平成22年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成22年3月8日(月)
1開会  午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長    大 矢 正 昭
  議事調査課
  総括課長    浅 田 和 夫
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査    石木田 浩 美
  主任主査    岩 渕 伸 也
  主任主査    鈴 木 文 彦
  主任主査    藤 原 由喜江
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    大 森 健 一
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    宮 舘 壽 喜
  企画理事    藤 尾 善 一
  総合政策部長   高前田 寿 幸
  総合政策部副部長 
  兼首席政策監   中 村 一 郎
  政策調査監    大 平   尚
  政策推進課
  総括課長    木 村 卓 也
  政策課長    小 向 正 悟
  評価課長    高 橋   勉

  地域振興部長   加 藤 主 税
  地域振興部副部長
  兼地域企画室長  工 藤 孝 男
  地域振興支援室長 菊 池 正 佳
  市町村課総括課長 小 原 敏 文

  総務部長     菅 野 洋 樹
  総務部副部長
  兼総務室長    菊 池 俊 夫
  参事兼人事課
  総括課長    高 橋 嘉 行
  予算調製課
  総括課長    八 矢   拓
  税務課総括課長  八重樫 幸 治
〇大矢議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。
 出席委員中、菊池勲委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 菊池勲委員、どうぞ委員長席に御着席をお願いいたします。
   〔年長委員菊池勲君委員長席に着く〕
〇菊池勲年長委員 ただいま御紹介いただきました菊池勲でございます。よろしく御協力をお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 なお、柳村岩見委員は当面欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に中平均君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました中平均君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇菊池勲年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました中平均君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました中平均君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 中平均委員長、委員長席にお着きを願います。
   〔予算特別委員長中平均君委員長席に着く〕
〇中平均委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました中平均でございます。
 御推挙いただき大変光栄に存じております。
 委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたいと考えておりますので、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に久保孝喜君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました久保孝喜君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました久保孝喜君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました久保孝喜君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 久保副委員長、ごあいさつをお願いします。
〇久保孝喜副委員長 ただいま副委員長に選出をいただきました久保孝喜でございます。
 委員長を補佐して、円滑、公正な委員会運営に努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇中平均委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案32件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から12日まで及び15日から18日までは、関係部局長等の出席を求めて部局ごとに質疑を行うこととし、議案32件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、18日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、8日目の農林水産部の審査については、世話人会の申し合わせに基づき、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第24号から議案第28号まで、議案第30号から議案第34号まで、議案第68号及び議案第69号の以上32件を一括議題といたします。
 総務部長に説明を求めます。
〇菅野総務部長 平成22年度当初予算の概要等につきまして、総括的に御説明を申し上げます。
 この予算の編成に当たりましては、厳しい経済、雇用情勢、深刻さを増す地域医療などの諸課題への対応や、いわて県民計画に基づく希望郷いわての実現に向けた取り組みの第一歩となる予算として編成したところであり、あわせて、いわて県民計画アクションプランの最終年度として、これまでの取り組みの総仕上げを意識して編成したものでございます。
 また、地域経済の下支えの観点などから、平成21年度の補正予算と一体的に取り組んだところでございます。
 それでは、予算の概要について御説明いたします。
 お手元の議案その1の1ページをお開きいただきたいと存じます。議案第1号平成22年度岩手県一般会計予算であります。第1条は、歳入歳出の総額を6、987億6、698万円と定めるものでありますが、これは、前年度当初予算に比べ6.1%の増となるもので、2年連続して予算が増額となるものです。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は職員給与について、同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について御説明いたします。恐縮でございますが、便宜、予算に関する説明書で御説明させていただきたいと思いますので、予算に関する説明書の1ページをお開きいただきたいと存じます。
 一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14諸収入までであり、その総額は2、539億7、810万円余で、前年度当初予算に比べると4.7%の増となっております。これは、県税の減収が見込まれるものの、平成21年度予算において、国の補正予算による交付金により造成した各種基金などからの繰入金が、対前年度当初予算比で60.1%と大幅に増となっていることなどによるものであります。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は4、447億8、887万円余で、前年度当初予算対比6.9%の増となっておりますが、これは、主に国の地方財政対策による地方交付税の増、臨時財政対策債の増に伴う県債の増、高校授業料の実質無償化に伴う国庫支出金の増などによるものであります。
 この結果、歳入に占める自主財源の割合は36.3%と、前年度当初予算の36.8%から0.5ポイント低下し、一方、依存財源の割合は63.7%となりました。
 次に、これら歳入の内容について御説明申し上げます。4ページをお開きいただきたいと存じます。
 まず、1款県税1項県民税は355億5、200万円で、前年度当初予算対比4.9%の減となっておりますが、これは、1目の個人県民税について、景気の低迷による個人消費の減少が見込まれることから12億400万円の減となっていることなどによるものであります。
 2項事業税は115億3、800万円で、29.2%の大幅な減となっておりますが、これは、製造業を中心とした企業収益の減少及び地方法人特別税の平年度化により減収が予想されることなどによるものであります。
 次に、6ページの3項地方消費税は、地方財政計画等をもとに111億4、600万円、0.8%の減を見込んだものであります。
 4項不動産取得税は、新規着工戸数及び不動産取引の停滞が見込まれることから19億6、900万円で、12.3%の減となっております。
 8ページに参りまして、5項県たばこ税は、消費量の減が見込まれ23億8、600万円で、0.7%の減、6項ゴルフ場利用税は3億2、800万円で、4.1%の減となっております。
 10ページの7項自動車取得税は、エコカー支援効果が持続するものと見込み22億3、400万円で、4.9%の増を見込んでおります。
 8項軽油引取税は、軽油価格が安定してきていることなどから142億3、400万円で、1.1%の増を見込んでおります。
 次に、12ページの9項自動車税は184億5、800万円で、0.2%の減となっております。
 10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、900万円を計上したものであります。
 次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録見込み数により4、300万円を、12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量等を勘案し5、600万円を見込んだものであります。
 16ページの13項は、旧法による税であります。
 以上、県税の合計額は979億6、600万円で、前年度当初予算額に比べ67億9、500万円、6.5%の減となるものであります。
 次に、17ページの2款地方消費税清算金は249億1、300万円で、8.5%の増となっております。
 18ページに参りまして、3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は134億3、000万円、2項地方揮発油譲与税は37億400万円、20ページの3項石油ガス譲与税は2億5、700万円を、21ページの4項地方道路譲与税は100万円を、22ページの5項航空機燃料譲与税は1、200万円を見込んだものであります。
 次に、23ページの4款地方特例交付金1項地方特例交付金は、児童手当及び子ども手当特例交付金、住宅借入金等特別税額控除による減収を補てんするための特例交付金、合わせて14億2、200万円を見込んだものであります。
 なお、24ページの特別交付金につきましては、恒久的減税による減収を補てんする制度であった減収補てん特例交付金が平成18年度をもって廃止されたことに伴い、経過措置として設けられたものでありますが、経過措置期間の満了に伴い、皆減となるものであります。
 次に、25ページの5款地方交付税は2、210億1、318万円余で、前年度当初予算対比で100億8、529万円余、4.8%の増で計上いたしております。
 次に、26ページの6款交通安全対策特別交付金は5億6、437万円余と見込んだものであります。
 次に、27ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、28ページから29ページまでの2項負担金は、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金等を計上したものであります。
 次の30ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、31ページの4目労働使用料では、産業技術短期大学校授業料、5目農林水産業使用料では、漁港施設使用料、32ページの7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、そして県営住宅使用料などであります。これら使用料の総額は、34ページ最下段でございますが26億841万円余で、前年度に比べ57.8%の減となっております。これは、高校授業料の実質無償化に伴い、その財源が使用料から国庫負担金に振りかわったことなどによるものであります。
 次に、35ページの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料の食品営業許可や屠畜検査に係る手数料、38ページの7目土木手数料の建設業者許可や建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許更新等に係る手数料などであり、その合計は、39ページでございますが23億8、174万円余で、前年度比4.9%の減となっております。
 次に、40ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、7節の児童保護委託18億6、411万円余、10節の生活保護28億1、956万円余、41ページの4目土木費負担金では、基幹河川改修事業、砂防事業など、5目教育費負担金では、義務教育人件費に係るものや公立高等学校授業料不徴収交付金など、また、42ページの6目災害復旧費負担金では、4節の河川等災害復旧事業などがその主なものであります。これら国庫負担金の総額は、そのページの計欄でございますが361億5、254万円余で、前年度より9.4%の増となっております。
 次に、43ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、53ページまで進んでいただきまして、465億6、042万円余で、0.2%の減となっておりますが、これは、公共事業の減などによるものであります。
 次に、54ページに参りまして、3項委託金でありますが、4目労働費委託金が、就職支援能力開発委託などにより増となっておりまして、総額は、56ページに記載しておりますとおり28億3、184万円余で、18.9%の増となっております。
 次に、57ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は4億5、100万円余を見込んでおり、58ページから59ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いなど4億7、920万円余を計上したものであります。
 次に、60ページの11款寄附金は、環境保全協力金など2、100万円を見込んでいるものであります。
 次に、61ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は5億1、499万円余で、67.2%の減となっておりますが、これは、電気事業会計からの借り入れ減によるものであります。
 62ページ、2項基金繰入金は、主要3基金のうち県債管理基金、公共施設等整備基金からの繰り入れのほか、緊急雇用創出事業臨時特例基金などのいわゆる特定目的基金の資金の活用など261億1、405万円余を計上したものであります。
 なお、2月補正予算を踏まえた平成22年度末の主要3基金の残高は、ここには記載してございませんが、財政調整基金122億3、500万円、県債管理基金110億4、000万円、公共施設等整備基金38億8、000万円、合計で271億5、500万円と見込んでおるところでございます。
 63ページに参りまして、13款繰越金は、整理科目であります。
 64ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は2億5、200万円余を計上しており、65ページの2項預金利子は、金利動向等から3、174万円余を見込んでおります。
 66ページ、3項公営企業貸付金元利収入は104億7、900万円で、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものであり、67ページの4項貸付金元利収入は、衛生や農林水産業、68ページの商工など、各行政部門における貸付金に係る元利収入で、その合計額は、68ページに記載しておりますが、737億4、396万円余となっております。
 69ページ、5項受託事業収入は、次の70ページの総額のとおり20億8、225万円となっております。
 次に、71ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収入35億7、305万円余を、72ページの7項利子割精算金収入は864万円余を見込んでおります。
 73ページ、8項雑入の総額は、76ページまで進ませていただきまして、47億3、512万円余と見込んでおります。
 次に、77ページ、15款県債でありますが、その総額は、79ページに記載しておりますとおり1、188億4、050万円であり、前年度に比較して96億5、600万円、8.8%の増となっております。
 この結果、県債の現在高見込みでありますが、恐縮でございます、一たん288ページまで進ませていただきたいと存じます。前年度末現在高見込額が、平成21年度末、当該年度末現在高見込額が平成22年度末となりまして、289ページの計欄になりますが、21年度末の見込額は1兆4、443億4、200万円余、平成22年度末では、同じく計欄の右端になりますが1兆4、726億7、200万円余と見込んでおります。
 なお、289ページの計欄の下に県債管理基金積立金及び当該基金積立金分を調整いたしました実質的な県債の現在高見込額をお示ししております。
 以上で歳入についての説明を終わらせていただきます。
 次に、歳出でありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に御説明させていただきたいと存じます。
 款別歳出についての説明は省略させていただき、私からは、性質別の主なものについて申し上げさせていただきます。
 お手元の予算に関する資料で説明させていただきたいと思います。恐縮でございますが、予算に関する資料の3ページをお開きいただきたいと存じます。平成22年度一般会計歳出性質別内訳表のうち、まず、人件費は、表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄をごらんいただきますと1.5%の減となっております。これは、職員数の縮減など総人件費の抑制に努めたことによるものであります。物件費は、緊急雇用創出事業の増などにより6.7%の増、また、維持修繕費は、土木施設の維持修繕費の増等により1.2%の増となっております。4ページの扶助費は2.3%の増となっております。補助費等は12%の増でありますが、これは、緊急雇用創出事業、介護サービス施設等整備臨時特例事業費の増などによるものであります。普通建設事業費は、国直轄事業負担金の減等により0.3%の減となっております。次に、5ページの災害復旧事業費は9.6%の減となっております。公債費は、過去に発行した県債の償還額が増加することにより13.1%の増となっております。積立金は、中山間地域等直接支払事業積立金の皆減などにより52.5%の減、出資金は3.5%の増となっております。貸付金は、中小企業向け制度融資の貸付原資預託の増などにより20.2%の増、繰出金は5.8%の増となっております。
 平成22年度岩手県一般会計予算の概要は、以上のとおりでありますが、特別会計につきましては、所管部局において御説明を申し上げまして、私からは省略させていただきたいと存じます。
 以上で説明を終わります。よろしくお願い申し上げます。
〇中平均委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主党が69分、次に、自由民主クラブが42分、次に、政和・社民クラブが33分、次に、会派に所属しない議員は、日本共産党斉藤信委員、公明党小野寺好委員、無所属阿部富雄委員、無所属及川あつし委員の順に、それぞれ9分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あす遅くとも午後3時までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いいたします。
 それでは、これより総括質疑に入ります。三浦陽子委員。
   〔三浦陽子委員質問者席に着く〕
〇三浦陽子委員 民主党の三浦陽子でございます。
 会派を代表いたしまして、いわゆる希望郷いわての実現に向けて、希望郷いわて元年予算として編成されました平成22年度当初予算及び財政運営や県政課題への取り組み方などについて質問させていただきます。
 総括質疑は初めての経験でありますので、69分という時間をいただいておりますが、後半は、同僚議員の高橋元議員の協力のもとに進めてまいりますので、知事、副知事並びに関係部局長の希望あふれる明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、ハイチ地震及び、去る2月27日に発生しましたチリ巨大地震におきまして被災された多くの方々に、心よりお悔やみを申し上げます。そして、一日も早い復興を願うものでございます。
 また、チリ地震に伴う津波が発生し、本県には3メートルの大津波警報が発令され、一時緊張が走りました。三陸沿岸の市町村に避難勧告や避難指示が出され、地元の皆様の不安はさぞ大きかったものとお見舞い申し上げます。
 県におきましては、迅速に災害対策本部と大船渡、釜石、宮古、久慈にそれぞれ災害対策支部が設置され対応に当たられました。県当局初め、警戒に当たられました行政、警察、消防など、災害対策関係者の皆様の御労苦に敬意と感謝を申し上げます。
 人的な被害がなかったことは何より幸いでありましたが、養殖施設などの水産漁業関係への被害状況や国道45号が寸断されるなどの土木関係の影響など、日を追うごとに実態が明らかになってまいりました。そこで、チリ地震津波被害への県としての対応について伺います。
 チリ地震津波では、水産関連施設への深刻な被害が発生しています。これまでのところ、養殖施設や水産物被害を合わせると16億8、390万円、3月5日現在ですが、17億円に迫る被害額となっており、今後の漁民の経営と地域経済への影響が危惧されるところであります。
 被害額は、津波被害としては少なくとも過去3番目の規模となったことを踏まえ、激甚災害の指定など、復旧、復興に向けた国への働きかけをどうしていくおつもりなのか伺います。
 また、現在、県は、被害の状況は調査中とのことですが、漁業者の不安が広がる中、この津波被害に対する県の対応方針についても早期に示すべきではないでしょうか、お考えを伺います。
 先週の6日土曜日に、民主党県連津波被害対策本部として、国会議員団を中心に2班に分かれて現地調査をさせていただき、私も、陸前高田市と大船渡市の現地調査に参加いたしました。
 陸前高田市の広田湾漁協組合においては、組合長から被害状況の御説明を受け、市長からは市としての対応策が示され、市議会議長からも支援要望がありました。その際、国や県に対する要望書が提出されて、具体的な要望も伺い、意見交換がなされました。その後、漁船に乗り込み、うねりが大きく雨の中ではありましたが、広田湾漁港のホタテ、カキ、ワカメなどの養殖施設の惨たんたる状況をつぶさに見せていただきました。
 また、ホヤとエゾイシカゲガイは全滅状態であり、殊に高級食材のエゾイシカゲガイは、天然物が少ないとして、数年かかって研究して本格的な養殖に成功し、ことしから陸前高田のブランド品としてやっと販売できる体制になっていたにもかかわらず、全滅となったとして、関係者の皆様の落胆も大変大きかったようです。
 漁民の皆さんによる昼夜を問わない撤去作業も、調査当日は悪天候のため中止されておりましたが、撤去作業にはこの先1カ月も見込まれ、海中の中で絡み合ったロープを切るための潜水作業などの人件費や産廃処理の経費が相当見込まれるということです。
 養殖事業は、つくり育てる水産業として、出荷するまで複数年かかるものであることから、養殖漁業関係者の皆様の長年の努力が、津波によって一瞬にして無残にも砕けてしまい、精神的にも、経済的にも、皆様の打撃ははかり知れないと思っております。
 大船渡市漁協組合においても、組合長を初め、組合役員の方々、漁民の皆様、そして大船渡市から市長、市関係者の皆様の出席のもと、同じく現状説明と復興への強い要望を伺いました。漁民の皆様の不安や絶望感ともとれる姿に心が痛みました。
 この調査で今後に向けての課題は共通していたと思いますが、養殖施設の早期復興支援はもとより、漁業者が高齢化していることから、生活支援対策も早急に必要と思いましたので御質問いたします。知事の答弁をよろしくお願いいたします。
〇達増知事 このたびの津波災害により多大な被害を受けた本県の養殖漁業は、多くの漁業者の生計を支える重要な産業であり、被災された皆様に改めてお見舞いを申し上げます。
 漁業被害の復旧、復興に向けましては、まず、国の支援が欠かせないことから、できるだけ早期に、私自身、国に対して支援などを要望してまいりたいと思います。
 また、復旧、復興に当たりましては、被災した漁業者や地元漁協の要望をよくお聞きし、市町村と連携しながら、きめ細かく対応してまいります。
 県としましては、早急な復旧、復興を進めるために、養殖施設の整備に対する国の交付金、県単独補助金による支援や破損した資材などの処理費用への助成等について、必要な経費を今定例会最終日に、平成22年度当初予算の補正予算として提案させていただきたいと考えております。このため、早期に被害の詳細な把握ができるように、関係者と連携しながら、引き続き全力で取り組んでまいります。
〇三浦陽子委員 ただいま、2月の補正予算に組み入れていただけると伺いまして、漁民の方々もきっと安心されると思いますが、水産業は、国民の食生活の安全・安心のための大変重要な食産物でございまして、水産物の自給率65%の達成に向けた政策も求められているところです。
 新規就業者も減少している中、今、知事から御答弁いただいたような支援策を早急にとっていただき、元気な水産業として、また復活していただきたいと心から思っております。
 それでは、平成22年度予算編成の考え方を伺います。
 これまで一般質問に取り上げられ、幾度も御答弁されたことで大変恐縮ですが、平成22年度の予算は、いわて県民計画を策定し、10年後の岩手の未来を見据えたスタートとなる予算であるとともに、達増知事の現任期の最終年度の予算でもありますことから、どのような方針で来年度の予算編成に当たられたのか、もう一度、知事のお考え方を伺います。
 10年後を見据えて、これからスタートさせる新たな取り組みとしてどのようなものがあるのか、また、これまでの取り組みの実を結ぶものとしてどのようなものがあるのか、特徴的なものを御披瀝願います。
〇達増知事 まず、平成22年度当初予算は、依然として厳しい経済、雇用情勢の中でも、県民一人一人が、未来に向け、勇気と希望を持って歩み出すことができるよう、喫緊の課題であります雇用対策や地域経済の底上げを初め、さまざまな分野にわたり積極的な取り組みを行う予算として編成いたしました。
 具体的には、昨今、大きな問題となっています新規卒業予定者や既に卒業した方々に対する就職未定者の支援、これを含めた幅広い就業支援、雇用創出の取り組みを初めといたしまして、地域経済の底上げや各種中小企業支援対策など、直面する喫緊の課題にしっかり対処していくこととしております。
 これらの喫緊の課題への対応に加えまして、中長期的視点から岩手の未来を見据え、子育て情報の発信など将来の岩手を担う子育て対策の拡充、ドクターヘリ導入に向けた準備の本格化などセーフティネットの充実、新たな産業の創出につながる事業の展開、上海万博への出展を初めとする海外市場への積極的な県産品の販路拡大や観光客誘致など、こうしたさまざまな事業を盛り込んで、将来の希望あふれる岩手の未来に向けて、確かな第一歩を踏み出すことができる予算を編成できたと考えております。
 また、特に、新たな取り組みと、そして、これまでの取り組みについてでありますが、平成22年度の当初予算案は、今般策定しましたいわて県民計画の着実な推進に向けて、喫緊の課題である雇用対策や地域経済の底上げなどに意を注ぎつつ、岩手の未来を開く視点として掲げました、ゆたかさ、つながり、ひと、これらをはぐくんでいくための基盤形成を進める予算として編成いたしました。
 このような考え方から、例えば、ゆたかさをはぐくむ取り組みとしては、二酸化炭素排出量取引の拡大に向けた緑のクレジット創出促進、つながりをはぐくむ取り組みとしては、キャリア教育の推進に向けた学校と地域との協働、ひとをはぐくむ取り組みとしては、産業分野の高度ソフトウエア開発技術者の育成など、新たな取り組みをスタートさせることとしております。
 また、これまでの取り組みの成果等といたしましては、新地域主義戦略として取り組んできた明確な顔を持った広域振興圏の確立に向けて、県南広域振興圏に加えまして、他の三つの広域振興圏においても、本年4月から広域振興局体制をスタートさせること、岩手ソフトパワー戦略として取り組んできた海外展開の成果を踏まえまして、さらなる海外市場の開拓ということで、中国のプーアル市などと共同して上海万国博覧会に出展すること、また、救急医療の高度化に向けて具体的に動き出したドクターヘリの導入促進、岩手・宮城内陸地震によって、これまで全面通行どめとなっていた国道342号須川-真湯間が開通することなどが、成果等として挙げられます。
〇三浦陽子委員 大変御努力されて、この岩手の危機を救うべく、希望あふれる予算編成になったと私も感じております。
 では、次に、国の地方財政対策、財政の健全化等の取り組みについて伺います。
 平成22年度当初予算は、今年度当初予算と比較して約400億円増額となる積極的な予算編成となりました。その主な要因として、国の地方財政対策において、地方交付税などが大幅に増加したとの説明がありました。
 国の地方財政対策では、国の一般会計からの規定の加算に加え、地域のニーズに的確に対応した行政サービスが提供できるよう、地方財政計画に地域活性化・雇用対策等臨時特例費が創設され、別枠の加算がなされたことなどにより、地方交付税が1兆1、000億円増額されることになりました。
 この国の地方財政対策に対する知事の御見解を伺います。
 予算規模は、平成21年度当初予算と比較して総額で約400億円の増となっておりまして、国の地方財政対策の考え方も踏まえ、県として、主にどのような分野の予算を増額したのか、総務部長に伺います。
〇達増知事 国の地方財政対策についてでありますが、平成22年度の地方財政対策は、地方税収の減少に的確に対応するとともに、三位一体改革による地方交付税の削減や地域経済の低迷の結果、疲弊してきた地方財政に配慮して、かねてより強く訴えてきました地方交付税の復元、増額の要請にこたえたものとして高く評価しております。
〇菅野総務部長 平成22年度当初予算におきましては、雇用の創出と就業の支援、地域の保健医療体制の確立、地域経済の活性化、人口の社会減に歯どめなどの緊急かつ重大な課題に対応することとしたところであります。
 政策的経費において増となったものは、主に経済、雇用分野であります商工費、労働費において対前年度比194億円の増、保健福祉、医療分野である民生費、衛生費において対前年度比127億円の増、こういったところが主なものでございます。
〇三浦陽子委員 政権交代して、国の道筋といいますか、本当に命を守る予算ということに基づいた予算編成になったんだと思いますが、また、一般質問において、予算規模は将来負担の軽減に向けて十分に配慮したとの御答弁がありました。予算が大幅な増加となったことに対し不安の声も聞こえますが、改めてその具体的な内容をお聞かせ願います。
〇菅野総務部長 予算の大幅増加についてでございますが、平成22年度当初予算におきましては、将来の負担を過度に増加させないよう、臨時財政対策債を除いた県債発行額については縮減を行い、その結果、臨時財政対策債以外の県債残高を約360億円減少させるなど、財政の健全化に向けた道筋にも十分配慮させていただいたところでございます。
 また、2月補正予算案におきましては、県債管理基金について、当初予定しておりました26億円の取り崩しを取りやめたほか、新たに28億円の積み立てを行うなど、将来の公債費の増加や財政需要にも備える努力をしたところでございます。
〇三浦陽子委員 それでは、結局、私たち県民といいますか、この大幅な増額の予算規模については、余り大きく心配しなくてもいいことなのかなと思いますけれども、総務部長、もう一度御答弁願います。
〇菅野総務部長 県債の規模というのは、かなり大きいことは事実でございます。そういった将来の重荷を負った財政運営をしっかりしていかなければならないということはそのとおりでございますが、来年度予算におきましては、先ほど申し上げました国から交付を受けました基金等を最大限活用しまして、極力公債費を増加させないよう、将来の負担にも意を用いて編成できたものではないかと考えております。
〇三浦陽子委員 ありがとうございました。
 それでは、公債費について伺います。
 来年度予算については、公債費の増加が余りにも大きいのではないかという危惧があります。県債の元利償還である平成22年度の公債費は、前年度と比べて130億円、13.1%もの増加であります。これは、県民の直接のサービスにつながるものではなく、過去の借金の返済にほかなりません。一般質問で我が会派の五日市議員も、大きな問題意識を持っておられたものでもあります。
 返済は今後も続いていくことになりますが、県債を大量に発行することとなった過去の主な要因や、今後、増加が見込まれる県債償還に対する備えについて伺います。
〇菅野総務部長 県債を大量に発行せざるを得なかった過去の主な要因といたしましては、まず、東北新幹線や県立大学の整備など、県単独事業の財源として県債を発行してきたこと、それから、累次の国の経済対策に呼応いたしまして、立ちおくれていた社会資本整備を前倒しで実施するための補正予算債等を相当程度発行してきたこと、さらには、地方交付税の振りかえといたしまして、臨時財政対策債の発行、これは、国の政策として、県として余儀なくされてきたこと、こういったものが挙げられるのではないかと思っております。
 1兆4、000億円台まで増加した県債残高と、今後その償還が高い水準で続くことはそのとおりでございまして、本県の財政運営上の大きな課題となります。中長期的な県債残高の規模の抑制、可能な限り主要3基金の残高を確保していくのが必要であろうと考えております。
 先ほども申し上げたところでございますが、2月補正予算において、県債管理基金において、取り崩しを予定していたものを取りやめ、逆に28億円の積み立てを行うことなど、なお将来の県債の償還の財源となります県債管理基金について、何とかその規模を今より少しでも大きくしたいという最大の努力を行ったところでございます。
〇三浦陽子委員 財政の健全化に向けて大変御努力されていらっしゃるということで、安心はいたしておりますけれども、やはり過去のツケが将来の子供たちになるべく少なく、そして、できるだけ前向きな財政運営ができるように期待いたしております。
 それでは、次に、国直轄事業負担金の見直しについて伺います。
 民主党政権では、改革の本丸として、中央官庁のコントロールを脱して、地方がみずからの地域のことをみずから決めることができる体制づくりを通じて、地域主権を実現することを目指しております。
 中央から地方へということですが、その一環として、直轄事業負担金の見直しに取り組んでおります。これにより地方負担が軽減される見通しとなっておりますが、平成22年度の軽減見通しと負担金制度の改革が本格実施される平成23年度以降の軽減見通しについて、直轄事業負担金制度改革そのものへの評価とあわせてお示し願います。
 また、直轄事業負担金の見直しに伴って、県と市町村の間にもある事業負担金制度の見直しも進められていると承知しております。平成22年度当初予算における見直しの状況と今後の見直しの方向についてお伺いいたします。
〇達増知事 今回の直轄事業負担金制度の見直しは、事業を行う上での国と地方の果たすべき役割を明らかにして、その結果に基づいて行われたものと認識しております。
 今後の地域主権改革を進める上で、こうした取り組みは極めて重要であり、今回の見直しを高く評価しております。
 平成22年度から、その廃止への第一歩として、業務取扱費を全廃し、そして、平成22年度、平成23年度の2カ年で、維持管理にかかわる負担金制度を廃止することとされています。
 この見直しにより、平成22年度は28億円程度、平成23年度は56億円程度の負担の軽減が図られ、県債発行額の縮減にもつながるものと考えております。
 そして、市町村負担金の見直しについてでありますが、市町村等の意向や国の直轄事業負担金制度の見直しを踏まえて、市町村等負担金についても、国への負担金と同様の見直しを行っております。
 市町村等負担金のあり方については、市町村等の意向のほかに、国の直轄事業負担金制度のさらなる見直しや、また、ひもつき補助金の一括交付金化等の動向を踏まえて、引き続き検討することとしております。
〇三浦陽子委員 地域主権ということを掲げている新政権、私も大変これに期待するものです。やはり国から地方へ、中央から地方へということがしっかりと県民にも示されるようにお願いしたいと思います。
 県による市町村の行財政基盤強化の支援については、これまで県は、さまざまな取り組みを実施してこられました。地域主権の観点から、今後も県は市町村への支援を強化するべきと考えますが、その基本的な考え方と今後の展望について伺います。
〇加藤地域振興部長 市町村支援の強化ということでございますが、県は、市町村の行財政基盤の確立や組織力の向上を目指しまして、これまで市町村合併や県から市町村への権限移譲を推進するとともに、市町村総合補助金等の交付、自治振興資金の貸し付けなどの財政支援、職員の人事交流など人的支援を行ってまいりました。
 その結果といたしまして、特に合併市町村を中心に、分権時代にふさわしい行財政基盤が整えられつつありまして、住民サービスや職員の資質の向上が図られたと認識しております。
 一方で、本県市町村の財政状況は依然として厳しいものがございます。また、特にも小規模な町村におきまして、将来の事務処理体制や持続的、安定的な行政サービスの提供に懸念が見られる、こういうものが課題と認識しております。
 基礎自治体の役割、地域主権の考え方は、もとより今後ますます重視されることでございますので、県といたしましては、市町村への権限移譲や自主的な市町村合併の支援を行うとともに、市町村行財政コンサルティング─これは市町村に県のほうがいろいろ入っていきまして相談に応じるというものでございますが、こういったものを通じまして、行財政運営への適切な助言を行いまして、市町村のさらなる行財政基盤の強化を支援してまいりたいと考えております。
〇三浦陽子委員 これからが本格的な地域主権を目指すいろいろな施策がとられると思いますけれども、この行財政基盤強化につきましての取り組みは、本当に、地域が疲弊している中で大変力を発揮する部分だと思います。県のこの力が、本当に市町村にとって重要なものになると思いますので、ぜひとも今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、改正過疎法について伺います。
 現在、国会では、過疎地域自立促進特別措置法の一部を改正する法律案、いわゆる改正過疎法の審議が進められております。この法案については、我が党の黄川田代議士が与党の政策責任者として対応されていますが、この法案では、過疎地域の要件緩和や過疎対策事業債の対象の追加など、ソフト面の充実が図られている内容と承知しています。
 岩手県内では、全国で最多の7市町村が、新たに過疎要件を満たし財政的支援が見込まれていますが、改正過疎法への評価をまずお聞きいたします。
 特にも、普代や山田、釜石、大槌など、県北・沿岸で新たに過疎要件を満たす自治体が多いと認識していますが、県北・沿岸振興の観点からも極めて有効な法改正の内容となっており、その点も踏まえて御答弁願います。
〇加藤地域振興部長 過疎法改正の評価でございます。
 今般の法案は、本県の実情を反映した過疎市町村が追加される見込みであるとともに、地域医療の確保、住民の交通手段の確保、集落の維持、活性化など、いわゆるソフト事業につきましても新たに過疎対策事業債の対象となるなど、過疎地域の振興や県北・沿岸圏域の振興を図る上でも大変有意義なものと、高く評価しているところでございます。
〇三浦陽子委員 本当に、この過疎法がしっかりと改正されても、過疎地域にとって有効な法案であることを期待しておりますが、また、新たに加わる7市町村と合わせて岩手では23市町村が対象となりますが、岩手県として、今後の過疎対策について市町村への支援をどう進めるのかお伺いします。
〇加藤地域振興部長 今後の取り組みでございますが、過疎市町村におきましては、具体的な事業を盛り込んだ過疎計画を策定することとなります。過疎対策を推進するためには、地域間格差の是正を目的といたしまして、これまでのハード面に加えまして、生活交通の確保、集落の維持、活性化などソフト対策も重視しながら、地域の活性化に向けて取り組んでいくことが重要でございます。
 県といたしまして、こうした考え方に立ちますとともに、国から示される予定の考え方等に基づきまして、過疎対策の大綱となります過疎方針を策定していくと。それを踏まえまして、市町村の過疎計画策定等を支援していくということになってまいります。
 市町村と十分連携を図りながら、時代に対応した総合的な対策を推進してまいりたいと考えております。
〇三浦陽子委員 それでは、国の景気対策関係予算として1兆円の経済危機対応・地域活性化予備費が創設されていますが、岩手県における景気、雇用対策として重点的に取り組むべきものは、地域経済の底上げとその活性化であり、まずは、県民が生き生きと元気に働き、生きがいを感じて生活し、岩手の強みを惜しみなく生かすことではないかと思います。そして、それを先ほど知事からも御答弁いただきました。
 県として、現状をどのようにとらえ、これからどのように取り組もうとしているのか伺います。
 私は、何といっても地域医療の充実と地域の人材育成が重要であり、これがあってこその農林水産業、農商工連携や観光産業などの地域ブランド力の強化につながるものと考えますが、県のこれまでの取り組みの評価と今後の展開について伺います。
〇達増知事 まず、本県の景気の動向でありますけれども、乗用車新車登録台数が6カ月連続で前年水準を上回っておりますが、新設住宅着工戸数が12カ月連続で前年水準を下回り、1月の有効求人倍率は0.35倍と依然として低い水準となっております。下げどまりの動きも見られるものの、厳しい状況が続いているという状況であります。
 こうした中、県民一人一人が希望を持って生き生きと働き、安心して暮らしていくことができる地域社会を実現していくためには、喫緊の課題であります現下の厳しい地域経済、雇用環境状況の改善を図り、そして、中長期的な視点に立って、持続的、安定的に成長できる経済基盤を構築していくことが重要であります。
 このために、雇用対策基金等を活用した雇用の創出、そして新卒者等への就職支援、また、中小企業者の経営安定に向けた円滑な資金供給などに、まず、意を注いでまいります。
 そして、自動車や半導体関連産業などを柱として、国際競争力の高いものづくり産業の集積促進、そして、地域の特性、資源を生かした食産業、観光産業、農林水産業などの振興、さらに、医療、環境など今後成長が期待できる分野の産業振興などに取り組んでいくこととしております。
 そして、地域ブランド力の強化ということと地域医療、人材育成面の取り組みについてであります。
 県ではこれまで、医師や看護師等の地域医療を担う人材の養成、確保などによって、地域医療の確保に取り組んでまいりました。
 また、ものづくり分野における高度技能技術者や県内各地域における観光コーディネーターなど、さまざまな分野における人材の育成にも取り組んできたところであります。
 こうした取り組みによりまして、医療の面では、現在の厳しい医療環境の中にありましても、徐々にではありますが、医師の数は増加しているとともに、地域医療を支える県民運動も始まっているところです。
 そして、人材育成面では、平成20年度、経済産業省が実施しました企業満足度調査において、人材あっせん・育成に関する支援で全国1位の評価をいただいたところであります。こうしたことから、一定の成果があらわれてきているものと考えております。
 今後、こうした取り組みに加えまして、新たにドクターヘリの導入など救命救急医療の高度化、そして高度ソフトウエア開発技術者の育成といったことにも取り組んでいくこととしております。
〇三浦陽子委員 大変今までの取り組みが実を結んできていると私も思っておりますし、地域医療の充実につきましては、今までの国策においての地域医療が崩壊しつつあるところに歯どめをきかせるための施策が展開されておりまして、大変県としての御努力に感謝申し上げるところでございます。
 ただ1点、やはり地域ブランド力といいますか、岩手といったら何だとぱっと全国の人たちに言っていただけるような、そういう力強いものがもうちょっとあってもいいと思っております。
 全国的には、何々県は何とぱっと浮かぶものもあるんですが、岩手も南部鉄器とか、もちろん南部せんべいもうちの北海道でも大変好評なんですけれども、そういう岩手のブランドというものをもっと強化する施策が必要だと思いますが、知事としての御見解をお聞かせください。
〇達増知事 確かに青森のリンゴでありますとか、あるいは秋田はなまはげとか、この県といえばこれといったシンボルについて、岩手県につきましては、むしろ豊かな自然、多様な産業、そういう中でそれぞれいいものがあります。これはデパートの物産展担当の方から聞いたりするんですが、総合力に関しては岩手は本当に圧倒的なものがあると聞いております。したがいまして、この4月から広域振興圏がスタートすることもありまして、それぞれの広域の中でどんどん地域資源を発掘していただいて、そういう中から岩手を象徴するようなブランド力の高い物産とか、あるいは観光、文化的シンボルのようなものが浮かび上がってくるのではないかと期待しております。
 また、究極的には、岩手といえばやはり人ではないかと思っておりまして、そういう意味では、先ほど御質問の中で指摘いただいた人材育成を県としてはこれからもきちっと徹底してやっていくことが大事と思っております。
〇三浦陽子委員 確かに物だけではなく、自然とか人とか、そういうもので岩手が象徴されるというのは私にとっても本当にうれしいことというか、そういうことを進めてほしいと思っています。
 岩手の方々の実直な、そして牛のごとしというそれに合ったような県民性をもっと大事に育てて、これからの若い人たち、そして子供たちにそれをつなげてほしいと思っております。
 それでは、普通建設事業、公共事業について伺います。
 国の平成22年度予算編成では、これまでの業界団体やしがらみによる利権構造を排除し、コンクリートから人へという考え方のもと、従来とは一線を画す予算編成が行われました。その結果、国の公共事業は18.3%と大幅に減少となったところですが、本県の普通建設事業や公共事業の予算はどのようになっているのかお伺いします。
 また、本年度の2月補正予算と平成22年度当初予算と合わせて、ほぼ本年度当初予算並みの予算額を確保しているとのことですが、改めてその考え方を伺います。
〇菅野総務部長 まず、普通建設事業等の予算についてでありますが、平成22年度当初予算におきましては、普通建設事業は、対前年度比3億円、0.3%減の1、095億円、うち公共事業費につきましては、対前年度比40億円、4.3%減の890億円となっているところでございます。
〇三浦陽子委員 地域経済に配慮して県民の仕事や生活を守る趣旨と理解いたしました。
 しかし、公共事業を増加させることは、そのまま借金の増大につながるのではないかと危惧する声もあります。先ほどの質問と重複する部分もあろうかと思いますが、この点についてもう一度伺います。
〇達増知事 予算編成の考え方についてでありますが、当初予算ベースで、国の公共事業費がピーク時から約40%減少しております。一方、本県では県債残高の抑制を図るということで国よりも早い段階から事業量の縮減に取り組んできておりまして、ピーク時から見ますと既に約60%以上減少しております。したがいまして、昨今の経済情勢の中で、これ以上の事業費の削減は適切ではないと判断しております。
 このため、平成22年度当初予算において、県内経済への影響を考慮して単独事業を増加させるなど必要な事業量の確保に努めて、普通建設事業費で1、095億円、今年度当初予算と比較して0.3%の減にとどめたところであります。
 また、2月補正予算においても、地元中小事業者の受注機会の増に資するきめ細かなインフラ整備等について、さらに73億円程度の追加事業を計上しておりまして、地域経済の下支えを行うことともしたところであります。
 そして、公共事業の増加と借金についてでありますけれども、国の公共事業費の大幅な削減の中にありまして、県内経済への影響を考慮して単独事業を増加させたわけでありますけれども、財源としましては、国の交付金を活用して積み立てた基金を取り崩すなど、将来負担を過度に増加させないような十分な配慮を行っておりまして、臨時財政対策債を除いたいわゆる建設地方債等の県債の残高は増加させることなく、むしろ約360億円減少させているところであります。
〇三浦陽子委員 2月補正予算について例年になく事業を積極的に展開するという説明を受けましたが、これまで経済対策というと大規模な公共事業を行うことが中心であったと思います。現政権による経済対策は、従来型の公共事業依存ではなく、雇用や環境や福祉などの分野で仕事を生み出すとの方針のもと、あすの安心と成長のための緊急経済対策をまとめておりますが、今回の2月補正予算は、平成22年度当初予算と一体的に編成したということでしたのであえてお尋ねいたしますが、本県の2月補正予算による政策的事業についての考え方を伺います。
〇達増知事 普通建設事業において、地元中小企業の受注機会の拡大に配慮して、大規模な公共事業ではなく、橋梁の補修、森林の路網整備、公共施設等の改修など、きめ細かなインフラ整備を行うこととしております。
 そして、その他の事業においても、岩手の将来を担う人材育成の充実を図るために、教育関係の施設、設備の整備を重点的に実施いたしますほか、地域における生活の安心を確保するために、県立病院における医療機器の整備や社会福祉施設等の改修、そして交番の建てかえなど、地域ニーズの高い、地域経済の活性化のための事業を実施することとしたところであります。
〇三浦陽子委員 私も、公共事業の見直しといいますか、考え方を転換する時代に来ているんだと思いますが、そう言いながらも、例えば橋とか道路とか、そういうものに関しては補修しながら長持ちをさせていく、そういう取り組みもやはり同時に進めていくべきだと思っております。景観につながる部分もありますし、あと交通網の整備といいますか、交通事情が悪くなる、そういうものをやはり食いとめなければいけないと思っておりますので、そこら辺もやはり、地方の建設業界の方たちの仕事の場としてもしっかり取り組んでいただければと思っております。
 次に、岩手県I援隊関連事業の取り組みについて伺います。
 I援隊の由来は、明治維新の礎を築いた坂本龍馬が組織した海援隊にちなんだもので、県民、企業、NPOが既存の枠組みを超えて、独創力や行動力を発揮しながら問題意識や地域課題などを共有できるネットワークを率先して築き、その課題解決に向けて一体的に行動していく取り組みを進めるものだと承知しています。
 岩手県I援隊関連事業としてさまざまな事業を計画に組み入れておりますが、中でも県内食品業者の支援及び農商工連携による岩手ならではの安全・安心のフードチェーンの構築による地域活性化に向け、行政機関、金融機関、民間企業などで構成する研究会、フード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチを全国で初めて設置し、構成員同士の連携や業務支援活動を展開するとしておりますが、具体的にどのように展開し、どのような成果を上げようとしているのかお伺いいたします。
〇達増知事 フード・コミュニケーション・プロジェクト─FCPは、国が平成20年度に立ち上げた取り組みで、食品関連企業が積極的に企業理念、企業活動等を情報発信することにより市場や消費者とのコミュニケーションを活性化し、食に対する信頼向上を図ろうとするものであります。
 昨今、食の信頼向上が叫ばれる中で、本県の安全・安心な食品に注目が高まってきております。県ではこれを好機ととらえ、食産業、食品関連企業について、地域資源の活用、雇用の創出など、地域活性化の柱の一つとなる業種として位置づけております。
 こうしたことから、国の取り組みに呼応して、昨年6月、全国で初めて、食品関連企業、金融機関等が参加して、企業の経営力強化や農商工連携等の促進に取り組むFCP岩手ブランチを設立して活動しているものであります。
 今後の展開と目指す成果についてでありますけれども、例えば、山ブドウパンを初めとするいわて地産地消ベーカリーというのがございます。また、県産の梅を活用した糖類無添加の梅酒の開発。二つの例を挙げさせていただきましたけれども、そういうFCP岩手ブランチのネットワークを活用して、農商工連携など新たな企業間連携を推進することで、地域内で付加価値を高める新しいビジネスモデルの構築に取り組んでまいります。
 また、このような取り組みをさらに波及させるために、来年度におきましては、各広域振興圏においてセミナーを開催するなど、FCP岩手ブランチの活動を通じて食産業の振興に取り組んでまいります。
〇三浦陽子委員 期待しております。
 いわて文化芸術王国構築事業費は、岩手文化芸術振興指針に基づき、4広域圏ごとに設置するネットワークの運営や県内外への情報発信などを実施するものでありますが、I援隊運動としての具体的な取り組みをお示しください。
 また、そういう文化芸術の活動をしている方たちに対して、県外のみならず、海外に招待されていく場合の支援策などがありましたらお示しください。
 さらに、岩手の文化芸術の価値を内外に示すことで当事者間のモチベーションが上がり、ますます地域に誇りを抱き、若者の定住や移住が促進される可能性も大きいと思われますが、御所見を伺います。
〇加藤地域振興部長 いわて文化芸術王国構築事業についてでございますが、この事業におきましては、4広域圏ごとに文化芸術振興のためのネットワークを設置しようとするものでございます。昨年12月に県央圏域─盛岡地区を中心とするものでございますが─にネットワークを立ち上げたところでございます。
 市町村の芸術文化協会や伝統芸能関係団体、NPO、商工観光団体や行政機関などで構成されておりまして、それぞれの団体が持つ多様な情報を集め、共有し活用するとともに、コーディネーターを設置いたしまして、文化芸術に関するさまざまな相談に応じていくこととしております。
 このネットワークの取り組みが、I援隊運動におきますコミュニティ・ソリューションの展開や県民に開かれた活動手法の提案とその実践、そういった部分に該当するものでございます。今後、こうしたネットワークの取り組みを他の三つの広域圏でも展開していくこととしております。
 それから、文化芸術の海外公演等に対する支援策でございます。
 文化の国際交流活動等に対します助成に関しては、民間の財団等が都道府県を通じて公募を行う例がございます。県といたしましては、こうした情報を先ほど申し上げました文化芸術ネットワークを通じて市町村や郷土芸能団体に提供するなどいたしまして、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、文化芸術の価値を内外に示すことによる効果についてでございます。
 鹿踊り、神楽など伝統芸能、あるいは平泉文化など岩手の文化芸術の価値を県民が認識し、実感していただくことや、その価値を県内外に示していくことは大変重要なことでございます。委員御指摘のとおり、こうしたことが地域住民の誇りを高め、世代間交流や青少年の健全育成の効果を生み、ひいては若者定住のみならず、県外からのU・Iターンにもつながる可能性があるということでございまして、そのとおりだと認識しております。
 こうした文化芸術の有する意義を私どももしっかり受けとめ、認識いたしまして、文化芸術の振興にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
〇三浦陽子委員 今までI援隊運動というところで質問させていただきましたけれども、海援隊といいますか、坂本龍馬のことに関しましても今、大変注目されておりまして、私も高知県を訪れた際に、記念館とか龍馬の銅像のところまで行って、太平洋のかなたを見詰めている坂本龍馬の像を見てまいりました。
 現在、NHK大河ドラマで龍馬伝をやっておりまして、大変龍馬の魅力に引き込まれるところでございますが、知事の思いに呼応したI援隊運動にかける県庁職員の皆様の反応はいかがか御感想を伺いたいと思います。
〇達増知事 大変よくやってもらっていると思いまして、エントリーもどんどんふえてあっという間に100を突破し、3けたで事業のエントリーが推移しているところであります。
 国の政府のほうで脱官僚、脱官僚という話があるんですけれども、私は、究極の脱官僚というのは、官僚自身が官僚的でなくなることが究極の脱官僚。官僚を外せばいいとか、官僚に仕事をさせなければいいということではなく、官僚が官僚らしからぬ仕事をばりばりやるようになることで本当の脱官僚が実現できると思っているんですけれども、岩手においては一歩先んじて、県職員が、これは本質的にはそうあるべき姿ですけれども、一般常識的にはというか、古い常識からすると県職員らしからぬ、そういう脱県的な形で、岩手なりの豊かさを盛り上げていくための人づくり、つながりづくりの活動にどんどん邁進していることは非常に頼もしく思っているところであります。
〇三浦陽子委員 脱官僚という考え方につきましては、今、このI援隊という取り組みで、県庁の方々が県民の思いに立って一生懸命頑張っていこうとしている姿が見えて、大変頼もしく思っているところです。
 加藤地域振興部長にお伺いいたしますが、ただいま文化芸術の価値につきまして御見解をいただいたんですけれども、加藤地域振興部長はほかからいらっしゃっていると伺っておりますが、この岩手の文化芸術について、実際にごらんになったこともあるかと思いますけれども、今後もぜひともいろいろ県内で見る機会をつくっていただければと思いますが、その辺についての御所見はいかがでしょうか。
〇加藤地域振興部長 所管はしておりますが、文化芸術に余り素養もないものではございますが、いろいろやってまいりまして、非常に伝統芸能的なものが大変幅広くある、しかも地域に満遍なくあると思っております。私もその一端しかまだ見たことはないんですが、これは非常にすばらしい地域の力になっているんじゃないかと思います。そういうふうなものを実際に目にしたり、あるいは報道等、テレビとかで拝見したりして、大変大きな可能性があるんじゃないかと思っております。
 それからあと、いろいろ感じておりますのは、大変学校教育等の場でそういったものをきちっとはぐくんでいこうというか、そういう取り組みが進んでいるというか、そういうふうなものに今後のさらなる可能性というか、あるいは綿々とつながっていく意義というか、期待というものを大きく感じました。
 私、子供が小さいんですが、子供も見ていて太鼓をやりたいとか言っていまして、大変興味を持っているものですから、そういうことも学ばせたいと思っております。
 つたない所感でございますが。
〇三浦陽子委員 突然の質問で大変恐縮でございましたが、地域の方々、私がお世話になっている地域ではさんさ踊りとかが盛んですけれども、それを保存していくのに大変苦労しております。今、若い人たちも注目してきて団員もふえてきているとは聞いておりますけれども、その中でも、やはり消えていく伝統芸能もあるかと思います。そういうところにこそやはり光をしっかり当てて、その地域を支える力として皆さんに頑張っていただくように県としての支援策も大変重要だと思っておりますので、地域振興部長のみならず、皆さんのお力で、何とかそういう光の当たらないところにも当てる方策を展開していただきたいと思っております。
 続いて、いわて県民計画アクションプラン改革編について伺います。
 アクションプラン改革編では、民間力、地域力が発揮される仕組みづくりを進め、多様な主体による公共サービスの提供を目指すものとされており、官民協働のさらなる進展に向けた仕組みの整備や第2期指定管理者の指定などが計画どおりに進んでいると承知しています。
 県内49の指定管理者制度導入施設の検証や公の施設のあり方の検討がされて、44施設の評価が公表されました。この評価結果に対する県の認識についてお伺いします。
 あわせて、この評価結果等に基づく今後の課題等についてお聞かせ願います。
〇菅野総務部長 指定管理者制度を導入しております公の施設につきましては、お話のありましたとおり、毎年度、指定管理者自身による自己評価と県による管理運営状況の評価を行い、その結果を公表させていただいているところでございます。
 各施設の状況を見ますと、指定管理者による新たなサービス向上に向けた取り組みなども行われておりまして、施設管理もおおむね適切になされているものと考えてございます。
 ただ一方で、平成20年度の包括外部監査においても指摘がなされておりますが、一部施設におきましては物品の管理に不適切な点があったこと、また、当初計画されていた第三者による評価が実施されていなかった事例、こういったものが明らかになってございまして、こういったものにつきましては、指定管理者と施設所管課が協議の上、改善を図っているところでございます。
〇三浦陽子委員 この指定管理者制度を導入されて、いろいろな課題も見えてきたり、成果も見えてきていると思いますけれども、私の聞くところによりますと、民間力を評価していただいて、県と一緒になってやると。一緒になって協働でやるという言葉は大変立派ですけれども、現実的には、どちらかというと指定管理者に登録している方たちが非常に動きにくい面もあると伺っておりますし、逆に、もっと協力してほしい、それからいろいろなことを指導してほしい、そういう声もあると聞いておりますけれども、その辺につきましてのお考えはいかがかお伺いいたします。
〇菅野総務部長 御指摘ありましたとおり、指定管理者制度を導入しましても、あくまでも県の公の施設でございますので、指定管理者にお任せする、そういう姿勢は一番の問題だろうと思ってございます。県民の方々によりよく公の施設を使っていただくために、県と指定管理者が一体となって取り組まなければなりませんので、指定管理者の方々の御意見、さらにはその利用者の御意見をよくお伺いした上で、施設の設置者としての県、それから指定管理業務を発注している県として何ができるか、一つ一つをよく検証しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇三浦陽子委員 指定管理者を指定するときの要件はいろいろあると思いますけれども、定期的に変えたほうがもちろんいいところもあるかもしれないけれども、やはりその取り組みを継続して続けていくような分野もあると思うんです。その辺の見きわめといいますか、評価を受けて次の指定に入ると思いますけれども、その辺についての御見解を伺いたいと思います。
〇菅野総務部長 やっぱり公の施設でございまして継続性が大事でありますから、通常の委託業務と違いまして、議会の議決をいただきながら指定管理業務については複数年度行うこととしてございます。
 ただ、何年継続するのがいいのか、それはおのおの施設の性格によって異なっていると思います。当然それぞれの施設ごとの利用状況や施設実態の検証を行いながら、現在の期間が将来的にもいいのかどうか、その辺も含めていろいろ検討する必要があろうかと思っております。
〇三浦陽子委員 提案公募型アウトソーシングの導入や岩手型市場化テストなど、新たな手法による公共サービス改革の仕組みづくりにも着手したとされておりますが、その具体的な内容についてお示しください。
〇菅野総務部長 公共サービス改革の仕組みづくりにつきましては、昨年度から民間の方々からの提案に基づき業務を外部委託します提案公募型アウトソーシングを導入いたしまして、職員研修業務の一部について包括的な外部委託を実施しているところでございます。
 今年度におきましては、官民比較型市場化テストの取り組みを開始いたしておりまして、現在、モデル事業として法人二税の関連業務の官民競争入札を実施しているところでございます。
 また、いわゆる民と官の協働を推進するための窓口としていわて公共サービス・マッチングシステムを設置いたしてございまして、これまで、コンビニエンスストア等と県との包括協定を3件締結いたしております。このようなコンビニエンスストアの各店舗におきまして、県政情報の発信や県独自の子育て支援、少子化対策でございますi・ファミリー・サービス事業に基づくサービスの御提供もいただくなど、県民サービスの向上にも一定程度寄与しているのではないかと考えております。
〇三浦陽子委員 この取り組みは今後も続いていくと思いますけれども、例えばコンビニエンスストアでの受け入れ態勢といいますか、その辺はどのコンビニエンスストアでもとれるものではないとは思うんですが、これからどんどんそういうことを広げていくおつもりでしょうか。
〇菅野総務部長 委員の御指摘のとおり、まだ全コンビニエンスストアとはいっておりませんで、県との包括協定を結ばせていただいているコンビニエンスストアに限られております。
 ただ、このようなサービスにつきましては県民の方々の利便性に寄与するものと考えてございまして、コンビニエンスストアのみならず、いろいろな企業、団体との連携も進めてまいりたいと考えておりまして、私ども総務部が窓口になりながら、これについては積極的に行ってまいりたいと考えております。
〇三浦陽子委員 それでは、子供施策について伺います。
 県の子供施策にかかわる知事の評価などについて伺いたいと思いますが、この子供施策を策定するに当たり、子供に対する基本的な考え方を社会全体が共通認識した上で、保健、医療、福祉、教育、青少年対策などの総合的な施策として策定し、わかりやすく実施してその検証と評価をしていくことが必要なのではないかと考えます。
 政策評価レポートを見ると、子育て環境の整備に対する評価は、残念ながらややおくれとなっております。現在、次世代育成支援対策推進法に基づく今後5年間の後期行動計画としていわて子どもプランの見直しがされているようですが、知事はこれまで取り組んできた子供に関する施策をどのように評価し、今後どのように計画を展開されていくお考えなのかお伺いいたします。
〇達増知事 これまで、子育て環境の整備については、保育サービスの充実を初め、仕事と子育ての両立支援や地域力を生かした子育て活動の推進などによって社会全体での子育て支援の充実を図ってきたところであります。特に、地域や企業の理解と参画が極めて重要でありますので、県長寿社会振興財団にいわて子ども希望基金を創設いたしまして、地域における多様な子育て支援活動への助成、いわて子育て応援の店の拡充、いわて子育てにやさしい企業等の表彰制度の創設といったことに取り組んでまいりました。
 しかしながら、県民意識調査におきましては、御指摘のとおり子育て環境の整備は重要度が高く、しかし満足度が低いという結果が示されておりますので、年度内にいわて子どもプランを策定することとしておりますが、この中で、施策の方向を、若者が家庭や子育てに夢を持てる環境を整備する、子育て環境を支援する、子供の健全育成を支援する、という三つの方向に定めまして、県民のライフステージに沿った切れ目のない支援を効果的、総合的に推進していきたいと考えております。
〇三浦陽子委員 子供の施策は大変いろいろな観点から取り組んでいかなければならない、そしてまた、将来を背負う子供たちにとって環境を整えるということは本当に重要なことだと思っておりますので、ぜひともそのような計画を展開されていくようお願いしたいと思います。
 そしてまた、国におきまして子ども手当が支給されることになりましたが、親の所得にかかわらず今年度は1万3、000円支給されると決定いたしました。それに対する知事の評価をお示しください。
〇達増知事 子ども手当は、次代の社会を担う子供一人一人の育ちを社会全体で応援するということや、子育ての経済的負担を軽減して、安心して出産し、子供が育てられる社会をつくるという観点から創設されるものであります。
 昨年2月実施された内閣府の少子化対策に関する特別世論調査によりますと、少子化対策で特に期待する政策の2番目に子育てにおける経済的負担の軽減というのが来ておりまして、子ども手当の支給は子育て家庭のニーズに対応するとともに、子供の健全育成活動に活用できる有効な施策として評価できるものと考えております。
〇三浦陽子委員 私も子ども手当を大変評価しているところでございます。今、若い人たちが経済的に大変苦しい状況の中、私も昨年孫が生まれましたが、娘たち夫婦を見ていますと本当に一生懸命働いておりますし、時間も限られた中ですけれども父親も一生懸命子育てにかかわろうとしている。今の若い人たちを見て、本当に社会で支えてあげなければいけないと痛感しているところです。私たちが子育てをした時代背景ともまたちょっと違ってきておりますので、ぜひとも子ども手当が有効に活用されることを期待しております。
 今度は、児童自立支援と特別支援教育についてお伺いしたいと思います。
 昨年、私は岩手県立杜陵学園について質問させていただきました。知事から、社会的支援が必要な子供たちの自立を支援する施設の果たすべき役割の重要性と今後の取り組みについて、前向きな御答弁をいただいたところです。また、保健福祉部長と教育長から、準備委員会を設置して、来年4月からの学校教育導入を目指して準備を進めているという、子供たちにとって未来が開ける明るい御答弁がありました。
 子供はやはり、先ほど知事の御答弁にもありましたように、社会全体で育て、支えると。社会の責任で育てるということはまさに大事なことだと思っておりますが、本県唯一の児童自立支援施設である県立杜陵学園は、施設長を先頭に、子供たちに対する熱意のあふれる職員の皆さんのおかげで順調な支援が行われていると思っております。ことし4月から学校教育が導入されれば、今よりきっとすばらしい成果が期待されると思います。
 しかし、精神的にさまざまな苦悩を抱えている子供たちにとって、これまで信頼を構築してきた職員の変動が大きいなどの場合、環境の変化に順応するためには相当慎重に取り組まなければならないのではないかと危惧されます。また、さまざまな障がいをあわせ持った子供たちが多い中、特別支援教育的な取り組みも必要ではないかと考えますが、杜陵学園での学校教育のスタートに向けて知事の御見解を伺います。
〇達増知事 前年度から盛岡市と協議を重ねてまいりまして、本年4月、学園内に盛岡市立小・中学校を開設しまして、入所児童生徒に対する義務教育が実施されることとなりました。これに伴って教育環境が充実し、入所児童等の自立支援にとって極めて重要な学力などの向上が図られることは極めて意義深いと考えております。
 入所児童等の中には特別支援学級に在籍していた児童生徒もいますので、今後、個別の指導計画や、また支援計画に基づいて、きめ細やかな指導や支援を行うことが可能になると考えます。
 今後とも、個々の入所児童等の発達や状態に応じた支援ができるよう、教育と福祉が一体となった取り組みの一層の充実を図っていく考えであります。
〇三浦陽子委員 県立児童自立支援施設というのは全国各都道府県にありますけれども、本当に被虐待、家庭内暴力、発達障がい、不登校、情緒障がい、知的障がいなど、それが原因で非行ということになった子供たちが多いと聞いております。その過去の育ちの中で適切に教育、養育されなかったためにそういう生活習慣や価値観、社会的ルールや常識から大きくかけ離れてしまった子供たちですので、施設の対応というのは大変重要だと思っております。
 私が視察に行った愛媛学園というところでは、子供たちが太鼓に打ち込んだり、それから英語の弁論大会に出て優秀な成績をおさめている子供もいると伺いまして、生活環境が変わる、支援することによって子供たちが自信を持って生き生きと生きていく、そういう自立を支援することができると思いますので、ぜひとも杜陵学園におきましての学校教育の導入が実を結ぶことを期待しておりますし、できれば達増知事にも杜陵学園にお越しいただいて、実際に子供たちの様子や職員の皆様の様子を見ていただけると大変励みになると思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 杜陵学園は、関係者の努力もあり、例えばスポーツの分野で好成績をおさめるとか、かなり岩手としても誇れる組織として伝統があると思っております。
 複雑化する社会の中で、そういう社会経済のゆがみが子供という一番弱いところに集中してきてさまざまな困難が発生する。きちんとそこに立ち向かって、あるいは手を取り合ってそうした課題を克服していくことは、今、非常に重要なところだと思います。
 私も、かねがね行きたい、行かなければと思っていたんですけれども、今回のこの学校教育スタートという契機で、うまく視察のプログラムを組んで、ぜひ行きたいと思います。
〇三浦陽子委員 ありがとうございます。ぜひ行って皆さんの様子を見て励ましていただけたらと思っております。
 では、岩手県がん対策推進につきましてお伺いいたしたいと思います。
 平成20年3月に岩手県がん対策推進計画が策定されました。がんはかつて不治の病として恐れられておりましたが、現在では早期発見、早期治療により社会復帰が可能な病気となりましたが、3大疾患の一つで死因の1位を占めるものであり、精神的、肉体的なダメージは払拭されない状況であります。そして、がん患者さん自身の問題だけではなく、家族や周囲の人たちにとっても大きな問題であります。私にとっても身近にいろいろとつらい経験もございましたが、本当に家族やその周囲の人たちにとっても大変な問題でございます。友人にもがんで闘病生活を送っている人もおりますし、私の経験からもがん対策の推進を強く願うものです。
 都道府県におけるがん対策の現状を見るとさまざまな取り組みがなされておりますが、神奈川県、長野県、島根県、愛媛県では、県議会において議員連盟を立ち上げて調査研究やシンポジウムなどが開催され、宮城県議会においては、がん及び地域医療対策調査特別委員会が設置され、がんに関する調査が積極的に行われております。
 また、全国に先駆けて2006年9月に島根県で条例が制定され、その後、高知県、新潟県、神奈川県、長崎県、奈良県が続き、そして愛媛県ではことしの2月定例会で制定の見込みとなっております。
 昨年11月に、同僚の高橋元議員とともに秋田県でがんフォーラムに参加し、愛媛県の取り組みを知って、私は愛媛県と高知県のがん条例制定の取り組みについて調査をいたしました。愛媛県は超党派で議員連盟を立ち上げて、がん患者の方々と一緒にシンポジウムを開催し、条例制定に向けて勉強会を重ねてきたようです。
 1月には、私の所属している地域医療等対策特別委員会において岩手県のがん患者さんやその家族の団体3団体の方々から活動の実態をお伺いいたしました。それぞれのがん患者さんを取り巻く環境につきましていろいろと伺い、大変深く感動したところでございます。
 本県におけるがん対策の予算は想像以上に少なく、平成19年度の人口比率で見ますと全国ワースト6位で、驚きました。
 ちなみにベストファイブは、1位が島根県、鳥取県、香川県、長野県、佐賀県、そしてワーストファイブ、最下位から埼玉県、奈良県、沖縄県、宮崎県、北海道、そして岩手県となっております。
 そこで、本県のがん対策推進計画をしっかりと実行していくための県の考え方をお示しください。
〇宮舘副知事 がん対策推進計画は、平成20年度を初年次といたしまして、平成24年度を目標年次とする5カ年計画として策定しております。全体目標でありますがん死亡率の減少に向けまして、検診受診率や緩和ケアを担う医師数の増加等の指標を設定しております。
 これまで、県がん対策推進協議会等において、その進捗状況や必要な取り組みについての議論を行いながら推進に努めているところであります。特に本年度は、計画の主要分野であります、たばこ対策、がん検診対策、そしてがん医療の均てん化について計画のバージョンアップを図ったところであります。
 たばこ対策では、国からの通知を踏まえまして、喫煙による健康被害に関する普及啓発や受動喫煙防止対策を推進することとしております。
 がん検診対策では、市町村のがん検診担当者や保健推進員を対象とした研修会を開催いたしまして、がん検診受診勧奨の重要性について動機づけを図るとともに、受診率の低い市町村をモデル市町村に指定して、県と共同して受診率向上のための課題、対策を取りまとめていくこととしております。
 また、がん医療の均てん化では、本県で唯一地域がん診療連携拠点病院がない釜石保健医療圏におきまして、県立釜石病院を拠点病院に指定するため放射線治療施設を整備するとともに、県がん診療連携拠点病院として本県のがん医療の中心的役割を担っております岩手医科大学附属病院が行う高度な放射線治療施設の設備の整備に助成することとしておりまして、これらに必要な経費については、本議会に提出した関係予算案に盛り込んでいるところであります。
 今後におきましても、県民一人一人が、がんに関して正しい知識を持ち、安心、納得できる医療が受けられますように、官民一体となって計画の着実な推進に努めてまいります。
〇三浦陽子委員 本当に患者さんの切実な思いを実感するにはかなり大変な部分もあると思いますけれども、やはりこの計画が順調に実行できるためには、やっぱり患者さん、そしてその家族の方々の思いや希望をしっかりと酌み入れなければならないと思っておりますし、そういう機会をもっとふやすべきではないかと思っておりますが、その点につきましてはいかがでしょうか。
〇宮舘副知事 がん対策、大変重要でございます。これからも死亡率の減少に向けまして、市町村と連携して県としてもしっかり取り組んでいく必要があると思っております。我々もしっかり努力したいと思います。
〇三浦陽子委員 もちろん死亡率を下げることは一番大事なことであります。命を守るということ。そしてまた、病気になられても、どのように今後の生活をしていくかという意味合いの支援策も大変重要だと思っております。
 緩和ケアの部分でも、今は県立中央病院では緩和ケア外来がありますし、二戸病院では緩和ケアチームが設置されていると聞いております。緩和ケア病棟が磐井病院、それから中部病院にも設置され、盛岡赤十字病院、それから民間病院である孝仁病院にも設置されるようになってきたことは大変患者さんにとって心のよりどころになると思いますけれども、そういう実態に合った取り組みの支援策も必要ですし、あと、はた目ではちょっとわからないけれども、リンパ浮腫で苦しんでいる、そういう患者さんたちのための外来も今、宮古病院と中部病院に設置されていると聞いておりますが、もっとそういう取り組みをほかにも進めていくべきと考えますが、その辺の御所見はいかがでしょうか。
〇宮舘副知事 今お話のありましたがんになられた方の緩和ケアの普及、あるいはその相談体制、こういったものについてもしっかりと支援できるような相談体制の整備、それから情報の提供、普及、こういったものに努めてまいりたいと思います。
〇三浦陽子委員 では、全力で取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 環境保全型農業の推進について伺います。
 国では、食料供給力の維持、強化を図るため戸別所得補償制度を導入することといたしましたが、同時に、農業生産全体のあり方について、環境を重視したものに転換し、地球温暖化防止等に資する取り組みの強化を図るため、地球温暖化対策の推進、有機農業の推進、環境保全型農業の推進のための具体的な政策目標を掲げ、農業生産環境を総合的に改善し、環境と調和のとれた農業を展開するさまざまな内容の予算を計上しております。
 具体的な政策目標としては、農業生産における地球温暖化対策では、平成24年度までに農業分野における温室効果ガスを53.8万トン削減、有機農業の推進では、有機JAS認定農産物の生産量を平成26年度までに5割増加、環境保全型農業の推進では、平成24年度までに化学肥料の使用量の1割低減などが掲げられております。
 このような国の状況を踏まえ、本県では、農業分野における地球温暖化対策や有機農業を含めた環境保全型農業の推進にどのように取り組んでいくのか伺います。
〇宮舘副知事 環境の負荷を低減し、自然循環機能を維持増進する環境保全型農業の推進は、本県の特性を生かした農業の持続的な発展を図るために極めて重要であると思っております。
 このため、いわて希望農業担い手応援事業による保温性を高めた園芸用ハウスやヒートポンプなど先進的加温施設の導入のほか、堆肥を利用した土づくりによる土壌への炭素貯留などによるCO2の排出抑制に取り組んでいるところであります。
 今後におきましては、こうした取り組みに加えまして、農業研究センターによる有機栽培や、農薬と化学肥料を半減した特別栽培等の技術開発、簡易土壌分析システムの導入による環境に優しい施肥技術の普及拡大、本県独自のチッソ成分の高い発酵鶏ふんの利用拡大などを支援してまいります。
 また、こうした取り組みを幅広い県民の理解を得ながら進めるため、関係団体と連携しながら環境と共生する産地づくり運動として展開しており、今後は、積極的な情報発信に努めながら、環境に優しい安全・安心な産地づくりを一層推進してまいります。
〇中平均委員長 三浦陽子委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 三浦陽子委員、御了承願います。
   午前11時52分 休 憩
午後1時2分 再開
〇中平均委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇三浦陽子委員 先ほどは、副知事から環境保全型農業の推進につきましての取り組みをお示しいただきましたが、人間の生命の源である食料の生産を担い、環境に配慮した農業に対する熱い情熱や強い信念を持って取り組んでいる人たち、また、これから取り組もうとしている方たちがいらっしゃると思いますが、これをしっかり支えることのできる農業施策が重要と考えます。
 また、岩手ブランドの強化においても、環境保全型農業における農産物の生産が大変重要だと考えますが、今、この環境保全型農業として取り組んでいる方々がどのぐらいいらっしゃるのか、もしおわかりになればお知らせいただきたいのと、岩手ブランドにつながる勢いのあるといいますか、そういう農業を目指すためのお考え方をもう一度お示しいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 先ほど答弁で申し上げました環境と共生する産地づくり運動というものを現在展開しているわけでございますけれども、この中で、有機農業などの環境保全型農業に取り組む生産者の人数を把握しておりますが、平成18年度は1万5、000人でしたが、平成21年度、この2月末では2万2、300人となっておりまして、これは目標でございますけれども、平成23年度は3万人まで引き上げたい、販売農家の約半数の生産者をこういった環境保全型農業に取り組む方々にしていきたいと考えております。
 いずれにいたしましても、この環境保全型農業は、これからの岩手の進むべき方向でもあろうかと思いますので、しっかりと支援してまいりたいと思っております。
〇三浦陽子委員 これは、先ほど岩手は人ということがありましたけれども、その人がつくっている農業ということですので、本当に信頼性の高い農産物になると思っておりますので、ぜひこの取り組みをしっかり支援していただきたいと思います。
 それでは、花巻空港の国際チャーター便の誘致拡大につきましてお伺いいたします。
 花巻空港につきましては、これまでもさまざまな質疑が交わされております。私にとりましても大変重要な空港であり、札幌便において、航空機が小型化となりましたが、1日3便に増便されたことで、利便性が向上し大変喜んでいるところでございます。しかし、閑散とした空港ターミナルを見るにつれ、これまで大きく投資して整備された花巻空港の行く末が大変心配されます。
 先日、山形新聞に、山形空港に台湾からのプログラムチャーター便が到着したという記事が掲載されておりました。1月から2月にかけて17便が運航され、搭乗率88%。2、503人の台湾人観光客が利用したということです。台湾桃園国際空港と山形空港を結ぶプログラムチャーター便は、台湾から来県した観光客が4泊5日のツアーを終えると、次のグループを乗せてやってくる便の復路で帰国する仕組みで、昨年も同じ時期に台湾の復興航空が9便を運航して搭乗率は約90%で、計1、453人の誘客効果があり、ことしは、復興航空の8便に加え、新たに中華航空が9便を運航。ツアーを企画した台湾の旅行会社も1社から5社にふえました。
 そのうち3社のツアーは、山形県内の観光が中心で、復興航空は、1月22日から2月19日までに8便運航し、1便当たりの座席数は180で計1、247人が利用。搭乗率は86.6%で4便が満席。
 台湾では、春節、旧正月に正月休みをとる慣習があり、旅行代金は1人9万円から15万円ほどと割高な設定にもかかわらず、家族連れやリピーターが利用しており、山形県への経済効果は大変大きいようです。山形県観光振興課では、山形観光の評価が高まっていると手ごたえを感じており、今年度も観光プロモーションを積極的に展開して誘客に結びつけたいとしています。
 本県においても、花巻空港の定期便利用者が減少傾向にあることや、名古屋便が運休されることなどを踏まえると、今後は、経済成長著しい中国を初めとした東アジアからの国際チャーター便の誘致拡大にも、これまで以上に積極的に取り組んでいく必要があるのではないかと考えます。
 特に、今後、平泉の世界遺産登録を見据え、国内外からの観光客の増加が期待され、それに伴う県内経済への波及効果も期待されるところであります。
 こうした国際チャーター便の経済波及効果はどの程度想定されるのでしょうか。
 また、この冬の山形へのチャーター便は、当初、花巻空港への運航も検討されたとのことですが、最終的には運航に至らなかったと聞いています。ついては、国際チャーター便誘致拡大への課題及び、今後、本県として国際チャーター便の誘致拡大にどのように取り組んでいこうとしているのかお伺いいたします。
〇達増知事 平成19年度の花巻空港の国際チャーター便、インバウンドの実績は96便、旅客数が約1万3、000人で、外国人1人当たりの消費額などをもとに直接または間接にもたらされる生産や、生産の結果誘発される付加価値等への波及効果を算出いたしますと、その経済波及効果は約4億4、000万円と試算されております。
 これを1便当たりに換算しますと約900万円、旅客1人当たりでは約6万8、000円となります。
 今の空港施設は、機材や受け入れ時間に関する海外航空会社の多様なニーズに柔軟に対応できないという課題がございます。
 具体的には、チェックインカウンター等が国内線と兼用になっているため、国内線のあいている時間帯にしか国際チャーター便の受け入れができない状況になっているというところであります。
 このため、委員御指摘のこの冬の台湾からのプログラムチャーター便でありますけれども、国内線のダイヤとの関係から、せっかく花巻空港に就航希望がありながら、受け入れを断念せざるを得なくなったところであります。
 こうした課題に対応するために、平行誘導路や国際線チェックイン施設等の整備を着実に進めてまいります。
 また、いわて花巻空港の立地を生かして、平泉の文化遺産を初め、本県の持つさまざまな地域資源を官民一体となってPRし、就航会社や就航地の拡大のほか、四季を通じたチャーター便の運航の実現に積極的に取り組んでまいります。
〇三浦陽子委員 別に山形県と比較するつもりはなかったのですけれども、やはり山形県よりは、もしかしたら岩手県のほうが誘客が多いのかなと、年間を通せばそういう感じがするのですけれども、その辺のことと、それから、やはりもっと花巻空港の利便性を高めるためのアクセスをよくするとかという取り組みなんかもあわせて必要なのではないかと思いますが、その辺について何か取り組もうとしていることがあれば、お知らせ願います。
〇達増知事 山形県の国際チャーター便の利用については、ちょっと今、手元に資料がございませんので、適宜対応することといたしまして、花巻空港のアクセス改善については、むしろ外国からのニーズがどんどんふえる傾向にある中で、それに対応できない状態であるというのは、岩手県の観光の潜在力からすると大変もったいない話でありますので、ぜひ、先ほど申し上げた平行誘導路や国際線チェックイン施設等の整備など、そうした利便性の向上に努めてまいりたいと思います。
〇三浦陽子委員 それでは、私の持ち時間がそろそろなくなるのですが、1点、平泉文化世界遺産の再登録に向けて、知事にお伺いしたいと思います。
 私は、一昨年の6月定例会の一般質問で、5月の登録延期勧告を受けて、その原因や7月の登録に向けての取り組みについて伺ったところ、原因については少し苦しい御答弁でしたけれども、県民への普及啓発活動や子供たちへの教育施策の取り組みについては進めていくという御答弁をいただきました。
 私も登録が順調に進むことを願っておりましたが、残念ながら登録延期になり、平泉ショックと報じられておりましたが、再登録に向けて、これまでの県や関係自治体の取り組みの検証が迫られ、県民も、逆に平泉文化への関心が高まったのではないかとも思っております。
 県も、平泉町役場内に世界遺産推進課を常駐させるなど、より現場に近いところで課題解決に当たろうとする姿勢を示しておりますが、世界遺産登録の実現に向けた県と市町村の協働のあるべき姿についてお示しください。
 また、来年度、県民の機運を盛り上げるために、どのような施策を考えておいでなのかお伺いいたします。
〇達増知事 平泉の世界遺産登録に向けては、県内各市町村はもちろん、さまざまな主体の参画と、その取り組みの全県への広がりや幅広い機運の醸成が重要と考えております。
 今年度におきましては、県内市町村の協力のもとで、平泉の文化遺産巡回展を県内7市町村で開催し、また、平泉授業、これは私も講師を務めているのですが、これは15市町村の20校で実施いたしました。
 今後、イコモスの現地調査がことしの夏から秋にかけて予定されております。地域振興や県民の機運醸成に向けて、県南広域振興局職員を平泉町役場に常駐させ、県と平泉町が一体となって取り組むとともに、全県を対象とした平泉の文化遺産の価値と保存に関するシンポジウムの開催など、関係市町はもとより、県内各市町村とも連携を図りながら、平成23年度の登録実現を目指して取り組んでまいります。
 そして、平成22年度におきましては、テレビ、ラジオ、インターネットなどを組み合わせた世界遺産登録応援キャンペーンを展開いたします。また、新たに平泉の文化遺産をめぐる体感ツアーというものを開催いたします。世界遺産登録の実現に向け、平泉の文化遺産の普及啓発、そして全県的な機運醸成に、官民挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
〇三浦陽子委員 平泉文化は、本当に世界平和につながる精神的文化遺産だという観点から、人類にとって重要な文化的遺産として未来に受け継がれてほしいと願うものです。
 初代藤原清衡公が亡くなる2年前に寄贈させた中尊寺供養願文には、人類の恒久的平和を実現し、二度と戦争の惨禍が人々に及ばないように祈念する文言が並んでいるということからも、県として、その平和理念に基づく取り組みを強化することが求められると考えます。
 平泉からその精神をどのように発信していくべきか、それが世界遺産の重要性というか、世界遺産登録後も観光に結びつくものだと思いますけれども、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 今、委員御指摘のこの平泉の価値というものを、まず、岩手県民がしっかりと理解して、そして、それを味わうということがまず大事だと思っております。そして、それを岩手県外の人たち、外国の人たちも含めて発信していくことができるようになれば、国内外から、この平泉の価値というものを求めて大勢の人が訪れたり、また、いろいろなつながりがつくられていくということが期待されますので、県としてもしっかり頑張っていきたいと思います。
〇三浦陽子委員 大変明快な御答弁、希望あふれる御答弁をいただいたと思っております。どうぞ皆様の御活躍をお祈り申し上げまして、次の高橋元議員にバトンタッチさせていただきます。
 ありがとうございました。
〇中平均委員長 高橋元委員。
   〔高橋元委員質問者席に着く〕
〇高橋元委員 民主党の高橋元であります。
 三浦陽子委員に引き続きまして、残りの時間、質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、質問に先立ちまして、チリ地震津波により被害に遭われた漁業関係者にお見舞いを申し上げ、あわせまして、津波対策に対応された各機関、各位に敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございます。御苦労さまでした。
 平成22年度予算編成について、知事に2点お伺いいたします。
 1点目は、新政権と積極型予算についてであります。
 知事は、平成19年度6月補正、20年度、そして21年度と旧政権時代に3度予算を編成されましたが、本年度は、新政権発足直後の予算編成であり、新政権の特徴をどうとらえ県予算の編成に当たったのかお伺いいたします。
〇達増知事 国においては、政権交代後、年内の予算編成という時間的制約が厳しい状況のもとで、旧政権下の概算要求の見直しから始めて、予算の中身を抜本的に見直し、政治主導による予算編成が行われたと理解しております。
 この予算編成プロセスにおいては、概算要求段階からの積極的な減額、行政刷新会議における事業仕分けなど、これまでにない新しい手法が用いられたという特徴もございます。
 こうした経過を経て、国の平成22年度予算は、未来に向けた社会の活力と経済成長を維持するための子ども手当の導入、高校の実質無償化、雇用の確保など、一人一人の生活や命に重点を置いた内容となっているものと考えております。
 また、地域主権の確立に向けて、地方交付税総額が増額されるなど、地方が自由に使える財源の大幅な拡充が図られております。これは、政府における真の地域主権を確立するための地方重視の姿勢として高く評価しております。
 このため、本県の平成22年度当初予算編成におきましては、地域経済、雇用や県民の生活を守るため、国の政策に呼応させつつ、いわて県民計画の着実な推進に向け、雇用、子育て支援など必要な事業を積極的に措置し、県民一人一人が未来に向け、希望を持って歩み出せるような予算として編成したものであります。
〇高橋元委員 新政権としての予算編成におけるキーワードでありますが、コンクリートから人へ、それから新しい公共、地域主権、未来への責任など、これまでの3年間と違うことに、知事は、新政権を信じ、自信を持って、前年比約400億円増、プラス6.1%という、大阪府の28.9%に次ぐ全国第2位の積極型予算を編成されましたことに、人口減少や厳しい県内経済の中、大いなる希望を感ずるものでございます。
 2点目として、マニフェストの進捗状況についてお伺いいたします。
 知事は、希望王国いわてを掲げ任期最後の4年目を迎えますが、マニフェストに掲げる中心的な政策の中で、何が実現をし、何が進行中で、任期後に何が課題として残るのかお伺いいたします。
 加えて、新年度予算は中長期的な要素も含んでいるとのことでありますが、マニフェストの政策実現へどのような特色ある事業を盛り込まれたのか伺います。
〇達増知事 マニフェストに掲げた戦略や政策については、平成19年度に策定したいわて希望創造プランに織り込みました。
 同プランに掲げた四つの重点目標の達成に向けまして、ものづくり産業の集積促進等による地域経済の活性化や全県的な地域医療体制づくりなどに取り組みましたほか、2度の大きな地震災害からの復旧、復興や世界的な経済の低迷による経済、雇用情勢の悪化を踏まえた雇用の維持、確保対策、こういったことを重点的に推進してまいりました。
 このような取り組み等によりまして、県民所得や雇用環境の分野では、立地企業から全国第2位となる満足度が得られたこと、また、農業への新規就業者数が増加していること、そして、人口については、社会減に歯どめの兆しが見られること、地域医療の分野では、現在の厳しい医療環境の中にあって、徐々にではありますが医師の数がふえていること、また、がんばろう岩手運動や県民みんなで支える岩手の地域医療の県民運動など、危機を希望に変えようとする県民運動的な盛り上がりが始まっているなどの成果があったところであります。
 今後の課題については、いわて希望創造プランの評価を踏まえながら、いわて県民計画の策定の中で明らかにし、その解決に向けた取り組み方向を、岩手の未来をつくる七つの政策としてお示ししたところでありまして、今後、計画に掲げた希望郷いわての実現に向けて、県民とともに全力で取り組んでまいります。
 また、アクションプランにおいては、マニフェストに掲げた六つの政策を重点化した希望創造プランの四つの重点目標を、引き続き政策推進目標として掲げました。
 この政策推進目標の実現に向けて、平成22年度当初予算においては、例えば、雇用環境については、雇用対策基金等を活用した新たな雇用の創出や新規高卒未就職者等への支援、県民所得については、今後成長が見込まれる医療機器関連産業における製品開発支援や低炭素社会を見据えた次世代型デバイスの開発推進、地域医療については、救命救急医療の高度化に向けたドクターヘリの導入促進や総合周産期母子医療センターへの高度医療機器の整備、そして、人口については、社会減の歯どめに向けた、地域の活力を高める産業振興施策に加え、社会全体で子育てを支援する仕組みづくりや、県内への定住と交流の促進に向けた体験居住機会の提供といった新たな取り組みや特色ある取り組みを盛り込んだところであります。
〇高橋元委員 知事のこれまでの発言やさまざまな活動につきまして見ておりまして、大変頼もしい限りに思っているところでございます。改めて、知事にちょっと確認の意味でお尋ねしますが、衆議院議員としてかたわらで見てきました県政、それから、知事として実際に携わって感ずる県政、このところで、県の財政とか、あるいは組織体制とか、市町村との関係とか、さまざまな面で、どのようなところに違いがあって、それをまた、今、変えようとしているのかということについてお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 県の組織の中については、やはり衆議院議員時代は、ブラックボックスといいますか、中がどうなっていて、そして、どのように仕事をしているのか、よくわからなかったのでありますけれども、いずれアウトプットとして、もっと県民の経済の危機でありますとか、また人口減少、特に社会減という人口流出、そして、深まりゆく医療の危機といった問題について、県がより強力に取り組んでいかなければならないのではないかという問題意識を衆議院議員時代から持っておりました。
 そして、知事になってみますと、県職員も、まさにそういう強い問題意識を持っていたところでありまして、マニフェストの中身をプランにしていくときにも、職員のほうからも、こういうこともやったほうがいい、ああいうこともやったほうがいい、そういう暮らしや現場の現場感覚に基づいた提案もあって、希望創造プランというものをつくり、そして、今回の新しい長期計画とアクションプランの策定となったところであります。
 危機意識をはっきりさせ、明確な目標を持って取り組んでいけば、岩手、これは県組織のみならず、県民の底力というものもしっかり引き出すことができ、岩手は希望に向かって進むことができるという手ごたえを得ているところであります。
〇高橋元委員 私も、県議会に籍を置かせていただいて3年余りになるわけですが、知事と同じような感じを受けているところでございます。非常に一つの新しい時代が来たんだなと、そんな思いを肌で感じているところでございます。
 次に移ります。
 私も、チリ地震津波の被害への対応につきましてるる用意をしておりましたけれども、先ほどの三浦陽子委員に対する答弁で、かなりの部分が答弁されておりました。
 特にも、知事みずから、国への支援要望にこれから行動されるということでありますし、関係者の要望をよく聞き、市町村と連携し、きめ細かな対応を行っていきたいと。
 それから、今定例会最終日に、私は、間に合うのかどうかと思っておりましたけれども、間に合わせていただくということですが、平成22年度の当初予算の補正予算を提案していくという考えでございます。
 先ほど来から、私ども民主党の調査団の報告を受けておりましたけれども、ここにおいては、漁師の方、あるいは漁業関係者の方々、それぞれ一生懸命被害の復旧あるいは復興に向けた取り組みをされておりますが、状況が状況なだけに、その未来につながるような、心を元気にしていくような、そういうバックアップをしていかなければならないのではないか、このように思ったところでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 災害防災というか、その点に関してお尋ねしたいわけでありますが、チリ地震津波により養殖施設等に甚大な被害が出ましたけれども、津波対策や養殖施設等の早期復興支援を考えるときに、新年度事業が、計画どおり進められるものと、それから見直しが必要なものが出ると私なりに思ったわけでございますが、そのようなことがあるのかどうか、また、どのように対応していく考えかをお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 来年度事業において、養殖施設の整備に係る事業の予定は限られておりますので、今回の被害を踏まえて、事業の大幅な見直しを進めていくことが必要であると考えております。
 見直しに当たりましては、将来に備えた災害に強い施設の整備を進める必要がありますので、漁業者や地元漁協の要望をよくお聞きしながら、市町村とも連携して、国の交付金や県単事業の活用を検討し、国に対しても必要な要望を行いながら、早期に施設の復旧整備に努めていきたいと思っております。
〇高橋元委員 ただいま副知事の御答弁の中で、災害に強い施設等の検討ということがございました。養殖施設を固定するアンカーの違いにより被害状況に差が出たということの報道がありました。打ち込みアンカー式ですか、これを採用する宮古漁協では、カキ、ホタテ施設の被害は1割程度で、復旧も順調とのことであります。このことは、2003年度の十勝沖地震津波時に壊滅的な被害を受けたことにより、固定方式を打ち込み式に変更したとのことであります。
 養殖漁業は、沿岸地域の重要な産業でありますし、なぜ宮古漁協と同じように、他の地域でも打ち込み式に、あるいは別方式に変更できなかったのか。これまでの養殖施設の津波対策について説明をいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 養殖いかだ固定方式の宮古とそれ以外の違いというお話でございまして、委員お話のように、平成15年の十勝沖地震による津波災害を受けまして、翌年に宮古漁協が打ち込み式アンカーを導入したのですが、今回の津波によるアンカー部分の移動等は今のところ認められておりませんで、一定の効果が認められております。
 宮古地域以外の養殖漁場においては、岩盤や石の質の関係もありまして、こうした方式は十分普及されておりませんで、コンクリートブロックや土俵などで固定する方式が一般的となっております。こういうことで、それぞれの地域の事情といいますか、そういったもので整備が違ってきているということだと思います。
〇高橋元委員 地形的にとか、あるいは海底の状況等さまざまな、大船渡とか、あるいは釜石とか、それぞれの地域によっては異なると思いますけれども、この三陸沿岸は、三陸はるか沖地震とか、あるいは今後に予測される宮城県沖地震とか、さまざまな地震によって、津波の影響を一番受けやすい地域であるわけです。
 それに対して、宮古でこういう対策を打って、その効果がどう出るのかというのがまだわからなかったわけですが、今回、それがある程度実証できたということです。できれば、本当は、宮古でこういう方式を導入したときに、県内全域で同じような情報提供をされて一緒の取り組みができれば、被害が少なく済んだのではないかという思いをしているところでございます。
 それらについて、今後、各市町村とか漁協とか、そういう関係機関との協議は早急にされる考えをお持ちでしょうか、改めてお伺いしたいと思います。
〇宮舘副知事 先ほどお答え申し上げましたとおり、これから災害に強い施設の整備を進めていく必要があると考えておりますので、今後、こういった方式等も含めまして、地元漁協あるいは漁業者の方々とよく話をしていきたいと考えているところでございます。
〇高橋元委員 もう一点お伺いします。養殖施設の復旧に加えて、稚貝や種苗の手当ても重要であると思います。必要量としてはどれくらいになるかは、これからの状況だと思いますけれども、稚貝や種苗への対応については、各漁協とか漁業者からの要望にこたえられるような状況になっているのかどうか、思われるところでちょっとお尋ねしておきます。
〇宮舘副知事 稚貝や種苗、これは大変重要なわけでございますけれども、漁業者の養殖再開に向けまして、この種苗の確保については、県内漁協が生産する種苗の供給あっせん、それから県外種苗の搬入も含めまして、県漁連と連携して調整等を進めてまいります。
 また、水産技術センターや各振興局の水産部では、種苗確保に向けた情報提供や技術指導に努めてまいります。
〇高橋元委員 了解しました。
 三陸産のおいしいホタテ、ホヤ、カキ、昆布、ワカメ、県内外のファンをがっかりさせないように、ぜひ早急な対応をよろしくお願いしたいと思います。
 経済、雇用対策について伺います。
 1点目は、雇用創出、就業支援、経済の活性化の現状について伺います。
 2月開催の経済・雇用対策本部会議時点におきまして、雇用の創出は、緊急雇用創出事業以外ではおおむね雇用創出目標に到達しており、就業支援では、職業訓練はおおむね目標に到達し、就職者数、生活支援は横ばいで推移、新規高卒者の求人確保キャンペーンにより新たな求人を開拓したとのことであります。
 また、経済の活性化では、中小企業向け融資の融資枠に余裕があり、公共事業の発注はおおむね順調に推移しているとの報告でありました。
 年度末を迎えた現状はどのように推移しているのかお伺いいたします。
〇達増知事 昨年8月、緊急雇用対策本部を経済・雇用対策本部に改組し、地域経済の活性化と雇用対策を機動的かつ戦略的に推進してまいりました。
 雇用の創出については、平成21年度の雇用創出目標5、131人に対し、2月末現在で5、359人、達成率104.4%と目標を達成しております。
 就業の支援については、求職者総合支援センターなどにおける生活就労相談の実施や離職者職業訓練、新規高卒者の求人開拓などに取り組んでおります。新規高卒者の就職内定率は、1月末で84.3%まで改善しているところです。
 経済の活性化についても、公共事業の早期発注、ものづくり産業の振興などを推進してきておりまして、その効果が十分に発揮されるよう、今後も各般の施策を全力で展開していくこととしております。
〇高橋元委員 2点目ですが、平成22年度の取り組みについて伺います。
 経済活性化のためには、何よりも雇用の創出、就業の支援が必要であります。平成22年度は、地域経済を安定軌道に乗せ、県民一人一人が希望を持って日々の仕事や生活を送ることができるように、長期的な視点に立った取り組みが必要であるとの観点から、経済の活性化を政策課題の第1にシフトしたとのことであります。
 平成22年度予算上、どのような経済活性化事業を盛り込み、どのような経済効果を生み出し、雇用の創出や就業機会の拡大が図られるのかお伺いいたします。
〇達増知事 平成22年度当初予算におきましては、産業振興及び雇用対策を最重点として、新事業創出や経営支援、雇用創出効果が高い企業誘致等の産業振興施策に74億円余、また、雇用対策基金事業に100億円余、合わせて174億円余を計上したところであります。
 これによって、産業振興施策で1、022人、雇用対策基金事業で3、120人、合わせて4、142人の雇用を直接創出しますとともに、中長期の視点から、ものづくり産業の集積、食産業、観光産業といった地域資源型産業など、本県の多様な資源と知恵を生かした産業振興施策を展開することとしており、その結果、民間における雇用の回復や拡大が促進されるよう全力で取り組んでまいります。
〇高橋元委員 経済の活性化により、県内各地におきまして雇用の創出が図られることを期待いたしております。
 県北・沿岸振興について伺います。
 県北及び沿岸地域における主要産業は、農林水産業であります。気候や立地特性等、さまざまな特徴を生かしながら、それぞれの地域特産品を開発しようと取り組まれておりますが、現状で特産品として有望な農林水産品は何か、また、ブランド化へどのような取り組みを進めているのか、6次産業化への進展状況も含めて現状と課題をお伺いいたします。
〇宮舘副知事 県北・沿岸地域におきましては、夏季冷涼な気象を生かしたホウレンソウや地域の特徴的な産物でありますヤマブドウ、雑穀、短角牛などの産地が形成されてきております。
 また、地域特性を生かして、高品質、多収穫が可能な菌床シイタケやイチゴ等の園芸品目や森林資源を生かしたナンブアカマツ、食用として注目されておりますイサダなどが、今後の特産品として有望であると考えております。
 これらのブランド化に当たりましては、高付加価値化、差別化に加え、ロットの確保が課題となっておりますことから、食産業、観光産業などとの連携や6次産業化の推進によるヤマブドウ、雑穀、イサダの新商品開発、自給粗飼料の給与割合など生産方法にこだわったプレミアム短角牛の生産、販売促進、商標登録を取得いたしましたナンブアカマツの出荷拡大等を推進しているほか、来年度は、新たにホウレンソウや菌床シイタケ、イチゴの施設園芸団地の形成支援による生産拡大に取り組んでいくこととしております。
 今後におきましても、広域振興局体制のもと、市町村や関係団体、民間企業等と一体となって、県北・沿岸地域の特産品の生産振興から、新商品の開発、販路開拓、情報発信まで含め、特産品のブランド化を総合的に支援してまいる考えであります。
〇高橋元委員 津波被害の影響が水産物加工業など、各方面にどのように今後影響するのか懸念されるところでありますけれども、これまでにも増して強力な取り組みをお願いいたしたいと思います。
 次に、地域振興について伺います。
 1点目は、4広域の振興について伺うものであります。
 4月から4広域振興局体制がスタートし、さらに、市町村を中心とした県政が進められます。市町村をサポートし、あるいは市町村の垣根を取り払う地域一体型行政も、より一層進むものと期待されるところであります。
 地域振興推進費は、1億円増の4億円とのことでありますが、4広域振興局それぞれ、どのような事業を計画しておられるのか。また、企画段階において、域内市町村の要望等は反映されているのか伺います。
〇加藤地域振興部長 地域振興推進費は、4広域振興圏が明確な顔を持った圏域として進化していくため、いわて県民計画アクションプラン地域編に掲げる施策を推進するためのものと位置づけております。
 来年度の事業につきましては、現在、振興局ごとに検討が進められている段階でございますが、その一端というか、事業を例示させていただきますと、まず、県央広域振興圏、盛岡広域振興圏では、秋田県鹿角地域と連携した広域観光の情報発信や、他圏域と連携したヤマブドウの販路拡大など、次に、県南広域振興圏では、平泉や早池峰神楽等文化遺産を活用した観光振興や、高校生などの就職、キャリア形成の支援、沿岸広域振興圏では、海洋産業創出の促進や、水産業の6次産業化支援など、県北広域振興圏では、ホウレンソウ等園芸作目の産地力強化や、雑穀、短角牛などを生かした農商工連携による食産業の振興、こういったものに各圏域取り組むこととしております。
 各振興局におきましては、これまでも、地域住民、有識者等で構成する圏域懇談会での意見や市町村からの要望など、地域の意見を幅広く踏まえまして事業を推進しております。とりわけ事業の企画、実施に当たりましては、市町村事業と連携、市町村との実行委員会の設置による事業展開など、さまざまな形で市町村と連携して取り組んでおります。
 今後におきましても、市町村の要望等を十分踏まえまして、しっかり連携しながら、効果的な事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 4広域振興局体制になってきますので、できれば域内で共通して取り組むような事業がふえてきて、心とか、あるいはいろいろな活動が一体となるような展開を望みたいと思っております。
 2点目、市町村の財政状況について伺います。
 財政健全化法の施行により財政指標の作成等が義務づけられ、市町村財政の統一的な分析が可能となりましたが、下水道事業、土地開発事業等の特別会計や、土地開発公社、第三セクター問題などを内在し、憂慮される自治体はないのか伺います。
 また、赤字となっている特別会計や土地開発公社等について、どのような意見交換を行っているのか、あわせて伺います。
 第三セクターの破綻や多額の累積債務問題が話題に上ります。県及び県内各市町村がかかわる第三セクターについて、どのような状況にあるのか、その実態を伺います。
 また、行政運営に深刻な影響を及ぼす事業体は幾つあり、どのように対応しているのか伺います。
〇加藤地域振興部長 財政健全化法によりまして、将来負担比率及び資金不足比率等の算定に当たりましては、一般会計のみならず、特別会計や土地開発公社等も対象、連結ということになっております。平成20年度決算におきましては、直近でございますが、早期健全化団体、いわゆるイエローカードというものでございますが、これに該当する市町村はないところでございます。
 しかしながら、損失を計上している土地開発公社等もございますので、市町村行財政コンサルティング等を通じまして、今後の事業計画も考慮しながら、存廃も含めた抜本的な経営改善の検討を行うよう、市町村に対しては助言しているところでございます。
 また、平成20年度ということになりますが、第三セクターの状況を見ますと、県が出資する第三セクター44法人におきましては、徹底した経費の削減など経営改善に努めておりまして、債務超過となっている法人はないところでございます。
 一方、県内市町村が出資している第三セクター、これは、統計上25%以上ということでとっておりますが、この第三セクター124法人におきまして、10市町村の12法人が債務超過となっております。
 債務超過の法人につきましては、市町村財政への影響も将来的に懸念されるところでございますので、市町村に対しまして、経営状況に関する情報開示の徹底を図るとともに、法人の評価検討を行う組織を設置するといった方法によりまして、こういった第三セクターの存廃を含めた検討を行うよう助言を行っているところでございます。
〇高橋元委員 いずれ、人口減少や経済不況等によりまして収益は右肩下がりであり、各経営体の赤字は、ふえることはあっても、大幅に黒字化になることは考えられる状況にありません。最悪の事態が起こらないよう、情報交換と対応策や改善策の研究にぜひ積極的に取り組んでいただきたい、このようにお願い申し上げます。
 ものづくり産業の振興について伺います。
 1点目は、独立行政法人雇用・能力開発機構廃止に伴う対応について伺います。
 北上コンピュータ・アカデミー、地域職業訓練センター4施設の廃止通告が昨年末にありました。コンピュータ・アカデミーの入学状況や地域産業政策上からも存続する必要があります。
 北上コンピュータ・アカデミーは、例年であれば3月に平成23年度の募集パンフレットを作成し、4月早々から学生の募集に県内各地の高校を訪問するとも伺っており、国の廃止方針は揺るぎないものと受けとめ、県として同施設の存続を決定し、同施設が募集に動き出せるよう対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 今般の情報処理技能者養成施設等の廃止につきましては、独立行政法人改革の一環と聞いておりますが、県といたしましては、当該施設の継続的な利用が可能となるように、関係市と今後十分意見交換しながら、適切に対応していきたいと思っております。
〇高橋元委員 私も個人的には産業技術短期大学校の附属校としての、そういう管理ができればいいなという思いもいたしております。
 2点目は、医療機器関連産業の集積促進について伺います。
 自動車産業、半導体産業に続く三つ目の大きな柱として、医療機器関連産業の集積促進を掲げておりますが、先般、北上市で行われた医薬品・医療機器関連産業集積促進セミナーでは、業界の厳しい状況が報告されたようであります。
 県としてどのような戦略のもと、集積促進を進めようとしているのか伺います。
〇宮舘副知事 医療機器関連産業は、高齢化の進展や医療技術の高度化によりまして、今後も成長が期待される産業であります。平成17年4月の薬事法の改正に伴いまして、医療機器製造のアウトソーシングが自由化され、新規参入の機会が拡大されております。
 本県では、産学官の共同研究によりコバルト合金を活用した生体材料開発や、その事業化が進められてきておりまして、また、平成20年8月には、いわて医療機器事業化研究会が設立され、薬事法の研修会やコーディネーターによる取引あっせんなどの取り組みが行われてきております。
 現在、今月、3月末を目途に、県では戦略の策定を進めておりまして、今後は、この戦略のもと、東北経済産業局が推進いたします東北ものづくりコリドー計画とも連携しながら、自動車や半導体関連産業で培われた高度なものづくり技術の強みを生かし、地域の医療現場ニーズに基づく医療機器の開発や、首都圏医療機器メーカーとの取引拡大などを柱とした取り組みを強化し、内需型産業であります医療機器関連産業の創出による足腰の強い産業集積の形成を目指していきます。
〇高橋元委員 医療機関と共同して医療機器の開発をしていくとか、そういうことは以前、福島県の病院の視察に行ったときにそういう事例を見ました。そういうことも含めて、今後のこの分野での起業というんですか、そういったものを期待したいと思っております。
 3点目、部品等の現地調達率の向上について伺います。
 先ごろ北上市内誘致企業において、使用部品200点余りについて、県内企業に生産の商談会を開催するとの報道を目にしました。自動車部品の現地調達率も横ばいのようにも見受けられますが、自動車産業に限らず、すべてのものづくり産業において、同じような取り組みはどの程度行われているのか伺います。
〇宮舘副知事 今年度、県内全域の企業を対象といたしました商談会等の取り組みといたしまして、ものづくり産業全般にわたる合同商談会を3回開催いたしました。それから、自動車、半導体、情報関連など、特定の産業分野に関する商談会や企業交流会などを23回開催しております。
 このほか、県内各地において、地域独自の展示会や商談会がそれぞれ開催されているところであります。
 コストダウンや納期の短縮など、誘致企業が取引先に求める要求水準は高いものの、工程改善指導や自動車部品の展示、貸し出しなどにより地場企業の技術力の向上を図りながら、今後も引き続き具体的な商談機会等の提供に努め、現在35%程度でありますが、この誘致企業の現地調達率を向上させていきたいと思っております。
〇高橋元委員 東北自動車産業集積連携会議、これは達増知事が代表をされているところですが、ことし、日産グループとかトヨタグループ、この秋に展示商談会をそれぞれ神奈川県、愛知県でやられるということであります。期待いたしております。
 自動車メーカーとの取引状況について、福島県は565社、山形県は371社、宮城県は276社、岩手県は185社と、福島県の3分の1、山形県で言えば2分の1という状況にあるわけでございまして、より一層の現地調達を図られるよう希望したいと思います。
 4点目、県立産業技術短期大学校等の定員増について伺います。
 新規高卒者の未就職者が多数おりますが、短期的に高卒者の未就職者の受け皿として、中期的には応募者増に対応するため定員をふやすべきと思われますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 県立産業技術短期大学校等の定員につきましては、これまでも応募の状況や企業のニーズ等の状況を把握しながら、訓練科の統合や新たな訓練科の設置も含めまして、その時々の状況に応じて見直しを行ってきたところであります。
 当面の高卒未就職者に対する職業訓練につきましては、盛岡商工会議所などにおいて、国の基金事業を活用した新卒者向けの職業訓練を実施することとしております。
 中長期的には、これから見込まれます少子化などの状況や企業ニーズ等の状況、それから、雇用、経済情勢等を的確に把握しながら、平成23年度にスタートする県立職業能力開発施設の再編整備計画の中で、定員の見直し等を検討してまいります。
〇高橋元委員 昨年度の実績では定員オーバーのところがかなりのコースであったとも資料をいただきましたので、ぜひ、今日の高まりの状況を考えますと、定員の見直しをしていただきたいと思います。
 観光振興について伺います。
 1点目は、平泉世界文化遺産登録に向けた街路の整備について伺います。
 平泉駅から毛越寺への街道は、道幅も広く、歩道も整備され、電線の地中化や風情ある街路灯の設置など整備が進んでおりますが、平泉駅から中尊寺までの間は、街頭筋に民家が建ち並び、道幅が狭く、歩道も未整備の状態にあり、道の両側に電柱が林立して、電線が宙を走り、また現代風の街路灯が設置されております。中世の世界文化遺産への道筋、文化遺産ロードとしては、夢をしぼませる状況と言っても過言ではありません。
 自動販売機への木製カバーの設置等、地域の方々の動きも出ておりますが、中でも、電線の地中化や中世の雰囲気が漂う街路灯の整備など、県として世界遺産登録までに早急に対応すべきと思いますが、そのような考えや計画はないのかお伺いいたします。
〇宮舘副知事 平泉町は、駅から中尊寺までの沿道について、歴史のまちを感じさせることのできる通りや町並みに整備するため、地域住民、商工会、県などで構成されます中尊寺通りまちなみ整備検討会を設置し、検討しているところであります。
 検討会では、これまで、世界文化遺産にふさわしい、歩行空間に配慮した安全で魅力ある通りとするため、町並みのデザインや電線類の地中化などの検討を進めてきているところであります。
 県といたしましては、この検討会で議論されている世界文化遺産にふさわしい町並み整備の方向性を踏まえ、平泉町と連携して取り組んでまいります。
 来年度、具体的に電線類の地中化などのための調査費を計上しているところであります。
〇高橋元委員 2点目、観光ルートの情報発信と国外客への対応について伺います。
 世界文化遺産地を訪ね、宿泊は他県では、県内の観光産業の振興に結びつきません。初日は平泉を中心とする県南地域、翌日は県央及び沿岸・県北地域という観光ルートを四季に応じて作成し、世界に情報発信すべきと思いますが、どのような取り組みになっているのか伺います。
 また、国外客の宿泊体制、観光ガイド、フリー客に対する24時間対応の相談窓口の検討等、国外客の受け入れ体制はどのように進んでいるのか伺います。
〇宮舘副知事 本県は、平泉を初めとします歴史、文化、自然など豊かな観光資源を有していることから、平泉から県内各地への移動手段の確保に加え、県内を回遊するルートを広く国内外に向けて強力に情報発信することが大事だと考えております。
 このため、県では、旅行会社との商談会を通じて、県内での広域観光ルートや旅行商品の開発を進めてきたほか、二次交通につきましては、一関、平泉地域から釜石、宮古の沿岸部を結ぶバスの運行等に対して支援しております。
 また、昨年4月から11月まで運行された平泉と盛岡の内陸部を結ぶ路線バスが、ことしも4月以降運行される予定と伺っているところであります。
 情報発信につきましては、本県の歴史、文化、食、温泉などをテーマとした県内各地をめぐるモデルコースなどを、県の観光ホームページで広く国内外に向けてPRしております。現在、外国版ホームページにつきましては、中国人留学生が、平泉から県内の観光地を回る観光ルートを紹介するコンテンツもありますが、今月末には、英語、韓国語、中国語の外国語版ホームページを全面リニューアルして、さらに充実を図ることとしております。
 それから、外国人観光客の宿泊体制についてでありますが、先月、県内主要宿泊施設を対象に行ったアンケート調査によりますと、外国人観光客の受け入れに積極的な宿泊施設は18施設となっておりまして、今後、外国人観光客接遇マニュアルや指差し対話カードの利用を働きかけるなど、受け入れ施設の拡充を図っていく考えであります。
 また、外国語による観光ガイドや個人旅行客を対象とした案内所、観光施設におけるもてなしの向上などにつきましても、平成19年度から地域限定通訳案内士試験を実施しているほか、外国人観光客からの相談に対応するビジット・ジャパン案内所の職員に対する研修、外国人受入接遇研修会の開催などに取り組んでおります。
 さらに、外国語案内表示につきましては、今年度、5カ国語表記の広域観光案内板をJR盛岡駅や平泉等に6基整備するほか、外国語表示のガイドラインを作成いたしまして、県内の市町村や観光事業者が、岩手県特有の観光用語を外国語に翻訳する際の表示例を示すなど、外国語表示の普及を図っているところであります。
 今後におきましても、外国語版ホームページによる情報発信を充実させるほか、外国人観光客が常に安心して県内を旅行できるように、各施設が万全の対応をすることが重要であることから、観光事業者への指導やビジット・ジャパン案内所の機能強化など、受け入れ態勢の充実に努めてまいります。
〇高橋元委員 団体客は、添乗員あるいは旅行エージェントが同行しますので大丈夫かと思いますけれども、フリーで訪れる少人数の国外客につきましては、やはりさまざまな支援というかサポートを考えていく必要があるのではないか、このように思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、岩手競馬について伺います。
 1点目、縮小均衡の黒字経営について伺います。
 岩手競馬存廃基準により、経営の存続のため、赤字予測が明らかとなる年後半におきまして、大幅な経費削減を図り黒字化をしている状況が3年続いております。このような手法もそろそろ限界と思われますが、同じような手法は今後とも可能であるのか伺います。
 私は、同じような手法での黒字化は、特に、働く環境の悪化を招き、馬資源の流出だけではなく、人的資源の流出を心配しておりまして伺うものであります。
〇達増知事 岩手競馬の運営に当たりましては、まず、何より売り上げを確保することが必要でありますので、全国の地方競馬主催者やインターネット事業者との連携、全国スポーツ紙への馬柱掲載など、首都圏等への積極的な情報発信、また、新たに夏場や年末年始における重賞競走のシリーズ化や、スタリオンシリーズ、薄暮競馬、ハンデ戦の実施など、さまざま工夫を凝らしながら、競馬ファンや県民、市民に親しまれ、楽しんでもらえるレースの提供に取り組んできたところであります。
 また、経費全般を対象に、売り上げやファンサービスへの影響、馬資源及び競走水準の確保などに配慮して、競馬関係者や取引先企業の協力をいただきながら、経費の削減に努めてきたところであります。
 このような取り組みの結果、新計画のもとで3年連続の黒字を達成する見込みとなったところであり、今後においても、新計画のルールに沿って、現実的な売上見通しに対応したコスト管理を徹底し、単年度ごとに、着実に黒字または収支均衡を積み重ねていくことが基本と考えております。
 来年度も厳しい経営環境が予想されますが、岩手競馬を継続、発展させていくために、競馬関係者の心を一つにして、多くの競馬ファンや支援をいただいている全国の関係団体の方々などとも力を合わせ、収支均衡の達成に向けて全力で取り組んでまいります。
〇高橋元委員 2点目ですが、地方競馬共同トータリゼータシステムの構築について伺います。
 競馬開催に係る経費の節減と地方競馬ファンへの利便性の向上などを目的に、地方競馬共同トータリゼータシステムの構築、運用が導入される予定であります。
 質問の第1点は、同システムの構築と運用は平成22年度から平成29年度までとされており、岩手競馬存廃基準による黒字化が平成29年度まで可能であるかということをお伺いします。
 第2点は、時間がないので割愛させていただきます。
〇達増知事 今後におきましても、先ほど申し上げましたような改革、改善の取り組みを進め、岩手競馬の継続をより確かなものとするために、岩手競馬の事業運営のあり方全般についての検討を進めます。そして、地方競馬共同トータリゼータシステムの構築のように、低コスト構造への転換につながる取り組み、また、各主催者間の連携などを進めて、岩手競馬の経営基盤の強化を図っていくことで将来にわたって継続、発展させていくことが可能になるものと考えております。
〇中平均委員長 次に、高橋雪文委員。
   〔高橋雪文委員質問者席に着く〕
〇高橋雪文委員 まずもって、チリ大地震津波によって被害を受けられました皆様方に改めてお見舞いを申し上げます。
 先週の土曜日に、我が自由民主クラブでは、県内で被害を受けた沿岸部を視察いたしました。そこで、その水産被害が想像以上に甚大なことから、急遽この場での質問とさせていただきます。
 まず、今回の津波による養殖施設の破損、沈没した被害総額はどれくらいになるのでしょうか。
 また、補正で対応されるということでございますけれども、施設の復旧にはどのような対応をしようと考えておられるのか、復旧費の助成制度など、どのように考えておられるのか、まずお知らせいただきたいと思います。
〇達増知事 まず、養殖施設の被害総額でありますが、本日9時現在、約6億円となっております。
 また、養殖施設の整備に関する支援については、漁業者、地元漁協と養殖施設の復旧方策を十分協議した上で、災害に強い施設の整備について、国の交付金や県単独事業を活用し、市町村、漁連等の関係者等と連携を図りながらきめ細かく支援してまいります。
 このため、先ほど御答弁申し上げたとおり、今定例会において支援策を盛り込んだ平成22年度当初予算の補正予算を提案させていただくこととしているところであります。
〇高橋雪文委員 陸前高田市は、漁民に安心を与えるために、もう先週の金曜日あたりに予算組みをして議会にも提示しているということでございますけれども、県の対応はどちらかというと少しおくれているのではないかと感じます。その点はどのように考えておられるのか。あと、内容について、ある程度わかるところがあればお知らせいただきたいと思います。
〇達増知事 被害の実態をきちんと調査して、また、その内容について関係者ときちんと詰めていきながら進めていくことが重要と考えております。(高橋雪文委員「補正の内容の考え方、補正でやると言ったんだから」と呼ぶ)
 県としては、早急な復旧、復興を進めるため、養殖施設の整備に対する国の交付金、県単独補助金による支援や破損した資材などの処理費用への助成等について、必要な経費を今定例会最終日に平成22年度当初予算の補正予算として提案させていただきたいと考えております。
 このため、早期に被害の詳細な把握ができるよう、関係者と連携しながら引き続き全力で取り組んでまいりたいと思います。
〇高橋雪文委員 続きまして、養殖水産物の被害はどれだけになるのかお知らせいただきたいと思います。
 養殖業関係者の共済保険による救済はどれほどになるのでしょうか。不安解消のために、共済保険の支払いを早めるよう促す必要があると思いますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 養殖水産物の被害額でございますが、総額で約11億1、000万円となっております。
 漁業共済保険による補償金の支払い額については、漁期が終了後に確定することになりますので、個々の漁業者の加入状況にもよることとなりますが、現時点で申し上げることはなかなか難しい状況でございます。いずれにいたしましても、早期に支払うように3月3日に共済組合へ要請をしたところでございます。
〇高橋雪文委員 できるだけ支払いを早めるように促していただきたいと思います。
 次に、未保険者への対応はどうされるのかお聞きいたします。
 特に今回は稚貝が流失したため、今後3年間無収入になる方もいらっしゃるようですが、その対応についてお知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 被害を受けました漁業者に対しましては、当面の運転資金や養殖施設の再整備のための低利の制度資金がございます。漁業共済に加入していない被災漁業者に対しましてもその活用を促進していきたいと考えております。
 なお、漁業者の養殖再開に向けた種苗の確保につきましては、県内漁協からの供給あっせんや県外からの搬入が円滑に進むよう、情報提供や技術指導に努めてまいりたいと思います。
〇高橋雪文委員 それでは、破損した養殖施設や回収した水産物の産業廃棄物としての処分をどのようにしようとするのか、その費用に対する支援はどのように考えておられるのかお知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 漁業系廃棄物の処理につきましては、市町村や関係団体等と連携いたしまして適正な処理方法等について協議をし、処理費用に対する支援も含めて早急に検討してまいります。
〇高橋雪文委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 達増知事にお聞きしたいのですが、被災した後、この被災地を視察などをして回られましたでしょうか。
〇達増知事 この予算特別委員会終了後、あすから2泊3日で東京出張し、知事会の会議に出て、また幾つか政府に対する要望など調整中でありますけれども、戻ってきて、金曜日に視察をする方向で今、調整しているところであります。
〇高橋雪文委員 県北の沿岸のほうには、知事は土曜日に行かれたということでございますけれども、やはり優先度を知事自身にもしっかりととらえていただいて、今回、重要な危機でありますので、知事が積極的に地域を見て、そして指示をするというのが当たり前だと思うんですけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 時間が得られ次第、すぐ視察に行くということで今、調整しているところであります。
〇高橋雪文委員 不偏不党というのは、やっぱり危機のときにもあり得る話だと思うんです。その点はしっかり踏まえていただいて、知事のリーダーシップをぜひともお願いしたいと思います。
 それでは、危機を希望に変える取り組みについてお話をしたいと思います。
 知事は、危機を希望に変えると、就任から3年間、県政を指導してまいりました。県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出の歯どめ、地域医療の確保の四つの目標を掲げております。この四つの目標は、緊急かつ重大な課題であり、最重要課題として力を入れてまいりました。私もそのとおりだと思いますし、今回の平成22年度の当初予算の中でも、この四つの目標が達増県政の柱として位置づけられていることを是とするものであります。
 そこでお聞きいたします。
 まず、県民所得の向上についてお聞きいたしますが、県は県民所得の向上に努力しておるようでございますけれども、知事就任当時と比べて現在はどのようになっているのかお知らせください。
〇高前田総合政策部長 県民所得の推移についてでございますが、達増知事の就任当時の平成19年度の1人当たり県民所得は238万3、000円でございまして、国を100とした場合の県民所得水準は80.4でございました。その後、2度にわたる大きな地震災害や世界的な金融危機に端を発した経済情勢の悪化などの影響により、平成20年度の1人当たり県民所得は、先月公表されました県民経済計算の速報値によりますと、225万6、000円と対前年度比5.3%の減となっているところでございます。
 一方、国民所得の対前年度増加率が7.1%減と落ち込む中にありまして、本県の落ち込み幅が全国平均よりも小さかったことなどから、国民所得に対する県民所得の水準は81.9と、前年度に比べ1.5ポイント上昇したところでございます。
〇高橋雪文委員 今の答弁は、県民所得は向上したと言えるのでしょうか、それとも下がってしまったと言えるのでしょうか、その点をはっきりしてください。
〇高前田総合政策部長 県民所得の実質額につきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり対前年度比で5.3%減少しておりますが、国民所得との相対値といたしましては1.5ポイント改善したということをお答え申し上げました。
〇高橋雪文委員 僕からすると、ちょっと都合のいい数値のとらえ方だと感じます。
 次、行きます。
 知事は、いわて希望創造プランの中で高らかに目標数値を明確にし、260万円台の県民所得を明示いたしました。県民にとって、知事に希望を寄せる最大の期待だったと思います。しかしながら、知事のメッセージも不十分なまま、その県民の希望をほごをして(後刻訂正)、いわて県民計画のアクションプランでは、県民所得に対する県民所得水準の乖離を縮小すると大きく路線変更しているところでございます。なぜほごをした(後刻訂正)のでしょうか。それとも、260万円台という数値はまだ生きているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 世界的な経済の悪化が我が国にも大きな影響を及ぼし、国民所得全体の落ち込みが進んでいるところであります。そうした中で、アクションプランの政策推進目標の一つとして県民所得を掲げたところでありますが、その具体的な目標としては、金額ベースの数値目標ではなく、国民所得に対する県民所得水準の乖離を縮小することを目指すこととしたものであります。
 これは、グローバル化が進んで、社会経済情勢がめまぐるしく変化している中で、明確な数値目標を定めることが極めて難しい情勢にあること、物価が継続的に落ち込むデフレ状況にある中で、国民所得も大幅に減少しており、名目の総生産を基礎とした1人当たり県民所得自体を目標に設定することが難しいという理由がございます。
 一方、本県の1人当たり県民所得水準と国民所得水準との乖離が拡大傾向にありまして、これを改善していく必要があることや、また、デフレ状況等社会経済情勢が変化する中にあっても、そうした影響を受けにくい目標、またわかりやすい目標を設定することは意義があると考えられますので、全国水準との相対値を目標として設定し、その乖離の縮小に向けて県民一丸となって努力していくとしたところであります。
〇高橋雪文委員 僕が聞いたのは、ほごをした(後刻訂正)のか、それとも260万円台という数値は生きているのかと聞いたんです。それに答えてないです。
 聞いてください。答弁漏れですよ。聞いているんだもの、ちゃんと。
〇達増知事 ほごというのは紙くずのことですから、ほごをするじゃなくて、ほごにしたかどうかという御質問だと思うんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、県民所得をアクションプランの政策推進目標の一つとしたところは、いわて希望プランを引き継いだところであります。しかしながら、人によっては100年に一度と言いますけれども、日本においては異常な経済成長の落ち込み、それが国民所得の落ち込み、また物価の継続的な落ち込みによるデフレ状況としている中で、より県民所得向上の目標ということを県民で確かめながら先に進んでいけるため国民所得との水準乖離の縮小を目標としたことでありまして、先ほど答弁したとおりでございます。
〇高橋雪文委員 ほごをじゃなくて、ほごにですね。そこは訂正させていただきます。
 私は、260万円という計画は希望創造プランにあった数値でございまして、別に私がつくったわけではありません。知事もマスコミ発表をしたわけでございまして、その数値はあるのかないのか、目標としているのかしていないのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 いわて県民計画アクションプランの政策推進目標としては、本県の1人当たり県民所得水準と国民所得水準との乖離の縮小を目標として設定させていただいているところであります。
〇高橋雪文委員 答えていないよ。
 次に行きたいと思います。
 県民所得が落ち込んだ要因を、リーマンショックを契機とした世界的な景気低迷、2度にわたる地震災害など外的要因を挙げておりますが、この3年間、どのような政策をもって県民所得を上げようとしたのか、その根拠を示していただきたいと思います。
〇達増知事 平成20年1月に策定したいわて希望創造プランに掲げた県民所得の目標達成に向けて、これまで、ものづくり産業の集積促進や本県の特性を生かした食産業、観光産業、農林水産業の振興に取り組んでまいりました。
 ものづくり分野では、部品メーカーと完成品メーカーとの連携、交流の促進等による地場企業の参入促進や競争力の強化、食産業分野では、成長が期待できる地場企業や販路拡大等に意欲的に取り組んでいる生産者への重点密着支援、観光分野では、観光コーディネーター育成などの地域での受け入れ態勢の整備や新たな観光商品をつくる企画力、情報発信力の強化、農林水産分野では、経営体の育成や生産性、市場性の高い農林水産物の産地形成、消費者、実需者ニーズに対応した販路の拡大などに取り組んできたところであります。
〇高橋雪文委員 それではお聞きしますが、リーマンショックなどの問題、そして地震災害の外的要因がなければ260万円は達成したと考えてよろしいんでしょうか。
〇達増知事 よろしいんじゃないかと思います。
〇高橋雪文委員 知事マニフェストでは、所得の上昇など、県民の暮らしや仕事の向上に具体的な成果が出ているかどうかを検証しますとありますが、新たな長期ビジョンであるいわて県民計画に取り組むに当たって、今までの政策をどのように評価、検証しているのかお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 今議会に報告しております政策評価レポート2009、この中におきまして、いわて希望創造プランに掲げた四つの重点目標のうち、県民所得の向上のこれまでの取り組みについては、自動車や半導体関連産業を中心とするものづくり産業の集積や食産業の展開、関連産業との連携による農林水産物の高付加価値化等、消費者、実需者ニーズに対応した販路の拡大などの面で成果が見られる。
 一方で、2度にわたる大きな地震や世界的な金融危機に端を発した経済、雇用情勢の悪化などに見舞われたことなどから、地域回遊交流型観光の推進や雇用環境の改善などにおいて十分な成果に結びついていない状況にあると評価しているところであります。
 今般策定したいわて県民計画のアクションプランにおいては、この評価結果を踏まえ、政策推進目標の達成に向けて、地域の特色や資源を最大限に生かした観光産業の振興や離職者等への就業支援などの雇用、労働環境の整備に取り組むこととしております。
〇高橋雪文委員 県民所得向上という目標は、県民所得を上げていくという方針が必要だと思います。国民所得に対する県民所得水準の乖離を縮小が目標では今より低い県民所得になってもよいということになり、そうであれば、明確にその部分を説明するべきだと言えますが、いかがでしょうか。
 また、今以上に県民所得を上げると明確に意思表示するならば、取り組みによって目指すべき目標数値があってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇高前田総合政策部長 県民所得向上に係る目標値についてでございますけれども、グローバル化の進展など社会経済情勢が大きく変化するとともに、世界的な経済の低迷や物価が継続的に落ち込むデフレ状況のもとで、国民所得も落ち込んでいるところでございます。
 こうした中で、本県の1人当たりの県民所得の水準は、平成12年度に1人当たり国民所得に対して89.3%でございましたが、平成20年度は81.9%となっており、国民所得水準との格差が依然として大きいものとなってございます。
 本県の経済情勢を見ますと、一部に変化の兆しが見られるものの依然として厳しい状況にございまして、今後、再び国民所得水準との格差の拡大も懸念されますことから、金額ベースの数値目標ではなく、全国との乖離という国民所得水準との比較による指標としたところでございます。
 また、全国水準との比較であれば、デフレの進展等社会経済情勢等により国民所得が落ち込む中にあっても本県や県民の努力があらわれやすいと考えられますことなどから、県民にわかりやすい相対値としての目標を設定させていただいたところでございます。
〇高橋雪文委員 それでは、その乖離、国民所得を100とした場合、県民所得はどこに設定する目標なんでしょうか。
〇高前田総合政策部長 今般策定いたしましたアクションプランにおきましては、国民所得との乖離の縮小を目標として掲げてございまして、ここ2年ほど若干乖離縮小の傾向は見られますが、その乖離縮小の傾向が定着することがそのアクションプランの目標でございまして、具体的にこういった傾向を続けていくことが目標でございます。
〇高橋雪文委員 それでは、乖離が広がっていくようであればやはり問題があると考えてよろしいんでしょうか。
〇高前田総合政策部長 アクションプランの目標といたしましては、あくまでも国民所得との乖離の縮小を目指すということでございますので、御指摘のとおり、目標としてそういった乖離の縮小傾向を定着化させることが目標でございます。
〇高橋雪文委員 県民所得は県民の雇用者報酬とは異なっており、県民がイメージする実態と県民の実感との乖離があると指摘し、より県民目線の指標が必要だと何度か指摘してまいりました。県民所得のうち、雇用者報酬は年々低下しておる現状でありますが、それをどのように分析しておられるのでしょうか。今後は雇用者報酬を上げていこうとするのか、推移していくのを把握するのみなのか、県の考えをお知らせください。
〇高前田総合政策部長 雇用者報酬と今後の県民所得の向上策等の関係についてでございますけれども、県民所得の約7割を雇用者報酬が占めておりまして、この雇用者報酬は平成12年度をピークに減少傾向にございますが、これは、公共事業の減少や世界的な景気の悪化などによる本県経済の低迷、さらには非正規雇用者の増大などが主な要因であると考えているところでございます。
 県といたしましては、産業振興による確かな産業経済基盤を築いていくため、生産性の向上や高付加価値化を図り、県内総生産を高めていくことにより、雇用者報酬のみならず、農林漁業者や商店主などの事業者や企業の所得も増加させたいと考えておりまして、このようなことから、アクションプランの指標といたしましては県経済全体の所得水準をあらわす県民所得を設定したところでございます。
〇高橋雪文委員 それでは、これまでの県民所得向上にかかわる3年間の取り組みと、いわて県民計画アクションプランに基づく今後の県民所得向上の取り組みとはどこが違うのか、明確にお答えいただきたいと思います。
〇高前田総合政策部長 アクションプランにおきましては、県民所得の政策推進目標の達成に向けまして、いわて希望創造プランに掲げた取り組みに加えまして、新たに、例えば医療機器の開発、販路拡大の推進等を通じた医療機器関連産業の創出、酸化亜鉛、リチウムイオン電池技術を生かした低炭素関連分野の産業集積、起業経営マネジャーの育成による農山漁村ビジネスの振興、森林資源を活用したCO2排出量取引参加事業体への支援等を通じた環境ビジネスの育成などに努めていくこととしているところでございます。
〇高橋雪文委員 次に、雇用問題、雇用の改善について質問いたします。
 岩手県の有効求人倍率は、平成18年度の0.78倍から知事就任以来減少が続き、最近は0.3倍台で推移しているところであります。これは常に雇用が満たされていないということで、働く場が限られているという実態を示すものであり、理想とはほど遠いと言わざるを得ません。社会減による人口減少の主体となっている20代、30代の労働者人口も減っていますので、働く場や企業数も実質減っていると感じております。
 そこで、県内の企業数は、知事就任前と現在ではどのように推移しているのでしょうか。働く場、雇用者の数は就任前と現在ではどうなっているのか、それぞれ把握している具体的な数値をお知らせいただきたいと思います。
〇達増知事 県内の事業所数は事業所・企業統計調査により把握されておりますが、この調査は5年ごとに行われており、私が就任した後は実施されておりません。就任前後の企業数の推移をお答えすることはそういう意味でできないんですけれども、平成13年10月1日現在の事業所数は7万2、455カ所、従業員数が62万9、450人、直近の調査が行われた平成18年10月1日現在では、事業所数が6万8、767カ所、従業員数が60万1、959人となっております。
〇高橋雪文委員 知事は、感覚として、この数値は減少傾向にあるとお思いでしょうか。
〇達増知事 この数字というのが県内の企業数ということであれば減少していると思います。
〇高橋雪文委員 私はやはり議論しやすいようにできるだけ早く数値を出して、そして県議会などとも議論できるような態勢をするべきだと思いますけれども、こういう指標が国に依存しているということでございますけれども、指標についてもう少しわかりやすいデータを早急に出して、県内の事業所数、そして雇用者の数が本当にどれぐらい悪化しているのかを示す指標を一つ出すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇達増知事 委員最初に有効求人倍率を引用されたように毎月の有効求人倍率が非常に早く出ますので、雇用問題、雇用の改善に取り組んでいくに当たってはまず有効求人倍率という数字に基づいて対応しておりますし、また、その他、かなりアップ・トゥ・デート、最新のそうした統計数値、ハローワーク、労働局でありますとか、出ていると理解しておりますが。
〇高橋雪文委員 有効求人倍率によって議論していくということで承ったところでございます。
 それでは、これまでの3年間、雇用の確保をするためにどのような施策に取り組んできたのでしょうか。その成果はどうだったのかお知らせいただきたいと思います。
 また、20代、30代の若手世代の人口転出が顕著でありますが、どのような対策をもってこれまで取り組んできたのかお知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 雇用の確保につきましてはこれまで一貫して県政の重要課題として位置づけ、雇用の場の創出、セーフティネットの充実、中長期の視点に立った産業経済基盤の構築などに取り組んでまいりました。
 雇用の創出の成果につきましては、雇用対策基金と産業振興施策によりまして、平成21年度には目標5、131人でありましたが5、359人の雇用を創出しておりまして、経済危機により急激に増加した求職者の方々の雇用の受け皿づくりを図る上で大きな効果があったものと考えております。
 若手世代の人口転出についてでありますが、岩手県毎月人口推計によりますと、平成21年の岩手県人口の社会減は5、982人となっておりまして若手世代を中心に減少しているところでありますが、これに対応して、地元就職の促進と定着支援、U・Iターン施策を行っているところであります。
 地元就職の促進と定着支援につきましては、経済団体及び企業に対し採用枠の確保や求人票の早期提出を要請するほか、就業支援員による求人開拓や職場定着の支援を進めております。
 U・Iターンの促進につきましては、4カ所の県外事務所にUターンセンターを設置し相談対応を行っているほか、職業アドバイザーを配置し、職業紹介、さらには、県内外において就職面接会、企業見学ツアーなども開催しております。これらの取り組みによりまして、約700人の方が毎年U・Iターン就職しております。
〇高橋雪文委員 それでは、先ほど知事が有効求人倍率を一つの指標とするということでございますけれども、雇用の改善に取り組むに当たり、有効求人倍率をどれくらいの数値に高めようとする目標なのか、県の目標数値をお知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 有効求人倍率はその時々の経済情勢や雇用に関する施策を反映し、有効求人数と有効求職者数の比率として示された結果でありますので、雇用施策の直接的な目標として設定することは困難であると考えております。
 本県におきましては、求人不足数を平成21年第1・四半期の約3万人から約1万6、000人まで改善することを目標に掲げているところであります。その達成に向けまして、来年度の雇用創出計画では、産業振興施策等で1、022人、雇用対策基金事業で3、120人、合わせて4、142人の雇用を直接創出するほか、各種の経済活性化施策を展開することによりまして、県内民間企業における雇用の回復や拡大を促進し、さらに求人不足数の改善を図っていくこととしているものであります。
〇高橋雪文委員 有効求人倍率の考え方、今、知事と副知事では若干の相違が見られると思いますけれども、その違い、知事はどのようにお考えでしょうか。
 また、もう少し経済的な動向を示すやはり指標を持つべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇達増知事 委員先ほど、国が5年に1度調査している企業数の数字、それに類するものを雇用対策の議論のもととして、より頻繁に公表すべきではないかという話をされましたので、その話の流れの中で、例えば有効求人倍率という雇用の関係については頻繁に出ている数字があり、また、そのほかにも労働局などからいろいろ数字が出ていると申し上げました。有効求人倍率をもって県の政策の数値目標にしたいとお答えしたわけではございません。
〇宮舘副知事 先ほど御答弁申し上げましたとおり、実際に雇用創出計画の中で県内の雇用の目標等を掲げていることでございまして、有効求人倍率のようなそういった数値は、目標としてはこれ以上に検討する考えはございません。
〇高橋雪文委員 もう少し内部で検討していただいて、やっぱりこういう緊急の事態ですから、その推移がどういうふうになっているか、我々も議論できるような指標を提示していただきたいということ、これは要望でございます。
 雇用確保対策では、これまでの施策と今後にはどこが違いがあるのかお示しいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 雇用の確保に当たりましては、足腰の強い産業の振興によりまして安定的雇用を創出すると同時に、失業の長期化に伴う貧困や生活困窮の課題に対してしっかりとしたセーフティネットを構築していくことが大切であると考えております。
 これまで、急激な雇用環境の悪化に対応した緊急的措置としての対策を重点的に実施してまいりました。新年度におきましては、緊急的な取り組みに加えまして、中長期的な視点に立った取り組みの双方を総合的に進めてまいります。
 緊急の取り組みといたしましては、長期失業者の方々への対策として、地域ごとの協議会設置など、福祉分野と労働分野の窓口の連携を強化しながら、地域の実情に合わせ相談、支援体制を推進し、失業に伴い多くの悩みを抱えている方々にきめ細かく対応するほか、特に新規高卒未就職者の皆さんへの継続的な支援に取り組んでまいります。
 中長期的な取り組みといたしましては、経済活性化による雇用創出が重要であるとの観点から、経済の活性化を経済、雇用対策の第1番目の柱として据え、産業人材の育成とともに、自動車などものづくり産業の集積、食産業、観光産業といった地域資源型産業など、本県の多様な資源と知恵を生かした産業の振興を図り、安定的な雇用の場の確保に向けた施策を強力に推進してまいります。
〇高橋雪文委員 次に、人口減少について質問いたします。
 人口減少は知事就任時からどのように推移しているのでしょうか、具体的な数字でお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 本県の平成21年の総人口は134万1、000人、私、就任時の平成19年の136万3、000人に比べ、2年間で約2万2、000人の減少です。
〇高橋雪文委員 人口減少のうち、少子高齢化による自然減は国の政策によるところが大きいと思いますが、社会減は県政の施策結果であると思います。社会減の大きな理由は何だと分析しておられますか、お知らせいただきたいと思います。
〇達増知事 社会減は、平成21年には前年比マイナス5、982人、平成20年のマイナス6、673人、平成19年のマイナス6、881人に比べると、2年連続してその減少幅は縮小しています。
 人口の社会減の主な要因としては、進学等により首都圏などへ転出した若者が、県内に雇用の場が十分に確保されていないために県内に戻ってきていないといったことなどが大きく影響しているものと考えられます。
〇高橋雪文委員 それでは、知事就任後、どのような取り組みにより人口減少の歯どめをしようとしたのかお示しいただきたいと思います。
 人口減少は総合的な理由によると思いますが、特に社会減に対する取り組みについてお知らせいただきたいと思います。
〇達増知事 ものづくり産業の集積促進、観光産業、農林水産業などの振興による雇用の場の確保、創出を進めること、安心な暮らしの確保に向けた医師確保や子育て環境の整備、県内への定住、交流の促進という取り組みを進めてまいりました。
〇高橋雪文委員 人口減少への歯どめについて、昨年度の知事会見などで、1万人規模で本県人口が減少しているにもかかわらず、前年度対比で若干の数字的な減少が─これは社会減でございますけれども─見られたことに対し、県の取り組みによって抑制の効果があったと知事は評価しました。しかし、いまだ1万人近い規模の人口減少が進んでいることを知事はどう評価し、どう取り組んでいかれるのでしょうか。また、どれだけの抑制が見られれば歯どめがかかったと評価してよいものでしょうか。知事は、その基準をどこに置かれているのかを質問させていただきます。
〇達増知事 人口減少というものは、労働力人口や消費人口を減少させ、地域経済規模の縮小につながります。また、高齢化に伴い社会保障面での負担の増加が予測され、さらに中山間地域を中心に地域コミュニティの維持に困難が生じるといったことから、やはり人口減少というものは懸念されるものであります。
 いわて県民計画においても、アクションプランの政策推進目標に人口の社会減に歯どめをかけることを掲げ、先ほど紹介した取り組みに加えまして、新たに医療、環境など今後成長が期待できる分野の産業振興、社会全体で子育てを支援する仕組みづくり、県内への定住と交流の促進に向けた体験居住機会の提供などに取り組んでまいりますほか、自然減の大きな要因となっている少子化の対策についても、結婚や子育てに夢を持てる意識の啓発、安全・安心な出産環境の充実、仕事と子育ての両立支援などの取り組みを総合的に進めることとしています。
 人口の社会減の目標については、平成19年以降、こうした取り組みの成果等から人口の社会減が縮小傾向にあり、今後、この縮小傾向をより一層定着させることを目指して取り組んでいくこととしております。
〇高橋雪文委員 毎年5、000人規模で若い人たちが流出している、私はその姿こそ県民にしっかり示すべきものであって、若干の抑制傾向があるというだけで県の施策が成功しているというような評価の仕方というのはやっぱりなじまないのではないかと思いますけれども、知事はその点はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 1年に5、000人とか6、000人、さらには7、000人近く人口が流出していくことを、私はかつて記者会見でありましたか、あるいは議会の答弁でありましたか、かつてアテルイの時代に中央からやってきて、そしてこの岩手の若者を5、000人、6、000人毎年連れ去っていく、そういうことが今の世の中に起きているのと同じだということを申し上げました。
 地方切り捨て型の経済財政政策が長く続いた結果、それ以前には人口の社会減は年に1、000人を切っていた、八百何十人だったこともございます。それが、西暦2001年、平成13年、大きく経済財政政策のかじが切られ、地方切り捨て型の政策が始まってから1、000人、2、000人、3、000人、そして7、000人近くまで人口の社会減がふえていったわけでありまして、私も岩手県民として強い怒りを覚えていたところでありますので、まずは少しでもその拡大傾向に歯どめがかかったことは多としているところであります。
〇高橋雪文委員 知事就任後、2万2、000人という人口が減少していると。これは国の政策以上にやはり県の施策にも理由があるのではないかと私は分析するところですが、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 人口の自然減に関する御質問をいただいたと理解しております。
 先ほど申し上げましたように、自然減に対しては、今までも子育て支援、安全な暮らしの確保に向けた医師確保や子育て環境の整備を先ほど申し上げたように進めてきたわけでありますけれども、それに加えて、新しい長期計画のアクションプランのもとでは、結婚や子育てに夢を持てる意識の啓発、安全・安心な出産環境の充実、仕事と子育ての両立支援などの取り組みを総合的に進めることとしております。
 自然減の要因に関しては、一人一人の考え方、ライフスタイルといったことの影響もありますけれども、何といっても経済情勢、また、働き方、ワークライフバランスに関する社会慣習などが非常に大きい要素を占めておりますので、人口社会減の対策である経済政策に対して取り組んでいくことも自然減対策として大きいものだと考えておりますし、また、仕事と子育ての両立支援と先ほど申し上げましたけれども、そういった社会的要因への働きかけが重要と考えております。
〇高橋雪文委員 僕の質問には答えていないのですが、いわゆるこの人口減少問題には緊急かつ重要な問題、課題として取り組んでいると。それで、5、000人規模流出している姿そのものに対して、少しずつ減っているのはそれなりに評価していきたいと思いますけれども、絶対数が大きい、それは非常に岩手の損失である、私はそういう認識でいるわけでありますけれども、その認識のもとで、県の施策についてもっと強度な取り組み、もっと強い施策推進が必要だったのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
〇高前田総合政策部長 人口減少の問題につきましては私どもも大変な問題意識を持っておりまして、いわて県民計画の策定に当たりましても、人口減少、少子高齢化が大きなテーマの一つでございました。
 そういった検討過程、総合計画審議会等でも大変な議論がございましたけれども、そういった議論を経ていわて県民計画が策定され、そしてアクションプランが策定されたわけでございますけれども、アクションプランの中で、喫緊の課題としてこの人口減少、社会減に歯どめをかけるということを大きな四つの目標の一つとして掲げたということでございまして、これまで以上に積極的にこの人口減少問題に取り組んでいくという考え方をお示ししてあります。
 具体的には、先ほど来お話しになっていますように、人口の将来の形を変えるような政策、すなわち産業振興であるとか、そういう政策をしっかりやっていくと。それから、人口の将来の形に備えた対策、いわゆるセーフティネット等を含めたそういう対策を進めていくという考え方で積極的に取り組むことといたしているところでございます。
〇高橋雪文委員 人口減少を最小限にとめるための新年度の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。
 政策の柱にセーフティネットの充実が人口減少の歯どめ策として明記されているところでございますが、その根拠は何でしょうか。また、岩手の独自策をどのように考えておられるのか、あわせてお知らせいただきたいと思います。
〇高前田総合政策部長 人口減少を最小限にとどめるための取り組みでございますけれども、人口減少に歯どめをかけていくためには、まず、県民一人一人が安定した暮らしを確保していくための雇用につながる産業振興を進めることが重要であると考えております。
 また、これとあわせ、安心して生き生きと暮らしていくため、医療、福祉、介護サービスの提供や子育て環境の整備、犯罪のない安全・安心なまちづくりの推進などのセーフティネットを充実していくことも重要であると考えておるところでございます。
 このような考え方のもと、本県におきましては、新卒の未就職者等への就業支援、ITを活用した周産期医療ネットワークの整備を初めとする妊娠、出産から新生児までの総合的な周産期医療体制の整備、県民、企業、NPO、行政が一体となった社会全体で子育てを支援する仕組みづくり、さらには、大学生ボランティアの活用による非行少年の立ち直り支援など、安全・安心なまちづくりの推進などに取り組んでいくこととしているところでございます。
〇高橋雪文委員 次に、地域医療についてお聞きいたします。
 いわて希望創造プランにおいては医師確保対策が重点的にうたわれていましたが、医師数は県内で微増していることから、視点を病院勤務医師数などに置いたのは多とすべきものだと思います。しかし、知事就任時から今日まで、医療のあり方が県政課題の重要事項として議論を重ねてきましたが、地域住民の不安は解消されていないままのように感じます。
 知事は、これまでの3年間の取り組みによって県民医療サービスは向上したと考えるか、それとも低下したと考えるか、どちらですか。
〇達増知事 県民医療サービスが向上したかどうかという御質問でありますけれども、私が知事に就任した当時、国の医療費抑制策のもとで、医学部入学定員の削減でありますとか診療報酬のマイナス改定でありますとか、そういったことが進みまして、臨床研修の義務化を契機にして地域の病院から医師が減少し始め、産科、小児科医師の不足が顕在化している状況にありました。
 そうした状況を踏まえ、この3年間、奨学金制度の拡充、医療機関相互の機能分担と連携の促進、医師の勤務環境の整備、地域住民が参画した地域医療を支えるための県民運動などを展開してきたところであります。
 このような中、本県の人口10万人当たり病院勤務医師数は、平成18年の112.3人に対し平成20年は114.3人と増加しております。また、情報通信技術を活用して、医療機関等が連携する周産期医療システムの構築、がん診療機能のさらなる高度化などにも取り組んだ結果、県民に対する医療サービスは向上してきていると考えております。
 一方、医師の地域偏在、診療科の偏在などの課題は残されている状況にありますことから、医師の養成、招聘や勤務環境の向上の取り組みを強化し、医師の絶対数を確保していく必要があると認識しております。
〇高橋雪文委員 県内医師数の目標はどの程度に設定されているのでしょうか。
 県内の医師数が若干ですがふえているという状況下にあって、地域偏在する医師の問題がクローズアップされていないと感じるのですが、この問題をもっと強く出してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 本県の人口10万人当たり医師数は、平成18年の186.8人に対し平成20年は191.9人となっておりまして、希望創造プランの目標値である191.2人を上回っている状況にあります。
 今、知事から申し上げましたとおり、病院勤務医師数と同様に着実に増加はしておりますが、医師の地域偏在や診療科偏在につきましては、今議会における知事演述や、さきに公表した政策評価におきましても明確に重要な課題として取り上げているところであります。
 県といたしましては、例えば沿岸・県北地域の県立病院に勤務する医師に対する手当の割り増しや、医療局が実施している奨学制度のうち、いわゆる旧地域枠事業において産科、小児科などの特定診療科を専攻した医師について義務履行年数の短縮を図るなどのインセンティブの設定など、できる限りの対応を行っているところであります。
 しかしながら、これらの偏在を根本的に解消していくためには、国の制度改革が必要であると考えておりますので、国に対する政策提言を積極的に行っていく必要があると思います。
〇高橋雪文委員 県立病院に勤務している医師に対して、知事就任時の医師数と現在の医師数はどうなっているのか教えてください。
 また、昨年、医師の過剰勤務が指摘され、その改善を図ったと思います。しかしながら、いまだ退職される医師もあるとお聞きしますが、その取り組みと評価についてどのように考えておられるのか質問させていただきます。
〇宮舘副知事 ことし1月1日現在の常勤医師数は456人となっておりまして、知事就任直前の平成18年度末現在の常勤医師数489人に比べて33人減っております。過酷な勤務環境にある勤務医の離職防止を図るため、本年度、現場医師をメンバーとするプロジェクトチームを立ち上げ、勤務環境の改善や処遇の見直しなどをテーマに検討を行っているところであります。
 これまで、医療クラークの増員や院内助産システムの拡大など勤務環境の改善を図ったほか、女性医師を支援するための院内24時間保育の拡大や産婦人科医を対象とした分娩手当の創設など、処遇改善に努めてまいりました。
 さらに現在、医師不足が顕著な地域病院の担い手医師の育成の仕組みについて検討しているほか、新たに医師確保対策に要する経費について、一般会計からの繰り出しをルール化、平成22年度当初予算で3億2、200万円計上しておりますが、これまで以上に取り組みを強化しているところであります。
 医療クラークの増員や院内24時間保育の拡大などについては現場から一定の評価をいただいているところであり、今後とも医師にとって魅力ある勤務環境への改善を図り、医師の定着支援に向け積極的に取り組んでまいります。
〇高橋雪文委員 県民総参加の地域医療体制づくりが提唱されていますが、県内を見渡すと、保健、介護、医療、予防など総合的に地域医療の充実に寄与しているのは市町村であり、その中核病院だと感じております。住民参加の呼びかけは県が行うよりも市町村が行うべきものであり、その具体的な支援を県が担うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 県民総参加の地域医療体制づくりの進め方についてでございますが、こうした県民運動的な取り組みは、行政や関係団体ばかりではなく、近年、各地で活動を行っている住民団体などさまざまな主体が参画して幅広く展開されることが望ましいと考えております。
 その中にあって、市町村は住民に一番身近な基礎自治体でありますことから、委員御指摘のとおり、地域医療の確保についてみずからの行政課題としてとらえ、その解決に向けて積極的に取り組むことが求められているものと考えます。
 本年度、各保健医療圏単位で開催してまいりました地域医療に関する懇談会からの提言におきましても、地域医療を支えるための市町村の取り組みに関する提言が多く含まれております。県内の幾つかの市町村におきましては、症状や医療機関の役割に応じた適正受診に係る意識啓発のためのリーフレットの作成や、赴任した医師の生活環境整備の支援など、独自の取り組みが始められているところであります。
 県といたしましては、こうした市町村における取り組みがさらに広がり、全市町村において定着することを目指し、広域振興局における支援はもとより、県の新規事業などにより、積極的に促進してまいりたいと考えております。
〇中平均委員長 高橋雪文委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際10分間ほど休憩いたします。
 高橋雪文委員、御了承願います。
   午後3時1分 休 憩
午後3時18分 再開
〇中平均委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高橋雪文委員 次に、知事演述について質問いたします。
 知事は、知事演述の中で、県民の総力を結集して希望郷いわてを実現しようと宣言いたしました。このことは大変すばらしいことだと思いますが、いわて県民計画の説明のような内容だったと感じております。
 その中で、幾つか質問させていただきます。
 いわて県民計画は、政府のいのちを守る政治という理念を先取りして策定したとありますが、知事が言ういのちを守る政治とはどういう意味なのか。政治の基本的な理念は、一般的に国民の生命と財産を守ることにあると私自身も思いますが、何が違うのか教えてください。
〇達増知事 知事が言ういのちを守る政治とはどういう意味なのかというお尋ねでありますが、いのちを守る政治というのは、総理の施政方針演説の中で鳩山総理が使った言葉でありまして、人とのきずなを重視し、市民やNPOが身近な課題を解決する新しい公共によりこの国を支え、輝く日本を取り戻そう、そういう文脈の中で使われている言葉であります。
 こうした考え方は、この岩手において、ゆたかさ、つながり、ひとを未来を拓く重要な視点とし、個人、企業、NPO、民間団体などと行政がともに手を携え、力を合わせる地域経営の考え方のもとで、県民一丸となって希望郷いわてを実現していこうとする、いわて県民計画とも方向性を同じくするものと考えております。
〇高橋雪文委員 それでは、具体的に、新たな取り組みとして、いのちを守る政治をどのような政策と予算を持って実現されるのかをお知らせいただきたいと思います。
〇達増知事 いわて県民計画では、希望郷いわてを実現するための具体的な取り組みとして、産業・雇用や医療・子育て・福祉など、岩手の未来をつくる七つの政策をお示ししていますが、来年度は、この計画に沿って、低炭素社会への対応に向けた次世代型デバイスの開発促進や、農林水産分野の6次産業化による地域ビジネスモデルの確立、さらには、救命救急医療の高度化に向けたドクターヘリの導入促進など、岩手の未来を見据えた取り組みを重点的に推進していくこととしております。
〇高橋雪文委員 岩手県内は自殺率とかが非常に高くなっているので、やっぱりこういう問題にももっと焦点を当てていいのではないかと思います。これは意見までにします。
 知事は、平成22年当初予算を希望維新、希望郷いわて元年予算と表現いたしました。維新とは、これ新たという意味であり、変革と言えます。何から何へ変革しようとするのでしょうか。今までの達増県政の3年間から反省して変革するのか。3年間の取り組みが危機から希望へ変えられなかったから変革しようとするのか。それとも何か別な意味があるのか、お知らせください。
〇達増知事 希望維新、希望郷いわて元年予算については、平成22年度から、いわて県民計画が実質的にスタートするということ、そして、日本全体の政治、経済、社会が大きく転換しているということ、そうした中で、この岩手から変化を先取りし、そして、計画に掲げた希望郷いわての実現に向けて、県民一人一人が勇気と希望を持って、未来に向けて力強く歩み出すことができるような積極的な予算編成を行ったという意味から、維新でありますとか、元年といった表現を用いて、平成22年度当初予算の呼称としたところであります。
〇高橋雪文委員 希望郷いわて元年とは、いわて県民計画を着実に遂行する初年という意味でしょうけれども、その取り組みの多くは、いわて希望創造プランの延長線上にあるものであると感じております。新たに元年とする事業について、その政策と予算を教えていただきたいと思います。
〇達増知事 予算案の中には、例えば、新たにものづくり産業の振興に向けた高度ソフトウエア開発技術者の育成でありますとか、救命救急医療の高度化に向けたドクターヘリの導入促進、また、緑のクレジット創出促進、学校、地域の協働によるキャリア教育の推進など、さまざまな分野で、いわて県民計画に掲げたゆたかさ、つながり、ひとの三つの視点に基づく施策を着実に展開していくためのきっかけ、仕掛けづくりとなる取り組みを盛り込んでおります。
 また、4広域振興局体制が来年度から本格的にスタートいたします。明確な顔を持った広域振興圏の確立に向けた地域振興の取り組みなど、予算を増額して盛り込んでいるところであります。
〇高橋雪文委員 次に、いわて県民計画によって希望郷いわての実現へ向けた取り組みだとはわかりますが、目標とする希望が具体的でなく、よくわからないと感じております。
 県政として希望を実感する指標は何だと考えますか。例えば、先ほど質問した県政の緊急かつ重要な課題の四つの主な取り組みが向上していく姿を指標とすべきなのかどうか、お知らせいただきたいと思います。
〇高前田総合政策部長 いわて県民計画では、基本目標として、いっしょにはぐくむ希望郷いわてを掲げておりまして、その具体的な姿を、県民一人ひとりが、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことのできる希望あふれる社会と表現しているところでございます。
 また、この基本目標をさらに具体化していくために、10年後に実現していきたい岩手の未来として、県民生活のステージに着目した仕事、暮らし、学び・こころ、この三つの分野ごとに、県民一人一人の姿と私たちを取り巻く地域社会の姿を掲げ、その実現に向けて、長期ビジョンで産業・雇用、医療・子育て・福祉などの政策分野ごとに、岩手の未来をつくる七つの政策として、中長期的な政策の基本方向をお示ししているところでございます。
 さらに、この2年間で重点的、優先的に取り組む施策を取りまとめましたアクションプランの中で、雇用環境や地域医療など緊急かつ重大な課題に対応した政策推進目標を掲げるとともに、七つの政策に対応した42の政策項目に沿って、97の目指す姿指標、297の推進方策指標を具体的な数値目標としてお示しし、県民の皆さんにも見える形で計画の進行管理を行うこととしているところでございます。
〇高橋雪文委員 指標について1点お聞きしたいのですけれども、その指標の設定は、県民がつくったものなのか、それとも県庁がつくったものなのか、どちらなんでしょうか。
〇高前田総合政策部長 アクションプランに掲げましたこの指標につきましては、私どもが原案を作成いたしまして、その案を総合計画審議会、そしてパブリックコメントという形で御意見をお伺いしながらまとめたものでございます。
〇高橋雪文委員 ありがとうございました。
 指標についてはもっともっと議論していくべきだと思いますので、これは意見としてつけ加えたいと思います。
 知事が紹介した希望学には、日本社会へ新たな価値観を提言しようとする取り組みがあります。
 高橋博之委員も紹介しておりますが、ブータン王国には、チベット仏教に根差す伝統的価値観に近代的な制度や技術を融合させながら社会を発展させていこうとする国民総幸福量、GNHという基準を設けて、経済成長至上主義の基準であるGDPやGNPなどから一線を画して取り組んでいると紹介しております。
 そこには、すべての国民と地域に恩恵が行き渡る公正な社会経済の発展、ブータンの豊かな生態系環境を守る環境保全、長い歴史が培ってきた伝統文化の継承、保存、住民参加型の民主的なよい政治の観点から国づくりを行い、国民の幸福と希望を見出そうとしております。
 知事が危機から希望へと力強く話しても、現実には虚しさを感じるのは、現実の生活実感や行政サービスが、事実、低下していることにあると感じております。これまでの延長線上での社会の価値基準で希望を実現していくならば、その財源は今まで以上に必要になると考えられます。これから経済を成長へ導くには、資源があり、消費能力があるBRICsなどとの成長と連動する必要があり、国際競争はさらに激化して、経済の恩恵を受ける格差も広がる可能性があります。それにはより積極的な施策が必要と思われますが、その取り組みも限界に近づいているとも感じております。
 そうした中にあって、家族や地域、自然との循環や伝統の継承、永続可能な社会制度など、かつて日本が兼ね備えていた素朴な価値観になりますが、次世代の新たな価値観を緩やかに誘導する施策が必要だと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 価値観ということに関してでありますけれども、県民一人一人が希望を持って暮らしていくことができる希望郷いわてというものを実現していくためには、この岩手県を取り巻いている大きな潮流であるグローバル化の中にあっても、岩手らしさというものを見失うことなく、主体的に世界に通用するこの地域の独自性を発揮していくことが重要と考えております。
 このような考え方から、いわて県民計画においては、岩手の未来を切り拓いていく三つの視点として、ゆたかさ、つながり、ひとを掲げておりまして、特に、ゆたかさということについては、経済的、物質的な豊かさと、歴史や風土、文化など、経済的な尺度でははかることができない豊かさが調和した真の豊かさとしてとらえているところであります。
 岩手には、このような真の豊かさにつながる豊かな自然や歴史、文化、食を初めとした安全・安心な暮らし、恵まれた農林水産資源、さらに、結いの精神に培われた地域社会を支える仕組みなど、多くのものが残されております。
 このような考え方のもとで、これからは生活を営むための経済的なゆたかさ、子供から高齢者まで生き生きと安心して暮らすことのできるゆたかさ、子供たちが豊かな感性や社会性を養うことができるゆたかさなどなど、そういった独自の岩手ならではの豊かさをはぐくみ、希望郷いわての実現を目指してまいります。
〇高橋雪文委員 ぜひ、日本的な価値観もしっかりととらえていただきながら、県政の新たな価値推進に向けて頑張っていただきたいと思います。
 それでは、平成22年度の当初予算について質問いたします。
 平成22年度の当初予算総額は、前年度当初予算比6.1%増、およそ400億円増の6、988億円になり、景気が落ち込んでいる中にあって、積極的に予算計上したことについては多とするものであります。
 しかし、公債費は、前年度当初予算比で133億6、000万円増加し1、149億7、000万円となり、その割合もふえ、将来に対する課題は大きくなっております。
 義務的経費における人件費の抑制は大きな努力を重ねていると評価いたしますが、公債費の増加には、将来世代の負担が増すことや柔軟なサービスの提供を阻害するなど、公債費の割合が増大することの危惧を抱いております。
 公債費への基本的な考えをお聞きいたします。
〇達増知事 1兆4、000億円台まで増加した県債残高と今後その償還が長い水準で続くことが、本県の財政運営上の大きな課題であると認識しておりまして、中長期的には、県債残高の規模を抑制していくことを目指して、規律ある財政運営に努めていく考えであります。
〇高橋雪文委員 知事は、知事マニフェストでプライマリーバランスの均衡を図りますと明言いたしました。私の前回の総括質疑でも、そもそもプライマリーバランスの均衡とは、単年度収支均衡の予算を目指すという趣旨であったものを、解釈を歪曲させ、任期中の収支均衡をもってプライマリーバランスの均衡を図るとしたところであります。
 しかし、今回示されたものは、在任期間でも収支均衡は図れず、実質大きな政策変更であり、責任は負えない増田前知事と同様の政策を提示され、知事マニフェストそのものをほごにしたものになりました。
 知事の政治姿勢を問われる問題だと思われますが、知事はいかがお考えでしょうか。
〇達増知事 国全体の税収減等に伴いまして、今回の地方財政対策では、臨時財政対策債を大幅に増加させる形で地方の財源不足の補てん措置が講じられました。したがって、平成22年度当初予算における本県のプライマリーバランスも赤字とならざるを得ない見込みとなっております。
 平成22年度当初予算においては、経済、雇用情勢への対応など喫緊の課題や、希望郷いわての実現に向けて必要となる歳出予算を確保する一方で、将来の負担を過度に増加させないよう、臨時財政対策債を除いた県債発行額について縮減を行っております。また、財源対策的な基金の取り崩しを行わないこととするなど、財政の健全化に向けた道筋にも配慮しつつ編成したところであります。
 今後におきましても、県として主体的に管理可能な地方債の発行規模を抑制するなど、県債残高の規模を中長期的に抑制してまいりますとともに、政策の選択と集中を徹底するなど、歳入、歳出全般にわたる行財政改革の取り組みを進めつつ、持続可能な財政構造の構築に向け全力を傾注していく考えであります。
〇高橋雪文委員 県債残高の増加要因である臨時財政対策債は、後年度、地方交付税によって措置されると言われておりますし、退職手当債は、有利な起債とこれまで説明されてきました。
 しかし、国の財政状況は、税収減が著しく約38兆円、残りは約44兆円と史上最大の国債を発行して予算組みをしている状況下にあります。支払われる債務は投資ですが、支払えない債務は借金であります。その点をどう考えておられるのか御説明いただきたいと思います。
〇菅野総務部長 臨時財政対策債につきましては、地方交付税の振りかえとして発行されるものでございまして、後年度、その元利償還額に対し地方交付税が100%措置される、このような制度になっておりますのは、御案内のとおりでございます。
 しかしながら、やはり私どもが一番心配しておりますのは、地方交付税の総額が減少した場合、結果として交付される地方交付税の多くが臨時財政対策債の償還分に充てざるを得ない、本来、事業に使うべき財源が縮小することとなります。
 このため、地方交付税など一般財源の総額が適切に確保されるよう、できるだけ臨時財政対策債に依存せず、地方交付税本体による財源保障が行われるよう国に提言を行っているところでありますが、今後、議論がなされております地方税財政制度改革に対しまして、全国知事会等とも連携しながら、国に提言や要請を行ってまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 部長に質問しますけれども、臨時財政対策債がきちんと後年、交付金として措置されているのであれば、当然、その交付金を臨時財政対策債に充てて、その累積債務を減少させるということもあったと思うんです。それが一様に今の1兆4、000億円という規模のものになったわけでありますけれども、その理由は何ですか。
〇菅野総務部長 おっしゃるとおり、臨時財政対策債の償還財源としては、国の税収を初めとする一般財源が充てられるべきという制度設計になってございますが、委員御案内のとおり、国の税収そのものに対しての歳出構造からいいまして、現実的には、臨時財政対策債の償還財源として、また臨時財政対策債を発行せざるを得ないという状況下になってございます。
 したがいまして、確かに臨時財政対策債が大幅にふえていくということについての御懸念はそのとおりだと思いますので、先ほど申し上げましたとおり、地方の立場といたしましては、まずもって地方交付税の総額確保がきっちり図られ、そこの中で償還が図られていくという本来の制度に戻していただくよう、強く国に働きかけていく必要があろうと思っております。
〇高橋雪文委員 今の意見でよくわかることですけれども、結局、プライマリーバランスを破ったということは、やはり累積債務が増大していく、そういう傾向になっているということでありますので、ぜひその点はしっかりと議論していただいて、プライマリーバランスを守ると言っているのであれば、しっかりと守っていただきたい、これを要望します。
 また、借入金の利息は、累積債務とは別であり、単年度収支に組み込まれ支払わなければならないものであります。これが毎年の県債発行に負担としてかかると感じますが、その実態はどうなっているのかお示しください。今後どのように推移するものなのかもお示しいただきたいと思います。
〇菅野総務部長 県債に係る利息でございますが、平成22年度当初予算における公債費、これは約1、150億円ございますが、このうち利息分については232億円余となっているところでございます。
 今後しばらく県債償還の増加が見込まれるところでありますが、利息につきましても、おおむね200億円台後半から300億円台前半に向けて緩やかに増加していく、このような傾向になってございます。
〇高橋雪文委員 ぜひ、そういう収支が健全となるように努力を重ねていただきたいと思います。
 今回の収入の中で、個人県民税が約12億円減、法人県民税が約5億円の減、そして法人事業税が約46億円の減と急激な落ち込みを示しています。県の自主財源の重要な項目が大きく減少していることは、平成22年度だけではなく、今後の県政運営に大きな障害になると思われますが、いかがでしょうか。
〇菅野総務部長 確かに、委員御指摘のとおり、特に県税は自主財源の大宗を占めるものでございますので、この県税収入が減少していくということは、将来の財政運営にとっての大きな課題、やはり国に依存せざるを得ない財源構造がより強まるということでございますので、県税収入を今後とも確保していくというのは、県政の喫緊の課題であろうと思っております。
〇高橋雪文委員 また、落ち込んでいる理由をどのように分析されておられるでしょうか。その対策をどのように講じるべきなのでしょうか。県の考えをお示しください。
〇菅野総務部長 個人県民税、法人県民税、法人事業税というものが特に落ち込むわけでございますが、これらは、やはり景気低迷に伴う個人所得、それから企業収益の減少が、その主な理由と考えているところでございます。
 このためには、まずもって県経済の活性化を図ることが肝要でございまして、また、中長期的には、足腰の強い経済構造を構築することが重要だろうと思っております。
 平成22年度当初予算におきましては、地域経済の活性化に向け、長期的な視点にも立ったものづくり産業の振興、新たな産業の育成、海外市場の展開などに取り組んでいくこととしたところでございます。
〇高橋雪文委員 コンクリートから人へが現政権の基本的な考えのようですが、人を大事にすることはよいことだとして、本県の平成22年度当初予算が、この3税の収入が改善する政策になっているのか質問いたします。
〇菅野総務部長 やはり先ほど申し上げましたとおり、県といたしましては、県経済の活性化を図ることが最大の眼目だろうと思ってございまして、それに対しての予算を当初予算案に盛り込ませていただいたところでございます。したがいまして、この予算に基づいて、しっかり産業振興等を図り、本県経済の下支えを行ってまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 次に行きます。
 今回の歳入予算中、財源として基金繰入金が261億円と大きな部分となっているのは、大きくは景気対策による積立基金であり、前政権下のものであると思いますが、いかがでしょうか。
 この基金も大部分は来年度には枯渇すると思いますが、その実態はどうなっているのでしょうか。その後の同等の収入について、どのように考えるのかお示しいただきたいと思います。
 増田前知事も、主要3基金を大幅に使って、その場しのぎの県予算を提案してきました。平成23年以降、利用できる基金のそれぞれの基金の見込み、将来像についてもお示しいただきたいと思います。
 知事は、基金の考え方をどう考えておられるのか、あわせてお聞きいたします。
〇達増知事 平成22年度当初予算において、各事業に充当する基金繰入金261億円余のうち、国の経済対策により造成した各種基金からの繰入金が243億円余になっています。その大半は、本年度の国の1次補正による交付金を活用して積み立てた基金から繰り入れを行うものであります。
 国の経済対策によって造成した各種基金については、事業期間がおおむね平成22年度または平成23年度までとされておりまして、事業期間終了後は、基金条例上、当該基金を廃止することとしています。
 これらの基金は、実質的には国庫補助制度における補助金を3カ年分一括して前払いで交付されたものに近く、例えば、介護職員の処遇改善事業のように、基金の設置期間終了後も事業の継続が必要と考えられるものが多いことから、引き続き、国により適切な予算措置を行うよう、国に対して要望を行っているところであります。
 主要3基金の残高についてでありますが、平成22年度末の残高は、それぞれ財政調整基金が113億円程度、県債管理基金が82億円程度、公共施設等基金が39億円程度、合計234億円程度と見込んでいるところであります。
 昨年9月公表した収支見込みのとおり、平成23年度以降に見込まれる数百億円規模の収支ギャップの解消が急務であり、このためには、できるだけ基金残高を確保することが重要であります。
 こうした考えのもと、2月補正予算においては、主要3基金に対する積み立てを行うことによって、平成20年度末残高に比べまして52億円余の増加としたところであります。
 今後においても、主要3基金の取り崩しはできるだけ抑制し、できる限り基金残高を確保するためにも、アクションプランに基づく行財政改革の取り組みを強力に推し進めていく所存であります。
〇高橋雪文委員 次に、歳出では普通建設事業費やいわゆる公共事業と呼ばれる予算が、国の補助金や直轄事業が大幅に削減した一方で、県単独事業の予算を増額しながら対応しているところであります。
 民主党は、コンクリートから人へを主張し、予算の削減をしましたが、岩手の厳しい財政状況の中で、これらの項目をなぜ増額したのでしょうか、知事の御意見をお聞かせ願います。
〇達増知事 国の公共事業費は、当初予算ベースでピーク時から約40%減少しているわけでありますけれども、岩手県の公共事業費は、国よりいち早く事業量を抑制させてきた結果、ピーク時から既に60%以上減少している状況にあります。
 現下の県内経済の情勢を考慮した場合、これ以上の削減は適切ではないと判断し、単独事業を増加させるなどして、必要な事業量の確保に努めたものであります。
〇高橋雪文委員 知事は、民主党はコンクリートから人へですけれども、岩手の場合、もう少し公共事業に対する配慮をしてもらいたいということを、これからも国に述べていくのでしょうか。
〇達増知事 基本的には、必要な要望はしていかなければならないと考えております。
〇高橋雪文委員 ありがとうございました。
 続きまして、永住外国人地方参政権について質問いたします。
 小野寺好委員の永住外国人地方参政権導入に関する一般質問の答弁で、知事は、記者発表時の好ましいという表現から、本音は非常に難しい問題だと発言されました。私も、非常に難しい問題であると考える一人であります。
 一般には余り知られておりませんが、永住外国人には、戦前から日本にいて、その子孫に当たる在日の韓国人、朝鮮人、台湾人に該当する特別永住外国人約42万人と、そのほかの一般永住外国人約49万人がいます。特別永住外国人は毎年減少をたどり、日本への帰化を希望する方が多い一方で、一般永住外国人は、毎年1万人ずつ増加し、その主な外国人は中国人と言われ、今後も加速度的にふえ続けると言われております。
 これまでの論議は、主に在日韓国人を中心とした特別永住外国人への配慮を中心としたものでしたが、ここへ来て、一般永住外国人を含めるということになり、導入への論拠が成り立たなくなっているようであります。
 中国本土で民主的な選挙権を有していない人に、日本が選挙権を与えることがなじむかは大いに疑問であります。国際法上の相互主義もその論拠が当てはまらない部分が多いと言えます。
 地方の選挙といえども国政の判断に大きく影響を与えることが、最近の名護市市長選挙を見れば容易にわかることであります。冷戦構造が終えんしたとはいえ、一党独裁政権の中国共産党政権や北朝鮮のような、政治体制が異なり、いまだ日本を敵視している国が存在する中で、国の判断を損なう影響が容易に予想されます。
 日本には、実行支配されている北方領土、竹島が存在し、中国は尖閣諸島の領有を主張しております。近年では、韓国と隣接する対馬は韓国領だと主張する韓国民も存在しており、領土問題を抱える地方自治に少なからず影響が与えられる可能性も否定できません。
 日本国籍以外のグループが、人口が減少している地域の自治権の主導権を握ることも否定できません。グルジアにおけるロシア軍侵攻は、まさにグルジアにおける他民族の自治権がきっかけになったと言われているところであります。
 そもそも日本国憲法に規定する参政権は、国民固有の権利であると明記され、平成7年2月の最高裁判決でも、権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないとされており、憲法違反であることも指摘されております。フランスやドイツが憲法改正を行い、EU市民にのみ地方参政権を与えましたが、移民政策と相まって民族的な混乱が起こっていることも一考に値すると言えます。
 その上で、外国人地方参政権は、地方の自治体にこそ大きく問われる問題であり、岩手県としても、国に慎重に慎重を重ねることを求めるとともに、制定の際には、地方の論議を経てから法案化すべきと思いますが、知事はどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 地方参政権をどの程度、日本国民以外にも保障するかについては、憲法の基本的人権にかかわる立法政策の問題でありますので、国政の場で十分な議論が行われるべきと考えております。
 また、地方自治の視点からいたしますと、国際情勢がどうあれ、同じ地域に住む人たちが、みんな仲よく力を合わせて暮らしていくために、努力と工夫をしていくということに尽きるのではないかと考えます。
 なお、国民的な議論が行われるに当たっては、これまでの歴史的経緯や、世界の中で今後日本が果たしていく役割なども考えながら、成熟した議論が行われることを期待しております。
〇高橋雪文委員 次に行きたいと思います。
 平成22年度の積極的な予算は、喫緊の課題である雇用対策や地域経済の底上げに意を注いだとされました。県内の状況は好転せず、あらゆる業種で低迷している状況であります。
 県都盛岡市の中心を通る大通商店街では、モスビルやクロステラスなど、町なかの集積ビルが新設されたものの、市民の交流人口や販売実績が著しく低下し、ことし2月中旬には老舗の音楽総合販売店の店じまいが報告されました。この閉店に象徴されるように、大通商店街を構成していた小売販売業が相次いで撤退。以前はこの空き店舗に飲食業を中心に入居することも見られましたが、現在では急に空き店舗が目立つようになりました。
 商店街としての機能は著しく低下し、それに伴ってまちの機能が低下し始めております。観光は県の活性化のための重要な柱と考えますが、観光客が楽しめる商店街にはほど遠い状況にあります。
 県は、元気な商店街の支援事業を各所で推進しておりますが、イベント時には往来も増加し、イベント商品は売れているようですが、固定店舗の売り上げに大きく寄与しているとは言いがたい状況にあります。
 県都盛岡の中心街ですらこのような状況ですから、そのほかの県内の商店街は壊滅状態にあるのではないでしょうか。県は、商店街の機能をどのように考え、現状をどのように把握しておられるのでしょうか。
〇宮舘副知事 県が平成20年度に実施いたしました広域消費購買動向調査によりますと、商店街、市街地で買い物をすると回答した割合が、その5年前の調査よりも減少しております。また、本年度実施いたしました商店街実態調査によりますと、来訪者数が減ったと感じている商店街が約4分の3を占めておりまして、商店街が買い物の場所として選択されなくなってきている状況でございます。このようなことから、商店街の現状は大変厳しいものと認識しております。
 昨年7月に成立いたしました地域商店街活性化法の基本方針によりますと、商店街は、商いの場であるとともに、お祭りなどで地域の人々が交流する公共の場としての役割があるとされておりまして、地域住民からは、高齢者や子育て世代への支援、防犯、防災対策、地域文化の保存、継承などの地域コミュニティ機能を担うことへの期待が高まっているところであります。
 本県におきましても、テナントつき集合住宅の整備に取り組んでおります花巻市東和町の土沢商店街、空き店舗を交流施設に改装して郷土芸能や寄席を開催しております宮古市末広町商店街等、まちづくりの一環として前向きに取り組む元気な商店街があります。県としても、このような意欲のある商店街を支援していきたいと考えているところであります。
〇高橋雪文委員 また、空き店舗対策をどのように考え、どのような取り組みをされているのでしょうか。各市町村とはどのように連携を図っているのでしょうか、お知らせください。
〇宮舘副知事 空き店舗対策を含めた商店街の活性化には、まず、地元市町村のまちづくりについての明確な考え方があることと、商店街自身の前向きな取り組みが重要と考えております。
 空き店舗を解消するための具体策については、新規出店希望者の出店を支援する取り組み、商店街全体の魅力を高め出店希望者をふやす取り組みの二つがあると考えております。
 このうち、新規出店希望者への支援は、各商店街の事情や個々の空き店舗等の状況に応じました対策が効果的であり、市町村が独自に賃借料、改装費の補助を行っている例が多い状況であります。
 一方、県といたしましては、商店街全体の魅力を高めるため、いわて希望ファンドによる商店街の戦略的な取り組みへの助成、個店の魅力向上のための指導や商店街を運営する人材の育成等の支援を行っているところであります。
〇高橋雪文委員 知事に質問しますが、もっと県が思い切って指導しながら、この商店街の活性化に取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 県も資金の貸し付け等を含めまして、かなり個々の商店街ときめ細かいやりとり、将来設計でありますとか、計画でありますとか、そういったところまで踏み込んだ協力を今やっていると思いますけれども、地域振興の観点からも、この商店街の果たす機能は大変重要でありますので、さまざまな経済社会情勢を見きわめながら、この商店街振興というものを県としても進めていきたいと考えております。
〇高橋雪文委員 県は、中心市街地活性化を目指して条例を制定しました。そこには郊外型大型店舗に対する地域貢献を任意で求めております。その地域貢献の状況はどうなっているのか、県はどのように指導しておられるのかお聞きいたします。
 大型店と商店街の売り場面積の差はどうなっているのか、売上金額の差はどうなっているのか、お知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 大型店の地域貢献の状況につきましては、条例に基づき、床面積が6、000平方メートルを超える70施設のうち、63の施設から地域貢献活動計画の提出を受けております。
 この計画によりますと、環境美化、地域行事への参加、ユニバーサルデザインの推進、地域防災等への協力などの活動を行っております。
 県といたしましては、計画書が提出されていない施設に対しまして、通知や個別訪問により提出の働きかけを行っております。
 それから、大型店と商店街の売り場面積、売上金額の差でございますが、平成19年の商業統計によりますと、店舗面積1、000平方メートル以上の大型店の売り場面積の合計は約83万2、000平方メートル、大型店以外の売り場面積の合計は約99万6、000平方メートル、大型店以外の売り場面積の方が約16万4、000平方メートル多くなっております。
 それから、年間の販売額でございますが、大型店の合計が約3、986億円、大型店以外の販売額の合計が約9、212億円となっておりまして、大型店以外の販売額が約5、226億円多くなっております。
〇高橋雪文委員 商店街のほうは、本当に真剣に、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、企業誘致と企業撤退の県の取り組みについてお聞きいたします。
 自動車集積産業は、岩手の第2次産業の柱として位置づけられております。しかし、関連産業はいまだ定着せず、大きな課題となっております。その現状と取り組みについてお知らせいただきたいと思います。
 今後、どのような目標を持っておられるのでしょうか。今後の産業クラスターの構想をどのように考えておられるのかお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 平成5年、関東自動車岩手工場が本県に立地し、県外等からの自動車関連企業の立地は、以来31件となっており、また、関東自動車岩手工場によりますと、部品の現地調達率は約43%ということであります。
 一昨年、東北地方がトヨタグループの新たな生産拠点に位置づけられました。岩手県がその中心を担うにふさわしい企業集積を目指し、県内では調達が難しい電装品などの高機能部品メーカーや、塗装、金型などの基盤技術を有する企業、設計開発部門、こうしたところの誘致に戦略的に取り組んでおります。
 県では、平成20年7月、岩手県自動車関連産業成長戦略を策定し、平成27年までに、県内地場企業の参入も含め自動車関連企業数を220社、輸送用機械出荷額を5、700億円とするなどの目標を掲げ、今後も優秀な人材をインセンティブとするなどの企業誘致に努めるとともに、地場企業の生産能力の強化や次世代自動車を見据えた開発拠点整備など、生産と設計開発機能が集積した付加価値の高い生産拠点の形成に向けた取り組みを推進してまいります。
〇高橋雪文委員 県内の工業団地は、いまだあきが目立っております。どのような取り組みのもとにあるか、進捗状況をお知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 本県における工業団地は、平成21年4月1日現在で159団地、2、264ヘクタールでありまして、分譲率は71.4%となっております。
 これまでも価格の見直しなどを進めるとともに、企業の求めるさまざまな条件に合致した用地を選定し提案するなど、きめ細かなセールスをしてまいりましたが、新年度からは、企業立地促進奨励事業費補助制度について、投資額や雇用の要件の緩和などインセンティブの充実強化を図ることとしておりまして、今後とも、市町村や関係団体と連携して販売を促進してまいります。
〇高橋雪文委員 昨年度は、30年ほど前から地域で活動してきた富士通やソニーなどの撤退など、大きな痛手がありました。この撤退に対し県はどのような防止策を講じたのでしょうか。今後も撤退を表明する企業に対し、情報収集と積極的な働きかけが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 これら企業に対しましては、再編計画や閉鎖を知り得た直後から、知事や私が、地元市町とともに、たびたび本社等を訪問するなどして計画の再考、可能な限りの雇用の維持を強く要請し、さらには、やむを得ず退職せざるを得ない従業員に対して、しっかりしたフォローを行うことなどを求めてまいりました。
 県としては、日ごろから県内の事業所や本社へのフォローアップ訪問を行うなどして、それぞれの企業の状況やニーズの状況をしっかりと把握し、人材確保支援、取引拡大支援、大学等の研究機関との橋渡し等を進めてきたところであり、今後とも、地元市町村と一体となって、そうした地道な取り組みを積み重ねていくことが重要だと考えております。
〇高橋雪文委員 知事と副知事に聞きたいのですけれども、撤退の情報があった後、本社等を訪問したということですが、どれぐらいの回数訪問したんでしょうか。
〇達増知事 富士通やソニーのような企業の撤退に対しては、やはり地元の事情をきちんと説明して、偏った判断が行われないようにしなければなりませんので、私も、直接そういったことを説明したところであります。
〇宮舘副知事 私も、知事と同様に、ソニーイーエムシーエスや富士通マイクロエレクトロニクスの本社等を関係の市町村の首長と一緒に訪問したりして、いろいろな要請をしてまいりました。
 それでは、具体的な回数等についてお答え申し上げます。
 ソニーイーエムシーエスの千厩工場の閉鎖の関係ですが、昨年5月に私が一関市長と本社を訪問しましたし、7月には知事が、やはり一関市と一緒に本社を訪問して要請をしております。
 それから、富士通マイクロエレクトロニクス岩手工場につきましては、昨年2月と4月に知事が本社、そして岩手工場を訪問し、また7月にも、来庁した常務に知事がお会いして要請しておるところでございますし、ことしの1月にも、知事が本社を訪問して要請しているところでございます。私も2回ほど本社を訪問したり、来庁した執行役員に要請をしてまいりました。
〇高橋雪文委員 県の思いというのが向こうに伝わらなかったのでしょうか。その部分だけお聞きして、終わります。
〇宮舘副知事 先ほど申し上げましたように、地元の雇用の問題、計画の再考、こういったものについて重ねて強く要請してまいりましたが、やはりグローバル化の中にあって、会社のまさに生き残りをかけた存続の高度な判断の中でございましたので、撤退あるいは縮小、閉鎖といったものについての県の申し入れは、なかなか聞いていただけなかったところもございます。
〇高橋雪文委員 次に、地元中小企業の育成と支援についてお伺いします。
 地元で生まれ、地元で成長してきた中小企業は、本県の宝であります。法人事業二税の極端な減少が示すとおり、県内企業の運営は極度に悪化しております。新規事業以上に、既存の中小企業を経営強化し、そこから育成していくことのほうが、事業の信頼性、雇用の確保など優位性があると言えます。
 今回、中小企業対策には、中小企業成長応援資金を用意しながら、雇用と新規事業への資金提供を目的としているようですが、この事業内容についてお知らせください。
〇宮舘副知事 中小企業成長応援資金についてでございますが、この資金は、現在、厳しい状況に置かれております県内の中小企業が、その厳しい状況から脱却するために、雇用の増加や売上高の増加、新商品の開発など前向きな取り組みを実施しようとする際に、その資金繰りを支援することにより、県内経済の成長を促進しようという目的で新設するものであります。
 資金の内容は、貸付限度額は3、000万円、貸付期間は10年間、設備資金にも運転資金にも利用できること、保証料を軽減したこと、原則無担保としたことなど、中小企業にとって活用しやすい内容になっております。
 また、融資枠を20億円として予算計上しておりまして、商工団体や金融機関と連携しながら活用の促進に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋雪文委員 ぜひ、貸付金が余らないように、そういう取り組みをしていただきたいと思います。
 次に、NPO法人の運営の実態についてお聞きしたいと思います。
 県が委託していたNPO法人いわてNPOセンターの不正経理や不正な就業実態が明らかになりました。ここに来てさまざまな問題が露呈しておりますが、NPO法人の実態把握はなかなか難しいように感じます。
 そこでお聞きいたしますが、NPO法人は、現在、県内でどれだけの登録があるのか。NPO法人の県の関与はどの程度なのか。収支報告の義務を毎年履行しているようですが、どれだけあるのか。その監査はどのように行っているのでしょうか。不正があった場合、その責任と責任の果たし方はどのようなものが想定されるのでしょうか。また、NPO法人が借金などを負う場合、その債務の責任はどこにあるのでしょうか、お聞きいたします。
〇加藤地域振興部長 NPO法人につきまして幾つか質問いただきました。順次、申し述べさせていただきたいと思います。
 まず、県内の法人の登録数についてでございますが、平成22年1月末現在までに356団体認証しておりますが、このうち22団体が解散しておりまして、現在334団体となっております。
 次に、NPO法人に対する県の関与についてでございますが、NPO法人認証の根拠法でございます特定非営利活動促進法では、NPO法人の自主性、自律性を尊重する観点から、さまざまな形で行政の関与が抑えられている、こういう制度になっておりまして、法人がみずから情報公開を行うことによって市民の信頼を得て、市民によって育てられるべきであるといった考え方がとられております。
 NPO法人は、市民に開かれた自由な社会貢献活動を行う存在として、その活動内容をみずから開示するとともに、所轄庁でもある県も情報公開いたしまして、これら双方の情報公開によって、活動の是非を市民が判断する仕組みとなっております。
 これらの方法では対処できない事態に対する事後的な手段として、NPO法には、報告徴収及び立入検査、改善命令や認証取り消しといいました監督規定が置かれているということでございます。
 これらの監督権の行使に当たりましては、所轄庁による恣意的な権限行使がなされないよう、また、監督を受ける側の自主性や権利保護に配慮いたしまして、その実施は、法令等に違反している疑いがあると認められる相当の理由があるときに限られているという解釈となっております。
 こういった所轄庁なりNPO法の体系ということでございますが、なお、NPO法人と契約しております各種事業につきましては、これは、ほかの団体との契約と同様に、県といたしましては、発注者として、契約等に基づいて適切な指導、監督を行うということでございます。
 次に、NPO法人の収支報告の履行状況についてでございますが、県内のNPO法人のうち、直近事業年度の収支報告提出の義務を履行しているのは300法人ということになっております。
 次に、NPO法人の監査についてでございます。
 NPO法人は、NPO法の規定に基づきまして監事を置かなければならないとされております。
 この監事が、理事の業務執行状況あるいは法人の財産の状況について監査する、こういう権限を行使するということになっております。
 監事が監査の結果、不正な行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実、こういったものを発見した場合には、社員総会または所轄庁に報告することとされております。
 なお、所轄庁であります県を含めまして外部の者による監査、これは、制度上設けられておりません。
 次に、不正があった場合の責任についてでございますが、不正の態様いかんによりまして、その責任の内容や対処の仕方はさまざまでございまして、一概にお答えすることは困難でございますが、市民による監視や、それらを背景とした法人の自浄作用の発揮によって、まず責任が追及されるべきであろうと考えております。
 これらによって対処できない事態に対しましては、NPO法の規定に照らしまして、所轄庁による監督権限が行使されることになると承知しております。
 次に、6点目の御質問でございますが、法人の債務についての責任でございます。
 法人の負った債務につきましては、当然、基本的には法人の財産をもって弁済するということになります。
 法人が債務を完済できない状態になった場合には、法律上でございますが、理事は、裁判所に破産宣告を請求する義務があるということでございまして、法人の理事は、善管注意義務を怠ったといった事情がある場合には、連帯して賠償する責任がある、こういった法体系になっているところでございます。
〇高橋雪文委員 後学のためにちょっとお聞きしますが、いわてNPOセンターの代表者の給与が非常に高いというのを聞いたんですが、月にどれぐらいもらっていたんでしょうか。
〇加藤地域振興部長 数値としては、理事会で決定された規定等がございまして承知しておりますが、個人情報に当たる面がございますので、具体の数値のお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、巷間言われておりますようなこともございまして、一般常識から照らして、受けとめとしてかなり高額であるということは事実のようでございます。
〇高橋雪文委員 個人情報ということでありますけれども、年収1、000万円以上だということを聞いているんですが、それは事実なんでしょうか。
〇加藤地域振興部長 ちょっと具体額につきましては、大変申しわけございませんが、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
〇高橋雪文委員 NPO法人は公的なものなんです。だから、理事長の報酬は、もう規定されているんです。規定されているということは、公にしても何ら差し支えないと思いますが、いかがでしょうか。
〇加藤地域振興部長 法律の体系につきまして先ほど答弁させていただきましたが、基本的に、理事報酬等につきましても、厳密な法定の要件にはなっておりませんが、市民の関心なり、市民がチェックしていくという法律体系でございますので、そういったものを含めて、法人において閲覧とかできるような形にするとか、ホームページ上で公表するとか、そういった形で対応していただくのが望ましいと思っておりまして、こちらのほうから公表することにつきましては、御勘弁いただきたいと存じます。
〇高橋雪文委員 NPO法人というのは、かなり公益だと思うんですよ。そして、県が委託事業をやっている、しかも1億円以上の委託をしているわけですよ。それで、その理事長の給与については公表できないというのは、これはちょっとおかしいと思うんですけれども、知事でも副知事でもいいですから、その辺の考え方を教えてください。
〇加藤地域振興部長 なかなか個人情報に当たるというところが払拭し切れないというところでは、こちらのほうとしてはお答えいたしかねるところでございまして、そこは、法人の自主性というか、自主的な対応にゆだねざるを得ないのかなと思っております。
〇高橋雪文委員 わかりました。
 聞くところによると月100万円規模の給与が支払われていると。私は、見たものではわかりませんので、その辺が適当なのかどうか県はしっかり調べるべきではないかと思います。いかがでしょうか。
〇加藤地域振興部長 一般的に、その報酬額について高いか低いか、適当かどうかという判断というか、それに対する見解というのは、いろいろ見ればそれぞれの考え方としてあるのだろうと思うんですが、そこは、団体内部の問題ということもありますし、どこまでが高いか低いかという程度の部分もございますので、その辺のところをこちらのほうとして一概にここまでいいとか悪いとかというのは、なかなか判断しがたい部分がございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、理事等の報酬につきましても、世間的にもいろいろな判断なり考え方があると思いますので、これは、そういう公益を担うというNPO法人の役割からして、公表していくことは望ましいと思いますし、そういう対応がなされる、それによって、いろいろ市民からの声も寄せられる、そういう中で社会的に適当な額に落ち着いていくんだろうという形で、適正な報酬額、あるいは世間的に受け入れられる報酬額といったものになっていくということを期待したいと思っております。
〇高橋雪文委員 知事は、今のやりとりをどのようにお考えでしょうか。
〇達増知事 本会議でも申し上げましたけれども、このNPO制度というのはいわば性善説に基づいておりますので、団体の自治の問題として、公権力が関与せずに、その中で決め、団体みずからそのディスクロージャー的なところは自主的にやるようにというのが制度の趣旨になっているわけであります。
 そうした中で、県民の負託を受けた税金予算を使っての事業でありますから、県としてはその適正な事業を結果として確保していかなければならないわけですので、そうしたところ、新しい公共のあり方としてどうやっていくのかという課題にはしっかりこたえていかなければならないのだと思っております。
〇高橋雪文委員 県では、各NPO法人の実態はだれがどのようにチェックしておられるのでしょうか。
 県の委託事業は、申請は難しいものの、県や市町村から委託された分の予算の使われ方に関しては柔軟で、そのチェックも甘いと言われておりますが、どのように行っておられるのかお知らせください。
 NPO法人の運営指導や監査について制度的改革の時期にあると思いますが、いかがでしょうか。
〇加藤地域振興部長 NPO法人の実態のチェックについてでございますが、NPO法は、NPO法人につきまして、みずからに関する情報をできるだけ公開することによって市民による信頼を得て、市民によって育てるべきであるとの考えに立ち、広範な情報公開制度を設けることによって広く市民によるチェックのもとに置くこと、こういう考え方がとられております。
 NPO法人につきましては、NPO法の規定に基づきまして、毎年、前事業年度の事業報告書を作成し、主たる事務所に備え置かなければならないこととされております。これによりましては、社員その他の利害関係人から書類の閲覧請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて閲覧をさせなければならない、こういう規定もございます。また、これらの書類につきましては、一般の方への情報公開用といたしまして、毎事業年度初めの3カ月以内に所轄庁に提出する義務があるということでございまして、提出を受けました所轄庁たる県といたしましては、報告書の内容をチェックした上で、法令違反等が明らかに疑われる場合等に当たりましては、NPO法に基づく監督権の行使を検討するという体系になっております。
 次に、県からの委託事業のチェックについてでございます。
 委託事業に関するチェックにつきましては、完了時や随時の検査等によりまして、事業が仕様に基づいて適正に執行されているか、事業の目的、成果は達成されているか等の確認をしております。これらの確認手法は、NPO法人であるか、あるいはその他の法人形態をとるか否かを問わない、こういう体系になってございます。
 また、NPO法人の制度的改革の必要性についてでございます。
 今回の事案にかんがみますと、NPO法人制度につきましては、所轄庁から申し上げますれば使いにくい面があることは事実でございます。ただし、県内の多くのNPO法人は社会的使命の実現に向けて懸命に活動していただいているということでございまして、制度改革によりまして監督権を強めた場合、こうした法人に対しても大きな影響が及ぶことも十分に考えなくてはならないのではないかと思います。
 また、NPO法につきましては、かなり長い間いろいろ議論を経た上で議員立法により成立した、そういう立法の経緯もございます。その過程におきましては、市民活動団体等を含め活発な議論もなされたということでございまして、法案の内容にも多くの市民団体の意見が反映されているという経緯がございます。
 こういったさまざまな要素がございますので、これらの点も踏まえまして、監督のあり方を含みますNPO法人制度の改革につきましては国民的な議論が深まることを期待するところでございます。
〇高橋雪文委員 部長は、NPOの指導とか監督は今までで十分だとお考えでしょうか。
〇加藤地域振興部長 十分かどうかというところ、県といたしまして、NPO法の規定に基づく権限行使につきましては、その法律の規定に照らして、必要な際には監督権は行使しているところでございます。ただ、NPO法の規定は非常に要件も厳しいところで、特に県から発注したり委託している事業面につきましてはなかなかそれだけでは機能しないところで、発注者というか契約者としての立場で必要な調査等を行わせていただいているということで、その辺相まって指導、監督等を行っている実態にございます。
〇高橋雪文委員 また後でやらせていただきたいと思います。
 続きまして、ふるさと雇用再生特別基金事業について質問いたします。
 この事業は、地域における継続的な雇用が期待される事業に対し、おおむね3年の委託事業を実施するものですが、それ以降は、現実に委託料を当てにせずに雇用を継続することとされておりますけれども、かなり難しいと思われる事業が多いのではないかと思います。その点をどう把握しておられるのか。雇用を継続でき得る論拠や制度をどのように把握しておられるのでしょうか。
 また、これらの事業は雇用だけが目的ではないと思われます。その事業結果をどのように分析し、生かされようとしておられるのでしょうか。その事業の到達をそれぞれどのように見出していこうとするのでしょうか。
 仮に、3年後に継続して雇用ができない場合は、県はどのような対応をされるのか、どのように考えているのかお知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 ふるさと雇用再生特別基金事業は、その制度の趣旨として、地域における継続的な雇用が期待される事業を民間企業、団体等に委託し、実施することとされております。
 事業終了後の雇用継続については一部で懸念されているところでありますが、県では事業実施に当たって、事業終了後においても雇用継続が見込まれる事業者を選定しているところであります。
 本事業については3カ年の事業のうちの1年目が経過しようとするところであり、今後、事業効果が十分に発揮されるよう推移を見守っていく必要があると考えておりますが、事業変更等のため雇用継続に影響が生じる可能性がある場合には、事業者に対して雇用への配慮について強く要請してまいります。
〇高橋雪文委員 来年度は、新規にどれだけの事業を立ち上げようとしているのでしょうか。それに伴う雇用人数をどれだけ期待しておられるのかお知らせいただきたいと思います。
〇宮舘副知事 平成22年度におきましては新規は1事業が予定されておりまして、これによる雇用創出人数は3人となっております。
 なお、事業全体としては33事業で223人の雇用を確保することとしております。
〇高橋雪文委員 私が気になるのは、やっぱりこの事業、さまざまな雇用対策がありますけれども、一時的な事業になっていないのかというのを非常に危惧するところでございます。ぜひ継続してできる、もしくはちゃんとこの地で生活基盤ができるような取り組みをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇宮舘副知事 先ほど御答弁申し上げましたとおり、事業実施に当たっては事業終了後においても雇用継続が見込まれる事業者を選定してはおりますが、雇用継続に影響が生じる可能性のある場合には事業者に対して強く要請をしてまいりたい、そのように思っております。
〇高橋雪文委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、最後に、今回新たに部局編制した秘書広報室について質問いたします。
 まずは、編制した意図が前回の説明でもよくわかりませんでした。その意図を改めてお知らせいただきたいと思います。
 また、県庁内における部局の位置は、各部よりも秘書広報室が上になるのか、室の職員が知事の代理として会議に出席し意見を述べるとの情報もありますが、本当はいかがでしょうか。
〇菅野総務部長 秘書広報室につきましては、秘書業務や県民への情報発信機能など、トップマネジメントを直接補助するために最低限必要な業務に純化させ、これを機動的に機能させることにより、秘書業務の充実と県民の方々に対する、より細やかでタイムリーな情報を発信できるよう設置しようとするものでございます。
 それから、順番についてでございますが、条例上、いわゆる秘書広報室はトップマネジメントを直接補助する機関であり、その1番目に記載はしてございますが、特に部局の上位に立つ組織として設置しているものではございません。
 それから、代理の関係でございますが、部局長はそれぞれの所管業務を分掌しております。必要に応じ、それぞれ分掌している業務について知事等を代理することはあり得ますが、これは秘書広報室長も同様でございまして、秘書広報室長がその分掌事務を超えて知事等を代理することは想定されていないものでございます。
〇高橋雪文委員 次に、秘書広報室には、民主党小沢一郎幹事長の元秘書もおられると思いますが、その方は県内の首長選挙の候補者擁立など政治活動にも従事していることが明らかになりました。政党の意思をより反映しやすい組織体制になりますが、不偏不党の県政と明らかに矛盾するのではないでしょうか、お知らせいただきたいと思います。
〇菅野総務部長 行政課題が山積している中、地方行財政に対していろいろ知事に行動いただく場面がふえてございます。地方行財政検討会議、全国知事会への対応、そういった中にありまして、秘書広報室は、知事が適時適切に政策判断ができるようトップマネジメントを機動的に支援することを目的として設置する組織でございまして、その機能が発揮されることで県の業務が推進されるものと考えてございます。
 なお、いわゆる政務としての秘書業務は政策秘書が一身専属的に担うものでございまして、今般の秘書広報室の設置については現状と何ら変わるものではないと思ってございます。
〇高橋雪文委員 不偏不党の県政とは矛盾しないということでよろしいでしょうか。
〇菅野総務部長 政務秘書は、現在も総合政策部に所属してございます。したがいまして、組織の分掌事務は変わりましても現状と何ら変化はないものと考えております。
〇高橋雪文委員 知事はそれで本当によろしいんでしょうか。
〇達増知事 知事就任以来繰り返し申し上げておりますように、行政の執行については不偏不党を貫いてきましたし、これからも貫いてまいりますし、知事の行政の執行に関する秘書、また広報の県職員たちも、本当にそこは公正中立、不偏不党にやってくれていると思います。
 最近も県外広報で高橋克彦さんに荒俣宏さんとペアを組んでもらって、県内のいろいろなミステリースポットの発掘とかをしてもらっているんですけれども、全然そういう政党とか政治とか関係なく、そういう県のためになることをどんどんやってくれる能力はますます発達しているので、何の御懸念にも及ばないんじゃないかと考えております。
〇高橋雪文委員 次に行きます。
 秘書広報室は、岩手県の情報発信が主な役割と思われます。これまでの部局の柔軟な情報発信機会が失われ、知事の政治活動に有利な情報しか発信しない、非常に客観性が失われたものになりかねないと思いますが、どのように考えますでしょうか。
〇高前田総合政策部長 秘書広報室の情報発信についてでございますけれども、県政に係る情報発信につきましては、いわてグラフなど紙媒体やテレビ、ラジオの電波媒体を活用して、県政の重要な施策等の周知を図り、県政に対する県民の理解を促すことを目的に、各部局や広域振興局等へ広報希望の照会を行いまして、年間及び月間広報計画を策定した上で、タイムリーで効果的な情報発信に努めてきたところでございまして、今後とも、各部局や広域振興局等の意向を十分踏まえ、県民の皆様への県政に係る幅広い情報の発信を図るとともに、広報内容の一層の充実に努めてまいります。
〇高橋雪文委員 知事の選挙は来年度改選でありますが、I援隊のキャラクターは明らかに達増知事をほうふつさせるものであります。県費での達増知事の事前活動に近い広報活動になるのではないかと危惧しておりますが、そのような危惧がないか、広聴広報費2億円の使途についてもお知らせいただきたいと思います。
〇高前田総合政策部長 広報活動と広聴広報費についてでございますけれども、I援隊運動のキャラクターにつきましては、運動の周知を図るとともに、この運動への職員の参加意識を高め、親しみやすい運動として展開していくために作成し、これまで、ホームページや職員配付用のリーフレットなどに使用しているところでございまして、御指摘のような懸念はないものと考えております。
 また、広聴広報費につきましては、いわゆる県政提言や県政懇談会を初めとする広聴活動費、いわてグラフやテレビ、ラジオを活用した県政番組の制作等に要する県政広報事業費、それから県外向けに岩手のイメージアップや岩手ファンの拡大を目的としたいわて情報発信強化事業費等に充てているところでございます。
〇高橋雪文委員 知事には、数値目標を大きく掲げていただいて頑張っていただくことをお話しし、終わりたいと思います。
〇中平均委員長 お諮りいたします。予定の5時までにはまだ若干時間がありますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇中平均委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時35分 散 会

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