平成21年12月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇20番(小田島峰雄君) 民主党の小田島峰雄でございます。
 一般質問も3日目ともなりますと、先輩議員の質問項目と大分重なってまいりますが、せいぜい重複しないように質問をさせていただきたいと存じます。
 最初に、新政権の地域主権改革に関しお尋ねいたします。
 8月の衆議院議員総選挙を経て、半世紀以上の長きにわたり続いてきた自民党政権が終えんし、新しい政権がこの国に誕生してから2カ月余りが経過いたしました。このたびの政権交代の意味するところは、菅直人副総理の言葉をかりると、国の原理が変わり、内閣の原理が根本から変化したということであります。官僚主導から政治主導へと国を動かす仕組みが劇的に変化する中で、これからの地方自治も、民主党が政権公約に掲げた地域主権政策によって大きく変わろうとしております。
 1980年代、地方の時代ともてはやされ、いよいよ我が国にも地方自治体が権限と財源を手中にし、自分たちの地域は自分たちで決めることができる当たり前の国家が誕生すると期待に胸を躍らせてからはや30年、かつて地方自治体の長として、幾度となく国にだまされ、裏切られてきた私にとりまして、新政権からのメッセージは、真の地方自治誕生の胎動に聞こえてなりません。
 新政権では、先般、内閣総理大臣を議長とする地域主権戦略会議を設置し、年内に地域主権改革の工程表を策定することを打ち出すとともに、改革の成果をできる限り早く国民に実感していただくため、地方から要望の強い義務づけ等の見直しの具体化に向けて、政務三役が省庁の調整を進めるなど、これまで実現が難しいとされた改革を政治主導により達成しようと努力されております。
 そこでお尋ねいたします。新政権の地域主権改革についてのこれまでの動きを、知事はどうごらんになり、どんな感慨をお持ちなのか、また、本県知事として何を期待しておられるかお伺いいたします。
 次に、今後の基礎自治体のあり方についてお尋ねいたします。
 本年6月、旧政権下の地方制度調査会が、国の主導で進めてきた平成の大合併を来年3月で一区切りとする答申をいたしました。その中の合併の評価、検証を見ますと、地方分権の受け皿としての行政体制が整備され、行財政基盤が強化され、効率的な行政運営の取り組みが行われているとなっており、今は死語となりましたかつての大本営発表を見るようであります。
 合併には必ず光と影の部分があり、本県におきましても、改めてこのたびの大合併を影の部分から検証すべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、この10年余りの間に市町村数は3、200から1、800弱になったところでありますが、その4分の1は、人口1万人未満の小規模自治体であります。
 民主党の地域主権政策では、基礎自治体重視、合併問題を含む自治体のことは自治体で決める、権限や財源を責任のあるところに戻すと説明されておりますが、今後の小規模自治体に対する施策の方針について知事にお聞きいたします。
 次に、本県及び本県市町村の財政見通しについてお尋ねいたします。
 自主財源の乏しい本県自治体にとりまして、今後の財政運営を行うに際し、何より最大の関心事は交付税改革の見通しであります。さきの小泉政権下で行われた三位一体改革では5兆円以上の交付税が削減され、地方自治体の財政悪化の大きな要因ともなっていることは、御承知のとおりであります。
 今後、新政権のもとで補助金の一括交付金化が行われたとしても、現行の交付税制度、特にも財政調整、財源保障の両機能は維持されるべきものと考えますが、御所見をお示し願います。
 次に、行政刷新会議による事業仕分けが9日間の全日程をこのほど終了し、事業仕分け効果は1兆6、000億円になったとの報道がなされました。この事業仕分けが本県行財政に及ぼす影響は相当なものがあると思われますが、どれだけの影響があり、今後どう対処していくお考えかお聞きいたしまして、登壇しての質問を終わります。
 以下、質問者席で行います。
   〔20番小田島峰雄君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小田島峰雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新政権の地域主権改革についてでありますが、私は、住民の方々や地域コミュニティ、NPOなど多様な主体と自治体が手を携え、力を合わせる地域経営の考え方を基本に、県民が主権者として自立と共生の道を進んでいくことにより、地域主権の確立を目指していきたいと考えてきたところであります。
 現在、政府は、法令による国の関与の見直しや国と地方の協議の場の法制化などに積極的に取り組んでいるところであり、私は、その根本にある、地域のことは地域に住む住民が決める、活気に満ちた地域社会をつくるための地域主権改革という、その考え方に賛同しまして、これに参画すべく、総務省顧問もお受けしたところであります。
 今後におきましては、国と地方のあるべき姿を見据えながら、国から地方への権限移譲や地方税財政制度の改革などが進んで、より住民に身近なところで物事を決定し、行動していけるような地域主権国家が実現することを期待しております。
 次に、市町村合併の検証についてでありますが、平成19年度に、市町村合併推進審議会において合併市町村における合併効果の検証が行われました。
 それによりますと、平成の大合併により市町村の行財政基盤の強化が図られ、分権型社会によりふさわしい体制が整えられつつあり、また、合併により強化された行財政基盤を生かして、住民サービスの維持、向上が図られるとともに、重点施策への予算配分や大規模投資などが可能となっていると評価されております。
 一方、合併により市町村の規模が大きくなることで、住民の声が届きにくくなるとの懸念や周辺部が寂れるなどの懸念が、依然として根強く見られるところであります。
 このため、周辺部の振興や地域コミュニティ対策、住民の自主的な地域活動をいかに進めていくかといったことが課題であると認識しております。
 今後も引き続き、合併市町の状況の把握、検証に努め、課題の解決や合併市町の発展に向け、必要な支援を行ってまいりたいと思います。
 次に、今後の小規模自治体に対する施策の方針についてでありますが、さきの衆議院議員総選挙における民主党政策集においては、住民に一番身近な基礎的自治体を重視した分権改革を推進するとし、権限の移譲に並行する形で、自治体の自主性や多様性を尊重しながら、基礎的自治体の規模や能力の拡大を目指すとされております。
 本県におきましても、いわて県民計画の長期ビジョンにおいて、県と市町村が適切に役割を分担するとともに、住民により身近な市町村の行財政基盤の強化に向けた取り組みを進めるとしているところであります。
 これは、基礎自治体を重視する姿勢において民主党の考え方とつながるものであり、当然、小規模自治体についても当てはまるところであります。
 一方で、小規模自治体は、組織や職員配置などの事務処理体制や財政基盤が必ずしも十分ではないとの懸念があるところであります。
 このため、小規模自治体に対して、引き続き、行財政基盤の強化に向けた支援を行うほか、市町村間の広域連携による事務処理の補完など、市町村の主体的な取り組みを支援してまいる考えであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 本県及び本県市町村の財政見通しについてでありますが、民主党マニフェストにおきましては、自治体間格差を是正し、地方財政を充実させるため、地方交付税制度と一括交付金の統合も含めた検討を行い、現行の地方交付税制度よりも財政調整と財源保障の機能を一層強化した新たな制度を創設することとされております。
 地方自治体間における財政力の格差を解消する財政調整機能や、一定水準の公共サービスの実現を図るための財源保障機能は、各自治体が円滑な財政運営を行う上で極めて重要な機能と考えております。
 これまでも、地方交付税制度につきましては、総額の確保はもとより、両機能の充実強化や透明性の向上などを国に対して強く要請してきておりますが、今後、政府におきましては、一括交付金や交付税の見直しに関する具体的な制度設計等の検討が行われるものと思われますので、県民生活の向上につながり地域主権の確立に資する、よりよい方向での改革となることを期待しているところでございます。
 次に、事業仕分けによる本県財政に及ぼす影響についてでございますが、仮に、事業仕分けの結論どおり国予算の見直しが行われた場合、関係する県事業の縮小や事業推進の遅延などの影響も予想されるところでありますが、今後、政府部内での議論が行われ、最終的には国の予算編成や国会での議論を踏まえ決定されるものと承知しておりまして、この見直しに係る本県への影響について、現時点で申し上げることは非常に困難であります。
 いずれ、今後における国の予算や制度の見直しの動向を注視しつつ、必要に応じて、全国知事会等を通じて国に提言していくとともに、最終的な本県への影響を十分見きわめながら適切に対処してまいりたいと考えております。
〇20番(小田島峰雄君) ありがとうございました。
 小規模自治体に対する知事のお考えが今、表明されたところでございます。過日の新聞に、2005年国調で1万人未満の自治体は本県では10あると。そして、あと10年やそこらで15にと、全市町村の42%を占めるという記事が載っておりました。
 自治体の首長は、今、行財政運営に大変苦慮されておられますけれども、いずれにしても、そのときに至らずとも、首長みずから、自分の自治体はどうあるべきか極めて厳しい判断を迫られる時期が来るのではないかと思います。
 また、そういう中で県政推進上も、小規模自治体も、知事がいつも言っておられる重要なパートナーであることについては変わりがないわけでありまして、先ほどの御答弁のとおり、これからもそういう視点で行財政運営を行っていただきたいと思います。
 一つだけ再質問をさせていただきます。交付税制度についてでございます。
 交付税の重要性あるいは財源調整機能等の御認識につきましては、私も一致しております。問題は、その交付税の改革の今の見通しについてでございます。御存じのとおり、この交付税制度は、昭和22年でございましたか、シャウプ勧告以来の定着した制度でございまして、この交付税制度がどう改革されていくか、見直されていくかというのは、自治体行政に携わる者にとっては重大関心事でございます。
 この仕組みそのものを変えていくのか、あるいは仕組みをそのままにして、例えば基準財政収入額でありますとか基準財政需要額でありますとか、そういった中身を変えていくのか、まださっぱりわかっておりません。
 そういう中で、先ほどの答弁の中でも制度設計中というお話もございましたけれども、今わかる範囲内で、この改革の方向をお答えいただきたいと思います。
〇総務部長(菅野洋樹君) 国の地方交付税制度のいわゆる改革の見直しの方向性についてでございますが、正確なところはまだ、国におきまして政務三役等を中心に種々議論が続いているものと考えてございます。
 先般行われました事業仕分けにおきましては、地方交付税制度について、いわゆる算定の簡素化や政策誘導を行うべきではないなどの意見が多数ございまして、抜本的な制度見直しが必要という結論に至ったところでございますが、この評価結果等も踏まえた見直しもしくは、私ども地方公共団体等から種々の提言等を行ってございますので、こういった種々の現状を調整いただいて、先ほど申し上げましたとおり、地方の自由度拡大につながる制度改革が行われるといったことを強く期待してございますし、地方の側からも、そういった地方の意見をさらに訴えていきながら、よりよい制度となるよう地方としても努める必要があるものと考えております。
〇20番(小田島峰雄君) ありがとうございました。
 よもや今よりも悪い改革が行われようはずはございませんけれども、いずれ苦慮している市町村の現場に配慮された改革がなされることを期待いたしているところでございます。
 次に、過疎対策の現状と将来見通しについてお尋ねいたします。このことにつきましては、本年2月定例会においてもお聞きしたところでありますが、改めて視点を変えてお聞きいたします。
 我が国の過疎対策は、御承知のとおり、昭和45年に最初の時限立法である過疎地域対策緊急措置法に始まり、昭和55年には過疎地域振興特別措置法、平成2年には過疎地域活性化特別措置法、そして平成12年には、現行の過疎地域自立促進特別措置法が制定されるなど、10年ごとに法律名や内容を変えながらも、ほぼ40年の長きにわたって対策が講じられてきたのであります。
 この法律によって全国の過疎地域を有する市町村は、小・中学校校舎や保育所等の建設に当たって、国庫補助のかさ上げや基幹道路や公共下水道などの都道府県代行制度、所得税・法人税に係る減価償却の特例等税制措置、そして、何より元利償還の7割が交付税措置される過疎対策事業債の導入によって、公共施設等の社会基盤の整備、生活・産業基盤の整備が著しく進展するなど、過疎法が果たしてきた役割は極めて大きなものがあったと思うのであります。
 しかしながら、これだけの資本投下、対策を講じてきたのにもかかわらず、過疎地域においては、人口減少率の拡大と高齢化、農林水産業の衰退、崩壊寸前にある地域医療の確保などの問題も顕在化し、結果として、過疎地域の集落にあっては、生活扶助機能の低下、空き家の増加、森林の荒廃、耕作放棄地の増加など、安心・安全にかかわる問題が深刻化しているのが実態であります。
 そこで、これまでの対策に何が不足していたのか、どのような視点が欠けていたのか、広大な県土を有する本県独自の所感も含め最初にお聞きしたいと思います。そして、この40年間の総括を行っていただきたいと存じます。
 次に、御承知のとおり、現行過疎法は明年3月末をもって失効するわけでありますが、新たな過疎対策法の制定に向けた動きについてお尋ねいたします。
 冒頭申し上げましたように、さまざまな課題や問題が残されている中で、万一、新たな法整備がなされなければ、近年、極度の財政難に直面している過疎市町村にとりましては、行財政運営に重大な影響を及ぼす可能性が生じてまいります。
 幸い民主党を中心とする新たな政権におきましては、さきの衆参本会議や予算委員会で、鳩山首相、原口総務大臣とも、過疎対策は切れ目なく講じていくことが必須であり、延長したい、また、今のエリアはそのままにして、新たに加わるところも加えて、バージョンアップした過疎法の改正を全党派議員立法で成立させることが望ましいと答弁しておりますし、注目の過疎債についても、本県選出の平野達男議員の質問に対し、過疎債を使って基金を創設し、医療対策などソフト事業にも使えるようにしたいとの意向を示したとのことであります。
 このような点を踏まえて、新過疎対策法制定作業の状況についてお尋ねするものであります。
 次に、さきに申し上げましたように、本県は、広大な県土を有し、県央、県北、沿岸、それぞれ異なった歴史風土、地域事情を抱えておりまして、一律の制度政策ではいかんともしがたい面があります。
 そこで、新過疎対策法制定に向けて、地方6団体の要望とは別に本県独自の要望もこの際、強力に行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 過疎対策の現状と見通しについてでありますが、本県は、広大な県土の中で森林が約8割を占めるなど、豊かな自然環境に恵まれており、過疎地域は、国土の保全、地球温暖化防止、貴重な文化の伝承、都市にはないゆとりある居住環境の提供など、非常に大切な公益的機能を果たしてきております。
 このような過疎地域の振興を図るため、これまで過疎対策法に基づいて、過疎債等の財政支援制度や県代行制度などの活用により道路や上下水道などの整備が進められてきたほか、県独自に、自治振興基金の活用や県道整備にかかわる市町村負担金の免除を実施するなど、総合的に対策を展開してきたところであります。
 この結果、交通通信基盤や産業基盤、上下水道などの生活基盤の整備が進むなど一定の成果を上げてまいりましたが、全国水準と比べれば、なお整備におくれが見られます。また、本県の過疎地域は、地形的、気象的な要因もあり、人口減少、若年層の流出、高齢化の進行により地域活力の低下が見られるなど、さまざまな課題もございます。
 これまでの過疎対策においては、地域間格差の是正を目的としてハード整備が重視されてきたところでありますが、地域を活性化するためには、集落対策、移住・交流対策、地域づくりを担う人材の育成など、地域の実情に応じたソフト対策の充実強化も重要であると認識しております。
 過疎地域の機能を確保し未来の世代に引き継いでいくことは、現代に生きる私たちの大きな役割であり、今後とも、本県の現状を踏まえた過疎対策に努めてまいります。
〇地域振興部長(加藤主税君) まず、新過疎対策法制定の作業状況についてでございますが、議員御指摘のとおり、さきの衆議院本会議や衆参予算委員会におきまして前向きな答弁がなされまして、現在、立法化に向けて議論が交わされているところでございます。
 これまで、過疎法につきましては議員立法で措置されてきたという経緯もございまして、今回、新たな過疎対策法の内容につきましては、まだうかがい知れない面がありますことから、過疎地域の指定要件、地方交付税、過疎債などの財政上の措置、コミュニティ対策などのソフト事業への支援などにつきまして、議論の動向を注視してまいりたいと考えております。
 次に、新過疎対策法の制定に向けました本県独自の要望についてでございますが、過疎対策は、国家的な課題でありますことから、全国知事会を初めとする地方6団体等と連携しながら、新たな法律を制定するよう要望を行ってきたところでございます。
 本県独自の取り組みといたしましては、今年度におきまして、例えば4月に、県市長会、町村会と連携して、盛岡市でいわての過疎に挑む総決起大会を開催し、その後、大会決議に基づき要望活動を実施したほか、6月には県単独で、また10月と11月には岩手県過疎地域自立促進協議会と合同で、それぞれ国及び県選出の国会議員への要望を行ってきたところでございます。
 今後とも、新たな過疎対策法の制定が確実となるよう、市町村等と連携しながら、関係方面に繰り返し働きかけてまいりたいと考えております。
〇20番(小田島峰雄君) ありがとうございました。
 知事の御答弁の中に、やっぱり不足しておったのはソフト対策だったというお話がございました。全く同感でございまして、新しい法体系の中では、私は、何より重要なのは、やはり農山漁村の再生、これが今、本県にとりましても、あるいは全国にとりましても重大な問題になってこようと思います。
 そういう中で、私は、農山漁村が、この国から万が一消滅する、衰退してしまうということになりますと、都市の発展もないと思っている一人でございます。そういうことから、今、新法制定に向けた要望の件もお答えいただきましたけれども、ぜひそういう点も加味して今後の要望に生かしていっていただきたいと思う次第であります。
 次に、いわて花巻空港を取り巻く現状と将来予測についてお尋ねいたします。
 あらかじめ申し上げておきたいと存じますけれども、私はこれまで、本県唯一の空港であるいわて花巻空港について、ターミナルビルの建設を初め、平行誘導路など懸案となっている施設整備の進捗を図り、早期に投資効果の発現を求めるべきとの観点から数々の提言を行ってきた一人であります。
 しかしながら、ここに来まして、本県のみならず全国の地方空港を取り巻く環境が大きく変化し、ますます厳しさを増している現状を見るにつけ、多少質問をちゅうちょしたい気持ちもあるのでありますが、それはそれとして、順次お聞きしてまいります。
 過日の新聞報道に、地方自治体が管理する全国58空港のうち、本県を含む実に約9割に当たる53空港が、2007年度、着陸料などの収入では空港の管理運営に必要な費用を賄えない赤字となっており、黒字は神戸などわずか5空港であったとの記事が掲載されたところであります。路線を維持するため、着陸料を大幅に割り引いていることが背景にあり、多くの赤字空港が、地方自治体にとって財政負担となっていることが明らかになりました。
 収支を詳細に回答した17空港のうち、赤字額が最も多かったのは、大館能代の3億3、000万円に次いで、本県が3億円となっており、ワーストテンに東北の2空港が名を連ねております。
 来年10月には羽田空港発着枠拡大、12月には東北新幹線青森延伸などが予定されており、本県空港を取り巻く環境は著しく変化するわけでありますが、まず、このような状況をどう認識され分析しておられるかお聞きいたします。
 次に、空港利用客の見通しについてお尋ねいたします。
 かつては55万人を数えた利用客も、年々減少し続け、最近では、平成17年度の49万8、000人をピークに、平成20年度は36万1、000人、本年10月末時点では23万人と対前年同期比1、500人余り減少しております。
 そのような中、来年5月の大型連休明けには、日本航空が名古屋便1日2往復を運休するとの方針が示されたこともあり、利用客の将来見通しは極めて厳しいものがあると考えますが、今年度と来年度の見通しについて伺います。
 また、日本航空を含む国内大手航空会社が運営する国内線274路線のうち7割超の193路線が、損益分岐の目安とされる搭乗率60%を割り込み赤字状態に陥っているとの報道もあり、日本航空が厳しい再建途上にあることを考え合わせると、今後さらなる路線の休廃止も想定されると思いますが、その見通しについてもお答え願います。
 県におきましても、このような危機的状況にいち早く対応し、過日、緊急の空港利用促進対策会議を開き、今期定例会に提案している着陸料減免措置の拡大など経営支援策を示し、日本航空に対し働きかけを行うとのことでありますが、その迅速な対応には心から敬意を表する次第であります。
 しかしながら、厳しい経営危機に直面している航空会社にとって、現行着陸料減免率3分の1を2分の1にすることの効果については、多少懐疑的なところもあり、むしろコスト削減のための小型機での就航や石川県能登空港や静岡空港のような搭乗率保証、さらには、厳しい財政環境ではありますものの、割引航空券に対する補助などの選択肢も考慮すべきと思いますが、これらに対する御所見もあわせてお伺いいたします。
 また、東北には九つの空港が存在すると聞いておりますが、それぞれめいめいに自分の空港のみを考えるのではなく、役割分担を通して協調していくことも大事だと考えるものでありますが、現在の空港連携施策とあわせてお答え願います。非常事態には非常の政策も必要との観点からお伺いするものであります。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) まず、いわて花巻空港を取り巻く状況についてでありますが、羽田空港の発着枠の拡大は国内地方路線の活性化につながることから、発着枠の配分における国内地方路線への配分に十分な配慮を行うよう国に要望しているところでございます。
 一方で、いわて花巻空港の場合には、東北新幹線青森延伸による高速化などにより、東北新幹線との競争がより厳しくなるものと考えております。このため、羽田線の復活につきましては、これらの環境変化を見きわめつつ適切に対応していく必要があると考えております。
 他方、羽田空港の発着枠の拡大によりまして航空会社の機材の小型化が進めば、今後、小型機で地方と地方とを直接結ぶ新たな可能性が開けるものと考えておりまして、こうした動きもよく踏まえながら、羽田線に限らず、新規路線の可能性を探ってまいりたいと思っております。
 次に、いわて花巻空港の利用客の見通しについてでありますが、まず、本年度は、世界的な景気の悪化による需要の低迷、新型インフルエンザの影響などによりまして、本年度の4月から10月までの国内定期便の利用者数は対前年比で99%にとどまっております。
 今後の動向につきましては、景気の状況などにより予測が難しいわけですが、12月から札幌線が3便化になり利便性が向上したことによって利用客がふえることが期待されることなどから、全体としては前年度を上回る利用実績となるよう取り組んでまいります。
 来年度の見通しにつきましては、現時点では来年のゴールデンウイーク明けから名古屋線が運休される計画であることから、さらに厳しい状況が見込まれております。
 県としましては、名古屋線の維持を初めとした花巻空港発着路線の維持、充実につきまして航空会社への働きかけを継続してまいりますとともに、国内外へのエアポートセールスの強化や空港アクセスの改善などによりまして、利用者数の増加につなげるよう努力してまいります。
 次に、今後のさらなる路線の休廃止の見通しについてでありますが、日本航空では、去る11月5日に、来年6月までにいわて花巻名古屋線を含む国内線8路線、国際線8路線の計16路線を運休することを正式に公表したところです。これまでのマスコミ報道によりますと、今後の経営改善に伴う日本航空の見直し路線数は、平成23年度までに国内、国際線合わせて今回公表の16路線を含む四十数路線に上るものとされております。
 日本航空におきましては、今後、企業再生支援機構のもとで再建計画の策定に取り組むわけですけれども、来年1月ごろまでにそれら路線の見直しを含めた再建計画が策定、公表される見通しと聞いておりまして、その動向を注視しているところです。
 なお、いわて花巻空港の発着路線につきましては、今のところ名古屋線以外には運休等の話は聞いておりません。
 次に、御指摘のありました支援策についてでありますが、まず、小型機の活用につきましては、去る10月19日に、県及び岩手県空港利用促進協議会が名古屋線の維持等につきまして日本航空に要望を実施した際に、こちらのほうから小型機での運航継続を提案し、日本航空からは検討する旨の回答をいただいているところです。
 また、一部の空港で実施されております搭乗率保証あるいは割引航空券に対する補助などの新たな路線維持対策、利用促進策につきましては、今後のいわて花巻空港を取り巻く環境の変化や日本航空の経営再建への動き、国における各種支援策の検討状況などを踏まえまして検討してまいります。
 次に、東北管内の九つの空港の役割分担についてでありますが、それぞれの空港は、立地条件や国内外の就航先などにおきまして特徴があります。これまでもそれぞれの特徴を生かしながら連携した取り組みを行っているところでございます。
 具体には、東北観光推進機構を中心に、東北ブロック単位で国内外からの各種誘客活動に取り組んでいるほか、北東北3県合同で、関西、中部圏の旅行会社、航空会社の担当者の招聘事業の実施、あるいは北東北の五つの空港のターミナルビル会社が合同で情報誌を発行するなど、連携しながら取り組んでいるところでございます。
 今後ともそれぞれの地域や空港の強みを生かしながら、また、相互に補完し合うような取り組みを継続、強化しまして、東北地域や県内の活性化につながるよう努めてまいります。
〇20番(小田島峰雄君) ありがとうございました。
 再建途上にある航空会社の、これから現行の16路線の休廃止に続いて四十数路線の休廃止が予定されているというお話でございました。札幌便が1便増便になっているという明るい話題でございますけれども、現在ございます大阪便等がさらに休廃止ということになりますと、本県経済にとってもさまざまな大きな影響があるものと思います。
 県内誘致企業の皆さん方のお話を聞く機会があったのでありますけれども、名古屋便、大阪便があるから誘致を決定したというお話も随分いただきました。そういう中で、何としても大阪便等の休廃止は阻止していかなければならないと思います。今は休廃止の情報はないという御答弁でございましたが、可能性の面から、もしそういった場合がありました際の活動の方針と申しますか、要望の方針と申しますか、いま一度お聞きしたいと思います。 
 そもそも我が国の航空政策の定見のなさが今日の地方空港の現状をもたらしたという指摘もあるのでありますけれども、いずれ今そんなことを申し上げてもせんなきことでございます。
 空港間連携の話を先ほど申し上げましたけれども、難しいとは存じますけれども、国際チャーター便、例えば台湾路線は岩手県とか、あるいは中国路線は秋田県でありますとか、そういった意味での役割分担みたいなものが可能なのかどうか、いま一度お聞かせいただきたいと思います。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 仮に大阪線あるいは名古屋線が廃止になった場合の対応でございますけれども、いずれそういうことがないことを願っているわけですが、そういう情報があり次第、知事を初めとするトップのほうで日本航空のほうへ強く要望してまいりたいと考えているところでございます。
 また、空港間連携につきましては、現在でも国際チャーター便につきましては、花巻におりて青森から出発する、そういうようなケースもございまして、そのような北東北3県の空港連携も今現在行われているところでございます。
 また、国際チャーター便の受け入れに関しましては、今、花巻空港の新ターミナルビルの機能拡充に向けて現在設計に取り組んでいるところでございまして、その拡充とともにエアポートセールスを国内外ともに展開してまいりまして、アウトバウンド、インバウンドともにふやしていけるような形にして、かつ北東北の、あるいは東北の九つの空港の連携を図りながら、先ほど申し上げましたように、東北地域あるいは県内の経済の活性化あるいは観光産業の活性化につなげてまいりたいと思っております。
〇20番(小田島峰雄君) 依然として厳しい経済情勢でございまして、なかなか思うとおりにいかないのも事実かと存じますけれども、ぜひ御努力をいただきたいと思います。
 次に、本県の雇用をめぐる情勢と対策についてお尋ねいたします。
 私の手元には、岩手労働局が10月末現在で公表しました来年の春の高校卒業予定者の就職内定率を調査した資料があります。それによりますと、県内全体で58.5%と、前年同月を18.0ポイント下回る厳しい状況であるとのことであります。
 具体的に申し上げますと、10月末現在の求職者3、522人に対し、内定者は2、060人。求職者のうち県内就職希望者は1、935人で、内定者は916人、内定率47.3%で前年同月を9.1ポイント下回っております。引き続く景気悪化を反映し、県内企業からの求人数は1、520人で前年同月より実に39.5%も減少しており、産業別に見ますと、製造業が前年同月比50.4%と最も落ち込みが大きくなっております。
 県内10カ所の公共職業安定所別の内定率も同時に発表されておりまして、それを見ますと、私の住んでおります花巻が53.9%で2番目に低く、前年同月を13.7ポイントも下回っております。最も低い盛岡46.9%、そして花巻、大船渡54.0%などが続き、最も高い釜石でも71.7%と、二戸を除き、前年同月を下回っている現状であります。
 私は、このような状況を踏まえて、花巻市内の高校で就職相談を担当されている先生方に現場の声をお聞きしてまいりました。それによると、まず第1に、県内企業の求人数が余りに低いことから、比較的経済的に恵まれている子は就職浪人を回避するため、やむを得ず専門学校に進路を変更していること、第2に、経済的に恵まれていない子は何としても内定をとるべく県外あらゆるところに就職希望を出すものの、他県においても地元の雇用を優先するため内定を得ることが極めて困難となっており、特に首都圏においてそれが顕著であること、第3に、比較的介護職の求人数が多いことから子供たちが殺到している現状であるが、近い将来ミスマッチとなるであろうことがわかりつつも進路変更を指導できる環境にはないことなど、就職指導の現場で苦悩する先生方の姿が浮き彫りとなりました。
 そこで最初に、県におかれてはこのような状況をどうごらんになり、どう分析しておられるかお聞きいたします。
 次に、県におきましては、本年度においても緊急雇用創出事業臨時特例基金やふるさと雇用再生特別基金を活用した事業あるいは産業振興施策など、9月現計で150億円を上回る予算を投じて雇用対策に全力を挙げておられることは承知いたしておりまして、その姿勢は高く評価しておりますが、いかんせん景気回復の足取りが遅く、対策が追いついていない現状であります。このままで推移いたしますと就職できない少なからぬ高卒者が出てしまう可能性があり、未就職者対策も新たな行政課題となるものと存じます。就職できるまでのつなぎ対策を含め、今後どう対処していくお考えかお聞きいたします。
 県立高校を所管する教育長のお考えもあわせてお聞きいたします。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、新規高卒者の就職状況についてでありますが、地域経済の低迷を反映しまして採用を控える企業が増加し、新規高卒者への求人は前年同月比で57%となっております。特にも、製造業が集積しております県南地域で求人数の落ち込みが激しい状況にあります。
 各振興局の就業支援員等からは、企業がなかなか内定を出さないため生徒が他の企業を受験できなかったり、あるいは応募がすぐに締め切られてしまう例など、生徒にとってさらに厳しい就職状況になっていると聞いております。
 一方で、県南のある地域では、高校入学後、保護者を含めた就職への意識づけを早いうちから行うことにより、一定の内定率を確保しているなど、地域と連携した取り組みの成果があらわれている例もあります。
 以上のように地域ごとにさまざまな状況ではありますが、総体としては極めて厳しい状況にあると認識しております。
 次に、新規高卒の未就職者対策についてでありますが、県としましては、岩手労働局、教育関係者と連携しまして、新規高卒者求人確保キャンペーンとして、7月に引き続き、再度、新規高卒者の採用について強く要請を行いますとともに、各振興局が中心となりまして、ハローワークや高等学校と共同しまして各企業への要請活動とさらなる求人開拓を行うほか、就職未決定者を対象としました就職面接会を例年より多く開催するなど、就職に向けた支援を一層強化していきたいと考えております。
 また、こうした取り組みにもかかわらず、就職内定に至らないまま卒業を迎える生徒に対しましては、今後、学校と就業支援員とが連携し、未内定者のジョブカフェ等への登録誘導を促し、卒業後も、例えばキャリアカウンセラーによります就職相談や企業への就業体験のコーディネートを実施するなど、未就職者一人一人の特性に応じたきめ細かい就職支援を行っていきたいと考えております。
〇教育長(法貴敬君) 議員御案内のように、求人数の伸び悩みにより年度末までに内定が決まらない生徒が例年より多くなることが予測されております。今後も学校と関係機関が十分に連携して、未内定者を対象とした就職準備講習会を開催するなど効果的な指導に努め、ジョブカフェ等の関係機関との情報共有を図りながら、卒業後の就職活動を円滑に進めることができるよう最大限の努力をしてまいりたいと考えています。
〇20番(小田島峰雄君) 来年の6月までは新規学卒者の扱い、こういうことなんだそうでございますけれども、ただいまの教育長のお答えにもありますとおり、このままでまいりますとなかなか就職できない生徒も相当数出てくるのではないかと危惧いたしているところであります。
 そういう中で、わずか18歳で就職浪人、こういう事態は何があっても避けなければならないと思います。そういう意味で、学校におきましても、就職担当教諭でありますとか支援員でありますとか、就職対策には相当力を注いでおられるとのことでございますけれども、現場の先生方から見ますと、なかなか思うとおりにいっていないのが実態であるというお話も聞いてございます。そういう中で、学校の役割とはどういうことかということを考えてみますと、入学して卒業させるだけではなくて、きちんと出口も面倒を見てやること、それも大きな役割だと思うのであります。そういう意味で、今後における教育委員会としてのさらなる対応をひとつお聞かせいただきたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) 例年ですと卒業式が終わればもうそこで大体終わりということになるんですけれども、今年度については3月末まで全力を挙げて、先ほど言いましたどういうことができるのかということで、きめ細かい対応になりますけれども、例年の倍くらい、恐らく200人程度出てくるのではないかと予測はしていますけれども、きめ細かにやっていても、結局ミスマッチというか、自分は県内に就職したいんだけれども県内の就職先がない、県外でもいいんだけれども就職をやってみたいというふうなところで、かなり保護者とか御本人の関係で進路指導とミスマッチする場合がありますので、もう一度、残りわずかになってきた場合についてもきめ細やかにいずれ対応してまいりたいというふうに思っています。
〇20番(小田島峰雄君) ひところ前であれば子供の1人や2人就職しなくても食わせていけたのでありますけれども、昨今は親も大変でございます。仕事を求めようにも仕事のない、無就業の親もたくさんおられるということで、経済的にも大変でございます。何とぞよろしく対応方お願いを申し上げる次第でございます。
 時間がございませんので、次に参ります。
 次に、農業振興に関する幾つかの点についてお尋ねいたします。
 初めに、これまでの農業政策についてお聞きいたします。
 農産物価格の低下を初め、肥料、飼料等農業資材や燃油の高騰などにより農家経済は未曾有の危機的状況にあることは既に御承知のとおりであります。中でも販売農家1戸当たりの農家経済収支を見ましても、農業所得は平成10年から平成19年までの10年間の平均がわずか89万8、000円余りとほとんど増加しておらず、県内農家のほとんどが辛うじて農外所得によって経営が維持されている実態であります。
 その間、本県の田畑などの耕地面積も年々減少の一途をたどり、特に水田面積にあっては、わずかこの5年余りの間に600ヘクタール余の減少となっております。そのような中、この4月に農林水産省が発表した耕作放棄地の2008年度全体調査によれば、本県の耕作放棄地面積は6、952ヘクタールにも及ぶとなっておりまして、そのうち、10年以上放置され復元不可能な土地は全体の40%に当たる2、670ヘクタールとのことであります。
 昨今の農業情勢を勘案いたしますと、今後さらに農家の農業離れと耕作放棄地の増加は加速度的に進んでいくとの推計もあり、他県はいざ知らず、全国の食料供給基地を標榜する本県にとってはゆゆしき重大事であります。半世紀以上にもわたった前政権の、言ってみれば場当たり的猫の目農政が深刻な今日の状況をつくり出してきたと言っても過言ではないと私は考えておりますが、まず、これまでの農業政策のどこが問題であったのか、何が欠けていたのか御所見をお伺いいたします。
 次に、来年度からの米の戸別所得補償制度についてお尋ねいたします。
 米の生産調整につきましては、前政権のもとで減反の選択性や導入後の米価格の予測、減反不参加者問題などが議論されてきたところでありますが、結局結論を見ないまま先送りされたところであります。
 そのような中、新政権のもとで、民主党が政権公約に掲げていた農家への戸別所得補償制度が来年度、米を対象にモデル的にスタートいたします。米価下落に苦しむ稲作農家の所得確保につながり、現行減反政策による農家の不公平感を解消するこの制度に大きな期待の声が上がっておりますが、制度設計の詳細が明らかとなっていない段階ではありますけれども、この際、本制度に対する本県の見解をお聞きいたします。
 次に、水田利活用自給力向上事業への対応についてお尋ねいたします。
 このことにつきましては先輩議員の質問と重複する部分もありますけれども、花巻の問題を私がお尋ねするのが一番ふさわしいという観点から改めてお伺いするものであります。
 平成20年度における本県雑穀の市町村別作付面積は614ヘクタールであり、そのうち約400ヘクタール、65%が花巻市で生産されております。現行産地確立交付金制度を活用して、花巻市におきましては、これまで作付誘導策として受け入れ施設の整備や調製、包装施設の新築や商品開発等に多大なる時間、物、金を投入し、産地化を図ってまいったところであります。このような努力が実りまして、現在日本一の産地として全国に認知されるまでに成長したことは御承知のとおりであります。
 しかしながら、新たな制度により雑穀に対する助成単価が激減される見込みとなり、農業者団体を初め現場の農家に不安と懸念が広がっている状況であります。
 そこでまず第1に、全国一律の助成で、地域の特色を生かした産地確立が阻害されることはないのか、第2に、従来は担い手を明確にし、認定農業者や集積等のメリット措置が考えられたが、新制度ではどうなるのか、第3に、組織化や法人化を進める上でブレーキとなりはしまいか、第4に、助成金の交付が生産調整非実施者に対しても行われることから、生産調整達成のメリットは米戸別所得補償モデル事業のみになるのかなど、今後の政策の行方を見なければならない部分もありますが、おわかりの範囲でお答え願います。
〇農林水産部長(瀬川純君) 農業振興についてのお尋ねでございます。
 まず、これまでの農業政策についてでありますが、これまでの農業政策は、食料・農業・農村基本法の基本理念であります食料の安定供給の確保や農業の持続的な発展等の実現に向け、水田農業経営の安定発展や水田の利活用の促進等による食料自給率向上、効率的、安定的経営体が大宗を担う農業構造の確立等に重点が置かれてきたところでございます。この間、本県においても、国のさまざまな施策や事業を導入しながら、担い手の育成や産地づくりなど、本県農業の振興発展に取り組んできたところであります。
 しかしながら、近年、グローバル化が急速に進展するなど、農業経営を取り巻く環境が厳しさを増す中で、市場を重視した考え方に立ち、農業所得確保のための対策が十分でなかったこと、耕作放棄地の拡大にもかかわらず農地の利用集積が進まなかったこと、農業者の減少、高齢化の進行にもかかわらず、担い手の育成、確保等に十分対応できなかったことなどから、農業者が将来に展望を持って農業に取り組むことが難しい状況に至っているものと考えております。
 今回の農政改革を契機にこれまでの農業政策についてもさまざまな検証がなされ、新しい農業政策にも反映されていくことと存じますが、県としても、本県農業の実情を踏まえ、必要な提言、要望を行い、本県農業の振興、発展に努めてまいりたいと考えております。
 次に、米の戸別所得補償制度についてでありますが、この制度は、国が示した生産数量目標をもとに、配分された数量に即した生産を行う販売農家に対し一定の所得を補償するものであり、米の需給調整と農業者の経営安定の両面からの効果が期待できるものと受けとめております。現在、国において、来年度のモデル事業の実施に向け制度設計が検討されている段階でありますが、事業の実施に当たっては、県内の農業者の皆様が広く参加できるよう周知に努めるとともに、農業者の経営努力が報われ、将来展望を持って農業に取り組むことができるよう、経営規模の拡大や低コスト化による生産性の向上などを支援してまいります。
 次に、水田利活用自給力向上事業の対応についてでありますが、この事業は、水田を有効活用して麦、大豆、米粉用米、飼料用米等の戦略作物の生産を行う販売農家に対して、主食用米並みの所得を確保し得る水準の交付金を国が直接支払うものとされておりますが、現段階で明らかにされている内容は、作付面積の実績に応じて全国統一単価で助成することなどの基本的な考え方に限られております。
 お尋ねの地域の特色を生かした産地確立の取り組みについては、助成単価が10アール当たり1万円とするその他作物の区分で支援枠を設け、地域の実情に応じ柔軟に助成対象作物や単価を設定できる仕組みとされておりますが、雑穀などの地域振興作物の助成単価は現行の水準を大きく下回るのではないかと懸念しております。
 県としては、これまでの産地確立交付金の交付実績が確保されるなど、地域の主体的、意欲的な取り組みを助長する事業とするよう国に強く要望してまいります。
 また、認定農業者等の担い手に対するメリット措置や組織化、法人化を促進するための仕組みについては、直接は盛り込まれてはいないものの、これまでの取り組みが生かされるような施策が必要と考えているところであります。
 なお、この事業は、米の生産数量目標の達成にかかわらず対象作物の作付面積に応じて交付されるものであり、メリット措置は米戸別所得補償モデル事業に限られていると承知しております。
 県としては、本県農業のプラスとなるよう、これらの事業の改善を要望していくとともに、事業の効果的な活用を促進し本県農業の振興に努めてまいります。
〇20番(小田島峰雄君) ありがとうございました。
 その全国一律の単価の問題でございます。
 それぞれの地域にはそれぞれの地域事情があり、地域特性があり、歴史があるわけであります。何年もかかって主産地化を目指してさまざま汗を流してきた地域があるわけであります。そういう中で、ただいま答弁にもございましたけれども、やっぱり地域主権と同様、地域の特殊事情なり地域の裁量を認めるよう強く国に働きかけを行うべきでございましょう。
 そういう中で、まだまだこれから制度設計が詳細になされる段階ではありますけれども、今の制度設計の状況がもしおわかりでしたらお答えいただきたいと思いますし、具体的にどういった要望をしていくのか、その具体的な方法もお答えいただければと思います。
〇農林水産部長(瀬川純君) 国の制度設計の状況につきましては、先ほど申し上げましたような、全国統一単価といったような基本的な点にとどまっているものと考えております。今、いろいろやりとりされているものと思っております。
 本県におきましては、国に対しまして要望ということでは、これまでは麦、大豆等の生産拡大に取り組んできた集落営農、あるいは大規模経営体の経営悪化、あるいは地域の特徴を生かした取り組みの後退を招かないように、助成水準は、これまでの産地確立交付金の交付実績を下回らないようにしていただきたい、それから、転作作物の団地化や産地づくりなど、地域の主体的、意欲的な取り組みを助長するような事業にぜひお願いしたいということで要望させていただくこととしております。
〇20番(小田島峰雄君) ところで、政権が変わりましてから、新政権との間で具体的に協議を行ったり、あるいは要望会なり意見交換会なり、形はどうあれ、そういう場が持たれたのでしょうか。その件についてもお答えをいただきたいと思います。
〇農林水産部長(瀬川純君) 政権交代後におきましても、国の、例えば農政局等を介しました担当者会議ですとかいろいろな会議等の場がありまして、そうした場でいろいろ実務的に御要望申し上げたり、あるいは県選出の国会議員の皆様を通す形で、いろいろこちらのほうからも提言等させていただいているところでございます。
〇20番(小田島峰雄君) ぜひ、現場の声あるいは地域の声、農家の声を積極的に国に伝えていただきたい、届けていただきたいと心から念願いたす次第でございます。
 次に、教員の能力、資質向上対策についてお尋ねいたします。
 このことについては、過去に多くの議員が取り上げておられるように、古くて新しい問題であります。
 過日の新聞報道に、全国で酒気帯び運転や生徒へのわいせつ行為など懲戒免職になった教職員が、ことし4月から10月までの7カ月間で98人に上ったとの記事が掲載されたところであります。一方では、厳しい昇任試験を経て登用された管理職から外れる希望降任制度で校長などの役職を退いた公立小・中・高校などの教員は、2008年度179人と過去最多となったこと、また、1年間の試用期間後に正式採用にならなかった新任教諭も315人と、これまた最多だったとの報道がございました。
 県内に目を転じて見ますと、県内教職員で昨年度、精神疾患が原因で休職した人が71人と過去最多であったとのことであります。圧倒的多数の教職員が、少子化の大きな流れの中で、懸命に昼夜を分かたず頑張っておられることを目にしているだけに、極めて残念であります。
 私の周りには、子供の将来を案じ、本県教育のあり方など目を輝かせ語ってくれる教職員がたくさんおられます。一体今、学校現場で何が行われているのか、大切な子供たちを安心して学校に通わせるためにも、有能な教職員を守らなければならないとの観点から質問をするものであります。
 まず、冒頭申し上げましたように、交通違反、わいせつ行為、暴力事件など触法事案で処分された教職員のここ数年の実態はどうであったのか、また、希望降任制度で校長など役職を退いた教職員はどれだけいるのか、1年間の試用期間を経過して正式採用に至らなかった教員はどうであったのか、定年前のいわゆる自己都合により退職した教職員はどれだけいるのか、さらには、病気により休職している教職員の数と、そのうち精神疾患など心の病を抱えている人はどれだけなのか、それぞれの原因、理由などもあわせてお答え願います。
 アンケートによれば、過重な仕事量、対人関係、異動による職場環境の変化、責任の重さなどがあるとも言われておりますが、できるだけ詳細にお答え願います。
 次に、その有能な教員を精神疾患等から守る対策についてであります。
 希望に燃えて、情熱を持って本県の教育に身を投じようとされた教員が、志半ばで教壇を去らなければならないということは、本人にとりましても、本県教育界にとりましても極めて不幸なことであります。
 県は、こうした不幸な事態を減らすために、これまでどのような対策を講じてこられたのでしょうか。これまでの対策の検証についての御所見も含めお答え願います。
 この問題は一朝一夕に解決できるものではありません。要は、息の長い取り組みを継続していくことが肝要でありましょう。
 次に、いわゆる指導力不足教員についてお尋ねいたします。
 指導力不足と認定されるのは、学習指導や生徒指導、学級運営を適切にできない教員を指すのだということでありますが、まず、そうした教員がどれだけおられるのかお聞きいたします。
 また、そのような教員を対象にした指導改善研修を行っておられると思いますが、最長2年間で改善しないと教育委員会が免職や転任などの措置をとるとのことでありますが、そうした事例があるかお聞きいたします。
 さらに、教員免許更新制の目的が、不適格教員の排除から最新の知識、技能を身につけさせることに変わったとのことから、むしろ指導力不足教員に至らずとも、課題、問題のある教員にも対象を拡大し研修を実施すべきであると考えますが、実際に行っている教育委員会は4割にとどまっているようであります。
 そこで、本県ではそのような教員をどれだけ把握されているのか、また、そのような教員に対する能力、資質向上対策にどう取り組んでおられるかお聞きいたします。
 たくさんお聞きしましたので、答弁があるいは間に合わないかもしれませんけれども、凝縮してお答えいただきたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) まず、交通違反、わいせつ行為、暴力事件などの懲戒処分件数は、平成17年度25件、18年度33件、19年度25件、20年度47件、21年度は12月1日現在で21件となっています。
 平成20年度、とりわけ47件となっているのは、過去の道路交通違反等についての一斉点検を行ったことなどによるものであります。
 次に、希望降任制度で校長等役職を退いた教職員はということですが、制度発足以来5名おりますけれども、平成21年度については、中学校の校長1名、小学校副校長が2名、計3名となっておりますが、このうち2名については、教諭として教壇に立ちたいという希望によるものでありまして、また、他の1名は、病気の治療のために療養が必要となって降任したものであります。
 また、試用期間を経過して正式採用に至らなかった教員はというお尋ねですが、本県では該当者はおりません。
 定年の前に、いわゆる自己都合により退職した教職員は、平成20年度は48名。退職の理由は多種多様でございますけれども、家事や育児への専念などの教員以外への進路変更が19名と最も多く、その他は、病気や結婚、他県の学校や大学等への転出に伴うものであります。
 次に、病気により休職している教職員は、平成17年度85人、18年度81人、19年度120人、20年度115人、21年度は10月31日現在で77人です。
 そのうち、精神疾患により休職している者は、平成17年度59人、18年度61人、19年度70人、20年度71人、21年度51人となっております。精神疾患の占める割合は6割から7割程度です。
 精神疾患の理由について、平成16年度から20年度までの5カ年では、職場の同僚または児童生徒、保護者等との人間関係に起因するものが29%と最も多く、以下、本人の性格、気質に起因するものが25%、人事異動や学級経営上の問題、役職、昇任等による負担等の職場環境に起因するものが18%と分析しております。過去5年間では、職場環境に起因するものが増加しております。
 精神的な理由によって現場をリタイアする教員が増加傾向にあることから、その実態について、昨年度、こころの健康に関する実態調査を行ったところであり、その結果を踏まえて、従来設置している相談窓口に加えて、要望の多かった巡回による相談事業を新たに実施しました。早期対応や職場復帰支援事業の充実を図っております。
 検証ということでございましたけれども、平成21年度からの新規事業ということでしたので、まだ検証にまでなかなか至っておりませんが、相談事業には、現場の教員が相談に乗りづらいというか出席しづらいというようなこともありますので、そういう出席しやすい環境をつくっていくことも必要なのかなと考えています。
 県としても、採用した教員は最後まで志を全うできるよう、研修や対策の一層の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、指導力不足教員についてでございますけれども、平成19年6月の教育公務員特例法の一部改正に基づいて、指導が不適切な教員の認定手続を定め、平成21年3月に認定を行ったところであり、この制度により指導改善研修を受講している教員は3名おります。
 なお、当県において、従前から指導が不適切な教員に対する研修制度を運用してきておりましたけれども、この制度による免職や転任の例はございません。
 それから、課題・問題のある教員の把握、能力・資質向上対策等については、学校長からヒアリングを行って実態を適切に把握し、指導に課題があるため計画的な校内研修を行っている教員は今3名おります。他の教員の授業の参観、指導主事等の定期的な訪問指導及び総合教育センターなどでの随時研修などを現在行っております。
〇20番(小田島峰雄君) たくさんお答えいただいて、再質問しようと思いましたが、ゼロになってしまいました。残念でありますが、次回にまた再挑戦させていただくことといたしまして、私の一般質問をこれで終了させていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木一榮君) 次に、小野寺有一君。
   〔11番小野寺有一君登壇〕(拍手)

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