平成21年12月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(田村誠君) 政和・社民クラブの田村誠でございます。
 質問に先立ち、一言お礼を申し上げます。
 11月26日に、在職10年として全国議長会より大変名誉ある賞を賜ることができました。これは、ひとえに先輩、同僚議員を初め、達増知事、県当局、そして多くの県民の方々の御支援、御指導のおかげであり、心より感謝申し上げます。今後も、県勢発展のため、微力ではございますが、精いっぱいの努力をしてまいりますので、なお一層の御指導、御支援をお願い申し上げます。
 それでは、通告に従い、順次質問を行いますので、当局の誠意ある御答弁をお願いいたします。
 歴史的政権交代があり、日本が、無血革命とも言われるほどに新しい政治体制の構築に向けて、まさに産みの苦しみのような政治状況が続いております。
 このような中、民主党籍を持つ達増知事は、全国の知事の中でも、その言動に注目を浴びており、全国知事会の戦略会議や総務省の顧問に発令されるなど、知事の立ち居振る舞いは、これまでにも増して衆目が集まるものとなっております。
 知事は、県政を進めるに当たっての基本姿勢として、これまで、知ることを基軸とし、草の根のコミュニティ等にみずから足を運び、県民の声に耳を傾け、その声を施策に生かすというその姿勢には、敬意を表するものであります。
 しかしながら、県民の声を生かすというその姿勢とは裏腹に、県立病院の再編等については、県民との意識共有の熟度がないままに短兵急に事が進められ、県政に対するいかばかりかの不信感が生じていることも事実ではないかと思います。
 財政が逼迫し、知事が言う我慢配分の民主主義、あるいは熟議の民主主義の時代になっているとしても、県政は県民とともに歩んでいくことが重要であり、県民との意識を共有していく熟度が求められるものと考えております。
 施策の熟度を上げるためには、策定段階から県民の参加を求め、住民参加型の施策を策定してこそ、我慢や負担を受け入れる意識も醸成されていくものと考えております。新しいいわて県民計画を今後進めるに当たって、知事は、県民との意識の共有をどのように図り、施策の熟度を高めるためにどのような方策をお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、今後の財政運営についてお伺いいたします。
 県の予算編成方針が先ごろ発表され、国の平成22年度予算については、全容は明らかになっていないところですが、国の総予算207兆円を全面的に組みかえ、新しい優先順位に基づいて、子育て、教育、年金、地域主権、雇用、経済に税金を集中するなど、歳入歳出両面にわたる制度改革や徹底した見直し等が行われる見込みとの認識のもと、本県においては、低調に推移する県民所得、回復がおくれている雇用情勢、若者を中心とする人口流失や地域の医師不足を初め、私たちの暮らしは、さまざまな危機に直面しようとしており、このような情勢のもと、平成22年度予算は、安定的な財政運営を行うため、中期的な財政収支の見通しを踏まえつつ、より踏み込んだ歳入確保、歳出削減の実行など不断の行財政改革を進めながら、希望郷いわての実現を目指し新たに策定を進めている、いわて県民計画を着実に推進する予算として編成するとしております。
 中期財政見通しを見ると、平成22年度はどうにか収支は均衡するものの、平成23年度以降は、毎年700億円の収支ギャップが生じ財政破綻が目前に迫っている状況にあり、希望郷いわての実現に向けた県民計画の推進のための財政的裏づけがおぼつかない状況にあります。
 この収支ギャップの主な要因をどのようにとらえておられるのか、また、そのギャップをどのようにして解消しながら、今後、安定的な財政運営を図ろうとしているのか、さらに、知事は、知事が認識しているさまざまな危機をどのようにして乗り越えていくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、政策評価結果と施策の方向性についてお伺いいたします。
 平成21年9月に発表された主要施策の成果に関する説明書によると、いわて希望創造プランの達成状況は、各政策の目指す姿を示した55の指標から見ると、約6割がおおむね達成以上となり、また、県の具体の取り組みである具体的な推進方策の177の指標から見ると、約7割がおおむね達成以上となっています。
 平成20年度末時点の達成状況は、目指す姿と具体的な推進方策のいずれにおいても6割から7割の範囲でおおむね達成以上となっており、いわて希望創造プランは、一部にややおくれがあるものの、全体としておおむね着実に進んでいるとされております。
 岩手の最大の危機は、経済が落ち込んだままの状態が続き県民所得がなかなか回復しないことであり、一刻も早く経済を回復させながら県民所得を向上させていくため、希望創造プランを策定し各般の施策が推し進められているものと考えております。
 しかしながら、平成19年度の県民経済計算を見ると、県内総生産は名目4兆5、444億円、実質5兆288億円、経済成長率は、名目マイナス0.3%、実質0.7%、1人当たりの県民所得は238万3、000円となっており、目標である260万円の回復までは、道のりがなお遠く、達成は困難な状況にあります。
 また、医師確保の領域においても、診療科偏在や地域偏在がなお解消できず、政策評価は全体としておおむね着実に進んでいるとされているものの、県民の意識からは、なお乖離があるのではないかと考えております。私は、やはり県民の意識と政策評価をより一層近づけていくことが必要だと思います。
 この政策評価は、果たして県民の意識と合致していると認識されているのか、また、県民の意識と乖離があるとするならば、評価の方法を改善していく必要があると考えますが、いかがでしょうか、御所見を賜りたいと思います。
 次に、雇用対策についてお伺いいたします。
 昨年来の経済危機からなかなか脱し切れず、二番底とも言われる経済状況の中で、雇用対策は県政の重要課題となっております。
 政策評価では、県内における新事業創出支援や県内企業の経営支援、企業誘致などの産業振興施策を推進することによって創出された正規雇用が、平成20年度は全県で2、649人、うち県北・沿岸圏域で851人となっており、産業振興施策による雇用の場の創出は、おおむね計画どおりに進んでいるものの、平成20年度後半からの世界的な金融危機の影響を受けた企業業績の悪化等によって、全体としては求人数が大きく減少したため、求人不足数や正規雇用求人不足数は大幅に増加しており、県内に職を求める者が、県内で希望どおりに就職できるような雇用環境の実現におくれが生じているとされております。9月の有効求人倍率は0.33倍と依然として低く、経済雇用対策本部会議においても、雇用対策をなお重点的に取り組む必要があるとされております。
 そこでお伺いいたしますが、県内4広域振興圏の雇用の情勢はどのようになっているでしょうか。また、どのようにして雇用の改善を図っていかれるのか、具体的な対策をお示し願います。
 また、正規雇用と非正規雇用の賃金格差は歴然とあり、一度非正規雇用の道に乗れば、経済格差がゆえに生活不安が一生続くということが、さまざまな場面で訴えられております。正規、非正規の雇用の改善を図り、県民が安心した生活が送れるよう雇用構造の改善を図っていくことが求められております。
 県内の雇用構造の実態はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 また、雇用構造の改善策についても、あわせてお伺いいたします。
 さらに、新規高卒者の就職内定率が今年度は特にも厳しく、昨年度の同時期に比較して2割程度低下していると認識しております。県内の人口減は社会減に起因することが大きく、経済活動の停滞は、若者の県外流出の要因にもなっております。このような苦しいときこそ、県内企業が新規高卒者を採用していくことができる環境の整備を図っていくことが、喫緊の課題であると考えております。
 新規高卒者の県内就職に向けた環境整備をどのように進めていくお考えか、お伺いいたします。
 次に、地域医療の確保について、幾つかお伺いいたします。
 政策評価によれば、質の高い医療の提供や救急医療体制の整備のためには、まず医師数の拡充が必要となることから、医師確保対策に重点的に取り組み、その結果、平成18年度の医師数は186.8人で、基準値の179.1人と比較して7.7人増加となっています。若干ではあるが全国水準との格差が縮小しており、医師確保対策アクションプランに基づく取り組みや即戦力医師の招聘等、本県の医師養成、確保対策が一定の成果を上げているとしています。
 しかしながら、県内の地域別医師数を見ると、盛岡圏域に医師が偏在し、県北・沿岸地域には医師が少なく、比較的環境がよいとされる北上川流域においても医師は十分な状態にはなく、診療科偏在、地域別偏在が顕著となっております。
 県立病院の再編問題においても、勤務医の過酷な勤務実態が明らかとなりました。地域医療の確保については、政和・社民クラブは最重点課題ととらえ、地域に出向き、さまざまな地域の声を聞きながら取り組んできました。その活動を通じて思うことは、医師が偏在し勤務医が疲弊する中では、保健、医療、福祉、介護等の堅固なネットワーク等を早急に構築していかなければならないということであります。もしもこのまま放置すれば、医療は崩壊どころか壊滅状態に至っていくのではないかと危惧をいたしております。
 私は、かねてから県立病院の実態を地域に知ってもらう活動やかかりつけ医制度の導入について提唱してまいりました。全国では、尾道方式と呼ばれるネットワークや熊本県での救急ネットワーク等、地域連携パス等を活用し、医師会や病院、福祉・介護分野との連携により安全で安心な医療確保事例も見られております。尾道市医師会長は、尾道方式のコンセプトは主治医機能です、主治医機能を中心に、在宅医療や介護との連携など多機能を持つこと、利用者本位のサービスと的確でタイムリーな選択とアクセス、説明責任を果たすこと等を行いながら医療を効率的に提供していくことだとしております。
 私は、尾道のような方式は、長年の実績により築き上げられたものであり、一朝一夕に仕組まれたものではないと思いますが、各地域で中核的な役割を担っている県立病院も巻き込んだ主治医機能を生かしたネットワーク形成について、どのようにお考えなのかお伺いいたします。
 次に、地域医療再生計画についてお伺いいたします。
 この地域医療再生事業は、二次医療圏を基本に都道府県が策定した地域医療の再生計画を支援するため、国が全国94医療圏に各25億円を交付することとし、今年度補正予算で3、100億円が計上されたものの、補正予算の見直しで750億円分減額されております。
 本県では、盛岡保健医療圏や釜石保健医療圏での救急医療、周産期医療やがん対策を計画策定し申請することが報道されております。
 産婦人科や小児科医師が減少し、県立病院でも圏域をまたいで産科医療が行われているとき、国の交付金を受けるために医療圏ごとの計画にならざるを得ないにしろ、その導入に当たっては、より広域での波及効果が発揮できるような体制を構築していくべきだと思います。また、そのような対策について国の理解が得られるよう取り組んでいくべきだと思いますが、お考えをお伺いいたします。
 次に、救急医療体制についてお伺いいたします。
 県内の一次から三次までの救急医療体制が整備されてからほぼ30年を経過しておりますが、現在、さまざまな要因から勤務医師が減少し、特にも循環器科の医師が不足し、一刻を争う医療だけに、地域住民の不安が増大しております。救急医療体制の実態と今後の対応についてお伺いいたします。
 次のドクターヘリ導入につきましては、さきの質問者の御答弁で大変前向きな御答弁がございましたので、これは割愛させていただきたいと思いますけれども、救急システムの高度化を目指し、広い県土での救命率を上げるためにも、ぜひ導入を一日も早く実現させていただきますよう、私からも強くお願いいたしたいと思います。
 特にも、関連いたしますが、ドクターヘリが導入されたといたしましても、救命救急センターを持つ久慈及び大船渡病院には、ヘリポートが現在ありません。県防災ヘリの活用も考えれば、ヘリポートの整備は早急に対応する必要があると思いますが、その整備について、お考えをお伺いいたしたいと思います。
 次に、水産振興についてお伺いいたします。
 平成19年度の海面漁業、養殖業の生産額は、乾鮑相場の下落の影響を受けアワビの生産額が減少した一方で、中国等への輸出需要の増によりサケ等の生産額が増加したことから、ほぼ前年並みの438億円となり、平成20年度は、乾鮑相場の低迷に加え、安価な輸入品の増加により本県産アワビの価格下落が見られ、また、サケは北海道での減産など供給減に伴うサケの価格上昇が見られております。
 私は、機会をとらえて、沿岸地域の活力源は、浜がよければおかもよい、いわゆるいかに生産者の所得向上につなげるかにあり、水産業の高付加価値化になお一層取り組んでいく必要があると考えております。
 県では、食産業の振興を図りながら農林水産物の高付加価値化に取り組んでおりますが、水産物の高付加価値化と販路拡大対策を、どのように今後取り組んでいくのかお伺いいたします。
 また、漁業を取り巻く環境は、価格の不安定や後継者不足など依然として厳しい情勢にあります。漁業が産業として確立していくためには、みずからの経営判断と創意工夫を基本として経営発展に取り組む、真に自立した担い手を育成、確保することが重要となっており、地域として漁業の持続的な発展を遂げるためにも、このような担い手が中心的な役割を担う望ましい漁業の生産構造の確立が喫緊の課題となっております。
 しかしながら、現在の沿岸漁業においては、水産物の流通、販売は業者任せとなっていることが多く、みずから付加価値を向上させる取り組み例が乏しいことから、漁場や資源が限られている中で、地域漁業の担い手が育たない状況にあります。
 このような状況を踏まえ、地域一体となって地域漁業の中心となる担い手の育成、確保を図り、望ましい漁業の生産構造の実現を図ることが急務と考えます。
 知事は、自立した漁業担い手をどのようにして育成していくお考えなのかお伺いいたします。
 あわせて、私は、おくれぎみの水質改善の促進を図る漁業集落環境整備や、寒風吹きさらす中、作業に従事する厳しい作業環境を改善する施設の基盤整備における国の予算見直し作業の行方を大変心配しておりますが、今後の基盤整備の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、産業振興についてお伺いいたします。
 まず、農林水商工連携についてお伺いいたします。
 中国ギョーザによる食中毒事件など、食品の安全性が改めて見直され、高価でも安全・安心なイメージが定着する日本の農林水産物を急伸するアジアの富有層へ売り込みに、知事みずから乗り込み、実際にその需要が急伸していることに敬意を表します。
 中小企業者と農林漁業者が連携し、相互の経営資源を生かして、事業者にとって新商品や新サービスを生み出すこと、工夫を凝らした取り組みを展開することで、それぞれにとって経営改善が見込まれるこの異業種連携は、地域活性化の切り札として注目されております。
 食産業の振興を図るためにも、より一層、農林水産業と商工業の連携が不可欠と考えますが、今後どのようにして農林水商工連携を図っていくお考えなのかお伺いいたします。
 加えて、昨年来の経済危機により、中小企業の体力が弱まり、その経営を維持していくことが困難な状況が生じておりますが、運転資金の確保など、中小企業の経営安定策をどのように進めていくお考えなのかお伺いいたします。
 次に、沿岸の活性化を図るためには、水産業の発展とともに、製造業の振興を図りながら、より強固な産業構造を確立していくことが必要と考えております。
 沿岸地域には、県内陸部と比較し、まだまだ製造業が少なく、内陸部の波及効果を沿岸部に展開する一方で、企業誘致をより積極的に進めていくことが必要であると考えております。港湾整備にあわせて整備された工業用地をより活用し、リース契約による分譲なども進めていくことが必要ではないでしょうか。
 沿岸部への企業誘致の実態と今後の取り組み、工業用地の利活用推進方策についてお伺いいたします。
 次に、港湾整備とポートセールスの推進についてお伺いいたします。
 自動車、鉄道、海運等の各交通機関が、それぞれの特性を生かして連携し効率的な輸送体系をつくるモーダルミックスを進め、社会全体として調和のとれた総合的な交通体系を目指すことが求められております。
 そのために、地域特性や各交通機関の特性を発揮し、連携を強化してニーズを満たすことが重要であり、特に自動車は、他の各交通機関を補う能力を持っているため、この特性を生かしながら、道路整備を行う一方で、地球に優しく大量輸送が可能な海運の活用を図ることが必要であり、港湾整備をより一層進めていくことが課題になっております。
 大船渡港湾は、内陸部の工業製品を積み出す定期船の運航の利用拡大が期待されております。今後どのように港湾整備をしていくお考えなのか、また、定期船の利用拡大の取り組みはいかように進めるのか、あわせて港湾につながる国道397号と関連道の整備の計画はどのようになっているのか、また、県内重要港湾と地方港湾の利用促進策について、お考えをお伺いいたします。
 次に、安全な県土整備についてお伺いいたします。
 まず、社会資本整備についてであります。
 政権交代により事業仕分けが実施され、社会資本整備に係る国の予算が大幅に削減される見通しが示されております。
 社会資本の整備は、生活や産業活性化の基盤となるものであり、全国一律に判断することなく、地域ごとにきめ細やかに、そして整備の方向性を議論していくことが必要であると思います。
 岩手県の社会資本整備は、道路、河川、港湾等、まだまだおくれており、今その整備をおくらせることは、ますますこの地域を疲弊させ、集落の凋落を招きかねないと住民の不安は高まってきております。
 私は、良質な社会資本は今後も一層整備していく必要があると思いますが、社会資本整備についての基本的なお考えをお示し願います。
 あわせて、津付ダムの整備の方向性についてもお伺いいたします。
 また、宮城県沖地震が高い確率で発生することが予測されており、地震や津波に対して十分な備えが必要です。沿岸部には急傾斜地や地すべり地域が多く、いまだ防潮堤の未整備箇所もあり、早急に対策を講じていく必要があります。
 一方、津波に対する防災意識が低下の傾向にあると言われている中で、ハザードマップの策定や防災組織の強化も必要であり、市町村の取り組みと相まって、県の強力な支援が必要だと思います。
 地震、津波、防災のハード整備やソフト対策をどのように進めていくのかお伺いいたします。
 最後に、廃棄物処理と新規処理産業化についてお伺いいたします。
 産業廃棄物の処理は、自県内処理を原則とし、他県からは自由に持ち込ませず、事前協議制により対応しているところでありますが、自県内処理分と事前協議分の産業廃棄物の処理の実態はどのようになっているのか、まずお伺いいたします。
 また、県内の産業廃棄物の処理施設の能力は十分なのでしょうか。処理能力が十分にもかかわらず、処理量が少ないがゆえに経営状況が厳しい施設はあるのでしょうか。
 私は、設備や管理能力にすぐれた企業には、他県からの持ち込み処理も検討し、新規事業として地元企業の活性化に資するべきだと思いますが、御所見を賜ります。
 これで私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私の行政運営の基本姿勢についてでありますが、私は、希望あふれる岩手を実現していくためには、岩手の長期的な将来像を県民の皆さんと共有し、その実現に向け、県民、企業、NPOや行政など、地域社会を構成するあらゆる主体の総力を結集する、いわゆる地域経営の考え方に基づき、県民参画による地域づくりを推進していくことが重要と考えております。
 このような考え方のもと、計画策定に当たっては、2度にわたるパブリックコメントや地域説明会の実施、インターネットを活用した専用ホームページや知事ブログの開設、岩手の未来を切り拓く構想のアイデア募集、こうしたことにより、県民の皆さんの計画づくりへの参加機会を確保しながら、その意見を反映させてまいりました。
 今後においては、県民の皆さんの計画に対する理解と共感をさらに広げ、計画推進に積極的に参画していただくため、よりわかりやすい普及用パンフレットの作成、配布や全戸配布のいわてグラフなど、県政広報の最大限の活用などにより計画の普及、浸透に努めるとともに、新たに県民参加のワークショップの手法等を取り入れた事業の企画立案、県内のNPOや大学と連携した県民協働型の政策評価の実施などにより、地域社会を構成する主体の力を集め、県民の皆さんとともに、希望郷いわての実現に向け取り組んでまいりたいと思います。
 次に、収支ギャップの主な要因と財源不足への対応についてでありますが、先般発表しました岩手県の今後の収支見込等では、平成23年度以降の収支について粗い試算を行った結果、毎年度700億円程度の収支ギャップが生じる見込みとなったところであります。これは、景気低迷による県税の減収や近年の地方交付税の大幅な削減に加えて、今後も社会保障関係費や公債費が高水準で推移すると見込まれることが主な要因と認識しているところであります。
 今後、平成23年度以降のアクションプランを策定する中で、この収支ギャップの解消に向けた具体的な対応が検討されていくこととなりますが、国に対する地方税財政制度改革の要請、県債残高の規模の中長期的な抑制、より一層の政策の選択と集中の徹底など、これまでの歳入歳出両面にわたるさまざまな取り組みに加え、力強い経済社会構造を構築するとともに、多様な主体による公共サービスを担う仕組みづくりを図るなど、あらゆる取り組みを通じて、持続可能な財政構造の構築に向け、全力を傾注していく考えであります。
 また、厳しい県財政の状況について、県民の皆さんに積極的な情報提供と情報共有を行うことにより、限られた財源の中で魅力的で住みよい地域づくりを進めるため、行政とともに地域づくりを担っていただくなど、地域社会を構成するさまざまな主体の総力を結集して、ともに地域課題の解決に当たっていく考えであります。
 次に、中核病院へのヘリポートの設置についてでありますが、救命救急センターを設置している県立病院などに対するヘリポートの整備については、今般、地域医療再生計画に実施事業として盛り込んだところであり、国の承認を待っているところであります。
 次に、漁業担い手対策についてでありますが、漁業は沿岸地域の重要な産業でありますが、就業者の高齢化や減少が続いていることから、その振興を図るためには、議員御指摘のように、地域が一体となって自立した漁業担い手の確保、育成に取り組む必要があると認識しております。このため、県は、漁協の地域営漁計画の実行支援を通して、養殖作業の機械化及び協業化等による規模拡大の取り組み、漁業者がみずから付加価値をつけた販売や水産加工業者等と連携した販路拡大などを促進し中核的な養殖漁業経営体の育成を図っているほか、新たな就業希望者の参入を支援しているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔総合政策部長高前田寿幸君登壇〕
〇総合政策部長(高前田寿幸君) 政策評価結果と施策の方向性についてでございますが、政策評価は、県民の視点に立って成果を重視する行政運営の実現を図ることを目的とし、県民の意向や社会経済情勢から見た政策の妥当性などを評価の基準として実施しているものでございます。この目的を達成するため、平成20年度に政策評価システムの大幅な見直しを行い、政策評価を2段階で実施することとしたところでございまして、具体的には、まず年度前半に、議員御指摘の指標の達成度等から前年度の総合計画の進捗状況を把握する実績測定評価を実施いたしまして、年度後半には、おくれが生じている施策の課題の抽出や分析を行いますとともに、社会経済情勢の変化、さらには県民意識調査における県民満足度や県民ニーズ度なども加えて、より県民視点に立った総合的な評価を実施することとしているところでございます。
 この総合的な評価の結果につきましては、翌年度の施策や予算への反映状況とあわせまして、2月議会に政策評価等の実施状況及び評価結果の政策等への反映状況報告書として御報告し、公表させていただくこととしているところでございます。
 今後とも、県民の意向の一層の把握に努め、県民の意識、実感を的確に反映した、よりわかりやすい政策評価を実施してまいります。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、県内4広域振興圏の雇用情勢等についてでありますが、岩手労働局の発表によりますと、10月の有効求人倍率は、全県で0.35倍と前月を0.02ポイント上回り、3カ月連続で改善しております。各広域振興圏別には、県央が0.45倍、県南が0.34倍、沿岸が0.41倍、県北が0.36倍となっており、県央を除いた広域振興圏では、前月比でわずかながら上向いておりますが、県南での回復がおくれぎみとなっております。
 各広域振興圏においては、地域の関係機関、ハローワーク、広域振興局、市町村、学校、商工団体等によります地域雇用対策協議会などを中心としまして、各地域の実情に応じた取り組みを行っているところであります。
 例えば、県南では、求職者総合支援センター、振興局及び地域ジョブカフェへの相談員等の増員、配置により、求人開拓、相談体制を強化、充実するとともに、高卒者採用プラス・ワン運動として企業への働きかけを強化するほか、北上、一関のハローワークに求職者総合支援センターの相談員を派遣し、生活・就労相談も含めたワンストップサービスを行うなど、特にも年末年始に向け、生活支援に重点を置いた取り組みに努めております。
 次に、県内の雇用構造の実態等についてでありますが、平成19年の就業構造基本調査によりますと、県内のいわゆる正規雇用の割合は68.1%で、パート、アルバイト、派遣社員などのいわゆる非正規雇用の割合は31.8%となっております。これを5年前の平成14年調査と比較しますと、パート、契約社員、嘱託・派遣社員が大きく増加し、非正規雇用の割合が4.3ポイント上昇しております。
 県としましては、正規雇用の維持、拡大を図るため、関係団体等への要請活動の実施、雇用・労働フォーラム等の正規雇用の拡大等をテーマとしたセミナーの開催などに取り組んでおります。
 また、県の産業振興施策として、企業の経営支援、企業誘致、農林水産業への新規参入支援等により、今年度上半期で1、254人の正規雇用を創出したほか、誘致企業に対するフォローアップ訪問の際など、さまざまな機会をとらえて正規雇用の拡大等の要請も行っており、引き続きその拡大に努めてまいります。
 また、非正規雇用に係ります派遣切りや雇いどめなどの問題に対応した法的な整備等につきましては、全国知事会等を通じて、今後も継続して要望してまいります。
 次に、新規高卒者の雇用対策についてでありますが、県では、10月26日から12月25日までを新規高卒者求人確保キャンペーン期間として、岩手労働局、教育機関等とともに、経済団体を初め各企業等に対し、地元市町村の首長と一緒になって強力に要請活動を行っていますほか、11月25日に開催しました岩手県雇用対策推進会議でも、新規高卒者の求人確保について、各構成団体がそれぞれの立場において、最重点課題として取り組むことを確認したところであります。
 また、高等学校においては、県内で20校、20名の就職支援相談補助員の任用期間を延長、各振興局に配置した39名の就業支援員と連携して就職未内定者の支援に当たっておりますほか、12月21日には、就職指導教員を対象としましたカウンセリング研修を開催するなど就職支援体制を強化するとともに、就職未内定者向けの面接会を例年より開催回数をふやすなど、企業と生徒のマッチング機会を高めることで、1人でも多くの高校生が県内へ就職できるよう取り組んでおります。
 一方、企業に対しましては、県内4地区でジョブカフェいわての主催によります採用担当者向けセミナーを開催するなど、採用人材育成、職場定着の促進を図っております。
 今後も、関係機関等と連携し、学校側、企業側の双方に働きかけ、新規高卒者の就職支援に全力で取り組んでまいります。
 次に、農商工連携についてでありますが、本県におきましては、昨年1月にいわて希望ファンドを、本年3月にはいわて農商工連携ファンドを組成し、両ファンドを活用しながら、農商工連携等に取り組む事業者を支援してきたところであります。
 具体的には、食用ホオズキの商品化、イサダを活用しました食品の開発を初めとしますさまざまな成果が出てきており、昨年11月にはいわて農商工連携促進会議を設置し、商工分野と農林水産分野の行政、関係団体の緊密な連携体制を構築し、組織的に事業者の支援に取り組んできたところであります。
 さらに、本年6月には、食の信頼確保に取り組む県内食品事業者の支援、農商工連携による安全・安心なフードチェーンの構築による地域活性化を目的に、全国に先駆けて研究会─フード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチを設立し、金融機関等とともに事業者等の支援に取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、これまで成果のあらわれておりますビジネスモデルとして食産業全体に波及させていくため、食産業振興のためのロードマップを策定することとしており、この中に農商工連携を位置づけ、これまで以上に取り組みを加速させながら、戦略的に取り組んでいく所存であります。
 次に、今後の中小企業の経営安定対策についてでありますが、引き続き厳しい経営環境に置かれております中小企業にとっては、運転資金の確保が重要な課題であり、この資金需要に適切に対応するため、9月補正予算においては、中小企業経営安定資金の融資枠を600億円に拡大するとともに、10月1日から貸し付け金利を引き下げたところであります。あわせて、県、金融機関、県信用保証協会、商工団体等で構成いたします中小企業金融連絡会議を定期的に開催いたしておりますが、去る11月20日には、この会議において、関係機関が連携して円滑な資金供給とともに、中小企業者の経営支援に努めるよう確認したところであります。
 また、年末には資金需要が生じますことから、昨日には年末商工金融110番を県庁経営支援課内に設置し、中小企業者の個別の相談にきめ細かく応じるとともに、関係機関に対しても同様の相談対応をするよう要請したところであり、今後においても、関係機関と密接な連携をとりながら、中小企業への支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、企業誘致についてでありますが、沿岸部への企業誘致の実績につきましては過去3カ年で4件となっており、県全体の誘致件数37件に対して約11%となっております。沿岸部には、経済的に左右されない食品関連などの内需型の業種が集積しており、食の安全・安心への関心の高まりなどから、既立地企業の業務拡大等のチャンスととらえております。
 こうした中、県では、地元市町村と一体となって、宮古、釜石、気仙の沿岸エリア全域において、それぞれ企業立地促進法に基づく基本計画を策定し、食品、木材関連産業など、地域の特性を生かした業種を重点業種に指定して誘致に取り組んでおり、本年3月と9月には、水産加工業2社が立地したところであります。
 港湾整備事業に伴いまして造成された工業用地については、沿岸部において重要なインフラの一つでありますことから、その利活用は重要な課題と認識しており、そのリース契約につきましても、これら工業用地が売却を前提として整備されたものであることなどの課題もありますことから、今後、企業のさまざまな要望を踏まえまして、リースの可能性などについても検討を進めながら、誘致活動を展開してまいる考えであります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、保健、福祉、医療の連携についてでありますが、議員御提言の尾道方式の特色は、主治医機能を軸に、医療、介護、福祉の多職種の関係者による協働が推進されている点にございまして、具体的には、患者の退院時や状態の変化など、必要に応じて主治医の医療機関に、患者、主治医はもとより、ケアマネジャー、看護師、介護ヘルパー、理学療法士等が集まり、患者のニーズに合致したケアプランを検討するケアカンファレンスを日常的に行っているところにあります。
 医療、介護、福祉の連携につきましては、現在、県内各圏域で開催しております地域医療に関する懇談会におきましてさまざまな議論が取り交わされているところでございまして、例えば宮古保健医療圏などにおきましては、医師会と県立病院が連携した取り組みを行う動きが既に始まっているところであります。また、県立病院におきましても、地域医療福祉連携室を設置し、開業医や介護、福祉施設との連携の促進に向けた取り組みを進めているところでございます。
 このような状況を踏まえ、県立病院が各圏域の中核的な医療機能を担っております本県におきましては、いわゆる尾道方式のようなシステムを県立病院がバックアップするような総合的なネットワークを形成することも一つの有効な方策であると考えられますことから、今後、各圏域に設置しております地域医療連携推進会議等の場におきまして、当該圏域の実情も踏まえながら検討すべき重要な課題であると考えているところでございます。
 次に、地域医療再生事業についてでありますが、地域医療再生計画案の策定に当たりましては、医療関係団体、市町村等からの意見を踏まえ、二次保健医療圏内での具体的な事業を基本とするものの、できるだけ、全県的、広域的に効果の及ぶ事業を盛り込むことを念頭に進めてきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば周産期医療体制につきましては、釜石保健医療圏と気仙保健医療圏が一つの圏域となっておりますことから、当該両圏域の中で実施する事業を盛り込んだほか、救急医療体制につきましては、県立病院へのヘリポート整備など全県的に波及効果がある事業も計上したところであり、今後、国の計画承認後におきますこれらの事業の具体的な実施に当たりましては、全県的な視点から、改めて医療関係者等の御意見を伺う場を設けまして、その意見を踏まえながら効果的な事業の実施ができますよう、速やかに進めてまいりたいと考えているところでございます。しかしながら、議員御指摘のように、当該計画がさらに広域的な効果を有するものにするためには、現行制度上制約がございますことから、2圏域を基本としながらも、より広域的な取り組みが追加できるよう、国に対して、その柔軟な運用に向けた制度改善の提言を行っていきたいと考えております。
 次に、救急医療体制の実態と今後の対応についてでございますが、本県におきましては、これまで30年以上にわたりまして、医師会を初めといたします関係団体、地元医科大学、市町村、県等が一丸となりまして、初期、二次、三次救急医療体制の総合的、体系的な整備に努めてきたところでございます。
 特に、三次救急医療体制につきましては、平成10年から、救命救急センターを県内3カ所体制に整備するなど、その充実に取り組んできたところでもございます。しかしながら、近年の循環器科などの医師不足の深刻化等によりまして、急性心筋梗塞などの症例においては、一つの医療圏では対応が困難な事案も生じているほか、救急車の搬送者数もこの10年間で約4割増加するなど、救急病院の負担も増加しているところでございます。
 また、県立病院を受診する夜間休日の救急患者の8割以上が軽症者となっており、本来、重症者に対応すべき当直勤務医の業務の負担にもなっているところでございます。このため、県といたしましては、先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、ドクターヘリの導入や県立病院へのヘリポート整備を初め、救命救急センターの設備整備や専門医の育成、確保など、引き続き救急医療体制の整備、充実に努めますとともに、県民の皆様に対しましても、必要な情報の提供と啓発に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、水産物の高付加価値化と販路拡大対策についてでありますが、水産業の振興のためには高付加価値化と販路拡大が重要と認識しており、そのため、県としては、生産者と水産加工業者との連携によるイサダ食用化の取り組みや、生ウニの加工体制の確立、冷凍生ワカメ等、前浜資源を活用した加工技術の開発と普及の促進、商談会の開催による加工業者と小売店等とのマッチング支援、さらには、県の産業創造アドバイザーによる大手量販店への直接販売の支援などに取り組んでいるところであります。
 今後は、これらの取り組みを一層強化するとともに、地域の水産加工業者同士の連携促進により、前浜に揚がった水産物を地域で高次加工する取り組みを推進し、水産物の高付加価値化と販路の拡大に努めてまいります。
 次に、水産業の基盤整備についてでありますが、漁業集落排水施設、水産物荷さばき施設などの水産業の基盤整備は、水質改善や漁村環境の向上、漁業生産効率化、安全・安心な水産物安定供給体制の構築等を図る上で重要なものと認識しております。これまで、県は、漁業集落環境整備事業、強い水産業づくり交付金などの国の補助金、交付金の活用や、県単独事業により市町村や漁協等が事業主体となって実施する水産業の基盤整備を推進、支援してきたところであります。
 本県の水産業の健全な発展のためには、ソフト面の施策と密接に連携した基盤整備が重要と考えておりますが、今後、国の予算編成作業を注視しつつ、必要に応じ、国に対して、地域のニーズに応じた適正な予算確保を要請するとともに、県単独の基盤整備事業の活用を図ることなどにより、本県水産業の振興が図られるよう支援してまいります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) まず、今後の港湾整備についてでありますが、現在、大船渡港におきまして老朽化等に対応した永浜・山口地区の埠頭整備、宮古港におきまして観光交流拠点としての出崎地区の埠頭整備、また、久慈港、小本港等において静穏水域の確保のための防潮堤の整備などを進めており、今後は、これらの施設整備を進めるとともに、必要に応じて冷凍コンテナ用電源設備等の整備など、港湾機能の拡充にも努めていく考えです。加えまして、工業用地の造成について、立地企業の需要動向を見きわめながら、整備の時期や規模を検討してまいります。
 次に、大船渡港の定期船の利用拡大の取り組みについてでありますが、新規貨物の獲得と既存貨物の拡充のため、県、市で企業を訪問し、それぞれの企業の物流状況等を把握しながら、大船渡港の利用について提案を行うとともに、その訪問結果を、県、市で情報共有するなど連携して取り組んでいます。
 今年度の11月末までのコンテナ取扱量は、昨年度の同期と比較し約6割の増となっており、今後とも、利用拡大に向け、より一層積極的に取り組んでまいります。
 次に、港湾につながる国道397号の道路整備についてでありますが、計画延長は約22.9キロメートルとなっており、4工区で整備中であります。そのうち、これまでに約9.7キロメートルを供用しており、住田町津付道路と奥州市分限城・赤金工区につきましては平成26年度の完成を、住田町高屋敷工区、子飼沢工区につきましては平成24年度の完成を目標に整備を進めております。また、港湾に関連する大船渡市内の永浜・山口地区の臨港道路は、計画延長2キロメートルにつきまして現在整備中であり、平成24年度の完成を目標に進めております。
 次に、港湾の利用促進施策についてでありますが、利用促進に当たりましては、主に三つの取り組みを重点的に行っているところでございます。
 一つには、物流ネットワークの構築であります。県では、内陸部と港湾を結ぶ広域道路網の整備や、大型車両の走行環境の改善などに取り組んでいるところです。
 二つには、各港湾の利便性の向上についての取り組みであります。県内重要港湾では、定期コンテナ船岸壁使用料の減免や、利用実績に応じたコンテナヤード専用の野積み場利用料を新設するなど、コンテナ貨物拡大に向けた取り組みを行っており、地方港湾である八木港、小本港では、利用者の利便性確保のために、静穏度の向上のための調査検討を行っているところです。
 三つには、ポートセールスの強化であります。県内の20フィートコンテナで年間2万本を超える輸出、輸入のコンテナ貨物を本県の港湾の利用に振り向けていただくよう、市及び荷役業者と連携して岩手県港湾セミナーを開催するとともに、県内外の企業を訪問し、県内の港湾の利用をPRするなど、積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、港湾の利用促進に向けまして、物流ネットワークの構築を推進するとともに、各港湾の利便性の向上やポートセールスにつきまして、関係市、町との連携をさらに強化して取り組んでまいります。
 次に、社会資本整備の促進についてでありますが、本県においては、県民の安全で安心な暮らしを守り、地域経済を支えるために必要な道路や河川等の社会資本の整備は、議員御指摘のようにまだ道半ばという状況であります。このため、限られた予算を重点的かつ効率的に活用し、投資効果を早期に発現させる観点から、継続事業を優先しつつ、一層の選択と集中を図りながら、必要な社会資本整備につきまして今後も着実に進めていく考えです。
 また、津付ダムの整備の方向性についてですが、今年度、政策等の評価に関する条例に基づき再評価を実施し、11月10日に大規模事業評価専門委員会から二つの意見が付され、事業継続とした県の評価は妥当であるとの答申をいただいたところです。
 附帯意見の一つ目は、国の方針の見直しなどにより、整備手法の比較内容に大幅な変更が生ずることが明らかになった場合や、地元自治体がダムと河川改修の組み合わせ以外の案を要望した場合には、専門委員会に随時再評価の要否について意見を聞くこと。二つ目は、ダム建設と河川改修による気仙川の治水対策について地元住民の理解を得るため、よりわかりやすい丁寧な説明を行うこととされています。この答申を踏まえまして、県としましては、11月26日に附帯意見に対して適切に対応することとし、事業を継続することと決定したところです。
 なお、国土交通省の平成22年度の概算要求の中で、平成22年度における個別のダム事業の進め方に関する基本的な方針については、政府予算案の提出時までに明らかにするとされておりますので、その方針が明らかになった段階で適切に対処してまいります。
 次に、地震、津波災害への対応についてでありますが、防潮堤や急傾斜地崩壊防止施設等の整備につきましては、現在実施している箇所の早期完成に向けて重点的に取り組むとともに、今後施設整備が必要な地区につきましては、これらの進捗状況を踏まえながら計画的に取り組んでいくこととしております。
 一方、津波災害では、地域住民の迅速な避難が被害の軽減につながることから、防災講習会の開催等による自主防災組織の育成強化、小・中学生向けの津波防災学習教材等の作成、配布による防災意識の醸成など、市町村の取り組みと連携しながら支援に努めているところでございます。加えまして、地域住民がみずから安全な避難路や避難場所等の検討を行う地域の安全・安心促進基本計画の作成を関係機関とも連携し、来年度までにすべての沿岸市町村で終えるとともに、がけ崩れ危険住宅の移転促進も進めているところでございます。
 今後とも、ハード整備とソフト対策を組み合わせた総合的な防災対策に取り組んでまいります。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) 産業廃棄物の処理についてでありますが、自県内処理の状況につきましては、平成19年度に県内で排出された産業廃棄物は約225万トンで、このうち、97%に当たる約219万トンは、県内で減量化や埋め立て等の処理がなされております。また、県外から事前協議を経て搬入された産業廃棄物の量は、平成19年度で約37万トン、平成20年度で約32万トンとなっており、そのほとんどがセメントを製造するときの原料、燃料などとして県内で再利用されている状況にあります。
 次に、産業廃棄物処理施設の状況についてでありますが、県内の処理施設の能力については、この4月、特別管理産業廃棄物に対応する第2クリーンセンターが供用開始したことにより、全国的に処理ルートが確立されている一部を除き、質、量とも、ほぼ県内の需要に対応できる状況にあると考えております。
 また、事業者の経営状況につきましては、個々の具体的な状況は把握していないところでありますが、産業廃棄物処理業の許可業者数が、平成17年度1、235業者から平成20年度1、440業者と、3年間で17%増加している一方、産業廃棄物の最終処分量は、平成17年度の8万8、000トンから平成20年度6万7、000トンへと24%減少しており、経営環境は厳しさを増しているものと考えております。
 次に、新規処理産業化についてでありますが、産業廃棄物の処理は、自県(圏)内処理を原則としておりますが、県外から産業廃棄物を搬入する際には、県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議等に関する条例により事前協議を行い、廃棄物が適切に処理され、原材料や燃料として再生利用されるなど、循環的に利用される場合には搬入を認めております。
 事前協議の有効期間は1年間でありますが、昨年度から設備や管理面において優良な処理業者として本県の格付を取得した処理業者に委託した場合、格付の程度に応じて、事前協議の有効期間を2年から4年までとする取り扱いとしたところであります。
 今後とも、県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議等に関する条例に基づき、県内で適切に有効利用されるものについては、事前協議に応じ搬入を認めていく考えであります。
〇26番(田村誠君) それぞれ御答弁をいただき、大変ありがとうございました。
 一つだけ最後にちょっとお願いをしたいと思いますけれども、知事も地域に出向き、いろんな活動に参加をしていただいて地域の方々の声を聞いていただいているわけでありますが、ぜひこれからもそうした活動を、なお一層─知事に会える、地域の人たちというのは大変喜ぶわけでありますし、力づけられるわけでありますから、ぜひこれからも出向いていただいて、もっともっと積極的に交流をしていただき、意見交換をしていただければなということをまずひとつお願いをしたいと思います。
 それから、先ほど私ども政和・社民クラブとして地域医療を守ろうということで、いろんな御意見をお伺いしてまいりました。その中でも、地域医療を守るために、かかりつけ医制度だとか、あるいはさまざまな連携をとるための先ほど御提案をしたようなネットワークづくり、こうしたものをやっていただきたいと思うわけでありますけれども、かかりつけ医制度というのは、もう既に盛岡圏域では中央病院なんかでやっているわけですよね。ところが、ほかの市町村はなかなかそれが難しい。いわゆる具体的になっていない。こうしたものを早くやることが個人病院との連携、県立病院との連携、こうしたものにつながるんだろうというふうに思います。したがって、そういうネットワークづくりを私はもっと急ぐ必要があると。ましてや、今までどうしても病院だけが前面に出て、保健福祉部のほうが─おかげさまで、ようやく前のほうに出ていただいていろんな人たちの意見を聞いていただいて、一定の提言というものを取りまとめ始めていました。その中でもあるのかなと思ったら、余り具体的なもの、そういうかかりつけ医制度とか、そうしたものが見えなかったわけでありますけれども、ぜひそうしたことをなお一層進めていただきたいと思いますので、その件についてどう考えているのか。
 先ほど知事のほうから、大変ありがたいヘリポートの設置というものも検討すると。特にも、先ほど私も久慈と大船渡、救命救急センターがある場所には一日も早くつけるべきだというふうにお話をさせていただきましたが、ちょっとその辺確認できなかったんですが、来年度中に取りかかるというふうにとらえてよろしいでしょうか、その件をお願いします。
〇知事(達増拓也君) 前段の部分、御意見を参考にしながらしっかり取り組んでまいりたいと思います。
 救命救急センターを設置している県立病院などに対するヘリポートの整備についてでありますが、国において、県から提出しました地域医療再生計画が承認された場合、来年度当初予算編成作業において、ドクターヘリ導入関係経費とあわせて取り進めていくことになります。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) ただいま知事のほうからも御答弁申し上げたとおりでございますが、かかりつけ医制度につきましては、議員から御指摘のとおり、全県的にはなかなか普及までには至っていないのではないかということは、一つ私どもも重大な宿題だと思っております。
 今回の懇談会の中で、さまざまな病院あるいは医師会の先生方が入って、住民の方々の意見も中に取り込みながらそういう議論ができましたので、私どもといたしましては、この懇談会でのそういう議論をできるだけ具体化する方向で、その中の一つとしては、そういうかかりつけ医制度の普及についても十分進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時45分 散 会

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