平成21年12月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第2号から第6号までに反対の討論を行います。
 これらの議案は、県人事委員会の勧告に基づいて県職員の給与を大幅に引き下げようとするものであります。
 反対する第1の理由は、県職員の給与改定に当たって、地方公務員法第24条で明記されている県職員の生計費を確保する立場を放棄していることであります。
 今回の給与改定は県職員の平均で年収17万5、000円の引き下げを行うものであり、総額42億800万円ともなる大幅な減額を行うものであります。県職員は、既に11年連続の賃金引き下げで、1人当たり平均で年収118万円の減収となっております。総額では年間ベースで227億4、700万円の減額であります。これは耐えがたい賃金の引き下げであり、県職員の生計費の確保に背くものと言わざるを得ません。
 第2の理由は、県職員、公務員の賃金引き下げがさらに民間の賃金引き下げの要因となり、内需を冷え込ませ、賃金引き下げの悪循環を招いていることであります。
 11年連続の給与引き下げによる年間ベースの削減額は227億円余であり、地域経済に与えるマイナスの経済波及効果は344億円余にも及ぶものであります。昨年来の経済危機と不況のもとだからこそ、県職員、公務員の給与は地域経済を下支えする役割を果たすべきであります。
 第3に、今回の県職員の賃金引き下げは二重の意味で合理的な理由のないものであります。
 今、達増県政のもとで昨年度から特例減額が強いられています。これは1人当たり年額8万8、000円の減額、総額では21億5、000万円に及ぶものであります。県職員の給与は民間の賃金と比べても月額で3、612円下回っているのであります。本来は引き上げこそ求められているのであります。
 また、平成18年度、4.8%の大幅な給与の引き下げが行われました。特に中高齢層は7%以上の引き下げという異常なものでありました。この給与表と比べても、県職員の給与は民間の給与より月額で2、224円下回っているのであります。激変緩和の経過措置が実施されていますけれども、これはあくまで経過措置であります。実際の給与額でも給与表の比較でも県職員の給与は民間賃金を下回っており、賃金引き下げを行う理由はありません。少なくとも特例減額も賃金の引き下げも二重に実施することは直ちにやめるべきであります。道理も合理的理由もないやり方であり、県政のモラルハザードそのものであります。
 また、達増県政が県職員に二重の賃金引き下げを押しつける一方で、70億円も無駄遣いとなる県営津付ダム建設事業を進めていることは許されないことであります。
 第4に、8月の人事院の勧告自身が、8月末の総選挙で国民の厳しい審判を受けた前自公政権のもとで行われた総人件費抑制政策に基づくものだったということであります。
 2002年以来、小泉内閣が進めてきた総人件費抑制政策は中立であるべき人事院にも押しつけられ、異常な公務員の賃金引き下げが進められてきました。原口総務大臣も前政権下で何が行われてきたかは検証したいと国会で答弁しているように、根本的に検証し、見直すべき問題であります。県人事委員会が特例減額によって既に民間賃金よりも低くなっている県職員の実態を無視して給与の引き下げを勧告したことは、労働基本権制約の代償機関としての役割を放棄するものだと強く指摘しなければなりません。
 第5に、給与構造改革の経過措置者に対しては、1.39%の全国最大規模の調整率引き下げを行うことによって中高齢層に大幅な賃金引き下げとなっていることであります。
 特例減額を実施していることを理由に月例給については4月にさかのぼる遡及は行わないとしながら、夏のボーナスには適用されるとともに、12月以降の月例給からは実施されることも問題であります。全国の15道府県しか廃止勧告をしなかった住居手当を廃止することも問題であります。
 第6に、民間給与引き下げの最大の要因は史上空前の利益を上げてきた大企業による横暴であり、労働者と中小企業を犠牲にしてきた内部留保の異常なため込みにあるということであります。
 昨年のアメリカ発の経済危機の直前まで日本の大企業は史上空前の利益を上げてきました。ところが大企業は、労働者の賃金は抑え、派遣など非正規労働者に置きかえるとともに、下請中小企業を極限まで絞り込んできました。労働総研の試算では、大企業の内部留保はこの10年間で210兆円から428兆円に2倍以上にふやしたのであります。この内部留保の一部、わずか33兆円を活用するだけで民間労働者の賃金を10年前の水準に引き上げることができます。それによる国内需要は35兆円拡大し、国内生産は53兆7、000億円、付加価値は30兆7、000億円誘発されるのであります。国税、地方税合わせて5兆5、000億円の増収となるものであります。
 この10年間でため込んだ218兆円の内部留保を活用し、最低賃金の引き上げ、非正規から正規労働者への転換などを行うなら国内需要は263兆円拡大し、国内生産が435兆円、付加価値が238兆円誘発され、それに伴う国税、地方税合わせて42兆4、000億円の増収を実現できるのであります。大企業のぼろもうけ、内部留保を労働者の賃金の引き上げと安定した雇用の確保などに活用してこそ内需拡大の新しい経済構造を築いていく第一歩となるものであります。
 現在のデフレの最大の要因は雇用者報酬の連続的な減少であり、非正規雇用の拡大と派遣切りなどの雇用破壊であります。今こそ自公政権が進めてきた公務員の総人件費抑制政策を転換し、賃金引き下げの悪循環を断ち切るべきであります。
 議案第6号は、教育職員に新たに主幹教諭を追加し、教職調整額の支給対象となる特2級を追加するものであります。これは教員の間に新たな職階を設け、教員の管理強化を進めるものであり、反対するものであります。
 以上を申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第2号から議案第6号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、議案第2号から議案第6号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時39分 散 会

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