが掲げられておりましたが、これについても中身について具体的に教えていただきたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 まず、市町村別利活用工程表についてでございますけれども、地域の産業振興ですとか、住民の暮らしを豊かにする施策へ情報通信技術の利活用を促進するということから、各市町村における具体的な情報通信技術利活用策の検討を促して、その着実な実施を図るということを目的といたしまして、市町村と共同で来年度から作成しようとするものでございます。
 従来ですと、整備工程表なるものを共同で作成いたしましてこれまで整備に努めてきたわけなんですが、その整備がある程度進んだということから、来年度、そういった市町村別の利活用工程表を作成して利活用策を進めるということにしてございます。
 もう一つのモデル利活用事業についてでございますけれども、これにつきましては具体的にこういった事業が該当するということは今のところ限定はしていないのでございますけれども、考え方として、情報通信基盤ですとか、技術を有効に活用して、市町村の産業振興ですとか住民生活の利便性向上を図り、地域活性化に資するというものを事業内容としてとらえたいなと考えてございます。
 ちなみに、現在、地域活性化のために地元商店街によるネット買い物などを検討している市町村もございまして、今後、その検討の具体化、事業化に向けて、市町村とともに作業を進めてまいるということで取り組んでいるところでございます。
〇喜多正敏委員 そうしますと、市町村別利活用工程表は全市町村を一斉にやるということですか。それから、何をどういうふうに進めていくか。例えば工程表というのは、何年ぐらいの期間を想定してつくっていくのか。また、市町村との連携したネット買い物は2カ所となっていましたが、これについては具体的に市町村が挙がっているのか、その市町村の選定について公募してやっていくのか。それから、例えば情報産業については県内が非常に進んでいるとか、あるいは県内のソフト企業が実績があるとか、こういうことがあるわけでありますけれども、この進め方については、そうした県内とかソフト企業との連携を図りながら進めていくものなのか、県の職員だけが市町村の職員と話し合って進めていくものなのか、進め方についてはどう考えておられるかお伺いします。
〇紺野IT推進課総括課長 対象の市町村ということでございますけれども、全市町村を考えてございます。
 その進め方なんですが、私ども、これまで市町村情報化サポートセンターというものを組織して、現場に足を運んで市町村とともに整備促進に努めてきたわけなんですが、これを改組いたしまして、基盤整備促進から利活用促進にということで、軸足をシフトして取り組んでまいる予定でございます。当然、その過程におきましては、県立大学ですとか、例えばアプリケーションを開発するソフトウエア事業者の参画等もいただきまして、連携を強化して取り組んでいこうということで考えております。
 あと、利活用事業の公募ということなんですが、今現在、例えば今年度の国の補正予算で光ファイバー敷設ですとか、無線系のブロードバンドに取り組んでいるような市町村もございます。こういった市町村の中で、利活用策もあわせて取り組んでいきたいというようなことも検討している市町村もございます。そういったところとタイアップして実現化していきたいと思っておりまして、具体的にまだこういった内容というものを示せるところまで来ておりませんので、今後、鋭意進めたいと思ってございます。
〇喜多正敏委員 高齢者ということは、例えば商店街も大変衰退をしていまして、及川幸子委員からも、ホームページを活用したいろんなネット購買についての話もありましたけれども、そういう買い物の面とかあるいはいろんな支援制度であるとか、健康、生きがいといったようなことで非常に情報についてアクセスをしていろんなことで活用が望まれる世代だと、その割には進んでいないということでありますので、非常にいいことだと思います。
 それでちょっとお伺いしますけれども、ネット買い物についてのことですけれども、これはゼロ予算とは言いながらも、県がやるということであれば対象箇所数は限られると思いますけれども、公募してある意味ではそういったような刺激になるわけで、その辺の手続なりこうした事業についてはゼロ予算といえども、勤務時間内でやるわけですから、ぜひそういうようなことで進んでいただきたいと思います。
 そのときに、システムの構築費とかコンテンツの作成とか、実際お金がかかってくる側面もあるのではないかと思うわけでありますけれども、その辺は一体どうなるのかと思っているんですが、どうでしょう。
〇紺野IT推進課総括課長 実はまだ予算は成立しておらないんですが、国のほうで、地域ICT利活用広域連携事業というものの支援措置を用意する予定になっております。これの中身につきましては、広域連携、2市町村以上ということにはなるんですけれども、公共サービスの充実に向けまして、効率的かつ効果的なICTの導入利活用を実施する市町村に対して、相当額の支援をするというようなこともありますので、それらの活用ですとか、市町村総合補助金の支援になじむものであればそれの活用なりを図りながら、実現化に向けていきたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員 大変そうしたことについては市町村の関心も高いと思いますし、情報ニーズも高いと思いますので、ぜひ進めるに当たっては、こういう形で考えているということをお示しをしていただいて、公募とか参加を募るようにして、県内の相当企業も働ける場を設けていただきたい。
 もう一つは、高齢者のセミナーサポートということですけれども、実際に使ってみないと利活用がわからないということがあるわけでありますけれども、何といってもただ眺めているだけではなくて、何かニーズがあって調べるとか、こういうことになると思うんですが、そのときに、今までは施策別に、あるいは部局別に、こういう情報がありますということで縦割りに情報が提供されていることが通例だと思うんですが、利用するほうからすると、こういう場合はどうなるのかということで部局別に入っていくようなアクセスをするわけですけれども、支援とか、健康とか、そういうメニューが、生活者のほうから見たときに、どういう支援制度があるかという整理の仕方もあると思うんですよね。
 そうしたときに、このセミナーや、あるいは講演会等で実際に触れたり、さわったりしたときに、何か検索システムを利用する場合に、そういうような県の情報の提供の仕方もあわせて、そうした方々からニーズを聞いて、県の情報の提供の仕方に生かしていくということもあるのではないかと思います。そうしたことについても今回の事業を活用されてはいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。
〇紺野IT推進課総括課長 委員御指摘のとおりでございます。私ども、この事業を活用いたしまして、いろいろな行政に対するニーズですとか、そういったものの把握にも副次的に取り組んでまいりたいと思っております。
 また、ちょっと話は変わるんですが、こういったこの事業、セミナー、講習会に高齢者の受講者が参加して、サークルなどを立ち上げてきているという例もございますので、そういった方々、志の高い方の意見なりもちょうだいしながら、よりよいものにするべく対応してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 ぜひそうしたことで取り組んで、この事業が生きるように、継続してよろしくお願いしたいと思います。
 終わります。
〇熊谷泉委員 私のほうからは、今度4月から四つの広域振興局の体制がスタートするわけですが、いわて県民計画のアクションプランのときにも、議会でも、それから振興局でも、前からいろいろ議論はなされて、いずれスタートするということには間違いありませんが、これは、特に今度、県北と沿岸の方々に、振興局が、三つが一つ、二つが一つになるわけですが、その辺がきちんと広報されてきたのか、それがどのくらい認識されているとお考えなのか、その点を伺いたいと思います。
〇工藤副部長兼地域企画室長 4広域振興局体制に係る周知についてでございます。
 4広域振興局体制への移行に当たりましては、昨年に基本的な考え方をまとめて以来、地域に説明会という形で何回も出向きながら、その説明会の中でもPR方々ということで、来年度からそういう体制になるということの周知に努めてまいったところでございます。
 今年度になりましてからは、具体的には、全戸配布のいわてグラフでございますが、2月号に見開き2ページで全世帯配布ということで広報させていただいておりますし、また、県政番組あるいはパンフレットの作成、あと県のホームページへの掲載等のほかに、県北・沿岸、さらには県南の各広域振興局等においても、独自にパンフレットあるいはチラシといったものをつくりまして、あるいは直接住民説明会なども行っておりまして、その周知に鋭意努めているところでございます。そういった取り組みの中で、一定程度の浸透は図られてきているんだろうと考えてございます。
 ただ、我々が一番問題だと思っているのは、PRしても、PRしても、100%というのはなかなか難しいんだと、正直、私の今までの経験からも考えてございます。じゃ、何が必要なのかと。やはり4広域振興局体制になったとき、特に組織の改編等に伴いまして、窓口がなくなったりする部分が若干出てまいります。新しい体制のもとで、そういうことをどうしてもわからないで来られた方、そういった方にどういうふうに対応するか、これが一番大事だろうなと思っています。
 今、そういうことをさまざまな広域振興局等の会議等では、周知しても、周知しても100%ということはないということを前提にしまして、来られた方に対して、窓口は、例えば久慈になりましたよとか、あるいは釜石になりましたよ、あっちに行ってください、そういうことじゃないでしょうと。やはりそこで一義的に受けて、そして、そこで例えば書類を、じゃ、うちのほうで預かって、そしてそちらのほうにとか、そういった対応が一番大事だと。プラスそういう対応ができる職員の意識改革といったものが一番肝要だろうと思い、そういう方向で今いろいろ取り組んでいるところでございます。
〇熊谷泉委員 ただいま工藤副部長からの御答弁、私はその認識で正しいと思います。と申しますのは、2年前ですか、私らが検討して、いろいろな資料を見せていただきましたけれども、実際は、広域になって、市町村合併もそうですが、どこかサービスが低下することは紛れもないんですよ。ただ、あのとき書かれてあったアクションプランの語句は、大変、非常にいいことばかり書いてあるというか、ある意味、希望そのものだけなんですよね。実際に始まってみると、県民は、大分、こんなはずではかったという面が必ず出てくるわけであります。
 ことしちょうどスタートした年でありますので、2月にいわてグラフで紹介されたということですが、往々にして県が出す広報は、いいことばかりしか書いていない面が多々ある。今まで県南の広域振興局でも、遠野の不便になったこととか、議会でもいろいろ出されました。必ずこれはいろいろな面が出てくると思う。やはり新しいスタートの年でありますから、いいことばかりでなくて、裏の痛みの部分も紹介しながら、もう一度広報が必要だと思います。
 きのう嵯峨委員の質問がありましたが、人口減によって4、000人体制にする、それが大義だと思うんですよ。ある意味、そのことが一つの大義であって、それもきちんと、次世代に負担をかけないようにこういう体制にしなければならないこういう事情だということを、もう少しきちんと広報しないと、後から後から、こんなはずじゃなかったという県民が理解できない部分が出てくると思いますが、その辺の御見解を聞きたいと思います。
〇工藤副部長兼地域企画室長 広域振興局体制への移行に係る趣旨、目的といったものについては、私どもも説明会等で御説明しておりますし、パンフレット等の中にも十分書いておるつもりでございます。そういったことを今後とも十分伝わるように心がけてまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 それでは、ちょっと別な質問に変えさせていただきます。
 本県は、山間地帯が多くて、情報通信基盤の整備がおくれているわけですが、きょう、ある新聞にも地デジのことがちょっと書いてありましたが、私は、今、若者が本当に必需品としている携帯電話の不感地帯の解消についてお伺いしたいと思います。
 今年度の予算の中にも不感地帯の解消で、携帯電話等エリア整備事業補助ということで、今回1億700万円ですか、8カ所と予算がなっておりますが、これは市町村からこういうような解消についての要望というか、それが今どのくらいあるものなのかお知らせ願いたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 現時点では、市町村からの不感地域解消の要望がある地域は203地域となってございます。
〇熊谷泉委員 203地域ということで、多分ことし8カ所のアンテナを立てるということだと思いますが、このペースでいくとなかなか解消しない、何年先になるかわからないということなんですが、これをもう少し早い方法で解決する、あるいは人の行かない山奥に、ふだん行かないところに、そこを解消しろということではないんですが、例えば106号のいわゆる宮古へ行く基幹道路の中でも、多分、山間部では聞こえない部分がある、あるいは小さな集落でも聞こえない。その小さな集落のある若いお母さんが、ここに嫁に来たけれども、一番困るのは携帯が聞こえないことだと言うんですね。働きに行っていても、子供と連絡がとれないので大変心配だという話もあります。
 だから、203ということでありますが、これを、さっき言った山間部の基幹道路の不感地帯をなくする、事故なんかが起きれば、携帯は非常に便利なわけですので、これをもう少し早く進める方法がないのか、それを伺いたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 非常に厳しい御指摘でございます。私どもも、国の今回の補正予算なかりせば、なかなか不感地域解消ならなかったということもありまして、多額の建設費も要しますことから、非常に財源的にも確保が厳しいという状況でございます。
 まず、携帯電話の鉄塔整備につきましては、第一義的には、やはり通信事業者がやっていただくというのが筋でございます。ただ、やはり委員御指摘のとおり、通信事業者単独でなかなかできない地域につきましては、行政がやらざるを得ませんので、国の補助を活用して、また、県でも継ぎ足しの補助をしてございます。
 そういったものを活用して対応していかざるを得ませんし、市町村の不感地域解消にかける熱意といいますか、そういったものもございまして、それを総合的に私どもコーディネートして対応していくということでしか現在対応できていないんですが、これを加速度的に整備していくということになると、やはり国のいろいろな御支援が、さらなる御支援がないと、なかなか進まないという状況でございます。
〇熊谷泉委員 国の施策もそういうことで、今回は補正でということでございますが、やはり203ということはなかなか大変な数ですので、ぜひ、そこは次の次の予算に盛り込んで、きちんと整備していただくようにお願いいたします。
 終わります。
〇佐々木順一委員 熊谷委員の携帯電話等につきまして、関連して手短に御質問いたしたいと思います。
 まず、ブロードバンドの整備状況と携帯電話の整備状況について、それぞれ整備率、また世帯数、さらには、世帯数で押さえていなければ人口、それを県内全域でどうなっているのかお伺いしたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 まず、ブロードバンドの整備状況についてでございます。
 ブロードバンドにつきましては、今年度、光ファイバー等の有線系の整備を中心に、18市町村が整備事業に取り組んでおりますほか、3.5世代携帯電話、これは、高速大容量のデータ通信でございまして、携帯電話の使用可能エリアで接続可能となるものということでございますが、この3.5世代電話のエリア拡大によりまして、移動無線系でブロードバンド・ゼロ地域解消に取り組んでいる市町村が3市町となってございます。
 現在取り組んでおりますこれらの基盤整備事業がすべて完了した場合、ブロードバンド加入可能世帯率、これは、接続業者に申し込めば直ちにブロードバンドが使えるような状態にある世帯の割合でございますが、これが98.9%ということになる見込みでございます。
 未整備世帯数から見ますと、この基盤整備後に残るのは約5、000世帯程度になる見込みでございます。
 携帯電話の整備状況でございます。
 その前に、先ほど、私、熊谷委員に対する説明が悪くて、不感地域203地域と申し上げましたが、既にそのうち整備済みなのが171地域ということで、残り32地域というところまで行っているということをつけ加えさせていただきます。済みませんでした。
 携帯電話の整備状況でございますけれども、市町村が不感地域解消を望んでいる不感地域203地域のうち、平成20年度末で既に46地域が整備済みで、整備率は22.7%となっております。
 さらに、今年度は、当初予算で2地域、9月補正で90地域、加えまして通信事業者が単独で整備を進めているものが33地域、計125地域で整備が進められているところでございます。既に整備が完了している46地域と合わせまして、合計171地域という不感地域が解消される見通しで、整備率は84.2%に達する見込みになってございます。
 整備後のエリア外人口についてでございますけれども、人口で押さえておりますので人口でお答えしたいと思いますが、携帯電話が利用できない地域の人口で見ますと、平成20年度末で約2万1、000人と推計されていたところでございます。
 今年度の整備後は、新たに9、300人の利用が可能となります。したがいまして、利用できない地域に居住する人口としては、残り1万2、000人弱程度となるものと見込んでございます。
 なお、整備後における県内人口に占めます利用可能となる人口の割合から見ますと、99.1%が利用できるということになりまして、残り1%を切るレベルまで達しているということでございます。
〇佐々木順一委員 残り1%ちょっとですか、ブロードバンドの場合ですね。携帯も残り1%ぐらいということでありますが、それでも、ブロードバンドの場合は5、000世帯、携帯の場合は1万2、000人がその恩恵にあずかれないということが今、明確になりました。
 1万、5、000、数からいくと、それをどうとらえるかの問題がここにあると思います。全員県民でありますから、やはり何らかの形で情報の恩恵に浴したい、これは切なる希望であろうと思っております。(「106号線は、ほとんど聞こえない」と呼ぶ者あり)ほとんど聞こえない。
 100里を行くものは90里をもって半ばとするとあります。いわば、そういう昔の言葉の教えにならうのであれば、99%整備したけれども、残り1%残っている。これは、まさに今、道半ば、こういう認識を持つべきだろうと思いますが、この指摘に対して御見解をいただければと思っております。
〇紺野IT推進課総括課長 確かに、残った世帯への対応につきましては、これでいいというわけには参りません。やはりそういった方々に対しても、インターネットが使えるという状況を整備していかなければならないと考えてございます。
〇佐々木順一委員 ことしの情報によりますと、特にブロードバンドの場合は、地域ICT利活用広域連携事業、さっき紺野総括課長がおっしゃいましたが、私の情報では、全国ですよ、約82億円ぐらいと言っております。それから、携帯電話の場合は、平成22年度予算案に約66億円というものを計上して、全国で、携帯の場合は、例えば1万人ぐらいの解消を目指して、また全力で国がやる、こういうことであります。
 先ほどもこういった予算を利用して云々という話がありましたが、いずれにしろ、足らざるを憂えるのではなく、やっぱり県民は等しからざるを憂いていると思いますので、ぜひ、いろいろな予算を活用しながら、また、市町村の中には、積極的、消極的、あるいは関心が他の市町村よりも薄いところもあろうかと思いますので、事業者等と全力でこの協力を一点に集中して、全部の完成に向けて御努力賜りますことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
〇岩渕誠委員 大きく2点についてお伺いします。
 まず、一般質問以来いろいろお話が出ておりますけれども、広域振興局体制移行後の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。
 いずれ、今段階で総合支局には特命担当というものがありますね。多くの場合、課長で、特命課長という格好で配備されておりまして、産業振興とか県際連携とか、地域の特命についていろいろお仕事をされていると承知しております。
 ところが、総合支局が廃止されまして本局に集約される、こういうことなんですが、まさにその特命担当というのは地域の課題そのものだ、それを解決するために行っていると思うんですけれども、そうした中で、どういうふうにその特命担当というもの、特命課題というものを位置づけて、今後、いわゆる広域振興局の中で解決に向けて取り組んでいくおつもりなのかお示しいただきたいと思います。
〇藤尾企画理事 特命課長の今後の位置づけについてでございますけれども、いわて県民計画に掲げる施策の推進、あるいはさまざまな地域課題に重点的に対応するために配置することとしております。その配置先あるいは担当課題といったことにつきましては、広域振興局長が、地域の実情に応じて定めることにしてございます。
 平成22年度におきましては、盛岡以下、県北まで12人ということでございますが、県南局の場合でございますと、これまで総合支局が担ってきた、例えば東磐井地域などの中山間地域の振興、それから宮城、秋田両県との県際連携、あるいはまた、これまで築き上げてきた地域とのネットワークの継承、発展といったものの取り組み、それから、県南圏域の重要課題である雇用対策、産業人材育成、食産業振興、こういった県民計画に掲げる重点施策について強力に取り組んでいきたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 いずれ4振興局体制になって、まずは、それぞれの振興局長の強力な権限とリーダーシップを発揮していただくということが一つだと思いますし、それから、今、列挙されました課題については、やはり市町村と相当共同して進めていただかないと本当の解決にはなりませんし、そうでないと、広域振興局に移行して、総合支局をなくして、行政センターにしてという意味が、本当にマイナスのところしか残らないのではないかという地域の懸念が当たってしまうと思うんですが、具体に、そのところでどういうふうに市町村との一体化、あるいは局長のリーダーシップをとっていくおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇藤尾企画理事 今、岩渕委員がおっしゃられたとおり、この広域局体制の意義というものを強力に発揮するためには、市町村との連携は不可欠だと思っております。したがって、先ほど工藤委員に答弁申し上げたとおり、市町村との積極的な人事交流といったようなことも進めますし、そしてまた、政策のすり合わせのための、今、県南局の場合ですと、金ケ崎町とでやっておりますところの意見交換会の開催とか、あるいはモデル的に実施しておりました二重行政の解消等を目的とした政策調整会議といったようなものの開催などを通じまして、これまで以上に政策連携の面でのシナジー効果といいますか、相乗効果が発揮できるような取り組みに意を用いていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 その実現に向けて御努力いただきたいと思いますが、さきの一般質問で企画理事からは、平泉の問題については、県の担当課を丸ごと平泉に移して問題解決に当たるという、大変大きな御決断の部分をお示しいただいたわけでありますが、やっぱりそういう一体的に進めるということが必要だと思います。
 そういう意味で言うと、総合支局が行政センター化して、非常にあいたスペースができるわけであります。遠野の場合ですと、やはりそこに市の担当部局が入って、一つの地域課題について県と市と一緒になって、まさに同じフロアで問題解決に当たった。これ以上の一体化はないのかな、これ以上強力な体制はないのかなと思っているんですが、今後、さまざまなところで行政センター化をして、施設管理の面でも少し余裕ができると思うんですけれども、これの活用の仕方、あるいは、その部分で市町村あるいは経済団体と連携をして一体的に施策を進める可能性というものがあるんでしょうか、お示しいただきたいと思います。
〇工藤副部長兼地域企画室長 行政センター化に伴いまして、いわゆる合同庁舎のスペースにゆとりが出るところが、大きくは遠野、北上、そして千厩という形で発生してございます。
 ただいま岩渕委員からお話がありましたように、先行しました遠野につきましては、現在、遠野市の土木部門と環境部門が同じ庁舎内に一体的に配置されてございまして、県と市町村と連携した形で一体となった行政施策を進めているということで、遠野市からも非常に大きな評価を受けております。
 こうしたことを進めていく必要があると考えてございまして、現在のところ、遠野の庁舎につきましては、さらに遠野市の農林部門が入るということで、県の農政あるいは普及部門と一体的に農業振興に取り組むと。この中には、一部農協というんですか、民間部門も同居するということで、要するにワンフロアで農業の課題について取り組むということになってございます。
 北上地区につきましては、市の夜間診療所、そしてインターハイの準備室、ジョブカフェ、それと民間団体ですが、岩手県食品衛生協会の北上支会などが入っていただけるということで、これも県の行政と連携しながら、より効果を発揮するようにしたいと思っております。
 加えて、二戸地区合同庁舎につきましては、消費生活関連業務が市町村の責務ということで、消費安全課の関係がありますので、二戸地区の消費生活相談窓口が合同庁舎に入るということになってございます。
 千厩につきましては、空きスペースはたしかあるのでございますが、すぐ隣というか、隣接して市の千厩支所がありまして、そちらのほうにもスペースがあるというお話で、今のところちょっと申し込みがないような状況でございます。
 今回、再編というような一つの試練があるわけでございますが、なお一層市町村と連携しながら、より効果的な行政が進められるよう、空きスペースの活用ということについても意を用いてまいりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。いずれ、いろいろな形で県のところに入ってくるということでありますけれども、入ったからよしということではなくて、やはり当然、入ったところと一体になって進めるということが肝要でございますので、そこは、入り口に立ったという認識で、ぜひ今後も市町村と一体となった行政をお進めいただきたいと思います。
 次の質問に移ります。これは、実は、きょうは地上デジタルへの完全移行まで残り500日だそうでありまして、そういうわけじゃないですが、ちょっと地上デジタルの話を聞いていきたいと思っていました。
 2011年7月24日、アナログ停波をするわけでありまして、2010年度というのは、新年度は地上デジタル対策については極めて重要な年になると思います。放送事業者のほうの情報を見ておりましても、大体2010年度でデジタル中継局の地局というものはほぼ完了すると。12月までには岩泉、山田、盛岡、沢内、大東、東山、千厩、花泉などで、新たに22の中継局が整備されて、大体これで放送事業者側としての地デジ移行に伴う中継局の整備計画というものが終了すると承知しております。
 これに伴って、県内のカバー率と、それから視聴世帯はどうなる見込みかを、まずお聞きしたいと思います。
 それから、岩手県では、僕は大変評価しているんですけれども、他県と違って、デジタル化に伴って、この際、アナログの難視聴地域も解消しようということを目指している、これは大変評価に値すると思います。そもそも今の地上デジタルの進め方というのは、国側の、今アナログで見えているところさえ見えればいいという、僕から言わせると、非常にまやかしの仕組みをつくって進めていますけれども、そもそもアナログも難視聴地域を多く抱える岩手県が、そこを、国が言っている範囲を超えてきちんとやろうとしている姿勢は大変高く評価するんですが、そういう観点で進めてきたこのものが、今回の地デジの中継局の整備によって、アナログの難視聴地帯の解消がどのように進むか、あわせてお示しいただきたい。
 それから、もう一つ、地上デジタル対策では、今申し上げた地上デジタルのいわゆる中継局と言われるものの整備とあわせて、辺地共聴整備、いわゆる組合をつくって見ましょうというところと、あとは自治体ギャップフィラーとか、ケーブルテレビなどによる代替措置というものが検討されているわけでありますが、これと合わせた場合、新年度末でエリアのカバー率はどうなるのか示していただきたいと思います。
〇紺野IT推進課総括課長 地上デジタル放送エリアカバー率並びにアナログ難視聴地域の解消についてでございますが、まず、地上デジタル放送エリアカバー率についてでございます。来年7月の地デジ完全移行に向けまして整備すべき中継局は60局所ございます。うち、今年度末までに30局所(後刻訂正)の整備が完了し、エリアカバー率87%となる見込みでございます。
 新年度につきましては、残り22局所を整備することによりまして、エリアカバー率が88%、地上デジタル放送視聴可能世帯は約42万5、000世帯に達する見込みでございます。
 また、ギャップフィラーですとかケーブルテレビなどによります中継局代替措置を含めますと、地上デジタル放送視聴可能世帯は新年度末で94%、約45万4、000世帯と見込まれているところでございます。
 本県におきましては、中継局のカバーエリア外におきまして、NHK共聴設備を含めまして728の辺地共聴施設が設置されてございまして、約4万5、000世帯が加入しておりますことから、この辺地共聴施設のデジタル化整備が完了すれば、その時点で地上デジタル放送視聴可能世帯は99.3%に達する見込みでございます。
 次に、地デジ中継局整備によるアナログ難視地域の解消についてでございますけれども、本県特有の課題として、先発民放局と後発民放局との間で中継局の設置数に格差がございました。このため、アナログ放送におきまして難視聴の地域がございましたことから、今般の地上デジタル放送への移行に伴って、すべての中継局から県内放送局すべてのデジタル波を発射することによりまして、アナログ難視聴解消を図ることとして、これまで取り組んできたものでございます。
 その結果でございますが、県内民放局の積極的な取り組みもございまして、本年12月末までには60局所すべての中継局から県内放送局すべてのデジタル波が放送される見通しとなっているところでございまして、これに伴いまして、新たに、これまで視聴できなかった後発民放局視聴可能世帯は最大で約1万2、000世帯程度と見込んでございます。
〇岩渕誠委員 はい、わかりました。いずれ、新年度で大分進む、進めなければいけないということなのですが、先ほどの佐々木順一委員の言葉をかりれば、99里をもって半ばとせよということからすると、問題は、実はここからだと思っています。
 実際に、計算上は確かにエリアカバーするということですが、こればかりは、試験電波、実際に電波を発射してみないと、受信環境が本当に良好かどうかというのを確かめる余地がないということがあります。これが、実際にことし12月以降に多分出てくると思います。今も多少出ているんですけれども。まずは、この中継局の整備、12月には支局完了ということなんですが、ぜひ、試験電波の前倒しの発射というのを、建設スケジュールを進めてこれをやっていただきたいということを、まず県として事業者にしっかりと要請することも必要だと思います。
 それから、ある程度予測される難視聴地域、デジタル難視については、住民への説明をしっかりやっていく必要があると思います。
 実は、進めば進むほど、本当に何世帯とか、せいぜい20世帯とか、非常に小さな単位で映らないところが出てくる。ところが、そこに映らせようと思うと非常にコストがかかる。残されたところは、コストの面で非常に大変な状況になってくるというのがあるわけであります。
 そもそも地上デジタルというのは国策で来ていますから、そういうものを含めて国がしっかり面倒を見るべきだというような思いがある一方で、アナログの時代からも、岩手県の場合は、住民のほうでお金を払って、しっかり負担をして映ることを受信してきたということがあって、その辺の関係は非常に複雑なんですけれども、いずれ残された地域の送受信対策については、費用がかかるという部分もありますから、これはしっかりと、ギャップフィラーとか、ケーブルとか、高性能アンテナとかいろいろ方法がありますが、これはいずれ住民の合意が必要だと思うんですが、どういうふうに情報提供を進めていくおつもりでしょうか。
〇紺野IT推進課総括課長 住民への説明についてでございます。
 特に、新たな難視地区での説明が重要になってこようかと思っております。本県におきましては、国、放送事業者、市町村との緊密な連携のもとに、住民説明を丁寧に行いながら理解をいただくということが重要と考えております。こういった考え方から、現地説明会を開催いたしまして、最も経済的かつ最適な難視聴解消手法となるように、技術的な提案ですとか補助制度の活用の助言などを行ってきたところでございます。
 この結果、これまで、対策を含め、新たな難視地区につきましては、全体の8割に当たる222地区、2、704世帯の対策手法が決定いたしまして、今後、順次整備を進めていくという状況になってございます。
〇岩渕誠委員 ちょっと答弁がなかったんですけれども、試験電波の前倒し、これは要請しますね。
〇紺野IT推進課総括課長 大変失礼いたしました。
 確かに、委員御指摘のとおり、私どもは、やはり中継局の電波が発射されないと、具体的に本当に受信できるかどうかという実態が把握できませんので、放送局のほうに前倒しで設置するように強く要請してきたところでございますし、国に対しても、整備に対する補助制度の支援につきましては、岩手県を優先的に採択してくださいということで強力にお願いしてきたところでございまして、要望した中継局につきまして、すべて採択をいただいているというような状況になってございます。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。いずれ、あと1年ということで、今いろいろな新聞もようやく特集を組み始めましたし、NHK、民放そろって、ニュースの時間とか、いろいろな企画を流し始めましたが、それに伴って住民の間でもデジタルということに関して、来年映らなくなるかもしれないねという話がようやく出てきたりしているんです。
 ただ、そのときに、きちんとした正しい情報をやるのには、マスメディアの努力も必要なんですけれども、やっぱり市町村と協力してやるということ。それから、要するにまちの電気屋さんですね。どうもこの辺は映らないかもしれないから、これはちょっとアンテナを立てたほうがいいのではないかとか、いろいろなことを考えるんですけれども、この地域だと、ここの時期まで来るとこういう電波が発射されて、こうだから、それまで待ってねとか、あるいは、ここは電波を出されてもちょっと難しいようだから、こういう方法、こういう方法がありますということをきちんと説明するためには、やはり自治体とか電気屋さんに対してもきちんとした情報説明をしないと、間違った情報が住民のほうに行くと、最終的に住民負担が結果ふえてしまうというケースもありますので、その辺をきちんとやっていただきたいと思うんですが、その辺どうお考えですか。
〇紺野IT推進課総括課長 委員御指摘のとおり、やはり、まちの電気屋さんの協力は、デジタル化に伴って不可欠なものと認識してございます。したがいまして、そういった事業者の方々が適時適切な対応ができるように、これまでも情報提供に努めてきたわけでございますけれども、あと来年7月と迫った中で、さらに迅速かつ正確な情報提供に努めてまいりたいと考えておりますし、放送事業者並びに国、市町村、県、そういったまちの電気屋さん、事業者の方々は一体となって情報共有に努めて対応してまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 最後にしたいと思います。最後は、国との関係と財政的な問題についてお伺いいたします。
 地上デジタルについてはいろいろな補助メニューがありまして、国の制度としては比較的充実しているほうかなと思うんですけれども、ただ、今言いましたように、ことしの12月に実際に電波を出してみて、計算上では映るはずだったんだけど映らない、じゃ、そこをどうするかと。それが、例えば30とか50とかというような世帯数、1地区だった場合には、やはり財政出動をして、ギャップフィラーとか、あるいは有線共聴とかいろいろな方法を考えなければいけないところが出てくるんですが、そういう事態に備えて、やはり財政的な備え、あるいはさらなる補助メニューの拡大なんていうものも、これをしっかりと用意する必要があると思いますので、まず、そこをどう考えるかということを一つお聞きしたいと思います。
 それから、これは少し先の話になりますけれども、来年7月にデジタル放送が開始されて、岩手県の場合は、ギャップフィラーという無線共聴というものが全国の中でも一番進む形になると思います。私も先進地を見てきましたけれども、このギャップフィラーでやった場合の最大のメリットは、維持管理コストが安いということなんです。ところが、電波を発射するということは、放送事業者もそうですし、ギャップフィラーでも、電波を発射する以上、国に対して電波利用料というものを支払わなければならないという仕組みになっています。
 問題は、この電波利用料でありまして、放送事業者、商業ベースの人たちは、それはしっかり払ってもらっていいんですけれども、難視対策でやったギャップフィラーに関しての電波利用料、これは恒久的に低減してもらわないと、やはりこれは、国の制度でデジタル化を選択した以上、最低限の責務だと思います。電波利用料の改定というのは何年かに一度あるわけですが、その辺きちんと事前に交渉しておく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
〇紺野IT推進課総括課長 まず初めに、財政的な備えということでございます。
 これまで、本県におきましては、地上デジタル放送普及対策検討会─本県が幹事になっており、参加が現在44都道府県という一大組織になってございます─や全国知事会等を通じまして、地上デジタル放送への移行に当たっての課題解決に向けて、国、放送事業者に対して多くの政策提言ですとか要望活動を実施してきたところでございます。
 その結果、辺地共聴施設改修を初め、中継局デジタル化への補助、新たな難視地区における共聴施設ですとか、さらには、来年度、本県が強く要望しておりました高性能アンテナによる個別受信対策への補助制度が新設される見込みとなってございます。
 また、補助事業の運営に当たりましては、補助対象設備の拡大ですとか、補助率のかさ上げ等につきまして提言して、本県の要望を踏まえる形で、国において指導的な対応がなされてきたところでございます。
 今後、予期せぬ事態が生じた場合につきましても、制度の運用面を初め、財政的な支援につきましても柔軟な対応を国にとっていただくように、さらに要望を強めてまいりたいと思っております。
 次に、ギャップフィラーの電波利用料軽減についてのお尋ねでございます。
 デジタル信号送信を行う地上テレビジョン放送局の電波利用料につきましては、経過措置といたしまして、平成22年末までに一律年額5、400円という額になっております。
 しかしながら、平成23年以降につきましては、出力0.2ワット未満のギャップフィラーの電波利用料、小規模なギャップフィラーでございますけれども、年額6、100円と、ある程度低額に抑えられるということでございますが、本県におきましては、地理的な条件で不利な地域がございます。それらの安定的な視聴を確保するために0.2ワットでは対応できないという地域が出てきております。したがいまして、0.2ワット以上の施設設置が必要となる地区におきましては─済みません、0.02ワットでございます。
 これらの施設につきましては、経過措置以降の電波利用料が、実に、一挙に年額20万2、300円と著しく高額となってしまいます。したがいまして、設置主体の共聴組合ですとか市町村の負担が大変過重になるおそれが出てきているものでございます。
 このため、県といたしましては、難視聴対策を目的として共聴組合、自治体が設置主体となるギャップフィラーにつきましては、電波利用料の負担軽減措置を講じるよう、本県が幹事となっている地上デジタル放送普及対策検討会ですとか全国知事会、また市町村と連携いたしまして、国に対して強く要請してまいります。内々、事務レベルにおきましては、その旨、伝えておりますので、今後さらに強く要望してまいります。
 先ほど、私、地デジの中継局につきまして、今年度末で「38局所」と申し上げるところ、「30局所」と誤って答弁してございます。おわびして、訂正させていただきたいと思います。
〇岩渕誠委員 わかりました。いずれ、ギャップフィラーに関しては大変重大な問題でありますので、ぜひ、それはきちんと交渉していただきたいと思います。
 受信率の関係では、今やさまざまな取り上げ方をされておりまして、課題もあるということはそのとおりだと思いますけれども、それ以外の部分に関しては、岩手は、全国的にも非常にトップランナーであると私も思っていますし、これは全国の地デジを担当している関係者の中の共通した認識であります。
 今までの経過も踏まえて、2011年7月24日には、全県民が見られるように、これは、民主主義の情報の根幹でございますので、ぜひよろしくお願いして、終わります。
〇久保孝喜副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時52分 休 憩
午後3時9分 再開
〇中平均委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 3月9日の総括質疑の際、及川あつし委員から申し出があり、後日提供することとしておりました資料については、お手元に配付してありますので御了承願います。
〔参照〕
配布資料
〇中平均委員長 質疑を続行します。
〇斉藤信委員 まず最初に、広域振興局の再編問題についてお聞きします。
 県北、沿岸広域振興局に配置される副局長の権限と役割はどういうものでしょうか。県南広域振興局、県央広域振興局との違いはあるのでしょうか。
 職員数は全体で4%削減する。県南広域振興局は8%削減。県北、沿岸は基本的には維持する方針と聞いていますが、県央を含めて、それぞれどれだけの職員削減となるのか。各行政センターの職員削減はどうか、示していただきたい。
〇工藤副部長兼地域企画室長 県北、沿岸の副局長と県南の副局長との違いということでございます。
 権限という見方をした場合、どちら側の副局長も広域振興局長を補佐すると。そして権限的には、例えば1億5、000万円以上の補助金の交付でありますとか、5億円未満の工事執行だとか、そういった権限というものについては基本的には共通でございますが、役割が違うという御説明をさせていただければわかりやすいのかなと思います。
 県北、沿岸の副局長につきましては、広域振興局長を補佐しながら、それぞれ二戸あるいは宮古、大船渡の地域にいわば駐在をいたしまして、その地域の各センターを実質的に束ね、そこの地域内の課題解決に当たるという役割を担うと。一方、県南の副局長につきましては本局におりまして、地域を所掌するということではなくて、各部門を分けて、2人の副局長がおるわけでございますが、1人の副局長につきましては、企画、地域振興、商工観光部門そして農林水という部門を束ねますし、もう一人の局長は、総務、管理部門と税務だとか土木、保健福祉ということで、その役割分担が異なっているのだという御理解をいただければわかりやすいのかなと思います。
 それと、広域振興局ごとの職員定数の関係でございます。職員の定数については総務部の分掌にかかわる事項でありまして、現在、最後の調整が行われているのだと承知しておりますが、現段階で私どもが承知しているのは、盛岡の広域振興局につきましては1名増、県南につきましては総合支局の統合ということがございますので、全体的には74名ほどの減、沿岸広域振興局につきましては9名の減ということで、これを率にいたしますと1.7%の減ということになります。一方、県北につきましては、1名の増という形になります。盛岡は0.3%の増、県南につきましては8.9%の減ということで、実施計画では盛岡が約4%減、県南については約8%の減、沿岸、県北については大体同じ程度だろうということでございましたが、最終的に精査した数字については、先ほど申し述べたとおりでございます。
 各地区の部門ごとのセンターの人員の増減はどうなのかということになりますが、県南広域振興局管内の花巻につきましては11名の増、北上につきましては52名の減、約4割の減でございます。遠野につきましては4名の減、一関が18人の減、千厩につきましては7名の減とそれぞれなってございます。沿岸広域振興局の大船渡でございますが3名の減、宮古については15名の減、そして二戸につきましては6名の減という状況でございます。
〇斉藤信委員 副局長は、権限は違わないけれども役割が違うと。
 それでお聞きしたいんですけれども、今、振興局長がいると。これが広域振興局体制の副局長になった場合に、できないことは何ですか。これを示してください。広域振興局の副局長になってできないことは何か。
 それと、今、人員配置を聞きましたら、県南が圧倒的に人員削減なんですね。74名を全体で減らすと。特に行政センターの削減が多いんですけれども、私、一関の総合支局に行ったんですけれども、今でさえ閑散としているんですよ。そして、本当に権限が県南に行っちゃって、一関で対応できるものがないと。さらにこういうところから人員削減をしたら、地域の存在意義がなくなってしまうんじゃないか。特に北上は40%減ですよ。恐らく保健所の統廃合ということがあるんだと思いますけれども、これは県南広域振興局を先発でやったんだけれども、この先発のこんな県南広域振興局は、まさに県南広域における格差を広げてしまうことになるのではないかと思いますが、いかがですか。
〇工藤副部長兼地域企画室長 副局長が今の振興局長と比べてできないことは何かということでございますが、あくまでも広域振興局長を補佐するという立場になりますので、広域振興局エリア内の最終的な決定権者は広域振興局長になります。ですから、今の振興局長につきましては、それぞれ所管区域についての最終的な決定権を持ち得るということでございましたが、副局長につきましては、担当する地区の最終決定権者ではないということになりますが、我々はなるべく広域的な課題、そういったものでない限り、地区地区での課題につきましては可能な限り副局長のもとで判断し、決定できるような形に持っていきたいと考えてございます。
 それと、県南広域振興局でございますが、本局に機能を集約するということで、より効率的な地域経営を実践できるような組織体制に持っていくということになりますので、今回の組織の再編でございますが、職員体制が4、000人体制に移行するという中にありまして、それぞれ分散している行財政資源、それを集約して地域課題あるいは産業振興に取り組むという趣旨でございますので、県南広域振興局につきましても、本局がこれまで以上に機能を発揮しながら、県民サービスの維持あるいはその地域の産業振興、地域課題の取り組みというものに後退がないように取り組んでまいりたい、そのように思っております。
〇斉藤信委員 結局、広域振興局再編と言っても、アンバランスな広域振興局になったということですよ、統一的な体制ではなく。私は無理してやったから、そういうふうになったと思います。
 この問題について、一つは広域振興局長は部長級なのか、庁議メンバーに入るのか。それと、広域振興局で決められる予算というのはどれぐらいなのか。本庁の機能は強化されるのか、弱まるのか、このことをお聞きします。
〇工藤副部長兼地域企画室長 庁議に広域振興局長が入るのかどうかということについて私のほうから御答弁させていただきたいと思います。
 庁議については、出席するという方向で考えてございます。
 広域振興局長については部長級となってございます。
〇鈴木地域企画室企画課長 広域振興局で決められる予算についてでございますが、広域振興局がそれぞれの圏域の地域課題等に的確に対応いたしまして、事業内容を決定できる予算といたしまして地域振興推進費があるところでございます。
 平成22年度からの4広域振興局体制の移行によりまして、広域振興局の企画部門が強化されることに合わせまして、平成22年度当初予算では、対前年度当初予算額から1億円増額し、4億円計上しているところでございます。この活用によりまして、産業振興を中心とするアクションプラン地域編に基づく施策を強力に推進してまいりたいと考えているところでございます。
 なお、この今回の再編に伴いまして、広域振興局の予算権限には変更がないものでございます。
〇佐々木地域企画室管理課長 本庁の機能強化についてでありますが、この4月から本庁に設置されます政策地域部は、全県的な政策の企画立案、推進評価機能と地域振興施策、広域振興局の支援機能をいわば融合して効率化を図るものでございます。また一方で、広域振興局長が政策会議など本庁での重要な政策形成過程に参加することによりまして、部局横断的、共通的な重要課題や地域課題に係る政策形成機能を一元化しまして、限られた行財政資源の中で、効果的、効率的な施策が展開できるように考えているものでございまして、本庁と広域振興局の再編が相まって、県全体としての政策の立案と実践の機能強化が図られるものと考えております。
〇斉藤信委員 結局、広域振興局再編は、形だけ急いで統一的なものにならなかったと。実際に、予算権限はたった4億円ですよ。私は、そういう意味でいくと、本庁機能を本当に強化してやっていただきたいと。
 次の問題に入ります。市町村合併の検証について。
 今年度、合併の実情調査を行うとしていましたが、どういう手法で、どういう検証が行われているでしょうか。一関市、奥州市、花巻市など、それぞれ市長選挙、市会議員選挙が行われましたが、どの地域でも、合併についての効果、評価が厳しいものがありました。どう受けとめているでしょうか。
〇小原市町村課総括課長 合併の検証でございますけれども、平成17年度に合併した市町は合併後4年が経過してございまして、合併効果が順調に発現している一方、住民の声が届きにくくなるなどの意見も散見されることから、今回、合併新法の最終年度に当たり、改めて合併市町の実情を把握するため、平成17年度以降に合併した11市町に対しまして、ことしの1月から2月にかけて、書面による調査及び職員が現地に出向きまして聞き取り調査を行ってございます。この調査結果につきましては、今月中をめどに取りまとめる予定としておるところでございます。
 続きまして、一関市、奥州市等での評価ということでございます。合併の評価につきましてはさまざまな意見があることは承知してございますが、合併の効果として直ちに効果があらわれるものと時間がかかるものとがあり、一般的には、新市町の建設計画の期間であります10年程度の期間が必要であると言われているところでございます。この声を見ますと、やはり合併の効果があらわれていないという声が非常に多く見受けられているところでございます。
 県としましては、さらに合併効果が発現するよう、必要な支援等を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
〇斉藤信委員 県が調査する場合に、合併をした人の調査じゃだめですよ。地域住民、衰退しているという地域の立場から調査をしないとだめですよ。全国町村会がやったような調査を、ぜひ客観的にやっていただきたい。
 例えば奥州市選挙で、これはマスコミの報道ですけれども、青年会議所が調査をした。住民サービスの多様化、高度化への対応は実現したというのが10%、実現しなかった39%、悪化したというのが18%、こうなっているんですね。一関市の選挙のときにも、これは同じように、合併効果の実感乏しくと、周辺は人口減少が進み過疎化と、周辺の寂れが激しいと、これが選挙の争点になっているんですよ。私はこれをしっかり受けとめていただきたいし、増田前知事、総務大臣もやって全国も見た人が、去年の朝日新聞に大きく、市町村合併は傷を残した、終止符を打つべきだと。無責任だと思うけれども、こういうことを言っていますよ。
 合併政策の歴史に終止符を打つべきだと思うと。負の面が多かったことは認めざるを得ません。金を武器に地方自治体を誘導しようとしたことに限界があった。
 こういうふうに、かなりの大紙面で、推進した立場の側だからこそ説得力がある。率直にこう述べたというのは本当にそのとおりだと思うので、本当に合併の検証というのをしっかりやるべきだと思いますが、この増田前知事、総務大臣のこの発言を承知していますか。どう受けとめていますか。
〇小原市町村課総括課長 私もその記事を読ませていただきました。その中では、大きく合併の問題点の一つとしまして、合併特例債や地方交付税による財政措置を強く打ち出し、合併を推進しようとしたことによって、他県では一部に大きな借金を残した市町村もあったところと伺ってございます。
 本県におきましては、広く住民の議論を踏まえながら自主的に合併を進めてきたところでございまして、合併特例債につきましても、事業を厳選して実施するなど、健全な財政運営に努めていると把握してございます。
〇斉藤信委員 課長がそういう認識ではだめなんですよ。一関市も奥州市も、法定協議会をつくってからたった2カ月で合併したんですよ。ほとんど調整しなかったんですよ。合併した後の調整。だから今、職員の給与水準も一致していないんですよ。いろんな意味で一致していないんですよ。十分議論をしてやったと、それはとんでもない話です。それは認識が違うと。だから今困っているわけです。それで今、一関市と藤沢町の合併協議が行われていますけれども、私はこうした検証をしっかり示してやるべきだし、合併を県としては絶対押しつけるべきではないと思いますが、いかがですか。
〇小原市町村課総括課長 市町村合併は、委員御指摘のとおり、市町村が自主的に判断するものと認識してございます。現在、一関市議会、藤沢町議会におきましては、合併協議会の設置について議論がなされているところでございます。合併は最終的には民意を代表する市町議会の議決に付されるものでありまして、県としてはその推移を見守っているところでございます。
〇斉藤信委員 次に、地デジ問題について私からも聞きたいと思います。
 一番のポイントは、受信機普及率が55.2%、全国47位と、これが一番の問題なんですよ。カバー率が広がっても受信機がなかったら映らないんだから。これが全国最下位なんですね。この対策はどうなっているか。自己責任でいいのか。
 弱者対策として、生活保護世帯とかNHKの受信料が減免されている世帯とか、障がい者、その他にはチューナーを貸与するとなっていますけれども、この対象、この申請状況はどうなっているでしょうか。
〇紺野IT推進課総括課長 確かに55.2%の地デジ受信機の普及率ではございます。この要因として、私どもは、送信環境整備のおくれと周知広報の不足が挙げられると分析してございます。
 昨年11月に国が公表した浸透度調査によりますと、地上デジタル放送を視聴しない理由として、地上デジタル放送を視聴できないエリアであるためと回答した割合は12.8%で、全国1位となってございますので、私どもとすれば、送信環境を早期に整備することが重要と考えておりまして、現在、前倒しで中継局整備を急ピッチで進めているところでございますし、周知広報の観点からは、やはり地デジへの理解の醸成を図るためには周知広報活動の強化が必要との認識に立って、全国的な取り組みに加えまして、本県独自の取り組みを関係者が継続的に進めることとしたところでございます。
 現在、地域密着型の地デジPRスポットやっぱり地デジだべ!や教えて!地デジ大使などを放送しているところでございますし、また、地上アナログ放送終了500日前に当たる本日、三陸鉄道北リアス線におきまして、全国初となります地上デジタル放送についてラッピング広告した地デジカ列車の運行を開始しておりまして、地上デジタル放送の理解を深める取り組みを行っているところでございます。
 また、地デジチューナーの配布状況でございますけれども、国におきまして、本年度から、経済的な理由により地上デジタル放送への移行が困難と見込まれる世帯の支援として、NHK受信料全額免除世帯に対しまして無償でチューナー給付、アンテナ設置等を実施してございます。本年2月末時点で全国で63万件、本県からは約4、000件の申し込みがあったと伺っておるものでございます。
〇斉藤信委員 問題は、これは国家的事業で期日を決めてやるんだけれども、受信機は国民が買いなさいと。これ自己責任でやられているところに、私、一番の大事な問題があるんだと思うんですよ。いわば、チューナーを配備できる対象は8、000世帯ですから、4、000件ということになると、今、まだ半分ですね。これをぜひ周知徹底していただきたいし、それだけでは恐らく足りないんだと思うんですね、その対象者しかいませんから。これ以外にも、受信機を買えない人が必ず出てくる。例えば災害のときに、地域の放送が受けられなかったら対応できないわけですよ。私はそういう点でいけば、各国の状況を見ても、アメリカだって2年延ばしたとか、各国がそういう受信機の配備状況を見ながらアナログ停止を延長してきたということからすれば、そういうことも今考える必要があるのではないか。あくまでも、すべての県民が受信できるという状況を前提にしてこれは行われるべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇紺野IT推進課総括課長 まず、チューナーにつきましては、現在、各世帯の御負担で見ていただくということで対応してございますし、その意味におきまして、国におきましては、地デジ放送対応液晶テレビの購入につきましては、エコポイント制度が本年12月末まで延長されるですとか、簡易チューナーにつきましては、4、000円を切る価格のものがここに来て出回ってございますので、既に購入した方々とのバランス等も考えて、それらでできるだけの御対応をしていただきたいと思っております。
 もう一つは、弱者へのチューナー配布の周知につきましては、本年4月から、来年度の申し込みが再開される予定となってございますので、実施主体でございます総務省の地デジチューナー支援実施センターと本県市町村の福祉担当部局との連携を深めて、自治体の広報誌ですとか窓口での周知、ケースワーカーによる対象世帯の情報提供を強化するとともに、NHKに対しては、放送による制度の周知、申込書郵送を強く要請して、対象世帯を漏れなく本制度を活用できるよう支援してまいりたいと思っております。
 また、諸外国の移行状況でございますけれども、欧米の18カ国で地上デジタル放送が開始されてございまして、アジア諸国でも順次地デジ放送が開始され、または開始される予定となっております。
 アメリカ等で昨年延期はいたしましたけれども、日本におきましては、国において延長する予定は今のところないということでございますので、私どもとすれば、やはり送受信対策を徹底してまいりまして、来年7月に、ぜひとも難視聴の世帯が出ないような対策をしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 次に、いわてNPOセンターの問題についてお聞きをします。
 きょうの新聞を見ますと、60件余りの受託事業があったと言われていますが、正確に国、県、盛岡など、どれだけの委託、指定管理者の事業を行っていたのか、件数と事業額を示していただきたい。
 このいわてNPOセンターの職員数、その労働条件、給与水準はどうなっているか。
 理事長、理事の報酬はどうなっていたのか、示してください。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 まず、いわてNPOセンターの委託の関係でございます。
 平成20年度から21年度まで御紹介を申し上げたいと思いますが、いわてNPOセンターに県から委託をしております件数でございますが、20年度は4件、指定管理が2件、合計6件でございます。合わせて額が7、067万5、000円でございます。それから21年度でございますが、これは件数がふえてございまして、委託事業が11件、指定管理が2件、合計13件で、合わせまして1億2、190万円余でございます。
 それから、国と盛岡市の関係でございますが、これにつきましては平成20年度の事業報告書からの抜粋した数字でございますが、まず、国でございますが、委託が5件、補助が3件、合計8件でございまして、事業費が4、478万9、000円ほどでございます。それから市でございますが、平成20年度、委託が2件、指定管理が1件、合計3件で、1、281万6、000円、このような数字になってございます。
 それから、次に職員数と労働条件、給与水準についてでございますが、まず、労働条件の詳細につきましては詳しくは承知をしてございません。それから、職員数につきましては、法人からこれは聴取をさせていただきました。
 平成21年が業務執行理事2名、正職員4名、臨時職員45名、パート職員8名、嘱託職員6名の65名でございます。それから平成20年でございますが、業務執行理事6名、正職員5名、臨時職員13名、パート職員15名、嘱託職員7名、46名となってございます。
 次に、給与水準についてでございますが、法人からこれにつきましても聴取をいたしました。
 職員の基本給でございますが、就業規則に基づく給与規程によりまして、職務内容ですとかあるいは年齢等を考慮して決定しているということでございます。
 また、役員報酬につきましては、当該法人の定款におきまして、役員総数の3分の1以下の範囲内で報酬を受けることができるという規定がございます。直近、平成20年度の事業報告書でございますが、役員12名のうち1名、これは前理事長でございますが、報酬を受けているということでございます。
 なお、当該法人の報酬事項につきましては理事会の議決事項でございまして、理事会で報酬の上限額を決定していると聞いております。
 報酬額につきましては、任意の聴取により承知をしてございますが、本会議等で部長のほうからも御答弁申し上げましたように、具体的な数字についての回答は差し控えさせていただければと思います。
〇斉藤信委員 ことしは65人の従業員ということになりますが、正規の職員というのは理事が2人と正職員4人、6人ということになるんでしょうか。あとはほとんど、61人は非正規と。県が発注するときに人件費はどう見込んでいるのか。
 あと、この間の議論の中で理事長の報酬は1、000万円を超えると、こういう答弁がありました。正確な額は言いませんでしたけれども。理事の中でたった1人ですよ、役員報酬を受けているのは。これをもう一回聞きたいんだけれども、役員報酬というのは何の3分の1ですか。
 私、こんなゆがんだNPOはないと思いますよ。非営利法人ですよ。圧倒的な職員は非正規で、100万円を切るような状況の中で、理事長だけが1、000万円を超えるような役員報酬をもらっていたと。これは極めていびつなものではないか。
 もう一つ、理事の中に公認会計士がいましたね。公認会計士がいながら、こんなずさんな問題について調査もできないと。再調査を命じられると。考えられないことじゃないですか。なぜ理事の中に公認会計士がいたんでしょうか。公認会計士も一緒になって癒着したということになるんでしょうか。そのことを答えていただく。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 理事者の中には、公認会計士の方が監事として就任をしてございました。その方が、この法人の会計の監査を行っていたということでございます。その会計監査につきましては、毎年、事業報告の中で報告がありまして適正に処理されてございますが、今回のような事案が生じますと、やはり何らかの疑念を抱かざるを得ないということはあると思います。
 3分の1についてでございますが、役員報酬につきましては、役員総数の3分の1以下の範囲内で報酬を受けることができるという趣旨でございます。
 県が発注する際にどういう基準で委託をしているかと申しますと、例えばNPO活動交流センターの関係でございます。
 御紹介を申し上げたいと思いますが、報酬につきましては、非常勤の任用職員、これは常勤ということで常にNPO活動交流センターにいる責任者ということでございますが、行政職の限度額、これは要求額でございますが22万3、400円ほどの非常勤の一番上の単価を用いてございます。それから、臨時職員につきましては、賃金として日額6、760円の21日ということで、月額14万1、960円で積算をさせていただいてございます。
〇中平均委員長 斉藤信委員に申し上げます。
 委員の質疑が長時間に及んでおります。世話人会の申し合わせを踏まえて質疑をされるよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇斉藤信委員 わかりました。今、県の発注の基準は聞きました。正職員は理事を含めてたった6人ですから、圧倒的にあとは非正規で、県が算定した以上に低い形でやっているのではないかと、これは大変不当なのではないかと。
 なぜ1、000万円の役員報酬ということになるんですか。これはどういう仕組みなんですか。このことを示していただきたい。それは決算書に出ているんですか。役員報酬の額って決算書に出ていますよね。決算書に。これは公表される額じゃないですか。収支計画書、決算書。そこを示していただきたい。
 最後ですが、県が発注した事業の検証効果というのをどう見ているのでしょうか。
 私、去年の事業報告書を見ました。県から先ほど報告されたようにたくさんの事業が発注されていますが、本当に必要な事業なのか。失敗しても影響がないような事業ばっかり出しているんじゃないのか。そして、検証もしていないのじゃないか。いわば、何か問題が起こらなければ、事件が発覚しないような事業が多いんではないか。私はそういう意味でいくと、NPOを育てるということは大事なことだけれども、本当に必要な事業を出しているのか。
 あと、もう一つは、必要だと思われる事業を、本来県が直接やるべきだというのを安易に出している。先ほど高橋博之委員が指摘をしたニート対策なんていうのは、片手間の仕事じゃできませんよ。1年限りの契約の仕事では、私はとってもできない仕事だと思うんですよね。そして、直接、県民センターでもこれはやっているわけでしょう。私はそういうところにこそ必要な専門家を配置して、振興局と連携してやるべきではないのか。そういう事業の検証というのは必要だと思うけれども、今回の事件を踏まえて、この間、県が発注してきた事業をどう受けとめていますか。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 報酬額の額につきまして委員のほうからお話がございましたが、これにつきましては、こちらのほうで具体的な数値についての回答はということで差し控えさせていただきたいと思います。
 決算報告上は、理事報酬という項目がございませんので、その額がどれぐらいになるかということについては当方で承知をしてございません。
 それから、県が発注した事業の検証についてでございます。
 県が発注した事業、先ほど数値で御説明申し上げたとおりでございますが、これまでさまざまな事業を発注してございます。例えば、NPOの関係でございますと、平成15年から平成17年の集中支援期間におけるフォーラムの開催ですとか、そういったことでいろいろと発注事業を委託してきてございます。集中支援期間以降につきましては、NPO活動交流センターの運営事業等も連携をして進めてきたところでございまして、事業の成果としては一定の成果があったのではないかと考えてございますが、しかし、今回の一連の事業に関する不祥事等がございまして、これについては極めて遺憾であるという点と、先ほど来お話をちょうだいしてございますが、これまで県が事業を結果として集中化をさせてしまったという点につきましては、やはりしっかりと受けとめて今後につなげていかなければならないと考えてございます。
〇及川あつし委員 NPOセンターの件でありますが、大体論点が出たと思っていたんですが、今、斉藤委員の指摘した件について、きょうの質疑の中の答弁で、今後きちっといろいろ検証して対応するということですから了といたしますが、論点として一つ今大事な争点ですので、私からあえて申し上げたいと思います。
 それは、委託の際の契約の仕方にも問題があるんじゃないかなと、実は私は問題認識で持っております。
 例えば2月19日、盛岡市の業務委託の件で大きく記事に出た件がございます。見出しでは、理事長に無断で給与。つまり、先ほど来名前の出ている前理事長に対して、業務委託費から月額10万円の給料が出ていたというんですね。この前理事長は非常勤で、月にたった数回しか支援センターに来ていないと。そして10万円をもらっていたと。県の委託の仕方であれば、今答弁があったように問題がないんです。でも、盛岡の委託の仕方は、委託する際に法人と盛岡市で収支予算書というのをきちっと契約条項で結んでいますから、変なお金が前理事長に、たった何回かしか来ていないのに10万円も給料が出ていれば、これはおかしいよね、無断だよねということで指摘できるわけです。でも、今御答弁あったように、岩手県と外部に対する契約の仕方は何となく包括的な契約内容で、きちっと細かいところまでいっていないと思うんです。それの是非の部分もあると思うんですが、この点についてはどうなのかお伺いをしたいのが1点。
 あともう一点、きょう嵯峨委員の質疑の中で、私も驚いた答弁がございましたが、確認のため伺います。
 コピー機の使用料金の会計処理について、NPO法の第14条について、そして第27条、会計原則に違反していること、そして罰則規定である第49条の第2項の記載すべき事項を記載せず、もしくは不実の記載をしたということで、岩間総括課長、行政罰に値するという答弁があったと思いますが、行政罰に値するのであれば、私は、前回部長に対して、別の案件で過ち料、過料に処するべき案件に該当するのでこれは告発対象になるんじゃないかと言ったら、その案件はならないという答弁だったんですが、きょうの嵯峨委員の答弁に対して、コピー機の使用についての経理の過ちについて行政罰に値するという答弁がありましたので、今後どういう対応をされるのか、その2点をお伺いしたいと思います。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 まず、第1点目の委託の際の契約の仕方についてでございます。
 それぞれの自治体でそれぞれの契約の方法があると承知をしてございまして、本県の場合につきましては、請負契約ということで業務の内容を示して、その範囲内で業務が適正に遂行されているかどうかということをもって完了ということでございます。
 委託の関係につきましては、今後どういう確認の仕方があるのかということについては研究をさせていただければと考えております。
 それから、第2点目の先ほどの行政罰の関係についてでございます。条文上、書類を事務所に据え置かずにまたはこれに記載すべき事項を記載せずということがございました。もしくは不実の記載をしたとき、その不実の記載に当たるのかどうかということにつきまして、例えばコピー機の使用料金が本来法人会計に入るのであれば、それを記載しないあるいは実際に計上していないということがこの不実の記載に該当するのであれば、第49条の過料に該当するのではないかということで先ほど御答弁を申し上げたところでございます。(「該当すると言った」と呼ぶ者あり)
 国等にいろいろと相談をさせていただいて、今後、これにつきましても検討させていただければと思います。
〇及川あつし委員 国のどこと何を協議して検討するんですか。ちょっと答弁では不要領でありますし、今、不規則発言の中でありましたが、該当すると答弁で明言されたと私の耳でも記憶をしているのですが、行政罰に該当する可能性があるんですか、それとも行政罰に該当するんですか。そこもはっきり再度御答弁をお願いします。
〇岩間NPO・文化国際課総括課長 400万円が本体会計に本来入るべきものが記載をされていないということについては、行政罰に該当するのではないかと思います。ただし、余り行政罰の適用ということが全国的にないものですから、国の内閣府でございますが、そちらのほうに照会をして、いろいろと相談をさせていただければと思います。
〇及川あつし委員 わかりました。該当すると認識をしているけれども、全国的に適用例がないので、政府の関係官庁としかるべき協議をして対応を出すという理解をいたしましたので、しかるべき、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。
 あともう一点、先ほど質問した請負契約というやり方なんですが、余りがちがちに最初の段階から契約で縛るのもよろしくないだろうし、かと言って、今回のような事案が生ずるとすれば、今までの契約の方法も果たして本当によかったのかなという問題もあろうかと思います。ここも検討課題だと思いますので十二分に対応してほしいわけですが、今、人件費の件で、盛岡では問題になるけれども、県の契約の仕方では問題にならない。
 もう一点ここに問題があります。あえて指摘をしておきますが、指定管理をやっている2件について、公会堂、そして県民の森ですね。ここからも、委託している事業から本部会計に対して、指導料そして管理料という形でそれ相応のお金が本部に上納されていると思うんですね。これも岩手県の契約の仕方において言えば、答弁のとおり、そこまでは把握できないとか、問題について認知できないということになると思うんですけれども、これはいろんな話を聞いていると、40万円とか50万円が毎月出ていたようでありますが、何だ、その指導料はと、何だ、この管理料はという疑義がございます。そこで働いている職員の皆さんは最低賃金で、そして残業代も払われなかったりし、何でこんなお金が本部に吸い上げられているんだということで、大分現場の士気も下がっているやに聞いておりますが、こうした問題も含めて御検討いただきたいと思うわけですが、所感を伺いたいと思います。
〇加藤地域振興部長 委託なり指定管理について御指摘がございました。議員の指摘の中でございましたが、委託につきましては、すべて中止なり当面した場合にいかにインセンティブを働かせるのかとか、どういう形で創意工夫を働かせるのかというところがございまして、これまで県としては、業務実績を見るという考え方に立ってやってきたところでございます。これはNPOを問わず、ほかの委託関係、民間会社等に出すものについても同様でございます。そういった委託契約全体に及ぶ問題でございまして、さまざまな委託の業務をどう発揮させるかとか、そういったことも含めて考えなければいけない問題だと思いますが、そういう問題意識はしっかり受けとめて検討してみたいと思います。
 それから、指定管理の問題でございます。指定管理の具体的な御指摘がございました。これにつきましては、所管部局におきまして、必要な検査あるいは実績なりのチェックを行っているところでございますが、御指摘もございましたのでその趣は伝えまして、その辺の内容につきまして確認させるような形で申し入れを行いたいと存じます。
〇及川あつし委員 よろしくお願します。
 私の手元には、まだまだまだまだいろんな案件が届いておりますので、すべてここでお話しするのも適当ではないと思いますので、きょうあった答弁の内容に従って、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
〇中平均委員長 ほかに質議はありませんか。
〇伊藤勢至委員 地域振興部の皆さん、元気がない。元気を出せと言っても無理かもしれないけれども、ただ、今、我々が一連のNPO関係についての質疑というのは、我々の義務であり職務であるんです。したがって、悪いことについてはびしびしいきますけれども、決して人を責めているんじゃないんですよ。職務を責めているんですから、間違わないでください。したがって、きょうは地域振興部としては最後の予算審議かもしれませんので、少し夢のある話をして終わりをよくしてあげたいと思いますので、いい答弁をください。
 93ページの海洋産業創出促進事業費等に関連して伺いますが、県北・沿岸振興の目玉として新しい分野に切り込んでいくということで、いいプロジェクトを挙げていただいたと思っております。
 いわて三陸海洋産業振興指針の概要等でありますけれども、これらにつきましては金額の多寡を問うものではありませんで、芽出しの予算と考えますときに、全く新しいこれまでになかった沿岸振興の施策を展開してきていただいた、このように感謝をしております。
 これは今、沿岸の議員は10名しかおりませんけれども、県北・沿岸振興議員連盟というものには、内陸の議員方にも25人参加をいただいておりまして、こういう議員方の陰に陽に御支援があったから、こういう政策が進んできたと感謝をしているところでありますが、金額の多寡は問いませんけれども、大きく指針策定の背景、必要性、あるいは指針策定の趣旨、目指す姿等について三つに分けて書いてありますが、当面、これはどのような順序、段取りで進めていこうとされているのか、お伺いをいたします。
〇高橋県北沿岸振興課長 海の資源を活用した産業の振興ということで、来年度からいわて県民計画の中で海の産業創造いわて構想を位置づけ、さらに具体化を図るということで、委員御指摘の詳細な指針をつくらせていただきました。
 この施策の中には、短期的にできるもの、あるいは中長期的な時間がかかるもの、岩手県だけでできるもの、あるいは国レベルの研究機関の動向、それらに関係するものがございますけれども、まず、来年度から広域振興局体制に移行しますけれども、海の多様な資源を活用した新規ビジネス創出に向けた支援づくり、あるいは水産資源の機能性などに着目した商品開発等の支援、それからもう一つは、長期的なもので海洋研究プロジェクトの導入、海底資源の利活用の調査、これはアンテナを高くして国の動向を情報収集いたしまして、働きかけるものは働きかけるということをしてまいりたいと思います。
 また、新しいものとしましては、地質資産を主な見どころといたしますジオパーク、地質を回遊させながら観光客等の誘致を促進するというもので、ジオパークの可能性の調査の検討ということについても取り組んでまいりたいと思っております。
 これらの推進に当たりましては、県北・沿岸振興本部挙げて、本庁、広域振興局の連携のもと、また、沿岸広域振興局には海洋産業専任の担当も配置することとしております。先ほども申し上げましたけれども、大規模な海洋研究プロジェクト等については、国の動向を的確に把握するため、アンテナを高くいたしまして、適時適切に対応してまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 本県の沿岸は洋野町から陸前高田まで740キロの海岸線、さらに200海里、沖合360キロまでが岩手県の海だと考えていただきたいと思いますが、その中に無限の可能性を秘めている、それを活用する施策だと思っております。ただ、一つ思い出していただきたいのでありますが、海は非常に環境的に劣化をしているのではないかという説がございます。
 平成10年が国際海洋年であるということから、岩手県が主催の国際海洋会議を平成10年に開いていただきました。大きなテーマは人間と海、そして三つのテーマが食物連鎖、生態系、海洋汚染ということでございましたが、二つほど今でも気になっておりますのは、一つは、東京大学の海洋学部の先生が発表しておりました意見なんですが、三陸のカタクチイワシにはPCB、DDTの蓄積が進んでいる、こういう発表でございました。これは恐らく今も条件は変わっていないと思います。カタクチイワシは一番海の生物の中で小さいと考えますと、食物連鎖によりましては、どの角度からか人間の体に入ってくるということになります。
 それからもう一つ、大変ショッキングな報告は、当時のソ連の学者だったんでありますけれども、ソビエト連邦の海域には核汚染が存在をすると言っておりました。それは、核を積んだ潜水艦でありますとか駆逐艦でありますとか、そういう年功が来たものを海洋に投棄している。それからもう一つは、10万個のコンテナに核汚染物質を詰め込んで、これもまた海洋に投棄しているというのをロシアの海洋学者が言っていることに非常にショックを受けて、今も心配をしているところでございます。
 大体12年前の話ですから、さらに10年前に海洋投棄をしたのだとすれば、もう22年たっていまして、海水による腐食等が進んでいますと、10万個のコンテナが一斉にパンクをしたら、これは世界の海がアウトになる、そういう状況にあると思います。オホーツクの先のベーリング海あたりなのかもしれませんが、我々はベーリング海というとソ連の海で関係ないと思うかもしれませんが、寒流系の魚、タラでありますとかあるいはサンマでありますとかの魚、あるいはサケそのものも回遊をしてくるわけでありまして、非常に大きな汚染になっていくのではないかと思っております。
 そして平成10年の締めのあいさつで、当時の宮古短大の学長棚橋五郎先生がおっしゃったのは、20世紀は我々人間は非常に海そのものをいじめてきた。したがって、海が悲鳴を上げている。21世紀には、海を人間の手で助けてやらないと人間そのものも危ない、そういうごあいさつが載っていたわけであります。したがいまして、海の開発等利活用を進めるにつきましては、そのような大きな観点からの海という部分をとらえていただいて施策を進めていただきたいと思うんでありますが、これについても感想がありましたら伺います。
〇高橋県北沿岸振興課長 先ほど申し上げました海洋産業指針というのは、ある意味、産業を興すという攻めの施策を打っていくわけでございますけれども、この海洋産業指針の大きな柱立てといたしまして、環境と調和した持続可能な産業基盤の形成ということで、少し具体的に申し上げますと、豊かな漁場環境の維持、保全活動の支援、海と川とがつながる沿岸域全体の環境保全活動の促進、生物多様性を重視した産業基盤の形成ということで、海との共生あるいは環境との共生ということで、資源が枯渇することがないように、あるいは汚染されることがないようにということで、環境と調和した持続可能な産業基盤の形成というものも大きな柱立てとしておりますので、委員御指摘のことも踏まえまして、今後、施策を展開してまいりたいと考えてございます。
〇伊藤勢至委員 今3月11日でありまして、ことしは非常に雪が多いんでありますが、そこの雪の下にはもう早くもフキノトウや、あるいはフクジュソウが芽を出す準備をしているんだと思っております。そういう面では、今回のこの施策はまさに岩手県、特にも沿岸振興にとりましてはフキノトウあるいはフクジュソウのような芽出しの予算だと思っておりますので、一度展開をしたら途中でやめることなく、夢を追い続けていただきたいと思いますので、ぜひこれは頑張っていただきたいと思います。
 それからもう一つ伺います。
 実は三陸というネーミングについてでありますが、どうもこのごろ、岩手の三陸が宮城県に引っ張られているような気がするんであります。
 そもそも三陸とは、陸前、陸中、陸奥ということでほとんど実態は岩手県だと思って私たちは説明をしたり行動してきたわけですが、ただ、このごろ、どうも全国のデパートの地下で全国うまいもの展なんかをやりますと、三陸の安全で豊かなおいしい海産物、そこまではいいんですが、隣に気仙沼とか塩釜とか松島とか、あるいは南三陸町なんて入っているんですよ。そうすると、東京の友達たちが、岩手の応援団が、おい、三陸って宮古だったよなと、こう言ってくるんですが─これは宮城県が悪いわけではありませんよ。陸中海岸は気仙沼から岩手いっぱいですからね。それから、三陸縦貫自動車道路も仙台から八戸までです。したがって、あるいは岩手県だけの三陸ではないのかもしれませんが、しかし、岩手の応援団は、三陸イコール岩手だと思っているんですよ。そして黒潮と親潮がぶつかり合って、したがって、そこで黒潮系の魚介類、暖流系の魚介類があるから三陸がすばらしいと思っている部分が、どんどん宮城のほうに引っ張られてしまっている状況にあるのではないか、私はそんなふうに実は思っております。そういう中で、ぜひ東京事務所、名古屋事務所、大阪事務所があるわけですから、そういうデパ地下の全国うまいもの展などをやっている状況をつぶさに見ていただいて、本来の岩手県の三陸を取り戻していかなければならないのではないかと思います。
 陸前高田、大船渡、釜石、宮古、久慈、それぞれが自分の市を売りたい、三陸の宮古、三陸の大船渡とやっているのかもしれませんが、三陸というネーミングを取り戻すためには、岩手県が地域振興の観点から一つにまとめたやり方をやっていただきたい。これは農林水産部にも商工労働観光部にも関係があると思いますけれども、コンダクター的役割を果たすのが地域振興部の仕事ではないかと思うのでありますが、いかがですか。
〇加藤地域振興部長 三陸という言葉、それにおける岩手県のプレゼンスいうか存在感ということでございます。
 私としては、もともとこれは東京にいたときからですけれども、三陸というと個人的には岩手県というイメージを持ってまいりました。1年前、赴任が決まったときも、三陸の非常に長い海岸線、弓形のということで岩手県を思い浮かべましたし、おいしい魚が食べられるなと、個人的なことで恐縮でございますが、うれしく思った記憶がございます。
 ある意味、宮城県とかその辺も三陸を売り込むというのは、三陸に非常にブランド価値があるということだと思います。その中で、岩手県もしっかりと、埋没しないように、むしろその中で一つ抜けるぐらいなつもりで頑張らなくてはいけないということで、非常に貴重な叱咤をいただいたと思います。
 一つ、ある意味、この、いわて三陸海洋産業振興指針をつくったというのも、三陸ということで、岩手が三陸のメッカというか中心だと。その中でいろいろ産業振興を頑張るんだと。そのための象徴的な意味合いもあるという部分もございます。
 今回、こういうものをつくったわけでございまして、県民にも、三陸という名のもとに海洋産業の振興をしっかり図っていくんだということを、ある意味、決意表明したということでございますので、我々も、今の御指摘を頂門の一針と受けとめまして、各部を挙げて、縦割りにとらわれず、そして、それを統合する形で岩手の存在感を一歩でも二歩でも高めるように、そして、三陸と言ったらだれもが、やっぱり岩手だなと、宮城のことを置いておくわけではないですが、岩手が頭に浮かぶような、そういうものになるようにいろいろ工夫を重ねていきたいと思います。
 いろいろ我々も考えますし、地域のアイデアもいただきたいと思いますし、また、委員方各位の御意見も賜りながら、いろいろな工夫をしながら、何とか前に一かきでも二かきでも出るような形でやっていきたいと思いますので、また御指導をよろしくお願い申し上げます。
〇伊藤勢至委員 私たちは、決して三陸だけに水を引こうという思いではございません。岩手県のオール岩手の所得の中で、県南、県央は、県民1人当たり大体250万円と言われていますが、沿岸は200万円、県北が180万円、こういうことでございますので、この低い部分を底上げすることによってオール岩手の底上げにつながる、こういう思いからでございます。したがいまして、今まで未開の部分、未活用の部分を大いに利用して、県北・沿岸振興を図りながら、それによって岩手県全体が底上げをしていただきたい、こういう思いからでございますので、ぜひオール岩手、オールジャパンの目線を持ちながら、先覚的なアンテナを上げながら頑張っていただきたいとお願いして、終わります。
〇中平均委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均委員長 質疑がないようでありますので、これで地域振興部関係の質疑を終わります。
 地域振興部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、警察本部長から警察本部関係の説明を求めます。
〇保住警察本部長 それでは、警察本部所管の予算等の審議をいただくに当たりまして、警察本部の平成22年度予算編成の基本的な考え方について御説明申し上げます。
 昨年の県内の治安情勢を顧みますと、自転車盗あるいは振り込め詐欺などの大幅な減少によりまして、刑法犯の認知件数は8、240件、前年比マイナス871件となりまして、戦後最少を記録した昭和52年をさらに下回りました。
 しかしながら、一方で遠野市におけます殺人事件など凶悪事件の発生に加えまして、凶悪事件に発展しかねない住宅を対象とした侵入窃盗が増加するなど、県民生活を脅かす犯罪は、いまだ後を絶たない状況にございます。
 また、交通事故の状況を見ましても、発生件数、負傷者数、これらは前年比で減少したものの、死者数は一昨年を12人上回り、81人ものとうとい命が失われております。
 65歳以上の高齢者が全死者数の57%を占めるなど、今後、本県の実情に応じた、より効果的な交通事故抑止対策が急務となっております。
 世界的な経済不況の波が、本県の雇用、経済情勢にも直接かつ深刻な影響を及ぼしており、今後、失業者の増加や生活の先行きに対する不安感が、治安の不安定要因になることも懸念されるところであります。
 県民が安全で安心して暮らせる社会を実現するため、県警察に課された責務は一層重大さを増しているものと認識しております。こうした状況を踏まえ、本年の県警察の基本姿勢を県民の信頼にこたえる力強い警察と設定し、警察の原点である被害者の救済に立ち返り、組織が一丸となって、これまでにも増して体感治安の改善に向けた取り組みを強化してまいりたいと考えております。
 警察費関係の平成22年度一般会計当初予算は、こうした認識のもと、岩手県警察総合治安対策プログラムに掲げる七つの施策の着実な推進に重点を置いて編成したものであります。以下、その概要について御説明申し上げます。
 恐縮ですが、お手元の議案その1、8ページをお開きいただければと存じます。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、警察本部関係の予算は、第9款警察費281億6、702万4、000円であります。これを前年度当初予算と比較しますと、金額で5億4、629万3、000円、率にいたしまして1.9%の減となるものであります。
 予算の内容につきましては、お手元の予算に関する説明書により御説明を申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な内容について簡潔に御説明いたしますので、御了承いただきたいと存じます。
 恐縮ですが、199ページをお開きいただきたいと思います。第9款警察費第1項警察管理費第1目公安委員会費でありますが、その内容は、公安委員会の運営に必要な活動経費及び委員報酬であります。第2目警察本部費の主なものは、警察行政運営費でありますが、その内容は、警察職員の給料、交番相談員などの非常勤職員報酬、庁舎光熱水費、警察情報機器の維持管理経費など、岩手県警察の運営に必要な経費であります。恐縮です、200ページをお開き願います。第3目装備費の主なものは、自動車等維持費でありますが、その内容は、車両、警備船、航空機の燃料費や修繕費などの維持管理経費であります。第4目警察施設費の主なものは、まず、警察署庁舎整備事業費でありますが、その内容は、老朽、狭隘化が著しい二戸警察署庁舎を新築移転するための経費であります。次に、財産管理費でありますが、その内容は、警察施設整備関係職員の人件費、警察署庁舎などの公共下水道接続に要する経費、庁舎及び各種設備の維持管理経費などであります。恐縮です、201ページをお願いします。第5目運転免許費の主なものは、運転免許試験場等運営費でありますが、その内容は、自動車運転免許の取得、更新などの運転免許行政のための経費であります。第6目は、恩給及び退職年金費であります。
 恐縮です、202ページをお開き願います。第2項警察活動費第1目一般警察活動費の主なものは、警察活動運営費でありますが、その内容は、通信指令、警察通信維持費、地域警察活動経費、機動隊活動経費など、警察活動運営に必要な経費であります。第2目刑事警察費の主なものは、まず、少年非行防止対策及び保安警察費でありますが、その内容は、高齢者、女性の犯罪被害防止や非行少年の立ち直り支援、インターネット犯罪の捜査などに必要な経費であります。次に、犯罪捜査取締費でありますが、その内容は、重要犯罪、重要窃盗などの徹底検挙、組織犯罪対策の推進などに必要な経費であります。203ページをお願いします。第3目交通指導取締費の主なものは、まず、交通警察費でありますが、その内容は、交通指導取締活動や高齢者を対象とした参加、体験型の交通教育の推進など交通安全活動に必要な経費であります。次に、交通安全施設整備費でありますが、その内容は、総合的な計画のもとに、交通管制区域の拡大整備、交通信号機の改良、老朽施設の更新などを行い、交通事故防止と交通の円滑化を図るための経費であります。
 平成22年度当初予算に関する説明は以上であります。よろしく御審議賜りますようお願いいたします。
〇中平均委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇及川幸子委員 2点についてお伺いしたいと思います。
 少年非行防止対策及び保安警察費についてですが、少年の非行の状況とその取り組みについてはどうなっているのでしょうか。また、ゲームセンターやパチンコ店、ボーリング場への巡回等はどうなっているのかお伺いいたします。
〇大志田生活安全部長 少年非行の現状についてでありますけれども、平成21年中に刑法犯の罪を犯した少年、そして刑法犯の罪に触れる少年を刑法犯少年と言っておりますが、その少年の数は653人(後刻「657人」と訂正)でございました。前年比マイナス29人で、7年連続の減少でございます。
 その特徴でございますけれども、凶悪犯、粗暴犯が減少しております。一方で、万引きが増加しました。312人、前年比プラス35人でございました。パーセントでいいますと12.6%の増となります。また、刑法犯少年全体に占める万引きが47.5%と高率になってございます。
 それから、高校、中学の別でございますが、高校生が270人、そして中学生が206人となっております。
 平成21年中に補導した不良行為少年は5、258人でありました。前年比マイナス2、692人で、大幅に減少したところでございます。
 なお、補導した少年の不良行為の形態を見ますと、全体の84.7%が深夜徘回あるいは喫煙というような形態でございました。
 次に、非行防止対策でございます。その一つは、警察官のほか、52名の少年補導職員によります早期発見、早期補導活動や再非行防止対策、二つ目が、県、教育委員会、市町村、防犯協会等の関係機関、団体や685名の民間ボランティアによります少年補導員等との連携強化によります地域ぐるみの健全育成活動及び環境浄化活動の推進、三つ目が、3名のスクールサポーターによります中学校等の連携によります問題を抱える生徒への適切な対応などの少年非行防止対策を総合的に進めているところであります。
 ゲームセンター等への巡回についてでございますけれども、少年の出入りが多い施設につきましては、補導職員や警察官が、随時巡回を行って補導活動を行っているほか、管理者との良好な関係の保持に努め、少年への声かけや警察への通報等について御協力をいただいて、適切に対応しているところでございます。
 失礼しました。刑法犯少年の数でございますけれども、先ほど653人とお答えしましたが、657人でありますので、訂正します。
〇及川幸子委員 今、刑法犯少年が7年連続減っているということで、取り組みが徹底してなされているんだなと思いますが、小学校においては、ゲームセンターには子供同士で行ってはいけないという決まりがあります。中学校、高校になればまた違うと思うんですけれども、私ども、やはり何かを見た場合、注意するんですが、中学生、高校生から返ってくる言葉が、うるせえ、ばばあ、黙ってろということなんです。まあ、ばばあには違わないんですけれども、本当に勇気を持っていろいろ注意しなければならない状況で、ちょっとおっかなびっくりでおりますが、ボーリング場などには、中学生、高校生は自由に入れる状況なんでしょうか。
〇大志田生活安全部長 ボーリング場等につきましては、警察のほうから立ち入りの禁止とかそういった要請はしてございませんので、自由に出入りできるものと承知しております。
 なお、ボーリング場等で少年を補導した数は14名で、極めて少のうございます。
〇及川幸子委員 14名の補導というのは、どういう内容かはちょっとわかりませんけれども、私も子供会の行事等で、ボーリング場に孫を連れてこのごろ行っているんですが、やっぱり中学生、高校生が来ていますが、そのいろいろな行動を見ておりますと、目に余るような行動をとっている子供たちが二、三人いるわけですが、そういうときにでも、補導されている職員、県教委とか市町村、防犯協会とか、お願いしている方々が随分いらっしゃるようですが、日、祭日には余り見受けられないんですが、時間帯というのは、どういう時間を選んでやられているんでしょうか。
〇大志田生活安全部長 詳細は承知してございませんけれども、警察職員でありますと、少年補導職員につきましては、遅くとも8時か10時ごろまでの時間になりますし、いわゆる警察官でございますと、そういった通報等があれば、24時間でも対応できるという状況に考えております。
 今後とも、そういった場所における補導活動の強化に努めてまいりたいと思います。
〇及川幸子委員 ありがとうございます。ゲームセンターとか、パチンコでもそうですけれども、ボーリング場も、やっぱりそのお店の方々が結構目くばせしていただいて、何かあったときは、学校なり、警察のほうへ通報できる体制というのは常にとられているんでしょうか。
〇大志田生活安全部長 私ども、先ほども御回答しましたとおり、そういった施設の管理者の皆様には、そのようにお願いしてございますし、よく通報等もいただいて活動していると認識しております。
〇及川幸子委員 今後において、それを徹底なさっていただきたいと思います。
 次に移ります。交通指導取り締まりについてですが、交通死亡事故に巻き込まれている高齢者の状況を先ほどお話しいただきました。65歳以上が大変多いということです。それで、近年の状況、そのことに対する指導、取り締まりというか、指導徹底はどうなのかお伺いしたいと思います。
 また、特に夜間、高齢者の死亡事故が多発していると思います。歩くときや自転車で走るとき、高齢者の方々は大きな光り物、びかびか光るような光り物を身につけて走られることが絶対必要ですが、なかなか目立たない真っ黒目の服で走っていらっしゃるのが目につきます。そういうところで、そういう指導の徹底はどうなのかお伺いいたします。
〇遠藤交通部長 まず、高齢者の関係した交通事故の割合につきましては、平成17年が全事故の26.4%、平成21年が31.8%ということで、右肩上がりに増加しているところでございます。
 平成21年中における高齢者が関係した事故につきましては、発生件数が1、398件ということで全事故の32%、それから、死者数につきましては46人ということで全死者数の57%、傷者数につきましては940人ということで全傷者数の17%、死亡事故の高齢者が第1当事者となった割合につきましては、全死亡事故の30%のほか、死亡事故の状態では、歩行中が23人中16人の70%、自転車乗車中が9人中7人の78%、自動車、二輪車運転中が31人中14人の45%ということで、全事故に占める高齢者の割合が年々増加の傾向にありますことから、高齢者の交通事故防止対策が喫緊の課題となっているところであります。
 次に、高齢者に対する交通事故防止の指導状況についてでありますけれども、高齢ドライバーに対しましては、講習予備検査等運転免許更新時における高齢者講習の充実、参加、体験、実践型の実技講習会、街頭における声かけ活動による注意喚起、歩行者、自転車利用者に対しましては、在宅家庭訪問活動あるいは反射材着用促進活動、街頭における声かけによる意識啓発等、各種事故防止対策を推進しているほか、関係機関、団体と連携を図りながら、高齢者の加齢に伴う身体機能の変化に対する理解が得られるような広報活動に努めているところでございます。
 次に、高齢者は夜間の薄暮時間帯の事故が多いということで、夜光反射材の活用がなされていないのではないかという件につきましては、昨年、高齢死亡事故16人中、すべて反射材はなかった。それから、負傷者につきましては、200人中5人が反射材があったという状況でございますので、いろいろなところで安全教室を実施しておりますが、その場所で広報啓発活動を継続している、それから、在宅家庭訪問活動を昨年は11万世帯実施しておりますけれども、出かけていって、直接調査活動等を実施して事故防止を図っているところでございます。
〇及川幸子委員 夜間反射材を身につけていない人たちが大層多かったということですが、その講習会などにおいては、例えば老人クラブなども使われるのがいいかと思いますが、その反射材を利用した、そういう着るものとかの実物は持っていかれてやられているのでしょうか。大抵の高齢者の方々は、自分は絶対大丈夫だからという確信を持って夜も歩いているものですから、そういうところはどうでしょうか。
〇遠藤交通部長 各所で実施しているいわゆる反射材の紹介等につきましては、一応、活用されているものにつきましては、例えば靴に張るですとか、それから、たすきをかけるとか、あとは着用するものについては、あるものについては持っていって紹介をするという形で実施しているところでございます。
〇及川幸子委員 どうぞひとつ、靴というのも案外目立たないんですよ。上半身の部分、たすきが目立つかな、上の部分がやっぱり目立つかなと思いますので、今後においてそういう指導徹底をして、交通事故防止に努めていただきたいと思います。
 それから、最後に、歩道の設置がない車道においての交通事故も大分発生していると思いますが、そういうところの対策はどういうふうにとられているのでしょうか。
 先日、胆沢区においても、散歩している高齢者の方が車にはねられて、痛ましい事故で亡くなった経過がありますので、その辺のところを教えていただきたいと思います。
〇遠藤交通部長 歩道が設置されていない道路での歩行者事故の状況についてでありますけれども、昨年、9人が亡くなりまして、151人がけがをしているところでございます。
 歩道のない道路における歩行者の交通事故防止対策につきましては、先ほど申し上げた薄暮時間帯の高齢者に対する具体的な指導のほかに、注意喚起の声かけ、あるいは道路環境に応じた具体的な個別指導、危険箇所前後への交通事故多発地点等の看板設置のほか、速度規制や道路管理者に対する歩道の設置、外側線の標示要望等、交通安全施設整備等の働きかけを行い、交通事故防止に努めているところでございます。
〇及川幸子委員 なかなか道路幅が狭くて歩道の設置も不可能だというところが大分多いと思いますので、そういうところは、もう事故多発地帯とか、何かそういう標識も欲しいのではないかと思いますので、そういう対策もとっていただきたいと思います。
 それから、3月に入り、本当に思いがけずの積雪でございます。きのうも、議会が終わりまして地元に帰りましたら、スリップ事故で、担架で運ばれる地域の方がいらっしゃいました。
 冬場における積雪によるスリップ事故の状況はどうなのでしょうか。それに対する対策もお聞かせいただきたいと思います。
〇遠藤交通部長 冬道におけるスリップ事故の発生状況については、平成21年12月から本年の2月末までの3カ月間では、発生件数は271件で前年の3カ月と比較してプラス41件、死者数は3人ということで前年比でマイナス1人、それから、傷者数は334人ということで前年比でプラス29人となっております。
 このうち、高速道路での死亡事故につきましては、昨年1月に1件発生しております。
 冬道におけるスリップ事故の防止対策につきましては、道路管理者と連携した危険箇所の道路標示、あるいは注意を喚起する看板の設置、それから、道路情報センターや道路情報板を活用した道路情報の提供、県警ホームページ等を活用した広報啓発、積雪、凍結道路におけるパトカー等による警戒活動等を推進しているところでございます。
 それから、高速道路では、県外から本県に流入する自動車のスリップ事故防止のために、高速道路交通安全対策協議会と連携を強化いたしまして、関東方面から流入する車両に対して、高速道路に関する道路情報を積極的に提供して、運転者に対する注意喚起を図って事故防止に努めているところでございます。
〇及川幸子委員 ありがとうございます。今のお話ですと、パトカーの出動とか警戒活動は徹底してされているということですね。
 きのうの積雪後のようなときに、やはり、県警本部は大変お忙しいかとは思いますが、どうぞ警戒の対策をもっともっと強化していただいて、前年度比から全く交通事故が、スリップ事故等がなくなるようにお願いして、質問を終わります。
〇嵯峨壱朗委員 警察施設費についてお尋ねします。
 警察庁舎整備事業費、先ほどの説明ですと二戸のということでしたが、この後の計画はどうなっているか聞きたいと思います。
〇内山会計課長 警察署の今後の建てかえ計画ということでございますけれども、県内には17の警察署がございまして、そのうち平成21年度末、ことし3月末現在で築後30年を経過する警察署が、今現在、建てかえ中の二戸警察署を除きまして、古い順に、江刺署、久慈署、紫波署、遠野署、一関警察署の5警察署でございます。
 これらの警察署の建てかえ整備に関しましては、経年によります老朽度ですとか、狭隘度、狭さ、また、事件や事故の発生状況の推移や地域事情等を総合的に検討いたしまして、財政事情を見きわめながら、県当局と協議して計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 30年以上たっているのはこの何カ所かで、どこをやるとか、例えば久慈を先にやるとか、そういった順番はまだ立てていませんか。
〇内山会計課長 ただいま申し上げましたとおり、経年による老朽度合いですとか、狭さ、狭隘度ですとか、それから事件、事故の発生状況とか地域状況といったものを総合的に考えておりますので、久慈警察署がいつごろになるとか、いつ建てられるとか、何番目とかというようなことは、まだ言えるような状況ではございません。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ総合的に考えて判断していただきたいと思います。
 冗談みたいですけれども、災害は久慈が最近多いんですよね。ぜひ考慮いただいて、総合的に考えていただければと思います。
 終わります。
〇亀卦川富夫委員 まず、まことに残念なことでありましたが、不適当な事務処理が発生いたしました。それの再発防止と事後対応についてお伺いいたします。
 この不適当な支出の問題が発覚いたしましたが、その再発防止について、今どのように取り組んでおられるのか、まずお伺いいたします。
 その上で、第一線の警察官、こういった方々のモチベーションというものが、私は非常に心配であります。したがって、同時に一般第一線に立っている特に警察官のモチベーションアップといったことについての取り組み状況をお知らせ願いたいと思います。
〇島村警務部長 いわゆる不適切な事務処理問題の再発防止の取り組み状況について、まず御説明申し上げます。
 昨年10月に報告いたしました不適切な事務処理に関する調査報告書で取りまとめた事項につきまして、現在、真摯に取り組み、事務処理の適正化に努めております。このほか、平成22年1月20日付で、適正な会計経理の推進及び職員の会計経理に対する意識の向上等を図ることを目的といたしまして、岩手県警察会計経理アドバイザー制度というものを創設して、現在、再発防止に取り組んでいるところでございます。
 具体的に申し上げますと、4点ございまして、まず最初は、職員教育及び意識改革についてでございますが、これは、平成20年12月から県下警察署長会議を初めとする各種会議を開催しまして、職員に対する指導教養を行い、公金に対する責任の自覚と意識改革の徹底に努めているところでございます。
 2点目に、物品調達システムの見直しにつきましては、会計規則運用通知の一部改正に沿って、発注事務と検収事務を分離しますとともに、納品書は5年間保管することを徹底しております。
 それから、3点目に、内部統制の強化といたしまして、平成21年2月4日付で本部長通達の会計事務自己点検の実施についてというものを発出いたしまして、所属長みずから年4回の自己点検を実施し、その結果を報告させることを徹底しております。
 最後に、4点目に、節減加算システムの運用等への適切な対応につきましては、平成21年度当初予算から運用しております節減加算や需用費の翌年度配分等の方策の趣旨を十分に認識の上、適切な予算執行に努めているところでございます。
 それから、もう一問御質問いただきました警察官のモチベーションの低下の懸念の関係でございますが、まさに委員御指摘のとおりでございまして、今回の問題で、日常の警察業務に支障が生じることや職員の職務執行に対する士気が低下することなどが懸念されるところでございます。
 県警察といたしましては、今後とも引き続き再発防止策にしっかりと取り組むとともに、県内の治安維持のため、より一層尽力し、県民の皆様に信頼される県警察を取り戻すため、今まで以上に職員一丸となって再生に向けて懸命に努力していきたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 今お話の再発防止といいますか、綱紀粛正をしっかりやって取り組むと、4点に具体的にそれがあらわれていると思いますので、ぜひ、ひとつしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、第一線の関係でありますが、今、高齢化、あるいは先ほど来の交通の問題とか、さまざま社会構造が変わってきております。そこで、警察と地域社会の連帯というものが、私は非常に大切なのではないかと思います。先ほどの職員の方々あるいは警察官の方々が、よりモチベーションアップしながら進むにしても、この地域との連帯というものをもっと図っていかなければならないのではないかと。
 そこで、各地域におきましては、特に交番、駐在所などの直接住民と接触する部署、あるいはパトカーも、乗っているだけじゃなくて、交通安全のみならず、治安の維持についてもいろいろパトロールしているのだろうと思います。そういった活動を通じながら、もちろん地域住民との連帯は持っていると思うんですが、もう一つ、警察のOBの方々、これは警友会と言うのでしょうか、警友会の存在も大きいものだろうと思います。そういう方々が、さまざまな形で、地域社会と現職の方々との一つの間にあって、いろいろ介在していただいて、いい意味の緩和剤的なものになっているのではないかと思います。そういった意味での活動状況について、どのように把握されているのかお伺いいたします。
 さらに、防犯協会とか交通安全協会のような組織もございます。さらに、柔道とか剣道で交わる、そういったセクションもあろうかと思います。そういった意味で、ひとつ地域社会との連帯というものをもう少し意識しながらやっていく工夫もあってしかるべきではないかと思いますが、その辺の取り組み状況をお伺いします。
 あわせて、警察の音楽隊がありますね。この音楽隊を私、近ごろ余り聞いたことがないのでありますが、この活動状況についてもあわせてお伺いしたいと思います。
〇大志田生活安全部長 岩手県内には、交番が40カ所、駐在所が162カ所設置されております。そこには529人の警察官、県警組織の約4分の1の警察官が勤務しております。
 この交番、駐在所は、地域の方々の安全・安心のよりどころとして、巡回連絡やパトロール活動など、さまざまな活動を通じまして、地域の方々のいろいろな御要望におこたえするための活動を行っております。
 これらの活動は、交番、駐在所を拠点としまして、地域の方々や防犯ボランティアの皆様との合同パトロールを実施したり、地域懇談会や老人クラブなどの諸会合において、防犯講話や交通安全講話などを行いながら、皆様に安全に関する情報を提供しながら、地域住民の方々とともに安全・安心なまちづくりを進めているところであります。
 また、交番、駐在所におきましては、ミニ広報紙や交番、駐在所速報を発行するなどしまして、地域の方々のニーズに沿った情報発信にも努めております。
 今後とも、県民の皆様の御理解、御協力をいただきながら、皆様の身近な不安を解消するための活動を推進させたいと思っております。
 また、警友会、警察OBに関しての質問がございました。警察を退職した先輩方各位につきましては、県内の各地域で町内会や地域防犯ボランティアへの参加などを通じまして、地域の方々とのコミュニケーションを図りながら、地域の安全・安心を確保するためのいろいろな活動に尽力していただいておるところであります。
 安全・安心なまちづくりを推進するためには、先ほど申しましたように、県民の皆様の理解と御協力が不可欠でありますけれども、県内では退職警察官で組織するパトロール隊─シニアポリス隊と呼んでおりますが─の活動や、あるいはスクールガード活動への参加など、さらには、青色回転灯を装備した車両による防犯パトロールなどをして、警察官当時の経験を生かしまして、地域に密着した犯罪抑止や啓発活動に努めていただいていると認識しておりますし、深く感謝申し上げているところでございます。
 今後とも引き続き、先輩方との連携を強めながら、安全で安心なまちづくりに努めてまいりたいと考えております。
 また、柔道や剣道を通じて地域とのというお話もございました。警察署では、柔道教室あるいは剣道教室を署の道場を開放してやっている警察署等もありまして、地域の方々との連携を強めているところでございます。
〇島村警務部長 警察音楽隊についての御質問でございましたけれども、警察音楽隊は、昭和40年4月に創設しておりまして、現在、隊長以下28人で編成されております。警察と県民を結ぶ音のかけ橋として活動を行っておりまして、平成21年中の活動につきましては、安全・安心を実感できる地域社会の実現を重点といたしまして、県内各地で行われる地域安全や交通安全に関する行事、あるいは小・中学校、福祉施設における防犯教室や交通安全教室などにおきまして、地域社会と連携した積極的な演奏活動を展開しております。平成21年中は38回派遣をしております。
〇亀卦川富夫委員 ありがとうございました。
 最後に、今の音楽隊のことですが、実は、警察の前に地域振興部の質問で、岩手県文化芸術振興指針というものがありまして、そこでこれから、平成22年度には、盛岡広域圏にはできているんですが、芸術文化に関する組織ができまして、いろいろ盛り上げていこうということでいろいろな団体が入っているんですね。その中にぜひ、こういった音楽隊をやっているわけですので、そういうものに、どちらから声をかけるというわけじゃないですが、ひとつ交わりながら、より県民に親しまれるものになっていっていただければ、こういうことを申し上げて、終わりたいと思います。
〇新居田弘文委員 交通安全対策に関連いたしまして、逃走車両の取り締まりについて伺います。
 よくテレビあるいは新聞等でも報道されておりますけれども、いわゆるパトロール中の警察官が、違反車両と思われるものを追跡とかする際、その逃げる途中に、スピードの出し過ぎとか、あるいはカーブのハンドル操作ミスとかということで、自損する場合もありますし、あるいは全く関係のない第三者の車両とか第三者に衝突しまして、死亡事故も発生するような事案が結構報道されておりますが、その関係につきまして、岩手県の最近の傾向と、全国的にはどのような状況になっているのか、まずお聞きしたいと思います。
〇佐藤警務部参事官兼首席監察官 全国の発生状況につきましては、岩手県警察としては把握しておりませんけれども、国会のホームページに掲載されている質問趣意書の回答書によれば、全国における重傷事故以上の件数は、平成17年が42件、うち死亡事故が27件、平成18年が50件で、うち死亡事故が20件、平成19年が63件で、うち死亡事故が12件、平成20年1月から8月までの間が34件で、うち死亡事故は14件発生していると承知しております。
 本県におきましては、過去5年間における重傷または死亡に至ったもの、3件の事故が発生しております。内訳としましては、平成17年10月に二戸郡一戸町内で、逃走車両の運転者が重傷を負い、同乗者が死亡したもの、平成18年8月に盛岡市内で、逃走車両の運転者が死亡し、逃走車両に衝突された車両の運転者が軽傷を負ったもの、同じく、平成18年9月に花巻市内で、逃走車両の運転者が軽傷を負い、逃走車両に衝突された車両の運転者が重傷を負ったものの3件であります。
〇新居田弘文委員 ありがとうございました。
 今、全国的な傾向の紹介でありましたが、27件とか、20件とか、非常に結構な死亡者も発生しているということなんですけれども、第一義的には違反車両が一番悪いんですが、ただ、それが、警察官の車両に追跡されるために、それから逃げるためにそういう事故につながっているんですが、結果的には、遺族にとっては、どういう原因であろうとも、非常に大変な家族のことを思いますと、忍びがたいものがたくさんあるわけです。
 そういうことで、どちらに原因があるか、どちらに責任があるかいろいろ問われているわけでございますが、岩手県でも、大分前ですけれども、上堂事件というのがございましたね。これは、全く関係ない人が2人、車両が炎上して死亡したということで、多分、裁判になって、上告で最終結審したと思いますが、その経過についてちょっと紹介していただけませんか。
〇佐藤警務部参事官兼首席監察官 いわゆる上堂事件の概要についてでありますけれども、平成6年3月31日午前零時19分ごろ、盛岡市上堂一丁目地内の通称上堂交差点におきまして、パトカーの追跡を受け逃走中の車両が、信号待ちのために停止していた車両に追突し、追突された車両が炎上し、乗車していた男女2名がお亡くなりになられたものであります。
 その後、この事件について、亡くなられた男女の御遺族が県に対して国家賠償請求訴訟を提起しまして、まず、平成17年2月25日に盛岡地方裁判所において、相手方の請求を棄却する判決が出され、その後、平成20年5月26日に最高裁判所決定で、相手方の上告棄却により判決が確定しておる。以上の状況でございます。
〇新居田弘文委員 それで、全国の傾向はさっきお話がありましたし、事件の後、常に当該警察本部の発表といたしまして、これは内規といいますか、いろいろな警察の皆さんの管理されるような規定の中で、何ら警察当局には支障がなかったというのが発表されるわけですけれども、結果的にそのことについてはわかるんですが、ただ、実際亡くなられた当事者もそうですが、家族とか、いろいろな関係者に対して非常に大きな影響を与える事案につながっているわけでございます。
 それで、申し上げたいのは、追跡する際に、予期できない部分もありますけれども、何らかの工夫はないものか。結局、そういう死亡事故とか、あるいは第三者に迷惑をかけないような方法で追跡する方法はないのか。その辺、なかなか難しい面はあると思うんですけれども、とうとい人命でございますので、自分たちの取り締まりを優先するがために、そのような事案につながったのでは非常にまずいのではないかと思うんですが、その辺についてのお考えを御披瀝いただきたいと思います。
〇佐藤警務部参事官兼首席監察官 警察車両を利用しての活動中に警察官が遭遇する交通違反や犯罪等の警察事象は千差万別であります。逃走理由、逃走の態様等も個々異なりますことから、画一的な仕組み等をもってこれらに対処するのは困難なものと考えておりますが、警察といたしましては、現場の道路、交通状況に応じた運転、安全な車間距離の保持、乗務員相互の安全呼称の励行、追跡の打ち切りの的確な判断と逃走方向警察署の手配等による事後捜査、組織対応について、指導教養を随時行っており、引き続きこの種の事故防止に努めてまいりたいと考えております。
〇新居田弘文委員 今お話しありましたようにさまざま工夫はされていると思いますが、それでもそのような事案の発生がなかなかとめられない部分もありますので、さらに工夫をされて、遠くからパトカーのいわゆる拡声器等を利用して、余り相手に緊迫感を与えないような対応をした取り締まりもひとつ工夫していただきたいと思います。
 終わります。
〇中平均委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後5時 休 憩
午後5時12分 再開
〇久保孝喜副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇熊谷泉委員 交番、駐在所についてお伺いをいたします。
 地域に大変密着して安全・安心を与えているのが日本のシステムの交番、駐在所ということで、外国でも評価されているようでありますが、最近の交番、駐在所の統廃合あるいは新設についてお伺いをしたいと思います。どのような状況になっているでしょうか。
〇吉田警務部参事官兼警務課長 まず、交番、駐在所の統廃合に関する県警察の基本方針でありますが、交番、駐在所の配置については、先ほどお話がありましたとおり、本日現在で17警察署に40の交番、162の駐在所を配置しております。この配置に当たっては、人口、世帯数や事件、事故の発生状況のほか、警察署からの距離などの地域の実態を勘案して、警察力が全県的に保たれるようにするというのが基本であり、治安情勢の変化に的確に対応し、また、限られた警察力を効果的に運用する必要があることから、毎年、体制の見直しを行っているところであります。
 統廃合、新設等の方向性としては三つあり、一つは、市街化進展地域の駐在所を統合して交番にする、二つ目として、市街地周辺の駐在所を隣接交番に統合して交番体制を強化する、三つ目としましては、拠点となる駐在所に統合して複数勤務化などの体制にする方向で検討を進めているところであります。
 平成21年11月26日に開設しましたけれども、北上警察署の住宅密集地に常盤台交番を新設し、署長以下6名による完全3交代制による体制を確保しております。また、3月26日に開設予定でありますけれども、一関警察署の花泉地区の花泉、永井、油島、日形の4駐在所を統廃合して花泉交番として現在地に改築し、署長以下6名による完全3交代の体制を確保する予定で進めております。
〇熊谷泉委員 今のお答えで、人口それから世帯数の変化に対応して年々体制を見直されているということで、それは大変結構なことだと思いますが、駐在を交番にするということは人員的になかなか大変なことだと思いますが、最近、人口の変化ですが、新しい宅地開発でどんどん住宅のあり方も変わって、旧来余り住宅が密集していなかったところにどんどん家が建ってくるという、駅前なんかはそういう傾向があるんですが、そこに旧来住んでいた方々が、いや、最近交番に行ってもいつも人がいないし、地域の安全講話とか、地域の会合に出てきていろいろお話をしてほしいという要請をしていても、駐在さんが全然出てこなくなったという話があるわけでして、私が逆に今度は駐在さんにお聞きすると、とっても住宅がふえてそこの訪問だけでも手が回らない状態で、幾ら言われても対応できないというお話なんです。
 今、お聞きすれば、人口変化にも対応していろいろ統廃合をなされているということでございますが、やはり建物はともかくとして、できるだけ急に市街化されたところの人員を、めり張りをつけて配置をしていただければと思います。
 また、市街地の中でも大分高齢化をして、地域が御老人の方々しか住んでいないような市街地も多く出てきました。そうすると、目に見えるところに駐在さんの顔があるということが安心を与えているようでございまして、特にそういう地域からも、ぜひ駐在さんを頻繁に顔が見えるような格好にしてくれというお話がありますので、ぜひ対処していただきたいと思います。
 次に、交通安全協会についてですが、近年非常に死亡事故が減って、昭和47年ごろは1万6、000人ぐらいの死亡事故があったのが、5、000人を切るような結果になりました。最も罰則の強化とか警察の力が大なるものだと思いますが、交通事故防止に関して、交通安全協会が果たしてきた役割とその評価をお伺いしたいと思います。
〇遠藤交通部長 交通安全協会の役割と評価についてお答えをいたします。
 交通安全協会につきましては、交通安全思想の普及高揚を図り、交通秩序の確立と交通安全の実現に寄与することを目的に設立をされた法人であります。交通安全指導事業、交通安全思想の普及啓発活動等を通じて、交通事故防止活動を推進しております。
 また、公安委員会から交通安全活動推進センターに指定をされ、道路使用に関する調査、地域交通安全活動推進委員に対する研修、交通事故に関する相談等を行っております。
 交通安全協会は、交通事故情勢を踏まえつつ、高齢者や子供の交通事故防止対策や自転車の交通安全指導等を推進することにより、県民の安全を守り、交通安全意識の高揚を図る上で重要な役割を果たしているものと考えております。
〇熊谷泉委員 そこで、最近、交通安全協会の会員が減っている。それは、ある程度若い人たちがそういうものに関心がないといいますか、あとは、アイーナ等に免許更新の場所が移されたことにより、それぞれの各警察署でやられたときは、地域の安全協会がある意味窓口になっているということもあったんですが、非常に会員が少なくなって、ある意味協会の活動費がどんどん少なくなってきているわけです。地域の協力金とか役員も交代で地域を支えているわけですが、このままでいくとどんどん活動が狭められてくるというか、お金がなければ何もできないということではないんですが、その辺の現状をどう考えているか、所見を伺います。
〇遠藤交通部長 交通安全協会の活動費の関係についてでありますけれども、減少しているということは聞いたことがありますが、どのような状況になっているのかということまでは把握をしておりません。
 なお、交通安全協会の活動等につきましては、いずれ、警察と連携あるいは支援をしていかなければならないということで、今後とも、いろいろな活動に対して警察として支援をしてまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 把握していないということでございますので、盛岡広域だけの問題ではないと思います。ぜひそこを一度調べていただきまして、ことしも社団法人において安全協会に予算措置をされていますが、それをどんどんふやせということではありませんが、このままでいくと、非常に地域の交通安全の活動もだんだん縮まっていくのではないかと懸念されます。ぜひ一度、調べていただきますようにお願いいたします。
〇斉藤信委員 最初に、警察本部の不正支出問題、私的流用事件についてお聞きします。
 127点、327万円の不正な私的流用が明らかになりましたが、なぜ36万円の詐欺容疑なんでしょうか。327万円横領で、これは追送検をすべきじゃなかったんですか。
〇島村警務部長 今回の不適切な会計事務処理問題におきまして調査の過程で私的流用が明らかとなりまして、当該職員もそのことを認め、私的流用物品全額を返還しております。また、捜査を行い、平成21年10月15日、盛岡地方検察庁に詐欺罪で立件送致をしております。
 127点、327万円中なぜ36万円かといったこと、あるいは追送致の有無といったことについてでありますが、法と証拠に基づいて捜査を行い、立件できるものは立件したということでございます。
〇斉藤信委員 127点、327万円の不正な私的流用は、逮捕された本人が認めているんでしょう。なぜこれが立件できないのですか。詐欺罪というのは、私的流用した物品を問わないのですよ。横領だったら何をだまし取ったか問われるのですよ。あなた方、巧妙にこの事件が明らかにならないように、ごまかしの詐欺でやったんじゃないですか。それもわずか36万円で。
 もう一回聞きますよ。127点、327万円の私的流用は、これは逮捕された本人が認めていることですね。
〇島村警務部長 繰り返しの答弁になりますけれども、法と証拠に基づいて捜査を行いまして、立件できるものを立件したものでございます。
 なお、検察庁において最終的な処分がなされていないことから、処分に影響を与えるようなことはコメントを差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 極めてこれは大事なところなんですよ。11月4日に、この逮捕された職員は処分保留で釈放されました。記事によると、県警によると、この元事務職員は容疑を認め、私的流用した物品について全額弁済する手続を進めている。全額ですよ。だから、私的流用したものはすべて認めているということじゃないですか。違いますか。
〇島村警務部長 先ほど一番最初に御答弁しましたけれども、今回の調査の過程で私的流用が明らかになりまして、当該職員はそのことも認め、現在、既に全額を返還して県のほうに歳入として入っております。
 それから、検察庁の処分保留について今御質問がありましたけれども、検察庁の処分については、警察においてコメントできる立場にはございません。
〇斉藤信委員 処分保留については聞いていないです。
 全額弁済したと言いましたね。だから、327万円の私的流用は全部認めたということでしょう。だから弁済したんでしょう。それなのに、なぜ、わずか36万円だけが詐欺容疑なのですか。認めていたら、327万円横領で追送検すべきでしょう。そうすれば処分保留なんかにならないのですよ。この問題は徹底的に明らかにされるべきですよ。どういう方法で、どういう形で裏金がつくられ、私的流用されたのか。2億1、500万円に及ぶ不正支出だったんですよ。あなた方は、この1人の事務職員だけに全部罪をなすりつけたけれども、それでごまかそうとした。全額認めて弁済しているなら、なぜ追送検の対象にならないのですか。
〇島村警務部長 法と証拠に基づいて捜査を行いまして、警察としては立件できるものを立件いたしております。
 検察庁において最終的な処分がなされておりませんので、処分に影響を与えるようなことはコメントを差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 最終報告書の中で、この127点、327万円余の物品が明らかになっております。ソニー、松下のテレビが4台、DVDレコーダーがこれも4台以上。
 私は改めて聞きますけれども、これは幹部職員に配られたんじゃないですか。あなた方はこれを確認したと思います。写真を撮っていると思うんですよ。裁判になったらこれが出るのですよ、実際にどこにあったのか。こうやって初めて、これを幹部職員のところに行っていなかったという証明ができるのですよ。公判にならなかったら、何もこんなのは明らかになりませんよ。
 改めて聞きますが、この4台のテレビ。1台はすごい額ですよ。78万5、400円のテレビですよ。4台も自分で使っているわけがないんだから、どこで確認しましたか。
〇島村警務部長 テレビは5台でございますけれども、テレビ等のすべての私的流用した物品につきましては、元職員の自宅や親族宅で見つかっておりまして、他の警察職員、今御指摘の幹部というようなことも全くございませんで、他の警察職員に配られたという事実はございません。
〇斉藤信委員 今のことはどうやって証明するんですか。あなた方が勝手に確認をして、そうだということしかないじゃないですか。考えられないですよ、こんなことは。新しい県警本部長が来るたびに、昔は公安課長が、そしてその当時は、交通課が新しい製品を買って置いていたんですよ。そういう仕組みでやっていたんですよ。私はだから、これは極めて構造的な問題だと思いますよ。
 いいですか。まだ処分保留なんだけれども、釈放された11月4日に懲戒免職処分にしたのはなぜですか。起訴されないかもしれないんですよ。罪が認められない可能性もあるのですよ。ところが、あなた方は、11月までですっぱり懲戒処分にしましたね、検察の判断が下されないうちに。なぜですか。
〇佐藤警務部参事官兼首席監察官 私的流用の疑いのあることが発覚した後、県警察では調査や捜査を行った結果、被疑者を逮捕するに至ったものであり、所要の調査の結果、職員の信用失墜行為が明らかとなったことから、当該職員の処分を行ったものであります。
〇斉藤信委員 あなた方は127件、324万円の私的流用を確認したけれども、たった36万円のごまかしの詐欺罪でしか訴えなかった。だったら、詐欺罪が不起訴になったらどうするんですか。あなた方は、324万円の私的流用を本人も確認していると言うなら、きちんとこれを訴えなければだめなのですよ。なぜ、36万円にとどまったのですか、こんな少額に。少額だから起訴猶予とか不起訴になる可能性があるのですよ。324万円だったら絶対そうなりませんよ。私はあなた方が盛岡地検と組んで、この問題を逮捕、送検で終わらせる、そういうシナリオにしか見えないけれども、いかがですか。
〇島村警務部長 法と証拠に基づいて捜査を行いまして、立件できるものを立件したものでございます。
 現在、検察庁において最終的な処分がなされていないことから、処分に影響を与えるようなコメントは差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 では、全額324万円返した。認めた。何で法と証拠に基づいてこれが訴えられないのですか。本人が認めているのに。あなた方は証拠物件を全部写真で撮っているんですよ。どこのところに高額なテレビがあったか、撮っているんですよ。相手は認めているんですよ。何で、法と証拠に基づいて36万円しかできなかったんですか、みんな認めているのに。
〇島村警務部長 324万円ではなく327万円のその私的流用についてなぜかという今御質問がありましたけれども、検察庁においていまだ最終的な処分がなされておりませんので、処分に影響を与えるようなコメントは差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 これ以上ちょっと押し問答で、私はこの問題というのは最終報告では終わらない。そして今回のこういう詐欺容疑というのはごまかしです。この不正支出問題を覆い隠すごまかしです。
 改めて私は、決算のときには突然出たのでよく見られませんでしたが、幾つかちょっと指摘をします。
 例えば、これは新たにあなた方が調査をしたものだけれども、釜石署の預け、差しかえでやったんですけれども、品目名はエアコンデンサー取りかえ、マフラー溶接修理になっているんですが、実際にやったのは板金、ラジエーターコアサポート板金、部品、フロントバンバー、フェンダー板金塗装一式、ヘッドライト、オイル。
 どういうことかというと、車をぶつけたということですよ。事故を起こしたということですよ。いわばこれは事故工作じゃないですか、実際には事故隠し。金額がぴったり合っているんですよ。8万440円。
 もう一つ指摘しますと、水沢警察署が平成20年9月5日、極めて最近ですけれども印鑑をつくっています。1万1、550円。ゴム印じゃないんですよ、印鑑ですよ。これは警察署長の私印でしょう。預けで買ったんじゃないですか。いかがですか。
〇島村警務部長 突然の御質問ですので、もしかしたら同じ案件かどうかわからないんですけれども、釜石署におきまして差しかえによる車両の修理が行われていて、事故隠しではないかというような御質問でございますけれども、平成15年12月13日に差しかえによる車両の修理が行われておりますが、これは本件について調査しました結果、釜石署の鵜住居駐在所のミニパトが、管内を警ら中に箱崎漁港におきまして電柱に衝突した単独物損事故であることを確認しております。この事故につきましては、署長に速報の上、正規の手続により事故処理をしたものであります。
 なお、差しかえにより修理した理由につきましては、当該業者から請求書が2カ月か3カ月おくれてきたことから、円滑に事務処理を行うため、安易な方法をとってしまったということでございます。
 それからもう一点、水沢署の印鑑の関係でございますけれども、印鑑につきましては、公務で使用する印鑑につきましては公費で購入可能でありまして、過去の公費支弁に誤りはないものと認識しておりますが、今回の不適切な事務処理の調査結果を踏まえまして、今後は、より厳格に対応する必要があると考えておりまして、平成21年、昨年の11月18日付で本部長通達を発出し、公務に使用する印鑑につきましても今後は自己負担とするよう、その徹底を期しているところでございます。
〇斉藤信委員 我々の資料は、あなた方が出したものしかないのでこれ以上は指摘できませんけれども、よく見ると、本当に不思議な金の使い方。これはみんな裏金ですからね。預け、差しかえ、一括払いというのは裏金ですよ。こういうふうに処理すると表に出ないんですよ。それだけ指摘しておきます。
 それで、こうした裏金工作を苦にして、沿岸の警察官の会計係長が、2月15日に自殺をほのめかす置き手紙を残して失踪したという情報が寄せられましたが、本当でしょうか。
〇佐藤警務部参事官兼首席監察官 お尋ねの警察署の職員が所在不明となっていることから、捜索を行っていることは事実であります。いまだ本人の発見に至っていないことから、所在不明の背景事情についてはコメントすることは差し控えさせていただきます。
 また、本人の職場におけるこれまでの勤務態度は良好であり、委員御指摘の裏金の存在その他の被疑事案は確認されておりません。
〇斉藤信委員 置き手紙を残したとなっていますが、その手紙の中身を確認しているでしょうか。
 私に寄せられた情報では、この職員は、本部会計課施設企画係長当時から、上司のもとで裏金工作の犠牲を強いられた。平成19年、沿岸の警察署に異動し、署長、副署長のもとで、さらに平成20年にも3年連続の裏金工作を強いられたと。それを苦にして失踪したという情報提供でありました。これは極めて深刻な事件で、私はちょっと手紙の中身も含めて徹底した捜査が必要だと思いますが、いかがですか。
〇佐藤警務部参事官兼首席監察官 いまだ本人の発見に至っていないことから、その背景、事情についてはコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。(斉藤信委員「置き手紙の中身を見たかと」と呼ぶ)
 委員御指摘の手紙等については、関知しておりません。
〇斉藤信委員 都合の悪いのは見ていないということになると思うんですよ。失踪したんだから、その失踪した経過を、あなた方は真剣に調査するのは当たり前じゃないですか。余りにも冷淡じゃないですか。
 私に寄せられた情報は極めて深刻なので、全力を挙げて、この職員の安全確保のために取り組んでいただきたい。そして真相解明もしていただきたい。
 次に、捜査報償費の問題についてお聞きをいたします。
 今年度の捜査報償費の見込みはどうなっているでしょうか。捜査報償費の内容、捜査協力者に対する金銭、物品の提供は何件、幾らになっているでしょうか。
〇内山会計課長 今年度の捜査報償費の見込みということでございますけれども、捜査報償費の執行につきましては、事件の発生状況等により変動するものであります。また、平成21年度におきましては、当初予算は2、417万4、000円でありましたが、7月以降の執行状況及び今後予想される事案等を総合的に勘案いたしまして、2月補正予算で212万4、000円を減額補正いたしまして、今年度見込みは2、205万円と見込んでいるところであります。
 それから、捜査報償費の内容、捜査協力者等に対する金銭、物品の金額、件数はどれぐらいかという話でございますけれども、捜査報償費につきましては、捜査協力者、情報提供者に対する謝礼のほか、捜査協力者、情報提供者等の接触に際して必要となる交通費などや聞き込み、張り込み、尾行等に際して必要となる交通費、通信費等さまざまな用途がございまして、事件によってその内容はまちまちでございます。
 その捜査費の具体的な執行状況につきましてですけれども、個別にその事柄ごとに集計はしておりません。また、集計したとしましても、これらを明らかにすることは捜査手法等が明らかになりまして、今後の捜査活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えは差し控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 実は私は捜査報償費を一貫して取り上げているんですけれども、裏金の出発点、発端なんですよ。この捜査報償費というのは出納から県警に渡される、各警察署に渡される、その途端にもう裏金になっちゃうんですよ。そして、まともに使われるのもあるでしょうけれども、まともに使われないのもあると。これが騒がれたときに半分近く減って1、380万円、平成16年は減ったんです。ところが、ほとぼりが冷めてくるとだんだん、平成20年は2、024万円。今聞いたら、平成21年は2、205万円とまた戻しているんですね。だからこの問題であなた方が潔白だと言うなら、例えば監査委員の監査に対して、捜査協力者が本当にもらっているかどうか確認させればこれは証明できるのです。それでみんな発覚しているのですよ。北海道も、愛媛も、高知も。もらった人を調べないから、私はこの問題がずっとやみのまま来ているのではないか。そういう裏金に支配されているから、不正支出の問題でも感覚が麻痺したんじゃないか、私はこう思いますよ。これはちゃんと監査委員に、受け取った人も含めて監査をなぜさせないんですか。
〇島村警務部長 監査委員に捜査報償費の提供者を確認させるべきではないかという御質問でありますけれども、捜査協力者の中には、生命、身体に危険が及ぶリスクを負いながら警察に情報提供している者もおりまして、そのようなものに関する情報は慎重に管理し、警察内部でも直接接触するのは特定の捜査員に限るなど、極めて限定した取り扱いを行っているものであります。また、捜査協力者に事情聴取を行うことが知られることとなっただけでも、自分の存在が公になるのではないかといった疑念や不安を抱かせ、これまでの協力関係が損なわれる、あるいは今後情報提供することについて萎縮するおそれがあるものと認識しております。このため、支払い事実の確認は、証拠書類や捜査員からの事情聴取によって行っていくべきものと考えておりまして、捜査協力者に対する監査委員の方による事情聴取については、実施すべきものではないと考えております。
〇斉藤信委員 北海道で、これは内部告発があってそれが明らかになった。しかし、何の不都合も起きていませんよ。それよりも、警察のほうが隠しているから、やっぱり隠しているんじゃないかと、この疑惑のほうが大きい問題ですよ。私、率直に指摘しておきますよ。監査委員というのは守秘義務を持っているんだから。我々にと言っているんじゃないんですよ。監査すべき監査委員に、なぜそれを確認させないのかと。やっぱり不都合があるからじゃないかと、こういうふうに疑わざるを得ない。
 時間があれなので最後にしますが、本会議でも本部長に聞きましたが、超過勤務手当の問題。
 今年度、1人当たり平均339時間も超過勤務をしていると。これは月平均28.3時間です。ところが、超過勤務手当の支給は16.1時間だと。給与、人件費が大幅に削減されている中で、末端の警察官は本当に私は地をはう活動をしていると思うんですよ。賃金は下げる、超過勤務をやっても半分しか超過勤務手当を出さない。私は、こうなったら締まりがつかないと思いますよ。これは直ちに是正すべきじゃないですか。
〇島村警務部長 職員の勤務環境には十分配意していかなければならないと考えております。第一線の警察業務におきましては、突発的に発生する事件や事故に直ちに対処し早期解決を図らなければならず、超過勤務が必要となる場合もございます。そうした中におきまして、警察としては職員の勤務環境を改善するため、リフレッシュデーを平成20年1月から実施しておりますし、また、警察署長会議等の幹部の会議におきまして、繰り返し職員の超過勤務をしっかり行うよう指示するなど、超過勤務の縮減に取り組んでいるところでございます。また、本会議でも本部長が答弁いたしましたけれども、所要額が不足する場合には、補正予算として要求しているところでございます。
 今後とも、こういった超過勤務の縮減に向けた取り組みを行うなど、職員の処遇改善に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 全然答えになっていないんですよ。あなた方、2月補正で十分な額を要求しなかった。私が言ったように、月28.3時間残業しているのに16.1時間しか支給していない。これは本部長の答弁ですよ。もう、2月補正終わっちゃっているんですよ。これがずっとこういう事態が続いているんですよ。だから、人事委員会は、警察本部長あてに是正しなさいと言っているじゃないですか。総務部長にもこう言っているんですよ。総務部として、ちゃんと警察については予算措置をしなさいとまで言っているんですよ。なぜあなた方は要求しないんですか。要求できない理由があるんですか。予算の枠があって、それ以上支給できないのか。
 本部長、働いた分、8割、9割出ているなら、私騒ぎません。6割も出ていない。5割そこそこしか出ていないと言ったら、これはサービス残業、社会的犯罪行為なんですよ。出せない理由、そして打開する決意を示していただきたい。
〇保住警察本部長 2月の補正予算に関する御質問がございました。平成21年度におきます超過勤務手当につきましては、昨年8月の衆議院議員総選挙違反取り締まり活動による増額要因が生じたことから、2月補正予算において、それを補うための所要の措置を講じたところであります。
〇小野寺好委員 自転車の関係についてだけお尋ねいたします。
 中学生とか高校生の2人乗りとか、子育てをしている親が2人乗り、3人乗りをしている光景をよく見かけるんですけれども、こういった複数乗っている自転車での事故というのは、年間どのくらいの件数が発生しているものなのか。
 二つ目は、法律上こういった2人乗り、3人乗りについてはどうなっているのか。
 三つ目として、安全上はこの3人乗りについて警察はどうとらえているか、お尋ねします。
〇遠藤交通部長 自転車事故の関係で、複数乗っている事故といったような形での事故件数の把握はしておりませんが、自転車が関係した交通事故につきましては、平成21年中は、発生件数616件、前年対比でマイナス2件と、それから死者数につきましては9人ということで、プラス2人、負傷者数は615人ということで、マイナス5人、発生件数それから負傷者数は減少しましたけれども、死者数は増加をしているという状況でございます。
 それから、自転車の2人乗りにつきましては、岩手県公安委員会規則で規定されておりますけれども、一般の自転車につきましては、16歳以上の運転者が、6歳未満の幼児1人を幼児用座席に乗車をさせる場合と、それから、16歳以上の運転者が、4歳未満の幼児を背負って乗車した場合以外は、2人乗りが禁止されているということでございます。この規定によって、自転車の前後に母親が子供2人を乗車させることは禁止をされておりますけれども、必要な構造あるいは装置のある幼児二人同乗用自転車につきましては、全国一斉に規制を緩和することとなり、岩手県においても昨年の7月1日から、幼児二人同乗用自転車で通行することができることになっております。
 今回の幼児二人同乗用自転車の利用形態といたしましては、一定の条件のもとで、運転者を含めて3人まで乗車することができますけれども、4歳未満の者を背負って幼児2人を同乗させる、いわゆる自転車の4人乗りはできないことになっているということでございます。
〇小野寺好委員 去年の7月から各都道府県で公安委員会ごとに認めているようなんですけれども、構造的に3人乗りができるような自転車というのはちょっと高くて、短い子育ての間にわざわざ買うのはということで、ちょっとためらっている方が多いのではないかと思うんですが、環境生活部に聞くのが適切かなと思うんですけれども、こういったお高い3人乗り自転車の普及についてどのようなお考えであるか、お聞きしたいと思います。
〇遠藤交通部長 県内での幼児二人同乗用自転車の普及状況についてでありますけれども、先ほど委員から御指摘のとおり、普通自転車のタイプにつきましては6万円台から、それから電動アシストのついたタイプについては10万円台からということで、非常に高価になっているという状況でございます。それから、東北各県を見ますと、山形市と酒田市で、購入する際の助成金の交付を実施しているということでありますので、関係機関と連携して、助成金の交付等の働きかけをしてまいりたいと考えております。
 なお、この自転車につきましては販売店等に問い合わせをしましたけれども、高価なことから、販売実績では確認されていないといったような現状でございます。
〇久保孝喜副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 委員長のお許しをいただきましたので、予算に関する説明書199ページの警察費に関連して、3点について簡潔にお伺いいたします。
 まず、第1点目につきましては、警察の安全相談業務についてお伺いいたします。
 それで、県民にとりまして警察は安全・安心の最後のよりどころで、そしてとりでであるわけでございます。それで、安全相談業務の過去3年間にそれぞれの受理件数がどのようになっているのか、また、相談の具体的な内容、そして相談に対する処理状況についてお伺いするとともに、まず、ことしの4月から安全相談業務の体制整備が充実強化されるということですが、実際、県警本部なり17の警察署で、県民に対する周知を含めて具体的にどのように取り組まれるか、お伺いをいたします。
〇島村警務部長 警察安全相談業務の関係で4点御質問をいただきました。
 まず、1点目の受理件数でございますけれども、平成19年は2万3、561件、平成20年は2万4、160件、平成21年が2万3、368件となっております。
 次に、相談の内容でありますけれども、相談の分類では、過去3年とも生活安全に関する相談が、全体の75%で一番多くなっております。
 具体的な内容といたしましては、家庭や職場、近隣等に関する相談や、暴力的言動や迷惑電話等の被害防止に関する相談、あるいは契約や取引に関する相談、ヤミ金等の悪質商法に関する相談が上位を占めております。
 次に、こういった相談に対しての警察の対応でありますけれども、警察に寄せられた相談の内容から、人の生命や身体の安全に係る相談につきましては、緊急に対応する必要がないと考えられる場合であっても、速やかに県警察として組織的に対応することとしております。これまでもストーカーや配偶者暴力、児童虐待等への対応はもちろんのことですが、自殺を未然に防いだものや、高齢者の方など生活弱者を取り巻くトラブルなど、数多くの事案を解決してきているところでございます。
 最後に、県警察における警察安全相談の受理体制、整備強化といったことでございますが、まず現在の現状を申し上げますと、一般的な窓口として、警察本部等各警察署に警察相談係を配置しておりますほか、警察本部と9警察署に専門的知識を有する在職警察官13名を配置し、体制の整備を図っているところでございます。このほか、警察本部においては、性犯罪や青少年、ストーカー、配偶者暴力などの専門の相談窓口を個別に設置しておりまして、相互に連携の上、きめ細かに対応しているところでございます。また、交番相談員として、9警察署に27名の退職警察官を配置しておりまして、交番に寄せられる各種の相談に対応しているところでございます。
 なお、平成22年度当初予算におきましては、この交番相談員2名の増員を現在お願いしているところでございます。
〇高橋昌造委員 それで、県民にとりまして、相談しやすい体制になお一層努めていただくように、お願いをいたしたいと思います。
 次に、第2点目でございますが、岩手県警察本部の自動車の整備工場についてお伺いいたします。
 警察学校に隣接してあるわけでございますが、私も実際、現場に足を運ばせていただいて、どういう整備工場なのかと見させていただいて非常にびっくりしたんですが、もう施設は老朽化、そして大変失礼な言い方ですが、劣悪な作業環境の中で職員の皆さん方がよく頑張っているなということで、頭が下がるというよりも涙が出る思いをいたしてまいりました。
 それで、まず一つは、あそこの自動車整備工場で、パトカーとか白バイとか整備対象の車両の実態がまずどうなのか。それから、県警本部として、あそこの自動車整備工場の現状認識と、そして自前の整備工場の必要性についてどのように認識しているのか。そしてまた、自動車整備工場の今後の整備についてどのように取り組まれるお考えなのか、お伺いいたします。
〇島村警務部長 自動車整備工場の関係で3点御質問をいただきました。
 まず、最初の整備対象の実態でございますが、前提といたしまして、県警察が保有する警察車両は、平成21年4月1日現在で738台。内訳は、パトカー等の四輪が663台、白バイ等の自動二輪が75台ございます。こうした738台の車両を、自動車整備工場におきましては点検、整備、車検、修理等で、年間延べで申しますと2、000台余の維持管理業務を行っているところでございます。
 次に、2点目の自動車整備工場の現状認識と自前で持つことの必要性についてでございますが、委員御指摘のとおり、自動車整備工場は大変古く、昭和31年10月から盛岡市青山一丁目警察学校敷地内にありまして、建築後53年を経過しておりまして、かなり老朽化しております。また、自動車整備工場は、道路運送車両法に基づく分解整備事業者及び指定自動車整備事業代行検査業者の指定を受けておりまして、管理のための事務職員1名、整備士5名の6名体制で、先ほど申し上げました維持管理業務を行っているところでございます。
 この自前の整備工場というものは、4点の観点から警察としては必要性を十分に認識しているところでございまして、一つが、警察車両というのは秘密の保持がいろいろ車両の構造等ございますので、警察車両の整備という秘密の保持。それから2点目が、故障を予防する観点からの整備。3点目が、夜間や休日あるいは災害発生時の緊急的な場合に対応できるようにと。それから4点目が、委託した場合の経費比較等の観点といったことから、必要性を認識しているところでございます。
 最後に、3点目に、今後の整備の取り組み方針の御質問がございましたけれども、現在、警察学校の建てかえ整備が計画されておりまして、その警察学校の建てかえの中で検討しているところでございますけれども、今まさに検討し始めたばかりですので、現時点では具体的に申し上げる段階には至っていないと認識しております。
〇高橋昌造委員 今、県財政も非常に厳しい環境下にあるわけでございますが、実はきょうは紫波警察署の建てかえについて質問いたしたいなと思ったんですが、それどころではないということで、私はもう百歩も何ぼも譲っても、ぜひ自動車整備工場の建てかえについて御検討いただければと思います。
 最後に、第3点目については本県の地域防犯活動についてお伺いいたしますが、私の住んでおります紫波警察署管内は、地域安全のためにヤングボランティアとかそういうのが結滞されて、本当に地域の防犯活動に活発に取り組んでおりますが、そこでまず一つは、県内の防犯ボランティア活動の実態がどうなっているのか。そして、県警本部として支援策をどのように講じておるか。
 それから、防犯活動の一環として青色の防犯灯の設置効果、また、県内の普及状況がどのようになっているか。あわせて、青色回転灯を装備した車両が県内でどのぐらい普及されているか、お伺いをいたします。
〇大志田生活安全部長 第1点目の防犯ボランティア活動の実態と警察における支援ということでございます。
 県内における自主防犯ボランティアの団体数などは、平成21年12月末現在で357団体、2万1、000人強の方を把握してございます。これらの団体の皆様の活動は、防犯パトロールを初め、子供の見守り活動や少年非行防止活動などの犯罪抑止活動のほか、振り込め詐欺など、各種犯罪からの被害を防止する啓発活動を推進していただいているところであります。このような自主防犯ボランティア団体の活動は、県民の防犯意識の高揚を図り、ひいては犯罪の抑止に大きく貢献していると認識しております。
 これらボランティア団体の確実かつ継続的な活動を支援する方法として、一つは、発生時間や発生場所等を分析した犯罪情報等の提供でございます各団体への提供、それから2点目は、各防犯団体との合同パトロールの実施や防犯講習会等の開催をしております。三つ目は、岩手県犯罪のない安全で安心なまちづくり推進協議会を初めとした関係機関、団体の行う各種防犯活動への共催や後援などをしているところでございます。
 続きまして、青色防犯灯の設置状況とその効果ということでございますが、青色防犯灯につきましては、平成19年9月から21年3月にかけまして、八つの地域で10カ所、163基が設置されたと把握しております。これらの地域におきましては、青色防犯灯の設置のほかにボランティアの皆さんによるパトロールなど、さまざまな防犯活動も行われておりますことから、青色防犯灯設置との関連性は明確ではないんでございますけれども、設置前それから設置後の1年間の刑法犯の認知件数を比較いたしますと、設置前に比較しまして20%の刑法犯の減少を見ております。一定の効果があるんだろうと認識しております。
 それから、防犯灯の設置者の多くは町内会や自治体の皆様であります。青色防犯灯の設置を契機に、住民の防犯への関心が高められたとか、あるいは各種の防犯活動が活発になったとの報告もありますことから、青色防犯灯を地域における防犯のシンボルとして位置づけまして、防犯機運を盛り上げるためにも活用されているものだと認識しております。
 最後に、青色回転灯装備車両の県内の普及状況等についてでございますけれども、これも昨年末、県内におけます青色回転灯装備車両は、パトロール活動を行っている団体が140団体、車両が465台でございます。これは、東北6県の中で最も多い団体数及び台数となってございます。
 青色回転灯装備車両は、指定された地域内の自主防犯パトロールを行っていただきまして、地域内の犯罪の防止と防犯意識の啓発が主たる目的でありますことから、これらの普及を図りますことは、地域住民の方々の自主防犯活動がより活性化されるものと考えておりますので、皆様の活動には深く感謝申し上げているところであります。
〇久保孝喜副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇久保孝喜副委員長 質疑がないようでありますので、これで警察本部関係の質疑を終わります。
 警察本部の皆さん、御苦労さまでした。
 以上で本日の日程はすべて終了いたしました。
 本日はこれをもって散会をいたします。
   午後6時7分 散 会

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