平成22年2月定例会 予算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成22年3月9日(火)
1開会  午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    浅 田 和 夫
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査     石木田 浩 美
  主任主査    岩 渕 伸 也
  主任主査    鈴 木 文 彦
  主任主査    藤 原 由喜江
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    大 森 健 一
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    宮 舘 壽 喜
  企画理事    藤 尾 善 一
  総合政策部長   高前田 寿 幸
  総合政策部副部長
  兼首席政策監   中 村 一 郎
  政策調査監    大 平   尚
  政策調査監    小 山 康 文
  政策調査監    菅 原 伸 夫
  政策推進課
  総括課長    木 村 卓 也
  調整課長    千 葉   彰
  政策推進課
  管理課長    花 山 智 行
  政策課長    小 向 正 悟
  評価課長    高 橋   勉
  秘書課総括課長  杉 村   孝
  調査統計課
  総括課長    長 岡 栄一郎
  広聴広報課
  総括課長    川 口   眞
  情報公開課長   清 水 一 夫
  報道監    菅 原 芳 彦
  国体推進課
  総括課長    八重樫 典 彦

  地域振興部長   加 藤 主 税
  地域振興部副部長
  兼地域企画室長  工 藤 孝 男
  地域振興支援室長 菊 池 正 佳
  市町村課総括課長 小 原 敏 文

  総務部長     菅 野 洋 樹
  総務部副部長
  兼総務室長    菊 池 俊 夫
  参事兼人事課
  総括課長     高 橋 嘉 行
  予算調製課
  総括課長     八 矢   拓
  税務課総括課長  八重樫 幸 治

  議会事務局長   大 矢 正 昭
  議会事務局次長  水 野 和 彦
  総務課総括課長  伊 藤 孝 栄
  政務調査課長   高 橋   徹
〇中平均委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第24号から議案第28号まで、議案第30号から議案第34号まで、議案第68号及び議案第69号の以上32件を一括議題といたします。
 本日は、きのうに引き続き総括質疑を行った後、議会、総合政策部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 これより、きのうに引き続きまして総括説明に対する総括質疑を行います。久保孝喜委員。
   〔久保孝喜委員質問者席に着く〕
〇久保孝喜委員 総括質疑に立たせていただきました政和・社民クラブの久保孝喜でございます。
 それぞれ知事、部局長の皆さん方には真摯な、前向きな御答弁を御期待申し上げたいと思います。
 最初に、希望創造プランといわて県民計画についてお尋ねいたします。
 達増知事が就任されてから3年経過するわけでありますけれども、この間に、知事のマニフェストに沿った希望創造プランと、そして、昨年末にはいわて県民計画という二つの大きな計画策定に取り組まれてきたということであります。希望創造プランについては、さまざまな議論がある中、当初、4年間という計画の中で取り組まれましたが、引き続く県民計画の中に取り込まれていくという形で、実質2年間ほどの計画ということに相なったわけでありますが、その結果として、この希望創造プランでうたわれたさまざまなねらいとか、あるいはその成果というものがなかなか県民に伝わらないまま、新しいいわて県民計画のアクションプランへと引き継がれていくという格好になりましたものですから、いま一度、この成果というものをどう総括するのかというのを明確に示すことが必要なのではないかと思います。計画づくりに翻弄されたという側面がなきにしもあらずと私は思っていますが、その辺の総括もきちんと示す必要があるのではないか、まずその点を知事にお伺いいたしたいと思います。
〇達増知事 いわて希望創造プラン策定後、同プランに掲げた四つの重点目標の推進に向けまして、ものづくり産業の集積促進を初めとした地域経済の活性化、全県的な地域医療体制づくり、こうしたことに取り組むとともに、2度の大きな地震災害からの復旧、復興、世界的な金融危機に端を発した厳しい経済、雇用情勢を踏まえた雇用の維持確保対策などを重点的に推進してまいりました。
 こうした取り組みによって、例えば県民所得や雇用環境の分野では、立地企業を対象とした満足度調査において全国第2位という評価が得られたことや、農業への新規就業者が増加していること、人口については、県外への転出者数の減少や県外からの定住者数の堅調な推移等により、社会減に歯どめの兆しが見られること、地域医療の分野では、臨床研修を終えた医師の県内定着が高まり、即戦力医師の招聘などのこういった成果があったところであります。
 また、今般策定しましたアクションプランは、長期ビジョンを踏まえつつ、いわて希望創造プランとの継続性にも留意して策定してございます。雇用環境、地域医療、こうしたいわて希望創造プランが重点目標として掲げた施策等も取り込んで、継続的な施策の展開を図りながら、目標の達成に向けて取り組んでまいります。
〇久保孝喜委員 これまでの一般質問や総括質疑で交わされた御答弁とほぼ同様のお答えでしたけれども、県民にとって、知事のこの3年間の実績といったものを図る上で、さまざまな論評などもこれまで出ているわけですが、今の新しいいわて県民計画に希望創造プランの成果が引き継がれていくんだという話ですが、私どもがいただいている政策評価等の反映状況という資料によれば、いわて希望創造プランの例えば施策評価で言うと、54.8%しかおおむね順調というのがない、あるいは事務事業評価で言えば、ほぼ半分がC判定というような結果もあるわけです。なおかつ、政策評価は前回の評価より9.7%減少、そして、事務事業評価で言えば14.7%減少という結果になっているわけです。ですから、御答弁のように、成果があったというか、成果だけをお話しするわけなんですが、しかし、一方ではそういう現実があるということがまず第1点。
 二つ目には、昨年末に全国の知事の通信簿というものが政策情報誌で特集されました。その中で、2年間の場合の評価のようですが、達増知事にコメントがありまして、ちょっと読み上げますと、就任後の人件費削減率は全国第5位、県有地売却や債権回収により2008年度に財政黒字化したという評価が書かれてあります。あるいは民間のNPOなどが知事のマニフェスト評価をしているわけですが、これは、昨年、既に報道されていることなんですが、県政運営については抽象的で説得力がないとか、あるいは防災関係以外についての政策領域では、評価としては最低ランクだとかという話がございます。いずれにしても、これまで議会で答弁されてきたような成果ということが、実感としては県民に、あるいは外に向かってはなかなか浸透していないという現実が、今お話しした点でも言えるのではないかと思います。
 そこで、希望創造プランで掲げた県における四つの危機ということが、今度の新年度予算といわて県民計画へ具体的にどういうふうに継承されたのかということが実は大変問題になろうと思います。一部の評論によれば、結果的に、希望創造プランの数値目標も外して、棚上げをして、成果が見えない分、新しい言葉で取り繕ったというような辛口の評論も実はあるわけですが、そういう点で、この四つの危機と言われた認識というものが、新しい予算といわて県民計画にどのように反映されたのかという点をお聞きしたいと思います。
〇達増知事 いわて希望創造プランの四つの重点目標でありますけれども、本県の経済、雇用、そして地域医療を取り巻く環境は、世界的な経済の低迷などによりまして、プラン策定時よりさらに厳しい状況にあります。こうしたことから、今般策定したアクションプランにおいても、この四つの重点目標は、この2年間で特に取り組むべき政策推進目標として引き続き掲げたところであります。
〇久保孝喜委員 地元紙の論説の中で非常にショッキングな言葉がございました。知事の所信表明を受けた論説だったわけですが、言葉が浮遊していないかというタイトルで論説が書かれてありました。県民にとっては、これは何のことだろうと思ったんだろうと思いますが、いわて県民計画が県民の間にまだ浸透していないという中で、マスコミの皆さんがそういうふうにとらえている側面があるんだということは、これを見ても明らかなわけですが、そういう点で、県民への発信ということが、これから先、我々もそうなんですが、知事にとっても任期の最後の1年ということになりますし、何よりも、民主党籍を持つ知事が、政権交代後における本格的な予算編成という点で、県民に対しての発信というのは、この1年こそがまさに正念場になってくるのだろうと思いますので、その点で、この予算を通じて県民に何を発信したのかという点をお聞きしたいと思います。
〇達増知事 まず、いわて県民計画の第一歩という位置づけになること、そして、アクションプランの2年間の総仕上げの段階になるということ、そういうことから、新年度予算については、希望維新、希望郷いわて元年予算という名前をつけまして、この予算には、雇用環境や地域医療など、岩手が直面しているさまざまな困難にしっかりと対応し、県民の仕事や暮らしを守っていくとともに、希望郷いわての実現に向けて、県民とともに最初のステップを力強く歩み出していくという思いを込めたところであります。
〇久保孝喜委員 今回の予算編成で、どういう特徴があるのかということで、新聞等の報道もあるわけなんですが、ある新聞は、財政健全化より財政出動にかじを切ったという言い方もしております。なるほど、この問題は、非常に厳しい財政環境の中で、400億円もの積み増しをしたということも含めて、そういう意味ではかなり積極的な予算であったことは、そのとおりであろうと思いますが、それをある意味象徴する予算の中身というのが、私は、性質別歳出で普通建設事業費の前年度並みということに実はあらわれているのではないかと思うわけです。0.3%の減ということですから、ほとんど前年度並みということなんですが、東北6県で比較すると、岩手県以外の削減率の平均というのが大体6.7%ですから、その意味では、断トツの確保ということがあるわけです。これをプラスととるのか、それとも財政健全化という観点でマイナスにとるのかというのは、立場によっていろいろあろうと思います。
 きのうの知事答弁の中では、岩手における基盤整備などの抑え込んでいた分、あるいは減少してきた分を幾らかでもカバーするんだという意味合いなんだという説明がございましたけれども、だとすれば、例えば財政健全化に向けて臨時財政対策債を増発した。臨財債にかなり寄りかかった歳入構造になっているわけですけれども、その際に、将来負担のないように、臨財債を除く県債については減少したんだという言い方をしますが、それを言うのであれば、逆に臨財債が具体的にこれまでどれだけ積み上げられて、そして、国によって後年度措置された交付税の中にどれだけ算入されてきているのか、あるいはそれによって償還されているのかということも一方ではきちんと説明しないと、将来負担がない臨財債だというだけでは、県債にかかわる県民の意識というのはなかなか正常なものにならないのではないかというのがまず第1点。これはぜひ総務部長からも御答弁いただきたいと思います。
 もう一つは、県債が1兆4、700億円ということになっていますが、その中には、そもそもの普通の借金と、後年度、交付税で措置されるであろう借金という分け方もできるわけですよね。もう一つは臨財債。この三つの性質別の県債というものの償還の流れというか、これから先の見通しというか、そういうものも含めてやっぱり提示するということが、どうしても必要なのだろうと私は思うんです。知事の言う将来負担のない財政運営をしているんだというのであれば、そこの説明は、今の段階で極めて不十分なのではないかと私は思うんですが、その点を御答弁いただきたいと思います。
〇菅野総務部長 臨時財政対策債の関係でございますが、御案内のとおり、臨時財政対策債は地方交付税の振りかわりとして国から配分された格好になってございます。したがいまして、本県としてこの総額をコントロールしたりすることは非常に難しいという性格を持ってございます。結局、臨時財政対策債を発行しないということは、国から配分された交付税を県財政に使わないということと現状ではほぼ等しいというところでございます。ただ、昨日も御答弁申し上げましたとおり、臨時財政対策債に現実的に大きく依存せざるを得ない、また、本来的には、臨時財政対策債につきましては将来の地方交付税で全額措置されるという制度になっているわけでございますが、国家財政のああいう状況からしますと、現実的には臨時財政対策債で発行した過去の借金の償還も、また臨時財政対策債を発行して賄っているという一つの現実もございます。
 こういったことからしますと、本県のみならず、国家財政、全都道府県、全市町村を含めた全地方公共団体の共通の大きな課題でございますが、そういった地方財政が、どうしても臨時財政対策債に依存せざるを得ない財政構造から一刻も早く脱却するために、昨日も申し上げましたとおり、国の今後想定されております地方行財政制度の全面的な改革の中で、地方として、そういう地方側の主張を、全国知事会等とも連携しながら、しっかり主張していかなければならないということだろうと思ってございます。
 また、確かに、御指摘のとおり、過去に、例えば公共事業等に充てます県債につきまして、将来的には交付税でこれはきっちり措置されます優良な起債ですので、そういった起債を優先的に発行して、おくれていた基盤整備を行ってまいるということを議会でも答弁させていただいた経緯もございます。結果として、地方交付税が圧縮される中で、過去に発行した借金は基準財政需要額の中にきっちり見られているわけでございますが、一方で、総額が減っているということから、他に回すべき財源が非常にきつくなっている、そういう現実もございます。したがいまして、何回も申し上げて恐縮でございますが、そういう将来的な県債負担の発行を何とか減らすために、今回、公共事業を一定規模維持したところございますが、それに充てるべき建設地方債については極力圧縮をかけながら、臨時財政対策債以外の県債の圧縮に努めたところでございます。ただ、おっしゃるとおり、臨時財政対策債、将来的な交付税の負担の戻しがある県債、それから、単純に県の一般財源として将来全額償還しなければならない県債、こういったものがそれぞれどういった償還で進むべきなのか、また、そういったものについてどういうふうに配慮して財政運営を行っていくかというものについては、今後、しっかり説明できるように、内部的な起債の管理を徹底してまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 徹底してまいりたいと思うというだけではなくて、私が言っているのは、説明を資料に基づいて十分提示すべきだと。県債の総額の償還の問題は、今言った三つの分類の中で、特にも臨財債の問題は、きのうの答弁、今の答弁にもあったように、国の制度の問題と全くリンクしていくわけです。押しつけられた借金という言い方もありますけれども、そういう中で、しかし、国の財政全体のパイがどんどん小さくなっていくということが十分想定されている中では、交付税頼み、あるいは臨財債頼みだけの財政運営では、早晩、行き詰まってくるということもまた事実なわけですから、その点で、だとしたら、県民に対して、県債残高が増嵩していく中にあって、どういう償還計画を持っているのか、その見通しなり方向性というものをきちんと示すことは必要だろうと申し上げているわけで、そういう取り組みをぜひお願い申し上げたいと思います。
 次の課題に入りたいと思います。雇用の問題でお尋ねしたいと思います。
 大変厳しい雇用環境にあるわけですけれども、新年度の予算の中で、これまでも説明の中で幾つか出されておりますが、具体的な成果予測というものを、雇用確保の問題にかかわって、どういう予測を持った予算になっているのかということ、しかも、これまでの雇用実績などを踏まえて、雇用環境の改善というところにはどういう意を尽くしたのかということも含めて、その予測数値などを御答弁いただきたいと思います。
〇達増知事 平成22年度当初予算において、雇用創出効果が高い産業振興施策に74億円余、雇用対策基金事業に100億円余計上し、産業振興と雇用対策を最重点とした予算を編成したところであります。
 このことによりまして、産業振興施策で1、022人、雇用対策基金事業で3、120人、合わせて4、142人の雇用を直接創出し、そして各種の地域経済活性化施策を進めて、県内民間企業における雇用の回復や拡大を促進しながら雇用の場の創出を図り、増加した求職者の解消に努めてまいります。こうした事業の実施に当たっては、市町村や関係団体との緊密な連携を図りながら、事業の効果が十分に発揮されるよう取り組んでまいります。
〇久保孝喜委員 雇用対策が、行政の分野でなし得ることというのは一定の限界があるということは、そのとおりだと思いますが、しかし、今お話のあった実績予測の中でも、事細かに見ていくと、これがいわゆる短期雇用であったり、あるいは非正規雇用であったりという率というのは極めて高いものになってしまわざるを得ない。雇用対策は、雇用の場の提供という問題もありますけれども、もう一方では雇用の質、態様の改善といいますか、非正規の問題も含めて、そういうことがどうしても必要になる。したがって、行政はやれることは全部やっていかないと、この危機的な状況に対応はできないのではないかと私は思うわけです。
 そのやれることは何かという点で、実は昨年9月に千葉県野田市が公契約条例というものを制定いたしました。この公契約条例は、行政が発注する工事あるいは請負契約などにおいて、その労働単価をあらかじめ最低限度を決めて、それ以下で働かせてはならないという条件を付して契約するという中身なわけでありますが、しかも、これは政府部内でも、本来国がやらなければならないことなんだけれども、しかし、今の状況の中ではなかなか難しい。ですから、むしろ、地方自治体がこうした公契約条例をどんどん出していく、広げていくということが重要なのではないかという発言が出るなど、例の地域主権改革の中でも非常に注目されている自治体の取り組みだと承知しているわけですが、知事はこれをどのように評価いたしているでしょうか、御所見をお伺いします。
〇達増知事 野田市が、公契約にかかわる業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を目的として条例を制定し、本年2月から施行されていると聞いております。
 公共工事に限らず、労働者の適正な賃金が確保されることは重要なことと考えておりまして、地方公共団体としての取り組みの一つとして行われているものと考えております。
 発注者として、関係当事者間で決定される賃金、その他の労働条件に対して、どのように関与していくかということについては、検討が必要と考えておりますけれども、国においても法制化に向けた検討が行われていると聞いておりまして、野田市の条例の運用状況や国の動向を注視してまいりたいと思います。
〇久保孝喜委員 注視するということなんですが、私は、やれることはすべてやるという観点からすると、今すぐ今年度になどと言うつもりは毛頭ありませんけれども、しかし、この公契約条例が、先ほどの、普通建設事業を他の東北6県に比べて断トツに確保したということなどを含めて考えると、今、岩手においてこうした発信ができることは、すなわち、それはもう直ちに雇用環境の改善につながるし、なおかつ、労働者賃金というものはほとんどが可処分所得になっていくわけですから、地域経済の底上げという観点でも、これは単なる雇用対策にとどまらない効果を生むのだろうと私は確信いたしております。
 その点で、知事が、例えばそういう国の動きに即応して、岩手県としては34市町村こぞってこれを研究しようじゃないかというような声がけをするとか、研究会を立ち上げるとか、そういう具体のところに踏み出す必要があるのだろうと私は思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 民間同士の契約の内容にかかわっていくことでもありますので、幅広い県民的な議論の深まりが重要なんだと思っております。国においては、今、政権与党であります民主党の中で、国等が発注する建設工事の適正な施工を確保するための公共報酬の確保に関する法律案というところまで話が議員立法としてまとまったというふうにも聞いておりまして、岩手県議会の中でも、そうした議員の過半数を占めていくような広がりなどが起きてくるのかどうか、そうしたことも含め、県民的な議論の深まりを注視してまいりたいと思います。
〇久保孝喜委員 議会にボールを投げ返されてしまいましたけれども、しかし、我々自身も、ついこの間、野田市の根本市長さんとお会いする機会がありまして、お話をしました。根本さんいわく、やれることは何だろうと考えていったら、これに行き当たったと言っていましたし、なおかつ、これを全国区の市議会議長会を通じて国にも要請をした。しかし、国の動きはなかなかやっぱりスピード感が遅いと。当然のことながら、さまざまな法制の問題を含めて検討したけれども、やれるという思いに至ったのだという話をしていました。このことからわかるのは、リーダーシップというものの発揮ということが、こうしたところで実は突破口が随分あるんだということを改めて私は感じたわけです。知事は非常に慎重なようでありますけれども、我々議会の側も勉強しなければなりませんが、ぜひ、これについては前向きに取り組んでいただければということを強く申し上げたいと思います。
 さて、そこで、県行政の中における非正規雇用の実態、これは臨時だとかさまざまな非正規雇用の形態があるわけで、一くくりではもちろんできませんけれども、しかし、これだけ世の中の雇用環境が悪化しているときに、先ほど言った、やれることをやるんだということからすれば、行政内部の非正規雇用の実態をどういうふうにとらえて、これを改善しようとしているのかというそのメッセージは、地域社会にとっては非常に有効な動きをつくり出すことになるのだろうと私は思いますが、その点で知事の御認識をお伺いします。
〇達増知事 県行政の非正規雇用の実態という御質問だと思いますが、県では、厳しい行政環境のもとで、一般職員の削減を図るなど総人件費を抑制しつつ、いわゆる派遣人材はおりませんけれども、事務を補完する期限付臨時職員や、専門的な知識、技能、経験などを必要とする非常勤職員を任用して、県全体の事務事業の円滑かつ効率的な執行に努めております。今年度、期限付臨時職員500名余等を任用しておりまして、これらの職員も県行政を支える重要な戦力になっていると認識しております。
 職員の勤務条件については、本年4月から、民間との均衡等を踏まえ、期限付臨時職員等も含め、勤務時間の短縮を図ることとしておりますので、今後においても、適切な職員の勤務環境の整備を引き続き検討してまいります。
〇久保孝喜委員 一般質問の質疑の中にも出てまいりましたけれども、岩手県の総実労働時間が全国第10位だとか、あるいは先ほど御紹介したように、知事就任後の人件費削減率が全国5位だとか、あるいはこれは奇妙な一致なんですが、この何年かの人件費削減率で言うと、北海道と青森と岩手と秋田の4道県が全国の中の2、3、4、5位を占めているんです。奇妙な一致ということなんですが、こうしたことが、私は、実は行政内部の非正規雇用などを生み出す背景になっているのではないかと。なおかつ、ことしは行革プランの中で、知事部局4、000人体制ということに向かってどんどんまた削減していくという状況もあります。こうした動きそのものが、やっぱり地域経済には決してプラスには働いていないと私は思うんです。その点で、雇用問題に立ち向かう、ある意味、本気度をあらわすバロメーターが、実はこの行政内部の非正規雇用をどうするかということにつながっているのではないかと私は思いますが、再度、その点をお伺いします。
〇菅野総務部長 委員御案内のとおり、厳しい行財政環境の中、職員数の削減を進めてきたという実態もございます。一方、先ほど申し上げました期限付臨時職員についても、平成19年度が425人、平成20年度が476人、平成21年度は551人─これは緊急雇用で雇用した分の79人を含んでございます。決して、職員を減らした分をいわゆる臨時的任用職員でカバーしたということではなくて、どちらかというと、両方をやむを得ず減らしてきているという実態がございます。
 ただ、一方、今、委員からお話のありましたとおり、こういう厳しい雇用環境の中で、行政として職員任用にどう取り組むかという、これも一つの大きな課題だろうと思ってございます。したがいまして、職員採用につきましては、どうしても減らさざるを得ないという実態があったわけでございますが、一番少なかった時期が、職員採用としては29人(後刻「19人」と訂正)しか採用できなかったという時期もございます。ただ、今年度は、こういう厳しい雇用環境の中で、何とか一人でも多く職員を採用したいということで、4月1日採用については50人程度を確保した上で、なおかつ、年度途中においては既に10名ほどを何とか採用しているところでございまして、厳しい行財政環境の中、なかなか人件費をふやすということが難しい時期にはございますが、何とか一人でも多く職員を採用していきたいという気持ちで取り組んでまいっているところでございます。
〇久保孝喜委員 厳しい財政環境というのは、県にとどまらず市町村も同様なわけであります。新しい県民計画の中でも、県と市町村のパートナーシップということがうたわれておりますので、その点に関して、次の質問に入りたいと思います。
 このパートナーシップは、これまでも議会の中で、首長同士の関係性の問題を含めてさまざま取りざたされてまいりましたけれども、昨年、市町村から県に対するいわば要望活動を知事が直接会わない形でやるという方向が示されていましたけれども、改めてお聞きしますが、新年度はどうなさるのでしょうか、お伺いします。
〇達増知事 市町村要望について、これまで県のほうで調整し、市町村から一律に、時期や場所を決めて要望を受けるという陳情型の要望となっておりましたけれども、県と市町村はそもそも対等な関係であるということで、平成22年度からは、市町村長が地域の重要課題等について面会を希望する場合には、時期を問わず、場所も問わず、随時私がお会いできるよう調整したいと考えているところであります。
 また、本年4月から、広域振興局体制に移行することも踏まえまして、広域振興局長が、市町村からの要望に、より組織的かつ迅速、的確に対応するとともに、あわせて私にその内容を報告することとしているところであります。
 さらに、私と市町村長とが一堂に会して実施しております意見交換会をさらに活性化していくなど、これまで以上に市町村長との意思疎通に意を用いてまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 今の答弁とつなげてもう一つお聞きしたいと思いますが、これまで県南広域振興局で行われていました市町村との間の政策調整会議というものがあるわけですが、これを新年度は4広域圏に広げてすべてでやっていくと。わからないわけではないんですが、今、全県域でこれを実施するということのねらいとか、その位置づけということについて、改めてお尋ねしたいと思います。
〇加藤地域振興部長 政策調整会議でございますが、これは、非効率な二重行政の解消などによる広域振興局と市町村との適切な役割分担の実現、あるいは連携、協働の一層の推進といったことを目的としておりまして、委員御指摘のとおり、今年度、県南広域振興局におきましてモデル事業として具体的な事業の検証等を行ったところでございます。
 来年度、これを県南広域振興局以外にも広げていく、今年度の成果と課題を踏まえまして全県的に展開するということでございます。地域経営に当たっての重要なパートナーである市町村と十分に意見交換しながら運営してまいりたいと考えておりまして、この政策調整会議の運営等を通じまして市町村優先の行政システムを構築し、地域の実情に合った住民サービスの向上が図られるように取り組んでまいりたいというものでございます。
〇久保孝喜委員 その上でお聞きしますが、4広域振興局体制がスタートするということで、予算的には地域振興費などがそれぞれかなり大きな額が増額されて配分されるというお話でございます。議会にはそういう説明がされているわけですけれども、一方で、それでは広域振興局長の職階はどうなるのか、その権限はどうなるのかということは、全くまだ知らされていないという現状にあります。その点では、予算と行政の機構が不離一体のものとして行われる必要があるということからすれば、現在の企画理事という県南広域振興局長の、何といいますか、簡単に言えば肩書きですが、この肩書きが、4広域圏の中では新たにどういう扱いになっていくのか。今週にも内示があるやに聞いていますけれども、それを待てばわかる話ではありましょうけれども、しかし、議会に対しては、そういう予算も措置したということからすると、広域振興局長がどういう人なのか、どういう役割と権限を持っているのかということをきちんと明示するための説明というのは、実は大変不足していたのではないかと私は思うんですが、その点、知事、いかがでしょうか、任命権者としてお答えいただきたいと思います。
〇達増知事 職階等の人事上の詳細については担当部長から答えさせたいと思いますけれども、まず、だれが局長になるか、ごらんいただけば、県としてのその意気込みのすごさを感じていただけると思います。
〇菅野総務部長 企画理事のお話もございました。現在、県南広域振興局長が企画理事を兼務しているわけでございますが、実は、企画理事と県南広域振興局長というのは別な職でございまして、あくまでも県南広域振興局長としては県南広域振興局のトップ、いわゆる局長としての役割を担っている、それなりの職種を持っている。一方、企画理事につきましては、県政全般の重要な事項に参画するという役目を持ってございます。したがいまして、現在の県南広域振興局長はその二つの役割を兼務ということで兼ねている、二つの役割を1人の人間が担っているということでございます。県北広域局長、沿岸広域局長、盛岡広域局長につきまして、企画理事を兼務するかどうかにつきましては、現在、最後の人事作業に向けて進めているところでございまして、ただ、当然に広域振興局長が企画理事を兼務するものではなくて、別な職であるということについては御理解をいただきたいと思います。
〇久保孝喜委員 いわてグラフの中で、4広域圏のスタートにかかわっての記事が載っておりまして、その中に、広域振興局長の権限は強化されるのですかという問いに、重要な施策決定や予算編成の過程にかかわりますと記されているわけです。今のお話ですと、それにふさわしいというふうに─どういうものなのか私は全く想像がつきませんけれども、それはなぜ、この予算と同時に、例えば部局編成の問題とあわせて提示できないんですか。
〇菅野総務部長 最終的には、先ほど知事が申し上げましたとおり、人事の問題ということも一つございます。それから、委員御指摘のありました、例えば予算編成過程に広域振興局長が参画するといいますのは、企画理事としての参画ということよりは、むしろ、広域振興局長自体が、例えば予算編成を行う際に、各種の政策会議、予算編成会議等がございますので、そういったところで必要に応じ盛岡に来て参画、もしくはテレビ会議を通じて、そういった県の政策決定過程に参画する方策を検討しているという趣旨で、そういう発言になったものと考えております。
〇久保孝喜委員 発言ではなくて、記事ですのでね、そのことははっきりしておきます。
 この問題では、先ほども触れましたように、トップリーダー同士の信頼関係というのは、広域振興局体制を円滑に進めていくという上でも非常に重要なファクターだと私は思うんです。これまで、政治的立場と、市町村、自治体の長としての立場というものを明確に区分されて淡々とやっていくというお話が、随分、何回か繰り返されてまいりました。しかし、思いは割り切って、ある意味、外づらでおつき合いをするというだけではとどまらないトップリーダー同士の関係性というのは必要だと私は思うものですから、その意味で、県内の首長さんたちとの信頼関係構築というのは、これだけ厳しい環境にあるからこそ、実はかなり情緒的な話ではありますけれども、しかし、決して無視できない問題だと私は思っていますが、知事はいかがでしょうか。
〇達増知事 県と市町村は、対等、協力の関係のもとで、重要なパートナーとしてそれぞれの役割を十分に果たしつつ、住民福祉の向上にともに取り組んでいくことが求められていると思います。そういう意味で、トップリーダー同士の信頼関係というのは非常に重要だと私も思います。
〇久保孝喜委員 それを実際の行動にぜひとも移していただきたいということをあえて申し上げたいと思います。
 次に入ります。時間も迫ってまいりましたので、ここは県立高校の再編問題についてお伺いします。
 きょうは高校入試の日ということでございますが、県立高校の再編については、これまでも議会の中でも大変な議論をしておりましたし、地域にとってはかなり注目をされている政策課題でもございます。
 そこで、個々まとめてお聞きします。一つは、長期構想検討委員会というものの答申が下敷きにされて、今、高校教育基本方針というものの策定に向かっているわけですが、この長期構想検討委員会の答申というものをどういうふうにとらえているかというのが第1点です。
 さらに、現下の高校のうち、ほぼ半数に近いいわゆる小規模校と言われる学校についての評価というものが、これから先の高校教育を考える上では非常に重要だと思うんですが、その点でどのように見解をお持ちなのか、そこを、まず2点、まとめてお聞きします。
〇達増知事 まず、第二次県立高等学校長期構想検討委員会からの報告についてでありますが、昨年9月にその報告を受けたところであります。この報告は、平成20年4月から約1年半にわたり、今後の県立高等学校のあり方について、さまざまな観点から熱心な議論と検討を重ねて取りまとめられたものであります。委員の方々の御労苦に感謝するとともに、本県の高校教育の方向性として、生徒の将来を見据えた観点からの内容となっていると思いますので、報告をもとに、教育委員会において十分議論を尽くしてもらいたいと考えております。
 次に、いわゆる小規模校の検証、そして、その小規模校のあり方についてでありますが、生徒一人一人に対応したきめ細やかな指導ができ、地域との連携により、進路や部活動の成果など一定の成果を上げているという評価を検討委員会報告でいただいております。
 一方、同じ評価の中で、生徒の科目選択の幅が少なく、多様な進路希望への対応や学習内容の質の確保が難しいなどの課題も示されております。したがいまして、小規模校のあり方などについては、教育委員会において、今後、きめ細やかに地域の意見を伺いながら、十分に議論を深めてもらいたいと考えます。
〇久保孝喜委員 長期構想検討委員会の8回にわたる委員会の審議の模様が既にネットで公開されております。改めて読ませていただきました。実は私は大変びっくりしました。というのは、この8回の委員会の第1回目から、最終答申に向けた文書のいわば添削会議になってしまっているということです。県教委から出した素案、たたき台と称するものを、毎回の検討委員会でいわば文言修正などを繰り返していって、最終の答申につながっていく。これは一つのやり方かもしれません。しかし、この委員会の表題が長期構想ということで、しかも、知事からお話があったように、十分な識見を持った県内の方々を集めてやっているわけですから、テーマを絞って、県の教育はこうあるべきだという、まさにフリートークの中で練り上げられていくということを、私は当然のように想定していたわけですが、しかし、そうではなかった。あらかじめ決められたレールの中で、意地悪い言い方をすると、議論が、ある種、誘導されていっている。実は、そういう文言が各所にいっぱい出てくるんです。これは第3回目の議事録の中にあるんですが、例えばこういうふうに書いています。学校規模の問題について、これだけの資料を見せられると、やはり小規模校はうまくないなという印象を持ってしまうという発言が出てくるんです。事ほどさように、この問題の核心は、学校規模あるいは40人学級という基準の問題に実は収れんされているわけです。現在、県教委が進めようとしている地域の話し合いというものも、この二つの学校規模と定員の問題を実は下敷きにされて、いわば丸投げされようとしていると私は思っているわけですが、そういう点で、一般論で結構ですから、今回のこういったテーマに基づくこういう議論の進め方というのが望ましいのかどうか、知事のお考えをお聞きします。
〇達増知事 一般論としましては、議論の進め方については、その議論に参加する人たちが合意して進めていくものと考えますけれども、今回のこの検討委員会の進め方については、参加された皆さんも納得した上で進められたと理解しております。
 大変貴重な、参考になる報告が出たと思っておりますので、教育委員会において十分に議論を深めてもらいたいと考えております。
〇久保孝喜委員 十分検討された議論というには、例えば先ほど申し上げた小規模校の議論というものを、この8回の議事録をながめてみますと、全体でせいぜい1ページあるかないかです、小規模校の検証という点では。これ以外に資料説明やその他があるでしょうから、その部分では十分聞いたということもあるかもしれませんけれども、しかし、議事録に載っていて、いわゆる意見交換をしたという部分については、まさに1ページあるかなしかです、これだけの量で。つまり、小規模校の問題は、単に教育の効率性の問題だけじゃなくて、知事が前からおっしゃっているように、まさに地域の人材養成、人材育成、あるいは産業振興という観点も含めて、実は今回の高校再編のまさに肝なわけですよね。そういう点で、残念ながら、下敷きとされたこの答申の全体の議論の中では、そういう検討の量も、質も、何といいますか、実は大変に不十分なものだったと私は思っていまして、そこをスタート地点にして、これから行おうとしている地域での議論というのも、また大変いびつなものになってしまわないかという心配を私はしているわけであります。
 地域の高校がどうあればいいかという議論を地域にゆだねたいというのが新年度の方針のようであります。それ自体は否定はしませんけれども、しかし、それだけで高校再編の全体像を描けるわけではないわけです。当然のことながら、教育の機会均等などという観点は、地域で議論される話ではもちろんないということも一方ではあります。そういうことを含めた進め方として、知事は、こうした高校再編のあり方については本会議でも答弁されていますので、いま一度、県民にとっての議論のあり方という点でどう思われていますでしょうか。
〇達増知事 岩手県民も教育については非常に関心が高く、それは高等学校における教育についてもそうだと思っております。そして、委員御指摘の課題についてもかなり全県的な、県民的な議論も、これはマスコミへの投書でありますとか、いろんな形を含めて行われていると思っておりますし、この議会においても議論されている重要なテーマだと思います。そしてまた、かなり昔から議論されていたテーマでもあると思いますので、そういった背景と広がりのあるテーマについて、検討委員会において要点を突いた議論がなされ、報告書に反映されていると思っております。
 また、委員御指摘のとおり、最終的には、やはりこれは教育の論理に基づいて、教育に関する専門的な観点から教育効果が最大限高くなるような、そういう生徒本位の決定がなされるべきと思っておりますので、県民的な議論というものを踏まえながら、教育委員会においてきちんと決めていってほしいと思っております。
〇久保孝喜委員 今回の議会で、教育委員会委員長演述がございましたけれども、残念ながらというか、非常に奇異に思ったわけですが、この高校再編については一切触れられていないということが、今、知事の答弁にあるような県民の思いをしっかり踏まえた教育委員会の議論として成立するのかどうか、この点においても、実は私は大変あやしいなという感じがしてしまうわけですので、ぜひともこれは、単なる教育の問題に限らない地域振興の課題でもあろうと思いますので、しっかりと取り組みをいただきたいと思います。
 それでは、次の課題に入ります。国の政策変更と県の対応について、まとめてお聞きいたします。
 事業仕分けという予算編成過程で国が行った、賛否両論渦巻く中で、しかし、私自身は成果があったと思いますが、その影響や、市町村を含めた地方自治体にとっての負の側面というものがあったということは率直に認めなければならないと思います。まず、そうした事業仕分けに対する影響という観点で、どういう対応をされたのかということが第1点。
 第2点目は、これもこれまで議論されてきたことですが、いわゆる職業訓練センター等の廃止の問題であります。これについては、12月段階で既に厚生労働省のほうの担当官から方針が提示されていたという話をお聞きするたびに、これについての県の対応というものが、果たして迅速なものだったのかどうかという疑念を実は持っているわけなので、その辺をどのように対処されたのか、そして、県の結論はどうなるのかということをお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 まず、事業仕分けの影響への対応についてでありますが、国では、予算の徹底した効率化を図るために、根本からの歳出の枠組み刷新を目的として事業仕分けを実施し、約1兆円程度の歳出削減を実現したと伺っております。この事業仕分けによって、主に農道整備事業を廃止するなど、公共事業費の縮減が行われたところでありますが、本県の平成22年度当初予算においては、国の公共投資臨時交付金なども活用しつつ、平成21年度の補正予算と一体的に編成して、必要な事業量を確保したところであります。
 なお、国においては、例年、予算や事業、補助制度などの見直しを行っていまして、これら国の予算や制度の見直し内容を適切に反映された当初予算の編成を行っておりますので、今回の事業仕分けによる本県の予算への大きな影響はなかったものと考えております。
〇宮舘副知事 職業訓練センター等の廃止等についてでございますが、平成21年12月18日に厚生労働省の大臣官房審議官が来庁されまして、平成22年度末でこの施設を廃止する、情報処理技能者養成施設は平成23年度末というお話がございました。県では、12月24日に第1回の関係市との会議を開催いたしまして、廃止された場合の具体的な影響と、その対応について検討いたしました。年が明けまして、1月4日に、平成21年12月25日付厚生労働省職業能力開発局長からの当該施設を廃止する旨の通知を受理しております。
 これを受けまして、県は関係市と協議し、これらの施設は、地域における産業振興上、極めて重要な施設となっていることから、関係市とともに国による運営継続を要望することとしております。そして、1月14日に、県は、青森県及び両県の関係市と共同で運営継続の要望を行ったところであります。2月15日に、運営継続の要望に対しまして、可能な限りその運営を地方公共団体等にゆだねていくべきであるという回答がございました。
 今後の対応につきましては、現時点では譲渡の条件が示されていない状況にありますことから、まずは国の動きを正確に把握し、関係市と十分意見交換をしながら適切に対応してまいりたいと考えております。
 なお、これまで県の対応は、関係市と密接な連携をとりつつ、知事に報告し、協議を重ねながら県として判断をしてきたものであります。
〇久保孝喜委員 継続できるように適切に対処するというのが県の現時点での結論だということなわけですが、例えば北上にあるコンピュータ・アカデミー、コンピュータ・カレッジと言われているものが、同様、平成23年末で廃止されるという組織でありますが、これも含めてですが、形式的には、独立行政法人雇用・能力開発機構は県に委託する、県は市町村に委託する、市町村は今度は法人に委託するという形式をとっていますよね。その意味では、県は第一の受託者なわけです。そうすると、これまでの経過の中にあったように、例えば北上の法人がいち早く、これは必要な施設だ、必要な機関だ、だから、どんなことがあっても維持するんだ、継続するんだということを決議するという報道がありましたが、それまでの過程で県の態度というものが一切表に出ていないということは、私は大変残念だと思うんです。今の報告でも、いろいろ動いてはいるけれども、しかし、それがメッセージとして伝わっていない。現地では今まさに入学生を迎えようとしている時期ですから、当然、その安心感をやっぱりアピールしなきゃならない。市町村の責務としてそうだということになっているわけですから、そこに対する県の認識は、対外的なアピールという問題、方針提示という問題では、非常に遅きに失したと私は思います。しかし、これは地域雇用のセーフティネットの側面もありますから、今おっしゃられた適切に対処というのがどういう内容なのかを含めて、ぜひとも、これからも御努力をいただきたい。
 最後に知事にお伺いしますが、この職業能力開発という仕事、業務というのは、一般論で結構ですが、国の仕事なんでしょうか、地方の仕事なんでしょうか。
〇達増知事 職業能力開発、教育訓練については、従来から国と県と、そして市町村とが連携、協力し合ってうまく進めてきた分野だと思っております。国においても、今回、独立行政法人は廃止という方針なのでありますけれども、一方で、例えば国の出先の廃止、地方分権の議論においては、雇用対策というのは国の重要な仕事なので、そういうものは地方に残していきたいという主張もしておりまして、国においても、そこは国と地方がどういう役割分担をしていくのかというのを模索しているところなのだと思います。したがって、基本的には国と地方が適切な役割分担をしつつ、連携、協力しながら進めていくことだと思っておりまして、変えていくのであれば、それは、今以上にいい方向に改革を進めていく、そういう性質の問題だと思っております。
〇久保孝喜委員 最後に、地域医療の関係をお聞きいたします。
 地域診療センターの有床回復という観点で、花泉では民間移管という手法をとりました。私どもの会派は、これを例えば指定管理者制度などを使って、市と県が共同して行うという方式が必要なのではないかということを言いました。それから、県職員も、保健福祉部の職員を市町村に派遣して、そこで一体的な地域医療についてのコーディネートをすることも必要なのではないかということも言いました。さらに、医師確保策については、知事のまさにトップリーダーとしての熱の問題も非常に大きな要素としてあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 地域診療センターのあり方の問題についてという理解で御答弁いたしますけれども、公立医療機関の経営形態としましては、地方公営企業法の一部適用または全部適用、あるいは地方独立行政法人による方法、指定管理者制度による方法などがありますが、本県の県立病院等事業については、地方公営企業法を全部適用して管理者を置いて運営しているところであります。
 地域医療における県と市町村、あるいは民間の医療機関との役割分担や県立病院等事業の経営形態のあり方については、昨年12月に、岩手県立病院等事業の経営形態のあり方に関する懇談会を設置し、そこで専門的立場から御意見、御提言をいただくこととしております。そうした御意見、御提言を十分に参考とさせていただきながら、この岩手の地域医療をしっかり守っていく、そのための県の病院等のシステムのあり方について、研究を踏まえて進めていきたいと考えております。
 そして、県職員の派遣についてでありますけれども、これまで国の医療施策については、医療法や医師法などの個別の法律によって医療サービスを提供する上で必要な基準を定めるなど、医療を提供する側に対する措置に力点が置かれておりました。医療にかかわる基本理念や方針を踏まえて、国、地方の政策が体系的に展開されるものではありませんでした。したがって、市町村はもとよりでありますが、都道府県においても医療政策に精通した職員は極めて少ない状況にあり、現在、これらの職員の育成は急務であると考えております。
 今、市町村においては、例えば遠野市のように市民医療整備室を設け、地域医療に関し専ら担当する組織を整備して、県と連携した医師確保の取り組みを行うなどの事例も生じてきております。
 県としては、こうした市町村における取り組みが進展するよう、市町村との連携を一層強化していく必要があると考えています。そうした連携強化を進める中で、県、市町村ともに医療政策に精通する職員の養成を図るとともに、職員の派遣についての要請があった場合にも、対応できるような人材の育成強化にも取り組んでいきたいと考えております。
 医師確保対策に関する主張や地域の熱ということについてでありますけれども、例えば旧沢内村の深澤村長は、多くの乳児が、貧困から医療を施されることがなく命を落としていく状況を憂えて、母校である東北大学に日参して医師を招聘し、また、村長のリーダーシップのもとで、医師や保健師と住民との間の相互理解と信頼に基づく取り組みによって乳児死亡率ゼロを達成するなど、地域医療の確保のために邁進されたことは高く評価されるべきと考えております。
 かつて、深澤村長が、国がやらないなら私がやる。国は必ず後からついてくるという信念のもとに、乳児や高齢者の医療費の無償化や、医療と健康管理の一体的取り組みを実施し、その後、全国の市町村にもそれが広く知られ、住民本位の独自の行政施策として定評を得ているところであります。
 岩手においても、現下の地域医療の危機に対して、その再生に向け、今、県民総参加による地域医療体制づくりなど県民に対して提唱しているところであり、国がやらなくても、本県独自の取り組みを進めていきたいと考えております。もちろん、同時に、国に対しても、地域医療を守るための抜本的な施策の転換について提言をしているところでございます。
 医療を支える住民の熱意と活動というものは、病院勤務医の離職防止や新たな医師の招聘など、医師の定着や確保に最終的につながっていくものと考えておりますので、県としても、県内市町村におけるさまざまな取り組みについて、連携や支援の方策を模索しながら、積極的に対応していきたいと考えております。
〇中平均委員長 この際、菅野総務部長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇菅野総務部長 大変恐縮でございます。先ほどの久保委員の御質問中、県職員の採用状況について御報告をさせていただきましたが、近時の最小を29名と申しましたが、平成19年度の19名が最小でございます。おわびをして訂正させていただきたいと思います。
〇中平均委員長 次に、斉藤信委員。
   〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 それでは、最初に、チリ地震津波の漁業被害対策についてお聞きします。
 3月6日、陸前高田市、大船渡市の各漁協、漁民、自治体から被害状況を聞いてきました。8日現在、17億1、675万円余の被害額となっていますが、極めて深刻であります。既に陸前高田市は、被害施設等の撤去資材等処分費の全額補助、養殖施設の復旧資材への半額補助を行うことを示して漁民を励ましています。大船渡市、山田町も行うとなっています。県としても、こうした市町村への助成を行うべきではないでしょうか。
〇達増知事 被害を受けた養殖施設の復旧、復興、また、破損した資材などの処理への支援については、必要な経費を今定例会最終日に、平成22年度当初予算の補正予算として提案させていただきたいと考えております。このため、引き続き詳細な被害把握に努めるとともに、市町村や関係団体と連携しながら、早期の復旧、復興に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 具体的にもう既に支援策が始まっているわけですから、それで聞きたいんだけれども、平成15年の十勝沖地震津波の際には、県が3割助成、市町村が1割助成の県単養殖施設整備事業を実施しました。被害の状況から、今回は、県は私は5割補助制度を緊急に実施すべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 過去の津波対策や他の災害時における支援事例などを総合的に勘案して検討してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 強い水産業づくり交付金、これは国が5割補助です。陸前高田市は1割のかさ上げでやっていますけれども、養殖施設等の復旧整備を、これを思い切って活用して進めるべきじゃないですか。
〇達増知事 復旧、復興に向けては、新たな養殖施設の整備や種苗の確保のみならず、水産物の販売支援や廃棄する施設の処理など広範な課題がありますので、どのようなものに対して支援が必要か、また、国の交付金や県の単独補助金など、どのような支援方法が適切か、あるいは緊急を要するものはどれかなどについて、現在、早急に現状の把握と対応策の検討を行っておりますので、被災した漁業者や地元漁協の要望をよくお聞きして、市町村と連携しながらきめ細かく対応してまいります。
〇斉藤信委員 被害を受けた漁民の生活支援策はどういうふうに検討されていますか。無利子の生活資金というのを強く要望されましたが、いかがですか。
〇達増知事 被害を受けた漁業者が、漁業を継続するための当面の運転資金や養殖施設の再整備のための低利の制度資金として農林漁業セーフティネット資金などがあり、それらの活用を促進してまいります。
 なお、市町村社会福祉協議会が窓口となって、臨時的に必要とする生活費などの貸し付けを行う生活福祉資金制度については、昨年10月に制度改正が行われて、連帯保証人を立てる場合については、無利子での利用が可能となっています。
 災害によって被害を受けた農林漁業者の経営再建を支援するために、まずは被害状況を詳細に把握し、被災者の要望等をよくお聞きして、既存の制度資金での対応が可能か、十分検討してまいります。
〇斉藤信委員 被害の実態を把握するのは、これは鉄則なんですよ。私も土曜日に行ってきました。知事、行ってきましたか。あなたは市長選挙に応援に行ったけれども、災害現場に行っていないじゃないですか。これで不偏不党なんですか。優先順位が違うんじゃないですか。
〇達増知事 今週、先週土日は、この予算特別委員会総括質疑の答弁検討、また、答弁の準備に充てておりまして、そういう答弁検討の中で、平成22年度の補正予算において、漁業者被害支援を決定するといった県庁内の意思決定等も行っていたところでございます。
〇斉藤信委員 ぜひ、災害というときには真っ先に現場に駆けつけると、その実態を把握して機敏に支援対策をとるというのが、被害者を励ます最大の課題ですよ。私は厳しく指摘をしておきたいと思います。
 二つ目に、雇用対策について。
 一般質問の答弁は、答弁漏れ、ごまかしで、大変ひどかった。経済危機以降の事業主都合の離職者の累計、現在の失業者数と雇用者保険受給者はどうなっているでしょうか。
 失業の長期化に対応して、雇用とともに生活支援を行うワンストップサービスを定期的に実施すべきと考えますが、いかがですか。
〇達増知事 岩手労働局によりますと、本年1月の事業主都合の離職者の数は2、945人、昨年10月以降の累計では4万5、014人となっており、同月の雇用保険の受給者数は8、841と発表されています。また、総務省の推計によりますと、昨年7月から9月までの本県の失業者数は約3万8、000人とされております。
 なお、ワンストップサービスの定期的実施については、現在、福祉分野と労働分野のサービス窓口の連携の強化を図るため、県全体及び地域ごとの生活福祉・就労支援協議会を設置する準備を進めております。今後、この協議会を中心に、関係機関が連携しながら、地域の実情に合わせた相談支援体制の整備を推進し、失業に伴い多くの悩みを抱える方々に、きめ細かく対応することとしております。
 そのような中で、ワンストップサービスについても、実施方法やサービスの内容など、地域の失業者の方々の置かれた状況に応じた形で実施できるよう、県として取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 失業が長期化して仕事がない、雇用保険も切れているというのが実態ですから。ワンストップサービスというのは、それぞれの機関、団体がその気になったらすぐできますので、ぜひ県が音頭を取ってやっていただきたい。
 次に、ソニーの工場閉鎖、富士通の再配置による派遣切り、人員削減、退職等の状況はどうなっているでしょうか。退職者に対する企業としての再就職支援はどうなっているでしょうか。
〇達増知事 ソニーイーエムシーエス千厩テックについて、全体で870人の従業員のうち、正社員590人については定年等による20人の退職等のほか、12月末までに424人が退職、3月末までに18人が退職見込み、残りの128人がグループ内での異動となり、280人の派遣社員については既に全員契約を終了したと聞いております。富士通マイクロエレクトロニクス岩手工場については、正社員約1、130人の再配置対象者のうち、1月末時点での退職者は約500名、今後約200名が退職する予定と聞いております。
 ソニー及び富士通側に対して、退職者に対する再就職支援を強力に行うよう要請してきており、万全を尽くす旨の回答をいただいているところであります。現在、これら企業においては、就職支援会社を通じて、一人一人の就職支援を行っていると聞いているところであります。
〇斉藤信委員 岩手県の成果として、アルプス電気やアイワ電気の場合に、最後の1人まで企業に再就職の責任を持たせたんですよ。だから、富士通やソニーが勝手に工場閉鎖、首切りをやらせるだけではだめだと。ソニーは三つの就職支援会社をやっていますよ、富士通は一つですけれども。しかし、ハローワークと全然連携していない。やる気があるのかと言われているんですよ。本当に状況をつかんでいますか。
〇達増知事 ソニーと富士通に対しては、退職者に対する再就職支援を強力に行うよう要請しております。万全を尽くす旨の回答はいただいておりますが、現在、これら企業においては、就職支援会社を通じて、一人一人の就職支援を行っていると聞いているところであります。
〇斉藤信委員 富士通、ソニーは、県内にどれだけの雇用を確保する見通しですか。
〇達増知事 ソニー及び富士通側においては、現在、就職支援会社を通じて、一人一人の就職支援を行っていると聞いております。
〇斉藤信委員 富士通は、ケアテックで50人とか情報関係で100人とか言っていますけれども、定かに把握していますか。
〇達増知事 ソニー及び富士通側においては、現在、就職支援会社を通じて、一人一人の就職支援を行っていると聞いております。
〇斉藤信委員 こういうのをリアリズムでしっかりやってほしいんですよ。私が今言っているのは、新聞報道されている話ですよ。そこをしっかりつかんで、企業に対して、首切ったままじゃなく、県内にどれだけの再就職を確保するのか、雇用を確保するのか、ぜひ徹底してやっていただきたい。それ以上出てこないから。
 それで次に、誘致企業の巨額の内部留保を、雇用を守る、非正規を正社員化する、中小企業の単価切り下げを回復させる、こういうものに私は使うべきだと思いますが、富士通やソニーや関東自動車の内部留保を把握していますか。
〇達増知事 企業の内部留保については、それぞれの企業の経営判断により決定されるべきものと考えております。
〇斉藤信委員 鳩山首相でさえ、巨額の内部留保の活用を検討すると、こう言っているんですよ。
 いいですか。ソニーは、リーマンショックの後、内部留保をふやしたんですよ。3兆5、479億円の内部留保を持っています。富士通は6、658億円の内部留保。関東自動車は1、017億円。たった7億円しか減らなかったんですよ、関東自動車は。300人の労働者を雇用するためには、約10億円あればできるんですよ。私はこういう大企業がぼろもうけして、株主のためにはそれを使うけれども雇用を守るためには使わない。こういうやり方にメスを入れなかったら、大企業の利益は岩手県内に残りませんよ。労働者、中小企業には回らないんじゃないですか、どうですか。
〇達増知事 企業の内部留保の活用については、それぞれの企業の経営判断により決定すべきものと考えますが、なお、県からは、今後とも雇用の維持、確保については、あらゆる機会を通じて要請してまいります。
〇斉藤信委員 自民党と同じというか、それで全く違いがないと私は指摘をしておきます。
 職業訓練センター─北上コンピュータ・アカデミーの廃止問題で、知事は、直接、長妻厚生労働大臣に直訴すべきだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 職業訓練、教育等に関する国と地方の役割分担のあり方については、私も全国知事会の場あるいは総務省顧問としての立場、さまざまな形で現内閣側とのやりとりを行っているところでありますけれども、政府としても、国が雇用の確保、そのための教育訓練についてはこれを重要と考えているところでありますので、県としても、国、県、市町村が、今までも役割分担のもとで取り組んできたわけでありますけれども、今後、さらに効果的な役割分担、連携、協力を実現できるよう、国や市町村と進めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 役割分担じゃないんだと思うんですよ。国が廃止をするということを撤回させると、いわば雇用対策の拡充が必要なんですよ。私は、国がこれから手を引くということ自身が間違いじゃないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 こぶしを振り上げてこわ談判していくことが一番いいというような考え方もあるかもしれませんけれども、事この労働政策に関しては、国も県も市町村も、方向は同じほうを向いていると思っておりますので、いい結果が得られるような話の持っていき方を工夫していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 方向が違うからみんな困っているんですよ。こういう問題こそ、県民が切実に感じていますから。6施設は、9万6、000人が活用しているんですよ。私は、これだけの施設を国が責任を持って拡充するという方向こそ必要だと指摘をしておきます。
 次に、中小企業対策についてお聞きをします。
 県内の中小企業の事業者数、比率、従業員数と比率はどうなっているでしょうか。
 来年度の中小企業対策予算はどうなっているでしょうか。
 融資を除くとどれだけになるか、示していただきたい。
〇宮舘副知事 平成18年の事業所・企業統計調査によりますと、中小企業の事業者数は4万6、501社、全体に占める割合は99.8%であります。従業員数は28万6、944人、全体に占める割合は89.0%となっております。
 来年度の中小企業対策予算でありますが698億5、000万円余でありまして、その内容は、中小企業経営安定資金貸付金が423億2、000万円余、商工観光振興資金貸付金が114億3、000万円余などであります。融資を除く予算額は、39億円余となっております。
〇斉藤信委員 中小企業が岩手経済に、そして雇用に果たす役割は決定的だと。私は698億円の予算というのはふえていると思うけれども、ほとんどが融資なんですよ。それを除くとたった39億円。私はここの抜本的拡充が、中小企業が果たしていく役割は必要だと思うけれども、いかがですか。
〇宮舘副知事 融資以外の予算の主な内容ですが、商工会や商工会議所等に補助を行う商工業小規模事業経営支援事業費補助、これが15億9、000万円余となっておりますし、いわてデジタルエンジニア育成センターの体制を強化する三次元設計開発人材育成事業費が7、000万円余などとなっておりまして、こういった新たな分野にも支援をしてまいっているところでございます。
〇斉藤信委員 全然かみ合わなかったね。事業者数の99.8%、従業員数の89%を占める中小企業対策が、融資を除けばたった39億円だというところが、根本的に解決されなければだめだと私は指摘したのですよ。
 それでもう一つ。私は中小企業対策を抜本的に強化して、中小企業振興条例の制定も考えるべきだと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 これまで本県では、ものづくり産業、食産業、観光産業など、個別の分野ごとの課題に応じて指針や計画を策定するなど、それぞれの方向性を定めた上で、中小企業に対する個別の施策をきめ細かに実行してまいりました。こうした取り組みは、関連する企業や商工団体からも一定の評価をいただいており、今後においても、中小企業の多様なニーズに対応した具体的な施策の展開に際しては、必ずしも条例制定という形にはとらわれずに、いわて県民計画に盛り込んだ各分野の政策項目別にしっかりと取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 これは真剣に本当は考えてほしい。下請単価の切り下げだとか仕事の減少など、深刻な事態に今中小企業はなっていますが、現状と要求をどう把握していますか。
〇宮舘副知事 中小企業の現状については、商工会議所や商工会における相談状況のほか、昨年度、いわて産業振興センターに設置いたしました下請かけこみ寺等における相談業務を通じまして把握しておりますが、下請かけこみ寺に寄せられました相談件数は、昨年度82件、今年度におきましてはこれまで113件となっておりまして、現時点で昨年度の件数を上回っているところであります。
 また、中小企業の取引支援として、北東北3県合同商談会や北上合同商談会等を開催しておりますが、今年度の発注側企業の参加者数が前年度に比べて約2割減少しております。こうしたことから、中小企業の取引環境は極めて厳しい状況に置かれていると認識しております。
 中小企業の要求についてでありますが、下請かけこみ寺に寄せられました相談の8割は、取引中止や取引条件の変更に伴う代金回収のおくれに関するものとなっておりまして、これらの相談の大半については、相談員や弁護士により対応しているほか、解決が困難な相談につきましては、全国中小企業取引振興協会の調停などにより、解決を図っているところであります。
〇斉藤信委員 下請かけこみ寺の取り組みは、大変私は大事だと思って実情も聞いてきました。もう既に113件の相談がある。これは氷山の一角だと。いわばどうしようもなくなってそこに駆け込むと。下請単価を切り下げされた業者は、仕事があるうちは何とかそれで頑張っているというのが実態なんですよ。中小企業で税金を払っている企業というのは、どのぐらいありますか。
〇菅野総務部長 当然、事業者については法人県民税、法人事業税として納付していただいているわけでございますが、申しわけございません、具体的な数等については手持ちの資料がございませんので、別途、御報告をさせていただきたいと思います。
〇斉藤信委員 私は、今、岩手の経済、雇用を支えている中小企業の役割にふさわしい抜本的な予算、対策を強く求めたいと思います。
 最後ですが、花泉地域診療センターの民間移管問題についてお聞きをします。
 常勤医師がまだ決まらない、報告されない、こうした事態をどう知事は受けとめているでしょうか。
 有床診療所開始の期日は、どう報告されているでしょうか。
〇達増知事 これまでのところ、法人から医師の体制については、医療局に対して最終的な報告をいただいていないと聞いております。法人においては、現在も引き続き医師確保に向けて努力されているものと考えておりますが、有床診療所の開始期日については、最終的な報告の中で示されるものと考えておりまして、許認可等の一連のスケジュールを確認の上、決定されるものと考えております。
〇斉藤信委員 当初、有床診療所の開始日は、どう報告されていましたか。
〇宮舘副知事 有床診療所の開始期日については、最終的な報告の中で示されるものと承知しております。現段階では、報告を受けておりません。
〇斉藤信委員 最初の申請の報告書では書いているでしょう。
〇宮舘副知事 失礼しました。当初の段階では、1月下旬という報告でございました。
〇斉藤信委員 1月下旬が開所予定だったと。できなかったと。そのときはどういう報告があるんですか。
〇宮舘副知事 法人からは、医師の確保等、最終的な診療体制が決まった上で、開始期日について報告すると聞いております。
〇斉藤信委員 今まで常勤医師2名、非常勤医師3名、これは大丈夫だと、それが大前提に申請書は出されたんですよ。全部間違っているんじゃないですか。違っているじゃないですか。うそじゃないですか。
〇達増知事 法人においては、現在、事業開始に向けて最終的な医師の体制を確定する努力をしており、有床診療所の開設に必要な許認可等の手続にしても進められていると聞いています。現時点では事業者の最終決定には至っていませんが、医師確保等に努力しているところであり、有床診療所の運営という地域の意向が実現されるよう期待しております。
〇斉藤信委員 8月25日に出された申請書の中で、一番肝心なのは医師の確保だったんですよ。
 いいですか。応募に関する留意事項。─提出した書類に虚偽の記載を行ったとき。審査の公平性に影響を与える行為があったとき。本募集要項に違反すると認められるとき。応募者による業務履行が困難であると判断される事実が判明したときは、申し込みが失効または無効になる。─この対象になりませんか。
〇宮舘副知事 許認可についてでありますけれども、これまで、診療所の開設とか社会福祉法人の設立の場合には許認可を行ってきているわけでございますが、事業開始に向けて適切な指導がなされていると考えておりまして、今後、事業開始に向けてさらに適切に指導してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 申請書に間違いがあった、虚偽があったということになりませんか。2月13日付で、常勤医師の募集までやっているんですよ。医師の確保の見通しというのはうそだったと、こういうことじゃないですか。
〇達増知事 県としましては、法人において今医師確保等に努力しているということでありますので、有床診療所の運営という、地域の意向が実現されるよう期待しております。
〇斉藤信委員 1月開所予定が、もう変わっちゃったんですよ。それに対してまた報告もない。医師が大丈夫だって年齢まで出した。履歴書まで出した。みんなうそだった。違いますか。
〇宮舘副知事 繰り返しになりますが、現在、法人のほうで医師の確保に努力をしていただいておりますので、事業開始に向けてしっかり取り組んでいただきたいと、県としてもそれを指導してまいりたいと、このように考えております。
〇斉藤信委員 廃止が決まっているんですよ。10年できなかったらどうするんですか、じゃ。
〇達増知事 花泉地域診療センターの診療の継続という観点から答弁しますと、事業開始期日は許認可等の一連のスケジュール確認の中で示されるものと考えておりまして、その間は、県営の診療所として継続していくこととしております。
〇斉藤信委員 今のままだったら、無理してスタートしてももちませんよ。当然、10年なんかもちませんよ。今の患者、紹介もできないんだから。こういう事態を知事はどう受けとめていますか。
〇達増知事 今、申し上げましたように、事業開始期日までは県営の診療所として継続してまいりますし、地域医療、花泉における機能をしっかり確保していくよう、県としても努めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 医療局の人事はいつまで決めるんですか。
〇達増知事 別途、医療局長にお尋ねいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 本当に深刻な事態になったということですよ。いつ決断するんですか、じゃ。
〇達増知事 先ほど申し上げましたが、事業開始期日、それは許認可等の一連のスケジュールの中で示されるものでありますので、その間は県営の診療所として継続ということでございます。
〇中平均委員長 先ほど答弁を執行部のほうで行うことができなかった斉藤信委員への県内中小企業の納税の実態に関する資料の関係でございますけれども、全委員に後刻資料を配付させていただくということで、大変な資料だそうなので若干時間がかかるそうでございますので、御了承をよろしくお願いいたします。
 次に、小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 最初に、チリ大地震津波被害対策について伺います。
 公明党は、渡辺孝男参議院議員らと釜石東部漁協の被害状況を調査し、上村副市長や小川原組合長と皆さんの悲痛な叫びをお聞きしました。
 そこで、1、養殖施設被害復旧への公的助成の見込み、2、生産被害に対する共済保証金のカバー率、3、大量の廃棄物処理費用の負担、この3点についてお尋ねいたします。
 また、片山義博氏が鳥取県知事のとき、個人財産の災害補償に対し公金を投入することは全く不都合ではないと独自の制度をつくりましたが、達増知事のお考えはいかがでしょうか。
〇達増知事 それでは、鳥取県が行った独自の制度についてから先に答弁いたしますけれども、平成12年10月6日に発生した鳥取県西部地震に対する復旧対策として、鳥取県では、被災住宅の再建に対して、被害程度や収入にかかわらず一律300万円、補修には最大150万円を支給する支援を実施いたしました。この制度は地域への定住が目的であり、同一市町村内での住宅再建を条件として行われ、被災者の流出を防ぐなど、地域コミュニティを守るという観点から行われたものであり、個人財産の補てんではないと伺っているところであります。
 県としては、今回の養殖施設被害の復旧、復興に当たりましては、地元漁協や市町村とも連携して、被災者の要望もお聞きしながら、将来に備えた災害に強い共同利用施設の整備を支援していきたいと考えております。
〇宮舘副知事 養殖施設被害復旧への公的助成の見込みについてでありますが、養殖施設の整備に関する支援につきましては、漁業者、地元漁協と養殖施設の復旧方策を十分協議した上で、災害に強い施設の整備について国の交付金や県単独事業を活用し、市町村、漁連等の関係者等と連携を図りながら、必要な経費を今定例会最終日に、平成22年度当初予算の補正予算として提案させていただきたいと考えております。
 また、生産被害に対する共済保証金のカバー率につきましては、生産物被害に対する漁業共済制度による保証金については漁期の終了後に確定することになりますので、個々の漁業者の加入状況にもよることになりますが、現時点で申し上げることは大変難しいことでございます。早期に支払うように、3月3日に共済組合に要請したところであります。
 大量の廃棄物処理費の負担につきましては、早急な復旧、復興を進めるため、破損した資材などへの処理費用への助成等について必要な経費を、先ほど申し上げましたと同様に、補正予算として提案させていただきたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、市町村合併の検証について伺います。
 本県はことしから川井村が宮古市に編入になり、34市町村になりました。高い行政サービスを提供し続けるには、一定規模以上の人口が必要になってきたことが認識されることによると思われます。
 増田前知事は、市町村に対し合併協議会の設置を勧告したことはなく、あくまでもそれぞれの自主性にゆだねましたが、それでもほぼ半減するまでに市町村合併が進みました。しかし、いまだ九つの町村は人口1万人未満ですが、この小規模自治体は、例えば多額の投資を必要とする公共下水道整備など不可能で、住民はそれなりの行政サービスを甘受していかなければなりません。
 達増知事は、全国及び本県の市町村合併の結果をどうとらえ、効果についてはどのように検証しているか伺います。
 また、小規模自治体の今後の行財政運営及び県の支援方針はいかがでしょうか。
〇達増知事 市町村合併に関し、300程度という考え方は、地方自治を確立する上で、真に自立可能な姿を示す趣旨でわかりやすい表現として述べられたものと理解しておりまして、現在の状況は、市町村の自主性を尊重しながら、地域の議論を進めてきている今の段階の結果と受けとめているところであります。
 合併の効果については、総務省の研究会の報告書では、合併によって住民サービスの維持向上や行財政基盤の強化、行財政運営の効率化が図られ、広域的なまちづくりが進んだとされております。本県におきましても、合併を契機として行財政基盤の強化が図られ、生活に必要な施設の整備が進みましたほか、住民同士の新たな連携や地域資源の結集などの合併効果が生じていると評価しております。また、一昨年の岩手・宮城内陸地震における地元市の対応を見ましても、合併の効果があらわれていると感じます。
 小規模自治体の行財政運営についてでありますが、人口1万人未満の小規模自治体は、組織や職員配置などの事務処理体系が必ずしも十分ではないことから、将来にわたる安定的な事務執行の確保が懸念されております。
 県としては、引き続き、県と市町村との職員の相互交流による支援を行いますほか、市町村間の広域連携等による事務処理の補完など、行財政基盤の強化に向けた市町村の自主的な取り組みを支援する考えであります。
〇小野寺好委員 次に、県内における人口移動と過疎化対策を伺います。
 県内では人口減が続いていますが、特に著しい自治体と、その原因は何によるものと思われるか伺います。
 また、その自治体における高校卒業者の地元就職実態はいかがでしょうか。
 今月末、失効期限の過疎法が6年延長されることになりました。高度経済成長の中で、急激な人口流出により、基幹産業である農林水産業が衰退し、地域共同体の維持も困難になってきた地域を支援する臨時的な制度でしたが、40年経過いたしました。過疎法により、現行非過疎団体で過疎地域の要件を満たす釜石市等7団体は、今後どのような事業展開を想定しているのか。また、地域医療や交通手段の確保等、住民の生活、福祉の向上はどのように期待できるのか伺います。
〇達増知事 まず、人口の社会減が続いている自治体とその原因についてでありますが、平成21年10月までの過去5年間では、県内において、紫波町及び金ケ崎町を除きます市町村で人口の社会減が続いております。
 広域振興圏ごとに見ますと、県央と県南では、県内の他の圏域から流入している一方で、沿岸と県北では、県内外とも人口の社会減が続いております。
 人口社会減の要因としましては、進学等によって首都圏などへ転出した若者が、県内に雇用の場が十分確保されていないために県内に戻ってきていないといったことなどが大きく影響しているものと考えられます。
〇宮舘副知事 岩手労働局の発表によりますと、本年3月の高等学校卒業予定者のうち、1月末現在で、県内就職希望者は1、877人でありますが、そのうち、県内企業への内定者は1、435人となっておりまして、就職内定率は76.0%となっております。
〇加藤地域振興部長 過疎地域となる7団体の今後の事業展開についてでございますが、現在、国会審議中の過疎法改正案によれば、本県では、委員御指摘のとおり、釜石市初め7市町村が新たに指定される見込みでございます。
 具体的な事業につきましては、今後、各市町村が策定する過疎計画において定められることとなります。地域間格差の是正を目的といたしまして、道路、上下水道等の整備などハード面に加えまして、生活交通の確保、集落の維持、活性化などソフト対策も重視しながら、地域の活性化に向けて取り組んでいくことが重要と考えております。
 それから、今般の過疎法の延長におきましては、地域医療の確保、住民の日常的な移動のための交通手段の確保、集落の維持、活性化など、いわゆるソフト事業につきましても、新たに過疎対策事業債の対象とされたということでございます。
 こういったソフト事業につきましては、住民の安全・安心な生活を確保するために不可欠な事業でございますことから、過疎市町村が過疎債の活用も図りながら、それぞれの地域の実情に応じた主体的で創意工夫に富んだ取り組みを行うことによりまして、住民福祉の向上が図られることを期待しております。
 県としても、積極的に支援してまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、若者の雇用確保について伺います。
 かつて企業は、従業員を育成し終身雇用を約束してきたのですが、新卒者の安易な退職とか外からの即戦力の獲得など、景気以外の複雑な要素が絡み、雇用関係は不安定になっております。単に大学あるいは高校を出ただけで希望の職につくことができるような時代ではなく、在学中のキャリア教育、資格取得等就職を強く意識した教育が必要と思いますが、今後の高校生への対応方針を伺います。
 また、就職難の時代にあっても、県の産業技術短期大学校は高い信頼と評価を得ており、技能の修得がいかに有効であるかを証明しています。この産業技術短期大学校の認知度をさらに高め、門戸を広げ、内容と対象者を拡充すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 なお、県立大学のジョブカフェが好評と聞きますが、どのような取り組みによって成功しているのか、御紹介いただければと思います。
 平成22年度県予算で4、000人余の雇用確保を予定していますが、賃金は日額6、000円ほどで、しかも短期雇用ではその場しのぎでしかないと思いますが、正規雇用につながるのはどの程度でしょうか。
 なお、市町村が新卒者を採用する企業を応援する場合県も支援することにしていますが、どの程度続けるのか、今後の方針、見通しを伺います。
 肝心の働く場の確保ですが、誘致企業等の製造業は景気回復がかぎとなりますが、余り景気に左右されない本県の特性を生かした農林水産業での起業、シーズ発掘、人材育成についてはどのように取り組んでいるのか伺います。
〇宮舘副知事 企業経営者が求めます生徒が身につけてほしい能力に関するアンケートによれば、勤労意識、コミュニケーション能力や人間関係形成能力が上位にあることから、学校教育におきましては、自分の将来に対する進路目標を適切に定め、社会人、職業人として自立するための能力や、勤労観、職業観を育成するキャリア教育の充実が求められていると考えております。
 そのため、県教育委員会におきましては、小学校から高等学校までの発達段階に応じたキャリア教育を体系的に取り組んでいくキャリア教育指針を今年度中に策定し、具体的な取り組みを進めると聞いております。
 これまでも、専門高校におけるインターンシップや外部講師を招聘しての実践的な指導により、職業観の醸成や資格取得などの技能向上に成果を上げているとのことであり、普通高校等においても勤労観、職業観の育成を図るとともに、コミュニケーション能力など、社会人として必要な素養の定着につながる取り組みをより一層進めていくと聞いているところであります。
 次に、産業技術短期大学校では、企業ニーズに即した職業訓練はもとより、産業界への就職意識を早期に高めるため、入学当初のオリエンテーションにおける就職情報の提供や、1年時の早期からの個別就職ヒアリングの実施、就職活動における積極的な企業訪問の指導等、学生一人一人にきめ細かな指導を実施しております。
 就職先となる企業については、校長を初め、職員によるこれまでの就職先に対する訪問や新規求人企業の開拓、情報収集を積極的に行い、求人先の確保に努めているところであります。
 今年度の就職状況は厳しい雇用情勢にあっても、3月1日現在の就職率は91%を確保しておりまして、今後も就職指導のさらなる充実や企業へのPRの強化を図り、若者の雇用につなげていきたいと考えております。
 次に、県立大学のジョブカフェについてであります。
 平成17年5月から、岩手県立大学ジョブカフェスポットとして、カウンセリングを中心とした相談窓口でスタートしております。
 特徴的な取り組みといたしましては、単なる学生に対するキャリアカウンセリングにとどまらず、学生の社会人基礎力の向上を目的としたセミナーの開催や、就職ガイダンスなどにおける講師の派遣を行うほか、学生自身の自己分析や面接対策、企業訪問のポイントなど、就職活動のスケジュールに合わせて少人数制のミニ就職活動講座を実施していることなどが挙げられます。このほか、学生の就職指導を担当する教職員の県内企業への理解を深めるため、企業見学会などを実施しております。
 このように、学生が本格的な就職活動を開始する前に、就職に対する意識啓発やきめ細かい支援を行うなど、ジョブカフェと大学が連携して学生の円滑な就職活動への支援を行っておりまして、こうした取り組みは、全国でも先駆的な取り組みであるものと認識しております。
 次に、平成22年度雇用創出計画の産業振興施策と基金事業により創出される常用雇用4、142人のうち、新産業創出・経営支援、企業誘致、農林水産業振興等の産業振興施策の取り組みにより創出される正規雇用は、802人と見込んでいるところであります。
 それから、市町村が新卒者を採用する企業への支援についてでありますが、新年度の新たな取り組みとして、高卒未就職者等を雇い入れた事業所を対象とした奨励金等の支援を行う市町村に対しまして、その経費の一部を補助して、県と市町村が一体となって高卒者の就職支援と地元定着を促進することにしております。
 今後につきましては、企業の求人や高卒予定者の就職希望の動向、さらには、市町村の支援状況などを踏まえまして、総合的に検討してまいります。
 最後に、本県の特性を生かした起業、シーズ発掘、人材育成についてでありますが、起業につきましては、平成20年度からいわて希望ファンドにより、起業、創業から事業拡大につながる経営革新までを幅広く支援しているほか、今年度からは農林漁業者と中小企業者の連携による創業などの支援のため、いわて農商工連携ファンドでの助成を開始しております。また、こうした農商工連携などの取り組みを通じまして、新たなシーズが生まれる可能性があることから、産学官が緊密な連携のもとに、その掘り起しやブラッシュアップに努めていきたいと考えております。
 教育機関や産業界と連携を図りながら、ものづくり産業に加え、観光や商業、サービス業などの各産業分野におきまして、現場や企業のニーズに合った優秀な人材の育成にも努めていくこととしております。
 こうした取り組みを通じまして、本県の豊かな地域資源を生かした地域資源型産業を振興し、経済の活性化を図ることにより、さらなる雇用の場が創出されるように努めてまいります。
〇小野寺好委員 次に、ICTふるさと元気事業の取り組みについて伺います。
 急なコンピューター時代の到来で、例えばまちの印刷屋さんや看板屋さんのように、昔からの技術が用をなさなくなり、戸惑いあるいは迷惑をこうむっている業界も多々あります。しかし、後戻りできない状況にありますので、コンピューター時代に即した新たなビジネス展開を模索せざるを得ないところであります。特にも、ICT情報通信技術に関しては活用範囲がさらに広がると言われ、その人材養成が急務です。このため、国は平成21年度第2次補正予算に情報通信技術地域人材育成・活用事業を実施し、県などに交付金を出すことにしましたが、県はどのような分野にどれだけのICT人材を供給しようとしているのか、お尋ねいたします。
 また、民間団体等が行うICTふるさと元気事業での雇用創出、公共サービスの充実に県はどのようにかかわっていくか、お伺いいたします。
〇加藤地域振興部長 国の補正予算によりますICTふるさと元気事業の取り組みについてでございますが、本県におきましては、1自治体、3民間団体の計4団体、5事業が申請されておりまして、現時点でございますが、東北地方では最多の申請事業数であると把握しております。
 これらの事業の実施によりまして、今後、医療、介護、福祉分野におきまして約30人の新規雇用の創出のほか、約80人のICT活用のスキルアップが図られる見込みと伺っております。
 県といたしましては、地域の公共サービスの向上を図り、多様化する住民ニーズにきめ細かく対応していくために、地域に根差したICT人材の育成は急務であるという認識を有しておりまして、新たなICT利活用事業の担い手として、意欲ある民間団体等の活動に対しましては、できるだけの支援を行ってまいりたいと考えております。
〇中平均委員長 小野寺好委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食ため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時59分 休 憩
午後1時3分 再開
〇中平均委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 本日の斉藤信委員の総括質疑の際、後刻提供することにしておりました資料については、お手元に配付してありますので、御了承願います。
〔参照〕
配布資料
 この際、総務部長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇菅野総務部長 大変失礼を申し上げました。先ほどの斉藤信委員からの御質問中、県税に占める中小企業の法人二税の税収について、お手元に資料を差し上げておるところでございますが、平成20年度の現年度分について申し上げますと、法人県民税につきましては、全体の税収59億円余のうち、中小企業の占める割合が19億円余、法人事業税につきましては、277億円余のうち85億円余となっているところでございます。
 以上、御報告をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
〇中平均委員長 それでは、質疑を続行いたします。
〇小野寺好委員 次に、昨日から受付の始まりました住宅版エコポイント制度について伺います。
 国の平成21年度第2次補正予算に住宅版エコポイント事業費1、000億円が計上されました。住宅そのもののエコ化で温暖化を抑止し、同時にすそ野の広い住宅関連産業を活性化し、景気浮揚効果をねらうもので、公明党が政権にあったときに主張したものです。また、県の新年度予算では、県産材の活用を促すため、県産材を使って木造住宅を新築または改築した場合、住宅ローンの利子補給をすることにしています。しかし、太陽光発電やエコカーのときもそうでしたが、県の補助は金額も対象者数も規模が小さく、不十分であると思います。この際、国の住宅版エコポイント制度に乗っかり、結果として山を守り、二酸化炭素を吸収し、また、県産材を大いに活用していただくため、県産材住宅への補助をさらに手厚くする措置を講ずべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 補助対象となる戸数は100戸程度を予定しておりますが、国の住宅版エコポイントと連動することによりまして、住宅建設の需要喚起に効果があるものと考えているところであります。
 県におきましては、各種の林業振興策を講じるとともに、岩手型住宅に賛同する工務店等の事業者との連携や県民に対する啓発活動などに取り組むこととしております。これらの取り組みを一体となって推進することによりまして、木材の生産現場から消費先まで一貫した政策を実施し、県産材を活用した住宅の普及促進を図ってまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、在宅医療廃棄物処理問題について伺います。
 高齢化の進展に伴い在宅での要介護者がふえ、それと同時に在宅医療患者も増加しております。その際、在宅医療患者から医療系の廃棄物が出るわけですが、これは一般廃棄物とされ、原則として市町村にその処理責任があるとされるようであります。ただし、注射器や注射針など鋭利なものや、感染性の危険性が高いと判断されるものは医療機関等に返却、使い残した医薬品類は薬局薬店に返却、それら以外は家庭ごみとして出すのが望ましいとされています。
 かつて、医療機関が医療系廃棄物を一般廃棄物とともに処理させていたことが社会問題になったことがありますが、本県における在宅医療廃棄物処理に伴う事故報告の有無、指導の徹底についてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 在宅医療廃棄物は一般廃棄物でありまして、その処理責任は市町村にありますが、過去5年間で資源ごみの分別作業中に作業員が注射針を手に刺したという事故が1件ございました。当該市町村では、再発防止のため、注射針の適切な取り扱いについて広報で周知徹底を図ったと聞いております。
 県では、振興局ごとに、市町村、医療機関等が参加する協議の場を設けまして、在宅医療廃棄物の中でも鋭利なものについては、患者が受診した医療機関等に直接持ち込んで処理する方法が望ましい旨、助言をしてきたところであります。現在では、ほとんどの地域におきまして、医療機関等の理解を得て、医療機関等を通じて処理されているところでありまして、今後とも引き続き適切な処理が行われるように助言してまいります。
〇小野寺好委員 最後に、予防できる唯一のがん、子宮頸がん対策について伺います。
 岩手県議会は、平成20年6月議会で、子宮頸がん予防ワクチンの早期承認等を求める意見書を採択し、関係機関に送付いたしました。その後、これが承認になり、ワクチン接種が昨年12月から日本でも認められるようになりました。しかし、健康保険が使えず、全額自己負担となります。10代のうちに接種したほうが特に有効で、費用負担は3回の接種で5万円程度かかるといわれ、お金と時間と気持ちに余裕がないとできないようであります。年間2、400人がこれで亡くなっていると言われ、公明党は国会で行政からの支援を訴えてきましたが、実現には至っておらず、むしろ、地方自治体によって独自に助成を決めたりしています。
 本県としても、市町村が独自に公費助成を決めた場合、これを支援すべきと思いますが、県の認識と対応を伺います。
〇宮舘副知事 子宮頸がん予防ワクチンは、感染予防に大きな効果があるものと期待されておりますが、現在、予防接種法に基づく定期接種に該当しないために、委員お話のように、費用は自己負担となっているものであります。今後、国では、予防接種法の対象となっていない子宮頸がん予防ワクチン等の位置づけについて検討していくこととしておりますが、県といたしましては、ワクチン接種に対する公費負担については、基本的に国の制度の中で対応すべきものと考えているところから、その動向を注視しております。したがいまして、まずはワクチン接種費用への助成に関する市町村の意向の把握に努めまして、今後、県内ほぼ全域における統一的な助成制度に向けての状況が整った場合には、検討してまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 終わります。ありがとうございました。
〇中平均委員長 次に、阿部富雄委員。
   〔阿部富雄委員質問者席に着く〕
〇阿部富雄委員 雇用情勢は、中高年を中心に失業期間が1年以上の就職困難者がふえていること、新卒者の内定状況が悪化していること、非正規雇用の労働者も依然として厳しい環境下にあること、正規雇用においても雇用や労働条件への不安や不満が増していることから、就業支援にとどまらず、生活や福祉など身近なところでワンストップで相談できる体制をつくり、就業不安や生活不安を解消する支援が必要です。こうした取り組みやセーフティネットの強化をどう図っていくのか、お聞きします。
〇達増知事 これまで、住宅支援や生活福祉資金貸し付けなど、当面必要な生活支援策を講じてきたところでありますが、その相談体制として、地域共同就職支援センターと求職者総合支援センターでは、就職支援と生活相談などをあわせて行っていますほか、岩手労働局や福祉関係機関などと連携して、生活、就労相談などワンストップのサービスを実施しているところであります。今後は、地域ごとの協議会設置など福祉分野と労働分野の窓口の連携をさらに強化しながら、地域の実情にあわせて、相談支援体制の整備を推進し、失業に伴い多くの悩みを抱える方々に対するセーフティネットを構築し、きめ細かく対応してまいります。
〇阿部富雄委員 岩手労働局は、就業、生活再建をより効果的に支援するために、関係機関と連携を図り、生活福祉・就労支援協議会を設置するとしていますし、地域単位の協議会も設置するとしております。この協議会設置により、長期失業による生活困窮者への支援というのはどう充実されると考えられるのでしょうか。
 それから、先ほどのワンストップ相談体制の確立でありますけれども、今後、岩手労働局が中心となって設置するこの協議会と、県の経済・雇用対策本部の中で早期に具体化していくと理解してよろしいのでしょうか、お尋ねいたします。
〇達増知事 労働局の試みは、国のこの雇用問題に対する姿勢をあらわしたものだと思っておりまして、県としても高く評価しております。県も、国としっかり連携をしながら、雇用対策を進めてまいります。
〇阿部富雄委員 私は、2番目の質問として、ワンストップ体制の確立については、岩手労働局が設置する協議会だとか、県の経済・雇用対策本部の中で早期に具体化していくと理解していいのかということをお尋ねしたんですが、いかがですか。
〇達増知事 国との連携の中で行われていきますので、労働局としっかりタッグを組んで取り組んでまいります。
〇阿部富雄委員 緊急雇用創出事業、ふるさと雇用再生特別基金事業により、常用雇用3、120人を創出するとしています。4カ月以上の継続した雇用を常用雇用としておりますが、基金事業による4カ月以上の雇用の実態、身分などはどのように想定しているのか、お聞きします。
 また、4カ月未満の臨時的な雇用に従事した者の再就職の状況はどうなっているのか、お尋ねいたします。
〇宮舘副知事 緊急雇用創出事業の雇用期間は、通常1年以内となっております。ただ、介護福祉士の資格を取る介護雇用プログラムは2年以内とされておりまして、平成21年度の県事業ではこれまでに861人が雇用され、そのうち526人が4カ月以上の常用雇用となっております。
 また、ふるさと雇用再生特別基金事業の雇用期間は原則1年以上とされておりまして、平成21年度の県事業では、これまでに雇用された187人全員が常用雇用となっておりますが、身分については、それぞれの雇用主が定めるところによることとなっております。
 4カ月未満の臨時的な雇用に従事した者の再就職の状況は、個別には把握しておりませんが、緊急雇用創出事業により雇用された方に対しては、雇用期間終了後に安定的雇用に向けた再就職支援を行うこととされておりまして、県としても、生活就労相談等により、引き続き支援をしてまいります。
〇阿部富雄委員 基金事業のうち、特に緊急雇用創出事業というのは、緊急的、一時的つなぎの就労機会を提供するとされているわけです。そうしますと、制度上から見ても、常用雇用につながらないものだと私は思いますので、雇用対策については、常用雇用については1年以上だとか、一定期間以上のものを明確に位置づけて取り組むべきと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 今申し上げましたとおり、緊急雇用創出事業により雇用された方に対しては、雇用期間1年が原則でございますので、この期間が終了後に、安定的雇用に向けた再就職の支援を行ってまいりたいと考えております。
〇阿部富雄委員 いずれ、そのことだけは強く指摘だけして、次に移ります。
 新年度予算では、いわて6次産業チャレンジ支援事業や人材開発プラットホーム拡充事業など、県内に事業所を置く法人などに対し、先導的なモデル事業を公募し、雇用創出効果や事業効果などを基準に委託先を選定し、実施する事業があります。これらの事業効果をどのように考えているのか。
 また、これらの事業は、失業者の起業や自立支援を視野に入れたものなのか、お聞きします。あわせて、失業者の起業や自立を支援していくことも必要ですが、対応についてお伺いいたします。
〇宮舘副知事 御紹介のありました、いわて6次産業チャレンジ支援事業は、雇用創出効果や期待される効果等が高いものを県がモデル事業として選定し、委託するものでありまして、平成21年度には19業者に委託し、地元農産物による新商品の開発やネット販売等の取り組みを通じまして、延べ49人の雇用が創出されております。これらの委託事業者や関連事業者、支援機関等による6次産業ネットワークを設置いたしまして、情報共有を図りながら事業者間の連携を強化するとともに、本事業の取り組みを県内各地に拡大し、地域の活性化を図ってまいります。
 また、人材開発プラットホーム拡充事業は、人材開発のノウハウを持つ事業者等を対象に、新たな能力開発や就業支援等の取り組みを支援いたしまして、県内の人材開発事業の活性化を図ろうとするものでありまして、来年度から実施するものでございます。これらの基金事業の実施に当たりましては、失業者の起業を含め、広く民間の創意工夫による企画提案をいただきながら、雇用創出と産業振興の双方の効果が発揮されるように努めてまいります。
〇阿部富雄委員 そこで、国の平成21年度2次補正予算で新たに創設された地域人材育成事業は、国が定める介護、グリーン、地域社会の雇用創造の三つの重点分野のほかに、各県の地域の成長分野としてニーズの高い4分野を追加することとされています。本県では、いわて県民計画に基づいて、産業・雇用、子育て、安心・安全、教育・文化の四つを重点目標とするということにしておりますけれども、これら事業の人材育成をどう推進していくのか、お聞きします。
〇宮舘副知事 今、国の事業を四つ、御紹介ございましたけれども、そういったものにも対応して、県としても連携しながらしっかりと取り組んでいきたいと思っております。
〇阿部富雄委員 極めて不十分な中身ですけれども、これは、県が四つの新たな分野についてはやっていくということですから、やっぱりきちっと経済、雇用対策などで検討して、早期に人材育成に努めていただきたいと思います。
 次に、県は、新卒未就職者等を雇い入れた事業主を対象とする補助金等の支援制度を創設し、実施する市町村に対して、その経費の一部を補助するとしています。これは、先進的に取り組む市町村が対象であり、政策力の弱い、あるいは関心を示さない市町村には補助されません。多くの新卒未就職者が県内にいますから、県の支援制度で対応すべきものです。制度を充実し、市町村に周知を図り、取り組むことが必要ですが、対応についてお聞きいたします。
〇達増知事 新卒者ふるさと就職促進事業費補助につきましては、高卒未就職者等を雇い入れた事業所を対象とした奨励金等の支援制度を行う市町村に対して、その経費の一部を補助し、地域における高卒者の就職支援と地元定着を促進するものであります。
 県内でも地域によって雇用情勢はさまざまでありますので、それぞれの事情に応じた市町村の主体的な取り組みを尊重しながら、県としても一体となって地域の取り組みを支援していくこととしております。
 この事業の内容については、既に市町村に事業概要について説明し、周知しているところでありますけれども、今後も、市町村を対象とした会議の開催や、また、広域振興局等を通じた情報提供などさまざまな機会をとらえて制度を周知し、市町村の機運の醸成を図っていきたいと思います。
〇阿部富雄委員 市町村の機運醸成を図るということは、それはそれでいいんですけれども、市町村がやる事業に対して県が補助するという中身ですから、基本的に対応が違うと私は思うんです。ことし3月の新規高卒者の就職内定率は84%と言われていますが、まだ未内定者が525人、県内を希望する人は452人いると聞いていますから、そういう施策を取り組む自治体はいいにしても、全県で見た場合に、これに漏れる方々もいらっしゃるわけですから、県としては、やっぱりきちっと対応すべき中身じゃないでしょうか。特に、2、000万円という予算の計上でありますけれども、これは大体何人分ぐらいに該当して、今後ふえれば、いつでも増額には対応していくという考えでよろしいのでしょうか。
〇達増知事 人数は600人分という未就職者をカバーするような数字になっているところであります。なお、この新卒者ふるさと就職促進事業費補助以外にも、今回の予算で提案させていただいておりますとおり、県による直接の雇用でありますとか、また、その前段階としてジョブカフェ等に登録いただいて、きめ細かく就職できるような対応をしていくでありますとか、県としても、新規高卒者の就職支援対策は力を入れて進めていきたいと考えております。
〇阿部富雄委員 次に、障がい者の雇用の促進等に関する法律では、事業主に対して、障がい者雇用率に相当する人数の身体障がい者、知的障がい者の雇用を、民間には1.8%、国、地方公共団体等は2.1%、都道府県の教育委員会は2.0%を義務づけておりますけれども、県内のその達成状況はどのようになっているのかお聞きします。
〇宮舘副知事 岩手労働局によりますと、平成21年6月1日現在の岩手県における障がい者雇用率を達成している企業の割合は、民間企業では51.2%、県の機関では100%、市町村の機関は83.3%、地方独立行政法人等は50%、教育委員会も同じく50%となっております。
〇阿部富雄委員 そこで、教育委員会なんですけれども、全国の都道府県の状況を見ても、実雇用率は1.7%、47機関中6機関のみが達成ということで、取り組みが非常におくれております。障がい者雇用率を向上させるために、障がい者の雇用に関する計画を策定しなければならないと定められていますし、計画及びその実施状況を厚生労働大臣に報告、厚生労働大臣は、特に必要と認めるときは、適正な実施に関し勧告することができるとされておりますけれども、本県における計画の作成、実施の状況、厚生労働大臣等の勧告等についてはどう把握されているのかお聞きいたします。
〇達増知事 障がい者の雇用の促進等に関する法律に基づいて、都道府県教育委員会においては障がい者雇用率は2.0%以上とされております。
 県教委においては、平成17年6月時点の障がい者雇用率が1.19%と法定雇用率に達しなかったことから、平成18年1月、3年間の障がい者採用計画を定め、厚生労働大臣に報告し、以後、毎年、職員の任免状況の報告を行っており、平成21年6月の障がい者雇用率は1.45%と、計画策定前に比べると0.26ポイント上昇しているところです。しかし、3年間で雇用率の目標が達成されなかったため、改めて、平成21年1月を始期とする障がい者採用計画を策定したものと承知しております。
 当初の計画期間における障がい者雇用率が達成されなかったことから、平成21年3月27日付で厚生労働大臣から勧告を受けたと承知しており、今後、県教委において、計画達成に向け適正に対応していくものと考えております。
〇阿部富雄委員 そこで、県はコンプライアンスだとか法令遵守ということを強く対応してきているわけですけれども、違法状態がこういうふうに長年続いているという事態を一体だれが解消するのかということになると思うんですが、私は、財政権を持つ知事も是正させる一人としているだろうと思うんですけれども、そういう違法な状態に予算をつけるということ自体に、知事はどのように感じていますか。それから、それをどう改善しようとされているのか、お尋ねいたします。
〇達増知事 知事は、教育環境の整備という観点から、予算によって教育について間接的に関与する立場にあるわけでありますけれども、教育委員会における障がい者雇用率の向上ということに関しても、そういった立場から協力を惜しまないつもりであります。
〇阿部富雄委員 ぜひ、強力に教育委員会のほうに是正方を申し入れていただきたいと思います。
 それから、障害者雇用納付金の徴収は、昭和52年以降、経過措置として常用雇用労働者301人以上を雇用する事業主のみを対象としてきましたけれども、本年7月から、201人以上300人以下の事業主にも拡大されることになっております。県内の常用雇用労働者が201人以上300人規模の企業の実雇用率はどのような状況にあるのか、対象事業主の拡大で障がい者の雇用がどの程度促進されると見込まれるのかお聞きいたします。
〇宮舘副知事 岩手労働局のデータでございますけれども、平成21年6月1日現在における201人以上300人規模企業の障がい者の雇用状況は、法定雇用率が1.8%に対しまして、実雇用率が1.32%、達成企業の割合は46%となっております。
 雇用促進の見込みにつきましては、県の雇用対策指針であります今後の雇用対策の方向において、平成22年度における法定雇用率達成企業の割合の目標を53.5%としておりますので、この達成に向けて努力してまいります。
〇阿部富雄委員 それでは、一般就労まで至らない就労継続支援B型事業所や授産施設など福祉的就労の場で働く障がい者の自立した生活を支援する岩手県障害者工賃倍増5か年計画が策定されているわけでありますけれども、年金等の社会保障給付等も勘案し、障がい者が地域で自立した生活をしていくために必要となる工賃額を3万5、000円としておりますけれども、平成23年度までにこの額に引き上げるのは実現困難として、2万7、700円の県平均目標工賃を定めていますが、工賃実績と課題をどのようにとらえていらっしゃるのかお尋ねいたします。
〇宮舘副知事 障がい者の工賃実績と課題についてでありますが、県内の障がい者就労支援事業所の平均工賃月額は、直近の平成20年度では1万5、109円となっておりまして、対前年度比1.5%の増でございます。年々上昇してはおりますが、目標工賃の1万8、700円には達しておりません。この原因は、事業所における収益性の高い製品開発など企業経営的ノウハウが確立されていないこと、販路開拓など販売促進活動が不足していること、そして、経済環境の悪化による一般企業からの請負作業の伸び悩み等も背景にあるものと認識しております。
〇阿部富雄委員 そこで、この工賃引き上げについては、それぞれの施設で工賃引き上げ計画を策定するということになっておりますけれども、これが非常におくれているということが一つ大きな問題でもあると思います。こうした工賃引き上げ計画の策定を早期に促すとともに、県として、こうした工賃引き上げにつながる資金だとか設備、営業力、販路拡大などの支援をすべきと思いますけれども、どのように行っているのかお聞きいたします。
〇達増知事 障がい者の工賃水準の向上に当たりましては、各事業所が、工賃引き上げに向けた具体的な目的意識を持ち、みずからの経営状況を分析して売り上げ計画を立て、工賃引き上げを実践していくことが重要であると認識しております。
 県においては、県内各障がい保健福祉圏域のモデル事業所に対して中小企業診断士等のアドバイザーを派遣し、企業経営的視点に基づいた助言を行いながら工賃引き上げ計画の策定を支援してきております。
 今後、各圏域に整備している障がい者就労支援関係機関、団体によるネットワークが主催する、全事業所を対象とした工賃引き上げ計画の策定ノウハウに関する研修を通じまして事業所関係者の策定意欲を助長するなど、各圏域における計画の早期策定に向けた取り組みを強化してまいりたいと思います。
〇中平均委員長 次に、及川あつし委員。
   〔及川あつし委員「先に議事進行」と呼ぶ〕
〇及川あつし委員 当予算特別委員会に、必要な書類の提出を委員長のもとにおいてお取り計らいを願いたいと思います。
 必要な書類の内容は、昨年、当委員会で組みかえ動議が飯澤委員から提出されて、可決いたしました、それに伴って、平成21年度、さまざまな対応がとられてきたと思いますし、今、付託されている案件の中でも、組みかえ動議に基づいてさまざまな措置がされていると思いますが、組みかえ動議に基づいた県の一連の対応について、これまで、必要な部分も若干我々には説明がありましたが、説明されていない部分もありますので、取りまとめて資料提出をお願いしたいと思いますので、委員長のもとにてお取り計らいをお願いしたいと思います。
〇中平均委員長 ただいま及川あつし委員から、昨年の予算特別委員会において提出された平成21年度岩手県一般会計予算及び平成21年度岩手県立病院等事業会計予算の編成替え等を求める動議に対する保健福祉部及び医療局の対応状況について資料の提出を求める旨の発言がありました。
 ただいまの件については、後刻世話人会を開き、協議することとしたいと思います。
 及川あつし委員、よろしいでしょうか。
〇及川あつし委員 はい。
〇中平均委員長 それでは、ただいまの件につきましては、後刻世話人会を開き、協議することといたします。
 それでは、総括質疑のほうをよろしくお願いします。
   〔及川あつし委員質問者席に着く〕
〇及川あつし委員 一般質問に引き続いてお伺いしたいと思います。
 最初に、単純な数字をあえてお伺いしたいと思います。
 きょう、いわてNPOセンターについて、一般質問に続いてお伺いするわけですが、まず最初に、本県がNPOに委託、指定管理を行っている件数、金額全体の状況、そのうち、問題にしておりますいわてNPOセンターが占める割合、平成20年度、平成21年度の2カ年の状況について、契約金額ベースで結構ですので、お知らせ願いたいと思います。
〇加藤地域振興部長 県からNPO法人に委託した事業でございますが、まず、平成20年度でございます。委託事業55件、1億5、537万1、000円余、そのうち、いわてNPOセンターへの委託事業は4件、率にいたしまして7.3%、金額は2、476万4、000円余、率にいたしまして15.9%でございます。次に、平成21年度でございます。県がNPO法人に委託した事業全体ですが60件、2億4、348万7、000円余でございます。そのうち、いわてNPOセンターへの委託でございますが、件数が11件、率にいたしまして18.3%、金額でございますが7、861万4、000円余、率にいたしまして32.3%でございます。
 また、指定管理についてでございます。平成20年度、県の指定管理は5件、金額にいたしまして6、328万3、000円余ございます。このうち、これは、いわてNPOセンターもすべて共同事業体として指定管理を行っているということでございまして、単独ではございませんが、いわてNPOセンターがかかわっている分ということでお答え申し上げますが、これが件数で2件、率が40.0%、金額ベースでは4、591万円余、率にいたしまして72.5%でございます。平成21年度は、同じく県全体の指定管理、件数は5件、金額が5、911万1、000円余、このうち、いわてNPOセンター分、これも共同事業体ということでございますが、この指定管理が件数2件、率にいたしまして同じく40.0%、金額ベースでいきますと4、329万4、000円余、率にいたしまして73.2%ということでございます。
〇及川あつし委員 今、部長から御答弁いただいたように、問題にしております同NPOは、本県の委託、指定管理の中でも大変に重要な位置を占めるということを確認させていただいたところでございます。
 ところで、3月5日、補助金交付規則違反が新たに確認されたということで、昨日、報告がありました。報道もございました。違反の概要、今後の対応について御説明をお願いしたいと思います。
〇加藤地域振興部長 いわてNPOセンターの補助金交付規則違反の問題についてでございます。いわてNPOセンターが事業主体となっております地域振興推進費に係る補助事業でございまして、名称が森の恵にふれる生活体験啓発事業というものでございますが、これにつきまして、去る3月5日、先週の金曜日でございますが、同法人に立入検査を行った結果、平成21年度事業につきましては、補助事業としての実態がない、実態が認められないということが確認されましたことから、県の補助金交付規則によりまして、補助金交付決定取り消しの手続を進めるということにしたものでございます。
 今後の同法人、センターに対する対応についてでございますが、2月22日時点で公表しておりました県の方針を改めまして、今後、県との契約につきまして、たび重なる不祥事等を踏まえまして、相当期間─6カ月ということでございますが、県事業への応募は受け付けない、なお、6カ月経過時点で法人に改善計画の履行状況を報告させた上で、この措置の継続については判断することにしたということです。
 また、応募済みの企画提案でございますが、これにつきましても、契約対象者としての選定組織における審査結果にかかわらず、県の判断として契約を締結しない、契約の相手方としないという方針にしたところでございます。
〇及川あつし委員 特に今後の対応等については、一般質問でも、従前出されていた2月22日の方針は撤回すべしと私は申し上げておりました。今回、新たな事案が発覚したということで、また見直しをしたわけですけれども、私は、まだまだやるべきことがあるのではないかと。実は寄せられている情報からすると、まだ問題があるとも思っておりますので、その点を伺いたいと思っております。
 そこでお伺いしたいのは、まず、3月5日、新たな規則違反が発覚されたとなっていますが、きのういただいた資料によると、2月下旬に疑義が発覚とされていますが、どのような発端と経緯で疑義が発覚したのでしょうか。
〇加藤地域振興部長 この疑義の発端と経緯でございますが、2月22日、盛岡地方振興局が、いわてNPOセンターの事業担当者から事業報告書の作成について相談を受けた際に、事業実施状況が補助金の交付決定を受けた事業内容を満たしていないという疑義が生じたということでございました。その際、事情聴取したわけでございますが、回答があいまいであったということで、改めて事業関係書類等を持参の上、説明をするよう指示したということでございます。
 その後、3月1日でございますが、くだんの事業担当者が盛岡地方振興局を来訪いたしまして、補助事業としての実態がなかったという法人としての報告をしたということでございまして、盛岡地方振興局におきまして、至急、てんまつ書を提出するよう指示したということでございます。3月4日、同センターの理事長が盛岡地方振興局を訪れ、てんまつ書を提出したと。翌3月5日でございますが、盛岡地方振興局におきまして同センターの立入検査を行いまして、補助金の交付決定を受けた事業内容が実施されていなかったことを確認いたしたということでございまして、こういった状況、経緯を踏まえまして、昨日の3月8日、補助金交付決定の取り消しを行ったということでございます。
〇及川あつし委員 実は私は若干不思議に思っていまして、私が質問したのは3月3日であります。今、部長の御答弁ですと、2月22日には何となく疑義がおぼろげに発覚して、3月1日には担当者が来訪してそれを認めたということですので、3日の段階でしかるべき答弁ができたんじゃないですか。一応お伺いします。
〇加藤地域振興部長 3日の時点でございますが、2月22日の方針を出しておりましたが、いろいろな案件が寄せられている、あるいはほかの事業についてもということがございまして、調査継続する、必要な調査を行う、その上で対応をとっていくということを答弁申し上げたつもりでございます。ただ、まだその時点における最終的な確認ができていなかったものですから、その時点におきましては、含みというか、今後、そういうことも含めて考えたいという旨でお答え申し上げたものでございまして、御了解いただければと思います。
〇及川あつし委員 了解はしませんが、次に進みます。
 今回の違反について、もう一つ確認しておかなければいけないのは、現在も契約期間内の公会堂の管理運営業務と県民の森の指定管理についてであります。
 当初、2月22日の方針では、契約期間途中の解除は行わないとしておりましたが、きのういただいた資料によれば、年度途中の解約はしないと変わっておりますが、この変わった内容、取り扱いについて御説明をお願いしたいと思います。
〇加藤地域振興部長 年度途中の契約の扱いでございますが、これは、県の通常の委託契約等の問題でございます。これにつきましては、2月22日時点、あるいは昨日、方針を出したものにつきましても変えておりません。委託契約ということで、年度単位という部分につきましては期間が限られていると。これから業者がえというか、委託がえとしても、なかなかその手続だけで経過してしまうと。県民サービスへの影響等も踏まえまして、この期間につきましては、しっかり委託元としての県としても監督、監視しながら事業は継続していただくということで、そこの部分は変更ございません。
〇及川あつし委員 確認ですが、では、公会堂の管理業務はそのまま、県民の森の指定管理については平成24年3月31日までですから、県民の森については途中で契約を打ち切るという可能性があるかどうかというのを確認します。
 もう一点は、今のいわてNPOセンターに継続して運営業務を委託したとして、問題がないと認識されていますか。
〇加藤地域振興部長 指定管理につきましては、制度体系は別なものですから、これにつきましては、今回は、委託というか、来年度以降の委託の手続につきまして早急に考えなければいけないという中で示させていただいたというものでございまして、今回の対応等も踏まえて、指定管理の事業につきましては検討するということになります。
 また、体制についてでございますが、今回を踏まえて、実際、法人がどういう形になっていくのか、職員体制の問題等ございますので、これが指定管理の事業を適切に遂行し得るかどうかということは、しっかりチェックというか、体制が大丈夫なのかどうかということは、こちらとしても見きわめていかなければならないと考えております。
〇及川あつし委員 もう一度確認です。公会堂は事実上そのままいく、県民の森の指定管理については途中で見直す可能性があるということでいいですか。
〇加藤地域振興部長 済みません、ちょっと答弁が不明瞭だったかもしれませんが、指定管理につきましては、今回の対応も含めて、全体としてちょっと検討を継続させていただきたいということを申し上げたつもりでございまして、公会堂と県民の森ということで取り扱いを異にするというか、そういう形での認識ではございません。
〇及川あつし委員 わかりましたが、ほかの議員の方のほうにもいろいろな話があるようでございます。県民の森の指定管理についても、雇用実態の問題等もあるやに聞いておりまして、また部局別審査でもあるかもしれませんので、ほかの委員に譲りたいと思います。
 もう一点お伺いしたいのは、今回、いわゆる新しい事案が発覚するに当たって、NPO法に基づけば、今まで報告聴取を求めていたものが、きのういただいた県の文書ですと、県の要請に対して不誠実な対応がなされていたという文章が2カ所あるんです。ですけど、私の読み込み方では、これは虚偽の報告であったんじゃないかと思うんです。ですから、虚偽の報告であったとすれば、同法第49条第10号の罰則規定に該当しますので、20万円以下の過料ということになります。県としては、告発するに十分な案件だと私は思うわけですが、告発についてどのように考えておられるか、御見解をお示し願います。
〇加藤地域振興部長 若干錯綜しておりまして恐縮でございますが、NPO法に基づく報告でございますが、これは、同法人が旅行業代理業の不正登録をした疑いがあるという問題がございまして、それにつきまして、同法人もその事実を認めているという旨の報道があったことから、県といたしまして、昨年11月27日付で、NPO法に基づく法令違反の事実の有無や事件の経緯の詳細について報告を求めたということでございまして、昨年12月14日に報告を受けております。これにつきましては、NPO法第41条に基づく報告ということでございますが、昨日の方針等で、県に対する報告内容云々という表現は、これとは別に、受託事業に関して、発注者としての責任で、きちっと改善してもらわないと困る、あるいはこういう体制をとってもらわないといけないということで、こちらとして要請したというか突きつけた、その内容について報告があったと。その内容について、それどおりの対応が行われていなかった、対応が不十分であった、それが不誠実であったということで、委託事業者というか、契約相手方としての判断でああいう形にしたということでございまして、NPO法に基づくものにつきまして、そういう認定を行ったわけではないということで、いろんな報告なり求めているもの、その根拠等がちょっと前後しておりまして恐縮でございますが、そういうことでございます。
〇及川あつし委員 部長、法律をきちっと的確にはめると、そのとおりなのかもしれませんけれども、法律の罰則規定にはまるかどうかは別としまして、12月25日に皆さんが通知として出された文書には、NPOの管理運営業務の適正な業務執行ということで、コピー代の件について、上記以外にも不適正な処理がないかも含め法人内部で徹底した調査を行えということが出ておりますよね。それに基づいていろいろ調べていったら、また今回出てきたと。私は、調べれば、まだ出ると思いますよ。その場合に、やっぱり皆さんが、監督権限を持っている立場としてきちっとした意思を示してこなかったがゆえに、こういうことになったんだと実は私は認識しております。
 過去にさかのぼって若干伺いますが、平成17年ぐらいですか、2005年に調査研究事業で400万円、2006年には48万円補助したいわゆるいわてNPOバンク、いわてコミュニティファンドという事業がございました。これは、設立された直後からすぐ休眠状態に入っていたということでありまして、これは、調査研究の委託も効果がなかったと言わざるを得ないと私は思いますし、結局、パンフレットの代金として48万円補助していますけれども、実際には、ファンドはすぐ休眠状態に入っていますから、この補助についても適正ではなかったと思うわけです。しかし、私が伺っているところによると、口頭でのやりとりはあったとは聞いていますが、文書できちっとした指導をしてないと思うんです。ですから、そういう一連の対応が相手方を助長させて、県が何回も通知を出しても守らない、そして、どんどん問題が発覚する、こういうイタチごっこになったんじゃないかと、私は経過を調査する中で思ったところでありますが、その意味で、これまでの対応の甘さが、今回の事案についても土壌をつくってきたと思っておりますが、知事に所感を伺いたいと思います。
〇達増知事 当時、NPOの資金確保について、県、NPO共通の課題として認識しておりまして、融資を担ういわてNPOバンク、助成を担ういわてコミュニティファンドというものの立ち上げの支援を県として行ったわけであります。この取り組みによって両団体が設立されたわけでありますけれども、市民や企業から資金を集めて融資する制度を創設するという所期のねらいが十分に達成できなかったことは残念であります。
 なお、今回の一連の不祥事については、法人内部のチェック体制や牽制機能が働かなかった等、同法人のコンプライアンス体制の未確立が大きな要因であったと考えております。
 委員も先ほど、いろんな議員のところにいろんな話が来ている等おっしゃっていましたけれども、そういったことは早目早目に県のほうにも教えていただければと思いますし、また、NPOというのは本質的には市民に向かって開かれた存在でありますので、内容によっては直接NPOのほうに指摘し、ただして、市民の信頼にこたえるNPOをつくっていくということに御協力いただければと思います。
〇及川あつし委員 今、知事が答弁されたから、お聞きするつもりじゃなかったんですが、そのつもりで私は情報提供したら、情報提供をそのまま相手に渡したんですよ。こんなんじゃ、私だって信頼して情報提供できないじゃないですか。どうですか。
〇達増知事 その情報の取り扱いの仕方について、県として、情報を提供してくださった委員ときちんと詰めて、それを書いた人が、そもそもどこまでコミットできるのか、そういったところを確認しなかったことについては反省しなければならないと思っておりますので、そうした反省を踏まえて、ぜひぜひ、みんなの力を合わせていかないとNPOというものは育てていくことができないし、また、NPOの不正等をきちんと明らかにし、必要な措置をとっていくことも健全なNPOの育成には不可欠だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇及川あつし委員 知事の答弁、了解いたしました。そういう姿勢でやっていただけるのであれば、私も健全なNPOを育てていくために御協力は惜しみませんので、よろしくお願いしたいと思います。
 ちょっと戻りますが、部長、結局、立派なパンフレットをつくったんですよ。コピーしか私は持っていませんが、いわてNPOバンク、コミュニティファンドと。結局、1件も融資してないんですよね、これは。でも、48万円補助を出しているんですよ、これに。このパンフレットも何部つくって、何部配布したかわからないし、中身を見ても、後日、NPOに認証されて優遇税制が適用される予定ですなんて書いて、こんなものはいい加減なんですよ。それについて、過去において何も対応してないんじゃないですか。部長は関係してないと思いますが、当時の対応についてどう検証していますか。
〇加藤地域振興部長 平成18年度の補助事業でございますが、その補助の時点におきましては、補助事業の内容を確認した上で、当然、事業計画等ございますが、それに基づいて必要なパンフレットなりつくられていたということで確認したとは伺っております。ただ、そういう形で法人も設けた、あるいは広報活動等も行ったということだったんでございますが、その後、実際になかなかその事業どおりいかなかった。いろんな状況の変化等もあったりとか、あるいはそういうNPOに独自の資金を供給するという想定どおりにいかなかったということは大変残念なことであったわけでございます。県としては、そういう形で事業の執行状況については確認したんですが、補助はしたわけですが、その後は、NPO法人の事業として、独自にというか、NPO法人が展開してくれることを期待したということであったわけでございますが、ちょっとその辺が実際にうまく回らなかったということについては、残念であったと思っております。
〇及川あつし委員 部長、僕は、完全に不十分な答弁だと思います。これは報道が間違っているんですかね。3月に貸金業の登録をして、6月に融資を始めるといって、やらなかったんです。ですから、確認したといっても、確認できてないはずですよ。設立直後にもうスリーピングしているし、理事会さえほとんど開かれてないということなんです。ですから、この件について十分に調査、検証したと言えますか。
〇加藤地域振興部長 補助金を交付したその補助金交付は、そういう広報をするとか、そこまでということでございまして、ちょっとその辺は、その後の効果もしっかりフォローすべきであったのではないかという反省はあるかと思います。ただ、補助金の使い道としてはそこまでだったということで、その後のフォローというものをもうちょっとしっかりやればよかったんじゃないかと思っております。当時につきましては、貸金業法の規制の問題とか、いろんな事業環境の変化も大きかったと思いますが、確かに実際に県なりがお金を支出したものにつきまして、想定からかけ離れているわけですが、そのとおりにいかなかったということは極めて残念なことであったということでございます。
〇及川あつし委員 ちょっとかみ合わないんですが、いずれ、ちょっと疑義がある案件についても、今のような御答弁の対応をしてきたから、こういう事案が生まれたと私は思っていますし、恐らく、県民もそのように見ているんだと思いますよ。ですから、部長、しっかり過去の事業についても検証すべきはもう一度検証していただきたいと思います。
 時間もあれですから、飛ばして、まだ結論は出したくはないわけですが、NPOのあり方について、ちょっと知事に伺いたいと思うんです。
 今、本来であれば、NPOというのは市民の寄附に基づいて財務基盤をしっかりやって、その中で公共の分野の委託等を受けるべきだと思うんですが、なかなか寄附文化が定着していませんので、NPOが委託頼りになっているという状況もあると思うんです。ここが本質のもう一点だと思うわけですが、今後のNPO育成の観点から、この点について知事はどう思われているか、お伺いしたいと思います。
〇達増知事 NPOの財務基盤の問題についてであります。県がNPO法人を対象に実施した調査によりますと、改善は見られるものの、依然として運営基盤が不安定な団体が多く見受けられます。NPOが自立して安定的に活動を継続していくためには、公共からの支出に頼らない自主財源の確保が重要な課題であります。その中で、民間からの寄附を増やしていくということも重要な課題でありますけれども、欧米ほど寄附文化が定着していない日本においては困難も伴うと考えております。
 NPOによる自主的な情報公開や実践活動を通じて、市民の理解、信頼が深まり、そして、NPOに対する社会的支援が拡大するという形でNPOの財務基盤が強化されていくべきと考えておりまして、そういう方向で県もしっかり支援をしていきたいと考えております。
〇及川あつし委員 終わります。ありがとうございました。
〇中平均委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終了いたします。
 知事を初め執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 これより各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
   午後2時0分 休 憩
午後2時18分 再開
〇久保孝喜副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑されるとともに、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間─おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、関連質疑については、冒頭に質疑を表明している委員よりも優先して発言を認めているものでありますので、その性格上、関連性のあるもののみについて、短時間かつ簡潔に行い、また、要望のみで終わることのないよう御協力をお願いいたします。
 本日は、議会及び総合政策部関係を終わるよう進行したいと思いますので御協力をお願いします。
 最初に、議会事務局長から議会関係の説明を求めます。
〇大矢議会事務局長 平成22年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、80ページ、81ページをお開き願います。第1款議会費第1項議会費の総額は12億9、900万円余でありますが、このうち、第1目議会費の8億6、134万円余は、議員46名分の報酬、旅費等の議会運営に要する経費であります。次に、第2目事務局費の4億1、620万円余は、議会事務局職員33名分の人件費及び事務費等で、事務局の管理運営に要する経費であります。次に、第3目議員会館費の2、145万円余は、議員会館の管理運営に要する経費であります。
 以上で議会関係の予算について説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇久保孝喜副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 2点、簡潔に質問します。
 一つは、政務調査費に関する住民訴訟の状況について、論点整理の内容はどうなっているか。
 この間、12月3日に第4回の口頭弁論、証人尋問が行われたようですが、その内容はどういうものだったか。
 今後の公判の見通し、全国で既に判決が出ているところの内容について示していただきたい。
〇大矢議会事務局長 平成18年に、開かれた行政を求めるいわての会が、知事を被告として提起した政務調査費の住民訴訟についてでありますが、知事は、原告の請求の棄却を求めて応訴し、現在も訴訟の係属中であります。
 これまでの審理過程としては、口頭弁論が3回行われ、その後、争点整理のための弁論準備手続が14回行われてきたところであります。
 その争点整理の内容についてでありますが、原告の指摘件数が膨大でありますことから、裁判所の訴訟指揮のもと、例えば議員連盟の会費について三つの議連に絞り込まれたこと、年月日が不明な領収書は除外したこと、個人的な交際費とされた支出については一部に絞り込まれたことなど、原告が指摘する争点が整理されてきたところであります。
 また、争点整理を一通り終えましたことから、12月3日に行われた第4回口頭弁論では、絞り込まれた争点について証人尋問が行われたところであり、その主な内容についてでありますが、議員連盟や団体等の会費、飲食を伴う会合等への出席、調査委託、人件費等の支出と調査研究活動とのかかわりなどについて証拠調べが行われた模様であります。
 今後の審理の見通しについてでありますが、第5回口頭弁論が3月26日に行われることとされております。今後は、口頭弁論を踏まえ、争点に関してさらに当事者において主張、立証が行われるものと考えられ、当面、訴訟は係属するものと思われます。
 次に、全国において判決が出された住民訴訟の内容についての質問でありますが、平成18年1月から平成21年3月までに判決が出された各都道府県の状況については、8県について判決が出されているところであります。
 訴訟の内容はさまざまでありますが、判決の結果は、県が勝訴したものが7県、一部敗訴が1県となっており、一部敗訴となった県の判決では、同伴者との私的な旅行、マニュアルに定める額を超えるガソリン代について違法な支出とされたものであります。
〇斉藤信委員 県議会議員の海外視察について、これまでの任期中の海外視察の参加者、会派と経費はどうなっているか。
 全国議長会を含めて、全国で海外視察を見直し、中止をしている都道府県議会の状況について示していただきたい。
〇大矢議会事務局長 次に、県議の海外視察についてでありますが、これまでの任期中の海外視察の参加者、会派と経費についてでありますが、平成19年度は実績がなく、平成20年度は自由民主クラブからの参加者が5名、平成21年度は政和・社民クラブからの参加者が5名となっております。
 経費は、平成20年度が442万6、000円、平成21年度が446万8、000円となっているところであります。
 次に、全国の海外視察の見直し、中止等の状況でありますが、平成21年6月に長野県が行った調査によりますと、休止している県が14府県、中止している県が2県、自粛している県が2県となっております。
 その理由を見てみますと、財政状況によるものが10府県、県民の理解が得られないものとしている県が6県、その他2県となっております。
 また、全国議長会では、主催する海外行政視察の参加者が減少し、平成21年度以降当分の間、海外行政視察は実施しないこととしているところであります。
〇久保孝喜副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇久保孝喜副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 議会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、総合政策部長から総合政策部関係の説明を求めます。
〇高前田総合政策部長 総合政策部関係予算について御説明申し上げます。
 今般の組織再編に伴いまして、総合政策部所管の業務は、新年度から秘書広報室、総務部及び政策地域部に分かれることになりますので、新しい組織に対応した形で御説明させていただきます。
 まず初めに、秘書広報室についてでございます。秘書広報室では、知事のトップマネジメントをより機動的に支援し、その業務の一層の円滑な推進を図るとともに、効果的な広報戦略を推進するため、全国に向けてわかりやすく、タイムリーな情報発信を行い、岩手のイメージアップと岩手ブランドの構築に努めてまいります。
 次に、政策地域部についてでございますが、政策地域部における重点事項のうち総合政策部関係のものの1点目は、いわて県民計画の普及推進でございます。
 希望郷いわてを実現していくため、県民への計画の周知を図るとともに、岩手の未来をつくる七つの政策や岩手の未来を切り開く六つの構想の実現に向けた県民との協働による取り組みを展開し、あわせて、アクションプランに位置づけられる政策等の評価や、県民視点に立った県民協働型評価の拡充のほか、政策の企画立案、評価に資する統計調査を着実に進めてまいります。
 2点目は、平成28年に本県開催が内々定しております第71回国民体育大会に向けた取り組みでございます。
 6年後の開催に向けて、第71回国民体育大会岩手県準備委員会で御審議いただきながら、開催基本構想の策定や中央競技団体正規視察への対応など、諸準備に取り組んでまいります。
 3点目は、ソフトパワーいわての推進でございます。
 岩手の文化、暮らし、景観、もてなしの心などの多様なソフトパワーの源を掘り起こし、その魅力を発信する活動を展開してまいります。
 それでは、歳出予算について御説明を申し上げます。
 議案その1の6ページをお開き願います。秘書広報室所管となります歳出予算は、2款総務費のうち2項企画費の一部の5億2、784万円であり、総務部所管となります歳出予算は、1項総務管理費の一部の994万円余、政策地域部所管となります歳出予算は、2項企画費の一部の4億2、834万円余及び7項統計調査費の9億9、132万円余を合わせました14億1、967万円余でございます。
 その内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明を申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明をさせていただきます。
 予算に関する説明書の88ページをお開き願います。まず、秘書広報室所管分でございますが、2款総務費2項企画費1目企画総務費の説明欄の管理運営費は、人件費及び一般管理事務費でございます。次のページ、3目広聴広報費でございますが、まず、広聴活動費は、多様な県民ニーズを的確に把握するため、広聴活動を行おうとするものであります。県政広報事業費は、県の重要な政策等につきまして広く県民への周知を図り、県民の理解と積極的な参画や協働を促進しようとするものでございます。いわて情報発信強化事業費は、テレビや雑誌等の県外メディアにより、いやしや健康をテーマとした元気になれるいわてをPRし、岩手のイメージアップや岩手ファンの拡大を図ろうとするものでございます。いわての魅力Web発信事業費は、民間の活力を生かし、インターネットを活用した斬新な発想で岩手の魅力発信に取り組むとともに、新たな雇用を創出しようとするものでございます。
 次に、総務部所管分でございますが、少し戻りまして83ページをお開き願います。2款総務費1項総務管理費3目文書費の説明欄の情報公開制度推進費及び情報公開基盤整備費は、情報公開条例に基づき、適切な情報公開を推進していこうとするものでございます。個人情報保護制度推進費は、個人情報保護条例に基づき、個人情報保護制度を推進していこうとするものでございます。
 次に、政策地域部所管分でございますが、88ページをお開き願います。2款総務費2項企画費1目企画総務費の説明欄のプロジェクト研究調査事業費は、東北経済連合会と連携してILC、いわゆる国際リニアコライダー計画に関する研究会を開催するほか、ILC地下施設設計の基礎的な情報を得るため、東北大学との共同研究により、北上山地のボーリング調査等を行おうとするものでございます。ソフトパワーいわて戦略推進事業費は、本県の多様なソフトパワーの源を掘り起こすとともに、漫画を活用して本県の魅力を発信しようとするものでございます。志の国連携推進事業費は、NHK大河ドラマ龍馬伝で注目の集まる高知県との連携、交流を通じて、岩手の魅力を全国に発信していこうとするものでございます。第71回国民体育大会開催準備費は、平成28年に本県開催が内々定している第71回国民体育大会のための必要な準備を行おうとするものでございます。次のページ、2目計画調査費の主なものでございますが、まず、いわて県民計画推進費は、いわて県民計画の県民への周知を図るとともに、岩手の未来をつくる七つの政策や岩手の未来を切り開く六つの構想を推進するためワークショップ等を実施し、県民との協働による取り組みを展開しようとするものでございます。政策形成推進費は、政策及び施策の企画立案、評価に資する各種統計調査や情報収集を実施しようとするものでございます。政策評価推進費は、政策等の評価に関する条例に基づいて、政策評価委員会の意見等を踏まえ政策や事業等の評価を行うほか、県民視点に立った県民協働型の外部評価を拡充しようとするものでございます。
 次に、少し飛びまして101ページをお開き願います。7項統計調査費1目統計調査総務費の主なものは管理運営費ですが、これは、人件費及び一般管理事務費でございます。2目地方統計調査費は、県単独で実施する統計調査に要する経費でございます。次の102ページの3目委託調査費は、国の委託により実施する統計調査に要する経費でございますが、平成22年国勢調査等17の統計調査を実施しようとするものでございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇久保孝喜副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇岩渕誠委員 それでは、私は89ページにあります広聴広報費に絞ってお尋ねをしてまいりたいと思います。
 今、部長のお話にもありました。来年から秘書広報室というものが出てくるわけですけれども、いろいろるる説明があったわけであります。
 これを川口総括課長にまず最初にお尋ねをしてまいりますが、秘書広報室という名前で─普通だと秘書室とか知事公室とかという名前がある中で、広報という名前が出てまいりました。それなりの意味を持っているんだと思いますけれども、広聴広報課総括課長として、来年度から秘書広報室と位置づけられるところに広報という名前が出るということについては、そこに込められた思いというのをどう理解していますか。
〇川口広聴広報課総括課長 広報につきましては、これは県の施策を県民の方々に広く周知をするという意味におきましては、極めて重要な業務であると考えてございます。特にも、知事の思い入れといいますか、そういうものを反映して県の施策を県民の方々に御理解をいただくということでありますので、秘書広報室という形で知事の意向を十分踏まえながら、県民の方々に広く広報を展開してまいる所存でございます。
〇岩渕誠委員 いずれ、広報というのは非常に大事でありますし、それが名実ともに表に出てきたわけでありますので、これはしっかりとやっていただかなければならないということを自覚されているということで安心をいたしました。その前提で話を進めます。
 新年度予算では、いわて情報発信強化事業費として2、700万円が計上されております。ただいまの説明にもありましたとおり、県外の各種メディアに対していろんなことを仕掛けていくということなんですが、これはいやしや健康をテーマにした元気になれるいわてというのがキーワードだそうでありますが、平たく言うと、なぜ、今、いやしと健康なのかということも含めて、このテーマ設定はどんな目的で決められたのでしょうか。
 それから、いやしや健康をテーマにした元気になれるいわてというのは、いわて県民計画とかいろんな政策、施策がありますけれども、どういった政策、どういった施策とリンクをしているのか。また、そのことをすることによっての県民利益は何なのか。そこで出てくる実際の企画提案、これは恐らくコンペをやるんだと思いますが、どんなものを想定しているのか教えてください。
〇川口広聴広報課総括課長 健康、いやしをテーマという言葉でございますけれども、これにつきましては、新しい県民計画の中で、岩手の未来を切り開く三つの構想というのがございます。その中で、元気になれるいわて構想というのがございまして、そこで、健康でありますとかいやしでありますとか、あるいは憩い、スローライフ、そういったものを唱えておるわけでございます。岩手に実際に来ていただいて元気になっていただくというのがモットーでございまして、最終的には対外的なPRを行って、そして岩手に実際に来ていただく、そして泊まっていただく。ちょっと直接的な言葉になるかもしれませんけれども、岩手の産物も買っていただいて、味わっていただいて、さらに帰ったときにもう一回岩手を訪れたいとか、リピーターとか、あるいは口コミ等で自分の知り合い等に、岩手に行ったらこんなによかったよというのをどんどん広めていくと、そういうものを期待して、健康、いやしというものを前面に出して広報を展開してまいりたいと考えているものでございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。いずれ、いわて県民計画とリンクをしているんだということでありますけれども、いわて県民計画を私なりに理解をしますと、岩手県民に対してこういうものをつくっていくということなんですが、今回この事業では、県外メディアを対象にしているということで、若干の違和感も感じるわけでありますけれども、最後に言ったいろんなテーマ設定、県民利益はわかりました。
 では、具体にどんなものを想定しているんですか。
〇川口広聴広報課総括課長 具体的には先ほど委員がお話しになったとおり、これから企画の提案をいただきまして、コンペを開催して業者を決定していくということになりますけれども、具体的には、今、県で考えているものにつきましては、今年度も実は健康、いやしをテーマに広報活動を展開したわけでございます。今年度やった事業を一応見直しをして、そして課題も出てきたと考えてございます。
 課題として出てまいりましたのは、特に首都圏に対する、メディアに対する露出という意味からいいますと若干弱かったかなと考えてございますので、今年度は例えば広報誌をつくったり、ポスターをつくったりしてJRに掲示するとかやったわけですけれども、そのものはもう来年度は新しくはつくらないと。基本的には、今年度つくったものをそのまま引き継いで増刷をかけていって、予算的には浮く分をできるだけテレビに対する露出を高めていくような、そういう企画提案を受けたいと考えてございます。
 例えば最近よくございますけれども、地方の産物、特に食産物、そういったものをテレビ番組で取り上げているというのがふえてございます。テレビで放送されますと、翌日から具体的に電話とかファックスとかでいろんな問い合わせがそちらのほうに殺到するというのがございますので、私どもやはりテレビの影響というのは非常に大きいと考えていまして、来年度につきましては電波に乗せた形で岩手の露出を図っていくような形で、事業者のほうからはいい提案をいただきたいと考えているものでございます。
〇久保孝喜副委員長 この際、進行に御協力を願うため、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。
〇岩渕誠委員 今、方法論の部分の話が多かったんですが、私が聞きたかったのは、どういうメディアをどう活用するかという方法論ではなくて、コンセプトとか中身をどう想定するのかと。いわば、広報というのはプロデューサー機能なわけですね。しかも総括課長ですから、県全体の広報のプロデューサーなわけです。プロデューサーというのは、戦略と戦術と予算からキャスティングまで普通は握っているわけでありますから、そういった自覚のもとにお話をしていただきたかったなと思います。この事業についてはやめます。
 もう一つ、今回ふるさと雇用再生特別基金の中で、いわての魅力Web発信事業というのが総合政策室でやられるわけであります。雇用創出の断面でくくられておりますけれども、情報発信のいわゆる広聴広報の観点から言うと、かなり意味があることだと思っております。特にも、情報発信の中でこれだけインターネット、携帯、いわゆるネット媒体が出てきているんですが、岩手県の場合はなかなかここが弱かったんじゃないかと思うんですが、この新しいウエブ発信事業によってどういったものをやられるのか。そして、具体に広報的な位置づけとしてどういう県民利益があるのか、その辺どのようにお考えですか。
〇川口広聴広報課総括課長 確かに今委員が御指摘したとおり、今までやってきた広報では、ウエブに対する取り組みが若干おくれていたというのは自覚をしてございます。
 このふるさと雇用事業というのは、雇用を確保するというために全庁的に取り組むということで、各部局がそれぞれ知恵を出し合って事業を起こしていくと、そして雇用を生み出すというものでございます。広聴広報課といたしましては、今まで弱かったウエブを活用した事業ということで、一つは、県民も知らなかったような岩手の発見ということで、例えば食のサイトを立ち上げていただくとか、あるいは場合によっては動画を使った岩手の紹介というか、そういったもの、あるいは高校に限らずいろんな同窓会がございます。そういった同窓会のつてなんかを使って、口コミで情報発信をしていくというような事業を行うことによって、岩手ブランドを確立していきたいということで、手を挙げて実施することにしたものでございます。
〇岩渕誠委員 マス媒体と違ってウエブ媒体というのは個々のやりとりになりますから─ただ、個々のやりとりというのは非常に力があるわけでありまして、そこの部分にようやく力が入ってきたのかなという感じがいたしております。しかも今、食というところが盛んに強調されたわけでありますけれども、いわて県民計画とかを見ていますと、いわゆる広報に期待される役割として6次化支援とかプレミアム戦略というのもあるわけですけれども、そういったところも考えると、食というところもきちんと広報していただかないと、これは県民利益に直接つながる話ですので、じっくりやっていただきたいと思います。
 まとめをさせていただきますけれども、繰り返しになりますけれども、秘書広報室という格好になると、二つの事業とも多分コンペをして民間の意見を、提案を待って、それで決めていくという方式になると思うんですが、ただ問題は、より広報戦略をきちんとするということにおいては、民間の提案をきちんと判断してみずからがプロデューサーになって、どういったものが一番いいのかということを県庁の職員の側がよくわかっていないと、これはただの丸投げになって、てんでんばらばらになってしまうわけです。だから、したがって、一番初めに、広報という名前にどんな思いが込められているんですかということを確認したのはそこでありまして、実は過去には、広聴広報課は東京の広告代理店に人を1年間出向してまで、本来は広報戦略を学ばせに行ったはずなんですが、現状を見ていますと、そういった企画力のところを県の職員として生かすのではなくて、アウトソーシングのやり方ばかりに行っているという、非常に私はちょっと本末転倒ではないかと思っているんですが、その辺をどのように認識されていますか。
〇川口広聴広報課総括課長 もちろん、企画をするのは県でございます。県のほうで、こういう方針で、こういう考え方で、そしてこういったものを提案してほしいということで、最初に企画するのは県側でございますので、あとはそれに対して事業者側が、手段としてこういうものを提案するということで、判断をするのはあくまでも県の側で判断して、当然、進行管理等もきっちり行っております。現実にも、広報事業であれば毎月報告を受けて、それなりにきちんとなっているかどうかというのを確認をした上で行っておりますので、決して事業者任せということではございませんし、また、県の広報ですので、事業者サイドとすると、県のいろんな内容というのはわからない面が多いわけですから、そういうものはうちの県のほうからきちっと材料を出して、それに基づいて業者のほうはあくまでも広報の手段を提供していただくと、こういう考えでありますので、県がきちんと広報しているということに変わりはございません。
〇岩渕誠委員 いずれ、より広報の観点で言うと、政策的センスとそれから広報の媒体の特徴をつかんで質の高いものができるような、指示ができるような職員を養成しないと、やっぱり高くなっていかないわけですよね。いろんな県庁の各部署、今、アウトソーシングをいろいろやっていますけれども、ともすると進行管理だけをしてしまって、質管理はお任せで言いなりになっているというケースがございます。それを是正するのは職員のレベルでありますから、秘書広報室という独立をした格好になりますので、ぜひその辺はより御努力いただいて適切な広報に努めていただくよう、要望して終わります。
〇工藤勝子委員 私からは、いわて県民計画推進についてお尋ねをいたします。
 いわて県民計画、希望郷いわてづくりが新年度からいよいよ事業化されてスタートしていくものと思っております。それで、七つの政策、六つの構想のもとにまさに実現に向けて普及推進を図っていくと。その中で県民との協働によるワークショップ等々ございます。その中で、県民との協働という呼びかけもそうですけれども、例えば各市町村、各団体、組織との協働はどのように実施されようとしているのか。特にも、一番身近である市町村との連携、推進対策のお考えについてお伺いいたします。
〇木村政策推進課総括課長 いわて県民計画の推進についてのお尋ねでございます。
 いわて県民計画に掲げました希望郷いわてを実現していくためには、委員御指摘のとおり、県民、企業、NPO、行政など、地域社会を構成するあらゆる主体がともに支え合いながら総力を結集していくという、地域経営の考え方に基づいた地域づくりが非常に重要だと考えております。その考え方は計画の中にも盛り込んでいるものでございます。特に地域経営の重要なパートナーであります市町村との連携というのが重要だと考えております。
 このような考え方に立ちまして、長期ビジョンの七つの政策に、市町村を初め構成主体ごとに一緒に取り組みたい姿というものをお示ししておりますし、アクションプランの中でも、42の政策項目ごとに市町村等の役割分担ということで記載をさせていただいているところでございます。
 また、計画の推進に当たりましては、地域との協働による地域経営を行うために、広域振興圏ごとに地域編を作成するときも設定したものでございますが、地域住民、市町村それから有識者等で構成する圏域運営懇談会、そういう場における協議、それから七つの政策、六つの構想の具体化を検討するための県民等が参加するワークショップ、そういった手法等も活用しながら、市町村と十分な連携をとりながら、希望郷いわての実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 それでは、この計画について市町村にも説明がされて、市町村からのいろんな御意見、要望等も伺っていらっしゃるのでしょうか。
 例えば市町村では市町村なりの、自分たちの長期計画、短期も含めていろんなビジョン、計画があるんだろうと思います。遠野市でもつくっております。そういう中において、県民計画とまさにマッチしながら県民に周知していくということが非常に大事ではないかと思うんですけれども、市町村への今後の説明とか理解度というのは、どうとらえていらっしゃいますでしょうか。
〇木村政策推進課総括課長 特に市町村の総合計画等の連携ということについて非常に重要だということでございまして、先ほど申し上げました圏域運営懇談会ということで、政策の策定過程においても、こういうところを中心に市町村のほうからも御意見を伺っておりますし、あと、広域振興圏ごとに各振興局のほうで市町村と意見交換というような格好でやっているものがございます。
 昨年12月に計画をつくったわけですが、計画策定後におきましても、特に県民、市町村も含めまして、そういう周知が非常に重要だということでございますので、各振興局、特に市町村ということであれば地域編を中心に、各広域振興局それから各地方振興局のほうに周知について十分にやってくれということでお願いをいたしまして、これにつきましては、各振興局ごとにきめ細やかなというか、かなりの数の地域説明会というか、市町村も含めました県民向けの説明会というのを開催していると聞いているところでございます。
〇工藤勝子委員 今度、国との調整や政策立案を行った総合政策部と地域振興を図る地域振興部が、結局一体になるわけでございますので、10年の長期計画でありますので、例えば1年ごとにも今非常に変わる時代であります。この長期計画が10年そのまま、基本的なものは崩れないにしても、変更する部分もかなり出てくるのではないかと思っていますけれども、政策立案の部分が今後手薄になるようなことはございませんか、その辺のところをお聞きいたします。
〇木村政策推進課総括課長 政策地域部になるわけでございますが、いずれ、現在の総合政策部の体制というのは、基本的にはそのまま残るというようなことでございます。委員今おっしゃった地域課題とそれから全庁的な課題というのを一体的に推進していくということで、4月から政策地域部になるということでございますので、いずれ低下するということではなく、むしろ、より一層企画立案機能が強化されるものと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 結局、県としていろんな地域振興を図る上でも、私、政策を立てるということは非常に一番重要なことになるのではないかと思っているんですね。手薄にはならないというような御答弁でいらっしゃいますけれども、ぜひこの部分で、一体になったことよって地域を振興する部分だけではなくて、国からのいろんな政策を受けるという部分も県はあるんだろうと思いますので、そういう部分において、今後とも、政策を立てる部としての役割をぜひしっかりやっていただきたいと思っております。
 そして、市町村との連携、協働を図るためには、例えば職員の交流とか、そういうものも非常に大事になってくるのではないかと思いますけれども、最後に部長に、その辺のところの、今後、市町村との交流事業等についてのお考えを聞いて終わります。
〇高前田総合政策部長 まず、国との調整それから企画立案が手薄にならないかといったような御指摘、御懸念でございますけれども、今回の組織再編の目的というのは大きく二つあると私ども考えておりまして、一つは、企画立案機能の強化ということでございますし、もう一つは、広域振興局の支援機能との連携の強化ということでございまして、地域づくりをきちんと窓口一つにして支援していくと、そういう観点からの組織再編と。まさにそういう意味では、現在の組織の発展的な再編であると認識いたしております。
 それから、市町村との連携の関係でございます。先ほど担当の総括課長からも御答弁申し上げましたように、これからいわて県民計画を推進するに当たって、市町村との連携というのは極めて重要な課題と私どもも認識をいたしておりまして、先ほど御答弁したようなあらゆる機会を通じて、まずは計画の内容の周知に努めていくと。これまでも策定過程におきましていろいろと御意見は伺ってきているわけですけれども、実行の段階で連携がとれるような、そういう仕組みづくりをしっかりとこれからやっていきたいと思っております。
〇亀卦川富夫委員 88ページの企画総務費のうち、プロジェクト研究調査事業費についてお伺いいたします。
 この件は先ほど部長から、ILC─国際リニアコライダーの関連ということでお伺いしました。国際プロジェクトとして非常に日本の実現に向けて夢のあるお話でありますが、夢から理論、理論から今は技術設計といいますか、工学設計の段階まで進んできたものと非常に喜んでおります。
 そこで、日本実現に向けて岩手県が有力な候補地になっている北上山地について、資料の提供というんでしょうか、整備に向けての環境整備というような形で協力していくんだろうと思いますが、平成21年度に県独自でも一定の調査をやられておるわけでありますが、今回の共同研究負担金に至るまでの経過として、本年度21年度でやった調査事業の内容、それの成果、こういったものと、これが平成22年度の取り組み、共同研究負担金につながっていると思うんでございますが、その点についてまずお伺いしたいと思います。
〇大平政策調査監 プロジェクト研究調査事業の平成21年度の調査の概要と平成22年度の計画ということのお尋ねでございます。
 本年度21年度は、国際リニアコライダー計画の建設候補地とされる北上山地の花崗岩岩体の分布状況について調査を行ったものであります。
 具体的内容といたしましては、北上山地の二つの花崗岩岩体、人首岩体と言われるものと千厩岩体と言われるものがございまして、それの接触部分について地下構造について不明確、不明瞭であったということから、専門機関に委託いたしまして、花崗岩の分布状況の現地調査や人工振動、人工地震を起こしての地下岩盤の調査を行ったものであります。
 その結果といたしまして、当該部分、二つの岩盤が接触する部分については、安定した花崗岩岩盤が広く分布していることが確認され、国際リニアコライダーなど地下施設建設には支障がないとされたところであります。
 平成22年度に行う東北大学との共同研究についてのお尋ねでございますが、基本的には、今年度の事業を受けて平成22年度行うということではございませんで、今年度は受け入れのための基本的な要素というか、問題がないかというところで県独自に行ったものであります。
 平成22年度に行う地質調査につきましては、東北大学といたしまして、国際リニアコライダー計画のための岩盤、地質の研究チームを構成すると。その上で地元自治体である本県と共同研究を行うことにより、北上山地の花崗岩岩体が地下でどのような構造になっているか、あるいは岩盤が強固で安定であるかなどを明らかにして、トンネルなどの地下施設設計に必要な基礎的情報を得ようとするものであります。
 具体的には、前述いたしました人首岩体と千厩岩体と呼ばれる花崗岩の岩体、この部分につきまして実際にボーリング調査を行うとか、あるいは人工振動、人工地震を起こしての地下構造の調査などを行うものであります。
〇亀卦川富夫委員 ありがとうございました。ぜひ期待していきたいと思いますが、もう一つ、昨年、本県も参加した東北加速器基礎科学研究会─東北大学と東北経済連合会が共同代表でやられている会でありますが、今のような平成22年の取り組みが始まりますと、いわゆる県民と申しますか、国民に対してこういった意義とか、あるいは何というんでしょうか、国際プロジェクトの意義というものの啓蒙というんでしょうか、そういう理解を求めるというような運動が大切だと思うんでありますが、この辺の進め方につきまして、ただいまの東北大学との共同研究というような部分との関係、あるいは連携してやっていくものかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
〇大平政策調査監 東北加速器基礎科学研究会は、昨年4月に東北大学の井上総長と東経連の幕田会長が呼びかけになって設立されたものであります。今回東北大学と共同研究を行うと。
 東北大学につきましては、国際リニアコライダーの中核的研究の一端ということのみならず、地球の内部構造、例えば火山だとか地質など、どちらのほうに対しての研究も一大拠点となっているところであります。このような研究会と本県が一緒になって活動しているわけでありますが、今年度と、来年度も同じでありますけれども、県民の方々はもとより、東北の方々に対して、国際リニアコライダーの研究の意義などについて広く理解をしていただくと、そのようなことが重要と考えておりまして、講演会など今年度も4回、平成22年度につきましても同じ程度4回の開催を予定しております。
 このようなことで、東北大学あるいは東北加速器基礎科学研究会など関係機関と連携を深めながら、東北一体となった国際リニアコライダーの受け入れ環境の醸成、環境整備、そのようなことについて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
〇亀卦川富夫委員 ぜひそういうようなものが大きな成果が出るように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 一方、これは相当大きなプロジェクトでありますから、非常に期待も大きいと思うんです。
 そこで、ややもすると、いわゆる誘致運動というような形で手を挙げる、ある意味では我田引水型のものになりがちでありまして、そうしますと国際プロジェクトというものに水を差すようなことだってあり得るんだろうと思います。そういった意味で、従来の誘致運動と全く違うというような、今回もこれだけのお金を岩手県が用意してせっかく共同研究に取り組む、そういった意味で正しい理解といいますか、むしろ啓発、啓蒙的な運動が必要になってくるのではないかと。いわゆる誘致運動に陥らないような、そういった一線を画しながらしっかり取り組むと、そういうものが私は非常に大切だろうと思いますが、この点についてのお考えあるいは取り組み方についてお伺いしたいと思います。
〇大平政策調査監 委員御指摘のとおり、国際リニアコライダー計画につきましては、我が国を初め関係国政府、建設候補地にはアメリカとかヨーロッパもなっているわけでありますが、そちらの関係国の政府が認めたプロジェクトチームにはまだなっておらず、現時点では、研究者などによる国際設計チームが技術設計を行っている段階であります。そのような研究者や研究機関の活動が中心になっているものであります。
 このような時点で委員の御指摘にありましたように誘致活動を行うと、そのような段階には至っていないと考えております。したがいまして、国際リニアコライダーがどういう意味を持つのかというようなことをまず国民の方々に広く理解していただくと、それが遠回りではなく逆に早道になるのではないかと考えております。
〇亀卦川富夫委員 最後にいたします。最後というよりも、今のようなことを粛々とひとつ進めていっていただきたいと、このようなことをお話し申し上げて終わります。
〇嵯峨壱朗委員 何点か質問させていただきます。
 先ほど部長が説明したとおり、予算は総合政策部になっていて、説明は新たな部局の説明になっています。ですから、どうやって質問しようかと悩んだところでした。とりあえずそこだけ指摘させてもらって。
 それで、初めに広聴広報費についてお伺いしますけれども、これは平成21年度よりも2、307万円余ふえておりますけれども、昨年との違いはどの辺にあるのか、聞かせてください。
〇川口広聴広報課総括課長 広聴広報費が2、300万円余増加してございますけれども、その主なものにつきましては、まず、ふるさと雇用再生特別交付金によるいわての魅力Web発信事業の実施と、それからいわてグラフに係るものでございます。
 ふるさと雇用再生特別交付金を活用した事業につきましては、インターネットを活用しまして岩手の魅力を発信していくということでありまして、これにつきましては既に補正で1、700万円ほど措置して事業を開始したというところでありますが、来年度は3、200万円余の予算で本格的に事業を展開していくという予定でございます。
 それから、いわてグラフでございますけれども、これは今、年5回発行してございます。来年度につきましては、これを年6回ということで隔月の発行にしたいというもので、情報発信を強化していきたいと考えているものでございます。
 一方では、従来の情報公開制度に係る予算につきましては当課のほうにあったわけですけれども、組織再編に伴いまして総務部のほうに移管になるということで990万円ほど、この広聴広報の経費から総務部のほうに移管されるということで、トータルとして、プラス、マイナスで2、300万円余の増加となったものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 情報公開の分が減っているけれども、ふえた分以上に充実してやるという説明ですね。
 そこで委託料が1億8、600万円出ていますけれども、これの中身はどうなっているのか。
〇川口広聴広報課総括課長 委託費の1億8、649万円の中身でございますけれども、まず、今、申し上げたいわての魅力Web発信事業、これで3、200万円余ということになります。それから、いわてグラフの作成費として6、590万円ほどございます。それから、テレビ、ラジオ、それから新聞等を使った広報媒体ということで4、800万円余というのがございますし、あとは県外向けの広報ということで、2、500万円ほど委託料として組んでいるものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 先ほど岩渕委員の質問に対しても露出を高めるという言い方、表現をしていましたけれども、露出を高めるのはどの部分を高めていくんですか。
〇川口広聴広報課総括課長 全体的には質を高めていかなければならないと考えているものでございまして、例えばいわてグラフにつきましても物理的には年6回ということになるわけですけれども、内容的には、例えば若い世代にいわてグラフというのは余り読まれていないという調査結果がございます。全体的には接触率というのは70%近いので、非常によく見られているという面はありますけれども、一方では、若い世代がなかなか手にとって見ないということがございますので、若い方に手にとって開いていただくような、そういう方策を講じてまいりたいと考えておりますし、県外広報につきましても、健康、いやしとか、そういったものを特にテレビの電波に乗せて岩手を情報発信していくと、そういうことで質的にも量的にも高めてまいりたいと考えているものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 若い世代に注目してもらえるような内容にしたいと。どうやったら若い世代に注目してもらえると思っておりますか。
 それと、何を露出しているのかというのがちょっとよくわからなかったのですが、もう一度お願いします。
〇川口広聴広報課総括課長 今、いわてグラフのお話が出ましたので申し上げますと、今年度のいわてグラフの例えば表紙、一番最初は表紙でございます。表紙を見たときに、これは地域でいろんな活動をしている団体の方々を写真に掲載しているわけですけれども、やはりどちらかというと年配の方が多かったかなという気がしてございます。年配の方は非常によく見ておられますので、若い方にまず手にとってページを開いていただくというためには、これは今後の検討になりますが、自分たちと同年代あるいは若干低い年代で、内外で活躍しているような方を表紙にどんと載せると。そして1ページをめくるとその方の活躍の状況等がぱっとわかるような工夫をして、とにかく若い世代にまずは手にとってもらうと、そして開いてもらうと、そういった工夫をやってまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 若い世代に注目してもらうような努力はやっていただきたいと思います。
 何を露出しているのか説明がないと思うんですけれども。
〇川口広聴広報課総括課長 若い世代は特に岩手に対する誇り度というか、そういったものが若干低いと。それから、県政に関する関心度も低いと結果が出ていますので、岩手の若い世代の方が、こんな世代の方が活躍していると、そういうものを記事に盛り込むとか、あるいは岩手にはこんなすばらしいものがあるんだというのを若い世代の方に訴えていって、そして若い世代の岩手に対する誇りと、そういったものも高めてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 若い世代はいいんですよ、それはわかりましたから。そうじゃなくて、先ほど言っていた何を露出していこうとしているのかという、そのことを答えてもらいたい。
〇川口広聴広報課総括課長 実質的に本格的に新しい計画がスタートする年でございますので、計画の中身をきちんと周知をするということと、それから、県内各地で既にいろんな取り組みをやっている方々がいらっしゃいますので、それらを紹介しながら参考にしてもらうというような形と同時に、あとは各部局から適宜タイムリーな情報を出していくということで考えております。
〇嵯峨壱朗委員 本当は露出したいものがないんじゃないの。聞いても答えないということは、答えられないのか、ないのかどっちかですが、どっちですか。
〇高前田総合政策部長 今、何を露出するのかというお尋ねでございまして、これは県内と県外でやっぱり露出の考え方が違ってくるのかなと思っておりまして、県外向けには、例えば岩手の豊かな資源ということで、自然、文化、それから良質な農林水産物といったような、岩手の豊富な地域資源の豊かさみたいなものをどんどん露出をしていきたいと。そういうことで、あらゆる媒体を有効に活用しようというような取り組みが今ございます。
 それから、県内広報のほうの露出につきましては、ただいま広聴広報課総括課長が申し上げましたように、まずは喫緊の課題としては、いわて県民計画を県民の皆さんにしっかりとお知らせをしていきたいと考えておりますし、あわせて、これはもう既に取り組みが始まっておりますけれども、広域振興局体制の移行であるとか、それからさらには先ほど答弁にございましたように、地域づくりに頑張っておられるような、そういったような活動の実態というようなこともお知らせをしていきたい。そういうものの中で、若者向けに若者に関心を持っていただけるようなコンセプトであるとか、戦術として例えばイラストを少し多様するとか、そういったような工夫をいろいろしていきたいということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 説明がなかったから何回も聞いたんだけれども、なぜこれを聞くかというと、広聴活動とかの広報、今回名称が変わりますよね、秘書広報室に。となると、また単なる広報と違ってくるわけですよ。これは委員会のこの間のやりとりを見ていてもいろんな意見が出ていましたけれども、ということを懸念するわけです。一般的な県行政に代わることを広報する、今度秘書室とつながるということは、知事に直結してきますよね。だから、私はさっきの話で懸念したのは、そういうことはないと思うけれども、知事の顔を露出するのかとか、知事を露出していくのかと思っちゃったりするわけですよ。そういうことはないですよね。
〇高前田総合政策部長 先日の質疑の中でも同じ問題が取り上げられて御答弁申し上げましたように、これまでも各部局そして地方振興局からの広報意向というものをしっかりと把握しながら、県全体の広報に努めてきたところでございまして、今後ともその方針には変わりがございませんで、より一層のそういった内容の充実に努めてまいるということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 特に知事とか副知事を露出するということではないということでよろしいですね。いいですか……。では、そう理解しますので。
 それでもう一点、総合政策部は平成10年ぐらいに室になって、そして平成18年に部になっていると。私の理解だと室から部になるということは、その分、その部を重要なセクションとして県では認識してそうしたのかなととらえていたんですけれども、そういうとらえ方でよかったんでしょうか、まずお聞きします。
〇木村政策推進課総括課長 総合政策室が総合政策部になったのは平成20年度からということでございます。そのときの考え方ということでございますが、まず、平成13年度に総合政策室というものができたわけです。そのときには、全県的な政策立案機能を強化するということで、戦略性、機動性を重視して部相当の総合政策室というものを設置した。そのときに室という名称にした部分については、部との差別化を図って、従前の部とは異なる機能を重視した組織にしたいというようなことで、総合政策室という名称にしたということでございます。
 それで、いわゆる総合政策部門を所掌する組織というのが、平成13年当時はそれほど多くなかったということでございましたが、平成20年度の時点では全国的にもそういう組織が一般的で、その行政組織ということで、部ということで定着しているということ、それから、設置当初はいわゆるスタッフ機能を担う意味合いも非常に強かったということでございますが、平成20年度の時点では、秘書担当が秘書課、それから国体推進課というものも総合政策部の所管になったということで、一層の分化性というのが進んでいるということで、各部と総合政策室というものをあえて分ける違いというものがなくなってきたということから、総合政策室を総合政策部と変えたと理解しております。
〇嵯峨壱朗委員 端的に何を言いたいかというと、要するに、恐らく今の説明ですと、需要の質が変わってきて、やはり部として対応しなきゃだめになったから部にしたんだということだと思うんですけれども、この2年間で需要の質が変わったということなんですかね。つまり、そういう形でやらなくてもよくなったというから、今回の政策地域部に改称していくということなんですね。
 それと、先ほどの工藤委員の質問に対する答えもありましたけれども、政策立案の機能が余計低下しているんじゃないかと。それに対して、いや、機能の強化だという言い方をしておりましたけれども、やはり頭でっかちになるのは、確かにどうかとは思うんですけれども、決して強化には見えないですね、これで見ると。だから、何を強化するのかなと思って、その辺もお伺いしたいと思います。
〇木村政策推進課総括課長 今回の政策地域部の設置ということにつきましては、これまで総合政策部と地域振興部ということで分かれて、総合政策部が全県的な政策の企画立案、推進、それから、地域振興部において地域振興施策、広域振興局と地方振興局の支援ということでございましたが、それを融合することによりまして本庁における企画立案部門を強化すると同時に広域振興局に対する支援機能というものを一つの部で行うことで連携を強化するということで、いわて県民計画を着実に推進しようとするものでありまして、いわば、総合政策部と地域振興部の発展的統合というようなものととらえているところでございます。したがいまして、企画立案部門という部分については、一緒になることによって、強化することがあっても、低下するというようなことはないと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 今の説明でもあれですけれども、とらえ方とすると、地域と県全体のものと一体化することによって、一元化というのか、一体化という意味での強化は、そういった意味ではそうなのかもしれませんけれども、本来、総合政策部が持っていた企画立案とか、そういったさまざまな機能自体はやっぱり低下しているんじゃないですか。相対的に低下することにならざるを得ないじゃないですか。そう思いますけれども、違いますか。
〇高前田総合政策部長 このたびの再編についての考え方でございますけれども、この4月から広域振興局体制が整備されるということがございます。これを契機として、やはり地域で広域の政策をしっかりと展開していくような体制づくりというものがまず求められるということでございまして、そうしたことを考えたときには、現状、総合政策部での政策企画立案、地域振興部の地域振興支援機能、こういうものの融合というものが重要なテーマではないかということが背景にございます。これを背景といたしまして、本庁における企画立案部門を強化しながら、加えて、広域振興局の支援機能をしっかり連携を強化していくといったような意味で、今回の再編ということになったと御理解を賜りたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 最後に1点だけ、結局、総合政策部長は最後の総合政策部長になるわけですよね、部としては。そういった意味で、自分が、ここ2年間ですか、かかわってきて、総合政策部の使命は終わったと思いますか、どうでしょうか。それだけ聞いて、終わりにします。
〇高前田総合政策部長 使命は終わったかというお尋ねでございますけれども、私は、先ほど来御答弁申し上げていますように、今回の組織再編というのは発展的な統合だということでございまして、総合政策部として持っていた機能は従前と変わらない、その役割も変わらないと認識いたしております。
〇久保孝喜副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時24分 休 憩
午後3時42分 再開
〇久保孝喜副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 最初に、岩手県の経済の現状と今後の見通しについてお聞きしますが、県民総生産、特に物価が下がっている中では、名目の県民総生産額というのが経済の実態を示していますが、あわせて雇用者報酬の10年の推移についてどうなっているか。一貫して減少しているが、その主な要因は何か。内発型、循環型経済を目指す具体的な戦略、方策はどうなっているか示していただきたい。
〇長岡調査統計課総括課長 県内総生産と雇用者報酬の推移についてでございますが、県内総生産は、名目値で見ますと、平成12年度の4兆9、748億円をピークに減少傾向で推移しておりまして、平成20年度は、速報値で4兆3、642億円となっているところでございます。
 また、県民雇用者報酬につきましても、平成12年度の2兆5、607億円をピークに減少傾向で推移しており、平成20年度は、速報値で2兆2、086億円となっているところでございます。
 次に、減少の要因についてでございますが、公共事業の減少や世界的な景気の悪化のほか、県民雇用者報酬については、非正規雇用者の増大も要因の一つであると考えております。
〇木村政策推進課総括課長 内発型、循環型経済の方策ということでございますが、地域におきまして、安定的、持続的な経済基盤を構築していくためには、製造業や農林水産業、観光業など県外から安定的に所得を獲得するいわゆる域外市場産業を強化しながら、得られた所得を、生産、流通、販売、消費を通じて県内に循環させることによりまして、商業やサービス業を振興していくことが重要と考えております。
 このような考え方から、今般策定いたしましたいわて県民計画において、実現していきたい岩手の未来の仕事分野の目指す地域社会の姿として、安定的で持続的な地域循環型経済の構築ということを掲げまして、岩手の未来をつくる七つの政策において、産業創造県いわて、食と緑の創造県いわての実現を目指して、ものづくり産業の基盤強化とともに、地域の特性や資源を生かした農林水産業、食産業、観光産業などの振興を積極的に進めていくこととしております。
〇斉藤信委員 この10年間というのは日本経済もそんなに成長しなかった。しかし、トヨタとか大企業、県内の誘致企業は巨額の利益を上げた。その利益が、率直に言えば、県内の地域経済、中小企業や労働者に還元されなかった。内部留保としてため込まれた。私はここに、日本の経済も、岩手の経済も大きなゆがみをつくってしまったのではないか、このように思います。ですから、今まで岩手県は自動車産業、半導体産業を柱にしてきたけれども、この10年間を見たら、このやり方では、岩手の経済も、労働者の懐も暖かくならなかったということになるんじゃないか。だから、今、内発型の地域経済のあり方というのを聞いたわけですが、部長に、この問題を最後に聞きます。
 この10年間の実態を踏まえて、しかし、いわて県民計画では、率直に言って、新しい岩手の経済のあり方を示していませんよ。私は、もっと明確に内発型、循環型の、岩手はこういう経済の方向を示すんだということが必要だと思うけれども、いかがですか。
〇高前田総合政策部長 今般、議会の承認もいただいて策定させていただきましたいわて県民計画におきましては、委員御指摘のとおり、昨今の厳しい経済情勢を踏まえまして、ものづくり産業を初め、それだけではなくて、内発型の産業振興にもしっかり取り組むということを明示しているところでございます。
〇斉藤信委員 見えないから質問したんだけれども、この間、総合政策部は、いわて希望創造プラン、いわて県民計画と計画づくりばっかりやって、本当に中身のある計画をつくれなかったのではないか。これは、論争しても仕方がないので、指摘だけにとどめておきます。
 次に、今度の予算審議に当たって、政策評価レポートというものが出されました。私はじっくり見させていただきましたが、政策評価というのが総合政策部の大事な仕事なわけでありますけれども、やっぱり幾つか問題があると思います。
 一つは、大規模事業評価でありますけれども、今年度、津付ダムの建設事業の大規模事業評価が行われました。恐らく、大規模事業評価のパブリックコメントでは一番たくさんの意見が出たと思います。そういう意見がどのように大規模事業評価専門委員会で検討されたのか。私は、されなかったんじゃないかと思うけれども、そういう状況はどうなっていましたか。
〇高橋評価課長 大規模事業評価についてのお尋ねでございます。津付ダム建設事業につきましては、本年度の大規模事業評価専門委員会におきまして、昨年5月から10月の6カ月にわたって、現地調査を含めて7回の委員会審議が行われたところでございます。県としてパブリックコメントを実施しておりまして、5月から6月までの1カ月間に521件の意見をいただいたところでございます。いただいた意見のうち、反対意見が多くを占めておりますけれども、反対の立場からは、ダムによらない河川改修にするべきといった整備手法に関する意見ですとか、あとは、広田湾の自然環境への影響に関する意見などをいただいております。また、賛成の立場からは、川の水位が上がると、とても不安で寝ていられない、少しでも水位を下げるダムを早くつくってほしいなどの意見があったところでございます。
 このような意見をいただいたことにつきまして、委員会では、県の考えなどを確認したほか、パブリックコメントで出された意見以外にも意見を聞く必要があるということで、地元自治体の代表ですとか、あとは一般漁業者、住民、企業などの地元関係者ですとか、また、反対の立場から発言されている方々にも委員会に出席をお願いして、広く意見聴取を行ったところでございます。これらの意見を踏まえて、津付ダム建設事業に対する県の評価の妥当性について、総合的、専門的な審議を行ったと考えてございます。
〇斉藤信委員 私は、津付ダムの大規模事業評価、再評価の委員会はほとんど傍聴しましたし、議事録も見させていただきました。例えばパブリックコメントは521件寄せられて、そのうち504件、96.7%がダムの中止、見直しを求めるものでありました。期間を超えて寄せられた意見を入れますと717件、そのうち675件、94.1%がダムの中止、見直しを求めるという、大規模事業評価のパブリックコメントでこのぐらい意見が出たことはないんですよ。それだけ関心の高い、そして、ダム事業に対する疑義が寄せられた。
 また、めぐみ豊かな気仙川と広田湾を守る地域住民の会からは、ダムの専門家にお願いした、いわば対案と言うべき専門的な意見書も出されたんですよ。しかし、専門委員会にはダムの専門家は一人もいませんでした。結局、どういう審議になったかというと、住民から寄せられた質問や意見について、ダムを推進している県の側の意見を聞くという審議ばっかりだったんですよ。いわば、第三者委員会として独自に住民、県民から寄せられた意見を審議するというふうにはならなかった。全部県の考え方を聞く、それが一覧表にまとめられたというのが唯一の成果でありました。
 大規模事業評価専門委員会は一度も県の答申を覆したことはない、こういう大規模事業評価専門委員会のあり方というのは、委員の任命も含めて、本当に公正な審議ができるように見直すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
〇高橋評価課長 大規模事業評価専門委員会におきましては、これまで、委員がお話しのように、県からの諮問に対して覆して答申をされたということはございませんが、ある意味では、評価システムが健全に動いておりまして、内部で評価を行った結果が、もう事業を続けることができないというものにつきましては、そのような形で諮問が行われた結果と見ているものでございます。
〇斉藤信委員 ちょっと支離滅裂になりましたね。県の評価をそのまま追認する追認機関になっている、これはマスコミが津付ダムの専門委員会の取材を通してみんな言っているじゃないですか。それでいいのかと。今まで一回も県に物を言ったことがない、これは恥ずかしいことですよ。
 そして、私がもう一つ指摘したのは、ダムという問題を審議するときに、ダムの専門家が一人もいなかった。私は、構成的にも問題だったと思いますよ。そういう意味で、もし専門家がいなかったら、専門家を呼んでやっぱり意見を聞く。住民から専門的な対案、意見書が出ているわけだから、そういう妥当性をしっかり第三者機関として検討評価するということが必要だったのではないか。これは指摘だけにとどめておきます。
 それで、もう一つ、この評価調書の附属資料の中で、継続評価の分なんですけれども、これは内部評価にとどまりますが、例えば花巻空港整備事業、この分厚いものの210ページなんですけれども、平行誘導路整備事業というのは135億円の事業で、既に121億円も事業費を使っている。ところが、この総合評価はAAなんです。平行誘導路というのは、国も認めなかった、事実上、県単事業ですよ。ジャンボ機がアメリカの西海岸に就航することが当初の目的だった。今、国際チャーター便ですよね。ところが、国際チャーター便の観光客は今減っているんですよ、ずっと。当初の目的がもう本当になくなってしまったにもかかわらず、135億円の事業が、着々と事業だけは進められる。その評価が何でAAなんですか。こんな評価をしたら、どんな公共事業だってAAになっちゃうんじゃないですか。いかがですか。
〇高橋評価課長 花巻空港整備事業の評価についてでございます。花巻空港整備事業の平行誘導路整備につきましては、委員お話のとおり、継続評価の対象として評価を行いまして、その結果を、今回報告させていただいております政策評価レポート2009で公表しているところでございます。
 継続評価のやり方でございますけれども、事業担当部において、事業の必要性、重要性、効率性などから見た優先度と、あとは環境保全への配慮、この二つの基準によって評価を行いまして、5年に1度、再評価を行うわけですが、それまで間の毎年度行うこととなっているものでございます。
 この花巻空港整備事業平行誘導路整備でございますけれども、事業を所管する県土整備部が、この基準に照らして総合評価をした結果でございまして、事業の必要性、重要性等の評点の合計が94点と高いということと、あとは環境の保全について積極的な対応をしているという、この2点からAAということで事業継続と判断しているものでございます。
〇斉藤信委員 321億円の花巻空港整備事業というのは、当初は90万人の利用客を見込んだんですよ。それが平成14年に60万人に是正して、今、三十数万人ですよ。完全に当初の計画とは乖離してしまった。しかし、事業だけは進んだ。今も進んでいる。平行誘導路というのは、私がさっき言ったような目的だったんですよ。いわば花巻空港整備事業の中心だったんですね。目的は変わった。今、国際チャーター便と言っていますけれども、国際チャーター便の観光客は減っているんですよ。当初の目的は完全に破綻して、国際チャーター便という今の目的も、利用客が減っているのに、これはAAだと。費用便益は1.4だと。何でこんなものが出てくるんですか。私は、そういう点でいくと、内部評価が甘過ぎると思いますけれども、いかがですか。
〇高橋評価課長 この花巻空港の平行誘導路につきましては、平成20年度に大規模事業評価の再々評価を行っているものでございます。既に供用開始している滑走路、ターミナル地域と一体的に効果を発揮するものということで、BバイCをはじいて算出しております。この平行誘導路につきましては、主として国際チャーター便の就航を目的としていることなどがございます。花巻空港の国内便のほうの利用実績は減少傾向にあるということでございますけれども、この平行誘導路に関しましては、平成23年度以降の国際便の需要予測などをもとに評価をしているものでございまして、この事業の継続評価に当たりましては、その点について大きな影響を与えていないと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 これ以上言いませんけれども、そもそも目的が変わったんですよ。そして、90万人の利用客の計画も破綻したのですよ。そうした中で、321億円の事業だけは今進められている。こんなことを認めたら、本当に評価の意味が全くないですよ。
 もう一つ指摘したいのは、この継続評価の中の204ページにあるんですけれども、これは県営アパート、佐原アパートの計画なんですが、私は、県営住宅は大いに建設してほしいと思っている一人なんですが、しかし、この佐原アパートというのは一時休工なんです。いわば改築の予定を一時ストップする。来年度予算はゼロです。それでも評価はAなんです。
 もう一つ、大船渡港湾整備事業の永浜地区の物揚げ場も一時休工、来年度予算ゼロ。それでも評価はAなんですよ。A評価して、来年度予算はつけません、一時休工ですと。こういうものが何でA評価なんですか。そうしたら、公共事業はみんなA評価じゃないですか。あなた方が重点化すると言うんだったら、やっぱりそういう予算をつけれないものはきちんと評価しなきゃだめなんじゃないですか。いかがですか。
〇高橋評価課長 佐原アパートの件と港湾施設整備事業のことで御質問でございます。
 佐原アパートの関係でございますが、これも、先ほどお話ししましたように、継続評価ということで行っているものでございます。この継続評価の結果でございますけれども、佐原アパートに関しましては、事業の必要性、重要性等の評点の合計が85点と高かったこと、あとは環境保全について対応しているということで、Aという評価になっているものでございます。Aという評価になっているものでありますけれども、平成22年度予算への反映状況ということになりますと、公営住宅等長寿命化計画を新たに策定するという国の指針が出されまして、その必要があるために、計画策定までの間、事業実施を一時延期するという意味で一時休工と事業担当課のほうで評価しているというものでございます。
 あと、港湾整備事業の関係でございますが、同様に、評価につきましては、事業の必要性、重要性等の評点の合計が90点と高く、かつ、環境の保全について対応しているということでA評価となってございます。A評価となってございますけれども、平成22年度予算への反映状況につきましては、大船渡港の別の事業、これは大船渡港の永浜地区の7.5メートル岸壁のほうなんですが、こちらのこういうふうな事業等に予算の重点化を図るということにしたために、こちらのほうの事業につきましては一時休工となったと聞いているところでございます。
〇斉藤信委員 大体言っているのはそのとおりなんですよ。ただ、一時休工して来年度予算をつけないというものまでみんなAランクと言うんだったら、公共事業を評価する意味がないわけじゃないですか。
 例えば佐原アパートは、もっと立ち入って言いますと、これは、国土交通省が公営住宅等長寿命化計画を策定しなさい、それを受けて考えると。もう一つは、隣接の市営住宅が、今、改修をしている最中なんですよ。そこの動向を見て考えるということなんですよ。だったら、この住宅建設を取り巻く環境に大きな変化があったということになるでしょう。そういう評価をしてこそ、重点化というのができるのですよ。
 大船渡港湾整備事業の物揚げ場についても、まず、国が整備した埠頭から整備しようという形で、何でも重要だ、必要だ、緊急性があるという評価だったら、意味ないのです。私は、そういう点で、公共事業、大規模事業のそういう評価制度をもっと厳密にする必要がある、そして、予算編成とかみ合わせるようにすることが必要だと思いますが、部長、いかがですか。
〇高前田総合政策部長 事業評価の関係についてのお尋ねでございますが、それぞれの個別の案件については、先ほど担当課長から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、政策評価と予算への反映の関係につきましては、まだまだいろいろと議論して検討すべき課題はあると認識しておりまして、さまざまな御意見、御指摘を踏まえて、さらにまたいろいろと、この評価制度のあり方ということについては内容を精査、充実してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 わかりました。ぜひ、精度を高めて、特に県民から寄せられた建設的な提言、科学的な提言というものをしっかり第三者委員会で検討できるようなものにしていただきたい。
 次に、今、秘書広報室の問題が議論になっておりますが、知事のトップマネジメントを効果的に行うために秘書広報室を新たに設置するのだと。私が聞きたいのは、知事のトップマネジメントというのは、具体的にどういうことですか。そして、この秘書広報室の体制というのは強化されるのですか。機能は強化されるのですか。
〇木村政策推進課総括課長 秘書広報室の機能ということでございます。行政課題が山積しております。県政を取り巻く諸情勢の変化もまた激しい。その一方で、地方行財政検討会議ですとか、全国知事会ですとか、知事の役割というものがますます増加している中にありまして、知事が適時適切に政策判断をしていくためには、県政課題への迅速な対応ということと、知事のリーダーシップがより反映されやすい体制の構築が求められるということでございます。
 こういう考え方から、秘書広報室については、いわば知事の耳、目、口となるべく、その所掌を、現在の総合政策部が所管しております秘書機能、広聴機能、広報機能、報道機能というものに純化いたしまして、機動的な業務執行と情報の収集、発信に向けた体制の構築を行うという観点から、他部局から独立した知事等を直接補佐する部門ということで設置されると理解しているところでございます。
〇斉藤信委員 トップマネジメントの中身が全然出てこないんですよ。秘書機能、広報機能、報道機能、ここには政策はないですね。私は、トップマネジメントといったら、知事のそういう政策判断というか、政策的イニシアチブというのが中心になると思うんですよ。今の秘書課は、首席政策監があそこに座って、知事の懐刀というか、ブレーンの役割を果たしているんじゃないかと外から見えるけれども、政策機能を切り離してどういうトップマネジメントが行われるのでしょうか。それが全くわからない。どういうことなんですか。トップマネジメントという言葉だけ何回も言われるけれども、秘書機能、広報機能、報道機能だけでは、トップマネジメントというのは出てこないんじゃないですか。いかがですか。
〇木村政策推進課総括課長 政策という機能が秘書広報室の中にないということでございます。今回の本庁組織の再編ということにつきましては、先ほど、政策地域部の設置ということについて申し上げましたとおり、大きくは政策地域部ということで、本庁の政策立案機能、振興局を支援する機能、地域課題を支援する機能、広域振興局を支援する機能、それを一体化して、そこで政策部門についてはより効率的に強化していくということが一方でありまして、他方、知事のトップマネジメントについては、トップマネジメントはどういうものだというものについてはいろんな考え方があるのだろうと思います。総合政策室を平成13年に設置したときも、トップマネジメントの強化ということで、そのときには政策というものも一緒になるということで現在の総合政策部があるわけでございますが、今回は、そういう地域課題、本庁の政策機能の強化ということで、政策機能を一元化するというような機能と同時に秘書広報室を設置して、先ほど申し上げたとおり、知事のリーダーシップが発揮されやすいような体制ということを考えたということで、今回の秘書広報室の設置になったと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 聞けば聞くほどわからないですね。総合政策室を設置したときには、これは政策部門だから、知事のトップマネジメントというのはよくわかるし、秘書室に首席政策監が座って、絶えず知事といつでも連絡がとれるようにしていたんだと私は思うんですけど、今度は政策部門を逆に切り離してしまった。政策部門を切り離してしまって、機敏なトップマネジメントというのはどうできるのか。人員も体制も変えないと。ますます形だけつくることになってしまうんじゃないか。
 これは、最後に部長にお聞きしましょうか。どういう点でトップマネジメントを発揮されるんですか。
〇高前田総合政策部長 この秘書広報室の機能につきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、秘書機能、広聴広報機能、報道機能というものに純化するということでございまして、そういうことによりまして知事の機動的な業務執行ができるようになる。すなわち、例えば地域経営であるとか組織経営、いわゆるガバナンスといったようなものが機動的にできるような体制になるということで、私どもとしては秘書広報室のトップマネジメントというものを理解しているところでございます。
〇斉藤信委員 聞いている方がよくわかったと。中身がないんだな、形だけだなという感じがしましたが、これ以上煮詰まりそうがないので、最後の質問。
 いわて希望創造プランといわて県民計画アクションプランの関係についてお聞きしたい。実は、きょうの政策評価レポート、報告書には、これは33ページですけれども、四つの重点目標の取り組みというものがあって、県民所得の向上、平成12年度の所得水準260万円代まで引き上げると。四つの目標を堅持されて、それがどう取り組まれているかということがきちんと書かれている。しかし、いわて県民計画のアクションプランからは、アクションプランどころか、長期計画からもこれは消えてしまった。これは、ことしで消える目標ですか。いかがですか。
〇小向政策課長 希望創造プランといわて県民計画のアクションプランの関係というお尋ねでございますけれども、いわて県民計画のうち長期ビジョンについては、多くの県民の皆さんに御参加いただきまして、御意見を伺いながら、10年後の未来を展望しつつ、そのための10年間の政策の基本目標といったもので基本方向を取りまとめている。そして、アクションプランについては、長期ビジョンを踏まえつつ、いわて希望創造プランとの継続性にも留意しながら希望郷いわての実現を目指し、10年間のうち、最初の2年間、平成22年度までの具体的な取り組みを示しているということでございます。
 このアクションプランにおきましては、希望創造プランで設定いたしました、委員御指摘の四つの重点といったものについても引き継ぐような形になってございますし、新たに、ゆたかさ、つながり、ひとをはぐくんでいくための基盤形成ということで、これも政策推進の目標に掲げているということでございまして、今おっしゃいましたような重点目標については、アクションプランにおいても、引き続いて政策推進目標として重点となっているということでございます。
〇久保孝喜副委員長 斉藤信委員に申し上げます。世話人会の申し合わせの時間を経過いたしておりますので、最後の質問となるように御協力をお願いいたします。
〇斉藤信委員 わかりました。では、全く最後の質問。
 今、260万円の県民所得の目標は長期計画でも受け継がれるのだと。これをもっと厳密にしていただきたい。260万円の目標はなくなっているんですよ。そして、この260万円の目標をなくす根拠というのは全くないと私は思うんです。というのは、県民所得というのは、平成12年、2000年から一貫して下がっているんですよ。平成20年にあわてて下がったなんていうものじゃないんですよ。そういうときに知事選に出て、これが大問題だといって最大の公約にして、希望創造プランに掲げたのですよ。リーマンショックを受けて、慌ててこの目標を下げるようだったら、全く何を目指したのかとわからなくなるぐらいの大事な目標で、この10年間の推移を考えたら、慌てて目標をなくすようなものではなかったんじゃないか。そこがどう受け継がれるのか、もっと正確に言っていただきたい。
 そして、もう一つだけ指摘しますが、この19ページには、合計特殊出生率、居宅介護サービス利用割合が達成度Aになっています。このAというのは最高ランクですよ。しかし、合計特殊出生率は1.39で変わってないのですよ。居宅介護サービスの利用割合─利用量は全国最低なのですよ。私は、こういうのがAランクに評価されるというような甘い評価をしていたら県政の発展はないんじゃないか、これをお聞きして終わります。
〇小向政策課長 いわゆる所得に関する260万円ということで、前の創造プランのほうで設定していたということですけれども、アクションプランにおきましては、やはり所得という部分は目標としておるわけですけれども、昨今のこういう経済状況、あるいはデフレの状況から見まして、固定した金額を設定するといったことは非常に困難であるということを考えたわけでございます。その上で、ただ、国民所得と県民所得との乖離が非常に大きいという中で、これを幾らかでも縮めていかなければならないというような目標を立てるということでございまして、こうしたことによりまして、激しい変化の中であっても、県民の努力が見やすい、わかりやすいといった部分で、そういった目標を立てたということで御理解いただければと存じます。
〇高橋評価課長 評価レポートの中の目指す姿指標の状況について、合計特殊出生率、居宅介護サービスの利用割合が達成度Aになっている状況において、おかしいのではないかということでございますけれども、指標に基づく評価につきましては、確かにこのとおり、定められた目標に対してどうかという評価をしてございますのでAとなってございますが、この項目の子育て環境の整備ですとか、こちらの項目としての総合評価といたしましては、ややおくれというふうに適切に評価しているものでございます。
〇久保孝喜副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 総合政策部に、岩手県の政策の元締めであるという思いから、二、三点、提案を含めてお伺いをいたしたいと思います。
 総合政策部ですから、世界の動向あるいは国内の動向、そういうものを常に頭に入れながら、岩手県のタイムリーな政策を選んで、それを実行していくべきだと思います。言ってみれば、お金のもうかる政策を考えていくべきだ、県税収入が上がる政策を考えていくべきだと思う観点からお伺いします。
 ちょうど昨年の同じころでありましたが、CO2排出量取引制度策定ということで、北海道の洞爺湖サミットに絡んで、こういう問題が出てまいりました。ただ、福田内閣が当時はもう死に体の内閣だったものですから、世界のトップの中でそういう議論を出せずじまいでしたが、こういう動きは、今、継続しているわけであります。ことしの1月末でしたか、川井村のウッディかわいさんと川井村かな、CO2排出権売買ということで、大きな新聞に載ったわけであります。
 これは、国有林、県有林、あるいは市町村林、私有林、いろいろあるでしょうけれども、県有林についてちょっと考えてほしいんですが、例えば関東自動車があります。ここは相当のCO2を出している。これをツーペイにする、あるいは25%削減をしなくちゃならない。そうなりますと、1トン当たり幾らの山に換算するのかわかりませんが、仮に1、000立米、1、000トン多いとした場合に、森林を1町歩持てば、それがツーペイになるとなれば、岩手県有林を貸していける。仮に1、000立米、単価はちょっと今は定かではありませんが、簡単にわかりやすくするために1万円だとします。そうすると、1、000立米のCO2を削減するために岩手県有林を1、000町歩貸します。1町歩1万円となると、これで1、000万円になるのです。今まで治山あるいは治水という観点しか見てなかった森林の効用がこういうところに生かされてくると思いますし、この流れはとまらないと思います。したがいまして、こういう政策を県庁内で一番先に手をつけ、単価的なものがどうであるのか、そういうことに手をつけていくのが総合政策部の仕事ではないかと思います。それが一つ。
 それから、実は昨年の11月、大分県の県外調査に行ってまいりました。九州電力の八丁原地熱発電所だったわけでありますが、その際に、NEDOは蒸気の出る可能性があるところを3本までは無料で井戸を掘りますという説明を伺いました。それで、これは岩手県にもそういうところがないのかと思ってGPSの図面を調べたわけでありますが、あるんですよね。八幡平あるいは滝沢、大船渡にもあります。これはこれで別な委員からも質問が出ましたので、これは置いておいて、この部分を我が岩手県の地下の埋蔵資源にちょっと目を向けて見るべきではないかと思うのであります。
 私の宮古の西北には、早稲田大学ではありませんで、宮古市立亀岳小学校というのがあります。そこの校歌の2番に─校歌ですよ、地下に眠れる大資源という文句があるんです。これは、いろんな校歌の中で非常に珍しいと思いまして、いろいろ古老から聞いて調べたのでありますが、当時、モリブデンとかタングステンの鉱床が有力であったと。ただ、当時は、山の中なので、道路を開いて搬出する経費のほうが多くかかるのでやめたような経緯があるということでありましたが、レアメタルの価値が全体に世界的に上がっているわけでありますので、そういった目線から、岩手県の地質、海底の、あるいは地下の資源を見直すという観点があってもいいのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
〇高前田総合政策部長 ただいま、2点御提言がございました。
 まず、1点目のCO2の排出量取引の関係でございます。これにつきましては、まさに、委員御指摘のとおり、非常に将来性、成長可能性のある分野だと私どもも認識いたしておりまして、実は、先般策定いたしましたいわて県民計画の中におきまして、岩手の未来を切り開く六つの構想という構想を掲げさせていただいております。この中で、委員御指摘の二酸化炭素排出量取引の導入というものを環境共生いわて構想というものの中に位置づけておりまして、今後、具体的な検討を進めていくということにしておりますし、来年度の当初予算案におきましても、二酸化炭素排出量取引の拡大に向けた緑のクレジット創出促進といったような取り組みを開始することといたしているところでございます。
 それから、2点目のレアメタル等地下資源の関係でございますけれども、特にこういった資源の関係につきましては、私どもは海のほうに大分注目いたしておりまして、これも、先ほどお話し申し上げました岩手の未来を切り開く六つの構想の中の一つとして、海の産業創造いわて構想といったような構想を掲げさせていただいておりまして、具体的な取り組みを進めているところでございます。
 具体的に申し上げますと、委員も御案内のとおり、昨年12月にいわて三陸海洋産業振興指針を策定いたしまして、これに基づく取り組みを今後具体的に進めていくということでございますが、特に海洋研究、資源開発の促進に向けましては、海洋研究機関の連携推進というものを来年度重点的に取り組むということにしているところでございます。いずれにいたしましても、提言の趣旨をしっかりと踏まえて、組織を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 ただいまの答弁は大変いい答弁だったと思いますし、ようやく海の可能性に岩手県の目が向いてきたなという思いをいたしております。
 私は、今から12年ぐらい前に初めてこの場で取り上げた問題に、将来の燃料電池という、あるいは将来は電池で走る車ができるであろうと。そういう燃料電池の文言というのが出てきたのが今から12年ぐらい前でありますが、そのころからこれに非常に興味を持っておりました。そして、これは要するに蓄電池で走る自動車に移行していくだろうと。さらに、これを研究してきたのは岩手大学の熊谷教授だったわけでありまして、ところが、残念ながら、この研究の成果を宮崎県が先取りいたしまして、通商産業省の支援を受けて松下電池工業が量産体制に入った。今、皆さんが使っている携帯電話の燃料・イオン電池は、ほとんどここから出た電池であります。
 そして、このときからずっと言ってきましたのはリチウム電池という、リチウムは海水中に無尽蔵にある。三陸沖があいているから、ぜひこの地に研究機関を誘致すべきだということを口を酸っぱくしてずっと言ってまいりまして、ようやく平成15年に、県の要望の中で文部科学省に1点出してもらいました。ただ、私は、うかつだったんですが、それがずっと今まで継続していると思っていましたら、平成15年度に1回出した切りで、単発で終わってしまっていました。大変残念に思っております。しかし、ようやくまた海に目が向いてきました。だけども、今現在、リチウム電池は量産戦争ということで、いろんなメーカーが量産体制をとりつつあります。
 そういう中で、トヨタの重要拠点化を進めるために、車体電池、宮城県に新工場、ハイブリッド車用電池生産、宮城工場10年に稼働と、随分宮城県が進んできておりまして、この中で岩手県は指をくわえて見ているだけでございました。今、かなりの差がついたと思いますので、これはもうしようがない。だったらば、これは同じく岩手大学の森教授が言っている説でありますが、これからの自動車は鉄からマグネシウムに変わるであろうと言われております。マグネシウムは軽量で、丈夫で、つぶしもきく。したがって、鉄からマグネシウムに変わる。しかも、このマグネシウムは、同じく海水に無尽蔵にある、こういう説を言っておりますので、今回策定しました海を使っての新しい研究開発の中にマグネシウムという部分をぜひ入れていただきたい。工場用地については、111万坪のグリーンピアがほとんどあいております。絶対に困りません。したがって、そういったところに目を向けて県北・沿岸振興というのを図っていかなければ、なかなか水産、漁業だけでは光が当たりづらいということでありますが、これについてのお考えはどうでしょう。
〇高前田総合政策部長 ただいま、委員のほうから非常に将来性のあるいろんなお話を賜ったわけでございますけれども、現時点におきましては、まだまだ研究、開発の課題がいろいろある。特に採算性等の問題が、海中からの採取ということになりますと、恐らくあるということかと認識いたしておりますが、いずれ、先ほど御答弁申し上げましたように、海の産業創造いわて構想という構想を県民計画の中でも掲げてございますので、この中で具体的な検討を進めていきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 今、いい御答弁だと思いますが、県の皆さんの、石橋をたたいてなおかつ渡らないという姿勢は、確かに岩手県人の性格なのかもしれませんが、先んずれば人を制す、そういうことを考えましたときに、他県の様子を見てからということでやったのでは、2番手では完全におくれてしまうんですね。今、宮城県にリチウム電池生産で完全に水をあけられているわけでありますので、まだ他県が目を向けてないうちにこういったものに目を向けていくべきだ。そして、国の動向あるいは世界の動向、そういったものをいち早くキャッチして、国会議員が9人も出ている県なんてそうそうありませんから、その国会議員を大いに使っていただいて、そして、こういう政策を進めていただきたいということをお願いして、感想があれば伺って、終わります。
〇高前田総合政策部長 今の御指摘は、もっと積極的に情報収集をして、先手をとったような戦略的な政策をどんどんやっていけといったようなことかと思います。まさにそういうことを踏まえまして、私どもも常にアンテナを高く張って、情報収集を積極的に進めてまいりたいと考えております。
〇久保孝喜副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇久保孝喜副委員長 質疑がないようでありますので、これで総合政策部関係の質疑を終わります。総合政策部の皆さんは御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
 午後4時31分 散 会

前へ 次へ