平成21年12月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇46番(佐々木大和君) 自由民主クラブの佐々木大和でございます。
 県政課題につきまして、順次質問をさせていただきます。
 まず最初に、岩手県警幹部職員の飲酒運転事件の対応についてお伺いします。
 さきの県警幹部の飲酒運転事件は、県民に大きな衝撃を与えた事件でした。本定例会初日に県警本部長から謝罪がありましたが、県民の驚きはいまだおさまっているとは言えません。そして、きょう、県職員による飲酒運転事件の報道もございました。自由民主クラブでも激しい議論があり、この際、県警本部長から、県民の不安を解消するような、しっかりとした具体的な対応をお示しいただきたいと思います。
 次に、決算不認定についての知事の所感と今後の対応についてお伺いいたします。
 9月議会において、一般会計決算が認定されなかったことは、政治的はたまた県民に対して、道義的にも知事は県政の執行者としての職責が全うされず、その責任は解除されていない状況に置かれています。昨年に引き続いての決算不認定は、県政史上異例なことであり、議会としてもまことに不本意な結果であります。この事実について、予算執行責任者である知事は、県民に対し、誠意ある説明がなければならないと考えますが、達増知事の所見をお伺いいたします。
 次に、事業仕分けと岩手県の森・川・海の課題について順次お伺いします。
 最初に、温室効果ガス削減25%の実現に向けてお伺いします。
 近年は、木材生産機能もさることながら、地球温暖化対策としての森林の二酸化炭素吸収機能に注目が集まっております。政権が交代し、鳩山首相は、先般開催された国連気候変動サミット開会式で、日本の温室効果ガスを、2020年までに1990年比で25%削減すると公約したところです。このため、削減目標を京都議定書で6%としていたときとは比較にならないほど、積極的に削減対策に取り組まなければならないものと考えます。当然、森林の二酸化炭素吸収機能にもこれまで以上に期待がかけられ、高い目標設定になるものと予想されます。このことから、間伐を初め、森林整備を適切に行って森林を管理していくことが一層重要になっていくと思いますが、森林による二酸化炭素吸収機能のさらなる発揮のためにも、今後、森林吸収源対策をどのように進めていくのか、考えをお伺いいたします。
 次に、広葉樹林の整備についてお伺いします。
 森林の二酸化炭素吸収機能の発揮を考えた場合、我が岩手県の広大な民有林の半分を占める広葉樹林の吸収機能を無視することはできないと考えます。天然広葉樹林であっても、育成天然林施業などを適切に行って活力ある広葉樹林を造成し、二酸化炭素吸収機能を高めて温暖化対策に貢献することが重要と考えます。
 さらに、岩手県の豊富な広葉樹資源の中から、毎年、原木換算で26万7、000立方もの広葉樹がチップとして北上の製紙工場に持ち込まれ、高級写真用印画紙に加工され、主力商品として主にヨーロッパへ輸出されております。この製品の品質の高さは、世界の市場において競合するライバル社の製品と互角以上に渡り合っているようですが、高品質を維持するためには、原木は広葉樹でなければならないとのことでした。言いかえれば、岩手県の豊富な広葉樹が、紙という製品に形を変えて世界に輸出され、世界市場で高い評価を受けているということであり、県内広葉樹資源の有効活用のモデルとも言えると思います。このことから、広葉樹林の整備を進めていく必要があると思いますが、広葉樹林整備の現状と今後の課題について、県のお考えをお伺いします。
 次に、事業仕分けによる森林整備への影響についてお伺いします。
 さきの事業仕分けにより、環境創造産業に直結する里山エリア再生交付金廃止の方向が示されました。このことによる森林整備の促進に影響はないのか。また、影響があるとすれば、その影響を少なくするために県はどのような方針で取り組むのか、お考えをお伺いいたします。
 次に、県の木、ナンブアカマツの活用状況と今後の課題についてお伺いします。
 日本は昔から松の国と言われ、日本の風光は松と密接な関係があり、全国に広く分布しておりました。特に、岩手県内と青森県の東部は土壌がアカマツの生育に適しており、優良な大径木が広く分布しておりました。
 岩手県内の松は、東磐井・江刺地方の粘土大地に成育した東山松、岩手山ろくの火山灰地に成立した御堂松、九戸郡の海岸段丘の上に生育した侍浜松など、優良系統に代表されるように高級建築材として広く使用され、ナンブマツと称して市場から高い評価を受けてきたところです。このことから、日本万国博覧会の開催を記念し、毎日新聞社の提唱で広く県民から公募し、昭和41年9月26日に、県の木としてナンブアカマツが決定されました。この県の木アカマツは、高い評価とともに大消費地の京浜地方に大量に移出され、一時資源量が大きく減少しましたが、戦後の拡大造林により盛んに造林され、現在、その面積、蓄積とも、日本一の資源量を誇るまでになったと認識しております。しかし、大量輸入による外材が国内の木材市場を席巻するのと同時に、追い打ちをかけるように松くい虫の被害が日本国内に広まり、今や国内において健全かつ豊富なアカマツ資源が残るのは、岩手県内と青森県の東部、八戸周辺の旧南部領のみとなっている状況です。
 岩手県内でも、昭和54年に、県の南部で松くい虫被害が確認されて以来被害が北上し、県や関係市町村、林業関係者の努力によって必死に対策を講じているにもかかわらず、被害の根絶には至っていない状況です。このことから、被害防除対策はこれまで以上に力を入れて実施していただきたいと思いますが、森林資源の有効活用という観点から、まだ被害の及んでいない盛岡以北の、特にも県北・沿岸地域に多く存在する優良なアカマツ資源、ナンブアカマツの有効活用が重要と考えますが、その活用状況と、活用に当たって解決しなければならない課題、さらには、有効活用に向けた県の今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、カワウ被害の現状と対策についてお伺いします。
 森林県岩手は、そこを流れる河川に、アユを初めヤマメやイワナなど、きれいな川にすむ渓流魚の宝庫として全国でも高い評価を受けております。しかし、近年、全国的な広がりを見せているカワウの食害が本県でも確認され、内水面漁業で最も大きな収入源となっているアユに、深刻な影響を与えております。さらに、ヤマメやイワナなど、上流域の魚からウグイなどの下流域の魚まで、広範囲にわたって食害が増加しております。この問題は、滋賀県を初め四国や中部地方、そして関東までのものと思っておりましたが、被害の北上する速さに伴って、被害額の増加はウナギ登りに上昇してきております。
 初めての調査は平成5年で、以降平成9年、14年、16年、18年と現在まで5回行われておりますが、その時々の被害額は、9億円、16億円、26億円、45億円、73億円となっております。この調査対象から外れていた岩手県ですが、県内水面漁協の調査によると、北上川沿いの北上市付近にあるコロニーで、60羽が300羽、8羽が84羽などと、爆発的な生息数の増加が確認されました。
 カワウは、1羽が1日に500グラムの魚を食すると言われており、この生息数の急激な増加に伴い、県内被害もウナギ登りに増加が推測されます。このため、全国的にもカワウ対策が緊急課題となっており、本県でも、カワウ飛来地の漁協においては、カワウの追い払いや駆除等の被害防止対策を行っておりますが、被害防止対策を効果的に進めるためには、広域的かつ連携のとれた取り組みが必要であります。サケ、マスの放流を行っている海の漁協と一体となって対策に取り組んでいるところですが、県のリーダーシップが強く求められております。
 このカワウ等の被害対策について、県はどのように取り組むのか、お伺いします。
 次に、スモール・イズ・ビューティフルについてお伺いします。
 ドイツのシューマッハーは、その著書、スモール・イズ・ビューティフルにおいて、人間の顔をもった技術の可能性を探ってみるのが望ましい。─技術の発展に新しい方向性を与え、技術を人間の真の必要物に立ち返らせることができる。それは人間の背丈に合わせる方向でもある。自然界の一部である人間。人間は小さいものである。だからこそ、小さいことはすばらしいのであると述べております。
 この著書が世界的ベストセラーとなって、スモール・イズ・ビューティフルは世界に通じる合言葉になったそうです。日本銀行政策委員であった小島慶三先生は、酒井懋先生とともにスモール・イズ・ビューティフルを翻訳され、ヒューマンとエコノミックスを合わせてヒューマノミックスという造語をつくり、人間中心の経済学という副題をつけておられます。
 自由経済社会において、競争を前提に大量生産体制の構築は、グローバル化への対応上欠かせない方法論であります。一方、そこに生ずる格差対策も、これまた欠くことのできない大切な施策となってきます。
 今、地方分権を進める中、スモール・イズ・ビューティフル、人間中心の経済を進めるときなのかもしれません。
 私は、平成15年の9月議会の一般質問で、一度、この提案をしたことがあります。地域資源に根をおろし、大衆による生産体制を確立し、中間技術によって経験と知恵を活用したスモールの思想のもと、地域を活性化させることが必要です。県民の知恵を生かすこと、知恵とは真、善、美、あるいは正義、勇気、節制の三つの徳をすべて含んでいると言われます。ローカルに生きている県民にグローバルな情報を伝え、しっかりとした行動をしてもらうときであると思います。
 そこで、県政推進の方向についてお伺いいたします。
 まず、過疎対策法についてであります。
 過疎対策については、4次にわたる特別措置法の制定により総合的な対策が講じられ、生活環境の整備や産業振興など、一定の成果を上げてきたところです。しかし、人口減少、少子・高齢化が急速に進んでいる過疎地域は、医師等の不足、路線バスの廃止、耕作放棄地の増加、森林荒廃など、生活、生産基盤の弱体化が進み、多くの集落が消滅の危機にさらされ、深刻な状況に直面しております。
 岩手の農山村に住む人々は、イーハトーブ岩手、国民の心のよりどころとなる希望郷いわてを目指していかなければなりません。美しい国土と美しい環境を後世に引き継ぐ努力をしている過疎地域が果たす役割は重要であります。つきましては、平成22年3月をもって失効する過疎地域自立促進法の後の新たな過疎対策法制定に向けて県が全力で取り組んでいただきたいと思いますが、現在の取り組み状況、そして今後の計画についてお伺いいたします。
 次に、行財政改革の推進についてお伺いいたします。
 本県の人口は、いわて県民計画案によると、全国の減少率を上回るスピードで減少しており、平成20年の135万人から、平成30年には120万人ないし125万人程度になると見込まれています。さらに、生産年齢人口の減少は年率で4%前後、実数で10万人もの減少が予想されます。県財政の状況も深刻な社会経済状況を反映して、県税収入の大幅な落ち込みが予想されます。県の計画によると、職員体制のスリム化を進め、総人件費の抑制を図っていくとされておりますが、県民への行政サービスの低下をさせないようにしなければなりません。
 現在、国の法律が1、800程度、岩手県の条例が354制定されております。ことしの春には344だったと聞いておりましたが、当局からも議会からも提案がされ、増加傾向にあります。このように、行政ニーズは多様化し要求も高まっております。条例の数がふえると事務が多くなることは必然ですが、既に職員数は平成10年に比べ、知事部局で2割、約1、000人も減少している中で、条例数がふえて、事業、業務に支障を来たしているのではないでしょうか。2割職員を削減したら県条例も整理し、思い切って2割程度減らすぐらいまで同時に進行すべきと考えます。
 市町村への分権推進、民間力の活用など、方法はいろいろ考えなければなりませんが、業務の本質を支える条例を一体的に検討し、職員に負担がかかり過ぎないようにしなければ、良質の業務推進ができなくなることは当然であります。県民サービスの向上をうたう中で、これらがおくれますと、現実のサービスは悪化していくと思います。
 条例の見直し、改廃についてどのように取り組まれているのか、お伺いいたします。
 次に、商工会のあり方についてお伺いいたします。
 平成の合併で我が県は35市町村となり、市が13、町村が22となりました。今回の合併の特徴は、市の数は変わらなくても町村数が半減したことにあります。県は、1市町村に1経済団体を一つの指導方針としているように伺っておりますが、地域経済団体としての商工会議所と商工会があり、結果として、商工会が合併により組織的大変革を求められることになりました。
 これまで、商工会は、金融、税務、記帳指導など、経営改善普及事業に加えて、まちづくり、村おこし等の地域振興の担い手として活動してまいりました。法制化団体として、社団法人、財団法人、そして一般の事業協同組合や株式会社等とは違ったステータスを与え、昭和35年以来今日まで活動を続けてきております。ここで起きた大きな変化に対応すべく、みずからもいろいろと検討されているようですが、国から県への業務移管に伴い、まさに県の責任でこの組織を生かす方策をとらなければならないと考えております。
 県財政が苦しい中、削減削減という声ばかり聞こえてまいりますが、行政と民間をつなぐ役割を持つ商工会を十分に生かし、地域経済、特にも町村部の経済活動を活性化させることが、今、求められていると思います。経営指導員を、県職員ではなく団体のほうに置いて、より民間に近い法制化団体とした商工会法の精神をしっかりと認識し、取り組んでいただきたいと思います。県の方針をお伺いします。
 次に、人への国家予算の投入という政策転換についてお伺いします。
 アメリカの研究組織ワールド・バリューズ・サーベイが2008年に発表した幸福度ランキングにおいて、住んでみたい幸福度ランキング1位がデンマーク、2位はプエルトリコ、3位はコロンビア、アメリカは16位、そして日本は43位です。私たちは、デンマークに何を学ぶことができるでしょうか。
 OECD加盟国中、貧困率が最も高いのはメキシコで20.3%、アメリカ、トルコ、アイルランドと続き、日本は第5位で15.3%となっておりますが、デンマークはOECD内で一番貧困率の低い国、そして国民の個人収入の差が一番小さい国です。
 デンマークは人口551万人、格差のない社会を目指している国であります。NATOに加入し、イラク、アフガニスタンにも軍隊を派遣しています。そのデンマークは、直接税50%、消費税25%という世界一の高税率によって、ゆりかごから墓場までを実践している国であります。しかし、問題点もあります。例えば2008年の離婚率は41%、さらにはシングルマザーがたくさんいることなどです。
 そこで、デンマークの例を参考としてお伺いしますが、人への国家予算投入という政策転換は、一体どういう時代をつくるのでしょうか、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、橋梁の点検と補修計画についてお伺いします。
 2007年、アメリカ・ミネソタ州で多数の死傷者を出した橋梁の落下事故が起きました。先進国らしくないお粗末な原因で起こったこの事故をきっかけに、橋梁のメンテナンスが始まりました。その原因は、見ない、見えない、先送りの3点に集約されます。
 第1の見ないは、点検の未実施です。全国にある15万の橋梁で、地方自治体が管理するのはその89%、そして市町村が管理するその中の83%が、定期点検を実施していないとの報告があります。また、第2の見えないは、見過ごしや点検能力不足。そして先送りは、文字どおり、問題は認識しつつも、予算や人員の関係で対策に着手されていないとのことです。
 10年後には、築40年以上の橋梁が約半数になる中で、この問題は直ちに取り組まなければならない問題です。国交省の調査で、市区町村が定期点検を実施していない理由のトップは、財政難を抑えて専門技術の不足であります。橋梁をつくるときの新設技術よりはるかに幅広い技術を要求されるメンテナンスは、これからの事業として確立させるために、多くの課題があります。この事業の現状と対策をお伺いします。
 次に、2009年と200Q年についてお伺いします。
 まず、二大政党のあり方論についてであります。
 2009年も早いもので師走を迎えました。振り返ってみますと、ことしも正月に地元の大神宮で元旦祭に参列し、神前に進み、三種の神器の一つである鏡の前でかしわ手を打って2009年の安寧と繁栄を祈願したのは、ついこの間のような気がします。
 鏡は自分の虚像を映すことから、彼と我を見ると書くそうで、二つの世界を同時に拝み、神に誓いを立てることであります。村上春樹の世界で、青豆さんや天吾君が行った月の二つある世界は、そのようなことなのかとも思われます。両方の国を見ながら、最良の方向を見出していけば、美しい安定感のある、すばらしい世界が築けるのではないかと思います。
 ことしは日本の政治も政権交代が行われ、いよいよ二大政党時代に入ろうとしております。そこで、先人の足跡をたどりながらこのことを伺います。
 大隈重信と福沢諭吉は非常に親密な間柄で、福沢は大隈のブレーンだったと言われております。大隈は、アメリカ大統領ジェファーソンの独立宣言を勉強し、福沢も大隈と一緒にこの独立宣言を学んだことから、福沢の学問ノスゝメの冒頭の有名な文章は、アメリカの独立宣言から得たものだということは広く知られているところであります。このようなことから、早稲田と慶応は学祖を同じにする兄弟校だと言われており、校風の違いが大分あることはそのとおりですが、独立自尊という福沢の言葉は、日本社会を改革するためのキーワードであると思います。
 二大政党時代を迎えた今日、この政権交代が現実となり、何か改革みたいに変えなければならないという思いが先行しているのではないでしょうか。天は人の上に人をつくらず人の下に人をつくらず。国のもとは変わるものではありません。日本の国是を確認し合いながら、よりよい国づくりに邁進するときであろうと考えます。二大政党のあり方について、知事のお考えをお伺いいたします。
 次に、地方経済を潤してきた公共事業にかわる地方経済対策についてお伺いします。
 自民党は、経済成長と国土の均衡ある発展を目指し、今日までいろいろな政策を実行してまいりました。世界第2位の経済大国に成長し、国民生活においては、アメリカのマイカー時代が日本にも到来し、昭和26年から始まった自動車の登録制度による保有台数は、岩手県でも100万台と、1世帯2台の時代を迎えております。所得倍増論、日本列島改造論など、国民が同じ社会基盤で生活し、公共の利益を平等に受けられるよう、全国的に公共事業も進められてまいりました。その中で、問題点もいろいろ出てきましたが、順番待ちをしていた地方の道路は、いよいよ自分たちの地域の番が来たなと思っている矢先に、今、大変化のときを迎えております。
 そこで、道路整備の今後の進め方についてお伺いします。
 岩手県の道路は、東北縦貫自動車道は完成しましたが、三陸縦貫自動車道、そして両自動車道をつなぐ東北横断自動車道釜石秋田線は事業進行中であります。まさに工事中であります。民主党政権のもと、知事はこの直轄工事を今後どう進められていくのか。加えて、住民生活の道路となる県道、あるいは、さらに期待の高い市町村道の県代行事業はどう進められるのか、お伺いします。
 次に、公共事業にかわる地方経済対策についてお伺いします。
 地方経済の活力が公共事業の減少によって低下している現状で、これにかわる地方経済対策は何か、それをどう進めるつもりなのかお示しください。
 民主主義のもと、自由経済を進めて民間活力をもって経済成長を図ってきた自民党政策をどう変えていくのか。特に、自主財源の低い岩手県で、知事はどのような考えをお持ちになっておられるのか、お伺いをいたします。
 最後に、真の政治主導についてお伺いします。
 民主党政権が成立して約3カ月が過ぎました。変革や改革を旗印に登場した民主党政権でありますが、自民党時代と比べて一体何が変わったのでしょうか。政策の具体的内容について特別な変化があるのでしょうか。顕著に変化したと見えるものは、それは政策内容ではなく、政策を実行するための政治手法ではないでしょうか。いわゆる政治主導というやり方であります。脱官僚主義を掲げ、政治主導を高々と唱えた民主党であれば、新たな政治手段の導入こそが最も重要な政策だということなのでしょうか。
 私は、脱官僚政治などというものが成立するのか、疑問に思います。政策決定において、官僚に依存しなければ、政治家が官僚化するだけではないかと思います。本来は、特定分野に詳しい実務担当者こそが官僚であり、政治家は、より大きな見地からこれらの実務家を生かして方向を示し、政策を結合し、調整する存在だったのではないでしょうか。
 政治主導によって、国民のための政治が実現されるとする考え方で気になることがあります。
 民主政治は、国民の負託を受けた政治家が国民のための政治を行うのですから、政治が国民のためにあるのは当然でありますが、国民が何を望み何を要求しているかということは、自明のものではありません。そもそも、国民という一つにまとまった何かがあるわけでもないし、実際に今、さまざまな利益や関心を持った多様な人々の集団にほかならないのであります。このことから、国民のための政治は、さまざまな利益を求める集団に対する利益の配分ということになるのだろうと考えられます。しかし、これは一つのばらまき政策になっていく可能性が高いのではないかと思います。
 本当の政治主導とは、政治があるべき国家像や将来の社会像を提示して、ある方向を打ち出し、国民を引きつけていく指導行為ではなかったのでしょうか。
 政治主導の実現に向けて、知事がお考えになる真の政治主導についてお伺いいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木大和議員の御質問にお答え申し上げます。
 決算不認定に係る所感についてでありますが、昨年来、不適切な事務処理の再発防止のため、コンプライアンスの徹底を図るとともに、予算制度や会計制度の見直しを行うなど適正な事務処理の執行に向けた取り組みを進めてまいりました。
 こうした中、昨年度に引き続き、不適切な事務処理があったことにより、決算の一部が再び認定されなかったことについては、これを重く受けとめるとともに、予算執行権者として、その責任を強く感じているところであります。
 今後は、私を含め、職員一人一人が、新たに制定した職員憲章の趣旨を踏まえ、より高い意識を持ち、県政が県民から負託されているものであるということをしっかりと自覚しながら、県民の皆様の信頼にこたえられる行政を進めるため全力を尽くしていく所存であります。
 次に、人への国家予算の投入という政策転換についてでありますが、政府においては、子ども手当や高校の授業料の実質無償化などの子育て支援策によって、鳩山首相が所信表明演説で述べたとおり、子供を産み育てることを経済的な理由であきらめることのない国、子育てや介護のために仕事をあきらめなくてもよい国、そして、すべての意志ある人が質の高い教育を受けられる国を目指していくとしております。
 私は、現下の厳しい経済情勢のもと、国民が将来にわたって安心して暮らしていくことのできる社会の実現に向けたセーフティネットを構築することが何より必要であると考えておりますが、政府が実施しようとしている子供やお年寄りなど弱い立場の方々を社会全体で支え合うことや、未来への投資として子育てや教育に予算を投入することは、時宜を得た取り組みであり、今後の日本にとって非常に重要であると考えております。
 本県におきましても、いわて県民計画で、岩手の未来を開く重要な視点の一つとしてひとを掲げ、産業や医療、子育て、福祉などを地域で支えていくひと、未来の岩手の力となる子供たちやさまざまな分野で活躍し地域の核となるひとなどを育み、希望郷いわての実現を目指すというふうにしているところであります。
 次に、二大政党のあり方についてであります。
 二大政党制を含めた政党体制については、さまざまな議論があるものと承知しておりますが、二大政党制は、国民にとって政策の争点が理解しやすいことや、政権政党の責任の明確化、さらには民意による政権交代が可能といったようなメリットがあるものと言われております。
 私は、民主主義のもとでは、特定の政党による政権が永続する体制ではなく、民意による政権交代が可能となるよう、政権を担うことができる政党が複数存在し、常日ごろから政党の理念や政策を国民の前で議論し、どの政党が政権を担うのがよいのかという判断材料を国民に提供し続けることが望ましいものと考えております。
 次に、道路整備事業の今後の進め方についてであります。
 道路は、県民生活や経済社会活動を支える最も基本的な社会基盤の一つであり、特に、高規格幹線道路などの直轄国道は、道路ネットワークの中でも骨格となるものであり、長期的な視点で計画的に整備を進めていくことが必要であります。
 県や市町村が管理する道路は、直轄国道を補完する機能や地域の経済活動、暮らしを支えるなど重要な役割を担っており、隘路箇所など整備が必要な箇所について、国の補助制度等を活用するとともに、県代行事業による市町村道整備の支援も行いながら、着実に進めていくことが必要であると考えます。
 一方、国の平成22年度概算要求における道路整備の予算は、前年度に比べ2割減となり、本県においても大幅な減少が見込まれていますが、必要な道路の整備がおくれるということは、あってはならないと考えております。
 このような認識のもと、先月17日に民主党岩手県総支部連合会へ公共事業の予算の確保に関する緊急提言を実施しましたほか、21日には釜石市において、高規格幹線道路等の整備促進を訴える岩手県総決起大会を開催し、関係市町村とともに県選出国会議員へ要望したところであります。
 今後も、国の予算編成の動向を注視しながら、道路整備の促進を強く訴えていきたいと考えております。
 次に、公共事業にかわる地方経済対策についてでありますが、我が国の経済が現在のような厳しい状況にある主な要因は、国が、これまで地方が主役となる内需主導型の真の構造改革を行わず、また、セーフティネットを十分に構築しないまま、市場原理優先型の政策を行ってきたものによると考えております。
 本県経済を安定的に成長させていくためには、長期的な視野に立ったものづくり産業の振興とともに、地域の特性を最大限に生かした産業の振興により、県外から安定的に外貨を獲得する、いわゆる域外市場産業を強化しつつ、得られた所得を県内で循環させ商業やサービス業の振興を図るなど、内需主導型の経済基盤を構築していくことが重要と考えております。
 このため、いわて県民計画におきましても、自動車、半導体関連産業の集積を一層促進していくことはもとより、地域循環型の経済を目指し、地域資源を生かした農林水産業、食や観光産業などの振興に取り組むとともに、今後、成長が期待される医療機器産業や環境関連産業などの育成に注力し、本県経済の活性化を図っていくこととしているところであります。
 次に、真の政治主導についてでありますが、政治主導という言葉は、官僚主導という言葉と対になり、国民から直接選挙で選ばれた政治家が、官僚に丸投げをせずに、民意を踏まえた政策決定をしていくことであると理解しております。
 真の政治主導とは、政治家主導というよりは、国民イコール住民の主導ということであると考えており、国民イコール住民が、自分たちの暮らしや仕事について真剣に考え、あるべき姿について積極的に議論し、選挙権の行使等を通じて意思決定をしていくことが、真の政治主導の実現につながるものと考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、森林整備による森林吸収源対策についてでありますが、京都議定書の目標達成に向けた国の取り組みに対応し、本県では、平成19年度から24年度までの6年間に9万4、000ヘクタールの間伐の実施を目標とする岩手県森林吸収量確保推進計画を策定し、国の補助事業等を活用し間伐の促進に取り組んでおり、平成19年度、20年度の2カ年で約2万4、000ヘクタールの間伐を実施しております。
 目標達成をより確実なものとするため、これまでの取り組みに加え、森林整備加速化・林業再生基金事業により間伐実行量の上積みを図ることとし、今後3カ年で約7、200ヘクタールの間伐を実施することとしているところであります。
 今後、平成32年の25%削減に向けて、森林吸収源対策が一層重要となることから、次期計画に向けた検討を含め、市町村や関係団体と一体となって、間伐等の森林吸収源対策に積極的に取り組んでまいります。
 次に、広葉樹林の整備についてでありますが、本県民有林の広葉樹林面積は約40万ヘクタールで本州一の資源量を有しておりますが、その一部はチップ原料やシイタケ、木炭等の原木として、30年程度のサイクルで伐採され、その面積は年間約3、000ヘクタールとなっております。この伐採跡地は、天然力により更新され、広葉樹林が再生されております。
 また、ナラ類が多く、シイタケ原木等に適した広葉樹林に対しては、国の助成事業を活用し、不用木を除去しナラの純林に誘導する作業が行われており、その実績は年間約700ヘクタールとなっています。
 このほか、建築、家具用材として需要のあるクリやケヤキなどの造林も行われており、これまでの実績は約3、800ヘクタールとなっております。
 今後とも、豊富な広葉樹資源の有効活用と多様な森林の整備を図るという観点から、天然林改良や広葉樹造林も促進しながら、広葉樹資源の維持培養を図ってまいります。
 次に、里山エリア再生交付金が廃止された場合の森林整備への影響についてでありますが、緑豊かな森林に囲まれた快適な居住環境の創出を目的とした里山エリア再生交付金は、森林整備に対し高率の助成を受けることができるため、森林所有者にとって有利な制度であり、間伐の促進に効果を発揮してきたところであります。
 里山エリア再生交付金が廃止された場合、間伐等の森林整備は、既存の類似事業である流域育成林整備事業においても、森林所有者等が森林施業計画の作成など一定の要件を満たせば、里山エリア再生交付金と同様の高率の助成を受けることができることから、こうした助成事業を活用し、間伐等の森林整備に影響のないよう取り組んでまいります。
 次に、ナンブアカマツの活用状況と今後の課題についてでありますが、活用状況については、従来のチップ材や土木用資材だけでなく、合板への利用が増加している一方で、今後期待されるはり材など住宅部材への活用については、カビの被害により夏場の伐採が難しいことなどから、製品の安定供給などに十分対応できないこともあり、伸び悩んでいる状況にあります。
 アカマツ資源を活用するための課題としては、カビ被害を克服した通年出荷体制の確立、乾燥材など品質の確かな製品開発、安定供給と生産販売体制の整備などが挙げられることから、これまで県では、カビ被害防止技術の開発、実証や、はり材の乾燥、強度性能の共同試験、地域一体となって製材品を供給する産学官による南部アカマツ振興センターの設置などに取り組んできたところです。
 さらに、今後は、南部アカマツ振興センターに販売窓口を一本化し、県内外への販売促進を試行的に実施するとともに、民間企業と連携した新たなアカマツ集成材等の製品開発などを行いながら、全国有数のアカマツ資源の活用を図ってまいります。
 次に、カワウの被害対策についてでありますが、カワウによる水産資源の被害は、内陸の北上川水系や沿岸河川など県内各地で増加しており、内水面漁業を振興する上で深刻な状況と認識しております。
 そのため、県としては、急増するカワウの実態を早急に把握し、関係者が連携して効果的な対策を講じ、水産資源の被害拡大の防止に取り組んでいくことが必要と考えております。
 カワウは行動範囲が広いことから、市町村の行政区域を越えた広域的な視点で対応することが必要であり、今後、市町村や関係団体、地域住民等と連携しながら、関係者による連絡会議での情報共有や被害防止対策の協議、鳥獣被害防止特別措置法に基づく市町村の被害防止計画の策定と実行支援などにより、カワウによる水産資源の被害の防止に努めてまいります。
   〔地域振興部長加藤主税君登壇〕
〇地域振興部長(加藤主税君) 過疎対策法の制定に向けた取り組みについてでありますが、県としては、これまでの過疎対策において実施されてきました道路、上下水道などのハード整備への支援に加えまして、新たに都市との交流や農林水産物の販路拡大、コミュニティ対策などソフト事業への支援を盛り込んだ新たな過疎対策法が制定されるよう、県内市町村や全国知事会等と連携いたしまして、国や県選出関係の国会議員への要望を重ねて行ってきたところであります。
 こうした取り組みの結果、過疎対策を切れ目なく講じていくことの必要性につきましては理解が進み、現在、立法化に向けた議論が交わされているところであります。
 今後とも、新たな過疎対策法の制定が確実となるよう、市町村等と連携しながら、関係方面に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 条例の見直し、改廃についてでございますが、社会情勢が一層厳しさを増す中、行政に対する期待はますます多様化、高度化してまいっております。
 御指摘のとおり、厳しい行財政環境のもと、限られた職員体制の中で、これらに適切に対応していくためには、職員の育成を初め、その能力を十分発揮できる取り組みを進めるとともに、既存の事務事業の見直しを基礎とした政策の選択と集中による行財政資源の再配分を進めることが肝要と考えているところでございまして、このような姿勢に立って、条例についても必要な見直しを行っていく必要があろうと存じております。
 なお、社会情勢の変化、制定目的の達成状況、事務の効率化等の観点から、廃止または改正を要する条例もあると考えられますことから、制定または最後の改正をした年度から5年以上経過した条例等について、平成18年度から、順次、点検を行ってきたところでございます。これまで5件の条例の廃止及び18件の条例の改正をさせていただいたところでございます。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 商工会のあり方についてでありますが、議員御指摘のとおり、昭和35年の法制化以来、商工会は、法の趣旨にのっとり、経営改善普及事業のほか、商店街活性化に向けた取り組みや関係自治体への提言などを通じ、地域の商工業振興に貢献してきました。
 また、それぞれの地域のイベントや観光振興においても中心的役割を担うなど、長年にわたり、まさに地域活性化のリーダーであるとともに、小規模事業者の立場に立ち、金融、税務、記帳指導などのきめ細かな支援を行う身近な頼りになる存在であったと考えております。
 さらに、商工会連合会と緊密に連携しながら、全県的ネットワークを生かした人事交流等を通じ職員の資質向上に努め、各商工会の体制強化にも熱心に取り組んできました。
 近年、市町村合併の進展や厳しい経済情勢など、商工会を取り巻く環境は大きく変化しているところですが、こうした中にあってこそ、より一層商工会の果たす役割は大きいものと考えており、今後とも、その特色やよさが十分に発揮されるよう、県としましても、商工会連合会との連携強化を図りながら、総合的な支援に努めていきます。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 橋梁の点検と補修計画についてですが、県が管理する橋長15メートル以上の橋梁1、156橋については、平成17年度から20年度の4カ年で点検を行い、この結果をもとに、平成19年度から補助事業を活用し、岩手県橋梁長寿命化修繕計画の策定を進め、本年6月に公表したところでございます。
 この計画で早期に修繕が必要と判定されました67橋については、順次修繕工事を進めており、平成24年度までには完了させることとしております。
 一方、市町村が管理する橋梁につきましては、財政難や技術者不足などの理由から、橋梁点検及び橋梁長寿命化修繕計画の策定がこれまで進まない状況にあったことから、国では、計画策定に加え、橋梁点検に要する費用につきまして平成20年度に補助事業の対象としたところでございます。県内の市町村では、この事業を活用するなどしまして23市町村が点検に着手しているとともに、5市町村が計画策定を行っているところでございます。
 県や市町村が管理する橋梁は5、147橋あり、その維持管理を適切に行うためには、県及び市町村職員の橋梁に関する専門技術が必要となることから、国などが開催する研修会等への参加や、県と市町村職員が合同で橋梁点検を行うなどの支援を行うとともに、橋梁の修繕工法の情報共有を図るなど、今後とも、技術力の向上と継承に取り組んでまいります。
 また、今後、県内の橋梁の修繕工事が本格化することから、予算の確保に努めるとともに、現場の実情に応じた積算や発注形態等についても検討し、円滑な事業の推進を図ってまいりたいと考えております。
   〔警察本部長保住正保君登壇〕
〇警察本部長(保住正保君) 今回の県警察幹部による酒気帯び運転は、まさに弁解の余地のない言語道断な行為であり、改めて県民の皆様並びに議員各位に深くおわび申し上げます。
 県警察では、職員の飲酒運転防止について従来から各種対策を行っていたところであり、最近では、9月28日付本部長通達、飲酒運転事案の絶無について、10月14日付本部長通達、非違事案防止対策の更なる強化についてを発出し、身上把握の強化や家族の協力の確保など、飲酒運転防止に向けた意識啓発の強化を図ってまいりました。
 また、10月30日開催の県下警察署長会議においても、飲酒運転防止対策を協議テーマとして議論したところでありますが、今回の事件が発生したということは、これらの対策が不十分であり、徹底されていなかったものと深く反省しております。
 今回の事件発生を受け、11月25日付で本部長通達、飲酒運転の根絶についてを緊急に発出したほか、本部内部課長会議を緊急開催し、職員一人一人に警察職員としての自覚を促す指導教養や職員の個々面接による身上把握の徹底を指示したところであります。
 さらに、全所属に対する特別監察を実施して、これまで通達により指示していた各種対策の推進状況を検証するとともに、各部長による警察署長を含めた全所属長に対する面接指導を行うなど、さらなる対策の強化を推進し、飲酒運転絶無に努めてまいりたいと考えております。
 この問題は、警察職員の意識改革にその本質があり、全職員に対してポリスマインド、すなわち職員のあるべき心構えを再徹底させることが何よりも重要であるものと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、工藤大輔君。
   〔30番工藤大輔君登壇〕(拍手)

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