平成21年12月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇33番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子でございます。
 本定例会におきまして、登壇の機会を与えてくださいましたことに感謝を申し上げ、順次質問をしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
 分割方式で行いますので、知事初め部局長には、明快な御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず初めに、平成22年度予算編成についてお伺いいたします。
 昨年からの世界経済の激変による同時不況は、瞬く間に日本経済にも大きな影響を与え、海外に依存してきた産業構造は、輸出の激減によって国内製造業を直撃いたしました。本県においても、県南を中心とする自動車、IT、電気関連企業は、急速な速度で生産を低下せざるを得ない状況となり、さらに市町村地域において、下請の中小企業の経営が一層厳しい事態となりました。人員削減が大幅に行われ、雇用情勢が悪化し、働きたくても働く場がないという声が大きくなり、所得の減少も問題となりました。依然として厳しい経済情勢の中で、県財政は、法人関係税を中心とする地方税収入が大幅に減少することと、さらには、原資となる国税収入の大幅な落ち込みによって、地方交付税の削減も予想されるところであります。
 知事は、予算編成に当たり、現状をどう認識され、県民に夢と希望を持たせる希望郷いわての実現に向けての予算編成のあり方と、知事としてどのような行動を起こしていく考えであるのか、お伺いいたします。また、平成22年度予算編成に当たり、予算規模の見通しと予算編成にどう取り組んでいるのか、お伺いいたします。
 新政権による来年度予算要求の無駄を洗い出す行政刷新会議の事業仕分けにより、県においても、重要な予算となる高速道路整備事業、農林道整備事業等、公共事業関係予算の廃止や削減の判定結果を踏まえ、平成22年度予算編成にどのような影響があるととらえているのか、お伺いいたします。
 事業仕分けについてお伺いいたします。
 北海道東北地方知事会議における知事のコメントとして、事業仕分けは、法的位置づけがはっきりしていない、前政権のタウンミーティングのような、国民の意見を自由に聞くだけの会議と同じ次元のものかもしれないと、実効性に疑問を示すかのような新聞報道がありましたが、私は、知事は非常に危機感がないのではないかと思いました。知事は、今もこのような認識であるのか、お伺いいたします。
 また、各県知事からは、余りに一方的、説明不足との不満の意見が出され、既に北海道東北地方知事会として国に要望したようですが、その効果をどのように期待しているのか、お伺いいたします。
 次に、主要3基金残高と今後の見通しについてお伺いいたします。
 財政調整基金、県債管理基金、公共施設等整備基金の主要3基金は、大幅な税収の減少や災害発生時等の予期せぬ財政支出の増加、県債の償還、計画的な公共施設整備等のために設置されているもので、将来に備えた貴重な財源であります。宮城県沖地震の発生率が10年以内で70%程度、30年以内では99%予想されるほか、昨年の岩手・宮城内陸地震のような予期せぬ大災害がいつ発生するかもわからず、防潮堤整備や耐震補強等のハード面からの対応だけでなく、財政面からも災害発生に備えた対応をする必要があります。
 そこでお伺いいたしますが、平成20年度末における主要3基金の残高はどのような状況にあるのでしょうか。また、岩手・宮城内陸地震や岩手沿岸北部地震の災害発生や昨年度の経済対策において、主要3基金の取り崩しがあったのでしょうか。あったとすれば、どのぐらいの程度だったのでしょうか。
 そして、経済動向や国家財政を取り巻く厳しい状況等から、今後においても、県の歳入確保は厳しい状況が続くと予想される中で、主要3基金残高の今後の見通しをどのように立て財政運営をしようとしているのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、新しい長期計画案─いわて県民計画が発表となり、議会においても審議が行われております。今後、10年間の長期にわたって、ゆたかさ・つながり・ひと、いっしょに育む希望郷いわてづくりに向けて着実に成果を上げていくためには、県民の力を最大限に引き出しながら、県と市町村との一層の連携強化と、県民とともにつくり出す協働の精神が求められると思います。その中でも、県は大きなリーダーシップを図り、重点的、優先的に取り組んでいく政策を選択と集中するという言葉どおり実行するとするならば、厳しい限られた財源の中で、平成22年度における新しい長期計画のスタートに当たり、どのような視点を重点的に取り入れ予算編成に取り組もうとしているのか、お伺いいたします。
 以上で演壇からの質問を終わり、質問席からの質問といたします。
   〔33番工藤勝子君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、予算編成に当たっての現状認識等についてでありますが、本県を取り巻く現状は、議員御指摘のとおり、地域経済、雇用情勢とも極めて厳しい状況が続いており、県税の減収が見込まれる中、非常に厳しい予算編成作業が予想されるところであります。こうした難しい財政環境においても、平成22年度当初予算編成に当たっては、本県の地域経済の活性化や県民生活の安定のために十分な財源が確保されるよう、県税の減収に対しては、地方交付税の増額、確保がなされるよう国に強く働きかけていくとともに、県としてもあらゆる面から歳入確保に力を入れてまいります。
 また、今議会に御提案申し上げているいわて県民計画に基づく、いっしょに育む希望郷いわての実現に向けた第一歩となるよう、限られた財源を最大限に活用し、政策の優先度や事業の効果、将来見通しについて十分な検討を加え、選択と集中をより徹底し、目標達成や課題解決のための、より効果的な事業を厳選していく考えであります。
 これら歳入歳出の両面にわたるあらゆる取り組みを進め、困難な財政環境においても、厳しい経済、雇用情勢への対応を含めた県内経済の活性化や県民の仕事や暮らしを守るために必要な事業を盛り込み、県民の期待にこたえられる予算を編成していきたいと思います。
 次に、予算編成の取り組みについてでありますが、現時点では、先般発表した岩手県の今後の収支見込等についてで見込んだ、規模6、500億円程度を念頭に置いて予算編成作業を進めているところでありますが、県税収入の動向が不明であり、財源保障機能を有する地方交付税の動向が極めて重要であると考えております。
 このように、年末の地方財政対策や政府による国の予算の見直し内容等により、本県の予算は大きく左右されますことから、最終的にどの程度の規模になるかは、現時点で見通しをお示しすることは困難な状況でございます。
 今後、県税収入や地方財政対策、政府における国の予算の見直し内容などを踏まえ予算編成を進めてまいりますが、いずれにせよ、財政の継続性を確保しつつ、県民の仕事や暮らしを守るために必要な予算を計上していく考えであります。
 次に、事業仕分けにかかわる認識についてでありますが、事業仕分けは、閣議決定に基づき設置された行政刷新会議のもとに専門のワーキンググループが設置され、行政資源を最適に配分していくためのさまざまな検討方法の一環として実施されたものと理解しております。
 先般の北海道東北地方知事会議では、このようなワーキンググループの性格から、その判定結果がどの程度来年の政府予算に反映されるのか必ずしも明らかでないこと、また、事業仕分けでの廃止とか地方移管といった結論がマスコミで報道され、世論の形成に強く影響を及ぼすことが懸念されることから、地方の実情や考え方についても、地方の側からきちんと伝わるような情報の発信が重要である旨、発言したものであります。
 事業仕分けについては、このワーキンググループの判定結果が最終結論ではなく、今後、政府内部でさらに検討がなされ、最終的に政府予算案が決定されていくものと承知しており、県民生活や地方財政に大きな支障が生じることがないよう、適切に国の予算編成が行われることを期待しております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 事業仕分けの予算編成への影響についてでございますが、行政刷新会議による事業仕分けにおいて、公共事業については、農道整備事業の廃止を初めとして、予算要求の縮減や事業評価の厳格等による見直しなどの結論が示されているところでございます。仮に、事業仕分けの結論どおり国予算の見直しが行われた場合、関係する県事業の縮小や事業進捗の遅延などの影響が予想されるところでございますが、今後、政府部内での議論が行われ、最終的には国の予算編成、国会での議論を踏まえて決定されるものであり、現時点におきましては、本県予算への影響を申し上げることは困難であることを御理解いただければと存じます。
 今後におきましては、国予算の見直しの動向等を注視しつつ、必要に応じて全国知事会等を通じて、国に対し提言してまいりたいと考えております。
 次に、主要3基金でございますが、平成20年度末における主要3基金の残高は、財政調整基金が39億円余(後刻「89億円余」と訂正)、県債管理基金が65億円余、公共施設等整備基金が38億円余、計193億円余となってございます。
 次に、主要3基金の活用状況についてでございますが、平成20年度に発生した岩手・宮城内陸地震等の災害の対応につきましては、主に災害復旧事業債を初めとする県債の増額により、経済対策への対応につきましては、主に国からの経済対策に係る各種交付金の活用により対応したところであり、主要3基金の取り崩しは実施していないところでございます。
 今後におきましても、主要3基金の取り崩しを極力抑制し、できる限り残高を維持するためにも、アクションプランに基づく行財政改革の取り組みを強力に推し進めていく必要があると存じております。
 また、基金残高が減少しておりますのは、本県に限らず各県に共通している状況でございまして、その最大の要因は、地方交付税などの地方の財源が十分に確保されず、地方では対応できる範囲を超えて削減されてきたところによるものであることから、今後の地方財政対策等において地方の財政危機がさらに深刻化し、さらなる収支の悪化や基金の取り崩しに追い込まれることがないよう、国に責任のある対応を求めてまいりたいと考えてございます。
 次に、予算編成に係る視点についてでございますが、安定的な財政運営を行うためには、中期的な財政見通しを踏まえつつ、不断の行財政改革を進めながら、いわて県民計画案に基づく各種施策を着実に推進する観点から、岩手の未来を拓くゆたかさ、つながり、ひとを育むための基盤をつくる視点、県民、企業、NPO、市町村などの地域社会を構成するあらゆる主体が、ともに支え合いながら総力を結集するための、多様な主体が公共サービスを担う仕組みづくりを推進する視点、4広域振興局体制の初年度となりますことから、地域の一体感を醸成し地域課題に的確に対応させる視点などに十分配意し、県民、現場のニーズを十分把握した上で、予算編成に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 それから、大変恐縮でございます。先ほど財政調整基金につきまして39億円余と発言させていただきましたが、89億円余の誤りでございますので、訂正させていただきます。大変申しわけございませんでした。
   〔総合政策部長高前田寿幸君登壇〕
〇総合政策部長(高前田寿幸君) 事業仕分けに関する北海道東北地方知事会の国への要望についてでございますが、北海道東北知事会におきましては、事業仕分けについて、無駄を排除する観点から、透明性を確保して議論するという趣旨は評価するものの、一方で、対象事業の選定や評決の基準が明確でないとの課題や、地域の産業振興、住民生活等に密接にかかわる事業が事業仕分けの対象となり、それらの見直しによる地域への影響が強く懸念されることから、地方に関係のある制度、事業に関しては、地方自治体に対して事前に情報提供を行うとともに、地方との十分な議論を行った上で、政府として最終判断をしてほしい旨、緊急アピールとして取りまとめたところでございます。
 この緊急アピールにつきましては、11月25日に北海道東北地方知事会から要請したところであり、このアピールの趣旨を政府が真摯に受けとめ、適切な国の予算編成作業が進められることを期待しているところでございます。
〇33番(工藤勝子君) 非常に厳しい県財政の中で、交付税を確保するために一生懸命知事は国に働きかけていくという答弁がございました。では、今後、知事は、まさに風通しのよくなった国政に向けてどんどん足を運ぶ、そういう行動を起こしていくでしょうか、もう一度お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 私の日程的なことに関しましては、きのうのこの本会議では、むしろ県内津々浦々を回って、できるだけ県民に触れ合うべきであるという御意見もあり、また、今のように、できるだけ東京に行って、東京で活動すべきという御意見もいただいております。きのうはまた、トップセールスでどんどんアジアに出ていくのが好ましいという意見もあったと思います。そうしたことを参考にしながら、岩手のために最大限、県民のためになるような日程をつくっていきたいと思います。
〇33番(工藤勝子君) どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、県政課題についてお伺いいたします。
 まず、経済対策からお伺いいたします。
 達増知事は、岩手の現状を、人口減少、雇用、所得、医療問題から岩手を危機ととらえ、危機を希望に変えると宣言され、2年8カ月がたちました。希望王国づくりのために、知事として御努力されていると思っております。しかし、自然からの厳しい試練として、岩手・宮城内陸地震、岩手北部地震が発生し大きな被害が出ました。
 観光面においても、平泉世界遺産登録が延期となり、地震の風評被害と重なり、全県下において観光客が減少し、地域経済にも大きな影響を与えました。
 経済面においても、世界同時不況が始まり、県内製造業に与えた影響によって、雇用問題、消費の低迷が長引き、11月の月例経済報告で、物価が長期的に下落するデフレに陥ったと宣言されました。今後、一層の価格競争によって物価が下落することにより、また、円高における県内の企業においてどのような影響が出ると予想されているのか。雇用に対する懸念も出てくると思われますが、県としての経済対策についてどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 物価下落による県内企業への影響と経済対策についてでありますが、現在のデフレは、国際経済、金融資本市場の動向など複合的要因に起因するものでありますので、まずは、国としてマクロ的な観点から対応していくことが肝要であると考えております。
 デフレによる県内企業への影響としましては、資材価格の下落による生産コスト減というメリットがあります反面、製品価格の引き上げ競争がさらに激化することによって、元請の下請に対する納入価格の切り下げ圧力の増加。そうした要請に応じられない場合、部品調達の海外移転などによる取引の中止。コストカットのための賃金カットや雇用調整の実施といった負のスパイラルに陥ることが想定され、デフレが長引いた場合には、企業経営、雇用環境、ひいては県内経済に少なからぬ影響が出てくることが懸念されます。
 県としては、政府の第2次補正予算についての情報収集に努めるほか、既に設置している経済・雇用対策本部会議において情報共有を図りながら、各部局が連携して必要な施策について最大限の対応をしていく考えであります。
 また、こうした影響を受ける可能性のある県内の企業に対しましては、相談窓口の設置における経営相談、中小企業経営安定資金の融資枠の拡大による資金面での支援など、県内企業の経営安定化に向けて、引き続き努力を行っていくこととしているところです。
〇33番(工藤勝子君) それでは、県政課題のもう一つの課題であります人口減少問題についてお伺いいたします。
 県における人口減少は歯どめがかからず、平成20年10月で135万2、400人と、毎年1万人規模で人口減少が続く状況であります。特にも、県民所得の向上に結びつく生産人口、若者の流出への対策は、危機を希望に変える政策の中で最も重要ではないでしょうか。
 農林水産業、商工業、医師、福祉、介護等における人材の確保にあきらめの声さえ聞かれる今日であります。いわての県民計画のテーマも、ゆたかさ、つながり、ひとを育むであります。今、県民が切実に求めているのは、岩手の大地で岩手の人材、担い手として生き生きと働き、家族とともに生活できる基盤づくりを進め、人口減少に少しでも歯どめをかけることではないでしょうか。
 岩手における人口減少問題に対する認識と対策を知事にお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 人口減少問題についてでありますが、本県の人口は、出生数が死亡数を大幅に下回っていること、そして、県外への転出がほぼ横ばいで推移する中、若年者を中心とした県外からの転入の減少が続いて、人口の社会減が拡大傾向にあることから減少しているものと認識しております。こうした人口減少によって、地域経済規模の縮小や社会保障面での負担の増加に加え、中山間地域を中心に、地域コミュニティの維持が困難になるなどが懸念されております。
 いわて県民計画のアクションプランにおいては、この2年間で特に重点的に取り組む政策推進目標として人口の社会減に歯どめをかけることを掲げ、ものづくり産業の集積促進や農林水産業など、地域資源を活用した産業の振興による雇用の場の確保、定住、交流の促進などに取り組むとともに、医師確保や子育て環境の整備によるセーフティネットの充実などを図ることとしているところであります。
〇33番(工藤勝子君) 知事として、この人口減少問題に向けて、各部局に何か大きな提案をしたことがありますでしょうか、1点お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 私は知事就任以来、この人口減少ということがあたかも時代の流れ、所与、覆すことができないものであるというような考え方はするなということを、県全体に徹底しているつもりであります。岩手の県民が望んでこうした人口減少に陥っているわけではなく、20世紀後半、20世紀の終わりごろ、今以上に県民1人当たりの所得が高く、日本全体の景気もよかったわけでありますが、その中で岩手においても景気がよく、1人当たりの県民所得の全国の国民1人当たり所得に対する割合が今よりも高かった。つまり、全国と岩手との経済格差は少なかったときには、人口減少が、社会減が1、000人を切ったこともあるわけであります。基本的には、岩手県民は、マクロ的な数字からすれば、決して今起きているような人口減少というのは岩手県民が望んでいることではないわけでありまして、そうした基本的な考え方を徹底しながら、あらゆる部局において、不本意な人口減少を生じせしめているような要因を一つ一つ解決、克服していくことを求めております。
〇33番(工藤勝子君) どうぞよろしくお願いいたします。
 新しい広域振興局体制についてもお伺いいたします。
 県は、来年4月から4広域振興局体制へ移行することとなりました。県南広域振興局がスタートして、ことしで4年目。ものづくりを中心とする工業集積と県内有数の農業地帯として、岩手の産業振興を担う地域でもあります。また、市町村の合併も進み、他のモデルとしてのスタートでもありました。しかし、本庁、本局、総合支局、行政センターという、二重、三重となる組織体制に関係自治体からは不満の声も上がり、県民からは、サービスの低下や職員の大幅な削減による地域経済に与える懸念の声も聞かれました。
 工業、観光、食産業など、各分野に官民によるネットワークが構築されたとありますが、過去3年間における県南広域振興局体制は、各市町から、また、県民からどう評価されてきたのか、お伺いいたします。
 来年度は総合支局を廃止し行政センター化となりますが、行政センターにおける権限と財源、役割分担をどう明確化しようとしているのか、お伺いいたします。
 4広域振興局のスタートに当たり、業務の完結性を高めていくためにも、対等なパートナーとする各市町村との連携、協働も求められていくわけですが、予算の支援、人材の支援、企画に対する支援についてのお考えをお伺いいたします。また、宮舘副知事を本部長とする県北・沿岸振興本部の今後のあり方と位置づけはどう変わるのか、お伺いいたします。
〇副知事(宮舘壽喜君) 県北・沿岸振興本部の今後についてでありますが、県北・沿岸振興につきましては、これまでも、県北・沿岸振興本部を中心といたしまして、本庁関係部、関係地方振興局が連携し、地域との協働による産業ネットワークの構築や、企業誘致などにより、県北・沿岸圏域の産業振興に努めてきておりますが、広域振興局体制移行後におきましては、本庁関係部と広域振興局がより一層緊密な連携を図りながら、産業振興の取り組みを強化してまいりたいと考えているところであります。このため、県北・沿岸振興本部は、引き続き、本庁におきまして全庁的な政策調整機能を図るとともに、地域の実情に応じたきめ細かな産業振興施策を展開する観点から、県北及び沿岸の広域振興局長はもとより、行政センターに配置されます副局長につきましても、本部員に加える方向で検討しているところであります。
 今後とも、県北・沿岸振興本部を中心といたしまして、市町村や関係団体と協働しながら、県北、沿岸広域振興局の総力を挙げて、地域の振興、発展に取り組んでまいりたいと考えております。
〇企画理事(藤尾善一君) 県南広域振興局の評価についてでありますが、各市町や地域住民の皆さんからは、利便性の問題や、本局、総合支局、行政センターの役割分担が不明確である等の課題が指摘されたところでございます。
 その一方で、広域的な視点で地域資源を効果的に活用すべく、県南圏域産業振興戦略を策定、推進しながら、各産業分野別の広域ネットワークを形成し、新たなビジネスチャンスを創出し得たこと─例えば、南いわて食産業クラスター形成ネットワークにおける異業種の研究会活動を支援したり、地域食材マッチング交流会を開催しまして、食材取引の実績を上げたことでございます。それから、産業振興部門の集約化によりまして、地域ニーズに応じた専門的な支援機能を充実強化し得たこと─例えば人材育成分野では、産学官連携による北上川流域ものづくりネットワークにおきまして、中小企業の若手技術者養成塾を開催することなどにより技術力強化が図られました。それから、組織機能の集約化により市町村への支援体制がこれまでより充実強化されましたので、権限移譲に伴う職員派遣におきましても一定規模の組織ゆえ専門職等の確保が可能となったところでございまして、例えば西和賀町に対しまして森林法等の担当職員を派遣することができたことなど、一定の評価をいただいているものと認識いたしております。
 こうした課題や成果を踏まえまして、新体制におきましても継続的に業務の運営方法や施策の遂行状況についてきっちり検証を行いまして、より効果的で効率的なサービスを提供できるよう、不断に改革、改善を図ってまいりたいと存じております。
〇地域振興部長(加藤主税君) まず、行政センターにおける権限と財源、役割分担についてでありますが、広域振興局の業務につきましては、広域的で専門的な業務を適切に担えるよう、本局への集約を基本とする一方で、行政センターにおきましては、窓口対応や相談受付、災害・危機管理の拠点対応など、サービスの受け手の近くで実施することが効果的な業務を担うこととしております。具体的には、消費生活や福祉の相談など、主に個人に対するサービス業務や農林水産業の普及指導、道路や河川の維持管理などの現場業務を中心に担当していただくことになります。
 こうした役割分担のもと、行政センターにおける業務遂行に当たりましては、所長に一定の権限を与えまして必要な財源を手当てすることにより、可能な限り現地において業務が完結いたしまして、基本的に現在のサービス水準が維持できるよう調整しているところであります。
 これら行政センターにおいて担う具体的な役割や体制などにつきましては、今後、それぞれの地域におきまして、県民や関係団体等に対する広報、周知などをしっかり図っていく所存でございます。 
 次に、市町村との連携、協働に向けた支援についてでありますが、振興局等におきましては、これまでも地区行政連絡協議会等での市町村長との意見交換を初めといたしまして、あらゆる場面を通じまして市町村との連携に努めてきております。新しい広域振興局体制のもとにおきましても、さきの議会で広域振興局等設置条例の改正に際しまして付された意見での指摘も受けまして、市町村との連携を強化しつつ、円滑な地域経営が図られるよう、さまざまな準備を進めております。
 例えば、県南広域振興局におきましては、現在の総合支局が担っている地域支援の取り組みを継承、発展させていくため、遠野市など中山間地域を対象とする部局連携によるタスクフォースを設置いたしまして、年度内に関係市町や団体等との一層の連携を図りながら平成22年度の事業計画を取りまとめるほか、人材の面におきましては、市町の意向を踏まえつつ、積極的な人事交流を行うものとしております。
 また、振興局予算であります地域振興推進費等につきましては、地域連携に基づく課題の解決に向け、より柔軟に対応できますよう、その運用方法につきまして検討を行っているところでございます。
 このような取り組みを通じまして、広域振興局体制への移行目的の柱の一つであります市町村優先の行政システムの確立の実現を目指していきたいと考えております。
〇33番(工藤勝子君) 私も県北・沿岸振興は今後も進めなければならないと思っております。でも、今度、4広域振興局としてスタートするならば、例えば共通課題、それから一体的に取り組まなければならないこともあるんだろうと思います。ですから、宮舘本部長はこの4広域振興局体制の本部長とはならないのでしょうか。県北・沿岸振興本部長として活躍してきたわけですけれども、今度は四つでスタートするわけですよね。だったら4広域振興局のまさに本部長とはならないのですかと聞きたいと思います。
〇副知事(宮舘壽喜君) 県北・沿岸振興本部は、県北地域と沿岸地域、今度、広域でいきますと二つの圏域になるわけでございまして、盛岡と県南は今までも入っていなかったわけでございます。そういうことで、その四つの広域振興局の本部長というお話でございますけれども、今のところはそういうことはちょっと考えておりませんでしたので、県北・沿岸といいますと、やはりどうしても今まで五つの振興局を所管しておりましたから、そのことについては今のところはちょっと考えておりませんでした。
〇33番(工藤勝子君) 御検討いただければと思っております。
 遠野行政センターは、3年の間にまさに手足を1本ずつ切り落とすように改革が進められてまいりました。来年度は県民センターが廃止となります。職員も10%減の55人程度となります。行政センターの職員は、少ない中で現場に足を運び、地域に根差して、市町の職員とともに頑張っていると私は思っております。県の職員として、この人たちにまさに光を当てて、活躍していただかなければならないと思っております。その士気を高めるためにどのような方策をとっているのか知事にお伺いいたします。
 遠野市と遠野行政センターのさらなる一体的なサービスの構築に向けて、市から要望が出されております件についてお伺いいたします。
 平成18年5月から遠野行政センターに遠野市環境整備部を配置し、遠野土木センターとパートナーシップのもとで、社会資本整備関連業務を推進し、成果を上げてまいりました。来年度、県民センターの廃止に伴い行政センターの空きスペースができるわけですが、ASTチャレンジ100の農業活性化本部と農業委員会をこの遠野行政センターに配置し、県と一体的な農業施策のサービスの構築を進めようといたしております。4広域振興局体制に伴い、各行政センター化となる現在の振興局の今後のモデル的活用になるものと期待いたしております。今後における県と市の連携強化のため、駐車場の確保、旧遠野家畜保健衛生所を活用したまちづくり検討の協議などについて県の認識をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 職員士気向上の方策についてでありますが、県を取り巻く環境が厳しさを増す中で、県民の仕事や暮らしをしっかりと守っていくためには、行政センターなどの現場の県職員が、地域が直面する課題について、よく見、よく聞き、その本質を理解し、地域住民とともに熱意を持って解決に向けた取り組みを進めていくとともに、こうした課題について知事と職員がしっかりと情報共有をして、一丸となって県民の負託にこたえていくことが重要と考えております。
 このため、地域意識の高揚や明朗快活を旨とする岩手県職員憲章を定め、その浸透を図るとともに、幹部会議はもちろんのこと、若手職員との意見交換や、さらに第一線で県民の方々と接している職員との意見交換などを通じまして、知事として職員の士気高揚や情報共有に努めてきたところであります。
 今後におきましても、岩手県I援隊運動を通じるなど、県民の皆さんとともに課題の解決を図る取り組みを積極的に推進していくとともに、私も直接各地区を回り、職員と直接懇談する機会を持って、知事と職員の意識の共有を図りながら職員の士気高揚と組織力の向上を図ってまいりたいと思います。
〇地域振興部長(加藤主税君) 遠野市と遠野行政センターとの連携強化等についてでございますが、本県では、施設の再編等によりまして未利用となっている土地や建物につきましては、県有資産を有効に活用する観点から売却や貸し付けを進めることを基本としております。遠野地区におきましては、合同庁舎に市の土木部門が配置されまして、市と連携しながら業務を遂行しているほか、職員用公舎を市へ売却いたしまして、市において新たな用途で活用いただいているという実績がございます。
 新しい広域振興局体制への移行後には、遠野地域を含みます一部の地区におきまして、組織体制の見直しに伴う庁舎の空きスペースが生じる見込みであります。これらにつきましては、市町村と県の機関のワンフロア化などにより、地域で有効に活用できる方策を検討するものとしております。その他の未利用の県有資産も含めまして、有効活用につきまして関係市町村と協議を進め、さらなる市町村との連携強化に取り組んでまいりたいと考えております。
〇33番(工藤勝子君) 知事は遠野行政センターに今まで2年8カ月の間、何回ぐらい足を運んでセンターの職員とコミュニケーションを図られたんでしょうか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) ぱっと思い出すところでは2回ほどかと思いますが、ただ、センターの建物そのもの以外でも職員と一緒にその地域で仕事をしたりもしておりまして、今思い出すところでは2回ですけれども、不正確かもしれません。
〇33番(工藤勝子君) 行政センターとなって、まず企画部門がない。それから財源、権限も広域振興局からの縦割りであるという形の中で、行政センターで仕事をする職員は、やはりいろいろな部分で県の職員として自分でも計画も立ててみたい、財源も持って自分の思いどおりに使ってみたい、県民のためにと、そういう思いもあるんだろうと思います。そういう中において、ぜひそういう職員の人たちが地域で頑張れるために、もっと知事に職員の人たち、そういう行政センターにも足を運んでいただければと、そういうふうに願っているところでもあります。
 それでは、過疎対策についてお伺いいたします。時間もなくなってきておりますので、前段は省きたいと思っております。
 過疎対策は、国における特別措置法の制定によって、総合的な過疎対策事業によりインフラの整備や産業振興が図られ、安全で安心して暮らせるための地域の基盤整備が推進されてきたと思いますが、道路整備や河川、情報化など、まだまだ整備が求められております。今後も過疎地域を、国として、県として支援することが重要であります。
 平成22年3月で失効する過疎地域自立促進特別措置法について、新たな過疎対策法の制定を望んでいる市町村に対して、県は国への働きかけも含めて今後の過疎をどう支援していくのかお伺いいたします。
〇地域振興部長(加藤主税君) 過疎地域への支援についてでございますが、過疎地域は水源の涵養や国土の保全、地球温暖化防止、多様な伝統文化の継承など多面的な機能を有しておりまして、総合的な対策を講じながら未来の世代に引き継いでいく必要があると認識しております。そのため、新たな過疎対策法の制定が不可欠でございまして、県内市町村、全国知事会等とともに、国や県選出関係の国会議員に対しまして繰り返し要望を重ねてきたところでございます。
 新たな過疎対策法につきましては、道路、上下水道などのハード整備への支援に加えまして、森林、里山を保全しつつ、地域資源を生かした産業振興への支援やコミュニティ対策などソフト事業への支援を行っていくことが重要と考えております。こうした基本的な考え方に基づきまして、新たな過疎対策法のもとにおきまして、過疎市町村に対し県として必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇33番(工藤勝子君) 次に、地域医療についてお伺いいたします。
 2011年までのいきいきプランによると、平成22年度には65歳から74歳までの高齢者は16万8、000人、75歳以上は19万4、000人となり、後期高齢者の人口はこの2年間で1万3、000人増加すると予測されております。急速な高齢化の進展に伴うがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病など慢性疾患の増加等により、保健、医療サービスに対する地域住民の需要の高齢化や多様化のほか、医師不足や医師の偏在という大きな課題の中で、総合的に対応するために各圏域ごとに地域医療に関する懇談会が開催され、地域医療を支える仕組みづくりが提案され、まとめに入りました。
 この懇談会において改めて地域医療の現状認識が出されたと思いますが、その成果は何なのか。また、今後提案をどのように生かし、県としてどのように支援するお考えなのかお伺いいたします。
 岩手中部保健医療圏における提言の中で、医師の負担軽減に向けた取り組みとして住民の役割、関係団体の役割、行政の役割とする中で、今後の情報をどのように共有しながら、どの機関が責任を持ってその役割を実行し、検証されるのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 地域医療に関する懇談会についてでありますが、懇談会においては、地域住民の代表者の方々にも参画いただいて、現在進行している高齢化を踏まえて、地域医療はもとより、介護、福祉の現状等についても認識を深めていただくとともに、これらを支えていくために地域住民、関係団体、行政それぞれがなすべき行動や取り組み等について意見交換を行ってきたところであります。
 これまで地域医療をめぐる議論は関係団体、医療機関、そして行政のみで行われてきたところであり、今回、地域住民も参画した会議において提言がまとめられたこと、また、既にその取り組みの一部が動き出したことは大きな成果であると認識しております。
 今回の提言については、現在、各地域において県民みんなで支える岩手の地域医療推進プロジェクトの一環として実施しておりますシンポジウムを通じて地域住民へ周知を図ることとしておりまして、適正な受診方法を普及することや、各主体が速やかに実施することができる内容については、今後、積極的に取り組んでいくこととしております。
 また、各主体が連携して実施すべき内容については、保健所がコーディネート役となりその具体化に向けた取り組みを進めていきますほか、具体的な活動等に対しては、既存の財政支援措置の活用などを含め、県として総合的な支援を行っていく考えであります。
 さらに、提言の実現に向けて議論を深めることが必要な課題を有するものについては、岩手県地域医療対策協議会ですとか各圏域の医療連携推進会議でありますとか、それぞれのテーマにふさわしい協議会等の場で具体化に向けた検討を進めていくこととしております。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 医師の負担軽減に向けた取り組みについてでありますが、岩手中部保健医療圏におきます提言におきましては、まず各主体がみずから実施すべきものは、それぞれが責任を持ち具体化に向けた取り組みを行っていくものとしておりまして、例えば病院における事務クラークの増員や医師会等によります地域住民への健康教育の実施、かかりつけ医を持つことや適正な受診行動について市町村が啓発、周知を行うことなどが盛り込まれているところでございます。
 また、提言の中で、地域医療連携クリティカルパスの導入など連携して取り組むべきものや、引き続き議論を継続する必要があるものにつきましては、県といたしましては、現在、保健所が主宰しております医療連携推進会議におきまして、新たに地域住民の代表の方々にも御参画いただき、さらにその議論を深めながら具体化に向けた検討を進めることとしております。
 今後、当該推進会議におきまして、医師の負担軽減に向けた取り組みはもとより、懇談会の提言を踏まえたすべての取り組みの状況につきまして、毎年度、関係者がその情報を共有し、検証を行う進行管理のための仕組みを整備し、着実な推進を図っていきたいと考えております。
 なお、圏域ごとの推進状況につきましては、もとより保健福祉部本庁におきましても十分把握し、新たに圏域だけでは対応できないような課題が発生することも想定されますので、保健所と一体となりまして積極的に関与していきたいと考えているところでございます。 
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇33番(工藤勝子君) そこで、医師の養成、医師の確保に向けた取り組みは各圏域における重点事項であり、共通認識であるだろうと思っております。まさにオール岩手としてまとめ、その提案を受けて、県は医師会等関係団体、市町村との連携をとらなければならない、そのように認識しているところでありますが、今後の支援を含めた対策についてお伺いいたします。
 病院から施設や在宅に至るまでの切れ目のない医療、介護サービスの提供と連携ですが、特別養護老人ホームへの入所を希望する待機者が5、000人を超える中で、圏域ごとに今後の介護サービスの充実をどのように推進しようと考えているのか、特にも認知症高齢者の介護は家庭では大変難しいと聞いておりますが、本県における認知症対策についてもあわせてお伺いいたします。
 また、国における医師確保、救急・周産期対策の補助金等が2分の1に削減される予定と発表されておりますが、決定された場合における本県への影響についてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、医師の養成、確保についてでありますが、地域医療に関する懇談会におきましては、医師の養成、確保に関して、奨学金による修学支援策の一層の充実と制度の周知徹底、あるいは子供が早い時期から医師を目指せるような環境づくりなどの提言が行われているところでございます。
 県におきましては、これまで、市町村医師養成事業を含みます各種奨学金制度の運営や高校生への医学部進学の動機づけを目的とするセミナーの開催など、医師の養成、確保に向けさまざまな取り組みを行ってきたところでございますが、今回の提言をも踏まえ、次年度以降の岩手医科大学の定員増に対応し、修学資金貸与者数のさらなる拡大について検討いたしますとともに、提言のうち、例えば臨床研修医に対する研修病院群システムの充実など、具体化に向けてより掘り下げた議論が必要なものにつきましては、医師会等の関係団体や市町村等で構成いたしております岩手県地域医療対策協議会等の場におきまして検討、協議を行うなど、その実現に向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。
 また、現在、遠野市や山田町などにおきましては、医師や家族の着任や定住の支援など、独自の医師確保対策の取り組みが始まっているところでもございますが、県として、こうした取り組みに相乗的な効果が期待できる連携方策についても検討する必要があるものと考えております。
 次に、医療、介護、福祉の連携についてでありますが、各圏域の地域医療に関する懇談会におきましては、地域包括支援センターが果たす役割が極めて重要であるという提言をいただいておりますことから、その体制の強化について、市町村等に対しまして引き続き働きかけるなど、第4期介護保険事業計画の目標達成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 特に特別養護老人ホームにつきましては、先般、第4期計画に上乗せした施設整備ができる旨、市町村等に対し働きかけました結果、各圏域で御検討いただきまして、新たに約300床を超える要望が報告されたところでございまして、第4期で既に予定されております約660床と合算いたしますと、県全体といたしましては、現在早期の入所が必要と判断される在宅の待機者約1、000名余に対しまして当該計画期間内に対応が可能となりますことから、国に対して増床整備について協議を行っているところでございます。
 また、認知症対策につきましては、本年4月に専門的医療相談等を行う認知症疾患医療センターを岩手医科大学附属病院に委託設置しますとともに、市町村と連携し、認知症サポーターの養成に積極的に取り組んでいるところでございます。
 さらに、認知症グループホームなどの地域密着型サービス拠点につきましては、第4期計画におきましてそのサービス量を拡大することといたしておりますことから、本年3月末の170カ所がさらにこの第4期中に拡大するものと考えているところでございます。
 なお、認知症の方につきましては、その状態の判定が難しく、要介護度が低く認定される傾向にあるとの指摘もよくお聞きしておりますことから、県内の有識者の御意見なども参考にしながら、実態に即した要介護認定がなされるよう、その改善を国に対して働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、国において医師確保対策等関係補助金の削減が行われた場合における本県への影響についてでございますが、先般行われました行政刷新会議の事業仕分けにおきましては、当該補助金予算は半減とされ、あわせて今後の診療報酬の配分見直しとの組み合わせによって対応すべきと判定結果が出されたところでございます。今後、政府内部でさらに検討がなされ、最終的な政府予算案が決定されるものと承知しているところでございます。
 しかしながら、診療報酬の配分による対応は基本的に全国一律の方式であるため、患者数が多く、勤務医師が充足しております大都市圏の病院には結果的に手厚く配分される結果となる一方、本県のように勤務医師不足が深刻な地方の病院におきましては見直しによる大きな効果は期待できず、逆に医療水準の格差が拡大することも懸念されるところでございます。
 したがいまして、高度救命救急センターや周産期医療システムの運営など、地域に必要不可欠な医療体制を今後においても維持していくためには、引き続き政策的な手当ても必要であると考えておりまして、国に対して提言を行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇33番(工藤勝子君) 大変医師確保に向けて御努力されていると思って感謝申し上げます。遠野でも四国の松山市まで医師対策室が足を運んで、新たなる県立病院に対しての医師の確保に汗を流しているという話を聞かせていただきました。
 平成22年度、県立病院に新たに医師として勤務される予定の入っているお医者さんがおりましたらお知らせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇医療局長(田村均次君) 来年度の状況というのはまだはっきりしたものはございませんけれども、今、手元に資料がないので恐縮でございますが、今年度中にそういった医師確保対策室の活動を通じて確保された医師については、私の承知している範囲で少なくとも2名となってございます。
〇33番(工藤勝子君) 医療局長には大変済みませんでした。突然の振り方で申しわけなく思っております。多分おやめになる方のほうがずっと多いんだろうと思っております。まだまだ医師確保に対して御努力をお願い申し上げたいと思っております。
 次に、民生、児童委員の改選についてお伺いいたします。
 民生委員、児童委員の皆様方は、民生の安定と社会福祉の向上のため、住民の一番身近なところで高齢者の見守り相談、青少年児童の健全育成、児童の安全・安心のための見守り、心身障がい者・母子福祉問題等、幅の広い活動を続けられております。民生委員法が制定された昭和23年から数々の遍歴を経ながらも、とうとい人間愛、社会愛の精神を基調として今日まで引き継がれてきたと思っております。
 平成の大合併により、合併して間もないことから、国の基準を超える人数で委託されていると伺っておりますが、平成22年12月の一斉改選において国の基準どおりの配置が行われれば、委員の皆様方の活動の担当範囲は一層広くなります。特にも、中山間地域や山間部の地理的な厳しい要素もあり、住民に対して今日のようなきめ細かい福祉サービスは厳しくなると思われます。また、年々多くなるひとり暮らしや老人世帯の増加、子供を取り巻く環境の変化など、ますます委員としての活動の負担が多くなってくるのではないかと思われます。
 そこで、県としての現状の認識と今後の対応についてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 民生委員、児童委員の改選についてでありますが、民生委員、児童委員の定数は、都道府県知事が厚生労働大臣の定める基準に従いまして市町村長の意見を聞き、市町村の区域ごとに定めることとされております。平成19年度の一斉改選時におきましては、市町村合併に伴い、国の配置基準を超過することとなった5市につきましては、地域の実情等を考慮しまして所要の定数を措置したところでございます。
 しかし、議員御指摘のとおり、地域におけるひとり暮らし高齢者の増加や児童を取り巻く環境の変化などによりまして、民生委員、児童委員の活動内容は増加する傾向にあり、地域住民の生活状況の把握や相談支援、各種福祉サービスの利用援助など、民生委員、児童委員に期待される役割は今後ますます重要になるものと認識しております。
 また、このような認識を踏まえまして、本年3月に策定いたしました県地域福祉支援計画におきましては、住民が抱えるさまざまな生活上の課題への相談対応や高齢者の見守りなど、民生委員、児童委員活動の一層の充実、強化を図ることとしております。したがいまして、今回の改選に当たりましては、当該委員の定数につきまして、同様の認識に基づく市町村からの御意見を数多く寄せられていることをも踏まえまして、現行定数の維持を基本として市町村と協議を進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇33番(工藤勝子君) ぜひどうぞ、範囲が多分145世帯ぐらいから170世帯以上になるはずでございますので、やはり岩手県のこういう地理的条件を考慮に入れて、ぜひ県として認定をそのままにしていただければと、そのように思っております。
 次に、農業振興についてお伺いいたします。
 岩手県が本格的に農業計画を策定したのは、昭和37年の岩手県農業基本計画が初めてであります。平成11年から22年度までの岩手県の農業、農村の将来性と方向性を見据えた10年間の長期ビジョンとして策定された岩手県農業・農村基本計画で8回目となっております。約5年に1回の割合で、基本計画の目標達成に向けて重点的に取り組む施策を推進されてきたと思います。国においても、平成11年に食料の安定供給の確保、多面的機能、食料自給率の向上を目指し、食料・農業・農村基本法が制定され、平成17年に新しい基本計画が出されております。しかし、農家戸数の減少、農地面積の減少、農業就業人口の減少が確実に続いているという現実にあります。
 農業は、国内における産地間競争もさることながら、WTO、FTA交渉と国際化の流れの中で大きな課題もあり、農業・農村における高齢化・担い手不足、耕作放棄地の拡大、農産物の価格の低迷、資材の高騰、鳥獣被害等、ハード面においてもソフト面においても多くの課題を抱えております。
 経営が厳しい、作業がきついなどと言いながらも、あすの農業の発展と豊かさを夢に見て頑張っている県内の多く農業者、担い手となる若い農業者も多いわけであります。その中で、農林業中心から農商工連携の新しい取り組み、食品製造業、小売、直売、観光、都市と農村交流、グリーン・ツーリズム、集落ビジョン、集落営農組合の法人化など、環境整備にも力を発揮し、農村社会を築いている現実もあります。今後、国における農政の大転換によって戸別所得補償に変わろうとも、農業者が将来に向け、夢と希望を描きながら働けるような方向づけを願うものであります。
 そこで、現在の農業現場の現状認識と産業振興における位置づけ、今後の本県農業の将来像について知事にお伺いいたします。
 また、平成20年度以降の農業・農村基本計画は、いわて県民計画の中での計画とするのでしょうか。日本の食料供給県という大きな構想の中で、今後一層農業を振興するならば、農業・農村ビジョンを独自に策定すべきではないでしょうか、お伺いをいたします。
〇知事(達増拓也君) 農業の将来像についてでありますが、本県農業は、生産資材価格の高騰や農産物価格の低迷による農業所得の減少に加え、担い手の減少や耕作放棄地の拡大等により、生産構造の脆弱化が進むなど多くの課題を抱えております。一方、農業は裾野が広い産業であり、内需拡大型経済の振興を基盤として、大きな役割を担っていくことが期待をされています。
 本県農業の将来像については、経営発展に果敢に挑戦する意欲と能力のある経営体により、消費者から信頼、支持される全国トップレベルの安全・安心産地が形成され、本県農産物がブランドとして確立し販路が拡大しているといった姿を、いわて県民計画で描いているところであります。
 今後、こうした将来像を実現し、生産者や消費者が豊かさや恵みを実感できるよう、関係者が一丸となって取り組んでまいります。
〇農林水産部長(瀬川純君) 農業・農村ビジョンの策定についてでありますが、いわて県民計画の策定を進めるに当たっては、各分野の基本的な政策の方向や具体的な施策等を極力いわて県民計画に盛り込み、この計画を基本として、県全体の政策をマネジメントすることとしたところであります。
 農業、農村振興のための政策の方向等についても、長期ビジョン及びアクションプランに盛り込み、政策の体系化を図ったところでありますが、さらに各分野や品目ごとの施策や事業については、いわて純情米生産、販売戦略などの戦略を個別に作成することにより、効果的、機動的に県農政を推進していきたいと考えております。
〇33番(工藤勝子君) 農業経営を安定化させるためには、6次産業化などによる高付加価値を高める取り組みが非常に重要と思っております。そこで、食産業や観光産業との連携等により、農家所得を向上させる取り組みを今後どのように進めていくお考えなのか、お伺いいたします。
 国における補正予算の見直しも行われておりまして、農地集積事業の執行停止等が発表され、仕分け作業による土地改良事業、農道整備事業等の減額や廃止の判断がされたところでありますが、これによる本県における農業振興への影響についてお伺いをいたします。
 今回の農政転換による作物転作助成金の見直しで、作物ごとに全国一律の単価を決める仕組みに戻る見通しになっております。大豆や麦への転作に比べ雑穀はその他作物となり、助成単価が大幅に減少し、集落営農組合による転作作物としての雑穀栽培が非常に厳しくなると言われております。水田農業ビジョンをつくり上げてきた地域戦略作物の雑穀は、県の農業振興の目玉商品になろうとしているとき、県としての考え方をお伺いするとともに支援対策があるのか、お伺いをいたします。
 次に、畜産農家は、飼料価格の高騰で、いかに海外からの輸入飼料に依存してきたかを、身を持って体験いたしました。今年度に入り、雑穀相場の下落によって価格は抑えられている状況ではありますが、畜産農家とすれば、周囲にある草地や水田転作田の活用など、自給粗飼料の増産をどのように進めるかにあると思います。
 そこで、畜産業における自給粗飼料増産に向けた今後の草地改良事業の考え方と、県内153カ所の公共牧場の利活用の現状と牧場管理等の今後の課題についてお伺いをいたします。
〇農林水産部長(瀬川純君) 6次産業化などによる農家所得の向上についてでありますが、本県農産物の高付加価値化を進め生産者の所得向上を図るため、新商品の開発や販路の拡大、食産業や観光産業と連携した取り組みを積極的に支援してきたところであり、一関・平泉もち街道や、ヤマブドウの産業クラスター形成における地元企業と連携した商品提供などが展開されております。
 今年度は、キャベツ産地と企業等との連携による新商品開発、食用ホオズキの収穫体験等を盛り込んだ旅行商品の販売などの新たな取り組みが始まっております。いわて県民計画でも、農林水産物の高付加価値化と販路の拡大に向け、6次産業化や農商工連携による商品開発促進等に取り組むこととしており、今後も、食産業や観光産業と連携した新たな地域ビジネスの展開を促進し、農家所得の向上を図ってまいります。
 次に、国における補正予算の見直しや事業仕分けの本県農業振興への影響についてでありますが、今回、国の第1次補正予算のうち、執行を見直すこととされた農地集積加速化事業などについては、既に必要な事業費を確保していることや、代替事業の活用などで対応が可能なことから、現時点では本県への大きな影響はないものと考えております。
 一方、国の行政刷新会議の事業仕分け結果が仮にそのとおり反映された場合、現在進めている事業の進捗や新規事業地区の採択、着手等のおくれが懸念されることから、今後、さらに国の動向を注視するとともに、本県の農業振興に影響を及ぼさないよう、必要に応じて提言等を行ってまいります。
 次に、雑穀振興に対する県の考え方と支援対策についてでありますが、近年、雑穀に対する需要が拡大し、全国一の産地である本県への期待が高まっていることから、県では、県産雑穀の生産拡大とブランドの確立を積極的に推進してきたところであります。
 新たな水田利活用自給力向上事業による助成は全国一律の単価とされ、地域戦略作物への奨励加算制度が措置されていないことから、雑穀に対する助成単価が大幅に引き下げられることが懸念されるところであります。県としては、これまでの産地確立交付金の交付実績が確保されるなど、地域の主体的、意欲的な取り組みを助長する事業となるよう、国に強く要望してまいります。
 次に、自給粗飼料の増産対策についてでありますが、草地改良事業につきましては、国の補助事業等を積極的に導入し、不耕起播種など低コスト工法による草地の生産性向上を図るとともに、飼料畑への転換によりトウモロコシの作付拡大を誘導してまいります。
 また、公共牧場につきましては、153カ所のうち33カ所が休止しておりますが、稼働牧場においても、再編整備と収益の確保などが課題となっておりますことから、遠野市など県内13カ所のモデル牧場において、放牧管理の低コスト化など運営改善を支援するとともに、キャトルセンターの整備による周年預託機能の強化などを行い、公共牧場の有効活用を図ってまいりたいと考えております。
〇33番(工藤勝子君) 次に、公共事業についてお伺いいたします。
 非常に時間がなくなってきておりますので、1点だけ集中して質問をいたします。それは何かと申しますと、一般国道340号立丸峠であります。
 国道340号立丸峠のトンネル整備促進についてお伺いいたします。
 国有林、保安林の許可を得て、順次改良工事を進めていくことと思います。しかし、地域の住民、関係市町村にとっては、あくまでも立丸峠のトンネル化であります。宮城県沖、三陸沖地震の発生時における災害代替道路としての役割を担う重要な道路ともなります。改良工事を進めてくださることには感謝を申し上げます。今、トンネル工事に着手しても、佐藤県土整備部長から、30年も完成までにはかかると言われました。それまでは、多分生きていないだろうと私は思っております。その中で、ぜひトンネル化に向けた調査費を計上して、一歩でも前に進むことを検討できないのか、お伺いをいたします。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 国道340号の立丸峠ですが、県では、これまで航空測量、地質調査、概略設計などを行い、トンネル化による抜本的な改良も含めまして、さまざまな角度から検討を進めてきたところでございます。
 立丸峠のほかに、県内の主要な路線では多くの懸案箇所がありますことから、県全体の道路ネットワークのあり方について、新たな便益の研究も含め、今年度から検討に着手したところでございます。
 立丸峠の抜本的な改良には多くの費用を要することから、現在行っております局部的な改良工事につきまして、遠野市側は平成24年度までに、川井村側は平成25年度までの予定で進め、立丸峠のトンネル化につきましては、これまでの調査結果に今年度からの調査を加え、今後の整備のあり方を総合的に検討してまいります。
〇33番(工藤勝子君) 関係各市町村にとっても、道路整備の要望が多いわけであります。道路関係予算は厳しいと見込まれる状況で、民主党の政策提言のルールはルールといたしましても、知事はみずから国に足を運び県の実情を訴えるべきと思いますが、知事、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 道路予算確保の国への要望についてでありますけれども、先般示された国の平成22年度概算要求においては、道路関係予算も含めて公共事業予算が単年度で大幅に減少されておりますので、先月17日、民主党岩手県総支部連合会に緊急提言を実施いたしました。そして21日には、高規格幹線道路等の整備促進を訴える岩手県総決起大会を開催し、県選出国会議員に要望したところであります。そして17日に開催された新潟県を含む北海道東北知事会議におきましては、当初、原案にはなかったんですけれども、私が提案をいたしまして、国直轄事業の着実な推進を含む新政権への緊急アピールというものを盛り込みまして、これを北海道東北知事共同で、25日、民主党に要望しているところであります。
 また、全国知事会においては、社会資本プロジェクトチームをつくっておりまして、私が所属する戦略会議でも、随時PTから報告を受けながら、全国知事会全体としても、今回の道路予算の問題については政府に対して申し入れ等をしているところでありまして、こうしたいわば自治体としての総力を結集して、国に対して本県に関する必要なことを訴えてまいりたいと思います。
〇33番(工藤勝子君) 岩手の教育の充実についても質問を考えておりましたけれども、1点だけ。
 例えば、小学校から学校の不適応児童がおります。年間30日以上欠席する不登校の生徒が年間500人もいるとあります。この対策について、教育長から1点だけ聞いて終わりたいと思います。
〇教育長(法貴敬君) 学校の不適応対策については、まず未然防止、早期発見、早期対応を基本として、学校においてさまざまな教育活動を通して児童生徒に意欲や成就感を持たせることや、教育相談体制を充実させることがまず肝要だと思います。
 それから、学校が不適応になった生徒に対しましては、一人一人の状況を的確にとらえて、家庭とも連携しながら、段階的な目標を設定しながら、解決や回復につなげていくことが大切であると考えています。
 また、学校不適応対策のために、学校の状況に応じて教員の加配措置を行うとともに、スクールカウンセラーなどの配置を今後とも進めてまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 以上もって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時19分 散 会

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