平成21年12月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 発議案第1号高速道路原則無料化の撤回を求める意見書に賛成の討論を行います。
 第1に、高速道路の無料化は民主党のマニフェストで示されたものでありますが、国民の支持が得られていない政策だということであります。総選挙後の朝日新聞の世論調査でも、65%が国民の税金を使っての高速道路の無料化に反対と答えるなど、国民の支持が得られていない政策でありました。最近の12月7日付の読売新聞の世論調査でも、高速道路の無料化は実施すべきでないが48%でトップで、実施すべきがわずか12%となっています。
 総選挙の結果は自民、公明の政治への審判であり、決して民主党の個々の政策、マニフェストを支持した結果ではありません。国民の支持が得られていない政策をマニフェストに書いてあるということだけで進めることは、マニフェスト絶対主義という誤りだと指摘しなければなりません。
 第2に、問われる問題は、税金の使い方、優先順位の問題であります。高速道路の無料化には年間では1兆3、000億円国民の税金が投入されます。これだけの財源があれば、子供とお年寄りの医療費の無料化を実現することができます。優先すべきは高速道路の無料化ではなく、子供とお年寄りの医療費の無料化ではないでしょうか。
 また、無駄な高速道路建設に歯どめをかけないまま旧道路公団から引き継いだ借金約31兆円を国民に肩がわりさせることも許されるものではありません。
 第3に、地球温暖化対策への対応という点でも高速道路の無料化は逆行するものであります。欧米では、高速道路を有料にしたり高速鉄道の整備を進めたりして車の利用を減らし、二酸化炭素の排出を抑える政策をとりつつあります。無料だったドイツのアウトバーンでも大型車の一部が有料となりました。米国では、日本の新幹線をモデルにした高速鉄道計画が立てられています。
 鳩山政権は、二酸化炭素排出量を2025年度までに90年比25%の削減を掲げていますが、高速道路の無料化で自動車の利用を拡大することはまさに矛盾した政策、逆行した政策と言うべき問題であります。運輸調査局は、高速1、000円の影響で、CO2は年間204万トン増加すると推計しているのであります。
 第4に、総合的な交通政策の検討なしに高速道路の無料化を強行するなら、鉄道やバスなどの公共交通機関、とりわけ地方の交通機関が重大な影響を受けかねないということであります。既に高速1、000円が半年実施されただけで鉄道、高速バス、フェリーに深刻な影響が出ています。JR7社は高速料金の値下げで年間250億円の減収、貨物は40億円の減収となり、無料化では750億円の減収となると指摘しています。日本バス協会は、大手14社、135路線で、3月以降の土曜、休日が前年比9.3%減となったと訴えています。
 地域の公共交通機関は鉄道でありバスでありますが、利用客が減少するなら地方の路線が廃止されかねない事態となります。いわて銀河鉄道や三陸鉄道など第三セクターの鉄道はさらに大きな影響を受けかねません。
 こうした重大な問題が指摘されている高速道路の無料化は強行することなく撤回し、地球温暖化対策、総合交通対策などを含め、総合的に科学的に検討して見直すべきであります。何よりも、国、地方とも厳しい財政状況のもとでは、国民の暮らし、子供やお年寄りの医療費無料化を最優先して進めるべきであります。
 以上申し上げ、私の賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、工藤大輔君。
   〔30番工藤大輔君登壇〕

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