平成21年12月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇15番(亀卦川富夫君) 政和・社民クラブの亀卦川富夫でございます。
 通告に従いまして順次お尋ねしてまいります。
 このたび、達増知事におかれましては総務省顧問に御就任されました。まずもってお祝い申し上げます。主として地域主権を担われるとお聞きしましたが、地方の声を国にしっかり届けていただきますよう御奮闘を御期待申し上げます。
 さて、政権交代により我が国の政治の仕組みが大きく変わりつつあります。我が国の今後のあり方や私たちの生活がどのようになるのか、期待とともに不安もよぎります。そこで、国の政治と我が県政のあり方について知事の御見解をお伺いいたします。
 1点目は、地域主権についてであります。
 従来の分権型社会を目指す地方分権と地域主権との違い、特徴をお伺いいたします。その上で、今後の地方自治体のあり方及び自公政権下で議論のあった道州制など国の仕組みの改革についての御所見をお伺いいたします。
 2点目に、地域主権、地方主権を考える上で、市町村と県の関係についてお伺いいたします。
 知事は岩手県における地域主権のあり方をいかにお考えでしょうか。現在の県と市町村のあり方について認識をお伺いいたします。
 また、地域主権確立のため国の制度を変えなければならないものがあるとすれば具体的に提言すべきと思いますが、お示し願います。
 私は、市町村との関係については、制度が変わらなくとも、地域主権の視点に立てば市町村と協働できるものがあると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 3点目は、財政についてであります。
 鳩山政権の地方財政に対する施策は、財政難にあえいでいる岩手県にとってどのような作用をもたらすのか御認識をお示しください。
 さらに、過日の北海道東北地方知事会議において、我が県から地方交付税総額の復元、増額を求める提案がなされ、国に対する緊急提言の中に盛り込まれました。達増知事の見通しをお示しください。
 また、税財源の移譲のあり方が地方分権、地域主権の確立にとって最も大切な根源の課題でありますが、知事のお考えと実現に向かっての取り組み方、実現の時期など、その可能性と見通しについて御見解をお伺いいたします。
 4点目は、国と地方の協議の場のあり方であります。
 北海道東北地方知事会議は、国と地方の協議の場の法制化等を盛り込んだ新政権への緊急アピールを採択したところでありますが、地方の声が政府にダイレクトに伝わり、公平で風通しのよい関係が重要と考えます。地方分権にとって必要な制度改革を進めるに当たり、国と地方の協議の場のあり方に対する知事の考えをお伺いいたします。
 5点目に、2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す事業仕分けについてお伺いいたします。
 仕分けについては、予算の必要性を国民の前にガラス張りで議論したことに国民的評価が極めて高いところであります。一方、1時間という限られた議論では真の政策論に踏み込めなかったとの指摘もあります。また、政府の行政刷新会議が財務省の視点に基づいた査定マニュアルを作成し、これにより仕分けが行われたとも伝えられております。そうであれば、財務省主導の予算削減が主目的だと見られます。
 事業によっては、例えば科学技術創造立国として必要な次世代コンピューターなど科学に寄与する中長期的な取り組みの政策論に踏み込めなかったことや、仕分けになじまない事業予算もあるとの指摘もあります。また、事業の担い手は地方でとの仕分けもあります。
 今回の事業仕分けの進め方及び結果について、地方自治体の長としての感想をお聞かせください。また、岩手県版事業仕分けを試みるお考えがあるかお伺いいたします。
 6点目、県庁内から事業仕分けによる事業廃止や縮小に困惑の声が上がっております。本県への影響について部局ごとに具体的な事例と、地方自治体の受けとめ方と対策についてお伺いいたします。
 また、仕分けでは地方自治体が担うべきとされているものがありますが、知事はこの点についてどう判断されますか、具体的にお答え願います。
 7点目は、本県の予算編成についてであります。
 政府が進めている来年度の予算編成作業は、マニフェスト実現を含む大規模な概算要求に対し、無駄を省く事業仕分けの結果や、経済不況による大幅な税収の減少見込みなどから新規国債発行についての議論もあり、どう展開するのか不透明であります。また、2010年度税制改正も論議の途上です。このような状況のもと、本県の来年度の予算編成は例年の進め方で支障がないのか、平成22年度岩手県予算編成のポイントとスケジュールをお示しください。
 次に、深刻な経済状況について知事にお伺いいたします。
 政府のデフレ認定など、我が国の経済状況は極めて深刻な状況下にあります。消費者心理は低迷し、頼みの輸出もアメリカ経済が民需主導の自立的な回復への軌道に乗っておらず、加えて最近の円高でその先行きの不安は極めて大きいところであります。本県も製造業の落ち込みの影響を受け、来春の高等学校卒業者の就職内定率が58.5%など、大きな問題が生じております。国はもちろん、県、市町村などが一体となってしっかりした施策を図らなければなりません。
 そこで、岩手県の経済状況について、代表的な経済指標に基づく現状認識をお示しください。その上で緊急にとらねばならない施策をお示しください。
 2点目に、亀井金融担当大臣が主導した中小企業金融円滑法についてお伺いします。
 亀井大臣の描くモラトリアム構想の金融支援を受けて経営者が当面の資金繰りに一安心したとしても、本業が回復しないことには今回の金融支援も単なる延命装置に終わってしまいかねません。ただいま内需の不安を反映してか、銀行の中小企業向けの貸出残高が減少しているとのことであります。この中小企業金融円滑法について、岩手の中小企業について、その有効性と実現についてどのようにとらえておられますかお伺いいたします。
 次に、産業振興についてお聞きします。
 今回の経済危機は、グローバル化時代、世界を瞬時に移動するマネーが経済を発展もさせるが、同時に地球規模で経済を不安定化させるということを我々に教えてくれました。
 岩手県は、IT産業や自動車産業とその関連産業の誘致により産業集積を図ることを産業振興の柱としてまいりましたので、今回の経済不況の影響をもろに受けたところであります。今後、懸念するところは、世界的な需要の急減に直面した製造業を初めとする大手企業が生産体制の抜本的な見直しを迫られており、発注先を国内から海外へシフトする企業が出始めるなど、予断を許さない状況にあることであります。知事はどのように認識されておられますか、お伺いいたします。
 また、今回の経済危機により、これまでの誘致型産業政策とともに、それぞれの地域でこれまで培われてきた資源を活用しながら、それぞれの地域や地域内産業をどのように発展させるのかという地域産業政策の視点が必要と思います。知事の御所見をお伺いいたします。
 そのような観点から、このたびのいわて県民計画の中では、それぞれの地域の産業をどのようにデザインしているのか、また、それをどのような施策によって具現化しようとするのかあわせてお伺いいたします。
 次に、中小企業振興基本条例についてお尋ねいたします。
 私は2月定例会で、中小企業の振興により地域の活力増進を目的とした中小企業振興基本条例を本県として取り上げるべきと質問いたしました。御答弁は調査検討してまいるということでありましたが、その後の検討状況についてお知らせください。
 民主党のマニフェストには、中小企業憲章の制定を初め、人材育成、職業訓練の充実、海外進出の支援、中小企業支援税制など、中小企業を支援するための施策が網羅的に盛り込まれております。こうした新政権の中小企業支援策を踏まえて、岩手県として中小企業憲章の地域版であり実践編でもある中小企業振興条例を制定し、新政権の中小企業憲章の策定に具体的なイメージを与えていくべきではないかと思いますが、重ねて知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、農業と食産業の進展についてお伺いいたします。
 2008年の工業統計によれば、自動車、半導体関連産業は前年比マイナスでありましたが、食料品製造業は7.9%増、3年連続のプラスでありました。食料品製造業は、事務所数においても従業者数においても県内のトップのシェアを占めており、岩手県のリーディング産業と言っても過言ではありません。
 食料品製造業界と、そこに食材を供給する生産者は、まさに地域に密着し、地域から生み出されている地域資源を活用した企業、産業群の一つであります。先ほど指摘いたしました地域産業政策であります。生産者と企業が連携した農商工連携や6次産業化など、施策の方向性と事業展開についてお尋ねいたします。
 しかし、食料品製造業界は、地産地消が声高に叫ばれながら県内産の加工、業務野菜を十分確保できないという課題を抱え続けておりますが、本県食料品製造業に対して、県産野菜の供給量を高めていくための課題とその対応策についてもお伺いいたします。
 また、北海道・北東北知事サミットで、農林水産業振興のために財政支援や税制上の優遇措置が受けられる食料経済振興地域を北東北3県で検討することが合意されました。今後、具体的な検討を進めるとのことでありますが、どのような課題があり、それらをどのような方向で解決されようとしているのかあわせてお伺いいたします。
 次に、戸別所得補償制度と岩手の農業についてお伺いいたします。
 鳩山政権が掲げる農業の目玉政策が戸別所得補償制度であります。全販売農家を対象に米などの主要作物の逆ザヤを補てんする直接支払制度を基本とするものであり、人為的に価格を維持するのではなく、財政で農家の所得を支えるのが世界的潮流にあるとされております。しかし、その具体的内容が明らかになるにつれ、この制度は生産者の構造強化というよりは、中小農家保護という側面が色濃く打ち出されているとの指摘があります。つまり、この制度では貸借による農地の集約化が進まず、農業の生産性を高める構造改革の効果が期待できないというものであります。これまで経営規模を拡大しようと懸命に取り組んできた生産者のやる気をそぐのではなく、一層の意欲をかき立てるような制度設計、さらには新しい制度を日本の農業の構造改革にどのように結びつけていくかという視点が不可欠なことと思いますが、新制度に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、優良農地の確保についてお伺いいたします。
 先般、新聞紙上で農地の壊廃の動向が報じられておりましたが、岩手県内における過去10年間の水田と畑の要因別壊廃動向についてお伺いいたします。
 昨今、耕作放棄地の年々の増加が問題となっておりますが、他方では、多額の事業費を投じて整備された水田などの農地が工場用地や宅地などに転用されるだけでなく、スプロール的転用、いわゆる虫食い状態が農地の農業上の利用、確保などの障害になっているとの指摘があります。本来、農業農村整備事業等によって整備された農地や一定規模のまとまりがある農地などの優良農地は毅然として保全されるべきであると考えますが、実態はどうなのか、今般の農地法等の改正ではそうした問題についての対策が盛り込まれているのかあわせてお伺いいたします。
 次に、地球温暖化対策と林業振興についてお伺いいたします。
 知事は、北海道東北地方知事会議において、国への緊急提言に低炭素社会の構築に向けた森林整備と林業、木材産業の振興を取り上げました。まことに時宜を得たものと存じます。環境と経済の両立は国際社会共通のテーマと言われておりますが、森林保全、育成と木材産業としての林業の成り立ちはサイクルとしてわかりやすいものであります。
 先日行われたアジア太平洋経済協力会議APEC首脳会議において、域内の経済成長を地球温暖化対策と両立させて実現するための方策として、総合的に長期にわたる成長戦略を2010年に策定することが明記されました。また、これに先立ち、鳩山首相が日本の温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減するという日本の削減目標を国際的に公約したところであります。我が国がこの国際公約を実現するため、森林、林業の果たす役割は非常に重要であります。さらに、林業が他の産業分野と結びつくことにより、新たな経済活動を創出することも期待されます。
 本県は環境王国を目指しており、しかも本州一の森林県でもあることから、岩手県が真っ先に環境と経済の両立を実現する姿を示すため森林、林業の先駆的な取り組みを進めるべきだと考えますが、知事の御認識と取り組みについてお伺いいたします。
 次に、本県の森林による二酸化炭素吸収量についてお伺いいたします。
 森林は、適切な手入れと管理を行って健全な状態を維持することで、木材生産機能はもとより、多くの公益的機能を発揮するものであります。特に、近年は地球温暖化防止対策として森林の二酸化炭素吸収機能に注目が集まり、京都議定書においても、温室効果ガス削減目標6%のうち3.8%を森林の二酸化炭素吸収機能で削減することとするなど、大きな期待がかけられているところであります。
 ただし、森林が単に存在しているだけではその機能を高度に発揮しているとは言えず、京都議定書のルールにおいても、間伐など森林の整備を行い適切に管理することで初めて二酸化炭素吸収量としてカウントできる条件となっております。また、戦後、大量に植えられた木が老齢化し、成長が鈍ることにより吸収力の低下が指摘されております。したがって、伐期にある木の製品化と植林のサイクルの確立が肝要であります。そのためには県内林業の振興が図られなければなりません。
 そこでお伺いいたします。本県では間伐の促進等に鋭意取り組んできており、岩手県の森林による二酸化炭素吸収量は着実に増加していると思いますが、現在はどのような状況となっているのかお伺いいたします。
 今後も県では引き続き森林整備の促進に取り組まれるものと思いますが、適切な管理がなされた場合に岩手県の森林が有している二酸化炭素吸収能力はどの程度のものとなるのか、その可能性と目標値についてお示し願います。
 林業の振興についてお伺いいたします。
 さまざまな施策を講じて森林整備を促進していくにしても、実際に森林整備を担うのは林業という産業であり、まずもって林業が産業として成り立つことが最も重要な課題であります。私は、林業振興施策の中でも林業の担い手の育成と機械化がぜひとも必要と考えますが、県の考え方や今後の取り組みについてお聞きします。
 また、機械化を進めるためには、これまで進めてきた林道の開設に加え、林道から枝分かれして、手入れや伐採が必要な森林内の作業道である林内路網の整備が必要と考えますが、県はどのように取り組んでいくのかお聞きいたします。
 次に、木材の有効活用についてお伺いいたします。
 最終的には、山─森林から出てきた木材を積極的に利用しなければならないわけですが、木材の利用拡大につなげるためには、木材の欠点と言われている割れ、曲がり、狂いを克服するため、木材加工の第一段階とも言うべき乾燥を適切に行って、品質の安定した乾燥材として需要者に提供することが重要と考えます。
 そこで県は、県内の木材加工業者に対し積極的に乾燥機などの導入支援を行う考えはないのか、または地域の製材所などが共同で利用できるような乾燥施設の設置を行う考えはないのかお伺いいたします。
 次に、いわての森林づくり県民税を活用した事業についてお聞きいたします。
 すべての県民が森林からさまざまな恩恵を受けており、森林は公共的な財産であるとの観点から、受益者がみんなで守っていこうという考えのもとに、岩手県では平成18年度からいわての森林づくり県民税を活用した事業を開始しました。森林の有する公益的機能の維持増進を図るため、手入れが不十分な公益林を対象に、県民の協力をいただきながら環境保全を基軸とした施策として森林整備を進めてきたわけであります。
 そこで、これまでのいわての森林づくり県民税を活用した事業の実施状況と課題についてどのようにとらえているのかお伺いいたします。
 次に、国際リニアコライダー計画、略称ILCについてお伺いいたします。
 ILC構想は、地下深度約100メートルに直線約31キロメートルから50キロメートルに及ぶトンネルの中に直線型の加速器を設置し、宇宙誕生時を再現し、物質の成り立ちを究明する壮大な国際研究所であり、我が国に世界の頭脳を結集し得るビッグプロジェクトとして、その実現に大きな期待を寄せるものであります。
 我々岩手県議会科学技術振興議員懇談会は去る10月に研究会を開催、高エネルギー加速器研究機構の吉岡正和教授をお招きして講演していただきました。講演では、最新の粒子線加速器によるがん治療が高い治療成績を上げていることなど、加速器が身近な存在であることなどを強調され、ILC構想に対する国民的理解、普及の熱意を感じました。また、スイスのジュネーブには、昨年完成した東京の山手線に匹敵する円周27キロの大型加速器を有する欧州合同素粒子原子核研究機構CERNがありますが、このCERNには数千人の職員とその家族が居住し、また、世界の物理学者、研究者が年間延べ数十万人も訪問しているとのことなどをお聞きいたしました。基礎研究分野の大型加速器の立地が、国際貢献や地域振興のみならず、次世代研究者の育成や人類の将来を担う子供たちの理科離れ対策など、大きな波及効果をもたらすものと感じたところであります。
 そして、本県の北上高地が建設候補地の一つとされる国際リニアコライダー計画については、現在、技術的な工学設計が行われ、2012年にはその設計がまとまるとのことであり、計画が具体化しつつあることをお聞きし、実現に向けて期待が高まるところであります。
 そこで、国際リニアコライダー計画の最新の動向について県としてはどのように受けとめ、本県への立地に向けどのように対応されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、岩手の理科教育強化についてお伺いいたします。
 天然資源の少ない我が国は、科学技術創造立国として努力し、科学発展の中で幾多の業績を上げ、経済大国としての道筋もつけてまいりました。また、岩手県における今後の農林水産業振興などにも科学的対応は欠かせぬ観点でありますし、ものづくり産業においてもしかりであります。環境問題や先ほどお伺いした国際リニアコライダー計画受け入れの地域風土の醸成にしても、科学のセンスを磨かねばならないものと存じます。科学技術の振興と、これを支える理科教育に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、小・中学校の理科教育についてお伺いいたします。
 我が国の教育は理科離れが進んでいると警告されております。その原因の一つとして、理科が苦手、特に実験が苦手な教師が多いと指摘されております。科学に対する興味は論理的思考を伸ばします。詰め込み教育の弊害をなくし、科学的センスの涵養には理科実験による興味をそそる教育が求められます。また、理科に興味を持つには小学校の時期が大切と言われておりますが、理科授業時間不足も指摘されております。
 そこで、岩手県の小・中学校の理科教育の実態と問題点及び課題についてお伺いいたします。本県の高等学校における理科教育についても、実態と問題点及び課題についてお伺いいたします。
 また、国が科学系人材の育成を趣旨としているスーパーサイエンスハイスクール─SSH、これに平成15年度以来、東北地方で最も長く継続して取り組んでいる岩手県立水沢高等学校の指定は平成22年度で終了いたしますが、これまでの成果をどのように評価し、今後の高校教育に生かされるのかお伺いいたします。
 理科教育の4点目ですが、岩手県に存在し、世界に誇る科学的資産の活用による理科教育の推進であります。
 二戸市には、田中館愛橘記念科学館があります。田中館愛橘博士は日本物理学界の祖と呼ばれ、また、日本の航空界発展に大きな役割を果たしたことで有名であります。奥州市には、この田中館博士の推薦により初代台長として赴任、世界の緯度観測をリードした木村栄博士以来、多くの業績を上げ、近くは月観測のかぐやで活躍した国立天文台と、天文台構内には、旧緯度観測所本館を宮沢賢治のイメージを現出しながら復元した、奥州宇宙遊学館などがあります。ほかにも、県内には海洋関係の研究機関や岩手大学、県立大学なども身近にあります。ぜひ、これらを十分に活用した理科教育、特にも理科に通じた教師育成に大いに役立ててはと考えますが、いかがでしょうか。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 亀卦川富夫議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず地域主権についてでありますが、地方分権と地域主権については、両者とも、最終的に目指すゴールは、地域の自立性、主体性を高めることにより、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するということでは基本的には同じものと考えられますが、地域主権は、地域のことは地域に住む住民が決めるという住民本位の考え方をより鮮明に打ち出し、国と地方のあり方を大きく変える改革を意図されているものと受けとめております。
 今後の地方自治体のあり方等についても、道州制を初めさまざまな議論がありますが、私は、最も重要なことは、住民により身近な基礎自治体としての市町村が自立し、地方自治の本旨が全うされるよう、真の地方分権改革が行われることであると考えており、自治体のあり方や国の仕組みについて、そういった観点に立った幅広い議論がなされ、その議論に基づいて決められるべきであると考えております。
 次に、地域主権のあり方についてでありますが、政府は、従来の中央集権型体制から脱却し、地域のことは地域に住む住民が決めることができるよう国の権限や財源を精査し、地方へ大胆に移譲するなど、国と地方の関係を抜本的に転換するとの考えを打ち出しております。こうした考えには賛同できるものであり、今後、県と市町村がそれぞれ適切に役割を分担しつつ、みずからの判断と責任によって、地域の実情に合った住民本位の行政サービスを提供できるよう、強力に改革を推進していく必要があると認識しております。
 また、これまで、国に対して、地方分権推進のための国の制度改正に関する提言などを行ってまいりましたが、議員御指摘のように、地域主権に向けた動きが出てきているところであります。引き続き、例えば地方の自由度を拡大するための義務づけ、枠づけの廃止、縮小や国と地方の協議の場の創設、さらには、税財源の移譲等について必要な働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に、市町村との協働についてでありますが、グローバル化や人口減少、少子・高齢化の進行など、本県を取り巻く社会経済環境が大きく変化する中、県、市町村それぞれが個別に対応するだけでは、解決できない課題がますます増加しています。このため、さきに公表したいわて県民計画案において、市町村を初め県民、企業やNPOなど、地域を構成するあらゆる主体がともに支え合いながら、地域資源を最大限に活用し、地域の個性や特色を生かした取り組みを展開していく地域経営の考え方を盛り込んだところであります。こうした考え方に基づく取り組みを進めていく上で、市町村は県の重要なパートナーでありますことから、県と市町村がそれぞれの役割を十分に果たしつつ、ともに課題解決に向けて取り組むことが重要と認識しており、今後、いっしょに育む希望郷いわての実現に向けて、一層、連携、協働していきたいと考えております。
 次に、鳩山政権の地方財政に対する施策にかかわる認識についてでありますが、民主党はマニフェストにおいて、地域主権を確立し地方の自主財源を大幅にふやすことを掲げ、ひもつき補助金の廃止と、一括交付金化や現行の地方交付税制度よりも、財政調整と財源保障の機能を一層強化した新たな制度の創設等に取り組むこととされています。現時点においては、制度の具体的な内容が不明でありますが、地方の実情に応じ、地方の裁量権や自由度が真に確保され、県民の生活を守る施策を十分に実施するに足りる財源が確保されることを期待しております。
 次に、地方交付税総額の復元、増額にかかわる緊急提言についてでありますが、平成22年度の予算編成は民主党政権となって初の予算編成であり、民主党マニフェストに掲げられている地域主権の確立の実現に向け、必要となる地方の財源の確保が十分に行われるよう、国に働きかけを行うため、先般、北海道東北地方知事会議においても、地方交付税総額の復元、増額を求める提案を行ったところであります。今後、国の予算編成や地方財政対策の動向を注視してまいりたいと思います。
 次に、税財源の移譲のあり方等についてでありますが、地方分権、地域主権の確立のためには、税財源の移譲を含めた地方税の充実、強化が最も重要な課題の一つであります。その実現のため、従前から、国に対する地方税財政制度改革の要請を行ってまいりました。新政権発足後においても、地方交付税総額の復元、増額にかかわる緊急提言や、一括交付金の制度設計にかかわる提言、地方税源の充実強化にかかわる提言等を実施してきたところであります。
 真に地方の自立に資する地方税体系を構築するためには、国税も含めた税制の抜本的な改正が必要になりますので、その検討のためにはある程度の時間が必要と考えられますが、民主党のマニフェストにおいては、地域主権を確立し、その第一歩として、地方の自主財源を大幅にふやすことを掲げているところであり、現政権が国民の負託を受けた期間内に一定の結論を出すことを期待しております。
 次に、事業仕分けについてでありますが、行政刷新会議による事業仕分けは、国の来年度予算編成に当たり、政府が従来の枠組みにとらわれず、行財政資源を最適に配分していくためのさまざまな検討手法の一環として行われたものと認識しております。一方で、その内容が、今後の国全体のあり方や地方財政に大きく関与するものなど、より時間をかけて結論を出すべきと思われる案件も含まれていると考えております。
 いずれ、この事業仕分け結果が最終結論ではなく、これらの議論を踏まえながら、今後、政府部内での検討がなされ、最終的な政府予算案が決定されていくものと承知しておりますが、県民生活や地方財政に大きな支障が生じることがないよう、適切な国予算の見直しが行われることを期待しております。
 岩手県版事業仕分けについてでありますが、平成14年に、構想日本の申し入れにより本県においても実験的に実施し、その手法については、本県行財政改革における事業見直しなどに活用してきているところであります。
 また、政策評価に当たっては、民間有識者からなる岩手県政策評価委員会等からさまざまな御意見をいただいており、各般の施策に反映させてきておりますが、行政刷新会議による事業仕分けのメリット、デメリットを十分に見きわめながら、本県において活用できるものがあるかどうか、研究してみたいと考えております。
 次に、事業仕分けにより地方自治体が担うべきとされている事業についてでありますが、国の事業の見直しについては、国と地方の役割分担のあり方を明確にした上で、住民に身近なものはできる限り地方へゆだねることが基本的に望ましいと考えますが、個別事業の地方への移管については、その性格を見きわめた上で、現行の補助金の総額に加え、地方債や地方交付税で措置されている地方負担相当額を確実に財源措置すること、そして、国の関与を可能な限り廃し、地方の自由裁量で実施できる仕組みとすることが不可欠であると考えます。
 事業仕分けにより地方移管などと評価された事業については、今後、国の予算編成過程に向けて、各省庁においてさらに十分議論がなされるものと考えておりますが、仮に事業が地方へ移管される場合には、ただいま申し上げた課題が解決され、地方に支障が生じないようにすべきであると考えており、今後とも、必要に応じて全国知事会を通じて提言を行うなど、適切に対応してまいりたいと思います。
 次に、本県の経済状況の認識についてでありますが、本県経済は、乗用車新車登録台数が3カ月連続で前年水準を上回るとともに、鉱工業生産指数も上昇基調で推移している一方で、新規住宅着工戸数が9カ月連続で前年水準を下回り、10月の有効求人倍率も0.35倍と、依然として低い水準となっているなど下げどまりの動きも見られるものの、厳しい状況が続いているものと認識しております。こうした中、最近の急激な円高、株安の動きも踏まえ、国においては追加経済対策を打ち出すこととしており、本県としても、こうした国の動きや本県を取り巻く経済状況を注視しながら、経済・雇用対策本部を中心に、緊急雇用創出事業等を可能な限り前倒しして取り組むなど、市町村と一体となって雇用機会のさらなる創出を図るとともに、中小企業の年末の資金需要への的確な対応や、ハローワーク等との連携による離職者等の実情に応じたきめ細かな生活支援、就業支援など、総合的な経済・雇用対策に組織を挙げて全力で取り組んでまいります。
 次に、グローバル経済の進行と地域産業政策についてでありますが、本県は、これまで、自動車関連産業と半導体関連産業を柱とする連峰型の産業集積の形成を目指し、地場企業の技術力向上や取引拡大、研究開発、ものづくり人材の育成等の施策を総合的に進めてきたところです。こうした取り組みにより、企業の開発部門の誘致、すぐれた高度技術人材の輩出、開発提案型企業の育成など、さまざまな波及効果が生まれており、本県ものづくり産業全体の技術の高度化や、すそ野の拡大につながっているところです。これらの産業は、外需型産業のため現在は厳しい状況にありますが、我が国の基幹産業として中長期的に成長が見込まれる産業であるとの認識に変わりはなく、今後も、これらの産業を柱として本県ものづくり基盤の強化に努めるとともに、これまでに蓄積された高度なものづくり技術の強みを生かし、内需型産業である医療機器関連産業などの新たな産業の創出にも取り組むこととしております。
 また、県内の各地域においては、コネクタ関連など地域の有力企業を中核としたものづくり産業や、食産業、観光産業など、地域資源活用型産業の強化の取り組みが進められているところであり、それぞれの地域がその特徴を最大限に生かしながら、地域内産業の発展を目指しているところです。
 今後も、こうした取り組みを複合的に進めることにより、さまざまな経済変動にも左右されないような、足腰が強く厚みのある地域産業の形成を進めてまいります。
 次に、中小企業振興基本条例についてでありますが、全国では、福島県や千葉県など10県が条例を制定しており、その大半が中小企業振興の基本的な理念や関係機関の役割などを主たる内容としたものにとどまっており、具体的な振興施策については、既存の総合計画や事業計画に基づき実施している例が多かったところであります。
 中小企業は、本県の経済活動や地域社会を支える重要な役割を担っていますことから、これまでも、経営基盤の強化を図るため、人材育成、資金供給、情報提供を柱とした取り組みを展開してきており、具体的には、経済環境の変化に伴って直面する課題に対応するため、ものづくり産業、食産業、観光産業など、個別の分野ごとに、それぞれの振興施策をきめ細やかに実行してきたところであります。
 今後においても、中小企業の多様なニーズに対応した具体的で実効性のある施策の展開を図っていくため、必ずしも条例という形にはとらわれず、新たに策定するいわて県民計画に盛り込んだ分野別の政策項目に取り組んでまいりたいと思います。
 今後策定されようとしている中小企業憲章については、本県の中小企業の現状や振興施策が反映されるよう、国に対し、情報発信や提言を行っていきたいと考えております。
 次に、戸別所得補償制度と岩手の農業についてでありますが、戸別所得補償制度は、販売農家を対象に一定の所得を補償するセーフティネットであり、意欲ある農業者が経営規模の拡大や6次産業化による農産物の高付加価値化など、経営の高度化に安心して取り組むことができる制度となることを期待しております。そのため、国の制度設計の状況を注視しながら、本県農業にとってプラスとなるよう、さまざまな機会をとらえて国に対して提案するとともに、今後、新たな制度のもとにおいて、農業者の経営努力が報われ、将来展望を持って農業に取り組むことができるよう、生産から加工、流通に至る総合的な支援策を講じてまいります。
 次に、環境と経済の両立についてでありますが、環境と経済が両立する持続可能な森林の利用は、森林資源の経済的利用が進められることにより、山元に十分な経済的還元が行われ、行き届いた森林の管理により、多様な公益的機能が高度に発揮されるときに初めて可能になると考えており、森林造成への支援、担い手の育成、木材需要の拡大など、各般の林業施策を講じてきているところであります。このような中、地球温暖化防止や林業の振興につながる新たな施策として、県では、二酸化炭素排出量取引による環境ビジネスの創出を検討しており、産学官による研究会を設置するとともに、取引等に意欲的な事業体に対する技術的助言を行っているところであります。
 こうした新たな環境ビジネスの創出も含め、豊かな森林資源を活用した施策の展開を通じて、森林の経済的価値をさらに高め、将来にわたる森林資源の持続的な利用により、環境と経済の両立に努めたいと考えております。
 次に、国際リニアコライダー計画の動向と対応についてでありますが、現在国際委員会のもとで行われている技術設計の中間報告が来年の半ばに公表され、2012年末には、その最終報告が行われる見込みです。その後、施設の設置国の選定などの具体的な手続に入るものと言われております。
 本県の北上高地も有力な建設候補地と言われていますことから、県としては、今年度実施している建設に必要な地質に関する調査結果を関係機関に提供するとともに、今後においても必要な資料を提供するなど、積極的に協力したいと考えております。
 また、いわて県民計画においては、未来を切り拓く六つの構想の一つに、次世代技術創造いわて構想を掲げ、外国人研究者の受け入れ態勢の確立などを目指した国際学術支援エリアを形成することが掲げられておりますが、この構想を推進する観点からも、東北加速器基礎科学研究会など関係機関とも連携を深めながら、国際学術研究機関を受け入れるための環境整備と機運の醸成に努めてまいります。
 次に、科学技術の振興と理科教育の強化についてでありますが、岩手の将来を担う成長力のある産業を育成し、県民生活の向上を図っていくためには、高度なものづくり基盤技術や大学等の技術資源、固有の地域資源など、本県の産業ポテンシャルを生かした科学技術の振興を持続的に進めていくことが重要であります。このためには、地域の研究開発力や技術力の強化はもとより、これを担う人材の育成が不可欠と考えていますことから、産学官の連携のもと、県民や青少年を対象とした科学技術に関する講演やセミナー、展示会の開催など、さまざまな普及啓発を進めながら、創造的な科学技術振興の風土の醸成を図っているところであります。
 また、風土の醸成を進めるに当たっては、幼少期からの理科教育が肝要と考えており、小・中学校においては、教室の授業はもとより、自然観察や理科実験に触れさせ、興味や関心を喚起し、子供たちに知的好奇心を芽生えさせるなどの工夫を尽くしながら、教育の充実を図ってまいりたいと考えております。
 答弁が前後して恐縮でありますが、国と地方の協議の場のあり方についてでありますが、国と地方の協議の場については、地方自治体の行政に重要な影響を及ぼす国の施策の企画立案に際して、国と地方があらかじめ協議、調整を行い、双方が緊密な協力関係を構築することにより、国と地方の共通目的である国民福祉の増進を図っていくことを目的として、現在、具体的な制度設計が行われているところであります。
 国と地方は、その役割分担のあり方について、双方がパートナーとして十分に議論をし、合意形成を図り、住民の生活を守り、福祉を向上させる政策を協調して進めるという関係に移行していくべきであり、この協議の場が法制化されて、国と地方が文字どおり対等、協力の関係となり、地域主権改革が進展することを期待しております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔総合政策部長高前田寿幸君登壇〕
〇総合政策部長(高前田寿幸君) 事業仕分けの本県への影響等についてでございますが、仕分けの対象となった事業の中には、農道整備事業や地域科学技術振興・産学官連携事業等が事業廃止、医師確保対策等が予算要求を半減と判定されるなど、仕分け結果がそのまま来年度予算に反映されれば、本県施策の推進に影響があると見込まれる事業がありますことから、北海道東北地方知事会で協議し、事業仕分けについての緊急アピールを取りまとめ、11月25日に民主党に提出したほか、11月30日には、本県を含む関係33道府県で、地域科学技術振興・産学官連携事業の継続を求める緊急共同声明を発表するなど、関係道府県と協調しながら提言活動等を行っているところでございます。
 一方で、今回の事業仕分けの判定結果が最終結論ではなく、今後政府内部でさらに検討がなされ、最終的な政府予算案が決定されていくものと承知しており、県民生活や地方財政に大きな支障が生じることがないよう、適切に国の予算編成が行われることを期待しているところでございます。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 来年度の予算編成のポイントとスケジュールについてでございますが、平成22年度当初予算は、現下の厳しい地域経済、雇用情勢に的確に対応し、県民の仕事や暮らしを守るための県内経済の活性化、雇用の維持、創出など必要な事業を盛り込むとともに、いわて県民計画案に基づく各種の施策を着実に推進していく予算として編成してまいる考えであります。
 この予算の編成スケジュールについてでありますが、県といたしましては、国の予算編成の動向を注視しつつ、通常のスケジュールでの予算編成作業を進めているところでございます。
 今後、政府の新年度予算案において、県に関係する制度の見直し等が行われた場合におきましては、適時適切に予算編成作業を通じ、反映してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 中小企業金融円滑化法についてでありますが、この法律は、中小企業者の借入金に関し、金融機関は、借り手から申し込みがあった場合には、できる限り柔軟に貸し付け条件の変更等を行うよう努めるとともに、この実効性を高めるため、金融庁がその取り組み状況を重点的に検査、監督することを柱としたものであります。この措置により、債務の返済猶予や金利減免などが行われ、中小企業における資金繰りに余裕が生まれるとともに、業績回復に向けた中小企業の取り組みを支援する効果が期待されるものであります。
 今後、貸し付け条件の変更に当たっての具体的な運用などについて情報収集を行いながら、金融機関に対しては中小企業の実情に応じた対応がなされるよう、要請してまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長加藤主税君登壇〕
〇地域振興部長(加藤主税君) いわて県民計画地域編におきます地域産業の将来像についてでありますが、地域産業の振興を図るためには、全県的な視野からの産業政策の方向を踏まえつつ、各地域が置かれている状況や地域資源の特性をしっかりととらえ、取り組むことが重要であると考えております。こうした考え方に立ちまして、長期ビジョンにおきまして、4広域振興圏ごとに目指す将来像を定めており、アクションプラン地域編におきましては、産業振興を中心に、これらを実現するための具体的な推進方策を示しているところでございます。
 圏域ごとの特徴的な施策を申し上げますと、例えば県央広域振興圏では、IT産業の集積に伴う大学等との産学官連携の取り組み、県南広域振興圏では、自動車、半導体産業に加え、医療機器関連産業等世界に通用するものづくり基盤の構築、沿岸広域振興圏では、産学官等の連携による海洋資源等の地域資源を活用した取り組み、県北広域振興圏では、ヤマブドウ、雑穀、短角牛等につきましての食のブランド確立と食産業クラスター形成の取り組みなどといったことを行うこととしているところでございます。
 各圏域におきましては、それぞれの圏域の特性を生かした産業の振興が図られるよう、県民、企業、市町村としっかりと連携して取り組んでまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) 農業と食産業の進展についてのお尋ねでありますが、まず、農商工連携等の施策の方向性についてでありますが、本県農林水産物を活用した食産業の展開を図るため、農商工連携ファンドや民間ノウハウ活用により、高付加価値化や販路拡大などを積極的に進めてきたところであります。その結果、製パン業者と連携した米の契約栽培、ヤマブドウを活用した産業クラスターの成形など、地域資源を活用した取り組みの成果が上がってきたところであります。
 新しい長期計画でも、食産業の振興に向け、地域資源を活用した新商品開発、農商工連携による高付加価値化、新ビジネスの展開等に取り組むこととしております。
 今後も、市町村や関係団体等と連携し、新たな地域ビジネスの展開を促進するほか、6次産業ネットワークの設置などにより取り組みを県内各地に拡大させ、生産者と企業の連携を積極的に支援してまいります。
 次に、県産野菜の供給に係る課題等についてでありますが、本県の野菜を県内の食料品製造業者へ供給することは、産地にとっては契約による安定販売、食料品製造業者にとっては地元野菜の確実な確保など、双方にとって有益であり、積極的に推進すべきものと考えております。しかしながら、こうした取り組みの拡大に当たっては、食料品製造業者の求める品質での生産や供給ロットの確保などの課題があります。このため、県では、学校給食用冷凍ホウレンソウの生産や加工用トマトの大規模生産などの業務用野菜のビジネスモデルの構築を支援しており、今後とも、これらモデルの成果を県内に波及させながら、加工・業務用野菜の振興を図ってまいります。
 次に、食料経済振興地域の検討についてでありますが、北東北3県は、広大な農地や豊かな漁場に恵まれ、食料自給率も100%を超えるなど、農林水産業では国内でもトップクラスのポテンシャルを持つ一方、担い手の減少、高齢化や農地などの経営資源の減少など、多くの課題を抱えているところであります。今回のサミットでは、こうした課題を解決し、北東北3県が我が国の食料供給基地として発展していくため、農林水産業等の振興に資する新たな制度の創設について検討することを合意したところであります。
 今後は、この制度の実現に向け、国のIT産業特区の特例措置等を参考に、農林漁業経営の高度化を図るための交付金等を優先的に配分する制度や、企業の農業参入や食品関連企業の集積を促進するための税制面での優遇措置などについて各県と検討を進め、国に提案していくこととしております。
 次に、優良農地の確保についてのお尋ねであります。
 まず、農地の宅地等への転用などによる壊廃の要因についてでありますが、平成20年までの過去10年間の本県の壊廃面積は年平均で約1、150ヘクタール、内訳は、田が約320ヘクタール、畑が約830ヘクタールで、年によって変動しておりますが、減少傾向にあります。
 その主な要因については、田では宅地等への転用が全体の約38%を占めておりますが、平成14年をピークに減少傾向にあります。工場用地への転用は年によって大きく変動しておりますが、全体の約8%を占めており、平成14年をピークに減少しております。畑では耕作放棄が約74%を占めておりますが、平成12年をピークに減少してきております。宅地等や工場用地への転用はそれぞれ約10%、約2%となっておりますが、いずれも減少傾向にあります。
 次に、農地転用の実態についてでありますが、農地転用面積を平成20年までの過去10年間で見ますと、年平均約370ヘクタール、このうち第1種農地、いわゆる優良農地は約10ヘクタールであり、転用面積全体に占める割合は約3%となっております。
 次に、農地法等の改正についてでありますが、これまで農地法による許可が不要であった自治体による公共施設への転用について許可が必要とされるなど、転用規制が厳格化されたところであります。また、農用地区域の農地を転用目的で除外する場合の条件に、新たに、担い手に対する農用地の利用集積に支障を及ぼすおそれがない場合に限り除外できる旨の条文が追加され、農用地区域内の開発行為の許可の厳格化が図られたところであります。
 県としては、今後とも市町村や農業委員会等と連携しながら、農地法等の改正の趣旨の徹底とその的確な運用を通じ、優良農地の確保に努めてまいります。
 次に、二酸化炭素吸収量の現在の状況でありますが、国の試算によりますと、平成19年度の本県の森林吸収量は国有林と民有林を合わせて約198万CO2トンとなっており、国が初めて試算値を公表した平成17年度に比べて58万CO2トン、41%増加し、本県の地球温暖化対策地域推進計画で期待される森林吸収量約82万CO2トンの2.4倍となっております。
 次に、二酸化炭素吸収能力の可能性と目標値についてでありますが、県では、民有林についての岩手県森林吸収量確保推進計画を策定しており、平成24年度までに森林吸収量に算入可能な森林を9万4、000ヘクタール拡大することを目標に取り組んでおります。この目標が達成されると本県民有林分についての森林吸収量は約152万3、000CO2トン見込まれ、民有林分については、先ほどの198万CO2トンにさらに上積みされるものであります。本県は豊富な森林資源を有しており、今後とも森林の適正な管理によって地球温暖化対策に貢献してまいりたいと考えております。
 次に、林業振興の取り組みについてでありますが、まず、担い手育成については、森林資源が伐採時期を迎えつつあり、効率的な木材生産を実施できる担い手の育成が重要と考えております。そのため、所有規模の小さい森林を団地化し、生産性の高い間伐を行う森林組合等の地域けん引型林業経営体を育成するとともに、専門知識と技術を持った中核的林業従事者を育成してまいります。
 また、機械化については、木材を低コストで生産するため、伐採など複数の工程を効率的に処理する高性能林業機械の導入が必要と考えております。現在、その保有台数は全国第5位でありますが、さらに積極的に導入し、県内全域に定着を図ってまいります。
 次に、林内路網については低コスト林業に不可欠なインフラであり、幹線林道から作業路に至る路網ネットワークを早急に整備することとしており、森林整備加速化・林業再生基金事業では、今後3年間に9万4、000メートルの作業路の整備を予定しているところであります。
 次に、木材乾燥機等の導入支援についてでありますが、平成19年の建築基準法の改正等により、これまで以上に品質や性能の確かな乾燥材等の付加価値の高い木材製品の生産と安定供給が求められており、県産材の活用を進めるために乾燥機の導入に対する支援が重要と認識しております。
 このため県では、基金事業などを活用した木材乾燥施設の整備等への支援、乾燥材の生産に向けた技術指導や研修会の開催などにより乾燥材の供給体制の強化に努めているところであります。
 また、地域の製材所等が木材乾燥施設を共同で設置し、利用することについては国の交付金事業での支援が可能でありますが、その場合には効率性や採算性を十分検討する必要があることから、製材関係者のニーズを把握しながら、その主体的な取り組みを支援してまいります。
 次に、いわての森林づくり県民税を活用した事業についてでありますが、事業実施状況につきましては、管理不十分な森林を公益的機能の高い針広混交林に誘導するいわて環境の森整備事業は、平成18年度からの3カ年で全体計画7、500ヘクタールの約半分に当たる森林を確保し、おおむね計画どおりの整備を行っているところであります。また、地域住民等の活動を支援する県民参加の森林づくり促進事業や小・中学生等を対象としたいわて森のゼミナール推進事業についても多くの県民の御参加をいただいているところであります。
 今後も県民の御理解と御協力をいただきながら、管理が不十分な森林の整備の推進等により森林環境の保全に努めてまいりますが、課題としては、当初計画どおりの整備を行った場合でも、公益上重要で特に緊急に整備が必要とされる森林2万6、000ヘクタールの約3割程度の整備にとどまることから、継続して森林整備に取り組む必要があると考えているところであります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、小・中学校の理科教育についてでありますが、今年度実施しました学習定着度状況調査の質問紙調査によりますと、理科が好きと回答した中学校2年生の生徒は31%であり、他の教科と比較して低くない状況にありますが、教員の実態調査によりますと、小学校教員のおよそ6割の教員が理科の指導が不得意、どちらかといえば不得意と回答しております。一方、中学校では、観察、実験などを通した直接的な体験を生かした授業が少なくなってきていると認識しております。
 これらのことから、子供たちの理科に対する興味、関心を高め、より実感を伴った理解を得るためには、観察、実験に係る指導力の向上や直接体験を通した授業の展開などの工夫が必要であると認識しております。
 次に、高等学校の理科教育についてでありますが、高校においては科目ごとの教員の研究会が活発に行われており、授業に関する研究や情報交換がなされているものの、実験、観察を取り入れた授業が十分になされていない実態があることから、科学的な思考力や表現力を育成するために、探求的な学習活動を一層充実することが課題であると認識しております。
 スーパーサイエンスハイスクールについてでありますが、水沢高校は、平成15年度からの取り組みにより、生徒においては科学への興味、関心の向上、科学的な研究態度と効果的なプレゼンテーション能力の育成などの成果が得られており、担当教員の指導力も向上してきていると認識しております。また、県内の理科、数学に関する研究大会で生徒自身が質の高い研究成果を発表することにより、他校の生徒に大きな刺激を与えております。また、他校の教員はそういった場を通じて指導のノウハウを学んでおり、スーパーサイエンスハイスクールは県内の理数教育の牽引役を果たしていると認識しております。
 水沢高校は、これまでの研究の成果を踏まえ、平成23年度以降の指定申請を行う意向があることから、今後も学校を支援してまいりたいと考えております。
 次に、科学的資産活用による理科教育の推進についてでありますが、新学習指導要領において、小学校、中学校とも博物館や科学学習センターなどと連携、協力を図りながら、それらを積極的に活用するように配慮することが挙げられており、施設や設備の活用に際しては指導計画に位置づけると表記されております。このことから、今後も奥州宇宙遊学館など、理科教育に関係する機関を理科の授業や教員の研修の場として活用してまいりたいと考えております。
〇15番(亀卦川富夫君) 御答弁ありがとうございました。
 数点にわたりまして再質問させていただきます。
 まず、地域主権でございます。知事からは、地域主権についての真髄あるいはそれの展開等について御所見を伺ったところであります。
 そこで、全国知事会長麻生福岡県知事は、地域主権基本法というものの制定を求めているというような報道がなされております。神奈川県でも、知事が現在の地方自治法を廃止して新しく地方自治基本法を制定するということで、これは県庁内だと思うんですがプロジェクトチームを発足させた、このような動きがあります。いずれ地域主権のこの議論の中で、現行の地方自治法の改正などにまで踏み込むというようなことだろうと思いますが、知事の御認識をお伺いしたいと思います。
 それから、地域主権取り組みの中で、国の出先機関の統廃合についてどのような御所見をお持ちなのかお伺いいたしたいと思います。
 地域主権ということで、知事は、市町村が県の重要なパートナーだということの御認識を示していただきました。ぜひそのようなことで進めていただきたいと思うわけですが、これまでややもすると、県立病院の無床化を進める過程の中ではどうも拙速ということで、対市町村との関係について、本当にパートナーとしての取り組みがあったのかと疑問視する部分もあろうかと思います。こういったことをさまざま踏まえながら、新しい地域主権という観点でぜひ県内市町村としっかりこれは取り組んでいきたいと思いますが、そういったところをもう一度お願いしたいと思っております。
 それから、事業仕分けでございますが、岩手県版について研究してみたいということでありますが、今、圧倒的に国民は予算の組み立てに関する、隠れているといいますか、なかなか国民あるいは県民レベルの目に、あるいは耳に入ってこなかったものがあれだけ露出度が高く出てくるということに今、喝采を呼んでいるというようなところもあろうかと思います。こういった観点に立って、岩手県版の事業仕分けというものをどういうふうに進めていくのか、これは知事のお考え、研究するということも含めて、もう少し詳しくこの辺の事情をお聞きしたいと思います。
 それから、財源の問題に触れられましたが、地域主権ということでの財源の求め方と同時に、岩手県は大変今、財政難であります。特に平成23年度には700億円とも言われる収支ギャップというものが見込まれているわけでありますが、私は、やはり地域主権という立場に立てば、今からこういったものはしっかり国と協議をしていくべきだろうと、こういうふうな大きな具体的なものを岩手県では抱えているんだろうと思いますが、この辺の認識についてお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、地方自治法改正などについてでありますが、政府が掲げています地域主権改革は、国と地方のあり方を大きく変える根本的な問題であります。具体化をしていくに当たっては、その地域主権の理念や主要な政策の内容をきちんと固めていくことが重要で、その過程で、必要に応じて地方自治法の改正などを検討することもあり得るのではないかと思います。
 国の出先の統廃合についてでありますけれども、やはり無駄を排すという原則に従って見直しが必要であり、かつまた国と地方の役割分担ということをしっかりしていかなければならないと思います。
 政策展開にかかわる市町村との関係についてでありますが、本質問に対する答弁の中でも申し上げましたように、住民に一番身近な基礎自治体である市町村を県としてもパートナーとして重視していく考えであり、この考え方は地域主権という考え方ともつながっていると思います。
 県政の重要課題について、県が市町村と認識を共有しながら、県と市町村がそれぞれの役割を十分果たしつつ、相互に連携して施策を進めていくことが必要であります。これまでも、私が地域に赴いて説明する機会を設けたり、また、市町村長等市町村関係者との懇談、さまざまな地域説明会やパブリックコメントなどを通じまして共通理解が得られるよう努めてきております。今後とも市町村との間で問題意識を共有しながら、ともに協力して課題の解決に当たることができるよう十分意を配してまいりたいと思います。
 事業仕分けについては、ワークショップ型の政策評価ということで、かつて岩手県でも実際やってみたことがあるわけでありますけれども、現在の岩手においてどのような形での導入があり得るのかしっかり検討してまいりたいと思います。
〇15番(亀卦川富夫君) 市町村との関係でありますが、ただいまもこれまでも市町村に赴いて、予算要望など市町村から県がお聞きするということで、知事はそういうところに出席しているわけでありますが、そういう席で市町村の要望を聞くということと同時に、今のお話の問題意識の共有といいますか、パートナーとしてそういう議論の場になっているのかどうか、ちょっとこの辺が私非常に疑問に思うんです。市町村としっかりした地域主権に基づくパートナーシップとなれば、そういう場でむしろ問題点あるいは地域の課題等について県が共有するというような議論の場で、議論といいますか、いろいろな懇談の場であって、予算の要望を聞くというのはまた少し違った観点でやるべきではないかと、このように思っております。現在、そういった意味で市町村に赴いてのいろいろな話し合い、こういったものを変えていく必要があるのではないかと私は思っておりますが、この辺のとらえ方についてもう一度お伺いしたいと思います。
 それから、事業仕分けで、これからいわて県民計画というものがアクションプラン等に基づいてやっていくわけでありますが、これらに対して、まだこれは決定したものでない、今後だというお話でありますが、このアクションプランについて、ただいまの仕分けについて影響があるのかどうかという観点で、それを国に対してどのように要望していくのか、具体的にわかっているものがあればお示し願いたいと思います。
 その上に立ちまして、農業と食産業の進展についてお伺いいたしますが、北海道、北東北の知事会議において、北日本の食料基地ということでありますが、先ほどは税制面あるいは財政面というようなものがいろいろ施策の今後の研究課題となっておりますが、具体的にもう少し何かそういった施策の拡大を、むしろ規模を拡大することによって生ずるような課題があるのか、今後の展望についてお伺いしておきたいと思います。特に進め方について、具体的にこれから3県でどういうふうな協議の場をつくってどういうふうな形で進めていくのか、あるいはそこに農業者なりがどういう形で入っていくのかお伺いできればと思います。
 次に、林業についてでありますが、森林の整備に関しましてはさまざま県民税などを使ってやっているということはわかるのでありますが、進める中で森林の所有者がはっきりしていないということが問題であるのではないかと思います。現在の森林の所有者、木材価格の低迷もあって林業経営への関心が比較的薄いのではないか、ここをどういうふうに高めていくかということがまず一つ問題だろうと思います。
 自分の山の境界がよくわからないという人も多いのではないかと聞いております。このようなケースも森林整備が進まない要因になると思いますが、県ではこのような山の境界がわからない場合にどのような対策を今講じているのかお伺いいたしたいと思います。
 さらに、所有者がどうもまだはっきりしていないというような点があるのか。農地では不在地主というようなことになるんでしょうか、山ではどういう言葉を使うんでしょうか、こういった方々が県外に結構おられるのではないかと思います。そういった方の連絡等、今の森林を整備していくために、どうしても所有者との話し合いという中でその辺の問題についてはどのような対策を講じられているのかお伺いしたいと思います。
 それから、先ほど理科教育についてお伺いいたしましたが、教育長は問題、課題意識をお持ちのようでございます。具体的にこういったことを来年度の予算措置等を含めながら、現場においてどういうふうな進め方をするのかお伺いいたしたいと思います。
 今度の事業仕分けの中で理科の支援員が廃止になるというようなこともあります。額的にはマイナーなものだと思いますけれども、これは岩手県にとって現場としては大切な事業ではなかったかと思います。
 さっき博物館の活用などというお話がありましたが、例えば奥州宇宙遊学館などにおいてはしっかりしたNPOがおりまして、いろいろな活動をしております。場合によってはそういったNPO等に理科教育に対する応援を頼むとか、そういった具体的な施策というものを考えてしかるべきだろうと思いますが、問題意識はお持ちのようでございますので、具体的に来年度から進める個々の問題についての進め方について、今後教育委員会としてどのようにこれを進めようとしているのかお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県と市町村との関係についての取り進め方の見直しについてでありますけれども、県と市町村はそれぞれの担当について事務レベルで、例えば農林水産業振興から観光振興あるいはインフルエンザ対策でありますとか、また雪かきの段取りなどなど大変濃密な連携、協力体制を持っております。県では来年度広域振興局体制をスタートさせるわけでありますけれども、そうした県と市町村の濃密な連携、協力関係というものを広域振興局体制を軸にしながら、さらに強化、発展させてまいりたいと思っております。
〇総合政策部長(高前田寿幸君) 事業仕分けがアクションプランに及ぼす影響についてでございますが、事業仕分けの結果を見ますと、例えば農道整備事業や里山エリア再生交付金が廃止とされまして、地上デジタル放送への円滑な移行のための環境整備事業や携帯電話エリア等整備事業が予算削減などとされたところでございますが、この事業の仕分けの結果が最終結論となるものではなくて、今後、政府内でさらに検討が行われ、最終的な政府予算案が決定されていくものと承知しております。
 このようなことから、現段階におきましては、今回の事業仕分けの結果がアクションプランに及ぼす影響を具体的にお示しすることは困難な状況でございます。今後、国の来年度予算編成の動向等を踏まえまして、その影響を見きわめた上でアクションプランの最終的な取りまとめを行ってまいりたいと考えております。
 なお、こうした影響が懸念されますことから、先ほども御答弁申し上げましたとおり、北海道東北地方知事会で協議をして緊急アピールを取りまとめ11月25日に提出したほか、関係の33道府県で地域科学技術振興・産学官連携事業の継続を求める緊急共同声明、こういったようなものを発表して関係道府県と連携しながら提言活動を行っているところでございます。
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、北海道、北東北での農業と食産業の進展についての今後の施策についてでございますが、先ほど御答弁申し上げました農林水産業に対する財政上、税制上の特例措置以外で言いますと、生産性や品質を高め、市場競争力を強化するための技術開発が非常に重要な要素になるものと考えております。
 こうした観点から、今回のサミットにおきましては、4道県の持つ研究資源を有効に活用した新たな技術や新品種の開発などに取り組むことで合意しており、国等からの研究資金の導入なども今後図りながら取り組みを進めていきたいと考えております。
 また、今後は、こうした取り組み以外にも食料経済振興地域が充実した内容となりますよう、各県と連携して、さまざまな視点から国に政策提案していきたいと考えております。
 次に、所有者不明あるいは不在地主の森林の状況等でございますが、所有者不明の森林につきましては統計的なデータはないものの、いろいろな事業を推進する上で、例えば松くい虫防除の例でいいますと、さまざまな地域で被害木が発生いたしますが、この所有者を特定して駆除しているところでございますが、ほとんどの場合、所有者が確認できている状況にございます。
 また、不在地主の森林につきましては、2005年の農林業センサスによりますと、面積が約5万2、000ヘクタール、私有林の9%となっております。ただ、これは全国平均が24%でございまして、不在地主の森林につきましては本県の場合は少ないものと認識しております。
 次に、山の境界がわからない場合の対策でございますが、森林の境界の明確化は全国的な課題でありまして、今年度、国の助成制度が創設され、本県でも森林組合等が約420ヘクタールの境界の測量作業等に取り組んでいるところであります。
 県としましても、森林整備を促進するためには境界の明確化が不可欠と認識しておりまして、市町村、森林組合と連携して積極的に促進してまいります。
〇教育長(法貴敬君) 理科教育の課題解決のための具体的な取り組みということでございますけれども、小学校においては、小学校教員への観察、実験に係る器具の使い方あるいは操作研修を行う一方で、中学校理科教員に対しては授業力実践力向上研修ということを行っておりまして、そのところで理科に関する専門性の向上や理科の授業力向上を図ってまいりたいと考えています。
 また、国の平成22年度の予算要求の中で、今回の指導要領の改訂に伴って、時数がふえている部分について教員の増加みたいなところの概算要求が出ていますので、そういう予算要求のところを注視して適切に対応してまいりたいというふうに考えています。
〇15番(亀卦川富夫君) 最後に、理科教育についてもう少しお伺いしたいと思います。
 まず、よく聞き取れなかった点もあったものですからお伺いしますが、改めて申し上げますが、理科教育の重要さということは御理解いただいたということでありますが、教育を進める上で、特に小学校に関しましては、理科の専門教師というのはいないわけですね。そういった意味で、小・中学校の理科を担当する先生方を養成する意味で、先ほど申し上げました博物館等、例えば奥州宇宙遊学館に、ある一定の時間、それを指導する先生、そういった方々を養成するというんでしょうか、そこで理科的なセンスを磨いていただいて理科教育に臨んでいただくというふうな言い方をしたほうがいいかもしれませんが、いずれ、理科の担当する先生が、実験もできるあるいは理科に興味を持つ、そういうところから始めなければ、さっきの60%苦手だといいますか、理科について不得意だと、そういう先生方がいらっしゃる。したがって、その先生方をしっかりした、理科に興味を持つ方向性において初めて生徒にも自信を持って向き合えるのではないかと。そういう意味で、指導する先生方をまず育成し、その先生方によってさらに教師の能力をアップさせると、そういう場として博物館とか、あるいはそういうNPOとの触れ合いを持っていったほうがいいのではないかと。直接生徒さん方がそういうところで触れ合うことも肝要と思いますが、理科教育に当たって、担当する先生方の能力アップという意味でまず一つはお伺いしたわけでありますので、その点をひとつ踏まえた御回答をいただければと思います。
 さらに、最後になりました理科支援員の配置については、新たな予算措置に向かってというような今お話にお伺いしたわけでありますが、いずれ、廃止になりますとそういった支援員もいなくなる、その手薄な部分をどう埋めていくか、そういったことをお伺いしたいということでございますので、よろしく御回答をお願いします。
〇教育長(法貴敬君) 先ほどもお答えいたしましたけれども、博物館あるいは科学学習センターなどを十分に使うこと、使用するということにされておりますので、そのときの御答弁で、教員の研修の場としても活用してまいりたいというふうにお答えしております。
 それから、理科の支援員でございますけれども、理科支援員が廃止ということで事業仕分けでなっているわけですけれども、これは必要性は否定していないんですけれども、支援員の配置のやり方が、例えば独立行政法人みたいなのを通してやっているというふうな、やり方とか内容を少し見直すべきじゃないかということで廃止というふうにされていますけれども、いずれ、総合政策部長がお答えしているように、事業仕分けというのはその場で決まっているわけでございませんので、今後の国の予算の要求の状況などを十分注視しながら、適切に対応してまいりたいというふうに考えています。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、千葉康一郎君。
   〔28番千葉康一郎君登壇〕(拍手)

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