平成21年12月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇6番(郷右近浩君) 民主党の郷右近浩でございます。
 当定例会におきまして一般質問の機会をいただきましたことに、先輩、同僚議員に深く感謝申し上げます。
 さて、一般質問も最後となりますと、さきに登壇された方々とかなり重複する点もありますが、本年最後の質問者でございますので、来年に向け新しい兆しが見えますよう、できればさらに踏み込んだ御答弁をよろしくお願いいたします。
 それでは、順次質問してまいります。
 まず最初に、いわての森林づくり県民税の活用について質問いたします。
 我が国では、京都議定書に基づき、平成20年から温室効果ガスを1990年比で6%削減するための取り組みを進めてまいりました。さらに鳩山首相は、9月の気候変動サミットで日本の温室効果ガス排出量を2020年までに25%削減する意向を表明し、世界の注目と支持を受けたところです。この目標を達成するためには、国土の約66%を占める森林の二酸化炭素吸収源活動が大きな役割を果たすものであり、この意味合いにおいては、一昨日、そして昨日とさまざまな議員の皆様方から御質問がありましたとおり、認識として皆同じく思っているところでございます。そして、そのためにも、国内林業の厳しい状況の中で、間伐など森林を健全に保つための対策を進める必要があります。
 さて、岩手は本州一の森林県として、県土の77%、118万ヘクタールは私たちの暮らしにさまざまな恵みをもたらす森林に囲まれておりますが、私は、この豊かな森林の可能性に期待するものであります。
 県では、この大切な森林をみんなで守り育てるため、平成18年より5カ年間の目的税であるいわての森林づくり県民税を創設し、水源涵養など公益上特に重要であるが森林所有者みずからの管理が期待できない森林を対象として混交林誘導伐を実施するなどのいわての環境の森整備事業、県民意識の醸成や普及啓発を目的とした県民参加の森林づくり促進事業、いわての森のゼミナール推進事業及びいわての森林づくり普及啓発事業などを行っておりますが、この県民税の期限が来年までとなっております。いわての森林づくり県民税は、これまで特にも環境の森整備事業や森林づくり促進事業において一定の成果を出していると思いますが、その延長や利用の目的など、平成23年度以降に向けた検討が必要と思います。税の利用方法や期間の延長について、県民意見の聴取を初めとする制度見直しの計画はどのようになっているかお伺いします。
 私は、岩手の財産とも言えるこの豊かな森林をそのまま維持するだけでなく、山主の当初の目的どおり、木材は木材として販売し、また植林をするというサイクルをつくることこそが一番の環境保全になるものと考えるものであります。とすれば、いわての森林づくり県民税による森林整備を公益的機能に限定している現在の考え方を一歩進め、間伐や択伐など、森林を育てることにも活用することで二酸化炭素吸収という森林の機能発揮に役立てるとともに、木材産業の振興にもつながるものと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 国内において、現在の木材産業を取り巻く環境は、杉山元立ち木価格は30年ほど下落の一途で、立方メートル当たり4、000円ほどと、山主の収入が確保されないことから間伐などの手入れができないことや、立ち木伐採跡地は再造林費が捻出できず、植林放棄地が問題となっております。また価格は、現状国産材製材品の主力製品である杉正角は、輸入材集成管柱にそのシェアを奪われている現状から立方メートル当たり4万円ほどで国内需要がバランスしており、木材業界は、この山元立ち木価格と杉正角価格の価格差内で山元伐採費から搬出運搬費、製材費、製品出荷運賃まで賄うことが必要でありますが、業界生産費の削減努力の限界が言われ、なおかつ立ち木価格へのしわ寄せも限界に達した膠着状態にあることから、この状態からの脱却を図るには、木材業界が行う抜本的な業界内全経費の削減見直しとともに、森林作業基盤整備、育林手入れ、そして1本当たりの質量をふやし、効率をよくするための択伐などを行っていかなければならないと思いますが、その中には県が手伝えるものがあるのではないかと考えます。
 また、素材、製品ともにかさばる重量物であることから負担になっている運搬費の削減のためにも、県内消費を誘導することでコストを抑えることができるものと考えます。
 県では今年度、国の補正予算による基金を活用して、間伐等の森林整備の加速化と間伐材等の森林資源を活用した林業、木材産業等の地域産業の再生を図るため森林整備加速化・林業再生事業を行っておりますが、構成事業を活用しながら、まずは低コスト体質への転換が県内林業の再生への早道と考えますが、現在の取り組みの状況を含め、お考えをお伺いします。
 次に、岩手の豊かな森林の活用策について伺います。
 岩手の豊かな森林には、木材資源としてだけではなく二酸化炭素の吸収という役割もあり、豊富な森林資源を活用し、排出量取引等へ参加することは木質バイオマス利用拡大のインセンティブとなるほか、森林環境ビジネス創出など、林業振興や山村地域の活性化に貢献できることが期待されるものであります。
 本県においても平成21年3月に設置された森林・林業関係二酸化炭素排出量取引等研究会の中間まとめにおいて、全国有数の森林県である岩手県において排出量取引等への参加が促進されることは、林業、木材産業や山林の活性化に寄与するだけでなく、次世代のために健全な森林育成が期待されるとともに、環境への貢献が地域住民の誇りにもつながるため、今後とも積極的に制度への参加を推進していくことが必要との意見に集約されておりますが、岩手の豊かな森林の活用策としてこの問題に今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 県内では、排出量取引の制度の一つの国内クレジット制度において、ペレットボイラーを導入した二戸市、葛巻町、遠野市の福祉関係の3事業体がクレジット買い手となる企業とマッチングが成立し、認証委員会に排出削減事業計画を提出しているほか、オフセット・クレジット制度においては、釜石地方森林組合において森林所有者から長期施業受託を行っている山林を中心に、林野庁設置の山林再生支援センターの支援を受けながら森林管理プロジェクトの申請を準備しているとのことですが、木質バイオマスについては、岩手は一日の長があり今後も制度の利用が見込めるほか、森林管理や植林活動においてもオフセット・クレジットの対象となることから、森林県岩手としては、他県に先駆けて取り組むことが将来につながるものであり、県の支援及び県有林を対象にした取り組みについて考えをお伺いします。
 また、二酸化炭素排出量取引は始まったばかりで、今後、制度を普及させるには、さまざまな指導、そして買い手探しや支払い完了後に国から助成される制度になっている審査費用の立てかえなど事業体への支援等が必要となってまいりますが、県民税を使うことも含め、そうした費用に対する支援について県のお考えをお伺いします。
 以上、登壇しての質問を終わります。引き続き質問席より質問させていただきます。
   〔6番郷右近浩君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 郷右近浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 いわての森林づくり県民税の使途拡大についてでありますが、森林は木材生産のほか、水源の涵養、山地災害防止の働きを初め、二酸化炭素の吸収による地球温暖化防止など、多くの重要な機能を有し、県民に多大な恩恵をもたらしていると認識しており、これまで県民の御理解をいただきながら、公益上重要で、特に緊急に整備が必要とされる森林について、針広混交林への誘導のための間伐等を進めてきたところであります。
 議員から御提言ありました内容も含め、この県民税の今後のあり方については、外部有識者等で構成する事業評価委員会で事業の成果をしっかりと評価、検証をいただくとともに、県民や県議会の皆様の御意見をいただいて検討してまいりたいと思います。
 二酸化炭素排出量取引への取り組みについてでありますが、豊富な森林資源を活用した地球温暖化対策など環境への貢献は重要と認識しております。本県においても、木質バイオマスボイラー等を導入した事業者や森林経営者などが排出量取引等に参加する事例が出ており、こうした取り組みを通じて、新たな森林環境ビジネスの創出や林業の振興、山村地域の活性化が図られるよう支援してまいります。
 いわて県民計画においても、未利用間伐材などを活用した新たな環境産業の育成などによる環境ビジネスを展開することとしており、今後、研究会を充実させながら、産学官が一体となって、二酸化炭素排出量取引等の促進に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、いわての森林づくり県民税の延長等についてでありますが、この県民税の平成23年度以降のあり方については、先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、事業評価委員会を初め幅広く県民の御意見を伺い、県議会で御議論いただきながら検討していくこととしております。
 県民の意向把握や今後の取り組みとしては、現在、県民2、000人を対象としたいわての森林づくりに係る県民意識アンケート調査を実施しているところであり、この結果や、これまでの県議会、県民からの御意見等を参考としながら、年度内には条例の取り扱いなどについて大きな方向性を示すことができるよう、事業評価委員会での議論を重ねてまいります。
 来年度は、事業評価委員会での検討結果を踏まえ、県民税のあり方に対する素案を作成し、その後、パブリックコメントや県内各地での地域説明会などを実施し、節目ごとに県議会にも御説明しながら、来年中には最終案を取りまとめていきたいと考えております。
 次に、林業の再生に向けた取り組みについてでありますが、本県の森林資源は成熟しつつあり、木材を低コストで生産し、安定的に供給する体制を早急に構築することが重要であると考えております。木材を低コストに生産するためには、小規模な所有形態にある森林の団地化、林内路網の整備、高性能林業機械の導入が不可欠であり、森林整備加速化・林業再生基金事業では、これらの取り組みに予算を重点配分したところであります。これにより、今後3年間に団地的な間伐を約7、000ヘクタール、作業路の開設を約9万4、000メートル、高性能林業機械を20台導入することとしており、年内には一部事業に着手できる状況となっているところであります。こういった地域林業を牽引する森林組合や林業事業体による木材生産の低コスト化を図り、木材安定供給体制を構築し、本県林業の振興に取り組んでまいります。
 次に、クレジット制度の取り組みへの支援等についてでありますが、県では、これまでの木質バイオマス利用の実績をこうした取り組みにも生かすため、本年8月に北東北3県を対象にクレジット制度を広く普及するためのセミナーを開催したほか、既に木質バイオマスボイラーを導入した事業者に対する制度参加の働きかけ、制度参加に意欲的な事業者に対する技術的助言などに取り組んできたところであります。また、県有林におけるクレジット化の取り組みはまだ全国的にも例が少ないものでありますが、本県がモデルケースとなるよう検討を始めているところであります。
 県としては、今後も引き続き県民の皆様に対して制度の普及啓発を図りながら、事業者への技術的指導に積極的に取り組んでまいります。
 次に、制度普及に向けた支援についてでありますが、県では、広く制度を活用していただくためには、参加を希望する事業者にとって、申請事務手続や発行されたクレジットの有利な売却等について助言できる専門的な支援組織の体制整備、また、オフセット・クレジット制度の高額な申請手数料等の負担が課題であると認識しております。こうしたことから、現在の研究会を発展的に改組し支援体制の充実を図っていくとともに、県内において先駆的に取り組む事業者の経費負担を軽減するために何を支援すべきか検討してまいります。
 なお、森林づくり県民税を活用することについては、御提案の内容も参考とさせていただきながら、事業評価委員会での議論や県民、県議会での御意見を踏まえ、今後十分検討してまいります。
〇6番(郷右近浩君) 御答弁ありがとうございます。
 数点再質問させていただきたいんですけれども、森林整備加速化・林業再生事業の内容について質問させていただきたいと思います。
 今の林業関係者ですけれども、さまざま小規模な方々がまだまだ多い中で、どうしてもこれを森林組合等の枠組みで作業等、そしてさまざまな機械の導入等という方向に導こうとしても、まだまだうまくいかない部分というのがどうしてもあると私自身考えているところなんですけれども、県で考えているこの森林整備加速化・林業再生事業、これを使って行うそうした規模的なもの、この事業を使える規模的なものの考え方というのは一体どのような考えとなっているかお伺いしたいと思います。
 先日の亀卦川富夫議員の質問、そして答弁の中でも、例えば乾燥機を導入して一緒に乾燥させる、そうしたような考え方が示されておりましたけれども、私自身もまさにそうした考えは一緒なものでございますけれども、しかしながら、やはりその規模というものがどのぐらいの規模かによって、できる、できないといったものが出てくると私自身は考えるわけでございます。
 例えば、近くのある程度の圏域、岩手の場合ですとちょうど振興局単位であったりとか、そのような規模であるものなのか、もっと大きいくくりにしようと県としては誘導しているのか、そうしたもののお考えをお聞かせいただければと思います。
〇農林水産部長(瀬川純君) この基金事業を取り進める場合の受け皿のようなことでございますが、この事業の事業体等が参加して全県の協議会をつくって、そこが全体の計画をつくって取り進めることとなっております。そうしたところで取りまとめた事業計画をこちらのほうで予算と照らし合わせながら調整させていただいて、また重点化を図ってやっているところでございます。
 今お話しのような地域の、言ってみれば製材所等が共同で乾燥施設のようなものをつくるような事例の場合につきましては国の交付金事業での支援も可能でございます。そうしたような事例が出てくる場合には、私どもは十分ニーズ等をお聞かせいただきながら検討させていただきたいと思っております。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。
 さまざまなメニューを組み合わせながら指導していかれるということでございます。ただ、どうしても今は国全体としても誘導している方向というのがやはりそうしたことで全県一つの単位というか、そうしたような大きいくくりに誘導している、そうしたように私自身は見えているわけなんですけれども、やはりそれだけではなかなかうまくいかない時期でもあると思うんです、過渡期というか。そうした部分においてもいろいろなメニューを組み合わせながら対処のほどやっていただければと感じるところでございます。
 それでは、質問を続けさせていただきたいと思います。
 次に、県産材の利用拡大についてお伺いさせていただきます。
 これまで質問してまいりましたとおり、私は、岩手の豊かな森林には木材産業としての可能性、二酸化炭素排出量取引での可能性があり、県がリーダーシップをとり、方向性を示すとともに行動を起こすことによってさらに豊かな森林になるものと考えておりますし、そのためには、生産面での対策に加え、出口対策が不可欠と考えております。
 木材の利用拡大を広く呼びかけていくに当たっては、やはり県が率先してその利用に取り組むべきと考えますが、県の公共施設における県産材の利用の推移はどのようになっているかお伺いします。
〇農林水産部長(瀬川純君) 公共施設におけます県産材の利用状況、推移についてでございますけれども、県では、みずから率先して県産材利用を推進するために、公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定しております。平成19年度から平成21年度までの第2期の木材利用量は、目標1万7、100立方メートルに対して平成21年度末見込みで1万8、082立方メートル、進捗率106%となっております。これは、これに先立ちます第1期、平成16年度から平成18年度までの木材利用量1万7、892立方メートルを上回る実績となったところでございまして、厳しい財政状況の中でこうした取り組みが進められているところでございます。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。
 推移は伸びているということでございますし、また、平成16年度から平成18年度、そして平成19年度から平成21年度、計画の立て方が消極的だったのかなというような気はしていたんですけれども、それにつきましても、前期というか平成16年度から平成18年度に対しても伸びているということでございますので、本当に頑張っていただきたいと思っております。
 また、県におきましては、平成28年の岩手国体に向けて多目的屋内練習施設整備を進めているところでありますけれども、まさに全国の注目が集まるこの大会に合わせまして、この施設を木材ドームとしてつくることは、私は森林県岩手のアピールのためにも非常に大きな効果があるものと考えております。どのようなものをつくるかは、単純に耐久年数やコストを持ち出すのではなく、岩手を売り出せるもの、岩手らしいものをつくることによって、森林県、そして環境県をアピールできる格好の機会と私自身はとらえております。
 また、公共施設をつくる際は耐久年数という観点も考慮されると思いますが、私は、木造建造物においても、きちんと手入れをすれば決してコンクリートやほかの建材に劣るものではないと考えております。コンクリートも水にさらし続けるともろくなってまいります。そして、火災においても、ドームのような大型建設の場合は、使用される大きい断面の木材は、表面は焦げますが中までは火が回らず、逆に鉄骨の場合は1、000度ぐらいで溶けるといった特性があります。国内を見ても、秋田県の大館樹海ドームや島根県の出雲ドームなどの木製ドームがありますが、私は、今の時代だからこそ、そして岩手だからこそ、その後の効果も考えて木造でつくる必要性を感じておりますが、県のお考えをお伺いします。
〇教育長(法貴敬君) 多目的屋内練習施設の整備については、今現在、学識経験者など15名で構成する多目的屋内練習施設等整備基本構想検討委員会においてその施設のあり方に関する基本的な考え方などを協議しているところであります。この委員会においてはさまざまな議論がなされておりますけれども、設備整備にも相当の経費が見込まれるなど、どの点に重点を置いて整備していくかについての検討を重ねているところであります。
 議員から御提言のありました木造化や県産材の利用については林業関係団体からも強く要望を受けているところでありますが、全体の総事業費の制約がある中でどのような対応をなし得るのかということについて今後ともさらなる検討をしてまいりたいと思います。
〇6番(郷右近浩君) もちろんこうした整備をするということについては財政上の制約があるということは重々承知しておりますが、しかしながら、これは商売という話ではないのですけれども、やはり森林県とも言われるこの岩手を本当にアピールするために、多少高くてもぜひともやる価値がある、そうした事業であり、そうした施策であると私自身は考えております。そうしたことも今後もずっと話し続けていきたいと思っておりますし、ぜひとも考慮していただいて進めていただければと思います。御答弁は結構でございます。
 また、個人住宅における県産材利用を拡大することも木材振興という面については本当に大きな課題であります。県におきましては、以前には県産材利用住宅の建設に対する助成制度が行われておりましたが、現在はその制度はなくなっているようであります。全国ではかなりの都道府県でそうした事業が実施されておりまして、そのことは、この助成制度による成果や評価があるためと考えております。
 現在の住宅建設においては材料の選択など工務店が中心であることを考えると、私はこれをさらに一歩進めて、施工する工務店にも県産材利用に対するインセンティブを与える制度が有効ではないかと考えております。こうした住宅への県産材利用に対する支援の拡充を行うことが利用拡大につながるものと私自身考えておりますが、この県産材を活用した木材住宅への支援につきましては、一昨日の工藤大輔議員への答弁で、木材業界のみならず建設業界からも強い要望があることや、県民アンケート調査でも木材住宅建設への支援や工務店等の県産材の積極利用に対するニーズの高さが明らかになったとし、住宅分野における県産材需要拡大策が必要との認識、そして、県産材住宅の建設促進のため、地域の製材所や工務店などと連携した取り組みについて、新たな仕組みや支援のあり方を幅広く検討していきたいとの御答弁がありましたが、私からもぜひ御検討の上、実現できますようお願いいたしたいと思います。この件につきましても答弁は結構でございます。
 次に、通学児の安全確保についてお伺いいたします。
 近年、全国的に子供や高齢者が被害を受ける事件が数多く発生しており、岩手県においても子供への声かけ事案が高水準で推移していることなどから、平成19年4月に岩手県犯罪のない安全で安心なまちづくり条例を施行し、平成20年3月には、この条例に基づき、学校等の設置者などや児童などの保護者、地域住民が、児童等に対する犯罪を防止するために努力すべき具体的な方策を、学校等及び通学路等における児童等の安全確保に関する指針として取りまとめております。
 また、組織的にも、環境生活部において平成21年4月に県民くらしの安全課を設置し、食の安全安心担当、生活衛生担当、県民生活安全・消費生活担当を配置し、県民の安全に関する業務に一元的に対応していることは、安心を与える上で非常に効果がある取り組みと思っております。
 さて、新聞やテレビで毎日のように凶悪な事件が報道され、それが大都市のみならず地方でも起きている現状を見るにつけ、子供の安全確保の必要を感じます。私の住んでいる地域においても、声かけ事案のほか、朝の登校時間が通勤時間とも重なることから、子供たちのそばを猛スピードで走る車がいるなど、地域では不安の声が出ております。
 通学路における児童の安全確保のためには、学校や行政、警察のみならず、PTA、町内会などの協力により地域全体で見守る体制の整備が必要と思います。各市町村や学校区において、地域、関係機関が連携して見守る体制づくりについて、取り組みの成果と課題についてお伺いします。
 また、各地域では、主に保護者や地域住民のボランティアにより見守り活動が行われております。日々の活動には本当に頭の下がる思いでございますが、その活動の機能を高め、より効果的なものにしていくためには、専門的な観点からの助言やノウハウの伝達指導が必要と考えます。
 そこで、地域の見守り体制確保における専門的な資質向上について、どのように取り組んでいるのか、あわせてお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 登下校を地域で見守る体制整備についてでありますけれども、現在、保護者や地域住民のボランティアによるスクールガードが、すべての市町村において見守り活動を行っております。
 見守り隊の成果としては、近年、小学生対象の声かけ事案が減少傾向にあり、スクールガードによる見守りが、一定の抑止力となっていると認識しております。
 あわせて、見守り活動を通じて、保護者や地域住民と児童の交流が深められており、スクールガードによる見守り活動は、大きな成果を上げているものと考えております。
 課題がありますのが、その児童の下校時間が学年ごとに異なるために、登校時に比べて下校時の見守り活動が十分には行えないということがあります。そのことについて、今後、関係機関の意見を聞きながら、よりよい方法を検討してまいりたいと考えています。
 次に、スクールガードなどの専門性の育成についてでありますけれども、警察OBなどの防犯の専門家であるスクールガードリーダーが、見守り活動の方法について専門的な助言を行ったり、警察と連携したスクールガード養成講習会を開催しながら、スクールガードの専門性の向上を図ってまいりたいと考えています。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。
 私も、まさに子供たちの下校時間のばらつきというか、学年によってばらつきがある、また、さらには、例えば塾ですね、今ですと、小学生にかかわらず、もちろん中学、高校もですけれども、塾の帰りが非常に遅い時間に、特にも高校生等になりますと自転車等で通ってというような、そうした部分。これ自体は、本当に見守り隊が見る範疇ではないのかもしれませんけれども、しかしながら、やはりそうした部分におきましても、地域でどのような形で連携をとりながら見守っていけるかというような、そうしたことが必要になってくると思います。
 そうしたことも含めまして次の質問を続けさせていただきたいと思いますが、また、県の指針にもありますとおり、通学路における安全確保に関しましては、教育委員会はもとより、警察署や歩道の整備など通学路の管理者、そしてスクールガードなどの地域の方々の連携が欠かせないものと考えております。
 地域の危険箇所などの情報を共有するためにも、関係機関や団体、住民が定期的に意見交換をする場を持つことが大切と考えますが、県では、指針の趣旨をどのように普及させていくのかお伺いいたします。
〇環境生活部長(松川求君) 地域における関係機関の連携確保についてでございますけれども、通学路等における防犯活動につきましては、岩手県犯罪のない安全で安心なまちづくり総合推進計画において、児童等の安全確保のための地域の取り組みの一つと位置づけておりまして、学校、家庭、地域などが連携して、子供の見守り活動でありますとか、子ども110番の家などの取り組みを実施することといたしております。
 こうした地域の活動を促進するため、県におきましては、教育委員会及び公安委員会と共同いたしまして、ただいま御質問にもありました学校等及び通学路等における児童等の安全確保に関する指針を策定し、説明会を実施しておりますほか、自主防犯活動リーダーの育成を目的といたしました研修会や市町村、警察署と連携をして、市町村単位に地区別研修会を開催し、地域の課題について意見交換などを行っております。
 また、関係者が連携をして通学時の安全活動に取り組んでいる事例など、すぐれた活動を展開している団体、個人を、岩手県犯罪のない安全で安心なまちづくり表彰として表彰し、活動のモデルとして紹介しているところでございます。
 今後におきましても、こうした説明会や研修会などを通じ指針の浸透を図りまして、地域において、地域住民や関係機関との連携した取り組みを促進するなどして、児童の安全確保に努めてまいります。
〇6番(郷右近浩君) フレームとしましては、県民くらしの安全課が一元管理というか一元化しているのでしょうけれども、現実には、環境生活部であったり、もちろん教育委員会、警察、防犯協会、安全協会、そして市町村、住民と、本当に多くの団体というか方々がかかわっておりますので、そこの、さまざまなセミナーであったり講習会等を行っても、それぞれにというような部分はどうしても否めない。
 そうした中で、私は、一番大切なのは、何よりそこの横の連携がうまくいくことが大切であると感じているんですけれども、やはり同じ目的を持った、地域の安全・安心を守ろう、そして子供たちを守ろう、そうした目的を持った団体でございますので、定期的に情報交換などをきちんと行うというようなこと、どこが窓口になるか、どこがまとめ方になるかというのはまた別の議論として、そうしたような方向性をつくっていくことが必要かと思うわけでございますが、その点につきまして御所見をお伺いさせていただきます。
〇環境生活部長(松川求君) やはり地域の安全を地域で守っていくということが肝要であると思っております。
 そういった中で、例えば地域の住民でありますとか、警察でありますとか、学校でありますとか、そういった関係者の方々が、いろいろ課題を持ち寄って、こういったところについてはこういうふうに改善していけば、さらに安全が確保できるのではないか、こういう話し合いを持つことは非常に大事であると思っております。
 私どもの指針におきましても、そういった横の連携が重要であるということを書いておりまして、こういった指針の周知を図りまして、そういった地域内で課題を共有する取り組みというものを促進してまいりたいと考えております。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。
 防犯協会、それぞれの地区の支部といっていいんですか、防犯協会のトップになられている方々が、それぞれ市町村の首長であったりというケースが非常に多いわけですけれども、実は、そうしたことで、なかなか横の連携をつくる主体的なものにもならず、こういった子供の見守りの中では一構成員のような形にどうしてもなってしまっている。ですので、そうした部分を何とか、県のほうから、ぜひともそうしたような方向性というものを出していただければ動いてくるのかなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 この件に関しまして、県警本部長にお伺いさせていただきたいと思います。
 その連携という面でございますけれども、常に子供たちの安全確認を行っておりますスクールガードや見守り隊の方々から、通学路等において危険箇所の指摘や改善、そして交通安全設備の設置の要望等が直接、または市町村を通して数多く出ているものと思いますけれども、その対応はどのようになっているのでしょうか、お伺いさせていただきます。
〇警察本部長(保住正保君) 学校、PTA、地域住民の皆様方などから、そういった要請というものはたくさんございます。例えば、通学路の危険箇所の連絡があった場合の対応につきましては、まず、学校に対しまして、児童生徒に対する注意喚起をお願いするとともに、道路管理者や学校関係者、地域住民等と合同で危険箇所の点検などを行っているところであります。
 安全施設に関しましては、通学路におけます信号機あるいは横断歩道の整備となるわけでございまして、こういったものにつきましては、私どもとしては、優先的に進めさせていただいていると思っているところであります。
 例えば、信号機の例をとりますと、交通事故の状態ということも勘案するわけでありますが、交通事故が発生する前におきましても、そういったおそれのあるようなところ、例えば、直近の例で申し上げますと、藤沢小学校というものがございますが、そういう学校が統廃合したとか、あるいは新設するとか、そのほか学校周辺の交通環境の変化等に対応するため、道路管理者、学校関係者、地域住民の皆様方の意見、要望を聴取しながら、こういった通学路における信号機や横断歩道の整備を優先的に進めているところでございます。
 数字的なことを申し上げますと、今年度、平成21年度、県内23基の信号機を設置しておりますが、うち11基をこういった通学路に設置して運用しているところであります。
 横断歩道につきましても、30カ所中10カ所を通学路に設置しているところであります。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。
 確かに、この要望自体が本当に多くて、今、お聞きさせていただきました本年度の信号機の設置、そして横断歩道の設置という部分につきましては、限られた予算の中で、なるべくそうした部分、通学路であったりの部分に割り当てているといった、そうした部分の力の入れ方といったものは物すごくわかるわけでございますけれども、何分この広い県内、そして、それぞれやはり目につきやすい、スクールガードの方々とかがさまざま目につきやすいような、そうした中でいろいろな要望が出てきていると思います。
 私の市におきましても、どうしても、まずは1回地元から出てきた要望が、例えば市町村でフィルターにかけられたり、そして、もちろんそれぞれの所轄署のほうでフィルターにかけられたりと、その基準というのがなかなか、これまで事故がなかったからというような理由でかけられているというのが、現実にはまだまだあるというように私自身認識しているわけです。
 やはり本来的に、先ほど警察本部長もおっしゃったように、事故を未然に防ぐというのが一番ベストなわけでありまして、事故が起こった後を追いかけてそこに対処する、そうしたような対応よりも、きちんと前もって計画を立てながら、そして県内全地域のそうした危険箇所を把握しながらといった活動を進めていただきたいと思うわけですが、そうしたものにつきまして、また御所見をお伺いしたいと思います。
〇警察本部長(保住正保君) ただいま議員の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、先ほど答弁申し上げたとおり、通学路関係について、かなり配慮して整備、運営してきておる所存ではありますが、引き続き、こういった事故は、やはり未然防止を図るというのが非常に大事でございますので、そういった観点を重視しながら、今後、限られた財政の中ではありますが、そういったことも十二分に考慮しながら整備してまいりたいと思っております。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。
 いずれにしても、それぞれの団体であったり、参加している方々は、皆様、子供たちの安全や地域の安全を目指して活動していると。そうした中でございますので、ぜひとも情報を共有しながら、今後もより安全・安心の地域をつくっていく、そうしたものを目指していただければと思います。
 次に、岩手県競馬事業について伺います。 
 競馬事業につきましては、本来であれば、私も競馬組合議員でありますので組合議会で質問をすべきところではありますけれども、次の組合議会の開催予定は2月となっておりまして、来年度の計画策定前にぜひ質問したく、本日は、構成団体の知事と議員という立場で質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 岩手競馬は、平成18年11月に示された新しい岩手県競馬組合改革計画のもと、単年度の収支均衡を存続条件とし、平成19年度、20年度と運営協議会でのコスト調整を行いながら事業を継続してまいっております。
 また、今年度においても、11月24日に開催された第4回運営協議会において今年度2度目の見直しを行い、1億円のコスト調整を行ったところであります。
 今回の調整におきましては、肝心の馬資源に係る賞典費は調整対象としなかったということは、これ以上削減すれば、来年度の馬資源確保にも問題が出るなどが懸念されたためではないかと私自身考えるものでございます。そうしたことからも、もう既にコストの削減は限界に来つつあるのではないかと私は考えております。
 また、私は、今の競馬組合は、競馬事業を行っているというよりは、コスト削減をすることが、コストの管理をすることが仕事であり、次のコスト削減を考えているだけのように見えてなりません。
 県を初めとする構成団体から出向している職員の方々を含め、組合関係者の方々の頑張りは感じておりますものの、しかし、そもそも競馬事業はギャンブルであり、レジャーや趣味の要素が強い事業でありますから、おもしろいレースを行う、かけてみたくなるレースを行うことこそが振興策の最初であり、最後であると私は思っております。
 例えば、本年行いましたマーキュリーカップや南部杯のように、月曜日に開催しているメリットを生かし、全国でも岩手だけしか発売のないハッピーマンデーに行われる重賞競走をふやしてみるとか、将来的な選択肢として1場開催などを検討するのであれば、開催日程を芝レース日程以外は水沢開催に偏らせるなど、試行する価値があるのではないでしょうか。
 来年度の事業では思い切った取り組みが必要と思いますが、お考えをお聞かせください。
〇農林水産部長(瀬川純君) 岩手競馬の経営改善に向けた事業の振興策についてでありますが、岩手競馬の開催日程については、全国的なグレード競走など、各競馬主催者の開催日程やこれまでの開催実績等を勘案しながら編成することを基本としておりますが、今年度は、グレード競走のクラスターカップや不来方賞の開催日程等の見直し、水沢競馬、盛岡競馬の開催間隔の短縮など、競馬ファンに岩手競馬のレースをより楽しんでいただけるよう、さまざまな工夫に取り組んできたところであります。
 御提案のありました月曜日での重賞競走の試行や水沢、盛岡競馬場ごとの開催日程の調整については、全国への岩手競馬のアピールや発売額の確保につながる可能性も考えられますことから、来年度に向けて、こうした思い切った取り組みを含め、多くの岩手競馬ファンに魅力あるレースを提供するための方策について幅広く検討し、岩手競馬の継続をより確かなものにしてまいりたいと存じます。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 そして、また、日本中央競馬会協力金の現行の1%を3%にしてもらうようJRAに働きかけていくとともに、今後の機器、システムの更新に対して、今現在は、地全協で行っております50%補助の設備資金等がございますけれども、それをもっと使いやすくしてもらう交渉をしていくなど、今やれることは本当にたくさんあると思っております。
 平成18年には、地方競馬開催県の知事連名で、JRA、地全協、農林水産省、内閣府に対して財政支援等の陳情や、奥州市議会が同等の陳情を行ってきております。また、岩手県競馬組合議会の岩手競馬に関する調査特別委員会が、平成19年8月にJRA理事との意見交換を行ってきております。しかしながら、それ以降、陳情の動きがないように私自身感じております。
 今、JRAや地全協に対して働きかけをすべきときだと私は感じておるところでございますが、今後どのようにそうしたものに取り組んでまいられるのか、知事の御所見をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) これまで、支援制度の拡充や中央競馬、地方競馬の連携強化などについて、他の地方競馬主催者など関係団体とともに、国や地方競馬全国協議会などに対する要望を行ってきたところでありまして、地方競馬全国協会への交付金の還付制度の創設や、地方競馬活性化事業補助金の対象拡大など、一定の成果が見られております。
 JRAや地方競馬全国協会とは、日ごろから協議や意見交換を行いながら岩手競馬の運営の改善方策についての助言をいただいておりまして、昨年11月には、私も、JRAの理事長初め幹部の方々と意見交換させていただいたところでありますが、厳しい経営環境の中で、岩手競馬の継続をより確かなものとしていくためにも、今後とも、関係道県や全国の地方競馬主催者と連携を図りながら、国や地方競馬全国協会、JRAに対し、安定的な競馬事業運営につながる提言や要望を積極的に行っていきたいと思います。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 質問を続けさせていただきたいと思います。次に、民間委託についてお伺いいたします。
 民間委託の拡大につきましては、平成19年度より日本ユニシス株式会社と委託に向け協議を続けてこられましたが、残念ながら協議が調わず見送る方針となっております。しかしながら、当初の目的の民間のアイデアや経営を競馬事業に入れるという発想自体、私は、必要なものであると感じております。
 昨年12月定例会において、知事は、関根敏伸議員の質問に対して、委託業務の範囲や委託条件のところから改めて検討することが必要との考え、そして時期や実施方法など検討を進めていくお考えを示されておられましたが、私には、この間、具体的な動きが見えてきておりません。
 一度この委託という考え方が不調に終わったからといって今後も民間委託拡大を考えないのか、知事の御認識をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 民間委託拡大についてでありますが、現在の経済情勢を踏まえますと、民間企業がリスクを負いながら競馬事業の運営に参画するということは、当面厳しい状況にあると考えられますことから、まずは現行の運営方式のもとで、引き続き着実な改革、改善に取り組むことで、単年度ごとに黒字を積み重ね、岩手競馬の経営の安定化に取り組んでいくことが必要と考えております。
 こうした取り組みと並行しまして、岩手競馬を将来にわたって継続、発展させていくためには、中長期的な視点に立った抜本的な改革の検討も進めることが必要であり、民間委託拡大についても、随時、企業の動向についての情報収集に努め、引き続きその可能性を探っていきますほか、民間委託拡大に限らず、民間企業との連携協力のもと、企業が有するノウハウや販売ツールの活用により、ファンサービスの向上や売り上げの拡大などにつながる方策についても、幅広く検討してまいります。
〇6番(郷右近浩君) まだ考え自体はもちろん投げていないと解釈させていただきたいと思います。ただ、やはり両面で常に考えていかないと、いざというときになりまして、やはり自助努力だけではどうしようもない、そうした部分というものがもしかしたら出てくるかもしれないと私は危惧するものであります。そうした意味で、ぜひとも検討を進めていっていただきたい、そのように思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、構成団体にとりましても、関係者にとりましても、この年度末というのは、いつも本当にはらはら、どきどきしながら過ごしていると。そしてもちろん、これまでもコストカットであったり、そうした調整が入ってくる段階になってきたりといったような部分で、ぜひとも年度末を安心して迎えられるような体制を早く構築できるよう、コスト削減だけに頼らない安定した運営ができるよう、ぜひとも早目早目の手を打ってくださるようお願いするところでございます。
 続きまして、いわての魅力ある県産品の海外売り込みについてお伺いいたします。
 知事は、平成19年知事就任直後から、岩手のすばらしい農水産物を国内外にてトップセールスを行い、文字どおり先頭に立って着実に販路や売り上げを拡大するとともに、岩手の恵みのPRに努めてまいられました。
 この岩手は、水陸万傾のすばらしい地域であり、肥沃な土地には米を中心とした農作物が、海には豊富な海産物がある恵まれた地であります。農水産物や加工食品、伝統工芸品、観光など、売るものはたくさんあり、これからますます海外に向けて輸出が拡大することを願うものであります。
 岩手にはさまざまな物産品がありますが、海外の市場への実績のある岩手の伝統工芸品に南部鉄器があります。9月には上海で知事が、その南部鉄器のトップセールスを行ってきたと伺っておりますが、その成果と海外における岩手の商品の可能性をどのように感じられたか、知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 本年9月に、中国で販売網を持っている上海市の茶販売企業を訪問しまして、今般、南部鉄瓶の大量受注の実現に至ったところであります。
 その会社は、プーアル茶と南部鉄瓶とをあわせて販売したい意向がありまして、以前から県の大連経済事務所を通じて接触を続けてきたところであります。
 また、その際、プーアル茶の一大産地であります中国雲南省プーアル市の市長さんと面識を持つことができました。現在、中国ではプーアル茶が大変なブームとなっておりまして、南部鉄瓶は、保温性や美しいデザインなどの面でプーアル茶を入れる茶道具として高い評価を受けておりまして、中国市場においても、大きな可能性を持っているということを肌で感じることができたところであります。
 引き続き、大連経済事務所を通じまして、中国での優良な取引先の発掘に努めるとともに、今回の取引を契機にしまして、上海市の企業やプーアル市とも連携を図りながら、さらなる販路拡大に取り組んでまいりたいと思います。
 今後とも、機会あるごとに、私自身も中国に出向きましてトップセールスを行っていきたいと思います。
〇6番(郷右近浩君) 中国へのトップセールスで大量発注を得てきたということで、本当に明るい話題というか、そうしたことで、今後とも知事には頑張って先頭を走ってというか、本当に引っ張っていっていただきたいと思っております。
 また、さらに知事は、今議会が終了した後、シンガポールに向かい、12月11日には大使館公邸に政府関係者や小売、流通業者を招待して、いわて牛をメーンとした県産品を、そして翌日には、シンガポール伊勢丹で開催中の3県共同の東北フェアでトップセールスを行う予定と伺っております。
 いわて牛は、本年9月に株式会社岩手畜産流通センターが、シンガポールへの牛肉輸出が可能な施設として認定され、10月16日に第1便が出荷されたのを初めに今月16日までに約500キログラムが輸出された中であり、また、本県牛肉の最初の輸出ということで、国内価格が低迷していることからも、関係者とともになお一層のセールスを期待しておるところでございます。
 また、東北フェアでは、いわて牛、奥州市産天日干し米など約70品目の県産品を持っていくと聞いておりますが、現地の方に何が受けるのか、アンテナの役割もあるのかと思います。継続的輸出で今後の売り上げを拡大していくためには、まず、行政が支援しているという信用保証のもとで、商品を実際に手にとって、あるいは味わって、そのよさを実感してもらうということが必要と思います。今回の催しにかける期待と、今後にどうつなげていくお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) いわて牛初め、安全・安心で高品質な県産農林水産物の輸出促進は、生産拡大を通じた生産者の所得向上はもちろん、国内市場における評価向上にもつながるものでありまして、1次産業の振興にとって重要であると考えております。
 今回のシンガポールでのトップセールスにおきましては、在シンガポールの日本大使公邸でのレセプションにおきまして、私みずから先方の政府関係者、小売、流通業者に県産農林水産物の魅力を直接アピールいたしますとともに、日本系の百貨店で開催されます東北フェアの店頭にも立ちまして、現地の消費者にいわて牛や県産米を売り込むこととしております。今回の取り組みを契機としまして、現地の流通業者との連携によって県産品の継続した輸出拡大を図ってまいりたいと思います。
 今後は、シンガポール以外の国々も見据えまして、これまでのフェア等の成果を踏まえて、現地ニーズに対応したビジネスマッチングの支援でありますとか、商社等の専門家で構成する輸出コーディネーターを活用した新規市場における輸出有望品目の掘り起こしでありますとか、そういったことに取り組んで、海外における県産品の一層の販路拡大に努めてまいりたいと思います。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。
 今、意欲のほどを聞いたわけでございますけれども、再質問になりますが、シンガポールに今度行くという、その後でございます。これからもということの部分でございますが、これから後、たとえば海外戦略というか、別の国ないしさまざまこれまでもいろいろなものを輸出してきているわけでございますけれども、その拡大であったり、そうしたもので何か見えている、もしくは予定しているようなもの、そうしたものが現状であるのかないのか、わかっているものがあればお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 牛肉輸出の今後の展開という観点からいきますと、まずは、シンガポールへの輸出が可能となったわけでありますけれども、今後は、アメリカへの牛肉輸出を目指してアメリカへの輸出認定に向けた準備を進めていきますとともに、香港、マカオ、タイといった国や地域への牛肉輸出についても検討してまいりたいと思っております。
 また、シンガポールというところはアジアの一つの代表的なところでありまして、中国系、いわゆる華僑の人口が大変多いところでありますが、マレー系やインド系─マレー系の皆さんはイスラム教徒がほとんどでありますし、そういったアジアの各地を代表しているところでもあり、そうしたところからアジア全体を視野に入れた可能性を探っていきたいということも考えております。
 また、中国の富裕層、そして中間層の拡大、そこでの購買力の急増というのは岩手にとって大きなチャンスだと思っておりまして、中国そのものに加えて、在外華僑、在外中国系、そうしたいわゆるチャイナ圏と呼ばれるようなところでの可能性はさらに追求していきたいと考えております。
〇6番(郷右近浩君) ありがとうございます。
 今、牛肉についてというお答えを特にもお披瀝いただいたわけですけれども、私自身もちろん今回のシンガポールにつきましては、今、知事がおっしゃられたとおり、アジアの交差点というか、本当にさまざまな物流であり、そして考えの方々が行き来する中で、ここで商品を出すということは本当に大きなものにつながるというふうに感じておりますし、また、今後のアメリカ、香港、マカオ、タイといったような形の展開、何とかスムーズにというか、ぜひともこれが達成できるよう願うところでございます。どうぞ頑張っていただきたいと思います。
 質問を続けさせていただきますが、先ほど来お話ししております南部鐡器につきましては、台湾においても収集家の方がいたり、そしてまたさらに、先ほど知事のほうからプーアール茶を入れるのによいといった評価を得ているということをお聞きいたしまして本当にうれしく思うところでございます。
 しかしながらその一方で、現地で商品の人気が高まれば高まるほど商標登録などその商品の権利保護が新たな課題となりますけれども、南部鐡器を製造している業者の方々がこれらすべてをこなすことはなかなか困難と思われます。
 そこで伺いますが、県では販路開拓に加え、こうした商品の権利保護の面でこれまでどのような対応をし、今後どのように取り組んでいくお考えかお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 商標登録の関係でございますけれども、本県を代表いたします地域ブランドであります南部鐡器の名称が、平成19年9月に香港の個人によりまして一方的に中国の商標局に登録申請された事実を大連経済事務所を通じて平成20年6月、昨年6月に確認したところでございます。
 登録までには2年から3年要するというようなことで、この間、当事者となります岩手県南部鉄器協同組合連合会とともに対策を検討してきたところでございまして、今般、去る11月、中国商標局から南部鐡器について登録のための公告がなされましたことから、連合会においてそれに対して異議申し立てを行うなどの対抗措置を講じようとしているところでございます。
 一方、県では、連合会と連携を図りながら、平成19年9月に経済産業省のほうに、海外各国に対し、我が国の地域団体商標の登録を第三者に許可しないよう要請する要望書を提出しているところでございます。
 県内企業の海外進出に際しましては、製品の販路拡大のためにはブランド保護ということが大変重要と考えてございまして、権利保護に対します事業者の理解を深めていくとともに、登録申請に必要な情報の提供、あるいは海外におけます商標登録申請に対する助成、こういったことを引き続き行いながら取り組んでいきたいと考えております。
〇6番(郷右近浩君) この問題につきましては本当に世界的な問題で、そして南部鐡器だけがというような、そうした話でないことは重々承知しております。これはもちろん国─経済産業省と一緒になりながら取り組んでいくということは、やはりそれぞれの事業者の中ではなかなか対応できない問題でもあり、そうした対応が望まれることだと思っております。この件も何とか解決しながら、そして今後こうしたことがないよう、そうした手だてをぜひとも構築していっていただきたいと思うところでございます。
 これで私の質問は全部終わりましたけれども、ぜひとも来年は、また明るい、そして知事のリーダーシップによって岩手を導いていただきますようよろしくお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   日程第2 議案第19号いわて県民計画の策定に関し議決を求めることについてから日程第14 議案第18号当せん金付証票の発売に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木一榮君) この際、日程第2、議案第19号から日程第14、議案第18号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

前へ 次へ