平成21年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成21年10月19日(月)
1開会  午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長     浅 田 和 夫
  議事管理担当課長 菊 池 達 也
  主任主査     石木田 浩 美
  主任主査     岩 渕 伸 也
  主任主査     鈴 木 文 彦
  主任主査     藤 原 由喜江
  主査       菅 原 俊 樹
  主査       大 森 健 一   
1説明員
  商工労働観光部長 廣 田   淳
  副部長兼
  商工企画室長   齋 藤 淳 夫
  雇用対策・労働
  室長       伊 藤 昇太郎
  商工企画室
  企画課長     戸 舘 弘 幸
  商工企画室
  管理課長     小野寺 利 幸
  経営支援課
  総括課長     阿 部 信 弘
  科学・ものづくり
  振興課総括課長  黒 澤 芳 明
  産業経済交流課
  総括課長     橋 本 良 隆
  観光課総括課長  藤 田   徹
  企業立地推進課
  総括課長     保   和 衛
  雇用対策課長   津軽石 昭 彦
  労働課長     川 村 政 司

  労働委員会
  事務局長     小 川 明 彦
  審査調整課
  総括課長     齋 藤 信 五

  企業局長     千 葉 勇 人
  企業局次長兼
  経営総務室長   太 田 和 男
  企業局技師長   池 内   達
  経営総務室
  管理課長     鈴 木 清 也
  経営企画課長   中屋敷   暢
  業務課総括課長  菅 峨 範 夫
  電気課長     野 崎 明 裕

  医療局長     田 村 均 次
  医療局次長    細 川 孝 夫
  医師支援推進室長 根 子 忠 美
  参事兼職員課
  総括課長     志 田 清 一
  参事兼業務課
  総括課長     八 木 善 一
  参事兼
  システム管理室長 岡 山   卓
  管理課総括課長  大 槻 英 毅
  医事企画指導監  及 川   秀
  薬事指導監    松 川 幸 市
  看護指導監    村 山 和 子
  栄養指導監    上 野 照 子
  医師支援推進監  島 田 文 彦

  会計管理者    古 内 保 之

  監査委員     菊 池 武 利
  監査委員     谷 地 信 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長     奈須川 博 司
  監査第二課
  総括課長     小 原 一 信

  予算調製課
  総括課長     八 矢   拓
〇小田島峰雄委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成20年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成20年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、商工労働観光部、労働委員会、企業局関係の質疑終了後、10月16日に引き続き医療局関係の質疑を行いますので、進行に御協力をお願いいたします。
 最初に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇廣田商工労働観光部長 平成20年度の商工労働観光部関係の決算について御説明を申し上げます。
 初めに、当部の所管事業に係ります総括的な取り組みと成果、及びそれを踏まえました今後の取り組み方向等について御説明を申し上げます。
 平成20年度におきましては、本県を取り巻く社会経済情勢が依然として厳しい状況にある中で、いわて希望創造プランに基づき、本県が有するさまざまな資源や強みを生かした産業育成の取り組みの着実な推進と、経済的な自立のための基盤づくりを施策展開の基本的考え方として七つの政策項目を掲げ、事業に取り組んでまいりました。
 以後、配付してございますいわて希望創造プランの取り組みと成果の内容をもとに御説明を申し上げます。
 恐縮でございますが、いわて希望創造プランの取り組みと成果の4ページから7ページに記載しております内容から始めたいと思います。
 1点目は、ものづくり産業の集積促進であります。
 県では、すぐれた産業人材の育成とものづくり基盤技術の高度化を進め、この強みを生かして、自動車関連産業や半導体関連産業の集積を進め、両産業を融合し、相乗効果を高めていく連峰型の産業集積の実現を目指しているところでございます。このため、川上企業と川下企業のネットワーク構築や、地場企業の育成、強化、企業誘致の取り組み強化などの方策を推進してまいりました。その結果、平成20年度は、自動車や半導体関連の産学官ネットワーク参加企業数が増加し、川上、川下企業や研究機関のネットワーク構築が順調に進んだほか、地場企業の新規取引や、企業の新規立地、増設といった成果もあらわれているところでございます。
 今後も、ものづくり基盤技術の高度化と集積に向けた取り組みを強化するなど、国内有数のものづくり産業集積地の形成を目指して取り組んでまいります。
 次に、9ページ、10ページに記載されておりますけれども、2点目は、食産業の展開であります。
 食産業の振興に当たりましては、食の安全・安心をベースにして、商品開発、流通、販売プロセスなどを改革していく観点から、従来にも増してマーケット・イン重視の取り組みを強化する必要があると考えております。このため、中核企業等の重点密着支援及び食産業クラスターの形成などの方策を推進してまいりました。その結果、岩手県産業創造アドバイザーによります支援や、食産業クラスターの形成に向けた取り組みによりまして、本県食産業全体のスケールアップが進んでいるところであります。
 今後も、本県の特色ある安全・安心な食を核として、1次産業から2次、3次産業までが緊密に連携し、高い付加価値生産性を持つ総合産業として成長するよう取り組んでまいります。
 次に、11ページから15ページに記載されておりますが、3点目は、地域回遊交流型観光の推進であります。
 県では、地域の特色や資源を最大限に生かし、旅行形態に合わせた地域回遊交流型観光を推進するため、地域の観光力の強化や広域連携の推進などの方策を推進してまいりました。
 平成20年度は、こうした取り組みに加え、登録には至りませんでしたが、平泉の文化遺産の世界遺産登録を契機とした観光客誘致の取り組みとして、JR東日本や首都圏等の旅行会社の協力を得て、いわて・平泉観光キャンペーンを実施いたしました。残念ながら、2度の大きな地震の風評被害、ガソリン価格の高騰等の影響によりまして、前年に比べ観光客が減少する結果となったところであります。
 今後も、本県の豊かな自然や食の恵み、祭り、行事などを生かしながら、国内外の観光客が地域住民とともに楽しみ、体験する地域回遊交流型観光の推進に取り組んでまいります。
 次に、16ページから18ページに記載されておりますが、4点目は、東アジアを初めとした海外市場の展開であります。
 成長著しい東アジア圏は新たな市場として脚光を浴びており、本県中小企業や観光産業の成長にとって大きなチャンスと考えております。このため、観光客の誘致、中小企業の海外ビジネス展開支援などの方策を推進してまいりました。平成20年度は、世界的な不況、円高による来日費用の増大が影響し、外国人観光客が減少するとともに、順調に増加してきた輸出額が減少に転じるなど非常に厳しい状況の中、冬期としては初めて、台湾からの国際チャーター便が就航しましたほか、欧州、北米地域への輸出額が減少する中で中国・香港地域では増加が続くなど、台湾、中国を中心とした交流は着実に進展しているところであります。
 今後も、県産品輸出に係る多様な流通経路が構築され、海外におけます県産品の販路が拡大されるとともに、海外から本県への外国人観光客が増加させるための取り組みを進めてまいります。
 次に、19ページから21ページに記載されておりますが、5点目は、ものづくり産業人材の育成であります。
 産学官が連携したものづくり産業人材の育成に向けて、産学官連携ネットワークによるものづくり人材育成、ものづくりに関するキャリア教育の充実、実践的教育によるものづくり専門家の育成などの方策を推進してまいりました。その結果、産学官連携ネットワークへの参加企業数が増加し、勤労観、職業観をはぐくむキャリア教育を実施する小・中学校が増加したほか、黒沢尻工業高校専攻科から初めての卒業生が輩出されるなど、産業人材の育成が着実に推進しているところであります。
 今後も、産業成長の基礎となるすぐれたものづくり産業人材が継続的に育成されるよう取り組んでまいります。
 次に、22ページから25ページに記載されておりますが、6点目は、雇用環境の改善であります。
 県内におきます雇用環境改善のため、雇用の場の創出や公正な雇用の確保、高校生の就職支援などの方策を推進してまいりました。平成20年度は、年度後半からの世界的な金融危機の影響を受けた企業業績の悪化等によりまして、県内の雇用情勢が急速に悪化しました。その一方で、県の産業振興施策によります雇用の場の創出が進むとともに、新規高卒就職者の1年目離職率が低下するなど、これまでの取り組みの成果があらわれているところであります。
 今後も、県内に職を求める方が県内で希望どおり就職できますよう、雇用の場の創出や正規雇用の拡大、若年者の就業支援などの雇用対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、26ページから28ページに記載されておりますが、最後の7点目は、中心市街地の活性化であります。
 まちづくりを進めるに当たりましては、その起点となるまちづくり主体の育成、強化が不可欠であり、そのため、平成20年度においても、自律的まちづくりモデル創出支援事業を実施し、モデル団体6団体の、みずから考え、みずから行う取り組みを支援してまいりました。また、市町村の中心市街地活性化基本計画の策定を支援した結果、県内では、平成19年度の久慈市に加え、盛岡市、遠野市が新たに計画認定されたところであります。また、平成19年度に造成されました基金規模50億円のいわて希望ファンドの運用益によりまして、平成20年度からは、中心市街地活性化のための計画的、戦略的な取り組みや、経営革新によります新事業等を支援したところであります。
 今後も、コンパクトシティの考え方を基本として、官民一体となった戦略的取り組みや、地域がみずから考え、みずから行うまちづくりの取り組みを支援してまいります。
 以上、商工労働観光部におけます平成20年度の取り組みと成果の概要でございます。
 このほか、次代を担う新たな産業群の育成の取り組みとして、海洋微生物などの海洋資源を活用するための委託研究など、バイオ関連分野に対する研究開発や、海洋資源開発に係る研究会活動を支援してきたところでございます。
 商工労働観光部としましては、今後、新しい長期計画の着実な推進と県内産業、地域経済の活性化に努めてまいる所存でございます。
 以上、平成20年度の総括的な取り組みと成果、今後の取り組み方向についての御説明を申し上げました。
 続きまして、決算の詳細について御説明を申し上げます。
 平成20年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。一般会計におきます商工労働観光部の決算は、5款労働費のうち、3項労働委員会費を除いたものと、14ページに参りまして、7款商工費のすべて、また、16ページに参りまして、12款公債費の一部であります。これらの予算現額は684億454万円余、これに対する支出済額は680億4、401万円余、不用額は7、824万円余で、執行率は約99.5%であります。また、支出済額を前年度と比較しますと120億5、594万円余、約21.5%の増となっております。
 なお、翌年度への繰越額は2億8、228万円でありますが、これらは、いずれも国の経済対策に伴う地域活性化・生活対策臨時交付金に対応した事業であり、計画調整に不測の日数を要したため、翌年度に繰り越したものであります。
 以下、個々の内容につきましては、便宜、お手元の平成20年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承を願います。
 それでは、平成20年度歳入歳出決算事項別明細書、222ページをお開き願います。5款労働費1項労政費1目労政総務費でありますが、管理運営費は、労政部門の職員人件費等、管理運営に要した経費であります。2目労働教育費でありますが、各種労働講座開設費は、県内4地区の雇用・労働フォーラムの開催などに要した経費であります。3目労働福祉費でありますが、労働者等生活安定支援資金貸付金は、事業主都合により離職した者の求職活動中の生活安定を図る貸し付けなどに要した経費であります。4目雇用促進費でありますが、障害者等雇用対策費は、障害者等の職場適応訓練の実施や勤労身体障害者体育施設の管理に要した経費であります。224ページをお開き願います。ジョブカフェいわて管理運営費は、若年者に対する就職相談等のサービスをワンストップで提供するジョブカフェいわての管理運営に要した経費であります。就業支援員配置事業費は、就業支援員を配置するなど、雇用、労働に関する地域課題に対応した効率的な支援体制の整備に要した経費であります。緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金及びふるさと雇用再生特別基金積立金は、緊急かつ臨時的な雇用、または安定的な雇用の機会を創出するために行う事業に要する経費の財源に充てるため、基金の造成を行ったものであります。
 また、2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、職業能力開発指導監督費は、職業能力開発部門の職員人件費等の経費であります。認定職業訓練費は、職業訓練法人によります認定職業訓練の実施に対する補助などに要した経費であります。2目職業訓練校費でありますが、管理運営費は、県立産業技術短期大学校を初めとする県立職業能力開発施設の職員人件費であります。226ページに参りまして、公共職業能力開発費は、県立職業能力開発施設において実施する職業訓練などに要した経費であります。公共職業能力開発校施設設備整備費は、県立職業能力開発施設の訓練機器の整備及び施設の改修などに要した経費であります。就職支援能力開発費は、離転職者等を対象とした職業訓練の実施などに要した経費であります。
 次に、飛びまして、274ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費でありますが、管理運営費は、商工業部門の職員人件費等、管理運営に要した経費であります。県北・沿岸地域産業振興戦略事業費は、県北・沿岸地域の地域資源を生かした食産業や観光産業などの振興を図るために要した経費であります。酸化亜鉛産業クラスター形成事業費は、産学官連携による酸化亜鉛関連の実用化研究開発に対する支援に要した経費であります。いわて戦略的研究開発支援事業費は、産業化が有望な大学等の研究課題に対する研究資金の支援などに要した経費であります。沿岸地域科学技術振興推進費は、海を生かした創薬プロジェクト研究事業の展開に合わせ、バイオ関連分野の研究開発等の支援に要した経費であります。運輸事業振興費補助は、社団法人岩手県トラック協会が実施する輸送サービスの改善、安全運行の確保等の事業に対する補助に要した経費であります。国際経済交流推進事業費は、海外における県産品の販路拡大など、県内企業の海外ビジネス展開に対する支援に要した経費であります。次に、276ページをお開き願います。2目中小企業振興費でありますが、商工観光振興資金貸付金は、中小企業者の設備改善等に要する資金、中小企業経営安定資金貸付金は、売り上げの減少などにより経営の安定に支障を来たすおそれのある中小企業者に対する運転資金、県北・沿岸地域中小企業振興特別資金貸付金は、県北・沿岸地域の中小企業者に対する雇用の増加、事業の拡大等に要する資金であり、これらの貸付金は、県単融資制度の実施に要した経費であります。商工業小規模事業経営支援事業費補助は、商工会、商工会議所及び岩手県商工会連合会が行う、商工業小規模事業者の経営改善普及事業等の実施に対する補助に要した経費であります。中小企業連携組織対策事業費補助は、岩手県中小企業団体中央会が行う組合等の組織化を支援する事業の実施に対する補助に要した経費であります。278ページに参りまして、自律的まちづくりモデル創出支援事業費は、まちづくりの起点強化を図るため、まちづくり主体の強化モデル地区に対する支援に要した経費であります。自動車関連産業創出推進事業費は、自動車関連産業の生産工程の改善指導や人材育成に対する補助などに要した経費であります。組込みソフトウェア競争力強化事業費は、組込みソフトウェア分野の取引拡大や人材育成などに要した経費であります。 半導体関連産業創出推進事業費は半導体関連分野における企業間交流の促進や、地場企業の取引拡大などに要した経費であります。いわて農商工連携ファンド組成・推進事業費は、中小企業者と農林漁業者の連携によります創業または経営革新の支援を行う同ファンドを組成するため、財団法人いわて産業振興センターへの貸し付けなどに要した経費であります。次に、3目企業立地対策費でありますが、企業立地促進資金貸付金は、立地企業が行う設備投資に対する貸し付けに要した経費であります。企業立地促進奨励事業費補助は、市町村によります誘致企業への助成事業に対する補助に要した経費であります。特定区域産業活性化奨励事業費補助は、特定区域において工場等を増設する企業に対する補助に要した経費であります。次に、280ページをお開き願います。4目中小企業経営指導費でありますが、中小企業ベンチャー支援事業費は、財団法人いわて産業振興センターが実施する専門家派遣事業、取引支援事業等への補助に要した経費であります。5目貿易振興費でありますが、貿易振興団体助成費は、海外販路拡大の支援基盤整備のための独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)盛岡貿易情報センターへの負担金であります。6目工業技術センター費でありますが、これは、地方独立行政法人岩手県工業技術センターに対する運営費交付金であります。
 次に、2項観光費1目観光総務費でありますが、管理運営費は、観光部門の職員人件費等管理運営に要した経費であります。財団法人岩手県観光協会育成事業費は、同協会が実施する観光客の誘致宣伝事業や受け入れ態勢整備事業などへの支援に要した経費であります。国際観光推進事業費は、本県への外国人観光客の来訪促進を図るため、旅行エージェント招請事業や、国際チャーター便歓迎支援事業などに要した経費であります。未知の奥・平泉観光振興事業費は、平泉の文化遺産の世界遺産登録を目指す取り組みと連動して実施した観光客の受け入れ態勢整備や情報発信などに要した経費であります。いわて・平泉観光キャンペーン実行委員会負担金は、県内の観光資源を全国に情報発信し、観光客の誘致拡大を図るため実施したいわて・平泉観光キャンペーンの負担金であります。観光風評被害対策事業費は、岩手・宮城内陸地震等に伴う風評被害を払拭するため、各種広報媒体を活用した広告宣伝や、財団法人岩手県観光協会が行ったおでんせプレゼントによる誘客キャンペーンの支援などに要した経費であります。次に、282ページに参りまして、2目観光施設費でありますが、観光施設機能強化事業費は、家族旅行村の施設改修など、県有観光施設の機能強化を図るために要した経費であります。
 次に、飛びまして、350ページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金でありますが、当部の所管は県債償還元金のうち、新産業創造支援事業に係る独立行政法人中小企業基盤整備機構への償還金5億9、796万円が含まれております。
 以上で、一般会計決算の説明を終わります。
 次に、中小企業振興資金特別会計の決算について御説明を申し上げます。
 飛びまして、396ページをお開き願います。この特別会計の予算現額は、398ページと400ページに記載しております歳入歳出それぞれ18億6、690万4、000円であります。
 まず、歳入につきましては、戻りまして、396ページから399ページに記載しておりますが、収入済額が、総額18億8、520万円余であり、その主なものは、一般会計からの繰入金、繰越金及び貸付先企業等からの償還金等の諸収入であります。
 次に、歳出につきましては、400ページに記載しておりますが、支出済額の総額は10億6、321万円余であります。
 1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費は、財団法人いわて産業振興センターが実施した設備資金貸付事業及び設備貸与事業に対する貸し付け並びに高度化資金貸付金の貸し付けなどに要した経費であります。
 2項貸付事務費は、ただいまの貸付金の貸し付け及び回収に要した事務経費であります。
 以上で、商工労働観光部関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇小田島峰雄委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇及川幸子委員 まずもって、部長、御礼を申し上げたいと思います。ひところ質問をしました、どんと来い岩手、歌っていただけますかということを実現していただきまして、ありがとうございます。
 その次、県庁でお昼休み、どんと来い岩手を流してくださいと言いましたら、流されたようで様子を伺いました。ありがとうございます。本当に些細なことでも、そういう挑戦の気持ちを持ってやられること、本当に私は敬意を表しながら見詰めております。
 そこでお伺いいたします。
 部長の説明にもありましたが、雇用対策に全力で取り組むとされております。そこで、緊急雇用対策についてお伺いするのですが、経済不況の中、職を失う人々の増加があります。これは大変深刻な問題だととらえておりますが、雇用対策としての緊急の取り組みをお示しいただきたいと思います。
〇津軽石雇用対策課長 雇用対策の緊急の取り組みでございますけれども、昨年12月、岩手県緊急雇用対策本部を設置いたしまして、生活支援、雇用維持、雇用創出、就業支援の四つの柱を中心に取り組んできたところでございます。その後、県内の経済・雇用情勢は依然として厳しい状況でありますことから、これまで以上に、経済対策と連動いたしました総合的な雇用対策を各分野にわたって強力に推進する必要があるという認識に立ちまして、この8月、岩手県経済・雇用対策本部を設置いたしました。この本部におきましては、これまでの取り組みに加えまして、経済の活性化を新たな柱といたしまして、雇用の創出、就業の支援と、三つの柱でもって施策を推進しております。
 例えば、公共事業の前倒し実施でありますとか、早期発注の切れ目ない事業執行、あるいは中小企業経営安定資金の融資枠の拡大による地域経済の下支え、活性化、あるいは生活面では、生活保護、奨学金の迅速な対応など、これまで以上にきめ細かい対応を推進してきたところでございます。また、今回の9月補正におきましても、緊急雇用創出事業臨時特例基金の配分を前倒し実施いたしまして、これまで平成21年、22年、23年の配分を、4・3・3であったわけですが、これを5・4・1に前倒し実施するということといたしまして取り組んでいるほか、広域振興局等におきましても体制を充実する等、これまで以上に、市町村、国と臨機に対応を進めていっているところでございます。
〇及川幸子委員 この経済の活性化では、新たな柱ということで三つの柱が示されております。やっぱり、修学支援というのは大変重要だと思っております。給食費を納められない、授業料を納められないという部分が、新政権ではそれも政策がなされるわけですが、その中で、前倒し発注というのも大変重要な施策であると考えております。大変な力を注いでやられるということですので、この点については、なお、引き続き頑張っていただきたいと思います。
 それから、県内の失業者の状況と、これらに対する対策というのはどうなっているんでしょうか、お伺いします。
〇津軽石雇用対策課長 県内の失業者の状況と対策についてでございますけれども、まず、失業者の状況につきましては、これは有効求職者としてとらえた場合でございますけれども、岩手労働局の発表によりますと、平成21年8月の県全体の有効求職者数は3万8、550人、これは前年同期に比較いたしまして32.8%増でございます。
 圏域ごとに申し上げますと、県央では1万3、756人、26.3%増、県南が1万5、472人、47.0%増、沿岸が5、991人、20.3%増、県北が3、331人、26.8%の増ということで、製造業が集積しております県南地域での増加が顕著になっているということでございます。
 このような状況を踏まえまして、各圏域におきましては、各地域の振興局、市町村、ハローワーク等によって構成いたします雇用関係の協議会を立ち上げまして、これを中心に、地域の実情に合わせたさまざまな取り組みが行われているところでございます。特にも、雇用情勢の厳しい県南地域では、花巻、北上合同での就職ガイダンスでありますとか、県と市による雇用・生活相談会と企業による求人説明会の同時開催など、それぞれの地域の実情に沿った取り組みを、鋭意、進めているところでございます。
〇及川幸子委員 失業状況というのは地域によって大変差があるということで、私の住む県南においては大変工業の集積がなされておりますが、本当に深刻な問題で、住居も、せっかく建てた家も手離されている方が大変多い気がいたします。先ほども申し上げましたが、それが子供たちの教育に大変影響しておりますので、これも本当に深刻な問題として取り上げていただきたいと思っております。
 次にお伺いしますが、不況によって倒産まではしないけれども、会社は存続して営業しているが、従業員の勤務時間が大変短縮しているということで、1週間働いて1週間休む状況がまだ続いているようですが、その辺のところはどのようになっているのか、お伺いいたします。
〇津軽石雇用対策課長 経済状況によりまして、勤務時間を短縮いたしました企業等への支援ということでございますけれども、国の制度でございますが、不況等によりまして業績低下いたしました事業主に対しましては、社員を休業あるいは出向させたり、あるいは操業時間の一部を教育研修に振り向けたと。このような場合には、人件費の一部を助成するという、いわゆる雇用調整助成金という制度がございます。雇用調整助成金につきましては、1人当たり1日7、685円を上限にいたしまして、例えば休業の場合ですと、中小企業では賃金相当の5分の4を3年間にわたり、最高で300日まで助成するというような制度がございます。
 その状況でございますけれども、県内の雇用調整助成金等に係る計画─これはあらかじめハローワークに雇用調整を実施しますよという計画を出してから受給するものでございますけれども、その計画の受理件数といたしましては、5月がピークでございまして、県内で623件、対象者が3万1、351人、8月では563件、対象者が1万5、566人というような状況で推移しております。
〇及川幸子委員 これは国の制度ですが、大変ありがたい制度だと思っております。雇用の部分で急に解雇されるということは、生活、家族を支える中では大変な状況だと思っておりますが、このような制度を活用していくと、まず1週間休んでも1週間働ける、そして給与はまあまあ、減っているけれども何とかということで、8月の状況は大分減っているので努力が実っているのかなと思っておりますけれども、これからもいろいろな部分には注視しながら取り組んでいただきたいと思っております。
 それから、今後の課題と対応についてはどうなっているのでしょうか。
〇津軽石雇用対策課長 雇用対策についての今後の課題と対応ということでございますけれども、地域経済の活性化による持続的な雇用の拡大、それから企業の再編等が予定されておるわけでございますけれども、これらの企業の離職者が、もし万が一出た場合の対応が課題と考えております。県におきましては、岩手県経済・雇用対策本部を中心に、全庁を挙げて経済対策及び雇用対策に努めてまいりたいと思っております。
 具体的には、雇用情勢が依然として厳しい状況にあることから、市町村と一体となりまして緊急雇用創出事業、いわゆる基金事業を活用いたしまして、雇用の機会をさらに創出してまいりたいと思っております。また、今般の9月補正予算等で措置いたしました経済対策等の関連事業を着実に推進するなど、地域経済の活性化にも努めてまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 市町村と一体となり、今後、緊急雇用創出事業などを活用されてということですが、もう一つ、ハローワークの動向なども注視しながら、大変混雑して駐車場にとめられない状況が今続いておりますので、どういう方々がどういう職を求めていらっしゃるかというのも把握しながら、今後進めていただきたいと思っております。
 次に移ります。中心市街地の活性化についてお伺いしたいのですが、市街地の空き店舗利用について、いろいろ工夫をされているとは伺っておりますが、市町村の商店街でどういう工夫をされた取り組みがなされているか、その現況をお知らせいただきたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 商店街の取り組み事例について3例ほど御紹介申し上げます。
 雫石町の中心商店街におきましては軽トラック市を開催しておりまして、多くの人が訪れて、人気イベントとして定着してございます。来年度には、空き店舗を活用したまちおこしセンターを開設するという計画をしてございまして、現在、その運営方法について検討が進められております。
 また、花巻市の上町商店街におきましては、空き店舗に入居したNPO法人により、中高年者などの困りごとをボランティアが支援するという事業を行っております。ボランティアは、その対価のクーポン券を商品券に交換いたしまして、商店街で買い物を行うという仕組みでございますが、まちのコンシェルジェ事業というものが行われております。
 もう一つ、宮古市でございますけれども、末広町商店街では、本年8月に施行されました地域商店街活性化法に基づく活性化計画を策定いたしまして、10月9日付で認定されております。主な取り組みとしましては、空き店舗を活用いたしました市民交流施設で、郷土芸能などの地域に密着したイベントの開催を計画してございます。
〇及川幸子委員 さっきの部長の説明の中で、地域がみずから考え取り組む施策を支援していくと述べていらっしゃいました。
 私、10月3日、土曜日でしたが、東和町の土沢商店街を訪れました。その土沢はいろいろ広報にも載ったようですが、アート@つちざわということで、こういうしおりも発送しておりました。この東和町は、今、委員長を務めていらっしゃいます小田島委員長が町長のときに、ずっと重ねて計画されてきたということで、私の会派にはこういう立派な冊子もございます。ごらんになったでしょうか。これも目を通しました。
 私、この土沢を訪れて大変感心しました。と申し上げますのは、75の商店さんの工夫でいろいろ空き店舗を利用して、アート、美術を飾られておりました。そして、それ以上に、商店を経営なさっている方々の気持ちがお客様に通じているんです。
 私はある金物屋さんに入りました。漬物おけを買おうと思って入ったんですが、子供たちとそれから娘の家族と12人で訪れましたけれども、その店先に、どうぞ召し上がってくださいとざるにクリが、金物屋さんにクリが置かれてあったんです。孫たちは、それをおいしいおいしいと食べていました。私は中に入って漬物だるを買ったんですが、いや、お客さん、1個漬物だるを買っていただいたので、このクリをどうぞ召し上がってくださいと、ビニールに入った1袋をいただきました。どうしたんですかと言ったら、いや、ことしクリの豊作でね、うんととれたから食べてもらいたいのっしゃ。お客さん、気に入ったから、2袋あげますって、漬物だるに2袋を持って帰ってきましたけれども、すばらしいなと。今、そういうお店があるんだろうかなと。商店の方が、お客様に心を売る、そういうお店があるのだろうかと、大変感じ入って帰ってきました。
 そして、ある飲み屋さんの前を通りましたら、扉が開放されておりました。そこに書いてあったのが、とてもユニークなんです。疲れた人はここに自由に入って、勝手に飲んでけろと書いてあるんですね。勝手に飲んでけろと。コーヒー飲んでけろ。そういうふうに書いてあったので、私は子供たちと孫たちとぞろぞろ入っていきました。なるほど、店内は、夜にはすっかり変わるであろう、傘とかいろいろなカラオケの道具があるんですけれども、お店には人がいないんですよ。その中で、訪れた方々が勝手にコーヒーを飲んで、ジュースを飲んで、トイレを借りて。しかしながら、カウンターの中にはタバコも積んであって、とろうと思えばとれる状況なんですよ。しかし、そのお店の方のその気持ち。人を信じる気持ち。やっぱりすごいなという気持ちで、そこでごちそうになってきましたが、いつか夜に訪れて、どういうマスターが経営なさっているのかなと、そこまで思いを描かせるようなお店でございました。やっぱりそういう土沢の誇りというか、土沢町民の誇りというのがこの75の店舗に大分描かれておりました。私はこういうお店こそが、本当にすばらしい工夫を持った商店街のまちづくりじゃないかと思っております。
 いろんなイベントを呼んでまちを活性化している事業は、岩手県内にもたくさんあります。しかしながら、そのまちの商店を訪れる人はいるでしょうか。結局、イベントで出店が出たところには寄っていろんなものを買いますけれども、その位置づけられた商店に足を向ける方はいらっしゃらないのではないかと思います。ですから、この土沢商店の取り組みというのはすばらしいなと思っておりますが、その辺のところはいかがお考えでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 先ほど御紹介申し上げましたように、県内各地で活発な取り組みが行われております。イベントを成功させている商店街もたくさんあるわけですけれども、委員おっしゃるように、イベントの開催が商店街の売り上げに直接結びついていないという声は、私ども商店街に参りまして、関係者の方々からお話をお聞きしますと一様に出てまいります。いずれ、イベントで集まった来街者の方々を店に引き入れるためには、各個店が自分の商売をきちんとお客様方に発信するといいますか、そういう積極的な取り組みが必要だと考えております。それぞれの商店の魅力を高め、中に入って買い物をしたくなるような創意工夫がそれぞれ必要ではないかと思っておりまして、そういった努力も積み重ねていただき、イベントと相乗効果をつくり出せるような商店街の活動の仕方というものを、我々も目指していきたいと考えております。
〇及川幸子委員 地域のそういう部分についてこれから支援していくということでせっかく部長が述べられました、まず、土沢のアート展の開催、1カ月ほど行われますが、いらっしゃいましたか。
〇廣田商工労働観光部長 先日10月3日からスタートということで、私も早速行って見てまいりました。
〇及川幸子委員 安心しました。部長に最後お伺いしますが、にぎわいのあるまちづくりというのは、土沢のような東和の前の─小田島町長が道筋をつけたような、ああいうまちこそがすばらしいのではないかと思うのですが、いかがお考えでしょうか。最後にお伺いして終わります。
〇廣田商工労働観光部長 私も何回かまちは車で通ったことがありますけれども、じっくり先般見させていただきまして、非常に感動いたしました。一つ一つのお店の中に、奥のほうまで、普通は入れないような居間まで開放して、そしてアートを飾っているということが80店舗ほどでしたか、中身の濃さとそれからボリュームに、よくここまでやったものだなと感動したところでございます。
 やはりまちづくりというか地域おこしは、ああいう一つ一つのまちづくり、個店の取り組みがあってこそ、初めて地域活性化につながっていくものだと思っておりまして、4回、5回目と続いてきたようですけれども、ぜひああいう地味なといいますか、地道な取り組みが成功して土沢のブランドが高まるように、我々も可能な限り支援してまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 観光風評被害対策並びに平成20年度、岩手県の観光客の入り込み数が大幅に減少したことについてお尋ねをいたします。
 6月14日に、まさに岩手・宮城の内陸地震が発生いたしましたし、40日後には北部地震も発生いたしました。観光客が大幅に減った原因は、この地震もありますけれども、さらにガソリンの高騰もありましたし、期待しておりました平泉の文化遺産の世界遺産登録の延期というようなことも影響したのではないかと思っております。その現象によって、岩手県は効果的な対策をどのようにとられたのかということ。それから、特にも台湾、韓国からのお客様が大幅に、30%以上減ったというようなことがあります。原因を詳しく分析されていらっしゃいますでしょうか。
 さらには、宿泊施設等で休業に追い込まれたというような実態があるかどうか。それから、そういう観光によっての岩手県の平成20年度の被害額を把握していらっしゃるのか、お聞きいたします。
〇藤田観光課総括課長 観光客の入り込み数の減少に伴うこれまでの対策についてでございますが、県では、2度の大きな地震発生直後から、いわておかみ会と連携した首相への支援要請を初め、テレビやラジオを通じました観光PRに努めてきたところでございます。
 また、いわて平泉・観光キャンペーンや1億円1万人プレゼントキャンペーンの展開など、民間事業者などとの連携によるさまざまな風評被害対策に取り組んできたところでございます。また、引き続き今年度におきましても、首都圏の旅行会社等への知事のトップセールスや、都内のホテルにおきまして岩手の食と観光を丸ごと発信する岩手フェアの開催のほか、国内最大の旅行博・旅フェアへの出展など、本県の観光PRを切れ目なく行い、積極的な誘客に努めてきたところでございます。
 それから、海外からのお客様で、台湾等からの観光客の入り込みが減少していることにつきましては、昨年後半の円高に伴いまして、海外からいらっしゃる観光客の方々にとっては、日本への旅行が非常に割高になったということと世界的な景気の後退というようなことで、海外の方も、なかなか観光旅行に向かう経済的な余裕、意欲がちょっと落ち込んだといったようなことが要因ではないかと考えております。
 それから、宿泊施設の休業の実態、被害額についてでございますけれども、県内の旅館、ホテルのうち、震災直後に休業した施設は7施設ございましたけれども、現在は一関市の1施設を除きまして、すべて営業を再開していると承知しております。
 また、観光統計によりますと、平成20年の宿泊者数は、対前年比で延べ48万5、000人減、率にいたしまして10%減少しておりまして、このことによります県内宿泊施設における売り上げ減少額は、約52億円と推計しております。
〇工藤勝子委員 PRを切れ目なく行ってきたというようなことで、そろそろその効果があらわれてきてもいいのかなと、今、思っているところでもございます。
 そこで、県として、いわて観光おもてなしマイスターですか、それから地域観光コーディネーター等、いろいろそういうのも認定されているようでございますけれども、この全体の人数、それから地域が偏っていないのか、県内全般に広くこういう人たちが配置されていらっしゃるのかというようなこと。それからお仕事の内容、並びにこの人たちに対する、例えば足代ぐらいの報酬が出されているのかというところをお聞きいたします。
〇藤田観光課総括課長 いわて観光おもてなしマイスター、観光コーディネーターの役割等についてでございます。
 いわて観光おもてなしマイスターにつきましては、県内の観光施設や宿泊施設の従業員を対象にいたしまして、地域のおもてなしのリーダーを養成することを目的として、岩手県観光協会が実施している認定制度でございまして、特に報酬の設定はしておりません。
 平成20年度末現在、マイスターを認定した方々は90名となっておりまして、ほぼ全県にわたって認定をしております。数的には若干、県北沿岸部のほうの認定者数が少ないというようなことがありまして、今年度のマイスター認定のための講習会には、そういった認定者数の少ない地域の方々にも、広く参加を呼びかけて実施しているところでございます。
 認定されたマイスターの方々ですけれども、地域におきまして、おもてなしの向上に向けた自主的な活動に取り組んでいただいているところでございます。
 観光コーディネーターですけれども、こちらは地域の観光力の強化のために、戦略的な情報発信あるいは各種体験、宿泊施設等々の総合窓口といたしまして、地域内の受け入れ調整の役割を担う中核コーディネーターというものを三陸鉄道に配置しております。これは1名でございます。この方は、観光素材の掘り起こしや旅行商品の造成、あるいは旅行会社等への企画提案といったような業務を行っているところでございます。
 報酬につきましては、平成20年度の実績は約420万円となってございます。
〇工藤勝子委員 今までの平成20年度災害等も踏まえていろんなPRをしてきたわけですけれども、今後また新たなPRの方策について考えていらっしゃるのか。
 それから、まさに市町村が一生懸命にならなければお客様もふえないんじゃないかなと思っておりますけれども、今年度に入ってからでもいいですけれども、今後、市町村が新たに観光対策について取り組んでいるいい事例があれば、御紹介いただきたいと思います。
〇藤田観光課総括課長 今後のPRの方策についてでございますけれども、平泉文化遺産の平成23年の世界遺産登録も見据えまして、本年9月に、ユネスコの無形文化遺産に登録されました早池峰神楽など、本県の魅力を情報発信できるよう、いわて・平泉観光キャンペーンを活用し、首都圏主要駅などでのポスター掲出やガイドブックの配架、あるいは新聞及び旅行雑誌への広告掲載を行うほか、観光ホームページ等の充実により、県外からの観光客の増加に向けて、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 それから、市町村との連携でございます。年度始めに、市町村、市町村観光協会などと合同の担当者会議を開催いたしまして、県の観光振興の取り組みを説明するとともに、市町村等からも幅広く意見を聞くなど、すり合わせを図っているところでございます。
 今年度ですけれども、ほかにも、いわて・平泉観光キャンペーンの実施に際しまして、事前に地域に出向いて協力要請を行うとともに、実際にガイドブックの作成に当たりましては、市町村と丹念に調整を行って、地域での新たな取り組みを取り上げたところでございます。例えば、来年、遠野物語刊行100周年といったような事業が予定されると伺っておりますので、そうした市町村との連携も緊密にとりながら、県全体の観光振興につながるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 最後に、各市町村の独自の情報発信の仕方というようなこともあるでしょうし、岩手県の情報発信もあるだろうなと思っております。そういう中で、どこの観光地に行っても女性、特に私たちの年代層、退職された人たちが、男性よりはかなり多いと思います。そういう人たちのニーズは何かというと、やはり遠野に来る人たちも、風景というのもありますけれども、一番は食べ物なんですね。あそこの食べ物がおいしかったと、変わったものを食べたとか、そういうのでまた行ってみたいという、食にこだわっている人達が今、非常に多いのではないかなと思っております。ですから、岩手ならではのすばらしい、岩手の食材を使った新たな食品開発、それからお土産品の開発、そういうことも非常に大事ではないかなと。そして、観光客のニーズを的確につかんで、そのことをさらに情報発信をしていくということが大事ではないかと思っています。まさに岩手のおもてなしの心、岩手の心をこれから売って、どんどんPRしていただきたいと思います。部長の所感を聞いて終わりたいと思います。
〇廣田商工労働観光部長 やはりこれからの観光は、ストーリー性、物語性があること、あるいはまち歩き、そして食という、その辺が大変重要だと我々も考えてございます。岩手にはごらんのとおり、すばらしい地域資源がたくさんございますので、これらを存分に活用して、大いに全国に情報発信を進めて、観光振興に努めてまいりたいと思っております。
〇亀卦川富夫委員 私からは、県工業技術センターと県立産業技術短期大学校についてお伺いいたします。
 まず、技術革新あるいは技術開発など産業振興、さらに企業支援にとって極めて重要な役割を担っている岩手県工業技術センター、この実績と成果について、また、地方独立行政法人としての経営状況についてお尋ねいたします。
〇黒澤科学・ものづくり振興課総括課長 まず、岩手県工業技術センターの実績と成果についてでありますが、県工業技術センターは、企業や地域が気軽に相談できるサービス機関を目指し、創るよろこび、地域貢献を基本理念に、企業等に対する支援業務と研究業務の二つの柱で各種事業を実施しております。
 支援業務につきましては、技術相談や依頼試験、それから機器・施設貸し出しなど、平成20年度の実績で8、405件の利用があったところでございます。
 また、研究業務につきましては、基礎的な技術開発を目指す基盤的先導的研究、それから、県からの受託研究や地域課題などに取り組む主要研究など、合わせまして57テーマで研究開発が実施されたところでございます。
 主な成果といたしましては、食品分野では、魚介類等地場食材を利用した介護予防食品の製品化、それから、ヤマブドウを利用した機能性食品の製品化、醸造分野では、オリジナル酵母を使用した県内産の新酒が平成20年度の全国新酒鑑評会で金賞を受賞しましたほか、自動車用金型の補修、加工技術などの実用化技術開発で特許出願11件。それから、岩手・青森県境に不法投棄された産業廃棄物の再資源化研究による溶融スラグのコンクリート用骨材への利用などにつながった事例が挙げられます。
〇亀卦川富夫委員 この設置目的は、今お聞きしまして相当活動されているようでありますが、達成度という面ではどのように考えられているでしょうか。
 それから、独立行政法人でありますから経営上の問題というようなことがないのかどうか、お伺いしたいと思います。
 さらに、知的な財産権、特許とかあるいは実用新案、意匠、商標などがあるわけでありますが、これの取得といいますか、これに対する成果としてのもの、さらにこれの実用化、企業の活用状況についてお伺いしたいと思います。
〇黒澤科学・ものづくり振興課総括課長 まず、達成度と評価についてでございますが、平成18年度の地方独立行政法人化後、毎年度、第三者機関の岩手県地方独立行政法人評価委員会による業務運営や目標の達成度の評価を受けているところでございます。
 平成20年度の評価結果につきましては、中期計画に定める4項目及び総合評価で、計画どおり進んでいるという評価をいただいたところでございます。
 また、昨年度実施しました企業満足度アンケート調査におきましては、工業技術センターが提供するサービスにつきまして、約8割の方から、満足及びおおむね満足という回答をいただいたところでございます。
 それから、運営上の課題ということでございますが、工業技術センターにおきましては、今後の技術トレンドや企業ニーズを的確にとらえながら、人材や機械設備等経営資源の充実強化を図っておりまして、企業経営のパートナーとして、厚い信頼のもとに広く利用されるセンターを目指す必要があると考えております。
 人材につきましては、人事計画を策定し計画的な職員採用を行っているとともに、職員育成基本計画の策定による職員の資質向上に努めていくこととしているところでございます。
 また、機械設備などにつきましても、施設・設備修繕計画や機器整備計画の策定により、計画的に施設・設備の修繕や更新、機器の導入を図っているところでございまして、現在のところ、円滑な運営が図られているものと認識しております。
 また、特許、意匠、商標などの知的財産権についてでございますが、企業との共同出願を含めまして、これまでに工業技術センターでは74件の知的財産の出願をしてございます。そのうち、27件が登録査定を受けているところでございまして、成果の活用につながる企業への実施許諾につきましては47件になってございます。
〇亀卦川富夫委員 大変いい成果が上がってきていると思います。そこで、さらに期待したいのは、地球温暖化といった環境問題に対する今後の技術革新あるいは技術開発というものが相当望まれているのではないか、あるいは企業にとってはチャンスだろうと思います。そういった環境部門の充実とか、さらに、先ほど触れられましたが、食産業というものが、やはり岩手にとっては岩手らしさといいますか、岩手ならではの産業ということでの育成だろうと思います。そういった意味で、工業技術センターとして、今後、環境部門あるいは食産業といったものに対する前向きといいますか、積極的な推進が必要だろうと私は思いますが、どのようにお考えでしょうか。
〇黒澤科学・ものづくり振興課総括課長 地球温暖化対策あるいは食産業に対する対応についてということでございますが、工業技術センターにおきましては、食産業については先ほど2点ほど事例を紹介いたしましたが、そのほかに地球温暖化対策といたしましては、酸化亜鉛単結晶を応用した発光ダイオードや圧力センサーの開発、木質バイオマスを活用したペレットストーブやチップボイラーの開発など、温暖化対策に資する技術開発にこれまでも積極的に取り組んできたところでございます。低炭素社会の実現に向けまして、太陽光発電などへの関心が一層高まっている状況、食産業への関心が高まっている状況を踏まえまして、現在、工業技術センターにおきましては技術革新に対応した技術ロードマップというものの策定を進めているところでございます。この技術ロードマップの作成を受けまして、企業ニーズを的確にとらえながら、今後、技術相談や共同研究開発などへの対応を進めていきたいと思っております。
〇亀卦川富夫委員 次に、産業技術短期大学校についてお尋ねいたします。産業を担う人材育成ということで、非常に期待の大きいところでありますが、これまでの産業技術短期大学校の目的に沿った実績、成果、そういったことについてお尋ねすると同時に、現状におきまして学校経営上の問題はないのかどうかお伺いします。
 あわせて、平成20年度の、先ほど来の大変厳しい雇用状況の中で、産業技術短期大学校の卒業生の就職状況についてお尋ねいたします。
〇川村労働課長 県立産業技術短期大学校の実績と成果についてでありますが、平成20年度の入校状況につきましては、矢巾校、水沢校を合わせました定員170名に対しまして186名の入校者があったところです。産業技術専攻科を含むすべての科で、定員もしくはそれを上回る入校者がありました。また、平成20年度の就職状況は、矢巾校、水沢校を合わせました修了者174名のうち、進学者等を除いた149名が就職し、そのうち93名が県内企業に就職しております。
 次に、学校経営上の問題についてでありますが、少子化に伴いまして18歳人口が減少しております中で、意欲ある学生の確保が主要課題となっております。応募者が平成14年度をピークに平成18年度まで減少しておりました。このため、入試科目の変更等入試制度を見直したことなどによりまして、平成20年度は応募者数の減少に歯どめがかかっているところです。今後も、県内高校等に積極的にPRを行っていきながら、応募者の確保に努めてまいりたいと思っております。
 次に、就職状況についてでございますが、県立産業技術短期大学校では、ものづくりの担い手を育成することを目的として設立されておりますが、年間の県内就職率を70%として定めております。しかし、設立以来、70%前後で推移してきたものの、昨年度は7割を割りまして、62.4%と下回ったところであります。今年度におきましても、就職率が昨年よりも下回る状況で推移しているところでありますが、11月から、就職支援員を配置するなどいたしまして、その厳しい就職戦線を克服するために、県立産業技術短期大学校に就職先の開拓等を行う人員を配置したところであります。
〇亀卦川富夫委員 ひとつしっかりした取り組み方をお願いしたいと思います。
 そこで、先ほども工業技術センターの分野でお聞きしましたが、新しい時代といいますか、非常に技術革新が進んでいるところでありますので、産業技術短期大学校におきましても、カリキュラムというんでしょうか、さまざまな分野において習得する部分を見直すというようなものがあるいは必要なのではないかというような気がしておるんですが、この辺の課題については、今、どのようなとらえ方をしているのでしょうか。
〇川村労働課長 最近の企業の技術革新や環境問題にも対応できるカリキュラムにより人材育成を進めていくことが、設立目的に合致するものと考えております。環境問題等への取り組みにつきましては、水沢校の建築設備科におきまして、環境工学概論などもあり、建築、空間、環境とのかかわりを学び、環境問題をみずから考えられる能力を養い、企業のニーズに対応しているところであります。また、同校の電気技術科では、太陽光、風力に代表される自然エネルギーに関する技術を習得することが可能となっております。今後も、企業訪問や運営推進協議会等により企業の技術革新や環境に関するニーズを把握しながら、引き続き、それらに関する技術について対応できる人材を育成してまいりたいと考えております。
〇亀卦川富夫委員 最後に、これは部長にお伺いいたしますが、今まで、工業技術センターあるいは産業技術短期大学校につきまして、平成20年度の決算をもとにいたしまして、実績あるいは今後の課題についてお伺いしました。これから、岩手の産業振興という意味で、企業の支援とかあるいは人材育成の立場から、今の両施設は非常に地味でありますが、実績を着々と重ねていると思うんです。
 そこで、今までのこういった課題等を整理いたしまして、平成22年度に向かって、今後どのような取り組み方をしていくか。私は積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、部長の御見解をお伺いして、終わりにしたいと思います。
〇廣田商工労働観光部長 本県のものづくり産業の振興の強みは、やはり人材にあると考えてございまして、その人材を支えている一端に、産業技術短大初め職業訓練施設があると思っております。もう一つは、産学官連携もまた柱の一つになってございまして、これは大学と研究機関、我々行政、そして民間ということで、がっちりとネットワークを組んでいく、この辺の人材と産学連携がかなめだと思っておりまして、今、るる課題を御説明いたしましたけれども、それらを踏まえながら、新たな企業のニーズをよく把握して、的確な平成22年度の施策を展開してまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 お手元の歳入歳出決算事項別明細書の222ページの雇用促進費の関係についてお伺いいたします。
 ちょっと風邪を引いたかどうかあれなので、声が出なくて、ちょっと済みません。
 実は、ジョブカフェの関連について、まずお伺いいたします。ジョブカフェいわて、そして県内5地域で市町村と共同運営しております地域のジョブカフェの関係でございますが、まず、雇用環境の改善の一環として、ジョブカフェがどのような役割を果たされているのか、その事業の実施状況の内容、そして成果、課題があるとすれば、どういう課題があるのか、まずそのことについてお伺いいたします。
〇津軽石雇用対策課長 ジョブカフェの事業の実施状況、あるいはそれに伴ういろんな諸課題についてという御質問でございましたけれども、まず、ジョブカフェは、ジョブカフェいわても含めまして、今、県内7カ所に設置しております。平成20年度の利用者でございますけれども、延べ5万3、009人というような形で推移しております。
 そのサービスの内容でございますけれども、キャリアカウンセリングでありますとか、適性診断あるいはスキルアップのためのいろんなセミナー、それから、E−ラーニングと申しまして、パソコン上でいろんな教育システムを提供する、そのような形でサービスを行っております。
 それから、市町村との連携ということでございますけれども、市町村からは職員の方を派遣していただいたり、あるいは場所を提供していただいたりということで、いろんな形で共同で設置するというような取り組みをやっております。
 課題といたしましては、ジョブカフェは若年者の雇用促進のための施設でございますけれども、若年者の中に、やっぱりなかなか就職が進まないという現状がございまして、これらに対しまして、今後、カウンセリングを中心に、ハローワーク等と連携しながら対策を進めていくことが課題ではないかと思っております。そのような取り組みをしているということでございます。
〇高橋昌造委員 次に、県外の若手人材等のUターン事業について、そのために県ではUターンセンターを設置されておるわけですが、この設置の意義と施策目標、どういう目標を立てて事務事業を進められているのか。そして、その事業に対して、いわゆる計画に対しての達成状況がどのようになっているのかお伺いいたします。
〇津軽石雇用対策課長 岩手県Uターンセンターについての御質問でございます。まず、岩手県Uターンセンターの設置の意義ということでございますが、人口減少が進んでおります岩手県におきましては、首都圏等県外に流出した若年者を何とか地元に帰っていただいて定住していただく、あるいは首都圏等から岩手県のほうに定住していただく、いわゆるIターンと申しますけれども、そのようなことによる定住促進が必要でございます。そういった意味で、そういった希望者の方々の相談窓口として東京事務所に設置しておりますのがUターンセンターということでございまして、そういったことがこの施設の意義ということになろうかと思います。
 それから、目標でございますけれども、いわて希望創造プランの目標におきましては、平成22年度まで県外からの定住者、定着者を一応1、000人という目標を定めてございます。これに対する達成状況でございますけれども、平成20年度の岩手県へのUターン者の人数は、これは労働局からのデータでございますけれども、714人ということでございます。
〇高橋昌造委員 次に、出稼ぎ労働者の実態についてお伺いいたします。
 今、景気の低迷等によって出稼ぎ労働者がふえているのかどうか。まず、平成20年度の出稼ぎに出られた人数はどのぐらいか、そして、昔は出稼ぎというと高齢者の方が多かったわけでございますが、どのような年齢構成になっているか。職種も、今までであれば、技能労働ということで酒屋とか何かだったんですが、どのようなことに従事しているか、その作業内容というか職種、そして、どういうところが出稼ぎ先─きょうちょっと見させていただいたんですが、県政便覧には出稼ぎの振興局単位の実態は出ているんですが、県内35市町村の市町村単位で、これからの雇用対策をしっかりやっていくのであれば、振興局単位よりも市町村単位で、もしおわかりになるのであれば教えていただければということで、お伺いいたします。
〇津軽石雇用対策課長 出稼ぎ労働者対策の実態等でございますけれども、県内の出稼ぎ労働者数は、平成20年度で4、553人となっております。これは、年度で比較いたしますと、例えば昭和47年には4万5、000人余りおったわけでして、それに比較いたしますと、相当数減っているという状況でございます。
 それから、年齢構成でございますけれども、50歳から59歳までが36.1%、60歳以上が41.7%ということで、いわゆる高齢者の方が非常に多いというような状況にございます。
 それから、職種でございますけれども、いろいろ市町村等から聞いているところでは、建設関係あるいは杜氏というような方が多いと聞いております。
 それから、出稼ぎ先でございますけれども、都道府県単位で申し上げますと、東京都が17.4%、神奈川県が17.8%ということで、いわゆる首都圏への出稼ぎ者の方が多いというような形でございます。
 それから、市町村別ということでございますが、主なところでは、久慈市が1、467名、洋野町が712名、花巻市が298名というような形でございます。花巻市の場合は杜氏が多いのではないかと思っております。
〇高橋昌造委員 今お聞きすると、首都圏への出稼ぎが多いということは、労働条件とか労働災害ということも心配されますので、今、各市町村には出稼ぎ相談員が設置されているわけですが、やはり市町村と県はしっかり連携をとっていただいて、出稼ぎ労働者の雇用の実態を把握しながら、しっかりした対応をしていただければと思います。
 最後に、ちょっと通告しておらなかったんですが、高齢者の雇用対策の一環として、今、シルバー人材センターは県内35市町村にすべて設置されておるのか。それから、どのような状況にあるのか。そして、もしおわかりになるのであれば、今、シルバー人材センターに登録されている数はどのようになっているか、そして、就業率もわかれば教えいただきたいと思います。
〇津軽石雇用対策課長 シルバー人材センターの設置状況でございますけれども、現在、シルバー人材センターは県内27カ所に設置してございます。そのほか、いわゆる合併した市町村等におきましては、支所のような形で事務所を別途設置しているところもございます。
 それから、シルバー人材センターの会員数ということでございますけれども、8、151人という形になっておりますし、就業延べ人数は61万9、419人で、この方々は短期でいろんな仕事をなさいますので、そのような形の状況になってございます。
〇高橋昌造委員 最後に、廣田商工労働観光部長に、先ほど冒頭で力強い御説明をいただいたんですが、いずれ、雇用環境の改善のためには、県だけじゃなく、市町村または国としっかりした連携強化をしていかなければならないと思うんです。いずれ、今、雇用の問題で、例えば私が地元に帰れば、商工会なんかはあれなんですが、どうしてももう人を使えない、そのぐらい厳しい状況になってきていると。今まではぬくもりがある対応をしておったんですが、もうそれもできないような状況になってきているという、本当に厳しい雇用実態にあるわけでございます。
 そこで、部長に最後にお聞きいたしますのは、いずれ、いろんなあらゆる分野と連携強化、そして現場にも足を運んでいただいて、今置かれている状況がどのようであるか、そして、やはりこれも国にしっかり発信していかなければならないと思うんです。そういった意味で、部長が今の県の雇用対策についてどのような思いで、そして、今後どのように対策を講じられていくのかお伺いして、終わります。
〇廣田商工労働観光部長 雇用情勢は、一ころの1月、2月に比べますと、大分底を打ったというような状況も出ておりますけれども、2番底というようなお話で、経済的な数字は当時に比べると若干上がっておりますけれども、雇用に関する数字はなかなか思ったように上がっていない、予断を許さないという状況にあります。そして、県内では、北上川流域の誘致企業の解雇が進んで、離職する方々がこれから何百人と発生するということで、誘致企業へのケアというものが大切になっております。
 それから、今、高橋委員からお話のありました県内の中小企業の皆さん方は非常にぎりぎりの経営努力をされて、何とか職員、社員、従業員の方々を首を切らないで頑張っているというようなお話もたくさん聞いておりまして、これは両面で、我々はできるだけ現場の話を聞いて、的確な対応ができるように今後とも頑張っていきたいと思っております。
〇工藤勝博委員 一つ目に海外事務所の運営についてお聞きします。岩手県では、海外事務所はソウル事務所、大連事務所があるわけですけれども、その効果といいますか、成果と今後の見通しについてお聞きします。
〇藤田観光課総括課長 北東北三県・北海道ソウル事務所についてでございますけれども、この事務所は平成14年11月に開設いたしまして、現在、所長1人、現地採用職員3人の体制で運営しております。これまで、観光商談会の開催、韓国の新聞社等とタイアップした情報発信、旅行会社やマスコミの方々の招聘事業などに取り組んできたところでございます。
〇橋本産業経済交流課総括課長 岩手県大連経済事務所についてでございますけれども、平成17年4月に開設いたしまして、現在、所長1人、現地採用職員3人の体制で運営してございます。これまで、大連市との双方向チャーター便の実施、大連商談会の開催、中国からのバイヤー招聘事業などに取り組んできたところでございます。平成20年度の県負担金決算額は、人件費を含め2、669万円余りとなっているところでございます。こうした取り組みを通じまして、平成20年の本県からの香港を含む中国への輸出額が、水産物で約11億円、日本酒が約1、200万円、南部鉄器は約1、400万円に達しておりまして、輸出が着実に軌道に乗ってきているという状況にございます。このほか、大連商談会を契機といたしまして、昨年来、県内企業と中国企業との合弁などによる事業展開などが活発化してきておりまして、費用に見合った、あるいはそれ以上の効果があらわれてきているものと考えております。
〇工藤勝博委員 私も、去年ですけれども、日韓親善議員連盟の30周年記念事業ということで、ソウルの岩手事務所に参加させてもらいました。その懇談会、意見交換の中で、北東北の青森、秋田、岩手、北海道の観光客の入り込み数なども詳しくお聞きしましたけれども、何はともあれ、岩手県が一番少ないなと。どういう事情なのかということで詳しく聞いたところ、やはり知名度がない、岩手ってどこにあるのやということがまず真っ先に声が出る。ところが、安比とか雫石は知っているんですということで、やはりそういうコマーシャルの仕方がまだまだ不十分ではないのかと思っております。また、定期便が青森にイン、そしてアウトが秋田とか仙台とかと、岩手がちょうど抜けているという状態が実際にあるわけです。そういうことで、もう少しやっぱり一工夫も二工夫も必要ではないかと思っていますけれども、その辺についてはどのような考えでしょうか。
〇藤田観光課総括課長 北東北三県・北海道ソウル事務所の取り組みを通じまして、開所以来、本県を訪れる韓国人観光客の入り込み数は年々増加傾向にございます。昨年、世界的な景気の後退、あるいは円高等で減少いたしましたけれども、一昨年の平成19年は1万5、000人強と過去最高を記録したところでございます。
 岩手の知名度でございますけれども、そういったソウル事務所を中心といたしました観光客の誘致活動はもちろん、昨年、韓国観光公社が韓国映画祭in岩手を開催いたしましたし、韓国人俳優のペ・ヨンジュンさんが岩山の漆芸美術館の名誉館長に就任するなど、さまざまな面で本県との交流が始まっておりまして、岩手の韓国における知名度というのは着実に高まってきているものと考えております。
〇工藤勝博委員 ソウル事務所は輪番制をとっているということを伺いまして、平成21年度、平成22年度は岩手の番ということのようですけれども、それに関して、商工労働観光部のほうではどなたかは行っているのでしょうか。この資料の中では観光協会に委託しているということもあるんですけれども、その辺の往来というのはどのような状況になっているのでしょうか。
〇藤田観光課総括課長 現在、所長1人は本県の職員を派遣しておりまして、平成21年度、平成22年度の2年間の予定で、県の職員を観光協会のほうに派遣いたしまして、このソウル事務所を管理運営委託しております観光協会の職員として現地のほうに赴任してございます。
〇工藤勝博委員 いずれ、韓国でも、中国でも、台湾でも、北東北に来るお客さんの声を聞くと、スキー場、ゴルフ場、あとは温泉と三つのセットで、かなり興味がありますよということを言われているので、その辺も含めて、岩手だけのエリアじゃなく、やっぱり北東北これこれという、何といいますか、商品としての販売をするべきだろうと思います。
 次に、ものづくり産業の人材育成ということでお伺いしますけれども、いろんなメニューの中で人材育成がありますけれども、一つは、何といいますか、企業の中での仕事というよりは、私は、先ほど来話がありますけれども、例えば閉鎖された会社の多くの技術者を人材育成して、地元で企業を起こしてもらう。一つの会社に送り込む人材より、会社の中でさらにすぐれた人材を、何とか岩手で起業のほうへと取り組む必要があるのではないかと思っていますけれども、その辺についての人材育成の方針はどのようになっているでしょうか、お伺いします。
〇阿部経営支援課総括課長 県内の事業者育成につきましては、新規に起業する人材も貴重でございますので、私どもの外郭団体でありますいわて産業振興センターとタイアップいたしまして起業家育成支援を行っております。まず、起業家大学を今年度開催してございますが、講座形式でもって人材養成をいたしまして、起業の計画を実行する企業に対しましては、県単融資の起業家支援融資ですとか起業家支援のネットワークというものがございますけれども、金融、税務ですとか会計、そちらのほうの指導をする専門家を派遣いたしまして、何といいますか、密着指導して育てていくというようなシステムで育成してございます。
〇工藤勝博委員 5年ぶりにまた起業家大学を再開したということも新聞報道でもありました。実は大分前になりますが、アルプス電気が閉鎖して中国に行ったんですけれども、そこの技術者は、やはり向こうには行けない、地元で新規に独立してやるんだという気概のある起業家もおりました。そこからやっぱり、何といいますか、点から面になっていくような一つの集積ができるのではないかと思っています。逃げられる企業じゃなく、つくる起業のほうにも力を注いでもらえればいいなと思っていますので、この起業家大学の、5年ぶりということですけれども、ぜひ積極的な取り組みを望みたいと思います。
 次に、食産業が大変好調だということを伺っております。年々産出額もふえているということですけれども、食産業で、実際、岩手県産の原料がどの程度使われているのかお伺いいたします。
〇橋本産業経済交流課総括課長 食産業に関して、県産の原料がどの程度使用されているのかというお尋ねかと思います。地産地消といった取り組みを進めてはおりますけれども、食産業全体が大変幅広い分野、業種にわたっておりまして、個々具体的にどの程度の割合で原料が調達され、使用されているかについては、現在、手元にございませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
〇工藤勝博委員 大変好調だという割には、原料が例えば中国から来ているとか、外国から来ている原料を使っての食産業が調子がいいというのであれば、ちょっとこれもまたいかがなものかなという思いもしております。そういうことのないように、やっぱり県産のものを十分に使いながら食産業を推進していただければいいなと思いますし、その辺がわかり次第、ぜひお示し願いたいと思います。
 次に、清算法人になりました八幡平観光のことについて毎回お聞きしますけれども、実際、清算になった後の後始末というのは、これはまた大変だろうと思うんです。その辺もきちっと整理しながらやっていただかないと、いつまでもだらだらされても大変だろうと思いますし、その辺の見通しについてお伺いいたします。
〇藤田観光課総括課長 八幡平観光株式会社の法人整理についてでございますけれども、直近の債権者集会におきまして、破産管財人のほうから、現在、換価可能な資産の売却を進めていて、引き続きスキー場とその関連施設の売却に努めるとともに、買い受けの可能性のない建物の撤去に努めたいという報告があったと聞いております。
 現在、八幡平観光株式会社の施設につきましては、破産管財人の管理下に置かれているという状況でありますので、破産管財人の対応を注視して、県で可能な支援というものを見きわめて対応してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 最後に、部長から一つお聞きしたいんですけれども、先ほどの観光の目玉にもなっているスキー場を含めて、八幡平スキー場はとってもいいと今でも多くの皆さんから言われます。特にも冬の樹氷を見られるのは、温暖化になると、八幡平、八甲田しかないんじゃないかというような状況なわけで、何とか、スキー場も含めて再開できる道筋はないのかということをお聞きして、終わります。
〇廣田商工労働観光部長 スキー場につきましては、やはり東北でも価値の高いスキー場と我々も考えております。八幡平市と一緒になって、いろいろと引受先を探している状況ですけれども、今のところ該当するところが出てきてないという状況にございまして、引き続き、その辺の動きを注視しながら、市役所と連携をとっていきたいと思っております。
〇喜多正敏委員 雇用情勢についてお伺いいたします。雇用情勢は大変深刻であります。新卒者も大変であるわけでありますけれども、求人数の少ないといううらみのある中高年の雇用促進についてお伺いします。
 平成20年度の中高年齢者の県の雇用促進の取り組みと実績、最近の情勢と課題を踏まえた今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
〇津軽石雇用対策課長 中高年の雇用促進についてのお尋ねでございます。
 まず、中高年の雇用情勢でございますけれども、岩手労働局が発表いたしております中高年齢者職業紹介状況というものがございますが、これによりますと、平成20年度実績で、45歳以上の中高年齢者の新規求職申し込み数は、全体で3万3、704人となっております。これに対しまして、中高年齢者の就職件数は8、349人ということになっております。
 このような状況でございまして、これに対する課題といたしましては、働く意欲と能力を有する中高年齢者の方に、もっと有効な雇用の機会を提供する必要があるのではないか、また、中高年齢者の方の抱える特有の問題もございまして、これに対する雇用のミスマッチがあるということでございます。そういったものを解消していくことが今後の課題ではないのかと思っております。
 県といたしましては、これに対しまして、10月が高年齢者雇用支援月間ということになっておりますけれども、このような月間を機会に、事業者の方々に、定年の引き上げでありますとか継続的雇用制度の導入などによりまして、長期の雇用の確保というようなことを普及啓発していくことが必要ではないのかと思っております。また、今般、9月の補正予算におきまして、高齢者いきいき生活支援事業ということで、シルバー人材センターに、地域の高齢者向けの雇用あるいは就業状況の調査、周知を行う推進員を配置することにしておりまして、このような取り組みによって、中高年齢者の方々の雇用の確保あるいはミスマッチの解消に取り組んでまいりたいと思っております。
〇喜多正敏委員 中高齢者というのは家族もあって、教育とかあるいは扶養とか介護とか、いろいろ問題も抱えて、お金もかかる世代でありまして、ぜひ、定年後に定年延長とかという前に、今、現に失職している方々が多いわけでありますので、ぜひ─メニューを見ますと、若年とか、若い人たちに目が向いているわけでありますけれども、こうした層にも大いに目を向けてやっていただきたいと思います。
 それから、先ほど、高橋昌造委員からシルバー人材センターのお話がありました。シルバー人材センターはそれぞれ頑張っているんですけれども、その職種を見ますと、どうも現業系の作業が多い。問題は、我々サラリーマンといいますか、ホワイトカラーというのは、失職したりあるいは定年退職すると、そういう向きの仕事がシルバー人材センター自体に少ないのではないかと私は思っているわけであります。したがいまして、ただ人数の話だけではなくて、職種についても、そういう職を求めている層に合った仕事の開拓や教育が必要ではないかと思いますので、それについてもぜひお取り組みをいただきたいと思います。
 もう一つは、雇用されるばかりではなく、先ほど起業の話もありましたけれども、働く人たちが、協同による労働として協同組合をつくったり、そういうことによって、コミュニティビジネスや仕事や働く場の創出をするという活動をしている団体が県内にもあるわけでありますけれども、そうした実態、あるいは評価についてどのように思っておられるか、また、県では平成20年度、そうした団体についてどのような支援をされ、今後どのように対応していくか、お伺いしたいと思います。
〇川村労働課長 団体の状況についてでありますが、協同による労働を目指し活動している団体には日本労働者協同組合連合会センター事業団があり、本県には盛岡市に盛岡事業所があると伺っております。この団体は、高齢者、児童、障がい者等の福祉事業、就労支援事業、施設管理等の業務を行っており、現時点においては、協同労働による協同組合の根拠法がないため、特定非営利活動法人や企業組合法人の法人格を取得して活動しているものであります。
 次に、県の評価と支援状況、今後の対応についてでありますが、県は、当該事業所から、全国的な活動や、協同労働の協同組合の法制化の動きなどの情報提供を受けているところであります。協同労働は、働く者、市民が協同で出資し、経営し、働くという新たな働き方と認識しており、県としては、こうした団体への情報提供や連携の取り組みなどの対応をしていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 そうした団体のほかに、高齢者の人たちが集まった協同組合などもあったり、生協関係でもそうした取り組みがあるということでありますので、県だけが対応するということではなくて、そういう関係団体や市町村をぜひ巻き込んで、そういうことについて情報交換する中にあって、そういう仕事の開発や、あるいは働く人にとっては継続して働かなければならないわけであります。そうした意味において、マネジメントの能力も必要になってくると思いますので、ぜひ、そういう情報公開や話し合いをする場を設けて取り組んでいただきたいと思うのでありますけれども、部長、その辺はどのようにお考えでしょうか。
〇廣田商工労働観光部長 本県につきましては、昨年10月の本県議会におきまして、国に対し、協同労働の協同組合法の速やかな制定を求める意見書提出というようなことで、そういった状況にございます。こういった新しい働き方は、一つの新たな取り組みだと我々も認識しておりまして、法制化の動きを見ながら、市町村との関係、あるいは関係団体との関係はどういうふうな形がいいのかをいろいろ検討してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 法制化については国会のほうでいろいろまた検討が進むかもしれませんが、私は、法制化した後の話ではなくて、今、そのように活動している団体等について、いろんな仕事の仕方とか情報提供、あるいは団体の運営等についてアドバイスをしてはどうか。それについて市町村とともに関連業界をまとめながら、あるいは商工団体とも連携しながら、そういう場を設けて支援してはどうかと質問しているわけでありまして、法制化の話とは別に、今、現にどうするかということについてお伺いしているのでありますが、どうでしょうか。
〇廣田商工労働観光部長 県内のそういった団体の担当の方々がうちのほうに来て、担当レベルでいろいろと情報交換はしている実態がございます。さらに、そういった場をつくっていくかどうか、市町村を巻き込んだそういう組織をつくっていくかについては、今後検討してまいりたいと思っています。
〇喜多正敏委員 雇われる就職口も大事でありますけれども、やっぱり地域経済の活性化とか、介護とか、いろいろ不足している分野もあるわけでありますので、まさにそうした中でコミュニティビジネスを進めていくということは、草の根民主主義とか、あるいはみんなでつくるふるさとづくりということにおいても重要だと思いますので、ぜひ、前向きにお取り組みをいただきたいと思います。
 次に移ります。平成20年度の主要施策の成果に関する説明書において、認定職業訓練校で、長期間の訓練課程の修了者数の目標値150人について、この150人の根拠、それから実績が136人と下回った原因、同様に短期間の訓練課程の修了者数が2、590人と目標が定められているわけでありますけれども、その根拠と、実績が残念ながら2、408人と下回った原因についてお伺いしたいと思うわけであります。
 実は、認定職業訓練校においては、平成20年6月議会において、平成10年度の700人台から平成19年度には140人へと激減をしている、こうしたことに対応して、国の補助基準の見直しを働きかけられたい、あるいは訓練協会が関連業界と連携を図りながら、県の力強い指導、支援が必要と思われるがどうかと質問いたしました。それに対して廣田商工労働観光部長は、補助要件緩和の働きかけを行うとともに、会員業種の拡大など運営指導を行うとともに、訓練強化や支援に取り組んでまいりたいとお答えになったわけでありますが、そうしたことを踏まえて、課題とその取り組みの状況、今後の対応についてお伺いしたいと思います。
〇川村労働課長 目標値の根拠と、実績が下がった理由についてでありますが、まず、目標値につきましては、平成18年度を基準値といたしまして、長期訓練修了者、短期訓練修了者ともその数値を目標値としたものです。
 平成20年度が目標値に対して実績が下がった理由についてでありますが、職業訓練協会の構成員の多くは建設関連業種でありまして、厳しい経済情勢の中で企業の新規雇用の手控え等から、建設関連業種の訓練生数が減少したことによるものです。
 次に、それぞれの課題についてでありますが、課題としましては、訓練生の減少、会員の業種の偏り等が課題になっておりますことから、認定訓練の多様化を図り、会員数の減少に歯どめをかけるため、多様な企業と連携し、それぞれの地域のニーズに対応して訓練内容を見直していく必要があると考えております。
 今後の対応につきましては、こうしたことから、これら課題の克服に向けまして、さきの9月補正予算におきまして、職業訓練協会等が地域のニーズに応じた多様な新規訓練コースを設置するために必要な設備整備費を補助する離職者訓練緊急基盤整備事業費補助をお認めいただきまして、支援することとしたところであります。今後におきましては、市町村や職業訓練協会等と、地域における共同の事業内職業訓練のあり方等について十分に意見交換を行いながら、可能な限り支援してまいりたいと考えております。
〇伊藤雇用対策・労働室長 さきの議会等におきまして、例えば国への要望の関係の状況、あるいは職業訓練協会に対する支援といったような取り組みについて、今、部長のほうから、対応していきたいということで申し上げましたが、これにつきましては、国への要望として、大きな点として二つございました。一つは、長期訓練というのは年間を通して5人以上というのが要件とされておりますけれども、この5人が、年度途中で5人を下回った場合は、これまで取り扱いとして補助対象から外れるということがございました。これにつきましては、国との調整の中で、要領上も読み込めるのではないかということで、今年度から、年度途中で5人以下を下回った場合であっても当該年度の補助としては対象にするということで、取り扱いを変えたところでございます。
 また、長期訓練については継続的に5人を確保しながらやっていくということが要件でございますけれども、厳しい雇用情勢の中で、職業訓練協会自身が、5人を確保することは大変だということで、これまで、今後3年以内に確実に5人が確保できるということであれば補助対象にしますよというのを、今後3年をめどにということで緩やかに解しまして、5人を下回った場合でも、3人の場合でも可能だという取り扱いを、また、今年度からこれも緩和いたしまして、各団体にこのような取り扱いを周知したところでございます。これによって二つの団体が対象となって改善されたということでございます。
 それから、職業訓練協会の運営に関して、やはり大きな課題もございますので、協会自身がこの問題について研究をしていただくような機会ということで、昨年の10月に運営検討会ワーキンググループというものを設置していただきまして、私どものほうからも参加いたしまして、1年間かけていろいろと検討していただきました。やはりこの中では、既存訓練科の充実でありますとか、これまで会員の方々は主として建築関係の方々が多かったわけでございますけれども、例えば製造系であるとかサービス業系の科目を開拓するとか、幅広い分野でやっていく必要があるのではないかということ等、今後の方向性についていろんな議論がなされたところでございます。そうしたことを踏まえて、今後、私どもとしては職業訓練協会のいろんな活動に対して支援してまいりたいと思っております。
〇小田島峰雄委員長 喜多正敏委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 喜多正敏委員、御了承願います。
   午後11時56分 休 憩
午後1時3分 再開
〇高橋雪文副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇喜多正敏委員 午前中の答弁で、認定訓練に対して国の補助基準の緩和の働きかけ、あるいは訓練協会と関係機関との検討の場を設けられたと、積極的なお取り組みに感謝をしたいと思います。
 岩手型あるいはみやこ型の県産材を使った住宅、あるいは非常に不況に苦しんでいる地元中小工務店の振興や建築技術の伝承のため、検討の結果をぜひ平成22年度予算に具現化をするとともに、職業訓練について、その充実に努めていただきたいと思います。
 次に、事項別明細書281ページの中小企業診断指導事業についてお伺いをいたしたいと思います。
 この事業の中身と実績、成果についてお伺いしたいと思います。
 既存の県内中小企業は、大変厳しい状況であります。こうしたときにこそ、専門的見地から、中小企業の経営者の経営や受注販路開拓、資金繰り、雇用など、相談を受けたり指導を行う体制、充実が必要だと思います。この中身についてお伺いしたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 平成20年度の中小企業診断事業についてでございますけれども、この事業の実績といたしましては、中小企業高度化資金貸付先の8組合、及び組合員企業5社に対して診断指導を実施いたしました。その結果、中小企業高度化資金の償還が困難な三つの組合に対して、貸付金の償還猶予を行ったということなどが成果でございます。
 今後、現下の厳しい経済状況の中で、高度化事業を初め、中小企業の事業運営にも困難を来たすことが予想されますことから、当課の職員それから外部の診断士の活用を組み合わせた企業、組合診断を行いまして、経営支援を行ってまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 そうしますと、この中身は、専ら高度化事業ということを中心とした指導体制であるということでありますけれども、個別企業とかあるいは商店、こうした企業に対する診断指導の体制はどういうふうにやっているものでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 私どもが主に直接行うのは今申し上げたとおりでございますけれども、高度化事業以外の企業に対しましては、商工会議所、商工会、それから中小企業団体中央会、いわて産業振興センター等々の専門家といいますか診断士資格を持った職員、あるいはアドバイザー、そういった方々を企業に派遣いたしまして、経営支援を行っております。
〇喜多正敏委員 そうしますと、県の中小企業診断士の配置状況というようなことについては、どのようになっているでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 県の経営診断士でございますけれども、当課には、現在、3名の診断士を配置してございます。
〇喜多正敏委員 私は、かつて、今お話のありました工場集団化事業であるとか、そうしたことについての工業団地あるいは卸団地、商店街の近代化などについて、県の職員による診断士の方々の企業に対する取り組み、まさに現場に出向いて計画から一生懸命やってきたということが、大変力があって大きかったと思っているわけであります。
 今、3名の診断士が配置されているということでありますが、また、みずから資格を取った職員の方もおられると聞いているわけでありますけれども、まさに厳しい状況の中において、外部の商工会議所、商工会等にも診断士がおられるわけでありますけれども、そうした親身になった指導や診断指導のあり方については、やはり県の職員の方が現場に出向きながらも、そうした外部の産業振興センターを含めて指導の結果が適切であるかどうか、充実について必要であるか、やはり県みずからが判断をして充実していく必要があろうかと思っておるわけであります。また、これはひとり商工労働観光部だけではなくて、農林業やいろんな面においても、その知見は非常に役に立つと思っているわけであります。そうしたことについて、再三お聞きしているわけでありますけれども、こういった職員の養成や配置について、今後どのように取り組んでいこうとされておられるか、お伺いしたいと思います。
〇廣田商工労働観光部長 診断業務につきましては、県の有資格者と、それから外部の診断士とがうまく役割分担をして連携して進めていくことが必要だと思っております。県としましても、現在は3名でございますけれども、一昨年は1名ということで、昨年から3名体制にしてございまして、今後もある程度、県で自前の診断士を持っていくというのは必要だと思いますので、これからも若手の育成も含めて、体制は充実してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 ぜひ、そのように取り組みをいただきたいと思います。
 次に、観光振興についての人材養成であります。
 観光振興は、午前中にも質問、提言がありましたけれども、お客様に対する職員の接遇研修ももちろん大事でありますけれども、さらに観光商品の発掘であるとかマーケティング、旅行商品の造成の実務的な知見、戦略を担う人材の養成が必要であると思っております。そうした意味において、岩手県観光協会を含めて、平成20年度において、こうした観光振興に係る人材養成の実績や成果についてお伺いしたいと思います。
〇藤田観光課総括課長 観光振興に係る人材育成の実績と成果についてでありますけれども、まず、地域の方々を対象といたしましては、観光資源を発掘し、旅行商品まで提案できる人材を育成するために、沿岸地域で観光塾を開催し、観光団体職員や観光事業者のリーダーなど、20名の参加をいただいているところです。
 研修会では、旅行商品の造成、情報発信などの演習を行ったところでありまして、参加者は研修の経験を生かし、観光地の魅力づくりに取り組んでいるところでございます。
 また、県職員につきましては、観光分野における専門性の高い人材を育成するため、JR東日本盛岡支社との相互人事交流を平成19年度から実施しておりまして、現場のノウハウを生かした観光施策の立案、推進に大きく寄与しているものと認識しております。
 それから、観光協会ですけれども、県内観光施設、宿泊施設従業員を対象といたしまして、地域のおもてなしリーダーを養成することを目的に、いわて観光おもてなしマイスター制度というのを設けまして、講習会を実施してございます。
〇喜多正敏委員 たしか岩手県の職員の方を立教大学の観光学部のほうに派遣をして研修を受けさせているというか、受けているということをお伺いしましたけれども、その内容についてお伺いしたいと思います。
〇藤田観光課総括課長 今年度、新たに立教大学におきまして、6月から実施しております観光地経営専門家育成プログラムに職員を派遣しておりまして、本県における観光マネジメント人材の育成を進める体制づくりに取り組んでいるところでございます。
〇喜多正敏委員 まさに観光に係る人材の養成ということでお伺いしたわけでありますけれども、県民とか関係業界の要請についてということで最初にお答えがあったわけでありますけれども、県職員の方も含めて、まさにこれは平成21年度、今年度の取り組みではないかと思うわけであります。
 私は前々から、岩手県立大学を活用してあるいは連携して、比較的短いスポット的な講座による養成ではなくて、総合的、計画的な観光人材の養成が必要ではないかと思っているわけであります。
 宮城大学は、名前は違いますけれども事業構想学部として、まさに観光あるいは地域振興に係る人材の養成を行っているところであります。今回、新聞報道によりますと、県が立教大学に派遣された職員が帰ってきたところで、観光の講座といいますか、そうしたことを考えていると報道がありましたけれども、まさにこれは大変いいことだなと思っております。特にも、県立大学においては、次の10周年を迎えて、今後どうあるべきかということを今検討しているということでお聞きをいたしております。やはりこうしたようなスポット的な短い観光の講座ではなくて、計画的な総合的な講座が必要ではないかなと思っているわけでありますけれども、その職員が帰ってこられた後の観光講座の中身、あるいは県立大学との連携についてどのように取り組みをされていこうとしているか、お伺いしたいと思います。
〇藤田観光課総括課長 岩手県立大学と連携した観光講座についてでございますが、戦略的に観光振興を進める人材を育成するため、県内の観光産業に従事している社会人を対象にいたしまして、例えばグリーン・ツーリズム、ユニバーサルデザイン、観光情報学といった県立大学の専門性を生かした多様な切り口からの講座を実施することとしておりまして、現在、開催時期や具体的な内容について、県立大学と協議を進めているところでございます。
〇喜多正敏委員 大変期待をいたしたいと思います。その際は、もちろん大学の先生も大事でありますけれども、ぜひ観光の現場で、第一線で活躍をされている方を講師に迎えて講座を充実していただきたいということと、いきなり観光講座を学部に開設するということもなかなか困難であるとすれば、今回の取り組みをぜひ実験的にやっていただいて、ゆくゆくは講座開設に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、部長のお考えをお伺いしたいと思います。
〇廣田商工労働観光部長 観光振興を図っていくためには、地域のキーマン、中核となる方が大変重要だと思っております。そういった意味では、今、委員からお話のありましたように、それぞれの地域で実践されている方のお話を聞くとか、あとはもちろん受講生の中に、我々のほかに、市町村あるいは地域のリーダー、この方々にも大いに声をかけて、充実した講座にしていきたいと思っております。
〇喜多正敏委員 今のお答えの中に、県立大学のことがちょっと抜けていたような気がいたしますので、重ねてお伺いします。
〇廣田商工労働観光部長 もちろん、県立大学におきましても、さまざまな面で活躍されている先生方がいらっしゃいますので、そのパワーなり経験を大いに利用していきたいと思っております。
〇喜多正敏委員 ぜひ、地元の大学を生かして、長期的に取り組んでいただきたいと思います。
〇岩渕誠委員 私は県産品の流通販売対策、特にも食に絞ってお伺いをしてまいりたいと思います。
 平成20年度は、いわて銀河プラザがちょうど10周年を迎えた年でありましたし、それから、県の東京事務所に初めて営業担当2名が配置されたという意味において、ぐぐっと流通対策が少し開けたのかなという印象を持った年度でありました。
 まず初めに、10周年を迎えたいわて銀河プラザの昨年度の売り上げ、あるいは購買者の実績、それから開始からこれまでどれぐらいの規模というか拡大をしてきたのかということ。さらには、いわて銀河プラザに求められる機能としては、いわゆるショップ機能としてのほかに、商品選定の場といいますか販路を拡大して、そのところだけじゃなく、それ以外のところに商品を拡大していくという役割があると思うんですが、その二つの実績についてお尋ねをしたいと思います。
〇橋本産業経済交流課総括課長 いわて銀河プラザの売り上げ推移についてでございますけれども、首都圏における県産品販売の拠点といたしまして、平成10年10月に開設して以後、販売額、購買客数ともに伸びてきておりまして、平成20年度の実績は、販売額が5億4、700万円、対前年比105.9%となっており、購買客数も約33万3、000人となっておりまして、首都圏におけるアンテナショップの中でも上位の売上高となっているところで、堅調に推移してきております。
 また、この10年間の売り上げ規模等の拡大状況についてでございますけれども、平成10年に開設したときは10月でございましたので、平成11年の通年売り上げ時と比較いたしますと、平成11年度は3億3、000万円余でございました。それと比較いたしますと、平成20年度につきましては、1.65倍程度に拡大をしてきているところでございます。
 それから、いわて銀河プラザは、単にそこでの販売が目的ということに加えまして、アンテナショップの役割として、そこを起点に量販店あるいは百貨店等への売り込みというようなことも重要な役割になっていると考えておりまして、現在、そういう状況を見てみますと、生協あるいは大手量販店、百貨店と銀河プラザにおける商談等を通じまして、お菓子やめん類などの食品関係の取引が拡大してきております。
 ちなみに、その取引額を見てみますと、平成18年度には約1億7、800万円余でございましたけれども、平成20年度におきましては3億4、500万円余になるなど、着実にショップ外への展開といった部分でも、販売額が増加してきている状況にございます。
〇岩渕誠委員 合わせると大体9億円ぐらいの効果があるのかなとお聞きをいたしましたけれども、大変貴重なショップ、岩手県の食をPRする場になっていると思います。できれば早く10億円という大台を、それをあわせてやるようにお願いをしたいと思います。特にも、どちらかというと、ショップの売り上げよりも、販路拡大対策のほうに重点を置いてやっていただけないかなと思っております。
 そういう中で、先ほど申し上げましたとおり、平成20年度は東京事務所に2人の販売営業担当ということで、これ、初めて配置になったと、増員になったと認識をしておりますけれども、こちらのほうはどういうような成果を上げているのか。
 それから、これはいわて銀河プラザとはまた別の動きだとは思うんですが、その一方で、両輪になるとすれば、具体を言えば、銀河プラザの具体の運営をしている岩手県産と、どういう連携の仕方をやっているのかというところをお教えいただきたい。
〇橋本産業経済交流課総括課長 平成20年度から、首都圏における平泉の世界遺産登録に関する情報発信、あるいは岩手ファンの拡大、県産品の販路拡大に向けた営業力強化のため、東京事務所に担当職員2名を配置しているところでございます。
 平成20年度の主な取り組みといたしましては、一つには、ホテル日航東京等主要ホテルにおける岩手フェアの開催、あるいは食品製造業等の訪問による県産食材の提案、さらには、銀座料理飲食業組合連合会の産地視察の企画等を提案し、取引が始まっているといったような実績も出ております。
 また、今年度になりまして、本年5月、6月にかけて開催をいたしましたホテルメトロポリタンのいわてフェアにおけるイベント等の企画提案ですとか、山崎製パン株式会社へのヤマブドウの提案によるパンやお菓子の商品化、さらには、全国展開といった形に成果があらわれてきているところでございます。
 次に、岩手県産株式会社と銀河プラザとの関係でございますけれども、岩手県産株式会社に対してはアンテナショップの運営を委託してきております。一方で、同時に、岩手県産株式会社東京支店という形で社員を配置いたしまして、販路の拡大、営業に努めてきているところでございまして、こちらにつきましても、着実に銀河プラザの売り上げの推移と同様の伸びを示すなど、相乗効果があらわれてきているものと考えております。
〇岩渕誠委員 済みません、ちょっと聞き方が悪かったです。東京事務所にいる担当職員2人と岩手県産の関係というのは、どういうふうになっているのか。目的が同じで別働隊なわけですが、これ、しっかり打ち合わせとかそういったものをきちんとやりながらやっているのか、そういったところをちょっと聞きたかったんですが。
〇橋本産業経済交流課総括課長 新たに配置になりました職員2名につきましては、東京事務所の職員ではありますけれども、その中で重要な任務の一つとして食産業の営業販売でございます。そういたしますと、岩手県産株式会社の営業と相まった形で営業展開をすると。それから、県産株式会社につきましては、あくまでも営業を中心にした利益を追求するという部分を中心にやっていくわけでございますけれども、東京事務所に新たに配置された2名につきましては、さまざまな岩手県の新しい食材、期待、可能性のある食材の紹介と、そういったすみ分け等も行いながら、取引拡大に向けて連携をした取り組みをしているところでございます。
〇岩渕誠委員 特に東京事務所の2人の活躍については、全国展開ができるような県産の食材をPRする、あるいはまだまだ知られていない、今は桑の葉とかいろんなことをやっているようでありますけれども、そういった意味において非常に私は高く評価をしております。実際問題として、2人を増員したことによって、その効果というのは金銭的にも、それから、すそ野の広がりから言っても大きいわけでありまして、そうなりますと、これから岩手県は6次産業化とか、あるいは農商工連携ということを強くやって、岩手の農業製品をぐっと押し出していこうということをやっているわけなんですが、そういう中で大切なのは、人をどういうふうにかけていくかということだと思います。東京事務所でこの2人が活躍をしている。これは大変優秀な人材だから2人で間に合っているという言い方もあるのかもしれませんが、今後、体制強化というのをしっかり考えなければならないのではないかと思っています。
 それからもう一つは、流通対策において、首都圏だけでなくて、中京圏、関西圏ということを考えた場合、あるいは、九州、札幌などということを考えた場合に、それぞれの地区に県の事務所があるわけですよ。そこに対しても、今はちょっと事務所の人数の配置、それから仕事の目的から言うと、県産品の販路拡大というところまでは、なかなか事務所の仕事として至っていないのではないかと思います。
 取引を細かく見ていきますと、今、米の販売なんかを見ても、一番岩手県のお米を買ってくれているのは中京圏の卸であります。それから大阪圏も、米で言うとかなり卸は強力でありますし、それから最近でありますと、県産牛肉の取り扱いも関西圏のほうで大分伸びていると聞いております。そういう意味において、部長、やはり体制強化というのをしっかり実現をさせる方向でいかないと、せっかく6次化だ、農商工連携だと言っても、売り先をどうやって確保するかということが最大の問題でありますから、これは県庁の仕事としてある程度責任を持ってやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
〇廣田商工労働観光部長 東京事務所あるいは中京圏、関西圏の営業力の強化ということでございますけれども、岩手の産物を大いに県外、全国に発信していくためには、営業活動が非常に大事だというのは十分に我々もわかっております。ただ、このような大変厳しい行財政下の定数事情ということですので、まず、2年前に2人を東京事務所で強化したと。この実績をしっかりと見据えながら、今後の強化に向けて検討してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 廣田部長は東京事務所長でもありましたから、状況がよくわかっているかと思いますので、定数増ができないのであれば、定員の枠内でそこにかける戦力をふやすとか、あるいはほかの県外事務所でも、今、なかなか3県合同になったりすると動きづらいというのはよくわかるんですが、やはり共通して、観光PRだけじゃなくて、具体に回って歩いてということが一番実入りがいいと言ったら怒られますけれども、そういった形になると思いますので、ぜひそれを強力に推し進めていただきたいと思います。
 それが中長期的な課題だとすれば、ただ、今の中でできることというのはもう一つあると思います。それは、東京圏でせっかく歩いてやってきた、例えば銀座で今こういうのが欲しいんだよと、築地で今こんな話が出ているよという話をフィードバックするというところが必要だと思います。県はこれまで、マッチングフェアというのをやってきていると思いますけれども、そのマッチングフェアを平成20年度もやっていると思いますけれども、今までの成果と今後の取り組みについてはどのようにお考えでしょうか。
〇橋本産業経済交流課総括課長 食のマッチングフェアについてでございますけれども、このフェアにつきましては、県内生産者、食品加工メーカーと県内外の小売、流通業者とのマッチングを図るために、県の農林水産部、商工労働観光部、地域振興部、それに県内の各銀行等が一体となりまして商談会を開催してきているものでございまして、本年で5回目の開催となるものでございます。本年度は7月18日(後刻「7月17日」と訂正)に盛岡市内のホテルでフェアを開催いたしまして、出展者84社、バイヤー111社が商談に臨んだところでございます。
 今年度の成果につきましては、現在調査中でございますけれども、昨年までの4回の開催で延べ267の出展者に対し、契約成立数が98件、成約率にいたしまして36.7%となっておりまして、成約率も年々上昇する傾向が見られ、第4回では42.8%が成約率となっているところでございます。
〇岩渕誠委員 いろいろ成果も出ているということなんですけれども、いずれ食産業が非常に好調だと、岩手県の産業振興の中で欠かすことのできない成長産業だと思います。具体に農商工連携、6次化ということをやっていく中で、今、首都圏の前線の営業部隊も動き出したと。問題は、そことどう地元であるものをつなげていくかという、今のマッチングの部分だと思うんですが、いずれ、いろんな支援策もありますから、農業サイドでいろんな加工品がこれから出てくると思いますが、そこまでは今までも同じなんですよね。やっぱりそれの売り先をどうやって見つけるかということになると、今度は県内部隊がどこまで商品を掘り起こしていくか。それをダイレクトに東京とつなぐかということが大事になってくると思います。
 そういう意味においては、マッチングフェアというのも、実はことし私もお邪魔をさせていただきました。大変盛大で、商談もあって、事細かくて、大変双方にとっていいだろうなと思ったんですが、回数から言うと年に一遍なんですね。大規模なものというのは確かに1回でもいいんですけれども、やはり小まめに情報交換をして情報を共有できるようなシステムをつくらないと、これ、せっかくこの時期にこういうものがあるけれどもというのが1年先送りになっちゃうと、もう次のところにとられちゃうということがあると思うんです。ですから、細かな情報交換の場、あるいはそれを一般県民なり農業生産法人なりが、その情報を取得できるようなシステムをつくっていかないと、せっかくの岩手の食材を生かすことにならないと思うのですが、最後に部長、この辺の対応についてお聞きして終わります。
〇廣田商工労働観光部長 生産者と最後は流通、加工そして販売する者とそして消費者という、これをつなぐ役割をできるだけパイプを太くしていくという、これは全く営業を拡大していくためには重要なことということで認識してございます。どういう形でそれをつないでいくかということで、今、マッチングフェアということでやっているわけですけれども、回数をふやすことも一つの方法かもしれませんけれども、日ごろから情報交換が密にできるようなことも含めて、今後のあり方についてはいろいろ模索してまいりたいと思います。
〇橋本産業経済交流課総括課長 先ほど私、食のマッチングフェアの今年度の開催日につきまして、7月18日と答弁申し上げましたけれども、正しくは7月17日に開催をしているものでございますので、おわびをして訂正させていただきます。
〇斉藤信委員 当該委員でありますから、簡潔に質問をいたします。
 県内大企業、誘致企業による工場閉鎖、派遣・期間工切り、人員削減の実態とそれへの対応、雇用確保対策について部長にお聞きをしたい。
 一つは、ソニー千厩テック、富士通マイクロエレクトロニクス、関東自動車、東芝等の工場閉鎖、派遣・期間工切り、人員削減の実態はどうなっているか。解雇、退職に追い込まれている実態を、どう把握されているか。
 二つ目、ソニー、富士通、関東自動車、東芝の内部留保はどうなっているか。莫大な内部留保をため込みながらの工場閉鎖、解雇、リストラには私は道理がないと考えますが、大企業の雇用と地域経済を守る社会的な責任を追及すべきではないか。
 三つ目、知事を含む県は、これまでどう対応してきたか。最後まで雇用を守る責任を追及すべきだが、具体的にどう雇用を守ろうとしているか。
〇廣田商工労働観光部長 三つありましたけれども、私からは最後の三つ目について答弁しまして、最初の二つにつきましては保企業立地推進課総括課長から説明させます。
 まず、昨年11月以降の県内での景気悪化以来、知事、副知事を初めとしまして、幹部職員が可能な限り機会をつくりまして、該当企業の社長などにお会いしまして、雇用の維持、確保について強力に要請をしてきたところでございます。
 具体的には、知事、副知事によるものとしましては、ソニーが2回、富士通が5回、そして東芝が計5回などなど、関東自動車も含めますと15回の回数を訪問してございます。
 今般の雇いどめ等は、急激な世界経済の悪化の影響を受けた業績悪化によるもので、そうした中におきましても、それぞれの企業では、何とか雇用に最大限配慮して、可能な限り従業員の雇用が継続できるよう努力しているものがあると認識してございます。
 今後も、市町村と関係機関と連携しながら、県内企業に対しまして、従業員の雇用の維持、確保を図られますよう、引き続き手を緩めずに要請等は行っていきたいと考えております。
〇保企業立地推進課総括課長 先ほどお話のありましたソニー、それから富士通、関東自動車、東芝、この4社につきまして、雇用調整等の状況についてでございます。
 まず、ソニーイーエムシーエス株式会社千厩テックにつきましては、ことしの12月をもって工場を閉鎖するという計画になっておりまして、同社の社員870人、このすべてについて、非正規の方については契約の期間更新を行わない。正規の方については、グループ企業への転籍等を行うというような計画でございまして、9月15日の同社からの報告によれば、正社員550人が現在いるところですけれども、424人が退職の意向と聞いております。
 富士通マイクロエレクトロニクス株式会社につきましては、岩手工場1、700人の正規職員がおりますけれども、そのうち約1、130人が再配置の対象と聞いておりますが、現在、少しでも雇用を残すため、さまざま富士通グループ内で努力をしていると聞いております。
 関東自動車につきましては、7月までに430人の期間社員の契約更新を行わなかったということでございます。
 岩手東芝エレクトロニクス株式会社につきましては、これまで180人の期間社員を削減したと聞いております。
 また、お尋ねのありました内部留保についてでありますけれども、内部留保というものに関しましては、それぞれの企業から正式に公表されている数字がございませんので、私どもで入手できる資料から、公開されているものからこちらで計算した推計の金額ということになりますので、御容赦いただきたいと思いますけれども、いずれも2008年度、平成20年度の数字でございます。
 ソニーに関しましては、ソニーグループ全体の連結決算で約3兆700億円。富士通につきましては、これも連結決算で同じく約6、800億円。関東自動車工業につきましては、これも連結決算ですけれども約1、000億円。東芝につきましては、同じく約1兆4、000億円と計算してございます。
 それから、大企業の地域の雇用を守る責任ということでございます。これにつきましては、雇用規模の大きいこうした企業は、非常に県内の雇用に大きな影響を与えるということでございまして、県といたしましても、各企業に対しまして、先ほど部長からも答弁いたしましたが、知事を先頭にして何度となく足を運びまして、県内の雇用維持の重要性を訴えてきております。それぞれの企業は、雇用維持あるいはその確保ということに関しましては非常に重要なことと考えていただいていると思いまして、社員とのきめ細かな面談や新たな事業の導入をするという努力もしていただいていると考えております。
 また、内部留保に関しては、これまで御答弁申し上げておりますとおり、その活用も含めまして、それぞれの企業の経営判断によって決定すべきものと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 これで終わりますが、今、内部留保、我々の試算より若干少ない程度ですが、大方合っていると思います。今のソニー、富士通、関東自動車、東芝は、莫大な内部留保を持っていると。いわば雇用、工場、地域経済を守る体力がありながら、新たな利益を上げる体質をつくるために一方的に首切りをやる、工場閉鎖をやる、これが実態なんですよ。私はこういう大企業の横暴を許さないというのは、これから雇用を守る上で決定的な問題だと。特に岩手県は、自動車、半導体を産業振興の二つの柱に推進してきた行政の責任も問われている。私はそういう意味で、ソニーの工場閉鎖が12月末だけれども、そして富士通は10月から再配置で約7割、800人近くが退職に追い込まれるという状況ですよ。私はそういう意味で、きょうは部長、こういう体力のある大企業に、最後まで雇用と地域経済を守る社会的責任を果たさせると、具体的に行動していただきたい。そして、アルプス電気でもアイワでもそうだったんだけれども、最後の1人まで、就職先を確保するまでこれは徹底してやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
〇廣田商工労働観光部長 先ほど来お話し申し上げておりますとおり、今までも、知事、副知事を初め、何回となく各企業に対しては要請活動をやっております。その視点は、まさに雇用の維持、確保、地域経済に与える影響を十分考慮してほしいということでございまして、これは引き続き努力してまいりたいと考えております。
〇高橋雪文副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇佐々木博委員 中小企業に対する金融支援のあり方について伺いたいと思います。
 この問題、どなたか質問されるだろうと思って聞いていたら、どなたも質問されませんでしたので、通告をしておりませんでしたけれども、簡潔に聞きますので、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
 御承知のとおり、去年の後半、いわゆるリーマンショックというのがあって、世界じゅう景気の流れが一変してしまったわけでありますが、当然、その影響というのは県内の経済界にも非常に大きかったわけであります。一番心配されたのは、昨年の年末、年越しの運転資金が続くのかどうかということでありますけれども、このことについては、国の経済危機対策による緊急保証制度、これができて、これに呼応するように、県も中小企業の経営安定資金を保証協会だとかあるいは金融機関と連携して取り組んでいただいて、簡単に言うと、随分、融資制度を活用できる範囲を広げていただいて大分助かったわけであります。
 平成20年度の事項別明細書を見ますと、昨年の中小企業の経営安定資金の貸付金が約250億円に上っております。これは全部じゃなくて、これの何倍かの融資額だったと思いますけれども、まず、その融資の実績額と、それから、できれば前年度と比較してどのぐらいの伸びだったのか、まず、この辺についてお知らせをいただきたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 昨年度の中小企業経営安定資金、これが主な資金でございますけれども、平成20年度の融資実績でございますが、422億6、000万円余でございます。件数といたしましては、緊急保証の対象件数でございますけれども、2、072件となってございます。前年度と比較いたしますと、約3倍の融資実績ということでございます。
〇佐々木博委員 422億6、000万円ですか、前年度の約3倍ということでございますけれども、非常に活用が多かったということは、それだけ救済されたところが多かったということだろうと思います。当初、中小企業の経営安定資金、平成21年度は300億円と見込んでいたわけですね。それが今月、補正でさらに増額してふやすことになったわけでありますけれども、現在、利用の実績というのは現時点ではどのようになっているでしょうか。
〇阿部経営支援課総括課長 本年度の実績でございますけれども、8月末現在の数字でございますが1、010件、176億5、000万円余となっておりまして、引き続き伸びてございます。
〇佐々木博委員 実は一つ心配になるのが、緊急保証制度、これは去年10月の末ぐらいから始まったと思いましたけれども、多分11月とか12月、非常に利用が多かったんだろうと思います。それで、当初、融資の据え置き期間がたしか1年間だったはずなんですね。もし1年間ということになりますと、ことしの11月とか12月に返済の期限が始まるわけですけれども、なかなか今の経済状況はそれが緩くないんじゃないかな、きついんじゃないかというような状況じゃないかなと思っております。今、国会でもどういう中身になるかわかりません。貸し渋り・貸しはがし防止法案とか何とか出るやに聞いていますけれども、いずれ据え置き期間が1年ということで、もし、ことしの11月とか12月から返済が始まるということになると、なかなか大変なところも多いんじゃないかなと思うんですね。そういった中にあって、たしかことしの4月27日ですか改正になりまして、この緊急対策の経営安定資金の融資条件で、据え置き期間が1年から2年に実は改正になっているわけでありますけれども、一つ伺いたいことは、1年から2年に改正になったというのは、この時点からの融資について適用になるのか。それ以前のものは、やはり1年間で返済しなければいけないものなのかどうか。これによって、随分変わっていくんじゃないかなと思うんですが、そのことについてまずお伺いしたいと思います。
〇阿部経営支援課総括課長 制度改正以降の貸し付けについて適用されるものでございます。
〇佐々木博委員 制度改正以降ということになりますと、昨年の年末の年越し資金なんかを借りた方々は対象にならないわけでありますから、ことしの11月とか12月からの返済が始まるということになります。そうすると、なかなか大変じゃないかなと思うわけであります。それから、現実に、例えば今借り入れをしていて、借り入れの実績のある方というのは、新規で言えば、例えばいろんな制度ができても、結局実績があると借り入れができないんですね。もちろん返済能力の関係で、審査されるとそういうことになるだろうと思うわけでありますが、そういった点でも大変厳しいだろうなと思うわけであります。
 それで、実は岩手県の中小企業者、全部が全部というわけじゃないと思いますが、私の印象ですと、余り現金を持っていない。そのかわり、結構、資産は持っているという方が多いように思うんですね。ただ、岩手県の都市では、資産と言ってもほとんど不動産なわけですが、多分20年ぐらい価値が毎年下がってきていますから、例えば盛岡の商業地なんか、ひどいところはもう全盛期のときの7割以上下がっているところも結構あるんですよね。それで、今どういうことが起きているかというと、銀行から借り入れするときに、大体不動産を担保で借りるわけでありますが、年々評価額が下がってきていますから、追加担保はありませんかというようなことを金融機関からお願いされる。しかしながら、現実に持っていないから、したがって融資枠が狭まれる。これだけ土地の値段が下がっている、担保が下がっているわけですから、日常そういったことはいっぱいある話なわけであります。ですから、そういった点でも、借り入れの枠が非常に狭められているところにもってきて、緊急融資で去年助けられた方々が、もしこのまま11月、12月から返済を始めなければいけないということになりますと、せっかく1年間助けたけれども、あとは継続にならないということで、これではこれから年末に向けて、中小企業の資金繰りで非常に困るところが実はふえてくるのではないかなということを心配しているわけでありますけれども、あるいは国の今度出てくる法案の中身によっては、連動して何か対策ができるのかもしれませんが、それは除いても、県としても何か私は検討が必要ではないかなと考えるわけでありますけれども、廣田部長、いかがでしょうか。
〇廣田商工労働観光部長 年末の資金繰りにつきまして、今お話のあったような事情については、私も定かには把握しておりませんでしたので、初めて聞いた部分があります。実態をよく把握した上で、我々としてできることは、可能な限り努力してまいりたいと思っております。
〇佐々木博委員 これで最後にしますけれども、先日、公正取引委員会から、県内91社のいわゆる談合問題の排除命令の審決案が出されました。もしそのとおりになりますと、既に91社はないそうでありますが、いずれ1年間の指名停止ということになります。そうしますと、そういった企業は大分雇用者も抱えているわけでありますけれども、非常に経営が厳しくなるだろうと思うんでありますが、一般に聞いているところによりますと、そういったときに、例えば課徴金だとか損害賠償の支払い義務が生じてくるわけでありますが、これについては、金融機関は融資の対象にならないと言っているようであります。したがって、そういった手当ては銀行からの借り入れでは賄えないようでありますから、恐らく該当する建設業者も、それからまたそれに関連するいろいろな協力業者、これもいろんな影響を受けるんじゃないかなと思います。
 いずれ、これからそういったことも含めまして、県内いろいろ経済的な、危機的な状況がさまざまな分野で出てくるのではないかなと思われますので、どうかこの中小企業の資金繰り、支援について、特段の御努力をお願いしたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。
〇高橋雪文副委員 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋雪文副委員 質疑がないようでありますので、商工労働観光部関係の質疑をこれで終わります。
 商工労働観光部の皆さん方、ありがとうございました。
 次に、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇小川労働委員会事務局長 労働委員会関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、226ページ、227ページをお開き願います。
 第5款労働費のうち、第3項労働委員会費が当委員会が所管するものでございます。予算総額1億1、802万円に対し、支出済額は1億1、649万5、000円余となっております。支出の内訳といたしましては、1目委員会費2、930万2、000円余は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要する経費であり、委員15名に対する報酬及び旅費等の事務費でございます。2目事務局費8、719万3、000円余は、事務局の管理運営に要した経費であり、事務局職員10名の人件費及び旅費、需用費等の事務費でございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋雪文副委員 これより質疑を行います。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋雪文副委員 質疑がないようでありますので、労働委員会関係の質疑をこれで終わります。
 労働委員会事務局の皆様、ありがとうございました。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇千葉企業局長 企業局関係の決算概要について御説明を申し上げます。
 初めに、平成20年度の事業運営における総括的な評価、今後の取り組み方針等について御説明を申し上げます。
 平成20年度の事業運営に当たりましては、公営企業の経営の基本原則である経済性の発揮と公共の福祉の増進を基本とし、中期経営計画に掲げる経営方針の4本柱、信頼性の確保、経済性の確保、新規開発及び地域貢献に重点を置きながら、水力発電を中心としたクリーンな電力と良質な工業用水の安定供給のため、施設の計画的な改良、更新等を行ったほか、委託費や人件費などの削減等による業務コストの徹底した節減を図るなど、効率的な経営に努めてまいりました。
 この結果、損益につきましては両事業とも引き続き黒字を計上することができ、おおむね良好な経営を維持していると考えております。
 また、水力開発については、ことし12月に運転開始を予定している北ノ又第三発電所の建設を進めたほか、地域社会への貢献については、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用し、地球温暖化対策や環境教育などの県事業及び小規模なクリーンエネルギー設備の導入を行う市町村等に対し、引き続き支援をしたところであります。
 なお、中期経営計画の取り組みの評価については、電気事業では、渇水の影響により、目標電力量に対する供給電力量の達成率が94.3%となったものの、売電単価のアップにより、目標を上回る収入を上げたほか、工業用水道事業では、累積欠損金削減の達成率が153.9%となり、今年度末にも累積欠損金の解消が見込まれるなど、両事業ともに年度目標をおおむね上回る成果を上げたものと考えており、外部の有識者で構成される経営評価委員会からも同様の評価をいただいております。
 今年度は、現中期経営計画の最終年度となります。計画期間全体の取り組みを総括するとともに、平成22年度以降の次期中期経営計画については、今後の長期的な視点での基本方針や取り組みの方向性なども明らかにしながら策定したいと考えております。
 それでは、企業局が所管しております認定第2号平成20年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成20年度岩手県工業用水道事業会計決算について、お手元の決算書に基づき、その概要を御説明申し上げます。
 なお、決算書のうち決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税を含めた金額で作成しておりますが、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税抜きの金額で作成することとなっておりまして、金額に相違がありますので、あらかじめ御了承願います。
 認定第2号平成20年度岩手県電気事業会計決算であります。電気事業会計決算の1ページをお開き願います。
 平成20年度の収益的収入及び支出でありますが、上の表、右から3列目の収入の決算額は46億6、000万円余、下の表、右から4列目の支出の決算額は41億9、200万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項営業収益42億3、400万円余は、水力発電に係る電力料等であり、第2項財務収益2億3、300万円余は、株式配当金、長期貸付金利息等であります。第3項附帯事業収益1億7、200万円余は、稲庭高原風力発電所及び柏台発電所に係る電力料等であります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項営業費用36億7、800万円余は、水力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用2億3、600万円余は、企業債に係る支払い利息等であります。第3項附帯事業費用1億5、600万円余は、稲庭高原風力発電所及び柏台発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第4項の事業外費用1億2、100万円余は、納付消費税及び地方消費税等であります。
 次に、2ページをお開き願います。資本的収入及び支出でありますが、上の表、右から3列目、収入の決算額は3億4、400万円余、下の表、支出の決算額は23億6、800万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項補助金2、400万円余は、胆沢第三発電所の建設事業に係る補助金等であり、第3項長期貸付金償還金1億8、100万円余は、一般会計等からの長期貸付金の償還金であります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第2項改良費5億9、700万円余は、各水力発電所の施設の改良や更新に要した経費等であり、第3項電源開発費1億900万円余は、胆沢ダム建設事業に係る負担金及び水力発電開発調査に要した経費等であります。第4項企業債償還金5億3、700万円余は、発電所の建設のために借り入れた企業債の償還金であり、第5項長期貸付金11億300万円余は、一般会計への財政支援及び工業用水道事業会計に対する企業債償還元金の償還原資として貸し付けをしたものであります。第6項繰出金2、000万円余は、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を原資として一般会計へ繰り出ししたものであります。
 下段欄外に記載してありますとおり、資本的収入額が資本的支出額に不足する額、20億2、400万円余については、過年度分損益勘定留保資金などをもって補てんしたところであります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は、右側の上段、4億1、400万円余となっており、この営業利益に財務収支、附帯事業収支及び事業外収支の合計の利益、右側の下段ですが、2、500万円余を加えた4億4、000万円余が当年度純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書の利益剰余金の部でありますが、減債積立金から5ページの環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金までの当年度末の積立金合計額は、5ページ、右側中段の二重線を引いております54億3、000万円余となっており、また、当年度未処分利益剰余金は、右側の一番下、4億4、000万円余となっております。
 次に、6ページをお開き願います。資本剰余金の部でありますが、国庫補助金以下3科目の当年度末の合計額は、右側の一番下、19億7、200万円余となっております。
 次に、7ページの剰余金処分計算書(案)でありますが、当年度未処分利益剰余金4億4、000万円余につきましては、全額を企業債償還金に充てるための減債積立金に積み立てようとするものであります。
 なお、8ページ以降の貸借対照表、その他の事項については説明を省略させていただき、以上で電気事業会計決算の説明を終わります。
 次に、認定第3号平成20年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明いたします。
 工業用水道事業会計決算書の1ページをお開き願います。平成20年度の収益的収入及び支出についてでありますが、上の表、右から3列目、収入の決算額は10億9、100万円余、下の表、支出の決算額は9億6、100万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項営業収益10億8、900万円余は、一般水及びろ過水の給水料金であります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項営業費用7億4、000万円余は、各工業用水道施設の給水業務及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用1億7、600万円余は、企業債及び電気事業会計からの借入金に係る支払い利息であります。第3項事業外費用3、500万円余は、納付消費税及び地方消費税であり、第5項特別損失900万円余は、地下水源調査に充てた費用の清算に伴う損失処理であります。
 次に、2ページをお開き願います。資本的収入及び支出でありますが、上の表、収入の決算額は11億2、900万円余、下の表、支出の決算額は15億7、300万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項企業債9億2、200万円余は、各工業用水道施設の改良工事に係る起債及び工業用水道高資本費対策に係る借換債であり、第2項出資金1億300万円余は、経営健全化支援に係る一般会計からの出資金であります。第3項他会計からの長期借入金1億300万円余は、電気事業会計から企業債償還元金の原資として借り入れたものであります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項改良費6、500万円余は、各工業用水道施設の改良や更新に要した経費であり、第2項企業債償還金13億800万円余は、工業用水道施設の建設のために借り入れした企業債等に係る償還金であり、第3項他会計からの長期借入金償還金1億9、900万円余は、一般会計等からの借入金の償還金であります。
 下段欄外に記載してありますとおり、資本的収入額が資本的支出額に不足する額、4億4、300万円余については、当年度分損益勘定留保資金などをもって補てんしたところであります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は、右側の中段、3億1、000万円余となっております。この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失、右側の三角、1億7、400万円余を差し引き、特別損失900万円余を引いた1億2、600万円余が当年度純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書の利益剰余金の部でありますが、当年度の未処理欠損金は、前年度の未処理欠損金1億9、000万円余から当年度純利益1億2、600万円余を差し引いた6、400万円余となっております。また、資本剰余金の部でありますが、国庫補助金以下3科目の当年度末の合計額は、右側の一番下の40億9、600万円余となっております。
 次に、5ページの欠損金処理計算書でありますが、当年度の未処理欠損金6、400万円余は、翌年度へ繰り越しをするものであります。
 なお、6ページ以降の貸借対照表、その他の事項については説明を省略させていただきます。
 以上で企業局関係2会計の平成20年度決算の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋雪文副委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し、質疑はありませんか。
〇新居田弘文委員 二、三点お聞きします。
 最初に、工業用水道事業の経営状況についてお尋ねいたします。
 先ほど局長から、そしてまた提案されております決算認定について説明がありましたように、累積欠損は平成8年度が13億円余でピークであったものでございますが、毎年の経営努力等によりまして、先ほど説明がありましたように、平成20年度当初においては1億9、000万円余のものが、平成20年度末決算で6、400万円まで減少したという報告がございました。まず、この点については関係者の御努力に敬意を表したいと思います。
 このまま推移しますと、先ほども説明がありましたように、平成21年度中には累積欠損が皆無、ゼロになるという報告もあったところでございます。ところが、一方、工業用水を受けている企業の多くは、厳しい経済不況の中で、生産や雇用の調整等を余儀なくされるなど深刻な状態になっていると思っております。そこで、今、企業局では企業側に水を供給しておりますが、これは責任水量制によって水道料金による負担感が大きい形で多分利用されていると思っております。この際、累積欠損の解消を機会に料金制度の見直し等について検討すべきではないかと思いますが、その辺のお考えをお伺いしたいと思います。
〇千葉企業局長 工業用水道事業の経営状況について、御指摘のありましたとおり、収益的収支の累積欠損金は平成21年度末には解消できる見込みであります。ただ、一方で資本的収支のほうは、建設や施設整備に要した企業債の償還資金に不足が生じている状況にあります。このため、平成20年度には一般会計からの出資と電気事業からの借り入れを合わせて2億700万円余、平成21年度は合わせて3億1、000万円余の支援を受けて資金繰りを行うという経営が続いているところでありまして、平成23年度まではこういった状況が続くものと見通しております。その後、平成24年度には、入畑ダムの工業用水道水源の一部を農業用水源に転用することとしておりまして、その際の対価として、固定資産の売却代金26億7、000万円余が入る見込みであり、そこから国庫補助金の返還や企業債の繰り上げ償還等を差し引いた後の13億8、000万円ほどの資金が使えるということになりますことから、キャッシュフローの改善が見込まれまして、平成24年度以降は一般会計等からの支援をいただかなくとも経営ができる見通しとなっております。厳しい経営環境に置かれております各企業に対しましては、このような見通しをも説明しているところでありますが、今後、工業用水の需要動向、老朽化する施設の改良、更新に要する経費も考慮しながら、料金体系の見直し等についても検討を進めてまいりたいと考えております。
〇新居田弘文委員 まだ、若干時間がかかるということでございますので、それにまず期待をしたいと思います。
 景気の悪化によりまして使用量が減少しているのではないかと思っておりますが、その実使用量の動向について最近どうなっているか、契約水量に対しての実使用量の推移はどうか、その辺についてお伺いいたします。
 もう一つは、ことしの6月補正におきまして、工業用水道会計のほうに一般会計から1億円余の負担金ということで、いわゆるユーザーに対する支援を行っておりますが、その料金の減免効果はどのようにとらえているのか、そして、今後の対応についてお伺いしたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 企業局が供給する工業用水の使用状況につきましては、昨年10月までは前年度を上回って推移しておりましたが、11月に前年同月比でマイナス15.8%と大きく減少し、ことし2月のマイナス22.3%を底として前年同月比10%以上の減少が5月まで続いておりました。その後、6月、7月には3%前後の減少と回復の兆しが見られたものの、8月は10.3%、直近である9月には7.8%の減少となっており、依然として前年を下回る水準で推移しております。また、これに伴う決算への影響についてでありますが、工業用水道料金につきましては、全国の多くの自治体で採用している責任水量制をとっていることから、ユーザーの使用量の減少が直ちに収入に影響を及ぼさない仕組みとなっております。しかしながら、契約水量を超えて使用する超過水の使用量が減少したこと等によりまして、営業収益が前年度と比較して1、100万円余減少していることから、支出面についても、引き続き経費節減を行いながら、安定的な経営に努めてまいりたいと考えております。
 次に、今回の減免の効果についてでありますけれども、工業用水の使用状況は、今、説明申し上げましたように、ことし2月を底に5月まで大きな減少が続いておりましたが、これ以降はやや回復の兆しが見られていることから、一定の効果があると認識しております。このように、企業の生産活動は下げどまりの動きが見られるものの、県内経済は依然として厳しい状況にあり、本格的な景気の回復にはまだ時間を要すると思われます。したがいまして、来年度の料金の減免については、引き続き企業立地推進部門と連携をとり、経済、雇用情勢を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
〇新居田弘文委員 いずれ、企業側も厳しい状況でございますので、先般とったその扱いについても、今後引き続き検討して、実施していただきますように希望したいと思います。
 次に、電気事業関係でございますが、先ほど局長からもお話がありましたように、ことしの12月に北ノ又発電所の供用開始ということで、順調に推移しているという報告がございました。この2月の質問の際にも、もう一つは、胆沢第三発電所は平成26年7月に開始する予定だというお話を伺っておりますが、その辺の推移と、あわせまして、新たな計画は、前の資料もいただいているものもありますけれども、胆沢第二発電所取水口地点及び雫石の有根沢地点─有根沢は特に1、200キロワットという非常に大きな目標を挙げておりますが、その辺の推移の状況は、前回の質問では東北電力の買い取り単価と企業局の売電単価に大きな隔たりがあるということで、非常に厳しい環境下にあるということでございますが、建設コストの低減等の方法によって、何とかそれをクリアしたいというような御答弁もございました。その後の検討状況、取り組み状況についてお聞きいたします。
〇池内企業局技師長 建設中及び計画中の新規水力開発地点の開発状況についてでございますけれども、北ノ又第三発電所につきましては、委員のおっしゃるとおり、12月の運転開始を目指しております。そのほかに奥州市で胆沢第三発電所を建設しておりまして、その次に続く地点といたしまして、奥州市のほうで胆沢第四地点というものを現在取り組んでおります。これは、既設の若柳取水堰堤において、上流の胆沢第三発電所で放流した維持流量に相当する毎秒1.9立米を利用した発電を検討したところ、落差約10メートルを利用して、最大出力140キロワットの発電が可能であるということがわかりまして、現在、国と協議を進めるとともに、電力会社の開発同意を得るために基本設計を実施しているところでございます。
 そのほかの地点として、雫石町の有根沢地点でございますけれども、確かに電力会社の買い取り価格と企業局の売電単価との間に大きな隔たりがあるということで、開発規模1、200キロといった出力を見直して、いろいろ取水地点等を変えて、今現在、引き続き検討を行っているというような状況です。
〇新居田弘文委員 その取り組み状況についてはわかりました。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。いずれ、今の地球温暖化対策等を含めまして、地球に優しい、環境に優しいこういう水力発電が非常に求められているところだと思います。ただ、建設単価が膨大になるものですから、その辺の採算性もございますが、検討いただいて、積極的に取り組むことをお願いして、終わります。
〇柳村岩見委員 電気事業経営の状況についてお尋ねいたします。電気事業は黒字経営を続けており、平成20年度も、渇水の影響はあったものの、目標の利益を確保したということであります。しかし、ここ数年の利益の動向を見ますと、平成18年度は6億3、000万円、平成19年度は約4億8、000万円、平成20年度は、先ほど説明があったとおり4億4、000万円と、年々黒字額が減少し続けている状況にあります。このような状況では、将来的に決して楽観できる情勢にはないのではないかと思うところであります。
 そこで、こうした利益が減少している要因がどのようになっているのかということについてお尋ねしたいと思います。
 中期経営計画の取り組みに係る外部識者による評価についてでありますが、平成20年度の経営状況は総じて良好であるとの評価を得たとのことであります。利益が減り続けている状況で、なぜそのような評価となったのか、その視点などを含めてお示しいただきたいと思います。
〇千葉企業局長 電気事業の利益が年々減少している要因でございますが、公営電気事業の料金の仕組みによるところが大でありまして、その料金の算定は、適正な原価に適正な利潤を加えたいわゆる総括原価方式によることとされております。このうち、利潤は設備更新や新規開発等に充てていくものでありますが、その額は、国の規則によりまして、自己資本と国債等の平均利率をもとに算定されることになっており、この平均利率が、過去のものでございますけれども、平成14、15年度では4.21%であったものが、平成20、21年度には2.09%と半減している状況にあります。こうしたことに連動しまして、利益も平成14、15年度の平均7億円台から、平成19、20年度には4億円台まで減少しているものであります。
 次に、外部評価委員会の評価でございますが、企業局では中期経営計画というものを策定しておりまして、目標電力量、利益に直結します経常収支比率といったものを、年度ごとに具体的な数値目標を設定して取り組んでおります。平成20年度は、平成6年度以来の異常渇水の影響によりまして、水の出ぐあい、出水率ですが、平年に比して80.6%であったものが、ダムの無効放流が少なかったことや、供給支障件数低減といった取り組みによりまして、供給電力量としては、出水率を大きく上回って94.3%の達成率となっております。また、経常収支比率は、売電単価のアップや業務コストの縮減などにより、110%の目標に対して111%の達成率となったところであります。評価に際しましては、こうした経営目標の達成状況によりまして、電力の安定供給の維持に向けた取り組み結果なども踏まえて総合的に判断し、良好との評価をいただいたものと考えております。
〇柳村岩見委員 評価、評価制度については、事業推進担当者が客観的に評価できなかった、ひとりよがりの評価をしたといった歴史経過があって、今では評価を専門とする担当課の存在、あるいはまた外部評価等のシステムがございます。行政学者の中では、今の新しいシステムが客観的に評価できるということについて、よしとする学者もおりますけれども、行政能力の低下だと。みずからやっている仕事、みずから推進している事業の評価をみずからができないということは、行政能力の低下だ、行政の放棄だとおっしゃる学者もおられる。企業局は企業的活動をされて、企業的決算をされております。給与は収益によって賄われております。岩手県庁、県政の中では特異な存在になります。そこで、外部評価が、自分たちの中期計画に対して良好であるとして評価していただいたということがあるにしても、みずからの給料は自分たちの事業の収益によって賄っているというような自覚であるとか、気骨であるとか、その中で将来どうあるべきだ、今どういう原因によって利益率が下がっていく、黒字額が下がっていくということをみずから評価してやっていただきたいという応援の意味を込めて、このことについては、ほかの部で、みずからが事業の評価をできないからよその課に頼むという話ではなくて、企業局は企業らしく、みずからの事業を評価し、将来に向けてどう進めるべきかということも展望しながらやっていただきたいと思います。
 その意味でお尋ねします。今後の取り組み方針についてでありますが、目まぐるしく変化する経営環境がありますので、今後、利益確保の見通しを踏まえて、事業の安定経営に向けてどのように取り組んでいかれるかについてお聞かせ願います。
〇千葉企業局長 今後の安定経営に向けた取り組みでございますが、安定経営の基盤を維持していくためには、売電先を長期に確保する必要がありますことから、現在、東北電力との間で、平成22年度以降も引き続き10億円以上(後刻「10年以上」と訂正)の長期で電力受給に関する基本契約を締結することで協議を進めているところであります。
 それから、先ほど、委員から御指摘がありました今後の見通し等を含めた利益等についてでございますが、利益につきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、国債等の利率が下がっているために年々減少が見込まれますけれども、東北電力と2年ごとに料金交渉を行っております。その交渉におきまして、原価の適切かつ確実な織り込みに努めるとともに、基本コストの縮減、安定供給に努めて、今後とも一定の利益を確保するような経営をつなげていきたいと思っております。
 先ほど御指摘のありました気概を持った長期の見通しということにつきましても、今、長期展望を立てまして、ちょうど平成22年度以降の中期経営計画を策定する時期でございます。来年度からまた3カ年ほどで中期経営計画を策定する予定で取り組んでおりますが、今後の長期的な課題、例えば岩洞発電所、岩洞ダムも建設以来50年がたちますので、今後に向けた改修等を見通した、やはり10年先を見通しながら取り組んでいかなければならないと考えておりまして、そういった各施設の老朽化対策、新規開発、こういったこと等に、長期的な視点での経営方針や取り組みの方向を明らかにしながら取り組んでまいりたいと考えております。
 失礼いたしました。ただいまの答弁で、東北電力との契約の期間、10年以上という期間で申し上げるところを、10億円以上ということで説明を間違いましたので、おわびして訂正をさせていただきます。
〇柳村岩見委員 次に、新エネルギーへの取り組みについてお尋ねいたします。
 企業局はこれまでに水力発電を中心とした電源開発に取り組んでまいりましたが、今後は、地球温暖化対策のため、水力開発に加えて風力や太陽光などの新エネルギーの開発もますます重要になることと思います。まず、県内でも先発的に運転を始めた稲庭高原風力発電所の決算は、平成19年度は黒字でありました。平成20年度はまた赤字となりました。これまでの赤字の理由については、機器の故障、その中には雷が落ちたことによる故障など、風況が悪かった、そんなことも加えて、その理由、要因があったわけでありますが、平成20年度も同じような原因によるものかどうか、また、平成21年度、今はどういう状況にありますか、お示しを願いたいと思います。
〇野崎電気課長 まず、平成20年度の運転実績についてでありますが、平成20年度につきましては、点検作業や故障などにより運転停止した延べ日数は1台当たり約20日間で、運転開始以来最低となっております。これまでの設備改修や雷対策等の効果があらわれてきたものと考えております。しかしながら、供給電力量につきましては、年間の平均風速は計画の98.6%でありましたが、風の乱れや風向の変化が大きいなど安定した風が吹かなかったことで、所定の出力が得られなかったことなどによりまして、計画の86%にとどまっております。
 一方、支出につきましては、大規模な故障復旧工事など予定外の支出がなく、合計は当初予算額を下回っておりますので、平成20年度決算が赤字となった直接的な要因につきましては、風況などにより、当初見込んだ電力量が得られなかったことによるものであります。
 次に、平成21年度の運転状況についてでありますが、9月末現在の供給電力量は目標の100.1%となっておりまして、延べ停止日数も1台当たり約9日間と順調な運転を続けております。しかしながら、同型機種を導入いたしました他の発電所で機械部品の異常磨耗による長期発電停止の事例もありますので、メーカーや他事業者からの情報収集を行いながら、適切な維持管理に努めてまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、新規の風力開発についてお尋ねいたします。
 企業局にはこれまでの稲庭風力の経験で、それも順調じゃなかったという経験上から、余計にノウハウが蓄積されていると思います。それを生かした、これに続く新規風力の開発に積極的に取り組むべきだと思うのでありますが、日本国内における風力発電の開発は、隣の青森県が大変盛んであります。総出力は本県の約4倍ということであります。広大な面積を有する本県においても、開発に適した地点が多数残されていると思います。本県では2004年、平成17年でしょうか、12月に運転開始した釜石、大槌、遠野に設置されましたユーラスエナジー釜石以来、4年間、設置経歴がない。そういった状況について、企業局はどのように今後取り組んでいかれるかお示しを願いたいと思います。
〇野崎電気課長 今後の新規風力の取り組みについてでありますが、まず、風力開発の前提条件といたしましては、風が強く、風速や風向の乱れが少なく安定していること、希少動植物の制約がないことなどが挙げられ、また、建設用道路の整備状況や電力会社の送電線までの距離などによって建設費が左右されるものであります。青森県は、このような条件がそろっている地点が海岸線沿いに多数あり、風力開発が進んでいるものと思われますが、本県の場合、風の強い地域は山間部が中心であり、場所によっては風の乱れが大きく、希少猛禽類や国立公園による制約、また、建設用道路や送電線までのアクセス経費などの課題があり、青森県ほど開発が進んでいない状況にあります。
 さらに、企業局が開発を目指してきた2、000キロワット未満の中規模の風力発電について、東北電力の新規風力の募集では、契約候補者は抽選により検討の順位が決まることになっておりまして、こういった状況の中で、企業局では平成18年度に一戸町の高森高原地点について東北電力の新規風力募集に応募し、抽選で上位に入りましたが、結果的に技術的な条件に合わず、開発は見送ったところであります。募集条件が緩和されれば開発は可能であると考えておりますので、国の政策や電力会社の新規風力募集の動向などを注視しながら、対応してまいりたいと考えております。
 また、昨年度から開発可能性を検討しておりました二戸市の仁佐平地点につきましては、計画出力1、980キロワットに対しまして、電力会社の配電線の空き容量が100キロワット程度しかないことが判明しましたので、やむなく開発は断念したところであります。
 青森県に比較しますと、本県における風力開発は条件的に厳しい面もございますが、地球温暖化対策は目下の重要な課題でありますので、今後も新規開発に向けて調査検討を行ってまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 次に、地球温暖化対策として太陽光発電の普及に対する期待が高まっております。設置に係る助成制度の復活や、電力料金の新たな固定価格買い取り制度の開始などによって住宅用の太陽光発電は大いに注目され、導入が進んでおります。一方、大規模なメガ級ソーラー発電所は、東北地方では東北電力が宮城県及び青森県に設置予定と聞いておりますが、これまで、水力発電や風力発電などクリーンなエネルギー開発を進めてきた企業局にとりまして、このメガ級ソーラー発電所を建設してはどうかと考えますが、お考えをお聞かせください。
〇中屋敷経営企画課長 メガソーラー発電所の建設についてでございますが、企業局としても、北上工業用水道事業施設内にある出力30キロワットの太陽光発電施設での4年間の実証試験結果をもとに、経済性に関する試算を行っております。その結果、投資を回収するための単価は、50%の補助事業を導入した場合において、1キロワットアワー当たり約35円となっております。この11月から始まる太陽光発電の余剰電力を対象とした固定価格買取制度におきましては、500キロワット未満規模の初年度買取単価が1キロワットアワー当たり24円と示されており、単価の開きがいまだ大きいことから、事業化は採算面においてまだ厳しいと理解しております。しかしながら、太陽光発電は、風力発電と同様に本県への普及拡大が期待できる有望な新エネルギーであり、今後、さらなるコストダウン、あるいは発電効率の向上、補助制度を初めとする国の政策動向などの情報把握に努めて、事業化検討に備えたいと考えております。
 なお、東北電力のメガソーラー計画は全体で1万キロワット、そのうち自社の火力発電所内に合計3、500キロワットを建設する予定と聞いております。残りの6、500キロワットですが、これから施設計画を検討すると聞いておりますが、用地の確保等、県としても協力できるところがあると思われますので、関係部局と連携しながら働きかけをしてまいりたいと考えております。
〇柳村岩見委員 質問の前段のほうでお話ししました良好であるという評価をいただいておりますけれども、その良好の中身を見ますと、電気企業において収益が年々減っていっているという状況下にございます。ですから、岩手県政において、余りまねをしたくない部局もありますけれども、やっぱり企業局はそこら辺の企業局会計、企業会計という感覚、みずからの事業によってみずからの給料を賄い、そして黒字という決算を出すという状況に今ございます。そういうときこそ、新しい新規の事業に対するチャレンジというものを、あるいはでき得るときにやっておくということ、これからどんどん収益が減っていって身動きがとれなくなってきたときに、何をやれと言われても、それは非常に難しい話で、恐らく、そういう意味からいうと、将来にわたってのことについて今考える、今から考えるということだと思いますので、局長の決意をお聞かせいただけますか。エールを送るという意味で質問をさせていただいて、終わりたいと思います。
〇千葉企業局長 大変激励の言葉をいただきまして、これから企業局として発展していくためには、委員御指摘のとおり、新規開発のかなり大きいものは、最近、ダム建設は難しい時期になっておりますが、やはり新規開発を強力に進めていかなければならないと考えておりまして、今も経営方針の中で4本柱の一つに新規開発という項目を掲げております。今のところ取り組んでいる新規開発としましては、平成26年度まで開発が進んで取り組んでいけるめどが立っておりますが、それ以降の新たな地点がまだ確保されておりませんし、やはり新規開発というのは技術が伴うものですので、これは、今のところ県内では企業局が持っているものという自負は持っておりますので、それ以降の開発についても、地点を探しながら、たとえ小規模のものであっても継続して取り組んでいくようにということを、これから策定する長期の経営方針というものもつくっておりますので、そういったところにも盛り込んで取り組んでまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 私も、電気事業会計で第1番目に風力発電について取り上げておりましたが、先ほどの柳村岩見委員の質疑の中でおおよそ理解をさせていただいたところなんですが、平成16年度を100とした場合に、それ以降、発生電力も供給電力もずっと下回っている状況が昨年度まで続いていたわけで、先ほどの答弁で平成21年度はやや持ち直した感があると。風力だけに風向きが変わっていればいいなと思うわけです。
 そこで、今の局長答弁とも関係するんですが、新規開発ということを企業局としては常に─特にも再生可能エネルギーである風力の問題は、温暖化対策の大きな柱になっていくべきものだと私は思っていますので、そういう点で、新規開発の手法をこれまでどうやってきたのか、そして、これから先どうするのか。これは、さまざまな技術的問題あるいは環境等の配慮の問題を含めて、一筋縄ではいかないことは承知の上でお聞きするわけですが、それをどういう手法をもって行ってきたのかという点で御説明いただければと、まずお願いいたします。
〇野崎電気課長 風力発電につきましては、新規開発の手法ということでございますけれども、まず、県内の風況が良好なところ、これは、国の外郭団体であります新エネルギー・産業技術総合開発機構というところで出しております風況マップのほうから場所を推定しまして、あと、地域、地元の方たちの情報を得ながら、まず風況観測を行う。そして、その風況観測を行った上で、良好な地点につきまして、環境の調査、東北電力の配電線の調査、道路状況の調査といったところを検討してきたところであります。これまで、企業局といたしましては18カ所で風況観測を行っておりますけれども、その中で風況が恵まれた地点というのは、稲庭を除きますと高森ほか2カ所ございますが、イヌワシの問題とか、あるいは東北電力の配電線の容量が小さいといった問題から、開発は断念しているところでございます。
 新たな開発ということでございますけれども、これまではまず風況観測から始めておりましたが、風況がよくても、そういったインフラのほうが整っていなければ、最終的に東北電力のほうの受け入れがなければ、供給できないというような状況もありますので、まず、これから新規開発可能地点については調査していくところでありますけれども、そういった配電線の受け入れが可能であるかといったようなところから検討を進める方向としております。
 今回、二戸市の仁佐平地点につきましては、東北電力の新規募集に当たりまして、まず最初にアクセス検討をお願いし、残念ながら100キロワットしかないということで断念したところでございます。
〇久保孝喜委員 ということは、結局、今の段階で、立地可能性の問題ではかなり有力なところはもうなくなっているという理解なのでしょうか。これから、今年度、新しい中期計画をつくるということなわけですが、今考えられている例えば風力の新規の箇所数とか、そういうものは新しい計画の中には盛り込まれる予定になっているのでしょうか。
〇野崎電気課長 有力な箇所ということにつきましては、まだまだ可能性はあると考えておりますので、これからいろいろと情報収集を行いながら、検討を進めてまいりたいと思います。ただ、具体的な地点につきましては、今のところ、まだ想定できる段階にはありませんので、今度の計画については、具体的な地点名については盛り込む段階にはありませんで、適宜、そういったところが出た段階で検討を進めてまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 それでは、決算に立ち返って幾つか数字についてお伺いしたいと思います。
 電気事業会計にかかわって議会事務局でつくっていただいた資料には企業債の現状が載っていまして、それを見ますと、他県比較ができる表になっているんですが、企業債のうちの調達の相手は、岩手の場合は政府資金が74%となっていますが、他県の状況はほとんど50%台ということになっているんですが、これについては、どういう背景があったものかという点を御説明いただきたいと思いますし、今後の展望等があれば、そこも含めてお話をいただきたいと思います。
〇太田企業局次長兼経営総務室長 電気事業会計の政府資金の割合についてでありますけれども、企業債の借り入れは、総務省が政府資金と公営企業金融公庫─現在の地方公共団体金融機構でありますが─資金のどちらにするかを決定しているものであります。平成15年度以降、新たな企業債の借り入れはございませんが、現在の企業債残高における政府資金と公庫資金を比べますと、貸付利率の低い政府資金のほうが償還期間も5年ほど長く、30年と有利な条件になっております。なお、企業債残高の資産に対する割合は、他県と比較しまして低い状況であり、また、償還額も年々減少しておりますので、経営面に大きな影響を与えるものではないと考えてございます。
〇久保孝喜委員 もう一つ、数字をお聞きしたいんですが、財務分析に関するさまざまな指標がありまして、その中で流動比率が、経過の中で1年置きにかなり高くなったり低くなったりしているという状況があるんですが、これについては、全体の健全性は十分担保されているとは思いますけれども、この辺についての要因というのはどのように考えたらいいんでしょうか。
〇太田企業局次長兼経営総務室長 流動比率の変動についてでありますけれども、現金預金や未収金などの流動資産は年度によって大きく変動するものではありませんが、改良工事の未払い金などの流動負債は、工期が年度末で4月の支払いが多額となるような場合は、未払い金がふえることに伴い、増加することになります。この結果、流動比率の増減に影響してまいります。平成19年度は胆沢第二発電所水車発電機ほか改良工事などに係る未払い金が多かったことから、流動比率が1、077.9%となり、平成20年度は未払い金が少なかったため、流動比率は2、556.3%となっております。
〇久保孝喜委員 電気事業会計が堅調である、順調に推移しているということについては、るる説明があったところでございますけれども、剰余金の積み立て、企業債償還にかかわっての積み立てとして、結構な数字が積み上がってきているわけですけれども、これの妥当性といいますか、この程度の規模の中で、運用の方途がないものなのかどうか、その辺の考え方をちょっとお聞きしたいんですが、例えば他県の場合ですと、さまざまな会計を通じて、1年間の剰余資金などの運用の実績を公表したりしている場合もあるんですけれども、この積み立ての金額というのは、今後、何らかの形で県民還元なり、あるいは一般会計への繰り出しなどを含めて、数字的には動いていかないものなのかどうか、そこをお知らせいただきたい。
〇太田企業局次長兼経営総務室長 先ほど来、黒字ということで御説明させていただいておりますけれども、お話しさせていただきました中に、新たな視点を設けてとか、あるいは発電所の施設におきましては、建設しまして40年、50年たっておるものもございます。その辺につきまして、将来的な改良ということも見込んで、その資金について対応を考えていかなければならない。短期的な資金の運用につきましては、実際の運用は、市中銀行のほうに短期的に行う場合もありますし、あるいは一般会計のほうに貸し出しということで、私どもとしましても精を尽くして対応してまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 一般会計との関係は後でもう一回触れさせていただきたいと思いますけれども、次に、工業用水の関係でお聞きしておきたいと思います。
 先ほど来の説明で、欠損金の解消が図られるという見通しについては大変喜ばしいことだと思うんですが、この会計についても、かなり高い利率の企業債の存在というものが、監査の指摘もあったりして、その解消が大きな課題だとされているわけですけれども、その高利率企業債の改善現状について、先ほども少し触れられておりましたけれども、御説明をいただきたいと思います。
 あわせて、市中銀行からの調達割合が他県に比べてちょっと高いようなんですが、その辺の背景もあわせてお聞きしたいと思います。
〇太田企業局次長兼経営総務室長 工業用水道会計の高利率企業債の改善状況についてでありますけれども、国の臨時特例措置に基づきまして、平成19年度から平成21年度まで、5%から7%の高利率の企業債の借りかえと繰り上げ償還を行うこととしております。平成19年度は、いわゆる機構債6件、4億1、100万円余の借りかえを行い、平成20年度は機構債4件、2億4、600万円余の借りかえと、政府債5件、6億1、000万円余の民間資金借り入れによる繰り上げ償還を行っております。また、平成21年度は、政府債6件、2億9、100万円余の繰り上げ償還を行うこととしており、3年で合計15億6、000万円余の借りかえと繰り上げ償還を行い、2億7、500万円余の利息を軽減することを見込んでおります。
 次に、市中銀行からの借り入れにつきましては、平成20年度に行いました政府債の繰り上げ償還の財源として、国からの通知により、自己財源もしくは民間等資金の借り入れによるものとされておりますことから、入札により市中銀行から低利の借り入れを行ったものであります。
〇久保孝喜委員 最後の項目に入りたいと思いますけれども、この企業会計のいわば収益をどういう形で県民に還元していくかということの問題なんですけれども、先ほど、一般会計への繰り出しということもございましたけれども、ホームページ上で明らかになっているので言えば、平成20年度の繰り出しは2、236万円ということで予定をしていたということなんですが、その実績を含めて、これまでの経過の説明をお願いしたいと思います。
 あわせて、県民に対する還元ということで言えば、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金などの活用を含めてさまざまに事業展開をしているわけですが、おおむねこの事業の全体のボリュームとしては、もちろん収益にもよるわけですけれども、まだ伸ばせる余地はあると考えているのでしょうか。
〇中屋敷経営企画課長 まず、地域貢献に係る一般会計への繰り出しについてでございますが、平成18年度に特別利益など3億円を原資として環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を創設しております。この積立金によりまして、ただいま、一般会計への繰り出しというものと、企業局の自主事業でありますクリーンエネルギー導入支援事業を行っておりますが、平成20年度につきましては、一般会計への繰り出しとして、いわてバイオマスエネルギー利活用促進事業や地球温暖化防止対策事業など5事業に対して2、000万円余を繰り出ししております。そして、今年度は、住宅用太陽光発電の導入補助事業やペレットストーブ普及促進事業など8事業に対し、3、300万円余を繰り出す予定としております。
 この積立金の今年度末の残高については1億3、500万円余となる見込みでありますが、今後も、環境保全やクリーンエネルギー導入促進など、電気事業と関連がある分野を基本とした地域社会への貢献を継続することが必要と考えておりまして、この積み立て方法、補てん方法等について、ただいま検討しているところでございます。
〇久保孝喜委員 拡充策を図っていただきたいという思いでお話をしているわけなんですけれども、他県のホームページなどを見ても、県民に対する還元については、かなり大きなスペースを割いて企業局が発信しているという例が結構あるようなんですね。そういう点で見ると、地道にやってはいるんだけれども、なかなか目立っていないという現状、それから、企業局自身の発信力という点では、まだまだ私は不十分なのではないかという思いがするわけなんですけれども、その点で、例えば他県の例で言うと、その県ならではの新しいエネルギーに対する支援というようなことをかなり強調して打ち出している例が結構あるんですよね。例えば新潟などでは、冷熱エネルギーというところに焦点を当てて、雪の活用、これに伴うエネルギーの新しい創造ということを、結構、企業局の中の中心テーマに軸足を動かして、それがその県らしい県民還元だというような打ち出し方をしているんですけれども、そういうことが企業局の中にあって検討されてしかるべきだと思うんですけれども、その点、そういった考え方を含めて、いかがなんでしょうか。
〇中屋敷経営企画課長 いろんな支援ということについてでございますけれども、先ほど申しました企業局の自主事業でございますクリーンエネルギー導入支援事業は、市町村等が実施する小規模なクリーンエネルギー設備導入に対する支援をしているものでございますけれども、これについては、実は、実績のほうは太陽光発電を利用したものが多いのでございますが、太陽光にこだわっているものではなくて、風力とか水力とか、いろんなものを利用していただきたいという趣旨で実施しているものでございます。今年度は、親水公園のマイクロ水力発電設備等にも支援する予定でございまして、本県の地域特性を生かしたそういったエネルギー利用に支援してまいりたいと思っていますし、企業局の今までのノウハウとして、水力、風力等の知見がございますので、そういった技術支援も行い、もう少し情報発信のほうを強めてまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 最後にいたします。先ほど来、今年度が中期計画の最終年度だということで、新たな計画をつくるんだということなんですが、3年ぐらいの中期計画ということなんでしょうけれども、お話があった10年後を見据えた長期計画というような言葉が局長から出ました。10年後に向けたあるべき姿みたいなものを含んだ中期計画にするんだという決意だということなんですが、それでは、そういう長期ビジョンをどういう形で積み上げていくのか、その策定の手法を含めて、そして、もし御答弁できるのであれは、その際の柱となるべき考え方なり、あるいは事業構想なりということがあったら、御披瀝をいただきたいと思います。
〇中屋敷経営企画課長 ただいまの次期中期経営計画とあわせて長期の経営方針というものを策定するということで、今、案をつくりまして、職員と意見交換を盛んにやっている最中でございますので、本年度末には、次期中期経営計画とあわせて策定したいといった形で進めております。
 その中で、特に考えておりますのは、先ほど委員の皆様にも御指摘いただいておりますが、これから新規開発や安定した経営を続けていくためにも、組織力─最近、特にここ数年、人員削減をしてきておりまして、若い職員が少なくなってきているという現状もありますので、今後、安定した経営を続け、技術を継承していくためには、そういったところもきちんとうたった形で取り組んでいかなければならないと思っておりますし、今後の姿としましては、電気事業で10年後というか、その先のありたい姿として現在掲げておりますのは、電気事業の発電所関係ですと、ちょうど来年で岩洞発電所が50年になります。戦後の大変な時期にあの場所に整備して50年もたちますので、やはりそれを修繕、改善して、さらにその次の50年につなげたいというような思いで計画をつくっておりますし、工業用水道関係も、先ほど来御説明申し上げているとおり、累積欠損金の解消が見込まれ、入畑ダム関係もございますので、そういったことを踏まえて、自立可能な経営体に向けた見通しを企業の皆様にも説明して、そういった見通しのもとの計画にしたいと考えて、今、策定の作業を進めているところでございます。
〇久保孝喜委員 ぜひ、企業局としての発信力を高めていただきたい。私は、さまざまな再生可能エネルギーに対する支援の問題を含めて、企業局の収益の中の一つではあるけれども、しかし、岩手県としての大きな姿勢を打ち出す分野でもあるということからしても、企業局自身の発信力はもっともっと高めていただきたいし、その力はあるのだろうと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
〇高橋雪文副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時9分 休 憩
午後3時28分 再開
〇小田島峰雄委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 それでは2点、まとめて聞きます。
 風力発電、小水力発電など、新エネルギー開発の状況について。
 風力発電の08年度の実績、09年度の前半の実績を含めて示していただきたい。
 風力発電、小水力発電など、新エネルギーの開発の調査、見通し、実績はどうなっているか。
 新エネルギー開発を進めるための課題、障害は何か。
 大きな二つ目、工業用水道事業について。
 昨年秋以来の経済危機の状況のもとで、工業用水の利用状況はどうなっているか。今年度の見通しはどうか。
 1億円余の一般会計からの出資金が支出をされていますが、工業用水道事業の借入金、累積赤字の状況はどうなっているか。今後の解消の見通しを示していただきたい。
〇野崎電気課長 稲庭高原風力発電所の平成20年度の実績でございますけれども、年間の平均風速は、計画値であります毎秒7.1メートルに対しまして、実績は7.0メートル。好風況でございましたんですが、風の乱れ等風況が悪かったこともありまして、供給電力量は計画の86%の408万7、000キロワットアワー余となり、電力量の収入も、計画の86%に当たる4、700万円余となっております。これは税抜きでございます。
 支出につきましては、当初予算を下回る5、174万円余となりましたが、収支としましては473万円余の赤字となっております。
 それから、平成21年度の前半につきましては、今年度につきましては平成16年度に次いで好風況になっておりまして、供給電力量は目標の100.1%の実績となっております。
 次に、風力、小水力など、新エネルギー開発の調査、見通し、実績についてでございますけれども、風力発電につきましては、これまで18地点の風況調査を実施してまいりましたが、開発に至りましたのは稲庭高原風力発電所だけでございます。平成18年、19年度に実施いたしました二戸市の上斗米地区を最後に、風況調査は、現在休止しております。
 なお、上斗米地区におきましては、年間平均風速が毎秒5.0メートルの結果を得ておりますが、採算の目安であります毎秒6.0メートルに達しなかったので、事業化は断念しております。
 また、昨年度から開発可能性を検討してまいりました二戸市の仁佐平地点につきましては、計画出力1、980キロワットに対して、電力会社の配電線空き容量が100キロワット程度しかないことが判明しましたので、開発は断念したところでございます。
 地球温暖化対策は重要な課題でもございますので、風力への期待はますますこれから高まることはありますので、今後も新規風力開発に向けて調査、検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、小水力発電の開発でございますが、胆沢ダム完成後に放流される維持流量を既設の若柳取水堰堤地点で発電に活用することを検討したところ、最大出力140キロワットの発電が可能であることから、今年度、国や電力会社と協議を進めるとともに、発電所の基本設計を実施中であります。
 現在、流量観測を実施している雫石町の有根沢、一関市の槻木平、西和賀町の南本内の3地点での見通しについては、概略検討を行った結果、キロワットアワー当たりの売電単価が11円台から31円台となって、電力会社の買い取り単価と大きな隔たりがある結果となっております。
 そのほか、新たな地点の開発調査につきましては、小水力発電について、これまでに国や企業局が行った可能性調査箇所を、最近の補助制度を勘案し、事業化の可能性の再検討をしていきたいと考えております。
 次に、新エネルギー開発を進めるための課題、障害についてでございますけれども、一般的に、風力を初めとする新エネルギーによる発電は、火力発電などに比較いたしまして発電コストが高いため、その低減が求められます。
 風力の場合は、本県の場合、開発が適した地域が山間部であるため、風の乱れ、風向の変化が大きいことや、建設用の道路、送電線までのアクセス経費などのコスト的な課題に加えまして、イヌワシなどの希少猛禽類や国立公園等の保護の制約があります。水力発電につきましても、開発の適地が奥地化されてきておりまして建設コストがかさむことから、今後につきましては、小水力発電の開発地点の再検討に取り組むこととしております。
 新エネルギーの開発の主たる課題は高コストでございますので、新規開発が一層進むよう、風力や小水力などの発電設備に対する支援措置の拡充について、全国知事会を通じて国に要望しているところであります。
〇菅峨業務課総括課長 工業用水の使用状況につきましては、昨年の11月以降大きく減少し、ことし2月には、日量で2万5、800立方メートル程度と、前年同月比マイナス22.3%の減少を底に、10%以上の減少が5月まで続いており、6月、7月には、3%前後の減少と、幾分回復の動きが見られましたが、9月には、日量で3万600立方メートル程度、7.8%の減少となり、依然として前年同月比を下回る水準で推移しております。
 なお、今年度の使用水量の見通しにつきましては、景気の回復にもよりますけれども、なお、前年度水準の使用水量に回復するには、時間がかかるものと思われます。
 次に、借入金、累積赤字の状況についてでございますが、まず、借入金の状況については、工業用水道事業を行うに当たっては、ダムの水源確保や施設建設等に多くの資金を要するため多額の借り入れを行っており、平成20年度末で企業債残高は51億2、900万円余に上っております。また、長期借入金として、企業債の繰上げ償還のため一般会計からの借入金11億4、700万円余、それに企業債償還の資金不足を補うため、電気事業会計から6億9、500万円余の借入金があり、企業債と長期借入金の残高は、合計69億7、000万円余となっております。
 なお、企業債の償還は、平成22年度の5億2、000万円余をピークに、その後、平成29年度から3億円を下回る額を見込んでおりますが、平成24年度の入畑ダムの水源転用によりまして資金不足が解消し、一般会計からの支援を受けなくても経営できる見通しとなっております。
 また、累積欠損金につきましては、平成8年度末の13億円余をピークに、経営健全化計画に基づく取り組み等により減少し、平成20年度末で6、400万円余まで減少し、今年度で解消される見込みでございます。
〇斉藤信委員 新エネルギー、クリーンエネルギー、これは鳩山政権も国際公約で25%削減と打ち出したわけで、私は国の制度がそれにふさわしいものにならないと、これは25%いかないだろうと。何か新政権で25%削減にかかわった方向というのが出ているのかどうか。また、これは絶対必要だと思うので、そういう点を強力に私は申し入れをしていくべきではないかと。岩手でできなかったら全国でできないというぐらいの状況だと私は思うので、その点ひとつ局長にお聞きをしたい。
 もう一つは、工業用水道が単年度収支は改善されて黒字になっているというのは、これは評価をするところですけれども、しかし、今お聞きしたら69億円余の累積の借入金、その他あるわけで、これを聞いて大変私も驚いているんだけれども、さっきちょっと答弁が見えなかったのは、今後の中期計画をこれからもつくるという話ですが、どういう中身というか、どういう方向性を今の時点で検討しているのか、この2点をお聞きして終わります。
〇千葉企業局長 CO2の25%取り組みに向けた国の方向性ですけれども、たしか公約で新エネルギー関係の買い取り制度、そういったものも掲げていると記憶しておりますので、そういった新エネルギー、先ほど来説明申し上げているとおり、開発にコストがかかるということがありますので、そういったところのコストの削減に向けて、補助金あるいは買い取り制度、そういった制度が充実されるようにと私どもも思っておりまして、今後とも、国のほうに働きかけてまいりたいと思っております。
 それから、工業用水道関係のこれからの見通しですけれども、資金的には先ほどお話ししましたとおり、平成24年度の入畑の転用によりまして、キャッシュフローでは好転が見込まれております。一方で、これからの水の需要をどう見込むかというところがありますし、それから、あと施設も昭和53年度に事業を始めて、管関係がことしも水漏れというのが数件ありますので、施設の老朽化対策として、今後、改良、更新、そういったところをどのように見通すかということで、今そういう劣化度の調査をしながら、今後に向けてどれくらいの設備更新資金が必要かを考えまして、あわせて料金体系についても見直して、企業にもお示ししながら取り組んでまいりたいと思っております。
〇小田島峰雄委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 質疑がないようでありますので、企業局関係の質疑をこれで終わります。
 大変御苦労さまでした。
 次に、医療局関係の審査を10月16日に引き続き行います。
 まず、本日お配りした資料に関し医療局の説明を求めます。
〇細川医療局次長 本日、委員の皆様方に関係資料をお配りさせていただきましたので、少しの時間をちょうだいし説明をさせていただきます。
 資料は2部でございます。まず、A4判1枚のものがあろうと思いますが、その法人認可等に係る現在の状況という表題の資料でございます。これは、斉藤委員からお出しするよう御指示がありまして、私どもから、9月25日に委員にお出しした資料の写しでございます。この中の下のほうのところに、2とございまして、社会福祉法人の設立(社会福祉法人七星会)のその下のほうの設立準備の欄がございます。その右側のほうに、設立準備委員会設置済みと記載してお示ししてしまいましたが、設立準備委員会の開催はまだ行われてございません。これからでございまして、これは、21年3月7日に開催いたしました設立に向けた打ち合わせを、誤って記載をしてしまったものでございます。
 また、その日付について、後日、斉藤委員に口頭でお答えしておりました21年3月18日というのは、誤ってお伝えをしたものでございます。私どもの確認が不十分であり、御迷惑をおかけしました。
 また、もう一つの同じくA4判の分厚い資料でございますが、これは、今回の公募に当たりまして、医療法人白光から提出のありました応募申込書でございますが、この中の4カ所に黄色の附せんを張ってお配りをいたしました。
 まず、28ページの社会福祉法人七星会定款、それから、35ページの社会福祉法人七星会設立総会議事録、それから、39ページの社会福祉法人七星会設立趣意書、そして、43ページの社会福祉法人七星会に係る法人役員等名簿につきましては、それぞれに私どもで今回大きく予定と書かせていただきましたが、この四つの資料につきましては、これからの社会福祉法人七星会の設立に向けて仮に作成したものでございまして、準備しなければならない資料としてあらかじめ用意した資料でございます。あくまで準備段階のものでございまして、提出に当たりまして予定の資料であることを説明しなかったため、御迷惑をおかけいたしました。
 なお、本日委員の皆様方に配らせていただきました資料についてですが、これは県の内部における調査のための資料ということでお示しをしたものでございます。中には、ごらんのとおり、氏名等実名での記載とか法人に関する財務等の内容などが盛り込まれておりますので、取り扱いには十分御留意をいただきますよう、お願いを申し上げます。
 説明は以上でございますが、今後こうしたことが再び起こらないよう、十分注意して対応してまいりたいと思っております。大変申しわけありませんでした。
〇小田島峰雄委員長 これより質疑を続行いたします。
〇斉藤信委員 訂正に次ぐ訂正とおわびで、私はもう本当にこの医療法人の信頼性が完全に揺らいでいるんじゃないかと思いますよ。
 それで、今、はしなくも、社会福祉法人の設立準備委員会は開かれていないと、打ち合わせだったと。だったら、この打ち合わせにだれが出たのですか。記録は何もないのですか。
〇大槻管理課総括課長 今回の公募に当たりましては、医療法人白光の計画の中で、新たに社会福祉法人を設立した上で事業計画をするという計画になってございまして、今回の公募に関しましては、我々のほうでは、今、委員から御指摘のあった関係の書類については、もらっていないものでございます。
〇斉藤信委員 打ち合わせをやった証拠がないじゃないですか。いいですか。この医療法人白光は新たに社会福祉法人を立ち上げて、特養ホーム、デイサービス、ショートステイをやるんですよ。普通、社会福祉法人の認可作業というのは、1年から2年かかるんですよ。そういう準備がなくて、何で審査が通るんですか。審査の中身に入っているじゃないですか、社会福祉法人の準備状況というのが。何もやっていないんじゃないですか。しかし、あなた方がきょう皆さんに配った中には、理事の名前が出ているんですよ。私は複数の人から、打ち合わせは1回もやられていないと聞いていますよ。勝手に名前が書かされているだけなんですか、じゃ。
〇細川医療局次長 先ほど私が御説明申し上げました四つの資料をお話し申し上げましたが、これは実は当初、私どもとして必須の資料として求めたものではございませんし、それから、委員御指摘の打ち合わせにつきましては、あくまでも、私どもとすれば内部の打ち合わせであると認識してございます。したがって、私どもとして議事録を求めるとか、そういうことの必要性はないのではないかと思ってございます。
〇斉藤信委員 とんでもない話ですよ。いいですか。あなた方の審査評点表ですよ。事業を適正かつ確実に実施する能力があるか。経営基盤、人員配置、全部書かれているんですよ。それが評価の基準になっているんですよ。何で評価したんですか、じゃ。(「まだ許可していないだろうに」と呼ぶ者あり)評価を聞いているの。いいですか。そこを答えてください。あなた方はそれを評価しているんじゃないですか。人員体制が大丈夫かとちゃんと意見が出ているわけじゃないですか。答えられますか。
〇田村医療局長 今回のケースについては、医療法人が既存の法人として存在していまして、社会福祉法人につきましては、今後立ち上げるという作業の中で、事前準備として、我々としても専門家の立場からの指導が欲しいということで保健福祉部にお願いをして、るる指導を続けているということでありまして、その指導というのは、直前、法人設立まで延々と続くものでございます。これは、何もこの法人のようなケースだけじゃなくて、一般的に新しく社会福祉法人を立ち上げて事業を行うというのは同様のものだと考えております。
〇斉藤信委員 特養ホームやショートステイやデイサービスをやると言っているけれども、ほとんどそれは準備されていないと。内輪でしかやられていないと。しかし、だれが理事になって、そういう方々が10万円ずつ拠出するという、予定であったって、了解がなかったらそんなの書けないでしょう。どうなんですか、それは。
〇田村医療局長 先ほど来申し上げているように、事務局側が─事務局側といいますか、医療法人側が、将来そういう書類が必要になるということで、そのときに備えて用意したものでございますから、そういう書類だということでございます。
〇斉藤信委員 答弁不能だということです。社会福祉法人の準備状況はそんなもので進まないのです、率直に言って。認可されるのは最後の段階なんですよ。それまでに1年以上かかるというのが社会福祉法人の皆さんの指摘ですよ。だったら医療法人はどうなのかと。私は、監事監査報告書は偽造だと言いましたが、確かめましたか。平成21年度も確かめましたか。
〇大槻管理課総括課長 委員会での御議論もあったことですので、念のため、応募法人にお話を伺ったところでございます。内容については、10月5日に伺いましたが、そのときの内容と同様に、平成21年度も20年度も監事が監査をしており、平成20年度には、体調の関係で奥さんがかわってサインをしたものとの説明を受けてございます。
 いずれ、医療局といたしましては、今回の応募に際して、法人の決算内容を求めている趣旨でございますが、今回の事業を行っていくに当たりまして、法人としての財務の状況を見させていただくため提出をしていただいたものでございまして、御指摘の監査報告書につきましては、直接、財務状況に影響を与えるものとは考えていないところでございます。
〇斉藤信委員 とんでもないことなんですよ。私は前回も指摘をしたけれども、このあなた方の応募要綱にこう書いているんですよ。
 応募に関する留意事項。失効または無効。次に掲げる場合は、申し込みが失効または無効になります。提出した書類に虚偽の記載を行ったとき。提出した書類ですよ。応募書類に虚偽があったら、失効または無効なのですよ。本人は入院して一関にいなかったのです。どうして白光の事務所で、奥さんと一緒に監査できるんですか。いいですか。本人が監査していない監査書類が出たらどうなるか。私文書偽造ですよ。私文書偽造罪というのは、3カ月以上5年以下の懲役に処せられるんですよ。これだけ重大なことが指摘されていて、まともにあなた方は反論できなかったら、これは失効、無効に値するんじゃないですか。違いますか。
 それと、平成21年度も日付が26日になって変な印鑑で消されていますが、あんなの無効でしょう。平成21年度だって疑惑があるんですよ。平成19年度については監査報告書が添付されていません。なぜですか。
〇田村医療局長 平成19年度は添付されていないというお話でございましたけれども、応募の際に必要な書類ということつきましては、過去3カ年分の決算文書を求めてございます。その際に、それは損益計算書であり貸借対照表であり財産目録でございます。ただ、この法人はその際に、監査報告書もあわせて添付してきたという事実でございます。
 それから、今、この法人についての虚偽の記載云々ということでございましたけれども、一つ目は、監査していないというようなお話でございましたけれども、私どもは監査していないとは聞いてございません。いつ、どこで、だれが、どのように、斉藤委員お聞きになったのかわかりませんけれども、監査していないとは聞いてございません。
 それから、そもそものお話でちょっとお話しさせていただきますけれども、きょうお配りした資料に白光の定款がついてございます。24ページでございます。
 24ページの17条の5というところ、一番下でございますが、監事は、次の業務を行うということで、本社団の業務を監査すること。めくっていただきまして、(3)では、本社団の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了後3月以内に社員総会又は理事に提出すると。
 この監査をして調書をつくって、そして理事に提出、一連の行為全体が監事の業務でございます。したがいまして、今、もし虚偽云々ということになりますと、監事の責任において、本来執行するべきものが監事さんが適切に行わなかったということになってまいります。こういうようなことにつきまして、そもそも監事というのは独立した権限を執行しますので、いわゆる我々が今、直接対応しておりますのは理事でございます。理事長サイドでございますので、理事長は監査報告書の作成に関与する権限はございません。そういったことで、我々は、先ほどこれ以上調査することはできないようなことを申し上げましたけれども、基本的に、こういった監査を適切にしているかどうかというようなことについては、我々のような立場で、いわゆる法的な指導監督権限もない者が、そのようなことを調査するというのは、やれることではないと考えております。
〇斉藤信委員 どんな重大な指摘がされても、調査もしない。信じがたい話ですよ。
 58ページ見てください。私が指摘した平成20年6月18日の監査報告書。これ、奥さんが書いたと言いますが、その当時、本人は入院していなかったのです。奥さんだっていませんよ。これ、筆跡を調べてください。私が指摘していることは、医療法人の名誉にかかわる問題ですよ。間違っていたら私は告訴されますよ。そういう性格の問題を、私は事実に基づいて指摘をしているのですよ。指摘されても、調査もしない、確認もしない。私、このぐらい無責任な話はないと思いますよ。
 いいですか。選考基準の中にはこういうのがあるんですよ。経営基盤がしっかりしており、団体にあっては事業実績報告理事会または総会の開催等適切な運営がなされているか。これが選考基準になっているんですよ。まともな監査がされていなかったら、適切な運営がされていると言えないでしょう。まさに私は内定そのものが間違っていたんじゃないかと。そのことを指摘しているんですよ。
 そして、後からもたくさん指摘をしますが、この評価表というのは、誤った事実に基づいた評価をされているんですよ。私はそういう意味では、あなた方の選考過程にかかわる問題、そういう重大な問題として対応すべきじゃないですか。
〇田村医療局長 最初に申し上げましたけれども、応募の審査というのは、公募の審査に必要な事項を必要な範囲で確認をするというのが基本でございます。洗いざらい調査をするというような趣旨で我々は書類をいただいているものではございません。これは、使用目的を超えるというようなことで、あくまでも私どもと白光の関係は、これから私的な契約を結ぼうとしている関係でございます。私的な関係でございます。そういう中でやれるということには、おのずと限界があると考えてございます。
〇斉藤信委員 私的な契約どころじゃないんです。59年続いた県立医療機関を廃止することにかかわっているから、これだけ審査しているんじゃないですか。これは医療機関が単なる民間と契約することじゃないんですよ。59年続いた県営医療を廃止していいのか。そこにかかわって民間医療法人の信頼性が問われているんですよ。
 次に進みますよ。あなた方はこの問題について、重大な疑惑について答えられなかったと。その上で、私は、じゃ、まともにこれが医療を運営できるのかという根本問題に触れたい。
 応募では、2人の常勤医師と3人の非常勤医師を確保する予定だと。9月2日の懇談会では、年齢まで紹介されました。1人は常勤医師、36歳、42歳。非常勤67歳、70歳。ところが、最近、今度の審査の直前にあなた方が示したのは、年齢が全部違っていますよ。今、示されているのは、常勤が75歳、外科系35歳、これが2人です。非常勤48歳、36歳、37歳。みんな違っているのはどういうことですか。いいですか、あなた方が応募したときの医師確保の見通しは、全部違ったということじゃないですか。それでどうして10年間の医療の運営ができるのですか。1年間もできないんじゃないですか。
〇細川医療局次長 それぞれ私どものほうで、医療法人白光側に医師の体制については確認をしているんですが、その懇談会で委員御指摘の話もありますが、私どもとして正式に確認をし、いただいている─正直言って名前は伏されているんですが、履歴書もいただいた、その状態のものが過日お示ししました内科系、外科系、これが常勤ですね。それから非常勤3名と。これが私ども現在いただいている最新のデータということでございまして、これを私どもは、白光側には常勤2名それから非常勤3名の体制で確保していただけるもの、あるいは確保していただきたいと私どもとしても願っております。
〇斉藤信委員 医師確保が一番の根本問題なんですよ。それで、5人確保できると言って年齢まで示した。応募したときの5人は、今、みんなだめになっているんですよ。わずか1カ月で。こんなことがあり得ますか。
 きょう渡された応募書類の3ページを見てください。ここには有床診療所の責任者の医師が明記されています。これは初めて出ました。実はこの医師が、6月から8月にかけて、医療法人白光の紹介で花泉地域診療センターに派遣されて医療行為をやった。何でそんなことがあるんですか。どういう経過、どういう理由でそういうことが行われたんですか。
〇細川医療局次長 花泉地域診療センターに医師が勤務したときの経過につきましては、本会議のほうでも医療局長から答弁をさせていただきましたが、医師の確保ということにつきましては、そういう勤務ができるお医者さんがいるのであれば、常に私どもとしてはぜひお願いしたいという立場で考えております。いずれ、医師の確保が非常に厳しいものですから、依然として厳しい状況のもとに、今回、非常勤でも勤務ができるというお医者さんがいたものですから、私どもの非常勤の職員として採用し、勤務をしていただいたということでございます。
〇斉藤信委員 極めて不可解なんですよ。花泉地域診療センターは4月から無床化されて、内科医が2人担当しているんですよ。全然不足じゃなかったんですよ。そこに、なぜ医療法人白光の紹介でわざわざ配置されるんですか。これは癒着じゃないですか。これ、公募が始まる前ですよ。医師が足りないというんだったら、足りないところがたくさんあったじゃないですか。なぜそんなことになるんですか。
〇細川医療局次長 医師の確保に当たりましては、私どもだけの意向でなかなか集まらないという事情がございます。例えば、先生方によっては、私はここのところであれば勤務が可能とか、そういう条件もございます。したがいまして、私どもとして、ここにぜひと言っても、なかなかそれがかなわない場合もございまして、先方の先生方との協議というのも当然必要なわけですし、それから、何よりも、私どもで採用しましたのは、実はセンターでの診療のみならず、例えば在宅の医療といったことも実施してございますので、そういう意味で言えば、医師は多いほうが、─多いほうがいいと云えばあれですけれども、やっぱり医師の確保をして、十分な体制でできれば当たらせたいということもありまして、私どもとしてお願いをしたということでございます。
〇斉藤信委員 いいですか。花泉地域診療センターは要望も何もしていないんですよ。配置するんだったら、例えば住田の地域診療センター、常勤は外科医ですよ。内科医の配置が欲しいと、あなた方に何ぼ要望していますか。何で要らないところに、そういう医療法人白光の紹介で配置されるんですか。これは医療法人白光の要望でしたか。どこの要望で花泉地域診療センターに配置したんですか。
〇細川医療局次長 私どもは、情報をいただいた段階でこの先生の意向を確認をいたして、そして花泉ということがあったものですから、花泉に採用させていただきました。先ほど委員から、住田もあるのではないかというお話がございました。住田につきましては、別に私どもとしていろいろ医師の確保を尽くしておりまして、正直言って、実は今度の1月から住田のほうに内科の先生を確保してございまして、そっちのほうについては内科、外科の体制が整うということもございます。
 いずれ、繰り返しになりますが、それぞれの業務の状況やら、あるいはおいでをいただける先生との関係で勤務先を決めるというのが私どもどうしても必要なことかと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
〇斉藤信委員 結局は、医療法人白光の紹介、要請で試運転をさせたということですよ。なぜ2カ月でやめたんですか。そして、この医師はやめた後、医療法人白光の老健施設の嘱託医師、管理者になりました。9月末でやめました。なぜですか。
〇細川医療局次長 確かに花泉センターのほうには8月の上旬からお勤めいただいて、勤務期間が長くないのは事実でございます。私どもとしてお願いはしたんですが、先ほども申し上げましたが、勤務の状況とかあるいは内部のさまざまな体制上を考えたときに、いずれ、これ以上お勤めをいただかなくてもいいという状況が判断されたということで、センターをおやめになったわけですが、確かに法人のほうに行かれたということはあって、その後10月から欠勤されているということは伺ってございますが、その事情につきましては個人的事情もあろうかと思います。私どものほうで確認はしてございません。
〇斉藤信委員 重大なのは、その医師が診療所長候補だったということなんですよ。そういう人が、率直に言えば2カ月もたなかったということですよ。そして、医療法人白光は、私は前回も取り上げましたけれども、今までの常勤医師それ自身が、火曜日の夕方から金曜日しか勤務していないのです。これは勤務時間数から言ったら、常勤医師に当たらないのですよ。そういう状況だったんですよ、医療法人白光自身が。やめたい、やめたいと言っていて、渡りに船でその方がその後がまに移ったということです。しかし、移った人も1カ月しかもたなかったと。医療法人白光が医師確保できるどころか、医師確保にきゅうきゅうしていたと。老人保健施設はもう半月近く欠勤状態だったと、こういう事態でしょう。それは把握していますね。
〇細川医療局次長 確かに10月から欠勤をされている。それから、この間は日曜日、火曜日、土曜日は他の医師が、それから、それ以外についても他の医師が代理でやっているということで、その体制は整っていると伺っております。
〇斉藤信委員 私は事実に基づいて指摘しているので、老健自身が、今までの常勤医師も勤務実態は火曜日の夕方から金曜日です。私はこれ自身が問題だと思う。しかし、それをやめた後、1カ月しかもたなかった。今度また新たに配置するそうですが、75歳の医師ですよ。いいですか。75歳の医師というのは、あなた方が履歴書をもらった医師でしょう。ここでもまた崩れてくるんですよ。医師確保の見通しが1カ月で5人全部ずれたなんていうときには、これは内定取り消しでしょう。あなた方の評価を全部見せてもらったけれども、何で評価しているかというと、医師確保の見通しが明るいから、こうやって評価しているんですよ。医師確保の見通しが明るい。医療法人が医師確保が大丈夫だと言っているから大丈夫だと。全然違うじゃないですか。これは評価の前提が崩れているんじゃないですか。
〇細川医療局次長 お言葉でございますが、医師5人全員がというお話でございますが、私ども伺っている中では、確かにお二人の先生の話はございます。ですが、その他の先生については、いずれ内定をいただいているということでございますし、あわせて、このほかに他の先生についても現在交渉中であって、常勤2名、非常勤3名についてはキープをしたいと伺っておりますので、私どもとすればそれをぜひ守っていただくというか、体制を確保していただくようにぜひやっていただきたいと思っております。
〇斉藤信委員 私が指摘したのは、書類の応募したときに、あなた方が説明を受けた5人はみんな違っていたと。しかし、それを前提にして評価されているのです。もう、評価の前提が崩れているのではないかなと言っているんですよ。寄附をする話もどうかわかりませんよ。社会福祉法人がそうですからね。聞けば予定だと。理事にする予定の人の了解も得ていないと。これは社会福祉法人の場合でした。私は本当にあなた方の審査というのは、全くあいまいではないかと思います。
 実は、これも見ていただきたい。医療法人白光の議事録。34ページ。これは平成21年3月6日、午後2時に開いたという臨時社員総会です。いいですか。3月6日に診療所開設に伴い、定款の一部変更を承認する件をやっているんですよ。医療法人白光は、無床化される前から、無床化された花泉診療所で診療所をやると、そのための定款を変更しているんですよ。異常だと思いませんか。出来レースじゃないですか。これも予定ですか。
〇田村医療局長 白光につきましては、ことしの1月ごろからやる意欲を示して、そして新聞等にも出ておりますので、そういった意味で、そういうことをやるということをかなり早くから法人としての意思を表明しているということでございますから、これについては、別にそれ以上申し上げることはないんじゃないかなと思います。
〇斉藤信委員 いいですか、民間移管なんていうことを何も決めていない段階ですよ。そういうときに、医療法人がそれを前提にして定款を変えちゃったんですよ。あなた方が、もしかして了解させていたんじゃないですか。そうでなかったら、こんな定款変えれないですよ。後から変えればいいんですよ、こんなのは。大体、民間移管が何もこのときは決まっていない、議論もされていない。それどころか、無床化に反対の声が上がっていた、そういう時期ですよ。昨年の12月に、医療法人の会長に知事から電話があったと、こういう話もありますよ。私は本当にこの医療法人白光と県医療局の関係は異常じゃないかと思うけれども、いかがですか。
〇田村医療局長 私どもとすれば、医療法人白光が、1月の下旬だったと思いますけれども、名乗りを上げてというような新聞記事がございまして、中身がどういうものなのかということで会長さんにもお会いしておりますけれども、我々とすれば、そういう選択肢というものもあり得るのかというような思いでございましたので、そういう意味で、一度お会いしてどういう中身で考えておられるのかというようなことをお聞きしに行ったことはございます。ただ、これはお話しされているようなことではなくて、県の施設を使って何かしたいと言えば、その方に行ってお話を聞くというのは当然のことだと思っております。
〇斉藤信委員 診療所をやる定款変更なんですよ。空き病床を使うんじゃないんですよ。診療所をやるということは、県立診療センターの廃止が前提なんですよ。県立診療センターの廃止を前提にして、定款変更を3月6日やっているんですよ。私は本当にこれは異常なことだと思いますね。それはあなた方の一定の暗黙の了解がなかったらできないことですよ。いかがですか。
〇田村医療局長 このころからの一連の動きがあって、私どもは2月議会の中でも、民間移管の選択肢としてこういうものがあるというようなことは、そのころからずっとしゃべってきているつもりでございますので、その当時から、仮にそういった民間の方々に活用していただくということについては、そのことについてはそのころから我々も検討をしていたということでございますので、そういうふうに御了解いただきたいと思います。
〇小田島峰雄委員長 斉藤信委員に申し上げます。
 委員の質疑が長時間に及んでおります。世話人会の申し合わせを踏まえて質疑をされるよう、議事の進行に御協力願います。
〇斉藤信委員 了解をしましたが、極めて重大な案件で、もう少しやらせていただきたい。
 実は、いわば応募書類というのは、地域の懇談会にはほんの一部しか紹介をされなかった。私はその応募書類それ自身が、極めて不正確なものだったと思います。
 例えば、4ページ目ですけれども、これは社会福祉法人、特養ホーム、ショートステイ、デイサービスをやると人員配置計画が出されていますが、この三つの事業をやるためには、この人員配置じゃ全く足りないのですよ。看護師3名が必要なんだけれども、ここには特養ホームの人員しか最低限書かれていない。これでさえ特養ホームの運営は難しいと専門家は言っていますよ。私はこんな無責任なものを地域の住民に示して、これは法令違反に当たる人員体制なんですよ。何でこんなものが、こんな法令違反の人員体制のような資料で住民に説明しようとしたんですか。
〇大槻管理課総括課長 地域のほうに御説明申し上げました人員配置計画でございますけれども、特養ホームということでの非常勤職員を含めて21名となってございますが、事業の収支のほうの予算、人員体制のほうの別の資料もございまして、基本的に白光で考えている従業員数というものは、施設長1名、それから非常勤の医師1名、それから看護、介護、機能訓練指導員の中で20名という格好です。それから生活相談員で2名、それから介護支援専門員1名、栄養士1名の合計26名という体制で、予算上も26名分の人件費を積んでいるという格好になってございます。
〇斉藤信委員 私はだから指摘したでしょう。住民にはそんな給与表なんか全然出されていないのですよ。これしか出されていないんですよ。これだったら法令違反だと。そういう資料をあなた方は堂々と地域住民に示しているんですよ。それはもう一回示さなければだめですよ。
 それと、ヒヤリングのときに長寿社会課から三つの指摘がありましたね。一つは設備について。個室については必要な面積が確保されていない。設備の基準については、基準上、設置義務がないものについても設置すべきだと。これは地域交流スペースです。人員については栄養士の配置が必要だ。介護報酬単価については間違っていると。特養については、おむつ代は徴収してはならないと。あなた方の応募書類でこれだけ指摘されたら、出し直すというのが当たり前じゃないですか。
 私は本当に、25日に出されて27日にヒヤリングして31日に内定、こんなでたらめ、ずさんなやり方はないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
〇大槻管理課総括課長 まず、内定の日でございますが、9月10日となってございます。それから、医療法人といいますか、社会福祉法人の運営の仕方でございますが、先ほども申し上げておりますが、法制度上、特別養護老人ホームが、ある程度、施設というものをどこまでつくるかということが確定的になった段階で、実際の業務に入るということもございまして、保健福祉部とも事前に相談しているということもございまして、そういった施設基準や人員体制、収支の計画などについては、今後もそこの部分で事前の指導をしながら詰めていくという格好になってございます。
〇小田島峰雄委員長 斉藤信委員に申し上げます。
 斉藤委員にのみ特例をお認めするわけにはまいりません。何とぞ議事の進行に御協力願います。
〇斉藤信委員 わかりました。では、最後まとめてお聞きします。
 実は給与内訳書を見ると、看護師が月20万円、そして介護職員は15万円。介護職員というのは、平均20万円で低いと言われているときですよ。これが15万円です。看護職員、今、看護師不足で20万円では確保できないんじゃないかというのが大方の見方です。
 それと、15ページを見てほしいんですけれども、医療法人白光の変更予算書。これを見て私はびっくりしました。変更後のところを見ると、医業収益が5億4、600万円。役員報酬が4、610万円。この役員報酬って何ですか、これ。4、600万円と言ったら、医業収益の1割近くですよ。看護師はたった20万円。介護職員は15万円。岩手県の低い平均よりも低く抑えて、そして収入の基準で、私はこれは本会議で聞いてまともな答弁がなかったんだけれども、1日当たりの入院単価が1万1、500円になっていましたね。これは高過ぎますよ。どういう根拠があるんですか。役員報酬はべらぼうに高く、職員は低く、そして私は診療報酬の基準というのは全く見通しがないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
〇細川医療局次長 3点の質問があったと思いますが、一つは、人件費の関係だと思います。看護職、介護職の報酬が低過ぎるんじゃないかと。したがって、人員が集まらないのではないかという御指摘と承りましたが、私どもで実は白光側から伺っているんですが、ところで集まりそうかなという話をしたら、いずれ現時点で応募している人が少なくてもいるということも伺っておりますので、私どもとすれば、体制は確保していただけるものと思っております。
 それから、2点目の役員報酬の件ですが、高過ぎるというお話ですけれども、私ども、もちろん内容は聞いてございません。いずれ、これについては私どもとして言及をするべき立場にはないんではないかと考えております。
 それから、収入の関係についてでございます。入院1万1、500円、外来が5、000円という単価の設定をしてございます。これはそれぞれ患者数の設定もございますけれども、それぞれが基本料プラスそれから出来高の部分といいますか、それ以外の治療の単価、花泉地域診療センターあたりを参考にしながら考えていきますと、入院基本料が7、500円かなと。失礼しました。入院基本料2になると思いますので、そうだとすると5、186円。それからその他の診療、治療の部分を加算しますと6、321円、1万1、507円。それから、私、この間申し上げましたが、例えば九戸あたりの単価を見ても、大体私どもとすればほぼ妥当かなと見ていますので、決しておかしいような額ではないのではないかと思ってございます。
〇斉藤信委員 今、九戸、伊保内と比較しましたけれども、看護師の配置基準が全然違うんですよ。20人も配置しているんですよ。いいですか、医療法人は正看護師2人、準看護師2人ですよ。1週間、看護師が宿直をしないような体制なんですよ。私はこれ自身が異常だと思う。
 それと、収支計画書には医業外収益70万円。聞いたら紙おむつ代、洗濯代だと。これ13人、入院の初年度は1人当たり5万3、000円の負担になるんですよ。入院した患者から5万3、000円ぶん取るような、こういう医業外収益を試算しているんですね。ほかの医療機関に聞いたけれども、こんなことはあり得ないと。どうなんですか、これ。
〇細川医療局次長 医業外収益の件でございますが、私ども医業外収益に見込んでいるものは、おむつ代、洗濯代、病衣・パジャマ代等とありますので、プラスその他のものもあろうと思いますが、それぞれの単価を私どもも参考にしながら見ても、決してこれはおかしいとは見てございません。
 失礼しました。もう一点、先ほどの前段の件ですが、私、参考までに九戸とかと申し上げましたが、もちろん入院基本料については違います。ですから、先ほど申し上げたのは、入院基本料にという形で訂正をして申し上げたつもりでございますので、御理解をいただきたいと思います。
〇小田島峰雄委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇新居田弘文委員 それでは質問をさせていただきますが、先週の金曜日そしてきょうの審議ということでございますが、冒頭、医療局長からもおわびあり、あるいは次長からも訂正等ありましたが、この一連の審議の中での当局の説明については、私も適切さを非常に欠いているのではないかなということをまず御指摘をしたいと思います。
 そこで、3点について、私も理解するために、あるいは確認の意味でお伺いいたします。
 まず第1点目ですが、白光の経営内容についての評価は、先ほど来いろいろ議論がありましたが、そもそも無床化となった花泉地域診療センターを民間の力によって有床診療所にすることについての提案でございますが、これは、長年続きました国の医療行政によって、全国的に医師不足あるいは偏在が起因しておりまして、県立病院も常勤医の減少や、これに起因しての過酷な勤務条件が重なり、このままでは地域の診療体制の維持が困難であるなど、総合的判断のもとに、やむにやまれないことから、この4月から5地域診療所が、無床化の中で地域診療センターの存続が決定されたものと思っております。しかし、当該地域にとっては、引き続き有床診療体制を求めている状況にあることから、そこで今回、花泉地区においては、民間のいわゆる善意といいますか、厚意といいますか、そういうことで再び有床化を実現しようとするもので、願ってもないことであり、そのためには、県あるいは医療局も可能な限りこれを支援すべきであると思っております。幸い、過日の局長答弁では、一定のルールのもとで、緊急性や患者のことを考え、医師の派遣を含めて支援をしたいと述べられておりました。今回のケースの結果は、他の無床診療センター化された地区のモデルケースになるもので、各地域から関心が寄せられている一方、民間医療法人の今後の対応にも大きな影響を与えているもので、慎重かつ積極的に支援すべきものと考えております。
 そこで伺いますが、過日の審査の中で、当該医療法人の監査のあり方について指摘もあり、きょうも斉藤委員のほうから印鑑の違い等も指摘されたことでございます。この監査報告書についてある判こでございますが、これは、特別、法的な文書であれば印鑑証明添付ということで実印の義務も生じますが、このケースにおきますと、まさに認め印でいいというような考え方のようでございまして、年によっては判こが違ったり、あるいは個人であっても複数の認め印を所持しておりますから、このようなケースはごくあり得る話だと私は理解しております。肝心なことは、当該法人の経営内容、先ほども指摘がありましたように、医師の確保が完全にできているのか、その見通しがあるのかということでございまして、10月6日の医療局管理課から示された、あるいは本日も示された資料でいろいろ述べられておりますが、内定を判断したその根本についてお聞きいたします。
〇大槻管理課総括課長 内定をしたことについての根本の考え方ということでございます。今回の提案で、地域の医療や福祉の維持や向上が図られるか、施設を適切かつ有効に活用するものであるか、収支計画、人員配置、組織体制など、こういった事業を適切かつ確実に実施する能力を有しているか、地域連携に対して意欲を有しているかなどにつきまして、私どもだけではなく、一関市、一関地区広域行政組合と3者で審査いたしまして、事業実施に当たって大きな問題もなかったと考えましたことから、判断したものでございます。
〇新居田弘文委員 そういう御答弁をいただきましたが、先ほど、斉藤委員からもいろいろ指摘されておりますように、その辺についてはきちっとやっていただきたいと思います。
 二つ目、今後設立を予定している社会福祉法人七星会について伺います。これは、現花泉地域診療センターの2階部分を利用して特養ホームのサービス事業を行おうとするものであります。さきの質疑でも明らかなように、県内の特養ホーム入所希望待機者は5、539人とされ、特に緊急の入所希望者は1、020人であると報告されております。両磐地域ではそのうち148人おり、早期にホームの施設整備が求められておりますが、第4期の整備計画には、当地域での整備計画は皆無、ゼロという報告もございました。そういう中で、今回の計画は地域関係者にとって願ってもない、あるいは県民にとって歓迎すべきことでございます。特養ホームの入所者の受け入れは当該市町村を超えた広域的利用が図られていることから、両磐あるいは花泉地域のみならず他の地域にとっても、この実現を期待しているところでございます。
 ところで、今回予定されている新たな法人七星会を設立するための法的手続についてお伺いしますが、先ほど次長のほうからも訂正がございまして、まだ準備委員会は設立していないという話でございました。
 ところで、今回、法人を設立するためには、社会福祉法第31条に基づきまして設立認可申請書を作成した上で知事に提出し、設立要件が法令に違反していないかどうか等を審査した上で、第32条に基づき認可の決定を行い、その結果、社会福祉法人は同法第34条に基づき登記することによって法人格が与えられることになります。
 今回の現状を見ますと、先ほどお話がありましたように、まだ準備委員会を設置していないという段階でございますので、まさに任意の方々がそこでいろいろ議論して、これから設立準備委員会を結成して、県との事前協議、あるいは認可申請を順序立ててするようになるわけでございますが、まさに、登山に例えますと、頂上が認可となりますと、まだ1合目まで行っていないというような段階だと私は理解しております。
 その中で、今回の資料をいろいろ提出いただきましたが、私から思いますと、認可の受付は保健福祉部の所管でございますが、なぜ保健福祉部にあるのが、あるいは医療局として、このように─ある委員からの求めによって渡されたというのは先ほどございましたが、いわゆる法人の事前申請の協議もしていない、あるいはもちろん本申請はまだずっと先の中で、まさにこれからいろいろ変わる部分が含まれていると思うんですよ。そういう中で医療局が、こういうことで情報といいますか、資料を出すのは、好意はわかるんですけれども、いろんな混乱を招く大きな原因になっているのではないかと、私はそう思います。これが、いろんな部分で、いろんな団体や法人をつくる場合にも、そのような形で県当局からいろいろ出されますと、いろんな利害関係はもちろんでございますが、個人の信用にかかわる問題でございますが、その取り扱いについて認識をお伺いしたいと思います。
〇田村医療局長 今般の書類のやりとり、特に斉藤信委員からさまざまな資料の要求がございました。その際に、当初、個人情報などもいろいろ含んだものが多々あったものですから、我々としては、ある程度出せるものというものをセレクトして対応してきたところでございますけれども、斉藤委員から再三資料要求がございまして、法人からいただいたものは全部出せというような要請をいただきまして、我々もちょっと自分たちだけでは判断できないということで、情報公開条例の担当部署と相談した上で、最終的には出してもいいと。ただ、あくまでも、これは開示請求に基づくというようなことではなくて、議員も含めて県の内部の職員の判断材料の資料ということで、先ほども冒頭で取り扱いに御注意いただきたいというのは、そういう趣旨でございます。そういう形でお出しをしたというものでございます。
〇新居田弘文委員 別に隠せというような意味で言っているのじゃなくて、その時期があるんだろうと思います。医療関係の、さっきの資料に添付したということで最初に話がありましたけれども、確かにそれはいろいろ協議するために、本当に白光さんにこの施設を任せていいのかという中で、その審査資料として提出されたことはわかるんですけれども、それは医療局どまりであって、まだ不明確な、社会福祉法人の芽もまだ出ていない中の資料をひとり歩きさせた結果、この審査にもいろんな混乱を生じているのではないかと思います。したがって、今後、こういうものについては十分取り扱いを注意してやっていただきたいということをまず申し上げたいと思います。
〇斉藤信委員 今の新居田委員の質問について、私は募集要項に基づいて資料を要求したのですよ。いいですか、募集要項ではこう書いているんですよ。情報公開、応募書類は情報公開の請求により開示することがありますと書いて、応募書類が出たのです。だから、私はちゃんと出しなさい、議案審査に必要だと。当然のことじゃないですか、こんなことは。医療局長、ちゃんとあなたが出した募集要項に基づいて私は要求したのですよ。斉藤信委員から再三求められたなんて、そんなけちな話をしないでください。
〇田村医療局長 今回のケースについては、今、内定という段階でございました。それで、非常に判断が迷う。特に意思形成過程というのは非開示というのが通常の扱いでございます。ただ、今回、内定という段階でどうしたものかということで、私たちもかなり悩んだものでございます。ここで書いている開示することがありますというのは、本来的には、やはりきちっと正式にさまざまな書類の審査のやりとりをして、正式決定をした時点でやるというような趣旨でここに書いてあるのであって、内定の途中途中で出すというような意図で、ここで応募書類を情報公開の請求に開示することがありますというようなことで書いているものではないと考えております。
〇斉藤信委員 内定というのは事実上の決定に等しいんですよ。なぜかというと、社会福祉法人というのは施設を改修してスタートする時点でしか認可されないんですよ。そのときに最終決定になるんですよ。だから、内定というのは事実上の決定なんですよ。そういう重大な意味を持っているから、これは内定取り消しに匹敵する重大な疑惑、偽造、問題があるんじゃないか、こういうことで審査しているわけですよ。
 それと、私は新居田委員の先ほどの質問でもう一つ、医師派遣民間に拡大という、突然これは医療局長が環境福祉委員会で言い出した。私は、とんでもない話だと思いますよ、これは。一つは、どういう経過でこれが検討されてきたのか。今回の民間移管を無理して押し通すために出されたスキームじゃないですか。例えば手術で専門医の応援が必要なときに応援するなんて、とんでもない話ですよ。手術というのはチームでやるんですよ。突然、県立病院から民間に行って手術なんてできるわけない。だったら、県立病院に来てもらえばいいのですよ。私は、このスキームというのは本当に突然、まともな検討もなく、この民間移管を何とか無理して通そうという生煮えのものじゃないですか。どういう経過で、どういう中身で、どういうレベルで決めたものなのか示していただきたい。
〇田村医療局長 この問題につきましては、私が昨年就任して以来、医師からもいろいろと問題提起をいただいた課題の一つでございます。特に近年は民間のお医者さんがかなり県立病院の応援に入ってきてございます。その中で、一方で、民間のほうが困っているときに県立病院が何もしてくれないのかというような御批判も一つございます。それから、県立病院も医療の提供体制があちこちでかなり厳しい状況の中で、民間病院といいますか、そういった方々にかなり頑張っていただいております。そういった意味で、例えば久慈の産婦人科の問題で、民間でたった一人で頑張っているところがございますけれども、そういうときに、やっぱり場合によってはもう一人お医者さんが手伝いに来てやってもらいたいというケースがあるんです。そういうような話があって、ずっと検討してきたというものでございまして、今回のことにあわせて、ただ、決断を早めたというのは事実でございますけれども、今回のものにぜひ対応したいという気持ちがございましたので、決断を早めたというのは事実でございますけれども、検討そのものはかなり早い時期から進めてきたものでございます。(斉藤信委員「だれが決めたことだか答えてください。いつ、どこで、だれが決めたんですか。委員長、答弁漏れだ」と呼ぶ)
〇小田島峰雄委員長 答弁漏れがございますか。
〇田村医療局長 私が決めたものでございます。
〇阿部富雄委員 今回の花泉地域診療センターを活用した有床診療所の運営についての決定方法なんですが、書類不備のまま内定を出したということは問題だと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇田村医療局長 先ほど来申し上げておりますように、基本的に応募の審査に必要な事項については、書類として十分満たされているという前提で考えておりますし、そういったもので確認ができたということで内定を出したということでございます。
〇阿部富雄委員 環境福祉委員会で医療局は書類の不備は認めているわけです。それについては適正に処理させていただくということで御了解をいただきたいということですけれども、仮に、たまたま今回は1法人だけが名乗りを上げましたから、問題はなかったかもしれませんけれども、事業をしたいという方が複数名乗りを上げて、書類不備のまま内定をしてしまったと。残った他の事業をやりたいという方はどう思いますか。
〇田村医療局長 そういったケースというものは、そのときになって考えるべきもので、あらかじめそのときにはどうするかというようなことについてはお答えをしかねると思っております。
〇阿部富雄委員 それはおかしいんじゃないですか。応募書類の提出については、先ほど来皆さんが言っているように、外形的に審査したと言っているんですよね。内容まで立ち入ってやっているとは言ってないです。それはそれでいいでしょう、あなた方の弁で。では、外形的に書類が整ってなかった、不備があったということを認めること自体といいますか、そこを何もしないで対応するということ自体おかしいと思いませんか。
〇田村医療局長 いずれ、繰り返しになりますけれども、内定をする時点まで必要な書類のやりとりというのはございました。かなりぎりぎりまであったのは事実でございます。そういったものの書類を求めたものを、最終的に、この形であれば内定というものが出せるような段階まで待った上で、今回、内定を出させていただいたものでございます。
〇阿部富雄委員 内定を出すに当たっては、書類の不備をそのまま認めて出しているわけですよね。先ほどあなた方が言うように、その内容については指導監督する立場にないとか、言及する立場にないとかという表現を使っていますけれども、例えば議事録なんかの訂正などは、あなた方がどうのこうのと言う立場じゃない。そうでしょう。これは少なくとも所管する保健所が対応すべき、管理監督する者がやるべきものであって、あなた方がこれに言及するということ自体おかしいじゃないですか。
〇細川医療局次長 私どもは、今回、内定に当たっていろいろ書類をいただいて、その上で審査をしてまいりましたが、その中で、先ほど管理課総括課長からその視点については申し上げましたが、今回の中で、特にも財務の関係だとか、そういう中身がよくわかるような資料については重視してまいりましたし、今回の計画の中でも、医師の確保ですとか、常勤2名、非常勤3名とか、そういった形での体制の整備というものが図られるのかどうかというのは非常に大きい要素だと私どもは考えておりまして、そういった面での中身をよく見させていただきました。それに当たって、一関市あるいは組合にも入っていただきながら、それから保健福祉部のほうにもオブザーバーで入っていただきながら、そういう視点で審査を進めて、その上で内定を出させていただいたというものでございます。
〇阿部富雄委員 そのことは後で触れますけれども、今回、皆さんが選考したのは、応募書類を審査したんでしょう。応募書類に不備があったとしたら、その時点で訂正を求めるなり何なりしてから審査すべきじゃないんですか。
〇田村医療局長 必要な事項については審査はしてきたものでございます。ただ、冒頭のいろいろ日付の空欄とかあったのは、これはこれでそのとおり事実でございますけれども、内定に必要な情報、特に実質的な内容に伴うような情報についてを特に重点的に当然見ておるわけでございますので、そういったものをきちっと見た上で、私どもは内定を出させていただいたというものでございます。
〇阿部富雄委員 そういう無責任な言い方はないでしょう。行政ですよ、あなた方も。少なくともそんなことが通じる世の中だと思いますか。間違っていれば、間違いでしょう。それは訂正させるなり、内定を取り消すなりというのは必要なことじゃないですか。
〇田村医療局長 いずれ、委員会、本会議のときにも申し上げましたように、いろいろと御指摘いただいたのは、間違いは事実でございますので、修正が必要なものは修正するということで、現在、保健福祉部とも一緒になって、また、法人のほうにも税理士さんが入っていただいて、さまざまな資料の整備を、今、大車輪で実施しているということでございます。
〇阿部富雄委員 私は、もう一度審査はし直すべきものと思いますけれども、これ以上議論してもかみ合わないと思いますから、やっぱり不備を見抜けずに内定して混乱を招いた責任、これはきちっと明確にしてもらわないと困りますから、別途、この責任の所在のあり方については態度を表明していただきたいと思います。
 それから、応募書類の審査なんですけれども、医療局、一関市、一関地区広域行政組合のほかオブザーバー出席も求めてやられたということですね。オブザーバー出席は県の関係課、県南広域振興局等の担当者でとありますが、具体的にどういう方々がオブザーバーとしてお入りになって助言等を行ったのか。それから、具体的に助言があったとすれば、その内容についてお聞きいたします。
〇大槻管理課総括課長 ヒアリング等々の際のオブザーバー参加でございますが、まず、県庁のほうからは保健福祉部の医療国保課、長寿社会課、県南広域振興局の保健福祉環境部、一関総合支局の保健福祉環境部という格好で御参加をいただきました。その方々については、一般職の方々でございます。
 それから、どのような助言というものがあったかということでございますが、一つは、社会福祉法人の関係の施設基準とか人員体制、それから、施設基準の中には、先ほど来お話がございましたけれども、部屋の広さといった部分で今後設計をしていくという中で詰めてもらいたいところ、この部分をもう少し拡充してくれとか、そういった部分についての御助言がございました。
〇阿部富雄委員 長寿社会課が助言した内容については、この前の質疑の中でお聞きしております。施設整備だとか人員配置、報酬単価等を助言したということですけれども、先ほどお話し申し上げましたオブザーバー参加した他の団体といいますか、機関からの助言等はなかったんですか。
〇大槻管理課総括課長 何といいますか、施設基準とかそういう部分での御助言はございませんでしたが、法手続的な、例えば県南広域振興局とか一関総合支局という部分は窓口になってくる場合がございます。そういった部分での御指導はあったように記憶してございます。
〇阿部富雄委員 具体的に言ってもらわないと次の質問に入れないんですけれども、長寿社会課以外の他の機関が指摘したといいますか、助言した中身についてもう少し詳しくお聞きいたします。
〇大槻管理課総括課長 詳細について、ちょっと私の記憶のほうで定かではございませんけれども、一つ記憶しているのは、何といいますか、医師の体制についての、要するにオンコールでの医師の体制の話があったかと思います。どういうふうな格好で医師が夜間対応するのかというお話があったかと思います。
 あとは、質問的な話になりますが、花泉地区に現在特養がありますが、今回なぜ特養をやろうとしているのかとか、ショートとデイの開設の時期はどうなるのかとか、そういうふうな質問というものがございました。
〇阿部富雄委員 いずれ、長寿社会課からの助言だとか、今お話しされたことなどについては、地域の方々は全くわからないでいる部分ですよね。やっぱりもう少し懇切丁寧に地域の方々にも計画概要とあわせて説明して、理解を求める努力というのは私は必要だと思いますので、その辺は、これは医療局がやることだと思いますから、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、選考方法についてですけれども、選考基準で100点満点でやるということにして、白光の提案については、医療局、一関、一関地区広域行政組合の平均点は66.7点だということで言われていますけれども、具体的な決定した中身というのは、この選考基準に基づいて決めたということでよろしいわけですね。
〇大槻管理課総括課長 医療局と一関市、一関地区広域行政組合のほうでそれぞれの点数をつけていただきました。これを参考にした上で、トータルに総合評価という格好で、我々のほうでトータルに考えさせていただきまして、最終的に内定をしたと考えてございます。
〇阿部富雄委員 そこで、66.7点というのは、私は低過ぎるのではないかと思っています。医療局は特に何点以上でなければならないという基準は設けていないという答弁をさきに本会議でいただいていますけれども、じゃ、何のために選考基準を設けて100点評価をやったんですか。
〇大槻管理課総括課長 評点につきましては、それぞれ1点から10点といいますか、そういう格好でそれぞれ項目がございまして、例えば地域医療や福祉の維持、向上に資するものか、施設を適正かつ有効に活用するものか、事業を適正かつ確実に実施する能力があるか、地域医療に対する意欲といったものについて、一つの実施、やっていけるかどうか、そういった部分の目安として点数化したものでございます。ですので、先ほど委員のほうからもお話がありましたとおり、基本的にこれについての、何といいますか、何点以上であればという格好で定めているものではございません。
〇阿部富雄委員 それではちょっと皆さん方の理解を得られないんじゃないかと私は思います。例えば1業者しか出なかった場合、30点でもいい、仮に複数の事業者が名乗り出て、0.1点差、30点対30.1点でも、30.1点が事業者として選定されるということですか。
〇田村医療局長 例えば10点と11点だったらどうするんだとか、そういったことはあろうかと思います。ただ、基本的には運営がしっかりやっていけるかというのが基本で、その中で点数が、何というんですか、絶対基準の点数というようなことを定めるということではないだろうと私は思っています。あくまでも評価をする評価人の方々が評価する際に、ある程度の配点みたいなものがないと、評価の集計をしても意味のない集計になってしまいますから、こういった評価配点を項目ごとに定めてやるというようなことは、私は当たり前に、普通に今までもやってきております。その中で、あとは最終的に、今、委員がおっしゃったように、では、10点とか20点だったらどうなんだということについては、最終的な判断の際に該当なしというようなことも、それはあり得るものだと思っております。
〇阿部富雄委員 やっぱりそういうファジーな選考方法が私は問題だと思うんですよ。今、局長が言ったように、選考基準というものをぴしっと決めているんでしょう。これでやるとなっているんでしょう。これ以外のことはどこにも書いてませんよ。選考基準でやるんでしょう。どうなんですか。
〇田村医療局長 選考基準という趣旨は、どういう基準で審査をしていくかということであって、点数の基準ということではございません。あくまでも、選ぶ際にどういう視点で配点をして審査していくかということのために定めているものでございます。
〇阿部富雄委員 そうであれば、選考方法にきちっとそこは明記すべきじゃないんですか。誤解を招くような書き方で、私は、事業をやりたいという方々は迷うと思うんですよ。
 それはそれにして、選考基準は、先ほど管理課総括課長でしたが、お話ししましたように、1から4まであって、それぞれ10点配点でやっていますけれども、問題は、事業を適正かつ確実に実施する能力を有しているかどうかというここの評価なんですけれども、各配点で10点満点でやっている部分で、3者の平均の点数はどういうふうになっているのか、各具体的内容ごとにお知らせください。
〇大槻管理課総括課長 事業を適正かつ確実に実施するという部分でございます。収支計画につきましては、評点が3者の平均で6点、経営基盤6点、人員配置6点、危機管理体制、職員研修6点となってございます。
〇阿部富雄委員 この部分がやっぱり事業を継続できるかどうかの大きな要素の部分だと私は思いますけれども、極めて評点が低い。これをあえて了としたということですから、これはあなた方の責任ということになると思いますけれども、それは、そういうことでわかりました。
 そこで、医療局長を初め医療局の答弁は、何かにつけて一関市と話し合ってとか、一関市と事業の進め方を打ち合わせをするとか、一関市と連携して、一関市と相談してと、こういう一関市ということが非常に大きく出てきているわけです。民間の有床診療所について、一関市はどのような責任を持つことになるんですか。
〇田村医療局長 一関市の前市長さんともかなりやりとりをしてまいりましたけれども、市長さんとのやりとりの部分では、有床診療所の部分はやっぱり県のほうでしっかりと見てもらいたいと。介護の部分は、市の広域の介護保険計画にかかわるから、こちらについては私どももそれなりに市としての立場でかかわっていかなければならないんだというようなお話をいただいておったと考えております。
〇阿部富雄委員 最後にしますけれども、いわゆる有床診療所の部分で、今、県が対応してくれという一関市からの強い要請があるということですけれども、仮に医師の確保等が難しくなって有床を維持できない場合に至ったとき、今までは医療局は支援をしていくんだという言い方をずっと続けてきているわけですけれども、少なくとも有床を維持するためにずっと支援を続けると理解していいわけですか。
〇田村医療局長 いずれ、基本的には何とかこの診療所を有床で維持するように、先ほどお示ししたような診療応援のスキームとか、いろいろなものを、特に財政面は財政面でまた別途やっているわけでございますが、我々としてできることはやっていくということが基本でありますし、そう考えております。
〇阿部富雄委員 私はここが一番のポイントだと思っているわけです。今までの答弁から域を越えてないんですけれども、先ほどお話しした診療所の応援スキームについても、これだって、今までの議論を聞いていますと、臨時的だとか緊急的な場合の応援体制というふうにしか私は受けとめることができなかったわけですが、私が聞いているのは、有床診療所が維持できなかった場合は、できなくなった場合には、県は有床を維持するために今後もずっと有床ができるように支援していく、こういうふうに理解していいかということです。
〇田村医療局長 いずれ、いろんなケースがあるわけで、非常に仮定の議論になっているわけですけれども、法人にも、当然、だれでも一番心配しているのはお医者さんの話なわけですから、お医者さんをまずしっかりと置いていただいて、その上で我々ができる応援をしていくということが基本的な考え方でございます。
〇阿部富雄委員 やっぱり判断するのは、私はそこなんですよ。医療局としてできる支援をしていくんじゃなくて、有床を維持するための支援をずっと続けるという理解に立っていいかということを聞いているんです。
〇田村医療局長 いずれ、繰り返しになります。我々として、そのときに、その時々にできることをしっかりやるということが基本で、そのためのさまざまな準備もし、こういった民間応援のスキームもつくり上げたということでございます。
〇小田島峰雄委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小田島峰雄委員長 質疑がないようでありますので、医療局関係の質疑をこれで終わります。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時6分 散 会

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