平成21年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成21年10月21日(水)
1開会  午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長     浅 田 和 夫
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査     石木田 浩 美
  主任主査     岩 渕 伸 也
  主任主査     鈴 木 文 彦
  主任主査     藤 原 由喜江
  主査       菅 原 俊 樹
  主査       大 森 健 一   
1説明員
  農林水産部長   瀬 川   純
  副部長兼
  農林水産企画室長 小田島 智 弥
  理事心得     宮   一 夫
  農政担当技監   佐々木 和 博
  農村整備担当技監
  兼農村計画課
  総括課長     須 藤 勝 夫
  林務担当技監   西 村 和 明
  水産担当技監兼
  漁港漁村課
  総括課長     佐々木   敦
  競馬改革推進室長 松 岡   博
  農林水産企画室
  企画課長     高 橋   渉
  農林水産企画室
  管理課長     小 友 善 衛
  団体指導課
  総括課長     門 口 正 雄
  指導検査課長   大 澤 宣 典
  流通課総括課長  浅 沼 康 揮
  農業振興課
  総括課長     杉 原 永 康
  担い手対策課長  井 上 敬 二
  農業普及技術課
  総括課長     高 橋 伸 夫
  農村建設課
  総括課長     沼 崎 光 宏
  農産園芸課
  総括課長     川 嶋 明 澄
  水田農業課長   工 藤 昌 男
  畜産課総括課長  徳 山 順 一
  振興・衛生課長  千 葉 健 市
  林業振興課
  総括課長     堀 江   淳
  森林整備課
  総括課長     竹 田 光 一
  整備課長     阿 部 義 樹
  森林保全課
  総括課長     佐 賀 耕太郎
  水産振興課
  総括課長     寺 島 久 明
  漁業調整課長   五日市 周 三
  競馬改革推進監  浅 沼   浩
  競馬改革推進室
  特命参事     大 友 宏 司

  会計管理者    古 内 保 之

  監査委員     菊 池 武 利
  監査委員     谷 地 信 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長     奈須川 博 司
  監査第二課
  総括課長     小 原 一 信

  予算調製課
  総括課長     八 矢   拓
〇小田島峰雄委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成20年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成20年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇平沼健委員 昨日、岩手県警察の決算審査がありましたが、その際、今後の捜査に支障があるという答弁が多く、納得が得られませんでした。いまだ十分な審議が尽くされていないと私は思っております。
 また、不正経理の最終報告も総括質疑の終了後に提出されたものであることから、取りまとめの前に知事の出席を求めるものであります。
 委員長におかれましては、お取り計らいをよろしくお願い申し上げます。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 私は2点、知事の出席を求めたい。一つは、きのうの県警の審査で、パチンコ業界との癒着懇談会を取り上げました。これは、県の倫理条例に反する極めて重大な問題だと思います。
 もう一つは、県立花泉地域診療センター廃止条例にかかわって、医療法人白光との癒着問題に知事がかかわっているのではないかと、私はこの問題も指摘しましたので、ぜひこの2点もつけ加えて、知事を呼んだ審査をしていただきたい。
〇小田島峰雄委員長 この際、ただいまの件について、世話人会を開き、協議いたしたいと思います。
 暫時休憩いたします。
 世話人の方々は、議会運営委員会室にお集まり願います。
   午前10時4分 休 憩
午後1時2分 再開
〇小田島峰雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 ただいまの世話人会の協議結果を御報告いたします。
 10月16日に佐々木大和委員から、山田町の市町村要望に関する知事の発言の真意について、同日の質疑の中で小野寺有一委員から、診療センターの無床化と医師の退職抑制等との関係に係る県立病院の設置者たる知事の見解について、また、本日、平沼健委員から、警察本部の不正経理処理に関する最終報告を受けての知事の見解等について、同じく、斉藤信委員から、警察本部とパチンコ業界との関係について、医療法人白光と知事との関係について、それぞれ申し出のあった知事の出席を求める件については、明日、最終日に予定されている県土整備部審査の終了後に、知事の出席を求め、それぞれの申し出のあった項目について、事前に通告を行った上で質疑を行うとの結論に至りました。
 お諮りいたします。先ほどの世話人会の協議結果の報告のとおり、明日の県土整備部審査の終了後に、知事の出席を求め、質疑を行うことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 それでは、農林水産部関係の審査を行います。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇瀬川農林水産部長 農林水産部関係の平成20年度の決算について御説明申し上げます前に、農林水産部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げます。
 平成20年度におきましては、就業者の減少、高齢化の進行に加え、燃油や肥料などの生産資材価格の高騰や景気後退に伴う生産物価格の低迷など、農林水産業を取り巻く環境が一段と厳しくなる中で、本県の農林水産業を地域経済社会の基盤となる産業として確立していくため、いわて希望創造プランに基づき、担い手の育成や産地づくり等を中心とした各種施策を推進してきたところであります。
 具体的な成果等につきまして、いわて希望創造プランの政策項目ごとに申し上げますと、まず、一つ目の柱である農林水産業をリードする経営体の育成についてでありますが、農業においては、地域農業の核となる担い手の育成に向け、集落内での話し合いによる担い手への農地利用集積や、経営の高度化に向けた支援等により、認定農業者や集落型の農業経営体の育成等に取り組んだところであり、また、林業においては、地域の森林経営の担い手の育成に向け、間伐など森林施業の低コスト化を図る現地講習会の開催など、地域森林経営プランの実践支援等により、地域牽引型林業経営体の育成等に取り組んだところであります。さらに水産業においては、地域の養殖漁業の担い手の育成に向け、養殖漁場の集積等を進めるための地域営漁計画に基づく養殖施設の整備や機械化支援等により、中核的な養殖漁業経営体の育成等に取り組んだところであります。
 この結果、認定農業者数や集落型の農業経営体数、地域牽引型林業経営体数、そして、中核的な養殖漁業経営体数は順調に増加してきております。今後は、認定農業者や集落型農業経営体の経営の高度化や農地の面的集積等による経営基盤の強化に向けた支援、地域牽引型林業経営体が行う低コスト施業や林業経営技術の向上支援、さらには養殖漁業経営体の規模拡大やグループ生産体制の構築等を進め、経営体の一層の育成、強化に努めてまいります。
 次に、二つ目の柱である生産性、市場性の高い農林水産物の産地形成についてでありますが、農業においては、岩手らしい安全・安心なサプライチェーンの確立を図るため、環境保全型農業の実践者の拡大や東北初の県版GAP─農業生産工程管理でございます─の導入、トレーサビリティーの拡大等に取り組むとともに、競争力のある農畜産物産地の形成を図るため、減農薬、減化学肥料栽培の拡大や低コスト化、収益性の向上を図る栽培技術などの普及、開発、冬春野菜等の生産拡大等に取り組んだところであります。
 また、林業においては、需要に対応した林産物産地の形成を図るため、関係機関、団体等で組織する協議会等を通じた大口木材需要者への安定供給体制の確立に取り組むとともに、水産業においては、市場性の高い水産物産地の形成を図るため、サケの回帰率向上に向けた生産技術の指導、ナマコの種苗生産技術の開発などに取り組んだところであります。
 この結果、県版GAPを導入する産地、品目数、冬春野菜の販売額等が順調に増加しているほか、大口需要者を中心とした県産材の供給量やサケの生産額等も増加しているところであります。
 今後は、県版GAPの一層の普及拡大と、より高度なGAP等へのステップアップの促進、野菜等の周年生産体制の確立、大口需要者への県産材の素材供給体制の強化等による木材生産の拡大、稚魚の飼育技術の開発等によるサケの回帰率向上やナマコ種苗の量産技術等の確立などに取り組み、生産性、市場性の高い産地づくりに努めてまいります。
 次に、三つ目の柱である消費者、実需者ニーズに対応した販路の拡大につきましては、本県農林水産物の販路拡大や付加価値の向上を図るため、首都圏の量販店OB等で構成する食のプロフェッショナルチームなど、民間ノウハウを積極的に活用した商品開発、販路開拓や量販店等とのマッチング支援等に取り組んだところであります。
 また、本県農林水産物のブランド化を促進するため、安全・安心な農林水産物の積極的なPRや、知事によるトップセールスの展開等により、岩手ブランドの確立に取り組んだところであり、この結果、野菜、果実などの園芸作物の契約取引率や生産者等の農産物の加工品販売額等が前年度よりも増加するなどの成果があらわれてきております。
 今後におきましても、商談会やフェアの開催による販売機会の拡大や食のプロフェッショナルチームの活動等を通じたきめ細かな支援を展開していくとともに、加工、販売分野へ進出する6次産業化や農商工連携の推進により、生産者等の所得向上に努めてまいります。
 以上、当部所管の平成20年度における事務事業に係る主な成果と、これを踏まえた今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げましたが、このような取り組み方針を現在策定中の新しい長期計画の施策の中にしっかりと位置づけ、農林水産業の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、農林水産部関係の平成20年度決算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計についてでございますが、平成20年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費723億541万円余のうち、県土整備部の所管分を除いた644億4、352万円余及び、16ページでございますが、11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費24億56万円余から県土整備部の所管分を除きました18億9、037万円余と4項庁舎等施設災害復旧費の当部所管分813万円余を合わせて663億4、202万円余であります。
 これに対する決算額は、それぞれ県土整備部所管分を除いて、先ほどの14ページの6款農林水産業費576億5、577万円余及び16ページの11款災害復旧費のうち、1項農林水産施設災害復旧費14億6、370万円余、それから4項の庁舎等施設災害復旧費813万円余を合わせまして591億2、761万円余となり、前年度に比較して、金額で7億7、579万円余、率にして1.3%の増となっております。また、執行率は89.1%であります。
 なお、繰越額の状況につきましては、お手元の歳入歳出決算説明書のほうでございますが、この62ページから65ページまで、それから68ページから71ページまでに記載しておりますが、このうち農林水産部関係は、42事業で68億315万円余となっており、前年度に比較して、金額で14億3、518万円余、26.7%の増となっております。これは、主に国の2次補正予算に対応したものであり、その事業実施に際し、計画調整に不測の日数を要したことなどにより繰り越したものであります。
 次に、一般会計決算の内容につきまして、平成20年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げますので、御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の230ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査及び不適切な事務処理に伴う国庫補助金の返還等に要した経費であります。2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う融資機関に対し利子補給等を行ったものであります。232ページに参りまして、3目農業構造改善対策費は、都市との交流拡大による農山漁村の活性化を図るため、教育旅行の受け入れ農林漁家の拡大、情報発信の強化、岩手・宮城内陸地震等による風評被害の抑制等を行ったものであります。4目農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要した経費のほか、233ページ、こちらのほうに備考欄がございます。この備考欄下から二つ目の経営力強化支援事業費は、農業者の経営力を向上させるため、新技術の定着等の普及指導活動に要した経費であります。234ページに参りまして、5目農業振興費の主なものでありますが、235ページの備考欄下から九つ目にございますが、中山間地域等直接支払事業費、これは、中山間地域などにおいて、継続的な農業生産活動等を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件等の格差の範囲内で交付金を交付したものであります。また、備考欄下から三つ目の基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業費は、水稲、野菜、果樹などの優良品種の作出や有用微生物利用技術の開発研究を促進するため、試験研究機関におけるバイオテクノロジーの基礎的研究や調査などに要した経費であります。237ページに参りまして、備考欄上から五つ目でございますが、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金は、中山間地域における農林漁業の振興や山村地域と都市との交流など、地域産業の振興を図るために必要な施設整備等に対して交付金を交付したものであります。236ページの6目農作物対策費の主なものでありますが、この欄の備考欄下から二つ目の強い農業づくり交付金は、多様なニーズに対応した特徴ある米づくりと生産性の高い営農システムを確立するため、共同利用機械や穀物乾燥調製施設の整備に対して交付金を交付したものであります。7目畑作振興費の主なものは、花きセンターの管理運営に要した経費のほか、備考欄下から二つ目の強い農業づくり交付金は、野菜、果樹の品質重視の出荷を促進するため、保冷庫、選果機の整備に対し交付金を交付し たものであります。238ページをお開き願います。8目北上奥羽山系開発費は、北上・奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還等に要した経費であります。9目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、農薬の使用者及び販売者に対する農薬の適正使用、適正販売の検査、指導等に要した経費であります。10目農業協同組合指導費と11目農業共済団体指導費は、農業協同組合、農業共済組合の検査、指導監督に要した経費であります。12目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。240ページをお開き願います。13目農業大学校費は、同校の管理運営に要した経費であります。
 次に、242ページをお開き願います。2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費等であります。2目畜産振興費の主なものでありますが、備考欄一つ目の畜産振興総合対策事業費は、生産性の高い畜産経営体の育成を図るため、家畜飼養技術の指導を初め、生産から流通、消費に至る総合的な畜産経営対策に要した経費であります。また、備考欄下から二つ目の牛肉輸出施設整備費補助は、海外へのいわて牛の販路拡大を図るため、輸出条件に適合した施設等の整備に対して補助したものであります。244ページをお開き願います。3目草地対策費の主なものでありますが、備考欄一つ目の畜産基盤再編総合整備事業費は、生産性の高い畜産経営体群の育成及びこれを核とした畜産主産地の再編整備を行うため、草地の改良や畜舎等の整備に要した経費であります。次の団体営畜産経営環境整備事業費は、総合的な畜産経営の環境整備を図るため、家畜排せつ物処理施設の整備に要した経費であります。244ページの4目家畜保健衛生費は、家畜伝染病予防法に基づく臨床検査や24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要した経費であります。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要した経費であります。
 次に、246ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であります。2目土地改良費のうち、農林水産部関係は、水田の大区画化や排水条件の改良を行う圃場整備、用排水路等の整備、既存施設の老朽化に伴う機能保全計画の策定及び改修、農村景観の保全など、農村の生産基盤や生活環境の総合的な整備等に要した経費であります。次に、少し飛びまして、250ページをお開き願います。3目農地防災事業費のうち、農林水産部関係は、農地、農業用施設の洪水被害等を防止するための防災ダムやため池の整備及び老朽化した水利施設の整備等に要した経費であります。4目農地調整費の主なものでありますが、備考欄二つ目の農地保有合理化促進費は、担い手の経営規模拡大、農地の利用集積を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地の買い入れ、借り入れ等に要する資金への利子補給及び事業実施に要した経費に対して補助したものであります。
 次に、252ページをお開き願います。4項林業費であります。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費等や県有林事業特別会計への繰出金等であります。254ページをお開き願います。2目林業構造改善対策費は、林業構造改善事業等で施設導入を行った事業体等への経営指導に要する経費であります。3目林業振興指導費の主なものでありますが、備考欄下から二つ目のいわての森林づくり推進事業費は、森林が持つ水源の涵養機能などの公益的機能を維持増進し、良好な状態で次の世代に引き継ぐため、県民の理解と協力のもとに、いわての森林づくり県民税の税収を財源として、公益上重要で緊急に整備する必要のある森林について、混交林誘導伐を実施したほか、公募による森林環境の保全に向けた地域住民活動に対し支援したものであります。257ページに参りまして、備考欄一つ目の強い林業・木材産業づくり交付金は、間伐材等の生産コスト削減を図るための高性能機械の導入等に要する経費に対し交付金を交付したものであります。256ページの4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要した経費等であります。5目造林費は、森林の公益的機能の発揮と森林資源の充実を図るため、造林や間伐等の森林整備に対し補助等を行ったものであります。258ページをお開き願います。6目林道費は、県土整備部所管となっているものであります。7目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要した経費であります。260ページをお開き願います。8目林業技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究などに要した経費であります。
 次に、5項水産業費であります。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営などに要した経費であります。262ページをお開き願います。2目漁業構造改善対策費は、漁業経営体の水産物流通における衛生面の管理向上を図るため、漁業用作業保管施設や水産物洗浄機器等の整備に対し補助等を行ったものであります。3目水産業振興費の主なものでありますが、備考欄二つ目の定置網復旧支援資金融通対策費は、平成18年9月及び10月の低気圧等により定置網に被害を受けた漁業者等の経営の早期安定化を図るため、漁業者等に資金の貸し付けを行う岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、その原資の一部を預託したものであります。265ページをお開き願います。備考欄五つ目のさけ、ます増殖費は、この欄の備考欄下から二つ目にございます強い水産業づくり交付金とあわせて、サケ、マス資源の維持安定を図るため、サケ稚魚の放流、調査研究及び増殖施設の整備に要した経費であります。264ページの4目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合の検査、指導監督に要した経費及び漁業近代化資金等の貸し付けを行う融資機関に対し利子補給等を行ったものであります。5目漁業調整委員会費は、海区漁業調整委員会等の開催に要した経費であります。266ページをお開き願います。6目漁業調整費は、漁業調整関係職員の人件費等であります。7目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要した経費であります。268ページをお開き願います。8目水産技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究に要した経費のほか、備考欄三つ目の漁業指導調査船代船建造事業費は、老朽化した漁業指導調査船岩手丸の代船建造に要した経費であります。9目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費であります。270ページをお開き願います。10目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要した経費であります。11目漁港漁場整備費のうち、農林水産部関係は、水産業の振興のため、漁港、漁場、漁村における水産基盤施設の総合的な整備や既存施設の老朽化に伴う保全工事等に要した経費であります。
 次に、大きく飛びまして、342ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費、このページ下の3目治山災害復旧費、それから、344ページの5目漁港災害復旧費は、過年災害及び岩手・宮城内陸地震、岩手県沿岸北部を震源とする地震等による現年災害の復旧に要した経費であります。
 348ページをお開き願います。4項庁舎等施設災害復旧費であります。1目庁公舎等災害復旧費のうち、農林水産部関係は、岩手・宮城内陸地震及び岩手県沿岸北部を震源とする地震により被災した施設の復旧に要した経費であります。
 以上、一般会計の決算について申し上げました。
 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成20年度岩手県歳入歳出決算書のほうにお戻りいただきます。こちらの30ページをお開き願います。農業改良資金特別会計についてでありますが、予算現額は4億4、789万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は4億5、195万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は3、600万円余で、その主なものは、新規就農者の経営開始に必要な施設機械等を購入するための資金を無利子で貸し付けたものであります。
 32ページをお開き願います。県有林事業特別会計についてでありますが、予算現額は35億8、967万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は34億3、204万円余で、その主なものは、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金であります。次に、支出済額は33億9、090万円余で、県行造林造成事業等に係る除伐や間伐等に要した経費であります。
 なお、繰越額の状況につきましては、お手元の歳入歳出決算説明書のほうでございますが、この70ページから71ページに記載しておりますが、1億8、419万円余となっているところでございます。これは、国の2次補正予算に対応したものであり、その事業実施に際し、計画調整に不測の日数を要したことにより繰り越したものであります。
 恐縮ですが、歳入歳出決算書のほうにお戻りいただきまして、34ページをお開き願います。林業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は8億3、055万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は8億3、985万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は3億4、560万円余で、林業経営の改善を図るため、林業従事者等に対し林業・木材産業改善資金を無利子で貸し付けたもの、及び森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資の一部を金融機関に対し預託したものであります。
 36ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計についてでありますが、予算現額は8億6、829万円余であります。これに対する決算額でありますが、収入済額は8億6、803万円余で、その主なものは、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金であります。次に、支出済額は1億2、707万円余で、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し経営改善資金等を無利子で貸し付けたものであります。
 以上で農林水産部所管に係る平成20年度決算についての御説明を終わらせていただきます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇小田島峰雄委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇大宮惇幸委員 まず初めに、去る10月19日に北海道・東北3県知事サミットが本県で開催されました。その中で、特にも食料・木材供給基地という行動宣言が採択をされたところでありますし、報道もされました。私どもといたしましても知事サミットの成果に大きく期待するところであります。今後の県政あるいは県の農林水産業の分野でも、大きく、早い時期にこれを反映させていただきたいと期待するところであります。
 それでは、通告に従いまして質問させていただきたいと思います。
 事項別明細書の241ページに関連して伺いますけれども、新いわてオリジナル水稲品種開発事業という項目がございますが、本県ではこれまで、米、園芸、畜産のバランスのとれた総合産地を目指して農業振興に取り組んできたところでありますけれども、残念ながら、農業産出額は昭和60年をピークに減少傾向にあります。平成19年には、ピーク時から比較いたしまして1、135億円も減少しているというのが現実であります。
 その中で、特に米は860億円も減少している状況にあるわけであります。その減少は、まさに現場の生産者がもろに受けているというのが実態であります。平成19年の産出額の内訳を見ましても、米の産出額の割合は24%まで落ち込んでいるというのが実態でありまして、本県農業の基幹であることには変わりがないわけでありますけれども、需要が減少している中で、増産は無理だとしても、米からの所得を高める取り組みに力を入れるべきだと考えるものであります。
 本県では、昨年3月に関係団体と連携してという、特に農林水産部ばかりじゃなく、各部署で、連携という言葉が使われておりますけれども、いわて純情米生産販売戦略を策定して、これに基づき他産地との差別化のブランド化に向け取り組んでいるということは承知しております。早期に他産地に打ちかてるような成果を出していただくよう期待しているところであります。
 それを踏まえて、まず2点についてお尋ねいたします。一つ目は、新品種の開発状況についてであります。
 最近の報道によりますと、山形県では、つや姫というコシヒカリも腰を抜かすような触れ込みの品種を開発し、知事を先頭に売り込みをかけております。北海道では、きらら397を超えると言われるゆめぴりかという品種を開発して、首都圏に売り込んでいると聞いております。そのほかにも、秋田県ではゆめおばこなど、新しい品種をつくり出しており、販売競争が激化いたしております。
 本県が米の産地間競争に打ちかつためには、食味がよくて、生産者にとってもつくりやすい本県のオリジナル品種を市場に出し、ブランド化を図ることが重要だと思います。
 そこで、米の品種開発の状況は現在どうなっているのか、また、何年ぐらいすれば期待の品種が世に出るのか、見通しについてお聞かせ願いたいと思います。
 二つ目は、生産コストの削減が期待される鶏ふんを活用した肥料の開発についてであります。
 かつては、堆肥を田んぼに入れ、あわせて化学肥料を使っていた時代がありました。化学肥料は今に比べて相当安いものでありました。ところが、現在は、家畜を飼う農家も少なくなり、化学肥料だけで栽培する農家がふえておりますけれども、最近では、化学肥料も有機質入りが当たり前になっており、また、化学肥料は、その原料を海外に依存していることから相当高価なものになり、経営を圧迫しております。
 本県は畜産県でもあり、特にも、ブロイラーを初め養鶏業が盛んで、鶏ふんは豊富にあり、いわば有機質の宝庫であります。県では、肥料費の高騰時に、県の特許技術を活用して、鶏ふんを活用した肥料開発に取り組むとの話でありました。まさに時宜を得た取り組みであると考えております。
 そこで伺いますけれども、鶏ふんを活用した肥料の開発状況がどうなっているのか、お示しをいただきたいと思います。
〇工藤水田農業課長 まず、水稲オリジナル品種の開発状況についてでございます。
 本県では、平成2年度から、本県の気候、風土に適合し、消費者や市場ニーズにこたえられ、省力、低コスト生産が可能な品種の開発に取り組んでおります。これまで、うるち米4品種、モチ米1品種、酒米2品種など合計14品種の開発をしてきたところでございます。これら品種の平成21年産の作付面積は、水稲の約1割、約5、700ヘクタールとなっているところでございます。
 現在の開発状況につきましては、毎年約100種類の組み合わせで交配しておりまして、得られた個体をガラス温室で世代促進するとともに、生物工学研究センターで開発しましたDNAマーカーも活用しながら、収量性や耐病性、食味などの検定を進めているところでございます。
 平成21年度におきましては、このような取り組みのほかに、食味がひとめぼれやあきたこまちのクラスでありますが、耐冷性と耐病性にすぐれました5品種を県内11カ所の現地調査圃場で試験栽培を実施しているところでございます。
 これら有望な5品種につきましては、今年度からの現地調査圃場での試験栽培の結果にもよりますが、早ければ平成23年からの本格的な作付を目指しているところでございます。
〇高橋農業普及技術課総括課長 鶏ふんを活用した肥料の開発についてでございますが、本県で豊富に産出される安価な鶏ふんを化学肥料に代替する技術は、委員御指摘のとおり、肥料コストの低減に非常に有効であるということから、今年度、農業改良普及センターが中心となりまして、水稲では、県内5カ所で現地実証試験を実施し、化学肥料と同等の生育が確保できることが実証されたところでございます。
 鶏ふん単体では、化学肥料の全量を代替するには、窒素成分が低いため散布量が多くなりますことから、本年1月に特許を取得した鶏ふんの発酵過程で発生するアンモニアガスを硫黄と反応させて、窒素成分を高める技術をモデル的に導入する鶏ふん堆肥製造業者の施設整備を支援するなど、平成22年度からの本格的な普及に向けまして、その供給体制の整備を進めているところでございます。
〇大宮惇幸委員 今、新しい品種開発のめどについてお答えがございました。平成23年から一般の生産者に供給したいというお話であります。研究開発に当たっておられる職員といいますか技術者の皆さん方には、日夜の努力には感謝をしますけれども、どちらかといいますと、岩手の品種開発は東北の中ではおくれをとっているのではないかというのは、私のみならず、生産現場の生産者の皆さんからの声も相当あります。そういう意味で、何が不足して品種開発が東北の中でおくれをとっておったのか、その原因がもしおわかりであるのであれば、お示しいただきたいと思います。
 二つ目の鶏ふんを活用した低コスト稲作については、特許を取っての鶏ふん製造ということであります。これらは、本当に現場の田んぼに、あるいは畑にもいいだろうと思いますけれども、そうした絶対量が供給できる体制は、いつごろからその体制が確立できるのか、その点について具体的にお示しいただきたいと思います。
〇工藤水田農業課長 他県に比べて開発のスピードなり、あるいは開発された品種が劣るのではないかということでございますけれども、その原因についてという御質問でございます。なかなか明確な回答はできかねるかと思っておりますが、今、品種開発現場で使われている品種の大部分は、コシヒカリの遺伝子をメーンにしたものでございます。コシヒカリの適性というのは、どちらかというと西日本のほう、日本全体で見れば西のほうが適地でございまして、そういう意味では、本県のこの冷涼な気候の中で、そういう良食味と言われている素質を発揮できるかどうか、その辺の部分がまだなかなか解明されていないと。
 あるいは、もう一つ言えば、太平洋側の県にはよくある話なのでしょうが、本県は、なかなか気象の変動が激しい、あるいは夏場にちょっと低温が来るということで、一定の成果が得られにくいということがあるのかと思ってございます。
 ですから、そういう意味で、立派な遺伝資源を持ってきて、そこの中で本県の気象条件あるいは立地条件に合うものを早く見つけられるように、生物工学研究センターで整備しました機器を活用しながら、あるいは研究員の目というものを活用しながら、できるだけ早く出せるように取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
〇高橋農業普及技術課総括課長 鶏ふんの現場圃場での供給の時期ということの御質問でございますが、今回、モデル的に県特許を使った堆肥製造業者の施設整備は、簡易なもので、もう既に事業が終わってございますので、平成22年の作付からは供給できるということでございます。
 ちなみに、県内の鶏ふん生産量は7万5、000トンほどということになっておりまして、この鶏ふんは県外にも出ているわけですけれども、そうした量が、実績ですと、7万5、000トンのうち3万2、000トンほど県内に供給されていると。平成21年に向けて、この鶏ふん業者からの聞き取りによりますと、平年よりも2割から5割程度ニーズがふえているということでございますので、量的にどれぐらい出るかというのはこれからのことでございますけれども、かなりの量が供給されると期待しているところでございます。
〇大宮惇幸委員 いずれ、米の品種のみならず、いわゆる種子については、現場の生産者としては大変期待している部分が多いわけでありまして、特にも、これは平成21年度の補正の中身になるわけでありますけれども、さまざまな最新の機器を導入しての取り組みがなされるという目的で、高価な機械も導入されるようであります。
 いずれ、農林水産部の所管にはさまざまな研究機関があるわけでありますが、岩手生物工学研究センターにバイオの機械が整備されるわけでありまして、これらによって一層の品種開発の促進をしていただきたいということに期待を申し上げるところでありますし、また、今度の9月補正でも、それに伴った純情米食味向上対策ということで予算措置がされたわけでありまして、これらとあわせて品種開発に一層拍車をかけて、スピードを上げていただきたいと御期待を申し上げます。
 さらに、低コスト稲作に関係する鶏ふんの活用については、やはり今後、需要が相当見込まれるだろうと思われます。いわゆる消費よりも生産現場がおくれをとらないような体制を敷いていただくように、ひとつよろしく御配慮を賜りたいと思います。
 続きまして、同じく花きセンター運営についてお伺いいたします。
 これは、花きセンターの果たしている役割と申しますか、花卉栽培農家の皆さんからも聞いておりますけれども、果たしてこのセンターがどういう役割をしているのかと、私も現場で問い合わせを受ける機会がたびたびあります。この花きセンターがどういう役割を果たして、どういう成果を上げているのか、まずその点からお示しいただきたいと思います。
〇川嶋農産園芸課総括課長 花きセンターの役割と成果についてでございますが、県立花きセンターは、本県花卉振興の拠点といたしまして、農業者や農業指導者等を対象といたしました花卉の新品種展示や栽培法の研修等、広く県民の皆様を対象としました花卉に親しむ場の提供をねらいといたしまして、平成元年に設置したものでございます。
 これまで、小菊では、新品種や作型の実証展示を行ってきており、こうした取り組みもございまして、平成10年からのこれまで10年間で、小菊の生産面積が3倍の124ヘクタールに増加し、全国第3位の産地に成長したところでございます。
 さらに、アルストロメリアやトルコギキョウ等の施設花卉の研修には、毎年延べ1、000人を超す農業者あるいは指導者に受講いただきまして、雫石町のユリでございますとか、奥州市のアルストロメリア、軽米町のスプレー菊など、県内各地に特色のある施設品目の産地が形成されているところでございます。
 さらに、平成8年度からは、花卉等の新規就農希望の長期研修生を受け入れしてございまして、36人を受け入れてございますが、多くの方が県内に就農するなどの成果を上げてございます。
 また、一般県民に対しまして広く施設を開放しており、平成20年には約2万6、000人の一般参観者が訪れているほか、地域の観光情報等にも掲載されており、今後ともPRに努めながら、県民の花に親しむ場としての一層の定着を図ってまいることとしてございます。
〇大宮惇幸委員 私も何度かこの花きセンターにお邪魔をしてみた感想でありますけれども、今もお話にありましたとおり、新しい品種の開発とかそういうものは、私の記憶だと農業研究センターでやっているような気がします。ただ、展示圃なり、研修生の受け入れの栽培の現場ではないのかなという思いもありますけれども、年に1度の公開日もあると伺ってございますが、やはりもっと、この花きセンターの運営は、種苗会社の花を展示する、あるいは栽培して、県民の皆さん方に公開する、それも一つの意義があろうかと思いますが、もっともっと岩手の花卉の推進に当たるような役割を果たせないものかという思いもありますが、その点についてはいかがでしょうか。
〇川嶋農産園芸課総括課長 ただいま委員御指摘のとおり、新品種の開発につきましては、農業研究センターでやってございます。
 花きセンターにつきましては、その新品種を実用に向けてどう栽培するのかというような技術的な展示でありますとか、まさしくお話にございました一般種苗会社の最新品種等について、実際に展示をして、生産者の皆さんあるいは指導者に見ていただきまして、それの栽培実証によりまして技術を習得していただくというようなことを重点にやってございます。
 そういう意味も含めまして、先ほど申し上げましたように、農業者でありますとか、指導者に対する研修の参集の人数が、来ていただく方々の人数が、設置当初に比べますと3倍を超えるような人数になっておりまして、そういう意味での実証に伴う技術伝習というようなことの機能は、非常に重要だと考えてございますし、今後とも、さらに充実してまいりたいと思っております。
〇大宮惇幸委員 確かに、花きセンターの場所に隣接しているのが、かつての六原農場と言われた、今は農業大学校ですか、それが隣接しているわけであります。その大学生にも利用させているとか、研修の場に供しているという情報もいただいているわけですが、農業大学校の生徒にも、花きセンターをもっともっと活用していただく方法等についても、当然、大学生にも利用させていただいているだろうとは思いますが、今後の大学校との連携については、どのようなお考えでしょうか。
〇川嶋農産園芸課総括課長 ただいま委員からお話がございましたように、平成元年に花きセンター設立の当初から、当時は農業短大と申しましたけれども、短大と隣接してございまして、花きコースの学生、あるいは生活コースの学生の研修等に利用はしてございました。
 平成14年に組織そのものが農大と統合するというようなことになりまして、一般のカリキュラム等も含めまして、花きセンターを利用した授業が、より有機的につながるというようなことでの取り組みを今、充実させているところでございます。
〇大宮惇幸委員 それでは、次に、同じく243ページの牛肉輸出施設整備の補助についてでありますが、これは、御案内のとおり、昨今の牛肉の枝肉相場も、景気の状況に伴いまして大変暴落しておる、肥育農家も大変な状況にあるわけでありますが、そうした中で、私は、これを整備する補助について、当初聞いた予算化されたころは、やはり高級牛肉の部分が国内ではどうしてもさばき切れないんだということで、海外にそういう高級部分といいますか部位を輸出するんだというお話で、この補助が出されたと私なりに理解しているわけであります。
 当初は、私は、たしかアメリカだったと伺ってございましたけれども、その整備状況と、あるいは輸出状況はどうなっているのか、まずお示しいただきたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 ただいま、牛肉の輸出の取り組みについてのお尋ねがございました。
 御案内のとおり、対米輸出を目指して、私ども、岩畜の整備というものを支援してまいりました。対米につきましては、従来どおり、その輸出を目指して現在も取り組んでいるところでございます。
 ただ1点、アメリカの衛生基準というものがございまして、放血、屠殺の方法がまだ1点クリアできない部分がございます。具体的に申し上げますと、牛をつり下げて放血する方法と、ベッドの上に乗せて放血する方法、これが衛生面で同じである─岩畜の場合はベッドで放血してございますけれども、アメリカの基準はつり下げ放血という形になってございます。それが衛生面で同等であるという証明をする作業に今、鋭意取り組んでいるところでございます。
 あと、アメリカに向けて施設整備をしてまいりましたけれども、そういった中で、シンガボール政府が輸入を解禁するという情報が入りました。いろいろ調べてまいりますと、現在の岩畜の施設整備の基準で輸出が可能であるというようなことが判明いたしましたので、私ども、可能な限り輸出は促進してまいりたいものですから、シンガポールの政府に厚生労働省を通じまして申請しましたところ、9月に認定ということでお知らせが入りましたので、今月の26日に第1便を出発するという形で、シンガポールから先に、順序が逆になってしまいましたけれども、シンガポールへの輸出に取り組んでいくということでございます。
〇大宮惇幸委員 アメリカ輸出については、まだクリアしなければならない部分があるということでありますが、いずれ、そうしますと、この施設は、整備が終わったという段階だと理解していいんですか。
〇浅沼流通課総括課長 結論から申しますと、対米ということを念頭に置きますと、さらなる施設整備が必要な状況になってございます。現時点での整備の段階では、シンガポールまでは達しておりますが、アメリカに出すとなると、もう少し改良を加えなければいけない。ただ、それは、先ほど申し上げました屠殺の方法という部分が、証明が可能だという見通しが立った段階で工事に着手するということで、現在考えているところでございます。
〇大宮惇幸委員 よろしくお願いしたいと思います。いずれ、非常に今、国内、特にも県内の肥育農家は、冒頭申し上げましたとおり、枝肉の価格が低迷しておるということで、現場は悲鳴を上げております。担当者の皆さん方もおわかりのとおりでありますけれども、できるだけ生産者の立場に立って、1円でも高く売ってほしいというのが現場の声であります。そういう意味で、この施設もフルに生かしながら、肉牛の生産振興に一層役立てていただきたいと申し添えて、終わります。
〇工藤勝子委員 昭和45年から減反が始まりまして40年になろうとしております。今では水田の4割が減反されているわけでありますけれども、その間、いろいろな政策の変更等もありました。でも、私たち農業者は、転作奨励金等をいただきながら、示された面積をクリアするというような形で頑張ってまいりました。
 そこで、耕作放棄地、まさに山間地のほうからどんどん山との境界線が、40年もたちますのでもうなくなってしまいまして、耕作放棄になっているものも年々ふえてきている、そういう状況であろうと思っております。
 そういう中において、現在の状況、それから平成20年度の転作の状況についてお尋ねしたいと思っております。
 私は、耕作放棄地は、農地・水・環境保全対策、この事業が出て、私たちの集落でも、放棄されている農地を集落の人たちが出て草を刈っているというような状況が出てきておりますので、多分、これは放棄地に当たらなくなるのではないかなと。管理しているという面からすれば、全くの耕作放棄地ではないのではないかと思っておりまして、そういう面を絡めて、耕作放棄地の現状、そういう面で減ってきているのかというところを聞いてみたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇杉原農業振興課総括課長 耕作放棄地の現状でございますけれども、これまでセンサス調査ということで意向を確認しながらやってきたんですが、昨年度、国の通知に基づきまして市町村が行った耕作放棄地全体調査の結果によりますと、県内の耕作放棄地面積は約6、900ヘクタール、経営耕地面積に占める割合が約6%となっているところでございます。
 これを地域別に見ますと、面積では県南地域が最も多くなっておりまして約3、100ヘクタール、それから、耕作放棄地の耕地面積に占める割合が、沿岸地域が約28%、県北地域が約16%と他の地域を大きく上回っているところでございます。
 さらには、6、900ヘクタールのうち3、300ヘクタールが農振農用地区域内にありますけれども、この3、300ヘクタールを対象に、耕作放棄地の再生、活用に取り組んでいくということになっているところでございます。
〇工藤水田農業課長 平成20年度の水田転作の状況についてでございます。
 水張り水田などを含めまして、転作等の実施面積は、平成20年度が3万4、988ヘクタールとなっておりまして、その内訳は、飼料作物が最も多く、全体の3割を占め1万1、064ヘクタール、次いで大豆が4、008ヘクタール、麦が3、361ヘクタール、野菜が3、285ヘクタールなどとなっております。そのほかに、作物が作付されない保全管理等の水田がございまして、これは7、406ヘクタールとなってございます。
 今後におきましては、こうした作物が作付されていない水田におきまして、平成22年度に創設されます水田利活用自給力向上事業を活用いたしまして、飼料用米やホールクロップサイレージなどの導入を促進いたしまして、農業生産に活用されるよう誘導してまいる考えでございます。
〇工藤勝子委員 それで、農地・水・環境保全向上対策事業は3年たちますでしょうか、それの成果をどのように県は見ていらっしゃるのか。それから、5年計画でありますので、今後の見通し等についてどう考えているのか、お尋ねいたします。
〇沼崎農村建設課総括課長 農地・水・環境保全向上対策についてのお尋ねでございます。
 この対策は御指摘のとおり、3年目を迎えておりまして、農地、農業用水の良好な保全と管理の質的向上を図るという観点で共同活動、それからもう一つは、減農薬、減化学肥料による先進的な営農活動という、二つの活動を支援するという目的で進めてきております。この間、3年目になりますけれども、この対策に取り組む活動組織は、県内28市町村で450、協定面積は4万4、000ヘクタール余りになりまして、本県の水田面積の約4割を占めるところまで着実に拡大してきております。とりわけ、遠野地域におきましては、初年度13組織だったものが24組織とおおむね倍増するなど、本対策が浸透し、例えば、綾織町のアイみどり保全隊を代表例に、世代間交流などを通じた地域の活性化が図られてきております。
 具体的な活動の成果を見てみますと、まず共同活動に参加した人数は、県全体で、1年目は延べ17万人余りだったものが2年目には23万人と、3割以上増加しております。活動内容も、これまで行われてきました草刈りとか泥上げというものに加えまして、水路とか道路の補修、さらには、地域の住民や子供たちが参加する生き物調査を通じた生態系保全など、質的な向上が図られてきております。
 もう一つの営農活動のほうでございますけれども、エコファーマーの拡大あるいは県版GAPの導入などが促進されてきておりまして、環境保全型農業への取り組みが進んでおりますし、消費者との意見交換会などを通じて、環境負荷低減に向けた生産者の意識の向上が図られてきております。
 今後におきましても、この対策を通じた新たな結いづくりあるいは地域力の強化、さらには安全・安心な食料生産、こうしたことは現在の農業、農村における喫緊の課題でありまして、この対策は、今後においても、継続あるいは強化していく必要があるものと考えております。
 そこで、県としましては、市町村あるいは関係団体と構成します岩手県農地・水・環境保全向上対策地域協議会の一員として、地域の活動組織への支援を一層強化するとともに、県民の皆様にも、本対策の効果、効用について御理解を深めていただけますように、積極的な広報活動に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 それぞれの地域ですごい成果が出てきていると思っております。ただ、これは国の事業として5年計画でしたので、もしこれを国が見直しをして、こういう保全対策事業に対して予算をつけない場合、今度県は、国のような予算をいっぱいできないでしょうけれども、どのような形で今後の計画に乗せていくのかということも、これからの検討する課題の一つではないかと思っておりますので、その辺の考え方がありましたらお聞きしたいと思います。
 私たちは、集団転作の中で、土地改良したところなどは、特に麦とか大豆だとかを大型圃場の中に作付して、集団転作もある程度定着してきたと認識しております。また、平成22年度、来年度の種もみを私たちがもうそろそろ準備するというんでしょうか、確保する、そういう時期にも入ってきております。
 そこで、政権がかわりまして、農家に直接補てんする農家戸別所得補償というのが出てまいりました。この間の農業新聞にも、10アール当たり1万円ではないかなと、予想だろうと思うんですけれども、そういう見出しも出ておりました。そういう中において、私たちが選択をするときに、集団転作で幾らでもお米を、転作が緩和されるのではないかという期待感もあるわけですね。そうすると、大豆をつくるか、麦をつくるか、米をつくるかと、そういうことになったときに、機械もあるしいろんな形の中で、米をつくって差額を補てんしてもらったほうがいいということに農家はなるのではないか。せっかくここで大豆とか麦とか、岩手県産のすばらしいものが集団転作でつくられて、麦、大豆の自給率も向上してきたなと、私はそう思っているんですね。そういう中において、農家の人たちが自分たちの農業所得を考えたときに、転作が緩和されて何をつくればいいかと思ったときは、また米に戻る可能性が、余ろうが足りなかろうが、足りないということはないでしょうけれども、そういう形の中で、また米のほうにシフトする農業者というのが出てくるんじゃないかなという考えが私の中にあります。そういう中で、県は、まだ国が決まっていないという答弁になるのかなと思ってはおりますけれども、この減反の緩和策をどのように考えているのか。
 今まで、県は、東北6県の中でも、国から決められた面積を必ず守って、減反をクリアしてきたはずであります。そういう中において、今後の緩和される対策をどう考えていらっしゃるのか。また、農家に対して、いや、そうではないんだと。まだまだ集団で大豆や麦をつくってほしいというのか、そういう指導方針。国が定まらない中で答弁ができないというんでしょうけれども、しかし、県は、指導機関として早目に情報をキャッチして、私たち農業者に対していろんな形の中で情報を出す必要があるのではないかと、私はそのように思っています。ですから、県として、今の段階でどのような国の政策に対して考えを持っているのか、お聞きいたします。
〇沼崎農村建設課総括課長 まず、農地・水・環境保全向上対策の今後の方向でございますけれども、私ども地域の活動組織を指導してまいる場合に、5年間の支援が例えばなくなったとしても、今の活動が自主的にこれからも活動できるように頑張っていきましょうということで、皆さんにお願いしているところであります。そういうことで、5年間の期限が切れたとしても、みずからの力で頑張っていけるようにということは、御指導申し上げております。
 一方で、民主党のマニフェストを拝見しますと、マニフェストの中には、中山間地域の直接支払いなどとともに、三つのこういう直接支払制度のようなものが、将来的には法制化するということも書いております。そういうことで、私どもとしましては、国の動向を的確に把握しながら、どうしたら地域の活動がさらにステージアップしていけるのか、今後、検討してまいりたいと思っております。
〇佐々木農政担当技監 農業者戸別所得補償制度と生産調整の関係でございます。
 委員のお話のとおり、現段階で制度の詳細が出ていないというのはそのとおりでございますけれども、実は、ことしの10月15日に、農林水産省の平成22年度予算概算要求が出されまして、これは公表されておるわけでございますけれども、この中に、戸別所得補償につきましては、米をモデルに全国的に実施する米戸別所得補償モデル事業、それからもう一つは、水田で麦、大豆や飼料用米等の生産を行う農家を支援する水田利活用自給力向上事業、この二つが盛り込まれてございます。
 実際、これまでの議論の流れを見てまいりますと、米戸別所得補償モデル事業につきましては、国が米の生産目標を示し、この目標数量を守った農家を対象に戸別所得補償をいたしますという制度の大きな枠組みになってございます。ですから、米をつくるかあるいは米以外の麦、大豆をつくるかということを判断するに当たりましては、やはり戸別所得補償の前提が、根っこのところに、米生産調整という政策が一つあるということをまず御理解していただく必要があるのかと思っております。
 それから、水田利活用自給力向上事業につきましては、生産調整の義務づけはしないということで流れておるようでございますけれども、実はこの前の概算要求で、その単価が全国一律に、麦、大豆ですと3万5、000円とかいろいろ単価が示された段階でございまして、それがどのような形になっていくのか。麦、大豆についても、自給率向上の観点から生産目標を示してというお考えもあるようでございますから、それがどのような形に来るかにつきましては、まだ私どもとしても把握し切れない状況でございます。
 いずれにいたしましても、農家が意欲を持って営農に取り組めるような施策を県として対応することが極めて大事なことでございますので、私どももアンテナを高くいたしまして、国の情報、動向なりをいち早くキャッチいたしまして、農家の方々が迷うことなく、営農にいそしめるような取り組みをしてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 これから岩手の農業を守るためにも、ぜひしっかりと国の動向を見定めながら、私たちにいち早く情報を伝達していただきますようにお願いを申し上げたいと思っております。
 そこで、担い手がこの40年間、あの当時30代で担い手だった人たちも70歳になるわけでありまして、今後、日本の農業の再生の課題は、やはりどのような新聞を見ても担い手の育成だという話が出ております。そこで、その担い手となる企業の参入もある程度認められてきているわけですけれども、岩手県で企業が参入された状況はどうなっているでしょうか。
 それから、今の経済危機状況の中で、農業をやろうという若者もふえているのではないかと思っている中で、平成20年度、岩手県が把握している新たな担い手となった人数をお聞かせいただきたいと思います。
〇井上担い手対策課長 まず、農外企業の参入の状況についてでございますけれども、平成21年9月末現在におきます農外企業の参入数は、現在、75社、76件となってございます。
 また、農業を担う若者の農業参入の状況ということでございますけれども、39歳以下の新規就農者数はここ数年増加の傾向にございまして、平成20年度は、5年前に比べて約50人増の139人が就農をしてございます。
 担い手全体のことでございますけれども、平成20年度の認定農業者数は8、231人で、前年度より219人増となっておりまして、平成22年度目標8、500人に対して97%の達成率となっております。また、担い手の中には集落型の経営体もございまして、これらについては224経営体で、前年度より11経営体増加しております。これは、平成22年度目標、約50経営体に対して90%の達成率となっているところでございます。
〇工藤勝子委員 では、企業参入の75社は、どのような経営に参入しているのかだけお聞かせいただきたいと思います。
 それから、あと、まとめてお聞きいたしますのでよろしくお願いいたします。
 大宮惇幸委員からもいろいろなバイオの関係の質問がございましたので、私のほうからはまとめてお聞きいたします。
 県のバイオテクノロジー科学技術開発における取り組みの状況と成果についてお尋ねいたします。
 それから、今日の農業振興に果たしてきた役割というのは、非常に大きいと思っております。その中で、情報発信の仕方というもの、農業者も含めて、その情報発信についてお聞きいたします。
 それから、東北でよろしいですけれども、他県と比較して、このバイオの技術、科学的研究開発の認知度と申しますか、岩手県のバイオの研究開発がどの程度東北の中で知られているのかなというところ。
 それから、技術開発の予算、まさに3億2、900万円ほどとっていますけれども、私はこれでは新しい技術というのは開発されないというんでしょうか、もっともっと岩手県は研究費に力を入れていくべきではないかなと思っております。人材も含め、予算も含め、この予算のあり方、今後の課題についてお尋ねいたします。
〇井上担い手対策課長 参入した企業の状況でございますけれども、75社全体について今、申し上げることはできないのですけれども、特定法人貸付事業で、市町村と協定を結びまして農地を借り受けて参入した農家が、現在、16社、17件ございます。
 これらについて何件か御紹介いたしますと、建設業者が水稲、小麦、雑穀をつくるということで参入したもの。あるいは、ホウレンソウとか花卉をつくるということで参入したもの。それから、食品の販売会社がブルーベリーをつくるということで参入した事例。それから、製菓会社が、自分のところでつくる原料となるような白インゲンをつくるというようなことで参入する事例など、さまざまな事例がございます。
〇高橋農業普及技術課総括課長 基礎的バイオテクノロジー技術開発促進事業費についてのお尋ねでございます。4点ございましたので、順を追って説明をさせていただきます。
 まず、取り組み状況と成果についてでございますが、バイオテクノロジーに関する基礎研究は、県の委託によって財団法人岩手生物工学研究センターが実施しておりまして、研究は、品種開発をスピードアップするためのDNAマーカーの開発、これは遺伝子配列の違いから育種の効率化を進めるための技術でございますが、これとか、バイオマスの利用活用技術の開発など、多岐にわたっているところでございます。
 成果につきましては、その一部を紹介させていただきますと、DNAマーカーを活用した低温発芽性にすぐれる水稲品種の開発。それから、リンドウやピーマンなど、現場での簡易なウイルスの検定技術の開発。それから、世界で初めていもち病菌の非病原力遺伝子を発見しまして、これは新聞報道にもなりましたけれども、複数の生物の遺伝子発現を同時に解析できるSuper SAGE法というもの、これは国際特許にも申請しておりますが、これの開発。それから、虫歯予防に効果があるシイタケの酵素など、機能性成分の活用技術の開発。それから、稲わらなど非食用部分からの低コストのエタノール生産に係るセルロースを効率的に分解するような技術の開発など、バイオテクノロジー研究における最先端の成果を上げておりまして、これらの成果を生かしてウイルス病の蔓延予防技術対策などは、現場の技術として既に活用されているところでございます。
 次に、今日の農業振興を担ってきた役割と情報発信ということでございますが、基礎的バイオテクノロジー技術の開発は、それ自体が直接農業生産現場に生かされる技術ではなくて、農業研究センターなど、県の試験研究機関における品種開発のスピードアップや、病害診断技術の開発などの基礎的支援技術として、本県農業振興に重要な役割を果たしてきたということであります。このような基礎的研究の成果は、県民によりわかりやすく情報発信する必要があると、委員御指摘のとおりでございまして、マスコミやホームページを活用した研究成果等の発信、それから、高校生を対象とした出前授業もやってございますし、研究者や一般県民を対象としたセミナーとかシンポジウムも開催してございます。また、施設の一般公開における実習体験など、研究に対する県民の見える化に努めてきたところでございます。
 次に、他県と比較したバイオ技術、科学研究開発の認知度についてでございますが、東北地方で基礎的バイオテクノロジー研究機関を設置しているのは本県だけでございまして、なかなか他県との比較というのはできないわけでございますが、本県の生工研センターは国の公募競争型研究資金の採択率、これは10分の10の費用で、内容によって採択されて研究費をいただくということでございますが、この割合が3割から4割ということで、大学を含めた全国の平均の採択率は2割程度ということを考えますと、専門機関の間での認知度は高いと考えております。ただ、なかなか県民への認知度という点では、基礎研究の内容やその成果が一般的にわかりづらいということから、研究内容と成果についてわかりやすい情報発信に努めて、県民の認知度を高めるということを行うとともに、本県の強みでありますバイテク研究機関を生かして、本県農業などの産業振興に努めていかなければならないと考えているところでございます。
 最後の4点目でございますが、技術開発予算のあり方と今後の課題についてでございます。
 国内外の産地間競争が激しさを増す中にあって、本県農業の振興に貢献する農業技術の開発は極めて重要でありますことから、一層厳しさを増す財政状況の中で、研究予算の確保が課題となっているところでございます。委員御指摘のとおりでございます。このため、今後におきましては、県内外の研究機関、大学、企業などとの連携を一層強化しながら研究の効率化を図るとともに、先ほど御説明申し上げましたが、国の公募競争型研究資金の導入などによりまして、農業振興に貢献する基礎的バイオテクノロジー技術開発を進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 今の段階で、企業とか団体も、研究開発にそれぞれ力を入れるぐらいの余裕があるのかなという感じがしております。きょうは、青のバラの花が開発されたという、見事なバラの写真が新聞に出ておりました。まさにああいう一つのヒット商品が出れば、岩手の農業というのは、まだまだ飛躍できる要素を持っているのではないかなと思っております。ですので、こういう役割というのは、国並びに県がよそと一緒にやるとか、よそでやれないからというのではなくて、もう少し県が力を入れるべき事業ではないかと思っております。
 そこで、部長、もう少しここにお金を出せる余裕があるかないか。出せるとしたならば、もっと研究開発を進めたいという思いを聞いて終わりたいと思います。
〇瀬川農林水産部長 委員御指摘いただきましたとおり、生工研は、全国に誇れるバイテク研究機関であると思っております。こういった機関を持っていることが、本県の農林水産業の振興にも大変強みになるものでございます。
 厳しい財政状況の中で、研究費はちょっと減ってきている面がございますが、一方で、外部資金の導入がふえてきております。こういったようなこともあわせながら、十分な研究費が確保されるように努め、また、この研究成果について、できるだけ県民に、幅広い分野に成果を還元できるように、一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
〇菊池勲委員 工藤委員に関連して、事項別明細書241ページ、新いわてオリジナル水稲品種と書いてあるんだけれども、三百五、六十万円で有名な種をつくって、岩手で売り出せるような方法はできるものか。部長の答弁だと、十分な予算がついているという話しぶりに聞こえるんだけれども。
 私も農業をしているんだけれども、もうずっと見ていて、何かいいものが出てこないかと思ってずっと期待しているんだけれども、期待するだけでだめなのか。私どもは、それに参加するというのは難しい話なんだけれども、その辺はどうなんですか。
〇工藤水田農業課長 オリジナル品種開発の件でございますけれども、一番初めに申し上げましたとおり、毎年100ぐらいの組み合わせで品種開発に取り組んでおるということと、それから、限られた予算の中でいかに効率化するかということで、生物工学研究センターが開発しております、先ほども説明がございましたけれどもDNAマーカー、これを活用して効率化させていくということで、限られた予算、人員の中で、そういう取り組みをやらさせていただいております。
 成果につきましては、ここ10年ぐらいの間で言えば、うるち米がいわてっこなり、どんぴしゃりという2品種が出ておりますし、モチ米が1品種、それから酒米というところでは出ておりますが、その中でもまだ県内でも1割という面積でございますので、先ほどどなたかございましたが、ヒット商品になるようなものが早く出るような取り組みを、生工研の技術あるいは機器を活用しながら、取り組ませていただきたいと考えておるところでございます。
〇菊池勲委員 聞くと、大変いいことをやっているというけれども、私ら農家に対しては余り反応がないと思う。
 これ、きょうの新聞、きょうお昼に行ったらこんなのをもらってきたんです。農業でもうけるなら、農協から離れなければだめだという話なんだよな。頼るのはどこなの、我々農家は。少なくとも、農業団体に加入しながら一生懸命所得を上げるための闘いを、極端に言えば365日、一生懸命やっているわけだけれども、どうも新聞紙上では脱農協、農業再生の新組織をつくれという大きな見出しで、これは毎日新聞かな、上がっておったんですね。現場の声を政策に反映しないと、我々は生きていく道はないんだと。農協に頼っていたんでは、いい生活はできないと書いているんだよ。こういうときは、部長、農家はどう考えればいいの。
〇瀬川農林水産部長 まず、品種開発等につきましては、生産者の団体の方からも、早期の開発ということで要望をいただいているところでございますので、育種のスピードアップ等に努めてまいりたいと思いますし、それから、いろんな政策転換等もあったりする中で、今後の農政のあり方とか、いろんな考え方とか動きがあろうかと存じますが、私どもとしましては、本県の農業にとってプラスになるように、国の動向等も注視しながら、関係機関と連携して取り組んでまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 それでは、この間保健福祉部でも聞いたんですけれども、所管が農林水産部ということでしたので改めてお伺いします。
 6目の農作物対策費の中で、鳥獣被害防止特措法についてお伺いします。
 平成19年12月に、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律が制定され、昨年の2月から施行されていると聞いております。この法律では、法に基づく被害防止計画を市町村が定め、県の承認を受けた市町村は、鳥獣保護法第9条第1項の規定により、県が行うこととされている対象鳥獣の捕獲等を行うことができるとされていますが、現在、県内の市町村の策定状況はどうなっているでしょうか、まずお伺いします。
〇杉原農業振興課総括課長 被害防止計画の策定状況についてでございます。
 被害防止計画の策定は、捕獲対策や防護さくの設置などに対する国の支援の前提となるものであります。これまで、県としましても、国との連携による説明会の開催のほか、被害発生市町村に対しまして、個別に計画策定の働きかけを行ってきたところでございます。平成21年10月現在では、大船渡市など7市町が策定済みであり、一関、釜石の2市では、今年度中をめどに策定作業を進めているところでございます。さらに、平成22年度には、盛岡市、岩手町で策定予定と聞いているところでございます。
〇飯澤匡委員 まさに温暖化の影響により、想定しない鳥獣が県内にも来ているという情報があります。他県に比べると、他県といいますか、岩手より南ということになると思うんですが、本県ではちょっと策定状況が市町村はおくれているようですが、その要因は何でしょうか。
〇杉原農業振興課総括課長 おくれている要因ということでございますけれども、被害報告のありました市町村の数は29市町村でございます。このうち、18市町村では、いまだ具体的に取り組まれていない状況であり、その理由としてでございますけれども、被害額が小額であると。100万円を切るようなところが多いと。それから、被害が分散していて、防護施設の効果が十分発揮できないなどということで、聞き取りをした際、そういうようなことでございました。
 また、国の助成事業の導入や特別地方交付税の特例措置などのメリットが十分に周知されていないということも、要因の一つと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 補助金等を受け取れると。防護さく等のそういうハード的な面もありますが、私は今回の法律の最も大きいところは、被害防止のために当該地域の農林漁業団体との連携のもと、猟友会以外の新たな捕獲の担い手として、さっき申し上げた職員等も、猟友会以外の担い手として参加できるようになったということだろうと思います。今日までも、この県議会の中で、県の権限移譲であるとか、現場に即した何らかの対策をできないのかという議論がありましたので、今回のこの法律の制定により、そういう窓口が広がったと思っていますけれども、新たにそういうことになりますと、生き物を相手にしてというような新たな課題も出ると思います。
 まとめて聞きますけれども、県と市町村との連携の具体的な姿はどういうふうに描いていますでしょうか。それと、先ほど申し上げました新たな捕獲の担い手、その関係法令の遵守の徹底策、これについて県はどのように考えていますでしょうか、お伺いします。
〇杉原農業振興課総括課長 先ほど委員が御指摘になられていましたですけれども、これまで、各市町村の地元猟友会が有害鳥獣の捕獲について担ってきたというところでございますけれども、猟友会の会員も減少の傾向ということで、捕獲に従事する者の確保に非常に苦慮しているというのが現実と聞いております。
 今般の特措法の制度によりまして、市町村職員や農業関係団体なども構成員とする鳥獣被害対策自治体の設置が可能となっているということでございます。そういうことでございますので、こういう職員の方、それから免許のない方も補助業務で従事してもらうということで、猟友会の方々が担ってきた部分の減少分を、関係団体それから職員がみんなで連携して、捕獲業務の一翼を担っていくということが一つの方法ではないかなということで、この特措法の活用をしながら、市町村の行う狩猟免許講習などのソフト事業に対する補助もありますので、そういったものを活用しながら、被害防止対策の強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 最後になりますが、せっかくこういう法律ができたので、やはり運用に関してはしっかりと県も市町村のほうに周知徹底をしていただきたいと。
 それから、先ほど申し上げた捕獲の担い手の枠が広がったということ、これは安全対策も必要だと思いますし、加えて、現場で困っている農業従事者の方々は大変悲鳴を上げています。これらに対する実効的な措置がとられるように、しっかりと市町村との連携を果たしていただきたいと思います。
 最後に、振興局並びにそういう県の出先機関とどのような連携を果たしていくのか、それを最後に聞いて終わりにします。
〇杉原農業振興課総括課長 この鳥獣被害の防止でございますけれども、ふえてきているということで喫緊の課題と考えているところでございます。環境生活部とも連携しながらやってきているところでございますけれども、国の制度の周知徹底をまず図るということと、それから、被害防止計画が未策定の市町村に対しましては積極的に働きかけをしていきながら、現場サイドで連携をしながら、被害防止に積極的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇及川あつし委員 事前に通告した内容も同様でありますので、ここでまとめて質問させていただきたいと思います。
 今、市町村の計画の策定状況については飯澤委員から質問があったところでありますが、私も今、農業地域に行くと、この秋になるとクマの話ばっかり聞かされます。及川、おまえ何とかしろ、このクマみたいなことを言われるんです。私も何ができるのかということで、それ以来いろいろ勉強させていただいたんですが、今回、決算認定に当たって、鳥獣害の防止総合対策事業費という、仰々しい名目の中で出てきた決算が81万6、830円と。たったこれっぽっちかと実は感じました。中身をお聞きしたら、陸前高田のシカの被害防止のためにさくをつくったというところでありまして、いろいろやられている割には何となく事業費に反映されていないのかなと率直なところ思いましたし、あとはこの分野について言うと、自然保護課との連携の中でやっているのかなという感じがしておりますが、以前、自然保護議員連盟で環境保健研究センターに伺った際も、大分クマの生態調査とかいろんなことをやっているようですし、このツキノワグマの保護管理対策事業報告書とか、保護管理計画とか、計画もいろいろあるんですけれども、出口としてやられている農林水産部の事業がこの81万6、830円だけじゃないと思うんですけれども、何かもっとないのかなというのが思いであります。
 そこでお伺いしたいのは、平成20年度の事業の内容はわかりましたので、自然保護課とは平素どういう政策調整をやられているのか。あとは、環境保健研究センターでの研究成果を、農林水産部として、この鳥獣害の防止対策にどのように生かしているのか、その点についてお示しいただきたいと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 クマの話が出ましたけれども、クマの被害もふえてきていると。前年度からしますと2、500万円ほどふえてきているということで、現場では非常に苦慮しているところでございますけれども、まず自然保護課との政策調整ということでございますが、ホンシュウジカを初めとしましてツキノワグマ、ニホンカモシカの保護管理、それから農林作物被害の防止策について、関係機関、団体で構成する保護管理検討委員会といったものや特定鳥獣保護管理関係等連絡会議ということで、これは自然保護課が事務局をやっておりますけれども、そういったところで情報の共有化と具体的な対策を検討しているところでございます。
 私も委員をやらさせていただいておりますけれども、今後、こうした取り組みに加えて、被害を抑制する観点ということで定期的な情報共有の場を設けたり、自然保護課と一体的というのもありますので、防止ばかりするのではなく、適正に頭数を管理していくというのもありますので、そういった連携を一層強化していきたいというのが一つでございます。
 それから、環境保健研究センターの研究成果の活用ということでございますけれども、環境保健研究センターでもシカやツキノワグマの保護管理計画に基づきまして、生息数、食性などの生態調査を実施しているところでございまして、これらの成果、どういった生態行動があるのか、そういったのが防止にどう役立つのかといったことを、委員会の中でも研究者の助言をいただいたりして、農業被害の低減にさらに生かしていきたいと考えているところでございますが、例えばクマでございますけれども、クマについては、岩手野生動物対策研究会というのが岩手大学の地域連携事業との共同でことし立ち上がって、研究者とか地域行政の関係者で、今年度の前には八幡平市の現場に伺って、クマの被害について現地研究をしているようなところでございます。
〇及川あつし委員 検討機関で情報の共有もやっていると思うんですけれども、何とか出口の対策について予算調製課長もいるようでありますので、しっかり予算面で見ていただかないと、農業者がクマに殺されるということをたびたび言っておりましたので、ぜひ重大性については御認識をいただきたいと思っております。
 最後になりますが、特にいろいろ読ませていただくと、一たん捕まえたクマを勉強させて、移動放獣というやり方があるようなんですけれども、さっき飯澤委員が質問された個別の市町村の話も大事だと思うんですが、クマは市町村は関係ありませんし、県も関係ありませんので、いろんなところに行くと思うので、広域的な対応というのはどうしても県だと思うんですね。
 いろいろ報告書を見ていくと、どうも十分な予算的な措置がなされていないため云々というのがいろんなものに出てくるんですよね。あと、報告書なんかを見ると、紫波の北沢でリンゴを食い散らかしたシワヒメの動態とか、あとは、矢巾の畜産団地で飼料を食べたプータローとか、遠野のエイトマン、盛岡の猪去のタマヒメ、こんな事例もいろいろ出ていますけれども、いずれ、きちっと生態を調査して、移動距離がどのくらいあるかということをやって、放獣するとかなりの確率で里山に戻ってこないということになっているようですので、その人的な手当ても予算面で十分でないというところにもなっているようでありますので、農業が中心の岩手県でありますので、農業サイドの皆さんは十二分に御理解いただいていると思うんですが、本当に大変な被害状況になっていると思うので、さらにきちっとした対応をお願いしたいということを申し上げ、所感を部長に申し上げて、あとは予算調製課長、ぜひ岩手県の農業の被害実態を見ていただきたいと思いますので、何かコメントがあればお伺いして終わりたいと思います。
〇瀬川農林水産部長 鳥獣による農作物の被害については、大変深刻に受けとめております。生産者の皆様の営農意欲が低下するようなことのないように、しっかり取り組むことが必要だと考えておりますので、広域的な対応といったようなお話もございましたので、いろいろ御指摘いただいた点をよく踏まえて、今後、十分検討させていただきたいと思っております。
〇八矢予算調製課総括課長 鳥獣被害の関係でございますけれども、環境生活部の審査の際にもいろいろお話しいただきました。よく農林水産部にお話を聞かせていただいて、十分な対策が講じられるよう、次の予算編成の際に検討させていただければと思います。
〇三浦陽子委員 日ごろ農林水産部の皆様には、総合食料供給基地岩手のために大変頑張っていただいてありがたいと思っております。私、消費者の一人という立場でちょっと質問させていただきたいと思います。
 近年、岩手の短角和牛の需要が伸びていると思っておりますし、前沢牛も大変おいしいですし、短角和牛も大変ヘルシーですばらしい食材だと思っておりますが、この生産拡大、なかなかうまく進んでいないと思っていましたところ、昨年は大変評価がよかったようなんですが、この取り組み状況とそれから課題についてお伺いしたいと思います。
〇徳山畜産課総括課長 いわて短角和牛の生産拡大についてでありますけれども、日本短角種は放牧適性にすぐれているなど、本県の立地特性に全くマッチした肉用牛でございます。また、こうして生産された牛肉は、食の安全・安心を志向する消費者から高い支持を得ております。このため、県といたしましても、これまでも積極的に生産拡大に取り組んでおりますが、一方で、生産基盤を強化するための繁殖雌牛の確保、また、粗飼料多給肥育のためのえさとしてのトウモロコシの確保、さらに、一定の価格で安定的に取引できる販売先の開拓、こういったものが大きな課題となっていると考えております。現在、県では、国の事業を活用いたしまして、繁殖から肥育までの一貫生産体制の構築を促進するとともに、粗飼料生産基盤の整備あるいは細断型ロールベーラ、これは短角に給与するえさを圃場で細かく裁断して、それを固めていくという機械でございますけれども、こういう共同開拓とかこれの導入支援を行っております。また、販売面では、いわて牛普及推進協議会と連携しながら、粗飼料多給肥育で生産されたいわてプレミアム短角牛のよさ、よさといいますか価値、これを積極的にPRして、他品種の牛肉との違いを明確に示しながら、外食産業等への販売対策に努めております。
 今後とも、こうした生産、販売両面からの取り組みを強化しながら、本県の豊かな自然環境の中で、放牧適性などの日本短角種の特性を生かし、消費者のニーズにマッチしたいわて短角和牛の生産拡大に努めてまいりたいと考えております。
〇三浦陽子委員 期待しておりますので頑張っていただきたいと思います。
 先ほどから出ておりましたクマの被害なんですけれども、私も岩泉のほうに伺ったときに、大変のんびりとした牧場でゆったりと座っている牛を見ましたが、そこにクマを防御するためのさくみたいなのがあったんですが、それを乗り越えてクマも入ってくるという話も伺いまして、多分、畜産関係の方々にとっても、先ほどから出ている話は大変重要な問題なのではないかと思いましたし、たしか岩泉町に伺ったときは、そう簡単にはクマを殺せないんだというような話も伺ったんですけれども、その辺の猟友会の方々の御苦労とかもいろいろあると思いますけれども、対策をあわせてお願いしたいと思います。
 続きまして、小麦、大豆の生産拡大と所得向上について伺おうと思っておりましたが、先ほど工藤勝子委員からお話がありまして、本当に生産調整との兼ね合いというのがあると思いますけれども、ナンブコムギといいましょうか、岩手県における小麦の質のよさとか、それから、輸入に頼らないで、納豆やら豆腐やら、大豆を使った食品をつくっていただきたいという観点から、ぜひとも生産拡大の取り組みと所得向上のための支援策をお聞きしたいと思います。
〇川嶋農産園芸課総括課長 小麦、大豆の生産拡大と所得向上についてでございますが、これら作物は、転作作物として団地的に取り組みやすい作物であること、また、平成19年度から始まりました水田経営所得安定対策の対象作物であり、経営安定対策上重要な作物でありますことなどから、県南の水田地帯を中心に作付をされてございます。これらの作物は、委員御指摘のとおり、地産地消のこだわり商品などの原料として、県内の食品産業からの強い引き合いもありますが、連作障害でありますとか湿害などによりまして、単収が全国平均より低いというようなことがあります。さらに、品質が年次により不安定であることなどから、実儒者ニーズに十分こたえられない状況にございます。このため、産地農協等の参画を得まして設置しました収益性の向上対策チームが中心となりまして、転作田における湿害対策技術として、特に大豆では、本県が開発しました小畦立て播種栽培技術や、赤カビ病や雑草の防除などの単収向上技術につきまして、県と農業団体が一体となりまして普及を図っておるところでございます。
 さらに、国の助成対策等を活用しながら、所得向上にも取り組んでまいることとしてございます。
〇三浦陽子委員 話がちょっと飛ぶかもしれませんけれども、県産材を使ったいわて地産地消給食というのが、この間22事業所が認定されて、県産材を使ったものを給食もしくは事業所で取り入れるというような話も、県のほうで推進していると伺っておりますし、大豆は日本食には大変必要な農産物でございますので、ぜひとも力を入れていただきたいと思います。
 続きまして、産地づくり推進体制の構築についてお伺いいたします。
 園芸等の産地拡大に向けて、市町村、JA、普及センターなど、地域の関係機関、団体などと協働で支援体制づくりをどのように進めて、その成果はどうだったのか伺いたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 産地づくり推進体制の構築についてでございますが、県では、市町村あるいはJA、普及センターなど、地域の農業関係者の連携を強化して、産地づくりを効率的に推進する遠野市あるいは八幡平市のような総合支援体制の整備、それから、地域のベテラン農家が、新規栽培者などへの指南役として活躍する一関市のような仕組みづくりを行うなど、地域の関係者と普及センターとが密接に連携した、地域協働による支援体制を整備してきたところでございます。こうした取り組みによりまして、平成20年度は、八幡平市のリンドウや遠野市のホウレンソウの販売量が増加するなど、産地づくりの成果が上がってきているところでございます。
 今後におきましても、普及センターが中心となりまして、市町村、JAはもとより、普及員OB等で構成するNPO法人、さらには、先進農家などが地域のすぐれた人材を結集した地域協働による指導体制を構築して、産地づくりを推進してまいりたいと思います。
〇三浦陽子委員 続きまして、薬草栽培の取り組みについて伺いたいと思います。
 私も一般質問で2回ほど薬草のことを言わせていただきましたが、岩手町における岩手薬草生産組合の取り組み状況と今後の生産拡大に向けてどのような支援策を講じられるか。また、農家がもし薬草をつくりたいという希望がある場合、相談窓口はどこにあるのか伺います。
〇川嶋農産園芸課総括課長 薬草栽培の取り組みについてのお尋ねでございます。
 まず、岩手薬草生産組合の取り組み状況でございますが、この組合は、約200戸の生産者が、国内大手の生薬会社との栽培契約に基づきまして、岩手町を中心に、県中部あるいは県北部の畑作地帯におきまして、センキュウでありますとかシソ、トウキなど、45ヘクタールほどの規模で生産をしてございます。
 次に、生産拡大に向けての支援策でございますが、薬草は、本県の冷涼な気候や変化に富んだ立地に適した収益性の高い作物でございます。また、本県は、国内でも有数の薬草産地で、品質にすぐれた薬草を生産することから、生薬会社からは生産拡大を要請されておるところでございます。そうしたことから、中山間地域の活性化を図るための戦略作物として、さらにその振興を図る必要があると考えてございます。このため、県といたしましては、収穫作業等の省力化を図るための機械の導入や品質向上のための乾燥施設整備、さらには、普及センター等による経営の指導や省力栽培技術の実証等によりまして、引き続き支援をしてまいる考えでございます。
 薬草栽培をおやりになりたいという方の相談窓口としましては、やはり生薬会社とのつながりが一番でございますので、県内であれば、岩手薬草生産組合の事務所が岩手町にございますので、そちらを御指名なさって御相談いただくか、あるいは普及センターを通じて組合に御相談いただくというのが一番だろうと思ってございます。
〇小田島峰雄委員長 三浦陽子委員の質疑の途中でありますが、この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
 三浦陽子委員、御了承願います。
   午後2時59分 休 憩
午後3時19分 再開
〇高橋雪文副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この後、第1部で三浦陽子委員を含め5名、第2部で7名の質疑の予定者がございますので、進行について御協力をお願いいたします。
 三浦陽子委員の質疑を続行いたします。
〇三浦陽子委員 先ほどはありがとうございました。この薬草について、もうちょっとだけ質問させていただきたいんですが、この岩手町の薬草の組合は、ツムラとの契約でつくっているということですけれども、ツムラ以外のところに出しているところはないんですか。
〇川嶋農産園芸課総括課長 今、御質問がございましたツムラとの契約は、この岩手薬草生産組合は全量ツムラでございますが、県内にはまだほかに、森下仁丹でありますとか、二、三の生薬会社との契約栽培をなさっておいでになるところがございます。詳しいデータ等は、今、持ち合わせてございません。
〇三浦陽子委員 いろいろと後がつかえているようですので、私は、先ほどちょっと産地づくり推進体制の話をお聞きしましたけれども、その地域によって、薬草栽培をしたいという思いのある地域があれば、やはりそこをコーディネートしていただけるのは県なのではないかと思うのですが、その辺につきましてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇川嶋農産園芸課総括課長 この8月にツムラと産学官の皆さんにお集まりいただきまして現地研修をさせていただいた折にも、他の作物と同様に、生薬につきましても、担い手の方が非常に高齢化しておりまして、新規に参入していただける方があれば大歓迎だというお話は伺っております。
 そういうことは、農家の皆さんにも情報としてどんどんお伝え申し上げて、メーンとして薬草のみでという経営の方はごく少ないわけでございますが、野菜でありますとかたばことの複合経営というようなことでは、非常に有意義な、有望性のある作物だと思いますので、そういう意味での情報提供はしてまいりたいと思います。
〇三浦陽子委員 私の一般質問でも、6次産業に結びつけられる大変すばらしいものだと答弁いただきましたので、ぜひとも来年度に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 あともう一点、ちょっと通告していなかったんですけれども、盛岡市の中央卸売市場の経営状況についてお伺いしたいと思います。
 県は、盛岡市の中央卸売市場とはいいながらも、県の台所と言ってもいい市場ですので、地方卸売市場にもしかしたらなるかもしれないような報道もされておりましたので、その辺につきまして県としてどのように考えていらっしゃるか。また、そうなった場合、生産者への影響はあるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
〇浅沼流通課総括課長 中央卸売市場に関しまして3点お尋ねでございました。経営状況、地方市場への転換、生産者への影響と3点お尋ねがあったと思います。
 経営状況につきましては、中央卸売市場の青果部、水産部とも、取扱数量、金額が減少傾向にございます。平成19年度、20年度対比でまいりますと、それぞれ約4%程度の減少というのが実態でございます。
 地方市場への転換等に関します県のスタンス、考え方でございますけれども、基本的には、盛岡の中央市場でございますので、開設者でございます盛岡市が最終的に判断するという大前提でございます。
 県といたしましては、盛岡市が持っております市場運営協議会がございますので、そういったような場、さらには、今年度から中央卸売市場と定期的な情報交換の場などを設けてございます。そういったような場を通じまして、全国の状況、改革の状況でありますとかさまざまな情報提供を行うなどして、盛岡中央卸売市場の主体的な取り組みを支援していくという考え方でございます。
 なお、生産者への影響ということでございますが、全国の中では既に先行する形で地方市場へ転換した事例がございます。そちらのほうへの聞き取りという部分でまいりますと、地方市場化に伴って、生産者へ直接的な影響というのはないと聞いてございます。
〇三浦陽子委員 私もたまに市場のほうに出向いてみますと、やはりいつも活気づいていてほしいんですけれども、ちょっとそこのスペースから退去されている、そういう状況も見受けられまして、そうなると、残った方々にとってまた負担がかかってくるという、非常に悪循環のように見えました。
 本当に盛岡市の問題で、盛岡市がどう考えるかということだと思いますけれども、そうはいいながらも、やはり県の台所として非常に大切な部分だと思いますので、今後とも、何かいいアドバイスがありましたら、ぜひとも、先ほどの協議会をきちっと活性化させていただいて、せっかく一生懸命市場で働いていらっしゃる会社の方々の気持ちもしっかりと十分酌み取っていただきたいと思っております。
 以上で終わります。ありがとうございます。
〇小野寺有一委員 私からは、大きな項目2点について伺わせていただきたいと思います。一つ目は、先ほどの大宮惇幸委員や三浦陽子委員の質疑とも一部関連いたしますが、奨励作物といいますか、そういった高い生産性や市場性が見込まれる作物の作付、あるいは産地形成について伺わせていただきたいと思います。
 いろいろな地域で、その地域に合った農林水産物の奨励作物というか推奨作物というものがいろいろあると思うんですけれども、そうしたものの研究開発あるいは改良、普及、そして産地形成までの一般的な道筋と、それから、その産地形成までに至るプレーヤーといいますか、その主体となり得る方々の一般的な例を示していただきたいと思います。
 また、産地形成に至るパターンというのは、最近、例えばスーパーが委託をしてやっているというような例もあって、だんだん従来のパターンよりも多様化していると思われるわけですけれども、そうした例があればお示しいただきたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 二つの御質問でございますが、まず、産地形成までの一般的な道筋についてでございますが、これまで、試験研究機関や農業改良普及センターが、新作物の導入等に意欲的な農家に対して、地域に適した作物、品種、作型などを提案するとともに、農家や農協等の協力のもとに、実証展示圃を設置いたしまして、地域を挙げて産地づくりに取り組んできたところでございます。
 このような産地づくりの過程におきましては、試験研究機関や農業改良普及センターは、農家のパートナーとして、新技術の開発、普及や営農指導など、多様な役割を果たしてきたところでございます。
 近年は、国内外の産地間競争が激しさを増しておりますので、これまでの取り組みに加えまして、農業関係者はもとより、2次、3次産業と連携して、他産地との差別化を図るとともに、実需者や消費者の多様なニーズにこたえるように、量販店との直接取引や加工、業務野菜の契約栽培など、多様なパターンで産地づくりに取り組んできたところでございます。
 次に、多様な実需者ニーズに対応した取り組みによりまして育成した産地の実例についてでございますけれども、花巻市等では、首都圏の食品加工会社からの需要に対応した黒大豆の産地化、川井村では、和歌山県の農協からの需要に対応した梅干し用シソの産地化、釜石市や大槌町では、農商工連携によりまして地元製めん業者の需要に対応した耕作放棄地を活用したソバ栽培の開始などの事例のほか、県内各地では、産直向けの多品目生産などにも取り組まれているところでございます。
〇小野寺有一委員 そういった産地形成までの道筋というのが、大分いろいろな道筋を通っていく道ができてきているんだなという認識を新たにした次第でありますけれども、これはぜひ、御提言というか、前向きに御検討いただければということでありますが、研究開発とかというのは専門家がやらなければならないとして、それが本当に商品として実際にその産地の主力な作物になるかどうかというのは、やはり最終的には農家の方々の御協力を得なければいけないところだと思うんですが、そこに至るまでの改良とか普及とか、そういったところの部分において、例えば福祉作業所ですとか、それから、障がい者の就労とか自立支援を応援するような施設、そういった方々に、例えばそういった一定の規模の作付をお願いしてやってみるというようなことができないかどうかといったことについて、お考えを伺いたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 障がい者の方々の自立支援施設などが、改良普及の場ということではなかなか難しい面もあろうかとは思いますけれども、農業生産に取り組むということにつきましては、作物を栽培するということを通じて得られるいやしの効果とか、農の福祉力というものが最近言われておりまして、多方面から農業に関心が寄せられておりますので、農業生産法人等との連携による農業生産とか加工等に取り組む事例は最近かなりふえてきておりましたので、そうした障がい者の方々の就労機会の創出とか、地域の特産品開発、地産地消などには取り組んでいただけるということではないかと思っております。
〇小野寺有一委員 最近では、実際に受託生産というか、そういったことで、大手スーパーからの生産を受託されている作業所も出てきているという実例があると聞いております。保健福祉のほうでは工賃倍増計画なんていうものもやっておりますので、ぜひその一環として取り組んでいっていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、競馬組合のコスト調整についてお尋ねしたいと思います。
 競馬組合職員の退職手当に関する規定はどのようになっているのか。そして、その規定の適用を受ける職員の方が何人に上るのか。そして、平成20年度末の退職手当基金の積立額残高をお示しいただきたいと思います。
〇大友競馬改革推進室特命参事 競馬組合のコスト調整についてでありますが、競馬組合職員の退職手当に関する規定については、岩手県競馬組合職員の退職手当に関する条例が定められており、その手当及び支給方法は、県職員の規定の例によることとされております。
 また、この条例の適用を受ける職員は、本年4月1日現在で21人であり、平成20年度末の退職手当基金の積立額残高は約440万円となっております。(発言する者あり)
〇小野寺有一委員 今、ほかの委員からも少し声が上がったように、退職手当基金の残高が440万円余ということでありますが、競馬組合が、万が一ですけれども、廃止に至るというような不測の事態になった場合、その退職手当の支給というのはどのようになるのでしょうか。
〇大友競馬改革推進室特命参事 不測の事態における退職手当の支給についてでありますけれども、競馬事業が廃止になりまして、一部事務組合であります競馬組合が解散する場合、組合の職員は退職することになりますが、退職手当条例の規定に従いまして退職金が支払われることとなるものでございます。
 その財源につきましては、退職手当基金の取り崩しにより確保するほか、最終的には、組合の解散に伴う資産、負債の処分手続の中で、競馬組合規約にのっとりまして、構成団体が協議して必要な費用を負担することになるものでございます。
〇小野寺有一委員 平成19年でしたでしょうか、競馬事業存廃の基準というものが設定された際に、その前提として、競馬事業を継続していくためには、少なくとも競馬事業自体の収入で費用を賄える収支構造に転換することが必要だということで存廃基準が示されたということだと伺っております。少なくともと書いています。少なくとも競馬事業自体の収入で費用を賄える収支構造に転換することが必要だと。
 今のお話ですと、もしも不測の事態に至ったときには、基本的に、競馬で生み出されたコストというものが、後ほどの、要はそれぞれの構成団体の負担につけ回されるということになるのではないか。それは、やはりその存廃の基準の設定について、これは、明らかにそれに反しているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇大友競馬改革推進室特命参事 退職手当基金についてでございますけれども、年度途中に複数の職員が退職するというようなことを想定しますと、現在の積立額では十分と言えませんので、当該年度の収支に頼らざるを得ない状況にありますので、退職手当の支給によります各年度の収支への影響を極力少なくするために、また経営の安定化を図っていくためにも、毎年度、収支の状況を見ながら、可能な限り基金を積み立てていくことが必要だと考えているところでございます。
〇小野寺有一委員 ただいま、毎年度、退職手当基金の積み立てをしていくことが必要だとおっしゃっていましたけれども、年間支出計画額の見直しについてというものの直近のものでは、退職手当基金積立金の積立額の見直しということで4、800万円の積立額を減額するということで、それでコスト調整を図られております。
 それで、このコスト調整後の経常損益は2、500万円が見込まれていますけれども、この4、800万円の積立額を、もしもそのとおり4、800万円積み立てれば、計画額はマイナス2、300万円になるわけでありまして、このコスト調整そのものの調整がなっていないのではないかと思われるわけですが、どのような見解をお持ちでしょうか。
〇宮理事心得 先ほど委員のほうから御質問ありました、まず最初の存廃基準のところでございますけれども、存廃基準につきましては、各年度に得られる収入で各年度の支出を賄うということが原則でございます。
 退職手当との関係でございますけれども、退職手当につきましては、当該年度すぐ不足するということではありませんが、基金をつくりまして、将来、一気に複数の退職手当が発生するということの備えとして、一定程度その状況を見ながら積んでいくという形を考えているものでございます。
 例えば、平成21年度につきましては、定年退職といったようなことは予定されてございませんので、これをもって直ちに当該年度の収支が賄われないということにはならないものでございます。
〇小野寺有一委員 21人の方が規定によると先ほどおっしゃっていましたけれども、もしも不測の事態に至った場合の退職金の総支給額の想定は幾らぐらいに考えていらっしゃるんでしょうか。そして、それに対して、積み立ての金額の適正額はお幾らだとお考えでしょうか。
〇宮理事心得 平成21年度末で21人の退職手当を積算いたしますと約3億5、000万円程度になると考えてございます。したがいまして、今後の見込みも勘案しながら、順次積み立てをしながらまいっていきたいと思っております。
 積み立ての適正額というのは、毎年という意味では、当初予算に組みましたように、一応8、000万円ということで考えてございますが、収支の状況、バランスの問題もございますので、今回、先ほど委員がお話になったような状況に現在はなっているということでございます。
〇小野寺有一委員 存廃基準が設定されたときに、競馬事業継続のための調整というものがあわせて定められているようでありまして、収支均衡を図るための調整を毎年行うということにあわせて、調整が調わない場合は廃止と書いてあります。
 先ほどから、8、000万円ぐらいは毎年必要になるだろうと。それで、最終的には3億5、000万円の退職金が必要になるということでありますけれども、そうすると、例えば、今年度はそういった8、000万円の積み立ては難しいということで、それが半減するわけでしょうが、次年度については8、000万円を要は積み立てるということが、これが前提になるという理解でよろしいですか。
〇宮理事心得 8、000万円と申し上げましたのは、平成19年度から今の新しい計画でスタートしているわけでありますけれども、その時点で、一応、予算的には毎年8、000万円を目標に積み立てていこうということで取り組んできているところでございます。
 しかしながら、実際の収支のバランスがございますので、平成18年度以降、約4、000万円程度積み立てをし、なおかつ、退職者が発生しておりますので、それを取り崩しながら来た結果、平成20年度末では、先ほど申し上げましたように約400万円の残額になっているということでございます。
〇小野寺有一委員 3億5、000万円ぐらいの退職金の総支給額の想定になるということでありますが、それを21で割りますと1人当たり約1、500万円強ということになるわけですが、例えば、先ほどのお話ですと、現在400万円余の引当金しかないわけですが、ことしもしも1、500万円の退職金を支払わなければならない方が退職された場合には、その不足額というのはどのようになるのでしょうか。
〇宮理事心得 仮に、本年度そういうことがあった場合につきましては、現在、我々は第2期と言っていますけれども、2期でコスト調整した後の今年度積み立てようとしている額が3、200万円ございます。そこから賄われるということになるものでございます。
〇小野寺有一委員 最後にいたしますが、先ほども申し上げたとおり、そもそも存廃基準を設定したときの大前提となっているのは、これが当年度か通年度かというのはともかくとして、競馬事業自体の収入で費用を賄える収支構造に転換することが大前提になっているわけでありまして、例えば、退職者に支払われるべき費用というものは、やはり積み立てていかなければならない。そうしなければ、もしも不測の事態に陥ったときには、それぞれの構成団体が、その損金を負担しなければならないということになるわけでありますので、次回から、このコスト調整に退職積立金の減額といったものは含めるべきではないと思うわけでありますけれども、そのことについて見解をお示しいただいて、終わります。
〇宮理事心得 先ほどもお話を申し上げましたように、各年度8、000万円の積み立てをしながら、早い時期に退職金の必要額を積み立てたいという方針には変わりございませんので、委員お話があったそのことについては、非常によく理解できますし、そうしたいという思いはあります。
 ただ、一方、この存廃の基準では、年度を通じて収支の均衡、黒字化ということが大前提でございますので、その発売収入と支出のバランスというものもございますので、できるだけコスト調整に使わない、あるいは年度当初から予定した額を積み立てるという方向では考えていきたいと思いますが、そこは、実際の収支の状況を見ながら考えざるを得ないということだと思っております。
〇小野寺有一委員 議案の説明会のときにももしかしたらお話ししたかもしれませんが、今のお話でいきますと、結局これは、その不測の事態が起こった場合に顕在化してくる隠れ借金であります。隠れ借金に当たるわけですので、それをコスト調整のための財源として使っていくというのは、非常に不適切であると思いますので、その点を強く指摘して、終わらせていただきたいと思います。
〇渡辺幸貫委員 今の小野寺委員に関連してですが、今ここに、宮理事心得、松岡室長、浅沼課長、大友特命参事と、役職の方が競馬に関して4人も座っていらっしゃる。私がこの間、初めて競馬議会を─大分前ですけれども、議長を選ぶだけしか、まだ1回しか呼ばれていないんですが、私は出戻りみたいなもので、前にいたときは、ここに役職の方4人なんていなかったですね。兼務して説明する方が1人いただけです。
 そして、競馬組合は、数年前までは3人しか自治体から派遣されていなかった。ところが、今11人だと。それで、各市からは2人、2人、そして我々7人。それだけ今、職員の方が減っていて、そういう人たちが補充されているのではないかと思うのですが、その点についてはどういう見解をお持ちなのかお伺いします。
〇松岡競馬改革推進室長 確かに、構成団体であります県、それから奥州市、盛岡市から組合のほうに駐在職員が全部で11名行ってございます。これは、私ども構成団体という立場で、競馬組合の経営状況をきちっと立て直していくんだ、再生していくんだ、そういう観点から必要な人員を配置していると。そして、我々330億円の融資をいただいているという形でございますので、それをまずきちんと返すための、再生を図るための経営改善というものをきちんとやっていくために、構成団体から職員を駐在させて、その支援に当たっているということでございます。
〇渡辺幸貫委員 今の趣旨は、派遣されている人は、収支をよく見ながら、この存廃基準をしっかり守って、それを何とかやれるように見ていくんだろうという意味なのか、それとも、やはり働き手といいますか、人が減っていく中を補充しながら何とか基準を合わせようという意味なのか、その辺をちょっとお伺いします。
〇松岡競馬改革推進室長 前者のほうといいますか、いずれ構成団体として競馬組合の経営の支援、いわゆるあくまでも構成団体の立場として支援するという立場で職員は駐在しているものでございます。(渡辺幸貫委員「支援というのは分析という意味ですか」と呼ぶ)
 収支状況を常に把握いたしまして、競馬組合と一体となって経営改善に当たるということでの立場で行っているものでございます。
〇渡辺幸貫委員 構成団体は不安だと、そして議会も、存廃基準を設けたのは、不安だという思いで設けているわけですね。そして、県から派遣されている人も、前は、それは収支が合うようによく監督されながら、たまには指導もあったかもしれない。ところが、今の人数は、ここにおられる4人を初め、膨大な人数だと私は思うんですね。これは、まさに支援をしているのではないかと思うんですが、どうでしょうか。
〇松岡競馬改革推進室長 いずれ、この競馬組合を存続、継続させていくために、構成団体としてできる限りの対応をさせていただいているものでございます。
〇伊藤勢至委員 関連の関連。
 本年4月に副管理者がかわった際に、今は南のほうに行った方ですが、就任第一声が、職員を前にして、330億円のことは忘れろ、こういう訓示をしたと私は聞いております。それは一体どういう意味なのかと思いましてね。つまり、今まで岩手競馬は407億円の利益を出して、十分に配当してきた。330億円が仮にこけても、まだ分け前が若干のプラスになっているからいいのだ、もしそういう思いでありましたらば、議会を相当ばかにした話だと私は思っていますが、その辺はいかが聞いていますか。どう思いますか。
〇宮理事心得 4月にそのようなお話をしたかどうかちょっとあれですけれども、もし仮にそういうことがあったとすれば、決して330億円の返済をしなくてもいいとかという意味ではなくて、競馬組合に働いている職員に対して、士気を高める意味で、一生懸命頑張っていこうという意味でお話ししたものと思っております。
〇伊藤勢至委員 宮さん、宮さん、お馬の前で、という歌があったんですね、明治維新にね。だけど、そういうときは、それは確かに鼓舞する話だったかもしれませんが、これまでの経緯、経過の中で、副管理者から絶対出てはいけない発言だと私は思っていますよ。今後も、あなた方がそういうスタイルでいるかどうか、競馬議会を離れても注視をしていきますので、しっかりやってもらいたい。
 終わります。
〇関根敏伸委員 私からも競馬についてお伺いさせていただきます。
 一般質問でも取り上げさせていただきましたが、時間の関係上、十分聞けなかった部分もあるものですから、一部重複する部分があるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 今、存廃基準についても触れられました。330億円の返済についても触れられました。私は、いろいろな部分で、きっちりと競馬が存続をしながら、元金は返していただきたいと思っておりますし、やっぱり切り込むべきところにはコスト調整はしっかりかけていく、そういった意味で、退職金の存在でありますとか、今この職員の体制、支援がどうなっているのか、この辺をきっちり検証する必要があろうかと思います。
 ただ、一方で、そういった部分はそういった部分として、競馬存続を考えたときに、売り上げを拡大するのか、維持にとどまるのかわかりませんが、あるいは大幅にコスト削減をしながら低コストの体質に構造変換を図るのか、どちらをとるにしても、やはり一定のお金を投入していくことなしには、これらの問題は解決できないだろう、そういう観点で質問をさせていただくものであります。
 改めて、今後数年間の岩手競馬の投資見込み額と財源捻出についての県の考え方、それから捻出の見込みにつきましてお伺いさせていただきたいと思います。
〇松岡競馬改革推進室長 まず、岩手競馬の今後数年間の投資見込み額でございますけれども、円滑なレース運営等を確保する観点から、優先度の高い場外発売所の大型映像装置、それから盛岡競馬場の電話交換機設備のほか、さらに、各発売所の自動発売、払戻機、これらの更新等を行った場合には、概算で5億円を超えるような投資が必要と見込まれておりますけれども、その更新時期につきましては、それぞれの設備等の状態を見きわめながら、今後検討するということになっているものでございます。
 また、投資のための財源捻出についての考え方と見込みでございます。
 岩手競馬は、新計画のもとで、競馬事業から得られる収入ですべての支出を賄い、収支均衡を達成することが、競馬事業存続の条件とされておりますので、投資的経費につきましても競馬事業の収入で賄うことが基本となってございます。
 このため、毎年度の利益などを施設等整備基金に積み立てているところでございますけれども、基金だけではそれが十分確保できないということも想定されますので、例えば、地方競馬全国協会の補助金ですとか、畜産近代化リース協会によるリース事業というものがございます。これらの活用も含めて財源の確保を図っていかなければならないという状況でございます。
〇関根敏伸委員 5億円の概算の投資見込みということでございますが、これは、更新時期等を見きわめながらという判断かと思います。ただ、今お聞きしたところでありますと、自動発売、払戻機でありますとか、大型映像装置、こういったものは、売り上げにかなり直結する部分の投資になってくるのじゃないかと思っております。そういった意味では、見きわめながらという判断が、これは余り長いスパンで考えることにはならないのかなと思っているわけであります。
 そんな中で、今、施設整備のための基金が積み立てられていると思います。これは、基本的に内部留保基金で積み立てられていると思いますが、ここ2カ年であれば、およそ1億円程度のものかと思っております。
 あわせて、今、この地全協ですか、地方競馬全国協会の補助金でありますとか、畜産近代化リース協会の資金、こういった答弁もあったわけですが、仮にこの5億円がこういった資金でどう賄われるのか、その辺の見込みももう少し詳しく聞かせていただきたいと思います。
〇松岡競馬改革推進室長 この5億円がすべて一度に必要になるということは想定していないわけでございます。いずれ、相当年数が経過した設備機器等がございますので、その状況を見ながら、順次活用していくと。そして、そのときにある基金の残高、そしてそのいわゆる補助対象になる、リースの対象となる事業かどうか、そこら辺を兼ね合わせながら財源の確保を図っていくというようなことで進めてまいるものでございます。
〇関根敏伸委員 それでは、今言ったような、これは仮定の話になって恐縮なんですが、今後、この設備投資の財源捻出が見込めない場合の競馬組合への売り上げの影響はいかほどと試算をしていらっしゃるのでしょうか。その場合のコスト調整の可能性と収支均衡の展望についてお聞かせいただきたいと思います。
〇松岡競馬改革推進室長 今後、設備投資の経費が見込めない場合の影響でございますけれども、必要な時期に、必要な現在の使用している設備等の更新ができない場合には、故障の発生等によりまして競馬の開催に支障が生じるということが懸念されるところでございます。ただ、その影響につきましては、故障の時期ですとか程度などで大きく異なりますので、現時点でその額が幾らかという試算は困難でございます。
 また、新たな設備投資が見込めない場合には、売り上げの確保ですとか低コスト構造への転換、こういったものが厳しくなることによって、将来における安定的な事業運営というものにも影響を及ぼすことが懸念されるかと考えてございます。
 ただ、いずれにしましても、必要な投資ができないことによって売り上げに影響が生じる、そういうことがないように、一方では財源の確保、それから、一方では経費の節減に努めまして、収支均衡を図っていかなければならないと考えてございます。
〇関根敏伸委員 今の御答弁にあったとおり、将来的に安定的な運営に影響が出る可能性があるというお話ですが、この将来的にの展望が、私は、本当に遠くない将来ではないのかというふうな、ある意味、危機感を持っているわけでございます。
 そんな中で、今、たしか地方競馬共同でトータリゼータシステムというんですか、いわゆる16主催者共同運営の新しいシステム構築に着手しているという話を聞いているわけであります。
 説明を受けたところによりますと、システム構築費が60億円程度ということのようでありますが、この5分の4が地全協から補助金が出ると。ですから5分の1の負担でいいということなのでありますが、5分の1にしても十数億円程度の負担を各開催者が一定の割合で負担していくことになるのだろうと思っておりますし、あわせて運用経費が出てくるということを聞いているわけであります。
 現在、この負担割合を一生懸命協議中と聞いているわけでありますが、例えばこのシステムですけれども、5分の4の補助金も、全主催者が参加することが補助の条件であると聞いておりますし、仮にこのシステムに参加できないということになれば、結果として、受委託の販売が困難になると聞いております。結果として、システム構築に参加せざるを得ない、これが今の岩手競馬の現状ではないかと思うわけです。
 そういった中、この六十数億円の負担、運用経費も含めて協議中ということになりますが、このシステムを前にして、改めて岩手競馬の投資のあり方、見込み、こういったものがかなり早急にある明確化した数値までとらえていかなければならないのかなと思っているんですが、この辺につきまして、ちょっと詳しく聞かせていただきたいと思います。
〇松岡競馬改革推進室長 この財源の捻出方法でございます。
 必要な投資のための財源として、施設等整備基金が、現在のように景気の低迷等によって発売額が減少することによって十分確保ができない、これは当然見込まれるところでございます。したがいまして、いずれ私どもとしましては、現在のスキームを前提といたしまして、今後とも、毎年度、着実に黒字を積み重ねて、そして経営の安定化を図っていくことを基本としつつ、岩手競馬の存続をより確実なものとするためには、投資などに必要な財源確保のための仕組みなどにつきまして模索して、幅広く検討していく、そういうことも将来的な課題ではないかと考えているものでございます。
〇関根敏伸委員 なかなか厳しい御答弁になろうかと思っておりますが、やはり、何度も言いますが、競馬の存続、安定的な存続という言い方をされるのであれば、この辺の見込みについては、やはり漠としたものであってはならないと思っているわけであります。
 今、この収支均衡ルールの中で財源の模索も検討していかなければならないという御答弁もありました。私は、何度も言いますが、収支均衡ルールがあって、融資が行われ、元金返済のルールがつくられているということは十二分に承知しているわけでありますけれども、冒頭申し上げたとおり、競馬が存続するために、いろいろなことを検討していかなければならない時期にもあるのかなと思っております。
 そんなときで、昨年の一般質問でも同じ趣旨で、私は、今、いわゆる競馬組合が構成団体から受けている融資に対して金利として払っている0.3%ですか、1億円の金利の例えば減免等の方法についてはいかに考えるのかということを質問させていただいた経緯がありました。そのときの御答弁につきましては、構成団体に利息を支払った上で収支均衡させる仕組みとしているところでございます。しかしながら、災害の発生など、予測しがたい臨時的な損失の発生などにより、経常損益の黒字では賄い切れないような資金が必要となった場合に、その資金不足で事業継続が困難となる事態を避けるための一つの方策として、やむを得ない事情に限って、現行ルールのもとで構成団体融資の利息を軽減する方法につきましても、今後、検討する必要があると考えております。こういったような御答弁をいただいておったわけでありますが、こういった部分については、どのような検討が加えられているのでしょうか。
〇松岡競馬改革推進室長 新計画のルールでございますと、いずれ有利子といいますか、利子を払って、まず330億円の融資をいただくということで決まってございます。でありますので、この利息の軽減ということが、果たしてこの新計画のルールの中で、その範囲内なのか、それともこの新計画のルールを変えないとそういうことができないのか、そこら辺は、もう少し詰めなければならないと考えてございます。
 また、そういうときには、例えば減免規定を条例に設けるとか、あとは新計画そのものを変えるとか、そういうことも手続的にある場合もあるかと思います。
 ただ、いずれ資金が不足して事業継続が困難になる、そういうような事態は何としても避けたいと私ども考えてございますので、関根委員からお話がありました利息の軽減等々も含めて、あとどんなことがあるんだろうかと、それが新計画のこのルールの中でできるものなのか、できないものなのか、そこら辺を十分詰めていきたいと考えているものでございます。
〇関根敏伸委員 冒頭、何度も申し上げておりますが、この収支均衡のルールがあって競馬が認められたという議論においては、私もいろいろな中で、競馬廃止もやむなしという方向で一貫して採決に臨んできたわけだったんですが、事330億円融資が決まって、今のシステムの中で競馬が再スタートを切った以上、何とかして競馬はやはり存続させていかなければならない、融資もぜひ返還をしていただきたいと思っております。
 また、3年前と比べて、今の競馬組合事業の意味も大きく変わってきているかと思っております。御承知のとおり、財政競馬の意義はないと思いますので、今は、競馬組合という事業そのものが存続できるかどうかということ自体が、物すごく大きな意義あるものと思っているわけであります。基金を使って1人、2人の雇用を何とかつくり上げようというときに、2、000人と言われるこの雇用が仮に失われると地域経済に大きな影響を与える、構成団体の財政にも物すごい負担をかけるということがあってはならないという観点の中で、私は、やっぱりいろいろな議論が本当に必要なのかなという意味合いも込めまして、今の質問をさせていただいたわけであります。
 今さまざま室長からお話があったわけでありますが、この制度のあり方も含めまして、部長はどのようなお考えを持っていらっしゃるのかお聞かせいただきたいと思いますし、あわせて、昨年は、民間委託の部分については、日本ユニシスとの民間委託は成らなかったわけであります。今年度は自前でやるという前提のもとで、今、営業を継続されていらっしゃるわけでありますが、この件につきましても、必要な時期に、再度、さまざまな条件等を勘案しながら必要な検討を加えていく、こういった答弁を昨年いただけていたと記憶しております。
 そんな中でも、新年度ももう半年を切る段階に来ているわけでありますが、こういった部分についての検討状況がどうなっているのか、あわせてお知らせいただきたいと思います。
〇瀬川農林水産部長 まず、投資などに必要な財源確保あるいは競馬組合の存続に向けた財源面ということでございますが、必要な投資を行っていくための財源の確保につきましては、岩手競馬の存続にとって大変重要な課題、問題でございます。
 先ほど室長のほうからもいろいろお話しさせていただきましたとおり、今後の課題として、やはり財源確保のためのさまざまな方策について幅広く検討させていただくということも、今後、必要になってくるのではないかと考えているところでございます。
 ただ、また一方で、330億円融資いただき、また新計画のルールがつくられているという経緯も踏まえますと、まずは、現在のスキームのもとで、今年度も3年連続の黒字達成ということで、これは関係者一丸となって全力で取り組んでまいりたいと。委員からも御指摘ありましたとおり、雇用問題とか、あるいは地域経済への影響は大変大きなものがございますので、そういった不測の事態に陥ることのないように、まずは全力で取り組むということかと思っております。
 それから、民間委託等につきましては、昨年度いろいろな経緯があったわけでございますが、ただ、中長期的な検討課題としては、やはり大事な一つだろうと思っておりますので、そういった点も含めて、引き続き検討させていただきたいと思っております。
〇斉藤信委員 それでは、第1に、平成20年産米の米価と生産費、時給換算の労賃はどうなりますか。平成21年産米の米価の動向はどうでしょうか。
 二つ目、農業産出額、これは平成19年度の2、460億円は、ピーク時の3、595億円、これは昭和60年から大きく減少しています。その主な要因は何か。生産量の減少なのか、農産物価格等の低落なのか。また、農業所得はどういうふうに推移しているか示していただきたい。
〇工藤水田農業課長 平成20年産の米価と生産費等についてでございます。
 まず、第1点目の価格につきましてですが、本県の作付面積の約7割を占めますひとめぼれの価格は、コメ価格センターの入札価格によりますと、60キロ当たり1万4、850円となっております。
 また、2点目の生産費についてでございますけれども、平成20年産の国の調査結果がまだ未発表でございます。それで、平成19年産のデータをもとに、資材価格の上昇も反映させて試算いたしますと、60キロ当たり1万2、900円と見込んでいるところでございます。
 3点目の時給換算労賃につきましては、国の米生産費調査によりますと、平成19年産以降、粗収益あるいは所得、この言うならば時給換算労賃のもととなりますデータが未公表になってございます。したがいまして、これらの本県の家族労働報酬を示すそのもとのデータが未公表でございますので、お示しすることが困難な状況になってございます。
 それから、4点目の平成21年産米の米価につきましては、現時点では、コメ価格センターにおけます取引実態がございません。ですから公表されておりませんけれども、大抵やられている相対取引価格、これは、生産者団体と米卸会社との相対でやられておるわけですが、この価格は、全農岩手県本部によりますと、ひとめぼれでは、昨年に引き続きまして60キロ当たり1万4、800円となっていると伺っているところでございます。
〇杉原農業振興課総括課長 次に、農業産出額が減少した要因ということでございますけれども、米価の下落や米の生産調整等によって、米の産出額が大きく落ち込んだことが最も大きな要因でございます。それではすべて落ちているかというと、そうではございませんで、ほかの品目では、果実、花、ブロイラー、畜産の中でもブロイラーでございますけれども、その部分については増加してきているということでございますが、担い手の減少、それから高齢化の進行などによりまして、農業生産力が全体として減少してきたことも影響しているというところでございます。
 特に産出額の減少幅が大きい米で具体的にお示ししたいと思います。まず、生産量ですけれども、昭和60年の約45万トンから、平成19年には約31万トン、数量にして約14万トン、割合にして約3割の減少でございます。
 それから、60キログラム当たりの米価でございますが、昭和60年の政府買い入れ価格が1万8、668円で、平成19年になりますと、ひとめぼれの自主流通米入札価格1万3、522円と比較しますと、金額にして5、146円、割合にして約3割の減少などによりまして、米の産出額は、昭和60年の1、454億円から、平成19年は594億円となりまして、金額にして860億円、割合にして約6割の減少となっているところでございます。
 また、農業所得の推移でございますけれども、農産物価格の低迷や生産資材価格の高騰による生産コストの上昇などによりまして、農業所得は減少し、厳しい経営環境に置かれているところでございます。
 公表されている直近の国の農業経営統計調査結果によりますと、本県の販売農家1戸当たりの農業所得は、平成6年の172万5、000円をピークに、平成19年では90万5、000円となり、平成6年対比で約5割となっているところでございます。
〇斉藤信委員 米価は昨年とほぼ同じか若干微減かと。平成20年産米は、後半戦かなり暴落したので大変心配いたしました。
 時給換算で、去年は答えたんですよね。余り低いので答えられなかったと。
 農業産出額については、特に米については、今、大変衝撃的な答えでありました。生産量も米価も暴落に近い減少。ここに歯どめをかけなかったら、岩手の農業生産額を上げるということにならないのではないか。これは米だけでなくてですよ。
 そういう意味で、これからのいわば長期経営計画でも、農業産出額はわずかにふやすとなっていますけれども、やっぱりそういう下がった原因をはっきり見定めて、そこの打開の展望を切り開きながらやらないと、私は、本筋、この農業問題は解決できないのではないか、こういうふうに考えております。
 きょうは深入りしません。
 次に、水田経営所得安定対策の加入状況と農家数、作付面積に対するカバー率、今後の課題と対策はどうなっているか。
 新規就農者の現状と目標の設定について、農業産出額の目標を達成する上で、どれだけの新規就農者が必要なのか示すべきではないのか。
〇井上担い手対策課長 水田経営所得安定対策への加入状況等についてお答えいたします。
 平成21年産水田経営所得安定対策への加入状況は、経営体数では、認定農業者が2、445経営体、集落営農組織が363組織となっておりまして、加入面積では、米、麦、大豆を合わせまして2万8、656ヘクタールで、前年産より約1、000ヘクタール増加してございます。
 農家数に対するカバー率は、販売農家と自給的農家を合わせました総農家戸数に対しては26%、販売農家戸数に対しては59%となっております。作付面積に対するカバー率は、同じく、販売農家と自給的農家を合わせました全作付面積に対しては44%、販売仕向け面積に対しては67%と見込んでございます。
 また、次に、今後の課題と対策についてでありますけれども、本県の集落営農組織は、経営発展の初期段階にとどまっているものが全体の約6割を占めておりまして、このことから、なお一層、生産コスト低減のための農作業の合理化や経営管理手法の習得など、経営の高度化を図っていくことが課題と考えてございます。
 このため、市町村やJAと連携しながら、個別に農作業を行っている組織に対しましては、農作業受委託や農地の利用調整を促進するとともに、農地の利用集積が進んだ組織に対しては、経営能力の向上や機械整備計画等の検討、導入などを支援し、また、法人化された組織には、専門家による経営診断の実施や流通、加工分野への進出を促進するなど、集落営農組織の発展段階に応じたきめ細やかな支援を行い、経営の高度化を図っていきたいと考えてございます。
〇高橋農業普及技術課総括課長 新規就農者の現状と目標設定についてでありますが、本県の新規就農者は、平成2年から12年までは年間100人を割り込む水準で推移してまいりましたが、平成13年度には年間106人が確保されて、以降は増加傾向に転じまして、平成20年度は232人と、5年前と比較して約2倍となっているところでございます。
 新規就農者の確保目標につきましては、本県の農業振興には、県内の農業生産の6割程度を担い手が担う場合に8、500人の認定農業者の育成が必要と考えており、この8、500人が40年で世代交代をするという考えのもとに、リタイアする担い手を補完するために必要な自営就農者を200人、それから、多様な担い手の確保、育成対策と雇用対策を一体的に進める考えのもとに、法人に雇用され将来の担い手として就農を目指す方50人、合わせて250人を確保目標としているところでございます。
〇斉藤信委員 今の新規就農者の目標250人というのは、私は、今、本当に就業者が減って、高齢化をして、そういう中では、現実が今232人まで行ったんでしょう、極めてささやかな目標だと。これで本当に食料供給県になるのかと、私は率直にそういうふうに思うんですよ。まさに雇用の受け皿だとも言われている、そういうときに、こんな小さな目標でいいのかと思います。
 それで、農業分野での雇用対策について、平成20年度、今年度の具体的な取り組みと実績を示していただきたい。
〇井上担い手対策課長 雇用対策についてでありますけれども、平成20年度は、内需拡大型産業である農業の振興による雇用の創出を目指すとともに、建設業などの企業の農業参入を促進してきたところでありますけれども、雇用情勢がますます厳しくなってきたことから、平成21年2月に、農林水産業及び関連産業への就業促進アクションプランを策定し、担い手の育成、確保と雇用対策を一体的に推進してきたところでございます。
 実質的に初年度となります平成21年度は、このアクションプランに基づき、経営体の育成や産地づくり、農業の6次産業化などを推進するとともに、就農機会を確保するため、就農相談活動や先進農家でのOJT研修、企業の農業参入の支援など、就業希望者のニーズに即したきめ細やかな支援を展開してきたところでございます。
 今年度の農業分野における実績につきましては、本年9月末現在の進捗状況で、新規就農者が47%、農業法人等による雇用が96%、合計で84%と、おおむね順調に推移をしておりまして、引き続き、アクションプランに即した取り組みを推進していきたいと思っております。
〇斉藤信委員 パーセンテージではなくて、実人員でやってください、実人員で。雇用というのは、パーセンテージではだめなんですよ。それに答えてくださいよ。
 それで、次に、農業農村整備事業に関する、いわゆるヒューム管の適正価格について私はお聞きをしたい。
 こういう訴えがありました。これは県営の事業でしょう。ヒューム管を使う事業で、図面に特定の企業しか扱っていないヒューム管が指定されていると。価格交渉をしても、全然価格交渉に応じないと。私、こういうことでいいのかということで一度説明を聞きましたが、この企業には、東北農政局から天下りも来ているので態度がでかいと、こういう話までありました。こういう土地改良事業で、特定の企業しかつくっていないものが図面で書かれるなんていうことがあり得るのですか。
〇井上担い手対策課長 雇用の状況につきまして、実数で御説明をさせていただきます。
 新規就農の関係につきましては、目標200人に対しまして93人、これで47%でございます。それから、農業法人等による雇用につきましては、目標621人に対しまして595人の雇用になってございます。これで96%でございます。合計で、目標821人に対しまして688人、84%となってございます。
〇須藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 土地改良事業におけるヒューム管の使用についてでございます。
 このヒューム管というのは日本工業規格、いわゆるJIS規格で定められている管でございまして、特定の企業でしかつくっていないというものはないはずでございますが、その企業の事情によりまして、このサイズはないということはあるかもしれませんが、基本的にどこでもつくっているものということになります。
 今、花巻市で実施しております農業用水管路の改修工事で、ヒューム管の1.5メートルのもの、1.8メートルのものの改修工事をやっておりますが、これでC形という管を使っております。このサイズになりますと、A形とC形という2種類があるわけですが、それをつくっているメーカー、A形をつくっているメーカー、C形をつくっているメーカーがございまして、ここではC形を使っております。
 なぜかといいますと、C形というのは、継ぎ手構造がゴムリングになっておりますので、水密性が高いという理由でそれを使っております。ただ、このC形も1社だけではなく、複数の会社でつくっていると聞いておりますので、特定の企業だけでつくっているものということにはならないと思っております。
〇斉藤信委員 現場がそうなっていないので私は指摘をしているのです。私が課長から説明を聞いたら、100万円下がったそうですよ。それで、ヒューム管だけでなくてPC管というのもそういう形になっていて、これ全国の建設物価というのが公表されているわけです。PC管も四国の業者と比べればまだ高いと。いわば建設物価で全国水準ならそれはやむを得ない。しかし、ここしか扱っていないから、結局、高値で交渉にも応じないと。PC管もそうなんです。だから、そういう意味で、これは県が発注する工事ですから、今後、慎重に対応するようにしていただきたい。ここは指摘だけで終わりますから。
 最後、競馬組合の問題についてお聞きして終わります。
 一つは、昨年度の売り上げ実績、コスト削減の内容はどうだったか。今年度の売り上げ実績とコスト削減の内容、その影響はどうなのか。今後もコスト削減だけでやっていけるのか、お聞きします。
〇大友競馬改革推進室特命参事 まず、昨年度の売り上げ実績とコスト削減の内容についてでありますけれども、昨年度の岩手競馬での発売額は220億6、600万円で、計画達成率は100%と計画を達成しましたが、前年度と比較しますと94.7%、12億4、200万円の減となっております。また、昨年度のコスト削減については、競走関係費や電算機ネットワーク運用経費、投票窓口の見直しなどを行いまして、4億3、200万円の経費削減を実施したところでございます。
 次に、本年度の売り上げ実績とコスト削減の内容等についてでございますけれども、直近の第8回盛岡競馬前半、10月19日までの岩手競馬の発売額についてでございますけれども、147億1、500万円で、計画達成率は98.4%、前年同期と比較しますと95.9%、6億3、600万円の減となっております。
 本年度のコスト削減につきましては、競走関係費や広報宣伝費、電算機ネットワーク運用経費の見直しなどによりまして、1億9、300万円の経費削減を実施したところであります。
 コスト削減に当たりましては、極力、ファンサービスに影響が出ないように馬資源や競走水準を確保できるよう、競馬関係者、取引先企業と話し合い、工夫を重ねながら実施してきたものでありまして、競馬の開催には今のところ特段の支障は生じていないと認識しているところでございます。
 今後も引き続き、コスト管理を徹底してまいりますけれども、まず、第一に、売り上げの確保を図ることが重要でございますので、重賞競走を中心に質の高いレースを提供いたしますほか、構成団体やインターネット事業者、他主催者とも連携を強化しながら、さまざまな情報発信、イベントを展開するなどにより、売り上げ拡大に取り組んでまいることとしております。
〇斉藤信委員 去年は4億3、200万円、ことしは今の段階で1億9、300万円のコスト削減と。ことしの当初は、賞金で1億2、000万円余も下げたと。今回のコスト削減で、また賞典費が2、300万円マイナスですよ。収支を均衡させるという点でやらざるを得ないんだろうけれども、これが本当に続くのかと。現場からは、もうぎりぎりだと、絞るものも出ないと切実な声も寄せられている中で、コスト削減の繰り返しだけで本当に続けられるんだろうかという、そこらの見通しはどうですか。やるしかないというのはそうだろうけれども、そこらの見通し。コスト削減だけでは、私はいつまでも続かないと思いますよ。そこを聞いて終わります。
〇宮理事心得 お尋ねのありましたコスト削減だけで続くのかということでございますが、本年度もコスト削減をしてきたわけでありますけれども、決してコスト削減だけをしてきたということではございませんで、春先からさまざま薄暮開催の強化でありますとか、レース数の増でありますとか、その発売額を確保するためのできる限りの取り組みを行いつつ、それでもなおかつ足りない分については、収支均衡ということでありますので、コスト削減をしなければならないという部分が今回の額でございます。
 今後におきましても、先ほど御答弁を差し上げましたように、発売額の確保に全力を傾けるとともに、どうしてもそこは発売額の状況を見るしかないという部分がございますので、収支均衡は絶対の条件ということで、必要であればコスト削減をせざるを得ないということは御理解をいただければと思います。
〇小野寺好委員 米の消費拡大について伺います。
 1カ月前の報道ですけれども、1962年、東京オリンピックの2年ほど前ですけれども、当時、1人当たりの米の年間消費量は118.3キロだったといいますが、昨年2008年は59.0キロ、この46年間で半分になったとのことであります。自給できる主食でありますが、高齢化で食が細くなりますし、今後は人口減と予測されていますので、見通しは決してよくはありません。こうした背景で、米の消費拡大がどのように図られているか伺います。
 また、県内でも、外食産業がかなり多くなってきていますが、かつて県内産米がどの程度の割合で使われているか質問したことがありますが、そのような調査資料はないとの答弁をいただきました。昨今はいかがであるか、お聞きしたいと思います。
 ひところ、米ばかり食べていると頭がどうのと、まことしやかに言われたことがありましたが、むしろ逆であるということを、科学的知見に基づいて生産者側及び行政から言うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 なお、米粉を利用してパンやめん類をつくる取り組みがなされていると聞きますが、米粉の利用拡大の成果はいかがでしょうか。
〇浅沼流通課総括課長 米の消費拡大についてのお尋ねでございました。
 まず第1点目、米の消費拡大がどのように図られているかという点でございますが、全国という部分でまいりますと、朝御飯という部分にスポットを当てた、全国的なテレビ等の広告媒体を使いましたキャンペーンでありますとか、農業団体が食料自給率のアップという視点で、お米を初めといたしました国産食材の自給率向上ということでのプロジェクトというようなものが展開されておりまして、県もそれに呼応して展開をしているところでございます。さらに、本県という部分でまいりますと、関係団体、県で構成いたします協議会がございますので、そこの協議会と市町村、関係団体が一体となりまして、地域に根差しました食育というような視点が中心になりますけれども、さまざまな事業を展開しているところでございます。
 二つ目、外食での利用状況という部分でございました。外食での利用状況につきましては、申しわけございませんが調査をしてございません。データが手元にございませんので、御理解をいただきたいと思います。
 さらに、お米の栄養価等をもっとPRをというようなお話がございました。関係団体のいろいろな科学的な分析によりますと、お米は太りにくいとか栄養価も高いとか、食品として非常にさまざまなよい面があるという特性が明らかになってきてございます。この点につきましては、委員から御指摘のありましたとおり、私どももこれまで以上に、より積極的にPRをしていく必要があると思っておりますので、取り組んでまいりたいと思っております。
 最後に4点目、米粉の利用拡大という部分がございました。米粉の具体的な取り組みでまいりますと、直近でまいりますと、県南の産地と県内の製パン業者の連携した取り組みということで、具体的に申し上げますと、JAふるさとが供給いたします22トンの米、県北にあります一野辺製パン株式会社の取り組みで、米粉パン、こういった新商品を開発するというプロジェクトを実施してございます。おかげさまをもちまして、10月29日に新商品の発表会という段取りに至るところまでまいりました。このような取り組みもございます。さらに加えまして、米粉パンに興味のあります方々を対象といたしました研修会でありますとか、昨年度から実施しておりますが、1月には県下の全小・中学校を対象といたしました米粉パン学校給食の日、ことしは雑穀も入れてみたいと思っておりますけれども、そういう取り組み。さらに製めん関係でも、県内でいろいろ自主的な取り組みが見られてございます。それらに対するいろいろな支援というものも、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 農家の高齢化について伺います。
 全国的には、農業従事者の約6割が65歳以上の高齢者で、39歳以下はわずか5%だといいますが、本県の販売農家の構成割合はいかがでしょうか。
 また、農業移住者、新規就農者支援でありますが、県が直接、間接にかかわった説明会、講習会の実績はいかがだったでしょうか。
 なお、農業改良資金特別会計、無利子の就農支援資金貸し付け8、400万円余の予算で、実際の支出済額は3、300万円余となっていますが、どうして余り使われなかったのか。また、人数、内容等を伺いたいと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 本県の販売農家の構成割合についてでございますけれども、国が公表している農林業センサスによりますと、平成17年の販売農家の構成割合でございますが、15歳から29歳が1.2%、30歳から39歳までが2.0%、40歳から49歳までが7.0%、それから50歳から59歳が18.2%、60歳から64歳までが13.6%。65歳以上でございますが、58.2%ということになっております。これを5年前の平成12年と比較しますと、39歳以下ですと0.2ポイントの減、65歳以上ですと5.9ポイントの増となっているところでございます。
〇高橋農業普及技術課総括課長 就農支援説明会、相談会の県が直接かかわった件数ということでございますが、県単独ということで県だけがやっている事例はございませんが、県と農業公社等で一緒にやっている件数ということで申しますと、平成20年は479件でございます。
 それから、農業改良資金の支出額3、378万1、000円の内訳ですけれども、この中には、一つは新規就農者に対する貸付金が3件ございます。合計で1、627万1、000円。それから、国への約定償還の支出がございまして、これが1、751万円、合わせて3、378万円の支出額となっているものでございます。
 貸し付けた3件の内容ですけれども、陸前高田市では、施設栽培農家が施設栽培のためのパイプハウスの導入、それから久慈市では、菌床シイタケの菌床棚等設備の整備、それから雫石町では、施設野菜の作付のためのパイプハウスの導入ということで、平成20年度は3件ということになっているものでございます。
 それから、件数が少ないという御指摘でございますが、貸し付けに至るまで本人の意思決定等さまざま時間がかかるものですから、なかなか単年度で件数がふえるということはございませんが、昨年度は3件、それから昨年度、年度末から協議といいますか計画を詰めてきて、本年度は既に8月末で4件の貸し付けが決定しておりますし、今後、年度内で16件の貸し付けが予定されているところでございます。
〇小野寺好委員 農業生産法人について伺います。
 農業は家族で経営するものとの固定観念がありましたが、高齢化、後継者難で家族経営が困難になっております。農作業の機械化での少人数化、高等教育の一般化で、農業以外への就職、サービス産業の肥大化等、社会構造の変化で農家の子弟の農業離れが続いてまいりました。農業の担い手を確保し、農業を継続させるため、農地は耕作者の所有にこだわることなく、効率的な利用に重点を置いたものになろうとしていますが、高齢化による従事者確保対策としての農業生産法人の実態と、行政としての設立や運営に関する今後の支援方針を伺います。
〇杉原農業振興課総括課長 農業生産法人の実態でございます。高齢化した農地所有者が農業生産法人に農地を賃貸することは、農地の持続的かつ効率的な利用の面からも、大変重要であると認識しているところでございます。
 その受け皿となる農業生産法人でございますが、平成21年3月末現在で216法人、これは前年対比で41法人ふえているところでございます。
 近年、農業者の減少、高齢化によりまして、耕作放棄地等の発生が顕在化しているところでございますけれども、そういったところの農地を引き受ける農業生産法人としても、例えば岩手町の一方井地区の営農組合や奥州市のアグリコーポ小田代など、県内には17の法人がそういった役割をしているところがございます。
 次に、行政としての支援方針でございますけれども、県としましては、将来的に農業の担い手は不足することが見込まれる地域で、地域の合意のもとに、将来、その地域の相当部分の農地を集積して、農業を行う法人の育成を支援していきたいと考えているところでございます。
〇小野寺好委員 企業の農業参入について伺います。
 県土整備部では、建設業新分野・新事業事例集、こういったものを発行し、農業参入を促しているように見受けられますが、もろ手を挙げて賛同するにはちょっとためらいがあります。
 農林水産部では、県土整備部と連携して、建設業者の農業参入を促進しているのでしょうか。また、全国的にも、大手食品メーカーや居酒屋チェーンの農業参入を耳にしますが、県内の企業の農業参入、この実態については、先ほど工藤勝子委員の質問に対し75社が参入していると、生産物についても紹介がありました。私からは、みんながみんなうまくいっているはずはないなと。成功例、失敗例、そういったものを少し御紹介いただければと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 まず、県土整備部との連携状況ということでございますけれども、県土整備部とは、建設業者の農業への参入移行、参入状況について情報共有をしながら進めているところでございますけれども、岩手県建設業協会が主催する研修会に部の職員が参加したり、そういった形で農業の参入については積極的に促進をしているところでございます。
 今、説明がありましたけれども、本県における農外企業の参入でございますけれども、平成15年から21年9月末現在までで、80社、81件というところでございます。確かにうまくいっている例、失敗している例とあります。
 例えば、食品関連企業に参入する場合には販売先が確保されておりますので、販売価格なんかも設定しながら参入できるところでございますので、そういうところは成功していると。要するに、売り先がある場合にはやっぱりいいと。ただ、これまでちょっと傾向として、建設業のところが労働力を生かそうということでぽっと入ってきますと、販売先の面とかそういったところがまだ未確定な場合に非常に苦労されていると、そういう例が見られたというところでございます。
〇小野寺好委員 産直販売について伺います。
 安くて新鮮というイメージで産直施設が拡大していると思いますが、県内の施設数、販売額はいかがでしょうか。私はあちこちを見て回っておりますが、中には、こうしたイメージから離れた産直も見受けられます。つまり、あからさまにもうけにかかっていると、こういったところでありますけれども、取引の自由と言えばそれまでなんですが、部長の所見をお伺いいたします。
 なお、産直グループに加わらず、パソコン、宅配便を活用し、単独で販売を拡大している方も聞きますけれども、農業のIT化の実態を把握していれば概要をお伺いいたします。
〇瀬川農林水産部長 産直販売についてでございますが、産地直売所は県内に約250カ所設置されております。売り上げが100億円を突破するなど、地産地消の拠点として、生産者の所得確保や販売意欲の向上はもとより、消費者との交流や農林水産業への理解の促進といった役割も担っていただいているところでございます。
 県内の産直施設のほとんどにつきましては、安くて新鮮というイメージどおり活動していただいていると、また、消費者の信頼を得ていると考えておりますが、今後とも、こうした本県産直が持っておりますイメージが損なわれることのないよう、活動していただくことを期待しているところでございます。
 それから、パソコン、宅配便の活用等につきましては、流通課総括課長のほうから答弁させていただきます。
〇浅沼流通課総括課長 産直グループに加わらずにパソコンとインターネット等で単独で販売を拡大している方の数につきましては、申しわけございません、把握してございません。数字を申し上げることができませんが、一例を申し上げますと、今年度から新たに私ども、6次チャレンジの支援事業というのをやってございます。採択事業者が19業者ございますが、うち、6業者はインターネットを使った販売というものを試行している方々でございます。こういう点から申しますと、県内でそういったネット販売を試行する生産者、関係者の方々、相当数いらっしゃるのではないかなと推測しているところでございます。
〇小野寺好委員 地域特産品について伺います。
 岩手ならではの気候風土を生かした特産品の生産、販売実態はいかがでしょうか。例えばヤマブドウ、雑穀、観光客相手のワラビ園等々話題にはなりますが、産業として地域特産品まで高めることのできたもの、また、今後、有望であり支援すべきものは何でしょうか。また、岩手のブランド力を高めるためにどのように力を入れているか伺います。
〇浅沼流通課総括課長 ただいま3点お尋ねがございました。
 気候風土を生かしました特産品の生産販売、種類がたくさんございますので、申しわけございませんが、今、手元にきちっとした統計数字がございませんけれども、委員の御質問にありました例えば雑穀ということをとらえますと、平成20年度ベースで生産量が994トンということで、平成13年対比でいきますと、約3倍というような状況になってきておりまして、そういう意味では、一定の成果、動きが出てきているのではないかなととらえているところでございます。
 今後の特産品につきましてでございますが、委員の御質問にありましたヤマブドウ、雑穀という部分でまいりますと、雑穀につきましては、今、申し上げた生産量の伸びもそうでございますが、県内の業者のほうでさまざまな加工食品、加工品としての展開というものが出てきております。
 さらに、ヤマブドウという部分につきましては、ワインでありますとかジュースのほかに、全国のパンメーカーなどとタイアップした新商品というようなものも出てきておりますので、今後の取り組み、私ども県を挙げまして取り組みを支援していきたいと思っております。
 さらに、ブランド力を高めるためにどのように力を入れているかという部分でございますが、これまでという取り組みになりますが、ブランド力の向上という部分と、いわゆる生鮮の安定供給、食料の安定供給、この両立というものを意識した上で、ブランド力の向上という部分につきましては、民間ノウハウの活用でありますとか、関係団体が一丸となった取り組み、さらに、産学官と連携いたしました新商品開発による高付加価値化、さらに、さまざま本県の特性がありますストーリー性のある情報発信、このようなものに力を入れて取り組んできたというところでございます。
〇小野寺好委員 最後に、子供の農業体験について伺います。
 時々、県内紙で、農村地帯の小学生が農業体験をしたといった記事が掲載されます。本来、ニュースになるはずもない事象ですが、農家の子が農作業をしないのが当たり前だということが前提かと思います。部長の所感をお伺いしたいと思います。
 農業は、農業従事者だけに任せておけばいいというものではなく、命をつなぐもの、国土保全、環境問題上もすべての国民が正しく認識し、支援すべきであると思います。その一助として、農地を貸し出す市民農園がありますが、県内の市民農園及び学校農園の概要をお伺いしたいと思います。
 また、教育委員会もかかわりますが、政府は平成20年度に子ども農山漁村交流プロジェクトを始めましたが、農家の協力体制と実績はいかがであったか。グリーンツーズム交流人口拡大の観点も含めて、また、将来への効果をどのように考えているか伺います。
〇瀬川農林水産部長 農村地域の子供たちの農業体験が少なくなっているということにつきましては、さまざまな要因があろうと思われますが、次代を担う子供たちが自然の中で農作業を体験して、農業の役割などについて理解を深めていただくということは、子供たちの育成のためにも、また、将来の担い手確保といったような観点からも大変重要と認識しております。また、こうした農作業の体験は、食育などの視点からも重要でございます。
 生産者や学校、関係機関などと連携しながら、地域を挙げた取り組みとして支援してまいりたいと考えております。
〇杉原農業振興課総括課長 市民農園の数ということでございますけれども、市民農園につきましては、都市農村交流による地域活性化、それから農地の有効利用につながる効果があると考えているところでございます。
 開設の形態でございますけれども、3種類あります。農地法の第3条の特例となります特定農地貸し付けの関係が20農園、それから、市民農園整備促進法というのがありますけれども、その関係が1農園、それから、法律の規制がない農業者が行っている形の農園利用方式というので、11農園という状態でございます。合計で32農園になります。
 学校農園につきましては、近隣の農家等の協力を得ながら農業体験を実施している事例が数多く見られるということですけれども、その数については把握をしていないというところでございます。
 それから、子ども農山漁村交流プロジェクトの関係でございます。
 本県は、子ども農山漁村交流プロジェクトの国のモデル地域に、5地域が選定されております。遠野市、葛巻町、田野畑村、久慈市、花巻市ということで、全国第2位の数になっております。そういう中で、農家の協力体制というのは不可欠でございまして、民泊の受け入れを行っている農林漁家数、平成19年度は756戸から、平成20年には847戸に着実に増加をしているところでございます。
 将来の効果ということでございますけれども、これは地域ににぎわいが生まれて、子供たちとの交流を楽しみにしている農家の方々もふえてきている状態でございます。例えば、まだ来ないかなとか、帰るときに涙を流されている子供たちがいたり、それを年配の方々が感動してと、そういうことも聞いております。こうしたことで、農山漁村の活性化に着実につながっていくと考えているところでございます。
〇高橋博之委員 ただいまの小野寺好委員の担い手不足の問題について、手短に関連質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど、担い手が不足をしている地域については、農地を集積していくことでやっていくんだという御答弁でありましたが、今般のいわて希望創造プランの担い手への農地利用集積率は、我々がいただいた資料の中ではまだデータが入っていませんでしたが、最近いただいた直近の資料によりますと、平成20年度の実績で51.6%、目標値マイナス3.4%で達成度がCとなっておりまして、なかなか進んでいないと、目標に到達していないというデータが出ているわけですけれども、どの辺に課題があって達成できなかったのか、その辺のことについて教えていただきたいと思います。
〇杉原農業振興課総括課長 農地集積ということでございまして、本県の場合には地域ぐるみ農業といいますか、核になる担い手を育てながら、小規模等兼業農家も地域ぐるみで営農志向に応じてやっていくという、地域ぐるみでやるという。ですから、担い手を育てながらやるということなんですけれども、先ほども話が出ましたが、高齢化の話があったり、分散している圃場をまとめて低コスト化を図りたいという考えがありますが、それがなかなか分散錯圃といいますか、大きく圃場整備をやっているところはまだいいんですが、そこが進まない地域もあったりしてですね、これは昔からのあれなんですが、現在52%ということで、6割を目指して頑張っているんですけれども、そこがまだまだ到達できないというところでございます。
〇高橋博之委員 担い手農地集積高度化促進事業、この事業の予算額の5分の2が、不用額として使われていないと。この理由について調べましたところ、こういうお話でありました。
 事業要件である1ヘクタール以上の団地化要件や6年以上の利用権の設定等について、集落全体での合意に至らなかった地域があると、こういう理由であったわけですけれども、なぜ集落全体で合意に至らなかったのか、その辺についてどのように分析をされておられるのか、教えていただきたいと思います。
〇井上担い手対策課長 ただいまお話がございました農業経営基盤強化促進対策事業の中の面的集積強化促進事業というのがこの事業でございます。この事業の要件といたしましては、1ヘクタール以上の団地を構成するということと、それから、1ヘクタールの団地による面積の増加が0.5ヘクタール以上というようなこと、それから、集積対象者への所有権の移転とか、あるいは利用権の設定、もしくは、農作業の委託契約が6年以上というような、非常に長期な契約を求めているものになってございます。
 今回、不用額が発生いたしました地区につきましては任意の集落営農組織でございまして、ここにつきましては、売買とか貸借といった権利設定ができないので、いわゆる農作業の受委託という形で集積を図ろうとしていたところでございます。こういった農作業の受委託につきましては、例えば転作でありますとブロックローテーションということで、毎年場所を変えて耕作をするというようなことがございまして、なかなか期間6年以上というような形での集積が難しくなってございまして、しかもこの事業、今年度といいますか、平成19年度と20年度の2カ年の事業でございまして、平成20年度が最終年度というようなことで、時間的な制約もございまして、なかなか取りまとめができなかったということでございます。
〇高橋博之委員 最後にいたしますが、本県でも後継者問題がひどいことになっておりまして、先ほども65歳以上の方が五十何%という状況で、あと10年たったら、だれが米をつくっているんだという状況でありまして、いかに規模を大きくする人を育てるのかということが、これから焦点になってくるんだろうと思いますが、その点についてどのような展望を持っておられるのか、最後にお聞きをして終わりたいと思います。
〇佐々木農政担当技監 販売価格が伸び悩む中で、農家の所得をきっちり確保していくということになりますと、まず、生産コストを抑えていくということも非常に大切でございまして、これまた生産資材を外部から調達するという中で生産コストを削減していくために、例えば農業機械を最大限活用できるような規模に拡大していく、そういう取り組みをまず誘導すべきであろうと思ってございます。ただ、具体的な方法としては、利用権設定なりあるいは農作業受委託の促進なりの方法もあるんですけれども、それを進めようとしても農業状況が厳しいものですから、受け手のほうが地代をなかなか支払い切れないという環境もございます。
 今般の農林水産省の概算要求等を見ましても、いわゆる農業経営のセーフティネットなるものもこれから仕組まれてまいりますので、そういう面からいいますと、受け手農家が最低の部分として地代を支払うことができるような環境が整ってくるのかなと期待しておるところでございます。
 そういう国の制度等も活用しながら、農業の経営環境を行政として整えることに力を注ぐことによって、農業として自立できるような、そういう担い手を育成することができるのではないかと思ってございますし、そういう担い手、経営体を育成することによって、そこには地域の雇用なりも出てくるということになりますといろんな形態の農業経営が出てきて、そういう方々に岩手の農業なり日本の食料を担っていただけるものと見通しております。そうありたいと願っております。
〇高橋雪文副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 私はお手元の歳入歳出決算事項別明細書の234ページ、農業振興費に関連してお伺いいたします。
 特にも、農林水産部長にお伺いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 平成20年度の農業振興策を通じまして、例えば国、特にも地元であれば東北農業研究センターなどとの連携によりまして、水稲などの品種改良、開発の効率的な推進とか、それから新しい栽培技術の普及、定着を図るために、農協の営農センターと県の農業改良普及センターが一体となって、本県の農業振興を図っていかなければならないと思うんですが、部長は、国なり市町村、農協といったところと、これから農業振興を図るためにどういう形で進めていくお考えなのか。特にも、平成20年度の決算を通して、どのようにお考えになっているのか、まずお伺いいたします。
〇瀬川農林水産部長 国、市町村あるいは農業関係団体、機関と連携しながら産地づくりということでございますが、県の希望創造プラン、そしてまた今回の新しい長期計画の中におきましても、担い手育成、産地づくり、販路拡大というのが、基本的な3本柱のような形でとらえております。
 今後とも、こうした関係機関、団体と十分連携しながら、今までの御議論の中でも品種の問題とかあるいは産地づくり、販路の問題とかいろいろございましたが、関係機関、団体とよく連携しながら取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 部長、連携をまたいろいろな形で構築していくということは、言葉ではわかるんですが、例えば、県として本県農業をどのようにしていくかという、部長の具体的な思いをもう少しわかりやすく、ただ文言だけで言われても、何も、一つも響くものがございません。
 例えば、平成21年度、22年度、今度の長期計画の中にこのように反映していくんだという─きょう、ちょっと私忘れてきたんですが、ナスが4個入って20円なんですよ。今、私ら農協出荷をしているんですが、一つ5円ですよ。本当にそういった思いで仕事をしておる。だから後継者も育たない。高齢化ということは、後継者が育たないことなんですよね。だから、もう少し部長、思いをお話ししていただきたいと。
〇瀬川農林水産部長 一つの例になるかもしれませんが、今、耕作放棄地の対策の本部、再生活用の対策本部を9月に立ち上げたところでございます。この耕作放棄地の解消の中では、今、委員からいろいろお話のありましたような産地づくりとか、あるいは集落の問題とか、そういったようなものと関連させながら、こちらも集落の中に入って、ちょっと弱ってきているような産地の再生といったようなものと耕作放棄地の解消といったようなものを関連づけながらやっていきたいと考えております。
 いろいろ6次産業化とか農商工連携といったいい事例も出ておりますので、そういったのを積み重ねながらやっていきたいと思いますし、それから産出額につきましても、今回はアクションプラン、1年ちょっとのところでございますのでああいった形になっておりますが、次の段階におきましては、いろんな団体からももっと大きなものという御意見もいただいておりますので、少しそういった面でも力を入れてやっていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 わかりました。それで、この決算書を見て、強い農業づくりとか言葉だけで、本県の農業をどうするかということを、もう少し現場サイドに立って考えていただきたいものだなと。
 それからもう一つ、食の安全・安心にこたえる農業の推進の中で、今、消費者の食の安全・安心については各委員からもお話が出たわけでございますが、特にも、本県における岩手県版の農業生産工程管理―GAP、それから、有機農業の普及状況はどうなっているのか。また、県では、この二つのGAPと有機農業の推進をどのような形で支援策を講じていくか、もしおわかりになるのであれば教えていただきたいと思います。
〇佐々木農政担当技監 GAPの取り組みでございますけれども、GAPは農業者みずからが自分の生産過程をチェックして、よりよい仕組みにステップアップしていくための手法でございまして、これに取り組むということが消費者に対する安全・安心の、むしろ安心のアピールになるということで積極的に進めているところでございますけれども、消費者に対する安心のアピールとあわせて、本当のところは農業者みずからが自分の生産現場を振り返ると。そして改善すべきことを改善し、より安全・安心な農業生産に、そういういいサイクルに回そうという取り組みでございまして、今、県内では、そういう取り組み例が実態として非常にふえてきておるというところでございます。
 それから、有機農業につきましては諸説あるところでございますが、基本的には、ややもすれば消費者の安全・安心ニーズにこたえるために有機農業をやるのだという考え方と、それから、もう一つは、農業が将来とも持続的にあるためには、やはり環境に対する負荷なりを生産者みずからが下げることによって、それは消費者のためであり、なおかつ、農業者のためにあるのだという考え方と、両方あるわけでございますけれども、本県の場合は、極端にということよりも、環境保全型農業、環境に負荷が少ない農業をまず目指すべきだろうということで、特別栽培、慣行の2分の1なり、農薬なり科学肥料2分の1なりに減らすような、そういう農業の姿をまず第一段階として目指しているものでございます。さらに上の形で、国際的に通用するところのオーガニックという世界を目指す方々につきましては、私ども試験研究なり普及活動を通じた技術のノウハウを惜しげもなく提供して御支援申し上げていく、そういう形で、安全・安心な岩手農業ということを内外にPRしてまいりたいと考えてございます。
〇高橋雪文副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋雪文副委員長 質疑がないようでありますので、第1部農業関係の質疑をこれで終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分ほど休憩いたします。
   午後5時11分 休 憩
午後5時28分 再開
〇小田島峰雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、第2部、林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 水産漁業振興対策についてお伺いいたしたいと思います。
 さかのぼりますけれども、平成19年6月ごろだったと思いますが、燃油の高騰という事案がございました。それを受けて国のほうでは対策を講じたわけでありますが、これは、漁船漁業を経営している方、あるいは養殖漁業に携わっている、いわゆる船外機をつけた小型船舶など全国で30万隻あると聞いておりますが、その方々の経営そのものを直撃した事態だったわけでございます。
 そこで、国は、平成19年度の水産業燃油高騰緊急対策基金ということで102億円の措置をいたしました。そして、平成20年の補正においては、燃油高騰水産業緊急対策745億円、そして、同じく平成20年は第1次補正で600億円を措置しました。そして、平成20年度、第2次補正において143億円、合わせて1、590億円をいわゆる燃油高騰対策として打ち出したわけでありますが、これを交付した先が社団法人大日本水産会というところでございます。
 この大日本水産会といいますのは、そもそも明治15年(1882年)に設立された我が国唯一の水産業の総合団体ということになっておりますが、私は、不勉強にして余り詳しく知りませんでしたが、今回の政権交代直前に、この大日本水産会の会長は、農林水産省水産庁から天下った白須さんという方でありまして、このころから特にこの部分に注目するようになりまして、調べてみたわけでございます。
 そういう中で、役職員その他ということで、理事が45名以上50名以内となっていますが、このうちの半分ぐらいは、やはり水産庁からの天下り人事だということであるようであります。
 問題は、明治15年の創設でありまして、ここにあります岩手県議会の初代の議長が明治11年からでありますから、岩手県ができて間もないころだった。当然、県内にも、全国にも、多分、漁業協同組合なんていうものはまだなかったと思います。したがいまして、唯一の機関としてこういう機関に補助をしてきた。
 唯一のということでありますが、それはいいといたしまして、伺いますところ、先ほど言いました30万隻の漁船のうち、この予算を使いたいということで申し込みをし、最終的に使ったのは約1割、3万隻ぐらいしかないのではないかと言われおります。そうしますと、金額、約1、400億円近いお金が多分ここに残っているんだと思うんですが、こういうお金の流れ、あるいは岩手県農林水産部としてはどのようなルートがあるんでしょうか。全く無関係なのか、そういう燃油高騰対策などの際に岩手県の農林水産部にも問いかけなり何かあるのかどうか、まずそこを伺いたいと思います。
〇五日市漁業調整課長 平成20年度までそのような燃油高騰関連対策事業につきまして、今、委員おっしゃいましたように、大日本水産会を経由した補助の流れができておりますけれども、まず、これは国から事業実施主体であります大日本水産会に予算が交付されます。その後、補助事業者であります全漁連を経由いたしまして、各県の県漁連に補助金がおりまして、その県漁連から、さらに各傘下の漁協あるいは漁業者に補助金が流れるシステムとなってございまして、予算的には、県は経由しない形ですべて処理されるようなシステムになってございます。
〇伊藤勢至委員 全国47都道府県の誕生の4年ほど後ですので、これが127年にわたって続いてきた、こういうことになるわけでありまして、すごいなと思いながら、当時はそれでよかったのかもしれませんが、しかし、このような国民の税金が流れる流れ方としては、今はちょっといかがなものかという思いがいたしております。
 この余ったお金は国に返還したかどうかもわかりませんが、一つだけ確認しますが、この社団法人大日本水産会というものは、国の会計検査院の検査の範囲内にあるのでしょうか、まずそれを伺います。
〇五日市漁業調整課長 補助金の流れということから考えますと、会計検査院が入る形になるものと認識してございます。
〇伊藤勢至委員 これは国のほうの問題でありますから、ただ、何となく、ここには大きなお金が留保されているなということだけをちょっと頭に置いていただきたいと思います。
 さて、本題でありますが、沿岸にとりましては待望の秋サケ漁がいよいよスタートするわけでございます。昨年は、暖水塊が三陸沖に居座りまして、宮古、釜石などは押し並べて漁獲が下がってしまいました。サケが三陸沖を避けて通りまして大船渡のほうに揚がってしまった。全体に考えれば、県の漁獲がそれで確保できればいいのですが、残念ながら、久慈、宮古、釜石などは全くだめだった。それだけに今回の秋サケ漁は期待が高いのでありますが、現在、エチゼンクラゲという問題がありまして、漁民の皆さんが大変心配しているわけであります。
 これは、数年前まではこういう現象はなかったように思います。その発生のメカニズム、あるいは根本をとめる対策、そういったものはなかなか難しいのかもしれませんが、当然予測されることといたしまして、日本海を経て、津軽海峡を経て、この三陸沖に南下してくる。大きいものは直径2メートル、重量が200キロ。相撲取りで言えば、かつての曙みたいなものがぷかぷかと流れてきて、これが定置網なんかに10匹入ったら、もう網がアウトなんですね。
 そういうことで、農林水産部といたしましては、これらについての何か対策とかといったものをお考えなのでしょうか、お伺いします。
〇五日市漁業調整課長 まず、県のほうでクラゲ対策として行っていることといいますと、まずは、水産技術センターで、各地の情報を集計いたしまして、それで各漁協あるいは沿岸の市町村等に情報を流しているという状況がございます。逐次、1週間から10日に1遍ずつ、どういう来遊状況であるかということを流してございます。
 また、これは全漁連が補助事業主体ということで、国からお金をもらって、基金としてこのクラゲ対策ということをやっておるんですけれども、それが、県漁連のほうがまたこれも事務局になりまして、大型クラゲが定置網に入ってくる際に、侵入するのを防ぐような対策網といいますか、そういうものを設置することに対して助成いたしておりますし、また、大量に網の中に入っているクラゲを処分する、あるいは切り刻むといいますか除去するということに対する必要な経費等についても沿岸の各漁協に助成していると。そういう形で、業界と県のほうと一体となって今進めているところでございます。
〇伊藤勢至委員 対策として、情報を流しても、クラゲが流れてくるのはとまらないんですよね、現実問題として。この発生のメカニズム、生態系というのは、時間がかかるかもしれませんが、抜本的な、すぐ、応急の対策として何かお考えになっていませんか。
 例えば、漁期はちょっと違うかもしれませんが、沖底漁、つまりトロールをやっている船があるわけですよね。そういう方々に、油代と、当然手間を払って、そういう形で除去をして、しかも、これが暖流塊に入ると消滅をするような話もありますので、そこまで持っていくと。日本海から持ってくるのは大変でしょうから、そっちはそっちとしても、三陸沿岸に来たものについての除去、あるいは網に引っかけたまま、暖水、いわゆる暖流系のほうまで持っていくとか、そういったものをやったほうが、沖底の人たちにとっても、休漁期、船を休ませ、人も休ませるよりも、お金になれば、仕事になれば、お互いの大きな意味での水産漁業振興にそれぞれが役に立つということになるのではないかと思います。
 クラゲが入ってくると、まずサケの目がやられる。そうすると鮮度が悪いと思われる。あるいは、うろこが落ちるとこれも買いたたかれる、そういう状況にあるようでありますから、そういうことを検討されるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
〇寺島水産振興課総括課長 今、委員のほうから言われました抜本的な対策、これは今、全国で研究者も取り組んでいるところですけれども、なかなか解決に至っておりません。その意味では、非常に時間がかかるものだと思っております。
 具体的に、今、たくさんのクラゲが流れてきているわけですけれども、これにつきましても、トロールのほうでも、自分の網にかからないような形で、トロールの網の中に逃げていくような、そういう仕組みの網をつけております。定置のほうも、また、ずっと長いカキ網に来ても、その自重で流れていくような仕組み、あるいは捕獲部のほうに入ってきても、縫い合わせをしないで、そこから出ていく、その意味では、委員おっしゃるとおり、単に逃がしてやるだけで、隣の網に入るということだけで何の解決にもならないわけであります。
 そして、今、トロールの人たちにかわりにやってもらえないかというアイデアでございますけれども、これもなかなか、現在、トロールのほうも盛漁期、それぞれの漁をやっている最中でありますし、それをお願いするというのは、かなりの手間賃を払わないと難しいと思いますし、それから、それをトロールの網の中で切り刻んでやってしまうと、逆に、死んだものが底にたまったりしますと、トロールの自分たちが、いざ漁をするときにクラゲの死骸とかが入ってしまって、それもなかなか難しいだろうと思われます。
 そういうことで、これはなかなか進んでいないのが現状で、自分たちとしても、本当に今、困っております。
 そういう中で、この間、しけがございまして、すぐにサケ、なかなか水揚げが進んでいなかったのですけれども、15日以降は、今、量的にも定置のほうに少し入ってきておりますので、何とかこの状況が続いてほしいと思っています。
 10月10日現在では、かなり漁は悪かった、7割ぐらいしか入っていなかったんですけれども、20日現在では、前年同期と大体同じぐらいの量が入っております。ただ、単価が安いので金額はまだ落ちておりますけれども。
 そういう中で、何とか自分たちも対応はしたいと思っているんですけれども、今まだうまく取り組んでいけない状況にございます。
〇伊藤勢至委員 冒頭伺いました大日本水産会には、多分、内部留保のお金があるんだと思うんです。ですから、ここの主な業務活動ですが、水産業界の意見を国の施策に反映させる。2として、漁業に関する国際会議、地域管理機関等の適正な活動をNGOの立場で支援。3として、漁船から食卓までの品質衛生管理の向上を目指す。こういったことになっていますので、これは本県だけではありませんで、日本海の福井、鳥取あたりから、岩手、宮城あたりまでぐるっとの問題なわけであります。したがって、こういう県が連携をしてこういうところにお願いする。
 あるいは、例えば陸上で災害等が発生した場合は、自衛隊の出動を最終的には要請するわけですが、青森県の大湊には海上自衛隊の基地がございます。ここには掃海艇があるはずでありまして、かつてペルシャ湾まで出かけて機雷の処理をした掃海艇がありますので、こういうところに、訓練を兼ねて、エチゼンクラゲが機雷だと思って除去するような、そういうことを─笑っていますけれども、結構ですが、でも、やってみる価値はあるのではないか、私はそのように思いますが、いかがでございますか。この2点をまず伺います。
〇寺島水産振興課総括課長 今、駆除を自衛隊の掃海艇でというお話でした。平成17年にクラゲが大量に来た、その際に、水産庁のほうでも、中国のほうから小さいものが来て、対馬沖あたりでだんだん大きくなってくるんですが、そこで、今の坂の上の雲ではございませんが、バルチック艦隊ということで、そこで自衛隊や何かでうまく駆除できないのかと。要するに、ピアノ線を網がわりに張って、そこで駆除して、もう北上してこないようにできないかというようなお話があったりはしたんですけれども、なかなかそれも、ある程度の駆除は、自衛隊まで出してはいないのだろうと思いますが、なかなか難しい状況だと思います。
 自分たちのところでそこまで、そういうアイデアを持っていなかったものですから、まだ全然そういうことを伝えてはおりませんけれども、今、県漁連のほうがこの事務をやっていまして、これもやはり全漁連のほうを通じた事業としてやっております。そういう関係で、県漁連のほうにこういうアイデアを伝えてみたいと思います。
〇伊藤勢至委員 次に、サケの回帰率低下の問題についてお伺いしたいと思います。
 平成9年度あたりは、たしか7万3、000トンと記憶しておりますけれども、今は3万トンを切っている状況だと思います。こういった流れの中で、科学的にサケの生態系というものを調査、検討すべきだということを提案して、どこかの大学の先生に依頼して調査をしているはずだと思いますが、その経緯、経過はどうなっているでしょうか、お伺いします。それが一つ。
 それから、このサケの生態につきましては、大体4年で帰ってくると言われていますが、このごろ、4年をフルマラソンとしますと、ハーフマラソンの2年で帰ってくる小型のサケも揚がってくると聞いておりましたし、実際に目で見ております。
 同時に、そのサケが、オホーツク海なものか、ベーリング海なものか、アリューシャン列島なものか、この辺をどういうふうに回って、どこで、どういうふうに大きくなって帰ってくるのかが全然つかめていないのですね。
 そういう中で、二十数年前に商業捕鯨、つまりクジラを商売にしてとるのは禁止になりました。その結果、このごろクジラが非常にふえているという説もございまして、特に北氷洋におきましては、調査捕鯨でとったクジラの腹を割くと、サンマでありますとか、スケトウダラであるとか、スルメイカがいっぱい胃袋の中に入っているということでありますが、いまだにサケの中間ぐらいまで大きくなったというのは見えないようですが、実は、相当クジラに哺食されているのではないか。
 そういうことも含めまして、やはり生態系といいますか、どこで、どういうふうに大きくなって帰ってくるのか、そういう調査を多分やっていると思うんですが、それについて報告を願いたい。
〇寺島水産振興課総括課長 まず、サケの調査についてでありますけれども、私たち県のほうでも、自分たちがより健康な稚魚をどうやってつくっていくのかということを、もう一回おさらいしながら、きちっとそこのところを今、研究しておりますし、より健康な稚魚をつくるために、塩えさが入っているえさを与えている。そうすると、えらのところの真水から海水に入るときの調整機能が早まる、強くなるということで、そういうことを今やって、実証しようとしております。
 それから、あと、この間、北海道のほうに議員の皆様方、水産振興議員懇談会の方々に調査に行っていただきましたけれども、そこで北海道のさけ・ますセンターで耳石という、サケの耳の部分がありますけれども、水温を下げたり上げたりすると耳石にしま模様が出ます。それを、岩手県のどこそこの河川、1カ所、2カ所とか、青森とか北海道、何カ所かをやって、それを毎年ちょっとずつ変えながら放流しています。それがアリューシャンを行き、アラスカ湾のほうまでぐるっと回って、4年後、5年後に戻ってくる。そういうことを今、その1年目、2年目、3年目がどこにすんでいるのか、それを調査して捕獲するわけですね。そういうことでデータどりはやっております。
 そういう形でやってはいるんですけれども、どういうわけか、岩手のほうの回帰率は今、なかなか上がってこないということなので、そこら辺も、より国のほうで研究をやって、えさの状況とか、我々が放流している稚魚に問題があるのか、稚魚も、どこまで行ってどうなのかという、そこら辺を研究してもらおうと思っております。
 それから、もう一件は、クジラに食べられているのではないかということでございますけれども、今、水産庁のほうでやっている調査、これは、時期的な問題があって、委員が言われましたとおり、サケではなくて、サンマ、スケトウ、スルメ、こういうものはたっぷり入っているわけですが、時期的にやれば、サケも捕獲されている可能性はあるんだろうと個人的には思っているところです。
 ところが、なかなかそういう時期的なことを我々のほうでも注文できないものですから、ここのところは、世界の流れの中で、捕鯨もなかなか難しくなっている状況の中で、自分たちとしてどういうことができるのか、今ちょっとわからない状況でおります。
〇伊藤勢至委員 最後ですけれども、世界の海の状況が、このごろ特に著しく変わってきている気がいたしております。マグロ、ミナミマグロ─クロマグロとも言いますが、これの回遊率が少なくなった、個体が少なくなっている、こういう状況にあるようでありまして、これで、言ってみればアジア系、あるいはアメリカと欧米、魚という部分に嗜好が向いてきているということもあるようでありまして、そうなるとこれは、マグロなどが漁獲規制の対象になってくるのではないか。そうすると、日本は、とろをみんな大好きで食べてきたわけですけれども、このとろが食べられなくなるのではないか、そういうことさえ危惧されているわけであります。
 また、今は戻りガツオの時期なんですが、本来であれば60センチぐらいまで成長した、たっぷりと肥えたカツオが入ってくるはずなんですが、今30センチ前後の半分ぐらいしかないカツオになってしまった。これも、発生源であるあたりの嗜好が魚に向いてきたために、小さいうちに捕獲されてしまって、こっちまで巡回してこないことが原因ではないかとか言われております。
 岩手県の自前の200海里の海だけではできないことなんですが、これは、やはり全国的な水産資源を守るという観点を持ち合いながら、それから、三陸沖の漁場で何がこれから有力な魚種となり得るのか、そういったことの研究をしていただきませんと、漁業が全く成り立たなくなりはしないか、このように心配しているところであります。
 全国には、例えば岡山県の岡山理科大学でしたか、山の中でマグロの養殖をしているという話もありますね。海水成分を何かうまくやって、どうも企業秘密らしいんですが、そういう先覚的な話もあります。したがいまして、本県において、次なる水産漁業の目玉となる魚種なり何なりをやっぱり開発といいますか、うまく調製といいますか、つくり出していく必要があるのではないかと思っております。
 瀬川部長は、かつて宮古におられましたから、宮古の海のしょっぱさも魚の大体もわかっておられるでしょうから、部長、ひとつどういう取り組みをなされるか、まずお聞きしたいと思います。
 それから、最後に一つ、地域振興部で実はお話をさせてもらいました。この際、県北・沿岸振興の目玉というのは、これは絶対、水産漁業なわけでありますので、この県庁の中にある水産部の機能を思い切って沿岸に移動すべきではないか、つまり最前線に立つべきではないか。
 この12階の中の農林水産部の中でも一番優秀な人がそろっているかもしれないけれども、絶対数、数が足りません。それから漁業指導員も足りません。それは、やっぱり最前線を見てやるということから、この際、県北・沿岸振興といった観点から、本庁には情報収集機能と予算配分機能と、あとは議会対策と、そのくらいの人数を置いて、久慈、宮古、釜石、大船渡あたりに機能を分散させるべきだと思いますけれども、いきなりの質問でありますが、部長、ひとつ答弁をいただいて、終わります。
〇瀬川農林水産部長 まず、マグロとか戻りガツオといったようないろいろなお話をいただきました。いろいろな御提言もいただきましたが、地球温暖化とか、いろいろな海への影響とかもあると思います。国の研究機関等とも、いろいろな知見をいただきながら、しっかり研究していくことが必要だと思っております。
 先日のサミットの中でも、つくり育てる漁業について、関係県で連携してやっていこうといったようなこともございましたので、委員の御指摘、御提言等もよく勉強させていただきたいと思っております。
 それから、県北・沿岸の水産業の振興ということで、広域局の再編に関連して現地機能を強化すべきであるといったお話でございます。
 私どもも、今回の沿岸振興局あるいは県北の振興局につきまして、水産業の振興というものが、大変重要な位置を占める大変大事な課題だと思っております。できるだけ現地での完結性、あるいは現地でのさまざまな業務の支援機能が高まるようにということで今考えております。
 なかなか県庁のほうも、広域局も強化されますが、本庁機能も一段と高いところで全県調整というようなこともございますので、いきなり全部海のほうにというのはなかなか難しいところはございますが、今考えておりますのは、本庁の業務をまず一部移管したいということで、地域営漁計画の実行支援ですとか、水産物の加工、流通振興、販売力強化、こういったようなところは、本庁のほうで直接出向いてやったりしておりましたが、そういったものをまず現地のほうに移す方向で、今、検討させていただいております。
 こういったような取り組み、本局と行政センターが連携しながら、また本庁とも連携しながら、体制の強化という方向で取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇平沼健委員 ただいまの伊藤委員の大型クラゲについて、関連して質問いたします。
 本当に、今、伊藤委員からたくさんのいろいろなクラゲ対策の施策の提案がございましたけれども、どうも聞いておって、皆さん方、当局の答弁というか、何か後ろ向きのような感じがして、前向きでない、非常に残念な思いで今、聞いておったわけでございます。
 今、このエチゼンクラゲ対策で、国も底びき網とか定置網で支援をしているということでございまして、これは、人件費とか燃料費とか資材費というか、その辺の国の支援があるということでございます。
 また、情報によると、福井県では、あそこもクラゲで大変苦労されているところですけれども、福井県が、やっぱり同じように県独自で大型クラゲ対策に支援事業をしておる、そのようなことでございます。また、今回、福井県は、今までになかった刺し網までクラゲ対策として支援をするということのようでございますけれども、そのようなことが福井県では既になされておるわけでございます。
 その辺を踏まえて、当県でも、何とかもっともっといろいろな施策があると思うんですが、前向きな対策を講じていただきたい、このように思って今質問しているわけでございますが、部長、どうでしょうか。よろしく御答弁お願いいたします。
〇瀬川農林水産部長 クラゲ対策につきましては、先ほど来、いろいろな情報提供とか、発生源対策とかといったようなことでお話しさせていただきましたが、いろいろ御提言なりをお話いただきましたので、県としてさらにできることはないか、よく検討させていただきたいと思っております。国にも要望しつつ、県としての対応ということも、今後検討していきたいと思っております。
〇平沼健委員 国の支援があるということなんですけれども、これは、具体的に国としてはどのような支援をするということになっているんですか。当県は、どうしてそれを利用しないんですか。
〇寺島水産振興課総括課長 国のほうの支援は、現在、県を通さずに─平成17年度は県を通して、県の事業として改良網の整備を各定置にいたしておりました。しかし、国のほうで、補助事業から交付金、交付税、そういうふうなやり方に変えたために、県を通さずに、先ほど言いました全漁連、それから県漁連、漁協へのルートで、本県では漁協自営定置が多いものですから、そのルートで現在やっております。
 それは、大きく分けて二つありまして、一つは、クラゲの洋上駆除ということで、定置にどうしても入ってきますので、魚をとるときに邪魔になるわけです。それを駆除するのに、お金を出して駆除させている。
 それから、もう一点は、改良網ということで、定置網というのは、時々網をかえないと、海藻等がついて魚がなかなか入らなくなりますので、かえ網というものを用意しております。しかし、最初はやはり結構お金がかかるものですから、本網のところで、その網に仕掛けをつくってクラゲが流れ出るようなものをやります。
 しかし、今回、こういう形で平成17年から再び大量に来るようになって、残りの網もそういう改良網にかえるということで、それに対しての助成もあります。それらについては、現在、今年度分としては、各漁協から要望が出てきて、県漁連を通じて全漁連のほうに今、交付申請という形で出ているところでございます。
〇平沼健委員 そうすると、国の助成というか、そういうものを使って、県でも、今でもそういうことが進んでいるということですね。そういう駆除が進んでいるということですか。(「はい」と呼ぶ者あり)わかりました。ありがとうございます。
〇工藤勝子委員 林業振興についてお尋ねいたします。
 林業振興は、川上から川下まで一連の流れというものが大事だと思っておりますけれども、世界的な同時不況、日本の経済の低迷など、いろいろな分野に影響を与えているんですが、住宅着工の落ち込みも、まさにその一つであると思っております。
 その中で、木材加工品の需要が大幅に落ち込んでおりまして、生産調整を行いながら、製造する加工品によっては2分の1まで落ち込んでいるものもある。そして、雇用問題もありまして、綱渡りのような経営をしていると聞いております。
 遠野には木工団地もありますし、隣の住田にはプレカットのような工場もございます。そこで、県内における木材工業界の経営の現状とその認識についてどうとらえていらっしゃるのか。また、木材加工品の販売減少の原因を、住宅着工の落ち込み以外にもどのような問題点を考えているのか、お伺いいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 まず、県内におけます木材加工業界の経営の現状と認識でございますが、委員御指摘のとおり、平成19年の改正建築基準法の影響、あるいは昨年来の世界的な金融危機を背景に、新設住宅着工戸数が大幅に落ち込んでおります。本年8月まで9カ月連続で前年実績を下回っているなど、木材需要の大幅な減少がございまして、経営に大きな影響を与えていることが懸念されております。
 県内の木材関係事業体の経営状況を見ますと、県内木材需要を牽引してまいりました合板工場では、引き続き減産体制を継続しておりますが、生産量は回復基調にございます。また、集成材工場に関して申しますと、杉集成材の需要は伸びつつありますが、輸入製品と価格面で今競合しているところでございます。また、一般製材工場につきましては、地域の工務店の住宅建設が伸び悩んでいるということから、引き続き厳しい経営状況にあるということで、木材加工業界は厳しい経営環境にあるという認識を持っております。
 その原因でございますが、やはり第1とすれば、ただいま申し上げた改正建築基準法による住宅着工戸数の落ち込み、さらには昨年来の世界的な金融危機に始まりました世界同時不況、こういった中で住宅着工戸数が大きく落ちたと。やはり木材生産品の需要の多くは住宅部材での販売に頼っておりますので、この住宅部材の販売が落ちますと県産材の需要が大幅に落ちる。したがって、県内の製材業の経営にも影響を与えると。さらには、木材産業のみならず、地域の運輸、流通、加工等の多岐にわたる産業に影響を及ぼすおそれがあると考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 非常に厳しい経営状態が続いているという状況の中で、じゃ、森の国いわて木材の流通促進の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 県産木材の加工品の利用拡大のために、県はどのような取り組みをなさっているのか。この県産材を使って住宅を建設するという人への支援もあったはずでございますけれども、その拡大の取り組み状況と今後の見通しについてお尋ねいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 まず、森の国いわての木材の流通促進の取り組みでございますが、県産材の販路拡大のために、地域に密着した中小製材工場等の経営意欲を喚起しまして、製材品等の販路拡大に向けた取り組みを促進することが重要であるというところから、これまで県では、昨年度、森の国いわて木材流通拡大促進事業を実施しております。例えば、製材企業や森林組合等が行う新商品開発や販売促進活動に向けた取り組みの支援、県外の商談会への出展による販路拡大の活動支援、さらには、本県の主要樹種でありますアカマツ材の青変被害防止技術の現地実証などに取り組んでまいりました。
 その結果として、製材事業体における公共事業向けの木製化粧パネルの開発、実用化、さらには、商談会におきましては206件の商談活動、あるいはその中で成約35件という実績がございます。さらに、アカマツにつきましては、アカマツ製材品の通年生産のめどがつくなど、県産材の販路拡大に向けた一定の成果が得られたところでございます。
 次に、県産材を使用した住宅建設の支援拡大への取り組みでございますが、県産材の需要を拡大するためには、先ほど申し上げましたとおり、主な用途でございます住宅分野での需要拡大が重要であるという認識は持っております。
 こうした中で、これまで県では、住宅分野における県産材利用を拡大するためのセミナー開催、あるいは木と暮らしの相談所を通じまして、地域材利用の提案活動支援などに取り組んできたところでございます。
 県産材を活用した木造住宅に対する支援をしてはいかがかというお話もございましたが、平成17年度までそのような取り組みをしてきたところでございますが、現時点で、木材業界のみならず建設業界からもそういった御希望をいただいているところでございます。また、本年7月に実施しました県民アンケート調査で、県産材住宅への支援や、あるいは工務店で県産材が積極的に使えるようにしてほしいという声があったということが明らかになったところでございますが、県産材を活用した住宅の建設促進に当たりましては、まず、地域の製材所、それから工務店、あるいは市町村との連携が不可欠であると考えております。そういった観点から、今後、連携した取り組みに対してどのような支援を進めていけばよろしいか、その支援のあり方について幅広く検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 ぜひ、市町村と連携という話がまたここに出てきたわけですけれども、例えば、県産材活用促進に向けて、商工労働観光部との連携、さらには教育委員会─なぜ教育委員会かというと、学校を建てたり、体育館を建てたり、いろいろ小・中・高あるんだろうと思うんですね。例えばこういう学校、保育園、幼稚園を含めて、この県産材を使った木のぬくもりというもの、遠野はほとんどの小・中学校を木造で建てているわけですけれども、保育園も含めて、何かそういう教育委員会への働きかけなどはどうしているのか。例えば、教育委員会で使うとした場合、県産材の振興に向けて、少しは助成するとか、そういう考えがないものか。
 それから、木材加工を抱えている市町村というのは、やっぱり苦労しているんですよね。加工業者が、何とかうまく製造を続けていければいいという願いもあるわけです。そこで、市町村も苦労している中で、先ほども連携という話がありました。その中で、どういう助言、指導をなさっているのか、支援対策は考えられないのか、その点をお聞きいたします。
〇堀江林業振興課総括課長 委員御指摘のとおりでございまして、市町村はもとより、庁内関係部局との連携というのは非常に重要でございます。そういった意味で、例示していただきました商工労働観光部、教育委員会等に対して、県産材をもっと使ったらいいのではないかというお話でございますが、県では、関係部局連携のもと、平成16年度から岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定しまして、公共施設等に対する県産材利用を拡大して取り組むことを積極的に推進しておりまして、本年4月には、副知事名でございますが、副知事通知により、各部局に対しまして、県産材使用に向けて、ぜひ使ってほしいという要請も行ったところでございまして、あわせて担当者会議を開催しまして、各部局の担当者にも積極的なお願いをしてきているところでございます。
 また、具体的な支援策はということでございましたが、今年度新たに創設されました森林整備加速化・林業再生基金事業を活用しまして、公共施設の木質化に対する支援ができますので、この事業を活用して支援をしていくなど、関係部局と連携しまして県産材の需要拡大に取り組んでまいります。
 また、木工団地等を抱えている市町村に対する支援というお話でございますが、何度か出ておりますとおり、住宅着工戸数が非常に落ち込んでいるということで、これまで補助事業等で整備してまいりました木材加工施設を取り巻く環境は、非常に厳しいものがございまして、こういった施設あるいは事業体に対する支援がこれまで以上に大切であることは、そのとおりでございます。また、そういった事業体に対する助言、支援する立場にございます市町村の役割も、非常に大事だと私ども感じております。
 このような中、県では、各事業体の経営状況につきまして、市町村を通じまして、随時、状況を把握しております。あわせて、市町村や関係林業団体で構成する協議会に経営指導の補助金を出しております。
 経営指導への支援、あるいは、そのほかに振興局、市町村、本庁ともども連携しまして、現地での経営改善指導などを随時行っておるところでございまして、今後とも、各事業体の経営改善に向けた取り組みについては、県を挙げて支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇小田島峰雄委員長 答弁は簡潔に願います。
〇工藤勝子委員 教育委員会のほうでも、設計の段階で、できるだけ安く建てたい。集成材を使ったり県産材を使ったりすると予算がオーバーするということが、実際にあるんですね。だから、ただお願いしただけでは、はっきり言って、絶対これは伸びないです。そう思っております。そこで、そういう支援をもう少し考えるべきではないですかというようなことです。
 きょうの日経新聞をごらんになったんだろうと思っておりますけれども、ロシア産の丸太の輸入が大幅に減少するということが上がっておりました。輸出の関税を25%から80%まで引き上げる方針だと。なぜかというと、ロシアで、やはり地元の加工産業の育成を図りたい、そして環境に配慮したというようなことも書かれておりました。
 そこで、今後は、例えばロシアから、今までは原木で丸太が来ていたわけですけれども、今度は加工して入ってくるのではないかという危機感も、私はこの新聞を見て、そう思いました。
 そういう中において、例えば一たん、こういうロシアとかアメリカから入ってくる原木が、とまるまでは行かないでしょうけれども、大幅に減少している中において、県産材の今後の活用の見通しというものはどう考えられますか。
〇堀江林業振興課総括課長 新聞については私も拝見しておりまして、ロシア材につきましては、昨年来から、関税が上がるということで、既に大手製材工場あるいは合板工場につきましては、ロシア材の輸入を大幅に控えているところでございます。
 そういった中で、私どもとすれば、まさに国産材、県産材をそこで使っていただくような活用方策が大事だと考えておりまして、そういった意味で、大手製材工場に対するさまざまな国の交付金等を活用した支援、あるいは、先ほど申しました、今回の国の経済危機対策で出てまいりました森林整備加速化・林業再生基金事業など、こういったものを活用しまして、できるだけこの時期に県内で県の木を使っていただけるような、そういった施設整備についてもあわせて支援してまいりたい、そして、これまで以上に県産材の需要拡大に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 最後になりますけれども、私は、その加工面のほうから質問いたしましたので、例えば、いろいろな形でロシアやアメリカのものと比べたとき、県の原木のほうが逆に高い。そうなってくると、加工業者というのはもっと苦しくなる、そういう現状は考えられますでしょうか。
〇堀江林業振興課総括課長 今後、ロシア等で製材された材がどのような形で入ってくるかというまでは、私どもまだ十分調査、分析しているわけではございませんが、現状におきましては、まだそういったロシアの政策が十分に進んでいないと聞いております。まだ、現地でそういった製材加工工場が立ち行かないと聞いております。
 そういった中で、今、私どもとすれば、本県にある製材企業、製材工場等の低コスト化とか、あるいは新商品開発といったものに我々の支援を向けまして、できるだけそういった外国製品とも、価格面でも、あるいは品質面でも対抗できるような、そういった企業体に成長していただくように支援していくことが肝要かと思っております。
〇西村林務担当技監 ロシア材の輸出丸太について、8割の関税をつけつつあるというお話でありました。その影響というお話でございますが、これは、加工する合板会社とか、あるいは集成材の会社というのは、これまでは北洋材─ロシア材のことを北洋材と言いますけれども─というものを輸入しながら、それで合板とか集成材をつくってきたわけですが、ここに来てロシアの丸太が、輸入するときに国の政策によって8割の関税をかけようとしている。これは、もっと早いうちにかけるような計画もあったようですけれども、それがちょっと長引いて、25%ぐらいで今とまっているんですが、いずれそういったことをやってきている。
 その結果、いずれその生産の国からは丸太が出てこない。それと、あとは、中国とロシアの間で丸太が行ったりしている。要するに、中国は今、経済が非常に爆発的に大きくなっておりますので、木材が非常に必要になってきている。そこに丸太が行っている。当てにするロシアからの丸太は、輸出の関税がかかっているので日本に来ない。
 その結果、日本の木材加工の社長さん方は、外材は当てにならん、おまけにドルと円の通貨のレートによって下がったり上がったり、とてもじゃないけれども、外材は、外からの丸太は当てにならんということで、使う素材を国産材に志向してきております。
 ですから、当てにならない外材よりも国産材のほうがいいということで、我々はそれを一つの─景気は非常に悪いです、現在、確かに景気は悪いんですけれども、あるいは住宅着工の戸数は落ち込んでいますが、材そのものが国産材に志向している、そういった追い風になっていると我々は考えております。それを一つの契機にとらえて、我々は安定的に、社長さん方が、ここに、いつまでに、このくらいのものをどんと持ってこいというときに、川上のほうからすぐ丸太をぽっと持ってこられるような、そういった供給できる体制を整える今がいいチャンスだと考えております。ですから、ロシア丸太の影響というのは、そこを逆手にとって、国産材の時代の追い風にしたいと考えております。
〇三浦陽子委員 先日というか先月、北海道の独立行政法人の水産総合研究センターに議連で行きました際には、寺島課長に大変お世話になりました。ありがとうございます。
 先ほど、先輩の伊藤勢至委員からも、サケの回帰率の問題などいろいろ質問がありましたけれども、私も一般質問に取り上げさせていただきまして、宮舘副知事から大変心強い答弁をいただいたと思っておりますが、いずれ、つくり育てる漁業のメーンの一つでありますワカメの生産量の拡大について、ちょっとお伺いしたいと思いました。
 三陸ワカメは、大変品質がよくて、私なども海産物は大好きで、しゃぶしゃぶにしてワカメをいただいたり、本当においしくいただいているんですが、何か、本当にこのところ生産量が減ってきているということで、その拡大を目指していろいろ支援していくべきだと思っておりますが、現状と、それから課題についてお伺いしたいと思います。
 あわせて、実は私、中国大連に行った際に、やはりワカメの生産をしているところに行ってみましたが、中国の海は汚染されていて、そしてまた、種つけのときに非常にびちびちと植えるために品質も余りよくないということだったんです。ただ、単価が安いということで、日本でも結構使われているという話で、この岩手のおいしいワカメを何とか世界にも、皆さんに食べていただけないものかと思ったところ、海藻を食べるのは世界的には余りないというお話で、そんなに伸びないのかなとは思いましたが、少なくとも日本の中での、この岩手県の三陸ワカメをもっともっとアピールしていただきたい。
 そのためにも、いわゆるHACCPというんですか、衛生管理の問題もきちっと取り組みをやっているんだということもあわせて、もっとアピールすべきだと思いますが、現状、それの取り組み状況についてもお伺いしたいと思います。
〇寺島水産振興課総括課長 まず、ワカメの生産量の拡大についてでございますけれども、本県産ワカメは、肉圧で歯ごたえがよいということなどから市場の高い評価を得ておりまして、他県産のワカメと比べ高値で取引されております。
 しかし、その生産量は、3万5、000トンありました平成11年以降は2万トン台で推移しており、低い水準に現在とどまっております。この要因は、ワカメ養殖の収穫作業が厳しいことに加え、養殖経営体の規模が小さく生産効率が悪いことから、高齢化に伴い廃業が増加する一方で、新規参入が進まず、経営体が減少してきたことなどによるものであります。
 このため、県といたしましては、漁協の地域営漁計画に基づく養殖漁場の効率的な利用、自動刈り取り機や高速塩漬け装置等の機械化、システム化による生産性の向上などに取り組んで支援することによって、担い手の確保等、経営体の育成を図り、生産量の拡大に取り組んでまいります。
 それから、今、中国のワカメについてお話がありました。中国のほうでは、これまではかなりの量を日本に輸出しておりまして、岩手でも単価的にかなり苦戦しておったんですけれども、最近は、現地賃金の上昇や政策による施設の縮小、それから安全性に関する疑念の高まりによって国際的な影響がやや低下して、どちらかといえば国内産の市場価値が総体的に向上しております。その意味では、本県にとってはいい材料かと思っております。
 それから、2番目のHACCPの取り組みについてであります。
 県内の水産業界におけるHACCPの取り組み状況についてということで、国民の食への安全・安心志向の高まりから、水産物の衛生管理はますます重要となってきております。
 水産物は、鮮度の低下が早いため、水揚げ段階から衛生管理を徹底することが重要でありますことから、県では、平成11年度から魚市場の衛生管理を推進してきたところであります。その結果、平成14年度には、秋サケを対象とした岩手県産地市場スタンダード指針に県内全13市場が適合しております。現在は、一層の衛生管理の高度化を図るため……。
〇小田島峰雄委員長 答弁を簡潔に願います。
〇寺島水産振興課総括課長(続) 図るため、全魚種を対象とした岩手県産地市場HACCP対応指針の適合を推進しており、これまで、13市場のうち8市場がHACCP指針に適合したところであります。
 今後は、すべての市場が適合するよう、積極的に指導してまいります。
 一方、水産加工場につきましては、加工の形態が多様にわたることから、加工場ごとに衛生管理を指導する必要があるため、岩手県水産技術センターにHACCPアドバイザールームを設置して、事業者ごとの指導に当たるとともに、民間の衛生管理アドバイザーを活用し衛生管理の高度化を進めております。これまで7工場がHACCPの認定を取得しており、さらに認定工場が増加するよう指導してまいります。
 今後もこのような取り組みを推進することによって、本県の水産物の評価が高まるよう努めてまいりたいと思っております。
〇三浦陽子委員 寺島課長には、本当に大変御丁寧に御答弁いただきましてありがとうございました。視察中も、本当に一生懸命だという姿を拝見いたしまして、心強い限りでございます。ぜひとも、この岩手県の水産物が、安心・安全でおいしいものだということをアピールしていただきたいと思います。
 もっといろいろ聞きたいところもありましたけれども、ここで終わります。ありがとうございました。
〇嵯峨壱朗委員 簡単に終わります。
 事項別明細書の中の236ページ、6款1項の農業費6目農作物対策、また6款5項水産業費3目水産業振興費にかかわって、災害対応にかかわってですけれども、台風18号に伴う農林水産被害、生産設備に対してかなり大きな影響があったとお聞きしておりますけれども、その状況についてお尋ねしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 台風18号による農林水産関係の被害につきましては、昨日現在において29市町村に及んでおります。被害額は総額で13億6、000万円ほどになってございます。
 その被害の主なものは、リンゴの落果など農作物の被害や、パイプハウスの破損、農業用水路等の損壊など農業被害が5億8、800万円、林地の崩壊などの林業被害が2億2、000万円ほど、さらには、漁業の定置網の破損など漁業の被害が5億5、000万円余りとなってございます。
〇嵯峨壱朗委員 特に今回、県北地域の水産被害が大きいと新聞報道等ございましたけれども、久慈管内の定置網の被害とか、そういった状況はどうなっているのか、そしてまた、こういった被害に遭った定置網に対しては、県ではどのような救済措置、支援措置というものがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
〇五日市漁業調整課長 まず、水産のほうの被害につきましては、県下全域で84カ所ほどとなっているところでございますけれども、特に久慈管内におきましては、今、サケの盛漁期を迎えている、今お話がありました定置網で被害が大きくなっておりまして、23カ所、久慈管内だけで4億8、600万円ほどの被害となってございます。県全体の88%ということでございます。
 これに対します対策ということでございます。施設の機能復旧に要する経費といたしましては、農林水産業施設の災害復旧費、国の補助や、あるいは施設整備を支援する交付金事業などがございますけれども、これらについては、施設の復旧という形では使用ができない形になっております。また、通常であれば共済というものにも加入していれば共済金が支払われるわけでございますが、ほとんどの定置網では、この共済金事業には入っていないという状況もございます。
 このため、県といたしましては、漁業共同組合連合会などの金融機関に対しまして、経営あるいは施設の補修等に必要な融資が行われるように指導しているところでございますし、また、漁業者に対しましても、近代化資金等の制度資金の活用等について助言しているところでございますし、今後は、施設共済等への加入の促進を働きかけてまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ、地元漁協また市町村と連携をしながら、できる限りの支援をしていただければと思っております。
 それと、この定置網の被害ですけれども、先ほど大型クラゲの話も出ておりましたけれども、サケの水揚げというのは最重要魚種で、かなり大きな影響を与えるわけです。先ほど4億8、000万円という話でしたけれども、サケの水揚げというのは10億円ちょいぐらいなんですね。それからすれば、水揚げの半分近い金額が復旧に向かってしまうという、深刻な状態なのも事実だと思っていました。
 先ほどの課長の説明で言うと、サケは15日以降、だんだんと回復しているという話でしたけれども、実際は、今後の見通しというのはどう見ておられるのか、そして単価の動向というのも気になるところですけれども、どうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
〇寺島水産振興課総括課長 サケの水揚げ状況ということで、先ほどは20日現在の数字では沿岸漁協2、048トンで、前年同期比118%まで回復しております。その10日前までは763トンで、前年同期比75%と悪かったのですけれども、この10日間の間にサケが戻ってきまして、数量的には今、上がってきているところです。しかしながら、単価が10日現在では376円で、前年同期の86%であったものが20日現在では330円まで、量的にふえたこともあって、今、前年同期70%にとどまっております。
 このとどまっている原因と思われますのは、北海道のほうが量的に今多くとれています。北海道は35%減だろうという予測だったのが、逆に3割ぐらい多くとれていることもあり、本県のほうも今、量が戻ってきたために、単価が下がってきたんだろうと思います。
 それから、今後の見通しでありますけれども、まだ、今はうちのほうは盛漁期になっておりません。盛漁期は本県の場合は11月以降、11月の下旬がピークになります。こういう10日間でかなりふえてきた状況が、ぜひ続いてほしいと思っているところであります。
〇菅原一敏委員 2点について簡潔にお伺いをしたいと思います。
 まず、漁業の担い手育成対策についてお伺いをいたしたいと思います。
 2008年の漁業センサスの調査結果が先月、農水省から発表されておりますけれども、これによりますと、漁業就業者の減少が著しいという結果が出ているところでございます。20年前と比べると半減をしていると。本県の漁業就業者9、948人、そして60歳以上の高齢者の割合が51.2%になっている、こういう非常に危機的な状況にあるわけでございますが、事項別明細書の263ページに漁業の担い手育成推進事業があるわけでございますが、これだけではないだろうと思いますけれども、県では、これまで漁業の担い手確保育成対策にどのように取り組んでこられたのか、そしてまた、その成果はどうなっているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
〇寺島水産振興課総括課長 本県の漁業の担い手育成確保ということでございますけれども、我々が今まで取り組んでまいりましたのは、平成19年から地域営漁計画というものを立てまして、漁協のほうでそれを策定したわけですけれども、その策定支援、それから実行支援に今取り組んでいるところであります。そして、そこで生産をいかに上げていって雇用を確保していこうかということでありますし、それから、漁業士の認定による漁業者リーダーの育成、これにも取り組んできております。それから、青年漁業者や女性漁業者の増養殖技術試験や魚食普及等の活動の支援もやっております。また、青少年を対象とした漁業体験活動支援などにも取り組んできております。
 その成果は、養殖業の盛んな21の漁協が地域営漁計画に取り組んで、養殖漁業者当たりの利用養殖施設数が増加するなど、養殖経営体の経営規模拡大が少しずつではありますけれども進んでいることや、朝市や直売会等が各地で開催されるなど、漁業者による水産物の販売活動等が活発になってきたこと。そして、現在、指導漁業士74名、青年漁業士33名を認定し、地域の漁業者リーダーを育成してきたこと。青年漁業者の試験研究活動等を通じて、新たな増養殖技術等を地域に普及してきたこと。それから、海づくり少年団の活動支援等を通じて、青少年の漁業への理解を醸成したことなどが挙げられます。
 今後の課題は、本県の養殖経営体は他県と比較してその経営規模が小さいことや、漁業就業者の減少と高齢化が加速していることから、養殖作業の機械化等により規模拡大等を促進し、効率的で安定的な経営体を育成することや、新規就業者を確保することが喫緊の課題と認識しております。地域営漁計画の取り組み強化などにより、担い手対策に今後とも努めてまいりたいと考えております。
〇菅原一敏委員 いろいろな取り組みをされている状況についてはわかりましたけれども、では、その結果、成果としてどのくらいの新規の就業者が出たのか、そういう具体的な数字はないわけですか。
〇寺島水産振興課総括課長 平成20年度の新規漁業就業者は48名、これは例年50名前後で来ているわけですけれども、平成20年度も同じぐらいの割合。それから平成21年6月末、これは四半期ごとに調査しておりまして、6月末ではまだ28人でございます。9月末は集計中なので、まだ、今は手元に資料はございません。
 あと、そのほか7月12日に、漁業就業者支援フェアというのを開催して、そこで8名の方が、今、盛漁期でありますサンマ船あるいはイカ釣り船に乗って研修を受けております。まだ6カ月間は研修生ですので、この人たちは6カ月たたないとちょっとカウントできません。6カ月後も、きちっと船乗りとして定着してくれればなと思っております。
〇菅原一敏委員 この担い手の育成に当たっては、市町村との連携ということも非常に大事だろうと思うんですが、具体的に市町村との連携の事例等がありましたら、お知らせいただきたいと思います。
〇寺島水産振興課総括課長 市町村との連携についてでございますけれども、地域営漁計画の取り組みにおいて、県と市町村が連携して、漁協におけます地域営漁計画推進協議会を設置しているわけですけれども、これに一緒になって参加して事業の推進に努めております。そして、この実行支援、具体的な内容、これらを協議しながら、漁場をどう利用していくのかということに取り組んでいるところです。
 また、漁業担い手の育成確保を目的とする漁協の共同利用施設整備支援においては、市町村と連携した施設整備を実施しているところであります。さらに、市町村が小学生を対象に実施する少年水産教室の開催に当たりましては、地方振興局水産部の普及指導員が講師となるなど、その実施を支援しております。
 今後とも、市町村と連携して、漁業の担い手対策に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
〇菅原一敏委員 水産業振興のためには、根本となる一番大事な政策だろうと思うわけでございますので、今後とも、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 それからもう一点、漁港、漁村の整備についてお伺いをしたいと思います。
 271ページの11目、漁港漁場整備費にかかわりますけれども、本県の海岸線は708キロあるわけでございまして、12の市町村が111の漁港を有していると。これは漁港漁村課のホームページに載っているわけでございますけれども、この111の漁港、漁村に、沿岸市町村の約3分の1ぐらいの人口があるという実態になっているわけですが、この漁港、漁村の整備の状況はどのような段階にあるのか、今後の見通しはどうなのか、漁港、漁村の整備の状況についてお尋ねをしたいと思います。
〇佐々木水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 水産基盤整備事業の進捗状況についてでございますけれども、漁港は水産物の陸揚げ、荷さばき、加工、流通の拠点として、水産物の安定供給など、水産業の振興に寄与したところでございますけれども、荒天時に、漁船を他港に避難させずに、安心して係船できる漁港が約4割にすぎないという状況にございまして、多くの漁港は、いまだその整備が不十分な状況にございます。
 また、漁村の生活環境につきましては、御承知のように、地形的、地理的に、都市部と比べまして立ちおくれた状況にございまして、中でも、漁業集落排水施設の整備率につきましては、平成20年度末で44.9%となってございまして、県全体の整備率の70.2%と比べまして、大幅におくれている状況にございます。
 漁港、漁村の整備につきましては、基本計画に基づきまして平成14年度から計画的に取り組んでまいりましたけれども、近年の厳しい財政状況も反映いたしまして、年々予算が減少してきているということで、平成20年度末の進捗率が31.7%というような状況でございます。
〇菅原一敏委員 水産基盤の整備計画に基づいて、いわゆるマスタープランに基づいて実施をされているということなわけですが、最終年度が平成23年度だと認識をしておりますけれども、現在、31.7%の進捗率で大変おくれているわけでございますが、この進捗に向けて今後どのような見通しを持っているのか。そしてまた、国等に対して、予算獲得に向けてどのような考え方で対応をしようとされているのか、最後にお聞きをしたいと思います。
〇佐々木水産担当技監兼漁港漁村課総括課長 予算のほうが先ほど年々減っているというお話をさせていただきましたけれども、具体的に、平成12年度から毎年前年度を下回っておりまして、計画初年度の平成14年度の予算が約93億円に対しまして、平成21年度の予算が約半分の53億円というような状況になってございます。このため、事業の実施に当たりましては、国の補助金や交付金などの予算の確保に努めるとともに、計画的な事業実施等によりまして継続事業箇所の早期完成を図るとともに、新規箇所を厳選するなど、一層の選択と集中によりまして重点化を図り、限られた予算の中で、漁業活動の効率化につながる整備を進めてまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 一つは、林業問題をまとめて聞きます。
 平成19年度の林業産出額が204億円でした。ピーク時は昭和55年、419億円で、これは農業、漁業と比べても落ち込みが大きいと。その具体的な要因は何か。
 二つ目、木材供給基地としての具体的な対策はどうなっているか。県産材の具体的な活用策、林業従事者の確保策を含めて示していただきたい。
 三つ目、木質バイオマス資源の活用策と事業化の現状と今後の戦略はどうなっているか。
〇堀江林業振興課総括課長 まず1点目の林業産出額でございますが、昭和55年の419億円から平成19年の204億円に落ち込んでいる中で、それは木材生産による産出額が365億円から136億円と、約4割まで落ち込んでいるところが大きいと考えております。
 具体的には、昭和55年の木材価格が、例えば杉の中丸太で申しますと、立方当たり3万2、700円であったのに対しまして、平成19年が1万2、900円と、昭和55年当時の木材価格と比べますと約4割まで落ち込んでいるということが挙げられます。また、これら木材価格の低迷等の影響を受けまして、木材の生産量につきましても、昭和55年の約3分の2まで落ちておりまして、木材価格の下落と、その影響を受けた木材生産量の減少が大きな要因と考えているものでございます。
 次に、木材供給基地としての具体的な対策でございますが、先ほどの工藤委員の答弁の中にもあったとおりでございますが、外材から国産材に転換が進むに当たって、定時定量で丸太の安定供給を図っていくことが大事だと考えております。具体的に、高性能林業機械の導入あるいは林内路網整備による素材生産低コスト化の推進、あるいは地域牽引型経営体による施業集約化や長期施業受託の取り組みの強化、さらには、協議会等の開催による大口需要者に対して、原木の安定供給などに取り組んでおります。
 さらに、県産材の具体的な活用策ということでございましたが、これについては、庁内の関係部局の連携に基づく公共施設、公共工事への県産材の率先利用、あるいは、森林整備加速化・林業再生基金事業による公共施設の木造化の推進、さらには、商談会等の開催による木材業界と工務店のマッチングの促進などに努めてまいります。
 最後に、林業従事者の確保の関係でございますが、林業労働対策基金を通じまして、就業説明会の開催等による新規参入促進、あるいは社会保険加入、あるいは林業機械の導入による就労条件の改善、さらに、国の緑の雇用制度を活用しました新規就業者の技術習得促進、こういった取り組みを進めることによりまして、林業労働力の確保に努めております。 
 最後に、3点目でございますが、木質バイオマスの活用策と事業化の現状と戦略でございますが、山にある未利用間伐材等の木質バイオマス資源を有効に活用するために、現在、素材生産者や森林組合などが集まったグループが取り組む、燃料用材の安定供給システムの構築の取り組みなど、モデル的な事業を進めているところでございます。
 また、こういったバイオマス資源を利用拡大するには、各地域で燃焼機器を導入することが不可欠でございますので、民間企業と連携しながら、これまでいわて型ペレットストーブ、いわて型チップボイラーの開発と普及、さらには、林業技術センターでいわて型バークボイラーの開発などを進めてきた結果、ペレットストーブ、ボイラーなどは全国トップレベルの導入実績となっております。
 今後の戦略の部分でございますが、さらなる利用拡大を図るためには、幅広い産業分野での活用促進が必要であることから、木質バイオマス利用をアドバイスするコーディネーターの配置、あるいは国の交付金等を活用した施設整備の支援などにより、産業分野でのリーディングモデルを創出するなどして、木質バイオマスエネルギーを通じた産業クラスターの形成に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最後の木質バイオマス資源の活用策で、ペレットストーブやボイラーは全国トップ水準だと。主には、公共施設で義理立てて購入した側面が強いんですよ。だから、今、低調になっているんですよ。それ以上広がらないと。私、これを産業として広げるためには、もう1段、もう2段これを進めないと、産業としていかないと思いますよ。そのことを聞きたい。
 それともう一つ、森林審議会の資料を見て、今の林業の問題で、一つは造林が落ち込んでいる。二つ目には、間伐も落ち込んでいる。間伐は、いわての森林づくり県民税を導入したにもかかわらず、この5年間、落ち込んでいるというんですよ。何で県民税まで取って間伐が落ち込むのか。三つ目に、本県の人工林は伐期を迎えつつあるものの、これが今の木材価格の低迷とか林業労働者の減少で対応できないと。この根本問題にどう対応するのか、いかがですか。
〇堀江林業振興課総括課長 私のほうから、ペレットボイラー等の民間活用方策について御答弁申し上げますが、ペレットストーブの補助につきましては、これまで商工労働観光部のほうで実施してきたところでございますが、昨年度から公共施設中心ということになったわけでございますが、私どもとすれば、ぜひ民間の一般家庭の皆様にも使っていただきたいということで、民間企業とも連携しながら、使いやすいペレットボイラーの開発に引き続き取り組むとともに、パンフレット等を活用しながら、幅広い県民の皆様に対して、PRを今後とも関係部局と連携して進めてまいりたいと考えているところでございます。
〇竹田森林整備課総括課長 2点ほど御質問がございました。まず、造林のほうの落ち込みでございます。
 確かに委員御指摘のとおり、本県は造林を積極的に進めてまいりましたけれども、ここ10年、落ち込みがひどいという状況でございます。背景とすれば、御案内のとおり、木材価格の低迷というのが大きく影響して、経営意欲が減退しているという状況かと思っております。そこで、木材価格、現在、世界的な価格で推移しておりますので、そういった価格に対抗できるにはコスト削減ということが重要かと思っておりまして、今年度からできるだけコストをかけない。例えば、杉の場合ですと、ヘクタール当たり3、000本植えるわけですけれども、これを2、000本くらい植えて何とか成林させるという方法、そういった取り組みも開始してございます。
 また一方、間伐の県民税等も実施しているにもかかわらず落ち込んでいるという御指摘でございましたけれども、委員ごらんになった資料はたしか平成19年度までかと思いますが、平成20年度の実績がこのたび出まして、1万2、500ヘクタールほどとなっておりまして、平成11年度に比較して800ヘクタールほど伸ばしてございます。今後とも、間伐の推進については努力してまいります。
 確かに、戦後造林された人工林が伐採時期を今、まさに迎えようとしています。そこで、先ほど堀江総括課長からお答え申し上げましたけれども、担い手づくりとあわせて、機械化そして機械化に対応した技術者の養成、こういったものに力を入れてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 それでは、漁業問題について私からも。
 一つは、エチゼンクラゲの被害状況というのを把握されているものですか。被害額。それと、そういう被害に対する補てん、補償、こういうものは検討できないものかどうか。
 二つ目、昨年度のサケの漁獲量、漁獲高、これを示していただきたい。今年度は先ほど言われた2、048トンでいいんですね。
 回帰率、先ほどこれが問題になりましたけれども、私、2%程度と把握しているんだけれども、北海道は4%ですよね。耳石の調査、解析もずっとやっているんだけれども、現時点で、何で北海道より半分程度なのか。独自の分析で全くわからないのか、部分的にわかっているのか。
 3番目は、カキ、ホタテ等の漁業共済への市町村による補助の実施状況を把握しているか。
 宮城県沖地震というのが、向こう10年間で70%の確率と言われているわけで、20センチ、30センチの津波で、漁業は壊滅的な打撃を受けるのですよ。だから、家屋は人的被害以上に早く被害を受けますので、私はそういうことも考えると、漁業共済への補助というのは県としての支援も必要ではないのかと思いますが、いかがでしょうか。
 カキのノロウイルス対策とあわせてお聞きしたい。
 まとめて全部聞きます。
 山田漁協は4漁協が合併しましたけれども、大変負債問題で苦労している。状況をどう把握しているか。山田町は、1億円の産業振興基金で支援しているようですけれども、県としての支援策も必要ではないでしょうか。
 水産物を活用した食産業の取り組みについてお聞きをします。
〇五日市漁業調整課長 私のほうからエチゼンクラゲの関係と共済の関係について、2点お答えをさせていただきたいと思います。
 エチゼンクラゲの被害状況につきましては、定置網への被害ということでございますが、県内の定置133カ統ございますが、このうち何らかの被害があったものの網が7カ統ございます。そのうち、操業を一時期でも中断したものが66カ統、網が破れたもので16カ統、ここは重複している部分がございます。
 金額的なものは、現段階ではまだ各漁協でそれぞれははじいてはいない状況でございます。
 それから、その補てんについてということでございますが、いずれ、漁業共済の漁獲の共済につきましては、定置網のほうは100%入っておりますので、漁獲量が減少した分につきましては共済のほうから補てんになります。ただ、施設の共済のほうにはほとんど入ってございません。これについては、加入について共済組合とともに働きかけていくこととしたいと考えているところでございます。
 続きまして、先に共済のほうについてお話をさせていただきますと、カキにつきましては、現在養殖を行っている6市町がございますが、そのうち五つの市と町で補てんされております。また、ホタテガイにつきまして、8市町村がございますが、そのうち6市町でそれぞれ掛金助成が行われているという状況でございます。
 あと、津波等の対応のために掛金助成等が必要ではないかというお話でございますけれども、漁業共済につきましては、その災害から生物や施設を守って、経営の安定化を図るために重要な制度であるということで、これまで共済組合と連携をしながら、加入の説明会等について一緒に漁業者に対して加入の働きかけ、説明会等にも行っているところでございます。ただ、支援ということでございますと、既に国において2分の1から3分の1ぐらいのかなり高率な補助が行われていることなどを考慮いたしますと、やはり県としての助成はかなり厳しいのではないかと考えてございます。ただ、施設、津波が来れば確かに大きな被害ということでもございますが、しけ等の大きな災害に対しましては、これまで交付金によりまして災害に強い施設、強度の高い施設を整備するということを進めてきておりまして、平成18年度の台風災害のときあるいは今回の18号の災害でも、施設が流されなかった、変えたところは流されずに保たれたというところもございますので、今後とも、災害に強い施設整備について助成をしてまいりたいと考えてございます。
〇寺島水産振興課総括課長 私のほうからは、サケとノロウイルスと食産業の取り組みの3点を答弁させていただきます。
 まず、サケの漁獲についてでありますけれども、平成20年度の漁獲量は2万4、000トン、金額は101億円の実績となっており、単価の上昇で金額は8年ぶりに100億円を超えたところでございます。今年度の漁獲量は、先ほど申し上げましたけれども、2日現在で2、048トン、金額は6億7、000万円、それぞれ前年同期と比べ漁獲量が118%、金額が83%となっております。
 次に、サケの回帰率についてでありますけれども、平成10年度までは、回帰率3%から5%台で本県も推移しておりましたけれども、平成11年度以降は2%前後で低迷を続けております。これに伴い、漁獲量も2万トン台にとどまっております。このため、県といたしましては、本年度から、さけ回帰率向上緊急対策事業を実施し、関係団体や市町村と一体となって進めているところです。
 具体的には、強い稚魚の生産技術の開発、ふ化場技術者の人材育成、老朽化したふ化場の機器整備を進めているところであります。
 それから、先ほど耳石調査も長いことやっているのになぜ北海道の半分なのか、その原因はわかっているのかということでございますけれども、実際のところ、どうしてなのかまだわかっておりませんので、今、言ったような、さけ回帰率向上緊急対策事業を実施して、少しでも早く、それを解決したいと思っております。このほかに、実際、ふ化場が昭和50年台に整備したころと比べますと水量が落ちております。そういう中で、池での密度が過密ではないのかと、そういうことも含めながら調査をしていきたいと思っています。こうした取り組みによって、サケ回帰率の向上に努めてまいりたいと思っております。
 次に、カキのノロウイルス対策についてでありますが、本県産生食用カキによるノロウイルス食中毒を防止するため、平成13年に県漁連及び水産漁協が策定いたしました生食用カキのノロウイルス対策指針に基づいて、生食用カキを生産する24海域すべてにおいて出荷期間中、毎週、出荷前の自主検査が行われております。
 県といたしましては、漁協が実施しております出荷前自主検査を徹底するよう指導するとともに、平成20年度より国の交付金事業を活用し、生産量の多い山田湾や広田湾のカキ養殖漁場におけるノロウイルスの分布把握など、監視体制等の整備強化を図っており、平成21年度も継続実施しております。
 今後とも、県漁連など関係団体と一層緊密に連携しながら、本県産生食用カキの安全・安心の向上に努めてまいります。
 最後に、食産業の取り組みについてでありますけれども、水産物を活用した食産業は、出荷額が751億円に及ぶ水産加工業を中心として、県北・沿岸地域の重要な産業であります。県は、この食産業を振興するため、県産業創造アドバイザーの指導のもと、大手量販店と連携したシメサバなどの商品開発や供給体制の整備、産学官連携による高齢者が食べやすい煮魚シリーズなどの介護予防食品の開発、イサダの食用化などの推進のほか、近年は生産者みずからが水産物の付加価値を高めて販売する6次産業化の推進に取り組んできたところであります。
 今後は、引き続きこうした取り組みを進めるとともに、アカモク等低利用水産物の付加価値向上、動産担保融資等の活用による水産加工業者の経営規模の拡大、地域内原料供給体制の強化や経営指導等による水産加工業の体質強化などを支援し、水産物を活用した食産業を推進してまいりたいと考えております。
〇門口団体指導課総括課長 山田漁協の合併についての状況と、それから県としての支援についてでございますけれども、まず合併の状況についてでございますけれども、去る10月1日に、山田地区の大浦、織笠、山田湾、大沢の各漁協が合併し、新たに三陸やまだ漁協が誕生したところでございますが、この合併は旧山田湾漁協にありましては民事再生中の中での、それから他の漁協にありましては、多額の繰越損失金を抱えての合併でございました。合併によりまして、組合組織としては、正組合員数、職員数、それから販売事業収益とも県内有数の規模となったところでございますが、多くの負債を抱えてのスタートでございまして、今後の組合運営には厳しいものがあると認識しているところでございます。
 この繰越損失金につきましては、組合では合併後6年後の平成26年度でございますけれども、6年後には解消するということとしてございますが、この計画達成と体制整備による組合員サービスの向上が急務の課題と考えております。
 それから、次に、県の支援でございますけれども、県といたしましては、合併後の三陸やまだ漁協に対しましても、山田町と連携し利子補給を行っているほか、今後、業務管理の改善、効率化を支援してまいりたいと考えております。
 また、さきの9月補正で、漁業経営維持安定資金利子補給事業を議決いただきましたところですが、この事業の活用によりまして、負担軽減が図られるものと考えてございます。
 県といたしましては、今後とも、系統組織、山田町と連携し経営改善を指導していくとともに、合併計画を達成するために、漁協運営が軌道に乗るまで、継続して指導、助言を行ってまいります。
〇小田島峰雄委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後7時3分 散 会

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