平成21年12月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇28番(千葉康一郎君) 民主党の千葉康一郎でございます。
 今議会におきましても、民主党の会派の皆様の御配慮により登壇の機会をいただきましたことに、まずもって感謝を申し上げます。
 さて、ことしも1カ月を切りました。振り返ってみますと、ことしは年明けから日本経済や国民生活は大きく落ち込み、国民の怒りは頂点に達して、この夏の衆議院議員選挙では、民主党が圧勝して政権交代が実現しました。新しい政府が誕生し、これから政治、経済は大きく変わろうとしております。変わらなければなりません。国民が安心して暮らせる社会の実現に、ともに努力してまいりたいと思っております。
 ところで、本県は、今、極めて厳しい財政運営を強いられておりますが、現在、行財政構造改革プログラムに沿って、苦しい県財政の立て直しに総力を挙げてこれに取り組んでいるところであります。同時に、達増知事は、県民所得の向上を初め、厳しい雇用環境の改善や福祉、医療の充実、県内格差の解消など、本県が抱えるさまざまな課題に重点的、優先的に取り組んでいく政策をいわて県民計画として定め、これを強力に進めようとしております。今、これらを推進することが、次の世代の人たちが安心して暮らせる岩手の実現に結びつくものと思うのであります。これらの推進に御努力をしてこられておる知事初め執行部の方々に、心から敬意を表したいと思います。
 それでは、これから通告に従い質問をいたします。一部、さきの質問者と重複する点もありますが、理解を深める意味で質問しますので、御理解を賜りたいと存じます。
 第1点目は、知事の総務省顧問就任についてお伺いいたします。
 まず、原口総務大臣は、去る10月30日、鳩山新政権が掲げる地域主義改革について、助言を得るためとして、本県の達増知事ほか13名に顧問を委嘱しました。民主党は、さきの衆議院議員選挙の政権公約マニフェストにおいて、明治維新以来続いた中央集権体制を抜本的に改め、地域主権国家へと転換すると掲げました。これを受けて、鳩山総理は、地域のことは地域の住民が計画して実現できる、そういう世の中に変えると言っております。地域のことは地域の住民が決めるということは、住民自治、団体自治を根本原理とする地方自治の本旨そのものであります。しかしながら、これまでは、法律はそうなっていても、実際はなかなか地域の住民が決めるということはできなかったのであります。
 その要因の一つは、地方が自分で決定するためには、まず地方財政基盤が確立していなければなりません。しかしながら、交付税によって平準化されてきたとはいえ、国と地方の税収格差は解消されなかったのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 二つ目は、義務づけ、格付と言われる法律等による縛りがあり、例えば交通量が少ないところでも道路の幅が決められており、その地域ごとの事情によって道路の幅を決定することはできない仕組みになっています。また、国の直轄事業負担金については、負担根拠が不明なことや、自治体の工事費より割高になっていることなどが次々と明らかになりました。このように、国と地方をめぐる不合理はいまだに続いております。
 原口総務大臣は、記者会見において、地域主権改革については、国、地方の協議の場をつくるが、法制化するまでには時間もかかるので、改革の先頭に立っている方々にお知恵をいただいて、ドクトリンや方向性、改革の理念を一緒に固めていきたいと述べております。まさに、民主党籍を有し、今日の政権交代を予見してこられた達増知事の面目躍如というところであります。
 そこで知事にお伺いしますが、知事は、地域主権と言われておりますが、この地域主権の内容といいますか目指すものは何か、お伺いいたします。
 また、地方分権、地域主権の最大の障害は何であるとお考えでしょうか。そして、顧問として知事はどのように助言をしていくお考えなのか、お聞きいたします。
 次に、具体的になりますけれども、国の義務づけ、枠づけの見直しについて伺います。
 地方分権という場合、道州制を採用するか、300程度の広域市のような広域自治体とするかは制度論でありますが、いずれの場合も、国は、外交、防衛、司法などといったことを担い、そのほかのことは地方に任せるという補完性の原理の考え方に異論はないと思います。
 その場合において、まず、義務づけ、枠づけの見直しについてお伺いしますが、地方が見直しを要望した104項目について、地方分権改革推進委員会の第3次勧告で要望どおりとしたものは28項目であり、各省庁の抵抗もあって、いまだに見直しは進みそうにありません。無論、例えば義務づけられてきた設置基準には、政策的な誘導などそれなりの理由があります。設置基準の緩和等によってサービス水準が下がるということがあってはなりませんが、これで困っている地方の実情と責任を持つ地方の首長の判断は尊重されるべきと考えます。
 そこで、知事は、この義務づけ、枠づけの見直しに対する各省庁の抵抗についてどのように思っておられるのか、お伺いします。
 また、各省庁の抵抗の背景には、地方自治体に対する不信感があるとともに、官僚の意識の中に、いまだに中央集権的な感覚が宿っていることが原因と思われますが、これを払拭するためには、どのような制度改革、意識改革などの取り組みが必要と思っておられるのか、伺います。
 次に、国の直轄事業負担金についてお伺いします。
 本県においては、平成20年度において、国の直轄事業の負担金は237億円余りとなっております。公共事業が平成10年度以降減り続け、ピーク時の約3割になってきているのに対し、国の直轄事業負担金は200億円台前半と、余り変わっておりません。この直轄事業負担金については、事業決定方法や事前協議手続の問題、自治体事業に比べ、コストがきわめて高いなどといった指摘がなされてきました。国は、2010年度予算において、建設分などは今後見直していくとのことのようであります。
 去る11月20日には、東北地方整備局から、2010年度の整備予算の見通しが伝えられ、改築系の道路事業は2009年度比で2割から4割削減されるとの見通しであります。国が現行制度のままで国直轄の道路整備予算を削減すれば、整備がさらにおくれるというジレンマを抱えることになります。三陸縦貫道の整備など、国土の均衡ある発展のために必要不可欠なものまでおくれるということは、国家のためにも禍根を残すことになりかねないと思います。
 そこで知事にお伺いしますが、地方から見直しを求めている直轄事業負担金制度に係る課題について、どのような対応を求めていくお考えでしょうか。
 また、国土の均衡ある発展のために、優先的に取り組む必要のある三陸縦貫道などのような整備について、負担金の廃止によって公共事業の総量が減ると懸念している一部の知事等とどのように調整し、国に対し要求していくお考えなのか、御見解をお伺いします。
 次に大きく2点目に、第13回北海道・北東北知事サミットについて伺います。
 去る10月、盛岡市と雫石町を会場として、北海道、青森県、岩手県及び秋田県の4道県知事が一堂に会し、第13回北海道・北東北知事サミットが開催されました。このサミットは、各道県共通の政策課題等について意見交換し、相互の連携や交流を一層促進し、もって各道県の発展を図ろうとの目的で開催され、特にも、今回は農林水産業の大いなる可能性、北海道と北東北が目指す農林水産業の未来像というテーマで意見交換を行ったと伺っております。
 昨年秋の世界的な金融危機を契機に、我が国が外需依存から内需主導の経済構造への転換が急務と言われている中で、その大きな可能性を有すると考えられているのが農林水産業であります。また、北海道と北東北3県は、緑豊かな森林と広大な農地、太平洋と日本海からなる世界有数の漁場を有し、食料自給率も100%を超えるなど、我が国の枢要な産地として重要な役割を担っている一方で、従事者の高齢化や担い手不足、食の安全・安心への対応などの多くの課題も抱えております。このような情勢のもとで、北海道と北東北3県が緊密に連携し、農林水産業を基軸とした地域経済の活性化方策を探ることは大変意義深いものであり、その成果に大いに期待するところであります。
 そこでお伺いします。今回の北海道・北東北知事サミットにおける成果はどのようなものがあったのか。また、達増知事の提案により、北東北3県で農林水産業と関連産業を振興するための食料経済振興地域制度の検討を進めていくことを合意されたとのことでありますが、今後どのような取り組みを進めていくお考えなのか、伺います。
 次3点目は、広域振興局長の権限についてお伺いします。
 9月県議会定例会において、知事は、広域振興局長が市町村の要望に随時対応する方向で検討していると答弁されておりますが、現在、県南広域振興局長の権限を見ますと、例えば、県の管理する道路について、道路改良等の予算に関する権限があるとは思えません。県南広域振興局の場合、いまだに管内には旧振興局単位に六つの土木部があり、道路改良等の箇所づけは、それぞれの土木部等から意見を聞いて、県庁の県土整備部が調整し決定していると聞いております。
 本来、市町村が行うべき業務を県にやってほしいという市町村要望であれば、広域振興局長が聞いてもおかしくないかもしれませんが、市町村の住民は、県民として県民税を納税しておりますから、道路を利用する権利、道路改良を求める権利を持っております。その納税者の代表である市町村長の要望、否、要求を、全く権限を有しない広域振興局長に対応させるというのでは、県民は納得しないと思われます。もし、広域振興局長に対応させるというのであれば、県は、来年度から4広域振興局長に予算権限を与えるべきだと思いますがいかがでしょうか、伺います。
 あわせて伺いますが、県南広域振興局をつくって以来、その組織の見直しは行われてはきましたが、例えば土木部の場合は、そう変わっていないのではないでしょうか。それぞれの土木部が直接本庁と調整することが多いように思いますが、何のために広域振興局長が置かれているのか、権限の配分の仕方として疑問であります。県南広域振興局をつくって既に4年になりますが、この間、組織の見直しはあったとしても、権限の見直しは行われてきていないと痛感します。
 今回、新たな広域振興局を展開するに当たっては、広域振興局長に大幅な権限を与えるとともに、部局間の均衡もまたとらなければ県の組織として整合性がとれないと思いますが、知事のお考えをお聞かせ願います。
 第4点目は、身近なインフルエンザ対策についてお伺いいたします。
 まずもって、去る11月1日に、県内で新型インフルエンザに感染されてお亡くなりになられました2歳児の方の御冥福をお祈りいたしますとともに、御家族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。
 さて、この新型インフルエンザでありますが、アメリカ、メキシコで発生が確認されて以来、ウイルスが急速に世界じゅうに広まり、世界保健機関WHOは、2カ月もたたないうちにパンデミック警報、人から人感染のフェーズ6、世界的大流行の兆しがあると宣言しました。この新型インフルエンザは、今や日本でも本格的な流行状態にあり、本県でも各地で学校閉鎖などの措置が相次いでいる状況にあります。
 本県を含む全国の患者の発生推移を見ますと、これまでの累積の推計患者数は1、000万人を突破し、また、19歳以下の若年層が圧倒的に多くなっており、特にも、これから冬期には、爆発的な流行が避けられないと言われています。そこで、県民の生命と健康を守る立場から、県の今後の対策について伺うものであります。
 初めに、現在の県内の新型インフルエンザの発生、流行状況、そしてまた流行の今後の見通しについてお伺いします。
 次に、インフルエンザの患者の発生状況の把握に用いている感染症発生動向調査は、定点医療機関から毎週患者数の報告があって、それをもとに地域ごとに警報レベルまたは注意報レベルを超えたことを知らせる仕組みになっていると聞いておりますが、本県内の定点観測の医療機関とはどのような医療機関であり、県内のどの地域にどれだけ指定をしているのか、伺います。
 次に、今回の新型インフルエンザは、今後、流行が国の想定どおりに進むか否かわかりませんが、仮に流行のピークが季節性インフルエンザの流行時期に重なりますと、患者数はさらにふえることになります。この場合の患者に対する医療機関の体制、特に重症患者の入院ベッドや人工呼吸器等の対応はどうなっているのでしょうか、伺います。
 次に、ワクチンについてでありますが、新型インフルエンザワクチンは、既に医療従事者や妊婦また基礎疾患を有している方々等に接種が行われ、これから続けて幼児などの低年齢者から逐次行われると聞いております。
 そこで伺いますが、ワクチンの確保状況と接種スケジュールはどのようになっているのか、伺います。あわせて、接種に要する費用の負担やワクチン接種による副作用などへの対応はどのようになるのか、お伺いします。
 次に、感染防止対策と情報提供のあり方についてですが、これまで、マスコミはインフルエンザということで過剰に反応して、ワクチンこそが唯一の予防策であるというような、そんな報道が見られますけれども、私は若干心配しているところであります。ワクチンを接種すれば新型インフルエンザにかからないという保証はありませんし、ワクチンを接種したからといって安心はできないと思うのであります。まず、正しい知識を持って、手洗いやマスク着用などの予防行動をとることが、感染拡大を防止するのに極めて有効であると思うのであります。
 そこで、今後、県民に対して、正確かつわかりやすい情報を速やかに提供し、予防を徹底するべきと思いますが、県の感染予防対策はどのように進めているのか、伺います。
 また、情報提供のあり方についてでありますが、県内情報のみならず、県北、県南の県民の不安解消のためにも隣接県の情報も提供すべきと考えますが、あわせて伺います。
 第5点目に、雇用対策について伺います。
 昨年9月のリーマンショックを引き金に、世界的な経済の急速な後退によって景気が悪化し、これに伴って、本県の雇用情勢も本年10月の有効求人倍率は0.35倍となり、引き続き低水準となるなど、悪化傾向に歯どめがかからない状況にあります。特にも、一関市千厩町で操業しているソニーイーエムシーエス株式会社千厩テックの年内の事業所閉鎖確定で、雇用環境は一層深刻な状況にあります。本県では、これらの状況などから本年8月に岩手県経済・雇用対策本部を設置し、県内経済の活性化と雇用の維持、創出を図るための施策を積極的に推進してきているところでありますが、その懸命な取り組みにもかかわらず、依然として雇用の悪化は続いているところであります。
 そこでお伺いしますが、岩手県経済・雇用対策本部において取り組んでいる対策の内容と成果の概要をお知らせ願います。
 特に、年内をもって事業所を閉鎖するソニーイーエムシーエス株式会社千厩テックは、従業員や派遣など合わせて870人ほどを雇用しておりますが、県内で、過去においてこれだけの規模の事業所撤退はなく、県内経済への影響は計り知れないものがあると推察いたします。
 そこでお伺いしますが、県として一関地域に集中的な施策を講じるべきと考えますが、県の考えをお伺いします。
 ところで、さきの月例経済報告で政府は、日本経済は緩やかなデフレ状況にあると認定しました。また、ドバイショックによる円高などの市場の混乱が、雇用に影響を与える可能性があります。このことから、失業率は6%台に達するという見方もあります。来春の県内の高校卒業予定者の就職内定率も10月末時点で58.5%と、前年同期と比較しても8.7ポイント低く、極めて深刻な状況にあります。引き続く雇用情勢の悪化に対応するため、市町村や関係機関と一体となって、経済対策を連動させた総合的な雇用対策を推進すべきと考えます。改めて、県の今後の対応についてお示し願います。
 最後に第6点目、防災対策についてお伺いします。
 平成21年1月9日の政府の地震調査研究推進本部の発表によりますと、平成21年1月1日から10年以内に宮城県沖地震の発生する確率が70%程度となっており、1年前に発表された数値と比較しますと、発生する確率が10ポイントも上がっており、宮城県沖地震が発生する可能性がますます高くなってきております。このように、間違いなく近い将来、大きな地震やこれに伴う大津波も来る状況にあります。それならば、それに対する備えも迅速かつ確実にやっておかなければなりません。しかも、その対策は、用意周到に固める必要があります。とにかく、地震や津波では多くの住民の生命、財産が危険にさらされます。その生命、財産がかかった緊急時に、十分機能するための対策とその訓練が最も重要であります。
 2009年1月に、アメリカ・ニューヨーク市マンハッタンのハドソン川に不時着した飛行機の事故は、乗員、乗客全員が無事救助され大惨事を免れましたが、チェスリー・サレンバーガー機長は、あの日、あの便に経験豊富な乗員が乗ったんだが、私たち乗員は単に訓練どおり仕事をしただけだと語ったと伝えられています。この話から、ふだんの訓練がいかに重要であるかということを教えてくれます。
 県では、昨年の2度の大きな地震に見舞われた際、幹部の集合に時間がかかったとか、他県からの緊急派遣チームの拠点がなかったとか、災害派遣医療チームDMATとの連携に問題があったとか、課題も多かったと聞いております。
 かつて新潟県中越地震の際、全国知事会から支援要請を受け、岩手県からも支援チームが派遣されました。そのときの派遣チームは、貴重な体験をし、その教訓を残されたと聞いております。それは一つには、交代で活動できる班編成をしっかりやること、二つ目は、持続的に活動できるよう、食事、宿泊場所、休憩場所、被災地への道路を確保すること、三つ目は、情報の伝達経路を確保すること、四つ目は、チームの活動目的、趣旨をはっきりさせること、五つ目は、現地の主張、要望等を丸受けせずに任務をまず果たすことといったようなことであります。
 早急にこれまでに発生した多くの地震災害対応の課題を踏まえた対策を講ずる必要があります。どのような課題があり、その課題に対しどのような対策を講じてきているのかお伺いします。
 また、緊急時に備え、広域での救援支援体制をしっかり確立しておく必要があります。例えば、家屋の倒壊や流失などに遭った被災者は、これまではプレハブ住宅などの仮設住宅で心理的、肉体的な負担を抱えながらの避難生活を余儀なくされてきました。仮設住宅は緊急避難的につくっても、やがては解体しなければなりません。であるなら、この仮設住宅の設置、解体費用をもっと被災者の救援に有効に活用すべきではないでしょうか。
 岩手・宮城内陸地震で岩手県への観光客の客足は1年程度遠のき、民宿や旅館などは閑古鳥が鳴いて大きな影響を受けました。観光客の呼び戻しには行政や業界はいろいろ取り組みますが、観光客が戻ってくるまでには相当時間がかかります。そこで、観光客などの足が遠のく期間、民宿や旅館が社会貢献の一環として被災者を受け入れ、災害救助の一翼を担ってもらえば災害地の負担も軽減されると思います。このことを進めるためには、ふだんから県内市町村、関係団体等が被災者の避難方法、県、市町村の支援内容、員数、費用等々を広域で助け合う仕組みを構築しておくことが重要だと考えます。
 そこで伺いますが、とにかく地震、津波といったような大規模な災害の対策において広域で助け合う仕組みの構築を行うべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 時間になりましたので以上で質問を終わりますが、答弁の内容によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 千葉康一郎議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地域主権の目指すものについてでありますが、私は、個人、企業、NPOなどが行政とともに手を携え、力を合わせる地域経営の考え方を基本に、県民が主権者として自立と共生の道を進んでいくことが地域主権の確立につながるものと考えております。
 このようなことから、私は、民主党のマニフェストに掲げられている地域主権国家の樹立という考え方に賛同し総務省顧問を引き受けたところであり、地域のことは地域に住む住民が決める、活気に満ちた地域社会をつくるための改革に参画していきたいと考えております。
 次に、地域主権の障害等についてでありますが、地域主権の確立に向けては、一般的には、住民の意識や国及び自治体の職員の意識の転換などが課題であると言われておりますが、既に意識が転換してきている岩手県においては、経済のグローバル化や少子・高齢化が急速に進行する中で、増大する行政需要に対応するのが極めて厳しい状況にあり、地方が担う仕事や権限に見合う十分な税財源が安定的に確保されていないことが大きな障害と考えているところであります。また、現在の厳しい経済情勢の中では、私は何よりもまず、安心して暮らせる社会の実現に向けたセーフティネットの構築が重要であり、国と地方が対等の立場で適切な役割を担いながら、経済、雇用政策と福祉、社会保障政策を有機的に連携づけて推進し、生活の安全保障と言うべきものを実現していくことが必要と考えております。
 このような観点に立ち、私は総務省顧問として、地域における雇用、福祉等の実情や県民の声を伝えるとともに、セーフティネットの構築に向けた政策のあり方、さらには地方の自立を支える安定した地方税財政制度のあり方等について意見を申し上げていきたいと考えております。
 次に、義務づけ、枠づけの見直しについてでありますが、地方分権改革推進委員会の勧告に対して、各省庁はこれまで極めて消極的な姿勢であったことから、政府においては、鳩山総理大臣が地方分権改革推進委員会の第3次勧告を最大限尊重すると表明し、原口総務大臣も各省庁に対して積極的に見直しを要請しているところであります。その結果、全国知事会等がこれまで要望してきた項目のうち何らかの見直しを行ったものが全体の6割に達しまして、十分とは言えないまでも、政治のリーダーシップにより義務づけ等の改革のスタートラインに立ったものと受けとめております。
 このため、国においては引き続き政治がリーダーシップを発揮して一層の組織の意識改革や情報公開を進めるとともに、国と地方のオープンな議論などが必要であると考えており、本県としても全国知事会を通じて具体的な見直しの提案を行うなど、義務づけ等の改革が進展するよう努めてまいりたいと思います。
 次に、直轄事業負担金制度に係る課題への対応についてでありますが、この制度については議員御指摘のとおりさまざまな問題があり、負担金の対象範囲の見直しや詳細な情報開示のほか、維持管理費負担金の来年度からの廃止や負担金制度の将来的な廃止、さらには地方の意見が反映できる制度の創設などについて、本年7月、全国知事会として国に対し改善等を求めているところであります。
 このようなことから、国では、来年度から維持管理費分の地方負担金を廃止する方向で検討するとともに、本年度分の負担金はしっかりと説明責任を果たすこととしているほか、関係4省によるワーキングチームを設置し、地方と十分意見交換をしながら、年内をめどに直轄事業負担金制度の廃止に向けた工程表の素案を作成する予定と承知しており、本県としては、その動向を注視するとともに、必要に応じて今後とも全国知事会を通じて適切に対応してまいりたいと思います。
 次に、直轄事業負担金廃止に係る懸念への調整等についてでありますが、議員御指摘の三陸縦貫自動車道などの高規格幹線道路等の整備は、国家的施策として国の責任において着実に推進すべきものと考えます。国土交通省の平成22年度概算要求においては、公共事業関係費が今年度の当初予算と比べて事業費ベースで18%の減となっており、特に道路関係の直轄事業は20%減と、本県においても大幅な減少が見込まれております。 
 このため、去る11月17日に開催されました北海道東北地方知事会議において、社会資本整備がおくれている地方へ影響が生じないよう必要な予算の確保について緊急アピールを行いましたほか、11月21日には釜石市で、青森県、秋田県、宮城県と連携し、東北横断自動車道釜石秋田線及び三陸縦貫自動車道等整備促進岩手県総決起大会を開催し、整備促進の決議を行ったところであります。
 また、県独自に、公共事業予算の確保に向けて、去る11月17日、民主党岩手県総支部連合会に対し公共事業予算の確保に関する緊急提言を行いましたほか、11月20日には東北地方整備局長が本県関係の直轄事業の概算要求について説明に来た際、公共事業予算の確保について前原大臣に伝えるよう申し上げたところであります。
 今後も、全国知事会や北海道東北地方知事会と連携、調整を図りながら、公共事業予算の確保に努めていきたいと考えております。
 次に、広域振興局長の予算権限についてでありますが、新しい広域振興局体制のもとでの市町村要望については、広域振興局長が地域経営の視点を踏まえ、市町村と地域の課題を共有し、ともに課題解決に向けて一層連携を強化していくために見直すよう検討をしております。
 広域振興局長は地域における広域行政の責任者として、地域の声を県全体の施策へ反映させる職責を負うものでありますが、予算編成、特にも道路整備等の公共事業については、圏域内での視点に加え、県全域にわたる視点での調整が不可欠であることも否めないものと考えております。こうしたことから、予算編成については、広域振興局長が日ごろより把握に努めている地域の実情を踏まえながら、県全体として限られた資源を有効に活用しつつ、より効果的な施策が展開できるよう、広域振興局長も参画し、意見を表明できる機会を経て適切に決定してまいりたいと考えております。
 次に、広域振興局長の権限と部局間の均衡についてでありますが、本県においては、限られた行財政資源の分散と集中を組み合わせ、本庁と広域振興局等との役割分担により効率的な業務遂行に努めております。こうした考え方に基づいて、地域経営に必要な事務については基本的に広域振興局長等へ委任しております。一方、統一性、専門性の確保など、全県的な調整が必要な業務等については本庁が所管しており、必ずしも部局間の均衡を第一義的に優先しているものではありません。
 これらについてはこれまでも適時見直しを行ってきたところでありますが、新しい広域振興局への移行に当たっては、社会福祉法、都市計画法や道路法施行事務の一部等を広域振興局へゆだね、一方では、広域圏での処理件数が少ない業務は本庁へ集約するなどしております。今後においても、こうした適切な役割分担のもと、県全体として実効性の高い施策を展開してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) 北海道・北東北知事サミットの成果についてでありますが、今回のサミットでは、北海道、北東北地域における農林水産業のポテンシャルを4道県で改めて共有し、この地域が将来とも食料、木材供給基地として発展していくために緊密に連携していくことを北海道・北東北「食料・木材供給基地」行動宣言として内外に発信できたことが大きな成果と考えております。
 また、サミット開催後の11月4日には、本県と青森県産業技術センター、国の東北農業研究センターが耐病性、耐冷性にすぐれた非主食用の多収穫米品種の開発を進めるための共同研究契約を締結し、開発作業に着手するなど、具体的な取り組みもスタートしたところであります。
 今後も、今回のサミットの合意事項に基づき、生産技術の調査、研究や新規就農確保対策などの共同の取り組みを着実に進め、成果を積み重ねていきたいと考えております。
 次に、食料経済振興地域の今後の取り組みについてでありますが、北東北地域が今後、我が国の食料供給基地として発展していくためには、規模拡大や低コスト化、高付加価値化による農林漁業経営の一層のレベルアップや、企業も含め、意欲的で経営感覚にすぐれた新たな担い手の参入促進、品質等にすぐれた地域の生産物を活用し、付加価値をさらに高める食品関連企業の集積などが重要と考えております。
 このため、食料経済振興地域については、農林漁業経営の高度化を図るための交付金等を北東北地域に優先的に配分する制度や、企業の農業参入や食品関連企業の集積を促進するための税制面での優遇措置などについて各県と連携して国に提案してまいります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 新型インフルエンザ対策についてお答えいたします。
 まず、県内の発生状況と今後の見通しについてでありますが、御案内のとおり、7月24日以降は全数把握が中止されたため、感染症発生動向調査などにより感染拡大の状況を把握しているところでございます。
 当該調査によりますと、定点医療機関当たりの1週間の患者数が8月10日から16日の週には1を超え、流行の状態にあることが確認されたところであります。以降、10月12日から18日の週に注意報レベルの10を超え、また、10月26日から11月1日の週に警報レベルの30を超えたところでありまして、直近の状況といたしましては、11月23日から29日の週でも29.53と、依然としてほぼ警報の水準にあるところでございます。
 今後の見通しの予測は極めて困難でございますが、全国的にはこれまで増加傾向にあるほか、本県では5週にわたりほぼ警報値を超える水準で推移しておりまして、また、残念ながら本県でも御逝去された県民の方が出ましたこともあり、予断を許さない状況であるものと考えております。
 次に、県内の定点観測の医療機関についてでありますが、これは、小児科または内科を標榜する医療機関の中から県が岩手県医師会と協議した上で選定しているものでありまして、設置数につきましては厚生労働省が保健所管内の人口規模に応じた基準を定めておりまして、本県では現在64医療機関が選定されているところでございます。
 なお、すべての保健所管内に設置しておりますが、最も多いのは盛岡市保健所管内で11カ所、最も少ないのは釜石、久慈、二戸の各保健所管内でそれぞれ3カ所となっております。
 次に、医療機関の体制についてでありますが、本格的な感染拡大に対応するため、外来部門につきましては、特に郡市医師会、市町村等の御協力をいただきまして、平日における外来診療時間の延長や休日当番医の拡充など診療体制が拡充されてきたところでございます。また、入院部門につきましては、県医師会の協力を得まして、透析患者や小児、妊婦の重症患者を積極的に受け入れる医療機関を確保しますとともに、一般の重症患者の受け入れ先となります医療機関につきましても保健医療圏ごとに関係者が協議を行いまして、現在、リストアップが終了しているところでございます。
 なお、国の新型インフルエンザ流行シナリオに基づき推計いたしました本県のピーク時の入院患者数は、中位推計では487人、高位推計では731人となっておりますが、9月1日現在で調査した結果、これを上回る空き病床が現在ございまして、また、人工呼吸器も約200台が直ちに使用できる状況にありますことから、今後、国のシナリオを大幅に上回る状況にならなければ、また季節性インフルエンザの流行の状況にもよりますが、現在の体制で対応できるものと考えているところでございます。
 次に、ワクチンの確保と接種スケジュールについてでありますが、国におきましては、国内産ワクチン、輸入ワクチンを合わせまして約1億5、300万回分確保できる見込みとしておるところでございます。国内産につきましては10月19日から順次接種を開始しておりまして、年度内には約5、400万回分確保できる予定であります。また、輸入分は、早ければ年末年始にかけまして接種ができる見込みでございまして、年度内に約9、900万回分確保できる予定であります。接種回数の見直しもございまして、輸入分が順調に確保できれば、最終的には接種を希望する国民全員を接種対象とすることが可能になるのではないかという有識者の御意見も現在出されているところでございます。
 なお、本県にはおおむね月2回配分され、これまでに累計で約13万1、000回分供給されているところでございます。
 接種スケジュールにつきましては、国が示す標準スケジュールを参考に各都道府県が決定することとなっておりまして、本県では10月19日から医療従事者を皮切りに接種を開始しまして、これまでに3回ワクチンを医療機関に配分して妊婦や基礎疾患を有する方に接種が行われているところでございます。来週の12月7日からは基礎疾患を有しない1歳から小学校3年生までの小児にも接種が開始され、以降、小学校高学年、中高生、高齢者などに順次接種が行われる予定となっております。
 次に、接種費用の負担についてでありますが、議員御指摘のとおり、今回のワクチン接種は感染拡大の防止ではなく、個人の重症化の防止を主たる目的として行われておりますことから、接種費用は個人負担とされているところでございます。
 なお、所得の低い方々の負担を軽減するため、市町村民税非課税世帯を念頭に、市町村が接種費用を助成し、これに要する財源の2分の1を国が、4分の1を都道府県が補助するという支援対策が国から示されたところでございます。県におきましては、当該支援に要する経費を盛り込みました補正予算7億6、600万円余を10月30日に専決処分させていただいたところでございまして、本定例会にその承認をお願いしているところでございます。
 次に、副作用等への対応についてでありますが、今回の新型インフルエンザのワクチン接種に当たりましては、ワクチンを適正に使用したにもかかわらず、入院治療を必要とする程度の健康被害が発生した場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の医薬品副作用被害救済制度の対象となり、被害の状況に応じて医療費、医療手当、障害年金、遺族年金などが支給される仕組みとなっております。
 なお、現行の予防接種法に基づく季節性インフルエンザの定期接種に関する措置を踏まえて、ワクチンの接種行為等に過誤があった場合にも必要な救済措置を講ずることができるよう今国会におきまして特別措置法が成立したところであり、当該法律の施行後におきましては新たな制度で救済されることになるところでございます。
 次に、感染予防対策に係る情報提供についてでありますが、議員御指摘のとおり、県民の皆様に正確でわかりやすい情報を提供することは非常に重要なことでございまして、県ではこれまで、県の広報媒体の活用、出前説明会の開催、さらには県医師会等と連携したテレビCM、新聞広告の実施、リーフレットの作成、配布などさまざまな手段で情報提供や啓発活動に取り組んできたところであります。また、流行状況につきましては県のホームページで感染症発生動向調査の結果や学校等の休業等の状況を公表しますとともに、注意報や警報を発令して県民への注意喚起を図っているところでございます。なお、一部の報道機関では、テレビCM等により自主的に情報提供を行っていただいている例もございます。
 今後ともこうした取り組みを継続していきますが、特に緊急時におきましては積極的に報道機関の協力を要請いたしますとともに、テレビのスポットCMを有効活用するなど、県民に迅速な呼びかけができるように努めてまいりたいと考えております。
 次に、隣接県の患者発生動向に係る情報の提供についてでありますが、岩手県環境保健研究センターにおきましては、感染症発生動向調査により、定点観測を行う医療機関を受診したインフルエンザ患者数を1週間単位で把握し、毎週、患者の発生動向を公表させていただいているところでございます。この調査は各都道府県におきましても実施されておりますことから、今後におきましては、隣接県の調査結果につきましても情報収集を行いまして県のホームページに掲載いたしますとともに、報道機関の御協力をいただきまして、県境にお住まいの方々を初めとする県民の皆様に必要な情報が提供できるよう早急に対応してまいりたいと考えているところでございます。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、経済・雇用対策本部についてでありますが、当本部におきましては、直近の地域経済や雇用の情勢に関する広域振興局長等からの報告などをもとに県が取り組むべき事項等を確認し、経済の活性化、雇用の創出、就業の支援の三つを柱に、庁内が一丸となって機動的かつ戦略的に施策を推進しているところであります。9月以降、毎月1回会議を開催し、9月補正予算によります雇用関係基金事業の前倒し執行、市町村も含めた公共事業の前倒し実施、早期発注、中小企業経営安定資金の融資枠の拡大、農林水産業就業促進アクションプランの推進などに取り組んだほか、10月からは新規高卒者求人確保キャンペーンを実施し、企業への採用要請等を展開しているところであります。
 また、国の緊急雇用対策に呼応した求職者総合支援センター、北上及び一関のハローワークが連携した生活、就労相談と職業紹介のワンストップサービスの取り組みなど、国及び市町村とも連携し、施策を推進してきたところであります。
 この結果、有効求人倍率にわずかながら改善が見られるなど、雇用の下支えに一定の効果があったものと考えております。
 次に、一関地域における集中的な施策についてでありますが、一関地域においては、一関総合支局、ハローワーク、地元市町、商工団体等の関係機関で構成いたします両磐地域雇用対策推進協議会を設置し、地域を挙げて離職者対策に取り組んできております。同協議会は11月27日までに4回の会議を開催し、離職者に対する聞き取り等を踏まえ、各構成機関が具体的な再就職支援を行っており、一関総合支局においては、6月にジョブカフェ一関スタッフを2名増員して求人、求職のマッチング機会創出等に取り組むとともに、10月には一関市千厩支所のふるさとハローワークにジョブカフェ一関サテライト千厩を設置し、離職者の相談等に対応しております。
 また、離職者の再就職を支援するため、一関、東磐の職業訓練協会におきまして、県等の委託を受けてOA実務、CAD、介護等の職業訓練を集中的に実施しております。
 県としましては、一関地域は大手企業の工場閉鎖が続くなどの問題を抱えておりますことから、これらの取り組みを通じ、生活、就労相談等を中心に、引き続き関係機関と連携して、離職者が早期に新たな職につけるよう重点的に支援してまいります。
 次に、雇用対策への今後の対応についてでありますが、経済、雇用対策の効果的な推進のためには、県のみならず、国、市町村、商工団体等が連携していくことが重要であります。このような考え方に基づき、各地域において関係機関から成ります地域雇用対策協議会等を設置し、連携を図りながら対策を進めておりますほか、雇用対策基金事業の実施に当たりましても、地域におきます雇用創出効果を上げるため、市町村に重点的に配分するなど、地域の実情に応じたさまざまな取り組みを推進しているところであります。
 新規高卒者への就職支援につきましても、岩手労働局、県、教育委員会、学校、市町村、ハローワーク等が連携いたしまして、新規高卒者求人確保キャンペーンとして経済団体や企業等への要請活動も行っているところであります。
 しかしながら、雇用の厳しさは依然として続いておりますことから、今後、年末年始にかけましての生活支援対策、高校生の就職未内定者への支援などを行いますとともに、国の補正予算の動向を踏まえ、関係機関と一体となって経済、雇用対策の一層の推進に努めてまいります。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 地震災害対応への課題とその対策についてでございます。
 その主なものといたしましては、まず一つ目といたしまして、職員の参集についてであります。発災直後、防災連絡用携帯電話を含め電話がつながりにくかったことから、連絡を待たずに勤務公所に自主参集することとしたところでございます。
 二つ目としては、広域応援部隊等の受け入れについてであります。情報共有と迅速な対応を図るため、総合防災室に隣接する4階特別会議室を拡充いたしまして、県と防災関係機関が一体的な対応ができるようにしたところでございます。
 三つ目といたしましては、DMATと災害対策本部との連携についてであります。県災害対策本部に総合調整所を設け、DMATの連絡調整員を配置の上、消防、警察、自衛隊等との密接な連絡調整を行うこととしたところでございます。
 このような緊急の課題への対応につきましては訓練が非常に重要でございますので、職員参集訓練、総合防災訓練、県災害対策本部支援室の図上訓練などを通じまして検証を重ねております。今後、より実践的な訓練を積み重ね、さらに改善を図りながら災害対応力の向上に努め、大規模な災害に備えてまいりたいと考えております。
 次に、広域で助け合う仕組みについてであります。
 議員御指摘のとおり、大規模な災害時におきましては、県や市町村単位で保有する物資や資機材、要員だけでは十分な応急対策を行うことが困難なことから、国、県、市町村、防災関係機関、さらには民間の関係団体、企業等が一体となりながら対応することが必要でございます。
 県におきましては、北海道、東北8道県との相互応援協定、民間の企業、団体との応援協定を締結してございますし、また、市町村におきましても、県内市町村全体による相互応援協定のほか、県境の市町村や友好市町村及び関係企業等との個別の相互応援協定を締結し、大規模な災害に備えているところでございます。
 今後とも、市町村を初め防災関係機関や民間企業等と平常時から情報の共有などに努めながら広域的な対応に努めてまいりたいと考えております。
 なお、お話のございました民宿や旅館の被災者の受け入れについてでございますが、奥州市におきましては、市が設置した6カ所の避難所に住民の方が避難された際、そのうち1カ所は、避難された高齢者などの災害時要援護者の体調や栄養管理のため、国民宿舎サンホテル衣川荘を避難所として借り受け、被災者の受け入れを行った、このような事例もございます。
〇28番(千葉康一郎君) 大変御答弁ありがとうございました。
 ただいまの答弁に対しまして2点ほど再質問させていただきます。
 まず、1点目は、雇用対策についてですけれども、ソニー千厩テックの問題も含め、県及び関係機関、団体が連携して離職者の支援に取り組んでおられることにまず感謝を申し上げたいと思います。
 しかし、現在、千厩テック等に勤務しております方々の中には、会社が再就職のあっせん、支援を行うとしておりますけれども、本当に再就職できるのかという不安を感じておられる方が少なからずおられます。離職者の支援においてハローワークの果たす役割は極めて大きいものと認識しておりますが、会社への指導や、既に離職された方々あるいはこれから離職を予定されている方々が安心して次の仕事を探すことができるように、ハローワークに対して、これまで以上に積極的に取り組んでいただくよう県として働きかける必要があるのではないかと思いますが、県の考え方をお聞きしたいと思います。
 それから、2点目ですけれども、防災対策の件のうち、民宿や旅館の被災者の受け入れについてでございます。
 ただいまの答弁では、奥州市では国民宿舎を避難所として活用した例も示されました。本質問でも申し上げましたけれども、被災者は一般的にプレハブ等の仮設住宅で避難生活をするわけですが、かなり心理的あるいは肉体的な負担を抱えながら生活しておるということでございます。これは一関の例で感じたのでございます。たとえ仮設住宅は緊急避難的につくっても、いずれやがては解体しなければなりません。一方で、民宿や旅館などは、観光客が戻ってくるまで相当時間がかかると思います。両者を結びつければ、被災者救済については仮設住宅による対応より費用が少なくなって、民宿や旅館などでは幾らかでも収入が確保できるのではないかと思います。
 そこで、民宿や旅館などを仮設住宅として利用することを検討すべきと思いますが、御所見を伺います。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) ソニー千厩テックの離職者の関係でございます。5月に閉鎖の発表があって以来、私ども、知事、副知事あるいは一関市長等、繰り返し閉鎖の撤回あるいは雇用の確保につきまして、会社側にはさまざまな形で要請してきておるところでございます。
 議員お話のありました件につきましては、両磐地域雇用対策推進協議会等の場におきまして、ハローワークあるいは地元市町にこれからの種々の取り組みについて申し入れを行いますなど、離職者の方々が早期に新たな職につくことができますよう取り組んでまいりたいと考えております。また、会社側に対しましても、改めて離職される方々の再就職の支援にしっかりと取り組んでいただくよう申し入れたいと思います。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 応急仮設住宅の関係につきましては、災害救助法は当部のほうで所管しておりますので、私のほうから御答弁させていただきたいと思います。
 まず、今、総務部長のほうから国民宿舎サンホテル衣川荘を応急的な避難所として活用した例もあるというお話は答弁したとおりでございます。
 しかしながら、応急仮設住宅のかわりとして利用することにつきましては、いわゆる現在の災害救助法におきまして、住宅をなくされた被災者の一時的な住まいの確保を目的としておりますことから、災害救助法の適用とします支援の対象範囲から外れるというのが現在の国のほうの解釈でございます。したがいまして、この件につきましては国に対しての制度改正等への提言等を行う必要があるのではないかと思っておりますが、例えば仮設住宅を設置する適当な場所がない場合とか、あるいは例えば被災者の方が高齢者で、特に冬季間に仮設住宅に住まなければならない場合とかさまざまなケースがございますので、そういう場合等も想定いたしまして国とこの件については研究していく必要があるものと考えているところでございます。
〇28番(千葉康一郎君) ありがとうございます。
 防災対策の今の保健福祉部長のお答えの件ですけれども、ちょっと聞き取れなかったんですけれども、災害救助法の制度上、該当しないというふうなお話かと思いましたけれども、であるならば、これはやはり国のほうに強力に働きかけをしていくべきではないかと私は思うんです。したがって、この災害救助法を弾力的にできるように、何回も申し上げますけれども働きかけていくべきだと思いますので、その所見をお伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 今の私の答弁、ちょっと明瞭でなかったということにつきましてはおわび申し上げます。
 いずれこの問題につきましては、災害救助法の改正あるいは解釈の変更等を要するものと考えておりますので、国に対してこの件につきましては積極的に問題提起を行い、できるだけ課題解決に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇副議長(小野寺研一君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時45分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 雪 文 君
22  番 嵯 峨 壱 朗 君
23  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
36  番 柳 村 岩 見 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
43  番 渡 辺 幸 貫 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時3分 再開
〇議長(佐々木一榮君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。工藤勝子さん。
   〔33番工藤勝子君登壇〕(拍手)

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